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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】新規の光開始剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 321/30 20060101AFI20241003BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20241003BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20241003BHJP
   C07D 311/82 20060101ALI20241003BHJP
   C07D 311/12 20060101ALI20241003BHJP
   C07D 333/22 20060101ALI20241003BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20241003BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20241003BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241003BHJP
【FI】
C07C321/30 CSP
C08F2/50
C07C69/738 Z
C07D311/82
C07D311/12
C07D333/22
B33Y80/00
B29C64/106
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520896
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022071953
(87)【国際公開番号】W WO2022238591
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】102021000025868
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516358093
【氏名又は名称】アイジーエム レシンス イタリア ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリカ モローネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンチェンツォ ラッツァーノ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジャン イヴ マリー ヴァン デン ブランデン
【テーマコード(参考)】
4F213
4H006
4J011
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AB04
4F213AB14
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL25
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB40
4H006BJ50
4H006BP60
4H006BR30
4H006KC14
4H006TA04
4H006TB14
4J011SA26
4J011SA29
4J011SA62
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA05
(57)【要約】
本発明は、改善された性能を有する新規の光開始剤及び光重合性組成物における使用に関する。本発明は、前記光開始剤を含んでなる組成物の光重合法とともに、印刷、被覆、及び組み立てられたアセンブリを含む製品の製造におけるその使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物。
【化1】
(I)
[式中、
R1は、アリール及びヘテロアリールから選ばれ(各々、任意に、ハロゲン、置換又は未置換のC1-C20アルキル、置換又は未置換のC1-C20アルコキシ、置換又は未置換のC1-C20アルキルチオ、置換又は未置換の(C1-C12アルキル)2アミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ、及びN(C1-C12アルキル)ピペラジノから選ばれる1以上の置換基によって置換される);
nは2~8であり;
R2は、1以上の酸素によって中断されたC1-C50アルキル;及び式(II)
*-G-[OH]p
(ここで、Gは、任意に、エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたモノマー性、オリゴマー性又はポリマー性ポリオールG-(OH)n+p(ここで、n+pは2~8である)の残基であり;pは0~7であり;星印は式(I)の化合物への結合を示す)の基から選ばれ(ただし、R2が1以上の酸素によって中断されたC1-C50アルキルである場合、nは1である);
Zは、下記(i)、(ii)及び(iii)
【化2】
(i)
【化3】
(ii)
【化4】
(iii)
(ここで、XはO、S及びC(R3)(R4)から選ばれ;YはO、S、C(R3)(R4)及びNR5から選ばれ;R3及びR4は、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、OH及びC1-C10 アルコキシから選ばれ;R5はH及びC1-C8アルキルから選ばれ;及び波線は式(I)のケト基への結合を示す)から選ばれ;
ただし、Zが(iii)であり及びXがC(R3)(R4)である場合、R1は任意に置換されたクマリン及びベンゾクマリンから選ばれるヘテロアリールである。]
【請求項2】
G-(OH)n+pが、モノマー性ポリオール、オリゴマー性ポリオール、及びその混合物(任意にエトキシ化又はプロポキシ化される)から選ばれるものであることを特徴とする請求項1の化合物。
【請求項3】
G-(OH)n+pが、数平均分子量1,500 Da以下、より好ましくは1,000 Da以下、最も好ましくは800 Da以下、及び100 Da以上、好ましくは200 Da以上を有することを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
n+pが2~8、より好ましくは3~6であり;nが2~6、より好ましくは2~4であり;及びpは0~6、より好ましくは0~3であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Zが(i)であり、XがS又はO、好ましくはSであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R1が、フェニル、トリメチルフェニル、ハロフェニル、好ましくはフルオロフェニル、ビフェニル、クマリン-3-イル、ナフチル、及びチオフェニルから選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
【化5】

【化6】
の反応生成物、及び
【化7】

【化8】
の反応生成物(ここで、a、b、c及びd及びa”、b”、c”、及びd”は、それぞれ独立して0~15、好ましくは1~8である)から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
【化9】
及び
【化10】

(ここで、a、b、c及びd及びa”、b”、c”、及びd”は、それぞれ独立して0~15、好ましくは1~8である)から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
a)少なくとも1のエチレン系不飽和化合物50~99.9質量%、好ましくは70~98.9質量%(組成物の総質量基準);
b)少なくとも1の請求項1~8のいずれかに記載の式(I)の化合物0.1~35質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.2~15質量%(組成物の総質量基準);及び
c)促進剤及び/又は共開始剤0~20質量%、好ましくは0~15質量%、より好ましくは0.2~15質量%(組成物の総質量基準)
を含んでなる光重合性組成物。
【請求項10】
さらに、下記成分:
d)1以上の光増感剤0.01~15質量%(組成物の総含量基準);及び/又は
e)1以上の更なる光開始剤0.5~15質量%(組成物の総含量基準)
の1以上を含んでなる請求項9に記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
促進剤及び/又は共開始剤がアミン、好ましくは三級アミンであることを特徴とする請求項9に記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
光重合性組成物、コーティング、接着剤及びインクを光硬化する方法であって、前記方法は、
(i)請求項9に記載の光重合性組成物を提供すること;
(ii)前記光重合性組成物を基材上に被覆又は印刷すること;及び
(iii)被覆又は印刷した前記組成物を基材上で光源にて光硬化すること
を含んでなる方法。
【請求項13】
請求項9に記載の光重合性組成物を提供すること及び前記組成物を光源にて光硬化することを含んでなる三次元印刷する方法。
【請求項14】
光源が、UVA、UVB、及びUVC範囲の少なくとも1におけるUV光を含んでなることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
光源が350~420 nmの範囲で発光するLED源であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
さらに、光重合する前に、光重合性組成物を基材に塗布する工程を含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法に従って得られた製品。
【請求項18】
請求項9に記載の組成物を三次元印刷することによって得られた製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された反応性及び表面硬化性及び/又は低い硬化後黄変性を有する新規の光開始剤及び光重合組成物における使用に関する。本発明は、前記光開始剤を含んでなる組成物の光重合法とともに、印刷、被覆、及び組み立てられたアセンブリを含む製品におけるその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新規の光開始剤(PIs)の設計及び開発は、毒又は生殖毒として禁止された又は禁止される予定の光開始剤の多量使用のため注目を集めていた。
【0003】
標準の光開始剤を模倣するか、又は黄変、高速ライン速度、LEDランプ下での硬化等の課題を克服できる新規の光開始剤を提供するため各種の試みがなされており、いくつかの例は、グリオキシレート3-ケトクマリン(WO2021/070152))、ベンゾイルフェニルテルライドPIs(Macromolecules, 2014, 47(16), 5526-5531)、ケイ素系PIs(特開2010-229169;Macromolecules, 2009, 42(16), 6031-6037;Macromolecules 2007, 40(24), 8527-8530;Macromol. Rapid Commun. 2017, 38, 1600470;Macromolecules, 2017, 50(17), 6911-6923)、フッ素系PIs(US2019/0155153)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念なことには、標準的適用で使用される際には、これらの光開始剤も、低い表面硬化性及び最も重要なことには硬化後黄変等のいくつかの制限を示し、これらの制限は、透明なニスを含む光重合性系における使用には、前記PIを不適切なものとする。
そのため、これら生成物の良好な反応性に影響を及ぼすことなく、PIsの表面硬化性を改善し及び/又は硬化後黄変を制限できる新規の技術解決法の要求がある。
【0005】
本発明の第1の目的は、新規のPIs、光開始剤としてのそれらの使用、及びそれらを含んでなる光硬化性組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、本発明の新規のPIsを含んでなる光硬化性組成物を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、本発明の新規のPIsを使用するエチレン系不飽和化合物を光硬化する方法とともに、前記方法で製造された製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことには、発明者らは、特定の二官能性光開始剤は、従来技術と比べて技術的進歩を表す、低い硬化後黄変を維持しつつ、UVA、UVB及びUVC波長領域と良好に反応するとともに、さらに好ましくは350~420 nmの領域で発光するLED源とも反応するとの知見を得た。
【0009】
実際、LEDランプ下での増大された性能は、常に、高い硬化後黄変に関連している。
【0010】
その態様の1つによれば、本発明は式(I)の化合物に係る。
式(I)
【化1】
[式中、
R1は、アリール及びヘテロアリールから選ばれ(各々、任意に、ハロゲン、置換又は未置換のC1-C20アルキル、置換又は未置換のC1-C20アルコキシ、置換又は未置換のC1-C20アルキルチオ、置換又は未置換の(C1-C12アルキル)2アミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ、及びN(C1-C12アルキル)ピペラジノから選ばれる1以上の置換基によって置換される);
