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特表2024-537083電磁波ノイズデータを提供するアクティブ補償装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電磁波ノイズデータを提供するアクティブ補償装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/09 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H03H7/09 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519796
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2022014718
(87)【国際公開番号】W WO2023055156
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0131005
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0121638
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521451086
【氏名又は名称】イーエム コアーテック
【氏名又は名称原語表記】EM CORETECH
【住所又は居所原語表記】106-504-1, 50, UNIST-gil, Eonyang-eup Ulju-gun Ulsan 44919 Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ジングク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン サンヨン
【テーマコード(参考)】
5J024
【Fターム(参考)】
5J024AA01
5J024CA06
5J024DA01
5J024DA26
5J024EA09
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つ以上の大電流経路のそれぞれにコモンモードで発生するノイズをアクティブに補償するアクティブ補償装置を提供する。前記アクティブ補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ信号に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号を入力されてデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に少なくとも基づいてノイズデータと増幅信号をそれぞれ生成し、前記ノイズデータと前記増幅信号を出力するIC部と、前記増幅信号に基づいて前記大電流経路から補償電流を引き出すか、または前記大電流経路上に補償電圧を発生させる補償部とを含む。前記ノイズデータは外部装置に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の大電流経路のそれぞれにコモンモードで発生するノイズをアクティブに補償するアクティブ補償装置において、
前記大電流経路上のコモンモードノイズ信号に対応する出力信号を生成するセンシング部と、
前記出力信号を入力されてデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に少なくとも基づいてノイズデータと増幅信号をそれぞれ生成し、前記ノイズデータと前記増幅信号を出力するIC部と、
前記増幅信号に基づいて前記大電流経路から補償電流を引き出すか、または前記大電流経路に補償電圧を発生させる補償部とを含み、
前記ノイズデータは外部装置に提供される、アクティブ補償装置。
【請求項2】
前記IC部は、
前記デジタル信号をアナログ信号に復旧させ、前記アナログ信号を増幅させて前記増幅信号を生成し、第1出力端子を介して前記増幅信号を出力する、
請求項1に記載のアクティブ補償装置。
【請求項3】
前記IC部は、
アナログデジタル変換部と、
前記出力信号を入力され、前記アナログデジタル変換部に使用可能な低電圧アナログ信号に減衰させる入力バッファとを含む、
請求項1に記載のアクティブ補償装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アクティブ補償装置に関し、2つの装置を連結する2つ以上の大電流経路上にコモンモードで発生するノイズ電流及び/またはノイズ電圧を補償するアクティブ補償装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家電用、産業用電気製品や電気自動車などの電気機器は、動作中にノイズを放出する。例えば、電子機器内の電力変換装置のスイッチング動作により、ノイズが電力線を介して放出される可能性がある。このようなノイズを放置すると、人体に有害であるだけでなく、周辺部品及び他の電子機器に誤動作または故障を引き起こす。このように、電子機器が他の機器に及ぼす電子障害を、EMI(Electromagnetic Interference)といい、その中でも、ワイヤ及び基板配線を経由して伝達されるノイズを導電性放出(Conducted Emission、CE)ノイズという。
【0003】
電子機器が周辺部品及び他の機器に故障を起こすことなく動作するようにするために、すべての電子製品でのEMIノイズ放出量を厳しく規制している。したがって、殆どの電子製品は、ノイズ放出量に対する規制を満たすために、EMIノイズ電流を低減するノイズ低減装置(例えば、EMIフィルタ)を必須として含む。例えば、エアコンなどの白色家電、電気自動車、航空、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)などには、EMIフィルタが必須として含まれる。従来のEMIフィルタは、導電性放出(CE)ノイズのうちコモンモード(Common Mode、CM)ノイズを低減するためにコモンモードチョーク(CM choke)を利用する。コモンモード(CM)チョークはパッシブフィルタであり、コモンモードノイズ電流を抑制する役割を果たす。
【0004】
一方、高電力/高電流システムにおいて、コモンモードチョークの磁気飽和を防止し、ノイズ低減性能を維持するためには、コモンモードチョークのサイズを大きくするか、数を増やさなければならない。これにより、高電力製品のためのEMIフィルタの大きさと価格が非常に増加するという問題が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、上述のパッシブEMIフィルタの欠点を克服するために、増幅器を含むアクティブEMIフィルタの開発に対する関心が高まっている。
【0006】
しかしながら、アナログ回路からなる増幅器を含むアクティブEMIフィルタの場合、EMIノイズを相殺した後、前記ノイズに関する情報を収集することが根本的に困難である。
【0007】
本発明は、前記のような問題点を改善するために案出されたものであり、EMIノイズをデジタルデータとして提供できるアクティブ補償装置を提供することを目的とする。
しかし、このような課題は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る少なくとも2つ以上の大電流経路のそれぞれにコモンモードで発生するノイズをアクティブに補償するアクティブ補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ信号に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号を入力されてデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に少なくとも基づいてノイズデータと増幅信号をそれぞれ生成し、前記ノイズデータと前記増幅信号を出力するIC部と、前記増幅信号に基づいて前記大電流経路から補償電流を引き出すか、または前記大電流経路上に補償電圧を発生させる補償部とを含み、前記ノイズデータは外部装置に提供することができる。
