(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】石油化学原料を生成するためのプラスチックの触媒熱分解
(51)【国際特許分類】
C08J 11/12 20060101AFI20241003BHJP
B01J 35/77 20240101ALI20241003BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20241003BHJP
B01J 35/40 20240101ALI20241003BHJP
B01J 29/46 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08J11/12
B01J35/77
B01J37/00 C
B01J35/40
B01J29/46 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521042
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022045807
(87)【国際公開番号】W WO2023059738
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(71)【出願人】
【識別番号】511095735
【氏名又は名称】ユニヴェルシダッド デル パイス ヴァスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウー-チェン
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,ロバート・ヒバード
(72)【発明者】
【氏名】パドバニ,アレッシア
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,グアン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス サバルベイティア,ガルツェン
(72)【発明者】
【氏名】オラザール・アウレコエチェア,マーティン
【テーマコード(参考)】
4F401
4G169
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401BA13
4F401CA46
4F401CA52
4F401CA69
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4G169ZF02B
4G169ZF05A
4G169ZF07A
4G169ZF09A
(57)【要約】
本技術は、一般に、熱分解によってプラスチックをオレフィン及び芳香族に変換するプロセスに関し、プラスチック原料から、オレフィン及び芳香族化合物のうちの少なくとも1つ以上を生成するプロセスは、プラスチック原料と触媒組成物とを、円錐形噴流層反応器において約450℃~約650℃の温度で、かつプラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間、接触させることを含み、触媒組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w超のZSM-5を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック原料から、オレフィン及び芳香族化合物のうちの少なくとも1つ以上を生成するプロセスであって、前記プロセスが、
プラスチック原料と触媒組成物とを、円錐形噴流層反応器において約450℃~約650℃の温度で、かつ前記プラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間、接触させることを含み、
前記触媒組成物が、前記触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w超のZSM-5を含む、プロセス。
【請求項2】
前記触媒組成物が、前記触媒組成物の総重量に基づいて、約45%w/w超のZSM-5を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記触媒組成物が、前記触媒組成物の総重量に基づいて、約45%w/w~約80%w/wのZSM-5を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記触媒組成物が、約0.05mm~約5mmの範囲のサイズを有する粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒組成物が、約0.8mm~約5mmのサイズを有する粒子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記触媒組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、約5%w/w~約15%w/wのP
2O
5を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記触媒組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、約40%w/w以下のAl
2O
3を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ZSM-5が、約0.4ミクロン未満の結晶子サイズを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記触媒組成物が、噴霧乾燥、押出、又はビーズ形成方法によって形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ビーズ形成方法が、凝集である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ZSM-5が、粒子内で活性マトリックスと組み合わされる、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ZSM-5が、別個の粒子として活性マトリックスと組み合わされる、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ZSM-5が、ZSM-11、フォージャサイト、モルデナイト、及びベータから選択される1つ以上のゼオライトと組み合わされる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
