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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ポリマーデュアル薬物の自動合成
(51)【国際特許分類】
   C08G 79/04 20060101AFI20241003BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241003BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20241003BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241003BHJP
   C07F 9/09 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08G79/04
A61K47/68
A61K39/395 L
A61P35/00
C07K16/30
C07K16/28
C07F9/09 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519593
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2022059149
(87)【国際公開番号】W WO2023052971
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/250,913
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/253,071
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】マトライ トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンブラント マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マカッチョン ジョン マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
4H050
4J030
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C085AA26
4C085BB11
4C085BB31
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA51
4H045BA54
4H045BA56
4H045BA57
4H045BA62
4H045BA72
4H045DA76
4H045DA83
4H045EA20
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
4J030CA01
4J030CB32
4J030CD11
4J030CF02
4J030CG29
(57)【要約】
蛍光部分又は着色部分を含むか又は含まない、生物学的に活性な化合物として有用な化合物が開示される。一部の実施形態では、化合物は以下の構造(I):

(I)
又は、その立体異性体、互変異性体若しくは塩を有する(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、M1、M2、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)。構造(I)の化合物に関連する追加の化合物、調製方法、医薬組成物、及び処置方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造(I)を有する化合物:
【化1】
(I)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
(式中、
1は、出現毎に独立して、H、アルキル又はアルコキシであり、
2及びR3は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Q、若しくはそれらの保護形態、L’であり、
aは、O又はSであり、
bは、OH、SH、O-、S-、ORd又はSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテルであり、
dは対イオンであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORd、又はSRdであり;
5は、出現毎に独立して、オキソ又はチオキソであり;
6及びR7は、出現毎に独立して、H、OH、又はハロであるが、ただし、R6又はR7の少なくとも1つはOH又はハロであり、
3及びL10は、出現毎に独立して、リンカーであり、
1、L2、L4、L5、L6、L7、L8、L9、及びL11は、出現毎に独立して、直接結合であるか又は置換されたリンカーであってもよく;
1は、出現毎に独立して、存在しない、蛍光色素を含む部分であり、;
2は、出現毎に独立して、クロモフォアであり;
3は、出現毎に独立して、抗がん治療薬を含む部分であり、
Qは、出現毎に独立して、標的指向性部分の相補性反応性基Q’と共有結合の形成が可能な、反応性基、又はその保護形態を含む部分であり;
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、又は構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
lは、出現毎に独立して、1以上の整数であり、
mは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数であり、
nは1以上の整数であり、
出現するpの少なくとも1つは、1以上の整数であり、残りの各pは、0又は1以上の整数のいずれかであり、
qは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数である)
【請求項2】
出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つが、アルキレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つが、メチレンである、請求項1~2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つが、ヘテロアルキレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つが、アルキレンオキシドを含む、請求項1及び4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
アルキレンオキシドが、エチレンオキシドである、請求項1及び4~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
エチレンオキシドが、ポリエチレンオキシドである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
2がL’である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
L’が、標的指向性部分へのリンカーである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
L’が、標的指向性部分へのリンカーであり、リンカーは、アルキレンオキシド又はホスホジエステル部分、或いはそれらの組合せを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
L’が、以下の構造:
【化2】
のうちの1つを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、
1、x2、x3、x4、x5、x6、x7及びx8は、独立して、1~10の整数であり、
bは、H、電子対又は対イオンであり、
L”は、標的指向性部分又は標的指向性部分への連結基である)
【請求項12】
標的指向性部分が、抗体又は細胞表面受容体アンタゴニストである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
抗体、又は細胞表面受容体アンタゴニストが、表皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、肝細胞成長因子受容体(HGFR)阻害剤、インスリン様成長因子受容体(IGFR)阻害剤、フォレート又はMET阻害剤である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
標的指向性部分が、モノクローナル抗体である、請求項1~11に記載の化合物。
【請求項15】
モノクローナル抗体が、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アビバクタム、バシリキシマブ、ベンラリズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブロダルマブ、ブロスマブ、カナキヌマブ、カプラシズマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、デノスマブ、デュピルマブ、エクリズマブ、エミシズマブ、エレヌマブ、エボロクマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、ゴリムマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イダルシズマブ、インフリキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ラナデルマブ、ロキベトマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、オビルトキサキシマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、ラムシルマブ(Rmab)、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ、チルドラキズマブ、チオマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ(IMA-638)、アセリズマブ、アトロリムマブ、バピネウズマブ、BCD-100、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビルタミマブ、ブレセルマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロルシズマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、セデリズマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、CR6261、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、デパツキシズマブ、マフォドチン、デルロツキシマブビオチン、デザミズマブ、ディリダブマブ、ドマグロズマブ、デュシギツマブ、エクロメキシマブ、エドバコマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザヌマブ、エノキズマブ、エプチネズマブ、エリズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファリシマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ、フォラビルマブ、フロボシマブ、フラヌマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲボキズマブ、ギムシルマブ、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、イアナルマブ、インクラクマブ、イノリモマブ、Iomab-B、ケリキシマブ、ランパリズマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レンベルビマブ(Lenvervimab)、レルデリムマブ、レトリズマブ、リビビルマブ、リゲリズマブ、ロデルシズマブ、ルリズマブペゴル、マルスタシマブ、マブリリムマブ、メテリムマブ、ミリキズマブ、モタビズマブ、ムロモナブCD3、ネバクマブ、ネモリズマブ、NEOD001、ニルセビマブ、オデュリモマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、OMS721、オピシヌマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オチリマブ、オクセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パノバクマブ、パスコリズマブ、パテクリズマブ、PDR001、ペラキズマブ、ペキセリズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プラシネズマブ、プリリキシマブ、PRO140、キリズマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラネベトマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レラトリマブ、リヌクマブ、リサンキズマブ、ロレヅマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、SA237、サトラリズマブ、セビルマブ、SHP647、シファリムマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソネプシズマブ、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ、スブラトクスマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、テフィバズマブ、テリモマブ アリトクス(Telimomab aritox)、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テゼペルマブ、チブリズマブ、トラリズマブ、トラロキヌマブ、トレボグルマブ、ツビルマブ、ウロクプルマブ(Ulocuplumab)、ウルトキサズマブ、バリサクマブ、ベパリモマブ(Vepalimomab)、ベセンクマブ(Vesencumab)、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ゾリモマブ アリトクス(Zolimomab aritox)、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、ブレンツキシマブ、ボルセツズマブ、ロルボツズマブ、カンツズマブ、ビバツズマブ、又はイノツズマブ、又はバダスツキシマブである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
2又はR3が、以下の構造:
【化3-1】
【化3-2】
のうちの1つを有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、
aは、H又は固体支持体である)
【請求項17】
2が、以下の構造:
【化4】
のうちの1つを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
3が、以下の構造:
【化5】
を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
以下の構造(Ia):
【化6】
(Ia)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、
zは、出現毎に独立して、1~10の整数である)
【請求項20】
5が、出現毎に独立して、OH、O-又はORdである、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
4が、出現毎に、オキソである、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
以下の構造(Ib):
【化7】
(Ib)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、
a、xb、xc、xd、xe、及びxfは、出現毎に独立して、0~6の整数である)
【請求項23】
以下の構造(Ic):
【化8】
(Ic)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、
8は、出現毎に独立して、O、NH、又はNReであり;
9は、出現毎に独立して、H、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよく;
10は、出現毎に独立して、H又はFであり、
eは、出現毎に独立して、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよい)
【請求項24】
mが、ゼロの整数である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
以下の構造(Id):
【化9】
(Id)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
出現するL3又はL10の少なくとも1つが、ヘテロアルキレンである、請求項1~25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
出現するL3又はL10の少なくとも1つが、酸素を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
出現するL3又はL10の少なくとも1つが、以下の構造:
【化10】
を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、
9及びx10は、それぞれ独立して、0より大きい整数である)
【請求項29】
9が、1、2、3、又は4である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
10が、2、3、4、又は5である、請求項28又は29に記載の化合物。
【請求項31】
9が、1又は2であり、かつx10が、2、3、又は4である、請求項28~30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
3又はL10が出現毎に、ヘテロアルキレンである、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
3又はL10が出現毎に、酸素を含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
3又はL10が出現毎に、以下の構造:
【化11】
を有する、請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物。
(式中、
9及びx10は、それぞれ独立して、0より大きい整数である)
【請求項35】
9が、1、2、3、又は4である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
10が、2、3、4、又は5である、請求項34又は35に記載の化合物。
【請求項37】
9が、1又は2であり、かつx10が、2、3、又は4である、請求項34~36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
3又はL10が、生理的に開裂可能なリンカーをさらに含む、請求項34に記載の化合物。
【請求項39】
出現するL3又はL10の少なくとも1つが、アミド結合、エステル結合、ホスホジエステル結合、ジスルフィド結合、二重結合、三重結合、エーテル結合、ヒドラゾン、1つ若しくは複数のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列、ケトン、ジオール、シアノ、ニトロ又はそれらの組合せを含む、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
出現するL3又はL10の少なくとも1つが、以下の構造:
【化12】
のうちの1つを含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
3又はL10が、出現毎に、アミド結合、エステル結合、ホスホジエステル結合、ジスルフィド結合、二重結合、三重結合、エーテル結合、ヒドラゾン、アミノ酸配列、ケトン、ジオール、シアノ、ニトロ又はそれらの組合せを含む、請求項38~40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
3又はL10が、出現毎に、以下の構造:
【化13】
のうちの1つを有する、請求項38~41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
2及びR3が、それぞれ独立して、OH、又は-OP(=Ra)(Rb)Rcである、請求項1~42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
2若しくはR3の一方が、OH又は-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R2若しくはR3の他方が、Q又はQへの共有結合を含むリンカーである、請求項1~43のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
2及びR3が、それぞれ独立して、-OP(=Ra)(Rb)Rcである、請求項1~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
Qが、以下の構造:
【化14】
;又は-NHを有する、請求項1~45のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
2又はR3の一方が、OH又は-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R2又はR3の他方が、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、又は固体支持体への共有結合を含むリンカーである、請求項1~42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
分析対象分子が、核酸、アミノ酸、又はそれらのポリマーである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
分析対象分子が、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマー又はプリオンである、請求項47に記載の化合物。
【請求項50】
出現するM3の少なくとも1つが、アルキル化剤、抗代謝産物剤、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、又は細胞傷害性抗生物質である、請求項1~49のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項51】
3が、出現毎に、アルキル化剤、抗代謝産物剤、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、又は細胞傷害性抗生物質である、請求項1~50のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項52】
出現するM3の少なくとも1つが、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、テトラジン、アジリジン、シスプラチン若しくはシスプラチン誘導体、又は非古典的アルキル化剤である、請求項1~51のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項53】
出現するM3の少なくとも1つが、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ブスルファン、N-ニトロソ-N-メチル尿素(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、チオテパ、マイトマイシン(mytomycin)、ジアジクオン(AZQ)、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、又はヘキサメチルメラミンである、請求項1~52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項54】
