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▶ アイジーエム レシンス イタリア ソチエタ レスポンサビリタ リミタータの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】新規な光開始剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 323/62 20060101AFI20241003BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20241003BHJP
   C08F 20/20 20060101ALI20241003BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C07C323/62
C08F2/46
C08F20/20
C07C69/738 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520895
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022071937
(87)【国際公開番号】W WO2022207945
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021000025868
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516358093
【氏名又は名称】アイジーエム レシンス イタリア ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリカ モローネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンチェンツォ ラッツァーノ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジャン イヴ マリー ヴァン デン ブランデン
【テーマコード(参考)】
4H006
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB46
4H006AB84
4H006BJ50
4H006BP60
4H006BR30
4H006BR60
4H006BT12
4H006TA04
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA03
4J011CA08
4J011CC10
4J011QA23
4J011QA36
4J011QA40
4J011QA46
4J011SA29
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J011WA06
4J100AL67P
4J100BA08P
4J100BA12P
4J100BA51P
4J100BC43P
4J100CA01
4J100CA23
4J100DA48
4J100JA01
4J100JA03
(57)【要約】
本発明は、改善された性能を有する新規な光開始剤および光重合組成物の使用に関する。本発明は、当該光開始剤を含む組成物の光重合法ならびにプリントされた、コーティングされた、および組み立てられた部品を含む製品におけるそれらの使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物であり、
式(I)
【化1】
ここで、R1は、アリールおよびヘテロアリールから選択され、それぞれは、以下から選択される1以上の置換基によって必要に応じて置換され、
ハロゲン、置換または未置換のC1~C20アルキル、置換または未置換のC1~C20アルコキシ、置換または未置換のC1~C20アルキルチオ、置換または未置換の(C1~C12アルキル)2アミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノおよびN(C1~C12アルキル)ピペラジノ、
nは、1から7であり、
R2は、下記式(II)の基であり、
式(II)
【化2】
ここで、Gは、必要に応じてエトキシル化および/またはプロポキシル化されたモノマーポリオール、オリゴマーポリオールまたはポリマーポリオールG-(OH)m+n+p(ここで、m+n+pは、2から8である)の残基であり、
mは、1から7であり、
pは、0から6であり、
R3は、CH2=CH-C(=O)およびCH2=C(CH3)-C(=O)から選択され、
波線は、式(I)の化合物への結合を示し、
Zは、下記の(i)、(ii)、および(iii)から選択され、
(i)
【化3】
(ii)
【化4】
(iii)
【化5】
ここで、
Xは、O、SおよびC(R4)(R5)から選択され、
Yは、O、S、C(R4)(R5)およびNR6から選択され、
R4およびR5は、それぞれ独立して、H、C1~C12アルキル、OHおよびC1~C10アルコキシから選択され、
R6は、HおよびC1~C8アルキルから選択され、
波線は、式(I)のケト基に結合する結合を示すことを特徴とする式(1)の化合物。
【請求項2】
G-(OH)m+n+pは、必要に応じてエトキシル化またはプロポキシル化することができるモノマーポリオール、オリゴマーポリオールおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項3】
G-(OH)m+n+pは、1,500Da以下、さらに好ましくは1,000Da以下、最も好ましくは800Da以下の数平均分子量、かつ100Da以上、好ましくは200Da以上の数平均分子量を有することを特徴とする請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項4】
m+n+pは、2~8であり、さらに好ましくは3~6であり、
mは、1~6、さらに好ましくは1~4であり、
- nは、1~6、さらに好ましくは1~4であり、 そして
- pは、0~6、さらに好ましくは0~4であることを特徴とする請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項5】
Zは、(i)であり、Xは、SまたはO、好ましくはSであることを特徴とする請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項6】
R1は、フェニル、トリメチルフェニル、ハロフェニル、好ましくはフルオロフェニル、ビフェニル、クマリン-3-イル、ナフチルおよびチオフェニルから選択されることを特徴とする請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項7】
下記の反応生成物であり、
【化6】

ここで、Aは、OHまたはハロゲン原子、好ましくは塩素であり、(a’)、(b’)、(c’)および(d’)はそれぞれ独立して0~15、好ましくは1~8であることを特徴とする請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項8】
下記の化合物であり、
【化7】
ここで、(a’)、(b’)、(c’)および(d’)は、それぞれ独立して、0~15、好ましくは1~8であることを特徴とする請求項1記載の式(1)の化合物。
【請求項9】
a)少なくとも1のエチレン系不飽和化合物を50~99.9質量%、好ましくは70~98.9質量%(組成物の総質量基準)、
b)請求項1から8のいずれかに記載された式(I)の少なくとも1の化合物を0.1~35質量%、好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは0.2~15質量%(組成物の総質量基準)、および
c)促進剤および/または共開始剤を0~20質量%、好ましくは0~15質量%、さらに好ましくは0.2~15質量%(組成物の総質量基準)、
を含むことを特徴とする光重合性組成物。
【請求項10】
さらに、下記成分、
d)1以上の光増感剤0.01~15質量%(組成物の総質量基準)、および/または
e)1以上の更なる光開始剤0.5~15質量%(組成物の総質量基準)、
の1以上を含むことを特徴とする請求項9記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
前記促進剤および/または共開始剤がアミン、好ましくは第三級アミンであることを特徴とする、請求項9記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
光重合性組成物のコーティング、接着剤、およびインクを光硬化する方法であって、前記方法は、
(i) 請求項9記載の光重合性組成物を提供する工程と、
(ii) 前記光重合性組成物を基材上にコーティングまたはプリントする工程と、
(iii) 前記コーティングまたはプリントした組成物を前記基材上で光源を用いて光重合する工程と、を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9記載の光重合性組成物を提供し、前記光重合性組成物を光源にて光硬化することを特徴とする三次元印刷方法。
【請求項14】
前記光源がUVA、UVB、およびUVC領域の少なくとも1つの紫外光であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記光源が350~420nmの領域で発光するLED光源であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項16】
さらに、光重合前に、前記光重合性組成物を基材上に塗布する工程を含んでいることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法に従って得られる製品。
【請求項18】
請求項9に記載の光重合性組成物の三次元印刷によって得られる製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性および表面硬化性が改善され、および/または硬化後の黄変が少ない新規な光開始剤、ならびに光重合組成物における光開始剤の使用に関する。本発明は、当該光開始剤を含む組成物の光重合法、ならびにプリントされた、コーティングされた、および組み立てられたアセンブリを含む製品における光開始剤の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、多くの光開始剤が毒物または生殖毒物として禁止されまたは禁止される予定であるため、新しい光開始剤(Pls)の企画および開発が注目を集めている。
【0003】
標準的な光開始剤を模倣してできる新しい光開始剤を開発したり、黄変、より高速なライン速度、LEDランプ下での硬化などの問題を解消したりするために、さまざまな試みが行われてきた。いくつかの例は、グリオキシル酸3-ケトクマリン(WO2021/070152)、ベンゾイル フェニルテルリドPIs(Macromolecules、2014、47(16)、5526-5531)、シリコン系のPIs(特開2010-229169、Macromolecules、2009、42(16)、6031-6037、Macromolecules 2007、40(24)、8527-8530、Macromol. Rapid Commun. 2017、38、1600470、Macromolecules、2017、50(17)、 6911-6923)、フッ素系のPIs(US2019/0155153)である。例えば食品包装などの敏感な用途では、食品への光開始剤の移動の可能性を避けるために、良好な反応性と低い黄変以外にも、マトリックス内で光網状化できる光開始剤が好ましい。文献に存在する例はわずかで、最新のものはEP2617705A1に報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念なことには、これらの光開始剤も標準的な用途で使用すると、表面硬化性が低く、最も重要なことに硬化後の黄変などのいくつかの制限があり、そのため透明ワニスを含む重合系では上述のPIsを使用することは不適切である。
【0005】
そのため、これらの製品の良好な反応性に影響を及ぼすことなく、PIsの表面硬化性を改善できる、および/または硬化後の黄変を制限できる新しい技術的解決策の要求がある。
【0006】
本発明の第1の目的は、新規なPIs、光開始剤としてのそれらの使用、およびそれらを含む光硬化性組成物を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、本発明の新規なPIsを含む光硬化性組成物を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、新規なPIsを使用するエチレン系不飽和化合物を光硬化する方法、およびこの方法によって製造された製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、特定の二官能性光開始剤は、UVA、UVB、および UVC の波長範囲によく反応し、さらに好ましくは350~420nmの範囲で発光するLED光源にも反応することを発見した。硬化後の黄変を低く維持することは、従来技術と比較して技術的進歩を表している。
