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特表2024-537245洋上風力タービン用の半潜水型浮体式プラットフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】洋上風力タービン用の半潜水型浮体式プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20241003BHJP
   B63B 43/06 20060101ALI20241003BHJP
   B63B 39/06 20060101ALI20241003BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20241003BHJP
   B63B 75/00 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63B43/06 Z
B63B39/06 Z
F03D13/25
B63B75/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521236
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 ES2022070624
(87)【国際公開番号】W WO2023057671
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P202130946
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524130157
【氏名又は名称】ハイブ ウィンド エナジー,ソシエダッド リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペーニャ サガストゥイ,ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス ベセラ,ダビド
(72)【発明者】
【氏名】ザバラ カルボ,イニャキ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン サンチェス,ホセ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】アメトリェール マルファス,セルジ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB79
3H178CC22
3H178DD61X
(57)【要約】
本発明は、三角形を形成するように配置された6本の柱部(C,C)を備え、6本の柱部(C,C)のうち、3本の頂点柱部(C)が三角形の頂点に配置され、3本の辺柱部(C)が三角形の辺の中央に配置され、各柱部(C,C)は、近接する柱部(C,C)の各々に接合部材(B)によって連結される、半潜水型浮体式プラットフォーム(1)について説明する。更に、辺柱部(C)は、風力タービン(A)を支持するように構成される。風力タービン(A)を支持しない柱部(C,C)は、プラットフォーム(1)と風力タービン(A)とによって形成される組の質量中心を、プラットフォーム(1)のハルの中心の垂直位に維持するように構成された重量を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風力タービン用の半潜水型浮体式プラットフォーム(1)において、
実質的に三角形を形成するように配置された6本の柱部(C,C)を備え、
前記6本の柱部(C,C)のうち、3本の頂点柱部(C)が前記三角形の頂点に配置され、3本の辺柱部(C)が前記三角形の辺の中央に配置され、
各柱部(C,C)は、近接する前記柱部(C,C)の各々に接合部材(B)によって連結され、各頂点柱部(C)には、当該頂点柱部(C)が配置された頂点に繋がる辺に位置する2本の前記辺柱部(C)が近接し、各辺柱部(C)には、当該辺柱部(C)が配置された辺に属する2本の前記頂点柱部(C)及び残り2本の前記辺柱部(C)が近接し、
前記辺柱部(C)は前記風力タービン(A)を支持するように構成され、
前記風力タービン(A)を支持するように構成された前記辺柱部(C)以外の前記柱部(C,C)は、前記プラットフォーム(1)と風力タービン(A)とによって形成された組の質量中心を、前記プラットフォーム(1)のハルの中心の垂直位にするように構成された重量を有することを特徴とする、半潜水型浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項2】
前記接合部材(B)と前記柱部(C,C)との間の連結部分は、前記柱部(C,C)の下部に位置し、前記接合部材(B)が前記プラットフォーム(1)の使用期間中は浸水している、請求項1に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項3】
接合部材(B)と柱部(C,C)との間の各連結部分が前記柱部(C,C)の側面に対して垂直となるよう、前記柱部(C,C)は多角柱の形状を有する、請求項1又は2に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項4】
前記三角形は正三角形であり、前記柱部(C,C)は六角柱の形状を有する、請求項3に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項5】
前記接合部材(B)の各々は、矩形状の断面を有する1本のアームを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項6】
