(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】Fcガンマ受容体II結合、及びグリカン含量
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/34 20060101AFI20241003BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20241003BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C12Q1/34
G01N33/50 Z
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520017
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022045633
(87)【国際公開番号】W WO2023059607
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カナカラージ,パラニサミ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッタラー,カタリーナ
(72)【発明者】
【氏名】クーンズ,スコット
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045DA80
2G045FB06
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ67
4B063QQ79
4B063QR15
4B063QS17
4B063QS28
4B063QX01
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA53
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本願で提供されるのは、抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、製品品質が抗体組成物のFcγ受容体II(FcγII)結合レベルに基づく、方法である。例示的な実施形態では、方法は、(a)抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;(b)任意選択的に、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいて、予測されたFcγRII結合レベルを算出すること;並びに(c)(i)非フコシル化グリカン含量及び/若しくはβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内である場合、並びに/又は(ii)予測されたFcγRII結合レベルが目標範囲内である場合には、抗体組成物の製品品質が許容可能であると決定することを含む。製品品質をモニターする関連方法、及び抗体組成物を製造する方法が、本願でさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、前記製品品質は、前記抗体組成物のFcγ受容体II(FcγRII)結合レベルに基づいており、前記方法は、
a.前記抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;
b.任意選択的に、(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいてFcγRII結合レベルを算出すること;
並びに
c.(i)前記非フコシル化グリカン含量及び/若しくはβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内であり、並びに/又は(ii)前記FcγRII結合レベルが目標範囲内である場合に、前記抗体組成物の前記製品品質が許容可能であると決定すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記FcγRII結合レベルの目標範囲、前記非フコシル化グリカン含量の目標範囲、及び/又は前記β-ガラクトシル化グリカン含量の目標範囲は、参照抗体のFcγRII結合レベル、非フコシル化グリカン含量、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記参照抗体は、キメラ定常領域を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記参照抗体は、IgG2定常領域の一部及びIgG4定常領域の一部を含み、任意選択的に、前記参照抗体は、エクリズマブである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記FcγRII結合レベルは、FcγRIIa結合のレベルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(a)で決定された前記β-ガラクトシル化グリカン含量に基づいてFcγRIIa結合レベルを算出することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記FcγRII結合レベルを、方程式A:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式A]
(式中、mは、約0.535~約1.091であり、yは、約72.58~約85.78であり、BG%は、(a)で決定されたβ-ガラクトシル化含量%である)
に従って算出する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
mは、0.813又は0.778である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
yは、79.18又は81.76である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量に基づいてFcγRII結合レベルを算出することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記RcγRII結合レベルを、方程式B:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式B]
(式中、mは、約-13.73~約-7.54であり、yは、約108.8~約119.1であり、AF%は、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
mは、-10.63又は-9.53である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
yは、114である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び前記β-ガラクトシル化グリカン含量に基づいてFcγRII結合レベルを算出することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記FcγRII結合レベルは、方程式3:
FcγRII結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877
[方程式3]
(式中、BG%は、前記β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記FcγRII結合レベルは、FcγRIIb結合のレベルである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
(a)で決定された前記β-ガラクトシル化グリカン含量に基づいてFcγRIIb結合レベルを算出することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記FcγRII結合レベルを、方程式C:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式C]
(式中、mは、約0.3260~約0.9697であり、yは、約77.72~約92.99であり、BG%は、(a)で決定された前記β-ガラクトシル化グリカン含量%である)
に従って算出する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
mは、0.648又は0.644である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
yは、85.36又は86.34である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量に基づいてFcγRIIb結合レベルを算出することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記FcγRII結合レベルを、方程式D:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式D]
(式中、mは、約-12.02~約-6.247であり、yは、約109.3~約118.9であり、AF%は、(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
mは、-9.132又は-7.102である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
yは、114又は111.9である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び前記β-ガラクトシル化グリカン含量に基づいてFcγRIIb結合レベルを算出することを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記FcγRII結合レベルは、方程式4:
FcγRII結合=0.461*BG%+(-4.429)*AF%+105.731
[方程式4]
の直線の95%信頼区間内である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
高マンノース(HM)グリカン含量を決定することをさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記FcγRII結合レベルは、方程式5、又は方程式6、又は方程式9、又は方程式10:
FcγRIIa結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877+(-1.343)*HM%
[方程式5]
FcγRIIa結合=0.46*BG%+(-4.429)*AF%+105.731+(-1.883)*HM%
[方程式6]
FcγRII結合=0.545*BG%+(-4.466)*AF%+102.7+(-2.036)*HM%
[方程式9]
FcγRII結合=0.590*BG%+(-2.04)*AF%+99.2+(-1.91)*HM%
[方程式10]
(式中、BG%は、前記β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、前記非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、前記高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、品質管理(QC)アッセイである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法は、インプロセスQCアッセイである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記試料は、インプロセス材料の試料である、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を、回収前又は回収後に決定する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を、クロマトグラフィー工程後に決定する、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記クロマトグラフィー工程は、キャプチャークロマトグラフィー、中間クロマトグラフィー、及び/又はポリッシュクロマトグラフィーを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を、ウイルスの不活化及び中和、ウイルス濾過、又は緩衝液交換の後に決定する、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法は、ロットリリースアッセイである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記試料を、製造ロットから得る、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内である場合には、下流の処理のために前記抗体組成物を選択することをさらに含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲内ではない場合には、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して改変細胞培養物を得る、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変した後に得られる前記抗体組成物の試料の前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲内ではない場合には、前記方法は、(d)前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して改変細胞培養物を得ること、並びに(e)前記改変細胞培養物から得られた前記抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することをさらに含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲内ではない場合には、前記方法は、(e)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲内になるまで(d)及び(e)をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲外である場合にのみ、前記抗体組成物のFcγRII結合レベルを直接測定するアッセイを前記抗体組成物に対して実施する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲内である場合には、前記抗体組成物のFcγRII結合を直接測定するアッセイを前記抗体組成物に対して実施しない、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
抗体組成物の製品品質をモニタリングする方法であって、第1の時点で得られた第1の試料と、前記第1の時点とは異なる第2の時点で採取された第2の試料とを用いて、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法に従って抗体組成物の製品品質を決定することを含む、方法。
【請求項46】
前記第1の試料及び第2の試料のそれぞれは、インプロセス材料の試料である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の試料は、インプロセス材料の試料であり、前記第2の試料は、製造ロットの試料である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の試料は、前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変する前に得られた試料であり、前記第2の試料は、前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変した後に得られた試料である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
抗体組成物を製造する方法であって、前記抗体組成物の製品品質を決定することを含み、前記抗体組成物の製品品質を、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法に従って決定し、前記試料は、インプロセス材料の試料であり、(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲内ではない場合には、前記方法は、(d)前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して改変細胞培養物を得ること、並びに(e)前記改変細胞培養物から得られた前記抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること、任意選択的に、前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が前記目標範囲内になるまで工程(d)及び(e)を繰り返すことをさらに含む、方法。
【請求項50】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、前記HMグリカン含量を主に変化させて前記FcγRII結合の目標範囲を達成する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、前記β-ガラクトシル化グリカン含量を主に変化させて、前記FcγRII結合の目標範囲を達成する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
抗体組成物を製造する方法であって、
a.前記抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;
b.(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいて、前記抗体組成物のFcγRII結合レベルを決定すること;
並びに
c.(b)で決定されたFcγRII結合のレベルに基づいて、下流の処理のために前記抗体組成物を選択すること
を含む方法。
【請求項53】
前記抗体組成物は、キメラ定常領域を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記キメラ定常領域は、IgG2定常領域の一部及びIgG4定常領域の一部を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記キメラ定常領域は、IgG2のCH1及び/又はIgG4のCH2-CH3を含む、請求項3~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体組成物は、配列番号15のアミノ酸配列を含むキメラ定常領域を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記抗体組成物は、エクリズマブの重鎖及び軽鎖を含む抗C5抗体を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記試料は、前記抗体組成物の抗体を発現するグリコシル化コンピテント細胞を含む細胞培養物に由来する、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、前記抗体組成物の前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を改変すること、並びに前記改変された細胞培養物から得た前記抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、前記抗体組成物の非フコシル化グリカンのレベルを増加させて、前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを低下させることをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、前記抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを低下させて、前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを低下させることをさらに含む、請求項59又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、前記抗体組成物の非フコシル化グリカンのレベルを低下させて、前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを増加させることをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、前記抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを増加させて、前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを増加させることをさらに含む、請求項59又は62に記載の方法。
【請求項64】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又は前記β-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内になるまで前記改変を繰り返すことをさらに含む、請求項59~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又は前記β-ガラクトシル化グリカン含量を、前記抗体組成物の製造に関してリアルタイムで決定する、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記非フコシル化グリカン含量及び/又は前記β-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内である場合には、下流の処理のために前記抗体組成物を選択することを含む、請求項1~65のいずれか一項に記載を方法。
【請求項67】
前記FcγRII結合レベルが目標範囲内である場合には、下流の処理のために前記抗体組成物を選択することを含む、請求項1~66のいずれか一項に記載を方法。
【請求項68】
前記FcγRII結合のレベルを決定することは、ADCC、ADCP、及び/又はCDCのレベルを決定することを含む、請求項1~67のいずれか一項に記載を方法。
【請求項69】
前記抗体組成物のADCC、ADCP、及び/又はCDCのレベルを指定することをさらに含む、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法であって、前記選択された抗体組成物は、前記指定されたレベルのADCC、ADCP、及び/又はCDCを含む、方法。
【請求項70】
抗体組成物のFcγRII結合のレベルを改変する方法であって、
a)FcγRIIのレベルを指定すること;
並びに
b)前記抗体組成物の非フコシル化グリカン及び/又はβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを改変して、前記指定されたレベルのFcγRIIを達成すること
を含む方法。
【請求項71】
前記抗体組成物の非フコシル化グリカンのレベルを増加させて前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを低下させることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを低下させて前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを低下させることを含む、請求項70又は71に記載の方法。
【請求項73】
前記抗体組成物の非フコシル化グリカのレベルを低下させて前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを増加させることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを増加させて前記抗体組成物のFcγRII結合のレベルを増加させることを含む、請求項70又は73に記載の方法。
【請求項75】
抗体組成物のFcγ受容体II(FcγRII)結合のレベルを決定する方法であって、前記抗体組成物の非フコシル化グリカン及び/又はβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを決定することを含む、方法。
【請求項76】
抗体組成物のインビボでの有効性及び/又は副作用を予測する方法であって、
a.前記抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;
b.(a)で決定された前記非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいて、前記抗体組成物をインビボでの副作用の原因と予測すること
を含む、方法。
【請求項77】
