(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ブルー水素の生成方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C01B 3/50 20060101AFI20241003BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20241003BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20241003BHJP
C01B 3/52 20060101ALI20241003BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20241003BHJP
【FI】
C01B3/50
B01D53/14 200
C01B3/56 Z
C01B3/52
C01B32/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520801
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022044732
(87)【国際公開番号】W WO2023059470
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515061156
【氏名又は名称】ブルー プラネット システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】セルフ,カイル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンツ,ブレント アール.
【テーマコード(参考)】
4D020
4G140
4G146
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA02
4D020BA03
4D020BA04
4D020BA05
4D020BA23
4D020BA30
4D020BB03
4D020BC02
4D020BC04
4D020CB01
4D020CB08
4D020CB25
4D020CB31
4D020CB40
4D020CC01
4D020DA03
4D020DB06
4D020DB20
4G140FA02
4G140FB04
4G140FC03
4G140FC04
4G140FC06
4G140FE01
4G140FE03
4G146JA02
4G146JB10
4G146JC28
4G146JD10
(57)【要約】
CO2を水素合成生成物流から分離してCO2枯渇水素流を生成する方法が提供される。この方法の態様は、CO2隔離固体を生成し、水素合成生成物流からCO2を分離してCO2枯渇水素流を生成するために十分な様式で、水素合成生成物流を捕捉液体及びカチオン源と組み合わせることを含む。本方法を実施するためのシステムも、また、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO
2を水素合成生成物流から分離してCO
2枯渇水素流を生成する方法であって、
CO
2隔離固体を生成し、前記水素合成生成物流からCO
2を分離して、前記CO
2枯渇水素流を生成するために十分な様式で、前記水素合成生成物流を捕捉液体及びカチオン源と組み合わせること
を含む、方法。
【請求項2】
前記水素合成生成物流が、主にCO
2及びH
2を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素合成生成物流中のCO
2のモル分率が、5~80モル%のCO
2の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
炭酸塩、重炭酸塩、溶解CO
2、又はそれらの混合物を含む水溶液を生成するために十分な条件下で、前記水素合成生成物流を前記捕捉液体と組み合わせることと、
前記カチオン源と前記水溶液とを、前記CO
2隔離固体を生成するために十分な条件下で組み合わせることと
を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記捕捉液体が水性捕捉アンモニアを含み、前記CO
2隔離固体組成物を生成することが、また、水性アンモニウム塩の生成ももたらす、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記CO
2枯渇水素流から水素含有生成物を生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CO
2枯渇水素流を更なるCO
2除去プロセスに供することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記更なるCO
2除去プロセスが、アミン吸収を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記更なるCO
2除去プロセスが、圧力スイング吸収(PSA)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記水素含有生成物が、ブルー水素燃料である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記CO
2隔離固体から建築材料を製造することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記建築材料が、凝集体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水素含有生成物が、化学反応物である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記水素含有生成物が、化学還元剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
システムであって、
(a)水素合成生成物流を生成するように構成された水素生成反応器と、
(b)CO
2隔離固体組成物調製モジュールであって、
(i)前記水素生成反応器から前記水素合成生成物流を受け取るためのインターフェース、及び
(ii)CO
2隔離固体を生成し、前記水素合成生成物流からCO
2を分離してCO
2枯渇水素流を生成するために十分な様式で、前記水素合成生成物流を捕捉液体及びカチオン源と組み合わせるCO
2吸収モジュールを含む、CO
2隔離固体組成物調製モジュールと
を備える、システム。
【請求項16】
前記水素生成反応器が、水ガスシフト(WGS)反応器と、水蒸気メタン改質(SMR)反応器、自己熱改質(ATR)反応器、並びに部分酸化(PO
x)反応器及び水ガスシフト(WGS)反応器のうちの1つとを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記CO
2隔離固体組成物調製モジュールが、CaCO
3生成物を生成するためのCO
2隔離固体生成モジュールを更に含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記CO
2枯渇水素流を更なるCO
2除去プロセスに供するための水素精製器を更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記水素精製器が、アミン吸収を実行する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記水素精製器が、圧力スイング吸収(PSA)を実行する、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記水素含有生成物が、ブルー水素燃料である、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記水素含有生成物が、化学反応物である、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記水素含有生成物が、化学還元剤である、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
輸送燃料又は動力源としての水素の使用は、水素の燃焼が関連する二酸化炭素を発生させないため、最近大きな注目を集めている。
【0002】
したがって、水素は、水素生成手段が大気中への二酸化炭素の著しい排出をもたらさない限り、温室効果ガスを削減するための理想的な低炭素燃料である。
【0003】
その生成方法に応じて、水素は「グレー」、「ブルー」又は「グリーン」水素として特徴付けられ得る。化石燃料から生成された水素の場合、そのような水素は、排出物(例えば、CO2)が大気中に放出されるときにグレー水素と呼ばれ、排出物が二酸化炭素回収・貯留(CCS)を通じて捕捉されるときにブルー水素と呼ばれる。グリーン水素は、風力及び太陽光などの再生可能エネルギー源などの低炭素電源から発生する電力で水を電気分解して得られる水素発生燃料である。
【発明の概要】
【0004】
メタン及び他の炭化水素を水と反応させることによって水素を合成するプロセスは、メタン改質と呼ばれる。副産物が一酸化炭素であると仮定すると、このプロセスの全体的な反応は次のとおりである。
CnH2m+nH2O→nCO+(n+m)H2
【0005】
炭化水素流が主にメタン(CH4)である場合、プロセスは水蒸気-メタン改質(SMR)として知られており、次のとおりである。
CH4+H2O→CO+3H2
【0006】
炭化水素からの水素生成への第2の経路は、部分酸化法(POx)と呼ばれるプロセスでの酸素との反応を伴う。部分酸化法は一酸化炭素を形成し、全体的な反応は次のとおりである。
CnH2m+1/2nO2→nCO+mH2
【0007】
炭化水素流が主にメタンである場合、特定の反応は次のとおりである。
CH4+1/2O2→CO+2H2
【0008】
上記例に示されるように、改質及び部分酸化反応は、典型的には一酸化炭素(CO)を共生成する。一酸化炭素を消費し、追加の水素を生成するために、反応器の出力は、典型的には、水性ガスシフト(WGS)反応として知られているもので、COを水と更に反応させる第2の反応器に送られる。この反応は次のとおりである。
CO+H2O→CO2+H2
【0009】
したがって、SMR及びWGSから水素を生成するための複合反応は、次のとおりであり、
CH4+2H2O→CO2+4H2
POx及びWGSから水素を生成するための複合反応は、次のとおりである。
CH4+1/2O2+H2O→CO2+3H2
【0010】
上述したように、最小限の温室効果ガス(GHG)排出量で水素を生成するためのメカニズムとしての水蒸気改質及び部分酸化の大規模な展開は、共生成された二酸化炭素の放出を低減するプロセスの開発に依存する。上述のように、炭化水素からの水素生成がCO2を隔離する手段と結合されている場合、この技術は「ブルー水素」と呼ばれている。
【0011】
メタン改質の別の一般的なプロセスは、酸素とCO2又は水蒸気を使用してメタンと反応して合成ガスを形成する自己熱改質(ATR)と呼ばれる。ATR反応は、CO2を使用して、以下の式で説明される、
2CH4+O2+CO2→3H2+3CO+H2O
【0012】
そして、水蒸気を使用して、以下の式で説明される。
4CH4+O2+2H2O→10H2+4CO
【0013】
ATR反応の化学量論とSMR及びPOxの化学量論との比較は、ATRがSMRとPOxとの間の中間ケースであり得ることを明らかにする。SMRとATRとの間の主な違いは、SMRは空気を介した酸素のみを熱源として使用して水蒸気を生成し、ATRは酸素を直接燃焼させることである。POxとATRとの間の主な違いは、水ではなく酸素の一部がPOxの一次反応物であることである。ATRの利点は、H2:COを変化させることができることである。
【0014】
歴史的に、これらの反応によって生成された水素は、2つの方法のうちの1つによって精製されている。古い方法は、アミンを使用したCO2の吸収を伴う。アミンは、窒素含有有機化合物であり、CO2を反応させてカルバメートとして知られる錯体を形成することによって、他の反応生成物からCO2を優先的に除去する。熱処理下では、これらのカルバメートを分解してCO2を放出し、アミンを元の形態に戻すことができる。CO2の吸収と脱着との間にアミン溶液をループさせることによって、水素が精製され、CO2の濃縮された流れが生成される。この技術には、熱処理中のアミンの分解を含むいくつかの欠点があるが、最も重要な問題の1つは、熱処理に使用される熱の需要が高いことである。この熱要件は、通常、水蒸気の形態で提供され、カルバメートを分解し、続いて二酸化炭素を水蒸気流として残るように揮発させるためにエネルギーを供給するために必要である。水蒸気の使用は多額の運用コストである。
【0015】
