(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】糖の除去の前の反応媒体の中和を伴う低色アルキルポリグリコシドの調製方法
(51)【国際特許分類】
C07H 15/04 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
C07H15/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521093
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022078397
(87)【国際公開番号】W WO2023062074
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】イロウス,エステル
(72)【発明者】
【氏名】デシラ,ステファン
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057BB02
4C057BB05
4C057DD01
4C057JJ03
(57)【要約】
【解決手段】 1.5VCS以下の色を有するアルキルポリグリコシドを調製する方法であって:a)少なくとも1種の式(I)のアルコールと、少なくとも1種の式(III):H-O-(G)-H (III)の還元糖の間の、少なくとも1種の酸触媒(CA)の存在下での、100℃の最低温度及び120℃の最高温度での反応にあるグリコシル化ステップa)、b)ステップa)からの反応媒体を、塩基剤(Ab)を含む水溶液により中和するステップb)、c)ステップa)において反応しなかった式(III)の糖を、中和された反応媒体から除去するステップc)、及びd)1.5VCS以下の色を有する少なくとも1種の組成物(C)を回収するステップd)を連続的に含む方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.5VCS以下の色を有する組成物(C)を調製する方法であって、その重量の100%に対して:
i)40重量%以上及び95重量%以下の量の、式(I):
R-OH (I)(式中、Rは、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含むことができ、12~22個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭化水素基を表す)のアルコール又は式(I)のアルコールの混合物;
ii)5重量%以上及び60重量%以下の量の、式(II):
R-O-(G)x-H (II)(式中、残基Gは還元糖の残基を表し、Rは式(I)に定義された基を表し、残基Gの平均重合度を示すxは、1.05を超え2.5以下の十進数を表す)により表される組成物(C1)又は式(II)の組成物(C1)の混合物;
を含み、
組成物(C)中の式(I)及び(II)の化合物の重量比率の合計が100重量%に等しいことが理解される、組成物(C)を調製する方法であって;
前記方法が:
a)グリコシル化のステップa)であって、少なくとも1種の式(I)のアルコールと、少なくとも1種の式(III):H-O-(G)-H (III)の還元糖の間の、少なくとも1種の酸触媒(CA)の存在下での、100℃以上及び120℃以下の温度での反応からなり、前記少なくとも1種の酸触媒(CA)が、硫酸、塩化水素酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及び酸性イオン交換樹脂からなる群の要素から選択される、グリコシル化のステップa)
b)ステップa)からの反応媒体を、
■式(IVa)の炭酸塩:
XnCO
3 (IVa)(式中、Xは、ナトリウム若しくはカリウム原子を表し、nは2に等しい整数であるか、又はXは、カルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、nは1に等しい整数である)、
又は
■式(IVb)の炭酸水素塩:
Y(HCO
3)m (IVb)(式中、Yは、ナトリウム若しくはカリウム原子を表し、mは1に等しい整数であるか、又はYは、カルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、mは2に等しい整数である)
からなる群の要素から選択される塩基剤(Ab)を含む水溶液により中和するステップb)であって、
前記中和が、前記反応媒体の水中の5重量%分散物が5.5~7.5の間のpHを有する反応媒体を得るように実施されるステップb)、
c)ステップa)において反応しなかった式(III)の糖を、前記中和された反応媒体から除去するステップc)、及び
d)1.5VCS以下の色を有する少なくとも1種の組成物(C)を回収するステップd)
を連続的に含む方法。
【請求項2】
前記組成物(C1)が、式(II1)、(II2)、(II3)、(II4)、及び(II5):
R-O-(G)1-H (II1)、
R-O-(G)2-H (II2)、
R-O-(G)3-H (II3)、
R-O-(G)4-H (II4)、
R-O-(G)5-H (II5)、
で表される化合物のそれぞれのモル比率a1、a2、a3、a4、及びa5が:
・合計:a1+a2+a3+a4+a5が1に等しい、
・合計a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しい、
となるような混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物(C)が、2重量%以下の量の式(III):
H-O-(G)-H (III)
