(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】圧縮機、特に遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 31/00 20060101AFI20241003BHJP
F04D 17/10 20060101ALI20241003BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F04D31/00
F04D17/10
F04D29/62 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521150
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2022076327
(87)【国際公開番号】W WO2023066585
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】エル-ハイソーク,ボウシャイブ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,ヴィクトル
(72)【発明者】
【氏名】ランス,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】スパネル,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイチンスキ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ユルディズ,アッティラ
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AA22
3H130AA36
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB62
3H130AC30
3H130BA32A
3H130BA33Z
3H130BA72J
3H130CA07
(57)【要約】
回転軸線(3)に沿って延びるロータ、ハウジング(9)、及び、ロータ上に配置されたインペラ(2)を備える圧縮機(1)であって、ハウジング(9)がロータの周囲に配置されており、このハウジング(9)が軸方向流入部(4)と、この軸方向流入部(4)の下流に第1の圧縮機段と、さらに第1の圧縮機段の下流にプロセス流体のための半径方向流出部(5)とを有し、この半径方向流出部(5)が内部ハウジングを通って導かれており、軸方向流入部(4)に流体を注入するための注入装置(15)を有している圧縮機(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(3)に沿って延びるロータ、ハウジング(9)、及び、前記ロータ上に配置されたインペラ(2)を備える圧縮機(1)であって、
前記ハウジング(9)が前記ロータの周囲に配置されており、
前記ハウジング(9)が、軸方向流入部(4)と、前記軸方向流入部(4)の下流に第1の圧縮機段と、さらに前記第1の圧縮機段の下流にプロセス流体のための第1の半径方向流出部(5)とを有し、
前記第1の半径方向流出部(5)が前記ハウジング(9)内を通って導かれている圧縮機(1)において、
前記圧縮機(1)が前記軸方向流入部(4)に流体を注入するための注入装置(15)を有し、
圧縮されるプロセス流体が最初に吸引され、前記注入された流体の量が前記吸引された媒体の温度及び相対湿度に応じて決められる、
ことを特徴とする圧縮機(1)。
【請求項2】
前記流体の蒸発温度が、注入後に前記圧縮工程において圧縮される前記プロセス流体の温度よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の圧縮機(1)。
【請求項3】
前記注入された流体の量を調節できるように構成された調節装置を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧縮機(1)。
【請求項4】
前記注入装置(15)が、圧縮される媒体の内部で前記流体が注入されるように構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項5】
前記流体の注入が前記インペラ(2)の前方で行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項6】
前記圧縮機(1)が1つの螺旋状の段を有し、前記流体が前記螺旋状の段内に注入されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項7】
前記圧縮機(1)が1つの流入部を有し、前記流体が前記流入部内に注入されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項8】
前記圧縮機(1)が1つの還流段を有し、前記流体が前記還流段内に注入されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項9】
前記流体の注入が複数のノズル(21)を介して行われることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項10】
前記圧縮機(1)が、インペラ入口直径(16)を有するインペラ流入部(17)を備え、前記インペラ(2)の前方の最後のノズル(21)と前記インペラ流入部(17)との間隔(20)が前記インペラ入口直径(16)の3倍であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項11】
