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特表2024-537210オフガス流の処理を伴うバイオ再生可能供給原料を含む供給物流の水素化処理のためのプロセス
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  • 特表-オフガス流の処理を伴うバイオ再生可能供給原料を含む供給物流の水素化処理のためのプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】オフガス流の処理を伴うバイオ再生可能供給原料を含む供給物流の水素化処理のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20241003BHJP
   C01B 17/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C01B17/16 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521027
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2022077753
(87)【国際公開番号】W WO2023064712
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17/498,987
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンガ、ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ウェクスラー、ジェームズ ティ.
(72)【発明者】
【氏名】アルカラ、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】チュー、シン エックス.
(72)【発明者】
【氏名】ブラックネル、ヤン デ レン
(72)【発明者】
【氏名】シヴァプラカサム、サラヴァナペルマル
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA11
4H129BB05
4H129BC36
4H129NA02
(57)【要約】
バイオ再生可能な供給原料を含む供給物流を水素化処理するためのプロセスが開示される。本プロセスは、水素化処理水素流及び水素化処理触媒の存在下で供給物流を水素化処理して、水素化処理済み流を提供することを含む。水素化処理済み流は、水素化処理済み液体流と水素化処理済みガス流とに分離される。水素化処理済み液体流は、ストリッピングに供されて、ストリッパオフガス流を提供する。ストリッパオフガス流の少なくとも一部分は、苛性剤流と接触して、硫黄リーンガス流及び硫黄リッチ苛性剤流を提供する。硫黄リッチ苛性剤流は、更に処理されて、処理済みガス流を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料を水素化処理するためのプロセスであって、
水素化処理水素流及び水素化処理触媒の存在下で供給原料を含む供給物流を水素化処理して、水素化処理済み流を提供することと、
前記水素化処理済み流を、水素化処理済み液体流と水素化処理済みガス流とに分離することと、
前記水素化処理済み液体流をストリッピングして、ストリッパオフガス流を提供することと、
前記ストリッパオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させて、硫黄リーンガス流及び硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ストリッパオフガス流の前記少なくとも一部分を前記苛性剤流と接触させる前記工程が、前記オフガス流の前記少なくとも一部分から硫黄を選択的に除去することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流中の硫黄を燃焼させて、ナトリウム塩及び煙道ガス流を提供することと、
前記煙道ガス流を精製して、処理済みガス流を提供することと、を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記水素化処理済み液体流をストリッピングする前記工程が、
前記水素化処理済み液体流をストリッパカラムに送って、塔頂ガス状流及びディーゼルを含む塔底流を提供することと、
前記塔頂ガス状流を凝縮して、前記ストリッパオフガス流及びストリッパ塔頂液体流を提供することと、
前記ストリッパオフガス流をスポンジ吸収カラム内でスポンジオイル流と接触させて、LPG炭化水素リッチスポンジオイル流、並びに硫化水素、水、及び二酸化炭素のうちの1つ以上を含むスポンジオフガス流を提供することと、
前記スポンジオフガス流の少なくとも一部分を前記苛性剤流と接触させて、硫黄リーンスポンジオフガス流及び前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記スポンジオフガス流の前記少なくとも一部分を前記苛性剤流と接触させる前記工程が、前記硫黄リッチ苛性剤流中の二酸化炭素よりも大きい割合の硫化水素を前記スポンジオフガス流から選択的に除去することを含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記スポンジオフガス流の前記少なくとも一部分を前記苛性剤流と接触させる前記工程が、
前記スポンジオフガス流を前記スポンジオフガス流の第1の部分と第2の部分とに分割することと、
前記スポンジオフガス流の前記第1の部分を前記苛性剤流と接触させて、前記硫黄リーンスポンジオフガス流及び前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ストリッパ塔頂液体流及び/又は前記LPG炭化水素リッチスポンジオイル流を分留塔内で分留して、分留塔塔頂ガス状流及び分留塔塔底ナフサ流を提供することと、
前記分留塔塔頂ガス状流を凝縮して、分留塔オフガス流、及びLPG炭化水素を含む液体流を提供することと、
LPG炭化水素を含む前記液体流の第1の部分を苛性剤スクラバ内で精製して、硫黄リーンLPG流及び使用済み苛性剤流を提供することと、
LPG炭化水素を含む前記液体流の第2の部分を前記分留塔に再循環させることと、を更に含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流及び前記使用済み苛性剤流を熱酸化ユニット内で処理することを更に含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流及び前記使用済み苛性剤流を処理することが、
前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流を前記熱酸化ユニットに送ることと、
前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流中に存在する硫黄を燃焼させて、硫黄酸化物を含む煙道ガス流を提供することと、を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
炭化水素質ガス流を前記熱酸化ユニットに送ることを更に含む、請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2021年10月12日に出願された、米国特許第17/498,987号の優先権を主張するものであり、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本分野は、バイオ再生可能供給原料を含む供給物流を水素化処理するためのプロセスに関する。具体的には、本分野は、苛性及び使用済み苛性処理でのオフガスの処理を伴うバイオ再生可能供給原料を含む供給物流を水素化処理するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
炭素排出量低減に対する需要が増加するにつれて、原油以外の供給源から燃料を生成し、成分をブレンドすることに対する関心が高まっている。バイオ再生可能な供給源と称されることが多いこれらの供給源としては、以下に限定されないが、トウモロコシ、ナタネ、キャノーラ、ダイズなどの植物性油、藻類油などの微生物油、食用でない獣脂などの動物性脂肪、魚油、並びに黄色及び褐色のグリース及び下水汚泥などの様々な廃棄物流が挙げられる。これらの供給源に共通する特徴は、それらが、グリセリド及び遊離脂肪酸(free fatty acid、FFA)から構成されることである。トリグリセリド及びFFAはどちらも、8~24個の炭素原子を有する脂肪族炭素鎖を含有する。トリグリセリド又はFFA中の脂肪族炭素鎖は、完全飽和、又は一価、二価、若しくは多価不飽和であり得る。
【0004】
水素化加工(hydroprocessing)は、水素化加工触媒及び水素の存在下で、炭化水素をより価値のある生成物に変換するプロセスを含み得る。水素化処理(hydrotreating)は、主に、硫黄、窒素、酸素、及び金属などのヘテロ原子を炭化水素供給原料から除去するために活性である水素化処理触媒の存在下で、水素を炭化水素と接触させるプロセスである。水素化処理では、オレフィンなどの二重結合及び三重結合を有する炭化水素が飽和され得る。
【0005】
ディーゼル沸点範囲の炭化水素生成物の生成は、バイオ再生可能供給原料を水素化処理することによって達成され得る。バイオ再生可能供給原料を、水素化処理によって水素化加工して、金属を除去し、酸素化炭化水素を脱酸素化し、続いて水素異性化して、生成物ディーゼルの低温流動性を改善することができる。水素異性化又は水素化脱ろうは、水素及び水素異性化触媒の存在下で、炭化水素骨格上のアルキル分岐を増加させて、炭化水素の低温流動性を改善する水素化加工プロセスである。水素異性化は、本明細書では水素化脱ろうを含む。
【0006】
バイオ再生可能供給原料の水素化処理は、酸素化炭化水素を脱酸素化して、水素化処理済み流出物中にHO、CO、及びCOの生成をもたらす。二酸化炭素は、アミン再循環ガススクラバ内で再循環水素ガスから除去され得る。しかしながら、一酸化炭素濃度を減少させるには、パージ、又は二酸化炭素を形成する水性ガスシフト反応などの他の手段が必要である。一酸化炭素は、水素化処理触媒にとって有毒であり、したがって、不活化濃度の一酸化炭素の蓄積を回避するために、除去されなければならない。
【0007】
バイオ再生可能供給原料は、鉱物供給原料よりも少ない硫黄含有炭化水素を含有する。したがって、バイオ再生可能供給原料の水素化処理では、比較的少ない硫化水素が生成される。水素化処理触媒は、触媒が活性化されることを確実にするために、硫化を必要とする。
【0008】
水素化処理流から生成物を回収する間に、通常「再循環ガス」と呼ばれるガス流は、酸化炭素、硫化水素並びに軽質炭化水素などの不純物を有して生成される。再循環ガス流は、価値ある生成物を回収するために処理工程に供され得る。典型的には、再循環ガス流に関する処理工程は、再循環ガススクラバ内のアミン処理工程を含む。しかしながら、再循環のための典型的なアミン処理は、アミン処理ユニットから来るガス流から硫黄を除去するための再循環ガススクラバとともに硫黄回収ユニットも含み、残りのガス流を処理流として取り出す。このため、アミン処理は、再循環ガス中の利用可能な硫黄を低減させ得る。次いで、硫黄の除去は、触媒が活性化されることを確実にするために必要とされるプロセスへの硫黄注入速度を増加させる。かかるアミン処理工程は、プロセスの全体的な資本及び運転費用を増加させ得る。
【0009】
更に、再循環ガスとともに、「オフガス」流も、水素化処理流から生成物を回収した後に生成され得る。典型的には、オフガススクラバにおけるアミン処理工程が、オフガス流からの硫化水素除去のために使用される。しかしながら、オフガス流のためのかかるアミン処理は、高い資本及び運転コストを有するオフガススクラバを伴うアミン再生ユニット及び硫黄回収ユニットを必要とする。硫黄注入を節約するために再循環ガスのアミン処理のための再循環ガススクラバを省略することが考慮される場合、アミン処理ユニットにおいてオフガス及びLPG炭化水素などの、回収された炭化水素を処理するために必要とされる全アミンは減少し得、アミン処理ユニットのコストも減少し得る。しかしながら、アミン処理ユニットのコストは、依然として複雑であり、オフガス流のためだけの非常に小さいアミン及び硫黄回収ユニットに関する経済的規模は低い。
【0010】
