IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特表2024-537122バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム
<>
  • 特表-バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム 図1
  • 特表-バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム 図2
  • 特表-バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム 図3
  • 特表-バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム 図4
  • 特表-バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム 図5
  • 特表-バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】バッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20241003BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20241003BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20241003BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/389
G01R31/382
H01M10/48 P
H02J7/00 X
H02J7/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520623
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2023001309
(87)【国際公開番号】W WO2023214641
(87)【国際公開日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0055702
(32)【優先日】2022-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジュ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ソン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン・チェ
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BB09
2G216CB47
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA11
5G503CC07
5G503EA09
5G503GD04
5H030AA01
5H030AS20
5H030FF41
(57)【要約】
本発明のバッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステムに関するものであり、本発明のバッテリーシステムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーバンクを複数個含むバッテリ;および外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率を決定し、前記比率と診断基準値とを比較してバッテリーバンクの欠陥を診断する制御部;を含み、前記診断基準値は、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーバンクを含むバッテリーであって、各バッテリーバンクは複数のバッテリーセルを含む、バッテリーと、
外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率を決定し、前記比率と診断基準値とを比較してバッテリーバンクの欠陥を診断する制御部とを含み、
前記診断基準値は、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定される、バッテリーシステム。
【請求項2】
前記診断基準値は、
下記の式によって決定され、
[式]
【数1】
Thは、診断基準値であり、mは、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数であり、nは、mより小さい自然数である、請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記充電モードで、少なくとも一つのバッテリーバンクがフル充電状態(Full charge)に到達する第1診断条件および前記複数のバッテリーバンクのそれぞれの充電状態の変化量が条件基準値以上となる第2診断条件が満たされる場合、
前記複数のバッテリーバンクの欠陥を診断する、請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数のバッテリーバンクに対する複数の第1内部抵抗値に基づいて第1基準抵抗および抵抗偏差を決定し、前記第1基準抵抗および前記抵抗偏差に基づいて第1抵抗区間を決定し、
前記複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が前記第1基準抵抗より小さい複数のバッテリーバンクを複数のターゲットバンクとして決定し、前記複数のターゲットバンクに対する複数の第2内部抵抗値に基づいて第2基準抵抗を決定し、前記第2基準抵抗および前記複数のターゲットバンクのうちの各ターゲットバンクに含まれた複数のバッテリーセルの連結構造に対応する並列偏差に基づいて第2抵抗区間を決定し、
前記複数のバッテリーバンクの中で、内部抵抗値が前記第1抵抗区間および前記第2抵抗区間に属するバッテリーバンクを前記基準バッテリーバンクとして決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーシステム。
【請求項5】
複数のバッテリーバンクを含むバッテリーであって、各バッテリーバンクは複数のバッテリーセルを含む、バッテリーと、
前記複数のバッテリーバンクの内部抵抗に基づいて第1診断バンクを決定し、外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率と診断基準値とを比較して第2診断バンクを決定し、前記複数のバッテリーバンクのうち前記第1診断バンクおよび前記第2診断バンクとして決定されるバッテリーバンクを欠陥のあるバッテリーバンクと診断する制御部とを含み、
