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特表2024-537144ターボ機械において、シールアセンブリを備えたローター構造、およびこれに関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ターボ機械において、シールアセンブリを備えたローター構造、およびこれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/08 20060101AFI20241003BHJP
   F04D 29/12 20060101ALI20241003BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F04D29/08 F
F04D29/12 A
F16J15/06 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520733
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021053739
(87)【国際公開番号】W WO2023059321
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ミニー,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ライマン,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】カズザル,マーク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ペール,デビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キルヒナー,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3H130
3J040
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB27
3H130AB47
3H130AC01
3H130BA53F
3H130BA90F
3H130DC03X
3H130DC11X
3H130DF03X
3H130EA06F
3H130EA06Z
3H130EB02F
3H130ED04F
3J040BA02
3J040CA02
3J040HA15
(57)【要約】
遠心圧縮機などのターボ機械用の圧縮機ローターが提供される。開示された実施形態は、タイボルトと、タイボルトと協働してその間にチャンバーを画定するローターシャフトとを含む。シールアセンブリは、チャンバーを第1の空間から分離するように配置され、漏れ検出器は、第1の空間と流体連通しており、チャンバーから第1の空間への流体の漏れを示す信号を生成するように動作可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械のローター構造であって、
タイボルト、
前記タイボルトと協働してその間にチャンバーを画定するローターシャフト、
前記チャンバーを第1の空間から分離するように配置されたシールアセンブリ、および、
前記第1の空間と流体連通しており、前記チャンバーから前記第1の空間への流体の漏れを示す信号を生成するように動作可能な漏れ検出器、
を含む、ローター構造。
【請求項2】
前記ローターシャフトは、貫通する導管を画定し、前記導管は前記チャンバーに流体連通し、前記流体を前記第1の空間に通す、請求項1に記載のローター構造。
【請求項3】
前記シールアセンブリは、前記ローターシャフトの円周方向に配置された第1のOリングを含み、前記第1のOリングは、前記チャンバーの第1の圧力側に配置されている、請求項1に記載のローター構造。
【請求項4】
前記シールアセンブリは、前記ローターシャフトの周方向に配置された第2のOリングをさらに含み、当該第2のOリングは、前記チャンバーの第2の圧力側に配置されている、請求項3に記載のローター構造。
【請求項5】
前記第1の圧力側は、前記第2の圧力側が受ける圧力に比べて高い圧力を受ける、請求項4に記載のローター構造。
【請求項6】
前記ターボ機械の大気圧側から前記ターボ機械の加圧プロセス側を分離するために、前記ローターシャフトの半径方向外側のセグメントに配置されたドライ流体シールシステムをさらに含み、導管が、前記ターボ機械の前記大気圧側への前記流体の流出を抑制するために前記ドライ流体シールシステムに流体連通している、請求項1に記載のローター構造。
【請求項7】
前記ドライ流体シールシステムに関連する潜在的な故障が、第1のOリングの状態に基づいて評価され、前記第1のOリングの第1の状態が、前記ドライ流体シールシステムの真の故障を示す、請求項6に記載のローター構造。
