(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】長さ調節可能なステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/90 20130101AFI20241003BHJP
A61F 2/958 20130101ALI20241003BHJP
A61F 2/966 20130101ALI20241003BHJP
【FI】
A61F2/90
A61F2/958
A61F2/966
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521167
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 US2022046301
(87)【国際公開番号】W WO2023064289
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ギルマーティン、ゲイリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA44
4C267AA47
4C267AA50
4C267AA53
4C267AA54
4C267AA55
4C267BB03
4C267BB05
4C267BB06
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB13
4C267CC08
4C267CC20
4C267CC21
4C267CC22
4C267CC24
(57)【要約】
一定の内径を維持しつつ長さが変化するように構成されたステントが開示されている。ステントは、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントを備える長尺状の管状部材を含み、桟は、隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されている。管状部材は、半径方向に拡張された形態において、管状部材の内径および/または外径を実質的に変化させることなく、第1の長さから第2の長さに引き伸ばされるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の内径を維持しつつ長さが変化するように構成されたステントであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長手方向軸とを有する管状部材を備え、前記管状部材は、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記管状部材は、送達中の収縮形態から半径方向に拡張された形態に自動的に半径方向に拡張するように構成されており、前記半径方向に拡張された形態にあるとき、前記管状部材は、第1の長さおよび第1の内径を有するとともに、第2の長さおよび第2の内径を有する伸長形態に引き伸ばされるように構成されており、
前記第1の長さは、前記第2の長さよりも短く、前記第1の内径および前記第2の内径は、実質的に同じである、ステント。
【請求項2】
前記第2の長さは、前記第1の長さの少なくとも200%以上である、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の長さは、約50mmから約60mmであり、前記第2の長さは、約100mmから約160mmである、請求項1または2に記載のステント。
【請求項4】
前記半径方向に拡張された形態にあるとき、前記一連の連結されたステッチは、螺旋を形成しており、前記螺旋は、前記管状部材が前記第1の長さであるとき、前記長手方向軸に対して第1の角度を有しており、前記管状部材が前記第2の長さであるとき、前記長手方向軸に対して第2の角度を有しており、前記第1の角度は、前記第2の角度より大きい、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステント。
【請求項5】
送達のための前記収縮形態にあるとき、前記一連の連結されたステッチは、長手方向の列を形成している、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のステント。
【請求項6】
前記複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分と、交差したベース領域とを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステント。
【請求項7】
前記複数の捩れた編みステッチの各々が、前記ループ部分および前記交差したベース領域を形成する単一のフィラメントによって形成されている、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかの前記ループ部分が、前記長手方向に隣接する捩れた編みステッチの前記交差したベース領域の周りに巻き付けられている、請求項6に記載のステント。
【請求項9】
前記管状部材の前記遠位端にある前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかを通る第1の縫合糸と、前記管状部材の前記近位端にある前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかを通る第2の縫合糸とをさらに備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のステント。
【請求項10】
ステントアセンブリであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長手方向軸とを有するステントであって、前記ステントは、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記ステントは、送達中の収縮形態から半径方向に拡張された形態に自動的に半径方向に拡張するように構成されており、前記半径方向に拡張された形態にあるとき、前記ステントは、第1の長さおよび第1の内径を有するとともに、第2の長さおよび第2の内径を有する伸長形態に引き伸ばされるように構成されており、前記第1の長さは、前記第2の長さよりも短く、前記第1の内径および前記第2の内径は、実質的に同じである、前記ステントと、
外側スリーブと、前記外側スリーブ内で摺動可能な内側シャフトとを含む送達デバイスであって、前記内側シャフトは、遠位先端と、少なくとも1つの捕捉要素とを有しており、前記少なくとも1つの捕捉要素は、前記外側スリーブ内で収縮したときに前記内側シャフトに隣接して配置される第1の形態と、前記外側スリーブから解放されたときに前記内側シャフトから半径方向外向きに延在する第2の形態との間で移動するように構成されている、前記送達デバイスと、を備えるステントアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの捕捉要素は、少なくとも1つのフックを含む、請求項10に記載のステントアセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフックは、第1の遠位側に向いたフックと、第2の近位側に向いたフックとを含む、請求項11に記載のステントアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのフックは、第2のフックに連結された第1のフックを含む、請求項11に記載のステントアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの捕捉要素は、前記第2の形態において偏位される、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のステントアセンブリ。
【請求項15】
狭窄部において体管腔を支持する方法であって、
ステントの中央領域が前記狭窄部を横切って配置された状態に前記ステントを前記体管腔内に送達するステップと、