前記接合部材(B)の内部は、ある柱部(C,C)と他の柱部との間を人が通過するように構成された通路を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項7】
前記柱部(C,C)は、10~15メートルの高さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項8】
前記接合部材(B)は、20~40メートルの長さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項9】
前記風力タービン(A)を支持するように構成された前記辺柱部(C)以外の前記柱部(C,C)は、工業用水又は海水によって形成されたバラストを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項10】
有効なバラストシステムを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項11】
ヒーブプレート(P,P)を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項12】
隣接する接合部材(B)の範囲間に配置された内側ヒーブプレート(P)を備え、前記範囲は両方の接合部材(B)と連結する前記柱部(C,C)に近接し、前記内側ヒーブプレート(P)は前記プラットフォーム(1)の三角形の外側には延伸しない、請求項11に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項13】
前記内側ヒーブプレート(P)は三角形である、請求項12に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項14】
前記頂点柱部(C)から実質的に全方向へ放射状に突出する外側ヒーブプレート(P)を備え、前記外側ヒーブプレート(P)の少なくとも一部は前記プラットフォームの前記三角形の外側に延伸する、請求項11~13のいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【請求項15】
前記外側ヒーブプレート(P)は多角形又は円形の形状を有する、請求項14に記載の浮体式プラットフォーム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上風力発電の分野、及び、浮体式風力発電の分野に関する。本発明の目的は、洋上風力タービンを支持するための半潜水型浮体式プラットフォームである。
【背景技術】
【0002】
洋上風力発電は、より持続可能な現在の発電システムへの移行における主要な技術である。洋上風力発電は、陸上よりも風力資源が豊富で安定している洋上に風力タービンを設置するものであり、陸上での風力タービンの実装に関して視覚的及び環境的影響を低減するという更なる利点もある。洋上風力発電が開発されるにつれ、風力タービンの出力は増加しており、陸上で使用される風力タービンの出力よりも既にはるかに大きくなっている。
【0003】
比較的最近まで、洋上風力発電の分野で周知の解決策は、海底にセメント固定されたプラットフォーム上に風力タービンを支持するものであるため、それらの設置は水深約50メートル未満の海域に限定されていた。しかしながら、最近、風力タービンを浮体式プラットフォーム上に配置することを可能にする解決策が開発されている。浮体式風力技術の重要な利点は、水深に対する制限をなくし、海岸からより離れた風力資源が豊富な海域に風力タービンを設置することができ、同時に、視覚的な環境への影響及び海洋土壌への影響を低減することである。
【0004】
浮体式風力設備の設計において、プラットフォームの構成は非常に重要な要素である。どの種の浮体式プラットフォームを選択するかは、海及び海底の状態、その地域の風、風力タービンの出力、港の水深、製造施設、あるいは、材料や設備の入手の可能性や価格に依拠する。これに関連して、現在、4つの主要な浮体式プラットフォームの技術、すなわち、バージ、SPAR、TLP(緊張係留式プラットフォーム)、及び、半潜水型がある。4つの各々の主な特徴を以下に簡単に説明する(図1参照)。
【0005】
-バージ技術
この構想は、寸法の点で艀の構想と似ている。すなわち、長さ及び梁の大きさ(長さ及び幅)が、喫水(高さ)よりも著しく大きい。浮体式プラットフォームは水との接触面が多くあり、これがまさに安定性をもたらしている。すなわち、この種のプラットフォームでは、いわゆる「船体ごとの安定性」を利用して、その形状によって安定性がもたらされる。船舶と同様に、これらのプラットフォームは、動いて構造体への無理な働きや負担を回避するように作られる。これらの動きを最小限に抑えるために、プラットフォームは、喫水線の下に位置する面であるヒーブプレートを装備することができる。この解決策では、風力タービンのタワー、ナセル、及びブレードを港湾施設に設置し、次いで、一緒に目的地点まで曳航することができる。
【0006】
-Spar技術
このモデルでは、安定性を与えるために、可能な限り低い位置に多くの重量を有する大型の垂直部材が使用される。例えば、柱状又は円筒状の垂直部材を使用する場合、柱部の一端は、その残りの長さの部分よりもはるかに大きな重量を有することになる。この柱部の重心は重たい端部に非常に近いので、水中での柱部の自然な位置は垂直であり、重たい端部は最も低い位置になる。風力タービンは柱部の上端部に固定され、下側の重い端部とは反対側にある。要約すると、この解決策では、柱部の幾何学的形状により浮遊性がもたらされ、一方、重量を最下点に置くことで安定性がもたらされる。これは「重量安定性」として知られる。タービンが大型化するにつれ、この解決策には重量を補うための非常に長い円筒が必要となるため、この解決策の製造、移送、及び設置は非常に困難となる。
【0007】
-TLP(緊張係留式プラットフォーム)技術
