(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】アルカリ性充填剤を含む溶融加工可能な酢酸セルロース組成物を含有する物品
(51)【国際特許分類】
C08L 1/12 20060101AFI20241003BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20241003BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241003BHJP
C08K 5/092 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08L1/12 ZAB
C08L71/02
C08K3/22
C08K5/092
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520891
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 US2022045991
(87)【国際公開番号】W WO2023059856
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】クレンデネン,ステファニー・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,イーチェン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AB021
4J002CH022
4J002DE076
4J002DE236
4J002DE256
4J002DE266
4J002EF077
4J002EF117
4J002FD016
4J002FD022
4J002FD207
4J002GC00
4J002GG00
(57)【要約】
本出願は、セルロースエステル、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含む溶融加工可能なセルロースエステル組成物を開示する。任意選択で可塑剤が組成物中に使用され得る。本出願はまた、組成物を調製するための方法、および組成物から作製され得る物品を開示する。組成物は、改善された分解特性を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸セルロース組成物;少なくとも1種の酢酸セルロース、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含む酢酸セルローストウバンドであって、前記アルカリ性添加の1%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃での前記アルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、前記アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1%~約10%の量で存在する、酢酸セルローストウバンド。
【請求項2】
前記酢酸セルロースが、約1~約2.5のDS/AGUを有する、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項3】
前記酢酸セルロースが、10,000~90,000のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)を有する二酢酸セルロースである、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項4】
前記酢酸セルロースが、リサイクル材料から得られた反応物質によりセルロースを酢酸セルロースに変換することによって調製される、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項5】
前記可塑剤が、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールジアセテート、ジブチルテレフタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ポリ(エチレングリコール)MW200~600、トリエチレングリコールジプロピオネート、1,2-エポキシプロピルフェニルエチレングリコール、1,2-エポキシプロピル(m-クレシル)エチレングリコール、1,2-エポキシプロピル(o-クレシル)エチレングリコール、β-オキシエチルシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(シクロヘキサネート)ジエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、Benzoflex、プロピレングリコール、ポリソルベート、スクロースオクタアセテート、アセチル化クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、Admex、トリプロピオニン、Scandiflex、ポロキサマーコポリマー、ポリエチレングリコールサクシネート、アジピン酸ジイソブチル、ポリビニルピロリドンおよびグリコールトリベンゾエート、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール、ベンゾエート含有可塑剤、例えばBenzoflex(商標)可塑剤シリーズ、ポリ(アルキルサクシネート)、例えばポリ(ブチルサクシネート)、ポリエーテルスルホン、アジペートベース可塑剤、大豆油エポキシド、例えばParaplex(商標)可塑剤シリーズ、スクロースベース可塑剤、セバシン酸ジブチル、トリブチリン、トリプロピオニン、スクロースアセテートイソブチレート、Resolflex(商標)シリーズの可塑剤、トリフェニルホスフェート、グリコレート、メトキシポリエチレングリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(2-メチルプロパノエート)、ならびにポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項6】
前記可塑剤が、1~40wt%の量で存在する、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項7】
前記可塑剤が、PEGおよびMPEG(メトキシPEG)からなる群から選択される、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項8】
前記セルロースエステル組成物が、生分解性セルロースエステル(BCE)成分、およびBCE以外の少なくとも1種の他の生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項9】
前記アルカリ性充填剤が、金属酸化物、金属水酸化物、および金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項10】
前記アルカリ性充填剤が、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項11】
前記アルカリ性充填剤の1wt%溶液または懸濁液のpHが、約8~約12の範囲である、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項12】
20~25℃における前記アルカリ性充填剤の水溶解度が、約2ppm~約400ppmである、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項13】
アルカリ性充填剤の1%懸濁液のpHが8以上であり、アルカリ性効率が少なくとも5である、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項14】
アルカリ性効率が少なくとも6である、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項15】
アルカリ性充填剤が、炭酸カルシウム(CaCO
3)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、炭酸バリウム(BaCO
3)、およびこれらの化合物の水和形態からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項16】
前記アルカリ性充填剤が、体積膨張を生じる、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項17】
前記アルカリ性充填剤が、前記セルロースエステル組成物中に重量で約0.1%~約10%で存在する、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項18】
前記中和剤が、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、マロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、イタコン酸、フェルラ酸、マンデル酸、アコニット酸、安息香酸、アスパラギン酸、およびバニリン酸からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の酢酸セルローストウバンド。
【請求項19】
酢酸セルロース組成物の重量を基準として、約0.5wt%~約5wt%の中和剤が前記酢酸セルロース組成物中に存在する、請求項1に記載のセルロースエステルトウバンド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
廃棄物処理、特に、許容可能な時間的制限内で生分解性であるとみなされないプラスチックまたはポリマー等の大量の消費者製品の廃棄物処理に関する、周知の世界的な問題がある。リサイクル、再利用、または別様に循環もしくは埋立地における廃棄物の量を低減することによって、これらの種類の廃棄物を再生生成物に組み込むことが、社会的に望まれている。これは、特に使い捨てのプラスチック物品/材料に当てはまる。
【0002】
ストロー、テイクアウト用カップ、およびビニール袋等の使い捨てプラスチックの環境動態に関する消費者心理は世界的な傾向となっており、プラスチック製品の禁止が、先進国および発展途上国の両方において世界中で検討/制定されている。禁止は、例えば米国だけでも、買い物用のビニール袋からストロー、刃物類、およびクラムシェル包装にまで及んでいる。さらにより厳しい措置をとっている国々もあり、例えば、EU全体で、10の使い捨て物品のリストが禁止される、使用制限される、または拡大生産者責任を有することが義務付けられている。その結果、業界リーダー、ブランドオーナー、および小売店は、今後数年のうちにリサイクル可能、再利用可能、または堆肥化可能な包装を実装するように意欲的に取り組んでいる。リサイクル可能な材料が望ましい用途もあれば、例えば物品が食品で汚染されている場合、または不十分な廃棄物管理システムに起因して環境への高レベルの漏出がある場合等、堆肥化可能および/または生分解性材料に適した用途もある。
【0003】
食品サービスにおいては使い捨てプラスチック物品が頻繁に使用され、これは食品を保存または取り分けるために単回使用されることが意図され、その後物品は廃棄される。これらの物品の持続性を防ぐために、カップの縁および調理器具等のより厚い部分であっても物品が崩壊および生分解することが望ましい。堆肥中での崩壊は、これらの使い捨てプラスチック物品を埋立地から方向転換する寿命の終結である。使い捨てプラスチック物品は、厚さが5ミル未満(例えばストロー)から100ミル超(例えば調理器具)の範囲となり得る。いくつかの材料では、堆肥中での崩壊速度は物品の厚さに比例し、すなわち、より厚い物品は崩壊するのにより長期間を要する、または堆肥化サイクルの標準時間枠内で崩壊しない可能性がある。
【0004】
物品が30ミル以上の厚さを有する場合であっても、堆肥中で崩壊するように配合されたバイオベース材料から物品を作製することが望ましい。さらに、物品の外見は、用途に好適となるべきである(暗い色ではなく、また不透明でない)。
【0005】
したがって、その使用目的に適切な性能特性を有し、かつ堆肥化可能および/または生分解性である使い捨て消費者製品の市場ニーズが存在する。
そのような特性を有し、かつ再生可能な、リサイクルされた、および/または再利用された材料の高い含有量を有する製品を提供することが有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、溶融加工可能なセルロースエステル組成物であって、
少なくとも1種のセルロースエステル、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、前記アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する;または
少なくとも1種の酢酸セルロース、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、前記アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、前記アルカリ性充填剤は、酢酸セルロース組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する、セルロースエステル組成物を開示する。
【0007】
本出願は、溶融加工可能なセルロースエステル組成物を生成するための方法を開示する。方法は、少なくとも1種のセルロースエステル、任意選択で少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を接触させるステップを含み、アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する。
【0008】
本出願は、溶融加工可能な酢酸セルロース組成物を生成するための方法を開示する。方法は、少なくとも1種の酢酸セルロース、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を接触させるステップを含み、アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、酢酸セルロース組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する。
【0009】
本出願は、溶融加工可能なセルロースエステル組成物を含む物品を開示し、前記セルロースエステル組成物は、
少なくとも1種のセルロースエステル、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する;または
少なくとも1種の酢酸セルロース、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、酢酸セルロース組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する。
【0010】
本出願は、酢酸セルロース組成物;少なくとも1種の酢酸セルロース、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含む酢酸セルローストウバンドが提供されることを開示し、アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、酢酸セルロース組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願は、溶融加工可能なセルロースエステル組成物であって、
少なくとも1種のセルロースエステル、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する、または
少なくとも1種の酢酸セルロース、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃でのアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、アルカリ性充填剤は、酢酸セルロース組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する、セルロースエステル組成物が提供されることを開示する。
【0012】
セルロースエステル
本発明において利用されるセルロースエステルは、当技術分野において知られている任意のものであり得る。本発明に使用され得るセルロースエステルは、一般に、以下の構造の反復単位を含む。
【0013】
【0014】
式中、R1、R2、およびR3は、独立して、水素、アセチル、プロピルまたはブチルからなる群から選択される。セルロースエステルの置換レベルは、通常、アンヒドログルコース単位(AGU)当たりの非OH置換基の平均数である置換度(DS)を単位として表現される。一般に、従来のセルロースは、各AGU単位に置換され得る3つのヒドロキシル基を含有し、したがって、DSは、ゼロから3の間の値を有し得る。天然セルロースは、パルプ化および精製の後であっても250~5,000の重合度を有する大型ポリサッカリドであり、したがって、最大DSが3.0であるという想定はほぼ正しい。DSは統計的平均値であるため、1という値はどのAGUも単一の置換を有することを保証するものではない。いくつかの場合では、非置換アンヒドログルコース単位があり得、いくつかは2つ、またいくつかは3つの置換基を有し、典型的には値は非整数となる。全DSは、アンヒドログルコース単位当たりの置換基の平均総数として定義される。AGU当たりの置換度はまた、特定の置換基、例えばヒドロキシルまたはアセチル等を指し得る。実施形態において、nは、25~250、または25~200、または25~150、または25~100、または25~75の範囲内の整数である。
【0015】
本発明の実施形態において、セルロースエステルは、少なくとも2つのアンヒドログルコース環を有し、少なくとも50個から最大5,000個のアンヒドログルコース環、または少なくとも50個から150個未満のアンヒドログルコース環を有し得る。分子当たりのアンヒドログルコース単位の数は、セルロースエステルの重合度(DP)として定義される。実施形態において、セルロースエステルは、100mlの60/40重量比のフェノール/テトラクロロエタン溶液中の0.25グラムの試料に対して25℃の温度で測定した場合、約0.2~約3.0、または約0.5~約1.8、または約1~約1.5デシリットル/グラムの固有粘度(IV)を有し得る。実施形態において、本明細書で有用なセルロースエステルは、約1~約2.5、または1~2.2未満、または1~1.5未満のDS/AGUを有し得、置換エステルはアセチルである。
【0016】
セルロースエステルは、当技術分野において知られている任意の方法によって生成され得る。セルロースエステルを生成するためのプロセスの例は、Kirk-Othmer、Encuclopedia of Chemical Technology、第5版、第5巻、Wiley-Interscience、New York(2004)、394~444頁に教示されている。セルロースエステルを生成するための出発材料であるセルロースは、異なるグレードで、および異なる源から、例えばコットンリンター、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、トウモロコシ繊維および他の農業源、ならびにとりわけバクテリアセルロースから得ることができる。
【0017】
セルロースエステルを生成する1つの方法は、セルロースを適切な有機酸、酸無水物、および触媒と混合することによるセルロースのエステル化である。次いで、セルロースは、セルローストリエステルに変換される。次いで、水-酸混合物をセルローストリエステルに添加することによってエステル加水分解が行われ、次いでこれが濾過されて任意のゲル粒子または繊維が除去され得る。次いで、混合物に水が添加され、セルロースエステルが沈殿される。次いで、セルロースエステルは、水で洗浄されて反応副生成物が除去され得、続いて脱水および乾燥が行われる。
【0018】
加水分解されるセルローストリエステルは、3個のアセチル置換基を有し得る。これらのセルロースエステルは、当業者に知られているいくつかの方法によって調製され得る。例えば、セルロースエステルは、H2SO4等の触媒の存在下、カルボン酸および無水物の混合物中でのセルロースの不均一アシル化によって調製され得る。セルローストリエステルはまた、LiCl/DMAcまたはLiCl/NMP等の適切な溶媒中に溶解したセルロースの均一アシル化によって調製され得る。
【0019】
当業者には、セルローストリエステルの商業用語が、完全にはアシル基で置換されていないセルロースエステルも包含することが理解されるであろう。例えば、Eastman Chemical Company、Kingsport、TN、U.S.A.から市販されている三酢酸セルロースは、典型的には約2.85~約2.99のDSを有する。
【0020】
セルロースからトリエステルへのエステル化の後、アシル置換基の一部は、加水分解またはアルコール分解によって除去されて、二次セルロースエステルを生成し得る。以前に述べたように、使用された特定の方法に依存して、アシル置換基の分布はランダムまたは非ランダムであり得る。二次セルロースエステルはまた、制限された量のアシル化試薬を使用することによって、加水分解なしで直接調製され得る。このプロセスは、反応がセルロースを溶解する溶媒中で行われる場合、特に有用である。これらの方法は全て、本発明において有用なセルロースエステルをもたらす。
【0021】
