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特表2024-537132心電図(ECG)データを再構成する為の方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】心電図(ECG)データを再構成する為の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/327 20210101AFI20241003BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B5/327
A61B5/332
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520678
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022077601
(87)【国際公開番号】W WO2023060119
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】17/948,099
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/494,806
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521497006
【氏名又は名称】ハートビーム,インク.
【氏名又は名称原語表記】HEARTBEAM,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ビリセヴ,ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ボジョビック,ボスコ
(72)【発明者】
【氏名】ハジェヴスキー,リュプコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァジェディック,ブラニスラブ
(72)【発明者】
【氏名】アタナソスキ,ヴラディミル
(72)【発明者】
【氏名】ジリゴリク,ゴラン
(72)【発明者】
【氏名】ミレティク,マルジャン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127FF07
4C127GG09
4C127GG10
4C127GG13
(57)【要約】
3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータセットを合成(生成)するシステム及び装置。特に、特定の速度と精度で12点誘導ECGデータを生成する為に3点誘導ECGデータセットに適用されてもよい1つ以上の変換パラメータが決定されてもよい。複数の行列を含む変換パラメータは、同期された患者の12点誘導ECGデータセットと3点誘導ECGデータから決定されてもよい。12点誘導ECGデータセットは、3点誘導ECGデータとは異なる時間に収集されてもよい。幾つかの実施形態では、変換パラメータを決定する前に、12点誘導ECGデータセット及び/又は3点誘導ECGデータセットを再サンプリングしてもよい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図(ECG)データを合成する方法であって、
患者から記録された現在の3点誘導ECGデータを受信する工程であって、前記現在の3点誘導ECGデータは、3つの直交又は擬似直交誘導を含む工程と、
線形変換パラメータのセットを適用することにより前記現在の3点誘導ECGデータから導出された12点誘導ECGデータセットを生成する工程であって、前記線形変換パラメータのセットは、第1の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の12点誘導ECGデータセットと、前記第1の以前の収集時間とは異なる第2の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の3点誘導ECGデータセットとに少なくとも部分的に基づいて決定され、前記以前の3点誘導ECGデータセット及び前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより、前記以前の3点誘導ECGデータセットが前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期され、前記線形変換パラメータのセットが、前記以前の3点誘導ECGデータセットから前記以前の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含み、前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の12点誘導ECGデータセット及び前記以前の3点誘導ECGデータセットの少なくとも一方を更に再サンプリングすることにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される工程と、
導出された前記12点誘導ECGデータセットを出力する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記導出された12点誘導ECGデータセットを生成する工程は、前記以前の12点誘導ECGデータセット及び前記以前の3点誘導ECGデータセットの各誘導をセグメント化する工程であって、前記線形変換パラメータのセットが、前記以前の3点誘導ECGデータセットのセグメントから前記以前の12点誘導ECGデータセットのセグメントを合成する変換行列のセットを含む工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットとの相互相関を更に決定することにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の12点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴と前記以前の3点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴とを更に整合させることにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再サンプリングは周波数領域で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記以前の3点誘導ECGデータセットは、複数の心拍からの中央心拍又は平均心拍に基づき前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について前記代表心拍を更に決定することにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの夫々から中央心拍を選択することで、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について前記代表心拍を更に決定することにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記導出された12点誘導ECGデータセットを出力する工程は、前記導出された12点誘導ECGデータセットを表示する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記3点誘導ECGの誘導は直交又は擬似直交である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
心電図(ECG)データを生成する方法であって、
患者から記録された現在の3点誘導ECGデータを受信する工程であって、前記現在の3点誘導ECGデータは、3つの直交又は擬似直交誘導を含む工程と、
線形変換パラメータのセットを適用することにより、前記現在の3点誘導ECGデータから導出された12点誘導ECGデータセットを生成する工程であって、前記線形変換パラメータのセットは、第1の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の12点誘導ECGデータセットと、前記第1の以前の収集時間とは異なる第2の以前の収集時間に直交又は擬似直交誘導を用いて前記患者から記録された以前の3点誘導ECGデータセットとに少なくとも部分的に基づいて決定され、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより前記以前の3点誘導ECGデータセットが前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される工程と、前記以前の12点誘導ECGデータセットと前記以前の3点誘導ECGデータセットの各誘導をセグメント化する工程であって、前記線形変換パラメータのセットが、前記以前の12点誘導ECGデータセットのセグメントを前記以前の3点誘導ECGデータセットのセグメントから合成する変換行列のセットを含み、前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の12点誘導ECGデータセット及び前記以前の3点誘導ECGデータセットの少なくとも一方を更に再サンプリングすることにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される工程と、
前記導出された12点誘導ECGデータセットを出力する工程と、
を含む方法。
【請求項11】
心電図(ECG)システムであって、
患者から現在の3点誘導ECGデータセットを記録するように構成された携帯型ECG装置と、
命令を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体と、を備え、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
第1のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の12点誘導ECGデータセットにアクセスすることと、
前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の3点誘導ECGデータセットにアクセスすることと、
前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて、12点誘導ECGデータセットを合成する為の線形変換パラメータのセットを決定し、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットについて代表心拍を決定することで前記第1の3点誘導ECGデータセットが前記第1の12点誘導ECGデータセットに同期され、前記線形変換パラメータのセットは前記第1の3点誘導ECGデータセットから前記第1の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含むことと、
前記携帯型ECG装置から前記現在の3点誘導ECGデータセットを受信することと、
前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて、前記現在の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成することと、
前記第1の3点誘導ECGデータセットを前記第1の12点誘導ECGデータセットに同期し、前記同期は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの少なくとも一方の再サンプリングを含むことと、
前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力することと、
を含む動作を実行させる、システム。
【請求項12】
