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特表2024-537247リソグラフィ装置及びリソグラフィシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置及びリソグラフィシステム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241003BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20241003BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20241003BHJP
   G02F 1/1506 20190101ALI20241003BHJP
   G02F 1/1524 20190101ALI20241003BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G02F1/01 D
G02F1/15 506
G02F1/1506
G02F1/1524
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521243
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2022126126
(87)【国際公開番号】W WO2023197551
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】202210373960.7
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524130652
【氏名又は名称】ウエストレイク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】リー シーチュン
【テーマコード(参考)】
2H197
2K101
2K102
【Fターム(参考)】
2H197AA06
2H197BA11
2H197CA02
2H197CA03
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CC05
2H197CD12
2H197DA03
2H197DB18
2H197HA03
2K101AA23
2K101AA36
2K101DA12
2K101DA14
2K101DB03
2K101DB05
2K101DB53
2K101EA56
2K101EC05
2K101ED12
2K101EE01
2K101EE21
2K101EG26
2K101EG52
2K101EK03
2K101EK31
2K102BA05
2K102BB01
2K102DC09
2K102EA21
(57)【要約】
本発明は、リソグラフィ装置及びリソグラフィシステムに関する。前記リソグラフィ装置は、信号生成モジュール(110)であって、レイアウトに従って1つ以上のマスクパターンを生成するように構成されており、かつ前記1つ以上のマスクパターンの各々に従ってそれぞれのマスク駆動信号をそれぞれ生成するように構成されている、信号生成モジュール(110)と、前記信号生成モジュール(110)と通信可能に接続されたマスク駆動モジュール(120)であって、マスク(200)上にそれぞれのマスクパターンを形成するために、前記マスク(200)上の各ピクセル領域の光透過状態をマスク駆動信号の1つ以上のセットに従ってそれぞれ制御するように構成されている、マスク駆動モジュール(120)と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、前記リソグラフィ装置は、
信号生成モジュールであって、レイアウトに従って1つ以上のマスクパターンを生成するように構成されており、かつ前記1つ以上のマスクパターンの各々に従ってそれぞれのマスク駆動信号をそれぞれ生成するように構成されている、信号生成モジュールと、
前記信号生成モジュールと通信可能に接続されたマスク駆動モジュールであって、マスク上にそれぞれのマスクパターンを形成するために、前記マスク上の各ピクセル領域の光透過状態をマスク駆動信号の1つ以上のセットに従ってそれぞれ制御するように構成されている、マスク駆動モジュールと、を備えている、リソグラフィ装置。
【請求項2】
前記マスク駆動信号は、前記ピクセル領域における電気分解反応を制御して前記ピクセル領域の前記光透過状態を変化させるように構成されており、かつ、前記マスク駆動信号は、第1の駆動信号及び第2の駆動信号を含んでおり、前記第1の駆動信号及び前記第2の駆動信号は、前記ピクセル領域の2つの側面上に配置されている第1の制御電極及び第2の制御電極にそれぞれ適用されるように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記マスク駆動信号は、変調ビームを発生させるための空間光変調器を駆動するように構成されており、前記変調ビームは、前記マスクパターンに対応する空間構造を有しており、かつ前記マスク内に前記マスクパターンを生成するために前記マスク内のフォトクロミック材料に照射されるように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記リソグラフィ装置は、第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器をさらに備えており、前記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、前記リソグラフィ装置はさらに、
前記マスク駆動信号の作用下で、前記最初のビームを前記空間構造を有する前記変調ビームに変換するように構成された、前記空間光変調器を備えている、請求項3に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記マスク駆動信号は、前記マスク上の前記マスクパターンを消去するように構成された消去信号を含む、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記マスク駆動モジュールは、前記マスク上の前記マスクパターンを消去するように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記リソグラフィ装置は、リソグラフィ加工されるべきワークピースを保持するように構成されたワークピースステージをさらに備えている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記信号生成モジュールは、前記マスク駆動信号の1つ以上のセットの各々にそれぞれ対応した1つ以上のワークピース位置駆動信号を生成するようにさらに構成されており、前記ワークピース位置駆動信号は、前記リソグラフィ加工されるべきワークピースを事前設定された位置に位置付けるように構成されている、請求項7に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記リソグラフィ装置は、
前記信号生成モジュール及び前記ワークピースステージと通信可能に接続されており、かつ前記1つ以上のワークピース位置駆動信号に従って前記ワークピースステージを対応する前記事前設定された位置にそれぞれ駆動するように構成されている、ワークピースステージ駆動モジュールをさらに備えている、請求項8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記リソグラフィ装置は、第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備えている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記リソグラフィ装置は、
投影モジュールをさらに備えており、前記投影モジュールは、事前設定された倍率に従うイメージングのために、リソグラフィ加工されるべきワークピースに前記マスクパターンを投影するように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記リソグラフィ装置は、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスクに隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
リソグラフィシステムであって、
請求項1から12のいずれか一項によるリソグラフィ装置と、
前記リソグラフィ装置内に含まれているか、又は前記リソグラフィ装置からは独立して設けられている、マスクと、を備えており、前記マスクは複数のピクセル領域を含んでおり、前記複数のピクセル領域の少なくとも一部の露光ビームのための光透過状態が、変化可能なマスクパターンを形成するように変化可能であるように構成されている、リソグラフィシステム。
【請求項14】
前記マスクは、
電気分解反応層と、
前記電気分解反応層の第1の側面上に設けられており、かつ複数の第1の制御電極を備えている、第1の制御回路層と、
前記第1の側面の反対側の前記電気分解反応層の第2の側面上に設けられており、かつ複数の第2の制御電極を備えている、第2の制御回路層と、を備えており、
前記マスクの前記ピクセル領域の前記露光ビームのための前記光透過状態は、前記ピクセル領域内に包含されている前記第1の制御電極の少なくとも一部と前記第2の制御電極の間の制御電圧によって決定されるように構成されている、請求項13に記載のリソグラフィシステム。
【請求項15】
前記電気分解反応層は、析出金属の状態又は溶存イオンの状態であるように構成された金属要素を含んでおり、前記制御電圧は、前記電気分解反応層内の金属の析出量を制御することによって前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御する、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項16】
前記電気分解反応層は、
電解質層と、
前記第1の制御回路層と前記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、
前記電解質層と前記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を備えている、請求項15に記載のリソグラフィシステム。
【請求項17】
前記電解質層は、銅-鉛の電解質を備えている、請求項16に記載のリソグラフィシステム。
【請求項18】
前記電解質層は、過塩素酸鉛、塩化銅、過塩素酸銅、及び過塩素酸リチウムを含んでいる、請求項17に記載のリソグラフィシステム。
【請求項19】
前記電解質層は、銅-銀の電解質を含んでいる、請求項16に記載のリソグラフィシステム。
【請求項20】
前記電解質層は、過塩素酸銅、過塩素酸銀、及び塩化リチウムを含んでいる、請求項19に記載のリソグラフィシステム。
【請求項21】
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の一方が、導電性ダイヤモンド、酸化インジウムスズ、又は白金ナノ粒子によって修飾された酸化インジウムスズを含んでいる、請求項16に記載のリソグラフィシステム。
【請求項22】
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、白金を含んでいる、請求項21に記載のリソグラフィシステム。
【請求項23】
前記電気分解反応層は、エレクトロクロミック材料を含んでおり、前記制御電圧は、前記電気分解反応層内の前記エレクトロクロミック材料のイオン結合状態を制御することによって前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御する、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項24】
前記電気分解反応層は、
電解質層と、
前記第1の制御回路層と前記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、
前記電解質層と前記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を含んでいる、請求項23に記載のリソグラフィシステム。
【請求項25】
リチウムイオン又は水素イオンの少なくとも一方は前記電解質層内に可溶である、請求項24に記載のリソグラフィシステム。
【請求項26】
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の一方が、前記エレクトロクロミック材料を含んでいる、請求項24に記載のリソグラフィシステム。
【請求項27】
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の一方が、マグネシウムニッケル合金、マグネシウムイットリウム合金、酸化ニオブ、又は酸化インジウムスズナノ粒子によって修飾された酸化ニオブを含んでいる、請求項26に記載のリソグラフィシステム。
【請求項28】
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、遷移金属の酸化物を含んでいる、請求項27に記載のリソグラフィシステム。
【請求項29】
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、酸化タングステンを含んでいる、請求項28に記載のリソグラフィシステム。
【請求項30】
前記電解質層が固体電解質を含んでいるか、又は、
前記電解質層が液体電解質を含んでいる、請求項16又は24に記載のリソグラフィシステム。
【請求項31】
前記電解質層は、連続膜の形状の電解質の材料を含んでおり、
前記第1の電解質材料層は、連続膜の形状の第1の電解質材料を含んでおり、かつ/又は、
前記第2の電解質材料層は、連続膜の形状の第2の電解質材料を含んでいる、請求項16又は24に記載のリソグラフィシステム。
【請求項32】
前記電解質層は、アレイ状に配置された複数の電解質の材料を含んでおり、かつ前記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の電解質の材料ブロックを含んでおり、
前記第1の電解質材料層は、アレイ状に配置された複数の第1の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ前記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の第1の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ/又は、
前記第2の電解質材料層は、アレイ状に配置された複数の第2の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ前記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の第2の電解質材料ブロックを含んでいる、請求項16又は24に記載のリソグラフィシステム。
【請求項33】
前記複数の第1の制御電極の各々は、それぞれの第1の切替装置を介して制御電力源の第1の極にそれぞれ接続されており、かつ、
前記複数の第2の制御電極の各々は、それぞれの第2の切替装置を介して前記制御電力源の第2の極にそれぞれ接続されている、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項34】
第1の制御電極は、各々、第1の駆動信号を受信するようにそれぞれ構成されており、かつ、第2の制御電極は、各々、第2の駆動信号を受信するようにそれぞれ構成されており、重なり合っている前記第1の制御電極の少なくとも一部及び前記第2の制御電極の少なくとも一部を含有する前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御するためである、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項35】
前記第1の制御電極は、第1の方向に延びる第1の帯状電極であり、かつ前記複数の第1の制御電極は、前記第1の制御回路層内に、互いに電気的に絶縁されて配置されており、かつ、
前記第2の制御電極は、前記第1の方向に直交する第2の方向に延びる第2の帯状電極であり、かつ前記複数の第2の制御電極は、前記第2の制御回路層内に、互いに電気的に絶縁されて配置されている、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項36】
前記マスクのピクセル領域は、各々、1つの第1の制御電極の少なくとも一部及び1つの第2の制御電極の少なくとも一部を備えている、請求項35に記載のリソグラフィシステム。
【請求項37】
前記マスクのピクセル領域は、各々、複数の第1の制御電極の少なくとも一部及び複数の第2の制御電極の少なくとも一部を備えている、請求項35に記載のリソグラフィシステム。
【請求項38】
前記第1の制御回路層における、前記第1の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第1の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%であり、かつ/又は、
前記第2の制御回路層における、前記第2の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第2の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%である、請求項35に記載のリソグラフィシステム。
【請求項39】
前記第1の制御回路層における、前記第1の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第1の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、前記第2の制御回路層における、前記第2の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第2の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合に等しい、請求項35に記載のリソグラフィシステム。
【請求項40】
前記第1の制御回路層内の前記複数の第1の制御電極は、周期的に配置されており、かつ/又は、
前記第2の制御回路層内の前記複数の第2の制御電極は、周期的に配置されている、請求項35に記載のリソグラフィシステム。
【請求項41】
前記第1の制御回路層内の前記複数の第1の制御電極の配置周期は、50nm~50μmであり、かつ/又は、
前記第2の制御回路層内の前記複数の第2の制御電極の配置周期は、50nm~50μmである、請求項40に記載のリソグラフィシステム。
【請求項42】
前記第1の制御回路層内の前記複数の第1の制御電極の配置周期は、前記第2の制御回路層内の前記複数の第2の制御電極の配置周期に等しい、請求項40に記載のリソグラフィシステム。
【請求項43】
前記第1の制御電極は、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウムのうち少なくとも1つを含んでおり、かつ、又は、
