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特表2024-5370613D医用画像データを分析するための方法、コンピュータプログラム、及び3D医用画像データ評価デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】3D医用画像データを分析するための方法、コンピュータプログラム、及び3D医用画像データ評価デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20241003BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20241003BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06F3/04845
G16H30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519372
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022074807
(87)【国際公開番号】W WO2023052057
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21200080.6
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッシュリッヒ ニクラス ドメニク マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヒッシュリッヒ デイヴィッド ヴィンセント ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】シュレッケンベルク マルクス
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
5L099
【Fターム(参考)】
5B050AA02
5B050BA03
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA06
5E555AA26
5E555AA29
5E555BA02
5E555BB02
5E555BB08
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA24
5E555CB02
5E555CB45
5E555CC05
5E555DA08
5E555DB53
5E555DC30
5E555FA00
5L099AA26
(57)【要約】
3D医用画像情報を表示及び分析するための方法が提供される。この方法は、解剖学的構造の3D医用画像データを受け取るステップと、解剖学的構造の3Dレンダリング1を3D医用画像データに基づいて生成するステップと、視覚化環境10において3Dレンダリング1をユーザ20に表示するステップと、3Dレンダリング1上又は内の第1のポイント4を示すユーザのコマンドを受け取るステップと、第1のポイント4に対応する視覚化環境10における位置に2Dフレーム2を設けるステップであって、2Dフレーム2の第1の側がユーザ20に面している、2Dフレームを設けるステップと、2Dフレーム2内のMPRビュー3を表示するステップであって、MPRビュー3が、2Dフレーム2の位置における3D医用画像データに基づいており、2Dフレーム2のサイズに対応するようにサイズ設定される、MPRビューを表示するステップと、3Dレンダリング1を部分的に切り落とすためにユーザ20と2Dフレーム2の第1の側との間に透明な切り取り体9を設けるステップとを有する。さらに、コンピュータプログラム及び3D医用画像情報評価デバイスが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D医用画像データを分析するための方法であって、
解剖学的構造の3D医用画像データを受け取るステップと、
前記解剖学的構造の3Dレンダリングを前記3D医用画像データに基づいて生成するステップと、
視覚化環境において前記3Dレンダリングをユーザに表示するステップと、
前記3Dレンダリング上又は前記3Dレンダリング内の第1のポイントを示すユーザのコマンドを受け取るステップと、
前記第1のポイントに対応する前記視覚化環境の位置に2Dフレームを設けるステップであって、前記2Dフレームの第1の側が前記ユーザに面している、前記2Dフレームを設けるステップと、
前記2Dフレーム内のMPRビューを表示するステップであって、前記MPRビューが、前記2Dフレームの前記位置における前記3D医用画像データに基づいており、前記2Dフレームのサイズに対応するようにサイズ設定される、前記MPRビューを表示するステップと、
前記3Dレンダリングを部分的に切り落とすために前記ユーザと前記2Dフレームの前記第1の側との間に透明な切り取り体を設けるステップと、
前記視覚化環境における前記2Dフレームの前記サイズを変更するためにユーザのコマンドを受け取るステップであって、前記2Dフレーム内の前記MPRビューが前記2Dフレームの新しいサイズに更新され、前記透明な切り取り体のサイズが前記2Dフレームの前記新しいサイズに適応される、前記コマンドを受け取るステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記2Dフレームの前記第1の側が、前記ユーザの視線方向に対して少なくとも実質的に直交するように前記ユーザに面している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切り取り体が、前記2Dフレームの前記第1の側と前記ユーザとの間で前記3Dレンダリングを切り落とすために、前記2Dフレームに直接隣接して位置づけられるか、又は
前記切り取り体が、前記2Dフレームに直接隣接しておらず、前記切り取り体から前記2Dフレームまでの最短距離と、前記2Dフレームの外周との間の比が、0.1から0.9の間であり、好ましくは、0.1と0.6との間であり、最も好ましくは、0.1と0.4との間である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚化環境における前記2Dフレームの前記位置を変更するためにユーザのコマンドを受け取るステップであって、前記2Dフレーム内の前記MPRビューが前記2Dフレームの新しい位置に更新され、前記透明な切り取り体の位置が前記2Dフレームの前記新しい位置に適応される、前記コマンドを受け取るステップをさらに有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記2Dフレームが、前記3Dレンダリングを通って2次元に延びる分析面に設けられ、前記2Dフレームが、前記分析面の一部のみをカバーする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記透明な切り取り体が、適応可能な断面を有し、前記方法は、前記断面のサイズが前記2Dフレームからの距離の増加とともに変化する比を示すユーザのコマンドを受け取るステップをさらに有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記3Dレンダリングが前記視覚化環境内で新しい位置及び/又は向きを有するように前記3Dレンダリングを回転及び/又は移動させるためにユーザのコマンドを受け取るステップであって、前記2Dフレーム内の前記MPRビューが前記3Dレンダリングの前記新しい位置に対応して更新され、及び/又は前記切り取り体の前記形状及び/又はサイズが、前記3Dレンダリングの前記新しい位置に対応して更新される、前記コマンドを受け取るステップ
をさらに有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記3Dレンダリング上又は前記3Dレンダリング内の第2のポイントを示すユーザのコマンドを受け取るステップと、
前記第2のポイントに対応する前記視覚化環境の位置に第2の2Dフレームを設けるステップであって、前記第2の2Dフレームの第1の側が前記ユーザに面しており、前記第2の2Dフレームが、好ましくは、前記ユーザの視線方向に対して少なくとも実質的に直交する、前記第2の2Dフレームを設けるステップと、
前記第2の2Dフレーム内の第2のMPRビューを表示するステップであって、前記第2のMPRビューが、前記第2の2Dフレームの位置における前記3D医用画像データに基づいており、前記第2の2Dフレームのサイズに対応するようにサイズ設定される、前記第2のMPRビューを表示するステップと、
前記3Dレンダリングを部分的に切り落とすために前記ユーザと前記第2の2Dフレームの前記第1の側との間に第2の透明な切り取り体を設けるステップと
をさらに有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記2Dフレームの形状及び/又はサイズを個々に変更するためにユーザのコマンドを受け取るステップをさらに有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザによって設定された前記第1のポイントで始まる測定経路に沿った測定を示すユーザのコマンドを受け取るステップであって、前記2Dフレームが、前記第1のポイント及び前記測定経路を取り囲み、前記2Dフレームのサイズ及び/又は形状を前記測定経路に動的に適応させる、前記コマンドを受け取るステップと、
前記測定経路が終了する位置を示すユーザのコマンドを受け取るステップと
をさらに有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記視覚化環境が、VR環境又はAR環境である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記3Dレンダリング全体を通って延びる切り取り面を設け、前記切り取り面の一方の側で前記3Dレンダリングを切り落とすためにユーザのコマンドを受け取るステップをさらに有し、前記切り取り面が、前記視覚化環境内に個々の向き及び位置を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、
前記3D医用画像情報から自動的に表面モデルをセグメント化するステップであって、前記表面モデルが前記解剖学的構造の少なくとも一部に対応する、前記表面モデルをセグメント化するステップと、
前記視覚化環境内で表面モデルを表示するステップと、
前記表面モデルを前記2Dフレーム内のMPRビューに適合させるためにユーザのコマンドを受け取るステップと
をさらに有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサが請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行することを可能にするプログラムコード命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行するための3D医用画像情報評価デバイスであって、前記3D医用画像情報評価デバイスが、
3D医用画像情報を受け取るためのインタフェースと、
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行するための計算ユニットと、
前記視覚化環境を設け、少なくとも前記3Dレンダリング及び前記2Dフレームを表示するための視覚化デバイスと、
を含む、3D医用画像情報評価デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D医用画像データを分析するための方法、コンピュータプログラム、及び3D医用画像データ評価デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
