(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電極、接合部およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20241003BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241003BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241003BHJP
H01M 4/80 20060101ALI20241003BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241003BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M4/80 C
H01M4/66 A
H01M4/70 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520813
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 SG2022050719
(87)【国際公開番号】W WO2023059269
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10202111213Y
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ、グラニエロ、エチェベリガレイ
(72)【発明者】
【氏名】ビベック、ナイアー
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ、ヘリオ、デ、カストロ、ネト
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017CC01
5H017CC25
5H017EE01
5H017EE06
5H017EE09
5H017HH01
5H017HH03
5H017HH04
5H017HH10
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA11
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA04
5H050DA10
5H050EA02
5H050EA08
5H050EA10
5H050FA17
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA07
5H050HA17
5H050HA19
(57)【要約】
本開示は、複数の多孔質導電性基材と、電極複合材料の少なくとも1つの層とを含む電極に関し、電極複合材料の少なくとも1つの層は、複数の多孔質導電性基材の間に挟まれ、電極複合材料の少なくとも1つの層は、複数の多孔質導電性基材と電気的に連通している。電極複合材料は、複数の多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している。本開示はまた、接合部、ならびに電極および接合部を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)複数の多孔質導電性基材と、
b)前記複数の多孔質導電性基材の間に挟まれ、前記複数の多孔質導電性基材と電気的に連通している、電極複合材料の少なくとも1つの層と
を備え、
前記電極複合材料が、前記複数の多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している、電極。
【請求項2】
前記複数の多孔質導電性基材と、前記電極複合材料の少なくとも1つの層とが互いに積層されている、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記電極複合材料の少なくとも1つの層が、電極複合材料の少なくとも2つの層である、請求項1または2に記載の電極。
【請求項4】
前記複数の多孔質導電性基材および前記電極複合材料の層が、実質的に同じ平面面積を有するか、または前記多孔質導電性基材が、前記電極複合材料の層の平面面積よりも約1%~約50%だけ大きい平面面積によって特徴付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極。
【請求項5】
前記電極複合材料の側面を前記多孔質導電性基材に電子的に接続するために、前記電極の側面と接触するバインダーをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の電極。
【請求項6】
前記多孔質導電性基材が、遷移金属硫化物、遷移金属セレン化物、ハロゲン化物、金属イオン、ナノ粒子、金属酸化物、またはそれらの組み合わせで表面官能化されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電極。
【請求項7】
多孔質導電性基材の各層が、独立して、約10μm~約1000μmの厚さによって特徴付けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の電極。
【請求項8】
前記多孔質導電性基材が、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフォーム、炭素繊維、多孔質金属構造体、グリッドおよびフォーム、多孔質導電性ポリマー、導電性ポリマーゲルおよびエアロゲル、薄膜、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の電極。
【請求項9】
電極複合材料の各層が、独立して、約0.1μm~約1000μmの厚さによって特徴付けられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の電極。
【請求項10】
前記電極複合材料が、導電性材料、バインダー、フィラー、またはそれらの組み合わせが存在しないことによって特徴付けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の電極。
【請求項11】
前記電極複合材料が、グラフェン、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、金属ナノ粒子、カーボンドット、またはそれらの組み合わせから選択される導電性ナノ粒子を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の電極。
【請求項12】
前記導電性ナノ粒子が、ハロゲン化物、カルコゲナイド、金属、またはそれらの組み合わせの異なる酸化状態で表面官能化されている、請求項11に記載の電極。
【請求項13】
前記電極複合材料に対する導電性ナノ粒子の重量比が、約3重量%~約50重量%、または好ましくは約10重量%である、請求項11または12に記載の電極。
【請求項14】
前記電極複合材料が、導電性炭素系材料、金属、またはそれらの組み合わせから選択される導電性フィラーをさらに含む、請求項1から9または11から13のいずれか一項に記載の電極。
【請求項15】
前記電極複合材料に対する前記導電性フィラーの重量比が、約1重量%~約30重量%、または好ましくは約10重量%である、請求項14に記載の電極。
【請求項16】
前記電極複合材料が、ポリフッ化ビニリデン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、またはそれらの組み合わせから選択されるバインダーをさらに含む、請求項1から9または11から15のいずれか一項に記載の電極。
【請求項17】
前記電極複合材料に対する前記バインダーの重量比が、約1重量%~約20重量%、または好ましくは約10重量%である、請求項16に記載の電極。
【請求項18】
前記電極が、前記電極複合材料の間にセパレータが存在しないことによって特徴付けられる、請求項1から17のいずれか一項に記載の電極。
【請求項19】
a)約50mAh g
活物質
-1~約4000mAh g
活物質
-1の放電容量、
b)約2mAh cm
-2~約100mAh cm
-2の面積容量、
c)約1.5S cm
-1~約100S cm
-1の電子伝導率、
d)初期容量に対して約5%~約50%の容量損失、
e)約70%~約100%のクーロン効率、
f)40サイクルを超えるサイクル寿命
のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる、請求項1から18のいずれか一項に記載の電極。
【請求項20】
前記電極を貫通するように適合された接合部をさらに備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の電極。
【請求項21】
前記接合部が、前記電極に形成可能な貫通孔を貫通するように適合される、請求項20に記載の電極。
【請求項22】
前記接合部が、前記電極を実質的に貫通するように適合された本体を備え、前記本体が、円形、楕円形、または多角形から選択される断面形状によって特徴付けられる、請求項20または21に記載の電極。
【請求項23】
前記本体が中空である、請求項22に記載の電極。
【請求項24】
前記本体が多角形断面形状を特徴とし、中空である場合、前記本体が前記多角形の縁部から延びる脚部を備える、請求項23に記載の電極。
【請求項25】
前記接合部が、前記本体の第1の端部に頭部をさらに備える、請求項22から24のいずれか一項に記載の電極。
【請求項26】
前記接合部が、ステンレス鋼、Al、Ti、Ni、またはCuから選択される導電性材料を含む、請求項20から25のいずれか一項に記載の電極。
【請求項27】
前記電極がカソードである場合、前記導電性材料がステンレス鋼、Al、Ti、またはNiから選択され、前記電極がアノードである場合、前記導電性材料がステンレス鋼、Ni、またはCuから選択される、請求項26に記載の電極。
【請求項28】
前記接合部が、2つ以上の電極を電気的に接続するか、少なくとも1つの電極を少なくとも1つの接触タブに電気的に接続するか、少なくとも1つの電極を少なくとも1つのリードに電気的に接続するか、または少なくとも1つの接触タブを前記電極上の少なくとも1つのリードに電気的に接続するように適合される、請求項20から27のいずれか一項に記載の電極。
【請求項29】
a)少なくとも1つの電極層を形成するステップであって、前記電極層が、多孔質導電性基材の少なくとも表面上に電極複合材料の層をコーティングすることによって形成される、ステップと、
b)前記電極層を別の多孔質導電性基材と積層して、前記電極複合材料の前記層が前記多孔質導電性基材の間に挟まれるようにするステップであって、前記少なくとも1つの電極層が前記多孔質導電性基材と電気的に連通している、ステップと
を含み、
前記電極複合材料が、前記多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している、電極を製造する方法。
【請求項30】
ステップa)またはb)の前記多孔質導電性基材上に別の電極層を積層するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記電極複合材料が、スラリー、パン生地状、ペースト、または粉末として提供される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記電極複合材料が、約1mg cm
-2~約100mg cm
-2の前記多孔質導電性基材の前記表面上の質量負荷によって特徴付けられる、請求項29または31に記載の方法。
【請求項33】
