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特表2024-537074浮体構造物のタンクから到来した燃料としての天然ガスを天然ガス消費装置に供給するように構成された天然ガスを処理するためのシステム
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  • 特表-浮体構造物のタンクから到来した燃料としての天然ガスを天然ガス消費装置に供給するように構成された天然ガスを処理するためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】浮体構造物のタンクから到来した燃料としての天然ガスを天然ガス消費装置に供給するように構成された天然ガスを処理するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20241003BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20241003BHJP
   F25J 1/00 20060101ALI20241003BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20241003BHJP
   F04B 37/18 20060101ALI20241003BHJP
   F04B 41/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F04B41/00 B
F17C13/00 302A
F25J1/00 B
C09K5/04 A
F04B37/18
F04B41/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519640
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 FR2022051779
(87)【国際公開番号】W WO2023052708
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2110313
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、アウン
(72)【発明者】
【氏名】パーベル、ボリシェビキ
【テーマコード(参考)】
3E172
3H076
4D047
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BD01
3E172HA08
3H076AA16
3H076AA35
3H076AA37
3H076BB10
3H076CC01
3H076CC27
3H076CC94
3H076CC95
3H076CC99
4D047AA10
4D047AB08
4D047BA08
4D047CA07
(57)【要約】
本発明は、冷媒回路(4)を具備することを意図した圧縮システム(2)であって、冷媒を圧縮するように構成された少なくとも1つの圧縮装置(19)を備え、この圧縮装置(19)は、駆動装置(32)により作動させられる少なくとも1つの圧縮部材(10)を備え、この圧縮部材(10)と駆動装置(32)とは、冷媒により少なくとも部分的に封止されるように構成された少なくとも1つの支持体(14)によって互いに接続されており、圧縮システム(2)は、駆動装置(32)内に存在する冷媒を捕集するための装置(22)を備え、この冷媒を捕集するための装置(22)は、駆動装置(32)から捕集された冷媒を冷媒回路(4)に送るように構成されている、圧縮システム(2)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路(4)を具備するように設計された圧縮システム(2)であって、冷媒を圧縮するように構成された圧縮装置(19)を少なくとも備え、該圧縮装置(19)は、駆動装置(32)により駆動される圧縮機構(10)を少なくとも備え、該圧縮機構(10)と前記駆動装置(32)とは、前記冷媒により少なくとも部分的に封止されるように構成された少なくとも1つの支持体(14)によって互いに接続されており、前記圧縮システム(2)は、前記駆動装置(32)内の前記冷媒用の再循環装置(22)を備え、冷媒再循環装置(22)は、前記駆動装置(32)を通る再循環させられる前記冷媒を前記冷媒回路(4)に返送するように構成されている、圧縮システム(2)。