の還元糖を含み;
組成物(C)中の式(I)、(II)、及び(III)の化合物の重量比率の合計が100重量%に等しいことが理解されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶液中に存在する前記塩基剤(Ab)が、Xがナトリウム原子であり、nが2に等しい式(IVa)の炭酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)の後に、5.5~7.5の間の前記pHの値を得るように、上記で定義された前記塩基剤(Ab)を含む水溶液を加えることにより、水中の前記反応媒体の5重量%分散物のpHを調整する追加のステップを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)の前記グリコシル化のために選択される式(III)の前記還元糖が、グルコース、キシロース、アラビノース及びラムノースからなる群の要素から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(III)の前記還元糖を除去するステップc)が、濾過、遠心分離、又は沈降によって行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップb)において、塩基剤(Ab)の前記水溶液が10重量%~40重量%の間の前記塩基剤(Ab)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)が、以下の連続するサブステップの:
i)機械的撹拌機及び真空装置が取り付けられた反応器(Re)中に式(I)のアルコール又は式(I)のアルコールの混合物を導入するサブステップと;
ii)機械的撹拌下で式(I)の前記アルコールを80℃~90℃の間の温度に加熱するサブステップと;
iii)式(III)の前記還元糖を前記反応器(Re)に投入するサブステップと;
iv)少なくとも1つの酸触媒を前記反応器(Re)中に導入するステップと;
v)反応中に、部分真空下で、前記反応器(Re)中に存在するサブステップiv)からの前記反応媒体を100℃~110℃の間の温度に加熱するサブステップと、
vi)サブステップv)からの前記媒体を70℃~80℃の間の温度に冷却するサブステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(I)及び/又は式(II)において、基Rが、以下の基の:ラウリル(若しくはn-ドデシル)、ミリスチル(若しくはn-テトラデシル)、n-ペンタデシル、セチル(若しくはn-ヘキサデシル)、n-ヘプタデシル、ステアリル(若しくはn-オクタデシル)、パルミトレイル(若しくは9-ヘキサデセニル)、オレイル(若しくは9-オクタデセニル)、リノレイル(9,12-オクタデカジエニル)、リノレニル(若しくは6,9,12-オクタデカトリエニル)、n-ノナデシル、アラキジル(若しくはn-エイコシル)、ベヘニル(若しくはn-ドコシル)、エルシル(13-ドコセニル)、又は12-ヒドロキシステアリルから選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(I)及び/又は式(II)において、基Rが以下の基の:2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、イソステアリル(若しくは16-メチルヘプタデシル)、又はイソミリスチル(若しくは13-メチルトリデシル)から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
サブステップii)からiv)の間、前記反応器(Re)は窒素下で不活性化されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
サブステップii)~iii)の間に、好ましくは50ミリバール以下の圧力における真空サブステップを含むことを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップvi)が大気圧で行われることを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸塩中和剤を伴う低色アルキルポリグリコシド(1.5VCS未満の色)の調製方法に関する。
【0002】
アルキルポリグリコシド、すなわちAPGは、おそらくは、現在市場において利用可能なバイオベースの界面活性剤の最良の例である。それらの分子構造は、還元糖(D-グルコース、D-キシロース、又はD-ラムノースは、工業規模で市場で主として利用可能な還元糖である)から誘導される親水性頭部と、種々の長さの親油性炭化水素鎖とが同時に存在することを特徴とする(式I:APGの単純化された構造を参照)。
【化1】
【背景技術】
【0003】
それらの工業規模の製造方法は、比較的単純であり、原材料として:i)小麦、トウモロコシ、若しくはジャガイモのデンプンの完全加水分解から、又は木材ヘミセルロースの加水分解からそれぞれ得られる結晶性のグルコース、キシロース、又はラムノースと、ii)石油化学工業(植物トリグリセリドのエステル交換で得られるメチルエステルの水素化)からの脂肪アルコールとを使用する。次に、Fischerグリコシル化反応は、例えばグルコースとアルコールとの間の反応(II)などで共有化学結合を形成することによって、これら2つの原材料を互いに結合させることにある。
【化2】
【0004】
このグリコシル化反応を行うために、無機又は有機由来の酸触媒が必要であり、過剰のアルコールが意図的に導入され、そのため反応物及び溶媒として機能する。反応終了時に、APGは、反応していない過剰のアルコール中に分散又は溶解する。
