(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】KRAS G12D阻害剤とPI3Ka阻害剤との組み合わせ及び関連する治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20241003BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20241003BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/454
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520707
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022045619
(87)【国際公開番号】W WO2023059594
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518229401
【氏名又は名称】ミラティ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリン,ジル
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,ジェームズ・ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】ボウカット,ビッキー
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,ピーター
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086CB09
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、KRas G12Dがんを治療するための併用療法に関し、具体的には、本発明は、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、PI3Ka阻害剤及びKRas G12D阻害剤の組み合わせを投与することを含む、方法、そのような組成物を含む薬学的組成物、そのような組成物を含むキット、並びにその使用の方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の、KRas G12D阻害剤又はその薬学的に許容される塩、及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記KRas G12D阻害剤又は塩が、MRTX1133、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及び4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記KRas G12D阻害剤が、MRTX1133:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であり、前記PI3Ka阻害剤が、BYL719:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記KRas G12D阻害剤又は塩、及び前記PI3Ka阻害剤又は塩が、同じ日に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記KRas G12D阻害剤又は塩、及び前記PI3Ka阻害剤又は塩が、異なる日に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記KRas G12D阻害剤又は塩が、最大許容用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記PI3Ka阻害剤又は塩が、最大許容用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記KRas G12D阻害剤又は塩、及び前記PI3Ka阻害剤又は塩が、各々最大許容用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記KRas G12D阻害剤又は塩が、最大許容用量未満で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記PI3Ka阻害剤又は塩が、最大許容用量未満で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記KRas G12D阻害剤又は塩、及び前記PI3Ka阻害剤又は塩が、各々最大許容用量未満で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記治療有効量の前記KRas G12D阻害剤又は塩及び前記PI3Ka阻害剤又は塩の前記組み合わせが、前記KRas G12D阻害剤又は塩のみでの治療と比較して、前記対象における増加した全生存期間、増加した無増悪生存期間、腫瘍成長退縮の増加、腫瘍成長阻害の増加、又は増加した安定期間をもたらす、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記治療有効量の前記KRas G12D阻害剤又は塩及び前記PI3Ka阻害剤又は塩の前記組み合わせが、細胞毒性化合物のみでの治療と比較して、前記対象における増加した全生存期間、増加した無増悪生存期間、腫瘍成長退縮の増加、腫瘍成長阻害の増加、又は増加した安定期間をもたらす、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
治療有効量の、KRas G12D阻害剤又はその薬学的に許容される塩、及びPI3Ka阻害剤又は塩の組み合わせ、並びに薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項15】
MRTX1133:
【化3】
又はその薬学的に許容される塩、及び
BYL719:
【化4】
又はその薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
細胞におけるKRas G12D活性を阻害するための方法であって、KRas G12D活性の阻害が望まれる前記細胞を、有効量のKRas G12D阻害剤又はその薬学的に許容される塩、及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせと接触させることを含む、方法。
【請求項17】
前記KRas G12D阻害剤が、MRTX1133:
【化5】
及びその薬学的に許容される塩であり、前記PI3Ka阻害剤が、BYL719:
【化6】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記PI3Ka阻害剤が、前記KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させる、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、KRas G12DC治療を受けている対象に、有効量の前記KRas G12C阻害剤MRTX1133:
【化7】
又はその薬学的に許容される塩、及びBYL719:
【化8】
又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することを含み、前記BYL719が、前記KRas G12D阻害剤に対する前記がん細胞の前記感受性を増加させる、方法。
【請求項20】
前記組み合わせにおける前記KRas G12D阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.01~100mg/kgである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組み合わせにおける前記KRas G12D阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.1~50mg/kgである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組み合わせにおけるPI3Ka阻害剤又は塩の前記治療有効量が、1日当たり約0.01~100mg/kgである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記組み合わせにおけるPI3Ka阻害剤又は塩の前記治療有効量が、1日当たり約0.1~50mg/kgである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記PI3Ka阻害剤又は塩が、BYL719である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;肺:気管支原性がん(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺がん)、肺胞(細気管支)がん、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫性過誤腫、中皮腫;消化管:食道(扁平上皮細胞がん、腺がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(がん腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺がん、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖路:腎臓(腺がん、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞がん、移行細胞がん、腺がん)、前立腺(腺がん、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児がん、奇形がん、絨毛がん、肉腫、間質細胞がん、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞腫(肝細胞がん)、胆管がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;胆道:胆嚢がん、十二指腸乳頭部がん、胆管がん;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜がん(漿液性嚢胞腺がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類がん)、顆粒膜鞘細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞がん、上皮内がん、腺がん、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞がん、扁平上皮細胞がん、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(がん腫);血液系:血液(骨髄性白血病(急性及び慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;並びに副腎:神経芽細胞腫からなる群から選択される、請求項1~13及び16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、KRas G12D関連がんである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記がんが、膵臓がん、結腸がん、子宮内膜がん、又は非小細胞肺がんである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
対象におけるKRas G12Dがんを治療するための、請求項14又は15に記載の薬学的組成物を含む、キット。
【請求項29】
前記薬学的組成物の投与のための指示を有する添付文書を更に含む、請求項28に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんを治療するために有用な併用療法に関する。具体的には、本発明は、KRas G12D阻害剤及びPI3Ka阻害剤の治療上有効な組み合わせ、並びに加えてこれらの薬剤を含む薬学的組成物、そのような組成物を含むキット、及びその使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
KRas阻害剤
Kirstenラット肉腫2ウイルスがん遺伝子ホモログ(「KRas」)は、小さなGTPaseであり、がん遺伝子のRasファミリーのメンバーである。KRasは、不活性(GDP結合)状態及び活性(GTP結合)状態の間を循環する分子スイッチとして機能し、複数のチロシンキナーゼから受けた上流細胞シグナルを、細胞増殖を含む、多種多様なプロセスを調節する下流エフェクターに形質転換する(例えば、Alamgeer et al.,(2013)Current Opin Pharmcol.13:394-401を参照されたい)。
【0003】
悪性腫瘍における活性化されたKRasの役割は、30年超前に観察された(例えば、Der et al.,(1982)Proc.Natl Acad.Sci.USA 79(11):3637-3640を参照されたい)。KRasの異常発現は、全てのがんの最大20%を占め、GTP結合を安定化し、KRasの構成的活性化及び下流シグナル伝達をもたらす発がん性KRas変異は、肺腺がんの25~30%で報告されている(例えば、Samatar and Poulikakos(2014)Nat Rev Drug Disc 13(12):928-942 doi:10.1038/nrd428を参照されたい)。KRas一次アミノ酸配列のコドン12及び13でミスセンス変異をもたらす単一ヌクレオチド置換は、肺腺がんにおけるこれらのKRasドライバー変異の約33%を構成し、G12D変異は一般的な活性化変異である(例えば、Li,Balmain and Counter,(2018)Nat Rev Cancer Dec;18(12):767-777、Sanchez-Vega,et al,(2018)Cell;173,321-337を参照されたい)。
【0004】
悪性腫瘍におけるKRasの周知の役割及び様々な腫瘍タイプにおけるKRasにおけるこれらの頻繁な変異の発見により、KRasは、がん療法のための製薬業界の非常に魅力的な標的となった。がんを治療するためのKRasの阻害剤を開発するための30年の大規模な発見努力にもかかわらず、単一のKRas G12C阻害剤(KRas G12C阻害剤ソトラシブ)のみが、規制当局の承認を得るのに十分な安全性及び/又は有効性を実証している(例えば、FDA Approves First KRAS Inhibitor:Sotorasib.[No authors listed]Cancer Discov.2021 Aug;11(8):OF4.doi:10.1158/2159-8290.CD-NB2021-0362.Epub 2021 Jun 22を参照されたい)。これまでのところ、KRas G12D阻害剤は、規制当局の承認を得るのに十分な安全性及び/又は有効性を実証していない。
【0005】
