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特表2024-537174カーボンナノチューブ製造用触媒及びカーボンナノチューブの製造方法
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  • 特表-カーボンナノチューブ製造用触媒及びカーボンナノチューブの製造方法 図1
  • 特表-カーボンナノチューブ製造用触媒及びカーボンナノチューブの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ製造用触媒及びカーボンナノチューブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/00 20060101AFI20241003BHJP
   C01B 32/162 20170101ALI20241003BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20241003BHJP
   B01J 23/847 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01J37/00 F
C01B32/162
B01J37/08
B01J23/847 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520877
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2022002895
(87)【国際公開番号】W WO2023063506
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0135298
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516298504
【氏名又は名称】コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Korea Kumho Petrochemical Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】100,Cheonggyecheon-ro,Jung-gu,Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チュン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,サン ヒョ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒュン テ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ワン スン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ミュン フン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ウー ラム
【テーマコード(参考)】
4G146
4G169
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AB10
4G146AC07B
4G146AC20B
4G146AD22
4G146BA12
4G146BA48
4G146BB22
4G146BC09
4G146BC23
4G146BC33A
4G146BC33B
4G146BC42
4G146BC44
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA01B
4G169BA05B
4G169BB04A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC09A
4G169BC10A
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC50A
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC54A
4G169BC54B
4G169BC59A
4G169BC60A
4G169BC62A
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BD05A
4G169CB81
4G169DA08
4G169FA01
4G169FB05
4G169FB34
4G169FB57
4G169FB63
4G169FC06
4G169FC07
4G169FC08
(57)【要約】
本明細書の一実施例は、(a)金属前駆体を溶媒中に溶解させて前駆体溶液を製造する段階、(b)前記前駆体溶液を反応器内に噴霧して熱分解する段階、及び(c)触媒を得る段階を含み、前記触媒は、下記式1で表される金属成分を含む、カーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法を提供する。
<式1>
Co:[M1,Zr]:M2
前記式において、Coは、コバルト、その酸化物または誘導体を表し、M1は、Al、Ca、Si、Ti及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であり、Zrは、ジルコニウム、その酸化物または誘導体を表し、M2は、W、V、Mn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であり、0.2≦x/y≦2.6、6≦x/z≦13である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属前駆体を溶媒中に溶解させて前駆体溶液を製造する段階と、
(b)前記前駆体溶液を反応器内に噴霧して熱分解する段階と、
(c)触媒を得る段階と、を含み、
前記触媒は、下記式1で表される金属成分を含む、カーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法。
