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特表2024-537168マイクロ波放射を使用する照明デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】マイクロ波放射を使用する照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20241003BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20241003BHJP
   F21V 31/03 20060101ALI20241003BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241003BHJP
   F24F 8/20 20210101ALI20241003BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241003BHJP
【FI】
F21V33/00 400
A61L9/18
F21V31/03
F21V23/00 115
F24F8/20
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520859
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2022076783
(87)【国際公開番号】W WO2023057257
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】21201501.0
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】セプクハノフ ルスラン アクメドヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】デ サムベル マルク アンドレ
【テーマコード(参考)】
3K014
4C180
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014RB03
3K014RB07
4C180AA07
4C180CA10
4C180DD05
4C180HH05
4C180HH18
4C180KK04
4C180LL04
4C180LL11
4C180MM10
(57)【要約】
本発明は、ボリュームへマイクロ波を生成するためのマイクロ波ジェネレータであって、マイクロ波は、ボリュームを殺菌するためのものである、マイクロ波ジェネレータと、外部物体を照らすための光を発するための照明負荷と、ハウジングとを含む、照明デバイスであって、ハウジングは、ボリュームを囲み、マイクロ波がハウジングを通るのを防止する、及び、光を通すように構成される、照明デバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームへマイクロ波を生成するためのマイクロ波ジェネレータであって、前記マイクロ波は、前記ボリュームを殺菌するためのものである、マイクロ波ジェネレータと、
外部物体を照らすための光を発するための照明負荷と、
ハウジングと、
を含む、照明デバイスであって、
前記ハウジングは、前記ボリュームを囲み、前記マイクロ波が前記ハウジングを通るのを防止する、及び、前記光を通すように構成され、
当該照明デバイスは、空間内の存在を検出するための存在センサを含み、存在の検出時に、前記マイクロ波ジェネレータがアクティブにされる、照明デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングは、複数の開口部を有し、前記複数の開口部の各開口部は、前記マイクロ波の波長の1/10以下の有効径を有する、請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
前記ハウジングは、表面を有し、
前記表面の少なくとも一部は、前記マイクロ波を反射するためのコーティングを含み、
前記表面は、前記マイクロ波ジェネレータに面し、前記マイクロ波が前記ボリュームへ反射される、請求項1又は2に記載の照明デバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは、導電性材料を含み、前記導電性材料は、前記マイクロ波が前記ハウジングを通るのを防止するように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項5】
前記導電性材料は、金属である、請求項4に記載の照明デバイス。
【請求項6】
前記マイクロ波ジェネレータは、300MHZから300GHzの間の周波数を有するマイクロ波を生成する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項7】
前記マイクロ波ジェネレータは、光源から独立して制御可能である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項8】
当該照明デバイスは、
