(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】捕捉性能を改善するためのガス状CO2捕捉システム、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20241003BHJP
B01D 53/74 20060101ALI20241003BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20241003BHJP
B01D 53/02 20060101ALI20241003BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/74
B01D53/22
B01D53/02
B01D53/14 100
B01D53/14 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519948
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022045379
(87)【国際公開番号】W WO2023056011
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515061156
【氏名又は名称】ブルー プラネット システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】セルフ,カイル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンツ,ブレント アール.
【テーマコード(参考)】
4D002
4D006
4D012
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
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4D020CB31
(57)【要約】
ガス状CO2捕捉システムが提供される。対象のシステムは、複数のガス状CO2源と、複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO2捕捉制約要素とを含む。主題のシステムは、好適な対照と比較して、少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックを改善するように構成されている。発電プラント、工業用プラント、共通の鉱物化捕捉システム供給源、共通の電気グリッド、及び共通の建築材料製造器に関連するガス状CO2捕捉システムも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガス状CO
2源によって放出されるCO
2を捕捉するためのガス状CO
2捕捉システムであって、
前記複数のガス状CO
2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO
2捕捉制約要素を備え、
前記ガス状CO
2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO
2捕捉性能メトリックが、好適な対照と比較して改善される、ガス状CO
2捕捉システム。
【請求項2】
前記複数のガス状CO
2源が、CO
2ガス点源エミッタ及びCO
2ガス直接空気捕捉(DAC)源からなる群から選択されるガス状CO
2源を含む、請求項1に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項3】
前記複数のガス状CO
2源が、CO
2ガス点源エミッタを含む、請求項2に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項4】
前記複数のガス状CO
2源が、CO
2ガスDAC源を含む、請求項2に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項5】
前記複数のガス状CO
2源が、CO
2ガス点源エミッタ及びCO
2ガスDAC源の両方を含む、請求項1に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項6】
前記共通のCO
2捕捉制約要素が、CO
2捕捉液体、共通の場所への近接度、共通の輸送チェーンへのアクセス、鉱物化生成物流通センター、共通のグリッドからの電力使用、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項7】
前記ガス状CO
2捕捉システムが、液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるガス状CO
2捕捉プロトコルを採用する、請求項1に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項8】
前記ガス状CO
2捕捉システムが、鉱物化、地質学的隔離、化学変換、電気化学変換、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるガス状CO
2処分を提供するガス状CO
2捕捉プロトコルを採用する、請求項1に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項9】
前記ガス状CO
2捕捉システムが、前記複数のガス状CO
2源のうちの少なくとも1つのガス状CO
2源から1つ以上の追加の汚染物質を除去するガス状CO
2捕捉プロトコルを採用する、請求項1に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項10】
異なるタイプの電源から電力を受け取る共通の電気グリッドに動作可能に結合された複数のガス状CO
2源から放出されたCO
2を捕捉するためのガス状CO
2捕捉システムであって、
各々が前記複数のガス状CO
2源のうちの1つに動作可能に結合された、複数のCO
2捕捉サブシステムと、
前記ガス状CO
2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO
2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、前記共通の電気グリッドを介して前記異なるタイプの電源からの前記複数のガス状CO
2源への電力割り当てを制御するように構成された、コントローラと
を含む、ガス状CO
2捕捉システム。
【請求項11】
前記共通の電気グリッドが、再生可能電源、化石燃料電源、及び水素電源のうちの少なくとも2つから電力を受け取る、請求項10に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項12】
前記コントローラが、電力費用、再生可能な発電の割合、及び電力輸送費用のうちの1つ以上に基づいて電力割り当てを制御する、請求項10に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項13】
前記複数のCO
2捕捉サブシステムが、鉱物化捕捉システムである、請求項10に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項14】
前記ガス状CO
2捕捉性能メトリックが、電力使用効率を含む、請求項10に記載のガス状CO
2捕捉システム。
【請求項15】
方法であって、
少なくとも1つの共通の運用リソースを共有する複数のガス状CO
2源からガス状CO
2を捕捉するためにガス状CO
2捕捉プロトコルを採用することと、
前記少なくとも1つの共通の運用リソースを、好適な対照と比較して、前記ガス状CO
2捕捉に関連する少なくとも1つの性能メトリックを改善するような様式で最適化することと
を含み、
前記少なくとも1つの共通の運用リソースが、CO
2捕捉制約要素である、方法。
【請求項16】
前記複数のガス状CO
2源が、CO
2ガス点源エミッタ及びCO
2ガス直接空気捕捉(DAC)源からなる群から選択されるガス状CO
2源を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のガス状CO
2源が、CO
2ガス点源エミッタ及びCO
2ガスDAC源の両方を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記CO
2ガス点源エミッタが、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所、及び化学プラントからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記共通のCO
2捕捉制約要素が、CO
2捕捉液体、共通の場所への近接度、共通の輸送チェーンへのアクセス、鉱物化生成物流通センター、共通のグリッドからの電力使用、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記共通のCO
2捕捉制約要素が、CO
2捕捉液体、共通の場所への近接度、共通の輸送チェーンへのアクセス、鉱物化生成物流通センター、再生可能な電力、及び共通のグリッドからの電力使用のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記ガス状CO
2捕捉プロトコルが、液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記ガス状CO
2捕捉が、鉱物化、地質学的隔離、化学変換、電気化学変換、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるガス状CO
2処分を提供する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記ガス状CO
2捕捉プロトコルが、前記複数のガス状CO
2源のうちの少なくとも1つのガス状CO
2源から1つ以上の追加の汚染物質を除去する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
ガス状CO
2捕捉性能メトリックが、捕捉されたCO
2の量である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
二酸化炭素(CO2)は、ガスとして地球の大気中に存在する天然に生じる化学化合物である。大気中のCO2の供給源は様々であり、呼吸の過程でCO2を生成するヒト及び他の生体、並びに火山、温泉、及び間欠泉などの他の天然に生じる供給源を含む。
【0002】
大気中CO2の追加の主要な供給源には、工業用プラントが含まれる。多くの種類の工業用プラント(セメントプラント、製油所、製鉄所及び発電所を含む)は、化石燃料及び合成ガスなどの様々な炭素系燃料を燃焼する。使用される化石燃料には、石炭、天然ガス、油、石油コークス及びバイオ燃料が含まれる。燃料は、また、タールサンド、油頁岩、石炭液化油、並びに合成ガスを用いて製造される石炭ガス化及びバイオ燃料からも由来する。
【0003】
CO2の環境影響は著しく関心が高い。CO2は一般的に温室効果ガスとみなされる。「地球温暖化」という語句は、19世紀後半以降、地球の大気と海洋との平均温度の観測され、かつ継続する上昇を指すために使用される。産業革命以降の人間の活動は、大気中CO2の濃度を急速に増加させたため、人為的CO2は、地球温暖化及び気候変動、並びに海洋中の重炭酸塩濃度の増加に関与してきた。化石燃料CO2の海洋への取り込みは現在、1時間当たり約100万メトリックトンのCO2で進んでいる。20世紀初頭以降、地球の平均表面温度は約0.8℃(1.4°F)上昇しており、その上昇の約3分の2が1980年以降に生じている。
【0004】
地球温暖化が環境及び人間の生命に及ぼす影響は数多くあり、また様々である。最近の気候変動のいくつかの影響は、すでに生じている可能性がある。海面の上昇、氷河の後退、北極の縮小、及び農業のパターンの変化は、直接的な結果として挙げられているが、二次的及び地域的影響の予測には、極端な気象事象、熱帯病の拡大、生態系における季節的パターンのタイミングの変化、及び劇的な経済的影響が含まれる。
【0005】
地球温暖化による予測される気候変動は、大陸及び地球規模での将来の大規模かつおそらく不可逆的な影響につながる可能性がある。その見込み、大きさ、及びタイミングは不確実であり、議論を呼んでいるが、予測される気候変動のいくつかの例には、温水を北大西洋に輸送する海洋循環の著しい減速、グリーンランドと西部南極との氷床の大幅な減少、陸上生物圏の炭素循環フィードバックによる地球温暖化の加速、及び永久凍土地域からの陸上炭素と沿岸堆積物中のハイドレートからのメタンの放出が含まれる。
【0006】
科学的議論の問題であるが、過剰な大気中CO2は地球温暖化に著しく寄与すると考えられている。産業革命の開始以来、CO2の濃度は約100百万分率(ppm)(すなわち、280ppm~380ppm)増加し、最近、400ppmを超える1日平均値に達することが観察された。したがって、特に、大気中に存在する人為的CO2の増大し続ける量を少なくとも改善するために十分な様式において、CO2の隔離に大きな関心がある。
【0007】
人為的気候変動及び海洋酸性化に対する懸念は、スケーラブルで費用対効果が高い二酸化炭素捕捉及び隔離(CCS)方法を発見する緊急性を助長している。典型的には、CCSの方法は、複雑な煙流から純粋なCO2を分離し、精製されたCO2を圧縮し、最後にそれを地質学的隔離のために地下生理食塩水貯蔵庫に注入する。これらの複数の工程は非常にエネルギーであり資本集約的である。炭酸塩鉱物化は、持続可能に大量のCO2をギガトン(Gt、すなわち、1,000,000,000トン)量で隔離するための別の方法である。
【発明の概要】
【0008】
炭素回収及び隔離のためのシステム及び方法は近年改善されているが、本発明者らは、これらのシステムが動作する効率及び有効性は、そのような技術がより広く採用される前に増加しなければならないことを認識している。したがって、少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックを増加させるように構成されたシステム及び方法が望ましい。本開示のシステム及び方法は、この希望を満たす。
【0009】
本発明の態様は、ガス状CO2捕捉システムを含む。対象のシステムは、複数のガス状CO2源と、複数のガス状CO2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO2捕捉制約要素とを含む。更に、本システムは、好適な対照と比較して、少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックを改善するように構成されている。ある特定の場合には、複数のガス状CO2源は、CO2ガス点源エミッタ及びCO2ガス直接空気回収(DAC)源から選択されるガス状CO2源を含む。CO2ガス点エミッタは、例えば、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所、及び化学プラントを含む。関心がある共通のCO2捕捉制約要素としては、例えば、CO2捕捉液体の利用可能性、共通の場所への近接度、共通の輸送チェーン(パイプラインネットワークなど)へのアクセス、鉱物化生成物流通センターへの近接度、共通グリッドからの電力(例えば、再生可能な電力)の使用、又はそれらの組み合わせが挙げられる。主題のシステムによって採用されるガス状CO2捕捉プロトコルは、例えば、液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送、及びそれらの組み合わせを含む。システムは、鉱物化、地質学的隔離、生物学的隔離、化学変換、電気化学変換、及びそれらの組み合わせを含むガス状CO2処分を提供するように構成することができる。場合によっては、ガス状CO2捕捉システムは、複数のガス状CO2源の少なくとも1つのガス状CO2源から1つ以上の追加汚染物質を除去するガス状CO2捕捉プロトコルを更に採用する。
【0010】
本発明の態様は、発電プラントを更に含む。対象の発電プラントは、第1及び第2のCO2ガス点源エミッタと、第1及び第2のCO2ガス点源エミッタのそれぞれに動作可能に結合された共通のCO2捕捉システムと、第1及び第2のCO2ガス点源エミッタ及び共通のCO2捕捉システムを、発電プラントの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラとを含む。場合によっては、第1及び第2のCO2ガス点源エミッタは、煙道ガススタックであり、コントローラは、煙道ガススタックのそれぞれにおける煙道ガス速度又はCO2濃度を調節するように構成されている。共通のCO2捕捉システムは、実施形態では、スクラバシステム(例えば、アミンスクラバシステム)を含んでも良い。更なる実施形態では、共通のCO2捕捉システムは、鉱物化捕捉システムを含む。そのような実施形態では、鉱物化捕捉システムは、固体炭酸塩材料(例えば、骨材などの建築材料)を生成するように構成されても良い。対象の発電プラントは、好適な対照と比較して捕捉されたCO2の総量を増加させるように構成されても良い。
【0011】
本発明の態様は、追加的に、複数の異なるタイプのCO2ガス点源エミッタと、異なるタイプのCO2ガス点源エミッタのそれぞれに動作可能に結合された共通のCO2捕捉システムと、異なるタイプのCO2ガス点源エミッタ及び共通のCO2捕捉システムを、発電プラントの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラとを有する工業用プラントを含む。ある特定の場合には、工業用プラントは精製所である。工業用プラントのCO2ガス点源エミッタとしては、例えば、コーカーユニット、流動触媒クラッカー(FCC)、ガス燃焼炉、ガス燃焼ボイラ、及び水素生成改質器が挙げられる。ある特定の場合には、工業用プラントは、セメントプラントである。ある特定の例において、共通のCO2捕捉システムは、スクラバシステム(例えば、アミンスクラバシステム)を含む。更なる例では、共通のCO2捕捉システムは、鉱物化捕捉システムを含む。そのような実施形態では、鉱物化捕捉システムは、固体炭酸塩材料(例えば、骨材などの建築材料)を生成するように構成されても良い。関心がある産業プラントは、CO2が捕捉される効率を改善するように構成され得る。
【0012】
本発明の態様は、また、1つ以上の鉱物化捕捉サブシステムに動作可能に結合されたガス状CO2源、共通の鉱物化捕捉システム供給源、及び1つ以上の採鉱捕捉サブシステムへの供給源の割り当てを、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラをそれぞれ含む、複数の併設された工業用プラント及び/又は発電プラントを有するガス状CO2捕捉システムを含む。ある特定の場合には、供給源は、アルカリ性(例えば、アンモニア水を含有する溶液)を含む。本明細書に記載の同じ場所にある工業用プラントは、供給源が使用される効率を改善するように構成され得る。
【0013】
本発明のいくつかの態様は、それぞれがCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合された複数のガス状CO2源、複数のガス状CO2源に動作可能に結合された共通の電気グリッド、及び好適な対照と比較してガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが改善されるような様式で、共通の電気グリッドを介して異なるタイプの電源から複数のガス状CO2源への電力割り当てを制御するように構成されたコントローラを更に含む。対象の共通の電気グリッドは、異なるタイプの電源から電力を受け取る。主題のシステムにおける電源は、例えば、再生可能電源、化石燃料電源、水素電源、及びそれらの組み合わせを含み得る。実施形態では、コントローラは、電力費用、再生可能な発電の割合、電力輸送費用、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上に基づいて電力割り当てを制御するように構成される。ある特定の実施形態では、各ガス状CO2源に結合されたCO2捕捉サブシステムは、鉱物化捕捉システムである。システムは、電力(例えば、再生可能な電力)が使用される効率を改善するように構成され得る。
【0014】
本発明の特定の態様は、ガス状CO2から第1の鉱物化原料建築材料を生成する第1のCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合された第1のガス状CO2源、ガス状CO2から第2の鉱物化原料建築材料を生成する第2のCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合された第2のガス状CO2源、第1及び第2の鉱物化原料建築材料から建築材料を調製する共通の建築材料製造器、及びガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能測定基準が好適な対照と比較して改善されるように第1及び第2の鉱物化原料建築材料の生産を制御するように構成されたコントローラを有するガス状CO2捕捉システムを更に含む。ある特定の場合において、第1の鉱物化供給建築材料は、骨材を含み、第2の鉱物化供給建築材料は、セメントを含み、建築材料は、コンクリートを含む。実施形態では、システムは、第1及び第2の鉱物化供給建築材料が使用される比率を最適化するように構成される。例えば、比率は、コンクリートの混合設計に従って最適化されても良い。
【0015】
上記のシステムを使用及び構成するための方法も提供される。対象の方法は、システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるように、複数のガス状CO2源及び複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO2捕捉制約要素を構成及び/又は動作させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、添付の図面と併せて読み取るときに、以下の詳細な説明から最も良く理解することができる。図面には、以下の図が含まれる。
【
図1】ある特定の実施形態による、第1及び第2のCO
2ガス点源エミッタ及び共通のCO
2捕捉システムを有する発電プラントを示す。
【
図2】ある特定の実施形態による、複数の異なるタイプのCO
2ガス点源エミッタ及び共通のCO
2捕捉システムを示す。
【
図3】ある特定の実施形態による、複数の併設された工業用プラント及び共通の鉱物化捕捉システム供給源を示す。
【
図4】ある特定の実施形態による複数のガス状CO
2源、及び複数のガス状CO
2源に動作可能に結合された共通の電気グリッドを示す。
【
図5】第1及び第2のガス状CO
2源並びにガス状CO
2から第1及び第2の鉱物化供給建築材料を生成するCO
2捕捉サブシステムを示す。
【
図6】本発明の実施形態による方法を実践するためのフローチャートを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ガス状CO2捕捉システムが提供される。対象のシステムは、複数のガス状CO2源と、複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO2捕捉制約要素とを含む。主題のシステムは、好適な対照と比較して、少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックを改善するように構成されている。発電プラント、工業用プラント、共通の鉱物化捕捉システム供給源、共通の電気グリッド、及び共通の建築材料製造器に関連するガス状CO2捕捉システムも提供される。