【0005】
APGは、炭化水素アルキル鎖Rの性質及び長さによって、及び1を超えるが2.5以下であるそれらの平均重合度DPによって区別される。
【0006】
グリコシル化反応段階の終了時、触媒を失活させ、反応を停止させるために、中和ステップが行われる。
【0007】
アルコールのアルキル鎖の長さ、及び関連する使用によるが、上記アルコールは除去されるか、維持されるかのいずれかである。
【0008】
中和ステップは、炭化水素アルキル鎖の長さによって異なる。後者が12未満の炭素原子数を有する場合、中和は水酸化ナトリウム水溶液によって行われる。グリコシル化の終了時に存在する過剰の脂肪アルコールは、高真空蒸留若しくは分子蒸留によって、又は一般に流下薄膜蒸発器若しくはショートパス薄膜蒸発器を用いる蒸発によって除去され、収集されたAPG濃縮物は最後に水中に溶解させる。こうして得られる市販製品は、したがって、40%~~80%の間の重量濃度のAPG水溶液の形態である。
【0009】
炭化水素アルキル鎖Rが12以上の炭素原子数を有する場合、中和は、一般に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの単独によって、又は欧州特許第0 077 167号明細書の番号で公開された欧州特許、欧州特許出願公開第0 338 151 A1号明細書の番号で公開された欧州特許出願、欧州特許第0 388 857 B1号明細書に記載されるような還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)又は次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2)などとの組み合わせによって行われる。APGと過剰の脂肪アルコールとの混合物は、中和後に単離され、そのままで固体である。APGと脂肪アルコールとの重量比率は、原材料に関して最初に採用されたモル化学量論と、それらの反応性とに依存する。しかしながら、5重量%~30重量%のAPGと、70重量%~95%の脂肪アルコールとの比率が一般に確認される。得られた組成物は、炭化水素アルキル鎖Rの性質によって、固体形態、例えばフレーク若しくはビーズの形態でも、又は液体形態でもあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、5.5~7.5の間の中和媒体の水中の5重量%の分散物のpHを実現するための、12以上の炭素原子数を有する炭化水素アルキル鎖Rを有するAPGの従来技術からの塩基(例えばNaOH、KOH)による中和ステップによって、生成物の顕著な着色が生じる。
【0011】
本発明の目的のため、「水中の5重量%分散物のpHの測定」は、NF EN 1262の但し書きに準拠したAPGをベースとする組成物の分散物のpHを測定するための分析方法を意味し、上記測定は、複合pH電極(水性媒体)とpHメーターとを用いた電位差測定によって行われる。
【0012】
この着色は、APG含有組成物が導入される最終製品の官能特性を損なうことがある。このため、12以上の炭素原子数を有する炭化水素アルキル鎖Rを有するAPGを含む組成物の着色を最小限にするための解決策が提供される。12以上の炭素原子数を有する炭化水素アルキル鎖Rを有するAPGをベースとするこのような低色(<1.5VCS)組成物を得るために、従来技術で公知の2つの解決策が従来使用されている。
【0013】
本発明の目的のため、「低色組成物」は、DIN-ISO 4630によって規定されるガードナー色数(Gardner color scale)が1.5VCS以下である組成物を意味する。ガードナー色数は、あらゆる媒体上の光透過測定を行うLICO 200/Dr LANGE(又は同等の)測色計を用いて測定される。このような測色計は、DIN 5033によって規定される標準光源Cに相当するハロゲンランプを用い、2°標準観察者を用いて操作される。測定中、参照放射線ビームによって、ランプ及び温度の差による記録値のばらつきが補償される。
【0014】
第1の解決策は、使用される塩基を還元剤と組み合わせることにある。これらの還元剤の中では、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)又は次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2)を挙げることができる。この解決策は、全く問題がないわけではない。特に、処理された組成物の着色の最小化においては非常に有効であるが、NaBH4は、取り扱い及び使用に危険が伴う還元剤である(腐食的生成物、水素の放出)。NaH2PO2自体は、高濃度で導入される場合でも、あまり有効ではない。
【0015】
12以上の炭素原子数を有する炭化水素鎖Rを有するAPGをベースとする組成物の色を最小限にするために一般に使用され従来技術に記載される第2の解決策では、最終ステップ中に過酸化水素(H2O2)を用いた脱色が行われる。有効ではあるが、しかしながら、H2O2を加えることによって媒体の酸化力を維持しながら、水中の5重量%分散物のpHを7.0~7.5の間に調整する必要があるので、このステップは時間がかかる。実施が困難なこのステップは、数時間続く場合があり、したがって製造時間が大幅に増加し、生産性が低下しうる。
【0016】
したがって、解決すべき技術的課題は、12以上の炭素原子数を有する炭化水素アルキル鎖Rを有するAPGをベースとする組成物の中和に対する代案を見出すことである。この代案は、脱色ステップを実施することなく1.5VCS以下の色を保証しながら、有効で実施が容易となる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の解決策の1つは、1.5VCS以下の色を有する組成物(C)を調製する方法であって、その重量の100%に対して:
(i)40重量%以上及び95重量%以下の量の、式(I):
R-OH (I)(式中、Rは、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含むことができ、12~22個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭化水素基を表す)のアルコール又は式(I)のアルコールの混合物;
ii)5重量%以上及び60重量%以下の量の、式(II):
R-O-(G)x-H (II)(式中、残基Gは還元糖の残基を表し、Rは、式(I)において定義される基を表し、残基Gの平均重合度を示すxは、1.05を超え2.5以下の十進数を表す)により表される組成物(C1)又は式(II)の組成物(C1)の混合物;
を含み、
式(I)及び(II)の組成物(C)中の化合物の重量比率の合計が100重量%に等しいことが理解される、組成物(C)を調製する方法であって、
前記方法が:
a)グリコシル化のステップa)であって、少なくとも1種の式(I)のアルコールと、少なくとも1種の式(III):H-O-(G)-H (III)の還元糖の間の、少なくとも1種の酸触媒(CA)の存在下での、100℃以上及び120℃以下の温度での反応からなり、酸触媒(CA)が、硫酸、塩化水素酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及び酸性イオン交換樹脂からなる群の要素から選択されるステップa)、
b)ステップa)からの反応媒体を、
■式(IVa)の炭酸塩:
XnCO3 (IVa)(式中、Xは、ナトリウム若しくはカリウム原子を表し、nは2に等しい整数であるか、又はXは、カルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、nは1に等しい整数である)、
又は
■式(IVb)の炭酸水素塩:
Y(HCO3)m (IVb)(式中、Yは、ナトリウム若しくはカリウム原子を表し、mは1に等しい整数であるか、又はYは、カルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、mは2に等しい整数である)
からなる群の要素から選択される塩基剤(Ab)を含む水溶液により中和するステップb)であって、
この中和が、水中の前記反応媒体の5重量%分散物が5.5~7.5の間のpHを有する反応媒体が得られるように実施されるステップb)
c)ステップa)において反応しなかった式(III)の糖を、中和された反応媒体から除去するステップc)、及び
d)1.5VCS以下の色を有する少なくとも1種の組成物(C)を回収するステップd)
を連続的に含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の主題である方法により調製される組成物(C)を特徴づける色数は、DIN-ISO 463によって規定されるガードナー色数である。ガードナー色数は、あらゆる媒体上の光透過測定を行うLICO 200/Dr LANGE(又は同等の)測色計を用いて測定される。そのような測色計は、DIN 5033によって規定される標準光源Cに相当するハロゲンランプを用い、2°標準観察者を用いて操作される。測定の間、参照放射線ビームによって、ランプ及び温度の差による記録値のばらつきが補償される。
【0019】
本発明の主題である方法により調製される組成物(C)を特徴づけるガードナー色数を表す単位はVCSである。
【0020】
場合により、本発明による方法は、以下の特性の1つ以上を有し得る:
-前記組成物(C1)は、式(II1)、(II2)、(II3)、(II4)及び(II5):
R-O-(G)1-H (II1)、
R-O-(G)2-H (II2)、
R-O-(G)3-H (II3)、
R-O-(G)4-H (II4)、
R-O-(G)5-H (II5)、
により表される化合物の、それぞれのモル比率a1、a2、a3、a4及びa5の混合物であって、モル比率a1、a2、a3、a4及びa5が:
■合計:a1+a2+a3+a4+a5が1に等しく、且つ
■合計 a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しい
ような混合物からなる;
-組成物(C)は、2重量%以下の量の式(III):
H-O-(G)-H (III)
の還元糖を含み;
組成物(C)中の式(I)、(II)及び(III)の化合物の重量比率の合計が100重量%に等しいことが理解される;
-水溶液中に存在する塩基剤(Ab)は、Xがナトリウム原子を表し、nが2に等しい式(IVa)の炭酸ナトリウムである;
-方法は、ステップc)の後に、5.5~7.5の間の前記pHの値を得るように、上記で定義された塩基剤(Ab)を含む水溶液を加えることにより、水中の反応媒体の5重量%分散物のpHを調整する追加のステップを含む;
-ステップa)のグリコシル化のために選択される式(III)の還元糖は、グルコース、キシロース、アラビノース及びラムノースからなる群の要素から選択される;
-式(III)の還元糖を除去するステップc)は、濾過、遠心分離若しくは沈降により、又は当業者に公知である任意の他の固体/液体分離技法により実施される;未反応の式(III)の還元糖を除去するこのステップが濾過を利用する場合、濾材は、好適な細孔径(10マイクロメートル以上)を有する濾紙、又は任意選択で当業者に公知である少なくとも1種の濾過補助剤の存在下のセルロースフィルタープレートであり得る;