空気が前記ボリュームに入る及び前記ボリュームから出ることをそれぞれ可能にする空気入口及び空気出口と、
前記空気が前記空気入口から前記空気出口へ流れるのを可能にするためのエアフロージェネレータと、
を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項9】
エアインレット及びエアアウトレットが、空気が前記照明負荷の冷却を提供するよう光源上を流れるように配される、請求項8に記載の照明デバイス。
【請求項10】
前記ハウジングは、非導電性の透明カバーを含む、請求項9に記載の照明デバイス。
【請求項11】
前記マイクロ波ジェネレータは、8.2GHzの周波数を有するマイクロ波を生成する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項12】
空気が、第1のロケーションにおいて前記ハウジングを介して前記ボリュームに供給され、装置が、前記ボリュームに入る空気を第1の電位にイオン化するための、前記第1のロケーションに結合されるイオナイザを含み、前記ハウジングは、前記第1の電位に設定される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項13】
前記照明負荷は、発光ダイオードを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項14】
照明デバイスのアレイであって、前記照明デバイスの各々は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のものであり、当該照明デバイスのアレイは、格子状に配置される、照明デバイスのアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイスに関する。本発明はさらに、照明デバイスのアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の病原体のアウトブレイクは、感染症と闘うためにより強力で、より効率的で、より速く、より安価で、より容易に利用できる方法に対する需要が高まっていることを示している。ウイルス等の病原体は、例えば、咳又はくしゃみをしているとき等、人間間の短距離粒子伝染を介して感染する可能性があるが、ウイルス粒子を含むエアロゾルを介して感染する可能性も大きい。エアロゾルは、人間によって、呼吸や会話等の通常の人間の機能中に生成される。ウイルス粒子を含むエアロゾル飛沫は、かなり長い時間空気中に存在する可能性があり、空間に存在する人々に危険をもたらす。緩和方法として、殺菌デバイスが、空気循環システム内に設置されることがよくある。これらのデバイスは空気をフィルターにかけ、エアロゾル飛沫内のウイルス粒子を不活性化してから空気を空間に戻し、斯くして、空気を殺菌する。
【0003】
最近の殺菌方法は、主に従来のUV-C(ultraviolet-C:深紫外線)ライトチューブ、エキシマランプ、又はキセノンランプに基づく、UV-Cベースの光殺菌システムの導入である。斯かるシステムでは、空気(及びそれに含まれるエアロゾル飛沫)がUV-C放射によって処理される。しかしながら、閾値線量限度を超えるUV-C殺菌光への暴露は、人間にとって非常に有害であり、目及び/又は皮膚の損傷をもたらす可能性がある。それゆえ、UV-C光が空調/循環システム内に隠される場合でも、漏れのリスクがあり、人々の健康を損なう可能性がある。このようなシステムが最も安全対策が施され、UV-C光漏れのリスクが最も低く設計されている場合でも、見込み顧客によって依然危険なものとして認識される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、UV-C殺菌システムに代わるより安全な手段を提供する照明デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を克服するために、本発明の第1の態様では、照明デバイスが提供される。照明デバイスは、
ボリューム(volume)へマイクロ波を生成するためのマイクロ波ジェネレータ(microwave generator)であって、マイクロ波は、ボリュームを殺菌するためのものである、マイクロ波ジェネレータと、
外部物体を照らすための光を発するための照明負荷と、
ハウジングと、
を含み、
ハウジングは、ボリュームを囲み、マイクロ波がハウジングを通るのを防止する、及び、光を通すように構成される。
【0006】
照明デバイスは、マイクロ波及び少なくとも一般照明光(general illumination light)を生成するために使用される。マイクロ波は、ボリュームへ発せられる。ボリュームは、マイクロ波によって殺菌される(disinfected)ことになる。ボリュームは、マイクロ波がハウジングを通るのを防止するように構成されるハウジングによって囲まれるため、マイクロ波はボリュームに封じ込められる(contained)。ハウジングは、ファラデーケージ(Faraday cage)と解釈されてもよい。照明デバイスは、外部物体を照らすための光を発するための照明負荷も有するため、ハウジングは、光が通ることを可能にするように適合される必要がある。これは、光が通ることを可能にするが、マイクロ波がボリュームから出るのを防止する少なくとも1つの開口部をハウジングに設けることによって行われてもよい。
