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特表2024-537112チャック用シールド装置、チャック及びウエハプローバ設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】チャック用シールド装置、チャック及びウエハプローバ設備
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241003BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520563
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022074556
(87)【国際公開番号】W WO2023057143
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021211263.3
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504385432
【氏名又は名称】イーアールエス エレクトロニック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ERS electronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Stettiner Strasse 3+5 D-82110 Germering Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ライティンガー,クレメンス
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AG20
2G003AH01
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD22
4M106DD30
4M106DH46
4M106DJ02
4M106DJ03
(57)【要約】
本発明は、チャック用シールド装置、チャック及びウエハプローバ設備を提供する。シールド装置には、チャック(CH)の外周に装着される第1リング(30a)及びチャック(CH)の垂直軸(HA)に沿って位置変更可能に第1リング(30a)に装着される第2リング(30b)を有するリング機構(30)と、チャック(CH)の上側(OS)を越えるように第2リング(30b)に対して垂直軸(HA)に沿った弾性予張力を付与する予張力装置(FE)とが装備される。第2リング(30b)は、ガス供給装置(LV)の接続部(A)付き空洞(H)及びこれに連通された複数の孔(B)を有し、ガス供給装置(LV)は第2リングの上の平板状カウンターベアリング(20;11b)と対向する孔(B)を介して空気ベアリング(LL)を形成し、プレテンション装置(FE)は第2リング(30b)及びカウンターベアリング(20;11b)が接触しないように空気ベアリング(LL)によって圧縮される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャック(CH)用のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')であって、
第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')及び第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')を有するリング機構(30;30';30'';30''';30'''')と、
プレテンション装置(FE;PH)とを備え、
前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')は前記チャック(CH)の外周に取り付け可能とされ、且つ、前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')は前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')に対して前記チャック(CH)の垂直軸(HA)に沿って位置変更可能に前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')に装着されており、
前記プレテンション装置(FE;PH)は、前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')を基準にして前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')に前記チャック(CH)の垂直軸(HA)に沿った弾性的なプレテンションを付加するように構成され、
前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')は、空洞(H)及び当該空洞(H)に連通された複数の孔(B)を有し、
前記空洞(H)は、ガス供給装置(LV)を接続する為の接続部(A;A';A'';A''';A'''')を有し、
