(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】水素ガスを生産するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C25B 15/02 20210101AFI20241003BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20241003BHJP
C25B 1/04 20210101ALN20241003BHJP
C25B 9/00 20210101ALN20241003BHJP
【FI】
C25B15/02
C25B9/19
C25B1/04
C25B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520565
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022077632
(87)【国際公開番号】W WO2023060146
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523331876
【氏名又は名称】ベルダジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ギリアム, ライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラム, ブライアン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC09
4K021CA05
4K021DC03
(57)【要約】
電解槽システムは、それぞれが、第1の電極を伴う、第1の半セルと、第2の電極を伴う、第2の半セルとを備える、1つまたはそれを上回る電解槽セルと、1つまたはそれを上回る電解槽セルを通して印加される電流を制御するための、コントローラとを備え、コントローラは、電流密度を約150mA/cm2~約3,000mA/cm2の電流密度範囲内に動的に設定するように構成され、コントローラは、電流密度を、第1の条件が充足されると第1の値に、および第2の条件が充足されると第2の値に設定するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽システムであって、
1つまたはそれを上回る電解槽セルであって、前記1つまたはそれを上回る電解槽セルは、それぞれが、第1の電極を伴う第1の半セルと、第2の電極を伴う第2の半セルとを備える、1つまたはそれを上回る電解槽セルと、
前記1つまたはそれを上回る電解槽セルを通して印加される電流を制御するためのコントローラと
を備え、
前記コントローラは、電流密度を約150mA/cm
2~約3,000mA/cm
2の電流密度範囲内に動的に設定するように構成され、
前記コントローラは、前記電流密度を、第1の条件が充足されると第1の値に、および第2の条件が充足されると第2の値に設定するように構成される、
電解槽システム。
【請求項2】
前記第1の値は、前記電解槽セルの最大容量電流密度の第1の割合またはそれを下回り、前記第2の値は、前記電解槽セルの最大容量電流密度の第2の割合またはそれを上回る、請求項1に記載の電解槽システム。
【請求項3】
前記第1の割合は、前記最大容量電流密度の20%またはそれを下回る、請求項2に記載の電解槽システム。
【請求項4】
前記第2の割合は、前記最大容量電流密度の80%またはそれを上回る、請求項2に記載の電解槽システム。
【請求項5】
前記第1の半セルは、受皿と、前記受皿の内側における1つまたはそれを上回る肋材と、前記1つまたはそれを上回る肋材に結合されるバッフルプレートとを備え、前記バッフルプレートは、前記受皿内の容積をパーティション化し、前記第1の電極に近接する前記受皿の第1の側における上昇部領域と、前記第1の側の反対である前記バッフルプレートの第2の側における下降部領域とを提供する、請求項1に記載の電解槽システム。
【請求項6】
前記上昇部領域は、前記第1の電極において形成されるガスが上昇し、ガスポケットの形成を回避するように促進し、前記下降部領域は、電解質溶液の下向きの流動を促進し、前記ガスの上昇および前記電解質溶液の下向きの流動は、前記電解質内の熱的均衡状態と、温度変動の低下とを促進する前記受皿内での循環を引き起こす、請求項5に記載の電解槽システム。
【請求項7】
前記第1の半セルは、受皿と、前記受皿の内側に位置付けられるマニホールドと、電解質が前記受皿から退出するための前記マニホールドから退出する出口管とを備え、前記マニホールドの断面積は、前記マニホールドを通した電解質流量およびガス流量が、スラグ流またはプラグ流を回避するために十分に低くなるように構成される、請求項1に記載の電解槽システム。
【請求項8】
前記第1の半セルは、受皿と、前記受皿の内側に垂直に位置付けられる1つまたはそれを上回る肋材と、前記第1の電極を前記1つまたはそれを上回る肋材に溶接する複数の溶接部とを備え、前記複数の溶接部は、前記電気化学セルの動作の間に前記電極を横断して電流を分配する前記電極を横断して、溶接部の分散アレイを形成する、請求項1に記載の電解槽システム。
【請求項9】
各電解槽セルはさらに、前記第1の半セルと前記第2の半セルとの間に分離器を備え、前記複数の溶接部の数、サイズ、および位置は、前記分離器の温度に応じた電力消散の影響が、高局所温度に起因する損傷を低減させるように低減されるようなものである、請求項9に記載の電解槽システム。
【請求項10】
電解槽システムであって、
複数の電解槽セルであって、各電解槽セルは、
第1の電極を伴う第1の半セルと、
第2の電極を伴う第2の半セルと、
前記第2の半セルから前記第1の半セルを分離する分離器と
を備える、複数の電解槽セルと、
電力供給源であって、前記電力供給源は、複数の電解槽セルのそれぞれを通した電流密度が、約150mA/cm
2~約3,000mA/cm
2の電流密度範囲内であるように、前記複数の電解槽セルのそれぞれを通して電流を印加するように構成される、電力供給源と、
コントローラであって、前記コントローラは、前記複数の電解槽セルのそれぞれの電流密度を、750mA/cm
2またはそれを下回る第1の電流密度範囲と、1mA/cm
2またはそれを上回る第2の電流密度範囲との間に動的に制御する、コントローラと
を備える、電解槽システム。
【請求項11】
前記第1の半セルは、受皿と、前記受皿の内側における1つまたはそれを上回る肋材と、前記1つまたはそれを上回る肋材に結合されるバッフルプレートとを備え、前記バッフルプレートは、前記受皿内の容積をパーティション化し、前記第1の電極に近接する前記受皿の第1の側における上昇部領域と、前記第1の側の反対である前記バッフルプレートの第2の側における下降部領域とを提供する、請求項10に記載の電解槽システム。
【請求項12】
前記第1の半セルは、受皿と、前記受皿の内側に位置付けられるマニホールドと、電解質が前記受皿から退出するための前記マニホールドから退出する出口管とを備え、前記マニホールドの断面積は、前記マニホールドを通した電解質流量およびガス流量が、スラグ流またはプラグ流を回避するために十分に低くなるように構成される、請求項10に記載の電解槽システム。
【請求項13】
前記第1の半セルは、受皿と、前記受皿の内側に垂直に位置付けられる1つまたはそれを上回る肋材と、前記第1の電極を前記1つまたはそれを上回る肋材に溶接する複数の溶接部とを備え、前記複数の溶接部は、前記電気化学セルの動作の間に前記電極を横断して電流を分配する前記電極を横断して、溶接部の分散アレイを形成する、請求項10に記載の電解槽システム。
【請求項14】
各電解槽セルはさらに、前記第1の半セルと前記第2の半セルとの間に分離器を備え、前記複数の溶接部の数、サイズ、および位置は、前記分離器の温度に応じた電力消散の影響が、高局所温度に起因する損傷を低減させるように低減されるようなものである、請求項13に記載の電解槽システム。
【請求項15】
電解を行うための方法であって、
電解槽の動作と関連付けられる電流密度を約0.15A/cm
2~3.0A/cm
2の値の範囲内で動的に変更すること
を含み、
前記電解槽の動作と関連付けられる前記電流密度の変更は、前記電解槽が位置する領域内の電気の需要の変化に応答し、
前記電流密度の変更は、前記電解槽が位置する前記領域内の前記電気の需要が増加すると、前記電流密度を約0.15A/cm
2~3.0A/cm
2の値の範囲内で低下させることと、前記電解槽が位置する前記領域内の前記電気の需要が減少すると、前記電流密度を約0.15A/cm
2~3.0A/cm
2の値の前記範囲内で上昇させることとを含む、方法。
【請求項16】
前記需要の変化は、前記需要が増減しているときにある期間にわたって生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記需要の増減は、前記期間内の需要の増加と、減少とを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して増大される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して減少される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記期間は、需要が、典型的には、増加または減少する期間である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記期間は、1日内の特定の時間の間である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電解槽は、少なくとも2つの別個の電解槽セルを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記電解槽は、少なくとも約2.5m
3の総サイズを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記電気の需要が、前記電解槽が位置する前記領域内で増加すると、前記電解槽の運営支出は、前記電流密度が減少されない限り増加する、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
電解を行うための方法であって、
(a)前記電解槽が位置する領域内で電気の需要が増加すると、電解槽の動作と関連付けられる電流密度を、前記電解槽の電流密度の最大容量の25%またはそれを下回る値まで低減させるステップと、
(b)前記電解槽が位置する領域内で電気の需要が減少すると、前記電解槽の動作と関連付けられる電流密度を、前記電解槽の電流密度の最大容量の75%またはそれを上回る値まで増加させるステップと
を含む、方法。
【請求項26】
需要が増減している期間の間に、前記電気の需要は、増加する、または前記電気の需要は、減少する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記需要の増減は、前記期間内の需要の増加と、減少とを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して増大される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して減少される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記期間は、需要が、典型的には、増加または減少する期間である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記期間は、1日内の特定の時間の間である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記電解槽は、少なくとも2つの別個のセルを備える、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記電解槽は、少なくとも2.5m
3の総サイズを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記電気の需要が、前記電解槽が位置する前記領域内で増加すると、前記電解槽の運営支出は、前記電流密度が減少されない限り増加する、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その開示が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2021年10月5日に出願され、「LOW COST HYDROGEN GAS PRODUCTION」と題された、米国仮出願第63/252,552号の35U.S.C.Section119(e)(米国特許法第119条(e))下の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
電気生産が、より低い二酸化炭素(CO2)排出量技術に移行するにつれて、電気を低炭素またはゼロ炭素輸送燃料に転換するための能力が、地球規模のCO2放出を軽減させることのますます重要な難題になりつつある。そのような燃料に関する選択肢の中でも、水素ガス(H2)は、その酸化生成物が水であるという点において、固有の利点を有する。したがって、水素ガスは、低炭素排出量を伴って製造され得る場合、低炭素輸送燃料を表す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、水の電解を介した水素ガス(H2)の生産に関連する、システムおよび方法を説明する。特に、本開示は、低い全体的プラント資本支出を可能にし、例えば、1キロワットあたりのコストまたはH2生産容量あたりコストベースでの、水電解によるH2ガスの生産のための運営経費の低減を提供し得る、システムおよび方法を説明する。
【0004】
一側面では、本開示は、電解槽システムであって、それぞれが、第1の電極を伴う、第1の半セルと、第2の電極を伴う、第2の半セルとを備える、1つまたはそれを上回る電解槽セルと、1つまたはそれを上回る電解槽セルを通して印加される電流を制御するための、コントローラとを備え、コントローラは、電流密度を約150mA/cm2~約3,000mA/cm2の電流密度範囲内に動的に設定するように構成され、コントローラは、電流密度を、第1の条件が充足されると第1の値に、および第2の条件が充足されると第2の値に設定するように構成される、電解槽システムを説明する。
【0005】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の値は、電解槽セルの最大容量電流密度の第1の割合またはそれを下回り、第2の値は、電解槽セルの最大容量電流密度の第2の割合またはそれを上回る。
【0006】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の割合は、最大容量電流密度の20%またはそれを下回る。
【0007】
前述の側面のいくつかの実施例では、第2の割合は、最大容量電流密度の80%またはそれを上回る。
【0008】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の半セルは、受皿と、受皿の内側における、1つまたはそれを上回る肋材と、1つまたはそれを上回る肋材に結合される、バッフルプレートとを備え、バッフルプレートは、受皿内の容積をパーティション化し、第1の電極に近接する、受皿の第1の側における上昇部領域と、第1の側の反対である、バッフルプレートの第2の側における下降部領域とを提供する。
【0009】
前述の側面のいくつかの実施例では、上昇部領域は、第1の電極において形成されるガスが上昇し、ガスポケットの形成を回避するように促進し、下降部領域は、電解質溶液の下向きの流動を促進し、ガスの上昇および電解質溶液の下向きの流動は、電解質内の熱的均衡状態と、温度変動の低下とを促進する、受皿内での循環を引き起こす。
【0010】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の半セルは、受皿と、受皿の内側に位置付けられる、マニホールドと、電解質が受皿から退出するための、マニホールドから退出する、出口管とを備え、マニホールドの断面積は、マニホールドを通した電解質流量およびガス流量が、スラグ流またはプラグ流を回避するために十分に低くなるように構成される。
【0011】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の半セルは、受皿と、受皿の内側に垂直に位置付けられる、1つまたはそれを上回る肋材と、第1の電極を1つまたはそれを上回る肋材に溶接する、複数の溶接部とを備え、複数の溶接部は、電気化学セルの動作の間に電極を横断して電流を分配する、電極を横断して、溶接部の分散アレイを形成する。
【0012】
前述の側面のいくつかの実施例では、各電解槽セルはさらに、第1の半セルと第2の半セルとの間に分離器を備え、複数の溶接部の数、サイズ、および位置は、分離器の温度に応じた電力消散の影響が、高局所温度に起因する損傷を低減させるように低減されるようなものである。
【0013】
別の側面では、電解槽システムは、複数の電解槽セルであって、各電解槽セルが、第1の電極を伴う、第1の半セルと、第2の電極を伴う、第2の半セルと、第2の半セルから第1の半セルを分離する、分離器とを備える、複数の電解槽セルを備える。電解槽システムはさらに、複数の電解槽セルのそれぞれを通した電流密度が、約150mA/cm2~約3,000mA/cm2の電流密度範囲内であるように、複数の電解槽セルのそれぞれを通して電流を印加するように構成される、電力供給源と、複数の電解槽セルのそれぞれの電流密度を、750mA/cm2またはそれを下回る、第1の電流密度範囲と、1mA/cm2またはそれを上回る、第2の電流密度範囲との間に動的に制御するための、コントローラとを含む。
【0014】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の半セルは、受皿と、受皿の内側における、1つまたはそれを上回る肋材と、1つまたはそれを上回る肋材に結合される、バッフルプレートとを備え、バッフルプレートは、受皿内の容積をパーティション化し、第1の電極に近接する、受皿の第1の側における上昇部領域と、第1の側の反対である、バッフルプレートの第2の側における下降部領域とを提供する。
【0015】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の半セルは、受皿と、受皿の内側に位置付けられる、マニホールドと、電解質が受皿から退出するための、マニホールドから退出する、出口管とを備え、マニホールドの断面積は、マニホールドを通した電解質流量およびガス流量が、スラグ流またはプラグ流を回避するために十分に低くなるように構成される。
【0016】
前述の側面のいくつかの実施例では、第1の半セルは、受皿と、受皿の内側に垂直に位置付けられる、1つまたはそれを上回る肋材と、第1の電極を1つまたはそれを上回る肋材に溶接する、複数の溶接部とを備え、複数の溶接部は、電気化学セルの動作の間に電極を横断して電流を分配する、電極を横断して、溶接部の分散アレイを形成する。
【0017】
前述の側面のいくつかの実施例では、各電解槽セルはさらに、第1の半セルと第2の半セルとの間に分離器を備え、複数の溶接部の数、サイズ、および位置は、分離器の温度に応じた電力消散の影響が、高局所温度に起因する損傷を低減させるように低減されるようなものである。
【0018】
別の側面では、電解を行うための方法は、電解槽の動作と関連付けられる電流密度を約0.15A/cm2~3.0A/cm2の値の範囲内で動的に変更するステップを含み、電解槽の動作と関連付けられる電流密度の変更は、電解槽が位置する領域内の電気の需要の変化に応答し、電流密度の変更は、電解槽が位置する領域内の電気の需要が増加すると、電流密度を約0.15A/cm2~3.0A/cm2の値の範囲内で低下させるステップと、電解槽が位置する領域内の電気の需要が減少すると、電流密度を約0.15A/cm2~3.0A/cm2の値の範囲内で上昇させるステップとを含む。
【0019】
前述の側面のいくつかの実施例では、需要の変化は、需要が増減しているときにある期間にわたって生じる。
【0020】
前述の側面のいくつかの実施例では、需要の増減は、期間内の需要の増加と、減少とを含む。
【0021】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して増大される。
【0022】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して減少される。
【0023】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間は、需要が、典型的には、増加または減少する、期間である。
【0024】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間は、1日内の特定の時間の間である。
【0025】
前述の側面のいくつかの実施例では、電解槽は、少なくとも2つの別個の電解槽セルを備える。
【0026】
前述の側面のいくつかの実施例では、電解槽は、少なくとも約2.5m3の総サイズを有する。
【0027】
前述の側面のいくつかの実施例では、電気の需要が、電解槽が位置する領域内で増加すると、電解槽の運営支出は、電流密度が減少されない限り、増加する。
【0028】
別の側面では、電解を行うための方法は、(a)電解槽が位置する領域内で電気の需要が増加すると、電解槽の動作と関連付けられる電流密度を、電解槽の電流密度の最大容量の20%またはそれを下回る値まで低減させるステップと、(b)電解槽が位置する領域内で電気の需要が減少すると、電解槽の動作と関連付けられる電流密度を、電解槽の電流密度の最大容量の80%またはそれを上回る値まで増加させるステップとを含む。
【0029】
前述の側面のいくつかの実施例では、需要が増減している期間の間に、電気の需要は、増加する、または電気の需要は、減少する。
【0030】
前述の側面のいくつかの実施例では、需要の増減は、期間内の需要の増加と、減少とを含む。
