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特表2024-537095調整された剛性、低減された延伸ゾーン、及び力バジェットを有するスロットダイアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】調整された剛性、低減された延伸ゾーン、及び力バジェットを有するスロットダイアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/31 20190101AFI20241003BHJP
【FI】
B29C48/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519972
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 US2021054108
(87)【国際公開番号】W WO2023059333
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ヤペル,ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】トライス,ジェニファー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ロザー,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ラーカンプ,ブランドン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラドワルド,ヴァーン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ロウクサ,ペンティ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】コペッキー,ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン,チャールズ イー.
(72)【発明者】
【氏名】デーン,デレク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シリスク,スコット エル.
(72)【発明者】
【氏名】アルメイダ,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AJ08
4F207AR12
4F207KA01
4F207KK64
4F207KL76
4F207KL78
4F207KL84
4F207KM15
(57)【要約】
スロットダイ本体と、スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、アプリケータスロットが、スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通しており、スロットダイ本体が、アプリケータスロットを通る流体流路の断面高さを調整するための調整機構を有する、アプリケータスロットとを有するスロットダイアセンブリが本明細書に記載される。調整機構は、リップ長を画定するヒンジ点と、モーメントアーム長を画定する加力点とを有する可撓性ダイリップを含むことができ、モーメントアーム長のリップ長とに対する比は、0.8~10である。任意選択的に、調整機構は、より高い効率のために所定の曲げ剛性を提供する撓み部又は軸受を備えたスピンドルを有するアクチュエータによって操作することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットダイ本体と、
前記スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通している、アプリケータスロットと、
を備え、
前記スロットダイ本体が、前記アプリケータスロットを通る前記流体流路の断面高さを調整するための可撓性ダイリップを備える調整機構を含み、
前記可撓性ダイリップが、リップ長を画定するヒンジ点と、モーメントアーム長を画定する加力点とを有し、更に、前記モーメントアーム長の前記リップ長に対する比が、0.8~10である、
スロットダイアセンブリ。
【請求項2】
前記リップ長が、2センチメートル~10センチメートルである、請求項1に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項3】
前記可撓性ダイリップが、リップセグメント高さを有し、リップセグメント高さの前記リップ長に対する比が、0.35~5である、請求項1又は2に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項4】
前記スロットダイ本体が、10度~90度の先端角度によって特徴付けられる遠位端を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項5】
前記可撓性ダイリップが、リップセグメント高さを有し、前記リップセグメント高さの前記リップ長に対する比が、0.35~5である、請求項1~4のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項6】
前記可撓性ダイリップが、前記ヒンジ点において画定されるヒンジ厚さを有し、前記ヒンジ厚さが、前記リップ長の3パーセント~40パーセントである、請求項1~5のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項7】
前記可撓性ダイリップが、特定の高さを有し、前記特定の高さの前記ヒンジ厚さに対する比が、3.5~60である、請求項6に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項8】
前記可撓性ダイリップが、特定の高さを有し、前記高さの前記モーメントアーム長に対する比が、0.55~6である、請求項1~7のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項9】
前記可撓性ダイリップが、その長さに沿って複数のノッチを含み、前記複数のノッチが、前記可撓性ダイリップを複数のダイリップセグメントに分割して前記可撓性ダイリップの全体的な剛性を低減するように、前記スロットダイ本体の前記幅に沿って離間している、請求項1~8のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項10】
前記可撓性ダイリップが、ヒンジ厚さ及びノッチ厚さの両方によって特徴付けられ、前記ヒンジ厚さが、前記ノッチ厚さの10パーセント~100パーセントである、請求項9に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項11】
前記ヒンジ点が、前記可撓性ダイリップの前記幅にわたって延びる溝に基づき、各ノッチの深さが、前記溝の深さの1パーセント~100パーセントである、請求項9又は10に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項12】
前記複数のノッチが、前記流体流路を通る流体流方向に垂直な平面に沿って画定される、前記ヒンジ点を越えて延びる前記可撓性ダイリップ内の開放面積を形成し、前記開放面積が、前記平面に沿って画定されるノッチのない可撓性ダイリップ面積の1パーセント~90パーセントである、請求項9~11のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項13】
アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に備え、各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、前記流体流路の前記断面高さをそのそれぞれの位置で調整するように、前記加力点において前記可撓性ダイリップに動作可能に結合されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項14】
各アクチュエータが、モータと、前記モータに結合されたスピンドルとから構成された線形アクチュエータであり、前記スピンドルが、前記流体流路を通る流体流方向に対してアクチュエータ角度で向けられ、前記アクチュエータ角度が、0度~90度である、請求項13に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項15】
前記スピンドルが、撓み部を備える、請求項14に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項16】
スロットダイ本体と、
前記スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、前記アプリケータスロットが、前記スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通しており、更に、前記スロットダイ本体が、前記アプリケータスロットを通る前記流体流路の断面高さを調整するための調整機構を備える、アプリケータスロットと、
アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、各アクチュエータが、前記流体流路の前記断面高さの局所的な調整をそのそれぞれの位置で提供するために、前記調整機構に動作可能に結合されている、複数のアクチュエータと、
を備え、
各アクチュエータが、モータと、前記モータに結合されたスピンドルとを備える線形アクチュエータであり、更に、(i)前記スピンドルが、撓み部を備える、又は(ii)各アクチュエータが、前記スピンドルを前記調整機構に結合するための軸受を更に備える、のいずれかである、
スロットダイアセンブリ。
【請求項17】
各アクチュエータが、前記スピンドルを前記調整機構に結合する玉継手を備える、請求項16に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項18】
各アクチュエータが、前記スピンドルを前記調整機構に結合するクレビス継手を備える、請求項16に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリを使用する方法であって、
2つの逆回転ローラの間に画定されたニップに隣接して前記スロットダイアセンブリを配置することと、
前記スロットダイアセンブリの前記アプリケータスロットを通して前記ニップ内に押出物を押し出すことと、
を含み、
前記可撓性ダイリップと前記ニップとの間の延伸ゾーン距離が、前記2つの逆回転ローラの一方又は両方の半径の15パーセント~100パーセントである、
方法。
【請求項20】
前記延伸ゾーン距離が、前記2つの逆回転ローラの一方又は両方の前記半径の20パーセント~90パーセントである、請求項19に記載のスロットダイアセンブリを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
製品の連続製造に有用なスロットダイが、そのアセンブリ及び方法と共に提供される。
【背景技術】
【0002】
スロットダイは、溶融ポリマー、反応混合物、及び他の流体をしばしば工業規模で加工するために製造業者によって一般的に使用される。スロットダイは、コーティングのために使用することができ、この場合、バッキング又は剥離ライナーなどの移動する可撓性基材上に液体が押し出される。材料が基材に塗布される場合、このプロセスは一般に押出コーティングと呼ばれる。他の場合には、押し出された材料を冷却されたローラ上にキャストし、離型して、バッキングを必要とせずに、直接、自立型フィルムを得ることができる。場合によっては、2つ以上の押出成形を同時に行い、一体化して、多層構造を得ることができる。
【0003】
スロットダイ押出が行われる多くの方法がある。コーティング材料は、周囲温度又は高温で押し出すことができる。加工のために供給原料材料を溶融又は液化するために押出物温度を上昇させる押出は、一般にホットメルトコーティング又はフィルム押出と呼ばれる。室温で作製された押出物は、溶媒希釈剤を含むことができる。好適な溶媒は、水、有機溶媒、又はコーティングの成分を溶解若しくは分散させる任意の好適な流体を含む。溶媒は、典型的には、熱又は真空乾燥によってなど、後続の処理において除去される。
【0004】
一般に、スロットダイは、一体になってアプリケータスロットを形成する一対の対向するダイリップを含む。アプリケータスロットは、移動ウェブの幅、又はフィルムなどの押出製品を受け取るローラの幅に沿って延びる。本明細書で使用されるとき、スロットダイ及びスロットダイの構成要素に関して、「幅」という用語は、スロットダイ及びその構成要素のクロスウェブ寸法に対応する。押出ウェブの厚さは、一般に、一方又は両方のダイリップの形状を変えることにより、又はダイリップから上流に位置するチョーカーバーを調整することにより調整される。
【0005】
フィルム押出又は押出コーティングダイ上のクロスウェブプロファイルの調整は、スロットダイアセンブリに組み込まれた一連の長手方向アクチュエータを使用して行うことができる。これらのアクチュエータは、ダイリップ又はチョーカーバーの形状を正確に調整するために、ダイリップ又はチョーカーバーの幅にわたる様々な位置でダイリップ又はチョーカーバーに結合されている。局所的アクチュエータ設定は、ねじ接続を使用するなど機械的手段を使用して、熱膨張及び熱収縮に基づく熱によって、又はそれらの組合せによって調整することができる。これらプロセスの一部は、同時係属中の国際特許出願第PCT/IB2020/061685号(Yapelら)、同第PCT/IB2020/061687号(Yapelら)、及び同第PCT/IB2020/061688号(Secorら)、並びに米国仮特許出願第63/122,996号(Secorら)に記載されており、これら全てが2020年12月9日に出願された。
【発明の概要】
【0006】
延伸ゾーン長さは、溶融押出物がスロットダイを出る場所と、それが冷却されたローラ又は他の急冷表面に接触する場所との間の距離として定義される。このパラメータは、押出、押出コーティング、及び押出複製操作において重要であり、延伸ゾーン長さが大きすぎると、延伸共振、エッジウィーブ、及び波形から生じる望ましくないプロセス欠陥が生じる可能性がある。延伸ゾーン距離を最小化することにより、また、ネックインの量を低減することができ、より広い押出幅を可能にする。延伸ゾーン距離は、フィルム自体のポリマー配向に影響を及ぼすので、延伸ゾーン距離も関連する。ポリマー配向は、引張強度などの機械的特性、及び複屈折などの光学的特性、更には接着性を含む多くのフィルム特性に影響を及ぼす。これらの理由から、スロットダイと急冷表面との間の衝突のリスクを回避しながら、最小延伸ゾーン長さで押出プロセスを実行することがしばしば望ましい。
【0007】
これは、リップ長に対して調整機構のモーメントアーム長を増加させるダイリップ構成を採用することによって達成することができる。更なる選択肢として、スロットダイは、調整された曲げ剛性を有する可撓性ダイリップ(又は「フレックスリップ」)又はチョーカーバーの調整のためのスピンドルを含むことができる。直観に反して、スピンドルに制御された量の撓みを有することにより、押出ウェブの正確な横断方向厚さ制御を達成するのに十分な剛性を維持しながら、関連付けられた可撓性ダイリップ又はチョーカーバーを曲げるのに必要な力を実際に低減することができる。スピンドル撓みの必要性は、アクチュエータと調整機構との間の大きな空間的分離から生じる。中間レベルの剛性を有するアクチュエータスピンドルは、驚くべき技術的効率の利点を提供することが見出された。
【0008】
一態様では、スロットダイアセンブリが提供される。スロットダイアセンブリは、スロットダイ本体と、スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットと、を備える。アプリケータスロットは、スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通しており、スロットダイ本体は、アプリケータスロットを通る流体流路の断面高さを調整するための可撓性ダイリップを備える調整機構を含む。可撓性ダイリップは、リップ長を画定するヒンジ点と、モーメントアーム長を画定する加力点とを有し、モーメントアーム長のリップ長に対する比は、0.8~10である。
【0009】
第2の態様では、スロットダイ本体と、スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通しており、更に、スロットダイ本体が、アプリケータスロットを通る流体流路の断面高さを調整するための調整機構を備える、アプリケータスロットと、アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、各アクチュエータが、そのぞれぞれの位置で流体流路の断面高さの局所的な調整を提供するために、調整機構に動作可能に結合されている、複数のアクチュエータと、を備え、各アクチュエータが、モータと、モータに結合されたスピンドルとを備える線形アクチュエータであり、更に、(i)スピンドルが、5kN/m~350kN/mの曲げ剛性を示す、又は(ii)各アクチュエータが、スピンドルを調整機構に結合するための軸受を更に備える、のいずれかである、スロットダイアセンブリが提供される。
【0010】
第3の態様では、前述のスロットダイアセンブリを使用する方法が提供され、方法は、2つの逆回転ローラの間に画定されるニップに隣接してスロットダイアセンブリを配置することと、スロットダイアセンブリのアプリケータスロットを通してニップ内に押出物を押し出すことと、を含み、可撓性ダイリップとニップとの間の延伸ゾーン距離は、2つの逆回転ローラの一方又は両方の半径の15パーセント~100パーセントである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な一実施形態による、スロットダイアセンブリを示す断面図である。
図2】様々な例示的実施形態による、スロットダイを示す部分断面図である。