3D超音波(US)、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、3D心エコー(3DE)、及び心臓コンピュータ断層撮影(CCT)などのような人間又は動物の体の3次元(3D)医用画像データを取得する複数のモダリティがある。取得した3D医用画像データを表示する1つのやり方は、それを、3D画像データのレンダリングによって生成された3Dボリュームとして視覚化することである。それゆえに、視覚化された3Dボリュームは、3Dレンダリングとも呼ばれる。3Dレンダリングは、仮想現実環境(VR)又は拡張現実環境(AR)において2次元(2D)スクリーン上に表示される。特に、消費者に優しいAR/VRヘッドセットの今後の開発により、ユーザは、仮想空間に踏み込むことができ、2つの別々のスクリーンと、左眼及び右眼のための2つの別々に計算された画像とを有するヘッドセットを使用して、3Dボリュームを「真の3D」で立体視的に見ることが可能になる。これは、非常に正確に追跡されるハンドコントローラ又はハンドトラッキングと組み合わせて、3Dコンテンツとの極めて自然な対話を可能にする。医療用3Dデータイメージングでは、従来のイメージングと比較して、VR分析は、より速いナビゲーションと、バラツキの少ない正確な測定とに関連する。
【0003】
いずれにしても、多平面再構成(MPR)面を用いた3Dボリュームレンダリング又はナビゲーションは、医療3Dデータを見るための2つの最も一般的なやり方である。MPRは、データセットの「グラウンドトゥルース」であると見なされ、3Dボリュームを通る切断された特定の面を表示し、測定を行うために使用される。他方、VR分析と組み合わせた3Dボリュームレンダリングは、データセットの立体的視覚化を行うが、3Dボリュームレンダリングでの測定は、選ばれたボリューム閾値に対して非常に敏感であり、潜在的に、不正確な測定及び誤った臨床的結論をもたらす。
【0004】
仮想現実環境では、ボリュームレンダリング及びMPRが同時に表示される。しかしながら、不透明なMPR面は、しばしば、その背後の3Dボリューム(すなわち、解剖学的構造)の視野を妨げるか、又はその逆であるという問題がある。
【0005】
それゆえに、3Dボリュームの視覚的概観機能をMPRの正確な測定機能と最適に組み合わせる解決策を有することが望ましい。
【0006】
米国特許出願公開第2007 229500 A1号は、直接的なボリュームレンダリングとMPRレンダリングとの組合せを使用して、周囲材料との関連でMPR画像をレンダリングする方法を示している。MPRをシフトさせることによって、ユーザは、切開区域を対話形式で変更して、画像ボリュームの内部を明らかにする。
【0007】
WO2017/212063A1は、ユーザが、3次元データセットのボリュームレンダリングを視覚化し、ボリュームレンダリングを操作して、3Dデータセット内のMPR面を動的に選択し、選択されたMPR面でBモード画像を生成することを可能にするユーザインタフェースを備える医療イメージング及び視覚化システムを示している。
【0008】
米国特許出願公開第2012/0308095A1号は、調査中の領域の環境に関連する診断関連医療情報に関して、画像としてのオブジェクトのボリュームデータの視覚化を調節するためのシステムを示している。したがって、少なくとも1つのスライス領域が、ボリュームデータ内のスライス情報に基づいて指定される。ボリュームデータの第1のマッピングが、少なくとも1つのスライス領域をディスプレイ上で視覚化するために使用される。第1のマッピングとは異なる第2のマッピングが、スライス領域に隣接する領域を視覚化するために使用される。
【0009】
しかしながら、不透明なMPR面は、しばしば、その背後にある解剖学的構造の視野を妨げ、それにより、不正確に位置づけられたMPR面の設定、したがって、不正確な測定のリスクが直ちに高まるという問題が依然として残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえに、本発明の目的は、データセットの正確な測定又は分析を可能にしながら3D医用画像データの全体的な視覚化を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の特徴を含む3D医用画像情報を分析するための方法によって、請求項14に記載の特徴を含むコンピュータプログラムによって、及び請求項15に記載の特徴を含む3D医用画像情報評価デバイスによって解決される。
【0012】
本発明の一態様によれば、
3D医用画像情報を分析するための方法が提供され、この方法は、
解剖学的構造の3D医用画像データを受け取るステップと、
解剖学的構造の3Dレンダリングを3D医用画像データに基づいて生成するステップと、
視覚化環境において3Dレンダリングをユーザに表示するステップと、
3Dレンダリング上又は3Dレンダリング内の第1のポイントを示すユーザのコマンドを受け取るステップと、
第1のポイントに対応する視覚化環境における位置に2Dフレームを設けるステップであり、2Dフレームの第1の側がユーザに面している、設けるステップと、
2Dフレーム内のMPRビューを表示するステップであって、MPRビューが、2Dフレームの位置における3D医用画像情報に基づいており、2Dフレームのサイズに対応するようにサイズ設定される、MPRビューを表示するステップと、
3Dレンダリングを部分的に切り落とすためにユーザと2Dフレームの第1の側との間に透明な切り取り体を設けるステップと
を有する。
【0013】
最新技術とは対照的に、本発明は、3D医用画像情報を分析するために3Dレンダリング及びMPRビューの両方を使用する異なる手法を提供する。先行技術では、3Dレンダリング又はMPRビューのいずれかが、医用画像情報を分析するために使用されるが、本発明では、3Dレンダリング及びMPRビューの両方が、3D医用画像情報を全体的に分析するために同時に使用される。すなわち、先行技術では、両方の方法が交互に使用されていた。したがって、各分析方法の利点が、3D医用画像情報の分析プロセスを改善するために組み合わされる。
【0014】
特に、MPRビューが示される2Dフレームは、3Dレンダリングに完全には重ね合わされることなしに、3Dレンダリングのどこにでも位置づけられる。特に、2Dフレームのまわりの3Dレンダリングは依然として見える(すなわち、3Dレンダリングは、2Dフレームによって完全には隠されない)。したがって、ユーザは、依然として、3Dレンダリングを見ることによって3D医用画像情報の空間的な概観を得る。これは、3Dレンダリング内のMPRビューの位置が臨床決定にとって重要であり、3Dレンダリング内のMPRビューの正しい位置を選択するために高レベルの経験と空間的想像力が必要とされるので非常に誤りやすいゆえに重要である。本発明によれば、ユーザは、2Dフレームを正しく位置づけるためにMPRビュー及び3Dレンダリングの両方を見ることにより改善された向きを有する。好ましくは、MPRビューによってカバーされる(すなわち、2Dフレーム内の)区域は、3Dレンダリングよりも小さく、3D医用画像情報の非常に限定されたセクションを表す。言い換えれば、MPRビューの可視の区域は、2Dフレームの区域に限定される。
【0015】
例えば、ユーザは、より良い向きを得るために、及び3Dレンダリング内で2Dフレームを正確に位置づけるために、3Dレンダリングを回転又は移動させる。言い換えれば、ユーザは、3Dレンダリングを使用して自分自身の向きを合わせ、それにより、3Dレンダリングのこの領域(例えば、関心領域)を詳細に分析するために3Dレンダリングの適切な位置に2Dフレームを正確に設ける。切り取り体により、ユーザは、MPRビューのほとんど遮られていないビューを有する。すなわち、3Dレンダリングは、切断されていない3Dレンダリングの一部をユーザが依然として見るように、単に部分的に切り落とされる。すなわち、3Dレンダリングは、2Dフレーム内のMPRビューのほとんど遮られていないビューを提供するように切り落とされる。したがって、3D医用画像データの分析は、ユーザが3Dレンダリング及びMPRビューの両方を同時に見ることができるので単純化され、より直観的にされ、その結果、ユーザは、依然として、3Dレンダリング全体を概観しながら、MPRビューを詳細に分析することができる。
【0016】
3D医用画像データは、例えばDICOM規格のデジタル画像として、すなわち、各ボクセルがグレースケール値を含むボクセルの3次元アレイを含むデジタル画像として提供される。そのような3D医用画像データは、一般に、例えば、MR、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子放射断層撮影(PET)、又は超音波(US)などの医療イメージングモダリティを使用して、解剖学的構造を含む視野から得られている。解剖学的構造が心臓である場合、超音波及び特に経食道心エコー検査(TEE)が有利に使用される。例えば、3D医用画像データは、4次元(4D)医用画像データを得るために一定期間にわたって取得され、ここで、第4の次元は時間である。この場合、4D医用画像データからの1つの3D画像は、以下では「フレーム」とも呼ばれる。3D画像は、動的に動いている解剖学的構造の円滑な表現を可能にするために、例えば、5~100画像/秒、好ましくは、20~60画像/秒のフレームレートで取得される。期間は、通常、循環的運動の少なくとも1つのサイクル、例えば少なくとも1つの心拍である。3D医用画像データは、医用画像データを取得したモダリティから直接受け取られるか、又は臨床画像データベースから受け取られる。
【0017】
3Dレンダリングの生成は、閾値範囲内の特定のボクセルのみを表示するために、調節可能な閾値を使用する。色シェーディング及び特殊照明技法が、2Dスクリーン上に奥行きの印象を作り出すために使用される。3Dレンダリングは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0253841 A1号に記載されているように、当技術分野で知られているボリュームレンダリング技法を使用して実行されるボリュームレンダリングプロセスによって生成される。通常、ボリュームレンダリングを実行するには、空間におけるカメラ位置及び視線方向を定義する必要がある。この位置は、ユーザの観視位置に対応する。さらに、いくつかの技法は、すべてのボクセルの不透明度及び色を定義する。一般的な技法は、ボリュームレイキャスティングである。この技法では、光線が、所望の画像ピクセルごとに生成される。単純なカメラモデルを使用して、光線は、カメラの投影の中心(通常、観視位置又は視点)から始まり、カメラとレンダリングされるべきボリュームとの間に浮かぶ仮想画像平面上の画像ピクセルを通過する。次いで、光線は、ボリュームの全体にわたって規則的な間隔又は適応された間隔でサンプリングされる。データは、各サンプルポイントで補間され、伝達関数が、RGBAサンプルを形成するために適用され、結果が、光線の累積RGBAに追加され、プロセスは、光線がボリュームを出て行くまで繰り返される。プロセスが、スクリーン上のすべての画像ピクセルに対して繰り返されて、完成された画像が形成される。3Dレンダリングは、視覚化された3次元ボリュームと考えられる。
【0018】
ボリュームレンダリングは、Charles H. Hansen及びChristopher R. Johnsonによって編集された「The Visualization Handbook」、Elsevier Butterworth Heinemann 2005に記載された、特に、127頁から始まるArie Kaufmannによる「Overview of Volume Rendering」に記載された技法によって実行され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