一実施形態において、または言及された実施形態のいずれかと組み合わせて、または言及された実施形態のいずれかと組み合わせて、酢酸セルロースは、ASTM D6474に従い、溶媒としてのNMPおよびポリスチレン換算数平均分子量(Mn)を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される、約10,000~約100,000のポリスチレン換算Mnを有する二酢酸セルロースである。実施形態において、酢酸セルロース組成物は、溶媒としてNMPを使用し、ASTM D6474に従うゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される、10,000~90,000;または10,000~80,000;または10,000~70,000;または10,000~60,000;または10,000~60,000未満;または10,000~55,000未満;または10,000~50,000;または10,000~50,000未満;または10,000~45,000未満;または10,000~40,000;または10,000~30,000;または20,000~60,000未満;または20,000~55,000未満;または20,000~50,000;または20,000~50,000未満;または20,000~45,000未満;または20,000~40,000;または20,000~35,000;または20,000~30,000;または30,000~60,000未満;または30,000~55,000未満;または30,000~50,000;または30,000~50,000未満;または30,000~45,000未満;または30,000~40,000;または30,000~35,000のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)を有する二酢酸セルロースを含む。
【0022】
最も一般的な商用二次セルロースエステルは、セルロースの最初の酸触媒不均一アシル化によってセルローストリエステルを形成することによって調製される。セルローストリエステルの対応するカルボン酸中の均一溶液を得た後、セルローストリエステルは次いで、所望の置換度が得られるまで加水分解に供される。単離後、ランダム二次セルロースエステルが得られる。すなわち、各ヒドロキシルにおける相対置換度(RDS)はほぼ等しい。
【0023】
本発明において有用なセルロースエステルは、当技術分野において知られている技術を使用して調製され得、様々な種類のセルロースエステル、例えばEastman Chemical Company、Kingsport、TN、U.S.A.から入手可能なセルロースエステル、例えばEastman(商標)Cellulose Acetate CA 398-30およびEastman(商標)Cellulose Acetate CA 398-10、Eastman(商標)CAP 485-20(酢酸/プロピオン酸)セルロース、Eastman(商標)CAB 381-2(酢酸/酪酸)セルロース等から選択され得る。
【0024】
本発明の実施形態において、セルロースエステルは、リサイクル材料、例えばリサイクルプラスチック内容物シンガス源から得られた反応物質によりセルロースをセルロースエステルに変換することによって調製され得る。実施形態において、そのような反応物質は、例えば本明細書において議論されるような、セルロースのエステル化またはアシル化反応において使用される有機酸および/または酸無水物を含むセルロース反応物質であってもよい。
【0025】
本発明の一実施形態において、または言及された実施形態のいずれかと組み合わせて、または言及された実施形態のいずれかと組み合わせて、少なくとも1種のリサイクルセルロースエステルを含むセルロースエステル組成物が提供され、セルロースエステルは、アンヒドログルコース単位(AU)上に、リサイクル内容物材料、例えばリサイクルプラスチック内容物シンガスに由来する少なくとも1個の置換基を有する。
【0026】
可塑剤
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能な生分解性セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の可塑剤を含み得る。可塑剤は、セルロースエステルの溶融温度、Tg、および/または溶融粘度を低減する。セルロースエステルのための可塑剤は、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールジアセテート、ジブチルテレフタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ポリ(エチレングリコール)MW200~600、トリエチレングリコールジプロピオネート、1,2-エポキシプロピルフェニルエチレングリコール、1,2-エポキシプロピル(m-クレシル)エチレングリコール、1,2-エポキシプロピル(o-クレシル)エチレングリコール、β-オキシエチルシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(シクロヘキサネート)ジエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、Benzoflex、プロピレングリコール、ポリソルベート、スクロースオクタアセテート、アセチル化クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、Admex、トリプロピオニン、Scandiflex、ポロキサマーコポリマー、ポリエチレングリコールサクシネート、アジピン酸ジイソブチル、ポリビニルピロリドンおよびグリコールトリベンゾエート、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール、ベンゾエート含有可塑剤、例えばBenzoflex(商標)可塑剤シリーズ、ポリ(アルキルサクシネート)、例えばポリ(ブチルサクシネート)、ポリエーテルスルホン、アジペートベース可塑剤、大豆油エポキシド、例えばParaplex(商標)可塑剤シリーズ、スクロースベース可塑剤、セバシン酸ジブチル、トリブチリン、トリプロピオニン、スクロースアセテートイソブチレート、Resolflex(商標)シリーズの可塑剤、トリフェニルホスフェート、グリコレート、メトキシポリエチレングリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(2-メチルプロパノエート)、ならびにポリカプロラクトンを含み得る。
【0027】
一実施形態または任意の他の実施形態と組み合わせて、可塑剤は、食品適合性可塑剤である。食品適合性とは、該当する食品添加物および/または食品接触に関する規制に適合することを意味し、可塑剤は、少なくとも1つの(国のまたは地域の)食品安全性規制機関(または組織)により使用が許可されている、または安全と認められており、例えば、21 CFR食品添加物規制にリストされているか、または別様に、US FDAによって一般に安全と認められている(GRAS)。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、食品適合性可塑剤は、トリアセチンまたは約200~約600の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。実施形態において、考慮され得る食品適合性可塑剤の例は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、Benzoflex、プロピレングリコール、ポリソルベート、スクロースオクタアセテート、アセチル化クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、Admex、トリプロピオニン、Scandiflex、ポロキサマーコポリマー、ポリエチレングリコールサクシネート、アジピン酸ジイソブチル、ポリビニルピロリドン、およびグリコールトリベンゾエートを含み得る。
【0028】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、可塑剤は、セルロースエステル組成物が、従来の溶融加工機器において有用な物品に、例えば使い捨てプラスチック物品に溶融加工(または熱成形)され得るのに十分な量で存在し得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、可塑剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として、ほとんどの熱可塑性樹脂加工では1~40wt%の量で;または5~25wt%、もしくは10~25wt%、もしくは12~20wt%の量で存在する。実施形態において、異形押出、シート押出、熱成形、および射出成型は、セルロースエステル組成物の重量を基準として10~30wt%、または12~25wt%、または15~20wt%、または10~25wt%の範囲内の可塑剤レベルで達成され得る。
【0029】
一実施形態または任意の他の実施形態と組み合わせて、可塑剤は、生分解性可塑剤である。生分解性可塑剤のいくつかの例は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール、ベンゾエート含有可塑剤、例えばBenzoflex(商標)可塑剤シリーズ、ポリ(アルキルサクシネート)、例えばポリ(ブチルサクシネート)、ポリエーテルスルホン、アジペートベース可塑剤、大豆油エポキシド、例えばParaplex(商標)可塑剤シリーズ、スクロースベース可塑剤、セバシン酸ジブチル、トリブチリン、Resoflex(商標)シリーズの可塑剤、トリフェニルホスフェート、グリコレート、ポリエチレングリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(2-メチルプロパノエート)、およびポリカプロラクトンを含む。
【0030】
PEG/MPEG特定組成物
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、PEGおよびMPEG(メトキシPEG)からなる群から選択される可塑剤を含有し得る。200ダルトン~600ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール組成物であり、組成物は、溶融加工可能であり、生分解性であり、崩壊可能である。
【0031】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物は、300~550ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールまたはメトキシPEGを含む。
【0032】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物は、300~500ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、全てセルロースエステル組成物の総重量を基準として、1wt%~40wt%、または5wt%~40wt%、または10wt%~40wt%、または12wt%~40wt%、13wt%~40wt%、または15wt%~40wt%、または15wt%超~40wt%、または17wt%~40wt%、または20wt%~40wt%、または25wt%~40wt%、または5wt%~35wt%、または10wt%~35wt%、または13wt%~35wt%、または15wt%~35wt%、または15wt%超~35wt%、または17wt%~35wt%、または20wt%~35wt%、または5wt%~30wt%、または10wt%~30wt%、または13wt%~30wt%、または15wt%~30wt%、または15wt%超~30wt%、または17wt%~30wt%、または5wt%~25wt%、または10wt%~25wt%、または13wt%~25wt%、または15wt%~25wt%、または15wt%超~25wt%、または17wt%~25wt%、または5wt%~20wt%、または10wt%~20wt%、または13wt%~20wt%、または15wt%~20wt%、または15wt%超~20wt%、または17wt%~20wt%、または5wt%~17wt%、または10wt%~17wt%、または13wt%~17wt%、または15wt%~17wt%、または15wt%超~17wt%、または5wt%~17wt%未満、または10wt%~17wt%未満、または13wt%~17wt%未満、または15wt%~17wt%未満の量の(本明細書に記載の)少なくとも1種の可塑剤を含む。
【0033】
一実施形態または任意の他の実施形態と組み合わせて、少なくとも1種の可塑剤は、食品適合性可塑剤を含むか、または食品適合性可塑剤である。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、食品適合性可塑剤は、トリアセチンもしくはPEG MW300~500を含むか、またはトリアセチンもしくはPEG MW300~500である。
【0034】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種のBCEを含む生分解性セルロースエステル(BCE)成分、および少なくとも1種の他の生分解性ポリマー(BCE以外)を含む生分解性ポリマー成分を含む。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、他の生分解性ポリマーは、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAおよびPHB)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトンポリマー(PCL)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)およびコポリマー(例えばポリブチレンサクシネート-co-アジペート(PBSA))、セルロースエステル、セルロースエーテル、デンプン、タンパク質、それらの誘導体、ならびにそれらの組合せから選択され得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、2種以上の生分解性ポリマーを含む。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物を基準として0.1wt%~50wt%未満、または1wt%~40wt%、または1wt%~30wt%、または1wt%~25wt%、または1wt%~20wt%の量の生分解性ポリマー(BCE以外)を含有する。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、BCEおよび生分解性ポリマーの総量を基準として0.1wt%~50wt%未満、または1wt%~40wt%、または1wt%~30wt%、または1wt%~25wt%、または1wt%~20wt%の量の生分解性ポリマー(BCE以外)を含有する。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、少なくとも1種の生分解性ポリマーは、塩化メチレンの溶媒を使用し、屈折率検出器およびポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定された、10,000~1,000,000、または50,000~1,000,000、または100,000~1,000,000、または250,000~1,000,000、または500,000~1,000,000、または600,000~1,000,000、または600,000~900,000、または700,000~800,000、または10,000~500,000、または10,000~250,000、または10,000~100,000、または10,000~50,000の重量平均分子量(Mw)を有するPHAを含む。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、PHAは、ポリヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエートを含み得る。
【0035】
アルカリ性充填剤
本発明に好適なアルカリ性充填剤は、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つである。アルカリ性充填剤のブレンドがセルロースエステル組成物において使用されてもよい。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤は、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0036】
アルカリ性充填剤は、特定の物理的特性を有する。本出願において好適となるには、20~25℃におけるアルカリ性充填剤の水溶解度は、ある特定の範囲内でのみ有用である。水溶解度が高すぎる場合、溶融加工物品中の水分が、崩壊の化学反応を時期尚早に開始させ得る。水溶解度が低すぎる場合、塩基性イオン(OH-1またはCO3
-2)が充填剤から放出され得ない。さらに、アルカリ性充填剤の1wt%溶液または懸濁液のpHはpH8以上であるべきであり、これは水溶解度に関連する。pHが8以上でない場合、条件は崩壊の化学反応を促進するのに好適ではない。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤の1wt%溶液または懸濁液のpHはpH8.5以上である。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤の1wt%溶液または懸濁液のpHは、約8~約12、約8~約11.5、約8~約11、約8~約10.5、約8~約10、8.5~約12、約8.5~約11.5、約8.5~約11、約8.5~約10.5、約8.5~約10、約9~約12、約9~約11.5、約9~約11、および約9~約10.5の範囲であってもよい。全ての金属酸化物、水酸化物および炭酸塩が本発明において好適であるわけではない。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)および二酸化チタン(TiO2)は、水に不溶性であり、水と反応して対応する水酸化物を形成せず、水のpHを変化させない。
【0037】
「アルカリ性効率」は、塩基のモルをアルカリ性充填剤のキログラムで除したものとして定義される。アルカリ性充填剤のアルカリ性効率はまた、化学作用を介して崩壊を促進する能力を左右する。アルカリ性効率は、水の存在下での、充填剤の特定の質量に関連する塩基性イオンのモルである。例えば、CaOおよびMgOは水と反応し、2モルの水酸化物イオン(OH-1)が形成される。より高いアルカリ性効率を有するアルカリ性充填剤は、配合物中のwt%に基づくより低い充填剤投入量で、崩壊の基礎となる化学反応を促進し得る。形成される最終的な酸が塩基触媒を中和してそれを不活性化するため、エステルの塩基触媒加水分解には化学量論的量のアルカリ性触媒が必要である。
【0038】
本出願において好適となるには、20~25℃におけるアルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満となるべきである。本発明の他の実施形態において、20~25℃におけるアルカリ性充填剤の水溶解度は、約2ppm~約1,000ppm、約2ppm~約950ppm、約2ppm~約900ppm、約2ppm~約850ppm、約2ppm~約800ppm、約2ppm~約750ppm、約2ppm~約700ppm、約2ppm~約650ppm、約2ppm~約600ppm、約2ppm~約550ppm、約2ppm~約500ppm、約2ppm~約450ppm、約2ppm~約400ppm、約2ppm~約350ppm、約2ppm~約300ppm、3ppm~約1,000ppm、約3ppm~約950ppm、約3ppm~約900ppm、約3ppm~約850ppm、約3ppm~約800ppm、約3ppm~約750ppm、約3ppm~約700ppm、約3ppm~約650ppm、約3ppm~約600ppm、約3ppm~約550ppm、約3ppm~約500ppm、約3ppm~約450ppm、約3ppm~約400ppm、約3ppm~約350ppm、約3ppm~約300ppm、4ppm~約1,000ppm、約4ppm~約950ppm、約4ppm~約900ppm、約4ppm~約850ppm、約4ppm~約800ppm、約4ppm~約750ppm、約4ppm~約700ppm、約4ppm~約650ppm、約4ppm~約600ppm、約4ppm~約550ppm、約4ppm~約500ppm、約4ppm~約450ppm、約4ppm~約400ppm、約4ppm~約350ppm、約4ppm~約300ppm、5ppm~約1,000ppm、約5ppm~約950ppm、約5ppm~約900ppm、約5ppm~約850ppm、約5ppm~約800ppm、約5ppm~約750ppm、約5ppm~約700ppm、約5ppm~約650ppm、約5ppm~約600ppm、約5ppm~約550ppm、約5ppm~約500ppm、約5ppm~約450ppm、約5ppm~約400ppm、約5ppm~約350ppm、および約5ppm~約300ppmである。
【0039】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤の1wt%懸濁液のpHは8以上であるべきであり、アルカリ性効率は少なくとも5であるべきである。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性効率は、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10である。以下の表は、選択されたアルカリ性充填剤の比較特性を示しており、そのいくつかのみが、本発明の基準の全てを満たす。基準を満たすアルカリ性充填剤の例は、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、および炭酸バリウム(BaCO3)を含む。効果的ですぐに利用可能なアルカリ性充填剤は、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、および炭酸マグネシウム(MgCO3)である。さらに、これらのアルカリ性充填剤は、食品接触用途に特に好適である。