【0010】
実際、LEDランプ下での性能の向上は、常に硬化後の黄ばみの進行に関連している。
【0011】
態様の1つによれば、本発明は式(I)の化合物に関し、
式(I)
【化1】
ここで、R1は、アリールおよびヘテロアリールから選択され、それぞれは、以下から選択される1以上の置換基によって必要に応じて置換され、
ハロゲン、置換または未置換のC1~C20アルキル、置換または未置換のC1~C20アルコキシ、置換または未置換のC1~C20アルキルチオ、置換または未置換の(C1~C12アルキル)2アミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノおよびN(C1~C12アルキル)ピペラジノ、
nは、1から7であり、
R2は、下記式(II)の基であり、
式(II)
【化2】
ここで、Gは、必要に応じてエトキシル化および/またはプロポキシル化されたモノマーポリオール、オリゴマーポリオールまたはポリマーポリオールG-(OH)m+n+p(ここで、m+n+pは、2から8である)の残基であり、
mは、1から7であり、
pは、0から6であり、
R3は、CH2=CH-C(=O)およびCH2=C(CH3)-C(=O)から選択され、
波線は、式(I)の化合物への結合を示し、
Zは、下記の(i)、(ii)、および(iii)から選択され、
(i)
【化3】
(ii)
【化4】
(iii)
【化5】
ここで、
Xは、O、SおよびC(R4)(R5)から選択され、
Yは、O、S、C(R4)(R5)およびNR6から選択され、
R4およびR5は、それぞれ独立して、H、C1~C12アルキル、OHおよびC1~C10アルコキシから選択され、
R6は、HおよびC1~C8アルキルから選択され、
波線は、式(I)のケト基に結合する結合を示すことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、G-(OH)m+n+pは、必要に応じてエトキシル化またはプロポキシル化することができるモノマーポリオール、オリゴマーポリオール、ポリマーポリオールおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする。
【0013】
モノマーポリオールおよびオリゴマーポリオールの好適な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、トリエタノールアミン、 トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール、それらの混合物である。
【0014】
ポリマーポリオールの例としては、脂肪族または芳香族の両方であり得るポリヒドロキシポリエーテル、ポリヒドロキシポリエステル、ポリヒドロキシポリアミド、ポリヒドロキシポリイミド、ポリヒドロキシポリカーボネート、スチレン-アリルアルコールコポリマーである。
【0015】
アルコキシル化ポリオールは、本発明の実現に特に好ましい。このようなアルコキシル化ポリオールの例は、アルコキシル化、例えばエトキシル化および/またはプロポキシル化および/またはブトキシル化された、上述のモノマーポリオール、オリゴマーポリオールおよびポリマーポリオールである。他の好適な例としては、アルコキシル化された直鎖状または分枝状のポリアミン、およびエトキシル化エチレンジアミンおよびエトキシル化1,3-プロピレンジアミンなどのポリアルコキシル化ジアミンである。本発明のアルコキシル化化合物において、アルキレンオキシドに対して反応性のそれぞれの基は、0~15個のアルコキシ単位、好ましくは1~6個のアルコキシ単位をもたらすことができる。
【0016】
好ましい実施形態では、G-(OH)m+n+pは、モノマーポリオールおよびオリゴマーポリオールから選択される。
【0017】
他の好ましい実施形態では、G-(OH)m+n+pは、エトキシル化および/またはプロポキシル化されたモノマーポリオールおよびオリゴマーポリオールから選択される。
【0018】
好ましくは、G-(OH)m+n+pは、
- 1,500Da以下、さらに好ましくは1,000Da以下、最も好ましくは800Da以下、および
- 100Da以上、好ましくは200Da以上
の数平均分子量を有する。
【0019】
好ましくは、G-(OH)m+n+pは、グリセロール、エトキシル化および/またはプロポキシル化グリセロール、ジグリセロール、エトキシル化および/またはプロポキシル化ジグリセロール、トリメチロールプロパン、エトキシル化および/またはプロポキシル化トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、 エトキシル化および/またはプロポキシル化ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エトキシル化および/またはプロポキシル化ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化および/またはプロポキシル化ジペンタエリスリトール、ソルビトール、エトキシル化および/またはプロポキシル化ソルビトール、トリエタノールアミン、ならびにエトキシル化および/またはプロポキシル化トリエタノールアミンから選択される。
【0020】
好ましくは、m+n+pは2~8、さらに好ましくは3~6、例えば3、4、5または6である。
好ましくは、mは1~6、さらに好ましくは1~4、例えば1、2、3または4である。
好ましくは、nは1~6、さらに好ましくは1~4、例えば1、2、3または4である。
好ましくは、pは0~6、さらに好ましくは0~3、例えば0、1、2または3である。
pが0ではない場合、式(I)の化合物は遊離のアルコール基を有する。
【0021】
R1が2以上の置換基で置換されたアリールまたはヘテロアリールである場合、前記置換基は同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、R1はアリールであり、さらに好ましくは非置換またはC1~C20アルキルで置換されたフェニルである。
【0022】
好ましくは、R1は、フェニル、トリメチルフェニル、ハロフェニル、好ましくはフルオロフェニル、ビフェニル、クマリン-3-イル、ナフチルおよびチオフェニルから選択される。
【0023】
一実施形態によれば、R1は非置換クマリンまたはベンゾクマリンである。
【0024】
他の好ましい実施形態によれば、
- R1は、置換または未置換のフェニル、好ましくはトリメチルフェニル、フルオロフェニル、ビフェニル、およびクマリン-3-イルなどのハロフェニルから選択される。
- Zは(i)であり、XはSまたはOであり、または
- Zは(ii)であり、YはO、Xはジメチルメチレンであり、または
- Zは(iii)であり、Xはメチレンである。
【0025】
式(I)の化合物の混合物も本発明の範囲に含まれ、例えば、R2が式(II)の基である場合、pがゼロである式(I)の化合物と、pがゼロ以外の式(I)の化合物との混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
好ましい実施態様によれば、Zは(i)であり、XはSまたはO、好ましくはSである。XがSである場合、スルホンまたはスルホキシドへの硫黄の酸化形態も本発明の保護範囲に包含される。
【0027】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、
・nは、1~4、さらに好ましくは1~3、例えば1、2または3である。
・R2は、式(II)の基である。
・pは、0~3、さらに好ましくは0~2、例えば0、1または2である。
・mは、1~6、さらに好ましくは2~4、例えば2、3または4である。
・m+n+pは、2~6であり、さらに好ましくは3~5、例えば3、4または5である。
【0028】
本明細書で実施形態(1)と呼ばれる実施形態によれば、Zは(i)であり、R2は式(II)の基であり、他の変数は上記で定義した通りである。
【0029】
好ましい実施形態(1)によれば、G-(OH)m+n+pは、エトキシル化および/またはプロポキシル化されたモノマーポリオールまたはオリゴマーポリオールである。
【0030】
好ましい実施形態(1)によれば、nは1~4、さらに好ましくは1~3、例えば1、2または3であり、R2は式(II)の基であり、pは0~3、さらに好ましくは0~2、例えば0、1または2であり、mは1~6、さらに好ましくは2~4、例えば2、3または4であり、m+n+pは2~6、さらに好ましくは3~5、例えば3、4または5である。
【0031】
好ましい実施形態(1)によれば、R1はアリールであり、さらに好ましくは非置換またはC1~C20アルキルで置換されたフェニルである。
【0032】
本明細書で実施形態(2)と呼ばれる実施形態によれば、Zは(ii)であり、R2は式(II)の基であり、他の変数は上記で定義した通りである。
【0033】
さらに好ましい実施形態(2)によれば、XはOであり、YはC(R4)(R5)であり、R4およびR5はC1~C12アルキルである。
【0034】
好ましい実施形態(2)によれば、G-(OH)m+n+pは、エトキシル化および/またはプロポキシル化されたモノマーポリオールまたはオリゴマーポリオールである。
【0035】
好ましい実施形態(2)によれば、nは1~4、さらに好ましくは1~3、例えば1、2または3であり、R2は式(II)の基であり、pは0~3、さらに好ましくは0~2、例えば0、1または2であり、mは1~6、さらに好ましくは2~4、例えば2、3または4であり、m+n+pは2~6、さらに好ましくは3~5、例えば3、4または5である。
【0036】
好ましい実施形態(2)によれば、R1はアリールであり、さらに好ましくは非置換またはC1~C20アルキルで置換されたフェニルである。
【0037】
本明細書で実施形態(3)と呼ばれる実施形態によれば、Zは(iii)であり、R2は式(II)の基であり、他の変数は上記で定義した通りである。
【0038】
さらに好ましい実施形態(3)によれば、XはOまたはSである。
【0039】
好ましい実施形態(3)によれば、G-(OH)m+n+pは、エトキシル化および/またはプロポキシル化されたモノマーポリオールまたはオリゴマーポリオールである。
【0040】
好ましい実施形態(3)によれば、nは1~4、さらに好ましくは1~3、例えば1、2または3であり、R2は式(II)の基であり、pは0~3、さらに好ましくは0~2、例えば0、1または2であり、mは1~6、さらに好ましくは2~4、例えば2、3または4であり、m+n+pは2~6、さらに好ましくは3~5、例えば3、4または5である。
【0041】
好ましい実施形態(3)によれば、R1はアリールであり、さらに好ましくは非置換またはC1~C20アルキルで置換されたフェニルである。
【0042】
可能であれば、各実施形態(1)~(3)内で、すべての好ましい実施形態を組み合わせることができる。
【0043】
本明細書において、用語「アルキル」または「アルキル基」は、別段の指示がない限り、所定の数の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の飽和アルキル鎖を意味し、アルキル基の炭素原子数ごとに考えられるすべての異性体が含まれる。すなわち、炭素原子3個については、n-プロピルおよびイソプロピル、炭素原子4個については、n-ブチル、イソブチル、およびtert-ブチル、炭素原子5個については、n-ペンチル、1,1-ジメチル-プロピル、2,2-ジメチルプロピルおよび2-メチル-ブチル等である。
【0044】
「アルケニル」または「アルケニル基」は、炭素原子2~12個、好ましくは炭素原子C3~C12を含有する不飽和基を意味し、例えば、アリル、メタリル、またはウンデセニルである。
【0045】
用語「シクロアルキル」または「シクロアルキル基」は、別段の指示がない限り、好ましくは炭素原子5または6個を含む脂肪族環を意味し、例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0046】