KRas活性を阻害する化合物は、依然として非常に望ましく、グアニンヌクレオチド交換因子などのエフェクターを破壊するもの(例えば、Sun et al.,(2012)Agnew Chem Int Ed Engl.51(25):6140-6143 doi:10.1002/anie201201358を参照されたい)及びKRas G12Dを標的とするもの(例えば、K-Ras(G12D) Has a Potential Allosteric Small Molecule Binding Site,Feng H,Zhang Y,Bos PH,Chambers JM,Dupont MM,Stockwell BR,Biochemistry,2019 May 28;58(21):2542-2554.doi:10.1021/acs.biochem.8b01300.Epub 2019 May 14、及びSecond harmonic generation detection of Ras conformational changes and discovery of a small molecule binder,Donohue E,Khorsand S,Mercado G,Varney KM,Wilder PT,Yu W,MacKerell AD Jr,Alexander P,Van QN,Moree B,Stephen AG,Weber DJ,Salafsky J,McCormick F.,Proc Natl Acad Sci USA 2019 Aug 27;116(35):17290-17297,doi:10.1073/pnas.1905516116.Epub 2019 Aug 9を参照されたい)を含み、調査中である。明らかに、KRasの阻害剤、特にKRas G12Dを含む、活性化KRas変異体の阻害剤を開発する継続的な関心及び努力が残っている。
【0006】
本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤は、KRas G12Dシグナル伝達の強力な阻害剤であり、KRas G12D変異を有する細胞株のインビトロ増殖を阻害する単剤活性を示すが、任意の所与のKRas G12D阻害剤の相対効力及び/又は観察される最大効果は、KRas変異体細胞株間で変動し得る。効力の範囲及び観察された最大効果の理由(複数可)は、完全には理解されていないが、ある特定の細胞株は、異なる固有の耐性を有するようである。したがって、インビトロ及びインビボでKRas G12D阻害剤の効力、有効性、治療指数、及び/又は臨床的利益を最大化する代替アプローチを開発する必要がある。
【0007】
PI3Ka阻害剤
ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤(PI3K阻害剤)は、成長制御、代謝、及び翻訳開始などの多くの細胞機能のための重要なシグナル伝達経路である、PI3K/AKT/mTOR経路の一部である、ホスホイノシチド3-キナーゼ酵素のうちの1つ以上を阻害することによって機能する医療用薬物のクラスである。この経路内には多くの成分が存在し、その阻害が腫瘍抑制をもたらし得る。
【0008】
PI3Kの多くの異なるクラス及びアイソフォームがある。クラス1のPI3Kは、そのうちの1つがp110アルファである、4つのタイプ(アイソフォーム)を有する、p110、又はPI3Ka若しくはPI3KAとして知られる触媒サブユニットを有する。PI3Ka阻害剤を含む、PI3K阻害剤は、様々ながん、及びまた炎症性呼吸器疾患の治療のために積極的に研究されている。
【0009】
p110αタンパク質とも呼ばれる、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸3-キナーゼ、触媒サブユニットアルファ(HUGO承認公式記号=PIK3CA;HGNC ID、HGNC:8975)は、クラスI PI 3-キナーゼ触媒サブユニットである。ヒトp110αタンパク質は、PIK3CA遺伝子によってコードされる。
【0010】
ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸3-キナーゼ(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)とも呼ばれる)は、85kDaの調節サブユニット及び110kDaの触媒サブユニットからなる。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、ATPを使用してホスファチジルイノシトール(PtdIns)、PtdIns4P、及びPtdIns(4,5)P2をリン酸化する、触媒サブユニットを表す。ヒトがんにおけるp110αの関与は、1995年以来仮定されている。この仮定の支持は、一般的なヒト腫瘍における共通の活性化PIK3CAミスセンス変異の発見を含む、遺伝的及び機能的研究から得られた。これは発がん性があり、子宮頸がんに関与していることが判明している。PIK3CA変異は、乳がんの3分の1超に存在し、管腔及びヒト上皮成長因子受容体2陽性サブタイプ(HER2+)において富化している。3つのホットスポット変異位置(GLU542、GLU545、及びHIS1047)が広く報告されている。かなりの前臨床データが、経路の堅牢な活性化及び一般的な療法に対する耐性との関連を示すが、臨床データは、そのような変異が高レベルの経路活性化又は予後不良と関連していることを示さない。変異がP3K経路を標的とする薬剤に対する増加した感受性を予測するかは不明である。
【0011】
製薬会社は、潜在的なp110αアイソフォーム特異的阻害剤を設計し、特徴分析している。1つのそのような化合物は、化学療法剤フルベストラントでのある特定のタイプの乳がん((HR)陽性、(HER2)陰性、PIK3CA変異、進行性、又は転移性)の治療について承認された経口医薬品である、アルペリシブとしても知られている、BYL719である。
【0012】
BYL719などのPI3Ka阻害剤は、単独で及び化学療法剤とともに活性を示す強力な抗がん剤であるが、PI3Kaベースのレジメンの相対効力及び/又は観察される最大効果は変動し得る。そのような変動の理由は、完全には理解されていないが、ある特定の細胞株は、異なる固有の耐性を有するようである。したがって、PI3Ka阻害剤の効力、有効性、治療指数、及び/又は臨床的利益を最大化する代替アプローチを開発する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Alamgeer et al.,(2013)Current Opin Pharmcol.13:394-401
【非特許文献2】Der et al.,(1982)Proc.Natl Acad.Sci.USA 79(11):3637-3640
【非特許文献3】Samatar and Poulikakos(2014)Nat Rev Drug Disc 13(12):928-942 doi:10.1038/nrd428
【非特許文献4】Li,Balmain and Counter,(2018)Nat Rev Cancer Dec;18(12):767-777
【非特許文献5】Sanchez-Vega,et al,(2018)Cell;173,321-337
【非特許文献6】FDA Approves First KRAS Inhibitor:Sotorasib.[No authors listed]Cancer Discov.2021 Aug;11(8):OF4.doi:10.1158/2159-8290.CD-NB2021-0362.Epub 2021 Jun 22
【非特許文献7】Sun et al.,(2012)Agnew Chem Int Ed Engl.51(25):6140-6143 doi:10.1002/anie201201358
【非特許文献8】K-Ras(G12D) Has a Potential Allosteric Small Molecule Binding Site,Feng H,Zhang Y,Bos PH,Chambers JM,Dupont MM,Stockwell BR,Biochemistry,2019 May 28;58(21):2542-2554.doi:10.1021/acs.biochem.8b01300.Epub 2019 May 14
【非特許文献9】Second harmonic generation detection of Ras conformational changes and discovery of a small molecule binder,Donohue E,Khorsand S,Mercado G,Varney KM,Wilder PT,Yu W,MacKerell AD Jr,Alexander P,Van QN,Moree B,Stephen AG,Weber DJ,Salafsky J,McCormick F.,Proc Natl Acad Sci USA 2019 Aug 27;116(35):17290-17297,doi:10.1073/pnas.1905516116.Epub 2019 Aug 9
【発明の概要】
【0014】
本発明の併用療法は、一態様では、KRas G12D阻害剤の効力を増加させ、本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤の改善された有効性をもたらす。本発明の併用療法は、別の態様では、単剤として本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤での治療と比較して、改善された臨床的利益を患者に提供する。
【0015】
したがって、本発明の一態様では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩、例えば、米国特許第8,227,462号及び同第8,476,268号に列挙され、限定されないが、BYL719(アルペリシブ):
【化1】
(2S)-N1-[4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル)-4-ピリジニル]-2-チアゾリル]-1,2-ピロリジンジカルボキサミド
又はその薬学的に許容される塩を含むPI3Ka阻害剤、並びにKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133:
【化2】
4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1Hピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニル-6-フルオロナフタレン-2-オール
又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な組み合わせが提供される。
【0016】
本発明の別の態様では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩、例えば、BYL719、イナボリシブ(GDC-0077、(2S)-2-[[2-[(4S)-4-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサゼピン-9-イル]アミノ]プロパンアミド、GDC-0326((S)-2-((2-(1-イソプロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-5,6-ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2-][1,4]オキサゼピン-9-イル)オキシ)プロペナミド、GSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)、ダクトリシブ(BEZ235、2-メチル-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-8-キノリン-3-イルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)フェニル]プロパンニトリル)、及びピクチリシブ(GDC-0941、2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン-)、又はそれらの薬学的に許容される塩、及びKRas G12D阻害剤MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩、例えば、限定されないが、Ex.252(MRTX1133)、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニル-6-フルオロナフタレン-2-オール、Ex.243、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、Ex.246、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、Ex.251、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、Ex.253、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、Ex.259、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及びEx.282、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オールを含む、WIPO公報WO2021/041671に開示及び記載される化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤の治療上有効な組み合わせが提供される。
【0017】
追加のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩としては、アルペリシブ、GDC-0077、YM-201636、セラベリシブ、PIK-75塩酸塩、GDC-0326、HS-173、A66、PF-4989216、ピララリシブ類似体、PI-828、ブレビアナミドF、PI3Kα-IN-4、BEBT-908、WYE-687、PF-06843195、CYH33、PI3Kγ阻害剤4、KU-0060648、WYE-687二塩酸塩、PIK-75、PI3Kα/mTOR-IN-1、LY294002、AS-041164、イデラリシブ、ブパルリシブ、ダクトリシブ、ピクチリシブ、エガネリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、フィメピノスタット、オミパリシブ、PI-103、タセリシブ、PF-04691502、ZSTK474、AZD 6482、サモトリシブ、ダクトリシブトシル酸塩、AZD8186、AS-605240、コパンリシブ二塩酸塩、PKI-402、アピトリシブ、Vps34-PIK-III、ゲダトリシブ、PIK-93、CH5132799、ビミラリシブ、GSK1059615、CNX-1351、BGT226マレイン酸塩、VS-5584、ソノリシブ、ボクスタリシブ、PI4KIIIベータ-IN-9、レニオリシブ、ネミラリシブ、SF2523、AZD-8835、AMG 511、AZD3458、PIK-90、ピクチリシブジメタンスルホン酸塩、AS-252424、AMG319、アカリシブ、ピララリシブ、PI-103塩酸塩、SAR-260301、PI-3065、PQR530、hSMG-1阻害剤11j、GNE-477、PI3K/mTOR阻害剤-2、ブパルリシブ塩酸塩、MSC2360844、SRX3207、NSC781406、TG 100713、AS-604850、IPI-3063、PF-04979064、ETP-46321、GNE-493、PIK-294、(S)-PI3Kα-IN-4、PKI-179、PIK-293、CAL-130塩酸塩、BGT226、PI3K-IN-6、PI3Kδ-IN-8、FD223、PARP/PI3K-IN-1、CHMFL-PI3KD-317、PI3K/HDAC-IN-1、PI3K-IN-2、PI3K/mTOR阻害剤-1、PKI-179塩酸塩、hSMG-1阻害剤11e、NVP-BAG956、PI3Kγ阻害剤1、ON 146040、CAL-130、BAY1082439、及びAZ2が挙げられる。