【0040】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤は、炭酸カルシウムと、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つとの混合物であり、炭酸カルシウムは、セルロースエステル組成物の総重量を基準として5~25重量%で存在し、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つは、1~20重量%で存在する。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤は、炭酸カルシウムと、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つとの混合物であり、炭酸カルシウムは、セルロースエステル組成物の総重量を基準として5~15重量%で存在し、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つは、1~20重量%で存在する。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤は、炭酸カルシウムと、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つとの混合物であり、炭酸カルシウムは、セルロースエステル組成物の総重量を基準として5~10重量%で存在し、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つは、1~20重量%で存在する。
【0041】
アルカリ性充填剤は水和していてもよい。アルカリ性充填剤のブレンドもまた、アルカリ条件を形成して崩壊を促進するための選択肢である。アルカリ性充填剤、水和物またはブレンドは、天然または合成のブレンド、化合物または鉱物であってもよい。例えば、炭酸マグネシウムは、マグネサイト鉱物として採鉱されてもよく、または、可溶性マグネシウム塩を重炭酸ナトリウムと反応させることによって実験室で調製されてもよい。鉱物としての水和物およびブレンドの例は、塩基性炭酸マグネシウム(BMC、典型的には3~5個の水分子と水和している)、アルチニ石(4MgCO3・Mg(OH)2・3H2O)、ハイドロマグネサイト(Mg5(CO3)4(OH)2・4H2O)、ダイピンガイト(4MgCO3・Mg(OH)2・5H2O)およびドロマイト(CaCO3・MgCO3)を含む。可溶性マグネシウム塩(例えば塩化または硫酸マグネシウム)が炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムで処理された場合、反応温度およびCO2分圧に依存して、得られる沈殿物は、炭酸マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムの水和錯体、例えば[MgCO3・3H2O]または[4MgCO3・Mg(OH)2・4H2O]を含み得る。ブレンドはまた、MgO、Mg(OH)2および/またはMgCO3の無水もしくは水和形態を互いに、または同じ水溶解度範囲内の別の鉱物(例えばCaCO3もしくはBaCO3)と組み合わせることによって作製され得る。
【0042】
【0043】
必須ではないが、アルカリ性充填剤が体積膨張を生じる能力を有することが有益である。例えば、MgOから水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)への水和は、体積の増加をもたらす。水和中、1モルのMgOの重量は、40.3gから58.3gに増加し(すなわち、44.7%の増加)、充填剤体積は、完全水和後に2.2倍に増加し得る。局所的な体積膨張は、溶融加工物品中に引張応力を形成し、崩壊に寄与する亀裂および割れ目の形成をもたらし得る。同様に、MgCO3は水和し得、これが充填剤密度を変化させ、モル体積を大きく増加させる。MgCO3はまた、酸水溶液と反応してCO2および水を放出し、同時に熱成形物品内の体積膨張を生じさせ、これが引張応力、物理的変形および/または破壊をもたらす。
【0044】
【0045】
本発明において有用となるには、アルカリ性充填剤の量は、配合物中で特定の範囲に制限される。量は、配合物の時期尚早の分解をもたらさないが、崩壊の化学反応を促進するのに十分高い量であるべきである。アルカリ性充填剤が35wt%超で存在する場合、アルカリ性または遊離アルカリは、加工の熱と相まって配合物の時期尚早の分解をもたらし得る。アルカリ性充填剤が過度に低い投入量で存在する場合、崩壊の化学反応を促進する上で非効果的となり得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物中に重量で約0.1wt%~約30wt%、もしくは約、約0.1wt%~約25wt%、もしくは約0.1wt%~約20wt%、もしくは約0.1wt%~約15wt%、もしくは約1wt%~約35wt%、もしくは約1wt%~約30wt%、もしくは約1wt%~約25wt%、もしくは約1wt%~約20wt%、もしくは約1wt%~約15wt%、もしくは約1wt%~約10wt%、もしくは約1wt%~約5wt%、もしくは約5wt%~約35wt%、もしくは約5wt%~約30wt%、もしくは約5wt%~約25wt%、もしくは約5wt%~約20wt%、もしくは約5wt%~約15wt%、もしくは約5wt%~約10wt%、もしくは約10wt%~約35wt%、もしくは約10wt%~約30wt%、もしくは約10wt%~約25wt%、もしくは約10wt%~約20wt%、もしくは約10wt%~約15wt%、もしくは約15wt%~約35wt%、もしくは約15wt%~約30wt%、もしくは約15wt%~約25wt%、もしくは約15wt%~約20wt%、もしくは約15wt%~約20wt%、もしくは約20wt%~約35wt%、もしくは約20wt%~約30wt%、もしくは約20wt%~約25wt%、もしくは約25wt%~約35wt%、もしくは約25wt%~約30wt%、もしくは約0.1wt%~約10wt%で存在し、セルロースエステル組成物中に重量で約0.5wt%~約10wt%、もしくは約1wt%~約10wt%、もしくは約1.5wt%および約10wt%、もしくは約2wt%および約10wt%、もしくは約2.5wt%および約10wt%、もしくは約3wt%および約10wt%、もしくは約3.5wt%および約10wt%、もしくは約4wt%~約10wt%、もしくは約4.5wt%~約10wt%、もしくは約5wt%~約10wt%、もしくは0.1wt%および約9.5wt%で存在し、セルロースエステル組成物中に重量で約0.5wt%~約9.5wt%、もしくは約1wt%~約9.5wt%、もしくは約1.5wt%および約9.5wt%、もしくは約2wt%および約9.5wt%、もしくは約2.5wt%および約9.5wt%、もしくは約3wt%および約9.5wt%、もしくは約3.5wt%および約9.5wt%、もしくは約4wt%および約9.5wt%、もしくは約4.5wt%および約9.5wt%、もしくは約5wt%および約9.5wt%、もしくは0.1wt%および約9wt%で存在し、またはセルロースエステル組成物中に重量で約0.5wt%~約9wt%、もしくは約1wt%~約9wt%、もしくは約1.5wt%および約9wt%、もしくは約2wt%および約9wt%、もしくは約2.5wt%および約9wt%、もしくは約3wt%および約9wt%、もしくは約3.5wt%および約9wt%、もしくは約4wt%および約9wt%、もしくは約4.5wt%および約9wt%、もしくは約5wt%および約9wt%、もしくは0.1wt%および約8.5wt%で存在し、またはセルロースエステル組成物中に重量で約0.5wt%~約8.5wt%、もしくは約1wt%~約8.5wt%、もしくは約1.5wt%および約8.5wt%、もしくは約2wt%および約8.5wt%、もしくは約2.5wt%および約8.5wt%、もしくは約3wt%および約8.5wt%、もしくは約3.5wt%および約8.5wt%、もしくは約4wt%および約8.5wt%、もしくは約4.5wt%および約8.5wt%、もしくは約5wt%および約8.5wt%、もしくは0.1wt%および約8wt%で存在し、セルロースエステル組成物に基づき重量で約0.5wt%~約8wt%、もしくは約1wt%~約8wt%、もしくは約1.5wt%~約8wt%、もしくは約2wt%~約8wt%、もしくは約2.5%~約8%、もしくは約3%~約8%、もしくは約3.5%~約8wt%、もしくは約4wt%~約8%、もしくは約4.5%~約8%、もしくは約5%~約8%で存在する。
【0046】
中和剤
溶融加工可能なセルロースエステル組成物はまた、少なくとも1種の中和剤を含有する。色の源としてアルカリ性または遊離アルカリを管理するためには、中和剤もまた配合物中に必要となる。中和剤は、約2~約7または約2~約6の範囲内の第1のpKaを有するカルボン酸である。中和剤の例は、これらに限定されないが、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、マロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、イタコン酸、フェルラ酸、マンデル酸、アコニット酸、安息香酸、アスパラギン酸、およびバニリン酸を含む。
【0047】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、中和剤は、特に食品接触用途におけるセルロースエステル組成物の使用には、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、およびフマル酸からなる群から選択される。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、中和剤は、クエン酸、アジピン酸、またはフマル酸からなる群から選択される。
【0048】
中和剤の最小量は、セルロースエステル組成物中の遊離アルカリを中和するのに十分な量である。しかしながら、過剰量が添加されてもよい。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.5wt%~約5wt%の中和剤が添加される。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、中和剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として、約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約4.5wt%、または約0.5wt%~約4wt%、または約0.5wt%~約3.5wt%、または約0.5wt%~約3wt%、または約0.5wt%~約2.5wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約0.5wt%~約1wt%、または約1.5wt%~約5wt%、または約1.5wt%~約4.5wt%、または1wt%~約5wt%、または約1wt%~約4.5wt%、または約1wt%~約4wt%、または約1wt%~約3.5wt%、または約1wt%~約3wt%、または約1wt%~約2.5wt%、または約1.5wt%~約5wt%、または約1.5wt%~約4.5wt%、または約1.5wt%~約4wt%、または約1.5wt%~約3.5wt%、または約1.5wt%~約3wt%、または約1.5wt%~約2.5wt%、または約2wt%~約5wt%、または約2wt%~約4.5wt%、または約2wt%~約4wt%、または約2wt%~約3.5wt%、または約2wt%~約3wt%で存在し、その中和剤が添加される。
【0049】
外観
溶融加工可能なセルロースエステル組成物を含む物品の外観は、多くの用途においてその受容性に重要である。例えば、明るい色および透明度は、包装、袋、フィルム、ボトル、食品容器、ストロー、撹拌棒、カップ、皿、ボウル、テイクアウト用のトレイおよび蓋、ならびに刃物類等の多くの溶融加工物品にとって望ましい特性である。
【0050】
CIE L*a*b*色空間において、L*値は明度の尺度であり、L*=0は黒であり、L*=100は白である。したがって、物品の色は、L*値がその範囲の上半分にある、またはL*>50である場合、明るいとみなされ得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物のL*は、50~100、50~95、50~90、50~85、50~80、50~75、55~100、55~95、55~90、55~85、55~80、55~75、60~100、60~95、60~90、60~85、60~80、60~75、65~100、65~95、65~90、65~85、65~80、または65~75の範囲であり得る。
【0051】
不透明度は、フィルムまたは物品を通る光透過の尺度である。透明度は、フィルムまたはシートを通して見た場合に物体が観察され得る光学的明瞭さを指す。認識される不透明度および透明度は、試料の厚さに依存する。上記の応用例では、物品の厚さは、包装フィルムの約1ミルから、射出成型された刃物類の60ミル以上までの範囲となり得る。透明度は、例えばボトルの側面を通して、または容器の蓋を通して容器の内容物を見るのに特に重要となり得る。溶融加工された容器、カップおよび蓋の厚さは、約10ミル~約30ミルまで様々であり、一方ボトルは約20ミルの厚さである。
【0052】
透明、半透明および不透明の間の境界は、しばしば極めて主観的である。本研究では、不透明度は、厚さ30ミルのフィルムを通した600nmの光の%透過率として測定された。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本発明のセルロースエステル組成物の%透過率は、約1%~約100%、約1%~約90%、約1%~約80%、約1%~約70%、約1%~約60%、約1%~約50%、約1%~約40%、約1%~約30%、約1%~約20%、約1%~約10%、および約1%の範囲となり得る。
【0053】
透明度は、色差、デルタE(CIE76)として定量された。典型的なスケールでは、デルタE値は、0~100の範囲となる。人間の目が2つの色を識別する能力はデルタEに関連し、デルタE<1である色は異なるものとして認識され得ない。一方、デルタE>10である色は、一目で異なるものとして認識される。我々は、30ミルの押出フィルムを通して観察した場合に黒と白との間で容易に認識される違いを指定するために、20のデルタEカットオフを使用した。デルタE(CIE76)の式:
【0054】
【0055】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物のデルタEは、約20~約100の範囲となり得る。
組成物の他の要素
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、非アルカリ性充填剤、添加剤、バイオポリマー、安定剤、および/または臭気調整剤からなる群から選択される少なくとも1つをさらに含み得る。添加剤の例は、ワックス、相溶化剤、生分解促進剤、染料、顔料、着色剤、フレグランス、光沢制御剤、潤滑剤、酸化防止剤、粘度調整剤、抗真菌剤、防曇剤、難燃剤、熱安定剤、衝撃改質剤、抗菌剤、軟化剤、離型剤、およびそれらの組合せを含む。セルロースエステル組成物中の成分の複数のカテゴリーに、同じ種類の化合物または材料が識別または含有され得ることに留意されたい。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、可塑剤として機能してもよく、または、親水性ポリマーもしくは生分解促進剤等の可塑剤として機能しない添加剤として機能してもよく、例えば、より低い分子量のPEGは可塑化作用を有し、より高い分子量のPEGは親水性ポリマーとして機能するが、可塑化作用はない。
【0056】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の安定剤を含む。セルロースエステル組成物は構成可能および/または生分解性であることが望ましいが、選択された寿命または安定性、例えば光曝露に対する安定性、酸化安定性、もしくは加水分解安定性を提供するために、ある特定の量の安定剤が添加されてもよい。様々な実施形態において、安定剤は、UV吸収剤、酸化防止剤(アスコルビン酸、BHT、BHA等)、他の酸およびラジカル捕捉剤、エポキシ化油、例えばエポキシ化大豆油、またはそれらの組合せを含み得る。
【0057】
酸化防止剤は、一次酸化防止剤および二次酸化防止剤を含むいくつかのクラスに分類され得る。一次酸化防止剤は、本質的にフリーラジカルターミネータ(捕捉剤)として機能することが一般に知られている。二次酸化防止剤は、ヒドロペルオキシド(ROOH)がアルコキシおよびヒドロキシラジカルに分解する前に、それを非反応性生成物に分解することが一般に知られている。二次酸化防止剤は、相乗的阻害作用を達成するためにしばしばフリーラジカル捕捉剤(一次酸化防止剤)と組み合わせて使用され、二次AOは、フェノール型一次AOの寿命を延ばすために使用される。
【0058】
「一次酸化防止剤」は、水素移動により過酸化物ラジカルと反応してラジカルをクエンチすることにより作用する酸化防止剤である。一次酸化防止剤は、一般に、ヒンダードフェノールおよび二級芳香族アミン等のように反応性ヒドロキシまたはアミノ基を含有する。一次酸化防止剤の例は、BHT、Irganox(商標)1010、1076、1726、245、1098、259および1425;Ethanox(商標)310、376、314および330;Evernox(商標)10、76、1335、1330、3114、MD1024、1098、1726、120.2246および565;Anox(商標)20、29、330、70、IC-14および1315;Lowinox(商標)520、1790、22IB46、22M46、44B25、AH25、GP45、CA22、CPL、HD98、TBM-6およびWSP;Naugard(商標)431、PS48、SPおよび445;Songnox(商標)1010、1024、1035、1076CP、1135LQ、1290PW、1330FF、1330PW、2590PWおよび3114FF;ならびにADK Stab AO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-80およびAO-330を含む。
【0059】
「二次酸化防止剤」は、しばしばヒドロペルオキシド分解剤と呼ばれる。二次酸化防止剤は、ヒドロペルオキシドと反応してそれらをラジカルではない非反応性および熱安定性生成物に分解することによって作用する。二次酸化防止剤は、しばしば一次酸化防止剤と併せて使用される。二次酸化防止剤の例は、有機リン(例えばホスファイト、ホスホナイト)および有機硫黄クラスの化合物を含む。これらの化合物のリンおよび硫黄原子は、過酸化物と反応して、過酸化物をアルコールに変換する。二次酸化防止剤の例は、Ultranox626、Ethanox(商標)368、326および327;Doverphos(商標)LPG11、LPG12、DP S-680、4、10、S480、S-9228、S-9228T;Evernox(商標)168および626;Irgafos(商標)126および168;Weston(商標)DPDP、DPP、EHDP、PDDP、TDP、TLPおよびTPP;Mark(商標)CH302、CH55、TNPP、CH66、CH 300、CH301、CH302、CH304およびCH305;ADK Stab2112、HP-10、PEP-8、PEP-36、1178、135A、1500、3010、CおよびTPP;Weston439、DHOP、DPDP、DPP、DPTDP、EHDP、PDDP、PNPG、PTP、PTP、TDP、TLP、TPP、398、399、430、705、705T、TLTTPおよびTNPP;Alkanox240、626、626A、627AV、618Fおよび619F;ならびにSongnox(商標)1680FF、1680PWおよび6280FFを含む。
【0060】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の安定剤を含み、安定剤は、1種または複数種の二次酸化防止剤を含む。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、安定剤は、1種もしくは複数種の二次酸化防止剤から選択される第1の安定剤成分、および1種もしくは複数種の一次酸化防止剤から選択される第2の安定剤成分、またはそれらの組合せを含む。
【0061】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、安定剤は、組成物の総重量を基準として、二次酸化防止剤の総量の重量パーセントで0.01~0.8、または0.01~0.7、または0.01~0.5、または0.01~0.4、または0.01~0.3、または0.01~0.25、または0.01~0.2、または0.05~0.8、または0.05~0.7、または0.05~0.5、または0.05~0.4、または0.05~0.3、または0.05~0.25、または0.05~0.2、または0.08~0.8、または0.08~0.7、または0.08~0.5、または0.08~0.4、または0.08~0.3、または0.08~0.25、または0.08~0.2の範囲内の量の1種または複数種の二次酸化防止剤を含む。この実施形態の1つのクラスにおいて、安定剤は、ホスファイト化合物である二次酸化防止剤を含む。この実施形態の1つのクラスにおいて、安定剤は、ホスファイト化合物である二次酸化防止剤、およびDLTDPである別の二次酸化防止剤を含む。
【0062】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、安定剤は、組成物の総重量を基準として、一次酸化防止剤の総量の重量パーセントで0.05~0.7、または0.05~0.6、または0.05~0.5、または0.05~0.4、または0.05~0.3、または0.1~0.6、または0.1~0.5、または0.1~0.4、または0.1~0.3の範囲内の量の1種または複数種の一次酸化防止剤を含む第2の安定剤成分をさらに含む。このクラスの別のサブクラスにおいて、安定剤は、組成物の総重量を基準として、クエン酸の総量の重量パーセントで0.05~0.2、または0.05~0.15、または0.05~0.1の範囲内の量のクエン酸を含む第2の安定剤成分をさらに含む。このクラスの別のサブクラスにおいて、安定剤は、本明細書で議論される量の1種または複数種の一次酸化防止剤およびクエン酸を含む第2の安定剤成分をさらに含む。このクラスの1つのサブクラスにおいて、安定剤は、組成物の総重量を基準として0.1wt%未満の一次酸化防止剤を含むか、または一次酸化防止剤を含まない。このクラスの1つのサブクラスにおいて、安定剤は、組成物の総重量を基準として0.05wt%未満の一次酸化防止剤を含むか、または一次酸化防止剤を含まない。