【0018】
本発明がより詳細に記載される前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん、変動し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する対象となるためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0019】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各中間値、及びこの記載の範囲内の任意の他の記載される値又は中間値が本発明に包含されることが理解されるべきである。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれ得、また、記述の範囲内の任意の特定の除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記述の範囲が、制限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる制限の一方又は両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0020】
ある範囲は、「約」という用語が数値に先行して本明細書で提示される。「約」という用語は、この用語が先行する正確な数、及びこの用語が先行する数に近い数又はほぼその数である数についての逐語的支持を提供するために本明細書で使用される。ある数が具体的に列挙された数に近いか、又は近似するか否かを判定するとき、その近い又は近似する列挙されない数は、それが提示されている文脈において、具体的に列挙されている数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
【0021】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料も、本発明の実施又は試験で使用することができるが、代表的な例示的な方法及び材料がここで説明される。
【0022】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれると具体的かつ個々に示されるかのように参照により本明細書に組み込まれ、方法及び/又は材料を刊行物が引用されるものに関して開示及び記載するために参照により本明細書に組み込まれる。いずれもの刊行物の引用は、出願日前のその開示についてのものであり、本発明が、従来発明のためそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきでない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なり得、これらは独立して確認する必要があり得る。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」との単数形は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように設計され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単独で」、「のみ」などのそのような排他的な用語の使用、又は「否定的」限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0024】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例証される別個の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の様々な実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0025】
ガス状CO2捕捉システム
上述のように、本発明の態様は、ガス状CO2捕捉システムを含む。主題のシステムは、複数のガス状CO2源と、複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO2捕捉制約要素とを含む。主題のシステムは、好適な対照と比較して、少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックを改善する。
【0026】
「CO2を捕捉する」とは、CO2の一部又は全てが、除去された環境中に存在しなくなるように、地球の大気又は工業用プラントによって生成されたガス状廃棄物流などの環境からの一定量のCO2の除去又は分離(すなわち、隔離)を意味する。実施形態では、本発明は、CO2が隔離されるように、一定量のCO2から貯蔵安定二酸化炭素隔離生成物を生成することによって、CO2を隔離するように構成される。貯蔵安定CO2隔離生成物は、CO2が大気中にガスとして存在しなくなるか、又は利用できなくなるように、一定量のCO2を地上貯蔵形態又は水中貯蔵安定形態などの貯蔵安定形態に組み込む貯蔵安定組成物である。ある特定の場合には、貯蔵安定CO2隔離生成物は、独立した有用性(例えば、建築材料として)を有する。
【0027】
「共通のCO2捕捉制約要素」とは、各ガス状CO2源と関連付けられている(例えば、共通して共有されている)単一の要素又は要素の集合を意味する。換言すると、ガス状CO2源は、互いに対して物理的に異なる(例えば、ある距離に位置する)が、源は、共通のCO2捕捉制約要素とのそれらの共有会合を介してつながれる。共通のCO2捕捉制約要素は以下に詳細に記載されており、これには、例えば、CO2捕捉液体、共通の場所への近接度、共通の輸送チェーンへのアクセス、鉱物化生成物流通センター、共通のグリッドからの電力使用、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0028】
本明細書で論じられるように、「ガス状CO2性能メトリック」は、CO2捕捉の有効性及び/又は効率を評価し得る尺度を指す。いくつかの実施形態では、ガス状CO2性能メトリックは、システムによって捕捉されたCO2の量である。例えば、システムは、ある特定の場合において、システムによって捕捉されるCO2の量を、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上を含むように増加させても良い。他の実施形態では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、CO2捕捉効率である。いくつかのバージョンでは、CO2捕捉効率は、所与の量のCO2を捕捉するために必要な1つ以上のリソース(例えば、エネルギー、燃料、供給源)の量を評価する。主題のシステムは、所望の場合、CO2捕捉効率を、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上を含むように増加させても良い。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉効率性能メトリックは、CO2捕捉の総費用であり、これは、全てのCO2を捕捉することに関連付けられた総費用である。主題のシステムは、所望の場合、CO2捕捉の費用を、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上を含むように減少させても良い。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉有効性メトリックは、利益率、投資収益率、差引現在価値などのCO2捕捉に基づく財務メトリックである。例えば、これらの数値は、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上を含むように改善されても良い。ある特定の場合には、システムは、所与の量の炭素を捕捉するために必要なエネルギー量を減少させる。更なる実施形態では、CO2捕捉効率は、供給源ユーティリティ効率を含む。そのような実施形態では、主題のシステムは、供給源(例えば、CO2の捕捉及び/又は鉱物化のために構成された溶液の供給源)が採用される効率を増加させる。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、電力使用効率である。ある特定の場合には、電力使用効率は、電力費用、再生可能な発電の割合、電力輸送費用、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上によって決定される。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、捕捉されたCO2の使用効率(例えば、鉱物化供給建築材料として)を含む。
【0029】
前述のCO2捕捉性能メトリックは、好適な対照と比較して改善される。本明細書で説明される「好適な対照」は、共通のCO2捕捉制約要素を含まないガス状CO2捕捉システムを指す。換言すると、対照は、複数のガス状CO2源を含み、各源は、他のガス状CO2源と関連付けられていない放出されたCO2を捕捉するための専用の機構を含む。いくつかの実施形態では、好適な対照は、本システムの1つ以上の実施形態と同じ数及び/又はタイプのガス状CO2源を含む。追加の例では、好適な対照は、本システムと同じ炭素捕捉機構を含む。本明細書に記載の好適な対照は、物理的に存在するシステムであっても、そうでなくても良い。例えば、ある特定の場合には、好適な対照は、仮定のガス状CO2源の動作及びそこからの炭素隔離をシミュレートする数学的モデルである。他の場合には、好適な対照は、既存のシステムである。
【0030】
ガス状CO2源
本システムによって処理されるCO2含有ガスは、CO2を含むものである。CO2含有ガスは、純粋なCO2であっても良く、又は源に応じて、1つ以上の他のガス及び/又は微粒子成分と組み合わされても良く、例えば、多成分ガス(すなわち、多成分ガス流)であっても良い。そのようなガス中のCO2の量は変化し得るが、いくつかの例では、CO2含有ガスは、103Pa以上pCO2、104Pa以上など、105Pa以上など、106Pa以上を含むpCO2を有する。CO2含有ガス中のCO2の量は、場合によっては、20,000ppm以上、例えば、50,000ppm以上、100,000ppm以上など、150,000ppm以上を含む、例えば、500,000ppm以上、750,000ppm以上、900,000ppm以上、最大で1,000,000ppmを含み得る(純粋なCO2排気では、濃度は1,000,000ppmである)。いくつかの例では、10,000~500,000ppm、50,000~250,000ppmなど、100,000~150,000ppmを含む範囲であり得る。CO2含有ガスの温度もまた変化し得、いくつかの例では、100~1200℃などの0~1800℃の範囲であり、600~700℃を含む。
【0031】
上記のように、いくつかの例では、CO2含有ガスは、それらが1つ以上の追加のガス及び/又は微量元素を含有するという点で、純粋なCO2ではない。CO2含有ガスに存在し得る追加のガスとしては、水、窒素、一窒素酸化物、例えば、NO、NO2、及びNO3、酸素、硫黄、一硫黄酸化物、例えば、SO、SO2、及びSO3)、揮発性有機化合物、例えば、ベンゾ(a)ピレンC2OH12、ベンゾ(g、h、I)ペリレンC22H12、ジベンゾ(a、h)アントラセンC22H14などが挙げられるが、これらに限定されない。CO2含有ガスに存在し得る微粒子成分としては、ガスに懸濁した固体又は液体の粒子、例えば、ストロンチウム、バリウム、水銀、タリウムなどの重金属が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
任意の好都合なCO2放出源を、本明細書に記載のガス状CO2源として採用することができる。いくつかの実施形態では、複数のガス状CO2源の1つ以上のガス状CO2源は、CO2ガス点源エミッタである。本明細書で考察されるように、「CO2ガス点源エミッタ」という用語は、その従来の意味で、ガス状CO2放出の単一の識別可能な源(すなわち、より一般的には、大気中に存在するCO2とは対照的に)を説明するために使用される。ある特定の実施形態では、CO2含有ガスは、例えば、CO2含有ガスが工業用プラントからの廃棄物である工業用プラントから得られる。CO2含有ガスが、例えば、工業用プラントからの廃棄物として得られ得る工業用プラントは、変化し得る。対象となる工業用プラントとしては、限定されないが、発電プラント及び工業製品製造プラント、例えば、限定されないが、化学及び機械加工プラント、製油所、セメントプラント、精錬所、鋼プラントなど、並びに燃料燃焼又は他の加工工程(セメントプラントによる焼成又は水素プラントにおける改質など)の副生成物としてCO2を生成する他の工業用プラントが挙げられる。対象となる廃棄物供給物には、例えば、工業用プラントによって行われるプロセスの二次的又は付随的な生成物として、工業用プラントによって生成されるガス流が含まれる。
【0033】
ある特定の実施形態において興味深いものは、化石燃料、例えば、石炭、石油、天然ガス、及びそれらの誘導体、並びに天然に存在する有機燃料堆積物の人工燃料製品、例えば、限定されないが、タールサンド、重油、オイルシェールなど、及びそれらの誘導体を燃焼させる工業用プラントによって生成される廃棄物流である。ある特定の実施形態では、発電プラントは、粉砕石炭発電プラント、超臨界石炭発電プラント、大量燃焼石炭発電プラント、流動層石炭発電プラント、ガス又は石油焚きボイラ及び蒸気タービン発電プラント、ガス又は石油焚きボイラ単純サイクルガスタービン発電プラント、並びにガス又は石油焚きボイラ複合サイクルガスタービン発電プラントである。特定の実施形態で対象となるものは、合成ガス、すなわち、石炭、バイオマスなどの有機物のガス化によって生成されるガスを燃焼する発電所によって生成される廃棄物流であり、ある特定の実施形態において、かかるプラントは、統合ガス化複合サイクル(IGCC)プラントである。ある特定の実施形態において対象となるものは、熱回収蒸気発生器(HRSG)プラントによって生成される廃棄物流である。対象となる廃棄物流には、セメントプラントによって生成される廃棄物流も含まれる。本発明の方法において廃棄物流が使用され得るセメントプラントは、湿式プロセスプラント及び乾式プロセスプラントの両方を含み、これらのプラントは、溶鉱炉又は回転炉を使用しても良く、予備か焼装置を含み得る。この種類の工業用プラントはそれぞれ、単一の燃料を燃焼することができるか、又は順次若しくは同時に2つ以上の燃料を燃焼することができる。対象となる廃棄物流は、工業用プラント排ガス、例えば、燃焼排ガスである。「燃焼排ガス」とは、化石燃料又はバイオマス燃料の燃焼による燃焼生成物から得られるガスを意味し、その後、工業用プラントの煙道としても知られる煙突に送られる。
【0034】
他の実施形態では、複数のガス状CO2源の1つ以上のガス状CO2源は、CO2ガス直接空気捕捉(DAC)源である。DACシステムは、二酸化炭素CO2を周囲空気から直接分離することができる技術の一種である。DACシステムは、空気からCO2を直接捕捉し、DACシステムに入力される空気よりも高い濃度でCO2を含む生成物ガスを発生する任意のシステムである。DACで発生したガス状CO2源中のCO2の濃度は変化し得るが、いくつかの場合において、濃度が1,000ppm以上、例えば10,000ppm以上、100,000ppm以上を含み、この生成物ガスが純粋なCO2ではない可能性があり、いくつかの場合において、生成物ガスが、10%以上の非CO2構成物を含む、5%以上の非CO2構成物などの3%以上の非CO2構成物である。生成物流に存在し得る非CO2構成物は、入力空気及び/又はDACシステムに由来する構成物であり得る。
【0035】
DACシステムは、CO2に結合するが他の大気圧化学物質(窒素及び酸素など)に結合しない(又はそれらに最小限で結合する)媒体を使用して空気からCO2を抽出するシステムである。空気が、CO2結合媒体上を通過すると、CO2が、結合媒体に「粘着」する。次いで、刺激、例えば、熱、湿度などに応答して、結合したCO2を結合媒体から放出し、ガス状CO2含有生成物を生成しても良い。対象となるDACシステムとしては、限定されないが、水酸化物系システム、CO2吸着剤/温度スイング系システム、及びCO2吸着剤/温度スイング系システムが挙げられる。いくつかの場合において、DACシステムは、水酸化物系のシステムであり、CO2は、空気を水性水酸化物液体と接触させることによって空気から分離される。水酸化物系DACシステムの例としては、限定されないが、PCT公開出願第WO/2009/155539号、WO/2010/022339号、WO/2013/036859号、及びWO/2013/120024に記載されるものが挙げられ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
いくつかの場合において、DACシステムは、CO2吸着剤ベースのシステムであり、ここで、CO2は、空気をアミン吸着剤などの吸着剤と接触させることによって空気から分離し、続いて、吸着剤を1つ以上の刺激、例えば、温度の変化、湿度の変化などに供することによって、吸着剤捕捉CO2の放出を行う。かかるDACシステムの例としては、限定されないが、PCT公開出願第WO/2005/108297号、WO/2006/009600号、WO/2006/023743号、WO/2006/036396号、WO/2006/084008号、WO/2007/016271号、WO/2007/114991号、WO/2008/042919号、WO/2008/061210号、WO/2008/131132号、WO/2008/144708号、WO/2009/061836号、WO/2009/067625号、WO/2009/105566号、WO/2009/149292号、WO/2010/019600号、WO/2010/022399号、WO/2010/107942号、WO/2011/011740号、WO/2011/137398号、WO/2012/106703号、WO/2013/028688号、WO/2013/075981号、WO/2013/166432号、WO/2014/170184号、WO/2015/103401号、WO/2015/185434号、WO/2016/005226号、WO/2016/037668号、WO/2016/162022号、WO/2016/164563号、WO/2016/161998号、WO/2017/184652号、及びWO/2017/009241号に記載されるものが挙げられる、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
対象のシステムは、任意の都合が良い数のガス状CO2源を含んでも良い。例えば、いくつかの場合において、ガス状CO2源の数は、2~50、例えば、2~25、例えば、2~10、及び2~5を含む範囲である。対象のシステムで使用されるガス状CO2源の種類は、同じであっても異なっていても良い。システムが2つのガス状CO2源を含む1つの例では、第1及び第2のガス状CO2の両方は、点源エミッタ(例えば、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所及び化学プラント、又はそれらの組み合わせ)である。別の例では、第1及び第2のガス状CO2源の両方がDAC源である。更に別の例では、第1のガス状CO2源は点源であり、第2のガス状CO2源はDAC源である。
【0038】
共通のCO2捕捉制約要素
上記で考察されたように、主題のガス状CO2捕捉システムは、共通のCO2捕捉制約要素を含む。いくつかの場合において、共通のCO2捕捉制約要素は、CO2捕捉液体である。「CO2捕捉液体」とは、CO2含有ガスと接触しても良く、それによってCO2含有ガスからCO2を除去する有機又は水性媒体を意味する(例えば、以下でより詳細に説明するように)。共通のCO2捕捉制約要素がCO2捕捉液体である場合、本システムは、ガス状CO2が各ガス状CO2源からの捕捉液体によって受け取られるように、同じCO2捕捉液体が2つ以上、及びいくつかの実施形態では、ガス状CO2源の全てに循環するように配置される。共通のCO2捕捉制約要素が捕捉液体である特定の場合には、ガス状CO2捕捉性能メトリック(例えば、上記のものなど)は、捕捉液体並びに異なるガス状CO2源の間で捕捉液体を維持するための構造(例えば、生成、保管、循環、再生など)を共有することによって増加されても良い。共通のCO2捕捉制約要素が捕捉液体である他の場合では、ガス状CO2捕捉性能メトリック(例えば、上記のようなもの)は、異なるガス状CO2源間で捕捉液体の再生要件を共有することによって増加され得る。
【0039】
各ガス状CO2源からのCO2含有ガスは、任意の便利なプロトコルを使用して液体媒体と接触させても良い。例えば、対象となる接触プロトコルとしては、限定されないが、直接接触プロトコル、例えば、ある体積の液体媒体を通してガスを気泡状にすること、同時接触プロトコル、すなわち、一方向的に流れる気相流と液相流との間の接触、向流プロトコル、すなわち、反対方向に流れる気相流と液相流との間の接触などが挙げられる。接触は、好都合であり得るように、注入器、バブラー、流体ベンチュリ反応器、多孔分散管、ガスフィルター、スプレー、トレイ、又は充填されたカラム反応器などの使用を通じて達成され得る。
【0040】
共通のCO2捕捉制約要素が捕捉液体である特定の場合には、当該捕捉液体は、特定の順序で異なるガス状CO2源を通って循環され得る。任意の都合が良い基準は、捕捉液体が循環するガス状CO2源の順序を決定し得る。いくつかの実施形態では、順序は、互いに対するガス状CO2源の近接度によって決定される。一例では、捕捉液体が第1のガス状CO2源からCO2を受け取った後、捕捉液体は、(例えば、1つ以上のパイプを介して)第1のガス状CO2源に地理的に近接して(すなわち、より遠い距離に位置する第3のガス状CO2源の代わりに)位置する第2のガス状CO2に輸送される。
【0041】
他の実施形態では、捕捉液体が異なるガス状CO2源を通って循環する順序は、各ガス状CO2源で放出されるガス状CO2の分圧によって決定される。そのような実施形態では、捕捉液体は、CO2の低分圧を有するガス状CO2源から、CO2の比較的高い分圧を有するガス状CO2源に輸送され得る。3つの異なるガス状CO2源がある一例では、捕捉液体は、CO2の分圧が最も低いガス状CO2源からCO2を受け取り、CO2の分圧が2番目に低いガス状CO2源に輸送され、続いて、CO2の分圧が最も高いガス状CO2源に輸送される。特定の場合には、ガス状CO2源の分圧が変動し、システムは、捕捉液体の循環をシフトさせて、液体がCO2の分圧が低いガス状CO2源から、比較的高いCO2の分圧を有するガス状CO2源(いずれかのガス状CO2源)に輸送されるように構成される。
【0042】