【0031】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して増大される。
【0032】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間にわたる平均需要は、別の期間と比較して減少される。
【0033】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間は、需要が、典型的には、増加または減少する、期間である。
【0034】
前述の側面のいくつかの実施例では、期間は、1日内の特定の時間の間である。
【0035】
前述の側面のいくつかの実施例では、電解槽は、少なくとも2つの別個のセルを備える。
【0036】
前述の側面のいくつかの実施例では、電解槽は、少なくとも2.5m3の総サイズを有する。
【0037】
前述の側面のいくつかの実施例では、電気の需要が、電解槽が位置する領域内で増加すると、電解槽の運営支出は、電流密度が減少されない限り、増加する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面は、概して、限定としてではなく、実施例として、本書において議論される種々の実施形態を図示する。
【0039】
【
図1】
図1は、水素ガスを生産するための水の電解のための例示的電解槽セルの概略図である。
【0040】
【
図2】
図2は、水素ガスを生産するための水の電解のために構成される、複数の電解槽セルを備える、スタックの概略図である。
【0041】
【
図3】
図3は、電解槽セル内にアノード半セル、カソード半セル、または両方を形成し得る、例示的受皿アセンブリの正面図である。
【0042】
【0043】
【
図5】
図5は、受皿アセンブリのマニホールドを示す、
図3および4の例示的受皿アセンブリの上部部分の拡大斜視図である。
【0044】
【
図6】
図6は、
図3および4の例示的受皿アセンブリのマニホールドの拡大側面図である。
【0045】
【
図7】
図7は、
図3および4の例示的受皿アセンブリのマニホールドの中への電解質の流動を概念的に示す、第1の斜視図である。
【0046】
【
図8】
図8は、
図3および4の例示的受皿アセンブリのマニホールドの中への電解質の流動を概念的に示す、第2の斜視図である。
【0047】
【
図9】
図9は、電解槽セル内にアノード半セル、カソード半セル、または両方を形成し得る、第2の例示的受皿アセンブリの側面図である。
【0048】
【0049】
【
図11】
図11は、第2の例示的受皿アセンブリ内に位置するバッフルアセンブリの詳細を示す、
図9および10の第2の例示的受皿アセンブリの斜視図である。
【0050】
【
図12】
図12は、バッフルアセンブリに結合される電極を伴う、
図9および10の第2の例示的受皿アセンブリの斜視図である。
【0051】
【
図13】
図13は、
図9および10の第2の例示的受皿アセンブリの断面側面図、およびバッフルアセンブリを含まない、比較受皿アセンブリの対応する断面側面図である。
【0052】
【
図14】
図14は、比較受皿アセンブリ内での比較流動分布と比較される、
図9および10の第2の例示的受皿アセンブリ内での電解質のシミュレートされた流動分布を示す、概略側面図である。
【0053】
【
図15】
図15は、
図9および10の第2の受皿アセンブリ内でバッフルアセンブリの一部を形成し得る、バッフルプレートの斜視図である。
【0054】
【
図16】
図16は、電解槽セル内にアノード半セル、カソード半セル、または両方を形成し得る、第3の例示的受皿アセンブリの正面図である。
【0055】
【0056】
【0057】
【
図19】
図19は、第3の例示的受皿アセンブリ内の1つまたはそれを上回る肋材の詳細を示す、
図16および17の第3の例示的受皿アセンブリの斜視図である。
【0058】
【
図20A】
図20A-20Cは、
図16および17の第3の例示的受皿アセンブリのための種々の代替肋材構造の斜視図を示す。
【
図20B】
図20A-20Cは、
図16および17の第3の例示的受皿アセンブリのための種々の代替肋材構造の斜視図を示す。
【
図20C】
図20A-20Cは、
図16および17の第3の例示的受皿アセンブリのための種々の代替肋材構造の斜視図を示す。
【0059】
【
図21】
図21は、電解質温度制御システムを伴う例示的電解槽セルの概略図である。
【0060】
【
図22】
図22は、典型的な24時間の期間の過程にわたる、例示的電気価格のグラフである。
【0061】
【
図23】
図23は、本開示の負荷獲得および負荷削減方法に従った水素ガスの発生のための電解槽セルの動作のある実施例を示す、グラフである。
【0062】
【
図24】
図24は、例示的電解槽セルに関する生産された水素ガスの1キログラムあたりコストと、本開示の負荷獲得および負荷削減方法に従って水素ガスを発生させることによって達成され得る、改良とを示す、グラフである。
【0063】
【
図25】
図25は、種々の電気価格における例示的電解槽セルのための最適な動作電流密度を示す、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する、付随の図面の参照を含む。図面は、例証として、本発明が実践され得る、特定の実施形態を示す。本明細書では「実施例」とも称される、これらの実施形態は、当業者が本発明を実践することを可能にするために十分に詳細に説明される。例示的実施形態は、組み合わせられてもよい、他の実施形態が、利用されてもよい、または構造的および論理的変更が、本発明の範囲から逸脱することなく行われてもよい。開示される主題が、枚挙される請求項と併せて説明されるであろうが、例示される主題が、請求項を開示される主題に限定することを意図していないことを理解されたい。以下の詳細な説明は、したがって、限定的意味で捉えられるべきではなく、本発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの均等物によって定義される。
【0065】
本明細書における、「one embodiment(一実施形態」、「an embodiment(ある実施形態)」、「an example embodiment(例示的実施形態)」等の言及は、説明される実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、全ての実施形態が、必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を含むわけではない場合があることを示す。また、そのような語句は、必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、ある実施形態と関連して説明されるとき、明示的に説明されているかどうかにかかわらず、他の実施形態と関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすためには、これが当業者の知識内にあることが条件となる。
【0066】
範囲形式において表現される値は、その範囲の限定値として明示的に列挙される数値を含むだけではなく、各数値および部分範囲が明示的に列挙される場合と同様に、その範囲内に含有される全ての個々の数値または部分範囲も含むように、柔軟な様式において解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」の濃度範囲は、約0.1重量%~約5重量%の明示的に列挙される濃度だけではなく、示される範囲内の個々の濃度(例えば、1%、2%、3%、および4%)および部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、および3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。叙述「約X~Y」は、別様に示されない限り、「約X~約Y」と同一の意味を有する。同様に、叙述「約X、Y、または約Z」は、別様に示されない限り、「約X、約Y、または約Z」と同一の意味を有する。
【0067】
本書では、用語「a」、「an」、または「the」は、文脈が明確に別様に決定付けない限り、「one or more than one(1つまたは1つを上回る)」を含むために使用される。用語「or(または)」は、別様に示されない限り、非排他的「または」を指すために使用される。別様に示されない限り、リスト化される群を指すときの叙述「at least one of(~のうちの少なくとも1つ)」は、群の構成要素のうちの1つまたは2つまたはそれを上回るもののうちの任意の組み合わせを意味するために使用される。例えば、叙述「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、「A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはA、B、およびC」と同一の意味を有することができる、または叙述「D、E、F、およびGのうちの少なくとも1つ」は、「D、E、F、G、DおよびE、DおよびF、DおよびG、EおよびF、EおよびG、FおよびG、D、E、およびF、D、E、およびG、D、F、およびG、E、F、およびG、またはD、E、F、およびG」と同一の意味を有することができる。カンマが、区切り符号または桁区切り記号として、小数点記号の左または右に使用されることができ、例えば、「0.000,1」は、「0.0001」と同等である。
【0068】
本明細書に説明される方法では、ステップは、時間または動作シーケンスが明示的に列挙されるときを除いて、本発明の原理から逸脱することなく、任意の順序において行われることができる。さらに、規定されるステップは、明示的文言がそれらが別個に行われるように列挙しない限り、並行して行われることができる。例えば、Xを行う列挙行為およびYを行う列挙行為は、単一の動作内で同時に行われることができ、結果として生じるプロセスは、プロセスの文字通りの範囲内に収まるであろう。第1のステップが実施され、次いで、いくつかの他のステップが続いて実施されるという趣旨の請求内での列挙は、第1のステップが他のステップのうちのいずれかの前に実施されるが、他のステップが、シーケンスが他のステップ内でさらに列挙されない限り、任意の好適なシーケンスにおいて実施され得ることを意味すると捉えられるものとする。例えば、「ステップA、ステップB、ステップC、ステップD、およびステップE」を列挙する請求項要素は、ステップAが最初に行われ、ステップEが最後に行われ、ステップB、C、およびDがステップAとEとの間で任意のシーケンスにおいて行われ得ること(1つまたはそれを上回るステップが、ステップAまたはステップEと並行して実施されることを含めて)、およびシーケンスが、依然として、請求されるプロセスの文字通りの範囲内に収まることを意味すると解釈されるものとする。ステップのうちの所与のステップまたは部分セットはまた、繰り返されることができる。
【0069】
さらに、規定されるステップは、明示的請求項文言が、それらが別個に行われるように列挙しない限り、並行して行われることができる。例えば、Xを行う請求ステップおよびYを行う請求ステップは、単一の動作内で同時に行われることができ、結果として生じるプロセスは、請求されるプロセスの文字通りの範囲内に収まるであろう。
【0070】
本明細書で使用されるような用語「about(約)」は、ある値または範囲内、例えば、記載される値の、またはある範囲の記載される限定値の10%内、5%内、1%内、0.5%内、0.1%内、0.05%内、0.01%内、0.005%内、または0.001%内の変動の程度を可能にすることができ、厳密に記載される値または範囲を含む。
【0071】
本明細書で使用されるような用語「substantially(実質的に)」は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%またはそれを上回る値、または100%等、「majority of(~の大部分)」または「mostly(大部分は)」を指す。
【0072】
加えて、本明細書に採用され、別様に定義されていない語法または専門用語は、説明の目的のためのものにすぎず、限定の目的のためのものではないことを理解されたい。さらに、本書において言及される全ての刊行物、特許、および特許文書は、参照することによって個々に組み込まれる場合と同様に、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。本書と参照することによってそのように組み込まれるそれらの文書との間の一貫しない使用法の場合には、組み込まれる参考文献内での使用法が、本書のものを補助すると見なされるべきであり、妥協不可能な非一貫性に関しては、本書における使用法が、優先する。
【0073】
水素ガス(H2)は、水が、それぞれ、電気化学セルのアノードおよびカソードにおいて、酸素ガス(O2)およびH2ガスに分解される、水分解反応によって電気化学的に形成されることができる。そのような電気化学的プロセスの実施例は、限定ではないが、陽子電解質膜(PEM)電解およびアルカリ水電解(AWE)を含む。そのような電気化学反応では、水分解電解反応を駆動するために必要な動作エネルギーは、種々のエネルギー非効率性の結果としての付加的エネルギーコストに起因して、高い。例えば、電極間でのイオン種の不要な遊走を低減させるために、カソードおよびアノードは、イオン種の遊走を低減させ得る、膜等の分離器によって分離されてもよい。分離器は、セルの全体効率を改良することができるが、これは、セル内での付加的抵抗損失という代償をもたらし得、ひいては、動作電圧を増加させる。水電解における他の非効率性は、とりわけ、溶液抵抗損失、電気伝導非効率性、および/または電極過電位を含み得る。これらの種々の非効率性およびそれらを最小限化することと関連付けられる資本コストは、水分解電解を介したH2発生の経済的実現可能性において、ある役割を果たすことができる。
【0074】
本明細書に提供される方法およびシステムは、H2ガスの効率的、低コスト、および低エネルギー生産をもたらす、固有の電気化学的プロセスに関する。
【0075】
電解槽セル
図1は、
図1に図示される、電力を用いて水を水素および酸素に転換する、一般的な水電解槽セル100の概略図である。ある実施例では、電解槽セル100は、2つの半セル、すなわち、第1の半セル111と、第2の半セル121とを備える。ある実施例では、第1および第2の半セル111、121は、膜131等の分離器131によって分離される。ある実施例では、分離器131は、多孔性またはイオン交換膜131を含む。分離器131がイオン交換膜を含む実施例では、イオン交換膜は、アニオン交換膜(AEM)、カチオン交換膜(CEM)、陽子交換膜(PEM)、双極イオン交換膜(BEM)、イオン溶媒和膜(ISM)、または微多孔性またはナノ多孔性膜等の異なるタイプであることができる。
【0076】
分離器131がカチオン交換膜である実施例では、カチオン交換膜は、例えば、Asahi Kasei Corp.(Tokyo, Japan)から、またはMembrane International Inc.(Glen Rock, NJ, USA)から、またはChemours Company(Wilmington, DE, USA)から入手可能なもの等の従来の膜であることができる。カチオン交換膜の実施例は、限定ではないが、Chemours Companyによって商標名N2030WXとして販売される膜、およびAsahi Kasei Corp.によって商標名F8020/F8080またはF6801として販売される膜を含む。カチオン交換膜を形成するために使用され得る材料の実施例は、限定ではないが、アニオン基、例えば、スルホン酸基および/またはカルボン酸基を含有するペルフルオロポリマーを含む、カチオン膜を含む。しかしながら、いくつかの実施例では、電解質間での特定のカチオンまたはアニオン種の遊走を制限または可能にするための必要性に応じて、より制限的であり、したがって、カチオンの1つの種の遊走を可能にしながら、カチオンの別の種の遊走を制限する、カチオン交換膜が、使用され得ることを理解されたい。同様に、いくつかの実施形態では、電解質間での特定のアニオン種の遊走を制限または可能にするための必要性に応じて、より制限的であり、したがって、アニオンの1つの種の遊走を可能にしながら、アニオンの別の種の遊走を制限する、アニオン交換膜が、使用されてもよい。そのような制限的なカチオン交換膜およびアニオン交換膜が、商業的に利用可能であり、当業者によって選択されることができる。
【0077】
いくつかの実施例では、分離器131は、これが、適宜、酸性および/またはアルカリ性電解溶液中で機能し得るように選択されることができる。望ましくあり得る、分離器131のための他の性質は、限定ではないが、150℃またはそれより高い値までの室温の温度範囲内の電解溶液中での高イオン選択性、低イオン抵抗、高破裂強度、および高安定性を含む。
【0078】
ある実施例では、分離器131は、約0℃~約150℃、例えば、約0℃~約100℃、約0℃~約90℃等、例えば、約0℃~約80℃、約0℃~約70℃等、例えば、約0℃~約60℃、約0℃~約50℃等、例えば、約0℃~約40℃、または約0℃~約30℃等の温度範囲内で安定している。
【0079】
電解質溶液中に所望の生成物または複数の生成物を達成するために、1つのタイプのイオン(例えば、CEMに関してはカチオン、およびAEMに関してはアニオン)の遊走を可能にするが、別のものの遊走は可能にしない、または1つのタイプのイオンおよび別のものの遊走を可能にする、イオン特異性イオン交換膜を使用することが、有用であり得る。
【0080】
ある実施例では、第1の半セル111は、分離器131に近接して設置され得る、第1の電極112を備え、第2の半セル121は、例えば、第1の電極112から分離器131の反対側における、分離器131に近接して設置され得る、第2の電極122を備える。ある実施例では、第1の電極112は、電解槽セル100のためのアノードであり、第2の電極122は、電解槽セル100のためのカソードであり、したがって、本開示の後半では、第1の半セル111は、アノード半セル111とも称され得、第1の電極112は、アノード112とも称され得、第2の半セル121は、カソード半セル121とも称され得、第2の電極122は、カソード122とも称され得る。電極112、122はそれぞれ、1つまたはそれを上回る電気触媒でコーティングされ、水素ガス(H2ガス)および/または酸素ガス(O2ガス)に向かった反応を加速させることができる。電気触媒の実施例は、限定ではないが、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム等の白金族金属の高分散金属または合金、または白金-ロジウム、白金-ルテニウム、酸化ルテニウム(RuO2)でコーティングされたニッケルメッシュ、または高表面積ニッケル等のそれらの組み合わせを含む。
【0081】
分離器131のオーム抵抗は、アノード112およびカソード122を横断した電圧降下に影響を及ぼすことができる。例えば、分離器131のオーム抵抗が増加するにつれて、アノード112およびカソード122を横断した電圧は、増加し得、逆もまた同様である。ある実施例では、分離器131は、比較的に低いオーム抵抗と、比較的に高いイオン移動度とを有する。ある実施例では、分離器131は、温度に伴って増加し、したがって、オーム抵抗を減少させる、比較的に高い水和特性を有する。当技術分野において公知である、より低いオーム抵抗を伴う分離器131を選択することによって、規定される温度における、アノード112およびカソード122を横断した電圧降下は、低下されることができる。
【0082】
ある実施例では、アノード112は、外部の正導体116に電気的に接続され、カソード122は、外部の負導体126に電気的に接続される。分離器131が、湿潤しており、電極112および122と電解接触しており、適切な電圧が、導体116および126を横断して印加されると、O2ガスが、アノード112において遊離され、H2ガスが、カソード122において遊離される。ある構成では、電解質、例えば、水中のKOHの溶液から成るものが、半セル111、121の中に給送される。例えば、電解質は、第1の電解質入口114を通してアノード半セル111の中に、および第2の電解質入口124を通してカソード半セル121の中に流入することができる。ある実施例では、アノード半セル111を通した電解質の流動は、生産されたO2ガスを、第1の出口115を通してアノード半セル111から退出する、気泡113として捕捉する。同様に、カソード半セル121を通した電解質の流動は、生産されたH2ガスを、第2の出口125を通してカソード半セル121から退出し得る、気泡123として捕捉することができる。ガスは、1つまたはそれを上回る適切な分離器を用いて電解槽セル100の電解質下流から分離されることができる。ある実施例では、生産されたH2ガスは、乾燥され、高圧力キャニスタの中に採集される、またはさらなるプロセス要素の中に給送される。O2ガスは、単に大気の中に通気されることが可能にされることができる、または他の使用のために貯蔵されることができる。ある実施例では、電解質は、必要に応じて、半セル111、121の中に戻るように再循環される。
【0083】
ある実施例では、コントローラ128が、含まれ、(例えば、導体116および126を横断して印加される電圧を制御することによって)電解槽セル100を通して印加される電流を制御することができる。ある実施例では、コントローラ128は、セル100のための電流密度が(例えば、下記により詳細に説明されるように、負荷獲得または負荷削減のために)制御され得るように、(例えば、セル100の面積に基づいて所望の電流密度に対応する電流を印加することによって)セル100のための動作電流密度を制御するように構成されることができる。
【0084】
