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特表2024-537088マルチシングル検出器特定用途用分光計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】マルチシングル検出器特定用途用分光計
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/02 20060101AFI20241003BHJP
   G01J 3/36 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20241003BHJP
   G01J 3/26 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
G01J3/02 S
G01J3/36
G01N21/27 F
G01J3/02 C
G01J3/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519859
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022077328
(87)【国際公開番号】W WO2023052608
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21200549.0
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】プロコップ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】エグェン,セラル モハン
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,ソーラバー
【テーマコード(参考)】
2G020
2G059
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020BA05
2G020CA02
2G020CB02
2G020CB05
2G020CB27
2G020CB42
2G020CC27
2G020CC28
2G020CC47
2G020CC63
2G020CD05
2G020CD06
2G020CD12
2G020CD24
2G020CD37
2G020CD38
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB15
2G059CC12
2G059EE02
2G059EE11
2G059FF06
2G059FF08
2G059GG02
2G059GG05
2G059HH01
2G059JJ03
2G059JJ22
2G059KK03
2G059MM05
2G059MM10
2G059MM14
2G059MM20
2G059NN02
2G059PP01
(57)【要約】
少なくとも1つの分類に基づくスペクトル測定で少なくとも1つの測定物体(118)によって提供される光放射(112)を測定するためのスペクトル測定装置(110)であって、前記スペクトル測定装置(110)は:
- 少なくとも部分的に前記測定物体(118)に向けて光放射(112)を放出するように構成された少なくとも1つの放射線源(116)であって、前記光放射(112)は、少なくとも部分的に、分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲内にある、少なくとも1つの放射線源と;
- 少なくとも2つの光検出器(120)であって、各光検出器(120)は少なくとも1つのピクセル(121)を備え、各ピクセル(121)はアクティブピクセル(123)又は暗いピクセル(124)であり、前記スペクトル測定装置(110)は少なくとも2つのアクティブピクセル(123)を備え、前記スペクトル測定装置(110)は少なくとも1つの暗いピクセル(124)を備え、各アクティブピクセル(123)は、前記アクティブピクセル(123)の照射に依存する少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成され、前記アクティブピクセル(123)のうちの少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成され、各暗いピクセル(124)は、前記暗いピクセル(124)の照射に依存しない少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される、少なくとも2つの光検出器(120)と;
- 前記光検出器信号を測定し、スペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するように構成された少なくとも1つの読み出し装置(139)と;
- 少なくとも1つのプロセッサ(142)と少なくとも1つのメモリストレージ(144)を備えた少なくとも1つの評価装置(140)であって、前記メモリストレージ(144)は、
一連の異なるクラスを含む少なくとも1つの分類モデルであって、各クラスは少なくとも1つのスペクトル特性を参照し、前記分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目を前記クラスに分類するように構成される、少なくとも1つの分類モデルと;
前記スペクトルデータの項目を前記分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するように構成された少なくとも1つの伝達関数と、
を記憶するように構成され、少なくとも1つの評価装置(140)と;
を備える。
前記評価装置(140)は、前記分類モデル及び前記伝達関数を前記スペクトルデータの項目に適用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの分類に基づくスペクトル測定で少なくとも1つの測定物体(118)によって提供される光放射(112)を測定するためのスペクトル測定装置(110)であって、前記スペクトル測定装置(110)は:
- 少なくとも部分的に前記測定物体(118)に向けて光放射(112)を放出するように構成された少なくとも1つの放射線源(116)であって、前記光放射(112)は、少なくとも部分的に、分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲内にある、少なくとも1つの放射線源と;
- 少なくとも2つの光検出器(120)であって、各光検出器(120)は少なくとも1つのピクセル(121)を備え、各ピクセル(121)はアクティブピクセル(123)又は暗いピクセル(124)であり、前記スペクトル測定装置(110)は少なくとも2つのアクティブピクセル(123)を備え、前記スペクトル測定装置(110)は少なくとも1つの暗いピクセル(124)を備え、各アクティブピクセル(123)は、前記アクティブピクセル(123)の照射に依存する少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成され、前記アクティブピクセル(123)のうちの少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成され、各暗いピクセル(124)は、前記暗いピクセル(124)の照射に依存しない少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される、少なくとも2つの光検出器(120)と;
- 前記光検出器信号を測定し、スペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するように構成された少なくとも1つの読み出し装置(139)と;
- 少なくとも1つのプロセッサ(142)と少なくとも1つのメモリストレージ(144)を備えた少なくとも1つの評価装置(140)であって、前記メモリストレージ(144)は、
一連の異なるクラスを含む少なくとも1つの分類モデルであって、各クラスは少なくとも1つのスペクトル特性を参照し、前記分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目を前記クラスに分類するように構成される、少なくとも1つの分類モデルと;
前記スペクトルデータの項目を前記分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するように構成された少なくとも1つの伝達関数と、
を記憶するように構成される、少なくとも1つの評価装置(140)と;
を備え、
前記評価装置(140)は、前記分類モデル及び前記伝達関数を前記スペクトルデータの項目に適用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するように構成される、スペクトル測定装置(110)。
【請求項2】
各光検出器(120)は、最大1つのアクティブピクセル(123)を含み、前記スペクトル測定装置(110)は、少なくとも1つの暗いピクセル(124)を含み、前記評価装置(140)は、前記暗いピクセル(124)を使用することによって生成された少なくとも1つの光検出器信号を使用することによって、前記スペクトル測定装置(110)を自動的に再較正するように構成される、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項3】
各アクティブピクセル(123)は、前記分類モデルの少なくとも1つのクラスを参照する少なくとも1つのスペクトル特性を有する光放射(112)を検出するように構成される、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項4】
各クラスは、少なくとも1つの明確なスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料、又は類似のスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料グループを指す、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項5】
各スペクトル特性は、少なくとも1つの予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲を指す、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項6】
前記分類モデルは、少なくとも1つの外部装置、具体的には、少なくとも1つのさらなるスペクトル測定装置(110)によって取得された過去のスペクトルデータでトレーニングされた少なくとも1つのアルゴリズムに基づく、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項7】
前記伝達関数は、少なくとも1つのパラメータを含む少なくとも1つのパラメータ化された数学的関数を含み、前記伝達関数は、前記スペクトル測定装置(110)のハードウェア及び前記スペクトル測定装置(110)の作動条件の少なくとも1つを考慮する、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項8】
前記測定情報の項目は、前記測定物体(118)の物理的特性及び前記測定物体(118)の化学的特性、具体的には前記測定物体(118)の化学組成のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項9】
前記評価装置(140)は、前記測定情報の項目に基づいて前記測定物体(118)の分類を実行するように構成される、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項10】
前記スペクトル測定装置(110)は、少なくとも1つの較正測定を実行するように構成され、前記評価装置は、較正測定が実行されるときに、前記伝達関数を適合させるようにさらに構成される、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項11】
前記光検出器(120)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光導電性材料を含み、前記光導電性材料は、PbS、PbSe、Ge、InGaAs、InSb、又はHgCdTeのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項12】
前記スペクトル測定装置(110)は、前記評価装置(140)からの及び/又は前記評価装置(140)へのデータを送信するように、具体的には前記分類モデル及び/又は前記伝達関数を適合させるように構成された少なくとも1つの通信インターフェースを備える、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項13】
前記スペクトル測定装置(110)は、前記放射線源(116)によって放出される光放射(112)を予め定義されたスペクトルで前記光検出器(120)に向けて少なくとも部分的に向かわせるように構成された少なくとも1つのサンプルインターフェースを備える、請求項1に記載のスペクトル測定装置(110)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のスペクトル測定装置(110)を使用することによって分類に基づくスペクトル測定を実行することによって、少なくとも1つの測定物体(118)によって提供される光放射(112)を測定する方法であって、前記方法は:
少なくとも1つの放射線源(116)を使用することによって、少なくとも部分的に前記測定物体に向けて光放射(112)を放出するステップであって、前記光放射(112)は、少なくとも部分的に、前記分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲にある、ステップと;
前記測定物体(118)によって提供される前記光放射(112)を検出し、少なくとも2つの光検出器(120)を使用することによって少なくとも1つの光検出器信号を生成するステップと;
前記光検出器信号を測定し、少なくとも1つの読み出し装置(139)を使用することによってスペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するステップと;
伝達関数を使用することによって、前記スペクトルデータの項目を、分類モデルに適用可能な入力データの少なくとも1つの項目に伝達するステップと;
前記分類モデルを使用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
プログラムがスペクトル測定装置(110)を参照する請求項1~13のいずれか1項に記載のスペクトル測定装置(110)によって実行されるとき、前記スペクトル測定装置(110)に、方法を参照する請求項14に記載の方法を実行させる、命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項16】
スペクトル測定装置(110)を参照する請求項1~13のいずれか1項に記載のスペクトル測定装置(110)の使用であって、使用目的が:赤外線検出アプリケーション;分光法アプリケーション;排ガス監視アプリケーション;燃焼プロセス監視アプリケーション;汚染監視アプリケーション;工業プロセス監視アプリケーション;混合又はブレンドプロセス監視アプリケーション;化学プロセス監視アプリケーション;食品処理プロセス監視アプリケーション;食品調理プロセス監視アプリケーション;水質監視アプリケーション;大気品質監視アプリケーション;品質管理アプリケーション;温度制御アプリケーション;動作制御アプリケーション;排気制御アプリケーション;ガス検知アプリケーション;ガス分析アプリケーション;動作検知アプリケーション;化学検知アプリケーション;モバイルアプリケーション;医療アプリケーション;モバイル分光法アプリケーション;食品分析アプリケーション;農業アプリケーション、特に土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視;プラスチックの識別及び/又はリサイクルアプリケーション;繊維の識別及び/又はリサイクルアプリケーション、からなる群から選択される使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの分類に基づくスペクトル測定で光放射を測定するためのスペクトル測定装置、分類に基づくスペクトル測定を実行することによって光放射を測定するための方法、及びスペクトル測定装置のさまざまな用途に関する。このような装置及び方法は、一般的に、さまざまな用途に使用されることができる。例えば、このような装置及び方法は、調査又は監視の目的、特に、赤外線検出、熱検出、炎検出、火災検出、煙検出、汚染監視、工業プロセス、化学プロセス、食品加工プロセス、プラスチック選別又は繊維選別などの選別プロセスのなどの監視などに採用されることができる。しかし、さらなる種類の用途も可能である。
【背景技術】
【0002】
あらゆる物質とエネルギー、例えば電磁放射との相互作用を測定するために、分光計(spectrometer)が使用される。さまざまなサンプルの分類などの定性的な用途の場合、データはコンピュータなどの処理ユニットに送られ、そこでは数学的な計算がスペクトルデータに対して実行される。しかし、別の装置で分光データを評価する必要があるため、消費者使用のための分光計の能力が削減される。さらに、特に小型化された反射率分光計は、消費者使用のためとしてはかなり高価になる傾向がある。
【0003】
Spectral Engines GmbHが呈示したような、比較的安価な小型分光測定ソリューション(spectrometry solutions)マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)に基づくがある。しかし、それらは特定の波長範囲、例えば製品Nirone Sensor Sの場合は1550nmから1950nmに限定される。この技術的制限は、異なる波長領域が測定される用途での使用を非常に制限する。さらに、可動なMEMS部品は、システム性能のさらなるばらつきを生じる。振動などの機械的な動きは測定結果を歪める可能性がある。このため、このような小型分光計測ソリューションを消費者製品又は産業用途に使用するのは不利である。さらに、Consumer Physics, Inc.のSCiO(商標)などの分光計システムは、離散波長フィルタを有しているが、その感光検出器はCMOSイメージャーであり、その波長範囲は740nmから1070nmの近赤外領域の一部のみに非常に限定されている。さらに、感光検出器のドリフトのため、このような分光計システムはすべて、人的介入による較正が必要となる場合があり、簡単には使用できない。これらの欠点は、スマートフォン、又は掃除機ロボットもしくは洗濯機などのスマート家電装置などの消費者向けアプリケーションにおける定性分析の適用を制限する。したがって、分光計の小型化は、産業用途での増大された利用を生じる。しかし、指摘したように、小型分光計は、比較的高価であり、データ解釈が複雑であり、このような消費者用アプリケーションに組み込むのが難しいため、消費者向けアプリケーションへの足がかりをまだ見つけていない。例えば、Consumer Physics, Inc.のSCiO(商標)、及びStratio, Inc.のLinkSquareは、消費者用途の超小型ハンドヘルド分光計を提供しているが、システムから出力されるデータがスペクトルの形式であるため、データ解釈にはトレーニングされたユーザによる解釈が必要である。
【0004】
EP 3 136 270 A1は、未知のサンプルの分光測定の結果を識別する情報を受ける装置を開示している。この装置は、分光測定の結果とグローバル分類モデルに基づいて、未知のサンプルの第1分類を実行することができる。装置は、第1分類に基づいてローカル分類モデルを生成することができる。装置は、分光測定の結果及びローカル分類モデルに基づいて、未知のサンプルの第2分類を実行することができる。装置は、第2分類の実行に基づいて、未知のサンプルに関連するクラスを識別する情報を提供することができる。しかしながら、この装置は小型化されていないため、消費者用アプリケーションにはあまり適していない。
【0005】