前記診断基準値は、
バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定される、バッテリーシステム。
【請求項6】
前記診断基準値は、
下記の式によって決定され、
[式]
【数2】
Thは、診断基準値であり、mは、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数であり、nは、mより小さい自然数である、請求項5に記載のバッテリーシステム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記充電モードで、少なくとも一つのバッテリーバンクがフル充電状態(Full charge)に到達する第1診断条件および前記複数のバッテリーバンクのそれぞれの充電状態の変化量が条件基準値以上となる第2診断条件が満たされる場合、
前記第2診断バンクを決定する、請求項5に記載のバッテリーシステム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記複数のバッテリーバンクに対する複数の第1内部抵抗値に基づいて第1基準抵抗および抵抗偏差を決定し、前記第1基準抵抗および前記抵抗偏差に基づいて第1抵抗区間を決定し、
前記複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が前記第1基準抵抗より小さい複数のバッテリーバンクを複数のターゲットバンクとして決定し、前記複数のターゲットバンクに対する複数の第2内部抵抗値に基づいて第2基準抵抗を決定し、前記第2基準抵抗および前記複数のターゲットバンクのうちの各ターゲットバンクに含まれた複数のバッテリーセルの連結構造に対応する並列偏差に基づいて第2抵抗区間を決定し、
前記複数のバッテリーバンクの中で、内部抵抗値が前記第1抵抗区間または前記第2抵抗区間に属しないバッテリーバンクを前記第1診断バンクとして決定する、請求項5から7のいずれか一項に記載のバッテリーシステム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記複数のバッテリーバンクに対する複数の第1内部抵抗値に基づいて第1基準抵抗および抵抗偏差を決定し、前記第1基準抵抗および前記抵抗偏差に基づいて第1抵抗区間を決定し、
前記複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が前記第1基準抵抗より小さい複数のバッテリーバンクを複数のターゲットバンクとして決定し、前記複数のターゲットバンクに対する複数の第2内部抵抗値に基づいて第2基準抵抗を決定し、前記第2基準抵抗および前記複数のターゲットバンクのうちの各ターゲットバンクに含まれた複数のバッテリーセルの連結構造に対応する並列偏差に基づいて第2抵抗区間を決定し、
前記複数のバッテリーバンクの中で、内部抵抗値が前記第1抵抗区間および前記第2抵抗区間に属するバッテリーバンクを前記基準バッテリーバンクとして決定する、請求項5から7のいずれか一項に記載のバッテリーシステム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記複数の第1内部抵抗値の中央値を前記第1基準抵抗として決定し、
前記第1基準抵抗と前記複数のバッテリーバンクのそれぞれの内部抵抗の間の絶対偏差を決定し、所定のスケール定数を用いて前記絶対偏差を前記抵抗偏差に変換する、請求項8に記載のバッテリーシステム。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第1基準抵抗に前記抵抗偏差を加算して第1上限値を決定し、前記第1基準抵抗から前記抵抗偏差を減算して第1下限値を決定し、前記第1上限値および前記第1下限値に基づいて前記第1抵抗区間を決定する、請求項10に記載のバッテリーシステム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記複数の第2内部抵抗値の平均値を前記第2基準抵抗として決定し、
前記複数のターゲットバンクのうちの各ターゲットバンクに含まれた並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて並列係数を決定し、前記並列係数と前記第2基準抵抗とを乗算して前記並列偏差を決定する、請求項8に記載のバッテリーシステム。
【請求項13】
前記制御部は、
前記第2基準抵抗に前記並列偏差を加算して第2上限値を決定し、
前記第2基準抵抗から前記並列偏差を減算して第2下限値を決定し、
前記第2上限値および前記第2下限値に基づいて前記第2抵抗区間を決定する、請求項12に記載のバッテリーシステム。
【請求項14】
前記複数のバッテリーバンクのそれぞれの両端電圧であるバンク電圧および前記複数のバッテリーバンクのそれぞれに流れる電流であるバンク電流を測定する測定部と、
前記バンク電圧および前記バンク電流のうちの少なくとも一つに基づいて推定される内部抵抗値および充電状態(SOC、State of Charge)を貯蔵する貯蔵部と
をさらに含む、請求項5に記載のバッテリーシステム。
【請求項15】
複数のバッテリーバンクを含むバッテリーであって、各バッテリーバンクは複数のバッテリーセルを含む、バッテリーの欠陥を診断する方法であって、
前記複数のバッテリーバンクの内部抵抗に基づいて第1診断バンクを決定する第1欠陥診断ステップと、
外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率と診断基準値とを比較して第2診断バンクを決定する第2欠陥診断ステップと
前記複数のバッテリーバンクのうち前記第1診断バンクおよび前記第2診断バンクとして決定されるバッテリーバンクを欠陥のあるバッテリーバンクと診断する診断確定ステップとを含み、
前記診断基準値は、
バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定される、バッテリー診断方法。
【請求項16】
前記診断基準値は、
下記の式によって決定され、
[式]
【数3】
Thは、診断基準値であり、mは、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数であり、nは、mより小さい自然数である、請求項15に記載のバッテリー診断方法。
【請求項17】
前記第2欠陥診断ステップは、
