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特表2024-537117リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータ
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  • 特表-リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータ 図1a
  • 特表-リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータ 図1b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20241003BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/454 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20241003BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241003BHJP
   H01M 50/406 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/423
H01M50/44
H01M50/414
H01M50/454
H01M50/446
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/403 D
H01M50/403 A
H01M10/0566
H01M10/052
H01M50/406
H01M50/491
H01M50/489
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520583
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2022079915
(87)【国際公開番号】W WO2023073007
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】21205546.1
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501469803
【氏名又は名称】テイジン・アラミド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Teijin Aramid B.V.
【住所又は居所原語表記】Tivolilaan 50, 6824 BW Arnhem, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン ボス
(72)【発明者】
【氏名】リカルド ヴィッセル
(72)【発明者】
【氏名】イェン フー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン セース ティーケン
(72)【発明者】
【氏名】エド ムッゲ
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021BB01
5H021BB07
5H021BB12
5H021BB13
5H021CC01
5H021CC02
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE02
5H021EE07
5H021EE08
5H021EE21
5H021EE22
5H021EE23
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH02
5H021HH03
5H021HH05
5H021HH06
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK11
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029DJ04
5H029DJ11
5H029EJ03
5H029EJ12
(57)【要約】
本発明は、リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータであって、30~70重量%のアラミドショートカット繊維と、10~45重量%のPETと、5~40重量%のバインダーとを含むコア紙を含み、コア紙が、5~30g/mの坪量および5~30ミクロンの厚さを有し、コア紙の少なくとも一方の面にコーティング層が設けられており、前記コーティング層が、耐火性粒子およびコーティングバインダーを含み、セパレータが、コーティング層が設けられた紙の面に、表面気孔の少なくとも90%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有するような表面気孔サイズを有する、セパレータに関する。本発明によるセパレータは、薄い厚さ、良好な寸法安定性、ならびに良好な熱安定性および熱伝導性を良好なバリア特性と組み合わせる。セパレータの製造および使用も特許請求される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータであって、30~70重量%のアラミドショートカット繊維と、10~45重量%のPETと、5~40重量%のバインダーとを含むコア紙を含み、前記コア紙が、5~30g/mの坪量および5~30ミクロンの厚さを有し、前記コア紙の少なくとも一方の面にコーティング層が設けられており、前記コーティング層が、耐火性粒子およびコーティングバインダーを含み、前記セパレータが、前記コーティング層が設けられた前記紙の前記面に、表面気孔の少なくとも90%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有するような表面気孔サイズを有する、セパレータ。
【請求項2】
前記表面気孔の少なくとも95%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有し、かつ/または前記表面気孔の少なくとも80%が、最大0.4ミクロン、より好ましくは最大0.3ミクロンの気孔サイズを有する、請求項1記載のセパレータ。
【請求項3】
前記コア紙が、少なくとも7g/mの坪量、および/または最大25g/m、特に最大20g/m、より特に最大15g/m、幾つかの実施形態では最大10g/mの坪量を有する、請求項1または2記載のセパレータ。
【請求項4】
前記コア紙中のアラミドが、少なくとも20重量%、幾つかの実施形態では少なくとも40重量%、幾つかの実施形態では少なくとも60重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%のパラアラミドからなる、請求項1から3までのいずれか1項記載のセパレータ。
【請求項5】
前記バインダーが、アラミドフィブリド、アラミドパルプ、ジェット紡糸アラミドフィブリド、ジェット紡糸アラミドパルプ、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載のセパレータ。
【請求項6】
前記コア紙中のPETの量が、少なくとも15重量%、特に少なくとも20重量%、より特に少なくとも30重量%、および/または最大40重量%、特に最大35重量%である、請求項1から5までのいずれか1項記載のセパレータ。
【請求項7】
40~70%の気孔率、および/または10~1、特に8~1、より特に6~1、なおより特に5~1、さらにより特に4~1のマクマリン数、および/または少なくとも4のCPVを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載のセパレータ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載のセパレータへの使用に適したコア紙であって、30~70重量%のアラミドショートカット繊維と、10~45重量%のPETと、5~40重量%のバインダーとを含み、5~30g/mの坪量および5~30ミクロンの厚さを有する、コア紙。