前記積層するステップが、前記電極層および前記別の多孔質導電性基材に圧縮力を加えることを含む、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記圧縮力が、油圧プレス、空気圧プレス、重量プレス、またはローラープレスによって提供される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
パンチングを介して、または前記電極に形成された貫通孔を介して前記電極に接合部を接続するステップをさらに含む、請求項29から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記接合部が本体を備え、前記本体が頭部を形成するように変形可能である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記本体が、前記頭部が前記電極の表面と実質的に平行になるように、前記本体の端部を曲げることによって変形される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記本体が、前記本体の長手方向軸から離れる方向に曲げられる、請求項36または37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電極、接合部およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルアーキテクチャは、例えばリチウムイオン(Liイオン)およびリチウム硫黄(Li-S)電池などの電池のコア部分である。電極複合材料(ECM)は、典型的には、電極を形成するために電子伝導性基材(集電体、例えば金属箔)上にコーティングされた活物質、添加剤、およびバインダーを含む。新しい活物質の開発、セルエンジニアリングの最適化、材料処理の最適化、および品質管理の改善などのいくつかの手法が、Liイオン電池のエネルギー密度を高め、かつ/またはコストを削減するために使用されてきた。過去20年間にわたるエネルギー密度の約3倍の漸進的な改善は、主にセルエンジニアリングによるものであり、初期のLiイオンセル(200Wh L-1)における約20%から、今日の最先端のセル(550~600Wh L-1)における約45%まで活物質の体積比を増加させてきた。
【0003】
集電体およびセパレータを薄くしながら活物質負荷を増加させることによって電池セルの電極を厚くすることは、より高いエネルギー密度および低コスト電池を得るための1つの手法である。厚い電極のエネルギー密度および出力密度を制限する物理学に基づく要因は、セル分極の増加および活物質の未利用であることが分かった。後者は、活物質中のLiイオン拡散および電解質相中のLiイオン枯渇の影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の問題の少なくとも1つを克服または改善することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、電極層の間に少なくとも1つの接続構成要素を有する2つ以上の電極層を一緒に積層し、それらを積層することによって、電極への活物質負荷を増加させることができることを見出した。接続構成要素は、単一の電極を形成するための同様または異種の質量負荷を有する導電性多孔質基材とすることができ、電極上の面積当たりの高い活物質負荷をもたらし、それによって面積容量を増加させ、電池のエネルギー密度を改善する。
【0006】
本発明は、
a)複数の多孔質導電性基材と、
b)複数の多孔質導電性基材の間に挟まれ、複数の多孔質導電性基材と電気的に連通している、電極複合材料の少なくとも1つの層と
を備え、
電極複合材料が、複数の多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している、電極を提供する。
【0007】
この構成は、電極複合材料が電極の外部(external)面/外側(outer)面を形成しないように、多孔質導電性基材の間および内部に電極複合材料を収容する。
【0008】
いくつかの実施形態では、複数の多孔質導電性基材および電極複合材料の少なくとも1つの層は、互いに積層される。
【0009】
いくつかの実施形態では、電極複合材料の少なくとも1つの層は、電極複合材料の少なくとも2つの層である。
【0010】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材および電極複合材料の層は、実質的に同じ平面面積を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、電極複合材料の層の平面面積よりも約1%~約50%だけ大きい平面面積によって特徴付けられる。
【0012】
いくつかの実施形態では、電極は、電極複合材料の側面を多孔質導電性基材に電子的に接続するために、電極の側面と接触するバインダーをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、バインダーは、水性バインダー、非水性バインダー、またはそれらの組み合わせである。
【0014】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は表面官能化されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、遷移金属硫化物、遷移金属セレン化物、ハロゲン化物、金属イオン、ナノ粒子、金属酸化物、またはそれらの組み合わせで官能化されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材の各層は、独立して、約10μm~約1000μmの厚さによって特徴付けられる。
【0017】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフォーム、炭素繊維、多孔質金属構造体、グリッドおよびフォーム、多孔質導電性ポリマー、導電性ポリマーゲルおよびエアロゲル、薄膜、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、電極複合材料の各層は、独立して、約0.1μm~約1000μmの厚さによって特徴付けられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、炭素系材料、金属系材料、金属酸化物系材料、電気化学的活物質、ポリマー材料またはそれらの組み合わせを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性材料、バインダー、フィラー、またはそれらの組み合わせが存在しないことによって特徴付けられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性ナノ粒子を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、導電性ナノ粒子は、グラフェン、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、金属ナノ粒子、カーボンドット、またはそれらの組み合わせを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、導電性ナノ粒子は、ハロゲン化物、カルコゲナイド、金属、またはそれらの組み合わせの異なる酸化状態で表面官能化されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性ナノ粒子の重量比は、約3重量%~約50重量%である。
【0025】
いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性ナノ粒子の重量比は、約10重量%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性フィラーをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、導電性フィラーは、導電性炭素系材料、金属またはそれらの組み合わせである。
【0028】
いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性フィラーの重量比は、約1重量%~約30重量%である。
【0029】
いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性フィラーの重量比は、約10重量%である。
【0030】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、バインダーをさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、アラビアガム、セルロースガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、またはそれらの組み合わせである。
【0032】
いくつかの実施形態では、電極複合材料に対するバインダーの重量比は、約1重量%~約20重量%である。
【0033】
いくつかの実施形態では、電極複合材料に対するバインダーの重量比は、約10重量%である。
【0034】
いくつかの実施形態では、電極は、電極複合材料の間にセパレータが存在しないことによって特徴付けられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、電極は、約50mAh g活物質
-1~約4000mAh g活物質
-1の放電容量によって特徴付けられる。
【0036】
いくつかの実施形態では、電極は、スタックの層あたり約2mAh cm-2~約100mAh cm-2の面積容量によって特徴付けられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、電極は、約1.5S cm-1~約100S cm-1の電子伝導性によって特徴付けられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、電極は、電極の初期容量に対して約5%~約50%の容量損失によって特徴付けられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、電極は、約70%~約100%のクーロン効率によって特徴付けられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、電極は、40サイクルを超えるサイクル寿命によって特徴付けられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、電極は、電極を貫通するように適合された接合部をさらに備える。
【0042】
いくつかの実施形態では、接合部は、電極に形成可能な貫通孔を貫通するように適合される。
【0043】
いくつかの実施形態では、接合部は、電極を実質的に貫通するように適合された本体を備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、本体は、円、楕円、または多角形から選択される断面形状によって特徴付けられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本体は中空である。
【0046】
いくつかの実施形態では、本体は多角形断面形状によって特徴付けられ、中空である場合、本体は多角形の縁部から延びる脚部を備える。
【0047】
いくつかの実施形態では、接合部は、本体の第1の端部に頭部をさらに備える。
【0048】
いくつかの実施形態では、本体は、頭部を形成するように変形可能である。
【0049】