<式1>
Co:[M1,Zr]:M2
前記式において、
Coは、コバルト、その酸化物または誘導体を表し、
M1は、Al、Ca、Si、Ti及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であり、
Zrは、ジルコニウム、その酸化物または誘導体を表し、
M2は、W、V、Mn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であり、
0.2≦x/y≦2.6、6≦x/z≦13である。
【請求項2】
前記(a)段階は、
(a1)Co前駆体、Zr前駆体、及びAl、Ca、Si、Ti及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属前駆体を溶媒中に溶解させて第1の前駆体溶液を製造する段階と、
(a2)前記第1の前駆体溶液にW、V、Mn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属前駆体を投入して第2の前駆体溶液を製造する段階と、を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法。
【請求項3】
前記(a2)段階において、前記第1の前駆体溶液の温度は30℃未満である、請求項2に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法。
【請求項4】
前記(a2)段階において、前記金属前駆体を投入した後、窒素雰囲気下で撹拌する段階を含む、請求項2に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法。
【請求項5】
前記(b)段階は、
(b1)前記前駆体溶液を1~3barの空気とともに反応器内に噴霧する段階と、
(b2)噴霧された前記前駆体溶液を600~1,000℃で熱分解する段階を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法。
【請求項6】
前記式において、0.5≦x/y≦2.0、8≦x/z≦9である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法。
【請求項7】
(1)請求項1によって製造したカーボンナノチューブ製造用触媒を化学気相蒸着反応器に投入する段階と、
(2)炭素系ガス及び運搬ガスを噴射してカーボンナノチューブを合成する段階と、を含む、カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項8】
前記化学気相蒸着反応器は、流動層化学気相蒸着反応器である、請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項9】
前記化学気相蒸着反応器内の温度は、600~1,000℃である、請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項10】
前記炭素系ガスは、炭素数1~4の飽和または不飽和炭化水素、一酸化炭素、ベンゼン及びこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選ばれる1つである、請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項11】
前記運搬ガスは、ヘリウム、窒素、アルゴン、及びそれらのうち2つ以上の混合物からなる群から選ばれる1つである、請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、カーボンナノチューブ製造用触媒及びカーボンナノチューブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境にやさしいエネルギー及び電気自動車への関心と重要性が高まるにつれて、二次電池の需要が急激に増加している。高容量の電気自動車用二次電池は、エネルギー密度が高く、寿命が長く、自己放電率が低いことが要求され、このような物性を確保するためには、電気伝導性の高い導電材の開発が必須である。導電材は電池内電荷の移動通路として機能するもので、炭素系の導電性物質、例えば黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブなどが使用されてもよく、従来は主に導電性カーボンブラックを使用した。
【0003】
カーボンナノチューブ(carbon nanotube)は、1つの炭素原子が3つの異なる炭素原子と結合した六角形のハニカム状の格子からなるチューブ状構造を有する素材で、優れた電気伝導性により二次電池用次世代導電材として脚光を浴びている。カーボンナノチューブを導電材として使用する場合、二次電池のエネルギー密度及び寿命を向上させることができ、電池のサイズを小さくすることができる。ただし、従来のカーボンナノチューブは、溶媒への溶解性及び溶媒内での分散性が不十分であり、二次電池用導電材として使用するのが難しいという問題点がある。
【0004】
このような問題点を解決するためにボールミル、ピンクラッシャーなどを用いた物理的な後処理を行うなどの様々な試みがなされているが、それに伴う作業上の困難性及びコスト増加問題が新たに発生している。また、様々な金属成分の組み合わせ及び物理的特性を有するカーボンナノチューブ製造用触媒が開発されたが、高容量二次電池用導電材として好適な分散性を具現することは困難なのが実情である。したがって、電気伝導性及び分散性に優れ、二次電池用導電材として使用可能なカーボンナノチューブ及びそれを製造するための触媒の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書の記載事項は、前述した従来技術の問題点を解決するためのもので、本明細書の1つの目的は、電気伝導性及び分散性に優れたカーボンナノチューブを製造するためのカーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法を提供することである。
