(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ポリエステルカーペット繊維からのバージン品質のPETおよびコポリエステル原料の製造
(51)【国際特許分類】
C07C 67/03 20060101AFI20241003BHJP
C07C 69/82 20060101ALI20241003BHJP
C07C 31/20 20060101ALI20241003BHJP
C07C 67/54 20060101ALI20241003BHJP
B01J 31/04 20060101ALI20241003BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C07C67/03
C07C69/82 A
C07C31/20 A
C07C67/54
B01J31/04 M ZAB
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520884
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022045598
(87)【国際公開番号】W WO2023059579
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,アン-マルティーヌ・シャーベック
(72)【発明者】
【氏名】キーヴァー,トラヴィス・ワイン
(72)【発明者】
【氏名】エカート,マイケル・ポール
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27B
4G169BC35B
4G169BC62B
4G169BE08B
4G169CB35
4G169CB75
4G169DA04
4H006AA02
4H006AC48
4H006AD11
4H006BA07
4H006BA16
4H006BA45
4H006FE11
4H006FG24
4H006KA03
4H039CA66
4H039CL60
(57)【要約】
廃ポリエチレンテレフタラート(PET)カーペット繊維をケミカルリサイクルする方法。この方法は、少なくとも75wt%のPETおよび6wt%以下の灰分を含む廃カーペット繊維組成物を用意するステップと;廃カーペット繊維組成物をメタノールと反応させて、ポリエステルオリゴマー、テレフタル酸ジメチル(DMT)、およびエチレングリコール(EG)を含む解重合ポリエステル混合物を生成するステップと;解重合ポリエステル混合物からDMTおよびEGを回収するステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ポリエチレンテレフタラート(PET)カーペット繊維をケミカルリサイクルする方法であって、
少なくとも75wt%のPETおよび6wt%以下の灰分を含む廃カーペット繊維組成物を用意するステップと、
前記廃カーペット繊維組成物をメタノールと反応させて、ポリエステルオリゴマー、テレフタル酸ジメチル(DMT)、およびエチレングリコール(EG)を含む解重合ポリエステル混合物を生成するステップと、
前記解重合ポリエステル混合物から前記DMTおよび前記EGを回収するステップと
を含み、
前記重量パーセントが、廃カーペット繊維組成物の総重量に基づいている、方法。
【請求項2】
前記廃カーペット繊維組成物が、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、少なくとも90wt%、少なくとも95wt%、または100wt%のPETを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記廃カーペット繊維組成物が、3wt%以下、1wt%以下、0.5wt%以下、または0wt%の灰分を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記廃カーペット繊維組成物が、0より大きく最大6wt%、0より大きく最大3wt%、0より大きく最大1wt%、または0より大きく最大0.5wt%の灰分を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記廃カーペット繊維組成物が、ポストインダストリアルカーペット繊維、ポストコンシューマカーペット繊維、またはその両方を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記廃カーペット繊維組成物が、前記廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%、少なくとも70wt%、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、もしくは少なくとも90wt%、および/または100wt%以下、99wt%以下、95wt%以下、90wt%以下、85wt%以下、80wt%以下、75wt%以下、70wt%以下、65wt%以下、60wt%以下、55wt%以下、50wt%以下、45wt%以下、40wt%以下、もしくは35wt%以下のポストコンシューマカーペット繊維を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記廃カーペット繊維組成物が、前記廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%、少なくとも70wt%、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、もしくは少なくとも90wt%、および/または100wt%以下、99wt%以下、95wt%以下、90wt%以下、85wt%以下、80wt%以下、75wt%以下、70wt%以下、65wt%以下、60wt%以下、55wt%以下、50wt%以下、45wt%以下、40wt%以下、もしくは35wt%以下のポストインダストリアルカーペット繊維を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記廃カーペット繊維組成物が、前記廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大10wt%、最大3wt%、または0wt%のイソフタル酸の残留物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記廃カーペット繊維組成物が、前記廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大15wt%、最大5wt%、または0wt%の1,3-プロパンジオールの残留物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記廃カーペット繊維組成物が、前記廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大5000ppm、最大1500ppm、最大200ppm、最大80ppm、または0ppmの窒素を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記廃カーペット繊維組成物が、高密度化された廃カーペット繊維を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応ステップが、エステル交換触媒および任意選択でエステル交換共触媒の存在下で実施される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記メタノールが、過熱または超臨界である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応ステップ全体を通じて消費されたメタノールと生成されたDMTとのモル比が、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、または5以下である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記DMT、前記EG、またはその両方が、結晶化、ろ過、蒸留、またはそれらの組合せによって精製される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
バージン品質のEG、バージン品質のDMT、またはその両方を生成する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応ステップが、1種または複数種の他のPET含有廃棄物の存在下で実施される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記他のPET含有廃棄物が、織物、ボトルフレーク、リクレーマ廃棄物、またはそれらの組合せを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
リサイクルポリエステルを調製する方法であって、
請求項15に記載の方法からの精製EGもしくはDMT、またはその両方を使用して、リサイクルポリエステルを調製するステップを含む、
あるいは
請求項15に記載の方法からの精製DMTを水と反応させて、リサイクルテレフタル酸(rTPA)を形成するステップと、
前記rTPAおよび任意選択で前記精製EGを使用して、リサイクルポリエステルを調製するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
リサイクルポリエチレンテレフタラート(rPET)を調製する方法であって、
請求項15に記載の方法からの精製DMTを、バージンEG、前記精製EG、またはその両方と反応させて、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)またはそのオリゴマーを形成するステップと、
前記BHETまたはそのオリゴマーを重縮合して、前記rPETを形成するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概して、メタノールを使用するポリエステルカーペット繊維のケミカルリサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]国内および世界的な取り組みとして、ポストコンシューマおよびポストインダストリアル材料、具体的にはポリエチレンテレフタラート(PET)およびPET様材料(高濃度のテレフタラート(TPA)を含む任意のポリマー材料)のリユースおよびリサイクルに焦点が当てられている。これは、飲料ボトル、包装、織物、カーペット、熱成形品、多層フィルム、および可塑剤など、広範囲の用途で使用される一連の材料を含む。より一般的でそれほど複雑ではない材料のいくつかは、単純なメカニカルリサイクル処理によりリサイクルすることができる。しかし、持続可能な材料またはリサイクル品含有材料の使用に関するブランドの責任および法制化は大規模にかつ成長を続けていることから、実行可能な循環経済を作り出すために、既存のメカニカルリサイクルの流れに適合していない代替供給原料について検討しなければならない。
