(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ガラス物品における小さな美的気泡の包含
(51)【国際特許分類】
C03B 5/20 20060101AFI20241003BHJP
C03B 7/22 20060101ALI20241003BHJP
C03B 7/02 20060101ALI20241003BHJP
C03B 7/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C03B5/20
C03B7/22
C03B7/02
C03B7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520081
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 US2022045779
(87)【国際公開番号】W WO2023059718
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524122680
【氏名又は名称】オウエンズ-ブロックウェイ グラス コンテナ― インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】スワイラー、ダン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドシル、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー、スコット
(72)【発明者】
【氏名】カスティロ、ホセ、ガレイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス、エンリケ
(57)【要約】
ガラス物品を形成する方法は、SiC粒子と担体粒子との微粒子混合物(20)を、ガラス製造炉(10)のフォアハース(12)又は清澄チャンバ(28)のうちの少なくとも1つ内に含まれる溶融ガラス(44、22)に導入することを含む。微粒子混合物(20)は、フォアハース(12)から排出される調整された溶融ガラス(18)の流出物及びそれから製造されたガラス物品が、微粒子混合物(20)を添加しない場合よりも高濃度のシード(S)を含有するように、溶融ガラス内にシード(S)を生成する。ガラス物品中のシード(S)の濃度は、微粒子混合物(20)の添加を開始又は停止することによって制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品を形成する方法であって、前記方法は、
溶融チャンバ(26)、清澄チャンバ(28)、及びフォアハース(12)を備えるガラス製造炉(10)を提供するステップであって、前記溶融チャンバ及び前記清澄チャンバはスロート(30)によって分離され、前記フォアハースは前記清澄チャンバに流体連結され、前記溶融チャンバは、ガラス化供給材料(14)が導入される溶融ガラス浴(32)を収容し、前記清澄チャンバは、前記スロートを通して前記溶融チャンバ内の前記溶融ガラス浴からガラスを受け取る溶融ガラス清澄浴(22)を収容し、前記フォアハースは、前記溶融ガラス清澄浴から引き出された溶融ガラス(44)流が移動する細長いチャネル(52)を含む、提供するステップと、
SiC粒子及び担体粒子を含む微粒子混合物(20)を、前記溶融ガラス清澄浴又は前記フォアハース内の前記溶融ガラス流のうちの少なくとも1つに導入して、前記フォアハース内の前記溶融ガラス流内にシード(S)を生成し、それによって前記フォアハース内の前記溶融ガラス流内のシード濃度を増加させるステップと、
調整された溶融ガラス(18)の流出物を前記フォアハースから排出するステップと、
前記調整された溶融ガラスの前記流出物からガラス物品を形成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記微粒子混合物に含まれる前記担体粒子がカレット粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微粒子混合物に含まれる前記担体粒子がガラスフリットを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記微粒子混合物に含まれる前記担体粒子が、前記溶融ガラス流に導入されたときに溶融してガラス状態になるガラス化粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記微粒子混合物中の前記SiC粒子が、10μm~120μmの範囲の粒径を有し、前記微粒子混合物中の前記担体粒子が、50μm~300μmの範囲の粒径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記微粒子混合物中の前記SiC粒子が、30μm~80μmの範囲の粒径を有し、前記微粒子混合物中の前記担体粒子が、100μm~200μmの範囲の粒径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記微粒子混合物における前記SiC粒子と前記担体粒子との重量比が、1:1000~1:2.5の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微粒子混合物中の前記SiC粒子と前記担体粒子との重量比が1:500~1:100の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子混合物中の前記SiC粒子と前記担体粒子との重量比が、1:500~1:250の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子混合物中の前記SiC粒子及び前記担体粒子の合計重量の、前記溶融ガラス清澄浴又は前記フォアハース内の前記溶融ガラス流のうちの少なくとも1つへの流量が、前記フォアハースからの前記調整された溶融ガラスの前記流出物の排出流量(D