図3】様々な例示的実施形態による、スロットダイを示す部分断面図である。
図4】様々な例示的実施形態による、スロットダイを示す部分断面図である。
図5】様々な例示的実施形態による、スロットダイを示す部分断面図である。
図6】例示的な可撓性ダイリップ構成を示す斜視図である。
図7】例示的な可撓性ダイリップ構成を示す斜視図である。
図8】代替実施形態による、スロットダイアセンブリを示す断面図である。
図9A】例示的なスロットダイアセンブリに有用なスピンドルの側面図である。
図9B】例示的なスロットダイアセンブリに有用なスピンドルの側面図である。
図10図9Aのスピンドルの一般的特性を有するスピンドルを組み込んだスロットダイアセンブリである。
図11】例示的な実施形態による、スロットダイアセンブリの構成要素間の例示的な結合を示す部分断面図である。
図12】例示的な実施形態による、スロットダイアセンブリの構成要素間の例示的な結合を示す部分断面図である。
図13】アクチュエータ調整に応じたスロットダイ構成要素の協働的な撓みを誇張して示す斜視図である。
図14】アクチュエータ調整に応じたスロットダイ構成要素の協働的な撓みを誇張して示す斜視図である。
【0012】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用する場合、「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、一定の状況下で一定の利点をもたらすことができる、本明細書に記載の実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。更にまた、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、文脈上別段の明記がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示物を含むものとする。したがって、例えば、「a」又は「the」が付いた構成要素への言及には、構成要素及び当業者に公知のその均等物のうちの1つ以上を含んでもよい。更に、「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0015】
「含む」という用語及びその変化形は、これらの用語が添付の記載に現れた場合、限定的意味を有しないことに注意されたい。また更に、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、本明細書では互換的に使用される。左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの相対語が、本明細書において使用される場合があり、その場合、特定の図面において見られる視点からのものである。しかしながら、これらの用語は、記載を簡単にするために使用されるに過ぎず、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0016】
本明細書全体において、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」に対する言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。該当する場合、商品名は、全て大文字で記載する。
【0017】
図1は、例示的な一実施形態によるスロットダイアセンブリを示しており、スロットダイアセンブリは、以下、数字100によって参照される。アセンブリ100は、スロットダイ本体102を含み、次いで、スロットダイ本体102は、対向する上部ダイブロック104及び下部ダイブロック105から構成されている。上部ダイブロック104及び下部ダイブロック105は、組み合わされて、比較的狭いアプリケータスロット110と流体連通するスロットダイ本体102を通る流体流路108を形成する。
【0018】
スロットダイ本体102は、ここでは可撓性ダイリップ106として具現化される、調整機構を含む。任意選択的に、図示のように、可撓性ダイリップ106は、図1に示すように上部ダイブロック104と一体であり、アプリケータスロット110の2つの対向する側のうちの1つを表す。あるいは、後述するように、可撓性ダイリップ106は、スロットダイ本体102に柔軟に結合された別個の構成要素として提供することもできる。しかしながら、一体型可撓性ダイリップの機械加工は、強度、堅牢性、及び精度の改善のために一般に好ましい。
【0019】
アクチュエータ120は、上部ダイブロック104に対して固定された取付けブラケット122に固定されている。図1では見えないが、アクチュエータ120は、スロットダイアセンブリ100の幅に沿って配置された複数のアクチュエータのうちの1つである。アクチュエータ120自体は、駆動ユニット124と、コントローラ(図示せず)によって提供される入力に基づいてその長手方向軸に沿って正確に並進させることができる、駆動ユニット124に動作可能に結合された円筒形スピンドル126とを含むアセンブリである。スピンドル126は、図示されるように上部ダイブロック104の開口部を通過し、その遠位端128で可撓性ダイリップ106と接触する。
【0020】
スピンドル126の位置を正確に制御することによって、アクチュエータ120は、可撓性ダイリップ106に対して押す力及び/又は引っ張る力を加えることができる。このように可撓性ダイリップ106の形状を変化させることによって、アクチュエータ120は、アセンブリ100の幅に沿った特定の位置で流体流路108の高さを調整することができ、それによって、アプリケータスロット110を通る流体流の局所的な調整を提供する。ここに示すアクチュエータ120は、一般化されたものであり、差動ねじ機構又は熱膨張/収縮などの任意の既知の原理に基づいて動作する。図示されていないが、2021年4月16日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/IB2021/053172号(Yapelら)に記載されているように、粗い位置調整及び細かい位置調整それぞれを提供するために、1次アクチュエータ及び2次アクチュエータをタンデムで使用することが有利であり得る。
【0021】
製造動作中、溶融ポリマーなどの押出物は、入口112を通ってアセンブリ100に入り、流体流路108を通過し、アプリケータスロット110によって成形され、出口114を通って排出され、最後に冷却されたローラ上に堆積される。本開示と密接な関係はないが、その後、いくつかの下流変換プロセスのいずれかを行うことができる。このようなプロセスとしては、例えば、延伸工程、コーティング工程、テクスチャ加工工程、印刷工程、切断工程、圧延工程、及び積層工程を挙げることができる。いくつかのプロセスでは、製造剥離ライナーを除去して、剥離ライナーを追加することができ、又は1つ以上の追加の層を追加することができる。押出物が硬化性組成物である場合、e-ビーム、オーブン、又は紫外線(ultraviolet、UV)チャンバへの曝露などの硬化工程を実施することもできる。
【0022】
好ましい実施形態では、コントローラは、モータ及びセンサの両方から位置入力を受け取ることができる。例えば、モータはステッパモータであってもよく、これは、ステッパモータの既知の基準位置からステッパモータが行った「ステップ」数の指標を提供する。センサは、モータによって提供されるよりも正確な位置情報をコントローラに提供することができる。コントローラは更に、アクチュエータ120のスピンドル126を予め選択された位置に駆動するための命令をモータに提供することができる。例えば、コントローラは、予め選択された位置に従ってアクチュエータ120のスピンドル126を位置決めするために、モータ210を動作させながら、センサを用いてアクチュエータ120のスピンドル126の位置を監視することができる。コントローラは、アクチュエータ108のセットを同時に又は順次に、のいずれかで制御することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、アクチュエータ120は、0バックラッシュカプラを組み込むことができる。例示的構成では、センサは、線形電圧変位変換器、デジタルスケール、静電容量ゲージ、光学変位ゲージ、レーザ変位ゲージ、又はそれらの組み合わせからなり、スピンドル126が正確な位置に調整されることを可能にする。従来の差動ボルト機構は、100マイクロメートルを超えるバックラッシュを有することがあるが、0バックラッシュカプラは、このバックラッシュを10マイクロメートル未満、又は更には5マイクロメートル未満、例えば約3マイクロメートルまで大幅に低減することができる。ここでは考察しないが、このアクチュエータアセンブリの更なる詳細は、例えば、同時係属中の国際特許出願第PCT/IB2020/061685号(Yapelら)により詳細に説明されている。
【0024】