前記ガス供給装置(LV)から供給されるガスが、前記チャック(CH)の垂直軸(HA)に関し前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')の上方に配置された平板状カウンターベアリング(20;11b)と対向する前記孔(B)を介して空気ベアリング(LL)を形成し、
前記プレテンション装置(FE;PH)は、前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')及び前記平板状カウンターベアリング(20;11b)が接触しないように、前記空気ベアリング(LL)によって圧縮可能とされていることを特徴とするシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項2】
前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''')は、前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''')のうち、横方向に関し前記チャック(CH)とは反対側又は前記チャックと対向する側において、側面が前記チャックの外周(PP)と略平行に延びた状態で位置変更可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載のシールド装置(200;200';200'';200''')。
【請求項3】
前記第2リング(30b'''')は、前記第1リング(30a'''')のリセス(AS)内に位置変更可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載のシールド装置(200'''')。
【請求項4】
流体密封型滑り軸受機構が前記第2リング(30b;30b';30b'')及び前記第1リング(30a;30a';30a'')の間に配設されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項5】
前記プレテンション装置(FE;PH)は、前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')及び前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')に配置されたスプリング機構(FE)を有していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項6】
前記プレテンション装置(FE;PH)は、前記第2リング(30b'')を前記第1リング(30a'')に対して昇降させ得る空力リフト装置(PH)を有していることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項7】
前記空力リフト装置(PH)は前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')に取り付けられており、リフトロッド(HS)を介して前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')に連結されていることを特徴とする請求項6に記載のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項8】
前記第1リング(30a;30a';30a'';30a''';30a'''')に対する前記第2リング(30b;30b';30b'';30b''';30b'''')の前記チャック(CH)の垂直軸(HA)に沿った変位を制限する停止機構(BL;MO)が設けられていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項9】
前記停止機構(MO)は停止位置調整可能とされていることを特徴とする請求項8に記載のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項10】
前記リング機構(30;30';30'';30''';30'''')は、電気シールド材料又は磁気シールド材料で形成されていることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のシールド装置(200;200';200'';200''';200'''')。
【請求項11】
請求項1から10の何れかに記載の前記シールド装置(200;200';200'';200''';200'''')を備えた、又は、請求項1から10の何れかに記載の前記シールド装置(200;200';200'';200''';200'''')に一体化されたチャック(CH)。
【請求項12】
上方部分(1a)及び下方部分(1b)と、
前記下方部分(1b)の上方領域に載置又は浮遊支持されたプローブカード(5)とを備え、
前記下方部分(1b)は、請求項1から10の何れかに記載の前記シールド装置(200;200';200'';200''';200'''')を有するチャック(CH)が配設される内部(I)を有し、