【0007】
さらなる例において、ハウジングは、複数の開口部を有し、複数の開口部の各開口部は、マイクロ波の波長の1/10よりも小さい有効径(effective diameter)を有する。
【0008】
ハウジングに開口部を設けることにより、光は、容易にハウジングを通ることができる。開口部の有効径がマイクロ波の波長の1/10よりも小さい場合、マイクロ波は、ハウジングから抜け出す(escape)ことができず、開口部は、最適に光がハウジングを通ることを可能にするのに十分な大きさの表面を提供する。
【0009】
さらなる例において、ハウジングは、表面を有し、前記表面の少なくとも一部は、マイクロ波を反射するためのコーティングを含み、
前記表面は、マイクロ波ジェネレータに面し、マイクロ波がボリュームへ反射される。
【0010】
ハウジングがマイクロ波を反射するコーティングを備える場合、照明デバイスにおけるマイクロ波を生成する効率が向上されることができる。マイクロ波がハウジングを通ることを防止するために、ハウジングは、マイクロ波を吸収してもよい。ハウジングの吸収特性は、材料の厚さに依存してもよい。材料の厚さは様々であり得、例えば、下方の材料は、マイクロ波が下方に行くのを防止するように厚くし、側方の材料は、マイクロ波が抜け出し、人々と相互作用することなくランプの近傍の空気を殺菌することを可能にするように薄くすることができる。マイクロ波の少なくとも一部がボリュームへ反射して戻される場合、マイクロ波は、ハウジングによって吸収される代わりに、ボリュームを殺菌するために再利用されることができる。
【0011】
コーティングを有するハウジングの例は、可視光に対しては透明であるが、マイクロ波は反射する金属の薄層、例えば、nmの薄さの金層である。別の例は、金属線の微細なパターンを有する閉じた(closed)ポリマー又はガラスの透明カバーである。別の例は、可視光透過性であり、導電性でもあり得る、導電性ポリマーから作られるカバー材料である。
【0012】
さらなる例において、ハウジングは、導電性材料を含み、前記導電性材料は、マイクロ波がハウジングを通るのを防止するように構成される。
【0013】
ハウジングが導電性材料を備える場合、マイクロ波は、最も効率よくブロックされることができる。導電性材料は広く入手可能であり、所望のハウジングに成形するのが容易である。さらに、導電性材料は、例えばマイクロ波をボリュームへ反射して戻すことによる、非常に良好なマイクロ波反射ケイパビリティを有する。
【0014】
さらなる例において、導電性材料は、金属である。
【0015】
さらなる例において、マイクロ波ジェネレータは、300MHZから300GHzの間の周波数を有するマイクロ波を生成するように適合される。
【0016】
マイクロ波が300MHz及び300GHzの範囲内で生成される場合、病原体はこれらの波長を有するマイクロ波によって損傷又は破壊されることになるため、殺菌(disinfection)に使用されことができる。
【0017】
さらなる例において、マイクロ波ジェネレータは、光源から独立して制御可能であるように適合される。
【0018】
マイクロ波ジェネレータを光源から独立して制御することが望まれる場合がある。例えば、ライトがオフされている場合、マイクロ波ジェネレータをオンに保つことが望まれる場合があり、その逆の場合もある。
【0019】
さらなる例において、照明デバイスは、
空気がボリュームに入る及びボリュームから出ることをそれぞれ可能にする空気入口(air entry)及び空気出口(air exit)と、
空気が空気入口から空気出口へ流れるのを可能にするためのエアフロージェネレータ(air flow generator)と、
を含む。
【0020】
エアフロージェネレータ、例えば、ファンが、ボリュームを流れるエアフローを提供するために使用される場合、エアインレット(air inlet)及びエアアウトレット(air outlet)が望まれ得る。これは、ボリュームを流れるエアフローが調節される(regulated)ことを可能にする。エアフローの調節は、必要な殺菌の量(amount of disinfection)とリンクされてもよい。追加的に、又は代替的に、エアフローの調節は、生成されるマイクロ波の量とリンクされてもよい。
【0021】
さらなる例において、エアインレット及びエアアウトレットは、空気が照明負荷の冷却を提供するよう光源上を流れるように配される。
【0022】
空気が光源の上を流れるようなエアフローの場合、エアフローは光源のアクティブ冷却(active cooling)を提供することができ、光源を効果的に冷却し、寿命を延ばすことができる。
【0023】
さらなる例において、ハウジングは、非導電性の透明カバーを含む。
【0024】