【請求項2】
前記再循環装置(22)は、少なくとも1つの圧縮機構(24)と、少なくとも、該圧縮機構(24)が位置するパイプ(26)とを備え、該パイプ(26)は、前記駆動装置(32)から、前記冷媒回路(4)の低圧部分(30)に位置するように構成された噴射箇所(33)に延在している、請求項1記載の圧縮システム(2)。
【請求項3】
前記再循環装置(22)は少なくとも1つの濾過機構(28)を備える、請求項1または2記載の圧縮システム(2)。
【請求項4】
前記駆動装置(32)は、変速装置(16)と、該変速装置(16)の少なくとも1つの歯車を回転駆動するアクチュエータ(34)とを備え、前記再循環装置(22)は、前記変速装置(16)のうちの上側の部分に流体連通している、請求項1から3までのいずれか1項記載の圧縮システム(2)。
【請求項5】
前記支持体(14)に接続されていて、前記冷媒回路(4)の高圧部分(13)に流体連通するように構成されたパイプ(6)を備える、請求項1から4までのいずれか1項記載の圧縮システム(2)。
【請求項6】
少なくとも2つの熱交換器(54,56)と、膨張装置(12)と、請求項1から5までのいずれか1項記載の圧縮システム(2)とを備える、冷媒回路(4)。
【請求項7】
- 20~35%molの二窒素もしくは30~50%molのアルゴンまたは二窒素とアルゴンとの35~50%molの混合物と、
- 35~55%molのメタンと
を含有する冷媒を含み、
前記冷媒は、メタンならびに二窒素および/またはアルゴンの部分を該冷媒の70~85%mol含有し、残りの部分は、少なくともエタンおよび/またはプロパンおよび/またはブタンおよび/またはエチレンおよび/またはプロピレンから成る炭化水素の混合物を含む、
請求項6記載の冷媒回路(4)。
【請求項8】
前記噴射箇所(33)は、前記膨張装置(12)の出口と、前記冷媒回路(4)の前記低圧部分(30)を画定する前記圧縮機構(10)の入口との間で前記冷媒回路に位置している、請求項2を引用する請求項6または7記載の冷媒回路(4)。
【請求項9】
前記パイプ(6)は、前記圧縮機構(10)の出口と、前記冷媒回路(4)の前記高圧部分(13)を形成する前記膨張装置(12)の入口との間に位置する箇所(8)で前記冷媒回路(4)に接続されている、請求項5を引用する請求項6または8記載の冷媒回路(4)。
【請求項10】
浮体構造物(48)内に貯蔵された天然ガスを処理するためのシステム(52)であって、液体状態の天然ガスを輸送および/または貯蔵するように設計されたタンク(20)と、天然ガスを前記浮体構造物(48)の消費装置(46)に給送するように設計された供給システム(38)と、請求項6から9までのいずれか1項記載の冷媒回路(4)とを少なくとも備える、天然ガスを処理するためのシステム(52)。
【請求項11】
燃料としての天然ガスの少なくとも1つの消費装置(46)を備える、請求項10記載の天然ガスを処理するためのシステム(52)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガスを使用、貯蔵および/または輸送する浮体構造物を据え付けるように設計された圧縮システムの分野に関する。本発明は、特に、浮体構造物が具備する少なくとも1つの天然ガス消費装置用の燃料としての天然ガスを処理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスをより容易に長距離輸送および/または貯蔵するために、天然ガスは、通常、周辺圧のもと-163℃未満の温度で液体状態にて維持され、これによって、一般的に「GNL」または「LNG」(液化天然ガス)と呼ばれる液化ガスが得られる。その後、この液化天然ガスは、浮体構造物に設けられた専用の貯蔵タンクに荷積みされるかまたは貯蔵タンクから荷卸しされる。
【0003】