ガスと接触する液体媒体の温度は変化し得る。いくつかの場合において、温度は、20~80℃などの-1.4~100℃の範囲であり、40~70℃を含む。いくつかの場合において、温度は、-1.4~50℃以上、例えば、-1.1~45℃以上の範囲であり得る。いくつかの場合において、より低い温度が使用され、かかる温度は、-1.1~0℃などの-1.4~4℃の範囲であり得る。初期の水性媒体は、所望の温度を得るために冷却され得るが、いくつかの例では、所望の最適な温度を有する水性媒体の天然源が、使用され得る。例えば、水性媒体が大洋水又は海水である場合、大洋水又は海水は、水が所望の温度を有する場所から取得され得る。いくつかの場合において、そのような水を得ることは、水面(例えば、海面)の下の深さから水を得ることを含み得、ここで、深さは、いくつかの場合において、10~2000メートル、例えば、20~200メートルの範囲であり得る。
【0043】
いくつかの場合において、より温かい温度が使用される。例えば、いくつかの場合において、液体媒体の温度は、25℃以上、例えば30℃以上であっても良く、いくつかの実施形態では、25~50℃、例えば30~40℃の範囲であっても良い。所与の液体媒体は、そのような例では、これらの温度に到達するために温められても良いが、いくつかの場合において、液体媒体は、所望の温かい温度にある天然の供給源から得られても良く、又は所望の温度を提供する人工の供給源から得られても良く、例えば、工業用、例えば、電力、プラント冷却システムなどの出力から得られても良い。
【0044】
いくつかのバージョンでは、共通のCO2捕捉制約要素は、共通の場所への近接度を含む。本明細書で言及される「共通の場所」は、複数のガス状CO2源に関連付けられた複数のガス状CO2捕捉サブシステムによって共通して共有され得る1つ以上のリソースを有する任意の場所、又はCO2捕捉サブシステムが出力(例えば、セメント、集合体)をプールし得る場所を含む。共通の場所は、ある特定の場合では、輸送ハブであり得る。そのような場合、共通の場所は、材料を受け取り、及び/又は出荷することができる輸送ネットワーク内のポイント(すなわち、ハブ)である。輸送ハブには、海港、鉄道/鉄道駅、空港、倉庫、パイプラインなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
「ガス状CO2捕捉サブシステム」という用語は、互いに独立して動作するが、特定のリソース(例えば、アルカリ性の源)を共有する、又は特定の出力をプールする一連のガス状CO2捕捉システムを指す。いくつかの場合において、ガス状CO2捕捉サブシステムによって共有されるリソースは、共通の鉱物化捕捉システム供給源を含む。共通の鉱物化捕捉システムの目的の供給源には、例えば、水性媒体源、アンモニア源、及びアルカリ性源(例えば、以下に詳細に記載される)が含まれる。いくつかの実施形態では、複数のガス状CO2捕捉サブシステムの各ガス状CO2捕捉サブシステムは、個々のガス状CO2源(例えば、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所、化学プラント)に関連付けられ、その源からCO2を隔離するように構成される。いくつかの実施形態では、共通の場所は、ガス状CO2捕捉サブシステムで必要に応じて利用され得る貯蔵リソース(例えば、アルカリ性の源、水性媒体、アンモニア、アミンなど)を含む。特定の場合では、ガス状CO2捕捉サブシステムは、鉱物化捕捉サブシステムであり、そのような実施形態では、ガス状CO2捕捉サブシステムは、以下でより詳細に説明されるように、鉱物化された材料(例えば、鉱物化された建築材料)を生成するための共存コンポーネントを含む。
【0046】
複数のガス状CO2源の各ガス状CO2源、並びに関連するCO2捕捉サブシステムは、共通の場所から任意の便利な距離に配置され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ガス状CO2源は、0.01km~500km、例えば0.2km~400km、例えば0.5km~300km、例えば1km~250km、例えば1.5km~200km、例えば2km~150km、例えば2.5km~100km、例えば3km~50km、及び4km~25kmを含む距離によって共通の場所から分離されても良い。共通の場所に存在するリソースは、任意の適切なプロトコルを介してガス状CO2源及びCO2捕捉サブシステムに輸送され得る。本発明のある特定の態様では、リソースは、道路を介して(例えば、トラックを介して)輸送される。他の例では、リソースは列車/鉄道を介して輸送される。更に他の実施形態では、リソースは、例えば、輸送船又ははしけで水を介して輸送される。隔離された炭素が液体(例えば、炭酸塩スラリー又は重炭酸塩スラリー)の形態である場合など、更に他の実施形態では、リソースはパイプラインを介して輸送される。システムが共通の場所へのアクセスを含む場合、材料は、共通の輸送チェーンから各CO2捕捉サブシステムに、各CO2捕捉サブシステムから共通の場所に、又はその両方に輸送され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、共通のCO2捕捉制約要素は、共通の輸送チェーンへのアクセスを含む。「共通の輸送チェーン」とは、各ガス状CO2源及び関連するCO2捕捉サブシステムが配置される輸送チェーンを意味する。換言すると、各ガス状CO2源及び関連するCO2捕捉サブシステムが共通の場所(例えば、輸送ハブ)に関連付けられる代わりに、各ガス状CO2源及び関連するCO2捕捉サブシステムは、それ自体、同じ輸送チェーンに沿って配置される。対象となる輸送チェーンには、列車/鉄道線、トラック輸送ルート、航空ルート、海上ルート、パイプライン、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
システムが共通の輸送チェーンへのアクセスを含む場合、材料は、共通の輸送チェーンを介して、各CO2捕捉サブシステムから共通の輸送チェーンを介して、又はその両方を介して、各CO2捕捉サブシステムに輸送され得る。例えば、いくつかの実施形態では、共通の鉱物化捕捉システム供給源(例えば、上述のものなど)からのリソースは、共通の輸送チェーンを介してCO2捕捉サブシステムのそれぞれに供給される。追加の実施形態では、隔離された炭素は、必要に応じて、各CO2捕捉サブシステムから1つ以上の場所に共通の輸送チェーンに沿って輸送される。いくつかの実施形態では、ガス状CO2源と関連するCO2捕捉サブシステムとは、0.01km~500km、例えば0.1km~400km、例えば0.5km~300km、例えば1km~250km、例えば1.5km~200km、例えば2km~150km、例えば2.5km~100km、例えば3km~50km、及び4km~25kmを含む距離によって、共通の輸送チェーン上の場所が離れていても良い。
【0049】
主題のシステムで輸送される隔離された炭素は、任意の便利な形態を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、隔離された炭素は、重炭酸塩が豊富な生成物(BRP)である。いくつかの実施形態では、重炭酸塩が豊富な生成物は、水溶液中の成分である。重炭酸塩が豊富な生成物とは、高濃度の重炭酸イオンを特徴とする組成物を意味し、重炭酸イオンの濃度は、いくつかの場合において、5,000ppm以上、15,000ppmを含む10,000ppm以上などであり得る。いくつかの場合において、重炭酸塩が豊富な生成物中の重炭酸イオンは、5,000~20,000ppm、例えば、8,000~12,000ppmを含む、7,500~15,000ppmの範囲である。いくつかの場合において、重炭酸イオンの全量は、0.1~30重量%、例えば、10~15重量%を含む3~20重量%の範囲であり得る。例えば、上述のように、CO2源と水性媒体との組み合わせによって生成される重炭酸塩が豊富な生成物のpHは、変化しても良く、いくつかの場合において、4~10、例えば、及び8~8.5を含む6~9の範囲である。
【0050】
炭酸水素塩が豊富な生成物は、単相又は2つ以上の異なる相を含む液体組成物であり得る。いくつかの実施形態では、炭酸水素塩が豊富な生成物は、バルク液体、例えばバルク溶液中の液体縮合相(LCP)の液滴を含む。「液体縮合相」又は「LCP」とは、重炭酸イオンを含む液体溶液の相を意味し、重炭酸イオンの濃度は、LCP相において周囲のバルク液体よりも高い。LCP液滴は、重炭酸イオンがバルク溶液の濃度を超える縮合濃度に会合し、非結晶溶液状態で存在する、メタ安定性の重炭酸塩リッチ液体前駆体相の存在によって特徴付けられる。
【0051】
更なる実施形態では、対象のシステムで輸送される隔離されたCO2は、凝集体を含む(例えば、以下でより詳細に説明する)。凝集体が炭酸塩凝集体であるため、粒状材料の粒子は、1つ以上の炭酸塩化合物を含み、炭酸塩化合物成分は、必要に応じて、他の物質(例えば、基質)と組み合わせても良く、又は粒子全体を構成しても良い。更に他の実施形態では、対象のシステムで輸送される隔離された炭素は、セメント又はセメント用の重炭酸塩添加剤を含む。セメントは、必要に応じて、液体又は固体形態で輸送され得る。ある特定の場合では、主題のシステムにおいて輸送される隔離された炭素は、コンクリート及びモルタルなどの本発明の硬性組成物を含む。本発明の硬性セメント状組成物は、セメント、定着液、及びBRP添加剤/混合物(例えば、上記に記載されるように)の組み合わせから調製され、組成物は、骨材、化学混合物、鉱物混合物などの1つ以上の追加の成分を更に含み得るが、これらに限定されない。
【0052】
他の実施形態では、主題のシステムで輸送される隔離されたCO2は、固体状態の化合物、例えば、一般に重曹として知られている重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、一般にソーダ灰として知られている炭酸ナトリウム(Na2CO3)、食品業界で一般的に発酵剤として使用される重炭酸アンモニウム(NH4HCO3)、密封剤、接着剤、プラスチック、ゴム、インク、紙、医薬品、栄養補助食品、及び他の多くの要求が厳しい用途の添加剤として様々な用途で一般的に使用される沈殿炭酸カルシウム(PCC)などの固体状態の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
更なる実施形態では、対象のシステムで輸送される隔離された炭素は、実質的に純粋なCO2生成物(例えば、圧縮CO2、液化CO2又は超臨界CO2)を含む。実質的に純粋なCO2生成物ガスは、例えば、加圧パイプラインに格納され得る。いくつかの実施形態では、複数のガス状CO2源及び関連するガス状CO2捕捉サブシステムからのCO2生成物ガスは、ガスが処分される共通の場所に輸送されても良い(例えば、以下で考察されるように、生成物CO2ガスを地下の地質学的場所に注入することによって)。他の例では、生成物CO2ガスは、所望に応じて、1つ以上の他の産業プロセスで必要に応じて販売及び/又は使用されても良い。
【0054】
ある特定の場合では、共通のCO2捕捉制約要素は、鉱物化生成物流通センターである。「鉱物化生成物流通センター」とは、固体形態で内包化された(embodied)CO2(例えば、CO2内包化セメント、CO2内包化骨材)が流通し得る場所を意味する。例えば、いくつかの場合において、鉱物化生成物流通センターは、鉱物化生成物が(例えば、建設会社又は請負業者に)販売される小売店である。他の実施形態では、鉱物化生成物流通センターは、鉱物化生成物が使用のために要求される時間まで保管される保管場所である。
【0055】
更に他の実施形態では、共通のCO2捕捉制約要素は、共通のグリッドからの電力使用である。そのような実施形態では、ガス状CO2点源及び/又はCO2捕捉サブシステムは、それらの構成要素が動作のための同じエネルギー源を共有するように、共通の電力グリッドに接続される。換言すると、ガス状CO2源及び共通の電力グリッドに接続された関連するCO2捕捉サブシステムは、個々の(すなわち、排他的な)発電機構を有していない。
【0056】
任意の適切な電源は、共通の電力グリッドに電力を供給し得る。いくつかの態様では、開示されたシステムは、1つ以上の発電プラントを含む。本明細書で使用される場合、「発電プラント」及び「発電所」という用語は、発電のための施設を指す。特定の態様では、発電プラントは、発電及び送電のための構成要素を収容する。任意の都合が良い数の発電プラントは、共通の電力グリッドに電力を提供し得る。例えば、発電プラントの数は、2つ~5つなど、かつ2つ~3つを含む2つ~10個の範囲であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、発電プラントは、化石燃料(例えば、石炭、石油、及び/若しくは天然ガス)、原子力、又は再生可能エネルギー源から発電する。いくつかの態様では、発電プラントは、発電プラントの外部の電力の消費者に電力を提供する。いくつかのバージョンでは、発電プラントは水素から電力を生成する。発電プラントで使用される水素は、いくつかの場合において、ブルー水素(すなわち、天然ガス中のメタンに由来する水素であって、それによって典型的には、CO2放出量が市場オフセット又は技術的軽減、例えば、ガス状CO2回収システムによって管理される)を含み得る。他の例では、発電所で使用される水素は、グリーン水素(すなわち、水を水素及び酸素に分割することによって誘導される水素)である。水素がブルー水素である場合、システムのいくつかの実施形態は、蒸気改質器を追加的に含んでも良い。本明細書に記載の蒸気改質器は、炭化水素(例えば、メタン)を水と反応させることによって、水素及び一酸化炭素を生成するように構成されている。更なる実施形態では、システムは、自己熱改質装置を含む。本明細書に記載される自己熱改質装置は、酸素及び二酸化炭素又は蒸気をメタンと反応させて、水素及び一酸化炭素を形成する。水素がブルー水素である場合、システムの他の実施形態は、部分酸化反応器を追加的に含み得る。本明細書に記載の部分酸化反応器は、炭化水素(例えば、メタン)を酸素と反応させることによって、水素及び一酸化炭素を生成するように構成されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、発電プラントは、電気部品を含む。例えば、発電プラントは、温度及び/又は照明制御システム、並びに電力の消費者を発電プラントに電気的に接続するための電気部品を含んでも良い。いくつかの場合において、発電プラント(例えば、独立して動作する発電プラント)は、生成される電力の量ごとに一定量のエネルギー(例えば、電気エネルギー)を使用する。発電プラントがガス状CO2放出を生成する場合、発電プラント自体は、対象のガス状CO2捕捉システムの構成要素であるCO2捕捉サブシステムを含み得る。
【0059】
共通のCO2捕捉制約要素が共通のグリッドからの電力使用である場合、システムのいくつかの実施形態は、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリック(例えば、上記のようなもの)が好適な対照と比較して改善されるような様式で、共通の電気グリッドを介して異なるタイプの電源からの複数のガス状CO2源への電力割り当てを制御するように構成されたコントローラを含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、電力費用に基づいて電力割り当てを制御するように構成される。特定の形態のエネルギーが他の形態のエネルギーよりも高価であり得るので、コントローラのいくつかのバージョンは、ガス状CO2源にそれほど高価ではない1つ以上の電源からの電力を優先的に割り当て得る。更なる実施形態では、コントローラは、再生可能な発電の割合に基づいて電力割り当てを制御するように構成されている。複数の電源が再生可能性に関して異なる(すなわち、補充される自然なプロセスから導出される)場合、コントローラは、ガス状CO2源に対してより再生可能である1つ以上の電源からの電力を優先的に割り当てるように構成されても良い。
【0060】
いくつかの実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、共通の建築材料製造器を含む。そのような実施形態では、共通の建築材料製造器は、複数のガス状CO2源に関連付けられたCO2捕捉サブシステムから少なくとも第1及び第2の鉱物化原料建築材料を受け取るように構成される。言い換えると、各CO2捕捉サブシステムの出力は、共通の建築材料製造器でプールされる。ガス状CO2源及びCO2捕捉サブシステムの数は異なる場合がある。いくつかの実施形態では、ガス状CO2源及びCO2捕捉サブシステムの数は、2つ~10個、例えば、2つ~5つ及び2つ~3つを含む範囲である。ある特定の場合では、ガス状CO2捕捉システムは、2つの(すなわち、第1及び第2の)ガス状CO2源及びCO2捕捉サブシステムを含む。そのような実施形態では、第1のガス状CO2源は、ガス状CO2から第1の鉱物化原料建築材料(例えば、セメント)を生成する第1のCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合され、第2のガス状CO2源は、ガス状CO2から第2の鉱物化原料建築材料(例えば、骨材)を生成する第2のCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合される。場合によっては、共通の建築材料製造器は、第1及び第2の鉱物化供給建築材料から建築材料(例えば、コンクリート)を調製する。
【0061】
共通の建築材料製造器を含む特定の場合では、システムは、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の生成を制御するように構成されたコントローラを含む。いくつかの例では、コントローラは、共通の建築材料製造器のニーズに合わせて、第1及び第2のガス状CO2捕捉サブシステムのそれぞれで行われるガス状CO2捕捉の割合を最適化するように構成されている。
【0062】
ガス状CO2捕捉プロトコル
上述のように、ガス状CO2捕捉システムは、ガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。任意の好適なガス状CO2捕捉プロトコルが、用いられ得る。いくつかの場合において、CO2捕捉プロトコルは、液体(例えば、以下でより詳細に説明されるように、捕捉液体)への吸収を含む。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉プロトコルは、吸着(例えば、以下で考察される固体吸着剤)を含む。更に他の実施形態では、CO2捕捉プロトコルは、膜輸送を含む。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、ガス状CO2捕捉プロトコルの組み合わせ、例えば、液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送などの任意の組み合わせを採用する。
【0063】
ガス状CO2捕捉プロトコルが、固体吸着剤、例えば、ゼオライト、分子ふるい、ポリマー、炭素、アルミナ、シリカ、ポリオキソメタレート(POM)、金属有機フレームワーク(MOF)などの使用を含むいくつかの実施形態では、複数のガス状CO2源のCO2を固体吸着剤の表面に吸着して、複数のガス状CO2源からのCO2の分離を達成する。いくつかの場合において、固体吸着剤は、ガス状CO2捕捉プロトコルで使用する前に活性化される。他の例では、固体吸着剤は、CO2を分離するための圧力変動吸着又は温度変動吸着方法の構成要素である。ある特定の場合では、次いで、吸着されたCO2が固体吸着剤から解放されて、実質的に純粋なCO2生成物ガスが上述の主題のシステムによって輸送されることになる。固体吸着剤を使用するガス状CO2捕捉プロトコルの例としては、限定するものではないが、PCT公開出願第WO/2011/013332号、同第WO/2009/105255号、同第WO/2014/100904号、同第WO/2014/208038号、及び米国特許第9,283,512号、同第9,012,355号、同第8,591,627号に記載されているものが挙げられ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
ガス状CO2捕捉プロトコルが液体への吸収を含むある特定の場合では、目的のガス状CO2捕捉システムはCO2捕捉液体を含む。捕捉液体は、様々であっても良い。捕捉液体の例としては、新鮮な水及び重炭酸塩緩衝水性媒体が挙げられるが、これに限定されない。本発明の実施形態で使用される重炭酸塩緩衝水性媒体は、重炭酸塩緩衝液が存在する液体媒体を含む。重炭酸塩緩衝水性媒体は、必要に応じて、天然又は人工媒体であっても良い。捕捉液体に関する更なる詳細は、PCT公開出願第WO/2014/039578号、同第WO2015/134408号、及び同第WO2016/057709号において提供され、それらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。CO2捕捉液体の使用を伴うCO2捕捉システムは、例えば、米国特許第9,707,513号、同第9,714,406号、同第9,993,799号、同第10,711,236号、同第10,766,015号、及び同第10,898,854号に記載されており、これらの開示は、全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
本発明のシステムは、目的の特定の隔離材料製造方法の実施を可能にする任意の構成を有し得る。実施形態では、本発明のシステムは、CO2隔離炭酸塩材料を生成するように構成される1つ以上の反応器を含む。いくつかの実施形態では、システムは、連続反応器(すなわち、流動反応器)、例えば、材料が流動流中に運ばれ、反応物(例えば、二価カチオン、重炭酸塩リッチな液体など)が連続的に反応器に供給され、生成物の連続流として出現する反応器を含む。所与のシステムは、例えば、本明細書に記載のように、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の追加の要素と組み合わせて、連続反応器を含み得る。他の実施形態では、主題のシステムは、バッチ反応器を含む。
【0066】
水性媒体源及びガス状CO2源は、CO2含有ガスを捕捉液体と接触させるように構成された反応器に接続される。反応器は、温度調節器(例えば、水を所望の温度に加熱するように構成される)、化学添加剤成分、例えば、重炭酸塩の生成を促進する薬剤を導入するための化学添加剤成分、機械的攪拌、及び物理的攪拌機構など、多数の成分のいずれかを含んでも良い。反応器は、CO2の重炭酸塩への変換を媒介する触媒を含んでも良い。反応器は、また、内部反応器圧力、pH、金属イオン濃度、及びpCO2などの1つ以上のパラメータの監視を可能にする構成要素を含み得る。
【0067】
水性媒体は、実施される特定のプロトコルに応じて変化し得るが、対象の水性媒体は、純水と同様に、1つ以上の溶質、例えば、Mg2+、Ca2+、対イオンなどの二価カチオン、例えば、炭酸塩、水酸化物などの対イオンを含む水を含み、いくつかの例では、水性媒体は、炭酸水素塩緩衝水性媒体であり得る。本発明の方法で使用される重炭酸塩緩衝水性媒体は、重炭酸塩緩衝液が存在する液体媒体を含む。このように、対象の液体水性媒体には、溶解したCO2、水、炭酸(H2CO3)、重炭酸イオン(HCO3
-)、プロトン(H+)、及び炭酸イオン(CO3
2-)が含まれる。水性媒体中の重炭酸塩緩衝液の成分は、下記方程式によって支配される。
【0068】
【0069】