望ましくない要素がボリュームに入るのを防止するために、非導電性の透明カバーがハウジングの内側又は外側に配されることができる。ハウジングは、マイクロ波がボリュームから出ることを防止し、カバーは、それ以外のものがボリュームに入ることを防止する。好ましくは、この場合、専用のエアインレット及びエアアウトレットが設けられる。
【0025】
さらなる例において、マイクロ波ジェネレータは、8.2GHzの周波数を有するマイクロ波を生成するように適合される。
【0026】
損傷又は破壊される必要のある病原体は、8.2GHzの波長を有するマイクロ波に最も脆弱である。この例において、8.2GHzは、インフルエンザウイルスを破壊するのに最も効果的な周波数である。マイクロ波ジェネレータは、複数の病原体が損傷又は破壊されることができるように、複数の周波数において複数のマイクロ波を提供してもよい。
【0027】
さらなる例において、空気が、第1のロケーションにおいてハウジングを介してボリュームに供給され、装置がさらに、ボリュームに入る空気を第1の電位にイオン化するための、第1のロケーションに結合されるイオナイザ(ionizer)を含み、ハウジングは、第1の電位に設定されるように適合される。
【0028】
マイクロ波ジェネレータに加えて、イオナイザが使用されることができる。イオナイザは、エアフロー内にイオンを発生させる。これらのイオンは、病原体及び/又は病原体を運ぶキャリア分子の少なくとも一部を損傷又は破壊し得る。さらに、病原体を運ぶ可能性のある空気中の粒子は、ハウジングと同じ電位に帯電され、それゆえ、粒子とハウジングの衝突の発生が少なくなる。
【0029】
さらなる例において、照明負荷は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)を含む。
【0030】
好ましくは、LEDが照明負荷として使用される。なぜなら、LEDは、非常に効率よく電気エネルギを可視光に変換するからである。
【0031】
さらなる例において、照明デバイスはさらに、空間内の存在を検出するための存在センサ(presence sensor)を含み、存在の検出時に、マイクロ波ジェネレータがアクティブにされる(activated)。
【0032】
存在センサが、人が部屋に入るのを検知するとマイクロ波ジェネレータをオンにするために使用されてもよい。部屋は建物内の専用の場所であり得るが、あらゆる種類の環境又はボリュームもまた、部屋と定義されることも理解されたい。存在が検出される場合にのみボリュームに入る空気を殺菌することが望まれる場合がある。部屋に誰も存在しない場合、殺菌することが不要である場合があるため、マイクロ波ジェネレータはオフにされてもよい。代替的に、又は追加的に、照明負荷も存在検出に応答してもよい。
【0033】
別の例では、照明デバイスのアレイが提供される。照明デバイスのアレイは、格子状に配置される。
【0034】
複数の照明デバイスが用いられ、格子状に配される場合、より大きなエアボリューム(larger volume of air)が効果的に殺菌される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
ここで、本発明の例が、添付の図面を参照して述べられる。
図1】照明デバイスの一例を示す。
図2】照明デバイスの改善例を示す。
図3】照明デバイスのさらなる改善例を示す。
図4】照明デバイスのさらなる改善例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明が、図を参照して述べられる。
【0037】
詳細な説明及び特定の例示は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すものであるが、説明のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び有利な点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されることになるであろう。図面は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことも理解されたい。同じ参照番号は、図面全体にわたって同じ又は類似の部分を示すために用いられることも理解されたい。
【0038】
図1は、照明デバイスの一例を示している。照明デバイスは、マイクロ波放射を生成するために使用されるマイクロ波ジェネレータ1を有する。照明デバイスはまた、外部物体を照らすための光を発する照明負荷2を有する。それゆえ、照明デバイスは、部屋の少なくとも一部を照らす等、一般照明に使用されることができる。照明デバイスは、ボリューム4を囲むハウジング3を有する。ハウジング3は、照明器具のすべてのコンポーネントが含まれる、照明器具の一部であることができる。これは、照明器具の例において、ハウジング3はマイクロ波ジェネレータ1及び照明負荷2を囲むことを意味する。マイクロ波ジェネレータ1及び照明負荷2は、制御ユニット7によって制御されてもよい。制御ユニット7もハウジング3によって囲まれてもよい。制御ユニット7は、マイクロ波ジェネレータ1及び照明負荷2に供給される電力を制御してもよい。