前記第2の制御電極は、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウムのうち少なくとも1つを含んでいる、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項44】
前記第1の制御回路層の厚さは、10nm~100nmであり、かつ/又は、
前記第2の制御回路層の厚さは、10nm~100nmである、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項45】
前記第1の制御電極の電気抵抗は、前記電気分解反応層のそれよりも小さく、かつ、
前記第2の制御電極の電気抵抗は、前記電気分解反応層のそれよりも小さい、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項46】
前記電気分解反応層、前記第1の制御回路層、及び前記第2の制御回路層の全体厚さは、100μm未満である、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項47】
前記マスクは、
基質をさらに備えており、前記第1の制御回路層、前記電気分解反応層、及び前記第2の制御回路層は、前記基質上で連続的に積層させられている、請求項14に記載のリソグラフィシステム。
【請求項48】
前記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含んでいる、請求項47に記載のリソグラフィシステム。
【請求項49】
前記マスクは、
前記露光ビームに対して透過性であるように構成された基質を備えており、前記露光ビームは第1の周波数帯にあり、前記マスクはさらに、
前記基質の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層を備えており、前記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対する光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、請求項13に記載のリソグラフィシステム。
【請求項50】
前記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含んでいる、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項51】
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されている、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項52】
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されている、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項53】
前記フォトクロミック材料が前記光透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は60%~99%である、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項54】
前記フォトクロミック材料が前記光非透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は5%~30%である、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項55】
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm~405nmを含む、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項56】
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含む、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項57】
前記第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分、を含む、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項58】
前記第2の周波数帯に対応する波長は、633nmを含む、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項59】
前記フォトクロミック層は、連続膜の形状のフォトクロミック材料を備えている、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項60】
前記フォトクロミック層の厚さは、50~200nm又は200~5000nmである、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項61】
前記フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を含む、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【請求項62】
前記フォトクロミック材料は、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンを含む、請求項49に記載のリソグラフィシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2022年4月11日に出願された、「リソグラフィ装置及びリソグラフィシステム」と題された中国特許出願第202210373960.7号に対する優先権を主張する。当該出願の開示内容全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に、リソグラフィの技術分野に関する。より詳細には、リソグラフィ装置及びリソグラフィシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
1960年代初頭から現在に至るまで、半導体チップ(集積回路)生産の技術は、トランジスタの小型化の道筋に沿って発展させられてきた。そして、マスクを用いるリソグラフィ技術は、常にチップ生産の核となる技術であった。リソグラフィ技術においては、パターン構造が、一様な露光ビームをマスクに照射することによって形成される。もっとも、現在のリソグラフィ技術においては、ひとたびマスクが準備されてしまうと、マスク内のパターンは容易には変更できない。さらに、マスクに欠陥が存在するか、又はマスクを使用するプロセスの最中に欠陥が生じた場合、その欠陥を修復することも困難である。加えて、マスクは典型的に高コストである。これら上記の要因すべてが、リソグラフィのコストの上昇につながっている。従って、新たなリソグラフィ技術のためのニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、リソグラフィ装置及びリソグラフィシステムを提供することである。
【0005】
本開示の第1の態様によれば、以下のリソグラフィ装置が提供される。即ち、リソグラフィ装置であって、上記リソグラフィ装置は、信号生成モジュールであって、レイアウトに従って1つ以上のマスクパターンを生成するように構成されており、かつ上記1つ以上のマスクパターンの各々に従ってそれぞれのマスク駆動信号をそれぞれ生成するように構成されている、信号生成モジュールと、上記信号生成モジュールと通信可能に接続されたマスク駆動モジュールであって、マスク上にそれぞれのマスクパターンを形成するために、上記マスク上の各ピクセル領域の光透過状態をマスク駆動信号の1つ以上のセットに従ってそれぞれ制御するように構成されている、マスク駆動モジュールと、を備えている、リソグラフィ装置が提供される。
【0006】
幾つかの実施形態では、上記マスク駆動信号は、上記ピクセル領域における電気分解反応を制御して上記ピクセル領域の上記光透過状態を変化させるように構成されており、かつ、上記マスク駆動信号は、第1の駆動信号及び第2の駆動信号を含んでおり、上記第1の駆動信号及び上記第2の駆動信号は、上記ピクセル領域の2つの側面上に配置されている第1の制御電極及び第2の制御電極にそれぞれ適用されるように構成されている。
【0007】
幾つかの実施形態では、上記マスク駆動信号は、変調ビームを発生させるための空間光変調器を駆動するように構成されており、上記変調ビームは、上記マスクパターンに対応する空間構造を有しており、かつ上記マスク内に上記マスクパターンを生成するために上記マスク内のフォトクロミック材料に照射されるように構成されている。
【0008】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器をさらに備えており、上記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、上記リソグラフィ装置はさらに、上記マスク駆動信号の作用下で、上記最初のビームを上記空間構造を有する上記変調ビームに変換するように構成された、上記空間光変調器を備えている。
【0009】
幾つかの実施形態では、上記マスク駆動信号は、上記マスク上の上記マスクパターンを消去するように構成された消去信号を含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、上記マスク駆動モジュールは、上記マスク上の上記マスクパターンを消去するように構成されている。
【0011】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、リソグラフィ加工されるべきワークピースを保持するように構成されたワークピースステージをさらに備えている。
【0012】
幾つかの実施形態では、上記信号生成モジュールは、上記マスク駆動信号の1つ以上のセットの各々にそれぞれ対応した1つ以上のワークピース位置駆動信号を生成するようにさらに構成されており、上記ワークピース位置駆動信号は、上記リソグラフィ加工されるべきワークピースを事前設定された位置に位置付けるように構成されている。
【0013】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、上記信号生成モジュール及び上記ワークピースステージと通信可能に接続されており、かつ上記1つ以上のワークピース位置駆動信号に従って上記ワークピースステージを対応する上記事前設定された位置にそれぞれ駆動するように構成されている、ワークピースステージ駆動モジュールをさらに備えている。
【0014】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備えている。
【0015】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、投影モジュールをさらに備えており、上記投影モジュールは、事前設定された倍率に従うイメージングのために、リソグラフィ加工されるべきワークピースに上記マスクパターンを投影するように構成されている。
【0016】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、温度コントローラをさらに備えており、上記温度コントローラは、上記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、上記マスクに隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている。
【0017】
本開示の第2の態様によれば、以下のようなリソグラフィシステムが提供される。即ち、リソグラフィシステムであって、上記のようなリソグラフィ装置と、上記リソグラフィ装置内に含まれているか、又は上記リソグラフィ装置からは独立して設けられている、マスクと、を備えており、上記マスクは複数のピクセル領域を含んでおり、上記複数のピクセル領域の少なくとも一部の露光ビームのための光透過状態が、変化可能なマスクパターンを形成するように変化可能であるように構成されている、リソグラフィシステムが提供される。
【0018】
幾つかの実施形態では、上記マスクは、電気分解反応層と、上記電気分解反応層の第1の側面上に設けられており、かつ複数の第1の制御電極を備えている、第1の制御回路層と、上記第1の側面の反対側の上記電気分解反応層の第2の側面上に設けられており、かつ複数の第2の制御電極を備えている、第2の制御回路層と、を備えており、上記マスクの上記ピクセル領域の上記露光ビームのための上記光透過状態は、上記ピクセル領域内に包含されている上記第1の制御電極の少なくとも一部と上記第2の制御電極の間の制御電圧によって決定されるように構成されている。
【0019】
幾つかの実施形態では、上記電気分解反応層は、析出金属の状態又は溶存イオンの状態であるように構成された金属要素を含んでおり、上記制御電圧は、上記電気分解反応層内の金属の析出量を制御することによって上記ピクセル領域の上記光透過状態を制御する。
【0020】
幾つかの実施形態では、上記電気分解反応層は、電解質層と、上記第1の制御回路層と上記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、上記電解質層と上記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を備えている。
【0021】
幾つかの実施形態では、上記電解質層は、銅-鉛の電解質を備えている。
【0022】
幾つかの実施形態では、上記電解質層は、過塩素酸鉛、塩化銅、過塩素酸銅、及び過塩素酸リチウムを含んでいる。
【0023】
幾つかの実施形態では、上記電解質層は、銅-銀の電解質を含んでいる。
【0024】
幾つかの実施形態では、上記電解質層は、過塩素酸銅、過塩素酸銀、及び塩化リチウムを含んでいる。
【0025】
幾つかの実施形態では、上記第1の電解質材料層及び上記第2の電解質材料層の一方が、導電性ダイヤモンド、酸化インジウムスズ、又は白金ナノ粒子によって修飾された酸化インジウムスズを含んでいる。
【0026】
幾つかの実施形態では、上記第1の電解質材料層及び上記第2の電解質材料層の他方が、白金を含んでいる。
【0027】
幾つかの実施形態では、上記電気分解反応層は、エレクトロクロミック材料を含んでおり、上記制御電圧は、上記電気分解反応層内の上記エレクトロクロミック材料のイオン結合状態を制御することによって上記ピクセル領域の上記光透過状態を制御する。
【0028】
幾つかの実施形態では、上記電気分解反応層は、電解質層と、上記第1の制御回路層と上記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、上記電解質層と上記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を含んでいる。
【0029】
幾つかの実施形態では、リチウムイオン又は水素イオンの少なくとも一方は上記電解質層内に可溶である。
【0030】
幾つかの実施形態では、上記第1の電解質材料層及び上記第2の電解質材料層の一方が、上記エレクトロクロミック材料を含んでいる。
【0031】
幾つかの実施形態では、上記第1の電解質材料層及び上記第2の電解質材料層の一方が、マグネシウムニッケル合金、マグネシウムイットリウム合金、酸化ニオブ、又は酸化インジウムスズナノ粒子によって修飾された酸化ニオブを含んでいる。
【0032】
幾つかの実施形態では、上記第1の電解質材料層及び上記第2の電解質材料層の他方が、遷移金属の酸化物を含んでいる。
【0033】
幾つかの実施形態では、上記第1の電解質材料層及び上記第2の電解質材料層の他方が、酸化タングステンを含んでいる。
【0034】
幾つかの実施形態では、上記電解質層が固体電解質を含んでいるか、又は、上記電解質層が液体電解質を含んでいる。
【0035】
幾つかの実施形態では、上記電解質層は、連続膜の形状の電解質の材料を含んでおり、上記第1の電解質材料層は、連続膜の形状の第1の電解質材料を含んでおり、かつ/又は、上記第2の電解質材料層は、連続膜の形状の第2の電解質材料を含んでいる。
【0036】
幾つかの実施形態では、上記電解質層は、アレイ状に配置された複数の電解質の材料を含んでおり、かつ上記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の電解質の材料ブロックを含んでおり、上記第1の電解質材料層は、アレイ状に配置された複数の第1の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ上記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の第1の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ/又は、上記第2の電解質材料層は、アレイ状に配置された複数の第2の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ上記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の第2の電解質材料ブロックを含んでいる。
【0037】
幾つかの実施形態では、上記複数の第1の制御電極の各々は、それぞれの第1の切替装置を介して制御電力源の第1の極にそれぞれ接続されており、かつ、上記複数の第2の制御電極の各々は、それぞれの第2の切替装置を介して上記制御電力源の第2の極にそれぞれ接続されている。
【0038】
幾つかの実施形態では、第1の制御電極は、各々、第1の駆動信号を受信するようにそれぞれ構成されており、かつ、第2の制御電極は、各々、第2の駆動信号を受信するようにそれぞれ構成されており、重なり合っている上記第1の制御電極の少なくとも一部及び上記第2の制御電極の少なくとも一部を含有する上記ピクセル領域の上記光透過状態を制御するためである。
【0039】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御電極は、第1の方向に延びる第1の帯状電極であり、かつ上記複数の第1の制御電極は、上記第1の制御回路層内に、互いに電気的に絶縁されて配置されており、かつ、上記第2の制御電極は、上記第1の方向に直交する第2の方向に延びる第2の帯状電極であり、かつ上記複数の第2の制御電極は、上記第2の制御回路層内に、互いに電気的に絶縁されて配置されている。
【0040】
幾つかの実施形態では、上記マスクのピクセル領域は、各々、1つの第1の制御電極の少なくとも一部及び1つの第2の制御電極の少なくとも一部を備えている。
【0041】
幾つかの実施形態では、上記マスクのピクセル領域は、各々、複数の第1の制御電極の少なくとも一部及び複数の第2の制御電極の少なくとも一部を備えている。
