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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】インサートを有するグレージング
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60J1/00 G
B60J1/00 H
C03C27/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519764
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2022078591
(87)【国際公開番号】W WO2023062169
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】21202708.0
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21218422.0
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】レマクル, サーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヒック, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サルミ, ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ダルデンヌ, グザヴィエ
【テーマコード(参考)】
4G061
【Fターム(参考)】
4G061AA03
4G061AA25
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CD03
4G061CD18
(57)【要約】
グレージング(100)は、本体(110)であって、外面(114)と、外面(114)と反対側に配置される内面(112)と、本体(110)の外面(114)から内面(112)まで延在する切り欠き(126)を画定する縁部とを有する本体(110)を含む。グレージング(100)は、切り欠き(126)の形状を有するインサート(140)であって、本体(110)に結合され、且つ切り欠き(126)の内側に配置され、インサート(140)の少なくとも外面(142)は、本体(110)の外面(114)と同一平面である、インサート(140)も含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(110)であって、外面(114)と、前記外面(114)と反対側に配置される内面(112)と、前記本体(110)の前記外面(114)から前記内面(112)まで延在する切り欠き(126)を画定する縁部とを有する本体(110)と、
前記切り欠き(126)の形状を有するインサート(140)であって、前記本体(110)に結合され、且つ前記切り欠き(126)の内側に配置され、前記インサート(140)の少なくとも外面(142)は、前記本体の前記外面(114)と同一平面である、インサート(140)と
を含むグレージング。
【請求項2】
前記インサート(140)の内面(144)は、前記本体(110)の前記内面(112)と同一平面である、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項3】
前記グレージングは、前記インサート(140)の内面(144)に配置される反射防止層(170)を更に含む、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項4】
前記グレージングは、前記インサート(140)に配置されるブラックプリント(160)を更に含み、前記ブラックプリント(160)は、少なくとも1つのセンサー(300)のための少なくとも1つの透明ゾーン(164)を画定する少なくとも1つの開口部(162)を画定する、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項5】
前記グレージングは、少なくとも1つのセンサー(300)を支持するために前記インサート(140)に装着され、且つ前記インサート(140)の内面(144)に面して配置されるブラケット(180)を更に含む、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項6】
前記インサート(140)は、赤外線透過ガラスで作られる、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項7】
前記インサート(140)と前記本体(110)の赤外線エネルギー透過率は、20%超だけ異なる、請求項6に記載のグレージング(100)。
【請求項8】
前記インサート(140)は、前記本体(110)に接着結合される、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項9】