制御ユニット7は、マイクロ波ジェネレータ1及び照明負荷2が互いに独立して制御されることができるように、マイクロ波ジェネレータ1及び照明負荷2への独立した電力制御を行ってもよい。照明負荷2を備える照明デバイスにマイクロ波ジェネレータ1を配することの大きな利点は、マイクロ波ジェネレータ1が、殺菌を行う必要のある場所の近く、すなわち、人々の近傍に位置することになることである。人々は部屋の照明を必要とし、マイクロ波ジェネレータ1の追加は、この部屋の空気の殺菌を可能にする。これは、部屋にいる人々に良好な照明及び良好な空気品質を提供することを可能にする。ハウジング3は、好ましくは、照明デバイスの近くに位置する人々がマイクロ波放射に曝されないように、マイクロ波ジェネレータ1によって生成されるマイクロ波放射がボリューム4から出るのを防止するように構成される。いくらかのマイクロ波放射が部屋に漏れたとしても、これは、部屋に存在する人々にとって有害ではないことに留意されたい。対照的に、部屋に漏れるUV-Cは人々にとって有害である。それゆえ、マイクロ波放射を用いる殺菌は、UV-Cを用いる殺菌よりも著しく安全であることに留意されたい。本発明は、人々にとって有利であるが、農業のコンテキストで動物に準用し、同じ利点を与えてもよい。ハウジング3は、ファラデーケージのように振る舞ってもよい。さらに、ハウジング3は、照明負荷2による照明を室内の外部物体に提供するように構成される。好ましくは、ハウジング3は、照明負荷2によって生成される光がハウジング3から出ることを可能にする複数の開口部を有する。マイクロ波ジェネレータ1によって生成されるマイクロ波がハウジング3から出るのを防止するために、開口部の最大サイズは、マイクロ波の波長を超えないようにしてもよい。好ましくは、ハウジング3の開口部の最大サイズは、マイクロ波の波長の1/10以下である。これは、ハウジング3によるマイクロ波の最適なブロッキングを可能にする一方、光が通るための良好な開口部を提供することを可能にする。開口部を有するハウジング3は、光の均等な分布が周囲、例えば、外部物体に提供されるようにメッシュ状に構成されることができる。メッシュは、ファラデーケージとして機能してもよい。メッシュはランプシェードのように見え得、メッシュの開口部は、マイクロ波の漏れが意図的に作られる、例えば、天井照明器具の横方向への漏れが多く、下方向への漏れが少なくなるように選択されてもよい。壁付け照明器具の場合、上方への又は壁ずりの(wall-shearing)外部マイクロ波のみが作られるように漏れが作られてもよい。
【0039】
マイクロ波ジェネレータ1は、ボリューム4を殺菌するために使用されるマイクロ波を提供する。ボリューム4は、ハウジング3によって囲まれる。ボリューム4には、殺菌又は破壊される必要がある粒子及び病原体が存在する。粒子は、例えば、ウイルス粒子を含むエアロゾル飛沫であり得る。マイクロ波ジェネレータ1は、粒子がマイクロ波を受けるようにボリューム4にマイクロ波を生成する。粒子は、マイクロ波に存在するエネルギを吸収する。マイクロ波からエネルギを吸収することにより、粒子内のウイルス又は病原体は不活性化される。マイクロ波エネルギは、構造共鳴エネルギ移動(SRET:structure resonant energy transfer)と呼ばれるプロセスによってビリオンに移動される。ビリオンは、均質な球(homogenous ball)と考えることができる。この球は、機械的な振動モードを有する。これらのモードには、ビリオンがあらゆる方向に同じように膨張及び収縮する(「呼吸(breathing)」モードとも呼ばれる)ゼロモード(zeroth mode)、ビリオンのコア及びシェルが互いの初期位置に対して振動するダイポールモード(dipole mode)、ビリオンが2つの垂直な方向に沿って交互にスクイーズされる(get squeezed)クアドラポールモード(quadrupole mode)等がある。これらのモードのうち、ダイポールモードが、入射マイクロ波電磁放射に結合する(couple)ものである。結合(coupling)はかなり強く、多くの場合、マイクロ波から機械的振動へのエネルギ移動は100%になる。マイクロ波の周波数は、好ましくは、300MHzから300GHzの間にある。好ましくは、8.2GHzのマイクロ波周波数が使用される。この周波数において、ウイルス粒子は、最もよく共振し、パワーのほとんどを吸収する。それゆえ、この周波数において、マイクロ波ジェネレータ1がウイルスを不活性化するために必要な電力は最小となる。
【0040】
ハウジング3がマイクロ波がボリューム4から出るのを防止するために、ハウジング3は、マイクロ波を吸収するように適合されてもよい。これは、プラスチック等の非導電性材料を用いて行われてもよい。また、非導電性材料の厚さが、どの程度マイクロ波放射がハウジング3を通って漏れ得るかを決定してもよい。マイクロ波がハウジング3から出るのを防止するという定義の下では、マイクロ波放射の大部分がハウジング3から出ないが、ハウジング3外へのマイクロ波放射の漏れは依然起こってもよいことを意味すると理解されたい。導電性材料は、マイクロ波を反射し、マイクロ波がハウジング3を通るのを防止するのに非常によく適している。好ましくは、導電性材料は、金属である。金属は、非常によくマイクロ波を吸収することができ、ハウジング3を形成するのにも非常によく適している。好ましい金属の例は、鉄、銅、アルミニウムである。
