(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】急性肝性ポルフィリン症(AHP)のバイオマーカーとしての腎障害マーカー
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20241003BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241003BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241003BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/555 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20241003BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20241003BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20241003BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241003BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20241003BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P1/16
A61P43/00 111
A61K48/00
A61K31/7088
A61P13/12
A61P43/00 121
A61K31/555
A61K31/7004
A61K45/06
A61K31/7056
G01N33/53 M
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520992
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022077511
(87)【国際公開番号】W WO2023060064
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505369158
【氏名又は名称】アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALNYLAM PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ティカウ,シミーナ
(72)【発明者】
【氏名】ボロドフスキー,アナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA14
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB04
4C086EA01
4C086EA16
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、急性肝性ポルフィリン症(AHP)の診断およびモニタリングのためのバイオマーカーを提供する。本開示は、バイオマーカーを使用した、AHPの処置のための薬を選択する方法をさらに提供する。本開示は、本明細書で提供される方法を実践するためのキットをさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性肝性ポルフィリン症(AHP)を有するヒト対象を処置する方法であって、
対象における、参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルの決定に応じて、5’-アミノレブリン酸シンターゼ(ALAS1)の発現を低下させる治療薬を対象に投与し、
それによって対象を処置すること、
を含む、方法。
【請求項2】
AHPを有する、またはAHPを有するリスクのあるヒト対象を処置する方法であって、
対象から生物学的試料を得ること、または得ていること、
生物学的試料中のバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを決定するためのアッセイを行うこと、または行っていること、および、
対象が参照値と比較して上昇したバイオマーカーのレベルを有する場合、ALAS1の発現を低下させる治療薬を対象に投与し、
それによって対象を処置すること、
を含む、方法。
【請求項3】
AHPを有する、またはAHPを有するリスクのあるヒト対象を処置する方法であって、
ALAS1の発現を低下させる治療薬を提供すること、
対象における、参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを検出すること、および
バイオマーカーのレベルが参照レベルよりも高い場合、治療薬を対象に投与し、
それによって対象を投与すること
を含む、方法。
【請求項4】
バイオマーカーが、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される、請求項1-3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
バイオマーカーが腎障害バイオマーカーである、請求項1-3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
腎障害バイオマーカーが、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ALAS1の発現を低下させる治療薬が核酸治療薬である、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
核酸治療薬がRNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
核酸治療薬がギボシランである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
対象が慢性高排泄者である、請求項1-9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
対象が再発性の急性発作を有する、請求項1-9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
対象がAHPと診断されていない、請求項1-11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
対象がポルフィリン症を有すると診断されていない、請求項1-12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
対象がAHPの診断基準に合致しない、請求項1-13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
対象が上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する、請求項1-14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
対象がAHPに関連する変異を有する、請求項1-15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
対象がAHPに関連する変異を有さない、請求項1-15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
対象が腎機能障害の病歴を有する、請求項1-17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
対象が腎障害と診断されている、請求項1-18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
対象が低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する、請求項1-19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
参照レベルが健常コントロールのレベルまたは同一の対象における以前のレベルである、請求項1-20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルが、バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較して少なくとも2倍上昇している、請求項1-21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
対象が第2の治療薬で処置されている、請求項1-22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
第2の治療薬が、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対象が上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを有する場合に、第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
レベルが、血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される対象の試料において決定される、請求項1-25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
対象がAHPと関連する1つ以上の症状をさらに患っている、請求項1-26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
AHPを有するヒト対象の処置において使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬であって、対象が、参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを有する、治療薬。
【請求項29】
AHPを有するヒト対象の処置の方法において使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬であって、方法が、患者がバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを有するかどうかを決定するステップを含む、治療薬。
【請求項30】
バイオマーカーが、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項31】
バイオマーカーが腎障害バイオマーカーである、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項32】
腎障害バイオマーカーが、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項33】
ALAS1の発現を低下させる治療薬が核酸治療薬である、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項34】
核酸治療薬がRNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項33に記載の治療薬。
【請求項35】
核酸治療薬がギボシランである、請求項34に記載の核酸治療薬。
【請求項36】
対象が慢性高排泄者である、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項37】
対象が再発性の急性発作を有する、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項38】
対象がAHPと診断されていない、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項39】
対象がポルフィリン症を有すると診断されていない、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項40】
対象がAHPの診断基準に合致しない、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項41】
対象が上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項42】
対象がAHPに関連する変異を有する、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項43】
対象がAHPに関連する変異を有さない、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項44】
対象が腎機能障害の病歴を有する、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項45】
対象が腎障害と診断されている、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項46】
対象が低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する、請求項28または29に記載の治療薬。
【請求項47】
参照レベルが健常コントロールのレベルまたは同一の対象の以前のレベルである、請求項28-46のいずれかに記載の治療薬。
【請求項48】
バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルが、バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較して、少なくとも2倍上昇している、請求項28-47のいずれかに記載の治療薬。
【請求項49】
対象が第2の治療薬で処置されている、請求項28-48のいずれかに記載の治療薬。
【請求項50】
第2の治療薬が、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、アルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む、請求項49に記載の治療薬。
【請求項51】
処置の方法が、対象が上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを有する場合に、第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む、請求項50に記載の治療薬。
【請求項52】
レベルが、血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される対象の試料において決定される、請求項28-51のいずれかに記載の治療薬。
【請求項53】
対象がAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている、請求項28-52に記載の治療薬。
【請求項54】
対象においてAHPを診断するインビトロの方法であって、方法が:
(a)対象の試料におけるバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを決定すること;
(b)ステップ(a)で決定したバイオマーカーのレベルを、バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルと比較すること;および
(c)対象がAHPを患っているか否かを評価すること、ここで、バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較した、ステップ(a)で決定したバイオマーカーのレベルの上昇は、対象がAHPを患っていることを示す;
を含む、方法。
【請求項55】
バイオマーカーが、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
バイオマーカーが腎障害バイオマーカーである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
腎障害バイオマーカーが、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
対象がAHPと診断されている、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
対象が上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
対象がAHPに関連する変異を有する、請求項54-59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
対象がAHPに関連する変異を有さない、請求項54-59のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
対象が腎障害と診断されている、請求項54-61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
対象が低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する、請求項54-62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
参照レベルが健常コントロールのレベルまたは同一の対象の以前のレベルである、請求項54-63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルが、バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較して、少なくとも2倍上昇している、請求項54-64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