前記ステントを前記体管腔内で半径方向に拡張された形態に半径方向に拡張するステップであって、前記ステントは、遠位端と、近位端と、前記遠位端と前記近位端との間に延在する長手方向軸とを有する管状部材を含んでおり、前記管状部材は、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記管状部材は、前記半径方向に拡張された形態において第1の長さおよび第1の内径を有している、拡張するステップと、
その後、前記体管腔内で第2の長さを有する半径方向に拡張されかつ伸長された形態に前記ステントを引き伸ばすステップと、を含み、前記第2の長さは、前記第1の長さよりも長い、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、医療デバイスを製造するための方法、およびそれらの使用に関する。より具体的には、本開示は、体管腔内に埋め込むためのステント、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋込型医療デバイス(例えば、拡張可能なステント)は、体内の様々な病状を治療するように設計され得る。例えば、いくつかの拡張可能なステントは、半径方向に拡張するとともに、体管腔を支持し、かつ/または消化された材料、血液、または他の体液が医療処置後に流動するための流体経路を提供するように設計され得る。いくつかの医療デバイスは、種々の医療デバイス送達システムによって経皮的に埋め込まれ得る半径方向拡張型ステントまたは自己拡張型ステントを含み得る。これらのステントは、冠状動脈または末梢動脈、食道、消化管(腸、胃、および結腸を含む)、気管支、尿路、胆道、血管系等の種々の体管腔内に埋め込まれ得る。
【0003】
いくつかの例では、治療部位において体管腔を開くのに十分な半径方向の力および直径を維持しながら、十分な柔軟性および伸長特性を含むようにステントを設計することが望ましい場合がある。しかしながら、いくつかのステントでは、ステント送達を補助する伸長性、圧縮性、および柔軟性の特性により、ステントの直径が減少し、最初に展開された位置から移動する傾向が生じ得る。例えば、消化管内に配置されるステントは、所望の直径を維持するとともに、特に90度以上の角度で曲げられたときに折れ曲がり(kinking)に対して耐性があるものである必要がある。さらに、消化管および胆管は一般的に湿潤で本質的に滑らかな環境であるため、ステントがその中に配置されたときに移動する傾向がさらに助長される。
【0004】
従って、いくつかの例では、一定の直径を維持しつつ伸長し、屈曲時の折れ曲がりに抵抗する能力を有するステントを設計することが望まれ得る。そのような特徴を含む医療デバイスの例が、本明細書に開示されている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、医療デバイスの設計、材料、製造方法、および使用の代替案を提供する。一定の内径を維持しつつ長さが変化するように構成された例示的なステントは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する長手方向軸とを有する管状部材を含んでおり、管状部材は、桟(rungs)とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、桟は、隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、管状部材は、送達中の収縮形態から半径方向拡張された形態に自動的に半径方向に拡張するように構成されており、半径方向に拡張された形態にあるとき、管状部材は、第1の長さおよび第1の内径を有するとともに、第2の長さおよび第2の内径を有する伸長形態に引き伸ばされるように構成され、第1の長さは第2の長さよりも短く、第1の内径および第2の内径は実質的に同じである。
【0006】
上記実施形態に対して代替的または追加的に、第2の長さは、第1の長さの少なくとも200%以上である。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、第1の長さは約50mmから約60mmであり、第2の長さは約100mmから約160mmである。
【0007】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、半径方向に拡張された形態にあるとき、一連の連結されたステッチは螺旋を形成しており、螺旋は、管状部材が第1の長さであるとき、長手方向軸に対して第1の角度を有しており、管状部材が第2の長さであるとき、長手方向軸に対して第2の角度を有しており、第1の角度は第2の角度よりも大きい。
上記の実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、送達のための収縮形態にあるとき、一連の連結されたステッチは、長手方向の列を形成している。
【0008】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分と、交差したベース領域とを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分および交差したベース領域を形成する単一のフィラメントによって形成されている。
【0009】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、捩れた編みステッチの少なくともいくつかのループ部分が、長手方向に隣接する捩れた編みステッチの交差したベース領域の周りに巻き付けられている。
【0010】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、ステントは、管状部材の遠位端にある捩れた編みステッチの少なくともいくつかを通る第1の縫合糸と、管状部材の近位端にある捩れた編みステッチの少なくともいくつかを通る第2の縫合糸とをさらに含む。
【0011】
例示的なステントアセンブリは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する長手方向軸とを有するステントであって、ステントは、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、ステントは、送達中の収縮形態から半径方向に拡張された形態に自動的に半径方向に拡張するように構成されており、半径方向に拡張された形態にあるとき、ステントは、第1の長さおよび第1の内径を有するとともに、第2の長さおよび第2の内径を有する伸長形態に引き伸ばされるように構成されており、第1の長さは、第2の長さより短く、第1の内径および第2の内径は、実質的に同じである、ステントと、外側スリーブと、外側スリーブ内で摺動可能な内側シャフトとを含む送達デバイスであって、内側シャフトは、遠位先端と、少なくとも1つの捕捉要素とを有しており、少なくとも1つの捕捉要素は、外側スリーブ内で収縮したときに内側シャフトに隣接して配置される第1の形態と、外側スリーブから解放されたときに内側シャフトから半径方向外向きに延在する第2の形態との間で移動するように構成されている、送達デバイスと、を含む。
【0012】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの捕捉要素は、少なくとも1つのフックを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、少なくとも1つのフックは、第1の遠位側に向いたフックおよび第2の近位側に向いたフックを含む。
【0013】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの捕捉要素は、複数の遠位側に向いたフックおよび複数の近位側に向いたフックを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、少なくとも1つのフックは、第2のフックに連結された第1のフックを含む。
【0014】
上記の実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、第1のフックは、第2のフックの開口部を通って延在している。