【0006】
本明細書の他の1つの目的は、電気伝導性及び分散性に優れた二次電池導電材用カーボンナノチューブの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、(a)金属前駆体を溶媒中に溶解させて前駆体溶液を製造する段階、(b)前記前駆体溶液を反応器内に噴霧して熱分解する段階、及び(c)触媒を得る段階を含み、前記触媒は、下記式1で表される金属成分を含む、カーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法を提供する。
【0008】
<式1>
Co:[M1,Zr]:M2
前記式において、Coは、コバルト、その酸化物または誘導体を表し、M1は、Al、Ca、Si、Ti及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であり、Zrは、ジルコニウム、その酸化物または誘導体を表し、M2は、W、V、Mn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であり、0.2≦x/y≦2.6、6≦x/z≦13である。
【0009】
一実施例において、前記(a)段階は、(a1)Co前駆体、Zr前駆体、及びAl、Ca、Si、Ti及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属前駆体を溶媒中に溶解させて第1の前駆体溶液を製造する段階、及び(a2)前記第1の前駆体溶液にW、V、Mn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属前駆体を投入して第2の前駆体溶液を製造する段階を含んでもよい。
【0010】
一実施例において、前記(a2)段階において、第1の前駆体溶液の温度は30℃未満であってもよい。
【0011】
一実施例において、前記(a2)段階において、前記金属前駆体を投入した後、窒素雰囲気下で撹拌する段階を含んでもよい。
【0012】
一実施例において、前記(b)段階は、(b1)前記前駆体溶液を1~3barの空気とともに反応器内に噴霧する段階、及び(b2)噴霧された前記前駆体溶液を600~1,000℃で熱分解する段階を含んでもよい。
【0013】
一実施例において、前記式において、0.5≦x/y≦2.0、8≦x/z≦9であってもよい。
【0014】
他の一態様によれば、(1)前記方法によって製造されたカーボンナノチューブ製造用触媒を化学気相蒸着反応器に投入する段階、及び(2)炭素系ガス及び運搬ガスを噴射してカーボンナノチューブを合成する段階を含むカーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【0015】
一実施例において、前記化学気相蒸着反応器は、流動層化学気相蒸着反応器であってもよい。
【0016】
一実施例において、前記化学気相蒸着反応器内の温度は、600~1,000℃であってもよい。
【0017】
一実施例において、前記炭素系ガスは、炭素数1~4の飽和または不飽和炭化水素、一酸化炭素、ベンゼン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群から選ばれる1つであってもよい。
【0018】
一実施例において、前記運搬ガスは、ヘリウム、窒素、アルゴン、及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群から選ばれる1つであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本明細書の一態様によるカーボンナノチューブ製造用触媒は、電気伝導性及び分散性に優れたカーボンナノチューブの合成に適用されてもよい。
【0020】
また、本明細書の他の一態様によって製造したカーボンナノチューブは、電気伝導性及び分散性を含む物性に優れ、二次電池用導電材として使用する場合、二次電池の容量及び寿命特性を向上させることができる。
【0021】
本明細書の一態様の効果は前記効果に限定されず、本明細書の詳細な説明または請求範囲に記載された構成から推論可能なすべての効果を含むものとして理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1及び図2は、本明細書の一実施例によるカーボンナノチューブ製造用触媒を用いて製造したカーボンナノチューブのFE-SEMイメージである。
図2図1及び図2は、本明細書の一実施例によるカーボンナノチューブ製造用触媒を用いて製造したカーボンナノチューブのFE-SEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本明細書の一態様を説明する。しかし、本明細書の記載事項は様々な形態として具現されてもよく、したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。また、図面において本明細書の一態様を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて類似した部分については、類似した図面符号を付した。
【0024】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載のない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0025】
本明細書において数値的値の範囲が記載されたとき、その具体的な範囲が特に記述のない限り、その値は有効数字に対する化学における標準規則に従って提供される有効数字の精度を有する。例えば、10は5.0~14.9の範囲を含み、数字10.0は9.50~10.49の範囲を含む。
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本明細書の一実施例を詳細に説明する。
【0027】
カーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法