nは2~8であり;
R2は、式(II)
*-G-[OH]p
(ここで、Gは、任意に、エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたモノマー性、オリゴマー性又はポリマー性のポリオールG-(OH)n+p(ここで、n+pは2~8である)の残基であり;pは0~7であり;星印は式(I)の化合物への結合を示す)の基であり;
Zは、下記(i)、(ii)及び(iii)
【化2】
(i)
【化3】
(ii)
【化4】
(iii)
(ここで、XはO、S及びC(R3)(R4)から選ばれ;YはO、S、C(R3)(R4)及びNR5から選ばれ;R3及びR4は、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、OH及びC1-C10アルコキシから選ばれ;R5はH及びC1-C8アルキルから選ばれ;及び波線は式(I)のケト基への結合を示す)から選ばれ;
ただし、Zが(iii)であり及びXがC(R4)(R5)である場合、R1は、任意に置換されたクマリン又はベンゾクマリンから選ばれるヘテロアリールである。]
【0011】
本発明によれば、G-(OH)n+pは、モノマー性、オリゴマー性、ポリマー性ポリオール及びその混合物(任意にエトキシ化又はプロポキシ化されてもよい)から選ばれる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、G-(OH)n+pは、モノマー性、オリゴマー性、ポリマー性のポリオール及びその混合物(任意にエトキシ化又はプロポキシ化される)から選ばれる。
【0013】
好適なモノマー性及びオリゴマー性のポリオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、トリエタノールアミン、トリメチロールプロパン、ジ-トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジ-ペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール及びキシリトール)、その混合物である。
【0014】
ポリマー性ポリオールの例は、ポリヒドロキシルポリエーテル(脂肪族又は芳香族の両方でもよい)、ポリヒドロキシポリエステル、ポリヒドロキシポリアミド、ポリヒドロキシポリイミド、ポリヒドロキシポリカーボネート、スチレン-アリルアルコールコポリマーである。
【0015】
アルコキシル化ポリオールが本発明の実施に特に好ましい。このようなアルコキシル化ポリオールの例は、上述のモノマー性、オリゴマー性及びポリマー性ポリオールであり、アルコキシル化、例えば、エトキシ化及び/又はプロポキシ化及び/又はブトキシ化されている。他の好適な例は、直鎖状又は分枝状ポリアミド(アルコキシル化されている)、ポリアルコキシル化ジアミン、例えば、エトキシ化エチレンジアミン及びエトキシ化1,3-プロピレンジアミンである。本発明のアルコキシル化化合物では、アルキレンオキシドに対して反応性である各基は、0~15個のアルコキシ単位、好ましくは1~6個のアルコキシ単位を有することができる。
【0016】
好ましい具体例では、G-(OH)n+pはモノマー性及びオリゴマー性のポリオールから選ばれる。
【0017】
他の好ましい具体例では、G-(OH)n+pはエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたモノマー性及びオリゴマー性ポリオールから選ばれる。
【0018】
好ましくは、G-(OH)n+pは、数平均分子量:
1,500 Da以下、さらに好ましくは1,000 Da以下、最も好ましくは800 Da以下;及び
100 Da以上、好ましくは200 Da以上
を有する。
【0019】
好ましくは、G-(OH)n+pは、グリセロール、エトキシ化及び/又はプロポキシ化グリセロール、ジ-グリセロール、エトキシ化及び/又はプロポキシ化ジ-グリセロール、トリメチロールプロパン、エトキシ化及び/又はプロポキシ化トリメチロールプロパン、ジ-トリメチロールプロパン、エトキシ化及び/又はプロポキシ化ジ-トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エトキシ化及び/又はプロポキシ化ペンタエリスリトール、ジ-ペンタエリスリトール、エトキシ化及び/又はプロポキシ化ジ-ペンタエリスリトール、ソルビトール、エトキシ化及び/又はプロポキシ化ソルビトール、トリエタノールアミン、及びエトキシ化及び/又はプロポキシ化トリエタノールアミンから選ばれる。
【0020】
好ましくは、n+pは2~8、さらに好ましくは3~6から選ばれ、例えば3、4、5又は6である。
【0021】
好ましくは、nは2~6、さらに好ましくは2~4であり、例えば2、3又は4である。
【0022】
好ましくは、pは0~6、さらに好ましくは0~3であり、例えば0、1、2又は3である。
【0023】
pが0ではない場合、式(I)の化合物は遊離のアルコール基を有する。
【0024】
R1が1以上の置換基で置換されたアリール又はヘテロアリールである場合、前記置換基は同一又は異なっていてもよい。好ましくは、R1はアリール、さらに好ましくは未置換又はC1-C20アルキルによって置換されたフェニルである。
【0025】
好ましくは、R1は、フェニル、トリメチルフェニル、ハロフェニル、好ましくはフルオロフェニル、ビフェニル、クマリン-3-イル及びチオフェニルから選ばれる。
【0026】
1具体例によれば、R1は未置換のクマリン又はベンゾクマリンである。
【0027】
式(I)の化合物の混合物、例えば、R2が式(II)の基である場合、式(I)(ここで、pは0である)の化合物と式(I)(ここで、pは0以外である)の化合物との混合物(これに限定されない)も本発明の範囲に含まれる。
【0028】
好ましい具体例によれば、Zは(i)であり、XはS又はO、好ましくはSである。
【0029】
XがSである場合、イオウのスルホン又はスルホキシドへの酸化型も本発明の保護の範囲内に包含される。
【0030】
本発明の好ましい具体例によれば、
nは2~6、より好ましくは2~4であり、例えば、2、3又は4であり;
R2は式(II)に基であり;
pは0~6、より好ましくは0~3であり、例えば、0、1、2又は3であり;
n+pは2~8、より好ましくは3~6であり、例えば、3、4、5又は6である。
【0031】
好ましい具体例(1)によれば、XはS又はO、好ましくはSである。
【0032】
好ましい具体例(1)によれば、R1はアリール、より好ましくは未置換又はC1-C20アルキルによって置換されたフェニルである。
【0033】
具体例(ここでは具体例(1)と称する)によれば、Zは(i)であり、R2は式(II)の基であり、他の変数は上記の定義のとおりである。
【0034】
好ましい具体例(1)によれば、XはS又はO、好ましくはSである。
【0035】
好ましい具体例(1)によれば、G-(OH)n+pはエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたモノマー性又はオリゴマー性ポリオールである。
【0036】
他の好ましい具体例(1)によれば、nは2~5、より好ましくは2~4、例えば、2、3又は4であり;R2は式(II)の基であり;pは0~3、より好ましくは0~2、例えば、0、1又は2であり;及びn+pは2~6、より好ましくは3~5、例えば、3、4又は5である。
【0037】
好ましい具体例(1)によれば、R1はアリール、より好ましくは未置換又はC1-C20アルキルによって置換されたフェニルである。
【0038】
好ましい具体例(2)によれば、Zは(ii)であり、XはOであり、及びYはC(R4)(R5)(ここで、R4及びR5はC1-C12アルキルである)であり、R1はアリール、より好ましくは未置換又はC1-C20アルキルによって置換されたフェニルであり、及びG-(OH)n+pはエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたモノマー性又はオリゴマー性ポリオールである。
【0039】
他の好ましい具体例(2)によれば、nは2~5、より好ましくは2~4、例えば、2、3又は4であり;R2は式(II)の基であり;pは0~3、より好ましくは0~2、例えば、0、1又は2であり;及びn+pは2~6、より好ましくは3~5、例えば、3、4又は5である。
【0040】
具体例(ここでは具体例(3)と称する)によれば、Zは(iii)であり、R2は式(II)の基であり、他の変数は上記の定義のとおりである。
【0041】
好ましい具体例(3)によれば、XはO又はSである。
【0042】
好ましい具体例(3)によれば、G-(OH)n+pはエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたモノマー性又はオリゴマー性ポリオールである。
【0043】
他の好ましい具体例(3)によれば、nは2~5、より好ましくは2~4、例えば2、3又は4であり;R2は式(II)の基であり;pは0~3、より好ましくは0~2、例えば0、1又は2であり;及びn+pは2~6、より好ましくは3~5、例えば3、4又は5である。
【0044】
好ましい具体例(3)によれば、R1はアリール、より好ましくは未置換又はC1-C20アルキルによって置換されたフェニルである。
【0045】
可能であれば、各具体例(1)~(3)において、すべての好ましい具体例が結合されてもよい。
【0046】
本明細書において、用語「アルキル」又は「アルキル基」は、別に指示しない限り、所定の数の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の飽和アルキル鎖を意味し、アルキル基における各炭素原子数について可能な異性体を含み、すなわち、炭素原子3個については、n-プロピル及びイソプロピル;炭素原子4個については、n-ブチル、イソブチル、及び三級ブチル;炭素原子5個については、n-ペンチル、1,1-ジメチル-プロピル、2,2-ジメチルプロピル及び2-メチル-ブチル等である。
【0047】
「アルケニル」又は「アルケニル基」は、炭素原子2~12個、好ましくは炭素原子C3~C12を含有する不飽和基を意味し、例えば、アリル、メタリル、又はウンデセニルである。
【0048】
用語「シクロアルキル」又は「シクロアルキル基」は、別に指示しない限り、好ましくは炭素原子5又は6個を含有する脂肪族環、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0049】
用語「アリール」又は「アリール基」は、置換又は未置換のフェニル基、置換又は未置換のナフチル基、アントラセニル基、インデニル基、フルオレニル基、gem-ジアルキルフルオレニル基、フェナントラセニル(phenanthracenyl)基を含み(これらに限定されない)、好ましくは置換又は未置換のフェニル基、置換又は未置換のナフチル基、又は置換又は未置換のフェナントラセニル基、より好ましくフェニル基である。
【0050】
用語「ヘテロアリール」又は「ヘテロアリール基」は、フラン、チオフェン、ピロール、N-置換ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラン、ピリジン、ピロリジン、インドール、N-置換インドール、ジベンゾフラン、ベンゾカルバゾール、キノリン、イソキノリン、クマリン等を含むが、これらに限定されない。好ましくは、ヘテロアリールは、置換又は未置換のフラン、チオフェン、ピロール、クマリン及びベンゾクマリンであり、それぞれ置換又は未置換であり、好ましくは置換又は未置換のクマリンである。
【0051】
クマリンは下記の式
【化5】
を有し、星印で示されるように、3位においては分子の残余に結合される。
【0052】
ベンゾクマリンは式
【化6】

【化7】
、又は
【化8】
を有し、星印で示されるように、3位においては分子の残余に結合される。
【0053】
基が置換されていると定義される場合、他に特に定義しない限り、用語「置換された」は、本明細書では、前記基が1以上の置換基を有していることを意味し、前記置換基は、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル、アリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ又はアリールチオ、複素環及びホスホラス又はケイ素含有基から選ばれる。より好ましくは、用語「置換基」は、本明細書では、メチル、エチル、イソプロピル、三級ブチル、フェニル、トリフルオロメチル、シアノ、アセチル、エトキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシレート、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、イソプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、アセチルアミノ、ピペリジノ、ピロリジル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、フェノキシ、ヒドロキシル、アセトキシ、-PO3H、メチルチオ、エチルチオ、i-プロピルチオ、n-プロピルチオ、フェニルチオ、メルカプト、アセチルチオ、チオシアノ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ジメチルスルホニル、スルホネート基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリメチルシリル、ペンタメチルジシリル、トリエチルシリル、トリメチルスタニル、フリル、チエニル、ピリジル、及びモルホリノから選ばれる1以上の置換基を示す。