したがって、水素化処理触媒の十分な硫化を確実にする、バイオ再生可能供給原料から留出炭化水素を生成するためのプロセス及び装置を提供することが望ましいであろう。また、バイオ再生可能供給原料のための資本支出を節約し、硫黄注入速度を最小限に抑えるために、オフガス流の代替処理のための費用効率の高いプロセス及び装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、オフガス流を処理/精製するために苛性処理が使用される、供給原料を水素化処理するためのプロセス及び装置を提供する。本プロセスは、オフガス流のためのアミン処理工程を含まない。本プロセスは、プロセスのための再循環ガス中の最適な硫黄の存在を確実にする。本プロセスは、水素化処理触媒の適切な硫化を確実にするためにバイオ再生可能供給原料に添加される必要がある硫黄の量を低減させる。本出願人らは、典型的な苛性処理プロセスと比較して、処理に必要とされる苛性剤の全体量を低減させ、また、より少量の使用済み苛性剤を生成する、オフガス流のための独特の苛性処理工程を見出した。本プロセスは、使用済み苛性剤の効率的な処理工程を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1
【0013】
本開示の簡略化されたプロセスフロー図である。
定義
用語「連通」は、列挙された構成要素間で材料の流れが動作可能に許容されることを意味する。
【0014】
用語「下流連通」は、下流連通において対象に流れる材料の少なくとも一部分が、連通する物体から動作可能に流れることができることを意味する。
用語「上流連通」は、上流連通において対象から流れる材料の少なくとも一部分が、連通する物体に動作可能に流れることができることを意味する。
【0015】
用語「直接連通」は、上流構成要素からの流れが、分画又は変換ユニットを通過して物理的分画又は化学変換による組成変化を受けることなく、下流構成要素に入ることを意味する。
【0016】
用語「間接連通」は、上流構成要素からの流れが、分画又は変換ユニットを通過して物理的分画又は化学変換による組成変化を受けた後に、下流構成要素に入ることを意味する。
【0017】
「バイパス」という用語は、物体が、少なくともバイパスする程度までバイパス対象との下流連通から外れていることを意味する。
「カラム」という用語は、異なる揮発性の1つ以上の成分を分離するための蒸留カラム(単数又は複数)を意味する。別途記載のない限り、各カラムは、カラムの頂部に戻る塔頂流の一部分を凝縮かつ還流させるためにカラムの塔頂に凝縮器と、底部流の一部分を、気化させ、カラムの底部へと返送するためにカラムの底部に再沸器と、を含む。カラムへの供給原料は、予熱され得る。頂部圧力は、カラムの蒸気出口における塔頂蒸気の圧力である。底部温度は、液体底部出口温度である。塔頂ライン及び塔底ラインは、任意の還流又は再沸騰の下流のカラムからカラムまでの正味のラインを指す。ストリッパカラムは、カラムの底部にある再沸器を省略し、代わりに、蒸気などの流動化不活性媒体から所要熱量及び分離の推進力を提供し得る。ストリッパカラムは、典型的には、頂部トレイに原料を供給し、底部から主生成物を取り出す。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「成分リッチ流」は、容器から出てくるリッチ流が、容器への供給物よりも高い濃度の成分を有することを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「成分リーン流」は、容器から出てくるリーン流が、容器への供給原料よりも低い濃度の成分を有することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「沸点温度」は、ASTM D86又はASTM D2887に備わる式を使用して計算される、観察された沸点及び蒸留圧力から計算される大気圧相当沸点(atmospheric equivalent boiling point、AEBP)を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「真沸点」(True Boiling Point、TBP)は、物質の沸点を決定するための試験方法を意味し、この試験方法は、分析データを得ることができる、標準化された品質の液化ガス、蒸留留分、及び残油を生成するため、及び温度対蒸留した質量%のグラフが、5:1の還流比を有するカラム内の15の理論段数を使用して生成される、質量及び体積の両方による上記留分の収率を決定するためのASTM D-2892に対応する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「T5」又は「T95」は、それぞれ、ASTM D-86又はTBPを使用して、試料の5質量パーセント又は95質量パーセントが、場合に応じて、沸騰する温度を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「初留点」(initial boiling point、IBP)は、場合に応じて、ASTM D2887、ASTM D-86、又はTBPを使用して、試料が沸騰し始める温度を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「終点」(end point、EP)は、場合に応じて、ASTM D2887、ASTM D-86、又はTBPを使用して、試料が全て蒸発した温度を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「ディーゼル沸点範囲」は、炭化水素が、TBP蒸留法を使用して、125℃(257°F)~175℃(347°F)のIBP又は150℃(302°F)~200℃(392°F)のT5と、343℃(650°F)~399℃(750°F)のT95を含む「ディーゼルカットポイント」との範囲内で沸騰することを意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「ディーゼル変換」は、ディーゼルカットポイントより上で沸騰する供給物を、ディーゼル沸点範囲内のディーゼルカットポイント以下で沸騰する物質へ変換することを意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「分離器」は、入口と、少なくとも塔頂蒸気出口及び塔底液体出口とを有し、ブートからの水性流出口も有し得る容器を意味する。フラッシュドラムは、より高い圧力で動作され得る分離器と下流連通し得る分離器のタイプである。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「優勢な」又は「優勢である」は、50%超、好適には75%超、好ましくは90%超を意味する。
用語「C」は、下付き文字「x」によって表される炭素原子数を有する分子を指すと理解されるべきである。同様に、用語「C-」は、x個以下(less than or equal to x)、好ましくはx個以下(x and less)の炭素原子を含有する分子を指す。用語「C+」は、x個以上(more than or equal to x)、好ましくはx個以上(x and more)の炭素原子を有する分子を指す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
水素化処理ユニットは、動物及び植物材料からのトリグリセリド及び遊離脂肪酸などの天然油及び脂肪を含有するバイオ再生可能供給原料を処理して、それらをグリーンジェット燃料及び/又はディーゼルに変換することができる。バイオ再生可能な原料は、水素化脱金属及び水素化脱酸素反応を受け、続いて水素化イソ脱ろう、水素化異性化及び/又は水素化分解を受ける。2段ユニットでは、水素化脱金属及び水素化脱酸素反応において生成される硫化水素は、段間水素化処理済み流から除去され、したがって、水素化イソ脱ろう、水素異性化、又は水素化分解反応は、スイート環境において発生する。「スイート」は、硫黄が環境から除去されていることを示す一方、「サワー」は、硫黄が環境中に存在することを示す。単段ユニットでは、硫化水素が、下流の水素化イソ脱ろう、水素異性化、又は水素化分解反応のために、サワー環境中に存在したままである。
【0029】
水素化脱酸素及び水素化脱金属のための卑金属水素化処理触媒は、触媒活性であるように硫化される。これらの水素化処理反応は、水及び酸化炭素を生成する。還元性水素環境は、水素化処理触媒から硫黄をストリッピングして、非活性化をもたらす傾向がある。バイオ再生可能供給物は、硫黄含有量が多くないので、硫黄は、触媒活性を維持するために、ジメチルジスルフィド、ポリスルフィド、ジスルフィド油、又は硫化水素を含有する精油所サワーガスの形態で、新鮮な供給物に注入される。本プロセスは、再循環ガス中に十分な硫化水素を維持することによって、新鮮な供給物とともに系に注入される硫黄の量を減少させることを可能にする。
【0030】
更に、バイオ再生可能供給原料を含む供給物を処理する水素化処理ユニットについて、生成されている炭素酸化物、特に二酸化炭素の体積は、反応が時間とともに進行するにつれて変化する。酸性ガス処理システムは、二酸化炭素を除去して水素の純度を維持するために必要である。加えて、生成された一酸化炭素は、水素化処理触媒の活性を阻害する触媒毒である。一酸化炭素は、水性ガスシフト反応を介して二酸化炭素に変換されるので、アミン溶媒吸収カラムを介した二酸化炭素の除去は、一酸化炭素濃度を低く維持する。従来、アミン酸性ガス処理システムが、再循環ガス回路に設置され、硫化水素は二酸化炭素よりも強い酸であるので、このシステムによって、二酸化炭素及び硫化水素の両方が、除去される。
【0031】
本開示は、オフガス流及び再循環ガス流のためにアミン処理ユニットを使用しないプロセスを提供する。本プロセスは、生成物回収ユニットからのオフガス流のための苛性処理工程を含む。出願人らは、オフガス流が、オフガス流中に存在する硫化水素の体積と比較して比較的高い体積の二酸化炭素を含み得ることを見出した。水素化処理ユニットにおいて生成されている二酸化炭素の可変体積は、オフガス流中に存在する二酸化炭素の体積に関係する。出願人らの知見によれば、本出願人らのプロセスは、オフガス流中に存在する二酸化炭素よりも硫化水素を選択的に除去することを含む。
【0032】
再循環ガス回路上にアミン処理ユニットを伴わずにオフガス流を苛性処理するプロセスは、プロセスの資本及び運転費用を節約する。典型的なアミン処理ユニットでは、アミン処理ユニットから来るガス流から任意の種類の硫黄を凝縮し、残りのガス流を取り出すための硫黄回収ユニットが存在する。開示されたプロセスは、アミン処理ユニット及び付随する硫黄回収ユニットを省略する。
【0033】
提案されたプロセスは、オフガス流の苛性処理を含み、使用済み苛性剤流は、熱酸化ユニットにおいて更に処理される。このため、使用済み苛性剤流は、再生される必要がない可能性がある。したがって、本プロセスは、アミン処理ユニット及び付随する硫黄回収ユニットのような中間ユニット操作を使用しない。また、再循環ガスのためのアミン処理ユニットのような中間ユニット操作がないので、比較的高い体積の硫黄が、再循環ガス再循環ガス回路において硫化水素の形態で利用可能である。したがって、開示されたプロセスは、再循環ガス中に十分な硫化水素を維持することによって、新鮮な供給物とともにシステムに注入される硫黄の体積を低減させる。
【0034】
また、水素化処理済みガス流からのパージ流は、精製されて、二酸化炭素を除去し、再循環ガス流に戻して添加されるときに、再循環ガス流の水素純度を増加させることができる。精製ユニットは、再循環ガス流を固体媒体又は吸収剤流の一方若しくは両方と接触させて、不純物を除去することを伴うことができる。再循環ガス流はパージ流からの硫化水素の大部分を含有するので、反応器への非固有硫黄注入は、低減されるか又は排除されることになる。
【0035】
図において、例示的な一実施形態によれば、供給原料を含む供給物流を処理するためのプロセス及び装置100が示される。プロセス及び装置100は、水素化処理セクション121、分離セクション151、精製ユニット160、及び生成物回収セクション201を含む。例示的な一実施形態では、供給物流は、バイオ再生可能供給原料を含み得る。供給ライン102は、供給物流を供給サージドラム110に輸送する。供給物流は、供給原料とブレンドされて、供給原料を含む供給物を提供することができる。例示的な一実施形態では、供給物流は、バイオ再生可能供給原料とブレンドされて、バイオ再生可能供給原料を含む供給物流を提供し得る。代替的に、供給物流は、バイオ再生可能供給物流として呼ばれ得る。別の例示的な実施形態では、供給物流は、鉱物供給物流とブレンドされ得る。鉱物供給原料は、地盤から抽出される原油に由来する従来の供給物である。バイオ再生可能供給原料は、少なくとも10wppm、しばしば少なくとも25wppm、好適には少なくとも300wppm、おそらく少なくとも500wppm、かつ最大800wppmの窒素の窒素濃度を含み得る。バイオ再生可能供給原料は、1~1000wppmの硫黄を含み得る。図は、供給原料を水素化処理するための単段プロセスを描画するが、このプロセスは、供給原料を水素化処理するための2段又は多段プロセスに等しく適用可能である。本開示の例示的な一実施形態によれば、供給原料を水素化処理するためのプロセスは、単段プロセスであってもよい。本開示の別の例示的な実施形態によれば、供給原料を水素化処理するためのプロセスは、2段プロセスであり得る。
【0036】