上記の実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの捕捉要素は、第2の形態において偏位される。
【0015】
上記の実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの捕捉要素は、第2の形態において、内側シャフトの外側表面から半径方向に5mm以上延在する。
【0016】
狭窄部において体管腔を支持する例示的な方法は、ステントの中央領域が狭窄部を横切って配置された状態にステントを体管腔内に送達するステップと、体管腔内で半径方向に拡張された形態にステントを半径方向に拡張するステップであって、ステントは、遠位端と、近位端と、遠位端と近位端との間に延在する長手方向軸とを有する管状部材を含んでおり、管状部材は、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、桟は、隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、管状部材は、半径方向に拡張された形態において第1の長さおよび第1の内径を有している、拡張するステップと、その後、体管腔内で第2の長さを有する半径方向に拡張され伸長された形態にステントを引き伸ばすステップと、を含む。
【0017】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、ステントは、半径方向に拡張され伸長された形態において第2の内径を有しており、第2の内径は、第1の内径と実質的に同じである。
【0018】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは追加的に、第2の長さは、第1の長さの少なくとも200%以上である。
いくつかの実施態様に係る既述の概要は、本開示の開示された各実施形態または全ての具現化を説明することを意図していない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は、添付の図面に関連して様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
【
図2】
図1の例示的なステントの一部の拡大平面図である。
【
図3】折り畳まれた形態の
図1のステントの図である。
【
図5】
図1の例示的なステントの長手方向端部の拡大側面図である。
【
図6】体管腔内に配置された
図1のステントの一部の図である。
【
図7A】拡張された形態にある
図1のステントの側面図である。
【
図7B】伸長形態にある
図1のステントの側面図である。
【
図8A】
図1のステントが胆管内で展開され伸長されている形態を示す図である。
【
図8B】
図1のステントが胆管内で展開され伸長されている形態を示す図である。
【
図8C】
図1のステントが胆管内で展開され伸長されている形態を示す図である。
【
図8D】
図1のステントが胆管内で展開され伸長されている形態を示す図である。
【
図8E】
図1のステントが胆管内で展開され伸長されている形態を示す図である。
【
図9】適合性を示す
図1のステントの側面図である。
【
図10】結腸内で展開され伸長された
図1のステントを示す図である。
【
図11A】例示的なステント展開システムの側断面図である。
【
図11B】例示的なステント展開システムの側断面図である。
【
図12】別のステント展開システムの一部の側断面図である。
【
図13】別のステント展開システムの一部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本開示の態様を記載された特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。そうではなく、その意図は、本開示の範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を網羅することにある。
【0021】
以下の定義された用語については、請求項または本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用される。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(つまり、同じ機能または結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値を含むことを示している場合がある。
【0022】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内の全ての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
様々な構成要素、特徴および/または仕様に関連する適切な寸法、範囲、および/または、値が開示されているが、本開示によって刺激される当業者は、所望の寸法、範囲、および/または、値が明示的に開示されているものから逸脱する可能性があることを理解するであろう。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかに他に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語「または」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「および/または」を含むその意味で一般に使用される。
【0024】
以下の詳細な説明は、異なる図面を通して同様の要素に同一の参照番号を付している図面を参照して読まれるべきである。詳細な説明および図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示し、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。示されている例示的な実施形態は、例示としてのみ意図されている。いずれかの例示的な実施形態の選択された特徴は、反対に明確に述べられていない限り、追加の実施形態に組み込まれ得る。
【0025】
様々な自己拡張型ステントおよびバルーン拡張型ステントが利用可能である。現在利用可能な編組されたステントおよび編み込まれたステントは、食道、気管気管支、胆管、および結腸への適用に望ましい最小の短縮化を備え優れた半径方向強度を提供する。しかしながら、現在利用可能なステントは、多くの場合、いくつかの解剖学的用途のための所望レベルの適合性を欠いている。例えば、編組されたステントは、解剖学的構造の屈曲に適合する傾向がなく、代わりに、ステントを留置する血管または管腔を真っ直ぐに形を整えようとする傾向がある。
【0026】
さらに、現在利用可能な編組されたステントおよび編み込まれたステントは、多くの場合、特定の直径および長さに及ぶように製造される。例えば、20mmの直径のステントは、60mm、80mm、100mm、120mm、および150mmの長さで利用可能であり得る。他の直径を有するステントもまた、同様の数の長さで提供され得る。ステントのこの様々なサイズは、多くのステントサイズをカバーするための特定の工具の必要性に基づいて作業上のオーバーヘッドが増加し、多くの場合、特定のサイズがどれほど一般的であるか、または要求され得るかにかかわらず、個々のステントサイズに対する臨床上の保管要件が増加し得る。利用可能なステントサイズのマトリックスは大きいため、医師および/または病院は、多くの場合、サイズを選択して購入する。例えば、病院は、特定の用途のために、大型、中型、および小型のステントサイズを在庫しておき、医師は、患者を治療する際に、この縮小されたマトリックスから選択する。その結果、理想的には別のサイズのステントが必要な狭窄部が、利用可能であるために、より大きいかまたはより小さいデバイスで治療されることが生じ得る。これは、ステントサイズのマトリックス全体をストックするコストを低減するために病院で行われ得ることであり、医師が患者および処置の特定の必要性ではなく、利用可能性に基づいてステントサイズを選択した場合、望ましい結果に満たない結果を招く可能性がある。
【0027】
