(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】温度を決定するための測定システム
(51)【国際特許分類】
G01K 1/14 20210101AFI20241003BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20241003BHJP
F27B 9/40 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01K1/14 E
F27D21/00 G
F27B9/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024520901
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 AT2022060349
(87)【国際公開番号】W WO2023056497
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521217105
【氏名又は名称】エブナー インドゥストリーオーフェンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト エブナー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス フリュービルト
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ブリーバイス
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ルーカチュ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クロスターマン
【テーマコード(参考)】
2F056
4K050
4K056
【Fターム(参考)】
2F056CE01
4K050AA02
4K050BA02
4K050BA03
4K050CG04
4K050CG28
4K050EA02
4K056AA09
4K056CA02
4K056CA04
4K056FA12
(57)【要約】
本発明は、連続炉(1)内で熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)であって、支持装置(7)と、データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)と、少なくとも1つの温度センサ(12)と、を含み、熱処理材料(2)の試料(9)のための少なくとも1つの保持部が支持装置(7)に形成されており、支持装置(7)は少なくとも部分的にフレームシステムによって形成されているものに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)であって、
支持装置(7)と、
データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)と、
少なくとも1つの温度センサ(12)と、を含み、
前記熱処理材料(2)の試料(9)のための少なくとも1つの保持部が前記支持装置(7)に形成されている、測定システム(4)において、
前記支持装置(7)は少なくとも部分的にフレームシステムによって形成されていることを特徴とする、測定システム(4)。
【請求項2】
前記フレームシステムは、パイプフレームシステムとして設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の測定システム(4)。
【請求項3】
前記フレームシステムは、少なくとも特定の領域で互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、請求項2に記載の測定システム(4)。
【請求項4】
前記互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)は、前記熱処理材料(2)上の前記測定システム(4)の支持領域に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の測定システム(4)。
【請求項5】
前記支持装置(7)は、枢動可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項6】
前記枢動可能なフレームシステム要素(17)は、前記フレームシステムの端部領域に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の測定システム(4)。
【請求項7】
前記支持装置(7)は、少なくとも1つの傾斜面(21)を有することを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項8】
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に配置されていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項9】
前記傾斜面(21)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)の前に、特に真正面に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の測定システム(4)。
【請求項10】
前記支持装置(7)は、該支持装置(7)を前記熱処理材料(2)に固定するための少なくとも1つの固定要素を有することを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの固定要素、又は少なくとも1つの固定要素は、クランプ要素(24)として設計されていることを特徴とする、請求項10に記載の測定システム(4)。
【請求項12】
前記クランプ要素(24)は、偏心レバー(26)とクランプジョー(25)及び/又は少なくとも1つの傾斜面を含むことを特徴とする、請求項11に記載の測定システム(4)。
【請求項13】
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に固定された保護要素(23)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項14】
前記支持装置(7)にカメラ(29)と、場合によっては少なくとも1つの光源(30)と、が配置されていることを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項15】
前記カメラ(29)及び/又は前記光源(30)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に配置され、特にその中に組み込まれていることを特徴とする、請求項14に記載の測定システム(4)。
【請求項16】
前記温度センサの測定チップ(27)は、該測定チップ(27)を前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置する領域を水密に密封するためのカバー要素(28)で覆われていることを特徴とする、請求項1~15の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項17】
前記カバー要素(28)は、カバーフィルム又ははんだによって形成されていることを特徴とする、請求項16に記載の測定システム(4)。
【請求項18】
前記測定システム(4)を前記連続炉(1)の測定システムと時間同期し、及び/又は前記測定システム(4)の位置を決定するための装置(45)を有することを特徴とする、請求項1~17の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項19】
連続炉(1)、特にフローティングストリップ設備であって、
前記連続炉(1)を通して熱処理材料(2)、特にストリップ状の熱処理材料(2)を搬送するための搬送装置と、連続炉(1)内で熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)と、を含む連続炉(1)において、
前記連続炉(1)内で前記熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)は、請求項1~18の何れか一項に記載の測定システム(4)によって形成されていることを特徴とする、連続炉(1)。
【請求項20】
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に自動的に配置するための装置(31)を有することを特徴とする、請求項19に記載の連続炉(1)。
【請求項21】
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、前記測定システム(4)を走行中の前記熱処理材料(2)上に配置するための加速装置(34)を有することを特徴とする、請求項20に記載の連続炉(1)。
【請求項22】
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、炉入口の真正面に配置されていることを特徴とする、請求項20又は21に記載の連続炉(1)。
【請求項23】
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定する方法であって、
温度データを少なくとも1つの温度センサ(12)で測定し、この目的のために前記温度センサ(12)は前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置され、該試料(9)は、前記熱処理材料(2)上に支持されて、熱処理の間、前記熱処理材料(2)上に留まり、前記温度データをデータ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に転送する方法において、
前記熱処理材料(2)の温度を測定するために、請求項1~18の何れか一項に記載の測定システム(4)が使用され、請求項19~22の何れか一項に記載の連続炉(1)において実施されることを特徴とする、方法。