様々な異なるバイオ再生可能供給原料が、プロセス100に好適であり得る。用語「バイオ再生可能供給原料」は、原油から得られるもの以外の供給原料を含むことを意味する。バイオ再生可能供給原料は、グリセリド及び遊離脂肪酸のうちの少なくとも一方を含むそれらの供給原料のいずれかを含み得る。グリセリドのほとんどは、トリグリセリドとなるが、モノグリセリド及びジグリセリドが、存在し、同様に処理されてもよい。遊離脂肪酸は、供給原料中のリン源であり得るリン脂質から得ることができる。これらのバイオ再生可能供給原料の例としては、以下に限定されないが、カメリナ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ダイズ油(soy oil)、ナタネ油、ダイズ油(soybean oil,)、セイヨウアブラナ油、トール油、ヒマワリ油、麻実油、オリーブ油、アマニ油、ヤシ油、ヒマシ油、ピーナッツ油、パーム油、からし油、獣脂、黄色及び褐色グリース、ラード、鯨油、乳中の脂肪、魚油、藻類油、下水汚泥などが挙げられる。バイオ再生可能供給原料の更なる例としては、Jatropha curcas(ラタンジョ、ワイルドキャスター、ジャングリエランディ)、Madhuca indica(モウワ)、Pongamia pinnata(カランジ、ホンジー)、calophyllum inophyllum、moringa oleifera、及びAzadirachta indica(ニーム)を含む群からの非食用植物性油が挙げられる。典型的な植物性又は動物性脂肪のトリグリセリド及びFFAは、それらの構造中に、8~30個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖を含有する。理解されるように、バイオ再生可能供給原料は、前述の例のうちの1つ以上の混合物を含み得る。バイオ再生可能供給原料は、汚染物質を除去するために前処理され、固形物を除去するために濾過され得る。
【0037】
ジメチルジスルフィドを含むような非固有硫黄は、ライン101からのバイオ再生可能供給物流に添加され得る。供給ライン102中のバイオ再生可能供給物流は、供給サージドラム110からライン111に流れる。ライン111中のバイオ再生可能供給物流は、ライン101の非固有硫黄とともに注入される。その後、ライン111中のバイオ再生可能供給物流は、チャージポンプ104を介して送られ、ライン182中の供給物水素化処理水素流と混合されて、ライン112中の混合されたバイオ再生可能供給物流を提供する。ライン112中の混合されたバイオ再生可能供給物流は、ライン145中の組み合わされた高温の水素化処理済み蒸気流との熱交換によって加熱されて、ライン113中の熱交換されたバイオ再生可能供給物流を提供する。ライン113中の熱交換されたバイオ再生可能供給物流は、ライン146中の高温液体再循環流と混合されて、ライン114中の組み合わされたバイオ再生可能供給物流を提供する。再循環対供給物の比は、1:1~5:1の範囲であり得る。組み合わされたバイオ再生可能供給物流114は、組み合わされた供給物交換器21内で、水素化処理済みライン134中の水素化処理済み流との熱交換によって、及び/又は燃焼式ヒータ116内で、保護入口温度まで加熱され得る。
【0038】
次いで、組み合わされた供給ライン118中の加熱された組み合わされたバイオ再生可能供給物流が、水素化処理反応器セクション121に装入される。供給物流は、水素化処理水素流及び水素化処理触媒の存在下で水素化処理反応器セクション121において水素化処理されて、水素化処理済み流を提供する。例示的な一実施形態では、水素化処理反応器セクション121は、保護床反応器120及びそれに続く水素化処理反応器130を含み得るか、又はおそらく水素化処理反応器130内に保護床を設置することによって、保護床反応器を省略し得る。一実施形態では、組み合わされたバイオ再生可能供給物流は、保護床反応器120に装入されて、部分的に水素化処理される。保護床入口温度は、218℃(425°F)~304℃(580°F)の範囲であり得る。保護床反応器120内で、組み合わされた供給ライン118中の組み合わされたバイオ再生可能供給物流は、硫化水素を含む水素化処理水素流及び水素化処理触媒の存在下で水素化処理されて、組み合わされたバイオ再生可能供給物流に水素化脱酸素を行って、水素化処理済み流を提供する。保護床反応器120内で発生する水素化脱酸素反応は、水素化脱酸素反応、水素化脱カルボニル反応、及び水素化脱炭酸反応を含む。加えて、オレフィン飽和、リンを除去する水素化脱金属、水素化脱硫、及び水素化脱窒素を含む他の水素化処理反応が、保護床反応器120内で発生し得る。ライン182中の供給水素化処理水素流は、硫化水素を含有し、その結果、硫化水素が保護床反応器120に連続的に供給されて、水素化処理触媒の硫化及びその活性を維持する。
【0039】
保護床反応器及び水素化処理反応器の温度は、低く保たれ、典型的なバイオ再生可能供給原料については343℃(650°F)未満、より高い遊離脂肪酸(free fatty acid、FFA)濃度を有する供給原料については、FFA中に見出されるオレフィンの重合を回避するために、304℃(580°F)未満である。
【0040】
保護床触媒は、担体上に卑金属を含み得る。このプロセスで使用可能な卑金属としては、ニッケル、クロム、モリブデン、及びタングステンが挙げられる。一態様において、卑金属は、モリブデン若しくはニッケル又はその両方であり得る。使用され得る他の卑金属としては、スズ、インジウム、ゲルマニウム、鉛、コバルト、ガリウム、及び亜鉛が挙げられる。卑金属は、硫化物の形態で活性である。硫化水素は、新鮮な供給物基準で、50~2000wppm、好ましくは、500~1200wppmの範囲内にある、ライン182中の供給水素化処理水素流内をライン181中の水素化処理水素流から保護床反応器120において提供される。好適な保護床触媒としては、UOP LLCから入手可能なBGB-200又はBGB-100を挙げることができる。バイオ再生可能供給原料は、1379kPa(abs)(200psia)~6895kPa(abs)(1000psia)の圧力で装入され得る。更なる実施形態では、保護床触媒は、第2の金属を含み得、第2の金属は、スズ、インジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、ゲルマニウム、鉛、コバルト、ガリウム、亜鉛、及びタリウムの金属のうちの1つ以上を含む。アルミナ触媒上のニッケルモリブデンは、保護床反応器30内の好適な触媒であり得る。2つ、3つ、4つ以上など、複数の保護床が、保護床反応器120内に収容され得、ライン184中の保護床水素化処理水素流からの水素クエンチを、離間した又は床間の場所に注入して、温度発熱を制御することができる。水素はまた、ライン181中の水素化処理水素流からの、ライン184中の保護床水素流から、床間クエンチ注入によって、保護床反応器120内の保護床に供給される。保護床水素流は、ライン182中の供給水素化処理水素流と同じ濃度を有し得る。
【0041】
接触したバイオ再生可能供給物流は、保護床反応器120内で発生する優勢な発熱反応に起因して保護入口温度よりも高い保護出口温度で、接触した供給物ライン122中で保護床反応器120から排出される。保護床反応器120内で、水素化脱金属反応、並びに水素化脱カルボニル反応及び水素化脱炭酸反応を含む水素化脱酸素反応の大部分が、いくらかの脱窒素及び脱硫の発生を伴って、発生することになる。除去される金属としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属並びにリンが挙げられる。
【0042】
接触した供給ライン122中の接触したバイオ再生可能供給物流は、加熱されて、水素化処理反応器130に装入され得る。水素化処理反応器130は、接触したバイオ再生可能供給物流を、更に水素化脱金属化、水素化脱カルボニル化及び水素化脱炭酸化を含む、水素化脱酸素化、水素化脱窒素化、及び水素化脱硫化するために、水素化処理触媒の床を有し得る。加熱され、接触したバイオ再生可能供給物流は、343℃(650°F)~400℃(752°F)の範囲であり得る水素化処理入口温度で、水素化処理反応器130に装入され得る。
【0043】
水素化処理反応器130において、加熱され、接触したバイオ再生可能供給物流は、ライン186からの反応器水素化処理水素流の存在下で、水素化処理条件で水素化処理触媒と接触して、バイオ再生可能供給原料中のn-パラフィン鎖のオレフィン部分又は不飽和部分を飽和させる。水素化処理触媒はまた、水素化脱炭酸反応及び水素化脱カルボニル反応を含む水素化脱酸素反応を触媒して、水及び酸化炭素に変換されるバイオ再生可能供給原料分子から酸素化官能基を除去する。水素化処理触媒はまた、バイオ再生可能供給原料中の有機硫黄の脱硫及び有機窒素の脱窒素を触媒する。本質的に、水素化処理反応は、炭化水素からヘテロ原子を除去して、供給物流中のオレフィンを飽和させる。水素化処理触媒は、1つ、2つ以上の床に提供され得、ライン186中の反応器水素化処理水素流からの水素クエンチ流からの床間水素クエンチ流を用いることができる。
【0044】
水素化処理触媒は、アルミナなどの高表面積担体上に分散されたニッケル、ニッケル/モリブデン、又はコバルト/モリブデンを含み得る。好適な水素化処理触媒としては、Des Plaines,IllinoisのUOP LLCから入手可能なBDO300又はBDO400が挙げられる。水素化処理触媒は、硫化形態であるべきである。ライン38中の反応器水素化処理水素流からの硫化水素は、触媒硫化のための硫黄を提供し得る。ライン186中の反応器水素化処理水素流内に提供される硫化水素に加えて、保護床反応器120内で生成され、ライン122中を水素化処理反応器に向けて輸送される硫化水素に起因して、水素化処理反応器内の硫化水素濃度は、保護床反応器内よりも高くなり得る。
【0045】
一般的に、水素化処理条件は、700kPa(100psig)~21MPa(3000psig)の圧力を含む。水素化処理出口温度は、343℃(650°F)~427℃(800°F)の範囲であり得る。
【0046】
一実施形態では、水素化処理反応器130は、水素化処理セクション131と、水素異性化セクション132と、を含み得る。水素化処理セクション131は、水素化処理触媒の1つ以上の床を含み得る。本出願人らは、プロセス中に生成される酸化炭素の量が、運転開始(start of the run、SOR)から運転終了(end of the run、EOR)まで変化することを見出した。典型的には、保護床反応器120は、水素化処理反応器130と比較して比較的低活性の触媒を含む。そのため、SORにおいて、保護床反応器120が比較的低い温度で脱酸素反応を開始するとき、保護床反応器120は、保護床反応器120中に存在する比較的低活性の触媒に起因して、二酸化炭素を生成する脱炭酸反応よりも、水を生成する水素化脱酸素反応を促進する。保護床反応器120の触媒が経時的に活性を失うにつれて、保護床反応器の温度は、比較的増加し、水素化処理触媒が、保護床反応器120中の触媒よりも比較的高い活性を有する、水素化処理反応器130中の水素化処理セクション131への脱酸素反応のシフトを引き起こす。水素化処理セクション131における水素化処理触媒は、脱炭酸を促進する。そのため、EORにおいて、保護床反応器120内の触媒は、ほぼ完全に消費され、水素化処理セクション131は、脱炭酸を促進する。したがって、一酸化炭素及び二酸化炭素のようなより多くの酸化炭素が、EORで生成される。
【0047】
水素化処理セクション131内で生成される水素化処理済み流は、かなりのn-パラフィン濃度を有する炭化水素留分を含む。炭化水素留分中の酸素化物濃度は、本質的にゼロである一方で、オレフィン濃度は、接触したバイオ再生可能供給物流に対して実質的に低減される。炭化水素留分中の有機硫黄濃度は、500wppm以下であり得、炭化水素留分中の有機窒素濃度は、10wppm未満であり得る。この炭化水素留分は、バイオ再生可能供給原料からのかなりの濃度のn-パラフィンを含むので、ディーゼル燃料として有用であるが、低温流動性が悪くなる。後述するように、水素化処理済み流を異性化条件下で異性化触媒と接触させて、n-パラフィンを少なくとも部分的にイソパラフィンに異性化することができる。水素化処理済み流は、水素化処理済み液体流と水素化処理済みガス流とに分離され得る。
【0048】
2段構成では、水素化処理済み流は、水素異性化セクション132に送られた炭化水素留分とともに、強化高温分離器内でガス留分から分離された炭化水素留分を有し得る。図に示される単段構成では、炭化水素留分及びガス留分は、ともに水素異性化セクション132に送られる。
【0049】
低温流動性を改善するために、水素化処理済み流を、水素異性化セクション132内で、水素異性化条件下で水素異性化触媒と接触させて、ノルマルパラフィンを分岐パラフィンに水素異性化することができる。水素化処理済み液体流は、ライン186によって提供される水素化処理水素流の存在下で、水素異性化触媒で水素異性化され得る。
【0050】
水素異性化セクション132内での標準炭化水素の、水素化脱ろうを含む、水素異性化は、水素化脱ろう触媒の1つ以上の床上で達成され得、水素化脱ろうは、並流動作モードで運転され得る。
【0051】