【0018】
本発明の別の態様では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩、例えば、上記の化合物を含むが、これらに限定されない、WIPO公報WO2021/041671に開示及び記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせ、並びに薬学的に許容される賦形剤を含む、方法における使用のための薬学的組成物が提供される。
【0019】
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤MRTX1133又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0020】
本発明の別の態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤(例えば、MRTX1133又はMRTX1133類似体)又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0021】
一実施形態では、がんは、KRas G12D関連がんである。一実施形態では、KRas G12D関連がんは、膵臓がん、結腸がん、子宮内膜がん、及び非小細胞肺がんである。
【0022】
本発明のいくつかの態様では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)及びKRas G12D阻害剤化合物(例えば、MRTX1133)は、提供される組成物及び方法における唯一の活性剤である。
【0023】
PI3Ka阻害剤BYL719及び米国特許第8,227,462号及び同第8,476,268号からの上記の化合物に加えて、提供される組成物及び方法に適したPI3Ka阻害剤及び塩の例としては、限定されないが、イナボリシブ(GDC-0077、(2S)-2-[[2-[(4S)-4-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサゼピン-9-イル]アミノ]プロパンアミド)、GDC-0326((S)-2-((2-(1-イソプロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-5,6-ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2-d][1,4]オキサゼピン-9-イル)オキシ)プロペンアミド、GSK1059615(5-[[4-(4-pピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)、ダクトリシブ(BEZ235、2-メチル-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-8-キノリン-3-イルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)フェニル]プロパンニトリル)、及びピクチリシブ(GDC-0941、2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン)、又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0024】
MRTX1133に加えて、提供される組成物及び方法に適したKRas G12D阻害剤の例としては、限定されないが、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及び4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0025】
更に別の態様では、本発明は、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、がん細胞を、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びMRTX1133(又はMRTX1133類似体)などのKRas G12D阻害剤化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせと接触させることを含み、PI3Ka阻害剤又は塩が、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させる、方法を提供する。一実施形態では、接触は、インビトロで行われる。一実施形態では、接触は、インビボで行われる。
【0026】
また本明細書では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して決定されるように)がんがKRas G12D変異に関連していること(例えば、KRas G12D関連がん)を決定することと、(b)患者に、治療有効量のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びMRTX1133若しくはMRTX1133類似体などのKRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することと、を含み、PI3Ka阻害剤又は塩が、MRTX1133又はMRTX1133類似体に対するKRas G12D関連がんの感受性を増加させる、方法が提供される。
【0027】
また本明細書では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を含む、キットが提供される。また、KRas G12Dがんを治療することにおける使用のための、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩を含む、キットが提供される。
【0028】
関連態様では、本発明は、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の用量を、対象におけるがん細胞の増殖を阻害するのに有効な量で含有する、キットを提供する。いくつかの場合におけるキットは、PI3Ka阻害剤又は塩、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の投与についての指示を有する添付文書を含む。添付文書は、使用者に、PI3Ka阻害剤又は塩をKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と組み合わせて使用するための1セットの指示を提供し得る。
【0029】
KRASシグナル伝達の阻害がPI3Kシグナル伝達の阻害と相まってより深い抗腫瘍応答が達成され得るという証拠。(Ref:Effective Use of PI3K and MEK Inhibitors to Treat Mutant K-Ras G12D and PIK3CA H1047R Murine Lung Cancers,Engelman J,Chen L,Tan X,Crosby K,et al.Nature Medicine 2008 Dec 14(12);1351-1356,doi:10.1038/nm.1890を参照されたい。)本発明の併用療法は、一態様では、KRas G12D阻害剤の効力を相乗的に増加させ、本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤の改善された有効性をもたらす。本発明の併用療法は、別の態様では、単剤として本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤での治療と比較して、改善された臨床的利益を患者に提供する。
【0030】
本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの態様では、本発明の組成物又は方法での治療前に、患者は、化学療法、標的化抗がん剤、放射線療法、及び手術のうちの1つ以上で治療され、任意に、以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、手術が実施され、任意に、手術は不成功であり、かつ/又は患者は、白金系化学療法剤で治療され、任意に、患者は白金系化学療法剤での治療に非応答性であると以前に決定されており、かつ/又は患者は、キナーゼ阻害剤で治療され、任意に、キナーゼ阻害剤での以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、1つ以上の他の治療剤(複数可)で治療された。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】単独及びBYL719との組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(LS180結腸がん細胞株)。
【
図2】単独及びBYL719との組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(AsPC-1膵臓がん細胞株)。
【
図3】単独及びBYL719との組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(GP2D結腸がん細胞株)。
【
図4】単独及びBYL719との組み合わせでの、MRTX1133についてのマウス異種移植片における平均腫瘍体積を示す(PANC0203膵臓がん細胞株)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、KRas G12Dがんを治療するための併用療法に関する。具体的には、本発明は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法、治療有効量の2つの薬剤を含む薬学的組成物、組成物を含むキット、並びにその使用の方法に関する。
【0033】
PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)と、MRTX1133若しくはMRTX1133類似体などのKRas G12D阻害剤、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、KRas G12Dを発現するがん細胞に対する、KRas G12D阻害剤化合物の効力を増加させ、それによって、KRas G12D阻害剤化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性及び治療指標を増加させる。
【0034】
定義
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照により組み込まれる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「KRas G12D」は、アミノ酸位置12でのグリシンについてのアスパラギン酸のアミノ酸置換を含有する哺乳動物KRasタンパク質の変異体形態を指す。ヒトKRasについてのアミノ酸コドン及び残基位置の割り当ては、UniProtKB/Swiss-Prot P01116:Variant p.Gly12Aspによって特定されたアミノ酸配列に基づく。
【0036】
本明細書で使用される場合、「KRas G12D阻害剤」は、WO2021/041671、及び他の刊行物において表され、示されるものなどの化合物、又はその薬学的に許容される塩を指す。これらの化合物は、KRas G12Dの酵素活性の全部又は一部を負に調節又は阻害することができる。本発明のKRas G12D阻害剤は、スイッチIIポケットにおけるKRas G12Dと相互作用し、非共有結合的に結合し、KRAS経路の活性化に必要なタンパク質間相互作用を阻害する。MRTX1133は、KRas G12D阻害剤の一例である。
【0037】
本明細書で使用される「KRas G12D関連疾患又は障害」は、KRas G12D変異に関連するか、それによって媒介されるか、又はそれを有する疾患又は障害を指す。KRas G12D関連疾患又は障害の非限定的な例は、KRas G12D関連がんである。
【0038】
本明細書で使用される場合、「PI3Ka阻害剤」は、ホスホイノシチド3-キナーゼ酵素のp110アルファサブユニットの活性を阻害することが知られているか、又は阻害することができる化合物を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、交換可能に使用される「対象」、「個体」、又は「患者」という用語は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、及びヒトなどの哺乳動物を含む、任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、治療及び/又は予防される疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験及び/又は示している。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して決定されるように)KRas G12D変異を有するがんを有すると特定又は診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、(例えば、規制当局承認のアッセイ又はキットを使用して決定されるように)KRas G12D変異について陽性である腫瘍を有する。対象は、KRas G12D変異について陽性である(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して陽性として特定される)腫瘍(複数可)を有する対象であり得る。対象は、その腫瘍がKRas G12D変異を有する(例えば、腫瘍が規制当局承認の、例えば、FDA承認の、キット又はアッセイを使用してそのように特定されている)対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、KRas G12D遺伝子関連がんを有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、対象がKRas G12Dを有する腫瘍を有することを示す臨床記録を有する(任意に、臨床記録は、対象が本明細書に提供される組成物のうちのいずれかで治療されるべきであることを示す)。
【0040】
「小児患者」という用語は、本明細書で使用される場合、診断又は治療の時点で16歳未満の患者を指す。「小児」という用語は、新生児(出生から生後1ヶ月まで)、乳児(1ヶ月から2歳まで)、子供(2歳から12歳まで)、及び青年(12歳から21歳まで(22歳の誕生日までを含むが、22歳の誕生日は含まない))を含む様々な亜集団に更に分けることができる。Berhman RE,Kliegman R,Arvin AM,Nelson WE.Nelson Textbook of Pediatrics,15th Ed.Philadelphia:W.B.Saunders Company,1996、Rudolph AM,et al.Rudolph’s Pediatrics,21st Ed.New York:McGraw-Hill,2002、及びAvery MD,First LR.Pediatric Medicine,2nd Ed.Baltimore:Williams & Wilkins;1994。
【0041】