いくつかの実施形態では、接合部は導電性材料を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、導電性材料は、金属、合金または複合体から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、導電性材料は、ステンレス鋼、Al、Ti、Ni、またはCuから選択される。
【0052】
いくつかの実施形態では、電極がカソードである場合、導電性材料は、ステンレス鋼、Al、Ti、またはNiから選択される。
【0053】
いくつかの実施形態では、電極がアノードである場合、導電性材料は、ステンレス鋼、NiまたはCuから選択される。
【0054】
いくつかの実施形態では、接合部は、2つ以上の電極を電気的に接続するように適合される。
【0055】
いくつかの実施形態では、接合部は、少なくとも1つの電極を少なくとも1つの接触タブに電気的に接続するように適合される。
【0056】
いくつかの実施形態では、接合部は、少なくとも1つの電極を少なくとも1つのリードに電気的に接続するように適合される。
【0057】
いくつかの実施形態では、接合部は、少なくとも1つの接触タブを電極上の少なくとも1つのリードに電気的に接続するように適合される。
【0058】
本発明は、
a)少なくとも1つの電極層を形成するステップであって、少なくとも1つの電極層が、多孔質導電性基材の少なくとも表面上に電極複合材料の層をコーティングすることによって形成される、ステップと、
b)少なくとも1つの電極層を別の多孔質導電性基材と積層して、電極複合材料の層が多孔質導電性基材の間に挟まれるようにするステップであって、少なくとも1つの電極層が多孔質導電性基材と電気的に連通している、ステップと
を含み、
電極複合材料が、多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している、電極を製造する方法を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップa)またはb)の多孔質導電性基材上に別の電極層を積層するステップをさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、スラリー、パン生地状(dough)、ペースト、または粉末として提供される。
【0061】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、約1mg cm-2~約100mg cm-2の多孔質導電性基材の表面上の質量負荷によって特徴付けられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、積層するステップは、電極層および別の多孔質導電性基材に圧縮力を加えることを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、圧縮力は、油圧プレス、空気圧プレス、重量プレスまたはローラープレスによって提供される。
【0064】
いくつかの実施形態では、本方法は、接合部を電極に接続するステップをさらに含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、接合部は、パンチングを介して、または電極に形成された貫通孔を介して電極に接続される。
【0066】
いくつかの実施形態では、接合部は本体を備え、本体は頭部を形成するように変形可能である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本体は、頭部が電極の表面と実質的に平行になるように、本体の端部を曲げることによって変形される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本体は、本体の長手方向軸から離れる方向に曲げられる。
【0069】
本発明はまた、接合部を電極に接続する方法であって、
a)接合部の本体を電極に通すステップと、
b)接合部を電極に接続するための頭部を形成するために、接合部の本体を変形させるステップと
を含む、方法を提供する。
【0070】
次に、本発明の実施形態を、非限定的な例として、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】積層構成の例を示す図であり、(A)は電極複合材料(ECM)で完全にコーティングされた単一多孔質導電性基材(または集電体(CC))表面を使用し、(B)はECMで完全にコーティングされた二重CC表面を使用し、(C)は2つの単一CC表面、および圧縮前にECMで完全にコーティングされた2つの二重表面からなる4つの電極を使用し、(D)は部分的に露出したEMCで積層された最終的に4つの電極を使用し、(E)はECMで部分的にコーティングされた単一CC表面を使用し、(F)はECMで部分的にコーティングされた二重CC表面を使用し、(G)は2つの単一CC表面、および圧縮前にECMで部分的にコーティングされた2つの二重表面からなる4つの電極を使用し、そして、(H)はCCの間に封入されたECMで積層された最終的に4つの電極を使用している。
【
図2】(A)はローラープレスによってECMでコーティングされた2つの単一CC表面およびECMでコーティングされた1つの二重CC表面の連続積層のための方法の例を示し、そして、(B)~(C)は積層電極(SE)を形成するための空気圧/油圧プレスによってECMでコーティングされた2つの単一CC表面およびECMでコーティングされた2つの二重CC表面のバッチ積層のための方法の例を示す図である。
【
図3】一緒に積層された2つの個別電極を用いて作製されたセルの、0.05Cレートでの第1の比放電容量を示す図である。
【
図4】一緒に積層された2つの個別電極を用いて作製されたセルの、0.25Cレートでの比放電容量を示す図である。
【
図5】接合部の形状およびフォーマットの例を示す図である。(A)は予め適合された頭部を有するおよび有しない円筒状接合部、立方体の脚部を有する円筒状頭部、および頭部によって接続された二股締結具の形状を有する接合部の例である。(B)は、立方体形状の孔を有する接合部において重量を減らすための、最適化された接合部の脚部の形状およびフランジ/孔を有する脚部の例である。(C)は、(頭部の形状とは無関係に)異なる孔の形状および接合部の脚部の形状の例である。
【
図6】電極とタブ/リードとを接合する頭部によって接続された二股締結具の形状を有する接合部の概略例と、接合方法の例を示す図であり、(A)では接合部が電極に押し込まれ、タブ/リードがそれらを穿孔し、(B)では接合部の脚部が、電極とタブ/リードとを接合するために内側または外側に曲げられ、そして、(C)はタブ/リードが接合された最終電極である。
【
図7】電極、タブ、および/またはリードを接合する方法の例を示す図であり、(A)は電極、タブ、および/またはリードであり、(B)は孔の事前形成(任意選択で、例えば穿刺または削孔によって行うことができる)であり、(C)は上部から見た事前形成された孔であり、(D)は事前形成された頭部を有する、または有しない接合部の挿入であり、(E)では、接合部の脚部(および事前形成された頭部のない接合部の場合は頭部)が、電極、タブ、および/またはリードを接合するために外向きにフレア状/カラー状/曲げられており、(F)は接合された最終電極、タブ、および/またはリードである。
【
図8】3つの部品(2つの頭部および1つの脚部)から構成される接合部およびそれらを組み立てる方法の概略例を示す図である。
【
図9】集電体としてカーボンペーパーを使用するカソード電極にアルミニウムタブを接続するアルミニウム接合部の使用を例示するための画像である。電極の正面図を左側に示し、電極の背面図を右側に示す。
【
図10】2つの多孔質集電体の間に積層された乾式電極複合材料(粉末形態では、3mg cm
-2)を用いて作製されたセルの形成サイクル後の、0.6Cレートでの比放電容量を示す図である。電極組成物にはバインダーも余分な導電性炭素も使用しなかった。
【
図11】2つの多孔質集電体の間に積層された乾燥電極複合材料(粉末形態では、3mg cm
-2)を用いて作製されたセルの、0.1Cレートでの比充電/放電容量プロファイルを示す図である。電極組成物にはバインダーも余分な導電性炭素も使用しなかった。
【発明を実施するための形態】
【0072】
典型的には、Liイオン電池およびLi-S電池は、それぞれ25~30mg cm-2および1~5mg cm-2の活物質負荷を有する。アルカリ硫黄電池の電極への活物質負荷を増加させると、電極バルク全体の導電性が低下し、電極のウェッティングが悪化し、活物質の利用が不十分になり、セル分極が増加するというコストがかかる。
【0073】
電子が電池電極に出入りすることを可能にするために、電極活物質が集電体と電子的に連通し、次いで集電体が外部負荷と電子的に連通することが有用である。電池サイクル中に、電極に応力が発生する可能性があり、活物質とその集電体との間の接触が破壊され、電池の性能低下または故障を引き起こす可能性がある。
【0074】
本発明者らは、接続構成要素を介在させて2つ以上の電極層として積層することにより、電極への活物質負荷を増大させることができることを見出した。次いで、これらの層を積層することができる。接続構成要素は、2つ以上の電極層を分離するのに役立ち、同様または異種の質量負荷を有する導電性多孔質基材であってもよく、単一の電極を形成し、電極上の面積当たりの高い活物質負荷をもたらし、それによって面積容量を増加させ、電池のエネルギー密度を改善する。
【0075】
例えば、電極材料は、面積容量を改善するために多孔質および電子伝導性基材と直接積層することができる。これにより、体積エネルギー密度および重量エネルギー密度が向上し、スケーラブルで持続可能な製造が容易になる。集電体として作用する導電性基材の直接接触は、セルの分極を減少させ、電子伝導性を改善する。これにより、より高いレートの電力能力が提供される。電極複合材料を多孔質基材間に制限することは、不可逆的な容量損失を防止する電解質可溶性電気活性種の保持に役立つ。これにより、サイクル寿命およびクーロン効率が向上する。さらに、複数の積層電極構成は、導電性基材の細孔内への体積膨張の余地を提供し、体積変化によって引き起こされる構造崩壊による材料の損失を防止する。このようにして、より高い活物質利用、容量および容量維持を達成することができる。さらに、より高い体積膨張の問題を伴うケイ素および硫黄のような高容量材料の使用を可能にする。
【0076】
したがって、本発明は、
a)複数の多孔質導電性基材と、
b)複数の多孔質導電性基材の間に挟まれ、複数の多孔質導電性基材と電気的に連通している、電極複合材料の少なくとも1つの層と
を備え、
電極複合材料が、複数の多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している、電極を提供する。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明は、
a)複数の多孔質導電性基材と、
b)電極複合材料の少なくとも2つの層であって、電極複合材料の各層が多孔質導電性基材の間に挟まれ、電極複合材料の少なくとも2つの層が多孔質導電性基材と電気的に連通している、電極複合材料の少なくとも2つの層と
を備え、
電極複合材料が、複数の多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している、電極を提供する。
【0078】