前記インサート(140)を前記本体(110)に結合するための接着剤(400)は、制振材料で作られる、請求項8に記載のグレージング(100)。
【請求項10】
前記インサート(140)は、前記インサート及び前記本体の接合部に熱可塑性エラストマー又はポリウレタン材料を注入することにより、前記本体(110)に結合される、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項11】
前記グレージングは、前記インサート(140)の前記外面(142)に配置される撥水層を更に含む、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項12】
前記グレージングは、車両のためのフロントガラス(102)である、請求項1に記載のグレージング(100)。
【請求項13】
前記インサート(140)は、積層ガラスで作られる、請求項12に記載のグレージング(100)。
【請求項14】
前記縁部は、前記車両のルーフに近接して且つそれに沿って配置されるように適合される前記本体(110)の第1の縁部(116)であり、及び
前記切り欠き(126)は、前記第1の縁部(116)の実質的に中央に画定され、前記インサート(140)は、前記車両のリヤビューミラーを支持するように適合される、請求項12に記載のグレージング。
【請求項15】
フロントガラス(102)を製造する方法であって、
インサート(140)の外面(142)が本体(110)の外面(114)と同一平面であるように、前記インサート(140)を前記本体(110)の切り欠き(126)の内側に位置決めするステップであって、前記切り欠き(126)は、前記本体(110)の縁部によって画定され、且つ前記本体(110)の前記外面(114)から前記本体(110)の内面(112)まで延在する、ステップと、
前記インサート(140)を前記本体(110)に結合するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記インサートを前記本体に結合するステップは、前記インサート(140)及び前記本体(110)の接合部(186)に接着剤(400)を塗布して、前記インサート(140)を前記本体(110)に接着結合するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記インサート(140)を前記本体(110)に結合するステップは、前記インサート(140)及び前記本体(110)の接合部(186)に熱可塑性エラストマー又はポリウレタン材料を射出成形するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ブラケット(180)を前記インサートに装着するステップを更に含み、前記ブラケット(180)は、前記インサート(140)の内面(144)に面して配置される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ブラケット(180)を装着するステップは、
前記インサート(140)及び前記本体(110)の接合部(186)に沿って前記ブラケット(180)の端部(182)を位置決めするステップと、
前記ブラケット(180)の前記端部(182)を前記接合部(186)に結合するステップと
を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、グレージングに関する。より詳細には、本開示は、本体と、本体に結合されたインサートとを有し、様々なセンサーのグレージングへの容易な統合を促進するのに適したグレージングに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車両は、通常、例えば交通標識又は車両の周りの物体(例えば、道路ユーザ若しくは道路上の障害物)の位置及び速度を認識する、交通監視のためのセンサーを備える。現在、主に光学カメラ、レーダーシステム又はライダーシステムがこの目的のために使用され、一般的に車両のフロントガラスの後部又はバンパー内に装着される。しかし、このようなセンサーのフロントガラスへの統合は、フロントガラスの製造の複雑さを増加させる。更に、このようなセンサーの視認能力を強化及び改善するために、様々な反射防止コーティング及び撥水コーティングがフロントガラスの内面及び/又は外面に塗布され得、これによりフロントガラスのコストが増加し、望ましくない。
【発明の概要】
【0003】
従って、本開示の第1の態様は、グレージングのコストを削減しながら、様々なセンサー、例えば、限定されないが、視覚センサー、赤外線センサー、環境センサーなどのグレージングへのシームレスな統合を容易にするグレージングを提供することである。
【0004】
従って、本発明は、本体であって、外面と、外面と反対側に配置される内面と、本体の外面から内面まで延在する切り欠きを画定する縁部とを有する本体を含むグレージングに関する。グレージングは、切り欠きの形状、より詳細には切り欠きと同じ形状を有するインサートも含む。インサートは、本体に結合され、且つ切り欠きの内側に配置される。インサートの少なくとも外面は、本体の外面と同一平面である。
【0005】