【0003】
[0003]このような供給原料の1つは、ポリエステルカーペット繊維である。ポリエステルカーペット繊維は、PET、重質着色剤、汚れ防護剤(stain guard)、ポリプロピレン、無機化合物(例えば、TiO2)、およびその他の添加剤で構成されており、適切な精製が難しいため、PET原料の再生が特に難しい問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]したがって、ポリエステルカーペット繊維から、ポリマー製造に使用できるバージン品質のPET原料を製造するための代替および/または改良された方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明は、この必要性、ならびに以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう他の必要性に対処するものである。
[0006]本発明は、添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。
【0006】
[0007]簡単に述べると、一態様において、本発明は、廃ポリエチレンテレフタラート(PET)カーペット繊維をケミカルリサイクルする方法を提供する。この方法は、
少なくとも75wt%のPETおよび6wt%以下の灰分を含む廃カーペット繊維組成物を用意するステップと、
廃カーペット繊維組成物をメタノールと反応させて、ポリエステルオリゴマー、テレフタル酸ジメチル(DMT)、およびエチレングリコール(EG)を含む解重合ポリエステル混合物を生成するステップと、
解重合ポリエステル混合物からDMTおよびEGを回収するステップと
を含み、
重量パーセント(wt%)は、廃カーペット繊維組成物の総重量に基づいている。
【0007】
[0008]別の一態様において、本発明は、廃カーペット繊維のケミカルリサイクル用混合物を提供する。この混合物は、
(a)少なくとも75wt%のポリエチレンテレフタラート(PET)および6wt%以下の灰分を含む廃カーペット繊維組成物と、
(b)メタノールと
の反応生成物を含み、
重量パーセントは、廃カーペット繊維組成物の総重量に基づいている。
【0008】
[0009]さらに別の一態様において、本発明は、リサイクルポリエステルを調製する方法を提供する。一変形において、この方法は、
本発明に従って得られた精製EGもしくはDMT、またはその両方を使用して、リサイクルポリエステルを調製するステップ
を含む。
【0009】
[0010]別の一変形において、この方法は、
本発明に従って得られた精製DMTを水と反応させて、リサイクルテレフタル酸(rTPA)を形成するステップと、
rTPAおよび任意選択で同じく本発明に従って得られた精製EGを使用して、リサイクルポリエステルを調製するステップと
を含む。
【0010】
[0011]さらに別の一変形において、この方法は、
本発明に従って得られた精製DMTを、バージンEG、同じく本発明に従って得られた精製EG、またはその両方と反応させて、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)またはそのオリゴマーを形成するステップと、
BHETまたはそのオリゴマーを重縮合して、リサイクルPETを形成するステップと
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0012]実施例で使用した例示的な実験室メタノール分解プロセスの流れ図を示す図である。
【
図2】[0013]実施例2からのいくつかの異なるポリエステルカーペット繊維試料のメタノール分解の速度データのグラフを示す図である。
【
図3】[0014]実施例2からの2種のポリエステルカーペット繊維試料の様々な混合物のメタノール分解の速度データのグラフを示す図である。
【
図4】[0015]実施例2からの対照およびA~Dの試料のMeOH/DMT中央値を、供給原料特性のPET%と比較したグラフを示す図である。
【
図5】[0016]実施例2からの対照およびA~Dの試料のMeOH/DMT中央値を、供給原料特性の灰分%と比較したグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017]驚くべきことに、ポリマー製造に使用できるバージン品質のPET原料が、廃ポリエステルカーペット繊維から得ることができることが発見された。様々な実施形態において、廃ポリエステルカーペット繊維からバージン様PET原料を製造するために、機械的分離、解重合、および広範な精製技術を使用する。機械的分離プロセスとしては、カーペット繊維が供給流に入る場所に応じて、細断、選別、沈降/浮遊、摩砕、粉砕、造粒などを挙げることができる。機械的プロセスの後、PET解重合プロセスでは、メタノールおよび任意選択でエステル交換触媒を使用して、PETを精製可能な構成単位に分解する。精製技術は、ろ過、遠心分離、および蒸留などのプロセスにおいて、沸点、溶解度、拡散係数、密度、表面張力、および粒径などの物理的性質を利用して、複雑な多成分ポリエステル材料中の不純物または汚染物を除去する。これらのプロセスを組み合わせることにより、着色剤、汚れ防護剤、ポリプロピレン、および無機化合物など、市販のカーペットに通常見られる品目を除去することができる。このようなカーペットを個々のPET構成単位に分解および精製することについて以下に説明する。
【0013】
[0018]本明細書で使用する場合、「PET」または「ポリエチレンテレフタラート」は、ポリエチレンテレフタラートのホモポリマーを指すか、あるいは1種もしくは複数種の酸および/もしくはグリコール変性剤で変性されている、かつ/またはエチレングリコールおよびテレフタル酸以外、例えば、イソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジエチレングリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、プロピレングリコール、イソソルビド、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、および/もしくはネオペンチルグリコール(NPG)などの残基または部分を含有するポリエチレンテレフタラートを指す。また、用語「PET」および「ポリエチレンテレフタラート」の定義には、テレフタラート繰り返し単位(エチレングリコールベースの繰り返し単位を含有するかどうかは関係ない)と、例えばTMCD、CHDM、プロピレングリコール、もしくはNPG、イソソルビド、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、および/もしくはジエチレングリコール、またはそれらの組合せを含めたグリコールの1種または複数種の残基または部分とを有するポリエステルが含まれる。テレフタラート繰り返し単位を有するポリマーの例としては、ポリプロピレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、およびそれらのコポリエステルが挙げられるが、それらだけに限らない。
【0014】
[0019]一態様において、本発明は、廃ポリエチレンテレフタラート(PET)カーペット繊維をケミカルリサイクルする方法を提供する。この方法は、
少なくとも75wt%のPETおよび6wt%以下の灰分を含む廃カーペット繊維組成物を用意するステップと、
廃カーペット繊維組成物をメタノールと(任意選択でエステル交換触媒の存在下で)反応させて、ポリエステルオリゴマー、テレフタル酸ジメチル(DMT)、およびエチレングリコール(EG)を含む解重合ポリエステル混合物を生成するステップと、
解重合ポリエステル混合物からDMTおよびEGを回収するステップと
を含み、
重量パーセントは、廃カーペット繊維組成物の総重量に基づいている。
【0015】
カーペット繊維供給原料
[0020]PETカーペット繊維供給原料には、2つの潜在的な供給源、すなわち、ポストインダストリアルカーペット繊維およびポストコンシューマカーペット繊維がある。ポストインダストリアルカーペット繊維は、PETカーペット繊維をカーペット裏地に付けるタフティングの前に製造プロセスから回収される。一方、ポストコンシューマカーペット繊維は、PET繊維を他のカーペット成分から分離する様々なプロセスによってカーペット裏地から取り出される。
【0016】
[0021]ポストインダストリアルPETカーペット繊維における不純物は、繊維産業以外のメカニカルリサイクルプロセスでの直接使用を妨げる可能性がある。これらの不純物はまた、メタノール分解プロセス、ならびに回収されたモノマーであるDMTおよびEGの精製に問題をもたらす可能性がある。ポストインダストリアルカーペットに存在する汚染物のいくつかを以下に示す:
1.ポリエステルに意図的に添加された着色物(color bodies)および染料;
2.イソフタル酸ジメチル(DMI)-多くの場合、PET製造に使用されている;
3.ジエチレングリコール(DEG)-多くの場合、PET製造の副生成物;
4.工場で施された汚れ防護剤(例えば、過フルオロ化合物);ならびに
5.TiO2-不透明な光沢を付けるためにカーペット繊維に含まれている。
【0017】
[0022]ポストコンシューマカーペットのリサイクルには、ポストインダストリアルカーペット繊維のリサイクルとは別の課題がある。すべてのポストコンシューマリサイクル材料と同様に、材料は様々な製造業者から収集され、様々な時期に製造され、国内の様々な地域で使用されているため、固有のばらつきがある。また、収集プロセスが、ナイロンまたはポリトリメチレンテレフタラート(PTT)カーペットなど、他のカーペットタイプからの相互汚染の可能性をもたらす。CaCO3、ポリプロピレン(PP)、および接着剤など、カーペットの非繊維部分から汚染がもたらされる可能性があるため、カーペットの裏地からPET面の繊維を取り外す必要があるという別の複雑な問題がある。この供給原料のばらつきに加えて、クリーナー、塩分、砂、汚れ、およびその他の廃棄物材など、カーペットが使われている間に取り込まれた追加の汚染物もある。ポストコンシューマカーペット繊維のばらつきおよび汚染は、この材料をあらゆる種類のメカニカルリサイクルに使用できなくし、メタノール分解およびモノマー精製に問題をもたらす可能性がある。ポストコンシューマカーペット繊維に存在する可能性のある汚染物のリストを以下に示す:
1.洗浄剤(例えば、界面活性剤、溶媒)など;
2.消費者が施した汚れ防護剤(例えば、シリコーン);
3.専門家が施した汚れ防護剤(例えば、過フルオロ化合物);
4.道路用塩(例えば、NaCl、MgCl2);
5.砂(例えば、SiO2);
6.土;
7.人の皮膚、毛髪、および体液;
8.ペットの尿および糞便;
9.食品廃棄物;
10.ナイロン6またはナイロン66およびモノマー成分;
11.PTTおよびモノマー成分(例えば、1,3-プロパンジオール);
12.ポリプロピレン(カーペットの裏地材料);
13.CaCO3(カーペットの裏地材料);ならびに
14.接着剤(例えば、スチレン-ブタジエンゴム、低溶融PET、ポリビニルブチラール(PVB)など)。
【0018】
[0023]本発明の方法に有用な廃カーペット繊維組成物は、ポストコンシューマカーペット繊維、ポストインダストリアルカーペット繊維、またはその両方を含んでもよい。
[0024]様々な実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%、少なくとも70wt%、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、もしくは少なくとも90wt%、および/または100wt%以下、99wt%以下、95wt%以下、90wt%以下、85wt%以下、80wt%以下、75wt%以下、70wt%以下、65wt%以下、60wt%以下、55wt%以下、50wt%以下、45wt%以下、40wt%以下、もしくは35wt%以下のポストコンシューマカーペット繊維を含んでもよい。
【0019】
[0025]様々な実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%、少なくとも70wt%、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、もしくは少なくとも90wt%、および/または100wt%以下、99wt%以下、95wt%以下、90wt%以下、85wt%以下、80wt%以下、75wt%以下、70wt%以下、65wt%以下、60wt%以下、55wt%以下、50wt%以下、45wt%以下、40wt%以下、もしくは35wt%以下のポストインダストリアルカーペット繊維を含んでもよい。
【0020】
[0026]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、典型的には、組成物の総重量に対して、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、少なくとも90wt%、少なくとも95wt%、少なくとも99wt%、または100wt%のPETを含む。
【0021】
[0027]廃カーペット繊維組成物がポストコンシューマカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物のPET含有量は、望ましくは、組成物の総重量に対して、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、少なくとも90wt%、少なくとも95wt%、少なくとも99wt%、または100wt%でもよい。
【0022】
[0028]廃カーペット繊維組成物がポストインダストリアルカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物のPET含有量は、望ましくは、組成物の総重量に対して、少なくとも90wt%、少なくとも95wt%、少なくとも99wt%、または100wt%でもよい。
【0023】
[0029]PET含有量は、廃カーペット繊維組成物中の全ジカルボン酸含有量を使用して計算することができる。例えば、PETは、テレフタル酸(TPA)残留物に加えて、いくらかの量のイソフタル酸(IPA)残留物を含む可能性があるため、PET含有量は、TPAおよびIPAの合計含有量に基づいて計算することができる。
【0024】
[0030]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、組成物の総重量に対して、最大6wt%、最大5wt%、最大4wt%、最大3wt%、最大2wt%、最大1wt%、最大0.5wt%、最大0.1wt%、最大0.01wt%、または0wt%の灰分を含んでもよい。
【0025】
[0031]「灰分」とは、分解灰化手順を経た後の廃カーペット繊維組成物の無機残留物を意味する。灰化手順は、廃カーペット繊維組成物の試料を空気中800℃で3時間加熱することを含む。残留物は、廃カーペット繊維組成物中の粘着防止剤、充填剤、強化材、触媒、着色剤などに由来する場合がある。
【0026】
[0032]様々な実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、組成物の総重量に対して、0より大きく最大6wt%、0より大きく最大5wt%、0より大きく最大4wt%、0より大きく最大3wt%、0より大きく最大2wt%、0より大きく最大1wt%、0より大きく最大0.5wt%、0より大きく最大0.1wt%、または0より大きく最大0.01wt%の灰分を含んでもよい。
【0027】
[0033]廃カーペット繊維組成物がポストコンシューマカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物の灰分含有量は、望ましくは、組成物の総重量に対して、最大6wt%、最大5wt%、最大4wt%、最大3wt%、最大2wt%、最大1wt%、最大0.5wt%、最大0.1wt%、最大0.01wt%、または0wt%でもよい。いずれの場合も、灰分含有量は、0より大きくてもよい。
【0028】
[0034]廃カーペット繊維組成物がポストインダストリアルカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物の灰分含有量は、望ましくは、組成物の総重量に対して、最大1wt%、最大0.5wt%、最大0.1wt%、最大0.01wt%、または0wt%でもよい。いずれの場合も、灰分含有量は、0より大きくてもよい。
【0029】
[0035]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大10wt%、最大3wt%、または0wt%のイソフタル酸の残留物を含んでもよい。
【0030】
[0036]廃カーペット繊維組成物がポストコンシューマカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物のイソフタル酸残留物含有量は、望ましくは、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大10wt%、最大3wt%、または0wt%でもよい。
【0031】
[0037]廃カーペット繊維組成物がポストインダストリアルカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物のイソフタル酸残留物含有量はまた、好ましくは、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大10wt%、最大3wt%、または0wt%でもよい。
【0032】
[0038]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大15wt%、最大5wt%、または0wt%の1,3-プロパンジオール残留物を含んでもよい。
【0033】
[0039]廃カーペット繊維組成物がポストコンシューマカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物の1,3-プロパンジオール残留物含有量は、望ましくは、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大15wt%、最大5wt%、または0wt%でもよい。
【0034】
[0040]廃カーペット繊維組成物がポストインダストリアルカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物の1,3-プロパンジオール残留物含有量はまた、望ましくは、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大15wt%、最大5wt%、または0wt%でもよい。
【0035】
[0041]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大5000ppm、最大1500ppm、最大200ppm、最大80ppm、または0ppmの窒素を含んでもよい。
【0036】
[0042]廃カーペット繊維組成物がポストコンシューマカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物の窒素含有量は、望ましくは、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大5000ppm、最大1500ppm、最大200ppm、最大80ppm、または0ppmでもよい。
【0037】
[0043]廃カーペット繊維組成物がポストインダストリアルカーペット繊維を含む場合、廃カーペット繊維組成物の窒素含有量はまた、望ましくは、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大200ppm、最大80ppm、または0ppmでもよい。
【0038】
[0044]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、高密度化されていない廃カーペット繊維を含んでもよい。
[0045]あるいは、本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、溶融押出(例えば、ペレットにする)、成形(例えば、ブリケットにする)、または凝集(例えば、外部から加えられる熱、摩擦力により発生する熱、または1種もしくは複数種の接着剤を添加することによる)などによって高密度化された廃カーペット繊維を含んでもよい。本明細書で使用する場合、用語「高密度化」は、嵩密度を少なくとも0.20g/cm3に増加させる1つまたは複数の加工ステップを経た材料を指す。
【0039】
