(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】飽和フロジオキシン誘導体化合物及びその二次電池用添加剤としての使用
(51)【国際特許分類】
C07D 493/04 20060101AFI20241003BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20241003BHJP
【FI】
C07D493/04 101C
C07D493/04 CSP
H01M10/0567
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520860
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 KR2022014989
(87)【国際公開番号】W WO2023059063
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0132604
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジュンミン
(72)【発明者】
【氏名】リ,チワン
(72)【発明者】
【氏名】リ,グァンヒ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ゼフン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソブ
(72)【発明者】
【氏名】ジ,チャンド
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK05
5H029AK16
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM01
5H029AM04
5H029AM07
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029CJ11
5H029CJ28
5H029HJ02
(57)【要約】
本発明は、飽和フロジオキシン誘導体化合物及びその二次電池用添加剤としての使用に関し、より具体的には、飽和フロジオキシン骨格に置換基が結合した構造を有し、二次電池用非水電解質組成物(特に、リチウム・硫黄二次電池用非水電解質組成物)に添加剤として含まれる場合、従来の電解質組成物が有する多硫化リチウムの溶出の問題を解決すると同時に、各種のリチウム塩に対して高い容量維持率特性を実現することができる、新規化合物及びその製造方法、この化合物を含む電解質添加剤及び非水電解質組成物、並びに該電解質組成物を含む二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される化合物。
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC2-C30アルケニル基、置換又は非置換されたC2-C30アルキニル基、置換又は非置換されたC1-C30アルコキシ基、置換又は非置換されたC3-C30シクロアルキル基、置換又は非置換されたC1-C30アルキレン-O-C1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC3-C30ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリール基、置換又は非置換されたC1-C60ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC7-C60アラルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリールオキシ基、及び置換又は非置換されたC6-C60アリールチオ基からなる群から選択され、ただし、R
1及びR
2の少なくとも一方は水素原子ではない。)
【請求項2】
前記式(1)で示される化合物が、下記式(2)~(4)で示される化合物からなる群から選択されるものである請求項1に記載の化合物。
【化2】
【化3】
【化4】
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基である。)
【請求項3】
前記式(2)で示される化合物が、下記式(2-1)~(2-3)で示される化合物からなる群から選択され、
前記式(3)で示される化合物が、下記式(3-1)又は(3-2)で示されるものであり、
前記式(4)で示される化合物が、下記式(4-1)又は(4-2)で示されるものである請求項2に記載の化合物。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項4】
式(2)で示される化合物の製造方法であって、
ジアンヒドロ糖ヘキシトールの両末端ヒドロキシ基にエチレングリコールが付加された化合物であるジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールを、酸触媒の存在下で加熱する工程を含む、方法。
【化12】
【請求項5】
ジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールが、ジアンヒドロ糖ヘキシトールとエチレンオキシドとの付加反応によって製造されたものである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ジアンヒドロ糖ヘキシトールとエチレンオキシドとの付加反応が、ジアンヒドロ糖ヘキシトール1モルに対して、2モル以上のエチレンオキシドを用いて行われる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酸触媒が、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸又はそれらの組み合わせから選択されるものである請求項4に記載の方法。
【請求項8】
式(3)又は(4)で示される化合物の製造方法であって、
それぞれ、下記式(A)又は(B)で示される化合物とアルキル化剤を塩基触媒の存在下で加熱する工程を含む方法。
【化13】
【化14】
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基である。)
【化15】
【化16】
【請求項9】
アルキル化剤が、式R-X(ここで、Rは、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基であり、Xはハロゲン原子である)を有するハロゲン化アルキル、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基を有する芳香族スルホネート、又はそれらの組み合わせから選択されるものである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
塩基触媒が、無機塩基触媒、有機塩基触媒又はそれらの組み合わせから選択されるものである請求項8に記載の方法。
【請求項11】
下記式(1)で示される化合物を含む電解質添加剤。
【化17】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC2-C30アルケニル基、置換又は非置換されたC2-C30アルキニル基、置換又は非置換されたC1-C30アルコキシ基、置換又は非置換されたC3-C30シクロアルキル基、置換又は非置換されたC1-C30アルキレン-O-C1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC3-C30ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリール基、置換又は非置換されたC1-C60ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC7-C60アラルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリールオキシ基、及び置換又は非置換されたC6-C60アリールチオ基からなる群から選択され、ただし、R