電極複合材料の少なくとも単一層または複数層を積層および圧縮して、すべての層が物理的に分離されているが、追加のタブを使用せずに電子的に接続されている単一の分割不可能な電極を形成することができる。電極の外部面は多孔質導電性基材によってコーティングされており、したがって電極複合材料を内部で電気的に保護する。多孔質導電性基材は、集電体としてだけでなく、その多孔性により、電気活物質および電解質可溶性活物質の活性フィルタまたはトラップとしても機能する。この機能は、セパレータによって実行することができない最終的な体積変化に起因するコーティングの構造的崩壊を含む、電気的接触を失う電解質可溶性活物質に付随した問題に対処するのに役立つ。さらに、多孔質導電性基材内に存在する多孔度は、電極複合材料の均一な湿潤に役立つ。これはまた、電極内の深い電極複合材料を電解質と接触させることができるように、電解質が電極に均一に浸透することを可能にする。
【0079】
いくつかの実施形態では、複数の多孔質導電性基材および電極複合材料の層は、互いに積層される。いくつかの実施形態では、複数の多孔質導電性基材および電極複合材料の少なくとも2つの層は、互いに積層される。本明細書で使用される場合、「積層体」は、層の界面が一緒に融着されるように一緒に圧延または圧縮された2つ以上の材料層を指す。積層体は、熱、圧力、溶接、または接着剤を使用して作成された恒久的に組み立てられた物体である。様々なコーティング機、機械プレス、およびカレンダ加工装置を使用することができる。本文脈において、材料の層は、電極複合材料の層と界接された(interfaced with)多孔質導電性基材の層であってもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している。このようにして、電極複合材料の層は互いに物理的に分離される。他の実施形態では、電極複合材料は多孔質導電性基材に完全に含浸している。これは、多孔質導電性基材の押出を損なうことなく、すなわち、電極複合材料が多孔質導電性基材の一方の表面から多孔質導電性基材の反対側の表面を通過することを損なうことなく行われる。含浸は、電極の導電性を高め、挟まれることにより、電解質への材料の溶解を防ぐ。このタイプの電極は、多硫化物の溶解が課題であるLi-S電池のカソード、およびマンガンの溶解が課題であるLiMn2O4カソードの構築に特に有用である。また、体積膨張の余地を提供し、活物質の枯れを防止し、ケイ素系アノードに非常に有用である。
【0081】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、多孔質導電性基材に少なくとも約10%含浸している。これに関して、多孔質導電性基材の厚さ(または体積)の10%が電極複合材料を含む。他の実施形態では、電極複合材料は、多孔質導電性基材に少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%、または約100%含浸している。
【0082】
電極複合材料は、その各平面側が多孔質導電性基材に接続されるように配置される。これに関して、電極は、外部に面する、多孔質導電性基材を含む側面を有する。多孔質導電性基材を外部表面に有することにより、内部電極複合材料は酸化から保護される。
【0083】
電極は、実質的に同じ寸法の多孔質導電性基材および電極複合材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材および電極複合材料の層は、実質的に同じ平面面積を有する。このようにして形成されると、電極複合材料の縁部(または側面)が露出され、すなわち、多孔質導電性基材によって覆われていない。
【0084】
代替的に、電極複合材料は、多孔質導電性基材の寸法よりも小さい寸法を有することができる。電極複合材料が多孔質導電性基材を中心とする層として塗布される場合、これは電極複合材料を取り囲む境界をもたらす。境界は、約1mm~約10cm、または約1mm~約9cm、約1mm~約8cm、約1mm~約7cm、約1mm~約6cm、約1mm~約5cm、約1mm~約4cm、約1mm~約3cm、約1mm~約2cm、または約1mm~約1cmの厚さを有することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、電極複合材料の層の平面面積よりも約1%~約50%だけ大きい平面面積によって特徴付けられる。他の実施形態では、サイズ差は、約1%~約45%、約1%~約40%、約1%~約35%、約1%~約30%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、または約1%~約10%である。
【0086】
したがって、形成された電極は、多孔質導電性基材によって完全に包まれた電極複合材料の層を備える。これは、電極複合材料の酸化速度を最小限に抑え、したがって電極の寿命を延ばす。
【0087】
境界は、バインダーで充填することができる。いくつかの実施形態では、電極は、電極の側面と接触するバインダーをさらに含む。これにより、電極複合材料の側面を多孔質導電性基材に電気的に接続することができる。
【0088】
電子伝導性バインダーとしては、グラフェンポリマーバインダーおよびポリフルオレンポリマーバインダーなどの導電性ポリマーバインダー、ならびに導電性粒子添加剤を有するバインダーが挙げられる。
【0089】
バインダーは、非水性バインダー、水性バインダー、またはそれらの組み合わせであってもよい。バインダーとしては、集電体上で活物質と導電性材料とを結着させると同時に(simultaneously)(または共に(concurrently))電気化学的に劣化しないものであれば、特に限定されない。
【0090】
非水性バインダーは、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシド含有ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミド、またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
【0091】
水性バインダーは、ゴム系、ポリマー樹脂、または多糖類バインダーを含むがこれらに限定されない天然、修飾、または合成材料のいずれかとすることができる。ゴム系バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、アクリル化スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、およびそれらの組み合わせから選択することができる。ポリマー樹脂バインダーは、エチレンプロピレン共重合体、エピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールおよびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0092】
多糖類バインダーは、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはそれらのアルカリ金属塩、トラガカントゴム、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、カラヤガム、キトサン、アルギン酸ナトリウム、シクロデキストリン、デンプン、およびそれらの組み合わせから選択することができる。アルカリ金属は、Na、KまたはLiであってもよい。このようなセルロース系化合物は、活物質100重量部に対して約0.1重量部~約20重量部の量で含まれていてもよい。本明細書で言及され得る好ましいバインダーは、カルボキシルメチルセルロースのナトリウム塩、アラビアガム、ポリビニルアルコール、またはそれらの組み合わせである。
【0093】
いくつかの実施形態では、バインダーは、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデンまたはそれらの組み合わせである。
【0094】
電極複合材料は、2つ以上の構成材料から製造される材料であり、その1つが電気化学的な充電/放電反応に関与する化学的活物質である。参考までに、ケイ素の理論容量は4200mAh/gである。リチウムイオン電極用の高容量材料の例には、結晶ケイ素、非晶質ケイ素、ケイ化物、酸化ケイ素、副酸化物、およびオキシ窒化物などの様々なケイ素含有材料を挙げることができる。他の例としては、硫黄、および炭素、金属もしくは金属酸化物とのその複合体、スズ含有材料(スズおよび酸化スズなど)、遷移金属硫化物およびセレン化物、ゲルマニウム含有材料、炭素含有材料、様々な金属水素化物(水素化マグネシウムなど)、ケイ化物、リン化物、および窒化物が挙げられる。さらに他の例には、炭素被覆ケイ素、ケイ素被覆炭素、ケイ素でドープされた炭素、炭素でドープされたケイ素、ならびに炭素およびケイ素を含む合金などの炭素-ケイ素の組み合わせが挙げられる。炭素とゲルマニウムとの同様の組み合わせ、および炭素とスズとの同様の組み合わせが使用されてもよい。様々なアルミニウム含有材料も同様に使用することができる。
【0095】
リチウムイオン電池用の活物質の他の例には、コバルト酸リチウムおよびリン酸鉄リチウム(例えば、カソードの場合)ならびにグラファイトまたは炭素の他の形態(例えば、アノードの場合)を挙げることができる。高容量活物質を含む活物質から形成された構造は、組成、結晶構造(例えば、結晶性、非晶質)、堆積プロセスパラメータ、および他の多くの要因に応じて、様々な形状および寸法(例えば、球状、チューブ状、繊維状形態)を有してもよい。形状およびサイズは、サイクル中にも変化する場合がある。
【0096】
高容量活物質を含む活物質は、一般に、断面寸法が一般に、その破断限界未満であるような構造に形成することができる。特定の実施形態では、断面寸法は、約1nm~10,000nmである。いくつかの実施形態では、断面寸法は、約5nm~1000nm、より具体的には10nm~200nmである。これらの寸法範囲は、一般に、非晶質または結晶ケイ素などの高容量活物質を含むケイ素に適用可能である。
【0097】
高容量活物質を含む活物質は、1,000nm未満の断面寸法、すなわち少なくとも1つのナノスケール寸法を有する様々なタイプのナノ構造に形成することができる。ナノ構造のいくつかの例には、1つの軸に沿ってナノスケール寸法を有するナノフィルム、2つの軸に沿ってナノスケール寸法を有するナノワイヤ、および3つすべての軸に沿ってナノスケール寸法を有するナノ粒子が含まれる。
【0098】
いくつかの実施形態では、電極複合材料の各層は、独立して、約0.1μm~約1000μmの厚さによって特徴付けられる。他の実施形態では、厚さは、約0.2μm~約1000μm、約0.3μm~約1000μm、約0.4μm~約1000μm、約0.5μm~約1000μm、約0.6μm~約1000μm、約0.7μm~約1000μm、約0.8μm~約1000μm、約0.9μm~約1000μm、約1μm~約1000μm、約10μm~約1000μm、約50μm~約1000μm、約100μm~約1000μm、約150μm~約1000μm、約200μm~約1000μm、約250μm~約1000μm、約300μm~約1000μm、約350μm~約1000μm、約400μm~約1000μm、約500μm~約1000μm、約600μm~約1000μm、約700μm~約1000μm、または約800μm~約1000μmである。