最近では、水素精製工程は、圧力スイング吸収法(PSA)として知られるプロセスによって達成される。このプロセスでは、反応物を放出する流れを冷却し、次いで、高圧で吸収剤を含む充填床の上を通過する。適切な条件下で、床はCO2を優先的に吸収し、二酸化炭素が吸収剤に保持されている間、精製された水素の流れを床から出す。特定の充填量(床に供給される二酸化炭素の総量)で、床が飽和され、二酸化炭素は水素とともに逃げ始める。動作方法は変化し得るが、一般的な原理は、水素が次いで、再生された吸収剤を含有する第2の床に転用されることである。水素が転用されると、圧力を下げることによって残りの二酸化炭素が最初の床から取り出され、二酸化炭素が低圧の流れで床から離れるようになり、これは同時に床を再生する。吸収された成分、この場合は二酸化炭素が、必要な吸収システムのサイズを決定することは、当業者には容易に明らかである。二酸化炭素の濃度が高いほど、より多くの吸収剤が必要とされ、したがって、床間の所与の切り替え時間の間、システムがより大きくなる。更に、CO2が脱着圧力を超える圧力で後続のシステムに送達されている場合、CO2の入口濃度が高いほど、必要な圧縮コストが高くなる。最後に、CO2が床から溶出し始める前にベッドを切り替えるため、再生流にもいくらかの水素が存在する。この水素は回収損失を表す。すなわち、反応器セクションで生成された水素の一部は、この廃棄物流に失われる。これは、プロセスの運用コストを表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態による、CO
2を水素合成生成物流から分離して、CO
2枯渇水素流を生成する方法を示す。
【
図2】一実施形態による、CO
2を水素合成生成物流から分離して、CO
2枯渇水素流を生成するシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の発明者らは、上記の両方の水素精製システムにおいて、水素流入ユニット内の二酸化炭素の濃度を低減することが非常に望ましいことを認識している。アミン処理の場合、低減された二酸化炭素レベルは、脱着工程に必要な熱需要(典型的には水蒸気)を低下させる。PSA処理では、二酸化炭素レベルが低下すると、機器のサイズが小さくなり、運用コスト(圧縮コストなど)も削減される。更に、本発明者らは、上記の分離技術のいずれも、水素流から除去されたCO2が大気中に入らず、GHG排出につながらないことを保証するメカニズムを提供しないことを認識している。得られた流れはCO2に濃縮され得るが、隔離された二酸化炭素をもたらすために追加の処理が必要となる。上記の分離プロセスの両方で、追加の処理は、二酸化炭素を地下に隔離するか、又は石油回収を強化するために使用することができる前に、得られるCO2の加圧を含む。
【0018】
以上に基づいて、本発明者らは、二酸化炭素を地質学的時間スケールで隔離するための唯一の選択ではないにしても、鉱物化が理想的な選択であることを認識している。二酸化炭素を鉱物化する技術は、コスト及び永続性を含む他の隔離形態に比べて大きな利点がある。更に、得られる鉱物化された二酸化炭素は、コンクリート、屋根瓦、及び道路基礎を含むがこれらに限定されない建築材料で使用するための製品として販売され得る。
【0019】
CO2を水素合成生成物流から分離してCO2枯渇水素流を生成するための方法が提供される。この方法の態様は、水素合成生成物流と捕捉液体及びカチオン源とを、CO2隔離固体を生成し、水素合成生成物流からCO2を分離してCO2枯渇水素流を生成するために十分な方法で組み合わせることを含む。本方法を実施するように構成されたシステムも、また、提供される。
【0020】
図1は、方法100の一実施形態を示し、
図2は、一実施形態による、CO
2を水素合成生成物流から分離して、CO
2枯渇水素流を生成するための対応するシステム200を示す。この方法の態様は、水素合成生成物流と捕捉液体及びカチオン源とを、CO
2隔離固体を生成し、水素合成生成物流からCO
2を分離してCO
2枯渇水素流を生成するために十分な方法で組み合わせることを含む。
【0021】
本発明がより詳細に記載される前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん、変動し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する対象となるためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0022】
値の範囲が提供される場合、文脈が別段明示しない限り、各介在値は、その範囲の上限及び下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載値又は介在値との間に、下限の単位の10分の1まで包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれ得、また、記述の範囲内の任意の特定の除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記述の範囲が、制限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる制限の一方又は両方を除外する範囲も、また、本発明に含まれる。
【0023】
ある範囲は、「約」という用語が数値に先行して本明細書で提示される。「約」という用語は、この用語が先行する正確な数、及びこの用語が先行する数に近い数又はほぼその数である数についての逐語的支持を提供するために本明細書で使用される。ある数が、具体的に列挙された数に近いか又はほぼその数であるかを決定する際に、列挙されていない数に近いか又はほぼその数は、提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な同等性を提供する数であり得る。
【0024】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。また、本明細書に記載のものと同様の又は同等な任意の方法及び材料が、本発明の実施又は試験に使用され得るが、代表的な例示的な方法及び材料が以下に記載される。
【0025】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれると具体的かつ個々に示されるかのように参照により本明細書に組み込まれ、方法及び/又は材料を刊行物が引用されるものに関して開示及び記載するために参照により本明細書に組み込まれる。いずれもの刊行物の引用は、出願日前のその開示についてのものであり、本発明が、従来発明のためそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきでない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なり得、これらは独立して確認する必要があり得る。
【0026】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」との単数形は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように設計され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単独で」、「のみ」などのそのような排他的な用語の使用、又は「否定的」限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0027】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の一部の実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0028】
装置及び方法は、文法的流動性のために、機能的な説明で記載されているか又は記載されるが、特許請求の範囲は、米国特許法第112条下で明確に記載されない限り、「手段」又は「ステップ」限定の構文によって必然的に限定されるとなんら解釈されるべきでなく、司法均等論下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び均等物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲は、米国特許法第112条下で明確に記載される場合、米国特許法第112条下で完全な法定による均等物が付与されるべきであることを明確に理解されたい。
【0029】
方法
上記に要約されるように、本明細書に提供されるものは、ブルー水素の生成方法及びシステムである。「ブルー水素」という用語は、その従来の意味で、化石燃料(例えば、油、石炭、天然ガス、タールサンド、バイオマス、シュレッドなど)又は主にオレフィンプラントからのメタン流、流体触媒クラッカーユニット、及び加水分解ユニットからのような他の炭素含有流などのそのようなCO2の供給源から生成される水素を指すように使用され、得られた二酸化炭素副産物は隔離される。
【0030】
図1は、水素合成生成物流からCO
2を分離して、ブルー水素生成物とみなされ得るCO
2枯渇水素流を生成するための方法100の一実施形態を示す。
【0031】
方法100は、ブロック110で水素合成生成物流を生成することから始まる。水素合成生成物流は、例えば、それが生成される特定の供給源、それが生成される特定のプロセスなどに応じて変化し得る。本発明の実施形態に従って処理され得るが、これらに限定されない水素合成生成物流は、水蒸気改質プロセス、自己熱改質プロセス、又は部分酸化プロセス、気化プロセスなどを使用して生成されるものである。場合によっては、水素合成生成物は、主にCO2及びH2で構成される。そのような実施形態では、水素合成生成物流中のCO2のモル分率は、5~80モル%のCO2、例えば、10~25モル%のCO2の範囲であり、一方、水素合成生成物流中のH2のモル分率は、20~95モル%のH2、例えば、70~85モル%のH2の範囲である。いくつかの実施形態では、水素合成生成物流は、水蒸気メタン改質(SMR)/水ガスシフト(WGS)の生成物流である。
【0032】
ブロック120で、水素合成生成物流は、水素合成生成物流からCO2を除去するCO2隔離プロセスで使用される。本方法の実施形態の態様は、CO2隔離固体140を生成するために十分な方法で水素合成生成物流を組み合わせることと、CO2を水素合成生成物流から分離して、CO2枯渇水素流、例えば、ブルー水素生成物を生成することとを含む。
【0033】
CO2隔離プロセスとは、一定量の気体CO2を固体炭酸塩に変換し、それによってCO2を固体鉱物として隔離するプロセスを意味する。様々な異なるCO2隔離プロセスを用いて、CO2隔離固体を生成しても良い。水素合成生成物流が使用され得るCO2隔離プロセスとしては、水素合成生成物流からCO2を除去し、そこからCO2隔離固体140を生成するプロセスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の実施形態に従って処理され得るCO2隔離固体140は、様々であり得る。「CO2隔離」とは、材料がCO2から製造されたこと、例えば、水素製造生成物流中に存在することを意味する。そのようなCO2の供給源の例としては、石油、石炭、天然ガス、タールサンド、バイオマス、シュレッドなどの化石燃料から直接的に、又は主にオレフィンプラントからのメタン流、流体接触分解装置、及び水素化分解装置から間接的に生成される水素流が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書に記載されるようにブロック120で生成されたCO2隔離固体140は、成分を化石燃料由来又は現代の植物由来であるかを識別する同位体的なプロファイルを有し得、両方とも光合成中にCO2を分画し、したがってCO2隔離である。例えば、いくつかの実施形態では、CO2材料中の炭素原子は、材料を製造するために使用された植物由来のCO2(化石又は現代の両方)が由来した化石燃料(例えば、石炭、石油、天然ガス、タール砂、木、草、農業植物)の相対的な炭素同位体組成(δ13C)を反映する。炭素同位体プロファイリングに加えて、又はそれに代えて、酸素(δ18O)、窒素(δ15N)、硫黄(δ34S)、及び他の微量元素の同位体プロファイルなどの他の同位体プロファイルも、CO2隔離材料が由来する工業用CO2源を生成するために使用された化石燃料源を特定するために使用され得る。例えば、目的の別のマーカーは、(δ18O)である。本発明のCO2隔離材料の識別子として用いられ得る同位体プロファイルは、米国特許第9,714,406号に更に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
固体組成物140を隔離するCO2は、CO2が材料内に隔離(すなわち、固定)されるような様式でCO2の長期保存を提供し、隔離されたCO2は、大気の一部にならない。固体組成物140がその意図された用途と一致する条件下で維持される場合、固体組成物は、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、又は50年以上などの長期間固定され隔離されたCO2を保持し、固体組成物からのCO2の放出は、たとえあったとしても、わずかである。例えば、固体組成物がその意図された用途と一貫した方法で維持される場合、固体組成物から放出されるCO2ガスの量は、通常のpHの降雨を含む通常の温度及び湿気条件に少なくとも1、2、5、10、若しくは20年、又は20年を超えて、例えば100年を超えて曝露した場合、1年当たりの固体組成物中のCO2の総量の10%以下、例えば、5%以下又は1%以下である。そのような安定性を予測することが合理的に可能である任意の適切なサロゲートマーカー又は試験を使用しても良い。例えば、高温及び/又は中程度からより極端なpH条件の条件を含む加速試験は、長期間にわたる安定性を示すことが合理的に可能である。例えば、組成物の意図される用途及び環境に応じて、最初のCO2隔離固体組成物の試料は、10%~50%の相対湿度で1、2、5、25、50、100、200、又は500日間、50、75、90、100、120、又は150℃に曝露されても良く、その炭素の1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、又は50%未満の損失は、所与の期間(例えば、1、10、100、1000、又は1000年を超える)の固体組成物の安定性の十分な証拠とみなされても良い。