対象がALAS1の発現を低下させる治療薬で処置されている、請求項54-65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
ALAS1の発現を低下させる治療薬が核酸治療薬である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
核酸治療薬がRNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
核酸治療薬がギボシランである、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
対象が第2の治療薬で処置されている、請求項66-69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
第2の治療薬が、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、アルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
レベルが、血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される対象の試料において決定される、請求項54-71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
請求項54-72のいずれかで定義された方法を使用してAHPを患っていると特定された対象におけるAHPの処置に使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬。
【請求項74】
AHPを処置する方法において使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬であって、方法が:
(a)対象の試料におけるバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを決定すること;
(b)ステップ(a)で決定したバイオマーカーのレベルを、バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較すること;
(c)対象がAHPを患っているか否かを評価すること、ここで、バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較した、ステップ(a)で決定したバイオマーカーのレベルの上昇は、対象がAHPを患っていることを示す;および
(d)ステップ(c)でAHPを患っていると特定された対象に、ALAS1の発現を低下させる治療薬を投与すること;
を含む、治療薬。
【請求項75】
バイオマーカーが、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される、請求項74に記載の治療薬。
【請求項76】
バイオマーカーが腎障害バイオマーカーである、請求項74に記載の治療薬。
【請求項77】
腎障害バイオマーカーが、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される、請求項76に記載の治療薬。
【請求項78】
参照レベルが健常コントロールのレベルまたは同一の対象の以前のレベルである、請求項74に記載の治療薬。
【請求項79】
腎障害バイオマーカーのレベルが、腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較して少なくとも2倍上昇している、請求項74に記載の治療薬。
【請求項80】
ALAS1の発現を低下させる治療薬が核酸治療薬である、請求項74に記載の治療薬。
【請求項81】
核酸治療薬がRNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項80に記載の治療薬。
【請求項82】
核酸治療薬がギボシランである、請求項81に記載の治療薬。
【請求項83】
対象がAHPと診断されていない、請求項74に記載の治療薬。
【請求項84】
対象がポルフィリン症を有すると診断されていない、請求項74に記載の核酸治療薬。
【請求項85】
対象がAHPの診断基準に合致しない、請求項74に記載の治療薬。
【請求項86】
対象がAHPに関連する変異を有する、請求項74に記載の治療薬。
【請求項87】
対象がAHPに関連する変異を有さない、請求項74に記載の治療薬。
【請求項88】
対象が第2の治療薬で処置されている、請求項74-87のいずれかに記載の治療薬。
【請求項89】
第2の治療薬が、ヘム製剤(例えば、ヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む、請求項88に記載の治療薬。
【請求項90】
方法が、対象が上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを有する場合に、第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む、請求項89に記載の治療薬。
【請求項91】
レベルが、血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される対象の試料において決定される、請求項74-90のいずれかに記載の治療薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年10月6日に出願された米国仮出願第63/252,919号の優先権の利益を主張する。前記出願の内容の全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本願はXML形式で電子的に提出された配列表XMLファイルを含み、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。2022年9月29日に作成された前記XMLコピーの名称は121301-18820_SeqListing.xmlであり、サイズは75,394byteである。
【0003】
本開示の分野
本開示は急性肝性ポルフィリン症(AHP)のバイオマーカーに関する。より具体的には、本開示はAHPのバイオマーカーとしての腎障害(renal injury)バイオマーカーに関する。
【背景技術】
【0004】
急性肝性ポルフィリン症(AHP)はヘム生合成経路の酵素の欠損によって引き起こされる希少遺伝性疾患のグループである。AHPは4つのサブタイプ:急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、異型ポルフィリン症(VP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、およびALAD欠損性ポルフィリン症(ADP)、を有する。最も一般的なサブタイプはAIPである。
【0005】
AHPの患者において、ヘム経路の中間体であるデルタ-アミノレブリン酸(ALA)およびポルフォビリノーゲン(PBG)の蓄積が、急性の発作、および、高血圧および生化学的に活性なAIPの患者の30-60%に存在する慢性腎臓病を含む、長期の合併症を引き起こす。
【発明の概要】
【0006】
ある態様によれば、急性肝性ポルフィリン症(AHP)を有するヒト対象を処置する方法が提供される。前記方法は、例えば、対象における、参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルの決定に応じて、5’-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)の発現を低下させる治療薬を対象に投与し、それによって対象を処置することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はRNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、ギボシランである。
【0010】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者(Chronic high excreter: CHE)である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPと診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はポルフィリン症を有すると診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はAHPの診断基準に合致しない。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0011】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0012】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【0013】
別の態様によれば、AHPを有する、またはAHPを有するリスクのあるヒト対象を処置する方法が提供される。前記方法は、例えば、対象から生物学的試料を得ること、または得ていること、前記生物学的試料におけるバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを決定するためのアッセイを行うこと、または行っていること、および、対象が参照値と比較して上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合、ALAS1の発現を低下させる治療薬を対象に投与すること、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、RNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はギボシランである。
【0017】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPと診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はポルフィリン症を有すると診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はAHPの診断基準に合致しない。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0018】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0019】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【0020】
別の態様によれば、AHPを有する、またはAHPを有するリスクのあるヒト対象を処置する方法が提供される。前記方法は、ALAS1の発現を低下させる治療薬を提供すること、対象において参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを検出すること、および、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルが参照レベルよりも高い場合、前記治療薬を対象に投与すること、を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0023】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、RNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はギボシランである。
【0024】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPと診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はポルフィリン症を有すると診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はAHPの診断基準に合致しない。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0025】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0026】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【0027】
別の態様によれば、AHPを有するヒト対象の処置に使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬が提供され、ここで前記対象は、参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0030】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、RNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はギボシランである。
【0031】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0032】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0033】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【0034】
別の態様によれば、AHPを有するヒト対象を処置する方法において使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬が提供され、ここで前記方法は、患者が腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較して上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有しているか否かを決定するステップを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、RNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はギボシランである。
【0038】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0039】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0040】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【0041】
別の態様によれば、対象においてAHPを診断するインビトロ(in vitro)の方法が提供される。前記方法は、例えば、(a)対象の試料におけるバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを決定すること;(b)ステップ(a)で決定したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較すること;および(c)対象がAHPを患っているか否かを評価することを含み、ここで、前記バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較した、ステップ(a)で決定したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルの上昇は、対象がAHPを患っていることを示す。
【0042】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0044】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、RNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はギボシランである。
【0045】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPと診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はポルフィリン症を有すると診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はAHPの診断基準に合致しない。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0046】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0047】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【0048】
別の態様によれば、本明細書で定義された方法を使用してAHPを患っていると特定された対象におけるAHPの処置に使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬が提供される。
【0049】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、RNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はギボシランである。