目的の水性媒体では、媒体中の異なる炭酸塩種成分の量は、pHに応じて変化し得る。いくつかの例では、pH4.5周辺又は約pH4.5未満では、炭酸の量は、50~100%、例えば、70~90%の範囲であり、pH4~9周辺又は約pH4~9での重炭酸イオンの量は、10~95%、例えば、20~90%の範囲であり、pH9周辺又は約pH9より上の炭酸イオンの量は、10~100%、例えば、10~70%の範囲である。水性媒体のpHは、いくつかの場合において、7~11、8~11など、例えば、8~9を含む8~10、例えば8~9.5、8~9.3などの範囲で変化し得る。いくつかの場合において、pHは、8.2~8.7、例えば、8.4~8.55の範囲である。
【0070】
重炭酸塩緩衝水性媒体は、必要に応じて、天然又は人工媒体であっても良い。天然に存在する炭酸水素塩緩衝水性媒体には、海、大洋、湖、沼、河口、内湖、塩水湖、アルカリ湖、内海などから得られる水が挙げられるが、これらに限定されない。炭酸水素塩緩衝水性媒体の人工源も変化し得、水の淡水化プラントによって生成された塩水などを含み得る。いくつかの場合において、過剰なアルカリ性を呈する水であり、これは、重炭酸イオン以外の供給源によって提供されるアルカリ性として定義される。これらの例では、過剰量のアルカリ性は、1.0又はわずかに低い、例えば0.9のアルカリ性の相当量を提供するために十分である限り、変化しても良い。対象の水には、30以上、例えば、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上などの過剰なアルカリ性(meq/リットル)を提供するものが含まれる。そのような水が使用される場合、他のアルカリ性の源、例えばNaOHは必要とされない。
【0071】
実施形態では、システムは、流れる水性液体中に導入位置に二価カチオンを導入するように構成された二価カチオン誘導器を更に含む。二価カチオン源の性質に応じて、誘導器が液相又は固相誘導器であり得る、任意の便利な誘導器を採用しても良い。誘導器は、いくつかの場合において、液体を含有する重炭酸塩リッチ生成物の入口と、同じではないにしても、実質的に同じ位置に位置し得る。あるいは、誘導器は、入口から少し離れて下流に位置し得る。かかる事例では、入口と誘導器との間の距離は、いくつかの実施形態において、1cm~10m、例えば、10cm~1mの範囲で変化し得る。誘導器は、二価カチオンの供給源又はリザーバに動作可能に結合され得る。
【0072】
水性媒体中に二価カチオンを含めることで、重炭酸塩豊富な生成物中の重炭酸塩イオンの濃度を増加させることができ、それによって、はるかに多くの量のCO2が重炭酸塩豊富な生成物中の重炭酸塩イオンとして隔離されることができる。そのような例では、5,000ppm以上を超える、例えば、15,000ppm以上を含む、10,000ppm以上の重炭酸イオン濃度を達成し得る。例えば、カルシウム及びマグネシウムは、それぞれ400ppm及び1200ppmの濃度で海水中に生じる。海水(又は水性媒体としての類似の水)を使用して重炭酸塩豊富な生成物を形成することによって、10,000ppmを超える重炭酸塩イオン濃度を達成することができる。
【0073】
そのような実施形態では、培地中の二価カチオン源の総量は、単一の二価カチオン種(Ca2+など)又は2つ以上の異なる二価カチオン種(例えば、Ca2+、Mg2+など)から構成されても良く、変動しても良く、いくつかの場合において、100ppm以上、300ppm以上を含む200ppm以上など、750pppm以上を含む500ppm以上など、1,000ppm以上など、例えば、2,000ppm以上を含む1,500ppm以上であっても良い。二価のカチオン源として、単独で又は組み合わせて用いられ得る対象の二価のカチオンとしては、限定するものではないが、Ca2+、Mg2+、Be2+、Ba2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Hg2+などが挙げられる。二価であってもなくても良い、対象となる他のカチオンとしては、限定するものではないが、Na+、K+、NH4+、及びLi+、並びにMn、Ni、Cu、Zn、Fe、Ce、La、Al、Y、Nd、Zr、Gd、Dy、Ti、Th、U、La、Sm、Pr、Co、Cr、Te、Bi、Ge、Ta、As、Nb、W、Mo、Vなどのカチオン性種が挙げられる。カチオン源、二価又はそれ以外のものを含み、したがってそのような実施形態で使用され得る天然に存在する水性媒体には、海、海洋、河口、ラグーン、塩水湖、アルカリ湖、内陸海などから得られる水性媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
いくつかの例では、システムは、重炭酸塩が豊富な生成物を更に処理するように構成された第2の反応器を含み、例えば、生成物を乾燥させ、生成物を1つ以上の追加の成分、例えば、セメント添加剤と組み合わせて、重炭酸塩が豊富な生成物などから固体炭酸塩組成物を生成する。反応器が炭酸塩生成物を生成するように構成された実施形態では、そのような反応器は、重炭酸塩が豊富な生成物の入力と、カチオンを重炭酸塩が豊富な生成物に、固体炭酸塩化合物の沈殿を引き起こすために十分な様式で導入するカチオン源(上述のような)の入力とを含む。必要に応じて、この反応器は、沈殿させた炭酸塩鉱物組成物を、反応器内の重炭酸塩が豊富な生成物から生成される母液から分離するように構成されたセパレータに動作可能に結合されても良い。ある特定の実施形態では、セパレータは、機械的アプローチによって、例えば、大量の過剰な水が重力によって、又は真空の添加によって沈殿物から排出される、沈殿物を濾過して濾液を生成する、遠心分離する、又は沈殿物の重力沈降及び母液の排出によって、沈殿物から沈殿物炭酸塩鉱物組成物を母液から分離することを達成し得る。システムは、また、乾燥ステーションで乾燥する前に、セパレータからのバルク脱水沈殿物を洗浄して、例えば、沈殿物から塩及び他の溶質を除去する洗浄ステーションを含んでも良い。いくつかの場合において、システムは、炭酸塩鉱物沈殿ステーションによって生成された沈殿炭酸塩鉱物組成物を乾燥するための乾燥ステーションを更に含む。システムの特定の乾燥プロトコルに応じて、乾燥ステーションは、上記でより完全に説明したように、濾過要素、凍結乾燥構造、スプレー乾燥構造などを含んでも良い。システムは、ガス状廃棄物流(すなわち、工業用プラントの煙道ガス)が乾燥段階で湿った沈殿物と直接接触し得るように、乾燥機に接続された工業用プラントからのコンベヤ、例えば、ダクトを含んでも良い。得られた乾燥沈殿物は、所望の物理的特性を得るために、精製ステーションで、例えば、粉砕、粉砕などの更なる処理を受けることができる。1つ以上の成分は、沈殿物が建築材料として使用される沈殿物に添加されても良い。
【0075】
対象となる連続反応器は、非スラリー固相CO2隔離炭酸塩材料生成位置を含む。この位置は、二価カチオンと、液体を含有する重炭酸塩リッチ生成物の重炭酸イオンとの反応の結果として、非スラリー固相CO2隔離炭酸塩材料が生成される連続反応器の領域又は範囲である。反応器は、製造場所において任意の上述の非スラリー固相CO2隔離炭酸塩材料を生成するように構成し得る。いくつかの場合において、生成位置は、二価カチオン導入位置から少し離れて位置する。この距離は変化し得るが、いくつかの場合において、二価カチオン誘導器と材料生成位置との間の距離は、1cm~10m、例えば10cm~1mの範囲である。
【0076】
必要に応じて、反応器は、非スラリー固相CO2隔離炭酸塩材料を材料生産場所に保持するように構成された保持構造を更に含んでも良い。目的の保持構造には、液体を含む重炭酸水性生成物が生産場所を通って移動するにもかかわらず、非スラリー固相CO2隔離炭酸塩材料を生産場所に維持するために役立つフィルター、メッシュ、又は類似の構造(例えば、フリット)が含まれる。
【0077】
反応器は、反応器又はその一部を通る液体の所望の流量を維持するように構成された流量調節器を有しても良い。例えば、流量調節器は、反応器を通る液体の流量を一定かつ所望の速度で維持するように構成されても良く、又は反応器が第1の部分に第1の流量を有し、第2の部分に第2の流量を有しても良いように、反応器の異なる部分を通る液体の流量を変化させるように構成されても良い。流量調節器は、反応器を通る液体の流れに、0.1m/s~10m/s、例えば1m/s~5m/sの範囲の値を提供するように構成されても良い。
【0078】
反応器は、反応器又はその一部における所望の圧力を維持するように構成された圧力調節器を有しても良い。例えば、圧力調節器は、反応器全体で一定の所望の圧力を維持するように構成されても良く、又は反応器が第1の部分に第1の圧力を有し、第2の部分に第2の圧力を有しても良いように、反応器の異なる部分の圧力を変化させるように構成されても良い。例えば、反応器は、二価カチオン導入領域でより高い圧力を有し、材料製造領域でより低い圧力を有し得る。そのような例では、任意の2つの領域間の圧力差は、場合によっては0.1気圧~1,000気圧、例えば1気圧~10気圧の範囲で変化し得る。圧力調節器は、例えば、上記のように、反応器の異なる領域間で変化し得る、0.1気圧~1,000気圧の範囲の値、例えば1気圧~10気圧の範囲の値で反応器内の圧力を提供するように構成されても良い。
【0079】
反応器は、反応器又はその一部における所望の温度を維持するように構成された温度調節器を有しても良い。例えば、温度調節器は、反応器全体を通して一定及び所望の温度を維持するように構成されても良く、又は反応器の異なる部分の温度を変化させるように構成されても良く、その結果、反応器は、第1の部分の第1の温度及び反応器の第2の部分の第2の温度を有しても良い。温度調節器は、-4~99℃、例えば0~80℃の範囲の値を有する反応器内の温度を提供するように構成されても良い。
【0080】
反応器は、例えば、製造中に非スラリー生成物を混合又は攪拌するための攪拌機を含んでも良い。トロンメル、振動源などを含むがこれらに限定されない、任意の便利なタイプの攪拌器が使用され得る。
【0081】
いくつかの場合において、例えば、上述したように、反応器は、液体生成単位を含有する重炭酸水溶液に動作可能に結合される。そのような単位は変化し得るが、いくつかの例では、そのような単位は、CO2含有ガスの供給源、水性媒体の供給源、及び重炭酸塩が豊富な生成物を生成するために十分な条件下でCO2含有ガスを水性媒体と接触させるように構成された反応器を含む。システムには、任意の便利な重炭酸塩緩衝水性媒体源が含まれても良い。特定の実施形態では、この源は、海からのパイプ又は導管などの水性媒体の入力を有する構造を含む。水性媒体が海水である場合、水源は、例えば、入力が、海水から陸上ベースのシステム又は船体の入口ポートへのパイプライン又はフィードである場合、例えば、システムが、海上ベースのシステムで、船の一部である場合など、海水と流体連通している入力であり得る。
【0082】
反応器は、炭酸水素塩が豊富な生成物の出力搬送を更に含む。いくつかの実施形態では、出力搬送は、重炭酸塩豊富な成分を、地下塩水貯水池への注入、処分のための尾鉱池、又は天然の水域、例えば、海洋、海、湖、又は川への注入などの貯蔵場所に輸送するように構成されても良い。更に他の実施形態では、出力は、例えば、容器に入れ、油圧セメントで包装するために、重炭酸塩が豊富な生成物を包装ステーションに移し得る。あるいは、出力は、重炭酸塩が豊富な生成物を第2の反応器に輸送しても良く、第2の反応器は、重炭酸塩が豊富な生成物から固体炭酸塩組成物、すなわち沈殿物を生成するように構成されても良い。
【0083】
いくつかの実施形態では、捕捉液体は、米国特許第9,707,513号、米国特許第10,898,854号、及び米国特許出願第17/127,074号に記載されているようなアルカリ濃縮プロトコルに供されており、その開示は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。「アルカリ濃縮プロトコル」とは、液体のアルカリ性を増加させる方法又はプロセスを意味する。所与の液体のアルカリ性の増加は、様々な異なる方法で現れ得る。いくつかの場合において、液体のアルカリ性の増加は、液体のpHの増加として現れる。例えば、液体は、液体から水素イオンを除去して液体のアルカリ性を増加させるように処理されても良い。そのような場合、液体のpHは、0.10以上、0.20以上、0.25以上、0.50以上、0.75以上、1.0以上、2.0以上などの所望される値だけ増加され得る。いくつかの場合において、pHの増加の大きさは変化し得、いくつかの場合において、0.1~10、例えば、2.5~7.5、例えば、3~7を含む1~9の範囲である。したがって、方法は、初期液体のアルカリ性を増加させて、所望のpHを有する生成物液体を生成しても良く、いくつかの例では、生成物液体のpHは、5~14、例えば7~12、例えば8~11を含む6~13の範囲であり、生成物液体は、強化されたアルカリ性液体とみなされても良い。液体のアルカリ性の増加は、液体の溶存無機炭素(DIC)含有量の増加としても表され得る。DICは、以下の式で表される、溶液中の無機炭素種の濃度の合計である。DIC=[CO2*]+[HCO3
-]+[CO3
2-]、[CO2*]は二酸化炭素([CO2])と炭酸([H2CO3])との濃度の合計であり、[HCO3
-]は重炭酸塩濃度であり、[CO3
2-]は溶液中の炭酸塩濃度である。アルカリ濃縮液体のDICは変化しても良く、いくつかの場合において、500ppm以上、例えば、15,000ppm以上を含む5,000ppm以上であり得る。いくつかの場合において、アルカリ濃縮液体のDICは、500~20,000ppm、例えば8,000~12,000ppmを含む7,500~15,000ppmの範囲であり得る。いくつかの事例では、アルカリ濃縮は、重炭酸塩種、例えば、NaHCO3の濃度、例えば、5~500mモル、例えば、10~200mモルの範囲の濃度の増加として現れる。
【0084】
いくつかの実施形態では、捕捉液体は、アンモニアを含む。そのような実施形態では、水性捕捉アンモニアは、水性炭酸アンモニウムを生成するために十分な条件下で、ガス状CO2源と接触させる。水性捕捉アンモニアは、任意の都合が良い水を含んでも良い。水性捕捉アンモニアが生成され得る対象となる水としては、限定されないが、淡水、海水、塩水、再生若しくは再利用水、生成水、及び廃水が挙げられる。水性捕捉アンモニアのpHは、いくつかの場合において、9.0~13.5、例えば10.5~12.5を含む9.0~13.0の範囲で変化し得る。対象となる水性捕捉アンモニアに関する更なる詳細は、PCT公開出願第WO2017/165849号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
例えば、上記のように、CO2含有ガスは、任意の都合が良いプロトコルを使用して、水性捕捉液体、例えば、水性捕捉アンモニアと接触させても良い。例えば、対象となる接触プロトコルとしては、限定されないが、直接接触プロトコル、例えば、ある体積の水性媒体を通してガスを気泡状にすること、同時接触プロトコル、すなわち、一方向的に流れる気相流と液相流との間の接触、向流プロトコル、すなわち、反対方向に流れる気相流と液相流との間の接触、直交流接触プロトコル、すなわち、流れる液相流と直交して流れる気相流との間の接触などが挙げられる。接触は、好都合であり得るように、注入器、バブラー、流体ベンチュリ反応器、多孔分散管、ガスフィルター、スプレー、トレイ、スクラバー、吸収器、又は充填されたカラム反応器などの使用を通じて達成され得る。いくつかの場合において、接触プロトコルは、米国特許第7,854,791号、同第6,872,240号、及び同第6,616,733号、並びに米国特許出願公開第US/2012/0237420-A1号に記載されるものなどの従来の吸収器又は吸収器気泡カラムを使用しても良く、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。プロセスは、バッチ又は連続プロセスであり得る。いくつかの場合では、再生泡接触器(RFC)を用いて、CO2含有ガスを水性捕捉液体、例えば、水性捕捉アンモニアと接触させても良い。いくつかのそのような例では、RFCは、触媒(他の箇所で説明されているような)、例えば、RFCの内部上/内部へ固定された触媒を使用しても良い。好適なRFCに関する更なる詳細は、米国特許第9,545,598号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
捕捉液体がアンモニアを含む特定の場合において、CO2捕捉システムは、生成された炭酸アンモニウム水溶液を、固体CO2隔離炭酸塩及びアンモニウム塩水溶液を生成するために十分な条件下でカチオン源と組み合わせるように追加的に構成されても良い。異なる価のカチオンは、固体炭酸塩組成物(例えば、炭酸塩鉱物の形態)を形成することができる。いくつかの場合において、ナトリウム及びカリウムカチオンなどの一価カチオンが使用され得る。他の事例では、アルカリ土類金属カチオン、例えば、カルシウム及びマグネシウムカチオンなどの二価カチオンが使用され得る。カチオンが炭酸アンモニウム水溶液に添加される場合、二価カチオンがCa2+を含むときの非晶質炭酸カルシウムなどの炭酸塩固体の沈殿物は、カチオン当たり1個の炭酸塩種イオンの化学量論的比で生成され得る。
【0087】
例えば、上記で概説したような炭酸塩生成に加えて、本発明の態様は、例えば、上記のように、水性アンモニウム塩から水性捕捉アンモニアを再生することを更に含んでも良い。水性捕捉アンモニウムを再生することは、水性アンモニウム塩から一定量のアンモニアを発生するために十分な様式で、水性アンモニウム塩を処理することを意味する。この再生工程中にアンモニアに変換される入力アンモニウム塩の割合は、いくつかの場合において、35~55%などの20~80%の範囲で変化し得る。
【0088】
アンモニアは、任意の便利な再生プロトコルを使用して、この再生工程で水性アンモニウム塩から再生することができる。いくつかの場合において、蒸留プロトコルが用いられる。任意の好都合な蒸留プロトコルを用いても良いが、いくつかの実施形態において、使用される蒸留プロトコルは、アルカリ性源の存在下で水性アンモニウム塩を加熱して、ガス状アンモニア/水生成物を生成することを含み、次いで、これを縮合して、液体水性捕捉アンモニアを生成しても良い。アルカリ性源は、水性アンモニウム塩中のアンモニウムをアンモニアに変換するために十分である限り、変化し得る。任意の好都合なアルカリ性源を用いることができる。
【0089】
本明細書に開示されるアルカリ性源は、変化し得る。任意の好都合なアルカリ性源を用いることができる。この再生工程で使用され得るアルカリ性源には、化学剤が含まれる。アルカリ性源として使用され得る化学剤としては、限定されないが、水酸化物、有機塩基、超強塩基、酸化物、及び炭酸塩が挙げられる。水酸化物には、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、又は水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を含む、溶液中に水酸化物アニオンを提供する化学種が含まれる。有機塩基は、一般に、メチルアミンなどの一級アミン、ジイソプロピルアミンなどの二級アミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミン、アニリンなどの芳香族アミン、ピリジン、イミダゾール、及びベンジイミダゾールなどの複素芳香族化合物、並びにそれらの様々な形態を含む窒素性塩基である炭素含有分子である。プロトン除去剤としての使用に好適な超強塩基としては、ナトリウム・エトキシド、ナトリウム・アミド(NaNH2)、水素化ナトリウム(NaH)、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ジエチルアミドリチウム、及びリチウムビス(トリメチルシリル)アミドが挙げられる。例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ベリリウム(BeO)、及び酸化バリウム(BaO)もまた、使用され得る好適なプロトン除去剤である。
【0090】
アルカリ性源としても対象となるものはシリカ源である。シリカ源は、純粋なシリカ又は他の化合物、例えばミネラルとの組み合わせのシリカを含む組成物であっても良く、ただし、シリカ源が所望のアルカリ性を付与するために十分である限りである。いくつかの場合において、シリカ源は、天然に生じるシリカ源である。天然に生じるシリカ源としては、砂又はより大きな岩の形態であり得るシリカ含有岩が挙げられる。原料がより大きな岩である場合、いくつかの場合において、岩はそのサイズを小さくして、表面積を増やすために分解されている。対象となるものは、1mm~100cm、例えば1mm~50cmを含む0.1mm~500cmなどの0.01mm~1mの範囲の最長寸法を有する成分からなるシリカ源である。シリカ源は、必要に応じて、源の表面積を増加させるために表面処理され得る。様々な異なる天然に生じるシリカ源が用いられ得る。対象となる天然に生じるシリカ源としては、限定されないが、コマタイト、ピクライト質武岩、キンバーライト、ランプロイト、ペリドタイトなどの超軟質岩、玄武岩、輝緑岩(ドーレライト)、及びガブロなどの多孔質岩、安山岩及びダイライトなどの中間岩、ダシテ及びグラノダイライトなどの中間フェルシック岩、並びに流紋岩、アプライト-ペグマタイト及びグラナイトなどのフェルシック岩が挙げられる。また、対象となるものは人工シリカ源である。人工シリカ源としては、限定されないが、鉱業廃棄物;化石燃料燃焼灰;スラグ、例えば、鉄及び鋼スラグ、リンスラグ;セメントキルン廃棄物;石油精製所/石油化学精製所廃棄物、例えば、油田及びメタンシーム塩水;石炭シーム廃棄物、例えば、生成塩水及び石炭シーム塩水;紙処理廃棄物;水軟化剤、例えば、イオン交換廃棄物海水;シリコン処理廃棄物;農業廃棄物;金属仕上げ廃棄物;高pHの織物廃棄物;並びに苛性スラッジなどの廃棄物流が挙げられる。鉱業廃棄物には、金属又は地球から別の貴重又は有用な鉱物を抽出した廃棄物が含まれる。対象となる廃棄物には、pHを上昇させるために使用される鉱山からの廃棄物が含まれる。これには、Bayerアルミニウム抽出プロセスからの赤色の泥、海水のためのマグネシウム抽出からの廃棄物、例えば、カリフォルニア州モス・ランディングでの廃棄物、及び浸出を伴う他の鉱業プロセスからの廃棄物が含まれる。石炭火力発電所などの化石燃料の燃焼プロセスからの灰は、しばしばシリカを豊富に含む灰を作り出す。いくつかの実施形態では、化石燃料、例えば、石炭火力発電プラントの燃焼から生じる灰は、フライアッシュ、例えば、煙突から出る灰、及びボトムアッシュを含むシリカ源として提供される。シリカ源及びそれらの使用に関する追加の詳細は、米国特許第9,714,406号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
本発明の実施形態において、灰は、アルカリ性源として用いられる。ある特定の実施形態において、対象となるものは、灰として石炭灰の使用である。本発明で使用される石炭灰は、発電所ボイラ又は石炭燃焼炉、例えば、鎖格子ボイラ、サイクロンボイラ、及び流動床ボイラにおいて、粉砕無煙炭、リグナイト、アスファルト又は亜瀝青炭の燃焼から生成された残渣を指す。かかる石炭灰には、排ガス又は燃焼排ガスによって炉から運ばれる微細に分割された石炭灰であるフライアッシュ、及び凝集塊として炉の基部に集まるボトムアッシュが含まれる。
【0092】