【0054】
本発明の化合物はいずれかの好適な方法に従って調製される。例えば、下記のスキーム1に従って、ダブルフリーデル-クラフツアシル化及び任意のエステル交換反応によって調製される。
【0055】
【化9】
【0056】
他の態様によれば、本発明は、上記スキーム1に従い、Z基(i)、(ii)又は(iii)におけるフリーデル-クラフツアシル化及び任意にエステル交換反応を行うことを含んでなる式(I)の化合物の製法に係る。
【0057】
当業者であれば、既知の方法に従ってスキーム1の化学反応を完全に実施できるであろう。
【0058】
本発明の製法の詳細については、本明細書の実験の部に報告する。
【0059】
本発明による好ましいPIsは下記のとおりである:
【化10】
【0060】
本明細書において、文字「a」、「a’」、「a”」及びその後の文字はエトキシ単位の数を表し、それぞれ独立して0~15、さらに好ましくは1~8である。
【0061】
他の態様によれば、本発明は、
a)少なくとも1のエチレン系不飽和化合物50~99.9質量%(組成物の総質量基準)、好ましくは70~98.9質量%;
b)少なくとも1の上記式(I)の化合物0.1~35質量%(組成物の総質量基準)、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.2~15質量%;及び
c)促進剤及び/又は共開始剤0~20質量%(組成物の総質量基準)、好ましくは0~15質量%、より好ましくは0.2~15質量%
を含んでなる光重合性組成物に係る。
【0062】
本発明によれば、用語「光硬化性」及び「光重合性」及び関連する用語は同意語である。
【0063】
表現「組成物の総含量基準」は、各成分の量(%質量)が、組成物(上記の成分a)、b)、及びc)に加えて更なる追加の成分を含む)の全成分の総質量に対して計算されることを意味するが、組成物中に存在できる水及び/又は溶媒は前記量(%質量)の計算には考慮されない。
【0064】
他の態様によれば、本発明は、光重合性組成物、コーティング、接着剤及びインクを光硬化する方法に係り、該方法は、
i. 上記組成物を提供すること;
ii. 前記光重合性組成物を基材上に被覆又は印刷すること;及び
iii. 被覆又は印刷した前記組成物を基材上で光源にて光硬化すること
を含んでなる。
【0065】
他の態様によれば、本発明は、上記組成物を含んでなる混合物を光源にて光硬化することを含んでなる三次元印刷法に係る。
【0066】
他の態様によれば、本発明は、本発明の方法によって得られた製品に係る。
【0067】
本発明の光硬化性組成物は、成分a)、b)及びc)(存在する場合)に加えて、次の成分:d)光増感剤及び/又はe)更なる光開始剤及び/又はf)通常の添加剤の1以上を含んでなることもできる。
【0068】
好ましい具体例よれば、本発明の方法で使用される光重合性組成物、少なくとも成分a)、b)及びc)、より好ましくは成分a)、b)、c)及び上記のd)を含んでなる。
【0069】
本発明の光開始剤は、エチレン系不飽和化合物a)を含んでなる光硬化性組成物において使用される。前記不飽和化合物a)は1以上のオレフィン系二重結合を含有できる。それらは低分子量(モノマー性)化合物又は高分子量(オリゴマー性)化合物である。
【0070】
二重結合1個を有する好適な低分子量モノマー(モノマー性化合物)の例は、アルキル又はヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレート、例えば、メチル-、エチル-、ブチル-、2-エチルヘキシル-、2-ヒドロキシエチル-、又はイソボルニル-アクリレート;及びメチル又はエチルメタクリレートである。更なる例は、ケイ素又はフッ素にて変性した樹脂、例えば、シリコーンアクリレートである。これらのモノマーの更なる例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、アルキルスチレン、及びハロゲノスチレン、ビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルエーテル、例えば、iso-ブチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、又は塩化ビニリデンである。
【0071】
二重結合2個以上を有するモノマーの例は、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4'-ビス-(2-アクリロイルオキシエトキシ)-ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、又はトリス-(2-アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。
【0072】
高分子量(オリゴマー性)の多不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化又はビニル-エーテル-又はエポキシ基-含有ポリエステル、アクリル化ポリウレタン、又はアクリル化ポリエーテルである。不飽和オリゴマーの更なる例は、通常、マレイン酸、フタル酸及び1以上のジオールから調製され、約500~3000 Daの分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂である。このような不飽和オリゴマーはプレポリマーとも称される。
【0073】
本発明の実施に特に好適な化合物a)の例は、エチレン系不飽和カルボン酸及びポリオール又はポリエポキシドのエステル、及び鎖又は側鎖にエチレン系不飽和基を含有するポリマー、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタン及びそのコポリマー、アルキル樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖に(メタ)アクリル基を有するポリマー及びコポリマー、及びその混合物である。
【0074】
上記エステルの調製に有用な不飽和カルボン酸及び酸無水物の実例は、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、及び不飽和脂肪酸、例えば、リノレン酸、及びオレイン酸である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0075】
エステル化されるポリオールの例は、芳香族及び脂肪族及び脂環式ポリオール、好ましくは脂肪族及び脂環式ポリオールである。
【0076】
芳香族ポリオールは、例えば、ノボラック及びレゾールとともに、ヒドロキノン、4,4'-ジヒドロキシフェニル、2,2-ジ(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである。エステル化されるポリエポキシドとしては、前記ポリオールに基づくものであり、特に、芳香族ポリオールとエピクロロヒドリンとの間の反応生成物が含まれる。重合鎖又は側鎖にヒドロキシル基を含有するポリマー及びコポリマー、例えば、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー又はポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル又はそのコポリマーも、ポリオールとして好適である。さらに好適なポリオールはヒドロキシ末端基を有するオリゴエステルである。
【0077】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例としては、好ましくは炭素原子2~12個を含有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2-又は1,3-プロパンジオール、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200~1500 Daの分子量を有するポリエチレングリコール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β-ヒドロキシ-エチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びソルビトールが含まれる。
【0078】
さらに、好適なエチレン系不飽和化合物a)は、不飽和カルボン酸及び好ましくはアミノ基2~6個、好ましくは2~4個を有する及び芳香族、脂肪族、及び脂環式ポリアミンから得られる不飽和ポリアミドである。このようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2-又は1,3-プロピレンジアミン、1,2-、1,3-又は1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンチレンジアミン、1,6-へキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ-(β-アミノエチル)エーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン及びジ(β-アミノエトキシ)-及びジ(β-アミノプロポキシ)エタンである。他の好適なポリアミンは、側鎖に追加のアミノ基を含有できるポリマー及びコポリマー及びアミノ末端基を含有するオリゴアミドである。
【0079】
このような不飽和ポリアミドの具体的な例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6-ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、及びN-[(β-ヒドロキシエトキシ)エチル]-アクリルアミドである。
【0080】
不飽和ポリウレタン、例えば飽和又は不飽和のジイソシアネート及び不飽和又は飽和のジオールに由来するものも、成分a)として本発明の実施には好適である。ポリブタジエン及びポリイソプレン及びそのコポリマーも使用される。
【0081】
好適はモノマーには、例えば、エチレン、プロペン、ブテン及びヘキセンのようなオレフィン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン、及び塩化ビニルが含まれる。
【0082】
側鎖に不飽和(メタ)アクリレート基を有するポリマーも成分a)として使用される。それらは、代表的には、ノボラック系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物;(メタ)アクリル酸によりエステル化されたビニルアルコール又はそのヒドロキシアルキル誘導体のホモ-又はコポリマー;及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートによりエステル化された(メタ)アクリレートのホモ-及びコポリマーである。
【0083】
好ましい具体例によれば、光硬化性組成物は、さらに、促進剤とも称される共開始剤c)を含んでなる。
【0084】
促進剤/共開始剤c)の好適な例は、アルコール、チオール、チオエーテル、アミン又はヘテロ原子に隣接する炭素に結合した有効水素を有するエーテル、ジスルフィド及びホスフィンである(例えばEP 438123及びGB 2180358に記載されている)。
【0085】
アミン促進剤/共開始剤の好適な例としては、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール-脂肪族、複素環、オリゴマー性又はポリマー性のアミンが含まれるが、これらに限定されない。これらは、一級、二級、又は三級アミン、例えば、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルジメチルアミン、ジ-シクロヘキシルアミン、N-フェニルグリシン、トリエチルアミン、フェニル-ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、キノリン、ジメチルアミノ安息香酸のエステル、ミヒラーケトン(4,4'-ビス-ジメチルアミノベンゾフェノン)及びその誘導体である。
【0086】
好ましくは、アミン促進剤/共開始剤はアミン、好ましくは三級アミンである。
【0087】
アミン促進剤/共開始剤として、アミン修飾アクリレート化合物が使用され、このようなアミン修飾アクリレートの例としては、一級又は二級アミンとの反応によって修飾されたアクリレート(US 3844916、EP 280222、US 5482649、又はUS 5734002に記載)が含まれる。
【0088】
多官能性アミン及びポリマー性アミン誘導体も共開始剤として好適であり、いくつかの例は、Omnipol(登録商標)ASA(IGM Resins B.V.)、Genopol(登録商標)AB-2(Rahn A.G.)、Speedcure(登録商標)7040(Lambson Limited)、又はUS 2013/0012611に記載のものである。
【0089】
本発明の光硬化性組成物は、さらに水及び/又は溶媒、例えば有機溶媒を含んでなる組成物としても処方される。
【0090】
光増感剤d)は、組成物の総含量基準で、0.01~15質量%、好ましくは0.01~10質量%の量で存在できる。
【0091】
光増感剤の例は、当分野において一般的に使用されるもの、芳香族カルボニル化合物、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノン、クマリン、及び3-アシルクマリン誘導体、テルフェニル、スチリルケトン、及び3-(アロイルメチレン)-チアゾリン、カンファーキノン及びエオジン、ローダミン、エリスロシン染料である。