ステントサイズの選択が特に重要である例は、胆管への用途である。胆道系は、医師が一般にステントによる閉塞を回避することを望む多くの側管および/または分枝を有する。同時に、医師は、ステントの近位端が膨大部を通って十二指腸に突出する一方、ステントの遠位端が狭窄部の遠位に配置されるように、ステントの端部が適切に配置された状態で、ステントが狭窄部を完全にまたいで、それを緩和するのに十分に長いステントを必要とする。このような処置におけるステントの正確なサイズ決定は、処置の成功した結果を得るために重要である。
【0028】
従来の平行に編み込まれたステント構成と同様の適合性、半径方向の力、および短縮化を有しながら、移動および折れ曲がりに抵抗性のある、同軸送達システムを介した曲がりくねった解剖学的屈曲部または他の解剖学的部位への送達が可能な代替の編み込まれた自己拡張型ステントが望まれている。本明細書中に開示される実施形態は、胆管ステントおよび腸ステントを参照して説明されるが、本明細書中に記載されるステントは、限定ではないが、体組織、体器官、血管内腔、非血管内腔およびこれらの組み合わせなど、例えば、限定ではないが、冠状血管系または末梢血管系、気管、気管支、尿路、前立腺、脳、胃の中などの別の部位での使用のために使用され得、かつサイズが決められ得ることが企図される。
【0029】
図1は、ステント10等であるが、それに限定されない、例示的な管腔内インプラントの斜視図を示す。ステント10は、反対側が図面を不明瞭にすることなくステントの構造をより明確に示すために、内部のみが不透明な状態で図示されている。別段の指示がない限り、一般的に内部構造は存在しないことが理解されるであろう。いくつかの例では、ステント10は管状部材12として形成され得る。ステント10は、略管状として説明されているが、ステント10は、所望の任意の断面形状をとり得ることが想定される。ステント10は、第1の端(即ち、遠位端)14と、第2の端(即ち、近位端)16と、遠位端14と近位端16との間に配置された中央領域18とを有し得る。ステント10は、ルーメン20を含み得、ルーメン20は、遠位端14に隣接する第1の開口部から近位端16に隣接する第2の開口部まで延在して、流体等の通過を可能にする。
【0030】
ステント10は、オープンセル25および捩れた編みステッチ22を形成する少なくとも1つのフィラメント24から作製され得る。いくつかの例では、ステント10は、オープンセル25および捩れた編みステッチ22を形成するために自身とともに編み合わされた単一のフィラメント24のみから形成され得る。いくつかの場合において、フィラメント24は、モノフィラメントであり得るが、他の場合において、フィラメント24は、巻かれた、編組された、または一緒に織られた2つ以上のフィラメントであり得る。いくつかの例では、ステント10の内面および/または外面は、全体的に、実質的に、または部分的に、ポリマー被覆またはポリマーコーティングで覆われ得る。被覆またはコーティングは、フィラメント24によって形成された1つ以上または複数のオープンセル25および捩れた編みステッチ22を横切って、かつ/または閉塞して延在し得る。被覆またはコーティングは、組織の内部成長を低減するのに役立ち得る。
【0031】
ステント10は、所望に応じて、体内に正確に配置された場合にステント10を形状に合わせて拡張可能な、金属、金属合金、形状記憶合金、および/またはポリマー等であるがこれらに限定されない多くの異なる材料から作製可能であることが想定される。いくつかの例において、ステント10を比較的容易に取り外すことができるように材料を選択し得る。例えば、ステント10は、ニチノールおよびエルジロイ(Elgiloy(登録商標))等であるがこれらに限定されない合金から形成可能である。構築のために選択された材料に応じて、ステント10は、自己拡張型であり得る(即ち、収縮されていないときに自動的に半径方向に拡張するように構成される)。いくつかの実施形態では、繊維を使用してステント10を作製し得る。該繊維は、例えば、白金コアを有するニチノールで作製された外殻を有する複合繊維であり得る。ステント10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むがこれに限定されないポリマーから形成され得ることがさらに想定される。いくつかの例では、ステント10のフィラメントまたはその一部は、生体吸収性または生分解性であり得、他の例では、ステント10のフィラメントまたはその一部は、生体安定性であり得る。ステント10は、自己拡張型であり得る。本明細書で使用される場合に、「自己拡張」という用語は、外部からの付勢力(例えば、送達カテーテルまたはシースであるがこれらに限定されない)から解放されたときに、ステントが予めプログラムされた直径に戻る傾向を指す。いくつかの例では、
図1に示されるような拡張形態では、ステント10は、遠位端14に隣接する第1の端部領域23と、近位端16に隣接する第2の端部領域28とを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ステント10は、
図1に示されるように、弛緩した拡張形態にあるとき、遠位端14から近位端16まで均一な外径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の端部領域23および第2の端部領域28は、中央領域18に対して拡大された直径を有する保持機構または移動防止フレア領域(明示的に図示せず)を含み得る。ステント10の遠位端14および近位端16に隣接して配置され得る移動防止フレア領域は、食道または他の体管腔の壁の内側部分に係合するように構成され得る。中央領域18の断面エリアから保持機構またはフレア領域への移行は、所望に応じて、漸進的であり得、傾斜的であり得、または急激な段階的方式で生じ得ることが想到される。いくつかの実施形態では、中央領域18の外径は、6ミリメートルから14ミリメートルの範囲であり得る。移動防止フレア(遠位端14および/または近位端16)の外径は、8ミリメートルから18ミリメートルの範囲であり得る。ステント10の外径は、所望の用途に適合するように変更され得ることが想定される。
【0033】
図2は、送達カテーテルから解放された後の半径方向に拡張された形態にあるときのステント10の螺旋構造を示す。図示されるようなステント10は、単一の編み込まれたフィラメント24から製造され得る。単一の編み込まれたフィラメント24は、捩れた編みステッチ22を形成しており、捩れた編みステッチ22は、隣接する捩れた編みステッチ22の間に円周方向に延在する長尺状の桟26によって分離されている。
図2に示されるように、各捩れた編みステッチ22は、長手方向に隣接する捩れた編みステッチ22と相互接続されて、半径方向に拡張された形態にあるステントの周りに螺旋状に延在する一連の連結されたステッチを形成し得る。連結された捩れた編みステッチ22は、ステント10の全長に沿ってステント10の周囲に螺旋状に延在する螺旋を形成し得る。いくつかの実施形態では、ステント10が完全に半径方向に拡張し弛緩した状態にあるとき、
図2に示すように、桟26は、ステント10の長手方向軸x-xに対して実質的に垂直に延在し得る。いくつかの実施形態では、桟26は、拡張形態において、長さが0.1mmから10.0mmまでの間であり得る。他の例では、桟26は、1mmから5mmまでの長さを有し得る。さらに他の例では、桟26は、2mmから3mmまでの長さを有し得る。
【0034】
図3は、送達シース13内に配置された半径方向に収縮した形態にあるステント10を示す。
図3に示されるように、ステント10が、送達シース13内に挿入される際に、半径方向に折り畳まれて伸長されると、螺旋状の相互接続された捩れた編みステッチ22は、真っ直ぐになって長手方向の列になる。捩れた編みステッチ22は伸長し、桟26は短くなる。半径方向に折り畳まれて収縮した形態にある捩れた編みステッチ22の構造が
図4に示されている。各捩れた編みステッチ22は、閉ループ部分30と、閉ループの底部を画定する交差したベース領域32とを含み得る。ループ部分30は、長手方向に隣接する捩れた編みステッチ22の交差したベース領域32の周りに巻き付けられ得る。交差したベース領域32は、