この構想では、プラットフォームはそれ自体では実際には安定しない。製造費用を下げるために寸法を最小化するという目的を達成するため、水上の構造体の体積は可能な限り最小であり、水中の体積は明白な浮遊性を有するのに十分であり、全体の安定性は固定綱の張力及び浮揚性そのものによってもたらされる。このようにして、プラットフォームの体積、つまり質量は可能な限り小さくなる。3本アーム、4本アーム、又は5本アームの星型形状は、各アームの体積を最小限に抑える。
【0008】
-半潜水型技術
この設計は、水にさらされる面を最小限に抑えようとするものだが、体積は常に最大となって、海域を実際に移動して浮遊性をもたらすというものである。これを行うために、浮遊性を付与する体積をいくつかの浮遊性部材に構造化し、それを構造部材で接合してタービンを設置する面を作る。この種のプラットフォームの安定性は、形状及び柱部間の距離によってもたらされる。これまでのいくつかの解決策と同様に、半潜水型技術を用いて、風力タービンのタワー、ナセル、及びブレードを港湾施設に設置し、次いで、一緒に目的地点まで曳航することができる。
【0009】
既存の半潜水型の浮体式プラットフォームには、それらの製造、運用、保守の費用に悪影響を及ぼす欠点が数多くある。
【0010】
まず、半潜水型プラットフォームは、多くの場合、大量の材料を必要とするため、製造費用が劇的に増加する。更に、洋上風力用に設計された半潜水型プラットフォームのほとんどは、梁と支線ロッドの比較的複雑な構造によって互いに連結されなければならない柱部によって形成されている。このことは、例えば、ある柱部と他の柱部との接合部分が直角ではない場合などの非常に困難な連結が生じることを意味し、その結果、プラットフォームを構成する部材と接合部分の両方の標準化を妨げている。特許文献1は、そのような半潜水型プラットフォームの例である。
【0011】
更に、現在、使用する柱部の数を最小限にする傾向があるため、当然、柱部の大きさは非常に大きくなる。したがって、現在一般的であるような3本又は4本の柱部から構成されるプラットフォームでは、各柱部の高さは、高出力の風力タービン(10MWを超える風力タービン)で約30メートルになり得る。この大きさにより、最終的に費用の増加をもたらす複数の現実的な問題が発生し、プラットフォームの製造は非常に複雑になる。
【0012】
例えば、この種のプラットフォームが製造される港の喫水は、この大きさの柱部を収容するのに十分ではない可能性があるため、プラットフォームは、その喫水を調整できるバラストシステムを有さなければならない。一方、柱部の高さが高いと、プラットフォームの製造中に複雑な吊上げ、工作、及び足場システムの使用が必要になる。柱部が大きいことに関連する別の欠点は、柱部の下部が、柱部にかかる重量を支えることに加えて、柱部の使用年数の間に到達する更なる深さに対応する静水圧に耐え得る機械的強度を有する必要があることである。特許文献2には、柱部の高さが35メートルであるようなプラットフォームの例が記載されている。
【0013】
いくつかの柱部、例えば3本又は4本の柱部から構成される現在の半潜水型プラットフォームの別の欠点は、安定性を必要とするために、そのような柱部を互いに大きく離間させるか、又は、そのような柱部の直径を大きくする必要があることである。例えば、上述の特許文献2を参照すると、柱部間の距離は約45メートルであり、構造体の全直径は約92メートルである。そのような長い接合部材を使用するには、その構造的完全性を確保するために特定の補強(部材の追加、厚さの増加、など)を準備する必要がある。更に、プラットフォームが製造される港内のスペースの制限は、構想の拡張性を技術的又は経済的に制限し、実現不可能にさえする更なる現実的な問題となる可能性がある。この文脈において、拡張性とは、より強力で故により重い風力タービンを搭載できるようにプラットフォームの大きさを大きくする能力を指す。前述の理由から、現在の設計では、ある大きさ以上に拡張することはできない。
【0014】
一方、相互連結された柱部の組によって形成される半潜水型プラットフォームの構想の多くでは、風力タービンタワーは中央の柱部か、いずれにしても中央の支持構造上に配置される。これは、風力タービンが配置されている地点と、ドックに最も近いプラットフォームの地点(通常は2本の柱部間の接合部材の中心点)との間の最短距離が非常に長いことを意味する。例として、引き続き特許文献2を参照すると、この距離は約30メートルになり得る。このため、非常に大きな旋回半径を備えた複雑な吊上げ手段を用いる必要があり、高出力の風力タービンをプラットフォーム上で組み立てることは極めて困難である。
【0015】
現在の半潜水型プラットフォームの多くに見られる別の欠点は、プラットフォームに風力タービンを配置する地点に関連しており、通常はプラットフォームの中央に設置され、プラットフォームに浮遊性をもたらす柱部には設置されない。その結果、風力タービンを支える甲板を設置する必要があり、その機械的強度は、通常は周辺に設置される柱部に負荷を伝達するのに十分でなければならない。そのため、この強度を確保するために甲板に特定の技術や材料を用いる必要があり、プラットフォーム全体の費用が上昇する。特許文献3は、そのような浮体式プラットフォームの例である。
【0016】
一方で、現在知られている巨大な寸法のプラットフォームでは、通常、船舶によってプラットフォームに到着する検査や保守の人員のアクセスが複雑になる。実際、これらのプラットフォーム上の乾舷の高さが高いことにより、伸縮可能な通路などの、通常は船舶に組み込まれる接岸手段による直接的なアクセスが妨げられる。更に、この種のプラットフォームは柱部間の距離が長いため、通路内に補強材及び補助構造を使用し、ある柱部と他の柱部との間を人員が通過できるようにする必要がある。ここでも、特許文献2がそのような欠点の例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/391834号明細書
