(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】清掃ガイダンスを提供するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20241003BHJP
G16H 40/60 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H40/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520713
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2022075550
(87)【国際公開番号】W WO2023061691
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】スツット ウィルヘルムス ヨハネス ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ルメール アミル フセイン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
清掃セッション中に、歯清掃装置のユーザに清掃ガイダンスを提供するシステム及び方法が提供される。過去の清掃セッション中にユーザが最初に清掃した位置を少なくとも含む清掃履歴データが受信され、清掃ガイダンスを生成するために処理される。清掃ガイダンスは、フィードバックユニットを介してユーザーに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃ガイダンスを対象に提供する提供する処理システムであって、
前記対象の複数の以前の清掃セッションの各々について、歯清掃装置の初期清掃位置を含む清掃履歴データを受信し、
前記清掃履歴データを処理することにより、現在の清掃セッションのための清掃ガイダンスを生成し、前記処理システムが、
前記清掃履歴データに基づき、複数の所定の初期清掃位置の各々について初期清掃位置頻度を決定し、および
前記決定された初期清掃位置頻度に基づき、前記清掃ガイダンスを生成することにより、前記清掃ガイダンスを生成し、
前記生成された清掃ガイダンスを表す、ユーザが知覚可能な出力を提供するようフィードバックユニットを制御する、処理システム。
【請求項2】
前記生成された清掃ガイダンスが、提案される初期清掃位置を有する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記処理システムが、
前記決定された初期清掃位置の頻度に基づき、最も頻度の高い初期清掃位置を決定し、
前記最も頻度の高い初期清掃位置に基づき、提案される初期清掃位置を生成することにより、前記決定された初期清掃位置の頻度に基づき、前記清掃ガイダンスを生成する、請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記処理システムが、
前記決定された初期清掃位置の頻度に基づき、最も頻度の低い初期清掃位置を決定し、
前記最も頻度の低い初期清掃位置に基づき、提案される初期清掃位置を生成することにより、前記決定された初期清掃位置の頻度に基づき、前記清掃ガイダンスを生成する、請求項2又は3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記清掃履歴データが、前記対象の複数の以前の清掃セッションの各々についての前記歯清掃装置の最終的な清掃位置を更に有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の処理システム。
【請求項6】
前記清掃履歴データが、前記対象の複数の以前の清掃セッションの各々についての前記歯清掃装置の清掃位置のシーケンスを有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の処理システム。
【請求項7】
前記生成される清掃ガイダンスが、初期清掃位置と少なくとも1つの他の提案された位置とを含む提案される清掃シーケンスを有する、請求項1乃至6のいずれかに記載の処理システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの他の提案される位置が、提案される最終清掃位置を有する、請求項7に記載の処理システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの他の提案される位置が、前記提案される清掃シーケンスの第2のサブシーケンスの提案される開始位置を有する、請求項7又は8に記載の処理システム。
【請求項10】
前記処理システムが更に、
現在の清掃セッション中の前記対象の口腔内における歯清掃装置の位置を表す清掃位置データを1つ又は複数のセンサから受信し、
前記清掃位置データにおける1つ又は複数の清掃位置を検出し、前記1つ又は複数の清掃位置が、少なくとも初期清掃位置を含み、
前記1つ又は複数の清掃位置を記憶するよう記憶ユニットを制御する、請求項1乃至9のいずれかに記載の処理システム。
【請求項11】
清掃ガイダンスを対象に提供する提供するシステムであって、
前記対象の複数の過去の清掃セッションの各々についての、歯清掃装置の初期清掃位置を含む清掃履歴データを記憶する記憶ユニットと、
前記記憶ユニットから前記清掃履歴データを受信する、請求項1乃至10のいずれかに記載の処理システムと、
前記処理システムからの指示に基づき、生成される清掃ガイダンスを表す、ユーザが知覚可能な出力を提供するフィードバックユニットとを有する、システム。
【請求項12】
前記対象の口腔内における歯清掃装置の位置を表す清掃位置データを取得する1つ又は複数のセンサを更に有し、
前記処理ユニットが、
前記1つ又は複数のセンサから前記清掃位置データを受信し、
前記清掃位置データにおける1つ又は複数の清掃位置を検出し、前記1つ又は複数の清掃位置が、少なくとも初期清掃位置を含み、
前記1つ又は複数の清掃位置を記憶するよう前記記憶ユニットを制御する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
清掃ガイダンスを対象に提供する提供するコンピュータ実現方法において、
前記対象の複数の過去の清掃セッションの各々について、前記歯清掃装置の初期清掃位置を含む清掃履歴データを受信するステップと、