【0009】
一実施形態によれば、前記IC部は、前記デジタル信号をアナログ信号に復旧させ、前記アナログ信号を増幅させて前記増幅信号を生成し、第1出力端子を介して前記増幅信号を出力することができる。
【0010】
一実施形態によれば、前記IC部は、アナログデジタル変換部と、前記出力信号を入力され、前記アナログデジタル変換部に使用可能な低電圧アナログ信号に減衰させる入力バッファとを含むことができる。
【0011】
一実施形態によれば、前記アナログデジタル変換部は、前記低電圧アナログ信号から前記デジタル信号を生成するコンバータ回路と、前記ノイズデータの欠陥を低減するために前記デジタル信号を加工及び出力する構成とを含むことができる。
【0012】
一実施形態によれば、前記IC部は、前記デジタル信号を入力されてアナログ信号に復旧させるデジタルアナログ変換部と、前記アナログデジタル変換部の内部回路を制御するためのクロック信号を自ら生成するための電圧制御発振器とをさらに含むことができる。
【0013】
一実施形態によれば、前記IC部は1つのICチップからなり、前記1つのICチップは、前記センシング部の出力信号を入力される入力端子、前記増幅信号を出力する第1出力端子及び前記ノイズデータを出力する第2出力端子を含むことができる。
【0014】
前述したもの以外の他の側面、特徴、利点が、以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0015】
上述のように構成された本発明の様々な実施形態によれば、アクティブEMIフィルタを使用してEMIノイズを相殺するとともにEMIノイズデータを収集することができる。
【0016】
本発明の様々な実施形態によれば、アクティブEMIフィルタからノイズデータを抽出及び収集して様々な用途に利用することができる。例えば、本発明の実施形態に係るアクティブEMIフィルタから出力されたノイズデータは、状態変化または緊急状況の監視のためにモニタリングされることができる。また、ノイズデータはビッグデータ処理に利用することができる。
【0017】
もちろん、このような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す。
図2図1に示す実施形態のより具体的な一例を示したものであり、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100Aを概略的に示したものである。
図3-4】本発明の様々な実施形態に係るIC部500の具体的な一例を示したものである。
図5】一実施形態における入力バッファ510の一例としての入力バッファ510-1を示す。
図6】一実施形態における入力バッファ510の他の一例としての入力バッファ510-2を示す。
図7】一実施形態におけるアナログデジタル変換部520の一例を示す。
図8図2に示す実施形態のより具体的な一例を示したものであり、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100A-1を概略的に示したものである。
図9図1に示す実施形態のより具体的な一例を示したものであり、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100Bを概略的に示したものである。
図10】本発明の他の実施形態に係るアクティブ補償装置100Cを概略的に示す。
図11】本発明の他の実施形態に係るアクティブ補償装置100Dを概略的に示す。
図12】本発明の他の実施形態に係るIC部500の具体的な一例を示したものである。
図13】一実施形態に係る緊急状況検知方法に関するアルゴリズムを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る少なくとも2つ以上の大電流経路のそれぞれにコモンモードで発生するノイズをアクティブに補償するアクティブ補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ信号に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号を入力されてデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に少なくとも基づいてノイズデータと増幅信号をそれぞれ生成し、前記ノイズデータと前記増幅信号を出力するIC部と、前記増幅信号に基づいて前記大電流経路から補償電流を引き出すか、または前記大電流経路上に補償電圧を発生させる補償部とを含み、前記ノイズデータは外部装置に提供することができる。
【0020】
本発明は、様々な変換を加えることができるとともに、様々な実施形態を有することができ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細に説明しようとする。本発明の効果及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、図面とともに詳細に後述する実施形態を参照することで明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で具現されることができる。
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明するものとし、図面を参照して説明するとき、同一または対応する構成要素は同一の図面符号を付与し、これに対する重複の説明は省略する。
【0022】
以下の実施形態において、第1、第2などの用語は限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で用いられた。
【0023】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0024】
以下の実施形態において、含むまたは有するなどの用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0025】
図面では、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張または縮小されてもよい。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上任意に示しているため、本発明が必ずしも示されたものに限定されるものではない。
【0026】
以下の実施形態において、構成要素、部、ブロック、モジュールなどが連結されている場合、構成要素、部、ブロック、モジュールが直接的に連結されている場合だけでなく、構成要素、部、ブロック、モジュールの間に他の構成要素、部、ブロック、モジュールが介在して間接的に連結された場合も含む。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す。アクティブ補償装置100は、第1装置300から2つ以上の大電流経路111、112上からコモンモード(Common Mode、CM)で発生するノイズ電流I(例えば、EMIノイズ電流)及び/またはノイズ電圧(例えば、EMIノイズ電圧)をアクティブに補償することができる。
【0028】
図1を参照すると、アクティブ補償装置100は、センシング部120、IC部500及び補償部140を含むことができる。
【0029】