好適な水素化異性化触媒は、金属酸化物を含む担体材料上に担持されている周期表の第VIII族(IUPAC 8~10)の金属、並びにモレキュラシーブを含んでもよい。好適な第VIII族の金属としては、プラチナ、パラジウム、及びニッケルが挙げられ、各々が単独で又は組み合わされて使用され得る。水素異性化触媒が、図のように水素化処理反応器内に位置付けられる場合、サワー環境で硫黄失活の影響を受けにくい非貴金属を使用すべきである。好適な非貴金属の例としては、Ni、Mo、Co、W、Mn、Cu、Zn、又はRuが挙げられる。Co/Mo、Ni/Mo、及びNi/Wなどの水素化金属の混合物も使用され得る。水素化金属の量は、触媒重量に基づいて0.1~5重量%の範囲であり得る。担体材料上に金属を担持する方法としては、例えば、水素化成分の金属塩による担体材料の含浸及び加熱が挙げられる。水素化金属を含有する触媒担体材料も、使用前に硫化されてもよい。
【0052】
金属酸化物を含む担体材料としては、アルミナ、シリカ、チタニア若しくはシリカ-アルミナ又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。好適なモレキュラシーブとしては、AEI、AEL、AFO、AFX、ATO、BEA、CHA、FAU、FER、MEL、MFI、MOR、MRE、MTT、MWWなどのトポロジー、又はEU-2、ZSM-11、ZSM-22、ZSM-23、SAPO-5、SAPO-11、SAPO-31、SAPO-34、SAPO-41、SSZ-13、SSZ-16、SSZ-39、MCM-22、ゼオライトY、フェリエライト、モルデナイト、ZSM-5若しくはゼオライトベータなどのTONトポロジーを有するモレキュラシーブを挙げることができ、かかる材料の関連する利点は、直鎖炭化水素の水素化異性化における活性である。SAPO-11が、特に有用であることが見出された。SAPO-11、SAPO-31、及びSAPO-41は、米国特許第4,440,871号に記載されている。米国特許第4,795,623号及び米国特許第4,924,027号に教示されているように、当初に減少した細孔径を有するフェリエライトなどの多くの天然ゼオライトは、アンモニウムイオン交換及びか焼によって、会合しているアルカリ金属又はアルカリ土類金属を除去して実質的に水素形態を生成することによって、オレフィン骨格異性化に適した形態に変換され得る。骨格異性化のための更なる触媒及び条件は、米国特許第5,510,306号、米国特許第5,082,956号、及び米国特許第5,741,759号に開示されている。水素異性化触媒はまた、米国特許第5,716,897号及び米国特許第5,851,949号に記載されているように、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される改質剤も含み得る。他の好適な担体材料としては、ZSM-22、ZSM-23、及びZSM-35が挙げられ、これらは、米国特許第5,246,566号、及びS.J.Miller,「New Molecular Sieve Process for Lube Dewaxing by Wax Isomerization,」 2 Microporous Materials 439-449(1994)と題する論文において、脱ろう化での使用について記載されている。米国特許第5,444,032号及び米国特許第5,608,968号は、非晶質シリカ-アルミナゲル及び第VIIIA族に属する1つ以上の金属によって構成され、15個を超える炭素原子を含有する長鎖ノルマルパラフィンの水素異性化において有効である好適な二官能性触媒を教示している。米国特許第5,981,419号及び米国特許第5,908,134号は、(a)ボロシリケート(BOR-B)及びSiO:Al2O比が300:1より高いボロアルミノシリケート(Al-BOR-B)から選択されるベータゼオライトと同型構造の多孔質結晶性物質、(b)0.05~5重量%の範囲内に含まれる量の、白金及びパラジウムから選択される第VIIIA族に属する1つ以上の金属を含む好適な二官能性触媒を教示している。V.Calemma et al.,App.Catal.A:Gen.,190(2000),207は、更に別の好適な触媒を教示している。アルミナ又はシリカを担体材料に添加してもよい。
【0053】
Des Plaines,IllinoisのUOP LLCから入手可能なDI-200、DI-211、及びDI-100は、好適な水素異性化触媒として使用され得る。
水素異性化条件は、概して、150℃(302°F)~450℃(842°F)の温度、及び1724kPa(abs)(250psia)~13.8MPa(abs)(2000psia)の圧力を含む。別の実施形態では、水素異性化条件は、300℃(572°F)~360℃(680°F)の温度、及び3102kPa(abs)(450psia)~6895kPa(abs)(1000psia)の圧力を含む。
【0054】
本開示によるプロセスで有用な水素化脱ろう触媒は、自己結合するか、又は結合剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示によるプロセスで使用される水素化脱ろう触媒は、低表面積結合剤を使用して配合され、低表面積結合剤は、100m/g以下、又は80m/g以下、又は70m/g以下、又は60m/g以下、又は50m/g以下、又は40m/g以下、又は30m/g以下の表面積を有する結合剤を表す。
【0055】
代替的に、結合剤及びゼオライトの粒径は、所望のミクロ細孔表面積対総表面積比を有する触媒を提供するように選択される。本開示に従って使用される水素化脱ろう触媒において、ミクロ細孔表面積は、水素化脱ろう触媒中のゼオライトの一次元細孔からの表面積に相当する。総表面は、ミクロ細孔表面積に外表面積を加えたものに相当する。触媒中に使用されるいかなる結合剤も、ミクロ細孔表面積に寄与せず、触媒の総表面積を著しく増加させることはない。外表面積は、全触媒の表面積からミクロ細孔表面積を差し引いた残りを表す。結合剤及びゼオライトの両方が、外表面積の値に寄与し得る。好ましくは、水素化脱ろう触媒のミクロ細孔表面積対総表面積の比は、25%以上、又は30%以上、又は35%以上、又は40%以上となる。
【0056】
ゼオライトは、任意の好都合な様式で、結合剤と組み合わされ得る。例えば、結合触媒は、ゼオライト及び結合剤の両方の粉末から出発し、粉末を添加水と混合及び混練して混合物を形成し、次いで、混合物を押出して、所望のサイズの結合触媒を生成することによって生成され得る。押出し助剤を使用して、ゼオライト及び結合剤の混合物の押出流動特性を変更することもできる。触媒中のフレームワークアルミナの量は、0.1~2.7重量%、又は0.2~2重量%、又は0.3~1重量%の範囲であり得る。
【0057】
更に別の実施形態では、2つ以上の金属酸化物から構成される結合剤を、使用することもできる。そのような実施形態では、低表面積結合剤の重量百分率は、好ましくは、高表面積結合剤の重量百分率よりも大きい。
【0058】
代替的に、混合金属酸化物結合剤を形成するために使用される両方の金属酸化物が、十分に低い表面積を有する場合、結合剤中の各金属酸化物の割合は、あまり重要ではない。2つ以上の金属酸化物を使用して結合剤を形成する場合、2つの金属酸化物は、任意の好都合な方法によって、触媒中に組み込まれ得る。例えば、噴霧乾燥中など、ゼオライト粉末の形成中に、1つの結合剤が、ゼオライトと混合され得る。次いで、噴霧乾燥されたゼオライト/結合剤粉末が、押出前に、第2の金属酸化物結合剤と混合され得る。
【0059】
本開示の一形態では、接触水素化脱ろう触媒は、0.1重量%~2.7重量%のフレームワークアルミナ、0.1重量%~5重量%のPt、200:1~30:1のSiO:Al比、及び100m/g以下の表面積を有する少なくとも1つの低表面積耐火金属酸化物結合剤を含む。
【0060】
触媒は、典型的には、使用前に結合剤又はマトリックス材料と結合される。結合剤は、所望の使用温度に対して耐性であり、耐摩耗性である。結合剤は、触媒活性であっても不活性であってもよく、他のゼオライト、粘土などの他の無機物質、並びにアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びシリカ-アルミナなどの金属酸化物を含んでもよい。粘土は、カオリン、ベントナイト、及びモンモリロナイトであってもよく、市販されている。それらは、ケイ酸塩などの他の材料とブレンドされてもよい。他の多孔質マトリックス材料としては、シリカ-アルミナに加えて、シリカ-マグネシア、シリカ-トリア、シリカ-ジルコニア、シリカ-ベリリア、及びシリカ-チタニアなどの他の二元材料、並びにシリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-アルミナ-トリア、及びシリカ-アルミナ-ジルコニアなどの三元材料が挙げられる。マトリックスは、共ゲルの形態であり得る。
【0061】
水素異性化条件は、概して、150℃(302°F)~450℃(842°F)の温度、及び1724kPa(abs)(250psia)~13.8MPa(abs)(2000psia)の圧力を含む。別の実施形態では、水素異性化条件は、300℃(572°F)~360℃(680°F)の温度、及び3102kPa(abs)(450psia)~6895kPa(abs)(1000psia)の圧力を含む。
【0062】
異性化セクション132からの水素化処理済みライン133中の水素化処理済み流は、好ましくは、全パラフィン含有量の50質量%超の分岐パラフィンを含む分岐パラフィンリッチ流である。水素異性化流出物は、全パラフィン含有量の70、80、又は90質量%の分岐パラフィンを含有し得ることが想定される。水素化処理済み流の低温流動性を改善して、仕様を満たすのに十分な最小限の分岐のみ必要とされる。水素異性化条件は、望ましくない分解を回避するように選択され、したがって、水素化処理済みライン133中の水素異性化流出物中の優勢な生成物は、単分岐パラフィンである。
【0063】
ライン133中の水素化処理済み流は、炭化水素に加えて、水素、硫化水素、及び酸化炭素を含む。水素化処理済みライン133中の水素化処理済み流は、最初に水素化処理済み流出物熱交換器31に流れて、低温水素化処理済み液体ライン156中の低温水素化処理済み液体流を加熱し、水素化処理済み流を冷却し得る。前述のように、水素化処理済みライン133中の冷却された水素化処理済み流は、次いで、組み合わされた供給物流出物交換器21内の組み合わされたバイオ再生可能供給物流と熱交換して、水素化処理済みライン133中の水素化処理済み流を冷却し、ライン114中の組み合わされたバイオ再生可能供給物流を加熱し得る。次いで、水素化処理済みライン134中の冷却された水素化処理済み蒸気を、蒸気発生器135内で更に冷却して、蒸気を発生させることができる。蒸気発生器135において、水素化処理済みライン134中の水素化処理済み蒸気は、ライン136中の水流との熱交換によって更に冷却され、ライン137中で蒸気を提供する。
【0064】
更に冷却された水素化処理済み流は、蒸気発生器135からライン138中で取り出され得る。ライン138中の冷却された水素化処理済み流は、高温分離器140に通されてもよい。冷却された水素化処理済み流を、高温分離器140内で分離して、高温塔頂ライン142中の炭化水素質の高温水素化処理済みガス流、及び高温塔底ライン141中の炭化水素質の高温水素化処理済み液体流を提供することができる。高温分離器140は、水素化処理反応器130と下流連通していてもよい。高温分離器140は、177℃(350°F)~371℃(700°F)で動作し、好ましくは、232℃(450°F)~315℃(600°F)で動作する。高温分離器140は、介在する機器による圧力低下を考慮して、水素化処理反応器130よりもわずかに低い圧力で動作され得る。高温分離器140は、3.4MPa(ゲージ圧)(493psig)~20.4MPa(ゲージ圧)(2959psig)の圧力で動作され得る。高温塔頂ライン142中の高温水素化処理済み蒸気流は、高温分離器140の動作温度の温度を有し得る。
【0065】
高温塔底ライン141中の高温液体流は、ポンプ143を介してポンプ輸送されて、高温塔底ライン141中の高温液体流から取り出された、プロセスライン144中のプロセス液体流と、同じく高温塔底ライン141中の高温水素化処理済み液体流から取り出された、再循環ライン146中の高温再循環液体流との2つの流れに分割され得る。再循環ライン146中の高温再循環液体流は、前述のように、ライン102中のバイオ再生可能供給物流と組み合わされ得る。
【0066】
