(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】KRAS G12D阻害剤と汎ErbBファミリー阻害剤との併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20241003BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20241003BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241003BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241003BHJP
C07D 519/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/517
A61K39/395 N
A61K31/5377
A61P35/02
C07D519/00 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520700
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022045621
(87)【国際公開番号】W WO2023059596
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518229401
【氏名又は名称】ミラティ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリン,ジル
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,ジェームズ・ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】ボウカット,ビッキー
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,ピーター
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC46
4C086BC73
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、KRas G12Dがんを治療するための併用療法に関する。具体的には、本発明は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤及び式(I)のKRAS G12D阻害剤の組み合わせを投与することを含む、方法、治療有効量の阻害剤を含む薬学的組成物、組成物を含むキット、並びにそのための使用の方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤及び式(I):
【化1】
のKRAS G12D阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することを含み、
式中、
R
1が、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3シアノアルキル、C1~C3ヒドロキシアルキル、HC(=O)-、-CO
2R
5、-CO
2N(R
5)
2、又は5~6員ヘテロアリールであり、
Yが、結合、O、又はNR
5であり、
R
2が、水素、-N(R
5)
2、ヘテロシクリル、C1~C6アルキル、-L-ヘテロシクリル、-L-アリール、-L-ヘテロアリール、-L-シクロアルキル、-L-N(R
5)
2、-L-NHC(=NH)NH
2、-L-C(O)N(R
5)
2、-L-C1~C6ハロアルキル、-L-OR
5、-L-(CH
2OR
5)(CH
2)
nOR
5、-L-NR
5C(O)-アリール、-L-COOH、又は-LC(=O)OC1~C6アルキルであり、ここで、前記ヘテロシクリル、及び前記-L-NR
5C(O)-アリールのアリール部分、及び前記-L-ヘテロシクリルのヘテロシクリル部分、及び前記-L-シクロアルキルのシクロアルキル部分が、1つ以上のR
6で任意に置換され得、前記-L-アリール及び前記-L-ヘテロアリールの前記アリール又は前記ヘテロアリールが、1つ以上のR
7で任意に置換され得、
各Lが、独立して、ヒドロキシ、C1~C4ヒドロキシアルキル、又はヘテロアリールで任意に置換されたC1~C4アルキレンであり、
R
3が、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又は前記ヘテロアリールが、1つ以上のR
8で任意に置換されており、
R
4が、水素、ハロゲン、又はC1~C3アルキルであり、
各R
5が、独立して、水素又はC1~C3アルキルであり、
各R
6が、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、シアノ、-Q-フェニル、-Q-フェニルSO
2F、-NHC(O)フェニル、-NHC(O)フェニルSO
2F、C1~C3アルキル置換ピラゾリル、アラC1~C3アルキル-、tert-ブチルジメチルシリルオキシCH
2-、-N(R
5)
2、(C1~C3アルコキシ)C1~C3アルキル-、(C1~C3アルキル)C(=O)、オキソ、(C1~C3ハロアルキル)C(=O)-、-SO
2F、(C1~C3アルコキシ)C1~C3アルコキシ、-CH
2OC(O)N(R
5)
2、-CH
2NHC(O)OC1~C6アルキル、-CH
2NHC(O)N(R
5)
2、-CH
2NHC(O)C1~C6アルキル、-CH
2(ピラゾリル)、-CH
2NHSO
2C1~C6アルキル、-CH
2OC(O)ヘテロシクリル、-OC(O)N(R
5)
2、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニル(C1~C3アルキル)N(CH
3)
2、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニル、又は-OC(O)ヘテロシクリル、-CH
2ヘテロシクリルであり、ここで、前記-NHC(O)フェニル又は前記-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニルのフェニルが、-C(O)H又はOHで任意に置換されており、前記-CH
2ヘテロシクリルのヘテロシクリルが、オキソで任意に置換されており、
Qが、結合又はOであり、
各R
7が、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、HC(=O)-、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、又は-N(R
5)
2であり、並びに
各R
8が、独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C1~C4アルキル、-S-C1~C3アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、C2~C4ヒドロキシアルキニル、C1~C3シアノアルキル、トリアゾリル、C1~C3ハロアルキル、-O-C1~C3ハロアルキル、-S-C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、ヒドロキシC1~C3アルキル、-CH
2C(=O)N(R
5)
2、-C3~C4アルキニル(NR
5)
2、-N(R
5)
2、重水素化C2~C4アルキニル、(C1~C3アルコキシ)ハロC1~C3アルキル-、又はC3~C6シクロアルキルであり、ここで、前記C3~C6シクロアルキルが、ハロゲン又はC1~C3アルキルで任意に置換されている、方法。
【請求項2】
R
1が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~C3アルキル、C1~C3シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、HC(=O)-、-CO
2R
5、又は-CO
2N(R
5)
2である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
5が、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3シアノアルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Yが、Oであり、及び、R
2が、1つ以上のR
6で任意に置換されたC1~C6アルキル又は-L-ヘテロシクリルである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記C1~C6アルキルが、メチル、エチル、イソプロピル、又はイソブチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Lが、メチレンであり、及び、前記ヘテロシクリルが、ヘキサヒドロ-1H-ピロリジニル、ヘキサヒドロ-3H-ピロリジン-3-オン、ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[2,1-c][1,4]オキサジニル、オクタヒドロインドリジニル、ヘキサヒドロピロリジン4(1H)-オキシド、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリジン-2-オン、オキセタニル、ピペリジニル、1-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、モルホリニル、オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル、チオピラニル、
【化2】
2’,3’-ジヒドロスピロ[シクロプロパン-1,1’-インデニル]、(2S)-1-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、又はテトラヒドロフラニルであり、各々が、1つ以上のR
6で任意に置換されている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
Lが、メチレンであり、及び、前記ヘテロシクリルが、ヘキサヒドロ-1H-ピロリジニルである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
ヘテロシクリルが、1つのR
6で置換されたヘキサヒドロ-1H-ピロリジニルであり、R
6が、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、フェニル、又はピラゾリルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ハロゲンが、フッ素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ヘテロシクリルが、2つの追加のR
6基で更に置換されたヘキサヒドロ-1H-ピロリジニルであり、前記2つの追加のR
6基が、独立して、C1~C3アルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記ヘテロシクリルが、1つのR
6で置換されたアゼチジニルであり、R
6が、C1~C3アルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記ヘテロシクリルが、1つのR
6で置換されたピロリジニルであり、R
6が、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、C1~C3アルキル、アルコキシ、アラC1~C3アルキル、-Q-フェニル、及び-NHC(O)フェニルであり、前記アラC1~C3アルキルの前記アリール部分又は前記-Q-フェニル及び-NHC(O)フェニルのフェニル部分が、各々1つ以上のR
6で任意に置換されている、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記-Q-フェニル又は前記-NHC(O)フェニルのフェニル基が、SO
2Fで置換されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヘテロシクリルが、2つのR
6基で置換されたピロリジニルであり、一方のR
6が、C1~C3アルキルであり、他方のR
6が、C1~C3アルコキシ又はハロゲンである、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記ヘテロシクリルが、1つのR
6で置換されたピロリジン-2-オンであり、R
6が、C1~C3アルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記ヘテロシクリルが、1つのR
6で置換されたピペリジニルであり、R
6が、アセチル、(C1~C3アルコキシ)C1~C3アルコキシ、又は-C(O)CH
2Clである、請求項6に記載の化合物又は塩。
【請求項17】
Yが、Oであり、Lが、エチレン又はプロピレンであり、及び、前記ヘテロシクリルが、モルホリニル又はオキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イルである、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-ヘテロアリールであり、ここで、前記ヘテロアリール部分が、1つ以上のR
7で任意に置換されている、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
Lが、メチレン又はエチレンであり、及び、前記ヘテロアリールが、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、又はピリミジニルであり、各々が1つ以上のR
7で任意に置換されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ヘテロアリールが、1つのR
7で置換されたピリジルであり、R
7が、ハロゲン、C1~C4アルキル、-N(R
5)
2、又はC1~C4アルコキシである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ヘテロアリールが、1つのR
7で置換されたピラゾリルであり、R
7が、C1~C4アルキル又は-N(R
5)
2である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ヘテロアリールが、1つのR
7で置換されたイミダゾリルであり、R
7が、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、又はC1~C4ヒドロキシアルキルである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ヘテロアリールが、1つのR
7で置換されたトリアゾリルであり、R
7が、C1~C4アルキルである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-アリールであり、前記アリール部分が、1つ以上のR
7で任意に置換されている、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-シクロアルキルであり、前記シクロアルキル部分が、1つ以上のR
7で任意に置換されている、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-N(R
5)
2である、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
Lが、エチレンであり、及び、各R
5が、独立して選択されたC1~C3アルキルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-NC(=NH)-NH
2である、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
Lが、エチレン又はプロピレンである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-C1~C6ハロアルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-OR
5である、請求項2に記載の方法。
【請求項32】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-(CH
2OR
5)(CH
2)
nOR
5である、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
Yが、Oであり、及び、R
2が、-L-NR
5C(O)-アリールである、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
R
3が、1つ以上のR
8で任意に置換されたアリールである、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
前記アリールが、フェニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル、及び2,3-ジヒドロ-1H-インデニルであり、各々が、1つ以上のR
8で任意に置換されている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
R
3が、1つ以上のR
8で任意に置換されたヘテロアリールである、請求項2に記載の方法。
【請求項37】
前記ヘテロアリールが、1つ以上のR
8で任意に置換されたイソキノリニル、インダゾリル、又はベンゾ[d][1,3]ジオキソリルである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ヘテロアリールが、1つのR
8で置換されたイソキノリニルであり、R
8が、ハロゲン又はC2~C4アルキニルである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ヘテロアリールが、1つのR
8で置換されたインダゾリルであり、R
8が、C1~C3アルキルである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ヘテロアリールが、2つのR
8基で置換されたベンゾ[d][1,3]ジオキソリルであり、前記R
8基が、独立して選択されたハロゲンである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
R
4が、ハロゲン、又はC1~C3アルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項42】
前記ハロゲンが、フッ素である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記C1~C3アルキルが、メチルである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
R
1が、水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【化3-5】
【化3-6】
【化3-7】
【化3-8】
【化3-9】
【化3-10】
【化3-11】
【化3-12】
【化3-13】
【化3-14】
【化3-15】
【化3-16】
【化3-17】
【化3-18】
【化3-19】
【化3-20】
【化3-21】
【化3-22】
【化3-23】
【化3-24】
【化3-25】
【化3-26】
【化3-27】
【化3-28】
【化3-29】
【化3-30】
【化3-31】
【化3-32】
【化3-33】
【化3-34】
【化3-35】
【化3-36】
【化3-37】
【化3-38】
【化3-39】
【化3-40】
【化3-41】
【化3-42】
【化3-43】
【化3-44】
【化3-45】
【化3-46】
及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化4】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化5】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化6】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化7】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化8】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化9】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記KRas G12D阻害剤が、
【化10】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブ、ダコミチニブ、ポジオチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、サピチニブ、タルロキソチニブ、及びセツキシマブからなる群から選択される、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項47に記載の方法。
【請求項60】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項48に記載の方法。
【請求項62】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項49に記載の方法。
【請求項63】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項49に記載の方法。
【請求項64】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項50に記載の方法。
【請求項65】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項51に記載の方法。
【請求項67】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項51に記載の方法。
【請求項68】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、アファチニブである、請求項52に記載の方法。
【請求項69】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、セツキシマブである、請求項52に記載の方法。
【請求項70】
前記汎ErbBファミリー阻害剤及び前記KRAS G12D阻害剤が、同じ日に投与される、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記汎ErbBファミリー阻害剤及び前記KRAS G12D阻害剤が、異なる日に投与される、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記KRas G12D阻害剤が、最大許容用量で投与される、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記汎ErbBファミリー阻害剤及び前記KRAS G12D阻害剤が、各々最大許容用量で投与される、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記治療有効量の、前記汎ErbBファミリー阻害剤及び前記KRAS G12D阻害剤の前記組み合わせが、前記KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して、前記対象における増加した全生存期間、増加した無増悪生存期間、腫瘍成長退縮の増加、腫瘍成長阻害の増加、又は増加した安定期間をもたらす、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
治療有効量の、請求項1~52のいずれか一項に記載の汎ErbBファミリー阻害剤及びKRas G12D阻害剤の組み合わせと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項76】
がん細胞におけるKRas G12D活性を阻害するための方法であって、KRas G12D活性の阻害が所望される前記がん細胞を、有効量の、請求項1~52のいずれか一項に記載の汎ErbBファミリー阻害剤及びKRas G12D阻害剤化合物、それらの薬学的組成物又は薬学的に許容される塩と接触させることを含み、前記汎ErbBファミリー阻害剤が、前記KRas G12D阻害剤に対する前記がん細胞の感受性を相乗的に増加させる、方法。
【請求項77】
前記汎ErbBファミリー阻害剤が、前記KRas G12D阻害剤に対する前記がん細胞の前記感受性を相乗的に増加させる、請求項1~74及び76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
式(I)のKRas G12D阻害剤化合物に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、KRas G12D治療を受けている対象に、請求項1~52のいずれか一項に記載の化合物を単独で、又は薬学的に許容される担体、賦形剤若しくは希釈剤、治療有効量の汎ErbBファミリー阻害剤と組み合わせて投与することを含み、前記汎ErbBファミリー阻害剤が、前記KRas G12D阻害剤に対する前記がん細胞の前記感受性を相乗的に増加させる、方法。
【請求項79】