ZSM-5と1つ以上のゼオライトとの組み合わせが、高分子の熱分解を促進する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ZSM-5が、別個の粒子として、ゼオライトY、超安定Yゼオライト(USY)、希土類交換Y(REY)、希土類交換USY(REUSY)、脱アルミニウム化Y(DeAIY)、及び超疎水性Y(UHPY)から選択される1つ以上のY型ゼオライトと組み合わされる、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記プラスチック原料と前記触媒組成物とを接触させることが、約500℃~約600℃の温度で接触させることである、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記プラスチック原料が、溶媒に溶解された、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、天然及び合成ゴム、タイヤ、充填ポリマー、複合材料、プラスチックアロイ、並びにプラスチックのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プラスチック原料が、溶媒に溶解されたポリエチレンを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記プラスチック原料が、溶媒に溶解されたポリプロピレンを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記少なくとも1つ以上のオレフィンが、エチレン、プロピレン、及びブテンから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記プロセスが、前記プラスチック原料を約35重量%超のエチレン、プロピレン、及びブテンに変換する、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記プロセスが、前記プラスチック原料を約20重量%超のプロピレンに変換する、請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
前記少なくとも1つ以上の芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記プラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間が、約0.2~約10時間の範囲の空間時間である、請求項1~23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記円錐形噴流層反応器が、ドラフトチューブ及び制限器を備える、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記円錐形噴流層反応器が、D
Oのガス入口開口部、及びD
Cの、前記円錐形噴流層反応器の円筒部の直径を有し、前記制限器が、D
Gの直径を有し、前記ドラフトチューブが、H
Gの、前記ドラフトチューブの上部から前記ドラフトチューブの底部までの距離を有する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
H
Gが、約3~約4×D
Oである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
H
Gが、約1.5~2.5×D
Oである、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
H
Gが、約2×D
Oである、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
D
Gが、約3×D
O~約0.7D
Cである、請求項26~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
D
Gが、約4~約6×D
Oである、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
D
Gが、約5×D
Oである、請求項31に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月6日出願の米国特許仮出願第63/252,861号に対する優先権の利益を主張するものであり、ありとあらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本技術は、一般に、熱分解によるプラスチックからオレフィン及び芳香族化合物への変換に関する。具体的には、本技術は、40%w/w超のZSM-5を含む触媒組成物、並びにプラスチックからオレフィン及び芳香族化合物への触媒熱分解のための、円錐形噴流層反応器においてそのような組成物を調製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
酸素の非存在下及び触媒の存在下でポリマー材料を加熱することによるポリマー材料の分解を含む、触媒熱分解は、プラスチック廃棄物をリサイクルするための魅力的な方法である。シリカ-アルミナ、ゼオライト、及び流動接触分解(fluid catalytic cracking、FCC)触媒は、エネルギー要件を低下させ、分解を通して生成物の組成に影響を与え、プロセス時間を短縮するために、一般に使用される。触媒熱分解は広く研究されてきたが、軽質オレフィン及び芳香族化合物などの望ましい生成物の収率を最大にし、かつメタン及びエタンなどの望ましくない生成物の収率を最小にする、より効率的な触媒熱分解方法を開発する必要性が残っている。特に、プロピレンは、世界で最大かつ最も急速に成長している合成材料及び熱可塑性物質の多くで使用されているので、需要の高い特定の軽質オレフィンである。
【0004】
本開示は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどの石油化学原料を高収率で提供するために、ドラフトチューブ、及び40%w/w超のZSM-5を含む触媒組成物を有する制限器(confiner)を含む噴流層反応器を使用する廃プラスチックの触媒熱分解のための方法を提供する。
【発明の概要】
【0005】
一態様は、プラスチック原料から、オレフィン及び芳香族化合物のうちの少なくとも1つ以上を生成するプロセスであって、プロセスが、プラスチック原料と触媒組成物とを、円錐形噴流層反応器において約450℃~約650℃の温度で、かつプラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間、接触させることを含み、触媒組成物が、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w超のZSM-5を含む、プロセスである。