1及びR
2の少なくとも一方は水素原子ではない。)
【請求項12】
硝酸(又は亜硝酸)系化合物をさらに含む請求項11に記載の電解質添加剤。
【請求項13】
非水電解質溶媒;リチウム塩;及び請求項11又は12に記載の電解質添加剤;を含み、
前記電解質添加剤の含量が、電解質組成物の全量100重量部に対して、0.1~10重量部である非水電解質組成物。
【請求項14】
正極;負極;分離膜;及び請求項13に記載の非水電解質組成物;を含む、二次電池。
【請求項15】
リチウム・硫黄二次電池である請求項14に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飽和フロジオキシン誘導体化合物及びその二次電池用添加剤用途に関し、より具体的には、飽和フロジオキシン骨格に置換基が結合した構造を有し、二次電池用非水電解質組成物(特に、リチウム・硫黄二次電池用非水電解質組成物)に添加剤として含まれる場合、従来の電解質組成物が有する多硫化リチウムの溶出の問題を解決すると同時に、各種のリチウム塩に対して高い容量維持率特性を実現することができる、新規化合物及びその製造方法、この化合物を含む電解質添加剤及び非水電解質組成物、並びに該電解質組成物を含む二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用電子機器、電気自動車及び大容量電力貯蔵システムなどの発展に伴い、大容量電池のニーズが高まっている。リチウム・硫黄二次電池は、S-S結合(硫黄-硫黄結合)を有する硫黄系材料を正極活物質とし、リチウム金属を負極活物質とする二次電池であり、正極活物質の主材料である硫黄は、資源性が非常に高く、毒性がなく、原子あたりの重量が軽いという利点がある。
【0003】
また、リチウム・硫黄二次電池の理論放電容量は1,672mAh/g-硫黄、理論エネルギー密度は2,600Wh/kgであり、現在研究されている他の電池システムの理論エネルギー密度(Ni-MH電池:450Wh/kg、Li-FeS電池:480Wh/kg、Li-MnO2電池:1,000Wh/kg、Na-S電池:800Wh/kg)に比べて非常に高く、高いエネルギー密度特性を有する電池として注目されている。
【0004】
リチウム・硫黄二次電池の実用化に向けて最も優先的に解決すべき問題は、多硫化リチウム溶出による電池寿命の低下である。多硫化リチウム(Li2Sx、x=8、6、4又は2)は、リチウム・硫黄二次電池の電気化学反応中に生成される中間生成物であり、有機電解液への溶解度が高い。電解液に溶解した多硫化リチウムは徐々に負極側に拡散し、正極の電気化学反応域から漏れてしまうため、正極の電気化学反応に参加できなくなり、最終的に容量損失を招くことになる。また、多硫化リチウムの溶出は、電解液の粘度を上昇させるためイオン伝導性を低下させ、連続的な充放電反応時には、多硫化リチウムがリチウム金属材料からなる負極と反応するため、リチウム金属の表面に硫化リチウム(Li2S)が固着され、反応活性が低下し、電位特性が低下するという問題があった。
【0005】
このような問題点を解決するための研究のほとんどは、正極の改良に焦点を当てている。具体的には、電極の導電性を高める方法の一つとして、炭素素材からなる導電材料を添加することで、硫化リチウムが蓄積された電極の伝導度低下を最小限に抑えるか、ナノ構造を有する硫黄担持体を用いることで、中間生成物及び硫化リチウムの生成及び蓄積を制御する試みがなされていた(例えば、特許文献1及び2)。
【0006】
しかし、前記のような従来技術は実用化が難しく、理論容量の最大70%までしか使用できない。そのため、硫化リチウムによる電極の不動態化を遅延させ、高い放電容量及び寿命特性を確保できるリチウム・硫黄二次電池の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国 特許 第10-1481234号
【特許文献2】韓国 特許 第10-2244915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、二次電池用非水電解質組成物(特に、リチウム・硫黄二次電池用非水電解質組成物)に添加剤として含有させることにより、二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)に使用されていた従来の非水電解質の多硫化リチウム溶出問題を解決すると同時に、リチウム電極の安定性を向上させ、高い容量維持率特性を達成することができる新規化合物及びその製造方法、その化合物を含む電解質添加剤及び非水電解質組成物、及びその電解質組成物を含む二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記式(1)で示される化合物を提供する。
【0010】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC2-C30アルケニル基、置換又は非置換されたC2-C30アルキニル基、置換又は非置換されたC1-C30アルコキシ基、置換又は非置換されたC3-C30シクロアルキル基、置換又は非置換されたC1-C30アルキレン-O-C1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC3-C30ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリール基、置換又は非置換されたC1-C60ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC7-C60アラルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリールオキシ基、及び置換又は非置換されたC6-C60アリールチオ基からなる群から選択され、ただし、R
1及びR
2の少なくとも一方は水素原子ではない。)
【0011】
本発明の一実施形態において、前記式(1)で示される化合物が、下記式(2)~(4)で示される化合物からなる群から選択されるものであってもよい。
【0012】
【化2】
【化3】
【化4】
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基である。)
【0013】
より具体的には、前記式(2)で示される化合物が、下記式(2-1)~(2-3)で示される化合物からなる群から選択されてもよく、
前記式(3)で示される化合物が、下記式(3-1)又は(3-2)で示されるものであり、
前記式(4)で示される化合物が、下記式(4-1)又は(4-2)で示されるものであってもよい。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
本発明の別の側面は、前記式(2)で示される化合物の製造方法であって、ジアンヒドロ糖ヘキシトールの両末端ヒドロキシ基にエチレングリコールが付加された化合物であるジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールを、酸触媒の存在下で加熱する工程を含む方法を提供する。
【0018】
本発明のさらに別の側面は、前記式(3)又は(4)で示される化合物の製造方法であって、それぞれ、下記式(A)又は(B)で示される化合物とアルキル化剤を塩基触媒の存在下で加熱する工程を含む方法を提供する。
【0019】
【0020】
本発明のさらに別の側面は、前記式(1)で示される化合物を含む電解質添加剤を提供する。
【0021】
本発明のさらに別の側面は、非水電解質溶媒;リチウム塩;及び本発明の電解質添加剤;を含んで、前記電解質添加剤の含量が電解質組成物の全量100重量部に対して、0.1~10重量部である、非水電解質組成物を提供する。
【0022】