前記同期は、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータとの間の相互相関の決定を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記同期は、前記第1の12点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴と前記第1の3点誘導ECGデータのQRS群の特徴との整合を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記再サンプリングは周波数領域で行われる、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記同期は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットについて代表心拍を決定することを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記代表心拍の決定は、複数の心拍に基づく前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの夫々の平均値又は中央値の決定を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記代表心拍の決定は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの夫々から中央心拍を選択することを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、更に、
前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの夫々の誘導をセグメント化し、
前記第1の3点誘導ECGデータセットのセグメントから前記第1の12点誘導ECGデータセットのセグメントを合成する為に変換行列のセットを決定する
ように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、更に、前記第2の12点誘導ECGデータセットに基づき表示データセットを生成するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の3点誘導ECGデータセットの誘導は直交又は擬似直交である、請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
第1のデータセット収集時間に関連付けられた患者の為の第1の12点誘導ECGデータセットを受信することと、
前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の3点誘導ECGデータセットを受信することと、
前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて線形変換パラメータのセットを決定することであって、前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセット及び前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期され、前記線形変換パラメータのセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットから前記第1の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含むことと、
前記患者に対応する第2の3点誘導ECGデータセットを受信することと、
前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成することと、
第1の3点誘導ECGデータセットを第1の12点誘導ECGデータと同期させることであって、前記同期させることは、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの少なくとも一方を再サンプリングすることを含むことと、
前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力することと、
を含む動作を実行させる命令を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
12点誘導心電図(ECG)データを合成する方法であって、
第1のデータセット収集時間に関連付けられた患者の第1の12点誘導ECGデータセットを受信する工程と、
前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の第1の3点誘導ECGデータセットを受信する工程と、
前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて第2の12点誘導ECGデータセットを合成する為の線形変換パラメータのセットを決定する工程と、
前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて第3の収集時間に関連付けられた第2の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成する工程と、
を含む、方法。
【請求項23】
前記第2のデータセット収集時間は、前記第1のデータセット収集時間から1時間超離れている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のデータセット収集時間は、前記第1のデータセット収集時間から1日超離れている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、3つの直交又は擬似直交誘導を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の3点誘導ECGデータセット及び前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより、前記第1の3点誘導ECGデータセットが前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの少なくとも一方を更に再サンプリングすることにより、前記第2の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記再サンプリングは周波数領域で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットとの相互相関を更に決定することにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の12点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴と前記第1の3点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴とを更に整合させることにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、複数の心拍からの中央心拍又は平均心拍に基づき前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を更に決定することにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットの夫々について中央心拍を選択することで、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を更に決定することにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記線形変換パラメータのセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットから前記第1の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力する工程を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力する工程は、前記第2の12点誘導ECGデータセットを表示する工程を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
心電図(ECG)システムであって、
患者から現在の3点誘導ECGデータセットを記録するように構成された携帯型ECG装置と、
命令を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体と、を備え、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
第1のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の12点誘導ECGデータセットを受信することと、
前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の3点誘導ECGデータセットを受信することと、
前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて、第2の12点誘導ECGデータセットを合成する為の線形変換パラメータのセットを決定することと、
前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて、第3の収集時間に関連付けられた第2の3点誘導ECGデータセットから前記第2の12点誘導ECGデータセットを合成することと、
前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力することと、
を含む動作を実行させる、システム。
【請求項37】
前記第2のデータセット収集時間は、前記第1のデータセット収集時間から1時間超離れている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第2のデータセット収集時間は、前記第1のデータセット収集時間から1日超離れている、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、3つの直交又は擬似直交誘導を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの少なくとも一方を更に再サンプリングすることにより、前記第2の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項36に記載のシステム。
【請求項42】
前記再サンプリングは周波数領域で行われる、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットとの相互相関を更に決定することにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項36に記載のシステム。
【請求項44】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の12点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴と前記第1の3点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴とを更に整合させることにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項36に記載のシステム。
【請求項45】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、複数の心拍からの中央心拍又は平均心拍に基づき前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を更に決定することにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項36に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットの夫々について中央心拍を選択することで、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を更に決定することにより、前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期される、請求項36に記載のシステム。
【請求項47】
前記線形変換パラメータのセットが、前記第1の3点誘導ECGデータセットから前記第1の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項48】
前記命令は、前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力するように更に構成される、請求項36に記載のシステム。
【請求項49】