【特許文献2】スペイン国特許第2728322号明細書
【特許文献3】国際公開第2014/163501号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
要するに、この技術分野では、これらの欠点をすべて適切に解決する新規の半潜水型浮体式プラットフォームが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、少なくとも6本の柱部を有する実質的には三角形の設計であり、風力タービンがその一辺の中央に位置する柱部に載置されることにより、上記の問題を解決する半潜水型浮体式プラットフォームを開示する。先行技術文献と比較して柱部の数が多く、また、慎重に選択された三角形の構成で柱部を配置するため、重量の低減と共に、良好な浮力、海上での安定性や挙動、浮揚時の高い慣性、寸法の縮小、及び、高い構造効率を維持しながら、柱部及び接合部材の寸法を縮小することができる。提案する設計は、本出願を通して説明される複数の更なる利点を提示する。
【0020】
本明細書を通して使用されるいくつかの用語を以下に簡単に説明する。
【0021】
柱部:半潜水型プラットフォームに浮遊性をもたらす細長い部材の各々。柱部は、例えば、円筒形状や多角柱形状、又は、概して、準線を構成する平坦な閉曲線に沿って直角に母線を変位させることによって形成される任意の立体形状など、任意の形状を有することができる。半潜水型プラットフォームでは、柱部は、その主軸が垂直方向、すなわち水面に対して直角になるように配置される。
【0022】
接合部材:所定のプラットフォーム構成に従って1本の柱部を別の柱部に機械的に連結するアームの各々。接合部材は、格子又は他の任意の構造によって連結される1本又は複数本のアームを含む、任意の形状を有することができる。アームは、円筒形状や多角柱形状、又は、概して、準線を構成する平坦な閉曲線に沿って直角に母線を変位させることによって形成される立体形状などを含む、任意の形状を有することができる。接合アームは、任意の適切な断面の梁の形状をとることもできる。
【0023】
ヒーブプレート:これらは通常、水面に平行で、水面下に位置する平面に含まれる平板である。プラットフォームが動くと、ヒーブプレートが周囲の水をさらうことによりプラットフォームの流体力学的質量係数の項が増加し、それによってプラットフォームの寿命が延びる。これらのプレートのもうひとつの重要な機能は、その縁の周りを流れる水の乱流によって引き起こされるプラットフォーム上の水の抵抗によって散逸するエネルギによるプラットフォームの動きを減衰させることである。
【0024】
バラスト:これは、安定性を向上させ、傾斜及び/又は平衡状態を正すためにプラットフォームの重心を調整する目的で、柱部の内部に配置されたタンク内に配置される負荷の一種である。負荷は、海水又は淡水(通常「工業用水」と呼ばれる)など、柱部内に配置されたタンクに収容される流体であってもよいし、又は、柱部がコンクリートのような他の重い材料を含んでもよい。使用される負荷が流体である場合、閉回路、すなわち、あるタンクから別のタンクに水を移送することによって、又は、開回路、すなわち、外部と水を交換することによって、流体を移送することができる。工業用水の使用は、海水の使用に対して、通過する設備、ダクト、及び倉庫の腐食が少ないため有利である。更に、海水を使用する場合は、腐食を防止するためにタンク内でより多くの保護対策(塗料、プリント電流、又は犠牲陽極)を使用する必要があり、保守費用が増加する。
【0025】
垂直方向:本発明の文脈では、半潜水型プラットフォームが自然位置にあるとき、柱部の主軸の方向は垂直方向と一致し、すなわち、水面に対して直角である。当然のことながら、ここでは水面は水平であるとみなされる。したがって、この明細書全体を通して、「上」、「下」、「上方」、「下方」などの用語は、この基準に従って解釈されるべきである。
【0026】
本発明は、実質的に三角形を形成するように配置された6本の柱部を備え、6本の柱部のうち、3本の頂点柱部が三角形の頂点に配置され、3本の辺柱部が三角形の辺の中央に配置される、洋上風力タービン用の半潜水型式浮体式プラットフォームに関する。各柱部は、近接する柱部の各々に接合部材によって連結される。この文脈において、頂点に繋がる辺に位置する2本の辺柱部のみが、各頂点柱部に近接しているとみなされる。同様に、辺に属する2本の頂点柱部と残りの2本の辺柱部のみが、各辺柱部に近接しているとみなされる。すなわち、この構成は、6本の柱部とそれらの間の9本の接合部材からなり、頂点柱部は接合部材によって他の2本の柱部と連結され、辺柱部は接合部材によって他の4本の柱部と連結される。
【0027】
この新しいプラットフォームの接合部材は、原則として、任意の構成をとることができる。例えば、各接合部材は、格子やこの分野で慣習的な他の構造といった、水平又は傾斜して配置された任意の断面の1本又は複数本のアームを含むことができる。これらのいずれの場合においても、すべての接合部材の長さは等しいため、プラットフォームの製造及び組立て作業の標準化が容易になる。
【0028】
一方、三角形状とは、辺柱部が位置する辺に属する頂点柱部間の接合線から離間するように当該辺柱部を少し変位させることによって得られる、三角形に似た形状を包含するものと理解される。同様に、辺柱部は、辺のちょうど中央に位置せず、いずれかの方向にわずかにずれていてもよい。
【0029】