図4に示されるように、ステントの近位端16において、交差したベース領域32が非外傷性構造を形成するようにループ部分30の遠位にある。ループ部分30は、
図4に示される折り畳まれた形態において、長尺状の形状または楕円形の形状を有しているが、ループ部分30は、
図2に示されるように、拡張形態においてほぼ円形の形状を有し得る。いくつかの例では、ループ30は、拡張形態において、1mmから5mmまでの間の直径を有し得る。他の実施例では、ループ30は、2mmから3mmまでの直径を有し得る。
【0035】
ステント10の遠位端14は、一連の自由ループ部分30によって形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のテザーまたは縫合糸27は、遠位端14にある自由ループ部分30のうちの少なくともいくつかに挿通され得、第2の縫合糸27は、ステント10の伸長を可能にするために近位端に連結され得る。ステント10の近位端に連結された縫合糸27はまた、所望される場合、ステントを取り外すために使用され得る。近位端での自由ループ部分30の大きさは、ステント10の移植の際に達成される近位端における組織の内部成長の量をそれぞれ増加または減少させるために増加または減少され得る。
【0036】
図5に示すように、拡張形態において、桟26はステント10の外面40を形成し、捩れた編みステッチ22の交差したベース領域32は外面40から半径方向外向きに延在する。交差したベース領域32は、ステント10の周囲に螺旋状に延在する隆起したリッジ34を形成する。いくつかの例では、隆起した螺旋状リッジ34は、近位側に向いた傾斜35と、頂部36と、管状部材の近位端16に面するポケット37とを有する、長手方向の断面波形状を有し得る。いくつかの例では、頂部36は、外面40から0.5mmから5.0mmまでの間で突出し得る。特定の例では、頂部36は、外面40から1.5mm突出し得る。この距離は本質的にループ部分30の直径であり、最小距離はフィラメント24の直径に依存する。例えば、フィラメント24としては、0.003インチから0.014インチ(0.0762mmから0.3556mm)までの直径を有するワイヤが使用され得る。一例では、0.006インチ(0.1524mm)の直径を有するワイヤをフィラメント24として使用した。
【0037】
隆起した螺旋状リッジ34間の空間は、隣接する隆起した螺旋状リッジ34の頂部36間に延在するチャネル38を形成し得る。チャネル38は、ステント10の排液機構を提供し得る。隆起した螺旋状リッジ34は、組織壁と係合し得る一方、チャネル38の少なくとも一部分を組織壁から離間させたまま、ステント10の全長に沿って体液の排出を提供し得る。ステント上またはルーメン内に配置された被覆またはグラフトは、チャネル38を形成することを補助し得る。
【0038】
図6は、体管腔42内に配置されたステント10を示す。隆起した螺旋状リッジ34の波形状は、一方向に強い移動防止特性を提供し、反対方向にはそれよりも少ない移動防止特性を提供する。ステント10は、送達シース内に装填されるとともに、
図6に示されるように、ステントへの移動力に対する抵抗を最適化するために、好ましい方向で体管腔内に留置され得る。この独特の移動防止機構は、ステントの取り外し中にステントを移動防止特性がより少ない方向に引っ張り得るため、ステントの取り外し中にも利点を提供し得る。この機構は、ステント10の全体的な強力な移動防止特性のいずれかをも損なうことなく、医師によるステント10の取り外しを非常に容易にし得る。
【0039】
図6に見られるように、ステント10が食道または腸内に配置されたときの蠕動運動等の移動力(矢印44)がステント10に対して遠位方向に作用すると、波の頂部36が血管壁46に押し込まれることによって抵抗を与え、ポケット37が血管壁46の一部に係合し、それによってステント10の移動が防止される。頂部36には、鋭いエッジ、バーブ(barb)、またはクイル(quill)のいずれもない。むしろ、
図5に示すように、頂部36は、滑らかであるが明確なエッジを形成している。頂部36によって提供される移動防止は、ステント10の全長に沿って隆起した各リッジ34に対して発揮される。隆起した螺旋状リッジ34の波形、特に、近位側に向いた緩やかな傾斜35は、血管壁46に損傷を与えることなく、ステント10を近位方向に取り外すことを可能にする。
【0040】
捩れた編みステッチ22、特にループ部分30は、所望の組織および/または必要とされる組織の内部成長のレベルに一致するように構成され得る。例えば、組織の内部成長の増大は、ステント10の円周の周囲のループ部分30の数を増大させることによって達成され得る。螺旋のピッチおよび/または角度も増加させ得るとともに、ループ部分30の大きさを変更し得る。ループ部分30の構成は、いかなる被覆またはグラフトもない、ベアメタル組成物を有するステントにおける組織の内部成長に対して、より顕著な影響を及ぼし得る。
【0041】
食道および腸における蠕動運動は、血管壁の長手方向の表面に沿って生じる。既存の平行に編み込まれたステントは、ステントの全長に沿って直線状に形成された隆起ループを有する。従って、蠕動運動によってそのようなステントに伝達される力は、ステントの全長にコンスタントに作用する。しかしながら、ステント10の螺旋状リッジ34により、ステントの全長に沿って力が直接伝達されることはない。代わりに、血管壁46は、ステント10の隆起したリッジ34に対して力を発揮するが、その力は、ステント10の桟26によって形成された外面40には力が伝達されないため、断続的である。
【0042】
螺旋状の特性を有する、
図2に示されるような編みパターンの構成により、ステントが、規定された半径方向および軸方向の柔軟性を有する閉鎖した密集形態において、さらなるワイヤループを「収容」することが可能となり得る。展開中、ステント10が送達シース13から解放されると、ステント10は、弛緩して、
図3の半径方向に収縮した送達構成から
図7Aの半径方向に拡張された形態に移動する際に、コークスクリューの態様で捩れ得る。次に、ステント10の遠位端14および近位端16を押したり、引いたりすることで、ステント10を
図7Bの伸長形態に長手方向に引き伸ばし得る。展開中のこのコークスクリューの捩り運動により、ステント10は直径を減少させることなく長さを増加させることが可能となり、また、ステント10が展開される体管腔の壁にステント10が係合することを補助し得る。特に、ステント10の隆起した螺旋状リッジ34は、体管腔の壁と係合してステント10を伸長形態に固定し得るとともに、ステント10が
図7Aに示される拡張された形態となるまで長さが収縮することを防止し得る。これに比べて、従来の編組編みステント構造または平行編みステント構造は、それらの特性を機能および発揮するために、一定量の材料を有し得る。従来の編組編みステントまたは平行編みステントが伸長するとき、ステントは、ステント構造を形成する限られた材料量で長さの変化に対応するために一般に直径が減少する。従来の編組ステントは、長さの変化に対応して直径の減少が生じ得る。
【0043】
図2に示されるように、開示された編みパターンの伸長により、ステント10は、直径を大幅に減少させることなく長さを変化させることができ、また、半径方向の力を維持することができるため、「収容される」余剰の材料が利用可能となる。
図7Aに見られるように、半径方向に拡張された弛緩形態では、ステント10は、長手方向軸X-Xに対して第1の角度A1で螺旋状に延在する捩れた編みステッチの一連の螺旋状リッジ34を有する。ステント10が伸長するにつれて(例えば、半径方向に拡張された弛緩形態から半径方向に拡張された伸長形態にステント10を引き伸ばすことによって)、ステント10は、捩れて、
図7Bに示されるように、長手方向軸X-Xに対する螺旋状リッジ34の角度が第2の角度A2に減少し得る。
図7Aおよび
図7Bは、ステント10が半径方向に拡張され、かつ長手方向に弛緩された状態(
図7A)と、半径方向に拡張され、かつ長手方向に伸長された状態(
図7B)との間で移動するときのステント10における開示された編みパターンを示す。