US 10,241,095 B2は、インターフェース光学系と取得及び処理用のエレクトロニクスを含む統合パッケージ内に収納された、固体光源(LED又はブロードバンド)と多要素検出器の組み合わせを使用するガス及び蒸気測定用の一連の光学スペクトルセンサを開示している。スペクトル選択性はカスタム検出器によって提供される。多成分ガスモニターシステムには可動部がなく、ガスサンプルは測定チャンバー内を流れ、MEMS広帯域IR光源又はやLEDマトリックスなどの光源から生成される光ビームと相互作用する。カスタム検出器は、測定チャンバー内でサンプルを通過する光ビームを検出して測定するために、多波長検出で構成される。しかしながら、この装置は、サンプルの分類を実行しないため、消費者にとっての情報コンテンツが減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、既知の装置及び方法の上述の技術的課題に対面する装置及び方法を提供することが望ましい。具体的には、本発明の目的は、統合されたデータ分析を伴う分光測定を実行するための、信頼性が高く、低コストで、消費者に優しい装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、独立請求項の特徴を有する本発明によって解決される。独立した態様で、又は任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項及び明細書全体に記載されている。
【0008】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの分類に基づくスペクトル測定で、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射を測定するためのスペクトル測定装置が開示される。本明細書で使用される、任意の文法的変形を含む「スペクトル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光波長範囲の帯域(partition)を指し得る。スペクトルは、信号波長及び対応する信号強度によって定義される光信号によって構成され得る。具体的には、スペクトルは、測定物体に関連する、例えば、測定物体を形成する少なくとも1つの材料のタイプ及び/又は組成に関連するスペクトル情報を含んでいてよく、この情報は、測定物体に関連する少なくとも1つのスペクトルを記録することによって決定されることができる。
【0009】
したがって、本明細書で使用される「スペクトル測定装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光放射の少なくとも1つの対応する信号波長に関連する少なくとも1つの信号強度の少なくとも1つの測定値を記録することによって、及び信号強度に関連する少なくとも1つの検出器信号を評価することによって、スペクトル情報を決定するように構成された任意の装置を指し得る。具体的には、スペクトル測定装置は、少なくとも1つの小型化された装置であってよく、それを備えてよく、又はそれの一部であってよい。例えば、スペクトル測定装置は、少なくとも1つのハンドヘルド型装置であってよく、それを備えてよく、又はそれの一部であってよい。本明細書で使用される「ハンドヘルド」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、任意の携帯型装置を指し得る。ハンドヘルド型装置は、具体的には、その寸法及び/又はその質量によって、ユーザが片手で持ち運べるように構成され得る。したがって、一例として、ハンドヘルド型装置の体積は0.001m3を超えないように、及び/又はハンドヘルド型装置の質量は1kgを超えないようにし得る。具体的には、スペクトル測定装置は、少なくとも1つのウェアラブル装置、具体的にはスマートフォン又はスマートウォッチの一部であってよく、それを備えてよく、又はそれの一部であってよい。スペクトル測定装置が、ハンドヘルド型装置などの小型化された装置であってよく、それを備えてよく、又はそれの一部であってよいという事実は、特に、スペクトル測定装置の消費者フレンドリーなアプリケーションを容易にすることができる。さらに、スペクトル測定装置は、少なくとも1つのハウジングを備えることができる。ハウジングは、機械的影響又は電磁的影響などの環境影響からハウジング内部の部品を保護及び/又は遮蔽するように構成され得る。
【0010】
本明細書で使用される「光放射」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲及び赤外スペクトル範囲のうちの1つ以上の電磁放射を指し得る。本明細書で使用される「紫外スペクトル範囲」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、1nm~380nm、好ましくは100nm~380nmの波長を有する電磁放射を指し得る。さらに、本文書の日付で有効なバージョンの標準ISO-21348に部分的に準拠して、本明細書で使用される「可視スペクトル範囲」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、380nm~760nmのスペクトル範囲を指し得る。さらに、「赤外スペクトル範囲」(IR)という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、一般に760nm~1000μmの電磁放射を指し得、ここで、760nm~1.5μmの範囲は通常「近赤外スペクトル範囲」(NIR)と呼ばれ、一方、1.5μm~15μmは「中赤外スペクトル範囲」(MidIR)として示され、15μm~1000μmの範囲は「遠赤外スペクトル範囲」(FIR)として示される。好ましくは、本発明の通常の目的に使用される光放射は、赤外線(IR)スペクトル範囲の光放射であり、より好ましくは、近赤外(NIR)及び中赤外スペクトル範囲(MidIR)の光放射であり、特に、1μm~5μm、好ましくは1μm~3μmの波長を有する光放射である。
【0011】
前述のように、光放射は、少なくとも1つの測定物体によって提供される。この文脈において、本明細書で使用され、その任意の文法的変形を含む「提供する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、具体的には光放射を、反射すること、具体的には拡散的に反射すること;光放射を回折すること;光放射を透過すること及び光放射を放出することのうちの少なくとも1つを指し得る。測定物体によって提供される光放射は、測定物体の物理的特性、例えば測定物体の光学的特性、及び/又は、温度と測定物体の化学的特性、例えば測定物体の化学組成のうちの少なくとも1つを示すことができる。一例として、測定物体によって提供される光放射は、測定物体によって放出され、具体的には少なくとも部分的にスペクトル測定装置に向けて、放出され得る。さらに、測定物体によって提供される光放射は、測定物体によって反射され、少なくとも部分的にスペクトル測定装置に向かって反射され、、具体的には拡散的に反射され得る。さらに、測定物体によって提供される光放射は、スペクトル測定装置に向かって少なくとも部分的に測定物体を通って送信されてよい。しかしながら、測定物体は、光放射を少なくとも部分的に吸収することもでき、これは、具体的には、測定物体の少なくとも1つの物理的特性、及び/又は、測定物体を形成する少なくとも1つの材料の化学組成などの測定物体の少なくとも1つの化学的特性を示し得る。
【0012】
本明細書で使用される「測定物体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、生体及び非生体から選択される任意のものを指し得る。測定物体は、具体的には、スペクトル測定装置による調査の対象となる少なくとも1つの材料を含み得る。測定物体とは、一般に、測定される物体、例えばスペクトルが記録される物体を指し得、ここで物体は原則として任意の特性、例えば任意の光学特性又は任意の形状を有する。測定物体は、具体的には少なくとも1つの固体サンプルを含み得る。しかし、流体などの他の測定物体も可能である。
【0013】
前述のように、スペクトル測定装置は、少なくとも1つの分類に基づくスペクトル測定で光放射を測定するように構成される。本明細書で使用される「クラス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの特性を共有する物体又は要素などのエンティティ(entity)のグループを指し得る。共有される特性は、物理特性、具体的には、物体又は要素のスペクトル特性などの光学特性を指し得る。共有される特性はさらに、物体の化学組成などの化学的特性を指し得る。一例として、複数の物体の共有される特性は、それらすべてが含む共通の材料であってよい。具体的には、各クラスは、少なくとも1つの明確なスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料、又は同様のスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料グループを指し得る。スペクトル特性は、具体的には、材料の少なくとも1つの吸収ピーク、及び/又は、吸収ピークに関連する物理量を含み得る。より具体的には、材料は、合成繊維;コットン;ウール;シルク;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリプロピレン(PP);ポリエチレン(PE);ポリ塩化ビニル(PVC);高密度ポリエチレン(HDPE);低密度ポリエチレン(LDPE);ポリアミド(PA);ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料であってよい。一般に、カテゴリという用語は、クラスという用語と同義に使用されることもある。
【0014】
したがって、本明細書で使用され、文法的変形を含む「分類」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、それぞれのクラス内で共有される特性を有するエンティティをグループ化することを指し得る。具体的には、少なくとも1つの共有特性を有する複数のエンティティは1つのクラス内にグループ化されることができる。分類は、まず、エンティティを分析し、共有されるプロパティを特定することを含み得る。一例として、分類は、具体的には、物体の化学組成を分析し、共通の材料を含む物体を1つのクラスにグループ化することを指し得る。分類はまた、クラスの生成及び/又は定義、具体的にはクラスの境界の定義も指し得る。一例として、分類は、密度、濃縮度、濃度の少なくとも1つのような、物理的特性の少なくとも1つの限界をクラスの境界として設定することができる。さらなる例として、分類は、クラス境界として、所定の条件又は状態からの少なくとも1つの最大偏差を設定することができる。例えば、所定の逸脱部分を除いて主に1つの材料からなる測定物体は、1つのクラスにグループ化されることができる。このように、クラスは材料によって具体的に定義されることができる。分類は、エンティティを少なくとも1つのクラスに割り当てることを含んでよい。原理的には、エンティティを複数のクラスに同時に割り当てることも可能である。このように、定義されたクラスが与えられると、具体的には、そのエンティティが、クラスが既に含んでいる少なくとも1つの特性を他のエンティティと共有している場合、又はそのエンティティが定義されたクラスの境界内にある場合は、少なくとも1つのエンティティを定義されたクラスに割り当てることができる。一例として、クラスは材料によって定義されることができる。次に、測定物体は少なくとも予め決定された程度まで材料を含んでいる場合(それは例えば光学的特性、例えば吸収などの物体の少なくとも1つの物理的特性を測定することによって決定され得る)、測定物体はクラス又はカテゴリに割り当てられ得る。
【0015】
本明細書で使用される「分類に基づくスペクトル測定」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、スペクトル測定であって、測定されたスペクトルデータ及び/又は前処理された測定されたスペクトルデータがその後分類されるスペクトル測定を指し得る。分類に基づくスペクトル測定の結果又は中間結果は、具体的には、測定物体が割り当てられるクラスに関する情報を含むことができる。
【0016】
スペクトル測定装置は:
- 少なくとも部分的に前記測定物体に向けて光放射を放出するように構成された少なくとも1つの放射線源であって、前記光放射は、少なくとも部分的に、分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲内にある、少なくとも1つの放射線源と;
- 少なくとも2つの光検出器であって、各光検出器は少なくとも1つのピクセルを備え、各ピクセルはアクティブピクセル又は暗いピクセルであり、前記スペクトル測定装置は少なくとも2つのアクティブピクセルを備え、前記スペクトル測定装置は少なくとも1つの暗いピクセルを備え、各アクティブピクセルは、前記アクティブピクセルの照射に依存する少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成され、前記アクティブピクセルのうちの少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成され、各暗いピクセルは、前記暗いピクセルの照射に依存しない少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される、少なくとも2つの光検出器と;
- 前記光検出器信号を測定し、スペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するように構成された少なくとも1つの読み出し装置と;
- 少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリストレージを備えた少なくとも1つの評価装置であって、前記メモリストレージは、
一連の異なるクラスを含む少なくとも1つの分類モデルであって、各クラスは少なくとも1つのスペクトル特性を参照し、前記分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目を前記クラスに分類するように構成される、少なくとも1つの分類モデルと;
前記スペクトルデータの項目を前記分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するように構成された少なくとも1つの伝達関数と、
を記憶するように構成されている、少なくとも1つの評価装置と、
を備える。
【0017】
評価装置は、分類モデル及び伝達関数をスペクトルデータの項目に適用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するように構成される。
【0018】
本明細書で使用される「放射線源」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、原則として光放射を放出するように構成された任意の装置を指し得る。本明細書で使用され、その文法的変形を含む「放出する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光放射を生成して送出する任意のプロセスを指し得る。放射線源は、半導体ベースの放射線源及び熱放射体の少なくとも1つを備えてよい。半導体ベースの放射線源は、発光ダイオード(LED)又はレーザ、具体的にはレーザダイオードの少なくとも1つから選択されてよい。熱放射体は、少なくとも1つの白熱ランプを備えてよい。
【0019】
放射線源は変調されてもよい。本明細書で使用され、その文法的変形を含む「変調する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光放射の少なくとも1つの特性、具体的には光放射の強度又は位相の一方又は両方を変化させる、具体的には周期的に変化させるプロセスを指し得る。変調は、最大値からゼロまでの完全変調であってよく、又は最大値からゼロより大きい中間値までの部分変調であってよい。放射線源は、電気的及び/又は機械的及び/又は電気機械的に変調されてよい。一例として、放射線源は、少なくとも1つのチョッパを使用することによって変調されてよい。
【0020】
本明細書で使用される「分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、測定物体を分類するために直接的又は間接的に使用されることができる測定物体の少なくとも1つの光学特性を測定するのに適したスペクトル範囲を指し得る。一例として、スペクトル範囲内で、測定物体は、スペクトル特性、例えば吸収ピークなどの材料に特有の少なくとも1つの光学特性を示すことができ、該光学特性は、材料によって定義されるクラスに測定物体を割り当てるために使用されることができる。
【0021】
本明細書で使用される「光検出器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、照射及び/又は少なくとも1つの光ビームによって生成される光スポットを検出するためなど、光放射を検出するように構成された光センサを指し得る。光検出器は、少なくとも1つの基板を備えることができる。単一の光検出器は、所与の波長範囲の照射に対する物理的応答を生成する、少なくとも1つの単一の感光エリアを有する基板であってよい。前述のように、各光検出器は、少なくとも1つのピクセルを備える。本明細書で使用される「ピクセル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光検出器の感光エリアの単位を指し得る。ピクセルは、光放射によって照射されてよく、照射に応答して少なくとも1つの光検出器信号を生成してよい。光検出器信号は、光検出器によって生成される任意の信号を備えることができる。ピクセルは、光検出器の表面、具体的には基板上に配置されてよい。さらに、ピクセルは、具体的には、単一の、閉じた、均一な感光エリアであってよい。
【0022】
ピクセルのうち少なくとも2つはサイズが異なっていてもよい。ピクセルのサイズは互いに異なっていてよい。異なる基板からのピクセルサイズ、あるいはデュアルピクセル検出器のピクセルサイズさえも異なっていてよい。各ピクセルのサイズは、少なくとも類似の光検出器信号強度が、所与の波長における各ピクセルの感光度及び各ピクセルへの入射光放射の強度を考慮して、各光検出器によって生成されるようなサイズであってよい。このようにして、測定中に複数の検出器から同様の信号強度を得ることが可能となり、これは読み出し電子機器の最適化に役立つ可能性がある。ピクセルの他の実施形態も可能であり得る。
【0023】
各光検出器のピクセルは、同じ材料から製造されることができる。あるいは、異なるピクセル材料のピクセルを複数の単一検出器アセンブリにまとめることができる。このように、スペクトル測定装置は、広い波長範囲をカバーすることができ、又、例えばアクティブエリアのサイズを変えることにより、性能に関して最適化することができる。一例として、複数の単一検出器アセンブリは、異なる基板上に異なるサイズのPbS及びPbSeピクセルを有することができる。
【0024】
前述のように、各ピクセルはアクティブピクセル又は暗いピクセルである。基板は、機械的又は光学的手段により、1つの「アクティブ」エリアと1つの第2の「暗い」エリアを有する、1つの感光エリアのみ、又はデュアル感光エリアを有することができる。スペクトル測定装置は、少なくとも2つのアクティブピクセルを備える。各アクティブピクセルは、アクティブピクセルの照射に依存する少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される。アクティブピクセルの少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲で光放射を検出するように構成されている。本明細書で使用される「アクティブピクセル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、その感光エリアの照射に応答して光検出器信号を生成するように配置及び/又は構成されたピクセルを指し得る。アクティブとは、感光エリアが測定中に感度波長範囲で照射されることを指し得る。アクティブピクセルは、アクティブピクセルの照射に依存して光検出器信号を生成することができる。
【0025】
スペクトル測定装置は、少なくとも1つの暗いピクセルを備える。少なくとも2つのアクティブピクセル及び少なくとも1つの暗いピクセルは、少なくとも2つの光検出器上に任意に分散され得る。一例として、スペクトル測定装置は、2つの光検出器を備えることができ、1つの光検出器が1つのアクティブピクセルと1つの暗いピクセルを備え、1つの光検出器が1つのアクティブピクセルを備える。本明細書で使用される「暗いピクセル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、覆われたピクセルを指し得る。暗いとは、感光エリアの感度波長範囲の照射が感光エリアに到達しないことを指し得る。暗いピクセルは、光検出器の感度範囲と同じ波長範囲において吸収する材料によって覆われてよく、及び/又は、それは暗いピクセルから入射光を反射する感光エリアの上の金属片であってよい。暗いピクセルは、接着剤及び/又はインクのような光放射を吸収する材料で覆われてもよい。追加的に又は代替的に、暗いピクセルは、金属のような光放射を反射する少なくとも1つの材料で覆われてよい。暗いピクセルは、具体的には、光放射が全く見えないか、又は少なくともほとんど見えなくてよい。暗いピクセルは、上述の手段によって覆われた単一のピクセルを有する追加の光検出器として具現化されてよく、又は、ピクセルの1つが暗くされた(1つの単一基板上の)デュアルピクセルを有する光検出器が使用されてよい。暗いピクセルは、以下でより詳細に説明されるように、長時間ドリフト及び温度の影響を除去するために使用され得る。