-ステップb)において、塩基剤(Ab)の水溶液は10重量%~40重量%の間の前記塩基剤(Ab)を含む;
-ステップa)は、以下の連続するサブステップ:
i)式(I)のアルコール又は式(I)のアルコールの混合物を、機械的撹拌機及び真空装置が取り付けられた反応器(Re)に導入するサブステップ;
ii)式(I)のアルコールを、80℃~90℃の間の温度に機械的撹拌をしながら加熱するサブステップ;
iii)式(III)の還元糖を反応器(Re)に投入するサブステップ;
iv)少なくとも1種の酸触媒を反応器(Re)に導入するサブステップ;
v)部分真空下で、反応器(Re)中に存在するサブステップiv)からの反応媒体を、反応の間100℃~-110℃の間の温度に加熱するサブステップ及び
vi)サブステップv)からの媒体を70℃~80℃の間の温度に冷却するサブステップ
を含む;
-式(I)において、及び/又は式(II)において、基Rは、以下の基:ラウリル(又はn-ドデシル)、ミリスチル(又はn-テトラデシル)、n-ペンタデシル、セチル(又はn-ヘキサデシル)、n-ヘプタデシル、ステアリル(又はn-オクタデシル)、パルミトレイル(又は9-ヘキサデセニル)、オレイル(又は9-オクタデセニル)、リノレイル(9,12-オクタデカジエニル)、リノレニル(又は6,9,12-オクタデカトリエニル)、n-ノナデシル、アラキジル(又はn-エイコシル)、ベヘニル(又はn-ドコシル)、エルシル(13-ドコセニル)、又は12-ヒドロキシステアリルから選択される;
-式(I)において、及び/又は式(II)において、基Rは、以下の基:2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、イソステアリル(又は16-メチルヘプタデシル)又はイソミリスチル(又は13-メチルトリデシル)から選択される;
-サブステップii)からiv)の間に、反応器(Re)は窒素下で不活性化される;
-方法は、ステップii)とiii)の間に、好ましくは50ミリバール以下の圧力での真空ステップを含む;
-ステップvi)は大気圧で実施される。
【0021】
式(IVa)の炭酸塩又は式(IVb)の炭酸水素塩の使用は、組成物(C)の色の増加に寄与しない(そのため還元剤の存在は不用である)が、所望のpHまで組成物(C)の5重量%分散物を中和する(5.5~7.5の間の値)。塩基剤(Ab)を使用することで、過酸化物剤などの使用を伴う脱色ステップを回避できるが、その理由は、これによって1.5VCS以下の色を実現できるからである。
【0022】
式(II)の定義及び式(III)の定義における「還元糖」という用語は、参考刊行物:“Biochemistry”,Daniel Voet/Judith G.Voet,page 250,John Wiley & Sons,1990において定義されるように、アノマー炭素とアセタール基の酸素との間に形成されるグリコシド結合をそれらの構造の中に有しない糖類誘導体を意味する。
【0023】
式(II)中に存在するオリゴマー構造(G)xは、光学異性、幾何異性、又は位置異性のいずれかに関連するあらゆる異性体であってよく、これは異性体の混合物を表すこともできる。
【0024】
前述の定義の式(II)において、基Rは、糖類残基のアノマー炭素を介してGに結合して、アセタール官能基を形成する。
【0025】
本発明の特定の一態様によると、式(II)及び式(III)の化合物の定義において、Gは、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、ラムノース、デキストラン、又はタロースから選択される還元糖の残基を表す。
【0026】
本発明の特定の一態様によると、式(II)の化合物の定義において、Gは、グルコース、キシロース、アラビノース、又はラムノースの残基から選択される還元糖の残基を表し、xは1.05以上及び2.5以下の十進数を表す。
【0027】
本発明のさらなる特定の一態様によると、式(II)の化合物の定義において、Gは、グルコース、キシロース、アラビノース、又はラムノースの残基から選択される還元糖の残基を表し、xは1.05以上及び2.0以下、さらに特に1.25以上及び2.0以下の十進数を表す。
【0028】
本発明の別の特定の一態様によると、式(III)の還元糖は、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、ラムノース、デキストラン、又はタロースからなる群の要素から選択される。
【0029】
本発明のさらに特定の一態様によると、式(III)の還元糖は、グルコース、キシロース、アラビノース、又はラムノースから選択される。
【0030】
本発明による方法は、前記媒体の水中の5重量%分散物の5.5~7.5の間のpHを達成するために、塩基剤(Ab)を含む水溶液を加えることにより、グリコシル化反応の最後に媒体を中和することにある。残留した式(III)の還元糖は、その後に、濾過により除去され、任意選択で、組成物(C)の水中の5重量%分散物のpHが5.5未満である場合、塩基剤(Ab)の水溶液が新たに加えられ得る(最終ステップ)。
