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特表2024-537197リガンド指向性分解剤としてのCAMKK2調節剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】リガンド指向性分解剤としてのCAMKK2調節剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20241003BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C07D417/14 CSP
A61K31/517
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520961
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022046031
(87)【国際公開番号】W WO2023059873
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/253,721
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508027464
【氏名又は名称】セルジーン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】ダゴスティーノ,ローラ アクリアン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトフィールド,ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ヤング
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC82
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC19
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】

本明細書において、CAMKK2調整のために、式Iの化合物及びそれらの組成物が提供される。幾つかの実施態様において、前記化合物及び組成物は、癌治療及び/又は肥満治療のために提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容可能な塩
[式中、
Wは、NまたはCXであり;
は、Oまたは適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンであり;
は、適宜置換されていてもよいアリールであり;
、X、及びXは、それぞれ独立して水素、ハロゲンまたは-CNであり;
nは、2~10のいずれかである]。
【請求項2】
が、Oである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
が、適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
が、メチルで適宜置換されていてもよいピラゾリレンである、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
が、アルキル、カルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換基で適宜置換されていてもよいアリールである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
が、ハロゲンまたはC~Cカルボシクリルで適宜置換されていてもよいC~Cアルキルで適宜置換されていてもよいアリールである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
が、-COHまたは-C(O)NHで適宜置換されていてもよいアリールである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
が、ハロゲンで適宜置換されていてもよいC~Cカルボシクリルで適宜置換されていてもよいアリールである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
が、窒素原子を含む6員のヘテロシクリルで適宜置換されていてもよいアリールである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
が、テトラゾリルで適宜置換されていてもよいアリールである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
Wが、Nである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
Wが、CXである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
が、水素またはハロゲンである、請求項12に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
及びXが、それぞれ独立して水素またはハロゲンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
nが、4~9のいずれかである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
前記化合物が、式Iaで表される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【化2】
Ia
【請求項17】
nが、4~9のいずれかである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
nが、4である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
nが、5である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項20】
nが、6である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項21】
nが、7である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
nが、8である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項23】
nが、9である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項24】
表1に示される化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項26】
細胞内の遺伝子転写を制御する方法であって、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼ2(CAMKK2)活性を、CAMKK2を請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、または請求項25に記載の医薬組成物に暴露することにより調節することを含む方法。
【請求項27】
カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼ2(CAMKK2)を調節する方法であって、有効量の、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、または請求項25に記載の医薬組成物とCAMKK2とを接触させることを含む方法。
【請求項28】
必要な対象における癌の治療方法であって、有効量の、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、または請求項25に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項29】
癌が、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経芽細胞種、小円形青色細胞腫瘍、膠芽腫、神経膠腫、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、または黒色腫である、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年10月8日に出願された米国仮出願第63/253,721号の優先権を主張し、いかなる趣旨においても、この全体が本明細書にて参照によって援用される。
【0002】
本開示は概して、癌治療のための化合物、組成物、及びそれらの製造方法、並びに前記化合物及び組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍関連骨髄細胞は、腫瘍の成長及び転移をコントロールするプロセス制御において、中心となる役割を果たし、それらが癌腫瘍に蓄積することは重要な負の予後因子であると特定されている。カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼ2(CAMKK2)が乳癌マウスモデルの腫瘍内骨髄細胞内で高度に発現すると示され、その骨髄細胞内の阻害は、エフェクターCD8T細胞及び免疫刺激性の骨髄細胞サブセットの腫瘍内蓄積量が増加することによって腫瘍の成長を抑制する(Racioppi et al.,Nat Commun.2019 Jun 4;10(1);2450)。さらに、CAMKK2活性の低下は、腫瘍微小環境内における、主要組織適合性分子クラスII分子I-A(MHC II I-A)を高レベルに発現するマクロファージ、及びCD8T細胞の蓄積に関連している(WO 2018/027223)。CAMKK2阻害剤処理によって腫瘍の成長を阻害し、前記微小環境のリプログラミングを促すと示されている(WO 2018/027223)。ヒト乳癌バイオプシーにおいて、CAMKK2発現レベルは腫瘍悪性度に相関し、悪性度の高い腫瘍において、腫瘍細胞および腫瘍関連マクロファージは共にこの酵素を高レベルに発現している(WO 2018/027223)。これらの発見は、CAMKK2がマクロファージ特異的なチェックポイントであることを示唆し、CAMKK2阻害が、腫瘍微小環境のリプログラミングを介した、癌治療における革新的な治療戦略であろうことを明らかにする。
【0004】
癌治療に加えて、CAMKK2阻害によって体重の減少が促進され、これは大きな医学的及び社会的便益をもたらしうる。CAMKK2ヌルマウスは高脂質な食事を食べることを継続的に控えるようになり、体重が減少し、脂肪が減少し、野生型リッターメイトに関連するグルコース感受性が改善した(Anderson et al.,Cell Metab.2008,7,377)。機構的観点からは、CAMKK2ヌルマウスはグレリン誘導性摂食に対して強い抵抗性を示し、神経ペプチドY(NPY)欠損マウスと同様に、絶食後の再摂食に際して、野生型個体に比べて摂食量が少なくなる。これら最近の観測結果は、脳室内投与によって送達されるSTO-609(Anderson et al.,Cell Metab.2008,7,377)または経口投与によって送達される2,4-ジアリール 7-アザインドール(Price et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2018 Jun 1;28(10):1958-1963)を用いたCAMKK2の薬理阻害によって裏付けられている。それ故に、CAMKK2は、癌治療及び肥満治療の治療標的として関心を集めている。
【0005】
タンパク質分解は高度に制御され、かつ不可欠なプロセスであり、細胞恒常性を維持している。選択的同定及び損傷した、ミスフォールドされた、または過剰のタンパク質の排除はユビキチン/プロテアソーム経路(UPP)を介して達成される。前記UPPはほとんど全ての細胞プロセスにおいて制御の中心である。タンパク質のユビキチン化は、E3ユビキチンリガーゼによって成され、E3ユビキチンリガーゼは、タンパク質に結合しユビキチン分子をそのタンパク質に付加し、このようにして、そのタンパク質をプロテアソーム分解に向けて標識する。
【0006】
UPPを治療用途に利用することは大きな関心を得てきた(Zhou et al.,Mol.Cell 2000,6,751-756)。期待される治療の1つに、通称PROTACと言及されるタンパク質分解誘導キメラ分子を用いて、タンパク質分解によって望まないタンパク質の排除を引き起こす治療がある(Scheepsta et al.,Comp.Struct.Biotech.J.2019,17,160-176)。PROTACSはリガンド指向性分解剤であり、E3リガーゼ及び分解されるべき標的タンパク質を引き合わせる。これら二価分子は大抵、前記標的タンパク質に結合した低分子とリンカー部位を介して接合したE3リガーゼリガンドから成る。PROTACは、前記標的タンパク質に対して適切な距離及び方向に、前記E3リガーゼを配置し、後者がユビキチン化される。ユビキチン化された標的タンパク質は、続いてプロテアソームに認識され、そこで分解される。
【0007】
したがって、1つの側面において、CAMKK2を分解の標的とする化合物が本明細書内で提供される。
【発明の概要】
【0008】
幾つかの実施態様において、CAMKK2を分解する化合物及びそれらを含む組成物が本明細書において記載される。様々な実施態様において、前記化合物およびそれらの組成物は、癌及び/または肥満の治療に使用されてもよい。
【0009】
本実施態様は、非制限的な実施態様の例示を目的とする、詳細な記載及び例を参照することで、より完全に理解され得る。
【0010】
実施態様1は、式Iの化合物
【化1】

またはその薬学的に許容可能な塩である
[式中、
Wは、NまたはCXであり;
は、Oまたは適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンであり;
は、適宜置換されていてもよいアリールであり;
、X、及びXは、それぞれ独立して水素、ハロゲンまたは-CNであり;
nは、2~10のいずれかである]。
【0011】
実施態様2は、RがOである、実施態様1の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0012】
実施態様3は、Rが適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンである、実施態様1の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0013】
実施態様4は、Rがメチルで適宜置換されていてもよいピラゾリレンである、実施態様3の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0014】
実施態様5は、Rが、アルキル、カルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換基で適宜置換されていてもよいアリールである、実施態様1~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0015】
実施態様6は、RがハロゲンまたはC~Cカルボシクリルで適宜置換されていてもよいC~Cアルキルで適宜置換されていてもよいアリールである、実施態様5の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0016】
実施態様7は、Rが-COHまたは-C(O)NHで適宜置換されていてもよいアリールである、実施態様5の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0017】
実施態様8は、Rがハロゲンで適宜置換されていてもよいC~Cカルボシクリルで適宜置換されていてもよいアリールである、実施態様5の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0018】
実施態様9は、窒素原子を含む6員のヘテロシクリルで適宜置換されていてもよいアリールである、実施態様5に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0019】
実施態様10は、Rがテトラゾリルで適宜置換されていてもよいアリールである、実施態様5の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0020】
実施態様11は、WがNである、実施態様1~10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0021】
実施態様12は、WがCXである、実施態様1~10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0022】
実施態様13は、Xが水素またはハロゲンである、実施態様12の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0023】
実施態様14は、X及びXが、それぞれ独立して水素またはハロゲンである、実施態様1~13のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0024】
実施態様15は、nが、4~9のいずれかである、実施態様1~14のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0025】
実施態様16は、請求項1の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩であって、式Iaで表される化合物である。
【化2】
Ia
【0026】
実施態様17は、nが4~9である、実施態様16の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0027】
実施態様18は、nが4である、実施態様17の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0028】
実施態様19は、nが5である、実施態様17の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0029】
実施態様20は、nが6である、実施態様17の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0030】
実施態様21は、nが7である、実施態様17の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0031】
実施態様22は、nが8である、実施態様17の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0032】
実施態様23は、nが9である、実施態様17の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0033】
実施態様24は、表1に記載の化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0034】
実施態様25は、実施態様1~24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物である。
【0035】
実施態様26は、細胞内の遺伝子転写を制御する方法であって、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼ2(CAMKK2)活性を、CAMKK2を実施態様1~24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、または実施態様25に記載の医薬組成物に暴露することにより調節することを含む方法である。