前記組み合わせにおける前記KRas G12D阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.01~100mg/kgである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記組み合わせにおける前記KRas G12D阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.1~50mg/kgである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記組み合わせにおける前記汎ErbBファミリー阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.01~100mg/kgである、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記組み合わせにおける前記汎ErbBファミリー阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.1~50mg/kgである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記がんが、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;肺:気管支原性がん(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺がん)、肺胞(細気管支)がん、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫性過誤腫、中皮腫;消化管:食道(扁平上皮がん、腺がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(がん腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺がん、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖路:腎臓(腺がん、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮がん、移行上皮がん、腺がん)、前立腺(腺がん、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児がん、奇形がん、絨毛がん、肉腫、間質細胞がん、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞腫(肝細胞がん)、胆管がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;胆道:胆嚢がん、十二指腸乳頭部がん、胆管がん;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜がん(漿液性嚢胞腺がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類がん)、顆粒膜鞘細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮がん、上皮内がん、腺がん、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞がん、扁平上皮がん、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(がん腫);血液系:血液(骨髄性白血病(急性及び慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮がん、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;並びに副腎:神経芽細胞腫からなる群から選択される、請求項1~74及び76~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記がんが、KRas G12D関連がんである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記がんが、非小細胞肺がんである、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
対象におけるKRas G12Dがんを治療するための、請求項75に記載の薬学的組成物を含む、キット。
【請求項87】
対象におけるKRas G12Dがんを治療するための、a)汎ErbBファミリー阻害剤を含む薬学的組成物と、b)請求項1に記載のKRas G12D阻害剤を含む薬学的組成物と、を含む、キット。
【請求項88】
前記薬学的組成物の投与のための指示を有する添付文書を更に含む、請求項86又は87に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんを治療するために有用な併用療法に関する。具体的には、本発明は、汎ErbBファミリー阻害剤及びKRas G12D阻害剤の治療上有効な組み合わせ、阻害剤を含む薬学的組成物、組成物を含むキット、並びにそのための使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Kirstenラット肉腫2ウイルスがん遺伝子ホモログ(「KRas」)は、小さなGTPaseであり、がん遺伝子のRasファミリーのメンバーである。KRasは、不活性(GDP結合)状態及び活性(GTP結合)状態の間を循環する分子スイッチとして機能し、複数のチロシンキナーゼから受けた上流細胞シグナルを、細胞増殖を含む、多種多様なプロセスを調節する下流エフェクターに形質転換する(例えば、Alamgeer et al.,(2013)Current Opin Pharmcol.13:394-401を参照されたい)。
【0003】
悪性腫瘍における活性化されたKRasの役割は、30年超前に観察された(例えば、Der et al.,(1982)Proc.Natl Acad.Sci.USA 79(11):3637-3640を参照されたい)。KRasの異常発現は、全てのがんの最大20%を占め、GTP結合を安定化し、KRasの構成的活性化及び下流シグナル伝達をもたらす発がん性KRas変異は、肺腺がんの25~30%で報告されている(例えば、Samatar and Poulikakos(2014)Nat Rev Drug Disc 13(12):928-942 doi:10.1038/nrd428を参照されたい)。KRas一次アミノ酸配列のコドン12及び13でミスセンス変異をもたらす単一ヌクレオチド置換は、肺腺がんにおけるこれらのKRasドライバー変異の約33%を構成し、G12D変異は一般的な活性化変異である(例えば、Li,Balmain and Counter,(2018)Nat Rev Cancer Dec;18(12):767-777、Sanchez-Vega,et al,(2018)Cell;173,321-337を参照されたい)。
【0004】
悪性腫瘍におけるKRasの周知の役割及び様々な腫瘍タイプにおけるKRasにおけるこれらの頻繁な変異の発見により、KRasは、がん療法のための製薬業界の非常に魅力的な標的となった。がんを治療するためのKRasの阻害剤を開発するための30年の大規模な発見努力にもかかわらず、単一のKRas G12C阻害剤(KRas G12C阻害剤ソトラシブ)のみが、規制当局の承認を得るのに十分な安全性及び/又は有効性を実証している(例えば、FDA Approves First KRAS Inhibitor:Sotorasib.[No authors listed]Cancer Discov.2021 Aug;11(8):OF4.doi:10.1158/2159-8290.CD-NB2021-0362.Epub 2021 Jun 22を参照されたい)。これまでのところ、KRas G12D阻害剤は、規制当局の承認を得るのに十分な安全性及び/又は有効性を実証していない。
【0005】
KRas活性を阻害する化合物は、依然として非常に望ましく、グアニンヌクレオチド交換因子などのエフェクターを破壊するもの(例えば、Sun et al.,(2012)Agnew Chem Int Ed Engl.51(25):6140-6143 doi:10.1002/anie201201358を参照されたい)及びKRas G12Dを標的とするもの(例えば、K-Ras(G12D) Has a Potential Allosteric Small Molecule Binding Site,Feng H,Zhang Y,Bos PH,Chambers JM,Dupont MM,Stockwell BR,Biochemistry,2019 May 28;58(21):2542-2554.doi:10.1021/acs.biochem.8b01300.Epub 2019 May 14、及びSecond harmonic generation detection of Ras conformational changes and discovery of a small molecule binder,Donohue E,Khorsand S,Mercado G,Varney KM,Wilder PT,Yu W,MacKerell AD Jr,Alexander P,Van QN,Moree B,Stephen AG,Weber DJ,Salafsky J,McCormick F.,Proc Natl Acad Sci USA 2019 Aug 27;116(35):17290-17297,doi:10.1073/pnas.1905516116.Epub 2019 Aug 9を参照されたい)を含み、調査中である。明らかに、KRasの阻害剤、特にKRas G12Dを含む、活性化KRas変異体の阻害剤を開発する継続的な関心及び努力が残っている。
【0006】
本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤は、KRas G12Dシグナル伝達の強力な阻害剤であり、KRas G12D変異を有する細胞株のインビトロ増殖を阻害する単剤活性を示すが、任意の所与のKRas G12D阻害剤の相対効力及び/又は観察される最大効果は、KRAS変異体細胞株間で変動し得る。効力の範囲及び観察された最大効果の理由(複数可)は、完全には理解されていないが、ある特定の細胞株は、異なる固有の耐性を有するようである。よって、インビトロ及びインビボでKRas G12D阻害剤の効力、有効性、治療指数、及び/又は臨床的利益を最大化する代替アプローチを開発する必要がある。
【0007】
本発明の併用療法は、一態様では、KRas G12D阻害剤の効力を相乗的に増加させ、本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤の改善された有効性をもたらす。本発明の併用療法は、別の態様では、単剤として本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤での治療と比較して、改善された臨床的利益を患者に提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Alamgeer et al.,(2013)Current Opin Pharmcol.13:394-401
【非特許文献2】Der et al.,(1982)Proc.Natl Acad.Sci.USA 79(11):3637-3640
【非特許文献3】Samatar and Poulikakos(2014)Nat Rev Drug Disc 13(12):928-942 doi:10.1038/nrd428
【非特許文献4】Li,Balmain and Counter,(2018)Nat Rev Cancer Dec;18(12):767-777
【非特許文献5】Sanchez-Vega,et al,(2018)Cell;173,321-337
【非特許文献6】FDA Approves First KRAS Inhibitor:Sotorasib.[No authors listed]Cancer Discov.2021 Aug;11(8):OF4.doi:10.1158/2159-8290.CD-NB2021-0362.Epub 2021 Jun 22
【非特許文献7】Sun et al.,(2012)Agnew Chem Int Ed Engl.51(25):6140-6143 doi:10.1002/anie201201358
【非特許文献8】K-Ras(G12D) Has a Potential Allosteric Small Molecule Binding Site,Feng H,Zhang Y,Bos PH,Chambers JM,Dupont MM,Stockwell BR,Biochemistry,2019 May 28;58(21):2542-2554.doi:10.1021/acs.biochem.8b01300.Epub 2019 May 14
【非特許文献9】Second harmonic generation detection of Ras conformational changes and discovery of a small molecule binder,Donohue E,Khorsand S,Mercado G,Varney KM,Wilder PT,Yu W,MacKerell AD Jr,Alexander P,Van QN,Moree B,Stephen AG,Weber DJ,Salafsky J,McCormick F.,Proc Natl Acad Sci USA 2019 Aug 27;116(35):17290-17297,doi:10.1073/pnas.1905516116.Epub 2019 Aug 9
【発明の概要】
【0009】
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤及び式(I):
【化1】
のKRAS G12D阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供され、
式中、
R
1は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3シアノアルキル、C1~C3ヒドロキシアルキル、HC(=O)-、-CO
2R
5、-CO
2N(R
5)
2、又は5~6員ヘテロアリールであり、
Yは、結合、O、又はNR
5であり、
R
2は、水素、-N(R
5)
2、ヘテロシクリル、C1~C6アルキル、-L-ヘテロシクリル、-L-アリール、-L-ヘテロアリール、-L-シクロアルキル、-L-N(R
5)
2、-L-NHC(=NH)NH
2、-L-C(O)N(R
5)
2、-L-C1~C6ハロアルキル、-L-OR
5、-L-(CH
2OR
5)(CH
2)
nOR
5、-L-NR
5C(O)-アリール、-L-COOH、又は-LC(=O)OC1~C6アルキルであり、-L-NR
5C(O)-アリールのヘテロシクリル及びアリール部分、並びに-L-ヘテロシクリルのヘテロシクリル部分、並びに-L-シクロアルキルのシクロアルキル部分は、1つ以上のR
6で任意に置換され得、-L-アリール及び-L-ヘテロアリールのアリール又はヘテロアリールは、1つ以上のR
7で任意に置換され得、
各Lは、独立して、ヒドロキシ、C1~C4ヒドロキシアルキル、又はヘテロアリールで任意に置換されたC1~C4アルキレンであり、
R
3は、アリール又はヘテロアリールであり、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上のR
8で任意に置換され、
R
4は、水素、ハロゲン、又はC1~C3アルキルであり、
各R
5は、独立して、水素又はC1~C3アルキルであり、
各R
6は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、シアノ、-Q-フェニル、-Q-フェニルSO
2F、-NHC(O)フェニル、-NHC(O)フェニルSO
2F、C1~C3アルキル置換ピラゾリル、アラC1~C3アルキル-、tert-ブチルジメチルシリルオキシCH
2-、-N(R
5)
2、(C1~C3アルコキシ)C1~C3アルキル-、(C1~C3アルキル)C(=O)、オキソ、(C1~C3ハロアルキル)C(=O)-、-SO
2F、(C1~C3アルコキシ)C1~C3アルコキシ、-CH
2OC(O)N(R
5)
2、-CH
2NHC(O)OC1~C6アルキル、-CH
2NHC(O)N(R
5)
2、-CH
2NHC(O)C1~C6アルキル、-CH
2(ピラゾリル)、-CH
2NHSO
2C1~C6アルキル、-CH
2OC(O)ヘテロシクリル、-OC(O)N(R
5)
2、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニル(C1~C3アルキル)N(CH
3)
2、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニル、又は-OC(O)ヘテロシクリル、-CH
2ヘテロシクリルであり、-NHC(O)フェニル又は-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニルのフェニルは、-C(O)H又はOHで任意に置換されており、-CH
2ヘテロシクリルのヘテロシクリルは、オキソで任意に置換されており、
Qは、結合又はOであり、
各R
7は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、HC(=O)-、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、又は-N(R
5)
2であり、
各R
8は、独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C1~C4アルキル、-S-C1~C3アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、C2~C4ヒドロキシアルキニル、C1~C3シアノアルキル、トリアゾリル、C1~C3ハロアルキル、-O-C1~C3ハロアルキル、-S-C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、ヒドロキシC1~C3アルキル、-CH
2C(=O)N(R
5)
2、-C3~C4アルキニル(NR
5)
2、-N(R
5)
2、ジューテロC2~C4アルキニル、(C1~C3アルコキシ)ハロC1~C3アルキル-、又はC3~C6シクロアルキルであり、当該C3~C6シクロアルキルは、ハロゲン又はC1~C3アルキルで任意に置換されている。
【0010】
本発明の一態様では、KRas G12D阻害剤は、化合物MRTX1133又はMRTX1133類似体、及びWIPO公報WO2021/041671に開示及び記載される化合物のいずれかなどの関連化合物を含み、Ex.252(MRTX1133)、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニル-6-フルオロナフタレン-2-オール、Ex.243、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、Ex.246、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、Ex.251、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、Ex.253、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、Ex.259、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及びEx.282、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、又はそれらの薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含むが、これらに限定されない。
【0011】
本発明の別の態様では、治療有効量の汎ErbBファミリー阻害剤及び式IのKRas G12D阻害剤化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容される賦形剤の組み合わせを含む方法における使用のための、薬学的組成物が提供される。
【0012】
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRAS G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、がんは、KRas G12D関連がんである。一実施形態では、KRas G12D関連がんは、膵臓がん、大腸がん、子宮内膜がん、及び非小細胞肺がんである。
【0013】
本発明のいくつかの態様では、KRas G12D阻害剤化合物及び汎ErbBファミリー阻害剤は、提供される組成物及び方法における唯一の活性剤である。
【0014】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、不可逆的阻害剤である。提供される組成物及び方法に適した不可逆的汎ErbBファミリー阻害剤の例としては、限定されないが、アファチニブ、ダコミチニブ、カネルチニブ、ポジオチニブ、AV 412、PF 6274484、及びHKI 357が挙げられる。
【0015】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、可逆的阻害剤である。提供される組成物及び方法に適した可逆的汎ErbBファミリー阻害剤の例としては、これらに限定されないが、エルロチニブ、ゲフィチニブ、サピチニブ、バルリチニブ、TAK-285(N-[2-[4-[3-クロロ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニルアミノ]-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル]エチル]-3-ヒドロキシ-3-メチルブチラミド)、AEE788(6-[4-(4-エチルピペラジン-1-イルメチル)フェニル]-N-[1(R)-フェニルエチル]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン)、タルロキソチニブ3-[N-[4-(3-ブロモ-4-クロロフェニルアミノ)ピリド[3,4-d]ピリミジン-6-イル]カルバモイル]-N,N-ジメチル-N-(1-メチル-4-ニトロ-1-イミダゾール-5-イルメチル)-2(E)-プロペン-1-アミニウム臭化物、BMS 599626/AC-480(N-[4-[1-(3-フルオロベンジル)-1H-インダゾール-5-イルアミノ]-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]カルバミン酸モルホリン-3(S)-イルメチルエステル塩酸塩、及びGW 583340 HCl(N-[3-クロロ-4-(3-フルオロベンジルオキシ)フェニル]-6-[2-[2-(メチルスルホニル)エチルアミノメチル]チアゾール-4-イル]キナゾリン-4-アミン)が挙げられる。
【0016】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、EGFR阻害剤及びHER2阻害剤の組み合わせであり、EGFR阻害剤及びHER2阻害剤は、AG 1478(N-(3-クロロフェニル)-6-メトキシ-7-[11C]メトキシキナゾリン-4-アミン)、AG 555(2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(3-フェニルプロピル)-2(E)-プロペンアミド)、AG 556((E)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-フェニルブチル)アクリルアミド、AG 825(3-[3-(ベンゾチアゾール-2-イルスルファニルメチル)-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル]-2-シアノ-2-プロペンアミド)、CP 724714(2-メトキシ-N-[3-[4-[3-メチル-4-(6-メチルピリジン-3-イルオキシ)フェニルアミノ]キナゾリン-6-イル]-2(E)-プロペニル]アセトアミド、BIBU 1361(N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-6-[4-(ジエチルアミノメチル)ピペリジン-1-イル]ピリミド[5,4-d]ピリミジン-4-アミン)、BIBU 1382、JNJ 28871063((E)-4-アミノ-6-[4-(ベンジルオキシ)-3-クロロフェニルアミノ]ピリミジン-5-カルバルデヒドO-[2-(4-モルホリニル)エチル]オキシム)、PD 153035(4-(3-ブロモフェニルアミノ)-6,7-ジメトキシキナゾリン)、及びPD 158780(N4-(3-ブロモフェニル)-N6-メチル-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン)のうちの2つの組み合わせである。
【0017】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、又は抗EGFR抗体及び抗HER2抗体の組み合わせである。EGFR及び/又はHER2を標的とする、モノクローナル抗体、抗体コンジュゲート、及び二重特異性抗体を含む、抗体は、周知であり、いくつかの抗体は、研究及びヒト臨床使用のために市販されている。