【0063】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の非アルカリ性充填剤を含む。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、他方の充填剤は、炭水化物(砂糖および塩)、セルロースおよび有機充填剤(挽いたナッツの殻、コルク粉末、穀類副産物[例えば、籾殻、燕麦ふすま]、木粉、木材繊維、麻、カーボン、石炭粒子、グラファイトおよびデンプン)、鉱物および無機充填剤(タルク、シリカ、シリケート、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラス球、ホウ窒化物、アルミニウム三水和物、アルミナおよびクレイ)、食品廃棄物もしくは副産物(卵の殻、蒸留物穀物、およびコーヒー粉末)、乾燥剤(例えば硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、特許請求の範囲における定義以外のアルカリ性充填剤(例えばCaO、Na2CO3)、またはこれらの充填剤の組合せ(例えば混合物)からなる群から選択される少なくとも1つである。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、着色添加剤としても機能する少なくとも1種の充填剤を含み得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、着色添加充填剤は、カーボン、グラファイト、二酸化チタン、不透明化剤、染料、顔料、トナーおよびそれらの組合せから選択され得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、安定剤または難燃剤としても機能する少なくとも1種の充填剤を含み得る。
【0064】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、全てセルロースエステル組成物の総重量を基準として、1~60wt%、または5~55wt%、または5~50wt%、または5~45wt%、または5~40wt%、または5~35wt%、または5~30wt%、または5~25wt%、または10~55wt%、または10~50wt%、または10~45wt%、または10~40wt%、または10~35wt%、または10~30wt%、または10~25wt%、または15~55wt%、または15~50wt%、または15~45wt%、または15~40wt%、または15~35wt%、または15~30wt%、または15~25wt%、または20~55wt%、または20~50wt%、または20~45wt%、または20~40wt%、または20~35wt%、または20~30wt%の量の(本明細書に記載の)少なくとも1種の非アルカリ性充填剤をさらに含む。
【0065】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、用途に依存して、例えば使い捨て食品接触用途において、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の臭気調整添加剤を含み得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、用途およびセルロースエステル組成物に使用される成分に依存して、好適な臭気調整添加剤は、バニリン、Pennyroyal M-1178、アーモンド、シンナミル、スパイス、スパイス抽出物、揮発性有機化合物または小分子、およびPlastidorから選択され得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、臭気調整添加剤は、バニリンであってもよい。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、組成物の総重量を基準として0.01~1wt%、または0.1~0.5wt%、または0.1~0.25wt%、または0.1~0.2wt%の量の臭気調整添加剤を含み得る。臭気調整添加剤のメカニズムは、マスキング、捕集、補足、またはこれらの組合せを含み得る。
【0066】
上で議論されたように、セルロースエステル組成物は、他の添加剤を含んでもよい。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種の相溶化剤を含んでもよい。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、相溶化剤は、非反応性相溶化剤または反応性相溶化剤のいずれかであり得る。相溶化剤は、組成物中の選択された成分の分散を改善するために、所望の小粒子サイズに到達するセルロースエステルまたは別の成分の能力を向上させ得る。そのような実施形態において、所望の配合物に依存して、生分解性セルロースエステルは、分散物の連続相または不連続相のいずれかにあり得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、使用される相溶化剤は、生分解性セルロースエステルと別の成分、例えば他の生分解性ポリマーとの間の界面相互作用/結合を調整することによって、組成物の機械的および/または物理的特性を改善し得る。
【0067】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約1~約40wt%、または約1~約30wt%、または約1~約20wt%、または約1~約10wt%、または約5~約20wt%、または約5~約10wt%、または約10~約30wt%、または約10~約20wt%の量の相溶化剤を含む。
【0068】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、所望により、セルロースエステル組成物は、生分解および/または分解剤を含んでもよく、例えば、生分解性セルロースエステル(BCE)の製造中に、またはその製造後に添加され、BCEと一緒に溶融または溶媒ブレンドされてセルロースエステル組成物を形成する、加水分解補助剤または任意の意図的分解促進添加剤が、セルロースエステル組成物に添加されるかまたは含有されてもよい。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、添加剤は、酸性もしくは塩基性残基を放出することにより加水分解を促進し得る、ならびに/または光(UV)もしくは酸化分解を加速させ得る、ならびに/または堆肥および土壌培地中で選択的な微生物コロニーの成長を促進して崩壊および生分解を補助し得る。分解の促進に加えて、これらの添加剤は、物品の加工性の改善、または所望の機械的特性の改善等の追加の機能を有し得る。
【0069】
可能な分解剤の1組の例は、無機カーボネート、合成カーボネート、霞石閃長岩、タルク、水酸化アルミニウム、珪藻土、天然または合成シリカ、焼成クレイ等を含む。実施形態において、これらの添加剤がセルロースエステル組成物マトリックス中に十分に分散することが望ましくなり得る。添加剤は、単独で、または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0070】
可能な分解剤の別の組の例は、ベンゾフェノン、アントラキノン、アントロン、アセチルベンゾフェノン、4-オクチルベンゾフェノン等を含む、酸化分解剤として使用される芳香族ケトンである。これらの芳香族ケトンは、単独で、または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0071】
他の例は、酸化分解剤として使用される遷移金属化合物、例えばコバルトもしくはマグネシウムの塩、例えばコバルトもしくはマグネシウムの脂肪族カルボン酸(C12~C20)塩、またはステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、ステアリン酸マグネシウムおよびオレイン酸マグネシウムを含み;あるいは、アナターゼ型二酸化チタン、または二酸化チタンが使用されてもよい。混合相二酸化チタン粒子が使用されてもよく、ルチルおよびアナターゼ結晶構造の両方が同じ粒子内に存在する。光活性剤の粒子は、例えばBET表面積法により測定される約10~約300sq.m/g、または20~200sq.m/gの比較的高い表面積を有し得る。光活性剤は、所望により可塑剤に添加されてもよい。これらの遷移金属化合物は、単独で、または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0072】
酸化分解剤として使用され得る希土類化合物の例は、周期表の3A族に属する希土類およびその酸化物を含む。その具体的な例は、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、希土類酸化物、水酸化物、希土類硫酸塩、希土類硝酸塩、希土類酢酸塩、希土類塩化物、希土類カルボン酸塩等を含む。そのより具体的な例は、酸化セリウム、硫酸セリウム、硫酸セリウムアンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン、塩化セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、オクチル酸セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウム等を含む。これらの希土類化合物は、単独で、または2種以上の組合せで使用されてもよい。
【0073】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、酵素、細菌培養物、砂糖、グリセロールまたは他のエネルギー源を含む、生分解性を向上させる分解促進機能性を有する添加剤を含む。添加剤はまた、ヒドロキシルアミンエステルおよびチオ化合物を含んでもよい。
【0074】
ある特定の実施形態において、他の可能な生分解および/または分解剤は、膨潤剤および崩壊剤を含み得る。膨潤剤は、水を吸収した後に体積を増加させ、周囲のマトリックスに圧力を印加する親水性材料であってもよい。崩壊剤は、水性環境におけるマトリックスのより小さい断片への破壊を促進する添加剤であってもよい。その例は、架橋または修飾ポリマーおよび膨潤性ヒドロゲルを含む鉱物およびポリマーを含む。実施形態において、BCE組成物は、水膨潤性鉱物またはクレイおよびそれらの塩、例えばラポナイトおよびベントナイト;親水性ポリマー、例えばポリ(アクリル酸)および塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(ビニルアルコール);ポリサッカリドおよびガム、例えばデンプン、アルギネート、ペクチン、キトサン、オオバコ、キサンタンガム;グアーガム、ローカストビーンガム;ならびに修飾ポリマー、例えば架橋PVP、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン化デンプン、クロスカルメロースナトリウム;またはこれらの添加剤の組合せを含み得る。
【0075】
他の親水性ポリマーまたは生分解促進剤の例は、グリコール、ポリグリコール、ポリエーテルおよび多価アルコール、または他の生分解性ポリマー、例えばポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリジオキサン、ポリオキサレート、ポリ(α-エステル)、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリアセタール、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、脂肪族ポリエステル、例えばポリ(ブチレン)サクシネート、ポリ(エチレン)サクシネート、デンプン、再生セルロース、または脂肪族-芳香族ポリエステル、例えばPBAT、ならびにこれらのいずれかのコ-ポリエステルを含み得る。
【0076】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、着色剤の例は、カーボンブラック、酸化鉄、例えば赤色または青色酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カドミウムレッド、炭酸カルシウム、カオリンクレイ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム;ならびに有機顔料、例えばアゾおよびジアゾおよびトリアゾ顔料、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール顔料、アントラピリミジン、ベンズイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インジゴイド顔料、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体顔料、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キノフタロン、トリアリールカルボニウム顔料、トリフェンジオキサジン、キサンテン、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アントアントロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドンおよびフタロシアニンシリーズ、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体、ならびに酸、塩基および媒染染料のレーキ、ならびにイソインドリノン顔料、ならびに植物および野菜染料、ならびに任意の他の利用可能な着色剤または染料を含み得る。
【0077】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、光沢度を調節するための光沢制御剤および充填剤は、シリカ、タルク、クレイ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を含み得る。
【0078】
好適な難燃剤は、シリカ、金属酸化物、ホスフェート、カテコールホスフェート、レゾルシノールホスフェート、ボレート、無機水和物、および芳香族ポリハライドを含み得る。
【0079】
抗真菌および/または抗菌剤は、ポリエン抗真菌剤(例えば、ナタマイシン、リモシジン、フィリピン、ナイスタチン、アンホテリシンB、カンジシン、およびハマイシン)、イミダゾール抗真菌剤、例えばミコナゾール(WellSpring Pharmaceutical CorporationからMICATIN(登録商標)として入手可能)、ケトコナゾール(McNeil consumer HealthcareからNIZORAL(登録商標)として市販されている)、クロトリマゾール(MerckからLOTRAMIN(登録商標)およびLOTRAMIN AF(登録商標)として市販され、またBayerからCANESTEN(登録商標)として入手可能)、エコナゾール、オモコナゾール、ビホナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール(OrthoDematologicsからERTACZO(登録商標)として市販されている)、スルコナゾール、ならびにチコナゾール;トリアゾール抗真菌剤、例えばフルコナゾール、イトラコナゾール、イサブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、テルコナゾール、およびアルバコナゾール)、チアゾール抗真菌剤(例えばアバフンギン)、アリルアミン抗真菌剤(例えばテルビナフィン(Novartis Consumer Health、Inc.からLAMISIL(登録商標)として市販されている)、ナフチフィン(Merz PharmaceuticalsからNAFTIN(登録商標)として市販されている)、およびブテナフィン(MerckからLOTRAMIN ULTRA(登録商標)として市販されている)、エキノカンジン抗真菌剤(例えば、アニデュラファンギン、カスポファンギン、およびミカファンギン)、ポリゴジアール、安息香酸、シクロピロックス、トルナフテート(例えばMDS Consumer Care、Inc.からTINACTIN(登録商標)として市販されている)、ウンデシレン酸、フルシトシン、5-フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロギン、カプリル酸、ならびにそれらの任意の組合せを含む。
【0080】
生分解性セルロースエステル組成物のメルトフローインデックスまたは粘度を調整する目的を有する使用され得る粘度調整剤は、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、ならびにグリセリンを含む。
【0081】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能なセルロースエステル組成物中に含まれ得る他の成分は、離型剤または潤滑剤(例えば脂肪酸、エチレングリコールジステアレート)、ブロッキング防止剤もしくはスリップ剤(例えば脂肪酸エステル、金属ステアリン酸塩(例えばステアリン酸亜鉛)およびワックス)、防曇剤(例えば界面活性剤)、熱安定剤(例えばエポキシ安定剤、エポキシ化大豆油(ESBO)、亜麻仁油およびヒマワリ油の誘導体)、帯電防止剤、発泡剤、殺生物剤、衝撃改質剤、または強化繊維として機能し得る。BCE組成物中に2つ以上の成分が存在してもよい。追加の成分は、溶融加工可能なセルロースエステル組成物中で2つ以上の機能を果たしてもよいことに留意されたい。溶融加工可能なセルロースエステル組成物に対する任意の特定の添加剤(または成分)の異なる(または特定の)機能性は、その物理的特性(例えば、分子量、溶解度、溶融温度、Tg等)および/または組成物全体におけるそのような添加剤/成分の量に依存し得る。例えば、ポリエチレングリコールは、1つの分子量では可塑剤として、または別の分子量では親水剤(可塑化作用をほとんどもしくは全く有さない)として機能し得る。
【0082】
実施形態において、所望によりフレグランスが添加されてもよい。フレグランスの例は、スパイス、スパイス抽出物、ハーブ抽出物、精油、気付け薬、揮発性有機化合物、揮発性小分子、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸ペンチル、吉草酸ペンチル、酢酸オクチル、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ネロリドール、リモネン、樟脳、テルピネオール、アルファ-イオノン、ツジョン、ベンズアルデヒド、オイゲノール、イソオイゲノール、シンナムアルデヒド、エチルマルトール、バニラ、バニリン、シンナミルアルコール、アニソール、アネトール、エストラゴール、チモール、フラネオール、メタノール、ローズマリー、ラベンダー、柑橘、フリージア、アンズの花、青野菜、モモ、ジャスミン、シタン、マツ、タイム、オークモス、ムスク、ベチバー、ミルラ、クロスグリ、ベルガモット、グレープフルーツ、アカシア、トケイソウ、ビャクダン、トンカビーン、マンダリン、ネロリ、バイオレットの葉、クチナシ、赤色果実、イランイラン、キンゴウカン、ミモザ、トンカビーン、木、アンバーグリス、ラッパズイセン、ヒアシンス、スイセン、クロスグリの蕾、アヤメ、ラズベリー、スズラン、ビャクダン、ベチバー、シーダー材、ネロリ、イチゴ、カーネーション、オレガノ、ハチミツ、ジャコウ、ヘリオトロープ、カラメル、クマリン、パチョリ、デューベリー、ヘロニアール(helonial)、コリアンダー、ピメントベリー、ラブダナム、キンゴウカン、アルデヒド、ラン、琥珀、オリス、ゲッカコウ、パルマローザ、シナモン、ナツメグ、モス、エゴノキ、パイナップル、キツネノテブクロ、チューリップ、藤、クレマチス、アンバーグリス、ガム、樹脂、ジャコウ、プラム、ビーバー、ジャコウ、ミルラ、ゼラニウム、ローズバイオレット、キズイセン、スパイシーカーネーション、ガルバナム、プチグレン、アヤメ、ハニーサックル、コショウ、ラズベリー、ベンゾイン、マンゴー、ココナツ、ヘスペリデス、ビーバー、キンモクセイ、オークモス、ネクタリン、ミント、アニス、シナモン、オリス、アンズ、プルメリア、マリーゴールド、ローズオイル、スイセン、トルーバルサム、フランキンセンス、琥珀、オレンジの花、バーボンベチバー、オポパナクス、ホワイトムスク、パパイヤ、シュガーキャンディ、ジャックフルーツ、蜜、ハスの花、ミューゲ、クワ、ニガヨモギ、ショウガ、ジュニパーベリー、ニオイベンゾイン、ボタン、バイオレット、レモン、ライム、ハイビスカス、ホワイトラム、バジル、ラベンダー、バルサム(balsamics)、フォーティティエン(fo-ti-tieng)、キンモクセイ、カロカルンデ(karo karunde)、白ラン、オランダカイウ、白バラ、ダイオウユリ、マンジュギク、アンバーグリス、ツタ、芝生、パラゴムノキ、スペアミント、クラリーセージ、ハコヤナギ、ブドウ、ブリムベレ(brimbelle)、ハス、シクラメン、ラン、グリシン、ティアレの花(tiare flower)、ハナシュクシャ、グリーンオスマンサス、トケイソウ、青いバラ、ベーラム、キンゴウカン、アフリカマンジュギク(African tagetes)、アナトリアンローズ(Anatolian rose)、オーベルニュスイセン(Auvergne narcissus)、ブリティッシュブルーム(British broom)、ブリティッシュブルームチョコレート(British broom chocolate)、ブルガリアンローズ、チャイニーズパチョリ、チャイニーズクチナシ、カラブリアンマンダリン、コモロ諸島ゲッカコウ(Comoros Island tuberose)、セイロニーズカルダモン(Ceylonese cardamom)、カリビアンパッションフルーツ、ロサダマスケナ、ジョージアピーチ、ニワシロユリ、エジプシャンジャスミン、エジプシャンマリーゴールド、エチオピアンジャコウ、ファーネシアンキャシー(Farnesian cassie)、フロレンティーンアイリス、フレンチジャスミン、フレンチキズイセン、フレンチヒアシンス、ギニアオレンジ(Guinea oranges)、ガイアナワカプア(Guyana wacapua)、グラースプチグレン(Grasse petitgrain)、グラースローズ、グラースゲッカコウ(Grasse tuberose)、ハイチアンベチバー、ハワイアンパイナップル、イスラエルバジル、インディアンビャクダン、インド洋バニラ、イタリアンベルガモット、イタリアンアヤメ、ジャマイカンコショウ、メイローズ、マダガスカルイランイラン、マダガスカルバニラ、モロカンジャスミン、モロカンローズ、モロカンオークモス、モロカンオレンジの花、マイソールビャクダン、オリエンタルローズ、ロシアンレザー、ロシアンコリアンダー、シシリアンマンダリン、南アフリカマリーゴールド、南アメリカトンカビーン、シンガポールパチョリ、スパニッシュオレンジの花、シシリアンライム、レユニオン島ベチバー、ターキッシュローズ、タイベンゾイン、チュニジアンオレンジの花、ユーゴスラビアンオークモス、バージニアンシーダー材、ユタノコギリソウ、西インドシタン等、およびそれらの任意の組合せを含み得る。