【0036】
実施態様27は、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼ2(CAMKK2)を調節する方法であって、有効量の、実施態様1~24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、または実施態様25に記載の医薬組成物とCAMKK2とを接触させることを含む方法である。
【0037】
実施態様28は、必要な対象における癌の治療方法であって、有効量の、実施態様1~24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、または実施態様25に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法である。
【0038】
実施態様29は、癌が、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経芽細胞種、小円形青色細胞腫瘍、膠芽腫、神経膠腫、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、または黒色腫である、実施態様28の方法である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(詳細な説明)
(定義)
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は互換性があり使用可能である。用語「comprising(含む)」及び「including(含む)」は記載された特徴や構成要素が言及された通りに存在することを規定すると解釈されるものであるが、1つまたはそれ以上の特徴、構成要素、またはそれらの集団の存在または追加を除外しない。加えて、用語「comprising(含む)」及び「including(含む)」は用語「consisting of(からなる)」によって包含される例を含むものである。したがって、用語「consisting of(からなる)」は、より具体的な発明の実施態様を提供するために、「comprising(含む)」及び「including(含む)」という用語の代わりに使用可能である。
【0040】
用語「からなる(consisting of)」は、主題がそれを構成する記載された特徴または構成要素のうち少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%を有することを意味する。他の実施態様では、用語「からなる(consisting of)」は、続く記述範囲から、達成されるべき技術的効果に不可欠でないものを除いて、いかなる他の特徴または構成要素も排除する。
【0041】
本明細書において使用される場合、用語「または(or)」は、いずれか1つまたは任意の組み合わせを意味する、包括的な「または(or)」として解釈されるべきである。それ故に、「A、B、またはC」は次のいずれかを意味する「A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;A、B及びC」。
【0042】
本明細書において、特に明記しない限り、いかなる濃度範囲、百分率範囲、割合範囲、または整数範囲も、記述された範囲内のいかなる整数値及び、適切な場合にはその分数(例えば、ある整数値の10分の1及び100分の1)を含むと理解されるべきである。また、特に明記しない限り、本明細書に記述される、ポリマーサブニット、大きさ、または厚さ等のいかなる物理的特徴に関連する、いかなる数値範囲も、記述された範囲内のいかなる整数値も含むと理解されるべきである。本明細書内で使用される場合、特に明記しない限り、用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、指示された範囲、値、または構造の±20%、±10%、±5%、または±1%を意味する。
【0043】
「アミノ」は、-NH基を指す。
【0044】
「シアノ」は、-CN基を指す。
【0045】
「ニトロ」は、-NO基を指す。
【0046】
「オキサ」は、-O-基を指す。
【0047】
「オキソ」は、=O基を指す。
【0048】
「チオキソ」は、=S基を指す。
【0049】
「イミノ」は、=N-H基を指す。
【0050】
「オキシモ」は、=N-OH基を指す。
【0051】
「ヒドラジノ」は、=N-NH基を指す。
【0052】
「アルキル」は、不飽和を含まず、1~15個の炭素原子を持ち、炭素及び水素原子のみからなる、直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す(例えばC~C15アルキル)。幾つかの実施態様では、アルキルは1~13個の炭素原子を含む(例えばC~C13アルキル)。幾つかの実施態様では、アルキルは1~8個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキルは1~5個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキルは1~4個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキルは1~3個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキルは1~2個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキルは1個の炭素原子を含む(例えばCアルキル)。他の実施態様では、アルキルは5~15個の炭素原子を含む(例えばC~C15アルキル)。他の実施態様では、アルキルは5~8個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキルは2~5個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキルは3~5個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキル)。他の実施態様では、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(イソプロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソブチル)、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、及び1-ペンチル(n-ペンチル)から選択される。アルキルはその分子の残りに単結合で結合する。本明細書において特に明記しない限り、アルキル基は、次の置換基の1つまたはそれ以上で適宜置換されていてもよい:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-S(O)OR(ここで、tは1または2)、-S(O)(ここで、tは1または2)、及びS(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)。
【0053】
「アルコキシ」は、酸素原子を介して結合した式-O-アルキル(ここでアルキルは上記で定義したアルキル鎖である)の基を指す。
【0054】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、2~12個の炭素原子を持ち、炭素及び水素原子のみからなる、直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す。幾つかの実施態様では、アルケニルは2~8個の炭素原子を含む。他の実施態様では、アルケニルは2~4個の炭素原子を含む。アルケニルはその分子の残りに単結合で結合し、例えばエテニル(すなわちビニル)、1-プロペニル(すなわちアリル)、1-ブテニル、1-ペンテニル、ペンタ-1,4-ジエニル等である。本明細書において特に明記しない限り、アルケニル基は、次の置換基の1つまたはそれ以上で適宜置換されていてもよい:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-S(O)OR(ここで、tは1または2)、-S(O)(ここで、tは1または2)、及びS(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)。
【0055】
「アルキニル」は少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、2~12個の炭素原子を持ち、炭素及び水素原子のみからなる、直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す。幾つかの実施態様では、アルキニルは2~8個の炭素原子を含む。他の実施態様では、アルキニルは2~4個の炭素原子を含む。アルキニルは、その分子の残りに単結合で結合し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等である。本明細書で特に明記しない限り、アルキニル基は、次の置換基の1つまたはそれ以上で適宜置換されていてもよい:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-S(O)OR(ここで、tは1または2)、-S(O)(ここで、tは1または2)、及びS(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)。
【0056】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン等のように、不飽和結合を含まず、1~12個の炭素原子を持ち、炭素及び水素のみからなり、その分子の残りをある基に結合させる、直鎖または分岐鎖の二価炭化水素を指す。アルキレン鎖は、その分子の残りと単結合で結合し、当該基と単結合で結合する。アルキレン鎖と、残りの分子との結合部分及び当該基との結合部分は、アルキレン鎖内の炭素1つ、または同鎖内のいずれかの炭素2つを介して結合することができる。幾つかの実施態様では、アルキレンは1~8個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは1~5個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは1~4個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは1~3個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは1~2個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは1個の炭素原子を含む(例えばCアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは5~8個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは2~5個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。他の実施態様では、アルキレンは3~5個の炭素原子を含む(例えばC~Cアルキレン)。本明細書で特に明記しない限り、アルキレン鎖は、次の置換基の1つまたはそれ以上で適宜置換されていてもよい:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-S(O)OR(ここで、tは1または2)、-S(O)(ここで、tは1または2)、及びS(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)。
【0057】
「アリール」は、単環式または多環式芳香族炭化水素環系に由来する基であって、ある環炭素原子から水素原子1つを取り除いた基を指す。単環式または多環式芳香族炭化水素環系は、水素及び5~18個の炭素原子のみを含み、環系内の少なくとも1つの環は完全不飽和、すなわちそれは、ヒュッケル則を満たす、環状に非局在化した(4n+2)π電子系を含む。アリール基の由来となる環系としては、次のものに限定されないが、ベンゼン、フルオレン、インダン、インデン、テトラリン、及びナフタレンが挙げられる。本明細書で特に明記しない限り、用語「アリール」またはその接頭辞「アル(ar)」(例えばアラルキルにおいて)は、次の置換基から独立して選択される、1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換されていてもよいアリール基を含むものとする:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、シアノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアラルキル、適宜置換されていてもよいアラルケニル、適宜置換されていてもよいアラルキニル、適宜置換されていてもよいカルボシクリル、適宜置換されていてもよいカルボシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-R-S(O)(ここで、tは1または2)、-R-S(O)OR(ここで、tは1または2)及びR-S(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)であり、Rは、それぞれ独立して、直接結合、または直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンもしくはアルケニレンであり、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレンであり、さらにここで、特に明記しない限り、上記の置換基はそれぞれ置換されていない。
【0058】
「アラルキル」は、式-R-アリール(ここでRは、上記で定義したアルキレン鎖、例えばメチレン、エチレン等)で表される基を指す。当該アラルキル基のアルキレン鎖部分は、上記でアルキレン鎖について記載したように、適宜置換されていてもよい。当該アラルキル基のアリール部分は、上記でアリール基について記載したように、適宜置換されていてもよい。
【0059】
「アラルケニル」は、式-R-アリール(ここでRは、上記で定義したアルケニレン鎖)で表される基を指す。当該アラルケニル基のアリール部分は、上記でアリール基について記載したように、適宜置換されていてもよい。当該アラルケニル基のアルケニレン鎖部分は、上記でアルケニレン基について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0060】
「アラルキニル」は、式-R-アリール(ここでRは、上記で定義したアルキニレン鎖である)で表される基を指す。当該アラルキニル基のアリール部分は、上記でアリール基について記載したように、適宜置換されていてもよい。当該アラルキニル基のアルキニレン鎖部分は、上記でアルキニレン鎖について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0061】
「アラルコキシ」は、式-OR-アリール(ここでRは、上記で定義したアルキレン鎖、例えばメチレン,エチレン等である)で表される、酸素原子を介して結合した基を指す。当該アラルキル基のアルキレン鎖部分は、上記でアルキレン鎖について記載したように、適宜置換されていてもよい。当該アラルキル基のアリール部分は、上記でアリール基について記載したように、適宜置換されていてもよい。
【0062】
「カルボシクリル」は、炭素及び水素原子のみからなり、縮合または架橋の環系を含み、3~15個の炭素原子を持つ、安定な単環式または多環式非芳香族性炭化水素基を指す。幾つかの実施態様では、カルボシクリルは3~10個の炭素原子を含む。他の実施態様では、カルボシクリルは5~7個の炭素原子を含む。カルボシクリルは、分子の残りの部分に単結合で結合する。カルボシクリルは、飽和(すなわちC-C単結合のみを含む)、または不飽和(すなわち1つまたはそれ以上の、二重または三重結合を含む)であってもよい。完全飽和のカルボシクリル基も「カルボシクリル」と言及される。単環式カルボシクリルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。不飽和カルボシクリルは、「シクロアルケニル」と言及されることもある。単環式シクロアルケニルの例としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びシクロオクテニルが挙げられる。多環式カルボシクリル基としては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(すなわちビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル、7,7ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニル等が挙げられる。本明細書で特に明記しない限り、用語「カルボシクリル」は、次の置換基から独立して選択される、1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換されていてもよいカルボシクリル基を含むものとする:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアラルキル、適宜置換されていてもよいアラルケニル、適宜置換されていてもよいアラルキニル、適宜置換されていてもよいカルボシクリル、適宜置換されていてもよいカルボシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-S(O)OR(ここで、tは1または2)、-S(O)(ここで、tは1または2)、及びS(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)であり、Rは、それぞれ独立して、直接結合、または直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンもしくはアルケニレンであり、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレンであり、さらにここで、特に明記しない限り、上記の置換基はそれぞれ置換されていない。
【0063】
「カルボシクリルアルキル」は、式-R-カルボシクリル(ここでRは、上記で定義したアルキレン鎖である)で表される基を指す。前記アルキレン鎖及びカルボシクリル基は、上記で定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0064】
「カルボシクリルアルコキシ」は式-O-R-カルボシクリル(ここでRは、上記で定義したアルキレン鎖である)で表される、酸素原子を介して結合する基を指す。当該アルキレン鎖及びカルボシクリル基は、上記で定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0065】
「カルボシクリルアルキニル」は式-R-カルボシクリル(ここでRは、上記で定義したアルキニレン鎖である)で表される基を指す。カルボシクリルアルキニル基のカルボシクリル部分は、上記でカルボシクリル基について記載したように、適宜置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、当該カルボシクリル基は、カルボシクリル基である。当該カルボシクリルアルキニル基のアルキニレン鎖部分は、上記でアルキニレン鎖について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0066】