【請求項9】
請求項8記載のコア紙を製造するための方法であって、紙成分の少なくとも一部を含む懸濁液を提供するステップと、前記懸濁液を多孔質スクリーンに被着して、ウェブを形成するステップと、液体媒体を前記ウェブから除去するステップと、前記紙を乾燥させるステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記PETを、繊維、例えば、最大0.15dtex、特に最大0.1dtex、および/または少なくとも0.01dtex、特に少なくとも0.03dtexの線密度を有するPET繊維の形態の前記コア紙に組み込む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記コア紙を、少なくとも175℃、特に少なくとも200℃、より特に少なくとも240℃、さらにより特に少なくとも260℃、および/または最大400℃の温度で熱処理に供する、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか1項記載のセパレータを製造するための方法であって、
- 30~70重量%のアラミドショートカット繊維と、10~45重量%のPETと、5~40重量%のバインダーとを含み、5~30g/mの坪量および5~30ミクロンの厚さを有するコア紙を提供するステップと、
- 前記コア紙の少なくとも一方の面を、耐火性粒子およびコーティングバインダーを含む組成物と接触させることによって、少なくとも一方の面にコーティング層を設けるステップと
を含む、方法。
【請求項13】
リチウム含有電解質を通じて接続されたリチウム含有カソードとアノードとを含み、前記アノードおよびカソードが、請求項1から7までのいずれか1項記載のセパレータを通じて互いに分離されている、Liイオンバッテリセル。
【請求項14】
請求項13記載の少なくとも1つのLiイオンバッテリセルを含む、バッテリモジュール。
【請求項15】
Liイオンバッテリへの、請求項1から7までのいずれか1項記載のセパレータの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータ紙に関する。
【0002】
Liイオンバッテリとも呼ばれるリチウムイオンバッテリは、高エネルギー密度、高電圧、および再充電性が望まれる多くの用途で使用されている。これらは特に多くのモバイルデバイスに見られる。
【0003】
Liイオンバッテリの主な要素は、正極、負極、セパレータ、および電解質である。セパレータが正極と負極との間に設けられている。その主な機能は、正極を負極から物理的に分離して、リチウムイオンが電解質含有セパレータを通過することを可能にしながら、バッテリ内の短絡を防止することである。
【0004】
市販のLiイオンセルは、セパレータとして、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンを使用している。
【0005】
米国特許第9431643号明細書には、基材膜と、基材膜の表面に設けられたコーティングとを含むリチウムイオンバッテリのセパレータが記載されている。基材膜は、好ましくは、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン複合膜、アラミド膜、およびポリイミド膜のうちの少なくとも1つから選択される。
【0006】
欧州特許第2955773号明細書には、主に(すなわち、少なくとも70重量%の)PET、すなわち、結晶化PET繊維およびPETバインダーで構成されたリチウムイオン二次バッテリセパレータのための不織布ベースが記載されている。
【0007】
米国特許出願公開第2012251890号明細書には、複数の開口を有する平らで柔軟な基材を含み、かつ基材上および基材内に位置している多孔質無機コーティングを有する、膜が記載されている。基材は、アラミド繊維と、ポリアラミド繊維の分解点よりも低い融点を有する繊維とを含む。
【0008】
ポリオレフィンベースのセパレータは十分な特性を示すが、改善の余地があることが見出された。特に、当技術分野では、薄い厚さ、良好な寸法安定性、ならびに良好な熱安定性および熱伝導性を良好なバリア特性と組み合わせたセパレータが必要とされている。
【0009】
本発明は、これらの要件を満たすセパレータを提供する。
【0010】
本発明は、リチウムイオンバッテリへの使用に適したセパレータであって、30~70重量%のアラミドショートカット繊維と、10~45重量%のPETと、5~40重量%のバインダーとを含むコア紙を含み、コア紙が、5~30g/mの坪量および5~30ミクロンの厚さを有し、コア紙の少なくとも一方の面にコーティング層が設けられており、前記コーティング層が、耐火性粒子およびコーティングバインダーを含み、セパレータが、コーティング層が設けられた紙の面に、表面気孔の少なくとも90%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有するような表面気孔サイズを有する、セパレータに関する。
【0011】
請求項の異なる要素を組み合わせることによって、良好な特性を有する、セパレータ紙と呼ばれることもあるセパレータが得られることが保証されることが見出された。これについては、以下でより詳細に論じる。
【0012】
本発明は、以下の図によって説明するが、これらに限定されることも、またはこれらによって限定されることもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】本発明のセパレータの表面のSEM写真である。
図1b図1aのボックスの拡大図であり、表面気孔を黒い「ホール」として示す。
【0014】
本発明のセパレータ紙の重要な特徴は、これが、コーティング層が設けられた紙の面に、表面気孔の少なくとも90%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有するような表面気孔サイズを有することである。この要件が満たされない場合、セパレータのバリア特性は不十分となってしまう。0.5ミクロン超の気孔サイズを有する気孔の数を制限することが意図されているため、気孔サイズが、該当する気孔の最大直径であることは明らかであろう。
【0015】
当業者には明らかであるように、表面気孔サイズは、例えば、適切な画像解析ソフトウェアを有する走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した表面の顕微鏡検査によって決定することができる。標準的なソフトウェアを用いて、気孔サイズの測定を可能にするコントラストおよび倍率を選択することは、十分に当業者の範囲内にある。1つの可能性は、気孔の最長軸線に沿って手動で線を描き、適用した線の長さをソフトウェアに決定させることであろう。使用される装置に応じて、より洗練されたアプローチも可能であり得る。
【0016】
コーティング層が設けられた面のセパレータの表面気孔サイズについて、表面気孔の少なくとも95%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有することが好ましい。コーティング層が設けられた面のセパレータの表面気孔サイズについて、表面気孔の少なくとも80%が、最大0.4ミクロン、より好ましくは最大0.3ミクロンの気孔サイズを有することが好ましい。
【0017】
一実施形態では、コーティング層が設けられた面のセパレータの表面気孔の数平均気孔サイズは、最大0.3ミクロン、特に最大0.2ミクロン、より特に最大0.10ミクロンである。
【0018】