【請求項24】
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に配置することは、前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)に自動的に配置するための装置(31)によって完全に自動的に実施されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続炉内、特にフローティングストリップ設備で熱処理材料の温度を決定するための測定システムであって、支持装置と、データ処理及び/又はデータ記憶装置と、少なくとも1つの温度センサとを含み、支持装置に熱処理材料の試料のための少なくとも1つの保持部が形成されているものに関する。
【0002】
更に本発明は、連続炉、特にフローティングストリップ設備であって、連続炉を通して熱処理材料を搬送するための搬送装置と、連続炉内で熱処理材料の温度を決定するための測定システムとを有するものに関する。
【0003】
更に本発明は、連続炉内、特にフローティングストリップ設備内で熱処理材料の温度を決定する方法であって、温度データを少なくとも1つの温度センサで測定し、この目的のために温度センサが熱処理材料の試料上に配置され、試料は熱処理材料上に支持されて、熱処理中及び温度データがデータ処理及び/又はデータ記憶装置に転送される間は熱処理材料上に留まる方法に関する。
【背景技術】
【0004】
連続炉は、例えばアルミニウム、銅などの非鉄金属、又は鋼から成る金属ストリップの熱処理に頻繁に使用される。その際にストリップ状の熱処理材料が、連続炉を連続的に、特にエンドレスストリップとして通過する。このような熱処理プロセスは公知であるため、関連する従来技術を参照されたい。
【0005】
当然のことながら、熱処理中の熱処理材料内の温度と温度分布は、完成した熱処理材料の特性に決定的な影響を与える。それゆえ熱処理中の材料内の温度と分布を知ることが望ましい。
【0006】
基本的に、連続炉内の温度測定には幾つかの方法がある。即ち、AMS2750に従った炉雰囲気(炉内の空気温度)の測定、加熱プロセス中の材料温度の測定、焼入れ工程(空冷及び/又は水冷)中の材料温度の測定、並びに焼鈍し工程及び焼入れ工程の光学的プロセス監視である。
【0007】
特許文献1より、トンネルキルン車を備えたトンネルキルン内でワークの熱処理工程の運転パラメータを検出するための装置が知られている。炉内には受信アンテナと、トンネルキルン車に取り付けて個々の測定装置から受信した操作パラメータを変換し電磁信号の形で送信する送信装置と、受信信号をデータ処理装置及び記憶装置に転送する受信アンテナが設けられている。
【0008】
特許文献2は、熱処理材料の内部、上面及び下面の温度を測定できるようにするための、熱処理材料の温度を測定する装置と方法を記載している。温度を測定する装置は、支持ユニット、熱電対、及びデータロガーを含む。熱処理材料内に、複数の内部温度測定用開口部が設けられている。熱処理材料の上面には、第1の支持ユニットと第2の支持ユニットが配置される。第2の支持ユニットは下方に延びている。熱処理材料の内部、上面及び下面の温度を測定するために、内部温度測定開口部、第1の支持ユニット若しくは第2の支持ユニットに熱電対が位置決めされている。データロガーは、熱処理材料の上面に配置され、熱電対と接続されることにより、熱電対によって測定された温度に関する情報を保存する。
【0009】
特許文献3から、熱処理炉に搬送される鋼板の温度プロファイルを測定するために、搬送区間を停止させることなく、測定装置と接続された鋼板試料を鋼板に取り付けることが知られている。
【0010】
特許文献4は、熱処理炉に搬送される鋼板に着脱できる鋼板試料と、鋼板試料に固定されて鋼板試料の温度プロファイルを測定する測定システムを記載している。測定装置は、温度を測定装置の耐熱温度以下に保つために断熱ハウジングを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第19525379(Al)号明細書
【特許文献2】韓国公開特許第2015-0019379(A)号公報
【特許文献3】特開2005-281811号公報
【特許文献4】特開2005-274297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、連続炉での熱処理中に熱処理材料の温度を検出するための改良された測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の課題は、支持装置が少なくとも部分的にフレームシステムによって形成されている、冒頭で述べた測定システムによって解決される。
【0014】
更に本発明の課題は、本発明による測定システムを有する、冒頭で述べた連続炉で解決される。
【0015】
更に本発明の課題は、ストリップ状の熱処理材料の温度を決定するために本発明による測定システム及び/又は連続炉が使用されるようにした、冒頭に述べた方法で解決される。
【0016】
この場合の利点は、フレームシステムにより支持装置の重量が比較的軽くなり、しかも熱処理材料の比較的大きな表面積に分散できることである。これにより、薄いアルミニウムストリップ板のように処理温度での強度が比較的小さい材料上でも、材料ストリップを損傷することなく安全に使用できる温度測定システムを提供することができる。これにより荷重分散が改善されて重い電子部品も良好に測定システムに組み込むことができる。更に、全高が比較的小さい測定システムを提供することができ、それにより今日しばしば熱電対線が使用される通過高さが比較的低い連続炉でも使用できる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、フレームシステムがパイプフレームシステムとして設計されているようにすることができる。パイプ状に形成することにより支持装置の重量を一層削減することができ、それにより上述の効果を更に向上させることができる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、フレームシステムが、少なくとも特定の領域で入れ子式に伸縮可能なフレームシステム要素を有するようにすることができる。これにより一方では、熱膨張をより良好に補正することができ、他方では、測定システムを熱処理材料の異なる幅に適合させることも容易になる。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、入れ子式に伸縮可能なフレームシステム要素が、熱処理材料上の測定システムの支持領域に配置されているようにすることができ、それにより熱処理材料の素材と支持装置との間の異なる熱膨張係数を適切に考慮することができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、支持装置が、枢動可能なフレームシステム要素も有することができ、それにより測定システムの幅を熱処理材料の幅に容易に適合させることができる。
【0021】
この効果を更に向上させるために、一実施形態によれば、枢動可能なフレームシステム要素が、フレームシステムの端部領域に配置されているようにすることができる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、支持装置が少なくとも1つの傾斜面を有するようにすることができる。この傾斜面により、支持装置に衝突ガードを形成することができる。この傾斜面は、連続炉の通路高さが低いために発生し得る障害物がその上を滑動でき、支持装置がその際に形成される圧力に抗して回避できるように機能するように働く。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、データ処理及び/又はデータ記憶装置が支持装置上に配置されているようにすることもできる。それにより、測定システムはよりコンパクトに設計することができ、測定システムを熱処理材料上に手動介入なしに自動的に配置することが容易になる。
【0024】
一実施形態により、傾斜面がデータ処理及び/又はデータ記憶装置の前に、特に直前に配置されていると有利である。そうするとデータ処理及び/又はデータ記憶装置を損傷から適切に保護することができ、それにより測定エラー、更には測定システムの故障をより効果的に防止できる。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、支持装置が、支持装置を熱処理材料に固定するための少なくとも1つの固定要素を有することができ、それにより測定システムを熱処理材料に配置するために追加の固定要素が少なくなるか全く必要なくなるため、測定システムのコンパクト性を更に改善することができる。
【0026】
上記の少なくとも1つの固定要素若しくは少なくとも1つの固定要素が、クランプ要素として設計されていると、測定システムの熱処理材料への固定を迅速で簡単に自動化することができる。そうすることにより、熱処理材料の任意の部分に固定することが可能になり、所定の固定箇所を考慮する必要がなくなる。
【0027】
一実施形態によれば、クランプ要素が、偏心レバーとクランプジョー及び/又は少なくとも1つの傾斜面若しくは傾斜クランプ面を含むことができ、これにより上述の効果を更に向上させることができる。
【0028】
データ処理及び/又はデータ記憶装置を機械的影響及び熱的影響から適切に保護するために、本発明の一実施形態に従い、データ処理及び/又はデータ記憶装置が、支持装置に固定された保護要素の下方に配置されているようにすることができる。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、支持装置にカメラと、場合によっては少なくとも1つの光源が配置されているようにすることができる。これにより炉内部と、場合によってはそれに続く熱処理材料の(急速)冷却を光学的に検出することが可能である。カメラは必要に応じてビデオシーケンスも撮像でき、そのデータに基づいて設備の損傷や摩耗を確認でき、或いは設備内で熱処理材料の挙動を観察できる。それにより、急速水冷(水焼入れ)のスプレーパターンに関する光学的プロセス監視も可能である。