「カルボニル」は、式-C(O)R1020で表される基であり、ここでR10及びR20は、それぞれ独立して、-OH、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-R、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-S(O)OR(ここで、tは1または2)、-S(O)(ここで、tは1または2)、及びS(O)N(R(ここで、tは1または2)から選択され、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)である。
【0067】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、またはヨード置換基を指す。
【0068】
「フルオロアルキル」は、上記で定義したように、1つまたはそれ以上のフルオロ基で置換されたアルキル基を指し、その例として、上記で定義したように、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチル等がある。当該フルオロアルキル基のアルキル部分は、上記でアルキル基について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0069】
「ヘテロシクリル」は、2~12個の炭素原子、及び窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、安定な3~18員の非芳香環基を指す。本明細書で特に明記しない限り、当該ヘテロシクリル基は、単環系、二環系、三環系、または四環系であり、縮合または架橋の環系を含んでいてもよい。ヘテロシクリル基内のヘテロ原子は、適宜酸化されていてもよい。1つまたはそれ以上の窒素原子は、存在するならば、適宜四級化されていてもよい。前記ヘテロシクリル基は、部分的に、または完全に飽和している。前記ヘテロシクリルは、その分子の残りと、環内のいずれか1つの原子を介して結合してもよい。このようなヘテロシクリル基の例としては、次のものに限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルフォリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルフォリニル、チアモルフォリニル、1オキソチオモルフォリニル、及び1,1ジオキソチオモルフォリニルが挙げられる。本明細書で特に明記しない限り、用語「ヘテロシクリル」は、次の置換基から選択される、1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換されていてもよい、上記で定義したヘテロシクリル基を含むものとする:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアラルキル、適宜置換されていてもよいアラルケニル、適宜置換されていてもよいアラルキニル、適宜置換されていてもよいカルボシクリル、適宜置換されていてもよいカルボシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-R-S(O)(ここで、tは1または2)、-R-S(O)OR(ここで、tは1または2)及びR-S(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)であり、Rは、それぞれ独立して、直接結合、または直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンもしくはアルケニレンであり、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレンであり、さらにここで、特に明記しない限り、上記の置換基はそれぞれ置換されていない。
【0070】
「N-ヘテロシクリル」または「N-結合ヘテロシクリル」は、上記で定義したヘテロシクリル基であって、少なくとも1つの窒素原子を含み、ヘテロシクリル基とその分子の残りとの結合点が、ヘテロシクリル基内の窒素原子を介しているものを指す。N-ヘテロシクリル基は、上記でヘテロシクリル基について記載したように、適宜置換されていてもよい。このようなN-ヘテロシクリル基の例としては、次のものに限定されないが、1-モルフォリニル、1-ピぺリジニル、1-ピペラジニル、1-ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、及びイミダゾリジニルが挙げられる。
【0071】
「C-ヘテロシクリル」または「C-結合ヘテロシクリル」は、上記で定義したヘテロシクリル基であって、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ヘテロシクリル基とその分子の残りとの結合点が、ヘテロシクリル基内の炭素原子を介しているものを指す。C-ヘテロシクリル基は、上記でヘテロシクリル基について記載したように、適宜置換されていてもよい。このようなC-ヘテロシクリルの例としては、次のものに限定されないが、2-モルフォリニル、2-、3-、または4-ピぺリジニル、2-ピペラジニル、2-、または3-ピロリジニル等が挙げられる。
【0072】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式-R-ヘテロシクリル(ここでRは、上記で定義したアルキレン鎖である)で表される基を指す。前記ヘテロシクリルが窒素を含むヘテロシクリルである場合、前記ヘテロシクリルは、前記窒素原子を介して適宜アルキル基と結合してもよい。前記ヘテロシクリルアルキル基のアルキレン鎖は、上記でアルキレン鎖について定義したように、適宜置換されていてもよい。当該ヘテロシクリルアルキル基のヘテロシクリル部分は、上記でヘテロシクリル基について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0073】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式-O-Rヘテロシクリル(ここでRは、上記で定義したアルキレン鎖である)で表され、酸素原子を介して結合する基を指す。前記ヘテロシクリルが窒素を含むヘテロシクリルである場合、前記ヘテロシクリルは前記窒素原子を介して適宜アルキル基と結合してもよい。前記ヘテロシクリルアルコキシ基のアルキレン鎖は、上記でアルキレン鎖について定義したように、適宜置換されていてもよい。当該ヘテロシクリルアルコキシ基のヘテロシクリル部分は、上記でヘテロシクリル基について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0074】
「ヘテロアリール」は、2~17個の炭素原子、及び、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1~6個のヘテロ原子を含む、3~18員の芳香環基に由来する基を指す。本明細書において使用される場合、ヘテロアリール基は、単環系、二環系、三環系、または四環系でもよく、環系内の環のうち少なくとも1つは完全に不飽和である、すなわちそれは、ヒュッケル則を満たす、環状に非局在化した(4n+2)π電子系を含む。ヘテロアリールは、縮合または架橋の環系を含む。ヘテロアリール基内のヘテロ原子は、適宜酸化されていてもよい。1つまたはそれ以上の窒素原子は、存在するならば、適宜四級化されていてもよい。前記ヘテロアリールは、その分子の残りと、環内のいずれか1つの原子を介して結合する。ヘテロアリールの例としては、次のものに限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、5,8-メタノ―5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル、及びチオフェニル(すなわちチエニル)が挙げられる。本明細書内で特に明記しない限り、用語「ヘテロアリール」は、上記で定義したヘテロアリール基であって、次の置換基から選択される、1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換されていてもよいヘテロアリール基を含むものとする:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアラルキル、適宜置換されていてもよいアラルケニル、適宜置換されていてもよいアラルキニル、適宜置換されていてもよいカルボシクリル、適宜置換されていてもよいカルボシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(ここで、tは1または2)、-R-S(O)(ここで、tは1または2)、-R-S(O)OR(ここで、tは1または2)及びR-S(O)N(R(ここで、tは1または2)、ここでRは、それぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで適宜置換されていてもよい)であり、Rは、それぞれ独立して、直接結合、または直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンもしくはアルケニレンであり、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレンであり、さらにここで、特に明記しない限り、上記の置換基はそれぞれ置換されていない。
【0075】
「N-ヘテロアリール」は、上記で定義したヘテロアリール基であって、少なくとも1つの窒素原子を含み、ヘテロアリール基とその分子の残りとの結合点が、ヘテロアリール基内の窒素原子を介しているものを指す。N-ヘテロアリール基は、上記でヘテロアリール基について記載したように、適宜置換されていてもよい。
【0076】
「C-ヘテロアリール」は、上記で定義したヘテロアリール基であって、ヘテロアリール基とその分子の残りとの結合点が、ヘテロアリール基内の炭素原子を介しているものを指す。C-ヘテロアリール基は、上記でヘテロアリール基について記載したように、適宜置換されていてもよい。
【0077】
「ヘテロアリールアルキル」は、式-R-ヘテロアリール(ここでRは上記で定義したようにアルキレン鎖である)で表される基を指す。前記ヘテロアリールが窒素を含むヘテロアリールである場合、前記ヘテロアリールは、前記窒素原子を介して適宜アルキル基と結合してもよい。前記ヘテロアリールアルキル基のアルキレン鎖は、上記でアルキレン鎖について定義したように、適宜置換されていてもよい。前記ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分は、上記でヘテロアリール基について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0078】
「ヘテロアリールアルコキシ」は、式-O-Rヘテロアリール(ここでRは、上記で定義したようにアルキレン鎖である)で表され、酸素原子を介して結合する基である。前記ヘテロアリールが窒素を含むヘテロアリールである場合、前記ヘテロアリールは、前記窒素原子を介して適宜アルキル基と結合してもよい。前記ヘテロアリールアルコキシ基のアルキレン鎖は、上記でアルキレン鎖について定義したように、適宜置換されていてもよい。当該ヘテロアリールアルコキシ基のヘテロアリール部分は、上記でヘテロアリール基について定義したように、適宜置換されていてもよい。
【0079】
本開示の実施態様では、式Iの化合物のように、本明細書内で提供される化合物の、薬学的に許容可能な塩、互変異性体、同位体置換体、及び立体異性体を含むものとする。
【0080】
本明細書内で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な塩」は、無機酸及び無機塩基並びに、有機酸及び有機塩基を含む、薬学的に許容可能な非毒性の酸または塩基から調製される塩を指す。式Iの化合物の、適切な薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、次のものに限定されないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛から形成される金属塩、またはリジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインから形成される有機塩が挙げられる。適切な非毒性の酸としては、次のものに限定されないが、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。具体的な非毒性の酸としては、塩酸、臭化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。すなわち、具体的な塩の例には、塩酸塩、ギ酸塩、及びメシレートが含まれる。他にも当分野でよく知られているものは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1990)、またはRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1995)参照。
【0081】
本明細書内で使用される場合、及び特に明記しない限り、用語「立体異性体」及び「立体異性的に純粋な」は、ある特定の化合物において、実質的にその化合物の他の立体異性体を含まない、1つの立体異性体を意味する。例えば、立体異性的に純粋な、キラル中心を1つ有するある化合物は、その化合物のもう一方の鏡像異性体を実質的に含まないものである。立体異性的に純粋な、キラル中心を2つ有するある化合物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないものである。典型的な、立体異性的に純粋な化合物は、重量比で80%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び重量比で20%未満のその化合物の他の立体異性体、重量比で90%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び重量比で10%未満のその化合物の他の立体異性体、重量比で95%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び重量比で5%未満のその化合物の他の立体異性体、または、重量比で97%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び重量比で3%未満のその化合物の他の立体異性体を含む。本明細書において開示される化合物は、キラル中心を有し得、ラセミ体、個別のエナンチオマーまたはジアステレオマー、及びそれらの混合物として存在しうる。これらの異性体は全て、混合物も含めて、本明細書において開示される実施態様に含まれる。
【0082】
本明細書において開示される化合物の立体異性的に純粋な形態の使用、及びそれら形態の混合物の使用も、本明細書において開示される実施態様に含まれる。例えば、ある特定の化合物の、等量または等量でない鏡像異性体を含む混合物は、本明細書において開示される方法及び組成物に使われてもよい。これらの異性体は、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準的な手法を用いて不斉的に合成または分解されてもよい。例として、Jacques,J.,et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen,S.H.,et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);Wilen,S.H.,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN,1972);Todd,M.,Separation Of Enantiomers:Synthetic Methods(Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA,Weinheim Germany,2014);Toda,F.,Enantiomer Separation:Fundamentals and Practical Methods(Springer Science & Business Media,2007);Subramanian,G.Chiral Separation Techniques:A Practical Approach(John Wiley & Sons,2008);Ahuja,S.,Chiral Separation Methods for Pharmaceutical and Biotechnological Products(John Wiley & Sons,2011)参照。
【0083】
「互変異性体」は、互いに平衡状態にある、ある化合物の異性体を指す。異性体の濃度は、当該化合物が存在する環境に依存し、例えば、当該化合物が固体であるのか、または有機溶媒もしくは水溶液中に存在するのか、によって異なり得る。例えば、水溶液中でピラゾールは、下記に記載する異性体を示し、これらは互いに互変異性体であると言及される。
【化3】
【0084】
当業者は容易に理解しているように、多種多様な官能基及びその他の構造が互変異性を示す可能性があり、そして式Iに示す化合物の、すべての互変異性体は本開示の範囲内である。
【0085】
無限に連なる更なる置換基で置換基を定義することでできるポリマーまたはそれに類する明確でない構造体(例えば、置換アルキルを有し、前記アルキルがそれ自体、置換アリール基で置換されおり、さらに置換ヘテロアルキル基で置換されている、置換アリールなど)は本明細書内には含まないものとする。同様に、上記の定義は、許容不可能な置換パターン(例えば、五フッ化メチル、または環状に隣接した二つの酸素原子を有するヘテロアリール基)を含まないものとする。そのような許容不可能な置換パターンは、当業者には公知である。
【0086】
本明細書において開示される化合物には、1つまたはそれ以上の原子で原子同位体の割合が非天然なものが含まれ得ることも記述しなければならない。例えば、前記化合物は、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)、硫黄-35(35S)、または炭素-14(14C)などの放射性同位体でラベル化されていてもよく、または、重水素(H)、炭素-13(13C)、または窒素-15(15N)等で同位体リッチである場合がある。本明細書において使用される場合、「同位体置換体(isotopologue)」は、同位体的に濃縮された化合物である。用語「同位体リッチな(isotopically enriched)」は、その原子の天然の同位体組成とは異なる同位体組成を有する原子を指す。「同位体リッチな」は、また、その原子の天然の同位体組成とは異なる同位体組成を有する原子を、少なくとも1つ含む化合物を指してもよい。用語「同位体組成」は、ある原子において、含まれる同位体それぞれの量を表す。放射標識化合物及び同位体リッチな化合物は、治療薬として有用である、例えば、癌治療薬、研究試薬、結合アッセイ試薬、診断薬、インビボイメージング剤。本明細書において記載されるように、化合物におけるすべての同位体変種は、放射性の有無に関わらず、本明細書において提供される実施態様の範囲内に含まれるものとする。幾つかの実施態様では、本明細書において開示される化合物の同位体置換体が提供され、例えば、同位体置換体は、重水素、炭素-13、及び/または、窒素-15リッチな化合物である。本明細書において使用される場合、「重水素化された」は、少なくとも1つの水素(H)が、重水素(DまたはHで表記される)に置換された化合物を意味し、すなわち当該化合物は、少なくとも1つの位置において重水素リッチである。