【0037】
「CO2隔離固体」における「固体」という用語は、1つ以上の化合物が物質の固体状態で存在することを意味する。換言すると、CO2隔離固体の少なくとも一部は、全てではないが、物質の固体状態にある。いくつかの場合では、固体は固体及び液体を含むが、いくつかの場合では、固体組成物は固体を含むが液体を含まない、すなわち、固体は乾燥固体である。いくつかの場合では、固体組成物の固体は、化学反応によって形成される固体である「沈殿物」を含む。例えば、沈殿物は、CO2隔離沈殿物であっても良く、例えば、炭酸塩化合物を含むことができる。例えば、気体CO2をカチオン源を含む水溶液と接触させる場合、1つの可能な生成物は、カチオン源と気体CO2との間の化学反応によって形成される炭酸塩化合物を含む固体粒子である。粒子は、CO2とカチオン源との間の化学反応によって形成されるため、本明細書では、それらを沈殿物と呼ぶ。この沈殿物が固体のサイズ、形状、又は両方を変更する物理的操作にさらされる場合、得られた固体は「凝集体」と呼ばれる。いくつかの場合では、凝集体は、沈殿物固体のサイズを増加させる操作から生じる固体、例えば、沈殿物と比較して、より大きな長さ、幅、高さ、直径、又はそれらの組み合わせを有する凝集体である。いくつかの場合では、沈殿物を凝集体に形成することは、濾過による沈殿物からの水の分離などの成分の除去を含む。いくつかの場合では、沈殿物を凝集体に形成することは、結合化合物を添加するなどの成分の添加を含む。例えば、沈殿物をセメントと組み合わせて、コンクリート骨材を形成することができる。「凝集体」という用語は、その従来の意味で、粒状材料、すなわち、粒子又は粒子からなる材料を指すために使用される。凝集体が炭酸塩凝集体であるため、粒状材料の粒子は、1つ以上の炭酸塩化合物を含み、炭酸塩化合物成分は、必要に応じて、他の物質(例えば、基質)と組み合わせても良く、又は粒子全体を構成しても良い。
【0038】
いくつかの実施形態では、任意選択で、ブロック125で、水素合成生成物流は、例えば、上述のように、CO2隔離固体140を生成し、水素合成生成物流からCO2を分離して、CO2枯渇水素流130、例えば、ブルー水素生成物を生成するために十分な方法で、捕捉液体及びカチオン源と組み合わせられる。そのような方法の実施形態は、所望に応じて、多段階プロトコル又は単一段階プロトコルを含む。例えば、いくつかの実施形態では、CO2捕捉液体及び水素合成生成流の組み合わせは、水性炭酸塩の生成をもたらし、その後、水性炭酸塩は、炭酸塩スラリー140を生成するために、二価カチオン源、例えば、Ca2+及び/又はMg2+源と接触する。更に他の実施形態において、ワンステップCO2ガス吸収炭酸塩沈殿物プロトコルが用いられる。いくつかの場合では、アンモニア媒介CO2隔離プロセスを使用して、CO2隔離固体を生成する。
【0039】
上記に要約されるように、本発明の実施形態のいくつかのCO2隔離プロセスにおいて、ブロック125において、水性捕捉液体は、炭酸水素塩を生成するために十分な条件下で、水素合成生成物流と接触させる。水性捕捉液体は、様々であっても良い。水性捕捉液体の例としては、新鮮な水から重炭酸塩緩衝水性媒体が挙げられるが、これに限定されない。本発明の実施形態で使用される重炭酸塩緩衝水性媒体は、重炭酸塩緩衝液が存在する液体媒体を含む。重炭酸塩緩衝水性媒体は、必要に応じて、天然又は人工媒体であっても良い。天然に存在する炭酸水素塩緩衝水性媒体には、海、大洋、湖、沼、河口、内湖、塩水湖、アルカリ湖、内海などから得られる水が挙げられるが、これらに限定されない。炭酸水素塩緩衝水性媒体の人工源も変化し得、水の淡水化プラントによって生成された塩水などを含み得る。捕捉液体に関する更なる詳細は、米国特許第9,714,406号、同第10,203,434号及び同第9,993,799号において提供され、それらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、水性捕捉アンモニアは、炭酸アンモニウム水溶液を生成するために十分な条件下で、水素合成生成物流と接触させる。水性捕捉アンモニア中のアンモニアの濃度は様々であっても良く、いくつかの例では、水性捕捉アンモニアは、10~10,000ppm、又は10~1,000ppm、又は10~5,000ppm、又は10~8,000ppm、又は10~10,000ppm、又は100~100,000ppm、又は100~10,000ppm、又は100~50,000ppm、又は100~80,000ppm、又は100~100,000ppm、又は1,000~350,000ppm、又は1,000~50,000ppm、又は1,000~80,000ppm、又は1,000~100,000ppm、又は1,000~200,000ppm、又は1,000~350,000ppmなどの、又は6,000~85,000ppmなどの、かつ8,000~50,000ppmを含む、10ppm~350,000ppmのNH3の範囲の濃度で、アンモニア(NH3)を含む。水性捕捉アンモニアは、任意の都合の良い水を含んでも良い。水性捕捉アンモニアが生成され得る対象となる水としては、限定されないが、淡水、海水、塩水、再生若しくは再利用水、生成水、及び廃水が挙げられる。水性捕捉アンモニアのpHは、いくつかの場合において、9.0~13.5、例えば10.5~12.5を含む9.0~13.0の範囲で変化し得る。対象となる水性捕捉アンモニアに関する更なる詳細は、米国特許第10,322,371号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
例えば、上記のように、水素含有生成物流は、任意の都合が良いプロトコルを使用して、ブロック125で、水性捕捉液体、例えば、水性捕捉アンモニアと接触させても良い。例えば、対象となる接触プロトコルとしては、限定されないが、直接接触プロトコル、例えば、ある体積の水性媒体を通してガスを気泡状にすること、同時接触プロトコル、すなわち、一方向的に流れる気相流と液相流との間の接触、向流プロトコル、すなわち、反対方向に流れる気相流と液相流との間の接触、直交流接触プロトコル、すなわち、直交して流れる気相流と液相流との間の接触などが挙げられる。接触は、好都合であり得るように、注入器、バブラー、流体ベンチュリ反応器、多孔分散管、ガスフィルター、スプレー、トレイ、スクラバー、吸収器、又は充填されたカラム反応器若しくは気泡カラム反応器などの使用を通じて達成され得る。いくつかの場合において、接触プロトコルは、米国特許第7,854,791号、同第6,872,240号、及び同第6,616,733号、並びに米国特許出願公開第US/2012/0237420-A1号に記載されるものなどの従来の吸収器又は吸収器気泡カラムを使用しても良く、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。プロセスは、バッチ又は連続プロセスであり得る。いくつかの場合では、再生泡接触器(RFC)を用いて、CO2含有ガスを水性捕捉液体、例えば、水性捕捉アンモニアと接触させても良い。いくつかのそのような例では、RFCは、触媒(他の箇所で説明されているような)、例えば、RFCの内部上/内部へ固定された触媒を使用しても良い。好適なRFCに関する更なる詳細は、米国特許第9,545,598号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
いくつかの場合において、水素合成生成物流は、微多孔膜接触器を使用して、ブロック125で、液体と接触する。対象となる微多孔膜接触器は、好適なハウジングに存在する微多孔膜を含み、ハウジングは、ガス入口及び液体入口、並びにガス出口及び液体出口を含む。接触器は、分子が微多孔膜の孔を介してガスから液体中に溶解することができるように、ガス及び液体が膜の反対側に接触するように構成される。膜は、任意の好都合な形式で構成することができ、いくつかの場合において、膜は中空繊維形式で構成される。使用され得る中空繊維膜反応器形式としては、限定されないが、米国特許第7,264,725号、同第6,872,240号及び同第5,695,545号に記載されているものが挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの場合において、使用される微多孔質中空繊維膜接触器は、中空繊維膜接触器であり、この膜接触器は、ポリプロピレン膜接触器及びポリオレフィン膜接触器を含む。
【0043】
ブロック125での捕捉液体と水素合成生成物流との間の接触は、水素合成生成物流中に存在するCO2のかなりの部分が溶液中に入る、例えば、重炭酸イオンを生成するような条件下で生じる。かなりの部分とは、10%以上、例えば、95%以上を含む50%以上を意味する。
【0044】
水素合成生成物流と接触する捕捉液体の温度は変化し得る。いくつかの場合において、温度は、20~80℃などの-2又はー1.4~100℃の範囲であり、40~70℃を含む。いくつかの場合において、温度は、-1.4~50℃以上、例えば、-1.1~45℃以上の範囲であり得る。いくつかの場合において、より低い温度が使用され、かかる温度は、-1.1~0℃などの-1.4~4℃の範囲であり得る。いくつかの場合において、より温かい温度が使用される。例えば、いくつかの場合において、捕捉液体の温度は、25℃以上、例えば30℃以上であっても良く、いくつかの実施形態において、25~50℃、例えば30~40℃の範囲であっても良い。
【0045】
いくつかの実施形態では、ブロック125で、水素合成生成物流及び捕捉液体は、所望のCO2充填液体の生成に適した圧力で接触される。いくつかの場合において、接触条件の圧力は、最適なCO2吸収を提供するように選択され、かかる圧力は、1~50気圧、例えば、20~30気圧、又は5気圧~15気圧など、1気圧~100気圧の範囲であり得る。接触が自然に1気圧である場所で生じる場合、圧力は、任意の都合が良いプロトコルを使用して所望の圧力に増加され得る。いくつかの場合において、接触は、最適な圧力が存在する場合、例えば、通常、アミンスクラバ又は圧力変動吸収器に供給する場所で生じる。
【0046】
それらの実施形態では、ブロック125で、接触は、水性アンモニウム炭酸塩を生成するために十分な方法で行われる。水性アンモニウム炭酸塩は変化しても良く、いくつかの場合において、水性アンモニウム炭酸塩は、炭酸アンモニウム及び重炭酸アンモニウムのうちの少なくとも1つを含み、いくつかの場合において、炭酸アンモニウム及び重炭酸アンモニウムの両方を含む。水性重炭酸アンモニウムは、DIC含有液体として見ることができる。したがって、水性捕捉アンモニアにCO2を封入する際、水素合成生成物流は、CO2捕捉液体中で溶存無機炭素(DIC)を生成するために、すなわち、DIC含有液体を生成するために十分な条件下で、CO2捕捉液体と接触させても良い。DICは、以下の式で表される、溶液中の無機炭素種の濃度の合計である。DIC=[CO2*]+[HCO3
-]+[CO3
2-]、[CO2*]は二酸化炭素([CO2])と炭酸([H2CO3])の濃度の合計であり、[HCO3
-]は重炭酸塩濃度(重炭酸アンモニウムを含む)であり、[CO3
2-]は溶液中の炭酸塩濃度(炭酸アンモニウムを含む)である。水性媒体のDICは変化し得、いくつかの場合において、3~1,000ppm、又は3~100ppm、又は3~500ppm、又は3~800ppm、又は3~1,000ppm、又は100~10,000ppm、又は100~1,000ppm、又は100~5,000ppm、又は100~8,000ppm、又は100~10,000ppm、又は1,000~50,000ppm、又は1,000~8,000ppm、又は1,000~15,000ppm、又は1,000~30,000ppm、又は5,000~168,000ppm、又は5,000~25,000ppmなどの、又は6,000~65,000ppmなどの、かつ8,000~95,000ppmのcarbI(C)を含む、3ppm~168,000ppmの炭素Iであり得る。液体中に溶解したCO2の量は、いくつかの場合において、0.05~40mM、例えば、25~30mMを含む1~35mMの範囲で変化し得る。結果として生じるDIC含有液体のpHは、いくつかの場合において、4~12、例えば、6~11及び7~11、例えば8~9.5を含む範囲で変化し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、必要に応じて、ブロック125で、水素合成生成物流は、CO2の重炭酸塩への変換を媒介する触媒(すなわち、天然で不均質又は均質のいずれかの吸収触媒)の存在下で、捕捉液体と接触する。吸収触媒として対象となるものは、8~10の範囲のpHレベルで、溶解CO2からの重炭酸イオンの生成速度を増加させる触媒である。速度増加の大きさは(例えば、触媒が存在しない対照と比較して)変化し得、いくつかの場合において、好適な対照と比較して、2倍以上、例えば5倍以上、例えば10倍以上である。かかる実施形態に好適な触媒の例に関する更なる詳細は、米国特許第9,707,513号に見出され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