本明細書の一態様によるカーボンナノチューブ製造用触媒の製造方法は、(a)金属前駆体を溶媒中に溶解させて前駆体溶液を製造する段階、(b)前記前駆体溶液を反応器内に噴霧して熱分解する段階、及び(c)触媒を得る段階を含み、前記触媒は、下記式1で表される金属成分を含む。
【0028】
<式1>
Co:[M1,Zr]:M2
前記式において、Coは、コバルト、その酸化物または誘導体を表すことができる。前記Coは、前記カーボンナノチューブ製造用触媒において主触媒として作用しうる。前記触媒を用いてカーボンナノチューブの合成時に相対的に優れた分散性を有する構造として成長しうる。
【0029】
前記式において、M1は、Al、Ca、Si、Ti及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であり、Zrは、ジルコニウム、その酸化物または誘導体を表すことができる。
【0030】
前記[M1、Zr]は、不活性支持体で、主触媒及び助触媒成分を担持しうる。前記[M1、Zr]は、M1及びZrが同一または異なるモル数で含まれることを示し、例えば、M1がZrに対して1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上または3倍以上のモル数で含まれたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
主触媒、助触媒、不活性支持体の組成及び成分間の割合によって触媒の結晶構造が形成され、その結果、カーボンナノチューブの成長形態と性質が変わることがある。例えば、不活性支持体としてM1とZrを含む触媒を用いてカーボンナノチューブの合成時に導電材として適用可能な電気伝導度と電極に塗布する際に必要なレベルの溶解性、分散性を具現しうる。
【0032】
前記式において、M2は、W、V、Mn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物または誘導体であってもよい。前記M2は、前記カーボンナノチューブ製造用触媒において前記主触媒の作用を補助する活性成分である助触媒として作用しうる。前述したカーボンナノチューブの構造的特性を維持しながら、合成効率を改善させることができる。
【0033】
前記式において、0.2≦x/y≦2.6であってもよい。前記x/yは、支持体に対して主触媒のモル分率を表し、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8,1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6またはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。x/yモル分率が前記範囲より低いと、触媒の活性及びそれによるカーボンナノチューブの合成収率が低下することがあり、製造されたカーボンナノチューブの分散性が低下し、二次電池用導電材として不適合となる。x/yモル分率が前記範囲より高いと、支持体の含量が相対的に少なく触媒の耐久性が低下することがあり、合成されたカーボンナノチューブがインタングル(entangle)構造を示し、BET比表面積及び粉体抵抗物性が低下し、分散性及び電気伝導性が不十分であり、二次電池用導電材として不適合となる。
【0034】
前記式において、6≦x/z≦13であってもよい。前記x/zは、助触媒に対して主触媒のモル分率を表し、例えば、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13またはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。x/zモル分率が前記範囲より低いと、助触媒の過剰により反応時のカーボンナノチューブの成長が妨げられて生産量が減少することがあり、製造されたカーボンナノチューブの粉体抵抗が低下し、二次電池用導電材として不適合となる。x/zモル分率が前記範囲より高いと、助触媒の不足により反応時にカーボンナノチューブの成長活性度が低くなるにつれて生産量が減少することがあり、合成されたカーボンナノチューブの粉体抵抗が低下し、二次電池用導電材として不適合となる。
【0035】
前記(a)段階は、カーボンナノチューブ製造用触媒に含まれる金属成分の前駆体を含む前駆体溶液を準備する段階であって、前記金属前駆体を溶媒に投入した後、窒素雰囲気下で撹拌する段階を含んでもよい。
【0036】
前記金属前駆体は、各金属の硝酸塩、硫酸塩、アルコキシド、クロリド、アセテート、カーボネート、及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群から選ばれる1つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0037】
前記(a)段階において、前記溶媒は極性溶媒であってもよく、前記極性溶媒として水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールまたはこれらのうち2つ以上の混合溶媒を使用してもよく、例えば、脱イオン水を使用してもよいが、これに限定されるものではない。前記溶媒として脱イオン水を使用すると、前駆体溶液内の不純物を最小限に抑えることができ、これによって最終的に製造される触媒の純度を向上させることができる。前記触媒の純度向上は、結果として、カーボンナノチューブの純度向上を意味する。
【0038】
前記(a)段階は、(a1)Co前駆体、Zr前駆体、及びAl、Ca、Si、Ti及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属前駆体を溶媒中に溶解させて第1の前駆体溶液を製造する段階、及び(a2)前記第1の前駆体溶液にW、V、Mn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属前駆体を投入して第2の前駆体溶液を製造する段階を含んでもよい。前記(a1)及び(a2)段階の順序は、制限されない。
【0039】