フライアッシュは一般に非常に不均質であり、石英、マライト、及び様々な酸化鉄などの様々な識別可能な結晶相を有するガラス粒子の混合物を含む。対象となるフライアッシュには、F型及びC型フライアッシュが含まれる。上記のF型及びC型フライアッシュは、上記のCSA規格A23.5及びASTM C618で定義されている。これらのクラスの主な違いは、灰中のカルシウム、シリカ、アルミナ、及び鉄分の量である。フライアッシュの化学的性質は、燃焼した石炭の化学的含有量(すなわち、無煙炭、アスファルト、及びリグナイト)によって大きく影響される。対象となるフライアッシュには、相当量のシリカ(二酸化ケイ素、SiO2)(非晶質及び結晶性の両方)及び石灰(酸化カルシウム、CaO、酸化マグネシウム、MgO)が含まれる。
【0093】
より硬く、より古い無煙炭と瀝青炭とを燃やすと、典型的にはクラスFのフライアッシュが生成する。クラスFのフライアッシュは、本質的にポゾランであり、典型的には、20%未満の石灰(CaO)が含まれている。より若いリグナイト又は亜瀝青炭の燃焼から生成されたフライアッシュは、ポゾランに加えて、いくつかのセルフセメント性も有する。水の存在下では、クラスCのフライアッシュは経時的に硬化し、強度を得る。クラスCのフライアッシュには、一般的に20%以上の石灰(CaO)が含まれている。アルカリと硫酸塩(SO4
2-)との含有量は、一般的にクラスCのフライアッシュの方が多い。いくつかの実施形態において、クラスCフライアッシュを使用して、アンモニアを水性アンモニウム塩から発生することが対象となる。例えば上述のように、クラスFフライアッシュに近い特性のフライアッシュを発生させるためにクラスCフライアッシュに存在する構成物の量を抽出する、例えば、20%CaOを有するクラスCフライアッシュ中のCaOの95%を抽出することを意図している。したがって、1%CaOを有する改修されたフライアッシュ材料が得られる。
【0094】
フライアッシュ材料は、排ガス中に懸濁されている間に固化し、様々なアプローチを使用して、例えば、静電沈殿物又はフィルターバッグによって、収集される。粒子は排ガス中に懸濁したまま固化するため、フライアッシュ粒子は通常球形であり、サイズは0.5μm~100μmの範囲である。対象となるフライアッシュとしては、少なくとも約80重量%が45ミクロン未満の粒子を含むものが挙げられる。本発明のある特定の実施形態において、高アルカリ性流動床燃焼器(FBC)フライアッシュの使用もまた対象となる。
【0095】
また、本発明の実施形態において、対象となるものは、ボトムアッシュの使用である。ボトムアッシュは、石炭の燃焼から石炭燃焼ボイラ内の凝集塊として形成される。かかる燃焼ボイラは、湿式底部ボイラ又は乾式底部ボイラであり得る。湿式又は乾式の底部ボイラで製造される場合、ボトムアッシュは水で急冷される。急冷により、90%が0.1mm~20mmの粒径範囲内に入るサイズを有する凝集塊をもたらし、ボトムアッシュ凝集塊は、この範囲内で凝集塊サイズの広い分布を有する。ボトムアッシュの主な化学成分は、Fe、Ca、Mg、Mn、Na及びK、並びに硫黄及び炭素の酸化物のより量が少ないシリカ及びアルミナである。
【0096】
ある特定の実施形態において、対象となるものは、また、灰としての火山灰の使用である。火山灰は、直径2ミリメートル未満の小さなテフラ、すなわち、火山噴火によって作られた粉砕岩とガラスとで構成されている。
【0097】
本発明の一実施形態では、セメントキルンダスト、例えば、バイパスダスト(BPD)又はセメントキルンダスト(CKD)は、アルカリ性源として使用される。灰及び/又はダストが生成された燃料の性質、並びに当該燃料の燃焼手段は、結果として生じる灰及び/又はダストの化学組成に影響を与える。したがって、灰及び/又はダストは、pHを調整するための手段の一部として使用されても良く、灰及び/又はダストの化学組成に基づいて、様々な他の成分が、特定の灰及び/又はダストとともに利用されても良い。
【0098】
本発明のある特定の実施形態において、スラグは、アルカリ性源として用いられる。スラグは、単独のpH調整剤として、又は1つ以上の追加のpH調整剤、例えば灰などと併用して使用され得る。スラグは金属の加工から発生し、カルシウム及び酸化マグネシウム、並びに鉄、シリコン及びアルミニウム化合物を含有し得る。ある特定の実施形態において、スラグをpH調整材料として使用することは、反応性シリコン及びアルミナの沈殿生成物への導入によって更なる利点を提供する。対象となるスラグとしては、限定されないが、鉄製錬からの高炉スラグ、鉄及び/又は鋼(鋼スラグ)の電気アーク又は高炉加工からのスラグ、銅スラグ、ニッケルスラグ、及びリンスラグが挙げられる。
【0099】
上記に示されるように、灰(又は特定の実施形態ではスラグ)は、ある特定の実施形態において、水のpHを所望のレベルに調整する唯一の方法として用いられる。更に他の実施形態において、1つ以上の追加のpH調整プロトコルは、灰の使用と併用される。
【0100】
ある特定の実施形態において、対象となるものは、また、アルカリ性源としての他の廃棄物材料、例えば、粉砕若しくは解体、又はリサイクルあるいは返却コンクリート又はモルタルの使用である。用いられると、コンクリートは、必要に応じて、プロセスの炭酸塩生成部分にリサイクルされ得る放出砂及び骨材を溶解させる。解体及び/又はリサイクルコンクリート又はモルタルの使用は、以下に更に説明される。
【0101】
ある特定の実施形態において、対象となるものは、鉱物アルカリ性源である。かかる事例において、水性アンモニウム塩と接触させる鉱物アルカリ性源は、変化して良く、対象となる鉱物アルカリ性源としては、限定されないが、上記のように、ケイ酸塩、炭酸塩、フライアッシュ、スラグ、石灰、セメントキルンダストなどが挙げられる。いくつかの場合において、鉱物アルカリ性源は、例えば、上記のように、岩石を含む。実施形態では、アルカリ性源はジオマスである。
【0102】
いくつかの場合においてCO2ガス/水性捕捉アンモニアモジュールは、組み合わせられた捕捉及びアルカリ濃縮反応器を備え、反応器は、コア中空繊維膜構成要素、例えば、複数の中空繊維膜を含むコア中空繊維膜構成要素;コア中空繊維膜構成要素を取り囲むアルカリ濃縮膜構成要素及びコア中空繊維膜構成要素が存在する第1の液体フロー経路を定義すること;及びアルカリ濃縮膜構成要素及びコア中空繊維膜構成要素を含有するように構成されたハウジングとを備えて良く、ハウジングは、アルカリ濃縮膜構成要素とハウジングの内面との間の第2の液体フロー経路を定義するように構成される。いくつかの場合において、アルカリ濃縮膜構成要素は、チューブとして構成され、中空繊維膜構成要素はチューブ内において軸方向に配置される。いくつかの場合において、ハウジングはチューブとして構成され、ハウジング及びアルカリ濃縮膜構成要素は同心である。本発明の態様は、例えば、上記のように、組み合わせた捕捉及びアルカリ濃縮反応器を更に含む。
【0103】
「ホット」及び「コールド」プロセスを含むアンモニア媒介プロトコルに関する更なる詳細は、米国特許第10,322,371号及び国際公開第WO2020/047243号として公開されているPCT出願第PCT/US2019/048790号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
いくつかの実施形態では、液体への吸収を伴うガス状CO2捕捉プロトコルを採用するガス状CO2捕捉システムは、アミンスクラブ(「ガス甘味料」又は「アミン甘味料」とも呼ばれる)を含む。アミンスクラブは、アルキルアミン(しばしば「アミン」と呼ばれる)を含む液体(例えば、水溶液)にガス状CO2を吸収するプロセスを説明するために、その従来の意味で本明細書で参照される。アミンスクラバは、例えば、G.T.Rochelle,Science 325,1652(2009)に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。アミンスクラブのプロセスは、CO2などの酸性ガス(しばしば「酸性ガス」と呼ばれる)、及び関連する場合は硫化水素(H2S)を、そのようなガスをアミン溶液と接触させて塩錯体を形成することによって除去することを伴う。アミン溶液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジグリコールアミンなど、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。対象とするアミンスクラバは、ガス状CO2とアミン溶液とが接触する接触器カラム(例えば、トレイカラム、充填カラム)を含む。実施形態では、接触器カラムは、ガス状CO2を受け入れるための底部に入口を含む。その後、この酸性ガスはカラムを通って上方に移動する。いくつかの変形例では、接触器カラムは、リーンアミン溶液を受け入れるための上部に入口を更に含み、その溶液は続いてカラムを通って下向きに移動し、それによってガス状CO2に接触する。接触器カラムは、カラムの頂部でスイートガス(すなわち、ガス状CO2が除去されたガス)を放出するための排出物を更に含み得る。場合によっては、スイートガスの排出物が環境にスイートガスを放出する。接触器カラムは、更に、カラムからリッチアミン(すなわち、CO2が豊富な及び場合によっては、H2Sが豊富な)溶液を放出するための排出物を含み得る。
【0105】
実施形態では、アミンスクラバは、更に、再生器カラム(しばしば「ストリッパーカラム」と呼ばれる)を含む。目的の再生器カラムは、接触器カラムの排出物からリッチアミンを受け取り、CO2、必要に応じてH2Sをリッチアミンから分離し、その後の接触器カラムでの使用のためにリーンアミン溶液を再生する。ある特定の場合では、再生器カラムは、カラムの上部に位置するリッチアミン入口を含む。カラムの上部に挿入されたリッチアミンは、続いてカラムを流れ下がり、(例えば、蒸気によって)加熱される。加熱は、酸性ガスをアミン溶液から分離するように構成されている。酸性ガスは、酸性ガス排出まで上向きに移動し、そこでそれらは、後続の使用のために(例えば、工業用プロセスで)収集されても良く、所望に応じて隔離されても良く、又は処分されても良い。主題の再生器は、任意の便利な構成を有し得、特定の例では、マトリックス構成、内部交換構成、点滅フィード構成、又はスプリットフィード構成を有するマルチ圧力を含み得る。
【0106】
上記で考察されたように、特定の場合において、ガス状CO2捕捉システムは、膜輸送を伴うガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。「膜輸送」とは、ガス状CO2捕捉プロトコルの少なくとも1つの部分が、膜を横断する輸送を介した2つ以上の成分の分離を含むことを意味する。膜輸送を含む例示的なCO2捕捉プロトコルは、米国特許第7,132,090号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の変形例では、ガス状CO2捕捉システムは、そこを通るガス状CO2の輸送を容易にするように構成された微多孔質ガス拡散膜を含む。いくつかの例では、ガス状CO2(例えば、上記の1つ以上の供給源から)は、膜を介して水性媒体(例えば、上記のものなど)に拡散される。いくつかの場合において、水性媒体は、捕捉液体(例えば、上述したものなど)である。そのような例では、捕捉液体は、そのような捕捉液体に関して本明細書に記載される適用可能なプロセスのいずれかを受けることができる。好適な膜としては、ポリプロピレンガス交換膜、ePTFE(GORE-TEX(登録商標))、ゼオライト、キトサン、ポリビニルピロリンジン、酢酸セルロース、固定化液体膜などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
いくつかのケースでは、ガス拡散膜から出てくるCO2が豊富な流体は、CO2に特異的な触媒を含むマトリックスによって通過される。例えば、場合によっては、触媒は炭酸脱水酵素であり、炭酸脱水酵素を通過する流体の通過は、炭酸を生成する。炭酸が形成されると、自発的に解離し、炭酸イオンと炭酸水素塩との間にpH依存の平衡を形成する。ある特定の実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、塩基源(すなわち、溶液に添加すると、当該溶液のpHが上昇する物質)を含む。塩基源からの塩基は、特定の場合には、炭酸イオンに有利に平衡をシフトさせ、それによってCO2が流体に入る速度を加速させるために適用され得る。
【0108】
他の例では、対象のガス状CO2捕捉プロトコルは、アルカリ濃縮プロトコル(例えば、上記のようなもの)で膜輸送を採用する。すなわち、アルカリ濃縮プロトコルは、膜媒介プロトコルである。「膜媒介プロトコル」とは、方法中のある時点で膜を使用するプロセス又は方法を意味する。このように、膜媒介アルカリ濃縮プロトコルは、プロセス中のある時点で膜が使用されるアルカリ濃縮プロセスである。例示的な膜媒介プロトコルは、例えば、米国特許第9,707,513号、同第10,898,854号、及び米国特許出願公開第2021/0162340号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
所与の膜媒介アルカリ濃縮プロトコルは変化し得るが、いくつかの例では、膜媒介プロトコルは、第1の液体、例えば、供給液体、及び第2の液体、例えば、ドロー液を膜の反対側に接触させることを含む。一例では、第1及び第2の液体は、共電流又は逆電流の様式で膜の反対側を通って流れ、第1の液体のアルカリ性の増加及び第2の液体のアルカリ性の減少をもたらす。
【0110】
所望される場合、第1の(すなわち、初期の)液体のアルカリ性の増加を容易にする熱力学的力が用いられる。使用され得る熱力学的駆動力が、限定されないが、浸透圧、イオン濃度、機械的圧力、アルカリ性、温度、他の化学反応など、及びそれらの組み合わせ、例えば、圧力支援された前方浸透で生じる浸透圧及び機械的圧力の組み合わせを含む、任意の都合が良い熱力学的力又は力の組み合わせを使用しても良い。
【0111】
いくつかの場合において、膜媒介アルカリ濃縮プロトコルは、第1の液体のアルカリ性増強を容易にするために浸透圧を用いるものである。これらの実施形態のプロトコルは、浸透圧媒介プロトコルと呼ばれても良い。「浸透圧媒介プロトコル」という用語は、本明細書では、例えば、浸透圧勾配の形態で、浸透圧駆動力の存在を特徴とするプロセスを指すために使用され、これにより、第2の液体(例えば、給水液体)のそれに対して高い溶質濃度の第1の液体(例えば、ドロー液体)が、第2の(供給)液体から第1の(ドロー)液体に膜を通して水の正味の流れを誘導するために使用され、したがって、給水の水成分の少なくとも一部をその溶質から効果的に分離する。いくつかの実施形態では、ドロー液と給水液とは、浸透圧電位の点で互いに異なり、所与のドロー液の浸透圧電位は、それが使用される給水液よりも高い。
【0112】
いくつかの実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、複数のガス状CO2源の少なくとも1つのガス状CO2源から1つ以上の追加の汚染物質を除去するガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。主題のシステムによって除去され得る追加の汚染物質には、1つ以上の追加の非CO2成分、例えば、水、NOx(単窒素酸化物:NO及びNO2)、SOx(単硫黄酸化物:SO、SO2及びSO3)、VOC(揮発性有機化合物)、限定されないが、水銀などの重金属、及び粒子状物質(ガス中に懸濁された固体又は液体の粒子)が含まれ得る。これらの実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、1つ以上の酸化システム、吸着システム、吸収システム、触媒、静電沈殿物、布地フィルターなどを含んでも良い。
【0113】
ガス状CO2の処分
本明細書に記載されるガス状CO2捕捉システムの態様は、更に、ガス状CO2の処分を提供するガス状CO2捕捉プロトコルを実施する。「ガス状CO2の処分」とは、ガス状CO2が周囲の大気に戻らないような方法で(例えば、工業プロセス、建設プロセスにおいて)処分及び/又は適用され得る貯蔵安定フォーマットへのガス状CO2の変換を意味する。いくつかの実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、鉱物化、地質学的隔離、生物学的隔離、化学変換、電気化学変換、及びそれらの組み合わせを介したガス状CO2の処分を提供するガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。
【0114】
いくつかの実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、鉱物化(すなわち、鉱物化捕捉システムを介して)を介したガス状CO2の処分を提供するガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。「鉱物化」とは、CO2が、固体組成物(例えば、CO2エンボディドセメント又はCO2エンボディド骨材)を隔離するCO2において具体化されることを意味する。ガス状CO2捕捉システムは、任意の便利なプロトコルを介して捕捉されたガス状CO2を無機化し得る。いくつかの実施形態では、捕捉された炭素(例えば、上記で考察されたような重炭酸塩が豊富な生成物の形態で)は、セメント添加剤(例えば、固化流体として、又は別の固化流体と併用して)として、生成されたか、又は必要に応じて他の成分との組み合わせのいずれかとして使用され得る。CO2実施形態化セメントを製造するための例示的な方法及びシステムは、米国特許第9,714,406号及び同第10,711,236号に記載されており、それらの開示は、参照により全体が組み込まれる。
【0115】
いくつかの実施形態では、システムは、初期CO2隔離固体組成物を固化することを更に含む。上述のように、初期CO2隔離固体組成物は、固体状態の化合物だけでなく、液体状態の化合物、例えば液体水も含むことができる。初期CO2隔離固体組成物を「固化」することは、固体組成物を「空気乾燥」することと互換的に使用され、固体組成物から液体が蒸発するような環境に固体組成物を配置することを含む。固体組成物から液体を除去することによって、化学組成物を変更することができ、それによって固体組成物の物理的特性を変更することができ、例えば、液体の体積を減少させることにより、液体中に溶解した溶質を固体状態に遷移させることができる。例えば、初期CO2隔離固体組成物は、例えば、固体組成物からの液体が蒸発し得、固体組成物が別の液体から液体を得ることがないように、固体表面上に配置することができる。場合によっては、この工程は、蒸発速度を増加させる方法、例えば、ガスを固体組成物に通過させる方法、低減されたガス圧力を固体組成物に適用する方法、固体組成物の温度を増加させる方法、又はそれらの組み合わせを含む。ガスを固体組成物を通過させることは、例えば、ファンで行うことができる。ポンプ、例えば真空ポンプを用いて、ガス圧力を低下させ、それによって蒸発速度を増加させることができる。固体組成物の温度は、例えば、電気ヒーター又は天然ガスヒーターを使用して、例えば、35℃~80℃など、25℃~95℃の範囲の温度に上昇させることができる。実施形態では、固化は、1~30日間空気乾燥することによって、又は高温(30~200℃で数分~数時間)で乾燥することによって、単純に行うことができる。いくつかの場合では、固化は、溶液と接触したときに凝集体がばらばらになることを防ぐ、ヴァテライト/ACCから方解石/アラゴナイト(完全に変換されていない)への部分的な鉱物変換を特徴とする。
【0116】
所望される場合、CO2隔離固体は、例えば、所望に応じて、蒸気処理の前及び/又は後に硬化されても良い。本明細書で使用される場合、「硬化」は、化合物の化学構造又は組成を変更することを意味する。いくつかの場合において、硬化により、初期CO2隔離固体組成物の化合物が第1の多形体から第2の多形体に変化する。「多形体」という用語は、同じ経験式を有するが、異なる結晶構造を有する化合物を指す。「経験式」は、分子中の原子の比率を指し、例えば、水の経験式はH2Oである。方解石、アラゴナイト、及びベータライトは、全て同じCaCO3の経験式を有するため、炭酸カルシウム(CaCO3)の多形体であるが、結晶構造が互いに異なり、例えば、方解石、アラゴナイト、及びベータライトの結晶構造空間群は、それぞれR3c、Pmcn、及びP63/mmcである。いくつかの場合において、多形体は非晶性であり、すなわち、固体は結晶化されず、代わりに長距離秩序が欠如している。例えば、固体は、非晶質炭酸カルシウム(ACC)を含んでも良い。例示的な実施形態では、固体は、炭酸カルシウムの第1の多形体を含み、硬化工程は、炭酸カルシウムの第1の多形体の一部又は全てを炭酸カルシウムの第2の多形体に変換する。場合によっては、第1の結晶構造は、ヴァテライト又は非晶質炭酸カルシウムであり、第2の結晶構造は、アラゴナイト又は方解石である。場合によっては、硬化は、第1の化合物を第2の化合物に変更すること、すなわち、硬化中に化合物の経験式が変化することを含む。したがって、硬化及びプロトコルに関する詳細は、米国仮出願第63/128,487号(代理人整理番号BLUE-048PRV;2020年12月21日出願)に更に提供されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
本発明の固化可能な組成物、例えば、コンクリート及びモルタルは、同時に、又はセメントを骨材と予め組み合わせてから、それから結果として生じる乾燥成分を水と組み合わせることによって、油圧セメントと、一定量の骨材(モルタル(例えば、砂)については微細;コンクリートについては微細、又は微細なしで粗い)と水とを組み合わせることによって生成される。本発明のセメント組成物を使用するコンクリート混合物のための粗骨材材料の選択は、約3/8インチの最小サイズを有して良く、これらの制限の間の勾配を含む、その最小から最大1インチ以上のサイズで変化し得る。微細に分割された骨材は、サイズが3/8インチ未満であり、200-ふるいサイズ程度まではるかに細かいサイズで再び等級をつけることができる。微骨材は、本発明のモルタル及びコンクリートの両方に存在し得る。セメントの乾燥成分中のセメント対骨材の重量比は変化して良く、ある特定の実施形態において、2:10~5:10などの1:10~4:10の範囲であり、55:1000~70:100を含む。
【0118】
「固化可能なセメント系組成物」とは、セメント及び固化液から調製された流動性組成物を意味し、流動性組成物は、調製後に固体生成物になる。本発明の硬性セメント状組成物は、セメント、定着液、及びBRP添加剤/混合物(例えば、上記に記載されるように)の組み合わせから調製され、組成物は、骨材、化学混合物、鉱物混合物などの1つ以上の追加の成分を更に含み得るが、これらに限定されない。
【0119】
乾燥成分が組み合わされて固化可能組成物、例えばコンクリートを生成する液相、例えば水性流体は、所望に応じて、純水から、1つ以上の溶質、添加剤、共溶媒などを含む水まで、変化し得る。固化可能組成物を調製する際に組み合わされる乾燥成分対液相の比は、変化して良く、ある特定の実施形態において、3:10~6:10などの2:10~7:10の範囲であり、4:10~6:10を含む。
【0120】
いくつかの場合において、生成物の重炭酸塩が豊富な生成物組成物は、セメントの重炭酸塩添加剤として使用される。本明細書で使用される場合、「重炭酸塩添加剤」という用語は、重炭酸塩(HCO3