【0018】
提供される組成物及び方法に好適な抗EGFR抗体の例としては、ネシツムマブ、パニツムマブ、及びセツキシマブが挙げられる。提供される組成物及び方法に好適な抗HER2抗体の例としては、ペルツズマブ、トラスツズマブ、及びトラスツズマブエムタンシンが挙げられる。
【0019】
更に別の態様では、本発明は、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、がん細胞を、治療有効量の、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせと接触させることを含み、汎ErbBファミリー阻害剤が、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を相乗的に増加させる、方法を提供する。一実施形態では、接触は、インビトロで行われる。一実施形態では、接触は、インビボで行われる。
【0020】
また本明細書では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して決定されるように)がんがKRas G12D変異に関連していること(例えば、KRas G12D関連がん)を決定することと、(b)患者に、治療有効量の汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式IのKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することと、を含み、汎ErbBファミリー阻害剤が、KRas G12D阻害剤に対するKRas G12D関連がんの感受性を相乗的に増加させる、方法が提供される。
【0021】
また、本明細書において、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を含む、キットが提供される。また、KRas G12Dがんを治療することにおける使用のための、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を含む、キットが提供される。
【0022】
関連態様では、本発明は、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を、対象におけるがん細胞の増殖を阻害するのに有効な量で含有する、キットを提供する。いくつかの場合におけるキットは、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の投与についての指示を有する添付文書を含む。添付文書は、使用者に、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と組み合わせて使用するための、1セットの指示を提供し得る。
【0023】
本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本発明の組成物又は方法での治療前に、患者は、化学療法、標的化抗がん剤、放射線療法、及び手術のうちの1つ以上で治療され、任意に、以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、手術が実施され、任意に、手術は不成功であり、かつ/又は患者は、白金系化学療法剤で治療され、任意に、患者は白金系化学療法剤での治療に非応答性であると以前に決定されており、かつ/又は患者は、キナーゼ阻害剤で治療され、任意に、キナーゼ阻害剤での以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、1つ以上の他の治療剤(複数可)で治療された。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】単独及びセツキシマブとの組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(LS180結腸がん細胞株)。
【
図2】単独及びアファチニブとの組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(AsPC-1膵臓がん細胞株)。
【
図3】単独及びセツキシマブ(との組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示すGP2D結腸がん細胞株)。
【
図4】単独及びアファチニブ又はセツキシマブ(との組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示すPanc0203膵臓がん細胞株)。
【
図5】単独及びアファチニブ又はセツキシマブとの組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(SW1990膵臓がん細胞株)。
【
図6】単独及びセツキシマブとの組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(SNU1033直腸がん細胞株)。
【
図7】単独及びセツキシマブとの組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(AsPC-1膵臓がん細胞株)。
【
図8】単独及びエルロチニブとの組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(HPAC膵臓がん細胞株)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、KRas G12Dがんを治療するための併用療法に関する。具体的には、本発明は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRAS G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含む、方法、治療有効量の阻害剤を含む薬学的組成物、組成物を含むキット、並びにそのための使用の方法に関する。
【0026】
汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12Dを発現するがん細胞に対する、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物の効力を相乗的に増加させ、それによって、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性及び治療指標を増加させる。
【0027】
定義
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照により組み込まれる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「KRas G12D」は、アミノ酸位置12でのグリシンについてのアスパラギン酸のアミノ酸置換を含有する哺乳動物KRasタンパク質の変異体形態を指す。ヒトKRasについてのアミノ酸コドン及び残基位置の割り当ては、UniProtKB/Swiss-Prot P01116:Variant p.Gly12Aspによって特定されたアミノ酸配列に基づく。
【0029】
本明細書で使用される場合、「KRas G12D阻害剤」は、本明細書に記載されるような、式(I)によって表される本発明の化合物を指す。これらの化合物は、KRas G12Dの酵素活性の全部又は一部を負に調節又は阻害することができる。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、化合物番号1~458(WO2021/041671において付番される)から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0030】
本明細書で使用される「KRas G12D関連疾患又は障害」は、KRas G12D変異に関連するか、それによって媒介されるか、又はそれを有する疾患又は障害を指す。KRas G12D関連疾患又は障害の非限定的な例は、KRas G12D関連がんである。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ErbBファミリー」又は「ErbBファミリーメンバー」は、EGFR、ErbB2(HER2)、ErbB3(HER3)、及びErbB4(HER4)を含む哺乳動物膜貫通タンパク質チロシンキナーゼファミリーのメンバーを指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「汎ErbBファミリー阻害剤」は、ErbBファミリーの少なくとも1つのメンバーの活性の全部又は一部を負に調節又は阻害することができる、薬剤、例えば、化合物又は抗体を指す。1つ以上のErbBファミリーメンバーの調節又は阻害は、1つ以上のErbBファミリーメンバーのキナーゼ酵素活性を調節若しくは阻害することによって、又はErbBファミリーメンバーのホモ二量体化若しくはヘテロ二量体化を遮断することによって生じ得る。本明細書における方法のいくつかの実施形態では、「汎ErbB阻害剤」という用語は、単一の汎ErbB阻害剤の使用を指す。本明細書における方法のいくつかの実施形態では、「汎ErbB阻害剤」という用語は、2つの汎ErbB阻害剤の使用を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、交換可能に使用される「対象」、「個体」、又は「患者」という用語は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、及びヒトなどの哺乳動物を含む、任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、治療及び/又は予防される疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験及び/又は示している。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して決定されるように)KRas G12D変異を有するがんを有すると特定又は診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、規制当局承認のアッセイ又はキットを使用して決定されるように)KRas G12D変異について陽性である腫瘍を有する。対象は、KRas G12D変異について陽性である(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して陽性として特定される)腫瘍(複数可)を有する対象であり得る。対象は、その腫瘍がKRas G12D変異を有する(例えば、腫瘍が規制当局承認の、例えば、FDA承認の、キット又はアッセイを使用してそのように特定されている)対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、KRas G12D遺伝子関連がんを有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、対象がKRas G12Dを有する腫瘍を有することを示す臨床記録を有する(任意に、臨床記録は、対象が本明細書に提供される組成物のうちのいずれかで治療されるべきであることを示す)。
【0034】
「小児患者」という用語は、本明細書で使用される場合、診断又は治療の時点で16歳未満の患者を指す。「小児」という用語は、新生児(出生から生後1ヶ月まで)、乳児(1ヶ月から2歳まで)、子供(2歳から12歳まで)、及び青年(12歳から21歳まで(22歳の誕生日までを含むが、22歳の誕生日は含まない))を含む様々な亜集団に更に分けることができる。Berhman RE,Kliegman R,Arvin AM,Nelson WE.Nelson Textbook of Pediatrics,15th Ed.Philadelphia:W.B.Saunders Company,1996、Rudolph AM,et al.Rudolph’s Pediatrics,21st Ed.New York:McGraw-Hill,2002、及びAvery MD,First LR.Pediatric Medicine,2nd Ed.Baltimore:Williams & Wilkins;1994。
【0035】
本明細書に記載される方法又は使用のいずれかのいくつかの実施形態では、アッセイは、患者が、患者(例えば、KRas G12D関連がんを有することが疑われる患者、KRas G12D関連がんの1つ以上の症状を有する患者、及び/又はKRas G12D関連がんを発症する増加したリスクを有する患者)からの試料(例えば、生体試料又はパラフィン包埋生検試料などの生検試料)を使用して、患者がKRas G12D変異を有するかを決定するために使用され、例えば、次世代シーケンシング、免疫組織化学、蛍光顕微鏡検査、ブレークアパートFISH分析、サザンブロッティング、ウェスタンブロッティング、FACS分析、ノーザンブロッティング、及びPCRベースの増幅(例えば、RT-PCR、定量リアルタイムRT-PCR、対立遺伝子特異的ジェノタイピング、又はddPCR)を含むことができる。当該技術分野で周知であるように、アッセイは、典型的には、例えば、少なくとも1つの標識核酸プローブ又はその少なくとも1つの標識抗体若しくは抗原結合断片を用いて実施される。
【0036】
「規制当局」という用語は、国による薬学的薬剤の医療使用の承認のための国の機関を指す。例えば、規制機関の非限定的な例は、米国食品医薬品局(FDA)である。
【0037】
「アミノ」という用語は、-NH2を指す。
【0038】
「アシル」という用語は、-C(O)CH3を指す。
【0039】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1、2、又は3個の置換基で任意に置換されている1~12個の炭素原子、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖脂肪族基を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「ハロアルキル」という用語は、1個以上の水素がハロゲンによって置き換えられているアルキル鎖を指す。ハロアルキルの例は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、及びフルオロメチルである。
【0041】
「ハロアルキルオキシ」という用語は、-O-ハロアルキルを指す。
【0042】
「アルキレン」基は、2つの他の化学基の間に位置し、それらを連結するように機能する、上記の本明細書に定義されるようなアルキル基である。例示的なアルキレン基としては、限定なしに、メチレン、エチレン、プロピレン、及びブチレンが挙げられる。
【0043】
「アルコキシ」という用語は、-OC1-C6アルキルを指す。
【0044】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、3~12個の炭素、例えば、3~8個の炭素、更なる例としては、3~6個の炭素を有する飽和及び部分不飽和環状炭化水素基を含み、シクロアルキル基は加えて、任意に置換されている。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
「ヘテロアルキル」という用語は、上記の本明細書に定義されるような、鎖中の1個以上の炭素原子が、O、S、及びNからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている、アルキル基を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」という用語は、-アルキル-OHを指す。
【0047】
「ジヒドロキシアルキル」という用語は、2つの炭素原子が各々ヒドロキシル基で置換されている、本明細書に定義されるアルキル基を指す。
【0048】
「アルキルアミニル」という用語は、-NRx-アルキルを指し、Rxは、水素である。一実施形態では、Rxは、水素である。
【0049】
「ジアルキルアミニルアルキル」という用語は、-アルキル-N(Ry)2を指し、各Ryは、C1~C4アルキルであり、-アルキル-N(Ry)2のアルキルは、ヒドロキシ又はヒドロキシアルキルで任意に置換され得る。
【0050】
「アリール」基は、任意に置換されている、1~3個の芳香環を含むC6~C14芳香族部分である。一実施形態として、アリール基は、C6~C10アリール基である。アリール基の例として、限定なしに、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、及びジヒドロベンゾフラニルが挙げられる。
【0051】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」基は、アルキル基に共有結合したアリール基を含み、そのいずれも、独立して、任意に置換又は非置換であり得る。アラルキル基の例は、限定なしに、ベンジル、フェネチル、及びナフチルメチルを含む、(C1~C6)アルキル(C6~C10)アリールである。置換アラルキルの例は、アルキル基がヒドロキシアルキルで置換されている。
【0052】
「アリール」基は、任意に置換されている、1~3個の芳香環を含むC6~C14芳香族部分である。一実施形態として、アリール基は、C6~C10アリール基である。アリール基の例として、限定なしに、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、及びジヒドロベンゾフラニルが挙げられる。
【0053】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」基は、アルキル基に共有結合したアリール基を含み、そのいずれかは、独立して、任意に置換又は非置換であり得る。アラルキル基の例は、限定なしに、ベンジル、フェネチル、及びナフチルメチルを含む、(C1~C6)アルキル(C6~C10)アリールである。置換アラルキルの例は、アルキル基がヒドロキシアルキルで置換されているものである。
【0054】
「ヘテロシクリル」又は「複素環式」基は、約3~約12個の原子、例えば、4~8個の原子を有する環構造であり、1個以上の原子は、N、O、及びSからなる群から選択され、環原子の残りは、炭素である。ヘテロシクリルは、単環式、二環式、スピロ環式、又は架橋環系であり得る。複素環式基は、1つ以上の位置で炭素又は窒素上のR7で任意に置換されており、R7は、式Iについて定義される通りである。複素環式基はまた、独立して、窒素上でアルキル、アリール、アラルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールカルボニル、アリールスルホニル、アルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、又は硫黄上でオキソ若しくは低級アルキルで任意に置換されている。複素環式基の例としては、限定なしに、エポキシ、アゼチジニル、アジリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、ジチアニル、トリチアニル、ジオキソラニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、デカヒドロキノリニル、ピペリドニル、4-ピペリジノニル、チオモルホリニル、チオモルホリニル1,1二酸化物、モルホリニル、オキサゼパニル、アザビシクロヘキサン、アザビシクロヘプタン、及びオキサアザビシクロヘプタンが挙げられる。隣接する環状O及び/又はS原子を有する化合物が、特にこの用語の範囲から除外される。
【0055】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、アルキルリンカーを介して分子の残りの部分に結合した、本明細書において定義されるヘテロシクリル基を指し、ヘテロシクリルアルキルのアルキルリンカーは、ヒドロキシ又はヒドロキシアルキルで任意に置換され得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、5~14個の環原子、好ましくは5、6、9、又は10個の環原子を有し、環状アレイにおいて共有される6、10、又は14個のπ電子を有して、炭素原子に加えて、N、O、及びSからなる群から選択される環当たり1~3個のヘテロ原子を有する基を指す。ヘテロアリール基の例としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、及びキサンテニルが挙げられる。
【0057】
「ヘテロアリールアルキル」基は、アルキル基に共有結合したヘテロアリール基を含み、ラジカルは、アルキル基上にあり、そのいずれも、独立して、任意に置換又は非置換である。ヘテロアリールアルキル基の例としては、C1~C6アルキル基に結合した5、6、9、又は10個の環原子を有するヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアラルキル基の例としては、ピリジルメチル、ピリジルエチル、ピロリルメチル、ピロリルエチル、イミダゾリルメチル、イミダゾリルエチル、チアゾリルメチル、チアゾリルエチル、ベンゾイミダゾリルメチル、ベンゾイミダゾリルエチル キナゾリニルメチル、キノリニルメチル、キノリニルエチル、ベンゾフラニルメチル、インドリニルエチル イソキノリニルメチル、イソイノジルメチル、シンノリニルメチル、及びベンゾチオフェニルエチルが挙げられる。隣接する環状O及び/又はS原子を有する化合物が、特にこの用語の範囲から除外される。
【0058】
本明細書で使用される場合、化合物の「有効量」は、望ましい標的、すなわち、ErbBファミリーメンバー又はKRas G12Dの活性を負に調節するか又は阻害するのに十分な量である。そのような量は、単一投与量として投与され得るか、又はレジメンに従って投与され得、それによって効果的である。
【0059】
本明細書で使用される場合、化合物の「治療有効量」は、症状を緩和若しくは何らかの方法で低減する、又は状態の進行を停止若しくは逆転する、又はErbBファミリーメンバー若しくはKRas G12Dの活性を負に調節若しくは阻害するのに十分な量である。そのような量は、単一投与量として投与され得るか、又はレジメンに従って投与され得、それによって効果的である。
【0060】
本明細書で使用される場合、2つの化合物の「組み合わせの治療有効量」は、組み合わせにおける各化合物の治療有効量と比較して、すなわち、単に相加的であることを超えて、組み合わせの活性を一緒に相乗的に増加させる量である。代替的に、インビボで、治療有効量の、汎ErbBファミリーメンバー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した全生存期間(「OS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbBファミリーメンバー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した無増悪生存期間(「PFS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbB阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍退縮をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbB阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍成長阻害をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbB阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における安定期間の改善をもたらす。組み合わせにおける各化合物の量は、組み合わせが相乗的である限り、単剤療法として単独で投与されるときの各化合物の治療有効量と同じであるか又は異なり得る。そのような量は、単一投与量として投与され得るか、又はレジメンに従って投与され得、それにより効果的である。
【0061】
本明細書で使用される場合、治療は、状態、障害、又は疾患の症状又は病理が緩和されるか又はそうでなければ有利に改変される、任意の方法を指す。治療はまた、本明細書における組成物の任意の薬学的使用を包含する。
【0062】
本明細書で使用される場合、特定の薬学的組成物の投与による特定の障害の症状の緩和は、永久的であっても一時的であっても、持続性であっても一過性であっても、組成物の投与に起因し得るか又は関連し得る、任意の軽減を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、数値的に定義されたパラメータ(例えば、KRAS阻害剤若しくは汎ErbBファミリー阻害剤若しくはその薬学的に許容される塩の用量、又は本明細書に記載される併用療法での治療時間の長さ)を修飾するために使用されるとき、パラメータが、そのパラメータについて記載された数値を最大10%下回って又は上回って変動し得ることを意味する。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kgと5.5mg/kgとの間で変動し得る。「約」は、パラメータのリストの最初に使用されるとき、各パラメータを修飾することを意味する。例えば、約0.5mg、0.75mg、又は1.0mgは、約0.5mg、約0.75mg、又は約1.0mgを意味する。同様に、約5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、及び25%以上は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、及び約25%以上を意味する。