態様は、グレージングの全体的なコストを削減するために2つの構成要素で作られたグレージングを提供することである。
【0006】
別の態様は、大きいガラス片でなく、小さいガラス片でより簡単に実行できるため、付加価値をインサート部品に集中させることである。
【0007】
上述の問題の少なくとも一部は、請求項1に記載のグレージングによって解決される。
【0008】
従って、本発明は、本体であって、外面と、外面と反対側に配置される内面と、本体の外面から内面まで延在する切り欠きを画定する縁部とを有する本体を含むグレージングに関する。グレージングは、切り欠きの形状を有するインサートも含む。インサートは、本体に結合され、且つ切り欠きの内側に配置される。インサートの少なくとも外面は、本体の外面と同一平面である。
【0009】
従って、センサー(カメラ、ライダー、赤外線センサー、レイン及び光センサーなど)、更にミラーボタンに続くことが想定されるインサートは、残りのグレージングから分離され、塗料の塗布、保護のためのブラックバンド及び美的視点に関して、この部品のより容易な取り扱いを可能にする。
【0010】
本発明の実施形態によれば、同一平面の機械的接合部がインサートと残りのグレージングとの間に設けられる。
【0011】
幾つかの実施形態では、インサートの内面は、本体の内面と同一平面である。
【0012】
機械的及び美的理由のため、インサートの内面及び外面は、本体の内面及び外面と同一平面である。
【0013】
本発明の別の有利な実施形態によれば、グレージングは、インサートのみに配置された撥水層を有する。
【0014】
本発明の別の有利な実施形態によれば、雨天状態中に適切なセンサー動作を保証するために、インサート外面に集まる水滴を防止する疎水性層をインサートに塗布し得る。このような撥水コーティングは、例えば、表面エネルギーを減少させ、効果の中でもとりわけ自己洗浄能力、防汚特性及び改良された吸湿性を与えるフッ素重合体の薄い分子層で構成可能である。
【0015】
従って、インサートのみに撥水層を設置することにより、グレージング上の光学的ひずみ及びこのようなインサートを含むグレージングを製造するコストをよりよく制御する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、インサートのみに配置/配設される反射防止層を有するグレージングを提供することである。幾つかの実施形態では、グレージングは、インサートの内面に配置される反射防止層を含む。反射防止層は、インサートの外面に配置され得ることが理解される。
【0017】
本発明による反射防止層は、例えば、低屈折率を有する多孔質シリカに基づく層であり得るか、又は幾つかの層(スタック)、特に低屈折率及び高屈折率を有する層を交互させ、低屈折率を有する層で終わる誘電材料の層のスタックで構成され得る。このようなコーティングをインサートの外面/内面に設け得る。織り目加工ガラス板がインサートの一部でもあり得る。その上、反射を回避するために、エッチング又はコーティング技法を使用し得る。好ましくは、処理面の反射は、関連する波長範囲内で少なくとも1%から減少し、好ましくは両面に塗布する場合に少なくとも2%から減少する。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による反射防止層は、例えば、イオン注入技法によって付着された屈折率勾配層に基づく層であり得る。本発明の別の実施形態によれば、上述の反射防止層の組み合わせをカバーレンズの外面/内面に設け得る。好ましくは、層は、PVD(ソフトコーティング)によって付着される。従って、赤外線範囲でも反射防止機能を示す、可視範囲における反射コーティングを有することが可能であり得る。
【0019】
撥水に関して、インサートのみに層を設置することにより、よりよい光学性能を有することが可能になる。
【0020】
他の適切で有利な機能を本発明のインサートのガラス板に追加することができ、特に支援機能を与え、センサーの優れた動作を更に高めることができる。それらの支援機能は、例えば、破損、塵埃、汚れ、雨などに対する統合検出機能との結合又は傷、眩光、汚れ、塵埃、塗料などを防止する追加の保護層であり得る。専用フィルターを偏光、位相又はスペクトル識別のために統合することもできる。
【0021】
本発明の別の有利な実施形態によれば、外部動作状態が好ましくない場合、インサートが迅速に霜を除去するか又は曇りを除去することができる加熱システムにインサートを結合し得る。このような加熱システムは、適切な電力供給を加えることができるインサート面に直接塗布された導線網、導電性パッチ又は代わりに銀印刷網で構成可能である。任意選択的に、システムは、必要に応じて、加熱機能を動的に起動及び制御する温度センサーを含むこともできる。
【0022】
本発明の有利な実施形態によれば、優れたレベルの動作性能を保証しながら、センサーの非美的要素を外部から隠すために、少なくとも1つの赤外線透過吸収(色付き)及び/又は反射コーティングをガラス板に塗布することができる。このコーティングは、例えば、ブラックフィルムの少なくとも1つの層又は可視光範囲で透過率を有しない(又は非常に低い透過率を有する)が、用途に対して関心のある赤外線範囲で高透明度を有するブラックプリントの層で構成され得る。