本明細書に記載される方法又は使用のいずれかのいくつかの実施形態では、アッセイは、患者が、患者(例えば、KRas G12D関連がんを有することが疑われる患者、KRas G12D関連がんの1つ以上の症状を有する患者、及び/又はKRas G12D関連がんを発症する増加したリスクを有する患者)からの試料(例えば、生体試料又はパラフィン包埋生検試料などの生検試料)を使用して、患者がKRas G12D変異を有するかを決定するために使用され、例えば、次世代シーケンシング、免疫組織化学、蛍光顕微鏡検査、ブレークアパートFISH分析、サザンブロッティング、ウェスタンブロッティング、FACS分析、ノーザンブロッティング、及びPCRベースの増幅(例えば、RT-PCR、定量リアルタイムRT-PCR、対立遺伝子特異的ジェノタイピング、又はddPCR)を含むことができる。当該技術分野で周知であるように、アッセイは、典型的には、例えば、少なくとも1つの標識核酸プローブ又はその少なくとも1つの標識抗体若しくは抗原結合断片を用いて実施される。
【0042】
「規制当局」という用語は、国による薬学的薬剤の医療使用の承認のための国の機関を指す。例えば、規制機関の非限定的な例は、米国食品医薬品局(FDA)である。
【0043】
本明細書で使用される場合、化合物の「有効量」は、望ましい標的の活性を負に調節するか若しくは阻害する、又はそうでなければ標的細胞、すなわち、ホスホイノシチド3-キナーゼ酵素のp110アルファサブユニット、又はKRas G12Dの増殖を停止又は遅延するのに十分な量である。このような量は、一回用量として投与され得るか、又は投与計画に従って投与され得、それにより、この量は効果的である。
【0044】
本明細書で使用される場合、化合物の「治療有効量」は、症状を緩和若しくは何らかの方法で低減する、又は状態の進行を停止若しくは逆転する、又はKRas G12Dの活性を負に調節若しくは阻害するのに十分な量である。このような量は、一回用量として投与され得るか、又は投与計画に従って投与され得、それにより、この量は効果的である。
【0045】
本明細書で使用される場合、2つの化合物の「組み合わせの治療有効量」は、組み合わせにおける各化合物の治療有効量と比較して、すなわち、単に相加的であることを超えて、組み合わせの活性を一緒に増加させる量である。代替的に、インビボで、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した全生存期間(「OS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した無増悪生存期間(「PFS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍退縮をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍成長阻害をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における安定期間の改善をもたらす。組み合わせにおける各化合物の量は、単剤療法として単独で投与されるときの各化合物の治療有効量と同じであるか又は異なり得る。そのような量は、単一投与量として投与され得るか、又はレジメンに従って投与され得、それにより効果的である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「治療」は、状態、障害、又は疾患の症状又は病理が緩和されるか又はそうでなければ有利に改変される、任意の方法を指す。治療はまた、本明細書における組成物の任意の薬学的使用を包含する。
【0047】
本明細書で使用される場合、特定の薬学的組成物の投与による特定の障害の症状の「緩和」は、永久的であっても一時的であっても、持続性であっても一過性であっても、組成物の投与に起因し得るか又は関連し得る、任意の軽減を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、数値的に定義されたパラメータ(例えば、KRAS阻害剤若しくはその薬学的に許容される塩の用量、又はイリノテカンの用量、又は本明細書に記載される併用療法での治療時間の長さ)を修飾するために使用されるとき、パラメータが、そのパラメータについて記載された数値を最大10%下回って又は上回って変動し得ることを意味する。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kgと5.5mg/kgとの間で変動し得る。「約」は、パラメータのリストの最初に使用されるとき、各パラメータを修飾することを意味する。例えば、約0.5mg、0.75mg、又は1.0mgは、約0.5mg、約0.75mg、又は約1.0mgを意味する。同様に、約5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、及び25%以上は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、及び約25%以上を意味する。
【0049】
KRas G12D阻害剤化合物
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、イリノテカン若しくはイリノテカン類似体又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0050】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤は:
【化3】
(MRTX1133、及びWO2021/041671において実施例252とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0051】
本発明の方法において使用されるKRas G12D阻害剤は、1つ以上のキラル中心を有し得、立体異性体混合物、すなわち空間におけるそれらの原子の配置が異なる同一の構成の異性体として合成され得る。化合物は、混合物として使用され得るか、又は個々の成分/異性体は、市販の試薬及び当業者に周知の立体異性体及び鏡像異性体の単離のための従来の方法を使用して、例えば、CHIRALPAK(登録商標)(Sigma-Aldrich)又はCHIRALCEL(登録商標)(Diacel Corp)キラルクロマトグラフィーHPLCカラムを製造業者の指示に従って使用して分離され得る。代替的に、本発明の化合物は、個々の異性体又はエナンチオマーを調製するために、光学的に純粋なキラル試薬及び中間体を使用して合成され得る。別段の指示がない限り、全てのキラル(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びラセミ形態は、本発明の範囲内である。別段の指示がない限り、特許請求の範囲を含む、本明細書が本発明の化合物を指すときはいつでも、「化合物」という用語は、全てのキラル(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びラセミ形態を包含すると理解されるべきである。
【0052】
一実施形態では、方法において使用されるKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133は、上記化合物の塩、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸で形成された塩、有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸で形成された塩、並びに式--NR+Z-の四級アンモニウムから形成される塩を含み、式中、Rは、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、--O-アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸(例えば、安息香酸、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンジル酸、及びジフェニル酢酸)を含む、対イオンである。
【0053】
本明細書に開示されるKRas G12D阻害剤を製造するための方法は、既知である。例えば、WO2021/041671は、MRTX1133及びMRTX1133類似体を含む化合物を調製するための一般的な反応スキームを記載し、これらの化合物の調製のための詳細な合成経路も提供する。
【0054】
PI3Ka阻害剤
一実施形態では、本発明のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、BYL719(アルペリシブ)である:
【化4】
(2S)-N1-[4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル)-4-ピリジニル]-2-チアゾリル]-1,2-ピロリジンジカルボキサミド
【0055】
一実施形態では、本発明のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、BYL719、イナボリシブ(GDC-0077、(2S)-2-[[2-[(4S)-4-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサゼピン-9-イル]アミノ]プロパンアミド)、GDC-0326((S)-2-((2-(1-イソプロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-5,6-ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2-d][1,4]オキサゼピン-9-イル)オキシ)プロペンアミド)、GSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)、ダクトリシブ(BEZ235、2-メチル-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-8-キノリン-3-イルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)フェニル]プロパンニトリル、及びピクチリシブ(GDC-0941、2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン)、又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0056】
別の実施形態では、本発明のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、アルペリシブ、GDC-0077、YM-201636、セラベリシブ、PIK-75塩酸塩、GDC-0326、HS-173、A66、PF-4989216、ピララリシブ類似体、PI-828、ブレビアナミドF、PI3Kα-IN-4、BEBT-908、WYE-687、PF-06843195、CYH33、PI3Kγ阻害剤4、KU-0060648、WYE-687二塩酸塩、PIK-75、PI3Kα/mTOR-IN-1、LY294002、AS-041164、イデラリシブ、ブパルリシブ、ダクトリシブ、ピクチリシブ、エガネリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、フィメピノスタット、オミパリシブ、PI-103、タセリシブ、PF-04691502、ZSTK474、AZD 6482、サモトリシブ、ダクトリシブトシル酸塩、AZD8186、AS-605240、コパンリシブ二塩酸塩、PKI-402、アピトリシブ、Vps34-PIK-III、ゲダトリシブ、PIK-93、CH5132799、ビミラリシブ、GSK1059615、CNX-1351、BGT226マレイン酸塩、VS-5584、ソノリシブ、ボクスタリシブ、PI4KIIIベータ-IN-9、レニオリシブ、ネミラリシブ、SF2523、AZD-8835、AMG 511、AZD3458、PIK-90、ピクチリシブジメタンスルホン酸塩、AS-252424、AMG319、アカリシブ、ピララリシブ、PI-103塩酸塩、SAR-260301、PI-3065、PQR530、hSMG-1阻害剤11j、GNE-477、PI3K/mTOR阻害剤-2、ブパルリシブ塩酸塩、MSC2360844、SRX3207、NSC781406、TG 100713、AS-604850、IPI-3063、PF-04979064、ETP-46321、GNE-493、PIK-294、(S)-PI3Kα-IN-4、PKI-179、PIK-293、CAL-130塩酸塩、BGT226、PI3K-IN-6、PI3Kδ-IN-8、FD223、PARP/PI3K-IN-1、CHMFL-PI3KD-317、PI3K/HDAC-IN-1、PI3K-IN-2、PI3K/mTOR阻害剤-1、PKI-179塩酸塩、hSMG-1阻害剤11e、NVP-BAG956、PI3Kγ阻害剤1、ON 146040、CAL-130、BAY1082439、及びAZ2、又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0057】
本発明のPI3Ka阻害剤は、1つ以上のキラル中心を有し得、立体異性体混合物、すなわち空間におけるそれらの原子の配置が異なる同一の構成の異性体として合成され得る。化合物は、混合物として使用され得るか、又は個々の成分/異性体は、市販の試薬及び当業者に周知の立体異性体及び鏡像異性体の単離のための従来の方法を使用して、例えば、CHIRALPAK(登録商標)(Sigma-Aldrich)又はCHIRALCEL(登録商標)(Diacel Corp)キラルクロマトグラフィーHPLCカラムを製造業者の指示に従って使用して分離され得る。代替的に、本発明の化合物は、個々の異性体又はエナンチオマーを調製するために、光学的に純粋なキラル試薬及び中間体を使用して合成され得る。別段の指示がない限り、全てのキラル(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びラセミ形態は、本発明の範囲内である。別段の指示がない限り、特許請求の範囲を含む、本明細書が本発明の化合物を指すときはいつでも、「化合物」という用語は、全てのキラル(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びラセミ形態を包含すると理解されるべきである。
【0058】
別の実施形態では、本発明のPI3Ka阻害剤は、それらの塩、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸で形成された塩、有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸で形成された塩、並びに式--NR+Z-の四級アンモニウムから形成される塩を含み、式中、Rは、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、--O-アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸(例えば、安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンジル酸、及びジフェニル酢酸)を含む、対イオンである。
【0059】
ある特定のPI3Kaを製造するための方法は、周知であり、とりわけ、本明細書に列挙される特許において開示される。
【0060】
薬学的組成物
PI3Ka阻害剤薬学的に許容される塩、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩は、薬学的組成物に製剤化され得る。
【0061】
別の態様では、本発明は、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩、並びに本明細書に開示される方法において使用され得る薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤のうちの1つ以上を含む、薬学的組成物を提供する。PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩は、独立して、当該技術分野で周知の任意の方法によって製剤化され得、限定なしに、非経口、経口、舌下、経皮、局所、経鼻、気管内、静脈内、又は直腸内を含む、任意の経路による投与のために調製され得る。ある特定の実施形態では、2つの上記成分は、病院環境において静脈内投与される。一実施形態では、投与は、経口経路によるものであり得る。
