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特表2024-537193電気用途用鋼帯を製造するためのプロセスおよび関連装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電気用途用鋼帯を製造するためのプロセスおよび関連装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/08 20060101AFI20241003BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B05C1/08
C23C26/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520941
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 IB2022059551
(87)【国際公開番号】W WO2023057948
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/059204
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュベ,バンサン
(72)【発明者】
【氏名】アンケ,シャルル
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】シャルボネル,イブ
【テーマコード(参考)】
4F040
4K044
【Fターム(参考)】
4F040AA24
4F040AB04
4F040AC01
4F040AC02
4F040BA23
4F040CB01
4F040CB05
4F040CB22
4F040CB34
4F040CB37
4F040CB38
4F040DA12
4F040DA15
4F040DA17
4F040DB14
4K044AA02
4K044AB02
4K044BA21
4K044BB01
4K044BC14
4K044CA53
(57)【要約】
タンク(2)と、被覆ロール(3)と、塗布ロール(4)とを備える、電気用途のための、ワニスで被覆された鋼帯Sを連続的に製造するための被覆装置(1)であって、前記タンク(2)は、ワニス溶液を収容することができ、前記被覆ロール(3)は前記ワニス溶液と接触するように構成され、前記被覆ロール(3)は、前記塗布ロール(4)と接触し、前記ワニスを前記塗布ロール(4)上に、鋼帯幅方向に均一に転写するように構成され、前記塗布ロール(4)は、前記鋼帯Sと接触し、前記鋼帯の幅で前記鋼帯を均一に被覆するように構成され、前記塗布ロールの表面は、40~60ショアAの硬度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク2と、被覆ロール3と、塗布ロール4とを備える、電気用途のための、ワニスで被覆された鋼帯Sを連続的に製造するための被覆装置1であって、
前記タンク2は、ワニス溶液を収容することができ、前記被覆ロール3が前記ワニス溶液と接触するように前記タンク2は構成され、
前記被覆ロール3は、前記塗布ロール4と接触するように、かつ前記ワニスを前記塗布ロール4上に、鋼帯幅方向に均一に転写するように構成され、
前記塗布ロール4は、前記鋼帯Sと接触するように、かつ前記鋼帯の幅で前記鋼帯を均一に被覆するように構成され、前記塗布ロールの表面は、40~60ショアAの硬度を有する、被覆装置1。
【請求項2】
前記塗布ロールの前記表面は、40~55ショアAの硬度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記塗布ロールの前記表面は、エラストマーでできている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記塗布ロールの前記表面は、ポリウレタンでできている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記タンクは、チャンバドクターブレードである、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記タンクには、ワイピング装置10が装備されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置によって実行される、ワニスで被覆された鋼帯の連続製造のための方法であって、
前記帯の少なくとも一方の面にワニス層が堆積され、前記ワニス層は1.5μm~15μmの濡れ厚さを有し、前記ワニスは20℃で2.5×10-2Pa.s~20℃で4.0×10-1Pa.sの粘度を有し、
前記被覆ロールには、前記タンクに収容されたワニスと接触することによってワニスが供給され、前記塗布ロールは、前記被覆ロールおよび前記鋼帯と接触し、前記鋼帯は、少なくとも30m.min-1の速度で走行する、方法。
【請求項8】
前記鋼帯は電磁鋼である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記鋼帯は無方向性電磁鋼である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ワニスは水性ワニスである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