前記プローブカード(5)における前記内部(I)を向く側には、テストウエハ(W)上の電気回路との接触を行うニードル装置(10A)が取り付けられたニードルヘッド(10)が設けられており、前記ニードルヘッド(10)は、前記プローブカード(5)から前記内部(I)の中へ下方に突出し、
前記チャック(CH)は、横方向(x,y)、及び、前記テストウエハ(W)の複数のテスト位置に対応した垂直方向(z)に移動可能とされており、
前記シールド装置(200;200';200'';200''';200'''')は、前記テストウエハ(W)の前記複数のテスト位置をシールドするように構成されていることを特徴とするウエハプローバ設備。
【請求項13】
前記下方部分(1b)の上方領域の内面(11b)が、前記シールド装置(200;200';200'';200''';200'''')用の平板状カウンターベアリング(20;11b)を形成していることを特徴とする請求項12に記載のウエハプローバ設備。
【請求項14】
前記下方部分(1b)の上方領域の内面(11b)には、前記ニードル装置(10A)用の貫通開口(20a)を有するシールドプレート(20)がシール締結装置(25)によって連結されており、前記シールドプレート(20)は、前記シールド装置(200;200';200'';200''';200'''')用の平板状カウンターベアリング(20;11b)を形成していることを特徴とする請求項12に記載のウエハプローバ設備。
【請求項15】
前記テストウエハ(W)の前記複数のテスト位置は、前記チャック(CH)によって自動的に移動されることを特徴とする請求項11から14の何れかに記載のウエハプローバ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック用シールド装置、チャック及びウエハプローバ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路を製造する際の製造工程において、不良の集積回路が特定されて適切なタイミングで選び出されるように、切断前のウエハに対して機能テスト(ウエハテスト)が行われる。この目的の為に、テストされるべきウエハがウエハプローバに挿入され、その中に配置された温度調節可能なチャックによって所望テスト温度まで移行される。ウエハが所望テスト温度とされると、ニードルヘッドに配置された接触ニードル配列体によって、テストされるべき集積回路の接触表面に対する電気接続が行われる。接触ニードル付きのニードルヘッドは、当該ニードルヘッドの接触ニードルによってテスト設備とウエハとの間の接触を現出するプローブカードに装着される。一般的に、ウエハプローバのプローブカードは、ウエハプローバ内に固定され、且つ、ケーブルハーネスによってテストユニットに接続される。ウエハプローバのプローブカードは、一般的に、接触ニードル付きニードルヘッドが突出状態で取り付けられるプリント回路基板(PCB)によって形成される。
【0003】
テストに際し、ウエハを支持するチャックはウエハプローバ内において横方向及びニードルヘッドの下において垂直方向へ移動可能とされ、テストされるべきウエハに配置された全ての集積回路がテスト位置に到達可能となっている。
【0004】
この種のウエハテストは、通常、-60℃及び+300℃の間の温度範囲で実行され、例外的な場合には、温度がさらに上昇又は下降される。
【0005】
外部の環境影響(電気的インターフェース、明るさ、湿度等)又はウエハ環境の意図的な調節に対して、テストされるべきウエハをシールドするという主題は、基本的には公知である。
【0006】
DE102013215781A1は、第1及び第2熱伝導プレートと、前記第1及び第2熱伝導プレートの間に配置された構造化された断熱中間層であって、前記第1プレートによって画される第1サイド及び前記第2プレートによって画される第2サイドで範囲を区切られた温度調節用流体のダクトシステムを形成する断熱中間層と、温度調節用流体を前記ダクトシステム内に導入する為の第1入口及び温度調節用流体を前記ダクトシステムから排出する為の第1出口と、ウエハプローバのプローブカードに取り付けられたニードルヘッドを介して給電する為の貫通接続開口とを含むウエハプローバ用熱シールド装置を開示している。
【0007】
DE4109908A1は、テストされるべき半導体ウエハを受け止める為のプローバテーブルであって、プローブホルダーを受け止めるマウントを有するプローバテーブルを用いて半導体ウエハをテストする設備を開示しており、前記設備において、前記プローバテーブルは、上方が開口するように構成されたコンテナ内に配置され、上方が開口された前記コンテナはプローブを介して給電する為の開口が形成されたプレートによって覆われており、前記コンテナ内には、接続手段によって空気又はガス等の供給源に接続された流出部材が設けられている。
【0008】
DE69322206T2は、テスト装置を保持する為のクランプ装置と、前記テスト装置に対する接触を行う為の電気センサ用ホルダと、少なくとも一のクランプ装置及び一のホルダの、誘導軸(leading axis)に沿った、互いに対して近接又は離間する選択動作を行う為の位置調整機構とを備えた、接地、ケルビン接続及びシールドの為の一体設備を有するウエハテストステーションを開示している。