ある実施例では、電解槽セル100を横断した典型的電圧は、約1.5ボルト(V)~約3.0Vである。ある実施例では、電解槽セル100のための動作電流密度は、約0.1A/cm2~約3A/cm2である。各セル100は、これらの電流密度において動作するときに非常に大量のH2ガスを生産するために十分に大きいサイズを有する。ある実施例では、各セル100の断面積(例えば、長方形セルに関して、幅×高さ)は、約0.25平方メートル(m2)~約15m2、約1m2~約5m2等、例えば、約2m2~約4m2、約2.25m2~約3m2等、約2.5m2~約2.9m2等である。ある実施例では、各セルの総体積(例えば、幅×高さ×奥行)は、約0.1立方メートル(m3)~約2m3、約0.15m3~約1.5m3等、例えば、約0.2m3~約1m3、約0.25m3~約0.5m3等、例えば、約0.275m3~約0.3m3である。ある実施例では、電解槽システム全体の総体積(例えば、プラント内の全てのスタック内の全てのセルの組み合わせられた体積)は、約1m3~約200m3、約2m3~約100m3等、例えば、約2.5m3~約50m3である。
【0085】
当業者によって理解されるであろうように、そのような低電圧および高電流密度において電力バスを動作させることは、非常に非効率的であり得る。したがって、典型的には、複数の電解槽セル100が、組み立てられ、直列に電解槽スタックに電気的に接続される。複数のセル100はそれぞれ、単一の電解槽セル100より低い/より高い電圧および同一の電流密度において動作することができ、これは、本システムをはるかにより効率的にする。ある実施例では、電解槽スタックは、直列に接続され、電解槽スタックを提供する、約5個(5)の電解槽セル100~約500個の電解槽セル100、例えば、80個(80)の電解槽セル100またはそれを上回るものを含むことができる。
【0086】
電解槽スタック
図2は、(集合的に、「電解槽セル132」または「電解槽セル132」と称される)電解槽セル132A-132Nのそのような電解槽スタック130の一部の概略図を示す。スタック130内の各セル132は、例えば、アノード半セル111およびカソード半セル121のうちの一方または両方を伴う、
図1の例示的電解槽セル100に関して上記に説明される構造のうちのいずれか1つを有することができる。加えて、各セル132は、(例えば、下記に説明される受皿アセンブリの1つまたはそれを上回る構造を備える)セルアセンブリの1つまたはそれを上回る構造を含むことができる。当業者によって理解されるであろうように、セルアセンブリの構造(すなわち、個々の受皿アセンブリのためのもの)は、本明細書に説明される、全体的により低いコストでのH
2生産を提供することができる。
【0087】
ある実施例では、電解槽セル132は、導体304と直列に電気的に接続される。ある実施例では、スタック130は、直列に接続される、多数の電解槽セル132、例えば、50個(50)またはそれを上回る電解槽セル132、60個(60)またはそれを上回る電解槽セル132、70個(70)またはそれを上回る電解槽セル132、80個(80)またはそれを上回る電解槽セル132、90個(90)またはそれを上回る電解槽セル132、100個(100)またはそれを上回る電解槽セル132、150個(150)またはそれを上回る電解槽セル132、200個(200)またはそれを上回る電解槽セル132、300個(300)またはそれを上回る電解槽セル132等を備える。例示的電解槽スタック130内の個々の電解槽セル132は、参照番号132A-132Nで標識され、第1の電解槽セル132A、第2の電解槽セル132B、および最後の電解槽セル132Nのみが、
図2に示されている。ある実施例では、1つのセル132Aの電気正導体(例えば、
図1の正導体116)が、以下の例外、すなわち、(a)最高電圧における最終セル132Nの正導体が、電力供給源136に接続されることと、(2)最低電圧における第1のセル132Aの負導体が、電気回路の接地138に接続されることとを除いて、接続導体134を用いて、後続のセル132Bの電気負導体(例えば、
図1の負導体126)に電気的に接続される。ある実施例では、電力供給源136は、グリッドAC電力を好適なDC電力レベルに転換する、定電流電圧限定整流器である。ある実施例では、電力供給源136は、(
図1に関して上記に説明される、コントローラ128に類似する)スタック130内の電解槽セル132の電流密度を制御し、例えば、スタックが(下記により詳細に説明されるように)電気の需要および/または価格の増減に応答して負荷獲得または負荷削減に関して動的に動作されることを可能にするように構成される、コントローラによって制御されることができる。
【0088】
電解槽セル受皿アセンブリ
電解槽セル100の物理的構成は、アノード112における酸素ガスの遊離およびカソード122における水素ガスの遊離を可能にするように構成される、任意の物理的構造であることができる。ある実施例では、電解槽セル100は、高電流密度(例えば、2A/cm2またはそれより高い)において動的に動作し得る、構成要素を備えることができる。高電流密度における動作を提供することによって、電解槽セル100は、オペレータが、より少ないセルを用いたそれらの標的化される生産率を充足させ、それによって、資本経費を低減させることを可能にすることができる。加えて、電解槽セル100が広い範囲の動作電流密度にわたって動的に動作することを可能にすることによって、電解槽セル100は、オペレータに、高いターンダウン比を提供することができ、これは、(下記により詳細に説明されるように)オペレータが、電力価格が低いときに生産を最大限化すること、および電力価格が高いときに電力消費量を低減させることを可能にすることができる。
【0089】
高電流密度における電解槽セルの動作は、限定ではないが、高電流密度において生産される大きいガス体積、有意な温度および圧力の増減、膜の浸食または疲労、セル内で発生される大量の熱、および/または電解質の高流量等の重大な難題をもたらし得る。したがって、ある実施例では、各電解槽セル100は、限定ではないが、セルの高さに沿った電解質の大きい温度変動を低減または最小限化すること、ガスを用いた公称有効面積のマスキングを低減または最小限化すること、膜の限局化された乾燥をもたらし得る、停滞ガスポケットの形成を低減または最小限化すること、および/またはセル出口におけるスラグまたはプラグ流に起因する有意な圧力増減を低減または最小限化すること等、これらの難題のうちの1つまたはそれを上回るものを克服し得る、アノード受皿アセンブリおよび/またはカソード受皿アセンブリの構成を含むことができる。
【0090】
大きいガス体積に起因して、静的ガスポケットが、電極上またはセルの上部に形成され得る。高電解質流量を提供すること、およびガス浮揚を引き起こし、高い局地的剪断率を生成する特徴を利用することが、電極上での静的ガスポケット形成を最小限化することに役立ち得る。しかしながら、ガスの大規模な生産、およびセルに進入し、それから退出する大量の電解質溶液と結合される、高電解質流量は、スラグおよびプラグ流と関連付けられる重大な難題を提示する。本タイプの流動は、下記により詳細に説明される、規定されるマニホールドおよび出口管構成を使用することによって、低減または最小限化されることができる。
【0091】
いくつかの実施例では、受皿アセンブリが、電解槽セル100のアノードまたはカソード側において使用されることができる。受皿アセンブリは、セルの上部に効果的な収集システムを含み、セルの上部における大きい停滞ガスポケットの形成を最小限化し、ある場合には、それを防止することができる。ある実施例では、収集システムは、マニホールドと、ガスが集まり、かつ電解質が流動しながら、また、膜のマスキングおよび/またはスラグまたはプラグ流の可能性を低減または最小限化するための空間を効果的に提供する、大きい断面積を伴う、出口管とを備える。受皿アセンブリは、セルから外に効果的に指向される、2相(ガス/液体)流動を提供することができる。
【0092】
受皿アセンブリ、マニホールド、および出口管は、流動がセルの幅を横断して均一または実質的に均一であること、およびセル内での圧力増減が最小であることを確実にするように設計される。流動均一性は、マニホールドの中への流動の進入と関連付けられる背圧が、マニホールドの長さに沿った圧力降下を有意に上回り、したがって、マニホールド内の圧力が、マニホールドから退出する圧力降下を上回ることを確実にする必要性を促す。本質的に一定の内圧分布を維持することは、マニホールドおよび出口管類を通したスラグまたはプラグ流を回避するための要件を促す。したがって、マニホールドと、出口管とを備える、受皿アセンブリは、電解質流動および高電流密度の広い範囲を横断した、信頼性のあるセル動作を提供することができる。
【0093】
電流密度が、セル内で増加されるにつれて、電力消散もまた、劇的に上昇することができる。大きい空間的および/または時間的温度増減は、膜を損傷させ得る。セルの内部温度分布に対する内部電力消散の寄与は、維持温度、流入電解質の流量、および/または流入電解質の再循環等の動作条件を通して低減または最小限化されることができる。高電解質流量は、セル内に大量の対流熱伝達を提供し、それによって、そうではない場合には電流密度の増加から結果として生じ得る、セル内の熱蓄積および付随する温度上昇を低減または最小限化することに役立つことができる。ある実施例では、電解槽セルの受皿アセンブリは、受皿アセンブリの内側に、電解質が、セルの高さに沿って等温または実質的に等温のままであり、したがって、熱的均衡状態が、動作電流密度が変更された後に迅速に達成されることを確実にすることに役立つことによって、セルの内部温度に対する増減する電力消散の影響を低減または最小限化し得る、バッフルプレート構成を含む。
【0094】
図1に関して上記に説明される一般的な電解槽セル100では、アノード半セル111は、アノード112と、アノード電解質(「アノード液」とも称される)とを含む、アノード受皿アセンブリを備えることができる。同様に、カソード半セル121は、カソード122と、カソード電解質(「カソード液」とも称される)とを含む、カソード受皿アセンブリを備えることができる。アノード受皿アセンブリおよびカソード受皿アセンブリは、分離器131(例えば、隔膜、膜電極アセンブリ(MEA)、1つまたはそれを上回るイオン交換膜(IEM)、または別のタイプの膜または分離器)によって分離されることができる。アノード受皿アセンブリおよび/またはカソード受皿アセンブリは、セル100からの流出のためのガスおよび電解質を収集する、収集システム等の構成要素を含むことができる。分離器アセンブリは、アノード112およびカソード122における所望の反応に応じて、アニオン交換膜(AEM)、カチオン交換膜(CEM)、または別の分離器のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。これらの構成要素の間に、種々の付加的分離器構成要素が、提供され、例えば、アノード112から膜131を分離し、カソード122から膜131を分離し、かつ膜または他の分離器構造に機械的完全性を提供することができる。これらの構成要素に加えて、個々のガスケットまたはガスケットテープが、構成要素の間に、およびその外周に沿って提供され、流体漏出からコンパートメントをシールしてもよい。
【0095】
ある実施例では、上記に説明される構成要素の全てが、相互に対して平行または略平行に整合され、随意の周辺のボルト留めが、それらを電気化学セル100内でともにスタックさせるために提供されてもよい。フィルタプレス構成では、いかなる周辺のボルト留めも、要求されない場合がある。電気化学セルのスタック内では、1つの電気化学セル100のアノード112が、隣接する電気化学セルのカソード122と電気的に接続されることができる。電流が、動作の間に電気化学セルのスタックを通して通過する。
【0096】
図3-8は、
図1に示される電解槽セル100内、または
図2のスタック130内の個々の電解槽セル132のうちの1つ内のアノード半セル111のためのアノード受皿アセンブリとして、またはカソード半セル121のためのカソード受皿アセンブリとして使用され得る、例示的受皿アセンブリ140のいくつかの図を示す。
図3は、受皿アセンブリ140の正面図であり、
図4は、受皿アセンブリ140の断面図である。電気化学セル100または132では、受皿アセンブリ140が、アノード112およびカソード122における必要性および反応に応じて、アノード受皿アセンブリとして、またはカソード受皿アセンブリとして、または両方として使用され得ることを理解されたい。アノード112またはカソード122等のセルの隣の構成要素が、
図3の正面図に示される受皿アセンブリ140の上に設置されることができる。
【0097】
図3および4に図示されるように、受皿アセンブリ140は、受皿142を含む。受皿142の奥行の内側および受皿142の上部において、マニホールド144(
図4に示される)が、格納される。マニホールド144は、電解槽セル100のための要件に応じて、1つまたはそれを上回る出口管146に接続されることができる。例えば、本設計は、セル厚を最小限化し、特定のサイズの電解槽フレーム内にフィットし得る、セル100の数を最大限化するために、受皿142の同一または両側上の各受皿アセンブリ140上に2つ、3つ、4つ、またはそれを上回る出口管146を組み込むことができる。
図5および6は、マニホールド144および出口管146の拡大詳細を示す。
【0098】
ある実施例では、マニホールド144の奥行DManifoldおよび/またはマニホールド144の断面積および/または出口管146のサイズは、2相システムのスラグおよびプラグ流の発生を低減または最小限化するだけではなく、マニホールド144の壁と受皿142の上に設置される電極(例えば、受皿アセンブリ140がアノード受皿またはカソード受皿を形成するかどうかに応じて、アノードまたはカソード)との間に、ガスおよび電解質が妨害されない流動を有し、膜が湿潤されたままであるために十分な空間を提供するために、受皿アセンブリ140がマニホールド144の比較的に大きい断面積を提供するように選択される。マニホールド144の奥行DManifoldおよび/またはマニホールド144の断面積および/または出口管146のサイズはまた、セル100の全厚を決定付けることができる。
【0099】
受皿アセンブリ140のある実施例では、マニホールド144は、受皿142の奥行D
Panの約0.25(25%)~約0.75(75%)、例えば、奥行D
Panの約0.25(25%)~約0.6(60%)、受皿142の奥行D
Panの約0.25(25%)~約0.5(50%)等、例えば、受皿142の奥行D
Panの約0.25(25%)~約0.4(40%)、受皿142の奥行D
Panの約0.25(25%)~約0.3(30%)等、例えば、受皿142の奥行D
Panの約0.3(30%)~約0.75(75%)、受皿142の奥行D
Panの約0.3(30%)~約0.6(60%)等、例えば、受皿142の奥行D
Panの約0.3(30%)~約0.5(50%)、受皿142の奥行D
Panの約0.3(30%)~約0.4(40%)等、例えば、受皿142の奥行D
Panの約0.4(40%)~約0.75(75%)、受皿142の奥行D
Panの約0.4(40%)~約0.6(60%)等、例えば、受皿142の奥行D
Panの約0.4(40%)~約0.5(50%)、受皿142の奥行D
Panの約0.5(50%)~約0.75(75%)等、例えば、受皿142の奥行D
Panの約0.5(50%)~約0.6(60%)、受皿142の奥行D
Panの約0.6(60%)~約0.75(75%)等である、(
図5および6に示される)奥行D
Manifoldを有する。
【0100】
ある実施例では、マニホールド144は、上部において、上向きのテーパ状部(
図6に最も詳細に見られる)を有する。上向きのテーパ状部は、電極の隣に位置付けられる、膜131の上側縁の上方に、膜131の乾燥をもたらすことなく、ガスが豊富な混合物が形成するための小さい領域を提供する、内部容積または区域を生成する。
【0101】
受皿アセンブリ140を通したガスおよび電解質混合のための例示的流路が、
図7および8に点線148によって示される。
図7および8に見られ得るように、ある実施例では、ガスおよび電解質の2相の流路148が、受皿142の主部分から上向きに、マニホールド144の上部に、次いで、マニホールド144の上部における切り欠き150のセットを通して、マニホールド144の中に下方に通過する。ガスおよび電解質は、次いで、出口管146を通して流出することができる。
【0102】
例えば、高電流密度および高流量に起因して、マニホールド144および出口管146を通して流動する大量のガスおよび電解質溶液に適応するため、およびスラグおよびプラグ流の発生を低減または最小限化するために、ある実施例では、マニホールド144および出口管146の断面積は、電解質の空塔液体速度を、約0.35m/秒またはそれを下回る、例えば、約0.25m/秒またはそれを下回る、約0.2m/秒またはそれを下回る値等である、例えば、約0.15m/秒またはそれを下回る、約0.1m/秒またはそれを下回る値等である、例えば、約0.08m/秒またはそれを下回る、約0.05m/秒またはそれを下回る値等である、例えば、約0.01m/秒またはそれを下回るように維持するために十分に大きい。マニホールド144および出口管146の断面積は、空塔ガス速度(例えば、アノード受皿からのO2ガスまたはカソード受皿から生産されるH2ガス)を、約5m/秒またはそれを下回る、例えば、約4.5m/秒またはそれを下回る、約4m/秒またはそれを下回る値等である、例えば、約3.5m/秒またはそれを下回る、約3m/秒またはそれを下回る値等である、例えば、約2.5m/秒またはそれを下回る、約2m/秒またはそれを下回る値等である、例えば、約1.5m/秒またはそれを下回る、約1m/秒またはそれを下回る値等であるように維持するために十分に大きい。
【0103】
本明細書に記載されるように、高電流密度および高流量に適応するために、いくつかの実施例では、マニホールド144の断面積(例えば、受皿142の奥行DPanの約0.25(25%)~約0.75(75%)のマニホールド144の奥行DManifoldを備える)は、約520平方ミリメートル(mm2)~約6,200mm2、例えば、約520mm2~約6,000mm2、約520mm2~約5,000mm2等、例えば、約520mm2~約4,000mm2、約520mm2~約3,000mm2等、例えば、約520mm2~約2,000mm2、約520mm2~約1,000mm2等、例えば、約600mm2~約6,200mm2、約600mm2~約6,000mm2等、例えば、約600mm2~約5,000mm2、約600mm2~約4,000mm2等、例えば、約600mm2~約3,000mm2、約600mm2~約2,000mm2等、例えば、約600mm2~約1,000mm2、約800mm2~約6,200mm2等、例えば、約800mm2~約6,000mm2、約800mm2~約5,000mm2等、例えば、約800mm2~約4,000mm2、約800mm2~約3,000mm2等、例えば、約800mm2~約2,000mm2、約800mm2~約1,000mm2等、例えば、約1,000mm2~約6,200mm2、約1,000mm2~約6,000mm2等、例えば、約1,000mm2~約5,000mm2、約1,000mm2~約4,000mm2等、例えば、約1,000mm2~約3,000mm2、約1,000mm2~約2,000mm2等、例えば、約2,000mm2~約6,200mm2、約2,000mm2~約6,000mm2等、例えば、約2,000mm2~約5,000mm2、約2,000mm2~約4,000mm2等、例えば、約2,000mm2~約3,000mm2、約3,000mm2~約6,200mm2等、例えば、約3,000mm2~約6,000mm2、約3,000mm2~約5,000mm2等、例えば、約3,000mm2~約4,000mm2、約4,000mm2~約62,000mm2等、例えば、約4,000mm2~約6,000mm2、約4,000mm2~約5,000mm2等、例えば、約5,000mm2~約6,200mm2、約5,000mm2~約6,000mm2等である。
【0104】
マニホールド144の断面積が上記に列挙される、いくつかの実施例では、マニホールド144に流体的に接続される出口管146は、約26ミリメートル(mm)~約89mm、例えば、約26mm~約80mm、約26mm~約75mm等、例えば、約26mm~約70mm、約26mm~約60mm等、例えば、約26mm~約50mm、約26mm~約40mm等、例えば、約26mm~約30mm、約30mm~約89mm等、例えば、約30mm~約80mm、約30mm~約75mm等、例えば、約30mm~約70mm、約30mm~約60mm等、例えば、約30mm~約50mm、約30mm~約40mm等、例えば、約40mm~約89mm、約40mm~約80mm等、例えば、約40mm~約75mm、約40mm~約70mm等、例えば、約40mm~約60mm、約40mm~約50mm等、例えば、約50mm~約89mm、約50mm~約80mm等、例えば、約50mm~約75mm、約50mm~約70mm等、例えば、約50mm~約60mm、約60mm~約89mm等、例えば、約60mm~約80mm、約60mm~約75mm等、例えば、約70mm~約89mm、約70mm~約80mm等、例えば、約70mm~約75mmと同等の直径ED
Outlet(
図5に示される)を有することができる。
【0105】
当業者は、「高電解質流量」と見なされ得るものが電気化学セル100のサイズと比較され得ることを理解するであろう。例えば、約300mm~約600mmの幅である、例えば、比較的に狭小なセルのための「高流量」は、約200kg/時間の流量に対応し得る一方、例えば、約2メートル(m)~約3mの幅である、大きい商業サイズセルのための「高流量」は、約800kg/時間またはそれを上回る、例えば、約1,000kg/時間またはそれを上回る、約1,350kg/時間またはそれを上回る値等である、例えば、約1,500kg/時間またはそれを上回る、約1,750kg/時間またはそれを上回る値等である、例えば、約2,000kg/時間またはそれを上回る、約2,250kg/時間またはそれを上回る値等である、例えば、約2,500kg/時間またはそれを上回る、約2,700kg/時間またはそれを上回る値等である、流量に対応し得る。マニホールド144の断面積、出口管146の断面積、および/またはバッフルアセンブリは、本明細書に説明されるような高電流密度における動作と関連付けられる、高電解質流量および高ガス流量に適応し、スラグおよびプラグ流が、展開する可能性が低くなるように、約0.2m/秒またはそれを下回る空塔液体速度と、約3m/秒またはそれを下回るガス流量とを提供することができる。