このようなタンクは完全には断熱されておらず、そのため、天然ガスは少なくとも部分的に蒸発する。したがって、こういったタンクは、天然ガスを液体としても気体としても収容している。気体の形態の天然ガスは「BOG」(ボイルオフガス)とも呼ばれ、タンクブランケット内に蓄積する。
【0004】
タンク内の蒸気状態の天然ガスの少なくとも一部を、浮体装置の電力要件に対処するために設けられた、特に浮体装置の推進および/または浮体装置の内設機器用の発電のために設けられた消費装置、例えば原動機に給送するために使用することができることが知られている。そうするために、特に、蒸気状態の天然ガスを少なくとも天然ガス処理システムを通して循環させて、消費装置で燃料として使用するために適した温度まで天然ガスを圧縮しかつ加熱することを可能にすることが知られている。このような処理システムは、この処理システムを通流する天然ガス同士の間で少なくとも熱交換を実施するように構成された冷媒回路を備えている。
【0005】
知られている冷媒回路は圧縮装置を実装している。このような回路は極低温で働くため、圧縮装置の種々の回転支持体が、ガス、例えば二窒素によって水密にされていることが必須となる。実際、このような温度では、圧縮装置内の何らかのオイルを使用すると、このオイルの少なくとも一部が固化し、これによって、処理システムの機能が損なわれてしまう。二窒素封止された支持体に基づく圧縮装置を使用することの欠点は、回路を通流する冷媒中への二窒素の不可避の漏れであり、これによって、前記冷媒の基準組成が変化し、したがって、冷媒回路の性能が低下してしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこの欠陥を修正し、冷媒回路を具備するように設計された圧縮システムであって、冷媒を圧縮するように構成された圧縮装置を少なくとも備え、この圧縮装置が、駆動装置により駆動される圧縮機構を少なくとも備え、この圧縮機構と駆動装置とが、冷媒により少なくとも部分的に封止されるように構成された少なくとも1つの支持体によって互いに接続されており、圧縮システムが、駆動装置内の冷媒用の再循環装置を備え、冷媒再循環装置が、駆動装置を通る再循環させられる冷媒を冷媒回路に返送するように構成されている、圧縮システムを提案する。
【0007】
本発明では、圧縮装置が、駆動装置により駆動される圧縮機構を備え、この圧縮機構と駆動装置とが、冷媒により少なくとも部分的に封止されるように構成された少なくとも1つの支持体によって互いに接続されている。冷媒回路内の冷媒の一貫性は保たれている。なぜならば、支持体を封止するガスが冷媒そのものであり、再循環させられて冷媒回路内に戻されるからである。支持体の水密性は冷媒によって保証されているので、冷媒回路は望ましくないガスによって汚染されず、冷媒回路を通る冷媒の流れ質量が維持される。
【0008】
支持体は、少なくとも冷媒によって封止されるように構成されているので、支持体の一部が封止システムを有することはあり得ないのに対して、別の部分は冷媒によって、つまり、圧縮システムが冷媒回路に組み付けられているときに、圧縮機構により圧縮された流体と同一の流体によって封止される。冷媒により封止するように構成された支持体の部分における水密性は、冷媒によってのみ提供されている。したがって、水密性には、別のガスが不要となる。
【0009】
こうして、例えば、再循環装置によって、冷媒を駆動装置の変速装置から圧縮装置を通して吸引し、その後、冷媒を、変速装置から到来した潤滑剤から濾過機構によって分離することが可能となる。
【0010】
本発明の特徴によれば、再循環装置が、少なくとも1つの圧縮機構と、少なくとも、この圧縮機構が位置するパイプとを備え、このパイプが、駆動装置から、冷媒回路の低圧部分に位置するように構成された噴射箇所に延在している。
【0011】
再循環装置は、例えばダイヤフラム圧縮機としての圧縮機構と、変速装置と冷媒ループにおける噴射箇所との間に位置するパイプとを備えている。
【0012】