プロセスライン144中の高温液体流から取り出されたプロセス液体流は、高温塔頂ライン142中の高温水素化処理済み蒸気流と混合されて、ライン145中の組み合わされた高温水素化処理済み蒸気流を提供し、高温蒸気組み合わせ供給物熱交換器11内でライン112中のバイオ再生可能供給物流との熱交換によって冷却され得る。ライン145中の冷却された組み合わされた高温水素化処理済み蒸気流は、更に冷却されて、低温分離器150に供給され得る。冷却された組み合わされた高温水素化処理済み蒸気流は、低温分離器150内で、硫化水素、酸化炭素、水素、及び軽質C-C炭化水素を含む、低温塔頂ライン152中の低温水素化処理済み蒸気流に分離される。ライン145中の組み合わされた高温水素化処理済み蒸気流中の高温水素化処理済み液体流は、蒸気中の水素化処理済み液体物質を吸い取って、それらを低温水素化処理済み液体流中に引き込む。水性流は、低温分離器150のブートから取り出され得る。低温水素化処理済み液体流は、低温分離器150を出て、低温塔底ライン156に入る。低温水素化処理済み液体流は、留出物範囲の炭化水素を含み、ストリッパ塔底交換器41内でのストリッパ塔底ライン221中のストリッパ塔底流との、及び水素化処理済み流出物交換器31内での水素化処理済み流との熱交換によって加熱されて、生成物回収セクション201に供給される。例示的な一実施形態では、生成物回収セクションは、ストリッパカラム又はストリッパ220、スポンジ吸収カラム230、分留カラム250、苛性剤スクラバユニット270、選択的苛性剤スクラバユニット260、及び熱酸化ユニット280を備える。
【0067】
ストリッパカラム220内で、硫化水素などの蒸気成分は、ライン212によってストリッパカラム220の底部に供給される蒸気などのストリッピングガスとの接触によって、水素化処理済み液体流からストリッピングされる。蒸気成分は、塔頂ガス状流に分離し、塔頂ライン222に上昇する。主としてC及びC炭化水素を含有する液化石油ガス(liquefied petroleum gas、LPG)及び軽質ガスをライン227のストリッパオフガス流中に残しながら、塔頂ライン222中の塔頂ガス状流は、凝縮されて、ライン224のストリッパ塔頂液体流中にナフサ流を生成することができる。凝縮された塔頂ガス状流は、ストリッパカラム受容器223に送られて、ライン227中のストリッパオフガス流及びライン224中のストリッパ塔頂液体流を提供することができる。ライン224中のストリッパ塔頂液体流は、分留塔250内で分留され得る。一実施形態では、還流流は、ライン224においてストリッパ塔頂液体流から取り出され得る。ライン225中で取り出された還流流は、分留塔250の頂部に再循環される。ライン226中のストリッパ塔頂液体流の残りの部分は、分留カラム250に送られる。ストリッピングされた留出物流は、ストリッパカラム220を出て、ストリッパ塔底ライン221に入り得る。ストリッピングされた留出物流は、ライン221においてディーゼル生成物として回収され得るか、又は更なる生成物回収に輸送され得る。ストリッパ塔底ライン221中のストリッピングされた留出物流の更なる分画により、ケロシン/ジェット範囲の流れ及びディーゼル範囲の流れが、生成され得る。
【0068】
低温分離器塔頂ライン内の低温水素化処理済み蒸気流は、水素、硫化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、及び軽質C-C炭化水素を含む。典型的には、この低温水素化処理済み蒸気流は、低温水素化処理済み蒸気流をアミン溶媒と接触させて、酸性ガスの低温水素化処理済み蒸気流をスクラビングするスクラバカラムに供給され、その結果、精製された低温水素化処理済み蒸気流が、水素化処理セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環されて、水素要求量を提供することができる。二酸化炭素は、低温水素化処理済み蒸気流を水素化処理セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環する前に、低温水素化処理済み蒸気流から除去されることが望ましい酸性ガスである。二酸化炭素は、システム内に蓄積する可能性があり、除去されなければならない。加えて、一酸化炭素は、水素化処理反応器130内で水性ガスシフト反応において二酸化炭素に変換することによって制御される。二酸化炭素濃度は、システムから容易に除去されない一酸化炭素に有利になる水性ガスシフト平衡を過度に押し上げることを回避するように、制御されなければならない。
【0069】
別の酸性ガスである硫化水素は、水素化処理セクション121、特に保護床120及び/又は水素化処理反応器130に再循環される低温水素化処理済み蒸気流中に保持される。硫化水素は、水素化処理触媒上で水素化金属からストリッピングされる硫黄を補充するのに必須である。硫黄は、水素化金属を硫化させ、したがって、活性に保つために必須である。従来、低温水素化処理済みガス流全体は、その任意の部分が、水素化処理セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環される前に、酸性ガスを除去するために、溶媒によるスクラビングに供される。一実施形態では、低温の水素化処理済みガス流の一部分は、酸性ガス除去カラムの周囲をバイパスし、全てのその硫化水素とともに、水素化処理セクション25、特に保護床反応器30及び/又は水素化処理反応器32に再循環される。
【0070】
本プロセスによれば、低温塔頂ライン152中の低温水素化処理済みガス流は、再循環ライン154中の再循環ガス流と、パージライン153中のパージガス流とに分割される。再循環ライン154中の再循環ガス流は、その全ての硫化水素とともに、水素化処理反応器セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環される。ライン175中の補充された補給水素ガス流は、ライン154の再循環ガス流に添加されて、ライン176中の再循環水素流を提供することができる。再循環水素流は、圧縮機180内で圧縮されて、ライン181中の水素化処理水素流を提供し、この水素化処理水素流は、水素化処理セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環される。ライン175中の補充された補給水素ガス流は、水素化処理セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環される水素化処理水素流の水素濃度を高めるために、再循環ガス流よりも高い水素濃度を有する。
【0071】
ライン181中の水素化処理水素流は、ライン152中の低温水素化処理済みガス流の少なくとも一部分と、ライン154中の再循環ガス流と、を含む。例示的な一実施形態によれば、ライン181中の水素化処理済み水素流は、50wppmの硫黄~2000wppmの硫黄、又は少なくとも50wppmの硫化水素~2000wppmの硫化水素を含み得る。別の例示的な実施形態によれば、ライン181中の水素化処理済み水素流は、100wppmの硫黄~1500wppmの硫黄、又は少なくとも100wppm~1500wppmの硫化水素を含み得る。更に別の例示的な実施形態によれば、ライン181中の水素化処理済み水素流は、少なくとも400wppm~1000wppmの硫黄、又は400~1000wppmの硫化水素を含むことになる。
【0072】
ライン153中のパージガス流は、ライン152中の低温水素化処理済みガス流の1~50重量%、好ましくは、5~25重量%を構成し得る。一態様では、パージガス流は、ライン152中の低温水素化処理済みガス流の5~15重量%であり得る。低温水素化処理済みガス流の残部は、ライン154中の再循環ガス流であり得る。パージガス流の量は、水素化処理水素流中の一酸化炭素の濃度が1重量%未満又は2重量%未満であることを確実にするように選択され得る。時には、SORにおいて、ライン153中のパージ流の取り出しが必要とされない場合がある。更に、ライン153中で取り出されるパージ流の量は、EORに向かって増加し得る。そのため、SORのシナリオを含めて、ライン153中のパージガス流は、ライン152中の低温水素化処理済みガス流の0~50重量%を構成し得る。
【0073】
パージガスライン153中のパージガス流は、パージガス流の水素濃度を増加させるために、精製ユニット160内で精製され得る。例示的な一実施形態では、精製ユニット160は、固体媒体精製ユニット161を含む。パージガスライン153中のパージガス流は、固体媒体精製ユニット161内で固体媒体と接触して、パージガス流から不純物を除去することによって更に精製され、接触した精製ガス流を提供し得る。固体媒体精製ユニット161は、固体媒体を利用して、ライン153内のパージガス流から不純物を除去する。
【0074】
固体媒体精製ユニット161は、好ましくは、圧力スイング吸着(pressure swing adsorption、PSA)ユニット164である。ライン153中のパージガス流は、PSAユニット161に直接供給され得、ここで、水素が複数の床165内の吸着剤を通過する一方、不純物、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、及び炭化水素などのより大きい分子は、床内の吸着剤上に吸着する。
【0075】
例示的なPSAユニット161は、1,920~5,520kPaゲージ圧などの相対的に高い圧力で、炭化水素、並びに、一酸化炭素、硫化水素、及び/又は窒素などの不純物を吸着剤上に選択的に吸着させて、接触した精製ガス流166を形成し、7~840kPaゲージ圧などの相対的に低い圧力で、吸着剤から炭化水素及び不純物を脱着させて、吸着剤を再生し、炭化水素、並びに/又は一酸化炭素及び硫化水素などの他の不純物を含有するテールガス不純物リッチ流168を形成するという原理で動作する。
【0076】
例示的な一実施形態では、PSAユニット161は、吸着剤である固体媒体を収容する複数の固定吸着剤床165を含む。各吸着剤床165は、異なる吸着剤物質の層を含み、1つ又は複数の下層は、ガス状炭化水素を吸着するための相対的に低い親和性を有するより弱い吸着剤物質で充填され、1つ又は複数の上層は、ガス状炭化水素及び不純物を吸着するための相対的に高い親和性を有するより強い吸着剤物質で充填される。例えば、下層は、活性アルミナ及び/又はシリカゲルなどの弱吸着剤物質を含有し得る一方、中間層は、活性炭などの中間強度の吸着剤物質を含有し得、上層は、ゼオライト及び/又はモレキュラシーブ物質などの強吸着剤物質を含有し得る。
【0077】
例示的な一実施形態では、PSAユニット161は、吸着工程、並流減圧工程、向流減圧工程、パージ工程、及び再加圧工程を含む5工程圧力スイングサイクルに従って動作する。吸着剤床165は、圧力間で循環するように直列に接続され得る。吸着工程中、ライン153中のパージガス流は、相対的に高い圧力で固定床吸着ユニットの下部分に入り、ユニット内で供給ガスが上昇するにつれて、炭化水素及び不純物(例えば、一酸化炭素及び/又は硫化水素)が、それらのそれぞれの吸着選択性に応じて、吸着剤物質の様々な層に吸着されて、ライン166中の接触した精製ガス流を形成する。並流減圧工程、向流減圧工程、及びパージ工程は、固定床吸着ユニット内の圧力を低下させ、それぞれ、ライン166又は並流減圧工程において接触した精製ガス流からの高純度ガスでユニットをパージして、炭化水素及び不純物を除去し、吸着物質を再生する。各吸着剤床165への流れは、定期的に停止され、停止された床内の圧力は、空隙空間ガスを放出し、次いでブローダウンするために、段階的に減少される。7kPa(1psig)~840kPa(120psig)のブローダウン圧力を使用して、吸着剤から水素を脱着させることができる。減圧又はブローダウンは、吸着された不純物を床内の吸着剤から脱着し、ライン168中のテールガス不純物リッチ流中に渡す。再加圧工程は、次の吸着工程に備えて、ライン153中のパージガス流からの供給ガス、又はライン166中の接触した精製ガス流のいずれかを用いて、固定床吸着ユニット内の圧力を増加させる。他の圧力スイング吸着構成が、使用されてもよい。
【0078】
例示的な一実施形態では、689kPa(100psig)~1034kPa(150psig)のブローダウン圧力で、PSAユニット164に供給されるパージガス流153から70~75モル%の水素回収率を達成することができる。その結果、ライン168内のテールガス不純物リッチ流は、生成物回収セクション201に入ることを可能にする圧力で出る。水素回収率を最大化するために、ライン168中のテールガス不純物リッチ流は、7kPa(1psig)~35kPa(5psig)などの更に低いブローダウン圧力で取り出されて、パージガス流153中の少なくとも92モル%の水素を、90~99モル%の純度で取得する。テールガスの低圧力は、パージガス流からのテールガス不純物リッチ流中のLPG及びナフサなどの軽質炭化水素のより多くの除去を可能にする。一実施形態では、テールガス圧縮機(図示せず)を、テールガス不純物リッチライン168上に設置して、生成物回収セクション201におけるLPG及びナフサの回収を改善し得る。
【0079】
酸化炭素、硫化水素、及び軽質炭化水素に富む不純物リッチ流は、PSAユニット164を出て、ライン168中のテールガス流に入る。本開示によれば、ライン168中のテールガス流は、炭化水素の回収のために生成物回収セクション201に送られ得る。ライン168中のテールガス流は、ストリッパカラム220、スポンジ吸収カラム230、又は選択的苛性剤スクラバユニット260のうちの1つ以上に送られてもよい。例示的な一実施形態では、ライン168中のテールガス流は、スポンジ吸収カラム230に送られ得る。
【0080】