【0006】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて、約45%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、又は約80%w/w超のZSM-5を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w~約80%w/w、約45%w/w~約80%w/w、約50%w/w~約80%w/w、約55%w/w~約80%w/w、約60%w/w~80%w/w、約65%w/w~約80%w/w、約70%w/w~約80w/w、又は約75%w/w~約80%w/wのZSM-5を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、約0.05mm~約5mmの範囲のサイズを有する粒子を含む。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、約0.8mm~約5mm又は約1.0mm~約2.5mmのサイズを有する粒子を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、約0.05、約0.06mm、約0.07mm、約0.08mm、約0.09mm、約0.1mm、約0.2mm、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、又は約2.5mmのサイズを有する粒子を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、組成物の総重量に基づいて、約5%w/w~約15%w/wのP2O5を含む。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、組成物の総重量に基づいて、約5%、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、又は約15%w/wのP2O5を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、組成物の総重量に基づいて、約40%w/w以下のAl2O3を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、約0.4ミクロン未満の結晶子サイズを有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、噴霧乾燥、押出、又はビーズ形成方法によって形成される。いくつかの実施形態では、ビーズ形成方法は、凝集である。
【0014】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、粒子内で活性マトリックスと組み合わされる。いくつかの実施形態では、ZSM-5は、別個の粒子として活性マトリックスと組み合わされる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、ZSM-11、フォージャサイト、モルデナイト、及びベータから選択される1つ以上のゼオライトと組み合わされる。いくつかの実施形態では、ZSM-5と1つ以上のゼオライトとの組み合わせは、高分子の熱分解を促進する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、別個の粒子として、ゼオライトY、超安定Yゼオライト(ultrastable Y zeolite、USY)、希土類交換Y(rare earthexchanged Y、REY)、希土類交換USY(rare earth exchanged USY、REUSY)、脱アルミニウム化Y(dealuminated Y、DeAIY)、及び超疎水性Y(ultrahydrophobicY、UHPY)から選択される1つ以上のY型ゼオライトと組み合わされる。
【0017】
いくつかの実施形態では、プラスチック原料と触媒組成物とを接触させることは、約500℃~約600℃の温度で接触させることである。いくつかの実施形態では、プラスチック原料と触媒組成物とを接触させることは、約450℃、約460℃、約470℃、約480℃、約490℃、約500℃、約510℃、約520℃、約530℃、約540℃、約550℃、約560℃、約570℃、約580℃、約590℃、約600℃、約610℃、約620℃、約630℃、約640℃、又は約650℃の温度で接触させることである。
【0018】
いくつかの実施形態では、プラスチック原料は、溶媒に溶解された、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、天然及び合成ゴム、タイヤ、充填ポリマー、複合材料、プラスチックアロイ、並びにプラスチックのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、プラスチック原料は、溶媒に溶解された、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE))を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック原料は、溶媒に溶解されたポリプロピレンを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ以上のオレフィンは、エチレン、プロピレン、及びブテンから選択される。いくつかの実施形態では、本プロセスは、プラスチック原料を、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を超えるエチレン、プロピレン、及びブテンに変換する。いくつかの実施形態では、本プロセスは、プラスチック原料を、約20重量%、約25重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を超えるプロピレンに変換する。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ以上の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、及びキシレンから選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、プラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間は、約0.2~約10時間の範囲の空間時間である。
【0022】
いくつかの実施形態では、円錐形噴流層反応器は、ドラフトチューブ及び制限器を備える。
図4に示すように、いくつかの実施形態では、円錐形噴流層反応器は、D
Oのガス入口開口部、及びD
Cの、円錐形噴流層反応器の円筒部の直径を有し、制限器は、D
Gの直径を有し、ドラフトチューブは、H
Gの、ドラフトチューブの上部からドラフトチューブの底部までの距離を有する。いくつかの実施形態では、H
Gは、約3~約4×D
Oであり得る。いくつかの実施形態では、H
Gは、約1.5~2.5×D
Oであり得る。いくつかの実施形態では、H
Gは、約2×D
Oであり得る。いくつかの実施形態では、D
Gは、約3×D
O~約0.7D
Cであり得る。いくつかの実施形態では、D
Gは、約4~約6×D
Oであり得る。いくつかの実施形態では、D
Gは、約5×D
Oである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】先行技術からの従来の噴流層反応器の概略図である。
【
図2】例示的な実施形態による、ドラフトチューブ及び制限器を有する噴流層反応器の概略図である。
【
図3】開放側壁及び閉鎖側壁を有するドラフトチューブの2つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図4】寸法が例示されたドラフトチューブ及び制限器の配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