出現するM3の少なくとも1つが、抗葉酸剤、フルオロピリミジン、デオキシヌクレオシド類似体、又はチオプリンである、請求項1~53のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
出現するM3の少なくとも1つが、メトトレキサート、ペメトレキセド、フルオロウラシル、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、ペントスタチン、チオグアニン、及びメルカプトプリンである、請求項1~54のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項56】
出現するM3の少なくとも1つが、オーリスタチン、ビンカアルカロイド、又はタキサンである、請求項1~55のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項57】
出現するM3の少なくとも1つが、オーリスタチンF、オーリスタチンE、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、又はテニポシドである、請求項1~56のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項58】
出現するM3の少なくとも1つが、イリノテカン、SN38、トポテカン、カンプトテシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロン、又はアクラルビシンである、請求項1~57のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項59】
出現するM3の少なくとも1つが、アントラサイクリン又はブレオマイシンである、請求項1~58のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項60】
出現するM3の少なくとも1つが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、又はミトキサントロンである、請求項1~59のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項61】
出現するM3の少なくとも1つが、以下の構造:
【化15】
を有する、請求項1~60のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項62】
3が出現毎に、以下の構造:
【化16】
を有する、請求項1~61のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項63】
出現する-L10-M3の少なくとも1つが、以下の構造:
【化17】
のうちの1つを有する、請求項1~61のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項64】
-L10-M3が、出現毎に、以下の構造:
【化18】
のうちの1つを有する、請求項1~61のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項65】
1が、出現毎に独立して、2つ以上のアリール環若しくはヘテロアリール環、又はそれらの組合せを含む蛍光部分である、請求項1~64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項66】
1が、出現毎に独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クワテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセン、及びター-ナフチル部分からなる群から選択される、請求項1~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項67】
1が、出現毎に独立して、p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミド、ペリレンアミド、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項68】
1が、出現毎に独立して、クマリン色素、レゾルフィン色素、ジピロメテンボロンジフルオライド色素、ルテニウムビピリジル色素、チアゾールオレンジ色素、ポリメチン、及びN-アリール-1,8-ナフタルイミド色素からなる群から選択される、請求項1~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項69】
1が、出現毎に独立して、クマリン色素、ホウ素ジピロメテン、ローダミン、シアニン、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミド、6-FAM、5-FAM、6-FITC、5-FITC、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項70】
1が、出現毎に独立して、以下の構造:
【化19】
のうちの1つを有する、請求項1~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項71】
出現するM1の少なくとも1つが、以下の構造:
【化20】
を有する、請求項1~70のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項72】
1が出現毎に、以下の構造:
【化21】
を有する、請求項1~71のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項73】
出現する-L3-M1の少なくとも1つが、以下の構造:
【化22】
のうちの1つを有する、請求項1~71のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項74】
-L3-M1が、出現毎に、以下の構造:
【化23】
のうちの1つを有する、請求項1~71のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項75】
mが0~10の整数である、請求項1~74のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項76】
mが、0、1、2、3、4、又は5である、請求項1~75のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項77】
nが、1、2、3、又は4である、請求項1~76のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項78】
nが、1又は2である、請求項1~77のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項79】
pが、1、2、3、又は4である、請求項1~78のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項80】
pが、1又は2である、請求項1~79のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項81】
mが0であり;nが1であり;pが2である、請求項1~80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項82】
mが1であり;nが1であり;pが2である、請求項1~80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項83】
mが5であり;nが1であり;pが2である、請求項1~80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項84】
出現するR6又はR7の少なくとも1つが、Fである、請求項1~83のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項85】
出現するR6及びR7の少なくともそれぞれが、Fである、請求項1~84のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項86】
出現するR6及びR7の少なくともそれぞれが、Fであり、R8がOであり、R9がHであり、R10がHである、請求項1~85のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項87】
出現するR6及びR7の少なくともそれぞれが、Hであり、R8がOであり、R9がC(=O)OCH2CH2CH2CH2CH3であり、R10がFである、請求項1~85のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項88】
a、xb、xc、xd、xe、及びxfが、出現毎に独立して、0又は1の整数である、請求項1~87のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項89】
表2の構造の1つ又はその塩若しくは互変異性体を有する、請求項1~88のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項90】
qが、0又は1である、請求項1~89のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項91】
以下の構造(Ie):
【化24】
(Ie)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項1~90のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項92】
請求項1~91のいずれか1項に記載の化合物、及び薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項93】
疾患又は障害を処置する方法であって、治療有効量の請求項1~91のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項92に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項94】
疾患又は障害が、がんである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
がんが、乳がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、リンパ腫、及び膀胱がんである、請求項93又は請求項94に記載の方法。
【請求項96】
以下の構造(III):
【化25】
(III)
を有する化合物、
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
(式中、
1は、出現毎に独立して、H、アルキル又はアルコキシであり、
2及びR3は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Q若しくはそれらの保護形態、L’であり;
aは、O又はSであり;
bは、OH、SH、O-、S-、ORd又はSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテルであり、
dは対イオンであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORd、又はSRdであり;
5は、出現毎に独立して、オキソ又はチオキソであり;
6及びR7は、出現毎に独立して、H、OH、又はハロであるが、ただし、R6又はR7の少なくとも1つはOH又はハロであり、
3及びL10は、出現毎に独立して、リンカーであり、
1、L2、L4、L5、L6、L7、L8、L9、及びL11は、出現毎に独立して、直接結合であるか又は置換されたリンカーであってもよく;
1は、出現毎に独立して、存在しない、蛍光色素を含む部分であり、;
2は、出現毎に独立して、クロモフォアであり;
3は、出現毎に独立して、抗がん治療薬を含む部分であり、
Qは、出現毎に独立して、標的指向性部分の相補性反応性基Q’と共有結合の形成が可能な、反応性基、又はその保護形態を含む部分であり;
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、又は構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
lは、出現毎に独立して、1以上の整数であり、
mは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数であり、
nは1以上の整数であり、
出現するpの少なくとも1つは、1以上の整数であり、残りの各pは、0又は1以上の整数のいずれかであり、
qは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数である)
【請求項97】
以下の構造(IIIa):
【化26】
(IIIa)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項96に記載の化合物。
【請求項98】
以下の構造(IIIb):
【化27】
(IIIb)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項97に記載の化合物。
(式中、
a、xb、xc、xd、xe、及びxfは、出現毎に独立して、0~6の整数である)
【請求項99】
以下の構造(IIIc):
【化28】
(IIIc)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項98に記載の化合物。
(式中、
8は、出現毎に独立して、O、NH、又はNReであり;
9は、出現毎に独立して、H、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよく;
10は、出現毎に独立して、H又はFであり、
eは、出現毎に独立して、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよい)
【請求項100】
以下の構造(IIId):
【化29】
(IIId)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する、請求項99に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クロモフォア部分(例えば、蛍光色素)を含むか若しくは含まない、間隔基を有する二量体でありポリマーの生物学的に活性な化合物、それらに関連する化合物、及び処置方法を一般に対象とする。
【背景技術】
【0002】
標的化薬物コンジュゲートは、例えば化学療法とは異なり、標的細胞に薬物を送達し、オフターゲット活性はほとんど又はまったくない。通常、標的化薬物コンジュゲートは、生物学的に活性なペイロード又は薬物に連結されている標的指向性分子を含む。コンジュゲートは、固有の標的能力と生物学的に活性な薬物の治療有効性とを組み合わせることにより、意図する標的だけに薬物を送達し、潜在的な副作用を最小化することができる。
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、例えばがん処置に特に関心がもたれる標的化薬物コンジュゲートのクラスの1つである。ADCは、モノクローナル抗体の標的指向性特徴と、細胞毒性剤のがん死滅能とを組み合わせて、他の化学療法剤よりもいくつかの利点を有する治療を実現する。しかし、ADC構築の複雑さ、具体的には、抗体と薬物との間の化学リンカーに関わる難題により、新規かつ有効な治療剤の開発はかなり困難である。最初のADCは、2001年に承認されたが、次のADCが承認されるまでに、ほとんど10年間が費やされた。現時点において、Adcetris(登録商標)、Besponsa(登録商標)、Enhertu(登録商標)、Mylotarg(登録商標)、Padcev(登録商標)、Polivy(登録商標)、及びKadcyla(登録商標)しか、世界中で市販されていない(Zevalin(登録商標)は、中国でしか承認されてない)。
したがって、高い治療指数を有する強力な標的指向性薬物コンジュゲート及びその調製方法を開発する必要性が当分野において存在する。本開示は、この必要性に応え、さらなる関連する利点を実現する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、以下の構造(I)を有する化合物:
【化1】
(I)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、M1、M2、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0004】
別の実施形態は、以下の構造(Ia)を有する化合物:
【化2】
(Ia)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、L2、L3、L4、L6、L7、L9、L10、L11、M1、M2、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0005】
別の実施形態は、以下の構造(Ib)を有する化合物:
【化3】
(Ib)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R2、R3、R6、R7、L3、L10、M1、M2、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0006】
さらに別の実施形態は、以下の構造(Ic)を有する化合物:
【化4】
(Ic)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、L3、L10、M1、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0007】
さらに別の実施形態は、以下の構造(Id)を有する化合物:
【化5】
(Id)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する

(式中、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、L10、M3、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0008】
さらに別の実施形態は、以下の構造(Ie)を有する化合物:
【化6】
(Ie)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、及びnは、本明細書で定義されている通りである)
【0009】
一実施形態は、以下の構造(III)を有する化合物:
【化7】
(III)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、M1、M2、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0010】
別の実施形態は、以下の構造(IIIa)を有する化合物:
【化8】
(IIIa)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、L2、L3、L4、L6、L7、L9、L10、L11、M1、M2、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0011】
別の実施形態は、以下の構造(IIIb)を有する化合物:
【化9】
(IIIb)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R2、R3、R6、R7、L3、L10、M1、M2、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0012】
さらに別の実施形態は、以下の構造(IIIc)を有する化合物:
【化10】
(IIIc)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、L3、L10、M1、M3、l、m、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
【0013】
さらに別の実施形態は、以下の構造(IIId)を有する化合物:
【化11】
(IIId)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
(式中、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10、L10、M3、n、p、及びqは、本明細書で定義されている通りである)
本開示のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照することにより明らかとなるであろう。
図面において、同一の参照番号は同様の要素を識別する。図中の要素のサイズ及び相対的な位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、図の読みやすさを向上させるために、これらの要素の一部は適宜拡大及び配置されている。さらに、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図したものではなく、図中での認識を容易にするためにのみ選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】PC3におけるHer2陰性の細胞増殖アッセイの結果を示す。
図2】PC3におけるHer2陰性の細胞増殖アッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の記載において、ある種の具体的な詳細は、本開示の様々な実施形態の完全な理解をもたらすために記載されている。しかし、当業者であれば、本開示の実施形態はこれらの詳細がなくても実施することができることを理解するであろう。
文脈上異なる解釈を要する場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、語「含む(comprise)」、並びに「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」などのその変化形は、オープンな包括的な意味で、すなわち、「以下に限定されないが、含む」として解釈されるべきである。
本明細書全体を参照して、「一実施形態」又は「実施形態」という場合、これらの実施形態に関連して記載されている、特定の特徴、構造又は性質が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書の全体にわたる様々な位置における、「一実施形態では」又は「実施形態では」という言い回しの出現は、すべてが、同じ実施形態を必ずしも指すわけではない。さらに、具体的な特徴、構造又は性質は、1つ又は複数の実施形態における、任意の好適な方法において組み合わされてもよい。
【0016】
「アミノ」とは、-NH2基を指す。
「カルボキシ」とは、-CO2H基を指す。
「シアノ」とは、-CN基を指す。
「ホルミル」とは、-C(=O)H基を指す。
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」とは、-OH基を指す。
「イミノ」とは、=NH基を指す。
「ニトロ」とは、-NO2基を指す。
「オキソ」とは、=O基を指す。
「スルフヒドリル」、「チオール」又は「チオ」とは、-SH基を指す。
「チオキソ」とは、=S基を指す。
「アルキル」とは、不飽和を含まず、1~12個の炭素原子(C1-C12アルキル),1~8個の炭素原子(C1-C8アルキル)又は1~6個の炭素原子(C1-C6アルキル)を有する、炭素原子及び水素原子のみからなる直鎖状又は分岐状の炭化水素鎖の基であって、単結合によって分子の残りに結合している炭化水素鎖の基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどを指す。本明細書中において特に具体的に明記しない限り、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0017】
「アルキレン」又は「アルキレン鎖」とは、不飽和を含まず、1~12個の炭素原子を有する、炭素及び水素のみからなる、分子の残りをラジカル基に連結する、二価の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレンなどを指す。アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、かつ単結合を介してラジカル基に結合している。分子の残り及びラジカル基へのアルキレン鎖の結合点は、この鎖内の1個の炭素又は任意の2つの炭素を介することができる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキレンは、置換されていてもよい。