視覚化環境は、座標X、Y、及びZ(世界座標)を有する視覚化座標系によって定義される。加えて、3Dレンダリングは、座標X’、Y’、及びZ’(オブジェクト座標)を有するオブジェクト座標系で定義される。その上、3D医用画像データは、座標X”、Y”、及びZ”(3D医用画像座標)を有する元座標系に対して定義される。座標系は、互いに対してシフトされる。その結果、3Dレンダリング、2Dフレーム、表面モードなどのオブジェクトは、互いに対してシフトされるように、別々の座標系で定義される。他方、ユーザの観視位置は、視覚化座標系によって定義される。
【0020】
視覚化環境は、VR/AR視覚化環境又は非VR視覚化環境である。非VR視覚化環境では、ユーザによって使用される入力ツールは、キーボード、ポインティングデバイス、例えば、マウス、トラックボール、タッチパッド、又はタッチ感知ディスプレイなどであり、これらは、通常、スクリーン上に表示されるボタン、スライダなどを含むインタラクティブパネルとともに使用される。そのようなボタン又はスライダは、例えば、ユーザによって指又はポインティングデバイスを用いて作動され、例えば、ユーザは、入力ツールを作動させるためにスクリーン上のカーソルを移動させる。そのような入力ツールによって、ユーザは、例えば、視覚化をズームイン及びズームアウトし、3Dレンダリングの閾値、平滑化、照明、及びコントラストなどの視覚化パラメータ/設定を適応させ、シネモードを開始及び保持し、3Dレンダリング及び/又はMPRビューに関する測定を実行する。特に有用な実施形態では、入力ツールにより、ユーザは、解剖学的構造上のポイントを設定し測定を行うことができる。例えば、ユーザは、3Dレンダリング及び/又はMPRビュー上の2つのポイントを選択し、そのようなポイントの間の距離が自動的に計算される。この特徴は、介入を計画するときに、例えば、インプラントを選ぶときに有用である。いくつかの実施形態では、ユーザは、ポインティングデバイス、すなわち、マウス、又はタッチ感知ディスプレイ上のタッチによって、視覚化されたオブジェクトを「掴み」、それによって、それを移動又は傾斜させることができる。オブジェクトは、シミュレートされたインプラント、又は患者に個々に合致されなければならない他のオブジェクトでもよい。
【0021】
VR環境では、そのような入力ツールは、好ましくは、ユーザが少なくともハンドジェスチャによって仮想現実環境内のオブジェクトを掴んで移動させることができる仮想コントローラによって実現される。このコンテキストにおける「移動」は、回転も意味する。VRコントローラにより、さらに、ユーザは、VRオブジェクトのサイズ及び/又は形状を変更することができる。さらに、VRコントローラは、ユーザが選択を行うボタン又はスライダを含む。VR環境において、VRヘッドセットを装着し、一方の手に少なくとも1つのVRコントローラを(好ましくは、各々の手にVRコントローラを)保持するユーザは、VR環境において、3DレンダリングとMPRビューとからなる解剖学的構造の静的な又は動的な視覚化を見る。好ましくは、ユーザはまた、現在の手の位置及び向きに対応する位置及び向きでコントローラを見る。したがって、VR環境により、ユーザは、コントローラを視覚化の方に移動させ、特定のボタンを押すことによってコントローラを掴み、現実世界のオブジェクトの場合のように、視覚化されたオブジェクトをユーザの手の動きにより移動及び/又は回転させることができる。それによって、ユーザは、視覚化されたオブジェクトを正しく直観的に見て分析するために、18個の自由度(VRヘッドセットと2つのVRコントローラの各々とに対して、6つの自由度、すなわち、3つの回転と3つの平行移動の自由度)を有する。これは、オブジェクトと対話する自然なやり方に非常によく似ている。
【0022】
例えば、上述のユーザのアクションのいずれかによって、コマンドは、3D医用画像データを分析しているユーザによって発行される。コマンドは、
a)3D医用画像データを分析するワークフローの開始、
b)ポインティングデバイス(例えば、マウス、VRコントローラ、タッチパッド、トラックパッド、トラックホイールなど)のポインタを視覚化環境内の特定の位置に移動させ、ボタンを押し、及び/又は事前定義された一定期間その位置にとどまること、
c)ユーザによって行われるジェスチャ、及び/又は
d)底部(例えば、仮想底部)を押すこと
である。
【0023】
いずれにしても、コマンドは、上述で定義した座標系のうちの少なくとも1つの内の空間位置を有する第1のポイントの定義をもたらす。例えば、第1のポイントは、元座標系X”、Y”、及びZ”内に定義され、次いで、オブジェクト座標系X’、Y’、及びZ’に変換される。すなわち、第1のポイントは、視覚化環境内の所定の座標に位置づけられる。好ましくは、座標は、視覚化環境内の空間位置(x座標,y座標,z座標)を定義する。
【0024】
ケースa)は、プロセッサを含むコンピュータ又は他のマシン上でこの方法を実行することの開始を含む。すなわち、コマンドは、この方法の実行を開始するコマンドである。この場合、ユーザによって示された第1のポイントは、視覚化環境内の座標X、Y、及びZによって視覚化座標系内に定義された所定の位置を有する。好ましくは、座標は、視覚化環境内の空間位置を定義する。これにより、ユーザは、この方法の実行を開始すると直ちに分析を行うことができる。これは、ワークフローを特にユーザフレンドリにする。加えて、ワークフローは、ユーザが解剖学的構造の距離、面積、表面、などを測定したいときにユーザによって作動される測定ワークフローである。したがって、第1のポイント(それゆえに、2Dフレーム)は、ユーザが特定のワークフローを実行したい(例えば、測定を実行したい)場合にのみ視覚化環境に設けられる。そのようなコマンドまで、視覚化環境内に2Dフレームは存在せず、ユーザは、いかなる障害もなく全3Dレンダリングを見る。それゆえに、ユーザは、特定のワークフローの実行を開始する前に3Dレンダリング全体の印象を得る。第1のポイントの初期位置は、この方法を開始する前に設定される。
【0025】
ケースb)は、第1のポイントの位置を直接示すコマンドを能動的に発行することと見なされる。例えば、ユーザは、コントローラ(VR環境の場合の)又は他のポインティングデバイスを視覚化環境内の特定の空間位置に移動させ、その位置に達したとき、コントローラ上のボタンを押す。代替として、ユーザは、ポインティングデバイス(マウス、トラックパッドなど)のポインタをそのような位置に移動させ、ボタンを作動させる。それに応じて、第1のポイントは、座標系のうちの少なくとも1つの内に定義される。これにより、ユーザは、コマンドがいつ与えられるか、及び第1のポイントが視覚化環境内のどこに配置されるかを能動的に制御するができる。すなわち、第1のポイントが定義されるべき空間位置は、ユーザによって直接及び個々に制御される。それゆえに、個々の作業プロセスが提供される。
【0026】
ケースc)は、この方法が実行されるシステムによって認識される、ユーザによる所定のジェスチャ(例えば、頭のうなずき、1つ又は2つの腕による動き、など)である。したがって、ユーザのそのようなジェスチャを認識するために、受信器が設けられる。システムがVRヘッドセットを含む場合、受信器はヘッドセット内に設けられる。代替として又は追加として、ユーザによるジェスチャを受け取るように構成されたカメラが設けられる。ケースc)では、ユーザによって指定された第1のポイントは視覚化環境内の所与の空間位置であるか、又は空間位置はジェスチャ自体によって導き出される。例えば、ジェスチャは、視覚化環境内の空間位置を指定する。
【0027】
第1のポイントに応じて、2Dフレームが、視覚化環境内に設けられる。すなわち、第1のポイントに基づいて、2Dフレームの空間位置は、第1のポイントの位置から直接又は間接的に導き出される。2Dフレームは、3Dレンダリング上又は内に設けられる。言い換えれば、3Dレンダリングは、3D医用画像データに含まれる解剖学的構造を示す。したがって、3Dレンダリングは、輪郭を有する閉じたボリュームである。2Dフレームは、3Dレンダリングの表面上に(すなわち、閉じたボリュームの表面上に)あるか、3Dレンダリングの内にあるか、3Dレンダリングの外側にあるか、又は3Dレンダリングの部分的に内側に及び部分的に外側にある。
【0028】
ケースd)では、ユーザは、第1のポイントの空間位置を直接定義することなしに、第1のポイントを発行するなどのための仮想ボタンをたたく。この場合、第1のポイントは、最初に、視覚化座標系の座標X、Y、及びZによって定義される。例えば、これは、ユーザが、2Dフレームを3Dレンダリング内のどこに正確に位置づけるべきかを知らず、最初に、3Dレンダリング内のそのような位置を見つけるために所定の位置にMPRビューがあるようにしたい場合に行われる。
【0029】
2Dフレームは、2次元でのみ拡張する。すなわち、2Dフレームは、第3の方向(例えば、深さ方向又はz方向)には拡張しない。代替として、2Dフレームは、MPRビューと同じ厚さ(例えば、MPRスライスと同じ厚さ)を有する。言い換えれば、2Dフレームは、MPRビューと同じ寸法を有する。2Dフレームは、ピクチャフレームと考えられ、ピクチャは、MPRビューであり、2Dフレームの位置をより良く示すために細い線又は縁によって取り囲まれる。上述のa)~d)のいずれかと組み合わされる、視覚化環境内に2Dフレームを設けるための少なくとも4つの実施態様がある。
I)2Dフレームは、ユーザのコマンドによって示された第1のポイントを中心とする。すなわち、2Dフレームは、2Dフレームの重心が第1のポイントの位置にあるように位置づけられる。
II)上述のように、2Dフレームは、ユーザのコマンドによって示された第1のポイントを中心とする。さらに、第1のポイントは、3Dレンダリングと同じ座標系内に(例えば、オブジェクト座標系内に)固定された空間位置を有する。言い換えれば、3Dレンダリングが移動及び/又は回転される場合、第1のポイント、したがって、2Dフレームも移動される。すなわち、2Dフレームの3つの自由度(上下、前後、左右)が、3Dレンダリングに対して固定される。しかしながら、2Dフレームは、依然として、3つの自由度、すなわち、ロール、ヨー、及び/又はピッチで移動される。これは、解剖学的構造の特定の部分を検査すべき場合に有利である。したがって、ユーザは、コマンドによって第1のポイントをそのようなセクションに位置づけ、2Dフレームは、3Dレンダリングの回転又は移動に関係なく、その特定の位置に設けられる。加えて、2Dフレームは、視覚化環境内に位置づけられ、2つのポイントは、オブジェクト座標系に対して固定される。これらのポイントのうちの1つは、第1のポイントであり、第2のポイントは、2Dフレームがユーザに面しているように定義される。したがって、2Dフレームは、回転の自由度でのみ移動される。これにより、それは、ユーザにとって特に容易であるが、その理由は、ユーザが2Dフレーム内のMPRビューの分析を直ちに開始することができるからである。
III)上述のように、2Dフレームは、ユーザのコマンドによって示された第1のポイントを中心とする。さらに、ユーザと2Dフレームとの間の距離が決定される。そのような距離は、ユーザの仮想位置から2Dフレームまでの距離である。特に、この距離は、ユーザと2Dフレームの重心との間の距離であるか、又は2Dフレームのすべてのポイントとユーザとの間の平均距離である。言い換えれば、2Dフレームは、ユーザの観視位置と同じ座標系(例えば、視覚化座標系)で定義される。さらなる検査プロセスでは、ユーザと2Dフレームとの間の距離は固定される。これは、ユーザが3Dレンダリングに対する位置を変更するかどうかにかかわらず、2Dフレームが常にユーザから同じ距離を有するので、2Dフレームがユーザのヘッドアップディスプレイと考えられることを意味する。これは、視覚化環境内での極めて直観的なナビゲーションを可能にし、大きい3D医用画像データを見るときに特に有利である。これは、上述のd)との組み合わせで特に有用である。