【0092】
チオキサントンの例は、チオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-メトキシカルボニルチオキサントン、2-エトキシカルボニルチオキサントン、3-(2-メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4-ブトキシカルボニルチオキサントン、3-ブトキシカルボニル-7-メチルチオキサントン、1-シアノ-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-エトキシチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-アミノチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-フェニルスルフリルチオキサントン、3,4-ジ[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-(1-メチル-1-モルホリノエチル)チオキサントン、2-メチル-6-ジメトキシメチルチオキサントン、2-メチル-6-(1,1-ジメトキシベンジル)チオキサントン、2-モルホリノメチルチオキサントン、2-メチル-6-モルホリノメチルチオキサントン、N-アリルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-オクチルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-チオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、1-フェノキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-1-2-メトキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メチルチオキサントン、チオキサントン-2-ポリエチレングリコールエステル、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパナミニウムクロリド、又はPCT/EP2011/069514に記載のもの、例えば、n-ドデシル-7-メチル-チオキサントン-3-カルボキシレート、及びN,N-ジイソブチル-7-メチル-チオキサントン-3-カルバミドである。ポリマー性チオキサントン誘導体(例えば、Omnipol(登録商標)TX(IGM Resins B.V.)、Genopol(登録商標)TX-1(Rahn A.G.)、Speedcure(登録商標)7010(Lambson Limited))も好適である。
【0093】
ベンゾフェノンの例は、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-メトキシベンゾフェノン、4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、4,4'-ジメチルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-(4-メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、メチル2-ベンゾイルベンゾアート、4-(2-ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4-(4-トリルチオ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N,N-トリメチルベンゼンメタナミニウムクロリド、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパナミニウムクロリド・一水和物、4-(13-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニル)オキシルエチル-ベンゼンメタナミニウムクロリド、又はUS 9938231に記載されたもの(例えば、Omnirad(登録商標)991(IGM Resins B.V.))である。
【0094】
ポリマー性ベンゾフェノン誘導体(例えば、Omnipol(登録商標)BP、Omnipol(登録商標)2702及びOmnipol(登録商標)682(いずれもIGM Resins B.V.)、Genopol(登録商標)BP-2(Rahn A.G.)、及びSpeedcure(登録商標)7005(Lambson Limited))も好適である。
【0095】
3-アシルクマリン誘導体の例は、3-ベンゾイルクマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジ(プロポキシ)クマリン、3-ベンゾイル-6,8-ジクロロクマリン、3-ベンゾイル-6-クロロクマリン、3,3'-カルボニル-ビス[5,7-ジ(プロポキシ)クマリン]、3,3'-カルボニル-ビス(7-メトキシクマリン)、3,3'-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-イソブチロイルクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジメトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジエトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジブトキシクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジ(アリルオキシ)クマリン、3-ベンゾイル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンゾイル-7-ジエチルアミノクマリン、3-イソブチロイル-1,7-ジメチルアミノクマリン、5,7-ジメトキシ-3-(1-ベンゾイル)クマリン、5,7-ジメトキシ-3(1-ベンゾイル)クマリン、3-ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、7-ジエチルアミノ-3-チエノイルクマリン、3-(4-シアノベンゾイル)-5,7-ジメトキシクマリン、又はEP 2909243及びWO 2017/216699に記載されたものである。
【0096】
3-(アロイルメチレン)チアゾリジンの例は、3-メチル-1,2-ベンゾイルメチレン-β-ベンゾチアゾリン、3-メチル-2-ベンゾイルメチレン-ベンゾチアゾリン、3-エチル-2-プロピオニルメチレン-β-ベンゾチアゾリンである。
【0097】
他の芳香族カルボニル化合物の例は、アセトフェノン、3-メトキシアセトフェノン、4-フェニルアセトフェノン、ベンジル(例えば、WO 2013/164394に記載のもの)、2-アセチルナフタレン、2-ナフトアルデヒド、9,10-アントラキノン、9-フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α-(p-ジメチルアミノベンジリデン)、ケトン、例えば、2-(4-ジメチルアミノ-ベンジリデン)-インダン-1-オン、又は3-(4-ジメチルアミノフェニル)-1-インダン-5-イル-プロぺノン、3-フェニルチオフタルイミド、N-メチル-3,5-ジ(エチルチオ)フタルイミドである。
【0098】
チオキサントン、クマリン、及び3-アシルクマリンが特に好ましい。
【0099】
上記成分d)は、組成物の棚寿命を短くすることなく、光開始剤b)の活性を増大させることが観察された。さらに、このような組成物は、光増感剤d)を適切に選択することにより、光開始剤b)の分光感度を各種の所望の波長領域にシフトさせることができるとの格別の利点を有する。当業者であれば、光開始剤b)を各種の所望の波長領域で機能させるように好適な光増感剤d)を選択することができる。
【0100】
可能な更なる光開始剤e)は、組成物の総含量基準で、組成物の0.5~15質量%、好ましくは1~10質量%の量で存在できる。
【0101】
好適な他の光開始剤e)の例は、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、ジアルコキシアセトフェノン、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、4-アロイル-1,3-ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル、及びベンジルケタール、例えば、ベンジルジメチルケタール、ケトスルホン、例えば、1-[4-[(4-ベンゾイル-フェニル)-チオ]-フェニル]-2-メチル-2-[(4-メチル-フェニル)-スルホニル]-プロパン-1-オン(Esacure(登録商標)1001(IGM Resins B.V.)、3-ケトクマリン、例えば、EP 2909243及びWO 2017/216699に記載のもの、フェニルグリオキシレート及びその誘導体、二量体フェニルグリオキシレート、ペルエステル、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル、例えば、EP 126541に記載のもの、アシルホスフィン光開始剤(モノ-アシルホスフィンオキシド、ビス-アシルホスフィンオキシド、トリス-アシルホスフィンオキシド、及び多官能性モノ-又はビス-アシルホスフィンオキシドから選ばれる)、ハロメチルトリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えば、o-クロロヘキサフェニルビスイミダゾールと、2-メルカプトベンゾチアゾールとの組み合わせ、フェロセニウム化合物又はチタノセン、例えば、ジシクロペンタジエニル-ビス(2,6-ジフルオロ-3-ピロロ-フェニル)チタン、O-アシルオキシムエステル光開始剤である。
【0102】
α-ヒドロキシケトン及びα-アミノケトンの例は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-フェノキシ]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、及び2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノンである。
【0103】
O-アシルオキシムエステル光開始剤の例は、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル] 1-(O-アセチルオキシム)、又はGB 2339571に記載のものである。
【0104】
アシルホスフィン光開始剤の例としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-(2,4-ジペンチルオキシフェニル)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、及びエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸、グリセロールエトキシ化trimester(Omnipol(登録商標)TP(IGM Resins B.V.))が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
ハロメチルトリアジン系光開始剤の例は、2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-ビニル]-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2-(4-メトキシ-フェニル)-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2-メチル-4,6-ビス-トリクロロメチル[1,3,5]トリアジンである。
【0106】
本発明による光硬化性組成物が、ハイブリッド系(この点について、ハイブリッド系とは、フリーラジカル硬化性系及びカチオン硬化性系の混合物を意味する)で使用される場合には、更なる光開始剤e)として、カチオン性光開始剤も使用できる。好適なカチオン性光開始剤の例は、例えば、US 4950581に記載されているように、芳香族のスルホニウム塩、ホスホニウム塩、又はヨードニウム塩、又は例えば、GB 2348644、US 4450598、US 4136055、WO 00/10972、及びWO 00/26219に記載されたように、シクロペンタジエニルアレン-鉄(II)錯塩、例えば、(η6-イソプロピルベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート又はオキシム系光潜在性酸である。
【0107】
本発明による光硬化性組成物は、組成物の総含量基準で0~10%の量の一般的な添加剤を含んでなることもできる。添加剤f)は、例えば熱開始剤、結合剤、安定剤、及びその混合物である。
【0108】
添加剤の選択は、使用分野及びその分野について求められる特性に基づいて決定される。上記の添加剤f)は当該技術では知られており、当技術で一般的に使用される量で使用される。
【0109】
例えば、特に着色組成物の場合、組成物は、追加の添加剤f)として、熱開始剤(加熱される際にフリーラジカルを形成する化合物)、例えば2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアソズルフィド、ペンタアザジエンのようなアゾ化合物、又はヒドロペルオキシド又はペルオキシカルボネート、例えばtert-ブチルヒドロペルオキシド(例えばEP 245639に記載)を含んでなることもできる。