PSAユニット161は、精製ガスライン166中で接触した精製ガス流を生成する。ライン166中の接触した精製ガス流は、ライン154中の再循環ガス流と混合されて、水素化処理セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環された再循環ガス流中の水素濃度を増加させ得る。ライン166中の接触した精製ガス流は、3.5MPa(500psia)~5.5MPa(800psia)において、少なくとも98モル%の水素、好適には、少なくとも99モル%の水素、好ましくは、少なくとも99.9モル%の水素を有し得る。一態様では、ライン166中の接触した精製ガス流は、同様の水素濃度及び圧力を有するライン174中の補給ガス流を補充し得る。ライン174中の補給ガスは、ライン162中の補給ガスヘッダから提供されて、1段又は2段の圧縮を受けた後に、ライン166中の接触した精製ガス流を補充されて、ライン175中の補充された補給ガス流を提供し得る。次いで、ライン175中の補充された補給ガス流は、ライン154中の再循環ガス流と混合され、再循環ガス圧縮機内で圧縮されて、ライン181中の水素化処理水素流を提供し得る。一態様では、ライン174中の補給ガス流は、ライン166中の精製ガス流及びライン154中の再循環ガス流と混合されて、ライン176中の再循環水素流を提供する。
【0081】
ライン181中の水素化処理水素流は、ライン182中の供給水素化処理水素流、ライン184中の保護床水素化処理水素流、及びライン186中の反応器水素化処理水素流の3つの分岐で提供され得る。水素化処理水素流は、少なくとも60重量%の水素、好適には、少なくとも80重量%の水素、より好適には、少なくとも92重量%の水素、好ましくは、少なくとも94重量%の水素、及び1モル%未満の一酸化炭素、並びに前述のように、水素化処理反応器セクション121の保護床反応器120及び水素化処理反応器130内の水素化処理触媒の硫化を維持するための硫化水素を含む。反応器に再循環されるライン176中の再循環水素流中の硫化水素は、バイオ再生可能供給物流102への任意の硫黄の添加の低減又は排除を可能にする。
【0082】
ライン181中の圧縮された水素化処理水素流は、水素化処理水素ライン182中の水素化処理水素流、保護床水素ライン184中の保護床水素流、及び反応器水素ライン186中の反応器水素流に水素を供給する。ライン154中の再循環ガス流に対するライン153中のパージガス流の割合が大きいほど、再循環ガスと混合されて、水素化処理セクション121、特に保護床反応器120及び/又は水素化処理反応器130に再循環されなければならない補充された補給ガスの割合が大きくなることになる。しかしながら、パージガス流の水素純度を増加させるための固体媒体ガス精製ユニット161の使用は、ライン166中の接触された精製ガス流がライン154中の再循環ガスと混合されるライン175中の補給ガスを提供する程度まで、ライン174中の補給ガス速度の減少を可能にする。
【0083】
ストリッパカラム220を参照すると、ライン227中のストリッパオフガス流は、LPG範囲C3+炭化水素を含む炭化水素を回収するためにスポンジ吸収カラム230に送られ得る。ライン252中の分留塔オフガス流もまた、スポンジ吸収カラム230に送られ得る。例示的な一実施形態では、ライン227中のストリッパオフガス流は、ライン252中の分留塔オフガス流と組み合わされて、ライン228中の組み合わされたオフガス流を提供し得る。ライン228中の組み合わされたオフガス流は、スポンジ吸収カラム230に送られ得る。別の実施形態では、ライン227中のストリッパオフガス流及びライン252中の分留塔オフガス流は、別々に吸収カラム230に送られ得る。ライン168中のテールガス流もまた、おそらくライン228中の組み合わされたオフガス流の上部の吸収カラム230に送られる。スポンジ吸収カラム230では、ライン227中のストリッパオフガス流、ライン252中の分留塔オフガス流、及びライン168中のテールガス流は、ライン258を介してスポンジ吸収カラム230に送られるスポンジオイル流と接触する。LPG炭化水素に富むスポンジオイル流は、塔底ライン234中でスポンジ吸収カラム230の塔底から取り出される。硫化水素、水、及び二酸化炭素のうちの1つ以上を含むスポンジオフガス流は、塔頂ライン232中でスポンジ吸収カラム230の塔頂から取り出され得る。スポンジオフガス流の少なくとも一部分は、苛性剤流と接触させて、硫黄リーンスポンジオフガス流及び硫黄リッチ苛性剤流を提供し得る。例示的な一実施形態では、ライン232中のスポンジオフガス流は、ノックアウトドラム240に送られて、ライン242中の塔頂リーン流内のスポンジオフガス流から軽質ガスを更に分離し得る。液体流は、塔底ライン244中でノックアウトドラム240から取り出されてもよい。
【0084】
本プロセスによれば、ライン226中のストリッパ塔頂液体流、ライン234中のLPG炭化水素リッチスポンジオイル流、及び塔底ライン244中の液体流は、分留カラム250中で分留され得る。例示的な一実施形態では、ライン226中のストリッパ塔頂液体流及びライン234内のLPG炭化水素リッチスポンジオイル流が組み合わされて、ライン236中の第1の組み合わされた流れを提供し得、これが分留塔250に送られ得る。別の例示的な実施形態では、ライン236中の第1の組み合わされた流れ及び塔底ライン244中の液体流を組み合わせて、分留カラム250に送られ得るライン246中の第2の組み合わされた流れを提供する。ライン226中のストリッパ塔頂液体流、ライン234中のLPG炭化水素リッチスポンジオイル流、及び塔底ライン244中の液体流は、分留カラム250に別々に送られ得る。ライン226中のストリッパ塔頂液体流、ライン234中のLPG炭化水素リッチスポンジオイル流、及び塔底ライン244中の液体流は、分留カラム250中で分留されて、ライン251中の分留塔塔頂ガス状流及びライン257中の分留塔塔底ナフサ流を提供する。分留塔塔頂ガス状流は、凝縮され、分留塔受容器253に通されて、ライン254中のLPG炭化水素を含む液体流からライン252中の分留塔オフガス流を分離することができる。ライン252中の分留塔オフガス流は、先に示されたようにスポンジ吸収カラム230に再循環させ得る。ライン254中のLPG炭化水素を含む液体流は、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流の第1の部分とライン256中のLPG炭化水素を含む液体流の第2の部分とに分離される。液体流の第2の部分は、ライン256中の還流流として分留塔250の頂部に送られ得る。ライン257中の分留塔塔底ナフサ流は、分留塔再沸騰ライン291中の分留塔沸騰流と、ライン290中の正味分留塔塔底ナフサ流とに分割され得る。分留塔再沸騰ライン291中の分留塔沸騰流は、再沸器51内で再沸騰した後、分留塔250に戻される。一実施形態では、ライン290中の正味の分留塔塔底ナフサ流は、ライン259中の塔底ナフサ生成物流とライン258中の塔底ナフサ再循環流とに分離され得る。例示的な一実施形態では、塔底ナフサ再循環流は、ライン258内のスポンジ油としてスポンジ吸収カラム230に送られ得る。別の実施形態では、ストリッパ塔底ライン221中のストリッピングされた留出物流は、ライン258中のスポンジ油としてスポンジ吸収カラム230に送ることができる。
【0085】
ライン256中のLPG炭化水素を含む液体流及びライン242中のスポンジオフガス流は、とりわけ、酸化炭素及び硫化水素を含む。これらの流れは、更に精製されて、酸化炭素及び/又は硫化水素を分離し、精製/処理ガス流を回収することができる。本プロセスによれば、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流及びライン242中のスポンジオフガス流を、それぞれの苛性剤スクラバ中で苛性剤(NaOH)と接触させて、酸化炭素及び/又は硫化水素を分離し、精製/処理ガス流及び液体流を回収する。典型的な苛性処理では、単一の苛性処理工程は、ガス流を苛性剤流と接触させる。かかる処理工程は、苛性剤のバッチをガス流と接触させる。苛性剤がガス流からの回収物を消費し始めるとき、使用済み苛性剤は、洗い流され、新しいバッチの苛性剤と交換される。この処理工程は、ガス流を苛性剤流と接触させるための大きい容器を必要とする。また、ガス流と接触する苛性剤の体積は、著しく高く、大量の使用済み苛性剤を生成し、適切に処理/取り扱われなければならない。
【0086】
出願人らは、ライン242中のスポンジオフガス流が、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流と比較して、比較的高い硫化水素対二酸化炭素モル比を有することを見出した。具体的には、ライン242中のスポンジオフガス流中に存在する硫化水素の量は、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流中よりも比較的高い。開示されたプロセスは、ライン242中のスポンジオフガス流のための選択的苛性処理工程を含む。ライン242中のスポンジオフガス流に関する選択的苛性処理工程は、二酸化炭素よりも多くの硫黄、特に硫化水素をスポンジオフガス流から選択的に除去する。スポンジオフガス流からの硫黄の選択的除去を確実にするために、ライン242中のスポンジオフガス流は、非常に短い接触時間の間、選択的苛性剤スクラバユニット260中で苛性剤流と接触する。選択的苛性剤の接触時間は、代替的に、選択的苛性剤スクラバユニット260の滞留時間と呼ぶこともできる。ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流に関する苛性処理は、バッチ法であり得る。硫黄除去のための選択的苛性処理を伴う開示されたプロセスは、ライン242中のスポンジオフガス流のための選択的苛性剤スクラバユニットのサイズを低減させることによって、プロセスの全体的な資本支出を低減させる。本プロセスは、選択的苛性剤スクラバユニット260においてライン242中のスポンジオフガス流のための選択的苛性処理を用いるため、ライン242中のスポンジオフガス流を処理した後に生成される使用済み苛性剤が低減する。このため、選択的苛性剤スクラバユニット260及び苛性剤スクラバユニット270からの使用済み苛性剤の総体積が、低減する。本プロセスはまた、処理ガス流を生成するための、以下に詳細に説明される効率的で環境に優しい使用済み苛性剤処理方法を提供する。
【0087】
例示的な一実施形態では、ライン242中のスポンジオフガス流は、スポンジオフガス流のライン247中の第1の部分と、ライン248中の第2の部分とに分割され得る。ライン247中のスポンジオフガス流の第1の部分は、選択的苛性剤スクラバユニット260内でライン261中の苛性剤流と接触される。選択的苛性剤スクラバユニット260では、ライン261中の苛性剤流は、二酸化炭素よりもライン247中のスポンジオフガス流の第1の部分から硫黄を選択的に除去する。本プロセスの例示的な一実施形態によれば、ライン247中のスポンジオフガス流の第1の部分は、2ミリ秒~2秒の範囲の期間にわたってライン261中の苛性剤流と接触して、スポンジオフガス流の第1の部分から硫黄を選択的に除去して、硫黄リーンスポンジオフガス流262及びライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供する。硫黄リーンスポンジオフガス流は、ライン262で取り出され得る。選択的苛性剤スクラバユニット260におけるライン247中のスポンジオフガス流とライン261中の苛性剤流との間の短い接触時間は、苛性剤流への硫化水素を除去しながら、二酸化炭素が苛性剤流に移動しないか、又は実質的に少ない二酸化炭素が苛性剤流に移動することを確実にする。例示的な一実施形態では、ライン261中の苛性剤流は、選択的苛性剤スクラバユニット260において、ライン247のスポンジオフガス流中の硫化水素の少なくとも99重量%を選択的に除去することができ、ライン247中のスポンジオフガス流から5000wppm~50wppmの量の硫化水素を除去する。本開示の別の例示的な実施形態によれば、硫黄リーンスポンジオフガス流262は、50wppm未満の硫化水素を含み得る。二酸化炭素の移動がないか又は実質的に少ないことにより、炭酸ナトリウムの形成及び選択的苛性剤スクラバユニット260の閉塞を含む操作上の問題が回避され、また、不必要な苛性剤の使用が最小限に抑えられる。このため、本プロセスは、比較的低容量の苛性剤を必要とし、ライン247中のスポンジオフガス流から硫黄を選択的に除去する。本プロセスによれば、選択的苛性剤スクラビングは、非選択的な従来のプロセスと比較して、苛性剤消費を4~60倍の範囲で低減させることができる。ライン247中のスポンジオフガス流のための選択的苛性スクラビングは、アミン系と比較して苛性スクラビングのための資本費用が低いという利点を提供する。本開示の一例示的な実施形態では、ライン261中の苛性剤流は、45kg/時間(100lb/時間)~454kg/時間(1000lb/時間)の流量で選択的苛性剤スクラバユニット260に送られて、ライン247内のスポンジオフガス流の第1の部分から硫黄を選択的に除去することができる。ライン261中の苛性剤流は、5重量%~15重量%の濃度を有する苛性溶液、又は6重量%~12重量%の濃度を有する苛性溶液を含み得る。選択的苛性剤スクラバユニット260では、ライン261中の苛性剤流からの苛性剤は、ライン247中のスポンジオフガス流中に存在する硫化水素と反応し、ナトリウムの硫化物及び二硫化物を生成し得る。生成したナトリウムの硫化物及び二硫化物は、ライン264中の硫黄リッチの使用済み苛性剤流中に残る。例示的な一実施形態では、ライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流は、硫化ナトリウム及び/又は二硫化ナトリウムを4重量%~8重量%の量で含み得る。ライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流中の炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムの量は、最小限であると予想される。