「アルケニレン」又は「アルケニレン鎖」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、2~12個の炭素原子を有する、炭素及び水素のみからなる、分子の残りをラジカル基に連結する、二価の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなどを指す。アルケニレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、及び二重結合又は単結合を介してラジカル基に結合している。アルケニレン鎖の、分子の残り及びラジカル基への結合点は、この鎖内の1個の炭素又は任意の2個の炭素を介することができる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルケニレンは置換されていてもよい。
【0018】
「アルキニレン」又は「アルキニレン鎖」とは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有し、2~12個の炭素原子を有する、炭素及び水素のみからなる、分子の残りをラジカル基に連結する、二価の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなどを指す。アルキニレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、及び二重結合又は単結合を介してラジカル基に結合している。アルキニレン鎖の、分子の残り及びラジカル基への結合点は、この鎖内の1個の炭素又は任意の2個の炭素を介することができる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキニレンは、置換されていてもよい。
「アルキルエーテル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素結合が、炭素-酸素結合により置き換えられている、上で定義されている任意のアルキル基を指す。炭素-酸素結合は、末端(アルコキシ基中として)に存在していてもよく、又は炭素-酸素結合は内部(すなわち、C-O-C)に存在していてもよい。アルキルエーテルは、少なくとも1つの炭素-酸素結合を含むが、1つ超で含むことがある。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、アルキルエーテルの意味に含まれている。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキルエーテル基は、置換されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、アルキルエーテルは、アルコール又は-OP(=Ra)(Rb)Rcにより置換されており、Ra、Rb及びRcはそれぞれ、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
【0019】
「アルコキシ」とは、式-ORaの基を指し、Raは、1~12個の炭素原子を含有する、上で定義したアルキル基である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルコキシ基は、置換されていてもよい。
「ヘテロアルキレン」とは、アルキレン鎖内、又はアルキレン鎖の末端において、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、Si、N、O、P又はS)を含む、上で定義したアルキレン基を指す。一部の実施形態では、ヘテロ原子は、アルキレン鎖内に存在する(すなわち、ヘテロアルキレンは、少なくとも1つの炭素-[ヘテロ原子]x-炭素結合を含み、xは、1、2又は3である)。他の実施形態では、ヘテロ原子は、アルキレンの末端に存在し、該アルキレンを分子の残りに結合させるよう働く(例えば、M1-H-A-M2、M1及びM2は、分子の一部であり、Hは、ヘテロ原子であり、Aは、アルキレンである)。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルキレン基は、置換されていてもよい。例示的なヘテロアルキレン基には、エチレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド)、並びに以下に示す「C」連結基及び「HEG」連結基が含まれる。
【0020】
【化12】
ヘテロアルキレンリンカーの様々な実施形態には、上記のCリンカー及びHEGリンカーの多量体が含まれる。
「ヘテロアルケニレン」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、上で定義したヘテロアルキレンである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルケニレン基は、置換されていてもよい。
「ヘテロアルキニレン」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、ヘテロアルキレンである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルキニレン基は、置換されていてもよい。
【0021】
「ヘテロ原子リンカー」に関連する「ヘテロ原子」とは、1個又は複数のヘテロ原子からなる、リンカー基を指す。例示的なヘテロ原子リンカーには、O、N、P、及びSからなる群から選択される単一原子、及び複数のヘテロ原子、例えば、式-P(O-)(=O)O-又は-OP(O-)(=O)O-及び多量体、並びにそれらの組合せを有するリンカーが含まれる。
「ホスフェート」とは、-OP(=O)(Ra)Rb基(Raは、OH、O-又はORcであり、Rbは、OH、O-、ORcである)、チオホスフェート基又はさらなるホスフェート基(Rcは、対イオン(例えば、Na+など)である)を指す。
「ホスホアルキル」とは、-OP(=O)(Ra)Rb基を指し、Raは、OH、O-又はORcであり、Rbは、-Oアルキルであり、Rcは、対イオン(例えば、Na+など)である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ホスホアルキル基は、置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、ホスホアルキル基中の-Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテル、のうちの1つ又は複数により置換されていてもよい。
【0022】
「ホスホアルキルエーテル」とは、-OP(=O)(Ra)Rb基を指し、Raは、OH、O-又はORcであり、Rbは、-Oアルキルエーテルであり、Rcは、対イオン(例えば、Na+など)である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ホスホアルキルエーテル基は、置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、ホスホアルキルエーテル基の-Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテル、のうちの1つ又は複数により置換されていてもよい。
「チオホスフェート」とは、-OP(=Ra)(Rb)Rc基(Raは、O又はSであり、Rbは、OH、O-、S-、ORd又はSRdであり、Rcは、OH、SH、O-、S-、ORd、SRd、ホスフェート基又はさらなるチオホスフェート基であり、Rdは、対イオン(例えば、Na+など)であり、ただし、i)RaはSであり、ii)RbはS-又はSRdであり、iii)Rcは、SH、S-又はSRdであり、又はiv)i)、ii)及び/又はiii)の組合せであることを条件とする)を指す。
【0023】
「チオホスホアルキル」とは、-OP(=Ra)(Rb)Rc基を指し、Raは、O又はSであり、Rbは、OH、O-、S-、ORd又はSRdであり、Rcは、-Oアルキルであり、Rdは、対イオン(例えば、Na+など)であり、ただし、i)RaはSであり、ii)Rbは、S-又はSRdであり、又はiii)RaはSであり、Rbは、S-又はSRdであることを条件とする。本明細書において特に具体的に明記しない限り、チオホスホアルキル基は、置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、チオホスホアルキル基中の-Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテル、のうちの1つ又は複数により置換されていてもよい。
「チオホスホアルキルエーテル」とは、-OP(=Ra)(Rb)Rc基を指し、Raは、O又はSであり、Rbは、OH、O-、S-、ORd又はSRdであり、Rcは、-Oアルキルエーテルであり、Rdは、対イオン(例えば、Na+など)であり、ただし、i)Raは、Sであり、ii)Rbは、S-又はSRdであり、又はiii)Raは、Sであり、Rbは、S-又はSRdであることを条件とする。本明細書において特に具体的に明記しない限り、チオホスホアルキルエーテル基は、置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、チオホスホアルキル基の-Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテル、のうちの1つ又は複数により置換されていてもよい。
【0024】
「炭素環式」とは、3~18個の炭素原子を含む、安定な3~18員の芳香族環又は非芳香族環を指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、炭素環式環は、単環式環系、二環式環系、三環式環系又は四環式環系とすることができ、これらは、縮合環系又は架橋環系を含んでもよく、部分飽和又は完全飽和であってもよい。非芳香族カルボシクリルラジカルには、シクロアルキルが含まれる一方、芳香族カルボシクリルラジカルには、アリールが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、炭素環式基は、置換されていてもよい。
「シクロアルキル」とは、安定な非芳香族単環式環又は多環式炭素環式環を指し、これらは、3~15個の炭素原子を有する、好ましくは3~10個の炭素原子を有する、飽和若しくは不飽和な縮合環系又は架橋環系であって、単結合によって分子の残りに結合している、縮合環系又は架橋環系を含んでもよい。単環式シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。多環式シクロアルキルには、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ-[2.2.1]ヘプタニルなどが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、シクロアルキル基は置換されていてもよい。
【0025】
「アリール」は、少なくとも1つの炭素環式芳香族環を含む環系を指す。一部の実施形態では、アリールは、6~18個の炭素原子を含む。アリール環は、単環式環系、二環式環系、三環式環系又は四環式環系であってもよく、これらは、縮合環系又は架橋環系を含んでもよい。アリールには、以下に限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン及びトリフェニレンから誘導されるアリールが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アリール基は、置換されていてもよい。
【0026】
「複素環式」は、1~12個の炭素原子、並びに窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、安定な3~18員の芳香族環又は非芳香族環を指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、複素環式環は、単環式環系、二環式環系、三環式環系又は四環式環系であってもよく、これらは、縮合環系又は架橋環系を含んでもよく、複素環式環中の窒素原子、炭素原子又は硫黄原子は、酸化されていてもよく、窒素原子は、四級化されていてもよく、複素環式環は、部分飽和又は完全飽和であってもよい。芳香族複素環式環の例は、ヘテロアリールの定義において、以下に列挙されている(すなわち、ヘテロアリールは、複素環式のサブセットである)。非芳香族複素環式環の例には、以下に限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾロピリミジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリオキサニル、トリチアニル、トリアジナニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、複素環式基は、置換されていてもよい。
【0027】
「ヘテロアリール」とは、1~13個の炭素原子、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子、及び少なくとも1つの芳香族環を含む、5~14員の環系を指す。本開示のある種の実施形態の目的のため、ヘテロアリールラジカルは、単環式環系、二環式環系、三環式環系又は四環式環系であってもよく、これらは、縮合環系又は架橋環系を含んでもよく、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子、炭素原子又は硫黄原子は、酸化されていてもよく、窒素原子は、四級化されていてもよい。例には、以下に限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ベンゾオキサゾリノニル、ベンゾイミダゾールチオニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プテリジノニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、ピラジニル、ピリミジニル、プリルイミジノニル、ピリダジニル、ピロリル、ピリド[2,3-d]ピリミジノニル、キナゾリニル、キナゾリノニル、キノキサリニル、キノキサリノニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-オニル、チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニル(すなわちチエニル)が含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0028】
接尾辞「-ene」は、単結合を介して分子の残りの部分に結合し、単結合を介してラジカル基に結合する特定の構造的特徴(例えば、アルキル、アリール、ヘテロアルキル)を指す。換言すれば、接尾辞「-ene」は、分子とラジカル基との間のリンカーである、本明細書に記載の説明を有する特定の構造的特徴を指す。分子の残りの部分及びラジカル基への「-ene」鎖の結合点は、鎖内の1つの原子又は任意の2つの原子を介することができる。例えば、アルキレンヘテロアルキレンとは、アルキレン部分及びヘテロアルキレン部分を含むリンカーを指す。
「縮合した」とは、少なくとも2つの環を含む環系を指し、この2つの環は、少なくとも1個の共通した環原子、例えば、2つの共通した環原子を共有する。縮合環が、ヘテロシクリル環又はヘテロアリール環である場合、共通環原子は、炭素又は窒素とすることができる。縮合環は、二環式、三環式、四環式(tertracyclic)などを含む。
「共役」とは、介在するシグマ結合全体に、1つのp軌道と別のp軌道とに重なりがあることを指す。共役は、環式化合物又は非環式化合物に起こり得る。「共役度」とは、介在するシグマ結合全体に、少なくとも1つのp軌道と別のp軌道とに重なりがあることを指す。例えば、1,3-ブタジエンは、1共役度を有する一方、ベンゼン及び他の芳香族化合物は、通常、複数の共役度を有する。蛍光及び発色化合物は、通常、少なくとも1共役度を含む。
「蛍光」とは、特定の周波数の光を吸収して、異なる周波数の光を発光することが可能な分子を指す。蛍光は、当業者に周知である。
【0029】
「有色の」とは、有色スペクトル(すなわち、赤色、黄色、青色など)内の光を吸収する分子を指す。
「リンカー」とは、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、及びそれらの組合せなどの少なくとも1つの原子の連続鎖を指し、リンカーは、分子の一部を同じ分子の別の部分、又は異なる分子、部分、若しくは固体支持体(例えば、微粒子)に接続する。リンカーは、イオン性相互作用又は水素結合相互作用などの、共有結合又は他の手段を介して分子に結合することができる。一部の実施形態では、リンカーは、ヘテロ原子リンカー(例えば、1~10個のSi、N、O、P、若しくはS原子を含む)、ヘテロアルキレン(例えば、1~10個のSi、N、O、P、若しくはS原子及びアルキレン鎖を含む)又はアルキレンリンカー(例えば、1~12個の炭素原子を含む)である。一部の実施形態では、ヘテロアルキレンリンカーは、以下の構造:
【化13】
(式中、
9及びx10は、それぞれ独立して、0より大きい整数である)を含む。一部の実施形態では、ヘテロ原子リンカーは、-O-、-S-、又は-OP(=O)O--O-である。一部の実施形態では、ヘテロアルキレンリンカーは、-OP(=O)O--O-を含む。一部の実施形態では、ヘテロアルキレンリンカーは、少なくとも1つのS-S結合を含む。
【0030】
「生理的に開裂可能なリンカー」とは、生物又は細胞系のインビボ又はインビトロ環境に存在している間に、規定の方法で分裂又は分離されて、2つ以上の個別の分子をもたらすことができる分子連結基を指す。一般に、このような開裂事象又は切断事象を含む生理的条件は、約20~40℃の範囲の温度、約1atm(101kPa又は14.7psi)の大気圧、約6~8のpH、約1~20mMのグルコース濃度、大気酸素濃度及び地球の重力を含むことができる。一部の実施形態では、生理的条件は、酵素条件(すなわち、酵素による開裂)を含む。結合開裂又は切断は、均質開裂又は不均質開裂とすることができる。
「固体支持体」又は「固体樹脂」とは、分子の固定相支持体に関して、当分野で公知の任意の固体基材を指し、例えば、「マイクロ粒子」とは、以下に限定されないが、ガラス製ビーズ、磁気ビーズ、ポリマー製ビーズ、非ポリマー製ビーズなどを含めた、本開示の化合物への結合に有用ないくつかの小型粒子のいずれかを指す。ある種の実施形態では、マイクロ粒子はポリスチレン製ビーズを含む。一部の実施形態では、固体支持体又は固体樹脂は、制御された多孔性ガラス(controlled pore glass)又はマクロ多孔質ポリスチレンである。
【0031】
「固体支持体残基」とは、分子が固体支持体から開裂されると、分子に結合した状態のままである官能基を指す。固体支持体残基は、当分野で公知であり、固体支持体の構造、及び分子を固体支持体に連結する基に基づいて容易に誘導体化され得る。
本明細書において開示されている実施形態はまた、1個又は複数の原子が異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられることによって、同位体標識されている構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物のすべてを包含することを意味する。開示化合物に組み込むことが可能な同位体の例には、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体を含む。
【0032】
構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の同位体標識化合物は、以前利用していた非標識試薬の代わりに適当な同位体標識試薬を使用して、当業者に公知の従来の技術により、以下に記載されている及び以下の実施例に記載されているものに類似のプロセスにより一般的に調製することができる。
「安定な化合物」及び「安定な構造」は、反応混合物から有用な純度の程度となるまでの単離、及び有効な治療剤への製剤化の間に分解しない(survive)ほど十分に頑強な化合物を示すことが意図されている。
「塩」は、酸付加塩と塩基付加塩の両方を含む。
【0033】
「酸付加塩」とは、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及び以下に限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、シヨウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、粘膜酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサルチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸と共に形成される塩を指す。
【0034】
「塩基付加塩」とは、無機塩基又は有機塩基の遊離酸への付加から調製される塩を指す。無機塩基に由来する塩には、以下に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが含まれる。有機塩基に由来する塩には、以下に限定されないが、一級、二級及び三級アミン、及び天然の置換アミンを含めた置換アミン、環式アミンの塩、並びにアンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩基性イオン交換樹脂が含まれる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、カフェインなどである。
結晶化により、本明細書に記載の化合物の溶媒和物(例えば、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物)を生成することができる。本開示の実施形態は、記載されている化合物の溶媒和物のすべてを含む。本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」とは、本開示の化合物の1つ又は複数の分子と1つ又は複数の溶媒分子を含む凝集物を指す。溶媒は水であってもよく、この場合、溶媒和物は水和物とすることができる。代替的に、溶媒は、有機溶媒であってもよい。したがって、本開示の化合物は、一水和物、二水和物、ヘミ水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物など、並びに対応する溶媒和物形態を含めた、水和物として存在することがある。本開示の化合物は、真の溶媒和物であってもよい一方、他の場合では、本開示の化合物は、単に偶発的な水又は別の溶媒を単に保持することがあるか、又は水とある偶発的な溶媒との混合物となることがある。
【0035】
本開示の化合物の実施形態(例えば、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、((III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、若しくは(IIId)の化合物)、又はそれらの塩、互変異性体若しくは溶媒和物は、1つ又は複数の立体中心を含むことができ、したがって、これらの立体中心によって、絶対立体化学の観点から、(R)-若しくは(S)-、又はアミノ酸に関しては(D)-若しくは(L)-として定義することができるエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体が生じ得る。本開示の実施形態は、すべてのこのような可能な異性体、並びにそのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことが意図されている。光学活性な(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、又は(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製することができるか、又は従来の技法、例えばクロマトグラフィー及び分別結晶化を使用して分割することができる。個々の鏡像異性体の調製/単離に関する従来の技法には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えば、キラルな高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(又は、塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合又は他の幾何学的非対称中心を引き起こすその他の特徴を含む場合、特に指定されない限り、化合物はE及びZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、互変異性体のすべてが含まれることがやはり意図されている。
【0036】