用語「アリール」または「アリール基」は、置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のナフチル基、アントラセニル基、インデニル基、フルオレニル基、ジェム-ジアルキルフルオレニル基、フェナントラセニル基、好ましくは置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のナフチル基、または置換または未置換のフェナントラセニル基、さらに好ましくはフェニル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロアリール基」は、フラン、チオフェン、ピロール、N-置換ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラン、ピリジン、ピロリジン、インドール、N-置換インドール、ジベンゾフラン、ベンゾカルバゾール、キノリン、イソキノリン、クマリン等が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、ヘテロアリールは置換または未置換のフラン、チオフェン、ピロールクマリンおよびベンゾクマリンであり、それらはそれぞれ未置換または置換であり、好ましくは置換または未置換のクマリンである。
【0048】
クマリンは、下記の式を有している。
【化6】
星印で示されるように、3位においては分子の残余に結合される。
【0049】
ベンゾクマリンは、下記の式を有している。
【化7】
【化8】
【化9】
星印で示されるように、3位においては分子の残余に結合される。
【0050】
基が置換されていると定義される場合、特に別段の定義がない限り、本明細書において「置換された」という用語は、この基が1以上の置換基を有することを意味し、この置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル、アリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオまたはアリールチオ、複素環基およびリン含有基またはケイ素含有基から選択される。さらに好ましくは、本明細書における「置換された」という用語は、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、フェニル、トリフルオロメチル、シアノ、アセチル、エトキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシレート、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、イソプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、アセチルアミノ、ピペリジノ、ピロリジル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、フェノキシ、ヒドロキシル、アセトキシ、-POH、メチルチオ、エチルチオ、i-プロピルチオ、n-プロピルチオ、フェニルチオ、メルカプト、アセチルチオ、チオシアノ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ジメチルスルホニル、スルホネート基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリメチルシリル、ペンタメチルジシリル、トリエチルシリル、トリメチルスタンニル、フリル、チエニル、ピリジル、およびモルホリノから選択される1以上の基を示す。
【0051】
一実施形態によれば、Zが(iii)であり、XがC(R4)(R5)である場合、R1は、必要に応じて置換されたクマリンまたはベンゾクマリンから選択されるヘテロアリールである。
【0052】
本発明の化合物は、任意の好適な方法に従って調製することができる。例えば、それらは、以下のスキーム1に従って、ダブルフリーデルクラフツアシル化および必要に応じてエステル交換反応によって調製することができる。
スキーム1
【化10】
【0053】
好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物は、以下の反応生成物である。
【化11】

ここで、Aは、OHまたはハロゲン原子、好ましくは塩素である。
【0054】
別の態様によれば、本発明は、Z基(i)、(ii)または(iii)に対してフリーデルクラフツアシル化を行い、必要に応じて上記スキーム1に従ってエステル交換反応を行うことを含む、式(I)の化合物の調製方法に関する。
【0055】
当業者であれば、公知の方法に従ってスキーム1の化学反応を完全に実施することができる。
【0056】
本発明の方法の詳細は、本明細書の実験セクションに報告されている。
【0057】
本発明による好ましいPIsは以下の通りである。

【0058】
本明細書全体において、文字(a)、(a’)、(a”)、(a’”)および後続の文字はエトキシ単位の数を表し、それぞれ独立して0~15、さらに好ましくは1~8である。
【0059】
別の態様によれば、本発明は、以下を含む光重合性組成物に関する。
a)少なくとも1のエチレン系不飽和化合物を50~99.9質量%、好ましくは70~98.9質量%(組成物の総質量基準)、
b)上記の式(I)の少なくとも1の化合物を0.1~35質量%、好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは0.2~15質量%(組成物の総質量基準)、および
c)促進剤および/または共開始剤を0~20質量%、好ましくは0~15質量%、さらに好ましくは0.2~15質量%(組成物の総質量基準)。
【0060】
本発明によれば、用語「光硬化」および「光重合」ならびに関連する用語は、同義語である。
【0061】
表現「組成物の総質量基準」は、各成分の%質量が、上記の成分a)、b)、およびc)に加えて更なる追加の成分を含めた組成物の成分の総質量に対して計算されることを意味し、組成物中に存在できる水および/または溶媒は、当該%質量の計算については考慮されない。
【0062】
別の態様によれば、本発明は、光重合性組成物のコーティング、接着剤およびインクを光硬化する方法に関し、この方法は、以下のi、ii、iiiを含む。
i 上記の光重合性組成物を提供する工程、
ii 前記光重合性組成物を基材上にコーティングまたはプリントする工程、および
iii 前記コーティングまたはプリントした組成物を前記基材上で光源を用いて光硬化する工程。
【0063】
別の態様によれば、本発明は、上記の光重合性組成物を含む混合物を光源で光硬化することを含む三次元印刷方法に関する。
【0064】
別の態様によれば、本発明は、本発明の方法によって得られる製品に関する。
【0065】
本発明の光硬化性組成物は、化合物a)、b)、および存在する場合はc)に加えて、次の成分、d)光増感剤、および/またはe)更なる光開始剤、および/またはf)一般的な添加剤の1以上を含むこともできる。
【0066】
好ましい実施形態によれば、本発明の方法で使用される光重合性組成物は、少なくとも成分a)、b)、c)、さらに好ましくは少なくともa)、b)、c)、および上記のd)を含む。
【0067】
本発明の光開始剤は、エチレン系不飽和化合物a)を含む光硬化性組成物に使用される。当該不飽和化合物a)は、1以上のオレフィン系二重結合を含むことができる。 これらは、低分子量 (モノマー性) 化合物または高分子量 (オリゴマー性) 化合物にすることができる。
【0068】
二重結合1個を有する好適な低分子量モノマー(モノマー性化合物)の例は、アルキルまたはヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレート、例えば、メチル-、エチル-、ブチル-、2-エチルヘキシル-、2-ヒドロキシエチル-、またはイソボルニル-アクリレート、およびメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルである。更なる例は、ケイ素またはフッ素にて変性した樹脂、例えば、シリコーンアクリレートである。これらのモノマーの更なる例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、アルキルスチレン、およびハロゲノスチレン、酢酸ビニル等のビニルエステル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、または塩化ビニリデンである。
【0069】
二重結合2個以上を有するモノマーの例は、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4’-ビス-(2-アクリロイルオキシエトキシ)-ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートまたはテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、またはトリス-(2-アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。
【0070】
高分子量(オリゴマー性)の多不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリエステルまたはビニル-エーテル基またはエポキシ基含有ポリエステル、アクリル化ポリウレタン、またはアクリル化ポリエーテルである。不飽和オリゴマーの更なる例は、通常、マレイン酸、フタル酸、および1以上のジオールから調製され、約500~3000Daの分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂である。このような不飽和オリゴマーは、プレポリマーとも称される。
【0071】
本発明の実施に特に好適な化合物a)の例は、エチレン系不飽和カルボン酸とポリオールまたはポリエポキシドとのエステル、および鎖にまたは側基にエチレン系不飽和基を含有するポリマー、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタンおよびそれらのコポリマー、アルキル樹脂、ポリブタジエンおよびブタジエンコポリマー、ポリイソプレンおよびイソプレンコポリマー、側鎖に(メタ)アクリル基を有するポリマーおよびコポリマー、およびそれらの混合物である。
【0072】
上記エステルの調製に有用な不飽和カルボン酸または無水物の実例は、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、ならびにリノレン酸およびオレイン酸などの不飽和脂肪酸である。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0073】
エステル化されるポリオールの例は、芳香族ポリオールおよび脂肪族ポリオールおよび脂環式ポリオール、好ましくは脂肪族ポリオールおよび脂環式ポリオールである。
【0074】
芳香族ポリオールは、例えば、ノボラックおよびレゾールとともに、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2-ジ(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである。エステル化されるポリエポキシドとしては、上記のポリオールに基づくものであり、特に、芳香族ポリオールとエピクロロヒドリンとの間の反応生成物が含まれる。ポリマー鎖または側基にヒドロキシル基を含有するポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリビニルアルコールおよびそのコポリマー、またはポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルまたはそのコポリマーも、ポリオールとして好適である。さらに好適なポリオールは、ヒドロキシ末端基を有するオリゴエステルである。
【0075】
脂肪族ポリオールおよび脂環式ポリオールの例としては、好ましくは炭素原子2~12個を含有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2-または1,3-プロパンジオール、1,2-、1,3-または1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200~1500Daの分子量を有するポリエチレングリコール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β-ヒドロキシ-エチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびソルビトールが含まれる。
【0076】