【0052】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPと診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はポルフィリン症を有すると診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はAHPの診断基準に合致しない。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0053】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0054】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【0055】
別の態様によれば、AHPを処置する方法において使用するための、ALAS1の発現を低下させる治療薬が提供される。前記方法は、例えば、(a)対象の試料におけるバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを決定すること;(b)ステップ(a)で決定したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較すること;(c)対象がAHPを患っているか否かを評価すること、ここで、前記バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較した、ステップ(a)で決定したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルの上昇は、対象がAHPを患っていることを示す;および(d)ステップ(c)でAHPを患っていると特定された対象に、ALAS1の発現を低下させる治療薬を投与すること、を含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。
【0057】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは腎障害バイオマーカーである。いくつかの実施形態において、腎障害バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1、のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される。
【0058】
いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、核酸医薬である。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、RNAi剤またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸医薬は、本明細書において記載されるRNAi剤である。いくつかの実施形態において、核酸医薬はギボシランである。
【0059】
いくつかの実施形態において、対象は慢性高排泄者である。いくつかの実施形態において、対象は、再発性の急性発作を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPと診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はポルフィリン症を有すると診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はAHPの診断基準に合致しない。いくつかの実施形態において、対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有する。いくつかの実施形態において、対象は、AHPに関連する変異を有さない。いくつかの実施形態において、対象は腎機能障害の病歴を有する。いくつかの実施形態において、対象は腎障害と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。いくつかの実施形態において、対象はAHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。
【0060】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、健常コントロールのレベル、または同一の対象の以前のレベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、バイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の参照レベルと比較して、少なくとも2倍(例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍)増加している。いくつかの実施形態において、レベルは、対象の血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される試料において決定される。
【0061】
いくつかの実施形態において、対象は第2の治療薬で処置されている。いくつかの実施形態において、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象が上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルを有する場合に第2の治療薬による処置を中止することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1A-1Bは、AHP患者の2つのコホートと健常コントロールとの間の、血漿タンパク質のタンパク質発現の違いを示すグラフを含む。
【
図2-1】
図2A-2Cは、調査した異なる集団における腎臓障害分子1(kidney injury molecule-1: KIM1)のレベル、腎機能障害の病歴を有する患者におけるKIM1のレベル、および推算糸球体濾過量(eGFR)に対してプロットしたKIM1のレベルを示すグラフを含む。
【
図3-1】
図3A-3Cは、調査した異なる集団におけるマトリックスメタロプロテアーゼ7(matrix metalloproteinase-7: MMP7)のレベル、腎機能障害の病歴を有する患者におけるMMP7のレベル、およびeGFRに対してプロットしたMMP7のレベルを示すグラフを含む。
【
図4-1】
図4A-4Cは、調査した異なる集団における好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin: NGAL)のレベル、腎機能障害の病歴を有する患者におけるNGALのレベル、およびeGFRに対してプロットしたNGALのレベルを示すグラフを含む。
【
図5-1】
図5A-5Cは、調査した異なる集団におけるシスタチン3(cystatin 3: CST3)のレベル、腎機能障害の病歴を有する患者におけるCST3のレベル、およびeGFRに対してプロットしたCST3のレベルを示すグラフを含む。
【
図6-1】
図6A-6Cは、調査した異なる集団におけるキチナーゼ3様タンパク質1(chitinase-3-like protein 1: CHI3L1)のレベル、腎機能障害の病歴を有する患者におけるCHI3L1のレベル、およびeGFRに対してプロットしたCHI3L1のレベルを示すグラフを含む。
【発明を実施するための形態】
【0063】
遺伝性ポルフィリン症は、本明細書ではポルフィリン経路とも呼ぶ、ヘム生合成経路の特定の酵素活性の欠損によって生じる障害のファミリーである。ポルフィリン経路の酵素の欠損は、不十分なヘム産生をもたらし、かつ、高濃度においては組織に対して有毒である、ポルフィリン前駆体およびポルフィリンの蓄積をもたらす。
【0064】
遺伝性ポルフィリン症のうち、急性間欠性ポルフィリン症(AIP、例えば常染色体優性AIP)、異型ポルフィリン症(VP、例えば常染色体優性VP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP、例えば常染色体優性HCP)、および5’-アミノレブリン酸(δ-アミノレブリン酸またはALAとしても知られる)脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP、例えば常染色体劣性ADP)は、急性肝性ポルフィリン症に分類され、かつ、生命を脅かし得る急性の神経性発作(neurological attack)を呈する。急性の発作は、激しい腹痛、高血圧、頻脈、便秘、運動機能低下(motor weakness)、麻痺およびてんかん発作を含む、自律神経、末梢神経、および中枢神経症状によって特徴づけられる。適切に処置されない場合、四肢麻痺、呼吸障害、および死に結果し得る。チトクロムP450誘導性薬剤、ダイエット、およびホルモンの変化を含む様々な要素が、ヘム生合成経路の第一酵素であり律速酵素である肝臓の5’-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)の活性を上昇させることにより、急性発作を誘発する。急性ポルフィリン症、例えばAIP、VP、HCPおよびADPにおいて、それぞれの酵素の欠損が、神経毒性を有する1つ以上の基質(例えばポルフィリンおよび/またはポルフィリン前駆体、例えばALAおよび/またはPBG)の肝臓における産生および蓄積をもたらし、かつ、急性発作の発生をもたらし得る。(Balwani, M and Desnick, R.J., Blood, 120:4496-4504, 2012)を参照。
【0065】
ポルフォビリノーゲン脱アミノ酸酵素(PBGD)欠乏症、またはヒドロキシメチルビランシンターゼ(HMBS)欠乏症とも呼ばれるAIPは、最も一般的な急性肝性ポルフィリン症である。AIPの有病率は100,000人に5-10人と推定され、その患者の約5-10%が有症である。AIPは、HMBS酵素の活性を例えば通常の半分に低下させるHMBS遺伝子の変異によって引き起こされる、常染色体優性の障害である。
【0066】
現在、この疾患の診断は困難である。ポルフィリン症の診断は家族歴の評価、尿、血液または糞便中のポルフィリン前駆体のレベルの評価、および/または酵素活性の評価およびDNA変異解析を伴い得る。ポルフィリン症の異なる診断は、尿、糞便、および/または血漿中のポルフィリンまたはポルフィリン前駆体(例えばALA、PBG)の個々のレベルを(例えばクロマトグラフィーおよび蛍光光度法によって)測定することでポルフィリン症のタイプを決定することを伴ってもよい。しかしながら、一般的には、試料は発作の最中に得る必要がある。AIPの診断は、赤血球のPBG脱アミノ酸酵素活性が通常のレベルの50%以下であることを証明することで確定され得る。DNA変異の検査が、AIPを診断する別の方法であってもよい。
【0067】
AHPは、再発性の急性発作、または慢性高排泄者(CHE)の形態を呈し得る。CHEは、遺伝子変異を有し、かつ、上昇したALAおよびPBGのレベルを有するが、急性発作を経験していないAHP患者のグループである。CHEの診断はより困難である。DNA変異の検査が、患者およびリスクのある家族に対して要求されてもよい。すなわち、AHP、特に、AIPの診断は、典型的には、DNA検査および特定の病原遺伝子変異(例えばHMBSの変異)の特定による確定を必要とする。
【0068】
急性発作の処置には、例えば腹痛、てんかん発作、脱水/低ナトリウム血症、吐き気/嘔吐、頻脈/高血圧、および尿閉/イレウスを含む、急性症状の制御および処置のために、典型的には入院が要求される。例えば、腹痛は例えば麻薬性鎮痛剤で処置されてもよく、てんかん発作は、てんかん発作の予防および場合により薬剤で処置されてもよく(ただし多くの抗てんかん薬は禁忌である)、吐き気/嘔吐は例えばフェノチアジンで処置されてもよく、かつ、頻脈/高血圧は例えばベータ遮断薬で処置されてもよい。処置は、安全でない薬剤の休薬、呼吸機能ならびに筋力および神経学的ステータスのモニタリングを含んでもよい。ヘミンがすぐに与えられるようになってきているが、軽度の発作(例えば麻痺または低ナトリウム血症を伴わない発作)は、1日あたり少なくとも300gの静脈内10%グルコースによって処置されてもよい。激しい発作は、典型的には、可能な限り早く、静脈内ヘミン(1日3-4mg/kgを4-14日間)によって処置され、かつ、IVヘミンの効果が表れるのを待つ間、IVグルコースによって処置される。通常は、ヘミンの投与開始から3-4日以内に、ALAおよびPBGのレベル低下を伴った臨床的改善が見られる。
【0069】
ヘミン(PANHEMATIN(登録商標)または注射用ヘミン、以前はヘマチンとして知られていた)は、急性の神経性発作に対する現存の治療の1つである。PANHEMATIN(登録商標)は、加工された赤血球(PRBC)に由来し、かつ塩化物リガンドを有する三価鉄イオン(ヘムB)を含有する、プロトポルフィリンIXである。ヘムは肝臓および/または骨髄におけるポルフィリンの合成を制限するよう作用する。ヘミンが肝性ポルフィリン症の急性症状を有する患者において症状の改善をもたらす正確なメカニズムは解明されていないが、その働きは、ポルフィリン/ヘム生合成経路の律速酵素であるδ-アミノレブリン酸(ALA)シンターゼの(フィードバック)阻害によるものと思われる。PANHEMATIN(登録商標)はALAS1のフィードバック阻害のために外因性ヘムを供給し、またそれにより、ALAおよびPBGの産生を低下させると考えられている。一般的に患者はよい反応を示すものの、その尿中のALAおよびPBG濃度を通常のレベルまで正常化する効果は、比較的緩徐である。静脈内ヘミンは素早く代謝されるため、急性発作を効果的に処置または予防するためには、通常3から4回の輸液が必要である。
【0070】
ギボシラン(GIVLAARI(登録商標))は、ALAS1 mRNAを標的とし、その分解を引き起こして、神経毒性を有する中間体であるALAおよびPBGの産生を低下させる、AHP治療薬である。GIVLAARI(登録商標)の臨床試験により、ALAおよびPBGの迅速かつ持続的な低下が実証されている。
【0071】
治療薬の投与の遅れ、または増悪因子への持続的な曝露は、運動神経障害およびそれに伴う症状(例えば脱力、麻痺)を含む、より重篤な合併症をもたらし得る。重篤なケースでは呼吸不全および呼吸麻痺が起こり得る。神経症状からの回復には、解消のためかなり長い時間がかかり得る。したがって、迅速かつ正確な検出および診断により、AHP患者における重篤な合併症の発生を減らすことができる。
【0072】
AHPについてさらなる見識を得、かつ、AHPに関連するプロテオームの変化を特定するために、再発性の急性発作を経験している患者および慢性高排泄者(CHE)を含むAHP患者における血漿プロテオミクス解析を、より詳細にプロテオームを理解するために行った。本研究により、侵襲性の低い尺度を提供するために使用することができ、それによって患者のより速い診断および治療介入の改善を促進し得る、AHPに関連する血漿バイオマーカーを特定した。
【0073】
解析において、複数のコホートの試料にわたって1196種のユニークなタンパク質(unique protein)を測定した。212種のタンパク質の血漿レベルが健常コントロールとAHP患者との間で顕著に異なることが判明した。最も顕著なタンパク質は、アミロイド様タンパク質1(amyloid-like protein 1: APLP1)、腎臓障害分子1(KIM1)およびマトリックスメタロプロテアーゼ7(MMP7)を含む(
図1A-1B)。最も顕著なタンパク質のうち2つ、KIM1およびMP7は、いくつかの背景における腎障害のマーカーである。ベースラインにおいて、AHP患者は健常コントロールと比較して顕著に上昇したAPLP1、KIM1、およびMMP7のレベルを有する。血漿プロテオミクス解析および腎障害における血漿レベルの特徴付けに基づいて、他の腎障害バイオマーカーを探索した。追加で3つの腎障害マーカー、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、シスタチン3(CST3)、およびキチナーゼ3様タンパク質1(CHI3L1)が、AHP患者において顕著な増加を示した。
【0074】
AHPの処置における課題の1つは、適切な診断を得るのが遅れることである。AHPの有効な処置が存在する現在において、AHPを有する対象を迅速に特定し処置することの緊急性が増している。DNAは医療従事者によって簡便に採取され解析されてもよいが、AHPの病原遺伝子変異の評価を行うために要求される時間および技術は、日常的なケアにおける一般的な実践者の範疇ではない。本開示は、AHPを有する、またはAHPを有するリスクのある対象、例えば上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する対象、またはAHP関連遺伝子における変異を有する対象を評価するための、腎障害バイオマーカーを含む、タンパク質バイオマーカーを提供する。上昇したバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルの早期の検出は、ALAS1の発現を低下させる薬による対象の処置を迅速に開始し、明らかな症状が発症する前にAHPを処置するために、使用することができる。
【0075】
本開示は、APLP1、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、および/またはCHI3L1を含むがこれらに限定されないバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルに基づいてAHPを有する対象を処置するために治療薬を選択する方法を、さらに提供する。ALAS1の発現を低下させる薬は、ピボタル試験において、再発性の急性発作を経験している対象およびCHEを含むAHPの処置に有効であることが証明されている。
【0076】
本開示は、本明細書で開示される方法における使用のための、APLP1、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、および/またはCHI3L1を含むがこれらに限定されないバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)の検出のための診断キットをさらに提供する。