【0106】
いくつかの実施例では、受皿アセンブリは、受皿アセンブリの内側にバッフルアセンブリを含むことができ、バッフルアセンブリは、電解槽セルの高さに沿った、内部温度プロファイルに対する高電流密度および/または増減する電力消散の影響を低減または最小限化することができる。バッフルアセンブリは、受皿アセンブリ内に、例えば、背面受皿壁と電極との間に懸吊されることができる。ある実施例では、バッフルアセンブリは、受皿の内側に1つまたはそれを上回る肋材を含む。1つまたはそれを上回る肋材は、1つまたはそれを上回る切り欠きを含むことができる。1つまたはそれを上回るスロットを備える、バッフルプレートが、含まれ、バッフルプレートの対応する構造が1つまたはそれを上回る肋材の1つまたはそれを上回る切り欠きの中にフィットし得るように、1つまたはそれを上回る肋材の上にフィットするように構成されることができる。
【0107】
図9-15は、例示的バッフルアセンブリ162を含む、受皿アセンブリ160のいくつかの図を示す。
図3-8に関して上記に説明される受皿アセンブリ140と同様に、受皿アセンブリ160は、
図1の電解槽セル100内のアノード半セル111およびカソード半セル121のうちの一方または両方のための構造として使用されることができる。例えば、受皿アセンブリ160が、アノード半セル111の一部を形成するために使用される場合、受皿アセンブリ160は、アノード受皿アセンブリであることができる。同様に、受皿アセンブリ160が、カソード半セル121一部を形成するために使用される場合、受皿アセンブリ160は、カソード受皿アセンブリであることができる。受皿アセンブリ140のように、受皿アセンブリ160は、受皿164(例えば、アノード受皿および/またはカソード受皿)と、出口管166とを含む。受皿アセンブリ160はまた、それを通して電解質および生産されたガスが出口管166を通して受皿アセンブリ160から退出する前に流動し得る、マニホールド168を含むことができ、これは、受皿アセンブリ140に関して上記に説明されるマニホールド144に類似する、またはそれと同じであることができる。言い換えると、アノードアセンブリまたはカソードアセンブリのいずれか、または両方を形成する、受皿アセンブリは、
図3-8に関して上記に説明される受皿アセンブリ140および下記に説明される受皿アセンブリ160の両方の特徴を含むことができる。
【0108】
ある実施例では、受皿アセンブリ160のバッフルアセンブリ162は、受皿162内にフィットされる、バッフルプレート170を含む。ある実施例では、バッフルプレート170は、1つまたはそれを上回るスロット172(
図10に最も詳細に見られる)を備える。各スロット172は、対応する肋材174(
図9、11、および12に示される)と相互作用することができ、1つまたはそれを上回る肋材174およびバッフルプレート170は、バッフルアセンブリ162を形成する。バッフルプレート170は、バッフルアセンブリ162内の肋材174の数に応じて、任意の数のスロット172を有することができる。スロットの数は、バッフルプレート170内で、例えば、1~約200であることができる。バッフルプレート170は、受皿164内の肋材174にわたってフィットされることができる。ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材174は、バッフルプレート170に対して、および受皿164の全体的配向に対して直角または略直角である。言い換えると、ある実施例では、バッフルプレート170は、受皿164の背面壁178等、受皿164の主表面に対して平行または略平行である。受皿アセンブリ160と関連付けられる電極176(例えば、受皿アセンブリ160がアノード受皿アセンブリである場合はアノード112、または受皿アセンブリ160がカソード受皿アセンブリである場合はカソード122)は、例えば、受皿164の背面壁178の反対にある、バッフルアセンブリ162の側における、受皿アセンブリ160の上部に取り付けられることができる。
【0109】
ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材174はそれぞれ、受皿164に対して、および/または電極176に対してバッフルプレート170を位置付けるための、1つまたはそれを上回る構造を含むことができる。ある実施例では、これらの構造は、各肋材174上に1つまたはそれを上回る切り欠きを含み、各切り欠きは、例えば、
図9、11、および12に見られ得るように、バッフルプレート170が規定される場所において、電極176に対して、および/または受皿164の背面壁178に対して懸吊されるように、受皿164に対してバッフルプレート170を位置付けるために、バッフルプレート170上の対応するスロット172と摺動可能に係合する。肋材174内の切り欠きは、切り欠きがバッフルプレート170で充填されているため、図内で可視ではない。電極176から、および受皿164の背面壁178からのバッフルプレート170の距離は、肋材174に沿った切り欠きの奥行を修正することによって、変更されることができる。
【0110】
バッフルプレート170内でのスロット172の位置付け、スロット172の長さ、および/またはスロット172間の距離は、1つまたはそれを上回る肋材174の上へのバッフルプレート170のフィッティングに影響を及ぼし得る。ある実施例では、バッフルプレート170は、
図10に最も詳細に示されるように、その中に形成されるスロット172を伴う、中実プレートである。他の実施例では、バッフルプレートは、拡張金属プレートまたはメッシュであることができる。ある実施例では、バッフルプレート170は、限定ではないが、ニッケル、ステンレス鋼、および同等物等の伝導性金属から作製される。別の実施例では、バッフルプレート170は、ポリマー材料から作製される。いずれの場合でも、バッフルプレート170は、肋材174上の特徴を使用して、定位置にスナップするように構成されることができる。
【0111】
前述に説明されるように、電解槽セル100内での内部温度分布に対する内部電力消散の寄与は、半セル111、121を通して(例えば、半セル111、121を形成する受皿アセンブリ160を通して)流動する電解質の温度および流量等の動作条件を通して低減または最小限化されることができる。高電解質流量は、電解槽セル100内での対流熱伝達を増加させ、いくつかの実施形態では、最大限化し、それによって、そうでない場合には本明細書に説明される高電流密度から結果として生じ得る、セル100内での熱蓄積および対応する付随する温度上昇を低減または最小限化することに役立つことができる。上記に議論されるように、高電解質流量および高電流密度において動作することは、セル出口におけるスラギングまたはプラグ流につながり得、これは、膜131の寿命を短縮し得る、圧力増減をもたらし得る。マニホールド144および出口構成および/またはバッフルアセンブリ162を伴う、本明細書に説明される、受皿アセンブリ140、160は、スラグおよびプラグ流を低減または最小限化するように設計される。特に、バッフルアセンブリ162は、電解質が受皿アセンブリ160を通して流動するにつれて、その混合を提供し、電解の間に電解質内での対流熱伝達を向上させることができる。
【0112】
いくつかの実施例では、バッフルアセンブリ162は、電極176において生産されたガスが電極176に最近接するバッフルプレート170の側において電解質と混合し、比較的に低い密度柱状部をもたらし、上昇部区分を画定し得るような方法において設計され、位置付けられる。低密度混合物は、上昇部区分を通して比較的に迅速に上昇することができる。いったんバッフルプレートの上部の上方に到達すると、ガスは、離脱し、マニホールド168の中に、次いで、出口管166の中に流入することができる。電解質のごく一部が、次いで、受皿164の背面壁178により近接するバッフルプレート170の側(すなわち、電極176の反対にある側)に下方に、下降部領域の中に戻るように降下し、それによって、循環ループを生成し得る。受皿アセンブリ160内に形成される、(電極176により近接するバッフルプレート170の側における上昇部区分180と、電極176の反対のバッフルプレート170の側における下降部区分182とを伴う)本循環ループは、
図13に概念的に図示され、これは、循環パターンのいかなる結果として生じる形成も存在しないように、バッフルプレート170のようなバッフルプレートを伴うもの等の、バッフルアセンブリを含まない、比較受皿アセンブリ184と比較される。
図14は、含まれるバッフルプレート170を伴う受皿アセンブリ160(
図14の左側)およびバッフルアセンブリを伴わない比較受皿アセンブリ184(
図14の右側)内での電解質のシミュレートされる流動分布のベクトルプロットを示す。
図14に見られ得るように、バッフルプレートを伴わなければ、電解質溶液は、比較受皿アセンブリ184を通して緩徐に上方に上昇する。電極176において進展されたガスは、電解質の流動に影響を及ぼし、電解質の一部を上方に引きずり、電解質の一部を側方に打ち付ける。ガス浮揚は、比較受皿アセンブリ184内の(電極176に隣接する)左上壁に沿って瞭然である。バッフルプレートを伴わない比較受皿アセンブリ184は、電解質の弱い循環の形成をもたらさないが、バッフルプレート170を含む受皿アセンブリ160は、受皿アセンブリ160内に強力な循環を生成する。
図14から瞭然であるように、上昇部区分180、例えば、電極176に最近接するバッフルプレート170の側における流動は、ガス浮揚に起因して上向きに強力に配向され、下降部区分182、例えば、受皿アセンブリ160の背面壁178に最近接するバッフルプレート170の側における流動は、下向きに強力に配向される。上昇部区分180内の比較的に高い速度および剪断率は、電極176からガスを掃引し、受皿アセンブリ160内での効率的な上から下への混合を提供し、対流冷却の増加を駆り立てることに役立つ。
【0113】
バッフルアセンブリ162は、電解質が受皿アセンブリ160を通して流動するにつれて、それが実質的に等温のままであるように、迅速に流動する循環ループを生成するために使用されることができる。高度の上から下への混合および循環に起因して、電解質の迅速な熱的均衡化が、これが受皿アセンブリ160の中に、かつそれを通して流動するにつれて達成されることができる。別の利点は、比較的に冷たい電解質が、温かい循環する電解質流体と均衡化し得る、受皿アセンブリ160の中に導入され得ることである。循環率(すなわち、受皿アセンブリ160を通した電解質遷移の間の再循環ループの周数)は、1~200のうちの任意の場所であることができる。高循環率はまた、膜131に隣接する、より高い剪断率を駆り立て、ガスを膜131から離れるように掃引する、および/または膜131から電極176への熱伝達を向上または最大限化することに役立つことができる。
【0114】
電極176に対する、かつ受皿164の背面壁178に対するバッフルプレート170の位置付けおよび/または(
図15に示される)バッフルプレート170の幅W
Baffleおよび長さL
Baffleは、上昇部区分180および下降部区分182を通した電解質の速度に影響を及ぼし、それによって、受皿アセンブリ160内の電解質の循環率に影響を及ぼすことができる。バッフルプレート170が電極176からの規定される臨界距離より遠くに位置する場合、上昇部区分180および下降部区分182の循環パターンが、形成されない場合があることが見出されている。具体的には、バッフルプレート170と電極176との間の間隙が、大きすぎるとき、電極176に隣接する、比較的に軽い、ガスが豊富な区域の自由対流が、電極176から離れるようにさらに遠くに緩徐に上昇する電解質と比較して、比較的に迅速に上昇することが見出されている。結果として生じる剪断力は、電解質の一部を上方に引きずり得、これは、次いで、ガスが受皿アセンブリ160の上部におけるマニホールド168の中に離脱するにつれて、電極176により近接するバッフルプレート170の側において下方に降下し、電極176に最も近接するバッフルプレート170の側に形成する、弱い循環をもたらすことができる。そのような構成では、バッフルプレート170は、上昇部区分と下降部区分との間で分割しない場合があり、強力な循環電流が、形成されない場合がある。他方において、バッフルプレート170が、電極176に近接しすぎる場合、電極176とバッフルプレート170との間の空間は、ガスが電極176において形成されるにつれて、ガスで充填され、バッフルプレート170と電極176との間の空間内の電解質流動を完全に閉塞させ得る。バッフルプレート170と電極176との間の空間内のガスの高体積分率が、膜および/または電極176のマスキングおよび不十分な電気および熱輸送をもたらし得る。
【0115】
図13に図示されるように、受皿164の奥行D
Pan、電極176に対するバッフルプレート170の相対的奥行D
Baffle、受皿164の全高H
Panに対するバッフルプレート170の高さH
Baffle、および/または受皿164内の(例えば、バッフルプレート170の上部縁から受皿164の上部壁までの垂直距離H
Topおよびバッフルプレート170の底部縁から受皿164の底部壁までの対応する垂直距離H
Botによって決定付けられるような)バッフルプレート170の垂直場所は、受皿164内の電解質の循環パターンに影響を及ぼすことができる。
【0116】
ある実施例では、電極176からのバッフルプレート170の距離(すなわち、
図13に図示されるようなバッフルの相対的奥行D
Baffle)は、約5mm~約25mm、例えば、約5mm~約15mm、約5mm~約12mm等、例えば、約5mm~約10mm、約5mm~約8mm等、例えば、約5mm~約6mm、例えば、約6mm~約25mm、約6mm~約15mm等、例えば、約6mm~約12mm、約6mm~約10mm等、例えば、約6mm~約8mm、例えば、約8mm~約25mm、約8mm~約15mm等、例えば、約8mm~約12mm、例えば、約8mm~約10mm、例えば、約10mm~約25mm、約10mm~約15mm等、例えば、約10mm~約12mm、約12mm~約25mm等、例えば、約12mm~約15mmである。いくつかの実施例では、電極176からのバッフルプレート170の距離D
Baffleは、肋材174上の切り欠きの奥行と同等である。
【0117】
ある実施例では、バッフルプレート170から電極176までの距離DBaffleは、受皿164の総奥行DPanの約0.25(25%)~約0.5(50%)、例えば、受皿164の総奥行DPanの約0.25(25%)~約0.4(40%)、受皿164の総奥行DPanの約0.25(25%)~約0.3(30%)等、例えば、受皿164の総奥行DPanの約0.3(30%)~約0.5(50%)、受皿164の総奥行DPanの約0.4(40%)~約0.5(50%)等である。
【0118】
ある実施例では、バッフルプレート170の高さH
Baffleおよび位置付けは、これが、ガスおよび液体の流動のために、受皿164の上部において空間(
図13のH
Top)および/またはその底部において空間(
図13のH
Bot)を残すようなものである。マニホールド168およびバッフルプレート170が両方とも受皿アセンブリ160内に存在する、いくつかの実施例では、マニホールド168の奥行および受皿164の奥行D
Panに対するバッフルプレート170の設置場所に応じて、バッフルプレート170は、(例えば、マニホールド168と電極176との間の)マニホールド168の背後で受皿164の上部に向かって延設されてもよい、またはバッフルプレート170は、マニホールド168の下方で終端してもよい。いずれの場合でも、バッフルプレート170と受皿164の上部および/または底部との間には、ガスおよび液体の流動のための空間が、存在することができる。
【0119】
ある実施例では、バッフルプレート170の底部縁と受皿164の底部壁との間の空間HBotは、約6mm~約75mm、例えば、約6mm~約65mm、約6mm~約50mm等、例えば、約6mm~約40mm、約6mm~約30mm等、例えば、約6mm~約20mm、約6mm~約10mm等、例えば、約10mm~約75mm、約10mm~約65mm等、例えば、約10mm~約50mm、約10mm~約40mm等、例えば、約10mm~約30mm、約10mm~約20mm等、例えば、約10mm~約15mm、約20mm~約75mm等、例えば、約20mm~約65mm、約20mm~約50mm等、例えば、約20mm~約40mm、約20mm~約30mm等、例えば、約30mm~約75mm、約30mm~約65mm等、例えば、約30mm~約50mm、約30mm~約40mm等、例えば、約40mm~約75mm、約40mm~約65mm等、例えば、約50mm~約75mm、約50mm~約65mm等、例えば、約60mm~約75mmである。
【0120】
いくつかの実施形態では、バッフルプレート170の上部縁と受皿164の上部壁またはマニホールド168の底部との間の空間HTopは、約6mm~約150mm、例えば、約6mm~約140mm、約6mm~約130mm等、例えば、約6mm~約120mm、約6mm~約110mm等、例えば、約6mm~約100mm、約6mm~約80mm等、例えば、約6mm~約70mm、約6mm~約50mm等、例えば、約6mm~約25mm、約10mm~約150mm等、例えば、約10mm~約140mm、約10mm~約130mm等、例えば、約10mm~約120mm、約10mm~約110mm等、例えば、約10mm~約100mm、約10mm~約80mm等、例えば、約10mm~約70mm、約10mm~約50mm等、例えば、約10mm~約25mm、約25mm~約150mm等、例えば、約25mm~約140mm、約25mm~約130mm等、例えば、約25mm~約120mm、約25mm~約110mm等、例えば、約25mm~約100mm、約25mm~約80mm等、例えば、約25mm~約70mm、約25mm~約50mm等、例えば、約50mm~約150mm、約50mm~約140mm等、例えば、約50mm~約130mm、約50mm~約120mm等、例えば、約50mm~約110mm、約50mm~約100mm等、例えば、約50mm~約80mm、約50mm~約70mm等、例えば、約100mm~約150mm、約100mm~約140mm等、例えば、約100mm~約130mm、約100mm~約120mm等、例えば、約125mm~約150mm、約125mm~約140mm等、例えば、約130mm~約150mm、約75mm~約120mm等である。バッフルプレートとアノードおよび/またはカソード受皿の底部との間の空間のための前述の寸法およびバッフルプレートとアノードおよび/またはカソード受皿の上部またはマニホールドの底部との間の空間のための寸法のうちのいずれも、電解質の最適な循環パターンを達成するために組み合わせられ得ることを理解されたい。
【0121】
いくつかの実施形態では、前述のマニホールドおよび出口管および/またはバッフルアセンブリを伴う、本明細書に提供される、アノードおよび/またはカソード受皿アセンブリは、限定ではないが、アノード液またはカソード液の前述の高流量に適合する、および/またはスラグまたはプラグ流の発生を低減または最小限化すること、大きい空間的および/または時間的温度増減を低減または最小限化すること、セル内の多相流動に起因する圧力増減を、例えば、0.5psi未満まで低減または最小限化すること、および/または膜の浸食および/または疲労を低減または最小限化すること等のいくつかの利点を提供する。
【0122】
上記に記載されるように、高電流密度における電解槽セルの動作は、限定ではないが、セル内で発生される大量の熱等の重大な難題をもたらし得る。高電流密度において大量のガスを生産する電解槽セルでは、ガス/電解質混合物は、電解質単独よりも低い比熱、低い密度、および/または低い熱伝導率を有することができる。したがって、電解質の熱除去効率が、ガス停留が増加するにつれて、低減され得る。ガスポケットが電極の領域をマスクする場合、局所的温度が、急速に上昇し得る。電極の有意な領域が、マスクされる場合、マスクされていない領域は、より多く稼働する必要があり、局所的ジュール加熱を増加させるであろう。そのように展開された局所的高温スポットは、膜を損傷させ得る。電流密度が、セル内で増加されるにつれて、電力消散もまた、劇的に上昇し得る。大きい空間的および/または時間的温度増減も、膜を損傷させ得る。
【0123】
図16-19および20A-20Cは、
図1に示される電解槽セル100内でアノード半セル111のためのアノード受皿アセンブリとして、またはカソード半セル121のためのカソード受皿アセンブリとして、または両方として使用され得る、受皿アセンブリ190の例証的実施例を示す。受皿アセンブリ190は、規定される幾何学形状および/または間隔を伴う、および/または受皿アセンブリ190の電極198を肋材194に結合する、1つまたはそれを上回る溶接部196の使用を介する、複数の肋材194を含み、溶接部196は、セルの動作の間の温度分布を改良するために、電力消散を低減または最小限化するための規定される溶接密度と、断面構成とを有する。受皿アセンブリ190はまた、
図3-8に関して上記に説明される、受皿アセンブリ140の特徴(例えば、受皿アセンブリ140に関して上記に説明される、マニホールド144および出口管146に類似する、またはそれと同じであり得る、それを通して電解質および生産されたガスが受皿アセンブリ190から退出する前に流動し得る、マニホールドおよび出口管)、および/または
図9-15に関して上記に説明される、受皿アセンブリ160の特徴(例えば、受皿アセンブリ160に関して上記に説明されるバッフルアセンブリ162に類似する、またはそれと同じであり得る、バッフルアセンブリ)を含むことができる。言い換えると、アノードアセンブリまたはカソードアセンブリのいずれか、または両方を形成する、受皿アセンブリは、下記に説明される、受皿アセンブリ190の特徴に加えて、