前記圧縮機(1)が、インペラ入口直径(16)を有するインペラ流入部(17)を備え、前記インペラ(2)の前方の最後のノズル(21)と前記インペラ流入部(17)との間隔(20)が前記インペラ入口直径(16)の10倍であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項12】
前記複数のノズル(21)が軸方向において互いに間隔をあけて配置され、カスケード式の注入を形成していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項13】
前記複数のノズル(21)が互いにオフセットして配置されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項14】
前記複数のノズル(21)のオン・オフの切り替えによって、前記注入された流体の量を調節できることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項15】
前記回転数によって、前記注入された流体の量を調節できることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項16】
バイパス制御を利用して、前記注入された流体の量を調節できることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項17】
前記注入装置(15)が、水とアルコールの混合液を注入できるように構成されていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項18】
前記注入装置(15)が、水とエタノールの混合液、及び/又は、水とメタノールの混合液を注入できるように構成されていることを特徴とする、請求項1から17のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項19】
遠心圧縮機として形成されている、請求項1から18のいずれか1項に記載の圧縮機(1)。
【請求項20】
前記遠心圧縮機が単段で構成されていることを特徴とする、請求項19に記載の遠心圧縮機。
【請求項21】
前記遠心圧縮機が多段で構成されていることを特徴とする、請求項19に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機、特に遠心圧縮機に関する。
【0002】
最近の圧縮機、特に遠心圧縮機では、約90%の段効率(Stufenwirkungsgrad)が達成されており、これは物理的限界と考えられている。水の注入によって効率を高めることが可能である。水の注入の利点は既にガスタービンにおいて知られており、そこでは、水の注入は出力と効率の向上に大きく寄与している。水の注入時には高圧の水が圧縮機の前方に、又は、多段圧縮機では複数の段の中間に注入される。等温圧縮の同等のプロセスのように、水は圧縮中に気化し、気体を連続的に冷却する。それにより効率を1~2%上昇させることができる。
【0003】
圧縮機技術の分野では、水の注入は原料ガス圧縮機に使用され、そこでは、媒体の重合を防止すべく、個々の段の間の媒体の吐出温度を低下させるために、水が圧縮機の複数の段の間に注入される。
【0004】
圧縮機のガス流へ蒸発性流体を直接注入することから生じる利点が知られているが、幾つかの欠点も知られている。
【0005】
問題は、圧縮機ガス流に注入される流体の蒸発の度合いが制限されることである。圧縮機の低速の状態で流体が注入される場合には、流体が分裂又は霧化して非常に小さな液滴を発生させることが達成されないことがある。高い蒸発度を達成するためには非常に小さな液滴が必要である。なぜならば、液滴の体積に対するこのような液滴の表面積は大きく、小さい液滴は容易に熱を吸収し、蒸発することができるからである。
【0006】
インペラのような圧縮機の内部部品に衝突する大きな液滴は、強いエロージョンのリスクをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、改良された圧縮機、特に遠心圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は本発明により、回転軸線に沿って延びるロータ、ハウジング、及び、ロータ上に配置されたインペラを備える圧縮機であって、このハウジングがロータの周囲に配置されており、このハウジングが第1の軸方向流入部と、この第1の軸方向流入部の下流に第1の圧縮機段と、さらに下流にプロセス流体のための第1の半径方向流出部とを有し、この第1の半径方向流出部が内部ハウジングを通って導かれている圧縮機において、この圧縮機が軸方向流入部に流体を注入するための注入装置を有し、圧縮されるべきプロセス流体が最初に吸引され、注入された流体の量はこの吸引された媒体の温度及び相対湿度に応じて決められ、圧縮機によって解決される。
【0009】
主請求項に従う従属請求項は、本発明の有利な発展形態を含んでいる。
【0010】
本発明に関連して、軸方向、半径方向、接線方向又は円周方向などの用語は、各々、ロータ軸線又は回転軸線を基準にしている。圧縮機段は、ここでは、1つ又は複数の圧縮機インペラによる特定の質量流量の圧縮を意味する。本発明による用語「圧縮機段」又は「圧縮段」を使用する際に大事なことは、これは圧縮機内の中断されていない流路で行われる圧縮であり、その場合に、圧縮される質量流又はその部分流が圧縮機から引き出されず、場合によっては他のプロセスステップを受けないことである。このことはまた、圧縮機段の注入部において、圧縮されるプロセス流体が流入部によって圧縮機のハウジングに導入され、圧縮機段の出口において、プロセス流体の少なくとも一部(一般には、全体の質量流量)が、当該の圧縮機段のハウジングから流出部によって再び導出されることを意味する。