本発明のさらに別の側面は、正極;負極;分離膜;及び本発明の非水電解質組成物;を含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明による式(1)の化合物を二次電池用非水電解質組成物(特に、リチウム・硫黄二次電池用非水電解質組成物)に電解質添加剤として使用すると、従来の非水電解質組成物と比較して、多硫化リチウム溶出の問題を解決することができると同時に、リチウム電極の安定性を向上し、サイクル経過にわたる容量維持率を向上させることができ、電池寿命特性を向上させることができる非水電解質組成物及びそれを含む二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)を提供することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態によれば、前記式(1)の化合物は、天然資源由来のジアンヒドロ糖ヘキシトールから製造できるため、これを二次電池用添加剤として使用することにより、二次電池分野における環境配慮性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
[式(1)の化合物及びその製造方法]
本発明の一側面は、下記式(1)で示される化合物に関する。
【0027】
【化14】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC2-C30アルケニル基、置換又は非置換されたC2-C30アルキニル基、置換又は非置換されたC1-C30アルコキシ基、置換又は非置換されたC3-C30シクロアルキル基、置換又は非置換されたC1-C30アルキレン-O-C1-C30アルキル基、置換又は非置換されたC3-C30ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリール基、置換又は非置換されたC1-C60ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC7-C60アラルキル基、置換又は非置換されたC6-C60アリールオキシ基、及び置換又は非置換されたC6-C60アリールチオ基からなる群から選択され、ただし、R
1及びR
2の少なくとも一方は水素原子ではない。)
【0028】
より具体的には、前記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換されたC1-C12アルキル基、置換又は非置換されたC2-C12アルケニル基、置換又は非置換されたC2-C12アルキニル基、置換又は非置換されたC1-C10アルコキシ基、置換又は非置換されたC3-C12シクロアルキル基、置換又は非置換されたC1-C12アルキレン-O-C1-C12アルキル基、置換又は非置換されたC3-C12ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換されたC6-C20アリール基、置換又は非置換されたC1-C20ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC7-C20アラルキル基、置換又は非置換されたC6-C20アリールオキシ基、及び置換又は非置換されたC6-C20アリールチオ基からなる群から選択され、ただし、R1及びR2の少なくとも一方は水素原子ではない。
さらに具体的には、前記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換されたC1-C6アルキル基、置換又は非置換されたC2-C6アルケニル基、置換又は非置換されたC2-C6アルキニル基、置換又は非置換されたC1-C6アルコキシ基、置換又は非置換されたC3-C6シクロアルキル基、置換又は非置換されたC1-C6アルキレン-O-C1-C6アルキル基、置換又は非置換されたC3-C6ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換されたC6-C10アリール基、置換又は非置換されたC1-C10ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC7-C10アラルキル基、置換又は非置換されたC6-C10アリールオキシ基、及び置換又は非置換されたC6-C10アリールチオ基からなる群から選択され、ただし、R1及びR2の少なくとも一方は水素原子ではない。
【0029】
本明細書において、任意の基について、「置換又は非置換」という表現は、その基が非置換であるか、又はハロゲン原子、C1-C6アルキル基若しくはC1-C6ハロゲン化アルキル基から選択される一つ以上の置換基で置換されていることを意味する。
【0030】
一実施形態において、前記式(1)で示される化合物が、下記式(2)~(4)で示される化合物からなる群から選択されるものであってもよい。
【0031】
【化15】
【化16】
【化17】
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基であり、より具体的には、置換又は非置換されたC1-C12アルキル基であり、より具体的には、置換又は非置換されたC1-C6アルキル基である。)
【0032】
より具体的には、前記式(2)で示される化合物が、下記式(2-1)~(2-3)で示される化合物からなる群から選択されてもよく、
前記式(3)で示される化合物が、下記式(3-1)又は(3-2)で示される化合物であってもよく、
前記式(4)で示される化合物が、下記式(4-1)又は(4-2)で示される化合物であってもよい。
【0033】
【0034】
【0035】
【化23】
【化24】
本発明の別の側面は、前記式(2)で示される化合物の製造方法であって、ジアンヒドロ糖ヘキシトールの両末端ヒドロキシ基にエチレングリコールが付加された化合物であるジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールを酸触媒の存在下で加熱する工程を含む方法を提供する。
【0036】
アンヒドロ糖アルコールは、一般に、水素化糖又は糖アルコールと呼ばれる、糖類の還元性末端基に水素を付加して得られる化合物から水分子を1個以上除去して得られる物質を意味し、ジアンヒドロ糖ヘキシトールは、ヘキシトールの内部から水分子2個が除去されて形成されるアンヒドロ糖アルコールであり、分子内に2つのヒドロキシ基を有するジオール(diol)形態を有し、デンプン由来のヘキシトールを用いて製造することができる。
【0037】
一実施形態において、前記ジアンヒドロ糖ヘキシトールは、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールであってもよく、より具体的には、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はこれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0038】
一実施形態において、前記ジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールは、ジアンヒドロ糖ヘキシトールと下記の構造のエチレンオキシドを付加反応させて製造されたものであってもよい。
【0039】
【0040】
一実施形態において、前記ジアンヒドロ糖ヘキシトールとエチレンオキシドとの付加反応は、例えば、100℃以上、より具体的には、100℃~140℃の温度で、1時間以上、より具体的には1時間~5時間行うことができるが、これに限定されない。
【0041】
一実施形態において、前記ジアンヒドロ糖ヘキシトールとエチレンオキシドとの付加反応は、ジアンヒドロ糖ヘキシトール1モルに対して、2モル以上のエチレンオキシドを用いて行うことができる。
【0042】
より具体的には、前記ジアンヒドロ糖ヘキシトールとエチレンオキシドとの付加反応において、ジアンヒドロ糖ヘキシトール1モルに対するエチレンオキシドの量は、2モル以上、3モル以上、4モル以上又は5モル以上であってもよく、また、25モル以下、20モル以下、15モル以下又は10モル以下であってもよい。ジアンヒドロ糖ヘキシトールとエチレンオキシドとの付加反応において、ジアンヒドロ糖ヘキシトール1モルに対して使用されるエチレンオキシドの量が2モル未満であると、前記式(1)の化合物を製造することができない場合があり、一方、25モルを超えると、製造コストの増加による経済性が低下する場合がある。