【0087】
立体異性組成または同位体組成とは独立して、本明細書において開示されるそれぞれの化合物は、本明細書において議論される、薬学的に許容可能な塩のいずれかの形態で提供され得ることが分かる。同様に、本明細書において言及される化合物それぞれの立体異性組成とは独立して、当該同位体組成が変化してもよいことが分かる。更に、同位体組成は、本明細書において開示されるそれぞれの化合物またはそれらの塩に含まれる元素に限定されるものの、そうでなければ、それぞれの化合物の、薬学的に許容可能な塩の選択とは独立して変化してもよい。
【0088】
示された構造とその構造の名称との間に矛盾がある場合、示された構造がより重きを置かれるべきであることに留意すべきである。
【0089】
「治療」は、本明細書において使用される場合、障害、疾患若しくは状態、または障害、疾患若しくは状態に関連する、1つまたはそれ以上の症状を全体的に若しくは部分的に緩和すること、またはそれらの症状の更なる進行若しくは悪化を遅らせる、または停止させる、または、障害、疾患若しくは状態の原因そのものを緩和もしくは根絶することを意味する。一実施態様では、当該障害は、本明細書において記載されるように、癌またはその症状である。
【0090】
「予防」は、本明細書において使用される場合、障害、疾患若しくは状態の発症、再発若しくは拡散を、全体的に若しくは部分的に遅らせる及び/または防ぐ、すなわち対象を障害、疾患若しくは状態の獲得から保護する、または、障害、疾患若しくは状態を獲得する、対象の危険性を低減する方法を指す。一実施態様では、当該障害は、本明細書において記載されるように、癌またはその症状である。
【0091】
用語「有効量」は、本明細書において開示される化合物に関連して、本明細書において開示される、障害、症状若しくは状態、またはそれらの症状を治療または予防できる量を意味する。
【0092】
用語「対象」または「患者」としては、本明細書において使用される場合、次のものに限定されないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、七面鳥、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモット等の動物が挙げられ、一実施態様では哺乳類であり、他の実施態様ではヒトである。一実施態様では、対象はCaMKK2媒介疾患、またはその症状を有するまたはその危険にあるヒトである。
【0093】
哺乳類のCAMKK2タンパク質は、特有のN及びC末端ドメイン、中央のセリン/スレオニン指向性キナーゼドメイン、並びに、オーバーラップした自己阻害領域及びCAM結合領域を含む制御ドメインを含有する、66~68kDaのキナーゼである。CAMKK2タンパク質は、C末端側の触媒ドメインに隣接した配列によって自己阻害され、Ca2+/CAM結合がコンフォメーション変化を引き起こし、それがキナーゼ活性を促進する。一度活性化すれば、CAMKK2タンパク質は、CAMKIV及びCAMKIをリン酸化でき、それらの酵素活性を向上させる。5’AMP-活性化プロテインキナーゼα(AMPKα)は、CAMKK2タンパク質の付加基質(additional substrate)であり、哺乳類細胞内のCAMKK2タンパク質をサイレンシングすることで、ほとんど完全にAMPKの活動が停止する。CAMKK2タンパク質は脳内の多くの領域で検出され得るが、当該器官の外部では、CAMKK2タンパク質の発現はよりはっきりしていない。免疫系において、CAMKK2タンパク質は、造血前駆細胞、腹腔マクロファージ、及び骨髄由来マクロファージを含む骨髄細胞内でのみ発見されてきた。CAMKK2タンパク質の遺伝子破壊は、骨髄細胞の発達及び機能を妨げ、それが更に炎症反応に重大な影響を及ぼす。
【0094】
本発明の種々の特徴が一実施態様の文脈中で記載されてもよいが、前記特徴はまた、個別にまたは適切な組み合わせにて提供されてもよい。逆に、本発明は明確性のために、本明細書において、個別の実施態様の文脈中で記載されていてもよいが、本発明はまた、単一の実施態様にて実施されていてもよい。
(化合物)
【0095】
1つの側面で、本明細書において提供されるのは式Iの化合物
【化4】

またはその薬学的に許容可能な塩
[式中、
Wは、NまたはCXであり;
は、Oまたは適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンであり;
は、適宜置換されていてもよいアリールであり;
、X、及びXは、それぞれ独立して水素、ハロゲンまたは-CNであり;
nは、2~10のいずれかである]。
【0096】
幾つかの実施態様では、WはNである。他の実施態様では、WはCXである。
【0097】
幾つかの実施態様では、Xは水素、ハロゲン、または-CNである。幾つかの実施態様では、Xは水素またはハロゲンである。
【0098】
幾つかの実施態様では、Xは水素である。幾つかの実施態様では、Xは-CNである。
【0099】
幾つかの実施態様では、Xはハロゲンである。幾つかの実施態様では、Xはフルオロ、クロロまたはブロモである。幾つかの実施態様では、Xはフルオロである。幾つかの実施態様では、Xはクロロである。幾つかの実施態様では、Xはブロモである。
【0100】
幾つかの実施態様では、RはOである。
【0101】
幾つかの実施態様では、Rは、適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンである。幾つかの実施態様では、前記適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンは、N、O及びSから選択されるヘテロ原子1~4個を含む。幾つかの実施態様では、前記適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンは、N及びOから選択されるヘテロ原子1~3個を含む。幾つかの実施態様では、Rは適宜置換されていてもよい5~10員ヘテロアリーレンである。幾つかの実施態様では、Rは適宜置換されていてもよい5~6員ヘテロアリーレンである。幾つかの実施態様では、Rは適宜置換されていてもよい8~10員ヘテロアリーレンである。幾つかの実施態様では、前記適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンは単環式環(monocyclic ring)である。幾つかの実施態様では、前記適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンは、縮合した二環式環(bicyclic ring)である。幾つかの実施態様では、Rは、メチルで適宜置換されていてもよいピラゾリレンである。幾つかの実施態様では、Rは、適宜置換されていてもよいピリジニレンである。幾つかの実施態様では、Rは、適宜置換されていてもよいピラジニレン、ピリミジニレン、ピリダジニレン、トリアジニレン、キノリニレン、イソキノリニレン、キナゾリニレン、キノキサリニレン、ピロリレン、フラニレン、イミダゾリレン、またはトリアゾリレンである。
【0102】
幾つかの実施態様では、Rは、適宜置換されていてもよいアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、適宜置換されていてもよい6~10員アリールである。幾つかの実施態様では、Rは、適宜置換されていてもよいフェニルである。幾つかの実施態様では、前記適宜置換されていてもよいアリールは、単環式環である。幾つかの実施態様では、前記適宜置換されていてもよいアリールは、二環式環である。幾つかの実施態様では、Rは、アルキル、カルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換基で適宜置換されていてもよいアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、C~Cアルキル、カルボニル、C~C10カルボシクリル、4~10員環のヘテロシクリル、及び4~10員ヘテロアリールから選択される、少なくとも1つの置換基で適宜置換されていてもよいアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、適宜ハロゲンで置換されていてもよいC~Cアルキルで、またはC~Cカルボシクリルで適宜置換されていてもよいアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、-COHまたは-C(O)NHで適宜置換されていてもよいアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、適宜ハロゲンで置換されていてもよいC~Cカルボシクリルで適宜置換されていてもよいアリールである。幾つかの実施態様では、RはC~Cカルボシクリルで置換されたアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、Cカルボシクリルで置換されたアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、-COHで置換されたアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、C~Cカルボシクリル及びCOHで置換されたアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、Cカルボシクリル及びCOHで置換されたアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、窒素原子を含む6員環ヘテロシクリルで適宜置換されていてもよいアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、テトラゾリルで適宜置換されていてもよいアリールである。
【0103】
幾つかの実施態様では、X及びXは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、または-CNである。幾つかの実施態様では、X及びXは、それぞれ独立して水素またはハロゲンである。幾つかの実施態様では、X及びXはそれぞれ水素である。
【0104】
幾つかの実施態様では、Xは水素である。幾つかの実施態様では、Xは-CNである。幾つかの実施態様では、Xはハロゲンである。幾つかの実施態様では、Xは、フルオロ、クロロまたはブロモである。幾つかの実施態様では、Xはフルオロである。幾つかの実施態様では、Xはクロロである。幾つかの実施態様では、Xはブロモである。
【0105】
幾つかの実施態様では、Xは水素である。幾つかの実施態様では、Xは-CNである。幾つかの実施態様では、Xはハロゲンである。幾つかの実施態様では、Xは、フルオロ、クロロまたはブロモである。幾つかの実施態様では、Xはフルオロである。幾つかの実施態様では、Xはクロロである。幾つかの実施態様では、Xはブロモである。
【0106】
幾つかの実施態様では、nは2~10である。幾つかの実施態様では、nは3~10である。幾つかの実施態様では、nは4~10である。幾つかの実施態様では、nは2~9である。幾つかの実施態様では、nは3~9である。幾つかの実施態様では、nは4~9である。幾つかの実施態様では、nは2である。幾つかの実施態様では、nは3である。幾つかの実施態様では、nは4である。幾つかの実施態様では、nは5である。幾つかの実施態様では、nは6である。幾つかの実施態様では、nは7である。幾つかの実施態様では、nは8である。幾つかの実施態様では、nは9である。幾つかの実施態様では、nは10である。
【0107】
幾つかの実施態様では、式:
【化5】
の構造は次の構造から選択される:
【化6】
【化7】
【化8】
【0108】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、式IAの化合物である:
【化9】
IA
[式中、
、R、X、X、X、及びnは、式Iについて記載の通りである]。
【0109】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、式IA-1または式IA-2の化合物である:
【化10】
IA-1
【化11】
IA-2
[式中、
、X、X、X、及びnは式Iについて記載の通りであり、
環Aは、適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンである]。
【0110】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、式IBの化合物である:
【化12】
IB
[式中、
、R、X、X、及びnは式Iについて記載の通りである]。
【0111】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、式IB-1または式IB-2の化合物である:
【化13】
IB-1
【化14】
IB-2
[式中、
、X、X、及びnは式Iについて記載の通りであり、
環Aは、適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンである]。
【0112】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、式IC-1または式IC-2の化合物である:
【化15】
IC-1
【化16】
IC-2
[式中、
W、R、X、X、及びnは式Iについて記載の通りであり、
環Aは、適宜置換されていてもよいヘテロアリーレンである]。
【0113】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、式Iaの化合物である:
【化17】
Ia
[式中、
nは式Iについて記載の通りである]。
【0114】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、式Ibの化合物である:
【化18】
Ib
[式中、
、X、及びnは式Iに記載の通りである]。
幾つかの実施態様では、X及びXは、それぞれ独立して、Hまたはハロである。幾つかの実施態様では、X及びXは、それぞれ独立して、H,F、またはClである。幾つかの実施態様では、X及びXは、それぞれ独立して、HまたはFである。
【0115】
本明細書において、式Iにおける全ての記載、変形例、実施態様、または側面は、各記載、変形例、実施態様、または側面が、別々に及び個別に記載されている場合と同一とし、適用できる場合には、本明細書において記載される他の式にも等しく適用され、記載されると理解される。例えば、本明細書において提供される、式IのWに関するあらゆる記載、変形例、実施態様、または側面は、R、R、X、X、X、及びnの、あらゆる記載、変形例、実施態様、または側面と組み合わせてもよく、各々及びあらゆる組み合わせが、具体的にかつ個別に記載されている場合と同一とする。式Iにおける全ての記載、変形例、実施態様、または側面は、各記載、変形例、実施態様、または側面が、別々に及び個別に全ての式において記載されている場合と同一とし、適用できる場合には、本明細書において記載される他の式にも等しく適用され、記載されることも理解される。例えば、式Iにおける全ての記載、変形例、実施態様、または側面は、適用できる場合には、式IA、IA-1、IA-2、IB、IB-1、IB-2、Ia、及びIbのような、本明細書において記載されるいかなる式にも等しく適用され、かつ等しく記載される(ここで、各々及びあらゆる記載、変形例、実施態様、または側面は、別々に及び個別に、全ての式について記載されている場合と同一とする)。
【0116】
幾つかの実施態様では、表1に示す化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。表1に示す化合物も含めた、本開示で記載される幾つかの化合物は、特定の立体異性体として、かつ/または、非立体化学的な形態で提示されるが、あらゆるエナンチオマー形またはジアステレオマー形を含めた、いずれかまたは全ての立体化学的な形態、及び表1に示す構造を含めた、本明細書において開示されるいずれかの化合物のいずれかの互変異生体または他の形態が本明細書において記載されると理解される。
【表1】
【表2】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩。
【0117】
遊離塩基または遊離酸の形態で存在する、全ての式Iの化合物は、当業者に公知の方法で、適切な無機若しくは有機の塩基または酸で処理することにより、それらの薬学的に許容可能な塩に変換できる。式Iの化合物の塩は、標準的な手法で遊離塩基または遊離酸の形態に変換できる。
(合成方法)
【0118】
本明細書において記載される化合物は、従来の有機合成法及び市販の出発原料、または本明細書において提供される方法で合成できる。一例として、限定はされないが、式IC-1の化合物は、スキーム1及び本明細書に記載された実施例に沿って調製することができる。当業者であれば、所望の生成物を得るために、例示したスキーム及び実施例に記載された手順の改変法を理解すると思われることは留意すべきである。
【化19】
スキーム1
[スキーム中、
W、X、X、R、及びnは式Iで定義された通りであり、
は、エチルまたはメチルなどのアルキル基であり、
XはBrなどのハロゲンである]。
【化20】
スキーム2
[スキーム中、X、X、R、及びnは式Iで定義された通りであり、
はエチルまたはメチルなどのアルキル基であり、
XはBrなどのハロゲンであり、
はtert-ブチルなどのアルキル基である]。
【0119】
スキーム1に示したように、RがOである式Iの化合物、すなわち式IC-1の化合物は、次のようにして合成できる:キナゾリン誘導体Aが中間体化合物Bと結合して中間体化合物Cが生成され、中間化合物Cはその後脱保護されて中間体化合物Dを形成し、続いて中間体Iと結合して、式IC-1の化合物を形成する。
【0120】
スキーム2は、式Ibの化合物の合成方法を提供する。キナゾリン誘導体A’は中間体化合物Bと結合して中間体化合物C’を生成し、中間体化合物C’はその後脱保護されて中間体化合物D’を形成し、続いて中間体Iとの結合及びそれに続く、例えば酸を用いたエステルの脱保護によって、式Ibの化合物を形成する。
(使用方法)
【0121】
本開示における実施態様では、必要な対象におけるCAMKK2を調節する方法であって、当該対象に式Iの化合物を有効量投与することを含む方法を提供する。CAMKK2の調節(例えば阻害または活性化)は、当分野で知られている、様々な手段で評価及び実証され得る。キット及び市販のアッセイは、CAMKK2が調節(阻害または活性化)されたか、また、どの程度調節されたかを判断するのに利用できる。
【0122】
1つの側面では、本明細書において提供されるのは、CAMKK2を調節する方法であって、有効量の式Iの化合物、またはそのいずれかの実施態様若しくは変形例とCAMKK2とを接触させることを含む方法である。幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、CAMKK2を阻害する。幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、CAMKK2の分解を引き起こす。