【請求項8】
第1のOリングの第2の状態は、前記ドライ流体シールシステムの偽の故障を示している、請求項7に記載のローター構造。
【請求項9】
前記第1の状態は、破裂した第1のOリングに対応し、第2の状態は無傷の第1のOリングに対応する、請求項8記載のローター構造。
【請求項10】
前記漏れ検出器が、前記導管に流体接続された前記ドライ流体シールシステムのベント出口における質量流量の変化を測定する質量流量計を含む、請求項6に記載のローター構造。
【請求項11】
前記シールアセンブリが、前記タイボルトの端部を囲む閉端を有するキャップを含み、前記キャップが、前記閉端から軸方向に離れて、前記ローターシャフトの一部を受け入れる前記キャップの開口端まで延び、前記ローターシャフトが、前記キャップの前記開口端をシールするために、前記ローターシャフトの周方向に配置されたOリングを受け入れるように構成された溝を含む、請求項1に記載のローター構造。
【請求項12】
前記キャップが概ね円筒形の構造を有する、請求項11に記載のローター構造。
【請求項13】
前記キャップの開放端に周方向に係合する前記キャップに連結されたスラストカラーをさらに含み、前記キャップの前記開放端が、前記スラストカラーによって与えられる周方向の圧縮力によって前記ローターシャフトの部分に圧縮的に固定される、請求項11に記載のローター構造。
【請求項14】
前記キャップの前記開放端に係合する前記スラストカラーの表面は、錐体形状を有する、請求項13に記載のローター構造。
【請求項15】
前記第1の空間は、前記ターボ機械の大気圧側にあり、前記漏れ検出器が、前記キャップの開放端に近接して周期的な圧力変動を検出する圧力測定装置、および前記キャップの前記開放端に近接して配置されたガスモニタプローブのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のローター構造。
【請求項16】
前記シールアセンブリが、前記ローターシャフトを貫通する導管に配置された圧力開放バルブまたはラプチャーディスクを含み、前記導管は、前記流体を前記第1の空間に通すために前記チャンバーに流体連通している、請求項1に記載のローター構造。
【請求項17】
前記圧力開放バルブまたは前記ラプチャーディスクは、前記流体の漏れを音響で知らせるように作動可能である、請求項16に記載のローター構造。
【請求項18】
漏れ検知器が、導管の出口の近傍で周期的な圧力変動を検知する圧力測定装置、および前記導管の出口の近傍に配置されたガスモニタプローブのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のローター構造。
【請求項19】
ターボ機械が遠心圧縮機である、請求項1に記載のローター構造。
【請求項20】
タイボルトが第1のタイボルトを含み、前記ターボ機械のローターセクションが前記第1のタイボルトの端部を囲むキャップを画定し、前記タイボルトがさらに、前記ターボ機械の大気圧側と連通する第2のタイボルトを含み、第1のタイボルトの周囲に形成される第1の空間が、前記ターボ機械の前記ローターセクションにより画定される前記キャップによって、前記第2のタイボルトと、前記キャップを画定する前記ターボ機械の前記ローターセクションに機械的に結合されたエンドローターシャフトセクションとの間に形成される第2の空間から、流体的に切り離される、請求項1に記載のローター構造。
【請求項21】
キャップを画定する前記ターボ機械のローターセクションは、中間ローターシャフトセクションまたはバランスピストンである、請求項1に記載のローター構造。
【請求項22】
方法であって、
タイボルトをローターシャフトと協働するように配置して、その間にチャンバーを画定し、
前記チャンバーを第1の空間から分離するシールアセンブリを配置し、
前記チャンバーから前記第1の空間への流体の漏れを通すために導管を前記チャンバーに流体接続し、前記導管は前記ローターシャフトを貫通して画定されており、
前記シールアセンブリが、前記ローターシャフトについて周方向に配置された第1のOリングを含み、前記第1のOリングが前記チャンバーの第1の圧力側に配置され、前記シールアセンブリは、前記ローターシャフトについて周方向に配置された第2のOリングをさらに含み、前記第2のOリングが前記チャンバーの第2の圧力側に配置され、
ターボ機械の加圧プロセス側と前記ターボ機械の大気圧側との間の前記ローターシャフトの半径方向外側のセグメントにドライ流体シールシステムを配置し、
前記導管を前記ドライ流体シールシステムに流体接続し、前記ターボ機械の前記大気圧側への前記流体の流出を抑制し、