【0023】
本発明の実施形態によれば、グレージングは、様々なセンサーに面して配置されたグレージングのインサートに配置されたブラックプリントを有する。センサー、接着剤などのマスキング(及び保護)は、一般的に、ブラックバンド(例えば、ブラックエナメル、黒塗料、黒い中間層など)を使用することによって作られる。一般的に、グレージングの製造工程中にブラックバンドを塗布する。フロントガラスの場合、特にセンサーを適用することが想定される場所に光学的ひずみを引き起こすことがある。
【0024】
幾つかの実施形態では、グレージング、より詳細には自動車用グレージングは、インサートに配置されたブラックプリントを含む。
【0025】
幾つかの実施形態では、ブラックプリントは、インサートの内面に配置される。
【0026】
従って、本発明により、インサートを残りのグレージングと無関係に取り扱い得、その結果、この領域で光学的ひずみをよりよく制御し、且つ/又は光学性能を高め、更に必要な領域、即ちセンサーが存在するゾーンのみで幾つかの機能(例えば、反射防止機能、撥水機能など)を適用する。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、グレージングは、自動車用グレージングである。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、グレージングは、フロントガラスである。
【0029】
幾つかの実施形態では、インサートは、互いに面して配置された第1のガラス層及び第2のガラス層を有する積層ガラスで作られ、ブラックプリントは、第1のガラス層と第2のガラス層との間に配置される。積層インサートが自動車用グレージングの一部、より詳細にはフロントガラスの一部である場合、積層インサートが特に有用である。フロントガラスが積層グレージングである場合、好ましくは、インサートは、本体と同じ厚さを有する。好ましくは、インサートは、インサート材料及びインサートを積層するために使用される中間層に関して同じ組成を有する。しかし、インサートは、異なる材料で作ることができる。インサートは、第1のガラス板及びプラスチック材料の積層体であり得る。積層インサートのコストが削減され得る。
【0030】
幾つかの実施形態では、ブラックプリントは、少なくとも1つのセンサーのための少なくとも1つの透明ゾーンを画定する少なくとも1つの開口部を画定する。一般的な自動車用グレージングに関して、フロントガラスの周囲において、少なくとも1つのセンサーを設けるゾーン(「カメラゾーン」とも呼ばれる)にブラックプリントを設ける。カメラゾーンにおけるブラックプリントは、カメラが可視範囲で見ることができるセンサーの視野のための開口部を設けられる。
【0031】
幾つかの実施形態では、ブラケットは、少なくとも1つのセンサーを支持するためにインサートに装着され、且つインサートの内面に面して配置される。
【0032】
ブラケットは、グレージングのインサートと本体との間の密封を維持及び/又は保証するのに役立ち得る。実際に、フロントガラスの場合、少なくとも1つのセンサーを支持することが想定されるブラケットをインサートに機械的に固定し得る。
【0033】
幾つかの実施形態では、インサートは、赤外線透過ガラスで作られる。
【0034】
本発明によれば、ガラス板は、750nm~1650nmの波長範囲で15m-1未満の吸収係数を有する特徴を有する異なるカテゴリーに属し得るガラスで作られる。従って、ガラスは、ソーダ石灰シリカ型ガラス、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩などであり得る。
【0035】
好ましくは、高レベルの近赤外放射線透過率を有するガラス板は、超透明ガラスである。
【0036】
好ましくは、本発明の基礎ガラス組成は、下記のようにガラスの重量パーセントで表される全含有率を含む。
SiO 55~85%
Al 0~30%
0~20%
NaO 0~25%
CaO 0~20%
MgO 0~15%
O 0~20%
BaO 0~20%
【0037】
幾つかの実施形態では、インサートと本体の赤外線(IR)エネルギー透過率は、20%超だけ異なる。IR透過率は、グレージングの後部、特にインサートの後部に配置されたセンサーに関する重要なパラメータである。従って、好ましくは、インサートは、本体よりも高いIRエネルギー透過率(IR透過率とも呼ばれる)を有する。
【0038】
幾つかの実施形態では、インサートは、本体に接着結合される。例えば、インサートは、例えば、ポリウレタン又はシリコーンで作られた材料によって本体に結合され得る。次に、接合材料を例えばインサートと本体との間に注入し、2つの部品(インサート及び本体)を一緒に固定する。
【0039】
幾つかの実施形態では、インサートを本体に結合するための接着剤は、制振材料で作られる。制振材料は、振動を吸収するのに十分に軟質である接着材料であり得る。制振材料は、シリコーン又は同じ特性(例えば、粘弾性)を有する材料であり得る。