【0042】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御回路層における、上記第1の制御電極によって占められている領域の面積の、上記第1の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%であり、かつ/又は、上記第2の制御回路層における、上記第2の制御電極によって占められている領域の面積の、上記第2の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%である。
【0043】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御回路層における、上記第1の制御電極によって占められている領域の面積の、上記第1の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、上記第2の制御回路層における、上記第2の制御電極によって占められている領域の面積の、上記第2の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合に等しい。
【0044】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御回路層内の上記複数の第1の制御電極は、周期的に配置されており、かつ/又は、上記第2の制御回路層内の上記複数の第2の制御電極は、周期的に配置されている。
【0045】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御回路層内の上記複数の第1の制御電極の配置周期は、50nm~50μmであり、かつ/又は、上記第2の制御回路層内の上記複数の第2の制御電極の配置周期は、50nm~50μmである。
【0046】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御回路層内の上記複数の第1の制御電極の配置周期は、上記第2の制御回路層内の上記複数の第2の制御電極の配置周期に等しい。
【0047】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御電極は、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウムのうち少なくとも1つを含んでおり、かつ、又は、上記第2の制御電極は、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウムのうち少なくとも1つを含んでいる。
【0048】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御回路層の厚さは、10nm~100nmであり、かつ/又は、上記第2の制御回路層の厚さは、10nm~100nmである。
【0049】
幾つかの実施形態では、上記第1の制御電極の電気抵抗は、上記電気分解反応層のそれよりも小さく、かつ、上記第2の制御電極の電気抵抗は、上記電気分解反応層のそれよりも小さい。
【0050】
幾つかの実施形態では、上記電気分解反応層、上記第1の制御回路層、及び上記第2の制御回路層の全体厚さは、100μm未満である。
【0051】
幾つかの実施形態では、上記マスクは、基質をさらに備えており、上記第1の制御回路層、上記電気分解反応層、及び上記第2の制御回路層は、上記基質上で連続的に積層させられている。
【0052】
幾つかの実施形態では、上記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含んでいる。
【0053】
幾つかの実施形態では、上記マスクは、上記露光ビームに対して透過性であるように構成された基質を備えており、上記露光ビームは第1の周波数帯にあり、上記マスクはさらに、上記基質の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層を備えており、上記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、上記フォトクロミック材料は、上記フォトクロミック材料が上記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、上記露光ビームに対する光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、上記変調ビームは、上記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある。
【0054】
幾つかの実施形態では、上記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含んでいる。
【0055】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されているときには上記露光ビームに対する上記光非透過状態であるように構成されており、かつ、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されていないときには上記露光ビームに対する上記光透過状態であるように構成されている。
【0056】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されているときには上記露光ビームに対する上記光透過状態であるように構成されており、かつ、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されていないときには上記露光ビームに対する上記光非透過状態であるように構成されている。
【0057】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料が上記光透過状態であるときには、上記露光ビームに対する透過率は60%~99%である。
【0058】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料が上記光非透過状態であるときには、上記露光ビームに対する透過率は5%~30%である。
【0059】
幾つかの実施形態では、上記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm~405nmを含む。
【0060】
幾つかの実施形態では、上記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含む。
【0061】
幾つかの実施形態では、上記第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分、を含む。
【0062】
幾つかの実施形態では、上記第2の周波数帯に対応する波長は、633nmを含む。
【0063】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック層は、連続膜の形状のフォトクロミック材料を備えている。
【0064】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック層の厚さは、50~200nm又は200~5000nmである。
【0065】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を含む。
【0066】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンを含む。
【0067】
本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示しており、かつ本明細書と共に本開示の原理の説明に供する。
【0068】
本開示は、添付の図面と共に行われる以下の詳細な説明から、より明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態による、リソグラフィシステムの構造的な概略図である。
【0070】
図2図2は、本開示の他の例示的な実施形態によるリソグラフィシステムの構造的な概略図である。
【0071】
図3図3は、本開示の例示的な実施形態によるマスクの構造的な概略図である。
【0072】
図4図4は、本開示の例示的な実施形態による、第1の制御回路層及び第2の制御回路層を備えるマスクの制御回路の概略図である。
【0073】
図5図5は、マスクのピクセル領域の光透過状態を調整するための制御回路の一状態の概略図である。
【0074】
図6図6は、図5の制御回路の状態におけるマスクのピクセル領域の光透過状態の概略図である。
【0075】
図7図7は、マスクのピクセル領域の光透過状態を調整するための制御回路の他の状態の概略図である。
【0076】
図8図8は、図7の制御装置の状態におけるマスクのピクセル領域の光透過状態の概略図である。
【0077】
図9図9は、本開示の他の例示的な実施形態によるマスクの構造的な概略図である。
【0078】
図10図10は、露光ビーム及び変調ビームを照射されている、図9のマスクの概略図である。
【0079】
図11図11は、露光ビーム及び変調ビームを照射されている、図9のマスクの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本開示は、本開示の幾つかの実施形態を示す添付の図面を参照しつつ、以下で記述される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形で提示され得るのであり、以下で記述される実施形態に限定されるものでないことは、理解されたい。実際、以下で記述される実施形態は、本開示の開示内容をより完全なものにすること及び本開示の保護範囲を当業者に完全に伝えることを意図されている。また、本明細書で開示される実施形態が様々な形で組み合わせられ、より多くの追加的な実施形態が提供される場合があることも、理解されたい。
【0081】
すべての図面において、同一の参照数字が同一の要素を表すことは、理解されたい。図面においては、特定の特徴のサイズが、明瞭性のために変化させられている場合がある。
【0082】
本明細書における用語は、特定の実施形態を記述するためにのみ使用されるのであり、本開示を限定することは意図されていないことは、理解されたい。本明細書において用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、特に定義されていない限り、当業者によって一般的に理解される意味を有する。簡潔性及び/又は明瞭性のため、周知の機能又は構造が詳細には記述されていない場合がある。
【0083】
本明細書で用いられる「含む」「備える」及び「含有する」という用語は、記載された特徴の存在を示すが、1つ以上の他の特徴の存在を排除するものではない。本明細書で用いられる「及び/又は」という用語は、列挙された関連付けられた項目の1つ以上の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。本明細書で用いられる「XとYの間」及び「約XとYの間」という用語は、X及びYを含むものと解釈されるべきである。本明細書で用いられる「約XとYの間」という用語は、「約Xと約Yの間」を意味し、かつ、本明細書で用いられる「約XからY」という用語は、「約Xから約Y」を意味する。
【0084】
本明細書において、ある要素が他の要素に対して、「その上にある(on)」「取付けられている」「接続されている」「結合されている」又は「接触している」等と記載されているとき、その要素は、直接的に、当該他の要素の上にあるか、取付けられているか、接続されているか、結合されているか、又は接触している場合もあるが、中間要素が存在していてもよい。対照的に、ある要素が他の要素に対して、「直接その上にある」「直接取付けられている」「直接接続されている」「直接結合されている」又は「直接接触している」と記載されているときには、中間要素は存在しない。本明細書において、ある特徴が他の特徴に対して「隣接して」配置されていることは、その特徴が当の隣接する特徴に重なる部分を有することを、又は当該隣接する特徴の上方又は下方に位置していることを、指し得る。
【0085】
本明細書において、「上方」「下方」「左」「右」「前」「後」「高い」及び「低い」等の空間関係の用語は、添付の図面における、ある特徴と他の特徴の間の関係を記述し得る。空間関係の用語が、図面に示された向きに加えて、使用中又は動作中の機器の異なる向きを包含することは、理解されたい。例えば、図面中の機器が反転しているときには、本来は他の特徴の「下方」にあると記載される特徴が、この場合には当該他の特徴の「上方」にあると記述され得る。また、その機器を他の向きに変える(90度回転させる、又は他の向きにする)こともでき、この場合は、相対的な空間関係はそれに応じて解釈されてよい。
【0086】
チップ生産の工程においては、所望のチップ構成は、典型的にはマスクに基づくリソグラフィ技術を用いて形成される。リソグラフィ技術の発展に伴い、リソグラフィの精度は、過去数十年で数十マイクロメートルから数十ナノメートルまで改善させられてきた。特に、所望の構造を形成するために、加工されるべきチップのレイアウトに従って、対応する加工ステップに照らして、1つ以上のマスクが前もって作製され得る。この際、各マスク上のパターンは、レイアウト内の1つの層又は同等のステップで準備可能な複数の層に対応することができる。一般的には、マスクは、レジスト(フォトレジスト)の性質を変化させるための露光ビーム(例:紫外光)を透過させることができる基質と、上記の紫外光が透過することを防ぐための、基質上に成膜されたメッキ皮膜と、を備え得る。
【0087】
現在、たった一枚のマスクのコストが約数万ドルとなり、完全なチップの生産工程のためのマスクの完全なセットのコストともなれば、数百万ドルにも達し得る。さらに、そのようなマスクがひとたび準備されてしまうと、その構造を変えることは困難である。従来の適用シナリオでは、携帯電話チップ、メモリ、CPU、及びそれらに類するものを含むチップの単一のバッチ量は、通常数百万のオーダーであるか数億のオーダーでさえあるため、マスクの作製コストは十分に分担され得るので、マスクに基づくリソグラフィプロセスを、これらのチップの作製及び生産に広く適用することができる。しかしながら、IoT、人工知能、及び個別化医療当の産業の発展に伴い、チップの小バッチ生産が次第に必要とされるようになってきており、これらのチップの数は、たった数万であるか、又はそれより少ない場合もある。マスクを事前に準備し、そのマスクに基づいてこれらのチップを生産する場合、十分な数のチップによってマスクの作製コストを分担することは困難になり、その結果、チップのコストは大きく増加してしまう。加えて、レーザ直接描画又は電子ビーム露光等によってこれらのチップを直接作製する場合には、その歩留まりが低すぎて大量生産の要件を満たすことができない一方、最小線幅によって制約もされ得る。結果として、チップの性能は低く(例:低集積度、高エネルギー消費)かつ高コストであり、その結果、そのようなチップの市場への浸透は妨げられている。
【0088】
加えて、マスクに存在する欠陥もまた、チップの生産コストを大きく上昇させ得る。特に、小さな欠陥がマスクに存在していた場合には、その欠陥の検出及び修復に時間が投じられなければならず、大きな欠陥がマスクに存在していた場合には、当該マスク全体が廃棄されなければならないこともある。
【0089】
上記の課題を解決し、将来の産業のニーズのためにチップの小バッチ生産を満たすために、本開示は、リソグラフィ装置及びリソグラフィシステムを提供する。そのようなリソグラフィ装置及びリソグラフィシステムでは、基本的なリソグラフィの技術経路を変更することなく、プログラム可能かつ書き換え可能である再使用のためのリソグラフィマスクが用いられる。該マスクは、チップのレイアウトに従って、リソグラフィ露光のための1つ以上の対応するマスクパターンをリアルタイムで生成することができる。それにより、チップに対応するマスクの作製及び検出に要する時間は大幅に削減され、チップ作製ならびに使用時のマスクの欠陥監視及び修復のコストも顕著に削減され、そして高集積度志向のチップの小バッチ生産の発展に対する障害が取り払われるのである。
【0090】
図1及び2に示されているような本開示の例示的な実施形態では、リソグラフィシステムは、リソグラフィ装置及びマスク200を備え得る。リソグラフィ装置は、信号生成モジュール110及びマスク駆動モジュール120を備え得る。さらに、マスク200は複数のピクセル領域を備え得る。その複数のピクセル領域の少なくとも一部の露光ビームのための光透過状態は、変化可能なマスクパターンを形成するように変化可能であるように構成される。リソグラフィ装置は、マスク200内のマスクパターンの変化を制御するように用いられ、プログラム可能かつ書き換え可能なマスク200を含むリソグラフィシステムを実現することができる。幾つかの実施形態では、マスク200はリソグラフィ装置内に含まれ得る。即ち、リソグラフィ装置の一部として含まれ得る。他の実施形態では、マスク200は、リソグラフィ装置からは独立して設けられる場合もある。その際には、リソグラフィプロセス中、マスク200は、露光を達成するために適切なリソグラフィ装置内の位置に配置される。
【0091】
図1及び2に示されているように、信号生成モジュール110は、レイアウトに従って、1つ以上のマスクパターンを生成するように構成され得る。特に、信号生成モジュール110は、加工ステップに従って加工されるべきチップのレイアウトを分析し、該レイアウトを1つ以上のマスクパターンに分解するという場合がある。その際、各マスクパターンは、レイアウト中の1つの層に対応しているか、又は同等の加工ステップで準備可能なレイアウト中の複数の層に対応し得る。
【0092】
さらに、信号生成モジュール110は、レイアウトの分解物から得られた1つ以上のマスクパターンにそれぞれ従う各マスクパターンに対応するマスク駆動信号の1つ以上のセットを形成し得る。マスク駆動信号は、書き換え可能なマスク200の様々な書き換えの原理に従い、それぞれ異なる形態を有し得る。
【0093】
幾つかの実施形態では、マスク駆動信号は、ピクセル領域の光透過状態を変化させるために、該ピクセル領域内の電気分解反応を制御するように構成され得る。マスク駆動信号は、ピクセル領域の2つの側面上に配置された第1の制御電極及び第2の制御電極に対してそれぞれ適用されるように構成された第1の駆動信号及び第2の駆動信号を含み得る。そして、以下で述べられるように、第1の制御電極と第2の制御電極の間の電気分解反応層上での電圧変化が、対応するピクセル領域の光透過状態を変化させるために用いられ得る。
【0094】
他の実施形態では、マスク駆動信号は、空間光変調器を駆動して変調ビームを発生させるように構成され得る。その際には、以下で述べられるように、該変調ビームは、上記のマスクパターンに対応した空間構造を有し、かつマスク内のフォトクロミック材料に照射されてマスク内にマスクパターンを生成するように構成され得る。
【0095】
加えて、マスク駆動信号は、マスク上のマスクパターンを消去するように構成された消去信号をさらに含み得る。幾つかの実施形態では、該消去信号は、消去状態に対応するマスク駆動信号におけるレベルとして提示され得る。例えば、以下で述べられるように、消去信号は、マスク内に光非透過ピクセル領域を形成するための電気信号とは反対の極性を有する電気信号であってよいし、又は、変調ビームがマスク上に照射されることができないように変調ビームをオフにするか又は変調ビームを偏向させる信号であってもよいし、又はそれらに類するものである場合もある。