前記FcγRIIは、FcγRIIaである、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記FcγRIIは、FcγRIIbである、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記抗体組成物は、キメラ定常領域を含む、請求項1~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記キメラ定常領域は、IgG2定常領域の一部及びIgG4定常領域の一部を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記キメラ定常領域は、IgG2のCH1及び/又はIgG4のCH2-CH3を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記抗体組成物は、配列番号15のアミノ酸配列を含むキメラ定常領域を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記抗体は、エクリズマブを含む、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記下流の処理は、希釈、濃縮、充填、濾過、製剤化、クロマトグラフィー、ウイルス濾過、及び/又はウイルス不活性化のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記下流の処理は、キャプチャークロマトグラフィー、中間クロマトグラフィー、及び/又はポリッシュクロマトグラフィー等のクロマトグラフィーを含む、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記クロマトグラフィーは、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、又は疎水性相互作用クロマトグラフィーのうちの1つ又は複数を含む、請求項85に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書では、2021年10月5日に出願された米国仮特許出願第63/252,245号明細書、及び2022年1月13日に出願された米国仮特許出願第63/299,104号明細書の35U.S.C.§119(e)の下での利益が主張されており、これらの開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
本明細書と同時に提出された、コンピュータにより読み込み可能なヌクレオチド/アミノ酸配列表は、その全体が参照により組み込まれ、且つ下記のように識別される:「A-2755-WO01-SEC_Sequence_Listing.XML」という名称の15.4バイトのXMLファイル、2022年9月22日作成。
【背景技術】
【0003】
グリコシル化は、例えば、タンパク質折り畳み、品質管理、分子の輸送及び選別、並びに細胞表面受容体相互作用等の複数の細胞機能に関与することから、最も一般的であるが依然として顕著な翻訳後修飾の1つである。グリコシル化は、治療用糖タンパク質の生理活性、薬物動態、免疫原性、溶解度、及びインビボクリアランスに影響を及ぼすことから、組換えタンパク質薬の治療効果に影響を及ぼす。Fcグリコフォームプロファイルは、特に、抗体の臨床効果及び薬物動態に直接影響を及ぼすことから、組換え抗体に対する製品品質特性である。
【0004】
Fc-CH2ドメイン中の保存された二分枝型グリカンに関連する特定のグリカン構造は、抗体エフェクター機能(例えば、抗体依存性細胞障害(ADCC))を介在するFcドメインとFcガンマ受容体(FcγR)との相互作用に強く影響を及ぼす可能性がある(Reusch D,Tejada ML.Fc glycans of therapeutic antibodies as critical quality attributes.Glycobiology 2015;25:1325-34を参照されたい)。例えば、コアフコースは、FcγRIIIa結合親和性に対して大きい影響を有しており、ADCC活性に実質的な変化をもたらすことが示されている(Okazaki A,et al.Fucose depletion from human IgG1 oligosaccharide enhances binding enthalpy and association rate between IgG1 and FcgammaRIIIa.Journal of molecular biology 2004;336:1239-49;Ferrara C,et al.Unique carbohydrate-carbohydrate interactions are required for high affinity binding between FcgammaRIII and antibodies lacking core fucose.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2011;108:12669-74を参照されたい)。高マンノースレベルも、コアフコースと比べてはるかに控えめであり且つ予測しにくい程度ではあるが、ADCC活性を調節する役割を果たすことが示されている(Thomann M,et al.Fc-galactosylation modulates antibody-dependent cellular cytotoxicity of therapeutic antibodies.Molecular immunology 2016;73:69-75)。コアフコースは、FcドメインがFcγRと相互作用することを立体的に妨げると報告されていことから、多くの研究は、非フコシル化グリカン及び高マンノースグリカンを含む、コアフコースを欠くグリカン基に焦点を当ててきた。コアフコースを欠くこのグリカン基に加えて、末端ガラクトースがADCCレベルに影響を及ぼすことが示唆されている。特に、末端ガラクトースの存在により、ADCC活性が増強される。Thomann et al.,Molec Immunol 73:69-75(2016)。
【0005】
抗体のFcドメインに存在するグリカンの構造は、補体タンパク質C1qへのFc結合にも影響を及ぼす可能性があり、そのため、最終的には抗体の補体依存性細胞傷害(CDC)エフェクター機能に影響を及ぼす。例えば、β-ガラクトシル化がより高い抗体は、高親和性でC1qに結合し、より高レベルのCDC活性を誘導する。同様に、抗TNF抗体アダリムマブのβ-ガラクトシル化の減少は、ADCC活性及びCDC活性の低下と関連している。アダリムマブのβ-ガラクトシル化の減少は、FcγRIIIa結合及びC1qタンパク質に対する結合親和性の低下とも関連している。Burzawa et al.,“Relationship between structure and function:Influence of galactosylation on Fc-mediated binding and functional properties of adalimumab” Bioprocess Online(2018)下記で閲覧可能:https://www.bioprocessonline.com/doc/influence-of-galactosylation-on-fc-mediated-binding-and-functional-properties-of-adalimumab-0001。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Reusch D,Tejada ML.Fc glycans of therapeutic antibodies as critical quality attributes.Glycobiology 2015;25:1325-34
【非特許文献2】Okazaki A,et al.Fucose depletion from human IgG1 oligosaccharide enhances binding enthalpy and association rate between IgG1 and FcgammaRIIIa.Journal of molecular biology 2004;336:1239-49
【非特許文献3】Ferrara C,et al.Unique carbohydrate-carbohydrate interactions are required for high affinity binding between FcgammaRIII and antibodies lacking core fucose.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2011;108:12669-74
【非特許文献4】Thomann M,et al.Fc-galactosylation modulates antibody-dependent cellular cytotoxicity of therapeutic antibodies.Molecular immunology 2016;73:69-75
【非特許文献5】Thomann et al.,Molec Immunol 73:69-75(2016)
【非特許文献6】Burzawa et al.,“Relationship between structure and function:Influence of galactosylation on Fc-mediated binding and functional properties of adalimumab” Bioprocess Online(2018)下記で閲覧可能:https://www.bioprocessonline.com/doc/influence-of-galactosylation-on-fc-mediated-binding-and-functional-properties-of-adalimumab-0001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
様々な要因がグリカン構造に影響を及ぼしており、そのため、タンパク質(糖タンパク質)の最終的なグリコシル化形態(グリコフォーム)に影響を及ぼす。例えば、抗体を発現する細胞株、細胞培養培地、フィード培地組成、及び細胞培養中のフィードのタイミングは、タンパク質のグリコフォームの産生に影響を及ぼす可能性がある。研究グループは、抗体の特定のグリコフォームのレベルに影響を及ぼす多くの方法を示唆しているが、バイオ医薬産業において、特定の抗体組成物がその抗体組成物の所与のグリコフォームプロファイルに基づいて示すエフェクター機能のレベル又はFcγRへの結合を予測する簡単で効率的な方法が依然として必要とされている。加えて、当該技術分野では、所望のレベルのエフェクター機能又はFcγR結合レベルを達成する特定のグリカンのレベルを決定する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
抗体組成物のFcγRII結合レベルと、この抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカンのレベル及び/又は非フコシル化グリカンのレベルとの間の統計的に有意な関連性を示すデータが、本明細書において初めて提供される。本明細書でさらに説明されているように、方程式A~D及び方程式1~10が挙げられるがこれらに限定されない表現は、抗体組成物のFcγRII結合と、この抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカン含量%及び/又は非フコシル化グリカン含量の%とを、統計的に有意に相関させる。そのような表現は、これらのグリカンのレベルに基づいて抗体組成物のFcγRII結合のレベルを予測する方法で有用である。様々な態様では、予測FcγRII結合レベルは、抗体組成物が治療閾値を満たすという点で許容可能であると識別されるマーカーとして機能し、そのため、1つ又は複数の下流の製造プロセスで使用され得るものを特定するか、或いは、許容できず、製造プロセスで進ませるべきではないものを特定する。本開示の相関関係は、所望の抗体組成物の糖プロファイルの特定においてさらに有用である。本明細書で示されている相関関係、及び所与の目標FcγRII結合レベルにより、目標FcγRII結合レベルを有する抗体組成物の糖プロファイル(例えば、β-ガラクトシル化グリカン、非フコシル化グリカンのプロファイル)が特定される。目標FcγRII結合レベルを有する抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカン及び非フコシル化グリカンの特定されたプロファイルにより、この特定されたプロファイルを目標として、製造プロセス(例えば、細胞培養)を実行し得る。
【0009】
従って、本開示は、抗体組成物の製品品質を決定する方法を提供する。様々な実施形態では、この製品品質は、抗体組成物のFcγRII結合レベルに基づいている。例示的な実施形態では、この方法は、(a)抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;(b)任意選択的に、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいて予測RcγRII結合レベルを算出すること;並びに(c)(i)非フコシル化グリカン含量及び/若しくはβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内であり、並びに/又は(ii)予測FcγRII結合レベルが目標範囲内である場合には、抗体組成物の製品品質が許容可能であると決定することを含む。
【0010】
本開示はまた、抗体組成物の製品品質をモニタリングする方法も提供する。例示的な実施形態では、この方法は、本開示の方法に従って第1の時点で得られた抗体組成物の第1の試料の製品品質を決定すること、及び本開示の方法に従って第2の時点で得られた抗体組成物の第2の試料の製品品質を決定することを含み、第2の時点は、第1の時点とは異なる。様々な態様では、第1の時点と第2の時点との間の抗体組成物の非フコシル化グリカン及び/又はβ-ガラクトシル化グリカンのレベルの差違は、この抗体組成物のFcRII結合のレベルでの差違の情報を提供する。
【0011】
本開示は、加えて、抗体組成物を製造する方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、抗体組成物の製品品質を決定することを含み、この抗体組成物の製品品質を、本開示の方法に従って決定し、試料は、インプロセス材料の試料であり、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内ではなく、この方法は、(d)細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して改変細胞培養物を得ること、並びに(e)この改変細胞培養物から得られた抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること、任意選択的に、この非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内になるまで(d)及び(e)を繰り返すことをさらに含む。代替の又は追加の例示的な実施形態では、この方法は、(a)抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;(b)(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいて抗体組成物のFcγRII結合レベルを決定すること;並びに(c)(b)で決定されたFcγRII結合のレベルに基づいて、下流の処理のためにこの抗体組成物を選択することを含む。
【0012】
抗体組成物のFcγRII結合のレベルを改変する方法が、されに提供される。例示的な実施形態では、この方法は、(a)FcγRIIのレベルを指定すること、並びに(b)抗体組成物の非フコシル化グリカン及び/又はβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを改変して、このFcγRIIの指定レベルを達成することを含む。
【0013】
本開示は、抗体組成物のFcγRII結合のレベルを決定する方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、抗体組成物の非フコシル化グリカン及び/又はβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを決定することを含む。本開示はまた、抗体組成物のFcγRII結合のレベルを予測する方法も提供する。例示的な実施形態では、この方法は、抗体組成物の非フコシル化グリカン及び/又はβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを決定することを含む。様々な態様では、抗体組成物の非フコシル化グリカン及び/又はβ-ガラクトシル化グリカンのレベルは、本明細書で提示される関連性により、抗体組成物のFcγRII結合の情報を提供する。
【0014】
抗体組成物のインビボでの有効性及び/又は副作用を予測する方法が、本開示により提供される。例示的な実施形態では、この方法は、(a)抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;並びに(b)(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいて、抗体組成物をインビボでの副作用の原因と予測することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2A】
図2Aは、代表的なグリカンマップクロマトグラム(フルスケールビュー)である。
図2Bは、代表的なグリカンマップクロマトグラム(拡大スケールビュー)である。
【
図2B】
図2Aは、代表的なグリカンマップクロマトグラム(フルスケールビュー)である。
図2Bは、代表的なグリカンマップクロマトグラム(拡大スケールビュー)である。
【
図3】
図3は、実施例2及び4で説明されている結合アッセイの一部の大まかな概略図である。
【
図4A】
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロット(leverage plot)である。
図4Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図4Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図4B】
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロット(leverage plot)である。
図4Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図4Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図4C】
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロット(leverage plot)である。
図4Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図4Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図4D】
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロット(leverage plot)である。
図4Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図4Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図4E】
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロット(leverage plot)である。
図4Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図4Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図4F】
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロット(leverage plot)である。
図4Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図4Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図4G】
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロット(leverage plot)である。
図4Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図4Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図4Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図4Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図5A】
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図5Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図5B】
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図5Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図5C】
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図5Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図5D】
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図5Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図5E】
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図5Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図5F】
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図5Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図5G】
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図5Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図5Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図5Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図6】
図6は、原薬製造及び製剤リリースアッセイに関して現在開示されている相関関係及びその例示的な適用の図である。インプロセス試料又はロットの試料のFcγRII結合又はエフェクター機能を試験する代わりに、この試料のβ-ガラクトシル化グリカン%及び非フコシル化グリカン%を測定して、抗体組成物を、継続製造又は下流の処理用に選択すべきかどうか、又はロットを販売すべきかどうかを決定する。
【
図7A】
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図7Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図7B】
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図7Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図7C】
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図7Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図7D】
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図7Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図7E】
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図7Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図7F】
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図7Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図7G】
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Cは、HMグリカンに関するFcγRIIa結合てこ比プロットである。
図7Dは、予測FcγIIa結合の関数として実際のFcγRIIa結合をプロットするグラフである。
図7Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図7Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIa結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図8A】