前記清掃履歴データを処理することにより、現在の清掃セッションのための清掃ガイダンスを生成するステップであって、前記清掃ガイダンスが、
前記清掃履歴データに基づき、複数の所定の初期清掃位置の各々について初期清掃位置頻度を決定するステップと、
前記決定された初期清掃位置頻度に基づき、前記清掃ガイダンスを生成するステップとにより、前記清掃ガイダンスが生成される、ステップと、
前記生成される清掃ガイダンスを表す、ユーザが知覚可能な出力を提供するようフィードバックユニットを制御するステップとを有する、方法。
【請求項14】
処理システムを持つコンピュータ装置上で実行されるとき、前記処理システムに請求項13に記載の方法のすべてのステップを実行させるコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動清掃ガイダンスの分野に関し、特に、歯の清掃セッション中の自動清掃ガイダンスに関する。
【背景技術】
【0002】
口腔の健康を維持するためには、良好な口腔ケアの実践が不可欠である。特に、歯の各清掃セッション中に、各歯が正しく、十分な時間清掃されることが重要である。複数の歯の清掃製品が市販され、歯ブラシ、(水)歯間ブラシ、口腔洗浄器、及び更には超音波スケーラーを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(適切な)清掃行動のガイダンスを歯清掃装置のユーザに与えるため、さまざまな製品(例えばスマート歯清掃装置及び歯清掃関連アプリ)が開発される。例えば、一部の歯ブラシは、ブラシヘッドの位置を測定するセンサを含み、磨かれていない領域を示すフィードバックがユーザに提供される。清掃ガイダンスの提供は、対象の口腔衛生を改善することが示される。なぜなら、それは、改善された効率性及び正確性で歯を清掃する作業を行うための有益な情報を提供するからである。
【0004】
対象の口腔衛生の改善を促進するために、歯清掃装置のユーザに提供される清掃ガイダンスを改善することが継続的に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特許請求の範囲により規定される。
【0006】
本発明の一側面による例によれば、清掃ガイダンスを対象に提供する提供する処理システムが提供される。
【0007】
処理システムは、上記対象の複数の過去の清掃セッションの各々について、歯清掃装置の初期清掃位置を含む清掃履歴データを受信し、上記清掃履歴データを処理することにより、現在の清掃セッションのための清掃ガイダンスを生成し、上記処理システムが、上記清掃履歴データに基づき、複数の所定の初期清掃位置の各々について初期清掃位置頻度を決定し、決定された初期清掃位置頻度に基づき上記清掃ガイダンスを生成することで、清掃ガイダンスを生成し、および生成された清掃ガイダンスを表すユーザが知覚可能な出力を提供するようフィードバックユニットを制御する。
【0008】
発明者たちは、毎回の清掃セッションに関して人が同じ位置で歯の清掃を開始することを認識した。例えば、対象は常に左上の歯セグメントで開始する。
【0009】
通常、対象は、高い圧力又は強度で清掃を開始し、最初の位置で後の位置よりも長く清掃する。これは、歯清掃装置が歯ブラシである場合に特に顕著である。なぜなら、ブラッシングの強度が、ユーザの疲労が原因で清掃セッションを通して低下することになるからである。対象が毎回の清掃セッションに関して同じ初期位置を持つ場合、これは、この位置の歯茎が、口腔内の他の位置の歯茎よりも凹むことをもたらす。
【0010】
対象固有の開始位置の履歴に基づき清掃ガイダンスを生成することにより、生成されたガイダンスは、同じ初期清掃位置を使用することによる影響を低減するような態様で対象が清掃することを可能にし得る。
【0011】
決定された初期清掃位置頻度に基づき清掃ガイダンスを生成することは、生成されたガイダンスが、対象が通常どの位置を最初に清掃するか、及びどの位置が対象により初期清掃位置としてほとんど又は全く使用されないかを考慮することを意味する。
【0012】
所定の清掃位置の初期清掃位置頻度は例えば、対象の清掃履歴データに基づき、所定の初期清掃位置が初期清掃位置として使用された総回数とすることができ、又は、所与の期間(例えば、1週間又は1ヶ月当たり)若しくは所与の回数の清掃セッション(例えば、10又は100清掃セッション当たり)において、所定の初期清掃位置が対象により初期清掃位置として使用された平均回数とすることができる。
【0013】
いくつかの例では、生成された清掃ガイダンスは、提案される初期清掃位置を有する。
【0014】
こうして、対象が使用する初期清掃位置を変えるよう、対象が誘導されることができる。これは、口腔の異なる部分が、異なるレートで累積的に(即ちある時間期間にわたって)清掃される可能性を減らす。
【0015】
所定の初期清掃位置は、特定の歯面位置又は歯セグメント位置に対応することができる。例えば、複数の所定の初期清掃位置は、対象の口腔内の各歯の各表面(例えば、内側、外側)の位置を有し得る。
【0016】
いくつかの例では、生成された清掃ガイダンスは、提案される初期清掃位置を有し、処理システムは、決定された初期清掃位置の頻度に基づき、最も頻度の高い初期清掃位置を決定し、上記最も頻度の高い初期清掃位置に基づき、提案される初期清掃位置を生成することにより、上記決定された初期清掃位置の頻度に基づき、清掃ガイダンスを生成する。
【0017】
こうして、対象により最も共通して使用される初期清掃位置の代替が、現在の清掃セッションの初期清掃位置として提案されることができる。
【0018】
いくつかの例では、生成された清掃ガイダンスは、提案される初期清掃位置を有し、処理システムは、上記決定された初期清掃位置の頻度に基づき、最も頻度の低い初期清掃位置を決定し、上記最も頻度の低い初期清掃位置に基づき、提案される初期清掃位置を生成することにより、上記決定された初期清掃位置の頻度に基づき、清掃ガイダンスを生成する。
【0019】
各清掃セッションに対してこの方法を用いて初期清掃位置が提案される場合、所定の初期清掃位置の均等な分布が経時的に達成されることができる。
【0020】
いくつかの例では、清掃履歴データは、対象の複数の以前の清掃セッションの各々に対する歯清掃装置の最終的な清掃位置を更に含む。
【0021】