【0026】
暗いピクセルは、暗いピクセルの照射に依存しない少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される。本明細書で使用される「照射に依存しない」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、暗いピクセルが、暗いピクセルに入射する光子、特に、暗いピクセルが感度を有し得る波長範囲の光子なしに光検出器信号を生成するように構成され得るという事実を指し得る。具体的には、「照射に依存しない」という用語は、暗いピクセルの照射が暗いピクセルによって生成される光検出器信号に影響を与えない可能性があるという事実を指し得る。一例として、暗いピクセルの高輝度照射は、暗いピクセルの低輝度照射と同じ光検出器信号をもたらしてよい。異なる波長範囲における暗いピクセルの照射が、同じ光検出器信号をもたらしてよい。暗いピクセルは、照射されることなく光検出器信号を生成するように構成され得る。したがって、暗いピクセルによって生成される光検出器信号は、少なくとも主に暗いピクセル自体の特性、例えば暗いピクセル内で使用される材料に依存してよい。暗いピクセルによって生成される光検出器信号は、具体的には暗信号、より具体的には暗電流を含み得る。
【0027】
各光検出器は、最大1つのアクティブピクセルを含むことができ、スペクトル測定装置は、少なくとも1つの暗いピクセルを含むことができる。例えば、光検出器の各々は、2つのピクセル、すなわち、アクティブピクセル及び暗いピクセルを備えることができる。例えば、光検出器の1つが単一のアクティブピクセルを備え、別の光検出器が暗いピクセルを備えることができる。いずれの光検出器も、複数のアクティブピクセルを有することはできない。各アクティブピクセルは、特定のスペクトル範囲及び/又は波長範囲を検出するように構成されてよい。したがって、それぞれの光検出器は、特定のスペクトル範囲のみを担当し得る。
【0028】
一例として、スペクトル測定装置は3つのピクセルを備え、2つのピクセルはアクティブピクセル、1つのピクセルは暗いピクセルを備えることができる。各光検出器は、少なくとも1つのピクセルを備えてよいが、アクティブピクセルは1つを超えない。少なくとも2つのピクセルを備える光検出器は、1つのアクティブピクセルのみを有するようにするために、1つのピクセルを除くすべてのピクセルを暗くすることができる。各アクティブピクセルは、1つの波長範囲のみを担当することができ、スペクトル測定装置において同一の波長範囲に対して2つのアクティブピクセルが存在することができない。スペクトル測定装置は、例えば、2つの光検出器を備えてよく、第1光検出器が、2つのピクセル、1つのアクティブピクセルと1つの暗いピクセルを備え、第2光検出器が、1つのアクティブピクセルを備えてよい。さらに、スペクトル測定装置は、各々が1つのピクセルを有する3つの光検出器を備えてよく、第1光検出器が暗いピクセルを備え、第2光検出器及び第3光検出器が各々アクティブピクセルを備えてよい。
【0029】
光検出器の少なくとも1つは、少なくとも2つのピクセルを備え得る。ピクセルの少なくとも1つは、アクティブピクセルであってよい。ピクセルの少なくとも1つは、暗いピクセルであってよい。具体的には、光検出器はデュアルピクセル光検出器であってよい。したがって、光検出器は、アクティブピクセルと暗いピクセルを備えることができる。ピクセルは同じ感光性材料を備えてよい。したがって、暗いピクセルを使用することによって実行される較正は、アクティブピクセルが含むのと同じ感光性材料に基づいて行うことができる。1つの光検出器上のすべてのピクセルが同じ感光性材料を含んでよい。
【0030】
スペクトル測定装置は、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を放出するように構成された少なくとも2つの放射線源を備えることができる。一例として、スペクトル測定装置は、2つの異なる放射線源、例えば2つの異なるLEDを備え得る。追加的に又は代替的に、2つの放射線源は、異なる光フィルを備え得る。各光検出器は、異なっていて正確に1つの放射線源によって放出された光放射を検出するように構成されることができる。各光検出器は、異なるスペクトル範囲を観察するように割り当てられてよい。各光検出器は、分類モデルの異なるクラスに対応するスペクトル特性を観察するように割り当てられてよい。スペクトル測定装置は、少なくとも3つの光検出器、具体的には少なくとも4つの光検出器、より具体的には少なくとも5つの光検出器を備え得る。例えば、スペクトル測定装置は、16個以下の光検出器を備え得る。具体的には、スペクトル測定装置は、少なくとも3つのピクセルを備え得る。より具体的には、スペクトル測定装置は、少なくとも2つのアクティブピクセルと少なくとも1つの暗いピクセルを備え得る。各アクティブピクセルは、異なる光検出器によって備えられ得る。2つのアクティブピクセルは、それぞれ異なるスペクトル範囲の観察に使用されることができる。暗いピクセルは、スペクトル測定装置を再較正するため、具体的には、スペクトル測定装置を連続的に又は繰り返し再較正するために、例えば分類に基づく分光測定の実行と並行して、使用されることができる。
【0031】
評価装置は、暗いピクセルを使用することによって生成された少なくとも1つの光検出器信号を使用することによって、スペクトル測定装置を自動的に再較正するように構成され得る。本明細書で使用され、その文法的変形を含む「自動」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも部分的に人間の介入を必要とせずに、例えば少なくとも部分的に機械によって実行されるプロセスを指し得る。具体的には、プロセスは、プロセッサ、コントローラ、コンピュータ、コンピュータネットワーク及び機械のうちの少なくとも1つによって、特に手動による作動及び/又はユーザとのインタラクションなしに、少なくとも部分的に実行され得る。本明細書で使用され、その文法的変形を含め、また「再較正する」という用語を含む、「較正する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、主にハードウェアコンポーネントに関連する変更に起因して、及び/又はハードウェアコンポーネント、具体的にはスペクトル測定装置又はその部品に影響を及ぼす変更に起因して、実際の測定において生じ得るドリフト効果を補正することを指し得る。この変更は、具体的には、放射線源又は光検出器、具体的にはピクセルの少なくとも1つの劣化;放射線源又は光検出器の少なくとも1つの温度ドリフト;スペクトル測定装置に影響を与える周囲温度の変動;スペクトル測定装置に関連する温度の変動、すなわち、光検出器及び/又は対応する電子機器が作動し得る温度の変動;スペクトル測定装置によって含まれる少なくとも1つのコンポーネント、具体的には、機械的ハウジング、ホルダ及び光学要素の少なくとも1つの機械的伸縮、のうちの少なくとも1つを含み得る。さらなる変更も可能であり得る。電気化学的プロセス又は長寿命トラップの緩和などの物理的プロセスは、ドリフト効果を誘発する可能性がある。ドリフト効果を補正することは、具体的には、ドリフト効果が、スペクトル測定装置によって決定される結果が決定的でなくなる程度に測定情報の項目を歪めることを回避することによって、測定情報の項目の信頼性を維持することを容易にすることができる。したがって、使用されるハードウェアの定期的な較正は通常、スペクトル測定装置の信頼性を維持するために必要となり得る。暗いピクセルを使用することによって生成された少なくとも1つの光検出器信号を使用することによってスペクトル測定装置を自動的に較正することは、特に消費者フレンドリーとなり得る。暗いピクセルを使用することによって生成された光検出器信号は、光検出器のドリフト、特に長時間のドリフトを補正し、さらに光検出器に対する温度の影響を補正するのに適している可能性がある。
【0032】
各光検出器、特にそのピクセルは、ピクセルの照射に依存して、検出器信号とも表記される少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される。光検出器信号は、アナログ信号及びデジタル信号の少なくとも1つを備え得る。光検出器信号は、具体的には、ピクセルに入射する光放射の強度に関連する少なくとも1つの電子信号を備え得る。光検出器の少なくとも1つは、少なくとも1つの信号処理装置、例えば光検出器信号を処理及び/又は前処理するための1つ以上のフィルタ及び/又はアナログ-デジタル変換器を備えることができる。
【0033】
暗信号とも呼ばれる、暗いピクセルを使用することによって生成される光検出器信号は、スペクトル測定装置に到達する光放射に依存しない場合がある。言い換えれば、スペクトル測定装置に到達する光放射が変化しても、暗いピクセルを使用することによって生成される光検出器信号は一定であってよい。暗いピクセルを使用することによって生成される光検出器信号は、光検出器のドリフト、特に長時間のドリフトを補正するのに適している可能性がある。暗いピクセルを使用することによって生成される光検出器信号は、温度に依存する場合がある。一例として、暗いピクセルは、自由電荷キャリアの自発的形成が熱的に誘導され得る少なくとも半導体材料含むことができる。したがって、暗いピクセルを使用することによって生成される光検出器信号は、光検出器に対する温度効果を補正するためにさらに適している可能性がある。
【0034】
光検出器の少なくとも1つ、具体的にはピクセルの少なくとも1つは、光導電性材料、特に硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、ゲルマニウム(Ge)、インジウムガリウム砒素(InGaAs、拡張InGaAsを含むがこれらに限定されない)、インジウムアンチモン(InSb)、又はテルル化水銀カドミウム(HgCdTe又はMCT)から選択される無機光導電性材料を含み得る。一般に使用される「拡張InGaAs」という用語は、2.6μmまでのスペクトル応答を示す特定のタイプのInGaAsを指す。具体的には、光検出器の少なくとも1つはPbS光検出器であってよく、放出される光放射は760 400nm~3000nm、具体的には1000 800nm~2700nm、より具体的には1500 1200nm~2500nmの波長を含む。しかしながら、異なる種類の材料又は他の種類の光検出器も可能であり得る。
【0035】
光検出器は、個々の検出器と迷光との間のクロストークが抑制される方法で、互いに分離されていてよい。これは、光検出器が個々の基板上で物理的に分離されているために可能である。したがって、指定波長での放射線を、クロストークなしに、より正確に検出することができる。
【0036】
放射線源及び/又は光検出器の少なくとも1つは、測定物体からの直接反射された光放射がアクティブピクセルに到達しないように配置されてよい。光検出器は、測定物体からの拡散反射された光放射を測定するように構成されてよい。光検出器の各々は、測定物体からの拡散反射光を測定し、光検出器信号を生成するように構成されてよい。測定物体からの直接反射光は、少なくとも1つの放射線源と光検出器との適切な位置関係により、光検出器に到達するのを可能な限り防止されることができる。
【0037】
前述のように、光検出器の少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成される。本明細書で使用される「少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、同一ではないスペクトル範囲を指し得、スペクトル範囲は、重複していてよく、又は重複していなくてもよい。光検出器の少なくとも2つは異なっていてよく、例えば、異なる光導電性材料を含むピクセルを含んでいてよい。具体的には、各アクティブピクセルは、分類モデルの少なくとも1つのクラスを参照する少なくとも1つのスペクトル特性を有する光放射を検出するように構成されてよい。各アクティブピクセルは、分類モデルの正確に1つのクラスを参照する少なくとも1つのスペクトル特性を有する光放射を検出するように構成されてよい。前述のように、各クラスは、具体的には、少なくとも1つの明確なスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料、又は類似のスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料グループを指し得る。各スペクトル特性は、少なくとも1つの予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲を指し得る。スペクトル特性、例えば材料の吸収ピークは、予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲内に位置してよい。予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲は、測定物体によって提供される光放射を測定する前に、具体的には予め決定された分類に従って測定する前に、予め決定され及び/又は予め定義されてよい。一例として、分類に基づくスペクトル測定は、衣服内の材料を決定することを想定することができる。衣服によって提供される光放射を測定する前に、繊維クラスが予め決定され及び/又は予め定義されてよく、各繊維クラスは、異なる予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲における吸収ピークなどのスペクトル特性を含んでよい。予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲は、1650nmから1700nm;1725nmから1800nm;2050nmから2150nm;2175nmから2225nmからなる群から選択される少なくとも1つのスペクトル範囲であってよい。しかしながら、予め決定された及び/又は予め定義された他のスペクトル範囲が他のユースケースで可能である。
【0038】
光検出器の少なくとも1つは、少なくとも1つの光フィルタを備えていてよい。例えば、光フィルタは、光バンドパスフィルタであってよい。例えば、光フィルタは、狭帯域通過(NPB)光フィルタであってよい。光検出器によって検出されるスペクトル範囲は、分類の少なくとも1つのクラスに関連するスペクトル範囲、例えば分類の正確に1つのクラスに制限され得る。光検出器は、分類の少なくとも1つのクラス、具体的には、分類の正確に1つのクラスに関連する光学特性を観察するように割り当てられてよい。スペクトル測定装置の各光検出器は、異なるスペクトル範囲を観察するように割り当てられてよい。各光検出器は、分類モデルの異なるクラスに対応するスペクトル特性を観察するように割り当てられてよい。本明細書で使用される「光フィルタ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光放射の波長及び/又は光放射の偏光などの光放射の少なくとも1つの物理的特性による光放射を選択的に遮断するように構成された任意の装置又は物体を指し得る。本明細書で使用される「光バンドパスフィルタ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、限られたスペクトル範囲のみが光フィルタを通過して光フィルタの背後の物体に伝播することができるように、入射光放射をフィルタリングするように構成された光フィルタを指し得る。光バンドパスフィルタは、最小波長から最大波長までの光放射のみを透過させるように構成され得る。
【0039】
スペクトル測定装置は、それぞれのユースケースに特化して設計され得る。スペクトル測定装置は、アプリケーション固有の吸収帯域を測定するように構成され得る。光検出器は、吸収帯域に構成され得、アプリケーション固有の中心波長、半値全幅(FWHM)、領域外遮断レベル及び範囲を有する狭帯域通過(NBP)光フィルタなどの光フィルタを備え得る。追加的に又は代替的に、光検出器は、サンプル固有の波長を放出するLEDなどの適切な放射線源を選択することによって、それらのアプリケーション固有の吸収帯域に構成され得る。
【0040】
例えば、繊維のユースケースは、例えば、さまざまな繊維のコットン、ウール、シルク、合成繊維などのクラスへの差別化を要求し得る。すべての繊維に特定の特徴的な赤外線吸収スペクトルがある。文献では、特定の材料に特定の吸収帯があることがすでに示されている。例えば、コットンは2100nm付近、ウールは1724nm付近、合成繊維は1662nm付近などを吸収する。したがって、この繊維のユースケースでは、特定の波長成分のみが繊維クラスに関する情報を伝えるため、高価な分光計でスペクトル全体を測定する代わりに、検出器のピクセルをこれらのサンプル固有の波長に設定することによって、これらの4つの材料固有の吸収帯を測定すれば十分であり得る。4つの光検出器、例えば光検出器1から4を使用することができる。光検出器は、以下の表に示す中心波長と半値全幅値(FWHM)を備えた狭帯域通過(NBP)光フィルタを使用して波長に合わせて構成されることができる:
【表1】
【0041】
例えば、さらなるユースケースでは、プラスチックの分類、例えば、PETがPP、PEなどの他のプラスチックタイプから分類されるなど、が必要となる場合がある。この実施形態では、これらのプラスチッククラスに特有な2つ又は3つのピクセルが使用されることができる。
【0042】
あるユースケース向けに設計されたハードウェアソリューションは、別のユースケースには適用できない場合がある。本明細書で提案する特定用途向け設計は、特定のユースケース向けに事前に定義されたハードウェアと分類モデルを含む場合がある。
【0043】
スペクトル測定装置は、少なくとも1つの読み出し装置を備える。本明細書で使用される「読み出し装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの物理的特性、及び/又は、少なくとも少なくとも1つの光検出器によって、具体的には少なくとも1つの光検出器によって検出された少なくとも1つの物理的特性の変化を定量化及び/又は処理するように構成された任意の装置を指し得る。上述したように、少なくとも1つの光検出器は、具体的には、例えばPbSなどの少なくとも1つの光導電性材料を備え得る。光導電性材料は、一般に、照射によって導電率が変化し、したがって、抵抗が変化し、これは例えば続いて抵抗測定で定量化されることができる。測定された抵抗値により、入射光放射に関する結論を導き出すことができる。抵抗測定は、さらなる抵抗器、特に既知の抵抗値を有するさらなる抵抗器との比較において実施され得る。さらなる抵抗器は、特に、読み取り装置内の分圧器に配置され得る。読み出し装置は、抵抗計、電圧計、電流計、ロックイン増幅器、分圧器、及び電気パスフィルタのうちの少なくとも1つを備え得る。
【0044】
読み出し装置は、光検出器信号を測定し、スペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するように構成される。本明細書で使用される「スペクトルデータの項目」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、測定物体のスペクトル情報、例えばスペクトル特性に関する定性的及び/又は定量的な記述を提供する知識又は証拠の少なくとも1つを指し得る。スペクトルデータの項目は、測定物体による光放射の吸収に関連する場合がある。スペクトルデータの項目は、測定物体の少なくとも1つの吸収スペクトルを含んでよく、吸収スペクトルは少なくとも1つの吸収ピークを含んでよい。スペクトルデータの項目は、アナログ及び/又はデジタルであってよい。読み出し装置は、検出器信号を収集するように構成され得、各検出器信号は、例えば、異なるスペクトル範囲内の光放射の検出された強度について示すことができる。読み出し装置は、検出器信号を処理及び/又は前処理するように構成されてよい。読み出し装置は、少なくとも1つのスペクトル、具体的には測定物体の少なくとも1つの吸収スペクトルにおける検出器信号を組み合わせるように構成されてよい。
【0045】