【0011】
本発明によれば、流体として1つの混合液が使用される。
【0012】
メタノール(沸点65℃)又はエタノール(沸点78℃)を混入することにより、圧縮プロセスにおける狙い通りの正確な蒸発量を調整することができる。圧縮経路に沿って、温度上昇に伴って混合液の異なる成分が蒸発し、熱を吸収する。これにより、単相の流体のみで作動する場合よりも低い温度を得ることができる。
【0013】
もう1つの改善点は、圧縮プロセスに有益な場合には、適切な混合パートナーによってより高い沸騰温度を得ることができることである。さらに、混合エンタルピが負で、追加の(混合)冷却を達成しなければならない場合には、圧縮される媒体内部での混合を行なうことができる。
【0014】
さらに、本発明により、高効率をもたらす等温圧縮に近づけるという目的が訴求される。
【0015】
水又は液化ガスのような流体の本発明による蒸発によって、流れる体積流量を減少させることができる。これにより、所定の断面における速度及び流れ損失が低減される。
【0016】
こうして、コンパクトであることによる負の効果を圧縮機の性能に及ぼすことなく、圧縮機をよりコンパクトに構成するために蒸発を使用することができる。
【0017】
有利な一発展形態では、螺旋状の段(プロセス段の最終段)における注入が特に有効である。
【0018】
別の有利な発展形態では、複数の注入口及び複数の還流段においても1つの注入装置が提案される。飽和に近い最適な状態を保持し、且つ、流体の堆積を避けるために、運転ポイントに応じて流体の量が調節される。
【0019】
別の有利な一発展形態では、水の量は約2重量%である。この場合、蒸発した供給水を含む全体の体積流量は約8%減少し、これは1つのディフューザと1つの螺旋部の損失を約15%減少させることに相当する。
【0020】
液状に凝縮した状態の気体を注入することも、又は、例えば、水、メタノール、エタノールなどの別の媒体を注入することも、又は、複数の成分からなる混合液を注入することもできる。
【0021】
注入される媒体は、その蒸発温度が、流体の注入がない次の圧縮機段のインペラー流出部での温度よりも、その位置での最終圧力に関連して、低くなるように選択される。
【0022】
複数の流体の混合液を使用する場合、最高温度で沸騰する成分については、この条件を満たす必要がある。他方、この蒸発温度(混合液の場合:最低温度で沸騰する成分)は、注入場所のガス温度より低くすることができる。
【0023】
この注入媒体は、その蒸発温度が注入位置で圧縮ガスの温度より高く、流体の注入がない場合を基準にして、その次の圧縮機段の後の温度より低くなるように選択される。
【0024】
極めて良好な内部冷却が達成されるのは、注入に続く圧縮プロセスの後の温度がその流体の蒸発温度よりも高い場合であり、混合液の場合には個別の成分の最高蒸発温度よりも高い場合である。この場合、蒸発プロセスの高エンタルピがフルに利用されているので、内部冷却のポテンシャルがフルに利用されるであろう。
【0025】
流体の量の能動的な配量により流体の注入が改善される。流体の量の計算は、吸入された媒体の温度及び相対湿度に基づき行われる。次いで、この配量は、複数のノズルのオン・オフの切り替えによって、又は、ポンプ回転数によって、又は、バイパス制御を利用しても、実施することができる。
【0026】
プロセス流体の効果的な加湿のためには、注入された流体に関する滞留時間が重要である。
【0027】
本発明によれば、流体の注入により圧縮機駆動動力の効果的な低減を達成するために、注入部とインペラ流入部との間の最小間隔をインペラ入口直径の3倍とすることが、提案される。
【0028】
注入部とインペラ流入部の間隔がインペラ入口直径の略10倍の場合に、最適状態が達成できることが分かっている。一般的に、導入される液滴が細かければ細かいほど、注入部からインペラ流入部までの間隔を小さくすることができるという関係が当てはまる。
【0029】
別の有利な一発展形態では、互いに規定された間隔を有する複数のユニットにおけるカスケード式の注入が提案される。この場合にも、最終カスケード段の最小間隔を下回らないようにすべきである。カスケード内の複数の注入ノズルは、互いに邪魔にならないように、流れ方向に見て互いにオフセットして配置することができる。カスケード構成では、1つの位置あたりの流体注入量を減らすことができる。
【0030】
以下に、本発明を特定の実施例に基づき図面を参照してより詳細に説明する。
【0031】
上述した本発明の特性、特徴及び利点、並びに、それらが達成される方法は、図面に基づき詳細に説明される実施例の以下の説明によってより明確に理解されるであろう。
【0032】
同一部品、又は、同一機能を有する部品には、同一の参照符号が付されている。
【0033】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。これらの図面はこの実施例を縮尺通りに示したものではなく、説明のために、模式的に、及び/又は、わずかに歪んだ形で作成されている。図面において、直接的に認識することができる教示に対する補足については、関連する先行技術を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】本発明による第1の圧縮機の模式図の縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
軸方向、半径方向、接線方向又は円周方向などの用語は、特に記載がない限り、ロータのX軸を基準にしている。
【0036】