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図8Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図8B】
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図8Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図8C】
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図8Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図8D】
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図8Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図8E】
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図8Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図8F】
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図8Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【
図8G】
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Bは、非フコシル化グリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Cは、HMグリカンに関するFcγRIIb結合てこ比プロットである。
図8Dは、予測FcγRIIb結合の関数として実際のFcγRIIb結合をプロットするグラフである。
図8Eは、β-ガラクトシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Fは、非フコシル化グリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
図8Gは、高マンノースグリカン(%)の関数としてFcγIIb結合をプロットするグラフである。95%信頼空間を、網掛け領域で示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
グリコシル化、グリカン、及びグリカン測定方法
多くの分泌タンパク質は、翻訳後グリコシル化され、このプロセスにより、糖部分(例えば、グリカン、糖類)が、タンパク質の特定のアミノ酸に共有結合する。真核細胞では、下記の2種類のグリコシル化反応が起こる:(1)グリカンが認識配列Asn-X-Thr/Ser(ここで、「X」は、プロリン以外の任意のアミノ酸である)のアスパラギンに結合するN結合型グリコシル化、及び(2)グリカンがセリン又はスレオニンに結合するO結合型グリコシル化。グリコシル化のタイプ(N結合型又はO結合型)にかかわらず、各部位(O又はN)と結合するグリカン構造は広範囲にわたるため、タンパク質グリコフォームには微小不均一性がある。
【0017】
全てのN-グリカンは、共通のコア糖配列:Manα1-6(Manα1-3)Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAcβ1-Asn-X-Ser/Thr(Man3GlcNAc2Asn)を有しており、下記の3つのタイプのうちの1つに分類される:(A)2個のN-アセチルグルコサミン(GluNAc)部分、及び多数(例えば5、6、7、8、若しくは9個)のマンノース(Man)残基からなる高マンノース(HM)若しくはオリゴマンノース(OM)型、(B)2個超のGlcNAc部分、及び任意の数の他の糖タイプを含む複合型、又は(C)分枝の一方でMan残基を含み且つ複合枝の基部でGlcNAcを含むハイブリッド型。
【0018】
N結合型グリカンは、典型的には、ガラクトース(Gal)、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトサミン(GalN)、グルコース(GLc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、グルコサミン(GlcN)、マンノース(Man)、N-アセチルマンノサミン(ManNAc)、マンノサミン(ManN)、キシロース(Xyl)、N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)、2-ケト-3-デオキシノノン酸(Kdn)、フコース(Fuc)、グルクロン酸(GLcA)、イズロン酸(IdoA)、ガラクツロン酸(GalA)、マヌロン酸(ManA)のうちの1つ又は複数の単糖類を含む。一般に使用される糖類の記号で示された例示的なグリカン構造、及びその同一性を、
図1A及び
図1Bに示す。
【0019】
N結合型グリコシル化は、小胞体(ER)において開始され、複雑な一連の反応の結果、基本的に2個のGlcNAc残基及び3個のMan残基から作られるコアグリカン構造の結合が起こる。ERにおいて形成されたグリカン複合体は、ゴルジ装置において酵素の作用により修飾される。糖類が酵素に比較的接近しにくい場合には、これは、典型的には、元来のHM形態にとどまる。酵素が糖類に接近し得る場合、Man残基の多くが切り離され、糖類がさらに修飾され、その結果、複合型のN-グリカン構造が生じる。例えば、cis-ゴルジに位置するマンノシダーゼ-1は、HMグリカンを切断し得るか又は加水分解し得るが、メディアル-ゴルジに位置するフコシルトランスフェラーゼFUT-8は、グリカンをフコシル化する(Hanrue Imai-Nishiya(2007),BMC Biotechnology,7:84)。
【0020】
従って、グリカン構造の糖組成及び構造立体配置は、とりわけ、ER及びゴルジ装置におけるグリコシル化機序、その機序の酵素のグリカン構造への到達性、各酵素の作用の順序、及びタンパク質がグリコシル化機序から放出される段階に依存して変動する。
【0021】
糖タンパク質含有組成物中に存在するグリカンを評価するために、又は糖タンパク質を含む特定の試料のグリコフォームプロファイル(例えば、グリコプロファイル)を決定するか、検出するか、若しくは測定するために、様々な方法が当該技術分野で知られている。好適な方法として下記が挙げられるが、これらに限定されない:陽イオンMALDI-TOF分析、陰イオンMALDI-TOF分析、弱陰イオン交換(WAX)クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー(NP-HPLC)、エキソグリコシダーゼ消化、Bio-Gel P-4クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、及び一次元n.m.r.分光法、並びにこれらの組み合わせ。例えば、Mattu et al.,JBC 273:2260-2272(1998);Field et al.,Biochem J 299(Pt 1):261-275(1994);Yoo et al.,MAbs 2(3):320-334(2010)Wuhrer M.et al.,Journal of Chromatography B,2005,Vol.825,Issue 2,pages 124-133;Ruhaak L.R.,Anal Bioanal Chem,2010,Vol.397:3457-3481及びGeoffrey,R.G.et.al.Analytical Biochemistry 1996,Vol.240,pages 210-226を参照されたい。また、本明細書中に示す実施例1では、糖タンパク質含有組成物(例えば、抗体組成物)中に存在するグリカンを評価するのに好適な方法が説明されている。実施例1の方法は、組成物のグリコシル化タンパク質(例えば、抗体組成物の抗体)に結合したグリカンをタンパク質(例えば、抗体)から酵素により切断するアッセイを説明する。グリカンは、続いて親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)によって分離され、いくつかのピークを有するクロマトグラムが作成される。このクロマトグラムの各ピークは、異なるグリカンの平均分布(量)を示す。異なるグリカンのピークを含む例示的なHILICクロマトグラムの2つの図を、
図2A及び2Bに示す。これらの目的のために、ピーク面積%=ピーク面積/総ピーク面積×100%、及び総ピーク面積%=試料の総面積/標準の総面積×100%である。従って、特定のグリカン(又はグリカンの群)のレベルを、%として報告する。例えば、抗体組成物が30%のMan6レベルを有すると特徴付けられる場合には、この組成物の抗体から切断された全てのグリカンの30%がMan6であることを意味する。
【0022】
本開示(本明細書に示される相関、関連、及び方程式を含む)は、抗体組成物の非フコシル化グリカン、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン、及び/又は高マンノースグリカンに関する。本明細書で使用される場合、「非フコシル化グリカン」又は「AFグリカン」という用語は、コアフコース、例えば、N-グリコシル化部位のAsnとのアミド結合に関与するGlcNAc残基上のα1,6-結合型フコースを欠くグリカンを指す。非フコシル化グリカンとして、A1G0、A2G0、A2G1a、A2G1b、A2G2、及びA1G1M5が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる非フコシル化グリカンとして、例えば、A1G1a、G0[H3N4]、G0[H4N4]、G0[H5N4]、FO-N[H3N3]が挙げられる。例えば、Reusch and Tejada,Glycobiology 25(12):1325-1334(2015)を参照されたい。非フコシル化グリカンのレベルは、種々の態様では、各非フコシル化グリカン種の%を合計することにより得られ、例えば、A1G0%、A2G0%、A2G1a%、A2G1b%、A2G2%、A1G1M5%、A1G1a%、G0[H3N4]%、G0[H4N4]%、G0[H5N4]%、及びFO-N[H3N3]%を合計することにより得られる。本明細書で使用される場合、「β-ガラクトシル化グリカン」という用語は、「末端ガラクトースグリカン」と同義であり、1つ又は2つのガラクトース分子を含む任意のグリカンを指す。1つのガラクトース分子を含むグリカンは、グリカン名では「G1」(例えば、「G1a」又は「G1b」)と命名されており、2つのガラクトース分子を含むグリカンは、グリカン名では「G2」と命名されている。従って、β-ガラクトシル化グリカンは、様々な態様では、G1-ガラクトシル化グリカン、G1a-ガラクトシル化グリカン、G1b-ガラクトシル化グリカン、又はG2-ガラクトシル化グリカンである。β-ガラクトシル化グリカンは、様々な態様では、コアフコースを(例えば、A2G1F、A2G2F)を含む。或いは、β-ガラクトシル化グリカンは、コアフコース(例えば、A2G1(例えば、A2G1a及びA2G1b)並びにA2G2(又はG1及びG2))を欠いている。いくつかの実施形態では、ガラクトシル化グリカンは、それぞれA1G1M5及びA1G1によって例示される、高マンノースアーム及びガラクトース含有アームを含むハイブリッド型グリカン、並びにシングルアームグリカンである。β-ガラクトシル化グリカンは、コアフコースを欠いている可能性がある(そのため、非フコシル化グリカンのサブセットを表す)が、β-ガラクトシル化グリカンは、ある特定の特徴を有しており、且つ別個のグリカン基と称される場合があることに留意されたい。従って、別途特に明記しない限り、β-ガラクトシル化グリカンは、別個の特徴を表すものと理解されており、且つ非フコシル化グリカンとは別に分類され得るか、又は非フコシル化グリカンの追加の特性として分類され得る。β-ガラクトシル化グリカンのレベルは、様々な態様では、各β-ガラクトシル化グリカン種の%を合計することにより得られ、例えば、各G1-ガラクトシル化グリカン種、各G1a-ガラクトシル化グリカン種、各G1b-ガラクトシル化グリカン種、及び各G2-ガラクトシル化グリカン種の%を合計することにより得られる。本明細書で使用される場合、「高マンノースグリカン」又は「HMグリカン」という用語は、それぞれMan5、Man6、Man7、Man8、及びMan9と略称される、5、6、7、8、又は9個のマンノース残基を含むグリカンを包含する。HMグリカンのレベルは、様々な態様では、Man5%、Man6%、Man7%、Man8%、及びMan9%を合計することにより得られる。
【0023】
例示的な態様では、グリカンレベル(例えば、任意選択的に%で表されるグリカン含量、例えば、AFグリカン%、β-ガラクトシル化グリカン%、HMグリカン%)は、糖タンパク質含有組成物中に存在するグリカンを評価するための、又は糖タンパク質を含む特定の試料のグリコフォームプロファイル(例えば、グリコプロファイル)を決定するか、検出するか、若しくは測定するための、当該技術分野で既知の様々な方法のうちのいずれかにより決定される(例えば、測定される)。例示的な事例では、抗体組成物のグリカンレベル(例えば、AFグリカン%、β-ガラクトシル化グリカン%、HMグリカン%)は、クロマトグラフィーに基づく方法(例えば、HILIC)により抗体組成物の試料中におけるそのようなグリカンのレベルを測定することにより決定され、このグリカンレベルは、本明細書で説明されているように%で表される。例えば、実施例1を参照されたい。例示的な事例では、抗体組成物のグリカンレベルは、この組成物の抗体から切断された全てのグリカンの%として表される。様々な態様では、グリカンレベル(例えば、AFグリカン%、β-ガラクトシル化グリカン%、HMグリカン%)は、抗体組成物の試料中におけるそのようなグリカンのレベルを測定することにより決定される(例えば、測定される)。例示的な事例では、抗体組成物の少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個の試料が採取され、各試料について、グリカンレベル(例えば、AFグリカン%、β-ガラクトシル化グリカン%、HMグリカン%)が決定される(例えば、測定される)。様々な態様では、AFグリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%の平均(mean)又は平均(average)が決定される。
【0024】
FcγRII結合
Fc受容体は、Bリンパ球、濾胞樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、血小板、及び肥満細胞の表面上の受容体であって、抗体のFc領域に結合する受容体である。Fc受容体は、それが結合する抗体のタイプに基づいて異なるクラスに分類される。例えば、Fcγ受容体は、IgG抗体のFc領域に対する受容体であり、Fcアルファ受容体は、IgA抗体のFc領域に対する受容体であり、Fcイプシロン受容体は、IgE抗体のFc領域に対する受容体である。
【0025】
「FcγR」又は「Fc-ガンマ受容体」という用語は、オプソニン化された細胞又は微生物の食作用の誘導に関与するIgGスーパーファミリに属するタンパク質を指す。例えば、Fridman WH.Fc receptors and immunoglobulin binding factors.FASEB Journal.5(12):2684-90(1991)を参照されたい。Fcガンマ受容体ファミリのメンバーとして、FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、FcγRIIB(CD32)、FcγRIIIA(CD16a)、及びFcγRIIIB(CD16b)が挙げられる。FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、及びFcγRIIIBの配列は、多くの配列データベースで見出され得、例えば、Uniprotデータベース(www.uniprot.org)のアクセッション番号P12314(FCGR1_HUMAN)、P12318(FCG2A_HUMAN)、P31994(FCG2B_HUMAN)、P08637(FCG3A_HUMAN)、及びP08637(FCG3A_HUMAN)の下にそれぞれ見出され得る。
【0026】
ヒト内在性膜受容体糖タンパク質のFcγRIIファミリとして、FcγRIIa、FcγRIIc、及びFcγRIIbが挙げられる。FcγRIIa及びFcγRIIcは、FcγRIIbの機能に対向する細胞機能を有する。FcγRIIaタンパク質は、活性化Fc受容体であるのに対して、FcγRIIbは、抑制性であり、B細胞の活性化型Fc受容体及び抗原受容体の作用を調節する免疫チェックポイントと考えられている。FcγRIIcは、FcγRIIaと類似しており、活性化Fc受容体と考えられている。FcγRIIaは、顆粒球、単球、及び単球由来細胞(例えば、マクロファージ、及び樹状細胞(DC))上で発現されている。IgG架橋によるFcγRIIaの関与は、様々なエフェクター機能を開始し得、例えば、食作用、IgGでオゾン化された標的細胞を殺傷するための好中球及び他の骨髄エフェクター細胞の活性化、炎症性メディエータを放出するための顆粒球の活性化、T細胞の増殖、及びT細胞により媒介されるサイトカイン分泌、並びに血管損傷後の血小板の活性化、接着、及び凝集を開始し得る。FcγRIIタンパク質の構造及び機能は、Anania et al.,Front.Immunol.10:464(2019)で概説されており;doi.org/10.3389/fimmu.2019.00464にてワールド・ワイド・ウェブでアクセス可能である。
【0027】
本開示(本明細書に示される相関、関連、及び方程式を含む)は、抗体組成物のFcγRII結合のレベルに関する。抗体組成物のFcγRII結合レベルを測定する方法は、当該技術分野で既知であり、その例示的な方法は、本明細書で説明されており(例えば、実施例2及び4を参照されたい)、本明細書で提示されているデータは、抗体組成物のFcγRII結合にレベルがこの抗体組成物の糖プロファイルにより予測され得ることを裏付ける。例示的な事例では、抗体組成物の非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%を使用して、この抗体組成物のFcγRII結合のレベルを算出し得るか、又は予測し得る。同様に、抗体エフェクター機能は、抗体FcドメインとFcγRIIとの結合時に誘導されることを考慮すると、抗体組成物のFcγRII結合のレベルは、様々な事例では、エフェクター機能の代理として機能し、その結果、抗体組成物の非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%を使用して、この抗体組成物のエフェクター機能のレベルを算出し得るか、又は予測し得、このエフェクター機能は、FcγRII結合時に活性化される。例示的な態様では、本開示は、抗体組成物の非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%を、FcγRIIa結合のレベルに関連付ける。代替な又は追加の態様では、本開示は、抗体組成物の非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%を、FcγRIIb結合のレベルに関連付ける。
【0028】
本開示の、抗体組成物の非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%と、FcγRII結合のレベルとを結びつける関係は、様々な事例では、所望のFcγRII結合活性が一貫して且つ意図されたレベルで送達され得ることを確実にするためのプロセス制御手段の設計に有用である。この相関関係を利用して、一貫した臨床成績を保証し得、バイオシミラー候補の機能的類似性を達成し得、且つ治療的抗体処置の潜在的なインビボでの効果を予測し得る。
【0029】
様々な態様では、本開示に基づいて、抗体組成物の非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%に基づいて、FcγRII結合レベルを算出し得る。様々な態様では、抗体組成物の非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%は、この抗体組成物の試料に基づいて測定された量である。様々な事例では、測定された非フコシル化グリカン%、及び/又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又は測定されたHMグリカン%は、HILICが挙げられるがこれに限定されない方法により測定される。様々な事例では、測定された非フコシル化グリカン%、及び/又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又は測定されたHMグリカン%は、実施例1で説明されている方法が挙げられるがこれに限定されない方法により測定される。
【0030】
様々な態様では、本開示に基づいて、非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%を、既知の、又は予め決定された、又は予め選択された、又は目標のFcγRII結合レベルに基づいて算出し得る。様々な事例では、抗体組成物の特定の抗体が産生されると仮定すると、目標FcγRII結合レベル又はFcγRII結合レベルの目標範囲は、既知である。例えば、抗体は、参照抗体と同一のアミノ酸配列(又は参照抗体のアミノ酸配列と少なくとも95%、97%、若しくは99%同一のアミノ酸配列)を含み得、目標FcγRII結合レベル又はその範囲は、参照抗体に関して既知である。例示的な態様では、目標の非フコシル化グリカン%、及び/又は目標のβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又は目標のHMグリカン%は、非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%と、FcγRII結合レベルとを相関させる第1のモデルに基づいて算出される。様々な事例では、第1のモデルは、線形回帰モデルである。様々な態様では、FcγRII結合レベルと、非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン%、及び/又はHMグリカン%とを相関させる第1のモデルは、その低いp値により実証されるように統計的に有意である。様々な態様では、p値は、0.05未満である。様々な事例では、p値は、0.01未満であるか、又は0.001未満である。様々な事例では、p値は、0.0001未満である。
【0031】
例示的な態様では、抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカン含量は、FcγRII結合レベルと正に相関する。様々な態様では、より高レベルのβ-ガラクトシル化グリカン含量は、より高いFcγRII結合レベルと相関し、より低レベルのβ-ガラクトシル化グリカン含量は、より低いFcγRII結合レベルと相関する。例示的な態様では、抗体組成物の非フコシル化グリカン含量は、FcγRII結合レベルと負に相関する。様々な態様では、より高レベルの非フコシル化グリカン含量は、より低いFcγRII結合レベルと相関し、より低レベルの非フコシル化グリカン含量は、より高いFcγRII結合レベルと相関する。例示的な態様では、抗体組成物の高マンノースグリカン含量は、FcγRII結合 レベルと相関する。例示的な事例では、この相関は、負の相関である。様々な態様では、より高レベルのHMグリカン含量は、より低いFcγRII結合レベルと相関し、より低レベルのHMグリカン含量は、より高いFcγRII結合レベルと相関する。
【0032】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、FcγRIIa結合のレベルである。例示的な事例では、FcγRIIa結合レベルは、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、方程式A:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式A]
(式中、mは、約0.535~約1.091であり、yは、約72.58~約85.78であり、BG%は、(a)で決定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0033】
例示的な事例では、方程式Aのmは、0.813であり、及び/又は方程式Aのyは、79.18である。代替の例示的な事例では、方程式Aのmは、0.778であり、及び/又は方程式Aのyは、81.76である。
【0034】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)に基づいて算出される。FcγRII結合レベルは、様々な事例では、方程式B:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式B]
(式中、mは、約-13.73~約-7.54であり、yは、約108.8~約119.1であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0035】
様々な態様では、方程式Bのmは、-10.63であり、及び/又は方程式Bのyは、114である。代替の例示的な事例では、方程式Bのmは、-9.53であり、及び/又は方程式Bのyは、114である。
【0036】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)とに基づいている。