本発明の別の特徴によれば、再循環装置が少なくとも1つの濾過機構を備える。この濾過機構は、冷媒が冷媒回路内に導入される前にパイプから潤滑剤を捕捉する。濾過機構は、潤滑剤を圧縮機構への進入前に除去するために、圧縮機構よりも上流に位置してよい。この状態において、圧縮機構は、変速装置から回収されて潤滑剤含分が除去されたガスを受け取る。
【0013】
代替的には、濾過機構が圧縮機構よりも下流に位置していてよい。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、駆動装置が、変速装置と、この変速装置の少なくとも1つの歯車を回転駆動するアクチュエータとを備え、再循環装置が、変速装置のうちの上側の部分に流体連通している。アクチュエータは、変速装置を形成する複数の歯車を回転させる。例えば、アクチュエータは電動式、空気圧式または液圧式であってよい。好ましい例によれば、アクチュエータは電動式のモータである。
【0015】
再循環装置は、ガスとしての冷媒の回収を保証するために、変速装置のうちの上側の部分に接続されている。この場合、気相の冷媒は、変速装置のうちの上側の部分内に蓄積する。また、変速装置に対して相対的な再循環装置の位置によって、この再循環装置が取り込む潤滑剤の量を減じることが可能となる。
【0016】
本発明の特徴によれば、圧縮システムが、パイプであって、支持体に接続されていて、冷媒回路の高圧部分に流体連通するように構成されたパイプを備える。支持体に接続されたパイプによって、変速装置と圧縮装置との間の回転支持体を封止するために、高圧下の冷媒を提供することが可能となる。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも2つの熱交換器と、膨張装置と、本明細書に記載したような圧縮システムとを備える、冷媒回路に関する。
【0018】
有利には、冷却回路内の冷媒が、
- 20~35%molの二窒素もしくは30~50%molのアルゴンまたは二窒素とアルゴンとの35~50%molの混合物と、
- 35~55%molのメタンと
を含有し、
前記冷媒が、この冷媒の70~85%molにメタンならびに二窒素および/またはアルゴンの部分を含有し、残りの部分が、少なくともエタンおよび/またはプロパンおよび/またはブタンおよび/またはエチレンおよび/またはプロピレンから成る炭化水素の混合物を含む。冷媒のこのような組成は、浮体構造物に設けられた天然ガス処理システムの消費装置に給送するための燃料として使用される天然ガスとの熱交換に特に適している。
【0019】
本発明の特徴によれば、噴射箇所が、膨張装置の出口と、冷媒回路の低圧部分を画定する圧縮機構の入口との間で冷媒回路に位置する。冷媒回路の高圧部分は、圧縮機構の出口を始端としていて、膨張装置の入口を終端としている。
【0020】
本発明の特徴によれば、パイプが、圧縮機構の出口と膨張装置の入口との間に位置する箇所で冷媒回路に接続されており、これによって、冷媒回路の高圧部分が形成されている。
【0021】
パイプによって、冷媒を圧縮機構と変速装置との間で支持体内に受け入れることが可能となる。このパイプには、冷媒回路の高圧部分によって給送が行われる。
【0022】
別の態様によれば、本発明は、浮体構造物内に貯蔵された天然ガスを処理するためのシステムであって、液体状態の天然ガスを輸送および/または貯蔵するように設計されたタンクと、天然ガスを浮体構造物の消費装置に提供するように設計された供給システムと、本明細書に記載したような冷媒回路とを少なくとも備える、天然ガスを処理するためのシステムに関する。
【0023】
本発明の特徴によれば、処理システムが、燃料としての天然ガスの少なくとも1つの消費装置を備える。この消費装置は、タンクから供給システムを通って流れる天然ガスを燃料として使用する。
【0024】
タンクのブランケット内の天然ガスは第1の熱交換器内に流入し、この第1の熱交換器によって、冷媒回路が作動しているときに、天然ガスを加熱することが可能となる。その後、この加熱されたガスが圧縮機構内に流入して、蒸気状態の天然ガスの圧力および温度が高められる。その後、天然ガスは浮体構造物の消費装置用の燃料として使用される。
【0025】