スペクトル測定装置は、少なくとも1つの評価装置を備える。本明細書で使用される「評価装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、好ましくは、少なくとも1つのデータ処理装置を使用することによって、より好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することによって、指定された作動を実行するように適合された任意の装置を指し得る。一例として、少なくとも1つの評価装置は、多数のコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードが記憶された少なくとも1つのデータ処理装置を備え得る。評価装置は、指定された作動のうちの1つ以上を実行するための1つ以上のハードウェア要素を提供することができ、及び/又は、指定された作動のうちの1つ以上を実行するためのその上で実行されるソフトウェアを有する1つ以上のプロセッサに提供することができる。一例として、評価装置は、評価を実行するように構成された1つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上のプログラマブルデバイスを備えることができる。しかし、追加的に又は代替的に、評価装置は、完全に又は部分的にハードウェアによって具現化されることもできる。評価装置はさらに、スペクトル測定装置又はその一部を制御するように構成されることができる。評価装置は、具体的には、複数の光検出器信号がピックアップされ得る少なくとも1つの測定サイクルを実行するように構成されてよい。評価装置によって決定された情報は、具体的には、電子的、視覚的、音響的、又は触覚的な態様のうちの少なくとも1つで、さらなる装置のうちの少なくとも1つ及び/又はユーザに提供されてよい。評価装置によって決定された情報は、メモリストレージに、及び/又は、別個の記憶装置に記憶されてよく、及び/又は、無線インターフェース及び/又は有線インターフェースなどの少なくとも1つのインターフェースを介して伝えられてよい。
【0046】
評価装置は、少なくとも1つのプロセッサを備える。本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、コンピュータ又はシステムの基本的な作動を実行するように構成された任意の論理回路、及び/又は、一般的に、計算又は論理演算を実行するように構成された装置を指し得る。特に、プロセッサは、コンピュータ又はシステムを駆動する基本命令を処理するように構成され得る。一例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算ユニット(ALU)、数学コプロセッサ又は数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点演算ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的には、オペランドをALUに供給し、演算結果を保存するように構成されたレジスタ、及びL1キャッシュメモリ及びL2キャッシュメモリなどのメモリを備えることができる。特に、プロセッサはマルチコアプロセッサであってよい。具体的には、プロセッサは、中央処プロセッサ(CPU)であってよく、又はこれを備えていてよい。追加的に又は代替的に、プロセッサは、マイクロプロセッサであってよく、又はこれを備えていてよく、したがって、具体的には、プロセッサの要素は、1つの単一の集積回路(IC)チップに含まれていてよい。追加的に又は代替的に、プロセッサは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などであってよく、又はこれらを備えていてよい。プロセッサは、具体的には、ソフトウェアプログラミングなどによって、1つ以上の評価作動を実行するように構成されてよい。
【0047】
評価装置は、少なくとも1つのメモリストレージを備える。本明細書で使用される「メモリストレージ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、具体的には、データを記憶し、具体的には、データベースに、より具体的には少なくとも1つのデータベースレコードに、組織的にデータを記憶するように構成された任意の装置を指し得る。メモリストレージは、電子的及び/又は磁気的及び/又は機械的なメモリストレージであってよい。メモリストレージは、書き込み可能であってよく、又は読み取り専用であってよい。メモリストレージは、揮発性であってよく、又は不揮発性であってよい。メモリストレージは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)及びフラッシュメモリのうちの少なくとも1つを備えることができる。メモリストレージは、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)及びフラッシュドライブのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0048】
メモリストレージは、少なくとも1つの分類モデルを記憶するように構成されている。分類モデルは、一連の異なるクラスを備える。各クラスは、少なくとも1つのスペクトル特性を指す。分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目をクラスに分類するように構成される。本明細書で使用される「分類モデル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの分類を実行するために使用されることができるモデル又はスキームを指し得る。分類モデルは、ユーザによって予め決定された及び/又は予め定義されたクラスなどの、予め決定された及び/又は予め定義されたクラスを含むことができる。分類モデルは、クラス境界を含むことができる。分類モデルは、1つのクラス内のすべてのエンティティによって共有される少なくとも1つのプロパティなどのクラスプロパティを含むことができる。分類モデルは、入力データの項目を正確に1つのクラスに分類することができる。分類モデルは、入力データの項目を複数のクラスに分類することができる。
【0049】
分類モデルは、グローバル分類モデルであってよい。本明細書で使用される「グローバル分類モデル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、ハードウェアに依存しないがアプリケーション固有の分類モデルを指し得る。分類モデルは、ユースケース固有の波長、特にスペクトル範囲に依存し得る。すべてのアプリケーションには、固有のグローバルモデルが存在し得る。分類モデルは、ハードウェア条件及び/又は作動条件に依存しない場合がある。したがって、分類モデルは、特に異なるハードウェアコンポーネント、例えば、温度などの異なる作動条件下で使用される光検出器などに対して、グローバルに適用されることができる。
【0050】
分類モデルは、入力データの項目を分析し、入力データの項目をクラスに分類するための少なくとも1つのアルゴリズムを含むことができる。分類モデルは、少なくとも1つのトレーニングされたモデルを含んでよい。トレーニングされるモデルは、具体的には機械学習を使用することにより、少なくとも1つのトレーニングセットでトレーニングされる。この文脈において、本明細書で使用され、その文法的変形を含む「トレーニング」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つのトレーニングデータセットを使用することによって、モデルのパラメータ及び/又はアルゴリズム内で使用されるパラメータを決定するプロセスを指し得る。具体的には、アルゴリズムはモデルを含むことができる。トレーニングは、少なくとも1つの最適化又は調整プロセスを含んでよく、ここで、最適なパラメータの組み合わせが決定され得る。示されるように、トレーニングは、機械学習を使用することによって実行されてよい。本明細書で使用される「機械学習」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、自動的なモデル構築のために、特にパラメータ化モデルのために人工知能(AI)を使用する方法を指し得る。
【0051】
トレーニングデータセットは、例えば、少なくとも1つの外部装置、具体的には、少なくとも1つのさらなるスペクトル測定装置によって取得された過去のスペクトルデータを含むことができる。さらなるスペクトル測定装置は、実験室用のスペクトル測定装置であってよい。
【0052】
分類モデルは、特にアプリケーション及びその後の精度に応じて、ランダムフォレスト、K平均クラスタリング、及びサポートベクターマシン(SVM)のうちの少なくとも1つを使用することによって生成されることができる。本明細書で使用される「ランダムフォレスト」(ランダムフォレストアルゴリズムとも表記される)という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも分類及び/又は回帰のために構成されたアンサンブル学習方法を指し得る。具体的には、ランダムフォレストアルゴリズムは、1つ以上の決定木を構築し、クラスのモード及び個々の木の平均予測値から選択される少なくとも1つのクラスを出力するように構成され得る。ランダムフォレストアルゴリズムは、例えば、Leo Breimanによる学術論文、「Random Forests」(Machine Learning 45.1、2001年10月号)から一般に知られている。本明細書で使用される「K平均クラスタリング」(K平均アルゴリズムとも表記される)という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、エンティティを分類するためのベクトル量子化を使用するアルゴリズムを指し得る。K平均クラスタリングは、J. A. Hartigan, M. A. Wongによる:「アルゴリズム AS 136: K 平均クラスタリング アルゴリズム("Algorithm AS 136:A K-Means Clustering Algorithm)」, 王立統計協会ジャーナル、シリーズ C (応用統計) (Journal of the Royal Statistical Society, Series C (Applied Statistics)).Vol.28, No., 1979, 100~108頁で説明されているように実行され得る。本明細書で使用される「SVM」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、分類及び回帰のために使用される一連の関連する教師あり学習法を指し得、例えば、V. Vapnik.「統計的学習理論の性質(The Nature of Statistical Learning Theory)」, Springer, N.Y., 1995.ISBN 0-387-94559-8を参照されたい。
【0053】
分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目をクラスに分類するように構成される。本明細書で使用される「入力データの項目」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、情報が、特にさらなる処理のために、少なくとも1つのエンティティ、例えば、モデル、プログラム、プロセッサ、又はネットワーク内で解釈されるような方法で記録及び/又は構造化された、情報に関連する定性的及び/又は定量的な記述を提供する知識又は証拠の少なくとも1つを指し得る。具体的には、入力データの項目は、前述したように分類モデルに適用可能である。分類モデルは、入力データの項目を解釈するように、入力データの項目を処理するように、具体的には、入力データの項目及び/又は処理された入力データの項目を分類するように構成され得る。分類モデルは、特にアプリケーション指向であってよい。一例として、分類は、前述のように、衣服の材料分析に言及することができ、クラスは、コットン又はウールなどの繊維クラスであってよい。この例では、分類モデルは、衣服を参照する処理されたスペクトルデータの形態の入力データを繊維クラスに分類するように構成され得る。
【0054】
メモリストレージは、少なくとも1つの伝達関数を記憶するように構成される。伝達関数は、スペクトルデータの項目を分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するように構成される。グローバル分類モデルは、伝達関数の助けを借りてその特定のユースケースのために設計された類似のハードウェアに採用されることができる。スペクトル測定装置によって測定されたデータは、ハードウェアの許容誤差ならびに温度及び湿度などの周囲条件に強く依存する。一例として、スペクトル測定装置の読み出し装置は、測定物体のスペクトル測定によるスペクトルデータの項目を生成することができる。スペクトルデータの項目は、まず測定物体、例えば測定物体の吸収特性に依存し得る。しかし、スペクトルデータの項目は、スペクトル測定装置自体、具体的には、使用される光検出器などのスペクトル測定装置のハードウェアにさらに依存する場合がある。さらに、スペクトルデータの項目は、スペクトル測定中のスペクトル測定装置の作動条件(温度など)に依存する場合がある。伝達関数は、スペクトル測定装置によって測定されたデータを、そのデータが類似の装置上でオフライでグローバル分類モデルに適用できるように変換することができる。類似の装置とは、事前に定義されたフィルタ、ピクセル数、ピクセル形状などを有する事前に定義されたハードウェアを指し得る。
【0055】
本明細書で使用される「伝達関数」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、データを伝達するための任意の関数又はアルゴリズムを指し得る。伝達は、データの少なくとも1つの変換、具体的には、さらなる処理のためにデータを適合させること、より具体的には、特定のモデルなどの少なくとも1つの特定のエンティティ内でのさらなる処理のためのデータを適合させることを含んでよい。伝達は、データによって含まれる情報が少なくとも部分的に維持されるような方法でデータを伝達することを含み得る。具体的には、データのさらなる評価に関連する情報は維持されるが、データの形式は変更され得る。追加的に又は代替的に、さらなる情報が追加されることがある。例えば、さらなる評価のためにハードウェア及び/又は作動条件を考慮するために、ハードウェア及び/又は作動条件に関する情報がスペクトルデータの項目に追加されてよく、及び/又は、スペクトルデータの項目が、伝達関数を使用することによって、具体的には分類モデルに適用可能な入力データの少なくとも1つの項目を生成するときに、ハードウェア及び/又は作動条件に関する情報を考慮することによって、適合されてよい。伝達関数は、少なくとも1つのパラメータを含む少なくとも1つのパラメータ化された数学的関数を含むことができる。伝達関数は、ピクセルに対応する係数の関数であってよい。伝達関数は、スペクトル測定装置のハードウェア及びスペクトル測定装置の作動条件の少なくとも1つを考慮することができる。具体的には、伝達関数のパラメータは、光検出器信号を重み付けするように選択され、より具体的には、ピクセルの適用された形状及びピクセルの適用材料の少なくとも1つによって選択されてよい。一例として、分光器装置は、異なる形状及び/又は異なる活性材料を有する少なくとも2つのピクセルを備え得る。したがって、2つのピクセルは、1つの測定物体のスペクトル情報を含む同一の入射光放射に対して、異なる光検出器信号を誘導することができる。スペクトルデータの項目を分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するための伝達関数を使用することにより、異なる形状及び/又は異なる活性材料が、分類モデルを使用することによって測定物体を例えば少なくとも1つの材料クラスに分類する際に、考慮される可能性がある。伝達関数によって、材料分類アプリケーションをハードウェアにローカライズすることができ、大量導入が可能になる。伝達関数は、例えば、参照サンプルに参照装置を使用することによって得られた既知のスペクトルデータの項目から導出されることができる。参照装置は、例えばハイエンドのラボ装置を備え得る。参照サンプルは、例えば、既知の材料などの既知のサンプルを備え得る。具体的には、伝達関数は、少なくとも1つの予め決定された係数を含むことができる。パラメータ化された数学的関数は、以下の少なくとも1つのマトリックスMを含むことができ:

Y=MX,

ここで、Yは入力データの項目を含むベクトルであり、Xはスペクトルデータの項目を含むベクトルである。したがって、予め決定された係数は、例えばマトリックスMの要素であってよい。マトリックスMのパラメータは、測定されたスペクトルデータの項目と、例えば参照サンプルに参照装置を使用することによって得られた既知のスペクトルデータの項目とを比較することによって決定されることができる。マトリックスMは、例えば、装置特性、例えば検出率、又は温度補償パラメータもしくは湿度補償パラメータを含んでいてもよい。伝達関数はさらに、少なくとも1つのルックアップテーブルを含んでよい。ルックアップテーブルは、スペクトルデータの項目と、分類モデルに適用可能な入力データの項目とを照合するように構成され得る。
【0056】
特定の例として、伝達関数は温度補償を可能にすることができる。したがって、マトリックスMは温度補償パラメータを要素として含むことができる。温度補償パラメータは、例えばルックアップテーブルから読み出されることができる。
【0057】
評価装置は、分類モデル及び伝達関数をスペクトルデータの項目に適用することにより、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するように構成される。本明細書で使用される「測定情報の項目」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの測定、具体的には少なくとも1つの測定物体に関する定性的及び/又は定量的な記述を提供する知識又は証拠を指し得る。測定情報の項目は、測定物体の物理的特性及び測定物体の化学的特性、具体的には測定物体の化学組成のうちの少なくとも1つを含むことができる。物理的特性は、具体的には、測定物体の少なくとも1つの吸収率及び/又は測定物体の少なくとも1つの放射率などの光学的特性を含んでよい。化学組成は、具体的には、測定物体が含む少なくとも1つの材料に関する定性的及び/又は定量的な情報を指し得る。評価装置は、測定情報の項目に基づいて測定物体の分類を実行するように構成されてよい。測定情報の項目、したがって測定物体は、1つ以上のクラス、例えばユーザによって予め決定されたクラスに割り当てられてよい。追加的に又は代替的に、測定情報の項目は、少なくとも1つのクラス、例えば新しい材料クラスを生成及び/又は定義するために使用されることができる。
【0058】
伝達関数は、スペクトル測定装置のユーザによって、又はスペクトル測定装置によって自動的に、更新、特に再較正され得る。例えば、評価装置は、較正測定が実行されるときなど、伝達関数を適合させるようにさらに構成されることができる。較正測定は、分類に基づくスペクトル測定の作動条件及び周囲条件の変化が予め定義された限界を超えると実行され得る。具体的には、較正測定は、放射線源の放射線出力が、例えば劣化により所定の閾値を下回ること;光検出器の光検出器信号が、例えば劣化又はヒステリシスに起因して所定の閾値を下回ること;周囲温度が所定の閾値を超える及び/又は所定の閾値を下回ること、周囲湿度が所定の閾値を超える及び/又は所定の閾値を下回ること;周囲光強度が所定の閾値を超える及び/又は所定の閾値を下回ること、のうちの少なくとも1つが生じた時点で実行されてよい。具体的には、評価装置は、較正測定においてハードウェア条件及び/又は作動条件の変化が検出された場合に、伝達関数を適宜更新するように構成され得る。一例として、較正測定は、例えば少なくとも1つのピクセルの劣化に起因する、少なくとも1つの光検出器の応答性の変化を明らかにすることができる。その後、ピクセルの重み付けが、伝達関数において、具体的には伝達関数の対応するパラメータを適合させることによって、適合され得る。
【0059】