コア紙およびコーティング層の特定の組み合わせによって、本明細書に記載されている望ましい更なる特性と組み合わされた必要な表面気孔サイズを有するセパレータ紙を得ることが可能になることが見出された。
【0019】
コア紙は、5~30g/mの坪量および5~30ミクロンの厚さを有する。コア紙が5g/m未満の坪量または5ミクロン未満の厚さを有する場合、セパレータ紙は、ロール・ツー・ロール製造プロセスで処理することが困難となってしまう。さらに、短絡を防止するためのそのバリア特性が不十分であり得る。他方で、コア紙の坪量が30g/m超である場合、または厚さが30ミクロン超である場合、紙は、厚過ぎ、かつ重過ぎて、商業的な魅力がなくなってしまう。これらの特性のバランスを取るために、コア紙が、少なくとも7g/mの坪量を有することが好ましい場合がある。また、コア紙が、最大25g/m、特に最大20g/m、より特に最大15g/m、幾つかの実施形態では最大10g/mの坪量を有することが好ましい場合がある。
【0020】
厚さに関して、坪量について先に与えた理由から、コア紙が、少なくとも10ミクロンの厚さを有することが好ましく、また、コア紙が、最大25ミクロン、特に最大20ミクロン、幾つかの実施形態では最大15ミクロンの厚さを有することが好ましい場合がある。
【0021】
コア紙は、30~70重量%のアラミドショートカット繊維と、10~45重量%のPETと、5~40重量%のバインダーとを含む。
【0022】
本明細書の文脈において、アラミドは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ハロゲン化物との縮合ポリマーである芳香族ポリアミドを指す。アラミドは、メタ型およびパラ型の形態で存在することができ、その両方を本発明で使用することができる。芳香族部分間の結合の少なくとも85%がパラアラミド結合であるアラミドの使用が好ましいと考えられる。この群の典型的なメンバーとしては、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(4,4’‐ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン‐4,4’‐ビフェニレンジカルボン酸アミド)、およびポリ(パラフェニレン‐2,6‐ナフタレンジカルボン酸アミド、コポリ(パラフェニレン/4,4’‐ジオキシジフェニレンテレフタルアミド)、またはコポリ(パラフェニレン/3,4’‐ジオキシジフェニレンテレフタルアミド)が挙げられる。芳香族部分間の結合の少なくとも90%、より特に少なくとも95%がパラアラミド結合であるアラミドの使用が好ましいと考えられる。PPTAとも呼ばれるポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の使用が特に好ましい。これは、特に指定されない限り、本発明による紙中に存在する全てのアラミド成分に当てはまる。より特には、十分な寸法安定性を確実にするために、コア紙中のアラミドが、少なくとも10重量%のパラアラミドからなることが好ましい場合がある。これは、例えば、パラアラミドフィブリドと組み合わせたメタアラミドショートカット、メタアラミドフィブリドと組み合わせたパラアラミドショートカット、メタアラミドフィブリド、パラアラミドフィブリドもしくはそれらの組み合わせと組み合わせたメタアラミドショートカットとパラアラミドショートカットとの混合物を使用することによって、またはその他の組み合わせでもたらされ得る。一実施形態では、コア紙中のアラミドが、少なくとも20重量%、幾つかの実施形態では少なくとも40重量%、幾つかの実施形態では少なくとも60重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%のパラアラミドからなる。一実施形態では、コア紙中の全てのアラミド成分は、パラアラミド成分である。
【0023】
アラミドショートカット繊維は、アラミドフロックとしても知られており、当技術分野において知られている。これは、一般に、アラミド繊維を、望ましい長さ、一般に0.5~25mmの範囲の長さに切断することによって得られる。好ましい実施形態では、平均長さは、少なくとも2mm、特に少なくとも3mmである。幾つかの実施形態では、これは、少なくとも4mmであり得る。ショートカットの平均長さは、好ましくは、最大15mmであり、一実施形態では最大10mmである。
【0024】
ショートカットは、一般に、0.05~5dtexの範囲の線密度を有する。0.05dtex未満の線密度および長い長さを有するショートカットは、処理が困難であることが見出された。5dtex超の線密度を有するショートカットによって、魅力の減った特性を有する紙がもたらされ得る。処理の理由から、ショートカットが、少なくとも0.3dtexの線密度を有することが好ましい場合がある。他方で、より低い線密度を有するショートカットの使用によって、改善された特性を有するセパレータがもたらされることが見出された。したがって、アラミドショートカット繊維が、最大1.1dtex、特に最大0.9dtex、より特に最大0.7dtex、幾つかの実施形態では最大0.55dtexの線密度を有することが好ましい場合がある。
【0025】
ショートカットは、好ましくは、最大10ミクロン、特に最大8ミクロンの直径を有する。
【0026】
ショートカットは、パラアラミドショートカット、メタアラミドショートカット、またはメタアラミドショートカットとパラアラミドショートカットとの混合物であり得る。パラアラミドショートカットの使用が好ましいと考えられる。
【0027】
コア紙は、30~70重量%のアラミドショートカット繊維を含有する。ショートカットの量が30重量%未満である場合、紙の強度および寸法安定性は不十分となってしまう。ショートカットの量が70重量%超である場合、望ましい特性を得るために必要な紙の他の成分の余地が不十分である。コア紙が、30重量%超のショートカット、特に少なくとも32重量%のショートカット、より特に少なくとも35重量%のショートカット、もしくは少なくとも40重量%のショートカット、もしくは少なくとも45重量%のショートカット、および/または最大60重量%のショートカット、特に最大55重量%のショートカットを含有することが好ましい場合がある。
【0028】
本発明のセパレータのコア紙は、5~40重量%、好ましくは10~35重量%のバインダーを含有する。
【0029】
バインダーは、紙をまとめて保持するのに役立てることを意図している。一般に、バインダーはポリマーである。これは、本質的に繊維状であり得るが、樹脂バインダーまたはポリマーバインダーとも呼ばれる非繊維状バインダーも使用され得る。セパレータは高温に達し得るため、温度安定性が重要な特徴である。したがって、バッテリの使用の最中に優勢となる条件下で劣化しないポリマーなどの耐熱性ポリマーの使用が好ましいと考えられる。劣化は、化学的劣化のみならず、物理的劣化も含む。適切な耐熱性ポリマーの例は、ポリアラミド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリアクリル、芳香族ポリエーテル、および耐熱性架橋ポリエステルである。例えば、フェノール樹脂、メラミン、およびエポキシなどをベースとする熱硬化性系も使用され得る。
【0030】
一実施形態では、バインダーは、アラミドフィブリド、アラミドパルプ、ジェット紡糸アラミドフィブリド、ジェット紡糸アラミドパルプ、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される。この群内では、アラミドフィブリド、特にパラアラミドフィブリドの使用が好ましい場合がある。
【0031】