【0099】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、炭素系材料、金属系材料、金属酸化物系材料、電気化学的活物質、ポリマー材料またはそれらの組み合わせを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、炭素系材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、グラフェンまたはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、導電性ナノ粒子は、グラフェン、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、銀ナノ粒子などの金属ナノ粒子、カーボンドット、またはそれらの組み合わせを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、導電性ナノ粒子は、ハロゲン化物、カルコゲナイド、金属、またはそれらの組み合わせの異なる酸化状態で表面官能化されている。いくつかの実施形態では、グラフェンナノプレートレットは、電気化学的活物質を形成するために硫黄で表面官能化されている。硫黄は、酸化還元活物質として作用し、変換プロセスを介して酸化還元反応を受ける。これは、Li-S電池のようなLi金属のような低電圧アノードに対するカソードとして、または高電圧カソードに対するアノードとして使用することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は金属系材料を含む。金属系材料は、バルク金属、金属粉末、金属繊維および/または金属系材料とすることができる。例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、ニオブなどの金属を使用することができる。
【0103】
電極複合材料は、乾燥粉末形態(固体状態)で多孔質導電性基材に含浸してもよい。これに関して、ポリマーバインダー、溶媒、または追加の導電性材料(必要に応じてスラリー形態)などの他の成分は添加されない。これは、製造プロセスを単純化し、その面積容量、体積エネルギー密度および/または重量エネルギー密度をさらに改善する。代替的に、電極複合材料は、スラリー(湿潤形態)として添加されてもよい。これらの場合、ポリマーバインダー、溶媒、または導電性材料などの他の成分を添加して、その流動および分散特性を改善することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性ポリマーが存在しないことによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性ポリマーを含む。導電性高分子は、ポリフェニレンおよびその誘導体であってもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性ナノ粒子が存在しないことによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性ナノ粒子の重量比は、約1重量%~約50重量%、約3重量%~約50重量%である。他の実施形態では、重量比は、約5重量%~約40重量%、約6重量%~約30重量%、約70重量%~約20重量%、約8重量%~約15重量%、約9重量%~約10重量%である。いくつかの実施形態では、重量比は、約50重量%、約40重量%、約30重量%、約20重量%、約10重量%、約5重量%、または約1重量%未満である。いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性ナノ粒子の重量比は、約10重量%である。
【0106】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、添加剤が存在しないことによって特徴付けられる。電極複合材料は、他の添加剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性フィラーをさらに含む。導電性充填物は、電極内の活物質間の電気的接触を改善し、それによって全体的な電極インピーダンスを低減するのに役立つ。
【0107】
いくつかの実施形態では、導電性フィラーは、導電性カーボン、グラフェンナノプレートレット、銀ナノ粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維などのようなカーボンナノ物体である。化学的変化を引き起こさない限り、導電性材料として任意の導電性材料を使用することができ、その例は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、グラフェンおよび/もしくは同様の炭素系材料、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、ニオブおよび/もしくは同様の金属粉末または金属繊維および/もしくは同様の金属系材料、ポリフェニレン誘導体および/もしくは同様の導電性ポリマー、ならびに/またはそれらの混合物であってもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、導電性フィラーが存在しないことによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性フィラーの重量比は、約1重量%~約30重量%である。いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性フィラーの重量比は、約1重量%~約20重量%である。いくつかの実施形態では、重量比は、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約15重量%、約10重量%、約5重量%、または約1重量%未満である。いくつかの実施形態では、電極複合材料に対する導電性フィラーの重量比は、約10重量%である。
【0109】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、バインダーが存在しないことによって特徴付けられる。電極複合材料は、活物質を集電体基材に付着させるためのバインダーをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、電極複合材料は、バインダーをさらに含む。
【0110】
バインダーは、非水性バインダー、水性バインダー、またはそれらの組み合わせであってもよい。バインダーとしては、集電体上で活物質と導電性材料とを結着させると同時に(または共に)電気化学的に劣化しないものであれば、特に限定されない。
【0111】
非水性バインダーは、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシド含有ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミド、またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
【0112】
水性バインダーは、ゴム系、ポリマー樹脂、または多糖類バインダーを含むがこれらに限定されない天然、修飾、または合成材料のいずれかとすることができる。ゴム系バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、アクリル化スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、およびそれらの組み合わせから選択することができる。ポリマー樹脂バインダーは、エチレンプロピレン共重合体、エピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールおよびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0113】
多糖類バインダーは、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはそれらのアルカリ金属塩、トラガカントゴム、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、カラヤガム、キトサン、アルギン酸ナトリウム、シクロデキストリン、デンプン、およびそれらの組み合わせから選択することができる。アルカリ金属は、Na、KまたはLiであってもよい。このようなセルロース系化合物は、活物質100重量部に対して約0.1重量部~約20重量部の量で含まれていてもよい。本明細書で言及され得る好ましいバインダーは、カルボキシルメチルセルロースのナトリウム塩、アラビアガム、ポリビニルアルコール、またはそれらの組み合わせである。
【0114】
いくつかの実施形態では、バインダーはアラビアガム、ポリビニルアルコール、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、アラビアガム、セルロースガム、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、またはそれらの組み合わせである。
【0115】
いくつかの実施形態では、アラビアガム対ポリビニルアルコールの比は、約1:1である。
【0116】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、バインダーが存在しないことによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、電極複合材料に対するバインダーの重量比は、約1重量%~約20重量%である。他の実施形態では、重量比は、約2重量%~約20重量%、約4重量%~約20重量%、約6重量%~約20重量%、約8重量%~約20重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約18重量%、約10重量%~約16重量%、約10重量%~約14重量%、または約10重量%~約12重量%である。いくつかの実施形態では、重量比は、約20重量%、約18重量%、約16重量%、約15重量%、約10重量%、約5重量%、または約1重量%未満である。いくつかの実施形態では、電極複合材料に対するバインダーの重量比は、約10重量%である。
【0117】
電極は、電極複合材料の複数の層を含むことができる。他の実施形態では、少なくとも3つの層が存在する。これらのすべての実施形態において、各電極複合材料層は、多孔質導電性基材によって互いに分離され、多孔質導電性基材は、少なくとも電極の外部平面を形成する。電極複合材料層は、同じであってもよく、または各層に異なる容量を提供するように、それぞれ異種の活物質および/もしくは添加剤を含んでもよい。
【0118】
本明細書で使用される場合、「基材」は、化学反応を実行または支持することができる表面である。したがって、多孔質導電性基材は、電荷に対しても導電性である多孔質表面を提供する。基材は、様々な厚さの(巨視的な意味で)平坦なシートとすることができる。
【0119】
多孔質導電性基材または多孔質集電体材料は、活物質よりも電子伝導性が高い材料である。いくつかの実施形態では、集電体層は、存在する場合、集電体基材の導電率以下の導電率を有してもよい。いくつかの実施形態では、材料は、集電体層の単位表面積当たりの接触抵抗が10オームセンチメートル平方未満であるようなものである。
【0120】
材料の例には、銅、ニッケル、クロム、タングステンなどの金属、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、炭素、導電性ポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施態様では、集電体層は、ナノファイバー、ナノワイヤ、およびナノチューブネットワークを含むナノ材料ネットワークとすることができる。ナノ材料ネットワークのさらなる例は、球体、コーン、ロッド、チューブ、ワイヤ、アーク、ベルト、サドル、フレーク、楕円体、メッシュ、ラミネートフォーム、テープ、およびそれらの組み合わせのネットワークを含むことができる。ネットワークは、いくつかの実施態様では、不均一な連続フィルムであってもよい。すなわち、フィルムは、電気化学種がフィルムを通って輸送されることを可能にしながら、1つ以上の連続的な導電経路を提供する。本明細書に記載の任意の集電体に電子伝導性バインダーを添加することもできる。さらに、本明細書に記載の材料の組み合わせを使用して、集電体層を形成することができる。