【0088】
分留塔250に戻って参照すると、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流の第1の部分は、苛性剤スクラバユニット270においてライン271中の苛性剤流と接触させられ得る。ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流の第1の部分は、苛性剤スクラバユニット270内で精製されて、硫黄リーンLPG流272及びライン274中の使用済み苛性剤流を提供し得る。苛性剤スクラバユニット270におけるライン255中のLPG炭化水素を含む液体流のための苛性処理工程は、ライン247中のスポンジオフガス流のために用いられるような硫黄除去のための選択的苛性処理でなくてもよい。ライン271中の苛性剤流は、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流の第1の部分と接触するとき、ライン274中の使用済み苛性剤流中の液体流255からとりわけ二酸化炭素及び硫化水素を除去する。例示的な一実施形態では、ライン271中の苛性剤流は、ライン274中の使用済み苛性剤流内にライン255中のLPG炭化水素を含む液体流中の二酸化炭素の少なくとも99.9重量%を除去することができる。別の例示的な実施形態では、ライン271中の苛性剤流は、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流から硫化水素の少なくとも99重量%を除去することができる。本開示の別の例示的な実施形態によれば、硫黄リーンLPG流272は、10wppm以下の硫化水素及び10wppm以下の二酸化炭素を含み得る。硫黄リーンLPG流は、ライン272中で取り出される。このため、ライン274中の使用済み苛性剤流及びライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流の両方が、ガス流から硫黄を除去する。したがって、ライン274中の使用済み苛性剤流はまた、ライン274中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流と呼ぶこともできる。しかしながら、ライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流は、ライン274中の使用済み苛性剤流よりも比較的高い濃度の除去された硫化水素を含む。
【0089】
本プロセスはまた、廃棄コストを低減した、使用済み苛性剤流の効率的かつ環境に優しい取り扱い及び廃棄のための使用済み苛性剤処理工程を開示する。本プロセスの苛性処理工程は、使用済み苛性剤流を固体硫黄生成物/塩に変換し、処理ガス流を提供する。本プロセスによれば、ライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流及びライン274中の使用済み苛性剤流は、熱酸化ユニット280に送られ、そこで処理されてもよい。
【0090】
苛性剤スクラバユニット270では、ライン271中の苛性剤流の苛性剤は、ライン255中のLPG炭化水素を含む液体流中に存在する硫化水素と反応し、ナトリウムの硫化物及び二硫化物を生成し得る。生成したナトリウムの硫化物及び二硫化物は、ライン274中の使用済み苛性剤流中に残る。ライン274中の使用済み苛性剤流は、硫化ナトリウム、二硫化ナトリウム、及び炭酸ナトリウムを含む。苛性剤スクラバユニット270における苛性スクラビングは非選択的苛性スクラビングであるので、苛性剤は、硫化水素と反応する間に二酸化炭素とも反応して、炭酸ナトリウムを生成する。ライン274中の使用済み苛性剤流はまた、未反応苛性剤、水、及び液相中に溶解した微量の炭化水素、主にC3、C4もまた含み得る。例示的な一実施形態では、ライン274中の使用済み苛性剤流は、硫化ナトリウム及び/又は二硫化ナトリウムを4重量%~8重量%の量で含み得る。
【0091】
ライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流の組成は、ライン274中の使用済み苛性剤流と同様であるが、選択的苛性剤スクラバユニット260中での選択的スクラビングのために炭酸ナトリウムを全く含有しないか又は非常に少量のみ含有し得るという1つの重要な違いがある。選択的苛性剤スクラバユニット260では、ライン247中のスポンジオフガス流の第1の部分とライン261中の苛性剤流との間の接触時間が非常に短いため、苛性剤と二酸化炭素との反応はほとんど又は全くない。そのため、苛性剤は、硫化水素とのみ反応するための十分な時間を有し、炭酸ナトリウムを生成するために、二酸化炭素とは反応しない。ライン264中の硫黄リッチな使用済み苛性剤流はまた、液相中に溶解した微量のC及びC炭化水素も有し得る。
【0092】
熱酸化ユニット280は、熱酸化セクション、クエンチセクション、及びスクラビングセクションを備える。熱酸化ユニット280は、任意選択的に、窒素酸化物除去セクションを含み得る。ライン264中の硫黄リッチな使用済み苛性剤流及びライン274中の使用済み苛性剤流は、熱酸化セクションに送られる。炭化水素質ガス流もまた、燃料ガスとして熱酸化ユニット280の熱酸化セクションに送られる。例示的な一実施形態では、ライン248中のスポンジオフガス流の第2の部分は、燃料ガスとして熱酸化ユニット280の熱酸化セクションに送られ得る。ライン249中の空気流もまた、熱酸化セクションに送られる。ライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流及びライン274中の使用済み苛性剤流は、熱酸化ユニット280の熱酸化セクション中で熱酸化される。ライン264中の硫黄リッチ使用済み苛性剤流及びライン274中の使用済み苛性剤流の熱酸化は、800℃~1300℃の温度において、0.5~2秒の滞留時間で実施される。
【0093】
ナトリウムイオンは、炭化水素の燃焼からの二酸化炭素(CO)及び酸素(O)と反応して、酸化ナトリウム、並びに限定されるものではないが、NaO、NaCO及びNaHCO(及びその水和物)を含む炭酸塩微粒子を形成する。NaHCOは、NaCOに更に変換され得る。使用済み苛性剤供給物からの硫化物は、限定されるものではないが、SO及びSOを含む酸化硫黄微粒子に変換される。形成された煙道ガスは、クエンチセクションに流れ、そこで煙道ガス流の温度が低減される。クエンチセクションでは、クエンチ媒体が、煙道ガス流の温度を低減させるために送られる。好適なクエンチ媒体としては、空気、水、又は好適なガス流を挙げることができる。
【0094】
硫黄酸化ユニットは、煙道ガス流から熱を回収することによって蒸気又は高温油を生成するための廃熱ボイラーを有する任意選択の廃熱回収セクションを含むことができる。
その後、熱酸化セクションからの煙道ガス流は、スクラビングセクションに送られる。スクラビングセクションは、熱酸化セクションからの煙道ガス流のための硫黄酸化物除去セクションと呼ばれ得る。本プロセスによれば、スクラビングセクションは、乾式スクラビングとして既知の酸及び水の露点を上回るか、又は湿式スクラビングとして既知の酸及び水の露点を下回って硫黄酸化物を除去することができる。乾式スクラビングには、以下のスクラビング試薬のうちの1つ以上を使用することができる:重炭酸ナトリウム(NaHCO)、NaHCO・NaCO・2(HO)、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、及び水酸化マグネシウム(Mg(OH))。乾式スクラビングに関して、煙道ガス流は、最初に酸及び水の露点を上回る温度まで冷却される。酸及び水の露点を上回る温度に冷却する必要があるのは、煙道ガス流の乾式スクラビングの間に形成され得る固体粒子を分離するために使用されるフィルタシステムの設計温度に起因する。煙道ガス流の乾式スクラビングでは、煙道ガスがスクラビング試薬と接触するとき、以下の硫黄酸化物スクラビング生成物のいずれかが生成され得る:炭酸ナトリウム(NaCO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、硫酸マグネシウム(MgSO)。このため、煙道ガス流の乾式スクラビングは、ナトリウム、マグネシウム又はカルシウム塩のうちの1つ以上を生成することができる。場合によっては、煙道ガス流の乾式スクラビング中に、スクラビング試薬の熱分解が行われてもよい。そのため、炭酸塩もまた、煙道ガス流の乾式スクラビングの間に形成され得る。例えば、煙道ガス流に注入されたNaHCOは、NaCOに熱分解し、NaCOは、その後、硫黄酸化物と反応して、NaSOを形成する。好適な濾過システムが、形成された固体粒子、例えば、NaCO及びNaSOを分離するために使用され得る。好適な濾過工程は、固体粒子を分離するためのバッグフィルタ又は静電集塵器(Electrostatic Precipitator、ESP)を含み得る。
【0095】
煙道ガス流の湿式スクラビングに関して、苛性剤(NaOH)をスクラビング試薬として使用することができる。煙道ガス流と接触した苛性剤は、硫黄酸化物と反応して、NaSO及び/又はNaSOの形態の液体ナトリウム塩を生成する。
【0096】
スクラビング工程は、ナトリウム塩に変換することによってSO及びSOを煙道ガスから除去する。このようにして生成されたナトリウム塩は、スクラビングセクションから連続的にパージされる。
【0097】
供給物中のハロゲンの存在は、ダイオキシン及び/又はフランの形成をもたらし得る。これらの化合物は、ガスが放出される前に除去されなければならない。したがって、スクラビングセクションからの煙道ガスは、任意選択の窒素酸化物除去セクション及びダイオキシン/フラン分解セクションに送られ得る。燃料ガス流及び空気はまた、燃焼のために窒素酸化物除去セクションに送られる。アンモニア及び/又は尿素流もまた、窒素酸化物除去セクションに導入され得る。洗浄セクションからの煙道ガス流中のあらゆるダイオキシン又はフラン化合物は除去され、及び/又はNOxは、N2に還元されて、窒素酸化物除去セクションにおいて処理ガスを形成する。処理ガスは、ライン282において大気に放出することができる。供給物中にハロゲンが存在しない場合、洗浄セクションからの煙道ガスは、処理ガス流であり、これは次いでライン282において排気筒から大気中に放出することができる。
【0098】
上記のライン、導管、ユニット、デバイス、容器、周囲環境、ゾーン、又は同様のもののいずれも、センサ、測定デバイス、データ捕捉デバイス、又はデータ送信デバイスを含む1つ以上の監視構成要素で装備されてもよい。監視構成要素からの信号、プロセス、又は状態測定値、並びにデータを使用して、プロセス機器内、その周囲、及びその上の状況を監視することができる。監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、プライベート若しくはパブリック、一般的若しくは特定的、直接若しくは間接的、有線若しくは無線、暗号化若しくは非暗号化、及び/又はそれらの組み合わせであってもよい1つ以上のネットワーク又は接続を介して収集、処理、及び/又は送信されてもよい。本明細書は、この点において限定することを意図するものではない。更に、図は、1つ以上の導管上に位置付けられた12、22、32、42、及び52などの1つ以上の例示的なセンサを示す。それにもかかわらず、対応するパラメータがそれに応じて制御され得るように、各流れの上にセンサが存在してもよい。
【0099】