本明細書において、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を使用する様々な形態の装置であることができる。例えば、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いて駆動される負荷であることができる。また、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いてエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを用いて駆動される負荷(例えば、電気自動車)であることができる。ただし、これに限定されない。
【0030】
本明細書において、第2装置200は、第1装置300に電源を電流及び/または電圧の形態で供給するための様々な形態の装置であることができる。例えば、第2装置200は、電源を生産して供給する装置であることもでき、他の装置によって生産された電源を供給する装置(例えば、電気自動車充電装置)であることもできる。もちろん、第2装置200は、貯蔵されたエネルギーを供給する装置であることもできる。ただし、これに限定されない。第1装置300側には電力変換装置が位置することができる。例えば、前記電力変換装置のスイッチング動作により、コモンモードのノイズ電流Iが大電流経路111、112上に発生することができる。または、例えば、第1装置300側から漏れたノイズ電流がグランド(例えば、基準電位1)を経由し、第2装置200を介して大電流経路111、112に流れ込むことにより、ノイズ電流Iが発生することができる。
【0031】
大電流経路111、112上で同じ方向に発生するノイズ電流Iをコモンモードノイズ電流と称することができる。また、コモンモードノイズ電圧Vは、大電流経路111、112間に発生する電圧ではなく、グランド(例えば、基準電位1)と大電流経路111、112との間に発生する電圧であることができる。
【0032】
例えば、第1装置300側はノイズ源に対応することができ、第2装置200側はノイズレシーバに対応することができる。
【0033】
2つ以上の大電流経路111、112は、第2装置200によって供給される電源、すなわち、大電流I21、I22を第1装置300に伝達する経路であることができるが、例えば、電力線であることができる。例えば、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれは、ライブ線(Live line)とニュートラル線(Neutral line)であることができる。大電流経路111、112の少なくとも一部は、補償装置100を通過することができる。大電流I21、I22は、第2周波数帯域の周波数を有する交流電流であることができる。第2周波数帯域は、例えば、50Hz~60Hz帯域であることができる。
【0034】
また、2つ以上の大電流経路111、112は、第1装置300側からノイズ電流Iが第2装置200に伝達される経路であることができる。または、グランド(例えば、基準電位1)に対してノイズ電圧Vが発生する経路であることもできる。
【0035】
ノイズ電流Iまたはノイズ電圧Vは、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれに対してコモンモード(Common Mode)で入力されることができる。ノイズ電流Iは、様々な原因によって第1装置300において意図せず発生する電流であることができる。例えば、ノイズ電流Iは、第1装置300と周辺環境との間の寄生容量(Capacitance)によるノイズ電流であることができる。または、ノイズ電流Iは、第1装置300の電力変換装置のスイッチング動作によって発生するノイズ電流であることができる。ノイズ電流I及びノイズ電圧Vは、第1周波数帯域の周波数を有することができる。第1周波数帯域は、前述した第2周波数帯域より高い周波数帯域であることができる。第1周波数帯域は、例えば、150KHz~30MHz帯域であることができる。
【0036】
図では、ノイズ電流I及びノイズ電圧Vは、大電流経路111、112上において第1装置300とセンシング部120との間のノードに示されているが、本明細書において「ノイズ電流」及び「ノイズ電圧」という用語はこれに限定されず、大電流経路111、112全体にわたって第1周波数を有してコモンモードで発生することができる電圧及び電流を称することができる。
【0037】
一方、2つ以上の大電流経路111、112は、図1に示すように2つの経路を含むこともでき、3つの経路(例えば、3相3線の電力システム)または4つの経路(例えば、3相4線の電力システム)を含むこともできる。大電流経路111、112の数は、第1装置300及び/または第2装置200が使用する電源の種類及び/または形態に応じて変ることができる。
【0038】
センシング部120は、2つ以上の大電流経路111、112上のノイズ電流Iを検知し、ノイズ電流Iに対応する出力信号をIC部500側に生成することができる。すなわち、センシング部120は、大電流経路111、112上のノイズ電流Iを検知する手段を意味することができる。センシング部120には、ノイズ電流Iのセンシングのために大電流経路111、112の少なくとも一部が通過することができるが、センシング部120内でセンシングによる出力信号が生成される部分は、大電流経路111、112と絶縁されることができる。例えば、センシング部120は、センシング変圧部として具現されることができる。センシング変圧部は、大電流経路111、112と絶縁された状態で大電流経路111、112上のノイズ電流Iを検知することができる。
【0039】
IC部500は、センシング部120に電気的に連結され、センシング部120が出力した出力信号の増幅信号に相応する補償信号S1を生成することができ、さらに、前記出力信号のデジタル信号に相応するノイズデータS2を生成することができる。本発明において「増幅」とは、増幅対象の大きさ及び/または位相を調節することを意味することができる。IC部500は様々な手段で具現されることができ、アクティブ素子を含むことができる。
【0040】
本発明の様々な実施形態によれば、IC部500は、ノイズを相殺するための補償信号S1を補償部140に出力し、前記ノイズを示すデジタルデータS2を外部に出力することができる。
【0041】
本発明の様々な実施形態において、IC部500は、センシング部120から出力された出力信号(すなわち、ノイズに対応する信号)をデジタル信号に変換する回路を含むことができる。様々な実施形態において、IC部500は、前記デジタル信号に基づいて生成されたノイズデータを外部に出力することができる。また、IC部500は、前記デジタル信号を再びアナログ信号に変換して増幅し、補償信号S1として補償部140に出力することができる。IC部500の詳細な構成の例は、図3図7で後述する。
【0042】
例えば、アクティブ補償装置100から出力されたノイズデータS2は、データストレージに伝達されて記憶されるか、または、波形ディスプレイ装置に伝達されることができる。例えば、前記ノイズデータS2は、状態変化や緊急状況を監視するためにモニタリングされることができる。前記ノイズデータS2は、ビッグデータ処理または人工知能技術に利用されることもできるであろう。
【0043】
一方、IC部500は、第1装置300及び/または第2装置200と区分される第3装置400から電源を供給され、センシング部120が出力した出力信号を増幅させて増幅電流/電圧を補償信号S1として生成し、前記出力信号に基づいてノイズデータS2を生成することができる。このとき、第3装置400は、第1装置300及び第2装置200とは無関係の電源から電源を供給され、IC部500の入力電源を生成する装置であることができる。選択的に、第3装置400は、第1装置300及び第2装置200のいずれか1つの装置から電源を供給されてIC部500の入力電源を生成する装置であることもできる。
【0044】
IC部500は、補償部140側に補償信号S1として増幅電圧または増幅電流を出力することができる。前記補償信号S1は補償部140に入力される。補償部140は、入力された補償信号(増幅電圧または増幅電流)に基づいて補償電圧または補償電流を生成することができる。