前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力することは、前記第2の12点誘導ECGデータセットを表示することを含む、請求項48に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月5日に出願された、「心電図(ECG)データを再構成する為の方法及び装置(METHOD AND APPARATUS FOR RECONSTRUCTING ELECTROCARDIOGRAM (ECG) DATA)」と題する米国特許出願第17/494,806号(現在の米国特許第11,445,963号)の継続出願としての優先権を主張する、2022年9月19日に出願された「心電図(ECG)データを再構成する為の方法及び装置(METHOD AND APPARATUS FOR RECONSTRUCTING ELECTROCARDIOGRAM (ECG) DATA)」と題する米国特許出願第17/948,099号に対する優先権を主張するものであり、これらの各特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による組み込み
本明細書で言及されている全ての公報及び特許出願は、個々の公報又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度まで、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本明細書では、心電図表示データを生成する為の方法及び装置について説明する。より詳細には、本明細書では、取り込まれた3点誘導ECGデータに基づいて12点誘導ECG表示データセットを生成する為の方法及び装置(装置及びシステム)について説明する。
【背景技術】
【0004】
急性心筋梗塞(AMI、心臓発作とも呼ばれる)は、先進国では依然として主要な死因である。AMI診断の為の正確で費用効果の高い解決策を見つけることは極めて重要である。AMIに罹患した患者の生存は、治療の遅れ、特に症状発現から医学的な治療までの時間の短縮に決定的に依存している。AMIの症状発生後早期に、例えば患者の自宅、又は患者がどこにいてもAMIの診断を可能にする技術は、AMIによる死亡率を著しく低下させる可能性がある。
【0005】
12点誘導心電図(ECG)は、心臓診断で広く採用されているツールである。一般に、ECGデータセットが取り込まれる前に、患者の身体上の特徴的な点が特定され、これらの点を基準として電極が配置される。ECGデータセットの取り込み中、2つ以上の電極間の電圧が測定され、対応するECG信号がECG誘導と呼ばれる。従来の12点誘導ECGでは、10個の電極を使用して12個のECG信号又は誘導を生成する。
【0006】
AMIやその他の心臓疾患の治療における最近の進歩には、携帯型ECG装置の使用が含まれることがある。従来のECG装置とは対照的に、携帯型ECG装置は実質的に少数の誘導を生成する場合がある。例えば、一部の携帯型ECG装置は3つの誘導を提供することがある。
【0007】
しかし、従来の12点誘導心電図が広く採用されている為、臨床医が12点誘導心電図以外の心電図データセットを解析することは困難である。従って、従来の12点誘導心電図以外の心電図データセットを従来の12点誘導心電図フォーマットに変換することが有益なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のシステム、方法、及び装置は、夫々幾つかの革新的な側面を有しており、そのうちの1つだけが本明細書に開示された望ましい特性を担うわけではない。
【0010】
本開示に記載される主題の1つの革新的な態様は、心電図(ECG)データを合成する為の方法として実装することができる。本方法は、第1のデータセット収集時間に関連付けられた患者の第1の12点誘導ECGデータセットを受信する工程と、前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間(例えば、1時間超、1日超、1週間超等離れている)に関連付けられた前記患者の第1の3点誘導ECGデータセットを受信する工程と、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて12点誘導ECGデータセットを合成する為の線形変換パラメータのセットを決定する工程と、前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて第3の収集時間に関連付けられた第2の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成する工程と、を含んでもよい。
【0011】
心電図(ECG)データを生成する方法は、患者から記録された現在の3点誘導ECGデータを受信する工程であって、前記現在の3点誘導ECGデータは、3つの直交又は擬似直交誘導を含む工程と、線形変換パラメータのセットを適用することにより前記現在の3点誘導ECGデータから導出された12点誘導ECGデータセットを生成する工程であって、前記線形変換パラメータのセットは、第1の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の12点誘導ECGデータセットと、前記第1の以前の収集時間とは異なる第2の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の3点誘導ECGデータセットとに少なくとも部分的に基づいて決定され、前記以前の3点誘導ECGデータセット及び前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより、前記以前の3点誘導ECGデータセットが前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期され、前記線形変換パラメータのセットが、前記以前の3点誘導ECGデータセットから前記以前の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含む工程と、導出された前記12点誘導ECGデータセットを出力する工程と、を含んでもよい。
【0012】
前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方に適用される代表心拍を決定することにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期されてもよい。前記代表心拍は、前記12点誘導ECGデータセットと前記3点誘導ECGデータセットの両方を表すものであってもよく、平均心拍波形(例えば、P、Q、R、S、Tセグメント等の構成部分(例えば、PR間隔の全部又は一部、QRS群の全部又は一部、STセグメントの全部又は一部等)であってもよい。前記代表心拍は、算術平均や平均値等、本明細書で説明するように特定されてもよい。
【0013】
例えば、心電図(ECG)データを生成する方法は、患者から記録された現在の3点誘導ECGデータを受信する工程であって前記現在の3点誘導ECGデータは、3つの直交又は擬似直交誘導を含む工程と、線形変換パラメータのセットを適用することにより、前記現在の3点誘導ECGデータから導出された12点誘導ECGデータセットを生成する工程であって、前記線形変換パラメータのセットは、第1の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の12点誘導ECGデータセットと、前記第1の以前の収集時間とは異なる第2の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の3点誘導ECGデータセットとに少なくとも部分的に基づいて決定され、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について中央心拍を決定することにより前記以前の3点誘導ECGデータセットが前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される工程と、前記以前の12点誘導ECGデータセットと前記以前の3点誘導ECGデータセットの各誘導をセグメント化する工程であって、前記線形変換パラメータのセットが、前記以前の3点誘導ECGデータセットのセグメントから前記以前の12点誘導ECGデータセットのセグメントを合成する変換行列のセットを含む工程と、導出された12点誘導ECGデータセットを出力する工程と、を含んでもよい。
【0014】
前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットとの相互相関を更に決定することにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期されてもよい。前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の12点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴と前記以前の3点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴とを更に整合させることにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期されてもよい。前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の12点誘導ECGデータセット及び前記以前の3点誘導ECGデータセットの少なくとも一方を更に再サンプリングすることにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期されてもよい。前記再サンプリングは周波数領域で行われてもよい。
【0015】
前記以前の3点誘導ECGデータセットは、複数の心拍に基づき前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について前記中央心拍を更に決定することにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期させてもよい。前記以前の3点誘導ECGデータセットは、前記以前の12点誘導ECGデータセットと前記以前の3点誘導ECGデータセットの夫々から代表心拍を選択することで、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について前記中央心拍を更に決定することにより、前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期させてもよい。
【0016】
前記導出された12点誘導ECGデータセットを出力する工程は、前記導出された12点誘導ECGデータセットを表示する工程を含んでもよい。前述のように、前記3点誘導ECGの誘導は直交又は擬似直交であってもよい。
【0017】
心電図(ECG)データを生成する方法は、患者から記録された現在の3点誘導ECGデータを受信する工程であって、前記現在の3点誘導ECGデータは、3つの直交又は擬似直交誘導を含む工程と、線形変換パラメータのセットを適用することにより、前記現在の3点誘導ECGデータから導出された12点誘導ECGデータセットを生成する工程であって、前記線形変換パラメータのセットは、第1の以前の収集時間に前記患者から記録された以前の12点誘導ECGデータセットと、前記第1の以前の収集時間とは異なる第2の以前の収集時間に直交又は擬似直交誘導を用いて前記患者から記録された以前の3点誘導ECGデータセットとに少なくとも部分的に基づいて決定され、前記以前の3点誘導ECGデータセットと前記以前の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより前記以前の3点誘導ECGデータセットが前記以前の12点誘導ECGデータセットと同期される工程と、前記以前の12点誘導ECGデータセットと前記以前の3点誘導ECGデータセットの各誘導をセグメント化する工程であって、前記線形変換パラメータのセットが、前記以前の12点誘導ECGデータセットのセグメントを前記以前の3点誘導ECGデータセットのセグメントから合成する変換行列のセットを含む工程と、前記導出された12点誘導ECGデータセットを出力する工程と、を含んでもよい。
【0018】