【0064】
阻害剤化合物
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRAS G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0065】
1.ErbBファミリー
上皮成長因子受容体(EGFR)は、ErbB受容体ファミリーの膜貫通タンパク質チロシンキナーゼである。上皮成長因子(EGF)と結合すると、EGFR受容体は、別のEGFR分子とホモ二量体化するか、又はErbB2(HER2)、ErbB3(HER3)、若しくはErbB4(HER4)などの別のファミリーメンバーとヘテロ二量体化することができる。ErbB受容体のホモ及び/又はヘテロ二量体化は、細胞内ドメインにおける主要なチロシン残基のリン酸化をもたらし、細胞増殖及び生存に関与する多数の細胞内シグナル伝達経路の刺激をもたらす。
【0066】
EGFR遺伝子の過剰発現は、膀胱、脳、頭頸部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺、及び腎臓を含む様々ながんにおいて特定されている。過剰発現に加えて、EGFR活性化変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)腫瘍のサブセットにおいて検出されている。これらの変異は、EGFRキナーゼドメインの一部をコードする、EGFRエクソン18~21内で生じる傾向がある。これらの変異の約90%は、エクソン19欠失又はエクソン21 L858R点変異である(Ladanyi and Pao(2008)Mod Path.May;21 Suppl 2:S16-22.doi:10.1038/modpathol.3801018)。これらの変異は、EGFRのキナーゼ活性を増加させ、下流生存促進シグナル伝達経路の過剰活性化をもたらす。
【0067】
EGFRの過剰発現及び/又は活性化変異の頻度は、それを抗がん療法の望ましい標的とし、いくつかのEGFR阻害剤が開発され、臨床的に利用可能である。
【0068】
第1世代エルロチニブ及びゲフィチニブは、EGFRキナーゼドメインのATP結合部位に競合的に結合することによってEGFR活性を阻害するが、EGFR遺伝子における追加の変異、例えば、T790M変異は、エルロチニブ及びゲフィチニブのような薬物がそれほどよく結合しない変異体EGFRタンパク質を産生する。それらの変異は、そのような変異を担持するがん患者における薬物及び再発に対する耐性と関連しており、T790M変異体を標的とする第2世代EGFR阻害剤の開発につながった。
【0069】
更に、経路関連酵素MEKの阻害は、ErbBファミリーメンバー、特にEGFRの増加した発現をもたらし、それはErbBファミリー阻害剤に対する適応及び獲得耐性をもたらし得る(Sun et al.,(2014)Cell Reports 7:86-93)。
【0070】
2.汎ErbBファミリー阻害剤
本発明の方法において使用される汎ErbBファミリー阻害剤は、可逆的又は不可逆的ErbBファミリー阻害剤であり得る。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、2つ以上のErbBファミリーメンバーの活性を阻害する。
【0071】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、不可逆的阻害剤である。不可逆的な汎ErbBファミリー阻害剤は、それぞれ、システイン797及びシステイン773のスルフヒドリル基との共有結合を形成することによって、EGFR及びHER2の活性を阻害し、これは、細胞内触媒ドメインへのATPの結合を遮断する。したがって、これらの阻害剤は、例えば、EGFRエクソン19欠失/挿入、並びにL858R及びT790M耐性変異を有する細胞株に対して活性である。
【0072】
方法における使用のための例示的な不可逆的汎ErbBファミリー阻害剤としては、アファチニブ((E)-N-(4-((3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ)-7-((テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)キナゾリン-6-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エンアミド)、ダコミチニブ((2E)-N-{4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-メトキシ-6-キナゾリニル}-4-(1-ピペリジニル)-2-ブテンアミド)、カネルチニブ(N-(4-((3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ)-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-6-イル)アクリルアミド、ポジオチニブ(1-(4-((4-((3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル)オキシ)ピペリジン-1-プロパ-2-エン-1-オン)、AV 412(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ)-7-[3-メチル-3-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1-ブチン-1-イル]-6-キナゾリニル]-2-プロペンアミド)、PF 6274484(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-メトキシ-6-キナゾリニル]-2-プロペンアミド)、及びHKI 357((2E)-N-[[4-[[(3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]アミノ-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)、及びそれらの薬学的に許容される塩又は薬学的組成物が挙げられる。一実施形態では、不可逆的汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、不可逆的汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。
【0073】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、可逆的阻害剤である。例示的な可逆的汎EGFRファミリー阻害剤としては、エルロチニブ([6,7-ビス-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン-4-イル]-(3-エチニル-フェニル)-アミン))、ゲフィチニブ(4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、サピチニブ(2-(4-((4-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-N-メチルアセタミド)、バルリチニブ((R)-N4-(3-クロロ-4-(チアゾール-2-イルメトキシ)フェニル)-N6-(4-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)キナゾリン-4,6-ジアミン)、TAK-285(N-(2-(4-((3-クロロ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)アミノ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル)エチル)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタンアミド)、AEE788((S)-6-(4-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-N-(1-フェニルエチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン)、タルロキソチニブ3-[N-[4-(3-ブロモ-4-クロロフェニルアミノ)ピリド[3,4-d]ピリミジン-6-イル]カルバモイル]-N,N-ジメチル-N-(1-メチル-4-ニトロ-1H-イミダゾール-5-イルメチル)-2(E)-プロペン-1-アミニウム臭化物)、BMS 599626((3S)-3-モルホリニルメチル-[4-[[1-[(3-フルオロフェニル)メチル]-1H-インダゾール-5-イル]アミノ]-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-カルバメート二塩酸塩)、及びGW 583340 HCl(N-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6-[2-[[[2-(メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-4-チアゾリル]-4-キナゾリンアミン二塩酸塩)、及びそれらの薬学的に許容される塩又は薬学的組成物が挙げられる。一実施形態では、可逆的汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、可逆的汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。
【0074】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、EGFR阻害剤及びHER2阻害剤の組み合わせであり、EGFR阻害剤及びHER2阻害剤は、AG 1478 HCl(N-(3-クロロフェニル)-6,7-ジメトキシ-4-キナゾリナニン塩酸塩)、AG 494(E)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-フェニル-2-プロペンアミド、AG 555(E)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(3-フェニルプロピル)-2-プロペンアミド、AG 556(E)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-フェニルブチル)-2-プロペンアミド、AG 825(E)-3-[3-[2-ベンゾチアゾリチオ)メチル]-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル]-2-シアノ-2-プロペンアミド、CP 724714(2-メトキシ-N-[(2E)-3-[4-[[3-メチル-4-[(6-メチル-3-ピリジニル)オキシ]フェニル]アミノ]-6-キナゾリニル]-2-プロペン-1-イル]アセトアミド、BIBU 1361ジHCl(N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-6-[4-[(ジエチルアミノ)メチル]-1-ピペリジニル]-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-4-アミン二塩酸塩)、BIBU 1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-N2-(1-メチル-4-ピペリジニル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン二塩酸塩)、JNJ 28871063 HCl(5E-4-アミノ-6-(4-ベンジルオキシ-3-クロロフェニルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサルデヒドN-(2-モルホリン-4-イルエチル)オキシム塩酸塩)、PD 153035(4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6,7-ジメトキシキナゾリン塩酸塩)、PD 158780(N4-(3-ブロモフェニル)-N6-メチル-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン)、及びそれらの薬学的に許容される塩又は薬学的組成物のうちの2つの組み合わせである。
【0075】
野生型及び変異体ErbBファミリーメンバーを標的とする可逆的及び不可逆的汎ErbBファミリー阻害剤を製造するための方法は、当業者に周知であり、汎ErbBファミリー阻害剤は、研究又はヒト使用の両方に好適な形態で、多種多様な商業的供給業者から入手され得る。加えて、本明細書に開示される組成物及び方法における使用に好適な可逆的及び不可逆的汎ErbBファミリー阻害剤、及びそのような阻害剤を調製するための方法は、米国特許出願公開第2018/0050993号、同第2018/0016268号、同第2018/0008607号、同第2017/0362204号、同第2017/0362203号、同第2017/0355683号、同第2017/0342055号、同第2017/0267671号、同第2017/0183330号、同第2017/0174697号、2017/0008856、同第2016/0375148号、同第2016/0332994号、同第2016/0257682号、同第2016/0244469号、同第2016/0137610号、同第2016/0102076号、同第2016/0016948号、同第2015/0284340号、同第2015/0274678号、同第2015/0250778号、同第2015/0246047号、同第2015/0126508号、同第2015/0025055号、同第2014/0221403号、同第2014/0178412号、同第2014/0161722号、同第2014/0155606号、同第2014/0038981号、同第2014/0038940号、同第2014/0005391号、同第2013/0296348号、同第2013/0209461号、同第2013/0137709号、同第2012/0316135L号、同2012/0094999号、同第2011/0295004号、同第2011/0033453号、同第2010/0196365号、同第2010/0143295号、同第2010/0120678号、同第2010/0034689号、同第2009/0209758号、同第2009/0111772号、同第2009/0029968号、同第2008/0194578号、同第2008/0139590号、同第2000/125448号、同第2008/0051395号、同第2007/0232607号、同第2006/0235046号、及び同第2004/0023957号に開示される。
【0076】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、若しくは抗EGFR抗体及び抗HER2抗体の組み合わせ、又はそれらの薬学的組成物である。EGFR及び/又はHER-2を標的とする、モノクローナル抗体、抗体薬物コンジュゲート、及び二重特異性抗体を含む、抗体は、周知であり、いくつかの抗体は、研究及びヒト臨床使用のために市販されている。
【0077】
ヒト臨床使用について承認された例示的な抗EGFRモノクローナル抗体としては、ネシツムマブ(Eli Lilly)、パニツムマブ(Amgen)、及びセツキシマブ(ImClone)が挙げられるが、これらに限定されない。方法における使用に適した他の抗EGFR抗体としては、EP384、H11、11.6、225、及び199.12(Thermo Fisher)、GT133(GeneTex)、並びに米国特許出願公開第2008/0274114号、同第2010/0166755号、同第2010/0117110号、同第2012/0034211号、同第2012/0308576号、同第2013/0273033号、同第2013/0344093号、同第2014/0286969号、同第2015/0337042号、同第2017/0218073号、同第2017/0267765号、同第2018/0036405号、同第2018/0066066号、同第2018/0094062号、同第2018/0155433号、同第2018/0306049号、同第2018/0362443号、同第2019/0040143号、同第2019/0151328号、同第2019/0194347号、同第2019/0194350号、同第2019/0209704号、同第2019/0216924号、及び同第2019/0263930号に開示されるものが挙げられる。
【0078】
一実施形態では、抗EGFRモノクローナル抗体は、セツキシマブである。
【0079】
ヒト臨床使用について承認された例示的な抗HER-2モノクローナル抗体としては、ペルツズマブ(Roche)、トラスツズマブ(Roche)、及びトラスツズマブエムタンシン(Roche)が挙げられるが、これらに限定されない。方法における使用に適した他の抗Her2抗体、抗体薬物コンジュゲート、及び二重特異性抗体としては、米国特許出願公開第2003/0228663号、同第2006/0018899号、同第2009/0187007号、同第2009/0285837号、同第2011/0159014号、同第2011/0177095号、同第2011/0313137号、同第2012/0309942号、同第2015/0166664号、同第2015/0352225号、同第2016/0051695号、同第2016/0096893号、同第2018/0022816号、同第2018/0022820号、同第2018/0057608号、同第2018/0118837号、同第2018/0258173号、同第2019/0177428号、及び同第2019/0248918号に開示されるものが挙げられる。
【0080】
3.KRas G12D阻害剤
一実施形態では、方法において使用されるKRas G12D阻害剤は、式(I):
【化2】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
1は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3シアノアルキル、C1~C3ヒドロキシアルキル、HC(=O)-、-CO
2R
5、-CO
2N(R
5)
2、又は5~6員ヘテロアリールであり、
Yは、結合、O、又はNR
5であり、
R
2は、水素、-N(R
5)
2、ヘテロシクリル、C1~C6アルキル、-L-ヘテロシクリル、-L-アリール、-L-ヘテロアリール、-L-シクロアルキル、-L-N(R
5)
2、-L-NHC(=NH)NH
2、-L-C(O)N(R
5)
2、-L-C1~C6ハロアルキル、-L-OR
5、-L-(CH
2OR
5)(CH
2)
nOR
5、-L-NR
5C(O)-アリール、-L-COOH、又は-LC(=O)OC1~C6アルキルであり、-L-NR
5C(O)-アリールのヘテロシクリル及びアリール部分、並びに-L-ヘテロシクリルのヘテロシクリル部分、並びに-L-シクロアルキルのシクロアルキル部分は、1つ以上のR
6で任意に置換され得、-L-アリール及び-L-ヘテロアリールのアリール又はヘテロアリールは、1つ以上のR
7で任意に置換され得、
各Lは、独立して、ヒドロキシ、C1~C4ヒドロキシアルキル、又はヘテロアリールで任意に置換されたC1~C4アルキレンであり、
R
3は、アリール又はヘテロアリールであり、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上のR
8で任意に置換され、
R
4は、水素、ハロゲン、又はC1~C3アルキルであり、
各R
5は、独立して、水素又はC1~C3アルキルであり、
各R
6は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、シアノ、-Q-フェニル、-Q-フェニルSO
2F、-NHC(O)フェニル、-NHC(O)フェニルSO
2F、C1~C3アルキル置換ピラゾリル、アラC1~C3アルキル-、tert-ブチルジメチルシリルオキシCH
2-、-N(R
5)
2、(C1~C3アルコキシ)C1~C3アルキル-、(C1~C3アルキル)C(=O)、オキソ、(C1~C3ハロアルキル)C(=O)-、-SO
2F、(C1~C3アルコキシ)C1~C3アルコキシ、-CH
2OC(O)N(R
5)
2、-CH
2NHC(O)OC1~C6アルキル、-CH
2NHC(O)N(R
5)
2、-CH
2NHC(O)C1~C6アルキル、-CH
2(ピラゾリル)、-CH
2NHSO
2C1~C6アルキル、-CH
2OC(O)ヘテロシクリル、-OC(O)N(R
5)
2、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニル(C1~C3アルキル)N(CH
3)
2、-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニル、又は-OC(O)ヘテロシクリル、-CH
2ヘテロシクリルであり、-NHC(O)フェニル又は-OC(O)NH(C1~C3アルキル)O(C1~C3アルキル)フェニルのフェニルが、-C(O)H又はOHで任意に置換されており、-CH
2ヘテロシクリルのヘテロシクリルが、オキソで任意に置換されており、
Qは、結合又はOであり、
各R
7は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、HC(=O)-、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、又は-N(R
5)
2であり、
各R
8は、独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C1~C4アルキル、-S-C1~C3アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、C2~C4ヒドロキシアルキニル、C1~C3シアノアルキル、トリアゾリル、C1~C3ハロアルキル、-O-C1~C3ハロアルキル、-S-C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、ヒドロキシC1~C3アルキル、-CH
2C(=O)N(R
5)
2、-C3~C4アルキニル(NR
5)
2、-N(R
5)
2、ジューテロC2~C4アルキニル、(C1~C3アルコキシ)ハロC1~C3アルキル-、又はC3~C6シクロアルキルであり、当該C3~C6シクロアルキルは、ハロゲン又はC1~C3アルキルで任意に置換されている。
【0081】
本明細書に開示される方法において有用な、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物の非限定的な例は、以下の構造を含む、化合物番号1~458(WO2021/041671において付番される)、又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【化3-5】
【化3-6】
【化3-7】
【化3-8】
【化3-9】
【化3-10】
【化3-11】
【化3-12】
【化3-13】
【化3-14】
【化3-15】
【化3-16】
【化3-17】
【化3-18】
【化3-19】
【化3-20】
【化3-21】
【化3-22】
【化3-23】
【化3-24】
【化3-25】
【化3-26】
【化3-27】
【化3-28】
【化3-29】
【化3-30】
【化3-31】
【化3-32】
【化3-33】
【化3-34】
【化3-35】
【化3-36】
【化3-37】
【化3-38】
【化3-39】
【化3-40】
【化3-41】
【化3-42】
【化3-43】
【化3-44】
【化3-45】
又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0082】
本発明の一態様では、KRas G12D阻害剤は、化合物MRTX1133又はMRTX1133類似体、及びWIPO公報WO2021/041671に開示及び記載される化合物のいずれかなどの関連化合物を含み、Ex.252(MRTX1133)、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニル-6-フルオロナフタレン-2-オール、Ex.243、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、Ex.246、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、Ex.251、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、Ex.253、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、Ex.259、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及びEx.282、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、又はそれらの薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含むが、これらに限定されない。
【0083】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化4】
(WO2021/041671において実施例243とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0084】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化5】