本発明の別の特徴、詳細および利点は、1つには、以下の説明によって、もう1つには、添付の概略図を参照しながらガイドおよび限定しないものとして創出される多数の実施形態によって、より明らかとなるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る圧縮機構を示す図である。
図2】天然ガス供給システム内に組み込まれた本発明に係る圧縮システムの概略図である。
図3】前記天然ガスを輸送および/または貯蔵するための浮体構造物のタンク内に貯蔵された液化天然ガス用の処理システムの概略図である。
図4】浮体構造物のタンクと、このタンク用の荷積みおよび/または荷卸しターミナルとの概略的な破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、冷媒を冷媒回路4内で圧縮するように構成された圧縮機構2が示してある。冷媒回路4は2つの部分、つまり、高圧部分13と低圧部分30とを備えている。冷媒回路を通る冷媒の流れ方向で見て、低圧部分30が、圧縮システム2よりも上流の冷媒回路の部分であるのに対して、高圧部分13は、圧縮システム2よりも下流に位置している。
【0028】
圧縮システム2は、冷媒を圧縮する機能を有する圧縮装置19を少なくとも備えている。この圧縮装置19は、圧縮機構10と、この圧縮機構10を駆動、特に回転駆動する機能を有する駆動装置32とを備えている。圧縮機構10は、圧縮を行う圧縮装置19の一部である。特に、圧縮機構10は、遠心圧縮機、スクリュー圧縮機またはピストン圧縮機であってよい。
【0029】
駆動装置32は、アクチュエータ34、特に電動式、空気圧式または液圧式のモータと、このアクチュエータ34と圧縮機構10との間に運動学的に組み付けられた変速装置16とを備えるセットである。変速装置16の機能は、アクチュエータ34と圧縮機構10との間でトルクおよび速度を適合させることである。このような変速装置16は、内側で回動する複数の歯車と軸とを備えたケースを備えている。
【0030】
これらの軸のうちの第1の軸は、アクチュエータ34と変速装置16の入力歯車との間に位置している。別の軸は、変速装置のハウジングの内側から圧縮機構10の内側まで延在する出力軸である。
【0031】
変速装置16と圧縮機構10との間には、支持体14が配置されており、この支持体14は、変速装置16の出力軸を回転支持する物品を形成している。このような支持体14は、冷媒を圧縮機構10の入口における圧力よりも高い圧力で冷媒回路4から支持体14内に噴射することによって水密にされている。
【0032】
そうするために、圧縮システム2は、支持体14と、冷媒回路4において圧縮機構10よりも下流でこの回路の高圧部分に位置する箇所8との間に延在するパイプ6を備えている。このパイプ6は、一部の冷媒を冷媒回路から支持体14に向かって通流させるように構成されている。しかしながら、支持体14は完全に水密というわけではなく、冷媒の第1の部分が圧縮機構10内に拡散するのに対して、冷媒の第2の部分は変速装置16に流れて、この変速装置16を満たす。冷媒のこれらの部分は、図1に点線の矢印18として示してある。
【0033】
本発明に係る圧縮システム2は、また、支持体14を通って変速装置16内に流入する冷媒の部分18に起因して、駆動装置32、特に変速装置16に存在する冷媒再循環装置22も備えている。この再循環装置22の機能は、冷媒を変速装置16から取り込み、冷媒を冷媒回路内に返送して、この冷媒回路4を通る冷媒の循環質量を当初の要件に従って維持することである。
【0034】
再循環装置22は、変速装置16から、冷媒回路4の低圧部分30に位置する噴射箇所33に延在している。
【0035】
再循環装置22は、蒸気状態の冷媒を回収するために、変速装置16のうちの上側の部分に接続されている。変速装置16内の冷媒はパイプ26を通流する。このパイプ26は、一端では、変速装置16のハウジングのうちの上側の部分に接続されていて、他端では、圧縮機構10よりも上流の冷媒回路4の噴射箇所33に接続されている。
【0036】