更に、記載したプラットフォームでは、特定の辺柱部が風力タービンを支持するように構成されている。これは、その辺柱部が、例えば専用の移行構造又は部品など、風力タービンがその上に載置されるために必要な手段を設置するために準備されていることを意味する。上述したように、各辺柱部が他の4本の柱部と連結されているため、この構成は、構造体全体に沿って特に負荷を分配して伝達することを容易にする。
【0030】
最後に、風力タービンを支持するように構成された辺柱部以外のプラットフォームの柱部は、プラットフォームと風力タービンによって形成された組の質量中心を、プラットフォームのハルの中心の垂直位にするように構成された重量を有する。この文脈において、プラットフォームの「ハルの中心」とは、プラットフォームと置き換えられた水量の質量中心を指す。例えば、均質な構造の三角形のプラットフォーム(すなわち、柱部と接合部材がすべて互いに等しい)の特定の場合において、ハルの中心の垂直位は三角形の重心と一致する。したがって、プラットフォームと風力タービンの組立体における質量中心がハルの中心の垂直位(当然、ハルの中心よりも下側)にあるか、あるいは、いかなる場合にも可能な限り近づくように柱部を設計すると、当該柱部において風力タービンの重量が引き起こす不均衡によって生じる傾斜が低減される。このため、本明細書で後述するように、前述の柱部には、プラットフォームのバランスをとる目的で水を収容するタンクを設けることができる。
【0031】
この構造は、先行技術の既知の半潜水型プラットフォームと比較して、本発明の半潜水型浮体式プラットフォームに多くの重要な利点をもたらすが、そのいくつかを以下に説明する。
【0032】
より短い柱部
柱部の数が増えるほど、より小さい柱部、すなわち、より小さいものが使用される。このことは、第1の結果として、3本又は4本の柱部によって形成された従来のプラットフォームに必要な喫水に対して、本発明のプラットフォームの喫水を大幅に減少させる。したがって、プラットフォームの製造及び風力タービンの設置は、水深に関して特に要件なしに港内で行うことができる。加えて、柱部の高さが低くなるためプラットフォーム自体の高さも低くなり、建設手段、足場、台、工作、及び吊上げ手段の必要性が減少する。
【0033】
より低い操作喫水を有することによって、本発明のプラットフォームは、また、港で利用可能な手段を使用してバラストタンクに工業用水を充填するという選択肢ができ、バラストシステムは省略可能となり、プラットフォームの費用が削減される。
【0034】
更に、柱部の下端に達する深さを低減することによって、静水圧を支えるために必要な機械的強度に関する要件も低減される。
【0035】
より短く、より軽く、より単純な接合部材
柱部の数が増加するにつれて、従来技術のプラットフォームのように接合部材を長くする必要がなく、浮揚時の慣性を確保することができる。したがって、接合部材は、そのような既知のプラットフォームより短くてもよい。
【0036】
加えて、風力タービンは、三角形の一辺の中央に位置する柱部上に配置され、4本の接合部材によって、近接する4本の柱部と連結されている。したがって、プラットフォームの運用中に発生する負荷の分配は、長さを短くしたより多くの接合部材間で行われ、その結果、接合部材の構造的要件が緩和される。もはや、接合部材の複雑な補強及び大きな厚さがなくても、プラットフォームの使用期間中の機械的応力に耐えることができる。
【0037】
バラストシステムの簡便性
大きな柱部を使用する従来のプラットフォームは、喫水が大きいため特定の港の使用が妨げられることがある。このため、そのようなプラットフォームは、使用期間中の安定性を確保するために必要な喫水に比べて、製造時の喫水が低い場合がある。その後、目的地点まで曳航されると、海水を使用してプラットフォームのバラストを行い、運用値に達するまで喫水を増加させる。バラストシステムの提供は、製造と設置のより長い時間、ならびに、設置と保守の両方に関連する経済的な費用を意味し、更なる複雑さを伴う。
【0038】
本発明では、プラットフォームの製造、曳航、設置又は運用中に、喫水を変更する必要はない。柱部の数が増加するため、喫水が減少してもプラットフォームは完全に安定している。したがって、バラストシステムの使用を回避することができる。
【0039】
高い標準化の可能性
本発明の半潜水型浮体式プラットフォームは、基本的に、設計において繰り返される2つの等しい要素、すなわち柱部と接合部材によって形成される。これらの各要素は、次に、互いに連結する建設ブロックで構成することができる。原則として、柱部の大きさも接合部材の寸法も等しい。これにより、先行技術のプラットフォーム設計の多くで起こることとは異なり、プラットフォームの製造及び組立て作業に関して高度な標準化が可能になる。本発明で提案した設計の簡便性は、非常に少ないパラメータで基本的に定義することを可能にし、これにより、生産手段や物流又は供給要件に影響を与えることなく、プラットフォームの特徴を各現場の条件に適合させることが可能になる。
【0040】
風力タービンの組立ての容易性
本発明の半潜水式浮遊式プラットフォームでは、風力タービンは、実質的には三角形の一辺の中央に位置する柱部上に配置される。したがって、その柱部が位置する側をドックに隣接して平行に配置することによって、ドックと風力タービンとの間の距離が最小となり、これにより、特に高出力の風力タービンの場合、あまりに高度なクレーンや特別な設備の必要がなくなり、プラットフォーム上での風力タービンの組立てが容易となる。
【0041】
構造上の挙動
少数(3本又は4本)の柱部の構成からなる既存のプラットフォームに対する大きな利点は、より近くに配置されたより多くの浮体式要素に応力を分散させることで応力が反応し、接合部材及び柱部そのものの構造的要件を簡素化し、柱部の数を減らした構成の浮桟橋、接合部材、及びカバーにおける重い角材が不要となることである。
【0042】