[0046]1つまたは複数の実施形態において、高密度化された廃カーペット繊維の嵩密度は、少なくとも0.22、少なくとも0.25、少なくとも0.27、少なくとも0.30、少なくとも0.32、もしくは少なくとも0.35g/cm3、および/または0.50g/cm3以下、0.47g/cm3以下、0.45g/cm3以下、0.42g/cm3以下、0.40g/cm3以下、もしくは0.37g/cm3以下でもよい。高密度化された廃カーペット繊維は、例えば、カッティング、チョッピング、または他のサイズ縮小法、2種以上の異なるタイプの成分の分離法、加熱(および任意選択で溶融)、ならびにペレット化または固化を含めた1つまたは複数の加工ステップを経ていてもよい。
【0040】
[0047]1つまたは複数の実施形態において、高密度化された廃カーペット繊維は、少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、もしくは少なくとも5mm、および/または10mm以下、8mm以下、6mm以下、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、もしくは0.5mm以下のD90粒径を有する微粒子、ペレット、顆粒、塊、または粒子を含んでもよい。
【0041】
[0048]1つまたは複数の実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも99.5、または少なくとも99.9wt%の廃カーペット繊維を含んでもよい。
【0042】
[0049]1つまたは複数の実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも99.5、または少なくとも99.9wt%の高密度化された廃カーペット繊維を含んでもよい。
【0043】
[0050]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、本明細書に記載するパラメータの任意の組合せを含んでもよい。例えば、廃カーペット繊維組成物は、本明細書に記載するPETおよび灰分含有物;PET、灰分、および/またはIPA含有物;PET、灰分、IPA、および/または1,3-プロパンジオール含有物;PET、灰分、IPA、1,3-プロパンジオール、および/または窒素含有物の任意の組合せを含んでもよい。
【0044】
[0051]様々な実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、ポストコンシューマカーペット繊維を含み、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、75~100wt%のPET、0~10wt%のIPA残留物、0~6wt%の灰分、0~15wt%の1,3-プロパンジオール残留物、および0~5000ppmの窒素を含む。
【0045】
[0052]様々な他の実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、ポストコンシューマカーペット繊維を含み、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、90~100wt%のPET、0~3wt%のIPA残留物、0~3wt%の灰分、0~5wt%の1,3-プロパンジオール残留物、および0~1500ppmの窒素を含む。
【0046】
[0053]様々な実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、ポストインダストリアルカーペット繊維を含み、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、90~100wt%のPET、0~10wt%のIPA残留物、0~1wt%の灰分、0~15wt%の1,3-プロパンジオール残留物、および0~200ppmの窒素を含む。
【0047】
[0054]様々な他の実施形態において、廃カーペット繊維組成物は、ポストインダストリアルカーペット繊維を含み、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、95~100wt%のPET、0~3wt%のIPA残留物、0~0.5wt%の灰分、0~5wt%の1,3-プロパンジオール残留物、および0~80ppmの窒素を含む。
【0048】
[0055]本発明の方法において有用な廃カーペット繊維組成物は、廃カーペット繊維再生業者から商業的に入手することができる。あるいは、ポストインダストリアルカーペット繊維の場合、それらをカーペット製造業者から直接入手することもできる。ポストコンシューマカーペット繊維の場合、廃カーペット繊維組成物は、剪断などの様々な技術でカーペット裏地から繊維を取り外し、任意選択で、繊維に、細断、選別、沈降/浮遊、摩砕、粉砕、造粒などの1つまたは複数の加工技術を施すことによって得ることができる。
【0049】
メタノール分解
[0056]本発明の方法は、ケミカルリサイクルに適している廃カーペット繊維組成物を用意した後、組成物にメタノール分解を施すことを含む。メタノール分解中、廃カーペット繊維組成物を、メタノールと(任意選択でエステル交換触媒の存在下で)反応させて、ポリエステルオリゴマー、テレフタル酸ジメチル(DMT)、およびエチレングリコール(EG)を含む解重合ポリエステル混合物を生成する。
【0050】
[0057]廃カーペット繊維の組成に応じて、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ジエチレングリコール、イソフタル酸ジメチル、および1,3-プロパンジオールなどの他のモノマーも生成することができる。
【0051】
[0058]メタノール分解のプロセスは、文献を通じて十分に資料提供されており、PET材料からDMTを生成するのに効果的である。PETのメタノール分解のいくつかの代表的な例としては、米国特許第3,321,510号、同第3,776,945号、同第5,051,528号、同第5,298,530号、同第5,414,022号、同第5,432,203号、同第5,576,456号、および同第6,262,294号に記載されているものが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。これらの実施例は、本発明の方法において使用することができる。
【0052】
[0059]適切なメタノール分解プロセスの一例は、米国特許第5,298,530号の開示を参照して説明することができ、この開示は、スクラップポリエステル(または本発明の場合には廃ポリエステルカーペット繊維)からEGおよびDMTを回収する方法を記載している。この方法は、スクラップポリエステルをEGとテレフタル酸(TPA)またはDMTとのオリゴマーに溶解し、この混合物に過熱メタノールを通過させるステップを含む。オリゴマーは、スクラップポリマーが低分子量オリゴマーに溶解するように、出発成分として使用されるスクラップ材料と同じ組成の任意の低分子量ポリエステルポリマーを含んでもよい。DMTおよびEGは、解重合反応器から排出されるメタノール蒸気流から回収される。
【0053】
[0060]上記の方法では、スクラップPETは、装填システムによって、テレフタラートオリゴマーが入っている溶解器に搬送することができる。装填システムは、スクリューフィーダー、押出機、またはバッチ添加機など、当業者に公知の任意の従来システムでもよい。溶解器は、撹拌機、ならびにジャケット、トレーシング、内部加熱コイル、および/または外部熱交換器を含み得る加熱手段を備えている。スタートアップ時に、EGおよび/またはDMTなどのポリエステルのモノマーまたはオリゴマーを溶解器に導入し、110℃~305℃の温度に加熱することができる。例えば、温度範囲は、230℃~290℃でもよい。スクラップPETおよびオリゴマーを、溶解器において、スクラップPETがオリゴマーと混合してスタートアップ溶融物を形成するのに十分な時間かき混ぜることができる。典型的には、混合に必要な時間は、5分~60分の範囲でもよい。
【0054】
[0061]スタートアップ溶融物をストレーナに通し、ポンプによって解重合反応器に移動させることができる。あるいは、スタートアップ溶融物の全部または一部を溶解器に戻すことができ、これは、スタートアップ中に、ならびに所望に応じてスタートアップ後に、溶融ポリエステルを溶解器の頂部に供給して、新鮮なポリエステルスクラップ供給物の溶融を始めるのに有用である。
【0055】
[0062]次いで、過熱メタノール蒸気を解重合反応器の内容物に通し、反応器内容物を加熱して、低分子量ポリエステルオリゴマー、一価アルコール末端オリゴマー、グリコール、およびDMTを含む溶融物を形成することができる。例えば米国特許第5,051,528号に記載されているメタノール供給および回収ループなどの従来のシステムを使用して、メタノールを加熱し、反応器に供給し、再利用のためにメタノールを回収することができる。
【0056】
[0063]過熱メタノール蒸気の代わりに、またはそれに加えて、液体形態のメタノール、飽和メタノール蒸気、および/または超臨界メタノールを解重合反応器に導入することができる。
【0057】
[0064]典型的には、過剰量のメタノールを解重合反応混合物に通す。例えば、1.1:1~10:1のメタノールとPETの質量比を使用することができる。
[0065]次いで、反応器溶融物の一部を反応器から溶解器に戻してもよく、そこで反応器溶融物が溶融スクラップポリエステル鎖と反応し、平衡化して、溶解器内容物の平均鎖長が短くなり、それによって粘度が大幅に低下する。したがって、溶解器に最初に導入されるオリゴマーが、通常、ちょうどスタートアップ時に必要とされる。スタートアップ後、本発明の方法は、溶解器に外部のポリエステル鎖短縮材料をさらに導入することなく、連続的に実行することができる。溶解器は、メタノールがほとんど存在しない状態で大気圧で実行することができ、それによって、メタノール漏出の危険性が大幅に低減され、プロセスの安全性が向上する。より精巧な密閉装置が必要ないため、回転式エアロックなどの単純な固体取扱装置を採用することができる。溶解器から移送される溶融物の粘度は、安価なポンプ手段を使用することができるほど十分に低く、反応器を大気圧より著しく高い圧力で運転することができる。
【0058】
[0066]解重合反応器から溶解器への反応器溶融物の戻しは、溶解器に出入りする材料の流速、
および溶解器中の溶融済み反応器内容物と溶融済みスクラップポリエステルとの所望の比に基づいて選択される速度に対して調整することができる。例えば、反応器溶融物とスクラップポリエステルの比は、5~90wt%でもよい。別の一例では、反応器溶融物とスクラップポリエステルの比は、20~50wt%でもよい。所望により、反応器溶融物が溶解器に移送される間、例えば、溶解器へのスクラップポリエステルの供給が中断されている待機運転中、プラントのスタートアップ中、または溶解器中の溶融物が運転レベルにまで引き上げられる間、回収ステップ(以下に記載)を省くことができる。