図1は、既知の遠心流体機械を(簡略化した)断面図で示す。図示の流体機械は圧縮機1、特に遠心圧縮機である。
【0037】
この流体機械は、回転軸線3のまわりに回転可能に支持された遠心インペラ2を備えている。このインペラ2は軸方向流入部4と半径方向流出部5とを有する。
【0038】
更に、このインペラ2はハブ6と、ハブ6から半径方向に突出した複数のインペラ羽根7とを備えている。これらのインペラ羽根7の間には複数の流路が形成されており、これらの流路を通って流体が流れる。さらに、ハブ6は圧縮機のシャフト(図には図示されていない)に接続されている。
【0039】
更に、インペラ2は1つのホイールディスク8を有し、これはハブ6と一体に形成されており、複数のインペラ羽根7を互いに結合している。本実施例ではこのインペラ2はいわゆるオープンインペラ、すなわち、遮蔽プレートのないインペラである。代替の実施形態(図示せず)では、インペラ2はいわゆるクローズドインペラ、すなわち、遮蔽プレートを備えたインペラとすることができる。
【0040】
さらに、この圧縮機1はハウジング9を備えており、その内部にインペラ2が配置されている。このハウジング9の一部は螺旋状のハウジングとして形成されている。すなわち、このハウジング9は、螺旋状の中空空間11を有する螺旋状のハウジング部10を有する。
【0041】
更に、この圧縮機は、回転軸線3に対して軸線方向に対称な環状ディフューザ12を有し、このディフューザはハウジング9内に中空のチャンバ又はチャネルとして形成されている。このディフューザ12はインペラ2の円周の周りに配列され、半径方向ディフューザとして形成されている。更に、このディフューザ12は、螺旋状のハウジング部10に、又は、その中空空間11に繋がっている。
【0042】
さらに、
図1では、インペラ2の出口直径13が両方向矢印の形で示されている。
【0043】
更に、このディフューザ12は複数のディフューザ羽根14を有する。すなわち、このディフューザ12は羽根付きディフューザである。本実施例では、ディフューザ12は6つのディフューザ羽根14を有し、そのうちの2つのみを
図1で見ることができる。しかし、原理的には、ディフューザ12は異なる数のディフューザ羽根14を有することもできる。
【0044】
この圧縮機1は、例えば空気などの流体を圧縮するために用いられる。圧縮機1の運転中、この流体は軸方向流入部4を通って、軸方向に沿ってインペラ2に流入するか、又は、インペラ羽根7によって形成された流路に流入する。この流体はインペラ2によって回転され、半径方向流出部5を通ってインペラ2から半径方向外向きに離れる。
【0045】
そこから、インペラ2から出て行く流体はディフューザ12に流入する。ディフューザ12は、流体の運動エネルギーの一部を圧力の形の位置エネルギーに変換し、この流体を螺旋状のハウジング部10内の中空空間11に導く。
【0046】
図2は、本発明による注入装置15を備えた圧縮機1の一部の模式図の縦断面を示す。
図2の左端には、軸方向流入部4の一部が見える。両方向矢印はインペラ入口直径16を示す。インペラ流入部17は、
図2には示されていないインペラ2の前方に配置されている。
【0047】
インペラ流入部17には流入ハウジング18が配置されており、これは複数のフランジ19によって互いに結合されている。
【0048】
間隔20で、1つのノズル21が流入ハウジング18内に配置されている。このノズル21は流体を供給するために形成されている。この場合、右側から流入するプロセス流体が圧縮機1の方向に移動し、ノズル21によって流体がプロセス流体に到達する。
【0049】
この場合、この流体の蒸発温度は、注入後に圧縮プロセスにおいて圧縮されるプロセス流体の温度よりも低い。
【0050】
さらに、注入装置15は詳細には図示されていない調節装置を有し、この調節装置は注入された流体の量を調節できるように構成されている。
【0051】
この例では、注入装置15は、圧縮されるプロセス流体が最初に吸入され、そして、この吸入されたプロセス流体の温度と相対湿度に応じて、注入された流体の量を決定するように構成されている。
【0052】
図2に見られるように、注入装置15は、圧縮されるプロセス流体の内部で流体の注入が行われるように構成されている。
【0053】
この注入装置15は、プロセス流体の流れ方向において相前後して配置された複数のノズル21(図示せず)を有することができる。
【0054】
インペラ2の前方の最後のノズル21とインペラ流入部17との間隔20がインペラ入口直径16の3倍であると、注入の効果が有利であることが分かっている。
【0055】
インペラ2の前方の最後のノズル21とインペラ流入部17との間隔20がインペラ入口直径16の0.5倍から0.75倍の間、好ましくは0.66倍であると、さらに有利な効果が生じる。
【0056】
注入装置15は、インペラ2の前方の最後のノズル21とインペラ流入部17との間隔20がインペラ入口直径16の間隔22の10倍であるとき、特に効果的な作用を有する。
【0057】
注入装置15の有効性を向上させる別の可能性は、複数のノズルが流れ方向において相前後して配置されることにより得られる。それにより改善された混合が可能である。
図2では、この改良された配置が、第1のライン23と第2のライン24によって模式的に示されている。
【0058】
第1のライン23と第2のライン24の両方に、追加の複数のノズル(図示せず)が配置されている。ノズル21と10倍の間隔22に相当する位置との間隔が長さLである。ノズル21と第1のライン23の位置における追加ノズルとの間隔は、実質的に長さLの3分の1である。
【0059】
第1の位置23における追加ノズルと第2のライン24上の位置における追加ノズルとの間隔は、実質的に長さLの3分の1である。