【0043】
一実施形態において、前記式(2-1)で示される化合物は、イソソルビド1モルに対してエチレンオキシド2モル以上を用いた付加反応生成物を酸触媒の存在下で加熱することにより製造することができる。
【0044】
一実施形態において、前記式(2-2)で示される化合物は、イソマンニド1モルに対してエチレンオキシド2モル以上を用いた付加反応生成物を酸触媒の存在下で加熱することにより製造することができる。
【0045】
一実施形態において、前記式(2-3)で示される化合物は、イソイジド1モルに対してエチレンオキシド2モル以上を用いた付加反応生成物を酸触媒の存在下で加熱することにより製造することができる。
【0046】
一実施形態において、前記酸触媒は、無機酸又は有機酸触媒であってもよく、より具体的には、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸又はそれらの組み合わせから選択され得るが、これらに限定されるものではない。
【0047】
一実施形態において、ジアンヒドロ糖ヘキシトールとエチレンオキシドとの付加反応に使用される前記酸触媒の量は、ジアンヒドロ糖ヘキシトール100重量部に対して、例えば、0.01重量部以上、0.02重量部以上又は0.05重量部以上であってもよく、また、5重量部以下、2重量部以下、又は1重量部以下であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本発明のさらに別の側面は、前記式(3)又は(4)で示される化合物の製造方であって、それぞれ下記式(A)又は(B)で示される化合物とアルキル化剤とを塩基触媒の存在下で加熱する工程を含む方法を提供する。
【0049】
【化26】
【化27】
一実施形態において、前記アルキル化剤は、式R-X[ここで、Rは、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基(より具体的には置換又は非置換されたC1-C12アルキル基、さらに具体的には置換又は非置換されたC1-C6アルキル基)であり、Xは、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br又はI)である]を有するハロゲン化アルキル、置換又は非置換されたC1-C30アルキル基を有する芳香族スルホネート、又はそれらの組み合わせから選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
より具体的には、前記ハロゲン化アルキルはヨウ化メチルであってもよく、前記置換又は非置換されたC1-C30アルキル基を有する芳香族スルホネートはハロゲン原子(例えば、F)で置換されたC1-C30アルキル基を有するトルエンスルホネートであってもよいが、これらに限定されない。
【0051】
一実施形態において、前記塩基触媒は、無機塩基触媒、有機塩基触媒又はそれらの組み合わせから選択されるものであってもよく、より具体的には、水素化ナトリウム、ヨウ化水素、硫化水素、水素化アルミニウム又はそれらの組み合わせから選択されるものであってもよいが、これらに限定されない。
【0052】
一実施形態において、前記式(A)又は(B)で示される化合物とアルキル化剤との反応に使用される前記塩基触媒の量は、式(A)又は(B)の化合物100重量部に対して、例えば、1重量部以上、2重量部以上又は5重量部以上であってもよく、また、80重量部以下、60重量部以下、又は50重量部以下であってもよいが、これらに限定されない。
【0053】
一実施形態において、前記式(A)又は(B)で示される化合物とアルキル化剤との反応は、例えば、40℃以上、より具体的には40℃~80℃の温度で5時間以上、より具体的には5時間~15時間行うことができるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、前記式(1)で示される化合物は、二次電池用非水電解質組成物、特に、リチウム・硫黄二次電池用非水電解質組成物における電解質添加剤として有効に使用することができる。これは、本発明の他の側面として後記する。しかし、本発明の化合物の用途は決してこれに限定されるものではなく、前記式(1)で示される化合物は、このような二次電池用電解質添加剤以外の種々の用途(例えば、界面活性剤、化粧品有効成分の浸透促進剤及び抗菌剤など)に用いることができる。
【0055】
[電解質添加剤及び非水電解質組成物]
本発明のさらに別の側面は、前記式(1)で示される化合物を含む電解質添加剤に関するものである。
【0056】
一実施形態において、前記電解質添加剤は、前記式(1)で示される化合物のみから構成されていてもよい。
【0057】
一実施形態において、前記電解質添加剤は、前記式(1)で示される化合物以外の一つ以上の成分をさらに含むことができる。このようなさらなる成分としては、二次電池用添加剤として使用可能な成分が特に制限なく使用することができる。
【0058】
より具体的には、前記電解質添加剤は、前記式(1)で示される化合物以外の成分として、硝酸(又は亜硝酸)系化合物をさらに含むことができる。このような硝酸(又は亜硝酸)系化合物は、リチウム・硫黄二次電池の負極(リチウム含有電極)上に安定な被膜を形成し、充放電効率を向上させることができる。
【0059】
一実施形態において、前記硝酸(又は亜硝酸)系化合物は、例えば、無機硝酸化合物(例えば、硝酸リチウム(LiNO3)及び亜硝酸リチウム(LiNO2)等)、有機硝酸化合物(例えば、ニトロメタン(CH3NO2)、硝酸メチル(CH3NO3)等)、又はそれらの混合物からなる群から選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0060】
一実施形態において、前記電解質添加剤が前記式(1)で示される化合物及びその他の成分(例えば、前記硝酸(又は亜硝酸)系化合物)を含む場合、前記その他の成分の含量は、電解質添加剤に含まれる前記式(1)で示される化合物1重量部に対して、0.1~2重量部であってもよく、より具体的には、0.1重量部以上、0.2重量部以上又は0.3重量部以上であってもよく、また、2重量部以下、1.8重量部以下又は1.5重量部以下であってもよいが、これに限定されない。
【0061】
本発明のさらに別の側面は、非水電解質溶媒;リチウム塩;及び前記した本発明の電解質添加剤;を含み、前記電解質添加剤の含量が、電解質組成物の全量100重量部に対して、0.1~10重量部である、非水電解質組成物に関するものである。
【0062】
本発明の非水電解質組成物の全量100重量部に対する前記電解質添加剤の含量が0.1重量部未満であると、このような電解質組成物を用いた場合、リチウム・硫黄二次電池の寿命維持率(又は容量維持率)改善効果が不充分となるおそれがあり、逆に、前記電解質添加剤の含量が10重量部を超えると、このような電解質組成物を用いた場合、被膜が厚くなり、その結果、抵抗が増大して、リチウム・硫黄二次電池の寿命維持率(又は容量維持率)が低下するおそれがある。
【0063】
より具体的には、本発明の非水電解質組成物の全量100重量部に対する前記電解質添加剤の含量は、0.1重量部以上、0.5重量部以上、1重量部以上又は1.2重量部以上であってもよく、また、10重量部以下、9.5重量部以下、9重量部以下又は8.9重量部以下であってもよい。
【0064】
本発明の非水電解質組成物に含まれる前記非水電解質溶媒は、リチウム・硫黄二次電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質として機能する。
【0065】
一実施形態において、前記非水電解質溶媒は、線状エーテル、環状エーテル、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0066】