【0077】
定義
本開示がより容易に理解され得るように、まず特定の単語を定義する。加えて、パラメーターの値または値の範囲が記載されるいかなる場合においても、記載された値の間にある値および範囲もまた、本開示の範囲であると意図されることに留意すべきである。
【0078】
本明細書において、冠詞“a”および“an”は、1つ以上の(すなわち少なくとも1つの)、その冠詞の文法上の目的語を表す。例として、“an element”は、1つの要素、または1つより多くの要素、例えば複数の要素を意味する。
【0079】
本明細書において、“含む”という用語は、“含むがこれ(ら)に限定されない”という語句を意味するために使用され、かつ、この語句と互換的に使用される。本明細書において、“または”という用語は、文脈上明確に他の意味が示されない限り、“および/または”という用語を意味するために使用され、かつ、この用語と互換的に使用される。
【0080】
本明細書において、“約”という用語は、当業界における典型的な許容範囲を意味するために使用される。例えば、“約”は、平均値から標準偏差の約2倍までとして理解され得る。特定の実施形態において、約は±10%を意味する。特定の実施形態において、約は±5%を意味する。約が複数の値または範囲の前に記載される場合、“約”は、複数の値または範囲の、それぞれの値を修飾し得ると理解される。
【0081】
値または複数の値の前に記載される“少なくとも”という用語は、“少なくとも”という用語に隣り合った値、および、それに続く全ての値、または、文脈上明らかな、論理的に含まれ得る全ての整数を含むと理解される。例えば、核酸分子のヌクレオチドの数は整数でなくてはならない。例えば、“21ヌクレオチドの核酸分子の少なくとも18ヌクレオチド”は、18、19、20、または21ヌクレオチドが、指し示された特性を有することを意味する。少なくとも、が複数の値または範囲の前に記載される場合、“少なくとも”は、複数の値または範囲の、それぞれの値を修飾し得ると理解される。
【0082】
本明細書で使用する“以下”または“未満(less than)”は、この語句に隣り合った値、および、文脈上妥当であるような、妥当なより低い値または整数から、0までの値として理解される。例えば、“2ヌクレオチド以下”のオーバーハングを有する二重鎖は、2、1、または0ヌクレオチドのオーバーハングを有する。“以下”が複数の値または範囲の前に記載される場合、“以下”は、複数の値または範囲の、それぞれの値を修飾し得ると理解される。
【0083】
本明細書で使用する“または”は、文脈上他に示されない限り、“および/または”として理解される。
【0084】
本明細書で使用する検出の方法は、分析対象の量が方法の検出のレベルを下回ることを決定することを含み得る。
【0085】
本明細書で使用する“AHP治療薬”は、AHPの1つ以上の症状を軽減する治療薬として理解される。AHP治療薬は、例えば、ALAS1の発現を低下させる治療薬、またはALAS1を安定化させる治療薬であってもよい。いくつかの実施形態において、AHP治療薬は、ALAおよび/またはPBGの産生および蓄積を防ぐ。
【0086】
本明細書で使用する“ALAS1の発現を低下させる治療薬”などは、ALAS1 RNA、ALAS1タンパク質、またはALAS1 RNAおよびALAS1タンパク質の両方のレベルを低下させる治療薬として理解される。いくつかの実施形態において、ALAS1の発現を低下させる治療薬は、ALAS1をコードするmRNAの分解を促進する治療薬、またはALAS1をコードするmRNAの翻訳を阻害する治療薬である。このような薬は、例えばRNAi干渉剤およびアンチセンスオリゴヌクレオチド薬などの核酸医薬を含むが、これらに限定されない。このような薬は、典型的には野生型および変異型のALAS1の両方の発現を阻害し得る。対象におけるALAS1の量が低下し、それによってALAおよび/またはPBGの産生および蓄積が低下する。いくつかの実施形態において、治療薬はiRNAである。
【0087】
本明細書で使用する“腎障害(renal injury)バイオマーカー”または“腎臓障害(kidney injury)バイオマーカー”は、過去に腎障害または腎臓障害と関連付けられてきたヒトのポリペプチド配列の少なくとも1つのフラグメントとして理解される。例えば、障害は慢性腎障害または慢性腎臓障害、あるいは急性腎障害または急性腎臓障害であってもよい。
【0088】
本明細書で使用する“腎臓障害分子1”または“KIM1”は、ヒトKIM1ポリペプチド配列の少なくとも1つのフラグメント、例えば、アクセッション番号NP_036338.2(配列番号1)、NP_001166864.1(配列番号2)、またはNP_001295085.1(配列番号3)として理解される。いくつかの実施形態において、KIM1は、任意の臨床的に許容できる診断方法、例えば、抗体ベースの特定方法、例えばELISAアッセイまたは免疫ブロッティング;クロマトグラフィー法;または1分子アレイ(Single molecule array: SIMOA)によって、特異的に特定され得る。
【0089】
本明細書で使用する“マトリックスメタロプロテアーゼ7”または“MMP7”は、ヒトMMP7ポリペプチド配列の少なくとも1つのフラグメント、例えば、アクセッション番号NP_002414.1(配列番号4)として理解される。いくつかの実施形態において、MMP7は、任意の臨床的に許容できる診断方法、例えば、抗体ベースの特定方法、例えばELISAアッセイまたは免疫ブロッティング;クロマトグラフィー法;または1分子アレイ(SIMOA)によって、特異的に特定され得る。
【0090】
本明細書で使用する“好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン”または“NGAL”は、ヒトNGALポリペプチド配列の少なくとも1つのフラグメント、例えば、アクセッション番号NP_005555.2(配列番号5)として理解される。いくつかの実施形態において、NGALは、任意の臨床的に許容できる診断方法、例えば、抗体ベースの特定方法、例えばELISAアッセイまたは免疫ブロッティング;クロマトグラフィー法;または1分子アレイ(SIMOA)によって、特異的に特定され得る。
【0091】
本明細書で使用する“シスタチン3”または“CST3”は、ヒトCST3ポリペプチド配列の少なくとも1つのフラグメント、例えば、アクセッション番号NP_000090.1(配列番号6)またはNP_001275543.1(配列番号7)として理解される。いくつかの実施形態において、CST3は、任意の臨床的に許容できる診断方法、例えば、抗体ベースの特定方法、例えばELISAアッセイまたは免疫ブロッティング;クロマトグラフィー法;または1分子アレイ(SIMOA)によって、特異的に特定され得る。
【0092】
本明細書で使用する“キチナーゼ3様タンパク質1”または“CHI3L1”は、ヒトCHI3L1ポリペプチド配列の少なくとも1つのフラグメント、例えば、アクセッション番号NP_001267.2(配列番号8)として理解される。いくつかの実施形態において、CHI3L1は、任意の臨床的に許容できる診断方法、例えば、抗体ベースの特定方法、例えばELISAアッセイまたは免疫ブロッティング;クロマトグラフィー法;または1分子アレイ(SIMOA)によって、特異的に特定され得る。
【0093】
本明細書で使用する“アミロイド様タンパク質1”または“APLP1”は、ヒトAPLP1ポリペプチド配列の少なくとも1つのフラグメント、例えば、アクセッション番号NP_005157.1(配列番号9)またはNP_001019978.1(配列番号10)として理解される。いくつかの実施形態において、APLP1は、任意の臨床的に許容できる診断方法、例えば、抗体ベースの特定方法、例えばELISAアッセイまたは免疫ブロッティング;クロマトグラフィー法;または1分子アレイ(SIMOA)によって、特異的に特定され得る。
【0094】
本明細書で使用する“参照レベル”は、アッセイから得られるレベル、例えばバイオマーカーのレベル、例えばタンパク質バイオマーカーのレベルと比較される、予め定められたレベルとして理解される。特定の実施形態において、参照レベルは健常者の集団、例えば、バイオマーカーのレベルの変化と関連する疾患または状態を有さず、かつ、バイオマーカーのレベルの変化と関連する疾患または状態の素因、例えば遺伝的素因を有さない集団、について定められたコントロールのレベルであり得る。特定の実施形態において、集団は例えば年齢、性別などの特定の基準について一致しているべきである。特定の実施形態において、バイオマーカーの参照レベルは、同じ対象の以前のレベル、例えば症候性の疾患の発症前、または処置の開始の前のレベルである。典型的には、試料は対象から、臨床的に関連のある間隔、例えば、少なくとも3か月間隔、少なくとも6か月間隔、または少なくとも9か月間隔などの、例えばバイオマーカーの変化が観察され得るのに十分、時間的に離れた間隔で得られる。1人の対象から2つより多くの試料が得られる場合、過去のサンプルのいずれもが参照レベルとして機能し得ると理解される。
【0095】
本明細書で使用する“参照レベルと比較した変化”などは、統計的または臨床的に顕著なバイオマーカーのレベルの変化、例えば、参照レベルと比較したタンパク質バイオマーカーのレベルの変化が、アッセイ手法の典型的な標準偏差よりも大きいこと、として理解される。さらに、変化は臨床的に関連しているべきである。参照レベルと比較した変化は、変化率として決定され得る。例えば、バイオマーカーXについて参照レベルが100pg/mlであり、かつ、対象におけるバイオマーカーXのレベルが150pg/mlであった場合、((150pg/ml-100pg/ml)/100pg/ml)X100%=50%と計算され、レベルは50%上昇している。対象におけるバイオマーカーXのレベルが300pg/mlであった場合、レベルは300%上昇している。対象におけるバイオマーカーのレベルが50pg/mlであった場合、レベルは50%低下している。特定の実施形態において、参照レベルと比較した変化は、少なくとも50%上昇している。特定の実施形態において、参照レベルと比較した変化は、少なくとも100%、少なくとも200%、または少なくとも300%上昇している。特定の実施形態において、参照試料と比較した変化は、少なくとも25%減少している。特定の実施形態において、参照試料と比較した変化は、少なくとも50%減少している。
【0096】
本明細書で使用する“対象の生物学的試料”または“対象の試料”は、対象から単離された、1つ以上の体液、細胞、または組織を含む。生物学的体液の例は、血液、血清、漿液、血漿、脳脊髄液、眼液、リンパ液、尿、糞便、唾液、などを含む。組織試料は、組織、臓器、または局所領域の試料を含んでもよい。例えば、試料は特定の臓器、臓器の部位、または、それらの臓器中の体液または細胞に由来してもよい。特定の実施形態において、試料は肝臓組織であってもよく、または肝臓に由来してもよい。いくつかの実施形態において、“対象の生物学的試料”は、対象の血液、または血液由来の血清あるいは血漿を指し得る。いくつかの実施形態において、体液は実質的に細胞を含まず、例えば、細胞を含まない。
【0097】
本明細書で使用する“治療薬を投与すること”は、対象に治療薬を提供することとして理解される。実施形態において、治療薬は、例えば治療薬のラベルによって提供される、その治療薬の適切な投与量および投与経路で、提供される。
【0098】
本明細書で使用する“ALAS1”(ALAS-1;δ-アミノレブリン酸シンターゼ1;δ-ALAシンターゼ1;5’-アミノレブリン酸シンターゼ1;ALAS-H;ALASH;ALAS-N;ALAS3;EC2.3.1.37;非特異的ミトコンドリア5-アミノレブリン酸シンターゼ;ALAS;MIG4;OTTHUMP00000212619;OTTHUMP00000212620;OTTHUMP00000212621;OTTHUMP00000212622;遊走誘導タンパク質4;EC2.3.1としても知られる)は、哺乳類のヘム生合成経路の第1の酵素であって、かつ典型的には律速酵素である、核でコードされるミトコンドリア酵素を指す。ALAS1はグリシンとスクシニル-CoAの縮合を触媒し、δ-アミノレブリン酸(ALA)を形成する。ヒトALAS1遺伝子は一様に発現され、染色体3p21.1に存在し、かつ、典型的には640アミノ酸の配列をコードする。対照的に、アイソザイムをコードするALAS-2遺伝子は、赤血球においてのみ発現され、染色体Xp11.21に存在し、かつ、典型的には550アミノ酸の配列をコードする。
【0099】
本明細書で使用する“ALAS1タンパク質”は、任意の生物種(例えばヒト、マウス、非ヒト霊長類)のALAS1の任意のタンパク質バリアント、ならびに、ALAS1活性を維持するそれらの任意の変異体およびフラグメントを意味する。同様に、“ALAS1転写産物”は、任意の生物種(例えばヒト、マウス、非ヒト霊長類)のALAS1の任意の転写産物バリアントを指す。ヒトALAS1 mRNA転写産物の配列は、例えば、NM_000688.4(配列番号11)において見られ得る。コードされる成熟ALAS1タンパク質のレベルは、ヘムによって調節される:ミトコンドリアにおいて、高いヘムのレベルは成熟酵素をダウンレギュレートし、一方で低いヘムのレベルは成熟酵素をアップレギュレートする。同一のタンパク質をコードする、複数の選択的スプライシングバリアントが特定されている。
【0100】
本明細書で使用する“iRNA”、“RNAi”、“iRNA剤”、または“RNAi剤”という用語は、本明細書で定義される用語であるRNAを含有する薬であって、かつ、例えばRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介して、RNA転写産物の標的化された切断を媒介する薬のことを指す。ある実施形態において、本明細書で記載されるiRNAは、ALAS1発現の阻害をもたらす。ALAS1発現の阻害は、ALAS1 mRNAのレベルの低下またはALAS1タンパク質のレベルの低下に基づいて評価されてもよい。本明細書で使用する“標的配列”は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、ALAS1遺伝子の転写中に形成されるmRNA分子の、ヌクレオチド配列の連続部分のことを指す。配列の標的部分は、少なくとも、その部分における、またはその部分の近くにおけるiRNA指向切断の基質となるために、十分長いであろう。例えば、標的配列は、一般的には、長さ9-36ヌクレオチド、例えば長さ15-30ヌクレオチドであり、これにはその間の全てのサブレンジ(sub range)も含まれるであろう。非限定的な例として、標的配列は、15-30ヌクレオチド、15-26ヌクレオチド、15-23ヌクレオチド、15-22ヌクレオチド、15-21ヌクレオチド、15-20ヌクレオチド、15-19ヌクレオチド、15-18ヌクレオチド、15-17ヌクレオチド、18-30ヌクレオチド、18-26ヌクレオチド、18-23ヌクレオチド、18-22ヌクレオチド、18-21ヌクレオチド、18-20ヌクレオチド、19-30ヌクレオチド、19-26ヌクレオチド、19-23ヌクレオチド、19-22ヌクレオチド、19-21ヌクレオチド、19-20ヌクレオチド、20-30ヌクレオチド、20-26ヌクレオチド、20-25ヌクレオチド、20-24ヌクレオチド、20-23ヌクレオチド、20-22ヌクレオチド、20-21ヌクレオチド、21-30ヌクレオチド、21-26ヌクレオチド、21-25ヌクレオチド、21-24ヌクレオチド、21-23ヌクレオチド、または21-22ヌクレオチドであり得る。
【0101】
本明細書で使用する“核酸治療薬”は、細胞中の標的核酸の標的配列に特異的にハイブリダイズするために十分な長さのヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションが、例えば標的核酸の転写を阻害、または配列特異的分解を促進することによって、標的核酸によってコードされるタンパク質のレベルを低下させる、治療薬として理解される。例示的な核酸治療薬は、RNAi剤およびアンチセンスオリゴヌクレオチド薬を含む。
【0102】
本明細書で互換的に使用する“アンチセンスポリヌクレオチド薬”、“アンチセンスオリゴヌクレオチド”、“アンチセンス化合物”、および“アンチセンス薬”という用語は、水素結合(ワトソン・クリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン水素結合)を介して標的核酸分子に特異的に結合し、アンチセンスの作用機序、例えばRNaseHによって、標的核酸の発現を阻害する、一本鎖オリゴヌクレオチドを含む薬のことを指す。いくつかの実施形態において、アンチセンス薬は、標的遺伝子の発現を低下させ、それにより、標的遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現を低下させることによって作用する、核酸治療薬である。ALAS1の発現を低下させるかまたは阻害する例示的なアンチセンス薬は、AD-60489、AD-60519、AD-61193、またはAD-60819のアンチセンス配列(または対応する未修飾のアンチセンス配列)を含むか、あるいは、これらからなる、アンチセンス鎖を含む(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,119,143号を参照)。
【0103】
ALAS1の発現を低下させる例示的なRNAi剤の1つであるギボシランは、例えば、“Compositions and methods for inhibiting expression of the ALAS1 gene”と題された、2016年4月4日出願の、米国特許第10,119,143号において提供され、その全体が、全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