さらに好適なエチレン系不飽和化合物a)は、好ましくはアミノ基2~6個、好ましくは2~4個を有する、不飽和カルボン酸から得られる不飽和ポリアミド、および芳香族、脂肪族、および脂環式ポリアミンである。このようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2-または1,3-プロピレンジアミン、1,2-、1,3-または1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンチレンジアミン、1,6-へキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ-(β-アミノエチル)エーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびジ(β-アミノエトキシ)-およびジ(β-アミノプロポキシ)エタンである。他の好適なポリアミンは、側鎖における追加のアミノ基およびアミノ末端基を含有するオリゴアミドを含有できるポリマーおよびコポリマーである。
【0077】
このような不飽和ポリアミドの具体的な例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6-ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、およびN-[(β-ヒドロキシエトキシ)エチル]-アクリルアミドである。
【0078】
不飽和ポリウレタン、例えば飽和または不飽和のジイソシアネートおよび不飽和または飽和のジオールに由来するものも成分a)として本発明の実施には好適である。ポリブタジエンおよびポリイソプレンおよびそれらのコポリマーも使用可能である。
【0079】
好適はモノマーには、例えば、エチレン、プロペン、ブテンおよびヘキセンのようなオレフィン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン、および塩化ビニルが含まれる。
【0080】
側鎖に不飽和(メタ)アクリレート基を有するポリマーも成分a)として使用される。それらは、代表的には、ノボラック系エポキシ樹脂および(メタ)アクリル酸の反応生成物、(メタ)アクリル酸によりエステル化されたビニルアルコールまたはそのヒドロキシアルキル誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートによりエステル化された(メタ)アクリレートのホモポリマーおよびコポリマーである。
【0081】
好ましい実施形態によれば、光硬化性組成物は、さらに、促進剤とも称される共開始剤c)を含んでいる。
【0082】
促進剤/共開始剤c)の好適な例は、アルコール、チオール、チオエーテル、ヘテロ原子に隣接する炭素に結合した有効水素を有するアミンまたはエーテル、ジスルフィドおよびホスフィンである。例えばEP 438123およびGB 2180358に記載されている。
【0083】
アミン促進剤/共開始剤の好適な例としては、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、複素環、オリゴマー性またはポリマー性のアミンが含まれるが、これらに限定されない。これらは、第一級、第二級、または第三級アミン、例えば、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルジメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-フェニルグリシン、トリエチルアミン、フェニルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、キノリン、ジメチルアミノ安息香酸のエステル、ミヒラーケトン(4,4’-ビス-ジメチルアミノベンゾフェノン)および対応する誘導体が含まれる。
【0084】
アミン促進剤/共開始剤として、アミン修飾アクリレート化合物が使用され、このようなアミン修飾アクリレートの例としては、第一級または第二級アミンとの反応によって修飾されたアクリレート(US 3844916、EP 280222、US 5482649、またはUS 5734002に記載)が含まれる。
【0085】
多官能性アミンおよびポリマー性アミン誘導体も共開始剤として好適であり、いくつかの例は、Omnipol(登録商標)、ASA(IGM Resins B.V.)、Genopol(登録商標)、AB-2(Rahn A.G.)、Speedcure(登録商標)7040(Lambson Limited)、またはUS 2013/0012611に記載のものである。
【0086】
本発明の光硬化性組成物は、さらに水および/または溶媒、例えば有機溶媒を含む組成物としても処方される。
【0087】
光増感剤d)は、組成物の総質量基準で、0.01~15質量%、好ましくは0.01~10質量%の量で存在できる。
【0088】
光増感剤の例は、この技術分野において一般的に使用されるものであり、芳香族カルボニル化合物、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノン、クマリン、および3-アシルクマリン誘導体、テルフェニル、スチリルケトン、および3-(アロイルメチレン)-チアゾリン、カンファーキノンおよびエオシン、ローダミン、エリスロシン染料である。
【0089】
チオキサントンの例は、チオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-メトキシカルボニルチオキサントン、2-エトキシカルボニルチオキサントン、3-(2-メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4-ブトキシカルボニルチオキサントン、3-ブトキシカルボニル-7-メチルチオキサントン、1-シアノ-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-エトキシチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-アミノチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-フェニルスルフリルチオキサントン、3,4-ジ[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-(1-メチル-1-モルホリノエチル)チオキサントン、2-メチル-6-ジメトキシメチルチオキサントン、2-メチル-6-(1,1-ジメトキシベンジル)チオキサントン、2-モルホリノメチルチオキサントン、2-メチル-6-モルホリノメチルチオキサントン、N-アリルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-オクチルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-チオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、1-フェノキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-1-2-メトキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メチルチオキサントン、チオキサントン-2-ポリエチレングリコールエステル、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロリド、またはPCT/EP2011/069514に記載のもの、例えば、n-ドデシル-7-メチル-チオキサントン-3-カルボキシレート、およびN,N-ジイソブチル-7-メチル-チオキサントン-3-カルバミドである。ポリマー性チオキサントン誘導体(例えば、Omnipol(登録商標)TX(IGM Resins B.V.)、Genopol(登録商標)TX-1(Rahn A.G.)、Speedcure(登録商標)7010(Lambson Limited))も好適である。
【0090】
ベンゾフェノンの例は、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-メトキシベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-(4-メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、4-(2-ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4-(4-トリルチオ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N,N-トリメチルベンゼンメタナミニウムクロリド、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパナミニウムクロリド11一水和物、4-(13-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニル)オキシエチル-ベンゼンメタナミニウムクロリド、またはUS 9938231に記載されたもの(例えば、Omnirad(登録商標)991(IGM Resins B.V.))である。
【0091】
ポリマー性ベンゾフェノン誘導体(例えば、Omnipol(登録商標)BP、Omnipol(登録商標)2702およびOmnipol(登録商標)682(いずれもIGM Resins B.V.)、Genopol(登録商標)BP-2(Rahn A.G.)、およびSpeedcure(登録商標)7005(Lambson Limited))も好適である。
【0092】
3-アシルクマリン誘導体の例は、3-ベンゾイルクマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジ(プロポキシ)クマリン、3-ベンゾイル-6,8-ジクロロクマリン、3-ベンゾイル-6-クロロクマリン、3,3’-カルボニル-ビス[5,7-ジ(プロポキシ)クマリン]、3,3’-カルボニル-ビス(7-メトキシクマリン)、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-イソブチロイルクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジメトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジエトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジブトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジ(アリルオキシ)クマリン、3-ベンゾイル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンゾイル-7-ジエチルアミノクマリン、3-イソブチロイル-1,7-ジメチルアミノクマリン、5,7-ジメトキシ-3-(1-ベンゾイル)クマリン、5,7-ジメトキシ-3-(1-ベンゾイル)-クマリン、3-ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、7-ジエチルアミノ-3-チエノイルクマリン、3-(4-シアノベンゾイル)-5,7-ジメトキシクマリン、またはEP 2909243およびWO 2017/216699に記載されたものである。
【0093】
3-(アロイルメチレン)チアゾリンの例は、3-メチル-1,2-ベンゾイルメチレン-β-ベンゾチアゾリン、3-メチル-2-ベンゾイルメチレン-ベンゾチアゾリン、3-エチル-2-プロピオニルメチレン-β-ベンゾチアゾリンである。
【0094】
他の芳香族カルボニル化合物の例は、アセトフェノン、3-メトキシアセトフェノン、4-フェニルアセトフェノン、ベンジル(例えば、WO 2013/164394に記載のもの)、2-アセチルナフタレン、2-ナフトアルデヒド、9,10-アントラキノン、9-フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α-(p-ジメチルアミノベンジリデン)、ケトン、例えば、2-(4-ジメチルアミノ-ベンジリデン)-インダン-1-オン、または3-(4-ジメチルアミノフェニル)-1-インダン-5-イル-プロぺノン、3-フェニルチオフタルイミド、N-メチル-3,5-ジ(エチルチオ)フタルイミドである。
【0095】
チオキサントン、クマリン、および3-アシルクマリンが特に好ましい。
【0096】
上記成分d)は、組成物の棚寿命を短くすることなく、光開始剤b)の反応性を増大させることが観察された。さらに、このような組成物は、光増感剤d)を適切に選択することにより、光開始剤b)の分光感度を各種の所望の波長範囲にシフトさせることができるという格別の利点を有する。当業者であれば、光開始剤b)を各種の所望の波長範囲で機能させるように好適な光増感剤d)を選択することができる。
【0097】
更なる可能な光開始剤e)は、組成物の総質量基準で、組成物の0.5~15質量%、好ましくは1~10質量%の量で存在できる。
【0098】