(WO2021/041671において実施例246とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0085】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化6】
(WO2021/041671において実施例251とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0086】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化7】
(WO2021/041671において実施例252とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。この化合物は、MRTX1133としても知られており、本出願において「MRTX1133」と称され得る。
【0087】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化8】
(WO2021/041671において実施例253とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0088】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化9】
(WO2021/041671において実施例259とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0089】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、
【化10】
(WO2021/041671において実施例282とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0090】
本発明の方法において使用されるKRas G12D阻害剤は、1つ以上のキラル中心を有し得、立体異性体混合物、すなわち空間におけるそれらの原子の配置が異なる同一の構成の異性体として合成され得る。化合物は、混合物として使用され得るか、又は個々の成分/異性体は、市販の試薬及び当業者に周知の立体異性体及び鏡像異性体の単離のための従来の方法を使用して、例えば、CHIRALPAK(登録商標)(Sigma-Aldrich)又はCHIRALCEL(登録商標)(Diacel Corp)キラルクロマトグラフィーHPLCカラムを製造業者の指示に従って使用して分離され得る。代替的に、本発明の化合物は、個々の異性体又はエナンチオマーを調製するために、光学的に純粋なキラル試薬及び中間体を使用して合成され得る。別段の指示がない限り、全てのキラル(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びラセミ形態は、本発明の範囲内である。別段の指示がない限り、特許請求の範囲を含む、本明細書が本発明の化合物を指すときはいつでも、「化合物」という用語は、全てのキラル(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びラセミ形態を包含すると理解されるべきである。
【0091】
一実施形態では、方法において使用される式IのKRas G12D阻害剤化合物は、上記化合物のトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0092】
本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤を製造するための方法は、既知である。例えば、共同所有の公開国際PCT出願第2021/041671号は、式Iの化合物を調製するための一般的な反応スキームを記載し、また本明細書に開示される各KRas G12D阻害剤の調製のための詳細な合成経路を提供する。
【0093】
汎ErbBファミリー阻害剤及び式(I)のKRas G12D化合物又はその薬学的に許容される塩は、薬学的組成物に製剤化され得る。
【0094】
薬学的組成物
別の態様では、本発明は、本発明による汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、並びに本明細書に開示される方法において使用され得る薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を含む、薬学的組成物を提供する。汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、独立して、当該技術分野で周知の任意の方法によって製剤化され得、限定なしに、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻腔内、気管内、又は直腸内を含む、任意の経路による投与のために調製され得る。ある特定の実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、病院環境において静脈内投与される。一実施形態では、投与は、経口経路によるものであり得る。
【0095】
担体の特徴は、投与経路に依存するであろう。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、細胞、細胞培養物、組織、又は生物などの生体系と適合性があり、かつ活性成分(複数可)の生物学的活性の有効性を妨害しない非毒性材料を意味する。よって、組成物は、阻害剤に加えて、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野において周知の他の材料を含有し得る。薬学的に許容される製剤の調製は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,ed.A.Gennaro,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990に記載されている。
【0096】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、上記で特定された化合物の望ましい生物学的活性を保持し、かつ望ましくない毒物学的効果を最小限呈するか又は呈さない塩を指す。そのような塩の例としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)により形成される酸付加塩、並びに酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロ酸などの有機酸により形成される酸が挙げられるが、これらに限定されない。化合物はまた、当業者に既知である薬学的に許容される四級塩として投与され得、これには特に式-NR+Z-の四級アンモニウム塩が含まれ、式中、Rは、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、-O-アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸(例えば、安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンジル酸、及びジフェニル酢酸)を含む、対イオンである。
【0097】
活性化合物は、治療される患者に深刻な毒性作用を引き起こすことなく治療有効量を患者に送達するのに十分な量で、薬学的に許容される担体又は希釈剤中に含まれる。一実施形態では、上記条件の全てについての活性化合物の用量は、1日当たり約0.01~300mg/kg、例えば、0.1~100mg/kg、更なる例として1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり0.5~約25mgの範囲である。典型的な局所投与量は、好適な担体中の0.01~3重量/重量%の範囲である。薬学的に許容される誘導体の有効投与量範囲は、送達される親化合物の重量を基準にして計算され得る。誘導体がそれ自体で活性を呈する場合は、有効投与量は、誘導体の重量を使用して上記のように推定され得、又は当業者に既知の他の手段で推定され得る。
【0098】
汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及びKRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を含む薬学的組成物は、本明細書に記載される使用の方法において使用され得る。
【0099】
同時投与
汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、別個の又は個々の剤形に製剤化することができ、これらは、次々に同時投与することができる。別の選択肢は、投与の経路が同じ(例えば、経口)である場合、2つの活性化合物を同時投与のための単一形態に製剤化することができるが、同時投与の両方の方法は、同じ治療処置又はレジメンの一部である。
【0100】
方法における使用のための、汎ErbBファミリー阻害剤、若しくはその薬学的に許容される塩、及び/又はKRas G12D阻害剤、若しくはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物は、同時、別個、又は順次使用のためであり得る。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に投与される。別の実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与後に投与される。別の実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与とほぼ同時に投与される。
【0101】
異なる時間での及び異なる経路による、各阻害剤の別々の投与は、いくつかの場合において有利であろう。よって、組み合わせ中の成分、すなわち、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、必ずしも本質的に同時に又はいかなる順序でも投与される必要はない。
【0102】
腫瘍学薬物は、典型的には、許容されない副作用を引き起こさない薬物の最高用量である、最大耐量(「MTD」)で投与される。一実施形態では、KRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、各々、それらのそれぞれのMTDで投与される。一実施形態では、KRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTDで投与され、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTD未満の量で投与される。一実施形態では、KRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTD未満の量で投与され、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTDで投与される。一実施形態では、KRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、各々、それらのそれぞれのMTD未満で投与される。投与は、一方の化合物のピーク薬物動態効果が他方のピーク薬物動態効果と一致するようにタイミングを合わせることができる。
【0103】
一実施形態では、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の単一用量が、1日当たり(すなわち、約24時間間隔で)(すなわち、QD)投与される。別の実施形態では、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の2用量が、1日当たり(すなわち、BID)投与される。別の実施形態では、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の3用量が、1日当たり(すなわち、TID)投与される。
【0104】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、QD投与される。別の実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、BID投与される。別の実施形態では、本発明の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、TID投与される。
【0105】
一実施形態では、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、各々1日1回投与される。
【0106】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、不可逆的阻害剤である。本明細書における方法における使用のための例示的な不可逆的汎ErbBファミリー阻害剤としては、アファチニブ((E)-N-(4-((3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ)-7-((テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)キナゾリン-6-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エンアミド)、ダコミチニブ((2E)-N-{4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-メトキシ-6-キナゾリニル}-4-(1-ピペリジニル)-2-ブテンアミド)、カネルチニブ(N-(4-((3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ)-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-6-イル)アクリルアミド、ポジオチニブ(1-(4-((4-((3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル)オキシ)ピペリジン-1-プロパ-2-エン-1-オン)、AV 412(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ)-7-[3-メチル-3-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1-ブチン-1-イル]-6-キナゾリニル]-2-プロペンアミド)、PF 6274484(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-メトキシ-6-キナゾリニル]-2-プロペンアミド)、及びHKI 357((2E)-N-[[4-[[(3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]アミノ-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物が挙げられる。
【0107】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、可逆的阻害剤である。例示的な可逆的汎EGFRファミリー阻害剤としては、エルロチニブ([6,7-ビス-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン-4-イル]-(3-エチニル-フェニル)-アミン))、ゲフィチニブ((4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン)、サピチニブ(2-(4-((4-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-N-メチルアセタミド)、バルリチニブ((R)-N4-(3-クロロ-4-(チアゾール-2-イルメトキシ)フェニル)-N6-(4-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)キナゾリン-4,6-ジアミン)、TAK-285(N-(2-(4-((3-クロロ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)アミノ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル)エチル)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタンアミド)、AEE788((S)-6-(4-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-N-(1-フェニルエチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン)、タルロキソチニブ([(E)-4-[[4-(3-ブロモ-4-クロロアニリノ)ピリド[3,4-d]ピリミジン-6-イル]アミノ]-4-オキソブト-2-エニル]-ジメチル-[(3-メチル-5-ニトロイミダゾール-4-イル)メチル]アザニウム)、BMS 599626((3S)-3-モルホリニルメチル-[4-[[1-[(3-フルオロフェニル)メチル]-1H-インダゾール-5-イル]アミノ]-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-カルバメート二塩酸塩)、及びGW 583340 HCl(N-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6-[2-[[[2-(メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-4-チアゾリル]-4-キナゾリンアミン二塩酸塩)、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物が挙げられる。
【0108】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、若しくは抗EGFR抗体及び抗HER2抗体の組み合わせ、又はそれらの薬学的組成物である。一実施形態では、抗EGFR抗体は、ネシツムマブ、パニツムマブ、又はセツキシマブである。一実施形態では、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。一実施形態では、本明細書における方法における使用に適した抗HER2抗体は、ペルツズマブ、トラスツズマブ、又はトラスツズマブエムタンシンである。
【0109】
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、EGFR阻害剤及びHER2阻害剤であり、EGFR阻害剤及びHER2阻害剤は、独立して、AG 1478 HCl(N-(3-クロロフェニル)-6,7-ジメトキシ-4-キナゾリナニン塩酸塩)、AG 494(E)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-フェニル-2-プロペンアミド、AG 555(E)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(3-フェニルプロピル)-2-プロペンアミド、AG 556(E)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-フェニルブチル)-2-プロペンアミド、AG 825(E)-3-[3-[2-ベンゾチアゾリルチオ)メチル]-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル]-2-シアノ-2-プロペンアミド、CP 724714(2-メトキシ-N-[(2E)-3-[4-[[3-メチル-4-[(6-メチル-3-ピリジニル)オキシ]フェニル]アミノ]-6-キナゾリニル]-2-プロペン-1-イル]アセトアミド、BIBU 1361 ジHCl(N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-6-[4-[(ジエチルアミノ)メチル]-1-ピペリジニル]-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-4-アミン二塩酸塩)、BIBU 1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-N2-(1-メチル-4-ピペリジニル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン二塩酸塩)、JNJ 28871063 HCl(5E-4-アミノ-6-(4-ベンジルオキシ-3-クロロフェニルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサルデヒドN-(2-モルホリン-4-イルエチル)オキシム塩酸塩)、PD 153035(4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6,7-ジメトキシキナゾリン塩酸塩)、PD 158780(N4-(3-ブロモフェニル)-N6-メチル-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン)、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物からなる群から選択される2つの薬剤から選択される。
【0110】
併用療法
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRAS G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、がんは、KRas G12D関連がんである。一実施形態では、KRas G12D関連がんは、膵臓がん、大腸がん、子宮内膜がん、及び非小細胞肺がんである。
【0111】
更に別の態様では、本発明は、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、がん細胞を、有効量の、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせと接触させることを含み、汎ErbBファミリー阻害剤が、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を相乗的に増加させる、方法を提供する。一実施形態では、接触は、インビトロで行われる。一実施形態では、接触は、インビボで行われる。
【0112】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化11】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせを含む。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ポジオチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、エルロチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ゲフィチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体であり、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。
【0113】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化12】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせを含む。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ポジオチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、エルロチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ゲフィチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体であり、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。
【0114】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化13】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせを含む。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ポジオチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、エルロチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ゲフィチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体であり、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。
【0115】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化14】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせを含む。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ポジオチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、エルロチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ゲフィチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体であり、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。