様々な実施形態が以下に記載される。特定の実施形態は、網羅的な記載として、又は本明細書で論じられるより広い態様への限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態と併せて記載される一態様は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、任意の他の実施形態で実践することができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者に理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化するであろう。当業者には明らかでない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約(about)」は、特定の用語の最大プラス又はマイナス10%を意味するであろう。
【0026】
要素を記載する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」、並びに同様の指示対象は、本明細書において別途指示がない限り、又は内容が明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特に指示がない限り、この範囲内にある各別個の値を個々に指す簡略な方法としての役目を果たすことを意図しているに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別途指示がない限り、又は別様に内容が明らかに矛盾していない限り、任意の好適な順序で行われ得る。本明細書に提供されるあらゆる全ての例、又は例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、実施形態をよりよく説明することを意図しているに過ぎず、特に明記されていない限り、特許請求の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、任意の請求されない要素を不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0027】
本明細書では、ドラフトチューブ及び制限器を含む噴流層反応器と、触媒組成物の総重量に基づいて約40%w/w超のZSM-5を含む触媒組成物とを使用して、廃プラスチックをプロピレンなどの貴重な石油化学原料に高収率で変換するためのプロセスが開示される。
【0028】
実施例に示されるように、本開示の発明者らは、40%w/w超のZSM-5を含む触媒と組み合わせてドラフトチューブ及び制限器を含む噴流層反応器を使用することで、プラスチックを、エチレン、プロピレン、ブチレンなどの石油化学原料に高収率で触媒的に変換することができることを発見した。これらの石油化学原料は、より循環的な経済のために有用なプラスチックに再加工され得る。
【0029】
ZSM-5触媒組成物
本明細書に記載される触媒組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて、40%w/w超のZSM-5(米国特許第3,702,886号及びRE29,948)、形状選択性ゼオライトを含む。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて、約45%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、又は約80%w/wを超えるZSM-5を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w~約80%w/w、約45%w/w~約80%w/w、約50%w/w~約80%w/w、約55%w/w~約80%w/w、約60%w/w~80%w/w、約65%w/w~約80%w/w、約70%w/w~約80w/w、又は約75%w/w~約80%w/wのZSM-5を含む。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w、約45%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、又は約80%w/wのZSM-5を含む。
【0031】
本明細書に記載される触媒組成物は、約0.05mm~約5mmの範囲のサイズを有する粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、約0.8mm~約5mm又は約1.0mm~約2.5mmのサイズを有する粒子を含む。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、約0.05、約0.06mm、約0.07mm、約0.08mm、約0.09mm、約0.1mm、約0.2mm、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、又は約5.0mmのサイズを有する粒子を含む。
【0032】
本明細書に記載される触媒組成物は、組成物の総重量に基づいて、約5%w/w~約15%w/wのP2O5を含み得る。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、組成物の総重量に基づいて、約5%、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、又は約15%w/wのP2O5を含む。
【0033】
本明細書に記載される触媒組成物は、組成物の総重量に基づいて、約35%w/w以下、約30%w/w以下、約25%w/w以下、及び約20%w/w以下を含む、約40%w/w以下のAl2O3を含み得る。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、組成物の総重量に基づいて、約40%w/w、約35%w/w、約30%w/w、約25%w/w、約20%w/wのAl2O3を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満、約0.09未満、約0.08未満、約0.07未満、約0.06未満、約0.05未満、約0.04未満、約0.03未満、約0.02未満、及び約0.01ミクロン未満を含む、約0.4ミクロン未満の結晶子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ZSM-5は、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.2、約0.3、又は約0.4ミクロンを含む、約0.01ミクロン~約0.4ミクロンの結晶子サイズを有する。
【0035】