-)イオン、又はその固体誘導体を含む、液体又は固体であり得る任意の組成物を意味する。所与の固化可能なセメント状組成物を製造するために使用される重炭酸塩添加剤は、液体又は固体であっても良い。固体として存在する場合、固体は、液体重炭酸塩添加剤の脱水バージョンである。固体は、液体から水を除去するための任意の便利なプロトコル、例えば、蒸発、凍結乾燥などを使用して、液体重炭酸塩添加剤から生成される固体であっても良い。好適な量の水と組み合わせると、得られた固体は水に溶解して、例えば上述のような液体重炭酸塩添加剤を生成する。場合によっては、乾燥重炭酸塩添加剤を十分な量の液体、例えば、水などの水性媒体と組み合わせることによって、再構成が達成され、使用される液体対固体の比率は変化し得、場合によっては、1,000,000~1、例えば、100,000~10の範囲である。固体重炭酸塩添加剤は、様々な異なる粒径及び粒径分布を含んでも良い。例えば、いくつかの実施形態では、固体重炭酸塩添加剤は、10~1,000μmなどであり、かつ50~500μmを含む1~10,000μmの範囲の粒子を含んでも良い。
【0121】
本発明の態様は、更に、重炭酸塩が豊富な生成物添加剤及び混合物から調製された固化可能なセメント状組成物を含む。対象となる混和剤としては、限定されないが、セット促進剤、セット遅延剤、空気入れ剤、消泡剤、アルカリ反応性低減剤、結合混和剤、分散剤、着色混和剤、腐食阻害剤、防湿混和剤、ガス形成剤、透過度低減剤、ポンプ補助剤、収縮補償混和剤、殺菌性混和剤(fungicidal admixture)、殺菌性混和剤(germicidal admixture)、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、レオロジー改質剤、湿潤剤、強度増強剤、撥水剤などが挙げられる。
【0122】
本明細書で使用される場合、「セメント」という用語は、固化流体、例えば、水などの水溶液と組み合わせた後に固化及び硬化する粒子組成物を指す。所与のセメントを構成する粒子組成物は、様々なサイズの粒子を含んでも良い。場合によっては、所与のセメントは、1nm~100μm、例えば10nm~20μmかつ15nm~10μmを含む範囲である、最も長い断面長(例えば、球形粒子内の直径)を有する粒子から構成され得る。
【0123】
対象とするセメントには、水硬性セメントが含まれる。本明細書で使用される場合、「水硬性セメント」という用語は、設定流体と混合されると、混合物の水分とは無関係であり、水性環境で安定している1つ以上の化学反応により硬化するセメントを指す。このように、水硬性セメントは、水中又は常に湿った気象条件にさらされると硬化し得る。対象となる水硬性セメントには、ポートランドセメント、改質ポートランドセメント、及びブレンドされた水力セメントが含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
固化可能組成物の成分は、任意の好都合なプロトコルを使用して組み合わせることができる。各材料は、作業時に混合されても良く、又は材料の一部若しくは全ては、事前に混合されても良い。あるいは、材料のいくつかは、高範囲の還元水混和剤などの混和剤の有無にかかわらず、水と混合され、次いで、残りの材料は、それらと混合され得る。混合装置としては、任意の従来の装置を用いることができる。例えば、Hobartミキサー、傾斜シリンダミキサー、Omniミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、及びNautaミキサーを使用することができる。
【0125】
場合によっては、対象のガス状CO2捕捉システムは、凝集体(例えば、炭酸塩凝集体又は炭酸塩でコーティングされた凝集体)中で鉱物化される。「凝集体」という用語は、その従来の意味で、粒状材料、すなわち、粒子又は粒子からなる材料を指すために使用される。凝集体が炭酸塩凝集体であるため、粒状材料の粒子は、1つ以上の炭酸塩化合物を含み、炭酸塩化合物成分は、必要に応じて、他の物質(例えば、基質)と組み合わせても良く、又は粒子全体を構成しても良い。例示的なシステム及び方法は、米国特許第7,914,685号、及び公開されているPCT出願公開第WO2020/154518号に記載されており、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0126】
ある特定の場合では、本発明のシステムは、例えば、コンクリート及び他の用途に使用するために、炭酸塩コーティングされた骨材を生成するように構成される。炭酸塩コーティングされた骨材は、従来の又は軽量の骨材であり得る。CO2隔離骨材組成物は、コア、及びコアの表面の少なくとも一部分上にCO2隔離炭酸塩コーティングを有する骨材粒子を含む。例えば、上記のように、CO2隔離炭酸塩コーティングは、CO2隔離炭酸塩材料から作製される。
【0127】
いくつかの場合において、本発明は、シード構造に関連して、固相CO2隔離炭酸塩材料を製造することを含む。シード構造とは、液体に二価カチオンを導入する前に、例えば材料生成ゾーン内に、流れる液体に存在する固体構造又は材料を意味する。「と関連して」とは、材料が、シード構造の表面、又は凹み(例えば、細孔、裂孔など)の少なくとも1つの上で、生成されることを意味する。かかる事例では、炭酸塩材料及びシード構造の複合構造が生成される。いくつかの場合において、生成物炭酸塩材料は、シード構造の表面の一部(全てではない場合)をコーティングする。いくつかの場合において、生成物炭酸塩材料は、シード構造の凹み(例えば、細孔、裂孔、裂孔など)を充填する。
【0128】
シード構造は、所望に応じて広く変化し得る。「シード構造」という用語は、生成物炭酸塩材料が上に及び/又は中に形成される任意の物体を説明するために使用される。シード構造は、所望に応じて、単一の物体又は粒子組成物からの範囲であり得る。シード構造が単一の物体である場合、それは、規則的又は不規則であり得る様々な異なる形状、及び様々な異なる寸法を有し得る。対象となる形状には、ロッド、メッシュ、ブロックなどが含まれるが、これらに限定されない。炭酸塩コーティングされた凝集体の製造を含む例示的なシステム及び方法は、米国特許第9,993,799号、同第10,766,015号、米国特許出願第16/943,540号、並びに公開されているPCT出願公開第WO2020/154518号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
いくつかの場合において、凝集体は、例えば、上述のような炭酸塩スラリーが回転ドラムに導入され、炭酸塩凝集体を生成するために十分な条件下で回転ドラム内で混合されるプロトコルによって生成される。いくつかの場合において、炭酸塩スラリーは、凝集体基材、例えば、上述のような温められた凝集体とともに回転ドラムに導入され、次いで、回転ドラム内で混合されて、炭酸塩コーティングされた凝集体を生成する。いくつかの場合において、スラリー(及び基材)を回転ドラムに導入し、炭酸塩スラリーの製造直後、例えば、12時間以内、例えば、6時間以内、及び炭酸塩スラリーを調製してから4時間以内など、混合を開始する。いくつかの場合では、プロセス全体(すなわち、スラリー調製の開始から炭酸塩凝集塊生成物の取得まで)を、1時間以下を含む、3時間以下などの5時間以下を含む、10時間以下などの15時間以下で実行する。そのようなプロトコルに関する更なる詳細は、公開されているPCT出願公開第WO2020/154518号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
また、対象となる建材が形成される。本発明の形成された建築材料は、大きく変化し得る。「形成された」とは、物理的形状、すなわち構成を規定する人工構造に加工された、例えば、成形された、鋳造された、切断された、又はそれ以外のやり方で生成されたことを意味する。形成された建築材料は、非晶質建築材料、例えば、規定された安定した形状を有さないが、代わりにそれらが保持される容器、例えば、バッグ又は他の容器に適合する粒子(粉末など)組成物とは異なる。例示的な形成された建築材料としては、限定されないが、レンガ、ボード、導管、ビーム、槽、柱、乾燥壁などが挙げられる。形成された建築材料に関する更なる例及び詳細には、公開されている米国特許出願第US20210290156号に記載されているものが含まれ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
また、対象となるものは、成分として本発明の生成物を含む非セメント性製造品である。本発明の非セメント性製造品は、大きく変化し得る。非セメント性とは、組成物が油圧セメントでないことを意味する。したがって、組成物は、水などの固化する流体と組み合わせる場合、固化して安定した生成物を生成する乾燥組成物ではない。例示的な組成物としては、限定されないが、紙製品、高分子製品、潤滑剤、アスファルト製品、塗料、化粧品、歯磨き粉、消臭剤、石鹸及びシャンプーなどのパーソナルケア製品、液体及び固体の両方を含むヒト摂取可能な製品、土壌改良製品及び動物飼料などの農産物などが挙げられる。更なる実施例及び詳細は、非セメント性製造品としては、米国特許第7,829,053号に記載されているものが挙げられ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、沈殿生成物は、1つ以上の異なる炭酸塩化合物、例えば、2つ以上の異なる炭酸塩化合物、例えば、3つ以上の異なる炭酸塩化合物、5つ以上の異なる炭酸塩化合物などを含むことができ、これには、非区別の非晶質炭酸塩化合物が含まれる。本発明の沈殿生成物の炭酸塩化合物は、分子製剤Xm(CO3)nを有する化合物であって良く、式中、Xは、炭酸塩基又はその複数と化学的に結合することができる任意の元素又は元素の組み合わせであり、Xは、ある特定の実施形態において、アルカリ土類金属であり、アルカリ金属ではなく、m及びnは、化学量論的正の整数である。これらの炭酸塩化合物は、分子式中に1つ以上の構造水が存在する、Xm(CO3)n・iH2Oの分子式を有し得、ここでは、分子式中にi個(iは、1以上である)の構造水がある。生成物中の炭酸塩の量は、例えば、クールメトリック滴定として記載されるプロトコルを使用したクールメトリーによって決定される場合、10%以上、例えば、25%以上、50%以上、60%以上を含む。
【0133】
沈殿生成物の炭酸塩化合物には、限定されないが、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、硫黄、ホウ素、シリコン、ストロンチウム、及びそれらの組み合わせのイオン種など多くの異なるカチオンが含まれ得る。対象となるものは、カルシウム及びマグネシウムの炭酸塩化合物などの二価金属カチオンの炭酸塩化合物である。対象となる特定の炭酸塩化合物としては、限定されないが、炭酸カルシウム鉱物、炭酸マグネシウム鉱物及び炭酸カルシウムマグネシウム鉱物が挙げられる。対象となる炭酸カルシウム鉱物としては、限定されないが、カルシウム(CaCO3)、アラゴナイト(CaCO3)、ヴァテライト(CaCO3)、イカイト(CaCO3・6H2O)、及び非晶質炭酸カルシウム(CaCO3)が挙げられる。対象となる炭酸マグネシウム鉱物としては、限定されないが、マグネサイト(MgCO3)、バリントナイト(MgCO3・2H2O)、ネスクオナイト(MgCO3・3H2O)、ランフォーディット(MgCO3・5H2O)、ヒドロマグネサイト、及び非晶質炭酸マグネシウム(MgCO3)が挙げられる。対象となる炭酸カルシウムマグネシウム鉱物としては、限定されないが、ドロマイト(CaMg)(CO3)2)、ハンチ酸塩(Mg3Ca(CO3)4)、セルジエビト(Ca2Mg11(CO3)13・H2O)及び非晶質カルシウム炭酸マグネシウムが挙げられる。また、興味深いものは、Na、K、Al、Ba、Cd、Co、Cr、As、Cu、Fe、Pb、Mn、Hg、Ni、V、Znなどで形成された炭酸塩化合物である。製品の炭酸塩化合物は、1つ以上の水和水を含んでも良く、無水でも良い。いくつかの場合において、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の量を超える。例えば、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の重量の量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の重量の量を5重量%以上、例えば、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上を超え得る。いくつかの場合において、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物対炭酸カルシウム化合物の重量比は、1.5~5:1、例えば2~3:1を含む2~4:1の範囲である。いくつかの場合において、沈殿生成物は、水酸化物、例えば、二価金属イオン水酸化物、例えば、水酸化カルシウム及び/又は水酸化マグネシウムを含み得る。
【0134】
炭酸塩の生成及びそれによって生成される炭酸塩の使用方法に関する更なる詳細は、米国特許第9,714,406号、同第10,711,236号、同第10,203,434号、同第9,707,513号、同第10,287,439号、同第9,993,799号、同第10,197,747号、及び同第10,322,371号、並びに公開されているPCT出願公開第WO2020/047243号及び同第WO2020/154518号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
上記で考察されたように、本発明の態様は、地質学的隔離を更に含む。重炭酸塩が豊富な生成物又はその成分(例えば、LCP)からの固体炭酸塩組成物の製造中に、重炭酸塩が豊富な生成物又はその成分(例えば、LCP)からの重炭酸塩イオンの2モルごとに1モルのCO2が生成され得る。重炭酸塩が豊富な生成物とカチオン源との接触により、実質的に純粋なCO2生成物ガスが生成される。「実質的に純粋」という語句は、生成物ガスが純粋なCO2であるか、又は他の非CO2成分の量が限られたCO2含有ガスであることを意味する。
【0136】
CO2生成物ガスの生成後、本発明の態様は、CO2を隔離するために生成物CO2ガスを地下の地質位置に注入することを含み得る。注入とは、CO2生成物ガスを地下の地質位置に導入又は配置することを意味する。地下の地質位置は様々であり、地下位置と深海位置との両方を含み得る。対象となる地下位置には、化石燃料貯留層、例えば、油田、ガス田、及び採掘不能な炭層などの様々な異なる地下地層、生理食塩水貯留層、例えば、生理食塩水形成及び生理食塩水充填玄武岩形成物など、深帯水層、部分的又は完全に枯渇した油又はガス形成物、塩洞窟、硫黄洞窟及び硫黄ドームなどの多孔質地質形成物が含まれる。
【0137】
いくつかの場合において、CO2生成物ガスは、地下の地質位置に注入する前に加圧され得る。かかる加圧を達成するために、ガス状CO2は、必要に応じて、追加の水の冷却及び凝縮後に、1つ以上の段階で圧縮することができる。次いで、適度に加圧されたCO2は、必要に応じて、分子ふるいを使用するなどの従来の方法によって更に乾燥させ、CO2が冷却され液化されるCO2コンデンサに通すことができる。次いで、CO2は、CO2を地質層又はCO2注入が所望される海洋深度内の深さに送達するために必要な圧力に最小の電力で効率的に汲み上げることができる。あるいは、CO2は、一連の段階を通じて圧縮され、地質層又は深海への注入に必要な圧力マッチングで超臨界流体として排出され得る。必要に応じて、CO2は、例えば、パイプライン、レール、トラック、海又は他の好適なプロトコルを用いて、生産現場から地下の地質層に輸送され得る。
【0138】
いくつかの場合において、CO2生成物ガスは、強化された油回収(EOR)プロトコルで使用される。強化された油回収(略してEOR)は、油田から抽出することができる原油量を増加させるための技術の総称である。強化された油回収は、改善された油回収又は三次回収とも呼ばれる。EORプロトコルでは、CO2生成物ガスは、地下の油層又は油貯留層に注入される。
【0139】
CO2ガスの生成及びその隔離は、米国出願第14/861,996号に更に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
更なる実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、化学変換によるガス状CO2の処分を提供するガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。「化学変換」とは、化学変換CO2のいくつかの実施形態では、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、ギ酸(H2CO2)又はメタノール(CH3OH)などの有用な燃料を生成するために水素化されることを意味する。場合によっては、CO2の化学変換は、CO2を原料として使用して、サリチル酸、尿素、環状炭酸塩、ポリカーボネートなどの主要な商品化学物質を合成することを意味する。更に他の場合では、CO2の化学変換は、合成ガス(2CO+2H2)をもたらすために、メタン(CH4)との乾燥再形成を意味する。
【0141】
他の実施形態では、ガス状CO2捕捉システムは、電気化学変換によるガス状CO2処分を提供するガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。「電気化学変換」とは、いくつかの場合において、ガス状CO2処分が、電子及びイオン伝導回路を使用して電子及びイオンを動員して、例えば、上記のような有用な生成物を生成するCO2電気化学反応の化学変換を駆動することを意味する。
【0142】
いくつかの事例では、本発明によって隔離されたCO2は、アルベド増強用途に使用され得る。アルベド、すなわち、反射係数は、表面の拡散反射率又は反射力を指す。これは、表面からの反射放射線とその上に入射する放射線との比として定義される。アルベドは、無次元分画であり、比率又はパーセンテージとして表され得る。アルベドは、完全に黒い表面の反射力がない場合のゼロから、白い表面の完全な反射の場合の1までの尺度で測定される。アルベドは、放射線の周波数に依存するが、本明細書で使用される場合、アルベドは、特定の波長を参照せずに与えられ、したがって、可視光、すなわち、約380~約740nmのスペクトルにわたる平均を指す。アルベドを増強するための例示的なシステム及び方法は、米国特許第10,203,434号、及び米国特許出願公開第2019/0179061号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
本発明の態様は、例えば、表面のアルベドを上記に記載される量などの所望の量を向上するために有効な、高反射性微結晶性又は非晶質材料組成物の量を対象となる表面と会合させることを含む。材料組成物は、任意の好都合なプロトコルを使用して標的表面と会合され得る。したがって、材料組成物は、修飾される表面を有する物体の材料に、材料を組み込むことによって、標的表面に会合され得る。例えば標的表面が屋根タイル又はコンクリート混合物などの建築材料の表面である場合、材料組成物は、物体の標的表面上に存在するように材料組成物に含まれ得る。あるいは、材料組成物は、例えば、組成物で標的表面をコーティングすることによって、標的表面の少なくとも一部分上に位置付けられ得る。表面が材料組成物でコーティングされる場合、表面上の結果として生じるコーティングの厚さは変化しても良く、いくつかの場合において、0.1mm~25mm、例えば2mm~20mm、及び5mm~10mmを含む範囲であり得る。塗料及び太陽光発電パネルのような他のコーティングにおける高反射性顔料として使用される用途もまた、対象となる。
【0144】
以下のセクションにおいて、本発明の特定の実施形態が、より詳細に説明される。
【0145】
発電プラント
上述のように、本発明の態様は、発電プラントを含む。対象の発電プラントは、複数のCO2ガス点源エミッタと、ガス点源エミッタのそれぞれに動作可能に結合された共通のCO2捕捉システムと、発電プラントの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式でCO2ガス点源エミッタ及び共通のCO2捕捉システムを制御するように構成されたコントローラとを有するものを含む。本明細書に開示される発電プラントは、任意の好適な発電プラントであり得る。場合によっては、発電プラントは、化石燃料(例えば、石炭、石油、及び/又は天然ガス)から電力を生成するように構成される。
【0146】
任意の好適な数のCO2ガス点源エミッタが、対象の発電プラントで用いられても良い。特定の場合において、複数のCO2ガス点源エミッタ中のCO2ガス点源エミッタの数は、2つ~10個、例えば、2つ~5つ、かつ2つ~3つを含む範囲である。いくつかの実施形態では、発電プラントは、2つの(すなわち、第1及び第2の)CO2ガス点源エミッタを含む。いくつかの変形例では、1つ以上のCO2ガス点源エミッタは、煙道ガススタックである。例えば、第1及び第2のCO2ガス点源エミッタを有する発電プラントのいくつかの実施形態では、第1及び第2のCO2ガス点源エミッタの両方は、煙道ガススタックである。
【0147】
上述のように、対象の発電プラントは、共通のCO2捕捉システムを含む。上記に記載されるものを含むがこれらに限定されない、任意の好適な共通のCO2捕捉システムが用いられ得る。例えば、対象のガス状CO2捕捉プロトコルには、液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送、及びそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、共通のCO2捕捉システムは、異なるCO2ガス点源の間を循環する捕捉液体を含む。そのような実施形態では、ガス状CO2は、各CO2ガス点源から捕捉液体によって抽出される。捕捉液体は、その後、処理(すなわち、上述したように、鉱物化及び/又は再生)のために共通の場所に輸送されても良い。このように、ある特定の場合には、共通のCO2捕捉システムは、鉱物化捕捉システムを含む。ある特定の実施形態では、鉱物化捕捉システムは、固体炭酸塩材料を生成する。固体炭酸塩材料は、場合によっては、建築材料を含み得る。対象となる建築材料としては、例えば、凝集体、高反射性微結晶又は非晶質材料組成物、及びセメント系組成物(すなわち、セメント)が挙げられる。いくつかの実施形態では、建築材料は、レンガ、ボード、導管、梁、槽、柱、乾式壁などを含むが、これらに限定されない、形成された建築材料である。
【0148】
他の実施形態では、共通のCO2捕捉システムは、スクラバシステムを含む。スクラバシステムは、いくつかの場合において、アミンスクラバシステムを含み得る。そのようなシステムは、上記に記載されており、そのようなガスをアミン溶液と接触させて塩錯体を形成することによって、CO2及び該当する場合は硫化水素(H2S)などの酸性ガスの除去を伴う。スクラバシステムを含む発電プラントの実施形態では、CO2ガス点源は、同じアミンスクラバシステムの一部である。例えば、特定のケースでは、各CO2ガス点源は、豊富なアミンが生成されるように、CO2ガス点源からのガス状CO2が捕捉される個々の接触器カラムに関連付けられる。各接触器カラムからの豊富なアミンは、一連の導管を介して、リーンアミンが再生され、純粋なガス状CO2が捕捉される共通の再生器カラムに接続されても良い。他の場合、各CO2ガス点源は同じ接触器カラムに接続されている。
【0149】