【0045】
一実施形態によれば、補償部140は、IC部500から出力された増幅電圧に基づいて、大電流経路111、112上に直列で補償電圧を発生させることができる。補償部140の出力側は、大電流経路111、112に直列で補償電圧を発生させることができるが、IC部500とは絶縁されることができる。例えば、補償部140は、前記絶縁のために補償変圧器からなることができる。例えば、前記補償変圧器の1次側にはIC部500から出力された補償信号がかかり、補償変圧器の2次側には前記補償信号に基づいた補償電圧が生成されることができる。前記補償電圧は、大電流経路111、112上に流れるノイズ電流Iを抑制する効果を与えることができる。この場合、補償部140は、電圧補償に該当することができる。電圧補償に関する詳細な説明は、図2図8図11で後述する。
【0046】
他の実施形態によれば、補償部140は、IC部500から出力された増幅電流に基づいて補償電流を生成することができる。前記補償電流は、大電流経路111、112上に注入(inject)されるか、または、大電流経路111、112から引き出されることによって、大電流経路111、112上のノイズ電流Iを相殺または低減することができる。この場合、補償部140は、電流補償に該当することができる。電流補償に関する詳細な説明は、図9図10図11で後述する。一方、補償部140の出力側は、大電流経路111、112に前記補償電流を流すために大電流経路111、112と連結されることができるが、IC部500とは絶縁されることができる。例えば、補償部140は、前記絶縁のために補償変圧器を含むことができる。
【0047】
補償部140は、第1装置300側から入力されるノイズを電源側である前端で補償するフィードフォワード(feedforward)タイプであることができる。しかし、本発明はこれに限定されず、アクティブ補償装置100は、ノイズを後段に戻って補償するフィードバック(feedback)タイプの補償部を含むこともできる(図10参照)。
【0048】
図2は、図1に示す実施形態のより具体的な一例を示したものであり、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100Aを概略的に示したものである。アクティブ補償装置100Aは、センシング部120A、IC部500及び補償部140Aを含むことができる。
【0049】
図2及び以下の図において、第1装置300及び第2装置200は省略されることができる。すなわち、アクティブ補償装置100Aの前段(例えば、補償部140A側)の大電流経路111、112は、第2装置200の電力線と連結されることができ、後段(例えば、センシング部120A側)の大電流経路111、112は、第1装置300の電力線と連結されることができる。
【0050】
一実施形態によれば、前述したセンシング部120は、センシング変圧器120Aを含むことができる。
【0051】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112から絶縁された状態で、大電流経路111、112上のノイズ電流Iまたはノイズ電流Iによってセンシング変圧器120Aの両端に誘導された電圧(例えば、Vchoke)を検知するための手段であることができる。
【0052】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される1次側121及びIC部500の入力端に連結された2次側122を含むことができる。センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される1次側121(例えば、1次巻線)において、ノイズ電流Iによって誘導される磁束密度に基づいて2次側122(例えば、2次巻線)に誘導電流または誘導電圧Vsenを生成することができる。前記センシング変圧器120Aの1次側121は、例えば、1つのコアに第1大電流経路111及び第2大電流経路112がそれぞれ巻かれている巻線であることができる。
【0053】
センシング変圧器120Aは、具体的には、第1大電流経路111(例えば、ライブ線)上のノイズ電流Iによって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112(例えば中性線)上のノイズ電流Inによって誘導される磁束密度が互いに重なる(または補強される)ように構成されることができる。このとき、大電流経路111、112上には大電流I21、I22も流れるが、第1大電流経路111上の大電流I21によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112上の大電流I22によって誘導される磁束密度は、互いに相殺するように構成されることができる。また、一例として、センシング変圧器120Aは、第1周波数帯域(例えば、150KHz~30MHzの範囲を有する帯域)のノイズ電流Iによって誘導される磁束密度の大きさが第2周波数帯域(例えば、50Hz~60Hzの範囲を有する帯域)の大電流I21、I22によって誘導される磁束密度の大きさより大きいように構成されることができる。
【0054】
このように、センシング変圧器120Aは、大電流I21、I22によって誘導される磁束密度を互いに相殺するように構成されており、ノイズ電流Iのみが検知されるようにすることができる。すなわち、センシング変圧器120Aの2次側122に誘導される電圧Vsenは、ノイズ電流Iに応じた1次側121の誘導電圧(例えば、Vchoke)が一定比率で変換された電圧であることができる。
【0055】
IC部500は、センシング変圧器120Aの2次側に誘導される誘導電圧Vsenを増幅させて補償信号S1として出力することができる。また、IC部500は、前記誘導電圧Vsenに基づいてノイズデータS2を出力することができる。IC部500の詳細な構成の例は、図3図7で後述する。
【0056】
一実施形態によれば、前述した補償部140は、補償変圧器140Aを含むことができる。
【0057】
補償変圧器140Aは、アクティブ素子を含むIC部500を大電流経路111、112から絶縁させることができる。補償変圧器140Aは、大電流経路111、112と絶縁された状態で、IC部500から出力された補償信号S1に基づいて大電流経路111、112に補償電圧Vinj1を誘導し、電圧補償のための手段であることができる。
【0058】
補償変圧器140Aは、例えば、1つのコアに1次側141電線及び2次側142電線が通過するか、または、少なくとも1回以上巻かれた構造であることができる。前記一次側141電線は、IC部500から出力された補償信号S1が流れる電線であり、2次側142電線は、大電流経路111、112に対応することができる。
【0059】
補償変圧器140Aは、1次側141に発生した増幅電圧に基づいて2次側142である大電流経路111、112上に補償電圧Vinj1を誘導することができる。
【0060】
一方、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100Aは、減結合コンデンサ部170をさらに含むことができる。
【0061】
減結合コンデンサ部170は、例えばセンシング部120と第1装置300との間に配置されることができ、一端が基準電位1601と連結され、他端が大電流経路111、112とそれぞれ連結される2つのY-コンデンサから構成されることができる。
【0062】
一方、IC部500の基準電位(基準電位2、602)と補償装置100Aの基準電位(基準電位1、601)は互いに区別される電位であることができる。
【0063】
図3及び図4は、本発明の様々な実施形態に係るIC部500の具体的な一例を示したものである。図3を参照すると、本発明の実施形態に係るIC部500は、入力バッファ510、アナログデジタル変換部520、デジタルアナログ変換部530、出力増幅器540及びリニアレギュレータ550を含むことができる。