本明細書に記載の触媒組成物は、噴霧乾燥、押出、又は凝集などのビーズ形成方法によって形成され得る。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、噴霧乾燥によって形成される。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、押出によって形成される。いくつかの実施形態では、本触媒組成物は、凝集を含むビーズ形成方法によって形成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、粒子内で活性マトリックスと組み合わされる。いくつかの実施形態では、ZSM-5は、別個の粒子として活性マトリックスと組み合わされる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、ZSM-11、フォージャサイト、モルデナイト、及びベータから選択される1つ以上のゼオライトと組み合わされる。いくつかの実施形態では、ZSM-5と1つ以上のゼオライトとの組み合わせは、高分子の熱分解を促進する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ZSM-5は、別個の粒子として、ゼオライトY(米国特許第3,130,007号)、超安定Yゼオライト(USY)(米国特許第3,449,070号)、希土類交換Y(REY)(米国特許第4,415,438号)、希土類交換USY(REUSY)、脱アルミニウム化Y(DeAIY)(米国特許第3,442,792及び米国特許第4.331,694号)、及び超疎水性Y(UHPY)(米国特許第4,401,556号)から選択される1つ以上のY型ゼオライトと組み合わされる。
【0039】
円錐形噴流層反応器
プラスチック熱分解反応を実施するための噴流層反応器の使用が開示されているが、しかしながら、本開示の前に開示された噴流層反応器は、ドラフトチューブ又は制限器を有していない。更に、これらの噴流層反応器で使用された触媒は、おおよそ20~25%の新しいZSM-5を含有する押出物であり、商業的性能をシミュレートするために不活性化されなかった。
【0040】
図1は、先行技術に開示された従来の円錐形噴流層反応器の概略図を示しており、ドラフトチューブ又は制限器を有していない。窒素又は水蒸気などの不活性ガスが、反応器の基部にあるオリフィスを通して触媒床に導入される。流れるガスは、触媒床を通る円筒形の経路又は噴出口を形成する。噴出口を通って流れるガスによって同伴される触媒は、触媒床の表面の上に推進され、噴水の形状に沈降して戻る。触媒は、環状領域を下方に移動して円錐床の底部に戻り、こうしてサイクルが完了する。触媒及び反応物の迅速な循環は、反応器における良好な混合を保証する。噴水部は、希薄相と呼ばれる低触媒密度の領域であり、環状部は、濃密相と呼ばれる高触媒密度の領域である。ドラフトチューブが存在しない場合、ガスの一部は噴出口の周りを流れ、環状領域を通過する。
【0041】
対照的に、本明細書に記載されるプラスチック廃棄物の触媒熱分解プロセスは、ドラフトチューブ及び制限器を含む円錐形噴流層反応器を使用する。
図2は、例示的な実施形態の概略図を示す。
図3は、開放側壁及び閉鎖側壁を有するドラフトチューブの2つの例を示す。ドラフトチューブを通って流れるガスは、チューブの底部に負圧の領域を作り出し、それが環状領域から触媒を引き込み、それをドラフトチューブの上に推進する。上部が閉鎖されている制限器は、触媒を下方に向け直す。
【0042】
ドラフトチューブは、従来の噴流層反応器と比較して、より少ないガスが環状部を通って移動するように、噴出口を通してガスを方向付ける。したがって、ドラフトチューブが存在する場合の最小噴出速度は、ドラフトチューブが存在しない場合よりもはるかに低い。
【0043】
制限器は、希薄相をより乱流混合しながらより小さい体積に制限する。制限器に添加された原料は、触媒と急速に混合される。触媒とプラスチックとの間のより高い衝突頻度は、より速い熱伝達、プラスチックの溶融、及び触媒全体にわたる溶融プラスチックの分布をもたらす。
【0044】
図4は、主要な寸法を有するドラフトチューブ及び制限器の配置の例示的な実施形態を示す。円錐形噴流層反応器は、D
Oのガス入口開口部、及びD
Cの、円錐形噴流層反応器の円筒部の直径を有する。制限器は、D
Gの直径を有する。ドラフトチューブは、H
Gの、ドラフトチューブの上部からドラフトチューブの底部までの距離を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、HGは、約3~約4×DO又は約1.5~2.5×DOであり得る。いくつかの実施形態では、HGは、約2×DOである。
【0046】
いくつかの実施形態では、DGは、約3×DO~約0.7DC又は約4~約6×DOであり得る。いくつかの実施形態では、DGは、約5×DOである。
【0047】
触媒熱分解
本明細書では、プラスチック原料から、オレフィン及び芳香族化合物のうちの少なくとも1つ以上を生成するプロセスであって、プロセスが、プラスチック原料と触媒組成物とを、円錐形噴流層反応器において約450℃~約650℃の温度で、かつプラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間、接触させることを含み、触媒組成物が、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w超のZSM-5を含む、プロセスが開示される。
【0048】
いくつかの実施形態では、プラスチック原料と触媒組成物とを接触させることは、約525℃~約575℃を含む、約500℃~約600℃の温度で接触させることである。いくつかの実施形態では、プラスチック原料と触媒組成物とを接触させることは、約450℃、約460℃、約470℃、約480℃、約490℃、約500℃、約510℃、約520℃、約530℃、約540℃、約550℃、約560℃、約570℃、約580℃、約590℃、約600℃、約610℃、約620℃、約630℃、約640℃、又は約650℃の温度で接触させることである。いくつかの実施形態では、プラスチック原料と触媒組成物とを接触させることは、約550℃の温度で接触させることである。
【0049】
本明細書に記載されるプラスチック原料は、溶媒に溶解された、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、天然及び合成ゴム、タイヤ、充填ポリマー、複合材料、プラスチックアロイ、並びにプラスチックのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、プラスチック原料は、溶媒に溶解された、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE))を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック原料は、溶媒に溶解されたポリプロピレンを含む。
【0050】
本明細書に記載される触媒プロセスについて、反応生成物は、エチレン、プロピレン、及びブテン(例えば、軽質オレフィン)から選択される少なくとも1つ以上のオレフィンを含み得る。いくつかの実施形態では、本プロセスは、プラスチック原料を、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を超えるエチレン、プロピレン、及びブテンに変換する。いくつかの実施形態では、本プロセスは、プラスチック原料を、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%のエチレン、プロピレン、及びブテンに変換する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される触媒プロセスは、高収率のプロピレンを提供する。いくつかの実施形態では、本プロセスは、プラスチック原料を、約20重量%、約25重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を超えるプロピレンに変換する。いくつかの実施形態では、プロセスは、プラスチック原料を、約20重量%、約25重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%のプロピレンに変換する。