【0040】
幾つかの実施形態では、インサートは、インサート及び本体の接合部に熱可塑性エラストマーを注入することによって本体に結合される。従って、熱可塑性エラストマーは、密封も保証しながら、インサート及び本体の接合を保証する。
【0041】
幾つかの実施形態では、縁部は、車両のルーフに近接して且つそれに沿って配置されるように適合される本体の第1の縁部であり、及び切り欠きは、第1の縁部の実質的に中央に画定され、インサートは、車両のリヤビューミラーを支持するように適合される。
【0042】
本開示の態様によるフロントガラスを製造する方法が開示される。方法は、インサートの外面が本体の外面と同一平面であるように、インサートを本体の切り欠きの内側に位置決めするステップであって、切り欠きは、本体の縁部によって画定され、且つ本体の外面から本体の内面まで延在する、ステップを含む。方法は、インサートを本体に結合するステップを更に含む。
【0043】
幾つかの実施形態では、インサートを本体に結合するステップは、インサート及び本体の接合部に接着剤を塗布して、インサートを本体に接着結合するステップを含む。
【0044】
幾つかの実施形態では、インサートを本体に結合するステップは、インサート及び本体の接合部に熱可塑性エラストマーを射出成形するステップを含む。
【0045】
幾つかの実施形態では、方法は、ブラケットがインサートの内面に面して配置されるように、ブラケットをインサートに装着するステップを更に含む。
【0046】
幾つかの実施形態では、ブラケットを装着するステップは、インサート及び本体の接合部に沿ってブラケットの端部を位置決めするステップと、ブラケットの端部を接合部に結合するステップとを含む。従って、ブラケットは、センサーを支持する役割を保証し、密封の役割も保証し、組立体の安定性を高める。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、インサート及び本体の接合部に沿ってブラケットの端部を位置決めし、ブラケットの端部を接合部に結合することによってブラケットが装着され、ブラケットの端部は、接合部及び本体の一部と重なる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、ブラケットの端部は、インサートと本体との間の接合部の強度を増加するために、本体上で5mm~10mm延在する。
【0049】
より好ましくは、本体と接触するブラケットの端部は、例えば、熱可塑性材料、より詳細には熱可塑性エラストマー材料を注入し、インサート、本体及びブラケット間の柔軟な接続に達する凹部を含む。この「柔軟な接続」をもたらす任意の材料を使用し得ることが理解される。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「含む/含んでいる/構成される」は、記載の特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素又はこれらの群の存在又は追加を排除しないと解釈されることが強調されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
以下では、本開示について、添付図によって示す実施形態を参照してより詳細に説明する。図示の実施形態は、例のためにのみ使用され、本開示の範囲を限定するために使用されるべきでないことが強調されるべきである。
【0052】
図1】車両に装着されたフロントガラスとしてのグレージングの断面図を示す。
図2】本体から分離されたインサートを示す、図1のフロントガラスの分解図を示す。
図3】本体の切り欠きの内側に配置されたインサートを示す、図1のフロントガラスの組立図を示す。
図4】インサートの内面に配置され、少なくとも1つの開口部を画定するブラックプリントを示す、フロントガラスの一部の拡大図を示す。
図5】インサートの様々な層を示す、インサートの断面図を示す。
図6】本発明の一実施形態によるブラケットを用いて車両に装着されたフロントガラスとしてのグレージングの概略三次元図を示す。
図7】本発明の一実施形態によるブラケットを用いて車両に装着されたフロントガラスとしてのグレージングの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1を参照すると、車両の本体200に装着されたフロントガラス102としてのグレージング100が示されている。グレージング100をフロントガラス102として示して考えるが、グレージング100を車両の窓、建物の窓などとして使用し得ることが分かる。グレージング100は、車両、建設機械、土工機械などの後部ライト、サイドライト及びパノラマルーフも含み得る。
【0054】
図1及び図2に例示のように、フロントガラス102は、車両の内部に面して配置された内面112及び内面112と反対側に配設され、車両の外部に面して配置された外面114を有する本体110を含む。更に、本体110は、上縁部116、上縁部116と反対側に配設された下縁部118及び上縁部116から下縁部118まで延在し、互いに離れて配置され、互いに面する1対の側縁部120、122を含む。縁部、例えば本体110の上縁部116は、本体110の外面114から内面112まで延在し、フロントガラス102の横方向に実質的に中央に設置された切り欠き126を画定する。