前記充電モードで、少なくとも一つのバッテリーバンクがフル充電状態(Full charge)に到達する第1診断条件および前記複数のバッテリーバンクのそれぞれの充電状態の変化量が条件基準値以上となる第2診断条件が満たされる場合、前記第2診断バンクを決定する、請求項15に記載のバッテリー診断方法。
【請求項18】
前記第1欠陥診断ステップは、
前記複数のバッテリーバンクに対する複数の第1内部抵抗値に基づいて第1基準抵抗および抵抗偏差を決定し、前記第1基準抵抗および前記抵抗偏差に基づいて第1抵抗区間を決定するステップと、
前記複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が前記第1基準抵抗より小さい複数のバッテリーバンクを複数のターゲットバンクとして決定し、前記複数のターゲットバンクに対する複数の第2内部抵抗値に基づいて第2基準抵抗を決定し、前記第2基準抵抗および前記複数のターゲットバンクのうちの各ターゲットバンクに含まれた複数のバッテリーセルの連結構造に対応する並列偏差に基づいて第2抵抗区間を決定するステップと、
前記複数のバッテリーバンクのそれぞれの内部抵抗値を前記第1抵抗区間および前記第2抵抗区間と比較して前記第1診断バンクおよび前記基準バッテリーバンクを決定するステップとを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載のバッテリー診断方法。
【請求項19】
前記第1抵抗区間を決定するステップは、
前記複数の第1内部抵抗値の中央値を前記第1基準抵抗として決定し、
前記第1基準抵抗と前記複数のバッテリーバンクのそれぞれの内部抵抗の間の絶対偏差を決定し、所定のスケール定数を用いて前記絶対偏差を前記抵抗偏差に変換する、請求項18に記載のバッテリー診断方法。
【請求項20】
前記第1抵抗区間を決定するステップは、
前記第1基準抵抗に前記抵抗偏差を加算して第1上限値を決定し、前記第1基準抵抗から前記抵抗偏差を減算して第1下限値を決定し、前記第1上限値および前記第1下限値に基づいて前記第1抵抗区間を決定する、請求項19に記載のバッテリー診断方法。
【請求項21】
前記第2抵抗区間を決定するステップは、
前記複数の第2内部抵抗値の平均値を前記第2基準抵抗として決定し、
前記複数のターゲットバンクのうちの各ターゲットバンクに含まれた並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて並列係数を決定し、前記並列係数と前記第2基準抵抗とを乗算して前記並列偏差を決定する、請求項18に記載のバッテリー診断方法。
【請求項22】
前記第2抵抗区間を決定するステップは、
前記第2基準抵抗に前記並列偏差を加算して第2上限値を決定し、
前記第2基準抵抗から前記並列偏差を減算して第2下限値を決定し、
前記第2上限値および前記第2下限値に基づいて前記第2抵抗区間を決定する、請求項21に記載のバッテリー診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年05月04日付の韓国特許出願第10-2022-0055702号に基づいた優先権の利益を主張して、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、内部抵抗および充電状態(SOC,State of Charge)に基づいてバッテリーバンクの状態を診断するバッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯用電話機などのような携帯用電子製品の需要が急激に増大し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化し、繰り返し充放電が可能な高性能バッテリーに対する研究が活発に進められている。
【0004】
現在商品化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあるが、この中でリチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果がほとんど起きないため充放電が自由で、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いメリットがあるため脚光を浴びている。
【0005】
一般に、使用目的によって複数のバッテリーセルを互いに連結したバッテリーが使用される。例えば、容量を増やすために複数のバッテリーセルが並列に連結されたバッテリーバンクを用いるか、出力電圧を高めるために複数のバッテリーセルが直列に連結されたバッテリーバンクを用いることができる。
【0006】
バッテリーバンクの場合、並列に連結されたそれぞれのバッテリーセルをモニタリングするためには費用的な面と構造的な面で困難性がある。一般に、少なくとも一つのバッテリーバンクを含むバッテリーは衝撃に対する安全性を高めるために、簡単に分解および分離できない構造的特徴を有している。したがって、バッテリーバンク内に含まれたバッテリーセルそれぞれの欠陥の有無を診断するには困難性がある。
【0007】
また、このようなバッテリーバンクが複数個が備えられ、一部のバッテリーバンクに含まれた一部のバッテリーセルに欠陥が存在するとき、複数のバッテリーバンク間の容量差によって発生される突入電流によってバッテリーが損傷する恐れがあるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するために案出されたものであって、複数のバッテリーセルを含むバッテリーの状態を精密に診断できるバッテリー診断方法およびその方法を提供するバッテリーシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一特徴に係るバッテリーシステムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーバンクを複数個含むバッテリ;および外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率を決定し、前記比率と診断基準値とを比較してバッテリーバンクの欠陥を診断する制御部;を含み、前記診断基準値は、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定される。
【0010】