【0062】
担体の特徴は、投与経路に依存するであろう。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、細胞、細胞培養物、組織、又は生物などの生体系と適合性があり、かつ活性成分(複数可)の生物学的活性の有効性を妨害しない非毒性材料を意味する。したがって、組成物は、阻害剤に加えて、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野において周知の他の材料を含有し得る。薬学的に許容される製剤の調製は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,ed.A.Gennaro,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990に記載されている。
【0063】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、上記で特定された化合物の望ましい生物学的活性を保持し、かつ望ましくない毒物学的効果を最小限呈するか又は呈さない塩を指す。かかる塩の例としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)により形成される酸付加塩、並びに酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロ酸などの有機酸により形成される酸が挙げられるが、これらに限定されない。化合物はまた、当業者に既知である薬学的に許容される四級塩として投与され得、これには特に式-NR+Z-の四級アンモニウム塩が含まれ、式中、Rは、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、-O-アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸(例えば、安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンジル酸、及びジフェニル酢酸)を含む、対イオンである。
【0064】
活性化合物は、治療される患者に深刻な毒性作用を引き起こすことなく治療有効量を患者に送達するのに十分な量で、薬学的に許容される担体又は希釈剤中に含まれる。一実施形態では、上記条件の全てについての活性化合物の用量は、1日当たり約0.01~300mg/kg、例えば、0.1~100mg/kg、更なる例として1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり0.5~約25mgの範囲である。典型的な局所投与量は、好適な担体中の0.01~3重量/重量%の範囲である。薬学的に許容される誘導体の有効投与量範囲は、送達される親化合物の重量を基準にして計算され得る。誘導体がそれ自体で活性を呈する場合は、有効投与量は、誘導体の重量を使用して上記のように推定され得、又は当業者に既知の他の手段で推定され得る。
【0065】
PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物は、本明細書に記載される使用の方法において使用され得る。
【0066】
同時投与
PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩は、別個の又は個々の剤形に製剤化することができ、これらは、次々に同時投与することができる。別の選択肢は、投与の経路が同じ(例えば、経口)である場合、2つの活性化合物を同時投与のための単一形態に製剤化することができるが、同時投与の両方の方法は、同じ治療処置又はレジメンの一部である。
【0067】
方法における使用のための、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物は、同時、別個、又は順次使用のためであり得る。一実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)は、KRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の投与前に投与される。別の実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、KRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の投与後に投与される。別の実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、KRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の投与とほぼ同時に投与される。
【0068】
異なる時間での及び異なる経路による、各阻害剤の別々の投与は、いくつかの場合において有利であろう。したがって、組み合わせ中の成分、すなわち、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩は、必ずしも本質的に同時に又はいかなる順序でも投与される必要はない。
【0069】
腫瘍学薬物は、典型的には、許容されない副作用を引き起こさない薬物の最高用量である、最大耐量(「MTD」)で投与される。一実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はそれらの薬学的に許容される塩は、各々、それらのそれぞれのMTDで投与される。一実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、そのMTDで投与され、KRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩は、そのMTD未満の量で投与される。一実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、そのMTD未満の量で投与され、KRas G12D化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩は、そのMTDで投与される。一実施形態では、両方の成分は、各々、それらのそれぞれのMTD未満の量で投与される。投与は、一方の化合物のピーク薬物動態効果が他方のピーク薬物動態効果と一致するようにタイミングを合わせることができる。
【0070】
一実施形態では、KRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の単一用量が、1日当たり(すなわち、約24時間間隔で)(すなわち、QD)投与される。別の実施形態では、KRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の2用量が、1日当たり(すなわち、BID)投与される。別の実施形態では、KRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の3用量が、1日当たり(すなわち、TID)投与される。
【0071】
一実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)は、QD投与される。別の実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、BID投与される。別の実施形態では、本発明のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、TID投与される。
【0072】
一実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の単一用量は、各々毎日1回投与される。
【0073】
提供される組成物及び方法に適したPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の例としては、本明細書で言及されるもの、例えば、BYL719、イナボリシブ(GDC-0077、(2S)-2-[[2-[(4S)-4-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサゼピン-9-イル]アミノ]プロパンアミド)、GDC-0326((S)-2-((2-(1-イソプロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-5,6-ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2-d][1,4]オキサゼピン-9-イル)オキシ)プロペンアミド)、GSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)、ダクトリシブ(BEZ235、2-メチル-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-8-キノリン-3-イルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)フェニル]プロパンニトリル、及びピクチリシブ(GDC-0941、2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン)、又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0074】
提供される組成物及び方法に適したKRas G12D阻害剤の例としては、本明細書で言及されるもの、例えば、MRTX1133、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及び4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0075】
併用療法
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の組み合わせを投与することを含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、がんは、KRas G12D関連がんである。一実施形態では、KRas G12D関連がんは、膵臓がん、結腸がん、子宮内膜がん、又は非小細胞肺がんである。
【0076】
更に別の態様では、本発明は、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、がん細胞を、有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせと接触させることを含み、PI3Ka阻害剤又はその塩が、KRas G12D阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させる、方法を提供する。一実施形態では、接触は、インビトロで行われる。一実施形態では、接触は、インビボで行われる。
【0077】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化5】
を有する化合物及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)の組み合わせを含む。
【0078】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化6】
を有する化合物及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む。
【0079】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化7】
を有する化合物及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む。
【0080】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化8】
を有する化合物及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む。
【0081】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化9】
を有する化合物及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む。
【0082】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化10】
を有する化合物及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む。
【0083】
一実施形態では、併用療法は、式:
【化11】
を有する化合物及びPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む。
【0084】
一実施形態では、PI3Ka阻害剤又は塩は、BYL719、イナボリシブ(GDC-0077、(2S)-2-[[2-[(4S)-4-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサゼピン-9-イル]アミノ]プロパンアミド)、GDC-0326((S)-2-((2-(1-イソプロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-5,6-ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2-d][1,4]オキサゼピン-9-イル)オキシ)プロペンアミド)、GSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)、ダクトリシブ(BEZ235、2-メチル-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-8-キノリン-3-イルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)フェニル]プロパンニトリル、及びピクチリシブ(GDC-0941、2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン)、又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0085】
本明細書で使用される場合、「接触させること」という用語は、インビトロ系又はインビボ系において示される部分を一緒にすることを指す。例えば、がん細胞を「接触させること」は、KRas G12D変異を有する、ヒトなどの、個体又は対象への本明細書に提供される組み合わせの投与、及び、例えば、本明細書に提供される組み合わせを、KRas G12D変異を含有する細胞又は精製調製物を含有する試料中に導入することを含む。
【0086】
KRas G12Dの活性を負に調節することによって、本明細書に記載される方法は、細胞内の増強されたKRas G12D活性に起因する望ましくない細胞増殖を阻害するように設計される。KRas G12Dを阻害する化合物の能力は、公表された国際PCT出願WO2021/041671に記載されるものを含む、周知の方法を使用してインビトロで監視され得る。同様に、細胞における組み合わせの阻害活性は、例えば、治療の有効性を評価するためにリン酸化ERKの量のKRas G12D活性の阻害を測定することによって監視され得、投与量は、それに応じて主治医によって調整され得る。