R)の0.1%~5.0%の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記SiC粒子と前記担体粒子との合計重量の流量が、前記フォアハースからの調整された溶融ガラスの流出物の排出流量の0.5%~0.75%の範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記微粒子混合物が、前記溶融ガラス流の温度が1100℃~1400℃の範囲である前記フォアハースのゾーン(72)内の前記溶融ガラス流に導入される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記微粒子混合物中の前記SiC粒子及び前記担体粒子が、それぞれ10μm~120μm及び50μm~300μmの範囲の粒径を有し、前記微粒子混合物中の前記SiC粒子と前記担体粒子との重量比が1:1000~1:2.5の範囲であり、前記微粒子混合物が、前記溶融ガラス流の温度が1100℃~1400℃の範囲である前記フォアハースのゾーン(72)内の前記溶融ガラス流に導入され、前記フォアハース内の前記溶融ガラス流への前記微粒子混合物中の前記SiC粒子及び前記担体粒子の合計重量の流量が、前記フォアハースからの調整された溶融ガラスの流出物の排出流量(D
R)の0.1%~5.0%の範囲である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記調整された溶融ガラスの流出物が、ソーダ石灰シリカガラス化学組成物を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記調整された溶融ガラスの流出物から前記ガラス物品を成形することが、中空ガラス基材(108)を含むガラス容器(106)を成形することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ガラス物品を成形する方法であって、前記方法は、
(a)フォアハース(12)の細長いチャネル(52)内に溶融ガラス(44)流を供給するステップであって、前記溶融ガラス流が前記チャネルに沿って冷却される、供給するステップと、
(b)調整された溶融ガラス(18)の流出物を、溶融ガラスの第1の組のゴブとして前記フォアハースから排出することであって、前記調整された溶融ガラスの流出物は、第1のシード濃度を有する、ステップと
(c)溶融ガラスの前記第1の組のゴブのうちの1つのゴブからガラス物品を形成するステップと、
(d)SiC粒子及び担体粒子を含む微粒子混合物(20)を、前記フォアハースを通って流れる前記溶融ガラス流、又は前記フォアハース内の前記溶融ガラス流が引き出される溶融ガラス清澄浴(22)のうちの少なくとも1つに導入するステップであって、前記微粒子混合物は、前記調整された溶融ガラスの流出物内のシード(S)の濃度を前記第1のシード濃度から第2のシード濃度に増加させ、前記担体粒子は、カレット粒子、ガラスフリット粒子、又はガラス化粒子のうちの少なくとも1つを含む、導入するステップと、
(e)ステップ(d)において前記微粒子混合物を導入した後に、前記フォアハースからの前記調整された溶融ガラスの流出物を、溶融ガラスの第2の組の第2の個々のゴブとして排出するステップと、
(f)溶融ガラスの前記第2の組の個々のゴブのうちの1つのゴブからガラス物品を形成するステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記調整された溶融ガラスの流出物が、ソーダ石灰シリカガラス化学組成物を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(c)で形成された前記ガラス物品及びステップ(f)で成形された前記ガラス物品の各々が、閉じた底部(110)と、前記閉じた底部から口(114)まで延在する周壁(112)とを有する中空ガラス基材(108)を含むガラス容器(106)である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(f)で形成された前記ガラス物品が、ガラス1グラム当たり4シード~ガラス1グラム当たり10シードの範囲のシード濃度を有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス製造に関し、より具体的には、ガラス内に、様々な濃度の、一般にシードと呼ばれる、小さな気泡を含むガラス物品を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物ガラスは、長距離秩序を欠き、ガラス中に存在する2つの配位酸素と金属又は半金属原子との間に強い結合を有する硬い非晶質固体である。この結合は、強固で、様々な構造的配置を可能にするネットワークを提供する。「ガラス質」という用語は、ガラスの非晶質、非結晶状態を説明するために使用されることが多い。従来、ガラスは、溶融チャンバ、清澄チャンバ、及び少なくとも1つのフォアハースを含む連続溶融炉で製造される。溶融チャンバでは、ガラス化供給材料(一般にガラスバッチ材料とも呼ばれる)を、バッチフィーダを通して溶融ガラス浴の上部に供給する。この材料は典型的には、ガラス浴の上方の空間における燃料と酸化剤との混合物の燃焼によって加熱される。燃焼火炎は、溶融ガラス浴を放射加熱し、その結果、ガラス化供給材料は、溶融し、流れ、対流によって補助されて浴中に混合することができる。溶融ガラス浴は、溶融チャンバと清澄チャンバとを分離するスロートに向かってガラスが流れるにつれて、より均質化される。スロートは、ガラスが溶融チャンバ内のガラス浴から清澄チャンバ内の溶融ガラス清澄浴に流れることを可能にする。
【0003】