図3-8に関して上記に説明される、受皿アセンブリ140および/または
図9-15に関して上記に説明される、受皿アセンブリ160の特徴を含むことができる。
【0124】
受皿アセンブリ190内の肋材幾何学形状、肋材間隔、および/または溶接密度および断面構成は、限定ではないが、受皿アセンブリ190を横断して電流をより効果的に分配し、高温スポット形成の余地を低減させること、受皿アセンブリ190の高さに沿った、電解質の大きい空間的および/または時間的温度増減を低減または回避すること、および/または高温スポットに起因する膜損傷を低減または最小限化すること等によって、これらの難題のうちの1つまたはそれを上回るものの影響を低減または最小限化することができる。
【0125】
下記に説明されるように、1つまたはそれを上回る肋材194と、溶接部196とを備える、受皿アセンブリ190の設計は、高電流密度において動作するとき、セルの有効面積を横断した効率的な電流分配を提供することができる。肋材194および溶接部196の断面積はまた、セルが、動作および経済的目的のためにより効果的であることを可能にすることができる。
【0126】
図3-15に関して上記に説明される、受皿アセンブリ140および160と同様に、受皿アセンブリ190は、
図1の電解槽セル100内のアノード半セル111およびカソード半セル121のうちの一方または両方のための構造として使用されることができ、すなわち、受皿アセンブリ190は、受皿アセンブリ190がアノード受皿アセンブリであるようにアノード半セル111を形成することができる、および/または受皿アセンブリ190は、受皿アセンブリ190がカソード受皿アセンブリであるようにカソード半セル121を形成することができる。受皿192は、電解質(すなわち、受皿アセンブリ190がアノード受皿アセンブリである場合はアノード液、受皿アセンブリ190がカソード受皿アセンブリである場合はカソード液)と、電極198(すなわち、アノード受皿アセンブリ190内のアノード112またはカソード受皿アセンブリ190内のカソード122)とを受容するための内部を含むことができる。アノード受皿アセンブリおよびカソード受皿アセンブリは、例えば、隔膜、膜電極アセンブリ(MEA)、またはイオン交換膜(IEM)のうちの1つまたはそれを上回るものであり得る、分離器(すなわち、膜131)によって分離されることができる。受皿アセンブリ190はさらに、受皿アセンブリ190から外への流出のための、ガスおよび電解質を収集する、収集システム(例えば、上記に説明されるマニホールド144または168等のマニホールド)等の構成要素を備えることができる。種々の付加的分離器構成要素が、例えば、アノードから1つまたはそれを上回る膜を分離する、カソードから1つまたはそれを上回る膜を分離する、別の膜から1つの膜を分離する(例えば、カチオン交換膜(CEM)からアニオン交換膜(AEM)を分離する)、および/または機械的完全性を1つまたはそれを上回る膜に提供するために提供されることができる。これらの構成要素に加えて、個々のガスケットまたはガスケットテープが、構成要素の間に、およびその外周に沿って提供され、流体漏出からコンパートメントをシールしてもよい。
【0127】
ある実施例では、受皿アセンブリ190は、受皿192と、受皿192の内側に垂直に位置付けられる、1つまたはそれを上回る肋材194と、1つまたはそれを上回る肋材194に結合される、電極198と、電極198を1つまたはそれを上回る肋材194に溶接する、1つまたはそれを上回る溶接部196とを含む。
図16は、受皿アセンブリ190の例証的実施例の正面図であり、
図17は、受皿アセンブリ190の側面断面図であり、
図18は、
図17の線18に沿って得られる断面の拡大図である。図は、1つまたはそれを上回る肋材194を形成し得る、1つまたはそれを上回る構造を示す。特に、
図18の図内に見られ得るように、ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194は、受皿192の主寸法に対して直角または略直角であることができる。例えば、1つまたはそれを上回る肋材194はそれぞれ、電極198または背面受皿壁200等の受皿192の1つまたはそれを上回る主面に対して直角または略直角であることができる。
【0128】
受皿192の上および1つまたはそれを上回る肋材194の上に、電極198が、設置されることができる。見られ得るように、ある実施例では、電極198は、1つまたはそれを上回る溶接部196を用いて1つまたはそれを上回る肋材194に溶接されることができる。ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194はそれぞれ、1つまたはそれを上回るタブ溶接部204を用いて背面壁200に結合される、1つまたはそれを上回るタブ202によって、受皿192の背面壁200に結合される。
【0129】
ある実施例では、電極198は、1つまたはそれを上回る溶接部196を介して供給される電流に電気的に結合されることができる。カソード半セルを形成するために受皿アセンブリ190を使用する、セルの動作の間に、電流は、カソード受皿アセンブリ190の溶接部196を通してカソード(例えば、カソード受皿アセンブリ190の電極198)の中に流入する。次いで、電流は、カソード198からカソード受皿アセンブリ190の1つまたはそれを上回る肋材194に流動する。電流は、次いで、カソード受皿アセンブリ190の1つまたはそれを上回る肋材194を通して、タブ202を通して、最後に、カソード受皿アセンブリ190の受皿192に接触する導体の中に(例えば、隣接するセルのアノード半セルに、または接触プレートに)流動する。アノード半セルを形成するために受皿アセンブリ190を使用する、セルの動作の間に、電流は、アノード受皿アセンブリ190の受皿192に接触する導体から(例えば、隣接するセルのカソード半セルから、または接触プレートから)タブ202を通してアノード受皿アセンブリ190の肋材194に、次いで、アノード(例えば、アノード受皿アセンブリ190の電極198)に、次いで、アノード受皿アセンブリ190の溶接部196のうちの1つまたはそれを上回るものに電気的に接続される、導体の中に流入する。上記に記載されるように、1つまたはそれを上回る肋材194は、タブ202およびタブ溶接部204を介して、受皿192の背面壁200に溶接されることができる。ある実施例では、タブ202は、肋材194の底部と受皿192の背面壁200との間にタブ溶接部204の間隔を設定する。電流は、肋材194を通して受皿192の背面壁200と電極198との間で流動するため、タブ202は、肋材194と受皿192との間に適正な溶接断面を提供することができる。タブ202は、有効面積を横断した、より良好な電流分配を促進し、肋材194と受皿192との間の電気接触を提供することができる。しかしながら、他の実施例では、肋材194は、受皿192の背面壁200に直接溶接されることができ、タブを通して接続されなくてもよい。
【0130】
1つまたはそれを上回る肋材194の幾何学形状および間隔は、受皿アセンブリ190を通した電流流動を決定付けることができる。肋材194の幾何学形状は、限定ではないが、(
図19に示されるように)肋材194の数、肋材194の高さH
Rib、肋材194の物理的設計、隣接する肋材194間のピッチP
Ribs、および/または肋材194の厚さT
Ribを含むことができる。電流が溶接部196を通して流入するにつれて、溶接部196の幾何学形状、間隔または密度、および/または断面積もまた、受皿アセンブリ190を通した電流流動に影響を及ぼすことができる。ますます高くなる電流がセルを通して流動するにつれて、溶接部196の密度および断面積は、局所的ジュール加熱に有意に影響を与え、局所的高温スポットからの膜損傷を回避することができる。本明細書に提供されるものは、高電流密度において、受皿アセンブリ190のうちの1つまたは2つから構成される、電気化学セルの効率的な動作を促進し得る、肋材194および溶接部196の固有の幾何学形状、間隔、および断面積である。
【0131】
1つまたはそれを上回る肋材194の物理的構成、すなわち、全体的形状は、1つまたはそれを上回る目的のために選択されることができる。例えば、肋材194のうちの1つまたはそれを上回るものは、
図20Aに示される例示的肋材194A等、伝導性金属の中実プレート等の中実プレートであることができる。別の実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194は、
図20Bに示されるような孔206を有する1つまたはそれを上回る肋材194B等、電解質が受皿192内で側方に移動することを可能にする、1つまたはそれを上回る孔または開口部を含むことができる。ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194は、(下記により詳細に説明される)バッフルプレート210の一部を受容するための1つまたはそれを上回る切り欠き208を含む、
図20Cに示される肋材194C等の1つまたはそれを上回る他の構造を受容するための1つまたはそれを上回る切り欠きを含む。ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194は、
図20Cに示される肋材194Cと同様に、孔206と、切り欠き208との両方を含むことができる、または孔206のみまたは切り欠き208のみを含むことができる。
【0132】
受皿192の内側における肋材194の数は、受皿アセンブリ190内での電流分配および電力消散に影響を与えることができる。ある実施例では、受皿192の内側における肋材194の数は、1~75個の肋材194、1~60個等の肋材194、例えば、1~50個の肋材194、1~40個等の肋材194、例えば、1~30個の肋材194、1~20個等の肋材194、1~10個等の肋材194、例えば、1~5個の肋材194、5~75個等の肋材194、例えば、5~60個の肋材194、5~50個等の肋材194、例えば、5~40個の肋材194、5~30個等の肋材194、例えば、5~20個の肋材194、5~10個等の肋材194、例えば、10~75個の肋材194、10~60個等の肋材194、例えば、10~50個の肋材194、10~40個等の肋材194、例えば、10~30個の肋材194、10~20個等の肋材194、例えば、20~75個の肋材194、20~60個等の肋材194、例えば、20~50個の肋材194、20~40個等の肋材194、例えば、20~30個の肋材194、30~75個等の肋材194、例えば、30~60個の肋材194、30~50個等の肋材194、例えば、30~40個の肋材194、40~75個等の肋材194、例えば、40~60個の肋材194、40~50個等の肋材194、例えば、50~75個の肋材194、50~60個等の肋材194、例えば、60~75個の肋材194である。例えば、
図16-19および20A-20Cに示される受皿アセンブリ190は、5個(5)の肋材194を含有する、受皿192を示す。
【0133】
例示的受皿アセンブリ190の断面斜視図が、
図19に示される。電極198および溶接部196は、
図19に示されない。上記に説明されるように、受皿アセンブリ190は、受皿192内に垂直に位置付けられる、1つまたはそれを上回る肋材194を含み、例えば、肋材194は、タブ202等を用いて受皿192の背面壁200に結合され、肋材194は、背面壁200から電極に向かって延在する。
図19では、2つの隣接する肋材194間のピッチ、すなわち、距離は、P
Ribとして標識され、1つまたはそれを上回る肋材194の高さは、H
Ribとして標識され、1つまたはそれを上回る肋材194の厚さは、T
Ribとして標識される。肋材194は、
図19では、電解質の移動のための孔206および切り欠き208を備えるものとして示される。切り欠き208は、バッフルプレート210を1つまたはそれを上回る肋材194に固着させるために、切り欠き208によって形成される空間の中へのバッフルプレート210の規定される区分のフィッティングを促進する。バッフルプレート210は、
図9-15の受皿アセンブリ160に関して上記に説明される、バッフルプレート170に類似する、またはそれと同じであることができる。ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194は、限定ではないが、ニッケル、ステンレス鋼等の伝導性金属から作製される。
【0134】
孔206および切り欠き208が、存在しない場合があること、例えば、肋材194が、それぞれ、
図20Aの肋材194A等の中実プレートから形成され得ること、または肋材194が、切り欠き208を有するが、孔206を有していない場合があること、または肋材194が、孔206を有するが、切り欠き208を有していない場合があることを理解されたい。孔206は、存在する場合、いかなる特定の形状またはサイズである必要もない。例えば、孔206は、円形開口部、スリット、穿孔、またはメッシュであることができる。
【0135】
ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194の長さL
Rib(
図16)は、約0.25メートル(m)~約1.5m、例えば、約0.25m~約1.2m、約0.25m~約1m等、例えば、約0.25m~約0.8m、約0.25m~約0.6m等、例えば、約0.25m~約0.5m、約0.25m~約0.4m等、例えば、約0.25m~約0.3m、約0.5m~約1.5m等、例えば、約0.5m~約1.2m、約0.5m~約1m等、例えば、約0.5m~約0.8m、約0.5m~約0.6m等、例えば、約0.6m~約1.5m、約0.6m~約1.2m等、例えば、約0.6m~約1m、約0.6m~約0.8m等、例えば、約0.7m~約1.5m、約0.7m~約1.2m等、例えば、約0.7m~約1m、約0.7m~約0.8m等、例えば、約0.8m~約1.5m、約0.8m~約1.2m等、例えば、約0.8m~約1mである。
【0136】
ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194のそれぞれの中の切り欠き208の長さは、約5ミリメートル(mm)~約100mm、例えば、約5mm~約80mm、約5mm~約60mm等、例えば、約5mm~約50mm、約5mm~約40mm等、例えば、約5mm~約30mm、約5mm~約20mm等、例えば、約5mm~約10mm、約10mm~約100mm等、例えば、約10mm~約50mm、約10mm~約40mm等、例えば、約10mm~約30mm、約10mm~約20mm等、例えば、約20mm~約100mm、約20mm~約50mm等、例えば、約20mm~約40mm、約20mm~約30mm等、例えば、約30mm~約100mm、約30mm~約50mm等、例えば、約30mm~約40mm、約40mm~約100mm等、例えば、約40mm~約50mm、約50mm~約100mm等、例えば、約75mm~約100mmである。
【0137】
ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194の厚さTRibは、約1mm~約3mm、例えば、約1mm~約2.5mm、約1mm~約2mm等、例えば、約1mm~約1.5mm、約2mm~約3mm等、例えば、約2mm~約2.5mm、約2.5mm~約3mm等である。
【0138】
ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194の高さHRibは、約10mm~約110mm、例えば、約10mm~約100mm、約10mm~約75mm等、例えば、約10mm~約70mm、約10mm~約60mm等、例えば、約10mm~約50mm、約10mm~約40mm等、例えば、約10mm~約30mm、約20mm~約110mm等、例えば、約20mm~約75mm、約20mm~約70mm等、例えば、約20mm~約60mm、約20mm~約50mm等、例えば、約20mm~約40mm、約20mm~約30mm等、例えば、約30mm~約110mm、約30mm~約75mm等、例えば、約30mm~約70mm、約30mm~約60mm等、例えば、約30mm~約50mm、約30mm~約40mm等、例えば、約40mm~約110mm、約40mm~約75mm等、例えば、約40mm~約70mm、約40mm~約60mm等、例えば、約40mm~約50mm、約50mm~約110mm等、例えば、約50mm~約75mm、約50mm~約70mm等、例えば、約50mm~約60mm、約60mm~約110mm等、例えば、約60mm~約75mm、約70mm~約110mm等、例えば、約70mm~約80mmである。
【0139】
ある実施例では、2つの隣接する肋材194間のピッチPRibは、約40mm~約200mm、例えば、約40mm~約150mm、約40mm~約140mm等、例えば、約40mm~約130mm、約40mm~約120mm等、例えば、約40mm~約110mm、約40mm~約100mm等、例えば、約40mm~約80mm、約40mm~約70mm等、例えば、約60mm~約200mm、約60mm~約150mm等、例えば、約60mm~約140mm、約60mm~約130mm等、例えば、約60mm~約120mm、約60mm~約110mm等、例えば、約60mm~約100mm、約60mm~約80mm等、例えば、約80mm~約200mm、約80mm~約150mm等、例えば、約80mm~約100mm、約100mm~約200mm等、例えば、約100mm~約150mm、約100mm~約140mm等、例えば、約100mm~約130mm、約100mm~約120mm等、例えば、約125mm~約200mm、約125mm~約150mm等、例えば、約125mm~約140mm、約130mm~約150mm等、例えば、約75mm~約120mmである。
【0140】
図18および20A-20Cに示されるように、電極198は、複数の溶接部196を用いて1つまたはそれを上回る肋材194の上部に溶接されることができる。ある実施例では、電極198は、平面状電極または拡張金属またはメッシュである。電極198が拡張金属またはメッシュである実施例では、メッシュを形成する各ストランドの厚さは、約0.5mm~約3mm、例えば、約0.5mm~約2.5mm、約0.5mm~約2mm等、例えば、約0.5mm~約1.5mm、約0.5mm~約1mm等、例えば、約1mm~約3mm、約1mm~約2.5mm等、例えば、約1mm~約2mm、約1mm~約1.5mm等、例えば、約1.5mm~約3mm、約1.5mm~約2.5mm等、例えば、約1.5mm~約2mm、約2mm~約3mm等、例えば、約2.5mm~約3mmであることができる。
【0141】
溶接部196の幾何学形状、間隔、密度、および/または断面積は、受皿アセンブリ190を通した電流流動に影響を及ぼすことができる。動作電流密度が増加し、より多くの電流がセルを通して流動するにつれて、溶接部196の密度(例えば、溶接部196の断面積および溶接部196間の間隔)は、局所的ジュール加熱に影響を与えることができる。溶接部196の密度は、局所的高温スポットの形成に起因する膜損傷の余地を低減または最小限化するように選択されることができる。
図20A-20Cの例示的溶接部196は、スポットとして図示される。しかしながら、溶接部196は、線、スポット、パターン、または任意の他の形状、またはそれらの組み合わせの形態にあることができる。例えば、スポット溶接機は、溶接部196をスポットとして形成することができる一方、レーザ溶接機は、溶接部196を線および/またはスポットおよび/またはパターンとして生産することができる。そのように溶接部196が形成され得るパターンは、限定ではないが、ドットの組み合わせ、ドットのアレイ、破線、スポット、線、および線区画を含み、これは、略長方形幾何学形状、略円形幾何学形状、または略六角形幾何学形状等の任意の幾何学的に規則的な形状のパターンにおいて配列されることができる、または不規則的な形状において配列されることができる。
【0142】
溶接部196を形成するために使用され得る、溶接技法の実施例は、限定ではないが、レーザ溶接、TiG溶接、およびスポット溶接、例えば、抵抗スポット溶接を含む。レーザ溶接は、肋材194を電極198に溶接するために、肋材194の全長L
Ribまでの(その値を含む)肋材194のうちの1つの長さL
Ribの実質的部分に沿った単一の線形溶接部196を可能にし得る。例えば、1つまたはそれを上回る肋材194が、中実プレート(例えば、
図20Aの肋材194A)または切り欠き208を含まない、孔を伴うプレート(例えば、
図20Bの肋材194B)であるとき、肋材194を電極198に継合するための、肋材194の全長L
Ribに沿った単一の線形溶接部196が、存在してもよい。レーザ溶接またはTiG溶接もまた、線区画の形態にある溶接部196を生成するために使用され得る。例えば、肋材194のうちの1つまたはそれを上回るものが、切り欠き208(例えば、
図20Cの肋材194C)を含むとき、電極198と接触するが、切り欠き208にわたらない、肋材194の一部にわたる、溶接線の区分が、存在してもよい。レーザ溶接はまた、ドット、ドットのアレイ、破線、スポット、線区画、長い線、および楕円形幾何学形状、長方形幾何学形状、円形幾何学形状、六角形幾何学形状、またはそれらの組み合わせ等の任意の規定される幾何学形状を備える、溶接パターンを生産することができる。溶接幾何学形状は、溶接部が抵抗溶接を用いて生成されるとき等に、溶接先端およびアンビルの形状によって決定付けられてもよい。TiG溶接は、手動で生成されてもよく、恣意的形状にあることができる。
【0143】
ある実施例では、溶接部196の幾何学形状は、受皿192内の溶接部の数を含む。電極198を肋材194に結合する溶接部196の数は、受皿アセンブリ190内での電流分配および電力消散に影響を及ぼすことができる。ある実施例では、スポットの形態にある、肋材194あたりの溶接部196(