【0096】
図1及び2に示されているように、マスク駆動モジュール120は、信号生成モジュール110と通信可能に接続されており、そのマスク駆動モジュール120は、マスク駆動信号の1つ以上のセットにそれぞれ従ってマスク200上の各ピクセル領域の光透過状態を制御し、マスク200上にそれぞれのマスクパターンを形成するように構成され得る。マスク200が制御電極を備えている事例では、マスク駆動モジュール120は、マスク200内の制御電極と直接電気的に接続されて、マスク200の制御電極にそれぞれのマスク駆動信号を伝達する場合がある。あるいは、対応するマスクパターンを生成するために、例えば空間構造を有する変調ビームを用いてマスク200が照射されているときには、マスク駆動モジュール120は、所望の変調ビームを発生させるために空間光変調器等の装置と電気的に接続されている場合がある。さらに、必要に応じて、マスク駆動モジュール120は、マスク上のマスクパターンを消去するようにさらに構成され得るのであって、例えば、信号生成モジュール110によって発生させられた消去信号の制御下でマスクパターンを消去する。
【0097】
マスク200内では、各ピクセル領域の光透過状態は、電気信号によって制御され得る。図3に示されているような幾つかの実施形態では、マスクは、電気分解反応層210、第1の制御回路層220、及び第2の制御回路層230を備え得る。
【0098】
ある具体例では、電気分解反応層210は金属要素を含み得るのであって、該金属要素は、析出金属の状態又は溶存イオンの状態であるように構成され得る。一般的には、析出金属の厚さが数十ナノメートル以上に、例えば20~100nm又は50~100nmに達したときには、それはレジストを変化させるための露光ビームを遮断するに十分である。換言すれば、金属が析出しているマスク内の対応する領域は、光非透過状態となる。加えて、電気分解反応層210内の金属要素が溶存イオンの状態であるときには、マスクの対応する領域内に析出した金属の量は、より少ないか又はほとんど無く、従って、該領域は、露光ビームを透過させる光透過状態であり得る。このとき、透過した露光ビームは、チップの対応する領域内のレジストを露光させて、所望のチップの構造を形成することを助けることができるのである。
【0099】
図3に示されているように、電気分解反応層210は、電解質層211、第1の電解質材料層212、及び第2の電解質材料層213を備え得る。金属要素が溶存イオンの状態であるとき、金属要素は電解質層211内で移動することができる。電場を印加することにより、金属イオンは電解質層211内で所望の方向に移動させられ、そして対応する第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213上に析出させられて、マスク内に光非透過領域を形成することができる。加えて、逆向きの電場を印加することにより、第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213上に析出していた金属は金属イオンとなって電解質層211内に溶出させられ、マスク内に光透過領域を形成することができる。
【0100】
幾つかの実施形態では、電気分解反応層210は、よい安定性を有するバイメタル系に基づく場合があり、それにより、マスクは損傷を受けることなく複数の状態変化を経験することができる。例えば、バイメタル系に基づく電気分解反応層を有するマスクにおいては、マスクは、可逆的な電解メッキを5000回行った後であっても、依然として6を超える透過率のコントラスト(光透過状態の透過率/光非透過状態の透過率)を有し得る。
【0101】
例えば、電気分解反応層210は、銅-鉛(Cu-Pb)の電解質系に基づく場合がある。特に、電解質層211は、Cu-Pbの電解質を、例えば過塩素酸鉛(Pb(ClO)、塩化銅(CuCl)、過塩素酸銅(Cu(ClO)、及び過塩素酸リチウム(LiClO)を含む場合がある。
【0102】
あるいは、電気分解反応層210が、銅-銀(Cu-Ag)の電解質系に基づく場合がある。特に、電解質層211が、Cu-Agの電解質を、例えば、過塩素酸銅(Cu(ClO)、過塩素酸銀(AgClO)、及び塩化リチウム(LiCl)を含む場合がある。
【0103】
もっとも、他の実施形態においては、電気分解反応層210が異なる金属の析出及び溶出に基づく場合もあるので、本明細書ではこれに限定されないことは、理解されたい。
【0104】
本開示の他の具体例においては、電気分解反応層210は、その透過率がそのイオン結合状態の変化に伴って変化し得る、エレクトロクロミック材料を含み得る。該エレクトロクロミック材料が光非透過状態であるときには、それはレジストを変化させるための露光ビームを遮断することができる。一方、該エレクトロクロミック材料が光透過状態であるときには、それはレジストを変化させるための露光ビームを透過させることができる。このとき、透過した露光ビームは、チップの対応する領域内のレジストを露光させて、所望のチップの構造を形成することを助けることができるのである。上記エレクトロクロミック材料は陽イオン又は陰イオンと結合され得るのであって、イオン結合状態において光非透過性を示す一方で非イオン結合状態においては光透過性を示す場合があり、又は、イオン結合状態において光透過性を示す一方で非イオン結合状態においては光非透過性を示す場合もあるので、本明細書ではこれに限定されない。以下、本明細書では、エレクトロクロミック材料が水素イオン及び/又はリチウムイオンと結合されるという例を挙げることにより、マスク内の状態変化を詳細に説明するが、もっとも、マスクにおける光透過状態の調節は、他のエレクトロクロミック材料及びイオン系を用いることによっても達成され得ることは、理解されたい。
【0105】
図3に示されているように、電気分解反応層210は、電解質層211、第1の電解質材料層212、及び第2の電解質材料層213を備え得る。電解質層211においては、例えば、リチウムイオン又は水素イオンの少なくとも一方が可溶であり得る。電場を印加することにより、リチウムイオン及び/又は水素イオンは、電解質層211内で所望の方向に移動させられることができ、その後、第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213内でエレクトロクロミック材料と結合されることができる。その結果、エレクトロクロミック材料は光非透過状態になり、従ってマスク内に光非透過領域が形成される。加えて、逆向きの電場を印加することにより、第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213と結合されていたリチウムイオン及び/又は水素イオンは、その第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213から抜き出されかつ脱離させられ得る。その結果、エレクトロクロミック材料は光透過状態になり、従ってマスク内に光透過領域が形成される。
【0106】
図3に示されているように、第1の電解質材料層212は、第1の制御回路層220と電解質層211の間に設けられ得るのであって、第2の電解質材料層213は、電解質層211と第2の制御回路層230の間に設けられ得る。電気分解反応層110の個々のピクセル領域に印加されている電場は、第1の制御回路層220と第2の制御回路層230の協同作用下で制御することができ、それにより、対応するピクセル領域の光透過状態を変化させることができる。これについては、以下で詳細に述べる。
【0107】
本開示の幾つかの実施形態では、マスク内の電解質層211は、固体又は液体状態であり得るのであって、換言すれば、電解質層211は、固体電解質又は液体電解質を含み得る。電解質層211が固体電解質である事例では、マスクに対して印加された電場が除去された後には、その内部での金属要素又はイオンの移動は依然としてよく制限され得るのであり、従って、マスクの光透過領域及び光非透過領域はよく維持され得る。電解質層211が液体電解質である事例では、マスクに対して印加された饗場が除去された後には、マスクの光透過領域及び光非透過領域はゆっくりと変化し得るのであり、従って、それらの安定性は次第に貧弱なものとなる(もっとも、その安定性が貧弱である場合においてさえもそれがリソグラフィの要件を一般的に満足し得ることは、理解されたい)。しかしながら、同時に、電解質層211が液体電解質である事例では、対応する光透過領域及び光非透過領域をマスク上に生成する過程で、金属要素が液体電解質内でより速く移動し、より速く第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213上に析出させられるか又は第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213から溶出させられる場合がある。又は、対応する光透過領域及び光非透過領域をマスク上に生成する過程で、イオンが液体電解質内でより速く移動し、より速く第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213内のエレクトロクロミック材料と結合されるか又は第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213内のエレクトロクロミック材料から脱離させられる場合もある。その結果、光透過状態と光非透過状態の間での切替がより速く達成される。実用的な適用においては、対応する電解質層は、要件に従って選択することができる。
【0108】
幾つかの実施形態では、電気分解反応層210内の第1の電解質材料層212及び第2の電解質材料層213は、露光ビームに対して透過性でありかつ一定の導電性を有する材料を用いて形成され得る。
【0109】
編集可能なマスクパターンが可逆な金属膜の電解メッキに基づいて実現されている事例では、第1の電解質材料層212及び第2の電解質材料層213の一方が、導電性ダイヤモンド、酸化インジウムスズ(ITO)、又は白金(Pt)ナノ粒子によって修飾されたITOを含んでいる場合がある。導電性ダイヤモンドは、193nm~405nmの波長帯内の紫外光に対して透明であり、従って上記の波長帯の紫外光による露光に基づくマスクに用いられ得る。一方、ITOは、360~405nmの範囲内の紫外光に対して透明であり、より小さい波長の紫外光に対して一定の遮断効果を有するので、ITOは、360~405nmの波長帯の紫外光による露光に基づくマスクに用いられ得る。さらに、Ptナノ粒子を用いてITOを修飾することによって、金属を対応する電解質材料層上により一様に析出させることができるので、マスクに形成された各光非透過領域がより一様に光を遮断するようにさせることができる。加えて、第1の電解質材料層212及び第2の電解質材料層213の他方が、対電極を形成するために白金(Pt)を含む場合がある。該金属が十分に小さい厚さ(例:10nm程度)を有しているときには、該金属は露光ビームを遮断することを回避するよい透過性を有し得る。
【0110】
編集可能なマスクパターンがエレクトロクロミック材料内のイオンの挿入/抜き出しに基づいて実現されている事例では、第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213の少なくとも一方は、エレクトロクロミック材料である。ある具体例では、該エレクトロクロミック材料は、マグネシウム-ニッケル合金(Mg-Ni)、マグネシウム-イットリウム合金(Mg-Y)、酸化ニオブ(NbO)ガラス又は酸化インジウムスズ(ITO)ナノ粒子によって修飾された酸化ニオブ(NbO)ガラス等の遷移金属の酸化物、を含み得る。第1の電解質材料層212及び第2の電解質材料層213の他方は、酸化タングステン(WO等の遷移金属の酸化物を含む場合もある。365~405nmの波長帯の紫外光に対する光透過状態の可逆な変化は、Mg-Ni又はMg-Yのための可逆な水素化を用いて実現され得る。一方、405nm周辺の紫外光に対する光透過状態の可逆な変化は、ITOナノ粒子によって修飾されたNbO膜材料を用いて実現され得る。
【0111】
本開示の幾つかの実施形態では、電気分解反応層210は、連続膜の形状であり得る。特に、電気分解反応層210内の電解質層211は、連続膜の形状の電解質の材料を含んでおり、第1の電解質材料層212は、連続膜の形状の第1の電解質材料を含んでおり、第2の電解質材料層213は、連続膜の形状の第2の電解質材料を含んでいる、という場合がある。連続膜の形状の電気分解反応層210は、マスク内に準備することが容易であり、従って、マスクの製造プロセス中に、マスク内の他の構成要素(例:第1の制御回路層220内の第1の制御電極221、及び第2の制御回路層230内の第2の制御電極231)と整列させることに問題を生じない。従って、マスクのコストを効果的に削減することができる。加えて、高い電気抵抗を有する材料を用いることにより、電気分解反応層210内の隣り合う領域間での電場干渉を回避することが可能であり、それによって各領域の光透過状態を独立して制御することができるのである。
【0112】
しかしながら、幾つかの他の実施形態では、マスクの個々のピクセル領域間での絶縁をさらに向上させ、隣り合うピクセル領域間での電場干渉を回避し、各ピクセル領域内の金属要素が該ピクセル領域に対して印加された電場のみによって、又はそれによって実質的に独立して、制御されるように、電気分解反応層210内の1つ以上の層は、アレイ(例:矩形アレイ)状に配置された複数のブロックとして設けられており、かつ、マスクの各ピクセル領域が1つ以上の隣り合うブロックを含んでいる(例えば、各ピクセル領域が1つのブロックを含んでいるか、又は各ピクセル領域が2×2で合計4つの互いに隣り合うブロックを含んでいる)という場合がある。特に、電解質層211は、アレイ状に配置された複数の電解質の材料ブロックを含んでおり、かつ、マスクの各ピクセル領域は、1つ以上の電解質の材料ブロックを含んでいるという場合があり、かつ/又は、第1の電解質材料層212は、アレイ状に配置された複数の第1の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ、マスクの各ピクセル領域は、1つ以上の第1の電解質材料ブロックを含んでいるという場合があり、かつ/又は、第2の電解質材料層213は、アレイ状に配置された複数の第2の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ、マスクの各ピクセル領域は、1つ以上の第2の電解質材料ブロックを含んでいるという場合がある。しかしながら、この事例では、マスクを準備するプロセス中における、電気分解反応層210内の層同士を、又は電気分解反応層210とマスク内の他の構成要素(例:第1の制御回路層220内の第1の制御電極221、及び第2の制御回路層230内の第2の制御電極231)を、整列させることの問題を、一般的に考慮しなければならない。そして、それが、マスクのコストの上昇をもたらし得る。
【0113】
図3、4、5、及び7に示されているように、マスクの各ピクセル領域の光透過状態を制御するために、デジタルカメラ内の電荷結合素子(CCD)駆動回路又はディスプレイ内のディスプレイ駆動回路に類似の制御回路が採用される場合がある。特に、第1の制御回路層220は、電気分解反応層210の第1の側面上に設けられており、かつ第1の制御回路層220は複数の第1の制御電極221を備えているという場合がある。同様にして、第2の制御回路層230は、上記第1の側面と反対側の電気分解反応層210の第2の側面上に設けられており、かつ第2の制御回路層230は複数の第2の制御電極231を備えているという場合がある。第1の制御電極221及び第2の制御電極231の一方は、CCD駆動回路内又はディスプレイ駆動回路内のスキャンラインに類似であり、一方、第1の制御電極221及び第2の制御電極231の他方は、CCD駆動回路内又はディスプレイ駆動回路内のデータラインに類似である。各第1の制御電極221の少なくとも一部は、1つの対応する第2の制御電極231の少なくとも一部と、マスクの厚さ方向に重なり得るのであって、その場合、マスクの第1の制御電極221と第2の制御電極231の交差領域は、第1の制御電極221と第2の制御電極231の間の電場によって制御される。即ち、該交差領域にある電解質層211内の金属要素又はイオンは、上記の電場の作用下で運動し得る。その際、上記の金属は、第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213上に析出させられるか、又は、第1の電解質材料層211又は第2の電解質材料層213から脱離させられて電解質層211内に溶出させられる、という場合がある。又は、上記の際に、上記のイオンは、第1の電解質材料層112内又は第2の電解質材料層113内のエレクトロクロミック材料と結合させられるか、又は第1の電解質材料層111内又は第2の電解質材料層113内のエレクトロクロミック材料から脱離させられる場合もある。それらにより、交差領域での光透過状態が変化させられるのである。換言すれば、マスクのピクセル領域の光透過状態は、該ピクセル領域に包含されている第1の制御電極221の少なくとも一部と第2の制御電極231の少なくとも一部の間の制御電圧によって、又は、該ピクセル領域内に包含されている第1の制御電極221の少なくとも一部と第2の制御電極231の少なくとも一部の間の制御電圧の負荷履歴によって、決定されるように構成され得る。ここで、第1の制御電極221の当該部分及び第2の制御電極231の当該部分は、マスクの厚さ方向に重なり合っており、上記制御電圧は、電気分解反応層210内の金属の析出量を制御することによって、又は電気分解反応層210内のエレクトロクロミック材料のイオン結合状態を制御することによって、当該ピクセル領域の光透過状態を制御している。
【0114】
幾つかの実施形態では、各交差領域が、1つのピクセル領域として形成され得る(例えば、図6及び8に示されている各最小影領域が、光非透過状態にある1つのピクセル領域と見做され得る)。換言すれば、マスクの各ピクセル領域は、1つの第1の制御電極の少なくとも一部及び1つの第2の制御電極の少なくとも一部を含み得る(例えば、互いに重なり合っている、第1の制御電極の一部及び第2の制御電極の一部を含んでいる)。あるいは、幾つかの他の実施形態では、1つのピクセル領域は、互いに隣り合う複数の交差領域によって協同で形成される場合もある(例えば、図6及び8に示されているように、4つの交差領域を含む、破線のボックスで表されている1つの領域が、光非透過状態にある1つのピクセル領域だと見做され得る)。換言すれば、マスクの各ピクセル領域は、複数の第1の制御電極の少なくとも一部及び複数の第2の制御電極の少なくとも一部を備え得る(例えば、2つある第1の制御電極の各第1の制御電極の一部、及び2つある第2の制御電極の各第2の制御電極の一部を含む)。
【0115】