【0030】
一実施形態によれば、カメラ及び/又は光源が、データ処理及び/又はデータ記憶装置上に配置され、特にその中に組み込まれているようにすることができ、これによりコンパクトなユニットを達成できるだけでなく、データ処理及び/又はデータ記憶装置へのデータ転送も簡素化できる。更にそれによって、カメラ及び/又は光源の機械的保護及び/又は熱的保護に関して特別な保護措置も必要ない。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、センサ要素の測定チップが、測定チップを熱処理材料の試料上に配置する領域を水密に密封するためのカバー要素で覆われているようにすることができる。これにより測定システムは、測定エラーの原因となる接触が発生するのを防ぐことができるため、熱処理材料の水冷、特に水焼入れに安全に使用することができる。
【0032】
このシーリングは、カバー要素がカバーフィルム又ははんだによって形成された、本発明の実施形態によって比較的容易に達成することができる。
【0033】
本発明の別の実施形態によれば、測定システムを連続炉の測定システムと時間同期し、及び/又は測定システムの位置を決定するための装置を有するようにすることができる。これにより、熱処理材料の熱処理中に設備全体から供給されるすべてのデータの評価を向上させることができる。
【0034】
連続炉の一実施形態によれば、連続炉が、測定システムを熱処理材料上に自動的に配置するための装置を有するようにすることができ、これにより測定システムを熱処理材料上に配置する精度を向上させることができる。
【0035】
一実施形態によれば、測定システムを自動的に配置するための装置が、生産を中断することなく測定システムを走行中のストリップ上に配置することができるように、測定システムを配置するための加速装置を有するようにすることができる。別の実施形態によれば、測定システムを自動的に配置するための装置が、炉入口の直前に配置されているようにすることができる。
【0036】
したがって本方法の一実施形態によれば、測定システムを熱処理材料上へ配置することが、測定システムの熱処理材料に自動的に配置するための装置によって完全に自動的に実施されるようにすることができる。
【0037】
本発明をより良く理解するために、以下の図を用いて詳細に説明する。
【0038】
図は、それぞれ簡略化された概略図である:
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は連続炉の形式の熱処理設備の部分図である。
【
図2】
図2は連続炉内でストリップ状の熱処理材料の温度を決定するための測定システムの一実施形態の斜視図である。
【
図4】
図4は測定システムを手動で固定するための固定要素を示す図である。
【
図5】
図5は熱処理材料の試料へのセンサ要素の接続の詳細図である。
【
図6】
図6は測定システムの一実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は測定システムを熱処理材料に自動的に配置する装置の側面図である。
【
図8】
図8は
図7による測定システムを熱処理材料に自動的に配置する装置の平面図である。
【
図9】
図9は
図7による測定システムを熱処理材料に自動的に配置する装置の部分の平面図である。
【
図11】
図11は測定システムを連続炉の測定システムと時間同期する装置を示す図である。
【
図12】
図12は測定システムを連続炉の測定システムと時間同期する装置の一実施形態を示す図である。
【
図13】
図13は熱処理材料上に配置された測定システムの別の設計変形例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
最初に確認しておくと、記載された異なる実施形態において同じ部材には同じ参照符号若しくは同じ部材名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号若しくは同じ部材名称を有する同じ部材に転用することができる。説明の中で選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接説明されている表示された図を基準としており、これらの位置を表す言葉は位置が変化した場合には新しい位置に準用される。
【0041】
以下において次に掲げる用語が使用されている場合は、以下の説明に従って理解されるものとする。
【0042】
熱電対:特定の位置の温度を検出するセンサ。
【0043】
熱電対線:グラスファイバー素材から成る絶縁構造を備えた熱電対。
【0044】
被覆熱電対線:過酸化マグネシウムと鋼鉄被覆から成る絶縁構造を備えた熱電対。
【0045】
データロガー:温度を経時的に検出する測定システム。
【0046】
図1には、熱処理設備の一部が示されている。熱処理設備は、熱処理炉を含んでいる。熱処理炉は熱処理設備の図示の実施形態では連続炉1である。連続炉1は、好ましくはフローティングストリップ炉として設計されており、熱処理設備は好ましくはフローティングストリップ設備である。しかし連続炉1は、例えばローラーハース炉など異なる形態で設計することもできる。
【0047】
熱処理炉では、熱処理材料2に熱処理が施される。熱処理は、溶体化焼鈍し、再結晶焼鈍し等により熱処理材料の硬さ等の機械的性質を調整するために用いられる。熱処理設備は本来の炉と並んで、熱処理材料2の所望の機械的特性を調整する働きもする水焼入れなどの焼入れ装置3も含むことができる。焼入れ装置3は熱処理炉の後、例えば熱処理炉から出た直後に配置されている。焼入れ装置3はまた、必要な構造上の措置が講じられていれば熱処理炉に組み込むこともできる。焼入れ装置3は、好ましくは同様に連続装置として設計されている。
【0048】
このような熱処理設備又はその上述の構成要素は、既に先行技術に十分記載されているため、繰り返しを避けるために詳細についてはこの先行技術を参照されたい。例として、特許出願人の熱処理設備を参照されたい。
【0049】
熱処理材料2は、特にストリップ状に、例えばエンドレスストリップとして形成されており、そのようなものとして熱処理設備内を搬送される。エンドレスストリップを形成するために、様々なコイルの端部が互いに結合される。これについても関連する先行技術にも十分記載明されている。しかし熱処理材料2は、異なる形態で、例えばブランク又は(薄い)シートの形で形成することもできる。
【0050】
熱処理材料2は、特に金属又は金属合金、例えばアルミニウム、鋼、非鉄金属、又は非鉄金属合金などである。
【0051】
熱処理中の熱処理材料2の温度若しくは温度分布を追跡できるようにするために、熱処理炉に入る前に熱処理材料2上に温度を測定するための測定システム4(以下、単に測定システム4という)が配置される。この測定システム4の好適な実施形態が
図2に示されている。
【0052】
原理的には、測定システム4は、温度測定に追加的又は代替的に熱処理設備内の雰囲気中の水分の割合などの他のパラメータの測定にも、測定システム4がこのパラメータに対応するセンサ要素を有する場合は使用することができる。好適な実施形態では、測定システム4は温度測定用に設けられており、この目的のために測定システム4は少なくとも1つの温度センサを有する。
【0053】
好適な実施形態では、測定システム4は、熱処理設備から離れて準備できるユニットとして設計されており、熱処理材料2上にユニットとして配置することができる。特に、測定システムは、相互に接続されたモジュールからモジュール式に構成することができ、例えば温度を測定するための測定モジュール5と、測定モジュールに集められたデータを処理及び/又は保存するためのデータモジュール6とを有し、又はこれらから成ることがえきる。
【0054】
測定モジュール5若しくは全体的に測定システム4は、一般に支持装置7を有する。支持装置7は、フレーム要素8を備えたフレームシステムとして設計されている。フレーム要素8は(外周で見て)全面的に閉じているか又は部分的に開いているフレーム若しくは保持部を形成することができる。測定システム4の最も単純な構成では、単一のフレームがあり、その中に熱処理材料2の試料9が保持若しくは収容されている。
図2に示す測定システム4の実施形態では3つの試料9があり、そのうちの1つは熱処理材料2の幅10に対して中央に配置され、他の2つはそれぞれ両側に配置されている。試料9の具体的な配置若しくは具体的な個数はそれぞれの状況に応じて、試料9で熱処理材料2及び熱処理炉内の温度分布をできるだけ正確に決定できるようにする。試料9も1つだけ、又は2つ、又は3つ以上配置でき若しくは設けることができる。
【0055】
試料9は、それぞれ固有のフレーム若しくは固有の保持部に保持することも、支持装置7のフレーム要素8から成る共通のフレーム若しくは共通の保持部に保持することもできる。
【0056】
ウェブ状の熱処理材料2を直接測定する代わりに、熱処理材料2から採取した固有の試料9を使用することは、測定システム4を簡単に準備し、全体をユニットとして熱処理材料2上に配置できるという利点がある。その後、熱処理材料2は測定システム4と共に連続炉1内を移動し、若しくは熱処理炉内で処理されるため、同様に熱処理材料2から成る少なくとも1つの試料9は、熱処理材料2自体と同じ条件下に置かれる。
【0057】
この測定システムにより、試料4若しくは測定システム2を事前に準備するため、生産時間の短縮を達成できる。更に、ストリップ全体の代わりに数個の試料のみが測定に使用され、測定センサを特にストリップ状の熱処理材料2自体に直接取り付けることによる損傷も生じないため生産材料の節約が達成できる。
【0058】
上述したように、測定システム4は少なくとも1つのデータモジュール6も含んでいる。原理的に測定システム4は外部、即ち熱処理炉の外に配置することができる。しかし好ましくはデータモジュール6も熱処理材料2上に配置されて熱処理工程を通過する。この場合、特に好適な実施形態ではデータモジュール6は支持装置7と接続され、若しくは支持装置7に配置され、特に同様にフレーム要素8によって保持される。これらのフレーム要素8は、