【0123】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、CAMKK2の活性を約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%調節する。幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、CANKK2の活性を約1~100%、5~100%、10~100%、15~100%、20~100%、25~100%、30~100%、35~100%、40~100%、45~100%、50~100%、55~100%、60~100%、65~100%、70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、95~100%、5~95%、5~90%、5~85%、5~80%、5~75%、5~70%、5~65%、5~60%、5~55%、5~50%、5~45%、5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~90%、20~80%、30~70%、または40~60%調節する。
【0124】
また、本開示内の幾つかの実施態様で提供されるのは、必要な対象におけるCAMKK2を分解する方法であって、当該対象に式Iの化合物を有効量投与することを含む方法である。CAMKK2の分解は、当分野で知られている、様々な手段で評価及び実証され得る。キット及び細胞アッセイを含む市販のアッセイは、CAMKK2が分解されたか、また、どの程度分解されたかを判断するのに利用できる。
【0125】
1つの側面では、本明細書において提供されるのは、CAMKK2を分解する方法であって、有効量の式Iの化合物、またはそのいずれかの実施態様若しくは変形例とCAMKK2とを接触させることを含む方法である。幾つかの実施態様では、式Iの化合物はCAMKK2を部分的に分解する。幾つかの実施態様では、式Iの化合物はCAMKK2を完全に分解する。
【0126】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、CAMKK2を約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%分解する。幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、CAMKK2を約1~100%、5~100%、10~100%、15~100%、20~100%、25~100%、30~100%、35~100%、40~100%、45~100%、50~100%、55~100%、60~100%、65~100%、70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、95~100%、5~95%、5~90%、5~85%、5~80%、5~75%、5~70%、5~65%、5~60%、5~55%、5~50%、5~45%、5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~90%、20~80%、30~70%、または40~60%分解する。
【0127】
幾つかの実施態様では、本明細書において提供されるのは、細胞内の遺伝子転写を制御する方法であって、CAMKK2を式Iの化合物に暴露することでCAMKK2活性を調節することを含む方法である。幾つかの実施態様では、細胞内の遺伝子転写を制御する方法は、CAMKK2を分解することを含む。
【0128】
他の側面では、本明細書において提供されるのは、必要な対象における癌を治療する方法であって、当該対象に式Iの化合物を有効量投与することを含む方法である。幾つかの実施態様では、本明細書において提供されるのは、必要な対象における癌を予防する方法であって、当該対象に式Iの化合物を有効量投与することを含む方法である。癌の非限定的な例としては、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経芽細胞種、小円形青色細胞腫瘍、膠芽腫、神経膠腫、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、及び黒色腫が挙げられる。
【0129】
幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、当該対象において癌の範囲(腫瘍の大きさ、腫瘍の拡大速度、転移など)が縮小する。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌が安定化する(癌の悪化を予防または遅延させる)。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌の発症または再発を遅延させる。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌の進行を遅らせる(slows)。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌が部分寛解する。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌が完全寛解する。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌治療に必要な1つまたはそれ以上の薬の服用量を減少させる。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌治療に用いられる他の薬の効果を増進させる。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌の進行を遅延させる。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌を持つ当該対象の、生活の質が向上する。幾つかの実施態様では、必要な対象に式Iの化合物を投与することで、癌を持つ対象の生存を延ばす。
【0130】
幾つかの側面では、本明細書において提供されるのは、対象における癌の進行を遅らせる方法であって、式Iの化合物を前記対象に投与することを含む方法である。幾つかの実施態様では、本明細書において提供されるのは、対象の癌を安定化させる方法であって、前記対象に式Iの化合物を投与することを含む方法である。幾つかの実施態様では、前記方法は癌の進行を防ぐ。幾つかの実施態様では、前記方法は癌の進行を遅延する。幾つかの実施態様では、前記方法は癌の部分寛解または完全寛解を提供する。
【0131】
他の側面では、本明細書において提供されるのは、対象における癌の発症または再発を遅延させる方法であって、式Iの化合物を前記対象に投与することを含む方法である。
【0132】
更なる側面では、本明細書において提供されるのは、対象における癌治療に必要な、1つまたはそれ以上の薬の服用量を減少させる方法であって、式Iの化合物を前記対象に投与することを含む方法である。幾つかの実施態様では、本明細書において提供されるのは、対象の癌治療に用いられる他の薬の効果を増進させる方法であって、式Iの化合物を前記対象に投与することを含む方法である。
【0133】
また、本明細書において提供されるのは、対象における癌の進行を遅延させる方法であって、式Iの化合物を前記対象に投与することを含む方法である。幾つかの実施態様では、前記方法は癌を持つ対象の生活の質を向上させる。幾つかの実施態様では、前記方法は癌を持つ対象の生存を延ばす。
【0134】
更なる側面では、本明細書において提供されるのは、対象における体重の減少を促進する方法であって、式Iの化合物を前記対象に投与することを含む方法である。幾つかの実施態様では、前記方法は前記対象における脂肪の低減を促進し、並びに/または、グルコース感受性の改善を促進する。それに伴い、幾つかの実施態様では、本明細書において提供されるのは対象における肥満を治療する方法であって、式Iの化合物を前記対象に投与することを含む方法である。
(医薬組成物及び投与経路)
【0135】
本明細書において提供される化合物は、経口的に、局所的に、または非経口的に、次に挙げるような従来の製剤形態で対象に投与され得る:カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒、散剤、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射剤、懸濁剤、シロップ剤、貼付剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、スプレー剤、液剤、及び乳剤。
【0136】
本明細書において開示される化合物は、経口的に、局所的に、または非経口的に、次に挙げるような従来の製剤形態で対象に投与され得る:カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒、散剤、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射剤、懸濁剤、シロップ剤、貼付剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、スプレー剤、液剤、及び乳剤。適切な製剤は、次に挙げるような従来の有機添加剤または無機添加剤を用いた、一般的に用いられる方法で調製できる:賦形剤(例として、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウム)、結合剤(例として、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアガム、ポリエチレングリコール、スクロースまたはデンプン)、崩壊剤(例として、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、またはクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例として、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、またはラウリル硫酸ナトリウム)、香料(例として、クエン酸、メンソール、グリシン、またはオレンジパウダー)、保存料(例として、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、またはプロピルパラベン)、安定剤(例として、クエン酸、クエン酸ナトリウム、または酢酸)、懸濁剤(例として、メチルセルロース、ポリビニルピロリクロン(polyvinyl pyrroliclone)、またはステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例としてヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例として水)、及びろう基剤(例として、ココアバター、白色ワセリン、またはポリエチレングリコール)。医薬組成物における式Iの化合物の有効量とは、望ましい効果をもたらすものである程度であってもよい;例えば、経口投与及び非経口投与における単位用量につき、対象の体重1kg当たり約0.005~10mg。
【0137】
対象に投与されるべき式Iの化合物の用量は、むしろ広範囲で可変的であり、医師の判断に委ねられる場合がある。概して、本明細書において開示される化合物は、対象の体重1kg当たり約0.001~10mgを1日に1~4回という用量で投与されうるが、上記用量は、前記対象の年齢、体重、及び健康状態、並びに投与形態によって適切に変化してもよい。一実施態様では、前記用量は、対象の体重1kg当たり約0.001~5mg、約0.01~5mg、約0.05~1mg、約0.1~0.75mg、または約0.25~0.5mgである。一実施態様では、1日に1用量が与えられる。あらゆる事例において式Iの化合物の投与量は、活性成分の溶解度、使用される剤形、及び投与経路などの要因に依るものである。
【0138】
幾つかの実施態様では、式Iの化合物は、1日当たり約0.001mg~750mg、約0.1~375mg、約0.1~150mg、約0.1~75mg、約0.1~50mg、約0.1~25mg、または約0.1~10mgという用量で対象に投与される。
【0139】
他の実施態様では、本明細書において提供されるのは、約0.1~500mg、約1~250mg、約1~100mg、約1~50mg、約1~25mg、または約1~10mgの式Iの化合物を含む単位用量の製剤である。
【0140】
特定の実施態様では、本明細書において提供されるのは、約0.1~100mgの式Iの化合物を含む単位用量の製剤である。
【0141】
他の実施態様では、本明細書において提供されるのは、0.5mg、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、35mg、50mg、70mg、100mg、125mg、140mg、175mg、200mg、250mg、280mg、350mg、500mg、560mg、700mg、750mg、1000mg、または1400mgの式Iの化合物を含む単位用量の製剤である。
【0142】
式Iの化合物は、1日に1回、2回、3回、4回またはそれ以上に投与される場合がある。特定の実施態様では、100mgまたはそれ未満の用量は、1日に1回分の用量として投与され、100mgを超える用量は、1日の総用量の半分に等しい量を1日に2回投与される。
【0143】
式Iの化合物は、便宜のため経口投与される場合がある。一実施態様では、経口投与される場合、式Iの化合物は、食事及び水と共に投与される。他の実施態様では、式Iの化合物は、水またはジュース(例えば、リンゴジュースまたはオレンジジュース)または他の任意の液体中に分散され、溶液または懸濁液として経口投与される。
【0144】
本明細書において開示される化合物は、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、経皮的に(percutaneously)、静脈内に、皮下に、鼻腔内に、硬膜外に、舌下に、脳内に、膣内に、経皮吸収的に(transdermally)、直腸内に、粘膜に、吸入で、または耳、鼻、目、若しくは肌に局所的に、投与される場合もある。投与方式は医師の裁量に依り、部分的には症状のある部位に依る場合もある。
【0145】
一実施態様では、本明細書において提供されるのは、式Iの化合物を含むカプセル剤であって、追加の担体、賦形剤、またはビヒクルを含まないカプセル剤である。
【0146】
他の実施態様では、本明細書において提供されるのは、有効量の式Iの化合物、及び薬学的に許容可能な担体またはビヒクルを含む組成物であり、ここで、薬学的に許容可能な担体またはビヒクルは賦形剤、希釈剤、またはそれらの混合物を含みうる。一実施態様では、前記組成物は医薬組成物である。
【0147】
前記組成物は、錠剤、チュアブル錠、カプセル剤、液剤、注射剤、トローチ剤、坐剤、及び懸濁剤等の形態であってもよい。組成物は、錠剤1錠、カプセル剤1錠、または適量の液体といった投薬単位において、1日分の用量または1日分の用量の適当な一部を含むように製剤されてもよい。一実施態様では、液剤は塩酸塩などの水溶性の塩から調製される。概して、全ての組成物は、製薬化学において周知の方法に従って調製される。カプセル剤は、式Iの化合物と適切な担体または希釈剤とを混合し、カプセルに適量の混合物を充填することで調製される。通常の担体及び希釈剤には例として、次のものに限定されないが、様々な種類があるデンプンのような不活性粉末物質、粉末セルロース、特に結晶セルロース及び微結晶セルロース、フルクトース、マンニトール、及びスクロースなどの糖類、穀物粉及びそれに類する可食粉末などが挙げられる。
【0148】
錠剤は直接打錠法、湿式造粒法、または乾式造粒法で調製されうる。これらの製剤は通常、化合物だけでなく、希釈剤、結合剤、滑沢剤、及び崩壊剤も含む。典型的な希釈剤の例として、様々な種類のデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムまたは硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩、及び粉末糖類が挙げられる。粉末セルロースの誘導体もまた有用である。典型的な錠剤の結合剤として、デンプン、ゼラチン、及びラクトース、フルクトース、グルコース等の糖類などの物質が挙げられる。アカシア、アルギン酸塩、メチルセルロース、ポリビニルピロリジン等を含む、天然ゴム及び合成ゴムもまた便利である。ポリエチレングリコール、エチルセルロース、及び蝋も結合剤として提供することができる。
【0149】
滑沢剤は、錠剤及びパンチに着色剤が固着するのを防ぐために、錠剤の製剤において必要である場合がある。前記滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、及び硬化植物油などの滑りやすい個体から選択されうる。錠剤の崩壊剤は、吸水によって膨張して前記錠剤を破壊し、前記化合物を放出する物質である。崩壊剤には、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン及びゴムが含まれる。さらに詳細に言えば、例として、トウモロコシデンプン、ポテトデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木質セルロース、天然海綿粉末、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、柑橘さのう、及びカルボキシメチルセルロースがラウリル硫酸ナトリウムと同様に使用されてもよい。錠剤は、フレーバー及びシーリング剤としての糖、または被膜形成保護剤でコーティングして錠剤の溶出性を改変しうる。前記組成物はまた、例えば、製剤工程においてマンニトールのような物質を使用し、チュアブル錠として製剤されてもよい。
【0150】
式Iの化合物を坐剤として投与することが望ましい場合には、典型的な基剤を使用できる。ココアバターは伝統的な坐剤の基剤であり、蝋を加えることで融点をわずかに上げることができる。特に、様々な分子量をもつポリエチレングリコールを含む、水混和性の坐剤基剤が広く使われている。
【0151】
式Iの化合物の効果は、適切な製剤化によって遅らせるまたは持続させることができる。例として、ゆっくりと溶解する式Iの化合物のペレットを調製し、錠剤若しくはカプセル剤に含ませる、または徐放性のインプラント型装置として組み込むことができる。前記技術には、溶出速度が異なるペレットを調製すること、及びカプセルに前記ペレットの混合物を充填することも含まれている。錠剤またはカプセル剤は、予見できる期間にわたって溶出を妨げるフィルムで被膜することができる。注射剤であっても、血(serum)中への分散を遅延する効果がある、油状のまたは乳液状のビヒクルに式Iの化合物を溶解する、または懸濁することで効果持続時間を長くすることができる。
【0152】
本明細書において記載される医薬組成物には、本明細書において記載される任意の化合物のラセミ混合物を含めて、式Iの化合物の混合物を含んでもよいと理解される。
【実施例
【0153】
後述の実施例は、非限定的な例示によって提示される。化合物は、ChemBiodraw Ultra(Cambridgesoft)において提供される自動命名ツールであって、立体化学はカーン・インゴールド・プレローグ順位則に従い、化学構造に基づいた体系的な名称を生成するツールを用いて命名される。当業者は所望の生成物を得るために、例示した実施例に記載された手順を改変できる。
【0154】
本明細書において記載される化合物の塩は、クロマトグラフィー精製中の移動相内に酸(例として、TFA、ギ酸、またはHCl)を含ませる、またはクロマトグラフィー精製後の生成物を酸性溶液(例えば、塩酸)と攪拌するなどの標準的な方法で調製できる。
【0155】
次に示す略号は本出願と関係してもよい。
略号一覧
【表3】



(合成実施例)
【0156】