IV)上述のように、2Dフレームは、ユーザのコマンドによって示された第1のポイントを中心とする。次いで、2Dフレームの位置は、視覚化座標系X、Y、及びZの座標に固定される。言い換えれば、3Dレンダリングは、移動される、回転される、などである。しかし、2Dフレームは、視覚化座標系X、Y、及びZの座標に固定される。特に、3Dレンダリング(オブジェクト座標系によって定義される)は、2Dフレームの位置に影響を及ぼすことなく、2Dフレームを通してドラッグされる。
【0030】
2Dフレームは、多角形の外側輪郭(例えば、長方形、直方体、三角形など)を有する。代替として、2Dフレームは、丸い輪郭(例えば円、楕円など)を有する。さらに、2Dフレームは、所定のサイズを有する。すなわち、2Dフレームは、所定の2次元空間を囲む。所定のサイズは、コマンドを示す前にユーザによって手動で設定されるか、又は3D医用画像データのサイズに依存して自動的に設定される。例えば、サイズは、2Dフレームが初期視覚化における3Dレンダリングの面積の少なくとも1~20%、好ましくは4~10%をカバーするように設定される。3Dレンダリングの面積は、3D医用画像データがレンダリングされる画像平面の面積に対応する。代替として、2Dフレームの初期サイズは、3D医用画像データに対応する直方体の一方の側の面積の1~20%、好ましくは4~10%である。この結果、2Dフレームが3D医用画像データに自動的に適応されるので、作業フローが円滑に実行される。
【0031】
どんな場合でも、2Dフレームは適応可能である。すなわち、2Dフレームのサイズ及び/又は形状は、2Dフレームが視覚化環境に設けられた後に調節される。例えば、ユーザは、関心領域を2Dフレームで十分にカバーするとともに、3Dレンダリングが2Dフレームのまわりで十分に見えるように、2Dフレームのサイズ及び/又は形状を増加又は減少させる。したがって、2Dフレームの構成は、個々のユーザの選好に個々に適応される。
【0032】
さらに、2Dフレームは仮想ハンドルを有してもよい。ハンドルは、やはり視覚化環境内に示される仮想制御パネルである。特に、ユーザは、仮想制御パネルを操作することによって2Dフレームのさらなる設定を変更することができる。例えば、MPRビューの視覚化特性は、仮想制御パネルを介して設定される(例えば、輝度、コントラストなど)。ハンドルを使用して、ユーザは、視覚化環境内の2Dフレームの位置を変更する。言い換えれば、ユーザは、ハンドルを仮想的に握り、視覚化環境内で3次元のうちのいずれかにおいて2Dフレームを自由に移動させる。例えば、ユーザは、2Dフレームを3Dレンダリングを通して前後、上下、及び左右に移動させる。加えて、ユーザは、追加として又は代替として、3つの回転自由度すべてを使用して、2Dフレームを移動させる。
【0033】
2Dフレームは、ユーザが2Dフレーム内に示されているもの(例えば、MPRビュー)を見るようにユーザに面している。すなわち、2Dフレームは、ユーザが2Dフレームの1つの縁部しか見ないような向きではない。好ましくは、2Dフレームは、それを設ける際に、それがユーザに面しているように自動的に向けられる。2Dフレームが設けられるとき、2Dフレームの初期の向きは常に同じである。初期の向きは、各ユーザによって事前決定される。すなわち、幾人かのユーザは、分析プロセスを開始する前に2Dフレームの独自の向きを個々に設定する。したがって、この方法は、各ユーザの選好に従って個別化される。次いで、2Dフレームの向きが、分析プロセスを実行しているユーザに応じて用意される。さらに、この向きは、ユーザが3D医用画像データを分析している間、実時間でユーザによって調節される。これにより、ユーザは、個人的な選好に最もよく適するように視野を設定することができる。例えば、最初には、1つの回転自由度(すなわち、ロール)は、固定されるか、又は0°と5°との間の範囲においてのみ移動可能である。すなわち、2Dフレームは、2つの回転自由度(すなわち、ヨー及びピッチ)で移動可能である。したがって、2Dフレームがランダムに移動しない場合、ユーザはより良好な概観を有するので、操作性が改善される。特に、2Dフレームが非円形形状を有する場合、ワークフローはより効率的である。
【0034】
MPRビューは、2Dフレーム内に表示される。MPRビューは、2Dフレームの特定の位置における3D医用画像データから直接導き出される。すなわち、2Dフレームが3Dレンダリングに対して(及び/又は3D医用画像データに対して)移動される場合、MPRビューは、3D医用画像データに基づいて更新される。MPRビューは、3D医用画像データにおいて2Dフレームの位置及び向きで切断された平面のすべてのグレー値(又は補間されたグレー値)を表示し、3D医用画像データの「グラウンドトゥルース」として見られる。すなわち、MPRビューにおいて、情報は、3Dレンダリングの閾値のような様々な表示調節によって失われることはない。この結果、MPRビューは、患者から取得された3D医用画像データに正確に対応する。その結果、MPRビューで行われる測定は、利用可能な最良の情報に基づく。MPRビューは、多平面再構成によって生成され、多平面再構成は、通常、ピクセル値の補間、好ましくは、最近傍補間を使用して、3D医用画像データをある解剖学的平面(通常、横断面)から他の(直交又は傾斜)平面に変換するプロセスである。それは、薄いスライス並びに突起に使用される。例えば、MPRビューは、走査の方向に直交していないので、気管支の解剖学的構造を示すのに適切に適合する。さらに、曲面MPRビューは血管の評価に使用される。このタイプの再構築は、血管の屈曲を真っ直ぐにするのに役立ち、それによって、1つのMPRビュー又は多数のMPRビューにより血管全体を視覚化するのに役立つ。血管が「真っ直ぐにされた」後、断面積、長さのような測定が行われる。それは、外科的処置の術前評価において非常に役立つ。その上、MPRビューは不透明である。すなわち、ユーザは、MPRビューの背後にあるものを見ることができない。
【0035】
言い換えれば、MPRビューは、3D医用画像データの特定の部分をより詳細に見るために使用される。MPRビューは、前記解剖学的特徴を含むが、好ましくは、関心のある解剖学的特徴よりあまり多くを含まない、すなわち、MPRビューは、できるだけ小さく、関心のある特徴を囲むのに十分な丁度の大きさである。言い換えれば、MPRビューの(すなわち、さらに、2Dフレームの)位置、サイズ、及び/又は形状は、3D画像データのシーケンスの場合には、好ましくは、画像のシーケンス全体にわたって、関心のある解剖学的特徴の位置、サイズ、向き、及び/又は形状をできるだけ厳密に一致させるように適応される。特に、MPRビューは、3Dレンダリングと比較して、より小さい観視区域(例えば、2~20%)を占める。すなわち、観視区域を見ている人は、MPRビュー及び3Dレンダリングの両方を同時に見る。例えば、3Dレンダリングは、解剖学的構造の表現であり、関心のある解剖学的特徴は、前記解剖学的構造の一部又はそれに隣接する一部である。一例として、MPRビューは、ユーザの視線方向において3Dレンダリングの1/5未満をカバーする。この結果、ユーザは、解剖学的構造の概観を有し、MPRビューが正確にどこに位置づけられているかを認識する。したがって、MPRビュー内の測定の前のMPRビューの置き間違いが防止される。
【0036】
MPRビューは、3D医用画像データに基づいており、したがって、常に、3Dレンダリングの閾値の調節又は他のパラメータの調節に関わりなく使用可能なすべての情報を含む。
【0037】
有用な実施形態によれば、上述のような入力ツールにより、ユーザは、3Dレンダリングにおける平面を選択することができる。次いで、この方法は、好ましくは、シーケンスの3次元医用画像の少なくとも1つの選択された平面の多平面再構成(MPR)を、特に、選択された平面に対応する3次元視覚化環境内の位置に表示するステップを有する3Dレンダリングに加えてMPRビューを表示することにより、ユーザは、解剖学的構造をより詳細に見ることができる。仮想現実環境では、18個の自由度(VRヘッドセット及び2つのコントローラ)のおかげで、3Dレンダリングにおける接触可能な/把握可能なMPRビューの正しい位置づけが非常に高速で検証可能であり、MPRビュー上又はボリュームレンダリングされた部分内の(すなわち、3Dレンダリング内の)測定は、より精密でより信頼できるものになる。
【0038】
切り取り体又はクリッピング体は、ボリュームを有するが、ユーザがそれを通して見ることができるように透明である本体である。言い換えれば、切り取り体内のボクセルは、ゼロのグレースケール値を有するように設定される。別の実施形態では、切り取り体内のすべてのボクセルは、ボリュームレンダリングから除外され、存在しないものとして扱われる。この場合、0の閾値であっても、3Dレンダリングは、切り取り体内に存在しない。切り取り体は、切り取り体のボリュームを囲む外観面によって画定される。すなわち、ボリューム内に位置づけられる3Dレンダリングの部分が切り取られる(すなわち、切り欠かれる)。切り取り体の位置は、2Dフレームの位置に対して決定される。すなわち、2Dフレームが設けられる(上述を参照)ところならどこでも、切り取り体もまた設けられる。したがって、ユーザは、2Dフレーム(すなわち、2Dフレーム内に示されたMPRビュー)を容易に見え得る。視覚化環境において2つ以上の2Dフレームがある場合、視覚化環境において同じ数の切り取り体がある。言い換えれば、切り取り体は、2Dフレームの第1の側とユーザとの間で3Dレンダリングを部分的に切り落とす。すなわち、切り取り体は、3Dレンダリングを通って2Dフレームまでの一種のトンネルを形成する。ユーザは、前記トンネルを通して2Dフレームを見る。これにより、ユーザは、2Dフレームに表示されたMPRビューを容易に見ることができ、さらに、2Dフレームのまわりの3Dレンダリングを見ることができる。さらに、切り取り体は、そのサイズ、形状、及び/又は位置を2Dフレームの位置に適応させる。例えば、2Dフレームが移動された場合、切り取り体は、それに応じて、ユーザが依然として2Dフレームにおいて遮られていないビューを有するように移動される。したがって、3Dレンダリングが移動及び/又は回転された場合、切り取り体は、ユーザが2Dフレームにおいて遮られていないビューを有するように適応する。すなわち、2Dフレームが3Dレンダリングの中にさらに移動された場合、切り取り体は、ユーザが2Dフレームにおいて遮られていないビューを有するように、第1の側で3Dレンダリングを部分的に切り取るためにそのサイズを拡大する。切り取り体はまた、そのサイズ及び形状を2Dフレームのサイズ及び形状にそれぞれ適応させる。さらに、3Dレンダリング及び切り取り体は、ユーザの動き(すなわち、ユーザの観察方向の変化)、及び/又は2Dフレームのサイズ/形状/位置に基づいて、即座に更新される(例えば、60~90更新/秒)。
【0039】
本発明は、通常は解剖学的構造の一部である関心のある特定の解剖学的特徴を見て分析するのに特に有用である。そのような関心のある特徴は、特に、3Dレンダリングのビューの全面的な視線よりも小さい関心のあるボリューム(VOI)に含まれる。それは、解剖学的構造を構成する臓器の一部、特に、心臓弁などの複雑な解剖学的構造を有する一部である。有用な実施形態では、関心のある解剖学的特徴は、僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、又は肺動脈弁である。他の実施形態では、関心のある解剖学的特徴は、心腔、又は冠状血管などの他の重要な血管、又は腫瘍などの別の構造である。