ガラス化供給材料の特定の成分-最も注目すべきは、炭酸塩、硫化物、酸化物、硫酸塩、及び硫化物などの原料は、溶融チャンバ内の溶融ガラス浴内で溶融、反応、又は分解する際に、溶融ガラス浴内に気泡を導入してもよい。更に、ガラス化供給材料粒子間に捕捉された空気もまた、様々なサイズの気泡をガラス浴中に導入してもよい。いくつかの産業では、同伴気泡は、商業生産仕様を満たすのに必要な程度まで、溶融チャンバ及び清澄チャンバにおいて溶融ガラスから除去される(「清澄」として知られるプロセス)。ガラスは、ガラスから成形された物品が、特にそれらの物品がガラス容器である場合、審美的に魅力的であり、一貫した外観を示すように仕上げられる。
【0004】
気泡の除去は、より大きな気泡が溶融ガラス浴を通って急速に上昇し、ガラス浴の表面に達すると破裂するので、高温溶融チャンバ内で始まる。このプロセスは、ガラスの温度が上昇するにつれてガラスに溶けにくくなる、ガラス化供給材料に含まれる二次材料(例えば、硫酸ナトリウム)である清澄剤によって補助されてもよい。これらの清澄剤によって放出されたガスは、既存の気泡と結合して拡大し、それによって、拡大した気泡が溶融ガラスの上部に上昇する速度が増加する。溶融ガラス清澄浴中の同伴気泡の濃度は、スロートの反対側の清澄チャンバ内で更に低減される。清澄チャンバでは、同伴気泡は、溶融ガラス清澄浴から上昇し続け、これは、浴の非乱流を達成して同伴気泡の適時の上昇及び脱出を促進することによって補助される。また、溶融ガラス清澄浴は、ガラスがフォアハースに向かって流れるときに清澄チャンバ内で徐冷される。この冷却により、ガラス内の特定のガスの溶解度が増加し、溶融ガラス清澄浴から出ないより小さい同伴気泡が溶解してガラス内に戻ることを可能にする。
【0005】
溶融ガラス浴は、炉の清澄チャンバからフォアハースに流入する。フォアハースは、一連の徐々に減少する温度ゾーンを有する細長いチャネルを画定し、細長いチャネルを炉の清澄チャンバに流体接続するアルコーブを更に含んでもよい。溶融ガラスが細長いチャネルを通って流れるとき、ガラスは、制御可能な速度で冷却されて、ガラスの粘度を、ガラス成形操作をより促進するレベルまで上昇させる。ガラス容器を成形するとき、例えば、熱的に調整された溶融ガラスを、細長いチャネルの出力端に位置するフォアハースのフィーダ噴出口内に収集してもよい。フィーダ噴出口は典型的には、噴出口のオリフィス板に画定された少なくとも1つの対応するオリフィスを通る溶融ガラス流又はランナーの排出を制御する少なくとも1つの往復移動可能なプランジャを含む。調整された溶融ガラスのゴブがガラス流から剪断され、ゴブ分配システムを介してブランク金型に個々に分配される。次に、ガラスゴブをブランク金型内でパリソンに成形する。パリソンが形成された後、パリソンをブロー金型に移送し、そこでガラス容器にブローされる。次いで、ガラス容器は、典型的にはアニール処理され、1つ又は複数の表面コーティングでコーティングされる。
【0006】
上で説明したように、ガラス中に残る気泡は、形成されたガラス物品中に顕著な視覚的欠陥を導入するので、一般に欠陥であると考えられる。同伴気泡は典型的には、ブリスター又はシードの2つのカテゴリーのうちの1つに分類される。ブリスターとは、0.8mmを超える直径を有する気泡を指し、シードとは、0.8mm以下の直径を有する気泡を指す。表面装飾、ガラス様式の細部、又は他の何らかの理由のために、ある量のシードが最終ガラス中に保持されることが望ましい場合、従来のガラス加工慣行であれば、供給材料から化学清澄剤を除去することなどによって、溶融ガラス中のシードの存在を安定化させるのに役立つように、ガラス化供給材料を調整することを指示する。しかしながら、この従来の慣行では、ガラス組成が異なるガラス化供給材料配合間で移行している間に商業的に実現可能なガラスが製造されなくてもよいため、操業上非効率となり、また、溶融及び清澄チャンバ温度で耐火材料の腐食及び劣化を加速することが知られている、比較的大量の同伴気泡を含有する溶融ガラスへ炉の耐火材料が曝露するのを延長することとなる。本開示は、必ずしもガラス化供給材料配合の調整を必要としない「シード性」溶融ガラスを製造するための、より効率的、経済的、及び戦略的な手法を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、調整された溶融ガラスを製造し、調整された溶融ガラス内のシード濃度を制御する方法に関する。具体的には、ガラス製造炉のフォアハースから、典型的にはガラスフィーダのオリフィスを通して排出される調整された溶融ガラスの流出物内にシードを導入し、したがってシード濃度を増加させるために、(i)炭化ケイ素(SiC)粒子と、(ii)ガラス粒子及び/又はガラス化粒子から構成される担体粒子とを含む微粒子混合物を、炉の清澄チャンバ内に含まれる溶融ガラス清澄浴又はフォアハースに含まれる溶融ガラス流のうちの少なくとも1つに導入する。SiC粒子は、フォアハースから排出される調整された溶融ガラス内に存続するシードを生成し、したがって、そうでなければ存在するであろうよりも高濃度のシードを含有する物品を、調整された溶融ガラスから形成することができる。担体粒子は、溶融ガラス内にSiC粒子を分散させて、SiC粒子が凝集して、一貫性のない気泡サイズを有する不規則な分布のシードを生成しないことを確実にするのに役立つ。また、同じガラス製造炉を使用して、清澄チャンバ及び/又はフォアハースへの微粒子混合物の導入を停止することによって、より低濃度のシードを有するガラス物品を形成してもよい。
【0008】
本開示は、ガラスを製造する方法を提供するために、互いに別々に又は組み合わせて実施することができるいくつかの態様を具体化する。本開示の一実施形態によれば、ガラス物品を形成する方法は、いくつかのステップを含んでもよい。本方法の1つのステップは、溶融チャンバ、清澄チャンバ、及びフォアハースを備えるガラス製造炉を提供することを含む。溶融チャンバ及び清澄チャンバはスロートによって分離され、フォアハースは清澄チャンバに流体連結される。溶融チャンバは、ガラス化供給材料が導入される溶融ガラス浴を収容し、一方、清澄チャンバは、スロートを通して溶融チャンバ内の溶融ガラス浴からガラスを受け取る溶融ガラス清澄浴を収容する。更に、フォアハースは、溶融ガラス清澄浴から引き出された溶融ガラス流が沿って移動する細長いチャネルを含む。本方法の別のステップは、SiC粒子及び担体粒子を含む微粒子混合物を、溶融ガラス清澄浴又はフォアハース内の溶融ガラス流のうちの少なくとも1つに導入して、フォアハース内の溶融ガラス流内にシードを生成し、それによってフォアハース内の溶融ガラス流内のシード濃度を増加させることを含む。本方法の更に別のステップは、調整された溶融ガラスの流出物をフォアハースから排出することを含む。本方法の更に別のステップは、調整された溶融ガラスの流出物からガラス物品を成形することを含む。
