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特表2024-537177リヨセルトウを含むタバコフィルタおよびその製造方法
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  • 特表-リヨセルトウを含むタバコフィルタおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】リヨセルトウを含むタバコフィルタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/10 20060101AFI20241003BHJP
   A24D 3/14 20060101ALI20241003BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A24D3/10
A24D3/14
A24D3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520881
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 KR2022017171
(87)【国際公開番号】W WO2023106643
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0173493
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】519222922
【氏名又は名称】コロン インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジン チュル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソー ホ
(72)【発明者】
【氏名】マ、キェン バエ
(72)【発明者】
【氏名】チェオン、ボン ス
(72)【発明者】
【氏名】ハ、スン フーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン チェオル
(72)【発明者】
【氏名】ジン、サン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェオン フン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、スン ドン
(72)【発明者】
【氏名】フワン、イェオン ナム
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BB06
4B045BC06
4B045BC12
4B045BD03
4B045BD31
(57)【要約】
複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウと、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、前記リヨセルトウを含むタバコフィルタの内部空間に分散した溶媒と、を含み、前記溶媒は、多価アルコールを含むタバコフィルターを提供する。本発明の一具体例によれば、前記多価アルコールは、C1~C4のアルキレン基を有するジオールである。本発明の一具体例によるタバコフィルターは、従来リヨセルトウが有していた素材的問題点を克服し、優れた硬度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウと、
前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、
前記リヨセルトウを含むタバコフィルタの内部空間に分散した溶媒と、を含み、
前記溶媒は、多価アルコールを含む、タバコフィルタ。
【請求項2】
前記多価アルコールは、C1~C4のアルキレン基を有するジオールである請求項1に記載のタバコフィルタ。
【請求項3】
前記多価アルコールは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.5重量部~25重量部が含まれる請求項1に記載のタバコフィルタ。
【請求項4】
前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエステルまたはこれらの組み合わせである請求項1に記載のタバコフィルタ。
【請求項5】
前記バインダーは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.1重量部~5重量部が含まれる請求項1に記載のタバコフィルタ。
【請求項6】
前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらの組み合わせである1価アルコールをさらに含む請求項1に記載のタバコフィルタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のタバコフィルタの製造方法であって、前記製造方法は、
(1)複数のリヨセル繊維を利用してリヨセルトウを製造する段階と、
(2)バインダーと溶媒を混合してバインダー溶液を製造する段階と、
(3)前記リヨセルトウにバインダー溶液を噴霧し、バインダーによりリヨセル繊維が互いに結合することができるように保管する段階と、
(4)バインダーによりリヨセル繊維が結合したリヨセルトウを巻紙で包んでタバコフィルターを製造する段階と、を含み、
前記溶媒は、多価アルコールを含む、タバコフィルタの製造方法。
【請求項8】
前記多価アルコールは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~50重量部が含まれる請求項7に記載のタバコフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記溶媒は、1価アルコールをさらに含む請求項7に記載のタバコフィルタの製造方法。