前記第1のOリングの状態に基づいて前記ドライ流体シールシステムに関連する潜在的な故障を評価し、前記第1のOリングの第1の状態は、前記ドライ流体シールシステムの真の故障を示し、前記第1のOリングの第2の状態は、前記ドライ流体シールシステムの偽の故障を示し、前記第1の状態は、無傷の第1のOリングに対応し、前記第2の状態は、破裂した第1のOリングに対応する、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記第1の圧力側は、前記第2の圧力側が受ける圧力と比較して高い圧力を受ける、請求項22に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、一般に、ターボ機械の分野に関し、より詳細には、圧縮機などのターボ機械におけるローター構造に関し、さらに詳細には、シールアセンブリを備えたローター構造およびこれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、プロセス流体の圧縮、熱エネルギーの機械エネルギーへの変換、流体の液化など、多くの産業で幅広く使用されている。このようなターボ機械の一例は、遠心圧縮機などの圧縮機である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当業者には理解されるように、遠心圧縮機などのターボ機械は、タイボルト構造(当技術分野では、スルーボルト構造またはタイロッド構造とも呼ばれる)のローターを含む場合があり、タイボルトは複数のインペラ本体を支持し、隣接するインペラ本体は、ハースカップリングまたはカービックカップリングを含むような弾性的に平均化されたカップリング技術によって互いに連結される場合がある。これらのカップリングタイプは、2つの構成要素間に強固なカップリングを形成するために、異なる形態のフェースギア歯(それぞれ直線および曲線)を使用する。開示された実施形態は、ピン、タブ、または隣接するローター構成要素間でトルクを伝達することができる任意の他の機械的接続を用いて実施され得ることが理解されるであろう。すなわち、開示された実施形態は、ハースカップリングまたはカービックカップリングに限定されない。
【0004】
これらのカップリングおよび関連構造は、例えば、ゼロ回転/分(RPM)の初期ローター速度から最大ローター速度まで(例えば、数万RPMを伴うような)、大きく変化する力(例えば、遠心力)を受ける可能性がある。さらに、これらのカップリングおよび関連構造は、例えば、コンプレッサによって処理されるプロセス流体中に存在する可能性のある汚染物質および/または副生成物にさらされる可能性のあるローターの内部空洞を規定する可能性がある。有毒化学化合物がプロセス流体の一部である用途では、ローターから大気中へのプロセス流体の漏れを適切に防止しなければならない。
【0005】
少なくとも前述の考察を考慮すると、本発明者らは、遠心圧縮機のようなターボ機械において一貫した高性能および長期耐久性を達成するには、圧縮機の運転中にローターに漏出する可能性のあるプロセス流体を適切に密封し、ローターから安全に導くことが必要であると認識している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示された実施形態は、限定されないが、段付きタイボルトを備えたターボ機械において実施され、タイボルトのそれぞれの端部は、ターボ機械の大気圧側に延在していてもよい。開示された実施形態は、費用対効果が高く、信頼性の高い方法で、ローターに漏れ、タイボルトに沿って流れる可能性のあるプロセス流体が、ローター端部から大気に漏れるのを防止するように設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、開示されたローター構造の非限定的な一実施形態の断片的な断面図である。
図2図2は、ドライ流体シールシステムと組み合わせた図1に示される実施形態に関連して実現される、特定の非限定的な構造的および/または動作的関係を図示および説明するために使用される。
図3図3は、ドライ流体シールシステムと組み合わせた図1に示される実施形態に関連して実現される、特定の非限定的な構造的および/または動作的関係を図示および説明するために使用される。
図4図4は、タイボルトの端部を囲むキャップを含む、開示されたローター構造の非限定的な一実施形態の断片的な断面図である。
図5図5は、開示されたローター構造の別の非限定的な実施形態の断片的な断面図である。
図6図6は、開示されたローター構造のさらなる非限定的な実施形態を示すそれぞれの断面図である。
図7図7は、開示されたローター構造のさらなる非限定的な実施形態を示すそれぞれの断面図である。
図8図8は、開示されたローター構造の追加的な非限定的実施形態のそれぞれの断面図である。