【0105】
A、C、G、およびUはそれぞれ、アデノシン-3’-リン酸、シチジン-3’-リン酸、グアノシン-3’-リン酸、およびウリジン-3’-リン酸であり;a、c、g、およびuはそれぞれ、2’-O-メチルアデノシン-3’-リン酸、2’-O-メチルシチジン-3’-リン酸、2’-O-メチルグアノシン-3’-リン酸、2’-O-メチルウリジン-3’-リン酸であり;Af、Cf、Gf、およびUfはそれぞれ、2’-フルオロアデノシン-3’-リン酸、2’-フルオロシチジン-3’-リン酸、2’-フルオログアノシン-3’-リン酸、および2’-フルオロウリジン-3’-リン酸であり;dTは2’-デオキシチミジン-3’-リン酸であり;sはホスホロチオエート結合であり、かつ、L96はN-[トリス(GalNAc-アルキル)-アミドデカノイル]-4-ヒドロキシプロリノールである。
【0106】
本明細書で使用する“AHPと診断された対象”は、医療従事者によって、臨床的に決定的なALAおよび/またはPBGのレベル、およびAHPに関連する変異の、一方または両方に合致すると決定された対象のことである。
【0107】
本明細書で使用する“処置”、“処置すること”などは、疾患を患っている対象において、疾患または状態の進行速度を低下させるために、あるいは少なくとも1つの徴候または症状を軽減するために、治療薬を投与することとして理解される。特定の実施形態において、疾患の徴候は、疾患の明らかな症状の発症前の健常参照レベルからのバイオマーカーの変化であり得る。AHPの自然史研究および臨床試験は、処置されない場合の疾患の進行を証明してきた。
【0108】
本明細書で使用する“タンパク質の検出”、“バイオマーカーの検出”などは、例えば免疫学的方法、クロマトグラフィー法などの使用される方法による、タンパク質の同一性を決定するための、タンパク質または前記タンパク質の十分大きなフラグメントの検出として理解される。特定の実施形態において、タンパク質の検出は、様々なアイソフォーム間で区別を行わない場合、対象に存在するタンパク質の1つ以上のアイソフォームの検出を含み得る。特定の実施形態において、検出方法は、臨床的に許容されるか、または確かめられた方法である。
【0109】
AHPの診断および管理のためのバイオマーカー
血漿プロテオミクスおよび侵襲性の低いバイオマーカーの特定は、現代の創薬および臨床開発の不可欠な部分として現れつつある。このアプローチに影響を及ぼすための試みとして、AHPの臨床プロテオーム研究において、AHP患者の血漿プロテオームを検討した。このプロテオミクスアプローチによって、調査された1196種のタンパク質のうち212種の血漿タンパク質が、健常コントロールとAHP患者との間で顕著に異なることが証明された。これら212種の血漿タンパク質の中で、AHP患者と健常コントロールとの間で効果量の差が最も大きかった3つのタンパク質は、APLP1、KIM1、およびMMP7を含む(
図1A-1B)。AHP患者と健常コントロールとの間で効果量が最も大きかった3つのうち2つのタンパク質(KIM1、MMP7)は、腎障害のバイオマーカーである。測定した血漿タンパク質、および過去の血漿レベルおよび腎障害の特徴付けに基づいて、追加の腎障害バイオマーカーを探索した。追加の3つの腎障害バイオマーカー(NGAL、CST3、CHI3L1)が、AHP患者において顕著な上昇を示した。
【0110】
腎障害バイオマーカーの血漿レベルがAHP患者において顕著に増加していることの証明は、AHPの進行の診断、処置、およびモニタリングに関連している。これらのバイオマーカーは再発性の急性発作を有するAHP患者ならびに慢性高排泄者(CHE)において上昇することから、この結果は特に説得力が高い(
図2A、3A、4A、5A、および6A)。
【0111】
AHP患者において、腎障害バイオマーカーのレベルとeGFRとの間に相関が見られた(
図2B、3B、4B、5B、および6B)。糸球体濾過量(GFR)は腎機能の尺度である。実際のGFRを試験するのは、複雑かつ冗長な手順となり得るため、通常はGFRの推定値(eGFR)が計算される。GFRの正確な推定は、しばしば腎臓が機能しなくなる直前まで症状のない腎疾患の、早期の特定のために重要である。AHP患者におけるeGFRおよび腎障害バイオマーカーのレベルの相関は、AHPの重症度および疾患の進行と関連している。腎障害バイオマーカーのレベルと、腎不全および腎機能障害の病歴を有するまたは過去に診断を受けたことがあるAHP患者との相関も見られた。
【0112】
本明細書で証明されるように、AHP患者において、腎障害バイオマーカーのレベルは上昇している。処置に際する疾患の後退のモニタリングに加え、腎障害タンパク質のレベルが、AHP疾患の他の側面における潜在的バイオマーカーとして働いてもよい。AHPの発病初期の間に腎障害バイオマーカーのレベルが上昇する場合、その腎障害バイオマーカーは、CHEと比較した、例えば急性発作などの症候性疾患の発生についての予後の指標として働いてもよい。加えて、腎障害バイオマーカーのレベルとeGFPとの相関は、腎障害バイオマーカーのレベルがAHP疾患の重症度と相関してもよいことを示唆する。最後に、腎障害バイオマーカーは、様々な処置の有効性を判断するために重要な役割を潜在的に果たしてもよい。本研究は、再発性の急性発作を有するAHP患者ならびにCHEに基づいていた。したがって、腎障害マーカーの上昇の存在は、専ら急性発作ポルフィリン症を呈する患者に限定されない。
【0113】
特定の実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される腎障害バイオマーカーである。
【0114】
いくつかの実施形態において、複数のバイオマーカーのレベルが決定される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびAPLP1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびMMP7を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびMMP7を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALおよびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALおよびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCST3およびCHI3L1を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびAPLP1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALをさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCST3をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCHI3L1をさらに含む。
【0120】
AHPの進行を管理するためのバイオマーカー
AHP関連変異を有する対象を特定するために、遺伝子検査を利用できる。本開示は、AHPの素因を有する対象、例えば遺伝的素因を有する対象、または上昇したALAおよび/またはPBGを有する対象が、ALAS1の発現を低下させる薬で処置されてもよい場合を決定するためのバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーを、提供する。
【0121】
特定の実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または全て)から選択される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、またはCHI3L1のうち1つ以上(例えば2つ、3つ、4つ、または全て)から選択される腎障害バイオマーカーである。
【0122】
いくつかの実施形態において、複数のバイオマーカーのレベルが決定される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびAPLP1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびMMP7を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびMMP7を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALおよびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALおよびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCST3およびCHI3L1を含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびAPLP1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、およびNGALを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、NGAL、およびCST3を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、NGAL、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1、APLP1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1を含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはKIM1をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはAPLP1をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはMMP7をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはNGALをさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCST3をさらに含む。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーはCHI3L1をさらに含む。
【0128】
特定の実施形態において、対象がAHP関連変異を有していると特定された後、対象は、集団コントロールまたは同一の対象におけるバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のレベルのいずれかの、参照レベルと比較したバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のレベルの上昇について日常的にモニタリングされる。対象におけるバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)の上昇は、対象の処置、例えばALAS1の発現を低下させる薬による処置が開始されるべきことの指標である。特定の実施形態において、対象はまた、AHPの徴候または症状の発生についても日常的にモニタリングされる。特定の実施形態において、対象はまた、ALAおよびPBGのうち1つ以上のレベルについてもモニタリングされ、ここで、参照レベルと比較したバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のレベルの上昇は、ベータ係数(beta coefficient)が正の場合、AHPの悪化を示し、かつ、参照レベルと比較したバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のレベルの低下は、ベータ係数が負の場合、AHPの悪化を示す。
【0129】
バイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のモニタリングは、対象においてAHPが進行しているか否かを決定するためにも使用でき、ここで、対象におけるバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のレベルの上昇は、AHPの進行を示す。進行は、ALAおよびPBGのうち1つ以上のレベルをさらに決定することによってもモニタリングでき、ここで、参照レベルと比較したバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のレベルの上昇は、ベータ係数が正であるとき、AHPの悪化を示し、かつ、参照レベルと比較したバイオマーカー(例えば腎バイオマーカー)のレベルの低下は、ベータ係数が負である時、AHPの悪化を示す。
【0130】
バイオマーカーのレベルの参照基準の確立
本開示は、バイオマーカーのレベルとその対応する参照レベルとの間に違いがあるかどうかを決定するために、対象において1つ以上のバイオマーカー(例えばタンパク質バイオマーカー)のレベルを測定するステップ、および、バイオマーカーのレベルとその対応する参照レベルとを比較するステップを提供する。試料中のバイオマーカーのレベルを決定する方法および参照レベルのために参照レベルを決定する方法は同一であるべきと理解される。さらに、参照レベルからの変化は、試料中のバイオマーカーの定義された濃度、例えば試料のpg/ml、の変化であってもよいと理解される。代わりに、変化は、参照試料からの変化割合、例えば参照サンプルの少なくとも150%または少なくとも200%などの、相対量であり得る。レベルの変化は、統計的に顕著であるべきである。バイオマーカーのレベルを決定する方法は、典型的にはインビトロで行われ、診断方法のために使用される場合、および対象の処置を選択するために使用される方法のために使用される場合、しばしば臨床研究室で行われる。
【0131】
いくつかのバイオマーカー、例えばNT-proBNPおよびトロポニンIなどのレベルを決定するために、市販のキットを利用することができる。これらのマーカーのレベルは、臨床研究室で、市販の診断テスト、例えば化学発光アッセイ(NT-proBNPについてはRoche Diagnostic Cobas, Indianapolis, IN, USA;トロポニンIについてはSiemens Centaur XP, Camberley, Surrey, UK)を使用して、実施することができる。このようなケースにおいて、バイオマーカーの参照レベル、および実施形態における適切なコントロールは、キットの製造者から提供され得る。
【0132】
過去の研究によって、一般的には、全ての対象に対して適切な単一の参照レベルは無いことが証明されている。代わりに、コントロール参照基準に一致した適切な年齢および性別が、集団ベースのコントロールに対する比較のために選択され得る。このような配慮は、当業界において理解される。
【0133】
対象の以前の時点が参照レベルとして使用される場合、バイオマーカーのレベルの変化を可能にする十分な間隔が与えられる必要がある。腎障害バイオマーカーのレベルの変化は、0日目およびその後の1つ以上の時点において、腎障害バイオマーカーのレベルが上昇しているコントロール対象、およびレベルが減少している処置された対象の両方において、観察された。腎障害バイオマーカーのレベルの変化のために十分な間隔は、腎障害バイオマーカーそれぞれについて定められてもよい。対象における特定のバイオマーカー、疾患の状態、および進行速度によって、例えば6か月、3か月、2か月、1か月、または1か月未満(less than)などの短い間隔が、対象における腎障害マーカーのレベルの変化を観察するのに十分であり得ると予測される。
【0134】
ポルフィリン症の徴候および症状
本明細書で開示される方法は、腹痛、四肢の痛み、背中の痛み、胸の痛み、吐き気、嘔吐、錯乱、不安、てんかん発作、便秘、下痢、濃い赤色の尿、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、AHPまたはAHPの進行を示す1つ以上の徴候または症状について対象をモニタリングすることを、さらに含み得る。モニタリングされてもよいAHPまたはAHPの進行を示す併存疾患は、例えば、高血圧、慢性腎臓病、およびそれらの組み合わせを含む。1つ以上の徴候または症状の発症または進行は、参照レベルと比較した腎障害マーカーのレベル上昇の背景において、AHPのさらなる診断材料となる。
【0135】
ALAS1の発現を低下させる核酸治療薬
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法は、ALAS1の発現を低下させる核酸治療薬(例えばRNAi剤)の使用を伴う。特定の実施形態において、ALAS1遺伝子の発現は、ALAS1特異的iRNAを使用して低下または阻害される。
【0136】
本明細書では、細胞または対象(例えばヒト対象などの哺乳類)などにおいて、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を介したALAS1遺伝子のRNA転写産物の切断をもたらす組成物および方法が記載される。
【0137】
本明細書で取り上げる組成物に含まれるiRNAは、例えば、ALAS1遺伝子(例えばマウスまたはヒトALAS1遺伝子)のmRNA転写産物の少なくとも一部に対して実質的に相補的な、長さ30ヌクレオチド以下、一般的には19-24ヌクレオチドの領域などの領域を有する、RNA鎖(アンチセンス鎖)を有するdsRNA(本明細書において“ALAS1特異的iRNA”とも呼ぶ)を包含する。代わりに、または組み合わせにおいて、iRNAは、ALAS1遺伝子(例えばALAS1遺伝子のヒトバリアント1または2)のmRNA転写産物の少なくとも一部に対して実質的に相補的な、長さ30ヌクレオチド以下、一般的には19-24ヌクレオチドの領域を有する、RNA鎖(アンチセンス鎖)を有するdsRNA(本明細書において“ALAS1特異的iRNA”とも呼ぶ)を包含する。