【0031】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 45重量%~55重量%の式(I)のアルコールの混合物(M1)であって、上記混合物(M1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%を含む混合物(M1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、45重量%~54重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0032】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 45重量%~55重量%の式(I)のアルコールの混合物(M’1)であって、上記混合物(M’1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール70重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール30重量%を含む混合物(M’1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、45重量%~54重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0033】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の式(I)のアルコールの混合物(M’’1)であって、上記混合物(M’’1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%を含む混合物(M’’1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0034】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の式(I)のアルコールの混合物(M’’’1)であって、上記混合物(M’’’1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール70重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール30重量%を含む混合物(M’’’1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0035】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rがn-テトラデシル基を表す式(I)のアルコールと、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rがn-テトラデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0036】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、及びn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0037】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rがn-エイコシル基及びn-ドコシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-エイコシル基及びn-ドコシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0038】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-エイコシル基、及びn-ドコシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-エイコシル基、及びn-ドコシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0039】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 70重量%~90重量%の、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-エイコシル基、及びn-ドコシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-キシロピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるキシロシル基又はα,β-D-キシロピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが2-オクチルドデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~29重量%の組成物(C1)と、
- 0重量%~1重量%のキシロースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0040】
特定の一態様によると、水溶液中に存在する塩基剤(Ab)は、Xがカリウム原子を表し、nが2に等しい式(IVa)の炭酸カリウムである。
【0041】
特定の一態様によると、水溶液中に存在する塩基剤(Ab)は、Yがナトリウム原子を表し、mが1に等しい式(IVb)の炭酸水素ナトリウムである。
【0042】
特定の一態様によると、酸触媒(CA)は、硫酸、リン酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群の要素から選択される。
【実施例】
【0043】
A.使用した中和用塩基剤が本発明による炭酸塩又は水酸化ナトリウム(比較用中和剤)である場合の、脂肪アルコールとアルキルポリグルコシドとの組成物の色に対する中和剤の影響の比較。
【0044】