以下の実施例は、nが4~9である式Iaの化合物の合成を示す。
実施例S1:中間体化合物I-1の合成。
【化21】
【0157】
工程1:4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンゾニトリルの合成。
【化22】
2つのバッチ:4-ブロモベンゾニトリル(300g,1.65mol)/N,N-ジメチルアセトアミド(3000mL)の溶液に、4-メチルチアゾール(180g,1.81mol)及び酢酸カリウム(323g,3.30mol)を加えた。前記反応混合物に、窒素雰囲気下にて、酢酸パラジウム(18.5g,82.4mol)を加えた。前記反応混合物を、150℃にて5時間攪拌した。LCMS(Rt(生成物)=1.27分)によって、前記反応の終了を確認した。前記反応混合物は、水(4000mL)で希釈し、酢酸エチル(4000mL×2)で抽出した。有機層を合一し、飽和食塩水(2000mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過及び濃縮した。粗生成物を(石油エーテル/酢酸エチル,10:1,1500mL×3)で洗浄し、前記反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンゾニトリル(590g,収率89.4%)を黄色油状物質として得た。
【0158】
LCMS:Rt(生成物)=1.27分。
【0159】
HPLC:Rt=2.56分、波長220nmにおける純度88%。
【0160】
工程2:[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メタンアミンの合成。
【化23】
5つのバッチ:4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンゾニトリル(100g,499mmol)/乾燥テトラヒドロフラン(2500mL)の攪拌溶液に、LiAlH(38g,1.00mol)を、0℃にて窒素雰囲気下で、10分間かけて少しずつ加えた。前記反応混合物を、60℃にて3時間攪拌した。LCMS(Rt(生成物)=0.30分)によって、前記反応の終了を確認した。前記反応混合物を10℃まで冷却し、水(38mL)を加え、その後15%NaOH溶液(76mL)を加え、水(38mL)を加えた。その後、前記反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物を合一し、水(3000mL)をゆっくりと加え、その後、酢酸エチル(3000mL×3)で抽出した。合一した有機層を飽和食塩水(1500mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過及び濃縮して、[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メタンアミン(275g,粗生成物)を赤色油状物質として得た。
【0161】
LCMS:Rt(生成物)=0.30分。
【0162】
HPLC:Rt(生成物)=2.33分、波長220nmにおける純度70%。
【0163】
工程3:tert-ブチル(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレートの合成。
【化24】
2つのバッチ:[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メタンアミン(111.5g,粗生成物)/ジクロロメタン(1200mL)の溶液に、25℃にて、HOBt(81.1g,600mmol)、EDCI(115g,600mmol)、DIEA(106g,818mmol)、及び(2S,4R)-1-tert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸(151g,655mmol)を加えた。前記反応混合物を、25℃にて16時間攪拌した。LCMS(Rt(生成物)=1.1分)によって、前記反応の終了を確認した。前記反応混合物を合一した。水(1000mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(500mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して、真空下で濃縮した。残渣を合一し、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,2:1から0:1まで)によって精製して、tert-ブチル(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(110g,収率24.14%)を、黄色固体として得た。
【0164】
LCMS:Rt(生成物)=1.1分。
【0165】
HPLC:Rt=2.33分、波長220nmにおける純度85%。
【0166】
工程4:(2S,4R)-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2-カルボキシアミドの合成。
【化25】
tert-ブチル(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(110g,263mmol)/酢酸エチル(1.2L)の溶液に、0~5℃にて、HCl(g)/酢酸エチル(4M,528mL)を滴加した。前記反応混合物を、25℃にて4時間攪拌した。TLC(PE/EA=0/1,Rf(反応物)=0.20,Rf(生成物)=0.00)で、残存した出発物質は微少量のみであることが確認された。前記混合物を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(200mL)で洗浄した。前記固体を真空下で乾燥し、(2S,4R)-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2-カルボキシアミド塩酸塩(104g,粗生成物)を、白色固体として得た。
【0167】
HPLC:Rt(生成物)=1.33分、波長220nmにおける純度92.89%。
【0168】
工程5:tert-ブチルN-[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]カルバメートの合成。
【化26】
【0169】
(2S,4R)-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2-カルボキシアミド(104g,粗生成物)/ジクロロメタン(30mL)溶液に、25℃にて、HOBt(43.68g,323mmol)、EDCI(61.9g,323mmol)、DIEA(113.95g,881.69mmol)及び(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3,3-ジメチル-ブタン酸(81.6g,353mmol)を加えた。前記反応混合物を、25℃にて16時間攪拌した。LCMS(Rt(生成物)=1.28分)によって、前記反応の終了を確認した。水(1000mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(500mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,2:1から0:1まで)によって精製し、tert-ブチル N-[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]カルバメート(70g,収率44.9%)を、無色油状物質として得た。
【0170】
LCMS:Rt(生成物)=1.28分、[M+H]531.50。
【0171】
H NMR:400 MHz DMSO-d δ:8.98(s,1 H)、8.56(t,J=5.6 Hz,1 H)、7.44-7.38(m,4 H)、6.46(d,J=9.2 Hz,1 H)、5.14(s,1 H)、4.45-4.14(m,5 H)、3.66-3.61(m,2 H)、2.44(s,3 H)、2.04-1.89(m,2 H)、1.38(s,9 H)、0.93(s,9 H)。
【0172】
工程6:(2S,4R)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ジメチル-ブタノイル]-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2-カルボキシアミドの合成。
【化27】
tert-ブチルN-[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]カルバメート(71.8g,135mmol)/酢酸エチル(7000mL)の溶液に、25℃にて、HCl(g)/酢酸エチル(4M,33.82mL)を加え、前記反応混合物を、25℃にて2時間攪拌した。TLC(酢酸エチル,Rf(生成物)=0)によって、前記反応の終了を確認した。前記反応混合物を濾過し、当該固体を酢酸エチル(500mL)及びアセトニトリル(300mL)で洗浄し、(2S,4R)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ジメチル-ブタノイル]-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2-カルボキシアミド(I-1)(56.6g,収率89.6%,塩酸塩)を、淡黄色固体として得た。
【0173】
H NMR:400 MHz DMSO-d δ:9.05(s,1 H)、8.74(t,J=6.0 Hz,1 H)、8.14(d,J=4.0 Hz,3 H)7.40(s,4H)、4.57-4.53(m,1 H)、4.44-4.37(m,2 H)、4.27-4.25(m,1 H)、3.90(d,J=5.6 Hz,1 H)、3.77(d,J=11.2 Hz,1 H)、3.57-3.54(m,1 H)、2.45(s,3 H)、2.13-2.09(m,1 H)、1.90-1.86(m,1 H)、1.02(s,9 H)。
実施例S2
中間体化合物、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアートの合成。
【化28】
【0174】
工程1:4-ブロモ-2-シクロペンチル安息香酸の合成。
【化29】
500mLの丸底フラスコ中、4-ブロモ-2-フルオロ安息香酸(10.0g,45.66mmol)/THF(100mL)攪拌溶液に、0℃にて窒素雰囲気下、ブロモ(シクロペンチル)マグネシウム(114.15mL,114.15mmol)を滴加した。滴加が完了した後、得られた混合物を室温まで昇温し、一晩攪拌した。前記混合物を、0℃にて、水でクエンチし、減圧下で濃縮した。前記混合物を濾過し、濾液を集めた。前記溶液のpH値は、塩酸(1mol/L)で、3に調整した。前記混合物を濾過した。前記濾過ケーキを集め、真空下で濃縮し、4-ブロモ-2-シクロペンチル安息香酸(7.25g,59%)を、灰白色固体として得た。MS:m/z:C1213BrOとしての計算値:[M-H];267;実測値:[M-H]267。
【0175】
工程2:tert-ブチル 4-ブロモ-2-シクロペンチル-ベンゾアートの合成。
【化30】
4-ブロモ-2-シクロペンチル安息香酸(10g,37.17mmol)/SOCl(50mL,685.47mmol)の溶液を、75℃にて3時間攪拌した。得られた溶液を濃縮し、余分なSOClを取り除き、4-ブロモ-2-シクロペンチル-ベンゾイルクロライドを得た。その後、t-BuOK(5841mg,52.16mmol)/THF(100mL)の攪拌溶液に、0℃にて、4-ブロモ-2-シクロペンチル-ベンゾイルクロライド/THF(50mL)の溶液を加えた。前記反応混合物を、室温にて1時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、残渣を水に加え、EAで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、合一した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過及び濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル 4-ブロモ-2-シクロペンチル-ベンゾアート(8g,収率66.2%)を、灰白色固体として得た。
【0176】
工程3:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾアートの合成。
【化31】
4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(11.24g,44.27mmol)/1,4-ジオキサン(100mL)の攪拌溶液に、室温にて、tert-ブチル 4-ブロモ-2-シクロペンチル-ベンゾアート(12g,36.9mmol)及びPd(dppf)Cl(2.5g,3.41mmol)を加えた。前記反応混合物を、窒素でパージし、80℃にて2時間攪拌した。前記反応混合物を濃縮し、その残渣をシリカゲルカラムによって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾアート(9g,収率65.5%)を、白色固体として得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ:7.81(s,1 H)、7.63(m,1 H)、7.55(m,1 H)、3.67-3.48(m,1 H)、2.07(m,2 H)、1.92-1.78(m,2 H)、1.78-1.66(m,4 H)、1.60(s,10 H)、1.35(s,12 H)。
【0177】
工程4:7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]-3H-キナゾリン-4-オンの合成。
【化32】
(2,4-ジメトキシフェニル)メタノール(46g,274.16mmol)/DMF(150mL)の攪拌溶液に、0℃にて、60%NaH(6.58g,274.16mmol)を少量ずつ加え、得られた懸濁液を30分かけて室温まで昇温した。その後、7-フルオロ-3H-キナゾリン-4-オン(15g,91.39mmol)を上記反応混合物に加え、得られた反応物を、100℃にて1時間攪拌した。前記反応混合物を、0℃にて、水でクエンチし、1規定のHClで、pH値を6~7に調整し、濾過した。当該濾過ケーキを集め、EAでスラリー化し、7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]-3H-キナゾリン-4-オン(22g,収率77.1%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C1716としての計算値:[M+H]313;実測値:[M+H]313。
【0178】
工程5:4-クロロ-7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]キナゾリンの合成。
【化33】
7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]-3H-キナゾリン-4-オン(22g,70.44mmol)及びDIEA(61.35mL,352.2mmol)/トルエン(150mL)攪拌溶液に、0℃にて、POCl(13.13mL,140.88mmol)を滴加した。得られた混合物を室温まで昇温し、その後、80℃にて一晩攪拌した。室温まで冷却した後、前記混合物をトルエンと共沸させ、その残渣をEAに溶解した。有機層をNaHCO飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過及び濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、4-クロロ-7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]キナゾリン(17g,収率72.9%)を、黄色固体として得た。MS:m/z:C1715ClNとしての計算値:[M+H]331;実測値:[M+H]331。
【0179】
工程6:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化34】
4-クロロ-7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]キナゾリン(22g,66.51mmol)/1,4-ジオキサン(200mL)及び水(40mL)の攪拌溶液に、室温にて、Pd(dppf)ClCHCl(5.43g,6.65mmol)、NaCO(21.15g,199.53mmol)、及びtert-ブチル-2-シクロペンチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾアート(29.72g,79.81mmol)を加えた。得られた混合物を窒素でパージし、60℃にて2時間攪拌した。前記反応混合物を、濾過及び濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(31g,収率86.2%)を、淡黄色油状物質として得た。MS:m/z:C3336としての計算値:[M+H]541;実測値:[M+H]541。
【0180】
工程7:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアートの合成。
【化35】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(31g,57.34mmol)/EA(300mL)の攪拌溶液に、0℃にて、2規定のHCl(EA)(200mL,57.34mmol)をゆっくりと加えた。得られた混合物を室温まで昇温し、3時間攪拌した。TLC及びLCMSによって、前記反応の完了を確認した後、前記反応混合物のpH値を、0℃にて、飽和NaHCOで、6~7に調整し、EAで抽出して、水で洗浄した。合一した抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過及び濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアート(17g,収率75.9%)を、黄色固体として得た。MS:m/z:C2426としての計算値:[M+H]391;実測値:[M+H]391。
実施例S3:化合物6(n=4)の合成。
【化36】
【0181】
工程1:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(7-エトキシ-7-オキソ-ヘプトキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化37】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアート(250mg,0.64mmol)/DMF(3mL)の攪拌溶液に、室温にて、7-ブロモヘプタン酸エチル(182.19mg,0.77mmol)及びKCO(169.67mg,1.6mmol)を加え、得られた混合物を、80℃にて2時間攪拌した。前記反応混合物を水でクエンチし、EAで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE/EA=5:4)によって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(7-エトキシ-7-オキソ-ヘプトキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(320mg,収率86.39%)を、淡黄色油状物質として得た。