図4、5、及び7に示されているような幾つかの実施形態では、複数の第1の制御電極(H1、H2、H3、及びH4)の各々は、それぞれの第1の切替装置(SH1、SH2、SH3、及びSH4)を介して制御電力源の第1の極(例:図中に示されているカソード)にそれぞれ接続されており、一方、複数の第2の制御電極(V1、V2、V3、及びV4)の各々は、それぞれの第2の切替装置(SV1、SV2、SV3、及びSV4)を介して制御電力源の第2の極(例:図中に示されているアノード)にそれぞれ接続されているという場合がある。このようにすると、各制御電極に印加される電圧は、各切替装置のオンまたはオフ状態を制御することによって制御可能であり、そしてマスクのそれぞれのピクセル領域の光透過状態が制御される。さらに、上記のように、電気分解反応層210内では、印加された外部電場が除去されたとしても、それぞれの領域内の金属要素の溶存又は析出状態は、又はイオンのエレクトロクロミック材料との結合又は非結合状態は、依然として維持され得るのであり、従って、マスクの各ピクセル領域の光透過状態は、1つ以上の第1の切替装置及び1つ以上の第2の切替装置を段階的に制御することによって制御され得る。上記の切替装置は、電界効果トランジスタ等の装置を含む場合があるが、本明細書ではこれに限定されない。幾つかの実施形態では、該切替装置は、マスクの制御回路層内で協同的に設けられ得る。あるいは、幾つかの他の実施形態では、切替装置が、マスクの各ピクセル領域の光透過状態に対する干渉を回避するために、マスクの外側に設けられている場合がある。以下の記載のように、幾つかの実施形態では、それぞれの制御信号が直接制御電極に適用されており、それによって切替装置が省略されるという場合もある。
【0116】
図5~8に示されているような具体例では、図8に示されている光非透過領域(図中に示されている影付きの部分)をマスク上に形成することが所望である場合には、これは2つのステップにより行われ得る。
【0117】
第1に、図5に示されているように、切替装置SH1、SH2、SV1、及びSV2をオンに切替え、かつ切替装置SH3、SH4、SV3、及びSV4をオフに切替えることにより、第2の制御電極V1から第1の制御電極H1へと向かう電場が第1の制御電極H1と第2の制御電極V1の交差領域に印加され、従って、該領域の電解質層211内の金属イオンが第1の制御電極H1に向かって移動し、そして該領域の第1の電解質材料層112上に析出させられるか、又は、該領域の電解質層211内の水素イオン及び/又はリチウムイオンが第1の制御電極H1に向かって移動し、そして該領域の第1の電解質材料層212内のエレクトロクロミック材料と結合させられる。このようにすると、マスクの第1の制御電極H1と第2の制御電極V1の交差領域は、光非透過状態になる。同様にして、第1の制御電極H1と第2の制御電極V2の交差領域、第1の制御電極H2と第2の制御電極V1の交差領域、及び第1の制御電極H2と第2の制御電極V2の交差領域も、図6に示されている光非透過領域201のように、すべて光非透過状態で提示される。もっとも、マスクの他の領域においては、上記の電場が形成されていないため、電解質層211内の金属イオンはイオンの形態で提示され得るのであって、又は、電解質層211内の水素イオン及び/又はリチウムイオンはエレクトロクロミック材料と結合させられてはおらず、エレクトロクロミック材料は依然として光透過状態に維持されており、それにより、マスクの対応する領域は、図6に示されている光透過領域202のように、光透過状態である。結論として、図6に示されているようなパターンを有するマスクが形成され得る。
【0118】
その後、図7に示されているように、切替装置SH3、SH4、SV3、及びSV4をオンに切替え、かつ切替装置SH1、SH2、SV1、及びSV2をオフに切替えることにより、第2の制御電極V3から第1の制御電極H3に向かう電場が第1の制御電極H3と第2の制御電極V3の交差領域に印加され、従って、該領域の電解質層211内の金属イオンが第1の制御電極H3に向かって移動し、そして該領域の第1の電解質材料層212上に析出させられるか、又は、該領域の電解質層211内の水素イオン及び/又はリチウムイオンが第1の制御電極H3に向かって移動し、そして該領域の第1の電解質材料層212内のエレクトロクロミック材料と結合させられる。このようにすると、マスクの第1の制御電極H3と第2の制御電極V3の交差領域は、光非透過状態となる。同様にして、第1の制御電極H3と第2の制御電極V4の交差領域、第1の制御電極H4と第2の制御電極V3の交差領域、及び第1の制御電極H4と第2の制御電極V4の交差領域も、図8に示されている光非透過領域201のように、すべて光非透過状態で提示される。しかしながら、マスクの他の領域においては、上記の電場が形成されていないため、金属要素がその元の状態を維持され得るか、又はイオンがその元の形態を維持され得るので、第1の制御電極H1と第2の制御電極V1の交差領域、第1の制御電極H1と第2の制御電極V2の交差領域、第1の制御電極H2と第2の制御電極V1の交差領域、及び第1の制御電極H2と第2の制御電極V2の交差領域は、(図8に示されている光非透過領域201のように)依然として光非透過状態に維持されており、一方、残りの領域は、図8に示されている光透過領域202のように、光透過状態に維持されている。結論として、図8に示されているようなパターンを有するマスクが形成され得る。
【0119】
幾つかの実施形態では、マスク上のパターンの自動制御を達成するために、第1の制御電極の各々に適用される第1の駆動信号及び第2の制御電極の各々に適用される第2の駆動信号は、形成されるべき1つ以上のマスクパターンに基づいて、上記の信号生成モジュール110によって生成され得る。第1の駆動信号及び第2の駆動信号は、直接的に、又はそれぞれの切替装置を通じて(図4、5、及び7に示されているように)、第1の制御電極及び第2の制御電極上に適用され得る。各時間間隔で第1の駆動信号及び第2の駆動信号のレベル状態を設定することにより、重なり合っているマスクの第1の制御電極の少なくとも一部及び第2の制御電極の少なくとも一部を含んでいるピクセル領域の光透過状態は、自動的かつ連続的に変化させられ得るのであって、幾つかの事例においては、上記の切替装置は省略することができるか、又は個々の切替装置のオン又はオフ状態を手動で変更することを回避することができる。
【0120】
他の具体的な例においては、マスクはより多い数又はより少ない数の第1の制御電極及び第2の制御電極を備え得ることは、理解されたい。例えば、1000~100000個の第1の制御電極及び1000~100000個の第2の制御電極をマスク上に形成し、そして1000×1000~100000×100000のオーダーのピクセル領域を形成することが可能であるが、本明細書ではこれに限定されない。さらに、幾つかの実施形態では、制御電力源の第1の極及び第2の極(アノード及びカソード)の異なる方向により、金属が第2の電解質材料層231上に析出させられて光非透過領域を形成する場合があり、又はイオンが第2の電解質材料層231上に設けられたエレクトロクロミック材料と結合させられて光非透過領域を形成する場合もあるが、本明細書ではこれに限定されない。さらに、所望のマスクパターンにより、異なる数の制御電極に接続された異なる数の切替装置のオン又はオフ状態が、マスクパターンの形成の各ステップで別個に制御される場合もあるが、本明細書ではこれに限定されない。
【0121】
加えて、マスク上のパターンを消去するか又は変化させる必要があるとき、即ちマスク上の1つ以上のピクセル領域の光透過状態を変化させる必要があるとき、マスクを他の異なる構造の準備のために用いることができるようにするために、制御電力源は逆転させられ得る、即ち、制御電力源の第1の極及び第2の極(アノード及びカソード)が、それぞれの切替装置のオン又はオフを組み合わせつつ交換される。その結果、光非透過領域内で析出させられていた金属が脱離させられて電解質層211内に溶出させられて、イオンの形態で存在するようになるか、又は、エレクトロクロミック材料と結合させられていたイオンが脱離させられて電解質層211内に存在するようになり、従って、当該領域は、光透過状態へと変換される。
【0122】
制御回路層の構造を単純化させるために、マスクの各ピクセル領域の光透過状態は、可能な限り少数の切替装置又は制御信号を用いて制御される。図3、4、5、及び7に示されているように、第1の制御電極221が第1の方向に延びる第1の帯状電極であり、かつ複数の第1の制御電極221が第1の制御回路層220内に互いに電気的に絶縁されて配置されているという場合があり、そのようにすると、第1の制御電極221の各々に印加される電圧を個別に制御することができる。同様にして、第2の制御電極231は、第1の方向に直交する第2の方向に延びる第2の帯状電極であり、かつ複数の第2の制御電極231が第2の制御回路層230内に互いに電気的に絶縁されて配置されているという場合があり、そのようにすると、第2の制御電極231の各々に印加される電圧を個別に制御することができる。さらに、第1の帯状電極及び第2の帯状電極を設けることにより、第1の制御電極221及び第2の制御電極231の間の交差領域を、便利なことには、マスクを準備するプロセスにおいて複雑な整列を実施することなく、形成することができるのである。もっとも、他の実施形態では、第1の制御電極221及び第2の制御電極231の間の重なり合っている部分に印加されるマスクの厚さ方向の電場を独立して制御できる限りにおいて、制御電極231を他の形状で配置し、各交差領域の光透過状態を制御することができる場合があるので、本明細書ではこれに限定されないことは、理解されたい。例えば、マスクが大な面積を有しているときには、電極の異なる領域等にわたって適用される制御信号の過度な減衰を回避するために2つ以上の第1の帯状電極又は第2の帯状電極が同じ水平方向又は垂直方向に設けられる場合がある。
【0123】
幾つかの実施形態では、第1の制御回路層220における、第1の制御電極221によって占められている領域の面積の、第1の制御電極221によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%であり得る。同様にして、第2の制御回路層230における、第2の制御電極231によって占められている領域の面積の、第2の制御電極231によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%であり得る。一方で、上記の割合が大きくなればなるほど、対応する制御回路層内の制御電極によって占められている領域の面積は大きくなり、該領域が光非透過領域として設定されている場合には、露光ビームを遮断する効果がより良いものにもなり得る。特に、1つのピクセル領域が複数の交差領域によって形成されている事例では、該ピクセル領域内の隣り合う電極間のギャップが小さくなるにつれ、光遮断性能がよりよいものとなる。もっとも、同じ制御回路層内の制御電極間の小さな間隔により、制御電極アレイを準備する際の困難さの増加がもたらされ得る。例えば、近接効果又はそれに類するものによって、隣り合う制御電極間の間隔が設計間隔よりも小さくなるか又はほとんどゼロにさえなることが引き起こされるので、それによって、隣り合う電極間での短絡又はそれに類することが引き起こされる。一方で、上記の割合が小さくなればなるほど、制御電極アレイの準備における困難さを低減することの助けにはなるが、同じ制御回路層内の制御電極間の間隔が大きいときには、露光ビームの遮断効果も低下させられ得る。特に、1つのピクセル領域が複数の交差領域によって形成されている事例では、該ピクセル領域を光非透過領域に調整することが所望である場合に、制御電極間のギャップによって一定割合の光漏れが生じさせられ得る。
【0124】
幾つかの実施形態では、第1の制御回路層220における、第1の制御電極221によって占められている領域の面積の、第1の制御電極221によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、第2の制御回路層230における、第2の制御電極231によって占められている領域の面積の、第2の制御電極231によって占められてはいない領域の面積の割合と等しい場合がある。このようにすると、各交差領域は、水平方向及び垂直方向に実質的に同じ分布を有し、このことは、マスクの準備プロセスの単純化を助ける。
【0125】
幾つかの実施形態では、第1の制御回路層220内の複数の第1の制御電極221が周期的に配置され、同様にして、第2の制御回路層230内の複数の第2の制御電極231も周期的に配置されている、という場合がある。このようにすると、各交差領域又は各ピクセル領域のサイズは、互いに等しくなり得る。さらに、第1の制御回路層220内の複数の第1の制御電極221の配置周期が50nm~50μmであり、同様にして、第2の制御回路層230内の複数の第2の制御電極231の配置周期が50nm~50μmである、という場合がある。例えば、ある具体例では、第1の制御回路層220内の複数の第1の制御電極121の配置周期が5μmであり、かつ/又は、第2の制御回路層230内の複数の第2の制御電極131の配置周期が5μmである、という場合がある。制御電極の配置周期が小さくなればなるほど、マスクが達成できるパターンの正確性はより高くなるが、マスクの作製プロセスもより複雑になり得ることは、そして作製コストもより高くなり得ることは、理解されたい。
【0126】
幾つかの実施形態では、第1の制御回路層220内の複数の第1の制御電極221の配置周期は、第2の制御回路層230内の複数の第2の制御電極231の配置周期と等しい場合がある。このようにすると、各交差領域は、水平方向及び垂直方向に実質的に同じ分布を有し、このことは、マスクの準備プロセスの単純化を助ける。
【0127】
マスクの光透過状態に対する制御回路層の干渉を回避するために、第1の制御電極221及び第2の制御電極231は、露光ビームに対して透明でありかつ一定の導電性を有する材料を用いて形成され得る。例えば、幾つかの実施形態では、第1の制御電極221は、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウム(AlN)のうち少なくとも1つを含み得る。同様にして、第2の制御電極231は、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウム(AlN)のうち少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施形態では、第1の制御電極220の厚さは、10nm~100nmであり得る。同様にして、第2の制御電極230の厚さは、10nm~100nmであり得る。加えて、第1の制御電極221の電気抵抗は、一般的には、電気分解反応層210のそれよりも小さく、かつ第2の制御電極231の電気抵抗も、一般的には、電気分解反応層210のそれよりも小さい。これにより、所望の電場が制御電極に対応する領域内で実質的に一様に分布させられ得るので、隣り合う交差領域又はピクセル領域間での電場の干渉は回避される。加えて、電気分解反応層210、第1の制御回路層220、及び第2の制御回路層230の全体厚さは、100μm未満であり得るのであって、これにより、過度な厚さによってマスクの光透過状態と光非透過状態の間の切替がゆっくりとしすぎることを回避することができる。
【0128】
さらに、図3に示されているような本開示の幾つかの実施形態では、マスクは基質240をさらに備え得る。その際、第1の制御回路層220、電気分解反応層210、及び第2の制御回路層230は、連続的に基質240上に積層させられ得る。換言すれば、基質240は、その上にある各種層のための支持部として機能し得る。基質240は、石英ガラス、フッ化カルシウムガラス、又はそれに類する紫外光に対して透明なものから作られ得る。
【0129】
本開示の他の例示的な実施形態では、マスク200内の個々のピクセル領域の光透過状態は、光信号によって制御され得る。図9に示されているように、マスクは、基質240及びフォトクロミック層250を備え得る。
【0130】
基質240は、リソグラフィプロセスに対する干渉を避けるため、リソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成され得る。露光ビームは、第1の周波数帯にあり得るのであって、第1の周波数帯は、典型的には、部分紫外光が位置する周波数帯に対応する。例えば、第1のバンドに対応する波長は、193~405nmを含み得る。幾つかの具体例では、第1のバンドに対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含み得る。基質240は、その上に設けられるマスクの他の層を支持するための一定の構造強度を有する材料から作られ得る。上記されたように、基質240は、石英ガラス、フッ化カルシウムガラス、又はそれらに類するものから作られ得る。
【0131】
フォトクロミック層250は、基質240の1つの側面上に設けられ得るのであって、かつ、そのフォトクロミック層250は、フォトクロミック材料を含みかつ上記空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成し得る。図10及び11に示されているように、空間構造を有する変調ビーム930は、具体的には、その進行方向に直交する断面上において非一様な強度分布を有するビームを指す。例えば、変調ビーム930の進行方向に直交する断面上において、一部領域の変調光の強度がゼロである一方で他の領域においては変調光の強度がゼロではないという場合がある。フォトクロミック材料は、当のフォトクロミック材料が変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、従って、マスク内に光非透過領域及び光透過領域が形成され、それによって所望のマスクパターンが形成される。
【0132】
ある具体例では、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロではない変調ビーム930の断面上の領域に対向しているときには、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム930中の変調光を照射されているときには、フォトクロミック材料のこの部分は変調光を吸収し、そして露光ビームに対する光非透過状態になるのであって(例えば、有機フォトクロミック材料は、変調光を脱励起光として吸収し、露光ビームとしての紫外光に対して高い吸収率を発生する。その結果、有機フォトクロミック材料のこの部分は、露光ビームに対して光非透過状態になる)、該領域は、図11に示されているフォトクロミック材料の露光ビーム920に対する光非透過領域201に対応している。かつ、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロである変調ビーム930の断面上の領域に対向しているときには、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム930中の変調光を照射されていないときには、フォトクロミック材料のこの部分が露光ビームに対する光透過状態になるのであって、該領域は、図11に示されているフォトクロミック材料の露光ビーム920に対する光透過領域202に対応している。従って、変調ビームの強度の空間的分布を制御することにより、又は変調ビームの空間構造を制御することにより、露光ビーム920に対する光透過領域202及び光非透過領域201をフォトクロミック層250内に形成することができ、さらに、これらの領域の組み合わせによって、所望のマスクパターンをマスクに形成することができる。
【0133】