歯清掃装置のユーザは、歯を清掃するたび同じ位置から始める傾向があるので、多くのユーザは同じ最終清掃位置で終了する。
【0022】
ユーザの疲労のため、清掃セッションの最終清掃位置にある歯は一般に、清掃セッションの初期に清掃された歯ほど注目されない。ユーザは通常、最終清掃位置では、それ以前の位置よりも短い時間、及びより少ない圧力/強度で清掃を行う。
【0023】
いつも同じ歯が最後に清掃される場合、その歯は十分に清掃されない場合がある。生成された清掃ガイダンスが、開始位置だけでなく、終了位置の対象固有の履歴に基づかれることにより、生成されたガイダンスは、(ある時間期間にわたって)同じ最終清掃位置を使用する影響を低減する態様で対象が清掃することを可能にすることができる。
【0024】
いくつかの例では、清掃履歴データは、対象の複数の以前の清掃セッションの各々についての歯清掃装置の清掃位置のシーケンスを有する。
【0025】
こうして、対象の一般的な初期及び最終清掃位置が考慮されるだけでなく、対象の各歯面/セグメントが通常清掃される順序も考慮される。これは、シーケンスにおける初期に清掃される歯は一般に、遅くに清掃される歯よりも長い時間、及びより強い圧力で清掃されることを意味する。
【0026】
歯を清掃するとき対象がいつも同じ清掃シーケンスを用いる場合、2番目の清掃位置で清掃される歯は、初期清掃位置の歯と同じ欠点の多くを経験する場合があり、一方、最後から2番目の清掃位置にある歯は、最終清掃位置にある歯と同じ態様で、注意不足に苦しむ場合がある。
【0027】
清掃セッションにおける清掃位置のシーケンスは、清掃位置が清掃される順序のことである。
【0028】
いくつかの例では、生成された清掃ガイダンスは、初期清掃位置と少なくとも1つの他の提案された位置とを含む提案される清掃シーケンスを有する。
【0029】
こうして、対象は、異なる清掃セッションに関して異なるシーケンスで清掃するように誘導され、その結果、各歯の表面/セグメントが経時的に均等に注意を受ける。
【0030】
少なくとも1つの他の提案された位置は、提案される最終清掃位置を有することができる。
【0031】
こうして、対象は、異なる清掃セッション間で最終的な清掃位置を変化させるだけでなく、初期清掃位置を変化させるように誘導されることができる。
【0032】
少なくとも1つの他の提案された位置は、提案される清掃シーケンスの第2のサブシーケンスのための提案される開始位置を有することができる。
【0033】
この実施形態では、初期清掃位置は、提案される清掃シーケンスの第1のサブシーケンスのための提案される開始位置であってもよい。第2のサブシーケンスは、第1のサブシーケンスの後に連続していてもよい。
【0034】
清掃シーケンスの第2のサブシーケンスは、初期清掃位置が属するアーチ面(及び上記アーチ面を清掃する第1のサブシーケンスのための提案される開始位置を表す)の直後に清掃されるアーチ面(例えば、上部アーチの内側面)として規定されることができる。対象が特定のアーチ面全体を一緒に清掃し、清掃シーケンスの残りの部分は、第2のサブシーケンスに基づき決定されることができることが推測される(なぜなら、第3のサブシーケンスは、第2のサブシーケンスの終了位置から最も自然に続くサブシーケンスのいずれかである可能性が高いからである)。従って、対象が使用する最終清掃位置は、提案される初期清掃位置及び第2サブシーケンスの開始位置を変化させることにより変化されることができる。
【0035】
対象は、提案される初期清掃位置及び最終清掃位置のみを有するガイダンスよりも、初期清掃位置と第2のサブシーケンスの開始位置とに関して対象に指示を与えるガイダンスの方が従いやすいと感じる場合がある。なぜなら、後者の場合、対象は初期清掃位置から最終清掃位置までの経路を自分で決めなければならないからである。
【0036】
いくつかの例では、処理システムは、現在の清掃セッション中の対象の口腔内における歯清掃装置の位置を表す清掃位置データをセンサから受信し、清掃位置データにおける1つ又は複数の清掃位置を検出するよう、更に構成される。上記1つ又は複数の清掃位置は、少なくとも初期清掃位置を含む。処理システムはさらに、1つ又は複数の清掃位置を記憶するための記憶ユニットを制御するよう構成される。
【0037】
こうして、清掃履歴データは常に最新の状態に保たれ、これは、次回の清掃セッションにおいて最適なガイダンスを処理システムが決定することを可能にする。
【0038】
初期清掃位置は例えば、歯清掃装置の清掃動作が検出される清掃セッション中の歯清掃装置の最初の位置、又は歯清掃装置が歯に接触することが検出される最初の位置として検出され得る。
【0039】
追加の清掃位置(例えば最終清掃位置)が検出される場合、1つ又は複数の清掃位置は、各位置が清掃された時間順にシーケンスとして記憶ユニットに記憶され得る。
【0040】
清掃ガイダンスを対象に提供する提供するシステムも提案される。システムは、対象の複数の過去の清掃セッションの各々についての歯清掃装置の初期清掃位置を含む清掃履歴データを記憶するよう構成された、記憶ユニットと、上記記憶ユニットから上記清掃履歴データを受信するよう構成された、上記処理システムと、処理システムからの指示に基づき、生成された清掃ガイダンスを表すユーザが知覚可能な出力を提供するよう構成された、フィードバックユニットとを有する。
【0041】
いくつかの例では、システムは、対象の口腔内における歯清掃装置の位置を表す清掃位置データを取得するよう構成された、1つ又は複数のセンサを更に備え、
処理ユニットは、上記1つ又は複数のセンサから上記清掃位置データを受信し、清掃位置データにおける1つ又は複数の清掃位置を検出するよう構成される。上記1つ又は複数の清掃位置は、少なくとも初期清掃位置を含む。処理ユニットは更に、1つ又は複数の清掃位置を記憶するように記憶ユニットを制御するよう構成される。
【0042】
本発明の別の態様によれば、清掃ガイダンスを対象に提供する提供するためのコンピュータ実現方法が提供される。コンピュータ実現方法は、上記対象の複数の過去の清掃セッションの各々について、歯清掃装置の初期清掃位置を含む清掃履歴データを受信するステップと、清掃履歴データに基づき、現在の清掃セッションのための清掃ガイダンスを生成するステップであって、上記清掃履歴データに基づき、複数の所定の初期清掃位置のそれぞれについて初期清掃位置頻度を決定し、決定された初期清掃位置頻度に基づき、上記清掃ガイダンスを生成することにより、清掃ガイダンスが生成される、ステップと、生成された清掃ガイダンスを表す、ユーザが知覚可能な出力を提供するようフィードバックユニットを制御するステップとを有する。