【0009】
前記クランプ装置は、互いに対して絶縁され且つ誘導軸(leading axis)に沿って前記ホルダから徐々に離間するように配置された、少なくとも第1、第2及び第3の導電性クランプ装置部材を有している。前記クランプ装置は、さらに、テストユニットからのケーブルを取り外し可能に受け入れる為の、少なくとも一つの取り外し可能な電気コネクタを有している。前記コネクタ機構は、互いに対して電気的に接続された少なくとも二つの電気コネクタ部材を有しており、前記コネクタ部材の各々は、前記第1及び第2クランプ装置部材の他方に連動状態で電気的に接続される一方で、前記第3クランプ装置部材には電気的に接続されていない。さらに、前記クランプ装置部材の各々は、さらに、他のクランプ装置部材の表面に向けられた、少なくとも一つの表面を有している。
【0010】
前記クランプ装置は、さらに、それぞれのクランプ装置部材の表面の間に配置された誘電スペーサを有しており、前記スペーサは表面の小さい部分にのみ配置されており、従って、対向表面の間には、それぞれの表面の比較的大きな部分に亘ってエアギャップが存在している。
【0011】
EP2659279B1は、圧縮ガスラインを介して内部が過剰圧力とされ得る圧力チャンバーを備えた半導体ウエハの高電圧テスト装置であって、前記圧力チャンバーは、テストニードルを有するニードルカードに配置され、前記圧力チャンバーは、少なくとも一部が前記ニードルカードに対して相対移動可能な可動部とされており、前記半導体ウエハに対向する前記圧力チャンバーの可動部の前端部と前記半導体ウエハとの間にはエアベアリングが形成されるギャップが設けられている半導体ウエハの高電圧テスト装置を開示している。
【0012】
ウエハプロービングは、二つ、即ち、分析ウエハプロービングと称されるもの及び製造又は全自動ウエハプロービングと称されるものに分類される。分析ウエハプロービングにおいては、生産率よりも情報を多く得るという目的の為に、手動又は半自動の装置が用いられる。一方、全自動ウエハプロービングは、合否判定、生産率及び自動化に焦点が当てられている。当業界において、現状、おおよそ20%が分析用及び80%が自動化用と概算される。
【0013】
全自動プロービングの市場規模がかなり増大してきている。しかしながら、全自動ウエハプロービングの製品レベルにおいては、シールドに関する解決策は知られていない。
【0014】
製品レベルでの同等のシールドに関する解決手段が望まれている。
【0015】
DE69322206T2の解決手段は、複雑過ぎである為に費用が掛かり過ぎ、全自動ウエハプローバにおいては使用すべきではないシールド部材(例えば、製品における連続作業には耐えられない金属シールドスクリーン等)で形成されているから、全自動ウエハプロービングには適用できない。
【0016】
DE4109908A1の解決手段は、上方開口カバーがプロービング中において必然的にテストされるべきウエハの真下に配置されるという問題に対処している。その一方で、非常に高価なテストカードがダメージを受けるというリスクが存在する。これは、テスト中のウエハは、テストが実行されているその瞬間において保護されていないことを意味する。従って、当業界において公知の第2解決手段は、ウエハの完全なシールド又はウエハ周りの環境の意図的な調整を行う場合の使用には適さない。
【0017】
EP2659279B1の解決手段は、ウエハ表面に空気流を生成するものであり、温度の不均一性や不要な粒子搬送を招く。さらに、この解決手段は、互いに対して空間的に近接配置された一又は複数のマイクロチップに限定されるものであり、空気の電気伝導性を低減する為に環境圧力の増加を必要とする。この解決手段は、シールドの他の用途やウエハ全体のシールドには不向きである。
【0018】
前述した種々の理由により、完全自動ウエハプロービングにおいて確立された概念は当業界には存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】DE102013215781A1
【特許文献2】DE4109908A1
【特許文献3】DE69322206T2
【特許文献4】EP2659279B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明が解決しようとする課題は、製造に適しており、信頼性があり且つ経済的なチャック用シールド装置、対応するチャック及び対応するウエハプローバ設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決する為に、本発明は、独立請求項1に係るチャック用シールド装置、独立請求項11に係るチャック、及び、独立請求項12に係るウエハプローバ設備を提供する。
【0022】
独立請求項は、本発明のそれぞれの主題の有利な展開及び改良を含む。
【0023】
本発明が基礎とする思想は、第1及び第2リングを有し、シールド空間を形成し得るリング機構が装着されるシールド装置を含む。前記第1リングはチャックの外周に取り付け可能とされ、前記第2リングは前記第1リングに対し前記チャックの垂直軸に沿って変位可能なように前記第1リングに装着される。