【請求項10】
前記1価アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらの組み合わせである請求項9に記載のタバコフィルタの製造方法。
【請求項11】
前記1価アルコールは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~60重量部が含まれる請求項9に記載のタバコフィルタの製造方法。
【請求項12】
前記バインダー溶液は、リヨセルトウ100重量部を基準として5重量部~30重量部をリヨセルトウに噴霧する請求項7に記載のタバコフィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヨセルトウを含むタバコフィルターに関する。具体的には、本発明は、複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウと、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、前記リヨセルトウを含むタバコフィルタの内部空間に分散した溶媒と、を含み、前記溶媒が多価アルコールを含むタバコフィルターに関する。
【0002】
本出願は、2021年12月7日付けの韓国特許出願第10-2021-0173493号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容を本明細書の一部として含む。
【背景技術】
【0003】
一般的に、タバコを製造するために、まず、様々な種類の葉タバコ(leaf tobacco)をお好みの香りや味が得られるように配合して加工する。次に、加工した葉タバコを裁刻してタバコ刻み(cut tobacco leaf)を製造し、シガレットペーパー(cigarette paper)でタバコ刻みを巻いて、フィルター無しのシガレットを製造する。次に、必要に応じてフィルター無しのシガレットにフィルターを付着する。
【0004】
シガレットペーパーは、亜麻(flax)、木材パルプなどで製造することができ、燃焼時に燃焼性とタバコの味を維持することが要求される。タバコフィルターは、活性炭、香味物質などを含んでもよいし、モノフィルターまたは多重フィルターからなることができ、タバコフィルタ巻紙(cigarette filter wrapping paper)により包まれている。チップペーパー(tipping paper)によりタバコ刻み部とタバコフィルターが連結され、チップペーパーは、微細な孔を含んでもよい。
【0005】
一般的なタバコフィルターは、木材パルプからセルロースを抽出してアセチル化させたセルロースアセテートトウ(tow)を使用しており、最近では、自然環境の保護とコスト削減のために、環境に優しい素材への代替素材の開発が行われている。例えば、セルロースアセテートとは異なって、セルロース自体を繊維化させたリヨセル(lyocell)繊維を利用したトウの開発が行われている。
【0006】
タバコフィルターにおいて硬度は、消費者のニーズおよびタバコ製造の作業性と関連した重要な指標である。繊維ストランドの束体であるトウでタバコフィルターを製造する場合、タバコフィルターの硬度が低いため、適しておらず、タバコフィルターに活用するためには、一定レベル以上に硬度を向上させる必要がある。例えば、フィルターの硬度の向上方法は、硬化剤を使用する方法と可塑剤(plasticizer)を使用する方法がある。前記硬化剤を使用する方法は、バインダー性質の物質を利用して繊維ストランドを接合させてフィルターに硬度を付与する方法であり、フィルターを丈夫にさせる。前記可塑剤を使用する方法は、特定の物質を利用して繊維自体を部分的に溶解またはプラスチック化して繊維間の接合点を形成した後、可塑化する方法である。
【0007】
従来のセルロースアセテートは、可塑剤(トリアセチン(Triacetin)、トリエチルシトレート(Triethyl Citrate)を活用して、繊維ストランドを部分的に溶解させ、繊維ストランドどうしが硬化する原理を利用してタバコフィルターに硬度を付与する。しかしながら、リヨセル繊維は、現在可塑剤がない状況なので、リヨセル繊維に合う硬度向上剤を開発することが必須である。
【0008】
本発明者は、上述したリヨセル繊維素材について技術的課題を認識し、タバコフィルターに適用するのに適した機能性に優れたリヨセルトウについて持続的な研究の末に本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2015-0116612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
環境に優しい素材としてリヨセルトウを含むタバコフィルターにおいて、リヨセルトウが基本的に有している硬度、硬度の確保のために加工時に工程性などの素材的問題点を解決できるタバコフィルターを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様によれば、
本発明は、複数個のリヨセル繊維からなるリヨセルトウと、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、前記リヨセルトウを含むタバコフィルタの内部空間に分散した溶媒と、を含み、前記溶媒は、多価アルコールを含むタバコフィルターを提供する。
【0012】
本発明の一具体例において、前記多価アルコールは、C1~C4のアルキレン基を有するジオールである。
【0013】
本発明の一具体例において、前記多価アルコールは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.5重量部~25重量部が含まれる。
【0014】
本発明の一具体例において、前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエステルまたはこれらの組み合わせである。