一実施形態において、前記非水電解質溶媒は、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチルグリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチレンエーテル、ブチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジオキソラン、メチルジオキソラン、ジメチルジオキソラン、ビニルジオキソラン、メトキシジオキソラン、エチルメチルジオキソラン、オキサン、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフラン、エトキシテトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、フラン、メチルフラン、イソソルビドジメチルエーテル又はそれらの混合物からなる群から選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0067】
一実施形態において、本発明の非水電解質組成物に含まれる前記リチウム塩は、LiSCN、LiBr、LiI、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiClO4、LiBPh4、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(SFO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、Li2S、LiSn(ここで、n=1~8の整数)、又はそれらの混合物からなる群から選択されるが、それらに限定されるものではない。ここで、Phはフェニルを意味する。
【0068】
一実施形態において、本発明の非水電解質組成物内の前記リチウム塩のモル濃度は、0.5M~5Mであってもよい。電解質組成物中のリチウム塩モル濃度が0.5M未満であると、容量維持率の低下が生じる場合があり、逆に、5Mを超えると、リチウム塩が溶出して経済性が低下する場合があるため好ましくない。
【0069】
より具体的には、本発明の非水電解質組成物における前記リチウム塩のモル濃度は、0.5M以上、0.6M以上、0.7M以上、0.8M以上、0.9M以上又は1M以上であってもよく、また、5M以下、4.8M以下、4.6M以下、4.4M以下又は4.2M以下であってもよい。
【0070】
[二次電池]
本発明のさらに別の側面は、正極;負極;分離膜;及び前記した本発明の非水電解質組成物;を含む二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)に関するものである。
【0071】
一実施形態において、本発明の二次電池は、互いに対向して配置される正極及び負極;前記正極と負極の間に設けられる分離膜;及び前記正極、負極及び分離膜に含浸され、イオン伝導性を有する本発明による非水電解質組成物;を含む。
【0072】
前記正極は、正極集電体;及び前記正極集電体上に形成された正極活物質層を含む。
【0073】
前記正極集電体は、この技術分野で集電体として使用できるものであればいずれでもよく、具体的には、導電性の良好な発泡アルミニウム、発泡ニッケルなどを使うことが好ましい。
【0074】
前記正極活物質層は、正極活物質として、元素状硫黄(S8)、硫黄系化合物又はそれらの混合物を含むことができる。前記硫黄系化合物としては、具体的には、Li2Sn(n=1)、有機硫黄化合物又は炭素-硫黄ポリマー((C2Sx)n:x=2.5~50、n=2)などが挙げられる。
【0075】
このような硫黄系材料は単独では電気導電性がないため、前記正極活物質層は導電材からなる。
【0076】
前記導電材は多孔質であってもよい。このように、前記導電材としては多孔性及び導電性を有するものであれば制限されることなく使用することができ、例えば、多孔性を有する炭素系材料を使用することができる。このような炭素系材料としては、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、活性炭、炭素繊維などが挙げられる。また、金属メッシュなどの金属性繊維、銅、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属性粉末;又はポリフェニレン誘導体などの有機導電材を使用してもよい。前記導電材は、単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。
【0077】
一実施形態において、正極活物質層は、正極活物質と導電材との間の結合及び正極活物質層と正極集電体との間の結合を向上させるために、バインダーをさらに含むことができる。
【0078】
前記バインダーは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含むことができる。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン-ブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-ペルフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体などを単独又は組み合わせて使用することができるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野でバインダーとして使用可能なものであればいずれも使用可能である。
【0079】
前記のような正極は、常法に従って製造することができ、具体的には、正極活物質、導電材及びバインダーを有機溶媒中で混合して製造した正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に塗布して乾燥し、選択的に電極密度の向上のために、正極集電体に圧縮成形して製造することができる。このとき、正極活物質、バインダー、導電材を均一に分散させることができ、蒸発しやすい有機溶媒を使用することが好ましい。具体的には、前記有機溶媒としては、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、イソプロピルアルコール又はそれらの組み合わせから選択されるものを使用することが可能である。
【0080】
前記負極は、負極集電体;及び前記負極集電体上に形成された負極活物質層を含むことができ、又はリチウム金属板単独であってもよい。
【0081】
前記負極集電体は、負極活物質を支持するためのものであり、優れた導電性を有し、リチウム金属電池の電圧範囲で電気化学的に安定であれば特に限定されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅又はステンレス鋼をカーボン、ニッケル又は銀等で表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを使用することができる。
【0082】
前記負極集電体は負極活物質層との結合力を強化するために、表面に微細な凹凸を形成してもよく、フィルム、シート、ホイール、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体又は不織布体など様々な形態で使用することができる。
【0083】
前記負極活物質層は、負極活物質として、リチウムイオン(Li+)を可逆的に吸蔵(Intercalation)又は放出(Deintercalation)することができる材料;リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる材料;リチウム金属;又はリチウム合金を含むことができる。
【0084】
前記リチウムイオン(Li+)を可逆的に吸蔵又は放出することができる材料は、例えば、結晶性炭素、非晶質炭素又はこれらの混合物であってもよい。前記リチウムイオン(Li+)と反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる材料としては、例えば、酸化スズ、チタンニトラート又はシリコンであってもよい。前記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)と、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)及びスズ(Sn)からなる群から選択される金属との合金であってもよい。