図9図9は、開示されたローター構造の追加の非限定的な実施形態のそれぞれの断片的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、そのような実施形態の徹底的な理解を提供するために、様々な具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、開示された実施形態は、本発明の態様が開示された実施形態に限定されず、本発明の態様が様々な代替の実施形態で実施され得ることを、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。他の例では、当業者には十分に理解されるであろう方法、手順、および構成要素は、不必要で負担の大きい説明を避けるために詳細に説明されていない。
【0009】
さらに、様々な操作は、本発明の実施形態を理解するのに有用な方法で実行される複数の個別のステップとして記載され得る。しかしながら、説明の順序は、別段の指示がない限り、これらの操作が提示された順序で実行される必要があることを意味するように解釈されるべきではなく、また、順序に依存さえすることを意味するように解釈されるべきではない。さらに、「一実施形態において」という語句の繰り返し使用は、同じ実施形態を指すとは限らないが、その可能性もある。このような開示された実施形態の態様は、所与の用途の必要性に応じて当業者によって適切に組み合わされ得るので、開示された実施形態が相互に排他的な実施形態として解釈される必要はないことに留意されたい。
【0010】
図1は、タイボルト102がインペラ本体106を支持する、圧縮機などのターボ機械用の開示されたローター構造200の非限定的な一実施形態の断片的な断面図を示す。図示を簡単にするために、図1にはインペラ本体が1つだけ示されているが、インペラ本体106は、典型的には、タイボルト102によって支持される複数のインペラ本体のうちの1つであることが理解されよう。インペラ本体106は、ハースカップリング109を介してローターシャフト104に機械的に結合されている。非限定的な一実施形態では、ローターシャフト104は、タイボルト102と協働して、タイボルト102とローターシャフト104との間に位置し得るチャンバー111を画定する。 非限定的な一実施形態では、シールアセンブリ108が、チャンバー111を第1の空間110から分離するように配置される。 非限定的な一実施形態では、漏れ検出器112は、第1の空間110と流体連通していてもよく、チャンバー111から第1の空間110への流体の漏れを示す信号を生成するように動作可能である。
【0011】
非限定的な一実施形態では、ローターシャフト104は、ローターシャフト104を貫通する導管114を規定することができる。導管114は、チャンバー111に流体連通して、流体を例えば第1の空間110に通すことができる。非限定的な一実施形態では、ローターシャフト104を貫通する導管114は、チャンバー111との流体連通を提供するために、ローターシャフト104の半径方向内側の表面に第1の開口116を有する。導管114は、ローターシャフト104の半径方向外側の表面に第2の開口118を有し、流体への出口を提供する。
【0012】
図1において理解され得るように、1つ以上のキャビティ162が、ローター軸103に沿ってタイボルト102の周りに配置され得る。圧縮機の運転中、プロセス流体(例えば、圧縮機の加圧されたプロセス側で圧縮される流体)がキャビティ162に漏れ、タイボルトについて形成され得る導管、隙間、空間等によって、流体の流れがより低い圧力位置に向かって形成され得る。この流れは、図1の矢印163で模式的に表すことができる。
【0013】
シールアセンブリ108によって提供され得る1つの非限定的な機能は、例えば、圧縮機の大気圧側への流体の流れを抑制することである。シールアセンブリ108によって(例えば、導管114と連動して)提供され得る別の非限定的な機能は、流体の流れを、漏れ検出器112の方法などによって漏れを検出することができる所望の場所(例えば、第1の空間110)に導くことである。この後者の機能は、例えば、シールアセンブリ108の第1のOリング120に漏れがあり、流体がチャンバー111に通過し、導管114に通過することを可能にする場合に利用される。
【0014】
非限定的な一実施形態では、シールアセンブリ108は、ローターシャフト104に円周方向に配置された第1のOリング120からなる。第1のOリング120は、チャンバー111の第1の圧力側に配置され得る。この非限定的な実施形態では、シールアセンブリ108は、ローターシャフト104の円周方向に配置された第2のOリング122(任意に、さらなるOリング122を含んでもよい)をさらに備える。第2のOリング122は、チャンバー111の第2の圧力側に配置されてもよい。チャンバー111の第1の圧力側(例えば、第1のOリング120が露出される側)は、チャンバー111の第2の圧力側(例えば、第2のOリング122が露出される側)に比べて高圧であってもよい。一例として、チャンバー111の第1の圧力側は圧縮機の加圧プロセス側に対応し、チャンバー111の第2の圧力側は圧縮機の大気圧側に対応することがある。