より広範には、1次アクチュエータは、機械的、熱的に調整可能なボルト、圧電デバイス、油圧デバイス、又は空気圧デバイスによって駆動され得る。1つの例示的な1次作動機構では、アプリケータスロットは、スロットダイの本体によって軸方向に変位させられる作動ロッドと共に、支点としての回転シャフトによって支持されたレバーを使用して可撓性ダイリップに押圧荷重又は引張荷重を印加することによって調整することができる。レバーの回転力は、作動ロッドの軸方向の力に変換され、この軸方向の力が可撓性ダイリップに作用する押圧荷重又は引張荷重となる。レバーは、レバーの作用点で作動ロッドに力を直接加えることができる。
【0025】
別の例示的な1次作動機構では、熱的に調整可能なボルトが、可撓性ダイリップ上に配置されたそれぞれの熱電素子に結合された複数の調整ピンを使用して、アプリケータスロットを自動的に調整する。熱電素子は、熱電素子の膨張又は収縮を通じて対応する調整ピンによって可撓性ダイリップに加えられる機械的力の作用を通じてアプリケータスロットを調整するために、コントローラによって制御可能であってもよい。更なる選択肢として、作動機構は、同時に調整される少なくとも2つの調整ピン及び/又は熱電素子を提供することを含むことができる。
【0026】
上記の更なる態様が、他の変形形態と共に、米国特許第9,700,911号(Nakano)及び国際公開第2019/219724号(Colellら)に記載されている。
【0027】
アプリケータスロットを調整する際のアクチュエータの動作は、オペレータ入力、及びコンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせの使用により半自動的又は自動的に実施することができる。例えば、技術のさまざまな実施例は、コントローラ、ユーザインターフェース、又は他のデバイスに具現化された、1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processors、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuits、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate arrays、FPGA)、又は他の任意の等価集積回路若しくは個別論理回路、及びそのような構成要素の任意の組み合わせ内に実装することができる。用語「コントローラ」は、一般的に、前述の論理回路単独、又は他の論理回路との組み合わせ、あるいは任意の他の等価回路、のいずれかを指してもよい。
【0028】
ソフトウェアで実装される場合、本開示で説明されるシステム及びコントローラに帰する機能は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(non-volatile random access memory、NVRAM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気媒体、光学媒体などのコンピュータ可読記憶媒体上の命令として具体化されてもよい。命令は、1つ以上のプロセッサに、本開示に記載される機能の1つ以上の実施例をサポートさせるために実行されてもよい。
【0029】
様々な実施形態では、記載される方法及びアセンブリは、ストリップコーティング、フィルムスロットダイ、多層スロットダイ、ホットメルト押出コーティングダイ、ドロップダイ、回転ロッドダイ、接着剤スロットダイ、溶媒コーティングスロットダイ、水性コーティングダイ、スロット供給ナイフダイ、押出複製ダイ、真空接触ダイ、又は他のスロットダイにも適応することができる。
【0030】
図2図5は、種々のスロットダイアセンブリを部分図で示し、可撓性ダイリップの形状及びアクチュエータの向きの幾何学的効果を集合的に示す。図示されたアセンブリの各々において、上部ダイブロック、可撓性ダイリップ、及びアクチュエータスピンドルは、図示された構成に関連付けられた特定の機械的パラメータを示す挿入図とともに、分離して示されている。
【0031】
図2は、一体型可撓性ダイリップ206を有する上部ダイブロック204と、上部ダイブロック204を通って延び、可撓性ダイリップ206に機械的に結合された遠位端228を有するスピンドル226とを含むスロットダイアセンブリ200を示す。図示されるように、可撓性ダイリップ206は、断面図において概ね細長い形状を有し、上部ダイブロック204の鋭角の前面230にほぼ平行に整列している。
【0032】
可撓性ダイリップ206は、ヒンジ232を画定する比較的薄い材料片によって上部ダイブロック204の残りの部分に接続されている。ヒンジ232は、押す力又は引っ張る力がスピンドル226によって加えられるときの可撓性ダイリップ206のための旋回点を表す。図示の一体型可撓性ダイリップ206は、ヒンジ232を形成するために金属の単一ブロックに溝234を切り込むことによって都合よく製造することができる。溝234の底部は、可撓性ダイリップ206を調整するときの応力集中を最小限に抑えるために、図示のように丸みを付けることができる。あるいは、溝234の底部は、比較的平坦な構成を有することができる。
【0033】
再び図2を参照すると、アプリケータスロットに沿った可撓性ダイリップ206の底面235は、可撓性ダイリップ206の最も外側の先端とヒンジ点Hとの間の距離として定義されるリップ長Lによって特徴付けられる。次いで、ヒンジ点Hは、ヒンジ232の垂直断面が最も薄い底面235に沿った点として定義される。ヒンジ232が概ね均一な断面を有する場合、ヒンジ点Hは、可撓性ダイリップ206の遠位端から最も遠い断面に沿った点として定義することができる。
【0034】
また、可撓性ダイリップ206の動作に関連するのは、スピンドル226によって可撓性ダイリップ206に加えられる力に対応するモーメントアーム長MAである。このモーメントアーム長MAは、図示されるように、ヒンジ点Hとスピンドル226の長手方向軸207との間の最短距離として定義される。アーム長MAに対応する線分は、スピンドル226の長手方向軸207に対して直角である。
【0035】
様々な実施形態では、モーメントアーム長MAのリップ長Lに対する比(すなわち、MA/L)は、0.8~10、0.8~6.5、0.8~3.25であってもよく、又はいくつかの実施形態では、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.1、1.2、1.5、1.7、2、2.5、3、3.25、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10より小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。より高いMA/L比を有する利点は、スピンドル226の並進によって加えられる力を介して可撓性ダイリップ206を調整するための機械的利点の増加に由来する。更なる利点は、ダイリップ及び結果として生じるダイスロット高さの改善された調整分解能に由来する。これらの比較的高いMA/L比は、可撓性ダイリップ206の細長い断面形状によって可能になる。
【0036】
可撓性ダイリップ206は、スロットダイアセンブリ200をニップローラ236に近接させることを容易にする任意の好適なリップ長Lを有することができる。この場合、ニップローラ236は、上部ダイブロック204を下部ダイブロックから分割する分割線に接すると合理的に近似される。この分割線は、可撓性ダイリップ206の底面235と概ね整列している。リップ長Lは、3センチメートル~10センチメートル、3センチメートル~9センチメートル、3センチメートル~8センチメートルであってもよく、又はいくつかの実施形態では、3センチメートル、4、5、6、7、若しくは8センチメートルより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。
【0037】
任意選択的に、上部ダイブロックと下部ダイブロックとを分割する分割線は、上方又は下方に垂直にオフセットしていてもよい。他の実施形態では、分割線の配向角は、0とは異なる場合があり、水平分割線は、0度の配向角を有するものとして定義される。
【0038】
ヒンジ232はまた、任意の好適な厚さを有することができ、そのような厚さは、底面235に垂直に測定される。この厚さは、リップ長の3パーセント~40パーセント、4パーセント~30パーセント、6パーセント~25パーセントであってもよく、又は3パーセント、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。
【0039】
スロットダイアセンブリ200とニップローラ236との間の距離を更に最小化するために、可撓性ダイリップ206の前向き表面は、底面235に対して鋭角の先端角度αで向けられた角度付きセクション238を有することができる。先端角度αは、10度~90度、10度~60度、10度~40度であってもよく、又はいくつかの実施形態では、10度、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、若しくは90度より小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。注目すべきことに、角度付きセクション238は、可撓性ダイリップ206の遠位先端と連続している必要はないが、好ましくは、リップ長Lの少なくとも30パーセント、少なくとも35パーセント、又は少なくとも40パーセントにわたって延びる。所望であれば、上述したように、2つ以上の連続する角度付きセクションを使用して、可撓性ダイリップ206をニップローラ236の湾曲に適合させるのを助けるように支援することができる。