中和剤としての炭酸塩と水酸化ナトリウムの間を比較した。この目的のために、グリコシル化反応を、結晶性グルコース及びカットの形態か純粋形態のいずれかの種々の脂肪アルコール:C16/18セテアリルカット、C20/22アラキジル/ベヘニルカット、1-ドデカノール(C12アルコール)から始めて実施した。
【0045】
以下の表1は、一方で炭酸ナトリウムNa2CO3(本発明による方法の中和剤)を、及び他方で水酸化ナトリウムNaOH(比較用方法の中和剤)を含む中和結果をまとめている。
【0046】
1.本発明による実施例
実施例1.1(16/18アルコールのカット及び本発明による中和剤としてのNa2CO3)
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に967.4gのセテアリルアルコール(C16/18)を投入する。アルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素でスパージした。媒体を、50トル未満の圧力の真空下に置く。粉末形態のある量の無水グルコースを、脂肪アルコールとグルコースのモル比が6/1であるように加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化反応を開始するために、0.9gのH3PO2の50%水溶液を、次いで1.1gのH2SO4の98%水溶液を加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間45分の期間続ける。
【0047】
ステップ2:反応媒体の中和:
その後に、媒体を大気圧で80℃に冷却し、次いで4.61gのNa2CO3の25%水溶液を導入することにより中和する。その後に、生成物をガラスバイアルに導入し、残留グルコースを沈降させるために80℃のオーブンに24時間配置する。生成物(上相)を回収し、(組成物1)と呼ぶ。
【0048】
分析:
-組成物1の水中の5重量%分散物のpHは5.5であり、
-組成物1の色の測定値は0.7VCSである。
【0049】
実施例1.2(20/22アルコールのカット及び中和剤としてのNa2CO3)
ステップ1:グリコシル化反応:
C20アルコールとC22アルコールの70/30の重量比のアラキジルアルコール(C20アルコール)とベヘニル/アラキジルアルコール(C220/22アルコール)の240.5gの混合物を、機械的撹拌機及び真空蒸留装置が取り付けられた反応器に投入する。このアルコール混合物を85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を50トル未満の圧力の真空下に置く。24.6gの粉末形態の無水グルコースデキストロースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化反応を開始するために、H3PO2の50%水溶液0.2g、次にH2SO4の98%水溶液0.4gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を4時間30分続ける。
【0050】
ステップ2:反応媒体の中和:
その後に、媒体を大気圧で80℃に冷却し、次いで3.3gのNa2CO3の10%水溶液を導入することにより中和する。生成物は、5.6のpH及び0.3VCSの色を有する。その後に、生成物をガラスバイアルに導入し、残留グルコースデキストロースを沈降させるために80℃のオーブンに24時間配置する。生成物(上相)は4.8のpH及び0.3VCSの色を有する。最終生成物(組成物2)を得るために、0.19gのNa2CO3の10%水溶液を導入することにより、最終ステップを80℃で実施する。
【0051】
分析:
-組成物2の水中の5重量%分散物のpHは7.0であり、
-組成物2の色の測定値は0.6VCSである。
【0052】
実施例1.3(C12アルコール及び中和剤としてのNa2CO3)
実施例1.1の手順を、967.4gのセテアリルアルコールを414.5グラムの1-ドデカノールに替え、1-ドデカノールとグルコースのモル比が6/1であるような量の粉末形態の無水グルコースを使用して再現する。
【0053】
(組成物3)と呼ぶ生成物はこのようにして得られる。
【0054】
ステップ1:グリコシル化反応:
131.3gの1-ドデカノール(C12アルコール)を、機械的撹拌機及び真空蒸留装置が取り付けられた反応器に投入する。アルコールを85℃に配置し、撹拌し、窒素をスパージする。媒体を30トルの真空下に配置する。粉末形態の18.3gの無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化反応を開始するために、0.14gのH3PO2の50%水溶液を、次いで0.23gのH2SO4の98%水溶液を加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間続ける。
【0055】
ステップ2:反応媒体の中和:
その後に、媒体を大気圧で67℃に冷却し、次いで0.29gのNa2CO3の25%水溶液を撹拌しながら導入することにより中和する。残留グルコースを除去し、(組成物3)と呼ぶ生成物を得るために、生成物を濾紙(約10μm)で濾過する。
【0056】
分析:
-組成物3の水中の5重量%分散物のpHは6.1であり、
-組成物3の色の測定値は1.5VCSである。
【0057】
実施例1.4(16/18アルコールのカット及び中和剤としてのNa2CO3)
実施例1.1の手順を、そのようにして得られる最終組成物(組成物4)の5%分散物の7.4のpHを得るように、4.61グラムのNa2CO3の25%水溶液を好適な重量のNa2CO3の前記25%溶液に替えて再現する。
【0058】
分析:
-組成物4の水中の5重量%分散物のpHは7.4であり、