【0040】
ユーザが関心のある解剖学的特徴を見て分析することができるようにするために、視覚化環境は、少なくとも2つの異なる種類の視覚化/描写を視覚化するために用意される。これらは、同じ座標系にある、すなわち、それらは、互いに関して正しい相対的空間位置及び向きで表示される。少なくとも2つの視覚化されるオブジェクトは次の通りである。
(i)3D医用画像データの3Dレンダリング。それによって、ユーザは、3D医用画像データに含まれる解剖学的構造全体の詳細で遮られていないビューを与えられる。有用な実施形態では、閾値、平滑化などのボリュームレンダリングのための選択された設定/パラメータは、自動的に及び/又はユーザによって手動で調節される。
(ii)第2に、2Dフレーム内に示されたMPRビュー。それによって、ユーザは、2Dフレームの特定の位置における3D医用画像データのさらなる詳細な情報が与えられる。例えば、2Dフレーム内のMPRビューを検査することによって僧帽弁を分析する場合、ユーザは、同時に、心臓の周囲の部分、例えば、左室流出路(LVOT)の経過を追うことができる。これは、弁置換、例えば、LVOTが閉塞されない経カテーテル的大動脈弁植え込み(TAVI)又は経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)又は僧帽弁の置換などの介入処置を計画する場合に重要である。
【0041】
好ましくは、2Dフレームの第1の側は、ユーザの視線方向に対して少なくとも実質的に直交するようにユーザに面している。実質的に直交するとは、ユーザの視線方向、すなわち、3Dレンダリングの視線方向に対して、80°~100°の間、好ましくは、88°~92°の間の角度で向けられると考えられる。この範囲では、2Dフレーム(したがって、MPRビュー)は、ユーザにとって都合よく見える。他方、2Dフレームが、上述で定義された範囲外の角度で傾けられた場合、2Dフレームに表示されるMPRビューは、MPRビューの傾斜に起因して正しく見えない。さらに、そのような傾けられた2Dフレームで行われた測定はかなり不正確である。上述で定義された第1の範囲は、特に、3Dレンダリング内に2Dフレームを正しく位置づけるためのMPRビューの十分な可視性を提供する。第2の範囲は、正確な測定のためのMPRビューの有利な向きを提供する。上述のように、2Dフレームは、ユーザが視線方向を変更する、及び/又は2Dフレームが移動されるかどうかにかかわらず、常にそれ自体を上述の範囲内で向けられるように自動的にユーザの方に向く。これは、ユーザが2Dフレームの正しい位置合せについて心配する必要がなく、しかし、3Dレンダリングの分析に最も適するように機能するのでユーザの操作性を簡単にする。加えて、ユーザは、事前定義されたビューがMPRビューによって示されるようにコマンドを発行する。言い換えれば、そのようなコマンドを受け取ると同時に、3Dレンダリングは、事前定義されたビューが2Dフレーム内のMPRビューによって示されるように自動的に回転される。そのような事前定義されたビューは、胸骨傍長軸ビュー、胸骨傍短軸ビュー(すなわち、胸骨傍長軸ビューに対して3Dレンダリングの90°の回転)、二腔ビュー、三腔ビュー、及び/又は四腔ビューである。
【0042】
一実施形態によれば、切り取り体は、2Dフレームの第1の側とユーザとの間で3Dレンダリングを切り落とすように、2Dフレームに直接隣接して位置づけられる。この場合、2Dフレームとユーザの間に位置づけられた3Dレンダリングの任意の部分が切り欠かれる(切り落とされる)。したがって、MPRビュー全体がユーザに見える。言い換えれば、3Dレンダリングのどの部分も、2Dフレーム内のMPRビュー全体の直接的な観視を妨害しない。これは、MPRビューが非常に詳細に分析されるべき場合に特に有用である。例えば、測定又は他の分析方法は、MPRビューにおいて容易に実行される。したがって、そのような動作は、2Dフレームの第1の側とユーザとの間の3Dレンダリングの部分によって妨げられない。
【0043】
代替の実施形態によれば、切り取り体は、2Dフレームに直接隣接せず、切り取り体から2Dフレームまでの最短距離と、2Dフレームの外周の長さとの間の比は、0.1~0.9の間、好ましくは0.1と0.6との間、及び最も好ましくは0.1と0.4との間である。言い換えれば、切り取り体は、2Dフレームまで延びず、そのため、2Dフレームに直接隣接しない。すなわち、3Dレンダリングの一部が、2Dフレームの第1の側とユーザとの間に位置づけられる。例えば、3Dレンダリングの一部は、MPRビューを通って延びる。簡単にするために、MPRビューは、ベースと考えられ、3Dレンダリングの一部がそのベースから切り取り体の始まりまで設置される。そのような設置の範囲は、2Dフレームと切り取り体との間の距離によって定義される。この場合、ユーザは、MPRビューと、MPRビューの位置における3Dレンダリングの一部とを見る。上述で定義された範囲は、2Dフレームの外周に対して2Dフレームの第1の側からユーザの方への3Dレンダリングの拡張を定義する。言い換えれば、外周が大きいほど、第1の側での3Dレンダリングの拡張が大きくなる。これは、ユーザが大きい2Dフレームを作り出す場合、ユーザがかなり小さい2Dフレームを作り出す場合よりもユーザが3D表現の大きい部分も見るので有用である。この結果、3Dレンダリングの拡張は、ユーザによって設定された2Dフレームのサイズに適応する。
【0044】
0.1~0.9の範囲は、2Dフレームを位置づけるのに特に有用である。3Dレンダリングの一部がMPRビューを通って延びるので、ユーザは、2Dフレームを視覚化環境に正しく配置するために自分自身を容易に方向づける。MPRビューは不透明であるので、2Dフレームの第1の側の3Dレンダリングの一部の可視性は、2Dフレームの背後に(すなわち、2Dフレームの第2の側に)何があるかをユーザが知るのに役立つ。その結果、2Dフレームを正しく位置づけるために必要な2Dフレームの前後の移動が少なくなる。
【0045】
加えて、0.1~0.6の範囲は、提供される追加のモデルが解剖学的構造に合致するかどうかをチェックするのに特に有用である。モデルは、人間又は動物の体に挿入することを意図した人工心臓弁、ペースメーカ、又は他の器具などの医療用器具を表す表面モデルである。モデルは、ハンドルを有しており、ハンドルにより、ユーザは、モデル又はモデルの一部を解剖学的構造に適応させることができる。3Dレンダリングが2Dフレームの第1の側で部分的に見えることは役立つ。
【0046】
0.1から0.4の範囲は、3D医用画像データに対する3Dレンダリングの閾値を較正するのに特に有用である。3Dレンダリングの視覚化は閾値設定に依存することに留意されたい。それゆえに、MPRビューは、3D医用画像データに最もよく合致する閾値設定を見つけるために3Dレンダリングを較正するのに使用される。上述の範囲では、MPRビューを通る3Dレンダリングの拡張はほんのわずかである。これにより、ユーザは、2Dフレームの第1の側からMPRビューによって表される輪郭まで構築する3Dレンダリングを調節することができる。すなわち、3Dレンダリングの閾値は、2Dフレームの第1の側から立ち上がる3DレンダリングがMPRビューに示された解剖学的構造の輪郭と整合するまで変更される。それに応じて、3D医用画像データを最もよく表す閾値が容易に設定される。別の実施形態によれば、切り取り体と2Dフレームとの間の距離は、可変的に調節される。したがって、各ユーザは、3Dレンダリングが2Dフレームの第1の側でどれだけ延びるかを個々に調節する。
【0047】
この方法は、視覚化環境における2Dフレームのサイズを変更するためにユーザのコマンドを受け取るステップであり、2Dフレーム内のMPRビューが2Dフレームの新しいサイズに更新され、透明な切り取り体のサイズが2Dフレームの新しいサイズに適応される、受け取るステップをさらに有する。
【0048】
好ましくは、この方法は、視覚化環境における2Dフレームの位置を変更するためにユーザのコマンドを受け取るステップであり、2Dフレーム内のMPRビューが2Dフレームの新しい位置に更新され、透明な切り取り体の位置が2Dフレームの新しい位置に適応される、受け取るステップをさらに有する。ユーザのコマンドは、視覚化環境内に2Dフレームを設けるための上述のコマンドと同様である。例えば、2Dフレームは、仮想ハンドルを有し、2Dフレームは、仮想ハンドルで握られ、視覚化環境を通して移動される。さらに、ユーザは、2Dフレームが位置づけられるべき座標を入力する。そのような入力は、キーボード又は任意の他の入力媒体を使用することによって実現される。加えて、2D画像は、回転、及び/又は拡大若しくは縮小される。2Dフレーム内に示されたMPRビューは、3D医用画像データに対する2Dフレームの新しい位置及び/又はサイズに基づいて自動的に更新される。更新されたMPRビューは、依然として、3D医用画像データに基づく。それゆえに、3Dレンダリングの不正確さのMPRビューへの伝達が避けられる。すなわち、少なくとも1つの2Dフレームは、ユーザの視線方向とは無関係に、ユーザに面する固定した向きを有し、2Dフレーム内のMPRビューは、3Dレンダリングが2Dフレームに対して移動されたときに、又はその逆であるときに、自動的に更新される。
【0049】
好ましくは、2Dフレームは、3Dレンダリングを通って2次元に延びる分析面に設けられ、2Dフレームは、分析面の一部のみをカバーする。分析面は、ユーザの視野が分析面によって妨げられないように透明である。2Dフレームは、分析面の上にあるか、又は分析面と平行である。2Dフレームは3Dレンダリングの一部のみをカバーするので、2Dフレームは分析面よりも小さい。
【0050】
一実施形態によれば、透明な切り取り体は、適応可能な断面を有し、この方法は、断面のサイズが2Dフレームからの距離の増加とともに変化する比を示すユーザのコマンドを受け取るステップをさらに有する。上述のように、切り取り体は、2Dフレームとユーザとの間に延びるボリュームを画定する。切り取り体のボリュームが存在するところならどこでも、3Dレンダリングは切り取られる。さらに、切り取り体は、追加として、表面モデルなどのような、2Dフレームとユーザとの間の視覚化環境内に表示された任意の要素を切り落とす。切り取り体は透明であるので、ユーザは、それを通して2Dフレーム、したがって、2Dフレームに表示されたMPRビューを見る。切り取り体は、切り取り体を形成するように互いに積み重ねられた複数の断面によって画定され、各断面は2Dフレームと平行である。1つの実施形態では、切り取り体は、一定の断面を有する、すなわち、各断面は同じ寸法を有する。言い換えれば、切り取り体は、円筒形状を有する。別の実施形態では、断面は、異なる寸法を有する。このようにして、断面を変化させることによって、形の異なる切り取り体が実現される。本発明の一実施形態によれば、断面は、検査の実行中に切り取り体の形状を変更するように適応可能である。すなわち、ユーザは、切り取り体の形状及び/又は寸法を変更するようにコマンドを発行する。初期設定として、切り取り体のすべての断面は同じ寸法を有する。この場合、2Dフレームに最も近い遠位断面及びユーザの観視位置に最も近い近位断面は、同じ寸法を有する。しかしながら、断面の任意の他の構成が、初期設定として設定されてもよい。例えば、切断体は、漏斗形状を有する。すなわち、遠位断面は、最も小さい断面であり、近位断面に向かう各断面は前の断面よりも大きい。これは、逆方向の他のやり方も可能であり、近位断面が最も小さい。それゆえに、切り取り体は、ユーザの選好及び実行される検査の種類に適応される。例えば、空間的な方向づけのために、できるだけ小さい切り取り体を有する(3Dレンダリングのできるだけ多くを見るように、しかしMPRビューも見るように)ことは有利である。