【0060】
第2の位置24における追加ノズルと10倍の間隔22に相当する位置との間隔は、実質的に長さLの3分の1である。
【0061】
図2では、追加ノズルのための2つの追加位置のみが図示されている。互いに間隔をあけて配置される更なる追加のノズルも考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(3)に沿って延びるロータ、ハウジング(9)、及び、前記ロータ上に配置されたインペラ(2)を備える圧縮機(1)であって、
前記ハウジング(9)が前記ロータの周囲に配置されており、
前記ハウジング(9)が、軸方向流入部(4)と、前記軸方向流入部(4)の下流に第1の圧縮機段と、さらに前記第1の圧縮機段の下流にプロセス流体のための第1の半径方向流出部(5)とを有し、
前記第1の半径方向流出部(5)が前記ハウジング(9)内を通って導かれている圧縮機(1)において、
前記圧縮機(1)が前記軸方向流入部(4)に流体を注入するための注入装置(15)を有し、
圧縮されるプロセス流体が最初に吸引され、前記注入された流体の量が前記吸引された媒体の温度及び相対湿度に応じて決められる、
ことを特徴とする圧縮機(1)。
【請求項2】
前記流体の蒸発温度が、注入後に前記圧縮
される工程において圧縮される前記プロセス流体の温度よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の圧縮機(1)。
【請求項3】
前記注入された流体の量を調節できるように構成された調節装置を有することを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項4】
前記注入装置(15)が、圧縮される媒体の内部で前記流体が注入されるように構成されていることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項5】
前記流体の注入が前記インペラ(2)の前方で行われることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項6】
前記圧縮機(1)が1つの螺旋状の段を有し、前記流体が前記螺旋状の段内に注入されることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項7】
前記圧縮機(1)が1つの流入部を有し、前記流体が前記流入部内に注入されることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項8】
前記圧縮機(1)が1つの還流段を有し、前記流体が前記還流段内に注入されることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項9】
前記流体の注入が複数のノズル(21)を介して行われることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項10】
前記圧縮機(1)が、インペラ入口直径(16)を有するインペラ流入部(17)を備え、前記インペラ(2)の前方の最後のノズル(21)と前記インペラ流入部(17)との間隔(20)が前記インペラ入口直径(16)の3倍であることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項11】
前記圧縮機(1)が、インペラ入口直径(16)を有するインペラ流入部(17)を備え、前記インペラ(2)の前方の最後のノズル(21)と前記インペラ流入部(17)との間隔(20)が前記インペラ入口直径(16)の10倍であることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項12】
前記複数のノズル(21)が軸方向において互いに間隔をあけて配置され、カスケード式の注入を形成していることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項13】
前記複数のノズル(21)が互いにオフセットして配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項14】
前記複数のノズル(21)のオン・オフの切り替えによって、前記注入された流体の量を調節できることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項15】
回転数によって、前記注入された流体の量を調節できることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項16】
バイパス制御を利用して、前記注入された流体の量を調節できることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項17】
前記注入装置(15)が、水とアルコールの混合液を注入できるように構成されていることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項18】
前記注入装置(15)が、水とエタノールの混合液、及び/又は、水とメタノールの混合液を注入できるように構成されていることを特徴とする、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項19】
遠心圧縮機として形成されている、請求項
1に記載の圧縮機(1)。
【請求項20】
前記遠心圧縮機が単段で構成されていることを特徴とする、請求項19に記載の遠心圧縮機。
【請求項21】
前記遠心圧縮機が多段で構成されていることを特徴とする、請求項19に記載の遠心圧縮機。
【国際調査報告】