別の実施形態では、バインダーは耐熱性ポリマーであり、特に、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリアクリル、芳香族ポリエーテル、耐熱性架橋ポリエステル、フェノール樹脂、メラミン、およびエポキシの群から選択される耐熱性ポリマーである。バインダーが、耐熱性架橋ポリエステル、例えば、架橋剤としてのヘキサメトキシメチルメラミンを有する耐熱性架橋ポリエステルが好ましい場合がある。
【0032】
本明細書の文脈において、アラミドフィブリドという用語は、小さな、非粒状の、非繊維状の、非剛性のフィルム状の粒子を指す。フィルム状のフィブリド粒子は、ミクロンのオーダーのそれらの3つの次元のうちの2つを有し、1ミクロン未満の1つの次元を有する。一実施形態では、本発明で使用されるフィブリドは、0.2~2mmの範囲の平均長さ、および10~500ミクロンの範囲の平均幅、および0.001~1ミクロンの範囲の平均厚さを有する。一実施形態では、アラミドフィブリドは、40%未満、好ましくは30%未満の微粒子を含み、微粒子は、250ミクロン未満の長さ加重長さ(LL)を有する粒子として定義される。
【0033】
メタアラミドフィブリドは、例えば、米国特許第2,999,788号明細書から周知であるように、ポリマー溶液を凝固液中に剪断沈殿させることによって得ることができる。全芳香族ポリアミド(アラミド)のフィブリドも米国特許第3,756,908号明細書から公知であり、同明細書には、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)(MPIA)フィブリドを調製するための方法が開示されている。パラアラミドフィブリドは、例えば、国際公開第2005/059247号などに記載されているような高剪断プロセスによって得ることができ、このフィブリドは、ジェット紡糸フィブリドとも呼ばれる。
【0034】
パラアラミドフィブリド、メタアラミドフィブリド、またはそれらの組み合わせが使用され得る。アラミドフィブリドが、パラアラミドフィブリド、特に、50~90、好ましくは70~85のショッパー・リーグラー(SR)値を有するパラアラミドフィブリドであることが好ましい。好ましくは、このフィブリドは、10m/g未満、より好ましくは0.5~10m/g、最も好ましくは1~4m/gの比表面積(SSA)を有する。
【0035】
一実施形態では、フィブリドは、少なくとも0.3mm、特に少なくとも0.5mm、より特に少なくとも0.7mmのLL0.25で使用される。一実施形態では、LL0.25は、最大2mm、より特に最大1.5mm、なおより特に最大1.2mmである。LL0.25は、フィブリド粒子の長さ加重長さを表し、0.25mm未満の長さを有する粒子は考慮されない。
【0036】
バインダーは、アラミドパルプまたはアラミドジェット紡糸パルプも含み得る。
【0037】
アラミドパルプは、当技術分野で周知である。アラミドパルプは、例えば0.5~6mmの長さに切断されたアラミド繊維に由来してよく、次いで、より太い茎に結合しているかどうかにかかわらず、繊維を引き離してフィブリルを形成するフィブリル化ステップに供され得る。このタイプのパルプは、例えば0.5~6mmの長さおよび15~85のショッパー・リーグラーによって特徴付けられ得る。幾つかの実施形態では、パルプは、4~20m/gの表面積を有し得る。
【0038】
本明細書の文脈において、パルプという用語は、フィブリル、すなわち、フィブリル化された部分を主に含み、繊維茎をほとんどまたは全く含まない、「パルプ」も包含する。アラミドフィブリルと呼ばれることもあるこのパルプは、例えば国際公開第2004/099476号に記載されているように、溶液から直接紡糸することによって得ることができる。一実施形態では、パルプは、少なくとも100、好ましくは少なくとも150の未乾燥パルプおよび乾燥パルプのCSF(カナダ標準濾水度)の差として表される構造的不規則性を有する。一実施形態では、湿潤相において300ml未満のカナダ標準濾水度(CSF)値と、乾燥後に7m/g未満の比表面積(SSA)と、特に、1.2mm未満、より好ましくは1.0mm未満の、250ミクロン超の長さを有する粒子についての重量加重長さ(WL0.25)とを有するフィブリルが使用される。適切なフィブリルおよびそれらの調製方法は、例えば、国際公開第2005/059211号に記載されている。
【0039】
コア紙は、5~40重量%のバインダーを含有する。バインダーの量が少な過ぎる場合、コア紙の強度は不十分となってしまう。したがって、バインダーの量が、少なくとも10重量%、特に少なくとも15重量%であることが好ましい。他方で、バインダーの量が多過ぎる場合、リチウムイオンの透過率が不十分であり得る。バインダーの量が、最大35重量%、特に最大30重量%、幾つかの実施形態では最大25重量%であることが好ましい場合がある。
【0040】
コア紙は、10~45重量%のPETを含有する。
【0041】
PETは、粒子、フレーク、フィブリド、および繊維のような様々な形態で知られている。驚くべきことに、PETが繊維の形態で製紙プロセスにおいてコア紙に組み込まれる場合、ピンホール減少に関して表される紙の形成が改善される。したがって、これは、本発明の好ましい実施形態である。したがって、コア紙が、10~45重量%のPET繊維を使用して製造されることが好ましい。コア紙中の全てのPETが繊維の形態で提供されることも好ましい。
【0042】
PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維は、例えば米国特許第6411497号明細書から、当技術分野で知られている。一実施形態では、本発明によってコア紙で使用されるPET繊維は、一般に、0.5~25mmの範囲の長さを有する。繊維が長過ぎると、良好な紙特性が与えられない場合があるため、繊維が、最大15mm、特に最大10mm、より特に最大6mmの長さを有することが好ましいと考えられる。繊維が短過ぎると、十分な性能が提供されない場合があるため、繊維が、少なくとも2mm、特に少なくとも3mmの長さを有することが好ましい場合がある。PET繊維は、一般に、0.01~0.20dtexの範囲の線密度を有する。0.01dtex未満の線密度を有する繊維は、得ることが困難であるため、経済的な観点から魅力的ではない。線密度が高過ぎると、繊維の存在に関連する利点が得られず、紙の気孔サイズが大きくなり過ぎてしまう。PET繊維が、最大0.15dtex、特に最大0.1dtexの線密度を有することが好ましい場合がある。また、PET繊維が、少なくとも0.01dtex、特に少なくとも0.03dtexの線密度を有することが好ましい場合がある。
【0043】
PETは、10~45重量%の量でコア紙中に存在する。PETの量が少な過ぎると、その存在に関連する利点が得られなくなってしまう。他方で、PETの量が多過ぎると、より高い温度におけるセパレータの寸法安定性が影響を受ける場合があり、すなわち、より高い温度における収縮のリスクが増加してしまう。PETの量が、少なくとも15重量%、特に少なくとも20重量%、より特に少なくとも30重量%であることが好ましい場合がある。他方で、コア紙中のPETの量が、最大40重量%、特に最大35重量%であることが好ましい場合がある。
【0044】
必要に応じて、コア紙は、紙の強度を増加させることが見出されている0.1~10重量%のポリアミドアミンエピクロロヒドリン(PAE)を含有し得る。ポリアミドアミンエピクロロヒドリン(PAE)ポリマーは、当技術分野で知られており、更なる説明を必要としない。PAE樹脂は、とりわけ、SolenisからKymeneという商標名で市販されている。PAE樹脂は、一般に、少なくとも10,000g/モル、例えば50,000~2,000,000g/モルの範囲の平均分子量を有する。紙中に存在するPAE樹脂の量が、最大8重量%、特に最大5重量%、幾つかの実施形態では最大4.5重量%、最大4.0重量%、または最大3重量%であることが好ましい場合がある。最大2重量%の量も好ましい場合がある。他方で、PAEの量が、少なくとも0.3重量%、特に少なくとも0.5重量%であることが好ましい場合がある。PAEは、使用される場合、製紙プロセスにおける任意の段階で、紙に、例えば、1種以上の出発材料もしくはそれらの混合物の懸濁液に、または最終的な紙に添加され得る。最終的な紙をPAE溶液と接触させることも可能である。