【0051】
さらに、遠位断面は、2Dフレームと同じ形状及び寸法を有する。したがって、2Dフレームが切り取り体を通してユーザに容易に見えることが保証される。さらに、切り取り体は、形状が変更され、次いで、初期位置に戻される。切り取り体の変更により、例えば、切り取り体は、形状を連続的に変更し、初期位置に連続的に戻るような動きを与えられる。したがって、ユーザは、解剖学的構造全体の非常に良好な空間的印象を得る。加えて、切り取り体は、2Dフレームの第1の側の3Dレンダリングからすべてのものが切り取られるまでサイズを連続的に拡大する。この場合、ユーザは、分析面の表面全体に面する。これは、解剖学的構造の測定を行うか又は解剖学的構造の2Dビューを得るのに有利である。
【0052】
好ましくは、この方法は、3Dレンダリングが視覚化環境内で新しい位置及び/又は向きを有するように3Dレンダリングを回転及び/又は移動させるためにユーザのコマンドを受け取るステップであって、2Dフレーム内のMPRビューが、3Dレンダリングの新しい位置に対応して更新され、及び/又は切り取り体の形状及び/又はサイズが、3Dレンダリングの新しい位置に対応して更新される、コマンドを受け取るステップをさらに有する。すなわち、3Dレンダリングは、ユーザによって移動及び/又は回転される。これは、解剖学的構造の後部の解剖学的構造の特徴を検査するために必要である。さらに、3Dレンダリングを移動させることにより、ユーザの3D認識が改善される。上述のように、2Dフレームは、オプションI)~IV)のうちの1つに従って視覚化環境内に設けられる(上述の概要を参照)。2Dフレームが3Dレンダリングに固定されていない(ケースIIのような)場合、2Dフレームは、3Dレンダリングが移動及び/又は回転される間、その位置にとどまる。しかしながら、2Dフレーム内のMPRビューは、3Dレンダリングが2Dフレームに対して移動及び/又は回転されたときに更新される。同様に、切り取り体も更新される。すなわち、3Dレンダリングの移動及び/又は回転により、第1の側の(すなわち、ユーザと2Dフレームとの間の)3Dレンダリングのより大きな部分が、MPRビューの可視性を提供するために切り欠かれる必要がある。したがって、切り取り体は、2Dフレームの第1の側における3Dレンダリングのより大きい部分を切り落とすように、形状及び/又は寸法を適応される。この結果、2Dフレームに対する3Dレンダリングの位置と無関係に、ユーザが常にMPRビューへの良好なビューを有する円滑なワークフローが達せられる。加えて、MPRビューは、3D医用画像に基づいて(すなわち、グラウンドトゥルースに基づいて)常に更新される。
【0053】
好ましくは、この方法は、
第2のポイントに対応する視覚化環境における位置に第2の2Dフレームを設けるステップであって、第2の2Dフレームの第1の側がユーザに面しており、第2の2Dフレームが、好ましくは、ユーザの視線方向に対して少なくとも実質的に直交する、第2の2Dフレームを設けるステップと、
第2の2Dフレーム内の第2のMPRビューを表示するステップであって、第2のMPRビューが、第2の2Dフレームの位置における3D医用画像情報に基づいており、第2の2Dフレームのサイズに対応するようにサイズ設定される、第2のMPRビューを表示するステップと、
3Dレンダリングを部分的に切り落とすためにユーザと第2の2Dフレームの第1の側との間に第2の透明な切り取り体を設けるステップと
をさらに有する。第2の2Dフレーム及び/又は第2の切り取り体は、上述の第1の2Dフレーム及び第1の切り取り体と同じ特性を有する。これは、第2の2Dフレーム及び/又は第2の切り取り体の発行についても当てはまる。さらに、さらなる2Dフレームが視覚化環境に追加される。例えば、3つ、4つ、5つ、及び6つの2Dフレームが設けられる。
【0054】
さらなる2Dフレームは、離間している解剖学的構造の2つの小さい特徴を分析及び比較するのに有用である。この場合、解剖学的構造の概観が保証されるとともに、同時に、特徴が非常に詳細に検査される。
【0055】
好ましくは、この方法は、少なくとも1つの2Dフレームの形状及び/又はサイズを個々に変更するためにユーザのコマンドを受け取るステップをさらに有する。すなわち、各2Dフレームは、個々に適応される(すなわち、2Dフレームの形状及び/又はサイズは変更される)。したがって、2Dフレームは、検査中のそれぞれの特徴のサイズに適応される。例えば、断面の形状は、円形から多角形に変更され、逆の場合も同様である。さらに、第3、第4、及び第5のフレームが設けられる。言い換えれば、第1の2Dフレームと同じ特性を有する複数の2Dフレームが設けられ、及び/又は複数の2Dフレームが、第1の2Dフレームと同様に設けられる。
【0056】
好ましくは、この方法は、
ユーザによって設定された第1のポイントで始まる測定経路に沿った測定を示すユーザのコマンドを受け取るステップであって、2Dフレームが、第1のポイント及び測定経路を取り囲み、2Dフレームのサイズ及び/又は形状を測定経路に動的に適応させる、コマンドを受け取るステップと、
測定経路が終了する位置を示すユーザのコマンドを受け取るステップと
をさらに有する。したがって、ユーザは測定モードに入る。このモードでは、ユーザは、第1の2Dフレームを設けるために第1のポイントを示すコマンドを発行する。測定は、第1のポイントで開始される。次いで、ユーザは、距離が測定されるべき第2のポイントを示す。このようにして、心臓弁又は血管の直径が測定される。例えば、ユーザは、ポインティングデバイスのボタンを押して、第1のポイントの位置を示す。次いで、ユーザは、ボタンを押しつけながら、第2のポイントまでポインティングデバイスを移動させる。第2のポイントを達すると同時に、ユーザは、ボタンを解放して、第2のポイントの位置を示す。
【0057】
さらに、2Dフレームは、上述のように第1の位置に設けられる。加えて、2Dフレームは、測定経路をカバーするように第2のポイントまでそれ自体を伸ばす。この結果、2Dフレームが、測定の後に作り出され、第1のポイント及び第2のポイント、並びに第1のポイントと第2のポイントとの間の空間をカバーする。この場合、ユーザは、第2のポイント(例えば、血管又は空洞の境界)をよりよく見つけるために2Dフレーム内のMPRビューを見る。その結果、測定の品質が改善される。
【0058】
単一のポイントが設定される場合、このポイントによって画定された2Dフレームは、依然として、3つの回転自由度(ロール、ピッチ、ヨー)のすべてのまわりに回転する。第2のポイントが2Dフレームに対して画定されるとすぐに、これらの自由度のうちの2つが外され、2Dフレーム領域は、1つの軸のまわりにのみ回転する。第3のポイントが設定される場合、2Dフレームは、剛性であり、自由度は大きくならない。すなわち、透明な切り取り体のみが、3Dレンダリングの回転及び/又は移動に、又はいつでもこの剛性の2Dフレーム(すなわち、MPRビュー)を自由に見ることができるようにするためのユーザの観視位置の変更に適合する。
【0059】
代替として、2つの2Dフレームが、第1のポイント(測定の開始)に1つ、及び第2のポイント(測定のターゲット)に1つ設けられる。この場合、2つのポイントの中間では、3Dレンダリングは依然として見える。それゆえに、ユーザは、ポイント間の空間を空間的に十分に理解する。2つのポイントがユーザによって設定される場合、これらの2つのポイント間の最短距離は、その都度自動的に測定される。第1のポイントの2Dフレームを設けるために使用される第1のポイントは、測定のための開始点として使用される第1のポイントと同じである。代替として、これらのポイントは、ユーザによって別々に指定され得る別々のポイントである。好ましくは、視覚化環境は、VR環境又はAR環境である。有用な実施形態によれば、3次元視覚化環境は、仮想現実環境である。「仮想現実」とは、描かれた構造の真の3次元体験を提供するコンピュータ生成視覚化を意味する。したがって、本発明の仮想現実(VR)環境は、特に視覚フィードバックを提供するが、さらに、聴覚などの他のタイプの感覚フィードバックを可能にする。VR環境はまた、拡張現実環境であり、ユーザは、依然として、現実環境を見ているが、VRオブジェクト(例えば、ボリュームレンダリング及び動的モデル)が、現実オブジェクト、又は現実世界オブジェクトが仮想シーンに重ね合わされている複合現実にオーバーレイされるか又は重ね合わされる。ボリュームレンダリングされたVOI及び動的モデルの視覚化は、一緒に、視覚化されたオブジェクト、好ましくは、仮想現実オブジェクトを形成する。
【0060】
仮想現実環境は、一般に、立体画像をユーザに提示することによって、すなわち、各眼が異なる画像を見て、その結果、脳が2つの異なる画像を真の3次元シーンに組み立てることによって実現される。そのような両眼画像は、仮想現実ヘッドセット若しくは多重投影環境などのVRディスプレイ上に、又はシャッタ眼鏡に関連して2つの画像を断続的に示すスクリーン上に提示される。
【0061】
VR環境では、ボリュームレンダリングされたVOI又は動的モデルは、立体レンダリングによって表示され、そこで、ボリュームレンダリングされた(又は他の方法でレンダリングされた)視覚化/画像が、わずかな空間的オフセットを有する2つの観視位置のために、すなわち、左眼のための1つの視野位置と右眼のための1つの視野位置のために2回計算される。2つのこのように計算された視覚化が、例えば、VRヘッドセットで各々の目に1つずつユーザに示されると、ユーザは、真の3次元(VR)印象を得る。それによって、ボリュームレンダリングされたVOI及び動的表面モデルは、VRにおいて変換され、見られ、分析される。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明のVR環境を使用する人は、人工世界を「見回し」、その中で動き回り、仮想オブジェクト、特徴、又はアイテムと対話することができる。この効果は、一般に、各眼の前に小さいスクリーンがあるヘッドマウントディスプレイを含むVRヘッドセットによって作り出されるが、多数の大きいスクリーンを備えた特別に設計された部屋によっても作り出される。ユーザがVR環境内で動き回るためには、視覚化がユーザの頭の動きと一致して移動しているように、位置及び向きの情報が、ヘッドセットによって、VR環境を生成する電子デバイス(例えば、ヘッドセット内のコンピュータ又は処理ユニット)に送られなければならない。ユーザがVR環境内の仮想特徴と対話するために、手の動きも追跡されなければならず、それは、ハンドヘルドVRコントローラによって行われる。しかしながら、この最後の機能は、ユーザが仮想シーン内で歩き回るために位置/向きの情報の送り出すことと同様にオプションである。
【0063】
仮想現実環境は、ユーザが解剖学的構造の真の3次元ビューを得るので、視覚化されたオブジェクトをユーザが大きな自信をもって見て分析するという利点を提供する。さらに、ユーザは、視覚化されたオブジェクトを歩き回り、場合によっては、さらに踏み込むので、ユーザは、視覚化されたオブジェクト(例えば、人間の心臓の視覚化)を、ユーザの前の空間を完全に埋め尽くすように非常に大きい倍率で表示させる。それゆえに、ユーザは、特に良好な概観を得、高い正確度で測定を行う。さらに、ユーザ入力イベントの取扱いは、VR環境では特に容易で直観的である。2次元スクリーン上ではかなり扱いにくいオブジェクトの回転及び/又はボリュームレンダリングされたVOIの設定の調節などのアクションは、VRコントローラを使用するVR環境では非常に直観的で高速である。
【0064】
しかしながら、本発明は、非VR視覚化環境でも有利に使用される。VR(仮想現実)が明確に言及されていない場合、本明細書に記載の特徴及び実施形態は、VR視覚化環境及び非VR視覚化環境の両方に有用である。