【0121】
集電体層がナノ構造であるいくつかの実施態様では、ナノ構造は、その最長寸法が、下にある層に、または存在する場合は集電体基材の平面にほぼ平行な方向に延びるように配向されてもよい。
【0122】
上記のように、いくつかの実施態様では、集電体層は炭素を含む。炭素は、例えば、炭素繊維またはチューブ、グラファイト、グラフェン、および/または炭素シートであってもよい。一構成では、炭素は、ナノファイバーまたはナノチューブなどの線状カーボンナノ構造の形態である。ナノ構造は、活物質層の上に網目を形成することができる。別の構成では、炭素は、グラフェンの1つ以上の層を含むグラフェンシートの形態である。別の構成では、炭素は非晶質炭素の形態である。
【0123】
いくつかの実施態様では、集電体層は、銅またはニッケルなどの金属を含む。一構成では、金属は、ナノワイヤなどの線状ナノ構造の形態である。ナノ構造は、活物質層の上に網目を形成することができる。別の構成では、金属は、金属の1つ以上の原子層を含む薄いシートの形態である。このような構成では、薄いシートが不均一に分布する場合がある。
【0124】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は非金属多孔質導電性基材である。これにより、金属集電体(例えばアルミニウム)で典型的に観察される副反応(例えば、Cu、Fe、Niの酸化)またはめっきが防止される。
【0125】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフォーム、炭素繊維、多孔質金属構造体、グリッドおよびフォーム、多孔質導電性ポリマー、導電性ポリマーゲルおよびエアロゲル、薄膜、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0126】
多孔度は、材料中の空隙(すなわち、「空」)空間の尺度であり、全体積に対する空隙の体積の割合であって、0~1、またはパーセンテージとして0%~100%である。多孔度は、例えば、共焦点顕微鏡法、形状測定装置、AFMまたはガス吸収分析法(ガス吸収多孔度計など)を使用して測定することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、約1nm~約20,000nmの細孔径を有する。他の実施形態では、細孔径は、約100nm~約20,000nm、約200nm~約20,000nm、約300nm~約20,000nm、約400nm~約20,000nm、約500nm~約20,000nm、約500nm~約18,000nm、約500nm~約15,000nm、約500nm~約10,000nm、約500nm~約5,000nm、または約500nm~約2,000nmである。
【0128】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、約10~約50ガーレー単位の面通過通気度を有する。ガーレー秒またはガーレー単位は、指定された量の空気が指定された圧力下でセパレータの指定された領域を通過するのに必要な時間の関数として通気度を表す単位である。具体的には、100立方センチメートル(1デシリットル)の空気が4.88インチの水(0.176psi)の圧力差で1.0平方インチの所与の材料を通過するのに必要な秒数として定義される(ISO5636-5:2003)。他の実施形態では、面通過通気度は、約15~約50ガーレー単位、約15~約45ガーレー単位、約20~約45ガーレー単位、約25~約45ガーレー単位、約30~約45ガーレー単位、または約30~約40ガーレー単位である。他の実施形態では、面通過通気度は約35ガーレー単位である。
【0129】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、約30%~約90%の多孔度を有する。他の実施形態では、多孔度は、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、または約80%~約90%である。
【0130】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、約60%~約90%の見かけの多孔度を有する。見かけの多孔度は、ある体積の多孔質固体中に存在する空隙(または細孔)の量として定義することができる。他の実施形態では、見かけの多孔度は、約65%~約90%、約70%~約90%、約70%~約85%、または約75%~約80%である。
【0131】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、約50%~約90%の連結多孔度を有する。連結多孔度は、基材の体積または部分体積の境界間に中断されない経路が存在する空隙空間として定義することができる。連結多孔度は、岩石に流入することができる気体または液体の体積によって測定することができるが、流体は連結されていない細孔にアクセスすることができない。他の実施形態では、連結多孔度は、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、または約55%~約75%である。
【0132】
いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は表面官能化されている。いくつかの実施形態では、多孔質導電性材料は、遷移金属硫化物、遷移金属セレン化物、ハロゲン化物、金属イオン、ナノ粒子、金属酸化物、またはそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、多孔質導電性基材は、遷移金属硫化物またはセレン化物(例えば、NbS2、MoS2、CoS2、NbSe2)またはハロゲン化物(例えば、F、Cl、br)または金属イオン/ナノ粒子(例えば、Cu、Al、Li、K、Na、Ag、Au、Ti、W、Ta、Nb)または金属酸化物(例えば、Ti4O7、TiO2、SiO2、Al2O3)で官能化されている。
【0133】
いくつかの実施形態では、電極複合材料と末端との間の多孔質導電性基材は、独立して、約10μm~約1000μmの厚さによって特徴付けられる。他の実施形態では、厚さは、約10μm~約900μm、約10μm~約800μm、約10μm~約700μm、約10μm~約600μm、約10μm~約500μm、約10μm~約400μm、約10μm~約300μm、または約10μm~約200μmである。例えば、カーボンペーパーを使用する場合、1枚のカーボンペーパーの厚さは115μm程度である。複数枚のカーボンペーパーを使用することができる。2枚のカーボンペーパーを積層して圧縮すると、約175μmの厚さが得られる。
【0134】
いくつかの実施形態では、電極は、電極複合材料の間にセパレータが存在しないことによって特徴付けられる。セパレータは、電極複合材料の間に配置される透過性膜である。セパレータは、電気化学セル内の電流の通過中に回路を閉じるのに必要なイオン電荷担体の輸送を可能にしながら、電気的連通を防ぐために2つの電極複合材料を離しておくように機能する。セルを組み立てている間のみ、アノードとカソードとの間にセパレータが必要とされる場合があり、セパレータは、積層された電極から別々に作製することができる。典型的なセパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなどである。
【0135】
例えば、電極複合材料の層を挟むための多孔質導電性基材として、2枚のカーボンペーパーを使用することができる。積層後、電極全体(2枚のカーボンペーパー+電極材料)の最終的な厚さは、1枚のカーボンペーパー単独と同じであってもよい。このようにして、体積エネルギー密度は損なわれない。
【0136】
いくつかの実施形態では、電極が活物質として硫黄を含む場合、約50mAh g活物質
-1~約4000mAh g活物質
-1の放電容量によって特徴付けられる。他の実施形態では、放電容量は、約200mAh gS
-1~約1,450mAh gS
-1、約200mAh gS
-1~約1,300mAh gS
-1、約200mAh gS
-1~約1,250mAh gS
-1、約400mAh gS
-1~約1,250mAh gS
-1、約600mAh gS
-1~約1250mAh gS
-1、約700mAh gS
-1~約1250mAh gS
-1、または約800mAh gS
-1~約1250mAh gS
-1である。いくつかの実施形態では、電極は、約1,240mAh gS
-1の放電容量によって特徴付けられる。
【0137】
いくつかの実施形態では、電極がNMC811(ニッケル80%、マンガン10%、コバルト10%の組成)を含む場合、約200mAh g活物質
-1の放電容量によって特徴付けられる。
【0138】
いくつかの実施形態では、電極は、約2mAh cm-2~約100mAh cm-2の面積容量によって特徴付けられる。他の実施形態では、面積容量は、約3mAh cm-2~約50mAh cm-2、約4mAh cm-2~約25mAh cm-2、約5mAh cm-2~約20mAh cm-2、約6mAh cm-2~約10mAh cm-2、約7mAh cm-2~約10mAh cm-2、または約8mAh cm-2~約10mAh cm-2である。
【0139】
いくつかの実施形態では、電極は、約500Wh L-1~約1000Wh L-1の体積エネルギー密度によって特徴付けられる。他の実施形態では、体積エネルギー密度は、約300Wh L-1~約800Wh L-1、約400Wh L-1~約800Wh L-1、約500Wh L-1~約800Wh L-1、約600Wh L-1~約800Wh L-1、または約700Wh L-1~約800Wh L-1である。
【0140】
いくつかの実施形態では、電極は、約40Wh kg-1~約600Wh kg-1の重量エネルギー密度によって特徴付けられる。他の実施形態では、重量エネルギー密度は、約100Wh kg-1~約600Wh kg-1、約150Wh kg-1~約600Wh kg-1、約200Wh kg-1~約600Wh kg-1、約250Wh kg-1~約600Wh kg-1、約300Wh kg-1~約600Wh kg-1、約350Wh kg-1~約600Wh kg-1、約400Wh kg-1~約600Wh kg-1、約450Wh kg-1~約600Wh kg-1、または約500Wh kg-1~約600Wh kg-1である。
【0141】
いくつかの実施形態では、電極は、約1.5S cm-1~約100S cm-1の電子伝導性によって特徴付けられる。他の実施形態では、電子伝導性は、約1.5S cm-1~約100S cm-1、約2S cm-1~約100S cm-1、約5S cm-1~約100S cm-1、約10S cm-1~約100S cm-1、約20S cm-1~約100S cm-1、約30S cm-1~約100S cm-1、約40S cm-1~約100S cm-1、約50S cm-1~約100S cm-1、約60S cm-1~約100S cm-1、約70S cm-1~約100S cm-1、または約80S cm-1~約100S cm-1である。
【0142】
いくつかの実施形態では、電極は、電極の初期容量に対して約5%~約50%の容量損失によって特徴付けられる。他の実施形態では、容量損失は、約5%~約45%、約5%~約40%、約5%~約35%、約5%~約30%、約5%~約25%、約5%~約20%、または約5%~約15%である。