他の好適な光開始剤e)の例は、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、ジアルコキシアセトフェノン、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、4-アロイル-1,3-ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテルおよびベンジルケタール、例えば、ベンジルジメチルケタール、ケトスルホン、例えば、1-[4-[(4-ベンゾイル-フェニル)-チオ]-フェニル]-2-メチル-2-[(4-メチル-フェニル)-スルホニル]-プロパン-1-オン(Esacure(登録商標)1001(IGM Resins B.V.)、3-ケトクマリン、例えば、EP 2909243およびWO 2017/216699に記載のもの、フェニルグリオキシレートおよびその誘導体、二量体のフェニルグリオキシレート、ペルエステル、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル、例えば、EP 126541に記載のもの、アシルホスフィン光開始剤(モノ-アシルホスフィンオキシド、ビス-アシルホスフィンオキシド、トリス-アシルホスフィンオキシド、および多官能性モノ-またはビス-アシルホスフィンオキシドの中から選ばれる)、ハロメチルトリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えば、オルト-クロロヘキサフェニルビスイミダゾールと2-メルカプトベンゾチアゾールとの組み合わせ、フェロセニウム化合物またはチタノセン、例えば、ジシクロペンタジエニル-ビス(2,6-ジフルオロ-3-ピロロ-フェニル)チタン、O-アシルオキシムエステル光開始剤である。
【0099】
α-ヒドロキシケトンおよびα-アミノケトンの例は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-フェノキシ]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、および2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノンである。
【0100】
O-アシルオキシムエステル光開始剤の例は、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]1-(O-アセチルオキシム)、またはGB 2339571に記載のものである。
【0101】
アシルホスフィン光開始剤の例は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-(2,4-ジペンチルオキシフェニル)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドおよびエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸、グリセロールエトキシル化トリメスター(Omnipol(登録商標)TP(IGM Resins B.V.))が含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
ハロメチルトリアジン系光開始剤の例は、2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-ビニル]-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2-(4-メトキシ-フェニル)-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2-メチル-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジンである。
【0103】
本発明による光硬化性組成物が、ハイブリッド系(これに関連して、ハイブリッド系とは、フリーラジカル硬化性系およびカチオン硬化性系の混合を意味する)で使用される場合には、更なる光開始剤e)として、カチオン性光開始剤も使用できる。好適なカチオン性光開始剤の例は、US 4950581に記載されているように、芳香族のスルホニウム塩、ホスホニウム塩、またはヨードニム塩、または例えば、GB 2348644、US 4450598、US 4136055、WO 00/10972、およびWO 00/26219に記載されているように、シクロペンタジエニルアレン-鉄(II)錯塩、例えば、(η6-イソプロピルベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートまたはオキシム系光潜在性酸である。
【0104】
本発明による光硬化性組成物は、組成物の総質量基準で、0~10%の量の一般的な添加剤を含むこともできる。添加剤f)は、例えば熱開始剤、結合剤、安定剤、およびそれらの混合物である。
【0105】
添加剤の選択は、問題となる使用分野およびその使用分野について求められる特性に基づいて決定される。上記の添加剤f)は、この技術分野では知られており、当該技術分野で一般的に使用される量で使用される。
【0106】
例えば、特に顔料が配合された組成物の場合、この組成物は、追加の添加剤f)として、熱開始剤(加熱される際にフリーラジカルを形成する化合物)、例えば2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタザジエンのようなアゾ化合物、またはペルオキシ化合物、例えばヒドロペルオキシドまたはペルオキシカルボネート、例えばtert-ブチルヒドロペルオキシド(例えばEP 245639に記載)を含むこともできる。
【0107】
本発明の光硬化性組成物には結合剤を添加することもできる。結合剤の添加は、光硬化性化合物が液体または粘稠な物質である場合に、特に有利である。結合剤の量は、例えば、組成物の総質量基準(水および溶媒を除く)の5~60質量%、好ましくは10~50質量%とすることができる。結合剤は、使用分野および要求される特性、例えば、水性および有機溶媒システムにおける現像性、基材への接着性、および酸素に対する感受性に従って選択される。
【0108】
好適な結合剤は、例えば、重量平均分子量(Mw)約5,000~2,000,000Da、好ましくは、10,000~1,000,000Daを有するポリマーである。例示的な例は、アクリレートおよびメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、例えば、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(メタクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アクリル酸アルキルエステル)、セルロースエステルおよびエーテル、例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、環化ゴム、ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ポリオレフィン、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、コ-ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリマー、例えば、ポリカプロラクタムおよびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル、例えば、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)およびポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)である。
【0109】
好適な安定剤は、例えば、熱阻害剤、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p-メトキシフェノール、β-ベンゾイル、または立体障害フェノール、例えば、2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾールであり、早期重合を阻止する。暗所貯蔵安定性を増大させるために、例えば、銅化合物、例えば、ナフテン酸銅、ステアリン酸銅、またはオクテン酸銅、リン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、または亜リン酸トリベンジル、第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化テトラメチルアンモニウムまたは塩化トリメチルベンジルアンモニウム、またはヒドロキシルアミン誘導体、例えば、N,N-ジエチルヒドロキシルアミンを使用できる。重合の間に雰囲気中の酸素を除去する目的で、パラフィンまたは同様のワックス様物質を使用でき、当該物質は、ポリマーに不溶であり、重合の開始時に表面に移動し、空気の侵入を阻止する透明な表面層を形成する。
【0110】
UV吸収剤のような光安定剤、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、シュウ酸アミド、またはヒドロキシフェニル-s-トリアジンタイプを使用することもできる。このような化合物は、立体障害アミン(HALS)の使用の有無にかかわらず、単独でまたは混合物の形で使用できる。
【0111】
本発明による光硬化性組成物は、更なる添加剤f)として、光還元性染料、例えば、キサンテン、ベンゾキサンテン、ベンゾチオキサンテン、チアジン、ピロニン、ポルフィリン、またはアクリジン染料、および/または放射線開裂可能なトリハロメチル化合物も含むことができる。これらの化合物は、例えば、EP 445624に記載されている。
【0112】
さらに通例の添加剤f)は、目的の用途に応じて、光学的増白剤、充填剤、顔料(白色および有色顔料の両方)、着色料、帯電防止剤、湿潤剤、または流動性向上剤である。この技術分野において一般的に使用される添加剤、例えば、帯電防止剤、流動性向上剤、および接着性増強剤も使用できる。
【0113】
上記成分に加えて、他の成分も本発明による組成物中に存在できる。
【0114】
この技術分野において一般的に使用される連鎖移動剤を本発明による組成物に添加することも可能である。例としてはメルカプタン、アミン、およびベンゾチアゾールである。
【0115】
本発明の組成物は、着色料および/または有色顔料を含むことができる。目的の用途に応じて、無機顔料および有機顔料の両方を使用できる。このような添加剤は、当業者には公知である。いくつかの例は、カーボンブラック、酸化鉄、例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、クロムイエロー、クロムグリーン、ニッケルチタンイエロー、群青、コバルトブルー、バナジウム酸ビスマス、カドミウムイエロー、およびカドミウムレッドである。有機顔料の例は、モノ-またはビス-アゾ顔料およびそれらの金属錯体、フタロシアニン顔料、多環式顔料、例えば、ペリレン、アントラキノン、チオインジゴ、キナクリドン、またはトリフェニルメタン顔料、およびジケト-ピロロ-ピロール、イソインドリノン、例えば、テトラクロロイソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンズイミダゾロン、およびキノフタロン顔料である。処方において、顔料は、単独でまたは混合物として配合物中で使用できる。
【0116】
目的の用途に応じて、顔料は、この技術分野における一般的に使用される量で、例えば、組成物の総質量基準で0.1~30質量%、または10~25質量%の量で配合物に添加できる。
【0117】
組成物は、例えば、広範囲の種類の有機着色料も含有できる。例としては、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料、および金属錯体染料である。通常の濃度は、組成物の総質量基準で、例えば、0.1~20質量%、特に、1~5質量%である。
【0118】
本発明の光硬化性組成物は、水を含有できる。
【0119】