「立体異性体」とは、同じ結合によって結合された同一原子から構成されているが、異なる三次元構造を有している化合物であって、相互変換することができない化合物を指す。本開示は、様々な立体異性体及びそれらの混合物を企図しており、「鏡像異性体」を含み、これは、それらの分子が互いに重なり合わない鏡像となる2つの立体異性体を指す。
「互変異性体」とは、分子の1個の原子から同一分子の別の原子へのプロトン移動を指す。本開示は、任意の前記化合物の互変異性体を含む。本化合物の様々な互変異性体は、当業者によって容易に誘導可能である。
【0037】
用語「生体分子」とは、核酸、炭水化物、アミノ酸、ポリペプチド、グリコタンパク質、ホルモン、アプタマー及びそれらの混合物を含めた、様々な生体物質のいずれかを指す。より詳細には、用語は、非限定的に、RNA、DNA、オリゴヌクレオチド、修飾又は誘導化ヌクレオチド、酵素、受容体、プリオン、受容体リガンド(ホルモンを含む)、抗体、抗原及び毒素、並びに細菌、ウイルス、血液細胞及び組織細胞を含むことが意図されている。本開示の視覚的に検出可能な生体分子(例えば、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物に連結した生体分子を有する構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物)は、本明細書にさらに記載されている通り、生体分子上のアミノ、ヒドロキシ、カルボキシル又はスルフヒドリル基などの任意の利用可能な原子又は官能基を介して、生体分子の化合物への結合を可能にする反応性基を有する上記の化合物に生体分子を接触させることによって調製される。
【0038】
「反応性基」は、例えば、置換、酸化、還元、付加又は環化付加反応によって、第2の反応性基(例えば、「相補性反応性基」)と反応して、1つ又は複数の共有結合を形成することが可能な部分である。例示的な反応性基が、表1に提示されており、例えば、求核剤、求電子剤、ジエン、求ジエン体、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、ハロゲン化スルホニル、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル、ケトン、α,β-不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α-ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチン、チイランなどを含む。
「バイオコンジュゲーション」又は「バイオコンジュゲート」及び関連する変化形は、2つの分子間の安定な共有結合を形成する化学反応戦略を指す。用語「バイオコンジュゲーション」は、分子の1つが生体分子(例えば、抗体)である場合に一般に使用されるが、非生体分子(例えば、ポリマー樹脂)と共有結合を形成することを記載するために使用することができる。このような反応戦略に由来する生成物又は化合物は、「コンジュゲート」、「バイオコンジュゲート」又は文法的等価物である。
【0039】
用語「目視可能な」及び「目視により検出可能な」は、本明細書において、事前の照射、又は化学的若しくは酵素的活性化なしに、目視検査によって観察可能な物質を指すために使用される。このような目視により検出可能な物質は、約300~約900nmの範囲のスペクトル領域の光を吸収して、放出する。好ましくは、このような物質は、強く色を呈し、好ましくは、少なくとも約40,000、より好ましくは少なくとも約50,000、さらにより好ましくは少なくとも約60,000、さらにより好ましくは少なくとも約70,000及び最も好ましくは少なくとも約80,000M-1cm-1のモル吸光係数を有する。本開示の化合物は、裸眼による観察によって検出され得るか、又は非限定的に、吸収スペクトル光度計、透過型光学顕微鏡、デジタルカメラ及びスキャナを含めた光学に基づく検出デバイスを用いて検出することができる。目視により検出可能な物質は、可視スペクトルの光を発光及び/又は吸収するものに限定されない。紫外線(UV)領域(約10nm~約400nm)、赤外(IR)領域(約700nm~約1mm)の光を放出及び/又は吸収する物質、並びに電磁スペクトルの他の領域において放出及び/又は吸収する物質も、「目視により検出可能な」物質の範囲内に含まれる。
本開示の実施形態の目的のため、用語「光安定性可視色素」とは、本明細書の上で定義されている通り、目視により検出可能であり、かつ光への曝露時に有意には改変又は分解しない化学部分を指す。好ましくは、光安定性可視色素は、少なくとも1時間の光への曝露後に、有意な脱色又は分解を示さない。より好ましくは、可視色素は、少なくとも12時間、さらにより好ましくは少なくとも24時間、さらにより好ましくは少なくとも1週間、最も好ましくは少なくとも1か月間の光への曝露後に安定である。本開示の化合物及び方法において使用するのに好適な光安定性可視色素の非限定例は、アゾ色素、チオインジゴ色素、キナクリドン顔料、ジオキサジン、フタロシアニン、ペリノン、ジケトピロロピロール、キノフタロン及びトリアリールカルボニウム(truarycarbonium)を含む。
【0040】
本開示の様々な実施形態のポリマー化合物は、特定の分析対象(例えば、生体分子)の存在、位置、空間的相互作用又は量を決定することが必要な、生化学的及び生物医学的用途などの多種多様の分析用途に有用である。したがって、別の態様では、本開示は、生体分子を目視で検出する方法であって、(a)生物系に、生体分子に連結されている、本明細書に開示される実施形態の化合物(例えば、構造((I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物を含む、目視により検出可能な生体分子を提供するステップ;及び(b)この生体分子をその可視特性によって検出するステップを含む方法を提供する。本開示の目的のために、語句「その可視特性によって生体分子を検出する」とは、照射、又は化学的若しくは酵素的活性化なしに、生体分子が、裸眼により、又は非限定的に、吸収スペクトル光度計、透過型光学顕微鏡、デジタルカメラ及びスキャナを含めた光学に基づく検出デバイスを用いて観察されることを意味する。密度計を使用して、存在する目視により検出可能な生体分子の量を定量することができる。例えば、2つの試料中の生体分子の相対量は、相対光学密度を測定することによって決定することができる。生体分子あたりの色素分子の化学量論が既知であり、かつ色素分子の吸光係数が既知である場合、生体分子の絶対濃度は、光学密度の測定値から求めることもできる。本明細書で使用する場合、用語「生物系」は、目視により検出可能な生体分子に加えて、1つ又は複数の生体分子を含む任意の溶液又は混合物を指すために使用される。このような生物系の非限定例には、細胞、細胞抽出物、組織試料、電気泳動用ゲル、アッセイ混合物及びハイブリッド化反応混合物が含まれる。
【0041】
「任意選択の(Optional)」又は「してもよい(optionally)」は、その後に記載されている事象又は状況が発生することがあるか、又は発生しないことがあること、及びそのような記載が、その事象又は状況が起こる場合、及びそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「置換されていてもよいアルキル」は、このアルキル基が置換されていてもよいこと、又は置換されていなくてもよいこと、及びこの記載は置換アルキル基と置換基を有していないアルキル基の両方を含むことを意味する。
本明細書において使用される化学命名プロトコル及び構造略図は、ACD/命名バージョン9.07ソフトウェアプログラム及び/又はChemDraw Ultraバージョン11.0ソフトウェア命名プログラム(CambridgeSoft)を使用する、I.U.P.A.C.命名法システムの修正版である。当業者が精通している一般名称も使用される。
【0042】
例示を容易にするため、リン部分(例えば、ホスフェートなど)を含む構造(I)又は(III)の様々な化合物が、陰イオン性状態(例えば、-OPO(OH)O-、-OPO3 2-)で図示されている。当業者は、電荷はpHに依存し、非電荷(例えば、プロトン化されているか、又はナトリウム若しくは他の陽イオンなどの塩)形態も、本開示の実施形態の範囲内に含まれることを容易に理解するであろう。
化合物
上記の通り、本開示の一実施形態では、生物学的に活性な部分と標的指向性部分との間の共有結合性リンカーとして有用な化合物が提供される。別の実施形態では、化合物の骨格内への1つ又は複数の生物学的に活性な部分(例えば、ゲムシタビン)の包含が提供される。他の実施形態では、生物学的に活性な部分と標的指向性部分との間の共有結合リンカーとして有用な化合物への1つ又は複数の蛍光色素の包含が提供される。さらに、化合物への1つ又は複数の蛍光色素の包含により、化合物が結合している領域を視覚化することが可能になる。他の実施形態では、1つ又は複数の生物学的に活性な部分を含む化合物の調製のための合成中間体として有用な化合物が提供される。
【0043】
ポリマー、及びその後にいずれかの標的指向性部分に結合される生物活性部分の数を制御することが可能であること、ポリマー、及びその後にいずれかの標的指向性部分に結合される生物活性部分のタイプを制御することが可能であること、ポリマー、及びその後にいずれかの標的指向性部分に結合される蛍光色素部分の数を制御することが可能であること、並びにポリマー、及びその後にいずれかの標的指向性部分に結合される蛍光色素部分及び生物活性部分の順序を制御することが可能であることを含めた、多数の利点が本明細書に開示されている実施形態によってもたらされる。ポリマー主鎖の組成はまた、例えば、電荷部分(例えば、数、頻度、間隔など)の組み込みを制御することによって、所望の溶解度特性を実現するように選択することができる。側鎖は、主鎖の組成によってもたらされる特性に加え、本明細書において開示されている化合物の溶解度を調節するための根本を提供するよう選択され得る。ポリマーのモノマー単位を選択して、ポリマー合成中及びポリマー合成後の合成後修飾として様々な抗がん治療薬を組み込むことができる(例えば、活性化エステル部分を有する治療剤を使用したポリマー主鎖へのアミンペンダントのカップリング)。ポリマー主鎖の組成はまた、例えば、蛍光色素部分(例えば、数、頻度、間隔など)の組み込みを制御することによって、所望の蛍光度特性を実現するように選択することができる。
【0044】
すなわち、本明細書において開示されている実施形態はまた、例えば、無料(complimentary)の又は相乗的な治療的戦略のために、複数の治療剤を有利に含むことができる化合物を提供する。さらに、本開示の実施形態は、標的化、処置及び検出を同時に行うために使用することができる、治療剤、標的指向性部分及び色素部分(例えば、クロモフォア又はフルオロフォア)の組合せを提供する。ポリマー-薬物構築体を、抗体、抗体断片、タンパク質又は他の臨床的に関心の高い薬剤などの標的剤にカップリングすることが容易であるため、幅広い関心の持たれる用途(例えば、表面化学、アッセイ開発など)に対して有用性がある。したがって、一部の実施形態では、M1は、クロモフォア又はフルオロフォア(例えば、FITC、5-FAM、6-FAMなど)であり、M2及び/又はM3は治療剤(例えば、オーリスタチンF又はSN38などの薬物部分)であり、本明細書に開示される化合物は、ポリマー主鎖に埋め込まれたゲムシタビン部分を有する。
【0045】
ある種の実施形態の化合物はまた、透過性の増強及び保持作用を含めた、他の所望の特性を実現する。必要な溶解性の実現に加えて、本化合物の実施形態の化学的特徴は、本化合物が罹患細胞/組織を透過する化合物の能力及びこれらの内部に保持される化合物の能力をモジュレートするよう調節され得る。これらの特徴により、浸透度の増強による生物活性剤の効果的な送達、及び保持の増強による有効性の増大が可能になる。
したがって、一部の実施形態では、化合物は以下の構造(I):
【化14】
(I)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
(式中、
1は、出現毎に独立して、H、アルキル又はアルコキシであり、
2及びR3は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Q若しくはそれらの保護形態、L’であり;
aは、O又はSであり;
bは、OH、SH、O-、S-、ORd又はSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテルであり、
dは対イオンであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORd、又はSRdであり;
5は、出現毎に独立して、オキソ又はチオキソであり;
6及びR7は、出現毎に独立して、H、OH、又はハロであるが、ただし、R6又はR7の少なくとも1つはOH又はハロであり、
3及びL10は、出現毎に独立して、リンカーであり、
1、L2、L4、L5、L6、L7、L8、L9、及びL11は、出現毎に独立して、直接結合であるか又は置換されたリンカーであってもよく;
1は、出現毎に独立して、存在しない、又は蛍光色素を含む部分であり、;
2は、出現毎に独立して、クロモフォアであり;
3は、出現毎に独立して、抗がん治療薬を含む部分であり、
Qは、出現毎に独立して、標的指向性部分の相補性反応性基Q’と共有結合の形成が可能な、反応性基、又はその保護形態を含む部分であり;
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、又は構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
lは、出現毎に独立して、1以上の整数であり、
mは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数であり、
nは1以上の整数であり、
出現するpの少なくとも1つは、1以上の整数であり、残りの各pは、0又は1以上の整数のいずれかであり、
qは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数である)
【0046】
より具体的な実施形態では、出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つは、アルキレンである。ある種の実施形態では、出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つは、メチレンである。
より具体的な実施形態では、出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つは、ヘテロアルキレンである。ある種の実施形態では、出現するL1、L5、又はL8の少なくとも1つは、アルキレンオキシドを含む。さらに一部の実施形態では、アルキレンオキシドは、エチレンオキシドである。例えば、エチレンオキシドは、ポリエチレンオキシドである。
一部の実施形態では、R2はL’である。一部の他の実施形態では、L’は、標的指向性部分へのリンカーである。
【0047】
一部のより具体的な実施形態では、L’は、標的指向性部分へのリンカーであり、このリンカーは、アルキレンオキシド又はホスホジエステル部分、或いはそれらの組合せを含む。ある種の実施形態では、L’は、以下の構造:
【化15】
のうちの1つを有する。
(式中、
1、x2、x3、x4、x5、x6、x7及びx8は、独立して、1~10の整数であり、
bは、H、電子対又は対イオンであり、
L”は、標的指向性部分又は標的指向性部分への連結基である)
【0048】
一部の実施形態では、標的指向性部分は、抗体、又は細胞表面受容体アンタゴニストである。一部のより具体的な実施形態では、抗体、又は細胞表面受容体アンタゴニストは、表皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、肝細胞成長因子受容体(HGFR)阻害剤、インスリン様成長因子受容体(IGFR)阻害剤、フォレート又はMET阻害剤である。
【0049】
一部の実施形態では、標的指向性部分は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アビバクタム、バシリキシマブ、ベンラリズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブロダルマブ、ブロスマブ、カナキヌマブ、カプラシズマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、デノスマブ、デュピルマブ、エクリズマブ、エミシズマブ、エレヌマブ、エボロクマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、ゴリムマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イダルシズマブ、インフリキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ラナデルマブ、ロキベトマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、オビルトキサキシマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、ラムシルマブ(Rmab)、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ、チルドラキズマブ、チオマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ(IMA-638)、アセリズマブ、アトロリムマブ、バピネウズマブ、BCD-100、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビルタミマブ、ブレセルマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロルシズマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、セデリズマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、CR6261、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、デパツキシズマブ、マフォドチン、デルロツキシマブビオチン、デザミズマブ、ディリダブマブ、ドマグロズマブ、デュシギツマブ、エクロメキシマブ、エドバコマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザヌマブ、エノキズマブ、エプチネズマブ、エリズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファリシマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ、フォラビルマブ、フロボシマブ、フラヌマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲボキズマブ、ギムシルマブ、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、イアナルマブ、インクラクマブ、イノリモマブ、Iomab-B、ケリキシマブ、ランパリズマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レンベルビマブ(Lenvervimab)、レルデリムマブ、レトリズマブ、リビビルマブ、リゲリズマブ、ロデルシズマブ、ルリズマブペゴル、マルスタシマブ、マブリリムマブ、メテリムマブ、ミリキズマブ、モタビズマブ、ムロモナブCD3、ネバクマブ、ネモリズマブ、NEOD001、ニルセビマブ、オデュリモマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、OMS721、オピシヌマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オチリマブ、オクセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パノバクマブ、パスコリズマブ、パテクリズマブ、PDR001、ペラキズマブ、ペキセリズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プラシネズマブ、プリリキシマブ、PRO140、キリズマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラネベトマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レラトリマブ、リヌクマブ、リサンキズマブ、ロレヅマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、SA237、サトラリズマブ、セビルマブ、SHP647、シファリムマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソネプシズマブ、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ、スブラトクスマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、テフィバズマブ、テリモマブ・アリトクス(Telimomab aritox)、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テゼペルマブ、チブリズマブ、トラリズマブ、トラロキヌマブ、トレボグルマブ、ツビルマブ、ウロクプルマブ(Ulocuplumab)、ウルトキサズマブ、バリサクマブ、ベパリモマブ(Vepalimomab)、ベセンクマブ(Vesencumab)、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ゾリモマブ・アリトクス(Zolimomab aritox)、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、ブレンツキシマブ、ボルセツズマブ、ロルボツズマブ、カンツズマブ、ビバツズマブ、又はイノツズマブ、又はバダスツキシマブを含むモノクローナル抗体である。
【0050】
一部の実施形態では、R2又はR3は、以下の構造:
【化16-1】
【化16-2】
のうちの1つを有する。
(式中、
aは、H又は固体支持体である)
【0051】
一部のより具体的な実施形態では、R2は、以下の構造:
【化17】
のうちの1つを有する。
【0052】
さらに、一部のより具体的な実施形態では、R3は、以下の構造:
【化18】
を有する。
【0053】
一部の実施形態では、化合物は以下の構造(Ia):
【化19】
(Ia)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
(式中、
zは、出現毎に独立して、1~10の整数である)
【0054】
一部の実施形態では、R5は、出現毎に独立して、OH、O-又はORdである。一部の他の実施形態では、R4は、出現毎に、オキソである。
一部の実施形態では、化合物は以下の構造(Ib):
【化20】
(Ib)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
(式中、
a、xb、xc、xd、xe、及びxfは、出現毎に独立して、0~6の整数である)
【0055】
一部のより具体的な実施形態では、化合物は以下の構造(Ic):
【化21】
(Ic)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
(式中、
8は、出現毎に独立して、O、NH、又はNReであり;
9は、出現毎に独立して、H、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよく;
10は、出現毎に独立して、H又はFであり、
eは、出現毎に独立して、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよい)
【0056】
ある種の実施形態では、mは、ゼロの整数である。
一部のより具体的な実施形態では、化合物は以下の構造(Id):
【化22】
(Id)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
【0057】
一部のより具体的な実施形態では、化合物は以下の構造(Ie):
【化23】
(Ie)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
【0058】
一部の実施形態では、化合物は以下の構造(III):
【化24】
(III)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
(式中、
1は、出現毎に独立して、H、アルキル又はアルコキシであり、
2及びR3は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Q若しくはそれらの保護形態、L’であり;