【0009】
本開示の別の態様によれば、ガラス物品を形成する方法は、いくつかのステップを含んでもよい。本方法の1つのステップは、(a)溶融ガラス流をフォアハースの細長いチャネル内に供給するステップを含み、溶融ガラス流が細長いチャネルに沿って冷却される、ステップを含む。本方法の別のステップは、(b)調整された溶融ガラスの流出物を、溶融ガラスの第1の組のゴブとしてフォアハースから排出するステップを含む。調整された溶融ガラスの流出物は、第1のシード濃度を有する。本方法の更に別のステップは、(c)溶融ガラスの第1の組のゴブのうちの1つのゴブからガラス物品を成形するステップを含む。本方法の更に別のステップは、(d)SiC粒子及び担体粒子を含む微粒子混合物を、フォアハースを通って流れる溶融ガラス流、又はフォアハース内の溶融ガラス流が引き出される溶融ガラス清澄浴のうちの少なくとも1つに導入するステップを含む。微粒子混合物は、調整された溶融ガラスの流出物内のシード濃度を、第1のシード濃度から第2のシード濃度に増加させる。微粒子混合物に含まれる担体粒子は、カレット粒子、ガラスフリット粒子、又はガラス化粒子のうちの少なくとも1つを含む。本方法の別のステップは、(e)ステップ(d)において微粒子混合物を導入した後に、調整された溶融ガラスの流出物を、溶融ガラスの第2の組の個々のゴブとしてフォアハースから排出するステップを含む。本方法の更に別のステップは、(f)溶融ガラスの第2の組の個々のゴブのうち1つのゴブからガラス物品を成形するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、その追加の目的、特徴、利点、及び態様と共に、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面から最もよく理解されるであろう。
【
図1】本開示の一実施形態によるガラス製造炉の断面図であり、
【
図2】本開示の一実施形態による、
図1に示すガラス製造炉のフォアハースの拡大図であり、
【
図3】本開示の一実施形態による、
図1に示すガラス製造炉のフォアハースから排出された調整された溶融ガラスの流出物からガラス容器を形成するための一般的な方法を示すフローチャートであり、そして
【
図4】本開示の一実施形態による、
図1に示すガラス製造炉のフォアハースから排出された調整された溶融ガラスの流出物から形成されてもよい代表的なガラス容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
炉に供給されるガラス化供給材料の組成に対する調整を必ずしも必要とせずに、様々な濃度のシードを有するガラス物品、特にガラス容器を形成する方法が開示される。ガラス容器のガラス内に含まれるシード濃度は、場合によっては、便宜上、「シード性」又は「非シード性」として分類されてもよい。「シード性」ガラスと「非シード性」ガラスとの間の区別は、消費者の要求に応じて変化することができる一方、特定の実施形態では、ガラス及びそれから形成される物品は、ガラスがガラス1グラム当たり1~100個のシード、又はより狭くはガラス1グラム当たり4個のシード~ガラス1グラム当たり10個のシードのシード濃度を有する場合、「シード性」であると考えられる。一実施形態では、ガラスは、ガラス1グラム当たり5.5個のシード~ガラス1グラム当たり7.5個のシードの範囲のシード濃度を示す場合、「シード性」であると考えられてもよい。逆に、特定の実施形態では、ガラス及びそれから形成される物品は、ガラスが、ガラス1グラム当たり1シード未満のシード濃度、又はより狭くは、ガラス1グラム当たり0シード~ガラス1グラム当たり0.5シードの範囲のシード濃度を有する場合、「非シード性」とみなされる。シード性ガラスは、シード性ガラスに起因するガラス容器の美的外観を利用して、ブランドアイデンティティを構築若しくは支持するか、又は一般消費者に異なる審美性を提供してもよいスピルト産業用に製造されたガラス容器を含む様々なガラス物品に望ましくてもよい。
【0012】
本開示のガラス物品形成方法は、連続ガラス製造炉10を含むガラス製造システムを使用して実施される。炉10は、例えば
図1~2に示されるように、少なくとも1つのフォアハース12を含む。炉10は、バッチ供給装置16からガラス化供給材料14の入力を受け取り、温度調整された溶融ガラス18の流出物をフォアハース12から排出する。調整された溶融ガラス18の流出物は、ガラス容器などのガラス物品に形成してもよい。(i)SiC粒子と、(ii)ガラス粒子及び/又はガラス化粒子から構成される担体粒子とを含む微粒子混合物20は、炉10内に収容される溶融ガラス清澄浴22内のフォアハース12又はフォアハース12の上流のいずれかで、炉10内の溶融ガラスに導入されてもよい。微粒子混合物20は、調整された溶融ガラス18の流出物内に存続するシードを生成し、したがって、調整された溶融ガラス18の流出物のシード含有量を増加させる。このようにして、微粒子混合物20の添加を開始又は停止することによって、調整された溶融ガラス18の流出物から、例えばガラス容器を含むシード性及び非シード性の両方のガラス物品を形成することができる。ガラス化供給材料14に対するレシピの変更は必ずしも必要ではない。
【0013】