【0085】
好ましい一実施形態において、前記負極活物質は、リチウム金属であってもよく、具体的には、リチウム金属薄膜又はリチウム金属粉末の形態であってもよい。
【0086】
前記負極活物質層の形成方法は特に限定されず、従来からこの技術分野で用いられている任意の層又は膜の形成方法を使用することができる。例えば、圧縮、コーティング、蒸着などの方法を使用することができる。また、本発明の負極には、負極集電体上にリチウム薄膜を形成せずに電池を組み立て、初期充電により金属板上にリチウム金属薄膜を形成する場合も含まれる。
【0087】
前記本発明の非水電解質組成物は、前記説明と同様であり、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンを介して正極と負極で電気化学的な酸化反応又は還元反応を起こさせるためのものである。
【0088】
前記非水電解質組成物の注入は、最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電気化学素子の製造工程中の適切な工程で行うことができる。すなわち、電気化学素子を組み立てる前に適用してもよく、又は電気化学素子を組み立て最終工程で適用してもよい。
【0089】
前述した正極と負極との間には、さらに分離膜が含まれてもよい。前記分離膜は、本発明の二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)において、両電極を物理的に分離するためのものであり、二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)の分離膜として従来から使用されているものであれば特に制限なく使用することができ、特に、電解質組成物中でのイオン移動抵抗が小さく、電解質組成物に対する含浸性(加湿性)が良好な分離膜を用いること好ましい。
【0090】
前記分離膜は、多孔質材料で構成されていればよく、従来から電気化学素子に使用されている多孔質料であればいずれも使用可能であり、例えば、多孔質膜又は不織布を使用することができるが、特に限定されるものではない。
【0091】
前記多孔質膜の具体例としては、ポリオレフィン系多孔質膜が挙げられる。前記ポリオレフィン系多孔質膜は、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子を単独で用いて形成された膜であってもよく、又はこれらの高分子を混合して形成した膜であってもよい。
【0092】
前記不織布は、ポリオレフィン系不織布の他、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルファイド及びポリエチレンナフタレートなどを単独で用いて形成された不織布又はそれらの高分子混合物から形成した不織布であってもよい。前記不織布の構造は、長繊維からなるスパンボンド不織布又はメルトブローン不織布であってもよい。
【0093】
前記多孔性材料の厚さは、特に限定されないが、1~100μm、好ましくは5~50μmであってもよい。
【0094】
前記多孔性材料に存在する気孔の大きさ及び気孔率は特に限定されないが、それぞれ0.001~50μm及び10~95%であってもよい。
【0095】
本発明による二次電池(特に、リチウム・硫黄二次電池)は、一般的な巻回工程以外に、分離膜と電極とを積層して積み重ね、折り畳む工程を経て製造することができる。
【0096】
前記二次電池の形状は、特に限定されず、円筒型、積層型、コイン型など様々な形状で製造することができる。
【0097】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲がこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例
【0098】
<ジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールの製造>
以下のジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールの製造例において、化学量論に従ったジアンヒドロ糖ヘキシトール(イソソルビド)とエチレンオキシドの付加反応スキームは以下の通りである。
【0099】
【0100】
製造例A1:イソソルビド1モルに対してエチレンオキシド5モルを用いた付加反応
加圧可能な反応器にイソソルビド146gと酸成分としてリン酸(85%)0.15gを加え、反応器内を窒素置換して100℃まで加熱し、真空下減圧して反応器内の水分を除去した。次に、まずエチレンオキシド88gをゆっくり加えながら、100℃~140℃の温度で2時間~3時間反応させた。このとき、反応温度が140℃を超えないように調節した。その後、反応器内を50℃まで冷却し、水酸化カリウム0.3gを反応器内に加え、反応器内を窒素置換し、100℃まで昇温し、真空下減圧して反応器内の水分を除去した。次に、エチレンオキシド132gをゆっくり加えながら、100℃~140℃で2時間~3時間反応させた。反応終了後、反応器内を50℃に冷却し、吸着剤として4.0gのAmbosol MP20を加え、再加熱して100℃~120℃の温度で1時間~5時間撹拌して、金属イオンを除去した。このとき、反応器内を窒素置換したり、真空下で減圧したりした。金属イオンが検出されないことを確認した後、反応器内を60℃~90℃に冷却し、残留副産物を除去し、透明液状の付加反応生成物362gを得た。
【0101】
製造例A2:イソソルビド1モルに対してエチレンオキシド10モルを用いた付加反応
エチレンオキシドの2回目の投入量を132gから352gに変更した以外は、製造例A1と同様の方法を実施し、透明液状の付加反応生成物551gを得た。
【0102】
製造例A3:イソソルビド1モルに対してエチレンオキシド2モルを用いた付加反応
エチレンオキシドの1回目の投入量を88gから44gに、2回目の投入量を132gから44gに変更した以外は、製造例A1と同様の方法を実施し、透明液状の付加反応生成物227gを得た。
【0103】
<式(2)の化合物の製造>
以下の化合物の製造例において、ジアンヒドロ糖ヘキシトール-エチレングリコールから目的化合物((4aR,5R,7aR)-5-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イル]-2,3,4a,5,7,7a-ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン)を生成する反応スキームは以下の通りである:
【0104】
【0105】
実施例A1:製造例A1の付加反応生成物を用いた目的化合物の製造
真空ポンプとマイクロ昇華装置が順次直列に接続した3口ガラス反応器に、製造例A1で得られた付加反応生成物200g及び硫酸5gを加え、130℃に加熱ししながら反応を行った。1時間加熱撹拌後、真空ポンプで50mbarまでゆっくり減圧し、分解ガスと1,4-ジオキサンを除去し、マイクロ昇華装置を使用して針状結晶の目的化合物35gを得た。得られた目的化合物の分析結果は以下の通りである:
1H NMR (400 MHz, CDCl3): d 4.39 (td, J = 8.6, 4.0 Hz, 1H), 4.18 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 3.96 (m, 1H), 3.96-3.83 (m, 5H), 3.81-3.74 (m, 3H), 3.71 (m, 1H), 3.66-3.58 (m, 2H), 3.50 (m, 1H), 3.33 (m, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): d 80.1, 74.7, 73.9, 72.4, 67.3, 66.6, 66.3, 64.6, 64.4, 59.6.