aは、O又はSであり;
bは、OH、SH、O-、S-、ORd又はSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、又はチオホスホアルキルエーテルであり、
dは対イオンであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORd、又はSRdであり;
5は、出現毎に独立して、オキソ又はチオキソであり;
6及びR7は、出現毎に独立して、H、OH、又はハロであるが、ただし、R6又はR7の少なくとも1つはOH又はハロであり、
3及びL10は、出現毎に独立して、リンカーであり、
1、L2、L4、L5、L6、L7、L8、L9、及びL11は、出現毎に独立して、直接結合であるか又は置換されたリンカーであってもよく;
1は、出現毎に独立して、存在しない、蛍光色素を含む部分であり、;
2は、出現毎に独立して、クロモフォアであり;
3は、出現毎に独立して、抗がん治療薬を含む部分であり、
Qは、出現毎に独立して、標的指向性部分の相補性反応性基Q’と共有結合の形成が可能な、反応性基、又はその保護形態を含む部分であり;
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、又は構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
lは、出現毎に独立して、1以上の整数であり、
mは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数であり、
nは1以上の整数であり、
出現するpの少なくとも1つは、1以上の整数であり、残りの各pは、0又は1以上の整数のいずれかであり、
qは、出現毎に独立して、ゼロ以上の整数である)
【0059】
一部のより多くの実施形態(some more embodiments)では、化合物は以下の構造(IIIa):
【化25】
(IIIa)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
【0060】
一部のより具体的な実施形態では、化合物は以下の構造(IIIb):
【化26】
(IIIb)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
(式中、
a、xb、xc、xd、xe、及びxfは、出現毎に独立して、0~6の整数である)
【0061】
一部のより具体的な実施形態では、化合物は以下の構造(IIIc):
【化27】
(IIIc)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
(式中、
8は、出現毎に独立して、O、NH、又はNReであり;
9は、出現毎に独立して、H、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよく;
10は、出現毎に独立して、H又はFであり、
eは、出現毎に独立して、アルキルであり、又は置換アルキルであってもよい)
【0062】
一部のより具体的な実施形態では、化合物は以下の構造(IIId):
【化28】
(IIId)
又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を有する。
【0063】
構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物中の様々なリンカー及び置換基(例えば、M1、M2、M3、Q、R1、R2、R3、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、又はL11)は、もう1つの置換基で置換されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、任意選択の置換基は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、((III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の水溶性又は他の特性を最適化するように選択される。ある種の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物中の各アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル及びチオホスホアルキルエーテルは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、スルフヒドリル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル及びチオホスホアルキルエーテルからなる群から選択されるもう1つの置換基で置換されていてもよい。
【0064】
一部の実施形態では、L3又はL10は、出現毎に独立して、直接結合であるか又は置換されたリンカーであってもよい。一部の実施形態では、L3又はL10は、出現毎に独立して、任意選択のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、又はヘテロ原子リンカーである。一部の実施形態では、L3又はL10は、2つの相補的な反応性基(例えば、アジド及びアルキン)の反応によって形成可能な官能基を含むリンカーである。一部の実施形態では、L3又はL10は、出現毎に独立して、任意選択のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アルキレンヘテロアリーレンアルキレン、アルキレンヘテロシクリレンアルキレン、アルキレンカルボシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロアリーレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンカルボシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロアリーレンヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレンヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンカルボシクリレンヘテロアルキレン、アルキレンヘテロアリーレンヘテロアルキレン、アルキレンヘテロシクリレンヘテロアルキレン、アルキレンカルボシクリレンヘテロアルキレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリレン、カルボシクリレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンヘテロシクリレン、ヘテロアリーレンアルキレン、アルキレンカルボシクリレン、カルボシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロアリーレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレン、ヘテロアリーレンヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンカルボシクリレン、カルボシクリレンヘテロアルキレン、又はヘテロ原子リンカーである。一部の実施形態では、L3又はL10は、置換されていてもよい。
【0065】
一部の実施形態では、リンカーL3又はL10は、化合物の残りへのM1及びM3部分の結合点として使用することができる。ある種の実施形態では、L3又はL10、又は両方が存在しない。一部の実施形態では、L3又はL10、又は両方が存在する。一部のより具体的な実施形態では、L3又はL10は、存在する場合、それぞれ独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。ある種の実施形態では、出現するL3又はL10の少なくとも1つは、ヘテロアルキレンである。一部のより具体的な実施形態では、出現するL3又はL10の少なくとも1つは、酸素を含む。一部の実施形態では、出現するL3又はL10の少なくとも1つは、以下の構造:
【化29】
を有する。
(式中、
9及びx10は、それぞれ独立して、0より大きい整数である)
【0066】
一部の実施形態では、x9は、1、2、3、又は4である。ある種の実施形態では、x10は、2、3、4、又は5である。一部の具体的な実施形態では、x9は、1又は2であり、かつx10は、2、3、又は4である。ある種の具体的な実施形態では、L3又はL10は出現毎に、ヘテロアルキレンである。一部のより具体的な実施形態では、L3又はL10は出現毎に、酸素を含む。ある種のより具体的な実施形態では、L3又はL10は出現毎に、以下の構造:
【化30】
を有する。
(式中、
9及びx10は、それぞれ独立して、0より大きい整数である)
【0067】
一部の実施形態では、x9は、1、2、3、又は4である。ある種の実施形態では、x10は、2、3、4、又は5である。より具体的な実施形態では、x9は、1又は2であり、x10は、2、3、又は4である。ある種の他の実施形態では、出現するL3又はL10の少なくとも1つは、以下の構造:
【化31】
を含む。
(式中、
9及びx10は、それぞれ独立して、0より大きい整数である)
【0068】
ある種の実施形態では、L3又はL10は、生理的に開裂可能なリンカーをさらに含む。より具体的な実施形態では、出現するL3又はL10の少なくとも1つは、アミド結合、エステル結合、ホスホジエステル結合、ジスルフィド結合、二重結合、三重結合、エーテル結合、ヒドラゾン、1つ若しくは複数のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列、ケトン、ジオール、シアノ、ニトロ又はそれらの組合せを含む。より具体的な実施形態では、出現するL3又はL10の少なくとも1つは、以下の構造:
【化32】
のうちの1つを含む。
【0069】
ある種の実施形態では、L3又はL10は出現毎に、アミド結合、エステル結合、ホスホジエステル結合、ジスルフィド結合、二重結合、三重結合、エーテル結合、ヒドラゾン、アミノ酸配列、ケトン、ジオール、シアノ、ニトロ又はそれらの組合せを含む。一部のより具体的な実施形態では、L3又はL10は出現毎に、以下の構造:
【0070】
【化33】
のうちの1つを含む。
【0071】
より具体的な実施形態では、出現するL3又はL10の少なくとも1つは、以下の構造:
【化34】
のうちの1つを有する。
一部の具体的な実施形態では、L3又はL10は出現毎に、以下の構造:
【化35】
のうちの1つを有する。
【0072】
一部の実施形態では、L1、L5、又はL9は、出現毎に独立して、ホスホジエステルを含む。ある種の実施形態では、出現するL1、L5、又はL9の少なくとも1つは、エチレンオキシドを含む。より具体的な実施形態では、出現するL1、L5、又はL9の少なくとも1つは、以下の構造:
【化36】
のうちの1つを含む。
(式中、
gは、1~10の範囲の整数であり;
z’は、1~30の範囲の整数である)
【0073】
前述の実施形態の一部では、z’は、3、6、又は11~28である。一部の実施形態では、gは、2~5の範囲である。他のより具体的な実施形態では、出現するL1、L5、又はL9の少なくとも1つは、以下の構造:
【化37】
を含む。
【0074】
ある種の実施形態では、L1、L5、又はL9は出現毎に、以下の構造:
【化38】
を含む。
【0075】
他の様々な実施形態では、R2及びR3は、それぞれ独立して、OH又は-OP(=Ra)(Rb)Rcである。一部の異なる実施形態では、R2又はR3は、OH又は-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R2又はR3のもう一方は、Q又はQへの共有結合を含むリンカーである。一部の実施形態では、R2及びR3は、それぞれ独立して、-OP(=Ra)(Rb)Rcである。一部の具体的な実施形態では、RcはOL’である。これらの実施形態の一部では、L’は、Q、標的指向性部分、分析対象分子、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシド、又は構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、((III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)のさらなる化合物に対するヘテロアルキレンリンカーである。一部の実施形態では、L’は、アルキレンオキシド若しくはホスホジエステル部分、又はそれらの組合せを含む。ある種の実施形態では、L’は、以下の構造:
【化39】
を有する。
(式中、
m”及びn”は、独立して、1~10の整数であり、
eは、H、電子対又は対イオンであり、
L”は、Re、又はQ、標的指向性部分、分析対象分子、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシド、又は構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)のさらなる化合物への直接結合又は連結である)
【0076】
さらに他の実施形態では、Qは、出現毎に独立して、分析対象分子又は固体支持体(例えば、制御された多孔性ガラス(controlled pore glass)又はポリスチレンビーズ)と共有結合を形成することができる反応性基を含む部分である。他の実施形態では、Qは、出現毎に独立して、相補性反応性基Q’と共有結合の形成が可能な、反応性基を含む部分である。例えば、いくつかの実施形態では、Q’は、(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)のさらなる化合物上に(例えば、R2又はR3位に)存在し、Q及びQ’は構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の反応が起こるように相補的な反応性基を含み、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)のさらなる化合物は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の共有結合した二量体をもたらす。構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の多量体化合物及びそれらの組合せも類似の方法で調製することができ、本開示の実施形態の範囲内に含まれる。
【0077】
Q基のタイプ、及び構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の残りの部分へのQ基の結合性は、Qが所望の結合を形成するための適切な反応性を有する部分を含む限り、特に限定されない。
ある種の実施形態では、Qは、水性条件下で加水分解を受けにくいが、分析対象分子(例えば、生体分子)又は固体支持体(例えば、アミン、アジド、又はアルキン)上の対応する基と結合を形成するのに十分な反応性を有する部分である。
構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び/又は(IIId)の化合物のある種の実施形態は、バイオコンジュゲーションの分野で一般的に使用されるQ基を含む。例えば、一部の実施形態では、Qは、求核性反応性基、求電子性反応性基又は環化付加反応性基を含む。一部のより具体的な実施形態では、Qは、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、求ジエン体、酸ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル、ホスフィン、α-ハロアミド、ビオチン、アミノ、又はマレイミド官能基を含む。一部の実施形態では、活性化エステルは、N-スクシンイミドエステル、イミドエステル、又はポリフルオウロフェニル(polyflourophenyl)エステルである。他の実施形態では、アルキンは、アルキルアジド又はアシルアジドである。一部の実施形態では、Qはマレイミド官能基を含む。
【0078】
例示的なQ部分を以下の表Iに示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0079】
一部の実施形態では、QがSHである場合、SH部分は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の別の化合物上の別のスルフヒドリル基とジスルフィド結合を形成する傾向があることに留意すべきである。したがって、一部の実施形態は、ジスルフィド二量体の形態であり、ジスルフィド結合はSH Q基に由来する、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物を含む。
一部の他の実施形態では、R2若しくはR3の一方は、OH又は-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R2若しくはR3の他方は、分析対象分子への共有結合を含むリンカーであるか、又は固体支持体への共有結合を含むリンカーである。例えば、一部の実施形態では、分析対象分子は、核酸若しくはそのポリマー、又はアミノ酸若しくはそのポリマーである。他の実施形態では、分析対象分子は、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマー又はプリオンである。さらに異なる実施形態では、固体支持体は、ポリマー製ビーズ又は非ポリマー製ビーズである。一部の実施形態では、標的指向性部分は、抗体、又は細胞表面受容体アンタゴニストである。
【0080】
ある種の具体的な実施形態では、R2若しくはR3は、以下の構造:
【化40-1】
【化40-2】
のうちの1つを有する。
【0081】
一部の実施形態では、R2若しくはR3の一方は、OH又は-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R2若しくはR3の他方は、以下の構造:
【化41】
を含む。
【0082】
一部の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、アルキル化剤、抗代謝産物剤、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、又は細胞傷害性抗生物質である。一部のより具体的な実施形態では、M3は出現毎に、アルキル化剤、抗代謝産物剤、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、又は細胞傷害性抗生物質である。
【0083】
ある種の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、テトラジン、アジリジン、シスプラチン若しくはシスプラチン誘導体、又は非古典的アルキル化剤である。より具体的な実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ブスルファン、N-ニトロソ-N-メチル尿素(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、チオテパ、マイトマイシン(mytomycin)、ジアジクオン(AZQ)、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、又はヘキサメチルメラミンである。一部の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、抗葉酸剤、フルオロピリミジン、デオキシヌクレオシド類似体、又はチオプリンである。ある種の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、メトトレキサート、ペメトレキセド、フルオロウラシル、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、ペントスタチン、チオグアニン、及びメルカプトプリンである。一部の具体的な実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、オーリスタチン、ビンカアルカロイド、又はタキサンである。ある種の具体的な実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、オーリスタチンF、オーリスタチンE、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、又はテニポシドである。一部のより具体的な実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、イリノテカン、SN38、トポテカン、カンプトテシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロン、又はアクラルビシンである。ある種のより具体的な実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、アントラサイクリン又はブレオマイシンである。一部の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、又はミトキサントロンである。一部の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、オーリスタチンF、モノメチルオーリスタチンF、モノメチルオーリスタチンE、パクリタキソール(paciltaxol)、SN-38、カリケアマイシン、アントラマイシン、アベイマイシン、チカマイシン、DC-81、マゼトラマイシン、ネオトラマイシンA、ネオトラマイシンB、ポロトラマイシン、プロトラカルシン、シバノマイシン、シビロマイシン、トママイシン、メルタンシン、エムタンシン、イリノテカン、カンプトテシン、トポテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルートテカン、ギマテカン、ベロテカン、及びルビテカンである。一部の実施形態では、M3は出現毎に、オーリスタチンF、モノメチルオーリスタチンF、モノメチルオーリスタチンE、パクリタキソール(paciltaxol)、SN-38、カリケアマイシン、アントラマイシン、アベイマイシン、チカマイシン、DC-81、マゼトラマイシン、ネオトラマイシンA、ネオトラマイシンB、ポロトラマイシン、プロトラカルシン、シバノマイシン、シビロマイシン、トママイシン、メルタンシン、エムタンシン、イリノテカン、カンプトテシン、トポテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルートテカン、ギマテカン、ベロテカン、及びルビテカンである。
【0084】
ある種の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、以下の構造:
【化42】
を有する。
一部の具体的な実施形態では、M3は出現毎に、以下の構造:
【化43】
を有する。
【0085】
ある種の実施形態では、出現する-L10-M3の少なくとも1つは、以下の構造:
【化44】
を有する。
【0086】
ある種の実施形態では、-L10-M3は出現毎に、以下の構造:
【化45】
を有する。
【0087】
ある種の実施形態では、出現するM3の少なくとも1つは、以下の構造:
【化46】
を有する。
一部の具体的な実施形態では、M3は出現毎に、以下の構造:
【化47】
を有する。
【0088】
ある種の実施形態では、出現する-L10-M3の少なくとも1つは、以下の構造:
【化48】
を有する。
【0089】
ある種の実施形態では、-L10-M3は出現毎に、以下の構造:
【化49】
を有する。
【0090】
上述のいずれかのさらに他の実施形態では、M1は、出現毎に独立して、2つ以上のアリール環若しくはヘテロアリール環、又はそれらの組合せ、例えば、3つ以上又は4つ以上のアリール環若しくはヘテロアリール環、又はそれらの組合せ、或いは5つ以上のアリール環若しくはヘテロアリール環、又はそれらの組合せさえも含む。一部の実施形態では、M1は、出現毎に独立して、6つのアリール環若しくはヘテロアリール環、又はそれらの組合せを含む。さらなる実施形態では、環は縮合している。例えば、一部の実施形態では、M1は、出現毎に独立して、2つ以上の縮合環、3つ以上の縮合環、4つ以上の縮合環、5つ以上の縮合環、又は6つ以上の縮合環さえも含む。一部のより具体的な実施形態では、M1は、出現毎に独立して、少なくとも2つの縮合環を含む縮合多環式アリール部分を含む。
【0091】
ある種の具体的な実施形態では、M1は、出現毎に独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クワテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセン、及びター-ナフチル部分からなる群から選択される。