また、本明細書には、心電図(ECG)データを生成する方法が記載されているが、これは、第1のデータセット収集時間に関連付けられた患者の第1の12点誘導ECGデータセットにアクセスする工程と、前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の第1の3点誘導ECGデータセットにアクセスする工程と、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットに少なくとも部分的に基づいて線形変換パラメータのセットを決定する工程と、第3のデータ収集時間から第2の3点誘導ECGデータセットを受信する工程と、前記線形変換パラメータのセットを使用して前記第2の3点誘導ECGデータセットから合成された第2の12点誘導ECGデータセットを出力する工程と、を含んでもよい。
【0019】
幾つかの変形例では、前記線形変換パラメータのセットを決定する工程は、前記第1の3点誘導ECGデータセットを前記第1の12点誘導ECGデータと同期させる工程を含んでもよい。幾つかの実施形態では、前記同期させる工程は、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータとの間の相互相関を決定する工程を含んでもよい。幾つかの他の実施形態では、前記同期させる工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの少なくとも一方を再サンプリングする工程を含んでもよい。前記再サンプリングは周波数領域で行われてもよい。
【0020】
一部の変形例では、前記同期させる工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの中央心拍を決定する工程を含んでもよい。幾つかの場合において、前記中央心拍を決定する工程は、複数の心拍に基づいて、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの夫々の平均値又は中央値を決定する工程を含んでもよい。他の幾つかの態様では、前記中央心拍を決定する工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの夫々から代表心拍を選択する工程を含んでもよい。
【0021】
幾つかの変形例では、前記線形変換パラメータのセットを決定する工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの各誘導をセグメント化する工程と、前記第1の3点誘導ECGデータのセグメントから前記第1の12点誘導ECGデータセットのセグメントを合成する為の一組の変換行列を決定する工程とを含んでもよい。
【0022】
幾つかの変形例では、前記方法は、前記第2の12点誘導ECGデータを表示する工程を含んでもよい。他の幾つかの変形例では、前記線形変換パラメータのセットを決定する工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータを前処理することを含んでもよい。更に他の変形例では、前記第1の3点誘導ECGは直交又は擬似直交であってもよい。得られる前記直交又は擬似直交データセットには、関連する従来の12点誘導ECGデータを決定するのに十分なデータセットが含まれてもよい。
【0023】
また、本明細書には、これらの方法の何れかを実行するように構成されたECGシステムも記載される。これらのシステムは、前記変換行列を決定し、及び/又は現在記録されている3点誘導(例えば、直交又は擬似直交)ECGから、ローカル(患者に対して)、リモート、又はローカルとリモートの組み合わせの何れかで12点誘導ECGを形成するように構成されてもよい。例えば、ECGシステムは、第1のデータセット収集時間に関連付けられた患者の第1の12点誘導ECGデータセットを受信し、前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた患者の第1の3点誘導ECGデータセットを受信し、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて12点誘導ECGデータセットを合成する為の線形変換パラメータのセットを決定するように構成された計算ノードを含んでもよい。ECGシステムはまた、前記患者から第2の3点誘導ECGデータセットを提供するように構成された携帯型ECG装置を含んでもよく、前記計算ノードは更に、前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて、第3の収集時間に関連付けられた前記第2の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成するように構成される。
【0024】
心電図(ECG)システムは、患者から現在の3点誘導ECGデータセットを記録するように構成された携帯型ECG装置と、命令を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体と、を備え、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、第1のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の12点誘導ECGデータセットにアクセスすることと、前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の3点誘導ECGデータセットにアクセスすることと、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて、12点誘導ECGデータセットを合成する為の線形変換パラメータのセットを決定し、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータセットについて代表心拍を決定することで前記以前の3点誘導ECGデータセットが前記以前の12点誘導ECGデータセットに同期され、前記線形変換パラメータのセットは前記第1の3点誘導ECGデータセットから前記第1の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含むことと、前記携帯型ECG装置から前記現在の3点誘導ECGデータセットを受信することと、前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて前記現在の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成することと、前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力することと、を含む動作を実行させる。
【0025】
幾つかの変形例では、前記計算ノードは、前記第1の3点誘導ECGデータセットを前記第1の12点誘導ECGデータに同期させるように更に構成されてもよい。前記同期は、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータとの間の相互相関の決定を含んでもよい。他の幾つかの変形例では、前記同期は、前記第1の12点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴と前記第1の3点誘導ECGデータのQRS群の特徴との整合を含んでもよい。更に他の変形例では、前記同期は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの少なくとも一方の再サンプリングを含んでもよい。前記再サンプリングは周波数領域で行われてもよい。
【0026】
幾つかの変形例では、前記同期は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの中央心拍の決定を含んでもよい。幾つかの場合において、前記中央心拍の決定は、複数の心拍に基づく前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの夫々の平均値又は中央値の決定を含んでもよい。他の幾つかの態様では、前記中央心拍の決定は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの夫々から代表心拍を選択することを含んでもよい。
【0027】
幾つかの変形例では、前記1つ以上のプロセッサ(本明細書では「計算ノード」と呼ばれることがある)は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットの各誘導をセグメント化し、前記第1の3点誘導ECGデータのセグメントから前記第1の12点誘導ECGデータセットのセグメントを合成する為の変換行列のセットを決定するように更に構成されてもよい。
【0028】
幾つかの変形例では、前記計算ノードは、前記第2の12点誘導ECGデータに基づいて表示データセットを生成するように更に構成されてもよい。他の幾つかの変形例では、前記計算ノードは、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータを前処理するように更に構成されてもよい。幾つかの変形例では、前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の12点誘導ECGデータに対する直交又は擬似直交データセットであってもよい。幾つかの場合では、前記直交又は擬似直交データセットは、関連付けられた従来の12点誘導ECGデータを決定するのに十分なデータセットを含んでもよい。
【0029】
本開示に記載される主題の別の革新的な態様は、1つ以上のプロセッサ(例えば、計算ノード)によって実行されると、前記計算ノードに、第1のデータセット収集時間に関連付けられた患者の為の第1の12点誘導ECGデータセットを受信することと、前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の為の第1の3点誘導ECGデータセットを受信することと、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータセットに少なくとも部分的に基づいて、前記12点誘導ECGデータセットを合成する為の線形変換パラメータのセットを決定することと、前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて、第3の収集時間に関連付けられた第2の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成することと、を含む動作を実行させる命令を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体として実装することができる。
【0030】
例えば、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、第1のデータセット収集時間に関連付けられた患者の第1の12点誘導ECGデータセットを受信することと、前記第1のデータセット収集時間とは異なる第2のデータセット収集時間に関連付けられた前記患者の第1の3点誘導ECGデータセットを受信することと、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータに少なくとも部分的に基づいて線形変換パラメータのセットを決定することであって、前記第1の3点誘導ECGデータセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセット及び前記第1の12点誘導ECGデータセットの両方について代表心拍を決定することにより前記第1の12点誘導ECGデータセットと同期され、前記線形変換パラメータのセットは、前記第1の3点誘導ECGデータセットから前記第1の12点誘導ECGデータセットを合成する変換行列のセットを含むことと、前記患者に対応する第2の3点誘導ECGデータセットを受信することと、前記線形変換パラメータのセットに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の3点誘導ECGデータセットから第2の12点誘導ECGデータセットを合成することと、前記第2の12点誘導ECGデータセットを出力することと、を含む動作を実行させる命令を含む。
【0031】