-組成物4の色の測定値は1.0VCSである。
【0059】
実施例1.5(16/18アルコールのカット及び中和剤としてのNa2CO3)
実施例1.1の手順を、そのようにして得られる最終組成物(組成物5)の5%分散物の8.2のpHを得るように、4.61グラムのNa2CO3の25%水溶液を、好適な重量のNa2CO3の前記25%溶液に替えて再現する。
【0060】
(組成物5)と呼ぶ生成物はこのようにして得られる。
【0061】
分析:
-組成物5の水中の5重量%分散物のpHは8.2であり、
-組成物5の色の測定値は2.3VCSである。
【0062】
2-比較例
実施例2.1(16/18アルコールのカット及び中和剤としてのNaOH)
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に240.9gのセテアリルアルコール(C-16/18)を投入する。このアルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を50トル未満の圧力の真空下に置く。31.6gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化反応を開始するために、H3PO2の50%水溶液0.22g、次にH2SO4の98%水溶液0.28gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間45分続ける。
【0063】
ステップ2:反応媒体の中和:
その後に、媒体を大気圧で72℃に冷却し、次いで0.73gのNaOHの25%水溶液を撹拌しながら導入することにより中和する。その後に生成物をガラスバイアルに導入し、残留グルコースを沈降させるために80℃のオーブンに24時間配置する。生成物(上相)を回収する(比較用組成物1)。
【0064】
分析:
-比較用組成物1の水中の5重量%分散物のpHは6.1であり、
-比較用組成物1の色の測定値は4.1VCSである。
【0065】
実施例2.2(20/22アルコールのカット及び中和剤としてのNaOH)
実施例2.1の手順を、240.9gのセテアリルアルコールを、(C20アルコール/C22アルコール)の70/30の重量比のアラキジルアルコール(C20)とベヘニルアルコール(C22)の59.9グラムの混合物に替えて、脂肪アルコールとグルコースのモル比が6/1であるような量の粉末形態の無水グルコースを使用して再現する。
【0066】
(比較用組成物2)と呼ぶ生成物はこのようにして得られる。
【0067】
分析:
-比較用組成物2の水中の5重量%分散物のpHは5.7であり、
-比較用組成物2の色の測定値は6.3VCSである。
【0068】
実施例2.3(C12アルコール及び中和剤としてのNaOH)
ステップ1:グリコシル化反応:
131.3gの1-ドデカノール(C12)を、機械的撹拌機及び真空蒸留装置が取り付けられた反応器に投入する。1-ドデカノールを85℃で導入し、撹拌し、窒素をスパージする。媒体を30トルの真空下に配置する。18.3gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化反応を開始するために、0.14gのH3PO2の50%水溶液を、次いで0.23gのH2SO4の98%水溶液を加え、温度を上昇させ、105℃に維持する。反応を5時間続ける。
【0069】
ステップ2:反応媒体の中和:
その後に、媒体を大気圧で67℃に冷却し、次いで0.29gのNaOHの25%水溶液を撹拌しながら導入することにより中和する。残留グルコースを除去し、(比較用組成物3)と呼ぶ最終生成物を得るために、生成物を濾紙(約10μm)で濾過する。
【0070】
分析:
-比較用組成物3の水中の5重量%分散物のpHは6.0であり、
-比較用組成物3の色の測定値は1.8VCSである。
【0071】
【0072】
分析及び観察結果
試験した脂肪鎖の長さ(C12からC22)に関わらず、反応媒体の水中の5重量%分散物の5.5以上のpH値を達成するための前記反応媒体を中和するための塩基剤としてのNaOHの溶液の使用は、残留脂肪アルコール及び形成されるアルキルポリグルコシドを含む組成物を強く着色する。実際に、残留糖の濾過後に、これらの試験で測定された色は1.8~6.3VCSの間で変動する。比較すると、前記反応媒体の水中の5重量%分散物の5.5以上のpH値を達成するために、Na2CO3の溶液を使用して中和ステップを実施する場合、残留脂肪アルコール及び形成されるアルキルポリグルコシドを含む組成物の色は1.5VCS以下の値を有する。
【0073】
B-中和段階が炭酸塩により実施される場合の、脂肪アルコール及びアルキルポリグルコシドの組成物の水中の5重量%分散物のpHの、最終生成物の色に対する影響
上記に提示された一般的方法を実行することにより、3つの実験を実施した。これらの3つの試験(実施例1.1、実施例1.4及び実施例1.5)は、セテアリルアルコール及び直鎖C16及びC18鎖におけるアルキルポリグルコシドを含む組成物の調製を記載するが、前記組成物(組成物1、組成物4及び組成物5)は、本発明による方法を実行することにより調製され、各組成物の5重量%分散物の異なるpH値を特徴とする(表2参照)。
【0074】
【0075】
観察結果及び分析
得られた結果は、調製された組成物の5重量%分散物のpHが5.5~7.5の間である場合、本発明による方法が1.5VCS以下の色値(color value)の達成を可能にすることを示す。対照的に、調製された組成物の5重量%分散物のpHが8.2である場合、得られた組成物の色は1.5VCSの最大の望ましい色より高い。
【国際調査報告】