同様に、周囲の水の抵抗によって引き起こる負荷は、構造体の強力な要素に位置し、長さが大きいことを特徴とする水面下の浮桟橋を備えた構成では、浮体式要素に引き起こされる力を伝達しなければならない。更に、柱部の総重量及び総体積は、現在の構想よりも小さい。
【0043】
原則として、接合部材は、十分に耐性のある方法で柱部同士を連結し、同時に十分な安定性を確保する限り、柱部のどの高さに位置してもよい。例えば、本発明の特に好ましい実施形態では、接合部材と柱部との間の連結部分は、柱部の下部に位置する。したがって、接合部材はすべて同じであるだけでなく、通常、プラットフォームの使用期間中は浸水している。
【0044】
この構成は、半潜水型浮体式プラットフォームの浮遊性を高めるので有利である。加えて、接合部材が浸水するため、プラットフォームの傾斜に対してより大きな抵抗がもたらされる。更なる利点は、接合部材を柱部の下端に対して低い高さに配置することによって、足場、台、工作、及び吊上げ手段などの建設手段の必要性を減らし、組立て作業が容易になることである。
【0045】
各接合部材は、正方形、長方形、多角柱形状、又は、例えばH字型梁、T字型梁、L字型梁などのような任意の適切な断面の梁形状などの、異なる形状の1本又は複数本のアームを含むことができる。好ましくは、接合部材は単純な接合部材、すなわち、1本のアームによって形成されてもよい。例えば、本発明の特に好ましい実施形態によれば、各接合部材は、矩形状の断面を有する1本のアームを含む。
【0046】
この構成が有利なのは、曲げに対して大きな抵抗をもたらす一方で、柱部との連結が容易であるため、組立て作業が容易になるからである。
【0047】
一方、上述したように、本発明のプラットフォームの柱部は、円筒形状など任意の形状を有してよい。しかしながら、本発明の別の好ましい実施形態によれば、柱部は、接合部材と柱部との間の各連結部分が、その柱部の側面に対して垂直となるように選択された多角柱の形状を有する。例えば、特に好ましい実施形態によれば、プラットフォームは正三角形の形状を有し、柱部は六角柱の形状を有する。
【0048】
この構成は、接合部材のすべての連結部分が、柱部の平坦面に対して垂直となるので有利である。これは建設に有利であり、サプライチェーンの能力と訓練の必要性を低減する。更に、これによりプラットフォームを構成するブロックの物流の必要性を低減することができる。それは、柱部の寸法によって供給能力が低下し、より大きな物流能力を必要とする湾曲シート形状の代わりに、標準的な平坦シート形式を使用するためである。
【0049】
一方、本発明のプラットフォームは、修理及び保守作業のために、柱部間の人の通過を可能にする通路を含んでもよい。これらの通路は、原則として、任意の位置に任意の構成で配置することができるが、本発明の別の好ましい実施形態によれば、接合部材の内部は、ある柱部と他の柱部との間を人が通過するために構成された通路を含む。
【0050】
この構成は、この種のプラットフォームの既知の設計の多くで見られるような、柱部間に複雑で高価な空中通路を設置する必要性が回避できるため有利である。本発明では、接合部材の内部に、柱部間の通過を可能にする人用通路を設ける方がはるかに簡単で経済的である。更に、検査や保守作業中に水中に落下する恐れも低減される。
【0051】
原則として、風力タービンが支持する柱部以外のプラットフォームの柱部は、プラットフォームと風力タービンによって形成される組の質量中心をプラットフォームのハルの中心の垂直位にすることができる限り、任意の構成を有してよい。例えば、そのような柱部は、必要なだけその重量を増加させるために、壁を厚くしたり、コンクリートを含んだりすることができる。
【0052】
しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態では、風力タービンを支持する柱部以外の柱部は、工業用水又は海水によって形成されたバラストを含む。この技術的又は海水は、これらの柱部内に配置された貯蔵庫に収容される。例えば、風力タービンが支持される辺に属さない3本の柱部には、プラットフォームと風力タービンによって形成される組の質量中心のバランスをとるのに十分な水量を収容するタンクを内部に設けてもよい。任意に、風力タービンを支持する柱部があるプラットフォームの辺における2本の頂点柱部にも、その組の質量中心のバランスをとるために水を収容するための内部タンクが設けられる可能性もある。また、任意に、風力タービンを支持する柱部にタンクを設けて、プラットフォームの質量中心のバランスにより大きな柔軟性をもたらすこともできる。
【0053】
この構成は、港の設備で直接給水できるため、柱部の重量のバランスをとるという問題に対する簡単な解決策となるので有利である。
【0054】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、プラットフォームは、プラットフォームの使用期間中、タンクの水を1本の柱部から別の柱部に移送してプラットフォームの傾斜を減少させるための有効なバラストシステムを備えることができる。
【0055】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、プラットフォームは、ヒーブプレートを更に備える。ヒーブプレートは、専用の構造や支えを使用する必要なく、接合部材又は柱部に固定して、機械的強度を向上させることができる。
【0056】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、プラットフォームは、隣接する接合部材の範囲間に配置された内側ヒーブプレートを備え、その範囲は、両方の接合部材と連結する柱部に近接する。更に、内側ヒーブプレートは、プラットフォームの三角形の外側には延伸しない。例えば、内側ヒーブプレートは、接合部材が連結される共通の柱部の近くの領域で、隣接する接合部材の範囲間の空間を埋めるために、適宜、三角形にすることができる。