【0087】
本明細書に提供される組成物及び方法は、治療を必要とする対象におけるKRas G12D関連がんの治療であって、当該対象に、治療有効量のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することを含み、PI3Ka阻害剤又は塩が、KRas G12D阻害剤に対するKRas G12D関連がんの感受性を増加させる、治療に使用され得る。一実施形態では、KRas G12C関連がんは、膵臓がん、結腸がん、子宮内膜がん、又は非小細胞肺がんである。
【0088】
一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した全生存期間(「OS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又は塩、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩は、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した無増悪生存期間(「PFS」)をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又は塩、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍退縮をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又は塩、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における増加した腫瘍成長阻害をもたらす。一実施形態では、治療有効量の、PI3Ka阻害剤又は塩、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して対象における安定期間の改善をもたらす。
【0089】
別の実施形態では、KRas G12D単剤療法について疾患進行が観察されると、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)が、KRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩との組み合わせで投与され、併用療法は、患者におけるOS、PFS、腫瘍退縮、腫瘍成長阻害、又は安定期間を増加させることによって、患者についての増強された臨床的利益をもたらす。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、MRX-‘1133及びMRTX1133類似体、例えば、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及び4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される化合物である。
【0090】
一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量のMRTX1133又はその薬学的に許容される塩及びBYL719又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0091】
一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量のMRTX1133又はその薬学的に許容される塩、及びイナボリシブ、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0092】
一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量のMRTX1133又はその薬学的に許容される塩、及びGDC-0326、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0093】
一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量のMRTX1133又はその薬学的に許容される塩、及びGSK1059615、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0094】
一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量のMRTX1133又はその薬学的に許容される塩、及びダクトリシブ、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0095】
一実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量のMRTX1133又はその薬学的に許容される塩、及びピクチリシブ、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0096】
本明細書で提供される組成物及び方法は、膵臓、結腸、子宮内膜、及び非小細胞肺がんなどの腫瘍を含む多種多様ながんの治療に使用され得る。本明細書に提供される組成物及び方法はまた、肺、大腸、膵臓、前立腺、乳房、脳、皮膚、子宮頸がん、精巣がんなどのような腫瘍を含む多種多様ながんの治療に使用され得る。より具体的には、本発明の組成物及び方法によって治療され得るがんには、星状細胞、乳房、子宮頸部、大腸、子宮内膜、食道、胃、頭頸部、肝細胞、喉頭、肺、口腔、卵巣、前立腺、及び甲状腺のがん並びに肉腫が含まれるが、これらに限定されない。より具体的には、これらの化合物は、以下を治療するために使用することができる。心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;肺:気管支原性がん(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺がん)、肺胞(細気管支)がん、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫性過誤腫、中皮腫;消化管:食道(扁平上皮細胞がん、腺がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(がん腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺がん、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖路:腎臓(腺がん、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞がん、移行細胞がん、腺がん)、前立腺(腺がん、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児がん、奇形がん、絨毛がん、肉腫、間質細胞がん、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞腫(肝細胞がん)、胆管がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;胆道:胆嚢がん、十二指腸乳頭部がん、胆管がん;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜がん)、子宮頸部(子宮頸がん、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣がん(漿液性嚢胞腺がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類がん)、顆粒膜鞘細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞がん、上皮内がん、腺がん、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞がん、扁平上皮細胞がん、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(がん腫);血液系:血液(骨髄性白血病(急性及び慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;並びに副腎:神経芽細胞腫。ある特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がんである。
【0097】
また本明細書では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)(例えば、規制当局承認の、例えば、FDA承認の、アッセイ又はキットを使用して決定されるように)がんがKRas G12D変異に関連していること(例えば、KRas G12D関連がん)を決定することと、(b)患者に、治療有効量のPI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを投与することと、を含み、PI3Ka阻害剤又は塩が、KRas G12D阻害剤に対するKRas G12D関連がんの感受性を増加させる、方法が提供される。一実施形態では、KRas G12D阻害剤は、MRX-‘1133及びMRTX1133類似体、例えば、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、及び4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される化合物である。
【0098】
一実施形態では、PI3Ka阻害剤又は塩は、BYL719、イナボリシブ(GDC-0077、(2S)-2-[[2-[(4S)-4-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサゼピン-9-イル]アミノ]プロパンアミド)、GDC-0326((S)-2-((2-(1-イソプロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-5,6-ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2-d][1,4]オキサゼピン-9-イル)オキシ)プロペンアミド)、GSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)、ダクトリシブ(BEZ235、2-メチル-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-8-キノリン-3-イルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)フェニル]プロパンニトリル、及びピクチリシブ(GDC-0941、2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン)、又はそれらの薬学的に許容される塩が用いられる。
【0099】
更なる実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量のMRTX1133を含む。
【0100】
更なる実施形態では、治療組み合わせは、治療有効量の4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5,6-ジフルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-クロロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチル-6-フルオロナフタレン-2-オール、4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチルナフタレン-2-オール、又は4-(4-((1R,5S)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((2R,7aS)-2-フルオロヘキサヒドロ-1H-ピロリジン-7a-イル)メトキシ)ピリド[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-フルオロナフタレン-2-オール、及びそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0101】
一実施形態では、KRas G12D MRTX1133又はその薬学的に許容される塩は、期間中、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻腔内、気管内、静脈内、又は直腸内製剤として投与される。一実施形態では、投与されるMRTX1133の用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、及び約2000mgのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、MRTX1133は、期間中、毎日1日1回(QD)投与される。一実施形態では、MRTX1133は、期間中、毎日1日2回(BID)投与される。
【0102】
一実施形態では、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩(例えば、BYL719)は、ある期間にわたる静脈内の場合、約20mg~約500mg(例えば、約20mg~約480mg、約20mg~約460mg、約20mg~約440mg、約20mg~約420mg、約20mg~約400mg、約20mg~約380mg、約20mg~約360mg、約20mg~約340mg、約20mg~約320mg、約20mg~約300mg、約20mg~約280mg、約20mg~約260mg、約20mg~約240mg、約20mg~約220mg、約20mg~約200mg、約20mg~約180mg、約20mg~約160mg、約20mg~約140mg、約20mg~約120mg、約20mg~約100mg、約20mg~約80mg、約20mg~約60mg、約20mg~約40mg、約40mg~約500mg、約40mg~約480mg、約40mg~約460mg、約40mg~約440mg、約40mg~約420mg、約40mg~約400mg、約40mg~約380mg、約40mg~約360mg、約40mg~約340mg、約40mg~約320mg、約40mg~約300mg、約40mg~約280mg、約40mg~約260mg、約40mg~約240mg、約40mg~約220mg、約40mg~約200mg、約40mg~約180mg、約40mg~約160mg、約40mg~約140mg、約40mg~約120mg、約40mg~約100mg、約40mg~約80mg、約40mg~約60mg、約60mg~約500mg、約60mg~約480mg、約60mg~約460mg、約60mg~約440mg、約60mg~約420mg、約60mg~約400mg、約60mg~約380mg、約60mg~約360mg、約60mg~約340mg、約60mg~約320mg、約60mg~約300mg、約60mg~約280mg、約60mg~約260mg、約60mg~約240mg、約60mg~約220mg、約60mg~約200mg、約60mg~約180mg、約60mg~約160mg、約60mg~約140mg、約60mg~約120mg、約60mg~約100mg、約60mg~約80mg、約80mg~約500mg、約80mg~約480mg、約80mg~約460mg、約80mg~約440mg、約80mg~約420mg、約80mg~約400mg、約80mg~約380mg、約80mg~約360mg、約80mg~約340mg、約80mg~約320mg、約80mg~約300mg、約80mg~約280mg、約80mg~約260mg、約