前記(a1)段階は、主触媒の前駆体及び支持体の前駆体を溶媒に溶解させる段階であって、前記第1の前駆体溶液は、酸性溶液であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0040】
前記(a2)段階は、助触媒の前駆体を投入する段階で、前記助触媒の前駆体は、塩基性を帯びるが、これに限定されるものではない。
【0041】
前記(a2)段階において、前記第1の前駆体溶液の温度は、30℃未満であってもよい。例えば、29.9℃、29.5℃、29℃、28.5℃、28℃、27.5℃、27℃、26.5℃、26℃、25.5℃、25℃、24.5℃、24℃、23.5℃、23℃、22.5℃、22℃、21.5℃、21℃、20.5℃、20℃、これらのうち2つの値の間の範囲、または20℃未満であってもよい。前記第1の前駆体溶液の温度が30℃以上であると、熱による副反応が行われて沈殿現象が発生することがあり、それによって触媒の生産性及び品質均一性が低下することがある。
【0042】
前記(a2)段階において、前記金属前駆体を投入した後、窒素雰囲気下で撹拌する段階を含んでもよい。前記金属前駆体を投入した後、窒素以外の雰囲気、例えば大気下で攪拌する場合、酸性を帯びる第1の前駆体溶液と塩基性を帯びる助触媒前駆体の反応による沈殿現象が発生することがあり、それによって触媒の生産性及び品質均一性が低下することがある。
【0043】
前記(b)段階は、(b1)前記前駆体溶液を1~3barの空気とともに反応器内に噴霧する段階、及び(b2)噴霧された前記前駆体溶液を600~1,000℃で熱分解する段階を含んでもよい。
【0044】
前記(b1)段階では、触媒の粒径、見かけ密度などを制御するために、前記前駆体溶液を反応器内に噴霧してより微細な液滴(droplet)に変換させることができる。前記前駆体溶液の噴霧時、その圧力は1~3barの範囲内に調節しうる。前記噴霧圧力が1bar未満であると、触媒の粒径、見かけ密度などが一定範囲内に調節されず、これにより合成されるカーボンナノチューブの純度が低下することがある。前記噴霧圧力が3barを超えると、液滴の粒度が過度に小さくなり、得られた触媒が互いに凝集することがある。
【0045】
前記(b2)段階では、前記液滴を加熱して溶媒を蒸発させて前駆体を分解することにより、触媒を製造しうる。このとき、前記反応器の温度は、600~1,000℃であってもよい。例えば、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1,000℃またはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。前記反応器の温度が前記範囲より低いと、触媒の乾燥状態が不良であり、追加的な工程が必要となり経済性の面で不利であり、これにより製造されるカーボンナノチューブの純度や物性が低下することがある。前記反応器の温度が前記範囲より高いと、装備や設備の構築に過剰なコストがかかり、経済的損失を招くだけでなく、固溶体の形成や結晶構造の変形により触媒性能が低下することがある。
【0046】
前記式において、0.5≦x/y≦2.0、8≦x/z≦9であってもよいが、これに限定されるものではない。前記触媒が4成分系元素を含む触媒である場合、各成分間の割合が前記範囲を満足すれば、所望のカーボンナノチューブを製造するための工程条件の制御がより容易であるが、これに限定されるものではない。
【0047】
前記(c)段階は、製造されたカーボンナノチューブ製造用触媒を最終的に得る段階で、前記触媒は粉末状で得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0048】
前記方法によって製造されたカーボンナノチューブ製造用触媒は、カーボンナノチューブを合成するための化学気相蒸着法に使用されてもよく、例えば、流動層化学気相蒸着法または固定層化学気相蒸着法に使用されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0049】
前記方法により製造されたカーボンナノチューブ製造用触媒は、電気伝導性及び分散性に優れたカーボンナノチューブの製造に適用されてもよい。
【0050】
カーボンナノチューブの製造方法
本明細書の他の一態様によるカーボンナノチューブの製造方法は、(1)前記方法によって製造したカーボンナノチューブ製造用触媒を化学気相蒸着反応器に投入する段階、及び(2)炭素系ガス及び運搬ガスを噴射してカーボンナノチューブを合成する段階を含む。
【0051】
前記化学気相蒸着反応器は、流動層化学気相蒸着反応器であってもよいが、これに限定されるものではない。見かけ密度、触媒の形態及び強度などの問題により固定層化学気相蒸着反応器でのみ使用可能な従来の触媒とは異なり、前記触媒は固定層化学気相蒸着反応器または流動層化学気相蒸着反応器の両方で使用してもよい。
【0052】
固定層化学気相蒸着反応器は相対的に多様な触媒の使用が可能であるが、生産性及び合成されたカーボンナノチューブの均一性は不十分である。流動層化学気相蒸着反応器は大量生産及び均一なカーボンナノチューブの製造に有利であるが、使用可能な触媒の種類が制限されることがある。
【0053】
前記化学気相蒸着反応器内の温度は、600~1,000℃であってもよい。例えば、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1,000℃、またはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。前記反応器の温度が低すぎると、カーボンナノチューブの成長が不可能であるか、遅延されることがある。前記反応器の温度が高すぎると、合成されたカーボンナノチューブが熱分解されるか、またはそれぞれが相互結合して形態を維持できないことがある。
【0054】