【0037】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、方程式3:
FcγRII結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877
[方程式3]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0038】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、FcγRIIb結合のレベルである。例示的な事例では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、方程式C:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式C]
(式中、mは、約0.3260~約0.9697であり、yは、約77.72~約92.99であり、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0039】
様々な事例では、方程式Cのmは、0.648であり、及び/又は方程式Cのyは、85.36である。代替の例示的な事例では、方程式Cのmは、0.644であり、及び/又は方程式Cのyは、86.34である。
【0040】
例示的な事例では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)に基づいて算出される。FcγRII結合レベルは、様々な事例では、方程式D:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式D]
(式中、mは、約-12.02~約-6.247であり、yは、約109.3~約118.9であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0041】
様々な態様では、方程式Dのmは、約-9.132であり、及び/又は方程式Dのyは、約114である。代替の例示的な事例では、方程式Dのmは、-7.102であり、及び/又は方程式Dのyは、111.9である。
【0042】
様々な態様では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)とに基づいて算出される。例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、方程式4:
FcγRII結合=0.461*BG%+(-4.429)*AF%+105.731
[方程式4]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0043】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された高マンノース(HM)グリカン含量(例えば、HMグリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたHMグリカン含量(HMグリカン%)とに基づいて算出される。例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIa結合レベルは、方程式5:
FcγRII結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877+(-1.343)*HM%
[方程式5]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0044】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIa結合レベルは、方程式9:
FcγRII結合=0.545*BG%+(-4.466)*AF%+102.7+(-2.036)*HM%
[方程式9]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0045】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIb結合レベルは、方程式6:
FcγRII結合=0.461*BG%+(-4.429)*AF%+105.731+(-1.883)*HM%
[方程式6]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0046】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIb結合レベルは、方程式10:
FcγRII結合=0.590*BG%+(-2.04)*AF%+99.2+(-1.91)*HM%
[方程式10]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0047】
製品品質を決定する方法及び/又はモニタリングする方法
本開示に基づいて、抗体組成物の製品品質を決定し得、及び/又はモニタリングし得る。従って、本開示は、抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、この抗体組成物の製品品質は、この抗体組成物のFcγII結合レベルに基づく、方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、(a)抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;(b)任意選択的に、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいてFcγRII結合レベルを算出すること;並びに(c)(i)非フコシル化グリカン含量及び/若しくはβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内である場合、並びに/又は(ii)FcγRII結合レベルが、目標範囲内である場合には、抗体組成物の製品品質を許容可能と決定することを含む。
【0048】
様々な態様では、FcγRII結合レベルの目標範囲、非フコシル化グリカン含量の目標範囲、及び/又はβ-グリコシル化グリカン含量の目標範囲は、参照抗体のFcγRII結合レベル、非フコシル化グリカン含量、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいている。様々な事例では、この参照抗体は、キメラ定常領域を含む。例示的な事例では、この参照抗体のキメラ定常領域は、IgG2定常領域の一部と、IgG4定常領域の一部とを含む。様々な態様では、このキメラ定常領域は、CH1、及び/又はIgG2のヒンジ、及び/又はIgG4のCH2-CH3を含む。例示的な事例では、このキメラ定常領域は、配列番号15のキメラ定常領域を含む。任意選択的に、この参照抗体は、エクリズマブである。
【0049】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、FcγRIIa結合のレベルである。例示的な事例では、FcγRIIa結合レベルは、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、方程式A:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式A]
(式中、mは、約0.535~約1.091であり、yは、約72.58~約85.78であり、BG%は、(a)で決定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0050】
例示的な事例では、方程式Aのmは、0.813であり、及び/又は方程式Aのyは、79.18である。代替の例示的な事例では、方程式Aのmは、0.778であり、及び/又は方程式Aのyは、81.76である。
【0051】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)に基づいて算出される。FcγRII結合レベルは、様々な事例では、方程式B:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式B]
(式中、mは、約-13.73~約-7.54であり、yは、約108.8~約119.1であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0052】
様々な態様では、方程式Bのmは、-10.63であり、及び/又は方程式Bのyは、114である。代替の例示的な事例では、方程式Bのmは、-9.53であり、及び/又は方程式Bのyは、114である。
【0053】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)とに基づいている。
【0054】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、方程式3:
FcγRII結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877
[方程式3]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0055】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、FcγRIIb結合のレベルである。例示的な事例では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、方程式C:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式C]
(式中、mは、約0.3260~約0.9697であり、yは、約77.72~約92.99であり、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0056】
様々な事例では、方程式Cのmは、0.648であり、及び/又は方程式Cのyは、85.36である。代替の例示的な事例では、方程式Cのmは、0.644であり、及び/又は方程式Cのyは、86.34である。
【0057】
例示的な事例では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)に基づいて算出される。FcγRII結合レベルは、様々な事例では、方程式D:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式D]
(式中、mは、約-12.02~約-6.247であり、yは、約109.3~約118.9であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0058】
様々な態様では、方程式Dのmは、約-9.132であり、及び/又は方程式Dのyは、約114である。代替の例示的な事例では、方程式Dのmは、-7.102であり、及び/又は方程式Dのyは、111.9である。
【0059】
様々な態様では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)とに基づいて算出される。例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、方程式4:
FcγRII結合=0.461*BG%+(-4.429)*AF%+105.731
[方程式4]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0060】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された高マンノース(HM)グリカン含量(例えば、HMグリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたHMグリカン含量(HMグリカン%)とに基づいて算出される。例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIa結合レベルは、方程式5:
FcγRII結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877+(-1.343)*HM%
[方程式5]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0061】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIa結合レベルは、方程式9:
FcγRII結合=0.545*BG%+(-4.466)*AF%+102.7+(-2.036)*HM%
[方程式9]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0062】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIb結合レベルは、方程式6:
FcγRII結合=0.461*BG%+(-4.429)*AF%+105.731+(-1.883)*HM%
[方程式6]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0063】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIb結合レベルは、方程式10:
FcγRII結合=0.590*BG%+(-2.04)*AF%+99.2+(-1.91)*HM%
[方程式10]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0064】
例示的な態様では、本方法は、品質管理(QC)アッセイである。例示的な態様では、この方法は、インプロセスQCアッセイである。様々な態様では、試料は、インプロセス材料の試料である。様々な事例では、AFグリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量は、回収前に決定されるか、又は回収後に決定される。例示的な事例では、AFグリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量は、クロマトグラフィー後に決定される。任意選択的に、このクロマトグラフィーは、キャプチャークロマトグラフィー、中間クロマトグラフィー、及び/又はポリッシュクロマトグラフィーを含む。いくつかの態様では、AFグリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量は、ウイルスの不活化及び中和、ウイルス濾過、又は緩衝液交換の後に決定される。本方法は、様々な実例では、ロットリリースアッセイである。試料は、いくつかの態様では、製造ロットの試料である。
【0065】
様々な態様では、本方法は、(i)非フコシル化グリカン含量及び/若しくはβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内である場合に、並びに/又はFcγRII結合レベルが目標範囲内である場合に、下流の処理のためにこの抗体組成物を選択することをさらに含む。(a)で決定されたAFグリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内ではない場合には、様々な態様では、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して改変細胞培養物を得る。この方法は、いくつかの態様では、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変した後に得られた抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することをさらに含み、例えば、改変細胞培養物の抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することをさらに含む。様々な態様では、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内ではない場合には、この方法は、(d)細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して改変細胞培養物を得ること、並びに(e)この改変細胞培養物から得られた抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することをさらに含む。例示的な態様では、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内ではない場合には、この方法は、(d)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内になるまで(d)及び(d)をさらに含む。
【0066】
例示的な事例では、抗体組成物のFcγRII結合を直接測定するアッセイを、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内ではない(例えば目標範囲外である)場合にのみ、この抗体組成物に対して実行する。FcγRII結合活性を直接測定するアッセイとして、例えば、実施例2又は実施例4で説明されているアッセイが挙げられる。例示的な事例では、抗体組成物のFcγRII結合を直性測定するアッセイを、この抗体組成物に対して実行しない。様々な態様では、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することは、抗体組成物の製品品質を決定するために必要な唯一の工程である。理論に拘束されないが、本明細書で説明されている統計的に有意な相関により、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量がFcγRII結合レベルを示すことを可能になり、そのため、FcγRII結合レベルを直接測定するアッセイは、必要ではない。従って、抗体組成物のFcγRII結合レベルの直性測定は必要でなくなり、そのため、本開示の方法の様々な態様で実行されない。
【0067】
様々な態様では、本方法は、FcγRII結合レベル基準に関して製品品質を決定する。様々な態様では、このFcγRII結合レベル基準は、抗体組成物の許容基準のうちの1つである。本開示の方法は、様々な態様では、医薬品のバッチが、その承認及び販売(例えば、米国の21 CFR 211.165に準ずる承認及び販売)の条件として、適切な規格及び適切な統計的品質管理基準のそれぞれを満たすことを保証することを目的とする。様々な態様では、製品品質を決定する本開示の方法は、適切な許容レベル及び/又は適切な拒絶レベルを含む統計的品質管理基準を満たす。「許容基準」、「ロット」、及び「インプロセス」(これらに限定されない)を含む用語は、連邦規則集(CFR)第21章第210.3項に定義されるその意味に従う。
【0068】
本開示はまた、抗体組成物の製品品質をモニタリングする方法であって、この抗体組成物のFcγRII結合レベルは、この抗体組成物の製品品質の基礎とする基準である、方法も提供する。例示的な実施形態では、この方法は、第1の時点で得られた第1の試料と、第1の時点とは異なる第2の時点で採取された第2の試料とを用いて、本開示の方法に従って抗体組成物の製品品質を決定することを含む。様々な事例では、第1の試料及び第2の試料のそれぞれは、インプロセス材料の試料である。様々な態様では、第1の試料は、インプロセス材料の試料であり、第2の試料は、製造ロットの試料である。任意選択的に、第1の試料は、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変する前に得られた試料であり、第2の試料は、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変した後に得られた試料である。例示的な事例では、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量は、第1の試料及び第2の試料のそれぞれに関して決定される。抗体組成物の製品品質を決定するために、並びに非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定するために、追加の試料を得ることができる。抗体組成物の製品品質は、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内であるかどうかに依存する。例示的な態様では、非フコシル化グリカ含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量の目標範囲は、参照抗体に基づいている。様々な態様では、FcγRII結合レベルの目標範囲、非フコシル化グリカ含量の目標範囲、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量の目標範囲は、参照抗体のFcγRII結合レベル、非フコシル化グリカン含量、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいている。様々な事例では、参照抗体は、キメラ定常領域を含む。例示的な事例では、参照抗体のキメラ定常領域は、IgG2定常領域の一部と、IgG4定常領域の一部とを含む。様々な態様では、このキメラ定常領域は、CH1、及び/又はIgG2のヒンジ、及び/又はIgG4のCH2-CH3を含む。例示的な事例では、このキメラ定常領域は、配列番号15のキメラ定常領域を含む。任意選択的に、この参照抗体は、エクリズマブである。
【0069】
抗体組成物を製造する方法
本開示は、抗体組成物を製造する方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、抗体組成物の製品品質を決定することであって、この抗体組成物の製品品質は、本開示の方法に従って決定される、決定することを含む。任意選択的に、この方法は、抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することを含み、この試料は、インプロセス材料の試料である。様々な事例では、この方法は、(a)で決定された非フコシル化グルカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が、本明細書で定義されている目標範囲内である場合には、抗体組成物の製品品質が許容可能であると決定し、及び/又はFcγRII結合レベル基準を達成していると決定することを含む。例示的な態様では、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量の目標範囲は、参照抗体のFcγrII結合レベルの目標範囲に基づいている。様々な態様では、(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内ではない場合には、この方法は、(iii)細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して改変細胞培養物を得ること、及び(d)改変細胞培養物から得られた抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること、任意選択的に、この非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内になるまで(iii)及び(d)を繰り返すことをさらに含む。様々な事例では、試料は、抗体組成物の抗体を発現する細胞を含む細胞培養物の試料である。様々な事例では、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を改変する。様々な事例では、宿主細胞又はクローンを、改変された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が得られるように選択する。様々な態様では、この方法は、AFグリカン含量を改変することを含む。例示的な態様では、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、抗体組成物のAFグリカン含量を改変する。例示的な態様では、1つ又は複数の条件は、主にAFグリカン含量を改変する。様々な事例では、1つ又は複数の条件は、AFグリカン含量を改変し、且つβ-ガラクトシル化グリカン含量を改変しない。例示的な態様では、この方法は、β-ガラクトシル化グリカン含量を改変することを含む。任意選択的に、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカン含量を改変する。いくつかの事例では、1つ又は複数の条件は、主にβ-ガラクトシル化グリカン含量を改変する。いくつかの態様では、1つ又は複数の条件は、β-ガラクトシル化グリカン含量を改変し、且つAFグリカン含量を改変しない。様々な事例では、この方法は、非フコシル化グリカン含量及びβ-ガラクトシル化グリカン含量の両方が目標範囲内になるまで、非フコシル化(AF)グリカン含量の改変を繰り返すこと、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量の改変を繰り返すことを含む。最終的に、この方法は、FcγRII結合(計算値又は予測値)が目標範囲内になるまで、非フコシル化(AF)グリカン含量を改変すること、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を改変することを含む。様々な態様では、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、HMグリカン含量を主に変化させてFcγRII結合の目標範囲を達成し、及び/又は細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、β-ガラクトシル化グリカン含量を主に変化させてFcγRII結合の目標範囲を達成する。