塗布ロールに接触するために前記被覆ロールに作用される総力は、被覆された鋼帯の幅1メートル当たり500~3000Nである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記鋼帯に接触するために前記塗布ロールに作用される総力は、被覆された鋼帯の幅1メートル当たり2000~6000Nである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ワニスの堆積後に、前記鋼帯は乾燥ステップに供される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
堆積された前記ワニス層の厚さは、乾燥後には0.8μm~5μmである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気用途のための、均質なワニス層で被覆された鋼帯の連続製造のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「電気用途」という用語は、特定の磁気特性を有する物品、例えば、電動機のステータおよびロータ、変圧器、ならびに風車のタービンを製造するための鋼帯の使用に関する。電気用途用の鋼は、電磁鋼としても知られており、一般に0~6重量パーセントのケイ素を含有する。電磁鋼は、無方向性鋼と方向性鋼の2つのカテゴリーに分けられることができる。
【0003】
電磁鋼は、通常、電気の流れを防止し、渦電流を低減するために、鋼を絶縁するためにワニスで被覆される。このワニスは、一般に、25~75重量パーセントの樹脂および5~15重量パーセントの溶媒(アルコールなど)を含有する水性溶液、ならびに水からなる残部である。ワニス塗布プロセスは、少なくとも2つのステップを備え、第1のステップではワニスが湿潤膜の形態で被覆され、第2のステップではワニスが硬化されて網状の乾燥膜を得る。湿潤膜の厚さは、乾燥膜の厚さを0.8μm~5μmとするために、通常1.5μm~15μmである。
【0004】
製造プロセスにおいて、ワニス塗布はアニーリング後に行われる。製造ラインのアーキテクチャに応じて、ワニス塗布部は、焼鈍炉と結合されてもされなくてもよい。ワニス部分が焼鈍炉と結合されているかどうかが製造ライン速度に影響を与える。さらに、ワニスは、乾燥ステップにおいて、最高速度ラインも制限するピーク金属温度(PMT)で網状化される必要がある。その結果、ライン速度は30~300m.min-1まで変化することができる。
【0005】
米国特許第6277196号明細書は、電磁鋼帯上に一貫して高速で絶縁ラッカーの薄い均一な層を被覆することを目的としている。この装置は、彫刻されたピックアップロールと、溝または他のくぼみのない実質的に平らな表面を有する塗布ロールとを備える。
【0006】
欧州特許第3143179号明細書は、包装鋼を不動態化層で均一に被覆するためのプロセスおよび機器を開示している。この装置は、チャンバドクターブレードと、被覆ロールと、塗布ロールとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6277196号明細書
【特許文献2】欧州特許第3143179号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、広範囲のライン速度に対して電磁鋼帯を均一にワニス塗布することを可能にする装置および方法を提供することである。その結果、鋼上のワニス層は、いかなるパターンも呈するべきではない。実際、電磁鋼のための被覆装置の大部分は、ライン速度の変動につながる焼鈍炉と連結されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置を提供することによって達成される。これは、請求項7~14のいずれか一項に記載の方法を提供することによっても達成される。
【0010】
他の特徴および利点は、本発明の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態を示す図である。
図3】最大ワニス厚さに対する塗布ロールの硬度および速度ラインの影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、図1に示されるように、タンク2と、被覆ロール3と、塗布ロール4とを備える、電気用途のための、ワニスで被覆された鋼帯Sを連続的に製造するための被覆装置1に関し、
前記タンク2は、ワニス溶液を収容することができ、前記被覆ロール3が前記ワニス溶液と接触するように前記タンク2は構成され、
前記被覆ロール3は、前記塗布ロール4と接触するように、かつ前記ワニスを前記塗布ロール4上に、鋼帯幅方向に均一に転写するように構成され、
前記塗布ロール4は、前記鋼帯Sと接触するように、かつ前記鋼帯の幅で前記鋼帯を均一に被覆するように構成され、前記塗布ロールの表面は、40から60ショアAの硬度を有する。
【0013】
図2は、方向Dに沿ってワニス塗布設備を通って進む鋼帯Sを示す。帯は、最初に、ワニス溶液を塗布することを目的とする被覆装置1を通過し、次いで、ワニスの水分を除去し、次いでワニスを網状化することを目的とする乾燥ユニット5を通過する。被覆されたワニスの厚さを測定する装置6は、被覆装置1と乾燥ユニット5との間に配置されることができ、被覆装置1の制御ユニット9に接続されることができる。
【0014】