前記炭素系ガスは、炭素数1~4の飽和又は不飽和炭化水素、一酸化炭素、ベンゼン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群から選ばれる1つであってもよく、例えば、エチレン、プロピレン、アセチレン又はメタンであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0055】
前記運搬ガスは、ヘリウム、窒素、アルゴン及びこれらのうち少なくとも2つの混合物からなる群から選ばれる1つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0056】
前記(2)段階では、高温の熱によって分解された炭素系ガスが触媒組成物内に浸透、飽和した後、炭素が析出し、カーボンナノチューブが成長して行われてもよいが、これに限定されるものではない。
【0057】
前記製造方法によれば、大量の二次電池導電材用カーボンナノチューブを効果的に製造しうる。
【0058】
前記方法によって製造されたカーボンナノチューブは、前記触媒上にカーボンナノチューブが成長した集合体であってもよい。前記カーボンナノチューブ集合体は、触媒組成物及びカーボンナノチューブの両方を含む概念として理解できる。前記カーボンナノチューブ集合体は、前述した触媒シード(seed)から成長したカーボンナノチューブを含む。前記触媒によってカーボンナノチューブの成長パターン、純度などが決定されて導電材として適用するとき、電気伝導性、分散性、溶解性などが変わることがある。したがって、カーボンナノチューブの直径、長さ、純度などが類似していても、異なる組成の触媒で製造されたものであれば、分散性、溶解性、電気伝導度などの特性が変わることがある。
【0059】
一例において、前記カーボンナノチューブ集合体には、それぞれのカーボンナノチューブが直線状、曲線状またはそれらが混合された形態で存在してもよい。前記カーボンナノチューブのそれぞれは、単一壁、二重壁または多重壁カーボンナノチューブであってもよい。
【0060】
一例において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブが互いに凝集した束(bundle)状のカーボンナノチューブを含んでもよい。前記束状のカーボンナノチューブは、それぞれ直線状、曲線状またはそれらが混合された形態で存在してもよい。
【0061】
一例において、前記カーボンナノチューブ集合体は、平均壁数が3~20個の多重壁カーボンナノチューブを含んでもよい。前記カーボンナノチューブ集合体は、単一壁カーボンナノチューブに対して相対的に伝導度が低いことが知られている多重壁炭素ナノチューブを使用しながらも、二次電池用導電材としての必要物性を具現しうる。
【0062】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブの純度は90%以上であってもよい。例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上であってもよいが、これに限定されるものではない。純度が前記範囲を外れると、電気伝導度が不十分であるか、または不純物が電池内部で反応して安全事故が発生することがある。
【0063】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブ集合体のBET比表面積(specific surface area)が130~260m/gであってもよい。例えば、130m/g、140m/g、150m/g、160m/g、170m/g、180m/g、190m/g、200m/g、210m/g、220m/g、230m/g、240m/g、250m/g、260m/gまたはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。前記BET比表面積が前記範囲より小さいと、電気伝導性が低下して二次電池用導電材として不適合となり、前記範囲より高いと、分散性が低下することがある。
【0064】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブ集合体の見かけ密度(bulk density)は、0.005~0.10g/mlであってもよい。例えば、0.005g/ml、0.01g/ml、0.02g/ml、0.03g/ml、0.04g/ml、0.05g/ml、0.06g/ml、0.07g/ml、0.08g/ml、0.09g/ml、0.10g/mlまたはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。前記見かけ密度は、粉末状のカーボンナノチューブを用いて測定したものであってもよい。見かけ密度が前記範囲を外れると、カーボンナノチューブの過度な飛散問題が発生するか、または導電材スラリーの製造時に分散性と溶解性が不十分である。
【0065】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブの平均繊維径は、3~30nmであってもよい。例えば、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nmまたはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。平均繊維径が前記範囲を外れると、合成されたカーボンナノチューブに構造的に問題があるか、または所望のカーボンナノチューブの特性の具現が不十分である。
【0066】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブの平均粉体抵抗は、0.005~0.045Ω・cmであってもよい。例えば、0.005Ω・cm、0.006Ω・cm、0.007Ω・cm、0.008Ω・cm、0.009Ω・cm、0.01Ω・cm、0.011Ω・cm、0.012Ω・cm、0.013Ω・cm、0.014Ω・cm、0.015Ω・cm、0.016Ω・cm、0.017Ω・cm、0.018Ω・cm、0.019Ω・cm、0.02Ω・cm、0.021Ω・cm、0.022Ω・cm、0.023Ω・cm、0.024Ω・cm、0.025Ω・cm、0.026Ω・cm、0.027Ω・cm、0.028Ω・cm、0.029Ω・cm、0.03Ω・cm、0.031Ω・cm、0.032Ω・cm、0.033Ω・cm、0.034Ω・cm、0.035Ω・cm、0.036Ω・cm、0.037Ω・cm、0.038Ω・cm、0.039Ω・cm、0.04Ω・cm、0.041Ω・cm、0.042Ω・cm、0.043Ω・cm、0.044Ω・cm、0.045Ω・cmまたはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。前記粉体抵抗が前記範囲より高いと、電気伝導性が低下して二次電池用導電材として不適合となる。