【0083】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物およびそのような組成物から作製される、またはそれを含む任意の物品は、いくつかのリサイクル内容物を含有する生分解性セルロースエステル(BCE)を含む。実施形態において、リサイクル内容物は、BCE上の1つまたは複数のアセチル基の源であるリサイクル材料に由来する反応物質によって提供される。実施形態において、反応物質は、リサイクルプラスチックに由来する。実施形態において、反応物質は、リサイクルプラスチック内容物シンガスに由来する。「リサイクルプラスチック内容物シンガス」とは、本明細書において以下で様々な実施形態でより十分に説明される、少なくともいくらかの含量のリサイクルプラスチックを含有する原料を利用した合成ガス操作から得られたシンガスを意味する。実施形態において、リサイクルプラスチック内容物シンガスは、本明細書に記載のシンガスを生成するためのプロセスのいずれかに従って作製され得る;本明細書に記載のシンガス組成物もしくはシンガス組成物ストリームのいずれかを含み得る、もしくはそれからなり得る;または、本明細書に記載の原料組成物のいずれかから作製され得る。
【0084】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、(合成ガス操作のための)原料は、1種または複数種の微粒子化化石燃料源および微粒子化リサイクルプラスチックの組合せの形態であってもよい。一実施形態において、または言及された実施形態のいずれかにおいて、固体化石燃料源は石炭を含み得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、原料は酸化剤ガスと共にガス化器に供給され、原料はシンガスに変換される。
【0085】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルプラスチック内容物シンガスは、リサイクルセルロースエステルを作製するための反応スキームにおいて、少なくとも1種の化学中間体を作製するために利用される。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルプラスチック内容物シンガスは、他のシンガス源、水素、一酸化炭素、またはそれらの組合せを含む原料の成分(少なくとも1種のCA中間体を作製するために使用される)であってもよい。一実施形態において、または言及された実施形態のいずれかにおいて、CA中間体を作製するために使用される唯一のシンガス源がリサイクルプラスチック内容物シンガスである。
【0086】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクル内容物シンガス、例えばリサイクルプラスチック内容物シンガスを使用して作製されるCA中間体は、メタノール、酢酸、酢酸メチル、酢酸無水物およびそれらの組合せから選択され得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、CA中間体は、以下の反応の1つまたは複数における少なくとも1つの反応物質または少なくとも1つの生成物であってもよい:(1)メタノールへのシンガス変換;(2)酢酸へのシンガス変換;(3)酢酸へのメタノール変換、例えば酢酸を生成するためのメタノールのカルボニル化;(4)メタノールおよび酢酸からの酢酸メチルの生成;ならびに(5)酢酸メチルから酢酸無水物への変換、例えば酢酸メチルおよびメタノールから酢酸および酢酸無水物へのカルボニル化。
【0087】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルプラスチック内容物シンガスは、少なくとも1種のセルロース反応物質を生成するために使用される。実施形態において、リサイクルプラスチック内容物シンガスは、少なくとも1種のリサイクルセルロースエステルを生成するために使用される。
【0088】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルプラスチック内容物シンガスは、酢酸無水物を作製するために利用される。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルプラスチック内容物シンガスを含むシンガスは、まずメタノールに変換され、次いでこのメタノールが酢酸無水物を作製するための反応スキームにおいて使用される。「RPS酢酸無水物」は、リサイクルプラスチック内容物シンガスに由来する酢酸無水物を指す。~に由来するとは、原料原材料(CA中間体を作製するための任意の反応スキームにおいて使用される)の少なくとも一部が、ある程度の含量のリサイクルプラスチック内容物シンガスを有することを意味する。
【0089】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、RPS酢酸無水物は、上でより十分に議論されたように、リサイクルBCEを調整するためのセルロースのエステル化のためのCA中間体反応物質として利用される。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、RPS酢酸は、セルロースエステルまたは二酢酸セルロースを調製するための反応物質として利用される。
【0090】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルCAは、リサイクルプラスチック内容物シンガスに由来する酢酸無水物を含むセルロース反応物質から調製される。
【0091】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルプラスチック内容物シンガスは、ガス化原料からのガス化生成物を含む。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、ガス化生成物は、リサイクルプラスチックを含むガス化原料を使用してガス化プロセスにより生成される。実施形態において、ガス化原料は、石炭を含む。
【0092】
実施形態において、ガス化原料は、石炭およびリサイクルプラスチックを含む液体スラリーを含む。実施形態において、ガス化プロセスは、酸素の存在下でガス化原料をガス化することを含む。
【0093】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、アンヒドログルコース単位(AGU)上に、1種または複数種の化学中間体に由来する少なくとも1個の置換基を有する少なくとも1種の生分解性セルロースエステルを含むリサイクルセルロースエステル組成物が提供され、化学中間体の少なくとも1種は、少なくとも部分的にリサイクルプラスチック内容物シンガスから得られる。
【0094】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、リサイクルセルロースエステルは生分解性であり、再生可能源、例えば木材またはコットンリンターからのセルロースに由来する内容物、およびリサイクル材料源、例えばリサイクルプラスチックに由来する内容物を含有する。したがって、実施形態において、生分解性であり、再生可能およびリサイクル内容物の両方を含有する溶融加工可能な材料が提供され、すなわち、再生可能およびリサイクルされた源から作製される。
【0095】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、以下の加工ステップ:(1)固体化石燃料源および少なくともいくらかの含量のリサイクルプラスチックを含有する原料を利用した合成ガス操作において、リサイクルプラスチック内容物シンガスを調製するステップと;(2)シンガスから少なくとも1種の化学中間体を調製するステップと;(3)リサイクルセルロースエステルを調製するための少なくとも1種のセルロース反応物質を調製する反応スキームにおいて化学中間体を反応させる、および/またはリサイクルセルロースエステルを調製するための少なくとも1種のセルロース反応物質となるべき化学中間体を選択するステップと;(4)少なくとも1種のセルロース反応物質を反応させてリサイクルセルロースエステルを調製するステップとを含む統合プロセスによって調製されたリサイクルセルロースエステルを含むセルロースエステル組成物が提供され、リサイクルセルロースエステルは、アンヒドログルコース単位(AGU)上に、リサイクルプラスチック内容物シンガスに由来する少なくとも1個の置換基を含む。
【0096】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、加工ステップ(1)~(4)は、流体および/またはガス連通したシステム内で行われる(すなわち、流体およびガス連通の組合せの可能性を含む)。リサイクルプラスチック内容物シンガスから出発するリサイクルセルロースエステルを生成するための反応スキームの1つまたは複数において、化学中間体は、一時的に保存容器内に保存され、その後統合プロセスシステムに再導入されてもよいことを理解されたい。
【0097】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、少なくとも1種の化学中間体は、メタノール、酢酸メチル、酢酸無水物、酢酸、またはそれらの組合せから選択される。実施形態において、1種の化学中間体はメタノールであり、メタノールは、酢酸無水物である第2の化学中間体を作製する反応スキームにおいて使用される。実施形態において、セルロース反応物質は、酢酸無水物である。
【0098】
本発明の実施形態において有用な生分解性セルロースエステルは、1.0~2.5の範囲内の置換度を有し得る。いくつかの場合において、本明細書に記載のセルロースエステルは、少なくとも約1.0、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45もしくは1.5、ならびに/または約2.5、2.45、2.4、2.35、2.3、2.25、2.2、2.15、2.1、2.05、2.0、1.95、1.9、1.85、1.8もしくは1.75以下の平均置換度を有し得る。
【0099】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、生分解性セルロースエステルは、ポリスチレン換算によるゲル浸透クロマトグラフィーを使用して、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶媒として使用して測定された、100,000以下、または90,000以下の数平均分子量(Mn)を有し得る。いくつかの場合において、生分解性セルロースエステルは、少なくとも約10,000、少なくとも約20,000、25,000、30,000、35,000、40,000もしくは45,000、および/または約100,000、95,000、90,000、85,000、80,000、75,000、70,000、65,000、60,000もしくは50,000以下のMnを有し得る。
【0100】
生分解および崩壊
実施形態において、セルロースエステル含有物品は生分解性であり得、またある特定の崩壊度を有し得る。生分解は、微生物代謝の作用による物質のミネラル化、またはバイオマス、CO2および水への変換を指す。一方、崩壊は、多くの場合物理的、化学的および生物学的メカニズムの組み合わされた作用による、材料の目に見える破壊を指す。
【0101】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、アルカリ性充填剤を含まない配合物と比較して改善された崩壊を示す。改善は、同じ時間でのより厚い部分の崩壊として測定され得、または、それはより速い速度の崩壊と呼ぶことができる。崩壊度は、ある特定の環境条件への所与の曝露期間にわたる試料の重量損失によって特性評価され得る。いくつかの場合において、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、60日間土に埋めた後に少なくとも約5、10、15もしくは20パーセントの重量損失を示し得る、および/または典型的な都市ごみ堆肥化装置への15日間の曝露後に少なくとも約15、20、25、30もしくは35パーセントの重量損失を示し得る。しかしながら、分解速度は、物品の具体的な最終用途、および物品の組成、ならびに特定の試験に依存して変動し得る。例示的な試験条件は、米国特許第5,970,988号および米国特許第6,571,802号に記載されている。
【0102】
いくつかの実施形態において、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、生分解性の使い捨て(成形/成型)物品の形態であり得る。本明細書に記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、様々な環境条件下で予想以上の分解により特徴付けられる、向上したレベルの環境非持続性を示し得る。本明細書に記載のセルロースエステル含有物品は、産業堆肥化可能性、家庭堆肥化可能性、および/または土壌生分解性に関する国際試験法および当局により設定された合格基準を満たす、またはそれを超えることができる。
【0103】
崩壊は、材料の物理的破壊を指す。材料の崩壊は、生物学的、化学的および/または物理的プロセスによって影響され得る。堆肥化中の崩壊を監視するための方法は、標準化された実験室条件下、合成堆肥中で行うことができ、または信頼できる産業もしくは家庭堆肥システムにおいて実地試験として行うことができる。産業堆肥における崩壊を監視するための標準化方法は、ISO-20200およびISO-16929に定義されている。定性的スクリーニング試験もまた、これらの標準化試験に基づくことができる。
【0104】
家庭堆肥化は、例えば、ISO-16929もしくはISO-20200をより低温で実行することによって、または家庭堆肥化容器内で試験材料の崩壊を監視することによって、実験室条件下で模擬することができる。家庭堆肥化はまた、標準化方法で説明されているものと同様の条件下で行うことができるが、屋外の家庭堆肥化ビン内でより大規模に行うことができる。
【0105】
「堆肥化可能」とみなされるためには、材料は、以下の4つの基準を満たさなければならない:(1)材料は、ISO14855-1(2012)に従って、高温(58℃)で制御堆肥化条件下での試験で生分解要件に合格すべきであり、これは絶対的な90%生分解、または対照ポリマーに対する相対的な90%生分解に対応する;(2)ISO16929(2013)またはISO20200に従う好気性堆肥化条件下で試験された材料は、90%崩壊に達しなければならない;(3)試験材料は、ASTM D6400(2012)、EN13432(2000)およびISO17088(2012)に規定されるような揮発性固体、重金属およびフッ素に関する要件の全てを満たさなければならない;ならびに(4)材料は植物生長に悪影響をもたらすべきではない。本明細書において使用される場合、「生分解性」という用語は、一般に、有機分子の生物学的変換および消費を指す。生分解性は、材料自体の固有の特性であり、材料は、曝露される特定の条件に依存して異なる程度の生分解性を示し得る。「崩壊可能」という用語は、ある特定の条件に曝露された場合に材料が物理的により小さい断片に分解する傾向を指す。崩壊は、材料自体、ならびに試験されている物品の物理的サイズおよび構成の両方に依存する。生態毒性は、植生に対する材料の影響の尺度であり、材料の重金属含量は、標準試験法に提示されている手順に従って決定される。
【0106】
セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、ISO14855-1(2012)に従って周囲温度(28℃±2℃)で好気性堆肥化条件下で試験された場合、50日以内の期間で少なくとも70パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、「家庭堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験された場合、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、または37日以内の期間で少なくとも70パーセントの生分解を示し得る。これらの条件は、水性または嫌気性でなくてもよい。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下で50日の期間ISO14855-1(2012)に従って試験された場合、少なくとも約71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、または88パーセントの全生分解を示し得る。これは、同一の試験条件に供されたセルロースと比較して、少なくとも約95、97、99、100、101、102、または103パーセントの相対的生分解を表し得る。
【0107】
フランス基準NF T51-800およびオーストラリア標準AS5810に従う家庭堆肥化条件下で「生分解性」とみなされるためには、材料は、(例えば初期試料と比較して)全体で少なくとも90パーセントの生分解、または、参照および試験品の両方でプラトーに達した後、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を示さなければならない。家庭堆肥化条件下での生分解の最大試験期間は、1年である。本明細書に記載のセルロースエステル組成物は、家庭堆肥化条件下、14855-1(2012)に従って測定された、1年以内で少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下、14855-1(2012)に従って測定された、1年以内で少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの生分解を示し得るか、または、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、1年以内で100パーセントの生分解を示し得る。
【0108】
さらに、または代替として、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下、14855-1(2012)に従って測定された、約350、325、300、275、250、225、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、または50日以内で少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下、ISO14855-1(2012)に従う約70、65、60、または50日の試験日数以内で、少なくとも約97、98、99、または99.5パーセント生分解性であり得る。その結果、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下で試験された場合、例えばフランス標準NF T51-800およびオーストラリア標準AS5810に従って、生分解性であるとみなされ得る。
【0109】
セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、ISO14855-1(2012)に従って58℃(±2℃)の温度での好気性堆肥化条件下で試験された場合、45日以内の期間で少なくとも60パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、「産業堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験された場合、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、または27日以内の期間で少なくとも60パーセントの生分解を示し得る。これらは、水性または嫌気性条件でなくてもよい。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下で45日の期間、ISO14855-1(2012)に従って試験された場合、少なくとも約65、70、75、80、85、87、88、89、90、91、92、93、94、または95パーセントの全生分解を示すことができる。これは、同一の試験条件に供された同じセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)と比較して、少なくとも約95、97、99、100、102、105、107、110、112、115、117、または119パーセントの相対的生分解を表し得る。
【0110】
ASTM D6400およびISO17088に従う産業堆肥化条件下で「生分解性」とみなされるためには、対照と比較して、または絶対的に、品物全体において(または乾燥質量で1%超の量で存在する各構成要素について)有機炭素の少なくとも90パーセントが、試験期間の終わりまでに二酸化炭素に変換されなければならない。欧州標準ED13432(2000)によれば、材料は、全体で少なくとも90パーセントの生分解、または、参照および試験品の両方でプラトーに達した後、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を示さなければならない。産業堆肥化条件下での生分解性の最大試験期間は、180日である。本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下、ISO14855-1(2012)に従って測定された、180日以内で少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下、ISO14855-1(2012)に従って測定された、180日以内で少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの生分解を示し得るか、または、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、180日以内で100パーセントの生分解を示し得る。