【0070】
例示的な態様では、目標範囲は、参照抗体の目標範囲である。例えば、参照抗体のFcγRII結合レベルの目標範囲が既知である場合には、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量の目標レベルを、本明細書に記載されている相関関係に従って算出し得る。或いは、参照抗体の非フコシル化グリカン含量の目標範囲が既知であり、及び/又は参照抗体のβ-ガラクトシル化グリカン含量の目標範囲が既知である場合には、参照抗体のFcγRII結合レベルの目標範囲を算出し得る。
【0071】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、FcγRIIa結合のレベルである。例示的な事例では、FcγRIIa結合レベルは、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、方程式A:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式A]
(式中、mは、約0.535~約1.091であり、yは、約72.58~約85.78であり、BG%は、(a)で決定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0072】
例示的な事例では、方程式Aのmは、0.813であり、及び/又は方程式Aのyは、79.18である。代替の例示的な事例では、方程式Aのmは、0.778であり、及び/又は方程式Aのyは、81.76である。
【0073】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)に基づいて算出される。FcγRII結合レベルは、様々な事例では、方程式B:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式B]
(式中、mは、約-13.73~約-7.54であり、yは、約108.8~約119.1であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0074】
様々な態様では、方程式Bのmは、-10.63であり、及び/又は方程式Bのyは、114である。代替の例示的な事例では、方程式Bのmは、-9.53であり、及び/又は方程式Bのyは、114である。
【0075】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)とに基づいている。
【0076】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、方程式3:
FcγRII結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877
[方程式3]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0077】
例示的な態様では、FcγRII結合レベルは、FcγRIIb結合のレベルである。例示的な事例では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、方程式C:
FcγRII結合レベル=m*BG%+y
[方程式C]
(式中、mは、約0.3260~約0.9697であり、yは、約77.72~約92.99であり、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0078】
様々な事例では、方程式Cのmは、0.648であり、及び/又は方程式Cのyは、85.36である。代替の例示的な事例では、方程式Cのmは、0.644であり、及び/又は方程式Cのyは、86.34である。
【0079】
例示的な事例では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)に基づいて算出される。FcγRII結合レベルは、様々な事例では、方程式D:
FcγRII結合レベル=m*AF%+y
[方程式D]
(式中、mは、約-12.02~約-6.247であり、yは、約109.3~約118.9であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
に従って算出される。
【0080】
様々な態様では、方程式Dのmは、約-9.132であり、及び/又は方程式Dのyは、約114である。代替の例示的な事例では、方程式Dのmは、-7.102であり、及び/又は方程式Dのyは、111.9である。
【0081】
様々な態様では、FcγRIIb結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)とに基づいて算出される。例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、方程式4:
FcγRII結合=0.461*BG%+(-4.429)*AF%+105.731
[方程式4]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0082】
例示的な事例では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された高マンノース(HM)グリカン含量(例えば、HMグリカン%)に基づいて算出される。様々な態様では、FcγRII結合レベルは、決定されたか又は測定された非フコシル化グリカン含量(例えば、非フコシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたβ-ガラクトシル化グリカン含量(例えば、β-ガラクトシル化グリカン%)と、決定されたか又は測定されたHMグリカン含量(HMグリカン%)とに基づいて算出される。例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIa結合レベルは、方程式5:
FcγRII結合=0.576*BG%+(-4.978)*AF%+98.877+(-1.343)*HM%
[方程式5]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0083】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIa結合レベルは、方程式9:
FcγRII結合=0.545*BG%+(-4.466)*AF%+102.7+(-2.036)*HM%
[方程式9]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0084】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIb結合レベルは、方程式6:
FcγRII結合=0.461*BG%+(-4.429)*AF%+105.731+(-1.883)*HM%
[方程式6]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0085】
例示的な態様では、抗体組成物のFcγRIIb結合レベルは、方程式10:
FcγRII結合=0.590*BG%+(-2.04)*AF%+99.2+(-1.91)*HM%
[方程式10]
(式中、BG%は、β-ガラクトシル化グリカン含量%であり、AF%は、非フコシル化グリカン含量%であり、HM%は、高マンノースグリカン含量%である)
の直線の95%信頼区間内のレベルである。
【0086】
例示的な実施形態では、本開示の抗体組成物を製造する方法は、(a)抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定すること;(b)(a)で決定された非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量に基づいて抗体組成物のFcγRII結合レベルを決定すること;並びに(c)(b)で決定されたFcγRII結合のレベルに基づいて、下流の処理のためにこの抗体組成物を選択することを含む。様々な事例では、抗体組成物の抗体は、キメラ定常領域を含む。例示的な事例では、この抗体組成物の抗体のキメラ定常領域は、IgG2定常領域の一部と、IgG4定常領域の一部とを含む。様々な態様では、このキメラ定常領域は、CH1、及び/又はIgG2のヒンジ、及び/又はIgG4のCH2-CH3を含む。例示的な事例では、このキメラ定常領域は、配列番号15のキメラ定常領域を含む。
【0087】
様々な事例では、抗体組成物は、エクリズマブの重鎖及び軽鎖を含む抗C5抗体を含む。任意選択的に、試料は、抗体組成物の抗体を発現するグリコシル化コンピテント細胞を含む細胞培養物に由来する。例示的な態様では、本方法は、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、抗体組成物の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を改変すること、並びに改変された細胞培養物から採取した抗体組成物の試料の非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量を決定することをさらに含む。例示的な事例では、この方法は、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、抗体組成物の非フコシル化グリカンのレベルを増加させてこの抗体組成物のFcγRII結合のレベルを低下させること、及び/又は細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを低下させてこの抗体組成物のFcγRII結合のレベルを低下させることをさらに含む。任意選択的に、この方法は、細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、抗体組成物の非フコシル化グリカンのレベルを低下させてこの抗体組成物のFcγRII結合のレベルを増加させること、及び/又は細胞培養の1つ又は複数の条件を改変して、抗体組成物のβ-ガラクトシル化グリカンのレベルを増加させてこの抗体組成物のFcγRII結合のレベルを増加させることをさらに含む。例示的な態様では、この方法は、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内になるまで前記改変することを繰り返すことをさらに含む。例示的な事例では、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量は、抗体組成物の製造に関してリアルタイムで決定される。例示的な態様では、この方法は、非フコシル化グリカン含量及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量が目標範囲内である場合に、下流の処理のためにこの抗体組成物を選択することを含む。任意選択的に、この方法は、FcγRII結合レベルが目標範囲内である場合に、下流の処理のためにこの抗体組成物を選択することを含む。様々な事例では、FcγRII結合のレベルを決定することは、ADCC、ADCP、及び/又はCDCのレベルを決定することを含む。様々な事例では、この方法は、抗体組成物のADCC、ADCP、及び/又はCDCのレベルを指定することであって、選択された抗体組成物は、指定レベルのADCC、ADCP、及び/又はCDCを含む、指定することをさらに含む。
【0088】
処理工程
非フコシル化グリカン%及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%が決定されて(例えば測定されて)、抗体組成物のFcγRII結合レベルに関するよりよい情報が得られる。決定すること(例えば、測定すること)を、製造の任意の時点で行い得る。特に、測定を、回収前又は回収後、例えば、任意のクロマトグラフィー単位操作、例えば、キャプチャークロマトグラフィー、中間クロマトグラフィー、及び/若しくはポリッシュクロマトグラフィー単位操作;ウイルスの不活化及び中和、ウイルス濾過;並びに/又は最終製剤化に続く下流の処理中の任意の段階で行い得る。様々な態様での非フコシル化グリカン%及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%は、リアルタイム、準リアルタイム、及び/又は事後に決定される(例えば、測定される)。モニタリング及び測定を、既知の手法及び市販の装置を使用して行い得る。
【0089】
本開示の様々な態様では、非フコシル化グリカン%及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%を決定すること(例えば、測定すること)を、回収前に実行する。本明細書で使用される場合、「回収する(harvest)」という用語は、目的の組換えタンパク質を含有する細胞培養培地が収集され、細胞培養物の少なくとも細胞から分離される工程を指す。回収を、連続的に実施し得る。いくつかの態様では、回収を、遠心分離を使用して実施し、沈殿、濾過等をさらに含み得る。様々な態様では、決定することを、クロマトグラフィー(任意選択的に、プロテインAクロマトグラフィー)後に実行する。様々な態様では、決定することを、回収後及びクロマトグラフィー(任意選択的に、プロテインAクロマトグラフィー)後に実行する。
【0090】
本開示の方法に関して、抗体組成物は、様々な態様では、さらなる処理工程(例えば、1つ又は複数の下流の処理工程)のために選択され、この選択は、特定のパラメータ(例えば、FcγRII結合%、非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%)に基づいている。様々な事例では、本開示の方法は、特定のパラメータ(例えば、FcγRII結合%、非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%)に基づいて、さらなる処理工程(例えば、1つ又は複数の下流の処理工程)において抗体組成物を使用することを含む。様々な事例では、本開示の方法は、特定のパラメータ(例えば、FcγRII結合%、非フコシル化グリカン%、及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%)に基づいて、抗体組成物により、さらなる処理工程(例えば、1つ又は複数の下流の処理工程)を実行することを含む。任意選択的に、これらの処理工程を、連続的に、同時に、及び/又は互いに重複して実施し得る。
【0091】
例示的な事例では、1つ又は複数の下流の処理工程は、非フコシル化グリカン%及び/又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%が決定される(例えば、測定される)処理工程後に(又はその下流で)行われる任意の処理工程である。例えば、非フコシル化グリカン%及び又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%が回収時に決定された(例えば、測定された)場合には、1つ又は複数の下流の処理工程は、回収工程後(又はその下流で)行われる任意の処理工程であり、様々な態様では、下記を含む:希釈工程、充填工程、濾過工程、製剤化工程、クロマトグラフィー工程、ウイルス濾過工程、ウイルス不活化工程、又はこれらの組み合わせ。また、例えば、非フコシル化グリカン%及び又はβ-ガラクトシル化グリカン含量%がクロマトグラフィー(例えば、プロテインAクロマトグラフィー)後に決定された(例えば、測定された)場合には、1つ又は複数の下流の処理工程は、このクロマトグラフィー後に(又は、その下流で)行われる任意の処理工程であり、様々な態様では、下記を含む:希釈工程、充填工程、濾過工程、製剤化工程、さらなるクロマトグラフィー工程、ウイルス濾過工程、ウイルス不活化工程、又はこれらの組み合わせ。例示的な事例では、さらなるクロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陽イオン交換クロマトグラフィー又は陰イオン交換クロマトグラフィー)である。任意選択的に、これらの下流の処理工程を、連続的に、同時に、及び/又は互いに重複して実施し得る。
【0092】
下流の処理中に使用されるクロマトグラフィーの段階/タイプには、他のタンパク質、凝集体、DNA、ウイルス、及び他のそのような不純物から組換え産物を分離するために使用されるキャプチャークロマトグラフィー又はアフィニティークロマトグラフィーが含まれる。例示的な事例では、最初のクロマトグラフィーを、プロテインA(例えば、樹脂に結合したプロテインA)を用いて実行する。様々な態様では、中間及びポリッシュクロマトグラフィーは、組換えタンパク質をさらに精製し、バルク汚染物質、外来性ウイルス、微量不純物、凝集体、アイソフォーム等を除去する。このクロマトグラフィーを、目的の組換えタンパク質がクロマトグラフィー媒体に結合し、不純物が流れる結合及び溶出モードで実施し得るか、又は不純物が結合し、組換えタンパク質が流れるフロースルーモードで実施し得る。このようなクロマトグラフィー方法の例として、下記が挙げられる:イオン交換クロマトグラフィー(IEX)、例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)、及び陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX);疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC);混合様式又は多様式クロマトグラフィー(MM)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HA);逆相クロマトグラフィー、及びゲル濾過。
【0093】
様々な態様では、下流工程は、ウイルス不活性化工程である。エンベロープウイルスは、リポタンパク質膜又は「エンベロープ」で囲まれたカプシドを有しており、従って、不活化を受けやすい。様々な事例では、ウイルス不活化工程として、熱不活化/低温殺菌、pH不活化、UV及びガンマ線照射、高強度広域スペクトル白色光の使用、化学不活化剤の添加、界面活性物質、及び溶媒/界面活性剤処理が挙げられる。
【0094】
様々な態様では、下流工程は、ウイルス濾過工程である。様々な態様では、このウイルス濾過工程は、ノンエンベロープウイルスを除去することを含む。様々な態様では、このウイルス濾過工程は、マイクロフィルタ又はナノフィルタの使用を含む。
【0095】
様々な態様では、下流の処理工程は、1つ又は複数の製剤化工程を含む。種々の態様では、クロマトグラフィー工程の完了後、精製された組換えタンパク質を、製剤化緩衝液に緩衝液交換する。例示的な態様では、緩衝液交換を、限外濾過及びダイアフィルトレーション(UF/DF)を使用して実施する。例示的な態様では、組換えタンパク質を、ダイアフィルトレーションを使用して所望の製剤化緩衝液に緩衝液交換し、限外濾過を使用して所望の最終製剤濃度まで濃縮する。様々な態様では、UF/DF製剤化工程に続いて、さらなる安定性増強賦形剤を添加する。
【0096】
組換えグリコシル化タンパク質
本開示の方法は、組換えグリコシル化タンパク質を含む組成物に関する。様々な態様では、この組換えグリコシル化タンパク質は、式:
Asn-Xaa1-Xaa2
(式中、Xaa1は、Proを除く任意のアミノ酸であり、Xaa2は、Ser又はThrである)
の1つ又は複数のN-グリコシル化コンセンサス配列を含むアミノ酸配列を含む。
【0097】
例示的な実施形態では、組換えグリコシル化タンパク質は、結晶性断片(Fc)ポリペプチドを含む。「Fcポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、抗体のFc領域由来のポリペプチドのネイティブ形態及びムテイン形態を含む。二量体化を促進するヒンジ領域を含有するこのようなポリペプチドの切断型も含まれる。Fc部分(及びそれから形成されるオリゴマー)を含む融合タンパク質は、プロテインA又はプロテインGカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによる容易な精製の長所をもたらす。例示的な実施形態では、組換えグリコシル化タンパク質は、IgG(例えば、ヒトIgG)のFcを含む。例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、IgG1又はIgG2のFcを含む。例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、抗体、抗体タンパク質生成物、ペプチボディ、又はFc-融合タンパク質である。
【0098】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、抗体である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、重鎖及び軽鎖を含み、且つ可変領域及び定常領域を含む、従来の免疫グロブリン型を有するタンパク質を指す。例えば、抗体は、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアの「Y型」構造であるIgGであり得、各ペアは、1本の「軽」鎖(典型的には分子量が約25kDa)及び1本の「重」鎖(典型的には分子量が約50~70kDa)を有する。抗体は、可変領域及び定常領域を有する。IgG型において、可変領域は、一般に、約100~110個又はそれを超えるアミノ酸であり、3つの相補性決定領域(CDR)を含み、主に抗原認識に関与し、且つ異なる抗原に結合する他の抗体と実質的に異なる。例えば、Janeway et al.,“Structure of the Antibody Molecule and the Immunoglobulin Genes”,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4thed.Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,(1999)を参照されたい。
【0099】
簡潔に説明すると、抗体の骨格において、CDRは、重鎖及び軽鎖の可変領域中のフレームワーク内に埋め込まれており、そこで抗原結合及び抗原認識に大きい役割を果たす領域を構成する。可変領域は、少なくとも3つの重鎖又は軽鎖のCDRを含み(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,Md.;Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883も参照されたい)、それらは、フレームワーク領域(Kabat et al.,1991によってフレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR3、及びFR4と呼ばれている;Chothia and Lesk,1987,前出も参照されたい)内にある。
【0100】
ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖に分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、又はイプシロンに分類されており、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEと定義する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むがこれらに限定されないいくつかのサブクラスを有する。IgMは、IgM1及びIgM2を含むがこれらに限定されないサブクラスを有する。本開示の実施形態は、抗体の全てのこのようなクラス又はアイソタイプを含む。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ型又はラムダ型の軽鎖定常領域であり得、例えば、ヒトカッパ型又はヒトラムダ型の軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域であり得、例えば、ヒトアルファ型、ヒトデルタ型、ヒトイプシロン型、ヒトガンマ型、又はヒトミュー型の重鎖定常領域であり得る。従って、例示的な実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のいずれか1つを含むアイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG、又はIgMの抗体である。
【0101】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質(例えば、抗体)は、キメラ定常領域を含む。例示的な事例では、この組換えグリコシル化タンパク質のキメラ定常領域は、IgG2定常領域の一部と、IgG4定常領域の一部とを含む。様々な態様では、このキメラ定常領域は、CH1、及び/又はIgG2のヒンジ、及び/又はIgG4のCH2-CH3を含む。例示的な事例では、このキメラ定常領域は、配列番号15のキメラ定常領域を含む。この組換えグリコシル化タンパク質は、本明細書で説明されている抗体組成物の抗体であり得る。
【0102】
様々な態様では、抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。例示的な事例では、この抗体は、哺乳動物抗体であり、例えば、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ウマ抗体、ニワトリ抗体、ハムスター抗体、ブタ抗体、ヒト抗体等である。ある特定の態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、モノクローナルヒト抗体である。
【0103】