もちろん、幾つかの他の具体例においては、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロではない変調ビームの断面上の領域に対向しているときにも、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム中の変調光を照射されているときにも、フォトクロミック材料のこの部分が露光ビームに対する光透過状態になり、かつ、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロである変調ビームの断面上の領域に対向しているときに、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム中の変調光を照射されていないときに、フォトクロミック材料のこの部分が露光ビームに対する光非透過状態になる、という場合があることは、理解されたい。
【0134】
さらに、一般的には、フォトクロミック材料の光非透過状態は、変調光がフォトクロミック材料上に照射されているときにのみ維持され得るのであって、変調光がひとたび除去されると、フォトクロミック材料はその元の状態を回復する。マスク上に照射されている変調光は、変調ビームをオフにするか又は偏向させることによって除去され得る。従って、そのようなフォトクロミック材料を含むマスクを用いてリソグラフィを実行するときには、リソグラフィが完了するまでマスクの光透過領域及び光非透過領域が変化しないよう維持するために、又はマスクパターンが変化しないよう保つために、変調ビームをマスク上に照射し続けつつ、一方で露光ビームを用いてサンプルを露光させる必要がある。上記の要件により、変調ビーム930の露光工程に対する干渉を避けることが必要となるのであって、即ち、変調ビーム930は、レジスト(例:フォトレジスト)の性質を変化させることはできない。このことは、変調ビーム930が、露光ビーム920のための第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にあることを必要とする。ここで、分離された第1の周波数帯及び第2の周波数帯とは、第1の周波数帯の任意の周波数が第2の周波数帯の任意の周波数と異なっていることを指す。幾つかの実施形態では、第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分を含み得る。ある具体例では、第2の周波数帯に対応する波長は、633nmであり得る。
【0135】
マスクのフォトクロミック材料が、光透過状態であるときにはサンプルを露光させるために十分な露出ビームを透過させることができ、かつ光非透過状態であるときにはサンプルの露光を避けるために露光ビームを十分に遮断することができることを、確実化するためには、光透過状態及び光非透過状態のフォトクロミック材料の透過率が、一定の要件を満たす必要がある。具体的な例では、フォトクロミック材料が光透過状態であるときには、露光ビームに対するその透過率は60%~99%であることができ、かつフォトクロミック材料が光非透過状態であるときには、露光ビームに対するその透過率は5%~30%であることができる。
【0136】
幾つかの実施形態では、フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を備え得る。一般的な有機フォトクロミック材料は、テトラセン溶液、ベンザルフェニルヒドラジン溶液、オサゾン溶液、又はそれらに類する液体状態のものと、2,3,4,4-テトラクロロナフタレン-1-(4H)-オン、スピロナフトオキサジン系有機材料、ジアリールエテン系材料、アゾベンゼン誘導体、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エン、又はそれらに類する固体状態のものと、を含み得る。一方、無機フォトクロミック材料は、酸化タングステン(WO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V)、及び二酸化チタン(TiO)等、各種遷移金属の酸化物及びそれらの複合物を含み得る。
【0137】
しかしながら、現在のリソグラフィ用途では、一般的に、使用可能なフォトクロミック材料は、少なくとも以下の性質を有しているべきであることは、考慮される。(1)フォトクロミック材料の光透過状態及び光非透過状態は、書き換え可能かつ再使用可能なマスクを実現するために、変調ビームの制御下で可逆的に切り替えることができる。即ち、変調ビーム中の変調光を照射されていない場合には、フォトクロミック材料は、第1の周波数帯にある露光ビームに対する十分に高い透過率を有し、かつ変調ビーム中の変調光を照射されている場合には、フォトクロミック材料は、第1の周波数帯にある露光ビームに対して十分に低い透過率を有する。あるいは、変調ビーム中の変調光を照射されていない場合には、それは、第1の周波数帯にある露光ビームに対する十分に低い透過率を有し、かつ変調ビーム中の変調光を照射されている場合には、それは、第1の周波数帯にある露光ビームに対して十分に高い透過率を有する。(2)フォトクロミック材料の光透過状態と光非透過状態を可逆的に切り替えるための変調ビームが位置する第2の周波数帯は、リソグラフィプロセスへの干渉を避けるために、露光ビーム(紫外光)が位置する第1の周波数帯から分離されている。上記の考慮点から見ると、紫外光を露光ビームとして用いる既存のリソグラフィプロセスにおいては、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンが、マスクのフォトクロミック材料として使用されるのがよい。しかしながら、露光ビーム又は他の周波数帯にある変調ビームが用いられるとき、その対応する周波数帯に対応する他のフォトクロミック材料が選択され得るので、本明細書ではこれに限定されないことは、理解されたい。さらに、良好な放熱性を有しており必要な変調ビームの強度が低いフォトクロミック材料を選択することで、変調ビームの照射によるマスク温度の大幅な上昇を低減することができ、それによってリソグラフィの信頼性を向上させることができる。
【0138】
一般的には、フォトクロミック層250は、ラミネート加工、スピンコート加工、及びスプレー加工等の成膜手段によってマスクの準備を容易化すべく、連続膜の形状のフォトクロミック材料を含み得る。フォトクロミック材料が、光非透過状態において、露光ビームを効果的に遮断できるようにするためには、フォトクロミック層250の厚さは、50~200nm又は200~5000nmの厚さであるとよい。幾つかの他の例では、パターンを有するフォトクロミック層が必要に応じて形成され、そしてそのパターンを有するフォトクロミック層は、レーザ直接描画、電子ビーム直接描画、及び他のマスクに基づくリソグラフィ、又はそれらに類するものによって形成されるという場合もある。あるいは、幾つかの他の例では、液体状態のフォトクロミック材料が必要に応じて用いられる場合があり、このとき、フォトクロミック層250の上方に遮断層がさらに設けられてもよく、その際には、結果として、液体のフォトクロミック材料は、基質240と該遮断層の間に制限され、マスクの構造の安定性が維持され、それによって露光の効果が確保される。
【0139】
図1及び2に示されているような幾つかの実施形態では、リソグラフィ装置は、露光ビーム又は空間構造を有する変調ビームの少なくとも一方を発生させるための、光源モジュール130をさらに備え得る。
【0140】
一般的には、リソグラフィ装置内の光源モジュール130は、第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成され得る第2の光発生器を備え得る。リソグラフィプロセス中のリソグラフィ精度を向上させかつリソグラフィパターンの正確性を向上させるために、上記第2の光発生器によって発生させられた露光ビームは、マスクに対して近視野のビームであるとよい。即ち、近接露光が実施される。このような事例では、マスク200は、光源モジュール130とリソグラフィ加工されるべきワークピース300の間の適切な位置に配置される。これは、マスク200を介してワークピース300上に照射された露光ビームを通じて、ワークピース300上に露光されたパターンに最も近いパターンを形成するためである。
【0141】
さらに、マスク200の書き換え可能なマスクパターンが変調ビームを用いて形成される事例では、光源モジュール130は、第1の光発生器及び空間光変調器をさらに含み得る。その際、第1の光発生器は、第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成され得るのであって、その最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有している。さらに、空間光変調器は、信号生成モジュール110によって生成されたマスク駆動信号の作用下で、最初のビームを所望のマスクパターンに対応した空間構造を有する変調ビームに変換するように構成され得る。この事例においては、光源モジュール130は、信号生成モジュール110と通信可能に接続され得る。さらに、幾つかの実施形態では、変調光源によって発生させられた変調ビームは、遠視野のビームの光回折効果によって引き起こされる精度への影響を回避し、かつマスクパターンの正確性を向上させるために、マスクのフォトクロミック層に対して近視野のビームであり得る。ある具体例においては、空間光変調器は、光位相変調器であり得る。
【0142】
幾つかの実施形態では、空間光変調器は、4160×2464のピクセル数及び3.74μmのピクセル周期を達成し得る。そのような空間光変調器を用い、波長633nmの変調ビームを用いることにより、3~4μmのサイズの微小な光スポットから成る6~8μmの周期を有するパターンをマスク上に形成することができる。そのようなマスクを用いつつ4倍縮小投影リソグラフィ技術を組み合わせることにより、加工可能な最小線幅は1μm程度に、一回の露光面積は1×1cmになり得る。投影露光の場合、一回の露光に要する時間が100msであるとすると、そのようなマスクのリソグラフィの歩留まりは600cm/minに達し得ると計算される。露光の正確性が1μmである場合には、上記の歩留まりは、レーザ直接描画の生産量の100倍になるので、次世代のプリント回路基板及びチップパッケージング等のリソグラフィの要件に応えることができる。加えて、変調ビームの波長が633nmである場合には、変調ビームによって生成され得るパターンの最小解像度は400nm程度であり、4倍縮小投影リソグラフィ技術を組み合わせつつ248nmの露光ビームを用いることで、約100nmのリソグラフィ線幅を達成することができ、これによってチップの多くの後続工程のリソグラフィの要件を満たすことができる。歩留まりを増加させつつマスクの線幅の正確性をさらに向上させることが所望である場合には、10000×10000以上のピクセル数の空間光変調器を開発することもできる。加えて、上記実施形態のマスクは変調ビームの回折効果によって制限され得るのであって、マスク上の最小線幅は典型的には400nm程度であるのだが、例えば10倍縮小投影リソグラフィ技術といった、より縮小倍率の高い投影リソグラフィを組み合わせることにより、かつ、例えば193nmの深紫外(DUV)露光ビームを用いて露光を行うことにより、リソグラフィの最小線幅はさらに改善されて45nmを下回ることができ、発展的なチップの生産要件を満たすことが可能になる。
【0143】
上記のように、マスクのマスクパターンが光信号を用いて制御されているとき、マスクパターンを維持するために、マスク上に照射されている変調ビームを露光プロセス中常に維持することが一般的に必要である。従って、リソグラフィがそのようなマスクを用いて実施されるときには、以下のステップが後に続く場合がある。以下のステップとは即ち、対応するマスクパターンをマスク上に生成すべく、空間構造を有する変調ビームをマスク上に照射するステップ、マスクパターンの生成後、リソグラフィ加工されるべきワークピースを露光させるべく、マスクを介して露光ビームをリソグラフィ加工されるべきワークピース上に照射するステップ、リソグラフィ加工されるべきワークピースの露光後、露光ビームをオフにするステップ、及び、露光ビームをオフにした後で、変調ビームをオフにするステップ、である。換言すれば、安定したマスクパターンを維持するためには、変調ビームは、露光プロセスを通じて、リソグラフィ加工されるべきワークピース上への照射を常に維持されるべきである。
【0144】
図2に示されているような幾つかの実施形態では、リソグラフィ装置は、投影モジュール140をさらに含み得る。投影モジュール140は、事前設定された倍率に従ったイメージングのために、マスクパターンをリソグラフィ加工されるべきワークピース上に投影し、より高精度のリソグラフィを実現するように構成され得る。マスク200は、光源モジュール130と投影モジュール140の間の適切な位置に配置され、リソグラフィ加工されるべきワークピースのレイアウトに対応する投影イメージを形成し得る。
【0145】
図2に示されているように、リソグラフィ加工されるべきワークピースを保持するために、リソグラフィ装置はワークピースステージ150をさらに備え得る。幾つかの実施形態では、運搬されるリソグラフィ加工されるべきワークピースを所望の位置に移動させるために、ワークピースステージ150は、例えば、図中の破線矢印によって示されている方向に移動し得る。
【0146】
さらに、幾つかの実施形態では、信号生成モジュール110は、マスク駆動信号の1つ以上のセットの各マスク駆動信号にそれぞれ対応した1つ以上のワークピース位置駆動信号を生成するようにさらに構成されており、該ワークピース位置駆動信号は、リソグラフィ加工されるべきワークピース300を事前設定された位置に位置付けるように構成され得る。ワークピース位置駆動信号は、ワークピースステージ150に直接伝達され、それを駆動して対応する位置まで移動させ得る。
【0147】
図2に示されているような他の実施形態では、ワークピースステージ150を駆動するために、リソグラフィ装置は、ワークピースステージ駆動モジュール160をさらに備え得る。ワークピースステージ駆動モジュール160は、信号生成モジュール110及びワークピースステージ150と通信可能に接続され得るのであって、さらに、1つ以上のワークピース位置駆動信号にそれぞれ従って、ワークピースステージを駆動して対応する事前設定された位置まで移動させるように構成され得る。
【0148】
信号生成モジュール110が、各露光プロセス中に、相互に関係したマスク駆動信号及びワークピース位置駆動信号の1つ以上のセットを生成するとき、マスク駆動信号及びワークピース位置駆動信号のそれぞれのセットが呼び出され、その中のマスク駆動信号に従って、それぞれのマスクパターンをマスク200上に形成し、かつ、その中のワークピース位置駆動信号に従って、それぞれの位置へとワークピースステージを移動させるように、構成され得る。そして、マスクパターン及びワークピースステージが所定の位置に置かれた後に、リソグラフィ露光が実施され得る。露光後、現像、コーティング、又はエッチング等の操作が、ワークピース上でさらに実施され得る。リソグラフィ露光を実施する次回のプロセスにおいては、マスク駆動信号及びワークピース位置駆動信号の次のセットが呼び出され、チップ全体の作製が完了するまで、同様の操作が上記のステップに従って実施され得る。
【0149】
加えて、リソグラフィシステムの操作プロセス中に、リソグラフィ加工されるべきワークピースの温度の変化が生じ得ることを考慮すると、特に、図2に示されているような、変調ビームを用いたマスクのフォトクロミック材料の光透過状態又は光非透過状態の制御の事例においては、変調ビームが通常高い光パワーを有しているので、リソグラフィ加工されるべきワークピースの温度の大きな上昇が引き起こされる傾向があることを考慮すると、リソグラフィ装置は、温度コントローラ170をさらに備えてもよい。温度コントローラ170は、温度維持ユニットを備え得るのであって、該温度制御ユニットは、マスク200の温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、マスク200に隣接して設けられるように構成され得る。温度コントローラ170は、液体冷却温度コントローラ、熱電半導体温度コントローラ等であり得るが、本明細書ではこれに限定されない。一般的には、露光プロセスに必要とされる露光ビームの光強度は、典型的には10~10000mW/cmであり、一方、フォトクロミック材料の光透過状態を変化させるための変調ビームの光強度は、典型的には10~10000W/cmの範囲内であることが必要とされる。例えば、リソグラフィプロセス中、633nmの波長を有する変調ビームの光強度は、325nmの波長を有する露光ビームのそれの1000倍を超え得る。温度コントローラ170を用いてマスク200を事前設定された温度範囲内に維持することにより、マスク200が強い変調ビームの作用下で損傷を受けることが防止され得るのであって、さらに、マスクのフォトクロミック材料がより高強度(例:100kW/cm)を有する変調ビームを用いて励起され、フォトクロミック材料の光透過状態を急速に変化させ、可能な限り理想的な所望の透過率を得ることさえも実現され得る。
【0150】
本開示のリソグラフィ装置及びリソグラフィシステムは、科学研究、プロセス研究開発、及び工業生産等の分野に応用することができる。デジタルファイルを用いて繰り返しプログラム可能なデジタルリソグラフィマスクが用いられ、かつ、レイアウトが、現在のバッチのチップの生産プロセスに従ったチップの設計レイアウトに基づき、マスク駆動信号の1つ以上のセットに変換されて、マスク上のマスクパターンを書き換えることができるようになり、それによって、既存のチップ生産プロセスにおける、固定され変更不可能なマスクの作製に投じられなければならない多大な時間が節約され、作製コストが削減され、マスクの欠陥を監視することによって生じる課題も減少させられ、そして、小バッチ、高集積度、かつ高性能のチップの低コストでの作製が達成される。加えて、投影露光技術とLELE(Lithography Etch Lithography Etch)技術とそれらに類するものを組み合わせることにより、本開示のリソグラフィ装置及びリソグラフィシステムは、14nmであるか又はさらに発展的でさえある小バッチチップのプロセスノードの生産要件を満たすこともできる。
【0151】
本開示の例示的な例示形態が記述されてきたが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から本質的に逸脱することなく、本開示の例示的な実施形態に対して多数の変形及び修正が行われ得ることを理解できよう。従って、それらすべての変形及び修正は、請求項において定義される本開示の保護範囲内に含まれる。本開示は添付の請求項によって定義され、これらの請求項の均等物もまたそこに含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
図3に示されているように、第1の電解質材料層212は、第1の制御回路層220と電解質層211の間に設けられ得るのであって、第2の電解質材料層213は、電解質層211と第2の制御回路層230の間に設けられ得る。電気分解反応層210の個々のピクセル領域に印加されている電場は、第1の制御回路層220と第2の制御回路層230の協同作用下で制御することができ、それにより、対応するピクセル領域の光透過状態を変化させることができる。これについては、以下で詳細に述べる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