80mg~約240mg、約80mg~約220mg、約80mg~約200mg、約80mg~約180mg、約80mg~約160mg、約80mg~約140mg、約80mg~約120mg、約80mg~約100mg、約100mg~約500mg、約100mg~約480mg、約100mg~約460mg、約100mg~約440mg、約100mg~約420mg、約100mg~約400mg、約100mg~約380mg、約100mg~約360mg、約100mg~約340mg、約100mg~約320mg、約100mg~約300mg、約100mg~約280mg、約100mg~約260mg、約100mg~約240mg、約100mg~約220mg、約100mg~約200mg、約100mg~約180mg、約100mg~約160mg、約100mg~約140mg、約100mg~約120mg、約120mg~約500mg、約120mg~約480mg、約120mg~約460mg、約120mg~約440mg、約120mg~約420mg、約120mg~約400mg、約120mg~約380mg、約120mg~約360mg、約120mg~約340mg、約120mg~約320mg、約120mg~約300mg、約120mg~約280mg、約120mg~約260mg、約120mg~約240mg、約120mg~約220mg、約120mg~約200mg、約120mg~約180mg、約120mg~約160mg、約120mg~約140mg、約140mg~約500mg、約140mg~約480mg、約140mg~約460mg、約140mg~約440mg、約140mg~約420mg、約140mg~約400mg、約140mg~約380mg、約140mg~約360mg、約140mg~約340mg、約140mg~約320mg、約140mg~約300mg、約140mg~約280mg、約140mg~約260mg、約140mg~約240mg、約140mg~約220mg、約140mg~約200mg、約140mg~約180mg、約140mg~約160mg、約160mg~約500mg、約160mg~約480mg、約160mg~約460mg、約160mg~約440mg、約160mg~約420mg、約160mg~約400mg、約160mg~約380mg、約160mg~約360mg、約160mg~約340mg、約160mg~約320mg、約160mg~約300mg、約160mg~約280mg、約160mg~約260mg、約160mg~約240mg、約160mg~約220mg、約160mg~約200mg、約160mg~約180mg、約180mg~約500mg、約180mg~約480mg、約180mg~約460mg、約180mg~約440mg、約180mg~約420mg、約180mg~約400mg、約180mg~約380mg、約180mg~約360mg、約180mg~約340mg、約180mg~約320mg、約180mg~約300mg、約180mg~約280mg、約180mg~約260mg、約180mg~約240mg、約180mg~約220mg、約180mg~約200mg、約200mg~約500mg、約200mg~約480mg、約200mg~約460mg、約200mg~約440mg、約200mg~約420mg、約200mg~約400mg、約200mg~約380mg、約200mg~約360mg、約200mg~約340mg、約200mg~約320mg、約200mg~約300mg、約200mg~約280mg、約200mg~約260mg、約200mg~約240mg、約200mg~約220mg、約220mg~約500mg、約220mg~約480mg、約220mg~約460mg、約220mg~約440mg、約220mg~約420mg、約220mg~約400mg、約220mg~約380mg、約220mg~約360mg、約220mg~約340mg、約220mg~約320mg、約220mg~約300mg、約220mg~約280mg、約220mg~約260mg、約220mg~約240mg、約240mg~約500mg、約240mg~約480mg、約240mg~約460mg、約240mg~約440mg、約240mg~約420mg、約240mg~約400mg、約240mg~約380mg、約240mg~約360mg、約240mg~約340mg、約240mg~約320mg、約240mg~約300mg、約240mg~約280mg、約240mg~約260mg、約260mg~約500mg、約260mg~約480mg、約260mg~約460mg、約260mg~約440mg、約260mg~約420mg、約260mg~約400mg、約260mg~約380mg、約260mg~約360mg、約260mg~約340mg、約260mg~約320mg、約260mg~約300mg、約260mg~約280mg、約280mg~約500mg、約280mg~約480mg、約280mg~約460mg、約280mg~約440mg、約280mg~約420mg、約280mg~約400mg、約280mg~約380mg、約280mg~約360mg、約280mg~約340mg、約280mg~約320mg、約280mg~約300mg、約300mg~約500mg、約300mg~約480mg、約300mg~約460mg、約300mg~約440mg、約300mg~約420mg、約300mg~約400mg、約300mg~約380mg、約300mg~約360mg、約300mg~約340mg、約300mg~約320mg、約320mg~約500mg、約320mg~約480mg、約320mg~約460mg、約320mg~約440mg、約320mg~約420mg、約320mg~約400mg、約320mg~約380mg、約320mg~約360mg、約320mg~約340mg、約340mg~約500mg、約340mg~約480mg、約340mg~約460mg、約340mg~約440mg、約340mg~約420mg、約340mg~約400mg、約340mg~約380mg、約340mg~約360mg、約360mg~約500mg、約360mg~約480mg、約360mg~約460mg、約360mg~約440mg、約360mg~約420mg、約360mg~約400mg、約360mg~約380mg、約380mg~約500mg、約380mg~約480mg、約380mg~約460mg、約380mg~約440mg、約380mg~約420mg、約380mg~約400mg、約400mg~約500mg、約400mg~約480mg、約400mg~約460mg、約400mg~約440mg、約400mg~約420mg、約420mg~約500mg、約420mg~約480mg、約420mg~約460mg、約420mg~約440mg、約440mg~約500mg、約440mg~約480mg、約440mg~約460mg、約460mg~約500mg、約460mg~約480mg、約480mg~約500mg、約25、約50、約75、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、又は約500mg)の量で経口又は静脈内投与される。
【0103】
一実施形態では、300mgのPI3Ka阻害剤BYL719が、毎日経口投与される。
【0104】
一実施形態では、250mgのPI3Ka阻害剤BYL719が、毎日経口投与される。
【0105】
一実施形態では、200mgのPI3Ka阻害剤BYL719が、毎日経口投与される。
【0106】
当業者であれば、好適な、既知で、かつ一般に受け入れられている細胞及び/又は動物モデルを使用するインビボ及びインビトロ試験の両方が、所与の障害を治療又は予防する組み合わせの試験化合物又は組み合わせの能力を予測することを認識するであろう。
【0107】
当業者であれば更に、健康な患者及び/又は所与の障害に罹患している患者における、ヒト初の、用量範囲及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了され得ることを認識するであろう。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、(例えば、治療前の患者における1つ以上の固形腫瘍のサイズと比較して)1日~2年(例えば、1日~22ヶ月、1日~20ヶ月、1日~18ヶ月、1日~16ヶ月、1日~14ヶ月、1日~12ヶ月、1日~10ヶ月、1日~9ヶ月、1日~8ヶ月、1日~7ヶ月、1日~6ヶ月、1日~5ヶ月、1日~4ヶ月、1日~3ヶ月、1日~2ヶ月、1日~1ヶ月、1週間~2年、1週間~22ヶ月、1週間~20ヶ月、1週間~18ヶ月、1週間~16ヶ月、1週間~14ヶ月、1週間~12ヶ月、1週間~10ヶ月、1週間~9ヶ月、1週間~8ヶ月、1週間~7ヶ月、1週間~6ヶ月、1週間~5ヶ月、1週間~4ヶ月、1週間~3ヶ月、1週間~2ヶ月、1週間~1ヶ月、2週間~2年、2週間~22ヶ月、2週間~20ヶ月、2週間~18ヶ月、2週間~16ヶ月、2週間~14ヶ月、2週間~12ヶ月、2週間~10ヶ月、2週間~9ヶ月、2週間~8ヶ月、2週間~7ヶ月、2週間~6ヶ月、2週間~5ヶ月、2週間~4ヶ月、2週間~3ヶ月、2週間~2ヶ月、2週間~1ヶ月、1ヶ月~2年、1ヶ月~22ヶ月、1ヶ月~20ヶ月、1ヶ月~18ヶ月、1ヶ月~16ヶ月、1ヶ月~14ヶ月、1ヶ月~12ヶ月、1ヶ月~10ヶ月、1ヶ月~9ヶ月、1ヶ月~8ヶ月、1ヶ月~7ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~5ヶ月、1ヶ月~4ヶ月、1ヶ月~3ヶ月、1ヶ月~2ヶ月、2ヶ月~2年、2ヶ月~22ヶ月、2ヶ月~20ヶ月、2ヶ月~18ヶ月、2ヶ月~16ヶ月、2ヶ月~14ヶ月、2ヶ月~12ヶ月、2ヶ月~10ヶ月、2ヶ月~9ヶ月、2ヶ月~8ヶ月、2ヶ月~7ヶ月、2ヶ月~6ヶ月、又は2ヶ月~5ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、3ヶ月~2年、3ヶ月~22ヶ月、3ヶ月~20ヶ月、3ヶ月~18ヶ月、3ヶ月~16ヶ月、3ヶ月~14ヶ月、3ヶ月~12ヶ月、3ヶ月~10ヶ月、3ヶ月~8ヶ月、3ヶ月~6ヶ月、4ヶ月~2年、4ヶ月~22ヶ月、4ヶ月~20ヶ月、4ヶ月~18ヶ月、4ヶ月~16ヶ月、4ヶ月~14ヶ月、4ヶ月~12ヶ月、4ヶ月~10ヶ月、4ヶ月~8ヶ月、4ヶ月~6ヶ月、6ヶ月~2年、6ヶ月~22ヶ月、6ヶ月~20ヶ月、6ヶ月~18ヶ月、6ヶ月~16ヶ月、6ヶ月~14ヶ月、6ヶ月~12ヶ月、6ヶ月~10ヶ月、又は6ヶ月~8ヶ月)の期間にわたる併用療法での治療後の患者における1つ以上の固形腫瘍の体積における1%~99%(例えば、1%~98%、1%~95%、1%~90%、1~85%、1~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~99%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、4%~99%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、6%~99%、6%~95%、6%~90%、6%~85%、6%~80%、6%~75%、6%~70%、6%~65%、6%~60%、6%~55%、6%~50%、6%~45%、6%~40%、6%~35%、6%~30%、6%~25%、6%~20%、6%~15%、6%~10%、8%~99%、8%~95%、8%~90%、8%~85%、8%~80%、8%~75%、8%~70%、8%~65%、8%~60%、8%~55%、8%~50%、8%~45%、8%~40%、8%~35%、8%~30%、8%~25%、8%~20%、8%~15%、10%~99%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~99%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~99%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~99%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~99%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~99%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~99%、45%~95%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~99%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~99%、85%~95%、85%~90%、90%~99%、90%~95%、又は95%~100%)低減をもたらし得る。
【0109】
「生存期間」という語句は、医療従事者による哺乳動物におけるがん(例えば、本明細書に記載されるがんのいずれか)の特定又は診断と、哺乳動物の(がんによって引き起こされる)死亡時との間の時間の長さを意味する。がんを有する哺乳動物における生存期間を増加させる方法が、本明細書に記載される。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法のいずれもが、(例えば、同様のがんを有し、異なる治療を受けているか又は治療を受けていない患者と比較して)患者の生存期間における増加(例えば、1%~400%、1%~380%、1%~360%、1%~340%、1%~320%、1%~300%、1%~280%、1%~260%、1%~240%、1%~220%、1%~200%、1%~180%、1%~160%、1%~140%、1%~120%、1%~100%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~400%、5%~380%、5%~360%、5%~340%、5%~320%、5%~300%、5%~280%、5%~260%、5%~240%、5%~220%、5%~200%、5%~180%、5%~160%、5%~140%、5%~120%、5%~100%、5%~90%、5%~80%、5%~70%、5%~60%、5%~50%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、5%~10%、10%~400%、10%~380%、10%~360%、10%~340%、10%~320%、10%~300%、10%~280%、10%~260%、10%~240%、10%~220%、10%~200%、10%~180%、10%~160%、10%~140%、10%~120%、10%~100%、10%~90%、10%~80%、10%~70%、10%~60%、10%~50%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、20%~400%、20%~380%、20%~360%、20%~340%、20%~320%、20%~300%、20%~280%、20%~260%、20%~240%、20%~220%、20%~200%、20%~180%、20%~160%、20%~140%、20%~120%、20%~100%、20%~90%、20%~80%、20%~70%、20%~60%、20%~50%、20%~40%、20%~30%、30%~400%、30%~380%、30%~360%、30%~340%、30%~320%、30%~300%、30%~280%、30%~260%、30%~240%、30%~220%、30%~200%、30%~180%、30%~160%、30%~140%、30%~120%、30%~100%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~60%、30%~50%、30%~