本発明の光硬化性組成物は、各種の目的、例えば、印刷用インク、例えば、スクリーン印刷インク、フレキソ印刷インク、オフセット印刷インク、およびインクジェット印刷インクとして、クリアコートとして、例えば、木材または金属用の着色コートとして、粉末コーティングとして、特に、紙、木材、金属、またはプラスチック用のコーティング材料として、構造体および道路マーキング用、写真複製用、ホログラム記録材料用、画像記録用または有機溶媒または水性アルカリ媒体を使用する版面の製造において、スクリーン印刷用マスクの製造用の日光・硬化性塗料として、歯科用充填材料として、接着剤として、感圧性接着剤として、ラミネート樹脂として、フォトレジスト、例えば、ガルバノレジストとして、エッチレジストまたは永久レジスト(液体および乾燥フィルムの両方)として、光構造化性誘電体として、および電子回路用ソルダーマスクとして、各種のタイプのディスプレイスクリーン用のカラーフィルターの製造におけるまたはプラズマディスプレイおよびエレクトロルミネセントディスプレイの製造中の構造物の形成における、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)の製造における、バルク硬化(透明鋳型でのUV硬化)によるまたはステレオリソグラフィー法(例えば、US 4575330に記載されている)による三次元物品の製造における、複合材料(例えば、ガラス繊維および/または他の繊維および他の補助剤を含むことができるスチレンポリエステル)の製造および当業者には周知の三次元印刷の他の方法における、電子部品のコーティングまたは封止または光ファイバー用のコーティングにおけるレジストとして、好適である。
【0120】
本発明の光硬化性組成物は、光学レンズ、例えば、コンタクトレンズまたはフレネルレンズの製造においても、医療用装置、補助具またはインプラントの製造においても、ドライフィルムペイントにおいても適している。
【0121】
本発明の光硬化性組成物は、サーモトロピック特性を有するゲルの調製にも適している。このようなゲルは、例えば、DE 19700064およびEP 678534に記載されている。
【0122】
本発明の式(I)の化合物を含む、または本発明の光硬化性組成物を含む製品は、本発明の更なる主題である。
【0123】
本発明による化合物および組成物は、放射線硬化性粉末コーティング用のフリーラジカル光開始剤または光開始性系としても使用することができる。
【0124】
本発明による光硬化性組成物は、例えば、全ての種類の基材、例えば、木材、布地、紙、セラミックス、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、およびセルロースアセテート、特にフィルム状)、および金属(例えば、Al、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg、またはCo)、およびGaAs、SiまたはSiO(保護層が塗布されるか、または例えば、像様露光によって像が感光される)のためのコーティング材料として好適である。
【0125】
本発明による方法では、最も多様な種類の多数の光源を使用することができ、光源は、約200nmから約800nmの波長で放射する。点光源および扁平形ラジエーター(ランプカーペット)の両方が好適である。例としては、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中圧、高圧、および低圧水銀アークラジエーター、必要に応じて金属ハロゲン化物がドープされている(金属ハロゲンランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマランプ、スーパーアクチニック蛍光管、蛍光ランプ、アルゴン白熱ランプ、フラッシュランプ、写真投光器ランプ、発光ダイオード(LED)、電子ビーム、X線、およびレーザーである。
【0126】
一実施形態によれば、当該光源は、UVA、UVB、およびUVC領域の少なくとも1つにおける紫外光を含む。
【0127】
好ましい実施形態によれば、当該光源は、LED光源であり、365~420nm、さらに好ましくは、365nm、385nm、および395nmの波長で発光するLED光源が特に好ましい。
【0128】
本発明によれば、ランプと露光される基材との間の距離は、目的の用途、ランプの種類および強度に応じて変えることができ、例えば0.1~150cm、好ましくは、1~50cmである。
【0129】
前述の光重合性組成物は、既にコーティングまたはプリントされた層を含む基材上に塗布することもできる。当該光重合性組成物は、当該光源で光重合された後に、プリンティングまたはコーティングに好適な1以上の組成物によってオーバープリントまたはオーバーコーティングすることができる。
【0130】
当該コーティングまたはプリント手段によって当該光重合性組成物を当該基材上に塗布し、当該光源によって光重合させることによって得られる物品は、更なるコーティングまたはプリントによる物品の更なる仕上げの有無にかかわらず、本発明の更なる主題である。
【0131】
上記のように、発明者らは驚くべきことに、式(I)の化合物がUVA、UVBおよびUVC波長下で非常に高い反応性を示し、従来技術に比べ硬化後の黄変を低く抑えることを見出した。この新規の化合物は、透明系および着色系の両方において、LEDおよびHgランプ下での表面硬化性における大きな改善を示した。
【0132】
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、これらは例示であって限定するものではない。
【0133】
実験セクション
本明細書全体において、化学名と化学式との間に矛盾がある場合には、化学式が優先する。
【0134】
実施例15の化合物は、示された出発物質の反応によって得られた化合物の混合物である。
【0135】
H NMRスペクトルをBruker Ascend 300MHz NMR分光計を用いて記録した。
【実施例
【0136】
下記の合成
【化12】
ジクロロメタン120mL中に硫化ジフェニル10.00g(53.686ミリモル)と塩化ベンゾイル7.92g(56.342ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム7.87g(59.022ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル9.53g(69.802ミリモル)と無水塩化アルミニウム10.88g(81.596ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加のクロロオキソ酢酸エチル1.47g(10.767ミリモル)と無水塩化アルミニウム1.65g(12.374ミリモル)とを順次注意深く加えた。次いで、反応物を室温でさらに1.5時間撹拌し、400mLの氷/水に注いだ。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をエタノールによる結晶化により精製し、15.70gのオフホワイトの固体を得た(収率75%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、4.42(q、2H)、7.51(d、2H)、7.54~7.74(m、5H)、7.76~7.82(m、4H)、7.97(d、2H)。
【実施例
【0137】
下記の合成
【化13】
ジクロロメタン60mL中にジフェニルエーテル5.00g(29.375ミリモル)と塩化ベンゾイル4.33g(30.803ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム4.31g(32.323ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル5.21g(38.160ミリモル)と無水塩化アルミニウム5.95g(44.623ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加のクロロオキソ酢酸エチル0.80g(5.860ミリモル)と無水塩化アルミニウム0.90g(6.750ミリモル)とを順次注意深く加えた。次いで、反応物を室温でさらに1.5時間撹拌し、200mLの氷/水に注いだ。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールによる結晶化、続いてシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 98:2)によって精製し、7.97gの白色固体を得た(収率72%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.34(t、3H)、4.42(q、2H)、7.30(m、4H)、7.58(t、2H)、7.67(tt、1H)、7.75(dd 、2H)、7.86(d、2H)、8.06(d、2H)。
【実施例
【0138】
下記の合成
【化14】
ジクロロメタン120mL中に9,9-ジメチルキサンテン10.00g(47.556ミリモル)と塩化ベンゾイル7.02g(49.940ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム6.98g(52.347ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル8.44g(61.818ミリモル)と無水塩化アルミニウム9.64g(72.297ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加のクロロオキソ酢酸エチル1.30g(9.522ミリモル)と無水塩化アルミニウム1.46g(10.949ミリモル)とを順次注意深く加えた。次いで、反応物を室温でさらに1.5時間撹拌し、400mLの氷/水に注いだ。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 98:2)によって精製して、16.74gの黄色油を得た(収率85%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、1.64(s、6H)、4.43(q、2H)、7.26(d、1H)、7.31(d、1H)、7.54(t、2H)、7.62~7.75(m、4H)、7.88(dd、1H)、7.99(d、1H)、8.18(d、1H)。
【実施例
【0139】
下記の合成
【化15】
【0140】
工程a)下記の合成
【化16】
ジクロロメタン50mL中に硫化ジフェニル5.00g(26.843ミリモル)と塩化アセチル2.21g(28.153ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム3.94g(29.549ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、5.97gのオフホワイトの固体を得た(収率97%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):2.53(s、3H)、7.25(d、2H)、7.48(m、5H)、7.87(d、2H)。
【0141】
工程b)下記の合成
【化17】
30%w/wメタノール溶液中のナトリウムメトキシド4.73g(26.268ミリモル)を、トルエン18.4mL中に前の工程で調製した化合物5.00g(21.900ミリモル)と炭酸ジメチル19.73g(219.028ミリモル)とを含む混合物に90℃で撹拌しながら10分間かけてゆっくりと少しずつ加えた。この混合物を90℃で1時間撹拌して蒸留によりメタノールを除去した。反応終了後、混合物を放冷し、3M塩酸200mLに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、6.25gの黄色油を得た(収率100%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):3.65(s、3H)、4.15(s、2H)、7.25(d、2H)、7.51(m、5H)、7.87(d、2H)。
【0142】
工程c)下記の合成
【化18】
ピペリジン0.178g(2.090ミリモル)を、エタノール80mL中に前の工程で調製した化合物6.00g(20.953ミリモル)とサリチルアルデヒド2.56g(20.963ミリモル)とを含む混合物に添加した。混合物を還流下で1時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、6.63gの黄色固体を得た(収率88%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):7.23(d、2H)、7.42(td、1H)、7.47~7.58(m、6H)、7.73(m、1H)、7.83~7.88(m、3H)、8.40(s、1H)。
【0143】
工程d)下記の合成
【化19】