【0064】
図4は、本発明の一実施形態に係るIC部500の各構成をより具体的に示したものである。
【0065】
図3及び図4を一緒に参照すると、IC部500は、物理的に1つのICチップであることができる。この実施形態によれば、前述したようなデジタルノイズデータと補償信号が1つのICチップで生成されることができる。言い換えると、ノイズデータを生成する構成(例えば、回路)と補償信号を生成する構成が1つのICチップ上に具現されることができる。ただし、これは一実施形態に過ぎず、他の実施形態においてノイズデータを生成する構成と補償信号を生成する構成が1つ以上の異なるチップまたはパッケージ状に具現されることができる。
【0066】
IC部500は、センシング部120の出力信号を入力される入力端子VIN、補償信号を出力する第1出力端子VOUT及びデジタルノイズデータを出力する第2出力端子VOUT2を含むことができる。
【0067】
前述したように、センシング部120は、ノイズ信号(IまたはV)をセンシングしてノイズ信号に対応する出力信号を生成することができる。センシング部120から出力された出力信号は、IC部500の入力信号になる。
【0068】
センシング部120の出力信号は、IC部500の入力端子VINを介して入力バッファ510に入力されることができる。入力バッファ510の入力信号はノイズ信号に対応するであろう。
【0069】
一実施形態において、入力バッファ510の入力ノイズ信号は、10V以上の高電圧スイング(swing)であることができる。したがって、例えば、入力バッファ510は、十分な耐圧と性能を有するhigh-swing DMOSであることができる。
【0070】
図5は、一実施形態における入力バッファ510の一例としての入力バッファ510ー1を示し、図6は、一実施形態における入力バッファ510の他の一例としての入力バッファ510ー2を示す。以下の入力バッファ510に関する説明は、入力バッファ510、510-1、510-2の説明を全て含むことができる。
【0071】
入力ノイズ信号が10V以上の高電圧信号であることができるため、入力バッファ510、510-1、510-2は高電圧(high-voltage、HV)入力バッファであることができる。例えば、入力バッファ510の目標耐圧は12Vであることができ、入力インピーダンスは100kohm以上であることができ、帯域幅(BW)は約30MHzに相応することができる。しかし、これに限定されない。
【0072】
入力バッファ510は、入力信号の歪みを最小限に抑え、入力信号をADC520に使用可能な低電圧アナログ信号に減衰させる減衰器(attenuator)の役割を果たすことができる。すなわち、入力バッファ510は、例えば、入力ノイズ信号の振幅を小さくしてADC520側に出力することができる。
【0073】
一実施形態において、図5に示すように、入力バッファ510-1は複数段の増幅器で構成されることもでき、他の実施形態において、図6に示すように、入力バッファ510-2は一段の反転増幅器(inverting amplifier)で構成されることもできる。
【0074】
例えば、入力バッファ510-2の場合、入力信号がVinのときに出力信号Vは以下の数式1であることができる。
<数式1>
【0075】
一方、入力バッファ510から出力された減衰信号は、アナログデジタル変換部(ADC、520)に入力されることができる。アナログデジタル変換部520に入力される減衰信号は、EMIノイズ信号に相応することができる。ここで 相応するということは、EMIノイズ信号の大きさが一定比率で変化したことを意味することができるが、これに限定されない。
【0076】
アナログデジタル変換部520は、前記減衰信号を入力されてデジタル信号に変換することができ、前記デジタル信号に基づいてデジタルノイズデータS2を出力することができる。また、前記デジタル信号は、デジタルアナログ変換部530に伝達され、補償信号S1を生成するために使用されることができる。
【0077】
図7は、一実施形態におけるアナログデジタル変換部520の一例を示す。一実施形態によれば、アナログデジタル変換部520は、コンバータ回路521、デジタルブロック522及び/または出力バッファ523を含むことができる。
【0078】
コンバータ回路521は、アナログデジタル変換部520のデータ処理コアと言える。例えば、コンバータ回路521は、図7に示すようにflash ADCで構成されることができる。Flash ADCは、入力アナログ信号の大きさに応じて温度計コード(thermometer code)形式のデジタル信号を出力することができる。一例において、温度計コード形式のデジタル信号はDAC530に伝達され、補償信号S1の生成の基になることができる。(図4参照)。
【0079】
しかしながら、コンバータ回路521は、flash ADCに限定されず、例えば、SAR(successive approximation register)ADCまたはsigma-delta ADCを含むことができ、他のタイプのADCから構成されることもできる。
【0080】
コンバータ回路521は、入力低電圧アナログ信号からデジタル信号を生成することができる。コンバータ回路521によって生成されたデジタル信号はDAC530に伝達され、補償信号S1の生成の基になることができる(図4参照)。
【0081】
一方、コンバータ回路521から出力されたデジタル信号は、デジタルブロック522に入力されることができる。デジタルブロック522は、例えば、グレイエンコーダ(gray encoder)、グレイトゥーバイナリコンバータ(gray to binary converter)及び/またはデスキューラッチ(deskew latch)を含むことにより、欠陥(glitch)を最小限に抑えるバイナリコード(binary code)を生成することができる。
【0082】
デジタルブロック522は、例えば、デジタルノイズデータS2の欠陥を最小限に抑えるためにコンバータ回路521から出力されたデジタル信号を加工する構成であることができる。
【0083】
デジタルブロック522から出力された信号は、出力バッファ523を介してノイズを示すバイナリコード形式のデジタルノイズデータS2に出力されることができる。ノイズデータS2は5ビット信号で出力されることができるが、これに限定されない。実施形態に応じて8ビット~10ビット信号で出力されることもでき、その他も可能である。
【0084】
ノイズデータS2は、第2出力端子VOUT2を介してアクティブ補償装置100の外部に出力されることができる。第2出力端子VOUT2は、例えば、データストレージまたは波形ディスプレイ装置などの外部装置に連結されることができる。アクティブ補償装置100の外部に出力されたノイズデータS2は、状態変化や緊急状況を監視するためにモニタリングされることができる。ノイズデータS2は、ビッグデータ処理または人工知能技術に利用されることもできるであろう。
【0085】
一方、一実施形態において、アナログデジタル変換部520の目標入力電圧レベルは0.3V~1.3Vに相応するように設計されることができ、スイッチング周波数(switching frequency)は約800MHzに相応するように設計されることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。目標入力電圧レベルが0.3V~1.3Vに設計される場合、図7のVREFNが0.3V、VREFPが1.3Vに相応することができる。さらに、一実施形態において、VDDAは約1.8Vに相応するように設計されることができるが、これらに限定されない。
【0086】