炉10は、溶融チャンバ26、清澄チャンバ28、及び溶融チャンバ26と清澄チャンバ28とを分離するスロート30とを画定する、耐火材料から構成されたハウジング24を含む。溶融ガラスは、溶融チャンバ26及び清澄チャンバ28を部分的に充填し、スロート30を完全に充填する。溶融ガラス浴32が溶融チャンバ26内に収容され、ガラス化供給材料14が導入されるのはこの浴32である。溶融ガラス清澄浴22は、清澄チャンバ28内に収容され、スロート30を通して溶融チャンバ26から溶融ガラスを受け入れ、スロート30は、溶融ガラス浴32及び清澄ガラス浴22のレベルより下に沈められ、ガラスが上流の溶融チャンバ26から下流の清澄チャンバ28に流れることを可能にする。溶融ガラス浴32及び溶融ガラス清澄浴22は、それぞれのチャンバ26、28を部分的にしか充填しないので、溶融チャンバ燃焼ゾーン34は、溶融チャンバ26内に収容される溶融ガラス浴32の上方の溶融チャンバ26内に存在し、清澄チャンバ燃焼ゾーン36は、溶融ガラス清澄浴22の上方の清澄チャンバ28内に存在する。溶融チャンバ26及び清澄チャンバ28内での8時間~72時間の範囲のガラス滞留時間を維持するために、典型的には30トン~1000トンの比較的大量の溶融ガラスが炉10内に収容される。溶融ガラス浴32及び溶融ガラス清澄浴を含む溶融ガラスは、ソーダ石灰シリカガラスであってもよい。
【0014】
バッチ入口38は、ハウジング24内に画定され、ガラス化供給材料14を溶融ガラス浴32上に送達するための溶融チャンバ26への入口を提供する。ガラス化供給材料14は、溶融し反応して、時間と共に溶融ガラス浴32に混合するガラスを形成するバッチブランケット40として溶融ガラス浴32の一部にわたって分配される。ガラス出口42もハウジング24内に画定され、溶融ガラス44流が通って溶融ガラス清澄浴22から引き出されてフォアハース12に供給される、清澄チャンバ28からの出口を提供する。
図1に最もよく示されるように、溶融ガラス清澄浴22は、上方に流れる部分22a及び水平に流れる部分22bを含む。上方に流れる部分22aは、スロート30から水平に流れる部分22bまで上方に延び、ここでは重力に対して垂直に流れ、水平に流れる部分22bは、ガラス出口42を通って清澄チャンバ28に向かって流れ、清澄チャンバ28から出る。「重力に対して垂直」という用語は、真の垂直から最大5°の傾斜を含む。
【0015】
複数のオーバーヘッドバーナー46が、溶融チャンバ26内のハウジング24に取り付けられている。これらのオーバーヘッドバーナー46の各々は、酸化剤及び燃料を含む可燃性混合物を燃焼させ、得られた燃焼火炎を溶融ガラス浴32の上方の溶融チャンバ燃焼ゾーン34内に放出する。これらの燃焼火炎は、ガラス化供給材料14の溶融及び反応を促進するよう溶融ガラス浴32を加熱する。炉10の動作中、溶融ガラス浴32がソーダ石灰シリカガラスから成る場合、溶融ガラス浴32は、1200℃~1550℃の温度範囲内に維持されてもよい。同様に、複数のオーバーヘッドバーナー48が、清澄チャンバ28内のハウジング24に取り付けられてもよい。これらのオーバーヘッドバーナー48の各々はまた、可燃性混合物を燃焼させ、得られた燃焼火炎を溶融ガラス清澄浴22の上方の清澄チャンバ燃焼ゾーン36内に放出する。これらの燃焼火炎は、溶融ガラス清澄浴22を制御された速度で冷却することを可能にし、溶融ガラス清澄浴22からの同伴気泡の上昇及び除去を容易にするのに役立つ。炉10の動作中、溶融ガラス清澄浴22がソーダ石灰シリカガラスから成る場合、清澄チャンバ28内に収容された溶融ガラス清澄浴22は、1450℃~1150℃の温度範囲内に維持されてもよい。
【0016】
フォアハース12は、清澄チャンバ28に流体接続される。フォアハース12は、清澄チャンバ28から溶融ガラス44流を受け取り、調整された溶融ガラス18の流出物を排出流量DRで排出する。フォアハース12は、溶融ガラス44流がそれに沿って冷却される細長いチャネル52を画定するハウジング50を有し、調整された溶融ガラス18の流出物を供給するガラスフィーダ54を更に含む。フォアハース12は、溶融ガラス44流を細長いチャネル52に送出するために、細長いチャネル52を炉10の清澄チャンバ28に流体接続するアルコーブ(図示せず)を更に含んでもよいが、含む必要があるわけではない。ハウジング50は、細長いチャネル52の長さLに沿って離間された細長いチャネル52への入口56及び細長いチャネル52からの出口58を更に画定する。溶融ガラス44流は、細長いチャネル52の入口56から出口58に流れ、最終的にガラスフィーダ54に入る。調整された溶融ガラス18の流出物は、以下に更に説明するように、ガラスフィーダ54を通して溶融ガラスの個々のゴブとしてフォアハース12から排出される。
【0017】
複数のオーバーヘッドバーナー60が、フォアハース12の細長いチャネル52内に取り付けられている。これらのバーナー60の各々は、可燃性ガス混合物を燃焼させ、燃焼火炎を溶融ガラス44流の上方の細長いチャネル52内に放出する。オーバーヘッドバーナー60は、溶融ガラス44流を調整するように操作される、すなわち、
図2に最もよく示されるように、溶融ガラス44流の温度Tを、細長いチャネル52の長さLに沿って、チャネル52の入口56における第1の温度T
1からチャネル52の出口58における第2の温度T
2まで徐々に低下させて、ガラスの温度を均一化し、下流のガラス形成操作に適したガラス粘度を達成するように操作される。例えば、溶融ガラスがソーダ石灰シリカガラスであるガラス容器形成操作に適用可能な場合、溶融ガラス44流の第1の温度T
1は、1100℃~1450℃の範囲であってもよく、溶融ガラス44流の第2の温度T
2は、1050℃~1250℃の範囲であってもよい。溶融ガラス44流は、第2の温度T
2でより熱的に均質化され、第2の温度T
2である結果として、10
1.5Pa・s~10
3Pa・sのガラス粘度を有する。
【0018】