例えば、自動自己較正のために、2020年12月2日に出願されたEP出願番号20211174.6に記載されているようにスペクトル測定装置を備えることができる。較正測定は、サンプルインターフェースを使用することによって実行されてよい。光検出器の少なくとも1つは、少なくとも1つの参照光検出器信号を生成するように構成され得る。具体的には、光検出器の少なくとも1つは、サンプルインターフェースから反射された光放射を検出し、少なくとも1つの対応する参照光検出器信号を生成するように構成され得る。サンプルインターフェースは、測定物体に到達することなく放射線源からの光放射を反射するように構成され得る。具体的には、サンプルインターフェースは、放射線源によって放出された光放射を、光放射が測定物体を通過しないように、少なくとも部分的に光検出器に向けて導くように構成され得る。サンプルインターフェース材料は、分類用途に応じて、例えば15%、20%又は25%の光の一部を反射するように選択されることができ、サンプルインターフェースからの反射光は、光検出器によって参照信号として測定される。例えば、サンプルインターフェースは、光学素子、特に、好ましくは、ガラス窓又はシリコン窓から選択される光学窓を備えることができる。例えば、ビームスプリッタを使用してよい。光学素子は、透明な材料、好ましくは、光放射によってカバーされる波長範囲の少なくとも1つの帯域において、少なくとも部分的に透明な材料、で作られてよい。光学素子は、放射線源によって放出された光放射の第1部分を、光検出器の少なくとも1つに直接導くように構成されていてよい。したがって、この照射に応答して生成される信号を参照信号として使用することができる。追加的に又は代替的に、窓材料のフレネル反射を使用する代わりに、スペクトル測定装置は、一体化された拡散反射ターゲット(一体型較正ターゲットとも表記される)を備えることができ、一体型較正ターゲットは、サンプルが存在しない場合、較正ターゲットとして使用されることができる。一体型較正ターゲットは、放射線源によって放出された光放射を、予め定義されたスペクトルで特に拡散的に、少なくとも部分的に光検出器に向けて導くように構成され得る。サンプルインターフェースは、特に、正確に知られ安定した物理的特性を含み得る。
【0060】
スペクトル測定装置は、評価装置からの及び/又は評価装置へのデータを送信するように構成された少なくとも1つの通信インターフェースを備えることができる。具体的には、通信インターフェースは、分類モデル及び/又は伝達関数を適合させるための指示、コマンド、データ、パラメータなどを受信するように構成され得る。したがって、分類モデル及び/又は伝達関数は、ユーザによって、及び/又は、利用可能な更新で、具体的には自動更新で外部ソースによって、適合され得る。本明細書で使用される「通信インターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、情報を伝達するように構成された境界を形成する物体又は要素を指し得る。特に、通信インターフェースは、例えば別の装置に情報を送信又は出力するなど、計算装置、例えばコンピュータから情報を伝達するように構成され得る。追加として又は代替として、通信インターフェースは、情報を受信するなど、計算装置、例えばコンピュータに情報を伝達するように構成され得る。通信インターフェースは、具体的には、情報を伝達又は交換するための手段を提供し得る。具体的には、通信インターフェースは、データ伝達接続、例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC、誘導結合などを提供し得る。一例として、通信インターフェースは、ネットワーク又はインターネットポート、USBポート、及びディスクドライブのうちの1つ以上を含む少なくとも1つのポートであり得るか、又はそれを含み得る。通信インターフェースは、少なくとも1つの表示装置をさらに備えることができる。通信インターフェースは、少なくとも1つのウェブインターフェースであり得る。
【0061】
スペクトル測定装置は、少なくとも1つの温度センサを備え得る。温度センサは、光検出器信号を周囲温度に対して補償するように構成され得る。追加的に又は代替的に、スペクトル測定装置は、少なくとも1つの温度安定化素子、具体的には熱電冷却器を備えることができる。具体的には、光検出器及び放射線源の少なくとも1つは、温度安定化素子上に配置され、及び/又は温度安定化素子に接続されてよい。スペクトル測定装置は、光検出器信号を周囲湿度に対して補償するように構成された少なくとも1つの湿度センサを備えることができる。
【0062】
本発明のさらなる態様では、上記した又は以下により詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるスペクトル測定装置を使用することによって、分類に基づくスペクトル測定を実行することにより、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射を測定する方法が提供される。本方法は、以下のステップ:
少なくとも1つの放射線源を使用することによって、少なくとも部分的に測定物体に向けて光放射を放出するステップであって、前記光放射は、少なくとも部分的に、分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲にある、ステップと;
前記測定物体によって提供される光放射を検出し、少なくとも2つの光検出器を使用することによって少なくとも1つの光検出器信号を生成するステップと;
前記光検出器信号を測定し、少なくとも1つの読み出し装置を使用することによってスペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するステップと;
伝達関数を使用することによって、前記スペクトルデータの項目を、分類モデルに適用可能な入力データの少なくとも1つの項目に伝達するステップと;
前記分類モデルを使用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するステップと、
を含む。
【0063】
本方法は、以下のステップ:
分類に基づくスペクトル測定の作動条件及び/又は周囲条件の変化が予め定義された制限を超えると、少なくとも1つの較正測定を実行するステップと;
前記較正測定に対応する前記伝達関数を適合させるステップと、
をさらに含む。
【0064】
方法ステップは、所与の順序で実行されることができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでいてよい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回又は繰り返し実施してよい。さらに、2つ以上の方法ステップが同時に又は適時に重複して実施されてよい。方法のさらなる定義及び実施形態については、スペクトル測定装置の定義及び実施形態を参照されたい。
【0065】
本方法は、少なくとも1つの評価装置において少なくとも1つの分類モデル及び少なくとも1つの伝達関数を取得することをさらに含み得る。本明細書で使用され、その文法的変形を含む「取得する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、モデル又は関数などのエンティティを選択及び/又はロードすることを指し得る。具体的には、複数の分類モデル及び/又は伝達関数が、スペクトル測定装置のメモリストレージに保存され得る。次に、ユーザは、分類に基づくスペクトル測定に使用される少なくとも1つの分類モデル及び/又は少なくとも1つの伝達関数を選択することができる。スペクトル測定装置は、生成されたスペクトルデータの項目に基づいて、少なくとも1つの分類モデルを推奨するように構成されることができる。追加的に又は代替的に、スペクトル測定装置は、使用されるハードウェア、例えば光検出器、及び/又は作動条件、例えば温度センサによって測定される温度に基づいて、少なくとも1つの伝達関数を推奨するように構成され得る。追加的に又は代替的に、スペクトル測定装置は、生成されたスペクトルデータの項目に基づいて少なくとも1つの分類モデルを独立して選択するように構成されてよい。追加的に又は代替的に、スペクトル測定装置は、使用されるハードウェア、例えば光検出器、及び/又は作動条件、例えば温度センサによって測定される温度に基づいて、少なくとも1つの伝達関数を独立して選択するように構成されてよい。少なくとも1つの分類モデル及び/又は少なくとも1つの伝達関数が、少なくとも1つの外部ソースから、例えば、スペクトル測定装置の通信インターフェースを使用することによって、ダウンロードされることができる。
【0066】
本方法はコンピュータ実装されることができる。具体的には、方法ステップの1つ以上は、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって、より具体的にはコンピュータプログラムを使用することによって実行され得る。したがって、一般に、データの提供及び/又は操作を含む方法ステップのいずれもが、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。一般に、これらの方法ステップは、典型的には、測定物体の提供及び/又は実際の測定の実行の特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを除く、いかなる方法ステップをも含むことができる。
【0067】
本明細書においてさらに開示され提案されるのは、コンピュータプログラムである。コンピュータプログラムは、プログラムが、スペクトル測定装置を参照する上記又は以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるスペクトル測定装置によって実行されるとき、スペクトル測定装置に、方法を参照する上記又は以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによる方法を実行させる命令を備える。
【0068】
本明細書においてさらに開示され提案されるのは、コンピュータ可読記憶媒体である。コンピュータ可読記憶媒体は、プログラムが、スペクトル測定装置を参照する上記又は以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるスペクトル測定装置によって実行されるとき、スペクトル測定装置に、方法を参照する上記又は以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによる方法を実行させる命令を備える。コンピュータ可読記憶媒体は、その上にコンピュータ実行可能な命令が保存されたハードウェア記憶媒体などの非一過性のデータ記憶手段を指し得る。コンピュータ読取可能データキャリア又は記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読取専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であってよく、又はそれらを含んでよい。
【0069】
本発明のさらなる態様では、スペクトル測定装置を参照する上記又は以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるスペクトル測定装置の使用であって:赤外線検出アプリケーション;分光法アプリケーション;排ガス監視アプリケーション;燃焼プロセス監視アプリケーション;汚染監視アプリケーション;工業プロセス監視アプリケーション;混合又はブレンドプロセス監視アプリケーション;化学プロセス監視アプリケーション;食品処理プロセス監視アプリケーション;食品調理プロセス監視アプリケーション;水質監視アプリケーション;大気品質監視アプリケーション;品質管理アプリケーション;温度制御アプリケーション;動作制御アプリケーション;排気制御アプリケーション;ガス検知アプリケーション;ガス分析アプリケーション;動作検知アプリケーション;化学検知アプリケーション;モバイルアプリケーション;医療アプリケーション;モバイル分光法アプリケーション;食品分析アプリケーション;農業アプリケーション、特に土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視;プラスチックの識別及び/又はリサイクルアプリケーション;繊維の識別及び/又はリサイクルアプリケーション、からなる群から選択される使用目的のために使用される。
【0070】
本発明による装置及び方法は、既知の方法、ステーション及びシステムに対して多数の利点を提供することができる。特に、装置及び方法は、小型化された装置、特にハンドヘルド型装置を使用することにより、スペクトルデータの記録及び分析の両方を可能にすることができる。したがって、スペクトル測定の結果は、消費者フレンドリーで、迅速な方法でユーザに提示され得る。データを分析するための大規模な計算能力は必要なく、ハンドヘルド型装置内に直接組み込むことができる。さらに、データ分析は、グローバルな分類モデルと当該ハードウェア及び作動条件を考慮し得るローカルな伝達関数とを使用することにより、異なるハードウェア又は作動条件に容易に適合させることができる。装置及び方法は、特に低コストであるが、ハードウェアの定期的な較正のおかげで非常に信頼性が高い。一般的に、このような較正を行うには技術的な専門知識が必要な場合があり、これは消費者フレンドリーではない。しかし、ここでは、較正は、例えば、光検出器の暗いピクセルを使用することによって、自動的に実行され得る。追加的に又は代替的に、較正は、指定された光学素子、具体的には内部較正ターゲットを使用することによって実行され得る。このように、ユーザインストラクション及び必要な専門知識を最小限に抑えることができる。さらに、潜在的に変化する作動条件は、例えば、前記暗いピクセル又は指定されたセンサを使用することによって、自動的に観察され、データ分析のために考慮され得る。
【0071】
本明細書で使用される場合「有する」、「備える」、「含む」という用語、又はそれらの任意の文法的変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明される実体にさらなる特徴が存在しない状況、及び1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指すことができる。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」及び「AはBを含む」という表現は、B以外にAに他の要素が存在しない状況(すなわち、AがもっぱらBから構成される状況)、及びB以外に1つ以上のさらなる要素が実体Aに存在する状況、例えば、要素C、要素C及びD、又はさらなる要素が存在する状況の両方を指すことができる。
【0072】
さらに、用語「少なくとも1つ」、「1つ以上の」、又は、特徴又は要素が1度以上存在してもよいことを示す同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を導入する際に1回のみ使用されることに留意されたい。ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素に言及する際、それぞれの特徴又は要素が1回又は複数回存在する可能性があるという事実にかかわらず、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0073】
さらに、本明細書で使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「具体的には」、「より具体的には」、「特に」、「さらに特に」又は同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と組み合わせて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であって、いかなる意味でも特許請求の範囲の範囲を制限することを意図しない。本発明は、当業者であれば認識するように、代替的特徴を使用することによっても実行され得る。同様に、「本発明の一実施形態において」又は類似の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に対する制限なしに、本発明の範囲に関する制限なしに、及び、そのような方式で導入される特徴を本発明の他の任意の又は非任意の特徴と組み合わせる可能性に対する制限なしに、任意の特徴であることを意図している。
【0074】
要約すると、さらに可能な実施形態を排除することなく、以下の実施形態が想定され得る:
【0075】
実施形態1.少なくとも1つの分類に基づくスペクトル測定で少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射を測定するためのスペクトル測定装置であって、前記スペクトル測定装置は:
- 少なくとも部分的に前記測定物体に向けて光放射を放出するように構成された少なくとも1つの放射線源であって、前記光放射は、少なくとも部分的に、分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲内にある、少なくとも1つの放射線源と;
- 少なくとも2つの光検出器であって、各光検出器は少なくとも1つのピクセルを備え、各ピクセルはアクティブピクセル又は暗いピクセルであり、前記スペクトル測定装置は少なくとも2つのアクティブピクセルを備え、前記スペクトル測定装置は少なくとも1つの暗いピクセルを備え、各アクティブピクセルは、前記ピクセルの照射に依存する少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成され、前記アクティブピクセルのうちの少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成され、各暗いピクセルは、前記暗いピクセルの照射に依存しない少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される、少なくとも2つの光検出器と;
- 前記光検出器信号を測定し、スペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するように構成された少なくとも1つの読み出し装置と;
- 少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリストレージを備えた少なくとも1つの評価装置であって、前記メモリストレージは、
一連の異なるクラスを含む少なくとも1つの分類モデルであって、各クラスは少なくとも1つのスペクトル特性を参照し、前記分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目を前記クラスに分類するように構成される、少なくとも1つの分類モデルと;
前記スペクトルデータの項目を前記分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するように構成された少なくとも1つの伝達関数と、
を記憶するように構成されている、少なくとも1つの評価装置と、
を備え、
前記評価装置は、前記分類モデル及び前記伝達関数を前記スペクトルデータの項目に適用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するように構成される、スペクトル測定装置。
【0076】
実施形態2.各光検出器は、最大1つのアクティブピクセルを含み、前記スペクトル測定装置は、少なくとも1つの暗いピクセルを含み、前記評価装置は、前記暗いピクセルを使用することによって生成された少なくとも1つの光検出器信号を使用することによって、前記スペクトル測定装置を自動的に再較正するように構成される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0077】
実施形態3.各アクティブピクセルは、前記分類モデルの少なくとも1つのクラスを参照する少なくとも1つのスペクトル特性を有する光放射を検出するように構成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0078】
実施形態4.各クラスは、少なくとも1つの明確なスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料、又は類似のスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料グループを指す、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0079】
実施形態5.前記材料は、合成繊維;コットン;ウール;シルク;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリプロピレン(PP);ポリエチレン(PE);ポリ塩化ビニル(PVC);高密度ポリエチレン(HDPE);低密度ポリエチレン(LDPE);ポリアミド(PA);ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料である、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0080】
実施形態6.各スペクトル特性は、少なくとも1つの予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲を指す、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0081】