ジクロロメタン100mL中に前の工程で調製した化合物5.00g(13.951ミリモル)とクロロオキソ酢酸エチル2.48g(18.165ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム6.55g(49.123ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノール120mLに溶解し、還流下で30分間強く撹拌しながら洗浄し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、6.00gのカナリアイエローの固体を得た(収率94%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、4.41(q、2H)、7.43(td、1H)、7.48~7.60(m、5H)、7.75(m、1H)、7.88(dd、1H)、7.95~8.01(m、4H)、8.47(s、1H)。
【実施例
【0144】
下記の合成
【化20】
トルエン40mL中に実施例4の化合物5.00g(10.906ミリモル)と2-エチル-1-ヘキサノール4.26g(32.711ミリモル)とを含む温溶液にジルコニウム(IV)アセチルアセトナート0.53g(1.087ミリモル)を撹拌しながら加えた。反応混合物を110℃で2時間撹拌して蒸留によりエタノールを除去した。反応の進行をTLCで監視した。反応完了後、混合物を放冷し、酢酸エチルで希釈し、3M塩酸50mL(×2)と、水およびブラインとでそれぞれ順次洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールによる結晶化により精製し、5.09gのカナリアイエローの固体を得た(収率86%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):0.85(m、6H)、1.32(m、8H)、1.66(m、1H)、4.30(d、2H)、7.41(td、1H)、7.48~7.60(m、5H)、7.75(m、1H)、7.88(dd、1H)、7.93~8.00(m、4H)、8.47(s、1H)。
【実施例
【0145】
下記の合成
【化21】
【0146】
工程a)下記の合成
【化22】
ジクロロメタン50mL中にフルオレン5.00g(30.081ミリモル)と塩化アセチル2.48g(31.592ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム4.41g(33.073ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加の塩化アセチル0.118g(1.503ミリモル)と無水塩化アルミニウム0.240g(1.800ミリモル)とを順次注意深く加えた。次いで、反応物を室温でさらに45分間撹拌し、200mLの氷/水に注いだ。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、6.25gのオフホワイトの固体を得た(収率100%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):2.63(s、3H)、4.01(s、2H)、7.41(m、2H)、7.64(m、1H)、8.00(m、3H)、8.17(s、1H)。
【0147】
工程b)下記の合成
【化23】
30%w/wメタノール溶液中のナトリウムメトキシド5.19g(28.823ミリモル)をトルエン20.2mL中に前工程の化合物5.00g(24.008ミリモル)と炭酸ジメチル21.63g(240.120ミリモル)とを含む混合物に90℃で撹拌しながら10分間かけてゆっくりと少しずつ加えた。この混合物を90℃で1時間撹拌して蒸留によりメタノールを除去した。反応終了後、混合物を放冷し、3M塩酸200mLに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、6.27gの黄色油を得た(収率98%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):3.68(s、3H)、4.02(s、2H)、4.26(s、2H)、7.43(m、2H)、7.65(m、1H)、8.01(m、3H)、8.18(s、1H)。
【0148】
工程c)下記の合成
【化24】
ピペリジン0.192g(2.255ミリモル)を、エタノール120mL中に前工程の化合物6.00g(22.531ミリモル)とサリチルアルデヒド2.75g(22.519ミリモル)とを含む混合物に添加した。混合物を還流下で1時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、5.96gのカナリアイエローの固体を得た(収率78%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):4.02(s、2H)、7.40~7.48(m、3H)、7.51(d、1H)、7.66(m、1H)、7.75(m、1H)、7.88(dd、1H)、7.99~8.08(m、3H)、8.18(s、1H)、8.43(s、1H)。
【0149】
工程d)下記の合成
【化25】
ジクロロメタン100mL中に前の工程の化合物5.00g(14.777ミリモル)とクロロオキソ酢酸エチル2.62g(19.190ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム6.94g(52.047ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加のクロロオキソ酢酸エチル0.404g(2.959ミリモル)と無水塩化アルミニウム0.453g(3.397ミリモル)とを順次注意深く加えた。次いで、反応物を室温でさらに1時間撹拌し、200mLの氷/水に注いだ。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をトルエン70mLに溶解し、還流下で30分間強く撹拌しながら洗浄し、次いで、室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、4.66gの黄色固体を得た(収率72%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.37(t、3H)、4.15(s、2H)、4.48(q、2H)、7.45(td、1H)、7.53(d、1H)、7.75(m、1H)、7.88(dd、1H)、8.05(m、2H)、8.21~8.29(m、4H)、8.47(s、1H)。
【実施例
【0150】
下記の合成
【化26】
ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート0.501g(1.027ミリモル)を、トルエン35mL中に実施例6の化合物4.50g(10.264ミリモル)と2-エチル-1-ヘキサノール4.01g(30.792ミリモル)とを含む温溶液に撹拌しながら加えた。反応混合物を110℃で2.5時間撹拌して蒸留によりエタノールを除去した。反応の進行をTLCで監視した。反応完了後、混合物を放冷し、ジクロロメタンで希釈し、3M塩酸50mL(×2)と、水およびブラインとでそれぞれ順次洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノール100mLに溶解し、還流下で30分間強く撹拌しながら洗浄し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、4.45gの黄色固体を得た(収率83%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):0.88(m、6H)、1.33(m、8H)、1.70(m、1H)、4.15(s、2H)、4.37(d、2H)、7.45(td、1H)、7.53(d、1H)、7.75(m、1H)、7.88(dd、1H)、8.05(td、2H)、8.22~8.30(m、4H)、8.47(s、1H)。
【実施例
【0151】
下記の合成
【化27】
【0152】
工程a)下記の合成
【化28】
ジクロロメタン50mL中にジフェニルエーテル5.00g(29.375ミリモル)と塩化アセチル2.42g(30.828ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム4.31g(32.323ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、6.12gの白色固体を得た(収率98%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):2.55(s、3H)、7.05(d、2H)、7.12(d、2H)、7.25(t、1H)、7.47(t、2H)、7.99(d、2H)。
【0153】
工程b)下記の合成
【化29】
30%w/wメタノール溶液中のナトリウムメトキシド5.09g(28.267ミリモル)をトルエン19.8mL中に前工程の化合物5.00g(23.557ミリモル)と炭酸ジメチル21.22g(235.568ミリモル)とを含む混合物に90℃で撹拌しながら10分間かけてゆっくりと少しずつ加えた。この混合物を90℃で1時間撹拌して蒸留によりメタノールを除去した。反応終了後、混合物を放冷し、3M塩酸200mLに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、6.34gの黄色油を得た(収率100%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):3.66(s、3H)、4.16(s、2H)、7.05(d、2H)、7.13(d、2H)、7.28(t、1H)、7.47(t、2H)、7.99(d、2H)。
【0154】
工程c)下記の合成
【化30】
ピペリジン0.189g(2.220ミリモル)を、エタノール80mL中に前工程の化合物6.00g(22.199ミリモル)とサリチルアルデヒド2.71g(22.191ミリモル)とを含む混合物に添加した。混合物を還流下で1時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、6.74gの白色固体を得た(収率89%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):7.05(d、2H)、7.15(d、2H)、7.28(t、1H)、7.42~7.51(m、4H)、7.72(m、1H)、7.85(dd、1H)、7.99(d、2H)、8.40(s、1H)。
【0155】
工程d)下記の合成
【化31】
ジクロロメタン100mL中に前工程の化合物5.00g(14.605ミリモル)とクロロオキソ酢酸エチル2.59g(18.970ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム6.85g(51.372ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノール100mLに溶解し、還流下で30分間強く撹拌しながら洗浄し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、5.96gの白色固体を得た(収率92%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.34(t、3H)、4.42(q、2H)、7.28(m、4H)、7.44(td、1H)、7.50(d、1H)、7.75(m、1H)、7.88(dd、1H)、8.06(m、4H)、8.44(s、1H)。
【実施例
【0156】
下記の合成
【化32】
ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート0.646g(1.325ミリモル)を、トルエン46mL中に実施例8の化合物5.86g(13.245ミリモル)と2-エチル-1-ヘキサノール5.17g(39.699ミリモル)とを含む温溶液に撹拌しながら加えた。反応混合物を110℃で2時間撹拌して蒸留によりエタノールを除去した。反応の進行をTLCで監視した。反応完了後、混合物を放冷し、酢酸エチルで希釈し、3M塩酸50mL(×2)と、水およびブラインとでそれぞれ順次洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールによる結晶化により精製し、5.63gの白色固体を得た(収率81%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):0.86(m、6H)、1.33(m、8H)、1.70(m、1H)、4.30(d、2H)、7.28(m、4H)、7.44(td、1H)、7.51(d、1H)、7.75(m、1H)、7.88(dd、1H)、8.06(m、4H)、8.44(s、1H)。
【実施例
【0157】
下記の合成
【化33】