【0116】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化15】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせを含む。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ポジオチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、エルロチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ゲフィチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体であり、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。
【0117】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化16】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせを含む。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ポジオチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、エルロチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ゲフィチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体であり、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。
【0118】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化17】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせを含む。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ダコミチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ポジオチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、エルロチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、ゲフィチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、サピチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、タルロキソチニブである。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、抗EGFR抗体であり、抗EGFR抗体は、セツキシマブである。
【0119】
本明細書で使用される場合、「接触させること」という用語は、インビトロ系又はインビボ系において示される部分を一緒にすることを指す。例えば、がん細胞を「接触させること」は、KRas G12Dを有する、ヒトなどの、個体又は対象への本明細書に提供される組み合わせの投与、及び、例えば、本明細書に提供される組み合わせを、KRas G12Dを含有する細胞又は精製調製物を含有する試料中に導入することを含む。
【0120】
KRas G12Dの活性を負に調節することによって、本明細書に記載される方法は、細胞内の増強されたKRas G12D活性に起因する望ましくない細胞増殖を阻害するように設計される。KRas G12Dを阻害する化合物の能力は、公表された国際PCT出願第2021/041671号に記載されるものを含む、周知の方法を使用してインビトロで監視され得る。同様に、細胞における組み合わせの阻害活性は、例えば、治療の有効性を評価するためにリン酸化ERKの量のKRas G12D活性の阻害を測定することによって監視され得、投与量は、それに応じて主治医によって調整され得る。
【0121】
本明細書に提供される組成物及び方法は、治療を必要とする対象におけるKRas G12D関連がんの治療であって、当該対象に、治療有効量の汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含み、汎ErbBファミリー阻害剤が、KRas G12D阻害剤に対するKRas G12D関連がんの感受性を相乗的に増加させる、治療に使用され得る。一実施形態では、KRas G12D関連がんは、膵臓がん、大腸がん、子宮内膜がん、及び非小細胞肺がんである。
【0122】
一実施形態では、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した全生存期間(「OS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した無増悪生存期間(「PFS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍退縮をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍成長阻害をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における安定期間の改善をもたらす。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、化合物番号1~458(WO2021/041671において付番される)、又はその薬学的に許容される塩(例えば、実施例番号252、243、246、251、253、259、若しくは282、又はそれらの薬学的に許容される塩)から選択される化合物である。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブ、ダコミチニブ、ポジオチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、サピチニブ、タルロキソチニブ、及びセツキシマブから選択される。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びセツキシマブを含む。
【0123】
別の実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、KRas G12D単剤療法について疾患進行が観察されると、KRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせで投与され、併用療法は、患者におけるOS、PFS、腫瘍退縮、腫瘍成長阻害、又は安定期間を増加させることによって、患者についての増強された臨床的利益又は生存期間をもたらす。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、化合物番号1~458(WO2021/041671において付番される)、又はその薬学的に許容される塩(例えば、実施例番号252、243、246、251、253、259、若しくは282、又はそれらの薬学的に許容される塩)から選択される化合物である。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブ、ダコミチニブ、ポジオチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、サピチニブ、タルロキソチニブ、及びセツキシマブから選択される。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びセツキシマブを含む。当該併用療法のいずれかの一実施形態では、組み合わせは、KRas G12D関連がんを治療するために有用である。一実施形態では、KRas G12D関連がんは、膵臓がん、大腸がん、子宮内膜がん、及び非小細胞肺がんである。
【0124】
本明細書における方法のいずれかの一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤及びKRAS G12D阻害剤は、同じ日に投与される。
【0125】
本明細書における方法のいずれかの一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤及びKRAS G12D阻害剤は、異なる日に投与される。
【0126】
本明細書に提供される組成物及び方法は、肺、大腸、膵臓、前立腺、乳房、脳、皮膚、子宮頸がん、精巣がんなどのような腫瘍を含む多種多様ながんの治療に使用され得る。より具体的には、本発明の組成物及び方法によって治療され得るがんには、星状細胞、乳房、子宮頸部、大腸、子宮内膜、食道、胃、頭頸部、肝細胞、喉頭、肺、口腔、卵巣、前立腺、及び甲状腺のがん並びに肉腫が含まれるが、これらに限定されない。より具体的には、これらの化合物は、以下を治療するために使用することができる。心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;肺:気管支原性がん(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺がん)、肺胞(細気管支)がん、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫性過誤腫、中皮腫;消化管:食道(扁平上皮がん、腺がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(がん腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺がん、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖路:腎臓(腺がん、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮がん、移行上皮がん、腺がん)、前立腺(腺がん、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児がん、奇形がん、絨毛がん、肉腫、間質細胞がん、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞腫(肝細胞がん)、胆管がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;胆道:胆嚢がん、十二指腸乳頭部がん、胆管がん;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜がん)、子宮頸部(子宮頸がん、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣がん(漿液性嚢胞腺がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類がん)、顆粒膜鞘細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮がん、上皮内がん、腺がん、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞がん、扁平上皮がん、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(がん腫);血液系:血液(骨髄性白血病(急性及び慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮がん、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;並びに副腎:神経芽細胞腫。ある特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がんである。
【0127】
また本明細書では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して決定されるように)がんがKRas G12D変異に関連していること(例えば、KRas G12D関連がん)を決定することと、(b)患者に、治療有効量の汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式IのKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することと、を含み、汎ErbBファミリー阻害剤が、KRas G12D阻害剤に対するKRas G12D関連がんの感受性を相乗的に増加させる、方法が提供される。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、化合物番号1~458(WO2021/041671において付番される)、又はその薬学的に許容される塩(例えば、実施例番号252、243、246、251、253、259、若しくは282、又はそれらの薬学的に許容される塩)から選択される化合物である。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブ、ダコミチニブ、ポジオチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、サピチニブ、タルロキソチニブ、及びセツキシマブから選択される。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びセツキシマブを含む。
【0128】
一実施形態では、式Iの化合物は、期間中にカプセルとして投与される。一実施形態では、式Iの化合物の錠剤又はカプセル製剤は、約10mg~約100mg(例えば、約10mg~約95mg、約10mg~約90mg、約10mg~約85mg、約10mg~約80mg、約10mg~約75mg、約10mg~約70mg、約10mg~約65mg、約10mg~約60mg、約10mg~約55mg、約10mg~約50mg、約10mg~約45mg、約10mg~約40mg、約10mg~約35mg、約10mg~約30mg、約10mg~約25mg、約10mg~約20mg、約10mg~約15mg、約15mg~約100mg、約15mg~約95mg、約15mg~約90mg、約15mg~約85mg、約15mg~約80mg、約15mg~約75mg、約15mg~約70mg、約15mg~約65mg、約15mg~約60mg、約15mg~約55mg、約15mg~約50mg、約15mg~約45mg、約15mg~約40mg、約15mg~約35mg、約15mg~約30mg、約15mg~約25mg、約15mg~約20mg、約20mg~約100mg、約20mg~約95mg、約20mg~約90mg、約20mg~約85mg、約20mg~約80mg、約20mg~約75mg、約20mg~約70mg、約20mg~約65mg、約20mg~約60mg、約20mg~約55mg、約20mg~約50mg、約20mg~約45mg、約20mg~約40mg、約20mg~約35mg、約20mg~約30mg、約20mg~約25mg、約25mg~約100mg、約25mg~約95mg、約25mg~約90mg、約25mg~約85mg、約25mg~約80mg、約25mg~約75mg、約25mg~約70mg、約25mg~約65mg、約25mg~約60mg、約25mg~約55mg、約25mg~約50mg、約25mg~約45mg、約25mg~約40mg、約25mg~約35mg、約25mg~約30mg、約30mg~約100mg、約30mg~約95mg、約30mg~約90mg、約30mg~約85mg、約30mg~約80mg、約30mg~約75mg、約30mg~約70mg、約30mg~約65mg、約30mg~約60mg、約30mg~約55mg、約30mg~約50mg、約30mg~約45mg、約30mg~約40mg、約30mg~約35mg、約35mg~約100mg、約35mg~約95mg、約35mg~約90mg、約35mg~約85mg、約35mg~約80mg、約35mg~約75mg、約35mg~約70mg、約35mg~約65mg、約35mg~約60mg、約35mg~約55mg、約35mg~約50mg、約35mg~約45mg、約35mg~約40mg、約40mg~約100mg、約40mg~約95mg、約40mg~約90mg、約40mg~約85mg、約40mg~約80mg、約40mg~約75mg、約40mg~約70mg、約40mg~約65mg、約40mg~約60mg、約40mg~約55mg、約40mg~約50mg、約40mg~約45mg、約45mg~約100mg、約45mg~約95mg、約45mg~約90mg、約45mg~約85mg、約45mg~約80mg、約45mg~約75mg、約45mg~約70mg、約45mg~約65mg、約45mg~約60mg、約45mg~約55mg、約45mg~約50mg、約50mg~約100mg、約50mg~約95mg、約50mg~約90mg、約50mg~約85mg、約50mg~約80mg、約50mg~約75mg、約50mg~約70mg、約50mg~約65mg、約50mg~約60mg、約50mg~約55mg、約55mg~約100mg、約55mg~約95mg、約55mg~約90mg、約55mg~約85mg、約55mg~約80mg、約55mg~約75mg、約55mg~約70mg、約55mg~約65mg、約55mg~約60mg、約60mg~約100mg、約60mg~約95mg、約60mg~約90mg、約60mg~約85mg、約60mg~約80mg、約60mg~約75mg、約60mg~約70mg、約60mg~約65mg、約65mg~約100mg、約65mg~約95mg、約65mg~約90mg、約65mg~約85mg、約65mg~約80mg、約65mg~約75mg、約65mg~約70mg、約70mg~約100mg、約70mg~約95mg、約70mg~約90mg、約70mg~約85mg、約70mg~約80mg、約70mg~約75mg、約75mg~約100mg、約75mg~約95mg、約75mg~約90mg、約75mg~約85mg、約75mg~約80mg、約80mg~約100mg、約80mg~約95mg、約80mg~約90mg、約80mg~約85mg、約85mg~約100mg、約85mg~約95mg、約85mg~約90mg、約90mg~約100mg、約90mg~約95mg、約95mg~約100mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、又は約100mg)の式Iの化合物(例えば、化合物番号1~458(WO2021/041671において付番される通り)、又はそれらの薬学的に許容される塩(例えば、実施例番号252、243、246、251、253、259、及び282、又はそれらの薬学的に許容される塩)を含む。一実施形態では、式Iの化合物は、期間中に毎日1日1回(QD)経口投与される。一実施形態では、式Iの化合物は、期間中に毎日1日2回(BID)経口投与される。一実施形態では、式Iの化合物は、期間中に、約20mg~約500mg(例えば、約20mg~約480mg、約20mg~約460mg、約20mg~約440mg、約20mg~約420mg、約20mg~約400mg、約20mg~約380mg、約20mg~約360mg、約20mg~約340mg、約20mg~約320mg、約20mg~約300mg、約20mg~約280mg、約20mg~約260mg、約20mg~約240mg、約20mg~約220mg、約20mg~約200mg、約20mg~約180mg、約20mg~約160mg、約20mg~約140mg、約20mg~約120mg、約20mg~約100mg、約20mg~約80mg、約20mg~約60mg、約20mg~約40mg、約40mg~約500mg、約40mg~約480mg、約40mg~約460mg、約40mg~約440mg、約40mg~約420mg、約40mg~約400mg、約40mg~約380mg、約40mg~約360mg、約40mg~約340mg、約40mg~約320mg、約40mg~約300mg、約40mg~約280mg、約40mg~約260mg、約40mg~約240mg、約40mg~約220mg、約40mg~約200mg、約40mg~約180mg、約40mg~約160mg、約40mg~約140mg、約40mg~約120mg、約40mg~約100mg、約40mg~約80mg、約40mg~約60mg、約60mg~約500mg、約60mg~約480mg、約60mg~約460mg、約60mg~約440mg、約60mg~約420mg、約60mg~約400mg、約60mg~約380mg、約60mg~約360mg、約60mg~約340mg、約60mg~約320mg、約60mg~約300mg、約60mg~約280mg、約60mg~約260mg、約60mg~約240mg、約60mg~約220mg、約60mg~約200mg、約60mg~約180mg、約60mg~約160mg、約60mg~約140mg、約60mg~約120mg、約60mg~約100mg、約60mg~約80mg、約80mg~約500mg、約80mg~約480mg、約80mg~約460mg、約80mg~約440mg、約80mg~約420mg、約80mg~約400mg、約80mg~約380mg、約80mg~約360mg、約80mg~約340mg、約80mg~約320mg、約80mg~約300mg、約80mg~約280mg、約80mg~約260mg、約80mg~約240mg、約80mg~約220mg、約80mg~約200mg、約80mg~約180mg、約80mg~約160mg、約80mg~約140mg、約80mg~約120mg、約80mg~約100mg、約100mg~約500mg、約100mg~約480mg、約100mg~約460mg、約100mg~約440mg、約100mg~約420mg、約100mg~約400mg、約100mg~約380mg、約100mg~約360mg、約100mg~約340mg、約100mg~約320mg、約100mg~約300mg、約100mg~約280mg、約100mg~約260mg、約100mg~約240mg、約100mg~約220mg、約100mg~約200mg、約100mg~約180mg、約100mg~約160mg、約100mg~約140mg、約100mg~約120mg、約120mg~約500mg、約120mg~約480mg、約120mg~約460mg、約120mg~約440mg、約120mg~約420mg、約120mg~約400mg、約120mg~約380mg、約120mg~約360mg、約120mg~約340mg、約120mg~約320mg、約120mg~約300mg、約120mg~約280mg、約120mg~約260mg、約120mg~約240mg、約120mg~約220mg、約120mg~約200mg、約120mg~約180mg、約120mg~約160mg、約120mg~約140mg、約140mg~約500mg、約140mg~約480mg、約140mg~約460mg、約140mg~約440mg、約140mg~約420mg、約140mg~約400mg、約140mg~約380mg、約140mg~約360mg、約140mg~約340mg、約140mg~約320mg、約140mg~約300mg、約140mg~約280mg、約140mg~約260mg、約140mg~約240mg、約140mg~約220mg、約140mg~約200mg、約140mg~約180mg、約140mg~約160mg、約160mg~約500mg、約160mg~約480mg、約160mg~約460mg、約160mg~約440mg、約160mg~約420mg、約160mg~約400mg、約160mg~約380mg、約160mg~約360mg、約160mg~約340mg、約160mg~約320mg、約160mg~約300mg、約160mg~約280mg、約160mg~約260mg、約160mg~約240mg、約160mg~約220mg、約160mg~約200mg、約160mg~約180mg、約180mg~約500mg、約180mg~約480mg、約180mg~約460mg、約180mg~約440mg、約180mg~約420mg、約180mg~約400mg、約180mg~約380mg、約180mg~約360mg、約180mg~約340mg、約180mg~約320mg、約180mg~約300mg、約180mg~約280mg、約180mg~約260mg、約180mg~約240mg、約180mg~約220mg、約180mg~約200mg、約200mg~約500mg、約200mg~約480mg、約200mg~約460mg、約200mg~約440mg、約200mg~約420mg、約200mg~約400mg、約200mg~約380mg、約200mg~約360mg、約200mg~約340mg、約200mg~約320mg、約200mg~約300mg、約200mg~約280mg、約200mg~約260mg、約200mg~約240mg、約200mg~約220mg、約220mg~