【0055】
実施形態では、本体110は、本体110の外面114を画定する第1のガラス層130(即ち外ガラス層130)と、本体110の内面112を画定する第2のガラス層132(即ち内ガラス層132)と、第1のガラス層130と第2のガラス層132との間に挟まれ、プラスチックで作られた中間層134とを有する積層ガラスを含み得る。実施形態では、中間層134は、ビニル層である。積層ガラスで作られた本体110を示して考えるが、本体110を強化ガラス、焼き戻しガラス又は当技術分野で知られている任意の他の適切なガラスで作り得ることが想定される。本体110は、透明材料で作られ、透明材料(例えば、ガラス)の種類は、グレージング100を利用する用途又は領域に左右され得ることが分かる。
【0056】
更に、フロントガラス102(即ちグレージング100)は、本体110の切り欠き126の内側に配置され、本体110に結合されたインサート140を含む。インサート140を本体110に接着結合し得る。実施形態では、接着剤400は、熱接着剤、片面接着テープ又は両面接着テープであり得る。接着剤400は、振動減衰材料を含み得る。幾つかの実施形態では、インサート及び本体110の接合部に熱可塑性エラストマーを射出成形することにより、インサート140を本体110に結合し得る。幾つかの実施形態では、熱可塑性エラストマーは、ポリウレタンであり得る。図1に示すように、インサート140の外面142は、本体110の外面114と同一平面であり、インサート140の内面144は、本体110の内面112と同一平面である。幾つかの実施形態では、インサート140の外面142のみが本体110の外面114と同一平面であり得る。従って、インサート140の内面144及び本体110の内面112は、フロントガラス102の内面を一緒に画定する一方、本体110の外面114及びインサート140の外面142は、フロントガラス102の外面を一緒に画定する。また、本体110の上縁部116及びインサート140の上縁部146は、車両のルーフに近接して配置されたフロントガラス102の上縁部を一緒に画定し、車両のルーフに装着され得る。更に、本体200の側縁部120、122が車両の2つのピラーに接続される。
【0057】
例示の実施形態では、図1及び図5に最もよく示すように、インサート140は、内ガラス層150と、外ガラス層152と、外ガラス層152と内ガラス層150との間に配置され、挟まれた中間プラスチック層154とを有する積層ガラスで作られる。積層ガラスで作られたインサート140を考えるが、インサート140は、任意の他のガラス、例えば、限定されないが、焼き戻しガラス、強化ガラス又はグレージング100の応用分野に基づく任意の他の適切なガラスで作られ得る。例えば、実施形態では、グレージング100を建物の窓のために使用する場合、インサート140を強化ガラスで作ることができる。幾つかの実施形態では、インサート140は、ガラス以外の透明材料、例えば、限定されないが、ポリカーボネートで作ることができる。インサート140を本体110の材料と異なる材料で作り得ることが分かる。このような場合、インサート140の材料と本体110の材料との間の熱膨張間の差が許容限界の範囲内にあるように、インサート140及び本体110を選択する。実施形態では、インサート140は、赤外線透過ガラスで作られ得る。幾つかの実施形態では、インサート140の赤外線光透過率は、20%超だけ本体110の赤外線光透過率と異なり得る。幾つかの実施形態では、インサート140の赤外線光透過率は、本体110の赤外線光透過率の20%を超える。また、例示の実施形態では、インサート140の位置、従ってリヤビューミラーをフロントガラス102に装着する位置に対応する切り欠き126を選ぶ/選択する。
【0058】
更に、図3に最もよく示すように、フロントガラス102は、インサート140に配設され、インサート140の少なくとも一部を覆うブラックプリント160を含み得る。例示の実施形態では、ブラックプリント160をインサート140の内面144に配置/配設する。従って、内ガラス層150は、ブラックプリント160と中間プラスチック層154との間に挟まれる。しかし、ブラックプリント160をインサート140の外面142又はプラスチック層154と内ガラス層150との間に配置し得ることが想定される。幾つかの実施形態では、ブラックプリント160を外ガラス層152とプラスチック層154との間に配設し得る。また、インサート140を単一材料で作る場合、ブラックプリント160は、内面144に配置されることが分かる。図4に示すように、ブラックプリント160は、ブラックプリント160の全厚を貫通する少なくとも1つの開口部162を画定し得る。従って、少なくとも1つの開口部162は、視覚センサー300による周囲の視認を可能にするために、インサート140の内面144に面して配置された視覚センサー(例えば、カメラ300)のための少なくとも1つの透明ゾーン164を画定する。
【0059】