【0182】
MS:m/z:C3342としての計算値:[M+H]547;実測値:[M+H]547.40。
【0183】
工程2:7-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシヘプタン酸の合成。
【化38】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(7-エトキシ-7-オキソ-ヘプトキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(310mg,0.57mmol)/THF(3mL)及び水(0.60mL)の攪拌溶液に、室温にて、LiOH(67.9mg,2.84mmol)を加え、得られた混合物を、60℃にて3時間攪拌した。前記反応混合物を濃縮した。残渣を水で希釈し、1Mの塩酸で、前記希釈液をpH5以下に酸性化した。得られた沈殿物を濾過し、濾過ケーキを水(2×2mL)で洗浄した。前記濾過ケーキを、真空下で乾燥させ、7-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシヘプタン酸(290mg,収率92.39%)を、白色固体として得た。
【0184】
MS:m/z:C3138としての計算値:[M+H]519;実測値:[M+H]519.20。
【0185】
工程3:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[7-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-7-オキソ-ヘプトキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化39】
7-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシヘプタン酸(50mg,0.10mmol)及び(2S,4R)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ジメチル-ブタノイル]-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2-カルボキシアミド(実施例S1のI-1)(41.51mg,0.10mmol)/DMF(2mL)の攪拌溶液に、HATU(54.98mg,0.14mmol)及びDIEA(0.04mL,0.29mmol)を加え、得られた混合物を、室温にて2時間攪拌した。前記反応混合物を逆相フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[7-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-7-オキソ-ヘプトキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(85mg,収率94.68%)を、白色油状物質として得た。
【0186】
MS:m/z:C5366Sとしての計算値:[M+H]931;実測値:[M+H]931。
【0187】
工程4:2-シクロペンチル-4-[7-[7-オキソ-7-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ヘプトキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(化合物6)の合成。
【化40】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[7-オキソ-7-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ヘプトキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(80.17mg,0.09mmol)/DCM(2mL)の攪拌溶液に、0℃にて、TFA(1mL)を加え、前記反応混合物を、室温にて2時間攪拌した。前記反応混合物を濃縮した。残渣を、Prep-HPLCによって精製し、2-シクロペンチル-4-[7-[7-オキソ-7-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ヘプトキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(化合物6)(34.9mg,収率46.09%)を、白色固体として得た。
【0188】
MS:m/z:C4958Sとしての計算値:[M+H]875.4;実測値:[M+H]875.3。
【0189】
H NMR(400 MHz メタノール-d)δ:9.21(s,1 H)、8.97(s,1 H)、8.03(d,J=9.3 Hz,1 H)、7.95(d,J=8.0 Hz,1 H)、7.83(d,J=1.7 Hz,1 H)、7.64(dd,J=8.0,1.8 Hz,1 H)、7.52-7.38(m,6 H)、4.65(s,1 H)、4.63-4.49(m,3 H)、4.37(d,J=15.5 Hz,1 H)、4.27(t,J=6.4 Hz,2 H)、3.93(d,J=10.4 Hz,2 H)、3.82(dd,J=11.0,3.8 Hz,1 H)、2.49(s,3 H)、2.42-2.24(m,2 H)、2.20(t,J=11.6 Hz,3 H)、2.10(t,J=13.4 Hz,1 H)、1.93(t,J=7.3 Hz,2 H)、1.87(s,2 H)、1.78-1.68(m,6 H)、1.59(p,J=7.1 Hz,2 H)、1.47(d,J=7.6 Hz,2 H)、1.05(s,9 H)。
【0190】
Prep-HPLC精製条件:[カラム:Sunfire prep C18 カラム,30*150mm,5μm;移動相A:水(0.05% TFA),移動相B:アセトニトリル;流速:60mL/分;濃度勾配:7分間かけて移動相Bを40%からB60%まで;254nm;Rt1:6.77]。
実施例S4:化合物5(n=5)の合成。
【化41】
【0191】
工程1:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(8-エトキシ-8-オキソ-オクトキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化42】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアート(2.7g,6.91mmol),KCO(4.77g,34.57mmol),及び8-ブロモオクタン酸エチル(8.68g,34.57mmol)/DMF(100mL)の混合物を、80℃にて3時間攪拌した。LCMSによって、前記反応の完了を確認した。前記反応混合物をEAで希釈し、飽和食塩水で3~4回洗浄した。有機層を合一して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した.前記生成物をシリカゲル(PE/EA=1/1)に通して、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(8-エトキシ-8-オキソ-オクトキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(2.5g,収率64.45%)を、無色油状物質として得た。MS:m/z:C3444としての計算値:[M+H]561;実測値:[M+H]561.28。
【0192】
工程2:8-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシオクタン酸の合成。
【化43】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(8-エトキシ-8-オキソ-オクトキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(2.7g,4.82mmol)/メタノール(60mL)及びTHF(60mL)の攪拌溶液に、LiOH(576.62mg,24.08mmol)/水(30mL)の溶液を加えた。 得られた混合物を、室温にて一晩攪拌した。前記反応の完了をLCMSによって確認した。前記反応物を水で希釈し、1規定の塩酸で、前記希釈液のpHを4~5に調整した。前記生成物をEAで抽出し、合一した有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、8-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシオクタン酸(2.5g,収率97.47%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C3240としての計算値:[M+H]533;実測値:[M+H]533.20。
【0193】
化合物5の合成
化合物5は、実施例S3に記載の工程に類する次の工程で調製された。
実施例S5:化合物4(n=6)の合成。
【化44】
【0194】
工程1:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(9-エトキシ-9-オキソ-ノンオキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化45】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアート(1500mg,3.84mmol),9-ブロモノナン酸エチル(1121mg,4.23mmol)及びKCO(1222mg,11.52mmol)/DMF(20mL)の混合物を、80℃にて1.5時間攪拌した。その後、前記混合物を水でクエンチし、EAで抽出した。前記抽出物を合一し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過及び濃縮した。得られた油状物質を、PE/EA(10~20%)を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。精製画分を合一し、濃縮して、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(9-エトキシ-9-オキソ-ノンオキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1820mg,収率82.4%)を、淡黄色油状物質として得た。MS:m/z:C3546O5としての計算値:[M+H]575;実測値:[M+H]575.40。
【0195】
工程2:9-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシノナン酸の合成。
【化46】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(9-エトキシ-9-オキソ-ノンオキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1820mg,3.17mmol)/メタノール(10mL),THF(10mL)及び水(4mL)の攪拌溶液に、室温にて、LiOH(379.2mg,15.83mmol)を加えた。得られた溶液を、50℃にて1.5時間攪拌した。LCMSによって、前記反応の完了を確認した。前記反応溶液を濃縮し、残渣を逆相フラッシュクロマトグラフィー(0.05% NHHCO/MeCN)によって精製し、9-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシノナン酸(1340mg,収率77.4%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C3342としての計算値:[M+H]547;実測値:[M+H]547.25。
【0196】
工程3:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[9-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-9-オキソ-ノンオキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化47】
9-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシノナン酸(1340mg,2.45mmol)及び(2S,4R)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ジメチル-ブタノイル]-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2-カルボキシアミド(実施例S1のI-1)(1055mg,2.45mmol)/MeCN(15mL)の攪拌溶液に、TCFH(1375mg,4.9mmol)及びNMI(0.97mL,12.26mmol)を加えた。得られた混合物を、室温にて2時間攪拌した。その後、前記反応溶液を濃縮し、残渣を逆相フラッシュクロマトグラフィー(0.05% TFA/MeCN)によって精製した。精製画分を合一し、濃縮して、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[9-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-9-オキソ-ノンオキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1700mg,収率72.3%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C5570Sとしての計算値:[M+H]959;実測値:[M+H]959.55。
【0197】
工程4:2-シクロペンチル-4-[7-[9-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-9-オキソ-ノンオキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(4)の合成。
【化48】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[9-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-9-オキソ-ノンオキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1730mg,1.8mmol)/DCM(4mL)の攪拌溶液に、0℃にて、TFA(1mL,3.92mmol)を加えた。前記反応混合物を、室温にて4時間攪拌した。その後、前記反応溶液を濃縮し、逆相フラッシュクロマトグラフィー(0.05% NHHCO/MeCN,濃度勾配:20分間かけて、10% MeCNから20% MeCNまで)によって精製した。精製画分を合一し、濃縮して、2-シクロペンチル-4-[7-[9-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-9-オキソ-ノンオキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(4)(982.5mg,収率59.9%)を、白色固体として得た。(約300mgの、純度98%の化合物を、1回目の逆相カラム精製後に、さらにPrep-HPLCによって精製し、2つのバッチを合一し、982.5mgを得た)。
【0198】
MS:m/z:C5162Sとしての計算値:[M+H]903;実測値:[M+H]903.40。
【0199】
H NMR(400 MHz,メタノール-d)δ:9.21(s,1 H),8.97(s,1 H)、8.03(d,J=9.2 Hz,1 H)、7.95(d,J=8.0 Hz,1 H)、7.83(d,J=1.7 Hz,1 H)、7.64(dd,J=8.0,1.8 Hz,1 H)、7.49(m,2 H)、7.48-7.37(m,4 H)、4.65(s,1 H)、4.57-4.51(m,3 H)、4.37(m,1 H)、4.26(t,J=6.4 Hz,2 H)、3.92-3.82(m,3 H)、2.49(s,3 H)、2.39-2.03(m,7 H)、1.96-1.84(m,3 H)、1.79-1.61(m,6 H)、1.59-1.51(m,3 H)、1.49-1.35(m,5 H)、1.05(s,9 H)。
【0200】
Prep-HPLC条件:カラム:XBridge Shield RP18 OBD Column,30*150mm,5μm;移動相A:水(10mmol/L NHCO+0.1% NH・HO),移動相B:アセトニトリル;流速60mL/分;濃度勾配:7分間かけて、移動相Bを9%から33%まで;254/210nm;Rt1:5.93。
実施例S6:化合物3(n=7)の合成。
【化49】
【0201】
工程1:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(10-エトキシ-10-オキソ-デコキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化50】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアート(1000mg,2.56mmol)/DMF(10mL)の攪拌溶液に、KCO(1060mg,7.68mmol)及び10-ブロモデカン酸エチル(857mg,3.07mmol)を、室温にて加え、その後、80℃にて2時間攪拌した。前記反応混合物を、水でクエンチし、EAで抽出した。前記抽出物を合一し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過及び濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(PE/EA,1:1)によって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(10-エトキシ-10-オキソ-デコキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1400mg,2.38mmol,収率92.8%)を、淡黄色油状物質として得た。MS:m/z:C3648としての計算値:[M+H]589;実測値[M+H]589。
【0202】
工程2:10-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシデカン酸の合成。
【化51】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(10-エトキシ-10-オキソ-デコキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1390mg,2.36mmol)/メタノール(5mL),THF(5mL)及び水(2mL)の攪拌溶液に、室温にて、LiOH(113mg,4.72mmol)を加え、前記反応混合物を50℃にて1時間攪拌した。前記反応混合物を濃縮し、その後、水で希釈し、1.0規定の塩酸でpH値を4~5に調整し、濾過して、10-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシデカン酸(1300mg,2.32mmol,収率98.2%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C3444としての計算値:[M+H]561;実測値[M+H]561。
【0203】