本発明の他の特徴に係るバッテリーシステムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーバンクを複数個含むバッテリ;および前記複数のバッテリーバンクの内部抵抗に基づいて第1診断バンクを決定し、外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率と診断基準値とを比較して第2診断バンクを決定し、前記複数のバッテリーバンクのうち前記第1診断バンクおよび前記第2診断バンクとして決定されるバッテリーバンクを欠陥のあるバッテリーバンクと診断する制御部;を含み、前記診断基準値は、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定される。
【0011】
本発明のまた他の特徴に係るバッテリー診断方法は、複数のバッテリーセルを含むバッテリーバンクを複数個含むバッテリーの欠陥を診断する方法であって、前記複数のバッテリーバンクの内部抵抗に基づいて第1診断バンクを決定する第1欠陥診断ステップ;外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率と診断基準値とを比較して第2診断バンクを決定する第2欠陥診断ステップ;および前記複数のバッテリーバンクのうち前記第1診断バンクおよび前記第2診断バンクとして決定されるバッテリーバンクを欠陥のあるバッテリーバンクと診断する診断確定ステップ;を含み、前記診断基準値は、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、バッテリーバンクの欠陥を決定する基準値を固定された値ではなく、並列連結されたバッテリーセルの個数に対応する値に基づいて決定することによって、並列連結されたバッテリーセルを含むバッテリーバンクに対しても精度よく欠陥を診断することができる。
【0013】
本発明は、バッテリーバンクの内部抵抗に基づいて欠陥を診断する第1欠陥診断方法およびバッテリーバンクの充電状態(SOC、State of Charge)に基づいて欠陥を診断する第2欠陥診断方法通じて欠陥のあるバッテリーバンクを最終推定することによって、診断正確度を向上させることができる。
【0014】
本発明は、診断の正確度を向上させ、バッテリーに対する交替周期を精度よく予測することによって、バッテリー交替費用を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施例に係るバッテリーシステムを説明する図面である。
図2】一実施例に係る第1抵抗区間を説明するための例示図である。
図3】一実施例に係る第2抵抗区間を説明するための例示図である。
図4】一実施例に係るバッテリー診断方法を説明するフローチャートである。
図5図4の第1欠陥診断ステップS100を詳細に説明するフローチャートである。
図6図4の第2欠陥診断ステップS200を詳細に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して本明細書に開示された実施例を詳しく説明するが、同一または類似の構成要素には同一または類似の図面番号を付し、これに対する重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」および/または「部」は、明細書作成の容易さだけが考慮されて付与されるか混用されるものであって、それ自体に互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施例を説明するにおいて、関連公知技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を曖昧にする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付の図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであるだけで、添付の図面によって本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0017】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は前記用語によっては限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0018】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか「接続されて」いると言及されるときには、その他の構成要素に直接に連結されているかまたは接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか「直接接続されて」いると言及されるときには、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されなければならない。
【0019】
本出願で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しょうとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0020】
図1は、一実施例に係るバッテリーシステムを説明する図面である。
【0021】
図1を参考にすると、バッテリーシステム1は、バッテリー10、およびBMS20を含む。
【0022】
バッテリー10は、直列および/または並列連結された複数のバッテリーバンクを含んでもよい。バッテリーバンクは、並列連結された複数のバッテリーセルを含んでもよい。バッテリーセルは、負極端子と正極端子とを備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例として、パウチ型リチウムポリマーセルの一つをバッテリーセルと見なすことができる。
【0023】
図1では、バッテリー10が直列連結された3個のバッテリーバンクB1、B2、B3を含み、3個のバッテリーバンクB1、B2、B3のそれぞれは並列連結された3個のバッテリーセルを含むものと示している。しかし、これに限定されず、バッテリー10は並列連結された複数のバッテリーセルを含むバッテリーバンクを複数個含んでもよい。以下、バッテリー10に含まれた複数のバッテリーバンクのそれぞれは、連結構造(直列連結、並列連結)が同一な複数のバッテリーセルを含んでもよい。つまり、以下で説明する並列係数μが同一であってもよい。
【0024】
BMS20は、測定部21、貯蔵部22、および制御部23を含む。図1では、BMS20が、バッテリーシステム1に含まれるものと示されているが、これに限定されるものではなく、バッテリーシステム1の外部に搭載することもできる。また、例えば、BMS20は、バッテリーバンクに対する欠陥診断が必要な多様なシステムに搭載することができ、バッテリー10に対する欠陥診断装置の機能を果たすことができる。