再循環装置22は、例えばダイヤフラム圧縮機であってよい圧縮機構24を備えている。この圧縮機構24は、冷媒を変速装置16から抜き出して、それを冷媒回路4の低圧部分に返送するように構成されている。つまり、この圧縮機構24は、変速装置16内の回収された冷媒の圧力を圧縮機構10よりも上流の冷媒回路内、つまり、この回路の低圧部分内の冷媒の圧力よりも高める。
【0037】
任意選択的には、再循環装置22は、パイプ26を通る冷媒の流れ方向を基準として、圧縮機構24よりも上流または下流でパイプ26に位置していてよい濾過機構28を備えている。
【0038】
濾過機構28が圧縮機構24よりも上流に配置されているとき、これは、変速装置16の潤滑剤を冷媒から分離し、その後、この冷媒が圧縮機構24内に流入することを意味している。別の使用事例では、濾過機構28が圧縮機構24よりも下流に位置している。この場合には、蒸気状態の冷媒と潤滑剤とが濾過機構28によって分離され、これによって、冷媒だけが冷媒回路4に返送される。これは、潤滑剤フリーを意味している。
【0039】
図2には、燃料供給システム38であって、このような供給システム38を具備した浮体構造物に組み付けられた消費装置46用の燃料供給システム38が示してある。本明細書では、燃料は、浮体構造物に組み付けられたタンク20内に貯蔵された液化天然ガスである。この供給システム38は、図1に記載したような圧縮システムを備えている。
【0040】
したがって、供給システム38は、液化天然ガスを収容するように設計された少なくとも1つのタンク20と、このタンク20のブランケット42内の蒸気状態の天然ガスを回収して、この天然ガスを少なくとも1つの消費装置46に供給するように構成された供給回路40とを備えている。タンク20のブランケット42内のこの天然ガスは、タンク20内に液体状態で貯蔵された天然ガスの自然蒸発に基づき生じる。
【0041】
供給回路40は、蒸気状態の天然ガスの温度および圧力を高めるように構成された圧縮機44を備えており、これによって、この天然ガスが、浮体構造物に設けられた少なくとも1つの燃料消費装置46の要求に準拠した圧力および温度条件にもたらされる。一例として、少なくとも1つの燃料消費装置46は、DFDE型(Dual Fuel Diesel Electric)の原動機発電機であってよく、これは、浮体構造物または船舶の推進原動機、例えばME-GIまたはXDF原動機に動力伝達するように構成されたガス消費装置を意味している。当然ながら、これは本発明の一実施形態でしかなく、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々異なるガス消費装置が提供されてよい。
【0042】
圧縮機44は圧縮機構10によって冗長化されているため、この圧縮機構10が圧縮機44の故障を補償して、少なくとも1つの消費装置46、特に船舶の推進原動機へのガス供給を行い続けることができる。
【0043】
このような冗長化の結果、弁、例えば、冷媒回路4の低圧部分30に位置する第1の遮断弁50の使用も生じる。この第1の遮断弁50は、圧縮機構10内への冷媒の流入を阻害するように構成されている。類似して、冷媒回路は、この冷媒回路4の高圧部分13に設けられた第2の遮断弁51を備えている。この第2の遮断弁51の機能は、これが供給回路40で使用されるときに、圧縮機構10を冷媒回路の残りの部分から隔離することであり、これは、燃料を浮体構造物の少なくとも1つの消費装置46に供給することを意味している。
【0044】
供給回路40は、また、圧縮機44と圧縮機構10とから成るグループよりも下流および上流に設けられた弁52も備えている。これらの弁52は、タンク20のブランケット42から圧縮機44または圧縮機構10へのガス給送を管理するように構成されており、これによって、圧縮機44が供給回路40に割り当てられているのに対して、圧縮機構10は冷媒回路4に割り当てられている。これらの弁52およびパイプ53によって、上述したように、圧縮機44が故障しているときに、供給回路40に設けられた圧縮機構10を使用することが可能となる。
【0045】
供給回路40は、また、少なくとも1つの膨張装置15も備えている。この膨張装置15の機能は、消費装置46に送られるガスの圧力を減じることによって、この圧力を適合させることである。
【0046】