【0040】
角度付きセクション238は、スロットダイアセンブリ200がニップローラ236に可能な限り接近することを可能にし、これら2つの構造間の衝突を防止するためのある程度の安全マージンを想定する。短い延伸ゾーン距離、又は可撓性ダイリップ206の遠位端と、対向する逆回転ニップローラが(図示されるように)一緒になるニップ点Nとの間の距離を有することは、押出中の押出物のドローダウンを最小限にするのに役立つことができる。可撓性ダイリップ206とニップ点Nとを分離する延伸ゾーン距離は、一方又は両方のニップローラの半径の15パーセント~100パーセント、20パーセント~90パーセント、20パーセント~50パーセントであってもよく、又は15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。
【0041】
図示されるように、スピンドル226の長手方向軸は、底面235に対して特定のアクチュエータ角度βに向けられている。このアクチュエータ角度βは、0度~90度、0度~70度、0度~50度、又はいくつかの実施形態では、0度、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、若しくは90度より小さい、それに等しい、若しくはそれより大きいなど、広範囲にわたって変化することができる。有利には、このアクチュエータ角度βは、上部ダイブロック204のための異なる形状に適応し、ヒンジ232を中心として可撓性ダイリップ206を回転させるためのてこ作用を提供するために、必要に応じて調整することができる。
【0042】
図2は更に、リップ長Lとモーメントアーム長MAとの様々な組合せを二次元力バジェットマップ上に重ね合わせて示す挿入図を示す。この座標系において、影付き領域は、最大力定格によって制約されたアクチュエータが所与の最大押出物流量で可撓性ダイリップ206を制御することを可能にするLとMAとの組合せを表す。最大力定格は、アクチュエータに応じて変化することができ、典型的な値は、約3500lbf又は15.6キロニュートンである。挿入図から、スロットダイアセンブリ200の図示された構成が、モーメントアーム長MAとリップ長Lとのその組み合わせに基づくその力バジェットを満たすことを示すことができる。
【0043】
より長いモーメントアーム長MAは、図2に示すように、その独特の幾何学的形状、特にその延長されたリップセグメント高さSに起因し得る。底面235に対して垂直に測定されるリップセグメント高さSは、リップ長Lよりもかなり長くすることができる。様々な実施形態では、リップセグメント高さSは、リップ長Lに対して1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、又は2.8倍だけリップ長Lを上回ることができる。
【0044】
図3は、代替実施形態によるスロットダイアセンブリ300を示す。アセンブリ300の上部部分は、先のアセンブリ200の上部部分と同様に、一体型可撓性ダイリップ306を有する上部ダイブロック304と、上部ダイブロック304を通って延び、可撓性ダイリップ306の上部に係合するスピンドル326とを含む。アセンブリ300は、スピンドル326が水平に向けられ、約0度のアクチュエータ角度βをもたらすという点で、先の実施形態とは異なる。先のスロットダイアセンブリとは異なり、スロットダイアセンブリ300は、図3の挿入図の影付き領域によって表される力バジェット基準を満たさない。この結果は、直前の実施形態に対する、リップ長Lの増加に起因し得る。アクチュエータ角度βを低減することは、モーメントアーム長MAを増加させる効果を有したが、リップ長の増加は、MA/L比の正味の減少をもたらし、その結果、力バジェットを上回った。
【0045】
図4は、アセンブリ300といくつかの類似点を有するが、いくらか背の高い可撓性ダイリップ406を組み込む、更に別のスロットダイアセンブリ400を類似した図で示す。前述のように、アクチュエータ角度βは、上部ダイブロック404を通るスピンドル426の水平向きを考慮すると、約0度であった。しかしながら、挿入図によって明らかにされるように、この構成は、力バジェット基準を満たす。フレックスリップ長Lを一定に保持した場合、可撓性ダイリップ406の高さが著しく大きいと、MA/L比が大きくなる。
【0046】
図5は、上部ダイブロック504と、上部ダイブロック504を通って水平に延びるスピンドル526と、アセンブリ200、300の高さと同様の高さを有し、アセンブリ200のフレックスリップ長Lと同様のフレックスリップ長Lを有する可撓性ダイリップ506とによって特徴付けられる、スロットダイアセンブリ500によって表される更に別の変形例を示す。比較的短いリップ長L及び長いモーメントアーム長MAの両方が与えられると、この構成は、挿入図に示されるように、必要な力バジェットを容易に満たす。
【0047】
図6及び図7はそれぞれ、可撓性ダイリップの可撓性を更に増大させるために可撓性ダイリップに組み込むことができる任意選択の特徴を示す。明確にするために、これらの特徴は、ダイスロットアセンブリと共に斜視図で示されている。図6に示すように、スロットダイアセンブリ600は、一連の規則的に離間したノッチ630を含む可撓性ダイリップ604を含む。ノッチ630は、スロットダイ本体の幅に沿って離間して、可撓性ダイリップを複数のダイリップセグメント633に分割し、可撓性ダイリップ604の全体的な曲げ剛性を低減する効果を有する。
【0048】
可撓性ダイリップ604の剛性の低減は、主に、各ノッチ630内の(図1図5に示すような)側面図における可撓性ダイリップ604の断面積の低減に起因する。ヒンジ632を越えた可撓性ダイリップ604の側断面図は、ノッチのないセクションに沿ったヒンジ632を越えた可撓性ダイリップ604の側断面積に対して、1パーセント~100パーセント、25パーセント~100パーセント、70パーセント~100パーセントだけ、又はいくつかの実施形態では、1パーセント、2、5、7、10、12、15、17、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100パーセントより小さい、それに等しい、又はそれより大きく低減することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ノッチ630は、可撓性ダイリップ604の幅にわたって一貫した幅W及び深さDを有する。ノッチ630を含むことにより、流体流方向に垂直な平面に沿って画定される、ヒンジ632を越えて延びる可撓性ダイリップ604の部分内の開放面積が形成される。図6に示された実施形態に基づいて、この開放面積は、次のように近似することができる。
【数1】
開放面積は、同じ平面に沿って画定されるノッチのない可撓性ダイリップ面積に対して、1パーセント~90パーセント、2パーセント~85パーセント、3.5パーセント~80パーセントであってもよく、又はいくつかの実施形態では、1、2、3.5、5、7、10、20、30、40、50、60、70、80、85、若しくは90パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。幅W及び深さDのいずれか又は両方が変化することも可能であり、その場合、可撓性の程度は、その幅にわたって同様に変化することができる。
【0050】
ノッチ630はまた、底面635と所与のノッチ630の最低点との間の距離として定義される、図6に示される関連付けられたノッチ厚さNTによって特徴付けることができる。図6にも表されるヒンジ厚さHTは、ノッチ厚さNTの2パーセント~100パーセント、10パーセント~100パーセント、20パーセント~100パーセント、25パーセント~75パーセントであってもよく、又はいくつかの実施形態では、10パーセント、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。
【0051】
ノッチ630の深さDは、スロットダイ600の幅にわたって延び、可撓性ダイリップを画定する、溝634の深さに対して特徴付けることもできる。本明細書で定義されるように、溝634は、溝634の底部から可撓性ダイリップ604の上面まで測定された深さを有し、図示された実施形態ではD+NT-HTにほぼ等しい。各ノッチは、溝深さの1パーセント~100パーセント、10パーセント~100パーセント、25パーセント~100パーセントの、又はいくつかの実施形態では、1パーセント、2、5、7、10、12、15、17、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きい深さを有することができる。
【0052】