図3、4、5、及び7に示されているように、マスクの各ピクセル領域の光透過状態を制御するために、デジタルカメラ内の電荷結合素子(CCD)駆動回路又はディスプレイ内のディスプレイ駆動回路に類似の制御回路が採用される場合がある。特に、第1の制御回路層220は、電気分解反応層210の第1の側面上に設けられており、かつ第1の制御回路層220は複数の第1の制御電極221を備えているという場合がある。同様にして、第2の制御回路層230は、上記第1の側面と反対側の電気分解反応層210の第2の側面上に設けられており、かつ第2の制御回路層230は複数の第2の制御電極231を備えているという場合がある。第1の制御電極221及び第2の制御電極231の一方は、CCD駆動回路内又はディスプレイ駆動回路内のスキャンラインに類似であり、一方、第1の制御電極221及び第2の制御電極231の他方は、CCD駆動回路内又はディスプレイ駆動回路内のデータラインに類似である。各第1の制御電極221の少なくとも一部は、1つの対応する第2の制御電極231の少なくとも一部と、マスクの厚さ方向に重なり得るのであって、その場合、マスクの第1の制御電極221と第2の制御電極231の交差領域は、第1の制御電極221と第2の制御電極231の間の電場によって制御される。即ち、該交差領域にある電解質層211内の金属要素又はイオンは、上記の電場の作用下で運動し得る。その際、上記の金属は、第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213上に析出させられるか、又は、第1の電解質材料層212又は第2の電解質材料層213から脱離させられて電解質層211内に溶出させられる、という場合がある。又は、上記の際に、上記のイオンは、第1の電解質材料層212内又は第2の電解質材料層213内のエレクトロクロミック材料と結合させられるか、又は第1の電解質材料層212内又は第2の電解質材料層213内のエレクトロクロミック材料から脱離させられる場合もある。それらにより、交差領域での光透過状態が変化させられるのである。換言すれば、マスクのピクセル領域の光透過状態は、該ピクセル領域に包含されている第1の制御電極221の少なくとも一部と第2の制御電極231の少なくとも一部の間の制御電圧によって、又は、該ピクセル領域内に包含されている第1の制御電極221の少なくとも一部と第2の制御電極231の少なくとも一部の間の制御電圧の負荷履歴によって、決定されるように構成され得る。ここで、第1の制御電極221の当該部分及び第2の制御電極231の当該部分は、マスクの厚さ方向に重なり合っており、上記制御電圧は、電気分解反応層210内の金属の析出量を制御することによって、又は電気分解反応層210内のエレクトロクロミック材料のイオン結合状態を制御することによって、当該ピクセル領域の光透過状態を制御している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
第1に、図5に示されているように、切替装置SH1、SH2、SV1、及びSV2をオンに切替え、かつ切替装置SH3、SH4、SV3、及びSV4をオフに切替えることにより、第2の制御電極V1から第1の制御電極H1へと向かう電場が第1の制御電極H1と第2の制御電極V1の交差領域に印加され、従って、該領域の電解質層211内の金属イオンが第1の制御電極H1に向かって移動し、そして該領域の第1の電解質材料層212上に析出させられるか、又は、該領域の電解質層211内の水素イオン及び/又はリチウムイオンが第1の制御電極H1に向かって移動し、そして該領域の第1の電解質材料層212内のエレクトロクロミック材料と結合させられる。このようにすると、マスクの第1の制御電極H1と第2の制御電極V1の交差領域は、光非透過状態になる。同様にして、第1の制御電極H1と第2の制御電極V2の交差領域、第1の制御電極H2と第2の制御電極V1の交差領域、及び第1の制御電極H2と第2の制御電極V2の交差領域も、図6に示されている光非透過領域201のように、すべて光非透過状態で提示される。もっとも、マスクの他の領域においては、上記の電場が形成されていないため、電解質層211内の金属イオンはイオンの形態で提示され得るのであって、又は、電解質層211内の水素イオン及び/又はリチウムイオンはエレクトロクロミック材料と結合させられてはおらず、エレクトロクロミック材料は依然として光透過状態に維持されており、それにより、マスクの対応する領域は、図6に示されている光透過領域202のように、光透過状態である。結論として、図6に示されているようなパターンを有するマスクが形成され得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
他の具体的な例においては、マスクはより多い数又はより少ない数の第1の制御電極及び第2の制御電極を備え得ることは、理解されたい。例えば、1000~100000個の第1の制御電極及び1000~100000個の第2の制御電極をマスク上に形成し、そして1000×1000~100000×100000のオーダーのピクセル領域を形成することが可能であるが、本明細書ではこれに限定されない。さらに、幾つかの実施形態では、制御電力源の第1の極及び第2の極(アノード及びカソード)の異なる方向により、金属が第2の電解質材料層213上に析出させられて光非透過領域を形成する場合があり、又はイオンが第2の電解質材料層213上に設けられたエレクトロクロミック材料と結合させられて光非透過領域を形成する場合もあるが、本明細書ではこれに限定されない。さらに、所望のマスクパターンにより、異なる数の制御電極に接続された異なる数の切替装置のオン又はオフ状態が、マスクパターンの形成の各ステップで別個に制御される場合もあるが、本明細書ではこれに限定されない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
制御回路層の構造を単純化させるために、マスクの各ピクセル領域の光透過状態は、可能な限り少数の切替装置又は制御信号を用いて制御される。図3、4、5、及び7に示されているように、第1の制御電極221が第1の方向に延びる第1の帯状電極であり、かつ複数の第1の制御電極221が第1の制御回路層220内に互いに電気的に絶縁されて配置されているという場合があり、そのようにすると、第1の制御電極221の各々に印加される電圧を個別に制御することができる。同様にして、第2の制御電極231は、第1の方向に直交する第2の方向に延びる第2の帯状電極であり、かつ複数の第2の制御電極231が第2の制御回路層230内に互いに電気的に絶縁されて配置されているという場合があり、そのようにすると、第2の制御電極231の各々に印加される電圧を個別に制御することができる。さらに、第1の帯状電極及び第2の帯状電極を設けることにより、第1の制御電極221及び第2の制御電極231の間の交差領域を、便利なことには、マスクを準備するプロセスにおいて複雑な整列を実施することなく、形成することができるのである。もっとも、他の実施形態では、第1の制御電極221及び第2の制御電極231の間の重なり合っている部分に印加されるマスクの厚さ方向の電場を独立して制御できる限りにおいて、制御電極221及び231を他の形状で配置し、各交差領域の光透過状態を制御することができる場合があるので、本明細書ではこれに限定されないことは、理解されたい。例えば、マスクが大な面積を有しているときには、電極の異なる領域等にわたって適用される制御信号の過度な減衰を回避するために2つ以上の第1の帯状電極又は第2の帯状電極が同じ水平方向又は垂直方向に設けられる場合がある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
幾つかの実施形態では、第1の制御回路層220内の複数の第1の制御電極221が周期的に配置され、同様にして、第2の制御回路層230内の複数の第2の制御電極231も周期的に配置されている、という場合がある。このようにすると、各交差領域又は各ピクセル領域のサイズは、互いに等しくなり得る。さらに、第1の制御回路層220内の複数の第1の制御電極221の配置周期が50nm~50μmであり、同様にして、第2の制御回路層230内の複数の第2の制御電極231の配置周期が50nm~50μmである、という場合がある。例えば、ある具体例では、第1の制御回路層220内の複数の第1の制御電極221の配置周期が5μmであり、かつ/又は、第2の制御回路層230内の複数の第2の制御電極231の配置周期が5μmである、という場合がある。制御電極の配置周期が小さくなればなるほど、マスクが達成できるパターンの正確性はより高くなるが、マスクの作製プロセスもより複雑になり得ることは、そして作製コストもより高くなり得ることは、理解されたい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0127
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0127】
マスクの光透過状態に対する制御回路層の干渉を回避するために、第1の制御電極221及び第2の制御電極231は、露光ビームに対して透明でありかつ一定の導電性を有する材料を用いて形成され得る。例えば、幾つかの実施形態では、第1の制御電極221は、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウム(AlN)のうち少なくとも1つを含み得る。同様にして、第2の制御電極231は、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウム(AlN)のうち少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施形態では、第1の制御電極221の厚さは、10nm~100nmであり得る。同様にして、第2の制御電極231の厚さは、10nm~100nmであり得る。加えて、第1の制御電極221の電気抵抗は、一般的には、電気分解反応層210のそれよりも小さく、かつ第2の制御電極231の電気抵抗も、一般的には、電気分解反応層210のそれよりも小さい。これにより、所望の電場が制御電極に対応する領域内で実質的に一様に分布させられ得るので、隣り合う交差領域又はピクセル領域間での電場の干渉は回避される。加えて、電気分解反応層210、第1の制御回路層220、及び第2の制御回路層230の全体厚さは、100μm未満であり得るのであって、これにより、過度な厚さによってマスクの光透過状態と光非透過状態の間の切替がゆっくりとしすぎることを回避することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0151
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0151】
本開示の例示的な例示形態が記述されてきたが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から本質的に逸脱することなく、本開示の例示的な実施形態に対して多数の変形及び修正が行われ得ることを理解できよう。従って、それらすべての変形及び修正は、請求項において定義される本開示の保護範囲内に含まれる。本開示は添付の請求項によって定義され、これらの請求項の均等物もまたそこに含まれる。
また、本開示は、以下の態様を含む。
〔態様1〕
リソグラフィ装置であって、前記リソグラフィ装置は、
信号生成モジュールであって、レイアウトに従って1つ以上のマスクパターンを生成するように構成されており、かつ前記1つ以上のマスクパターンの各々に従ってそれぞれのマスク駆動信号をそれぞれ生成するように構成されている、信号生成モジュールと、
前記信号生成モジュールと通信可能に接続されたマスク駆動モジュールであって、マスク上にそれぞれのマスクパターンを形成するために、前記マスク上の各ピクセル領域の光透過状態をマスク駆動信号の1つ以上のセットに従ってそれぞれ制御するように構成されている、マスク駆動モジュールと、を備えている、リソグラフィ装置。
〔態様2〕
前記マスク駆動信号は、前記ピクセル領域における電気分解反応を制御して前記ピクセル領域の前記光透過状態を変化させるように構成されており、かつ、前記マスク駆動信号は、第1の駆動信号及び第2の駆動信号を含んでおり、前記第1の駆動信号及び前記第2の駆動信号は、前記ピクセル領域の2つの側面上に配置されている第1の制御電極及び第2の制御電極にそれぞれ適用されるように構成されている、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様3〕
前記マスク駆動信号は、変調ビームを発生させるための空間光変調器を駆動するように構成されており、前記変調ビームは、前記マスクパターンに対応する空間構造を有しており、かつ前記マスク内に前記マスクパターンを生成するために前記マスク内のフォトクロミック材料に照射されるように構成されている、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様4〕
前記リソグラフィ装置は、第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器をさらに備えており、前記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、前記リソグラフィ装置はさらに、
前記マスク駆動信号の作用下で、前記最初のビームを前記空間構造を有する前記変調ビームに変換するように構成された、前記空間光変調器を備えている、態様3に記載のリソグラフィ装置。
〔態様5〕
前記マスク駆動信号は、前記マスク上の前記マスクパターンを消去するように構成された消去信号を含む、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様6〕
前記マスク駆動モジュールは、前記マスク上の前記マスクパターンを消去するように構成されている、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様7〕
前記リソグラフィ装置は、リソグラフィ加工されるべきワークピースを保持するように構成されたワークピースステージをさらに備えている、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様8〕
前記信号生成モジュールは、前記マスク駆動信号の1つ以上のセットの各々にそれぞれ対応した1つ以上のワークピース位置駆動信号を生成するようにさらに構成されており、前記ワークピース位置駆動信号は、前記リソグラフィ加工されるべきワークピースを事前設定された位置に位置付けるように構成されている、態様7に記載のリソグラフィ装置。
〔態様9〕
前記リソグラフィ装置は、
前記信号生成モジュール及び前記ワークピースステージと通信可能に接続されており、かつ前記1つ以上のワークピース位置駆動信号に従って前記ワークピースステージを対応する前記事前設定された位置にそれぞれ駆動するように構成されている、ワークピースステージ駆動モジュールをさらに備えている、態様8に記載のリソグラフィ装置。
〔態様10〕
前記リソグラフィ装置は、第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備えている、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様11〕
前記リソグラフィ装置は、
投影モジュールをさらに備えており、前記投影モジュールは、事前設定された倍率に従うイメージングのために、リソグラフィ加工されるべきワークピースに前記マスクパターンを投影するように構成されている、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様12〕
前記リソグラフィ装置は、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスクに隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、態様1に記載のリソグラフィ装置。
〔態様13〕
リソグラフィシステムであって、
態様1から12のいずれか1つによるリソグラフィ装置と、
前記リソグラフィ装置内に含まれているか、又は前記リソグラフィ装置からは独立して設けられている、マスクと、を備えており、前記マスクは複数のピクセル領域を含んでおり、前記複数のピクセル領域の少なくとも一部の露光ビームのための光透過状態が、変化可能なマスクパターンを形成するように変化可能であるように構成されている、リソグラフィシステム。
〔態様14〕
前記マスクは、
電気分解反応層と、
前記電気分解反応層の第1の側面上に設けられており、かつ複数の第1の制御電極を備えている、第1の制御回路層と、
前記第1の側面の反対側の前記電気分解反応層の第2の側面上に設けられており、かつ複数の第2の制御電極を備えている、第2の制御回路層と、を備えており、
前記マスクの前記ピクセル領域の前記露光ビームのための前記光透過状態は、前記ピクセル領域内に包含されている前記第1の制御電極の少なくとも一部と前記第2の制御電極の間の制御電圧によって決定されるように構成されている、態様13に記載のリソグラフィシステム。
〔態様15〕
前記電気分解反応層は、析出金属の状態又は溶存イオンの状態であるように構成された金属要素を含んでおり、前記制御電圧は、前記電気分解反応層内の金属の析出量を制御することによって前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御する、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様16〕
前記電気分解反応層は、
電解質層と、
前記第1の制御回路層と前記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、
前記電解質層と前記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を備えている、態様15に記載のリソグラフィシステム。
〔態様17〕
前記電解質層は、銅-鉛の電解質を備えている、態様16に記載のリソグラフィシステム。
〔態様18〕
前記電解質層は、過塩素酸鉛、塩化銅、過塩素酸銅、及び過塩素酸リチウムを含んでいる、態様17に記載のリソグラフィシステム。
〔態様19〕
前記電解質層は、銅-銀の電解質を含んでいる、態様16に記載のリソグラフィシステム。
〔態様20〕
前記電解質層は、過塩素酸銅、過塩素酸銀、及び塩化リチウムを含んでいる、態様19に記載のリソグラフィシステム。
〔態様21〕
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の一方が、導電性ダイヤモンド、酸化インジウムスズ、又は白金ナノ粒子によって修飾された酸化インジウムスズを含んでいる、態様16に記載のリソグラフィシステム。
〔態様22〕
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、白金を含んでいる、態様21に記載のリソグラフィシステム。