幾つかの変形例では、前記線形変換パラメータのセットを決定する為の命令の実行により、第1の3点誘導ECGデータセットを第1の12点誘導ECGデータと同期させることを更に含む動作を前記計算ノードに実行させてもよい。幾つかの態様では、前記同期させる工程は、前記第1の3点誘導ECGデータセットと前記第1の12点誘導ECGデータとの間の相互相関を決定する工程を含んでもよい。他の幾つかの態様では、前記同期させる工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセットのQRS群の特徴を前記第1の3点誘導ECGデータのQRS群の特徴と整合させる工程を含んでもよい。幾つかの実施形態では、前記同期させる工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの少なくとも一方を再サンプリングする工程を含んでもよい。幾つかの態様では、前記再サンプリングは周波数領域で行われてもよい。
【0032】
幾つかの変形例では、前記同期する工程は、前記第1の12点誘導ECGデータセット及び前記第1の3点誘導ECGデータの中央心拍を決定する工程を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本明細書に記載されている実施形態の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。実施形態の特徴及び利点のより良い理解は、例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって得ることができる。
図1】幾つかの実施形態によるECGシステムの一変形例を示す図である。
図2】3点誘導ECGデータからの12点誘導ECGデータセットの生成を示す簡略化したフローチャートである。
図3】3点誘導ECGデータに基づいて12点誘導ECGデータセットを合成する為のプロセスフローを図示する。
図4】幾つかの実施形態による、線形変換行列を決定する為の例示的な方法を示すフローチャートである。
図5】幾つかの実施形態による、12点誘導ECGからの誘導I及び3点誘導ECGからのX誘導を含む誘導図である。
図6】例示的なECG誘導に関する幾つかの基準点を示す図である。
図7】幾つかの実施形態に従って、3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータセットを合成する為の例示的な方法を示すフローチャートである。
図8】幾つかの実施形態による、例示的な12点誘導ECGのグラフである。
図9】幾つかの実施形態による、例示的な3点誘導ECGデータのグラフである。
図10】幾つかの実施形態による、例示的な合成された12点誘導ECGデータのグラフである。
図11】幾つかの実施形態による、計算ノードのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
心電図(ECG)は、心筋の収縮に関連して検出された電圧をグラフで表すことができる。心筋の脱分極と再分極に起因する収縮は、ECGグラフを検査することで調べることができる。12点誘導ECGグラフは検出された心臓電圧の12の異なる電圧取り込みを提供する、広く採用されているツールである。臨床医は、患者の12点誘導ECGデータを調べることによって心臓の状態を推測する訓練を広く受けている。
【0035】
クリニックや診察室以外の環境でも心電図データを収集できる携帯型ECG装置が開発されている。しかし、携帯型ECG装置の多くは、従来の12点誘導ECGデータを生成する為の十分な情報を取り込めない。例えば、携帯型ECG装置の中には、3点誘導ECGデータしか生成又は取り込めないものもある。実際、幾つかの場合では、患者の記録には12点誘導ECGデータしか含まれておらず、12点誘導ECG以外のデータの解釈が困難になっている。
【0036】
本開示に記載の主題の実装は、非12点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータを生成(合成)する為に使用されてもよい。より詳細には、主題は、直交又は擬似直交3点誘導ECGデータ等の3点誘導ECGデータからの従来の12点誘導ECGデータの合成について説明する場合がある。幾つかの変形例では、12点誘導ECGデータの合成/生成は、3点誘導ECGデータに変換パラメータを適用することに基づいてもよい。変換パラメータは、患者の以前に取り込まれた(記録された)12点誘導ECGデータ及び患者の3点誘導ECGデータに基づいて決定されてもよい。特に、12点誘導ECGデータは、3点誘導ECGデータに対して異なる時間に取り込まれてもよい。幾つかの変形例では、変換パラメータは、関連する12点誘導ECGデータを合成する為に3点誘導ECGデータに適用されてもよい1つ以上の行列を含んでもよい。このようにして、臨床医は、従来の12点誘導ECGデータとして提示されてもよい3点誘導ECGデータを有利にレビューすることができる。幾つかの場合では、3点誘導ECGデータは、クリニック、病院、診察室等以外の環境で使用されてもよい携帯型ECG装置によって提供されてもよい。例えば、3点誘導ECGデータは、患者により自宅で取り込まれ、リモート計算ノードに送信され、従来の12点誘導ECGデータに変換されてもよい。この12点誘導ECGデータは臨床医に送信され、表示されてもよい。
【0037】
変換パラメータは、以前に取り込まれた12点誘導ECGデータ及び3点誘導ECGデータを同期及びセグメント化することによって決定してもよい。次に、最小二乗分析を実行して、3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータを合成する為に使用されてもよい変換行列のセットを決定論的に決定してもよい。決定されると、変換パラメータが記憶されてもよい。幾つかの場合では、変換パラメータをクラウドベースのストレージシステムに遠隔保存してもよい。12点誘導ECGデータは、これらの遠隔保存された変換パラメータを使用して、3点誘導ECGデータから合成されてもよい。
【0038】
図1は、幾つかの実施形態によるECGシステム100の一変形例を示す。ECGシステム100は、小型で携帯可能なECG装置110と表示装置140とを含んでもよい。ECG装置110は、患者120の為の3点誘導ECGデータを生成してもよい。幾つかの場合では、患者120は、手で1つ以上の接触電極に触れながら、ECG装置110を胸部に置いてもよい。更に、ECG装置110は、患者120と接触する表面に複数の電極を有してもよい。従って、ECG装置110は、患者の指及び/又は胸部を介して複数の電極で患者120に接触してもよい。ECG装置は、電極を介して3点誘導ECGデータを生成してもよい。ECG装置110の一例は、「携帯型3点誘導心臓モニタリング装置及び自動化された診断の為の方法(MOBILE THREE-LEAD CARDIAC MONITORING DEVICE AND METHOD FOR AUTOMATED DIAGNOSTICS)」と題され、2015年4月9日に出願された米国仮特許出願第62/145,431号に対する優先権を主張する、「携帯型3点誘導心臓モニタリング装置及び自動化された診断の為の方法(MOBILE THREE-LEAD CARDIAC MONITORING DEVICE AND METHOD FOR AUTOMATED DIAGNOSTICS)」と題され、2016年4月11日に出願された、共有されている米国特許第10,433,744号に記載されている。これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
幾つかの変形例では、ECG装置110によって生成される誘導は直交又は擬似直交であってもよい。ECG装置110からの3点誘導ECGデータには、従来の12点誘導ECGデータに含まれる情報の一部又は全部が含まれてもよい。しかし、臨床医によっては、ECG装置110からの直交又は擬似直交誘導から心臓データを解釈することに不慣れな場合がある。
【0040】
ECG装置110からのデータは、ネットワーク130に送信されてもよい。ネットワーク130は、リモート(クラウドベース)ストレージ及び/又は1つ以上のリモート計算ノード(図示せず)を含んでもよい。幾つかの変形例では、12点誘導ECGデータは、ネットワーク130内でECG装置110によって提供された3点誘導ECGデータから合成されてもよい。12点誘導ECGデータは表示装置140に表示してもよい。このようにして、臨床医は、従来の12点誘導形式で患者のECGデータを有利にレビューしてもよい。更に、患者120は、医院や診察室以外の場所にいてもよい。従って、ECG装置110は、臨床医が遠隔地にいる患者120を診断及び治療することを可能にしてもよい。
【0041】
幾つかの変形例では、表示装置140は、3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータを合成可能な1つ以上のプロセッサを含んでもよい。例えば、表示装置140は、ラップトップコンピュータ、スマートディスプレイ若しくはモニタ、携帯電話、又は他の利用可能な装置であってもよい。従って、幾つかの変形例では、ネットワーク130は、ECG装置110から表示装置140に3点誘導ECGデータを送信してもよい。表示装置140は、3点誘導ECGデータを12点誘導ECGデータに変換し、次にこのデータを表示してもよい。
【0042】
図2は、3点誘導ECGデータ220からの12点誘導ECGデータ210の生成を示す簡略化されたフローチャート200である。幾つかの変形例では、3点誘導ECGデータ220は、図1のECG装置110によって提供されてもよい。ここではX、X、及びXとして図示されているが、ECG装置110からの3点誘導は任意の実行可能なラベルを有してもよく、幾つかの変形例では3点より多い誘導を含んでもよい。ECG装置110からの誘導は、12点誘導ECGデータ210のような従来の12点誘導ECGを包含する誘導空間に対して直交又は擬似直交であってもよい。従って、従来の12点誘導ECGに含まれてもよい情報の殆ど又は全てが、ECG装置110からの直交又は擬似直交誘導に含まれても(符号化されても)よい。言い換えれば、直交データ又は擬似直交データには、従来の12点誘導ECGデータを決定するのに十分なデータが含まれる。12本の誘導には、I、II、III、aVR、aVL、aVF、V1、V2、V3、V4、V5、及びV6のラベルが付されているが、12点誘導ECGデータ210の誘導は、実行可能な任意のラベルを有してもよい。幾つかの変形例では、3点誘導ECGデータ220からより多くの又は少ない誘導が生成されてもよい。
【0043】
幾つかの実施形態では、3点誘導ECG220データは、12点誘導ECGデータ210を生成又は合成する線形変換240で処理されてもよい。このように、ECG装置110からの3点誘導ECGデータ220は、従来の12点誘導ECGデータの広く採用され理解されているという性質により臨床医がより容易に解釈することができる12点誘導ECGデータ210に変換されてもよい。幾つかの場合では、合成された12点誘導ECGデータ210は、臨床医による分析及びレビューの為に従来の12点誘導ECGチャートとして表示されてもよい。
【0044】
幾つかの変形例では、線形変換240は、少なくとも部分的に、以前に取り込まれ(記録され)記憶された患者の12点誘導ECGデータ(図示せず)に基づいてもよい。線形変換240と患者の以前の12点誘導ECGデータとの関係は、図3に図示されている。
【0045】
図3は、3点誘導ECGデータに基づいて12点誘導ECGデータを決定又は合成する為のプロセスフロー300を図示する。3点誘導ECGデータに関して説明したが、本明細書で説明するプロセスは、従来の12点誘導ECGデータとは異なる任意の利用可能なECGデータと共に使用する為に適合させてもよい。
【0046】
プロセスフロー300は、以前に記録及び/又は取り込まれた患者の12点誘導ECGデータ310と、患者の3点誘導ECGデータ320とを使用してもよい。12点誘導ECGデータ310は、12点誘導ECGデータを生成及び/又は記録可能な、利用可能なECG装置からのものであってもよい。幾つかの変形例では、12点誘導ECGデータ310は、患者の既知の身体状態に関するベースラインECG記録であってもよい。幾つかの場合では、12点誘導ECGデータ310は、患者に関連付けられた健康記録からのものであってもよい。簡単の為、12点誘導ECGデータ310は、I、II、III、aVR、aVL、aVF、V1、V2、V3、V4、V5、及びV6の誘導を含むように示されているが、他の実施形態では、12点誘導ECGデータ310は、利用可能な任意の誘導を含んでもよい。
【0047】