【0065】
好ましくは、この方法は、3Dレンダリング全体を通って延びる切り取り面を設け、切り取り面の一方の側で3Dレンダリングを切り取るためにユーザのコマンドを受け取るステップであって、切り取り面が、視覚化環境内に個々の向き及び位置を有する、コマンドを受け取るステップをさらに有する。切り取り面の一方の側において、少なくとも3Dレンダリングが切り取られる。加えて、視覚化環境内の他のモデル又は視覚化が、切り取り面の一方の側で切り欠かれる。言い換えれば、切り取り面は、視覚化環境内の2D境界を表し、切り取り面の一方の側では、3Dレンダリングなどのオブジェクトがマッピングされるが、他方の側では、少なくとも3Dレンダリングが切り取られるか又は切り抜かれる。切り取り面は、視覚化環境の全体にわたって2次元での拡張を有する。したがって、3Dレンダリングの境界が正確に決定されていない場合でさえ、3Dレンダリングのすべての部分が切り欠かれることが保証される。代替として、切り取り面は、単に3Dレンダリングの全体にわたって延びる。これは、視覚化環境内の他の視覚化が、依然として、ユーザに見えることを保証する。切り取り面は、ユーザのコマンドに基づいて自由に移動される。すなわち、ユーザに面している2Dフレームとは対照的に、切り取り面は、視覚化環境内に自由に位置づけられ、及び/又は方向づけられる。例えば、ユーザは、第1の方向で3Dレンダリングを見ており、第1の方向に対して直交する第2の方向で3Dレンダリングを部分的に切り取る。この結果、ユーザは、検査に必要な効率的なサイズまで3Dレンダリングを縮小する。これは、検査をさらに簡単にし、3D医用画像データの重要な部分の明瞭な視覚化を保証する。
【0066】
好ましくは、この方法は、
表面モデルを3D医用画像データから自動的にセグメント化するステップであって、表面モデルが解剖学的構造の少なくとも一部に対応する、セグメント化するステップと、
視覚化環境内で表面モデルを表示するステップと、
表面モデルを2Dフレーム内のMPRビューに適合させるためにユーザのコマンドを受け取るステップと
をさらに有する。例えば、表面モデルは、3D医用画像データから自動的にセグメント化される。すなわち、3D医用画像データに基づいて、心臓の心室が、表面モデルによって少なくとも部分的に表される。次いで、表面モデルは、さらなる検査又は計画作業のために使用される。それゆえに、表面モデルはできるだけ最良に3D医用画像データを表すことが好ましい。表面モデルが3D医用画像データに合致しているかどうかをチェックする1つのやり方は、表面モデルを3Dレンダリングと比較することである。しかしながら、どの閾値が設定されているかによって3Dレンダリングが決まるレンダリングプロセスに起因して、3Dレンダリングには不正確さがある。他方、MPRビューのみの使用は、空間的方向づけがユーザにとって容易ではないので複雑である。本実施形態によれば、表面モデルは、3Dレンダリング及びMPRビュー(2Dフレーム内に示される)の両方を使用することによってチェックされる。例えば、ユーザは、視覚化環境内で3Dレンダリング及び2Dフレームに加えて表面モデルを表示するためにコマンドを発行する。次いで、ユーザは、MPRビューが少なくとも部分的に表面モデル上にあるように2Dフレームを位置づける。その結果、ユーザは、表面モデルがMPRビューによって示されたそれぞれの特徴(例えば、境界)に対応するかどうかをチェックする。3Dレンダリングが2Dフレームのまわりに見えるので、ユーザは容易に自身の向きを合わせることができる。したがって、表面モデルは、効率的で正確なやり方でチェックされる。別の実施形態によれば、ユーザは、3D医用画像データと完全に一致するように表面モデルを調節する。例えば、ユーザは、3D医用画像データと一致するように表面モデルを移動又は調節する。このコンテキストでは、例えば、表面モデルの形状及びサイズを画定する制御ポイントが移動される。
【0067】
別の態様によれば、本発明は、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサが本発明の方法を実行できるようにするプログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、任意のコード、特に、コンピュータグラフィックアプリケーション、特に、VRプログラミングに適したコードとすることができる。
【0068】
さらなる態様では、本発明は、上述で定義されたコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読媒体を対象とする。コンピュータ可読媒体は、任意のデジタルデータストレージデバイス、例えば、USBスティック、ハードディスク、CD-ROM、SDカード、又はSSDカードなどである。当然、コンピュータプログラムは、顧客に提供するためにそのようなコンピュータ可読媒体に格納される必要はなく、インターネットを介してダウンロード可能であってもよい。
【0069】
別の態様によれば、本発明は、本発明の方法を実行するように構成された3D医用画像データ評価デバイスを提供し、評価デバイスは、
3D医用画像情報を受け取るためのインタフェースと、
本発明の方法を実行するための計算ユニットと、
視覚化環境を提供し、少なくとも3Dレンダリング及び2Dフレームを表示するための視覚化デバイスと
を含む。
【0070】
本明細書に記載のすべての実施形態は、コンピュータスクリーン、タブレットコンピュータ、又はディスプレイで実現される「従来の」視覚化環境、並びにVR環境の両方に適用可能である。しかしながら、VR環境は、真の3Dビュー及び最も直観的な/高速のユーザ体験/操作を提供し、並びに視覚化されたオブジェクトに対してユーザが移動させることができる6個、12個、又は18個の自由度を提供するので特に有利である。
【0071】
好ましくは、本発明による方法は、ディスプレイ、特に、VRヘッドセットなどのVRディスプレイ、又は投写型ディスプレイを制御することができる電子デバイスに組み込まれているプロセッサによって実行される。そのようなデジタルデバイスは、コンピュータ、PC、サーバ、テレビジョンセット、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ラップトップ、ハンドヘルドデバイスなどである。プロセッサはまた、クラウドコンピュータ、ワークステーション、又は医療画像デバイス、特に超音波スキャナの制御コンソールの一部である。
【0072】
上述の実施形態の個々の特徴は、他の実施形態と、又は他の実施形態の他の特徴と組み合わされて、新しい実施形態が形成され得る。個々の特徴に関して述べた効果は、そのような新しい実施形態にも当てはまる。さらに、方法に関して述べた利点及び構成は、デバイスにも当てはまり、逆の場合も同様である。
【0073】
次に、添付の図を参照して、本発明の有用な実施形態を説明する。同様の要素又は特徴は、図において同じ参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】先行技術の概略の視覚化を示す図である。
図2】先行技術の概略の視覚化を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による3Dレンダリング及びMPRビューを示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態による測定プロセスの概略図である。
図5】本発明の別の実施形態による測定プロセスの概略図である。
図6】本発明の一実施形態による分析プロセスの概略図である。
図7】本発明の別の実施形態による分析プロセスの概略図である。
図8】本発明の別の実施形態による分析プロセスの概略図である。
図9】本発明の別の実施形態による分析プロセスの概略図である。
図10A】本発明の一実施形態による、異なる閾値を用いた3Dレンダリングと分析プロセスとの概略図である。
図10B】本発明の一実施形態による、異なる閾値を用いた3Dレンダリングと分析プロセスとの概略図である。
図11】本発明の一実施形態による較正プロセスの概略図である。
図12】本発明の一実施形態による適応プロセスの概略図である。
図13】本発明の一実施形態による3D医用画像データ評価デバイスの概略図である。
図14】本発明の別の実施形態による3D医用画像データ評価デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、最先端の視覚化方法を示す。特に、図1には、3Dレンダリング101と、3Dレンダリング101を通って延びるMPRビュー100とが示されている。MPRビュー100の前方では、3Dレンダリングは、MPRビュー100を見ているユーザには見えない。MPRビュー100の背後では、3Dレンダリングはまた、義務づけられたMPRビュー100のために見えない。したがって、ユーザは、3Dレンダリング101を使用して自身の向きを定めることがほとんどできない。
【0076】
図2はまた、最先端の視覚化方法を示す。この場合、3Dレンダリング100は、MPRビュー100の前で切り欠かれない。しかしながら、3Dレンダリング101は、MPRビュー100の明瞭なビューを妨げる。この場合、ユーザは、自身を3Dレンダリング101に向けることができるが、MPRビュー100をほとんど見ることができない。
【0077】
図3は、本発明の一実施形態による視覚化方法を示す。特に、図3には、視覚化環境10における3Dレンダリング1が示されている。視覚化環境10内に、MPRビュー3が示される2Dフレーム2が設けられる。図3は、ユーザの視点に対応する。2Dフレーム2は、ユーザに面するように設けられる。言い換えれば、2Dフレーム2は、ユーザが常に2Dフレーム2内のMPRビュー3を見るように、視覚化環境内に配置され向きを合わされる。2Dフレーム2及び/又は3Dレンダリング1は、互いに対して移動及び/又は回転される。それにもかかわらず、2Dフレーム2は、自動的に、ユーザに面しているようにそれ自体の向きを合わせる。加えて、ユーザは、観視方向を変更することがあり、この場合でさえ、2Dフレーム2は、ユーザに面しているようにそれ自体の向きを合わせ、ユーザは、MPRビュー3を見ることができる。さらに、2Dフレーム2が3Dレンダリング1に対する位置を変更するときはいつでも、2Dフレーム2内に示されるMPRビュー3は、新しい相対位置に基づいて更新される。MPRビューが、3D医用画像データに基づいて決定され、それにより、3D医用画像データのグラウンドトゥルースを表すことに留意されたい。本実施形態では、視覚化環境10は、VR環境であり、ユーザは、少なくとも1つのコントローラ11を使用して本方法を制御する。さらに、本実施形態では、2Dフレーム2は、長方形形状を有する。しかしながら、2Dフレーム2は、実行されるべき検査に最も適している他の形状を有することもできる。その上、2Dフレーム2を把握することによって、ユーザは2Dフレーム2のサイズを調節する。すなわち、2Dフレーム2は、ユーザの選好に応じて拡大又は縮小される。MPRビュー3の遮られていないビューを常に有するように、2Dフレーム2の第1の側で3Dレンダリングを少なくとも部分的に切り取る切り取り体8(図7を参照)が設けられる。この結果、ユーザは、2Dフレーム2を3Dレンダリング1内にどれくらい深く移動させるかにかかわらずMPRビュー3を見ることができる。加えて、図3には、3つの座標系が示されている。視覚化座標系は、ユーザ及びユーザのコントローラ11の観視位置が定義される座標X、Y、及びZを定義する。次いで、3Dレンダリング1と2Dフレーム2とが定義されるオブジェクト座標系X’、Y’、及びZ’が定義される。最後に、3D医用画像データが定義される元座標系X”、Y”、及びZ”が設けられる。本実施形態では、座標系は、互いに対して回転及び/又は移動される。説明を簡単にするために、さらなる図では、座標系は示されていないが、同様に存在する。