【0143】
いくつかの実施形態では、電極は、約70%~約100%のクーロン効率によって特徴付けられる。他の実施形態では、クーロン効率は、約75%~約100%、約80%~約100%、約85%~約100%、約90%~約100%、または約95%~約100%である。
【0144】
いくつかの実施形態では、電極は、40サイクルを超えるサイクル寿命によって特徴付けられる。
【0145】
いくつかの実施形態では、硫黄が活物質である場合、電極は、約0.25の電流レートで40サイクルを超えるサイクル寿命、約900mAh gS
-1の放電容量、および90%を超えるクーロン効率が得られることによって特徴付けられる。
【0146】
いくつかの実施形態では、電極は、電極を貫通するように適合された接合部をさらに備える。例えば、接合部が電極を貫通してもよい。いくつかの実施形態では、接合部は、電極に形成可能な貫通孔を貫通するように適合される。
【0147】
接合部は、電極を電池、セルまたは電気システムの他の構成要素に電気的に接続する役割を果たす。本発明者らは、集電体または自立電極(例えば、固体電池に使用される)として使用される特定の材料の特性に関する特異性が、接触タブまたはリードがそれらに取り付けられることを禁止する(または少なくともそれらの接続性を制限する)が、この分野で一般的に使用される溶接方法に起因することをさらに見出した。そのような材料の例は、炭素系集電体(例えば、カーボンペーパー、カーボンフォーム、カーボンクロス、炭素繊維など)ならびにアルカリおよびアルカリ土類金属/合金電極箔である。この目的のために、本発明者らは、接合部を使用してこれらの問題を克服または少なくとも改善することができることを見出した。
【0148】
例えば、接合部を使用して、1つ以上の電極を互いに接続/結着/接合することができる。接合部はまた、1つ以上の電極を接触タブ/リードに接続するために使用することができる。接合部はまた、個々のセルからの1つ以上のリードを接触タブに接続して、それらの間の物理的接触を達成するために使用することができる。接合部を使用することにより、溶接の必要性が回避される。接合部は、集電体と金属タブ/リードとの間の機械的抵抗接続を可能にし、システム全体(タブ/リード+集電体)の導電性を損なうことも変化させることもない。集電体のみを介して測定された導電率は、接合部/タブ(
図9)を用いて測定した場合と同じであるため、これは接合部が導電率を損なわないことを示している。
【0149】
溶接時に融着を引き起こす部品を一緒に溶融する高熱の代わりに接合部を使用することにより、電極(例えば、炭素系集電体ならびにアルカリおよびアルカリ土類金属/合金電極箔)用の集電体として溶接不可能な材料の使用が可能になる。接合部はまた、単純で自動化可能な方法として製造プロセスに統合することができ、したがってスケーラブルである。溶接と比較してエネルギー消費が少なく、エネルギーを節約し、コストを削減する。接合部は、溶接と比較してより堅牢で耐久性のある接合を提供し、より低い電池故障およびバッチ不合格をもたらし、可撓性電池および脆弱な電極に適していることが分かった。接合部はカスタマイズ可能であるため、様々な電池用途、構成、および化学現象に使用することができる。接合部はまた、液体電解質電池および固体電池での使用にも適している。さらに、溶接の制御不能な形成に起因する過剰なエネルギー損失および局所的な加熱も回避される。
【0150】
いくつかの実施形態では、接合部は、電極を実質的に貫通するように適合された本体を備える。例えば、本体は、電極を貫通するために少なくとも1つのテーパ状端部を備えてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、本体は、円、楕円、または多角形から選択される断面形状によって特徴付けられる。多角形は、三角形、正方形、菱形、長方形、星形、五角形または六角形であってもよい。異なる断面形状を使用することにより、より多くの接触点を作成することができるように表面積を増加させることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、本体は中空である。
【0153】
いくつかの実施形態では、本体が多角形断面形状によって特徴付けられ、中空である場合、本体は多角形の縁部から延びる脚部を備える。
【0154】
いくつかの実施形態では、接合部は、本体の第1の端部に頭部をさらに備える。頭部は、本体が本体の第1の端部で電極から取り外されるのを防止する。
【0155】
いくつかの実施形態では、本体は、頭部を形成するように変形可能である。他の実施形態では、本体は、本体の第2の端部に頭部を形成するように変形可能である。これにより、電極との接合部が固定される。ここで、本体の長さは、電極の厚みよりも長い。
【0156】
いくつかの実施形態では、接合部は導電性材料を含む。いくつかの実施形態では、導電性材料は、金属、合金または複合体から選択される。いくつかの実施形態では、導電性材料は、ステンレス鋼、Al、Ti、Ni、またはCuから選択される。いくつかの実施形態では、電極がカソードである場合、導電性材料は、ステンレス鋼、Al、Ti、またはNiから選択される。いくつかの実施形態では、電極がアノードである場合、導電性材料は、ステンレス鋼、NiまたはCuから選択される。
【0157】
いくつかの実施形態では、接合部は、2つ以上の電極を電気的に接続するように適合される。いくつかの実施形態では、接合部は、少なくとも1つの電極を少なくとも1つの接触タブに電気的に接続するように適合される。いくつかの実施形態では、接合部は、少なくとも1つの電極を少なくとも1つのリードに電気的に接続するように適合される。いくつかの実施形態では、接合部は、少なくとも1つの接触タブを電極上の少なくとも1つのリードに電気的に接続するように適合される。接合部はまた、電極上の少なくとも1つの接触タブを少なくとも1つのリードに電気的に接続するために使用することができる。接合部はまた、少なくとも1つの接触タブを少なくとも1つのリードに電気的に接続するために使用することができる。
【0158】
本発明はまた、電極、および電極を貫通する接合部を提供する。
【0159】
いくつかの実施形態では、電極は貫通孔を含み、接合部は電極の貫通孔を貫通する。
【0160】
本発明はまた、本明細書に開示される接合部を提供する。
【0161】
本発明は、
a)少なくとも1つの電極層を形成するステップであって、少なくとも1つの電極層が、多孔質導電性基材の少なくとも表面上に電極複合材料の層をコーティングすることによって形成される、ステップと、
b)少なくとも1つの電極層を別の多孔質導電性基材と積層して、電極複合材料の層が多孔質導電性基材の間に挟まれるようにするステップであって、少なくとも1つの電極層が多孔質導電性基材と電気的に連通している、ステップと
を含み、
電極複合材料が、多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している、電極を製造する方法を提供する。
【0162】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップa)またはb)の多孔質導電性基材上に別の電極層を積層するステップをさらに含む。電極層は、多孔質導電性基材の表面に積層されていてもよい。表面は露出面、すなわち、電極複合材料でコーティングされていなくてもよい。このようにして、複数の電極層を構築して単一の電極を形成することができる。したがって、このステップを繰り返して電極の電極層を増やすことができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、電極を製造する方法は、
a)少なくとも2つの電極層を形成するステップであって、各電極層が、多孔質導電性基材の少なくとも表面上に電極複合材料の層をコーティングすることによって形成される、ステップと、
b)電極層を別の多孔質導電性基材と積層して、電極複合材料の各層が多孔質導電性基材の間に挟まれるようにするステップであって、少なくとも2つの電極層が多孔質導電性基材と電気的に連通している、ステップと
を含み、
電極複合材料は、多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸している。
【0164】
電極層は、第1の電極層上の電極複合材料の層が第2の電極層の多孔質導電性基材のコーティングされていない面に面するように、互いに隣接して積層されていてもよい。これにより、2つの電極層を互いに平行に形成することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップa)またはb)の多孔質導電性基材上に別の電極層を積層するステップをさらに含む。電極層は、多孔質導電性基材の表面に積層されていてもよい。表面は露出面、すなわち、電極複合材料でコーティングされていなくてもよい。このようにして、複数の電極層を構築して単一の電極を形成することができる。したがって、このステップを繰り返して電極の電極層を3層以上に増やすことができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、スラリー、パン生地状、ペースト、または粉末として提供される。
【0167】
いくつかの実施形態では、電極層を形成するステップは、電極複合材料を乾燥させることを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、電極層がスラリーである場合、約2時間~約24時間乾燥される。他の実施形態では、期間は、約4時間~約24時間、約6時間~約24時間、約8時間~約24時間、約10時間~約24時間、約12時間~約24時間、約12時間~約20時間、約14時間~約20時間、または約16時間~約20時間である。
【0169】
いくつかの実施形態では、電極層がスラリーである場合、約40℃~約80℃で乾燥される。他の実施形態では、温度は、約50℃~約80℃、または約50℃~約70℃である。いくつかの実施形態では、電極層を約60℃で乾燥させる。
【0170】
いくつかの実施形態では、電極複合材料は、約1mg cm-2~約100mg cm-2の多孔質導電性基材の表面上の質量負荷によって特徴付けられる。他の実施形態では、質量負荷は、約1mg cm-2~約90mg cm-2、約2mg cm-2~約80mg cm-2、約3mg cm-2~約70mg cm-2、約4mg cm-2~約60mg cm-2、約5mg cm-2~約50mg cm-2、または約10mg cm-2~約30mg cm-2である。いくつかの実施形態では、電極複合材料は、約10mg cm-2の多孔質導電性基材の表面上の質量負荷によって特徴付けられる。
【0171】
いくつかの実施形態では、積層するステップは、電極層および別の多孔質導電性基材に圧縮力を加えることを含む。圧縮力は、電極複合材料が多孔質導電性基材に少なくとも部分的に含浸することを可能にする。いくつかの実施形態では、圧縮力は、油圧プレス、重量プレス、ローラープレスまたは空気圧プレスによって提供される。いくつかの実施形態では、積層するステップは、電極層および別の多孔質導電性基材を積層することを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、本方法は、接合部を電極に接続するステップをさらに含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、接合部は、パンチングを介して、または電極に形成された貫通孔を介して電極に接続される。
【0174】