【0015】
非限定的な一実施形態では、図2および図3に示されるように、ドライ流体シールシステム130が、導管114にベント出口を提供するように相互接続され得る。当業者には理解されるように、ドライ流体シールシステムは、典型的には、コンプレッサの加圧プロセス側をコンプレッサの大気側から分離するためにプロセスガス遠心コンプレッサにおいて使用される。特定の開示された実施形態は、開示されたシールアセンブリの一例の実施形態をドライ流体シールシステムと統合することで、そうでなければコンプレッサの大気圧側への有害な経路を見つける可能性のある流体の漏れに、より効果的に対処するための費用対効果の高い革新的な統合を可能にする。
【0016】
限定するものではないが、ドライ流体シールシステム130は、静止シール要素及び回転可能シール要素を含むタンデムシール構成を含むことができる。ドライ流体シールシステム130は、ローターシャフト104の半径方向外向きのセグメントに配置されることがあり、上記で示唆されたように、そうでなければチャンバー111から空間110に漏れる流体に通気出口132を提供するために使用されることがある。非限定的な一実施形態では、導管114は、ターボ機械の大気圧側への流体の通過を抑制するために、ドライ流体シールシステム130に流体連通している。
非限定的な一実施形態では、漏れ検出器112(図1)は、ドライ流体シールシステム130の通気出口における質量流量の変動を測定する質量流量計であってもよい。1つの例示的な用途において、通気出口132は、流体が燃焼によって廃棄され得るフレアシステムなどの、流体の廃棄のためにドライ流体シールシステム130に関連して使用される廃棄システムに流体的に接続され得る。
【0017】
非限定的な一実施形態では、ドライ流体シールシステム130に関連して生じ得る潜在的な誤動作は、第1のOリング120の状態に基づいて評価され得る。例えば、第1のOリング120が第1の状態(例えば、図2に示されるような、第1のOリング120の無傷の状態)にある間に潜在的な誤動作が生じる場合、潜在的な誤動作は、ドライ流体シールシステム130に関連する真の誤動作を示している。
すなわち、第1のOリング120の第1の状態は、ドライ流体シールシステムの真の故障を示している。
【0018】
比較のために、第1のOリング120が第2の状態にある間に潜在的な誤動作が発生した場合(例えば、図3に概略的に示されているように、第1のOリング120が破裂した場合)、潜在的な誤動作は、ドライ流体シールシステム130に関連する誤った誤動作を示している。したがって、シールアセンブリ108のこの実施形態によって提供され得るさらに別の非限定的な機能性は、ドライ流体シールシステムに関連して発生し得る不適合の根本原因を特定するのに有用な表示を提供することである。すなわち、第1のOリング120の第2の状態は、乾燥流体シールシステムの誤った誤作動を示している。
【0019】
図4は、開示されたローター構造200の別の非限定的な実施形態の断片的な断面図を示す。
この例では、シールアセンブリは、キャップがなければ圧縮機の大気圧側にあるタイボルト102の端部154を囲む閉端152を有するキャップ150を含む。非限定的な一実施形態では、キャップ150は、ローターシャフト104の一部を通すキャップ150の開放端156まで、閉端152から軸方向に延びる。
【0020】
非限定的な一実施形態では、ローターシャフト104は、キャップ150の開放端156をシールするために、ローターシャフト104の円周方向に配置されたOリング160を受けるように構成された溝158を含むことができる。さらなるOリング162は、タイボルト102とローターシャフト104との間の空間164、例えばクリアランスギャップによって、Oリング162によって妨げられずに放置された場合、コンプレッサの加圧されたプロセス側からタイボルト102の端部154に向かって流れる流体に対する初期シール点を提供するために、ローターシャフト104について円周方向に配置されてもよい。
この実施形態では、空間164は、少なくとも部分的に、第1の空間110からシールアセンブリ(例えば、この実施形態ではキャップ150とOリング156、162によって構成される)によって分離されたチャンバーを構成する。
【0021】