図4を再び参照すると、アナログデジタル変換部520で生成されたデジタル信号は、補償信号S1を生成するためにデジタルアナログ変換部530に伝達されることができる。前記デジタル信号は、例えば、温度計コード形式であることができる。デジタルアナログ変換部530は、前記デジタル信号をアナログ信号に変換し、変換されたアナログ信号を出力増幅器540に出力することができる。
【0087】
出力増幅器540は、前記アナログ信号を入力されて増幅させることができる。増幅された信号は、補償信号S1として第1出力端子VOUTを介して出力されることができる。第1出力端子VOUTを介して出力された補償信号S1は、前述した補償部140に入力されることができる。
【0088】
一方、補償信号S1は十分に大きくなければならないため、出力増幅器540は高電圧(high-voltage、HV)DMOSで設計されることができる。例えば、DAC530のスイッチング周波数(switching frequency)は約800MHzに相応するように設計されることができ、出力増幅器540の出力電圧は約12Vに相応するように設計されることができ、出力増幅器540の出力電流は約1Aに相応するように設計されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0089】
IC部500は、電圧制御発振器(voltage controlled oscillator、VOC、560)をさらに含むことができる。電圧制御発振器560は、入力電圧に応じて周波数が変化するクロック信号を生成することができる。この電圧制御発振器560は、外部クロック発生器なしでアクティブ補償装置100が自らクロック信号を生成するためにIC部500に組み込まれることができる。
【0090】
一例において、電圧制御発振器560は、IC部500の端子Vctrlを介して外部(例えば、第3装置400)から前記入力電圧を入力されることができる。電圧制御発振器560から生成されたクロック信号は、ADC520に伝達され、内部回路の制御に使用されることができる。
【0091】
リニアレギュレータ550は、ADC520、VCO560などのIC部500の内部回路を駆動させるためのDC低電圧を生成することができる。一例において、リニアレギュレータ550は、IC部500の端子(VSS、VDD)を介して外部(例えば、第3装置400)から約12Vの入力電圧を受け、約1.8VのDC低電圧を出力することができる。ただし、これに限定されない。前記DC低電圧は、ADC520、VCO560などのIC部500の内部回路を駆動させるために使用されることができる。
【0092】
図8は、図2に示す実施形態のより具体的な一例を示したものであり、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100A-1を概略的に示したものである。図8では便宜上、第3装置400は省略されている。
【0093】
図8を参照すると、アクティブ補償装置100A-1は、センシング部120A-1、IC部500及び補償変圧器140A-1を含むことができる。センシング部120A-1、IC部500及び補償変圧器140A-1は、それぞれ前述したセンシング部120、120A、IC部500及び補償部140、140Aの一例である。
【0094】
アクティブ補償装置100A-1は、第1装置300と連結される2つの大電流経路111、112のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、これを補償電圧Vinj1でアクティブに補償することができる。
【0095】
センシング部120A-1は、例えば、大電流経路111、112に該当する電力線が巻かれたCMチョークに2次側電線が重ねて巻かれたセンシング変圧器であることができる。前記2次側電線は、IC部500の入力端子VINに連結することができる。
【0096】
このようにCMチョークを用いてセンシング部120A-1を形成する場合、センシング部120A-1はセンシング及び変圧の機能だけでなく、CMチョークとしてパッシブフィルタの役割も果たすことができる。すなわち、CMチョークに2次側電線を重ねて巻いて形成されたセンシング変圧器は、ノイズ電流Iのセンシング及び変圧とともに、ノイズ電流Iを抑制または阻止する役割を同時に果たすことができる。
【0097】
一方、センシング部120A-1の出力信号VsenはIC部500に入力されることができる。IC部500は、前述したように、前記出力信号Vsenをデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に基づいてノイズデータS2を生成及び出力し、前記デジタル信号に基づいて補償信号(または増幅信号)S1を出力することができる。
【0098】
ノイズデータS2は、アクティブ補償装置100A-1外部のデータストレージに記憶されて利用されることができる。
【0099】
補償信号S1は補償変圧器140A-1の入力電圧に相応することができる。補償変圧器140A-1は、1次側にかかる前記入力電圧に基づいて2次側である大電流経路111、112上に直列で補償電圧Vinj1を誘導することができる。大電流経路111、112上に直列に生成される補償電圧Vinj1は、大電流経路111、112上に流れるノイズ電流Iを抑制する効果を与えることができる。
【0100】
このようなアクティブ補償装置100A-1は、ノイズ電流Iをセンシングして補償電圧Vinj1で補償するCSVC(current sensing voltage compensating)タイプの一例である。
【0101】
図9は、図1に示す実施形態のより具体的な一例を示したものであり、本発明の一実施形態に係るアクティブ補償装置100Bを概略的に示したものである。図9では便宜上、第3装置400は省略されている。
【0102】
図9を参照すると、アクティブ補償装置100Bは、センシング変圧器120B、IC部500及び補償部140Bを含むことができる。センシング変圧器120B、IC部500及び補償部140Bは、それぞれ前述したセンシング部120、120A、IC部500及び補償部140の一例である。
【0103】
アクティブ補償装置100Bは、第1装置300と連結される2つの大電流経路のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、これを補償電流Iinjでアクティブに補償することができる。
【0104】
センシング変圧器120Bは、例えば、1つのコアに1次側電線及び2次側電線が通過するか、または、少なくとも1回巻かれた構造であることができる。センシング変圧器120Bの1次側電線は大電流経路である電力線に相応することができ、センシング変圧器120Bの2次側電線はIC部500の入力端に連結されることができる。一実施形態において、CMチョークではないコアに1次側電線及び2次側電線を通過させるか、または少なくとも1回巻くことにより、センシング変圧器120Bの体積を最小限に抑えることができる。
【0105】
センシング部120Bの出力信号は、ノイズ電流Iの大きさに比例することができる。
【0106】
センシング部120Bの出力信号はIC部500に入力されることができる。IC部500は、前述したように、前記出力信号をデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に基づいてノイズデータS2を生成及び出力し、前記デジタル信号に基づいて補償信号(または増幅信号)S1を出力することができる。
【0107】
ノイズデータS2は、アクティブ補償装置100B外部のデータストレージに記憶されて利用されることができる。
【0108】
補償信号S1は補償部140Bに入力されることができる。この実施形態において、補償部140Bは補償変圧器と補償コンデンサ部とを含むことができる。
【0109】
補償変圧器の1次側はIC部500の出力端に連結され、補償変圧器の2次側は大電流経路に連結されることができる。補償変圧器は、IC部500を大電流経路から絶縁させながら、1次側に流れる増幅電流(すなわち、補償信号S1)に基づいて大電流経路に注入するための補償電流Iinjを2次側に生成することができる。