【0059】
[0067]解重合反応器は、溶解器よりも高い圧力で実行することができ、それによって、反応器溶融物を反応器から溶解器へ移送するためのポンプ手段が不要になる。所望により、補助的なポンプ手段を任意選択で設けてもよい。解重合反応器の運転圧力は、0kPaゲージ(0psig)~689.5kPaゲージ(100psig)とすることができる。反応器は、典型的には、206.8kPaゲージ(30psig)~344.7kPaゲージ(50psig)の圧力で運転される。
【0060】
[0068]解重合反応器中の溶融物の温度を、典型的には、反応器中の圧力におけるメタノールの沸点以上、またはその臨界温度(約239℃)以上に維持して、メタノールを蒸気状態に維持し、反応器から容易に出すことができるようにする。例えば、解重合反応器中の溶融温度は、100℃~320℃、180℃~305℃、または250℃~290℃とすることができる。
【0061】
[0069]解重合を促進するために、溶解器および/または反応器に、亜鉛、チタン、マンガン、リチウム、カリウム、および/またはマグネシウムなどのエステル交換触媒を添加することができる。様々な実施形態において、エステル交換触媒は、2種以上の触媒金属の混合物でもよい。触媒金属は、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物(特に可溶性酸化物)、メトキシド、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩など、アニオンとの塩形態で導入することができる。
【0062】
[0070]1つまたは複数の実施形態において、エステル交換触媒は、酢酸亜鉛、チタン(IV)イソプロポキシド、酢酸リチウム、酢酸マンガン(II)、マグネシウムメトキシド、および/または炭酸カリウムでもよい。
【0063】
[0071]触媒は、溶解器/反応器に導入される固体ポリエステル100万重量部あたり触媒金属0~800重量部の範囲で使用することができる。他の触媒量としては、30~300ppmまたは30~100ppmを挙げることができる。
【0064】
[0072]1つまたは複数の他の実施形態において、エステル交換触媒は、スズ、亜鉛、および/またはチタンを除外する。様々な実施形態において、解重合反応器溶融物中のスズ、亜鉛、および/またはチタンの量は、溶解器/反応器に導入される固体ポリエステルの重量に対して、200ppm以下、150ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、25ppm以下、10ppm以下、または1ppm以下である。
【0065】
[0073]エステル交換触媒はまた、水酸化ナトリウムなどの共触媒と共に使用することができる。共触媒は、溶解器/反応器に導入される固体ポリエステル100万重量部あたり共触媒金属0~800重量部の範囲で使用することができる。他の共触媒量としては、30~300ppmまたは30~100ppmを挙げることができる。
【0066】
[0074]解重合をさらに促進するために、グリコキシドまたはメトキシドを反応混合物に添加してもよい。グリコキシドまたはメトキシドは、グリコキシドまたはメトキシドアニオンとカチオンとを含み、アルカリ金属グリコキシドもしくはメトキシド、アルカリ土類金属グリコキシドもしくはメトキシド、金属グリコキシドもしくはメトキシド、アンモニウムグリコキシドもしくはメトキシド、またはそれらの組合せから選択することができる。カチオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、およびアンモニウムが挙げられる。様々な実施形態において、グリコキシドまたはメトキシドは、ナトリウムグリコキシドまたはメトキシド、例えばモノナトリウムグリコキシドなどでもよい。グリコキシドまたはメトキシドは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または金属をモノエチレングリコール(MEG)に添加することによって生成することができる。様々な実施形態において、グリコキシドは水酸化ナトリウムをMEGに添加することによって生成することができ、またはメトキシドは水酸化ナトリウムをメタノールに添加することによって生成することができる。
【0067】
[0075]様々な実施形態において、グリコキシドまたはメトキシドとメタノールとのモル比は、0.05:1~0.5:1の範囲、例えば約0.2:1などでもよい。
[0076]様々な実施形態において、グリコキシドまたはメトキシドとPETとのモル比は、1:2~1:20、または1:10~1:15の範囲でもよい。
【0068】
[0077]1つまたは複数の実施形態において、反応域における廃カーペット繊維組成物の平均滞留時間は、少なくとも1、2、5、10、もしくは15分、および/または12、11、10、9、8、7、6、5、もしくは4時間以下でもよい。
【0069】
[0078]1つまたは複数の実施形態において、メタノール分解反応域に導入されたPETの総重量の少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または99wt%が、その域を出るときには分解されている。
【0070】
[0079]1つまたは複数の実施形態において、反応器パージ流れは、連続的または定期的に反応域から取り出すことができる。反応器パージ流れは、DMTの沸点よりも高い沸点を有してもよい。
【0071】
[0080]1つまたは複数の実施形態において、反応器パージ流れは、流れの総重量に対して、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも99wt%のDMTを含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、反応器パージ流れは、25wt%以下、20wt%以下、15wt%以下、10wt%以下、5wt%以下、2wt%以下、または1wt%以下の、DMTの沸点よりも高い沸点を有する成分を含んでもよい。さらにまたはあるいは、反応器パージ流れは、反応器の温度より少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、もしくは少なくとも25℃、および/または50℃以下、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、もしくは15℃以下の溶融温度を有してもよい。
【0072】
[0081]反応器パージ流れは、流れの総重量に対して、少なくとも100ppmおよび25wt%以下の1種または複数種の非DMT固体を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、反応器パージ流れ中の非DMT固体の総量は、流れの総重量に対して、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、少なくとも3500、少なくとも4000、少なくとも4500、少なくとも5000、少なくとも5500、少なくとも6000、少なくとも7000、少なくとも8000、少なくとも9000、少なくとも10,000、もしくは少なくとも12,500ppm、および/または25wt%以下、22wt%以下、20wt%以下、18wt%以下、15wt%以下、12wt%以下、10wt%以下、8wt%以下、5wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、もしくは1wt%以下でもよい。
【0073】
[0082]1つまたは複数の実施形態において、反応器パージ流れは、流れの総重量に対して、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、少なくとも3500、少なくとも4000、少なくとも4500、少なくとも5000、少なくとも5500、少なくとも6000、少なくとも6500、少なくとも7000、少なくとも7500、少なくとも8000、少なくとも8500、少なくとも9000、少なくとも9500重量ppm、または少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも10、もしくは少なくとも12wt%、および/あるいは25wt%以下、22wt%以下、20wt%以下、17wt%以下、15wt%以下、12wt%以下、10wt%以下、8wt%以下、6wt%以下、5wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、もしくは1wt%以下、または7500重量ppm以下、5000重量ppm以下、もしくは2500重量ppm以下の総固体含有量を有する。
【0074】
[0083]非DMT固体の例としては、不揮発性触媒化合物を挙げることができるが、それだけに限らない。1つまたは複数の実施形態において、反応器パージ流れは、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、少なくとも3500、少なくとも4000、少なくとも4500、少なくとも5000、少なくとも7500、少なくとも10,000、もしくは少なくとも12,500ppm、および/または60,000ppm以下、50,000ppm以下、40,000ppm以下、35,000ppm以下、30,000ppm以下、25,000ppm以下、20,000ppm以下、15,000ppm以下、もしくは10,000ppm以下の不揮発性触媒金属を含んでもよい。不揮発性触媒金属の例としては、チタン、亜鉛、マンガン、メトキシド化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スズ、残留するエステル化またはエステル交換触媒、残留する重縮合触媒、アルミニウム、解重合触媒、およびこれらの組合せが挙げられるが、それらだけに限らない。
【0075】