【0043】
処理システムを持つコンピュータ装置上で実行されるとき、処理システムに上述の方法の全ステップを実行させるコンピュータコード手段を含むコンピュータプログラム製品も提案される。
【0044】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】対象の口腔内の歯の概要と、清掃セッション中に対象が使用する典型的な清掃シーケンスとを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による、清掃ガイダンスを対象に提供するシステムを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による、清掃ガイダンスを対象に提供する提供するためのコンピュータ実現方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の好適な理解のため、及びその実現方法をより明確に示すため、例示に過ぎない添付の図面が参照される。
【0047】
本発明が、図を参照して説明される。
【0048】
詳細な説明及び具体的な例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すものの、説明のみを目的としており、本発明の範囲を限定するものとして意図されていない点を理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、側面及び利点が、以下の説明、添付の請求項及び添付の図面からより好適に理解されるであろう。図は単なる概略的なものであり、縮尺に合わせて描かれていないことを理解されたい。同一又は類似の部分を示すために図を通して同じ参照番号が使用される点も理解されたい。
【0049】
本発明の概念によれば、清掃セッション中に歯清掃装置のユーザに清掃ガイダンスを提供するシステム及び方法が提案される。過去の掃除セッション中にユーザが最初に清掃した位置を少なくとも含む清掃履歴データが受信され、清掃ガイダンスを生成するために処理される。清掃ガイダンスは、フィードバックユニットを介してユーザに提供される。
【0050】
歯清掃装置のユーザは一般に、歯を清掃するたびに同じ位置で清掃を開始し、歯の各セグメントを毎回同じ順序で清掃することが多いという認識に、及びこれは、ユーザの歯のいくつかが過剰に清掃され、同じユーザの他の歯が過小に清掃されることをもたらす可能性があるという認識に、実施形態は少なくとも部分的に基づかれる。
【0051】
例示的な実施形態は例えば、スマート歯ブラシ及びスマート口腔洗浄器などのスマート歯清掃装置、並びにスマート歯洗浄装置用アプリケーションに採用されることができる。
【0052】
図1は、対象の口腔50内の歯1~32の概要と、清掃セッション中に対象が使用する典型的な清掃シーケンス90とを示す。清掃セッションとは、対象が歯清掃装置(例えば歯ブラシ、口腔洗浄器など)を使用して歯を清掃するセッションである。
【0053】
清掃シーケンス90では、対象は歯1で歯の清掃を開始し、歯の上アーチ(歯1-16)の外側を清掃し、次に下アーチ(歯17-32)の外側、下アーチの内側、最後に上アーチの内側を清掃し、歯1の内側で清掃を終了する。
【0054】
多くの人は、歯を清掃するたび同じ清掃シーケンスを用いる。これは、口腔の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。なぜなら、清掃セッションの過程にわたり、人々は疲労しやすいからである。彼らは従って、清掃セッションの最初に清掃される歯を、セッションの最後に清掃される歯よりも長く、及びより強い圧力と強度とで清掃する。
【0055】
例えば、対象が歯を清掃するたび(又はほとんどの場合)歯の清掃シーケンス90を使用する場合、歯の左上セグメントの外側は、時間の経過とともに、左上セグメントの内側よりもはるかに多く清掃される。これは、左上セグメントの外側では過剰清掃による口腔衛生上の問題(歯の磨耗及び歯肉の退縮など)をもたらし、左上セグメントの内側では過少清掃による他の口腔衛生上の問題(虫歯及び歯周病など)をもたらす場合がある。
【0056】
図2は、本発明の一実施形態による、対象110に清掃ガイダンスを提供するシステム100を示す。システムは、記憶ユニット120、処理システム130及びフィードバック装置140を有する。処理システム130は、それ自体が本発明の一実施形態である。
【0057】
システム100は、歯清掃装置150の使用に関して対象にガイダンスを提供し、同じ清掃シーケンス(例えば、
図1の清掃シーケンス90)で歯清掃装置による清掃を継続すること、特に、ほとんど又は全ての清掃セッションで同じ初期清掃位置を使用することによる対象の歯への影響を低減することを目的とする。
【0058】
図2では、歯清掃装置150は歯ブラシであるが、歯清掃装置は、口腔洗浄器及び歯清掃器(歯間ピック)など、不均一な清掃が口腔の健康問題をもたらす場合がある任意の歯清掃装置とすることができる。
【0059】
記憶ユニット120は、対象110の清掃履歴データ125を記憶する。清掃履歴データは、対象の過去の清掃セッションに関連する情報を含み、対象の複数の過去の清掃セッションの各々について、歯清掃装置150の初期清掃位置を少なくとも含む。
【0060】
清掃セッションの初期清掃位置は、清掃セッション中に対象110が清掃を行う最初の位置である。初期清掃位置は、特定の歯(例えば、
図1の歯1)、特定の歯面(例えば、歯1の外面)、特定の歯セグメント(例えば、左上セグメントの外側)、又は特定の歯間スペース(例えば、歯1と歯2との間のスペース)の観点から規定され得る。
【0061】
複数の以前の清掃セッションの各々に対する初期清掃位置は例えば、以前の清掃セッション毎に個別に(例えば、以前の清掃位置のリストとして)、及び/又は、複数の可能な初期清掃位置の各々に対する頻度の観点から記憶され得る(例えば、複数の可能な初期清掃位置の各々が、以前のすべての清掃セッションにわたって初期清掃位置として使用された回数の合計として)。複数の可能な初期清掃位置は、所定であってよく、又は初期清掃位置は、対象110により初期清掃位置として最初に使用されるときに、可能な初期清掃位置として清掃履歴データに追加されてもよい。