更に又は任意選択的に、図5に示すように、フロントガラス102(即ちグレージング100)は、インサート140の内面144の少なくとも一部に配置された反射防止層170を含み得る。幾つかの実施形態では、反射防止層170は、ブラックプリント160の少なくとも1つの開口部162(即ち少なくとも1つの透明ゾーン164)に対応するインサート140の内面144の領域に配設される。更に、インサート140上の水滴の蓄積を防止し、雨天又は霧状態中にインサート140の優れた透明度を維持するために、フロントガラス102は、インサート140の外面142に配置された撥水層172を含み得る。グレージング100(即ちフロントガラス102)を2つの別々の構成要素で作るため、撥水層172をインサート140のみに塗布し、これによりグレージング100(即ちフロントガラス102)の全体的なコストを削減し得る。
【0060】
幾つかの実施形態では、図1を再び参照すると、フロントガラス102は、インサート140の内面144に面して配置され、フロントガラス102に装着された少なくとも1つの端部を有するブラケット180を含み得る。例示の実施形態では、ブラケット180の第1の端部182をインサート140に装着し、インサート140及び本体110の接合部186に設置する一方、ブラケット180の第2の端部184を車体200に装着する。しかし、ブラケット180の第2の端部184をインサート140の上縁部146に装着し得ることが分かる。また、幾つかの実施形態では、第1の端部182は、インサート140及び本体110の接合部186に近接した位置で本体110に装着され得る。ブラケット180は、少なくとも1つのセンサー(例えば、カメラ300)及びセンサーに関連する他のエレクトロニクスを支持及び収容/収納するように適合される。センサーは、視覚センサー、赤外線センサー、超音波センサー、アンテナ、環境センサーなどであり得る。更に又は任意選択的に、フロントガラスは、加熱要素を含み得る。幾つかの実施形態では、加熱要素は、インサート140内に埋め込まれた薄膜ヒーターである。
【0061】
ここで、フロントガラス102を製造する方法について説明する。方法は、内面112と、外面114と、切り欠き126を画定する縁部116とを有する本体110を設けるステップを含む。図示のように、切り欠き126は、本体110の上縁部116から本体110の下縁部118まで延在し、リヤビューミラーをフロントガラス102に装着する位置に対応する横方向に本体110の実質的に中央に設置される。更に、方法は、切り欠き126と同一の形状及びサイズを有するインサート140を設けるステップを含む。続いて、方法は、インサート140の上縁部146が本体110の上縁部116に整列し、上縁部116、146がフロントガラス102の上縁部を一緒に画定し、インサート140の外面142が本体110の外面114と同一平面であるように、インサート140を切り欠き126の内側に位置決めするステップを含む。その後、方法は、インサート140を本体110に結合するステップを含む。そのようにする場合、実施形態では、接着剤400をインサート140及び本体110の接合部/界面186に塗布し、インサート140を本体110に接着結合する。接着剤を接合部186に注ぐことにより、接着剤400を塗布し得る。幾つかの実施形態では、接着テープ400を使用することにより、インサート140を本体110に接着結合し得る。接合部を通る塵、水及び/又は湿気の漏れを防止する接着性に加えて、適切な密封特性を有するように接着剤400を選択し得ることが分かる。場合により、接着剤400を接合部186に注入することにより、接着剤400を塗布し得る。幾つかの実施形態では、接着剤400は、振動減衰特性を与えるシリコンを含み得る。
【0062】
幾つかの実施形態では、インサート140及び本体110の接合部186に熱可塑性エラストマーを射出成形することにより、インサート140及び本体110を一緒に結合する。そのようにする場合、熱可塑性重合体、例えば、限定されないが、ポリウレタン、ゴムなどを接合部186に射出成形するのを容易にする適切な金型を利用し得る。実施形態では、インサート140を本体110に結合するためにシリコンを利用し得る。幾つかの実施形態では、インサート140を本体110に結合するために機械的締結具を使用し得る。幾つかの実施形態では、インサート140及び本体110は、本体110及びインサート140の結合を容易にする溝及び舌型構成を含み得る。
【0063】
幾つかの実施形態では、方法は、ブラケット180を本体110及び/又はインサート140に結合するステップも含み得る。そのようにする場合、ブラケット180をインサート140の内面144に面して位置決め/配置し、ブラケット180の端部(例えば、第1の端部182)を本体110及びインサート140の接合部186に整列させる。幾つかの実施形態では、インサート140を本体110に装着する前に、第1の端部182を接合部186に整列させる。続いて、接着剤400又は任意の他の適切な材料(例えば、ポリウレタン、シリコン、熱可塑性重合体など)を接合部186に塗布し、インサート140、本体110及びブラケット180の第1の端部182を結合する。幾つかの実施形態では、インサート140及び本体110を結合した後、第1の端部182を接合部186に整列及び結合する。幾つかの実施形態では、第1の端部182を接合部186に装着する代わりに、端部182を接合部186に近接した位置で本体110に装着し得る。また、ブラケット180の他の端部184をインサート140、本体110又は車体200(図1に示す)に装着し得る。更に、インサート140を本体110に結合する前に、ブラックプリント160、反射防止層170及び撥水層172の1つ又は複数をインサート140に塗布し得る。