ジクロロメタン60mL中に硫化ジフェニル5.00g(26.843ミリモル)と4-フルオロベンゾイルクロリド4.47g(28.191ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム3.94g(29.549ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル5.50g(40.284ミリモル)と無水塩化アルミニウム6.26g(46.948ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、さらに無水塩化アルミニウム3.57g(26.774ミリモル)を注意深く加えた。次いで、反応物を室温でさらに30分間撹拌し、200mLの氷/水に注いだ。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノール110mLに溶解し、還流下で30分間強く撹拌しながら洗浄し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、9.80gの白色固体を得た(収率89%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、4.42(q、2H)、7.40(t、2H)、7.52(d、2H)、7.64(d、2H)、7.78(d、2H)、7.85(m、2H)、7.95(d、2H)。
【実施例
【0158】
下記の合成
【化34】
ジクロロメタン60mL中に硫化ジフェニル5.00g(26.843ミリモル)と塩化ビフェニル-4-カルボニル6.11g(28.201ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム3.94g(29.549ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加の塩化ビフェニル-4-カルボニル0.29g(1.339ミリモル)と無水塩化アルミニウム0.21g(1.575ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で30分間撹拌した後、反応物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864ミリモル)と無水塩化アルミニウム8.23g(61.722ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノール110mLに溶解し、還流下で30分間強く撹拌しながら洗浄し、次いで室温まで冷却した。反応生成物を濾過により回収し、固体をトルエンによる結晶化により精製して、8.90gの白色固体を得た(収率71%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、4.42(q、2H)、7.43~57(m、5H)、7.66(d、2H)、7.78(d、2H)、7.83~7.88(m、6H)、7.96(d、2H)。
【実施例
【0159】
下記の合成
【化35】
ジクロロメタン60mL中に硫化ジフェニル5.00g(26.843ミリモル)と塩化2,4,6-トリメチルベンゾイル5.15g(28.196ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム3.94g(29.549ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で2時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加の塩化2,4,6-トリメチルベンゾイル0.49g(2.683ミリモル)と無水塩化アルミニウム0.54g(4.050ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、追加の塩化2,4,6-トリメチルベンゾイル0.49g(2.683ミリモル)と無水塩化アルミニウム0.54g(4.050ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で2時間撹拌した後、反応物を還流するために加熱し、さらに45分間撹拌し、次いで再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864ミリモル)と無水塩化アルミニウム8.23g(61.722ミリモル)とを順次注意深く加えた。 室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 97.5:2.5)によって精製し、7.12gの黄色油を得た(収率61%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、2.00(s、6H)、2.30(s、3H)、4.40(q、2H)、6.96(s、2H)、7.51~7.58(m、4H)、7.70(d、2H)、7.96(d、2H)。
【実施例
【0160】
下記の合成
【化36】
ジクロロメタン60mL中に硫化ジフェニル5.00g(26.843ミリモル)と塩化2-ベンゾイル5.37g(28.170ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム3.94g(29.549ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864ミリモル)と無水塩化アルミニウム8.23g(61.722ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物を230mLのエタノールによる結晶化により精製し、10.25gの白色固体を得た(収率87%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、4.42(q、2H)、7.53(d、2H)、7.60~7.73(m、4H)、7.88(m、3H)、7.95(d、2H)、8.03~8.14(m、3H)、8.36(d、1H)。
【実施例
【0161】
下記の合成
【化37】
ジクロロメタン60mL中に硫化ジフェニル5.00g(26.843ミリモル)と塩化チオフェン-2-カルボニル4.13g(28.174ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、無水塩化アルミニウム3.94g(29.549ミリモル)を注意深く少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864ミリモル)と無水塩化アルミニウム8.23g(61.722ミリモル)とを順次注意深く加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応物を200mLの氷/水に注いだ。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、水とブラインとで再度洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールによる結晶化により精製し、9.14gのオフホワイトの固体を得た(収率86%)。
H-NMR(DMSO-d、δppm):1.33(t、3H)、4.26(q、2H)、7.31(m、1H)、7.51(d、2H)、7.65(d、2H)、7.78(dd、1H)、7.90(d、2H)、7.97(d、2H)、8.15(dd、1H)。
【実施例
【0162】
下記の反応生成物
【化38】
ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート0.375g(0.769ミリモル)をトルエン30mL中に実施例1の化合物3.00g(7.683ミリモル)とポリオール4640(Perstorpから購入)2.72g(ヒドロキシル価634mgKOH/g)とを含む温溶液に撹拌しながら加えた。次いで、反応混合物を105~110℃で3.5時間撹拌して蒸留によりエタノールを除去した。反応の進行をTLC(トルエン/酢酸エチル95:5)によって監視した。次いで、追加のジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.188g(0.385ミリモル)を加え、反応混合物を105~110℃でさらに2.5時間撹拌して蒸留によりエタノールを除去した。反応完了後、混合物を放冷し、2M塩酸50mLに注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、2M塩酸50mLで再度洗浄し、次に水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、4.91gの粗生成物を得て、それをさらに精製することなく次の工程で使用した。ジクロロメタン40mL中に粗生成物4.91gとトリエチルアミン3.19g(31.525ミリモル)と2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.232g(1.053ミリモル)とを含む氷冷した混合物に、ジクロロメタン10mL中に塩化アクリロイル2.48g(27.400ミリモル)を含む溶液を20分間かけてゆっくり加えた。次いで、反応混合物を室温で3時間撹拌し、1M塩酸50mL(×2)で洗浄した。 有機相を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去した。残留物を酢酸エチルに溶解し、0.25M炭酸ナトリウム水溶液50mL(×2)で洗浄し、次いでブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去し、5.85gの黄褐色油を得た(全収率88%)。
実施例15は、異なる生成物の混合物であるため、H-NMRは、7.83~8.02ppmのシグナルに2の値を与えて計算した。
H-NMR(DMSO-d、δppm):3.10~3.80(m、22.6H)、4.05~4.55(m、5.4H)、5.76~5.97(m、1.7H)、6.00~6.37(m、3.4H)、7.37~7.83(m、11H)、7.83~8.02(m、2H)。
【0163】
実施例1~14のすべての化合物を、適切なポリオールおよび(メタ)アクリロイル誘導体、好ましくは(メタ)塩化アクリロイルと反応させて、本発明の化合物を得ることができる。
【0164】
比較試験
本発明の光開始剤(PIs)を、EP2617705A1の20頁の実施例1アクリロイル化合物PI 1(COMP-1)と比較した。
【実施例
【0165】
シアンオフセットインクでのスルー硬化(through cure)
試験配合物を、表1に示す質量濃度で成分を工業用シアンオフセットインクに溶解して調製した。 試験配合物を、メカニカルスターラーを用いて50℃で1時間均質化し、IGTリプロテスター装置を使用して白いボール紙に1.5ミクロンの厚さで塗布した。
表1

配合物は以下を使用して硬化された。
a)8cm の距離にある水銀灯
b)0.5cmの距離にあるLED395nmランプ
c)0.5cmの距離にあるLED365nmランプ
スルー硬化試験は、規定の速度で得られる完全なインク硬化の測定値であり、「親指ひねり圧力試験(thumb twist pressure test)」によってチェックされる。より高速であることは、反応性がより高いことに相当する。
結果を表2に示す。
表2

表2において反応性がないことが示されている場合、それは、可能な限り低い速度ベルト(10m/分)ではスルー硬化が達成されないことを意味する。
これらの試験により、式(I)の化合物が従来技術の光開始剤よりも有効であることが確認された。 新しい化合物の反応性はあらゆる条件で大幅に高く、従来技術の化合物において反応性がないか反応性が低かったLEDランプで最良の結果を達成した。
【実施例
【0166】
透明配合物におけるタックフリー
試験用の光重合性組成物は、Photomer 6577(芳香族ウレタンアクリレート10F)50%、Photomer 4335(PETIA)15%、Photomer 4666(DPHA)15%、Photomer 4172(PPTTA)20% の溶液に、表3に示す質量濃度で成分を溶解することによって調製した。
バーコーターを使用して、ニスを塗ったボール紙上に光重合性組成物を12ミクロンの厚さに塗布した。以下を使用して光重合させた。
a)8cm の距離にある水銀灯
b)0.5cmの距離にあるLED395nmランプ
c)0.5cmの距離にあるLED365nmランプ
結果をタックフリーが達成される最大速度としてm/分で表示した(表4)。
表3
表4
表4において反応性がないことが示されている場合、それは、可能な限り低い速度ベルト(10m/分)ではスルー硬化が達成されないことを意味する。
新しい化合物の反応性はあらゆる条件で大幅に高く、従来技術の化合物において反応性がないか反応性が低かったLEDランプで最良の結果を達成した。
これらすべての試験は、式(I)の化合物が、従来技術のランプのすべてのランプの下で、すべての条件でより反応性であることを確認した。
【国際調査報告】