図7は、スロットダイアセンブリ700の幅に沿って延びる複数の規則的に離間したノッチ730を有する可撓性ダイリップ704から構成された別のスロットダイアセンブリ700を示す。この実施形態は、ノッチ730が概ね半円形のプロファイルを有し、ノッチ630が概ね直線のプロファイルを有するという点で、先の実施形態とはいくらか異なる。各ノッチ730は、同様の幅W及び深さDを有するが、このノッチ形状に関連付けられた%開放面積は、先の実施形態よりも明らかに小さく、その結果、比較的より剛性のある可撓性ダイリップ704が得られる。
【0053】
図8は、アクチュエータスピンドルと可撓性ダイリップとの間で達成可能なモーメントアーム長を延長するようにも機能することができる代替スピンドル結合を示すスロットダイアセンブリ800を対象とする。ここで、スロットダイアセンブリ800は、取り付けられた可撓性ダイリップ806を有する上部ダイブロック804に取り付けられたアクチュエータ820を含む。アクチュエータ820には、スピンドル826が装備されており、これは、その長手方向軸807に沿って直線的に駆動される。アクチュエータ820及びスピンドル826は、軸807が可撓性ダイリップ806と交差しないように、可撓性ダイリップ806に対してオフセット位置を有する。
【0054】
スピンドル826の一対の屈曲部827により、スピンドルを可撓性ダイリップ806に確実に係合させることができる。この実施例では、屈曲部827は、直角屈曲部である。スピンドル826は、屈曲部827を形成するために、図示されるように、1つの部品又は2つ以上の部品のアセンブリを備えてもよい。スピンドルは、任意選択的に、ガイドブッシュ828を使用して案内することができる。スピンドルの可撓性リップ806への係合は、(図示されるように)クリップ829、ボルト、又は他の締結具を使用して固定することができる。有利なことに、この構成は、可撓性ダイリップ806のリップセグメント高さを延長することと機械的に等価なものを提供することができる。オフセットアクチュエータ/スピンドルのこの使用は、既存のスロットダイアセンブリを改造するとき、又はアクチュエータの位置若しくは向きが別様に制約されるとき、特に有益であり得る。
【0055】
図9Aは、前述の様々なスロットダイアセンブリと共に使用するのに好適な例示的なスピンドル926を示す。スピンドル926は、ここでは分離して示されており、互いに直列に接続された複数の円筒形セクションから構成されている。好ましい実施形態では、複数のセグメントは、単一構造の一体部分である。これらの中には、端部セクション950、撓み部952、及び端部セクション954が含まれる。任意選択的に、図示されるように、撓み部952は、スピンドル926の最長セグメントを表す。また、本質的に、スピンドル926の全長を、撓み部として機能するような寸法にすることができるということもあり得る。より広義には、撓み部952は、スピンドルの全長の1、2、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、92、95、97、又は99パーセントより小さい、それに等しい、又はそれより大きい部分を含む、スピンドルの全長の任意の部分に沿って延びることができる。この図では、スピンドル926は、後述するように、可撓性ダイリップと係合するための第4のセクション956を更に含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、撓み部952は、スピンドル926の予測可能かつ弾性の撓みを提供する撓み部である。図示のように、撓み部は、端部セクション950、954のいずれか又は両方の断面積よりも小さい断面積を有する。ピン、ブレード、ノッチの撓み部、及びこれらの組み合わせは、全て有利に使用することができる。撓み部は、特定の位置での屈曲を可能にし、干渉を回避し、必要とされる力の量を最小限に抑えるように最適化することができる。これらの撓み部は、表面間の相対的な摺動を必要としないので、制御方式におけるバックラッシュ及び関連付けられた不感帯を回避又は最小化することができる。使用される撓み部に応じて、様々な自由度(例えば、1、2、又はそれより多く)を有することが可能であり得る。撓み部952は、屈曲が所望される場所に応じて、スピンドル926の全長に対して任意の長さであってもよい。
【0057】
撓み部952は、一方又は両方の端部セクション950、954の直径の15パーセント~100パーセント、30パーセント~100パーセント、若しくは40パーセント~100パーセントの、又はいくつかの実施形態では、15パーセント、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きい直径を有することができる。これらの値は、一方又は両方の端部セクション950、954の断面積の2パーセント~100パーセント、9パーセント~99パーセント、若しくは16パーセント~98パーセントの、又はいくつかの実施形態では、2パーセント、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、98、99、若しくは100パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きい(スピンドルの長手方向軸に垂直な平面に沿って画定される)断面積を有する撓み部952に対応する。
【0058】
撓み部952内の直径の低減は、場合によっては、重要かつ予想外の技術的利点を提供することができる。可撓性ダイリップなどの調整機構の形状を調整するとき、スピンドルに関連付けられた曲げ剛性の最適範囲が存在することが発見された。この現象は、その長手方向軸に沿った純粋な並進のみが可能である形而上学的に剛性のスピンドルによって提示される問題に基づく。図2図5において視覚化することができるように、そのようなスピンドルは、可撓性ダイリップのそのヒンジに沿った意図されるような回転を可能にするために、曲がる代わりに可撓性ダイリップ材料を引き伸ばす傾向がある。ダイリップ材料(典型的には鋼)を引き伸ばすのに必要な力の量は、過剰であり、アクチュエータを圧倒する可能性がある。したがって、この曲げ運動が生じることを可能にするために、スピンドルにある程度の撓みを有することが望ましい。また、過度に柔軟なスピンドルを有することは、スピンドルの座屈及びアクチュエータから可撓性ダイリップへの力の不十分な伝達をもたらす可能性があるため、望ましくない。
【0059】
図9Bは、代替実施形態による代替スピンドル926’を示す。図9Aのスピンドル926と同様に、図9Bのスピンドル926’は、複数のセグメント、すなわち、図9Aのものに対応するセクション950’、撓み部952’、セクション954’、及びセクション956’から構成されている。しかしながら、主な違いとして、スピンドル926’は、スピンドル926’の全長の比較的短い部分にわたってスピンドル926’の屈曲を局所化する、はるかに短い撓み部952’を有する。そのような構成は、例えば、スピンドルの撓みが、干渉問題又は他の幾何学的制約によって、ある領域にわたって制限されることがある場合、潜在的に有益であり得る。スピンドルの全長に対する撓み部の長さは、特に制限される必要はない。用途の詳細に基づいて、撓み部は、スピンドルの全長の2、3、4、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は97パーセントより小さい、それに等しい、又はそれより大きい割合に沿って延びることができる。
【0060】
図10は、可撓性ダイリップ906の形状を調整するために、上部ダイブロック904と、それぞれが図9Aに示す構成を有する一連のスピンドル926とを含むスロットダイアセンブリ900の簡略図を示す。この図の最前面には、最も近いスピンドル926がダイブロック904内の断面で示されており、そのヒンジ932を中心とした可撓性ディッププリップ906のわずかな回転を可能にするために、スピンドルのわずかな程度の曲げがどのように望ましいかを示している。
【0061】
上記の制約を前提として、最適なスピンドルは、概して、5kN/m~350kN/m、10kN/m~263kN/m、15kN/m~175kN/mの、又はいくつかの実施形態では、5kN/m、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、150、175、200、225、250、275、300、325、若しくは300kN/mより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きな曲げ剛性を示すことが見出された。いずれにしても、圧縮を受けたときにスピンドルのオイラー座屈を防止するのに不十分な任意の曲げ剛性を回避することが一般に望ましい。オイラー座屈は、柱を介して力が効率的に伝達されないので問題である。このような座屈が発生すると、付与される力も予測不可能になる傾向があり、全体的な制御方式の有効性を低下させる。
【0062】