【0111】
さらに、または代替として、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下、ISO14855-1(2012)に従って測定された、約175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、または45日以内で少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下、ISO14855-1(2012)に従う約65、60、55、50、または45日の試験日数以内で、少なくとも約97、98、99、または99.5パーセント生分解性であり得る。その結果、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下で試験された場合、ASTM D6400およびISO17088に従って、生分解性であるとみなされ得る。
【0112】
セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、周囲温度で好気性条件下、ISO17556(2012)に従って測定された、130日以内で少なくとも60パーセントの土壌中での生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、「土壌堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験された場合、130、120、110、100、90、80、または75日以内の期間で少なくとも60パーセントの生分解を示し得る。これらは、水性または嫌気性条件でなくてもよい。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、土壌堆肥化条件下で195日の期間、ISO17556(2012)に従って試験された場合、少なくとも約65、70、72、75、77、80、82、または85パーセントの全生分解を示し得る。これは、同一の試験条件に供された同じセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)と比較して、少なくとも約70、75、80、85、90、または95パーセントの相対的生分解を表し得る。
【0113】
VincotteのOK生分解性SOIL適合証、およびDIN CERTCOのDIN Gepruft土壌中生分解性認証スキームに従う土壌堆肥化条件下で「生分解性」とみなされるためには、材料は、(例えば初期試料と比較して)全体で少なくとも90パーセントの生分解、または、参照および試験品の両方でプラトーに達した後、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を示さなければならない。土壌堆肥化条件下での生分解性の最大試験期間は、2年である。
【0114】
本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、土壌堆肥化条件下、ISO17556(2012)に従って測定された、2年以内、1.75年以内、1年以内、9カ月以内、または6カ月以内で少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、土壌堆肥化条件下、ISO17556(2012)に従って測定された、2年以内で少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの生分解を示し得るか、または、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、2年以内で100パーセントの生分解を示し得る。
【0115】
さらに、または代替として、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、土壌堆肥化条件下、ISO17556(2012)に従って測定された、約700、650、600、550、500、450、400、350、300、275、250、240、230、220、210、200、または195日以内で少なくとも90パーセントの生分解を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、土壌堆肥化条件下、ISO17556(2012)に従う約225、220、215、210、205、200、または195日の試験日数以内で、少なくとも約97、98、99、または99.5パーセント生分解性であり得る。その結果、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、VincotteのOK生分解性SOIL適合証を受けるための要件、およびDIN CERTCOのDIN Gepruft土壌中生分解性認証スキームの標準に適合するための要件を満たし得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、1、0.75、0.50、または0.25重量パーセント未満の未知の生分解性の成分を含み得る。いくつかの場合において、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、未知の生分解性の成分を含まなくてもよい。
【0117】
ポリマー材料の生分解を監視するために、水中生分解試験-O2消費量(OECD 301F)が使用され得る。OECD 301Fは、酸素消費量を測定することによって材料の生分解性を決定する、水中好気性生分解試験である。OECD 301Fは、不溶性および揮発性材料について最も頻繁に使用されている。試験材料の主要成分の純度または割合は、理論酸素要求量(ThOD)を計算する上で重要である。他の301試験法と同様に、OECD 301Fの標準試験期間は、最低28日である。試験物質の無機培地中の溶液または懸濁液が、暗所または拡散光下、好気性条件下で播種およびインキュベートされる。手順の操作をチェックするために、陽性対照としてセルロースが並行して試験される。
【0118】
水中生分解は、物質のブレンド材料の生分解性の別の尺度である。生物学的酸素要求量[BOD]は、OxiTop(登録商標)Control OC110呼吸計システムを使用して経時的に測定された。これは、閉鎖ボトル系内で酸素が消費された場合に生じる負圧を測定することによって達成される。O2が消費された場合に発生するCO2を収集するために、NaOH錠が系に添加される。CO2およびNaOHが反応してNa2CO3を形成し、これが気相からCO2を引き出し、測定可能な負圧をもたらす。OxiTop測定ヘッドがこの負圧値を記録し、その情報をワイヤレスでコントローラに中継し、コントローラが生成されたCO2を1:1の比率によりBODに変換する。測定された生物学的酸素要求量が各試験材料の理論酸素要求量と比較されて、生分解のパーセンテージが決定され得る。本発明の一実施形態において、アルカリ性充填剤がブレンドに含まれる場合、水中生分解速度は同じまたは異なり得る。
【0119】
産業および/または家庭堆肥化条件下で生分解性であることに加えて、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)はまた、家庭および/または産業条件下で堆肥化可能であってもよい。前述したように、材料は、生分解性、崩壊能、重金属含量、および生態毒性に関するEN13432に記載の要件を満たす、またはそれを超える場合、堆肥化可能であるとみなされる。本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、家庭および/または産業堆肥化条件下で、VincotteからのOK堆肥およびOK堆肥HOME適合証を受けるための要件を満たすのに十分な堆肥化可能性を示し得る。
【0120】
いくつかの場合において、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、EN13432(2000)に提示されている要件の全てを満たす揮発性固体濃度、重金属およびフッ素含量を有し得る。さらに、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、堆肥品質に悪影響をもたらし得ない(化学的パラメータおよび生態毒性試験を含む)。
【0121】
いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下、ISO16929(2013)またはISO20200に従って測定された、26週間以内で少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下、26週間以内で少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの崩壊を示し得るか、または、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、産業堆肥化条件下、26週間以内で100パーセント崩壊し得る。代替として、またはさらに、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、ISO16929(2013)またはISO20200に従って測定された、産業堆肥化条件下、約26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10週間以内で少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。いくつかの場合において、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、ISO16929(2013)またはISO20200に従って測定して、産業堆肥化条件下、約12、11、10、9、または8週間以内で少なくとも97、98、99、または99.5パーセント崩壊し得る。
【0122】
いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下、ISO16929(2013)またはISO20200に従って測定された、26週間以内で少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。いくつかの場合において、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下、26週間以内で少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの崩壊を示し得るか、または、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、家庭堆肥化条件下、26週間以内で100パーセント崩壊し得る。代替として、またはさらに、セルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、ISO16929(2013)またはISO20200に従って測定された、家庭堆肥化条件下、約26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15週間以内で少なくとも90パーセントの崩壊を示し得る。いくつかの場合において、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、ISO16929(2013)またはISO20200に従って家庭堆肥化条件下で測定して、20、19、18、17、16、15、14、13、または12週間以内で少なくとも97、98、99、または99.5パーセント崩壊し得る。
【0123】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物が0.02、もしくは0.05、もしくは0.07、もしくは0.10、もしくは0.13、もしくは0.25、もしくは0.38、もしくは0.51、もしくは0.64、もしくは0.76、もしくは0.89、もしくは1.02、もしくは1.14、もしくは1.27、もしくは1.40、もしくは1.52、もしくは1.78、もしくは2.0、もしくは2.3、もしくは2.5、もしくは3.0、もしくは3.3、もしくは3.8mmの最大厚さを有するフィルムに成形されるか、またはそのような最大厚さを有する物品に射出成型される場合、フィルムまたは物品は、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に90%超の崩壊を示す。ある特定の実施形態において、セルロースエステル組成物が0.02、もしくは0.05、もしくは0.07、もしくは0.10、もしくは0.13、もしくは0.25、もしくは0.38、もしくは0.51、もしくは0.64、もしくは0.76、もしくは0.89、もしくは1.02、もしくは1.14、もしくは1.27、もしくは1.40、もしくは1.52、もしくは1.78、もしくは2.0、もしくは2.3、もしくは2.5、もしくは3.0、もしくは3.3、もしくは3.8mmの最大厚さを有するフィルムに成形されるか、またはそのような最大厚さを有する物品に射出成型される場合、フィルムまたは物品は、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に90%超の崩壊を示す。ある特定の実施形態において、セルロースエステル組成物が0.13、または0.25、または0.38、または0.51、または0.64、または0.76、または0.89、または1.02、または1.14、または1.27、または1.40、または1.52mmの厚さを有するフィルムに成形される場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に90、または95、または96、または97、または98、または99%超の崩壊を示す。ある特定の一実施形態において、セルロースエステル組成物が0.02、もしくは0.05、もしくは0.07、もしくは0.10、もしくは0.13、もしくは0.25、もしくは0.38、もしくは0.51、もしくは0.64、もしくは0.76、もしくは0.89、もしくは1.02、もしくは1.14、もしくは1.27、もしくは1.40、もしくは1.52、もしくは1.78、もしくは2.0、もしくは2.3、もしくは2.5、もしくは3.0、もしくは3.3、もしくは3.8mmの最大厚さを有するフィルムに成形されるか、またはそのような最大厚さを有する物品に射出成型される場合、フィルムまたは物品は、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従い、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従い、8、または9、または10、または11、または12、または13、または14、または15、または16週間後に90、または95、または96、または97、または98、または99%超の崩壊を示す。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のセルロースエステル組成物(またはそれを含む物品)は、光分解剤を実質的に含まなくてもよい。例えば、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)の総重量を基準として約1、0.75、0.50、0.25、0.10、0.05、0.025、0.01、0.005、0.0025、もしくは0.001重量パーセント以下の光分解剤を含んでもよく、または、セルロースエステル組成物(もしくはそれを含む物品)は、光分解剤を含まなくてもよい。そのような光分解剤の例は、これらに限定されないが、光酸化触媒として作用し、任意選択で1種または複数種の金属塩、酸化性ポロモーター、およびそれらの組合せの存在によって強化されていてもよい顔料を含む。顔料は、コーティングされた、またはコーティングされていないアナターゼまたはルチル二酸化チタンを含み得、これらは単独で、または例えば様々な種類の金属等の強化成分の1つもしくは複数と組み合わせて存在してもよい。光分解剤の他の例は、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾフェノンおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、キノン、チオキサントン、フタロシアニンおよび他の光増感剤、エチレン-一酸化炭素コポリマー、芳香族ケトン-金属塩増感剤、ならびにそれらの組合せを含む。
【0125】
最終用途
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、本明細書に記載のセルロースエステル組成物を含む生分解性、崩壊可能および/または堆肥化可能な物品が提供される。実施形態において、セルロースエステル組成物は、押出し可能、成型可能、キャスト可能、熱成形可能、または3Dプリント可能であってもよい。
【0126】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物は溶融加工可能であり、生分解性および/または堆肥化可能である有用な成型物品、例えば使い捨て食品接触物品に成形され得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物品は、非持続性である。環境的に「非持続性」とは、生分解性セルロースエステルが進行したレベルの崩壊に達した場合、天然微生物集団による完全消費に適することを意味する。生分解性セルロースエステルの分解は、最終的にその二酸化炭素、水およびバイオマスへの変換をもたらす。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、150ミル、または140ミル、または130ミル、または120ミル、または110ミル、または100ミル、または90ミル、または80ミル、または70ミル、または60ミル、または50ミル、または40ミル、または30ミル、または25ミル、または20ミル、または15ミル、または10ミル、または5ミル、または2ミル、または1ミルまでの最大厚さを有し、生分解性で堆肥化可能である(すなわち本明細書で議論される産業または家庭堆肥化可能性試験/基準に合格する)(本明細書で議論される)セルロースエステル組成物を含む物品が提供される。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、150ミル、または140ミル、または130ミル、または120ミル、または110ミル、100ミルまで、または90ミル、または80ミル、または70ミル、または60ミル、または50ミル、または40ミル、または30ミル、または25ミル、または20ミル、または15ミル、または10ミル、または5ミル、または2ミル、または1ミルまでの最大厚さを有し、環境的に非持続性である(本明細書で議論される)セルロースエステル組成物を含む物品が提供される。
【0127】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステル組成物を含む物品が提供され、物品は、食品サービスおよび食料品、園芸、農業、レクリエーション、コーティング、繊維、不織物、ならびに家庭/オフィス用途において使用される。食品サービスおよび食料品の例は、これらに限定されないが、ストロー、カップの蓋、複合蓋、ポーションカップ、飲料カップ、トレイ、ボウル、皿、食品容器、容器の蓋、クラムシェル容器、刃物類、調理器具、撹拌棒、瓶、瓶の蓋、ボトル、ボトルキャップ、袋、可撓性の包装、ラップ、農産物用の籠、農産物用のステッカー、および撚糸を含む。園芸および/または農業用途の例は、これらに限定されないが、植木鉢、発芽用トレイ、移植用の鉢、植物タグ、バケツ、土およびマルチ用の袋、トリマーストリング、農業用フィルム、マルチフィルム、温室用フィルム、サイレージフィルム、堆肥化可能な袋、フィルム支柱、干し草梱包用撚糸を含む。レクリエーション物品の例は、これらに限定されないが、玩具、スポーツ用品、釣具、ゴルフ用具およびキャンプ用品を含む。玩具は、これらに限定されないが、ビーチ用玩具、ブロック、ホイール、プロペラ、シッピーカップ、人形用アクセサリー、およびペット用玩具を含み得る。スポーツ用品は、これらに限定されないが、笛、ウィッフルボール、パドル、ネット、フォームボールおよびダーツ、ならびに人工芝を含み得る。釣具は、これらに限定されないが、浮き、ルアー、網、およびトラップを含み得る。ゴルフ用具は、これらに限定されないが、ティー、練習用ボール、ボールマーカー、ディボットツールを含む。キャンプ用品は、これらに限定されないが、テントの杭、食器、およびコード/ロープ)を含む。家庭およびオフィス用物品の例は、これらに限定されないが、ギフトカード、クレジットカード、標識、ラベル、レポートカバー、封筒、テープ、工具の柄、歯ブラシの柄、筆記具、櫛、フィルム容器、電線絶縁材、ねじキャップ、およびボトルを含む。
【0128】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物品は、本明細書に記載のセルロースエステル組成物を含む成型可能な熱可塑性材料から作製される。
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物品は、使い捨て食品接触物品である。セルロースエステル組成物を用いて作製され得るそのような物品の例は、カップ、トレイ、複数の区画を有するトレイ、クラムシェル包装、キャンディの棒、フィルム、シート、トレイおよび蓋(例えば熱成形された)、ストロー、皿、ボウル、ポーションカップ、食品包装、液体運搬容器、固体またはゲル運搬容器、ならびに刃物類を含む。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステルは、物品のコーティングまたは層であってもよい。物品は、繊維を含み得る。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、物品は、園芸用物品であってもよい。セルロースエステル組成物を用いて作製され得るそのような物品の例は、植木鉢、植物タグ、マルチフィルム、および農業用グランドカバーを含む。