図2に示される実施形態では、被覆装置1は、帯の2つの面を同時に被覆することができるが、代替の実施形態では、被覆装置1は、帯の単一の面のみを被覆するように、装置の左側部分1Aまたは右側部分1Bのみで構成されることができる。
【0015】
被覆装置1の左側部分1Aの一実施形態が図1に示されている。右側部分1Bは、帯Sに関して左側部分1Aと対称であるため、記載されていない。
【0016】
図1に示されるように、この装置は、塗布ロール4である、第1のロール4で構成されている。この塗布ロール4は、一方では帯Sと接触し、他方では被覆ロール3である、第2のロール3と接触している。製造プロセス中、被覆ロール3は回転しており、また帯S上に堆積される、タンク2に含まれるワニス溶液と接触している。被覆ロールとワニス溶液との間の接触は、前記被覆ロールを前記ワニス溶液に浸漬することによって実現されることができる。タンク2には、被覆ロール3の表面に溶液を搾り出すワイピング装置が装備されることが好ましい。
【0017】
ワイピング装置は、必要な湿潤ワニス厚さを得るために堆積される必要な量の溶液で被覆ロール3が確実に被覆されることを可能にする。このワイピング装置には、ドクターブレードが装備されることが好ましい。この装置は、2枚のブレードで構成されることができ、例えば、第1のブレードは、被覆ロール3がタンク2に入る地点に位置され、被覆ロール3がタンク2を通過する前の通過から残った残留ワニス溶液を除去することを可能にし、第2のブレードは、ロール被覆ロール3がタンク2を出る地点に位置され、余分な溶液を除去することを可能にする。ブレードは、例えば、プラスチック、ステンレス鋼または炭素繊維で作製されることができる。装置はまた、単一のブレード、例えば、被覆ロール3がタンク2を出る地点に位置されたステンレス鋼製のブレードとすることができる。
【0018】
図1に示されるように、タンクは、チャンバドクターブレードであることが好ましい。チャンバドクターブレードシステムは、2つのドクターブレードを密閉されたワニスチャンバと共に使用して、ワニスを被覆ロールに分配する。通常、第1のブレードは計量ブレードとして作用し、被覆ロールから余分なワニスを拭き取り、第2のブレードは捕捉または封じ込めブレードとして作用し、ワニスをチャンバ内に保持する。
【0019】
このワニス溶液は、20℃で2.5×10-2Pa.s~20℃で4.0×10-1Pa.sの粘度を有する。第1の例では、溶液は、アクリル樹脂およびホスフェート顔料で構成される30~50重量%の乾燥抽出物、5~10重量%の共溶媒(アルコール)、および水からなる残部を含有する。別の例では、溶液は、ポリウレタン樹脂とアルミニウムおよび酸化ケイ素との混合物である40~60重量%の乾燥抽出物、5~10重量%の共溶媒(アルコール)、および水からなる残部を含有する。
【0020】
被覆ロール3は、表面に彫刻が施されたセラミックにより被覆されたロールである。より正確には、被覆ロール3には、任意のパターンまたはセル構造が刻まれている。例えば、パターンは、60°または30°または70°の六角形セル、ラインパターン、コブラパターンであってよい。被覆ロールのセルはワニス溶液で充填される。被覆ロールの表面は、セラミック製とされることができる。被覆ロールのセルは、レーザーまたは機械的ツールを用いてエッチングされることができる。
【0021】
被覆ロールにパターンが刻まれていても、被覆ロールは、ワニスを塗布ロール上に均一に転写するように構成されている。これは、塗布ロールにパターンが転写されないことを意味する。その結果、ワニス厚さが幅方向において均一となる。
【0022】
第1の好ましい実施形態では、被覆ロール3は、複数の60°六角形形状のセルを有し、そのライン数は、50~200ライン/センチメートルであり、その体積は、ロール表面1平方メートル当たり5×10-6~6×10-5、好ましくはロール表面1平方メートル当たり1×10-6~5×10-5である。
【0023】
第2の好ましい実施形態では、被覆ロール3は、ロール表面1m当たり1×10-5~8×10-5のセル体積を伴うコブラパターンを有する。
【0024】
第3の好ましい実施形態では、被覆ロール3は、ロール表面1m当たり1×10-5~4×10-5のセル体積を伴う四角形パターンを有する。
【0025】
ワニス溶液が被覆された被覆ロール3の表面は、タンク2を通過した後、塗布ロール4と接触するようになる。被覆ロール3は、時計回り、またはその逆に回転することができる。塗布ロール4自体は、被覆ロール3の1つとは反対の回転方向に駆動されることが好ましい。
【0026】
塗布ロール4、または少なくともその表面は、溶液の最適な転写を可能にする材料、すなわち、例えば、ロールまたはその表面が作られる材料による吸収、または反対に、ロールの表面上の溶液の過剰な滑りによる溶液の損失を最小にする転写が可能な材料で作られることが好ましい。この材料はまた、耐薬品性ならびに機械的摩耗に対する耐性を示すことができる。好ましくは、塗布ロール3はエラストマー製である。第1の好ましい例では、塗布ロールはクロロスルホン化ポリエチレンで作られる。第2の好ましい実施形態では、塗布ロールはポリウレタン製である。
【0027】
塗布ロールは、前記鋼帯を幅方向に均一に被覆するように構成される。その結果、得られた被覆された帯上にワニスパターンは存在しない。そのような均一な被覆を達成するために、塗布ロール表面は、溝または他のくぼみのない実質的に平らな表面である。
【0028】