図11及び図12は、それぞれのスロットダイサブアセンブリ1000、1100におけるアクチュエータスピンドルとそれぞれの調整機構との間の結合を示す。調整機構は、本明細書で使用されるとき、所与のスロットダイアセンブリ内のアプリケータスロットを通る流体流を局所的に制限することができる任意の可撓性の細長い構造であってもよい。図11は、スピンドル1026と上部ダイブロック1104内の可撓性ダイリップ1006との間の係合を示し、図12は、スピンドル1126と上部ダイブロック1004内のチョーカーバー1106との間の係合を示す。制限器バーとも呼ばれるチョーカーバー1106は、スロットダイアセンブリの出口から離れて上流にある上部ダイブロック1104内の位置で流れを制限するという点で、可撓性ダイリップ1006とは異なる。
【0063】
図11及び図12に示すように、スピンドル1026、1126の各拡大端部セクション1050、1150は、継手1060、1160によってそのそれぞれのアクチュエータの駆動ユニットに機械的に結合され、剛性継手である段付きボルト継手によってこれらの本体間の直接接触を介してそのそれぞれの調整機構1006、1106(例えば、可撓性ダイリップ又はチョーカーバー)に機械的に結合されている。図示のように、段付きボルト継手は、各スピンドル1026、1126の反対側の端部の小径ねじ付き端部セクション1056、1156によって形成されている。
【0064】
ここでは明示的に示されていないが、代替継手も可能である。スピンドルと調整機構との間の剛性継手の代わりに、これらの構成要素間のある程度の相対運動を可能にする軸受又は接合部を使用することができる。例えば、各スピンドルは、スピンドルを調整機構に結合する玉継手を使用することができる。あるいは、各スピンドルは、スピンドルを調整機構に結合するためのクレビス継手を含むことができる。可撓性スピンドルを含むことと同様に、適切な軸受はまた、押出中の調整機構の適切かつ効率的な枢動を容易にすることができる。
【0065】
任意選択的に、図示されるように、0バックラッシュカプラ1060、1160を使用して、アクチュエータをスピンドルに接続することができる。そのようなカプラは、例えば、同時係属中の国際特許出願第PCT/IB2020/061685号(Yapelら)に記載されている。反対側の端部において、スピンドル1026、1126は、ねじ接続によってアクチュエータの駆動ユニットに結合することができる。ねじ接続が使用される場合、スピンドルの曲げ強度を過度に有することを回避するために、スピンドルが、そのセグメントのいずれかに沿って、少なくともそのねじ谷径と同じ大きさである最小スピンドル直径を有することが有益であり得る。これらの接続の態様は、図9Aのセクション952、956、並びに図11及び図12それぞれのスピンドル1026、1126と可撓性ダイリップ1006又はチョーカーバー1106との間の結合に更に適用可能であり得る。
【0066】
図12のスロットダイアセンブリに関連して、図13及び図14は、例示的な一連のスピンドル1126がどのように個々にかつ集合的にチョーカーバー1106と係合することができるかを示す。図13は、中立位置にあるスピンドル1126及びチョーカーバー1106を示し、図14は、調整された位置にあるこれらの同じ構成要素を示す。明確にするために、調整された構成は、スピンドル1126及びチョーカーバー1106の撓みの程度を誇張している。図14に示すように、単一のスピンドル1126が積極的にチョーカーバー1106を押圧すると、隣接するスピンドル1126が図示のように単一のスピンドル1126に向かって協働して曲がらざるを得ないように、チョーカーバー1106に湾曲が生じる。可撓性ダイリップの実施形態と同様に、スピンドル1126の可撓性は、スロットダイアセンブリ内の流体流に対して局所的な調整を行うときに、チョーカーバー1106の効率的な動作を大幅に促進することができる。
【0067】
スロットダイアセンブリで使用されるスピンドルに関して、更なる技術的考慮事項も適用することができる。例えば、スピンドルセグメント及びカップリングアタッチメントは、周期的な破損なしにその使用可能な寿命にわたって引張荷重及び圧縮荷重に耐えるのに十分な強度であるべきである。好ましい実施形態では、スピンドルは、4140又は15-5PH鋼などの鋼で作製され、少なくとも15.6kNの引張降伏強度を有する。
【0068】
代替のスピンドル材料及び構成も可能である。例えば、スピンドルは、完全に金属製であってもよく、完全に非金属製であってもよく、又は両方の組み合わせであってもよい。非金属材料としては、繊維強化複合材料などの複合材料が挙げられる。異方性特性が望まれる場合、複合材内に埋め込まれた繊維は、いくつかの方向に沿ってスピンドルを硬化させることができるが、他の方向には硬化させることができない。任意選択的に、スピンドルは、連続した複数のセグメントから構成されたアセンブリであってもよく、セグメントは、異なる材料及び/又は幾何形状から作製される。異なる材料を並行して(例えば、コアシース構成で)使用することもできる。様々な材料が補助的な利点を提供することができる。いくつかの実施形態では、インラインセラミック構成要素が、スロットダイ本体からアクチュエータ駆動ユニットへの熱伝達を低減するための断熱材として設けられてもよい。
【0069】
スピンドルを調整機構(例えば、可撓性ダイリップ又はチョーカーバー)に結合するためにトルクが必要とされる場合、回転剛性が問題となり得る。所与のスピンドル直径及び長さに対して、回転剛性は、組み立てを可能にするのに十分であるべきであり、更に、最小スピンドル直径は、スピンドルの最小ねじり降伏直径を上回るべきである。
【0070】
様々な実施例を前述の節で説明してきた。これら及び他の実施例は、本明細書で提供される特許請求の範囲内である。
【0071】
特許証のための上記特許出願において引用された全ての参照文献、特許、特許出願は、一貫した形でそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての均等物によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
特許証のための上記特許出願において引用された全ての参照文献、特許、特許出願は、一貫した形でそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての均等物によって定義される。
なお、各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
スロットダイ本体と、
前記スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通している、アプリケータスロットと、
を備え、
前記スロットダイ本体が、前記アプリケータスロットを通る前記流体流路の断面高さを調整するための可撓性ダイリップを備える調整機構を含み、
前記可撓性ダイリップが、リップ長を画定するヒンジ点と、モーメントアーム長を画定する加力点とを有し、更に、前記モーメントアーム長の前記リップ長に対する比が、0.8~10である、
スロットダイアセンブリ。
(付記2)
前記リップ長が、2センチメートル~10センチメートルである、付記1に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記3)
前記可撓性ダイリップが、リップセグメント高さを有し、リップセグメント高さの前記リップ長に対する比が、0.35~5である、付記1又は2に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記4)
前記スロットダイ本体が、10度~90度の先端角度によって特徴付けられる遠位端を有する、付記1~3のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記5)
前記可撓性ダイリップが、リップセグメント高さを有し、前記リップセグメント高さの前記リップ長に対する比が、0.35~5である、付記1~4のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記6)
前記可撓性ダイリップが、前記ヒンジ点において画定されるヒンジ厚さを有し、前記ヒンジ厚さが、前記リップ長の3パーセント~40パーセントである、付記1~5のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記7)
前記可撓性ダイリップが、特定の高さを有し、前記特定の高さの前記ヒンジ厚さに対する比が、3.5~60である、付記6に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記8)
前記可撓性ダイリップが、特定の高さを有し、前記高さの前記モーメントアーム長に対する比が、0.55~6である、付記1~7のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記9)
前記可撓性ダイリップが、その長さに沿って複数のノッチを含み、前記複数のノッチが、前記可撓性ダイリップを複数のダイリップセグメントに分割して前記可撓性ダイリップの全体的な剛性を低減するように、前記スロットダイ本体の前記幅に沿って離間している、付記1~8のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記10)