【0138】
実施形態において、本明細書で記載されるiRNA(例えばdsRNA)は、ヒトALAS1の領域に対して実質的に相補的な領域を有するアンチセンス鎖を含む。実施形態において、ヒトALAS1はNM_000688.4(配列番号11)の配列を有する。実施形態において、ヒトALAS1はNM_199166.1(配列番号12)の配列を有する。実施形態において、iRNA(例えばdsRNA)のアンチセンス配列は、ALAS1転写産物NM_000688.4の871から895番目(5’末端方向および/または3’末端方向のいずれかまたは両方に、5、4、3、2、または1ヌクレオチド、プラスまたはマイナス)の領域内を標的とする。実施形態において、前記アンチセンス配列は、ALAS1転写産物NM_000688.4の871から893番目、871から892番目、または873から895番目のヌクレオチドを標的とする。実施形態において、アンチセンス配列は、ALAS1転写産物NM_000688.4の871から893番目、871から892番目、873から895番目のヌクレオチドと完全に相補的であるか、または実質的に相補的である配列を含むか、またはその配列からなる。
【0139】
ある態様において、ALAS1の発現を阻害する二重鎖リボ核酸(dsRNA)が提供され、ここで前記dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖はALAS1のRNA転写産物に対して相補的な領域を含み、アンチセンス鎖は、UAAGAUGAGACACUCUUUCUGGU(配列番号13)またはUAAGAUGAGACACUCTUUCUGGU(配列番号14)の配列から3以下、2以下、または1以下のヌクレオチド異なる、少なくとも15(例えば少なくとも16、17、18、19、221、22、または23)の連続したヌクレオチドを含む。実施形態において、アンチセンス鎖は、UAAGAUGAGACACUCUUUCUGGU(配列番号13)またはUAAGAUGAGACACUCTUUCUGGU(配列番号14)の配列を含む。実施形態において、センス鎖はCAGAAAGAGUGUCUCAUCUUA(配列番号15)の配列を含む。実施形態において、アンチセンス鎖および/またはセンス鎖の1つ以上のヌクレオチドが、本明細書で記載されるように修飾される。
【0140】
いくつかの実施形態において、dsRNAは、肝臓におけるALAS1 mRNAのレベルを抑制するために、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%のサイレンシングを達成するために有効である(例えば、ALAS1 mRNAのレベルが、肝臓におけるALAS1 mRNAのコントロールのレベル、例えば未処置の個体または個体のグループ、例えばPBSのみで処置された個体または個体のグループにおけるレベルの、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、または20%以下まで低下するように)。
【0141】
いくつかの実施形態において、dsRNAは循環ALAS1 mRNAのレベルを抑制するために、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%のサイレンシングを達成するために有効である(例えば、ALAS1 mRNAのレベルが、循環ALAS1 mRNAのコントロールのレベル、例えばdsRNAの処置前のレベル、または未処置の個体または個体のグループにおけるレベルの、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、または20%以下まで低下するように)。
【0142】
本明細書で取り上げるiRNA分子は、天然産生のヌクレオチドを含み得るか、または少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み得る。実施形態において、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、ロック核酸(LNA)、非環式ヌクレオチド、ヘキシトールまたはヘキソース核酸(HNA)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、2’-メトキシエチル、2’-O-アルキル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-フルオロ、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシ、またはそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される1つ以上のヌクレオチド修飾を含む。ある実施形態において、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、5’-ホスホロチオエート基を有するヌクレオチド、および、例えばN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)またはコレステリル誘導体などのリガンドと連結された末端のヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
【0143】
代わりに、修飾ヌクレオチドは、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド(locked nucleotide)、非環式ヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、モルフォリノヌクレオチド(morpholino nucleotide)、ホスホロアミダート、および非天然塩基を含むヌクレオチドの群から選択されてもよい。
【0144】
いくつかの実施形態において、相補性の領域は、長さ少なくとも17ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、相補性の領域は、長さ19から21の間である。いくつかの実施形態において、相補性の領域は、長さ19ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、各鎖は長さ30ヌクレオチド以下である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。実施形態において、アンチセンス鎖は少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。実施形態において、アンチセンス鎖は2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
【0146】
ある実施形態において、本明細書で記載されるiRNAは、野生型のALAS1 RNA転写産物バリアントを標的とし、かつ、別の実施形態において、iRNAは変異型の転写産物(例えば対立遺伝子バリアントを有するALAS1 RNA)を標的とする。例えば、本開示で取り上げるiRNAは、ALAS1の、一塩基多型(SNP)などの多型バリアントを標的とし得る。別の実施形態において、iRNAは、野生型および変異型のALAS1転写産物の両方を標的とする。さらに別の実施形態において、iRNAは、ALAS1の特定の転写産物バリアント(例えばヒトALAS1バリアント1)を標的とする。さらに別の実施形態において、iRNA剤は、複数の転写産物バリアント(例えばヒトALAS1のバリアント1およびバリアント2の両方)を標的とする。
【0147】
ある実施形態において、本開示で取り上げるiRNAは、転写産物の5’または3’非翻訳領域などの、ALAS1 RNA転写産物のノンコーディング領域を標的とする。いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるiRNAは、例えば炭水化物コンジュゲートなどの、本明細書において記載されるように、標的化部分および/またはリガンドとして働いてもよい、コンジュゲートの形態である。ある実施形態において、コンジュゲートはdsRNAのセンス鎖の3’末端に接合される。いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、例えば二価または三価の分岐リンカーなどの、リンカーを介して接合される。
【0148】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートは1つ以上のNアセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体を含む。このようなコンジュゲートは、本明細書において、GalNAcコンジュゲートとも呼ばれる。いくつかの実施形態において、前記コンジュゲートは、RNAi剤を、例えば肝臓の細胞、例えば肝細胞などの特定の細胞へと標的化する。GalNAc誘導体は、例えば二価または三価の分岐リンカーなどのリンカーを介して接合され得る。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、リンカーを介して炭水化物コンジュゲートに接合される。
【0149】
いくつかの実施形態において、dsRNAはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖はALAS1 RNA転写産物に対して相補的な領域を含み、センス鎖は、csasgaaaGfaGfuGfuCfuCfaucuuaL96(配列番号16)の配列およびその全ての修飾を含み、かつ、アンチセンス鎖はusAfsAfGfaUfgAfgAfcAfcUfcUfuUfcUfgsgsu(配列番号17)の配列およびその全ての修飾を含み、
ここで、c、a、g、u=2’-OMeリボヌクレオシド;Af、Cf、Gf、Uf=2’Fリボヌクレオシド;s=ホスホロチオエート、かつ、
ここで
【化1】
【0150】
いくつかの実施形態において、dsRNAは、長さ21-23ヌクレオチド対の二重鎖領域を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。いくつかの実施形態において、各鎖が長さ26ヌクレオチド以下である。
【0151】
いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖は、usAfsAfGfaUfgAfgAfcAfcUfcUfuUfcUfgsgsu(配列番号17)の配列からなる。いくつかの実施形態において、センス鎖はcsasgaaaGfaGfuGfuCfuCfaucuuaL96(配列番号16)の配列からなる。いくつかの実施形態において、センス鎖はcsasgaaaGfaGfuGfuCfuCfaucuuaL96(配列番号16)の配列からなり、かつ、アンチセンス鎖はusAfsAfGfaUfgAfgAfcAfcUfcUfuUfcUfgsgsu(配列番号17)の配列からなる。
【0152】
いくつかの実施形態において、dsRNAはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖はALAS1 RNA転写産物に対して相補的な領域を含み、前記dsRNAは、以下の構造を有するコンジュゲートの形態:
【化2】
であるか、またはその薬学的に許容できる塩であり、
ここで、Af、Cf、Gf、Uf=2’Fリボヌクレオシド;Am、Cm、Gm、Um=2’-OMeリボヌクレオシド;
【化3】
【化4】
かつ
【化5】
【0153】
いくつかの実施形態において、dsRNAは、長さ21ヌクレオチド対の二重鎖領域を含む。いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖は、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
【0154】
ALAS1の発現を低下させる他の例示的な核酸治療薬が、国際公開第WO2013/155204号およびWO2015/051318号、米国特許第9,133,461号、9,631,193、10,400,239号、10,119,143号、10,125,364号および11,028,392号、および米国出願公開第US2013/0281511号、US2015/0111841号、US2016/0115476号、US2016/0244766号、US2018/0037886号、US2019/0144870号、US2019/0218549号、US2020/0181614号およびUS2021/0087558号において開示され、前記各文献の内容の全体が、参照によって組み込まれる。
【0155】
本明細書において提供されるある態様は、本明細書で記載されるiRNAの1つ以上および薬学的に許容できるキャリアーまたは送達媒体を含む、組成物、例えば医薬組成物である。ある実施形態において、前記組成物は、生物、一般的にはヒト対象において、ALAS1遺伝子の発現を阻害するために使用される。ある実施形態において、前記組成物は、例えばAHP、例えばAIPなどの、ポルフィリン症を処置するために使用される。
【0156】
本明細書で記載される医薬組成物の実施形態において、iRNA(例えばdsRNA)は、非緩衝液(unbuffered solution)で投与される。実施形態において、非緩衝液は、生理食塩水または水、例えば注射用水である。
【0157】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、iRNAおよび注射用水を含む。実施形態において、前記組成物は約100から300mg/ml、例えば200mg/mlのiRNAを含む。実施形態において、前記組成物は、6.0-7.5、例えば約7.0のpHを有する。実施形態において、前記組成物は皮下注射用である。実施形態において、前記医薬組成物は、容器(例えばガラス製バイアル、例えば2mLのガラス製バイアル)に、約0.3から1mL、例えば0.55mLの容量で、包装される。
【0158】
本明細書で記載される医薬組成物の実施形態において、iRNA(例えばdsRNA)は、緩衝液で投与される。実施形態において、緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、またはリン酸塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む。実施形態において、緩衝液はリン酸緩衝液(PBS)である。
【0159】
本明細書で記載される医薬組成物の実施形態において、iRNA(例えばdsRNA)は肝細胞に標的化される。
【0160】
本明細書で記載される医薬組成物の実施形態において、前記組成物は静脈内投与される。本明細書で記載される医薬組成物の実施形態において、前記組成物は皮下投与される。
【0161】
いくつかの実施形態において、dsRNAは、毎月、投与量0.01mg/kgから5mg/kg、または1mg/kgから2.5mg/kg(対象の体重あたり)で投与される。いくつかの実施形態において、dsRNAは、毎月、投与量2.5mg/kg(対象の体重あたり)で投与される。
【0162】
実施形態において、医薬組成物は,iRNA(例えばdsRNA)を肝細胞へと標的化させるリガンド(例えばGalNAcリガンド)を含む、本明細書で記載されるiRNA(例えばdsRNA)を含む。
【0163】
実施形態において、医薬組成物は、リガンド(例えばGalNAcリガンド)を含む、本明細書で記載されるiRNA(例えばdsRNA)を含み、かつ、前記医薬組成物は皮下投与される。実施形態において、前記リガンドはiRNA(例えばdsRNA)を肝細胞へと標的化させる。
【0164】
特定の実施形態において、医薬組成物、例えば本明細書で記載される組成物は、脂質製剤を含む。いくつかの実施形態において、RNAi剤はLNP製剤、例えばMC3製剤に含まれる。いくつかの実施形態において、LNP製剤はRNAi剤を特定の細胞、例えば肝臓の細胞、例えば肝細胞へと標的化させる。実施形態において、脂質製剤はLNP11製剤である。実施形態において、前記組成物は静脈内投与される。
【0165】
別の実施形態において、前記医薬組成物は、例えば4週ごとに1回以下、3週ごとに1回以下、2週ごとに1回以下、または1週ごとに1回以下などの、本明細書で記載される投与レジメンに従った投与のために製剤化される。別の実施形態において、医薬組成物の投与は1か月以上、例えば1か月、2か月、3か月、または6か月、または1年以上、継続され得る。
【0166】
別の実施形態において、本開示で取り上げるiRNA、例えばALAS1を標的とするdsRNA、を含有する組成物は、ポルフィリン症(例えばAIP)またはポルフィリン症の症状(例えば痛み)を処置することが知られている薬などの、iRNAでない治療薬と共に投与される。別の実施形態において、本開示で取り上げるiRNA、例えばAIPを標的とするdsRNAを含有する組成物は、ヘミンまたはグルコース(例えばグルコース輸液(例えばIVグルコース))などの、iRNAではない治療レジメンに沿って投与される。例えば、本開示で取り上げるiRNAは、グルコース、デキストロース、またはエネルギーバランスを回復させる同様の処置(例えば完全非経口栄養(total parenteral nutrition))の前、後、または同時に投与され得る。本開示で取り上げるiRNAは、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、の投与の前、後、または同時にも投与され得、かつ、場合により、グルコース(例えばIVグルコース)などと組み合わせても投与され得る。
【0167】
典型的には、ポルフィリン症の処置のために投与されるグルコースは、静脈内(IV)投与される。グルコースの静脈内投与は、本明細書において“IVグルコース”と呼ぶ。しかしながら、グルコースが他の手段によって投与される別の実施形態もまた、包含される。