【0110】
本発明の光硬化性組成物には結合剤が添加されもよい。結合剤の添加は、特に、光硬化性化合物が液体又は粘稠な物質である場合に有利である。結合剤の量は、例えば、組成物の総含量基準(可能な水及び溶媒を除く)の5~60質量%、好ましくは10~50質量%である。結合剤の選択は、使用分野及びその要求される特性、例えば、水性及び有機溶媒系における現像性、基材への接着性、及び酸素に対する感受性に従ってなされる。
【0111】
好適な結合剤は、例えば、重量平均分子量(Mw)約5,000~2,000,000 Da、好ましくは、10,000~1,000,000 Daを有するポリマーである。例示的な例は、アクリレート及びメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(メタクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アクリル酸アルキルエステル);セルロースエステル及びエーテル、例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、環化ゴム、ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ポリオレフィン、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリル、メチルメタクリレート及び酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、コ-ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリマー、例えば、ポリカプロラクタム及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル、例えば、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)及びポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)である。
【0112】
好適な安定剤は、例えば、熱阻害剤、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p-メトキシフェノール、β-ベンゾール、又は立体障害フェノール、例えば、2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾールであり、早期重合を阻止する。暗所貯蔵安定性を増大させるためには、例えば、銅化合物、例えば、ナフテン酸銅、ステアリン酸銅、又はオクテン酸銅、リン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、又は亜リン酸トリベンジル、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム又は塩化トリメチルベンジルアンモニウム、又はヒドロキシルアミン誘導体、例えば、N,N-ジエチルヒドロキシルアミンを使用できる。重合の間に雰囲気中の酸素を除去する目的で、パラフィン又は同様のワックス様物質を使用でき、当該物質は、ポリマーに不溶であり、重合の開始時に表面に移動し、空気の侵入を阻止する透明な表面層を形成する。
【0113】
UV吸収剤のような光安定剤、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、シュウ酸アミド、又はヒドロキシフェニル-s-トリアジンタイプを使用することもできる。このような成分は、立体障害アミン(HALS)を使用して又は使用することなく、単独で又は混合物の形で使用される。
【0114】
本発明による光硬化性組成物は、更なる添加剤f)として、光還元性染料、例えば、キサンテン、ベンゾキサンテン、ベンゾチオキサンテン、チアジン、ピロニン、ポルフィリン、又はアクリジン染料、及び/又は放射線開裂可能なトリハロメチル化合物も含むことができる。これらの化合物は、例えば、EP 445624に記載されている。
【0115】
さらに通例の添加剤f)は、用途に応じて、光学的増白剤、フィラー、顔料(白色及び有色顔料の両方)、着色料、帯電防止剤、湿潤剤、又は流動性向上剤である。当技術において一般的に使用される添加剤、例えば、帯電防止剤、流動性向上剤、及び接着性増強剤も使用できる。
【0116】
上記成分に加えて、他の成分も本発明による組成物中に存在できる。
【0117】
本発明による組成物には、当技術において一般的に使用される連鎖移動剤を添加することも可能である。例はメルカプタン、アミン、及びベンゾチアゾールである。
【0118】
本発明の組成物は、着色料及び/又は有色顔料を含んでなることもできる。用途に応じて、無機顔料及び有機顔料の両方を使用できる。このような添加剤は、当業者には公知である。いくつかの例は、カーボンブラック、酸化鉄、例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、クロムイエロー、クロムグリーン、ニッケルチタンイエロー、群青、コバルトブルー、バナジウム酸ビスマス、カドミウムイエロー、及びカドミウムレッドである。有機顔料の例は、モノ-又はビス-アゾ顔料及びその金属錯体、フタロシアニン顔料、多環式顔料、例えば、ペリレン、アントラキノン、チオインジゴ、キナクリドン、又はトリフェニルメタン顔料、及びジケト-ピロロ-ピロール、イソインドリノン、例えば、テトラクロロイソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンズイミダゾロン、及びキノフタロン顔料である。処方において、顔料は単独で又は混合物として使用される。
【0119】
用途に応じて、顔料は、当技術における一般的に使用される量で、例えば、組成物の総質量基準で0.1~30質量%、又は10~25質量%の量で処方に添加される。
【0120】
組成物は、例えば、極めて広範囲の種類の有機着色料を含んでいてもよい。例は、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料、及び金属錯体染料である。通常の濃度は、組成物の総質量基準で、例えば0.1~20質量%、特に1~5質量%である。
【0121】
本発明の光硬化性組成物は、水を含んでなることができる。
【0122】
本発明の光硬化性組成物は、各種の目的、例えば、印刷用インク、例えば、スクリーン印刷インク、フレキソ印刷インク、オフセット印刷インク、及びインクジェット印刷インクとして、クリアコートとして、例えば木材又は金属用の着色コートとして、粉末コーティングとして、特に、紙、木材、金属、又はプラスチック用のコーティング材料として、構造体及び道路マーキング用、複写写真法用、ホログラム記録材料用、画像記録法又は有機溶媒を使用する又は水性アルカリ媒体を使用する版面の製造用、スクリーン印刷用マスクの製造用の日光-硬化性塗料として、歯科用充填材料として、接着剤として、感圧性接着剤として、ラミネート樹脂として、フォトレジスト、例えば、ガルバノレジストとして、エッチレジスト又は永久レジスト(液体及び乾燥フィルムの両方)として、光構造化性絶縁体として、及び電子回路用ソルダーマスクとして、各種のタイプのディスプレイスクリーン用のカラーフィルターの製造おける又はプラズマディスプレイ及びエレクトロルミネセントディスプレイの製造中の構造物の形成における、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)の製造における、バルク硬化(透明鋳型でのUV硬化)による又はステレオリソグラフィー法(例えば、US 4575330に記載されている)による三次元物品の製造における、複合材料(例えば、ガラス繊維及び/又は他の繊維及び他の補助剤を含むことができるスチレンポリエステル)の製造又は当業者には周知の三次元印刷法における、電子部品のコーティング又は封止におけるレジストとして、又は光ファイバー用のコーティング剤として適している。
【0123】
本発明の光硬化性組成物は、光学レンズ、例えば、コンタクトレンズ又はフレネルレンズの製造、医療用装置、補助具又はインプラントの製造、ドライフィルムペイントにても適している。
【0124】
本発明の光硬化性組成物は、サーモトロピック特性を有するゲルの調製にも適している。このようなゲルは、例えば、DE 19700064及びEP 678534に記載されている。
【0125】
本発明の式(I)の化合物を含んでなる、又は本発明の光硬化性組成物を含んでなる製品は、本発明の他の主題である。
【0126】
本発明による化合物及び組成物は、放射線硬化性粉末コーティング用のフリーラジカル光開始剤又は光開始系としても使用される。
【0127】
本発明による光硬化性組成物は、例えば、全ての種類の基材、例えば、木材、布地、紙、セラミックス、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、及びセルロースアセテート:特にフィルム状)、及び金属、例えば、Al、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg、又はCo、及びGaAs、Si又はSiO2(保護フィルムが塗布されるか、又は例えば像様露光によって像が適用される)のためのコーティング材料として好適である。
【0128】
本発明による方法では、広範囲の種類の光源を多数使用でき、光源は約200~約800 nmの波長で発光する。点光源及び扁平形ラジエーター(ランプカーペット)の両方が好適である。例は、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中圧、高圧、及び低圧水銀アークラジエーター(好適な部位で金属ハロゲン化物がドープされている:メタルハライドランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマランプ、スーパーアクチニック蛍光管、蛍光ランプ、アルゴン白熱ランプ、フラッシュランプ、写真投光器ランプ、発光ダイオード(LED)、電子ビーム、X線、及びレーザーである。
【0129】
1具体例によれば、前記光源は、UVA、UVB、及びUVC領域の少なくとも1における紫外光を含んでなる。
【0130】
好ましい具体例によれば、前記光源はLED源であり、特に、365~400 nm、さらに好ましくは、365 nm、385 nm、及び395 nmの波長で発光するLED光源が特に好ましい。
【0131】
本発明によれば、ランプと露光される基材との間の距離は、用途及びランプの種類及び強度に応じて変化でき、例えば0.1~150 cm、好ましくは、1~50cmである。
【0132】
前記光重合性組成物は、既に被覆又はプリントされた層を含んでなる基材上にも塗布される。前記光重合性組成物は、前記光源にて光重合された後に、印刷又は被覆に好適な1以上の組成物によってオーバープリント又はオーバーコーティングされてもよい。
【0133】
前記被覆又は印刷手段によって前記光重合性組成物を前記基材上に塗布し、前記光源によって光重合し、さらに被覆又は印刷することによる物品の綿密な仕上げして又は仕上げしないで得られた物品は、本発明の更なる主題である。
【0134】
上記のように、発明者らは、驚くべきことには、式(I)の化合物が、従来技術のものと比べて低い硬化後黄変性を保持したまま、UVA、UVB及びUVC波長下において非常に高い反応性を有するとの知見を得た。新規の化合物は、透明の系及び着色された系の両方において、LED及びHgランプ下でその多大の改善を示した。
【0135】
下記の実施例(説明のためのものであって、これに限定されない)によって、本発明を以下に詳述する。
【0136】
表示した化学名と化学構造とが一致しない場合、化学構造が優先する。
【0137】
[実験の部]
本明細書をとおして、化学名と化学構造とが一致しない場合、後者が優先する。
実施例14~17の化合物は、示した原料物質の反応によって得られた化合物の混合物である。
1H NMRスペクトルをBruker Avance 300 MHz NMRスペクトロメーターにて記録した。
【実施例1】
【0138】
【化11】
の合成
ジクロロメタン120 ml中にジフェニルスルフィド10.00g(53.686 mモル)及び塩化ベンゾイル7.92g(56.342 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム7.87g(59.022 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応系を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル9.53g(69.802 mモル)及び無水の塩化アルミニウム10.88g(81.596 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加のクロロオキソ酢酸エチル1.47g(10.767 mモル)及び無水の塩化アルミニウム1.65g(12.374 mモル)を注意しながら順に添加した。ついで、反応系を室温においてさらに1.5時間撹拌し、氷/水400 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノールからの結晶化によって精製して、オフホワイトの固体15.70gを得た(収率75%)。
1H-NMR(DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 4.42 (q, 2H), 7.51 (d, 2H), 7.54-7.74 (m, 5H), 7.76-7.82 (m, 4H), 7.97 (d, 2H)