上述のように、本発明の発電プラントは、発電プラントの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、CO2ガス点源エミッタ及び共通のCO2捕捉システムを制御するように構成されたコントローラを含む。任意の適切なCO2捕捉性能メトリックが改善され得る。いくつかの実施形態では、ガス状CO2捕捉性能スメトリックは、捕捉CO2の量である。そのような実施形態では、コントローラは、ガス状CO2がCO2ガス点源から放出される様式を調節するように構成されても良い。例えば、CO2ガス点源が煙道ガススタックである特定の場合では、コントローラは、煙道ガススタックのそれぞれで煙道ガス速度(すなわち、流量)を調節するように構成されても良い。追加の実施形態では、コントローラは、アミンスクラブ溶液が接触器カラムに提供される速度を制御するように構成されている。当技術分野において既知であるように、接触器カラム内のCO2の分圧が高く、アミンスクラブ溶液の流量が低い場合、アミンスクラブのための最適な条件が存在する。各CO2ガス点源が接触器カラムに関連付けられているいくつかの実施形態では、コントローラは、捕捉されたCO2の量が最大化されるように各CO2ガス点源における排気ガスの速度、並びに各接触器カラムを通過するアミンスクラビング溶液の速度をシフトさせても良い。いくつかの実施形態では、アミンスクラブ溶液速度及び煙道ガス速度をシフトすることは、アミンスクラブ溶液中のアミンが縮退する速度を低下させる。
【0150】
いくつかの場合において、コントローラを使用して、複数のガス状CO2源を調節し、最高濃度のCO2が最低の煙道ガス流量でガス状CO2捕捉システムに入るようにすることができる。例えば、複数のガス状CO2源において、エミッタAの煙道ガス中のCO2の濃度が95重量%CO2であり、エミッタBの煙道ガス中のCO2の濃度が5重量%CO2であり、エミッタCの濃度が22重量%CO2であり、エミッタDの煙道ガス中のCO2の濃度が12重量%CO2である場合、コントローラは、複数のガス状CO2源の大部分がエミッタAであり、続いてエミッタC、エミッタD、及び最後にエミッタAからの少数の構成であるように、複数のガス状CO2源の煙道ガス速度を調節し得る。すなわち、コントローラは、複数のガス状CO2源の重量%CO2を最大化するように各エミッタの煙道ガス速度を調節しており、システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックは、好適な対照と比較して改善されている。他の実施形態では、ガス源におけるCO2の濃度が5重量%CO2以下である第1及び第2のCO2ガス源を含む発電プラントなどでは、制御は、CO2捕捉システムに曝露されるCO2の総量を増加させるように、すなわち、CO2捕捉システムに捕捉されるCO2の量を最大化するように、排気ガス速度を増加させても良い。
【0151】
図1は、本発明の特定の実施形態による発電プラント101を含むガス状CO
2捕捉システム100を示す。発電プラント101は、第1のCO
2ガス点源102及び第2のCO
2ガス点源103を含む。
図1の例では、第1のCO
2ガス点源102及び第2のCO
2ガス点源103の両方が煙道ガススタックであり、共通のアミンスクラバシステム104を共有している。第1のCO
2ガス点源102は、接触器カラム102aに関連付けられており、ガス状CO
2が接触し、そこを通過するアミンスクラブ溶液によって捕捉される。同様に、第2のCO
2ガス点源103は、接触器カラム103aに関連付けられており、ガス状CO
2が接触し、そこを通過するアミンスクラブ溶液によって捕捉される。接触器カラム102a及び103aで生成された豊富なアミン溶液は、その後、共有の再生器カラム105に移される。再生器カラム105は、アミン溶液を再生するように構成され、その後、接触器カラム102a及び103aに戻される。
【0152】
図1の発電プラントは、発電プラントの少なくとも1つのガス状CO
2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、CO
2ガス点源エミッタ(102及び103)及び共通のCO
2捕捉システムを制御するように更に構成されている。この目的のために、発電プラント101は、コントローラ106を含む。コントローラ106は、第1のCO
2ガス点源102及び第2のCO
2ガス点源103の煙道ガス速度を調節するように構成されている。
図1の例では、コントローラ106は、各CO
2ガス点源に関連付けられた矢印の相対サイズによって示されるように、第1のCO
2ガス点源102の煙道ガス速度に対して、第2のCO
2ガス点源103の煙道ガス速度を増加させる。
【0153】
工業用プラント
本発明の態様は、更に、工業用プラントを含む。主題の工業用プラントは、複数の異なるタイプのCO2ガス点源エミッタと、2つ以上の異なるタイプのCO2ガス点源エミッタに動作可能に結合された共通のCO2捕捉システムと、異なるタイプのCO2ガス点源エミッタ及び共通のCO2捕捉システムを、工業用プラントの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラとを含む。本明細書に開示される工業用プラントは、工業プロセスを実行するために好適な任意のプラントであり得る。対象とする工業用プラントには、セメントプラント、製錬所、精製所、及び化学プラントが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、工業用プラントは、精製所である。
【0154】
任意の好適な数のCO2ガス点源エミッタが、対象の工業用プラントで用いられ得る。特定の場合において、複数のCO2ガス点源エミッタ中のCO2ガス点源エミッタの数は、2つ~20個、例えば、2つ~5つ、かつ2つ~3つを含む範囲である。いくつかの実施形態では、工業用プラントは、2つの(すなわち、第1及び第2の)CO2ガス点源エミッタを含む。異なるタイプのCO2ガス点源エミッタは、コーカーユニット、ガス燃焼炉、流動床式接触分解装置(FCC)、及び水素生成改質器を含み得るが、これらに限定されない。「コーカーユニット」は、残留油を1つ以上の異なる生成物(例えば、炭化水素ガス、ナフサ、ガスオイル、コークス)に変換するように構成された石油精製ユニットを説明するために、その従来の意味で本明細書で言及される。一例では、工業用プラントは、様々なプロセス工程のためのCO2放出の複数の点源を有しても良く、それによって、1つのスタックは、コーカーユニットからCO2を放出し、別のスタックは、ガス燃焼炉から、別のスタックは、FCCから、更に別のスタックは、水素生成改質器から放出する。
【0155】
上述のように、対象となる工業用プラントは、異なるタイプのCO2ガス点源エミッタのうちの2つ以上に動作可能に結合された共通のCO2捕捉システムを含む。上記に記載されるものを含むがこれらに限定されない、任意の好適な共通のCO2捕捉システムが用いられ得る。例えば、対象のガス状CO2捕捉プロトコルには、液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送、及びそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、共通のCO2捕捉システムは、異なるCO2ガス点源の間を循環する捕捉液体を含む。そのような実施形態では、ガス状CO2は、各CO2ガス点源から捕捉液体によって抽出される。捕捉液体は、その後、処理(すなわち、上述したように、鉱物化及び/又は再生)のために共通の場所に輸送されても良い。このように、ある特定の場合には、共通のCO2捕捉システムは、鉱物化捕捉システムを含む。ある特定の実施形態では、鉱物化捕捉システムは、固体炭酸塩材料を生成する。固体炭酸塩材料は、場合によっては、建築材料を含み得る。対象となる建築材料としては、例えば、凝集体、高反射性微結晶又は非晶質材料組成物、及びセメント状組成物が挙げられる。いくつかの実施形態では、建築材料は、レンガ、ボード、導管、梁、槽、柱、乾式壁などを含むが、これらに限定されない、形成された建築材料である。
【0156】
共通のCO2捕捉システムが捕捉液体を含む場合、いくつかの実施形態では、当該捕捉液体は、CO2の低分圧を有するガス状CO2源から、CO2の比較的高い分圧を有するガス状CO2源に輸送されても良い(例えば、上述のように)。3つの異なるガス状CO2源(例えば、コーカーユニット、ガス焚き炉、及び水素生成改質器)が存在する一例では、捕捉液体は、CO2の分圧が最も低いガス状CO2源からCO2を受け取り、CO2の分圧が2番目に低いガス状CO2源に輸送され、続いて、CO2の分圧が最も高いガス状CO2源に輸送される。次に、最も高い分圧源を離れる流れを、CO2の鉱物化及び捕捉溶液の再生のために鉱物化捕捉システムに送ることができる。実施形態では、再生された捕捉溶液は、炭素隔離サイクルが繰り返されるように、CO2の最低分圧を有するガス状CO2源に戻される。ある特定の場合では、ガス状CO2源の分圧が変動すると、コントローラは、液体がCO2の低い分圧を有するガス状CO2源から、CO2の比較的高い分圧を有するガス状CO2源に輸送されるように捕捉液体の循環をシフトさせるように構成され、いずれかのガス状CO2源が所与の時間に存在し得る。
【0157】
他の実施形態では、共通のCO2捕捉システムは、スクラバシステムを含む。スクラバシステムは、いくつかの場合において、アミンスクラバシステムを含み得る。そのようなシステムは、上記に記載されており、そのようなガスをアミン溶液と接触させて塩錯体を形成することによって、CO2及び該当する場合は硫化水素(H2S)などの酸性ガスの除去を伴う。スクラバシステムを含む工業用プラントの実施形態では、CO2ガス点源は、同じアミンスクラバシステムの一部である。例えば、ある特定の場合では、各CO2ガス点源は、豊富なアミンが生成されるように、CO2ガス点源からのガス状CO2が捕捉される個々の接触器カラムに関連付けられる。各接触器カラムからの豊富なアミンは、一連の導管を介して、リーンアミンが再生され、純粋なガス状CO2が捕捉される共通の再生器カラムに接続されても良い。他の場合、各CO2ガス点源は同じ接触器カラムに接続されている。
【0158】
図2は、本発明の特定の実施形態による工業用プラント201を含むガス状CO
2捕捉システム200を示す。工業用プラント201は、CO
2ガス点源202、CO
2ガス点源203、及びCO
2ガス点源204を含む。CO
2ガス点源202~204の各々は、異なるタイプのCO
2ガス点源(例えば、コーカーユニット、ガス焼成炉、及び水素生成改質器)である。
図2の例では、捕捉液体は、最初にCO
2ガス点源202(すなわち、そこから放出されるガス状CO
2の最低分圧を有するCO
2ガス点源)に入る。捕捉液体がCO
2ガス点源202から放出されるガス状CO
2を受け取った後、それはCO
2ガス点源203(すなわち、そこから放出されるガス状CO
2の第2の最低分圧を有するCO
2ガス点源)に移される。捕捉液体がCO
2ガス点源203から放出されるガス状CO
2を受け取った後、それはCO
2ガス点源204(すなわち、そこから放出されるガス状CO
2の最高分圧を有するCO
2ガス点源)に移される。捕捉液体がCO
2ガス点源204から放出されたガス状CO
2を受け取った後、それは、CO
2のCO
2エンボディド材料206(例えば、CO
2エンボディドセメント、CO
2エンボディド骨材)への鉱物化、及び捕捉液体の再生のために、鉱物化捕捉システム205に移される。再生された捕捉液体207は、続いてCO
2ガス点源202に戻され、サイクルを繰り返す。場合によっては、ガス状CO
2捕捉システム200は、また、ガス状CO
2の相対的な分圧が変化した場合に、捕捉液体がCO
2ガス点源202~204に循環する順序を調整するように構成されたコントローラ208を含む。
【0159】
併設された工業用プラント
本発明の態様は、1つ以上の採鉱捕捉サブシステムに動作可能に結合されたガス状CO2源、共通の鉱物化捕捉システム供給源、及び1つ以上の鉱物化捕捉サブシステムへの供給源の割り当てを、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラを各々が含む複数の併設された工業用プラント(発電プラントを含む)を含むガス状CO2捕捉システムを更に含む。本明細書に開示される工業用プラントは、工業プロセスを実施するために適した任意のプラントであり得る。関心がある産業プラントには、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所、及び化学プラントが含まれるが、これらに限定されない。任意の好適な数の工業用プラントが、主題のシステムに用いられ得る。例えば、複数の工業用プラントにおける工業用の数は、2つ~10個、例えば2つ~5つかつ2つ~3つの範囲などであり得る。
【0160】
共通の鉱物化捕捉システムの対象の供給源には、例えば、水性媒体源、アンモニア源、及びアルカリ性源(例えば、上記のような)が含まれる。いくつかの実施形態では、供給源は、アルカリ性を含む。更なる実施形態では、供給源は、金属イオンを含む。ある特定の場合では、供給源は、アルカリ土類金属カチオン(例えば、二価カチオン)を含む。二価のカチオン源として、単独で又は組み合わせて用いられ得る対象の二価のカチオンとしては、限定するものではないが、以下が挙げられる:Ca2+、Mg2+、Be2+、Ba2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Hg2+などである。二価であってもなくても良い、対象となる他のカチオンとしては、限定するものではないが、Na+、K+、NH4+、及びLi+、並びにMn、Ni、Cu、Zn、Cu、Ce、La、Al、Y、Nd、Zr、Gd、Dy、Ti、Th、U、La、Sm、Pr、Co、Cr、Te、Bi、Ge、Ta、As、Nb、W、Mo、Vなどのカチオン性種が挙げられる。
【0161】
共通の鉱物化捕捉供給源は、工業用プラントの各々から任意の都合が良い距離に位置しても良い。いくつかの実施形態では、鉱物化捕捉供給源を工業用プラントのいずれか1つから離れる距離は、0.01km~500km、例えば、0.1km~400km、例えば、0.5km~300km、例えば、1km~250km、例えば、1.5km~200km、例えば、2km~150km、例えば、2.5km~100km、例えば、3km~50km、かつ4km~25kmを含む範囲である。材料は、列車/鉄道線、トラック輸送ルート、航空ルート、パイプライン、海上ルート、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、任意の便利なプロトコルを介して、鉱物化捕捉システム供給源から工業用プラントに輸送されても良い。共通の鉱物化捕捉供給源は、ある特定の場合では、輸送ハブであり得る。そのような場合、共通の場所は、材料を受け取り、及び/又は出荷することができる輸送ネットワーク内のポイント(すなわち、ハブ)である。輸送ハブには、海港、鉄道/鉄道駅、空港、倉庫、パイプラインなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上の鉱物化捕捉システム(例えば、上述したものなど)を追加的に含む。任意の好適な数の鉱物化捕捉システムを含んでも良い。例えば、いくつかの実施形態では、複数の工業用プラントの各工業用プラントは、鉱物化捕捉システムを含む。特定の工業用プラントが複数のガス状CO
2源を含むある特定の場合では、各ガス状CO
2源は、同じ鉱物化捕捉システムに接続されても良い(例えば、上記及び/又は
図2に示されているように)。別の実施形態では、各工業用プラントは、各工業用プラントから捕捉されたCO
2の鉱物化が共通の場所で生じるように、同じ鉱物化捕捉システムに接続される。いくつかのバージョンでは、各工業用プラントから捕捉されたCO
2が鉱物化される共通の場所は、鉱物化捕捉システム供給源と同じ場所にある。更に他の実施形態では、各ガス状CO
2源は、個々の鉱物化捕捉サブシステムを含む。
【0163】
上述したように、主題のシステムは、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、1つ以上の鉱物化捕捉サブシステムへの供給源の割り当てを制御するように構成されたコントローラを含む。いくつかのケースでは、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、供給源ユーティリティ効率を含む。言い換えると、システムは、共通の鉱物化捕捉システムの供給源(すなわち、好適な制御)を欠くシステムにおいて、同じ量のCO2を捕捉及び/又は鉱物化するために必要な供給源材料の量を減少させる。
【0164】
図3は、本発明のある特定の実施形態によるガス状CO
2捕捉システム300を示す。ガス状CO
2捕捉システム300は、供給材料301を受け入れる共通の共通の鉱物化捕捉システム供給源302を含む。
図3の例では、供給材料301は、アルカリ性(例えば、二価カチオン)の源である。更に、ガス状CO
2捕捉システム300は、ガス状CO
2源303~304を含む。ガス状CO
2源303~304に使用されるガス状CO
2源のタイプは、同じであっても異なっていても良い。鉱物化捕捉システム供給源302は、供給材料301をガス状CO
2供給源303~304の各々に供給する。
【0165】
共通の電気グリッド
本発明の態様は、それぞれがCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合された複数のガス状CO2源と、複数のガス状CO2源に動作可能に結合された共通の電気グリッドと、共通の電気グリッドを介して異なるタイプの電源からの複数のガス状CO2源への電力割り当てを、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラとを含む、ガス状CO2捕捉システムを更に含む。対象の共通の電気グリッドは、異なるタイプの電源から電力を受け取る。「電気グリッド」とは、100以上、1,000以上、又は10,000以上の住宅、商業、及び/又は工業用電力消費ユニットなどの消費者のコミュニティに電力を供給するための電気ネットワークを意味する。電気グリッドは、例えば、送電線、変電所(例えば、高圧(step-up)変電所、低圧(step-down)変電所、配電変電所)などを含み得る。
【0166】
本明細書に記載される共通の電気グリッドは、複数の異なる電源から電力を受け取る。対象となる電源は、上記に記載され、例えば、再生可能電源、化石燃料電源、水素電源、及びそれらの組み合わせを含む。一例では、共通の電気グリッドは、再生可能電源、化石燃料電源、及び水素電源のそれぞれから電力を受け取る。
【0167】
ある特定の場合には、各ガス状CO
2源に結合されたCO
2捕捉サブシステムは、鉱物化捕捉システムである。換言すると、CO
2捕捉サブシステムの各々は、捕捉されたCO
2のCO
2エンボディド材料への鉱物化のために、鉱物化捕捉システムに動作可能に接続される。特定のCO
2捕捉サブシステムが複数のガス状CO
2源に関連付けられているある特定の場合では、各ガス状CO
2源は、同じ鉱物化捕捉システムに接続されても良い(例えば、上記及び
図2に示されるように)。追加の実施形態では、各CO
2捕捉サブシステムは、各工業用プラントから捕捉されたCO
2の鉱物化が共通の場所で生じるように、同じ鉱物化捕捉システムに接続される。
【0168】
上述のように、ガス状CO2捕捉システムは、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、共通の電気グリッドを介して異なるタイプの電源からの複数のガス状CO2源への電力割り当てを制御するように構成されたコントローラを含む。いくつかの実施形態では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、電力使用効率を含む。例えば、コントローラは、そのようなコントローラ(すなわち、好適な対照)を有しない同等のシステムと比較して、より安価でより持続可能な電力の取得を引き起こし得る。
【0169】
場合によっては、コントローラは、電力費用、再生可能な発電の割合、電力輸送費用、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上に基づいて電力割り当てを制御する。場合によっては、コントローラは、電力費用に基づいて電力割り当てを制御する。電力費用が異なる電源から取得されるときに変化する例では、コントローラは、より安価な電源からより高い割合の電力が取得されるように、複数のガス状CO2源及び/又はCO2捕捉サブシステムに電力を割り当てるように構成されても良い。他の例では、コントローラは、再生可能な発電の割合に基づいて電力割り当てを制御する。共通の電気グリッドに電力を供給する電源が再生可能性に応じて異なるバージョンでは、コントローラは、より再生可能な電源からより高い割合の電力が得られるように、複数のガス状CO2源及び/又はCO2捕捉サブシステムに電力を割り当てるように構成されても良い。更に他の実施形態では、コントローラは、電力輸送費用に基づいて電力割り当てを制御する。例えば、いくつかの場合において、電力は、別の伝送ルートと比較して、1つの伝送ルートを介して(例えば、1つ以上の伝送ラインを介して)伝送するためにより多くの費用がかかり得る。そのような場合、コントローラは、電力輸送費用が最小限に抑えられるように、電源及び/又は電力が電源からガス状CO2源及び/又はCO2捕捉サブシステムに搬送される伝送経路を調整するように構成されても良い。ある特定の場合では、最も再生可能な電力(水力発電又は太陽光発電など)を使用して現地の点源エミッタからCO2を捕捉することは、再生可能な電力の全体的な可用性が良くない場合、別の電力源(80%の捕捉効率で「ブルー水素」で動作する発電プラントなど)を使用するよりも最適ではない場合がある。その場合、共通グリッドの様々な電源のサービスファクター又はアップタイムの使用は、コントローラによって考慮される。
【0170】
図4は、特定の実施形態による、複数のガス状CO
2源404~405と、複数のガス状CO
2源404~405に動作可能に結合された共通の電気グリッド406とを含むガス状CO
2捕捉システム400を示す。電源401~403は、共通の電気グリッド406に電力を供給する。共通の電気グリッド406は、電気グリッドの簡略化されたバージョンである。実際には、電気グリッドは、接続された要素のより複雑なウェブを含む。
図4の例では、電源401~403のそれぞれが異なるタイプの電源である。電源401は再生可能電源であり、電源402は化石燃料電源であり、電源403は水素電源である。コントローラ407は、上記で考察されたように、電力費用、再生可能な発電の割合、電力輸送費用、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上に基づいて、電源401~403から各ガス状CO
2源404~405に電力(異なる電力量を含む)を割り当てる。更に、ガス状CO
2源404は、アミンスクラバシステム404aを含み、ガス状CO
2源405は、アミンスクラバシステム405aを含む。アミンスクラバ404a及び405aは、また、コントローラ407によって決定される、電源401~403によって生成される共通の電気グリッド406から電力を受け取る。
【0171】