図18および20A-20Cに示される例示的スポット溶接部196等)の数は、肋材194あたり10~50個の溶接部196、例えば、肋材194あたり10~40個の溶接部196、肋材194あたり10~30個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり10~20個の溶接部196、肋材194あたり20~50個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり20~40個の溶接部196、肋材194あたり20~30個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり30~40個の溶接部196、肋材194あたり35~40個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり40~50個の溶接部196である。
【0144】
ある実施例では、スポット溶接部の形態にあるときの溶接部196間の距離は、X方向およびY方向において独立して、約25mm~約200mm、例えば、約25mm~約150mm、約25mm~約100mm等、例えば、約25mm~約75mm、約25mm~約50mm等、例えば、約50mm~約200mm、約50mm~約150mm等、例えば、約50mm~約100mm、約50mm~約75mm等、例えば、約75mm~約200mm、約75mm~約150mm等、例えば、約75mm~約100mm、約100mm~約200mm等、例えば、約100mm~約150mmである。
【0145】
ある実施例では、線溶接部または線区画溶接部の形態にある、肋材194あたりの溶接部196の数は、肋材194あたり1~75個の溶接部196、例えば、肋材194あたり1~70個の溶接部196、肋材194あたり1~60個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり1~50個の溶接部196、肋材194あたり1~40個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり1~30個の溶接部196、肋材194あたり1~20個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり1~10個の溶接部196、肋材194あたり2~75個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり2~70個の溶接部196、肋材194あたり2~60個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり2~50個の溶接部196、肋材194あたり2~40個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり2~30個の溶接部196、肋材194あたり2~20個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり2~10個の溶接部196、肋材194あたり10~75個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり10~70個の溶接部196、肋材194あたり10~60個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり10~50個の溶接部196、肋材194あたり10~40個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり10~30個の溶接部196、肋材194あたり10~20個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり25~75個の溶接部196、肋材194あたり25~50個等の溶接部196、例えば、肋材194あたり50~75個の溶接部196、肋材194あたり60~75個等の溶接部196である。
【0146】
ある実施例では、線溶接部または線区画溶接部の形態にあるときの溶接部196間の距離は、X方向およびY方向において独立して、約40mm~約200mm、例えば、約40mm~約150mm、約40mm~約100mm等、例えば、約40mm~約75mm、約75mm~約200mm等、例えば、約75mm~約150mm、約75mm~約100mm等、例えば、約100mm~約200mm、約100mm~約150mm等、例えば、約150mm~約200mmである。
【0147】
ある実施例では、1つまたはそれを上回る肋材194が、1つまたはそれを上回る切り欠き208を備え、溶接部196が、切り欠き208間に形成される肋材194の隆起部に電極198を溶接する、1つまたはそれを上回る線区画を備えるとき、特定の溶接部196の線区画は、切り欠き208間の隆起部の全長に沿って、または切り欠き208間の隆起部の部分長のみに沿って延設されることができる。ある実施例では、線区画溶接部196の長さは、切り欠き208間の隆起部の長さである、または線区画溶接部196の長さは、約0.25m~約1m、例えば、約0.25m~約0.8m、約0.25m~約0.6m等、例えば、約0.25m~約0.5m、約0.25m~約0.4m等、例えば、約0.25m~約0.3m、約0.5m~約1m等、例えば、約0.5m~約0.8m、約0.5m~約0.6m等、例えば、約0.6m~約1m、約0.6m~約0.8m等、例えば、約0.7m~約1m、約0.7m~約0.8m等、例えば、約0.8m~約1mである。
【0148】
ある実施例では、2つの隣接する線区画溶接部196間の距離は、約5mm~約100mm、例えば、約5mm~約80mm、約5mm~約60mm等、例えば、約5mm~約50mm、約5mm~約40mm等、例えば、約5mm~約30mm、約5mm~約20mm等、例えば、約5mm~約10mm、約10mm~約100mm等、例えば、約10mm~約50mm、約10mm~約40mm等、例えば、約10mm~約30mm、約10mm~約20mm等、例えば、約20mm~約100mm、約20mm~約50mm等、例えば、約20mm~約40mm、約20mm~約30mm等、例えば、約30mm~約100mm、約30mm~約50mm等、例えば、約30mm~約40mm、約40mm~約100mm等、例えば、約40mm~約50mm、約50mm~約100mm等、例えば、約75mm~約100mmである。
【0149】
実施例では、各溶接部196の断面積は、約6平方ミリメートル(mm2)~約3,300mm2、例えば、約6mm2~約3,000mm2、約6mm2~約2,000mm2等、例えば、約6mm2~約1,000mm2、約6mm2~約500mm2等、例えば、約6mm2~約300mm2、約6mm2~約100mm2等、例えば、約50mm2~約3,300mm2、約50mm2~約3,000mm2等、例えば、約50mm2~約2,000mm2、約50mm2~約1,000mm2等、例えば、約50mm2~約500mm2、約50mm2~約300mm2等、例えば、約50mm2~約100mm2、約100mm2~約3,300mm2等、例えば、約100mm2~約3,000mm2、約100mm2~約2,000mm2等、例えば、約100mm2~約1,000mm2、約100mm2~約500mm2等、例えば、約100mm2~約300mm2、約500mm2~約3,300mm2等、例えば、約500mm2~約3,000mm2、約500mm2~約2,000mm2等、例えば、約500mm2~約1,000mm2、約1,000mm2~約3,300mm2等、例えば、約1,000mm2~約3,000mm2、約1,000mm2~約2,000mm2等、例えば、約2,000mm2~約3,000mm2、約2,500mm2~約3,000mm2等である。
【0150】
ある実施例では、溶接部196の幾何学形状、間隔または密度、および/または断面積は、溶接部196の総断面積に対する電極198の断面積の比が、約15:1~約2,000:1、例えば、約15:1~約1,000:1、約15:1~約500:1等であるようなものである。
【0151】
ある実施例では、溶接部196の幾何学形状、間隔または密度、および/または断面積は、セル190がその最大電流密度において動作しているときの各溶接部196を通した電流密度が、1平方ミリメートルあたり約20アンペア(A/mm2)またはそれを下回る、例えば、約19A/mm2またはそれを下回る、18A/mm2またはそれを下回る値等である、例えば、約17A/mm2またはそれを下回る、約16A/mm2またはそれを下回る値等である、例えば、約15A/mm2またはそれを下回る、約14A/mm2またはそれを下回る値等である、例えば、約13A/mm2またはそれを下回る、約12.5A/mm2またはそれを下回る値等である、例えば、約12A/mm2またはそれを下回る、約11A/mm2またはそれを下回る値等である、例えば、約10A/mm2またはそれを下回る、約9A/mm2またはそれを下回る値等である、例えば、約8A/mm2またはそれを下回る、または約5A/mm2~約20A/mm2、約7.5A/mm2~約15A/mm2等、例えば、約7.5A/mm2~約10A/mm2であるようなものである。
【0152】
1つの特定のかつ非限定的実施例では、溶接部196は、スポット溶接部の形態にあり、肋材194あたり10~50個の溶接部196が、存在し、隣接するスポット溶接部196間の距離は、(X方向およびY方向において独立して)約25mm~約200mmであり、各スポット溶接部196の断面積は、約6mm2~約3,300mm2であり、各スポット溶接部196を通した電流密度は、6A/mm2またはそれを下回る、例えば、4A/mm2またはそれを下回る。別の特定のかつ非限定的実施例では、溶接部196は、線溶接部の形態にあり、肋材194あたり1~75個の溶接部196が、存在し、隣接する線溶接部196間の距離は、(X方向およびY方向において独立して)約40mm~約200mmであり、各線溶接部196の断面積は、約6mm2~約3,300mm2であり、各線溶接部196を通した電流密度は、6A/mm2またはそれを下回る、例えば、4A/mm2またはそれを下回る。
【0153】
ある実施例では、アノード半セル111およびカソード半セル121のうちの一方または両方のための受皿アセンブリ140、160、190に関して上記に説明される構造のうちの1つまたは任意の組み合わせを伴う受皿アセンブリを備える、電気化学セル100は、約300mA/cm2~約6,000mA/cm2、例えば、約300mA/cm2~約5,000mA/cm2、約300mA/cm2~約4,000mA/cm2等、例えば、約300mA/cm2~約3,000mA/cm2、約300mA/cm2~約2,000mA/cm2等、例えば、約300mA/cm2~約1,000mA/cm2、約300mA/cm2~約800mA/cm2等、例えば、約300mA/cm2~約600mA/cm2、約300mA/cm2~約500mA/cm2等、例えば、約500mA/cm2~約6,000mA/cm2、約500mA/cm2~約5,000mA/cm2等、例えば、約500mA/cm2~約4,000mA/cm2、約500mA/cm2~約3,000mA/cm2等、例えば、約500mA/cm2~約2,000mA/cm2、約500mA/cm2~約1,000mA/cm2等、例えば、約500mA/cm2~約800mA/cm2、約500mA/cm2~約600mA/cm2等、例えば、約600mA/cm2~約6,000mA/cm2、約600mA/cm2~約5,000mA/cm2等、例えば、約600mA/cm2~約4,000mA/cm2、約600mA/cm2~約3,000mA/cm2等、例えば、約600mA/cm2~約2,000mA/cm2、約600mA/cm2~約1,000mA/cm2等、例えば、約600mA/cm2~約800mA/cm2、約800mA/cm2~約6,000mA/cm2等、例えば、約800mA/cm2~約5,000mA/cm2、約800mA/cm2~約4,000mA/cm2等、例えば、約800mA/cm2~約3,000mA/cm2、約800mA/cm2~約2,000mA/cm2等、例えば、約800mA/cm2~約1,000mA/cm2、約1,000mA/cm2~約6,000mA/cm2等、例えば、約1,000mA/cm2~約5,000mA/cm2、約1,000mA/cm2~約4,000mA/cm2等、例えば、約1,000mA/cm2~約3,000mA/cm2、約1,000mA/cm2~約2,000mA/cm2等、例えば、約2,000mA/cm2~約6,000mA/cm2、約2,000mA/cm2~約5,000mA/cm2等、例えば、約2,000mA/cm2~約4,000mA/cm2、約2,000mA/cm2~約3,000mA/cm2等、例えば、約3,000mA/cm2~約6,000mA/cm2、約3,000mA/cm2~約5,000mA/cm2等、例えば、約3,000mA/cm2~約4,000mA/cm2、約4,000mA/cm2~約6,000mA/cm2等、例えば、約4,000mA/cm2~約5,000mA/cm2、約5,000mA/cm2~約6,000mA/cm2等の電流密度において動作することができる。いくつかの実施例では、アノード半セル111およびカソード半セル121のうちの一方または両方のための受皿アセンブリ140、160、190のうちのいずれか1つを備える、電気化学セル100は、約300mA/cm2~約3,000mA/cm2、約300mA/cm2~約2,000mA/cm2等、例えば、約300mA/cm2~約1,000mA/cm2、約300mA/cm2~約800mA/cm2等、例えば、約300mA/cm2~約600mA/cm2、約300mA/cm2~約500mA/cm2等、例えば、約300mA/cm2~約400mA/cm2の高電流密度において動作する。
【0154】
ある実施例では、受皿アセンブリ140、160、190に関して上記に説明される構造のうちの1つまたは任意の組み合わせを備える、受皿アセンブリは、電解質(アノード受皿アセンブリを通したアノード液またはカソード受皿アセンブリを通したカソード液のいずれか)の高流量、例えば、1時間あたり約200キログラム(kg/時間)~約10,000kg/時間、約200kg/時間~約9,000kg/時間等、例えば、約200kg/時間~約8,000kg/時間、約200kg/時間~約7,000kg/時間等、例えば、約200kg/時間~約6,000kg/時間、約200kg/時間~約5,000kg/時間等、例えば、約200kg/時間~約4,000kg/時間、約200kg/時間~約3,000kg/時間等、例えば、約200kg/時間~約2,000kg/時間、約200kg/時間~約1,000kg/時間等、例えば、約500kg/時間~約10,000kg/時間、約500kg/時間~約9,000kg/時間等、例えば、約500kg/時間~約8,000kg/時間、約500kg/時間~約7,000kg/時間等、例えば、約500kg/時間~約6,000kg/時間、約500kg/時間~約5,000kg/時間等、例えば、約500kg/時間~約4,000kg/時間、約500kg/時間~約3,000kg/時間等、例えば、約500kg/時間~約2,000kg/時間、約500kg/時間~約1,000kg/時間等、例えば、約800kg/時間~約10,000kg/時間、約800kg/時間~約9,000kg/時間等、例えば、約800kg/時間~約8,000kg/時間、約800kg/時間~約7,000kg/時間等、例えば、約800kg/時間~約6,000kg/時間、約800kg/時間~約5,000kg/時間等、例えば、約800kg/時間~約4,000kg/時間、約800kg/時間~約3,000kg/時間等、例えば、約800kg/時間~約2,000kg/時間、約800kg/時間~約1,000kg/時間等、例えば、約1,000kg/時間~約10,000kg/時間、約1,000kg/時間~約9,000kg/時間等、例えば、約1,000kg/時間~約8,000kg/時間、約1,000kg/時間~約7,000kg/時間等、例えば、約1,000kg/時間~約6,000kg/時間、約1,000kg/時間~約5,000kg/時間等、例えば、約1,000kg/時間~約4,000kg/時間、約1,000kg/時間~約3,000kg/時間等、例えば、約1,000kg/時間~約2,000kg/時間、約3,000kg/時間~約10,000kg/時間等、例えば、約3,000kg/時間~約9,000kg/時間、約3,000kg/時間~約8,000kg/時間等、例えば、約3,000kg/時間~約7,000kg/時間、約3,000kg/時間~約6,000kg/時間等、例えば、約3,000kg/時間~約5,000kg/時間、約5,000kg/時間~約10,000kg/時間等、例えば、約5,000kg/時間~約8,000kg/時間、約5,000kg/時間~約6,000kg/時間等、例えば、約6,000kg/時間~約10,000kg/時間、約6,000kg/時間~約8,000kg/時間等、例えば、約8,000kg/時間~約10,000kg/時間に適応することができる。
【0155】
ある実施例では、受皿アセンブリ140、160、190に関して上記に説明される構造のうちの1つまたは任意の組み合わせを備える、受皿アセンブリは、0.1m/秒またはそれを下回る、例えば、0.08m/秒またはそれを下回る、0.05m/秒またはそれを下回る値等である、例えば、0.01m/秒またはそれを下回る、受皿アセンブリ140、160、190を通した電解質の空塔液体速度を提供することができる。
【0156】
温度制御
電気化学セル内の温度の制御は、セルの動作のために重要であることができる。動作時、セルを通した電流密度は、多くの場合、例えば、(下記に説明されるように)電力価格の増減を利用するように変動されることができる。分離器の性能および寿命を最大限化するために、概して、分離器を温度の小さい範囲内に維持することが、好まれる。電流密度が有意に変化される間に、電気化学セルの中への電解質入口の温度が、一定または実質的に一定に保持される場合、分離器における温度は、有意に変動するであろう。
【0157】
本発明者らは、電気化学セル100のアノード半セルおよびカソード半セルを通した電解質の流量が、電解質出口流の結果として生じる温度が、入口流のために便宜的な温度を使用して、最も高い予期される動作電流密度における、規定された範囲内に維持され得るように設定され得ることを発見している。
図21は、セル300内の分離器331の温度を維持するための温度制御のために構成される、例示的電気化学セル300を示す。セル300は、
図1に関して上記に説明される、例示的セル100に類似する。例えば、セル100のように、電気化学セル300は、2つの半セル、すなわち、第1の半セル311と、第2の半セル321とを備える。ある実施例では、第1および第2の半セル311、321は、膜331等の分離器331によって分離される。
【0158】
第1の半セル311は、分離器331に近接して設置され得る、第1の電極312を備えることができ、第2の半セル321は、例えば、第1の電極312から分離器331の反対側における、分離器331に近接して設置され得る、第2の電極322を備えることができる。ある実施例では、第1の電極312は、セル300のためのアノードであり、第2の電極322は、セル300のためのカソードであり、したがって、第1の半セル311は、アノード半セル311とも称され得、第1の電極312は、アノード312とも称され得、第2の半セル321は、カソード半セル321とも称され得、第2の電極322は、カソード322とも称され得る。電極312、322はそれぞれ、限定ではないが、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム等の白金族金属の高分散金属または合金、または白金-ロジウム、白金-ルテニウム、または酸化ルテニウム(RuO2)でコーティングされるニッケルメッシュ等のそれらの組み合わせ等の1つまたはそれを上回る電気触媒でコーティングされ、水素ガス(H2ガス)および/または酸素ガス(O2ガス)に向かう反応を加速させることができる。
【0159】
アノード312は、外部の正導体316に電気的に接続されることができ、カソード322は、外部の負導体326に電気的に接続されることができる。分離器331が、湿潤しており、電極312および322と電解接触しており、適切な電圧が、導体316および326を横断して印加されると、O2ガスが、アノード312において遊離される、またはH2ガスが、カソード322において遊離される、または両方である。ある構成では、電解質、例えば、水中のKOHの溶液から成るものが、半セル311、321の中に給送される。例えば、電解質は、第1の電解質入口314を通してアノード半セル311の中に、および第2の電解質入口324を通してカソード半セル321の中に流入することができる。ある実施例では、アノード半セル311を通した電解質の流動は、生産されたO2ガスを、第1の出口315を通してアノード半セル311から退出する、気泡313として捕捉することができる。同様に、カソード半セル321を通した電解質の流動は、生産されたH2ガスを、第2の出口325を通してカソード半セル321から退出し得る、気泡323として捕捉することができる。
【0160】
ルックアップテーブルを参照することによって、オペレータは、入口流314、324の温度を、出口流315、325の結果として生じる温度が有意に増減しないように、例えば、出口流315、325の温度が標的温度の規定された温度分散内にあるように、セル300が現在起動している電流密度の関数として設定することができる。別の実施例では、入口流314、324の温度は、分離器331の温度を(出口流325、315のうちの一方または両方の温度を測定し、出口流315、325の温度および動作電流密度のうちの1つまたはそれを上回るものに基づいて分離器331の温度を計算することによって決定され得る)一定または実質的に一定の設定点に維持するために、変動されることができる。ある実施例では、入口温度制御は、プログラマブル論理コントローラ(「PLC」)等の1つまたはそれを上回るコントローラ340、342(例えば、第1の入口流314の温度制御のために構成される、第1のコントローラ340および第2の出口流325の温度に基づく第2の出口流324の温度制御のために構成される、第2のコントローラ342)を通して自動化される。温度制御は、電流密度設定(例えば、電極312、322の面積あたりの電解槽セル300を横断した電流)、電解槽セル300を横断した電圧、および対応する出口流315、325の温度のうちの1つまたはそれを上回るものに結び付けられることができる。いくつかの実施例では、温度制御は、比例積分微分(「PID」)コントローラ、またはフィードフォワード制御方式、または両方を使用して自動化されることができる。ある実施例では、入口温度制御は、電流密度設定点および電解槽セル300を横断して観測される電圧に基づく、フィードフォワード制御を介して制御される。別の実施例では、電流密度によるフィードフォワード制御に加えて、対応する電解質出口315、325の温度もまた、緩徐な応答のために調整されたPIDコントローラを介して入口314、324の温度を制御するために使用されることができ、これは、出口315、325の温度が、フィードフォワードコントローラからの高速応答の後に入口314、324の温度を微調整することを可能にすることができる。