3点誘導ECGデータ320は、利用可能な任意の3点誘導直交又は擬似直交ECGデータを含んでもよい。幾つかの変形例では、3点誘導ECGデータ320は、図1のECG装置110等の小型/携帯型ECG装置によって提供されてもよい。簡単の為、3点誘導ECGデータ320は、X、X、及びXの誘導を含むように示されているが、利用可能な任意の3点誘導ECGデータが含まれてもよい。特に、12点誘導ECGデータ310及び3点誘導ECGデータ320は、異なる時間に収集(例えば、取り込み又は記録)されてもよい。言い換えれば、12点誘導ECGデータ310は第1の時間に収集/記録され、3点誘導ECGデータ320は第1の時間とは異なる第2の時間に収集/記録されてもよい。
【0048】
12点誘導ECGデータ310及び3点誘導ECGデータ320は、両者の関係を決定する為に解析330を受けてもよい。幾つかの場合では、解析330は、3点誘導ECGデータ320と12点誘導ECGデータ310との間の線形関係を決定してもよい。幾つかの変形例では、線形関係は、3点誘導ECGデータ320を12点誘導ECGデータに変換する為に使用されてもよい1つ以上の線形変換行列340を含んでもよい(図示せず)。言い換えれば、線形変換行列340は、3点誘導ECGデータ320から導出された12点誘導ECGデータを合成及び/又は表示する為に使用してもよい。このようにして、患者の3点誘導ECGデータ320を従来の12点誘導ECGデータとして表示して、臨床医が患者の心臓の健康状態を診断できるようにしてもよい。幾つかの場合では、3点誘導ECGデータ320は、患者により、自宅環境又の従来の医療施設から離れた場所から提供されてもよい。例えば、患者は自宅でECG装置110を用いて3点誘導ECGデータ320を収集してもよい。このように、専門的な心臓ケア施設から遠い又は離れた患者に対して広範な心臓ケアを提供してもよい。
【0049】
図4は、幾つかの実施形態による、線形変換行列を決定する為の例示的な方法400を示すフローチャートである。幾つかの例は、追加の動作、より少ない動作、異なる順序の動作、並列した動作、及び幾つかの異なる動作を含む、本明細書に記載される動作を実行してもよい。方法400は、クラウドベースの処理ノード等のプロセッサ若しくはコンピュータによって(患者に関して)ローカルで、又は遠隔で、1つ以上のプロセッサと連携して実行されてもよい。他の変形例では、方法400は、任意の他の適切なシステム又は装置によって実行されてもよい。
【0050】
方法400は、場合によっては3点誘導ECGデータを12点誘導ECGデータに変換する為に線形変換行列を「較正」する「較正段階」と関連付けられることがある。プロセスの概要として、第1の時間に記録/取り込まれた12点誘導ECGデータは、第2の時間に記録/取り込まれた3点誘導ECGデータと整合される。整合後、ECGデータがセグメント化され、ECGデータセグメントに関連付けられた変換行列が決定される。
【0051】
方法400は、ブロック402で開始され、第1の収集時間(例えば、データ収集時間)に関連する患者の12点誘導ECGデータが受信される。12点誘導ECGデータは、任意の利用可能なECG装置を用いて収集及び/又は記録されてもよい。幾つかの変形例では、12点誘導ECGデータは、電子医療記録を含む医療記録から受信されてもよい。幾つかの場合では、12点誘導ECGデータは、クラウドベースのシステム等の1つ以上のリモートファイルシステムに保存されてもよい。従って、12点誘導ECGデータは、例えばインターネットを含む1つ以上のネットワークを介してアクセスされてもよい。前述のように、12点誘導ECGデータは第1の収集時間と関連付けられてもよい。すなわち、12点誘導ECGデータは、第1の時間又は期間に関して取り込まれ及び/又は記録されてもよい。
【0052】
次に、ブロック404において、第2の収集時間に関連付けられた患者の3点誘導ECGデータが受信される。3点誘導ECGデータは、図1のECG装置110等、利用可能な任意のECG装置によって取り込まれ、及び/又は記録されてもよい。3点誘導ECGデータは、直交又は擬似直交ECGデータであってもよく、第2の時間又は時間帯に関して収集及び/又は記録されてもよい。特に、第1の時間又は期間は、第2の時間又は期間と異なっていてもよい。幾つかの場合では、3点誘導ECGデータはリモートファイルシステムに保存され、1つ以上のネットワークを介してアクセスされてもよい。
【0053】
次に、ブロック406において、12点誘導ECGデータ及び3点誘導ECGデータが前処理されてもよい。図4に破線で示すように、この動作は任意でもよい。信号前処理は、ノイズフィルタリング、ベースラインワンダリング除去、又は任意の他の実行可能な前処理動作を含んでもよい。例えば、12点誘導ECGデータ及び/又は3点誘導ECGデータの前処理動作には、夫々のデータ信号を帯域制限し、帯域外ノイズを除去する為のローパスフィルタリングを含めてもよい。
【0054】
次に、ブロック408において、3点誘導ECGデータ及び12点誘導ECGデータについて中央心拍が生成される。幾つかの実施形態では、関連するECGデータの各誘導について中央心拍を生成してもよい。中央心拍を生成する為に、ECGデータの特定の誘導の異なる心拍が整合される。幾つかの場合では、整合は、選択された誘導の心拍に含まれるQRS群の相互相関によって決定される。選択された誘導のECGデータが整合された後、特定のECG誘導に関連付けられた中央値が、中央心拍を決定する為に決定されてもよい。本明細書では中央値演算として説明するが、他の幾つかの実施形態では、平均値演算、モード演算等を含むがこれらに限定されない任意の他の実行可能な選択演算を使用してもよい。幾つかの変形例では、各ECGデータ誘導について中央心拍を決定する代わりに、代表誘導(例えば、代表心拍)を選択してもよい。
【0055】
次に、ブロック410において、3点誘導及び12点誘導ECGデータの中央心拍が同期される。12点誘導ECGデータは3点誘導ECGデータとは異なる時間に取り込まれていてもよい為、12点誘導ECGデータの期間は3点誘導ECGデータの期間とは異なることがある。従って、任意のECGデータの関係を決定する前に、3点誘導ECGデータを12点誘導ECGデータに対して同期化及び/又は正規化する必要がある。幾つかの変形例では、ECGデータは間隔に関して同期化されてもよい。例えば、ECGデータは脱分極間隔に関して及び再分極間隔に関して同期されてもよい。
【0056】
図5は、幾つかの実施形態による、12点誘導ECGからの誘導I510及び3点誘導ECGからのX誘導520を含む誘導図500である。脱分極間隔530は、心房脱分極(例えば、心房が収縮するときの心拍の始まり)で始まり、QRS群(誘導図500では点Jとして描かれている)の後で終わってもよい。幾つかの実施形態では、脱分極間隔に関するECGデータの同期は、第1のECGデータ誘導と第2のECGデータ誘導との相互相関を含んでもよい。例えば、相互相関は、各ECGデータ誘導に含まれるQRS群の別個の特徴を使用することによって、I誘導510とX誘導520とを整合する為に使用されてもよい。幾つかの変形例では、同期は、I誘導510とX誘導520との間の時間シフトの決定を含んでもよい。時間シフトの決定後、3点誘導ECGの他の誘導(例えば、X、X、ここでは簡単の為図示せず)は、同じ又は同様の量だけシフトされてもよい。
【0057】
再分極間隔535は、J点で始まり、心拍の終わりまで延びてもよい。再分極間隔535の間の同期には、(時間的に)短いECG誘導を長いECG誘導により近い長さに再サンプリングすることが含まれてもよい。点J以降のECG誘導の部分は、2つのセクションに分割されてもよい。第1の区間は点Jから始まり、Tmaxまで延びる(Tmaxは点Jの後の相対的な最大値であってもよい)。第2の区間はTmaxから始まり、心拍の終わりTendまで延びる。
【0058】
まず、X誘導520の長さが、点JからTmaxまでの区間内のI誘導510の長さと比較される。短い方のECGは、その長さが長い方のECGの長さとほぼ一致するように拡張されるように再サンプリングされる。図5の例では、点JからTmaxまでのI誘導510の長さは、X誘導520の夫々の長さよりも長い。従って、X誘導520は、点JからTmaxまでのI誘導510の長さにほぼ一致するように再サンプリングされてもよい。
【0059】
幾つかの変形例では、ECG誘導の再サンプリングは、短い誘導にゼロサンプルを追加することによって周波数領域で行われてもよい。例えば、点JとTmaxの間のI誘導510のセクションがM個のサンプルを有し、X誘導520の同等のセクションがN個のサンプルを有する場合、時間領域に変換し直す前に、M-Nのゼロ値サンプルをX誘導520の周波数スペクトルの中心に追加してもよい。他の変形例では、再サンプリングは時間領域で行われてもよい。
【0060】
誘導520の第2区間(TmaxとTendの間)及びI誘導510の第2区間も、同様の方法で再サンプリングされてもよい。再サンプリングされたECG誘導は、ノイズを低減する為に、10次多項式等の多項式にフィッティングすることによってフィルタリングされてもよい。得られた、再サンプリング及びフィルタリングされたX誘導540が、参考の為に図5に示されている。X、XのECG誘導に関しても同様の再サンプリング動作を行うことができる。
【0061】
図4に戻り、ブロック412において、12点誘導ECGデータ及び同期された3点誘導ECGデータの中央心拍が多数のセグメントに分割される。幾つかの変形例では、12点誘導ECGデータ及び3点誘導ECGデータを3つのセグメントに分割してもよいが、他の数のセグメントでもよい。セグメントは、各ECG誘導上で特定される基準点に基づいてもよい。幾つかの変形例では、Pstart、Q、J、及びTendの基準点が用いられてもよい。
【0062】
図6は、例示的なECG誘導に関する幾つかの基準点を示す図600である。Pstartは、ECG誘導の始点を指してもよい。特に、Pstart基準点は、図6に示される心拍期間内の最初の正のECG偏位であるP波の前に発生する。Q基準点は、ECG誘導のQRS群部分の始点に関連付けられる。QRS群はQ波、R波及びS波を含み、心臓の心室の収縮に関連付けられる。J基準点はQRS群の終点に関連する。Tend基準点はECG誘導の終点である。
【0063】
幾つかの変形例では、基準点は、例えば1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータアルゴリズムやプログラムによって自動的に決定されてもよい。例示的な方法は、サン・Y(Sun, Y)等著(2005年)「モルフォロジー変換を用いたECG信号の特徴波検出(Characteristic wave detection in ECG signal using morphological transform)」ビーエムシーカーディオヴァスキュラーディスオーダー(BMC Cardiovasc Disord)9月20日、5:28、及びラクシット(Rakshit)等著(2015年)「心電図(ECG)信号におけるP波とT波の描画の為のPSO技術を用いたEKF(EKF with PSO technique for delineation of P and T wave in electrocardiogram (ECG) signal)」セカンドインターナショナルカンファレンスオンシグナルプロセッシングアンドインテグレーテッドネットワークス(2nd International Conference on Signal Processing and Integrated Networks (SPIN))、IEEEに示されている。
【0064】
更に、PQ基準点を決定してもよい。PQ基準点は[Q-60ミリ秒(ms)、Q-20ms]の間に位置する。Qは上述のQRS群のQ波の始まりに関連付けられることに留意されたい。PQ基準点は、[Q-60ms、Q-20ms]間隔の間の3点誘導ECGデータの最小値に基づく。最小値は、直交誘導又は擬似直交誘導のベクトルの大きさに基づいてもよく、
【数1】
で表してもよい。
【0065】
決定された基準点に基づいて、各ECG誘導に対して3つのセグメントが決定されてもよい。セグメントの例としては、[Pstart-20ms、PQ+20ms]と定義される第1のセグメント(T)、[PQ-20ms、J+20ms]と定義される第2のセグメント(TQRS)、[J-20ms、Tend]と定義される第3のセグメント(T)を含んでもよい。セグメントの例T、TQRS、及びTを参考の為図6に示す。幾つかの実施形態では、3つのセグメントはオーバーラップしてもよい。セグメントをオーバーラップさせることで、後で決定される変換関数及び/又は行列によるセグメント間の不連続性の円滑化を可能にしてもよい。