【実施例2】
【0139】
【化12】
の合成
ジクロロメタン60ml中にジフェニルエーテル5.00g(29.375 mモル)及び塩化ベンゾイル4.33g(30.803 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム4.31g(32.323 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応系を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル5.21g(38.160 mモル)及び無水の塩化アルミニウム5.95g(44.623 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加のクロロオキソ酢酸エチル0.80g(5.860 mモル)及び無水の塩化アルミニウム0.90g(6.750 mモル)を注意しながら順に添加した。ついで、反応系を室温においてさらに1.5時間撹拌し、氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル:98/2)によって精製して、白色の固体7.97gを得た(収率72%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.34 (t, 3H), 4.42 (q, 2H), 7.30 (m, 4H), 7.58 (t, 2H), 7.67 (tt, 1H), 7.75 (dd, 2H), 7.86 (d, 2H), 8.06 (d, 2H)
【実施例3】
【0140】
【化13】
の合成
ジクロロメタン120 ml中に9,9-ジメチルキサンテン10.00g(47.556 mモル)及び塩化ベンゾイル7.02g(49.940 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム6.98g(52.347 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル8.44g(61.818 mモル)及び無水の塩化アルミニウム9.64g(72.297 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応系を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル1.30g(9.522 mモル)及び無水の塩化アルミニウム1.46g(10.949 mモル)を注意しながら順に添加した。ついで、反応混合物を室温においてさらに1.5時間撹拌し、氷/水400 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル:98/2)によって精製して、黄色のオイル16.74gを得た(収率85%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 1.64 (s, 6H), 4.43 (q, 2H), 7.26 (d, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.54 (t, 2H), 7.62-7.75 (m, 4H), 7.88 (dd, 1H), 7.99 (d, 1H), 8.18 (d, 1H)
【実施例4】
【0141】
【化14】
の合成
【0142】
工程(a)
【化15】
の合成
ジクロロメタン50ml中にジフェニルスルフィド5.00g(26.843 mモル)及び塩化アセチル2.21g(28.153 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム3.94g(29.549 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、オフホワイトの固体5.97gを得た(収率97%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):2.53 (s, 3H), 7.25 (d, 2H), 7.48 (m, 5H), 7.87 (d, 2H)
【0143】
工程(b)
【化16】
の合成
30%(w/w)メタノール溶液中のナトリウムメトキシド4.73g(26.268 mモル)を、トルエン18.4 ml中に先の工程において調製した化合物5.00g(21.900 mモル)及び炭酸ジメチル19.73g(219.028 mモル)を含む混合物に、90℃において撹拌しながら、10分間で少量ずつゆっくりと添加した。蒸留によりメタノールを除去しながら、混合物を90℃において1時間撹拌した。反応完了後、混合物を3M塩酸200 mlに注加し、酢酸エチルにて抽出した。有機相を水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、黄色のオイル6.25gを得た(収率100%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):3.65 (s, 3H), 4.15 (s, 2H), 7.25 (d, 2H), 7.51 (m, 5H), 7.87 (d, 2H)
【0144】
工程(c)
【化17】
の合成
ピペリジン0.178g(2.090 mモル)を、エタノール80ml中に先の工程で得られた化合物6.00g(20.953 mモル)及びサリチルアルデヒド2.56g(20.963 mモル)を含む混合物に添加した。混合物を還流下で1時間撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、黄色の固体6.63gを得た(収率88%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):7.23 (d, 2H), 7.42 (td, 1H), 7.47-7.58 (m, 6H), 7.73 (m, 1H), 7.83-7.88 (m, 3H), 8.40 (s, 1H)
【0145】
工程(d)
【化18】
の合成
ジクロロメタン100 ml中に、先の工程で調製した化合物5.00g(13.951 mモル)及びクロロオキソ酢酸エチル2.48g(18.165 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム6.55g(49.123 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノール120 mlにて取り出し、還流下で洗浄し、30分間激しく撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、カナリヤイエローの固体6.00gを得た(収率94%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 4.41 (q, 2H), 7.43 (td, 1H), 7.48-7.60 (m, 5H), 7.75 (m, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.95-8.01 (m, 4H), 8.47 (s, 1H)
【実施例5】
【0146】
【化19】
の合成
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.53g(1.087 mモル)を、撹拌下で、実施例4の化合物5.00g(10.906 mモル)及び2-エチル-1-ヘキサノール4.26g(32.711 mモル)の加温したトルエン(40ml)溶液に添加した。蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を110℃において2時間撹拌した。反応の進行をTLCによって監視した。反応完了後、混合物を冷却し、酢酸エチルにて希釈し、それぞれ50ml(x2)の3M塩酸、水及び塩水にて洗浄した。有機相を分離し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノールからの結晶化によって精製して、カナリヤイエローの固体5.09gを得た(収率86%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):0.85 (m, 6H), 1.32 (m, 8H), 1.66 (m, 1H), 4.30 (d, 2H), 7.41 (td, 1H), 7.48-7.60 (m, 5H), 7.75 (m, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.93-8.00 (m, 4H), 8.47 (s, 1H)
【実施例6】
【0147】
【化20】
の合成
【0148】
工程(a)
【化21】
の合成
ジクロロメタン50ml中にフルオレン5.00g(30.081 mモル)及び塩化アセチル2.48g(31.592 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム4.41g(33.073 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加の塩化アセチル0.118g(1.503 mモル)及び無水の塩化アルミニウム0.240g(1.800 mモル)を注意しながら順に添加した。ついで、反応混合物を室温においてさらに45分間撹拌し、氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、オフホワイトの固体6.25gを得た(収率100%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):2.63 (s, 3H), 4.01 (s, 2H), 7.41 (m, 2H), 7.64 (m, 1H), 8.00 (m, 3H), 8.17 (s, 1H)
【0149】
工程(b)
【化22】
の合成
30%(w/w)メタノール溶液中のナトリウムメトキシド5.19g(28.823 mモル)を、トルエン20.2 ml中に先の工程において調製した化合物5.00g(24.008 mモル)及び炭酸ジメチル21.63g(240.120 mモル)を含む混合物に、90℃において撹拌しながら、10分間で少量ずつゆっくりと添加した。蒸留によりメタノールを除去しながら、混合物を90℃において1時間撹拌した。反応完了後、混合物を3M塩酸200 mlに注加し、酢酸エチルにて抽出した。有機相を水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、黄色のオイル6.27gを得た(収率98%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):3.68 (s, 3H), 4.02 (s, 2H), 4.26 (s, 2H), 7.43 (m, 2H), 7.65 (m, 1H), 8.01 (m, 3H), 8.18 (s, 1H)
【0150】
工程(c)
【化23】
の合成
ピペリジン0.192g(2.255 mモル)を、エタノール120 ml中に先の工程で得られた化合物6.00g(22.531 mモル)及びサリチルアルデヒド2.75g(22.519 mモル)を含む混合物に添加した。混合物を還流下で1時間撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、黄色の固体5.96gを得た(収率78%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):4.02 (s, 2H), 7.40-7.48 (m, 3H), 7.51 (d, 1H), 7.66 (m, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.99-8.08 (m, 3H), 8.18 (s, 1H), 8.43 (s, 1H)
【0151】
工程(d)
【化24】
の合成
ジクロロメタン100 ml中に先の工程で調製した化合物5.00g(14.777 mモル)及びクロロオキソ酢酸エチル2.62g(19.190 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム6.94g(52.047 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加のクロロオキソ酢酸エチル0.404g(2.959 mモル)及び無水の塩化アルミニウム0.453g(3.397 mモル)を注意しながら順に添加した。ついで、反応混合物を室温においてさらに1時間撹拌し、氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をトルエン70mlにて取り出し、還流下で洗浄し、30分間激しく撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、黄色の固体4.66gを得た(収率72%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.37 (t, 3H), 4.15 (s, 2H), 4.48 (q, 2H), 7.45 (td, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.88 (dd, 1H), 8.05 (m, 2H), 8.21-8.29 (m, 4H), 8.47 (s, 1H)
【実施例7】
【0152】
【化25】
の合成