[0084]DMT、EG、およびメタノールを含む蒸気流れを、解重合反応器から取り出すことができる。ポリエステルカーペット繊維の組成に応じて、他のモノマー(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソフタル酸ジメチル、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-プロパンジオール、および/またはメチルヒドロキシエチルテレフタラートなど)もメタノール蒸気流れ中に存在することがある。メタノール蒸気は、解重合反応物であることに加えて、キャリアガス流れとして作用することによって、および溶液から他のガスをストリッピングすることによって、反応器から他の蒸気を除去するのを助ける。反応器内容物を加熱し、かつガスをストリッピングするための過熱メタノールの有効性は、その体積流量に依存する。したがって、反応器内の解重合速度は、反応器へのメタノール流速に依存する。解重合反応器を出たメタノール蒸気流れは、その蒸気流れから大部分のメチルヒドロキシエチルテレフタラートを分離するために蒸留装置に移動させることができる。回収されたメチルヒドロキシエチルテレフタラートは、溶解器および/または反応器に移動させてもよく、そこで、平均ポリエステル鎖長を短縮させ、かつ溶解器/反応器中の溶融物の粘度を低下させるための低分子量オリゴマーとして役立つ。
【0076】
[0085]次いで、蒸気流れを、メタノールを他の蒸気流れ成分から分離する第2の蒸留装置に移動させることができる。メタノールは、米国特許第5,051,528号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、さらなる使用のために回収することができる。残りの回収された蒸気流れ成分を、他の分離装置、例えば、蒸留塔および晶析装置に移動させることができ、そこで、DMT、EG、および任意選択で他のモノマーを分離することができる。
【0077】
[0086]メタノール分解プロセスは、半連続または連続プロセスとして実施することができる。最初のスタートアップ後、上述のスタートアップオリゴマーを、外部供給源からプロセスに供給する必要はない、すなわち、解重合反応器から溶解器に供給される溶融物、および/またはメタノール蒸気流れの任意選択的蒸留から溶解器に供給されるメチルヒドロキシエチルテレフタラートが、平均ポリエステル鎖長を短縮させ、溶解器中の溶融粘度を十分に低下させることができる。
【0078】
[0087]スクラップまたは廃PETカーペット繊維組成物中の汚染物の大部分は、溶融物を解重合反応器に導入する前に、溶解器中の溶融物から除去することができる。例えば、金属または砂などの無機汚染物は、溶解器からの溶融物を漉すことによって除去することができる。ポリエチレン、ポリスチレン、およびポリプロピレンなどのポリオレフィンならびに他の汚染物は、溶解器中の溶融物の上に浮遊する傾向があり、それらを分離器に通し、除去することができ、ポリオレフィンを含まない溶融物を溶解器に戻すことができる。可溶性汚染物は、溶解器中の溶融物に蓄積させることができ、解重合反応器からのオリゴマーとともに常法によりパージすることができる。あるいは、それらを、反応器から溶解器に流し戻す溶融物から除去することもできる。
【0079】
[0088]廃カーペット繊維組成物に加えてまたは組み合わせて、本発明によるメタノール分解反応ステップは、織物、ボトルフレーク、リクレーマ廃棄物、またはそれらの組合せなど、広範な他のPET含有廃棄物のアレイを受け入れて、ポリエステルに再重合するためのリサイクルモノマー供給原料を製造することができる。
【0080】
[0089]メタノール分解反応が進行する速度は、経時的に消費されたMeOHと生成されたDMTとのモル比(MeOH/DMTモル比)を計算することによって評価することができる。値が低いほど、1モルのDMTを生成するために使用されたメタノールが少ないことを示しており、そのため、より効率的で望ましい。様々な実施形態において、本発明の反応ステップは、反応期間全体を通じて、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、または4以下のMeOH/DMTモル比を提供することができる。MeOH/DMTモル比の分母は、メチルヒドロキシエチルテレフタラート(MHET)などのDMT誘導体を含む。
【0081】
回収および精製
[0090]メタノール分解反応中に生成した解重合ポリエステル混合物中のDMTおよびEGは、結晶化、ろ過、蒸留、またはそれらの組合せによって回収および精製することができる。モノマーを回収および精製するための追加の技術には、吸着(例えば、活性炭、木炭、シリカゲルなどによる)、アニオンもしくはカチオン交換、および/または液体抽出がある。廃カーペット繊維組成物中に存在する可能性のある他のモノマー、例えば、イソフタル酸ジメチル、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコールなども上述の技術によって回収し、ポリエステルに再重合することができる。
【0082】
[0091]様々な実施形態において、解重合反応器から出るメタノール蒸気流れは、DMT、EG、メタノール、および少量の不純物を含む気相流れを含むことがある。メタノール蒸気流れ中の不純物の量は、不純物とDMTの比揮発度に依存する。不純物の揮発性が十分に低い場合、不純物のいくらかは、かなりの濃度で反応器から搬出されるであろう。
【0083】
[0092]様々な実施形態において、メタノール蒸気流れを冷却し、凝縮させて、メタノールに溶解したDMTを含む凝縮物を形成することができる。次いで、この流れの温度を下げ、メタノールの一部を除去して、溶解したDMTを結晶として析出させる。次いで、固体は、ろ過および/または遠心分離などの適切な分離方法によって分離することができる。次いで、結晶を洗浄して、EGおよびその他の汚染物の大部分を除去し、さらに分離および精製することができる。次いで、粗DMTを蒸留して、バージン材料から調製したポリエステルと類似または同等のポリエステルの調製に適したポリマーグレードの材料を得ることができる。
【0084】
[0093]ポリエステル解重合生成物からDMTおよび様々なグリコール成分を分離および精製するための他の方法は、例えば、米国特許第5,364,985号、同第5,391,263号、同第5,498,749号、同第5,712,410号、同第5,912,275号(Dupont)、同第6,706,843号(Teijin)、同第7,078,440号、および同第10,808,096号に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
[0094]簡単に述べると、様々な実施形態において、メタノールの回収を促進するために、メタノール分解反応器に続いて、メタノールおよび/またはEGを含む混合物に、安息香酸メチルおよび/またはp-トルイル酸メチルなどの共沸剤を添加して、メタノールおよび/またはEGとDMTとの分離を促進することができる。
【0086】
[0095]固体異物が反応混合物中に存在する場合、(A)混合物の表面に浮遊している固体異物の一部分を浮遊分離法によって除去することができ、(B)表面に浮遊しなかった残留固体異物の一部分を固/液分離法によって除去することができ、(C)ステップ(B)からの一部分を蒸留し、濃縮して、蒸留済みEGを回収することができ、(D)ステップ(C)からの蒸留残留物を、エステル交換反応触媒およびメタノールと混合して、蒸留残留物とメタノールとの間でエステル交換反応を起こさせ、DMTおよびEGを生成させることができ、その後、反応混合物に再結晶処理、次いで遠心分離を施して、反応混合物をDMTケーキと混合溶液とに分離することができ、そのケーキに蒸留精製を施して、高純度の蒸留済みDMTを回収することができ、(E)ステップ(D)からの混合溶液に蒸留処理を施して、蒸留済みメタノールを回収することができ、(F)ステップ(E)からの蒸留残留物に蒸留処理を施して、蒸留済みEGを回収することができる。
【0087】
[0096]異物は、PET以外のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリウレタン、ポリ乳酸、アクリル、レーヨン、アセタート、ポリビニルアルコール、天然植物繊維、天然動物繊維、金属、顔料、油、無機化合物、砂、紙、木材、ガラス、アスベスト、カーボンブラック、染料、および/または断熱材料を含み得る。
【0088】
[0097]PET以外のポリエステルは、共重合PET、ポリエチレンナフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、および/またはポリブチレンテレフタラートを含み得る。
[0098]異物としてのポリオレフィンは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを含み得る。
【0089】
[0099]ステップ(C)で回収されたEGは、ステップ(A)に再循環させることができる。
【0090】
廃カーペット繊維のケミカルリサイクル用混合物
[0100]別の一態様において、本発明は、廃カーペット繊維のケミカルリサイクル用混合物を提供する。この混合物は、
(a)少なくとも75wt%のポリエチレンテレフタラート(PET)および6wt%以下の灰分を含む廃カーペット繊維組成物と、
(b)メタノールと
の反応生成物を含み、
重量パーセントは、廃カーペット繊維組成物の総重量に基づいている。
【0091】
[0101]混合物中の廃カーペット繊維組成物は、本明細書に記載する特徴/パラメータのうちのいずれかを有してもよい。
[0102]メタノールは、液体もしくは蒸気の形態でもその両方でもよい。
【0092】
[0103]1つまたは複数の実施形態において、メタノールは、飽和蒸気でもよい。
[0104]1つまたは複数の実施形態において、メタノールは、過熱または超臨界でもよい。
【0093】
[0105]1つまたは複数の実施形態において、メタノールは、過熱蒸気でもよい。
[0106]混合物は、メタノールとPETの質量比が1.1:1~10:1でもよい。
[0107]混合物は、織物、ボトルフレーク、リクレーマ廃棄物、またはそれらの組合せなど、他のPET含有廃棄物を含んでもよい。
【0094】
[0108]1つまたは複数の実施形態において、混合物は、混合物の総重量に対して、最大95、最大90、最大85、最大80、最大75、最大60、最大50、最大40、最大30、最大20、最大10、最大5、または最大1wt%の他のPET含有廃棄物を含む。
【0095】
[0109]混合物は、エステル交換触媒を含んでもよい。
[0110]エステル交換触媒の例としては、酢酸亜鉛、酢酸リチウム、酢酸マンガン(II)、チタン(IV)イソプロポキシド、マグネシウムメトキシド、および炭酸カリウムが挙げられる。
【0096】
[0111]1つまたは複数の実施形態において、混合物は、混合物の総重量に対して、0~800ppm、30~300ppm、または30~100ppmのエステル交換触媒を含む。
【0097】
[0112]混合物は、エステル交換共触媒をさらに含んでもよい。
[0113]エステル交換共触媒の例として、水酸化ナトリウムが挙げられる。
[0114]1つまたは複数の実施形態において、混合物は、混合物の総重量に対して、0~800ppm、30~300ppm、または30~100ppmのエステル交換共触媒を含む。