実施形態7.前記予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲は、1650nmから1700nm;1725nmから1800nm;2050nmから2150nm;2175nmから2225nmからなる群から選択される少なくとも1つのスペクトル範囲である、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0082】
実施形態8.前記分類モデルは、少なくとも1つの外部装置、具体的には、少なくとも1つのさらなるスペクトル測定装置によって取得された過去のスペクトルデータでトレーニングされた少なくとも1つのアルゴリズムに基づく、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0083】
実施形態9.前記分類モデルは、ランダムフォレスト、K平均クラスタリング、及SVMのうちの少なくとも1つを使用することによって生成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0084】
実施形態10.前記伝達関数は、少なくとも1つのパラメータを含む少なくとも1つのパラメータ化された数学的関数を含み、前記伝達関数は、前記スペクトル測定装置のハードウェア及び前記スペクトル測定装置の作動条件の少なくとも1つを考慮する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0085】
実施形態11.前記伝達関数のパラメータは、前記光検出器信号を重み付けするように選択される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0086】
実施形態12.前記パラメータ化された数学的関数は、少なくとも1つのマトリックスを含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0087】
実施形態13.前記伝達関数は少なくとも1つのルックアップテーブルを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0088】
実施形態14.前記測定情報の項目は、前記測定物体の物理的特性及び前記測定物体の化学的特性、具体的には前記測定物体の化学組成のうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0089】
実施形態15.前記評価装置は、前記測定情報の項目に基づいて前記測定物体の分類を実行するように構成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0090】
実施形態16.前記スペクトル測定装置は、少なくとも1つの較正測定を実行するように構成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0091】
実施形態17.前記評価装置は、較正測定が実行されるときに、前記伝達関数を適合させるようにさらに構成される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0092】
実施形態18.前記放射線源は、半導体ベースの放射線源及び熱放射体の少なくとも1つを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0093】
実施形態19.前記半導体ベースの放射線源は、発光ダイオード(LED)又はレーザ、具体的にはレーザダイオードの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0094】
実施形態20.前記放射線源は変調される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0095】
実施形態21.前記光検出器の少なくとも1つはPbS光検出器であり、放出される光放射は400nm~3000nm、具体的には800nm~2700nm、より具体的には1200nm~2500nmの波長を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0096】
実施形態22.前記光検出器の少なくとも1つはPbSe光検出器であり、放出される光放射の波長は400nm~5000nm、具体的には800nm~4800nm、より具体的には1200nm~4600nmの波長を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0097】
実施形態23.前記スペクトル測定装置は、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を放出するように構成された少なくとも2つの放射線源を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0098】
実施形態24.各光検出器は、異なっていて正確に1つの前記放射線源によって放出された光放射を検出するように構成される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0099】
実施形態25.前記スペクトル測定装置は、少なくとも3つの光検出器、具体的には少なくとも4つの光検出器、より具体的には少なくとも5つの光検出器を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0100】
実施形態26.前記スペクトル測定装置は、少なくとも3つのピクセルを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0101】
実施形態27.前記スペクトル測定装置は、少なくとも2つのアクティブピクセルと少なくとも1つの暗いピクセルを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0102】
実施形態28.前記光検出器の少なくとも1つは、少なくとも2つのピクセルを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0103】
実施形態29.前記ピクセルの少なくとも1つはアクティブピクセルであり、前記ピクセルの少なくとも1つは暗いピクセルである、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0104】
実施形態30.前記ピクセルは同じ感光性材料を備える、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0105】
実施形態31.前記ピクセルのうち少なくとも2つはサイズが異なる、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0106】
実施形態32.各ピクセルのサイズは、少なくとも類似の光検出器信号強度が各光検出器によって生成されるようなサイズである、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0107】
実施形態33.少なくとも1つの光検出器が少なくとも1つの光フィルタ、具体的には光バンドパスフィルタ、より具体的には、狭帯域通過(NBP)光フィルタを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0108】
実施形態34.前記放射線源及び/又は前記光検出器の少なくとも1つは、前記測定物体からの直接反射された光放射が前記アクティブピクセルの少なくとも1つに到達しないように配置される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0109】
実施形態35.前記光検出器のうちの少なくとも1つは、前記測定物体からの拡散反射された光放射を測定するように構成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0110】
実施形態36.前記光検出器のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの絶縁材料によって絶縁される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0111】
実施形態37.前記光検出器のうちの少なくとも1つ、具体的には前記ピクセルのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光導電性材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0112】
実施形態38.前記光導電性材料は、PbS、PbSe、Ge、InGaAs、InSb、又はHgCdTeのうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0113】
実施形態39.前記測定物体は、少なくとも1つの固体サンプルを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0114】
実施形態40.前記スペクトル測定装置は、前記放射線源によって放出される光放射を予め定義されたスペクトルで前記光検出器に向けて少なくとも部分的に向かわせるように構成された少なくとも1つのサンプルインターフェースを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0115】
実施形態41.前記光検出器の少なくとも1つは、前記サンプルインターフェースから反射された光放射を検出し、少なくとも1つの対応する参照光検出器信号を生成するように構成される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0116】
実施形態42.前記読み出し装置は、抵抗計、電圧計、電流計、ロックイン増幅器、分圧器、及び電気パスフィルタのうちの少なくとも1つを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0117】
実施形態43.前記スペクトル測定装置は、前記光検出器信号を周囲温度に対して補償するように構成された少なくとも1つの温度センサを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0118】
実施形態44.前記スペクトル測定装置は、少なくとも1つの温度安定化素子、具体的には熱電冷却器を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0119】
実施形態45.前記スペクトル測定装置は、前記光検出器信号を周囲湿度に対して補償するように構成された少なくとも1つの湿度センサを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0120】
実施形態46.前記スペクトル測定装置は、前記評価装置からの及び/又は前記評価装置へのデータを送信するように、具体的には前記分類モデル及び/又は前記伝達関数を適合させるように構成された少なくとも1つの通信インターフェースを備え、前記スペクトル測定装置は、前記放射線源によって放出される光放射を、予め定義されたスペクトルで前記光検出器に向けて少なくとも部分的に向けるように構成された、少なくとも1つの光学素子、具体的には、少なくとも1つの一体型較正ターゲットを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置。
【0121】
実施形態47.前記光学素子は、前記放射線源によって放出された前記光放射を、予め定義されたスペクトルで特に拡散的に、前記光検出器に向けて少なくとも部分的に反射するように構成される、先行する実施形態に記載のスペクトル測定装置。
【0122】
実施形態48.先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置を使用することによって分類に基づくスペクトル測定を実行することによって、少なくとも1つの測定物体によって提供される光放射を測定する方法であって、前記方法は:
少なくとも1つの放射線源を使用することによって、少なくとも部分的に前記測定物体に向けて光放射を放出するステップであって、前記光放射は、少なくとも部分的に、前記分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲にある、ステップと;
前記測定物体によって提供される前記光放射を検出し、少なくとも2つの光検出器を使用することによって少なくとも1つの光検出器信号を生成するステップと;
前記光検出器信号を測定し、少なくとも1つの読み出し装置を使用することによってスペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するステップと;
伝達関数を使用することによって、前記スペクトルデータの項目を、分類モデルに適用可能な入力データの少なくとも1つの項目に伝達するステップと;
前記分類モデルを使用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するステップと、
を含む、方法。
【0123】
実施形態49.
前記分類に基づくスペクトル測定の作動条件及び/又は周囲条件の変化が予め定義された制限を超えると、少なくとも1つの較正測定を実行するステップと;
前記較正測定に対応する前記伝達関数を適合させるステップと、
をさらに含む、先行する実施形態に記載の方法。
【0124】
実施形態50.前記方法は、少なくとも1つの評価装置において少なくとも1つの分類モデル及び少なくとも1つの伝達関数を取得することを含む、方法を参照する先行する方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態51.前記方法はコンピュータ実装される、方法を参照する先行する方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態52.プログラムがスペクトル測定装置を参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置によって実行されるとき、前記スペクトル測定装置に、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法を実行させる、命令を含むコンピュータプログラム。
【0127】
実施形態53.プログラムがスペクトル測定装置を参照する先行する 実施形態のいずれか1つに記載のスペクトル測定装置によって実行されるとき、前記スペクトル測定装置に、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法を実行させる、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【0128】
実施形態54.スペクトル測定装置を参照する先行する実施形態のいずれか1つによるスペクトル測定装置の使用であって、使用目的が:赤外線検出アプリケーション;分光法アプリケーション;排ガス監視アプリケーション;燃焼プロセス監視アプリケーション;汚染監視アプリケーション;工業プロセス監視アプリケーション;混合又はブレンドプロセス監視アプリケーション;化学プロセス監視アプリケーション;食品処理プロセス監視アプリケーション;食品調理プロセス監視アプリケーション;水質監視アプリケーション;大気品質監視アプリケーション;品質管理アプリケーション;温度制御アプリケーション;動作制御アプリケーション;排気制御アプリケーション;ガス検知アプリケーション;ガス分析アプリケーション;動作検知アプリケーション;化学検知アプリケーション;モバイルアプリケーション;医療アプリケーション;モバイル分光法アプリケーション;食品分析アプリケーション;農業アプリケーション、特に土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視;プラスチックの識別及び/又はリサイクルアプリケーション;繊維の識別及び/又はリサイクルアプリケーション、からなる群から選択される使用。
【図面の簡単な説明】
【0129】
さらなる任意の特徴及び実施形態は、実施形態に続く説明において、好ましくは従属請求項と併せて、より詳細に開示される。そこでは、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、任意の実現可能な組み合わせだけでなく、孤立した態様で実現されてよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。そこでは、これらの図中の同一の参照番号は、同一又は機能的に同等の要素を指す。
【0130】
図の中で:
図1】スペクトル感知装置の例示的な実施形態の概略図を示す。
図2図2A及び図2Bは、単一の放射線源を備え、波長依存性光フィルタを備えた複数の単一ピクセルの配置を示す。
図3図3A及び図3Bは、すべてのピクセルがツインである実施形態を示す。
図4】さまざまな繊維クラスについての、材料固有の吸収帯を示す。
図5図5A及び図5Bは、中心に放射線源が配置されたアセンブリと、周辺に複数の放射線源が配置されたアセンブリを示す。
図6】本発明による光放射測定方法の例示的な実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0131】
実施形態の詳細な説明
図1は、本発明によるスペクトル測定装置110の例示的な実施形態を高度に概略的に示している。スペクトル測定装置110は、光放射112の少なくとも1つの対応する信号波長に関連する少なくとも1つの信号強度の少なくとも1つの測定値を記録することによって、及び信号強度に関連する少なくとも1つの光検出器信号を評価することによって、スペクトル情報を決定するように構成された装置である。図1に示される実施形態では、スペクトル測定装置110は、スペクトル測定装置110のコンポ―ネントを取り囲むハウジング114を備える。この態様では、スペクトル測定装置110のコンポ―ネントを保護することができ、外光のアクセスを妨げることができる。しかしながら、スペクトル測定装置110のコンポ―ネントの配置のさらなる種類も考えられ得る。
【0132】
前述のように、スペクトル測定装置110は、少なくとも1つの分類に基づくスペクトル測定で光放射を測定するように構成される。クラスは、エンティティ、例えば少なくとも1つの特性を共有する物体又は要素のグループであってよい。共有特性は、物理特性、具体的には、物体又は要素のスペクトル特性などの光学特性を指し得る。共有特性はさらに、物体の化学組成などの化学的特性を指し得る。一例として、複数の物体の共有特性は、それらすべてが含む共通の材料であってよい。具体的には、各クラスは、少なくとも1つの明確なスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料、又は同様のスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料グループを指し得る。スペクトル特性は、具体的には、材料の少なくとも1つの吸収ピーク及び/又は吸収ピークに関連する物理量を含み得る。より具体的には、材料は、合成繊維;コットン;ウール;シルク;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリプロピレン(PP);ポリエチレン(PE);ポリ塩化ビニル(PVC);高密度ポリエチレン(HDPE);低密度ポリエチレン(LDPE);ポリアミド(PA);ガラスからなる群から選択される少なくとも1つの材料であってよい。一般に、カテゴリという用語は、クラスという用語と同義に使用されることもある。分類は、まず、エンティティを分析し、共有プロパティを特定することを含み得る。一例として、分類は、具体的には、物体の化学組成を分析し、共通の材料を含む物体を1つのクラスにグループ化することを指し得る。分類は、クラスの生成及び/又は定義、具体的にはクラスの境界を定義することを指し得る。一例として、分類は、密度、濃縮度、濃度の少なくとも1つのような物理的特性の少なくとも1つの限界をクラスの境界として設定することができる。さらなる例として、分類は、クラス境界として、所定の条件又は状態からの少なくとも1つの最大偏差を設定することができる。例えば、所定の逸脱部分を除いて主に1つの材料からなる測定物体は1つのクラスにグループ化されることができる。このように、クラスは材料によって具体的に定義されることができる。分類は、エンティティを少なくとも1つのクラスに割り当てることを含んでよい。原理的には、エンティティを複数のクラスに同時に割り当てることも可能である。このように、定義されたクラスが与えられると、具体的には、そのエンティティが、クラスが既に含んでいる少なくとも1つの特性を他のエンティティと共有している場合、又はそのエンティティが定義されたクラスの境界内にある場合に、少なくとも1つのエンティティを定義されたクラスに割り当てることができる。一例として、クラスは材料によって定義されることができる。次に、測定物体は少なくとも予め決定された程度まで材料を含んでいる場合(それは例えば光学的特性、例えば吸収などの物体の少なくとも1つの物理的特性を測定することによって決定され得る)、測定物体はクラス又はカテゴリに割り当てられ得る。分類に基づくスペクトル測定は、スペクトル測定であってよく、測定されたスペクトルデータ及び/又は前処理された測定されたスペクトルデータはその後分類される。分類に基づくスペクトル測定の結果又は中間結果は、具体的には、測定物体が割り当てられるクラスに関する情報を含むことができる。