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.501g(1.027 mモル)を、撹拌下で、実施例6の化合物4.50g(10.264 mモル)及び2-エチル-1-ヘキサノール4.01g(30.792 mモル)の加温したトルエン(35ml)溶液に添加した。蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を110℃において2.5時間撹拌した。反応の進行をTLCによって監視した。反応完了後、混合物を冷却し、ジクロロメタンにて希釈し、それぞれ50ml(x2)の3M塩酸、水及び塩水にて洗浄した。有機相を分離し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノール100 mlにて取り出し、還流下で洗浄し、30分間激しく撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、黄色の固体4.45gを得た(収率83%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):0.88 (m, 6H), 1.33 (m, 8H), 1.70 (m, 1H), 4.15 (s, 2H), 4.37 (d, 2H), 7.45 (td, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.88 (dd, 1H), 8.05 (td, 2H), 8.22-8.30 (m, 4H), 8.47 (s, 1H)
【実施例8】
【0153】
【化26】
の合成
【0154】
工程(a)
【化27】
の合成
ジクロロメタン50ml中にジフェニルエーテル5.00g(29.375 mモル)及び塩化アセチル2.42g(30.828 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム4.31g(32.323 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、白色の固体6.12gを得た(収率98%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):2.55 (s, 3H), 7.05 (d, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.25 (t, 1H), 7.47 (t, 2H), 7.99 (d, 2H)
【0155】
工程(b)
【化28】
の合成
30%(w/w)メタノール溶液中のナトリウムメトキシド5.09g(28.267 mモル)を、トルエン19.8 ml中に先の工程において調製した化合物5.00g(23.557 mモル)及び炭酸ジメチル21.22g(235.568 mモル)を含む混合物に、90℃において撹拌しながら、10分間で少量ずつゆっくりと添加した。蒸留によりメタノールを除去しながら、混合物を90℃において1時間撹拌した。反応完了後、混合物を3M塩酸200 mlに注加し、酢酸エチルにて抽出した。有機相を水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、黄色のオイル6.34gを得た(収率100%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):3.66 (s, 3H), 4.16 (s, 2H), 7.05 (d, 2H), 7.13 (d, 2H), 7.28 (t, 1H), 7.47 (t, 2H), 7.99 (d, 2H)
【0156】
工程(c)
【化29】
の合成
ピペリジン0.189g(2.220 mモル)を、エタノール80ml中に先の工程で得られた化合物6.00g(22.199 mモル)及びサリチルアルデヒド2.71g(22.191 mモル)を含む混合物に添加した。混合物を還流下で1時間撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、白色の固体6.74gを得た(収率89%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):7.05 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 7.28 (t, 1H), 7.42-7.51 (m, 4H), 7.72 (m, 1H), 7.85 (dd, 1H), 7.99 (d, 2H), 8.40 (s, 1H)
【0157】
工程(d)
【化30】
の合成
ジクロロメタン100 ml中に先の工程で調製した化合物5.00g(14.605 mモル)及びクロロオキソ酢酸エチル2.59g(18.970 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム6.85g(51.372 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて再び洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノール100 mlにて取り出し、還流下で洗浄し、30分間激しく撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、白色の固体5.96gを得た(収率92%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.34 (t, 3H), 4.42 (q, 2H), 7.28 (m, 4H), 7.44 (td, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.88 (dd, 1H), 8.06 (m, 4H), 8.44 (s, 1H)
【実施例9】
【0158】
【化31】
の合成
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.646g(1.325 mモル)を、撹拌下で、実施例8の化合物5.86g(13.245 mモル)及び2-エチル-1-ヘキサノール5.17g(39.699 mモル)の加温したトルエン(46ml)溶液に添加した。蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を110℃において2時間撹拌した。反応の進行をTLCによって監視した。反応完了後、混合物を冷却し、酢酸エチルにて希釈し、それぞれ50ml(x2)の3M塩酸、水及び塩水にて洗浄した。有機相を分離し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノールからの結晶化によって精製して、白色の固体5.63gを得た(収率81%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):0.86 (m, 6H), 1.33 (m, 8H), 1.70 (m, 1H), 4.30 (d, 2H), 7.28 (m, 4H), 7.44 (td, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.88 (dd, 1H), 8.06 (m, 4H), 8.44 (s, 1H)
【実施例10】
【0159】
【化32】
の合成
ジクロロメタン60ml中にジフェニルスルフィド5.00g(26.843 mモル)及び塩化4-フルオロベンゾイル4.47g(28.191 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム3.94g(29.549 mモル)を小分けして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル5.50g(40.284 mモル)及び無水の塩化アルミニウム6.26g(46.948 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加の無水の塩化アルミニウム3.57g(26.774 mモル)を注意しながら添加した。ついで、反応混合物を室温においてさらに30分間撹拌し、氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノール110 mlにて取り出し、還流下で洗浄し、30分間激しく撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、白色の固体9.80gを得た(収率89%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 4.42 (q, 2H), 7.40 (t, 2H), 7.52 (d, 2H), 7.64 (d, 2H), 7.78 (d, 2H), 7.85 (m, 2H), 7.95 (d, 2H)
【実施例11】
【0160】
【化33】
の合成
ジクロロメタン60ml中にジフェニルスルフィド5.00g(26.843 mモル)及び塩化ビフェニル-4-カルボニル6.11g(28.201 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム3.94g(29.549 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加の塩化ビフェニル-4-カルボニル0.29g(1.339 mモル)及び無水の塩化アルミニウム0.21g(1.575 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において30分間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864 mモル)及び無水の塩化アルミニウム8.23g(61.722 mモル)を注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノール110 mlにて取り出し、還流下で洗浄し、30分間激しく撹拌し、ついで室温に冷却した。反応生成物を濾過によって回収して、固体をトルエンからの結晶化によって精製して、白色の固体8.90gを得た(収率71%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 4.42 (q, 2H), 7.43-57 (m, 5H), 7.66 (d, 2H), 7.78 (d, 2H) 7.83-7.88 (m, 6H), 7.96 (d, 2H)
【実施例12】
【0161】
【化34】
の合成
ジクロロメタン60ml中にジフェニルスルフィド5.00g(26.843 mモル)及び塩化2,4,6-トリメチルベンゾイル5.15g(28.196 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム3.94g(29.549 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において2時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加の塩化2,4,6-トリメチルベンゾイル0.49g(2.683 mモル)及び無水の塩化アルミニウム0.54g(4.050 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、追加の塩化2,4,6-トリメチルベンゾイル0.49g(2.683 mモル)及び無水の塩化アルミニウム0.54g(4.050 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において2時間撹拌した後、反応混合物を加熱還流し、さらに45分間撹拌し、ついで再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864 mモル)及び無水の塩化アルミニウム8.23g(61.722 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル:97.5/2.5)によって精製して、黄色のオイル7.12gを得た(収率61%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 2.00 (s, 6H), 2.30 (s, 3H), 4.40 (q, 2H), 6.96 (s, 2H), 7.51-7.58 (m, 4H), 7.70 (d, 2H), 7.96 (d, 2H)
【実施例13】
【0162】
【化35】
の合成
ジクロロメタン60ml中にジフェニルスルフィド5.00g(26.843 mモル)及び塩化2-ベンゾイル5.37g(28.170 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム3.94g(29.549 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864 mモル)及び無水の塩化アルミニウム8.23g(61.722 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノール230 mlからの結晶化によって精製して、白色の固体10.25gを得た(収率87%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 4.42 (q, 2H), 7.53 (d, 2H), 7.60-7.73 (m, 4H), 7.88 (m, 3H), 7.95 (d, 2H), 8.03-8.14 (m, 3H), 8.36 (d, 1H)
【実施例14】
【0163】
【化36】
の合成