【0098】
[0115]混合物は、テレフタル酸ジメチル、オリゴマー、またはその両方をさらに含んでもよい。
[0116]混合物はまた、メトキシ2-ヒドロキシエチルテレフタラート;ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート;ジエチレングリコール;イソフタル酸ジメチル;PETからの残留触媒金属、例えば、アンチモン、チタン、アルミニウムなど;染料;PET供給物からの着色剤、不活性固体、および/または汚れを含んでもよい。
【0099】
リサイクルポリエステルを調製する方法
[0117]さらに別の一態様において、本発明は、リサイクルポリエステルを調製する方法を提供する。一変形において、この方法は、
本発明に従って得られた精製EGもしくはDMTまたはその両方を使用して、リサイクルポリエステルを調製するステップ
を含む。
【0100】
[0118]別の一変形において、この方法は、
本発明に従って得られた精製DMTを水と反応させて、リサイクルテレフタル酸(rTPA)を形成するステップと、
rTPAおよび任意選択で本発明に従って得られた精製EGを使用して、リサイクルポリエステルを調製するステップと
を含む。
【0101】
[0119]さらに別の一変形において、この方法は、
本発明に従って得られた精製DMTを、バージンEG、同じく本発明に従って得られた精製EG、またはその両方と反応させて、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)またはそのオリゴマーを形成するステップと、
BHETまたはそのオリゴマーを重縮合して、リサイクルPETを形成するステップと
を含む。
【0102】
[0120]EG、DMT、またはその両方からポリエステルを調製するための様々な方法が知られている。例えば、DMTをEGと反応させて、エステル化生成物を生成することができる。次いで、エステル化生成物を、重縮合触媒の存在下、減圧で重縮合して、PETを得る。
【0103】
一般的な規定
[0121]いずれの疑問も取り除くために、本発明は、本明細書で言及する実施形態、特徴、特性、パラメータ、および/または範囲のあらゆる組合せを含み、明示的に企図し、開示する。すなわち、本発明の主題は、本明細書で言及する実施形態、特徴、特性、パラメータ、および/または範囲の任意の組合せによって定義され得る。
【0104】
[0122]本発明の一部として具体的に命名または特定されていない任意の構成要素、成分、またはステップは、明示的に除外され得ることが企図されている。
[0123]本発明の任意のプロセス/方法、装置、化合物、組成物、実施形態、または成分は、移行的な用語「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、もしくは「からなる(consisting of)」、またはこれらの用語の変形によって修正され得る。
【0105】
[0124]本明細書で使用する場合、不定冠詞「1つの(aおよびan)」は、文脈上そうでないとする明白な示唆がない限り、1または複数を意味する。同様に、文脈上そうでないとする明白な示唆がない限り、名詞の単数形は複数形を含み、また逆も同様である。
【0106】
[0125]正確を期すように努めているが、本明細書に記載の数値および範囲は、近似値とみなすことができる。これらの値および範囲は、本開示によって得ようとする所望の性質、ならびに測定技術に見られる標準偏差から生じる変動に応じて、規定の数から変化する可能性がある。さらに、本明細書に記載の範囲は、規定の範囲内のすべてのサブ範囲および値を含むことが意図され、具体的に企図されている。例えば、50~100の範囲は、60~90、70~80などのサブ範囲を含む範囲内のすべての値を含むことを意図している。
【0107】
[0126]実施例で報告する同じ性質またはパラメータの任意の2つの数は、範囲を定義することができる。これらの数は、小数第四位、小数第三位、小数第二位、小数第一位、一の位、十の位、または百の位を四捨五入して、範囲を定義することができる。
【0108】
[0127]特許ならびに非特許文献を含む、本明細書で引用するすべての文書の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。任意の組み込まれた主題が任意の本明細書の開示と矛盾する範囲では、本明細書の開示が、組み込まれた内容よりも優先されるものとする。
【0109】
[0128]本発明は、以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は単に説明のために含まれるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0110】
実施例1
供給原料
[0129]様々なカーペット繊維供給原料を、PET含有量(IPAおよびTPAを使用して計算)、灰分含有量、1,3-プロパンジオール、窒素、および金属について分析した。対照試料(対照)は、PET再生機で精製された、メカニカルリサイクルに適した高グレードの着色rPETフレークであった。他の試料は、ポストインダストリアル(P-I)カーペット繊維(試料A、D、E、F)、ポストコンシューマ(P-C)カーペット繊維(試料B、C、H~O)、およびポストインダストリアルカーペットとカーペットパッドとの組合せ品(試料G)であった。実験室での評価に関して、すべての試料を溶融押出または凝集のいずれかによって高密度化した。
【0111】
[0130]TPAおよびIPAの含有量を決定するために、[Anal.Chem.1991年、63、1251~1256頁]に記載されている通りに、供給原料を加水分解液体クロマトグラフィで分析した。この試験は、±3%の誤差限界を有する。%PETを計算し、加水分解手順中に添加された水を補正するために、%TPAおよび%IPA(測定された場合)の合計を0.864で割った。IPAが測定されなかった場合、%IPAの値は0と仮定された。
【0112】
[0131]灰分含有量を決定するために、試料1gを空気中800℃で3時間加熱した後、重量測定法で分析した。
[0132]全窒素を定量的に決定するために、試料を粉砕し、NSX-2100H微量元素分析装置を使用して、化学発光法により測定した。
【0113】
[0133]プロパンジオールは、加水分解ガスクロマトグラフィによって決定した。試料は、加水分解反応およびシリル化を使用することによって分析用に調製される。試料溶液は、分割注入および炎イオン化検出器を使用して、DB-5カラムでクロマトグラフィにかけた。試料成分の重量パーセント濃度は、内部標準定量法を使用して、積分されたクロマトグラムから計算した。
【0114】
[0134]その他の金属、ハロゲン、および非金属は、Omnianソフトウェアパッケージを使用して、Malvern/PANalytical Zetium XRFで蛍光X線によって定性的に決定した。
【0115】
[0135]結果を表1に示す。
【0116】
【0117】
【0118】
実施例2
実験室でのメタノール分解反応および精製
[0136]実施例1からの試料を、
図1に示す実験室規模のメタノール分解反応器およびモノマー精製システムでスクリーニングした。
【0119】
[0137]各メタノール分解反応は、深さ27.94cm(11インチ)および直径10.16cm(4インチ)の寸法を有する2L容の反応器に、初期投入物であるPETカーペット繊維供給原料、触媒、およびエチレングリコールを添加することによって実施した。バッチ式実験室規模反応器においてのPET供給原料の溶融を助けるためにエチレングリコールを添加し、手順の最初の数時間以内に反応器からストリッピングした。
【0120】
[0138]反応器を260℃に加熱して、溶融物を形成し、次いで、溶融物に、305℃の過熱メタノールを10mL/分の速度でスパージングした。反応器中の内容物レベルを1時間ごとにチェックした。レベルが17.78cm(7インチ)を下回ると、PETカーペット繊維供給原料100gおよび適切なレベルの触媒を反応器に添加した。初期投入量および後続添加の投入量を8時間ごとに記録し、表2に報告した。DMT、EG、およびMeOHの粗生成物を、精製用の受容フラスコ/タンクに収集した。
【0121】
[0139]精製のために、生成物を撹拌槽中で結晶化させ、その後、結晶化した生成物をろ過した。次いで、ろ過ケーキをバッチ式カラム蒸留で精製して、精製DMTを生成した。
[0140]精製エチレングリコールは、最初にメタノールストリッピングカラムにおいてろ液からメタノールを除去し、続いて、カラム蒸留で精製することにより生成することができる。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
速度データ
[0141]反応が進行する速度を、各時点におけるMeOH/DMTのモル比を計算することによって評価し、表3に示す。値が高いほど、1モルのDMTを生成するために使用されたメタノールが多いことを示しており、そのため、あまり望ましくない。使用されたメタノールの量は、メタノールの添加速度、およびメタノールを反応器にスパージングした時間から計算された(表2)。生成されたDMTの量は、受容タンク中の生成物を秤量し、ガスクロマトグラフィおよび液体クロマトグラフィを使用して生成物中のDMT濃度を定量することにより計算された。
【0126】
【0127】
[0142]表3の速度データを
図2および3にグラフで示す。MeOH/DMTを反応速度の代用として使用しており、ここでは、MeOH/DMTの値が低いほど、1モルのDMTを生成するのに必要なMeOHのモル数が少ないことを示している。
【0128】
[0143]
図2に見られるように、供給原料中のPET含有量が高いほど、MeOH/DMT値が低くなるという相関があった。いくつかの供給原料、特に、ポストコンシューマカーペット繊維を含有するものでは、試料の調製方法に起因して、PET含有量が低いほど灰分含有量が高くなり、それによって、MeOH/DMT値が高くなる相互関係が示された。例えば、3種のポストコンシューマ試料(B、C、およびD)を比較すると、試料Dは、最も低いPET%(76.5wt%)および最も高い灰分%(6.92wt%)を有し、最も高いMeOH/DMT値で進行した。試料Bは、中間レベルのPET%および灰分%(それぞれ89.7wt%および4.4wt%)を有し、中間のMeOH/DMT速度で進行した。試料Cは、最も高いPET%(94.2wt%)および最も低い灰分%(1.9wt%)を有し、最も低いMeOH/DMT値で進行した。また、灰分含有量が高い供給原料ほど、無機含有物が反応器を不活性材料で満たすため、時間の経過とともに速度が低下する傾向があった。