【0066】
次に、ブロック414において、患者固有の変換パラメータが、決定されたセグメントに関して決定される。幾つかの変形例では、変換パラメータは線形変換行列(例えば、線形変換パラメータ)として表現されてもよい。4つの変換行列が定義されてもよく、1つの変換行列はブロック412で定義された各セグメント(例えば、T、TQRS、及びTセグメント)に関連付けられ、4番目の行列はQRS群とT波との間の遷移領域に関連付けられる。
【0067】
幾つかの変形例では、T、TQRS、及びTセグメントに関連する行列は、T、TQRS、Tと表記されてもよい。これらの行列は、
【数2】
として定義され、ここで、
【数3】
はムーア-ペンローズ擬似逆演算子であり(即ち、
【数4】
であり、
X=(X、X、X)は、12点誘導ECGに同期した3点誘導ECGからの誘導であり、
Y=(Y、Y...Y12)は12点誘導ECGからの誘導であり、
k=P、QRS、Tセグメントである。
【0068】
幾つかの実施形態では、Yベクトルは、Y及びY四肢誘導に基づく8つの独立した誘導及び4つの他の誘導を含んでもよい。他の幾つかの実施形態では、変換行列は最小二乗法を用いて計算されてもよい。例えば、
【数5】
ここで、Wは、セグメントk内の各サンプルの重みを含む対角行列であり、
【数6】
nはセグメントk内のサンプル数であり、
i,k(i=1...nの場合)はi番目のサンプルの重みで、
【数7】
のように計算される。
【0069】
幾つかの変形例では、各誘導心拍の心拍数を連結して、上記の式(式2)を適用してもよい。例えば、5つ以上の心拍を連結してもよいが、1を含む任意の数の心拍を使用してもよい。
【0070】
他の変形例では、式2を各心拍jに個別に適用することより、行列{TP,j}、{TQRS,j}、及び{TT,j}の集合を形成してもよい。そして、行列の各集合内の夫々の係数の各セットの中央値を計算してもよい。
【0071】
第4のマトリックスは、QRS群とT波の間の領域を合成する為に使用されてもよい。この領域は、ECGトレース上の従来のS波とT波の間のセグメントを参照する「STセグメント」と呼ばれることがある。幾つかの変形例では、過渡行列Ttransientは、以下の式3で表されるように、TQRS及びT行列の重み付けされた組み合わせであってもよい。
【数8】
ここで、Pj,QRSとPj,Tはj番目の心拍に関するQRSとTセグメントに関連付けられたパワーを表し、
【数9】
ここで、
k=T、QRS、
i=はサンプル番号(i=1,2,...Nj,k)、
Nj,kは、j番目の心拍とセグメントkのサンプルの総数、そして
、x、xは、セグメントk及びj番目の心拍の3点誘導心電図の誘導の値である。
【0072】
従って、線形変換T、TQRS、T及びTtransientは、(入力としての)3点誘導ECGデータに基づいて(出力としての)12点誘導ECGデータを生成してもよい。特に、線形変換は、3点誘導ECGデータのセグメントに基づいて12点誘導ECGデータのセグメントを生成/合成してもよい。幾つかの実施形態では、12点誘導ECGデータのセグメントはオーバーラップしてもよい。オーバーラップは、生成(合成)された12点誘導ECGデータ内の不連続性を滑らかにするのに役立つことがある。
【0073】
線形変換T、TQRS、T及びTtransientは、後で使用する為に保存されてもよい。例えば、線形変換は、線形変換を決定する為に使用された3点誘導ECGデータに関して後の時点で記録された/取り込まれた3点誘導ECGデータに基づいて12点誘導ECGデータを合成する為に使用してもよい。幾つかの実施形態では、変換はクラウドストレージ、又は任意の実行可能な媒体内に保存してもよい。
【0074】
合成された12点誘導ECGデータはECG表示データを含んでもよい。従って、幾つかの実施形態では、12点誘導ECG表示データを臨床医に表示することにより、臨床医が3点誘導ECGデータに基づいて患者の心臓検査及び診断を行うことを可能にしてもよい。言い換えれば、心臓検査を可能にする為、3点誘導ECGデータを従来の12点誘導ECGデータに有利に変換してもよい。
【0075】
図7は、幾つかの実施形態に従って、3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータを合成する為の例示的な方法700を示すフローチャートである。幾つかの変形例では、3点誘導ECGデータは、直交又は擬似直交ECG誘導データを含んでもよい。方法700は、臨床医によって表示及びレビューされてもよい12点誘導ECGデータを合成する為に(方法400に関して決定された)変換行列が使用される「モニタリング段階」と呼ばれることがある。
【0076】
方法700は、ブロック702から始まり、3点誘導ECGデータが受信される。幾つかの変形例では、3点誘導ECGデータは、図1のECG装置110によって提供され(から受信され)てもよい。他の変形例では、3点誘導ECGデータは、クラウドベースのストレージ装置等のリモートサーバから提供されてもよい。幾つかの変形例では、3点誘導ECGデータは、(図2に関して説明したように)直交又は擬似直交ECGデータであってもよい。次に、ブロック704において、3点誘導ECGデータに関して基準点及び基準関連セグメントが決定される。幾つかの実施形態では、基準点はPstart、Q、J、及びTend点を含み、図4に関して上述したように決定されてもよい。これらの基準点に基づいて、4つの合成セグメントが定義されてもよい。この4つのセグメントは、図4に関して上述したT、TQRS、T及びTtransientセグメントに対応してもよい。
【0077】
次に、ブロック706において、上記定義されたセグメントの夫々について、受信した3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータが合成される。幾つかの実施形態では、12点誘導ECGデータの各セグメントを合成する為に、図4に関して説明した線形変換(例えば、線形変換行列T、TQRS、T及びTtransient)を使用してもよい。例えば、Tセグメントは、受信した3点誘導ECGデータとT行列との行列乗算によって合成(例えば、決定又は再構築)されてもよい。TQRSセグメントは、受信した3点誘導ECGデータとTQRS行列との行列乗算によって合成してもよい。Tセグメントは、受信した3点誘導ECGデータとT行列との行列乗算により合成してもよい。STセグメントは、以下の式5で表されるTtransient、TQRS及びT行列の重み付けされた組み合わせによって合成されてもよい。
【数10】
ここで、
i=はサンプル番号で、1、2、...Nの範囲、
はk番目の心拍のサンプルの総数、
1,k、x2,k、及びx3,kは、k番目の心拍のSTセグメント中の3点誘導ECGの値、及び
w、v、z及びqは任意に選ばれた重み付け係数である。
【0078】
幾つかの実施形態では、STセグメントは、[J-20ms、J+80ms]区間内に定義されてもよい。幾つかの場合では、幾つかの重み付け係数を用いて、再構成行列は、単一の行列Tsingle、行列T及び行列TQRSに単純化されてもよい。別の実施形態では、STセグメントは、母集団行列TPOPを用いて再構成されてもよい。
【0079】
次に、ブロック708において、合成されたセグメント間の不連続性が平滑化される。幾つかの場合では、ブロック706で使用した行列間で急激に変化させるのではなく、行列間で遷移させることで平滑化を行う。一例を式6で以下に示す。
【数11】
ここで、
は過渡期間内にi番目のサンプルに適用される過渡マトリックスであり、
kはT、TQRS、T及びTtransientセグメントを指し、
i=tpk+1/2,...,-1,0,1,...,tpk+1/2は、セグメントk+1の先頭から計算したサンプル番号であり、
tpK+1は移行期間である。
【0080】
幾つかの変形例では、合成された12点誘導ECG信号のセグメント間に生じる不連続性は、1つ以上の3次スプライン関数を使用して平滑化してもよい。更に、12点誘導ECGの12個の誘導を合成するとして説明したが、図7の方法は12個の誘導より少ない誘導を合成する為に使用してもよい。例えば、図7の方法は、12個の従来のECG誘導のサブセットを合成する為に使用してもよい。更に別の変形例では、本明細書に記載の方法は、ECG誘導の任意の明確に定義されたセットの欠落した誘導を合成又は再構成する為に使用してもよい。この場合、ベース又は直交/擬似直交誘導は、欠落したECG誘導が関連してもよい任意の誘導であり得る。
【0081】
図8は、幾つかの実施形態による、例示的な12点誘導ECGデータ800のグラフである。12点誘導ECGデータ800は第1の収集時に取り込まれ(記録され)てもよい。示されるように、12点誘導ECGデータ800は、I、II、III、aVR、aVL、aVF、V、V、V、V、V及びVの12個の従来の誘導を含んでもよい。12点誘導ECGデータ800は、図4に関して説明されるように、線形変換パラメータを決定する為に使用されてもよい。
【0082】
図9は、幾つかの実施形態による例示的な3点誘導ECGデータ900のグラフである。幾つかの変形例では、3点誘導ECGデータ900は、12点誘導ECGデータ800に関して第1の収集時間に取り込まれてもよい。例えば、3点誘導ECGデータ900は、臨床医による解析の為に患者が携帯型ECG装置110によって取り込んだECGデータを表してもよい。3点誘導ECGデータ900は、本明細書で説明するように、X、X及びXの様な3つの誘導を含んでもよい。誘導X、X及びXは、図9においてa、b及びcと表示されてもよい。
【0083】
図10は、幾つかの実施形態による、例示的な合成された12点誘導ECGデータ1000のグラフである。例えば、合成された12点誘導ECGデータ1000は、図9の3点誘導ECGデータ900に基づいてもよい。幾つかの変形例では、以前に記録された12点誘導ECGデータ(図示せず)に基づく変換パラメータのセットを使用して12点誘導ECGデータ1000を合成してもよい。12点誘導ECGデータ800と合成された12点誘導ECGデータ1000とを視覚的に比較すると、合成された12点誘導ECGデータ1000が12点誘導ECGデータ800と比較的類似している場合があることが分かる。以下の表1は、12点誘導ECGデータ800と合成された12点誘導ECGデータ1000との間の平均差及び関連する標準偏差を示す。比較的大きな平均値(例えば、1.0に近い数値)は、12点誘導ECGデータ800と合成された12点誘導ECGデータ1000との間の類似性が大きいことを示す。
【0084】
【表1】
【0085】
図11は、幾つかの実施形態による計算ノード1100のブロック図である。計算ノード1100は、装置入力/出力(I/O)インターフェース1120、プロセッサ1130及びメモリ1140を含んでもよい。ネットワーク(図示せず)に結合されてもよい装置I/Oインターフェース1120は、他の有線又は無線装置に信号を送信し、それらから信号を受信してもよい。例えば、装置I/Oインターフェース1120は、図1のECG装置110又はECGデータを表示する為の任意の利用可能なディスプレイ等の携帯装置との間でデータを送受信してもよい。幾つかの実施形態では、装置I/Оインターフェース1120は、スマートフォン、コンピューティングテーブル、ラップトップ、又は任意の他の利用可能な装置等の携帯型装置にデータを送信してもよい。簡単の為図示しないが、例えば、3点誘導ECGデータ及び12点誘導ECGデータの受信、並びに合成された12点誘導ECGデータ及び関連画像の送信を含む、装置I/Оインターフェース1120の送受信動作を制御する為、トランシーバコントローラをプロセッサ1130及び/又はメモリ1140内に実装してもよい。
【0086】
装置I/Оインターフェース1120及びメモリ1140にも結合されているプロセッサ1130は、計算ノード1100内(メモリ1140内等)に格納されている1つ以上のソフトウェアプログラムのスクリプト又は命令を実行可能な任意の1つ以上の適切なプロセッサであってもよい。
【0087】