抗体は、種々の態様では、例えば、パパイン及びペプシン等の酵素により断片へと切断される。パパインは、抗体を切断して、2個のFab断片及び1個のFc断片を生じる。ペプシンは、抗体を切断して、F(ab’)2断片及びpFc’断片を生成する。例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、少なくとも1個のグリコシル化部位を保持する抗体断片(例えば、Fab、Fc、F(ab’)2、又はpFc’)である。本開示の方法に関して、抗体は、抗体のある特定の部分を欠く場合があり、抗体断片であってもよい。様々な態様では、この抗体断片は、グリコシル化部位を含む。いくつかの態様では、この断片は、真核細胞において翻訳後修飾によりグリコシル化される抗体のFc領域の少なくとも一部を含む「グリコシル化Fc断片」である。様々な事例では、組換えグリコシル化タンパク質は、グリコシル化Fc断片である。
【0104】
少なくとも又は約12~150kDaの分子量範囲、及び単量体(n=1)、二量体(n=2)、及び三量体(n=3)から四量体(n=4)及び場合によってはそれより高い結合価(n)範囲に広がる代替的な抗体形式の範囲を増大させるために抗体の構造が利用されており、このような代替的な抗体形式は、本明細書では「抗体タンパク質生成物」又は「抗体結合タンパク質」と呼ばれる。
【0105】
抗体タンパク質生成物は、完全な抗原結合能を保持する抗体断片(例えば、scFv、Fab、及びVHH/VH)に基づく抗原結合形式であり得る。その完全な抗原結合部位を保持する最小の抗原結合断片は、Fv断片であり、これは、完全に可変(V)領域からなる。可溶性で柔軟なアミノ酸ペプチドリンカーを使用して、V領域をscFv(一本鎖断片可変)断片に連結させて分子を安定化させるか、又は定常(C)ドメインをV領域に加えて、Fab断片[断片、抗原結合性]を生成する。scFv及びFabの両方は、原核宿主において容易に産生され得る広く使用される断片である。他の抗体タンパク質生成物として、オリゴマー化ドメインに連結されるscFvからなる異なる型を含むダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ、又はミニボディ(ミニAbs)のような、ジスルフィド結合で安定化されるscFv(ds-scFv)、一本鎖Fab(scFab)、並びに二量体及び多量体抗体型が挙げられる。最小の断片は、ラクダ科動物の重鎖Ab及び単一ドメインAb(sdAb)のVHH/VHである。新規の抗体型を作製するために最も頻繁に使用される構築ブロックは、約15個のアミノ酸残基のペプチドリンカーにより連結された重鎖及び軽鎖由来のVドメイン(VHドメイン及びVLドメイン)を含む一本鎖可変(V)-ドメイン抗体断片(scFv)である。ペプチボディ又はペプチド-Fc融合体は、さらに別の抗体タンパク質生成物である。ペプチボディの構造は、Fcドメイン上にグラフト化された生物学的に活性なペプチドからなる。ペプチボディは、当該技術分野で十分に説明されている。例えば、Shimamoto et al.,mAbs 4(5):586-591(2012)を参照されたい。
【0106】
他の抗体タンパク質生成物として、一本鎖抗体(SCA);ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ;二重特異性抗体又は三重特異性抗体等が挙げられる。二重特異性抗体は、下記の5つの主要なクラス:BsIgG、付加IgG、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質、及びBsAbコンジュゲートに分類され得る。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology 67(2)Part A:97-106(2015)を参照されたい。
【0107】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、これらの抗体タンパク質生成物(例えば、scFv、Fab VHH/VH、Fv断片、ds-scFv、scFab、二量体抗体、多量体抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、ミニAb、ラクダ科動物の重鎖抗体のペプチボディVHH/VH、sdAb、ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ;二重特異性抗体又は三重特異性抗体、BsIgG、付加IgG、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質、及びBsAbコンジュゲート)のうちのいずれか1つを含み、且つ1つ又は複数のN-グリコシル化コンセンサス配列(任意選択的に、1つ又は複数のFcポリペプチド)を含む。様々な態様では、抗体タンパク質生成物は、グリコシル化部位を含む。例示的な態様では、抗体タンパク質生成物は、抗体結合断片にコンジュゲートされたグリコシル化Fc断片(「グリコシル化Fc断片抗体生成物」)であり得る。
【0108】
組換えグリコシル化タンパク質は、単量体形態、又は多量体(polymeric)形態、オリゴマー形態、若しくは多量体(multimeric)形態の抗体タンパク質生成物であり得る。抗体が2つ以上の個別の抗原結合領域断片を含むある特定の実施形態では、この抗体は、この抗体により認識されて結合される個別のエピトープの数に応じて、二重特異性、三重特異性、若しくは多重特異性、又は二価、三価、若しくは多価とみなされる。
【0109】
様々な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、キメラ抗体又はヒト化抗体である。「キメラ抗体」という用語は、本明細書では、ある1つの種由来の定常ドメインと、第2の種由来の可変ドメインとを含むか、又はより一般には、少なくとも2つの種由来のアミノ酸配列のストレッチを含有する抗体を指すために使用される。「ヒト化」という用語は、抗体に関して使用される場合には、元の起源の抗体よりも真のヒト抗体と類似している構造及び免疫学的機能を有するように操作されている非ヒト起源由来の少なくともCDR領域を有する抗体を指す。例えば、ヒト化は、非ヒト抗体(例えばマウス抗体)由来のCDRをヒト抗体に移植することを含み得る。ヒト化はまた、非ヒト配列をよりヒト配列に見えるようにするためのアミノ酸置換の選択も含み得る。
【0110】
有利には、本方法は、抗体、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体の抗原特異性に限定されない。従って、抗体、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体は、実質的に任意の抗原に対して任意の結合特異性を有する。例示的な態様では、抗体は、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、細胞表面受容体又はその任意のリガンドに結合する。例示的な態様では、抗体は、免疫細胞の細胞表面に発現するタンパク質に結合する。例示的な態様では、抗体は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD9、CD10、CD11A、CD11B、CD11C、CDw12、CD13、CD14、CD15、CD15s、CD16、CDw17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31,CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42a、CD42b、CD42c、CD42d、CD43、CD44、CD45、CD45RO、CD45RA、CD45RB、CD46、CD47、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CDw60、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD65、CD66a、CD66b、CD66c、CD66d、CD66e、CD66f、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CD75、CD76、CD79α、CD79β、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CDw92、CD93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107a、CD107b、CDw108、CD109、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD120a、CD120b、CD121a、CDw121b、CD122、CD123、CD124、CD125、CD126、CD127、CDw128、CD129、CD130、CDw131、CD132、CD134、CD135、CDw136、CDw137、CD138、CD139、CD140a、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CD145、CD146、CD147、CD148、CD150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156、CD157、CD158a、CD158b、CD161、CD162、CD163、CD164、CD165、CD166及びCD182からなる群から選択される分化分子のクラスターに結合する。
【0111】
例示的な態様では、抗体、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体は、下記で説明されているもののうちの1つである:米国特許第7947809号明細書及び米国特許出願公開第20090041784号明細書(グルカゴン受容体)、米国特許第7939070号明細書、米国特許第7833527号明細書、米国特許第7767206号明細書及び米国特許第7786284号明細書(IL-17受容体A)、米国特許第7872106号明細書及び米国特許第7592429号明細書(スクレロスチン)、米国特許第7871611号明細書、米国特許第7815907号明細書、米国特許第7037498号明細書、米国特許第7700742号明細書及び米国特許出願公開第20100255538号明細書(IGF-1受容体)、米国特許第7868140号明細書(B7RP1)、米国特許第7807159号明細書及び米国特許出願公開第20110091455号明細書(ミオスタチン)、米国特許第7736644号明細書、米国特許第7628986号明細書、米国特許第7524496号明細書及び米国特許出願公開第20100111979号明細書(上皮成長因子受容体の欠失変異体)、米国特許第7728110(SARSコロナウイルス)、米国特許第7718776号明細書及び米国特許出願公開第20100209435号明細書(OPGL)、米国特許第7658924号明細書及び米国特許第7521053号明細書(アンジオポイエチン2)、米国特許第7601818号明細書、米国特許第7795413号明細書、米国特許出願公開第20090155274号明細書、米国特許出願公開第20110040076号明細書(NGF)、米国特許第7579186号明細書(TGF-βII型受容体)、米国特許第7541438号明細書(結合組織増殖因子)、米国特許第7438910号明細書(IL1-R1)、米国特許第7423128号明細書(プロパージン)、米国特許第7411057号明細書、米国特許第7824679号明細書、米国特許第7109003号明細書、米国特許第6682736号明細書、米国特許第7132281号明細書及び米国特許第7807797号明細書(CTLA-4)、米国特許第7084257号明細書、米国特許第7790859号明細書、米国特許第7335743号明細書、米国特許第7084257号明細書及び米国特許出願公開第20110045537号明細書(インターフェロン-ガンマ)、米国特許第7932372(MAdCAM)号明細書、米国特許第7906625号明細書、米国特許出願公開第20080292639号明細書及び米国特許出願公開第20110044986号明細書(アミロイド)、米国特許第7815907号明細書及び米国特許第7700742号明細書(インシュリン用成長因子I)、米国特許第7566772号明細書及び米国特許第7964193号明細書(インターロイキン1β)、米国特許第7563442号明細書、米国特許第7288251号明細書、米国特許第7338660号明細書、米国特許第7626012号明細書、米国特許第7618633号明細書及び米国特許出願公開第20100098694号明細書(CD40)、米国特許第7498420号明細書(c-Met)、米国特許第7326414号明細書、米国特許第7592430号明細書及び米国特許第7728113号明細書(M-CSF)、米国特許第6924360号明細書、米国特許第7067131号明細書及び米国特許第7090844号明細書(MUC18)、米国特許第6235883号明細書、米国特許第7807798号明細書及び米国特許出願公開第20100305307号明細書(上皮成長因子受容体)、米国特許第6716587号明細書、米国特許第7872113号明細書、米国特許第7465450号明細書、米国特許第7186809号明細書、米国特許第7317090号明細書及び米国特許第7638606(インターロイキン4受容体)、米国特許出願公開第20110135657号明細書(ベータ-クロトー)、米国特許第7887799号明細書及び米国特許第7879323号明細書(線維芽細胞増殖因子様ポリペプチド)、米国特許第7867494号明細書(IgE)、米国特許出願公開第20100254975号明細書(アルファ-4ベータ-7)、米国特許出願公開第20100197005号明細書及び米国特許第7537762号明細書(アクチビン受容体様キナーゼ1)、米国特許第7585500号明細書及び米国特許出願公開第20100047253号明細書(IL-13)、米国特許出願公開第20090263383号明細書及び米国特許第7449555号明細書(CD148)、米国特許出願公開第20090234106号明細書(アクチビンA)、米国特許出願公開第20090226447号明細書(アンジオポイエチン1及びアンジオポイエチン2)、米国特許出願公開第20090191212号明細書(アンジオポイエチン2)、米国特許出願公開第20090155164号明細書(C-FMS)、米国特許第7537762号明細書(アクチビン受容体様キナーゼ1)、米国特許第7371381号明細書(ガラニン)、米国特許出願公開第20070196376号明細書(インシュリン用成長因子)、米国特許第7267960号明細書及び米国特許第7741115号明細書(LDCAM)、US7265212(CD45RB)、米国特許第7709611号明細書、米国特許出願公開第20060127393号明細書及び米国特許出願公開第20100040619号明細書(DKK1)、米国特許第7807795号明細書、米国特許出願公開第20030103978号明細書及び米国特許第7923008号明細書(オステオプロテゲリン)、米国特許出願公開第20090208489号明細書(OV064)、米国特許出願公開第20080286284号明細書(PSMA)、米国特許第7888482、米国特許出願公開第20110165171号明細書及び米国特許出願公開第20110059063号明細書(PAR2)、米国特許出願公開第20110150888号明細書(ヘプシジン)、米国特許第7939640号明細書(B7L-1)、米国特許第7915391号明細書(c-Kit)、米国特許第7807796号明細書、米国特許第7193058号明細書及び米国特許第7427669号明細書(ULBP)、米国特許第7786271号明細書、米国特許第7304144号明細書及び米国特許出願公開第20090238823号明細書(TSLP)、米国特許第7767793号明細書(SIGIRR)、米国特許第7705130号明細書(HER-3)、米国特許第7704501号明細書(アタキシン1様ポリペプチド)、米国特許第7695948号明細書及び米国特許第7199224(TNF-α変換酵素)、米国特許出願公開第20090234106号明細書(アクチビンA)、米国特許出願公開第20090214559号明細書及び米国特許第7438910号明細書(IL1-R1)、米国特許第7579186号明細書(TGF-βII型受容体)、米国特許第7569387号明細書(TNF受容体様分子)、米国特許第7541438号明細書(結合組織増殖因子)、米国特許第7521048号明細書(TRAIL受容体2)、米国特許第6319499号明細書、米国特許第7081523号明細書及び米国特許出願公開第20080182976号明細書(エリスロポイエチン受容体)、米国特許出願公開第20080166352号明細書及び米国特許第7435796号明細書(B7RP1)、米国特許第7423128号明細書(プロペルジン)、米国特許第7422742号明細書及び米国特許第7141653号明細書(インターロイキン5)、米国特許第6740522号明細書及び米国特許第7411050号明細書(RANKL)、米国特許第7378091号明細書(炭酸脱水酵素IX(CA IX)腫瘍抗原)、米国特許第7318925号明細書及び米国特許第7288253号明細書(副甲状腺ホルモン)、米国特許第7285269号明細書(TNF)、米国特許第6692740号明細書及び米国特許第7270817号明細書(ACPL)、米国特許第7202343号明細書(単球走化性タンパク質1)、米国特許第7144731号明細書(SCF)、米国特許第6355779号明細書及び米国特許第7138500号明細書(4-1BB)、米国特許第7135174号明細書(PDGFD)、米国特許第6630143号明細書及び米国特許第7045128号明細書(Flt-3リガンド)、米国特許第6849450号明細書(メタロプロテアーゼ阻害剤)、米国特許第6596852号明細書(LERK-5)、米国特許第6232447号明細書(LERK-6)、米国特許第6500429号明細書(脳由来神経栄養因子)、米国特許第6184359号明細書(上皮由来T細胞因子)、米国特許第6143874号明細書(神経栄養因子NNT-1)、米国特許出願公開第20110027287号明細書(プロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型(PCSK9))、米国特許出願公開第20110014201号明細書(IL-18RECEPTOR)、並びに米国特許出願公開第20090155164号明細書(C-FMS)。上記の特許及び公開特許出願は、可変ドメインポリペプチド、可変ドメインをコードする核酸、宿主細胞、ベクター、前記可変ドメインをコードするポリペプチドを作製する方法、医薬組成物、及び可変ドメイン含有抗原結合タンパク質又は抗体の個々の標的に付随する疾患を処置する方法のそれらの開示の目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
例示的な実施形態では、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体は、下記のうちの1つである:ムロモナブ-CD3(商品名Orthoclone Okt3(登録商標)で市販の製品)、アブシキシマブ(商品名Reopro(登録商標)で市販の製品)、リツキシマブ(商品名MabThera(登録商標)、Rituxan(登録商標)で市販の製品)、バシリキシマブ(商品名Simulect(登録商標)で市販の製品)、ダクリズマブ(商品名Zenapax(登録商標)で市販の製品)、パリビズマブ(商品名Synagis(登録商標)で市販の製品)、インフリキシマブ(商品名Remicade(登録商標)で市販の製品)、トラスツズマブ(商品名Herceptin(登録商標)で市販の製品)、アレムツズマブ(商品名MabCampath(登録商標)、Campath-1H(登録商標)で市販の製品)、アダリムマブ(商品名Humira(登録商標)で市販の製品)、トシツモマブ-I131(商品名Bexxar(登録商標)で市販の製品)、エファリズマブ(商品名Raptiva(登録商標)で市販の製品)、セツキシマブ(商品名Erbitux(登録商標)で市販の製品)、イブリツモマブチウキセタン(商品名Zevalin(登録商標)で市販の製品)、オマリズマブ(商品名Xolair(登録商標)で市販の製品)、ベバシズマブ(商品名Avastin(登録商標)で市販の製品)、ナタリズマブ(商品名Tysabri(登録商標)で市販の製品)、ラニビズマブ(商品名Lucentis(登録商標)で市販の製品)、パニツムマブ(商品名Vectibix(登録商標)で市販の製品)、エクリズマブ(商品名Soliris(登録商標)で市販の製品)、セルトリズマブペゴル(商品名Cimzia(登録商標)で市販の製品)、ゴリムマブ(商品名Simponi(登録商標)で市販の製品)、カナキヌマブ(商品名Ilaris(登録商標)で市販の製品)、カツマキソマブ(商品名Removab(登録商標)で市販の製品)、ウステキヌマブ(商品名Stelara(登録商標)で市販の製品)、トシリズマブ(商品名RoActemra(登録商標)、Actemra(登録商標)で市販の製品)、オファツムマブ(商品名Arzerra(登録商標)で市販の製品)、デノスマブ(商品名Prolia(登録商標)で市販の製品)、ベリムマブ(商品名Benlysta(登録商標)で市販の製品)、ラキシバクマブ、イピリムマブ(商品名Yervoy(登録商標)で市販の製品)、及びペルツズマブ(商品名Perjeta(登録商標)で市販の製品)。例示的な実施形態では、抗体は、下記のうちの1つである:抗TNFアルファ抗体、例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、及びセルトリズマブペゴル;抗IL1.ベータ抗体、例えばカナキヌマブ;抗IL12/23(p40)抗体、例えば、ウステキヌマブ及びブリアキヌマブ;並びに抗IL2R抗体、例えばダクリズマブ。
【0113】
例示的な態様では、抗体の抗原は、補体タンパク質C5(例えば、ヒト補体C5)であり、抗体は、抗C5抗体(例えば、抗ヒトC5モノクローナル抗体)である。C5は、自然免疫系の一部である補体系の構成要素である。C5プレプロタンパク質は、タンパク質分解処理されて、C5アルファ鎖、C5ベータ鎖、C5aアナフィラトキシン、及びC5bを含む複数のタンパク質産物が生成される。C5タンパク質は、C5アルファ鎖及びC5ベータ鎖で構成されており、これらは、ジスルフィド架橋で連結されている。プレプロタンパク質のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号2として示されており、ここで、残基19~673は、補体C5ベータ鎖の配列を表しており、残基752~1676は、補体C5アルファ鎖の配列を表しており、残基678~751は、C5aアナフィラトキシンの配列を表す。配列番号3は、ヒトC5遺伝子によりコードされる転写産物バリアント1のmRNA配列の配列である。様々な態様では、抗体は、エクリズマブ又はそのバイオシミラーである。エクリズマブという用語は、IgG2のヒンジドメイン及びCH1ドメインと、IgG4のCH2ドメイン及びCH3ドメインとを含むキメラモノクローナル抗体を指しており、このmAbは、補体タンパク質C5に結合する(CAS Number:219685-50,DrugBank Accession No.DB01257を参照されたい)。例示的な態様では、抗体は、表Aに記載されているエクリズマブ軽鎖の可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含む。例示的な態様では、抗体は、表Aに記載されているエクリズマブ重鎖の可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖を含む。様々な事例では、抗体は、エクリズマブのVH及びVLを含むか、又はVH-IgG1カッパ配列及びVL-IgGカッパ配列を含む。
【0114】
【0115】
【0116】
様々な態様では、抗体は、下記を含む:
i.配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号4のバリアントアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)CDR1、
ii.配列番号5のアミノ酸配列、又は配列番号5と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号5のバリアントアミノ酸配列を含むLC CDR2、
iii.配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号6と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号6のバリアントアミノ酸配列を含むLC CDR3、
iv.配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号7のバリアントアミノ酸配列を含む重鎖(HC)CDR1、
v.配列番号8のアミノ酸配列、又は配列番号8と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号8のバリアントアミノ酸配列を含むHC CDR2、
vi.配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号9のバリアントアミノ酸配列を含むHC CDR3。
【0117】
様々な事例では、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列、配列番号10と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号10のバリアントアミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。