ジクロロメタン60ml中にジフェニルスルフィド5.00g(26.843 mモル)及び塩化チオフェン-2-カルボニル4.13g(28.174 mモル)を含む氷冷した混合物に、無水の塩化アルミニウム3.94g(29.549 mモル)を小分けにして注意しながら添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を再び冷却し、クロロオキソ酢酸エチル4.76g(34.864 mモル)及び無水の塩化アルミニウム8.23g(61.722 mモル)を注意しながら順に添加した。室温において1.5時間撹拌した後、反応混合物を氷/水200 mlに注加した。混合物をジクロロメタンにて抽出し、有機相を分離し、水及び塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエタノールからの結晶化によって精製して、オフホワイトの固体9.14gを得た(収率86%)。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):1.33 (t, 3H), 4.26 (q, 2H), 7.31 (m, 1H), 7.51 (d, 2H), 7.65 (d, 2H), 7.78 (dd, 1H), 7.90 (d, 2H), 7.97 (d, 2H), 8.15 (dd, 1H)
【実施例15】
【0164】
【化37】
(実施例1)と
【化38】
(Aionico GL/609)との反応生成物
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.375g(0.769 mモル)を、撹拌下で、実施例1の化合物3.00g(7.683 mモル)及びAionico GL/609(Lamberti SpAから購入)1.41g(ヒドロキシル価370 mg KOH/g)の加温したトルエン(30ml)溶液に添加した。ついで、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃において2時間撹拌した。反応の進行をTLC(トルエン/酢酸エチル:95/5)によって監視した。ついで、追加のAionico GL/609 0.061g及びジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.187g(0.383 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに2.5時間撹拌した。ついで、追加のAionico GL/609 0.061g及びジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.187g(0.383 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに4時間撹拌した。反応完了後、混合物を冷却し、酢酸エチルにて希釈し、それぞれ50ml(x2)の1.5M塩酸、水及び塩水にて順に洗浄し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル(95/5)にて不純物を除去し、ついでジクロロメタン/メタノール(90/10)にて生成物を集める)によって精製して、黄色-オレンジ色のオイル3.97gを得た(収率97%)。
実施例15は異なる生成物の混合物であり、1H-NMRを計算したところ、7.86-8.03 ppmのシグナルにvalue2が付与された。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):3.20-3.82 (m, 13.4H), 4.30-4.60 (m, 2H), 7.40-7.83 (m, 11H), 7.86-8.03 (m, 2H)
【実施例16】
【0165】
【化39】
(実施例2)と
【化40】
(Aionico GL/609)との反応生成物
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.391g(0.802 mモル)を、撹拌下で、実施例2の化合物3.00g(8.013 mモル)及びAionico GL/609(Lamberti SpAから購入)1.47g(ヒドロキシル価370 mg KOH/g)の加温したトルエン(30ml)溶液に添加した。ついで、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃において2時間撹拌した。反応の進行をTLC(トルエン/酢酸エチル:95/5)によって監視した。ついで、追加のAionico GL/609 0.128g及びジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.196g(0.402 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに3時間撹拌した。ついで、追加のジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.196g(0.402 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに3時間撹拌した。反応完了後、混合物を冷却し、酢酸エチルにて希釈し、それぞれ50ml(x2)の1.5M塩酸、水及び塩水にて順に洗浄し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル(95/5)にて不純物を除去し、ついでジクロロメタン/メタノール(90/10)にて生成物を集める)によって精製して、黄色-オレンジ色のオイル4.09gを得た(収率99%)。
実施例16は異なる生成物の混合物であり、1H-NMRを計算したところ、7.96-8.12 ppmのシグナルにvalue2が付与された。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):3.20-3.82 (m, 13.4H), 4.30-4.60 (m, 2H), 7.20-7.34 (m, 4H), 7.46-7.61 (m, 2H), 7.62-7.78 (m, 3H), 7.78-7.89 (m, 2H), 7.96-8.12 (m, 2H)
【実施例17】
【0166】
【化41】
(実施例1)と
【化42】
(Polyol 3380)との反応生成物
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート1.25g(2.563 mモル)を、撹拌下で、実施例1の化合物10.00g(25.611 mモル)及びPolyol 3380(Perstorpから購入)4.95g(ヒドロキシル価364 mg KOH/g)の加温したトルエン(30ml)溶液に添加した。ついで、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃において2.5時間撹拌した。反応の進行をTLC(トルエン/酢酸エチル:95/5)によって監視した。ついで、追加のジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.625g(1.282 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに1.5時間撹拌した。ついで、追加のトルエン5ml及びジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.625g(1.282 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに3.5時間撹拌した。反応完了後、混合物を冷却し、酢酸エチルにて希釈し、3M塩酸100 ml(x2)にて洗浄した。洗浄の間に、ジルコニウムの沈殿物の形成が確認され、セライトパッドを介して二相性混合物を濾過することによって、これを除去した。ついで、有機相を分離し、水及び塩水にて洗浄し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル(95/5)にて極微量のLFC4563を除去し、ついでジクロロメタン/メタノール(90/10)にて溶離する)によって精製して、黄色-オレンジ色のオイル13.76gを得た(収率100%)。
実施例17は異なる生成物の混合物であり、1H-NMRを計算したところ、0.5-0.91 ppmにおけるシグナルにvalue3が付与された。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):0.50-0.91 (m, 3H), 1.12-1.44 (m, 2H), 3.00-3.80 (m, 33.92H), 4.30-4.62 (m, 4.08H), 7.40-7.81 (m, 22.44H), 7.82-8.05 (m, 4.08H)
【実施例18】
【0167】
【化43】
(実施例3)と
【化44】
(Polyol 3380)との反応生成物
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0353g(0.724 mモル)を、撹拌下で、実施例3の化合物3.00g(7.238 mモル)及びPolyol 3380(Perstorpから購入)1.39g(ヒドロキシル価364 mg KOH/g)の加温したトルエン(30ml)溶液に添加した。ついで、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃において3.5時間拌した。反応の進行をTLC(トルエン/酢酸エチル:95/5)によって監視した。ついで、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.177g(0.363 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに1.5時間撹拌した。ついで、追加のジルコニウム(IV)アセチルアセトネート0.177g(0.363 mモル)を添加し、蒸留によってエタノールを除去しながら、反応混合物を105~110℃においてさらに1.5時間撹拌した。反応完了後、混合物を冷却し、2M塩酸50mlに注加し、ジクロロメタンにて抽出した。有機相を分離し、再び2M塩酸50ml、ついで塩水にて洗浄し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、濾過し、真空蒸留によって溶媒を除去して、黄色-オレンジ色のオイル4.10gを得た(収率100%)。
実施例18は異なる生成物の混合物であり、1H-NMRを計算したところ、0.55-0.95 ppmにおけるシグナルにvalue3が付与された。
1H-NMR (DMSO-d6, δ ppm):0.55-0.95 (m, 3H), 1.15-1.50 (m, 2H), 1.64 (m, 11.28H), 3.00-3.80 (m, 34.24H), 4.32-4.65 (m, 3.76H), 7.19-7.40 (m, 3.76H), 7.48-7.78 (m, 11.28H), 7.78-8.05 (m, 3.76H), 8.09-8.23 (m, 1.88H)
【0168】
実施例1~14の全ての化合物は好適なポリオールと反応して、本発明の化合物を生成できる。
【0169】
[比較例]
比較テスト
本発明の光開始剤(PIs)をUS 2019/0155153の第25頁に記載の化合物8c(COMP-1)と比較した。
【実施例19】
【0170】
シアンオフセットインクにおけるLED 395 nmランプ下でのスルー硬化(through-cure)及び表面硬化
工業用シアンオフセットインクにおいて、光開始剤を3質量%の濃度で溶解させることによってテスト用組成物を調製した。共開始剤(Esacure A198)を同じ量(3質量%)で組成物に添加した。テスト用組成物を機械的撹拌機によって50℃において1時間均質化し、IGFリプロテスター機器を使用して、白色のボール紙上に厚さ1.5ミクロンで塗布した。
LED 395nmランプ(16W/cm2)を距離8cmで使用して組成物を硬化させた(表1)。
スルー硬化テストは所定の速度で得られた完全なインク硬化の測定であり、「拇指ねじれ圧力テスト(thumb twist pressure test)」によってチェックされる。より高速であることは、反応性がより高いことに相当する。表面硬化テストは、所定の速度ベルトでの表面硬化の測定であり、100 m/分での通過の回数で測定される。通過の回数が少ないほど、表面硬化性は良好である。
結果を表1に示す。
【表1】

このテストは、式(I)の化合物が従来技術の光開始剤よりも効果的であることを証明している。
【実施例20】
【0171】
黄色指数
BYKカラーガイド45/0を使用して、黄変性を黄色指数(YI)として測定した。テストサンプルを次のように調製した:光開始剤3質量%、共開始剤(Esacure A198)3質量%、Photomer 6577 50質量%、Photomer 4335 15質量%、Photomer 4666 15質量%、Photomer 4172 20質量を含有する組成物を60℃において1時間撹拌し、バーコーターを使用して、ニス塗装したボール紙上に厚さ12ミクロンで塗り、タックフリーに達する最大速度で水銀ランプ(160 W/cm)にて硬化した。ついで、黄変性を黄色指数(YI)として測定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0172】
これらの全てのテストは、式(I)の化合物が従来技術の化合物よりも反応性であること及び驚くべきことには良好な反応性は硬化後の高い黄変をもたらさないことを証明している。
【国際調査報告】