【0062】
図3は、対象110の清掃履歴データ125の例を示す。
図3では、清掃履歴データは2つのテーブル310及び320に格納される。テーブル310は、以前の各清掃セッションの日付、時間及び初期清掃位置を含む。テーブル310において、初期清掃位置は、対象が清掃を開始した歯の番号(歯は、
図1に示されるのと同じ番号スキームを用いて番号付けされる)及び最初に清掃されたこの歯の表面(即ち、内側又は外側)の観点から規定される。
【0063】
初期清掃位置は、テーブル320に集約され、これは、各歯面が以前の清掃セッションにおいて初期清掃位置として使用された頻度を含む。
【0064】
いくつかの例では、清掃履歴データ125は更に追加情報を含むことができる。例えば、清掃履歴データは、対象110の複数の以前の清掃セッションの各々についての歯清掃装置150の最終的な清掃位置を更に含み得る。清掃セッションの最終清掃位置は、清掃セッション中に対象が清掃した最後の位置である。初期清掃位置と同様に、最終清掃位置及び他の任意の清掃位置は、特定の歯、特定の歯面、特定の歯セグメント、又は特定の歯間スペースという観点から規定されることができる。
【0065】
追加的又は代替的に、清掃履歴データ125は、清掃シーケンスの第2のサブシーケンスの開始位置を更に含むことができる。清掃シーケンスは、上下の各アーチの内側及び外側を清掃するためのサブシーケンスに分割して考えられることができる。初期清掃位置は、第1のサブシーケンスの位置を表すことができる。第2のサブシーケンス(これは第1のサブシーケンスの後に続く)の開始位置は、初期清掃位置で清掃された表面/アーチとは異なるアーチ(例えば、上部ではなく下部)及び/又はアーチの異なる表面(例えば、外側ではなく内側)を対象が最初に清掃する位置である。
【0066】
いくつかの例では、清掃履歴データ125は、対象の複数の以前の清掃セッションの各々についての歯清掃装置150の清掃位置のシーケンスを有し得る。清掃位置のシーケンスは例えば、清掃セッション中に使用される各清掃位置を、清掃された順序で(即ち、初期清掃位置から最終清掃位置まで)有することができる。別の例では、清掃位置のシーケンスは、清掃シーケンスを構成する各サブシーケンスの開始位置を有することができる。
【0067】
図2に戻ると、清掃履歴データ125は、1つ又は複数のセンサ160からのデータに基づかれることができ、清掃セッションごとに更新されてもよい。ブラッシングセンサ中に清掃履歴データを取得するための1つ又は複数のセンサの使用は、以下で詳しく説明される。
【0068】
処理システム130は、記憶ユニット120から清掃履歴データ125を受け取り、清掃履歴データを処理して、現在の清掃セッションのための清掃ガイダンスを生成する。
【0069】
処理システム130は、現在の清掃セッションに先立ち(即ち、直前の清掃セッションの終了と現在の清掃セッションの開始との間に)、又は現在の清掃セッションが開始されたという決定に基づき、清掃ガイダンスを生成することができる。例えば、処理システムは、清掃履歴データを受信し、1つ又は複数の所定の初期化条件が満たされることに基づき、清掃ガイダンスを生成することができる(例えば、対象110が歯清掃装置150を手に取ったという決定、歯清掃装置のスイッチが入れられたという決定など)。
【0070】
生成された清掃ガイダンスは、従った場合、以前の清掃セッションの大部分で同じ初期清掃位置を使用したことの影響を打ち消すように働く、任意の適切なガイダンスを有することができる。
【0071】
いくつかの例では、清掃ガイダンスは、現在の清掃セッションのための1つ又は複数の提案される清掃位置(例えば、提案される初期清掃位置又は提案される清掃シーケンス)を含むことができる。
【0072】
他の例では、清掃ガイダンスは例えば、現在の清掃セッション中にこの位置で清掃に費やされた時間が所定の閾値に達すると、(対象にとって)通常の初期清掃位置での清掃を停止するように対象に指示することにより、他の態様でこれらの影響を打ち消すことを目指すことができる。同様に、清掃履歴データ125が以前の最終清掃位置又は以前の清掃シーケンスを更に含む場合、対象は、清掃セッションの終了時又は終了時付近で一般的に清掃される位置で、より長い時間清掃するように指示され得る。
【0073】
処理システム130は、複数の所定の初期清掃位置の各々が、以前の清掃セッションにおいて初期清掃位置として使用された頻度に基づき、清掃ガイダンスを生成することができる(即ち、各所定の初期清掃位置に対する初期清掃位置頻度)。所定の初期清掃位置は例えば、対象110の口腔内の各歯面、各歯間スペース、各歯セグメント、又は特定の歯面若しくは歯間スペースのセットを有し得る(例えば、アーチ又はセグメントの端にある歯の表面又は歯の間のスペースを有するセット)。
【0074】
処理システム130は、初期清掃位置頻度に基づき清掃ガイダンスを生成するために、複数の所定の初期清掃位置の各々について初期清掃位置頻度を最初に決定することができる。いくつかの例では、複数の所定の初期清掃位置の各々に対する初期清掃位置頻度が、清掃履歴データ125に含まれ得、この場合、処理システムは、初期清掃位置頻度を決定するステップを省略することができる。
【0075】
各所定の初期清掃位置の初期清掃位置頻度は例えば、
図3のテーブル320に示すように、所定の初期清掃位置が対象により初期清掃位置として使用された総回数とすることができる。代替的に、初期清掃位置の頻度は、時間に関する頻度(例えば、1週間又は1ヶ月あたり、所定の初期清掃位置が対象により初期清掃位置として使用される回数)、又は清掃セッションに関する頻度(例えば、10回の清掃セッション、50回の清掃セッション、100回の清掃セッションにつき、所定の初期清掃位置が対象により初期清掃位置として使用される回数)であってもよい。
【0076】
処理システム130は例えば、初期清掃位置頻度に基づき最も頻度の高い初期清掃位置を決定し、最も頻度の高い初期清掃位置に基づき清掃ガイダンスを生成することができる。例えば、生成される清掃ガイダンスは、最も頻度の高い清掃位置とは異なる位置である、提案される初期清掃位置を有し得る。
【0077】