非限定的な一実施形態では、スラストカラー170をキャップ150に連結して、キャップ150の開放端156を周方向に係合させて、例えば、キャップ150の開放端156に隣接するローターシャフト104の部分が、スラストカラー170によって与えられる周方向の圧縮力によって係合されるようにすることができる。すなわち、キャップ150の開放端156は、ローターシャフト104の隣接する部分に圧縮可能に固着され得る。
非限定的な一実施形態では、キャップ150の開放端156に係合するスラストカラー170の表面172は、拡大図180で理解され得るように、錐形形状を有する。
【0022】
この実施形態では、第1の空間110は、ターボ機械の大気圧側であってよく、周期的な圧力変動を検出する圧力測定装置、および/またはガスモニタプローブなどの漏れ検出器182は、Oリング160および162がそれぞれ故障した場合に、流体の漏れの指示を生成するために、キャップの開放端に近接して配置されてよい。例えば、オリフィスがOリング160のある円周上の位置に形成されると仮定すると、ローターの各回転中に、圧力測定装置は、そのようなオリフィスを通るプロセス流体の漏れに起因する圧力上昇を感知することになる。同様に、ガスモニタプローブは、プロセス流体中に存在する特定の分子の存在を検出するように選択することができ、この検出は、キャップの開放端からの流体の漏れの兆候を提供する。
【0023】
図5で理解できるように、タイボルト102の端部154を囲むためのキャップ(例えば、図4のキャップ150)を伴わない特定の実施形態では、シールアセンブリは、ローターシャフト104について周方向に配置された第1のOリング190を含むことができ、第1のOリング190がなければ、タイボルト102とローターシャフト104との間の空間164を通ってターボ機械の加圧プロセス側からタイボルト102の端部154に向かって通過する流体に対する初期シール点を提供する。この実施形態では、タイボルト102の端部154に近接してローターシャフト104に周方向に配置された第2のOリング192が、流体がターボ機械の大気圧側に逃げないようにバックアップ機能を提供する。この実施形態では、導管114は、流体を、例えば、第1の空間110(この場合、ターボ機械の加圧プロセス側にある可能性がある)に通すように流体接続される可能性がある。この例では、周期的な圧力変動を検出する圧力測定装置および/またはガスモニタプローブなどの漏れ検出器182が、Oリング190が故障した場合に、流体の漏れの表示を生成するために、導管114の出口に近接して配置されてもよい。
【0024】
非限定的な一実施形態では、図6および図7に示されるように、シールアセンブリ196は、導管114内に配置され、チャンバー111に流体連通して、漏れ流体を第1のチャンバー111に通すことができる。図6および図7において、圧力開放弁またはラプチャーディスクなどのシールアセンブリ196が、導管114内に配置され、ターボ機械の加圧プロセス側にある可能性のある第1の空間110に漏れ流体を通すために、チャンバー111に流体連通している可能性がある。圧力開放弁またはラプチャーディスクは、通常、閉状態にあり、したがって、通常、これらの要素のいずれかがシールとして機能する。開放状態は、チャンバー111内の圧力が、圧力開放弁またはラプチャーディスクを開放状態に設定するのに十分な所定の圧力レベルを超えた場合にのみ、圧力開放弁またはラプチャーディスクに生じる。このアイデアは、ターボ機械の動作中に発生し得る過度の圧力サージからターボ機械の構成部品を保護しながら、流体の漏れに所望の経路を提供することである。
特定の実施形態では、圧力開放弁またはラプチャーディスクは、流体の漏れを示す音響信号(例えば、例えば、ホイッスル音を生成する1つ以上の周波数)を提供するように配置され得る。図7に示されるように、特定の実施形態では、周期的な圧力変動を検出する圧力測定デバイスおよび/またはガスモニタプローブなどの漏れ検出器182は、流体の漏れを検出する代替(またはさらなる)様式を提供するために、圧力開放バルブまたはラプチャーディスクの出口に近接する第1の空間110に任意で配置され得る。
【0025】
非限定的な一実施形態では、図8および図9に示すように、それぞれのローターセクションは、ターボ機械の大気圧側への漏れ流体の流れを完全に妨げるように適合させることができる。図8および図9において、それぞれのローターセクションは、ターボ機械の大気圧側への漏れ流体の流れを完全に妨げるように適合させることができる。例として、図8は、第1のタイボルト102によって支持された背中合わせの羽根車圧縮段のセンターハング構成を示す。この実施形態では、隣接するインペラ本体212にボルト締めされたハースジョイント210を介して機械的に結合され得る中間ローターシャフト部104’が、第1のタイボルト102について形成され得る第1の空間214に対して気密封止を提供する。