約500mg、約220mg~約480mg、約220mg~約460mg、約220mg~約440mg、約220mg~約420mg、約220mg~約400mg、約220mg~約380mg、約220mg~約360mg、約220mg~約340mg、約220mg~約320mg、約220mg~約300mg、約220mg~約280mg、約220mg~約260mg、約220mg~約240mg、約240mg~約500mg、約240mg~約480mg、約240mg~約460mg、約240mg~約440mg、約240mg~約420mg、約240mg~約400mg、約240mg~約380mg、約240mg~約360mg、約240mg~約340mg、約240mg~約320mg、約240mg~約300mg、約240mg~約280mg、約240mg~約260mg、約260mg~約500mg、約260mg~約480mg、約260mg~約460mg、約260mg~約440mg、約260mg~約420mg、約260mg~約400mg、約260mg~約380mg、約260mg~約360mg、約260mg~約340mg、約260mg~約320mg、約260mg~約300mg、約260mg~約280mg、約280mg~約500mg、約280mg~約480mg、約280mg~約460mg、約280mg~約440mg、約280mg~約420mg、約280mg~約400mg、約280mg~約380mg、約280mg~約360mg、約280mg~約340mg、約280mg~約320mg、約280mg~約300mg、約300mg~約500mg、約300mg~約480mg、約300mg~約460mg、約300mg~約440mg、約300mg~約420mg、約300mg~約400mg、約300mg~約380mg、約300mg~約360mg、約300mg~約340mg、約300mg~約320mg、約320mg~約500mg、約320mg~約480mg、約320mg~約460mg、約320mg~約440mg、約320mg~約420mg、約320mg~約400mg、約320mg~約380mg、約320mg~約360mg、約320mg~約340mg、約340mg~約500mg、約340mg~約480mg、約340mg~約460mg、約340mg~約440mg、約340mg~約420mg、約340mg~約400mg、約340mg~約380mg、約340mg~約360mg、約360mg~約500mg、約360mg~約480mg、約360mg~約460mg、約360mg~約440mg、約360mg~約420mg、約360mg~約400mg、約360mg~約380mg、約380mg~約500mg、約380mg~約480mg、約380mg~約460mg、約380mg~約440mg、約380mg~約420mg、約380mg~約400mg、約400mg~約500mg、約400mg~約480mg、約400mg~約460mg、約400mg~約440mg、約400mg~約420mg、約420mg~約500mg、約420mg~約480mg、約420mg~約460mg、約420mg~約440mg、約440mg~約500mg、約440mg~約480mg、約440mg~約460mg、約460mg~約500mg、約460mg~約480mg、約480mg~約500mg、約25、約50、約75、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、又は約500mg)の量で経口投与される。
【0129】
一実施形態では、併用療法は、式Iの化合物の、(期間中の)毎日1日1回又は2回の、例えば、約10mg~約400mg(例えば、約10mg~約380mg、約10mg~約360mg、約10mg~約340mg、約10mg~約320mg、約10mg~約300mg、約10mg~約280mg、約10mg~約260mg、約10mg~約240mg、約10mg~約220mg、約10mg~約200mg、約10mg~約180mg、約10mg~約160mg、約10mg~約140mg、約10mg~約120mg、約10mg~約100mg、約10mg~約80mg、約10mg~約60mg、約10mg~約40mg、約10mg~約20mg、約20mg~約400mg、約20mg~約380mg、約20mg~約360mg、約20mg~約340mg、約20mg~約320mg、約20mg~約300mg、約20mg~約280mg、約20mg~約260mg、約20mg~約240mg、約20mg~約220mg、約20mg~約200mg、約20mg~約180mg、約20mg~約160mg、約20mg~約140mg、約20mg~約120mg、約20mg~約100mg、約20mg~約80mg、約20mg~約60mg、約20mg~約40mg、約40mg~約400mg、約40mg~約380mg、約40mg~約360mg、約40mg~約340mg、約40mg~約320mg、約40mg~約300mg、約40mg~約280mg、約40mg~約260mg、約40mg~約240mg、約40mg~約220mg、約40mg~約200mg、約40mg~約180mg、約40mg~約160mg、約40mg~約140mg、約40mg~約120mg、約40mg~約100mg、約40mg~約80mg、約40mg~約60mg、約60mg~約400mg、約60mg~約380mg、約60mg~約360mg、約60mg~約340mg、約60mg~約320mg、約60mg~約300mg、約60mg~約280mg、約60mg~約260mg、約60mg~約240mg、約60mg~約220mg、約60mg~約200mg、約60mg~約180mg、約60mg~約160mg、約60mg~約140mg、約60mg~約120mg、約60mg~約100mg、約60mg~約80mg、約80mg~約400mg、約80mg~約380mg、約80mg~約360mg、約80mg~約340mg、約80mg~約320mg、約80mg~約300mg、約80mg~約280mg、約80mg~約260mg、約80mg~約240mg、約80mg~約220mg、約80mg~約200mg、約80mg~約180mg、約80mg~約160mg、約80mg~約140mg、約80mg~約120mg、約80mg~約100mg、約100mg~約400mg、約100mg~約380mg、約100mg~約360mg、約100mg~約340mg、約100mg~約320mg、約100mg~約300mg、約100mg~約280mg、約100mg~約260mg、約100mg~約240mg、約100mg~約220mg、約100mg~約200mg、約100mg~約180mg、約100mg~約160mg、約100mg~約140mg、約100mg~約120mg、約120mg~約400mg、約120mg~約380mg、約120mg~約360mg、約120mg~約340mg、約120mg~約320mg、約120mg~約300mg、約120mg~約280mg、約120mg~約260mg、約120mg~約240mg、約120mg~約220mg、約120mg~約200mg、約120mg~約180mg、約120mg~約160mg、約120mg~約140mg、約140mg~約400mg、約140mg~約380mg、約140mg~約360mg、約140mg~約340mg、約140mg~約320mg、約140mg~約300mg、約140mg~約280mg、約140mg~約260mg、約140mg~約240mg、約140mg~約220mg、約140mg~約200mg、約140mg~約180mg、約140mg~約160mg、約160mg~約400mg、約160mg~約380mg、約160mg~約360mg、約160mg~約360mg、約160mg~約340mg、約160mg~約320mg、約160mg~約300mg、約160mg~約280mg、約160mg~約260mg、約160mg~約240mg、約160mg~約220mg、約160mg~約200mg、約160mg~約180mg、約180mg~約400mg、約180mg~約380mg、約180mg~約360mg、約180mg~約340mg、約180mg~約320mg、約180mg~約300mg、約180mg~約280mg、約180mg~約260mg、約180mg~約240mg、約180mg~約220mg、約180mg~約200mg、約200mg~約400mg、約200mg~約380mg、約200mg~約360mg、約200mg~約340mg、約200mg~約320mg、約200mg~約300mg、約200mg~約280mg、約200mg~約260mg、約200mg~約240mg、約200mg~約220mg、約220mg~約400mg、約220mg~約380mg、約220mg~約360mg、約220mg~約340mg、約220mg~約320mg、約220mg~約300mg、約220mg~約280mg、約220mg~約260mg、約220mg~約240mg、約240mg~約400mg、約240mg~約380mg、約240mg~約360mg、約240mg~約340mg、約240mg~約320mg、約240mg~約300mg、約240mg~約280mg、約240mg~約260mg、約260mg~約400mg、約260mg~約380mg、約260mg~約360mg、約260mg~約340mg、約260mg~約320mg、約260mg~約300mg、約260mg~約280mg、約280mg~約400mg、約280mg~約380mg、約280mg~約360mg、約280mg~約340mg、約280mg~約320mg、約280mg~約300mg、約300mg~約400mg、約300mg~約380mg、約300mg~約360mg、約300mg~約340mg、約300mg~約320mg、約320mg~約400mg、約320mg~約380mg、約320mg~約360mg、約340mg~約360mg、約340mg~約400mg、約340mg~約380mg、約340mg~約360mg、約360mg~約400mg、約360mg~約380mg、約380mg~約400mg、約100mg、約200mg、約300mg、又は約400mg)の量での経口投与、及び例えば、(期間中に)毎日1日1回投与される、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の経口投与を含む。一実施形態では、KRAS G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、毎日1回経口投与される。一実施形態では、KRAS G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、毎日2回経口投与される。
【0130】
当業者であれば、好適な、既知で、かつ一般に受け入れられている細胞及び/又は動物モデルを使用するインビボ及びインビトロ試験の両方が、所与の障害を治療又は予防する組み合わせの試験化合物又は組み合わせの能力を予測することを認識するであろう。
【0131】
当業者であれば更に、健康な患者及び/又は所与の障害に罹患している患者における、ヒト初の、用量範囲及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了され得ることを認識するであろう。
【0132】
相乗作用
一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の添加は、KRas G12Dを発現するがん又はがん細胞株に対する式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の活性を相乗的に増加させる。2つの化合物が相乗作用を示すかを決定するための任意の方法が、組み合わせの相乗効果を決定するために使用され得る。
【0133】
2つの化合物が相乗的に、すなわち、単なる相加効果を超えて作用するかを決定するために、いくつかの数学的モデルが開発されている。例えば、Loewe相加性(Loewe(1928)Physiol.27:47-187)、Bliss独立性(Bliss(1939)Ann.Appl.Biol.26:585-615)、Highest Single Agent、ZIP(Yadav et al(2015)Comput Struct Biotech J 13:504-513)、及び他のモデル(Chou&Talalay(1984)Adv Enzyme Regul 22:27-55.#6382953、及びGreco et al.(1995)Pharmacol Rev 47(2):331-85.#7568331)は、製薬業界において周知のモデルであり、相乗作用が検出されたか及びそのような相乗作用の大きさを示す「相乗作用スコア」を計算するために使用され得る。これらの相乗作用スコアを組み合わせることにより、複合相乗作用スコアを生成し、これは、汎ErbBファミリー阻害剤との組み合わせでの式(I)のKRas G12D阻害剤化合物を評価及び特徴分析するために使用され得る。
【0134】
概して、数学的モデルは、単剤値から得られたデータを使用して、組み合わせの予測される相加効果を決定し、これは、組み合わせについて観察された効果と比較される。観察された効果が予測される効果よりも大きい場合、組み合わせは、相乗的であるとみなされる。例えば、Bliss独立性モデルは、観察された組み合わせ応答(YO)を、薬物間相互作用からの影響がないという仮定に基づいて得られた、予測される組み合わせ応答(YP)と比較する。組み合わせ効果は、典型的には、YOがYPよりも大きい場合、相乗的であると断言される。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「相乗効果」は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩(例えば、WO2021/041671において付番される化合物番号1~458から選択される化合物)及び汎ErbBファミリー阻害剤又はその薬学的に許容される塩が単独で投与されるときに観察される効果の合計よりも大きい、効果、例えば、本明細書に記載される臨床結果又はエンドポイントを含む有益な又は望ましい結果のいずれかをもたらす、KRAS阻害剤又はその薬学的に許容される塩、及び汎ErbBファミリー阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを指す。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、化合物番号1~458(WO2021/041671において付番される)、又はその薬学的に許容される塩(例えば、実施例番号252、243、246、251、253、259、若しくは282、又はそれらの薬学的に許容される塩)から選択される化合物である。一実施形態では、汎ErbBファミリー阻害剤は、アファチニブ、ダコミチニブ、ポジオチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、サピチニブ、タルロキソチニブ、及びセツキシマブから選択される。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号252及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号243及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号246及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号251及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号253及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号259及びセツキシマブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びアファチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びダコミチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びポジオチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びエルロチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びゲフィチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びサピチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びタルロキソチニブを含む。一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の実施例番号282及びセツキシマブを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、(例えば、治療前の患者における1つ以上の固形腫瘍のサイズと比較して)1日~2年(例えば、1日~22ヶ月、1日~20ヶ月、1日~18ヶ月、1日~16ヶ月、1日~14ヶ月、1日~12ヶ月、1日~10ヶ月、1日~9ヶ月、1日~8ヶ月、1日~7ヶ月、1日~6ヶ月、1日~5ヶ月、1日~4ヶ月、1日~3ヶ月、1日~2ヶ月、1日~1ヶ月、1週間~2年、1週間~22ヶ月、1週間~20ヶ月、1週間~18ヶ月、1週間~16ヶ月、1週間~14ヶ月、1週間~12ヶ月、1週間~10ヶ月、1週間~9ヶ月、1週間~8ヶ月、1週間~7ヶ月、1週間~6ヶ月、1週間~5ヶ月、1週間~4ヶ月、1週間~3ヶ月、1週間~2ヶ月、1週間~1ヶ月、2週間~2年、2週間~22ヶ月、2週間~20ヶ月、2週間~18ヶ月、2週間~16ヶ月、2週間~14ヶ月、2週間~12ヶ月、2週間~10ヶ月、2週間~9ヶ月、2週間~8ヶ月、2週間~7ヶ月、2週間~6ヶ月、2週間~5ヶ月、2週間~4ヶ月、2週間~3ヶ月、2週間~2ヶ月、2週間~1ヶ月、1ヶ月~2年、1ヶ月~22ヶ月、1ヶ月~20ヶ月、1ヶ月~18ヶ月、1ヶ月~16ヶ月、1ヶ月~14ヶ月、1ヶ月~12ヶ月、1ヶ月~10ヶ月、1ヶ月~9ヶ月、1ヶ月~8ヶ月、1ヶ月~7ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~5ヶ月、1ヶ月~4ヶ月、1ヶ月~3ヶ月、1ヶ月~2ヶ月、2ヶ月~2年、2ヶ月~22ヶ月、2ヶ月~20ヶ月、2ヶ月~18ヶ月、2ヶ月~16ヶ月、2ヶ月~14ヶ月、2ヶ月~12ヶ月、2ヶ月~10ヶ月、2ヶ月~9ヶ月、2ヶ月~8ヶ月、2ヶ月~7ヶ月、2ヶ月~6ヶ月、又は2ヶ月~5ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、3ヶ月~2年、3ヶ月~22ヶ月、3ヶ月~20ヶ月、3ヶ月~18ヶ月、3ヶ月~16ヶ月、3ヶ月~14ヶ月、3ヶ月~12ヶ月、3ヶ月~10ヶ月、3ヶ月~8ヶ月、3ヶ月~6ヶ月、4ヶ月~2年、4ヶ月~22ヶ月、4ヶ月~20ヶ月、4ヶ月~18ヶ月、4ヶ月~16ヶ月、4ヶ月~14ヶ月、4ヶ月~12ヶ月、4ヶ月~10ヶ月、4ヶ月~8ヶ月、4ヶ月~6ヶ月、6ヶ月~2年、6ヶ月~22ヶ月、6ヶ月~20ヶ月、6ヶ月~18ヶ月、6ヶ月~16ヶ月、6ヶ月~14ヶ月、6ヶ月~12ヶ月、6ヶ月~10ヶ月、又は6ヶ月~8ヶ月)の期間にわたる併用療法での治療後の患者における1つ以上の固形腫瘍の体積における1%~99%(例えば、1%~98%、1%~95%、1%~90%、1~85%、1~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~99%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、4%~99%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、6%~99%、6%~95%、6%~90%、6%~85%、6%~80%、6%~75%、6%~70%、6%~65%、6%~60%、6%~55%、6%~50%、6%~45%、6%~40%、6%~35%、6%~30%、6%~25%、6%~20%、6%~15%、6%~10%、8%~99%、8%~95%、8%~90%、8%~85%、8%~80%、8%~75%、8%~70%、8%~65%、8%~60%、8%~55%、8%~50%、8%~45%、8%~40%、8%~35%、8%~30%、8%~25%、8%~20%、8%~15%、10%~99%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~99%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~99%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~99%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~99%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~99%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~99%、45%~95%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~99%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~99%、85%~95%、85%~90%、90%~99%、90%~95%、又は95%~100%)低減をもたらし得る。
【0137】
「生存期間」という語句は、医療従事者による哺乳動物におけるがん(例えば、本明細書に記載されるがんのいずれか)の特定又は診断と、哺乳動物の(がんによって引き起こされる)死亡時との間の時間の長さを意味する。がんを有する哺乳動物における生存期間を増加させる方法が、本明細書に記載される。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法のいずれもが、(例えば、同様のがんを有し、異なる治療を受けているか又は治療を受けていない患者と比較して)患者の生存期間における増加(例えば、1%~400%、1%~380%、1%~360%、1%~340%、1%~320%、1%~300%、1%~280%、1%~260%、1%~240%、1%~220%、1%~200%、1%~180%、1%~160%、1%~140%、1%~120%、1%~100%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~400%、5%~380%、5%~360%、5%~340%、5%~320%、5%~300%、5%~280%、5%~260%、5%~240%、5%~220%、5%~200%、5%~180%、5%~160%、5%~140%、5%~120%、5%~100%、5%~90%、5%~80%、5%~70%、5%~60%、5%~50%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、5%~10%、10%~400%、10%~380%、10%~360%、10%~340%、10%~320%、10%~300%、10%~280%、10%~260%、10%~240%、10%~220%、10%~200%、10%~180%、10%~160%、10%~140%、10%~120%、10%~100%、10%~90%、10%~80%、10%~70%、10%~60%、10%~50%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、20%~400%、20%~380%、20%~360%、20%~340%、20%~320%、20%~300%、20%~280%、20%~260%、20%~240%、20%~220%、20%~200%、20%~180%、20%~160%、20%~140%、20%~120%、20%~100%、20%~90%、20%~80%、20%~70%、20%~60%、20%~50%、20%~40%、20%~30%、30%~400%、30%~380%、30%~360%、30%~340%、30%~320%、30%~300%、30%~280%、30%~260%、30%~240%、30%~220%、30%~200%、30%~180%、30%~160%、30%~140%、30%~120%、30%~100%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~60%、30%~50%、30%~40%、40%~400%、40%~380%、40%~360%、40%~340%、40%~320%、40%~300%、40%~280%、40%~260%、40%~240%、40%~220%、40%~200%、40%~180%、40%~160%、40%~140%、40%~120%、40%~100%、40%~90%、40%~80%、40%~70%、40%~60%、40%~50%、50%~400%、50%~380%、50%~360%、50%~340%、50%~320%、50%~300%、50%~280%、50%~260%、50%~240%、50%~220%、50%~200%、50%~180%、50%~160%、50%~140%、50%~140%、50%~120%、50%~100%、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~400%、60%~380%、60%~360%、60%~340%、60%~320%、60%~300%、60%~280%、60%~260%、60%~240%、60%~220%、60%~200%、60%~180%、60%~160%、60%~140%、60%~120%、60%~100%、60%~90%、60%~80%、60%~70%、70%~400%、70%~380%、70%~360%、70%~340%、70%~320%、70%~300%、70%~280%、70%~260%、70%~240%、70%~220%、70%~200%、70%~180%、70%~160%、70%~140%、70%~120%、~100%、70%~90%、70%~80%、80%~400%、80%~380%、80%~360%、80%~340%、80%~320%、80%~300%、80%~280%、80%~260%、80%~240%、80%~220%、80%~200%、80%~180%、80%~160%、80%~140%、80%~120%、80%~100%、80%~90%、90%~400%、90%~380%、90%~360%、90%~340%、90%~320%、90%~300%、90%~280%、90%~260%、90%~240%、90%~220%、90%~200%、90%~180%、90%~160%、90%~140%、90%~120%、90%~100%、100%~400%、100%~380%、100%~360%、100%~340%、100%~320%、100%~300%、100%~280%、100%~260%、100%~240%、100%~220%、100%~200%、100%~180%、100%~160%、100%~140%、100%~120%、120%~400%、120%~380%、120%~360%、120%~340%、120%~320%、120%~300%、120%~280%、120%~260%、120%~240%、120%~220%、120%~200%、120%~180%、120%~160%、120%~140%、140%~400%、140%~380%、140%~360%、140%~340%、140%~320%、140%~300%、140%~280%、140%~260%、140%~240%、140%~220%、140%~200%、140%~180%、140%~160%、160%~400%、160%~380%、160%~360%、160%~340%、160%~320%、160%~300%、160%~280%、160%~260%、160%~240%、160%~220%、160%~200%、160%~180%、180%~400%、180%~380%、180%~360%、180%~340%、180%~320%、180%~300%、180%~280%、180%~260%、180%~240%、180%~220%、180%~200%、200%~400%、200%~380%、200%~360%、200%~340%、200%~320%、200%~300%、200%~280%、200%~260%、200%~240%、200%~220%、220%~400%、220%~380%、220%~360%、220%~340%、220%~320%、220%~300%、220%~280%、220%~260%、220%~240%、240%~400%、240%~380%、240%~360%、240%~340%、240%~320%、240%~300%、240%~280%、240%~260%、260%~400%、260%~380%、260%~360%、260%~340%、260%~320%、260%~300%、260%~280%、280%~400%、280%~380%、280%~360%、280%~340%、280%~320%、280%~300%、300%~400%、300%~380%、300%~360%、300%~340%、又は300%~320%)をもたらすことができる。