【0041】
ハウジング3は、ハウジング3に存在する開口部の少なくとも一部を覆う、非導電性且つ可視光透過性のカバーを備えてもよい。これは、望ましくない物質がボリューム4に(誤って)入れられるのを防止するために行われてもよい。さらに、人がボリューム4に指を入れるのを防止してもよい。それゆえ、少なくとも照明デバイスを取り付けた後に手が届く開口部を非導電性且つ透明なカバーで覆うことが望まれてもよい。
【0042】
図2は、図1の照明デバイスの改善例を示している。図2に示される照明デバイスは、図1で提供されているすべての技術的特徴を有してもよい。好ましくは、照明デバイスは、マイクロ波ジェネレータ1、照明負荷2、ハウジング3及びボリューム4を有する。さらに、照明デバイスは、存在センサ5を有してもよい。存在センサ5は、室内の人の存在を検出するために使用されてもよい。照明デバイスは、この部屋に配されてもよい。人の存在が検出される場合、照明デバイスはこれに応答してもよい。例えば、存在検出時、照明デバイスは、照明負荷2をオンにしてもよい。追加的に、又は代替的に、照明デバイスは、マイクロ波ジェネレータ1をオンにしてもよい。人々が部屋にいる場合にのみ殺菌を行うのが好ましい。人々が病原体のスプレッダであるため、人の存在時にのみ殺菌することは理にかなっている。部屋に入る人は、部屋が照らされていることも好むかもしれない。この場合、マイクロ波ジェネレータ1及び照明負荷2の両方が、存在検出時にアクティブにされてもよい。存在センサ5の非限定的な例としては、パッシブ赤外線(PIR:passive infra-red)センサ、レーダ(RADAR:radio detection and ranging)センサ、サーモパイルセンサ、又はカメラ等が挙げられ得る。
【0043】
図3は、図1の照明デバイスの別の改善例を示している。図3に示される照明デバイスは、図1で提供されているすべての技術的特徴を有してもよい。好ましくは、照明デバイスは、マイクロ波ジェネレータ1、照明負荷2、ハウジング3及びボリューム4を有する。さらに、照明デバイスは、図2に示されるような存在センサ5を有してもよい。ハウジングは、エアインレット8及びエアアウトレット9を備えてもよい。エアインレット8及びエアアウトレット9の使用は、特定のエアフローが好まれる又は必要とされる場合に望まれてもよい。これは、例えば、照明デバイスが建物内のエアフローシステムの一部である場合である。エアフローシステムは、エアインレット8を介して照明デバイスにエアフローを供給してもよい。これは、例えば、エアインレット8に結合されるホースを用いて行われてもよい。この場合、エアアウトレット9は、例えば、殺菌された空気を人々が存在し得る部屋に供給してもよい。より一般的に、エアインレット8は、殺菌される必要がある空気を受け入れるための開口部であってもよい。この場合、エアアウトレット9は、殺菌された空気を部屋に供給するために使用されてもよい。空気がエアインレット8からエアアウトレット9へ効果的に流れ、ボリューム4を通過することを可能にするために、エアフロージェネレータが使用されることができる。エアフロージェネレータの非限定的な例としては、ファン、イオン風ジェネレータ等が挙げられ得る。
【0044】
図1で提供された例と同様に、照明デバイスは、ハウジング3に配される非導電性且つ透明なカバーを有してもよい。この例では、非導電性且つ透明なカバーは、エアフローが、エアインレット8からエアアウトレット9へ制御される(regulated)ことを可能にするために使用されてもよい。非導電性且つ透明なカバーは、ボリューム4に最適な空気入口及び出口としてエアインレット8及びエアアウトレット9を残して、空気が通るのをブロックしてもよい。提供される例では、エアインレット8及びエアアウトレット9は、エアフローが照明負荷2に向かって方向付けられるように位置する。これは、照明負荷2がエアフローで冷却されることを可能にする。エアインレット8及びエアアウトレット9は、ボリューム4の両端に配されてもよい。
【0045】
図4は、図1の照明デバイスの別の改善例を示している。図4に示される照明デバイスは、図1で提供されているすべての技術的特徴を有してもよい。好ましくは、照明デバイスは、マイクロ波ジェネレータ1、照明負荷2、ハウジング3及びボリューム4を有する。さらに、照明デバイスは、図2に示されるような存在センサ5を有してもよい。ハウジング3は、エアインレット8及びエアアウトレット9を備えてもよい。エアインレット8は、イオナイザ6を備えてもよい。イオナイザは、エアフローにイオンを供給するために使用されることができる。イオンは、病原体と相互作用し、病原体がボリューム4に入る前に病原体を弱めることになる。この場合、弱められた病原体は、ボリューム4においてマイクロ波放射によってより容易に不活性化されることができる。イオンは、所定の極性で生成される。プラスイオン又はマイナスイオンが生成されることができる。好ましくは、イオンがハウジング3に引き寄せられることなく、ハウジング3と病原体の衝突が回避されるように、ハウジング3は、イオンと同じ極性に設定される。この例では、例えば人による、外側からのハウジング3との接触が回避されることができるように、ハウジング3の外側に非導電性且つ透明なカバーを設けることが望まれてもよい。