【0015】
本発明の一具体例において、前記バインダーは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.1重量部~5重量部が含まれる。
【0016】
本発明の一具体例において、前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらの組み合わせである1価アルコールをさらに含む。
【0017】
本発明の第2態様によれば、
本発明は、上述したタバコフィルターの製造方法を提供し、前記製造方法は、複数のリヨセル繊維を利用してリヨセルトウを製造する段階と、バインダーと溶媒を混合してバインダー溶液を製造する段階と、前記リヨセルトウにバインダー溶液を噴霧し、バインダーによりリヨセル繊維が互いに結合することができるように保管する段階と、バインダーによりリヨセル繊維が結合したリヨセルトウを巻紙で包んでタバコフィルターを製造する段階と、を含む。
【0018】
本発明の一具体例において、前記多価アルコールは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~50重量部が含まれる。
【0019】
本発明の一具体例において、前記溶媒は、1価アルコールをさらに含む。
【0020】
本発明の一具体例において、前記1価アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらの組み合わせである。
【0021】
本発明の一具体例において、前記1価アルコールは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~60重量部が含まれる。
【0022】
本発明の一具体例において、前記バインダー溶液は、リヨセルトウ100重量部を基準として5重量部~30重量部をリヨセルトウに噴霧する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一具体例によるタバコフィルターは、環境に優しい素材であるリヨセルトウを含みながらも、従来リヨセルトウが有していた素材的問題点を克服し、優れた硬度を有する。
【0024】
本発明の一具体例によるタバコフィルターは、リヨセルトウを適用した他のタバコフィルターとは異なって、上述した優れた硬度を高温で長時間乾燥をしなくても具現することができるという点から、タバコフィルターの製造において工程性を高めて、生産性を向上させることができる。
【0025】
本発明の一具体例によるタバコフィルターは、多価アルコールを含み、前記多価アルコールは、基本的にバインダーを助けてタバコフィルターの硬度を向上させるだけでなく、タバコフィルタの製造過程でロール加工時に離型剤としての役割をして、製品の不良を減少させ、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一具体例による喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、具体例を例示的な図面に基づいて詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素については、異なる図面に表示されていても、できる限り、同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。また、具体例を説明するに際して、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が具体例の理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0028】
また、具体例の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、当該構成要素は、他の構成要素に直接的に連結されたり接続されてもよいが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいと理解すべきである。
【0029】
いずれか1つの具体例に含まれた構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の具体例において同じ名称を使用して説明することとする。反対される記載がない限り、いずれか1つの具体例に記載した説明は、他の実施例にも適用することができ、重複する範囲で具体的な説明を省略する。
【0030】
本明細書において、用語「喫煙物品」は、タバコ(シガレット)、シガーなどのように、エアロゾルを発生させることができるものを意味し得る。喫煙物品は、エアロゾル発生物質またはエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎とする固体物質を含んでもよい。喫煙物質は、揮発性化合物を含んでもよい。前記喫煙物品は、それぞれの機能性を有する数個のセグメントを含んでもよいし、このようなセグメントは、「…部」で表示される。本明細書において喫煙物品は、燃焼型シガレットだけでなく、電子タバコ機器などのエアロゾル生成装置(不図示)とともに使用される加熱式シガレットなどであってもよい。
【0031】
本明細書において、用語「上流」および「下流」は、ユーザが喫煙物品を使用して空気を吸引する方向を基準として、喫煙物品を構成するセグメントの相対的な位置を示すために使用された用語である。喫煙物品は、上流端部(すなわち、空気が入る部分)およびこれに対向する下流端部(すなわち、空気が出る部分)を含む。喫煙物品の使用時にユーザは、喫煙物品の下流端部をかむことができる。下流端部は、上流端部の下流に位置し、なお、用語「端部」は、また「末端」とも記述されることがある。
【0032】