【0045】
本発明で使用されるコア紙は、当技術分野で知られている方法によって製造することができる。一実施形態では、少なくとも幾つかの成分、特に固体繊維成分を含む懸濁液、一般に水性懸濁液を調製し、この懸濁液を、ランダムに織り交ぜられた材料のウェブをスクリーン上に敷くように多孔質スクリーン上に被着する。液体媒体は、例えばプレス加工および/または真空の適用、続いて、紙を作製するための乾燥によってウェブから除去される。一実施形態では、紙の全成分が懸濁液中に提供される。別の実施形態では、幾つかの成分が懸濁液に提供され、更なる成分が紙上に被着される。例えば、ポリマーバインダーは、例えば米国特許第5389716号明細書または米国特許第6838401号明細書に記載されているプロセスに類似して、繊維成分から調製されたランダムに織り交ぜられた材料のウェブに、噴霧またはコーティングによって被着され得る。
【0046】
必要に応じて、乾燥した紙はカレンダー加工ステップに供される。カレンダー加工ステップは、当技術分野で知られている。これは、一般に、任意選択的に高温で紙を一対のロールに通すことを伴う。
【0047】
一実施形態では、紙の製造は熱処理を包含し、紙は、少なくとも175℃、特に少なくとも200℃、より特に少なくとも240℃、なおより特に少なくとも260℃の温度に供される。そのような熱処理は、改善された紙特性、特に、増加した破断力(BF)、増加した破断強さ(BT)、および増加した破断伸び(EaB)のうちの1つ以上をもたらすことが見出された。理論に縛られることを望むものではないが、PETを含有する紙の場合、効果がより顕著であるため、効果がPETの軟化または溶融に関係し得ると思われる。最高温度としては、最大400℃の値が挙げられ得る。この温度を超えると、ポリマーの劣化が起こり得る。一般に、最大350℃、特に最大320℃、より特に最大300℃の温度で十分であろう。熱処理は長い時間を必要としない。一般に、最大2時間の熱処理で十分であろう。使用される設備に応じて、1秒~1時間、特に1秒~30分、より特に1秒~10分、さらにより特に1秒~5分、またはさらに1秒~30秒の範囲の時間が挙げられ得るが、ただし、紙が適切な温度に達することを条件とする。
【0048】
熱処理は、様々な方法を使用して、例えば、オーブン内で、赤外線放射によってホットプレートもしくは加熱ロールを使用して、または熱風を使用して、バッチ式または連続式で実行され得る。方法の組み合わせも適用され得る。
【0049】
ポリマーバインダー、特に架橋性または硬化性ポリマーバインダーが使用される場合、例えば米国特許第6838401号明細書に記載されているものに類似して、部分硬化ステップを製紙直後に行い、完全な硬化を熱処理ステップ/カレンダー加工ステップにおいて行うことが可能である。
【0050】
本発明によるセパレータでは、コア紙の表面の少なくとも片方にコーティング層が設けられている。コーティング層は、耐火性粒子およびコーティングバインダーを含む。紙への被着後に、耐火性粒子はコーティングバインダーと一緒になって、紙構造の一部になり、コーティングバインダーを有する粒子は、部分的にまたは全体として紙構造に埋め込まれる。これは、紙の断面を顕微鏡で見ると分かる。
【0051】
コーティング層は、コーティングバインダーおよび耐火性粒子を含む。耐火性粒子は熱伝導性を示すが、電気的に絶縁性である。コーティング層は、セパレータの表面気孔サイズを縮小することを意図している。さらに、熱伝導性粒子の存在によって、セパレータの上方での熱の良好な放散が保証され、加熱速度、および短時間での過熱のリスクの低下がもたらされる。熱伝導性粒子の存在は、これらが使用の最中にバッテリ内で形成されるHFを捕捉し得るため、Liイオンバッテリの改善された安定性にも寄与し得る。
【0052】
コーティング層は、コア紙の少なくとも片方の表面に被着される。コア紙の両面にコーティング層を設けることが好ましい。
【0053】
耐火性粒子は、バッテリ内で優勢の条件下では、不活性である。これらは、一般に、無機酸化物粒子、無機窒化物粒子、および無機炭化物粒子から選択される。適切な無機酸化物材料は、酸化アルミニウム(例えば、ガンマアルミナ)、オキシ水酸化アルミニウム(例えば、ベーマイト)、ジルコニア、シリカ、チタニア、マグネシアを含む。適切な無機窒化物としては、窒化ホウ素が挙げられ得る。適切な無機炭化物としては、炭化ケイ素が挙げられ得る。アルミナは、適切な熱伝導特性を有し、その一方で、同時に経済的に魅力的であるため、好ましいと考えられる。様々なタイプの粒子の組み合わせも使用され得る。
【0054】
耐火性粒子は、一般に、100~1000nmの範囲、好ましくは200~600nmの間の平均粒子径(本出願の文脈ではd50)を有する。粒子が大き過ぎると、望ましい表面気孔サイズが得られなくなってしまう。粒子が小さ過ぎると、これらは、セパレータの他の特性に干渉し得る。
【0055】
コーティング層は、コーティングバインダーと、耐火性粒子と、一般に1種以上の溶媒と、任意選択的に1種以上の添加剤との混合物を含む組成物として、紙に被着され得る。
【0056】
コーティングバインダーは、粒子をまとめて、これらをコア紙に結合することを意図している。コーティングバインダーは、本質的にポリマーであり、適切なバインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、セルロースナノ繊維またはマイクロ繊維、コポリ(パラフェニレン/4,4’‐ジオキシジフェニレンテレフタルアミド)、コポリ(パラフェニレン/3,4’‐ジオキシジフェニレンテレフタルアミド)、メタフェニレンイソフタルアミド(Teijin Conexの商標名で入手可能なMPIA)、前述のコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。
【0057】
セパレータは、一般に、0.5~20重量%、特に1~10重量%、より特に2.5~8重量%の、コーティングに由来するバインダーを含む。
【0058】
化学的な観点から、紙バインダーおよびコーティングバインダーは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
コーティングバインダーは、溶媒に溶解または分散される。溶媒の性質は、適切な溶解または分散を可能にするために、ポリマーバインダーの性質に依存する。水または有機溶媒が使用され得る。溶媒の性質および特性に応じて、溶媒は、蒸発(水、エタノールなどの揮発性溶媒)によって、または他の手段を通じて、例えば、非溶媒を添加してポリマーを凝固させ、溶媒を洗浄によって除去することによって、系から除去され得る。溶媒の除去は、熱および/または減圧の適用によって加速され得る。
【0060】
適切な有機溶媒の例は、アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセテートなどを含む。更なる適切な溶媒は、DMAc、DMSO、DMF、およびNMPなどの極性非プロトン性溶媒を含む。NMPが好ましいと考えられ得る。
【0061】
コーティングは、当技術分野で知られている方法を使用して、例えば、ローラ、ドクターブレード、スロットダイを使用して、またはその他の適切な方法を通じて被着され得る。
【0062】
別の実施形態では、コーティング層は、酸化物粒子の空間原子層堆積、続いて、一般に溶媒を使用したコーティングバインダーの被着によって提供され得る。
【0063】