いくつかの実施形態において、結果として生じる水性アンモニウム炭酸塩は、バルク液体、例えばバルク溶液中の液体縮合相(LCP)の液滴を含む二相液体である。「液体縮合相」又は「LCP」とは、重炭酸イオンを含む液体溶液の相を意味し、重炭酸イオンの濃度は、LCP相において周囲のバルク液体よりも高い。LCP液滴は、重炭酸イオンがバルク溶液の濃度を超える縮合濃度に会合し、非結晶溶液状態で存在する、メタ安定性の重炭酸塩リッチ液体前駆体相の存在によって特徴付けられる。LCPには、インターフェースの外側にあるバルク溶液中に見つけられた全ての組成物が含まれている。しかしながら、重炭酸イオンの濃度は、バルク溶液中よりも高い。LCP液滴が存在する状況では、LCP及びバルク溶液はそれぞれ、イオン対及び前核形成クラスター(PNC)を含有し得る。存在する場合、イオンは、溶液中のイオン対及びPNCと比較して、長時間にわたってそれらのそれぞれの相に残る。LCP含有液体に関する更なる詳細は、米国特許第9,707,513号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
上記で概説したように、多段階プロトコル及び単一ステッププロトコルの両方を使用して、水素合成生成物流及び水性捕捉アンモニアからCO2隔離炭酸塩スラリー140を生成し得る。例えば、いくつかの実施形態において、生成物水性アンモニウム炭酸塩は、CO2隔離炭酸塩スラリーモジュールに転送され、二価カチオン、例えば、Ca2+及び/又はMg2+は、水性アンモニウム炭酸塩と組み合わされて、CO2隔離炭酸塩スラリー140を生成する。更に他の事例では、水性アンモニウム炭酸塩が二価カチオンと結合してCO2隔離炭酸塩スラリー140の生成をもたらすように生成されるため、水性捕捉アンモニアは、例えば、Ca2+及び/又はMg2+などの二価カチオン源を含む。
【0050】
したがって、いくつかの実施形態において、例えば、水性アンモニウム炭酸塩などの水性炭酸塩の生成後、水性炭酸塩は、上記のように、その後、固体CO2隔離炭酸塩140を生成するために十分な条件下で、カチオン源と組み合わされる。異なる価のカチオンは、固体炭酸塩組成物(例えば、炭酸塩鉱物の形態)を形成することができる。いくつかの場合において、ナトリウム及びカリウムカチオンなどの一価カチオンが使用され得る。他の事例では、アルカリ土類金属カチオン、例えば、カルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)カチオンなどの二価カチオンが使用され得る。カチオンが炭酸塩水溶液に添加される場合、二価カチオンがCa2+を含むときの非晶質炭酸カルシウム(CaCO3)などの炭酸塩固体の沈殿物は、カチオン当たり1個の炭酸塩種イオンの化学量論的比で生成され得る。
【0051】
かかる事例では、任意の好都合なカチオン源が用いられ得る。対象となるカチオン源としては、限定されないが、海水脱水プラント、汽水脱水プラント、地下水回収施設、廃水施設などの水処理施設からの塩水、冷却塔を有する施設からのブローダウン水などが挙げられ、これらは、カチオン含有量が高い濃縮された溶液流を生成する。カチオン源としても対象となるものは、限定されないが、天然の塩水及び地質海水などの天然に生じる源であり、これらは、様々なカチオン濃度を有して良く、また、水性アンモニウム炭酸塩からの炭酸塩固体140の生成を誘発するための準備ができたチオン源を提供し得る。いくつかの場合において、カチオン源は、プロセスの別のステップの廃棄物生成物、例えば、水性アンモニウム塩からのアンモニアの再生中に生成されるカルシウム塩(CaCl2など)であっても良い。
【0052】
更に他の実施形態において、水性捕捉アンモニアは、例えば、上記のようにカチオンを含む。カチオンは、任意の好都合なプロトコルを使用して、水性捕捉アンモニア中に提供され得る。いくつかの場合において、水性捕捉アンモニア中に存在するカチオンは、水性アンモニウム塩からの水性捕捉アンモニアの再生に使用されるジオマス265に由来する。加えて、及び/又はあるいは、例えば、上記のように、カチオン源と水性捕捉アンモニアとを組み合わせることによって、カチオンを提供しても良い。
【0053】
使用され得る他のCO2隔離炭酸塩スラリー生成プロトコルとしては、アルカリ集約型プロトコルが挙げられ、このプロトコルでは、CO2含有ガスが、約10以上のpHで水性媒体と接触される。そのようなプロトコルの例としては、米国特許第8,333,944号、同第8,177,909号、同第8,137,455号、同第8,114,214号、同第8,062,418号、同第8,006,446号、同第7,939,336号、同第7,931,809号、同第7,922,809号、同第7,914,685号、同第7,906,028号、同第7,887,694号、同第7,829,053号、同第7,815,880号、同第7,771,684号、同第7,753,618号、同第7,749,476号、同第7,744,761号、及び同第7,735,274号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0054】
水性アンモニウム炭酸塩などの水性炭酸塩の生成後、例えば、水性炭酸塩は、上記のように、固体CO2隔離炭酸塩140を生成するために十分な条件下で、カチオン源と組み合わされる。異なる価のカチオンは、固体炭酸塩組成物(例えば、炭酸塩鉱物の形態)を形成することができる。いくつかの場合において、ナトリウム及びカリウムカチオンなどの一価カチオンが使用され得る。他の事例では、アルカリ土類金属カチオン、例えば、カルシウム及びマグネシウムカチオンなどの二価カチオンが使用され得る。遷移金属、例えば、Fe、Mn、Cuなども利用されても良い。カチオンが炭酸塩水溶液に添加される場合、二価カチオンがCa2+を含むときの非晶質炭酸カルシウムなどの炭酸塩固体の沈殿物は、カチオン当たり1個の炭酸塩種イオンの化学量論的比で生成され得る。
【0055】
かかる事例では、任意の好都合なカチオン源が用いられ得る。対象となるカチオン源としては、限定されないが、海水脱水プラント、汽水脱水プラント、地下水回収施設、廃水施設などの水処理施設からの塩水などが挙げられ、これらは、カチオン含有量が高い濃縮された溶液流を生成する。カチオン源としても対象となるものは、限定されないが、天然の塩水及び地質海水などの天然に生じる源であり、これらは、様々なカチオン濃度を有して良く、また、水性アンモニウム炭酸塩からの炭酸塩固体の生成を誘発するための準備ができたチオン源を提供し得る。いくつかの場合において、カチオン源は、プロセスの別のステップの廃棄物生成物、例えば、水性アンモニウム塩からのアンモニアの再生中に生成されるカルシウム塩(CaCl2など)であっても良い。
【0056】
上記に要約したように、水性アンモニア捕捉液体及び水素合成性生成物流から炭酸塩を隔離するCO2の生成は、水性アンモニウム塩を産する。生成された水性アンモニウム塩は、アンモニウム塩のアニオンの性質に関して変化し得、水性アンモニウム塩中に存在し得る特定のアンモニウム塩としては、限定されないが、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0057】
上記で概説したように、本発明の態様は、例えば、上記のように、ブロック127で水性アンモニウム塩から水性捕捉アンモニアを再生することを更に含む。水性捕捉アンモニウムを再生することは、水性アンモニウム塩から一定量のアンモニアを発生するために十分な方法で、水性アンモニウム塩を処理することを意味する。この再生工程中にアンモニアに変換される入力アンモニウム塩の割合は、いくつかの場合において、15~55%などの5~95%の範囲で変化しても良く、いくつかの場合において、35~55%などの20~80%の範囲で変化しても良い。
【0058】
アンモニアは、任意の便利な再生プロトコルを使用して、この再生ステップで水性アンモニウム塩から再生することができる。いくつかの場合において、蒸留プロトコルが用いられる。任意の好都合な蒸留プロトコルを用いても良いが、いくつかの実施形態において、使用される蒸留プロトコルは、アルカリ性源、例えばジオマスの存在下で水性アンモニウム塩を加熱して、ガス状アンモニア/水生成物を生成することを含み、次いで、これを縮合して、液体水性捕捉アンモニアを生成しても良い。いくつかの場合において、このプロトコルは、段階的プロセスにおいて、連続的に行われ、アルカリ性源の存在下で水性アンモニウム塩を接触させることは、液体水性捕捉アンモニアの蒸留及び縮合の前に行われる。
【0059】
アルカリ性源は、水性アンモニウム塩中のアンモニウムをアンモニアに変換するために十分である限り、変化し得る。任意の好都合なアルカリ性源を用いることができる。この再生ステップで使用され得るアルカリ分源には、化学剤が含まれる。アルカリ分源として使用され得る化学剤としては、限定されないが、水酸化物、有機塩基、超強塩基、酸化物、及び炭酸塩が挙げられる。水酸化物には、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、又は水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を含む、溶液中に水酸化物アニオンを提供する化学種が含まれる。有機塩基は、一般に、メチルアミンなどの一級アミン、ジイソプロピルアミンなどの二級アミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミン、アニリンなどの芳香族アミン、ピリジン、イミダゾール、及びベンジイミダゾールなどの複素芳香族化合物、並びにそれらの様々な形態を含む窒素性塩基である炭素含有分子である。プロトン除去剤としての使用に好適な超強塩基としては、ナトリウム・エトキシド、ナトリウム・アミド(NaNH2)、水素化ナトリウム(NaH)、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ジエチルアミドリチウム、及びリチウムビス(トリメチルシリル)アミドが挙げられる。例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ベリリウム(BeO)、及び酸化バリウム(BaO)もまた、使用され得る好適なプロトン除去剤である。
【0060】
アルカリ分源としても対象となるものはシリカ源である。シリカ源は、純粋なシリカ又は他の化合物、例えばミネラルとの組み合わせのシリカを含む組成物であっても良く、ただし、シリカ源が所望のアルカリ分を付与するために十分である限りである。いくつかの場合において、シリカ源は、天然に生じるシリカ源である。天然に生じるシリカ源としては、砂又はより大きな岩の形態であり得るシリカ含有岩が挙げられる。原料がより大きな岩である場合、いくつかの場合において、岩はそのサイズを小さくして、表面積を増やすために分解されている。対象となるものは、1mm~100cm、例えば1mm~50cmを含む0.1mm~500cmなどの0.01mm~1mの範囲の最長寸法を有する成分からなるシリカ源である。シリカ源は、必要に応じて、源の表面積を増加させるために表面処理され得る。様々な異なる天然に生じるシリカ源が用いられ得る。対象となる天然に生じるシリカ源としては、限定されないが、コマタイト、ピクライト質武岩、キンバーライト、ランプロイト、ペリドタイトなどの超軟質岩、玄武岩、輝緑岩(ドーレライト)、及びガブロなどの多孔質岩、安山岩及びダイライトなどの中間岩、ダシテ及びグラノダイライトなどの中間フェルシック岩、並びに流紋岩、アプライト-ペグマタイト及びグラナイトなどのフェルシック岩が挙げられる。また、対象となるものは人工シリカ源である。人工シリカ源としては、限定されないが、鉱業廃棄物;化石燃料燃焼灰;スラグ、例えば、鉄及び鋼スラグ、リンスラグ;セメント窯業廃棄物;石油精製所/石油化学精製所廃棄物、例えば、油田及びメタンシーム塩水;石炭シーム廃棄物、例えば、生成塩水及び石炭シーム塩水;紙処理廃棄物;水軟化剤、例えば、イオン交換廃棄物海水;シリコン処理廃棄物;農業廃棄物;金属仕上げ廃棄物;高pHの織物廃棄物;並びに苛性スラッジなどの廃棄物流が挙げられる。鉱業廃棄物には、金属又は地球から別の貴重又は有用な鉱物を抽出した廃棄物が含まれる。対象となる廃棄物には、pHを上昇させるために使用される鉱山からの廃棄物が含まれる。これには、Bayerアルミニウム抽出プロセスからの赤色の泥、海水のためのマグネシウム抽出からの廃棄物、例えば、カリフォルニア州モス・ランディングでの廃棄物、及び浸出を伴う他の鉱業プロセスからの廃棄物が含まれる。石炭火力発電所などの化石燃料の燃焼プロセスからの灰は、しばしばシリカを豊富に含む灰を作り出す。いくつかの実施形態では、化石燃料、例えば、石炭火力発電所の燃焼から生じる灰は、フライアッシュ、例えば、煙突から出る灰、及びボトムアッシュを含むシリカ源として提供される。シリカ源及びそれらの使用に関する追加の詳細は、米国特許第9,714,406号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