【0092】
一部の実施形態では、M1は、出現毎に独立して、p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミド、ペリレンアミド、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。一部の実施形態では、M1は、出現毎に独立して、クマリン色素、レゾルフィン色素、ジピロメテンボロンジフルオライド色素、ルテニウムビピリジル色素、チアゾールオレンジ色素、ポリメチン、及びN-アリール-1,8-ナフタルイミド色素からなる群から選択される。ある種の実施形態では、M1、M2、又はM3は、出現毎に独立して、クマリン色素、ホウ素ジピロメテン、ローダミン、シアニン、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミド、6-FAM、5-FAM、6-FITC、5-FITC、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。ある種の実施形態では、M1は、出現毎に独立して、以下の構造:
【化50】
のうちの1つを有する。
【0093】
一部のより具体的な実施形態では、出現するM1の少なくとも1つは、以下の構造:
【化51】
を有する。
【0094】
一部のより具体的な実施形態では、M1は出現毎に、以下の構造:
【化52】
を有する。
【0095】
一部のより具体的な実施形態では、出現する-L3-M1の少なくとも1つは、以下の構造:
【化53】
を有する。
【0096】
一部のより具体的な実施形態では、-L3-M1は出現毎に、以下の構造:
【化54】
を有する。
【0097】
本開示の化合物(例えば、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、若しくは(IIId)の化合物)は、部分的には、標的指向性分子(例えば、抗体又はその断片)に結合することができるために、有用である。このような結合は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、若しくは(IIId)の化合物のジスルフィド結合を適切な試薬(例えば、TCEP)で還元し、得られた分子を適切なリンカー試薬(例えば、1,1’-(エタン-1,2-ジイル)ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)、これは一般にビス-マレイミドエタン又は「BMOE」として公知である)にカップリングさせることによって行うことができる。次に、得られた生成物を、遊離チオール(-SH)基(例えば、標的分子のジスルフィド結合の還元を介して存在する)を有する標的分子(例えば、抗体又はその断片)にカップリングさせることができる。
【0098】
したがって、一部の実施形態では、R2は、以下の構造:
【化55】
を含む。
(式中、
aは、直接結合又はC1-C6アルキレンである)一部の実施形態では、Laは、直接結合である)
【0099】
一部の実施形態では、R2は、抗体(例えば、ブレンツキシマブ、ゲムツズマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ポラツズマブ、エンホルツマブ、トラスツズマブ、サシツズマブ、ベランタマブ、モキセツズマブなどのモノクローナル抗体)又はその断片との共有結合をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、R2は、以下の構造:
【化56】
を含む。
(式中、
Aは、抗体(例えば、モノクローナル抗体、例としてブレンツキシマブ、ゲムツズマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ポラツズマブ、エンホルツマブ、トラスツズマブ、サシツズマブ、ベランタマブ、又はモキセツモマブ)である。一部の関連する実施形態では、Laは、直接結合である。一部の実施形態では、R2は、以下の構造:
【化57】
を有する。
(式中、
13は、0、又は0より大きい整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)である)
【0100】
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、mが、0~10である。ある種の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、又は(Ie)の化合物は、mが、0、1、2、3、4、又は5である。
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、nが、1、2、3、又は4である。ある種の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、nが、1又は2である。
【0101】
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、pが、1、2、3、又は4である。ある種の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、pが、1又は2である。
一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、mが0であり、nが1であり、pが2である。一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、mが1であり、nが1であり、pが2である。一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、mが5であり、nが1であり、pが2である。
【0102】
一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、出現するR6又はR7の少なくとも1つが、Fである。ある種の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、出現するR6及びR7のそれぞれが、Fである。
一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、出現するR6又はR7の少なくともそれぞれが、Fであり、R8がOであり、R9がHであり、R10がHである。一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、出現するR6又はR7の少なくともそれぞれが、Hであり、R8がOであり、R9がC(=O)OCH2CH2CH2CH2CH3であり、R10がFである。
【0103】
一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、xa、xb、xc、xd、xe、及びxfが、出現毎に独立して、0又は1の整数である。一部のより具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、qが0又は1である。
一部の実施形態では、疾患又は障害を処置する方法であって、治療有効量の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物、又は構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を開示する。一部のより具体的な実施形態では、疾患又は障害は、乳がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、リンパ腫、及び膀胱がんを含む、がんである。
一部の実施形態では、構造(III)の化合物は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、又は(Id)と比較して、切り替えられたオーリスタチンF部分(「AF」とラベル付けされている)及びゲムシタビン部分を有する。例えば、AF部分とゲムシタビン部分が切り替わった構造(III)の化合物は、表2に化合物I-13として示されており、本開示に記載の手順に従って調製することができる。
一部の具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、表2から選択される化合物である。表2及び3の化合物を、実施例に記載された手順に従って調製した。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【0104】
医薬組成物
一実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つによる化合物(例えば、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物)及び薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
他の実施形態は、医薬組成物を対象とする。本医薬組成物は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物のいずれか1種(又は複数)及び薬学的に許容される担体を含む。一部の実施形態では、本医薬組成物は、経口投与用に製剤化されている。他の実施形態では、本医薬組成物は、注射用に製剤化されている。さらなる実施形態では、本医薬組成物は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物及び追加の治療剤(例えば、抗がん剤)を含む。このような治療剤の非限定例は、本明細書の以下に記載されている。
好適な投与経路には、以下に限定されないが、経口、静脈内、直腸、エアゾール、非経口、眼、肺、経粘膜、経皮、膣、耳、鼻腔及び局所投与が含まれる。さらに、単なる例として、非経口送達には、筋肉内、皮下、静脈内、髄内の注射、並びに鞘内、心室内に直接、腹腔内、リンパ内及び鼻内への注射が含まれる。
【0105】
ある種の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、全身的よりもむしろ局所に、例えば、多くの場合、デポ調製物又は持続放出製剤で器官に化合物を直接注射することにより投与される。具体的な実施形態では、長時間作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下又は筋肉内)によって、又は筋肉内注射によって投与される。さらに、他の実施形態では、薬物は、例えば、器官特異的抗体により被覆されたリポソーム中で、標的化した薬物送達系で送達される。このような実施形態では、リポソームはその器官へと標的化され、器官によって選択的に摂取される。さらに他の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、速放性製剤の形態、徐放性製剤の形態、又は中間放出製剤の形態で提供される。さらに他の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、局所投与される。
【0106】
構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、幅広い投与量範囲にわたり有効である。例えば、成人ヒトの処置では、1日あたり0.01~1000mg、0.5~100mg、1~50mg、及び1日あたり5~40mgの投与量が、ある実施形態において使用される投与量の例である。例示的な投与量は、1日あたり10~30mgである。正確な投与量は、投与経路、化合物が投与される形態、処置される対象、処置される対象の体重、及び主治医の好み及び経験に依存するであろう。
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は単回用量で投与される。通常、このような投与は、薬剤を迅速に導入するため、注射によって、例えば静脈内注射になるであろう。しかし、適切な場合、他の経路が使用される。構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の単回用量はまた、急性状態の処置に使用されることがある。
【0107】
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、多回用量で投与される。一部の実施形態では、投与は、1日あたり、ほぼ1回、2回、3回、4回、5回、6回又はそれより多い。他の実施形態では、投与は、ほぼ、1か月に1回、2週毎に1回、1週間に1回、又は1日おきに1回である。別の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物及び別の薬剤が、ほぼ1日1回~1日約6回で一緒に投与される。別の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物及び薬剤の投与は、約7日未満の間、継続される。さらに別の実施形態では、投与は、約6、10、14、28日間、2か月、6か月又は1年間を超えて継続される。一部の場合、必要な限り、連続投薬を実現して、これを維持する。
【0108】
構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の投与は、必要な限り継続されてもよい。一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、1、2、3、4、5、6、7、14又は28日間を超えて、投与される。一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、28、14、7、6、5、4、3、2又は1日未満の間で投与される。一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、例えば、作用が長期的な処置のために、継続的に長期間投与される。
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、投与量で投与される。化合物の薬物動態の対象間のばらつきのため、投与レジメンの個別化が最適治療に必要であることが当分野において公知である。本開示の化合物のための投与は、本開示に照らし合わせて、型通りの実験により見出すことができる。
【0109】
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、医薬組成物に製剤化される。具体的な実施形態では、医薬組成物は、活性化合物の、薬学的に使用され得る調製物への加工を容易にする、賦形剤及び補助剤を含む1種又は複数の生理的に許容される担体を使用し、慣用的な方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。好適な場合、任意の薬学的に許容される技法、担体及び賦形剤を使用して、本明細書に記載されている医薬組成物を製剤化する:Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 1999)。
【0110】
構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物、及び薬学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む医薬組成物が本明細書において提供される。ある種の実施形態では、記載されている化合物は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物が、併用療法における場合と同様に、他の活性成分と混合されている医薬組成物として投与される。本明細書において、以下及び本開示の全体を通じて併用療法の項目に説明されている活性剤のすべての組合せが包含されている。具体的な実施形態では、本医薬組成物は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の1つ又は複数の化合物を含む。
【0111】
医薬組成物は、本明細書で使用する場合、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物と担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤及び/又は賦形剤などの他の化学的構成成分との混合物を指す。ある種の実施形態では、本医薬組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。本明細書において提供される処置方法又は使用方法を実施する一部の実施形態では、治療有効量の本明細書において提供されている構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、処置される疾患、障害又は医療的状態を有する哺乳動物に医薬組成物で投与される。具体的な実施形態では、哺乳動物はヒトである。ある種の実施形態では、治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康、使用される化合物の効力及び他の因子に応じて様々である。構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、混合物の成分として、単独で、又は1つ若しくは複数の治療剤と組み合わせて使用される。
一実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の1つ又は複数の化合物は、水溶液中で製剤化される。具体的な実施形態では、水溶液は、単なる例として、ハンクス溶液、リンゲル溶液又は生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液から選択される。他の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の1つ又は複数の化合物は、経粘膜投与向けに製剤化されている。具体的な実施形態では、経粘膜製剤は、浸透する障壁に適切な浸透剤を含む。さらに他の実施形態では、本明細書において記載されている化合物が、他の非経口注射向けに製剤される場合、適切な製剤には水性溶液剤又は非水性溶液剤が含まれる。具体的な実施形態では、このような溶液剤は、生理学的に適合する緩衝液及び/又は賦形剤を含む。
【0112】
別の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、経口投与向けに製剤化されている。本明細書に記載されている化合物は、活性化合物と、例えば薬学的に許容される担体又は賦形剤とを組み合わせることにより製剤化される。様々な実施形態では、本明細書において記載されている化合物は、単なる例として、錠剤、散剤、丸剤、ドラジェ剤、カプセル剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁液剤などを含む経口剤形で製剤化される。
ある種の実施形態では、経口使用するための医薬調製物は、1つ又は複数の固体賦形剤と1つ又は複数の本明細書において記載されている化合物とを混合し、得られた混合物を磨砕してもよく、所望の場合、好適な補助剤を添加した後、粒剤の混合物を加工して、錠剤又はドラジェ剤のコアを得ることにより得られる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含めた糖、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、マイクロクリスタリンセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、又はポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)又はリン酸カルシウムなどの他のものなどの充填剤である。具体的な実施形態では、崩壊剤が、添加されてもよい。崩壊剤には、単なる例として、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天若しくはアルギン酸又はその塩(アルギン酸ナトリウムなど)が含まれる。
【0113】
一実施形態では、ドラジェ剤のコア及び錠剤などの剤形は、1つ又は複数の好適なコーティングが施される。具体的な実施形態では、剤形をコーティングするために濃縮糖溶液が使用される。糖溶液は、単なる例として、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに好適な有機溶媒又は溶媒混合物などの追加の構成成分を含有してもよい。識別目的のために、コーティング剤に染料及び/又は顔料を添加してもよい。さらに、活性化合物の用量の異なる組合せを特徴付けるために、染料及び/又は顔料が利用されてもよい。
【0114】
ある種の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載されている化合物の少なくとも1つが他の経口剤形に製剤化される。経口剤形は、ゼラチンから作製されたプッシュフィット式カプセル剤、並びにゼラチンとグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤とから作製された軟質密封カプセル剤を含む。具体的な実施形態では、プッシュフィット式カプセル剤は、1種又は複数の充填剤との混合物中に活性成分を含有する。充填剤は、単なる例として、ラクトース、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含み、さらに安定化剤を含んでもよい。他の実施形態では、軟質カプセル剤は、好適な液体に溶解又は懸濁させた1つ又は複数の活性化合物を含有する。好適な液体には、単なる例として、1つ又は複数の脂肪油、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコールが含まれる。さらに、安定化剤が添加されてもよい。
【0115】
他の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載されている化合物の少なくとも1つは、口内投与又は舌下投与向けに製剤化されている。口内投与又は舌下投与に好適な製剤は、単なる例として、錠剤、ロゼンジ剤又はゲル剤を含む。さらに他の実施形態では、本明細書において記載されている化合物は、ボーラス注射又は連続注入に好適な製剤を含めた、親(parental)投与向けに製剤化されている。具体的な実施形態では、注射用製剤は、単位剤形(例えば、アンプル中)で、又は多回用量容器中で供給される。保存剤が、注射製剤に添加されてもよい。さらに他の実施形態では、本医薬組成物は、油性ビヒクル又は水性ビヒクル中の滅菌懸濁液剤、溶液剤又はエマルション剤として、非経口注射に好適な形態で製剤化される。非経口注射製剤は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化用作用剤を含有してもよい。具体的な実施形態では、非経口投与向け医薬製剤は、水溶性形態にある活性化合物の水溶液剤を含む。追加的な実施形態では、活性化合物(例えば、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物)の懸濁液剤は、適切な油性注射懸濁液剤として調製される。本明細書に記載されている医薬組成物において使用するのに好適な親油性溶媒又はビヒクルには、単なる例として、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが含まれる。ある特定の実施形態では、水性注射懸濁液剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増大させる物質を含有する。懸濁液剤は、高度に濃縮した溶液剤の調製を可能にするよう、化合物の溶解度を増大させる好適な安定化剤又は作用剤を含有してもよい。代替的に、他の実施形態では、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば滅菌発熱物質不含水を用いる構成用の粉末形態にある。
【0116】
さらに他の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、局所投与される。本明細書において記載されている化合物は、溶液剤、懸濁液剤、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬用スティック剤、バーム剤、クリーム剤又は軟膏剤などの局所投与が可能な様々な組成物に製剤化される。このような医薬組成物は、可溶化剤、安定化剤、張度増強剤、緩衝化剤及び保存剤を含有してもよい。