【0133】
スペクトル測定装置110は、少なくとも部分的に測定物体118に向けて光放射112を放出するように構成された少なくとも1つの放射線源116を備え、前記光放射112は、少なくとも部分的に、分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲内にある。特に、放射線源116は、好ましくは、発光ダイオード(LED)又はレーザ、特にレーザダイオードの少なくとも1つから選択され得る半導体ベースの放射線源116によって含まれ得る。しかしながら、さらなるタイプの放射線源116も可能であり得る。放射線源116は、変調された光パルスを連続的に放出させ、又は発生させることができる。
【0134】
例示的なスペクトル測定装置110は、少なくとも2つの光検出器120を備える。
【0135】
光検出器120は、少なくとも1つの基板を備えることができる。単一の光検出器120は、所与の波長範囲の照射に対する物理的応答を生成する、少なくとも1つの単一の感光エリアを有する基板であってよい。各光検出器120は、少なくとも1つのピクセル121を備える。ピクセルの実施形態を図2及び図3に示す。各光検出器120は、ピクセル121の照射に依存して少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成されている。光検出器120の少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成される。ピクセル121は、光放射によって照射されてよく、及び照射に応答して少なくとも1つの光検出器信号を生成してよい。ピクセル121は、光検出器120の表面、具体的には基板上に配置されてよい。さらに、ピクセル121は、具体的には、単一の、閉じた、均一な感光エリアであってよい。
【0136】
ピクセル121のうち少なくとも2つはサイズが異なっていてよい。ピクセルのサイズは互いに異なっていてよい。異なる基板からのピクセルサイズ、あるいはデュアルピクセル検出器のピクセルサイズさえも異なっていてよい。各ピクセル121のサイズは、所与の波長における各ピクセルの感光度及び各ピクセルへの入射光放射の強度を考慮して、各光検出器120によって少なくとも類似の光検出器信号強度が生成されるようなサイズであってよい。このようにして、測定中に複数の検出器から同様の信号強度を得ることが可能となり、読み出し電子機器の最適化に役立つ可能性がある。ピクセル121の他の実施形態も可能であり得る。
【0137】
各光検出器120のピクセル121は、同じ材料から製造されることができる。あるいは、異なるピクセル材料のピクセルを複数の単一検出器アセンブリにまとめることができる。このように、スペクトル測定装置は、広い波長範囲を覆うことができ、又、例えばアクティブエリアのサイズを変えることにより、性能に関して最適化することができる。一例として、複数の単一検出器アセンブリは、異なる基板上に異なるサイズのPbS及びPbSeピクセルを有することができる。
【0138】
ピクセル121は、好ましくは、光導電性材料、特に硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、ゲルマニウム(Ge)、インジウムガリウム砒素(InGaAs、拡張InGaAsを含むがこれらに限定されない)、インジウムアンチモン(InSb)、又はテルル化水銀カドミウム(HgCdTe又はMCT)から選択される少なくとも1つの無機光導電性材料を含み得る。具体的には、光検出器120の少なくとも1つはPbS光検出器であってよく、放出される光放射112は760 400nm~3000nm、具体的には1000 800nm~2700nm、より具体的には1500 1200nm~2500nmの波長を含む。光検出器120の少なくとも1つはPbSe光検出器であってよく、放出される光放射120の波長は400nm~5000nm、具体的には800nm~4800nm、より具体的には1200nm~4600nmの波長を含む。しかしながら、異なる種類の材料又は他の種類の光検出器120も可能であり得る。
【0139】
スペクトル測定装置110は、光検出器信号を測定し、スペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するように構成された少なくとも1つの読み出し装置139を備えることができる。読み出し装置139は、抵抗計、電圧計、電流計、ロックイン増幅器、分圧器、及び電気パスフィルタのうちの少なくとも1つを備え得る。スペクトルデータの項目は、測定物体118による光放射の吸収に関連する場合がある。スペクトルデータの項目は、測定物体118の少なくとも1つの吸収スペクトルを含んでよく、吸収スペクトルは少なくとも1つの吸収ピークを含んでよい。スペクトルデータの項目は、アナログ及び/又はデジタルであってよい。読み出し装置139は、検出器信号を収集するように構成され得、各検出器信号は、例えば、異なるスペクトル範囲内の光放射の検出された強度について示すことができる。読み出し装置139は、検出器信号を処理及び/又は前処理するように構成されてよい。読み出し装置は、少なくとも1つのスペクトル、具体的には測定物体118の少なくとも1つの吸収スペクトルにおける検出器信号を組み合わせるように構成されてよい。
【0140】
光検出器120の少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成される。スペクトル範囲は、同一ではなく、スペクトル範囲は、重複していてよく、又は重複していなくてもよい。光検出器120の少なくとも2つは異なっていてよく、例えば、異なる光導電性材料を含むピクセルを含んでいてよい。具体的には、各アクティブピクセル123は、分類モデルの少なくとも1つのクラスを参照する少なくとも1つのスペクトル特性を有する光放射を検出するように構成されてよい。各アクティブピクセル123は、分類モデルの正確に1つのクラスを参照する少なくとも1つのスペクトル特性を有する光放射を検出するように構成されてよい。各クラスは、具体的には、少なくとも1つの明確なスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料、又は類似のスペクトル特性を有する少なくとも1つの材料グループを指し得る。各スペクトル特性は、少なくとも1つの予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲を指し得る。スペクトル特性、例えば材料の吸収ピークは、予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲内に位置してよい。予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲は、測定物体によって提供される光放射を測定する前に、具体的には予め決定された分類に従って測定する前に、予め決定され及び/又は予め定義されてよい。一例として、分類に基づくスペクトル測定は、衣服内の材料を決定することを想定することができる。衣服によって提供される光放射を測定する前に、繊維クラスが予め決定され及び/又は予め定義されてよく、各繊維クラスは、異なる予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲における吸収ピークなどのスペクトル特性を含んでよい。予め決定された及び/又は予め定義されたスペクトル範囲は、1650nmから1700nm;1725nmから1800nm;2050nmから2150nm;2175nmから2225nmからなる群から選択される少なくとも1つのスペクトル範囲であってよい。しかしながら、予め決定された及び/又は予め定義された他のスペクトル範囲が他のユースケースで可能である。
【0141】
各ピクセルはアクティブピクセル123又は暗いピクセル124である。基板は、機械的又は光学的手段により、1つの「アクティブ」エリアと1つの第2の「暗い」エリアを有する、1つの感光エリアのみ、又は二重感光エリアを有することができる。スペクトル測定装置110は、少なくとも2つのアクティブピクセル123を備える。各アクティブピクセル123は、アクティブピクセル123の照射に依存する少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される。アクティブピクセル123の少なくとも2つは、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を検出するように構成されている。アクティブピクセル123は、その感光エリアの照射に応答して光検出器信号を生成するように配置及び/又は構成されたピクセルであってよい。アクティブとは、感光エリアが測定中に感度波長範囲で照射されることを指し得る。スペクトル測定装置110は、少なくとも1つの暗いピクセル124を備える。各暗いピクセル124は、暗いピクセル124の照射に依存しない少なくとも1つの光検出器信号を生成するように構成される。暗いピクセル124は覆われたピクセル121であってよい。暗いとは、感光エリアの感度波長範囲の照射が感光エリアに到達しないことを指し得る。暗いピクセル124は、光検出器の感度波長範囲と同じ波長範囲において吸収する材料によって覆われてよく、及び/又は、暗いピクセルから入射光を反射する感光エリアの上の金属片であってよい。暗いピクセル124は、接着剤及び/又はインクのような光放射を吸収する材料で覆われてもよい。追加的に又は代替的に、暗いピクセルは、金属のような光放射を反射する少なくとも1つの材料で覆われてよい。暗いピクセル124は、具体的には、光放射が全く見えないか、又は少なくともほとんど見えない可能性がある。暗いピクセル124は、上述の手段によって覆われた単一のピクセルを有する追加の光検出器として具現化されてよく、又はピクセル121の1つが暗くされた(1つの単一基板上の)デュアルピクセル121を有する光検出器が使用されてよい。暗いピクセル124は、長時間のドリフト及び温度の影響を除去するために使用され得る。
【0142】
各光検出器120は、最大1つのアクティブピクセル123を含むことができ、スペクトル測定装置110は、少なくとも1つの暗いピクセル124を含むことができる。例えば、光検出器120の各々は、2つのピクセル121、すなわち、アクティブピクセル123及び暗いピクセル124を備えることができる。例えば、光検出器120の1つが単一のアクティブピクセル123を備え、別の光検出器120が暗いピクセル124を備えることができる。いずれの光検出器120も、複数のアクティブピクセル123を有することはできない。各アクティブピクセル123は、特定のスペクトル範囲及び/又は波長範囲を検出するように構成されてよい。したがって、それぞれの光検出器120は、特定のスペクトル範囲のみを担当し得る。
【0143】
光検出器120の少なくとも1つは、少なくとも2つのピクセル121を備え得る。ピクセル121の少なくとも1つは、アクティブピクセル123であってよい。ピクセル121の少なくとも1つは、暗いピクセル124であってよい。具体的には、光検出器120はデュアルピクセル光検出器であってよい。したがって、光検出器120は、アクティブピクセル123と暗いピクセル124を備えることができる。ピクセル121は同じ感光性材料を備えてよい。したがって、暗いピクセル124を使用することによって実行される較正は、アクティブピクセル123が含むのと同じ感光性材料に基づいて行うことができる。1つの光検出器120上のすべてのピクセル121が同じ感光性材料を含んでよい。
【0144】
スペクトル測定装置110は、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲の光放射を放出するように構成された少なくとも2つの放射線源116を備えることができる。一例として、スペクトル測定装置110は、2つの異なる放射線源116、例えば2つの異なるLEDを備え得る。追加的に又は代替的に、2つの放射線源116は、異なる光フィルを備え得る。
【0145】
各光検出器120は、異なっていて正確に1つの放射線源116によって放出された光放射を検出するように構成されることができる。各光検出器120は、異なるスペクトル範囲を観察するように割り当てられてよい。各光検出器120は、分類モデルの異なるクラスに対応するスペクトル特性を観察ようために割り当てられてよい。スペクトル測定装置110は、少なくとも3つの光検出器120、具体的には少なくとも4つの光検出器120、より具体的には少なくとも5つの光検出器120を備え得る。例えば、スペクトル測定装置110は、16個以下の光検出器120を備え得る。具体的には、スペクトル測定装置110は、少なくとも3つのピクセル121を備え得る。より具体的には、スペクトル測定装置110は、少なくとも2つのアクティブピクセル123と少なくとも1つの暗いピクセル124を備え得る。各アクティブピクセル123は、異なる光検出器120によって備えられ得る。2つのアクティブピクセル123は、それぞれ異なるスペクトル範囲の観察に使用されることができる。暗いピクセル124は、スペクトル測定装置110の較正するために使用され得る。
【0146】
光検出器120の少なくとも1つは、少なくとも1つの参照光検出器信号を生成するように構成されてよい。具体的には、光検出器120の少なくとも1つは、サンプルインターフェースから反射された光放射を検出し、少なくとも1つの対応する参照光検出器信号を生成するように構成されてもよい。例示的なスペクトル測定装置110は、光学素子、特に、好ましくは、ガラス窓又はシリコン窓から選択される光学窓126を備えることができる。ビームスプリッタを使用してよい。光学窓126によって含まれる透明材料は、好ましくは、光放射112によってカバーされる波長範囲の少なくとも1つの帯域において、少なくとも部分的に透明であってよい。概略的に示されるように、光学素子は、放射線源116によって放出された光放射112の第1部分128を光検出器120の少なくとも1つに導くように構成され得る。光学素子は、さらに、放射線源116によって放射された光放射112の第2部分130を測定物体118に導くように構成され得る。測定物体118は、スペクトル測定装置110による調査又は監視のための材料を含む、生物体及び非生物体から選択される任意の物体であるか、又はそれらを含んでよい。スペクトル測定装置110内の放射線源116、光学素子、及び光検出器120のこの特定のアセンブリの結果として、光学素子は、放射線源116によって放出されるような光放射112を、直接的に光検出器120に向かって導かれる第1部分128と、測定物体118を介して間接的に少なくとも1つの光検出器120に向かって導かれる第2部分130とに分割するために指定されるビーム分割素子として機能することができる。
【0147】
光学素子は、光放射112の第1部分128を光検出器120に反射させ、第2部分130を少なくとも1つの測定物体118に透過させることができる。しかしながら、代替の実施形態(ここでは示されていない)では、光学素子は、光放射112の第1部分128を光検出器120に透過させ、第2部分130を測定物体118に反射させることができる。選択された実施形態とは無関係に、光放射は、放射素子116から光学素子までの経路で光学的に透明な媒体134を横断する。ここで、光学的に透明な媒体134は、特に、周囲空気、不活性ガス又は真空から選択され得るが、より詳細に上記で示されるようなさらなる材料も可能であり得る。
【0148】
スペクトル測定装置110は、さらに、光検出器120を照射するために、第1部分128及び/又は第2部分130のいずれかの光放射112の少なくとも1つの波長を選択するように構成されたスペクトル伝達要素136を含んでいてよい。ここで概略的に示されているように、スペクトル伝達要素136は、特に、偏光フィルタ;又はバンドパスフィルタなどの光フィルタ138であってもよいが、さらなる種類のスペクトル伝達要素136も可能である。さらなる実施形態(ここでは示されていない)では、スペクトル伝達要素136は必ずしも必要でない。
【0149】
光検出器120の少なくとも1つは、少なくとも1つの光フィルタ138を備えていてよい。例えば、光フィルタ138は、光バンドパスフィルタであってよい。例えば、光フィルタ138は、狭帯域通過(NPB)光フィルタであってよい。それぞれの光検出器120によって検出されるスペクトル範囲は、分類の少なくとも1つのクラスに関連するスペクトル範囲、例えば分類の正確に1つのクラスに制限され得る。光検出器120は、分類の少なくとも1つのクラス、具体的には、分類の正確に1つのクラスに関連する光学特性を観察するように割り当てられてよい。スペクトル測定装置110の各光検出器120は、異なるスペクトル範囲を観察するように割り当てられてよい。各光検出器120は、分類モデルの異なるクラスに対応するスペクトル特性を観察するように割り当てられてよい。光フィルタ138は、光放射の波長及び/又は光放射の偏光などの光放射の少なくとも1つの物理的特性による光放射を選択的に遮断するように構成された任意の装置又は物体であり得る。光バンドパスフィルタは、限られたスペクトル範囲のみが光フィルタを通過して光フィルタの背後の物体に伝播することができるように、入射光放射をフィルタリングするように構成された光フィルタであり得る。光バンドパスフィルタは、最小波長から最大波長までの光放射のみを透過させるように構成され得る。スペクトル測定装置110は、それぞれのユースケースに特化して設計され得る。スペクトル測定装置110は、アプリケーション固有の吸収帯域を測定するように構成され得る。光検出器120は、吸収帯域に構成され得、アプリケーション固有の中心波長、半値全幅(FWHM)、領域外遮断レベル及び範囲を有する狭帯域通過(NBP)光フィルタなどの光フィルタ138を備え得る。追加的に又は代替的に、光検出器120は、サンプル固有の波長を放出するLEDなどの適切な放射線源を選択することによって、それらのアプリケーション固有の吸収帯域に構成され得る。
【0150】
図1にさらに概略的に示されているように、スペクトル測定装置110は、評価装置140をさらに備える。評価装置140は、少なくとも1つのプロセッサ142と、少なくとも1つのメモリストレージ144とを備える。メモリストレージ144は、異なるクラスのセットを含む少なくとも1つの分類モデルを保存するように構成され、各クラスは、少なくとも1つのスペクトル特性を参照し、分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目をクラスに分類するように構成される。メモリストレージ144は、スペクトルデータの項目を分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するように構成された少なくとも1つの伝達関数を保存するように構成される。評価装置140は、分類モデル及び伝達関数をスペクトルデータの項目に適用することにより、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するように構成される。
【0151】
分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目をクラスに分類するように構成される。分類モデルは、少なくとも1つの分類を実行するために使用されることができるモデル又はスキームであり得る。分類モデルは、ユーザによって予め決定された及び/又は予め定義されたクラスなどの、予め決定された及び/又は予め定義されたクラスを含むことができる。分類モデルは、クラス境界を含むことができる。分類モデルは、1つのクラス内のすべてのエンティティによって共有される少なくとも1つのプロパティなどのクラスプロパティを含むことができる。分類モデルは、入力データの項目を正確に1つのクラスに分類することができる。分類モデルは、入力データの項目を複数のクラスに分類することができる。
【0152】
分類モデルは、グローバル分類モデルであってよい。グローバル分類モデルは、ハードウェアに依存しないがアプリケーション固有の分類モデルであり得る。分類モデルは、ユースケース固有の波長、特にスペクトル範囲に依存し得る。すべてのアプリケーションには、固有のグローバルモデルが存在し得る。分類モデルは、ハードウェア条件及び/又は作動条件に依存しない場合がある。したがって、分類モデルは、特に異なるハードウェアコンポーネント、例えば、温度などの異なる作動条件下で使用される光検出器などに対して、グローバルに適用することができる。