【0044】
図7Aおよび
図7Bは、ステント10が、半径方向に拡張された弛緩形態における初期長さL1から、半径方向に拡張された伸長形態における伸長長さL2まで引き伸ばされるか、または伸長されるにつれて、長さの変化に適応する編み込まれたステント10を示す。例えば、ステント10は、
図7Aの初期長さL1および内径D1から、
図7Bに示すように、実質的に一定の内径D2(D2はD1に等しいかまたは実質的に等しい)を維持しつつ、長さL2に移行し得る。実質的に一定または実質的に等しいとは、半径方向に拡張された形態にある間に引き伸ばされるかまたは伸長されたときに、ステントを形成する管状部材の内径および/または外径が10%以下だけ変化することを意味することが意図される。いくつかの例では、伸長長さL2は、初期長さL1の150%以上、175%以上、200%以上、250%以上、または300%以上であり得る一方、直径は、実質的に一定を維持している。いくつかの例では、初期長さL1は、50mmから60mmまでであり得、伸長長さは、100mmから160mmまでであり得る(従って、初期長さL1の100%以上伸長する)一方、内径D1/D2は、約20mm(20mm±2mm)で一定を維持する。ステント10をこのように大幅に伸長させることができるということは、例えば60mm、80mm、100mm、120mmおよび150mmなどの伸長長さのような種々の長さの多数の現行のステントサイズの代わりに、単一サイズのステント10を使用することができるということを意味している。このようにして、ステント10は、様々な医療処置に必要とされる広範囲のステントをカバーするのに必要な在庫量を削減し得る。
【0045】
半径方向に拡張された弛緩形態における120mmの第1の長さL1と、半径方向に拡張された伸長形態における300mmの伸長された(または引き伸ばされた)長さL2とを有するステント等、医療的に所望されることが多い大きめの長さプロファイルを有する別のステント10が提供され得、ステントは、両方の形態において、一定の内径を有し得る。ステント10を複数の直径で提供することにより、わずか数サイズのステントによってカバーできるサイズのバリエーションがさらに増加することになる。
【0046】
内径D1/D2は、桟26の内面によって規定され得る。従って、ステント10は、半径方向に拡張され、かつ軸方向に弛緩された形態(
図7A)では第1の長手方向長さL1および第1の内径D1を有し、半径方向に拡張され、かつ軸方向に伸長されるか、または引き伸ばされた形態(
図7B)では第2の長手方向長さL2および第2の内径D2を有し得、第1の長手方向長さL1は、第2の長手方向長さL2よりも短く、一方、第1の内径D1および第2の内径D2は、実質的に同じであり得る。ステント10は、米国特許出願公開第2020/0214858(A1)号明細書に記載された方法に従って製造され得、この米国特許出願公開の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
図7Aおよび
図7Bは、ステント10の大きな伸長能力を示している。螺旋状の一連の相互連結された捩れた編みステッチ22の設計により、ステント10は直径を減少させることなく伸長することが可能となり、かつ、折れ曲がれることなく血管内の屈曲に適合することが可能となる。螺旋状ステント10の適合性が向上したことは、平行編みステッチを用いた従来の編み込まれたステントよりも低い力で伸長および圧縮する円形ループ編み設計の能力に起因する。
【0048】
ステント10の伸長特性により、医師は、ステントの拡張された直径および半径方向の力を一定に維持しつつ、ステントの長さをその場で変えることが可能となり得る。即ち、ステント10は、体管腔内で半径方向に拡張され、その後、医療従事者は、拡張されたステント10を、体管腔内で最初に拡張されたときのその初期長さから所望の伸長された長さまで伸長させるか、または引き伸ばし得る。
【0049】
図8A~
図8Eは、胆管164および十二指腸154内でのステント10の展開を示す。ステント10は、例えば、
図8Aに示すように、ステントの中央領域18が胆管164内の狭窄部160を横切って配置されるように、所望の部位に送達され、拡張され得る。ステントの近位端16は、膨大部166に向かって配向され得、ステント10の遠位端14は、胆管/肝門部分枝168に向かって配向され得る。医師は、患者の解剖学的構造および狭窄部160の部位の要件に基づいて、ステント10の長さを所望の寸法に調節し得る。例えば、胆管狭窄症の場合、医師は、ステントの遠位端14が胆嚢または肝門部分枝を塞がないようにステントの遠位端14を配向し、ステントの近位端を管または十二指腸内154に配向することを望む場合がある。
図8Bに示されるように、ステント10が狭窄部160を横切って前進され、半径方向に拡張された後、医師は、把持器具または鉗子170をステント10のルーメンを通してステント10の遠位端14まで進め得る。次いで、医師は、ステント10の遠位端14を把持し、ステント10を矢印7によって示されるように、遠位に、胆管/肝門部分枝168のすぐ手前等の所望の位置まで胆管164内へさらに引き込んで、
図8Cに示されるように、ステント10の長さを増加させ得る(例えば、ステント10を引き伸ばす)。いくつかの実施形態では、ステント10の拡張可能なフレームワークを把持する代わりに、ステント10の遠位端14に取り付けられた縫合糸27を鉗子または他の把持器具で把持し、遠位に引っ張ってステント10を伸長させ得る。ステント10の近位端16は、遠位端14が遠位に引っ張られる際に静止したままであり、従って、ステント10が半径方向に拡張された形態でステント10を伸長させ得る。
図8Dに示されるように、医師は、追加的または代替的に、把持器または鉗子170を使用して、ステント10の拡張可能なフレームワークの近位端16またはステント10の近位端16に取り付けられた縫合糸27を把持して、矢印9によって示されるように、ステント10の近位端16を近位に引っ張って、ステント10が半径方向に拡張された形態でステント10を伸長させ得る。ステント10の近位端16が所望の位置にあると、例えば、近位端16が膨大部166を通って十二指腸154内にちょうど突出したときに、
図8Eに示すように、把持器/鉗子170をステント10から解放して、引き抜くことができる。
【0050】
胆管に加えて、ステント10の可撓性は、腸内の解剖学的構造における使用に対して利点を提供し得る。
図9に示すように、相互連結された捩れた編みステッチ22の構造により、ステント10は、折り畳まれたり、または、折れ曲がったりすることなく、180°まで曲がることができる。湾曲部の外側曲線17を形成するループ部分30は、長手方向に隣接する桟26間の長手方向の間隔が増加するにつれて伸長し、湾曲部の内側曲線19を形成するループ部分30は、長手方向に隣接する桟26間の長手方向の間隔が減少するにつれて互いにより重なり合う。外側曲線17は、小さな張力の下で拡張し、内側曲線19は、半径方向のより小さな面上で小さな圧縮力の下で圧縮する。ループ部分30の伸長および圧縮のこの組み合わせにより、ステント10は、内側曲線19において折れ曲がることなく屈曲することができる。
【0051】
従来のステントによる結腸曲のステント留置は、ステントを正しく留置することに問題があるため、困難であると認識されてきた。従来のステントは、不正確に配置された場合、狭窄部を横切るステントの非対称性、または短すぎてステントの片側または両側に不十分な足場を提供するステントの使用に起因して、移動しやすくなる。さらに、ステントが約90度の角度で留置されると、ステントが真っ直ぐに形を整えようとして、ステントが接触する血管壁に摩耗が生じるため、これらの領域に配置された従来のステントでは、ステント端部の狭窄がしばしば発生する。医師がステント10の半径方向特性を損なうことなく、ステント10の長さを変えることができることにより、ステント10は、このような場所での使用に特に適したものになり、治療結果が改善される。ステント10は、非常に柔軟性があり、このこともまた、この用途に有益である。
【0052】