本発明のセパレータは、少なくとも一方の面にコーティング層が設けられたコア紙を含む。先に示されるように、コーティング層の被着後に、耐火性粒子は、紙構造の一部になり、粒子は、部分的にまたは全体として紙構造に埋め込まれる。これは、紙の断面を顕微鏡で見ると分かる。
【0064】
一般に、セパレータは、10~60重量%、特に20~55重量%、より特に35~50重量%の耐火性粒子を含有する。
【0065】
本発明によるセパレータについては、以下でさらに論じる。
【0066】
表面気孔の%については、先に述べたことを参照されたい。
【0067】
本発明のセパレータは、概して、5~35g/mの坪量を有する。セパレータが5g/m未満の坪量を有する場合、短絡を防止するためのそのバリア特性が不十分であり得る。他方で、セパレータの坪量が35g/m超である場合、セパレータは、厚過ぎ、かつ重過ぎて、商業的な魅力がなくなってしまう。これらの特性のバランスを取るために、セパレータが少なくとも6g/mの坪量を有することが好ましい場合がある。また、セパレータが、最大25g/m、特に最大20g/m、より特に最大15g/m、幾つかの実施形態では最大10g/mの坪量を有することが好ましい場合がある。
【0068】
本発明のセパレータは、概して、5~35ミクロンの厚さを有する。セパレータが薄過ぎると、そのバリア特性が不十分であり得る。他方で、セパレータが厚過ぎると、これは、商業的な運用にとって魅力的でなくなってしまう。セパレータが少なくとも7ミクロンの厚さを有することが好ましい場合がある。また、セパレータが、最大25ミクロン、特に最大20ミクロン、幾つかの実施形態では最大15ミクロンの厚さを有することが好ましい場合がある。一実施形態では、本発明のセパレータは、40~70%の気孔率を有する。気孔率が低過ぎると、Liイオンを伝導するセパレータの抵抗率が低くなり過ぎて、急速な充放電ができなくなる。セパレータの気孔率が高過ぎると、他の特性が不十分であり得る。本発明によるセパレータの気孔率は、好ましくは少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%である。また、セパレータが、最大65%、より好ましくは最大60%、幾つかの実施形態では最大55%の気孔率を有することが好ましい場合がある。
【0069】
重要な特徴は、セパレータのイオン抵抗率であり、これは、可能な限り良好であることが求められる。ある特定のセパレータ電解質の組み合わせのイオン移動度を特徴付ける重要な数値は、いわゆるマクマリン数であり、これは、電解質で飽和したセパレータの抵抗率と純粋な電解質のものとの比率として定義され、したがって、常に1より大きい。本発明によるセパレータについてのマクマリン数は、好ましくは最大10、特に最大8、より好ましくは最大6である。マクマリン数が、最大5、より特に最大4であることが特に好ましい。
【0070】
セパレータの伝導性を特徴付けるための特に有用なパラメータは、
CPV=ε%/(t*p*MM)
[式中、
ε%=(1-AW/(r*t))*100%、気孔率(%)であり、
r=密度(g/cm
AW=面密度(g/m
p=表面気孔サイズ(μm)
t=厚さ(μm)
MM=マクマリン数]
のように定義される伝導性性能値である。
【0071】
CPVは、セパレータについての幾つかの関連するパラメータを組み合わせる。CPVが、少なくとも0.5、特に少なくとも5、より特に少なくとも10、幾つかの実施形態では少なくとも20であることが好ましい。
【0072】
本発明はまた、本発明のセパレータを含むバッテリセルに関する。本発明によるバッテリセルは、リチウム含有電解質を通じて接続されたリチウム含有カソードとアノードとを含み、アノードおよびカソードは、本明細書に記載されているようなセパレータを通じて互いに分離されている。本発明はまた、先に論じられているような1つ以上のバッテリセルを含むバッテリ、および上記のような1つ以上のバッテリを含むモジュールに関する。
【0073】
本明細書に記載されている様々な好ましい実施形態が、相互に排他的でない限り組み合わせ可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0074】
本発明は、以下の例によって説明されるが、これらに限定されることも、またはこれらによって限定されることもない。
【0075】
実施例
概要
以下の材料を実施例において使用した:
・ 6mmの長さおよび0.55dtexの線密度を有するパラアラミドショートカット繊維
・ 75°超、好ましくは80°超のショッパー・リーグラー(SR)値を有するTeijin Aramid The Netherlandsのパラアラミドフィブリド8016
・ PET繊維:3mmの長さ、0.06dtexの線密度、および約3μmの直径を有するTeijin Frontier JapanのTA04PN
・ パラアラミドパルプ:SR55-60°を有するTeijin Aramid, The Netherlandsの1094
・ CSF50-100を有するTeijin Aramid The Netherlandsのパラアラミドジェット紡糸パルプ8077。
【0076】
コア紙を、従来の湿式敷設プロセスを通じて製造し、様々な構成成分を水性懸濁液中で混合し、続いて、傾斜ワイヤマシンを介した湿式敷設紙プロセスを行った。紙を、120℃でスチールスチールローラを用いて望ましい厚さにカレンダー加工した。熱処理が行われる場合、これは、別途示される。
【0077】
面積重量(Aw)は、ASTM D646に従って決定され得る。厚さおよび引張特性は、各々ISO534およびISO1924-3に従って決定され得る。
【0078】
マクマリン数は、電解質としてのPC/EC/DME(22:8:70重量%)中の0.5MのLiClO4を使用して、FRA32モジュールを有するMetrohmのAutolab PGSTAT204を利用して、RHDアプリケーションノート(https://www.rhd-instruments.de/download/appnotes/application_note_macmullin_no.pdf)の主要手順に従うことによって、25℃で決定され得る。データの取得および分析は、各々Nova2.1およびRelaxISソフトウェアによって実施され得る。接触抵抗の影響を回避するために、マクマリンは、飽和およびスタックされたセパレータの数の関数として、抵抗率の傾きから決定され得る。
【0079】
実施例1:PETの存在の影響
様々な量のパラアラミドパルプ、アラミドショートカット、ジェット紡糸パルプ、ジェット紡糸フィブリド、およびPET繊維を含有する紙を調製した。ピンホールの存在を可能な限り回避する必要があることは明らかであろう。低坪量紙におけるピンホールの出現は、形成の均一性が不十分であることの尺度である。ヒドロキシエチル化デンプン、ポリビニルアルコール、およびカルボキシメチルセルロースのような添加剤の利用を含む、ピンホールの数を減少させるための多くのアプローチがある。しかしながら、これらの物質は、バッテリ性能に悪影響を有する。
【0080】
驚くべきことに、ピンホールの数から分かるように、低力価PET繊維が紙形成を著しく改善することが見出された。
【0081】
本明細書では、ピンホールは、以下の方法を使用して決定される:ピンホールの数を決定するために、Epson Perfection V720 Proスキャナーを画像解析ソフトウェアFiji-ImageJと組み合わせて使用した。紙シートを光学スキャナーのガラス上に置き、黒い背景紙で覆う。画像を以下の設定で撮影する:画像タイプ:16ビット、グレー、最適なスキャンモード、解像度:1200dpi、フォーマット:幅200-高さ200mm。以下の設定で画像解析ソフトウェアによって画像をさらに処理した:スケールを設定して較正:9440ピクセル、距離200、ピクセルアスペクト比11、長さの単位mm、グローバルオン。これによって、47.2ピクセル/mmがもたらされる。測定パラメータ分析では、以下のパラメータを選択した:面積、標準偏差、重心、面積率、楕円近似、フェレ径、小数位:3。反転し、約200mmの直径を有する円形領域を選択した後に、外側の領域をクリアし、閾値を残りの領域で235~255の間に設定した。粒子分析のモジュールは、size:0-infinity、circularity0.00-1.00、show:Outlinesで選択し、Display results、Clear results、およびSummarizeで作動させた。