【0161】
図21に示されるある実施例では、入口流314、324の温度の制御は、高温の電解質が電解質出口315、325から対応する電解質入口314、315に流動するにつれて、その戻り量の少なくとも一部を冷却し得る、冷却熱交換器344、346を用いた混合方式を使用して効果的に遂行される。
図21の実施例では、第1の冷却熱交換器344は、アノード半セル311から退出する第1の出口流315の電解質を、これが第1の入口流314に再循環される前に冷却するために構成される。類似の第2の冷却熱交換器346は、カソード半セル321から退出する第2の出口流325の電解質を、これが第2の入口流324に再循環される前に冷却するために構成される。ある実施例では、電解質再循環構成は、電解質のバイパス部分が冷却されず、電解質出口315、325において高温またはその近傍に留まるように、再循環電解質の一部または全てが冷却熱交換器344、346をバイパスすることを可能にするように構成される、バイパスライン350、352(例えば、第1の冷却熱交換器344をバイパスするための第1のバイパスライン350および第2の冷却熱交換器346をバイパスするための第2のバイパスライン352)を含むことができる。対応するバイパス制御弁354、356が、冷却熱交換器344、346を通して流動する再循環電解質の比率と、バイパスライン350、352を通して流動するであろう、比率とを変調させるために含まれることができる(例えば、第1の冷却熱交換器344および第1のバイパスライン350を通した流動を変調させるための第1の制御弁354および第2の冷却熱交換器346および第2のバイパスライン352を通した流動を変調させるための第2の制御弁356)。
図21に示される実施例では、バイパス制御弁354、356は、バイパスライン350、352上に据え付けられる。しかしながら、当業者は、制御弁が、冷却熱交換器344、346の中に給送される入口ラインまたは冷却熱交換器344、346から退出する出口ラインに位置付けられ得、これが、依然として、熱交換器344、346およびバイパスライン350、352を通して流動する電解質の比率を変調させる、同一の効果を達成するであろうことを理解するであろう。
【0162】
冷却熱交換器344、346およびバイパスライン350、352を通して流動する流は、次いで、混合され、規定された設定点温度を達成する。例えば、入口314、324を介してセル300に給送される電解質の温度が、その現在の温度より高いことが所望される場合、制御弁354、356は、比較的により少量の電解質が、冷却熱交換器344、346によって冷却され、したがって、2つの流を混合した後の電解質の温度がより高くなるように、バイパスライン350、352を通して流動する電解質の比率に対して、より低い比率の電解質が冷却熱交換器344、346を通して流動するように制御されることができる。同様に、セル300に給送される電解質の温度が、その現在の温度より低いことが所望される場合、制御弁354、356は、比較的より多い量の電解質が、冷却熱交換器344、346によって冷却され、したがって、2つの流を混合した後の電解質の温度がより低くなるように、バイパスライン350、352を通して流動する比率に対して、より高い比率の電解質が、冷却熱交換器344、346を通して流動するように制御されることができる。
【0163】
ある実施例では、混合点の下流に位置する、流量制御弁360、362(例えば、第1の入口314への電解質の流量を制御するための第1の流量制御弁360および第2の入口324への電解質の流量を制御するための第2の流量制御弁362)が、入口314、324への電解質の給送流量が一定または実質的に一定であるままであることを確実にすることができる。別の実施例(図示せず)では、(
図21の制御弁354、356に類似する)温度制御弁は、冷却熱交換器344、346を通した流量を制御することができ、流量制御弁は、熱交換器バイパスライン350、352を通した流量を制御することができる。ある実施例では、冷却熱交換器344、346は、冷却熱交換器344、346およびバイパスライン350、352の組み合わせが適正な温度制御および流量制御を提供し得るように、(熱交換器344、346が適応し得る流量または熱交換器344、346の熱交換容量の観点から)少なくともわずかに増寸される。本発明者らは、電解質入口流314、324のための本タイプの温度制御が、冷却熱交換器344、346に給送されている冷却水の量を変更することによって入口流314、324の温度を制御することと比較して、高速かつ線形または略線形の入口温度制御を提供し得ることを見出している。
【0164】
入口314、324の高速線形温度制御と電流密度またはセル300を横断して観察された電圧または両方に基づいた入口温度設定点を設定する、フィードフォワードコントローラの組み合わせは、電流密度を変更するとき(例えば、下記により詳細に説明されるように、電気価格付けの変化を考慮するためにH2生産率を変更するためにセル300を横断して印加されている電流密度を変更するとき)、出口流315、325のための安定した温度制御を提供することができる。このような迅速な温度管理は、電流密度の急速な変化を補償しながら、セル300の分離器331、電極312、322、および他の構成要素に対する熱衝撃を最小限化することができる。
改良された全体的運営経費のための動的セル動作
【0165】
上記に説明される電解槽セルおよび他の支持装置の種々の構造側面、すなわち、(
図3-8に関して上記に説明されるような)高ガス生産率および高電解質流量に適応するための例示的受皿アセンブリ140のマニホールド144および出口管146構成、(
図9-15に関して上記に説明されるように)高ガス生産率および高電解質流量にさらに適応し、受皿アセンブリを通して流動する電解質内での温度分布を補助するための例示的受皿アセンブリ160のバッフルプレートアセンブリ162、(
図16-19および20A-20Cに関して上記に説明されるような)電力および電流分配および改良された温度分布のために電極198を肋材194に結合するための肋材194および溶接部196、および(
図21に関して上記に説明されるように)電流密度の変化に応答してセルの動作の間に電解質温度を維持するための温度制御サブシステムは、水電解H
2ガス発生システム全体が柔軟であり、広い範囲の動作パラメータに動的に適応することを可能にする。具体的には、本明細書に説明される構造的および体系的側面は、電解槽セルが広い範囲の電流密度にわたって動作しながら、依然として、発熱、温度増減、およびガス生産率の広い不等性に適応することが可能であることを可能にすることができる。例えば、これらの特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、電解槽セルは、1平方センチメートルあたり約150ミリアンペア(mA/cm
2)と同程度に低い値~約3,000mA/cm
2と同程度に高い値、約250mA/cm
2~約2,750mA/cm
2等、例えば、約500mA/cm
2~約2,500mA/cm
2、約750mA/cm
2~約2,250mA/cm
2等、例えば、約1,000mA/cm
2~約2,000mA/cm
2のダイナミックレンジにわたる電流密度において動作することができる。本明細書に説明される構造的および体系的側面はまた、電解槽セルが、広い範囲の電解質流量およびガス生産率に適応しながら、依然として、電解槽セルを通した、および/または電解槽セルから退出する電解質または生産されたガスのスラグまたはプラグ流を低減または最小限化することを可能にする。
【0166】
これらの構造的および体系的側面は、電解槽セルが、電気の需要および/または電気の価格が規定される閾値を下回るとき、および/または電気の需要および/または電気の価格が減少しているときの周期の間に、規定される電流密度より高い電流密度、および/または規定されるガス生産率より高いH2ガス生産率(すなわち、全体としての電解槽セルに関する、またはプラントに関する「公称」電流密度および/または「公称」H2ガス生産率)において動作されることを可能にすることができ、これは、以降、電気の需要および/または電気の価格が規定される閾値を下回る状況を利用するための「負荷獲得」とも称されるであろう。同様に、電解槽セルは、電気の需要および/または電気の価格が規定される閾値を上回るとき、および/または価格および/または需要が増加しているときの周期の間に、規定される電流密度より低い電流密度、および/または規定されるガス生産率より低いH2ガス生産率(すなわち、全体としての電解槽セルに関する、またはプラントに関する「公称」電流密度および/または「公称」H2ガス生産率)において動作されるように構成され、これは、以降、電気の需要および/または電気の価格が規定される閾値を上回る状況、または価格または需要が増加しているときを利用するための「負荷削減」とも称されるであろう。いくつかの実施例では、本明細書に説明される電解槽は、0.15A/cm2~3.0A/cm2の電流密度値の範囲内で動作するように構成される。しかしながら、3.0A/cm2を上回る、および/または0.15A/cm2を下回る電流密度値を含む、他の範囲および値の電流密度も、本明細書に説明される電解槽および方法との併用のために好適であることを理解されたい。
【0167】
当業者によって理解されるであろうように、電気の価格または需要は、電解槽セルの場所に応じて大いに変動し得る。したがって、本明細書において別様に記載されない限り、電気に言及するときに本明細書で使用されるような用語「価格」または「需要」は、電解槽セルが位置する関連のある領域内の電気の価格または需要である。
【0168】
本明細書に説明される電解槽セルはまた、従来の水分解電解セルと比較して、比較的に低い資本支出(「CapEx」)において製造されることができる。本明細書で使用されるように、用語「資本支出」および「CapEx」は、電解槽セルおよび支持機器(例えば、配管、脱イオン水発生部、電解質および水循環のためのポンプ、ガス処理および貯蔵部、電気整流器、電気変圧器、および電気バス接続部)を工学設計、設計、調達、および構築するために被られる資本経費を指す。
【0169】
本開示の電解槽セルを設計および構築するために要求される比較的に低いCapExコストは、電解槽セルが、(そのためにプラント全体が設計されている、公称の所望のH2ガス生産率に対応する)「公称」電流密度、例えば、そのために電解槽セルが設計されている最適な電流密度と関連付けられる電流密度より高い、最大電流密度に適応することが可能であるように設計されることを可能にすることができる。言い換えると、全体的プラントが、(特定のセルサイズおよび公称電流密度に対応する)平均H2ガス生産容量のために設計される場合、セルは、セルの設計を不経済にすることなく、電解槽セルがより高い電流密度(したがって、より高いH2ガス生産率)を達成することを可能にする、上記に説明される構造特徴のうちの1つまたはそれを上回るものとともに設計されることができる。例えば、プラント全体のために設計されるH2ガス生産率は、約1A/cm2の公称動作電流密度に変換されてもよい。但し、本開示によると、電解槽セルは、負荷獲得の状況において規定される閾値および/または減少する需要および/または価格を下回る、電気需要および/または価格を利用することが可能であるために、それらが、約1.5A/cm2またはそれより高い、例えば、約1.6A/cm2またはそれより高い、約1.7A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約1.75A/cm2またはそれより高い、約1.8A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約1.9A/cm2またはそれより高い、約2A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約2.1A/cm2またはそれより高い、約2.2A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約2.25A/cm2またはそれより高い、約2.3A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約2.4A/cm2またはそれより高い、約2.5A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約2.6A/cm2またはそれより高い、約2.7A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約2.75A/cm2またはそれより高い、約2.8A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約2.9A/cm2またはそれより高い、約3A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約3.1A/cm2またはそれより高い、約3.2A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約3.25A/cm2またはそれより高い、約3.3A/cm2またはそれより高い値等である、例えば、約3.4A/cm2またはそれより高い、約3.5A/cm2またはそれより高い値等である電流密度等の、実質的により高い電流密度に対処し得るように、設計されることができる。同様に、セルのための支持機器(例えば、配管、脱イオン水発生部、電解質および水循環のためのポンプ、ガス処理および貯蔵部、電気整流器、電気変圧器、および電気バス接続部)も、潜在的な負荷獲得状況および負荷獲得と関連付けられる、より高い熱分布およびより大規模なH2ガス取扱要件を利用するために、公称H2ガス生産率および公称電流密度に関して要求されるであろうものに対して「増寸」されてもよい。
【0170】
本明細書に説明される電解槽セルおよびそれらの支持機器の比較的に低いCapExは、これが、依然として、資本投資の観点から、電気の需要および/または価格が閾値を上回る、および/または需要および/または価格を増加させているときに全体的運営支出(「OpEx」)を低減させるために負荷削減を行うときに、(負荷獲得状況と関連付けられる、規定される電流密度または規定されるH2ガス生産率と同一である、またはそれと異なり得、例えば、規定される電流密度は、ある割合の公称電流密度であり得る、および/または規定されるH2ガス生産率は、ある割合の公称H2ガス生産率であり得る)規定される電流密度より低い電流密度および/または規定されるガス生産率より低いH2ガス生産率において本開示の電解槽セルを動作させることが経済的であり得るようなものである。本明細書で使用されるように、用語「運営支出」および「OpEx」は、限定ではないが、電気コスト、運営労働、定期的継続保守、保険、工学および監督運営、短期的消耗品、および販売および管理経費を含み得る、電解槽セルおよび他の支持機器を用いて水素ガスを発生させることの継続的コストを指す。対照的に、より高いCapExコストを有する、典型的電解槽セルは、典型的電解槽セルのCapExが非常に高いため、これがOpExを低減させる場合でも、負荷削減状況において水素を経済的に生産することはできない。
【0171】
本開示の電解槽セルおよびシステム全体は、電解槽セルが既存の電解槽セルと比較して効果的かつ効率的に負荷削減および負荷獲得することが可能である、電流密度の動的制御を可能にする。下記により詳細に説明されるように、広い範囲の電流密度およびガス生産率にわたって動作するための電解槽セルの能力は、H2ガス生産のための平均コストが、低減され、いくつかの事例においては本システムの長期間動作の過程にわたって最小限化されるように、本明細書に説明されるシステムおよび方法がH2ガス生産のための電解槽セルの方略的かつ動的動作を提供することを可能にする。ある実施例では、電解槽セルは、1平方センチメートルあたり1アンペア(A/cm2)またはそれを上回る最大電流密度(対応する最大H2ガス生産率をもたらす)、例えば、約1.5A/cm2の最大達成可能電流密度、例えば、約2.0A/cm2の最大達成可能電流密度、例えば、約2.5A/cm2、例えば、約3A/cm2の最大達成可能電流密度、例えば、約3.5A/cm2の最大達成可能電流密度において動作されるように設計されることができる。加えて、本開示の電解槽セルおよびシステム全体は、1平方センチメートルあたり約750ミリアンペア(mA/cm2)またはそれ未満の最小の経済的に実行可能な電流密度(対応する最小H2ガス生産率をもたらす)、例えば、約600mA/cm2の最小の経済的に実行可能な電流密度、例えば、約500mA/cm2の最小の経済的に実行可能な電流密度、例えば、約400mA/cm2の最小の経済的に実行可能な電流密度、約300mA/cm2等の最小の経済的に実行可能な電流密度、例えば、約250mA/cm2の最小の経済的に実行可能な電流密度、例えば、約200mA/cm2の最小の経済的に実行可能な電流密度、例えば、約150mA/cm2の最小の経済的に実行可能な電流密度における経済的動作を可能にすることができる。したがって、電解槽セルのための最大達成可能電流密度が約3A/cm2(すなわち、約3,000mA/cm2)、および約150mA/cm2の最小の経済的に実行可能な電流密度である、実施例では、電解槽セルは、約5%と同程度に低い最大達成可能電流密度(すなわち、3,000mA/cm2の5%である、150mA/cm2)において動作することが可能であり、これは、電解槽セルが95%の負荷削減および負荷獲得動作範囲(すなわち、最大達成可能電流密度の5%~100%)を有することを意味する。
【0172】
高電流密度および低電流密度において動的に動作するための電解槽セルの能力は、オペレータが、電気価格および/または需要が低い、および/または減少しているとき、電気価格および/または電気需要および負荷獲得に、および電気価格および/または需要が高い、および/または増加しているときに負荷削減に動的に応答することを可能にすることができる。例えば、電気の需要がある期間にわたって増加する場合、電解槽セルのためのOpExは、電解槽セルの動作電流密度が動的に減少されない限り、電気の価格の増加に起因して、同一の期間にわたって対応する量だけ増加するであろう。したがって、負荷削減状況では、電流密度の動的低下は、OpExを動的に低減させ、需要の増加と関連付けられるOpExの予期される上昇に対抗する効果を有する。
【0173】
言い換えると、電解槽セルの動作電流密度は、電気の需要および/または電気の価格が増減しているとき、ある期間に応答して変化されることができる。需要の増減は、需要の増加(例えば、第1の期間の間の需要が後続の第2の期間の間より低い場合)または需要の減少(例えば、第1の期間の間の需要が後続の第2の期間の間より高い場合)を含むことができる。同様に、価格の増減は、価格の増加(例えば、第1の期間の間の電気の価格が後続の第2の期間の間より低い場合)または価格の減少(例えば、第1の期間の間の電気の価格が後続の第2の期間の間より高い場合)を含むことができる。電解槽セルの動的動作は、電気の需要および/または電気の価格が夜間時間から午後の中頃から夕方頃にわたる期間等の間に増減することが公知である(すなわち、増加または減少することが公知である)時間の周期の間に特に有用であることができる。
【0174】
電解槽セルは、最大容量を達成するように設計されることができる。本明細書で使用されるように、電解槽セルに言及するときの用語「最大容量」は、電解槽セルが確実に達成し得る最大電流密度を指す(セルの分離器に対する損傷を回避または最小限化すること、および/またはガスまたは電解質のスラグまたはプラグ流を伴うことなくセル内で生産されているガスを除去するために発生された熱を消散させるための電解槽セルの能力を考慮する)。ある実施例では、最大容量電流密度は、1.5A/cm2またはそれを上回る、例えば、1.6A/cm2またはそれを上回る、1.7A/cm2またはそれを上回る、1.75A/cm2またはそれを上回る、1.8A/cm2またはそれを上回る、1.9A/cm2またはそれを上回る、2A/cm2またはそれを上回る、2.1A/cm2またはそれを上回る、2.2A/cm2またはそれを上回る、2.25A/cm2またはそれを上回る、2.3A/cm2またはそれを上回る、2.4A/cm2またはそれを上回る、2.5A/cm2またはそれを上回る、2.6A/cm2またはそれを上回る、2.7A/cm2またはそれを上回る、2.75A/cm2またはそれを上回る、2.8A/cm2またはそれを上回る、2.9A/cm2またはそれを上回る、3A/cm2またはそれを上回る、3.1A/cm2またはそれを上回る、3.2A/cm2またはそれを上回る、3.25A/cm2またはそれを上回る、3.3A/cm2またはそれを上回る、3.4A/cm2またはそれを上回る、または2.5A/cm2である。
【0175】