【0118】
例示的な態様では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列、配列番号11と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号11のバリアントアミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。
【0119】
例示的な事例では、抗体は、配列番号12のアミノ酸配列、配列番号12と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号12のバリアントアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0120】
様々な態様では、抗体は、配列番号13のアミノ酸配列、配列番号13と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号13のバリアントアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0121】
例示的な事例では、抗体は、配列番号14のアミノ酸配列、配列番号14と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号14のバリアントアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。
【0122】
様々な態様では、抗体は、配列番号15のアミノ酸配列、配列番号15と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号15のバリアントアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0123】
組成物
本開示の方法は、組換えグリコシル化タンパク質を含む組成物に関する。様々な態様では、この組成物は、1つの型の組換えグリコシル化タンパク質のみを含む。様々な事例では、この組成物は、組換えグリコシル化タンパク質を含み、この組成物の各組換えグリコシル化タンパク質は、同一の又は本質的に同一のアミノ酸配列を含む。様々な態様では、この組成物は、組換えグリコシル化タンパク質を含み、この組成物の各組換えグリコシル化タンパク質は、この組成物の他の全ての組換えグリコシル化タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。様々な態様では、この組成物は、組換えグリコシル化タンパク質を含み、この組成物の各組換えグリコシル化タンパク質は、この組成物の他の全ての組換えグリコシル化タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。様々な態様では、この組成物は、組換えグリコシル化タンパク質を含み、この組成物の各組換えグリコシル化タンパク質は、同一の又は本質的に同一の(例えば、この組成物の他の全ての組換えグリコシル化タンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも90%、又は少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の)アミノ酸配列を含むが、この組成物の組換えグリコシル化タンパク質の糖プロファイルは、互いに相異し得る。
【0124】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、抗体断片であり、従って、組成物は、抗体断片組成物であり得る。
【0125】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、抗体タンパク質生成物であり、従って、組成物は、抗体タンパク質生成物組成物であり得る。
【0126】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、グリコシル化Fc断片であり、従って、組成物は、グリコシル化Fc断片組成物であり得る。
【0127】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、グリコシル化Fc断片抗体生成物であり、従って、組成物は、グリコシル化Fc断片抗体生成物組成物であり得る。
【0128】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、キメラ抗体であり、従って、組成物は、キメラ抗体組成物であり得る。
【0129】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、ヒト化抗体であり、従って、組成物は、ヒト化抗体組成物であり得る。
【0130】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、抗体であり、組成物は、抗体組成物である。様々な態様では、この組成物は、1つの型の抗体のみを含む。様々な事例では、この組成物は、抗体を含み、この抗体組成物の各抗体は、同一の又は本質的に同一のアミノ酸配列を含む。様々な態様では、この抗体組成物は、抗体を含み、この抗体組成物の各抗体は、この抗体組成物の他の全ての抗体のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。様々な態様では、この抗体組成物は、抗体を含み、この抗体組成物の各抗体は、この抗体組成物の他の全ての抗体のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。様々な態様では、この抗体組成物は、抗体を含み、この組成物の各抗体は、同一の又は本質的に同一の(例えば、この抗体組成物の他の全ての抗体のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の)アミノ酸配列を含むが、この抗体組成物の抗体の糖プロファイルは、互いに相異し得る。例示的な態様では、この抗体組成物は、様々なグリコフォームの公知の不均一な混合物を含む。様々な事例では、この抗体組成物は、そのAFグリカン含量及び/又はそのβ-ガラクトシル化グリカン含量に関して特徴付けられ得る。様々な態様では、この抗体組成物は、AFグリカン含量%及び/又はそのβ-ガラクトシル化グリカン含量%に関して説明されている。任意選択的に、この抗体組成物は、他の型のグリカン(例えば、高マンノースグリコフォーム、フコシル化グリコフォーム等)の含量に関して特徴付けられ得る。
【0131】
様々な態様では、抗体組成物の各抗体は、IgGであり、任意選択的に、IgG2のヒンジドメイン及びCH1ドメインと、IgG4のCH2ドメイン及びCH3ドメインとを含むIgGである。様々な事例では、抗体組成物の各抗体は、補体タンパク質C5に結合する。例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、抗C5抗体である。様々な態様では、抗体組成物の各抗体は、下記を含む:
i.配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号4のバリアントアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)CDR1、
ii.配列番号5のアミノ酸配列、又は配列番号5と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号5のバリアントアミノ酸配列を含むLC CDR2、
iii.配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号6と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号6のバリアントアミノ酸配列を含むLC CDR3、
iv.配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号7のバリアントアミノ酸配列を含む重鎖(HC)CDR1、
v.配列番号8のアミノ酸配列、又は配列番号8と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号8のバリアントアミノ酸配列を含むHC CDR2、並びに/又は
vi.配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号9のバリアントアミノ酸配列を含むHC CDR3。
【0132】
様々な事例では、抗体組成物の各抗体は、配列番号10のアミノ酸配列、配列番号10と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号10のバリアントアミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。
【0133】
例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号11のアミノ酸配列、配列番号11と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号11のバリアントアミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。
【0134】
例示的な事例では、抗体組成物の各抗体は、配列番号12のアミノ酸配列、配列番号12と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号12のバリアントアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0135】
様々な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号13のアミノ酸配列、配列番号13と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号13のバリアントアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0136】
例示的な事例では、抗体組成物の各抗体は、配列番号14のアミノ酸配列、配列番号14と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号14のバリアントアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。
【0137】
様々な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号15のアミノ酸配列、配列番号15と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1、若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号15のバリアントアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0138】
例示的な態様では、抗体組成物は、様々なグリコフォームの抗体の不均一な混合物を含む。様々な事例では、抗体組成物は、そのAFグリカン含量及び/又はそのβ-ガラクトシル化グリカン含量に関して特徴付けられ得る。様々な態様では、抗体組成物は、AFグリカン含量%及び/又はそのβ-ガラクトシル化グリカン含量%に関して説明されている。任意選択的に、抗体組成物は、他の型のグリカン(例えば、高マンノースグリコフォーム、フコシル化グリコフォーム等)の含量に関して特徴付けられ得る。
【0139】
例示的な実施形態では、本組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わされる。従って、本明細書で提供されるのは、本明細書で説明されている組換えグリコシル化タンパク質組成物(例えば、抗体組成物、又は抗体結合タンパク質組成物)と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物である。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語には、標準的な医薬担体のいずれかが含まれており、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルション(例えば、油/水エマルション、又は水/油エマルション)、及び様々なタイプの湿潤剤が含まれる。
【0140】
例示的な実施形態では、本抗体組成物は、本明細書で説明されているように、細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞により産生される。
【0141】
追加の工程
本明細書で開示されている方法は、様々な態様において、追加の工程を含む。例えば、いくつかの態様では、この方法は、組換えグリコシル化タンパク質(例えば、抗体)の産生、精製、及び製剤化に関与する1つ又は複数の上流工程又は下流工程を含む。任意選択的に、この下流工程は、本明細書で説明されているか又は当該技術分野で既知の下流の処理工程のうちのいずれか1つである。例えば、処理工程を参照されたい。例示的な実施形態では、この方法は、組換えグリコシル化タンパク質(例えば、抗体)を発現する宿主細胞を作製するための工程を含む。この宿主細胞は、いくつかの態様では、原核宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)若しくはバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)であるか、又はこの宿主細胞は、いくつかの態様では、真核宿主細胞(例えば、酵母細胞、糸状菌細胞、原生動物細胞、昆虫細胞、若しくは哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞))である。このような宿主細胞は、当該技術分野で説明されている。例えば、Frenzel,et al.,Front Immunol 4:217(2013)及び本明細書の「細胞」の節を参照されたい。例えば、この方法は、いくつかの事例では、組換えグリコシル化タンパク質又はそのポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むベクターを宿主細胞に導入することを含む。
【0142】
例示的な態様では、本方法は、細胞(例えば、グリコシル化コンピテント細胞)を細胞培養物中で維持することを含む。従って、この方法は、本明細書の細胞培養物中における細胞の維持で説明されている任意の1つ又は複数の工程を実行することを含み得る。
【0143】
例示的な実施形態では、本明細書で開示されている方法は、培養物から組換えグリコシル化タンパク質(例えば、組換え抗体)を単離する及び/又は精製する工程を含む。例示的な態様では、この方法は、1つ又は複数のクロマトグラフィー工程(例えば、限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー、及び/又は疎水性相互作用クロマトグラフィー)を含む。例示的な態様では、この方法は、組換えグリコシル化タンパク質を含む溶液から結晶性生体分子を生成する工程を含む。
【0144】
本開示の方法は、様々な態様では、精製組換えグリコシル化タンパク質を含む組成物(例えば、いくつかの態様では、医薬組成物)を調製するための1つ又は複数の工程を含む。このような組成物は、本明細書中で考察されている。
【0145】
細胞培養物中における細胞の維持
本開示の抗体組成物を製造する方法に関して、この抗体組成物を、細胞培養物中で細胞を維持することにより製造し得る。この細胞培養物を、組換えグリコシル化タンパク質の産生に好適な任意の一連の条件に従って維持し得る。例えば、いくつかの態様では、細胞培養物は、特定のpH、温度、細胞密度、培養体積、溶存酸素レベル、圧力、浸透圧等で維持される。例示的な態様では、CO2インキュベーター中において、標準的な加湿条件下にて5%CO2で播種前の細胞培養物を振とうする(例えば70rpm)。例示的な態様では、1.5Lの培地中に約106個の細胞/mLの播種密度で、細胞培養物を播種する。
【0146】
例示的な態様では、本開示の方法は、約6.85~約7.05のpHで、例えば、様々な態様では、約6.85、約6.86、約6.87、約6.88、約6.89、約6.90、約6.91、約6.92、約6.93、約6.94、約6.95、約6.96、約6.97、約6.98、約6.99、約7.00、約7.01、約7.02、約7.03、約7.04、又は約7.05のpHで、細胞培養培地中においてグリコシル化コンピテント細胞を維持することを含む。
【0147】
例示的な態様では、本方法は、30℃~40℃の温度で細胞培養物を維持することを含む。例示的な実施形態では、この温度は、約32℃~約38℃又は約35℃~約38℃である。
【0148】
例示的な態様では、本方法は、約200mOsm/kg~約500mOsm/kgの浸透圧を維持することを含む。例示的な態様では、本方法は、約225mOsm/kg~約400mOsm/kg又は約225mOsm/kg~約375mOsm/kgの浸透圧を維持することを含む。例示的な態様では、本方法は、約225mOsm/kg~約350mOsm/kgの浸透圧を維持することを含む。種々の態様では、浸透圧(mOsm/kg)は、約200、225、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、又は約500で維持される。
【0149】
例示的な態様では、本方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約20%~約60%酸素飽和度で細胞培養物の溶解酸素(DO)レベルを維持することを含む。例示的な事例では、この方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約30%~約50%(例えば、約35%~約45%)の酸素飽和度で細胞培養物のDOレベルを維持することを含む。例示的な事例では、この方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%酸素飽和度で細胞培養物のDOレベルを維持することを含む。例示的な態様では、このDOレベルは、約35mmHg~約85mmHg、又は約40mmHg~約80mmHg、又は約45mmHg~約75mmHgである。
【0150】
細胞培養物は、任意の1つ又は複数の培養培地中で維持される。例示的な態様では、この細胞培養物は、細胞増殖に適切な培地中で維持され、且つ/又は任意の適切な供給スケジュールに従って1つ又は複数のフィード培地が供給される。例示的な態様では、本方法は、グルコース、フコース、乳酸塩、アンモニア、グルタミン、及び/又はグルタミン酸塩を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約1μM以下の濃度でマンガンを含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この方法は、約0.25μM~約1μMのマンガンを含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この方法は、無視できる量のマンガンを含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約50ppb以下の濃度で銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約40ppb以下の濃度で銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約30ppb以下の濃度で銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この方法は、初期細胞培養期間中にわたり、約20ppb以下の濃度で銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、この培地は、約5ppb以上又は約10ppb以上の濃度で銅を含む。例示的な態様では、細胞培養培地は、マンノースを含む。例示的な態様では、細胞培養培地は、マンノースを含まない。
【0151】
例示的な実施形態では、細胞培養のタイプは、流加培養法又は連続灌流培養法である。しかし、本開示の方法は、有利には、いずれの特定のタイプの細胞培養にも限定されない。
【0152】
細胞培養物中で維持される細胞は、グリコシル化コンピテント細胞であり得る。例示的な態様では、このグリコシル化コンピテント細胞は、真核細胞であり、例えば、限定されないが、酵母細胞、糸状菌細胞、原生動物細胞、藻類細胞、昆虫細胞、又は哺乳動物細胞である。そのような宿主細胞は、当該技術分野で説明されている。例えば、Frenzel,et al.,Front Immunol 4:217(2013)を参照されたい。例示的な態様では、真核細胞は、哺乳動物細胞である。例示的な態様では、哺乳動物細胞は、非ヒト哺乳動物細胞である。いくつかの態様では、この細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びその誘導体(例えば、CHO-K1、CHO pro-3)、マウス骨髄腫細胞(例えば,NS0、GS-NS0、Sp2/0)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)活性を欠くように操作された細胞(例えば、DUKX-X11、DG44)、ヒト胚性腎臓293(HEK293)細胞又はその誘導体(例えば,HEK293T、HEK293-EBNA)、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば,COS細胞、VERO細胞)、ヒト子宮頸癌細胞(例えば,HeLa)、ヒト骨の骨肉腫上皮細胞U2-OS、腺癌ヒト肺胞基底上皮細胞A549、ヒト線維肉腫細胞HT1080、マウス脳腫瘍細胞CAD、胚性癌腫細胞P19、マウス胚性繊維芽細胞NIH 3T3、マウス繊維芽 細胞L929、マウス神経芽腫細胞N2a、ヒト乳癌 細胞 MCF-7、網膜芽腫細胞Y79、ヒト網膜芽腫細胞SO-Rb50、ヒト肝臓癌細胞Hep G2、マウスB骨髄腫細胞J558L,又は新生児ハムスター腎臓(BHK)細胞(Gaillet et al.2007;Khan,Adv Pharm Bull 3(2):257-263(2013))である。
【0153】
グリコシル化コンピテントではない細胞はまた、例えば、グリコシル化に必要な関連酵素をコードする遺伝子をそれらに導入することによって、グリコシル化コンピテント細胞に形質転換され得る。例示的な酵素として下記が挙げられるが、これらに限定されない:オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、グリコシダーゼ、グルコシダーゼI、グルコシダーゼII、カルネキシン/カルレティキュリン、グリコシルトランスフェラーゼ、マンノシダーゼ、GlcNAcトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、及びシアリルトランスフェラーゼ。
【0154】
例示的な実施形態では、グリコシル化コンピテント細胞は、デノボ経路又はサルベージ経路の酵素の活性を変えるように遺伝的に改変されていない。フコース代謝のこれら2つの経路を、
図2に示す。例示的な実施形態では、グリコシル化コンピテント細胞は、フコシル-トランスフェラーゼ(FUT、例えば、FUT1、FUT2、FUT3、FUT4、FUT5、FUT6、FUT7、FUT8、FUT9)、フコースキナーゼ、GDP-フコースピロホスホリラーゼ、GDP-D-マンノース-4,6-デヒドラターゼ(GMD)、及びGDP-ケト-6-デオキシマンノース-3,5-エピメラーゼ、4-レダクターゼ(FX)のうちのいずれか1つ又は複数の活性を変えるように遺伝的に改変されていない。例示的な実施形態では、グリコシル化コンピテント細胞は、FXをコードする遺伝子をノックアウトするように遺伝的に改変されていない。
【0155】
例示的な実施形態では、グリコシル化コンピテント細胞は、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GNTIII)又はGDP-6-デオキシ-D-リキソ-4-ヘキスロースレダクターゼ(RMD)の活性を変えるように遺伝的に改変されていない。例示的な態様では、グリコシル化コンピテント細胞は、GNTIII又はRMDを過剰発現するように遺伝的に改変されていない。
【実施例】
【0156】
下記の実施例は、本発明の実施形態を説明するために示されているに過ぎず、本発明の範囲を限定するものでは決してない。
【0157】
実施例1
本実施例では、モノクローナル抗体のN結合型グリコシル化プロファイル(グリカンプロファイル)を決定する例示的な方法が説明されている。
【0158】
本分析法の目的は、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)グリカンマップ分析により、抗体を含む試料中の抗体のN結合型グリコシル化プロファイルを決定することである。このグリカンマップ法は、抗体のN結合型グリカン分布の定量的分析であり、PNGアーゼF、及び遊離グリカンを特異的に誘導体化し得るフルオロフォアを使用して、参照及び試験試料からN結合型グリカンを放出させて標識化すること、HILICカラムに、有効な線形範囲内の試料をロードすること、徐々に減少する有機溶媒の勾配を使用して、標識されたN結合型グリカンを分離すること、及び蛍光検出器を用いて、グリカン種の溶出をモニタリングすることを含む。
【0159】