【0082】
結果は、以下の表に提示されている。
【0083】
【表1】
【0084】
比較1とサンプル1との比較から、アラミドショートカットの一部をPET繊維で置き換えると、先の方法によって決定されるようなピンホールの数の大幅な減少で表されるより良好な紙形成がもたらされる。
【0085】
この現象は、先に列挙されている紙組成に限定されることはない。15~20重量%の低力価PETを含む紙が、他の点では同等の組成を有するPETなしの紙よりも良好な形成を示すことが分かる。
【0086】
実施例2:熱処理の効果
紙に対する熱処理の効果を調べるために、様々な実験を実行した。
【0087】
PETなしの紙に対する効果
20重量%のジェット紡糸パルプと80重量%のショートカット繊維とを含む紙を調製した。紙を250℃での30分間のオーブン内での熱処理に送った。
【0088】
結果は、以下の通りである:
【表2】
【0089】
表から分かるように、熱処理によって、破断力(BF)および破断強さ(BT)のわずかな増加がもたらされる。(AWの変動は、紙組成における不規則性によるものであることに留意されたい)。
【0090】
PETを有する紙に対する効果
20重量%のジェット紡糸パルプと、50重量%のショートカット繊維と、30重量%のPET繊維とを含む紙を調製した。紙を200℃または250℃での30分間のオーブン内での熱処理に送った。結果は、以下の通りである:
【表3】
【0091】
表から分かるように、熱処理、特に250℃での熱処理によって、破断力(BF)、破断強さ(BT)、および破断伸び(EaB)の著しい増加がもたらされる。
【0092】
加熱温度の効果
15重量%のジェット紡糸パルプと、55重量%のショートカット繊維と、30重量%のPET繊維とを含む紙を調製した。紙を250℃または270℃での30分間のオーブン内での熱処理に送った。結果は、以下の通りである:
【表4】
【0093】
表から分かるように、250℃、さらにより顕著には270℃での熱処理によって、破断力(BF)、破断強さ(BT)、および破断伸び(EaB)の著しい増加がもたらされる。
【0094】
更なる紙組成に対する加熱温度の効果
15重量%のジェット紡糸パルプと、60重量%のショートカット繊維と、25重量%のPET繊維とを含む紙を調製した。紙を270℃での30分間のオーブン内での熱処理に送った。結果は、以下の通りである:
【表5】
【0095】
表から分かるように、この組成についても、270℃での熱処理によって、破断力(BF)、破断強さ(BT)、および破断伸び(EaB)の著しい増加がもたらされる。
【0096】
動的条件下での熱処理
15重量%のジェット紡糸パルプと、55重量%のショートカット繊維と、30重量%のPET繊維とを含む紙を調製した。紙は、これをPTFE箔上のホットプレートの上方において異なる温度で3分の滞留時間を伴って0.5m/分で通過させることによる動的条件下での熱処理に送った。
【0097】
結果は、以下の通りである:
【表6】
【0098】
また、同じ紙をIR加熱器による加熱に供した。結果は、以下の通りである:
【表7】
【0099】
また、同じ紙を二重ベルト搬送によってラミネーター内で熱処理した。結果は、以下の通りである:
【表8】
【0100】
また、同じ紙を異なる速度で290℃のホットロールにおいて熱処理した。結果は、以下の通りである:
【表9】
【0101】
実施例3:連続処理を通じた紙のコーティング
以下の組成を有する紙を調製した:30重量%のジェット紡糸フィブリド、26重量%のパラアラミドパルプ、32重量%のアラミドショートカット、および12重量%のPET繊維。この紙を上記のように調製した。
【0102】
様々なコーティング法を使用して、連続操作で紙をコーティングした。水性コーティングは、Alとポリビニルピロリドン(分子量1.3Mg/mol)とを95:5の質量比で含む液体であった。
【0103】
コーティングした紙を、各々85℃、85℃、および95℃に設定された3つの乾燥セクションを有するオーブン内で乾燥させた。
【0104】
様々な特性を決定するために、コーティングした紙を試験した。結果は、以下に提示されている。
【0105】
【表10】
【0106】
全てのサンプルで、コーティング層が設けられた紙の面の表面気孔サイズは、表面気孔の少なくとも95%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有し、表面気孔の少なくとも80%が最大0.3ミクロンの気孔サイズを有するようなものであることが示された。
【0107】
表から分かるように、異なるコーティング法全てによって、良好な特性を有する紙がもたらされる。
【0108】
実施例4:アラミドポリマーを有するコーティング溶液
それぞれ70~95μmの間のギャップを有し、1m/分で操作される連続3ロールコーティングデバイスにおいて、N-メチルピロリドン(4.5重量%)中の81.9重量%のCaCl溶液と、Teijin Aramid製の全ジアミン成分のモルに基づいて50mol%の量の3,4’-オキシジフェニレンジアミンを共重合ジアミン成分として含有する1.8重量%の共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドと、16.3重量%のAlとのコーティング混合物を、30重量%のジェット紡糸フィブリドと、26重量%のパラアラミドパルプと、32重量%のアラミドショートカットと、12重量%のPET繊維とをベースとする紙に被着した。この紙を上記のように調製した。
【0109】
コーティングプロセスの最中に、紙をPET箔(DuPontのMelinex ST504)で支持した。コーティングされた紙を数回の半水浴に通して、NMP/CaClを洗い流すと、ポリマーの固化がもたらされた。洗浄水の終了時の伝導率は、最大9.9μS/cmであり、イオンの良好な除去を示していた。紙を、支持箔から剥がし、各々90℃、100℃、110℃、120℃、120℃に設定された5つの異なる加熱域を含むオーブン内で乾燥させた。
【0110】
結果は、以下の表に提供されている。
【0111】
【表11】
【0112】
全てのサンプルで、コーティング層が設けられた紙の面の表面気孔サイズは、表面気孔の少なくとも95%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有し、表面気孔の少なくとも80%が最大0.3ミクロンの気孔サイズを有するようなものであることが示された。
【0113】
先の表から分かるように、このコーティングを適用することによって、非常に良好な特性を有するセパレータ紙がもたらされる。
【0114】
実施例3および実施例4のコア紙1およびコア紙2を150℃で0.5時間熱処理に供した。紙およびセパレータの収縮率は、各々0.2%および0.4%であり、非常に低く、紙およびセパレータの寸法安定性を示す。
【0115】
実施例5:代替的なバインダー-耐熱性ポリエステル
この実施例では、アラミドショートカット繊維と、PET繊維と、架橋剤としてのヘキサメトキシメチルメラミンを有するポリエステル分散体をベースとするバインダーとを含む紙を調製した。このバインダーは、x結合バインダーとしてさらに示されるであろう。
【0116】
紙は、以下の組成を有していた:
紙A:50重量%のアラミドショートカット繊維、20重量%のPET繊維、および30重量%のx結合バインダー。