図2に見られるように、必ずしもフレームを形成する必要はないが、フレームを形成することは可能である。
【0059】
データモジュール6は、少なくとも1つのデータ処理及び/又はデータ記憶装置11、特にいわゆるデータロガーを含んでおり、これらは好ましくは耐熱性に装備されていて、例えば相応の熱保護要素を有する。データ処理及び/又はデータ記憶装置11を支持装置7上に配置することにより、データ処理及び/又はデータ記憶装置11の熱処理材料2上におけるより良好な重量配分を達成することができ、それにより例えば波形の形成による損傷を回避することができる。
【0060】
フレーム要素8は、互いに直接接続されることなく、それぞれ個別にデータ処理及び/又はデータ記憶装置11と接続できる。図示の実施形態では、6つのフレーム要素8により、熱処理材料2上におけるデータ処理及び/又はデータ記憶装置11の重量の良好な荷重分散が達成される。しかしながら、この数は限定的なものとして理解されるべきではない。また、この目的のためにフレーム要素8はより少なく又はより多くてもよい。
【0061】
フレーム要素8をデータ処理及び/又はデータ記憶装置11と接続するために、当業者に公知の相応の接続要素を設けることができる。
【0062】
データモジュール6のフレーム要素8は、データモジュール6に対して垂直に延びるように、又は90度とは異なる角度で延びるように配置することができ、特にコーナー領域でフレーム要素8が斜めに延びるように配置することができる。
【0063】
測定モジュール5と、好ましくは存在するデータモジュール6とは、熱処理材料2の表面から離して配置するか、又は好ましくは熱処理材料2上に直接配置することができ、これにより必要な高さを減らすことができる。
【0064】
温度を測定するために、少なくとも1つの温度センサ12が設けられている。好ましくは、熱処理炉内の温度分布をより適切に若しくはより正確に把握するために、複数の温度センサ12が使用される。温度センサ12の正確な数とそれらの配置は、現場の状況に応じることができ、必ずしも
図2に示すようにする必要はない。
【0065】
温度センサ12は、試料9に配置されて、試料9と接続されている。炉雰囲気(空気温度)を測定するために、少なくとも1つの温度センサ12を設けることもできる。温度センサ12は、測定システム4に適宜配置することができる。更に、温度センサ12はデータ伝送のためにデータ処理及び/又はデータ記憶装置11と接続されている。測定システムの好適な実施形態では、温度センサ12として熱電対、特に被覆熱電対が使用される。しかし、異なる形態で設計された温度センサ12も使用できる。
【0066】
フレーム要素8は、好ましくは金属製若しくは金属合金製である。更に、支持装置7のフレーム要素8は、中実プロファイル要素として設計することができる。しかしながら、測定システム4の一実施形態によれば、フレーム要素8はパイプフレーム要素として形成されるように設計されている。
【0067】
フレーム要素8は、円形、四角形又は一般的な多角形の断面を有することができる。フレーム要素8は、C字形断面などによる開いたプロファイルとして設計することもできる。
【0068】
支持面積を拡大し、それによって荷重分布を改善するために、一実施形態に従い支持装置7は支持要素13を有することができ、これらの支持要素13は好ましくはプレート状に形成することができる。支持要素13は、
図3により明確に示されている。支持要素13は材料エッジ14に沿って熱処理材料2上に載っていることが好ましい。
【0069】
請求項2に記載の測定システムは、フレームシステムが少なくとも特定の領域において互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素を有することを特徴とする。
【0070】
支持要素13は、好ましくは支持要素13の平面から突出する固定片15を有することができる。固定片15は、場合によっては支持要素13を簡単に熱処理材料2上に配置して、再び熱処理材料2から持ち上げるための操作要素として使用することもできる。
【0071】
データモジュール6の各フレーム要素8に1つの支持要素13が存在し、それぞれのフレーム要素8と接続されていることが好ましい。しかしまた複数のフレーム要素8を共通の支持要素13と接続することもできる。例えば支持要素13が材料エッジ14ごとに1つだけ存在することもできる。
【0072】
フレーム要素8とそれに付属する支持要素13との間の接続は、例えば溶接によって固定的に、即ち剛性的に形成することができる。しかし一実施形態によれば、支持要素13はフレーム要素8の断面に対応するように成形された保持要素16を有することができ、
図3に見られるように、その中にフレーム要素8が長手方向に変位可能に保持されて、長さの変化を補正し、及び/又は異なる幅10を有する熱処理材料2に対する測定システム4の適合性を向上させることができる。
【0073】
これに代えて又はこれに加えて、同じ目的のために、測定システム4の別の実施形態によるデータモジュール6のフレーム要素8は、
図3の左のフレーム要素8に破線で示すように、入れ子式に伸縮可能なフレームシステム要素17を有することができる。この入れ子式の変位可能性は、フレーム要素8の延び方向に、特に支持装置7の支持領域、即ち支持要素13の範囲に形成することができる。
【0074】
同様に、測定システム4が異なる幅10(
図2参照)を有する熱処理材料2により良好に適合できるようにするために、支持装置7が枢動可能なフレームシステム要素17を有するようにすることができる。これらの枢動可能なフレームシステム要素17は、
図2及び
図3に見られるように、データ処理及び/又はデータ記憶装置11のコーナー領域に配置されることが好ましい。枢動可能性は、
図3に丸い二重矢印で示されている。長さを補正するために保持要素16を支持要素13上に配置することができる。枢動可能性のためにデータ処理及び/又はデータ記憶装置11の領域に枢動軸18を設けることができる。枢動軸18は、例えばスプリント20などの固定要素を用いて枢動軸保持部19から滑り落ちないように確保することができる。しかしまた、
図13から分かるように、スプリント20を使用しないこともできる。更に、フレームシステム要素17の枢動可能性は、
図3に示したものとは異なる形態で形成することもできる。
【0075】
枢動可能なフレーム要素の好適な実施形態では、枢動可能性はフレームシステム要素17の端部領域に形成されている。しかしまた、枢動可能性はフレーム要素8の長手方向で別の箇所に形成することもできる。
【0076】
特に
図1及び
図2から明らかな測定システムの別の実施形態によれば、支持装置7は少なくとも1つの傾斜面21を有することができる。この傾斜面21は、例えば2つのフレーム要素8によって形成することができ、これらのフレーム要素8は、一方では測定モジュール5若しくは試料4と接続され、他方では別の実施形態の変形例によれば、データ処理及び/又はデータ記憶装置11と接続されていて、傾斜面21はデータ処理及び/又はデータ記憶装置11の直前に形成されている。しかしまた、データ処理及び/又はデータ記憶装置11は、例えば傾斜面21とデータ処理及び/又はデータ記憶装置11との間に別のフレーム要素8を配置することによって、傾斜面21から間隔を置くこともできる。
【0077】
データ処理及び/又はデータ記憶装置11は試料4と比較して原則としてより高さ22が高いため、傾斜面21はデータ処理及び/又はデータ記憶装置11に向かって上昇するように形成されている。この傾斜面21により、設備又はシステム自体に損傷を引き起こすことなく、差し迫った衝突を確実に回避できることによって、測定システム4により大きな安全性を提供することができる。つまり傾斜面21は、障害物を傾斜面21に沿って滑動させるために使用することができ、測定システム4は熱処理材料2と共に、或いはデータ処理及び/又はデータ記憶装置11と熱処理材料2との間に間隔が形成されている場合には測定システム4のみが下方に押し付けられて回避することができる。
【0078】
傾斜面10は、
図2に見られるように、例えば平面図で台形状に形成することができる。しかしまた、傾斜面10は別の形状、例えば三角形、正方形、長方形などであることもできる。
【0079】
図2から見て取れるように、データモジュール6と測定モジュール5との接続は、測定モジュール5の別のフレーム要素8に固定されて傾斜面を形成する両フレーム要素8を介して行うことができる。しかしまた、この接続は異なる形態で形成することもできる。
【0080】
データ処理及び/又はデータ記憶装置11は、支持装置7と直接接続することができる。しかしながら測定システムの一実施形態によれば、データ処理及び/又はデータ記憶装置11が、支持装置7に固定された保護要素23の下方に配置されているようにすることもできる。保護要素23は、場合によってはデータ処理及び/又はデータ記憶装置11の側面領域まで延びる単純なカバーであることができる。しかしまた、保護要素23は、データ処理及び/又はデータ記憶装置11が収容されているハウジングの一部であることもできる。保護要素23により、測定システム4が焼入れ装置3(
図1参照)内でもデータを検出することが可能になり、これらのデータに基づいて、焼入れ工程(例えば空冷又は水冷)中の熱処理材料2の温度を測定することにより急冷の効果若しくは均一性を観察し、必要に応じて再調整することができる。
【0081】
測定システム4は、単に熱処理材料2の上に置いて、熱処理炉を通して搬送することができる。しかしながら、熱処理中に対流のみならず設備との万一の衝突によっても、測定システム4の変位が発生する可能性がある。この理由から測定システムは熱処理材料2上に、特に当該熱処理材料2に対して非破壊的に取り付けて再び取り外せるように固定することが好ましい。
【0082】
したがって測定システム4の好適な実施形態では、測定システム4は少なくとも1つの固定要素を有し、好ましくは複数の固定要素が、例えば支持要素ごとに1つの固定要素が配置されている。測定システムのすべての固定要素は、熱処理材料2に固定するために同一に形成されていることが好ましい。
【0083】