本発明の実施形態において、灰は、アルカリ性源として用いられる。ある特定の実施形態において、対象となるものは、灰として石炭灰の使用である。本発明で使用される石炭灰は、発電所ボイラ又は石炭燃焼炉、例えば、鎖格子ボイラ、サイクロンボイラ、及び流動床ボイラにおいて、粉砕無煙炭、リグナイト、アスファルト又は亜瀝青炭の燃焼から生成された残渣を指す。かかる石炭灰には、排ガス又は燃焼排ガスによって炉から運ばれる微細に分割された石炭灰であるフライアッシュ、及び凝集塊として炉の基部に集まるボトムアッシュとが含まれる。
【0062】
フライアッシュは一般に非常に不均質であり、石英、マライト、及び様々な酸化鉄などの様々な識別可能な結晶相を有するガラス粒子の混合物を含む。対象となるフライアッシュには、F型及びC型フライアッシュが含まれる。上記のF型及びC型フライアッシュは、上記のCSA規格A23.5及びASTM C618で定義されている。これらのクラスの主な違いは、灰中のカルシウム、シリカ、アルミナ、及び鉄分の量である。フライアッシュの化学的性質は、燃焼した石炭の化学的含有量(すなわち、無煙炭、アスファルト、及びリグナイト)によって大きく影響される。対象となるフライアッシュには、相当量のシリカ(二酸化ケイ素、SiO2)(非晶質及び結晶性の両方)及び石灰(酸化カルシウム、CaO、酸化マグネシウム、MgO)が含まれる。
【0063】
より硬く、より古い無煙炭と瀝青炭とを燃やすと、典型的にはクラスFのフライアッシュが生成する。クラスFのフライアッシュは、本質的にポゾランであり、典型的には、20%未満の石灰(CaO)が含まれている。より若いリグナイト又は亜瀝青炭の燃焼から生成されたフライアッシュは、ポゾランに加えて、いくつかのセルフセメント性も有する。水の存在下では、クラスCのフライアッシュは経時的に硬化し、強度を得る。クラスCのフライアッシュには、一般的に20%以上の石灰(CaO)が含まれている。アルカリと硫酸塩(SO4
2-)との含有量は、一般的にクラスCのフライアッシュの方が多い。いくつかの実施形態において、クラスCフライアッシュを使用して、アンモニアを水性アンモニウム塩から発生することが対象となる。例えば上述のように、クラスFフライアッシュに近い特性のフライアッシュを発生させるためにクラスCフライアッシュに存在する構成物の量を抽出する、例えば、20%CaOを有するクラスCフライアッシュ中のCaOの95%を抽出することを意図している。したがって、1%CaOを有する改修されたフライアッシュ材料が得られる。
【0064】
フライアッシュ材料は、排ガス中に懸濁されている間に固化し、様々なアプローチを使用して、例えば、静電沈殿物又はフィルターバッグによって、収集される。粒子は排ガス中に懸濁したまま固化するため、フライアッシュ粒子は通常球形であり、サイズは0.5μm~100μmの範囲である。対象となるフライアッシュとしては、少なくとも約80重量%が45ミクロン未満の粒子を含むものが挙げられる。本発明のある特定の実施形態において、高アルカリ性流動床燃焼器(FBC)フライアッシュの使用も、また、対象となる。
【0065】
また、本発明の実施形態において、対象となるものは、ボトムアッシュの使用である。ボトムアッシュは、石炭の燃焼から石炭燃焼ボイラ内の凝集塊として形成される。かかる燃焼ボイラは、湿式底部ボイラ又は乾式底部ボイラであり得る。湿式又は乾式の底部ボイラで製造される場合、ボトムアッシュは水で急冷される。急冷により、90%が0.1mm~20mmの粒径範囲内に入るサイズを有する凝集塊をもたらし、ボトムアッシュ凝集塊は、この範囲内で凝集塊サイズの広い分布を有する。ボトムアッシュの主な化学成分は、Fe、Ca、Mg、Mn、Na及びK、並びに硫黄及び炭素の酸化物のより量が少ないシリカ及びアルミナである。
【0066】
ある特定の実施形態において、対象となるものは、また、灰としての火山灰の使用である。火山灰は、直径2ミリメートル未満の小さなテフラ、すなわち、火山噴火によって作られた粉砕岩とガラスで構成されている。
【0067】
本発明の一実施形態では、セメントキルンダスト、例えば、バイパスダスト(BPD)又はセメントキルンダスト(CKD)は、アルカリ源として使用される。灰及び/又はダストが生成された燃料の性質、並びに上記燃料の燃焼手段は、結果として生じる灰及び/又はダストの化学組成に影響を与える。したがって、灰及び/又はダストは、pHを調整するための手段の一部として使用されても良く、灰及び/又はダストの化学組成に基づいて、様々な他の成分が、特定の灰及び/又はダストとともに利用されても良い。
【0068】
本発明のある特定の実施形態において、スラグは、アルカリ性源として用いられる。スラグは、単独のpH調整剤として、又は1つ以上の追加のpH調整剤、例えば灰などと併用して使用され得る。スラグは金属の加工から発生し、カルシウム及び酸化マグネシウム、並びに鉄、シリコン及びアルミニウム化合物を含有し得る。ある特定の実施形態において、スラグをpH調整材料として使用することは、反応性シリコン及びアルミナの沈殿生成物への導入によって更なる利点を提供する。対象となるスラグとしては、限定されないが、鉄製錬からの高炉スラグ、鉄及び/又は鋼(鋼スラグ)の電気アーク又は高炉加工からのスラグ、銅スラグ、ニッケルスラグ、及びリンスラグが挙げられる。
【0069】
上記に示されるように、灰(又は特定の実施形態ではスラグ)は、ある特定の実施形態において、水のpHを所望のレベルに調整する唯一の方法として用いられる。更に他の実施形態において、1つ以上の追加のpH調整プロトコルは、灰の使用と併用される。
【0070】
ある特定の実施形態において、対象となるものは、また、アルカリ性源としての他の廃棄物材料、例えば、粉砕若しくは解体、又はリサイクルあるいは返却コンクリート又はモルタルの使用である。用いられると、コンクリートは、必要に応じて、プロセスの炭酸塩生成部分にリサイクルされ得る放出砂及び骨材を溶解させる。解体及び/又はリサイクルコンクリート又はモルタルの使用は、以下に更に説明される。
【0071】
ある特定の実施形態において、対象となるものは、鉱物アルカリ分源である。かかる事例において、水性アンモニウム塩と接触させる鉱物アルカリ性源は、変化して良く、対象となる鉱物アルカリ分源としては、限定されないが、上記のように、ケイ酸塩、炭酸塩、フライアッシュ、スラグ、石灰、セメント窯粉塵などが挙げられる。いくつかの場合において、鉱物アルカリ性源は、例えば、上記のように、岩石を含む。実施形態において、アルカリ性源は、例えば、以下でより詳細に説明するように、ジオマスである。
【0072】
これらの実施形態において、水性アンモニウム塩が加熱される温度は変化し得るが、いくつかの場合において、温度は、25~185℃などの25~200℃の範囲である。所望の温度を提供するために使用される熱は、蒸気、廃棄物熱源、例えば、燃焼排ガス廃熱などを含む任意の便利な源から得ても良い。いくつかの実施形態では、水性アンモニウム塩は加熱されず、例えば、温度は周囲温度である。
【0073】
蒸留は、任意の圧力で行って良い。蒸留が大気圧で行われる場合、蒸留が行われる温度は、いくつかの場合において、50~120℃、例えば60~100℃、例えば70~90℃の範囲で変化し得る。いくつかの場合において、蒸留は、準大気圧で行われる。かかる実施形態における圧力は変化し得るが、いくつかの場合において、準大気圧は、0~14psig、例えば、-2~-6psigの範囲である。蒸留が準大気圧で行われる場合、蒸留は、大気圧で行われる実施形態と比較して低温で行われ得る。温度は、かかる事例では、所望されるように変化し得るが、準大気圧が用いられるいくつかの実施形態において、温度は、25~50℃などの15~90℃の範囲である。準大気圧の実施形態において、対象となるものは、蒸留中に使用される熱の一部(全てではないとしても)の廃熱の使用である。かかる事例で用いられ得る廃熱源としては、限定されないが、燃焼排ガス、プロセス蒸気凝縮物、CO2捕捉によって発生した吸収熱、及び結果として生じる炭酸アンモニウム生成物、及び冷却液体(例えば、上記のように、発電所、工場などのCO2含有ガスの併設源からのもの)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
水性捕捉アンモニア再生は、また、アンモニアを再生するために直流電流が水性アンモニウム塩に導入される電解媒介プロトコルを使用して達成することもできる。任意の便利な電解プロトコルが使用され得る。水性アンモニウム塩からのアンモニアの再生に適合され得る電解プロトコルの例は、米国特許第7,727,374号及び同第8,227,127号、並びに公開されているPCT出願公開第WO/2008/018928号に記載されている電解システムからの1つ以上の元素を用いても良く、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
いくつかの場合において、水性捕捉アンモニアは、例えば、上記のように、熱及び/又は電流の形態で、エネルギーの入力なしに水性アンモニウム塩から再生される。かかる事例において、水性アンモニウム塩は、再生水性捕捉アンモニアを生成するために十分な様式で、例えば、上記のように、ジオマス源などのアルカリ源と組み合わされる。次いで、結果として生じる水性捕捉アンモニアは、例えば、揮散プロトコルなどを介したエネルギーの入力によって精製されない。
【0076】
いくつかの場合において、再生のためのアルカリ性は、例えば、米国特許第9,707,513号に記載されているような、膜媒介アルカリ濃縮プロトコルによって提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。アルカリ濃縮プロトコルによって媒介される方法とは、方法が、方法中のある時点で、例えば、CO2捕捉液体を生成するために、CO2充填液体のアルカリ性を高めるために、アルカリ濃縮プロトコルを用いることを意味する。アルカリ濃縮プロトコルは、所与の方法の間に、及び所与の方法の異なる段階で、1回又は2回以上用いられても良い。例えば、アルカリ濃縮プロトコルは、例えば、以下でより詳細に説明されるように、CO2捕捉液体生成ステップの前及び/又は後に実行されても良い。
【0077】
結果として生じる再生水性捕捉アンモニアは、例えば、使用される特定の再生プロトコルに応じて変化し得る。いくつかの場合において、再生水性捕捉アンモニアは、1リットル当たり0.1~25モル(M)、例えば、4~20M(12.0~16.0Mを含む)の範囲の濃度のアンモニア(NH3)、並びに上記に提供される水性捕捉アンモニアに提供される範囲のいずれかを含む。水性捕捉アンモニアのpHは、いくつかの場合において、10.0~12.5などの10.0~13.0の範囲で変化し得る。いくつかの場合において、例えば、上記のように、例えば、エネルギーの入力を含まないジオマス媒介プロトコルにおいて、水性捕捉アンモニアが再生される場合、再生水性捕捉アンモニアは、カチオン、例えば、Ca2+などの二価カチオンを更に含み得る。加えて、再生水性捕捉アンモニアは、一定量のアンモニウム塩を更に含み得る。いくつかの場合において、アンモニア(NH3)は、0.05~4モル/リットル(M)、例えば、0.1~2Mを含む0.05~1Mの範囲の濃度で存在する。水性捕捉アンモニアのpHは、いくつかの場合において、8.0~11.0、例えば、8.0~10.0の範囲で変化し得る。水性捕捉アンモニアは、イオン、例えば、一価カチオン、例えば、1リットル当たり0.1~5モル(M)、例えば、0.5~3Mを含む0.1~2Mなどの範囲の濃度のアンモニウム(NH4
+)、二価カチオン、例えば、1リットル当たり0.05~2モル(M)、0.2~1Mを含む0.1~1Mなどの範囲の濃度のカルシウム(Ca2+)、二価カチオン、例えば、1リットル当たり0.005~1モル(M)、0.01~0.5Mを含む0.005~0.1Mなどの範囲の濃度のマグネシウム(Mg2+)、二価アニオン、例えば、1リットル当たり0.005~1モル(M)、0.01~0.5Mを含む0.005~0.1Mなどの範囲の濃度の硫酸塩(SO4
2-)、を更に含んで良い。
【0078】
方法の態様は、例えば、上記のように、CO2隔離炭酸塩140を生成するために十分な条件下で、再生水性捕捉アンモニアをガス状CO2源、例えば、上記のような水素合成生成物流と接触させることを更に含む。言い換えれば、方法は、再生アンモニアをプロセス内にリサイクルすることを含む。かかる事例において、再生水性捕捉アンモニアを単独の捕捉液体として使用するか、又は別の液体、例えば、補給水と組み合わせて、CO2捕捉液体として使用するために好適な水性捕捉アンモニアを生成しても良い。再生水性アンモニアが追加の水と組み合わされる場合、任意の便利な水が使用され得る。水性捕捉アンモニアが生成され得る対象となる水としては、限定されないが、淡水、海水、塩水、生成水、及び廃水が挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、添加剤は、例えば、以下に記載されるように、カチオン源及び/又はアンモニウム塩水溶液から再生されたアンモニア水捕捉液体中に存在する。添加剤としては、例えば、マグネシウム(Mg2+)、ストロンチウム(Sr2+)、バリウム(Ba2+)、ラジウム(Ra2+)、アンモニウム(NH4