【0168】
ある実施形態において、ALAS1 iRNAが患者に投与され、次に、iRNAでない薬または治療レジメン(例えばグルコースおよび/またはヘム製剤)が患者に投与される(あるいはその逆)。別の実施形態において、ALAS1 iRNAおよびiRNAでない治療薬または治療レジメンが、同時に投与される。
【0169】
さらなる実施形態
本明細書では、AHPを有する、またはAHPを有するリスクのあるヒト対象を処置するための方法が開示される。前記対象はAHPの再発性の急性発作を有してもよい。前記対象は慢性高排泄者であってもよい。
【0170】
いくつかの実施形態において、前記対象はポルフィリン症を有すると診断されていない。いくつかの実施形態において、対象はAHPと診断されていない。例えば、前記対象は、医療従事者によって、臨床的に決定的なALAおよび/またはPBGのレベル、およびAHPに関連する変異の一方または両方に合致すると決定されていなくてもよい。
【0171】
いくつかの実施形態において、前記対象はAHPの診断基準に合致しない。例えば、前記対象は、(i)臨床的に決定的なALAおよび/またはPBGのレベルを有すること、および(ii)AHPに関連する変異を有すること、の一方または両方に合致していなくてもよい。
【0172】
いくつかの実施形態において、前記対象は、上昇したALAおよび/またはPBGのレベルを有する。上昇したALAのレベルは、例えば、生物学的試料において35μmol/Lより上、または、24時間の期間で60μmol/dより上であってもよい。上昇したPBGのレベルは、例えば、24時間の期間で8.8μmol/dより上であってもよい。
【0173】
いくつかの実施形態において、前記対象は、AHPに関連する変異を有する。例えば、前記対象は、AHPの特定の病原遺伝子変異(例えばHMBSの変異)を有してもよい。
【0174】
いくつかの実施形態において、前記対象は、AHPに関連する変異を有さない。例えば、前記対象は、AHPの特定の病原遺伝子変異(例えばHMBSの変異)を有さなくてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態において、前記対象は、腎機能障害の病歴を有する。例えば、前記対象は、過去に腎機能障害と診断されていてもよい。対象は腎機能障害から回復していてもよい。対象は腎機能障害を患っていてもよい。
【0176】
いくつかの実施形態において、前記対象は、腎障害と診断されている。例えば、前記対象は慢性腎臓病または急性腎障害と診断されていてもよい。
【0177】
いくつかの実施形態において、前記対象は、低下した推算糸球体濾過量(eGFR)を有する。対象は、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、またはステージ5のeGFRを有していてもよい。ステージ1(90以上のeGFR)は、軽度の腎臓へのダメージを示すが、腎臓はよく働いている。ステージ2(60から89の間のeGFR)は、ステージ1より進んだ腎障害を示すが、腎臓はよく機能し続けている。ステージ3(30から59の間のeGFR)は腎機能の低下を示し、かつ、対象は症状を経験していてもよい。ステージ4(15から29の間のeGFR)は、腎機能の不良を示し、中程度から重度の腎臓へのダメージを伴う。ステージ5(15より低いeGFR)は、腎不全の徴候であり、15%未満(less than)の腎機能を伴う。
【0178】
いくつかの実施形態において、前記対象におけるバイオマーカー(例えば腎障害バイオマーカー)のレベルは、腎障害バイオマーカーの参照レベルと比較して、少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくとも14倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも17倍、少なくとも18倍、少なくとも19倍、または少なくとも20倍、上昇している。前記参照レベルは、健常コントロールのレベルまたは同一の対象の以前のレベルであってもよい。
【0179】
バイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルは、血液、血漿、血清、尿、または糞便から選択される、対象の試料において決定されてもよい。
【0180】
いくつかの実施形態において、前記対象は、第2の治療薬で処置されている。第2の治療薬は、AHPの治療薬であってもよい。例えば、第2の治療薬は、ヘム製剤(例えばヘミン、アルギン酸ヘム、またはアルブミン-ヘム)、グルコース(例えばIVグルコース)、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。第2の治療薬は、腎障害の治療薬であってもよい。例えば、第2の治療薬は、慢性腎障害または急性腎障害の治療薬であってもよい。第2の治療薬は、AHPの症状の治療薬であってもよい。第2の治療薬は、AHPの併存疾患の治療薬であってもよい。
【0181】
前記方法は、前記対象が上昇したバイオマーカー、例えば腎障害バイオマーカーのレベルを有する場合に、第2の治療薬による処置を中止することをさらに含んでもよい。
【0182】
いくつかの実施形態において、前記対象は、AHPに関連する1つ以上の症状をさらに患っている。例えば、前記対象は、腹痛、四肢の痛み、背中の痛み、胸の痛み、吐き気、嘔吐、錯乱、不安、てんかん発作、便秘、下痢、濃い赤色の尿、またはそれらの任意の組み合わせを患っていてもよい。
【0183】
いくつかの実施形態において、前記対象は、AHPに関連する1つ以上の併存疾患をさらに患っている。例えば、前記対象は、高血圧、慢性腎臓病、またはそれらの両方を患っていてもよい。
【実施例】
【0184】
実施例1:健常コントロールと比較してAHP患者で異なることが特定されたタンパク質
AHPに関連するプロテオームの変化を特定するため、観察的な症例対照研究を行った。この研究では、AHP患者、慢性高排泄者(CHE)、および健常コントロールのプロテオームを比較した。結果は
図1A-1Bのグラフに示される。
【0185】
同意を得た、第1のコホート(n=108)(AHPの自然史研究、識別子番号NCT02240784)、第2のコホート(n=85) (AHP患者におけるギボシランの有効性および安全性を評価するための研究、フェーズ3、識別子番号NCT03338816)における再発性の急性発作を有するAHP患者(>90% AIP)、およびCHE患者(n=22)(AIPにおけるギボシランの研究、フェーズ1、識別子番号NCT02452372)において、プロテオミクス解析(OLINK(登録商標) platform, Olink Proteomics Inc., Watertown, MA)を使用し、ベースラインにおける、血漿中の1196のタンパク質を測定した。年齢および性別をコホート1の患者と一致させた、健常コントロールの別のコホートも解析した。AHP患者またはCHE患者と健常コントロールとの間で顕著に異なるタンパク質を決定するため、年齢および性別を考慮した線形回帰を使用した。
【0186】
健常コントロールと比較したAHP疾患、CHEと比較した症候性疾患、およびAHP疾患の重症度を示すバイオマーカーのセットを発見するため、プロテオミクスアッセイの血漿レベルを解析した。
【0187】
コホート1およびコホート2のそれぞれの患者を健常コントロールと比較した。合計212種の血漿タンパク質が、健常コントロールと比較してAHP患者で異なることが特定された。212種の血漿タンパク質は、
図1A(コホート1)および
図1B(コホート2)のグラフにプロットされる。
【0188】
図1A-1Bに表されたデータにおいて示されるように、212種の血漿タンパク質のうち、マトリックスメタロプロテアーゼ7(MMP7)、アミロイド様タンパク質1(APLP1)、および腎臓障害分子1(KIM1)は、AHP患者と健常コントロールとの間で最も効果量の大きいタンパク質であった。結果は2つのコホート間で一貫していた。2つの腎障害バイオマーカー、KIM1およびMMP7が、最も大きい効果量を有すると特定された(KIM1;3.4倍;p値=8.0e-13)(MMP7;5倍;p値=1.5e-25)。
【0189】
したがって、例えばKIM1、APLP1、およびMMP7を含む、特定のバイオマーカーは、AHP患者の腎臓病の診断および管理に役立ってもよい。
【0190】
実施例2:健常コントロールと比較して、AHP患者およびCHEにおいて、腎障害のバイオマーカーが上昇している
腎障害のバイオマーカーがAHP患者と健常コントロールにおいて顕著に異なることが、実施例1で分かった。腎障害の他のバイオマーカーをさらに調査した。これらのタンパク質のうち5つについての結果は、
図2A-2C、3A-3C、4A-4C、5A-5C、および6A-6Cのグラフにおいてそれぞれ示される。
【0191】
腎障害バイオマーカーの血漿タンパク質レベルを、コホート1およびコホート2のAHP患者、ならびにCHE患者において測定し、健常コントロールと比較した。KIM1およびMP7は両方、両方のコホートのAHP患者およびCHEにおいて、健常コントロールの試料と比較して顕著に上昇している。(p値<0.01;それぞれ、
図2Aおよび3A)。
【0192】
KIM1のレベルは、腎不全および腎機能障害の病歴を有するコホート2の患者でさらに顕著に上昇している(p値1e-5;2.4X;
図2B)。KIM1のレベルはeGFR(r=0.47)および血清クレアチニン(r=0.47)とよく相関する(
図2C)。MMP7は、腎不全および腎機能障害の病歴を有する患者において顕著に上昇しており(p値0.00035;
図3B)、かつ、eGFRといくぶんか相関する(r=0.36)(
図3C)。
【0193】
実施例1においてOLINK(登録商標)で測定したタンパク質、および、過去の血漿レベルおよび腎障害の特徴付けに基づいて、追加の腎障害バイオマーカーを選択して探索した。腎障害バイオマーカーである好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、シスタチン3(CST3)およびキチナーゼ3様タンパク質1(CHI3L1)は、AHP患者において顕著な上昇を示した。(それぞれ
図4A、5A、および6A)。腎臓病と診断されたAHP患者では、そのような診断を受けていない患者よりも、これらの各バイオマーカーのレベルが顕著に高いことが証明された(p値<0.01)(それぞれ
図4B、5Bおよび6B)。これらの各バイオマーカーとeGFRとの間で、中程度から強い相関が見られた(相関係数-0.33から-0.54)(それぞれ
図4C、5C、および6C)。CST3は、コントロールと比較して、CHE患者においても顕著に上昇していた(
図5A)。
【0194】
図2A-2C、3A-3C、4A-4C、5A-5C、および6A-6Cで表されたデータにおいて示されるように、腎障害のバイオマーカーである、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1は、健常コントロールと比較してAHP患者で上昇していることが分かり、KIM1、MMP7、およびCST3は、CHE患者においても上昇していることが分かり、かつ、KIM1、MMP7、NGAL、CST3、およびCHI3L1は、過去に腎障害の診断を受けた患者においてさらに上昇しており、かつ、eGFRと中程度に相関していた。
【0195】
したがって、腎障害バイオマーカーは、再発性の急性発作を患うAHP患者ならびに慢性高排泄者における腎臓病の診断および管理に役立ち得る。これらのバイオマーカーは、AHP患者における腎障害の診断およびモニタリングに有用であってもよい。
【0196】
例示的な配列
KIM1
遺伝子座 NP_036338 364 aa 直鎖 PRI 26-SEP-2021
定義 A型肝炎ウイルス受容体1アイソフォームa前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_036338
バージョン NP_036338.2
1 mhpqvvilsl ilhladsvag svkvggeagp svtlpchysg avtsmcwnrg scslftcqng
61 ivwtngthvt yrkdtrykll gdlsrrdvsl tientavsds gvyccrvehr gwfndmkitv
121 sleivppkvt ttpivttvpt vttvrtsttv pttttvpmtt vptttvpttm sipttttvlt
181 tmtvstttsv ptttsipttt svpvtttvst fvppmplprq nhepvatsps spqpaethpt
241 tlqgairrep tssplysytt dgndtvtess dglwnnnqtq lflehsllta nttkgiyagv
301 cisvlvllal lgviiakkyf fkkevqqlsv sfsslqikal qnavekevqa edniyiensl
361 yatd (配列番号1)
【0197】
遺伝子座 NP_001166864 364 aa 直鎖 PRI 26-SEP-2021
定義 A型肝炎ウイルス受容体1アイソフォームa前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_001166864
バージョン NP_001166864.1
1 mhpqvvilsl ilhladsvag svkvggeagp svtlpchysg avtsmcwnrg scslftcqng
61 ivwtngthvt yrkdtrykll gdlsrrdvsl tientavsds gvyccrvehr gwfndmkitv
121 sleivppkvt ttpivttvpt vttvrtsttv pttttvpmtt vptttvpttm sipttttvlt
181 tmtvstttsv ptttsipttt svpvtttvst fvppmplprq nhepvatsps spqpaethpt
241 tlqgairrep tssplysytt dgndtvtess dglwnnnqtq lflehsllta nttkgiyagv
301 cisvlvllal lgviiakkyf fkkevqqlsv sfsslqikal qnavekevqa edniyiensl
361 yatd (配列番号2)
【0198】
遺伝子座 NP_001295085 364 aa 直鎖 PRI 26-SEP-2021
定義 A型肝炎ウイルス受容体1アイソフォームb前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_001295085 XP_011532809
バージョン NP_001295085.1
1 mhpqvvilsl ilhladsvag svkvggeagp svtlpchysg avtsmcwnrg scslftcqng
61 ivwtngthvt yrkdtrykll gdlsrrdvsl tientavsds gvyccrvehr gwfndmkitv
121 sleivppkvt ttpivttvpt vttvrtsttv pttttvpmtt vptttvpttm sipttttvlt
181 tmtvstttsv ptttsipttt svpvtttvst fvppmplprq nhepvatsps spqpaethpt
241 tlqgairrep tssplysytt dgndtvtess dglwnnnqtq lflehsllta nttkgiyagv
301 cisvlvllal lgviiakmfh laafklklck mqlkrkskqk tistlrivfm prtktqwcsl
361 rvyahecrrl nrhqhirrll dpktiflfqf hlafqhvsdt g (配列番号3)
【0199】
MMP7
遺伝子座 NP_002414 267 aa 直鎖 PRI 19-SEP-2021
定義 マトリライシン プレプロタンパク質 [Homo sapiens]
アクセッション NP_002414
バージョン NP_002414.1
1 mrltvlcavc llpgslalpl pqeaggmsel qweqaqdylk rfylydsetk nansleaklk
61 emqkffglpi tgmlnsrvie imqkprcgvp dvaeyslfpn spkwtskvvt yrivsytrdl
121 phitvdrlvs kalnmwgkei plhfrkvvwg tadimigfar gahgdsypfd gpgntlahaf
181 apgtglggda hfdederwtd gsslginfly aathelghsl gmghssdpna vmyptygngd
241 pqnfklsqdd ikgiqklygk rsnsrkk (配列番号4)
【0200】
NGAL
遺伝子座 NP_005555 198 aa 直鎖 PRI 19-SEP-2021
定義 好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_005555
バージョン NP_005555.2
1 mplgllwlgl allgalhaqa qdstsdlipa pplskvplqq nfqdnqfqgk wyvvglagna
61 ilredkdpqk myatiyelke dksynvtsvl frkkkcdywi rtfvpgcqpg eftlgniksy
121 pgltsylvrv vstnynqham vffkkvsqnr eyfkitlygr tkeltselke nfirfskslg
181 lpenhivfpv pidqcidg (配列番号5)
【0201】
CST3
遺伝子座 NP_000090 146 aa 直鎖 PRI 12-SEP-2021
定義 シスタチンC前駆体 [Homo sapiens].