【0057】
前述に代わる本発明の好ましい実施形態によれば、プラットフォームは、頂点柱部から実質的に全方向へ放射状に突出する外側ヒーブプレートを備える。したがって、外側ヒーブプレートの少なくとも一部はプラットフォームの三角形の外側に延伸する。例えば、外側ヒーブプレートは、多角形又は円形の形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】現在知られている様々な種類の浮体式プラットフォームの概略図を示す。
図2a】本発明にかかる半潜水型浮体式プラットフォームの一例の設備を示す。
図2b】本発明にかかる半潜水型浮体式プラットフォームの一例の正面図を示す。
図3a】本発明にかかる半潜水型浮体式プラットフォームの別の例の設備を示す。
図3b】本発明にかかる半潜水型浮体式プラットフォームの別の例の正面図を示す。
図4a】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の一構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の斜視図を示す。
図4b】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の斜視図を示す。
図4c】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の更に他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の斜視図を示す。
図4d】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の更に他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の斜視図を示す。
図4e】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の更に他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の斜視図を示す。
図5a】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の一の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の更なる斜視図を示す。
図5b】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の更なる斜視図を示す。
図5c】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の更に他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の更なる斜視図を示す。
図5d】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の更に他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の更なる斜視図を示す。
図5e】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の更に他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の更なる斜視図を示す。
図5f】柱部間のヒーブプレート及び接合部材の更に他の構成を有する半潜水型浮体式プラットフォームの例の更なる斜視図を示す。
図6】風力タービンが組み立てられた状態で既に目的地点に配置された、本発明にかかる半潜水型浮体式プラットフォームの態様の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、添付の図を参照しながら、本発明にかかる半潜水型浮体式プラットフォーム(1)の例を説明する。
【0060】
図2a及び図2bはそれぞれ、半潜水型浮体式プラットフォーム(1)の一例の設備及び正面図を示す。プラットフォーム(1)は、正三角形を形成するように配置された6本の柱部(C,C)によって形成された構造を有することが理解できる。正三角形の頂点に3本の頂点柱部(C)が配置され、正三角形の辺の中央には3本の辺柱部(C)が配置される。この例では、柱部(C,C)は六角形の断面を有し、その高さは約12メートルであるが、一般に高出力の風力タービン(A)の場合、その高さは約10メートル~15メートルとなり得る。
【0061】
この三角形構造では、互いに近接する柱部(C,C)は、長方形断面の直線アームによって形成される9本の接合部材(B)の組によって連結され、その長手方向軸は柱部(C,C)の軸に垂直な平面に含まれる。特に、各頂点柱部(C)については、その頂点柱部(C)が位置する三角形の頂点に繋がる辺の中央に位置する2本の辺柱部(C)のみが近接しているとみなされる。したがって、各頂点柱部(C)には、2本の接合部材(B)が繋がっていて、当該頂点柱部(C)を2本の辺柱部(C)と接合する。次に、各辺柱部(C)については、当該辺柱部(C)が属する辺の端部に位置する2本の頂点柱部(C)と、構造体の残りの2本の辺柱部(C)とが近接しているとみなされる。すなわち、各辺柱部(C)には、4本の接合部材(B)が繋がっていて、そのうちの2本の部材(B)は当該辺柱部(C)を2本の頂点柱部(C)と接合し、他の2本の部材(B)は当該辺柱部(C)を2本の辺柱部(C)と接合する。三角形の頂点及び辺の中央にある柱部(C,C)の位置は、すべての接合部材(B)が同じ長さであることを保証する。この例では、各接合部材(B)は約30メートルであるが、その長さは20メートル~40メートルとすることができる。