+)、硫酸塩(SO4
2-)、リン酸塩(PO43-、HPO4
2-、又はH2PO4
-)などのイオン種、例えばオキシレートなどのカルボキシレート基、例えばH2NCOO-などのカルバメート基、例えばマンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)などの遷移金属カチオンが挙げられ得る。いくつかの場合では、添加剤は、カチオン源及び/又はアンモニウム水塩から再生されたアンモニア水捕捉液体に意図的に添加される。他の例では、添加剤は、本方法のいくつかの実施形態中、アルカリ性源、例えば、上述したようなジオマスから抽出される。いくつかの実施形態では、添加剤は、炭酸塩沈殿物を隔離するCO2の反応性に影響を及ぼし、例えば、いくつかの例では、炭酸カルシウムスラリーは、検出可能なカルサイト形態を有さず、非晶質炭酸カルシウム(ACC)、ヴァテライト、アラゴナイト、又はそのような形態の任意の組み合わせを含む他の形態であっても良い。
【0080】
いくつかの場合においてCO2ガス/水性捕捉アンモニアモジュールは、組み合わせられた捕捉及びアルカリ濃縮反応器を備え、反応器は、コア中空繊維膜構成要素、例えば、複数の中空繊維膜を含むコア中空繊維膜構成要素と、コア中空繊維膜構成要素を取り囲んでコア中空繊維膜構成要素が存在する第1の液体フロー経路を定義するアルカリ濃縮膜構成要素とを含有するように構成されたハウジングとを備えて良く、ハウジングは、アルカリ濃縮膜構成要素とハウジングの内面との間の第2の液体フロー経路を定義するように構成される。いくつかの場合において、アルカリ濃縮膜構成要素は、チューブとして構成され、中空繊維膜構成要素はチューブ内において軸方向に配置される。いくつかの場合において、ハウジングはチューブとして構成され、ハウジング及びアルカリ濃縮膜構成要素は同心である。本発明の態様は、例えば、上記のように、組み合わせた捕捉及びアルカリ濃縮反応器を更に含む。
【0081】
「ホット」及び「コールド」プロセスを含むアンモニア媒介プロトコルに関する更なる詳細は、米国特許第10,322,371号及び国際公開第WO2020/047243号として公開されているPCT出願第PCT/US2019/048790号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
生成物の炭酸塩組成物は、大きく異なる場合がある。沈殿生成物は、1つ以上の異なる炭酸塩化合物、例えば、2つ以上の異なる炭酸塩化合物、例えば、3つ以上の異なる炭酸塩化合物、5つ以上の異なる炭酸塩化合物などを含むことができ、これには、非区別の非晶質炭酸塩化合物が含まれる。本発明の沈殿生成物の炭酸塩化合物は、分子製剤Xm(CO3)nを有する化合物であって良く、式中、Xは、炭酸塩基又はその複数と化学的に結合することができる任意の元素又は元素の組み合わせであり、Xは、ある特定の実施形態において、アルカリ土類金属であり、アルカリ金属ではなく、m及びnは、化学量論的正の整数である。これらの炭酸塩化合物は、Xm(CO3)n・yH2Oの分子式を有し得、式中、yは1以上であり、したがって、分子式中に1つ以上の構造水が存在する。生成物中の炭酸塩の量は、例えば、クールメトリック滴定として記載されるプロトコルを使用したクールメトリーによって決定される場合、10%以上、例えば、25%以上、50%以上、60%以上を含む。
【0083】
沈殿生成物の炭酸塩化合物には、限定されないが、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、硫黄、ホウ素、シリコン、ストロンチウム、及びそれらの組み合わせのイオン種など多くの異なるカチオンが含まれ得る。対象となるものは、カルシウム及びマグネシウムの炭酸塩化合物などの二価金属カチオンの炭酸塩化合物である。対象となる特定の炭酸塩化合物としては、限定されないが、炭酸カルシウム鉱物、炭酸マグネシウム鉱物及び炭酸カルシウムマグネシウム鉱物が挙げられる。対象となる炭酸カルシウム鉱物としては、限定されないが、カルシウム(CaCO3)、アラゴナイト(CaCO3)、ヴァテライト(CaCO3)、イカイト(CaCO3・H2O)、及び非晶質炭酸カルシウム(CaCO3)が挙げられる。対象となる炭酸マグネシウム鉱物としては、限定されないが、マグネサイト(MgCO3)、バリントナイト(MgCO3・2H2O)、ネスクオナイト(MgCO3・3H2O)、ランフォーディット(MgCO3・5H2O)、ヒドロマグネサイト、及び非晶質炭酸マグネシウム(MgCO3)が挙げられる。対象となる炭酸カルシウムマグネシウム鉱物としては、限定されないが、ドロマイト(CaMg)(CO3)2)、ハンチ酸塩(Mg3Ca(CO3)4)及びセルジエビト(Ca2Mg11(CO3)13・H2O)が挙げられる。また、興味深いものは、Na、K、Al、Ba、Cd、Co、Cr、As、Cu、Fe、Pb、Mn、Hg、Ni、V、Znなどで形成された炭酸塩化合物である。製品の炭酸塩化合物は、1つ以上の水和水を含んでも良く、無水でも良い。いくつかの場合において、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の量を超える。例えば、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物の重量の量は、沈殿物中の炭酸カルシウム化合物の重量の量を5重量%以上、例えば、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上を超え得る。いくつかの場合において、沈殿物中の炭酸マグネシウム化合物対炭酸カルシウム化合物の重量比は、1.5~5:1、例えば2~3:1を含む2~4:1の範囲である。いくつかの場合において、沈殿生成物は、水酸化物、例えば、二価金属イオン水酸化物、例えば、水酸化カルシウム及び/又は水酸化マグネシウムを含み得る。
【0084】
炭酸塩の生成及びそれによって生成される炭酸塩の使用方法に関する更なる詳細は、米国特許第9,714,406号、同第10,711,236号、同第10,203,434号、同第9,707,513号、同第10,287,439号、同第9,993,799号、同第10,197,747号、及び同第10,322,371号、並びに公開されているPCT出願公開第WO2020/047243号及び同第WO2020/154518号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
いくつかの実施形態では、この方法は、初期CO2隔離固体組成物を設定することを更に含む。上述のように、初期CO2隔離固体組成物は、固体状態の化合物だけでなく、液体状態の化合物、例えば液体水も含むことができる。初期CO2隔離固体組成物を「設定」することは、固体組成物を「空気乾燥」することと互換的に使用され、固体組成物から液体が蒸発するような環境に固体組成物を配置することを含む。固体組成物から液体を除去することによって、化学組成物を変更することができ、それによって固体組成物の物理的特性を変更することができ、例えば、液体の体積を減少させることにより、液体中に溶解した溶質を固体状態に遷移させることができる。例えば、初期CO2隔離固体組成物は、例えば、固体組成物からの液体が蒸発し得、固体組成物が別の液体から液体を得ることがないように、固体表面上に配置することができる。場合によっては、この工程は、蒸発速度を増加させる方法、例えば、ガスを固体組成物に通過させる方法、低減されたガス圧力を固体組成物に適用する方法、固体組成物の温度を増加させる方法、又はそれらの組み合わせを含む。ガスを固体組成物に通過させることは、例えば、ファンで行うことができる。ポンプ、例えば真空ポンプを用いて、ガス圧力を低下させ、それによって蒸発速度を増加させることができる。固体組成物の温度は、例えば、電気ヒーター又は天然ガスヒーターを使用して、例えば、35℃~80℃など、25℃~95℃の範囲の温度に上昇させることができる。実施形態では、設定は、1~30日間空気乾燥することによって、又は高温(30~200℃で数分~数時間)で乾燥することによって、単純に行うことができる。いくつかの場合では、設定は、溶液と接触したときに凝集体がばらばらになることを防ぐ、ヴァテライト/ACCから方解石/アラゴナイト(完全に変換されていない)への部分的な鉱物変換を特徴とする。
【0086】
上記に示されるように、固体は、沈殿物又はそれから形成された生成物、例えば、凝集体、形成された物体などであり得る。炭酸塩沈殿物からのかかる固体及びその生成に関する詳細は、例えば、上述のように、米国特許第9,714,406号、同第10,711,236号、同第10,203,434号、同第9,707,513号、同第10,287,439号、同第9,993,799号、同第10,197,747号、及び同第10,322,371号、並びに公開されているPCT出願公開第WO2020/047243号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
固体が凝集体である場合、いくつかの例では、凝集体は、例えば、上述のような炭酸塩スラリーが回転ドラムに導入され、炭酸塩凝集体を生成するために十分な条件下で回転ドラム内で混合されるプロトコルによって生成される。いくつかの場合では、炭酸塩スラリーは、凝集体基材、例えば、上述のような温められた凝集体とともに回転ドラムに導入され、次いで、回転ドラム内で混合されて、炭酸塩コーティングされた凝集体を生成する。いくつかの場合では、スラリー(及び基材)を回転ドラムに導入し、カーボネートスラリーの製造直後、例えば、12時間以内、例えば、6時間以内、及びカーボネートスラリーを調製してから4時間以内など、混合を開始する。いくつかの場合では、プロセス全体(すなわち、スラリー調製の開始から炭酸塩凝集塊生成物の取得まで)は、1時間以下を含む、5時間以下、例えば、3時間以下を含む10時間以下などの15時間以下以内に実行される。そのようなプロトコルに関する更なる詳細は、公開されているPCT出願公開第WO2020/154518号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
所望される場合、CO2隔離固体は、例えば、所望に応じて、蒸気処理の前及び/又は後に硬化されても良い。いくつかの場合では、硬化により、初期CO2隔離固体組成物の化合物が第1の多形体から第2の多形体に変化する。「多形体」という用語は、同じ経験式を有するが、異なる結晶構造を有する化合物を指す。「経験式」は、分子中の原子の比率を指し、例えば、水の経験式はH2Oである。方解石、アラゴナイト、及びベータライトは、全て同じCaCO3の経験式を有するため、炭酸カルシウム(CaCO3)の多形体であるが、結晶構造が互いに異なり、例えば、方解石、アラゴナイト、及びベータライトの結晶構造空間群は、それぞれR3c、Pmcn、及びP63/mmcである。いくつかの場合では、多形体は非晶性であり、すなわち、固体は結晶化されず、代わりに長距離秩序が欠如している。例えば、固体は、非晶質炭酸カルシウムを含んでも良い。例示的な実施形態では、固体は、炭酸カルシウムの第1の多形体を含み、硬化工程は、炭酸カルシウムの第1の多形体の一部又は全てを炭酸カルシウムの第2の多形体に変換する。場合によっては、第1の結晶構造は、ヴァテライト又は非晶質炭酸カルシウムであり、第2の結晶構造は、アラゴナイト又は方解石である。場合によっては、硬化は、第1の化合物を第2の化合物に変更すること、すなわち、硬化中に化合物の経験式が変化することを含む。したがって、硬化及びプロトコルに関する詳細は、米国仮出願第63/128,487号(代理人整理番号BLUE-048PRV;2020年12月21日出願)に更に提供されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
本発明の方法の実施形態は、CO2が水素合成生成物流から除去され、例えば、上述のように、例えば、固体鉱物の形態で隔離されているため、ブルー水素生成物とみなされ得るCO2枯渇水素流130を生成する。得られたブルー水素生成物は、所望に応じて更に処理されても良く、又は燃料、化学反応物、還元剤、又は一般に知られているような他の用途として直接使用されても良い(ブロック150)。したがって、いくつかの例では、得られたCO2枯渇水素流を更に処理することができ、例えば、得られたCO2枯渇水素流を、例えば上述のような(任意選択でブロック160で)アミンベースのプロセス又は圧力スイング吸収プロセスなどの更なる水素精製プロセスのための供給として使用する。更に他の例では、得られたCO2枯渇水素流は、ブルー水素生成物として、例えば、燃料源(例えば、輸送、又は発電)として、又は化学合成のための水素原料として直接使用されても良い(ブロック150)。
【0090】
コンクリート乾燥複合材料