【0052】
本明細書に記載される触媒プロセスのための反応生成物は、ベンゼン、トルエン、及びキシレンから選択される少なくとも1つ以上の芳香族化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、本プロセスは、プラスチック原料を、約20重量%、約25重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を超える1つ以上の芳香族化合物に変換する。いくつかの実施形態では、本プロセスは、プラスチック原料を、約20重量%、約25重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%の1つ以上の芳香族化合物に変換する。
【0053】
プラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間は、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、又は約10時間を含む、約0.2~約10時間の範囲の空間時間である。本明細書で使用する場合、空間時間は、1/WHSV(weight hourly space velocity、重量毎時空間速度)又は「反応器中の触媒の重量」/「1時間当たりの供給速度」を指す。
【0054】
いくつかの実施形態では、プラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間は、気相滞留時間(約0.5~約5秒)及び/又は触媒滞留時間(約2~約10分)である。いくつかの実施形態では、気相滞留時間は、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、及び約5秒を含む、約0.5~約5秒である。いくつかの実施形態では、触媒滞留時間は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、又は約10分を含む、約2~約10分である。
【0055】
したがって、一般に記載される本発明は、以下の実施例を参照して、より容易に理解され、これは例示として提供され、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0056】
実施例1
プラスチック熱分解反応を実施するための噴流層反応器の使用が開示されているが、しかしながら、本開示の前に開示された噴流層反応器は、ドラフトチューブ又は制限器を有していない。更に、これらの噴流層反応器で使用された触媒は、おおよそ20~25%の新しいZSM-5を含有する押出物であり、商業的性能をシミュレートするために不活性化されなかった。
【0057】
ドラフトチューブ又は制限器のない従来の円錐形噴流層反応器の概略図を
図1に示し、以下の実施例で使用した。窒素又は水蒸気などの不活性ガスが、反応器の基部にあるオリフィスを通して触媒床に導入される。流れるガスは、触媒床を通る円筒形の経路又は噴出口を形成する。噴出口を通って流れるガスによって同伴される触媒は、触媒床の表面の上に推進され、噴水の形状に沈降して戻る。触媒は、環状領域を下方に移動して円錐床の底部に戻り、こうしてサイクルが完了する。触媒及び反応物の迅速な循環は、反応器における良好な混合を保証する。噴水部は、希薄相と呼ばれる低触媒密度の領域であり、環状部は、濃密相と呼ばれる高触媒密度の領域である。ドラフトチューブが存在しない場合、ガスの一部は噴出口の周りを流れ、環状領域を通過する。
【0058】
実施例2
図2は、以下の実施例において使用された、ドラフトチューブ及び制限器(上部)を有する噴流層反応器の概略図を示す。開放側壁及び閉鎖側壁を有するドラフトチューブの2つの例が
図3に示されている。ドラフトチューブを通って流れるガスは、チューブの底部に負圧の領域を作り出し、それが環状領域から触媒を引き込み、それをドラフトチューブの上に推進する。上部が閉鎖されている制限器は、触媒を下方に向け直す。
【0059】
ドラフトチューブは、従来の噴流層反応器と比較して、より少ないガスが環状部を通って移動するように、噴出口を通してガスを方向付ける。したがって、ドラフトチューブが存在する場合の最小噴出速度は、ドラフトチューブが存在しない場合よりもはるかに低い。
【0060】
制限器は、希薄相をより乱流混合しながらより小さい体積に制限する。制限器に添加された原料は、触媒と急速に混合される。触媒とプラスチックとの間のより高い衝突頻度は、より速い熱伝達、プラスチックの溶融、及び触媒全体にわたる溶融プラスチックの分布をもたらす。
【0061】
ドラフトチューブ及び制限器の配置の主要な寸法が
図4に示されている。DOは、噴流層のガス入口開口部を指す。DCは、噴流層の円筒部の直径を指し、DGは、制限器の直径を指す。HGは、ドラフトチューブの上部から制限器の底部までの距離を指す。HGは、約3~4×DOであり得る。いくつかの実施形態では、HGは、約1.5~2.5DOであり得る。いくつかの実施形態では、HGは、約2×DOであるべきである。いくつかの実施形態では、DGは、約3×DO~0.7×DCであり得る。いくつかの実施形態では、DGは、約4~6×DO、又は約5×DOであり得る。
【0062】
実施例3
2mmの平均粒径を有する凝集触媒試料を以下に記載するように調製した。ZSM-5、擬ベーマイトアルミナ及びハロイサイト粘土の乾燥粉末をEirichミキサー中で完全に混合した。撹拌しながら、水、又はリン酸と水の溶液を粉末に噴霧した。得られた凝集体を乾燥させ、焼成し、1500°Fで24時間蒸気処理して、商業的適用中の触媒の失活をシミュレートした。40%のZSM-5を含有する例示的な実施形態を示す触媒(触媒A)、及び30%のZSM-5を含有するが、より高い擬ベーマイト含量の比較試料(触媒B)を調製した。触媒の特性を表1に示す。
【0063】
【0064】
実施例4
135グラムの実施例3からの触媒Aを、従来の噴流層反応器に充填し、30NL/分の窒素を噴出ガスとして使用しながら、550℃に加熱した。HDPEを1g/分で反応器に充填した。反応生成物を表2に示す。135グラムの実施例3からの触媒Aを、ドラフトチューブ及び制限器を反応器に設置したことを除いて、上記と同じ反応器に添加した。ドラフトチューブ及び制限器の追加は、触媒床が噴出し始めるときの反応器の入口における窒素の速度として定義される最小噴出速度を低下させた。ドラフトチューブ及び制限器を含めると、ドラフトチューブも制限器も使用しなかった場合の30NL/分と比較して、10NL/分の窒素流で、安定した噴流層が確立された。この実験からの反応生成物も表2に示す。
【0065】
ドラフトチューブ及び制限器の使用は、プロピレン及びブテンの収率を有意に増加させ、>C12範囲の重油の形成を減少させた。ドラフトチューブ及び制限器を有する円錐形噴流層反応器と、40%w/w超のZSM-5を有する触媒組成物との組み合わせにより、50重量%超の合わせた軽質オレフィン収率(エチレン、プロピレン、及びブテン)が実現された。