【0024】
前記第1リングを基準にして前記第2リングに前記チャックの垂直軸に沿った弾性的なプレテンションを付加する為に使用されるプレテンション装置が配設され、これにより、前記第2リングが、装着状態の前記チャックの上側を越えて突出する。前記第2リングは、空洞及び当該空洞に連通された複数の孔を有し、前記空洞は、ガス供給装置を接続する為の接続部を有する。前記チャックの垂直軸に関し前記第2リングの上方に位置する平板状カウンターベアリングと対抗する前記孔を介して、前記ガス供給装置によって空気ベアリングが形成され得る。前記プレテンション装置は、前記第2リング及び前記平板状カウンターベアリングが接触しないように、前記空気ベアリングによって圧縮可能とされる。
【0025】
本発明に係るチャック用シールド装置、対応するチャック及び対応するウエハプローバ設備は、標準的な市販ウエハプローバへの一体化又は後付けに適しており、容易に組立及び解体を行えるという利点を有する。さらに、本発明に係るシールド装置は、好ましくは、作動流体として空気を用いることが可能であり、前記空気は対応するウエハプローバのチャックシステムにも使用され得る。即ち、この種のウエハプローバにおいては、作動流体源は既存の空気とすることができ、作動流体を供給すべきシールド装置への一体化又は後付けとして要求されるものは、単に、接続部又は制御モジュールだけとなる。
【0026】
チップ上の構造が小さくなるに従って、テスト環境の清潔さが必要となる。ウエハ先端部では、この目的の為に大変に高価なスーパークリーンルームが備えられる。これはウエハテストに慣習的ではない(非常に高価であるから、望ましいものでもない)。しかしながら、改良されたクリーンルーム状態でテストを行う必要がある場合には、最新鋭の技術としてフロントフィルターユニット(FFU)が存在する。これは、非常に微小なフィルターであり、プローバの先端(部分的には後方)に載置される。大型ファンによってプローバを介して空気を、結果的に風のように動かすることで、非常にクリーンな状態を得ることができる。しかしながら、当然ながら、この手段は、面倒で、多くの不利な点(高価である点、大型化を要する点、チャック上の温度に不利な影響を及ぼす点)を招く。本発明に係るシールド装置によれば、より簡便に且つ費用効率の良い方法で、さらに、他の要素に関し不利な点を少なくしつつ、目的の状態を得ることができる。特に、(少量で)極少の(ろ過された)空気流がシールドチャンバーに生成され、これにより、過圧状態によって生じ得る粒子の流入が防止され、純化された非常にクリーンな圧縮エアが理想的に使用される。これは、前述のファンの費用等が削減されることを意味する。
【0027】
さらに好ましい改良によれば、前記第2リングは、前記第1リングにおける前記チャックとは反対側、又は、前記チャックと対向する側において、側面が前記チャックの外周と略平行な状態で、位置変更可能に装着される。この配置は容易に形成できる。
【0028】
さらに他の好ましい改良によれば、前記第2リングは、前記第1リングのリセス内に一変更可能に装着される。この構成は、特に、省スペース化に有効である。
【0029】
さらに他の好ましい改良によれば、前記第2リング及び前記第1リングの間に流体密封型滑り軸受機構が配設される。この構成は、特に、効果的なシールドを提供する。
【0030】
さらに他の好ましい改良によれば、前記プレテンション装置は、前記第1リング及び前記第2リングに配置されたスプリング機構を有するように構成される。
【0031】
さらに他の好ましい改良によれば、前記プレテンション装置は、前記第2リングを前記第1リングに対して昇降させ得る空力リフト装置を有するように構成される。この構成は、自動ウエハハンドラーへのアクセス性を向上させる。
【0032】
さらに好ましい改良によれば、前記空力リフト装置は前記第1リングに取り付けられて、リフトロッドを介して前記第2リングに連結される。
【0033】
さらに好ましい改良によれば、前記第1リングに対する前記第2リングの前記チャックの垂直軸に沿った変位を制限する停止機構が設けられる。この構成は、前記第2リングの移動端の安定を提供する。
【0034】
さらに好ましい改良によれば、前記停止機構は停止位置調整可能とされる。この構成は、適応性を向上する。
【0035】
さらに好ましい改良によれば、前記リング機構は、電気シールド材料又は磁気シールド材料で形成される。これによれば、シールドの部品に複数の機能性をもたせることができる。
【0036】
本発明の例示形態が図面に記載されており、下記説明においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A図1Aは、本発明の第1実施の形態に係るシールド装置付きウエハプローバ設備の断面表示を示している。
図1B図1Bは、本発明の第1実施の形態に係るシールド装置付きウエハプローバ設備のチャックの平面部分表示を示している。
図1C図1Cは、本発明の第1実施の形態に係るシールド装置付きウエハプローバ設備のリング機構の第2リングを通る断面の部分表示を示している。