【0067】
前記カーボンナノチューブの構造を分析するための方法のうち、カーボンナノチューブの表面状態を分析するラマン分光法(Raman Spectroscopy)が有用に使用されてもよい。本明細書で使用される用語の「ラマン分光法」とは、レーザ光のような単色の励起光を照射したとき、分子の振動数分の差がある散乱光が生じる現象であるラマン効果(Raman effect)において分子の振動数を求める分光法を意味するもので、このようなラマン分光法を通じてカーボンナノチューブの結晶性を数値化して測定しうる。
【0068】
前記カーボンナノチューブのラマンスペクトルのうち波数1580±50cm-1領域に存在するピークをGバンドといい、これはカーボンナノチューブのsp結合を示すピークであり、構造的欠陥のない炭素結晶を示すことができる。また、波数1360±50cm-1領域に存在するピークをDバンドといい、これはカーボンナノチューブのsp結合を示すピークであり、構造的欠陥を含有する炭素を示すことができる。
【0069】
さらに、前記Gバンド及びDバンドのピーク値をそれぞれI及びIといい、両者間の比率であるラマン分光強度比(I/I)を通じてカーボンナノチューブの結晶性を数値化して測定しうる。すなわち、ラマン分光強度比が高い値を示すほどカーボンナノチューブの構造的欠陥が少ないことを意味するので、前記ラマン分光強度比が高い値を示すカーボンナノチューブを使用する場合、より優れた電気伝導性を具現しうる。
【0070】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブのラマン分光強度比(I/I)は、0.5~2.0であってもよい。例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0またはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。ラマン分光強度比が前記範囲を外れると、カーボンナノチューブの分散性が低下し、電極への塗布時に均一な電気伝導性を具現することが難しい。
【0071】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブの表面抵抗は、100~250Ω/sqであってもよい。例えば、100Ω/sq、110Ω/sq、120Ω/sq、130Ω/sq、140Ω/sq、150Ω/sq、160Ω/sq、170Ω/sq、180Ω/sq、190Ω/sq、200Ω/sq、210Ω/sq、220Ω/sq、230Ω/sq、240Ω/sq、250Ω/sqまたはこれらのうち2つの値の間の範囲であってもよい。前記表面抵抗が前記範囲より高いと、電気伝導性が低下して二次電池用導電材として不適合となる。
【0072】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブは、電気伝導性及び分散性を含む物性に優れ、二次電池用導電材として使用する場合、二次電池の容量及び寿命特性を向上させることができ、それによってエネルギー密度が高く、自己放電率の低い高容量二次電池の生産に適用しうる。
【0073】
電極材スラリーなどの製造時に溶解性が不十分で導電材への適用が難しい従来のカーボンナノチューブとは異なり、前記カーボンナノチューブ集合体はスラリー製造が容易であり、分散性に優れている。前記二次電池用導電材は、電流が局部的に集中して発生する安全事故を抑制しうる。
【0074】
前記方法によって製造したカーボンナノチューブは、従来の二次電池用導電材として使用されるカーボンブラックに対して粉体抵抗に優れ、少ない使用量でもエネルギー密度を高めることができ、二次電池の充電速度及び効率を改善しうる。また、前記二次電池用導電材を使用すると、相対的に大量の電極材を含みながらも、十分な電流特性を有することができる。
【0075】
以下、本明細書の実施例についてさらに詳細に説明する。ただし、以下の実験結果は、前記実施例のうち代表的な実験結果のみを記載したものであり、実施例などにより本明細書の範囲と内容が縮小されるか、または制限されて解釈できない。以下に明示的に示されていない本明細書のいくつかの具現例のそれぞれの効果は、当該部分に具体的に記載する。
【0076】
実施例1~6及び比較例1~4
Co(NO・6HO、Al(NO・9HO、ZrO(NO・2HO及び脱イオン水を反応器に投入した後、窒素雰囲気下で撹拌して第1の前駆体溶液を製造した。30℃未満の温度を維持した第1の前駆体溶液にNHVOを投入し、窒素雰囲気下で撹拌して第2の前駆体溶液を製造した。このとき、それぞれの前駆体は、下記表1の触媒組成に応じて必要な量で投入した。第2の前駆体溶液を3L/hrの速度で空気とともに噴霧熱分解反応器内に噴霧して熱分解することにより、触媒組成物を得た。空気の噴霧圧力は、1~3bar、噴霧熱分解反応器内の温度は、750℃に設定した。
【0077】
【表1】
【0078】
比較例5
第1の前駆体溶液の温度を50℃に維持したことを除いては、前記実施例1と同様の組成及び方法で触媒組成物を製造した。
【0079】
比較例6
第1の前駆体溶液にNHVOを投入し、大気下で撹拌したことを除いては、前記実施例1と同様の組成及び方法で触媒組成物を製造した。
【0080】
製造例
前記実施例及び比較例による触媒組成物を直径350mmの流動層化学気相蒸着反応器に投入し、窒素雰囲気下で反応器内の温度を700~800℃まで昇温して維持した。その後、窒素及びエチレンが混合されたガスを150L/minの速度で供給しながら、50分間反応させてカーボンナノチューブを合成した。