【0066】
【0067】
実施例5
それぞれ40%及び30%のZSM-5を含有する、実施例3からの触媒A(例示的な実施形態)及びB(比較例)を、ドラフトチューブ及び制限器を含有する噴流層反応器におけるポリプロピレンの接触熱分解に使用した。ポリプロピレン(160℃ m.p.)は、そのより高い融点のために、HDPE(135℃ m.p.)よりも、より軽い生成物に変換することが困難である。しかしながら、表3のデータは、40%のZSM-5を含有する触媒Aでは、PPを48.6重量%の全軽質オレフィン(エチレン、プロピレン、及びブテン)に変換することが可能であり、これはHDPEの場合とほぼ同じであることを示している。しかしながら、わずか30%のZSM-5含量で、触媒Bは、約0.2%低いエチレン、3.9%低いプロピレン、及び1.8%低いブテンを生じた。これらの結果は、ドラフトチューブ及び制限器を有する円錐形噴流層反応器と、40%w/w超のZSM-5を有する触媒組成物との組み合わせにより、石油化学原料に好適な高収率の軽質オレフィンがプラスチック熱分解から得られたことを示す。
【0068】
【0069】
実施例6
70ミクロンの平均粒径を有する噴霧乾燥触媒試料を、以下に記載するように調製した。ゼオライト、擬ベーマイトアルミナ、リン酸、及びハロイサイト粘土の40%スラリーを噴霧乾燥に送り、次いで450~600℃で焼成して、0.2~2重量%のTVを有する球状粒子にする。得られた粒子を1500°Fで24時間蒸気処理して、商業的適用中の触媒の失活をシミュレートした。それぞれ40%及び55%のZSM-5を含有する例示的な実施形態の触媒(触媒C及びD)を、50%の市販のフォージャサイト系FCC触媒をブレンドした同じ触媒(比較試料、触媒E及びF)と比較した。触媒の特性を表4に示す。
【0070】
【0071】
実施例7
実施例6からの触媒C及びD(例示的な実施形態)並びに触媒E及びF(比較例)を、ドラフトチューブ及び制限器を含有する噴流層反応器におけるポリエチレンの接触熱分解に使用した。結果を表5にまとめた。これらの結果は、Yゼオライト-ゼオライト系触媒をZSM-5触媒との50/50ブレンドとして添加すると、オレフィン収率が減少することを示している(触媒Cを触媒Eと、触媒Dを触媒Fと比較されたい)。
【0072】
【0073】
段落1.プラスチック原料から、オレフィン及び芳香族化合物のうちの少なくとも1つ以上を生成するプロセスであって、プロセスが、
プラスチック原料と触媒組成物とを、円錐形噴流層反応器において約450℃~約650℃の温度で、かつプラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間、接触させることを含み、
触媒組成物が、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w超のZSM-5を含む、プロセス。
【0074】
段落2.触媒組成物が、触媒組成物の総重量に基づいて、約45%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、又は約80%w/wを超えるZSM-5を含む、段落1に記載のプロセス。
【0075】
段落3.触媒組成物が、触媒組成物の総重量に基づいて、約40%w/w~約80%w/w、約45%w/w~約80%w/w、約50%w/w~約80%w/w、約55%w/w~約80%w/w、約60%w/w~80%w/w、約65%w/w~約80%w/w、約70%w/w~約80w/w、又は約75%w/w~約80%w/wのZSM-5を含む、段落1に記載のプロセス。
【0076】
段落4.触媒組成物が、約0.05mm~約5mmの範囲のサイズを有する粒子を含む、段落1~3のいずれか1つに記載のプロセス。
【0077】
段落5.触媒組成物が、約0.8mm~約5mm又は約1.0mm~約2.5mmのサイズを有する粒子を含む、段落1~4のいずれか1つに記載のプロセス。
【0078】
段落6.触媒組成物が、約0.05、約0.06mm、約0.07mm、約0.08mm、約0.09mm、約0.1mm、約0.2mm、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、又は約2.5mmのサイズを有する粒子を含む、段落1~5のいずれか1つに記載のプロセス。
【0079】
段落7.触媒組成物が、組成物の総重量に基づいて、約5%w/w~約15%w/wのP2O5を含む、段落1~6のいずれか1つに記載のプロセス。
【0080】
段落8.触媒組成物が、組成物の総重量に基づいて、約5%、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、又は約15%w/wのP2O5を含む、段落1~7のいずれか1つに記載のプロセス。
【0081】
段落9.触媒組成物が、組成物の総重量に基づいて、約40%w/w以下のAl2O3を含む、段落1~8のいずれか1つに記載のプロセス。
【0082】
段落10.ZSM-5が、約0.4ミクロン未満の結晶子サイズを有する、段落1~9のいずれか1つに記載のプロセス。
【0083】
段落11.触媒組成物が、噴霧乾燥、押出、又はビーズ形成方法によって形成される、段落1~10のいずれか1つに記載のプロセス。
【0084】
段落12.ビーズ形成方法が、凝集である、段落11に記載のプロセス。
【0085】
段落13.ZSM-5が、粒子内で活性マトリックスと組み合わされる、段落1~12のいずれか1つに記載のプロセス。
【0086】
段落14.ZSM-5が、別個の粒子として活性マトリックスと組み合わされる、段落1~12のいずれか1つに記載のプロセス。
【0087】
段落15.ZSM-5が、ZSM-11、フォージャサイト、モルデナイト、及びベータから選択される1つ以上のゼオライトと組み合わされる、段落1~14のいずれか1つに記載のプロセス。
【0088】
段落16.ZSM-5と1つ以上のゼオライトとの組み合わせが、高分子の熱分解を促進する、段落15に記載のプロセス。
【0089】
段落17.ZSM-5が、別個の粒子として、ゼオライトY、超安定Yゼオライト(USY)、希土類交換Y(REY)、希土類交換USY(REUSY)、脱アルミニウム化Y(DeAIY)、及び超疎水性Y(UHPY)から選択される1つ以上のY型ゼオライトと組み合わされる、段落16に記載のプロセス。
【0090】
段落18.プラスチック原料と触媒組成物とを接触させることが、約500℃~約600℃の温度で接触させることである、段落1~17のいずれか1つに記載のプロセス。
【0091】
段落19.プラスチック原料と触媒組成物とを接触させることが、約450℃、約460℃、約470℃、約480℃、約490℃、約500℃、約510℃、約520℃、約530℃、約540℃、約550℃、約560℃、約570℃、約580℃、約590℃、約600℃、約610℃、約620℃、約630℃、約640℃、又は約650℃の温度で接触させることである、段落1~17のいずれか1つに記載のプロセス。
【0092】