固定要素は、例えば1本のねじで螺合される2つのスクリュージョーを備え、それらの間に熱処理材料2を挟んで締め付けることができる。測定システム3の別の実施形態によれば、固定要素は
図4に例として示すように、クランプ要素24であることができる。このクランプ要素24は、特に測定モジュール5のフレーム要素システムを熱処理材料2に固定するのにも適している。
【0084】
クランプ要素24を簡単で迅速に操作するために、クランプ要素24は2つのクランプジョー25と偏心レバー26を有することができる。熱処理材料2を固定するためにクランプジョー25の間に挿入してから、偏心レバー26を倒して閉じると、熱処理材料2がそれらの間に締め付けられる。
図4は、クランプ要素25が閉じた位置を示している。
【0085】
図3から分かるように、クランプジョー25の1つ、特に上側のクランプジョーは保持要素16によって形成することができる。クランプジョー25の別の実施形態によれば、クランプジョー25は(少なくとも1つの傾斜面を備えた)楔形に形成することができる。この場合に有利なのは、慣性によりクランプ力を増加させることができる点である。
【0086】
図5に、測定システム4の別の実施形態の詳細を示す。特にこの図は、試料9と接続する領域に温度センサ12を備えた試料9を示している。温度センサ12は試料9と、例えば力結合及び/又は材料結合によって接続することができる。この接続が焼入れ装置3(
図1参照)の領域で破断するのを適切に避けることができるように、この実施形態では温度センサ12若しくは一般的にセンサ要素の測定チップ27は、この領域を水密に密封するためのカバー要素28で覆われて、測定箇所が水密にシールされている。
【0087】
このシーリングは原理的にどのような適切な方法でも行うことができる。しかし好適な実施形態では、シーリングは同様に材料結合によって、カバー要素28として金属カバーフィルムを試料9に溶接又ははんだ付けすることにより、或いは測定チップ27を試料9内の刻み目に保持し、この刻み目にはんだ金属を充填することにより作製される。
【0088】
測定システム4の別の実施形態によれば、支持装置7にカメラ29若しくは一般的に画像生成及び/又は撮像装置と、場合によっては少なくとも1つの光源30が配置されているようにすることができる。好適な実施形態では、これらは、
図6に見られるように、データ処理及び/又はデータ記憶装置11に配置され、特にその中に組み込まれている。
【0089】
この実施形態により、熱処理炉及び必要に応じて焼入れ装置3の内部を光学的に検出することが可能である。この場合、カメラ29は静止画像又はビデオシーケンスを撮影することができる。これらのデータに基づいて、システムの損傷や摩耗、又は設備内部のストリップの挙動を観察することができる。したがってこの光学的プロセス監視は、とりわけ炉内部のストリップの挙動、焼入れ装置3のスプレーパターンの監視、又は熱処理中の炉内部の検査に使用することができる。
【0090】
本発明の別の実施形態によれば、測定システム4を熱処理材料2上に自動的に配置するための装置31を有するようにすることができる。この装置31の可能な構成を
図7~
図10に示す。
【0091】
装置31は、セッティングローラ32、ストリップ幅を調整するための調整装置33、加速装置34、クランプ装置を掛止するための掛止装置35、及びシステムを熱処理材料2に固定するための固定装置を含み、若しくは上記装置から成る。固定装置は、上述の実施形態に従いクランプ要素24の形で形成することができる。
【0092】
システムを固定するために、熱処理材料2を停止させることなく、したがって走行中の熱処理材料2上に配置することを可能にするクランプ装置を使用できる。
【0093】
この箇所で述べておくと、本発明の範囲内で、測定システム2を配置するために熱処理材料2を停止させることも可能である。
【0094】
測定システム4を熱処理材料2に自動的に配置する利点は、とりわけプロセスの測定データの現実的な検出と、手動固定によるエラーの回避できる(手動固定は本発明の範囲内でも可能である)。
【0095】
好適な実施形態では、測定システム4を熱処理材料2上に自動的に配置するための装置31は、熱処理炉、特に連続炉1の入口の直前にある。
【0096】
測定システム4の自動配置は、以下のステップのシーケンスによって行われる。
セッティングローラ32を上昇させ、
留め具36をストリップエッジに配置し、
支持装置7をデータ処理及び/又はデータ記憶装置11と共に加速し、
クランプ装置をクランプストップにより掛止し、
慣性によりクランプ力を増加させ、
センタリングアームの連結を解除する。
【0097】
測定システム4を熱処理材料2上に自動的に配置するための装置31は、2つ又は4つのセッティングローラ32を含むことができ、4つのセッティングローラ32の場合は、材料エッジ14ごとに互いに間隔を置いて配置されたそれぞれ2つのローラを設けることができる。2つ又は4つよりも多い又は少ないセッティングローラ32も使用できる。
【0098】
セッティングローラ32により、熱処理材料2をクランプ領域で安定させることができる。追加的に、熱処理材料2と測定システム4との間の距離を縮めて取り付けやすくすることができる。セッティングローラ32の上昇は、機械、油圧又は空気圧で行うことができる。特にこの目的のために電気モータを設けることができる。
【0099】
ストリップ幅を調整するための1つ以上の調整装置33により、留め具36を材料エッジ14に対して相対的に変位させて、支持装置7の掛止を可能にすることができる。留め具36の変位は、機械、油圧又は空気圧で行うことができる。特にこの目的のために電気モータを設けることができる。調整装置33の設定は、それぞれコーナー領域で行うことができる。
【0100】
加速装置34により、測定システム4を熱処理材料2の速度に合わせて加速して固定しやすくする。加速装置34自体は、この種の加速装置に対する先行技術に相当することができる。力の伝達のために、加速装置34にセンタリングアーム38を配置して、測定システム4を熱処理材料2に完全に固定するまで案内することができる。測定システム4が熱処理材料2に完全に取り付けた後、センタリングアーム38は測定システム4との連結を解除される。
【0101】
センタリングアーム38は、
図7及び
図8に見られるように、例えば測定システム4のデータ処理及び/又はデータ記憶装置11の領域を保持できるU字形の端部領域を有することができる。
【0102】
しかしまた、測定システム4の加速装置34への連結は、異なる形態で、例えば支持装置7のフレームシステムに取外し可能に突入係合する指状又はスパイク状の突起を用いて実施することもでき、若しくは支持装置7の別の領域でも行うことができる。
【0103】
測定システム4の加速中に、測定システム4と熱処理材料2との間に間隔39が形成されるが、この間隔は比較的小さいことが好ましい。
【0104】
クランプ装置を掛止するための掛止装置35により、クランプ装置の掛止はクランプストップを介して行うことができる。これについては、特に
図9と
図10を参照されたい。レバー40は、ストップ41(
図8参照)によって偏向される。レバー40は(付勢された)ばね42を介してそれぞれの最終位置に固定することができる。ストップ41は回転可能に支持されていて、随意に内蔵されたセンサ43が掛止過程を監視できる。掛止は、レバー40を矢印44の方向に回動させることによって行うことができる。
【0105】
クランプ自体は、上述のクランプジョー25で行うことができる。
【0106】
測定システム4の慣性に基づいて、測定システム4と熱処理材料2との間に相対速度が生じる。この相対速度によりクランプレバーが楔上に固定され、その結果としてクランプ力が増加して摩擦が形成される。システムの固定が行われた後で、センタリングアーム38は測定システム4との連結が解除される。
【0107】
熱処理材料2が熱処理炉若しくは熱処理設備を通過した後で測定システム4を自動的に持ち上げることは、上記と逆の手順で行うことができるが、加速装置34は省略できる。
【0108】
本発明の別の実施形態によれば、測定システム4が、測定システム4と連続炉1若しくは熱処理設備の測定システムと時間同期させるための装置45を有するようにすることができる。これについては、
図11及び
図12を参照されたい。
【0109】
熱処理の過程で、測定システム4からのデータレコードも熱処理設備自体からのデータレコードも評価することができる。データは異なるシステムによって記録されるため、異なる測定システムからの個々のデータをより正確に特定の時点に割り当てることができるようにするために同期化が有利である。その代替又は追加として、連続炉1内の測定システム4の位置をより正確に決定することも可能である。
【0110】
測定システム4の進入位置を決定するために、データ処理及び/又はデータ記憶装置11と、設備の少なくとも1つの別のデータ処理及び/又はデータ記憶装置で、特に複数のデータロガーでトリガー信号を発生することができる。
【0111】
熱処理設備の中央データ記憶装置におけるトリガー信号の発生は、熱処理炉の入り口に設けたライトグリッド又はライトバリア47を介して行うことができる。
【0112】
測定システム4のデータ処理及び/又はデータ記憶装置11、特にデータロガー46におけるトリガー信号の発生は、特定の位置を通過した時点でトリガーされる耐熱スイッチ48を介して行うことができる。この目的のために、特に支持装置7の測定システム4に、強磁性材料から成る可撓性鋼ストリップ49を取り付けることができる。このスイッチ48の正極と負極は通常状態では分離している。熱処理炉の入口の前に固定した磁石50を配置することができ、この磁石50が鋼ストリップ49を下方に曲げて接点を閉じる。
【0113】
データロガー46は、データ処理及び/又はデータ記憶装置11によっても形成できる。
【0114】