いくつかの実施形態では、接合部は本体を備え、本体は頭部を形成するように変形可能である。
【0175】
いくつかの実施形態では、本体は、頭部が電極の表面と実質的に平行になるように、本体の端部を曲げることによって変形される。いくつかの実施形態では、本体は、本体の長手方向軸から離れる方向に曲げられる。
【0176】
本発明はまた、接合部を電極に接続する方法であって、
a)接合部の本体を電極に通すステップと、
b)接合部を電極に接続するための頭部を形成するために、接合部の本体を変形させるステップと
を含む、方法を提供する。
【0177】
個別電極層の生産
電極の最適な性能に必要な活物質、導電性材料、バインダー、および任意の他の添加剤からなる電極組成物を多孔質導電性基材上にコーティングまたは堆積させて、個々の電極層(IEL)を生産することができる(
図1)。
【0178】
IELは、多孔質導電性基材の片面または両面に、類似または異なる量の活物質でコーティングすることができる。IELは、基材の長手方向表面全体を覆うようにコーティングすることができる。代替的に、コーティングは、コーティングの側縁との電子的接触を保証するために、基材の小さな部分がコーティングされないままである(したがって、IELを囲む境界を形成する)ように行うことができる。電子的接触を確実にする別の可能性は、導電性接着剤またはペースト(銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、グラフェンもしくはカーボンナノチューブまたは導電性炭素材料を含有する接着剤またはペーストまたはバインダー)を使用して接着または粘着すること、またはAl、Cu、Ni、Ti、PbもしくはWから作製された導電性材料を使用して基材を一緒にクランプすることである。
【0179】
積層電極(SE)の生産
IELは、電極複合材料を有するコーティングされた表面が互いに面し、IELの外側表面が基材のコーティングされていない面であるように、上下に重ねて配置される。スタックの数に応じて、IELの複数の両面コーティング層を、2つの片面コーティングIELの間に積層することができる(
図1)。
【0180】
次いで、積層されたIELを一緒にプレスしてSEを形成する。IEL積層間にはセパレータは配置されない。積層プロセスは、SEのバッチ生産のために油圧/空気圧プレスを使用して、またはSEの連続生産のためにローラープレスを使用して実施することができる(
図2)。
【0181】
導電性基材または集電体(CC)として、基材材料は電子伝導体であり、その構造を通るイオンの通過を可能にする。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフォーム、多孔質金属構造体(例えば、金属発泡体)、多孔質導電性ポリマー、導電性ポリマーゲルおよびエアロゲル、薄膜(例えば、とりわけ、CVD、PVD、TVDなどの堆積法によって生産される)などを集電体として使用することができる。
【0182】
最終SEは、外部表面上にコーティングを必要としない。基材が電解質可溶性および電気化学的に活性な種を保持するのを助け、したがって、例えば活物質損失中の不可逆的な容量損失、およびLi-S電池の場合には多硫化物のシャトルを防止するように、ECMをスタック間に封入することが見出された。集電体の表面は、この問題に対処するためのその作用を改善するために官能化または活性化することができる。それにもかかわらず、電子的な接触およびECMの積層構成への密封を保証するために、ECMによってコーティングされていない領域上に電子伝導性バインダーをコーティングすることもできる。
【0183】
図3は、単一のカソード電極を形成するために一緒に積層された2つの個別電極を用いて作製された電池セルの0.05電流レートでの第1の比放電容量を示す。初回放電容量は1,240mAh g
S
-1であった。
図4は、同じセルについて0.25の電流レートでの40サイクルを超える比放電容量を示す。セルは、この試験にわたって930mAh g
S
-1の平均容量および90%を超えるクーロン効率に戻った。
【0184】
したがって、本発明の電極は、エネルギーおよび/または出力密度を改善することができ、したがって、より厚い電極に関する活物質の未利用およびセル分極の問題を解決するのに役立つ。さらに、本発明の電極は、容量維持率も改善することができ、これは、電解質への溶解または体積膨張関連応力に起因するコーティングの構造崩壊に起因して電気化学的活物質が電極との電子的接触を失う電池電極の容量劣化に見られる主要な問題の1つである。これらの電極は、液体およびゲル-ポリマー電解質構成でも使用することができる。開示された方法はまた、スケーラブルであり、したがって製造に適している。
【0185】
接続用接合部
接合部は、1つ以上の部品から構成され、予め適合された頭部を有しても有しなくてもよい(
図5A)。接合部は、導電性材料(例えば、金属、合金、および複合体)から作製され、全体の導電性を確保することができる。
【0186】
好ましくは、接合部は、それらが使用される特定の電気化学セルの電解質および電極に関して非反応性の材料から作製されるべきである。例えば、Li-S電池では、カソードにアルミニウムが好ましく使用され、アノードに銅またはニッケルが好ましく使用される。
【0187】
電気化学セルは、異なるサイズおよび構成を有する。提案された接合部は、幾何学的形状に関して非依存性である。例えば、接合部は、ワイヤ形状、プレート形状、中空円筒形状、中空正方形形状、中空三角形形状、中空六角形形状などに作製することができる(
図5Bおよび
図5Cの例)。電気化学セル上の非活物質の重量を減らすことがしばしば望ましい。この観点から、接合部の脚部の形状は、重量を減らすように最適化することができる。例えば、サイズを小さくすることができ、または接合部の脚部にフランジ/孔を作製して材料含有量を除去し、それによって重量を除去することができる(
図5Bの例)。
【0188】
部品間の接触がそれらが挿入される電気化学セルよりも長期間にわたって持続することを保証するために、適切な形状およびサイズを選択しなければならない。
【0189】
例えば、寿命が1,000サイクルで寸法が40×20×3.5mm(L×W×H)の典型的なLiイオンパウチセルおよび幅が2mmのタブ/リードでは、接合部は、頭部によって接続された二股締結具の形状を有することができ、カソード用にはステンレス鋼、Al、Ti、またはNi、アノード用にはステンレス鋼、Ni、またはCuから作製することができる。この場合、接合部は少なくとも1,000サイクルの耐久性を有するべきである(
図6の方法の例)。
【0190】
例えば、290×216×7.1mm(L×W×H)の寸法を有するパウチセルは、電極、タブ、および/またはリードを通る孔(予め形成されている、または形成されていない)に挿入され、各側面でフレア状/カラー状/屈曲したリング形状(円筒形)またはエッジストリップ形状(例えば、立方体、六角形、三角形など)の接合部を使用することができる(
図7の方法の例)。
【0191】
機械的に脆弱な、薄い、または繊細な電極、タブ、および/またはリードを接合するために、2つの頭部および1つの本体を有する接合部を使用して、より高い機械的安定性および接合プロセスに対する耐性を促進することができる。このクラスの接合部は、2つ以上の部品(
図8では3つの部品の例)から構成される。
【実施例1】
【0192】
Li-S電池用積層電極(SE)の製造
Li-S電池に使用される正極用IELは、以下のようにして製造した。
・電極組成:80重量%硫黄グラフェンナノプレートレット、10重量%導電性炭素、およびバインダーとして10重量%ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
・基材:導電性カーボンペーパー
・質量負荷:3mg cm-2
複数のIELを製造し、積層前に60℃で一晩乾燥させた。2つのIELを油圧プレスを使用して一緒に積層した。
【実施例2】
【0193】
Li-S電池用積層電極(SE)の製造
Li-S電池に使用される正極用IELは、以下のようにして製造した。
・電極組成:100重量%硫黄グラフェンナノプレートレット
・基材:導電性カーボンペーパー
・質量負荷量:1~6mg cm-2
乾燥した電極複合材料を、油圧プレスを使用して多孔質集電体の間に積層した。
【0194】
この例における積層電極は、2つの基材と、電極複合材料の1つの層とを備える。
図10は、この電極を使用して作製されたセルの比放電容量を示す。これは、サイクル下での電極の性能を示す。
【0195】
図11は、乾式粉末法を使用して形成された電極の変化/放電プロファイルが、スラリーコーティング法によって得られた電極(
図3)と同様であることを示す。
【実施例3】
【0196】
Li-S電池におけるSEの電気化学試験
一例として、実施例1から得られたSEを、対電極および基準電極としてのLi金属に対するその電気化学的性能について評価した。セルの構成は、合成されたままの材料の性能を評価し、技術文献と比較するために可能な限り標準的に維持され、このことは、セルが容量、レート能力、サイクル寿命などを改善するように最適化または構成されなかったことを意味し、カソードの組成、電解質の組成、添加剤、電解質/硫黄比、層間などの多くの要因にも依存する。
【0197】
コインセルCR2032における電気化学試験手順:
・カソード:実施例1に記載のSEカソード
・セパレータ:Celgard 2325
・電解質組成:1,2-ジメトキシエタン:1,2-ジオキソラン(1:1 v/v)中の1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
・電解液量:40uL
・定電流サイクラー:Neware、モデルBTS4000、室温、放電カット電圧1.8V、および充電終止電圧2.37V
【0198】
記載された実施形態の様々な態様の多くのさらなる修正および置換が可能であることが理解されよう。したがって、記載された態様は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入るすべてのそのような変更、修正、および変形を包含することが意図されている。
【0199】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「備える、含む(comprise)」という単語、ならびに「備える、含む(comprises)」および「備える、含む(comprising)」などの変形は、記載された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外しないことを意味すると理解される。
【0200】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句および「から本質的になる(consists essentially of)」などの変形は、列挙された要素が必須である、すなわち本発明の必要な要素であることを示すと理解される。この語句は、本発明の特徴に実質的に影響を及ぼさない他の列挙されていない要素の存在を可能にするが、定義された方法の基本的かつ新規な特徴に影響を及ぼすであろう追加の不特定の要素を除外する。
【0201】
本明細書における任意の先行する刊行物(またはそれに由来する情報)または任意の公知の事項への言及は、その先行する刊行物(またはそれに由来する情報)または公知の事項が、本明細書が関連する努力の分野における共通の一般知識の一部を形成することの承認もしくは容認、または任意の形態の示唆として解釈されるものではなく、かつそのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】