さらに他の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、経皮投与向けに製剤化されている。具体的な実施形態では、経皮製剤は、経皮送達デバイス及び経皮送達パッチ剤を使用し、ポリマー又は粘着剤中に溶解及び/又は分散させた、親油性エマルション剤、又は緩衝化水溶液剤とすることができる。様々な実施形態では、このようなパッチ剤は、医薬剤の連続送達、パルス送達、又は必要に応じた送達向けに構築される。追加的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の経皮送達は、イオン導入パッチ剤などにより行われる。ある種の実施形態では、経皮パッチ剤は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の制御送達を実現する。具体的な実施形態では、吸収速度は、速度制御膜を使用することにより、又はポリマーマトリックス若しくはゲル内に化合物を捕捉することにより減速される。代替実施形態では、吸収を増大させるために、吸収促進剤が使用される。吸収促進剤又は担体は、皮膚を通過するのを支援する、吸収可能な薬学的に許容される溶媒を含む。例えば、一実施形態では、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を含有するレザーバー(担体を含んでもよい)、任意に、長期間にわたり制御された速度及び所定速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御障壁、並びに皮膚にデバイスを固定するための手段を含む包帯の形態にある。
【0117】
他の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、吸入により投与するよう製剤化されている。吸入により投与するのに好適な様々な形態には、以下に限定されないが、エアゾール剤、ミスト剤又は散剤が含まれる。構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物のいずれかの医薬組成物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガス)の使用と共に、加圧パック又はネブライザーからのエアゾールスプレー供給物の形態で都合よく、送達される。具体的な実施形態では、加圧エアゾールの投与量単位は、計量分を送達するための弁を設けることにより決定される。ある種の実施形態では、本化合物の粉末ミックス、及びラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤を含有する、吸入器又は吸送器で使用するための、単なる例として、ゼラチンなどのカプセル剤又はカートリッジ剤が製剤化される。
【0118】
さらに他の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、カカオ脂又は他のグリセリドなどの慣用的な坐剤用基剤、及びポリビニルピロリドン、PEGなどの合成ポリマーを含有する、浣腸、直腸用ゲル、直腸用発泡体、直腸用エアゾール剤、坐剤、ジェリー坐剤又は保持浣腸などの直腸用組成物に製剤化される。組成物の坐剤形態では、以下に限定されないが、溶融カカオ脂と組み合わせてもよい、脂肪酸グリセリドとの混合物などの低融点ワックス。
ある種の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の加工を容易にする、賦形剤及び補助剤を含む1種又は複数の生理的に許容される担体を使用して、任意の慣用的な方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。任意の薬学的に許容される技法、担体及び賦形剤は、好適な場合、使用されてもよい。構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物を含む医薬組成物は、単なる例として、慣用的な混合、溶解、造粒、ドラジェ作製、湿式粉砕、エマルション化、カプセル封入化、捕捉又は圧縮工程などによる慣用的な方法で製造される。
【0119】
医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤、及び活性成分として、本明細書に記載されている構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の少なくとも1つの化合物を含む。活性成分は、遊離酸形態又は遊離塩基形態にあるか、又は薬学的に許容される塩形態にある。さらに、本明細書に記載されている方法及び医薬組成物は、N-オキシド、結晶形態(多形としても公知である)、並びに同一タイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝産物の使用を含む。本明細書に記載されている化合物の互変異性体はすべて、本明細書において提供される化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書において記載されている化合物は、非溶媒和形態、及び水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和物形態を包含する。本明細書において提供される化合物の溶媒和物形態もまた、本明細書において開示されていると見なされる。さらに、本医薬組成物は、他の医療剤又は医薬剤、担体、保存剤、安定化剤、湿潤剤若しくは乳化剤、溶液促進剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝化剤などのアジュバント、及び/又は治療価値のある物質を含んでもよい。
【0120】
本明細書において記載されている化合物を含む組成物を調製する方法は、本化合物を1つ又は複数の不活性な薬学的に許容される賦形剤又は担体と共に製剤化して、固体、半固体又は液体を形成することを含む。固形組成物には、以下に限定されないが、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤及び坐剤が含まれる。液状組成物は、化合物が溶解している溶液剤、化合物を含むエマルション剤、又は本明細書において開示されている化合物を含むリポソーム、ミセル若しくはナノ粒子を含有する溶液剤を含む。半固体組成物は、以下に限定されないが、ゲル剤、懸濁液剤及びクリーム剤を含む。本明細書に記載されている医薬組成物の形態には、液状溶液剤又は懸濁液剤、使用前に液体中の溶液剤若しくは懸濁液剤にする場合に好適な固体形態、又はエマルション剤が含まれる。これらの組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝化剤などの非毒性の補助物質を少量含有してもよい。
一部の実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物は、例示的に、薬剤が溶液中、懸濁液中、又はそれらの両方に存在する液体の形態をとる。通常、組成物が溶液剤又は懸濁液剤として投与される場合、薬剤の第1の部分は溶液中に存在し、薬剤の第2の部分は、液体マトリックス中の懸濁液中の微粒子形態で存在する。一部の実施形態では、液体組成物はゲル製剤を含む。他の実施形態では、液体組成物は水性である。
【0121】
ある種の実施形態では、有用な水性懸濁液は、懸濁化剤として1つ又は複数のポリマーを含有する。有用なポリマーには、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、及び架橋カルボキシル含有ポリマーなどの水不溶性ポリマーを含む。本明細書に記載されているある種の医薬組成物は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム及びデキストランから選択される、粘膜付着性ポリマーを含む。
有用な医薬組成物はまた、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の溶解を補助する可溶化剤を含んでもよい。用語「可溶化剤」は、薬剤のミセル溶液又は真の溶液の形成をもたらす作用剤を一般に含む。許容されるある種の非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80は、眼用として許容されるグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400及びグリコールエーテルと同様に、可溶化剤として有用である。
【0122】
さらに、有用な医薬組成物は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸及び塩酸などの酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム及びトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基、及びクエン酸塩/デキストロース、炭酸水素ナトリウム及び塩化アンモニウムなどの緩衝液を含めた、1つ又は複数のpH調節剤又は緩衝化剤を含んでもよい。このような酸、塩基及び緩衝液は、許容範囲における組成物のpHを維持するために必要な量で含まれる。
さらに有用な組成物はまた、1種又は複数の塩を組成物のオスモル濃度を許容範囲にするために必要な量で含んでもよい。このような塩には、ナトリウム、カリウム又はアンモニウム陽イオン及び塩化物陰イオン、クエン酸陰イオン、アスコルビン酸陰イオン、ホウ酸陰イオン、リン酸陰イオン、炭酸水素陰イオン、硫酸陰イオン、チオ硫酸陰イオン又は亜硫酸水素陰イオンを有するものが含まれ、好適な塩には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸アンモニウムが含まれる。
【0123】
他の有用な医薬組成物は、微生物活性を阻害するための1種又は複数の保存剤を含んでもよい。好適な保存剤には、メルフェン及びチオメルサールなどの水銀含有物質、安定化二酸化塩素、及び塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウムなどの四級アンモニウム化合物が含まれる。
さらに他の有用な組成物は、物理的安定性を増強するため、又は他の目的のために、1種又は複数の界面活性剤を含む。好適な非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテル、例えば、octoxynol10、octoxynol40が含まれる。
さらに他の有用な組成物は、必要な場合、化学安定性を増強するための1つ又は複数の抗酸化剤を含む。好適な抗酸化剤は、単なる例として、アスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。
ある種の実施形態では、水性懸濁液組成物は、単回用量用の再密閉不可能な容器に包装される。代替的に、多回用量用の再密閉可能な容器を使用し、この場合、組成物中に保存剤を含ませるのが通例である。
【0124】
代替実施形態では、疎水性医薬品化合物のための他の送達系が使用される。リポソーム及びエマルションが、本明細書において有用な送達用ビヒクル又は担体の例である。ある種の実施形態では、N-メチルピロリドンなどの有機溶媒も使用される。追加的な実施形態では、本明細書において記載されている化合物は、治療剤を含有する固体の疎水性ポリマーの半透明マトリックスなどの、持続放出系を使用して送達される。様々な持続放出物質が、本明細書において有用である。一部の実施形態では、持続放出カプセル剤は、最大で100日間にわたり数週間、化合物を放出する。治療試薬の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、タンパク質安定化に対するさらなる戦略が使用される。
ある種の実施形態では、本明細書に記載されている製剤は、1種又は複数の抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、及び/又は他の一般的な安定化剤を含む。このような安定化剤の例には、以下に限定されないが、(a)約0.5%~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、(e)約0.01%~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%~約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ポリ硫酸ペントサン及び他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛などの二価陽イオン、又は(n)それらの組合せが含まれる。
【0125】
一部の実施形態では、医薬組成物中で提供される1つ又は複数の化合物の濃度は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、若しくは0.0001%w/w、w/v又はv/v未満である。
【0126】
一部の実施形態では、1つ又は複数の化合物の濃度は、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25% 19%、18.75%、18.50%、18.25% 18%、17.75%、17.50%、17.25% 17%、16.75%、16.50%、16.25% 16%、15.75%、15.50%、15.25% 15%、14.75%、14.50%、14.25% 14%、13.75%、13.50%、13.25% 13%、12.75%、12.50%、12.25% 12%、11.75%、11.50%、11.25% 11%、10.75%、10.50%、10.25% 10%、9.75%、9.50%、9.25% 9%、8.75%、8.50%、8.25% 8%、7.75%、7.50%、7.25% 7%、6.75%、6.50%、6.25% 6%、5.75%、5.50%、5.25% 5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、若しくは0.0001%w/w、w/v又はv/vより高い。
【0127】
一部の実施形態では、1つ又は複数の化合物の濃度は、約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%w/w、w/v又はv/vの範囲内にある。
一部の実施形態では、1つ又は複数の化合物の濃度は、約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v又はv/vの範囲内にある。
【0128】
一部の実施形態では、1つ又は複数の化合物の量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g、又は0.0001g以下である。
【0129】
一部の実施形態では、1つ又は複数の化合物の量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5、3g、3.5、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g、又は10gより多い。
一部の実施形態では、1つ又は複数の化合物の量は、0.0001~10g、0.0005~9g、0.001~8g、0.005~7g、0.01~6g、0.05~5g、0.1~4g、0.5~4g又は1~3gの範囲である。
【0130】
処置方法
本開示のある種の化合物は、疾患の処置に有用である(すなわち、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物)。本明細書に開示されるそれらの化合物は、薬物送達戦略への標的化アプローチを提供する。したがって、一実施形態では、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に治療有効量の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物を投与するステップを含む、疾患(又はその症状)を処置する方法が提供される。
例えば、ある種の実施形態では、本開示は、固形腫瘍、多発性骨髄腫、神経膠腫、明細胞型腎細胞がん、前立腺がん、卵巣がん、非小細胞肺がん、GI悪性腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、腎細胞がん、直腸結腸がん、上皮がん、膵臓及び胃がん、腎細胞がん、非ホジキンリンパ腫、転移性腎細胞がん、悪性中皮腫、膵臓、卵巣及び/又は肺の腺がん、B細胞悪性腫瘍、乳がん、黒色腫、再発性多発性骨髄腫、小細胞肺がん、CD22ポジティブB細胞悪性腫瘍、ホジキンリンパ腫/未分化大細胞型リンパ腫又はHER2ポジティブ乳がんを処置する方法を提供する。
【0131】
前述の実施形態の一部では、疾患はがんである。例えば、ある種の実施形態では、がんは、乳がん、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、胃がん、腎細胞癌、固形腫瘍、卵巣がん、前立腺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、小細胞肺がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、新生物、尿路上皮がん、ALL、CLL、膠芽腫、ホジキンリンパ腫、リンパ腫、中皮腫、非小細胞肺がん、再発性頭頸部がん、又はそれらの組合せである。
【0132】
ある種の実施形態はまた、哺乳動物(例えば、ヒト)における過剰増殖性障害を処置する方法であって、治療有効量の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物若しくは誘導体を、前記哺乳動物に投与することを含む方法にも関する。一部の実施形態では、前記方法は、急性骨髄性白血病、青年期のがん、幼年期の副腎皮質がん、AIDS関連がん(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫様、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形腫様、胎児性腫瘍、胚細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頚がん、小児がん、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性肝外胆管がん(DCIS)、胎児性腫瘍、CNSがん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、骨の線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、有毛細胞白血病、頭頚部がん、心臓がん、肝臓がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、腎臓がん、喉頭がん、口唇がん及び口腔がん、肝臓がん、非浸潤性小葉がん(LCIS)、肺がん、リンパ腫、原発不明転移性扁平上皮性頚部がん、正中管がん、口のがん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/プラズマ細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/脊髄増殖性新生物、多発性骨髄腫、メルケル細胞がん、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、口内がん、口唇がん及び口腔がん、中咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、胃(stomach)(胃(gastric))がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟組織肉腫、T細胞リンパ腫、精巣がん、喉頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、腎盤及び尿管の移行上皮がん、絨毛上皮性腫瘍、幼年期の希少がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん又はウイルス誘発性がんなどのがんの処置に関する。一部の実施形態では、前記方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大症(BPH))などの非癌性過剰増殖性障害の処置に関する。
【0133】
ある種の特定の実施形態は、肺がんの処置の方法であって、それを必要とする対象に、有効量の上記の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物(又は、これを含む医薬組成物)のいずれかを投与するステップを含む方法を提供する。ある種の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、腺がん、肺扁平上皮がん又は大細胞肺がんである。他の実施形態では、肺がんは小細胞肺がんである。開示化合物により処置可能な他の肺がんには、以下に限定されないが、腺腫、カルチノイド腫瘍及び未分化がんが含まれる。
【0134】
したがって、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の一部の実施形態では、Aは、抗体又は細胞表面受容体アンタゴニストである。例えば、表皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、肝細胞成長因子受容体(HGFR)阻害剤、インスリン様成長因子受容体(IGFR)阻害剤、フォレート、MET阻害剤、又はトラスツズマブなどの抗体。
さらなる実施形態では、本方法は、アポトーシスを誘発することをさらに含む。
一部の実施形態では、処置の方法は、腫瘍細胞受容体により腫瘍細胞を有する腫瘍を処置するステップを含む。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、細胞あたり、1,000~100,000個、1,000~50,000個、1,000~25,000個の受容体、1,000~10,000個の受容体の範囲の受容体を有する。例えば、一部の実施形態では、腫瘍細胞は、細胞あたり、約1,000個、約10,000個の受容体を有するか、又は100,000個未満の受容体を有する。
本開示の化合物と組み合わせることができるさらなる治療剤は、Hardman、Limbird及びGilmanによって編集されたGoodman及びGilmanの「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第10版、又はPhysician’s Desk Referenceに見出され、これらは両方ともそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0135】
本明細書に記載の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物は、処置される状態に応じて、本明細書に開示される薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示の1つ又は複数の化合物は、上記のように他の薬剤と同時投与されるであろう。併用療法で使用される場合、本明細書に記載の化合物は、第2の薬剤と同時に又は別々に投与される。この組合せによる投与は、同一剤形での2種の薬剤の同時投与、別々の剤形での同時投与、及び別々の投与を含み得る。すなわち、本明細書に記載の化合物及び上記の任意の薬剤は、同一剤形に一緒に製剤化され、同時に投与され得る。或いは、本開示の化合物及び上記の薬剤のいずれかを同時に投与することができ、両方の薬剤は別々の製剤で存在する。別の代替案では、本開示の化合物の投与の直後に、上記の薬剤のいずれかを投与することができ、又はその逆も可能である。別々の投与プロトコルの一部の実施形態では、本開示の化合物及び上記の薬剤のいずれかは、数分間隔、又は数時間間隔、又は数日間隔で投与される。
【0136】
一部の実施形態では、この方法は、抗腫瘍剤、エンジイン抗腫瘍抗生物質、メイタンシノイド、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、アントラサイクリン、及びEGFR阻害剤又はアルキル化剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療薬を投与するステップをさらに含む。
一部のより具体的な実施形態では、この方法は、抗腫瘍剤、エンジイン抗腫瘍抗生物質、メイタンシノイド、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、アントラサイクリン、及びEGFR阻害剤又はアルキル化剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。
ある種の実施形態では、追加の治療剤は、オーリスタチンF、モノメチルオーリスタチンF、モノメチルオーリスタチンE、パクリタキソール(paciltaxol)、SN-38、カリケアマイシン、アントラマイシン、アベイマイシン、チカマイシン、DC-81、マゼトラマイシン、ネオトラマイシンA、ネオトラマイシンB、ポロトラマイシン、プロトラカルシン、シバノマイシン、シビロマイシン、トママイシン、メルタンシン、エムタンシン、イリノテカン、カンプトテシン、トポテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルートテカン、ギマテカン、ベロテカン、及びルビテカンを含む。
【0137】