ある実施例では、「負荷削減」(すなわち、電解槽セルの動作電流密度が、高いまたは増加する電気需要または価格に応答して低減される状況)は、電解槽セルの動作電流密度を最大容量の30%またはそれを下回る値、例えば、最大容量の29%またはそれを下回る値、最大容量の28%またはそれを下回る値、最大容量の27%またはそれを下回る値、最大容量の26%またはそれを下回る値、最大容量の25%またはそれを下回る値、最大容量の24%またはそれを下回る値、最大容量の23%またはそれを下回る値、最大容量の22%またはそれを下回る値、最大容量の21%またはそれを下回る値、最大容量の20%またはそれを下回る値、最大容量の19%またはそれを下回る値、最大容量の18%またはそれを下回る値、最大容量の17.5%またはそれを下回る値、最大容量の17%またはそれを下回る値、最大容量の16%またはそれを下回る値、最大容量の15%またはそれを下回る値、最大容量の14%またはそれを下回る値、最大容量の13%またはそれを下回る値、最大容量の12.5%またはそれを下回る値、最大容量の12%またはそれを下回る値、最大容量の11%またはそれを下回る値、最大容量の10%またはそれを下回る値、最大容量の9%またはそれを下回る値、最大容量の8%またはそれを下回る値、最大容量の7.5%またはそれを下回る値、最大容量の7%またはそれを下回る値、最大容量の6%またはそれを下回る値、または最大容量の5%またはそれを下回る値まで低減させることを含む。
【0176】
ある実施例では、「負荷獲得」(すなわち、電解槽セルの動作電流密度が、低いまたは減少する電気需要または価格に応答して増加される状況)は、動作電流密度を最大容量の70%またはそれを上回る値、最大容量の75%またはそれを上回る値、最大容量の76%またはそれを上回る値、最大容量の77%またはそれを上回る値、最大容量の77.5%またはそれを上回る値、最大容量の78%またはそれを上回る値、最大容量の79%またはそれを上回る値、最大容量の80%またはそれを上回る値、最大容量の81%またはそれを上回る値、最大容量の82%またはそれを上回る値、最大容量の82.5%またはそれを上回る値、最大容量の83%またはそれを上回る値、最大容量の84%またはそれを上回る値、最大容量の85%またはそれを上回る値、最大容量の86%またはそれを上回る値、最大容量の87%またはそれを上回る値、最大容量の87.5%またはそれを上回る値、最大容量の88%またはそれを上回る値、最大容量の89%またはそれを上回る値、最大容量の90%またはそれを上回る値、最大容量の91%またはそれを上回る値、最大容量の92%またはそれを上回る値、最大容量の92.5%またはそれを上回る値、最大容量の93%またはそれを上回る値、最大容量の94%またはそれを上回る値、最大容量の95%またはそれを上回る値、最大容量の96%またはそれを上回る値、最大容量の97%またはそれを上回る値、最大容量の97.5%またはそれを上回る値、最大容量の98%またはそれを上回る値、最大容量の98.5%またはそれを上回る値、最大容量の99%またはそれを上回る値、最大容量の99.5%またはそれを上回る値、最大容量の99.9%またはそれを上回る値、または最大容量(すなわち、最大容量の100%)まで増加させることを含む。
【0177】
ある実施例では、電解槽システム(すなわち、プラント内の電解槽セルの全てを備える)は、1時間あたり少なくとも約1キログラムのH2ガス(kg H2/時間)、少なくとも約1.5kg H2/時間、少なくとも約5kg H2/時間、少なくとも約10kg H2/時間、少なくとも約25kg H2/時間、少なくとも約50kg H2/時間、少なくとも約100kg H2/時間、少なくとも約500kg H2/時間、少なくとも約1,000kg H2/時間、少なくとも約1,500kg H2/時間、少なくとも約2,000kg H2/時間、少なくとも約2,500kg H2/時間、少なくとも約3,000kg H2/時間、少なくとも約3,500kg H2/時間、少なくとも約4,000kg H2/時間、少なくとも約4,500kg H2/時間、または少なくとも約5,000kg H2/時間等を発生させることができる。ある実施例では、電解槽システムは、最大約30,000kg H2/時間、例えば、最大約25,000kg H2/時間、最大約20,000kg H2/時間、最大15,000kg H2/時間、または最大10,000kg H2/時間を発生させることができる。当業者によって理解されるであろうように、電解槽システムによって生産されるH2ガスの実際の質量は、各電解槽セルの面積、電解槽システム内の電解槽セルの数、および電解槽セルが動作されている電流密度を含む、多くの要因に依存するであろう。ある実施例では、電解槽セルに供給される電流の1アンペアあたりに理論的に発生され得るH2ガスの質量は、約3.761×10-5kg H2/時間である。したがって、電解槽システムが発生させ得るH2ガスの理論的質量は、電解のために供給される総アンペアに等しく、これは、ひいては、電解槽セルに印加されている電流密度×電解槽セルの総面積(または電解槽セルあたり面積×セルの数×電流密度)に等しい。
【0178】
下記により詳細に解説されるように、動的に負荷獲得および負荷削減するための能力は、1キログラムあたりのH2ガス生産の全体的平均コスト($/kg)が、定常状態様式において動作される従来の電解槽セルを用いて可能であるものより低くなることをもたらすことができる。下記により詳細に説明されるいくつかの実施例では、本開示の動的な負荷獲得および負荷削減は、同一の量のH2ガスを生産するために要求される電気のコストの約20%~約40%またはそれを上回る(例えば、さらに50%またはそれを上回る量と同程度に多い)低減を可能にすることができる。
【0179】
図22は、テキサス州電気信頼性評議会(「ERCOT」)によって収集されたデータによる、24時間の期間(例えば、真夜中から翌日の真夜中まで)にわたる電気の典型的価格を図示する、グラフである。データライン400は、1日の特定の時間における、1メガワット時間あたりの米国ドル単位における電気の平均価格($/MWh)を表す。データライン402および404は、それぞれ、1日の各特定の時間における平均価格を上回る1つの標準偏差と、それを下回る1つの標準偏差とを表す。
図22によって見られ得るように、電気の価格は、時間1(すなわち、真夜中)から、その時点で平均価格が$60/MWhを上回るように大きい変動を伴ってかなり急激に上昇する、約時間10(すなわち、午前9時)まで比較的に定常のままである傾向にある。高平均価格および高変動性は、その時点で平均価格が、1日の開始時に認められる、より安定した価格に向かって下方に降下し始める、約時間19または時間20(例えば、午後6~7時)まで、留まる。言い換えると、電気の価格は、夜間時間および早朝の時間の間には、低い傾向にあり、殆ど分散を有しておらず、次いで、日中および午後の時間の間に上昇する傾向にあり、大きい変動性を有する。負荷削減および負荷獲得によって電解槽セルを動的に動作させるための能力は、オペレータが、例えば、低い電気価格付けの周期の間(すなわち、
図22のグラフ内の時間1~10および約時間22の後等の夜間時間の間)に高負荷(すなわち、例えば、1A/cm
2等を上回る、規定される電流密度を上回る高電流密度)において電解槽セルを動作させ、次いで、高い電気価格付けの周期の間(すなわち、
図22のグラフ内の時間10~22の日中時間の間)に低負荷(すなわち、例えば、規定される電流密度を下回る低電流密度)において電解槽セルを動作させることを可能にし、本明細書に説明されるシステムおよび方法が、電気価格に動的に応答し、下記に説明されるように、従来の定常状態動作によって被られるであろうもの未満である、全体的電気コストを達成することを可能にすることができる。
【0180】
図23は、電気価格付けの変化と、本明細書に説明されるシステムおよび方法が、電気の現在の価格を考慮しない、一定または実質的に一定である電流密度およびH
2ガス生産率における電解槽セルの従来の動作と比較してH
2ガス生産の全体的平均価格を低減させるために、負荷獲得および負荷削減様式において動的に動作され得る方法とを伴う、例示的シナリオを示す。データライン406は、完全な2日間の動作の過程にわたる、電気の増減する価格に対応する。ライン408は、電気価格が規定される下限価格閾値(例えば、
図23の実施例における1MWhあたり約$25)を下回るときの周期の間に電解槽セルが負荷獲得するように動作され、電気の価格が規定される下限価格閾値を超えると電流密度が漸減され、電気の価格が規定される上限価格閾値(例えば、
図23の実施例における1MWhあたり約$40)を超えると電解槽セルが遮断される(すなわち、0A/cm
2の電流密度において動作される)ときの同一の2日間の過程にわたる、種々の時間における、本開示による、電解槽セルの動作電流密度のデータ系列である。データライン410は、それにおいて電解槽セルが動作されるように設計される、「公称」電流密度(例えば、
図23の実施例のための約1A/cm
2)に対応する。言い換えると、データライン410は、そのためにそれらが設計された容量における電解槽セルの「従来」動作を表す。
図23に見られ得るように、電解槽セルが、公称電流密度において持続的に継続的に動作された場合、
図23のデータによって表される2日間にわたる電気の平均価格は、1MWhあたり$28であろう。
【0181】
図23の実施例では、電解槽セルは、電気価格が規定される下限価格閾値を下回るとき(例えば、価格が
図23の実施例における、≦1MWhあたり$25であるとき)には、負荷獲得電流密度(例えば、約2A/cm
2)において動作され、電気の価格が規定される下限価格閾値と規定される上限価格閾値との間にあるときには、可変の負荷削減電流密度において動作され(例えば、価格が
図23の実施例における$25/MWh~$40/MWhであるときには、電流密度は、電気価格に応じて0~2A/cm
2のある場所に設定され)、価格が規定される上限価格閾値を上回る場合には、停止される(例えば、価格が
図23の実施例における$40/MWhを上回るときには0A/cm
2の電流密度)。
図23に示される例示的シナリオでは、2日間の過程にわたる平均電流密度は、(データライン412によって表されるように)約1.6A/cm
2であり、これは、電解槽セルの従来動作の間の1A/cm
2の公称電流密度より約60%高い(例えば、データライン410と関連付けられる電流密度を上回る)。また、2日間の動作の過程にわたって消費される電気の平均コストは、(データライン414によって表される)1MWhあたり約$22であり、これは、本開示の負荷獲得および負荷削減動作の間の電気のコストの約20%の削減に対応する。言い換えると、
図23に示される例示的シナリオでは、電気コストは、電解槽セルの従来動作より実質的に低かった(すなわち、約$22/MWh対約$28/MWh、すなわち、同一の期間にわたる20%より少ない電気コスト)だけではなく、同一の電解槽セルが、実質的により高い平均電流密度(すなわち、平均で約1.6A/cm
2対1A/cm
2、すなわち、約60%より高い値)を達成することも可能であった。当業者によって理解されるであろうように、これは、(H
2ガスの生産率が、電流密度に比例するため)同一の電解槽セルが、実質的により低い運営コストにおいて実質的により多くのH
2ガスを生産することが可能であったことを意味する。
【0182】
図23の例示的シナリオおよび閾値電気価格は、例証的目的のために提供されるにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図していない。当業者は、電解槽セルの動作電流密度および動作電流密度の調節をトリガする閾値電気価格が、変動され得、さらに本開示によって包含されるであろうことを理解するであろう。上記に記載されるように、本開示の負荷獲得および負荷削減システムおよび方法に組み込まれ得る電解槽セルは、広い範囲の電流密度、例えば、約0.15A/cm
2の下限から3A/cm
2またはそれを上回る上限までにわたって動作することができる。動作電流密度の本大きいダイナミックレンジは、オペレータが、かなりの柔軟性を伴って、負荷獲得電流密度から負荷削減電流密度に遷移し始めるための最小電気価格閾値と、負荷削減電流密度を動作させる、または電解槽セルを完全に閉鎖するための最大電気価格閾値とを選定することと、1つまたはそれを上回る中間動作電流密度を設定するための、1つまたはそれを上回る付加的中間価格閾値を含むこととを可能にすることができる。
【0183】
当業者はまた、価格閾値毎の特定の動作電流密度が、限定ではないが、特定の電解槽セルのための最適な電流密度(例えば、それ自体が電気の価格に依存し得る、消費される電気の1MWあたりに生産されるH2ガスの質量に基づいてH2ガスを生産することにおいて最も効率的である電流密度)、電解槽セルが(例えば、生産されるガスを除去する、および/または発生された熱を消散させるための電解槽セルの能力に応じて)達成し得る最大電流密度、または種々の電流密度および1MWhあたり種々の電気価格における、電解槽セルに関して生産されるH2ガスの1キログラムあたりコストを含む、特定の電解槽セルの側面に基づいて選択され得ることを理解し得る。
【0184】
図24および25は、特定の電解槽セルに関するこれらの考慮点の実施例を示す。
図24は、特定の例示的電解槽セルに関するコスト曲線(ライン416によって表される)を示す。コスト曲線416は、電気の価格が$26.6/MWhであるときに異なる動作電流密度において生産される、H
2ガスの1キログラムあたりの合計平準化コストに対応する。本実施例、すなわち、電解槽セルに関して、コスト曲線416は、生産されるH
2ガスの1kgあたり約$1.91の生産コストに対応する、約1.12A/cm
2の電流密度において最小点418を有する。
図24のコスト曲線416は、本開示の負荷獲得および負荷削減方法が実践されている場合のコストではなく、電解槽セルが一定の電流密度において動作された場合のコストに対応する。言い換えると、コスト曲線416は、
図23のライン410に類似する、従来様式において動作されている、例示的電解槽セルに対応する。しかしながら、本開示の負荷獲得および負荷削減方法が、(例えば、
図23に関して上記に説明される実施例と同様に)実践される場合、(データ点420における)同一の例示的電解槽セルのために効果的な最適電流密度は、約1.66A/cm
2まで上昇し(従来のコスト曲線416上の最小点418のための1.19A/cm
2を上回る約40%の増加)、H
2の1キログラムあたりの平均コストは、約$1.69/kg H
2(従来のコスト曲線416上の最小点418のための$1.91/kg H
2と比較して約11.5%の低減)まで低減される。
【0185】
図25は、電気の価格の関数としての特定の例示的電解槽セルのための(データライン422によって表される)最適な電流密度のグラフを示す。本明細書で使用されるように、用語「最適な電流密度」は、特定の電気価格において生産されるH
2の1キログラムあたり最小コストを達成する、電流密度を指す。ある実施例では、電気価格毎の最適な電流密度は、
図24で実施されたものと非常に同一の方法において、例えば、各電気価格と関連付けられるコスト曲線上の最小点を見出すことによって決定されることができる。
図25の実施例では、価格が$35/MWh(すなわち、$0.035/kWh)を下回ると、価格が約$35/MWhを下回ると、電解槽セルが約2A/cm
2のその最大電流密度において起動し得る(例えば、電解槽セルが完全な負荷獲得様式において動作され得る)ように、最適な電流密度は、例示的電解槽セルが動作し得る、最大電流密度またはそれを上回る。約$35/MWhの価格において、最適な電流密度は、ある実施例では、電解槽セルのための動作電流密度が、電気価格が$35/MWhを上回るように上昇するにつれて漸減され得るように、価格が上昇するにつれて下落し始める。言い換えると、
図25の実施例では、$35/MWhは、(
図23に関して上記に説明されるように)負荷獲得と負荷削減との間の遷移の開始に対応する、規定される下限価格閾値である。
図25に示されるように、電気の価格が約$50/MWhに到達すると、例示的電解槽セルのための最適な電流密度は、ゼロ(0)に到達する(停止および立上労働、プラント機器上の摩耗、および同等物のコスト等の他の考慮点を無視する)。したがって、価格が$50/MWhより高いとき、例示的電解槽セルは、停止されることができる。言い換えると、
図25の実施例では、$50/MWhは、(
図23に関して上記に説明されるような)規定される上限価格閾値である。当業者は、規定される上限価格閾値のための厳密な価格点が、最適な電流密度がゼロに到達する実際の価格点から変動され得ること、および分散の量が、限定ではないが、例示的電解槽セルおよび他の支持機器のための資本支出(例えば、CapEx)、プラント内の電解槽セルの全体的サイズ(例えば、セルスタックのサイズ)、生産されるH
2ガスが販売され得る現在の価格、および他の運営経費(プラントを起動させる、またはプラントを停止および立ち上げるための労働のコスト、または水の価格、または電解槽セルおよび支持機器のための定期的保守のコスト等)を含む、1つまたはそれを上回る要因に依存し得ることを理解するであろう。実際に、最適な電流密度曲線422に沿った任意の点における「最適な」電流密度は、これらの同一の要因のうちの1つまたはそれを上回るものに基づく、理論的または計算された最適電流密度から変動されることができる。
【0186】
上記の詳述される説明は、詳述される説明の一部を形成する、付随の図面の参照を含む。図面は、例証として、本発明が実践され得る、特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では、「実施例」とも称される。そのような実施例は、示される、または説明されるものに加えて、要素を含み得る。しかしながら、本発明者らはまた、示される、または説明されるそれらの要素のみが提供される、実施例を考慮している。また、本発明者らはまた、本明細書に示される、または説明される、特定の実施例(またはそれらの1つまたはそれを上回る側面)に関するか、または他の実施例(またはそれらの1つまたはそれを上回る側面)に関するかのいずれかの、示される、または説明されるそれらの要素(またはそれらの1つまたはそれを上回る側面)の任意の組み合わせまたは並び替えを使用する実施例も考慮している。
【0187】
参照することによってそのように組み込まれる、本書と任意の文書との間に矛盾する使用法が生じた場合には、本書での使用法が、優先される。
【0188】
本書では、用語「a」または「an」が、特許文書において一般的であるように、「at least one(少なくとも1つ)」または「one or more(1つまたはそれを上回る)」の任意の他の事例または使用法から独立して、「one or more than one(1つまたは1つを上回る)」を含むために使用される。本書では、用語「or(または)」は、別様に示されない限り、「AまたはB」が、「BではなくA」と、「AではなくB」と、「AおよびB」とを含むように、非排他的「または」を指すために使用される。本書では、用語「including(~を含む)」および「in which(その中で)」は、個別の用語「comprising(~を備える)」および「wherein(その中で)」の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の請求項では、用語「including(~を含む)」および「comprising(~を備える)」は、非制約的であり、すなわち、請求項内でそのような用語の後にリスト化されるものに加えて、要素を含む、システム、デバイス、物品、組成物、調合物、またはプロセスも、依然として、その請求項の範囲内にあると見なされる。また、以下の請求項では、用語「第1」、「第2」、および「第3」等は、標識として使用されるにすぎず、それらの目的に数値要件を課すことを意図していない。
【0189】
本明細書に説明される方法実施例は、少なくとも部分的に、機械またはコンピュータ実装されることができる。いくつかの実施例は、上記の実施例に説明されるような方法を実施するための電子デバイスを構成するように動作可能な命令を用いてエンコードされる、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高レベルな言語コード、または同等物等のコードを含むことができる。そのようなコードは、種々の方法を実施するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。さらに、ある実施例では、コードは、実行の間または他の時間等に、1つまたはそれを上回る揮発性、非一過性、または不揮発性の有形コンピュータ可読媒体上に有形に記憶されることができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の実施例は、限定ではないが、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、および同等物を含むことができる。
【0190】
上記の説明は、例証的であり、制限的ではないことを意図している。例えば、上記に説明される実施例(またはそれらの1つまたはそれを上回る側面)は、相互との組み合わせにおいて使用され得る。他の実施形態も、上記の説明の精査に応じて、当業者等によって使用されることができる。要約は、37C.F.R.§1.72(b)に準拠し、読者が、本技術開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。これが、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないであろうという理解を伴って思量されたい。また、上記の詳細な説明では、種々の特徴が、本開示を簡潔にするために、ともに群化されている場合がある。これは、請求されていない開示された特徴がいずれの請求項にも不可欠であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ないものにあり得る。したがって、以下の請求項は、本明細書において、実施例または実施形態として詳細な説明の中に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立し、そのような実施形態が、種々の組み合わせまたは並び替えにおいて相互と組み合わせられ得ることが考慮される。本発明の範囲は、そのような請求項が享有する均等物の全範囲とともに、添付される請求項を参照して決定されるべきである。
【国際調査報告】