【0153】
分類モデルは、入力データの項目を分析し、入力データの項目をクラスに分類するための少なくとも1つのアルゴリズムを含むことができる。分類モデルは、少なくとも1つのトレーニングされたモデルを含んでよい。トレーニングされるモデルは、具体的には機械学習を使用することにより、少なくとも1つのトレーニングセットでトレーニングされる。トレーニングデータセットは、例えば、少なくとも1つの外部装置、具体的には、少なくとも1つのさらなるスペクトル測定装置によって取得された過去のスペクトルデータを含むことができる。さらなるスペクトル測定装置は、実験室用のスペクトル測定装置であってよい。分類モデルは、特にアプリケーション及びその後の精度に応じて、ランダムフォレスト、K平均クラスタリング、及びサポートベクターマシン(SVM)のうちの少なくとも1つを使用することによって生成されることができる。
【0154】
分類モデルは、入力データの少なくとも1つの項目をクラスに分類するように構成される。入力データの項目は、情報が、特にさらなる処理のために、少なくとも1つのエンティティ内、例えば、モデル、プログラム、プロセッサ、又はネットワーク内で、解釈されるような方法で記録及び/又は構造化された情報、に関連する定性的及び/又は定量的な記述を提供する知識又は証拠の少なくとも1つであり得る。具体的には、入力データの項目は、前述したように分類モデルに適用可能である。分類モデルは、入力データの項目を解釈するように、入力データの項目を処理するように、具体的には、入力データの項目及び/又は処理された入力データの項目を分類するように構成され得る。分類モデルは、特にアプリケーション指向であってよい。一例として、分類は、前述のように、衣服の材料分析に言及することができ、クラスは、コットン又はウールなどの繊維クラスであってよい。この例では、分類モデルは、衣服を参照する処理されたスペクトルデータの形態の入力データを繊維クラスに分類するように構成され得る。
【0155】
メモリストレージ144は、少なくとも1つの伝達関数を記憶するように構成される。伝達関数は、スペクトルデータの項目を分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するように構成される。グローバル分類モデルは、伝達関数の助けを借りてその特定のユースケースのために設計された類似のハードウェアに採用されることができる。スペクトル測定装置によって測定されたデータは、ハードウェアの許容誤差ならびに温度及び湿度などの周囲条件に強く依存する。一例として、スペクトル測定装置110の読み出し装置139は、測定物体118のスペクトル測定によるスペクトルデータの項目を生成することができる。スペクトルデータの項目は、まず測定物体118、例えば測定物体118の吸収特性に依存し得る。しかし、スペクトルデータの項目は、スペクトル測定装置110自体、具体的には、使用される光検出器などのスペクトル測定装置110のハードウェアにさらに依存する場合がある。さらに、スペクトルデータの項目は、スペクトル測定中のスペクトル測定装置110の作動条件(温度など)に依存する場合がある。伝達関数は、スペクトル測定装置110によって測定されたデータを、そのデータが類似の装置上でオフライでグローバル分類モデルに適用できるように変換する。類似の装置とは、事前に定義されたフィルタ、ピクセル数、ピクセル形状などを有する事前に定義されたハードウェアを指し得る。
【0156】
伝達関数は、データを伝達するための任意の関数又はアルゴリズムであり得る。伝達は、データの少なくとも1つの変換、具体的には、さらなる処理のためにデータを適合させること、より具体的には、特定のモデルなどの少なくとも1つの特定のエンティティ内でのさらなる処理のためのデータを適合させることを含んでよい。伝達は、データによって含まれる情報が少なくとも部分的に維持されるような方法でデータを伝達することを含み得る。具体的には、データのさらなる評価に関連する情報は維持されるが、データの形式は変更され得る。追加的に又は代替的に、さらなる情報が追加されることがある。例えば、さらなる評価のためにハードウェア及び/又は作動条件を考慮するために、ハードウェア及び/又は作動条件に関する情報がスペクトルデータの項目に追加されてよく、及び/又は、スペクトルデータの項目が、伝達関数を使用することによって、具体的には分類モデルに適用可能な入力データの少なくとも1つの項目を生成するときに、ハードウェア及び/又は作動条件に関する情報を考慮することによって、適合され得る。伝達関数は、少なくとも1つのパラメータを含む少なくとも1つのパラメータ化された数学的関数を含むことができる。伝達関数は、ピクセルに対応する係数の関数であってよい。伝達関数は、スペクトル測定装置110のハードウェア及びスペクトル測定装置110の作動条件の少なくとも1つを考慮することができる。具体的には、伝達関数のパラメータは、光検出器信号を重み付けするように、より具体的には、ピクセルの適用された形状及びピクセルの適用材料の少なくとも1つによって選択されてよい。一例として、分光器装置110は、異なる形状及び/又は異なる活性材料を有する少なくとも2つのピクセル121を備え得る。したがって、2つのピクセル121は、1つの測定物体のスペクトル情報を含む同一の入射光放射に対して、異なる光検出器信号を誘導することができる。スペクトルデータの項目を分類モデルに適用可能な入力データの項目に伝達するための伝達関数を使用することにより、分類モデルを使用することによって測定物体118を例えば少なくとも1つの材料クラスに分類する際に、異なる形状及び/又は異なる活性材料が考慮される可能性がある。伝達関数によって、材料分類アプリケーションをハードウェアにローカライズすることができ、大量導入が可能になる。伝達関数は、例えば、参照サンプルに参照装置を使用することによって得られた既知のスペクトルデータの項目から導出されることができる。参照装置は、例えばハイエンドのラボ装置を備え得る。参照サンプルは、例えば、既知の材料などの既知のサンプルを備え得る。具体的には、伝達関数は、少なくとも1つの予め決定された係数を含むことができる。パラメータ化された数学的関数は、以下の少なくとも1つのマトリックスMを含むことができ:

Y=MX,

ここで、Yは入力データの項目を含むベクトルであり、Xはスペクトルデータの項目を含むベクトルである。したがって、予め決定された係数は、例えばマトリックスMの要素であってよい。マトリックスMのパラメータは、測定されたスペクトルデータの項目と、例えば参照サンプルに参照装置を使用することによって得られた既知のスペクトルデータの項目とを比較することによって決定されることができる。マトリックスMは、例えば、装置特性、例えば検出率、又は温度補償パラメータもしくは湿度補償パラメータを含んでいてもよい。伝達関数はさらに、少なくとも1つのルックアップテーブルを含んでよい。ルックアップテーブルは、スペクトルデータの項目と、分類モデルに適用可能な入力データの項目とを照合するように構成され得る。
【0157】
特定の例として、伝達関数は温度補償を可能にすることができる。したがって、マトリックスMは温度補償パラメータを要素として含むことができる。温度補償パラメータは、例えばルックアップテーブルから読み出されることができる。
【0158】
評価装置140は、分類モデル及び伝達関数をスペクトルデータの項目に適用することにより、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するように構成される。測定情報の項目は、少なくとも1つの測定、具体的には少なくとも1つの測定物体に関する定性的及び/又は定量的な記述を提供する知識又は証拠であり得る。測定情報の項目は、測定物体の物理的特性及び測定物体118の化学的特性、具体的には測定物体118の化学組成のうちの少なくとも1つを含むことができる。物理的特性は、具体的には、測定物体118の少なくとも1つの吸収率及び/又は測定物体118の少なくとも1つの放射率などの光学的特性を含んでよい。化学組成は、具体的には、測定物体118が含む少なくとも1つの材料に関する定性的及び/又は定量的な情報を指し得る。評価装置140は、測定情報の項目に基づいて測定物体118の分類を実行するように構成されてよい。測定情報の項目、したがって測定物体118は、1つ以上のクラス、例えばユーザによって予め決定されたクラスに割り当てられてよい。追加的に又は代替的に、測定情報の項目は、少なくとも1つのクラス、例えば新しい材料クラスを生成及び/又は定義するために使用されることができる。
【0159】
伝達関数は、スペクトル測定装置110のユーザによって、又はスペクトル測定装置110によって自動的に、更新、特に再較正され得る。例えば、評価装置は、較正測定が実行されるときなど、伝達関数を適合させるようにさらに構成されることができる。具体的には、評価装置140は、較正測定においてハードウェア条件及び/又は作動条件の変化が検出された場合に、伝達関数を適宜更新するように構成され得る。一例として、較正測定は、例えば少なくとも1つのピクセル121の劣化に起因する、少なくとも1つの光検出器120の応答性の変化を明らかにすることができる。その後、ピクセル121の重み付けが、伝達関数において、具体的には伝達関数の対応するパラメータを適合させることによって、適合され得る。スペクトル測定装置110は、自動自己較正のための手段を備えていてよく、例えば、2020年12月2日に出願されたEP出願番号20211174.6に記載され、図1の実施形態の光学窓126に関して説明される通りである。追加的に又は代替的に、光学窓126の窓材料のフレネル反射を使用する代わりに、スペクトル測定装置110は、一体化された拡散反射ターゲットを備えることができ、これは、サンプルが存在しない場合、較正ターゲットとして使用されることができる。スペクトル測定装置110は、少なくとも1つの較正測定を実行するように構成されてもよい。具体的には、較正測定は、分類に基づくスペクトル測定の作動条件及び周囲条件の変化が予め定義された限界を超えると実行されることができる。
【0160】
例えば、評価装置140は、光学窓126を介して光検出器120の1つに直接的に導かれる光放射112の第1部分128による照射時に光検出器120の1つによって生成されるような第1検出器信号を使用することによって、スペクトル測定装置110の較正を実行するように構成され得る。評価装置140は、さらに、ここでは、測定物体118によって反射され、及び/又は測定物体118を通って光検出器120に向かって透過した、光放射112の第2部分130による照射時に光検出器120の1つによってさらに生成されるような第2検出器信号を使用することによって、測定物体118に関連するスペクトル情報を決定するように構成される。
【0161】
評価装置140は、インターフェース146を介して、第1検出器信号及び好ましくは第2検出器信号を、具体的には有線式又は無線式で受信するように構成され得る。一般に、評価装置140は、データ処理装置の一部であってよく、及び/又は1つ以上のデータ処理装置を備えてよい。評価装置140は、1つ以上の追加コンポーネント、特に1つ以上の電子ハードウェアコンポーネント及び/又は1つ以上のソフトウェアコンポーネント及び/又は1つ以上の制御ユニットを備え得る。ここで図示されているように、評価装置140は、さらに、完全に又は部分的に、スペクトル測定装置110、又はそのコンポ―ネント、特に、光検出器120を、特にインターフェース146を介して、及び/又は放射線源116を、特にさらなるインターフェース146を介して、制御又は駆動するように設計され得る。
【0162】
図1に示す例示的な実施形態では、評価装置140はハウジング114に完全に一体化されているが、電子通信ユニット、具体的にはスマートフォン又はタブレットの一部など、ハウジング114の外部に位置する別個のエンティティとして提供され得る外部評価ユニット(ここには示されていない)も可能であり得る。評価装置140によって決定される情報は、電子的、視覚的、音響的及び/又は触覚的な方法で、1つ以上のさらなる装置又はユーザに提供され得る。一例として、情報は、スマートフォンのモニターを使用して表示されることができる。さらに、情報は、評価装置140によって、又はスマートフォンなどの別の記憶装置によって含まれ得る、データ記憶ユニット(ここには示されていない)に保存されることができる。
【0163】
評価装置140は、暗いピクセル124を、具体的には、スペクトル測定装置を連続的に又は繰り返し再較正するために、例えば、分類に基づく分光測定の実行と並行して使用することによって生成された少なくとも1つの光検出器信号を使用することによって、スペクトル測定装置110を自動的に再較正するように構成され得る。暗いピクセル124を使用することによって生成される光検出器信号は、スペクトル測定装置に到達する光放射に依存しない場合がある。言い換えれば、スペクトル測定装置110に到達する光放射が変化しても、暗いピクセル124を使用することによって生成される光検出器信号は一定であってよい。暗いピクセル124を使用することによって生成される光検出器信号は、光検出器120のドリフト、特に長時間のドリフトを補正するのに適している可能性がある。暗いピクセルを使用することによって生成される光検出器信号は、温度に依存する場合がある。一例として、暗いピクセル124は、自由電荷キャリアの自発的形成が熱的に誘導され得る、少なくとも半導体材料含むことができる。したがって、暗いピクセルを使用することによって生成される光検出器信号は、光検出器120に対する温度効果を補正するためにさらに適している可能性がある。較正は、主にハードウェアコンポーネントに関連する変更に起因して、及び/又はハードウェアコンポーネント、具体的にはスペクトル測定装置又はその部品に影響を及ぼす変更に起因して、実際の測定において生じ得るドリフト効果を補正することを含み得る。この変更は、具体的には、放射線源116又は光検出器120、具体的にはピクセル121の少なくとも1つの劣化;放射線源116又は光検出器120の少なくとも1つの温度ドリフト;スペクトル測定装置110に影響を与える周囲温度の変動;スペクトル測定装置110に関連する温度の変動、すなわち、光検出器120及び/又は対応する電子機器が作動し得る温度の変動;スペクトル測定装置110によって含まれる少なくとも1つのコンポーネント、具体的には、機械的ハウジング、ホルダ及び光学要素の少なくとも1つの機械的伸縮、のうちの少なくとも1つを含み得る。さらなる変更も可能であり得る。電気化学的プロセス又は長寿命トラップの緩和などの物理的プロセスは、ドリフト効果を誘発する可能性がある。ドリフト効果を補正することは、具体的には、ドリフト効果が、スペクトル測定装置110によって決定される結果が決定的でなくなる程度に測定情報の項目を歪めることを回避することによって、測定情報の項目の信頼性を維持することを容易にすることができる。したがって、使用されるハードウェアの定期的な較正は通常、スペクトル測定装置の信頼性を維持するために必要となり得る。暗いピクセルを使用することによって生成された少なくとも1つの光検出器信号を使用することによってスペクトル測定装置を自動的に較正することは、特に消費者フレンドリーとなり得る。暗いピクセルを使用することによって生成された光検出器信号は、光検出器のドリフト、特に長時間のドリフトを補正し、さらに光検出器120に対する温度の影響を補正するのに適している可能性がある。
【0164】
図2A及び図2Bは、単一の放射線源116を有する波長依存性光フィルタ138を備えた複数の単一ピクセル121の配置を示す。図2Aの斜視図では、各々が単一ピクセル121を有する8つの光検出器120が、1つの単一放射線源116の周囲に円形配置で示されている。例示的に、特定の波長を光検出器120に透過させるように構成された3つの光フィルタ138が、図2Aに示されている。光検出器120は、個々の検出器120と迷光との間のクロストークが抑制されるように、互いに分離されてよい。図2A及び図2Bでは、IR吸収材料で作られた遮断壁148が光検出器120の間に配置されている。これは、光検出器120が個々の基板上に物理的に分離されているため可能であると考えられる。したがって、指定された波長での放射線は、クロストークなしに、より正確に検出されることができる。図2Bの上面図では、光検出器120の円形配列が光フィルタ138なしで示されている。
【0165】
図3A及び図3Bは、すべてのピクセルが特定の波長用に構成されたツインであり、そのツインが暗くされた実施形態を示す。図3Aでは1つのアクティブツインピクセル121が示され、図3Bでは暗いピクセル124を有するツインが示されている。
【0166】
図5A及び図5Bは、放射線源116を備えた光検出器120のさらなるアセンブリを示す。図5Aでは、放射線源116は中央に配置されている。図5Bでは、複数の放射線源116を周囲に並べて使用することができる。両図とも遮蔽壁148が示されている。さらに、光学窓126が示されている。
【0167】
上記で概説したように、スペクトル測定装置110は、それぞれのユースケースに特化して設計され得る。例えば、繊維のユースケースは、例えば、さまざまな繊維のコットン、ウール、シルク、合成繊維などのクラスへの差別化を要求し得る。すべての繊維に特定の特徴的な赤外線吸収スペクトルがある。文献では、特定の材料に特定の吸収帯があることがすでに示されている。例えば、コットンは2100nm付近、ウールは1724nm付近、合成繊維は1662nm付近などを吸収する。図4は、さまざまな繊維クラスの材料固有の吸収帯を示している。したがって、この繊維のユースケースでは、特定の波長成分のみが繊維クラスに関する情報を伝えるため、高価な分光計でスペクトル全体を測定する代わりに、検出器のピクセルをこれらのサンプル固有の波長に設定することによって、これらの4つの材料固有の吸収帯を測定すれば十分であり得る。4つの光検出器120、例えば光検出器1から4を使用することができる。光検出器120は、以下の表に示す中心波長と半値全幅値(FWHM)を備えた狭帯域通過(NBP)光フィルタ138を使用して波長に合わせて構成されることができる:
【表2】
【0168】
例えば、さらなるユースケースでは、プラスチックの分類、例えば、PETがPP、PEなどの他のプラスチックタイプから分類されるなど、が必要となる場合がある。この実施形態では、これらのプラスチッククラスに特有な2つ又は3つのピクセルが使用されることができる。
【0169】
図6は、本発明による光放射112を測定する方法の例示的な実施形態の概略図を示す。本方法は、以下のステップ:
(参照番号150)少なくとも1つの放射線源116を使用することによって、少なくとも部分的に測定物体118に向けて光放射112を放出するステップであって、前記光放射112は、少なくとも部分的に、分類に基づくスペクトル測定の対象となるスペクトル範囲にある、ステップと;
(参照番号152)前記測定物体118によって提供される光放射112を検出し、少なくとも2つの光検出器120を使用することによって少なくとも1つの光検出器信号を生成するステップと;
(参照番号154)前記光検出器信号を測定し、少なくとも1つの読み出し装置139を使用することによってスペクトルデータの少なくとも1つの項目を生成するステップと;
(参照番号156)伝達関数を使用することによって、スペクトルデータの項目を、分類モデルに適用可能な入力データの少なくとも1つの項目に伝達するステップと;
(参照番号158)前記分類モデルを使用することによって、測定情報の少なくとも1つの項目を生成するステップと、
を含む。
【0170】
本方法は、以下のステップ(ここでは図示しない):
分類に基づくスペクトル測定の作動条件及び/又は周囲条件の変化が予め定義された制限を超えると、少なくとも1つの較正測定を実行するステップと;
前記較正測定に対応する前記伝達関数を適合させるステップと、
をさらに含む。
【符号の説明】
【0171】
110 スペクトル測定装置
112 光放射
114 ハウジング
116 放射線源
118 測定物体
120 光検出器
121 ピクセル
123 アクティブピクセル
124 暗いピクセル
126 光学窓
128 第1部分
130 第2部分
134 光学的に透明な媒体
136 スペクトル伝達要素
138 光フィルタ
139 読み出し装置
140 評価装置
142 プロセッサ
144 メモリストレージ
146 インターフェース
148 遮断壁
150 方法ステップa)
152 方法ステップb)
154 方法ステップc)
156 方法ステップd)
158 方法ステップe)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】