好適に固化する液体(以下に記載されるような)と組み合わせると、コンクリート又はモルタルに固化する又は硬化する固化可能組成物を生成するコンクリート乾燥複合材料も提供される。本明細書に記載のコンクリート乾燥複合材料は、例えば、上記のように、一定量のCO2隔離固体、例えば、骨材、及び油圧セメントなどのセメントを含む。「油圧セメント」という用語は、その従来の意味で、水又は溶媒が水、例えば、混和剤溶液である溶液と組み合わせた後に固める及び硬化する組成物を指すために使用される。本発明のコンクリート乾燥複合材と水性液体との組み合わせによって生成された生成物の固化及び硬化は、水との反応時にセメントから形成される水和物の生成から生じ、水和物は、本質的に水に不溶性である。
【0091】
水素合成生成物流から生成された骨材は、例えば、上述したように、純粋なポートランドセメントと組み合わせると、従来のコンクリートで使用される従来の天然岩石骨材の代わりに使用される。ある特定の実施形態において、対象となる他の油圧セメントは、ポートランドセメントブレンドである。「ポートランドセメントブレンド」という語句は、ポートランドセメント成分及び相当量の非ポートランドセメント成分を含む油圧セメント組成物を含む。本発明のセメントは、ポートランドセメントブレンドであるため、セメントは、ポートランドセメント成分を含む。ポートランドセメント成分は、任意の便利なポートランドセメントであっても良い。当技術分野で既知であるように、ポートランドセメントは、ポートランドセメントクリンカー(90%超)、設定時間を制御する限られた量の硫酸カルシウム、及び(様々な規格で許容されるように)最大5%の微量構成物によって生成される粉末組成物である。反応のための二酸化炭素を提供するために使用される排ガスが、SOxを含有する場合、次いで、追加の硫酸カルシウムの必要性を相殺するためのセメント又は骨材のいずれかとして、十分な硫酸塩が硫酸カルシウムとして沈殿した材料中に存在し得る。欧州規格EN197.1で定義されているように、「ポートランドセメントクリンカーは、ケイ酸カルシウム(3CaO・SiO2及び2CaO・SiO2)の少なくとも3分の2からなり、残りは、アルミニウム含有及び鉄含有クリンカー相及び他の化合物からなる油圧材料である。CaO対SiO2の比は、2.0以上でなければならない。マグネシウム含有量(MgO)は5.0質量%を超えないものとする。」MgOに関する懸念は、固化反応の後半で、水酸化マグネシウム、水滑石が形成され、セメントの変形及び弱化及び亀裂につながる可能性があることである。セメントを含有する炭酸マグネシウムの場合、水滑石はMgO場合のように形成されない。ある特定の実施形態では、本発明のポートランドセメント成分は、米国材料試験協会のC150(タイプI-VIII)のASTM基準及び仕様(ASTMC50-ポートランドセメントの標準仕様)を満たす任意のポートランドセメントである。ASTM C150は、8種類のポートランドセメントをカバーしており、それぞれ異なる特性を有し、これらの特性に特別に使用されている。
【0092】
油圧セメントとしても対象となるものは、油圧セメントを含有する炭酸塩である。かかる油圧セメントを含有する炭酸塩、それらの製造及び使用方法は、米国特許第7,735,274号に記載されており、その出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
ある特定の実施形態において、油圧セメントは、ポートランドセメント及び炭酸塩含有油圧セメントなどの2つ以上の異なる種類の油圧セメントのブレンドであっても良い。ある特定の実施形態において、ブレンド中の第1のセメント、例えば、ポートランドセメントの量は、10~90%(w/w)、例えば、30~70%(w/w)の範囲であり、40~60%(w/w)、例えば、80%OPC及び20%炭酸塩油圧セメントのブレンドを含む。
【0094】
いくつかの場合において、コンクリート乾燥複合材料組成物、及びそれから生成されたコンクリートは、本発明の骨材を含まない対照組成物のCSRよりも低いCarbonStar評価(CSR)を有する。CarbonStar評価(CSR)は、生成物自体の炭素密集生成がどの程度であるか(すなわち、生成物CO2の観点から)比較して、任意の生成物の具体化された(CaCO3の形態での)炭素を特徴付ける値である。CSRは、コンクリート単位におけるCO2の具体化された質量に基づいた指標である。コンクリートの3つの構成要素-水、セメント及び骨材のうち、セメントはCO2排出量の最も重要な要因であり、質量でおよそ1:1である(1トンのセメントはおよそ1トンのCO2を生成する)。そのため、コンクリートの立方ヤードが600ポンドのセメントを使用している場合、そのCSRは600である。600ポンドのセメントを含み、例えば、上記のように、骨材の少なくとも一部分が炭酸塩コーティングされた骨材又は純粋な炭酸塩骨材である、本発明の実施形態によるコンクリートの立方ヤードは、600未満であるCSRを有し、例えば、CSRは、100以下などの400以下、例えば、250以下を含む500以下などの550以下であっても良く、いくつかの場合において、CSRは、負の値、例えば、-1000以下を含む-500以下などの-100以下であっても良く、いくつかの場合において、600ポンドのセメントを有するコンクリートの立方ヤードのCSRは、-500~-3000を含む-100~-4000などの500~-5000の範囲であって良い。本発明の炭酸カルシウムコーティングされた骨材を含むコンクリートの所与の立方ヤードのCSRを決定するために、コンクリート立方ヤードのセメント成分の生成のために発生したCO2の初期値が決定される。例えば、ヤードが600ポンドのセメントを含む場合、初期値600がヤードに割り当てられる。次に、ヤード中の炭酸塩コーティング量を決定する。炭酸カルシウムの分子量は100a.u.であり、炭酸カルシウムの44%はCO2であるため、ヤード内に存在する炭酸カルシウムコーティング量に0.44を乗じ、結果として生じる値が、ヤードのCSRを得るために、初期値から差し引かれる。例えば、コンクリート混合物の所与のヤードが、が600ポンドのセメント、300ポンドの水、1429ポンドの微骨材、及び1739ポンドの粗骨材で構成される場合、コンクリートのヤードの重量は4068ポンドであり、CSRは600である。この混合物中の骨材の総質量の10%が、例えば、上記のように、炭酸塩コーティングによって置き換えられる場合、訂正されたコンクリートのヤード中に存在する炭酸塩の量は、317ポンドである。この値に0.44を掛けると139.5が得られる。この数値を600から引くと、460.5のCSRが得られる。
【0095】
固化可能組成物
本発明の固化可能な組成物、例えば、コンクリート及びモルタルは、同時に、又はセメントを骨材と予め組み合わせてから、それから結果として生じる乾燥成分を水と組み合わせることによって、油圧セメントと、一定量の骨材(モルタル(例えば、砂)については微細、コンクリートについては微細、又は微細なしで粗い)と水とを組み合わせることによって生成される。本発明のセメント組成物を使用するコンクリート混合物のための粗骨材材料の選択は、約3/8インチの最小サイズを有して良く、これらの制限の間の勾配を含む、その最小から最大1インチ以上のサイズで変化し得る。微細に分割された骨材は、サイズが3/8インチ未満であり、200-ふるいサイズ程度まではるかに細かいサイズで再び等級をつけることができる。微骨材は、本発明のモルタル及びコンクリートの両方に存在し得る。セメントの乾燥成分中のセメント対骨材の重量比は変化して良く、ある特定の実施形態において、2:10~5:10などの1:10~4:10の範囲であり、55:1000~70:100を含む。
【0096】
乾燥成分が組み合わされて固化可能組成物、例えばコンクリートを生成する液相、例えば水性流体は、所望に応じて、純水から、1つ以上の溶質、添加剤、共溶媒などを含む水まで、変化し得る。固化可能組成物を調製する際に組み合わされる乾燥成分対液相の比は、変化して良く、ある特定の実施形態において、3:10~6:10などの2:10~7:10の範囲であり、4:10~6:10を含む。
【0097】
ある特定の実施形態において、セメントは、1つ以上の混和剤とともに使用され得る。混和剤は、基本的なコンクリート混合物では得られない望ましい特性を提供するため、又はコンクリートの性質を変更して、特定の目的又はコスト削減のために、より容易に使用可能又はより好適にするために、コンクリートに添加される組成物である。当技術分野で既知であるように、混和剤は、コンクリート又はモルタルの成分として使用される、油圧セメント、骨材、及び水以外の任意の材料又は組成物であり、いくつかの特徴を向上するか、又はそのコストを低減する。使用される混和剤の量は、その混和剤の性質に応じて変化し得る。ある特定の実施形態において、これらの成分の量は、1~50%w/w、例えば、2~10%w/wの範囲である。
【0098】
対象となる混和剤としては、セメント化材料、ポゾラン、ポゾラン及びセメント化材料、並びに公称不活性材料などの細かく分割された鉱物混和剤が挙げられる。ポゾランとしては、珪藻土、オパールのようなチャート、粘土、シェール、フライアッシュ、シリカヒューム、火山灰、及び浮遊石が挙げられ、これらは既知のポゾランの一部である。ある特定の高炉水砕スラグと高カルシウムフライアッシュとは、ポゾランとセメントとの性質の両方を有している。公称不活性材料は、また、細かく分割された原石、ドロマイト、石灰岩、大理石、花崗岩、及び他も含むことができる。フライアッシュは、ASTM C618に定義される。
【0099】
対象となる他のタイプの混和剤としては、可塑剤、促進剤、遅延剤、空気入れ剤、発泡剤、還元水、腐食阻害剤、及び顔料が挙げられる。
【0100】
したがって、対象となる混和剤としては、限定されないが、セット促進剤、セット遅延剤、空気入れ剤、消泡剤、アルカリ反応性低減剤、結合混和剤、分散剤、着色混和剤、腐食阻害剤、防湿混和剤、ガス形成剤、透過度低減剤、ポンプ補助剤、収縮補償混和剤、殺菌性混和剤(fungicidal admixture)、殺菌性混和剤(germicidal admixture)、殺虫性混和剤、レオロジー改質剤、微細分割された鉱物混和剤、ポゾラン、骨材、湿潤剤、強度増強剤、撥水剤、並びに任意の他のコンクリート又はモルタル混和剤又は添加剤が挙げられる。混和剤は当技術分野で周知であり、上記のタイプ又は任意の他の所望のタイプの任意の好適な混和剤が使用され得る。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,735,274号を参照されたい。
【0101】
いくつかの場合において、固化可能組成物は、重炭酸塩が豊富な生成物(BRP)の混和剤を一定量使用して生成され、例えば、その開示が、参照により本明細書に組み込まれる、公開されている米国出願公開第2014/0234946号として公開された米国特許出願第14/112,495号に記載されるように、液体又は固体形態であっても良い。
【0102】
ある特定の実施形態において、本発明の固化可能組成物は、例えば、繊維補強コンクリートを所望する、繊維とともに用いられるセメントを含む。繊維は、ジルコニア含有材料、スチール、炭素、ガラス繊維、又は合成材料、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、高強度アラミド(すなわち、Kevlar(登録商標))、又はそれらの混合物から作製することができる。
【0103】
固化可能組成物の成分は、任意の好都合なプロトコルを使用して組み合わせることができる。各材料は、作業時に混合されても良く、又は材料の一部若しくは全ては、事前に混合されても良い。あるいは、材料のいくつかは、高範囲の還元水混和剤などの混和剤の有無にかかわらず、水と混合され、次いで、残りの材料は、それらと混合され得る。混合装置としては、任意の従来の装置を用いることができる。例えば、Hobartミキサー、傾斜シリンダミキサー、Omniミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、及びNautaミキサーを使用することができる。
【0104】
固化可能組成物(例えば、コンクリート)を生成するための成分の組み合わせに続いて、固化可能組成物は、いくつかの場合において、最初に流動可能な組成物であり、次いで、所与の期間の後に固化される。固化時間は変化して良く、ある特定の実施形態において、30分~24時間などの30分~48時間の範囲であり、1時間~4時間を含む。
【0105】
固化生成物の強度も変化し得る。ある特定の実施形態において、固化セメントの強度は、10MPa~50MPaなどの5Mpa~70MPaの範囲であって良く、20MPa~40MPaを含む。ある特定の実施形態において、本発明のセメントから生成される固化生成物は、非常に耐久性がある。例えば、ASTM C1157で記載される試験方法を使用して決定される。
【0106】
構造