【0062】
接合部材(B)と柱部(C,C)との連結点は、柱部(C,C)の下端付近に位置する。したがって、接合部材(B)は、図2bに示すように、プラットフォーム(1)の使用時には水面下にある(喫水線は破線で示す)。更に、プラットフォーム(1)は全体として正三角形の形状を有するため、六角形の柱部(C,C)の適切な配向は、柱部(C,C)と接合部材(B)との間の1つ1つの連結が垂直に行われることを保証する。
【0063】
図1の左側に位置する辺柱部(C)は、風力タービン(A)を支持するように構成されている。この例では、主に、上記辺柱部(C)において、柱部の上端の六角形の形状と風力タービンタワー(A)の基部の円形の形状との間にトランジションピースが配置されることを意味する。プラットフォーム(1)が風力タービン(A)の重量により傾斜することを防止するために、風力タービン(A)が支持する辺柱部(C)がある側に属さない3本の柱部(C,C)は、バラストを構成する。すなわち、図2aの配置によるプラットフォーム(1)の左側に属さない各柱部(C,C)は、プラットフォーム(1)と風力タービン(A)によって形成される組の重心を、この例では、三角形の重心と一致するプラットフォーム(1)のハルの中心の垂直位に維持するように計算された容積を有する工業用水タンクを備える。
【0064】
図2a及び図2bに示すプラットフォーム(1)は、接合部材(B)の平面に含まれるヒーブプレート(P)の組を更に備える。特に、この例では、プラットフォーム設備(1)の外側に突出せず、接合部材(B)が繋がる柱部(C,C)近くの接合部材(B)の区画の間に位置する、実質的に三角形の9枚のヒーブプレート(P)を含む。言い換えれば、隣接する接合部材(B)の各対は、両方の辺柱部(C)を連結する接合部材(B)の対を除いて、それらが繋がる柱部(C,C)の近くの領域で、三角形のヒーブプレート(P)によって接合される。
【0065】
本明細書で前述したように、このプラットフォーム(1)は、それを構成する要素及び製造工程の両面において、高い標準化能力を備えているため、非常に有利である。プラットフォーム(1)は、柱部(C,C)、接合部材(B)、及びヒーブプレート(P)、の3つの同一の要素が繰り返されることによって基本的に形成される。更に、接合部材(B)と柱部(C,C)との間の連結はすべて垂直である。いずれの場合も、これは一例にすぎず、プラットフォーム(1)の構造的必要性に応じて、要素がすべて等しくなるとは限らないことに留意されたい。
【0066】
図3a及び図3bは、プラットフォーム(1)の各頂点柱部(C)の下端から放射状に突出し、柱部(C,C)の形状と同様であるがより大きな六角形の形状を有するヒーブプレート(P)を更に備えるという点を除き、図2a及び図2bに示したものと同様のプラットフォームの別の例を示す。これらのヒーブプレート(P)にはそれぞれ、プラットフォーム(1)の固定綱を通すための切れ目がある。
【0067】
図4a~図4eは、ヒーブプレート及び部材(B)の構成を除き、図2及び図3に示したものと実質的に同じプラットフォーム(1)の他の例を示す。
【0068】
図4aでは、プラットフォーム(1)は、下面が柱部(C,C)の下端の表面と実質的に一致する長方形断面の1本の水平アームによって形成された単純な接合部材(B)を有する。このプラットフォーム(1)は、頂点柱部(C)内に位置してプラットフォーム設備(1)から突出する外側ヒーブプレート(P)を有する。具体的には、これらは、プラットフォーム(1)の各頂点柱部(C)の下端から放射状に突出し、柱部(C,C)の形状と同様であるがより大きな六角形の形状を有する三枚のヒーブプレート(P)である。このプラットフォーム(1)はまた、接合部材(B)の各対とそれぞれの柱部(C,C)との連結域に配置された三角形の内側ヒーブプレート(P)を有する。
【0069】
図4bでは、プラットフォーム(1)は、円形断面の1本の水平アームによって形成された単純な接合部材(B)を有する。ヒーブプレートは、図3a及び図3bに示すものと同様であり、接合部材(B)の各対が柱部(C,C)を接合する領域内にある内側ヒーブプレート(P)と、頂点柱部(C)から突出し、プラットフォーム(1)の固定綱を通すための切れ目を設けた同様の六角形状の外側ヒーブプレート(P)とを含む。
【0070】
図4cの配置は、図4aの配置と同様であるが、接合部材(B)と柱部(C,C)との間の連結域にブラケット形状の斜めの補強材がある。図4dの構成は、図4cの構成と同様であるが、斜めの補強材は傾斜した棒状のものによって形成されている。図4eは、接合部材が、柱部の下端及び上端の近くに位置する2つの平面で、それぞれ柱部を連結する2本の平行な棒状のものからなる格子をなす構成を示す。
【0071】
図5a~図5fは、ヒーブプレート(P,P)及び接合部材(B)の断面に関する、本発明にかかる異なるプラットフォーム構成(1)の別の組を示す。これらの図から分かるように、図2a及び図2bに示すような、プラットフォーム設備(1)から突出しない内側ヒーブプレート(P)と、図3及び図4に示すような、プラットフォーム構成(1)から突出する外側ヒーブプレート(P)とを、異なる構成によって組み合わせることが可能である。また、例えば、正方形断面やH字形もしくは二重T字形の接合部材などの非円筒形接合部材(B)を使用することも可能である。
【0072】
最後に、図6は、既に目的地点に設置された、本発明のプラットフォーム(1)によって支持される風力タービン(A)の態様を示す。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6
【国際調査報告】