40%、40%~400%、40%~380%、40%~360%、40%~340%、40%~320%、40%~300%、40%~280%、40%~260%、40%~240%、40%~220%、40%~200%、40%~180%、40%~160%、40%~140%、40%~120%、40%~100%、40%~90%、40%~80%、40%~70%、40%~60%、40%~50%、50%~400%、50%~380%、50%~360%、50%~340%、50%~320%、50%~300%、50%~280%、50%~260%、50%~240%、50%~220%、50%~200%、50%~180%、50%~160%、50%~140%、50%~140%、50%~120%、50%~100%、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~400%、60%~380%、60%~360%、60%~340%、60%~320%、60%~300%、60%~280%、60%~260%、60%~240%、60%~220%、60%~200%、60%~180%、60%~160%、60%~140%、60%~120%、60%~100%、60%~90%、60%~80%、60%~70%、70%~400%、70%~380%、70%~360%、70%~340%、70%~320%、70%~300%、70%~280%、70%~260%、70%~240%、70%~220%、70%~200%、70%~180%、70%~160%、70%~140%、70%~120%、~100%、70%~90%、70%~80%、80%~400%、80%~380%、80%~360%、80%~340%、80%~320%、80%~300%、80%~280%、80%~260%、80%~240%、80%~220%、80%~200%、80%~180%、80%~160%、80%~140%、80%~120%、80%~100%、80%~90%、90%~400%、90%~380%、90%~360%、90%~340%、90%~320%、90%~300%、90%~280%、90%~260%、90%~240%、90%~220%、90%~200%、90%~180%、90%~160%、90%~140%、90%~120%、90%~100%、100%~400%、100%~380%、100%~360%、100%~340%、100%~320%、100%~300%、100%~280%、100%~260%、100%~240%、100%~220%、100%~200%、100%~180%、100%~160%、100%~140%、100%~120%、120%~400%、120%~380%、120%~360%、120%~340%、120%~320%、120%~300%、120%~280%、120%~260%、120%~240%、120%~220%、120%~200%、120%~180%、120%~160%、120%~140%、140%~400%、140%~380%、140%~360%、140%~340%、140%~320%、140%~300%、140%~280%、140%~260%、140%~240%、140%~220%、140%~200%、140%~180%、140%~160%、160%~400%、160%~380%、160%~360%、160%~340%、160%~320%、160%~300%、160%~280%、160%~260%、160%~240%、160%~220%、160%~200%、160%~180%、180%~400%、180%~380%、180%~360%、180%~340%、180%~320%、180%~300%、180%~280%、180%~260%、180%~240%、180%~220%、180%~200%、200%~400%、200%~380%、200%~360%、200%~340%、200%~320%、200%~300%、200%~280%、200%~260%、200%~240%、200%~220%、220%~400%、220%~380%、220%~360%、220%~340%、220%~320%、220%~300%、220%~280%、220%~260%、220%~240%、240%~400%、240%~380%、240%~360%、240%~340%、240%~320%、240%~300%、240%~280%、240%~260%、260%~400%、260%~380%、260%~360%、260%~340%、260%~320%、260%~300%、260%~280%、280%~400%、280%~380%、280%~360%、280%~340%、280%~320%、280%~300%、300%~400%、300%~380%、300%~360%、300%~340%、又は300%~320%)をもたらすことができる。
【0111】
本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本発明の組成物又は方法での治療前に、患者は、化学療法、標的化抗がん剤、放射線療法、及び手術のうちの1つ以上で治療され、任意に、以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、手術が実施され、任意に、手術は不成功であり、かつ/又は患者は、白金系化学療法剤で治療され、任意に、患者は白金系化学療法剤での治療に非応答性であると以前に決定されており、かつ/又は患者は、キナーゼ阻害剤で治療され、任意に、キナーゼ阻害剤での以前の治療は不成功であり、かつ/又は患者は、1つ以上の他の治療剤(複数可)で治療された。
【0112】
キット
本発明はまた、がんを治療することにおける使用のための、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩を含む、キットに関し、かつ/又はこれを提供する。
【0113】
関連態様では、本発明は、PI3Ka阻害剤又はその薬学的に許容される塩の用量、及びKRas G12D阻害剤化合物MRTX1133若しくはMRTX1133類似体又はその薬学的に許容される塩の用量を、対象における、がん細胞、特にKRas G12D発現がん細胞の増殖を阻害するのに有効な量で含有する、キットを提供する。キットは、いくつかの場合では、これらの薬剤の投与のための指示を有する添付文書を含み、添付文書は、使用者にこれらの薬剤を組み合わせて使用するための1セットの指示を提供し得る。
【0114】
以下の実施例は、本発明のある特定の実施形態を更に例示することを意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0115】
実施例A
KRas G12D阻害剤及びPI3Ka阻害剤組み合わせの調査のためのインビボモデル
免疫不全ヌード/ヌードマウスに、KRas G12D変異を有する細胞を右後脇腹において接種する。腫瘍体積が200~400mm3のサイズに達するとき、マウスは、各5匹のマウスの4~5つの群に分けられる。第1の群は、ビヒクルのみ投与される。第2の群は、細胞株及び単剤活性に応じて、完全な腫瘍退縮をもたらさない、最大限の生物学的効果又は最大限未満の生物学的効果をもたらす濃度でKRas G12D阻害剤の単剤用量が毎日2回投与される。第2の群は、細胞株に応じて、完全な腫瘍退縮をもたらさない、細胞株及び単剤活性に応じて、最大限の生物学的効果又は最大限未満の生物学的効果をもたらす濃度でKRas G12D阻害剤が、5日のオフが続く連続する2日にわたって毎日2回投与され得る。第3の群は、細胞株及び単剤活性に応じて、同様に完全な腫瘍退縮をもたらさない、最大限の生物学的効果又は最大限未満の生物学的効果をもたらす濃度でBYL719(アルペリシブ)の単剤用量が投与される。第4の群は、イリノテカンの単剤用量との組み合わせで連続する2日にわたって毎日2回、続いて5日のオフのスケジュールを用いて、KRas G12D阻害剤の単剤用量が投与される。処置期間は、細胞株毎に変動するが、典型的には、15~22日である。腫瘍体積は、2~3日毎にキャリパーを使用して測定され、腫瘍体積は、以下の式によって計算される:0.5x(長さx幅)2。このモデルにおける組み合わせについての腫瘍成長阻害のより大きな程度は、併用療法が、KRas G12D阻害剤のみでの治療と比較して、治療される対象に臨床的に有意な利益をもたらす可能性が高いことを実証する。
【0116】
試験当たり20~25匹のヌード/ヌードマウスに、右後肢において5×106個のLS180細胞、AsPC-1細胞、GP2D細胞、又はPanc 02.03細胞を接種した。腫瘍体積が約200mm3~400mm3(試験0日目)に達したとき、群の各々における5匹のマウスに、ビヒクルのみ(50mMクエン酸緩衝液中10%カプチゾールpH5.0)、毎日2回のスケジュール若しくは5日のオフが続く連続する2日にわたる毎日2回のスケジュールのいずれかでの30mg/kgのKras G12D阻害剤MRTX1133(50mMクエン酸緩衝液中10%カプチゾール、pH5.0)、15mg/kgの毎日1回のBYL719(0.5%メチルセルロース)PI3Ka阻害剤、又は30mg/kgのいずれかのスケジュールでのBYL719のKras G12D阻害剤をi.p.投与した。群当たり5匹のマウスについて、所定の日に測定された、腫瘍体積を平均し、それぞれ、表1、2、3、及び4においてLS180、AsPC-1、GP2D、及びPanc 02.03について報告する。
【0117】
実施例B
BYL719との組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX1133
(LS180結腸がん細胞株)
25匹のヌード/ヌードマウスに、後右脇腹においてLS180細胞を接種した。腫瘍が約250mm
3に達したとき、5つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表1に提供される:
【表1】
【0118】
表1に示されるように、単剤としての30mg/kg BID(1日当たり2回)でのMRTX1133の投与は、15日目に45%の腫瘍成長阻害(毎日投与)、15日目に4%の腫瘍成長阻害(1週間当たり2回投与)を示した。単剤としての毎日1回15mg/kgでのPI3K阻害剤BYL719の投与は、15日目に44%の腫瘍成長阻害を示した。1週間当たり2回投与されたPI3K阻害剤BYL719及びMRTX1133の組み合わせは、15日目に73%の成長阻害をもたらした。
図1を参照されたい。
【0119】
実施例C
BLY719との組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX1133
(AsPC-1膵臓がん細胞株)
30匹のヌード/ヌードマウスに、後右脇腹においてAsPC-1細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、6つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表2に提供される:
【表2】
【0120】
表2に示されるように、単剤としてのMRTX1133の投与(30mg/kg BID毎日)は、34日目に-9%の腫瘍退縮を示した。単剤としての毎日1回15mg/kgでのPI3K阻害剤BYL719の投与は、34日目に0%の腫瘍成長阻害を示した。毎日BIDで投与されるPI3K阻害剤BYL719及びMRTX1133の組み合わせは、34日目に-46%の腫瘍退縮をもたらした。単剤としてのMRTX1133の投与(30mg/kg BID毎週2回)は、34日目に43%の腫瘍成長阻害を示した。MRTX1133(30mg/kg BID毎週2回)及びBYL719の組み合わせは、34日目に65%の腫瘍成長阻害をもたらした。
図2を参照されたい。
【0121】
実施例D
BYL719との組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX1133
(GP2D結腸直腸がん細胞株)
20匹のヌード/ヌードマウスに、後右脇腹においてGP2D細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、4つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表3に提供される:
【表3】
【0122】
表3に示されるように、単剤としてのMRTX1133の投与は、35日目に96%の腫瘍成長阻害を示した。MRTX1133及びBYL719の組み合わせは、35日目に-46%の腫瘍退縮をもたらした。
図3を参照されたい。
【0123】
実施例E
BYL719との組み合わせでのKRas G12D阻害剤MRTX1133
(PANC0203膵臓がん細胞株)
20匹のヌード/ヌードマウスに、後右脇腹においてPanc 02.03細胞を接種した。腫瘍が約300mm
3に達したとき、4つの処置群を、群当たり5匹のマウスで確立した。この試験の結果が表4に提供される:
【表4】
【0124】
表4に示されるように、単剤としてのMRTX1133の投与は、22日目に72%の腫瘍成長阻害を示した。MRTX1133及びBYL719の組み合わせは、22日目に98%の腫瘍成長阻害をもたらした。
図4を参照されたい。
【0125】
実施例F
BYL719との組み合わせでのMRTX1133の相乗作用を実証するインビトロデータ
KRAS G12D阻害剤であるMRTX1133との相乗的な組み合わせを特定するために、KRAS G12D変異体細胞株のパネルを使用した。細胞を、72時間の薬物処理とともに、2Dの単層で成長させた。KRAS G12D阻害剤MRTX1133及び組み合わせパートナーに使用された希釈は、各化合物について変動したが、3~6倍/段階希釈の範囲であった。用量マトリックスの各単剤及び関連する組み合わせを加え、プレートを5%CO2雰囲気中、370Cで72時間インキュベートした。エンドポイントCell-Titer-Glow(CTG)リードを生成して、各単剤及び組み合わせの生存率を決定した。
【0126】
実験パラメータ及び生データファイルを含有するメタデータファイルをバッチ処理するために、オープンソースのBioconductorパッケージを統合した、カスタムRスクリプトを作成した。データを要約するために、様々な数値的及び図形出力を生成した。単剤パラメータを、GRmetrics(Hafner M et al.)を使用して生成し、シナジーファインダーパッケージを使用して、2つの試験化合物が4つの独立した数学的参照モデル(Loewe相加性、Bliss独立性、Highest Single Agent、及びZIP)を使用して相乗作用を示すかを決定した(He L et al)。各数学的モデルからのデータの出力は、相対的な相乗作用スコアの割り当てである。表において報告されるデータは、Loewe相加性、Bliss独立性、Highest Single Agent、及びZIPスコアの合計(「複合相乗作用スコア」)である。複合相乗作用スコア22~80=相乗作用。複合相乗作用スコア11~21=相加作用。複合相乗作用スコア<0~10=利益なし。
【0127】
【0128】
これらの結果は、組み合わせが試験される細胞株の大部分について相乗的であり、試験される残りの細胞株の大部分について相加的であることを示す。
【0129】
本発明をその特定の実施形態と関連付けて説明してきたが、その実施形態は更に修正が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の原理に従った本発明の任意の変形、使用、又は改変を包含することが意図され、本発明が属する技術内の既知の又は日常的な実施の範囲に入り、上記に示される及び以下の添付の請求項の範囲に入る本質的な特徴に適用され得る本開示からの乖離を含むものと理解されよう。
【国際調査報告】