本発明は、喫煙物品に適用できるタバコフィルターに関し、本発明の一具体例によれば、前記タバコフィルターは、複数個のリヨセル(lyocell)繊維からなるリヨセルトウ(tow)と、前記リヨセル繊維を互いに結合するバインダーと、前記リヨセルトウを含むタバコフィルタの内部空間に分散した溶媒と、を含む。前記リヨセル繊維は、木材パルプから抽出したセルロースで作った環境に優しい繊維である。前記リヨセルトウは、隣接するリヨセル繊維同士が交差連結されて形成された束を意味する。本発明の一具体例によれば、前記リヨセル繊維は、1.0デニール~12.0デニールの繊度を有していてもよい。本発明の一具体例によれば、リヨセルトウを構成するリヨセル繊維束は、15,000デニール~45,000デニールの繊度を有していてもよい。前記リヨセル繊維に適したバインダーを溶媒と混合してバインダー溶液を製造し、これをリヨセルトウに噴霧することによって、リヨセルトウは、一定レベル以上の硬度を有する構造体を形成することができる。噴霧し、長時間経過後にも、バインダーおよび一部の溶媒成分は流出せず、最終タバコフィルター内に含まれてもよい。
【0033】
前記タバコフィルターに含まれるバインダーは、リヨセル繊維を互いに結合してリヨセルトウに一定レベル以上の硬度を付与する。前記バインダーは、リヨセル繊維に適用するのに適切な物質であって、当該技術分野において知られた一般的な物質であれば、自由に使用することができる。本発明の一具体例によれば、前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxyl propyl methyl cellulose,HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydoroxy propyl cellulose,HPC)、ポリビニルアルコール(poly vinyl alcohol,PVA)、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate,EVA)、ポリビニルアセテート(poly vinyl aceytate,PVAc)、ポリビニルピロリドン(poly vinyl pyrrolidone,PVP)、ポリエステル(polyester)またはこれらの組み合わせが使用でき、具体的には、前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエステルまたはこれらの組み合わせが使用できる。
【0034】
前記ポリエステルは、多価有機酸と多価アルコールを反応させて作った合成樹脂であり、水と様々な化合物に対する適切な抵抗を有する。本発明の一具体例によれば、前記ポリエステルは、芳香族単量体と脂肪族単量体の共重合体である。前記芳香族単量体は、ポリエステルの構造的安定性を付加し、前記脂肪族単量体は、ポリエステルの構造的柔軟性を付加して、前記芳香族単量体と脂肪族単量体を含むポリエステルは、リヨセル繊維など他の成分と容易に接着してバインダーとしての機能性を付加することができる。前記芳香族単量体は、多価有機酸または多価アルコールであってもよく、同様に、前記脂肪族単量体も、多価有機酸または多価アルコールであってもよい。
【0035】
本発明の一具体例によれば、前記芳香族単量体は、C5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸である。例示的に、前記C5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸であってもよい。本発明の一具体例によれば、前記脂肪族単量体は、C1~C6のアルキレン基を有するジオール、C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸またはこれらの組み合わせである。例示的に、前記C1~C6のアルキレン基を有するジオールは、エチレングリコールであり、前記C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸は、セバシン酸である。ポリエステルの場合、カルボン酸基とヒドロキシ基が1:1の割合で縮合反応により形成されることができるという点から、カルボン酸基を有する単量体として、上述したC5~C12のアリレン基またはヘテロアリレン基を有するジカルボン酸、C2~C12のアルキレン基を有するジカルボン酸またはこれらの組み合わせが使用でき、ヒドロキシ基を有する単量体として、C1~C6のアルキレン基を有するジオールが使用できる。前記アリレン基、ヘテロアリレン基またはアルキレン基は、置換または非置換状態で存在し、置換状態の場合、アリレン基、ヘテロアリレン基またはアルキレン基の主鎖にC1~C4のアルキル基、C1~C4のアルコキシ基、ハロゲン基など当該技術分野において一般的に知られた置換基が置換されてもよい。
【0036】
前記バインダーは、溶媒とともにバインダー溶液の形態でリヨセルトウに適用することができ、前記バインダーは、適用後にリヨセルトウが乾燥したり長時間放置されても流出せずにリヨセル繊維の間毎に位置して、リヨセルトウの硬度を向上させる。本発明の一具体例によれば、前記バインダーは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.1重量部~5重量部が含まれる。具体的には、前記バインダーの含有量は、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上であり、5重量部以下、4.5重量部以下、4重量部以下、3.5重量部以下、3重量部以下、2.5重量部以下であり、0.1重量部~5重量部、0.2重量部~4重量部、0.3重量部~3重量部であってもよい。前記バインダーは、前記範囲内に適用するとき、リヨセルトウの基本的なフィルターとしての機能を低下させることなく、硬度を適切なレベルまで上げることができる。
【0037】