【0025】
測定部21は、複数のバッテリーバンクのそれぞれの両端電圧であるバンク電圧を測定する電圧センサー(図示せず)、および複数のバッテリーバンクのそれぞれに流れる電流であるバンク電流を測定する電流センサー(図示せず)を含んでもよい。測定部21は、測定した結果を制御部23に伝達することができる。
【0026】
複数のバッテリーバンクのそれぞれに対し、測定部21は、バッテリー10の充電が始まる第1時点にバンク電圧V1を測定し、第1時点から所定の時間が経過した第2時点にバンク電圧V2を測定することができる。制御部23は、第1時点および第2時点でそれぞれ測定されたバッテリーバンクの電圧間の電圧差(ΔV=|V1-V2|)を算出することができる。
【0027】
複数のバッテリーバンクのそれぞれに対し、充電モードまたは放電モードで測定部21は、バンク電圧およびバンク電流を測定することができる。このとき、バンク電流は、充電電流または放電電流であってもよい。例えば、充電モードで複数のバッテリーバンクのそれぞれに対し、制御部23は、電圧差(ΔV=|V2-V1|)および充電電流に基づいて内部抵抗を決定することができる。以下では、バッテリーバンクは定電流で充電および/または放電できると仮定する。
【0028】
貯蔵部22は、複数のバッテリーバンクのそれぞれに対し、制御部23がバンク電圧およびバンク電流のうちの少なくとも一つに基づいて推定する内部抵抗値を貯蔵することができる。複数のバッテリーバンクのそれぞれに対し、制御部23がバンク電圧およびバンク電流のうちの少なくとも一つに基づいて推定する充電状態(SOC、State of Charge)を貯蔵することができる。従来知られた多様な方法で、貯蔵部22は、複数のバッテリーバンクのそれぞれに対する内部抵抗値および充電状態SOCを推定することができる。
【0029】
制御部23は、複数のバッテリーバンクの内部抵抗値に基づいて第1診断バンクを決定する第1欠陥診断を行うことができる。制御部23は、複数のバッテリーバンクの充電状態SOCに基づいて第2診断バンクを決定する第2欠陥診断を行うことができる。このとき、第1診断バンクは、第1欠陥診断結果、異常状態と判断されたバッテリーバンクである。第2診断バンクは、第2欠陥診断結果、異常状態と判断されたバッテリーバンクである。一実施例によって、第1欠陥診断で正常状態と判断されたバッテリーバンクは、第2欠陥診断で基準バッテリーバンクとして用いることができる。
【0030】
例えば、制御部23は、第1欠陥診断結果に関係なく、複数のバッテリーバンクの全体に対して第2欠陥診断を行うことができる。他の例を挙げると、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち第1欠陥診断で第1診断バンクとして決定されたバッテリーバンクに対してのみ第2欠陥診断を行うことができる。この場合、第2欠陥診断の診断対象が減って、診断時間を節約することができる。
【0031】
一実施例によって、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち第1診断バンクおよび第2診断バンクとして決定されるバッテリーバンクを欠陥のあるバッテリーバンクと診断することができる。他の実施例によって、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち第2診断バンクとして決定されるバッテリーバンクを欠陥のあるバッテリーバンクと診断することができる。
【0032】
以下、図2および図3を参考にして、第1欠陥診断のための第1抵抗区間および第2抵抗区間決定する方法を詳細に説明する。
【0033】
図2は、一実施例に係る第1抵抗区間を説明するための例示図である。
【0034】
図2を参考にすると、制御部23は、複数のバッテリーバンクに対する複数の第1内部抵抗値に基づいて第1基準抵抗および抵抗偏差を決定し、第1基準抵抗および抵抗偏差に基づいて第1抵抗区間を決定することができる。
【0035】
まず、制御部23は、複数のバッテリーバンクのそれぞれに対する内部抵抗値を、下記の式1に基づいて算出することができる。
【0036】
[式1]
【数1】
ここで、DCIRは、バッテリーバンクの内部抵抗[Ω]であり、Iは、バンク電流[mA]である。△Vは、所定の時間のバッテリーバンクの電圧差[mV]である。iは、バッテリーバンクのそれぞれを識別するインデックスであって、1以上n以下であってもよい。nは、バッテリーシステム1によって状態が診断される複数のバッテリーバンクの総個数であってもよい。
【0037】
例えば、制御部23は、バッテリーバンクに対する第1電圧V1および第2電圧V2の差の値である電圧差(△V=|V2-V1|)を算出することができる。バッテリーバンクに対する充電電流Iの大きさは一定であるので、制御部23は、電圧差△Vとバンク電流Iに基づいて、バッテリーバンクの内部抵抗DCIRを算出することができる。このとき、第1電圧V1は、充電が始まる第1時点で測定されたバンク電圧であり、第2電圧V2は、第1時点から所定の時間が経過した第2時点で測定されたバンク電圧であってもよい。
【0038】
次に、制御部23は、複数のバッテリーバンクに対する複数の内部抵抗の中央値または平均値を第1基準抵抗R1として設定することができる。好ましくは、第1基準抵抗R1は、複数のターゲットバンクの内部抵抗の中央値であってもよい。具体的には、制御部23は、複数のバッテリーバンクの内部抵抗を大きさの順に整列したとき、中央に位置する内部抵抗値を第1基準抵抗R1として設定することができる。
【0039】
次に、制御部23は、第1基準抵抗R1と複数のバッテリーバンクに対する複数の内部抵抗値の中央値絶対偏差(Median absolute deviation、MAD)を算出し、所定のスケール定数を用いて中央値絶対偏差MADを抵抗偏差に変換することができる。
【0040】
例えば、制御部23は、下記の式2を用いて、第1基準抵抗R1と複数のバッテリーバンクの複数の内部抵抗値の中央値絶対偏差MADを算出することができる。
【0041】
[式2]
D = median(|DCIRi-R1|), (1≦i≦n)
ここで、iは、バッテリーバンクのそれぞれを示すインデックスであって、1以上n以下であってもよい。nは、診断対象となる複数のバッテリーバンクの総個数であってもよい。R1は、第1基準抵抗であり、DCIRは、i番目のバッテリーバンクの内部抵抗である。median()は|DCIR-R1|に対する中央値を出力する関数であって、Dは、中央値絶対偏差(以下、絶対偏差と説明する)であってもよい。つまり、Dは、第1基準抵抗R1と複数のバッテリーバンクの内部抵抗DCIR値の間の絶対偏差であってもよい。