図2図2は、本発明の第2実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
図3図3は、本発明の第3実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
図4図4は、本発明の第4実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
図5図5は、本発明の第5実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
図6図6は、本発明の第6実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の部分断面表示を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面において、同様の又は機能的に同様の部材には同一の参照符号を付している。
【0039】
図1A図1Cは、本発明の第1実施の形態に係るシールド装置付きウエハプローバ設備を示しており、図1Aには断面表示が示され、図1Bにはチャックの平面図の部分が示され、図1Cにはリング機構の第2リングを通る断面の部分が示されている。
【0040】
図1において、参照符号1は、任意の上方部分1a及び下方部分1bを有するウエハプローバを示している。参照符号2は、プローブカード5用のマウントを示し、前記マウントは、前記下方部分1bに対して折り畳み可能又は取り外し可能とされ、且つ、前記下方部分1bに対してシール装置23によって密閉される。前記上方部分1aは、前記マウント2に対して折り畳み可能又は取り外し可能とされ、且つ、前記マウント2に対してシール装置3によって密閉される。
【0041】
前記ウエハプローバの前記下方部分1b内には、温度調整装置(図示せず)によって温度調整可能とされたチャックCHが配置されている。前記チャックCHは、プログラミング可能な制御装置によってx、y及びz方向へ移動可能とされたベースS上に配置されており、垂直調整方向又はz方向は、前記チャックの垂直軸HAによって画される。前記下方部分1b内には、前記チャックCH用の電気接続部及び流体接続部並びに内部構造Iが設けられているが、明確化の為に本例においては図示していない。
【0042】
テストの為に複数のチップを有するテストウエハWが前記チャックCHの上側OSに固定されている。
【0043】
プリント回路の形態をなすプローブカード5が、例えば、ネジ又は他の締結方法で、前記マウント2に浮遊支持される。前記マウント2は、通常、前記ウエハプローバ1の支持部と同様に、アルミニウム又はスチールで形成される。
【0044】
前記プローブカード5における前記ウエハプローバ1の内部を向く側にはニードルヘッド10が配設されており、前記ニードルヘッド10には、ウエハWの電気回路との接触の為のニードル装置10Aが取り付けられている。前記ニードル装置10Aを有する前記ニードルヘッド10は、前記プローブカード5から内部Iの中へ下方に突出している。
【0045】
前記プローブカード5における前記内部Iとは反対を向く側には単一ラインのバスSBが配設されており、前記プローブカード5から対応するテスター(図示せず)へのテスト信号は前記バスSBを介して伝達される。
【0046】
第1実施の形態に係るシールド装置200は、前記プローブカード5が固定された前記マウント2の下に配設されている。前記シールド装置はシールドプレート20を有している。前記シールドプレート20は、前記上方領域と同様に、前記ニードル装置10Aを有する前記ニードルヘッド10の為の貫通孔20aを有し、且つ、シール締結装置25を介して前記上方領域に連結されている。
【0047】
さらに、前記シールド装置200は、内側第1リング30a及び外側第2リング30bを有する2パート型リング機構30を有している。前記内側第1リング30aは、前記チャックCHの直径よりも少しだけ大きい直径を有し、且つ、例えばねじ式で前記チャックCHの外周PPに流体密封状態で固着される。
【0048】
前記外側第2リング30bは、例えば流体密封型滑り軸受機構(図示せず)によって、垂直軸、即ち、前記チャックCHの垂直調整方向zに関し位置変更可能に、前記内側第1リング30aに装着されている。
【0049】
前記内側第1リング30a及び前記外側第2リング30bの間には、第1実施の形態においてはスプリング機構FEとして形成された弾性プレテンション装置が配設されている。前記プレテンション装置又は前記スプリング機構FEは、前記外側リング30bに、垂直軸、即ち、前記チャックCHの垂直調整方向zに沿ったプレテンションを付加し、これにより、前記外側リング30bは、ウエハWの上側を越えて、前記シールドプレート20の方向へ突出する。
【0050】
図1は、上端位置の前記チャックCHを示しており、この位置においては、前記ニードル装置10aは、テストされるべきウエハWにおけるチップの対応接触面上に配置される。前記上端位置は、ニードル長さ及び前記ニードルヘッド10の他の構成パラメータによって画され、制御システムに予めプログラムされ得る。