この測定システム4により、連続炉1内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料2の温度を決定する方法を実施することができ、温度データは少なくとも1つの温度センサ12で測定され、この目的のために温度センサ12は、熱処理材料2上に載せられる熱処理材料2の別個の試料9上に配置される。試料9は、熱処理材料2上に載せられ、熱処理中は熱処理材料2上に留まり、温度をデータ処理及び/又はデータ記憶装置11に転送する。この場合、熱処理材料2の温度を測定するために、上述した実施形態の少なくとも1つに従う測定システム4が使用され、及び/又は方法が上述した実施形態の少なくとも1つに対従い連続炉1内で実施される。
【0115】
完全を期すために注記すると、測定システム4は、熱処理設備における熱処理中、特にストリップ状の熱処理材料2で更に温度を測定するために、新しい試料9を装着して再び使用することができる。
【0116】
図13及び
図14には、測定システム4の別の、場合によってはそれ自体で独立した実施形態が示されており、ここでも前出の
図1~
図12と同じ部材には同じ参照符号若しくは部材名称が使用されている。不必要な重複を避けるため、前出の
図1~
図12についての詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0117】
測定システム4は、再び熱処理材料2上に配置されている。
【0118】
原理的には、この実施形態変形例の測定システム4は、
図2に示した測定システム4の実施形態と同様である。測定システム4は再び、少なくとも部分的にフレームシステムによって形成された支持装置7と、支持装置7によって保持された少なくとも1つの試料9とを含んでいる。熱処理材料2上に配置するために、支持要素13が設けられている。しかしながら、
図2による測定システム4とは異なり、支持要素13は互いに更に離れて熱処理材料2上に配置されており、1つの支持要素13又は2つ以上の支持要素13が、試料9の領域、特に試料9の(連続炉1を通過する方向に見て)前端面の領域に配置されている。しかしまた、支持要素13はデータ記憶装置11に向かって更にずらして、即ち試料9の前端面と後端面の間に配置することもできる。
【0119】
支持装置7の後部フレーム要素8を長くして、これら両フレーム要素8が囲む角度を小さくなるようにすることもできる。そうすることにより、後部支持要素13もデータ記憶装置11から更に離れて配置される。
【0120】
この測定システムの実施形態により、配置の安定性を向上させることができる。
【0121】
一般的に支持要素13間の相対距離は異なることができる。熱処理材料2上の測定システム4の配置は、(
図2に示すように)コンパクトにすることも、(
図13に示すように)張り出すようにすることもできる。
図2及び
図13に具体的に示す測定システム4の実施形態は好適な実施形態であるが、本発明を限定する性格のものではない。
【0122】
図14に示す図から、クランプジョー25による測定システム4のクランプが見える。更に、最前部及び最後部の支持要素13のみがクランプジョー25を備えており、クランプジョーが正反対に配置されていることも分かる。この具体的なクランプの構成は、一般的に本発明のすべての実施形態に対して設けることができる。しかし、熱処理材料2上の測定システム4のクランプの他の構成も可能である。
【0123】
実施例は可能な実施形態を示しており、この箇所で注記しておくと、個々の実施形態を互いに組み合わせることも可能である。更に、本発明の個々の特徴は、独立した発明であることができる。例えば少なくとも1つのカメラ29と場合によって少なくとも1つの光源30が配置された支持装置7を備えた測定システム若しくはシステムと、これらについて上述した用途は、独立した発明を形成することができる。カメラ29と場合によっては光源の配置は、支持装置7に直接設けるか、又は測定システム内に好ましくは存在するデータ処理及び/又はデータ記憶装置11、好ましくはデータロガー上に(特に直接)設けることができる。
【0124】
更に、上述の実施形態に従う測定チップ27の水密シールは、独立した発明であることができる。したがって、本発明は少なくとも1つのセンサ要素を含む測定システムであることができ、センサ要素は、熱処理材料2、特に支持装置7に保持される熱処理材料2の試料9と水密に配置された測定チップ27を有し、特にカバー要素、好ましくはカバーフィルム又ははんだの形態のカバー要素で覆われている。
【0125】
更に、測定システムは独立した発明をなすことができ、測定システムは、当該測定システムを連続炉1若しくは熱処理設備の測定システムとの時間同期させるための上述の装置45を有する。好ましくはこの測定システムも、同様にデータ処理及び/又はデータ記憶装置11、好ましくは支持装置7によって保持されるデータロガーを有する。
【0126】
上述の実施形態に従って測定システムを熱処理材料上に自動的に配置するための装置45を有する測定システム又は熱処理設備も、同様に独立した発明であることができる。
【0127】
これらの独立した発明のすべてにおいて、支持装置7は必ずしもフレームシステムとして構成される必要はなく、別の形態で設計することも可能である。更に、独立した発明の測定システム4は、好適ではあるがデータ処理及び/又はデータ記憶装置11を必ずしも有する必要はない。
【0128】
上述の実施形態に従って、ある要素を別の要素、特に熱処理材料2上に自動的に配置するための装置45自体も、同様に独立した発明をなすことができる。
【0129】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、要素は一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
【符号の説明】
【0130】
1 連続炉
2 熱処理材料
3 焼入れ装置
4 測定システム
5 測定モジュール
6 データモジュール
7 支持装置
8 フレーム要素
9 試料
10 幅
11 データ記憶装置
12 温度センサ
13 支持要素
14 材料エッジ
15 固定片
16 保持要素
17 フレームシステム要素
18 枢動軸
19 枢動軸保持部
20 スプリント
21 傾斜面
22 高さ
23 保護要素
24 クランプ要素
25 クランプジョー
26 偏心レバー
27 測定チップ
28 カバー要素
29 カメラ
30 光源
31 装置
32 セッティングローラ
33 調整装置
34 加速装置
35 掛止装置
36 留め具
37 電気モータ
38 センタリングアーム
39 間隔
40 レバー
41 ストップ
42 ばね
43 センサ
44 矢印の方向
45 装置
46 データロガー
47 ライトバリア
48 スイッチ
49 鋼ストリップ
50 磁石
【手続補正書】
【提出日】2023-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)であって、
支持装置(7)と、
データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)と、
試料(9)に配置され、該試料(9)と接続される少なくとも1つの温度センサ(12)と、を含み、
前記熱処理材料(2)の試料(9)のための少なくとも1つの保持部が前記支持装置(7)に形成され
、
前記支持装置(7)は少なくとも部分的に
フレーム要素(8)を備えたフレームシステムによって形成され
、
前記試料(9)のための前記少なくとも1つの保持部は、外周で見て全面的に閉じているか又は部分的に開いているフレームを構成する前記フレーム要素(8)によって形成されている、測定システム(4)において、
前記フレーム要素(8)はパイプフレーム要素として形成され、それにより前記フレームシステムはパイプフレームシステムとして設計されていることを特徴とする、測定システム(4)。
【請求項2】
前記フレームシステムは、少なくとも特定の領域で互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項3】
前記互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)は、前記熱処理材料(2)上の前記測定システム(4)の支持領域に配置されていることを特徴とする、請求項
2に記載の測定システム(4)。
【請求項4】
前記支持装置(7)は、枢動可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、請求項1~
3の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項5】
前記枢動可能なフレームシステム要素(17)は、前記フレームシステムの端部領域に配置されていることを特徴とする、請求項
4に記載の測定システム(4)。
【請求項6】
前記支持装置(7)は、少なくとも1つの傾斜面(21)を有することを特徴とする、請求項1~
5の何れ一項に記載の測定システム(4)。
【請求項7】
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に配置されていることを特徴とする、請求項1~
6の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項8】
前記傾斜面(21)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)の前に、特に真正面に配置されていることを特徴とする、請求項
7に記載の測定システム(4)。
【請求項9】
前記支持装置(7)は、該支持装置(7)を前記熱処理材料(2)に固定するための少なくとも1つの固定要素を有することを特徴とする、請求項1~
8の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの固定要素、又は少なくとも1つの固定要素は、クランプ要素(24)として設計されていることを特徴とする、請求項
9に記載の測定システム(4)。
【請求項11】
前記クランプ要素(24)は、偏心レバー(26)とクランプジョー(25)及び/又は少なくとも1つの傾斜面を含むことを特徴とする、請求項
10に記載の測定システム(4)。
【請求項12】
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に固定された保護要素(23)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項1~