Mass (ESI): 217.10 (M+1).
【0106】
実施例A2:製造例A2の付加反応生成物を用いた目的化合物の製造
製造例A1で得られた付加反応生成物の代わりに、製造例A2で得られた付加反応生成物200gを使用した以外は、実施例A1と同様の方法を実施し、針状結晶の目的化合物19gを得た。得られた目的化合物の分析結果は、実施例A1と同じであった。
【0107】
実施例A3:製造例A3の付加反応生成物を用いた目的化合物の製造
製造例A1で得られた付加反応生成物の代わりに、製造例A3で得られた付加反応生成物200gを使用した以外は、実施例A1と同様の方法を実施し、針状結晶の目的化合物12gを得た。得られた目的化合物の分析結果は実施例A1と同じであった。
【0108】
<式(3-1)の化合物の製造>
実施例A4:モノヒドロキシフロジオキシンを用いた目的化合物の製造
以下の化合物製造例において、モノヒドロキシフロジオキシンから式(3-1)の目的化合物(5-(メトキシメチル)ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン)を生成する反応スキームは以下の通りである:
【0109】
【化30】
1,000mLフラスコに400mLのテトラヒドロフランを加え、出発物質([ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル]メタノール)80g及び水素化ナトリウム36gを加え、前記フラスコ内を0℃に10分間保持した。0℃で30分間撹拌した後、ヨウ化メチル90gを加え、60℃まで昇温し、12時間間撹拌しながら反応を行った。反応終了後、得られた混合物をろ過し、真空下で乾燥して、前記式(3-1)の目的化合物(5-(メトキシメチル)ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン)56gを得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): d 4.80 (td, 1H), 4.51 (t, 1H), 4.00-3.75 (m, 2H), 3.76-3.66 (m, 4H), 3.75 (m, 1H), 3.60-3.35 (m, 2H), 3.23 (s, 3H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d
6): d 91.1, 89.6, 86.1, 72.0, 62.7, 61.4, 61.1, 59.6.
Mass (ESI): 174.2 (M+1).
【0110】
<式(3-2)の化合物の製造>
実施例A5:モノヒドロキシフロジオキシンを用いた目的化合物の製造
ヨウ化メチル90gに代わりに、2,2,2-トリフルオロエチルp-トルエンスルホネート120gを使用した以外は、実施例A4と同様の方法を実施し、前記式(3-2)の目的化合物(5-((2,2,2-トリフルオロエトキ)メチル)ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン)82gを得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): d 4.80 (td, 1H), 4.51 (td, 1H), 4.00-3.75 (m, 2H), 3.76-3.66 (m, 4H), 3.75 (m, 1H), 3.60-3.35 (m, 2H), 3.23 (s, 2H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): d 128.5, 123.5, 91.1, 89.6, 86.1, 62.7, 61.4, 61.1, 51.6.
Mass (ESI): 242.2 (M+1).
【0111】
<式(4-1)の化合物の製造>
実施例A6:ジヒドロキシフロジオキシンを用いた目的化合物の製造
出発物質として[ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル]メタノール80gに代わりに、2,5-アンヒドロ-3,4-O-(1,2-エタンジイル)マンニトール90gを使用した以外は、実施例A4と同様の方法を実施し、前記式(4-1)の目的化合物(5,7-ビス(メトキシメチル)ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン)66gを得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): d 4.80 (td, 2H), 3.75 (m, 2H), 3.76-3.66 (m, 4H), 3.60-3.35 (m, 4H), 3.23 (s, 6H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): d 88.9, 82.1, 72.3, 61.4, 59.6.
Mass (ESI): 218.26 (M+1).
【0112】
<式(4-2)の化合物の製造>
実施例A7:ジヒドロキシフロジオキシンを用いた目的化合物の製造
出発物質として[ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル]メタノール80gに代わりに、2,5-アンヒドロ-3,4-O-(1,2-エタンジイル)マンニトール90gを用い、ヨウ化メチル90gに代わりに、2,2,2-トリフルオロエチルp-トルエンスルホネート120gを使用した以外は、実施例A4と同様の方法を実施し、式(4-2)の目的化合物(5,7-ビス((2,2,2-トリフルオロエトキ)メチル)ヘキサヒドロフロ[3,4-b][1,4]ジオキシン)83gを得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): d 4.92 (dd, 4H), 4.80 (td, 2H), 3.75 (m, 2H), 3.76-3.66 (m, 4H), 3.60-3.35 (m, 4H), 3.23 (s, 6H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): d 128.5, 121.6, 88.9, 82.1, 72.3, 61.4, 51.9.
Mass (ESI): 354.25 (M+1).