処理システム130は、対象により使用される初期清掃位置が時間の経過とともに口腔内に均等に分散されるように、提案される初期清掃位置を生成するよう構成され得る。例えば、処理システムは、歯の所定のセットのそれぞれの各表面(例えば、口腔内で最も奥にある歯、即ち
図1の番号体系を用いた歯1、16、17、32のそれぞれの内側及び外側を有するセット)が、時間にわたり、初期清掃位置として均等な回数使用されるように、清掃ガイダンスを生成することができる。別の例では、処理システムは、使用される初期清掃位置が時間の経過とともに対象の口腔内の歯の各セグメントの内側及び外側に均等に分散されるように、清掃ガイダンスを生成することができる。
【0078】
初期清掃位置の均等な分布は例えば、各清掃セッションについて、初期清掃位置頻度に基づき最も頻度の低い初期清掃位置を決定し、最も頻度の低い清掃位置に基づき清掃ガイダンスを生成することにより達成されることができる。例えば、生成される清掃ガイダンスは、最も頻度の低い初期清掃位置(又は、歯の所定のセットからの最も頻度の低い初期清掃位置)が初期清掃位置として使用されることの提案を有することができる。清掃セッションに関する初期清掃位置を、その清掃セッションの時点で最も頻度の低い位置に対応する位置として常に提案することで、清掃ガイダンスは、初期清掃位置の均等な分散へとユーザを誘導することができる。
【0079】
図3に示す例示的な清掃履歴データ125を用いて、処理システム130は例えば、対象110にとって最も頻度の高い初期清掃位置が歯1の外側であると決定することができる。処理システムは、歯1の外側が最も頻度の高い初期清掃位置であることに基づき、清掃ガイダンスを生成することができる。例えば、処理システムは、歯1の外側とは異なる提案される初期清掃位置を生成することができる。
【0080】
処理システム130は、追加的又は代替的に、
図3に示す清掃履歴データ125から、複数の歯面(歯17の外側及び歯1の内側など)が、対象110により初期清掃位置として使用されたことがないことを決定することができる。これらの歯面のいずれか又はすべてが、対象にとって最も頻度の低い初期清掃位置と考えられる。処理システムは、これらの歯面の1つ又は複数が最も頻度の低い初期清掃位置であることに基づき、清掃ガイダンスを生成することができる。例えば、処理システムは、これらの歯面の1つ(例えば、歯17の外側)を初期清掃位置として提案することができる。
【0081】
図2に戻ると、処理システム130は、いくつかの例では、対象の以前の初期清掃位置に加えて更なる情報を使用して、提案される初期清掃位置を生成することができる。例えば、清掃履歴データ125が、複数の以前の清掃セッションの各々についての最終清掃位置を更に含む場合、処理システムは、初期清掃位置頻度と同様に、複数の所定の最終清掃位置の各々についての最終清掃位置頻度を考慮してもよい(例えば、初期清掃位置の頻度が最も低く、最終清掃位置の頻度が最も高い位置を提案される初期清掃位置として選択することにより)。提案される初期清掃位置を生成するために清掃履歴データの追加情報がどのように使用されるかについての更なる例は、当業者には明らかであろう。
【0082】
いくつかの例では、生成される清掃ガイダンスは、提案される清掃シーケンスを有することができる。提案される清掃シーケンスは、提案される初期清掃位置及び少なくとも1つの他の提案される位置を含む。例えば、提案される清掃シーケンスは、提案される初期清掃位置と提案される最終清掃位置とを有することができ、これは、対象が初期清掃位置と最終清掃位置との間の経路を決定することを可能にする。別の例では、提案される清掃シーケンスは、提案される初期清掃位置(第1のサブシーケンスの提案される開始位置を表す)と、第2のサブシーケンスの提案される開始位置とを有し得る。更に別の例では、提案される清掃シーケンスは、初期清掃位置から最終の清掃位置まで、清掃セッション中に清掃される各位置の清掃順序の提案を有する場合がある。
【0083】
提案される清掃シーケンスは、初期清掃位置だけでなく、清掃セッションにわたって使用される最終清掃位置を変化させるように対象110をガイドする。初期清掃位置のみが提案される場合、この位置が、提案される初期清掃位置であるときを除き、対象は、同じ最終清掃位置を使用し続ける可能性がある。
【0084】
提案される清掃シーケンスは、提案される最終清掃位置を含むことにより、及び/又は第2のサブシーケンスの開始位置を提案することにより、最終清掃位置を変化させるように対象110を誘導することができ、これは、清掃セッションが開始されたセグメント又はアーチ表面(例えば、左上セグメントの外側又は下のアーチの内側)の清掃を対象が終了すると対象が取る経路を決定する。例えば、対象が左上セグメントの外側で清掃を始め、右上セグメントの内側を清掃することを清掃ガイダンスが提案する場合、対象は、まず上アーチの外側を、次に上アーチの内側を、続いて下アーチの内側と下アーチの外側とを清掃する可能性が高い。対象が下アーチの外側で始めようとするとき、清掃ガイダンスは追加的に、左下セグメントの外側で清掃を終えることを提案することができる(言い換えれば、提案される清掃シーケンスは、第2のサブシーケンスの提案される開始位置と提案される最終清掃位置との両方を含むことができる)。
【0085】
いくつかの例では、提案される清掃シーケンスは、第2のサブシーケンスのための提案される開始位置に加えて、後続の(例えば第3及び/又は第4の)サブシーケンスのための開始位置の提案を含むことができる。例えば、提案される清掃シーケンスは、清掃シーケンス内の各サブシーケンスに対する提案される開始位置、提案される初期清掃位置、第2サブシーケンスの提案される開始位置、第3のサブシーケンスの提案される開始位置、及び第4のサブシーケンスの提案される開始位置を有し得る。例えば、清掃ガイダンスは、対象が左上セグメントの外側で清掃を開始し、次に右上セグメントの内側を清掃し、次に左下セグメントの内側を清掃することを提案することができる。清掃ガイダンスは更に、対象が次に右下セグメントの外側を清掃し、及び/又は対象が左下セグメントの外側で清掃を終了することを提案することができる。
【0086】
提案される清掃シーケンスは、提案される初期清掃位置を生成するために上述した方法と同様の方法を適用することにより生成されることができ、提案される清掃シーケンスを生成するためにこれらの方法を適用する方法は明らかであろう。