図10に示すように、ステント10は、中央領域18が屈曲部5を横切って配置された状態で展開され、かつ半径方向に拡張され得る。上述した胆管内での展開と同様に、鉗子または他の把持器具をステント10を通して挿入して、ステント10の遠位端14に固定された縫合糸27などのステント10の一部分を把持し、遠位端14を所望の位置まで遠位に引っ張って、それによりステント10を伸長させ得る。鉗子または他の把持デバイスは、追加的または代替的に、ステント10の近位端16に固定された縫合糸27などのステント10の一部を把持し、近位端16を所望の位置まで近位に引っ張って、それによりステント10を伸長させるように配置され得る。ステント10の柔軟性は、屈曲部で折れ曲がることなく90度を超える屈曲を可能にし、ステント10を結腸曲の治療に使用するのに望ましいものにする。
【0053】
ステントを伸長させるために使用される把持器または鉗子170の代替として、別の把持器具がステント送達システムに組み込まれる。ステント送達システムは、
図11Aおよび
図11Bに図示されるように、ステント10の遠位端および/または近位端上の縫合糸または他の構造に係合するように構成された係合要素を含む。送達システムは、内側シャフト105であって、遠位先端110と、遠位先端110の近位で内側シャフト105の遠位端領域上に取り付けられた少なくとも1つの捕捉要素120とを備える内側シャフト105と、内側シャフト105を取り囲むとともに、内側シャフト105に対して摺動可能な外側スリーブ140とを含み得る。外側スリーブ140は、ステント10を取り囲む際に、内側シャフト105のステント保持部分の周りでステント10を半径方向に圧縮し得る。ステント10の遠位端は、ステント10が外側スリーブ140によってステント保持部分の周りで半径方向に圧縮されるとき、捕捉要素120の近位に配置され得る。
図11Aは、体管腔2内に配置された送達システムを示す。いくつかの例では、捕捉要素120は、捕捉要素120が外側スリーブ140内に収縮した第1の形態と、外側スリーブ140が捕捉要素120の近位に引き出される第2の形態との間で作動可能であり得る。例えば、捕捉要素120は、
図11Aに示されるように、外側スリーブ140内に収縮したときに内側シャフト105に隣接して配置された第1の、半径方向に折り畳まれた形態と、
図11Bに示されるように、外側スリーブ140が近位に引き出されたときに捕捉要素120が内側シャフト105から半径方向外向きに延在する第2の、半径方向に拡張された形態との間で移動するように構成され得る。捕捉要素120は、外側スリーブ140が引っ込められると自動的に第2の形態に移動するように構成され得る。捕捉要素120は、ステント10が半径方向に拡張された形態にあるとき、ステント10またはステント10の他の構造に連結された縫合糸27に係合し得るように、半径方向に十分な距離を有して延在するように構成され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素120は、半径方向に拡張された形態において、内側シャフト105の外側表面から半径方向外向きに3mm以上、5mm以上、または10mm以上延在し得る。内側シャフト105は、矢印6で示されるように、遠位および近位に移動して、捕捉要素120をステント10の遠位端または近位端上の縫合糸27と係合させるように移動させて、前述したように、ステント10を伸長させ得る。ステント10の遠位端および/または近位端を引き伸ばすことによってステント10を伸長させた後、外側スリーブ140を捕捉要素120の上に戻して(即ち、内側シャフト105および捕捉要素120を外側スリーブ140のルーメン内に引き込むか、または外側スリーブ140を捕捉要素120の上で遠位に前進させるかのいずれかによって)、捕捉要素120を外側スリーブ140内に再び収縮させ、続いて送達デバイスを取り外し得る。
【0054】
捕捉要素120は、縫合糸27および/またはステント10の他の構造と係合するように構成された任意の所望の構造を含み得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素120は、少なくとも1つのフック129を含み得る。一実施形態では、捕捉要素120は、
図11Bに示されるように、第1の遠位側に向いたフック129および第2の近位側に向いたフック129の両方を含む。フックは、組織への損傷を回避するために、丸みを帯び、かつ非外傷性であり得る。捕捉要素120は、金属またはポリマーから作製されるとともに、縫合糸27と係合されてステント10を伸長させるように押されるか、または引っ張られる際に、その形状を維持するのに十分な剛性を有し得る。内側シャフト105との接続部128などの捕捉要素120の一部は、曲がるかまたは屈曲するように構成された薄い金属またはポリマーなどの可撓性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素120は、半径方向に拡張された位置に偏位され得る。例えば、捕捉要素120は、ニチノール等の形状記憶材料および/または超弾性材料から作製され得る。他の実施例では、接続部128は、捕捉要素120と内側シャフト105との間のヒンジ式接続部であり得、捕捉要素120は、第1の形態および第2の形態を越えて移動することが防止される。
【0055】
他の実施形態では、捕捉要素120は、
図12に示されるように、複数の遠位側に向いたフック121および/または複数の近位側に向いたフック122を含み得る。さらなる実施形態では、捕捉要素220は、
図13に示すように、第2のフック224に結合された第1のフック223を含み得る。第1のフックおよび第2のフックのうちの一方は、開口部(例えば、小穴、スリット、スロット等)を含み得、開口部を通して、第1のフックおよび第2のフックのうちの他方が移動可能に延在し得る。例えば、第2のフック224は、近位側に向いたフックであり得るとともに、開口部225を含み得、第1のフック223が開口部225を通って延在し得、第1のフック223は、遠位側に向いたフックであり得る。他の実施形態では、第1のフック223および第2のフック224はそれぞれ、
図12と同様に、複数のフックを含み得る。連結部は、捕捉要素220が縫合糸と係合し、縫合糸を押したり引いたりしてステント10を伸長させる際に、捕捉要素220を支持し得る。捕捉要素120を備えた送達デバイスは、追加の把持デバイスをステント位置まで挿入する必要性を排除して、「1つで全てのデバイス(one-for-all device)」の利点を提供する。
【0056】
上記したようなステント、送達システム、およびそれらの様々な構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマー複合材、セラミック、それらの組み合わせ等、または他の適切な材料から作製され得る。適切な金属および金属合金のいくつかの例には、304V、304L、および316LVステンレス鋼等のステンレス鋼と、軟鋼と、線形弾性および/または超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金と、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金、ニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金等のその他のニッケル合金と、コバルトクロム合金と、コバルト-クロム-モリブデン合金と、プラチナ強化ステンレス鋼と、チタンと、それらの組み合わせ等、または他の適切な材料が含まれる。
【0057】