いくつかの実施形態では、コントローラ407は、時間の経過とともに、電源401~403からガス状CO2源404~405への電力の割り当てを変更する。
【0172】
例えば、コントローラ407は、再生可能な発電の割合が高いときに、より多くの総電力をガス状CO2源404~405に割り当てることができ、再生可能な発電の割合が低いときに、より少ない総電力を割り当てることができる。
【0173】
関連処分の使用
本発明の態様は、第1及び第2のガス状CO2源及びガス状CO2から第1及び第2の鉱物化原料建築材料を生成するCO2捕捉サブシステムを有するガス状CO2捕捉システムを更に含む。対象とするシステムは、更に、第1及び第2の鉱物化供給建築材料から建築材料を調製する共通の建築材料製造器と、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の生成を制御するように構成されたコントローラとを含む。
【0174】
任意の都合が良いガス状CO2源を、主題のガス状CO2捕捉システムに用いても良い。上記で詳細に考察されるように、ガス状CO2源は、CO2ガス点源エミッタ(例えば、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所、及び化学プラント)及びCO2ガス直接空気捕捉(DAC)源を含む。第1及び第2のガス状CO2源は、同一であっても異なっても良い。一実施例では、第1及び第2のガス状CO2源の両方は、第1及び第2のガス状CO2源が精製所である場合など、点源エミッタである。別の例では、第1のガス状CO2源はCO2ガス点源エミッタであり、第2のガス状CO2源は、CO2ガス直接空気捕捉(DAC)源である。
【0175】
第1及び第2のCO2捕捉サブシステムは、ガス状CO2から鉱物化原料建築材料を生成するように構成された任意のCO2捕捉サブシステムであっても良い。例えば、第1及び第2のCO2捕捉サブシステムは、(例えば、上記で詳細に説明されるように)液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるガス状CO2捕捉プロトコルを採用し得る。第1及び第2のCO2捕捉サブシステムによって採用されるガス状CO2捕捉プロトコルは、同じであっても異なっていても良い。一例では、第1及び第2のCO2捕捉サブシステムの両方は、液体(例えば、捕捉液体)への吸収を含むガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。別の実施形態では、第1のCO2捕捉サブシステムは、液体への吸収を含むガス状CO2捕捉プロトコルを採用し、第2のCO2捕捉サブシステムは、膜輸送を含むガス状CO2捕捉プロトコルを採用する。
【0176】
上述のように、第1のCO2捕捉サブシステムは、ガス状CO2から第1の鉱物化原料建築材料を生成し、第2のCO2捕捉サブシステムは、ガス状CO2から第2の鉱物化原料建築材料を生成する。第1及び第2の鉱物化供給建築材料は、エンボディドCO2を含む任意の便利な建築材料であっても良い。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の鉱物化建築材料は、形成された建築材料(例えば、レンガ、ボード、導管、梁、槽、柱、乾式壁など)である。他の実施形態では、第1及び/又は第2の鉱物化建築材料は、表面のアルベドを高めるために有効な微結晶又は非晶質材料組成物である。更に他の実施形態では、第1の鉱物化供給建築材料はセメントを含み、第2の鉱物化供給建築材料は骨材を含む。
【0177】
本システムの態様は、また、第1及び第2の鉱物化供給建築材料から建築材料を調製する共通の建築材料製造器を含む。例えば、第1の鉱物化供給建築材料がセメントを含み、第2の鉱物化供給建築材料が骨材を含む場合、共通の建築材料製造器によって調製された建築材料は、コンクリートであっても良い。そのような場合、共通の建築材料製造器は、コンクリートが生成されるように、セメントと骨材を組み合わせる。
【0178】
本システムの実施形態は、ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、第1及び第2の無機化供給建築材料の生成を制御するように構成されたコントローラを更に含む。特定の例では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の使用効率を含む。いくつかの例では、コントローラは、共通の建築材料製造器のニーズに合わせて、第1及び第2のガス状CO2捕捉サブシステムのそれぞれで行われるガス状CO2捕捉の割合を最適化するように構成されている。例えば、共通の建築材料製造器がセメントと同じように骨材の量の50倍を使用している場合、CO2捕捉技術は、下流のニーズに合わせてセメントとして骨材の50倍を生成するように割り当てられても良い。場合によっては、コントローラは、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の可用性に基づいて、共通の建築材料製造器が建築材料(例えば、コンクリート)を調製する速度を調整するようにプログラムされる。
【0179】
図5は、ガス状CO
2から第1及び第2の鉱物化原料建築材料を生成する第1及び第2のガス状CO
2源及びCO
2捕捉サブシステムを有するガス状CO
2捕捉システムを示す。第1のガス状CO
2源501は、第1のガス状CO
2捕捉サブシステム501aに関連付けられ、第2のガス状CO
2源502は、第2のガス状CO
2捕捉サブシステム502aに関連付けられる。
図5の例では、第1のガス状CO
2捕捉サブシステム501aは、第1のガス状CO
2源501で捕捉されたガス状CO
2からセメントを生成するように構成されている。加えて、第2のガス状CO
2捕捉サブシステム502aは、第2のガス状CO
2源502で捕捉されたガス状CO
2から骨材を生成するように構成されている。得られた鉱物化供給建築材料(すなわち、セメント及び骨材)は、その後、共通の建築材料製造器503に輸送される。この例では、共通の建築材料製造器503は、鉱物化供給建築材料を組み合わせることによってコンクリート504を製造するように構成される。コントローラ505は、例えば、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の使用効率を最大化するために、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の生成を制御するように構成されている。鉱物化供給建築材料の共通の建築材料製造器503への移送を示す矢印のより大きな厚さによって示されるように、コントローラ505は、第2のガス状CO
2捕捉サブシステム502aを誘導して、第1のものと比較してより多くの第2の鉱物化供給建築材料を生成し得る。
【0180】
方法
本発明の態様は、更に、主題の発明を実施するための方法を含む。対象の方法は、システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるように、複数のガス状CO2源及び複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO2捕捉制約要素を構成及び/又は動作させることを含む。
【0181】
任意の都合が良い数及びタイプのガス状CO2源が、用いられても良い。上記で詳細に述べたように、ガス状CO2源は、ガス点源エミッタ(例えば、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所、及び化学プラント)及びCO2ガス直接空気捕捉(DAC)源を含む。加えて、任意の適切な共通のCO2捕捉制約要素が、用いられ得る。上記で詳細に述べたように、例示的なCO2捕捉制約要素は、捕捉液体、共通の場所への近接度、共通の輸送チェーンへのアクセス、鉱物化生成物流通センター、共通のグリッドからの電力使用、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ガス状CO2性能メトリックは、システムによって捕捉されたCO2の量である。他の実施形態では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、CO2捕捉効率である。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、電力使用効率である。更に他の実施形態では、ガス状CO2捕捉性能メトリックは、捕捉されたCO2の使用効率(例えば、鉱物化供給建築材料として)を含む。
【0182】
図6は、本発明の実施形態による方法を実践するためのフローチャートを提示する。工程601は、複数のガス状CO
2源を構成することを含み、工程602は、複数のCO
2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO
2捕捉制約要素を構成することを含む。
図6の実施形態では、ガス状CO
2源は、共通のCO
2捕捉制約要素(工程602)の前に構成される(工程601)。しかしながら、他の実施形態では、共通のCO
2捕捉制約要素(工程602)は、ガス状CO
2源(工程601)の前に構成される。方法は、少なくとも1つのガス状CO
2捕捉性能メトリックが、好適な対照と比較して改善されるような様式で、複数のガス状CO
2供給源及び少なくとも1つの共通のCO
2捕捉制約要素を動作させることを更に含む(工程603)。
【0183】
ユーティリティ
本開示のシステム及び方法は、炭素捕捉に関連するガス状CO2捕捉性能メトリックを改善することが望ましい場合に使用することができる。例えば、本発明は、システムによって捕捉されるCO2の量、CO2が捕捉される効率、供給源(例えば、アルカリ性源)が使用される効率、電力使用効率、及び第1及び第2の鉱物化供給建築材料(例えば、セメント及び骨材)の使用効率を増加させるために使用されても良い。
【0184】
主題の固体、例えば、凝集体、組成物、及びそれらを含む設定可能な組成物は、地上安定CO2隔離製品、並びに建築材料又は建設材料などの様々な異なる用途で使用される。本発明の設定可能な組成物が用途を見出す特定の構造には、舗装、建築構造、例えば、建物、基礎、高速道路/道路、高架橋、橋、駐車構造、レンガ/ブロックの壁、及びゲート、フェンス、及びポールの基礎が含まれるが、これらに限定されない。本発明のモルタルは、建設ブロック(例えば、レンガ)を一緒に結合し、建設ブロック間のギャップを埋めることに使用される。モルタルを使用して、既存の構造を固定することもでき、例えば、他の用途の中でも、元のモルタルが損なわれたり浸食されたりした部分を置き換えることもできる。
【0185】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、また、以下の付記によって定義される。
【0186】
1.ガス状CO2捕捉システムであって、
複数のガス状CO2源と、
複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通のCO2捕捉制約要素と
を備え、
システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが、好適な対照と比較して改善される、ガス状CO2捕捉システム。
2.複数のガス状CO2源が、CO2ガス点源エミッタ及びCO2ガス直接空気捕捉(DAC)源からなる群から選択されるガス状CO2源を含む、付記1に記載のガス状CO2捕捉システム。
3.複数のガス状CO2源が、CO2ガス点源エミッタを含む、付記2に記載のガス状CO2捕捉システム。
4.複数のガス状CO2源が、CO2ガスDAC源を含む、付記2に記載のガス状CO2捕捉システム。
5.複数のガス状CO2源が、CO2ガス点源エミッタ及びCO2ガスDAC源の両方を含む、付記1に記載のガス状CO2捕捉システム。
【0187】
6.CO2ガス点エミッタが、発電プラント、セメントプラント、製錬所、精製所、及び化学プラントからなる群から選択される、付記2~5のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
7.共通のCO2捕捉制約要素が、CO2捕捉液体、共通の場所への近接度、共通の輸送チェーンへのアクセス、鉱物化生成物流通センター、共通のグリッドからの電力使用、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記2~6のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
8.ガス状CO2捕捉システムが、液体又は固体への吸収、吸着、膜輸送、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるガス状CO2捕捉プロトコルを採用する、付記2~7のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
9.ガス状CO2捕捉システムが、鉱物化、地質学的隔離、化学変換、電気化学変換、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるガス状CO2処分を提供するガス状CO2捕捉プロトコルを採用する、付記2~8のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
10.ガス状CO2捕捉システムが、複数のガス状CO2源のうちの少なくとも1つのガス状CO2源から1つ以上の追加の汚染物質を除去するガス状CO2捕捉プロトコルを採用する、付記2~9のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
【0188】
11.発電プラントであって、
第1及び第2のCO2ガス点源エミッタと、
第1及び第2のCO2ガス点源エミッタの各々に動作可能に結合された共通のCO2捕捉システムと、
第1及び第2のCO2ガス点源エミッタ及び共通のCO2捕捉システムを、発電プラントの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラと
を含む、発電プラント。
12.第1及び第2のCO2ガス点源エミッタが、煙道ガススタックである、付記11に記載の発電プラント。
13.コントローラが、煙道ガススタックの各々における煙道ガス速度を調節するように構成されている、付記12に記載の発電プラント。
14.共通のCO2捕捉システムが、スクラバシステムを含む、付記11~13のいずれか一つに記載の発電プラント。
15.スクラバシステムが、アミンスクラバシステムを含む、付記14に記載の発電プラント。
【0189】
16.共通のCO2捕捉システムが、鉱物化捕捉システムを備える、付記11~13のいずれか一つに記載の発電プラント。
17.鉱物化捕捉システムが、固体炭酸塩材料を生成する、付記16に記載の発電プラント。
18.固体炭酸塩材料が、建築材料を含む、付記17に記載の発電プラント。
19.建築材料が、骨材を含む、付記18に記載の発電プラント。
20.ガス状CO2捕捉性能メトリックが、捕捉されたCO2の量である、付記11~16のいずれか一つに記載の発電プラント。
【0190】
21.工業用プラントであって、
複数の異なるタイプのCO2ガス点源エミッタと、
異なるタイプのCO2ガス点源エミッタのそれぞれに動作可能に結合された共通のCO2捕捉システムと、
異なるタイプのCO2ガス点源エミッタ及び共通のCO2捕捉システムを、工業用プラントの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で制御するように構成されたコントローラと
を含む、工業用プラント。
22.工業用プラントが精製所又はセメントプラントである、付記21に記載の工業用プラント。
23.異なるタイプのCO2ガス点源エミッタが、コーカーユニット、ガス燃焼炉、及び水素生成改質器からなる群から選択される、付記22に記載の工業用プラント。
24.共通のCO2捕捉システムが、スクラバシステムを含む、付記21~23のいずれか一つに記載の工業用プラント。
25.スクラバシステムが、アミンスクラバシステムを含む、付記24に記載の工業用プラント。
【0191】
26.共通のCO2捕捉システムが、鉱物化捕捉システムを含む、付記21~23のいずれか一つに記載の工業用プラント。
27.鉱物化捕捉システムが、固体炭酸塩材料を生成する、付記26に記載の工業用プラント。
28.固体炭酸塩材料が、建築材料を含む、付記27に記載の工業用プラント。
29.建築材料が、骨材を含む、付記28に記載の工業用プラント。
30.ガス状CO2捕捉性能メトリックが、CO2捕捉効率である、付記21~29のいずれか一つに記載の工業用プラント。
【0192】
31.ガス状CO2捕捉システムであって、
1つ以上の鉱物化捕捉サブシステムに動作可能に結合されたガス状CO2源をそれぞれ含む、複数の併設型工業用プラントと、
共通の鉱物化捕捉システム供給源と、
ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、1つ以上の鉱物化捕捉サブシステムへの供給源の割り当てを制御するように構成されたコントローラと
を備える、ガス状CO2捕捉システム。
32.供給源が、アルカリ性を含む、付記31に記載のガス状CO2捕捉システム。
33.供給源が金属イオンを含む、付記31に記載のガス状CO2捕捉システム。
34.金属イオンが、アルカリ土類金属カチオンを含む、付記33に記載のガス状CO2捕捉システム。
35.ガス状CO2捕捉性能メトリックが、供給源ユーティリティ効率を含む、付記31~34のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
【0193】
36.ガス状CO2捕捉システムであって、
それぞれがCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合された複数のガス状CO2源と、
複数のガス状CO2源に動作可能に結合された共通の電気グリッドであって、異なるタイプの電源から電力を受け取る、共通の電気グリッドと、
ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるような様式で、共通の電気グリッドを介して異なるタイプの電源からの複数のガス状CO2源への電力割り当てを制御するように構成されたコントローラと
を含む、ガス状CO2捕捉システム。
37.異なるタイプの電源が、再生可能電源、化石燃料電源、水素電源、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記36に記載のガス状CO2捕捉システム。
38.コントローラが、電力費用、再生可能な発電の割合、電力輸送費用、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上に基づいて電力割り当てを制御する、付記36又は37に記載のガス状CO2捕捉システム。
39.各ガス状CO2源に結合されたCO2捕捉サブシステムが、鉱物化捕捉システムである、付記36~38のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
40.ガス状CO2捕捉性能メトリックが、電力使用効率を含む、付記36~39のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
【0194】
41.ガス状CO2捕捉システムであって、
ガス状CO2から第1の鉱物化原料建築材料を生成する第1のCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合された第1のガス状CO2源と、
ガス状CO2から第2の鉱物化原料建築材料を生成する第2のCO2捕捉サブシステムに動作可能に結合された第2のガス状CO2源と、
第1及び第2の鉱物化供給建築材料から建築材料を調製する共通の建築材料製造器と、
ガス状CO2捕捉システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが好適な対照と比較して改善されるように、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の生成を制御するように構成されたコントローラと
を備える、ガス状CO2捕捉システム。
42.第1の鉱物化供給建築材料が、セメントを含む、付記41に記載のガス状CO2捕捉システム。
43.第2の鉱物化供給建築材料が、骨材を含む、付記41及び42に記載のガス状CO2捕捉システム。
44.建築材料が、コンクリートを含む、付記41~43のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
45.ガス状CO2捕捉性能メトリックが、第1及び第2の鉱物化供給建築材料の使用効率を含む、付記41~44のいずれか一つに記載のガス状CO2捕捉システム。
【0195】
46.ガス状CO2捕捉システムを生成する方法であって、
複数のガス状CO2源と、複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通CO2捕捉制約要素とを、システムの少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが、好適な対照と比較して改善されるように構成することを含む、方法。
47.ガス状CO2を捕捉する方法であって、
複数のガス状CO2源と、複数のCO2源によって共有される少なくとも1つの共通CO2捕捉制約要素とを、少なくとも1つのガス状CO2捕捉性能メトリックが、好適な対照と比較して改善されるような様式で動作させることを含む、方法。
【0196】
上記の発明は、明確な理解のために例示及び例によって多少詳しく説明されてきたが、当業者であれば、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、それらの発明に対して特定の変更及び修正が行われ得ることは、容易に明らかである。
【0197】
したがって、上記は単に本発明の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。更に、本明細書に記載される全ての例及び条件付き言語は、主に、読者が、本発明の原理及び発明者が当該技術分野を促進するために寄与する概念を理解することを助ける点を意図し、かかる具体的に記載される例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその特定の例を記載する本明細書における全ての記述は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含することを意図する。
【0198】
追加的に、かかる等価物は、現在既知の等価物及び将来開発される等価物の両方、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実施する開発される任意の要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載の例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。
【0199】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2021年10月1日に出願された米国仮出願第63/251,313号の出願日の優先権を主張し、その仮出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】