〔態様23〕
前記電気分解反応層は、エレクトロクロミック材料を含んでおり、前記制御電圧は、前記電気分解反応層内の前記エレクトロクロミック材料のイオン結合状態を制御することによって前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御する、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様24〕
前記電気分解反応層は、
電解質層と、
前記第1の制御回路層と前記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、
前記電解質層と前記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を含んでいる、態様23に記載のリソグラフィシステム。
〔態様25〕
リチウムイオン又は水素イオンの少なくとも一方は前記電解質層内に可溶である、態様24に記載のリソグラフィシステム。
〔態様26〕
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の一方が、前記エレクトロクロミック材料を含んでいる、態様24に記載のリソグラフィシステム。
〔態様27〕
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の一方が、マグネシウムニッケル合金、マグネシウムイットリウム合金、酸化ニオブ、又は酸化インジウムスズナノ粒子によって修飾された酸化ニオブを含んでいる、態様26に記載のリソグラフィシステム。
〔態様28〕
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、遷移金属の酸化物を含んでいる、態様27に記載のリソグラフィシステム。
〔態様29〕
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、酸化タングステンを含んでいる、態様28に記載のリソグラフィシステム。
〔態様30〕
前記電解質層が固体電解質を含んでいるか、又は、
前記電解質層が液体電解質を含んでいる、態様16又は24に記載のリソグラフィシステム。
〔態様31〕
前記電解質層は、連続膜の形状の電解質の材料を含んでおり、
前記第1の電解質材料層は、連続膜の形状の第1の電解質材料を含んでおり、かつ/又は、
前記第2の電解質材料層は、連続膜の形状の第2の電解質材料を含んでいる、態様16又は24に記載のリソグラフィシステム。
〔態様32〕
前記電解質層は、アレイ状に配置された複数の電解質の材料を含んでおり、かつ前記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の電解質の材料ブロックを含んでおり、
前記第1の電解質材料層は、アレイ状に配置された複数の第1の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ前記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の第1の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ/又は、
前記第2の電解質材料層は、アレイ状に配置された複数の第2の電解質材料ブロックを含んでおり、かつ前記マスクのピクセル領域は、各々、1つ以上の第2の電解質材料ブロックを含んでいる、態様16又は24に記載のリソグラフィシステム。
〔態様33〕
前記複数の第1の制御電極の各々は、それぞれの第1の切替装置を介して制御電力源の第1の極にそれぞれ接続されており、かつ、
前記複数の第2の制御電極の各々は、それぞれの第2の切替装置を介して前記制御電力源の第2の極にそれぞれ接続されている、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様34〕
第1の制御電極は、各々、第1の駆動信号を受信するようにそれぞれ構成されており、かつ、第2の制御電極は、各々、第2の駆動信号を受信するようにそれぞれ構成されており、重なり合っている前記第1の制御電極の少なくとも一部及び前記第2の制御電極の少なくとも一部を含有する前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御するためである、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様35〕
前記第1の制御電極は、第1の方向に延びる第1の帯状電極であり、かつ前記複数の第1の制御電極は、前記第1の制御回路層内に、互いに電気的に絶縁されて配置されており、かつ、
前記第2の制御電極は、前記第1の方向に直交する第2の方向に延びる第2の帯状電極であり、かつ前記複数の第2の制御電極は、前記第2の制御回路層内に、互いに電気的に絶縁されて配置されている、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様36〕
前記マスクのピクセル領域は、各々、1つの第1の制御電極の少なくとも一部及び1つの第2の制御電極の少なくとも一部を備えている、態様35に記載のリソグラフィシステム。
〔態様37〕
前記マスクのピクセル領域は、各々、複数の第1の制御電極の少なくとも一部及び複数の第2の制御電極の少なくとも一部を備えている、態様35に記載のリソグラフィシステム。
〔態様38〕
前記第1の制御回路層における、前記第1の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第1の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%であり、かつ/又は、
前記第2の制御回路層における、前記第2の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第2の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、100%~1000%である、態様35に記載のリソグラフィシステム。
〔態様39〕
前記第1の制御回路層における、前記第1の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第1の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合は、前記第2の制御回路層における、前記第2の制御電極によって占められている領域の面積の、前記第2の制御電極によって占められてはいない領域の面積に対する割合に等しい、態様35に記載のリソグラフィシステム。
〔態様40〕
前記第1の制御回路層内の前記複数の第1の制御電極は、周期的に配置されており、かつ/又は、
前記第2の制御回路層内の前記複数の第2の制御電極は、周期的に配置されている、態様35に記載のリソグラフィシステム。
〔態様41〕
前記第1の制御回路層内の前記複数の第1の制御電極の配置周期は、50nm~50μmであり、かつ/又は、
前記第2の制御回路層内の前記複数の第2の制御電極の配置周期は、50nm~50μmである、態様40に記載のリソグラフィシステム。
〔態様42〕
前記第1の制御回路層内の前記複数の第1の制御電極の配置周期は、前記第2の制御回路層内の前記複数の第2の制御電極の配置周期に等しい、態様40に記載のリソグラフィシステム。
〔態様43〕
前記第1の制御電極は、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウムのうち少なくとも1つを含んでおり、かつ、又は、
前記第2の制御電極は、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、導電性ダイヤモンド、又は導電性窒化アルミニウムのうち少なくとも1つを含んでいる、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様44〕
前記第1の制御回路層の厚さは、10nm~100nmであり、かつ/又は、
前記第2の制御回路層の厚さは、10nm~100nmである、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様45〕
前記第1の制御電極の電気抵抗は、前記電気分解反応層のそれよりも小さく、かつ、
前記第2の制御電極の電気抵抗は、前記電気分解反応層のそれよりも小さい、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様46〕
前記電気分解反応層、前記第1の制御回路層、及び前記第2の制御回路層の全体厚さは、100μm未満である、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様47〕
前記マスクは、
基質をさらに備えており、前記第1の制御回路層、前記電気分解反応層、及び前記第2の制御回路層は、前記基質上で連続的に積層させられている、態様14に記載のリソグラフィシステム。
〔態様48〕
前記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含んでいる、態様47に記載のリソグラフィシステム。
〔態様49〕
前記マスクは、
前記露光ビームに対して透過性であるように構成された基質を備えており、前記露光ビームは第1の周波数帯にあり、前記マスクはさらに、
前記基質の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層を備えており、前記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対する光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、態様13に記載のリソグラフィシステム。
〔態様50〕
前記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含んでいる、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様51〕
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されている、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様52〕
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されている、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様53〕
前記フォトクロミック材料が前記光透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は60%~99%である、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様54〕
前記フォトクロミック材料が前記光非透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は5%~30%である、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様55〕
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm~405nmを含む、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様56〕
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含む、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様57〕
前記第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分、を含む、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様58〕
前記第2の周波数帯に対応する波長は、633nmを含む、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様59〕
前記フォトクロミック層は、連続膜の形状のフォトクロミック材料を備えている、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様60〕
前記フォトクロミック層の厚さは、50~200nm又は200~5000nmである、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様61〕
前記フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を含む、態様49に記載のリソグラフィシステム。
〔態様62〕
前記フォトクロミック材料は、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンを含む、態様49に記載のリソグラフィシステム。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、前記リソグラフィ装置は、
信号生成モジュールであって、レイアウトに従って1つ以上のマスクパターンを生成するように構成されており、かつ前記1つ以上のマスクパターンの各々に従ってそれぞれのマスク駆動信号をそれぞれ生成するように構成されている、信号生成モジュールと、
前記信号生成モジュールと通信可能に接続されたマスク駆動モジュールであって、マスク上にそれぞれのマスクパターンを形成するために、前記マスク上の各ピクセル領域の光透過状態をマスク駆動信号の1つ以上のセットに従ってそれぞれ制御するように構成されている、マスク駆動モジュールと、を備えている、リソグラフィ装置。
【請求項2】
前記マスク駆動信号は、前記ピクセル領域における電気分解反応を制御して前記ピクセル領域の前記光透過状態を変化させるように構成されており、かつ、前記マスク駆動信号は、第1の駆動信号及び第2の駆動信号を含んでおり、前記第1の駆動信号及び前記第2の駆動信号は、前記ピクセル領域の2つの側面上に配置されている第1の制御電極及び第2の制御電極にそれぞれ適用されるように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記マスク駆動信号は、前記マスク上の前記マスクパターンを消去するように構成された消去信号を含むか、又は、
前記マスク駆動モジュールは、前記マスク上の前記マスクパターンを消去するように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記リソグラフィ装置は、リソグラフィ加工されるべきワークピースを保持するように構成されたワークピースステージをさらに備えている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記信号生成モジュールは、前記マスク駆動信号の1つ以上のセットの各々にそれぞれ対応した1つ以上のワークピース位置駆動信号を生成するようにさらに構成されており、前記ワークピース位置駆動信号は、前記リソグラフィ加工されるべきワークピースを事前設定された位置に位置付けるように構成されている、請求項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記リソグラフィ装置は、第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備えている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
リソグラフィシステムであって、
請求項1からのいずれか一項によるリソグラフィ装置と、
前記リソグラフィ装置内に含まれているか、又は前記リソグラフィ装置からは独立して設けられている、マスクと、を備えており、前記マスクは複数のピクセル領域を含んでおり、前記複数のピクセル領域の少なくとも一部の露光ビームのための光透過状態が、変化可能なマスクパターンを形成するように変化可能であるように構成されている、リソグラフィシステム。
【請求項8】
前記マスクは、
電気分解反応層と、
前記電気分解反応層の第1の側面上に設けられており、かつ複数の第1の制御電極を備えている、第1の制御回路層と、
前記第1の側面の反対側の前記電気分解反応層の第2の側面上に設けられており、かつ複数の第2の制御電極を備えている、第2の制御回路層と、を備えており、
前記マスクの前記ピクセル領域の前記露光ビームのための前記光透過状態は、前記ピクセル領域内に包含されている前記第1の制御電極の少なくとも一部と前記第2の制御電極の間の制御電圧によって決定されるように構成されている、請求項に記載のリソグラフィシステム。
【請求項9】
前記電気分解反応層は、析出金属の状態又は溶存イオンの状態であるように構成された金属要素を含んでおり、前記制御電圧は、前記電気分解反応層内の金属の析出量を制御することによって前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御する、請求項に記載のリソグラフィシステム。
【請求項10】
前記電気分解反応層は、
電解質層と、
前記第1の制御回路層と前記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、
前記電解質層と前記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を備えている、請求項に記載のリソグラフィシステム。
【請求項11】
前記電解質層は、過塩素酸鉛、塩化銅、過塩素酸銅、及び過塩素酸リチウムを含んでいるか、又は、
前記電解質層は、過塩素酸銅、過塩素酸銀、及び塩化リチウムを含んでいる、請求項10に記載のリソグラフィシステム。
【請求項12】
前記電気分解反応層は、エレクトロクロミック材料を含んでおり、前記制御電圧は、前記電気分解反応層内の前記エレクトロクロミック材料のイオン結合状態を制御することによって前記ピクセル領域の前記光透過状態を制御する、請求項に記載のリソグラフィシステム。
【請求項13】
前記電気分解反応層は、
電解質層と、
前記第1の制御回路層と前記電解質層の間に設けられた第1の電解質材料層と、
前記電解質層と前記第2の制御回路層の間に設けられた第2の電解質材料層と、を含んでいる、請求項12に記載のリソグラフィシステム。
【請求項14】
リチウムイオン又は水素イオンの少なくとも一方は前記電解質層内に可溶である、請求項13に記載のリソグラフィシステム。
【請求項15】
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の一方が、マグネシウムニッケル合金、マグネシウムイットリウム合金、酸化ニオブ、又は酸化インジウムスズナノ粒子によって修飾された酸化ニオブを含んでおり、かつ、
前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、遷移金属の酸化物を含んでいるか、又は、前記第1の電解質材料層及び前記第2の電解質材料層の他方が、酸化タングステンを含んでいる、請求項13に記載のリソグラフィシステム。
【国際調査報告】