段落20.プラスチック原料が、溶媒に溶解された、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、天然及び合成ゴム、タイヤ、充填ポリマー、複合材料、プラスチックアロイ、並びにプラスチックのうちの少なくとも1つを含む、段落1~19のいずれか1つに記載のプロセス。
【0093】
段落21.プラスチック原料が、溶媒に溶解されたポリエチレンを含む、段落20に記載のプロセス。
【0094】
段落22.プラスチック原料が、溶媒に溶解されたポリプロピレンを含む、段落21に記載のプロセス。
【0095】
段落23.少なくとも1つ以上のオレフィンが、エチレン、プロピレン、及びブテンから選択される、段落1~22のいずれか1つに記載のプロセス。
【0096】
段落24.プロセスが、プラスチック原料を、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を超えるエチレン、プロピレン、及びブテンに変換する、段落23に記載のプロセス。
【0097】
段落25.プロセスが、プラスチック原料を、約20重量%、約25重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を超えるプロピレンに変換する、段落23に記載のプロセス。
【0098】
段落26.少なくとも1つ以上の芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンから選択される、段落1~22のいずれか1つに記載のプロセス。
【0099】
段落27.プラスチック原料の少なくとも一部分を少なくとも1つ以上のオレフィン及び芳香族化合物に変換させるのに十分な期間が、約0.2~約10時間の範囲の空間時間である、段落1~26のいずれか1つに記載のプロセス。
【0100】
段落28.円錐形噴流層反応器が、ドラフトチューブ及び制限器を備える、段落1~27のいずれか1つに記載のプロセス。
【0101】
段落29.円錐形噴流層反応器が、DOのガス入口開口部、及びDCの、円錐形噴流層反応器の円筒部の直径を有し、制限器が、DGの直径を有し、ドラフトチューブが、HGの、ドラフトチューブの上部からドラフトチューブの底部までの距離を有する、段落28に記載のプロセス。
【0102】
段落30.HGが、約3~約4×DOである、段落29に記載のプロセス。
【0103】
段落31.HGが、約1.5~2.5×DOである、段落30に記載のプロセス。
【0104】
段落32.HGが、約2×DOである、段落31に記載のプロセス。
【0105】
段落33.DGが、約3×DO~約0.7DCである、段落29~32のいずれか1つに記載のプロセス。
【0106】
段落34.DGが、約4~約6×DOである、段落33に記載のプロセス。
【0107】
段落35.DGが、約5×DOである、段落34に記載のプロセス。[0113]ある特定の実施形態を例示及び記載してきたが、以下の特許請求の範囲において定義されるようなそのより広い態様における技術から逸脱することなく、当業者によって、その中で変更及び修正が行われ得ることが理解されるべきである。
【0108】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(複数可)、限定(複数可)の非存在下で好適に実践され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、広範囲に、かつ限定せずに読み取られるべきである。加えて、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定的なものではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載される特徴又はそれらの一部分のいずれの均等物も除外することを意図していないが、様々な修正が特許請求される技術の範囲内で可能であることが認識される。加えて、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、具体的に列挙されたこれらの要素、並びに特許請求される技術の基本的な特徴及び新規の特徴に物質的に影響しないこれらの追加の要素を含むことが理解されよう。「からなる(consisting of)」という語句は、指定されていないあらゆる要素を除外する。
【0109】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかなように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が行われ得る。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に均等な方法及び組成物は、前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲の範疇内に収まることが意図される。本開示は、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定されるものである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、又は組成物に限定されず、当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものに過ぎず、限定するものとしては意図されていないことも理解されたい。
【0110】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。
【0111】
当業者によって理解されるように、あらゆる及び全ての目的で、特に書面による説明を提供するという観点で、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる及び全ての可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。いずれの列記された範囲も、同じ範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに細分されることを十分に記載し、それを可能にすることが簡単に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、及び上部3分の1などに容易に細分され得る。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「~超の(~を超える)」、「未満」などの全ての文言は、列挙される数を含み、かつその後、上で考察した部分範囲に細分され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。
【0112】
本明細書において参照される全ての刊行物、特許出願、発行済み特許、及び他の文献は、各個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、又は他の文献が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載内容に含まれる定義は、それらが本開示における定義に矛盾する限りにおいて除外される。
【0113】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【国際調査報告】