中間ローターシャフト部104’は、ハースジョイント216を介してエンドローターシャフト部104”に機械的に結合される。エンドローターシャフト部104”は、ターボ機械の大気圧側と連通する第2のタイボルト102’によって機械的に支持される。
エンドローターシャフト部104”と第2のタイボルト102’との間に形成され得る第2の空間218は、空間214から完全に流体的に切り離されている。同様のシール方法が、第1のタイボルト102の反対側の端部でも使用され得る。シールアセンブリ196、例えば、圧力開放弁またはラプチャーディスクは、上述したように、過度の圧力サージを回避し、漏出流体をターボ機械の加圧されたプロセス側に戻すために使用することができる。
【0026】
図9は、第1のタイボルト102によって支持されたインペラ圧縮段のストレートスルー構成を示す。この例では、隣接するインペラ本体212にボルト締めされたハースジョイント210を介して機械的に結合されたバランスピストン222が、第1のタイボルト102の周りに形成された空間214に対して気密シールを提供する。バランスピストン222は、次に、ハースジョイント216を介してエンドローターシャフト部104”に機械的に結合される。エンドローターシャフト部104”は、ターボ機械の大気圧側と連通する第2のタイボルト102’によって機械的に支持されている。エンドローターシャフト部104”と第2のタイボルト102’との間に形成される空間218は、空間214から完全に流体的に切り離されている。上述したように、第1のタイボルト102の反対側の端部でも、同様の密封方法を使用することができる。再び、シールアセンブリ196、例えば、圧力開放弁またはラプチャーディスクが、過度の圧力サージを回避し、漏出流体をターボ機械の加圧されたプロセス側に戻すために使用され得る。
【0027】
動作において、開示された実施形態は、圧縮機の動作中に発生する可能性のあるプロセス流体の漏れを適切に封止し、ローターから安全に導くことを可能にする。動作において、開示された実施形態は、例えば、圧縮機の大気圧側への漏れ流体の流れを抑制することができ、漏れ流体の流れを、漏れ検出器によって漏れを検出することができる所望の場所に導くことができる。動作中、開示された特定の実施形態は、シールアセンブリを使用して、ドライ流体シールシステムに関連して発生し得る不適合の根本原因を特定するのに有用な指示を提供することができる。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械のローター構造であって、
タイボルト、
前記タイボルトと協働してその間にチャンバーを画定するローターシャフト、
前記チャンバーを第1の空間から分離するように配置されたシールアセンブリ、および、
前記第1の空間と流体連通しており、前記チャンバーから前記第1の空間への流体の漏れを示す信号を生成するように動作可能な漏れ検出器、
を含む、ローター構造。
【請求項2】
前記ローターシャフトは、貫通する導管を画定し、前記導管は前記チャンバーに流体連通し、前記流体を前記第1の空間に通す、請求項1に記載のローター構造。
【請求項3】
前記シールアセンブリは、前記ローターシャフトの円周方向に配置された第1のOリングを含み、前記第1のOリングは、前記チャンバーの第1の圧力側に配置されている、請求項1に記載のローター構造。
【請求項4】
前記シールアセンブリは、前記ローターシャフトの周方向に配置された第2のOリングをさらに含み、当該第2のOリングは、前記チャンバーの第2の圧力側に配置されている、請求項3に記載のローター構造。
【請求項5】
前記第1の圧力側は、前記第2の圧力側が受ける圧力に比べて高い圧力を受ける、請求項4に記載のローター構造。
【請求項6】
前記ターボ機械の大気圧側から前記ターボ機械の加圧プロセス側を分離するために、前記ローターシャフトの半径方向外側のセグメントに配置されたドライ流体シールシステムをさらに含み、導管が、前記ターボ機械の前記大気圧側への前記流体の流出を抑制するために前記ドライ流体シールシステムに流体連通している、請求項1に記載のローター構造。
【請求項7】
前記ドライ流体シールシステムに関連する潜在的な故障が、第1のOリングの状態に基づいて評価され、前記第1のOリングの第1の状態が、前記ドライ流体シールシステムの真の故障を示す、請求項6に記載のローター構造。
【請求項8】
前記第1のOリングの第2の状態は、前記ドライ流体シールシステムの偽の故障を示している、請求項7に記載のローター構造。
【請求項9】
前記第1の状態は、破裂した前記第1のOリングに対応し、前記第2の状態は無傷の前記第1のOリングに対応する、請求項8記載のローター構造。
【請求項10】
前記漏れ検出器が、前記導管に流体接続された前記ドライ流体シールシステムのベント出口における質量流量の変化を測定する質量流量計を含む、請求項6に記載のローター構造。