前記タバコフィルターに含まれる溶媒は、基本的には、バインダーを分散させるためにバインダー溶液に含まれ、バインダー溶液をリヨセルトウに噴霧した後、乾燥したり長時間放置すると、溶媒の一部は除去される。除去されない溶媒は、リヨセルトウを含むタバコフィルタの内部に1つの構成成分として位置し、タバコフィルターにさらなる機能性を付与する。タバコフィルターに残った溶媒は、多価アルコールを含む。ここで、多価アルコールは、2つ以上のヒドロキシ基を含む化合物を意味する。前記多価アルコールは、タバコフィルターにリヨセルトウを適用するために、機械ロールなどで加工するとき、離型剤としての役割をする。具体的には、離型剤がなく、リヨセルトウを機械ロールなどで加工する場合、バインダーなどの接着力に起因して機械ロールなどにリヨセルトウが巻き込まれる現象が発生することがあるが、多価アルコールを含むリヨセルトウは、このような現象が減少して加工性を高めることができる。また、前記多価アルコールは、リヨセルトウに適用されると、特に高温で長時間乾燥しなくても、バインダーとともにリヨセル繊維の間毎に位置して、短期間でリヨセルトウの硬度を向上させることができるように助ける。これによって、多価アルコールを含む溶媒を使用する場合、乾燥時間を顕著に短縮することができ、タバコフィルターの製造において工程性を高めることができる。
【0038】
本発明の一具体例によれば、前記多価アルコールは、C1~C4のアルキレン基を有するジオールである。前記ジオールは、2個のヒドロキシ基を有する化合物を意味し、グリコールとも呼ばれる。前記2個のヒドロキシ基の間は、C1~C4のアルキレン基で連結されてもよく、ここで、アルキレン基の炭素数は、2個のヒドロキシ基の間に直接連結された炭素数を意味する。前記アルキレン基は、置換または非置換状態で存在し、置換状態の場合、アルキレン基の主鎖にC1~C3のアルキル基、C1~C3のアルコキシ基、ハロゲン基など当該技術分野において一般的に知られた置換基が置換されてもよい。本発明の一具体例によれば、前記多価アルコールは、プロピレングリコールであってもよい。前記プロピレングリコールは、適当な長さの鎖を有する多価アルコールとして上述した機能性を有するのにさらに好ましい化合物であってもよい。
【0039】
前記多価アルコールは、バインダーおよびその他溶媒とともにバインダー溶液の形態でリヨセルトウに適用することができ、乾燥前後にもリヨセルトウまたはこれを適用したタバコフィルターに変わりなしに残って、硬度だけでなく、工程性向上などの上述した機能性を付与する。本発明の一具体例によれば、前記多価アルコールは、リヨセルトウ100重量部を基準として0.5重量部~25重量部が含まれる。具体的には、前記多価アルコールの含有量は、0.5重量部以上、0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、0.9重量部以上、1重量部以上であり、25重量部以下、20重量部以下、15重量部以下、10重量部以下、5重量部以下であり、0.5重量部~10重量部、0.7重量部~7重量部、1重量部~5重量部であってもよい。前記多価アルコールは、前記範囲内に適用するとき、リヨセルトウの基本的なフィルターとしての機能を低下させることなく、タバコフィルターにさらなる機能性を付与することができる。
【0040】
本発明の一具体例によれば、前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらの組み合わせである1価アルコールを含む。前記1価アルコールの具体的な投入方法については、製造方法の部分で説明される。前記1価アルコールは、水よりも揮発度が高い成分であり、乾燥後には多量が消失され得るが、乾燥過程を経ずに常温で保管する場合、最終タバコフィルターでは、一定レベル以上の量が検出されることができる。前記1価アルコールは、バインダー溶液の溶媒において水を代替できるので、タバコフィルターの硬度向上に役に立つだけでなく、殺菌力を有しているという点から、リヨセルトウへの適用時にさらなる機能性を発現することができる。本発明の一具体例によれば、前記1価アルコールは、リヨセルトウ10000重量部を基準として1重量部~500重量部が含まれる。前記1価アルコールは、多価アルコールまたは水よりも揮発性が高いため、前記1価アルコールの含有量は、変動性が大きいが、本発明の一具体例によって乾燥過程を低減し、常温で保管する場合、1価アルコールを投入しない場合と対比して、一定レベル以上の1価アルコールが検出されることができるという点から、前記含有量の範囲で上限よりは下限がさらに有意的に考慮される。
【0041】
本発明の一具体例によるリヨセルトウを含むタバコフィルターは、バインダーの結合により優れた硬度を有する。本発明の一具体例によれば、前記タバコフィルターは、85%以上の硬度を有する。具体的には、前記タバコフィルターの硬度は、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上であってもよい。前記タバコフィルターの硬度は、垂直方向の一定レベルの力でタバコフィルターを押圧するとき、タバコフィルターの直径が維持される程度を数値化した値であり、具体的には、下記計算式1により計算することができる。
【0042】
[計算式1]
フィルター硬度(%)=[D-a]/D×100
【0043】
ここで、Dは、フィルター直径(mm)であり、aは、300gの分銅で下降(フィルターが押圧される)する距離(mm)を示す。前記タバコフィルターの硬度を計算するに際して必要な測定値は、当該技術分野において一般的に使用される装置を利用して得ることができ、例えば、Filtrona社のDHT 200TMが使用できる。硬度を測定するに際して、加える力は、実際喫煙者がタバコを把持するときに加えられる力を考慮したものである。本発明の一具体例によるタバコフィルターを通じて得られた85%以上の硬度値は、環境に優しい素材であるリヨセルトウを利用して従来のセルロースアセテートで構成されたタバコフィルターを代替できるレベルで硬度を確保することができるという点から技術的意義がある。また、本発明の一具体例によるタバコフィルターは、高温で乾燥過程を経ずに、常温でバインダーが定着できる時間程度の経過後にも、上述したように、85%以上の優れた硬度値を具現することができるという点から、製品製造における工程性が顕著に向上することができる。