紙B:55重量%のアラミドショートカット繊維、20重量%のPET繊維、および25重量%のx結合バインダー。
紙C:55重量%のアラミドショートカット繊維、30重量%のPET繊維、および15重量%のx結合バインダー。
【0117】
紙を、125℃でカレンダー加工し、10m/分でホットロールにおいて290℃で熱処理した。
【0118】
Alと、全ジアミン成分のモルに基づいて50mol%の量の3,4’-オキシジフェニレンジアミンを共重合ジアミン成分として含有する3重量%の共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドの溶液とを、NMP/CaCl(4.5重量%)に溶解させて混合することによって、コーティング組成物を調製した。異なるポリマー/Al比率を適用した。ドクターブレード(DB)またはメイヤーバー(MB)を使用して、紙Aをコーティング組成物でコーティングした。コーティング後に、コーティングした紙をNMP/水=25/75と接触させて、ポリマーを固化させた。紙を脱塩水で洗浄し、95℃で乾燥させた。得られたセパレータの特性は、以下の表に提供されている。
【0119】
【表12】
【0120】
類似したプロセスを通じて紙Bをコーティングした。結果は、以下の表に提示されている。
【0121】
【表13】
【0122】
異なるコーティング組成を調べるために紙Cを使用した。Alと、全ジアミン成分のモルに基づいて50mol%の量の3,4’-オキシジフェニレンジアミンを共重合ジアミン成分として含有する3重量%の共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドの溶液とを、NMP/CaCl(4.5重量%)に溶解させて混合することによって、第1のコーティング組成物を調製した。この第1のコーティングについて、15/85のポリマー/Al比率を適用した。このコーティングを被着して、サンプル10を得た。サンプル11を得るために、アルミナではなくベーマイトを含有する更なるコーティングを調製した。サンプル12を得るために、電極との接着性を改善するためのPVDF(ポリ二フッ化ビニリデン)を含有するコーティングを使用した。面積重量がより高いことから分かるように、より厚いコーティング層を被着したことを除いて、サンプル10と同じコーティングを使用してサンプル13を調製した。
【0123】
100μmの開口を有する接触モードのスロットダイコーティングデバイスを使用したことを除いて、実施例4に記載されているように紙Cをコーティングした。システムを4m/分で操作した。
【0124】
【表14】
【0125】
これらの表、特にCPVから分かるように、良好なセパレータ特性を有する紙が得られた。全てのサンプルで、コーティング層が設けられた紙の面の表面気孔サイズは、表面気孔の少なくとも95%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有し、表面気孔の少なくとも80%が最大0.3ミクロンの気孔サイズを有するようなものであることが示された。
【0126】
図1aは、サンプル11の表面のSEM写真を示す。図1bは、図1aで見ることができるボックスの拡大図を示す。黒い「ホール」は、表面気孔である。表面気孔の直径は、SEM写真から決定することができる。
【0127】
実施例6:代替的なバインダー-アクリレートおよびPVP
異なるバインダー、すなわち、アクリレートバインダー(AkzoNobel Cetabever Blanc 0103、32重量%の固体)およびポリビニルピロリドンバインダー(PVP K60 Ashland、46.5重量%の固体)を使用して紙を調製した。全ての紙は、30重量%のアラミドショートカット、30重量%のPET繊維、および40重量%のバインダー(固形分として計算)を含有していた。
【0128】
紙を以下の通りに調製した。ハンドシートをPET繊維およびアラミドショートカットから調製した。その後、シートを、各々のバインダー組成物で噴霧し、少なくとも6分間105℃で2つのホットプレート間において乾燥させた。シートを支持体ボードから除去し、計量した。最終的な樹脂含有量を達成するために必要に応じて、処理を繰り返した。シートを以下の条件下でカレンダー加工ステップに供する:PVP含有シート:125℃、アクリレート含有シート35℃。次いで、熱処理を3分間270℃で実行した。
【0129】
最終的な紙の特性は、以下の表に提示されている。
【0130】
【表15】
【0131】
無機酸化物としてのアルミナを使用して、実施例5の紙C、サンプル10に被着されたコーティング、すなわち、溶媒としてのNMP/CaCl中の3重量%のコポリマーを使用して、紙をコーティングした。コポリマーとアルミナとの比は、15:85であった。
【0132】
【表16】
【0133】
この実施例は、ポリマーバインダーの使用によって、良好な品質のセパレータ紙の製造も可能になることを示す。どちらのサンプルでも、コーティング層が設けられた紙の面の表面気孔サイズは、表面気孔の少なくとも95%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有し、表面気孔の少なくとも80%が最大0.3ミクロンの気孔サイズを有するようなものであることが示された。
【0134】
実施例7:水ベースのコーティング
55重量%のアラミドショートカット繊維と、30重量%のPET繊維と、15重量%の結合ポリエステルバインダー系とを含む紙を調製した。紙を、125℃でカレンダー加工し、10m/分で285℃にてホットロールにおいて熱処理し、最終的に、100mm幅の紙に細長く切った。
【0135】
以下のコーティング組成物を調製した:
【表17】
【0136】
80mmの幅を有するコーティング層をスロットダイ接触モードコーティングプロセスによって上記の紙上に被着し、続いて、各々80℃および120℃で2つの熱風オーブン内で非接触乾燥を行った。そのようにして得られた紙の特性は、以下の表に提供されている。
【0137】
【表18】
【0138】
コーティング1を2m/分の速度および50ミクロンの厚さで被着した。コーティング2を1m/分の速度および100ミクロンの厚さで被着した。より大きな面積重量から分かるように、わずかにより厚いコーティング層を被着したことを除いて、コーティング3をコーティング2と同じ手法で被着した。
【0139】
表のCPV値から、良好な特性を有するセパレータ紙が得られることが分かる。全てのサンプルで、コーティング層が設けられた紙の面の表面気孔サイズは、表面気孔の少なくとも95%が最大0.5ミクロンの気孔サイズを有し、表面気孔の少なくとも80%が最大0.3ミクロンの気孔サイズを有するようなものであることが示された。
【0140】
実施例8:3種の成分の効果
3種の成分、すなわち、アラミドショートカット、PET、およびバインダーの存在の効果を説明するために、1つの実施例および2つの比較例を用意した。バインダーは、アラミドフィブリドバインダーであった。様々な紙の組成は、以下の表に提供されている:
【表19】
【0141】
PETおよびショートカットを含有するがバインダーは含有しない紙の強度は、低過ぎ、そのため、シートを取り扱うことができなかった。したがって、更なる特性は決定されなかった。
【0142】
実施例1および比較例Aのシートを125℃でのカレンダー加工ステップおよび3分間の270℃での熱処理に供し、その後、更なる特性を決定した。結果は、以下の表にある:
【表20】
【0143】
この表から分かるように、アラミドフィブリドしか含有せずPETを含有しない紙は、同じPET含有量で、はるかにより多い数のピンホールを有する。組成、特にショートカット含有量の違いを鑑みると、実施例1の紙との絶対的な比較はできないことに留意されたい。
図1a
図1b
【国際調査報告】