図3には、図4に概略的に示したような、天然ガスを輸送および/または貯蔵するための浮体構造物48のタンク20内に液体状態で貯蔵された天然ガスを処理するためのシステム52が示してある。
【0047】
天然ガス処理システム52は、図2に記載したような供給システム38と、本発明に係る圧縮システム2とを備えている。図3には、このような圧縮システム2を含む冷媒回路4の設計と、冷媒回路4と供給回路40との間の相互作用または冷媒回路4と少なくとも1つの天然ガス液化設備7との間の相互作用とが詳細に示してある。
【0048】
したがって、冷媒回路4は、上述したような少なくとも1つの圧縮機構10と、第1の熱交換器54と、膨張装置12、例えばジュール・トムソン弁と、第2の熱交換器56とを備えている。
【0049】
冷媒回路を通流する冷媒は、以下の組成、つまり、20~35%molの二窒素もしくは30~50%molのアルゴンまたは二窒素とアルゴンとの35~50%molの混合物と、35~55%molのメタンとを有しており、冷媒は、この冷媒の70~85%molにメタンならびに二窒素および/またはアルゴンの部分を含有しており、残りの部分は、少なくともエタンおよび/またはプロパンおよび/またはブタンおよび/またはエチレンおよび/またはプロピレンから成る炭化水素の混合物を含んでいる。この組成によって、天然ガスが処理装置内で有することができる温度で冷媒が状態を変化させることが可能となる。
【0050】
この冷媒の組成およびその成分の割合の例は、以下の配合表:
【表1】
の通りであってよい。
【0051】
燃料消費装置46の蒸気状態の天然ガスの要求に従って、天然ガス液化ユニット7は、タンク20から天然ガスのうちの、少なくとも消費装置46により消費されなかった部分の液化を提供する。
【0052】
他方、第2の熱交換器56は、冷媒回路4内の冷媒の蒸発を提供する。この第2の熱交換器56は、また、液化ユニット7を通流する天然ガスの液化をより容易にするために、液体状態の天然ガスの過冷却も提供する。この場合、過冷却された液体状態の天然ガスの部分が液化ユニット7に返送されて、返送パイプ84を通流する蒸気状態の天然ガスを冷却する。
【0053】
天然ガス処理システム52では、冷媒回路4は、液体状態または蒸気状態の天然ガスとカロリーを交換することができるユニットから成っている。
【0054】
特に、本発明では、液体状態の天然ガスが、室温で約-163℃の液化温度を有している。冷媒回路4を通流する冷媒の組成は、この温度に適しており、これによって、極低温にて、冷媒と、タンク20からの液体状態または蒸気状態の天然ガスとの間で生じる熱交換の効率が最適化される。
【0055】
上述したように、冷媒は、まず、圧縮機構10によって圧縮され、その後、冷媒回路4の高圧部分13を通流し、第1の熱交換器54を通る第1の通路64まで達する。
【0056】
この場合、第1の熱交換器54は少なくとも3つの通路を備えている。つまり、高圧下にある冷媒は、第1の通路64を通流し、低圧下にある冷媒は、第2の通路66を通流し、タンク20のブランケット42からの蒸気状態の天然ガスは、第1の熱交換器54の第3の通路58を通流する。
【0057】
第1の熱交換器54は凝縮器として働く。この第1の熱交換器54によって、冷媒が膨張装置12内に流入することに先だって、高圧部分13における冷媒の温度を低下させることが可能となる。この温度低下は、第1の熱交換器54の第1の通路64を通流する冷媒と、第1の熱交換器54の第3の通路58を通流する冷媒との間での熱交換によって生じる。この場合、第3の通路を、タンク20内に貯蔵された天然ガスの液体部分の自然蒸発に基づき生じた蒸気状態の天然ガスが移動する。
【0058】
第1の熱交換器54は、任意選択的には、冷媒回路4の高圧部分13と冷媒回路4の低圧部分30との間で熱交換を実施する内部熱交換器として少なくとも部分的に働くように構成されている。第1の熱交換器54の第1の通路64内の冷媒が、第2の通路66の冷媒に基づく冷熱と、タンク20のブランケット42からの蒸気状態の天然ガスに基づく冷熱とを取り込む。
【0059】