【0087】
清掃履歴データ125が、以前の清掃セッションの初期清掃位置のみを有する場合、処理システム130は例えば、上述のように提案される初期清掃位置を生成し、次に、提案される初期清掃位置に対応する所定のシーケンスに基づき少なくとも1つの他の提案される位置を生成することができる。別の例では、処理システムは、特定の初期清掃位置に続いて使用されるシーケンスを対象が時間とともに変化させるように、少なくとも1つの他の提案位置を生成することができる。例えば、初回は、清掃ガイダンスが左上セグメントの外側で清掃を開始することを提案し、清掃ガイダンスは、対象が左上セグメントの内側で清掃を終えることを提案することができる(
図1参照)。次回は、清掃ガイダンスが左上セグメントの外側で清掃を開始することを提案し(即ち、後の清掃セッション)、清掃ガイダンスは、対象が左下セグメントの外側で清掃を終えることを提案することができる。
【0088】
清掃履歴データ125が、以前の初期清掃位置に加えて、更なる情報を含む場合、処理システム130は、提案される清掃シーケンスを生成する際に、この更なる情報を考慮に入れることができる。例えば、清掃履歴データが更に、以前の清掃セッションの最終清掃位置を有する場合、処理システムは、初期清掃位置頻度に基づき、提案される初期清掃位置を決定し、最終清掃位置頻度に基づき、提案される最終清掃位置を決定することができる。例えば、清掃ガイダンスは、提案される初期清掃位置としての最も頻度の低い初期清掃位置と、提案される最終清掃位置としての最も頻度の低い最終清掃位置とを有し得る。処理システムは追加的に、提案される初期清掃位置と提案される最終清掃位置との間の経路を決定して、清掃セッションのための清掃位置のシーケンス全体を提案することができる。提案される清掃シーケンスを生成するのに清掃履歴データに含まれる追加情報がどのように使用されるかの更なる例は、当業者には明らかであろう。
【0089】
清掃ガイダンスを生成した後、処理システム130は、生成された清掃ガイダンスを表すユーザが知覚可能な出力を提供するようにフィードバックユニット140を制御する。
【0090】
図2において、フィードバックユニット140はスマートフォンであるが、清掃セッション中にユーザが知覚可能な出力を提供することができる任意のデバイスが使用されることができる(例えば、タブレット又はスマートミラー)。いくつかの例では、フィードバックユニットは、歯清掃装置150上又は内に収容される装置(例えば、ディスプレイ又はスピーカ)であってもよい。
【0091】
ユーザが知覚可能な出力は、清掃ガイダンスを対象に伝えるのに適した任意のユーザが知覚可能な出力とすることができる。例えば、ユーザが知覚可能な出力は、テキスト表示(例えば「右上、内側」)若しくは画像などの視覚的インジケーター、又は録音された音声指示などの音声インジケーターとすることができる。
図2において、ユーザが知覚可能な出力は、提案される初期清掃位置を示す矢印が付いた歯のセットの画像である。
【0092】
清掃ガイダンスが、提案される清掃シーケンスを有する場合、清掃ガイダンスが一度に(例えば、提案される清掃シーケンスの経路を示す画像、又は提案される初期清掃位置を示す矢印、提案される最終清掃位置を示す矢印及び/若しくは第2サブシーケンスの開始位置を示す矢印のある画像)又は一連の個別の指示として(例えば、清掃セッションの開始時の提案される初期清掃位置に関する第1の指示と、対象が初期清掃位置で清掃を開始した後の第2のサブシーケンスの提案される開始位置に関する第2の指示)与えられることができる。
【0093】
いくつかの例では、システム100は、対象110の口内における歯清掃装置150の位置を表す清掃位置データ165を取得するよう構成された1つ又は複数のセンサ160を更に有する。
【0094】
1つ又は複数のセンサ160は、対象110の口腔内における歯清掃装置150の位置を表す清掃位置データを取得するのに適した任意のセンサを有することができる。例えば、1つ又は複数のセンサ160は、1つ又は複数の慣性運動ユニット、加速度計、ジャイロスコープ、傾斜計、磁力計、圧力センサ、タイマー、温度センサ、光学センサ、赤外線センサ、超音波センサ、及び/又はカメラを有することができる。
【0095】
対象の口腔内における歯清掃装置の位置を決定するセンサ、及びセンサからのデータに基づき歯清掃装置の位置を決定する方法は、既知であり、スマート歯清掃装置及び歯清掃関連アプリにより一般的に使用される。例えば、WO2009/107047A1、WO2014/036423A1、WO2018/065373A1及びWO2019/137841A1を参照されたい。
【0096】
図2において、1つ又は複数のセンサ160は、歯清掃装置150のヘッドに取り付けられる。しかしながら、1つ又は複数のセンサは、追加的又は代替的に、歯清掃装置上若しくは歯清掃装置内の別の位置、又は適切な場合には別の装置(例えば、スマートミラー又はスマートフォン内のカメラ)内に配置されることができる。
【0097】
処理システム130は、清掃セッション(即ち現在の清掃セッション)中に1つ又は複数のセンサ160から清掃位置データ165を受信し、清掃位置データを処理して清掃位置データにおける1つ又は複数の清掃位置135を検出する。1つ又は複数の清掃位置は、清掃セッションのための初期清掃位置を少なくとも含む。
【0098】
清掃セッションのための初期清掃位置は、1つ又は複数の所定の基準に基づき清掃位置データ165において検出され得る。例えば、初期清掃位置は、清掃セッション中に歯清掃装置150が対象110の歯(例えば、歯清掃装置が歯ブラシである場合)に最初に接触する位置(即ち、歯清掃装置が直近にオンにされてから、又は対象により保持されてから)、歯清掃装置が最初に歯間スペースに入る位置(例えば、歯清掃装置が口腔洗浄器の場合)、及び/又は歯清掃装置の使用に関連する清掃動作が最初に検出される位置として規定されることができる。
【0099】
いくつかの例では、1つ又は複数の清掃位置135は追加的に、清掃セッションの最終清掃位置を含むことができる。例えば、最終清掃位置は、清掃セッション中に歯清掃装置150が対象110の歯と接触する最後の位置(即ち、歯清掃装置がオフにされるか、又は対象により下に置かれる前の最後の位置)、歯清掃装置が歯間スペースに入る最後の位置、及び/又は、歯清掃装置の使用に関連する清掃動作が最後に検出される最後の位置。として規定されることができる。