【0044】
上述したタバコフィルターは、次のような製造方法により製造することができる。前記製造方法は、リヨセル繊維を利用してリヨセルトウを製造する段階と、バインダーと溶媒を混合してバインダー溶液を製造する段階と、前記リヨセルトウにバインダー溶液を噴霧し、バインダーによりリヨセル繊維が互いに結合することができるように保管する段階と、バインダーによりリヨセル繊維が結合したリヨセルトウを巻紙で包んでタバコフィルターを製造する段階と、を含む。前記製造方法は、基本的には、上述したタバコフィルターを製造する方法に関するものであるから、上述した内容において具体化された部分に関する説明を省略し、以下では、製造方法上の特徴についてより具体的に説明する。
【0045】
まず、複数のリヨセル繊維を利用してリヨセルトウを製造する。製造したリヨセルトウは、隣接するリヨセル繊維同士が交差連結されて形成された束形状を有する。この際、ブルーミング(blooming)を通じてトウを膨らませる段階をさらに行う。前記ブルーミング段階を通じてトウを膨らませると、以後に噴霧されるバインダー溶液がリヨセルトウを構成するリヨセル繊維の間に容易に浸透することができる。
【0046】
次に、バインダーと溶媒を混合してバインダー溶液を製造する。前記バインダー溶液は、リヨセルトウの硬度などの機能性向上のためにリヨセルトウに噴霧する物質である。噴霧後に乾燥または保管過程を通じてバインダー溶液の一部の成分が消失され得るので、バインダー溶液の組成は、タバコフィルターを構成する成分の組成と差異がありえる。前記バインダーは、上述した内容により具体化することができ、乾燥または保管後にも成分が特に消失されないので、噴霧を通じてリヨセルトウに供給した量が最終タバコフィルターにもほとんどそのまま残存する。本発明の一具体例によれば、前記バインダーは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~40重量部が含まれる。具体的には、前記バインダーの含有量は、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上、10重量部以上であり、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下であり、5重量部~40重量部、7重量部~30重量部、10重量部~20重量部であってもよい。前記バインダーは、前記範囲内にバインダー溶液を形成するとき、噴霧して、リヨセルトウに適用することが容易である。
【0047】
前記溶媒は、多価アルコールと共に水を含む。多価アルコールで溶媒の全体を構成する場合、粘度が過度に高まってバインダーの分散が容易でないことがある。水は、多価アルコールなどの溶媒が占める割合の残量分だけが含まれてもよく、乾燥過程で一部が消失される。本発明の一具体例によれば、前記多価アルコールは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~50重量部が含まれる。具体的には、前記多価アルコールの含有量は、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上、10重量部以上であり、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下であり、5重量部~50重量部、7重量部~40重量部、10重量部~30重量部であってもよい。前記多価アルコールは、前記範囲内に適用するとき、リヨセルトウの基本的なフィルターとしての機能を低下させることなく、タバコフィルターにさらなる機能性を付与することができる。
【0048】
前記溶媒は、1価アルコールをさらに含んでもよい。前記1価アルコールは、水よりも揮発度が高い成分であり、乾燥後には、多量が消失され得るが、乾燥過程を経ずに常温で保管する場合、最終タバコフィルターでは、一定レベル以上の量が検出されることができる。前記1価アルコールは、バインダー溶液の溶媒において水を代替できる成分であり、最終タバコフィルターの水の含有量を調節することができる。本発明の一具体例によれば、前記1価アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらの組み合わせである。具体的には、前記1価アルコールは、エタノールであってもよい。
【0049】
前記1価アルコールは、水を代替するために一定レベル以上が含まれてもよい。本発明の一具体例によれば、前記1価アルコールは、バインダー溶液100重量部を基準として5重量部~60重量部が含まれる。具体的には、前記1価アルコールの含有量は、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上、10重量部以上であり、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下であり、5重量部~60重量部、7重量部~45重量部、10重量部~30重量部であってもよい。前記1価アルコールは、前記範囲内に適用するとき、効果上有意味な数値でタバコフィルタ内の水の含有量を減少させることができる。
【0050】