メモリ1140は、変換パラメータデータベース1142を含んでもよい。変換パラメータデータベース1142は、1人以上の患者に対する1つ以上の変換パラメータを含んでもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上の変換パラメータは、例えば図4及び図7に関して説明したように、3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータを合成する為に使用されてもよい線形変換行列を含んでもよい。例えば、計算ノード1100は、装置I/Оインターフェース1120を介して3点誘導ECGデータを受信し、3点誘導ECGデータ及び変換パラメータデータベース1142に格納された1つ以上の変換パラメータに基づいて12点誘導ECGデータを合成(生成)してもよい。合成された12点誘導ECGデータは、その後、装置I/Оインターフェース1120を介して他の利用可能な装置に送信してもよい。
【0088】
メモリ1140はまた、以下のソフトウェアモジュールを記憶し得る非一過性のコンピュータ読み取り可能記憶媒体(例えば、EPRОM、EEPRОM、フラッシュメモリ、ハードドライブ等の1つ以上の不揮発性メモリ素子)を含んでもよい。
・変換パラメータを生成する変換パラメータ決定ソフトウェア(SW)モジュール1144、
・ECG誘導を合成する誘導合成SWモジュール1146、及び
・表示可能なECG誘導データを生成する誘導表示SWモジュール1147。
【0089】
各ソフトウェアモジュールは、プロセッサ1130によって実行されると、計算ノード1100に対応する機能を実行させてもよいプログラム命令を含む。従って、メモリ1140の非一過性のコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、本明細書に列挙された動作の全て又は一部を実行する為の命令を含んでもよい。
【0090】
プロセッサ1130は、変換パラメータ決定SWモジュール1144を実行して、3点誘導ECGデータから12点誘導ECGデータを生成(合成)する為の線形変換行列を含む変換パラメータを決定してもよい。幾つかの変形例では、変換パラメータ決定SWモジュール1144は、図4に関して説明したように変換行列を決定する命令を含んでもよい。幾つかの実施形態では、決定された変換パラメータは、変換パラメータデータベース1142等のメモリ1140に格納されてもよい。
【0091】
プロセッサ1130は、変換パラメータに少なくとも部分的に基づいてECG誘導を合成する為に、誘導合成SWモジュール1146を実行してもよい。例えば、誘導合成SWモジュール1146の実行が、受信した3点誘導ECGデータ及び変換パラメータに基づいて12点誘導ECGデータを生成してもよい。変換パラメータは、変換パラメータ決定SQモジュール1144を用いて決定され、及び/又は変換パラメータデータベース1142に格納されてもよい。幾つかの変形例では、誘導合成SWモジュール1146は、図7に関して説明したようにECGデータを合成する命令を含んでもよい。
【0092】
プロセッサ1130は、臨床医に表示され得るECGデータを生成する為に誘導表示SWモジュール1147を実行してもよい。例えば、誘導表示SWモジュール1147の実行が、表示されてもよい12点誘導ECGデータを生成してもよく、表示されるデータは、誘導合成SWモジュール1146に基づいて合成されたECGデータに基づいている。
【0093】
本明細書において、ある特徴又は要素が他の特徴又は要素「上」にあると称される場合、それは他の特徴又は要素上に直接存在してもよく、又は介在する特徴及び/又は要素も存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が他の特徴又は要素上に「直接」存在すると称される場合、介在する特徴又は要素は存在しない。また、特徴又は要素が他の特徴又は要素に「接続されている」、「取り付けられている」、又は「結合されている」と称される場合、他の特徴又は要素に直接接続され、取り付けられて、又は結合されてもよく、又は介在する特徴又は要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、特徴又は要素が他の特徴又は要素に「直接接続」、「直接取り付け」又は「直接結合」されていると称される場合、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は図示したが、このように説明又は図示した特徴及び要素は、他の実施形態に適用されてもよい。また、別の特徴に「隣接して」配置される構造又は特徴に言及する場合、隣接する特徴とオーバーラップ又は下敷きになる部分を有してもよいことも、当業者には理解されよう。
【0094】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する為だけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。更に、本明細書で使用される場合、用語「備える(comprise)」及び/又は「備える(comprising)」は、記載された特徴、工程、動作、要素、及び/又は構成部品の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、工程、動作、要素、構成部品及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを含み、「/」と略記されてもよい。
【0095】
本明細書では、説明を容易にする為に、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」等の空間的に相対的な用語が、図に図示されているような1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明する為に使用されてもよい。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用時又は動作時の装置の異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中の装置が反転している場合、他の要素又は特徴の「下」又は「下方」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上方」に向けられることになる。従って、例示的な用語「下」は、「上方」と「下」の両方の向きを包含してもよい。本装置は、他の向き(90度回転した向き又は他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。同様に、「上向きに」、「下向きに」、「垂直に」、「水平に」等の用語は、特に別段の指示がない限り、本明細書では説明のみを目的として使用される。
【0096】
本明細書において、「第1」及び「第2」という用語は、様々な特徴/要素(工程を含む)を説明する為に使用されてもよいが、文脈から別段の指示がない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別する為に使用されてもよい。従って、後述する第1の特徴/要素は第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、本発明の教示から逸脱することなく、後述する第2の特徴/要素は第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0097】
本明細書及びその後に続く特許請求の範囲全体を通じて、文脈上別段必要とされない限り、「備える」という語、及び「備える」や「備えている」等の変形は、様々な構成要素が、方法及び物品(例えば、装置及び方法を含む構成物及び装置)において共同して採用されてもよいことを意味する。例えば、「備えている」という用語は、任意の記載された要素又は工程を含むことを意味するが、他の要素又は工程を排除することを意味しないと理解される。
【0098】
一般に、本明細書に記載される装置及び方法は何れも包括的であると理解されるべきであるが、構成要素及び/又は工程の全て又はサブセットは、代替的に排他的であってもよく、様々な構成要素、工程、下位構成要素又は下位工程から「なる」又は代替的に「本質的になる」と表現されてもよい。
【0099】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、例において使用される場合を含め、他に明示的に指定されない限り、全ての数値は、その用語が明示的に現れていなくても、「約」又は「凡そ」という語によって前置きされているものとして読んでもよい。「約」又は「凡そ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述する際に、記述された値及び/又は位置が、値及び/又は位置の合理的な予想範囲内であることを示す為に使用してもよい。例えば、数値は、記載された値(又は数値の範囲)の±0.1%、記載された値(又は数値の範囲)の±1%、記載された値(又は数値の範囲)の±2%、記載された値(又は数値の範囲)の±5%、記載された値(又は数値の範囲)の±10%等の値を有してもよい。また、本明細書で示される数値は、文脈上そうでないことが示されない限り、約その値の又は凡そその値を含むと理解されるべきである。例えば、数値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書で言及される数値範囲は、そこに包含される全ての下位範囲を含むことが意図される。また、当業者によって適切に理解されるように、値が開示されている場合、「値以下」、「値以上」、及び値間の可能な範囲も開示されることが理解される。例えば、値「X」が開示されている場合、「X以下」だけでなく、「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。また、本出願の全体を通して、データは多くの異なるフォーマットで提供され、このデータは、終点と始点、及びデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことが理解される。例えば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点「15」が開示されている場合、10と15の間だけでなく、10より大きい、10以上、10より小さい、10以下、及び10と15に等しい値が開示されていると見なされることが理解される。また、2つの特定の単位の間の各単位も開示されていると理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、14も開示されている。
【0100】
様々な例示的な実施形態が上述されたが、特許請求の範囲によって記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対して多くの変更の何れかを行ってもよい。例えば、様々な説明された方法の工程が実行される順序は、代替的な実施形態においてしばしば変更されてもよく、他の代替的な実施形態では、1つ以上の方法の工程が完全にスキップされてもよい。様々な装置及びシステムの実施形態の任意の特徴は、ある実施形態には含まれ、他の実施形態には含まれないことがある。従って、前述の説明は、主に例示的な目的の為に提供され、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0101】
本明細書に含まれる例及び図示は、例示であって限定ではなく、主題が実施されてもよい特定の実施形態を示す。言及したように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な置換及び変更を行うことができるように、他の実施形態を利用し、そこから派生させてもよい。本発明の主題のこのような実施形態は、本明細書において、単に便宜上、「発明」という用語によって個々に又は集合的に参照されることがあり、また、2つ以上の発明が実際に開示される場合、本願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に限定する意図はない。従って、特定の実施形態が本明細書に図示され記載されているが、同じ目的を達成するように計算された任意の配置が、図示された特定の実施形態に置き換えられてもよい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適応又は変形をカバーすることを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、及び本明細書で特に説明されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば当業者には明らかであろう。
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【国際調査報告】