【0042】
例えば、制御部23は、下記の式3を用いてスケール定数を算出し、下記の式4を用いて絶対偏差を抵抗偏差に変換することができる。
【0043】
[式3]
【数2】
ここで、Cは、スケール定数であり、erfcinv(a)は、相補誤差逆関数(Inverse complementary error function)であり、aは、定数である。例えば、aが3/2の場合、erfcinv(3/2)は入力値3/2に対する相補誤差逆関数の出力値であってもよい。
【0044】
[式4]
S=D×C
ここで、Sは、変換された抵抗偏差であり、Dは、式2に係る絶対偏差であり、Cは、式3に係るスケール定数である。
【0045】
次に、制御部23は、第1基準抵抗R1および抵抗偏差Sに基づいて第1抵抗区間を決定することができる。
【0046】
具体的には、図2を参考にすると、制御部23は、第1基準抵抗R1に抵抗偏差Sを加算して第1上限値U1を算出することができる。つまり、制御部23は、「R1+S」を計算して第1上限値U1を算出することができる。また、制御部23は、第1基準抵抗R1に抵抗偏差を減算して第1下限値L1を算出することができる。つまり、制御部23は、「R1-S」を計算して第1下限値L1を算出することができる。
【0047】
図2を参考にすると、Y軸は、内部抵抗[Ω]を示し、X軸は、バッテリーバンクの一連番号であってもよい。つまり、X軸の値は、内部抵抗値とは独立した値であって、複数のバッテリーバンクのそれぞれを識別できる印字であれば制限されることなく適用することができる。
【0048】
例えば、第1基準抵抗R1を中心として対称的に第1下限値L1および第1上限値U1が設定されてもよい。第1下限値L1から第1上限値U1までの抵抗区間が第1抵抗区間として設定されてもよい。そして、図2の実施例で、複数のバッテリーバンクのそれぞれの内部抵抗値はすべて第1抵抗区間内に含まれてもよい。
【0049】
図3は、一実施例に係る第2抵抗区間を説明するための例示図である。
【0050】
図3を参考にすると、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が、第1基準抵抗R1より小さい複数のバッテリーバンクを複数のターゲットバンクとして決定することができる。制御部23は、複数のターゲットバンクに対する複数の第2内部抵抗値に基づいて第2基準抵抗R2を決定することができる。制御部23は、第2基準抵抗R2および並列偏差に基づいて第2抵抗区間を決定することができる。このとき、並列偏差Pは、ターゲットバンクに含まれた複数のバッテリーセルの連結構造に対応する値であってもよい。
【0051】
まず、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が、第1基準抵抗R1より小さい複数のバッテリーバンクを複数のターゲットバンクとして決定することができる。
【0052】
第1基準抵抗R1は、複数のバッテリーバンクの中央値または平均値を適用することができる。第1基準抵抗R1が複数のバッテリーバンクの内部抵抗値の平均値の場合、内部抵抗値が平均以下であるバッテリーバンクをターゲットバンクとして選択することができる。逆に、第1基準抵抗R1が複数のバッテリーバンクの内部抵抗値の中央値の場合、内部抵抗値が下位50%に属するバッテリーバンクをターゲットバンクとして選択することができる。
【0053】
次に、制御部23は、複数のターゲットバンクに対する複数の第2内部抵抗値に基づいて第2基準抵抗R2を決定することができる。
【0054】
第2基準抵抗R2は、複数のターゲットバンクの内部抵抗値を代表する値であって、中央値または平均値などを適用することができる。好ましくは、第2基準抵抗R2は、複数のターゲットバンクの複数の内部抵抗値の平均値であってもよい。
【0055】
次に、制御部23は、並列連結個数から並列係数μを算出し、並列係数μと第2基準抵抗R2とを乗算して並列偏差Pを算出することができる。
【0056】
例えば、制御部23は、下記の式5を用いて並列係数を算出することができる。ここで、μは、並列係数であり、mは、並列連結個数である。bは、定数であって、例えば、0または1であってもよい。つまり、並列係数μは、並列連結個数mの逆数と関連する。
【0057】
[式5]
【数3】
例えば、制御部23は、下記の式6を用いて並列偏差Pを算出することができる。ここで、Pは、並列偏差であり、R2は、第2基準抵抗であり、μは、数式5による並列係数である。
【0058】
[式6]
P = R2 × μ
次に、制御部23は、第2基準抵抗R2および並列偏差Pに基づいて第2抵抗区間を決定することができる。
【0059】
具体的には、制御部23は、第2基準抵抗R2に並列偏差Pを加算して第2上限値U2を算出することができる。つまり、制御部23は、「R2+P」を計算して第2上限値U2を算出することができる。制御部23は、第2基準抵抗R2から並列偏差Pを減算して第2下限値L2を算出することができる。つまり、制御部23は、「R2-P」を計算して第2下限値L2を算出することができる。
【0060】
図3を参考にすると、Y軸は、内部抵抗[Ω]を示し、X軸は、バッテリーバンクの一連番号であってもよい。つまり、X軸の値は、内部抵抗とは独立した値であって、複数のバッテリーバンクのそれぞれを識別できる印字であれば制限されることなく適用することができる。具体的には、図2および図3の実施例で示された複数のバッテリーバンクは同一であってもよい。
【0061】
例えば、第2基準抵抗R2を中心として対称的に第2下限値L2および第2上限値U2が設定されてもよい。第2下限値L2から第2上限値U2までの抵抗区間が第2抵抗区間として設定されてもよい。
【0062】
制御部23は、第1抵抗区間と第2抵抗区間のうちのいずれか一つだけを考慮せず、第1抵抗区間と第2抵抗区間とをすべて考慮して第1診断バンクを決定することができる。
【0063】
好ましくは、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が、第1抵抗区間および第2抵抗区間にすべて属するバッテリーバンクを正常状態と判断することができる。制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗が第1抵抗区間または第2抵抗区間に属しないバッテリーバンクを異常状態と判断し、第1診断バンクとして決定することができる。一実施例によって、第1欠陥診断で正常状態と判断されたバッテリーバンクは、第2欠陥診断で基準バッテリーバンクとして用いることができる。