【0078】
図4は、本発明の別の実施形態による視覚化方法を示す4つの副図を示す。具体的には、図4.1において、ユーザによって設定された第1のポイント4が、さらに、測定の開始ポイントである。すなわち、第1のポイント4は、測定経路5の開始ポイントである。加えて、2Dフレーム2が、MPRビュー3内の第1のポイント4を示すように視覚化環境10内に設けられる。次いで、ユーザは、測定経路5を延ばす(図4.2を参照)。2Dフレーム2、したがって、MPRビュー3が、測定経路5の伸張に応じて適応される。次いで、図4.3において、測定されるべき血管の境界が、MPRビュー3内に見える。それゆえに、ユーザは、第2のポイント6を境界上に正確に設ける。このようにして、測定経路は、第1のポイント4と第2のポイント6との間に延びる。図4.4において、完成した測定経路5が、MPRビュー3によって示される。次いで、ユーザは、2Dフレーム2を個々に調節する。例えば、ユーザは、測定経路5の近傍のより良好な印象を得るために2Dフレームを拡大又は縮小する。
【0079】
図5は、本発明の別の実施形態による視覚化方法を示す。図5の方法は、2Dフレーム2が測定経路に沿って延ばされるのではなく、第1のポイント4に設けられた第1の2Dフレーム2と第2のポイント6に設けられた第2の2Dフレーム7とが存在するという点で、図4の方法とは異なる。第1の2Dフレーム2は第1のMPRビュー3を示し、第2の2Dフレーム7は第2のMPRビュー8を示す。このようにして、測定経路5は、3Dレンダリング1を通って延びる。この場合、ユーザは、第1のポイント及び第2のポイントを、第1の2Dフレーム2及び第2の2Dフレーム7内にこれらの位置を見ることにより依然として正確に設定するが、さらに、ユーザが第1のポイント4と第2のポイント6との間の3Dレンダリング1の空間的拡張を見るので、3Dレンダリング1の空間的拡張の向上した印象を有する。第2の2Dフレーム7は第1の2Dフレームと同じ特性を有することに留意されたい。加えて、第2のポイント6は、第1のポイント4と同じようにユーザによって発行される。
【0080】
図6は、本発明の一実施形態によるさらなる分析方法を示す。上述のように、本実施形態では、視覚化環境はVR環境である。ユーザは、コントローラ11を使用してコマンドを制御する。本実施形態では、ユーザは、2Dフレームが視覚化環境内に設けられる分析モードに入る。説明を簡易にするために、2Dフレーム2は、卓球ラケットと見なされる。言い換えれば、2Dフレーム2は、ユーザが2Dフレーム2を仮想的に握るハンドルを有する。したがって、2Dフレーム2はコントローラ11に固定され、その結果、2Dフレーム2は、コントローラ11を単に動かすことによって容易に移動及び/又は回転される。このようにして、ユーザは、コントローラ11を3Dレンダリング1を通して仮想的に動かし、例えば、特定の特徴を探索する。上述のように、MPRビュー3は、2Dフレーム2内に示され、3Dレンダリング1に対する2Dフレーム2のそれぞれの位置に自動的に適応される。
【0081】
図7は、本発明の別の実施形態による分析プロセスの概略図を示す。図7の方法は、実質的に、図3に示した方法に対応する。図7において、シーンは側面図で示される。したがって、切り取り体9が見られる。切り取り体9は、3Dレンダリングを切り欠くように2Dフレーム2の第1の側に設けられる。それゆえに、ユーザ20は、2Dフレーム2内のMPRビュー3の遮られていないビューを有する。加えて、この実施形態では、2Dフレーム2は、図6に関連して上述したように、ユーザ20のコントローラ11に仮想的に固定される。上述のように、2Dフレームは、特徴を見つけ、第1の測定ポイント4を位置づけるために、3Dレンダリング1を通して移動される。切り取り体は、適応可能な形状を有する。すなわち、ユーザ20の視線方向に直交し、切り取り体9を画定する断面は、個々の形状及びサイズを有する。本実施形態では、切り取り体9は、ユーザが2Dフレーム2内のMPRビュー3の遮られていないビューを有するようにサイズ合わせされ形作られる。すなわち、切り取り体は、3Dレンダリング1に対する2Dフレーム2の新しい位置に適応する。要約すると、切り取り体9及びMPRビュー3の両方は、ユーザ20へのMPRビュー3の可視性を確実にするために、2Dフレーム2の新しい位置に適合する。
【0082】
図8は、基本的に図7に対応するが、第2のMPRビュー8を示す第2の2Dフレーム7が設けられることが異なる。したがって、第2の切り取り体12が、さらに、第2の2Dフレーム7の第1の側に設けられる。上述のように、各2Dフレーム2、7は、ユーザに面するように向きを合わされる。したがって、各切り取り体9、12はまた、ユーザ20に向けられるように向きを合わされる(すなわち、サイズ合わせされ形作られる)。言い換えれば、各切り取り体は、ユーザ20がそれぞれのMPRビュー3、8の遮られていないビューを有するように設けられる。それゆえに、切り取り体9、12は、2つの2Dフレーム2、7が、視覚化環境内で異なる空間位置に位置づけられる場合、異なるサイズ及び形状を有する。
【0083】
図9は、基本的には図7に対応するが、2Dフレーム2が図3の実施形態のように別の形状を有することが異なる。加えて、切り取り体9は、テーパ形状を有し、ユーザ20に最も近い切り取り体9の断面は、2Dフレーム2に最も近い切り取り体9の断面と比較して大きいサイズを有する。したがって、ユーザ20は、切り取り体9の壁のところで3Dレンダリング1を見る。これは、3Dレンダリングによって示された解剖学的構造をよりよく理解するためのさらなる情報を当業者に提供する。
【0084】
図10A及び図10Bは、本発明の一実施形態による、異なる閾値を用いた3Dレンダリング1と分析プロセスとの概略図である。図10Aには、ゼロの閾値を有する上述のような3Dレンダリング1が示される。すなわち、すべてのボクセルが3Dレンダリング1において見える。したがって、解剖学的構造は、3Dレンダリングにおいてユーザ10にはほとんど見えない。それにもかかわらず、2Dフレーム2、7に示されるMPRビュー3、8は、切り取り体9、12が3Dレンダリング1を切り欠いているので見える。加えて、第1のポイント4、第2のポイント6、及び測定経路5が、図10A及び図10Bにおいて見える。図10Bでは、閾値は、89/225の値に設定される。すなわち、89より高く225より低い値を有するすべてのボクセルが、3Dレンダリング1を生成するようにレンダリングされる。この結果、解剖学的構造はより良く推測される。この例は、3Dレンダリング1が閾値設定にどれくらい敏感に反応するかを示すことが意図されている。他方、MPRビュー3、8は、3D医用画像データのグラウンドトゥルースを表し、MPRビュー3、8の有意味性を悪化させるいかなる設定にも依存しない。それゆえに、両方の表示フォーマットの本発明の組合せは、計り知れない正確度とオペレータの利便性とを示す。
【0085】
さらに、本発明のさらなる実施形態によれば、MPRビュー3、8の正確さが、3Dレンダリング1を較正するために使用される。図11には、3Dレンダリング1が示される。さらに、MPRビュー3が示された2Dフレーム2が提供される。先に説明した実施形態とは対照的に、本実施形態では、切り取り体(図11には示されていない)は2Dフレーム2まで達しない。他方、切り取り体8は、3Dレンダリングが、部分的に、2Dフレーム2を通って、したがって、MPRビュー3を通って達することを可能にする。言い換えれば、切り取り体は、2Dフレームから事前定義された距離だけ離間される。これにより、ユーザ20は、MPRビュー3と、2Dフレームの第1の側からユーザに向かって達することが許容される3Dレンダリング1の一部とを見ることが保証される(すなわち、これは、切り取り体の第1の側までの切り取り体の距離に依存する)。
【0086】
本実施形態では、ユーザは、MPRビュー3を、2Dフレームの第1の側の3D医用画像データの白黒表現として見る。加えて、ユーザは、2Dフレームの第1の側から組み立てられている3Dレンダリング(すなわち、2Dフレームを通って延びる3Dレンダリング1)を見る。3Dレンダリング1とMPRビューとの交点の外側輪郭が、MPRビューに基づいて3Dレンダリングの閾値を較正するために使用される。言い換えれば、閾値は、交点の前記外側輪郭がMPRビューに示された輪郭と合致するように適応される。この結果、閾値は、3Dレンダリング1が解剖学的構造を正しく表すように決定される。これは、3D医用画像データの分析の正確度をさらに改善する。
【0087】
図12において、本発明のさらなる実施形態が概略的に示される。本実施形態は、図7の実施形態に実質的に対応するが、本実施形態では表面モデル13が視覚化環境10内に示されていることが異なる。表面モデル13は、3D医用画像データに基づいて自動的に生成される。表面モデル13は、解剖学的構造の特徴に対応するように生成されている。MPRビュー3を使用して、ユーザ20は、表面モデル13が実際に前記特徴に正しく対応することを確認する。
【0088】
図13は、本発明の非VR実施形態によるユーザインタフェースを示す。この設定では、視覚化環境10は、従来のコンピュータスクリーン23上にあり、視覚化は、単に2次元のスクリーン23上のレンダリングである。スクリーンは、ユーザが3Dレンダリング1、2Dフレーム2などを傾ける、ズームする、動かす、又は別のやり方で操作することを可能にするボタン及びスライダのパネル24を含む。さらに、そのようなユーザインタフェースでは、3Dレンダリング及びMPRビュー3を有することは有用なツールである。ディスプレイは、プロセッサ26及びハードディスク27を含むPCなどのコンピュータ25によって制御される。ユーザインタフェースは、キーボード28及び/又はマウス29などの入力ツールを有する。
【0089】
しかしながら、好ましい実施形態では、ユーザインタフェースは、図14に示されるような仮想現実インタフェースである。そのようなインタフェースは、ユーザ20によって装着された仮想現実ヘッドセット21によって実現される。ヘッドセット21は、ケーブル又は無線接続を介してコンピュータ25に接続される。そのような仮想現実ヘッドセット21は、眼ごとに別個の内部ディスプレイ、並びにヘッドの動きを追跡する位置センサ22を含む。そのようなヘッドセットは、拡張現実環境を提示すべき場合にはカメラをさらに含む。さらに、ユーザ20は、VRコントローラ11を手に持っており、コントローラ11は、位置センサ(図示せず)並びにボタン又は他の入力要素をさらに含む。そのような仮想現実コントローラ11により、ユーザは、視覚化環境に表示されたオブジェクトを掴んで動かすことができる。VRヘッドセットは、例えば、HTC VIVEヘッドセット及び対応するVRコントローラである。
【0090】
本発明が、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されたが、そのような図及び説明は、例証的又は例示的なものであり、記述的なものではないと考えられるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0091】
1 3Dレンダリング
2、7 2Dフレーム
3、8 MPR視覚化
4 第1のポイント
5 測定経路
6 第2のポイント
9、12 切り取り体
11 コントローラ
13 表面モデル
20 ユーザ
21 ヘッドセット
22 位置センサ
23 コンピュータスクリーン
24 パネル
25 コンピュータ
26 プロセッサ
27 ハードディスク
28 キーボード
29 マウス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】