ステントまたは送達システム用にいくつかの適切なポリマーの他の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチック社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタル酸塩および/または他のポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)等)、ポリアミド(例えば、バイヤー社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、またはエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex(登録商標)高密度ポリエチレン、Marlex(登録商標)低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマ、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材等を含み得る。
【0058】
少なくともいくつかの実施形態において、ステントまたは送達システムの一部または全部はまた、放射線不透過性材料でドープされ、作られ、またはそうでなければそれを含み得る。放射線不透過性材料は、一般に、X線からガンマ線にまたがる波長範囲(<0.005インチ(0.127リメートル)の厚さ)でRFエネルギーに対して不透明な材料であると理解されている。これらの材料は、組織等の非放射線不透過性材料が生成する明るい画像と比較して、透視画面上に比較的暗い画像を生成することが可能である。この比較的明るい画像は、ステントまたは送達システムの使用者がその場所を決定するのを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料等が含まれ得るが、これらに限定されない。加えて、他の放射線不透過性マーカーバンドおよび/またはコイルもまた、同じ結果を達成するためにステントまたは送達システムの設計に組み込まれ得る。
【0059】
この開示は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細、特に形状、サイズ、および工程の配置に関して変更を加え得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。本開示の範囲は、もちろん、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の内径を維持しつつ長さが変化するように構成されたステントであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長手方向軸とを有する管状部材を備え、前記管状部材は、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記管状部材は、送達中の収縮形態から半径方向に拡張された形態に自動的に半径方向に拡張するように構成されており、前記半径方向に拡張された形態にあるとき、前記管状部材は、第1の長さおよび第1の内径を有するとともに、第2の長さおよび第2の内径を有する伸長形態に引き伸ばされるように構成されており、
前記第1の長さは、前記第2の長さよりも短く、前記第1の内径および前記第2の内径は、実質的に同じである、ステント。
【請求項2】
前記第2の長さは、前記第1の長さの少なくとも200%以上である、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の長さは、約50mmから約60mmであり、前記第2の長さは、約100mmから約160mmである、請求項1または2に記載のステント。
【請求項4】
前記半径方向に拡張された形態にあるとき、前記一連の連結されたステッチは、螺旋を形成しており、前記螺旋は、前記管状部材が前記第1の長さであるとき、前記長手方向軸に対して第1の角度を有しており、前記管状部材が前記第2の長さであるとき、前記長手方向軸に対して第2の角度を有しており、前記第1の角度は、前記第2の角度より大きい、請求項1
または2に記載のステント。
【請求項5】
送達のための前記収縮形態にあるとき、前記一連の連結されたステッチは、長手方向の列を形成している、請求項1
または2に記載のステント。
【請求項6】
前記複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分と、交差したベース領域とを含む、請求項1
または2に記載のステント。
【請求項7】
前記複数の捩れた編みステッチの各々が、前記ループ部分および前記交差したベース領域を形成する単一のフィラメントによって形成されている、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかの前記ループ部分が、前記長手方向に隣接する捩れた編みステッチの前記交差したベース領域の周りに巻き付けられている、請求項6に記載のステント。
【請求項9】
前記管状部材の前記遠位端にある前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかを通る第1の縫合糸と、前記管状部材の前記近位端にある前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかを通る第2の縫合糸とをさらに備える、請求項1
または2に記載のステント。
【請求項10】
ステントアセンブリであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長手方向軸とを有するステントであって、前記ステントは、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記ステントは、送達中の収縮形態から半径方向に拡張された形態に自動的に半径方向に拡張するように構成されており、前記半径方向に拡張された形態にあるとき、前記ステントは、第1の長さおよび第1の内径を有するとともに、第2の長さおよび第2の内径を有する伸長形態に引き伸ばされるように構成されており、前記第1の長さは、前記第2の長さよりも短く、前記第1の内径および前記第2の内径は、実質的に同じである、前記ステントと、
外側スリーブと、前記外側スリーブ内で摺動可能な内側シャフトとを含む送達デバイスであって、前記内側シャフトは、遠位先端と、少なくとも1つの捕捉要素とを有しており、前記少なくとも1つの捕捉要素は、前記外側スリーブ内で収縮したときに前記内側シャフトに隣接して配置される第1の形態と、前記外側スリーブから解放されたときに前記内側シャフトから半径方向外向きに延在する第2の形態との間で移動するように構成されている、前記送達デバイスと、を備えるステントアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの捕捉要素は、少なくとも1つのフックを含む、請求項10に記載のステントアセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフックは、第1の遠位側に向いたフックと、第2の近位側に向いたフックとを含む、請求項11に記載のステントアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのフックは、第2のフックに連結された第1のフックを含む、請求項11に記載のステントアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの捕捉要素は、前記第2の形態において偏位される、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のステントアセンブリ。
【請求項15】
狭窄部において体管腔を支持する方法であって、
ステントの中央領域が前記狭窄部を横切って配置された状態に前記ステントを前記体管腔内に送達するステップと、
前記ステントを前記体管腔内で半径方向に拡張された形態に半径方向に拡張するステップであって、前記ステントは、遠位端と、近位端と、前記遠位端と前記近位端との間に延在する長手方向軸とを有する管状部材を含んでおり、前記管状部材は、桟とともに複数の捩れた編みステッチを形成する編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記管状部材は、前記半径方向に拡張された形態において第1の長さおよび第1の内径を有している、拡張するステップと、
その後、前記体管腔内で第2の長さを有する半径方向に拡張されかつ伸長された形態に前記ステントを引き伸ばすステップと、を含み、前記第2の長さは、前記第1の長さよりも長い、方法。
【国際調査報告】