【0064】
例えば、図2を参照すると、複数のバッテリーバンクのうち第1バッテリーバンクB1および第2バッテリーバンクB2の内部抵抗値が、第1抵抗区間内に含まれてもよい。しかし、図3を参考にすると、第1バッテリーバンクB1および第2バッテリーバンクB2の内部抵抗値が、第2抵抗区間内に含まれなくてもよい。このとき、制御部23は、第1バッテリーバンクB1および第2バッテリーバンクB2を第1診断バンクとして決定し、以降充電状態SOCに基づいて欠陥の有無を追加診断することができる。
【0065】
図4は、一実施例に係るバッテリー診断方法を説明するフローチャートであり、図5は、図4の第1欠陥診断ステップS100を詳細に説明するフローチャートであり、図6は、図4の第2欠陥診断ステップS200を詳細に説明するフローチャートである。
【0066】
以下、図1ないし図6に基づいて、複数のバッテリーバンクの欠陥を診断する方法およびその方法を提供するバッテリーシステムを説明する。
【0067】
図4を参考にすると、まず、制御部23は、内部抵抗DCIRに基づいて複数のバッテリーバンクに対する第1欠陥診断を行う(S100)。
【0068】
S100ステップで、図5を参考にすると、制御部23は、複数のバッテリーバンクに対する複数の第1内部抵抗値に基づいて第1基準抵抗および抵抗偏差を決定し、第1基準抵抗および抵抗偏差に基づいて第1抵抗区間を決定する(S110)。
【0069】
例えば、制御部23は、複数のバッテリーバンクに対する複数の内部抵抗値の中央値を第1基準抵抗R1として設定することができる。制御部23は、前記式2を用いて第1基準抵抗R1と複数のバッテリーバンクの内部抵抗値の間の中央値絶対偏差(Median absolute deviation、MAD)を算出することができる。制御部23は、前記式3を用いて所定のスケール定数を決定し、前記式4を用いて中央値絶対偏差MADを抵抗偏差Sに変換することができる。
【0070】
制御部23は、第1基準抵抗R1に抵抗偏差Sを加算して第1上限値U1を算出することができる。制御部23は、第1基準抵抗R1から抵抗偏差Sを減算して第1下限値L1を算出することができる。図2を参考にすると、制御部23は、第1下限値L1から第1上限値U1までの抵抗区間を第1抵抗区間として決定することができる。
【0071】
S100ステップで、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が、第1基準抵抗R1より小さい複数のバッテリーバンクを複数のターゲットバンクとして決定し、複数のターゲットバンクに対する複数の第2内部抵抗値に基づいて第2基準抵抗R2を決定し、第2基準抵抗R2および並列偏差に基づいて第2抵抗区間を決定する(S130)。
【0072】
例えば、制御部23は、第1基準抵抗R1が複数のバッテリーバンクの内部抵抗の中央値の場合、内部抵抗値が下位50%に属するバッテリーバンクをターゲットバンクとして選択することができる。
【0073】
制御部23は、複数のターゲットバンクの内部抵抗値の平均値を第2基準抵抗R2として決定することができる。また、制御部23は、並列連結個数mから並列係数μを算出し、並列係数μと第2基準抵抗R2とを乗算して並列偏差Pを算出することができる。例えば、制御部23は、前記式5を用いて並列係数μを算出し、前記式6を用いて並列偏差Pを算出することができる。このとき、並列偏差Pは、ターゲットバンクに含まれた複数のバッテリーセルの連結構造に対応する値であってもよい。
【0074】
制御部23は、第2基準抵抗R2に並列偏差Pを加算して第2上限値U2を算出することができる。制御部23は、第2基準抵抗R2から並列偏差Pを減算して第2下限値L2を算出することができる。図3を参考にすると、制御部23は、第2下限値L2から第2上限値U2までの抵抗区間を第2抵抗区間として決定することができる。
【0075】
S100ステップで、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち内部抵抗値が、第1抵抗区間または第2抵抗区間に属しないバッテリーバンクを第1診断バンクとして決定する(S150)。
【0076】
例えば、図2を参照すると、複数のバッテリーバンクのうち第1バッテリーバンクB1および第2バッテリーバンクB2の内部抵抗値が、第1抵抗区間内に含まれてもよい。しかし、図3を参考にすると、第1バッテリーバンクB1および第2バッテリーバンクB2の内部抵抗が第2抵抗区間内に含まれなくてもよい。このとき、制御部23は、第1バッテリーバンクB1および第2バッテリーバンクB2を第1診断バンクとして決定することができる。
【0077】
次に、制御部23は、複数のバッテリーバンクの充電状態SOCに基づいてバッテリーバンクに対する第2欠陥診断を行う(S200)。
【0078】
一実施例によって、制御部23は、第1診断バンクに対して第2欠陥診断を行うことができる。他の実施例によって、制御部23は、複数のバッテリーバンクに対して第2欠陥診断を行うことができる。
【0079】
図6を参考にすると、S200ステップで、制御部23は、所定の条件が満足すると外部装置の電力でバッテリー10を充電する充電モードを行う(S210)。
【0080】
例えば、バッテリー使用区間を充電状態SOCの20%以上80%未満に設定した場合、制御部23は、バッテリー10の充電状態SOCが20%に到達すると、充電モードを実行することができる。
【0081】
S200ステップで、制御部23は、バッテリー10に含まれた複数のバッテリーバンクのうち充電状態SOCがフル充電状態(Full charge)に到達したバッテリーバンクが少なくとも一つ存在する第1診断条件を満足するか否かを判断する(S230)。
【0082】
外部装置の電力で前記バッテリーを充電する充電モードで所定の診断条件が満たされる場合、制御部23は、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量ΔSOC1に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量ΔSOC2の比率(ΔSOC2/ΔSOC1)を決定し、決定された比率を診断基準値と比較して第2診断バンクを決定する第2欠陥診断を行うことができる。
【0083】
例えば、バッテリー使用区間を充電状態SOCの20%以上80%未満に設定した場合、制御部23は、バッテリー10に含まれた複数のバッテリーバンクのうち充電状態SOCが80%に到達したバッテリーバンクが少なくとも一つ存在すると、フル充電状態(Full charge)に到達したバッテリーバンクが存在するものと判断することができる。つまり、フル充電状態(Full charge)は既に設定されたバッテリーの使用区間によって決定することができる。