11の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項13】
前記支持装置(7)にカメラ(29)と、場合によっては少なくとも1つの光源(30)と、が配置されていることを特徴とする、請求項1~
12の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項14】
前記カメラ(29)及び/又は前記光源(30)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に配置され、特にその中に組み込まれていることを特徴とする、請求項
13に記載の測定システム(4)。
【請求項15】
前記温度センサの測定チップ(27)は、該測定チップ(27)を前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置する領域を水密に密封するためのカバー要素(28)で覆われていることを特徴とする、請求項1~
14の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項16】
前記カバー要素(28)は、カバーフィルム又ははんだによって形成されていることを特徴とする、請求項
15に記載の測定システム(4)。
【請求項17】
前記測定システム(4)を前記連続炉(1)の測定システムと時間同期し、及び/又は前記測定システム(4)の位置を決定するための装置(45)を有することを特徴とする、請求項1~
16の何れか一項に記載の測定システム(4)。
【請求項18】
連続炉(1)、特にフローティングストリップ設備であって、
前記連続炉(1)を通して熱処理材料(2)、特にストリップ状の熱処理材料(2)を搬送するための搬送装置と、連続炉(1)内で熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)と、を含む連続炉(1)において、
前記連続炉(1)内で前記熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)は、請求項1~
17の何れか一項に記載の測定システム(4)によって形成され
、前記熱処理材料(2)上に置かれ、非破壊的に且つ再び取り外せるように前記熱処理材料(2)に固定され、それによって前記熱処理炉を通して搬送されることを特徴とする、連続炉(1)。
【請求項19】
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に自動的に配置するための装置(31)を有することを特徴とする、請求項
18に記載の連続炉(1)。
【請求項20】
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、前記測定システム(4)を走行中の前記熱処理材料(2)上に配置するための加速装置(34)を有することを特徴とする、請求項
19に記載の連続炉(1)。
【請求項21】
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、炉入口の真正面に配置されていることを特徴とする、請求項
19又は
20に記載の連続炉(1)。
【請求項22】
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定する方法であって、
温度データを少なくとも1つの温度センサ(12)で測定し、この目的のために前記温度センサ(12)は前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置され、該試料(9)は、前記熱処理材料(2)上に支持されて、熱処理の間、前記熱処理材料(2)上に留まり、前記温度データをデータ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に転送する方法において、
前記熱処理材料(2)の温度を測定するために、請求項1~
17の何れか一項に記載の測定システム(4)が使用され、請求項19~
21の何れか一項に記載の連続炉(1)において実施されることを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に配置することは、前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)に自動的に配置するための装置(31)によって完全に自動的に実施されることを特徴とする、請求項
22に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0129】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、要素は一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
なお、本発明の態様(構成)として以下に示すものがある。
[態様1]
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)であって、
支持装置(7)と、
データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)と、
少なくとも1つの温度センサ(12)と、を含み、
前記熱処理材料(2)の試料(9)のための少なくとも1つの保持部が前記支持装置(7)に形成されている、測定システム(4)において、
前記支持装置(7)は少なくとも部分的にフレームシステムによって形成されていることを特徴とする、測定システム(4)。
[態様2]
前記フレームシステムは、パイプフレームシステムとして設計されていることを特徴とする、態様1に記載の測定システム(4)。
[態様3]
前記フレームシステムは、少なくとも特定の領域で互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、態様2に記載の測定システム(4)。
[態様4]
前記互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)は、前記熱処理材料(2)上の前記測定システム(4)の支持領域に配置されていることを特徴とする、態様3に記載の測定システム(4)。
[態様5]
前記支持装置(7)は、枢動可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、態様1~4の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様6]
前記枢動可能なフレームシステム要素(17)は、前記フレームシステムの端部領域に配置されていることを特徴とする、態様5に記載の測定システム(4)。
[態様7]
前記支持装置(7)は、少なくとも1つの傾斜面(21)を有することを特徴とする、態様1~6の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様8]
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に配置されていることを特徴とする、態様1~7の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様9]
前記傾斜面(21)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)の前に、特に真正面に配置されていることを特徴とする、態様8に記載の測定システム(4)。
[態様10]
前記支持装置(7)は、該支持装置(7)を前記熱処理材料(2)に固定するための少なくとも1つの固定要素を有することを特徴とする、態様1~9の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様11]
前記少なくとも1つの固定要素、又は少なくとも1つの固定要素は、クランプ要素(24)として設計されていることを特徴とする、態様10に記載の測定システム(4)。
[態様12]
前記クランプ要素(24)は、偏心レバー(26)とクランプジョー(25)及び/又は少なくとも1つの傾斜面を含むことを特徴とする、態様11に記載の測定システム(4)。
[態様13]
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に固定された保護要素(23)の下方に配置されていることを特徴とする、態様1~12の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様14]
前記支持装置(7)にカメラ(29)と、場合によっては少なくとも1つの光源(30)と、が配置されていることを特徴とする、態様1~13の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様15]
前記カメラ(29)及び/又は前記光源(30)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に配置され、特にその中に組み込まれていることを特徴とする、態様14に記載の測定システム(4)。
[態様16]
前記温度センサの測定チップ(27)は、該測定チップ(27)を前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置する領域を水密に密封するためのカバー要素(28)で覆われていることを特徴とする、態様1~15の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様17]
前記カバー要素(28)は、カバーフィルム又ははんだによって形成されていることを特徴とする、態様16に記載の測定システム(4)。
[態様18]
前記測定システム(4)を前記連続炉(1)の測定システムと時間同期し、及び/又は前記測定システム(4)の位置を決定するための装置(45)を有することを特徴とする、態様1~17の何れか一項に記載の測定システム(4)。
[態様19]
連続炉(1)、特にフローティングストリップ設備であって、