【0129】
[0144]試料A、すなわち、ポストインダストリアルカーペット繊維試料は、最も低いレベルの灰分%(0.18wt%)および最も高いPET%(100.7wt%)を有した。この供給原料は、対照試料と非常に類似したPET%および灰分%を有し、したがって、速度も非常に類似していた。
【0130】
[0145]
図4および5は、対照および試料A~DのMeOH/DMT中央値を、供給原料特性であるPET%および灰分%それぞれと比較したグラフである。これらのグラフから分かるように、MeOH/DMT値は、驚くべきことに、PET%または灰分%のどちらの線形関数でもなかった。MeOH/DMT中央値は、経過時間24~64時間(経過時間8時間と16時間は省略)の結果を使用して計算した。初期時点、8時間、および16時間では、反応の平衡状態の欠如によるノイズがしばしば見られた。
【0131】
[0146]
図3は、対照試料、試料B、およびこれら2つの様々な混合物の速度データを示す。
図2で観察された傾向は、
図3にも引き継がれていた。
[0147]さらに、
図3に見られるように、15%に希釈した試料は、驚くべきことに、25%に希釈した試料とほぼ同じ性能を示した。これらの結果は、カーペット繊維供給原料中のPET%に対して非線形反応を示唆している。さらに、一般に、上記で列挙した不純物をすべて含むカーペット繊維試料から純粋なDMTが得られることが分かったのは驚くべきことであった。
【0132】
精製DMT
[0148]上述のように、各カーペット試料からのDMTを受容フラスコ中の反応物から単離した後、結晶化、ろ過、および蒸留によって精製した。蒸留後のDMT中の不純物を表4に報告する。DMTの全アッセイはガスクロマトグラフィによって測定され、存在する金属は蛍光X線で検出された。試料の一部は、蒸留から2つの留分として収集された。
【0133】
[0149]比較のため、市販のバージンDMT(蒸留DMTと表示)を、メタノール分解供給原料と同じ手段で再蒸留した。蒸留後の不純物も表4に報告する。
[0150]表4において、MHETはメチルヒドロキシエチルテレフタラート、MHTはモノヒドロキシエチルテレフタラート、BHETはビス(ヒドロキシエチル)テレフタラート、DMIはイソフタル酸ジメチルである。
【0134】
【0135】
実施例3
コポリエステル合成
[0151]実施例2からの精製リサイクルDMT(rDMT)の一部を、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブテンジオール(TMCD)および1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を含む非晶質コポリエステルを合成することによって、コポリエステル生成における使用適合性についてスクリーニングした。すべてのコポリエステルを、上述のバッチ蒸留からの第2留分を使用して生成した。rDMT(77.68g)、CHDM(38.05g)、およびTMCD/MeOH溶液(35wt% TMCD、67.11g溶液)を秤量して、500mL容の一口フラスコに入れた。モノマーに、リン化合物およびスズ化合物を含むn-ブタノール中触媒溶液を、最終触媒濃度としてSnが125ppm、Pが8ppmになるように添加した。フラスコには、電動撹拌システム、サイドアーム冷却器、凝縮物受容フラスコ、ドライアイス-アセトントラップ、ならびに不活性(N2)および真空雰囲気を実現するためのマニホールドを装備した。フラスコの加熱は、加熱マントルに接触した溶融金属浴にフラスコを下降させることで実現した。自動化プログラムを使用して、反応全体を通して温度、圧力、および撹拌速度を制御した。
【0136】
[0152]大気圧のN2下で、フラスコを25分かけて220℃から245℃まで徐々に加熱し、次いで、245℃で40分間保持した。次いで、圧力を333hPa(250torr)に下げ、温度を18分かけて265℃に上げた。次いで、圧力を2.0hPa(1.5torr)に下げ、温度を8分かけて277℃に上げ、その後、その状態を37分間保持した。この一連の操作を終了した後、フラスコを大気条件に戻し、分析のためにポリマーを取り出した。
【0137】
[0153]得られたコポリエステルの特性を測定し、表5に報告する。
【0138】
【0139】
[0154]表5において、rPET対照、試料A(ポストインダストリアルカーペット繊維)、および試料B(ポストコンシューマカーペット繊維)のポリマーを、実験室でのメタノール分解および精製により生成したrDMTから合成した。上述のように、蒸留DMT対照は、メタノール分解供給原料と同じ手段で再蒸留した市販のバージンDMTであった。
【0140】
[0155]表5に見られるように、すべてのポリマーが類似のIV(固有粘度)および末端基組成を有しており、メタノール分解により生成したrDMT試料が、商用グレードのコポリエステルを生成するのに十分な高純度であることが示された。ベースの黄色度およびヘイズを測定したのは、多くの場合、測定できないほど微量の不純物濃度が品質上の問題を引き起こす可能性があり、したがって、これらの値は、rDMTが高品質のコポリエステルを作製する能力の指標となるためである。rPET対照ならびに試料AおよびBポリマーはいずれも、蒸留DMT対照ポリマーの妥当な範囲内にあったため、廃PETカーペット繊維のメタノール分解によって得られたrDMTは、高品質コポリエステルの商業生産用として考えることができる。
【0141】
[0156]本発明は、その特定の実施形態を特に参照して詳細に説明したが、本発明の趣旨および範囲内で変形および修正が可能であることが理解されるであろう。
[0157]本発明の一態様は、廃カーペット繊維のケミカルリサイクル用混合物であり、この混合物は、
(a)少なくとも75wt%のポリエチレンテレフタラート(PET)および6wt%以下の灰分を含む廃カーペット繊維組成物と、
(b)メタノールと
の反応生成物を含み、
重量パーセントは、廃カーペット繊維組成物の総重量に基づいている。
【0142】
[0158]この態様の一実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、少なくとも90wt%、少なくとも95wt%、または100wt%のPETを含むものである。
[0159]この態様の一実施形態および前の実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、3wt%以下、1wt%以下、0.5wt%以下、または0wt%の灰分を含むものである。
【0143】
[0160]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、0より大きく最大6wt%、0より大きく最大3wt%、0より大きく最大1wt%、または0より大きく最大0.5wt%の灰分を含むものである。
【0144】
[0161]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、ポストインダストリアルカーペット繊維、ポストコンシューマカーペット繊維、またはその両方を含むものである。
【0145】
[0162]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%、少なくとも70wt%、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、もしくは少なくとも90wt%、および/または100wt%以下、99wt%以下、95wt%以下、90wt%以下、85wt%以下、80wt%以下、75wt%以下、70wt%以下、65wt%以下、60wt%以下、55wt%以下、50wt%以下、45wt%以下、40wt%以下、もしくは35wt%以下のポストコンシューマカーペット繊維を含むものである。
【0146】
[0163]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、少なくとも30wt%、少なくとも35wt%、少なくとも40wt%、少なくとも45wt%、少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%、少なくとも70wt%、少なくとも75wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、もしくは少なくとも90wt%、および/または100wt%以下、99wt%以下、95wt%以下、90wt%以下、85wt%以下、80wt%以下、75wt%以下、70wt%以下、65wt%以下、60wt%以下、55wt%以下、50wt%以下、45wt%以下、40wt%以下、もしくは35wt%以下のポストインダストリアルカーペット繊維を含むものである。
【0147】
[0164]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大10wt%、最大3wt%、または0wt%のイソフタル酸の残留物を含むものである。
【0148】
[0165]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大15wt%、最大5wt%、または0wt%のプロパンジオールの残留物を含むものである。
【0149】
[0166]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、廃カーペット繊維組成物の総重量に対して、最大5000ppm、最大1500ppm、最大200ppm、最大80ppm、または0ppmの窒素を含むものである。
【0150】
[0167]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、廃カーペット繊維組成物が、高密度化された廃カーペット繊維を含むものである。
[0168]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、エステル交換触媒および任意選択でエステル交換共触媒をさらに含む。
【0151】
[0169]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、テレフタル酸ジメチル、オリゴマー、またはその両方をさらに含む。
[0170]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、1種または複数種の他のPET含有廃棄物とメタノールとの反応生成物をさらに含む。
【0152】
[0171]この態様の一実施形態および前の諸実施形態は、他のPET含有廃棄物が、織物、ボトルフレーク、リクレーマ廃棄物、またはそれらの組合せを含むものである。
【国際調査報告】