【0139】
本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本発明の組成物又は方法での治療前に、患者は、化学療法、標的化抗がん剤、放射線療法、及び手術のうちの1つ以上で治療され、任意に、以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、手術が実施され、任意に、手術は不成功であり、かつ/又は患者は、白金系化学療法剤で治療され、任意に、患者は白金系化学療法剤での治療に非応答性であると以前に決定されており、かつ/又は患者は、キナーゼ阻害剤で治療され、任意に、キナーゼ阻害剤での以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、1つ以上の他の治療剤(複数可)で治療された。
【0140】
キット
本発明はまた、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を含む、キットに関する。また、血液がんを治療することにおける使用のための、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を含む、キットが提供される。
【0141】
関連態様では、本発明は、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の用量、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の用量を、対象において、がん細胞、特にKRas G12D発現がん細胞の増殖を阻害するのに有効な量で含有する、キットを提供する。いくつかの場合におけるキットは、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及び式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の投与についての指示を有する添付文書を含む。添付文書は、使用者に、汎ErbBファミリー阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を、式(I)のKRas G12D阻害剤化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と組み合わせて使用するための、1セットの指示を提供し得る。
【実施例】
【0142】
実施例A
汎ErbBファミリー阻害剤はKRas G12Dを発現する細胞株に対するKRas G12D阻害剤の活性を相乗的に増加させる
この実施例は、式Iの例示的なKRas G12D阻害剤化合物(すなわち、MRTX1133)及び汎ErbBファミリー阻害剤の組み合わせが、KRas G12Dを発現する腫瘍細胞株の成長を相乗的に阻害することを示す。
【0143】
KRas G12D変異を有する結腸、膵臓、胃、及び子宮内膜細胞株のパネルを組み立てて、汎ErbBファミリー阻害剤を本明細書に開示される例示的なKRas G12D阻害剤と組み合わせることが相乗活性をもたらすかを決定した。集団は、SNU61(結腸、KCLB#00061)、LS180(結腸、ATCC#CL-187)、Panc 05.04(膵臓、ATCC#CRL-2557)、Panc 02.03(膵臓ATCC#CRL-2553)、SNU-407(結腸、AddexBio#C0009016)、LS513(結腸、ATCC#CRL-2134)、HPAC(膵臓、ATCC#CRL-2119)、AGS(胃、ATCC#CRL-1739)、SNU-1197(結腸、KCLB#01197.1)、SNU-1033(結腸、KCLB#01033)、SNU-410(膵臓、KCLB#00410)、HEC-1-B(子宮内膜、ATCC#HTB-113)、SU.86.86(膵臓、ATCC#CRL-1837)、SNU-C2B(結腸、ATCC#CCL-250)、Panc 08.13(膵臓、ATCC#CRL-2551)、SUIT-2(膵臓、JCRB #JCRB1094)、HPAF-II(膵臓、ATCC#CRL-1997)、Panc 04.03(膵臓、ATCC#CRL-2555)、HCC-1588(肺、KCLB#71588)、GP2D(結腸、SigmaAldrich#95090714)、AsPC-1(膵臓、ATCC CRL-1682)、SW 1990(膵臓、ATCC CRL-2172)、及びPANC-1(膵臓、ATCC#CRL-1469)を含んだ。
【0144】
各細胞株についてのペアワイズの組み合わせについての相乗作用スコアを決定するためのアッセイを3通り行った。ベースライン発光を決定するための3つの96ウェルプレート及び追加の4ウェルの別個の96ウェル対照プレートに、90μlの合計体積のその細胞株に好適な成長培地、例えば、10%FBSで補足されたRPMI 1640培地及び成長に必要な任意の細胞株特異的試薬中で特定の細胞株の2000細胞/ウェルを播種した。プレートを5%CO2雰囲気中37℃で一晩インキュベートした。
【0145】
指定されたベースラインウェルの各々に、30μlのCell-Titer Glo試薬(CTG、Promega Corporation)を各ウェルに加え、プレートを室温で振盪させながら20分間インキュベートした。ベースライン発光を、BMG ClarioStarマルチモードプレートリーダーを製造業者の指示に従って使用して定量化した。
【0146】
MRTX1133の8点単剤希釈物及び汎ErbBファミリー阻害剤の5点単剤希釈物を含む、100%DMSO中の一連の作業ストック1000倍薬物希釈物を調製した。MRTX1133及び汎ErbBファミリー阻害剤に使用された希釈物は、個々の化合物毎に変動したが、3~6倍/段階希釈の範囲であった。
【0147】
10倍中間投与プレートを、整列された単剤希釈物MRTX1133又は汎ErbBファミリー阻害剤を含有する無血清RPMI培地中で調製した。加えて、MRTX1133及び汎ErbBファミリー阻害剤の40の希釈組み合わせのマトリックスを、試験試料として調製した。
【0148】
上記の適切な細胞株が播種された3つの96ウェルプレートの各対応するウェルに、10μlの各10倍単剤及び用量マトリックスの40の組み合わせを添加し、プレートを5%CO2雰囲気中37Cで72時間インキュベートした。Cell-Titer Glo試薬(CTG)の30μlアリコートを各試験ウェルに添加し、プレートを室温で振盪させながら20分間インキュベートし、発光を、BMG ClarioStarマルチモードプレートリーダーを製造業者の指示に従って使用して定量化した。
【0149】
生データ及びメタデータファイルを入力ファイルとして使用して、各治療状態についての効果パーセントを計算し、2つの試験化合物が相乗作用を示すかを決定するように設計された4つの独立した数学的参照モデルを使用して分析した:Loewe相加性、Bliss独立性、Highest Single Agent、及びZIP。
【0150】
各数学的モデルからのデータの出力は、相対的な相乗作用スコアの割り当てである。表1において報告されるデータは、Loewe相加性、Bliss独立性、Highest Single Agent、及びZIPスコアの合計(「複合相乗作用スコア」)である。
【表1】
【0151】
実験パラメータ及び生データファイルを含有するメタデータファイルをバッチ処理するために、オープンソースのBioconductorパッケージを統合した、カスタムRスクリプトを作成した。データを要約するために、様々な数値的及び図形出力を生成した。単剤パラメータは、GRmetrics Clark N,Hafner M,Kouril M,Muhlich J,Niepel M,Williams E,Sorger P,Medvedovic M(2016).“GRcalculator:an online tool for calculating and mining drug response data.”doi:10.6084/m9.figshare.4244408.v1,http://www.grcalculator.org/を使用して生成した。
【0152】
シナジーファインダーパッケージを使用して、2つの試験化合物が4つの独立した数学的参照モデル(Loewe相加性、Bliss独立性、Highest Single Agent、及びZIP)を使用して相乗作用を示すかを決定した(He L et al)https://bioconductor.statistik.tu-dortmund.de/packages/3.6/bioc/vignettes/synergyfinder/inst/doc/synergyfinder.pdf
【0153】
各数学的モデルからのデータの出力は、相対的な相乗作用スコアの割り当てである。表において報告されるデータは、Loewe相加性、Bliss独立性、Highest Single Agent、及びZIPスコアの合計(「複合相乗作用スコア」)である。
【0154】
22~80の複合スコアは、相乗的ヒットとして解釈され、一方11~21の複合スコアは、相加効果を示し、<0~10のスコアは、有益性がないことを示す。これらの結果は、KRas G12D細胞株のパネルのある特定のメンバーが、汎ErbBファミリー阻害剤とMRTX1133との組み合わせについて相乗効果を示したことを実証し、インビボモデルにおける組み合わせ有効性試験の更なる調査を正当化する。
【0155】
実施例B
KRas G12D阻害剤-汎ErbBファミリー阻害剤組み合わせを調査するためのインビボモデル
免疫不全ヌード/ヌードマウスに、KRas G12D変異を有する細胞を右後脇腹において接種する。腫瘍体積が200~400mm3のサイズに達するとき、マウスは、各5匹のマウスの4~5つの群に分けられる。第1の群は、ビヒクルのみ投与される。第2及び第3の群は、細胞株に応じて、毎日2回、完全な腫瘍退縮をもたらさない、細胞株及び単剤活性に応じて、最大限の生物学的効果若しくは最大限未満の生物学的効果をもたらす濃度でKRas G12D阻害剤の単剤用量が投与されるか、又は毎日2回、5日のオフが続く連続する2日にわたって、完全な腫瘍退縮をもたらさない、細胞株及び単剤活性に応じて、最大限の生物学的効果若しくは最大限未満の生物学的効果をもたらす濃度でKRas G12D阻害剤が投与され得る。いくつかの細胞株において、第3又は第4の群は、同様に完全な腫瘍退縮をもたらさない、細胞株及び単剤活性に応じて、最大限の生物学的効果又は最大限未満の生物学的効果をもたらす濃度でEGFR阻害剤の単剤用量が投与される。第4又は最後の群は、EGFR阻害剤のうちの1つの単剤用量との組み合わせで、毎日2回のスケジュール及び/又は連続する2日、続いて5日のオフのスケジュールを用いて、KRas G12D阻害剤の単剤用量が投与される。処置期間は、細胞株毎に変動するが、典型的には、15~40日である。腫瘍体積は、2~3日毎にキャリパーを使用して測定され、腫瘍体積は、以下の式によって計算される:0.5x(長さx幅)2。このモデルにおける組み合わせについての腫瘍成長阻害のより大きな程度は、併用療法が、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して、治療される対象に臨床的に有意な利益をもたらす可能性が高いことを実証する。
【0156】
試験当たり20~30匹のヌード/ヌードマウスに、右後肢において5×106個のLS180細胞、AsPC-1細胞、GP2D細胞、Panc 02.03細胞、SW1990細胞、又はSNU-1033細胞を接種した。腫瘍体積が約200mm3~400mm3(試験0日目)に達したとき、群の各々における5匹のマウスに、ビヒクルのみ(50mMクエン酸緩衝液中10%カプチゾールpH5.0)、毎日2回のスケジュール若しくは5日のオフが続く連続する2日にわたる毎日2回のスケジュールのいずれかでの30mg/kgのKras G12D阻害剤MRTX-‘1133(50mMクエン酸緩衝液中10%カプチゾール、pH5.0)、12.5mg/kgの毎日1回のEGFR阻害剤アファチニブ(50mMクエン酸緩衝液中10%カプチゾールpH5.0)若しくは0.25mg/kgの3日毎のEGFR阻害剤セツキシマブ(生理食塩水)、又は30mg/kgのいずれかのスケジュールでのアファチニブ若しくはセツキシマブのいずれかのKras G12D阻害剤をi.p.投与した。群当たり5匹のマウスについて、所定の日に測定された、腫瘍体積を平均し、それぞれ、表2、3、4、5、及び6においてLS180、AsPC-1、GP2D、Panc 02.03、SW1990、及びSNU-1033について報告する。
【0157】
実施例C
セツキシマブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(LS180結腸がん細胞株)
実験手順。25匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてLS180細胞を接種した。腫瘍が約250mm
3に達したとき、5つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表2に提供される。
【表2】
【0158】
表2に示されるように、単剤としての30mg/kg BID(1日当たり2回)でのMRTX1133の投与は、15日目に45%の腫瘍成長阻害(毎日投与)、15日目に4%の腫瘍成長阻害(1週間当たり2回投与)を示した。単剤としての0.25mg/kg Q3D(3日毎)でのセツキシマブの投与は、15日目に15%の腫瘍成長阻害を示した。1週間当たり2回投与されたセツキシマブ及びMRTX1133の組み合わせは、15日目に80%の腫瘍成長阻害をもたらした。
【0159】
【0160】
実施例D
アファチニブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(AsPC-1 TGI-42膵臓がん細胞株)
実験手順。30匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてAsPC-1細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、6つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表3に提供される。
【表3】
【0161】
表3に示されるように、単剤としての毎日30mg/kg BID(1日当たり2回)でのMRTX1133の投与は、34日目に-9%の腫瘍退縮を示した。単剤としての12.5mg/kg QD(毎日1回)でのアファチニブの投与は、34日目に11%の腫瘍成長阻害を示した。毎日BIDで投与されるアファチニブ及びMRTX1133の組み合わせは、34日目に-44%の腫瘍退縮をもたらし、1週間に2回投与されるアファチニブ及びMRTX1133の組み合わせは、34日目に77%の腫瘍成長阻害をもたらした。
【0162】
【0163】
実施例E
セツキシマブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(GP2D TGI MDS 200108-807大腸がん細胞株)
実験手順。20匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてGP2D細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、4つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表4に提供される。
【表4】
【0164】
表4に示されるように、単剤としての30mg/kg BID(1日当たり2回)でのMRTX1133の投与は、30日目に96%の腫瘍成長阻害を示した(毎日投与)。単剤としての0.25mg/用量Q3D(3日毎)でのセツキシマブの投与は、30日目に0%の腫瘍成長阻害を示した。毎日BIDで投与されるセツキシマブ及びMRTX1133の組み合わせは、30日目に-33%の腫瘍退縮をもたらした。
【0165】
【0166】
実施例F
アファチニブ又はセツキシマブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(Panc 02.03 TGI-43膵臓がん細胞株)
実験手順。30匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてSW1990細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、6つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表5に提供される。
【表5】
【0167】
表5に示されるように、単剤としての30mg/kg BID(1週間当たり2回)でのMRTX1133の投与は、22日目に72%の腫瘍成長阻害を示した。単剤としての0.25mg/用量Q3D(3日毎)でのセツキシマブの投与は、22日目に33%の腫瘍成長阻害を示した。1週間当たり2回BIDで投与されたセツキシマブ及びMRTX1133の組み合わせは、22日目に-55%の腫瘍退縮をもたらした。単剤としての毎日12.5mg/kgでのアファチニブの投与は、22日目に27%の腫瘍成長阻害を示した。毎週2回BIDで投与されるアファチニブ及びMRTX1133の組み合わせは、22日目に90%の腫瘍成長阻害をもたらした。
【0168】
【0169】
実施例G
アファチニブ又はセツキシマブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(SW1990 TGI MDS#200407-807膵臓がん細胞株)
実験手順。30匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてSW1990細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、6つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表6に提供される。
【表6】
【0170】
表6に示されるように、単剤としての毎日30mg/kg BID(1日当たり2回)でのMRTX1133の投与は、23日目に-46%の腫瘍退縮を示した。単剤としての毎日12.5mg/kg QDでのアファチニブの投与は、23日目に20%の腫瘍成長阻害を示した。毎日BIDで投与されるアファチニブ及びMRTX1133の組み合わせは、23日目に-80%の腫瘍退縮をもたらした。単剤としての0.25mg/用量Q3D(3日毎)でのセツキシマブの投与は、23日目に42%の腫瘍成長阻害を示した。毎日BIDで投与されるセツキシマブ及びMRTX1133の組み合わせは、23日目に-86%の腫瘍退縮をもたらした。
【0171】
【0172】
実施例H
セツキシマブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(SNU-1033 TGI 46大腸がん細胞株)
実験手順。20匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてSNU-1033細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、4つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表7に提供される。
【表7】
【0173】
表7に示されるように、単剤としての1週間当たり2回30mg/kgでのMRTX1133の投与は、33日目に47%の腫瘍成長阻害を示した。単剤としての0.25mg/用量Q3D(3日毎)でのセツキシマブの投与は、33日目に67%の腫瘍成長阻害を示した。1週間当たり2回投与されたセツキシマブ及びMRTX1133の組み合わせは、33日目に-5%の腫瘍退縮をもたらした。
【0174】
【0175】
実施例I
セツキシマブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(AsPC-1 TGI 26膵臓がん細胞株)
実験手順。20匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてAsPC-1細胞を接種した。腫瘍が約200mm
3に達したとき、4つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表8に提供される。
【表8】
【0176】
表8に示されるように、単剤としての毎日2回30mg/kgでのMRTX1133の投与は、25日目に-24%の腫瘍退縮を示した。単剤としての0.25mg/用量Q3D(3日毎)でのセツキシマブの投与は、25日目に0%の腫瘍成長阻害を示した。セツキシマブ及びMRTX1133の組み合わせは、25日目に-90%の腫瘍退縮をもたらした。
【0177】
【0178】
実施例J
エルロチニブとの組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX-1133(HPAC TGI 73膵臓がん細胞株)
実験手順20匹のヌード/ヌードマウスに、右後脇腹においてHPAC細胞を接種した。腫瘍が約200mm
3に達したとき、4つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果は、表9に提供される。
【表9】
【0179】
表9に示されるように、単剤としての毎日30mg/kgでのMRTX1133の投与は、21日目に-62%の腫瘍退縮を示した。単剤としての毎日50mg/kgでのエルロチニブの投与は、21日目に35%の腫瘍成長阻害を示した。エルロチニブ及びMRTX1133の組み合わせは、21日目に-81%の腫瘍退縮をもたらした。
【0180】
【0181】
これらの結果は、併用療法が、いずれかの単剤単独と比較してより大きな量の腫瘍成長阻害をもたらしたことを実証し、KRas G12D発現がんに対する組み合わせの増強されたインビボ抗腫瘍有効性を実証する。
【0182】
本発明をその特定の実施形態と関連付けて説明してきたが、その実施形態は更に修正が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の原理に従った本発明の任意の変形、使用、又は改変を包含することが意図され、本発明が属する技術内の既知の又は日常的な実施の範囲に入り、上記に示される及び以下の添付の請求項の範囲に入る本質的な特徴に適用され得る本開示からの乖離を含むものと理解されよう。
【国際調査報告】