【0081】
実験例1
前記製造例によって合成したカーボンナノチューブの構造、繊維径及び壁数をFE-SEMイメージを通じて確認し、BET比表面積(specific surface area)及び粉体抵抗を測定して下記表2に示した。BET比表面積は、TriStar II 3020装備(Micrometritics社)を使用して測定した。粉体抵抗は、HPRM-FA2装備(ハンテック社)を使用して見かけ密度(bulk density)を測定した後、見かけ密度による体積抵抗率(Ω・cm)傾向線を活用して密度が0.65±0.01g/mlのときの体積抵抗値を算出した。
【0082】
図1及び図2は、それぞれ実施例6及び比較例1の触媒組成物を使用して製造例によって合成したカーボンナノチューブのFE-SEMイメージである。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例1~6の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、図1のように束(bundle)状の構造を示し、BET比表面積及び粉体抵抗物性に優れ、二次電池用導電材として適用可能であることを確認した。
【0085】
Co/(Al+Zr)モル分率が3.18と高い比較例1の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、図2のようにインタングル(entangle)構造を示し、実施例に対してBET比表面積及び粉体抵抗物性が低下した。
【0086】
Co/(Al+Zr)モル分率が0.18と低い比較例2の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、BET比表面積が非常に高く粉体抵抗は優れているが、BET比表面積が高くなることにより、分散液製造時の分散性が低下した。
【0087】
Co/Vモル分率が3.45と低い比較例3の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、活性成分である助触媒の過剰により反応時のカーボンナノチューブの成長を妨げて生産量が減少し、実施例に対して合成されたカーボンナノチューブの粉体抵抗が低下した。
【0088】
Co/Vモル分率が17.29と高い比較例4の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、活性成分である助触媒の不足により反応時のカーボンナノチューブの成長活性度が低くなることにより生産量が減少し、実施例に対して合成されたカーボンナノチューブの粉体抵抗が低下した。
【0089】
実験例2
前記製造例によって合成したカーボンナノチューブの電気伝導性及び分散性を評価するために、カーボンナノチューブの表面抵抗の測定及び分散液の評価を行い、その結果を下記表3に示した。
【0090】
カーボンナノチューブの表面抵抗は、バーコート(bar coating)後、4点法(4-point probe)を用いて測定した。カーボンナノチューブの分散液の評価は、N-メチルピロリドン(NMP,N-methylpyrrolidone)に5重量%となるようにカーボンナノチューブを添加し、ビーズミル装備を用いて行った。RRG(Rotate Ring Mill)装備の製造時に粘度がもはや低下しない場合に分散評価を完了して製造時間を測定し、48時間以上製造後も分散しない場合には分散できないと評価した。
【0091】
【表3】
【0092】
実施例6の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、表面抵抗が低く電気伝導性に優れ、分散性が高いことを確認した。
【0093】
比較例1の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、インタングル構造を示し、分散液の製造時間は短いが、分散が適切に行われず、実施例に対して電気伝導性が低下した。
【0094】
比較例2の触媒組成物を使用して合成したカーボンナノチューブは、BET比表面積が非常に高くなるにつれて分散が行われず、5%分散液の製造に失敗した。
【0095】
実験例3
前記実施例及び比較例において、第2の前駆体溶液の製造方法による溶液沈殿現象を評価し、下記表4に示した。
【0096】
【表4】
【0097】
実施例1と比較例5を比較すると、第1の前駆体溶液の温度が30℃以上の場合、熱による副反応が行われて沈殿現象が発生した。
【0098】
実施例1と比較例6を比較すると、窒素雰囲気下で第2の前駆体溶液を製造する場合、酸性を帯びる第1の前駆体溶液と塩基性を帯びるNHVO前駆体の反応時に発生する沈殿現象を抑制できることを確認した。
【0099】
溶液沈殿現象が発生する場合、触媒組成物の生産性及び品質均一性が非常に低下することを確認した。
【0100】
前述した本明細書の説明は例示のためのものであり、本明細書の一態様が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本明細書に記載された技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できるだろう。したがって、前述した実施例はすべての点で例示的なものであり、限定的なものではないものと理解しなければならない。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して行われてもよく、同様に分散されていると説明されている構成要素も結合された形で実施されてもよい。
【0101】
本明細書の範囲は後述する請求範囲によって示され、請求範囲の意味と範囲、及びその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本明細書の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
図1
図2
【国際調査報告】