監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムに送信されてもよい。コンピューティングデバイス又はシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、1つ以上のコンピューティングデバイスに1つ以上の工程を含み得るプロセスを実施させる、コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を含み得る。例えば、1つ以上のコンピューティングデバイスは、1つ以上の監視構成要素から、プロセスと関連付けられた機器の少なくとも一部品に関連するデータを受信するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、データを分析するように構成されてもよい。データの分析に基づいて、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を決定するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を含む暗号化又は非暗号化データを送信するように構成されてもよい。
【実施例
【0100】
苛性剤流と処理流との非常に短い接触時間を用いてストリッパオフガス流の一部分から硫化水素を選択的に除去することを実証するために、プロセスシミュレーション例が実施された。シミュレーション結果は、以下の表に示される:
【0101】
【表1】
【0102】
表に示されるように、SORでは、オフガス速度が著しく低く、COの絶対量が少ないため、50モルppm未満のHSを達成するために、2秒の接触時間が必要であった。EORでは、COの量が多いため、pHは、10未満である。そのため、pHを10を上回ってシフトさせるために、著しくより短い接触時間が必要とされた。より短い滞留時間又は接触時間は、苛性剤によるより少ないCOピックアップを確実にして、より少ない炭酸塩及び重炭酸塩の蓄積で10より大きいpH値を維持する。シミュレーション結果によれば、50モルppm未満のHSを達成するために、2ミリ秒のEOR接触時間が必要であった。表から明らかなように、オフガス流の選択的苛性剤処理により、HS除去に必要な苛性剤は、HS及びCOの両方の除去に必要な化学量論的苛性剤の量と比較して著しく低減される。したがって、HS及びCOの両方を除去するためのオフガス流の処理に必要とされる全苛性剤は、選択的苛性剤によって減少した。
【0103】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0104】
本開示の第1の実施形態は、供給原料を水素化処理するためのプロセスであり、本プロセスは、供給原料を含む供給物流を、水素化処理水素流及び水素化処理触媒の存在下で水素化処理して、水素化処理済み流を提供することと、水素化処理済み流を、水素化処理済み液体流と水素化処理済みガス流とに分離することと、水素化処理済み液体流をストリッピングして、ストリッパオフガス流を提供することと、ストリッパオフガス流の少なくとも一部を苛性剤流と接触させて、硫黄リーンガス流及び硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、ストリッパオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させる工程は、オフガス流の少なくとも一部分から硫黄を選択的に除去することを含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、硫黄リッチ使用済み苛性剤流中の硫黄を燃焼させて、ナトリウム塩及び煙道ガス流を提供することと、煙道ガス流を精製して、処理ガス流を提供することと、を更に含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、水素化処理済み液体流をストリッピングする工程は、水素化処理液体済み流をストリッパカラムに送って、塔頂ガス状流及びディーゼルを含む塔底流を提供することと、塔頂ガス状流を凝縮して、ストリッパオフガス流及びストリッパ塔頂液体流を提供することと、スポンジ吸収器内でストリッパオフガス流をスポンジオイル流と接触させて、LPG炭化水素リッチスポンジオイル流、並びに硫化水素、水、及び二酸化炭素のうちの1つ以上を含むスポンジオフガス流を提供することと、スポンジオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させて、硫黄リーンスポンジオフガス流及び硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、スポンジオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させる工程は、硫黄リッチ苛性剤流中の二酸化炭素よりも大きい割合の硫化水素をスポンジオフガス流から選択的に除去することを含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、スポンジオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させる工程は、スポンジオフガス流をスポンジオフガス流の第1の部分と第2の部分とに分割することと、スポンジオフガス流の第1の部分を苛性剤流と接触させて、硫黄リーンスポンジオフガス流及び硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、ストリッパ塔頂液体流及び/又はLPG炭化水素リッチスポンジオイル流を分留塔において分留して、分留塔塔頂ガス状流及び分留塔塔底ナフサ流を提供することと、分留塔塔頂ガス状流を凝縮して、分留塔オフガス流及びLPG炭化水素を含む液体流を提供することと、LPG炭化水素を含む液体流の第1の部分を苛性剤スクラバ内で精製して、硫黄リーンLPG流及び使用済み苛性剤流を提供することと、LPG炭化水素を含む液体流の第2の部分を分留塔に再循環させることと、を更に含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、硫黄リッチ使用済み苛性剤流及び使用済み苛性剤流を熱酸化ユニットにおいて処理することを更に含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、硫黄リッチ使用済み苛性剤流及び使用済み苛性剤流を処理することは、硫黄リッチ使用済み苛性剤流を熱酸化ユニットに送ることと、硫黄リッチ使用済み苛性剤流中に存在する硫黄を燃焼させて、硫黄酸化物を含む煙道ガス流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、炭化水素質ガス流を熱酸化ユニットに送ることを更に含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、炭化水素質ガス流は、スポンジオフガス流の第2の部分を含む。本開示の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、スポンジオイル流は、分留塔塔底ナフサ流及びディーゼルを含む塔底流のうちの1つ以上を含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、水素化処理済みガス流を再循環ガス流とパージガス流とに分割することと、パージガス流から水素を回収して、水素リッチガス流及びテールガス流を提供することと、テールガス流をスポンジ吸収器に送って、スポンジオイル流と接触させることと、を更に含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、供給原料中に、バイオ再生可能供給物を含む。本発明の一実施形態は、この段落の第1の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、オフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と2ミリ秒~2秒の範囲の期間接触させて、オフガス流の少なくとも一部分から硫黄を選択的に除去することを更に含む。
【0105】
本開示の第2の実施形態は、供給原料を水素化処理するためのプロセスであり、本プロセスは、バイオ再生可能供給原料を含む供給物流を、水素化処理水素流、及び硫化水素、及び水素化処理触媒の存在下で水素化処理して、水素化処理済み流を提供することと、水素化処理済み流を、水素化処理液体済み流と水素化処理済みガス流とに分離することと、水素化処理済み液体流をストリッピングして、ストリッパオフガス流を提供することと、ストリッパオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させて、硫黄リーンガス流及び硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、硫黄リッチ使用済み苛性剤流中の硫黄を燃焼させて、硫黄酸化物を含む煙道ガス流を提供することと、煙道ガス流をスクラビング試薬で処理して、塩を生成し、処理ガス流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、この段落の第2の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、ストリッパオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させる工程は、オフガス流の少なくとも一部分から硫黄を選択的に除去することを含む。本開示の一実施形態は、この段落の第2の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、ストリッパオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させる工程は、ストリッパオフガス流の少なくとも一部分をスポンジ吸収器内でスポンジオイル流と接触させて、スポンジオフガス流及びLPG炭化水素リッチスポンジオイル流を提供することと、スポンジオフガス流をスポンジオフガス流の第1の部分と第2の部分とに分割することと、スポンジオフガス流の第1の部分を苛性剤流と接触させることと、を含む。本開示の一実施形態は、この段落の第2の実施形態までを含むこの段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てであり、硫黄リッチ使用済み苛性剤流中の硫黄とともにスポンジオフガス流の第2の部分を燃焼させて、煙道ガス流を提供することを更に含む。
【0106】
本開示の第3の実施形態は、供給原料を水素化処理するための装置であって、バイオ再生可能供給原料を水素化処理するためのバイオ再生可能水素化処理反応器と、固体媒体を含む精製ユニットと、精製ユニットと下流で流体連通するストリッパカラムと、精製ユニット及びストリッパカラムと下流で流体連通するスポンジ吸収カラムと、塔頂ラインを介してスポンジ吸収カラムと流体連通している苛性剤スクラバカラムと、使用済み苛性剤流を介して苛性剤スクラバカラムと下流で流体連通している熱酸化ユニットと、を備える。
【0107】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく本開示を最大限まで利用し、かつ本開示の本質的な特性を容易に確認することができ、本開示の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0108】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料を水素化処理するためのプロセスであって、
水素化処理水素流及び水素化処理触媒の存在下で供給原料を含む供給物流を水素化処理して、水素化処理済み流を提供することと、
前記水素化処理済み流を、水素化処理済み液体流と水素化処理済みガス流とに分離することと、
前記水素化処理済み液体流をストリッピングして、ストリッパオフガス流を提供することと、
前記ストリッパオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させて、硫黄リーンガス流及び硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
供給原料を水素化処理するためのプロセスであって、
水素化処理水素流、及び硫化水素、及び水素化処理触媒の存在下でバイオ再生可能供給原料を含む供給物流を水素化処理して、水素化処理済み流を提供することと、
前記水素化処理済み流を、水素化処理済み液体流と水素化処理済みガス流とに分離することと、
前記水素化処理済み液体流をストリッピングして、ストリッパオフガス流を提供することと、
前記ストリッパオフガス流の少なくとも一部分を苛性剤流と接触させて、硫黄リーンガス流及び硫黄リッチ使用済み苛性剤流を提供することと、
前記硫黄リッチ使用済み苛性剤流中の硫黄を燃焼させて、硫黄酸化物を含む煙道ガス流を提供することと、
前記煙道ガス流をスクラビング試薬で処理して、塩を生成し、処理済みガス流を提供することと、を含む、プロセス。
【請求項3】
供給原料を水素化処理するための装置であって、
バイオ再生可能供給原料を水素化処理するためのバイオ再生可能水素化処理反応器と、
固体媒体を含む精製ユニットと、
前記精製ユニットと下流で流体連通するストリッパカラムと、
前記精製ユニット及び前記ストリッパカラムと下流で流体連通するスポンジ吸収カラムと、
塔頂ラインを介して前記スポンジ吸収カラムと流体連通する苛性剤スクラバカラムと、
使用済み苛性剤流を介して前記苛性剤スクラバカラムと下流で流体連通する熱酸化ユニットと、を備える、装置。
【国際調査報告】