工程3:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[10-オキソ-10-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]デコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化52】
10-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシデカン酸(1280mg,2.28mmol)/脱水MeCN(20mL)溶液に、TCFH(1281mg,4.57mmol)、NMI(0.9mL,11.41mmol)及びrac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]-1-[rac-(2S)-2-アミノ-3,3-ジメチル-ブタノイル]ピロリジン-2-カルボキシアミド(983mg,2.28mmol)を加え、その後、前記反応混合物を、室温にて2時間攪拌した。得られた混合物を濃縮した。粗生成物を、逆相フラッシュクロマトグラフィー(0.05% TFA/MeCN)によって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[10-オキソ-10-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]デコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1500mg,1.54mmol,収率67.5%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C5672Sとしての計算値:[M+H]973;実測値:[M+H]973。
【0204】
工程4:2-シクロペンチル-4-[7-[10-オキソ-10-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]デコキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(3)の合成。
【化53】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[10-オキソ-10-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]デコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(1490mg,1.53mmol)/DCM(8mL)の攪拌溶液に、0℃にて、TFA(4mL,49.11mmol)を加え、室温にて3時間攪拌した。前記反応混合物を、真空下で濃縮乾固した。粗生成物を、初めに逆相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、次にHP-フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、2-シクロペンチル-4-[7-[10-オキソ-10-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]デコキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(696mg,0.75mmol,収率49.5%)を、白色固体として得た。
【0205】
MS:m/z:C5264Sとしての計算値:[M+H]917;実測値:[M+H]917。
【0206】
H NMR(300 MHz,メタノール-d)δ:9.15(d,J=1.4 Hz,1 H)、8.87(d,J=1.3 Hz,1 H)、7.98(dd,J=9.2,1.7 Hz,1 H)、7.86(m,1 H)、7.73(m,1 H)、7.57(m,1 H)、7.52-7.28(m,6 H)、4.70-4.50(m,4 H)、4.36(m,1 H)、4.27-4.17(m,2 H)、3.92-3.76(m,3 H)、2.48(s,3 H)、2.40-2.02(m,6 H)、1.95-1.82(m,4 H)、1.80-1.50(m,8 H)、1.38(m,8 H)、1.05(s,9H)。
【0207】
HP-フラッシュ条件:カラム:Ultimate XB-C18 Column,50*250mm,10μm;移動相A:水(10mmol/L NHHCO);移動相B:アセトニトリル;流速:90mL/分;濃度勾配:35分間かけて、移動相Bを10%から50%まで;254/210nm。
実施例S7:化合物2(n=8)の合成。
【化54】
【0208】
工程1:tert-ブチル 2シクロペンチル-4-[7-(11-メトキシ-11-オキソ-ウンデコキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化55】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-(7-ヒドロキシキナゾリン-4-イル)ベンゾアート(200mg,0.51mmol)/DMF(5mL)の攪拌溶液に、KCO(212mg,1.54mmol)及び11-ブロモウンデカン酸メチル(171mg,0.61mmol)を、室温にて加え、得られた溶液を、80℃にて2時間攪拌した。前記反応混合物をEAで希釈し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(11-メトキシ-11-オキソ-ウンデコキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(270mg,収率89.5%)を、無色油状物質として得た。MS:m/z:C3648としての計算値:[M+H]589;実測値:[M+H]589.35。
【0209】
工程2:11-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシウンデカン酸の合成。
【化56】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-(11-メトキシ-11-オキソ-ウンデコキシ)キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(260mg,0.44mmol)/メタノール(3mL),THF(3mL)及び水(1.2mL)の攪拌溶液に、NaOH(53mg,1.32mmol)を、室温にて加えた。得られた混合物を、50℃にて1時間攪拌した。前記反応混合物を濃縮し、その後、水で希釈し、1.0規定のHClでpH値を3~4に調整し、得られた沈殿物を濾過した。得られた固体を、逆相フラッシュクロマトグラフィーによって、さらに精製し、11-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシウンデカン酸(200mg,収率78.8%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C3546としての計算値:[M+H]575;実測値:[M+H]575.40。
【0210】
工程3:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[11-オキソ-11-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ウンデコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化57】
11-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシウンデカン酸(90mg,0.16mmol)/脱水MeCN(4mL)の溶液に、TCFH(88mg,0.31mmol)、NMI(0.06mL,0.78mmol)及びrac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]-1-[rac-(2S)-2-アミノ-3,3-ジメチル-ブタノイル]ピロリジン-2カルボキシアミド(67mg,0.16mmol)を加えた。得られた混合物を、室温にて2時間攪拌した。前記反応混合物を濃縮した。粗生成物を、逆相フラッシュクロマトグラフィー(0.5% TFA/MeCN)によって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[11-オキソ-11-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ウンデコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(100mg,収率64.7%)を、白色固体として得た。MS:m/z:C5774Sとしての計算値:[M+H]988;実測値:[M+H]988。
【0211】
工程4:2-シクロペンチル-4-[7-[11-オキソ-11-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ウンデコキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(2)の合成。
【化58】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[11-オキソ-11-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ウンデコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(90mg,0.09mmol)/DCM(2mL)の攪拌溶液に、室温にて、TFA(1mL,12.28mmol)を加え、得られた混合物を1時間攪拌した。前記反応混合物を、真空下で濃縮乾固した。粗生成物をPrep-HPLCによって精製し、2-シクロペンチル-4-[7-[11-オキソ-11-[[rac-(1S)-2,2-ジメチル-1-[rac-(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]プロピル]アミノ]ウンデコキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(2)(50.6mg,収率58.8%)を、白色固体として得た。
【0212】
MS:m/z:C5366Sとしての計算値:[M+H]931;実測値:[M+H]931。
【0213】
H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ:9.24(s,1 H)、8.99(s,1 H)、8.57(t,J=6.1 Hz,1 H)、7.93-7.77(m,4 H)、7.62(dd,J=7.9,1.7 Hz,1 H)、7.47-7.32(m,6 H)、4.58-4.51(m,1 H)、4.43(m,2 H)、4.35(s,1 H)、4.26-4.17(m,4 H)、3.82-3.74(m,1 H)、3.71-3.60(m,2 H)、2.44(s,3 H)、2.26(m,1 H)、2.07(m,4 H)、1.90(m,1 H)、1.84-1.75(m,4 H)、1.63(m,4 H)、1.48-1.34(m,4 H)、1.26(m,10 H)、0.93(s,9 H)。
【0214】
Prep-HPLC条件:カラム:X Select CSH Prep C18 OBD Column,5μm,19*150mm;移動相A:水(0.05% TFA),移動相B:アセトニトリル;流速:25mL/分;濃度勾配:7分間かけて、移動相Bを55%から82%まで;254/210nm;Rt1:6.87。
実施例S8:化合物1(n=9)の合成。
【化59】
【0215】
工程1:tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[12-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-12-オキソ-ドデコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアートの合成。
【化60】
12-[4-(4-tert-ブトキシカルボニル-3-シクロペンチル-フェニル)キナゾリン-7-イル]オキシドデカン酸(75mg,0.13mmol),(2S,4R)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ジメチル-ブタノイル]-4-ヒドロキシ-N-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチル]ピロリジン-2―カルボキシアミド(実施例S1のI-1)(60.33mg,0.14mmol),TCFH(71.48mg,0.25mmol)及びNMI(0.06mL,0.76mmol)/MeCN(5mL)の混合物を、室温にて2時間攪拌した。LCMSによって、前記反応の完了を確認した。前記溶媒を、真空下で蒸発させ、粗生成物をPrep-HPLCによって精製し、tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[12-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-12-オキソ-ドデコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(90mg,収率70.56%)を、褐色固体として得た。MS:m/z:C5876Sとしての計算値:[M+H]1001;実測値:[M+H]1001。
【0216】
工程2:2-シクロペンチル-4-[7-[12-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-12-オキソ-ドデコキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(1)の合成。
【化61】
tert-ブチル 2-シクロペンチル-4-[7-[12-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-12-オキソドデコキシ]キナゾリン-4-イル]ベンゾアート(80mg,0.0800mmol)/DCM(10mL)の溶液に、0℃にて、TFA(4.5mL)を滴加した。得られた混合物を、室温にて2時間攪拌した。LCMSによって、前記反応の完了を確認した。脱溶媒後、粗生成物を、Prep-HPLCによって精製し、2-シクロペンチル-4-[7-[12-[[(1S)-1-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-[[4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル]メチルカルバモイル]ピロリジン-1-カルボニル]-2,2-ジメチル-プロピル]アミノ]-12-オキソ-ドデコキシ]キナゾリン-4-イル]安息香酸(1)(18.2mg,収率23.86%)を、白色固体として得た。
【0217】
MS:m/z:C5468Sとしての計算値:[M+H]945.35;実測値:[M+H]945。
【0218】
H NMR(400 MHz, DMSO-d)δ:9.23(s,1 H)、8.97(s,1 H)、8.55(t,J=6.2 Hz,1 H)、7.92(d,J=9.3 Hz,1 H)、7.86-7.78(m,2 H)、7.75(d,J=1.7 Hz,1 H)、7.61(dd,J=7.9,1.7 Hz,1 H)、7.45-7.33(m,6 H)、5.11(s,1 H)、4.54(d,J=9.4 Hz,1 H)、4.48-4.38(m,2 H)、4.34(s,1 H)、4.25-4.17(m,3 H)、3.82-3.73(m,1 H)、3.71-3.59(m,2 H)、2.44(s,3 H)、2.99-2.22(m,1 H)、2.14-2.01(m,4 H)、1.93-1.85(m,1 H)、1.79(q,J=5.9,5.0 Hz,4 H)、1.69-1.56(m,4 H)、1.53-1.41(m,4 H)、1.36-1.19(m,12 H)、0.92(s,9 H)。
【0219】
Prep-逆相フラッシュクロマトグラフィー条件:[カラム:XBridge Shield RP18 OBD Column,30*150mm,5μm;移動相A:水(10mmol/L NHCO+0.1% NH・HO),移動相B:アセトニトリル;流速:60mL/分;濃度勾配:7分間かけて、移動相Bを20%から49%まで;254/220nm]。
(生物学的実施例)
実施例B1:293T細胞内で安定発現したenhanced ProLabel(ePL)タグ化CAMKK2を分解する、試験化合物の効能及び効力判定。
【0220】
CAMKK2分解アッセイ細胞株293Tは、pCDH-ePL-CAmkk2にレンチウイルスを感染させて産生され、安定型組み込み体は、1μg/mLのピューロマイシンによって選択された。系列希釈された試験化合物が予めスポットされた384ウェルプレート中に細胞を分注した。インキュベーションから24時間後、DiscoverX InCELL Hunter Detection試薬を加えて分解を停止した。
【0221】
実験化合物を含むDMSO50nLを、アコースティック分注機(ATS acoustic transfer system EDC Biosystems)を用いて、384ウェルプレート(Corning #3570)に、5mMから始めて3倍の希釈系列を10点分注した。培地(RPMI 1640+10% 非働化処理済みFBS)中25μLに400個のePL CAMKK2 293T細胞をそれぞれのウェルに分注した。アッセイプレートは37℃にて、5%CO下で24時間インキュベートした。プレートを30分間室温に保ち、その後、InCELL Hunter Detection Reagent Working Solution(カタログ番号96-0002,DiscoverX,Fremont,CA)を25μL加えた。プレートを室温にて30分間インキュベートした後、遮光して、PHERAstar リーダー(BMG LABTECH,Cary,N.C.)によって発光を読み取った。データをActivity Base(IDBS,Alameda,Calif.)を用いて、下記に記載するように、正規化及びフィッティングした。
【0222】
CAMKK2レベルの百分率(PoC)を、化合物で処理したウェル内の前記発光シグナルを用いて判定し、DMSOコントロールのPoC及びルシフェラーゼ活性が完全に阻害されたコントロールのPoCに正規化した。前記化合物のEC50及び分解Ymin を判定するために4係数ロジスティックモデル(シグモイド型用量反応モデル,等式1)を用いた。
PoC=A+(100-A)/(1+(C/x)^D)(等式1)
[式中、
CはCAMKK2分解能EC50であり、Dは相関係数であり、AはYminとして報告された下限値である。Ymin及びEC50は化合物由来のCAMKK2分解効率を特徴づける目的で使用された]。
【0223】
結果を表2に示す。ここで、Yminは残存したタンパク質の最小百分率、EC50は、Yminに関連して、タンパク質レベルにおいて50%の減少を惹起する濃度である。
【表4】


【0224】
本発明について、明確な理解のために、実例を用いて具体的に記載してきたが、前記記載及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書において引用した全ての特許及び科学文献に関する開示は、引用によりそれら全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【国際調査報告】