【0051】
図1から、上端位置が浮遊状態を現出させることが明らかである。浮遊状態は、多くの小さい孔Bを有するリング状空洞Hが可動型の外側第2リング30bの上方部分に設けられていることによって達成される。前記孔Bは、前記シールドプレート20に対して、前記チャックCHの垂直調整方向zに沿って上方へ向けられている。前記空洞Hには、対応する接続部Aを介して、別体の空気供給装置LVが備えられている。
【0052】
前記空気供給装置LVによって前記孔Bへ供給された空気は、空気ベアリングLLとして上方へ作用する。前記シールドプレート20は、全ての測定位置において、前記外側第2リング30bが空気ベアリングLLによって押圧され、これに応じてプレテンション装置又はスプリング機構FEが圧縮されるような、大きさとされている。
【0053】
前記内側第1リング30a及び前記外側第2リング30bの間、並びに、前記内側第1リング30a及び前記チャックCHの間の流体密封は、選択可能、又は、所望に応じて形成される。
【0054】
逆に言えば、プレテンション装置又はスプリング機構FEは、例えば、自動ハンドラーによるウエハの自動交換を行う為に、前記チャックCHが下端位置へ移動された際には、伸長する。
【0055】
従って、テスト中のウエハは、極小の空気ベアリング隙間(通常はμレンジ)を除き、前記シールド装置200によって完全に囲繞される。変位経路が、例えば異なるニードル長さ又はニードル装置10Aの異なる構成によって生じ得るチャックCHの異なる作業高さ、若しくは、次のチップへの移動中において前記ニードル装置10AのニードルとウエハWとの間の接触を断つ為に必要な、一般的には0.5mm程度の小さい垂直方向昇降動作を含む対応した大きさである場合には、前記空気ベアリングLL及び前記プレテンション装置又はスプリング機構FEによる前記外側第2リング30bのスプリング装着ベアリングによってこの完全囲繞状態が現出される。
【0056】
前記シールドプレート20における前記プローブカード5周りの面は、可及的に平坦な構成を有している。従って、前記シールドプレート20を備えることによって、小さい部分(シールドプレート20)に対する設計及び表面処理が、内部構造Iの内部上方領域に対するより容易且つ経済的に行えるという利点を有している。
【0057】
一の形態においては、前記シールドプレート20は削除され得る(図2参照)。
【0058】
平板状カウンターベアリングに似たように、前記シールドプレート20にぴったりと当接する空気ベアリングLLの助けによって、実際のウエハテストの期間中に、前記チャックCHの周りには制御された環境が生成され得る。これは、考え得る全ての変形構成において生じ得る。例えば、前記シールド装置の所望露点を生成する為の乾燥空気は、ライン(第1実施の形態においては図示せず。図3及び図5参照。)によって供給され得るが、ラインは、製造プロセスにおいて使用される他のガスの供給にも使用され得る。
【0059】
シールドの他の種類として電気シールドがある。前記シールド装置200の部品は電気伝導部材によって形成され得る。結果として、前記部品は、3軸構成において、シールド又はガード電位の為に使用され得る。この構成は、究極的にはプローバの外側壁以外を無しにすることができ、比較的大きなシールド装置又はシールド室の場合において、従前の構成に比して、より干渉の無い測定を促進する。
【0060】
また、シールドの他の種類として磁気シールドがある。前記シールド装置200の部品は、例えばミューメタル等の磁気保護材料で形成され得る。これは、テスト中のウエハに対して、例えば地球の磁場による磁気的干渉をシールドし得ることを意味する。
【0061】
また、シールドの他の種類として熱シールドがある。特に、ウエハテストが極端な高温又は低温で行われる場合において、周囲空気とウエハとの間の温度差が非常に大きくなると、しばしば、周囲空気が、良好な温度精度に対する阻害要因となる。これは、シールド装置内の空間を加熱又は冷却することによって改善され得る。
【0062】
図2は、本発明の第2実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
【0063】
第2実施の形態においては、平板状カウンターベアリングは、下方部分1bの上方領域の内面11bによって形成されており、前記シールドプレート20は削除されている。これは、前記下方部分1bにおける上方領域内のプローブカード5の為のマウント2’が第1実施の形態に比して異なる構成とされることによって、達成される。
【0064】
その他の点については、第2実施の形態は第1実施の形態と同様の構成を有している。
【0065】
図3は、本発明の第3実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
【0066】
第3実施の形態のシールド装置200’は、第1及び第2実施の形態のシールド装置とは異なっている。前記シールド装置200’は、第1リング30a’及び第2リング30b’を有するリング機構30’を備えている。
【0067】