好ましくは、塗布ロール3は、0.5μm~3.5μmの粗さRaを有する。塗布ロール粗さRaが3.5μmを超えると、被覆されたワニスの不均質性が現れる可能性がある。さらにより好ましくは、前記塗布ロールは、0.6~1.5μmの粗さRaを有する。
【0029】
塗布ロールは、40ショアA~60ショアAの硬度を有する。硬度は、ASTM D2240規格に従って測定されることができる。
【0030】
硬度が40ショアA未満である場合には、被覆プロセスに起因して塗布ロールの寿命が著しく低下する。好ましくは、塗布ロール3は、少なくとも45ショアAの硬度を有し、そのような最小硬度は、より良好な寿命を提供し、さらにロールの良好な変形を提供して均一な被覆をもたらす。
【0031】
硬度が60ショアAより大きい場合、特にライン速度が小さい場合、最大ワニス濡れ厚さは制限されすぎる。好ましくは、塗布ロール3は、最大55ショアAの硬度を有する。
【0032】
実際、図3では、被覆ロールで被覆されることができる最大ワニス濡れ厚さが速度ラインの関数でプロットされている。これは、ロール表面のいくつかの硬度、すなわち、40および60ショアA(本発明による)ならびに80ショアAについてプロットされている。すべての曲線は、帯の幅1メートル当たり3000Nの塗布ロールに加えられた総力および20℃で0.12Pa.sの粘度についてプロットされている。
【0033】
本発明による被覆ロールについて、被覆されることができる最大濡れ厚さは、少なくとも30m.min-1の速度ラインに対して、少なくとも15μmであることが観察されることができる。
【0034】
その結果、塗布ロールの特許請求の範囲の硬度は、十分な耐久性を確保しながら、広範囲のワニス被覆の湿潤厚さを提供する。
【0035】
本発明はまた、前述のような装置によって実行される、ワニスで被覆された鋼帯の連続製造のための方法に関し、
前記帯の少なくとも一方の面にワニス層が堆積され、前記ワニス層は1.5μm~15μmの濡れ厚さを有し、前記ワニスは20℃で2.5×10-2Pa.s~20℃で4.0×10-1Pa.sの粘度を有し、
前記被覆ロールには、前記タンクに収容されたワニスと接触することによってワニスが供給され、前記塗布ロールは、前記被覆ロールおよび前記鋼帯と接触し、前記鋼帯は、少なくとも30m.min-1の速度で走行する。
【0036】
好ましくは、前記鋼帯は電磁鋼帯である。さらにより好ましくは、前記鋼帯は無方向性電磁鋼帯である。前記無方向性電磁鋼帯は、1.5~4重量パーセントのケイ素を含むことが好ましい。
【0037】
好ましくは、鋼帯は、30~500m.min-1の速度で走行している。さらにより好ましくは、鋼帯は、30~300m.min-1の速度で走行している。
【0038】
被覆ロール3と塗布ロール4との間の接触圧力は、ワニス溶液を被覆ロールから塗布ロールに転写するのに十分でなければならないが、溶液の損失と、それによる溶液の最適でない転写をもたらす可能性のある飛散を引き起こすほど大きくしてはならない。前記2つのロール間のこの圧力は、例えば、被覆ロール3に取り付けられたシリンダを用いて加えられることができる。被覆ロール3に加わる総力FRRは、帯の幅1m当たり500~3000Nであることが好ましい。
【0039】
この接触に続いて、塗布ロール4は、帯S上に堆積されることになる湿潤ワニス溶液で被覆される。
【0040】
塗布ロール4と帯との間の接触圧力は、堆積された湿潤ワニス溶液膜を過度に拭き取る危険性があるほどに大きくてはならず、溶液で帯の濡れが不十分になる危険性があるほどに低くてはならない。さらに、帯の潜在的な平坦度欠陥を補償するために、ロールによって帯に最小圧力が及ぼされなければならない。塗布ロール4と帯Sとの間のこの圧力は、例えば、塗布ロールに取り付けられた少なくとも1つのシリンダを用いて加えられることができる。塗布ロール4に加えられる総力FTBは、帯の幅1メートル当たり2000~6000Nであることが好ましい。
【0041】
塗布ロール4および被覆ロール3の回転速度は、帯の変位速度と同期させることができる。
【0042】
本発明の一実施形態では、堆積された湿潤ワニス厚さの厚さは、厚さ測定装置6を用いて測定される。
【0043】
加えて、または本発明の追加の実施形態では、被覆ロール3の回転速度は、図1に示される制御ユニット9によって制御されることができる。この制御ユニット9は、湿潤ワニス厚さを測定する装置に接続されている。厚さが目標厚さ未満である場合、被覆ロール3の速度は増加し、その逆も同様である。
【0044】
厚さは、例えば、電磁放射線ゲージを用いて測定されることができる。これらのゲージは、水分が膜から非常に急速に蒸発し、測定値に著しい変動を引き起こす可能性があるため、被覆装置1に可能な限り近くに設置されることが好ましい。
【0045】
湿潤ワニス層の堆積ステップに続いて、帯は乾燥ステップに供される。この乾燥ステップは、乾燥ユニット5を用いて行われる。
【0046】
好ましくは、この乾燥段階に続いて、堆積されたワニス層の厚さは、乾燥後に0.8μm~5μmである。
【0047】
この乾燥ユニット5は、例えば、空気を120℃~350℃の温度で被覆された帯の方向に噴射するノズルが装備された乾燥トンネルである。乾燥ユニットはまた、帯の温度を好ましくは220℃~290℃のPMTまで上昇させるインダクタとすることができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】