アクセッション NP_000090
バージョン NP_000090.1
1 magplrapll llailavala vspaagsspg kpprlvggpm dasveeegvr raldfavgey
61 nkasndmyhs ralqvvrark qivagvnyfl dvelgrttct ktqpnldncp fhdqphlkrk
121 afcsfqiyav pwqgtmtlsk stcqda (配列番号6)
【0202】
遺伝子座 NP_001275543 146 aa 直鎖 PRI 12-SEP-2021
定義 シスタチンC前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_001275543 XP_005260729
バージョン NP_001275543.1
1 magplrapll llailavala vspaagsspg kpprlvggpm dasveeegvr raldfavgey
61 nkasndmyhs ralqvvrark qivagvnyfl dvelgrttct ktqpnldncp fhdqphlkrk
121 afcsfqiyav pwqgtmtlsk stcqda (配列番号7)
【0203】
CHI3L1
遺伝子座 NP_001267 383 aa 直鎖 PRI 19-SEP-2021
定義 キチナーゼ3様タンパク質1前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_001267
バージョン NP_001267.2
1 mgvkasqtgf vvlvllqccs ayklvcyyts wsqyregdgs cfpdaldrfl cthiiysfan
61 isndhidtwe wndvtlygml ntlknrnpnl ktllsvggwn fgsqrfskia sntqsrrtfi
121 ksvppflrth gfdgldlawl ypgrrdkqhf ttlikemkae fikeaqpgkk qlllsaalsa
181 gkvtidssyd iakisqhldf isimtydfhg awrgttghhs plfrgqedas pdrfsntdya
241 vgymlrlgap asklvmgipt fgrsftlass etgvgapisg pgipgrftke agtlayyeic
301 dflrgatvhr ilgqqvpyat kgnqwvgydd qesvkskvqy lkdrqlagam vwaldlddfq
361 gsfcgqdlrf pltnaikdal aat (配列番号8)
【0204】
APLP1
遺伝子座 NP_005157 650 aa 直鎖 PRI 02-JUL-2021
定義 アミロイド様タンパク質1アイソフォーム2前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_005157
バージョン NP_005157.1
1 mgpaspaarg lsrrpgqppl plllplllll lraqpaigsl aggspgaaea pgsaqvaglc
61 grltlhrdlr tgrwepdpqr srrclrdpqr vleycrqmyp elqiarveqa tqaipmerwc
121 ggsrsgscah phhqvvpfrc lpgefvseal lvpegcrflh qermdqcess trrhqeaqea
181 cssqglilhg sgmllpcgsd rfrgveyvcc pppgtpdpsg tavgdpstrs wppgsrvega
241 edeeeeesfp qpvddyfvep pqaeeeeetv pppsshtlav vgkvtptprp tdgvdiyfgm
301 pgeisehegf lrakmdleer rmrqinevmr ewamadnqsk nlpkadrqal nehfqsilqt
361 leeqvsgerq rlvethatrv ialindqrra alegflaalq adppqaervl lalrrylrae
421 qkeqrhtlrh yqhvaavdpe kaqqmrfqvh thlqvieerv nqslglldqn phlaqelrpq
481 iqellhsehl gpseleapap ggssedkggl qppdskddtp mtlpkgsteq daaspekekm
541 npleqyerkv nasvprgfpf hsseiqrdel apagtgvsre avsgllimga gggslivlsm
601 lllrrkkpyg aishgvvevd pmltleeqql relqrhgyen ptyrfleerp (配列番号9)
【0205】
遺伝子座 NP_001019978 651 aa 直鎖 PRI 01-JUL-2021
定義 アミロイド様タンパク質1アイソフォーム1前駆体 [Homo sapiens]
アクセッション NP_001019978
バージョン NP_001019978.1
1 mgpaspaarg lsrrpgqppl plllplllll lraqpaigsl aggspgaaea pgsaqvaglc
61 grltlhrdlr tgrwepdpqr srrclrdpqr vleycrqmyp elqiarveqa tqaipmerwc
121 ggsrsgscah phhqvvpfrc lpgefvseal lvpegcrflh qermdqcess trrhqeaqea
181 cssqglilhg sgmllpcgsd rfrgveyvcc pppgtpdpsg tavgdpstrs wppgsrvega
241 edeeeeesfp qpvddyfvep pqaeeeeetv pppsshtlav vgkvtptprp tdgvdiyfgm
301 pgeisehegf lrakmdleer rmrqinevmr ewamadnqsk nlpkadrqal nehfqsilqt
361 leeqvsgerq rlvethatrv ialindqrra alegflaalq adppqaervl lalrrylrae
421 qkeqrhtlrh yqhvaavdpe kaqqmrfqvh thlqvieerv nqslglldqn phlaqelrpq
481 iqellhsehl gpseleapap ggssedkggl qppdskdadt pmtlpkgste qdaaspekek
541 mnpleqyerk vnasvprgfp fhsseiqrde lapagtgvsr eavsgllimg agggslivls
601 mlllrrkkpy gaishgvvev dpmltleeqq lrelqrhgye nptyrfleer p (配列番号10)
【0206】
ALAS1
遺伝子座 NM_000688 2407 bp mRNA 直鎖 PRI 19-NOV-2011
定義 Homo sapiens アミノレブリン酸、デルタ-、シンターゼ1(ALAS1)、
転写産物バリアント1、mRNA
アクセッション NM_000688
バージョン NM_000688.4
1 ctgtatatta aggcgccggc gatcgcggcc tgaggctgct cccggacaag ggcaacgagc
61 gtttcgtttg gacttctcga cttgagtgcc cgcctccttc gccgccgcct ctgcagtcct
121 cagcgcagtt atgcccagtt cttcccgctg tggggacacg accacggagg aatccttgct
181 tcagggactc gggaccctgc tggacccctt cctcgggttt aggggatgtg gggaccagga
241 gaaagtcagg atccctaaga gtcttccctg cctggatgga tgagtggctt cttctccacc
301 tagattcttt ccacaggagc cagcatactt cctgaacatg gagagtgttg ttcgccgctg
361 cccattctta tcccgagtcc cccaggcctt tctgcagaaa gcaggcaaat ctctgttgtt
421 ctatgcccaa aactgcccca agatgatgga agttggggcc aagccagccc ctcgggcatt
481 gtccactgca gcagtacact accaacagat caaagaaacc cctccggcca gtgagaaaga
541 caaaactgct aaggccaagg tccaacagac tcctgatgga tcccagcaga gtccagatgg
601 cacacagctt ccgtctggac accccttgcc tgccacaagc cagggcactg caagcaaatg
661 ccctttcctg gcagcacaga tgaatcagag aggcagcagt gtcttctgca aagccagtct
721 tgagcttcag gaggatgtgc aggaaatgaa tgccgtgagg aaagaggttg ctgaaacctc
781 agcaggcccc agtgtggtta gtgtgaaaac cgatggaggg gatcccagtg gactgctgaa
841 gaacttccag gacatcatgc aaaagcaaag accagaaaga gtgtctcatc ttcttcaaga
901 taacttgcca aaatctgttt ccacttttca gtatgatcgt ttctttgaga aaaaaattga
961 tgagaaaaag aatgaccaca cctatcgagt ttttaaaact gtgaaccggc gagcacacat
1021 cttccccatg gcagatgact attcagactc cctcatcacc aaaaagcaag tgtcagtctg
1081 gtgcagtaat gactacctag gaatgagtcg ccacccacgg gtgtgtgggg cagttatgga
1141 cactttgaaa caacatggtg ctggggcagg tggtactaga aatatttctg gaactagtaa
1201 attccatgtg gacttagagc gggagctggc agacctccat gggaaagatg ccgcactctt
1261 gttttcctcg tgctttgtgg ccaatgactc aaccctcttc accctggcta agatgatgcc
1321 aggctgtgag atttactctg attctgggaa ccatgcctcc atgatccaag ggattcgaaa
1381 cagccgagtg ccaaagtaca tcttccgcca caatgatgtc agccacctca gagaactgct
1441 gcaaagatct gacccctcag tccccaagat tgtggcattt gaaactgtcc attcaatgga
1501 tggggcggtg tgcccactgg aagagctgtg tgatgtggcc catgagtttg gagcaatcac
1561 cttcgtggat gaggtccacg cagtggggct ttatggggct cgaggcggag ggattgggga
1621 tcgggatgga gtcatgccaa aaatggacat catttctgga acacttggca aagcctttgg
1681 ttgtgttgga gggtacatcg ccagcacgag ttctctgatt gacaccgtac ggtcctatgc
1741 tgctggcttc atcttcacca cctctctgcc acccatgctg ctggctggag ccctggagtc
1801 tgtgcggatc ctgaagagcg ctgagggacg ggtgcttcgc cgccagcacc agcgcaacgt
1861 caaactcatg agacagatgc taatggatgc cggcctccct gttgtccact gccccagcca
1921 catcatccct gtgcgggttg cagatgctgc taaaaacaca gaagtctgtg atgaactaat
1981 gagcagacat aacatctacg tgcaagcaat caattaccct acggtgcccc ggggagaaga
2041 gctcctacgg attgccccca cccctcacca cacaccccag atgatgaact acttccttga
2101 gaatctgcta gtcacatgga agcaagtggg gctggaactg aagcctcatt cctcagctga
2161 gtgcaacttc tgcaggaggc cactgcattt tgaagtgatg agtgaaagag agaagtccta
2221 tttctcaggc ttgagcaagt tggtatctgc tcaggcctga gcatgacctc aattatttca
2281 cttaacccca ggccattatc atatccagat ggtcttcaga gttgtcttta tatgtgaatt
2341 aagttatatt aaattttaat ctatagtaaa aacatagtcc tggaaataaa ttcttgctta
2401 aatggtg (配列番号11)
【0207】
遺伝子座 NM_199166 2258 bp mRNA 直鎖 PRI 19-NOV-2011
定義 Homo sapiens アミノレブリン酸、デルタ-、シンターゼ1(ALAS1)、
転写産物バリアント2、mRNA
アクセッション NM_199166
バージョン NM_199166.1
1 caaggcgcat gcgcagcggt cactcccgct gtatattaag gcgccggcga tcgcggcctg
61 aggctgctcc cggacaaggg caacgagcgt ttcgtttgga cttctcgact tgagtgcccg
121 cctccttcgc cgccgcctct gcagtcctca gcgcagtctt tccacaggag ccagcatact
181 tcctgaacat ggagagtgtt gttcgccgct gcccattctt atcccgagtc ccccaggcct
241 ttctgcagaa agcaggcaaa tctctgttgt tctatgccca aaactgcccc aagatgatgg
301 aagttggggc caagccagcc cctcgggcat tgtccactgc agcagtacac taccaacaga
361 tcaaagaaac ccctccggcc agtgagaaag acaaaactgc taaggccaag gtccaacaga
421 ctcctgatgg atcccagcag agtccagatg gcacacagct tccgtctgga caccccttgc
481 ctgccacaag ccagggcact gcaagcaaat gccctttcct ggcagcacag atgaatcaga
541 gaggcagcag tgtcttctgc aaagccagtc ttgagcttca ggaggatgtg caggaaatga
601 atgccgtgag gaaagaggtt gctgaaacct cagcaggccc cagtgtggtt agtgtgaaaa
661 ccgatggagg ggatcccagt ggactgctga agaacttcca ggacatcatg caaaagcaaa
721 gaccagaaag agtgtctcat cttcttcaag ataacttgcc aaaatctgtt tccacttttc
781 agtatgatcg tttctttgag aaaaaaattg atgagaaaaa gaatgaccac acctatcgag
841 tttttaaaac tgtgaaccgg cgagcacaca tcttccccat ggcagatgac tattcagact
901 ccctcatcac caaaaagcaa gtgtcagtct ggtgcagtaa tgactaccta ggaatgagtc
961 gccacccacg ggtgtgtggg gcagttatgg acactttgaa acaacatggt gctggggcag
1021 gtggtactag aaatatttct ggaactagta aattccatgt ggacttagag cgggagctgg
1081 cagacctcca tgggaaagat gccgcactct tgttttcctc gtgctttgtg gccaatgact
1141 caaccctctt caccctggct aagatgatgc caggctgtga gatttactct gattctggga
1201 accatgcctc catgatccaa gggattcgaa acagccgagt gccaaagtac atcttccgcc
1261 acaatgatgt cagccacctc agagaactgc tgcaaagatc tgacccctca gtccccaaga
1321 ttgtggcatt tgaaactgtc cattcaatgg atggggcggt gtgcccactg gaagagctgt
1381 gtgatgtggc ccatgagttt ggagcaatca ccttcgtgga tgaggtccac gcagtggggc
1441 tttatggggc tcgaggcgga gggattgggg atcgggatgg agtcatgcca aaaatggaca
1501 tcatttctgg aacacttggc aaagcctttg gttgtgttgg agggtacatc gccagcacga
1561 gttctctgat tgacaccgta cggtcctatg ctgctggctt catcttcacc acctctctgc
1621 cacccatgct gctggctgga gccctggagt ctgtgcggat cctgaagagc gctgagggac
1681 gggtgcttcg ccgccagcac cagcgcaacg tcaaactcat gagacagatg ctaatggatg
1741 ccggcctccc tgttgtccac tgccccagcc acatcatccc tgtgcgggtt gcagatgctg
1801 ctaaaaacac agaagtctgt gatgaactaa tgagcagaca taacatctac gtgcaagcaa
1861 tcaattaccc tacggtgccc cggggagaag agctcctacg gattgccccc acccctcacc
1921 acacacccca gatgatgaac tacttccttg agaatctgct agtcacatgg aagcaagtgg
1981 ggctggaact gaagcctcat tcctcagctg agtgcaactt ctgcaggagg ccactgcatt
2041 ttgaagtgat gagtgaaaga gagaagtcct atttctcagg cttgagcaag ttggtatctg
2101 ctcaggcctg agcatgacct caattatttc acttaacccc aggccattat catatccaga
2161 tggtcttcag agttgtcttt atatgtgaat taagttatat taaattttaa tctatagtaa
2221 aaacatagtc ctggaaataa attcttgctt aaatggtg (配列番号12)
【配列表】
【国際調査報告】