前記可撓性ダイリップが、ヒンジ厚さ及びノッチ厚さの両方によって特徴付けられ、前記ヒンジ厚さが、前記ノッチ厚さの10パーセント~100パーセントである、付記9に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記11)
前記ヒンジ点が、前記可撓性ダイリップの前記幅にわたって延びる溝に基づき、各ノッチの深さが、前記溝の深さの1パーセント~100パーセントである、付記9又は10に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記12)
前記複数のノッチが、前記流体流路を通る流体流方向に垂直な平面に沿って画定される、前記ヒンジ点を越えて延びる前記可撓性ダイリップ内の開放面積を形成し、前記開放面積が、前記平面に沿って画定されるノッチのない可撓性ダイリップ面積の1パーセント~90パーセントである、付記9~11のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記13)
アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に備え、各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、前記流体流路の前記断面高さをそのそれぞれの位置で調整するように、前記加力点において前記可撓性ダイリップに動作可能に結合されている、付記1~12のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記14)
各アクチュエータが、モータと、前記モータに結合されたスピンドルとから構成された線形アクチュエータであり、前記スピンドルが、前記流体流路を通る流体流方向に対してアクチュエータ角度で向けられ、前記アクチュエータ角度が、0度~90度である、付記13に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記15)
前記スピンドルが、撓み部を備える、付記14に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記16)
スロットダイ本体と、
前記スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、前記アプリケータスロットが、前記スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通しており、更に、前記スロットダイ本体が、前記アプリケータスロットを通る前記流体流路の断面高さを調整するための調整機構を備える、アプリケータスロットと、
アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、各アクチュエータが、前記流体流路の前記断面高さの局所的な調整をそのそれぞれの位置で提供するために、前記調整機構に動作可能に結合されている、複数のアクチュエータと、
を備え、
各アクチュエータが、モータと、前記モータに結合されたスピンドルとを備える線形アクチュエータであり、更に、(i)前記スピンドルが、撓み部を備える、又は(ii)各アクチュエータが、前記スピンドルを前記調整機構に結合するための軸受を更に備える、のいずれかである、
スロットダイアセンブリ。
(付記17)
各アクチュエータが、前記スピンドルを前記調整機構に結合する玉継手を備える、付記16に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記18)
各アクチュエータが、前記スピンドルを前記調整機構に結合するクレビス継手を備える、付記16に記載のスロットダイアセンブリ。
(付記19)
付記1~18のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリを使用する方法であって、
2つの逆回転ローラの間に画定されたニップに隣接して前記スロットダイアセンブリを配置することと、
前記スロットダイアセンブリの前記アプリケータスロットを通して前記ニップ内に押出物を押し出すことと、
を含み、
前記可撓性ダイリップと前記ニップとの間の延伸ゾーン距離が、前記2つの逆回転ローラの一方又は両方の半径の15パーセント~100パーセントである、方法。
(付記20)
前記延伸ゾーン距離が、前記2つの逆回転ローラの一方又は両方の前記半径の20パーセント~90パーセントである、付記19に記載のスロットダイアセンブリを使用する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットダイ本体と、
前記スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通している、アプリケータスロットと、
を備え、
前記スロットダイ本体が、前記アプリケータスロットを通る前記流体流路の断面高さを調整するための可撓性ダイリップを備える調整機構を含み、
前記可撓性ダイリップが、リップ長を画定するヒンジ点と、モーメントアーム長を画定する加力点とを有し、更に、前記モーメントアーム長の前記リップ長に対する比が、0.8~10である、
スロットダイアセンブリ
【請求項2】
前記可撓性ダイリップが、リップセグメント高さを有し、リップセグメント高さの前記リップ長に対する比が、0.35~5である、請求項1に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項3】
前記スロットダイ本体が、10度~90度の先端角度によって特徴付けられる遠位端を有する、請求項1または2に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項4】
前記可撓性ダイリップが、リップセグメント高さを有し、前記リップセグメント高さの前記リップ長に対する比が、0.35~5である、請求項1~のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項5】
前記可撓性ダイリップが、前記ヒンジ点において画定されるヒンジ厚さを有し、前記ヒンジ厚さが、前記リップ長の3パーセント~40パーセントである、請求項1~のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項6】
前記可撓性ダイリップが、特定の高さを有し、前記特定の高さの前記ヒンジ厚さに対する比が、3.5~60である、請求項に記載のスロットダイアセンブリ。
【請求項7】
前記可撓性ダイリップが、特定の高さを有し、前記高さの前記モーメントアーム長に対する比が、0.55~6である、請求項1~のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ
【請求項8】
アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に備え、各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、前記流体流路の前記断面高さをそのそれぞれの位置で調整するように、前記加力点において前記可撓性ダイリップに動作可能に結合されている、請求項1~のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリ
【請求項9】
スロットダイ本体と、
前記スロットダイ本体の幅にわたって延びるアプリケータスロットであって、前記アプリケータスロットが、前記スロットダイ本体を通る流体流路と流体連通しており、更に、前記スロットダイ本体が、前記アプリケータスロットを通る前記流体流路の断面高さを調整するための調整機構を備える、アプリケータスロットと、
アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、各アクチュエータが、前記流体流路の前記断面高さの局所的な調整をそのそれぞれの位置で提供するために、前記調整機構に動作可能に結合されている、複数のアクチュエータと、
を備え、
各アクチュエータが、モータと、前記モータに結合されたスピンドルとを備える線形アクチュエータであり、更に、(i)前記スピンドルが、撓み部を備える、又は(ii)各アクチュエータが、前記スピンドルを前記調整機構に結合するための軸受を更に備える、のいずれかである、
スロットダイアセンブリ
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載のスロットダイアセンブリを使用する方法であって、
2つの逆回転ローラの間に画定されたニップに隣接して前記スロットダイアセンブリを配置することと、
前記スロットダイアセンブリの前記アプリケータスロットを通して前記ニップ内に押出物を押し出すことと、
を含み、
前記可撓性ダイリップと前記ニップとの間の延伸ゾーン距離が、前記2つの逆回転ローラの一方又は両方の半径の15パーセント~100パーセントである、方法
【国際調査報告】