以下に提供される実施例及び調製物は、本開示の化合物及びそのような化合物を調製する方法をさらに説明及び例示する。本開示の範囲は、以下の実施例及び調製物の範囲によって決して限定されないことを理解すべきである。以下の実施例において、及び明細書及び特許請求の範囲全体を通して、単一の立体中心を有する分子及び部分は、特に断りのない限り、ラセミ混合物として存在する。特に明記しない限り、2つ以上の立体中心を含む分子及び部分は、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一のエナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者に公知の方法によって得ることができる。
例示を容易にするため、リン部分(例えば、ホスフェートなど)を含む様々な化合物が、陰イオン性状態(例えば、-OPO(OH)O-、-OPO3 2-)で図示されている。当業者は、電荷はpHに依存し、非電荷(例えば、プロトン化されているか、又はナトリウム若しくは他の陽イオンなどの塩)形態も、本開示の実施形態の範囲内に含まれることを容易に理解するであろう。
上述の化合物のいずれか及び1つ又は複数の分析対象分子(例えば、生体分子)を含む組成物は、様々な他の実施形態において提供される。一部の実施形態では、1つ又は複数の分析対象分子を検出するための分析方法におけるそのような組成物の使用も提供される。
【0138】
前述の方法の一部の実施形態では、R2は、生体分子などの分析対象分子への共有結合を含むリンカーである。例えば、核酸若しくはそのポリマー、又はアミノ酸若しくはそのポリマー(例えば、ポリヌクレオチド若しくはポリペプチド)。さらなる実施形態では、生体分子は、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマー又はプリオンである。
前述の方法のさらに他の実施形態では、R2は、マイクロ粒子(例えば、制御された多孔性ガラス又はポリスチレンビーズ)などの固体支持体への共有結合を含むリンカーである。例えば、一部の実施形態では、マイクロ粒子は、ポリマー製ビーズ又は非ポリマー製ビーズである。
上記の方法に加えて、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)及び(IIId)の化合物の実施形態は、以下を含むがこれらに限定されない、様々な分野及び方法において有用性が見出される:内視鏡検査手順におけるがん組織及びその他の組織の識別のための画像処理;単一細胞及び/又は単一分子の分析方法、例えば、増幅がほとんど又はまったくないポリヌクレオチドの検出;例えばがん細胞に優先的に結合する抗体又は糖又は他の部分に、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)及び(IIId)の化合物をコンジュゲートさせることによるがん画像処理;外科手術における画像処理;様々な疾患の同定のためのヒストンの結合;歯科処置及びその他の処置における薬物送達。
【0139】
上記の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)及び(IIId)の化合物の実施形態、並びに上記の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)及び(IIId)の化合物中の可変因子R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、M1、M2、M3、l、m、n、p、及び/又はqに関して本明細書に記載されている任意の具体的な選択は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)及び(IIId)の化合物の他の実施形態及び/又は可変因子と独立して組み合わされて、上記に具体的に記載されていない本開示の実施形態を形成してもよいことが理解される。さらに、選択のリストが、特定の実施形態及び/又は特許請求の範囲における任意の特定のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、M1、M2、M3、l、m、n、p、及び/又はqの可変因子に関して列挙されている場合、個々の選択はそれぞれ、特定の実施形態及び/又は特許請求の範囲から除かれ得ること、及び選択の残りのリストは、本発明の範囲内にあると見なされることが理解される。
本記載では、図示されている式の置換基及び/又は可変因子の組合せは、このような寄与が安定な化合物をもたらす場合に許容可能となることが理解される。
【0140】
また、本明細書に記載のプロセスにおいて、中間化合物の官能基を適切な保護基で保護する必要があることも当業者には理解されるであろう。このような官能基としては、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト及びカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシの適切な保護基としては、トリアルキルシリル又はジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノ及びグアニジノに適した保護基としては、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトに適した保護基としては、-C(O)-R”(式中、R”はアルキル、アリール又はアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸の適切な保護基としては、アルキル、アリール又はアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知であり、本明細書に記載されている標準的な技術に従って付加又は除去することができる。保護基の使用は、Green, T.W. and P.G.M. Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis (1999), 3rd Ed., Wileyに詳述されている。当業者が理解しているように、これらの保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂又は塩化2-クロロトリチル樹脂などのポリマー樹脂とすることもできる。
【0141】
さらに、遊離塩基形態又は遊離酸形態で存在する本開示の化合物はすべて、当業者に公知の方法によって、適切な無機塩基若しくは有機塩基又は無機酸若しくは有機酸による処理によってその塩に変換することができる。本開示の化合物の塩は、標準技法によってその遊離塩基形態又は酸形態に変換することができる。
以下の反応スキームは、本開示の化合物を作製する例示的な方法を例示している。当業者は、類似の方法によって、又は当業者に公知の他の方法を組み合わせることにより、これらの化合物を作製することが可能となり得ることが理解される。当業者は、適切な出発構成成分を使用し、必要に応じて合成パラメータを修正することにより、以下に具体的に例示されていない、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)及び(IIId)の他の化合物を、以下に記載されているような類似方法で作製することが可能になることがやはり理解される。一般に、出発構成成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI及びFluorochem USAなどの供給元から得ることができるか、又は当業者に公知(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th edition (Wiley, December 2000)を参照されたい)の情報源に従い合成され得るか、又は本開示において記載されている通り調製され得る。
【0142】
DNA合成方法論を適用して、構造(I)及び(III)の化合物を構築することができる。モノマー(例えば、ホスホロアミダイトモノマー)は、商業的に購入することができ(例えば、ChemGenes Corporation、Wilmington Mass.から)、又は本明細書に記載の方法を使用して合成することができる(例えば、実施例1~3を参照のこと)。所望の部分の導入は、モノマーの一部として所望の部分を含めることによって、DNA合成工程の間に達成することができる(例えば、一般反応スキームIのG1を参照のこと)。例示的なDNA合成スキームを以下に示す。
【0143】
代表的なDNA合成サイクル
【化58】
【0144】
オリゴマー化は、通常、保護基(例えば、ジメトキシトリチル基、DMTr)を除去して遊離-OH(ヒドロキシル)基を露わにすることによって開始される(工程1、脱トリチル化)。後続のカップリング工程では、ホスホロアミダイトモノマーが導入され、ホスホロアミダイトモノマーは遊離OH基と反応してリンとの新しい共有結合を形成し、同時にジイソプロピルアミン基が失われる(工程2、カップリング)。得られた亜リン酸トリエステルは(例えば、I2及びピリジンで)より安定なリン酸エステルに酸化され(工程3、酸化)、キャッピング工程では、残りの遊離OH基が非反応性となる(工程4、キャッピング)。新しい生成物であるリン酸オリゴマーには、DMTrで保護されたOH基が含まれており、これを脱保護して合成サイクルを再開することができ、したがって別のホスホロアミダイトモノマーをオリゴマーに付加することができる。
カスタマイズを、ホスホロアミダイトモノマーの選択により、工程2で行う。上記スキームにおけるL(すなわち、リンカー基)及びM(すなわち、化学療法剤)の性質は、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)の所望の化合物が合成されるように選択される。Mは存在しないで、M部分の間に所望の間隔を組み込んでもよい。当業者は、複数のモノマータイプを選択し、リンカー基を同時に変動させて複数の治療剤及び/又は他の部分(例えば、フルオロフォア若しくはクロモフォア)を含有する本開示の化合物に到達することができる。
【0145】
一般反応スキーム1(ホスホロアミダイト)
【化59】
【0146】
反応スキームIは、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の化合物の調製に有用なホスホロアミダイト中間体の調製のための方法を示す。反応スキームIを参照すると、G1は、カルボン酸官能基を含有する所望の部分(例えば、オーリスタチンF、ゲムシタビン、カペシタビン、又はSN38などの薬物部分)を表し、Lは二価のリンカー部分(例えば、アルキレン、又はアルキレンエーテル)を表し、Xは脱離基(例えば、Clなどのハロ)を表し、PGは保護基(例えば4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル)を表す。反応スキームIの工程1は、塩基性条件下で公知の試薬(例えば、DMF中のHATU及びDIPEA)を使用して、示された第1の化合物のカルボン酸官能基を活性化することから始まる。次に、活性化された酸をアミンと反応させて、工程1の反応生成物が得られる。次に、得られたジオールを標準条件下(例えば、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチルクロリド及びピリジン)で保護する。ゲムシタビンなどのジオールは工程2から開始する。次に、保護生成物を、3-((クロロ(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)オキシ)プロパンニトリル(又は他の適切な試薬)と反応させて、上に示した構造(II)の所望の化合物を得る。
【0147】
次に、得られた構造(II)の化合物を使用して、周知の(自動)DNA合成条件下での反応により、所望の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)の化合物を合成することができる。構造(II)の化合物に加えて、追加の繰り返し単位を組み込んで、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)の最終化合物を達成することができる。一般に、以下の構造:
【0148】
【化60】
を有する化合物を使用することができる。
(式中、
Lは、所望のリンカー部分(例えば、PEG又は色素含有部分を含む)である)
【0149】
一部の具体的な実施形態では、構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)の化合物の合成に以下の化合物:
【化61】
を使用することができる。
【実施例
【0150】
一般方法
質量スペクトル分析を、MassLynx4.1アクイジョンソフトウェアを使用する、Waters/Micromass QuattroマイクロMS/システムMS(MSモードのみ)で行う。LC/MSに使用した移動相は、100mMの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、8.6mMのトリエチルアミン(TEA)、pH8である。ホスホロアミダイト及び前駆体分子はまた、アセトニトリル/水移動相勾配を使用して、45°Cに保持された、2.1mmx50mm Acquity BEH-C18カラムを備えるWaters Acquity UHPLCシステムを使用して分析する。モノマー中間体の分子量は、Waters/Micromass QuattroマイクロMS/システムMS(MSモードのみ)で、トロピリウムカチオン注入強化イオン化を使用して取得する。励起及び発光プロファイル実験は、Cary Eclipseスペクトル光度計で記録する。
【0151】
反応はすべて、特に明記しない限り、窒素雰囲気下、オーブン乾燥したガラス器具中で行う。市販のDNA合成試薬は、Glen Research(Sterling、VA)から購入する。無水ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸、ピリジン及びTHFは、Aldrichから購入する。他の化学物質はすべて、Aldrich又はTCIから購入し、さらに精製することなく、そのまま使用する。
【0152】
(実施例1)
DMT保護ゲムシタビン化合物の合成
【化62】
【0153】
ゲムシタビン(Gencitabine)(理論値0.5057ミリモル)を、磁気撹拌子を含む、不活性ガスブランケット下の乾燥した丸底フラスコに加え、続いて無水ピリジン(5.06mL)を加える。次に、反応フラスコを氷水浴(0℃)に移し、均熱化されるまで(およそ10分)混合しながら冷却させる。次に、不活性ガス下で連続的に混合しながら、冷却した混合物に4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(0.257g、0.759ミリモル)を加える。反応混合物を室温まで温め、次にTLC分析のためにサンプリングする。反応の完了が確認されたら、反応混合物(0.160g、5.06ミリモル)にメタノールを加えることにより、残っている未反応の4,4’-ジメトキシトリチルクロリドをクエンチする。溶媒を、真空下(10mbar)で、加熱(55℃)しながら回転蒸発により除去する。次に、濃縮残留物をトルエン(5.06mL)に懸濁し、トルエンを、真空下(10mbar)で、加熱(55℃)しながら回転蒸発により除去し;2回繰り返す。粗生成物をジクロロメタン(5.06mL)に溶解し、重炭酸ナトリウム(5.06mL、飽和水溶液)で洗浄し、分離する。このプロセスを1回繰り返す。分離した有機相を塩化ナトリウム(5.06mL、飽和水溶液)で洗浄し、分離する。分離した有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、硫酸ナトリウムを濾別する。有機相を含有する生成物を、TLC及びLC-UV/MS分析用にサンプリングする。溶媒を回転蒸発により除去し、粗製DMT保護ゲムシタビンを得る。
【0154】
次に、この粗材料を小規模試験反応からの粗材料と合わせる。合わせた粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー、ジクロロメタン/メタノール移動相によって精製し、生成物含有画分をプールし、溶媒を回転蒸発によって除去し、次に、少なくとも24時間真空ライン上に置き、DMT保護ゲムシタビンを得る。
【0155】
(実施例2)
DMT保護ゲムシタビンホスホロアミダイトの合成
【化63】
【0156】
真空下で少なくとも24時間乾燥させた精製DMT保護ゲムシタビン(0.226ミリモル)を、磁気撹拌子を含む、不活性ガスブランケット下のジクロロメタン(2.26mL)に溶解し、続いてDIPEA(0.117g)、その後Cl-Phos(0.107g)を加える。反応物をおよそ15分間混合し、次にTLC分析のためにサンプリングする(TLCは反応の完了を示した)。反応の完了が確認されると、反応混合物を重炭酸ナトリウム(2.26mL、飽和水溶液)に直接加えることによって洗浄し、有機相を分離し、これを1回繰り返す。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次に硫酸ナトリウムを濾別する。有機相を含有する生成物を、TLC及びLC-UV/MS分析用にサンプリングする。次に、ジクロロメタンを回転蒸発によって除去し、粗質量なしで精製へと進める(proceeded to purification without crude weight)。次に、この粗製物質を小規模試験反応からの粗製物質と合わせる。合わせた粗材料を、シリカゲル固相抽出、ジクロロメタン/メタノール/トリエチルアミン移動相によって精製し、生成物含有画分をプールする。移動相を回転蒸発により除去し、次に真空ライン上に少なくとも24時間置き、DMT保護ゲムシタビンホスホロアミダイトを得る。或いは、DMT保護ゲムシタビンホスホロアミダイトをGlen Researchから購入し、追加の精製を行わずにそのまま使用することもできる。
【0157】
(実施例3)
化合物I-1の合成
原液の調製
250mM、pH10で調製されたホウ酸緩衝液
350mMで調製されたフルオレセイン-NHS溶液(1.35mL DMSO:アセトニトリル25:75中に300mg)
固相合成
化合物I-1は、標準的なDNA合成技術(すなわち、DMT保護された2-シアノエチルホスホロアミダイト)を使用して、固体支持体を介してDNAシンセサイザー上で調製する。ポリマーは水酸化アンモニウムを用いて固体支持体から除去し、凍結乾燥させてペーストにする。250mgのアリコートを水で復元する。少量のアリコートを取り出し、濃度(A263ε=10,000)を決定するために、pH9の100mM NaCO3中で段階希釈物を調製する。最終ストック濃度は14.5mMであることがわかる。
【0158】
色素カップリング反応
磁気撹拌子を備えた50mL遠心チューブに、水(1.110μL)、ホウ酸緩衝液(1.800μL)、化合物I-1ポリマー溶液(466μL)、アセトニトリル(137.5μL)、トリエチルアミン(313μL)及びフルオレセイン-NHS溶液(675μL)を入れる。チューブをアルミホイルで包み、混合物を室温で一晩撹拌する。
サイズ排除濾過
Amicon Ultra-15遠心フィルター(Millipore UFC900324、分子量カットオフ=3000)に1mLの水を加える。色素カップリング反応からの粗反応物(4.5mL)を、濾過器具に加える。反応容器を4mLの100mM NaOHで2回すすぎ、すすぎ液を濾過器具に移す。濾過器具を最大速度(3220g、スイング式バケット、30分間)で遠心分離する。濾液を除去し、保持液をさらに10mLの100mM NaOHで処理する。濾過器具を前述のように遠心分離する。再度、濾液を除去し、3番目の10mLの100mM NaOHアリコートを保持液に加える。器具を前述のように遠心分離し、濾液を除去する。4番目の10mLの100mM NaOHアリコートを保持液に加え、前述のように遠心分離する。濾液を除去し、10mLの水を濾過器具に加える。混合物を、前述のように遠心分離する。保持液を除去し、濾過容器を水で洗浄し、すすぎ液を加えて最終体積(3.5mL)にする。所望の生成物をLC-MSによって確認し、吸光度を使用して濃度を決定する。
【0159】
分析LC-UV495nmクロマトグラムは、総ピーク面積又はMSによって同定された関連ピーク面積により62%の標的生成物I-2を示した(予想分子量10755.1及び実測分子量70760.7が判明した)。
分析LC-UV495nmクロマトグラムは、総ピーク面積又はMSによって同定された関連ピーク面積により65%の標的生成物I-6を示した(予想分子量5730.7及び実測分子量5734.1が判明した)。
分析LC-UV266nmクロマトグラムは、総ピーク面積又はMSによって同定された関連ピーク面積により22%の標的生成物I-10を示した(予想分子量8722.8及び実測分子量8730.1が判明した)。
分析LC-UV266nmクロマトグラムは、総ピーク面積又はMSによって同定された関連ピーク面積により59%の標的生成物I-4を示した(予想分子量4818.9及び実測分子量4822.1が判明した)。
【0160】
(実施例4)
化合物I-1の活性化及び抗体コンジュゲート
【化64】
【0161】
マレイミド官能化化合物I-1を、実施例1に記載の方法に従って調製する。並行して、トラスツズマブ抗体をビス-マレイミドエタン(「BMOE」)で処理してジスルフィド結合を還元させる。還元された抗体を、ポリマー対抗体のモル比5:1で、化合物I-1と反応させる。この反応により、サイズ排除クロマトグラフィーによって検出されるように、ポリマー対抗体の比が1:1である最終生成物が得られる。一部の実施形態では、抗CD33、抗CD70、又は抗CD123をビスマレイミドエタン(「BMOE」)と共に使用して、ジスルフィド結合を還元させることができる。I-2、I-6、及びI-9ADCを実施例4の手順に従って調製し、以下に示す:
【0162】
化合物I-9ADC
【化65】
化合物I-6ADC
【化66】
化合物I-2ADC
【化67】
本明細書に開示される他の化合物(I-1、I-3~I-5、I-7~I-8、及びI-10~I-22)を、上記と同じ方法によって抗体とコンジュゲートさせて、他のADCを生成することができる。抗体トラスツズマブを、本明細書に開示される化合物と抗体との間のコンジュゲーションを示す実施例4で使用するが、これは単に説明のために使用されており、他の抗体、例としてブレンツキシマブ、ゲムツズマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ポラツズマブ、エンホルツマブ、トラスツズマブ、サシツズマブ、ベランタマブ、又はモキセツズマブを含めてもよい。
【0163】
(実施例5)
細胞増殖アッセイ
化合物I-2、I-6、及びI-9を、本開示で開示されるようなDNA合成機で調製した。化合物I-2、I-6、及びI-9を活性化させて、市販の抗体トラスツズマブにコンジュゲートさせた。図1~2に示すように、化合物I-2ADC(「ADC:073-128-R3a」とラベル付け)は、他のADC(「ADC:073-128-R1」とラベル付けされたI-9ADC及び「ADC:073-128-R2」とラベル付けされたI-6ADC)並びにオーリスタチンF単独(「AF」とラベル付け)及びトラスツズマブ単独(「ハーセプチン」とラベル付け)を含むその構成部分よりも強力でありかつ細胞毒性が強かった。化合物I-2ADCは、Her2抗原を発現する細胞株に対して強力かつ選択的であることが判明した。化合物I-2ADC(「ADC:073-128-R3a」とラベル付け)及び化合物I-2ADC(「ADC:073-128-R3b」とラベル付け)は、抗体ごとに結合するポリマーの平均数(標識の程度、すなわちDOL)が異なる。ADC:073-128-R3aのDOLは1.7であり、ADC:073-128-R3bのDOLは0.9である。
【0164】
この明細書に言及されている、及び/又は出願データシートに列挙されている、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物のすべては、2021年9月30日に出願の米国仮特許出願第63/250,931号、及び2021年10月6日に出願の米国仮特許出願第63/253,071号を含め、本記載と不一致でない程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。必要に応じて、実施形態の態様を改変して、様々な特許、出願及び刊行物の概念を使用して、またさらなる実施形態を提供することができる。
上述から、本開示の具体的な実施形態が、例示目的のために本明細書に記載されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正が行われてもよいことが理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によるもの以外の限定は受けない。
図1
図2
【国際調査報告】