【0129】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステルは、GPCにより測定された10,000~90,000ダルトンの範囲内の数平均分子量(「Mn」)を有する。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステルは、GPCにより測定された30,000~90,000ダルトンの範囲内の数平均分子量(「Mn」)を有する。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、セルロースエステルは、GPCにより測定された40,000~90,000ダルトンの範囲内の数平均分子量(「Mn」)を有する。
【0130】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.38mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、6週間後に5%超の崩壊、および12週間後に90%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.38mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、6週間後に10%超の崩壊、および12週間後に90%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.38mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、6週間後に20%超の崩壊、および12週間後に90%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.38mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、6週間後に30%超の崩壊、および12週間後に90%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.38mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)に従って、6週間後に50%超の崩壊、および12週間後に90%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.38mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、6週間後に70%超の崩壊、および12週間後に90%超の崩壊を示す。
【0131】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.76mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に30%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.76mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に50%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.76mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に70%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.76mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に90%超の崩壊を示す。一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が0.76mmの厚さを有するフィルムに成形された場合、フィルムは、本明細書に記載の崩壊試験プロトコルに従って、または代替としてISO16929(2013)もしくはISO20200に従って、12週間後に95%超の崩壊を示す。
【0132】
一実施形態において、または任意の他の実施形態と組み合わせて、組成物が3.7ミリメートル以下の厚さを有する物品に成形された場合、標準ISO20200に従って、58℃において90日で物品の少なくとも90%が崩壊するか、または、組成物が1.89ミリメートル以下の厚さを有する物品に成形された場合、標準ISO20200に従って、20~30℃の温度において90日で物品の少なくとも90%が崩壊する。
【0133】
別の実施形態において、酢酸セルロース組成物を含む酢酸セルローストウバンドが提供され、酢酸セルロース組成物は、少なくとも1種のセルロースエステル、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、酢酸セルロース組成物は、産業堆肥化条件下で試験された場合、ASTM D6400に従って生分解性である。
【0134】
典型的なシガレットフィルタは、酢酸セルローストウまたは単にアセテートトウと呼ばれる酢酸セルロースベース繊維の連続フィラメントトウバンドから作製される。フィルタを作製するためのアセテートトウの使用は、様々な特許において説明されており、トウは可塑化されてもよい。例えば、米国特許第2,794,239号を参照されたい。
【0135】
連続繊維の代わりに、より短く、フィルタの最終的な分解を補助し得る短繊維が使用されてもよい。例えば、連続フィラメントトウから直接短繊維タバコフィルタ要素等を製造することを開示している、米国特許第3,658,626号を参照されたい。これらの短繊維もまた、可塑化されてもよい。
【0136】
シガレット繊維用のアセテートトウは、典型的には、米国特許第2,953,838号に記載のように、意図的に高度に縮れさせ絡ませたY字形状の小フィラメントデニール繊維でできている。Y字形状は、他の繊維形状と比較して、所与の圧力降下に対して最も低い重量を有する最適なシガレットフィルタを可能にする。米国特許第2,829,027号を参照されたい。典型的にはフィラメント当たり1.6~8デニール(dpf)の範囲内の小フィラメントデニール繊維が、効率的なフィルタを作製するために使用される。フィルタを構築する際、繊維の縮れは、フィルタの堅さの改善、および所与の圧力降下に対するトウ重量の低減を可能にする。
【0137】
アセテートトウからシガレットフィルタへの変換は、例えば米国特許第3,017,309号に記載のように、トウ調整システムおよびプラグメーカーを用いて達成され得る。トウ調整システムは、ベールからトウを引き出し、繊維を広げて解放(de-register)(「展開(bloom)」)し、トウをプラグメーカーに送達する。プラグメーカーは、トウを圧縮し、プラグラップ紙でラップし、好適な長さのロッドに切断する。フィルタの堅さをさらに増加させるために、不揮発性溶媒を添加して、繊維を互いに溶剤結合することができる。これらの溶剤結合剤は商業上可塑剤と呼ばれ、歴史的に、トリアセチン(グリセロールトリアセテート)、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリプロピオニン、クエン酸アセチルトリエチル、およびクエン酸トリエチルを含んでいる。ワックスもまた、フィルタの堅さを増加させるために使用されている。例えば、米国特許第2,904,050号を参照されたい。
【0138】
従来の可塑剤繊維間結合剤は、結合および選択的濾過に役立つ。しかしながら、可塑剤は、典型的には水溶解性ではなく、繊維は長期間にわたり結合したままとなる。実際に、従来のシガレットフィルタは、フィルタ繊維の高度に絡まった性質、繊維間の溶剤結合、および酢酸セルロースポリマーの固有の遅い分解性に起因して、廃棄された場合分解および崩壊するのに何年も要し得る。したがって、改善された分解性を有するシガレットフィルタを開発することが試みられている。
【0139】
具体的実施形態
実施形態1.溶融加工可能なセルロースエステル組成物であって、
少なくとも1種のセルロースエステル、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、前記アルカリ性充填剤の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃での前記アルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、前記アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する;または
少なくとも1種の酢酸セルロース、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種のアルカリ性添加剤、および少なくとも1種の中和剤を含み、前記アルカリ性添加の1重量%懸濁液は、8以上のpHを有し、20~25℃での前記アルカリ性充填剤の水溶解度は、1ppm超であるが1,000ppm未満であり、前記アルカリ性充填剤は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1重量%~約35重量%の量で存在する、溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0140】
実施形態2.アルカリ性充填剤が、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.1重量%~約10重量%の量で存在する、実施形態1に記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0141】
実施形態3.前記セルロースエステルが、酢酸セルロースである、実施形態1または2に記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
実施形態4.前記セルロースエステルが、リサイクル材料から得られた反応物質によりセルロースをセルロースエステルに変換することによって調製される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0142】
実施形態5.前記可塑剤が、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールジアセテート、ジブチルテレフタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ポリ(エチレングリコール)MW200~600、トリエチレングリコールジプロピオネート、1,2-エポキシプロピルフェニルエチレングリコール、1,2-エポキシプロピル(m-クレシル)エチレングリコール、1,2-エポキシプロピル(o-クレシル)エチレングリコール、β-オキシエチルシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(シクロヘキサネート)ジエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、Benzoflex、プロピレングリコール、ポリソルベート、スクロースオクタアセテート、アセチル化クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、Admex、トリプロピオニン、Scandiflex、ポロキサマーコポリマー、ポリエチレングリコールサクシネート、アジピン酸ジイソブチル、ポリビニルピロリドンおよびグリコールトリベンゾエート、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール、ベンゾエート含有可塑剤、例えばBenzoflex(商標)可塑剤シリーズ、ポリ(アルキルサクシネート)、例えばポリ(ブチルサクシネート)、ポリエーテルスルホン、アジペートベース可塑剤、大豆油エポキシド、例えばParaplex(商標)可塑剤シリーズ、スクロースベース可塑剤、セバシン酸ジブチル、トリブチリン、トリプロピオニン、スクロースアセテートイソブチレート、Resolflex(商標)シリーズの可塑剤、トリフェニルホスフェート、グリコレート、メトキシポリエチレングリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(2-メチルプロパノエート)、ならびにポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1つである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0143】
実施形態6.前記可塑剤が、1~40wt%の量で存在する、実施形態1から5のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
実施形態7.生分解性セルロースエステル(BCE)成分、およびBCE以外の少なくとも1種の他の生分解性ポリマーを含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0144】
実施形態8.前記アルカリ性充填剤の1重量%溶液または懸濁液のpHが、約8~約12の範囲である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0145】
実施形態9.20~25℃における前記アルカリ性充填剤の水溶解度が、約2ppm~約400ppmである、実施形態1から8のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0146】
実施形態10.アルカリ性充填剤の1重量%懸濁液のpHが8以上であり、アルカリ性効率が少なくとも5である、実施形態1から9のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0147】
実施形態11.アルカリ性効率が少なくとも6である、実施形態1から10のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
実施形態12.アルカリ性充填剤が、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、炭酸バリウム(BaCO3)、およびこれらの化合物の水和形態からなる群から選択される少なくとも1つである、実施形態1から11のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0148】
実施形態13.アルカリ性充填剤が、炭酸カルシウムと、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つとの混合物であり、炭酸カルシウムは、セルロースエステル組成物の総重量を基準として5~25重量%で存在し、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つは、1~20重量%で存在する、実施形態1から12のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0149】
実施形態14.前記アルカリ性充填剤が、体積膨張を生じる、実施形態1から13のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
実施形態15.前記アルカリ性充填剤が、前記セルロースエステル組成物中に重量で約10重量%~約20重量%で存在する、実施形態1から14のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0150】
実施形態16.前記中和剤が、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、マロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、イタコン酸、フェルラ酸、マンデル酸、アコニット酸、安息香酸、アスパラギン酸、およびバニリン酸からなる群から選択される少なくとも1つである、実施形態1から15のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0151】
実施形態17.中和剤が、4.5以下のpKaおよび170℃以上の沸点または分解温度を有する、実施形態1から16のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0152】
実施形態18.中和剤が、クエン酸、アジピン酸、またはフマル酸である、実施形態1から17のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
実施形態19.セルロースエステル組成物の重量を基準として、約0.5重量%~約5重量%の中和剤が前記セルロースエステル組成物中に存在する、実施形態1から18のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【0153】
実施形態20.組成物が3.7ミリメートル以下の厚さを有する物品に成形された場合、標準ISO20200に従って、58℃において90日で物品の少なくとも90%が崩壊するか、または、組成物が1.89ミリメートル以下の厚さを有する物品に成形された場合、標準ISO20200に従って、20~30℃の温度において90日で物品の少なくとも90%が崩壊する、実施形態1から19のいずれか1つに記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物。
【実施例】
【0154】
略語
CAは酢酸セルロースであり、mmはミリメートルであり、TAはトリアセチンであり、wtは重量であり、wt%は重量パーセントであり、gはグラムであり、℃は摂氏温度であり、°Fは華氏温度であり、mLはミリリットルであり、Lはリットルであり、ppmはパーツパーミリオンであり、CAPは(酢酸/プロピオン酸)セルロースであり、hは時間であり、TGAは熱重量分析であり、TDSは全蒸発残留物であり、ECは電気伝導率である。
【0155】
実施例1
無機充填剤の遊離アルカリ含量
無機充填剤の遊離アルカリを、滴定により決定した。カバー付きのビーカー内で2.0gの試験材料を100mLの水で5分間煮沸し、熱いうちに濾過する。冷却された50mLの濾液を、0.10N硫酸で滴定する。
【0156】
【0157】
実施例2
CA配合物を溶融加工した。
調合ペレット:単一穴のダイを有する18mm(Leistritz)二軸スクリュー押出機を使用してペレットを押出し、次いでこれを後にフィルム押出に使用した。これらのペレットは、Eastman Chemical Companyから入手した粉末酢酸セルロースCA-398-30、液体可塑剤(ポリエチレングリコール(PEG400)またはTA)および添加剤からなる原材料から作製した。任意の乾燥成分をベース粉末に添加し、乾燥ブレンドして自由流動性の粉末を生成し、(Coperion)二軸スクリュー重量損失型フィーダに加えた。(Witte)ギヤポンプ、Hardy 4060コントローラ、および0.020”口径を有するインジェクタを備えた液体射出ユニットにより、可塑剤をゾーン2に供給した。調合したストランドを、水槽に通し、ペレット化した(ConAirペレタイザを使用)。
【0158】
フィルム押出:(Maddock)ミキサスクリューを備える(3.81cm(1.5インチ)Killion)単軸スクリュー押出機を使用して、フィルムを製造した。配合した酢酸セルロースペレットをホッパに投入し、材料をバレルに通し、ミキサスクリューが材料をダイに向けて移送した。ペレットが非常に狭い隙間に沿ってスクリュー上を通過するにつれて溶融し、高剪断および高い程度の分散混合を可能にするように、スクリューを収納するバレルを3つのゾーンで加熱した。ダイに近付くにつれて均質なポリマー混合物が形成されたことが観察され、混合物はスクリューによってダイに押し通され、押出が生じた。押出によって、フィルムがダイから出る際に平坦な溶融フィルムが形成され、フィルムは、温度制御された研磨クロムロール(ロールスタック)上で固化した。押出後のフィルム試料を断続的に取り出し、フィルム厚さを決定した。押出機が適切なフィルム厚を生成している場合、フィルムを受けローラに取り付け、最終ロールが完了するまでフィルムを慎重に巻き取った。
【0159】
例3
(反例)
可塑剤およびCAを有する配合物中5wt%のMgOは、中和剤の非存在下では調合することができなかった。
【0160】
CA、可塑剤および5wt%のアルカリ性充填剤のみを有する配合物は、溶融加工に成功しなかった。20wt%のトリアセチン(TA)または20wt%のPEG400で可塑化した酢酸セルロース(CA-398-30)および5wt%のMgOを、例3に従って調合した。配合物4および6の調合ペレットは多孔質で脆く、強い臭気および暗色を有し、このペレットから無傷のフィルムを押出すことはできなかった。
【0161】
【0162】
実施例4
可塑化CAの溶融加工配合物の外観
溶融加工CA配合物を、その外観について特性評価した。ペレットを調合した後、厚さ30ミルのフィルムを実施例2のように押出し、60ミルのプラークを射出成型した。配合物のいくつかにはアルカリ性充填剤および中和剤を含め、溶融加工物品の外観を評価した。
【0163】
Konika Minolta Chroma Meter、CR-400、およびSpectraMagic NXソフトウェアを使用して、60ミルプラークの色を白色背景に対してCIE L*a*b*色空間で測定した。L*値は明度の尺度であり、L*=0は黒であり、L*=100は白である。L*値が>50である場合、プラークの色は「明るい」と特性評価された。
【0164】
不透明度は、Beckman DU530分光光度計を使用して、30ミルの押出しフィルムを通した光のパーセント透過率(%T、600nm)として測定された。透明度は、30ミル押出フィルムを通して測定した場合の白色および黒色表面の色差(デルタE)として評価された。試験物品の外観を表5にまとめる。
【0165】
【0166】
【0167】
実施例5
5wt%未満のMgO含量および中和剤としてのクエン酸またはリンゴ酸を有する溶融加工物品
溶融加工CA-398-30配合物を、実施例4に従ってその外観について特性評価した。試験配合物の外観を、表7にまとめたように特性評価した。
【0168】
【0169】
実施例6
2~5wt%のMgOを有する溶融加工物品
酸化防止剤(BHT)、キレート剤(EDA)および/または増白剤(TiO2)の添加を含む、2~5wt%のMgOを有する溶融加工物品の外観。溶融加工CA398-30配合物を、実施例4に従ってその外観について特性評価した。以下の表8に、試験物品の外観をまとめる。
(BHT=ブチル化ヒドロキシトルエン、EDA=エチドロン酸)
【0170】
【0171】
実施例7
アルカリ性添加剤としてMg(OH)2を有する溶融加工物品