【0100】
対象は、場合によっては、特定の清掃セッションにおいてすべての歯を清掃しない(又はすべての歯のすべての表面を清掃しない)場合がある。清掃セッションで清掃されない位置は、清掃位置データ165には含まれない。言い換えれば、清掃セッションの最終清掃位置は、実際には全く清掃されなかった仮想の最終清掃位置(例えば、清掃ガイダンスにおける提案される最終清掃位置)ではなく、「実際の」最終清掃位置(即ち、清掃セッションで最後に清掃された位置)である。対象が一般的に同じ清掃シーケンスに従い、しばしば(例えば疲労のために)そのシーケンスを完了できない場合、全く清掃されないことが多い位置は、その対象の初期清掃位置の履歴に含まれることは(あったとしても)ほとんどない。従って、以前の初期清掃位置に基づかれるガイダンスは、これらの位置のいずれかから清掃を開始するよう提案する可能性が高い。
【0101】
いくつかの例では、1つ又は複数の清掃位置135は、清掃シーケンスの第2のサブシーケンスの開始位置を有することができる。清掃シーケンスは、少なくとも第1及び第2のサブシーケンス(第2のサブシーケンスは第1のサブシーケンスの後に続く)を含む複数のサブシーケンスに概念的に分割されることができる。最初の開始位置maは、第1のサブシーケンスの開始位置を表す。異なるサブシーケンスは、対象の異なるアーチ又はアーチ部分を表すことができる。第2のサブシーケンスは、歯清掃装置150が歯の外側から歯の内側(若しくはその逆)に移動することにより、又は1つのアーチ(例えば上のアーチ)から別のアーチ(例えば下のアーチ)に移動することにより、第1のサブシーケンスから区別され得る。例えば、初期清掃位置が歯の上アーチの外側の歯面である場合、第2のサブシーケンスの開始位置は、歯清掃装置が内側の歯面を清掃していると決定される第1の位置、及び/又は、歯清掃装置が歯の下アーチの歯を清掃していると決定される第1の位置とすることができる。
【0102】
いくつかの例では、1つ又は複数の清掃位置135は、清掃シーケンス全体を有することができる。言い換えれば、1つ又は複数の清掃位置は、清掃位置が清掃された時間の順に(即ち、初期清掃位置から最終清掃位置まで)、清掃セッションの各清掃位置を有することができる。
【0103】
清掃位置データ165において1つ又は複数の清掃位置135を検出した後、処理システム130は、次に、清掃履歴データ125の一部として1つ又は複数の清掃位置を記憶するよう、記憶ユニット120を制御する。言い換えると、次回の清掃セッションでは、清掃履歴データは現在の清掃セッションからのデータを含む。
【0104】
図4は、本発明の実施形態による、清掃ガイダンスを対象に提供するためのコンピュータ実現方法400を示す。
【0105】
本方法は、ステップ410で開始され、このステップでは、対象の複数の過去の清掃セッションの各々に対する歯清掃装置の初期清掃位置を含む清掃履歴データが取得される。
【0106】
ステップ420では、清掃履歴データに基づき、現在の清掃セッションのための清掃ガイダンスが生成される。
【0107】
ステップ430では、生成された清掃ガイダンスを表す、ユーザが知覚可能な出力が提供されるよう、フィードバックユニットが制御される。
【0108】
開示された方法は、コンピュータ実現方法である点を理解されたい。そのようなものとして、処理システム上で実行されるとき、任意の説明された方法を実施するためのコード手段を含むコンピュータプログラムの概念も提案される。
【0109】
当業者であれば、本書に記載された任意の方法を実行するためのプロセッサを容易に開発することができるであろう。従って、フローチャートの各ステップは、プロセッサにより実行される異なるアクションを表す場合があり、プロセッサの個別モジュールにより実行されることができる。
【0110】
上述したように、このシステムは、データ処理を行うためにプロセッサを利用する。プロセッサは、必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて様々な態様で実現されることができる。プロセッサは通常、1つ又は複数のマイクロプロセッサを使用し、必要な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされることができる。プロセッサは、一部の機能を実行する専用ハードウェアと、他の機能を実行する1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路との組み合わせとして実現されることもできる。
【0111】
本願の様々な実施形態で採用され得る回路の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0112】
様々な実現において、プロセッサは、RAM、PROM、EPROM及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ又は複数の記憶媒体と関連付けられることができる。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラで実行されるとき、必要とされる機能を実行する1つ又は複数のプログラムでエンコードされていてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定されていてよく、又はそこに格納される1つ若しくは複数のプログラムがプロセッサにロードされることができるように、搬送可能であってもよい。
【0113】
開示された実施形態への変形は、図、開示、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。1つのプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数の項目の機能を果たすことができる。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。特許請求の範囲又は明細書において、「~よう適合」という用語が使用される場合、「~よう適合」という用語は「~よう構成される」という用語と同等であることが意図される。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】