【0113】
<非水電解質組成物の製造>
実施例B1:添加剤として、LiNO31重量部及び実施例A1で得られた目的化合物2重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部及び実施例A1で得られた目的化合物2重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0114】
実施例B2:添加剤として、LiNO34.5重量部及び実施例A2で得られた目的化合物4.4重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び4.2MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO34.5重量部及び実施例A2で得られた目的化合物4.4重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0115】
実施例B3:添加剤として、CH3NO31重量部及び実施例A3で得られた目的化合物4.3重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてCH3NO31.0重量部及び実施例A3で得られた目的化合物4.3重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0116】
実施例B4:添加剤として、LiNO20.5重量部及び実施例A1で得られた目的0.7重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び0.4MのLiPF6を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO20.5重量部及び実施例A1で得られた目的化合物0.7重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0117】
実施例B5:添加剤として、LiNO31重量部及び実施例A1で得られた目的化合物2重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン単独からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部及び実施例A1で得られた目的化合物2重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0118】
実施例B6:添加剤として、LiNO31重量部及び実施例A1で得られた目的化合物2重量部を含む電解質組成物の製造
テトラエチルグリコールジメチルエーテル及び1,3-ジオキソラン(体積比=25:75)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部及び実施例A1で得られた目的化合物2重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0119】
実施例B7:添加剤として、LiNO31重量部及び実施例A4で得られた目的化合物2重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部及び実施例A4で得られた目的化合物2重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0120】
実施例B8:添加剤として、LiNO31重量部及び実施例A5で得られた目的化合物2重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部及び実施例A5で得られた目的化合物2重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0121】
実施例B9:添加剤として、LiNO31重量部及び実施例A6で得られた目的化合物2重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部及び実施例A6で得られた目的化合物2重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0122】
実施例B10:添加剤として、LiNO31重量部及び実施例A7で得られた目的化合物2重量部を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部及び実施例A7で得られた目的化合物2重量部を添加剤として混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0123】
比較例B1:添加剤として、LiNO31重量部のみを含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO31重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0124】
比較例B2:添加剤0.09重量部(LiNO30.04重量部+実施例A1で得られた目的化合物0.05重量部)を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO30.04重量部及び実施例A1で得られた目的化合物0.05重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0125】
比較例B3:添加剤10.1重量部(LiNO35.5重量部+実施例A1で得られた目的化合物4.6重量部)を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO35.5重量部及び実施例A1で得られた目的化合物4.6重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0126】
比較例B4:添加剤0.09重量部(LiNO30.04重量部+実施例A4で得られた目的化合物0.05重量部)を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO30.04重量部及び実施例A4で得られた目的化合物0.05重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0127】
比較例B5:添加剤10.1重量部(LiNO35.5重量部+実施例A5で得られた目的化合物4.6重量部)を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO35.5重量部及び実施例A5で得られた目的化合物4.6重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0128】
比較例B6:添加剤0.09重量部(LiNO30.04重量部+実施例A6で得られた目的化合物0.05重量部)を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からなある非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO30.04重量部及び実施例A6で得られた目的化合物0.05重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0129】
比較例B7:添加剤10.1重量部(LiNO35.5重量部+実施例A7で得られた目的化合物4.6重量部)を含む電解質組成物の製造
1,2-ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソラン(体積比=50:50)からななる非水電解質溶媒及び1.0MのLiN(CF3SO2)2を含む電解液に、電解質組成物の全量100重量部に対して、添加剤としてLiNO35.5重量部及び実施例A7で得られた目的化合物4.6重量部を混合することによって、電解質組成物10mLを製造した。
【0130】
<リチウム・硫黄二次電池の製造>
実施例C1~C10及び比較例C1~C7
硫黄65重量部、カーボンブラック25重量部及びポルリエテルレンオキシド10重量部をアセトニトリルと混合し、正極活物質層形成用組成物を調製した。このとき、硫黄、カーボンブラック及びポリエチレンオキシドの合計含量が100重量部であった。前記正極活物質層形成用組成物をアルミニウム集電体上にコーティングし、乾燥して正極を製造した。また、負極には厚さ450μmのリチウム金属を用いた。前記製造された正極と負極を対向させ、両者の間にポリプロピレン分離膜を配置し、そこに前記得られた実施例B1~B10及び比較例B1~B7の各電解質組成物を充填し、実施例C1~C10及び比較例C1~C7のリチウム・硫黄二次電池を製造した。
【0131】
<リチウム・硫黄二次電池の充放電特性分析>
前記実施例C1~C10及び比較例C1~C7のリチウム・硫黄二次電池の充放電特性を以下の方法で測定し、その結果を下記表1に示した。
【0132】
室温での寿命評価(放電容量)
実施例及び比較例で製造されたリチウム・硫黄二次電池について、室温での寿命評価を行った。具体的には、前記製造されたリチウム・硫黄二次電池を室温(25℃)で定電流モード0.36mAで固定し、1.8Vまで放電し、放電完了時から10分後定に電流モード0.36mAで作動電圧が2.7Vになるまで充電した。前記充電1回と放電1回を1サイクルとし、前記充放電を100サイクル行いながら室温での初期充電容量に対する容量維持率(寿命維持率)を測定した。
【0133】
【0134】
前記表1に示すように、本発明による実施例B1~B10の電解質組成物を用いた二次電池の場合、本発明の式(1)の化合物を含む添加剤を本発明で規定する含量で含まれているため、リチウム塩の種類によらず、寿命維持率(容量維持率)が90.0%以上と非常に高かった。
【0135】
しかし、本発明の式(1)の化合物を含まない比較例B1の電解質組成物を用いた二次電池の場合、寿命維持率が64.2%と不良であり、本発明の式(1)の化合物(具体的に、式(2)~(4)の化合物)を含む添加剤を本発明で規定する含量より少ない量で使用された比較例B2、B4及びB6の電解質組成物を用いた二次電池の場合、寿命維持率が70%未満と不良であり、本発明の式(1)の化合物(具体的には、式(2)~(4)の化合物)を含む添加剤を本発明で規定する含量より多い量で使用された比較例B3、B5及びB7の電解質組成物を用いた二次電池の場合、寿命維持率が60%未満と非常に不良であった。
【国際調査報告】