【0084】
S200ステップで、判断結果、第1診断条件が満たされる場合(S230、Yes)、制御部23は、複数のバッテリーバンクの充電状態変化量が条件基準値以上である第2診断条件を満足するか否かを判断する(S250)。
【0085】
例えば、条件基準値を45%と仮定する。充電開始時点を基準に複数のバッテリーバンクの充電状態変化量、つまり、充電状態増加量が45%を満足する場合、制御部23は、第2診断条件を満足するものと判断することができる。
【0086】
他の例を挙げると、充電モードが行われる中で、所定の時点で、第1バッテリーバンクB1の充電状態が20%から80%にフル充電(ΔSOC=60%)され、第2バッテリーバンクB2の充電状態が25%から70%に充電され(ΔSOC=45%)、第3バッテリーバンクB3の充電状態が25%から72%に充電され(ΔSOC=47%)、第4バッテリーバンクB4の充電状態が25%から70%に充電され(ΔSOC=45%)、第5バッテリーバンクB5の充電状態が20%から70%に充電(ΔSOC=50%)されたと仮定する。制御部23は、第1バッテリーバンクB1がフル充電サンテ(SOC=80%)に到達して第1診断条件を満足するものと判断し、第1ないし第5バッテリーバンクB1、B2、B3、B4、B5のそれぞれの充電状態変化量(ΔSOC1-5=60%、45%、47%、45%、50%)が条件基準値(45%)以上であって第2診断条件を満足するものと判断することができる。つまり、制御部23は、第1診断条件および第2診断条件を満足するものと判断することができる。
【0087】
S200ステップで、判断結果、第2診断条件が満たされる場合(S250、Yes)、制御部23は、基準バッテリーバンクの第1充電状態変化量に対するバッテリーバンクの第2充電状態変化量の比率を決定し、前記比率と診断基準値とを比較して第2診断バンクを決定する(S270)。
【0088】
基準バッテリーバンクは、正常状態と診断されたバッテリーバンクまたは使用履歴のない新規のバッテリーバンクとして決定することができる。一実施例によって、基準バッテリーバンクは、第1欠陥診断ステップで正常状態と判断されたバッテリーバンクであってもよい。例えば、第1欠陥診断ステップで正常状態と判断されたバッテリーバンクが複数の場合、制御部23は、第2欠陥診断ステップで算出された充電状態変化量ΔSOCが最も小さいバッテリーバンクを基準バッテリーバンクとして決定することができる。しかし、これに限定されるものではなく、制御部23は、第1欠陥診断で正常状態と判断された複数のバッテリーバンクのうちのいずれか一つを基準バッテリーバンクとして決定することができる。
【0089】
例えば、バッテリー10は、第1ないし第5バッテリーバンクB1~B5を含み、第1欠陥診断ステップで第1および第2バッテリーバンクB1、B2は異常状態に対応する第1診断バンクと診断され、第3ないし第5バッテリーバンクB3、B4、B5が正常状態と診断されたと仮定する。第2欠陥診断ステップで、第3ないし第5バッテリーバンクB3、B4、B5のそれぞれの充電状態変化量ΔSOC1-3が47%、45%、50%と仮定すると、制御部23は、充電状態変化量が最も小さい第4バッテリーバンクB4を基準バッテリーバンクとして決定することができる。
【0090】
診断基準値は、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数に基づいて決定することができる。例えば、診断基準値は、下記の式7によって決定することができる。
【0091】
[式7]
【数4】
ここで、Thは、診断基準値であり、mは、バッテリーバンク内に並列連結されたバッテリーセルの個数であり、nは、mより小さい自然数である。
【0092】
例えば、バッテリーセルが一つでも欠陥がある場合を診断しようとするとき、nは、1に設定することができる。他の例を挙げると、二個以上のバッテリーセルが欠陥がある場合に欠陥のあるバッテリーセルが存在するものと診断しようとするとき、nは、2に設定することができる。つまり、欠陥のある少なくとも一つのバッテリーセルを含むバッテリーバンクを検出しようとするとき、前記式1で、nは、1に設定することができる。以下、mは、5であり、nは、1と仮定する。この場合、診断基準値Thは1.25に決定することができる。
【0093】
例えば、基準バッテリーバンクの充電状態が25%から70%に変わり、第1バッテリーバンクB1の充電状態が20%から80%に変わったと仮定する。基準バッテリーバンクの充電状態変化量である第1充電状態変化量(45%=70%-25%)に対する第1バッテリーバンクの充電状態変化量である第2充電状態変化量(60%=80%-20%)の比率(1.33=60%/45%)が、診断基準値(Th=1.25)以上であることに基づいて、制御部23は、第1バッテリーバンクB1を第2診断バンクとして決定することができる。
【0094】
次に、制御部23は、複数のバッテリーバンクのうち第1診断バンクおよび第2診断バンクとして決定されるバッテリーバンクを欠陥のあるバッテリーバンクと診断する(S300)。
【0095】
一実施例によって、バッテリーバンクの内部抵抗に基づいて欠陥を診断する第1欠陥診断方法およびバッテリーバンクの充電状態(SOC、State of Charge)に基づいて欠陥を診断する第2欠陥診断方法を通じて欠陥のあるバッテリーバンクを最終診断することによって、診断正確度を向上させることができる。
【0096】
他の実施例によって、制御部23は、バッテリーバンクの充電状態(SOC、State of Charge)に基づいて欠陥を診断する第2欠陥診断方法だけで欠陥のあるバッテリーバンクを診断することができる。このとき、制御部23は、先に説明した第1欠陥診断方法で基準バッテリーバンクを決定し、基準バッテリーバンクとバッテリーバンクの充電状態変化量の比率に基づいて第2診断バンクを決定することができる。第2診断バンクは、欠陥のあるバッテリーバンクであってもよい。
【0097】
以上で本発明の実施例に対して詳細に説明しているが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も、本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0098】
10 バッテリー
21 測定部
22 貯蔵部
23 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】