前記第1リング30a’及び前記第2リング30b’には、前記第2リング30b’が前記第1リング30a’に対して前記チャックCHの垂直軸HAに沿って変位することを制限する段差構造の形態をなす停止機構BLが備えられている。
【0068】
前記第2リング30b’の動きを移動端が制御されたように構成することによって、前記第2リング30b’と前記プローブカード5又は前記シールドプレート20との意に反した衝突の防止が保証され得る。
【0069】
前記停止機構BLを設けることにより、ガス供給装置LV用の接続部A’は、前記第1及び第2実施の形態におけるとは異なる位置で、前記第2リング30b’に取り付けられている。
【0070】
その他の点においては、第3実施の形態は第1実施の形態と同様の構成を有している。
【0071】
図4は、本発明の第4実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
【0072】
第4実施の形態のシールド装置200''は、第1及び第2実施の形態のシールド装置とは異なっている。前記シールド装置200''は、第1リング30a''及び第2リング30b''を有するリング機構30''を備えている。
【0073】
前記シールド装置200''は、空力リフト装置PHを有するプレテンション装置を備えており、前記空力リフト装置PHによって、前記第2リング30b''が、前記第1リング30a''に対して昇降される。前記空力リフト装置は、例えばスプリング機構としてのエアクッション又はスプリング機構と相互作用する、例えばピストン(図示せず)によって達成される。
【0074】
前記空力リフト装置PHは前記第1リング30a''に取り付けられており、リフトロッドを介して前記第2リングに連結されている。
【0075】
その他の点においては、第4実施の形態は第1実施の形態と同様の構成を有している。
【0076】
図5は、本発明の第5実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の断面表示を示している。
【0077】
第5実施の形態のシールド装置200'''は、第1及び第2実施の形態のシールド装置とは異なっている。前記シールド装置200'''は、第1リング30a'''及び第2リング30b'''を有するリング機構30'''を備えている。
【0078】
第2実施の形態におけると同様に、前記第2リング30b'''が前記第1リング30a'''に対して前記チャックCHの垂直軸HAに沿って変位することを制限する停止機構MOが備えられている。
【0079】
しかしながら、第5実施の形態においては、前記停止機構MOは停止位置調整可能とされている。これは、前記停止機構が、停止部として用いられるハウジングを備えた電動モータを有することによって達成される。前記第2リング30b'''は突出部VOを有しており、前記突出部VOには、前記電動モータによって回転されるロッドSが摺動可能にガイドされている。前記ロッドSは一端部にネジ部を有し、前記ロッドのネジ部は、前記第1リング30a'''のうち当該ロッドの下方に位置する領域に設けられたネジ部に作動連結されている。かかる構成により、前記第2リング30b'''の上端位置を画する停止部の高さが上昇又は下降可能とされている。
【0080】
前記停止機構MOを設けることにより、ガス供給装置LV用の接続部A'''は、前記第1及び第2実施の形態におけるとは異なる位置で、前記第2リング30b'''に取り付けられている。
【0081】
その他の点においては、第5実施の形態は第1実施の形態と同様の構成を有している。
【0082】
図6は、本発明の第6実施の形態に係るシールド装置を備えたウエハプローバ設備の部分断面表示を示している。
【0083】
第6実施の形態のシールド装置200''''は、第1及び第2実施の形態のシールド装置とは異なっている。前記シールド装置200''''は、第1リング30a''''及び第2リング30b''''を有するリング機構30''''を備えている。
【0084】
前記実施の形態においては、第2リングは、第1リングのうち、横方向に関しチャックとは反対側又はチャックと対向する側において、側面が前記チャックの外周と略平行に延びた状態で位置変更可能に装着されている。
【0085】
これに対し、第6実施の形態においては、第2リング30b''''は前記第1リング30a''''のリセス内に位置変更可能に装着されている。
【0086】
ガス供給装置LV用の接続部A''''は、前記第5実施の形態におけるとは異なる位置で、前記第2リング30b''''に取り付けられている。
【0087】
その他の点においては、第6実施の形態は第1実施の形態と同様の構成を有している。
【0088】
好ましい実施の形態を用いて本発明の説明を行ったが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0089】
特に、シールド装置の幾何学的形態は円形状に限定されるものではなく、種々の形状が適用可能である。前記シールド装置を形成する材料についても、前記の記載は単なる例示であり、広範囲に亘って変更可能である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】