標準及び試験試料を、下記を実行することにより調製する:(1)試料及び対照を水で希釈する、(2)この試料及び対照にPNGアーゼFを添加し、インキュベートして、N結合型グリカンを放出させる、(3)2-アミノ安息香酸等のフルオロフォアを使用して、フルオロフォア標識溶液と混合する。試料及び対照をボルテックスし、インキュベートする、(4)遠心分離してタンパク質をペレット化し、上清を除去する、並びに(5)乾燥させ、注射溶液中で標識グリカンを再構成する。
【0160】
このアッセイで使用される溶液は、移動相A(100mM ギ酸アンモニウム、目標pH3.0)、及び移動相B(アセトニトリル)である。この方法の工程を実施するために使用される装置は、下記の能力を有する。
【0161】
【0162】
親水性相互作用分析BEHグリカン1.7μmカラム(2.1mmID×150mm)及び2-アミノ安息香酸フルオロフォア標識法を使用するHPLCの機器設定を、下記に示す。
【0163】
【0164】
移動相勾配の例を、下記に示す。
【0165】
【0166】
結果の報告は、下記の形式で構成される。
【0167】
【0168】
代表的なグリカンマップクロマトグラムの例を、
図2A(フルスケールビュー)及び
図2B(拡大スケールビュー)に示す。
【0169】
実施例2
本実施例では、例示的なFcγRIIa結合アッセイが説明されている。
【0170】
抗体を含む試料のFcγRIIa結合活性を測定するために、Biacore T200(GE Healthcare)を使用するFcγRIIa結合アッセイを開発した。このアッセイの図解を、
図3に示す。このアッセイでは、IgG2/IgG4のハイブリッドFcドメインを有する、ヒト補体C5に対する抗体である抗体1を様々な濃度に連続希釈した試料を、プロテインAセンサーチップ(Series S Sensor Chip Protein A;GE Healthcare)上での捕捉に使用した。アミノ酸位置131でHisを含むFcγRIIaのアイソフォーム(以降、「FcγRIIa-H」と称される)への結合を、プロテインAで補足された抗体を含む表面に一定濃度のFcγRIIa-Hを注入することにより検出した。結合データを、統計ソフトウェアPLA3.0を使用して線形モデルに適合させ、抗体1参照標準(Ab1 RS)の結合レベルと比較して、試料の相対結合率を算出した。
【0171】
このFcγRIIa結合アッセイを、方法の直線性、中間精密度、及び精度に関して分析した。この実験のために、Ab 1 RS(49.8mg/mL)又はAb 2(10.1mg/mL)を使用して、5種の模擬活性試料(60%、80%、100%、130%、及び160%のレベル)を調製した。100%公称レベルの試料も、アッセイ対照として使用した。
【0172】
方法の直線性、即ち、試料中の分析物の濃度に正比例する結果を得るための方法の能力を確立した。5種の模擬結合レベル(60、80、100、130、及び160%)を、6種の独立したアッセイで評価した。結合レベルが60~160%の範囲である試料に関して、予想される自然対数(Ln)結合レベルと、観測された自然対数結合値レベルとの直線関係が示された。傾き、Y切片、及びR2に関して観測された値は、それぞれ0.9908、0.0473、及び0.9998であった。
【0173】
直線性実験で得られたデータを使用して、結合アッセイの中間精密度及び精度を決定した。方法の中間精密度は、1.1%であると推定し、全ての結合レベルにわたる方法の精度は、100.5%であると観察した。
【0174】
100%公称レベルでの4種の独立して調製したAb 1 RSを試験することにより、FcγIIa結合アッセイの再現性を決定した。1×公称濃度での4種の独立して調製した試料を、2名の分析者により、合計6回のアッセイで試験した。このアッセイの再現性に関する全体的なCV%は、1.1%である。
【0175】
FcγRIIa結合アッセイの特異性も、下記のように評価した:Ab1(100nM)を、プロテインAセンサーチップのフローセル2で捕捉し、200nM FcγRIIa-Hを、フローセル1(Ab1なし)及びフローセル2(Ab1あり)の表面に注入した。センサーグラムから、FcγRIIa-HがプロテインAチップ上で捕捉されたAb1に特異的に結合し、Ab1を使用しないプロテインAチップに対するバックグラウンドシグナルのみが検出されることが示された。
【0176】
これらの結果は、このFcγRIIa結合アッセイが、60%~160%の結合範囲にわたり、方法の再現性、及び直線性、精密度、精度に関して適格であったことを裏付ける。
【0177】
実施例3
本実施例では、FcγRIIa結合とグリカン含量との相関関係が実証されている。
【0178】
抗体1は、IgG2/IgG4のハイブリッドFcドメインを有する、ヒト補体C5に対する抗体である。抗体1は、発作性夜間血色素尿症(PIN)及び非典型溶血性尿毒症症候群(aHUC)の処置用に米国及び欧州で承認されている抗体であるエクリズマブのアミノ酸配列を有している。抗体1を含む様々な試料に関するグリカンプロファイルを、実施例1で説明されている手順に従って決定した。これらの試料をまた、実施例2で説明されているアッセイを実行することにより、FcγRIIa結合活性に関しても特徴付けた。
【0179】
表1では、高マンノース(HM)グリカン、β-ガラクトシル化グリカン、及び非フコシル化グリカンの測定量と、測定したFcγRIIa結合活性(相対結合%として表す)とが列挙されている。
【0180】
【0181】
測定されたFcγRIIa結合、HM含量、β-ガラクトシル化含量、及び非フコシル化含量に関するデータを、統計解析のためのコンピュータプログラムのJMPスイート(SAS Institute,Cary,NC)を使用して解析した。結果を、
図4A~4Cに示し、
図4Aは、β-ガラクトシル化グリカンのFcγRIIa結合てこ比プロットであり、
図4Bは、非フコシル化グリカンのてこ比プロットであり、
図4Cは、HMグリカンのてこ比プロットである。各グラフの最良適合直線を、暗赤色の直線で示す。これらの図に示されるように、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及び高マンノース含量のそれぞれは、FcγRIIa結合と関連しており、それぞれの関連は、統計的に有意であった(β-ガラクトシル化グリカンに関するp<0.0001;非フコシル化グリカンに関するp=0.0002;及び高マンノースに関するp=0.0142)。抗体1に関するFcγRIIa結合%と、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及び高マンノース含量との関係を、方程式1:
予測されたFcγRIIa結合%=98.877+(0.576*β-ガラクトシル化グリカン%)+(-4.978*非フコシル化グリカン%+(-1.343 高マンノースグリカン%)
[方程式1]
で説明し得る。
【0182】
β-ガラクトシル化グリカン%、非フコシル化グリカン%、及び高マンノースグリカン%に関して測定した値を方程式1に代入して、各試料に関して、予測されたFcγRIIa結合%値を算出して表1に示した。実際のFcγRIIa結合%(FcγRIIa結合アッセイで測定されるとおり)を、予測されたFcγRIIa結合%(方程式1により算出されるとおり)に対してプロットし、このプロットを、
図4Dとして提供する。
図4Dはまた、二乗平均平方根誤差(RMSE)、r
2(RSq)、及びp値を含む統計パラメータも提供する。これらの結果から、方程式1は、実際の(測定された)FcγRIIa結合を正確に予測し、且つβ-ガラクトシル化グリカン、非フコシル化グリカン、高マンノースグリカンと、FcγRIIa結合との間の統計的に有意な直接相関(p<0.0001)を強調していることが示唆される。β-ガラクトシル化グリカンのレベルが高いほど、且つ非フコシル化グリカン及び高マンノースグリカンのレベルが低いほど、FcγRIIa結合活性が高くなる。β-ガラクトシル化グリカンのてこ比、及び非フコシル化グリカンのてこ比は、非常に類似していた(それぞれ、p<0.0001及びp<0.0002)。
【0183】
測定されたFcγRIIa結合、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及びHM含量のデータをまた、統計解析のためのGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,San Diego,CA)を使用して解析した。結果を、
図4E~4Gに示し、各図では、回帰直線の方程式(破線で示されている)、及び95%信頼区間(水色の領域で示されている)を示す。これらの図に示すように、ほとんどのデータ点は、
図4E及び
図4Fの95%信頼区間内に入った。
図4Gに示すように、この信頼区間は、
図4E及び
図4Fの信頼区間と比べてはるかに広い。
図4E及び
図4Fの方程式の傾き及びy切片の範囲を、下記の表2に示す。
【0184】
【0185】
この試験で使用されるデータセットに基づいて、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及び/又はHM含量を測定することにより、抗体組成物のFcγRIIa結合を予測し得る。このデータは、FcγRIIa結合へのβ-ガラクトシル化含量及び非フコシル化グリカン含量の強い影響を裏付ける。従って、β-ガラクトシル化含量及び非フコシル化グリカン含量を測定するだけで、抗体組成物のFcγRIIa結合を予測し得る。
図4E~4Fのデータは、非フコシル化グリカン含量のβ-ガラクトシル化含量を測定するだけで、FcγRIIa結合を十分に合理的に予測し得ることを裏付ける。95%信頼区間内のデータ点は、抗体組成物のFcRIIa結合を合理的に予測するだろう。
【0186】
実施例4
本実施例では、例示的なFcγRIIb結合アッセイが説明されている。
【0187】
抗体を含む試料のFcγRIIb結合を測定するために、Biacore T200(GE Healthcare)を使用するFcγRIIb結合アッセイを開発した。このアッセイでは、抗体1を様々な濃度に連続希釈した試料を、プロテインAセンサーチップ(Series S Sensor Chip Protein A;GE Healthcare)上での捕捉に使用した。ヒトFcγRIIb-GST-H6組換えタンパク質(以降、「FcγRIIB-GST-H6」と称される)への結合を、プロテインAで捕捉された抗体を含む表面に一定濃度のFcγRIIb-GST-H6を注入することにより検出した。結合データを、統計ソフトウェアPLA3.0を使用して線形モデルに適合させ、試験抗体1参照標準(Ab1 RS)の結合レベルと比較して、試料の相対結合率を算出した。
【0188】
実施例5
本実施例では、FcγRIIb結合とグリカン含量との相関関係が実証されている。
【0189】
抗体1を含む様々な試料に関するグリカンプロファイルを、実施例1で説明されている手順に従って決定した。これらの試料をまた、実施例4で説明されているアッセイを実行することにより、FcγRIIb結活性に関しても特徴付けた。
【0190】
表3では、高マンノース(HM)グリカン、β-ガラクトシル化グリカン、及び非フコシル化グリカンの測定量と、測定されたFcγRIIb結合活性(相対結合%として表す)とが列挙されている。
【0191】
【0192】
測定されたFcγRIIb結合、高マンノース含量、β-ガラクトシル化含量、及び非フコシル化グリカン含量に関するデータを、統計解析のためのコンピュータプログラムのJMPスイート(SAS Institute,Cary,NC)を使用して解析した。結果を、
図5A~5Cに示し、
図5Aは、β-ガラクトシル化グリカンのFcγRIIb結合てこ比プロットであり、
図5Bは、非フコシル化グリカンのてこ比プロットであり、
図5Cは、HMグリカンのてこ比プロットである。各グラフの最良適合直線を、暗赤色の直線で示す。これらの図に示されるように、β-ガラクトシル化含量及び非フコシル化グリカン含量は、FcγRIIb結合と関連しており、それぞれの関連は、統計的に有意であった(β-ガラクトシル化グリカンに関するp=0.0258;非フコシル化グリカンに関するp=0.0600)。
図5Cに示すように、HM含量とFcγRIIb結合との関連は、統計的に有意ではなかった(p=0.1533)。抗体1に関するFcγRIIb結合%と、β-ガラクトシル化含量及び非フコシル化グリカン含量との関係を、方程式2:
予測されたFcγRIIb結合%=105.731+(0.461*β-ガラクトシル化グリカン%)+(-4.429*非フコシル化グリカン%+(-1.883)HMグリカン%)
[方程式2]
で説明し得る。
【0193】
β-ガラクトシル化グリカン%及び非フコシル化グリカン%に関して測定した値を方程式2に代入して、各試料に関して、予測されたFcγRIIb結合%値を算出して表3に示した。実際のFcγRIIb結合%(FcγRIIb結合アッセイで測定されるとおり)を、予測されたFcγRIIb結合%(方程式2により算出されるとおり)に対してプロットし、このプロットを、
図5Dとして提供する。
図5Dはまた、二乗平均平方根誤差(RMSE)、r
2、及びp値を含む統計パラメータも提供する。これらの結果から、方程式2は、実際の(測定された)FcγRIIb結合を正確に予測し、且つβ-ガラクトシル化グリカン、非フコシル化グリカンと、FcγRIIb結合との明確な相関関係を強調していることが示唆される。β-ガラクトシル化グリカンのレベルが高いほど、且つ非フコシル化グリカンのレベルが低いほど、FcγRIIb結合活性が高くなる。β-ガラクトシル化グリカンのてこ比、及び非フコシル化グリカンのてこ比は、類似していた(それぞれ、p=0.0258及びp=0.0600)。
【0194】
測定されたFcγRIIb結合、HM含量、β-ガラクトシル化含量、及び非フコシル化グリカン含量に関するデータをまた、統計解析のためのGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,San Diego,CA)を使用して解析した。結果を、
図5E~5Gに示し、各図では、回帰直線の方程式(破線で示されている)、及び95%信頼区間(水色の領域で示されている)を示す。これらの図に示すように、ほとんどのデータ点は、
図5E及び
図5Fの95%信頼区間内に入った。
図5E及び
図5Fの方程式の傾き及びy切片の範囲を、下記の表4に示す。
【0195】
【0196】
この試験で使用されるデータセットに基づいて、β-ガラクトシル化含量及び非フコシル化グリカン含量を測定することにより、抗体組成物のFcγRIIb結合を予測し得る。
図5E~5Fのデータは、非フコシル化グリカン含量のβ-ガラクトシル化含量を測定するだけで、FcγRIIb結合を合理的な信頼性で予測し得ることを裏付ける。95%信頼区間内のデータ点は、抗体組成物のFcRIIb結合を合理的に予測するだろう。
【0197】
実施例6
本実施例では、FcγRII結合とグリカン含量との相関関係が実証されている。
【0198】
実施例1~5の実験及び分析を、抗体1を含む追加の試料で実行した。簡潔に説明すると、抗体1を含む試料のグリカンプロファイルを、実施例1で説明されている手順に従って決定した。これらの試料をまた、実施例2及び実施例4それぞれで説明されているアッセイを実行することにより、FcγRIIa結合活性及びFcγRIIb結活性に関しても特徴付けた。
【0199】
表5では、既に分析した試料(試料ID番号1~11)及び追加の試料(試料ID番号12~19)に関する、高マンノース(HM)グリカン、β-ガラクトシル化(β-gal)グリカン、及び非フコシル化(afuco)グリカンの測定量と、測定されたFcγRIIa結合活性及びFcγRIIb結合活性(それぞれ相対結合%として表す)とが列挙されている。
【0200】
【0201】
表5の測定されたFcγRIIa結合、測定されたFcγRIIb結合、高マンノース含量、β-ガラクトシル化含量、及び非フコシル化グリカン含量に関するデータを、統計解析のためのコンピュータプログラムのJMPスイート(SAS Institute,Cary,NC)を使用して解析した。結果を、
図7A~7C及び
図8A~8Cに示し、
図7Aは、β-ガラクトシル化グリカンのFcγRIIa結合てこ比プロットであり、
図7Bは、非フコシル化グリカンのFcγRIIa結合てこ比プロットであり、
図7Cは、HMグリカンのFcγRIIa結合てこ比プロットであり、
図8Aは、β-ガラクトシル化グリカンのFcγRIIb結合てこ比プロットであり、
図8Bは、非フコシル化グリカンのFcγRIIb結合てこ比プロットであり、
図8Cは、HMグリカンのFcγRIIb結合てこ比プロットである。各グラフの最良適合直線を、暗赤色の直線で示す。
【0202】
図7A~7Bに示すように、β-ガラクトシル化含量、及び非フコシル化グリカン含量は、FcγRIIa結合と関連しており、それぞれの関連は、統計的に有意であった(β-ガラクトシル化グリカンに関するp<0.0001;非フコシル化グリカンに関するp=0.0033)。
図7Cに示すように、HM含量とFcγRIIa結合との関連も、統計的に有意であった(p=0.0035)。抗体1に関するFcγRIIa結合%と、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及びHM含量との関係を、方程式7:
予測されたFcγRIIa結合%=102.704+(0.545*β-ガラクトシル化グリカン%)+(-4.466*非フコシル化グリカン%+(-2.0356)HMグリカン%
[方程式7]
で説明し得る。
【0203】
表5のβ-ガラクトシル化グリカン%、非フコシル化グリカン%、及びHMグリカンに関して測定した値を方程式7に代入して、各試料に関して、予測されたFcγRIIa結合%値を算出した。予測されたFcγRIIa結合%値もまた、表5に表す。実際のFcγRIIa結合%(FcγRIIa結合アッセイで測定されるとおり)を、予測されたFcγRIIa結合%(方程式7によって計算されるとおり)に対してプロットし、このプロットを、
図7Dとして提供する。
図7Dはまた、二乗平均平方根誤差(RMSE)、r
2、及びp値を含む統計パラメータも提供する。これらの結果は、方程式7が、実際の(測定された)FcγRIIa結合を正確に予測し、且つβ-ガラクトシル化グリカン、非フコシル化グリカン、HMグリカンと、FcγRIIa結合との明確な相関関係を強調していることを裏付ける。β-ガラクトシル化グリカンのレベルが高いほど、且つ非フコシル化グリカン及びHMグリカンのレベルが低いほど、FcγRIIa結合活性が高くなる。各グリカン群のてこ比は、互いに類似していた。
【0204】
図8A及び8Cに示すように、β-ガラクトシル化含量及びHMグリカン含量は、FcγRIIb結合と関連しており、それぞれの関連は、統計的に有意であった(β-ガラクトシル化グリカンに関するp<0.0001;HMグリカンに関するp=0.0024)。
図8Bに示すように、非フコシル化グリカン含量は、FcγRIIb結合を伴う傾向があった(p=0.0947)。抗体1に関するFcγRIIb結合%と、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及びHM含量との関係を、方程式8:
予測されたFcγRIIb結合%=99.211+(0.590*β-ガラクトシル化グリカン%)+(-2.04*非フコシル化グリカン%+(-1.911)HMグリカン%
[方程式8]
で説明し得る。
【0205】
表5のβ-ガラクトシル化グリカン%、非フコシル化グリカン%、及びHMグリカンに関して測定した値を方程式8に代入して、各試料に関して、予測されたFcγRIIb結合%値を算出した。予測されたFcγRIIb結合%値もまた、表5に表す。実際のFcγRIIb結合%(FcγRIIb結合アッセイで測定されるとおり)を、予測されたFcγRIIb結合%(方程式8によって計算されるとおり)に対してプロットし、このプロットを、
図8Dとして提供する。
図8Dはまた、二乗平均平方根誤差(RMSE)、r
2、及びp値を含む統計パラメータも提供する。これらの結果は、方程式8が、実際の(測定された)FcγRIIb結合を正確に予測し、且つβ-ガラクトシル化グリカン、非フコシル化グリカン、HMグリカンと、FcγRIIb結合との明確な相関関係を強調していることを裏付ける。β-ガラクトシル化グリカンのレベルが高いほど、且つ非フコシル化グリカン及びHMグリカンのレベルが低いほど、FcγRIIb結合活性が高くなる。各グリカン群のてこ比は、互いに類似していた。
【0206】
表5の測定されたFcγRIIa結合、並びに測定されたFcγRIIb結合、測定されたHM含量、β-ガラクトシル化含量、及び非フコシル化グリカン含量に関するデータを、統計解析のためにGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,San Diego,CA)を使用して、さらに解析した。結果を、
図7E~7G及び
図8E~8Gに示し、
図7Eは、β-ガラクトシル化含量の関数としてFcγRIIa結合をプロットしているグラフであり、
図7Fは、非フコシル化含量の関数としてFcγRIIa結合をプロットしているグラフであり、
図7Gは、HM含量の関数としてFcγRIIa結合をプロットしているグラフであり、
図8Eは、β-ガラクトシル化含量の関数としてFcγRIIb結合をプロットしているグラフであり、
図8Fは、非フコシル化含量の関数としてFcγRIIb結合をプロットしているグラフであり、
図8Gは、HM含量の関数としてFcγRIIb結合をプロットしているグラフである。各図では、回帰直線の方程式(破線で示されている)、及び95%信頼区間(水色の領域で示されている)を示す。
【0207】
この試験で使用されるデータセットに基づいて、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及びHM含量を測定することにより、抗体組成物のFcγRIIa結合を予測し得る。
図7E~7Gのデータは、これらのグリカンを測定することによりFcγRIIa結合を合理的な信頼性で予測し得ることを裏付ける。95%信頼区間内のデータ点は、抗体組成物のFcRIIa結合を合理的に予測するだろう。測定されたFcγRIIb結合及びグリカン含量に関しても、同様の観察を行った。この試験で使用されるデータセットに基づいて、β-ガラクトシル化含量、非フコシル化グリカン含量、及びHM含量を測定することにより、抗体組成物のFcγRIIb結合を予測し得る。
図8E~8Gのデータは、これらのグリカンを測定することによりFcγRIIb結合を合理的な信頼性で予測し得ることを裏付ける。95%信頼区間内のデータ点は、抗体組成物のFcRIIb結合を合理的に予測するだろう。
【0208】
本明細書で引用される、刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が、あたかも個々に及び具体的に参照により本明細書に組み込まれることが示されており、且つ本明細書においてその全体が記載されていたかのように同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0209】
本開示の説明に関する(とりわけ下記の特許請求の範囲に関する)「1つの(a)」、及び「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語、並びに類似の指示対象の使用は、本明細書中で別段の指示がない限り又は文脈と明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、別段の指定がない限り、指定の構成要素を含むが他の要素を排除しない(即ち、「含むが限定されない(including,but not limited to)」を意味する)、非限定的な用語として解釈されるべきである。
【0210】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内にあるそれぞれ別々の値及びそれぞれの終点を個々に言及する速記法としての役割を果たすことが単に意図され、本明細書であたかも個々に列挙されたかのように、それぞれ別々の値及び終点が本明細書に組み込まれる。
【0211】
本明細書で説明されている方法を全て、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、あらゆる適切な順序で実施し得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば「等」)の使用は、本開示をより明らかにするすることが意図されているに過ぎず、別途特許請求されない限り、本開示の範囲の限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言語も、任意の特許請求されていない要素を、本開示を実施するのに必要不可欠なものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0212】
本明細書では、本開示の好ましい実施形態が説明されており、例えば、本開示を実行するための本発明者らにとって既知の最良の形態が説明されている。それらの好ましい実施形態の変形形態は、上記の説明を読むことで当業者に明らかになり得る。発明者らは、当業者が必要に応じてこのような変形形態を採用することを予想し、発明者らは、本明細書中で具体的に説明されている形態以外で本開示が実施されることを意図する。従って、本開示は、適用される法により認められるとおり、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての変更形態及び均等物を含む。さらに、上記の要素の任意の組み合わせは、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態で本開示に包含される。
【配列表】
【国際調査報告】