補助入口62は、入口56と出口58との間でフォアハース12のハウジング50内に更に画定されて、微粒子混合物20がフォアハース12のその位置に導入される場合に、制御された供給速度で微粒子混合物20を溶融ガラス44流中に選択的に導入することを可能にしてもよい。補助入口62は、細長いチャネル52へのアクセスを提供する単一の開口部であってもよく、又は集合的にいくつかのそのような開口部であってもよい。補助入口62は、固体微粒子材料を計量することができる補助フィーダ64から微粒子混合物20を受け取る。例えば、補助フィーダ64は、供給管66及び、供給管66内に配置され、供給管66によって囲まれた回転スクリュー68を備える押出機であってもよい。回転スクリュー68は、供給管66内で回転して、ある量の微粒子混合物20を制御された供給速度で供給管66を通して軸方向に移動させる。供給管66を出るこの量の微粒子混合物20は、微粒子混合物20を溶融ガラス44流に導入するように補助入口62と供給連通するように配置されたガイド70に供給されてもよい。
【0019】
SiC粒子及び担体粒子は、溶融ガラス、例えば溶融ガラス清澄浴22又は溶融ガラス44流に添加されると、ガラス内にシードS(
図2)を生成するよう相乗的に機能する。SiC粒子は、少なくとも90重量%のSiC、又は場合によっては少なくとも98重量%のSiCを含有してもよく、残りは、SiO
2、C、Si、Fe、及びAlのうちの1つ又は複数、並びに許容可能な不純物である。このようなSiC粒子は、Rosber SA de CV(Naucalpan de Juarez,Mexicoに本部がある)から商業的に入手してもよい。担体粒子は、ガラス粒子及び/又はガラス化粒子を含む。ガラス粒子は、カレット粒子、フリット、又は他の任意のガラス質ガラスであってもよく、少なくとも50重量%のSiO
2を含有する。一実施形態では、ガラス粒子は、好ましくは溶融ガラス44流もソーダ石灰シリカガラスである場合、ソーダ石灰シリカガラス粒子であってもよい。ガラス化粒子は、ガラスとはみなされないだが、ガラス状態に溶融されることができる粒子である。例えば、ガラス化粒子は、溶融ガラス44流に導入されると、溶融して、少なくとも50重量%のSiO
2を含有するガラスを形成する酸化物、炭酸塩、又は他のガラス前駆体材料の顆粒であってもよく、必要に応じて、ソーダ石灰シリカガラス組成を有するガラスを含む。
【0020】
SiC粒子は、典型的には酸素と反応し、次いで、溶融ガラス内に溶融し、SiC粒子は、CO2ガス、COガス、又はCO2ガス及びCOガスの両方を放出するよう溶融ガラスに添加される。放出されたガス(複数可)は、ガラスマトリックス内に同伴されて、包含されたシードSを形成する。クラスターを形成するのとは対照的に、SiC粒子が良好に分散されて、その結果得られたシードSがガラス内に良好に分布するようにことを確実にするのを助けるために、SiC粒子を、微粒子混合物20内で担体粒子と混合する。微粒子混合物20の特性は、調整された溶融ガラス18の流出物及びそこから形成されるガラス物品内を前進し、維持される、生成されたシードSの性質、並びに溶融ガラス44流が発泡する傾向に影響を及ぼすことができる。
【0021】
微粒子混合物20中にSiC粒子を含めることは一般に、生成されるシードSのサイズ及び量を増加させる効果を有する。そのために、微粒子混合物20中に含めるSiC粒子の量が多すぎると、大量のより大きなシードが形成される結果として、溶融ガラスが発泡することができる。また、溶融ガラス44流の中に泡が存在することは、ガラスから形成されるガラス物品内で泡が目に見える縞に変換されることができるので、一般に回避されることが求められる。更に、溶融ガラスの温度は、生成されるシードSのサイズに反比例する、すなわち、より大きなシードはより低いガラス温度で製造され、より小さなシードはより高いガラス温度で製造される。結果として、以下の因子のいずれか又は全てを、シード形成に対する個々の又は集合的な寄与について考慮してもよい:(1)SiC粒子及び担体粒子のサイズ、(2)微粒子混合物20内の担体粒子に対するSiC粒子の重量比(SiC:担体の重量比)、(3)溶融ガラス清澄浴22及び/又は溶融ガラス44流に添加される微粒子混合物20の量、並びに(4)微粒子混合物20が溶融ガラス44流に導入される位置。
【0022】
上記の4つの因子のいずれか1つ又は複数を、生成されるシードSのサイズ及び/又は濃度を調整するよう変更してもよく、一方各々の適用可能な範囲は、シード性ガラスの製造のために決定されている。例えば、SiCの粒径は、10μm~120μm、より狭くは30μm~80μmの範囲であってもよく、担体粒子の粒径は、50μm~300μm、より狭くは100μm~200μmの範囲であってもよい。本明細書で使用される「粒径」とは、粒子の最大寸法の測定された長さを指す。SiC粒子及び担体粒子はまた、微粒子混合物20に1:1000~1:2.5、より狭くは1:1000~1:100、1:500~1:100、更には1:500~1:250の範囲であるSiC:担体重量比で含まれてもよい。微粒子混合物20は、溶融ガラス清澄浴22、フォアハース12の細長いチャネル52内の溶融ガラス44流、又はその両方に導入されて、調整された溶融ガラス18の流出物の排出流量DRの0.1%~5.0%、より狭くは0.4%~0.85%、更により狭くは0.5%~0.75%の範囲であるSiC粒子及び担体粒子の合計重量(SiC:担体重量比で)の流量を提供してもよい。更に、特定の混合物20の一部又は全部を溶融ガラス44流に導入する場合、微粒子混合物20は、溶融ガラス44流の温度Tが1100℃~1400℃、より狭くは1275℃~1375℃の範囲であるフォアハース12のゾーン72において溶融ガラス44流に添加されてもよい。
【0023】