【請求項11】
前記シールアセンブリが、前記タイボルトの端部を囲む閉端を有するキャップを含み、前記キャップが、前記閉端から軸方向に離れて、前記ローターシャフトの一部を受け入れる前記キャップの開口端まで延び、前記ローターシャフトが、前記キャップの前記開口端をシールするために、前記ローターシャフトの周方向に配置されたOリングを受け入れるように構成された溝を含む、請求項1に記載のローター構造。
【請求項12】
前記キャップが概ね円筒形の構造を有する、請求項11に記載のローター構造。
【請求項13】
前記キャップの開放端に周方向に係合する前記キャップに連結されたスラストカラーをさらに含み、前記キャップの前記開放端が、前記スラストカラーによって与えられる周方向の圧縮力によって前記ローターシャフトの部分に圧縮的に固定される、請求項11に記載のローター構造。
【請求項14】
前記キャップの前記開放端に係合する前記スラストカラーの表面は、錐体形状を有する、請求項13に記載のローター構造。
【請求項15】
前記第1の空間は、前記ターボ機械の大気圧側にあり、前記漏れ検出器が、前記キャップの開放端に近接して周期的な圧力変動を検出する圧力測定装置、および前記キャップの前記開放端に近接して配置されたガスモニタプローブのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のローター構造。
【請求項16】
前記シールアセンブリが、前記ローターシャフトを貫通する導管に配置された圧力開放バルブまたはラプチャーディスクを含み、前記導管は、前記流体を前記第1の空間に通すために前記チャンバーに流体連通している、請求項1に記載のローター構造。
【請求項17】
前記圧力開放バルブまたは前記ラプチャーディスクは、前記流体の漏れを音響で知らせるように作動可能である、請求項16に記載のローター構造。
【請求項18】
漏れ検知器が、導管の出口の近傍で周期的な圧力変動を検知する圧力測定装置、および前記導管の出口の近傍に配置されたガスモニタプローブのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のローター構造。
【請求項19】
前記ターボ機械が遠心圧縮機である、請求項1に記載のローター構造。
【請求項20】
前記タイボルトが第1のタイボルトを含み、前記ターボ機械のローターセクションが前記第1のタイボルトの端部を囲むキャップを画定し、前記タイボルトがさらに、前記ターボ機械の大気圧側と連通する第2のタイボルトを含み、前記第1のタイボルトの周囲に形成される前記第1の空間が、前記ターボ機械の前記ローターセクションにより画定される前記キャップによって、前記第2のタイボルトと、前記キャップを画定する前記ターボ機械の前記ローターセクションに機械的に結合されたエンドローターシャフトセクションとの間に形成される第2の空間から、流体的に切り離される、請求項1に記載のローター構造。
【請求項21】
キャップを画定する前記ターボ機械のローターセクションは、中間ローターシャフトセクションまたはバランスピストンである、請求項1に記載のローター構造。
【請求項22】
方法であって、
タイボルトをローターシャフトと協働するように配置して、その間にチャンバーを画定し、
前記チャンバーを第1の空間から分離するシールアセンブリを配置し、
前記チャンバーから前記第1の空間への流体の漏れを通すために導管を前記チャンバーに流体接続し、前記導管は前記ローターシャフトを貫通して画定されており、
前記シールアセンブリが、前記ローターシャフトについて周方向に配置された第1のOリングを含み、前記第1のOリングが前記チャンバーの第1の圧力側に配置され、前記シールアセンブリは、前記ローターシャフトについて周方向に配置された第2のOリングをさらに含み、前記第2のOリングが前記チャンバーの第2の圧力側に配置され、
ターボ機械の加圧プロセス側と前記ターボ機械の大気圧側との間の前記ローターシャフトの半径方向外側のセグメントにドライ流体シールシステムを配置し、
前記導管を前記ドライ流体シールシステムに流体接続し、前記ターボ機械の前記大気圧側への前記流体の流出を抑制し、
前記第1のOリングの状態に基づいて前記ドライ流体シールシステムに関連する潜在的な故障を評価し、前記第1のOリングの第1の状態は、前記ドライ流体シールシステムの真の故障を示し、前記第1のOリングの第2の状態は、前記ドライ流体シールシステムの偽の故障を示し、前記第1の状態は、無傷の前記第1のOリングに対応し、前記第2の状態は、破裂した前記第1のOリングに対応する、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記第1の圧力側は、前記第2の圧力側が受ける圧力と比較して高い圧力を受ける、請求項22に記載の方法。
【国際調査報告】