上述した内容により製造されたバインダー溶液をリヨセルトウに噴霧する。前記バインダー溶液は、リヨセルトウの基本的なフィルターとしての機能を低下させることなく、リヨセルトウが素材上有する硬度などの問題点を解消できる程度にリヨセルトウに噴霧されてもよい。本発明の一具体例によれば、前記バインダー溶液は、リヨセルトウ100重量部を基準として5重量部~30重量部をリヨセルトウに噴霧する。具体的には、前記バインダー溶液の噴霧量は、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上、10重量部以上であり、30重量部以下、28重量部以下、26重量部以下、24重量部以下、22重量部以下、20重量部以下であり、5重量部~30重量部、7重量部~24重量部、10重量部~20重量部であってもよい。前記バインダー溶液は、上述した範囲内に噴霧するとき、リヨセルトウの硬度などの機能性を改善することができる。前記バインダー溶液を噴霧する方法は、当該技術分野において一般的に使用される方法が使用でき、特に制限されない。例えば、前記バインダー溶液の噴霧は、ノズル噴霧、ブラッシュ噴霧または電気噴霧などを活用することができる。
【0051】
バインダー溶液をリヨセルトウに噴霧した後、バインダーが定着してバインダーによりリヨセル繊維が互いに結合することができるように保管する。このような過程は、高温の長時間乾燥とは区分される過程であり、前記バインダー溶液は、例えば、常温で6時間保管する程度にも、十分に次の作業を進行できるので、製品製造における工程性を高めることができる。
【0052】
バインダーによりリヨセル繊維が結合したリヨセルトウを巻紙で包んでタバコフィルターを製造する。必要に応じて、前記リヨセルトウは、機械式ロール、または切断機などを利用してタバコフィルターに適用するのに適当な規格で加工することができる。
【0053】
上述したタバコフィルターは、喫煙物品に適用することができる。図1は、本発明の一具体例による喫煙物品の概略的な構成を示す図を提供する。前記喫煙物品100は、喫煙物質部10およびフィルター部20を含み、上述したタバコフィルターは、喫煙物品100のフィルター部20に適用される。前記喫煙物品100において喫煙物質部10は、フィルター部20に比べて上流に位置する。
【0054】
前記喫煙物質部10は、原料葉タバコ、板状葉または葉タバコと板状葉が配合された混合物のような喫煙物質で充填することができる。加工された喫煙物質は、シート形態または刻み形態で喫煙物質部10に充填することができる。前記喫煙物質部10は、長く延びたロッド形態を有することができ、その長さ、周りおよび直径は、特に限定されるものではないが、喫煙物質の充填量、ユーザの嗜好などを考慮した当該技術分野において一般的に使用されるサイズに調節することができる。前記喫煙物質部10は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエテレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも1つのエアロゾル発生物質を含んでもよい。前記喫煙物質部10は、風味剤、湿潤剤および/またはアセテート化合物のような他の添加物質を含有することができる。前記エアロゾル発生物質および添加物質は、喫煙物質に含有されてもよい。
【0055】
前記フィルター部20は、喫煙物質部10の下流に配置され、喫煙物質部10で発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過するフィルターとしての役割を行う。前記フィルター部20は、様々な材質または形態で製造することができる。本発明の一具体例によるフィルター部20は、基本的に、複数個のリヨセル繊維がバインダーにより結合したリヨセルトウを含む上述したタバコフィルターを含む。前記リヨセルトウを含むタバコフィルターは、従来喫煙物品のフィルター部20の全部または一部を代替することができ、一部を代替する場合、従来使用したフィルター素材を共に使用することができる。従来のフィルター素材は、例えば、セルロースアセテートフィルター、中空チューブフィルターなどが使用できる。
【0056】
図1には、フィルター部20が単一のフィルターからなるモノフィルターであることが示されているが、これに限定されない。例えば、前記フィルター部20は、フィルター効率を上げるために、2個のアセテートフィルターを具備したデュアルフィルターまたは三重フィルターなどで設けられてもよい。また、図示してはいないが、フィルター部20の内部には、香料を含む内用液を被膜で包んだ構造の破砕可能なカプセル(不図示)が含まれてもよい。
【0057】
前記喫煙物質部10およびフィルター部20の外部は、ラッパー30aまたは30bにより包装することができる。
【0058】
前記喫煙物質部10は、喫煙物質部ラッパー30aにより包装することができる。一般的な喫煙物質部10の燃焼過程で発生するタバコ煙中の一部は、タバコフィルターを通過する前に喫煙物質部ラッパー30aを介して大気中に放出され、副流煙は、間接喫煙者などに不快感を与えることとなる。このような副流煙の低減のための従来シガレットペーパーに酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ジルコニウムなどの充填材を入れるなど様々な試みがあったが、単にこのような充填材を適用して副流煙を低減するとき、喫味感が低下したり燃焼オフ、灰固結性の低下などが発生するので、充填材に入る物質の適切な組み合わせを通じて上記した問題点を解決するのに困難があった。本発明の一具体例による喫煙物質部ラッパー30aは、副流煙を低減させると同時に、喫味感、灰固結性の低下および燃焼オフを防止するために、マグネシウム酸化物(MgOおよび/またはMg(OH))および炭酸カルシウム(CaCO)が混合された充填剤が適用される。
【0059】
前記フィルター部20は、フィルター部ラッパー30bにより包装することができる。フィルター部ラッパー30bは、耐油性を有する巻紙で製作することができ、フィルター部ラッパー30bの内側面には、アルミホイルがさらに含まれてもよい。
【0060】