フォアハース12から出る調整された溶融ガラス18の流出物中のシードSの濃度は、溶融ガラス清澄浴22及び/又はフォアハースに含まれる溶融ガラス44流への微粒子混合物20の導入を単に開始することによって選択的に変化させることができる。微粒子混合物20の導入を開始することによって、調整された溶融ガラス18の流出物内のシードSの濃度は、必ずしもガラス化供給材料14の配合の調整に依存する必要なく、比較的迅速に増加させることができる。この移行を迅速に行うことができるのは、ガラス化供給材料14の配合変更を必要としないからであり、配合を変更すると一般に、調整された溶融ガラス18に意図された効果を生じさせるのが遅くなり、したがって、商業的価値のない大量の移行ガラスを生じてもよい。したがって、同じガラス製造炉10で、シード含有量が著しく異なるガラスを製造することができ、各タイプのガラスに対する需要及び製造スケジューリングロジスティクスに基づいて2つの間で移行することができる。また、ガラスのシードSの濃度は、フォアハース12又は清澄チャンバ28内で調整されるので、清澄チャンバ28及びフォアハース12よりも高温で動作する傾向がある溶融チャンバ26は、過度に泡立ったガラスに関連するより攻撃的な腐食機構を免れる。
【0024】
ガラス製造炉10の動作中、ガラス化供給材料14は、溶融チャンバ26内に導入され、バッチブランケット40として溶融ガラス浴32の一部にわたって分配される。ガラス化供給材料14は、溶融ガラス浴32内に存在する対流74及び溶融チャンバ26内のオーバーヘッドバーナー46によって提供される放射熱によって補助されて、溶融し、流れ、溶融ガラス浴32に混合する。溶融ガラス浴32内でガラス化供給材料14の様々な成分が反応又は分解すると、気泡Bを生成する。ガラス化供給材料14は、特定のガラス化学組成を有する、様々な酸化物ガラスを含む任意の種類のガラスを生成するように配合されてもよい。例えば、ガラス化供給材料14は、ガラスの総重量に基づいて、60重量%~80重量%のSiO2、8重量%~18重量%のNa2O、及び5重量%~15重量%のCaOを含むガラス化学組成を有するソーダ石灰シリカガラスを製造するように配合されてもよい。SiO2、Na2O、及びCaOに加えて、ソーダ石灰シリカガラスのガラス化学組成は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カリウム(K2O)、炭素、硫酸塩、硝酸塩、フッ素、塩素、及び/又は鉄、ヒ素、アンチモン、セレン、クロム、バリウム、マンガン、コバルト、ニッケル、硫黄、バナジウム、チタン、鉛、銅、ニオブ、モリブデン、リチウム、銀、ストロンチウム、カドミウム、インジウム、スズ、金、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ユーロピウム、ガドリニウム、エルビウム、及びウランのうちの1つ又は複数の元素形態若しくは酸化物形態を含む他の酸化物材料及び非酸化物材料を含んでもよい。ソーダ石灰ガラス中にSiO2、Na2O、及びCaOに加えて、どのような他の酸化物及び/又は非酸化物材料が存在するかに関わらず、これらの追加の材料の合計は、ソーダ石灰シリカガラスの総重量に基づいて、好ましくは10重量%以下、より狭くは5重量%以下である。
【0025】
溶融ガラス浴32は、沈んだスロート30を通って溶融チャンバ26から清澄チャンバ28に流れる。最初に形成された気泡Bの大部分は途中で除去される。清澄プロセスは、溶融チャンバ26において、より大きな同伴気泡Bが溶融ガラス浴32を通って急速に上昇し、一方清澄チャンバ28において、より小さな同伴気泡Bが、溶融ガラス清澄浴22を通って上昇するか、又はガラスによって再吸収されるかのいずれかのときに始まる。溶融ガラス44流は、清澄チャンバ28からフォアハース12内に引き込まれ、入口56を通って細長いチャネル52内に受け入れられる。溶融ガラス44流は、細長いチャネル52を通って出口58に流れ、その経路に沿って、入口56における第1の温度T1から出口58における第2の温度T2まで温度が低下する。したがって、溶融ガラス54流は、フォアハース12の細長いチャネル52を通って移動するとき、より熱的に調整され、温度が低下し、粘度が増加する。
【0026】
フォアハース12の出口において、調整された溶融ガラス18の流出物は、指定された排出流量D
Rでフォアハース12から排出される。調整された溶融ガラス18の流出物は、ガラス物品形成装置に供給されてもよい。商業的なガラス容器製造に関しては、例えば、細長いチャネル52は、調整された溶融ガラス18の流出物を溶融ガラスの個々のゴブとして排出するガラスフィーダ54と流体連通している。
図1~2に示すように、ガラスフィーダ54は、噴出チャンバ80を共に画定する噴出ボウル76及び底部オリフィス板78を含む。ガラスフィーダ54はまた、典型的には、オリフィス板78に対して往復運動し、溶融ガラス流を形成するようオリフィス板78内の位置合わせされたオリフィス84を通る、噴出チャンバ80内に保持された調整された溶融ガラス流を制御する少なくとも1つのプランジャ82を含む。調整された溶融ガラス流の各々は、ガラス容器成形機への供給時にガラス容器に個々に成形することができる溶融ガラスのゴブ86に剪断刃(図示せず)によって切断してもよい。
【0027】
微粒子混合物20は、必要な場合、調整された溶融ガラス18の産出物におけるシードSの濃度を調整するために使用することができる。微粒子混合物20の添加を停止することによって、シードSは生成されず、フォアハース12内の溶融ガラス44流におけるシードSの濃度は増加しない。したがって、フォアハース12から排出された調整された溶融ガラス18の産出物は、炉10の溶融チャンバ26及び清澄チャンバ28内で行われる溶融操作及び清澄操作から生じるシードSの第1の濃度を有する。シードSの第1の濃度は、ガラス1グラム当たり1シード未満であってもよく、より狭くは、ガラス1グラム当たり0~0.5シードであってもよい。次いで、第1の濃度のシードSも含むガラス物品は、溶融ガラスの第1の組のゴブとしてガラスフィーダ54から排出される調整された溶融ガラス18の流出物から形成されてもよい。具体的には、単一のガラス容器が、ガラス容器成形機において溶融ガラスの第1の組のゴブのうちの1つのゴブから成形され、溶融ガラスの第1の組のゴブから多くのガラス容器にゴブを繰り返し成形するよういくつかの異なる成形機が同時に動作可能であってもよい。溶融ガラスゴブがどのようにしてガラス容器に形成されるかについての簡単な説明を以下に見出すことができる。