【0046】
提供される例では、照明負荷2が、光を発するために使用される。照明負荷の非限定的な例としては、白熱ランプ、蛍光ランプ、高輝度放電ランプ、又は発光ダイオード等が挙げられる。好ましくは、照明負荷は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)を有する。LEDは非常にエネルギ効率がよく、マイクロ波放射が存在する環境でも良好に動作することができる。
【0047】
図で提供される例は、照明デバイスのいくつかの実施形態を示している。照明デバイスは、より大きな表面が照らされることができるようにアレイ状に配されることができる。同時に、より大きなボリュームが殺菌されることができる。
【0048】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームへマイクロ波を生成するためのマイクロ波ジェネレータであって、前記マイクロ波は、前記ボリュームを殺菌するためのものである、マイクロ波ジェネレータと、
外部物体を照らすための光を発するための照明負荷と、
ハウジングと、
を含む、照明デバイスであって、
前記ハウジングは、前記ボリュームを囲み、前記マイクロ波が前記ハウジングを通るのを防止する、及び、前記光を通すように構成され、
当該照明デバイスは、空間内の存在を検出するための存在センサを含み、存在の検出時に、前記マイクロ波ジェネレータがアクティブにされる、照明デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングは、複数の開口部を有し、前記複数の開口部の各開口部は、前記マイクロ波の波長の1/10以下の有効径を有する、請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
前記ハウジングは、表面を有し、
前記表面の少なくとも一部は、前記マイクロ波を反射するためのコーティングを含み、
前記表面は、前記マイクロ波ジェネレータに面し、前記マイクロ波が前記ボリュームへ反射される、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは、導電性材料を含み、前記導電性材料は、前記マイクロ波が前記ハウジングを通るのを防止するように構成される、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項5】
前記導電性材料は、金属である、請求項4に記載の照明デバイス。
【請求項6】
前記マイクロ波ジェネレータは、300MHZから300GHzの間の周波数を有するマイクロ波を生成する、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項7】
前記マイクロ波ジェネレータは、光源から独立して制御可能である、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項8】
当該照明デバイスは、
空気が前記ボリュームに入る及び前記ボリュームから出ることをそれぞれ可能にする空気入口及び空気出口と、
前記空気が前記空気入口から前記空気出口へ流れるのを可能にするためのエアフロージェネレータと、
を含む、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項9】
エアインレット及びエアアウトレットが、空気が前記照明負荷の冷却を提供するよう光源上を流れるように配される、請求項8に記載の照明デバイス。
【請求項10】
前記ハウジングは、非導電性の透明カバーを含む、請求項9に記載の照明デバイス。
【請求項11】
前記マイクロ波ジェネレータは、8.2GHzの周波数を有するマイクロ波を生成する、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項12】
空気が、第1のロケーションにおいて前記ハウジングを介して前記ボリュームに供給され、装置が、前記ボリュームに入る空気を第1の電位にイオン化するための、前記第1のロケーションに結合されるイオナイザを含み、前記ハウジングは、前記第1の電位に設定される、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項13】
前記照明負荷は、発光ダイオードを含む、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項14】
照明デバイスのアレイであって、前記照明デバイスの各々は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のものであり、当該照明デバイスのアレイは、格子状に配置される、照明デバイスのアレイ。
【国際調査報告】