【0110】
補償変圧器の2次側は、補償コンデンサ部と基準電位とを連結する経路上に配置されることができる。すなわち、2次側の一端は補償コンデンサ部を介して大電流経路に連結され、2次側の他端はアクティブ補償装置100Bの基準電位に連結されることができる。
【0111】
補償変圧器を介して変換された電流(すなわち、2次側電流)Iinjは、補償コンデンサ部を介して大電流経路に補償電流として注入されるか、または引き出されることができる。このように、補償コンデンサ部は、補償変圧器の2次側で発生した電流が大電流それぞれに流れる経路を提供することができる。これにより、アクティブ補償装置100Bは、EMIノイズを低減することができる。
【0112】
補償コンデンサ部は、一端が補償変圧器の2次側に連結され、他端が大電流経路に連結される2つのY-コンデンサ(Y-capacitor、Y-cap)を含むことができる。
【0113】
このようなアクティブ補償装置100Bは、ノイズ電流Iをセンシングし、電源側である前段から補償電流Iinjで補償するフィードフォワード(feedforward)CCCC(current sensing current compensating)タイプの一例である。
【0114】
図10は、本発明の他の実施形態に係るアクティブ補償装置100Cを概略的に示す。便宜上、第3装置400は省略されている。
【0115】
アクティブ補償装置100Cは、第1装置300と連結される2つの大電流経路のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、これを補償電流Iinj2でアクティブに補償することができる。
【0116】
図10を参照すると、アクティブ補償装置100Cは、センシング部120C、IC部500及び補償部140Cを含むことができる。補償部140Cは補償変圧器と補償コンデンサ部とを含むことができる。
【0117】
センシング部120Cは図8で説明したセンシング部120A-1に相応し、IC部500は様々な実施形態で説明したIC部500に相応し、補償部140Cは図9で説明した補償部140Bに相応するため、これらの具体的な説明は省略する。
【0118】
このようなアクティブ補償装置100Cは、センシングしたノイズ電流Iを後段に戻って補償電流Iinj2で補償するフィードバック(feedback)CSCC(current sensing current compensating)タイプの一例である。
【0119】
図11は、本発明の他の実施形態に係るアクティブ補償装置100Dを概略的に示す。便宜上、第3装置400は省略されている。
【0120】
アクティブ補償装置100Dは、第1装置300と連結される2つの大電流経路のそれぞれにコモンモードで入力されるノイズ電流Iをセンシングし、これを補償電圧Vinj1及び補償電流Iinj2で併合的に補償することができる。
【0121】
図11を参照すると、アクティブ補償装置100Dは、センシング部120D、IC部500’、第1補償部140D-1及び第2補償部140D-2を含むことができる。第2補償部140D-2は補償変圧器と補償コンデンサ部とを含むことができる。
【0122】
センシング部120Dは図8で説明したセンシング部120A-1に相応し、第1補償部140D-1は図8で説明した補償変圧器140A-1に相応し、第2補償部140D-2は図9で説明した補償部140Bに相応するため、これらの具体的な説明は省略する。
【0123】
センシング部120Dの出力信号はIC部500’に入力されることができる。IC部500’は、前述したように、前記出力信号をデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に基づいてノイズデータS2を生成及び出力し、前記デジタル信号に基づいて第1補償信号S1-1及び第2補償信号S1-2を出力することができる。
【0124】
一例を挙げると、IC部500’は、DAC530の出力信号から第1補償信号S1-1を出力する第1増幅器と、DAC530の出力信号から第2補償信号S1-2を出力する第2増幅器を含むことができる。例えば、IC部500’は、第1補償信号S1-1を第1補償部140D-1側に出力する第1-1出力端子と、第2補償信号S1-2を第2補償部140D-2側に出力する第1-2出力端子を備えることができる。但し、本発明はこれに限定されない。
【0125】
IC部500’から出力された第1補償信号S1-1は、第1補償部140D-1の入力電圧に相応することができる。第1補償部140D-1は、1次側にかかる前記入力電圧に基づいて2次側である大電流経路上に直列で補償電圧Vinj1を誘導する補償変圧器であることができる。大電流経路上に直列で生成される補償電圧Vinj1は、大電流経路上に流れるノイズ電流Iを抑制する効果を与えることができる。
【0126】
一方、第2補償部140D-2に含まれる補償変圧器は、IC部500’から出力された第2補償信号S1-2に基づいて大電流経路に注入するための補償電流Iinj2を2次側に生成することができる。前記補償変圧器を介して変換された電流(すなわち、2次側電流)Iinjは、補償コンデンサ部を介して大電流経路に補償電流として注入されるか、または引き出されることができる。
【0127】
一実施形態において、第1補償部140D-1はセンシング部120Dの前に配置され、第2補償部140D-2はセンシング部120Dの後に配置されることができる。例えば、第1補償部140D-1は電圧補償を行い、同時に第2補償部140D-2は電流補償を行うことができる。この実施形態によれば、コモンモード電圧及び電流を同時に補償することができ、ノイズ低減を効果的にすることができる。
【0128】
図12は、本発明の他の実施形態に係るIC部500の具体的な一例を示したものである。
【0129】
図12を参照すると、本発明の実施形態に係るIC部500は、増幅部130及びデジタル回路部501を含むことができる。デジタル回路部501は、IC部500の入力信号であるアナログ信号をデジタルノイズデータS2に変換させることができ、入力バッファ510及びアナログデジタル変換部520を含むことができる。
【0130】
IC部500は、リニアレギュレータ550と電圧制御発振器(voltage controlled oscillator、VOC、560)をさらに含むことができる。リニアレギュレータ550は、IC部500内部のアクティブ素子を駆動させるためのDC低電圧を生成することができる。電圧制御発振器560は、アナログデジタル変換部540の内部回路を制御するためのクロック信号を生成することができる。
【0131】
IC部500は物理的に1つのICチップであることができる。この実施形態によれば、前述したようなデジタルノイズデータS2と補償信号S1が1つのICチップから生成されることができる。言い換えると、ノイズデータS2を生成する構成(例えば、デジタル回路部501)と補償信号S1を生成する増幅部130とを一つのICチップ上に具現することができる。ただし、これは一実施形態に過ぎず、他の実施形態においてノイズデータを生成する構成と補償信号を生成する構成が1つ以上の異なるチップまたはパッケージ状に具現されることができる。
【0132】
IC部500は、センシング部120の出力信号を入力される入力端子VIN、補償信号S1を出力する第1出力端子VOUT及びデジタルノイズデータS2を出力する第2出力端子VOUT2を含むことができる。
【0133】
前述したように、センシング部120は、ノイズ信号(IまたはV)をセンシングしてノイズ信号に対応する出力信号を生成することができる。センシング部120から出力された出力信号は、IC部500の入力信号になる。
【0134】