【0028】
しかしながら、シード濃度がより高い調整された溶融ガラスが望まれる場合、微粒子混合物20は、溶融ガラス清澄浴22、好ましくは水平に流れる部分22b、又はフォアハース12内、好ましくは細長いチャネル52内に含まれる溶融ガラス44流に導入される。もちろん、微粒子混合物20は、ガラスフィーダ54の噴出チャンバ80内の調整された溶融ガラスに、又は所望であればフォアハース12のアルコーブに導入することもある。微粒子混合物20は、上述した因子(すなわち、SiC及び担体粒径、SiC:担体重量比、導入されるSiC粒子及び担体粒子の量、並びに微粒子混合物20が添加される場所)の1つ又は複数に従って添加されてもよい。
【0029】
微粒子混合物20があると、フォアハース12から排出される調整された溶融ガラス18の流出物中のシードSの濃度を、シードSの第1の濃度からシードSの第1の濃度よりも高いシードSの第2の濃度に増加させる。シードSの第2の濃度は、ガラス1グラム当たり1~100シードの範囲であってもよく、更に、ガラスに意図された視覚効果をもたせるために、シードSの平均直径を、0.05mm~0.25mm、より好ましくは0.1mm~0.2mmであるように、上に列挙された4つの因子のうちの1つ又は複数を使用して制御してもよい。次いで、第2の濃度のシードSも含むガラス物品は、溶融ガラスの第2の組のゴブとしてガラスフィーダ54から排出される調整された溶融ガラス18の流出物から形成されてもよい。具体的には、単一のガラス容器は、前述のように、ガラス容器成形機において溶融ガラスの第2の組のゴブのうちの1つのゴブから成形され、溶融ガラスの第2の組のゴブから多くのガラス容器にゴブを繰り返し成形するよういくつかの異なる成形機が同時に動作可能であってもよい。
【0030】
ガラス容器は、
図3のフロー図に示されるように、成形ステップ100において、フォアハース12から得られた調整された溶融ガラス18(第1又は第2の濃度のシードSを含むかどうかに関わらず)から成形されてもよい。標準的な容器成形プロセスでは、調整された溶融ガラス18の流出物は、ガラスフィーダ54から溶融ガラス86の個々のゴブとして排出される。各ゴブ86は、ガラス容器成形機のブランク金型内に供給される。ブランク金型内に入ると、溶融ガラスゴブ86は、サブステップ100aにおいて、管状壁を含むパリソン又はプリフォーム内に押圧又はブローされる。次に、パリソンをブランク金型からガラス容器成形機のブロー金型に移送する。パリソンがブロー金型内に受け入れられると、ブロー金型は閉じられ、パリソンは、サブステップ100bにおいて、圧縮空気などの圧縮ガスを使用して、金型キャビティの輪郭に一致する形状を有するガラス容器へと急速に外向きにブローされる。もちろん、ガラス容器を成形するために、例えば、圧縮又は他の成形技術を含む、プレスアンドブロー及びブローアンドブロー成形技術以外の他の手法を実施してもよい。
【0031】
ブロー金型内で成形されたガラス容器は、
図4に全体的に示されており、参照番号106で示されている。ガラス容器106は、閉じた底部110及び周壁112を含む中空ガラス基材108を有する。周壁112は、閉じた底部110から延在し、閉じた底部110及び周壁112によって画定される収容空間118への開口部116を画定する口114で終端する。いったん成形されると、ガラス容器106は、ブロー金型から取り外され、コンベヤ又は他の輸送装置上に配置される。ガラス容器106は、次に、ステップ102において、熱的に誘起された歪みを緩和し、内部応力点を除去するために、アニーリングレアにおいてアニール処理される。ガラス容器106のアニール処理は、サブステップ102aにおいてガラス容器106を、ソーダ石灰シリカガラスについては通常510℃~550℃の範囲内にあるガラスのアニール点より高い温度まで加熱し、続いてサブステップ102bにおいて、容器106を、ソーダ石灰シリカガラスについては通常470℃~500℃の範囲内にあるガラスの歪み点より低い温度まで1℃/分~10℃/分の速度で徐冷することを含む。更に、アニール処理の前(ホットエンドコーティング(複数可))又は後(コールドエンドコーティング(複数可))のいずれかに、様々なコーティングのいずれかをガラス容器106の表面に適用してもよい。
【0032】
ガラス容器106の形状を画定する中空ガラス基材108は、上述のように微粒子混合物20を炉10に添加し、ガラス容器106を溶融ガラスの第2の組の個々のゴブのうちの1つのゴブから成形するときに、第2の濃度で基材108全体に分布したシードを含む。第2の濃度で内部シードを分布させると、ガラス容器106に視覚的に魅力的で審美的な外観を与えることができる。しかし、全てのガラス容器がそのような高濃度のシードSを有することが望ましいわけではなく、実際に、含まれるシードSがはるかに少ないガラス容器に対する需要は、シードSがガラスに意図的に添加されたガラス容器に対する需要よりも、著しく高くはないにしても、ほぼ確実に高くなる。その点に関して、調整された溶融ガラス18の産出物をより低い許容可能なシード濃度に移行させるために、微粒子混合物20を上述のように炉10に導入せず、ガラス容器106を、溶融ガラスの第1の組の個々のゴブのうちの1つゴブから成形する。
【0033】
したがって、前述した目的及び目標の1つ又は複数を満たすガラス製造炉及び調整された溶融ガラスを製造する方法が開示されている。本開示は、いくつかの例示的な実施形態と併せて提示されており、追加の修正及び変形が論じられている。他の修正及び変形は、前述の考察を考慮して、当業者に容易に示唆されるであろう。例えば、実施形態の各々の主題は本明細書により、便宜上、他の実施形態の各々に参照により組み込まれる。本開示は、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に入る全てのそのような修正及び変形を包含することを意図している。
【国際調査報告】