前記喫煙物質部ラッパー30aにより包装された喫煙物質部10およびフィルター部ラッパー30bにより包装されたフィルター部20は、チップペーパー40により結合包装することができる。前記チップペーパー40は、図1に示されたように、喫煙物質部ラッパー30aの少なくとも一部分(例えば、下流の一部領域)およびフィルター部ラッパー30bの外郭に包まれてもよい。換言すれば、喫煙物質部10の少なくとも一部分およびフィルター部20は、チップペーパー40によりさらに包装され、物理的に結合されてもよい。本発明の一具体例によれば、前記チップペーパー40は、耐油処理が施されていない非多孔性巻紙で製作することができるが、これに限定されない。また、前記チップペーパー40は、不燃性物質を含むことによってフィルター部20が燃焼する現象を防止することもできるが、これに限定されない。
【0061】
以下、実施例と比較例に基づいて本発明の構成およびそれによる効果をより詳細に説明する。しかしながら、本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例
実施例1
繊維1本が約3.0デニールであるリヨセル繊維を利用して、トウ繊維束が約35,000デニールであるリヨセルトウを使用した。また、バインダーと溶媒の混合物であるバインダー溶液を製造した。具体的には、前記バインダー溶液は、バインダー溶液の全重量を基準として10重量%のポリエステル(フタル酸およびセバシン酸とエチレングリコールの共重合体、重量平均分子量(M)=3,000~6,000)を90重量%の溶媒(30重量%のプロピレングリコール、10重量%のエタノール、50重量%の水の混合溶媒)に添加して製造された。製造されたバインダー溶液をノズル噴霧を通じてリヨセルトウに噴霧した。前記バインダー溶液をリヨセルトウの重量を基準として15重量%を噴霧し、常温で6時間保管して、バインダーを含むリヨセルトウを製造した。製造したリヨセルトウを巻紙で包んで、軸方向の長さが約108mmであり、円周が約24.20mmであるタバコフィルターを製造した。
【0063】
実施例2
バインダー溶液において10重量%のポリエステルの代わりに3重量%のポリエステルおよび7重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Pharmacoat 606)を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法でタバコフィルターを製造した。
【0064】
実施例3
バインダー溶液の溶媒として90重量%の溶媒(30重量%のプロピレングリコール、10重量%のエタノール、50重量%の水の混合溶媒)の代わりに90重量%の溶媒(30重量%のプロピレングリコール、30重量%のエタノール、30重量%の水の混合溶媒)を使用したことを除いて、実施例2と同じ方法でタバコフィルターを製造した。
【0065】
比較例1
リヨセルトウにバインダー溶液を噴霧せずにタバコフィルターを製造した。
【0066】
比較例2
バインダー溶液の溶媒として90重量%の溶媒(30重量%のプロピレングリコール、10重量%のエタノール、50重量%の水の混合溶媒)の代わりに90重量%の水を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法でタバコフィルターを製造した。
【0067】
比較例3
バインダー溶液の溶媒として90重量%の溶媒(30重量%のプロピレングリコール、10重量%のエタノール、50重量%の水の混合溶媒)の代わりに90重量%の水を使用したことを除いて、実施例2と同じ方法でタバコフィルターを製造した。
【0068】
実験例
実験例1:タバコフィルターの硬度の評価
実施例1~3と比較例1~3によって製造されたタバコフィルターの硬度を測定した。具体的には、タバコフィルターの硬度測定は、フィルター硬度測定機(Filtrona社のDHT 200TM)および下記の計算式1を利用して測定した。
【0069】
[計算式1]
フィルター硬度(%)=[D-a]/D×100
【0070】
ここで、Dは、フィルター直径であり、aは、300gの分銅で下降(フィルターが押圧される)する距離(mm)を示す。
【0071】
【表1】
【0072】
前記表1によれば、バインダーに対する溶媒として多価アルコールを含むバインダー溶液を使用する場合、特に高温で長時間乾燥しなくても、常温で6時間保管することだけでも85%以上の優れた硬度を確保することができる。これは、乾燥時間を顕著に短縮するだけでなく、乾燥による硬度の変化が少ないので、安定した硬度確保を通じてタバコフィルターの製造において工程性および生産性を向上させるのに役立つ。
【0073】
また、多価アルコールと共に1価アルコールを使用する場合、水分の含有量を有意味に減少させることができるので、比較例2および3のようにバインダー溶液の噴霧初期に水分によりバインダーの機能性が十分に発現しない現象を防止することができる。
【0074】
さらに、バインダー溶液に含まれた多価アルコールは、その後、ロール加工工程などに適用するとき、離型剤としての役割をして、リヨセルトウがロールに巻き込まれる現象を防止することができ、1価アルコールは、水よりは揮発性成分として適当量がタバコフィルターに残って殺菌をするなどさらなる機能性を発現することができる。
【0075】
以上のように実施例がたとえ限定された実施例と図面により説明されたが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、上記の記載から様々な修正および変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で行われたり、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合されるかまたは組み合わせられたり、他の構成要素または均等物によって代替または置換されても、適切な結果を達成することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 喫煙物質部
20 フィルター部
30a 喫煙物質部ラッパー
30b フィルター部ラッパー
40 チップペーパー
100 喫煙物品
図1
【国際調査報告】