センシング部120の出力信号は、IC部500の入力端子VINを介して入力された後、IC部500内で増幅部130及びデジタル回路部501の入力バッファ510 にそれぞれ入力されることができる。
【0135】
増幅部130はアナログ入力信号を増幅させることができる。増幅されたアナログ信号は、補償信号S1として第1出力端子VOUTを介して出力されることができる。第1出力端子VOUTを介して出力された補償信号S1は、前述した補償部140に入力されることができる。一方、補償信号S1は十分に大きくなければならないため、増幅部130の出力電圧は約12Vに相応するように設計されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0136】
一方、IC部500の入力端子VINを介して入力された信号は、入力バッファ510及びアナログデジタル変換部520を含むデジタル回路部501にも入力される。
【0137】
一実施形態によれば、デジタル回路部501の入力バッファ510に入力されたノイズ信号は、10V以上の高電圧スイング(swing)であることができる。したがって、例えば、入力バッファ510は、十分な耐圧と性能を有するhigh-swing DMOSであることができる。
【0138】
本明細書で説明されるすべての実施形態は互いに複合的に適用されることができるのは言うまでもない。
【0139】
上記したように構成された本発明の様々な実施形態によれば、アクティブ補償装置100、100A、100A-1、100B、100C、100Dを使用してノイズ信号を補償すると同時にノイズデータを収集することができる。
【0140】
本発明の様々な実施形態によれば、アクティブ補償装置からノイズデータを抽出及び収集して様々な用途に利用することができる。例えば、本発明の実施形態に係るアクティブ補償装置から出力されたノイズデータは、状態変化または緊急状況の監視のためにモニタリングされることができる。また、ノイズデータはビッグデータ処理に利用することができる。
【0141】
すなわち、一実施形態によれば、前記のようなノイズデータの抽出及び/または収集により、例えば、電力使用装置のインバータが故障するなどの緊急状況が発生したことが検知でき、これを管理者に知らせることができる。
【0142】
図13は、一実施形態に係る緊急状況検知方法に関するアルゴリズムを示したものである。
【0143】
まず、センシング部を介して第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタを検知することができる(810)。ここで、第1ノイズ信号クラスタとは、複数回検知した第1ノイズ信号の集合体をいう。例えば、同じ条件で複数回繰り返し測定された第1ノイズ信号の集合体であることができる。
【0144】
次に、このような第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタをデジタルデータ処理する(811)。このようなデジタルデータ処理は、前述した実施形態のアナログデジタル変換部520を介して行うことができる。
【0145】
このようにデジタル変換された第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタはレファレンスで決定する(820)。
【0146】
センシング部を介して第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタを検知することができる(830)。ここで、第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタは、第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタとは異なる時間、条件及び/または環境である状況で測定されたノイズ信号を指す。例えば、第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタがインバータが正常に動作している状態のノイズ信号である場合、第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタはインバータが正常に動作していない状態のノイズ信号に対応することができる。第2ノイズ信号クラスタとは、複数回検知した第2ノイズ信号の集合体をいう。例えば、同じ条件で複数回繰り返し測定された第2ノイズ信号の集合体であることができる。
【0147】
次に、このような第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタをデジタルデータ処理する(831)。このようなデジタルデータ処理は、前述した実施形態のアナログデジタル変換部520を介して行うことができる。
【0148】
次に、第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタをレファレンスである第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタと比較する(840)。
【0149】
このとき、第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタが第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタと一定範囲内で類似性を示す場合、第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタが測定された状態が、第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタが測定された状態と変わっていないと見なすことができ、他の時間、条件及び/または環境で再び第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタを測定することができる。例えば、第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタを測定した時間、条件及び/または環境が正常な状況であると見なすことができる。
【0150】
このとき、一定範囲内での類似性とは、予め定められた範囲内での誤差範囲内での一致を含むことができる。
【0151】
第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタが第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタと一定範囲内で相違を示す場合、第2ノイズ信号及び/または第2ノイズ信号クラスタが測定された状態が第1ノイズ信号及び/または第1ノイズ信号クラスタが測定された状態と変わっていると見なし、このような状態変化をユーザに表示することができる(850)。
【0152】
ユーザは、このような状態変化に対応して故障かどうかについて診断を実行するか、または他の措置を取るようにすることができる。この後続プロセスは、状態変化に対応して自動的に実行されるようにすることができる。
【0153】
このように、本発明は、アクティブ補償装置から出力されたノイズデータを用いて、状態変化または緊急状況の監視を行うことができ、後続措置を取るようにすることができる。
【0154】
本発明は図に示された一実施形態を参照して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、このことから様々な変形及び実施形態の変更が可能であることを理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の一実施形態は、家電用、産業用電気製品や電気自動車、航空、エネルギー貯蔵システムなどの電子機器に使用することができる。しかしながら、本発明の一実施形態による産業上の利用可能性は、上述したものに限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】