前記連続炉(1)を通して熱処理材料(2)、特にストリップ状の熱処理材料(2)を搬送するための搬送装置と、連続炉(1)内で熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)と、を含む連続炉(1)において、
前記連続炉(1)内で前記熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)は、態様1~18の何れか一項に記載の測定システム(4)によって形成されていることを特徴とする、連続炉(1)。
[態様20]
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に自動的に配置するための装置(31)を有することを特徴とする、態様19に記載の連続炉(1)。
[態様21]
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、前記測定システム(4)を走行中の前記熱処理材料(2)上に配置するための加速装置(34)を有することを特徴とする、態様20に記載の連続炉(1)。
[態様22]
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、炉入口の真正面に配置されていることを特徴とする、態様20又は21に記載の連続炉(1)。
[態様23]
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定する方法であって、
温度データを少なくとも1つの温度センサ(12)で測定し、この目的のために前記温度センサ(12)は前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置され、該試料(9)は、前記熱処理材料(2)上に支持されて、熱処理の間、前記熱処理材料(2)上に留まり、前記温度データをデータ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に転送する方法において、
前記熱処理材料(2)の温度を測定するために、態様1~18の何れか一項に記載の測定システム(4)が使用され、態様19~22の何れか一項に記載の連続炉(1)において実施されることを特徴とする、方法。
[態様24]
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に配置することは、前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)に自動的に配置するための装置(31)によって完全に自動的に実施されることを特徴とする、態様23に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)であって、
支持装置(7)と、
データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)と、
試料(9)に配置され、該試料(9)と接続される少なくとも1つの温度センサ(12)と、を含み、
前記熱処理材料(2)の試料(9)のための少なくとも1つの保持部が前記支持装置(7)に形成され、
前記支持装置(7)は少なくとも部分的にフレーム要素(8)を備えたフレームシステムによって形成され、
前記試料(9)のための前記少なくとも1つの保持部は、外周で見て全面的に閉じているか又は部分的に開いているフレームを構成する前記フレーム要素(8)によって形成されている、測定システム(4)において、
前記フレーム要素(8)はパイプフレーム要素として形成され、それにより前記フレームシステムはパイプフレームシステムとして設計されていることを特徴とする、測定システム(4)。
【請求項2】
前記フレームシステムは、少なくとも特定の領域で互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、請求項1に記載の測定システム(4)。
【請求項3】
前記互いに伸縮自在にスライド可能なフレームシステム要素(17)は、前記熱処理材料(2)上の前記測定システム(4)の支持領域に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の測定システム(4)。
【請求項4】
前記支持装置(7)は、枢動可能なフレームシステム要素(17)を有することを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項5】
前記枢動可能なフレームシステム要素(17)は、前記フレームシステムの端部領域に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の測定システム(4)。
【請求項6】
前記支持装置(7)は、少なくとも1つの傾斜面(21)を有することを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項7】
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項8】
前記傾斜面(21)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)の前に、特に真正面に配置されていることを特徴とする、請求項
6に記載の測定システム(4)。
【請求項9】
前記支持装置(7)は、該支持装置(7)を前記熱処理材料(2)に固定するための少なくとも1つの固定要素を有することを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの固定要素、又は少なくとも1つの固定要素は、クランプ要素(24)として設計されていることを特徴とする、請求項9に記載の測定システム(4)。
【請求項11】
前記クランプ要素(24)は、偏心レバー(26)とクランプジョー(25)及び/又は少なくとも1つの傾斜面を含むことを特徴とする、請求項10に記載の測定システム(4)。
【請求項12】
前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)は、前記支持装置(7)に固定された保護要素(23)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項13】
前記支持装置(7)にカメラ(29)と、場合によっては少なくとも1つの光源(30)と、が配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項14】
前記カメラ(29)及び/又は前記光源(30)は、前記データ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に配置され、特にその中に組み込まれていることを特徴とする、請求項13に記載の測定システム(4)。
【請求項15】
前記温度センサの測定チップ(27)は、該測定チップ(27)を前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置する領域を水密に密封するためのカバー要素(28)で覆われていることを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項16】
前記カバー要素(28)は、カバーフィルム又ははんだによって形成されていることを特徴とする、請求項15に記載の測定システム(4)。
【請求項17】
前記測定システム(4)を前記連続炉(1)の測定システムと時間同期し、及び/又は前記測定システム(4)の位置を決定するための装置(45)を有することを特徴とする、請求項
1に記載の測定システム(4)。
【請求項18】
連続炉(1)、特にフローティングストリップ設備であって、
前記連続炉(1)を通して熱処理材料(2)、特にストリップ状の熱処理材料(2)を搬送するための搬送装置と、連続炉(1)内で熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)と、を含む連続炉(1)において、
前記連続炉(1)内で前記熱処理材料(2)の温度を決定するための測定システム(4)は、請求項
1に記載の測定システム(4)によって形成され、前記熱処理材料(2)上に置かれ、非破壊的に且つ再び取り外せるように前記熱処理材料(2)に固定され、それによって前記
連続炉(1)を通して搬送されることを特徴とする、連続炉(1)。
【請求項19】
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に自動的に配置するための装置(31)を有することを特徴とする、請求項18に記載の連続炉(1)。
【請求項20】
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、前記測定システム(4)を走行中の前記熱処理材料(2)上に配置するための加速装置(34)を有することを特徴とする、請求項19に記載の連続炉(1)。
【請求項21】
前記測定システム(4)を自動的に配置するための装置(31)が、炉入口の真正面に配置されていることを特徴とする、請求項
19に記載の連続炉(1)。
【請求項22】
連続炉(1)内、特にフローティングストリップ設備内で、特にストリップ状の熱処理材料(2)の温度を決定する方法であって、
温度データを少なくとも1つの温度センサ(12)で測定し、この目的のために前記温度センサ(12)は前記熱処理材料(2)の試料(9)上に配置され、該試料(9)は、前記熱処理材料(2)上に支持されて、熱処理の間、前記熱処理材料(2)上に留まり、前記温度データをデータ処理及び/又はデータ記憶装置(11)に転送する方法において、
前記熱処理材料(2)の温度を測定するために、請求項1~17の何れか一項に記載の測定システム(4)が使用され、請求項
18~21の何れか一項に記載の連続炉(1)において実施されることを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)上に配置することは、前記測定システム(4)を前記熱処理材料(2)に自動的に配置するための装置(31)によって完全に自動的に実施されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【国際調査報告】