【0064】
幾つかの実施形態では、図5及び図6を参照すると、フロントガラス102は、インサート140の内面144に面して配置され、フロントガラス102に装着された少なくとも1つの端部を有するブラケット180を含み得る。例示の実施形態では、ブラケット180の第1の端部182(=ブラケットの下端部)をインサート140に装着し、インサート140及び本体110の接合部186に設置する一方、ブラケット180の第2の端部184を車体(200)に装着する。この実施形態では、ブラケット180の第2の端部184をインサート140の上縁部146に装着する。この実施形態では、第1の端部182をインサート140及び本体110の接合部186に近接した位置で本体110に装着する。1つの特定の実施形態によれば、ブラケット180の第1の端部182を、インサート140の接合部186に近接した位置において、特に接合部186から(接合部の上端部又は下端部から)5mm~10mmの距離で本体110に装着する。従って、本体110の上でブラケット180の第1の端部182の位置を拡大することにより、インサートと本体との間の接合部186の強度を増加する。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、ブラケット180の第1の端部182及び第2の端部184は、凹部190を設けられる。従って、凹部190内に例えば熱可塑性材料、より詳細には熱可塑性エラストマー材料191を注入し、インサート140、本体110及びブラケット180間の柔軟な接続に達する。この「柔軟な接続」をもたらす任意の材料191を使用し得ることが理解される。
【0066】
ブラケット180は、少なくとも1つのセンサー(例えば、カメラ300)及びセンサーに関連する他のエレクトロニクスを支持及び収容/収納するように適合される。センサーは、視覚センサー、赤外線センサー、超音波センサー、アンテナ、環境センサーなどであり得る。更に又は任意選択的に、フロントガラスは、加熱要素を含み得る。幾つかの実施形態では、加熱要素は、インサート140内に埋め込まれた薄膜ヒーターである。
【0067】
ここで、本発明の一実施形態によるフロントガラス102を製造する方法について説明する。上述のように、一緒に本体110及びインサート140を設けて結合/固定するステップに加えて、方法は、ブラケット180を本体110及び/インサート140に結合することにより、ブラケット180の固定を強化するステップを含む。そのようにする場合、ブラケット180をインサート140の内面144に面して位置決め/配置し、ブラケット180の端部(例えば、第1の端部182)を本体110及びインサート140の接合部186に整列させる。端部182を接合部186に近接した位置で本体110に装着し得る。好ましい実施形態では、端部182を接合部186から5mm~10mmの距離で本体110に装着する。本発明の一実施形態によれば、ブラケット180の第1の端部182及び第2の端部184は、凹部190を設けられる。従って、凹部190内に例えば熱可塑性材料、より詳細には熱可塑性エラストマー材料191を注入するか又は注ぎ、インサート140、本体110及びブラケット180間の柔軟な接続に達する。この「柔軟な接続」をもたらす任意の材料191を使用し得ることが理解される。本体110及びインサート140が材料要素(例えば、接着剤400)によって結合された後、ブラケットを装着し得る。続いて、接着剤400又は任意の他の適切な材料(例えば、ポリウレタン、シリコン、熱可塑性重合体など)を接合部186に塗布し、インサート140、本体110及びブラケット180の第1の端部182を結合する。幾つかの実施形態では、インサート140及び本体110を結合した後、第1の端部182を接合部186に整列及び結合する。
【0068】
図及び上述の本明細書は、単純及び概略的な方法で実施形態の例を示していることに留意されたい。当業者は、これらの機械的な詳細に精通しているはずであり、詳細が本明細書を不必要に複雑にするため、特定の機械的な詳細の多くは、示されていない。例えば、当業者は、本開示によるグレージング(即ちフロントガラス)を製造するための適切な材料を見出し得ると主張されるため、使用される特定の材料は、詳細に説明されない。
【0069】
更に、図は、当業者が理解することができる追加の特徴を示す。従って、これらの追加の特徴は、ここで詳細に説明されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】