第1の熱交換器54の第1の通路64の出口では、冷媒回路4が膨張装置12に到達している。この膨張装置12では、冷媒が膨張させられ、その圧力が減じられ、これによって、その温度が-168℃~-180℃に低下する。
【0060】
その後、冷媒回路4は第2の熱交換器56の第1の通路68に到達し、この第1の通路68が、第2の熱交換器56の、ポンプ29によって液体状態の液化天然ガスが約-163℃の温度で通流する第2の通路70とカロリーを交換する。天然ガスは、冷媒よりも高い温度を有しているため、天然ガスが冷媒にカロリーを提供し、したがって、一部の冷熱を取り込む。冷媒が、蒸気状態にて約-162℃の温度で第2の熱交換器56の第1の通路68から流出するのに対して、液体状態の天然ガスは、第2の熱交換器56の第2の通路70の出口で測定すると、約-172℃の温度に過冷却されている。この状況では、第2の熱交換器56は蒸発器として働く。
【0061】
その後、冷媒回路4は第1の熱交換器54の第2の通路66に到達し、そこで、前述したように、冷媒は、第1の熱交換器54の第1の通路64を通流する冷媒からカロリーを取り込む。
【0062】
したがって、冷媒は、実質的に蒸気状態で第1の熱交換器54の第2の通路66から流出する。その後、冷媒は-30℃~45℃の温度となり、圧縮機構10に向かって流れる。
【0063】
有利には、冷媒回路4は少なくとも1つの蓄積装置72を備えていてよい。この蓄積装置72は、第1の熱交換器54の第2の通路66と圧縮機構10の入口との間に位置していて、二相状態74または蒸気状態76にある冷媒用の蓄積ゾーンを成して、蒸気状態の冷媒76だけを圧縮機構10に送るように構成されている。
【0064】
圧縮機44により圧縮された蒸気状態の天然ガスは、返送パイプ84を介してタンク20に返送されてよい。返送パイプ84は、蒸気状態の天然ガスを液化ユニット7に搬送する。この液化ユニット7は熱交換器60を備えている。この熱交換器60の機能は、蒸気状態の天然ガスを冷却して、タンク20への返送前に液化することである。そうするために、この熱交換器60は、供給回路40から蒸気状態の天然ガスが流れる第1の通路86を備えている。この第1の通路86は、第2の熱交換器56による冷却後に液体状態の天然ガスが流れる第2の通路88と熱交換を行う。こうして、蒸気状態の天然ガスが液体状態に戻り、タンク20に返送される。
【0065】
最後に、図4は、本発明に係る圧縮システム2を単独でもしくは図2に示したような供給システム38と組み合わせてまたは図3に示したような天然ガスを処理するためのシステム52に統合して船積みすることができる浮体構造物48の破断図である。
【0066】
浮体構造物48は、この浮体構造物48のハル78内に組み付けられた天然ガス貯蔵タンク20を備えている。このタンク20は、少なくとも1つの一次防水メンブレンと、二次防水メンブレンと、一次防水メンブレンと二次防水メンブレンとの間および二次防水メンブレンとハルとの間にそれぞれ位置する2つの断熱バリアとのセットから成っている。
【0067】
浮体構造物48の上側の甲板に位置する荷積みおよび/または荷卸しパイプ80は、適切なコネクタによって海事または港湾ターミナル82に接続されており、これによって、液体状態の天然ガス貨物をタンク20から移送することができるかまたはタンク20に移送することができる。
【0068】
上記に基づき自明であるように、本発明は、冷媒により封止された支持体を備えた圧縮システム2を提案している。この封止体からの漏れは変速装置にて回収され、その後、冷媒回路に返送される。この圧縮システムは、消費機器の供給システム、より一般的には、船舶が具備する天然ガス処理システムに統合されている。
【0069】
本発明は、本明細書に記載しかつ図示した手段および構成に限定されるものではなく、任意の同等の手段および構成ならびにこのような手段の技術的に有効な任意の組合せも含んでいなければならない。特に、熱交換器の数が変更されてよい。この場合、処理システムが、本明細書に記載した機能と同じ機能を最終的に果たす限り、第1の熱交換器は複数の熱交換器に分割されてよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】