本発明の態様は、本発明の骨材及び固化可能組成物から生成される構造を更に含む。したがって、更なる実施形態は、本発明の骨材及びそれらの製造方法を含む人工構造を含む。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載のように、1つ以上の骨材を含む、人工構造を提供する。人工構造は、建物、ダム、堤防、道路、又は骨材若しくは岩石を組み込んだ任意の他の人工構造体など、骨材が使用され得る任意の構造であっても良い。いくつかの実施形態では、本発明は、化石燃料源由来のCO2を含有する本発明の骨材を含む、人工構造、例えば、建物、ダム、又は道路を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、化石燃料源由来のCO2を含有する本発明の骨材を提供することを含む、構造の製造方法を提供する。これらの構造は、本発明の凝集体及び/又は設定可能な組成物から産生されるため、それらは、重炭酸塩媒介CO2隔離プロトコルによって産生されるものとしてそれらを識別するマーカー又は成分を含む。
【0107】
実用性
主題の固体、例えば、凝集体、組成物、及びそれらを含む設定可能な組成物は、地上安定CO2隔離製品、並びに建築材料又は建設材料などの様々な異なる用途で使用される。本発明の設定可能な組成物が用途を見出す特定の構造には、舗装、建築構造、例えば、建物、基礎、高速道路/道路、高架橋、橋、駐車構造、レンガ/ブロックの壁、及びゲート、フェンス、及びポールの基礎が含まれるが、これらに限定されない。本発明のモルタルは、建設ブロック(例えば、レンガ)を一緒に結合し、建設ブロック間のギャップを埋めることに使用される。モルタルを使用して、既存の構造を固定することもでき、例えば、他の用途の中でも、元のモルタルが損なわれたり浸食されたりした部分を置き換えることもできる。
【0108】
システム
また、本明細書に記載される方法を実行するためのシステムが提供される。
図2は、一実施形態による、CO
2を水素合成生成物流から分離して、CO
2枯渇水素流を生成するためのシステム200を示す。
【0109】
図示のように、システム200は、水素生成物流230を生成するように構成された水素生成物反応器などの水素生成モジュール280を含む。水素生成モジュール280は、CO2隔離固体組成物調製モジュール290に動作可能に接続されている。
【0110】
図2に示される例では、メタン及び水の入力205は、蒸気改質、自己熱改質、又は部分酸化モジュール210のうちの1つに行われて、一酸化炭素及び水素215の排出を生成し、次いで、水入力225を受け取る水ガス転化装置(WGS)反応器ユニット220を使用して水ガスがシフトされる。得られた水素合成生成物流230は、主にCO
2及びH
2で構成される。
【0111】
示されるように、CO2隔離固体組成物調製モジュール290は、例えば、パイプラインを介して、水素生成反応器280から水素合成生成物流230を受け取り、それをCO2吸収モジュール235に入力するためのインターフェース232を含み、CO2吸収モジュール235は、水素合成生成物流230を捕捉液体及びカチオン源と組み合わせて、CO2を水素合成生成物流から分離して、CO2枯渇水素流250を生成するために十分な方法で構成される。
【0112】
いくつかの場合において、得られたCO
2枯渇水素流250は、ブルー水素生成物として、例えば、燃料源(例えば、輸送、又は発電)として、及び化学合成のための水素原料として直接使用されても良い。更に他の例では、任意選択で、得られたCO
2枯渇水素流250を更に処理することができ、例えば、得られたCO
2枯渇水素流を、例えば
図1を参照して上述したように、アミンベースのプロセス又は圧力スイング吸収プロセスなどの更なる水素精製器245のための供給として使用する。
【0113】
CO2吸収モジュール235に戻ると、水素合成生成物流230のための吸入口232、水性捕捉液体265のための吸入口262、及び最初のCO2隔離固体組成物240のための出力を含み得る。モジュール235は、水素合成生成物流230を水性捕捉液体及びカチオン源と接触させ、最初のCO2隔離固体組成物240を生成するように構成されても良い。(図示しないが)場合によっては、この吸収モジュール235は、水性捕捉液が水素合成生成物流と接触して水性液体を生成するモジュールの第1のセクションと、水性液体がカチオン源と接触してCO2隔離固体組成物240を生成するモジュールの第2のセクションとを含む。他の場合には、吸収モジュール235は、カチオン源を含む水性捕捉液体を水素合成生成物流と接触させて、最初のCO2隔離固体組成物240を生成することを含む。そのような場合、カチオン源は、捕捉液体がCO2の気体源と接触する前に、捕捉液体の一部である。CO2吸収モジュール235は、得られた固体組成物240をCaCO3生成物244として凝集させるために、CO2隔離固体生成モジュール242を更に含んでも良い。
【0114】
場合によっては、CO2隔離固体組成物調製モジュール290は、また、水性捕捉アンモニアなどの水性捕捉液体265を供給するように構成された水性捕捉アンモニア再生モジュール260を含む。場合によっては、再生モジュール260は、蒸留によってアンモニアを生成するように構成される。場合によっては、再生モジュール260は、アンモニウム塩をアルカリ源と接触させることによってアンモニアを生成するように構成される。そのような方法で水性捕捉アンモニアを使用する例示的な方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,322,371号に記載されている。場合によっては、アンモニアは、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2020/047243号に記載されるように、ジオマス265、例えば、地球から得られる鉱物で再生される。アンモニア再生モジュール260の出力は、アップサイクルされた再生コンクリート骨材270などの建築材料である。
【0115】
上記の実施形態のうちの少なくともいくつかでは、一実施形態で使用される1つ以上の要素は、置き換えが技術的に実現可能である限り、別の実施形態で互換的に使用され得る。当業者は、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び構造に他の様々な省略、追加、及び修正を行うことができることを理解されたい。全てのかかる修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内に入ることが意図される。
【0116】
概して、本明細書で使用される用語、及び特に、添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、概して、「オープンな」用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであることなど)ことが、当業者には理解される。特定の数の導入された特許請求の範囲の記載が意図される場合、かかる意図が特許請求の範囲内で明示的に記載され、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないことが当業者によって更に理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記載を導入するための「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入語句の使用を含み得る。ただし、かかる語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求の範囲の記載の導入が、かかる導入された特許請求の範囲の記載を含む特定の特許請求の範囲を、かかる記載を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。同じ主張には、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入語句と、「a」又は「an」などの不定冠詞とが含まれる(例えば、「a」及び/又は「an」は「少なくとも1つ」又は「1つ以上」)。同じことが、特許請求の範囲の記載を紹介するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入された特許請求の範囲の特定の数の記載が明示的に記載されていても、当業者は、かかる記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識する(例えば、他の修飾語なしの「2つの記載」のありのままの記載は、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。明細書、特許請求の範囲、又は図面にかかわらず、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は語句は、用語の1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図するように理解されるべきであることが、当業者によって更に理解される。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0117】
加えて、本開示の特徴又は態様が、マーカッシュ群の観点から記載される場合、したがって、本開示は、また、マーカッシュ群のいずれもの個々のメンバー又はメンバーのいずれものサブ群の観点から記載されることが、当業者には認識される。
【0118】
当業者には理解されるように、あらゆる目的で、例えば、書面による説明を提供する観点から、本明細書に開示される全ての範囲は、また、あらゆる可能なサブ範囲、及びそれらのサブ範囲の組み合わせを包含する。任意のリストされた範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に示し、分解されることを可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、容易に、下側の3分の1、真ん中の3分の1、及び上側の3分の1などに分解され得る。当業者に同様に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などの全ての用語は、記載される数を含み、上述のようにサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3つの物品を有する群は、1つ、2つ、又は3つの物品を有する群を指す。同様に、1~5つの物品を有する群は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの物品を有する群を指す、等々である。
【0119】
上記の発明は、明確な理解のために例示及び例によって多少詳しく説明されてきたが、当業者であれば、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、それらの発明に対して特定の変更及び修正が行われ得ることは、容易に明らかである。
【0120】
したがって、上記は単に本発明の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。更に、本明細書に記載される全ての例及び条件付き言語は、主に、読者が、本発明の原理及び発明者が当該技術分野を促進するために寄与する概念を理解することを助ける点を意図し、かかる具体的に記載される例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその特定の例を記載する本明細書における全ての記述は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含することを意図する。加えて、かかる等価物は、構造にかかわらず、現在既知である等価物及び将来開発される等価物、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行するように開発された任意の要素の両方を含むことが意図される。更に、本明細書に開示されるものは、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に記載されるか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図するものではない。
【0121】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明された例示的な実施形態に限定されることを意図されていない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲への限定の始まりの正確な語句「のための手段」又は正確な語句「のためのステップ」が列挙されている場合にのみ、そのような特許請求の範囲に限定するために公使されると明示的に定義され、そのような正確な語句が、特許請求の範囲への限定において使用されない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は行使されない。
【0122】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2021年10月4日に出願された米国仮出願第63/251,795号の出願日の優先権を主張し、その出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】