Mg(OH)2を有する溶融加工物品に中和剤が添加されると、色および透明性が改善する。Mg(OH)2は、中和剤を有する溶融加工配合物中に5%まで含めることができる。
【0172】
溶融加工CA-398-30配合物を、実施例4に従ってその外観について特性評価した。以下の表9では、外観について試験配合物を評価した。
【0173】
【0174】
実施例8
2wt%のMgOを有するCA樹脂の水中生分解
淡水水中生分解のためのスクリーニング試験は、OECD 301F Manometric Respirometry Testに基づいた。生物学的酸素要求量[BOD]は、OxiTop(登録商標)Control OC110呼吸計システムを使用して経時的に測定された。廃水接種材料(wastewater inoculum)としてEastmanスラッジを使用し、真空濾過して固体粒子を除去した。試験を56日間行った。より長い期間により、試験は、容易にまたは本質的に生分解性であると分類され得る材料のスクリーニングに使用され得る。
【0175】
CA樹脂(Eastman CA398-30)を、可塑剤(15wt%のPEG400)および任意選択で2wt%のアルカリ性添加剤MgOとのブレンドとして配合した。配合物の成分を正確に秤量し、十分に混合した。3回の独立した再現がほぼ一致することにより、成分の良好な混合が検証された。配合物は、水中生分解試験の前に溶融加工または溶解されなかった。無機培地の初期pHは、7.48であった。2wt%のMgOは、ブレンド中にPEG400を有するCA-398-30の生分解の速度に影響しなかった。
【0176】
【0177】
実施例9
産業堆肥中での崩壊(OWS SAW-27)
定性的スクリーニング試験はISO16929に基づき、監視のために、産業堆肥化条件を模擬する12週間の堆肥化の間、試験物品の崩壊を評価した。実施例4~7の30ミル押出フィルム試験材料を10cm×10cm片として添加し、生物廃棄物と混合し、200リットルの堆肥化ビン内で堆肥化した。ビン内の混合物を定期的に手動でかき混ぜ、その間、試験品の崩壊を視覚的に監視した。
【0178】
12週間の堆肥化後、材料番号9、10、16、17、28、および29(試験コードNZ-46、NZ-47、NZ-49、NZ-50、NZ-52、NZ-53)の試験品についてごくわずかの微小試験品片が見られた。対照的に、材料番号18および30(試験コードNZ-51、NZ-54)の試験品の大きな片を、試験ビンから回収することができた。試験品の崩壊中の最も顕著な視覚的観察および変化の概要を、表12に示す。
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
実施例10
家庭堆肥ビン内での60ミル射出成型プラークの崩壊
表15に従って、CA398-30をトリアセチン(TA)またはPEG400、および任意選択でCaCO3またはMgOと調合した。調合したペレットから、プラーク(10.16cm(4インチ)四方および厚さ0.152cm(0.060インチ))を射出成型した。プラークを2.54cm(1インチ)×10.16cm(4インチ)のストリップに切り出し、色付きのダクトテープで標識し、秤量した。次いで、各試験物品の12片を家庭用屋外堆肥ビンに入れた。
【0183】
堆肥ビンは、家庭での使用に販売されている、総容量140リットルの屋外用の黒色プラスチックタンブラであった。ビンを屋外に設置し、地元の供給業者からの産業用熟成堆肥を中心軸まで(約70リットル)充填した。追加の原料:約24リットルのマツの削り屑および約6リットルのアルファルファペレット(市販の成体ウサギ用の餌)を添加した。スクイーズ試験を使用して、約60%まで水を添加した。ビンを週に約1回回転させた。回転後、ビンを開けて全ての試料が堆肥中に浸漬されていることを確認した。6週間毎に、堆肥に0.5Lのアルファルファペレットを供給した。堆肥のpHは、6~7.5の間で変動する一方で、C:N比は7~17であった。
【0184】
各試験材料の3回再現試料を、8、14、20および26週間後に屋外タンブラから回収した。試料の表面残屑を除去し、乾燥させ、再び秤量した。5wt%のMgOまたは15wt%のCaCO3の存在は、家庭堆肥ビン内での重量損失として測定される分解を増加させた。
【0185】
【0186】
実施例11
家庭堆肥ビン内での125ミル射出成型引張棒の崩壊
表16に従って、CA398-30をPEG400および任意選択でCaCO3またはMgOと調合した。調合したペレットから、引張棒(ドッグボーンとしても知られる、長さ21.59cm(8.5インチ)、幅0.508~1.905cm(1/5~3/4インチ)、および厚さ0.318cm(0.125インチ))を射出成型した。引張棒を半分に切断し、色付きのダクトテープで標識し、秤量した。次いで、各試験物品の12片を家庭用屋外堆肥ビンに入れた。
【0187】
堆肥ビンは、家庭での使用に販売されている、総容量140リットルの屋外用の黒色プラスチックタンブラであった。ビンを屋外に設置し、地元の供給業者からの産業用熟成堆肥を中心軸まで(約70リットル)充填した。追加の原料:約24リットルのマツの削り屑および約6リットルのアルファルファペレット(市販の成体ウサギ用の餌)を添加した。スクイーズ試験を使用して、約60%まで水を添加した。ビンを週に約1回回転させた。回転後、ビンを開けて全ての試料が堆肥中に浸漬されていることを確認した。6週間毎に、堆肥に0.5Lのアルファルファペレットを供給した。堆肥のpHは、6~7.5の間で変動する一方で、C:N比は10~13であった。
【0188】
各試験材料の3回再現試料を、8、14、20および26週間後に屋外タンブラから回収した。試料の表面残屑を除去し、乾燥させ、再び秤量した。CaCO3(15wt%)またはMgO(5wt%)の存在は、家庭堆肥ビン内での重量損失として測定される分解を増加させた。
【0189】
【0190】
実施例12
家庭堆肥ビン内での50~130ミル射出成型刃物類の崩壊
表16に従って、CA-398-30をPEG400および任意選択でCaCO3またはMgOと調合した。調合したペレットから、刃物類を射出成型した。ナイフを色付きのダクトテープで標識し、秤量した。次いで、各試験物品の12片を家庭用屋外堆肥ビンに入れた。
【0191】
堆肥ビンは、家庭での使用に販売されている、総容量140リットルの屋外用の黒色プラスチックタンブラであった。ビンを屋外に設置し、地元の供給業者からの産業用成熟堆肥を中心軸まで(約70リットル)充填した。追加の原料:約24リットルのマツの削り屑および約6リットルのアルファルファペレット(市販の成体ウサギ用の餌)を添加した。スクイーズ試験を使用して、約60%まで水を添加した。ビンを週に約1回回転させた。回転後、ビンを開けて全ての試料が堆肥中に浸漬されていることを確認した。6週間毎に、堆肥に0.5Lのアルファルファペレットを供給した。堆肥のpHは、6~7.5の間で変動する一方で、C:N比は10~13であった。
【0192】
各試験材料の試料を、26週間後に屋外タンブラから回収した。試料の表面残屑を除去し、乾燥させ、再び秤量した。2~5wt%のMgOまたは2~5wt%のMg(OH)2の存在は、家庭堆肥ビン内での重量損失として測定される分解を増加させた。
【0193】
【0194】
実施例13
産業堆肥実地試験における崩壊
回転ウィンドロウシステム(turned windrow system)を使用した設備において、産業堆肥化実地試験を行った。試験物品の写真を撮影し、タグ付けし、ナイロンメッシュ袋に入れた。メッシュ袋に堆肥を充填し、堆肥化の活性段階の開始時にウィンドロウに設置した。試験において、出発原料C:N比の平均は約24であった。90日の活性段階にわたるウィンドロウにおける平均温度は約71℃(160F)であり、含水量は50~60%の間で変動した。パイルをさらに追加の90日間の熟成段階に供した。メッシュ袋から試験物品を回収した後、部分的に崩壊した試験物品の画像から%崩壊を推定した。
【0195】
【0196】
実施例14
アルカリ性添加剤としての水和MgCO3、ハイドロマグネサイトおよび塩基性炭酸マグネシウム
ハイドロマグネサイト(水和MgCO3)を、可溶性塩の溶液から沈殿させた。沈殿は、90℃で行った。出発材料は、USPグレードMgSO4・7H2Oおよび食品グレード重炭酸ナトリウムであった。沈殿反応のために、0.5MのMg塩溶液を少なくとも70℃に加熱してから、撹拌しながら重炭酸ナトリウム固体を徐々に添加し、次いで反応物を90℃で一晩保持した。得られた固体沈殿物を、濾液のTDSが可搬式ECメータで120ppm未満に測定されるまでDI水で洗浄した。沈殿物を一定重量となるまで乾燥させ、篩を通して集塊を破砕した。反応生成物がハイドロマグネサイトであることを、TGAによって、またSEMを用いてプレート様結晶形態から確認した。ハイドロマグネサイトの分子式は、4MgCO3・Mg(OH)2・4H2Oである。
【0197】
塩基性炭酸マグネシウム(BMC320-FCC、Brenntag Specialty Ingredients)は、TGAにより約3個の結合水分子を有することが推定され、4MgCO3・Mg(OH)2・3H2Oのアルチニ石様の分子式が示唆された。
【0198】
比色分析pH試験紙を使用して、異なるMgベースアルカリ性鉱物の1%懸濁液のpHを推定し、可搬式電気伝導率(EC)メータにより、1wt%懸濁液の全蒸発残留物(TDS)を21℃で測定し、ppmで報告した。
【0199】
【0200】
CA-398-30と5wt%のMgCO3(水和物)および15wt%のPEG400との乾燥ブレンドを、乾燥成分を3回一緒に篩にかけ、CA粉末中に鉱物添加剤を分散させることによって作製した。次いで、PEG400を添加し、電気グラインダで混合物を一緒にブレンドして、可塑剤を分散させた。各乾燥ブレンドをアルミニウムパンに秤量し、80℃で24時間乾燥させた。上部プラテンおよび下部プラテンを218℃(425°F)に予熱した加熱プレスで、フィルム(10ミルおよび20ミル)を合計4分間圧縮した。事前に乾燥させたCA/PEG400/MgO/酸乾燥ブレンドを、全て2つのスチール板の間にある、アルミニウム箔の上部層と下部層との間の10.16cm(4インチ)四方、厚さ10ミルのフレームの中央に適用した。アセンブリをプレスに設置し、0圧力で1分間加熱してパックを乾燥および予備溶融し、次いで12,000PHIで1分間圧縮し、約30秒にわたりより高圧に上昇させ、最後に20,000PHIで1.5分間保持した(ポンドでのラム力)。
【0201】
圧縮成型された配合物を、実施例4に従ってその外観について特性評価し、以下の表19にまとめる。
【0202】
【0203】
実施例15
可塑化CAの溶融加工配合物の外観
可塑剤としてのPEG400およびアルカリ性添加剤としての1wt%~5wt%のハイドロマグネサイトを有する配合物を調合し、実施例2に従って30ミルフィルムを押出した。30ミル押出フィルムの外観を実施例4に従って特性評価し、表20にまとめる。
【0204】
【0205】
実施例16
アルカリ性添加剤を有するCAPの溶融加工物品
圧縮成型CAPフィルム:MgOを有さない対照フィルム試料には、CE粉末をそのまま使用した。MgOを有する試料には、遊星型ミキサ(Thinkyミキサ)を使用して95gのEastman CAP-485-20粉末を5gのMgOと混合した。次いで、粉末を篩にかけ、混合物が凝集塊を有さないことを確実にした。圧縮成型機を使用して、粉末を30ミルフィルムに圧縮成型した。MgOを有する、および有さないCAP配合物を、232℃(450F)で4分まで圧縮成型した。
【0206】
実施例17
アルカリ性添加剤を有するCABの溶融加工物品
圧縮成型CABフィルム:MgOを有さない対照フィルム試料には、CE粉末をそのまま使用した。MgOを有する試料には、遊星型ミキサ(Thinkyミキサ)を使用して95gのEastman CAB-381-2粉末を5gのMgOと混合した。次いで、粉末を篩にかけ、混合物が凝集塊を有さないことを確実にした。圧縮成型機を使用して、粉末を30ミルフィルムに圧縮成型した。MgOを有する、および有さないCAB配合物を、232℃(420°F)で4分まで圧縮成型した。
【0207】
実施例18
アルカリ性添加剤としての金属酸化物、水酸化物および炭酸塩の調査
選択された金属酸化物、水酸化物および炭酸塩を、CAフィルムの分解を促進するためのアルカリ性添加剤としてスクリーニングした(表21)。12wt%のPEG400および表23に記載の鉱物の組合せを含有するCA-394-60Sのアセトンドープから、フィルムをキャストした。50℃の脱イオン水中で12週間後のフィルムからの重量損失を使用して、フィルムの環境的分解を推定した。ZnO、Mg(OH)2およびBMCのみが、唯一の添加剤として含まれた場合にフィルムからの重量損失の増加に効果的であった。Mg(OH)2およびBMCのみが、15wt%のCaCO3と組み合わされた場合にフィルムからの重量損失の増加に効果的であった。50℃の水中での最も高い%wt損失は、フィルムが15wt%のCaCO3および5wt%のMgOプラス5wt%のMg(OH)2を含有した場合に測定された。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
実施例19
MgOおよび/またはMg(OH)2と組み合わせたCaCO3
12wt%のPEG400および表25に記載の鉱物の組合せを含有するCA-394-60Sのアセトンドープから、フィルムをキャストした。環境的分解の予測であるフィルムからの重量損失は、複数の供給元からの炭酸カルシウム(CaCO3)と、5wt%のMgOまたは5wt%のMgOおよび5wt%のMg(OH)2の組合せとの組合せにより最大化される。対照的に、重量損失として測定されるフィルムの分解は、中性充填剤カオリンを含めることによって改善されなかった。
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
実施例20
CaCO3との混合物中におけるMgOのMg(OH)2に対する比率の変化
12wt%のPEG400および表26に記載の鉱物の組合せを含有するCA-394-60Sのアセトンドープから、フィルムをキャストした。環境的分解の予測である50℃の脱イオン水中で12週間後のフィルムからの重量損失は、アルカリ性添加剤MgOおよび/またはMg(OH)2をCaCO3と組み合わせることによって増加する。
【0216】
【0217】
実施例21
CaCO3との混合物中におけるMgOのMg(OH)2に対する比率の変化
12wt%のPEG400および表27に記載の鉱物の組合せを含有するCA-394-60Sのアセトンドープから、フィルムをキャストした。環境的分解の予測である50℃の脱イオン水中で12週間後のフィルムからの重量損失は、CaCO3とのアルカリ性添加剤MgOおよびMg(OH)2の異なる比率で、ごくわずかに変動する。
【0218】
【0219】
実施例22
好ましい中和剤は、熱安定性カルボン酸である。
圧縮成型用に乾燥ブレンドを作製した。まず、CA398-30およびMgO(Marinco FCC)を別個に事前に篩にかけて集塊を除去し、次いで必要な比率(158gのCA+10gのMgO)で組み合わせ、3回一緒に篩にかけて十分に分散させた。MgO含量の変動を回避するために、このCA:MgOマスターブレンドを、全てのその後のブレンドに使用した。酸を組み込むために、約1グラムの固体を乳鉢および乳棒で微細粉末に粉砕した。それぞれの粉砕した酸を別個に事前に篩にかけ、次いで0.3グラムの酸をCA:MgOプレブレンドと組み合わせ、3回一緒に篩にかけて酸を分散させた。最後に、PEG400を粉末に添加し、最終ブレンドをコーヒーグラインダで混合してPEG400を分散させた。それぞれの完全乾燥ブレンドをアルミニウムパンに事前に秤量し(5.5g)、70℃で16時間乾燥させた。それぞれの乾燥ブレンドは、79wt%のCA-398-30、15wt%のPEG400、5wt%のMgOおよび1wt%の酸(またはなし)を含有した。
【0220】
上部プラテンおよび下部プラテンを218℃(425°F)に予熱した加熱プレスで、フィルムを合計4分間圧縮した。事前に乾燥させたCA/PEG400/MgO/酸乾燥ブレンドを、全て2つのスチール板の間にある、アルミニウム箔の上部層と下部層との間の10.16cm(4インチ)四方、厚さ10ミルのフレームの中央に適用した。アセンブリをプレスに設置し、0圧力で1分間加熱してパックを乾燥および予備溶融し、次いで12,000PHIで1分間圧縮し、約30秒にわたりより高圧に上昇させ、最後に20,000PHIで1.5分間保持した(ポンドでのラム力)。
【0221】
圧縮成型フィルムの外観に関する観察結果は、表28に含まれる。425°F/218℃で成形された、CA、15wt%のPEG400および5wt%のMgOで構成される薄いフィルムでは、中和酸の非存在下で特徴的な暗褐色および焦げ臭が生成する。1wt%のクエン酸が含まれる場合、色ははるかに明るいが、気泡様の欠陥が現れ、これはクエン酸の加熱脱水中に形成される水蒸気によってもたらされると考えられる。配合物中に使用されたクエン酸は無水である。他の酸は、複合的な結果をもたらした。安息香酸およびアスパラギン酸は、圧縮成型フィルム内でMgOと組み合わされた場合、中和添加剤としては弱かった。フィルムは、成型中に暗色を形成し、強い臭気を生成した。対照的に、1wt%のアジピン酸またはフマル酸による成型フィルムは、より明るい色を有し、熱分解の明確な兆しは見られなかった。
【0222】
【0223】
堆肥中での崩壊
実施例23
家庭堆肥ビン内での崩壊
異なる配合物から作製された射出成型ナイフを住宅用堆肥ビンに加えて、家庭堆肥中の崩壊を監視した。本発明の対照および試験配合物として機能する成型刃物類の寸法を、表29に詳述する。
【0224】
【0225】
堆肥ビンは、容量140Lの黒色プラスチック家庭用タンブラであり、最初に約100Lの原料(70Lの成熟堆肥、24Lのマツの削り屑、4~5Lのアルファルファペレット、水分60%)が充填された。アルファルファペレットおよび/またはKNO3で初期C:N比を>2に調節する。側面換気口を完全に開放した。空のビンに原料を加えた。出発原料体積は約100Lであった。
【0226】
【0227】
試験物品を色付きのテープで標識し、ビンに加えた。毎週ビンを回転させ、スクイーズ試験を使用して水分レベルを維持した。8、14、20、26週で、堆肥に約1Lのアルファルファを供給した。マツの削り屑を添加して、堆肥の体積を中心軸以上に維持した。ビンから収集した乾燥物品からの重量損失として、家庭堆肥ビン内での物品の崩壊を監視した。家庭堆肥ビン内で26週間後、最終%重量損失を決定した。アルカリ性鉱物CaCO3およびMgOの組合せを有する物品のみが、26週間後に>90%の重量損失の目標に達した。
【0228】
【0229】
実施例24
高温でのISO20200に従う崩壊
米国標準ASTM D6400、都市または産業設備において好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックのラベリングのための標準仕様(Standard Specification for Labeling of Plastics Designed to be Aerobically Composted in Municipal or Industrial Facilities)(2021)は、認定には最低90%の崩壊が必要であると定めている。
【0230】
試験物品は、66wt%のCA-394-60S、12wt%のPEG400、5wt%のMgO、15wt%のCaCO3および1wt%のクエン酸を含有する配合物から成型されたフォークであった。試験物品の厚さは、柄の先端における1.5mmから、柄の最も太い部分における3.7mmまで様々であった。ISO20200に従って、実験用堆肥中での試験物品の崩壊を行った。合成堆肥は、ウサギの餌、コーンスターチ、砂糖、コーン油、尿素、おがくず、および木材チップを含んでいた。この原料を、地元の産業用堆肥化設備からの成熟堆肥を使用して播種した。30:1の初期C:N比を尿素で調節し、水を添加して含水量を55%に調節した。1kgの合成堆肥ミックスと共に、試験物品(14.6グラム)を各反応槽に加えた。反応器は、3回運転した。混合物を12週間堆肥化し、温度を58℃+/-2に制御した。3つの槽にわたる平均%崩壊は、99.4%であった。
【0231】
実施例25
周囲温度でのISO20200に従う崩壊
フランス標準仕様NF T51-800、プラスチック-家庭堆肥化に好適なプラスチックの仕様(Plastics - Specifications for plastics suitable for home composting)(2015)、オーストラリア標準仕様AS5810、生分解性プラスチック-家庭堆肥化に好適な生分解性プラスチック(Biodegradable plastics - Biodegradable plastics suitable for home composting)(2010)、およびTUV AUSTRIA BelgiumのOK堆肥HOME認定スキームは、周囲温度(20~30℃)でのISO20200(2015)に従う定量試験において、26週間の堆肥化後に試験材料の少なくとも90%が2mm未満のサイズに低減された場合、材料は家庭堆肥化に十分な崩壊を示したと明記している。
【0232】
CA-394-60S(66wt%)、PEG400(12wt%)、MgO(5wt%)、CaCO3(15wt%)およびクエン酸(1wt%)を含有する試験配合物を使用して、最も薄い部分(柄の中央部)における0.84mmから最も厚い部分(ネック)における1.89mmまでの範囲の寸法を有するフォークを成型した。ISO20200「プラスチック-実験室規模試験における模擬堆肥化条件下でのプラスチック材料の崩壊度の決定(Plastics - Determination of the degree of disintegration of plastic materials under simulated composting conditions in a laboratory-scale test)」(2015)に従って、家庭堆肥中の物品の崩壊を試験した。試験は、家庭堆肥化条件を模擬するために、試験試料および堆肥を28℃±2℃でインキュベートすることにより修正した。合成堆肥混合物は、反応器当たり2kgの10mm未満の成熟堆肥のフラクションプラス新たにミリングした野菜、菜園および果物廃棄物を含んでいた。物品の崩壊は、26週間後に90.1%であった。
【国際調査報告】