(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
F03B 13/26 20060101AFI20241003BHJP
F03B 17/06 20060101ALI20241003BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
F03B13/26
F03B17/06
B63B35/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521327
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 IB2022059595
(87)【国際公開番号】W WO2023057971
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10202111159T
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202111604Q
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524131936
【氏名又は名称】ブルーエナジー ソリューションズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ケネス マッカイ
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA06
3H074AA08
3H074AA12
3H074BB10
3H074CC02
3H074CC16
3H074CC46
3H074CC50
(57)【要約】
発電システム(100)であって、浮体又は固定インフラとして形成された取り付け装置(10)に、保持装置(14、14’、15、15’)によって取外し可能に固定される少なくとも1つの発電装置(20、20’)を含み、発電装置(20、20’)は、二方向対称であり、発電機(24)に機能的に接続された水力タービンを含み、発電機(24)はヘリカルギヤボックスを備え、発電機(24)は永久磁石同期サーボギヤードモータであり、発電機(24)はインクリメンタルエンコーダを含み、発電機(24)の回転は、インクリメンタルエンコーダから生成される信号によって監視可能であり、電気エネルギーが、取り付け装置(10)の外側を通って発電機(24)から導かれる電力線(15、15’)を通じて伝導可能であり、電気エネルギーが、取り付け装置(10)から発電所(50)へ伝導可能であり、ノーズコーン及びテールコーン(20a、20b、20a’、20b’)が、少なくとも2層の生物付着防止塗装によって塗装されており、タービンのブレード(21a、...、21n、21a’、...、21n')が、二方向の水流(A、B)に反応し、電力線入口(27、27)が筐体(25’、25’)の上部に配置され、発電装置(20、20’)が制御パネルを備え、発電システム(100)は、情報通信ネットワーク(40)に機能的に接続可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システム(100)であって、
浮体又は固定インフラとして形成された取り付け装置(10)に、保持装置(14、14’、15、15’)によって取外し可能に固定される少なくとも1つの発電装置(20、20’)を含み、
-前記発電装置(20、20’)は、二方向対称であり、発電機(24)に機能的に接続された水力タービンを含み、
-前記発電機(24)はヘリカルギヤボックスを備え、
-前記発電機(24)は永久磁石同期サーボギヤードモータであり、
-前記発電機(24)はインクリメンタルエンコーダを含み、
-前記発電機(24)の回転は、前記インクリメンタルエンコーダから生成される信号によって監視可能であり、
-電気エネルギーが、前記取り付け装置(10)の外側を通って前記発電機(24)から導かれる電力線(15、15’)を通じて伝導可能であり、
-前記電気エネルギーが、前記取り付け装置(10)から発電所(50)へ伝導可能であり、
-ノーズコーン及びテールコーン(20a、20b、20a’、20b’)が、少なくとも2層の生物付着防止塗装によって塗装されており、
-前記タービンのブレード(21a、...、21n、21a’、...、21n')が、二方向の水流(A、B)に反応し、
-電力線入口(27、27)が筐体(25’、25’)の上部に配置され、
-前記発電装置(20、20’)が制御パネルを備え、
-前記発電システム(100)は、情報通信ネットワーク(40)に機能的に接続可能である、
発電システム(100)。
【請求項2】
前記取り付け装置(10)は橋である、請求項1に記載の発電システム(100)。
【請求項3】
前記浮体は、バージ、双胴船、係留プラットフォーム、移動プラットフォーム、水上の乗り物のうちの1つである、請求項1に記載の発電システム(100)。
【請求項4】
前記取り付け装置(10)は、前記浮体の手すり(11)に取り付け可能である、請求項3に記載の発電システム(100)。
【請求項5】
前記発電装置(20、20’)は、前記浮体(10)の底板での開口部(12)に取り付け可能である、請求項3又は4に記載の発電システム(100)。
【請求項6】
前記発電装置(20、20’)の筐体(25、25’)の材料が、ステンレス鋼、ガラス繊維、繊維強化プラスチックのうちの少なくとも1つである、請求項1から5のいずれか1つに記載の発電システム(100)。
【請求項7】
前記ブレード(21a、...、21n、21a’、...、21n')の材料が、アルミニウム合金、炭素繊維、ガラス強化プラスチック、リサイクル材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか1つに記載の発電システム(100)。
【請求項8】
浮体(10)又は固定インフラの形態の取り付け装置(10)に取り外し可能に固定されるように構成された発電装置(20、20’)であって、前記発電装置(20、20’)は二方向対称であり、発電機(24)に機能的に接続された水力タービンを含み、
-前記発電機(24)はヘリカルギヤボックスを備え、
-前記発電機(24)は永久磁石同期サーボギヤードモータであり、
-前記発電機(24)はインクリメンタルエンコーダを含み、前記発電機(24)の回転は、前記インクリメンタルエンコーダから生成される信号によって監視可能である、
発電装置(20、20’)。
【請求項9】
それぞれの前記ブレード(21a、...、21n、21a’、...、21n’)の内側端部が、2つの対向するディスクの間に備えられ、前記2つの対向するディスクに隣接して配置され、前記ディスク(28)が、前記ブレードが曲がることを防止するように作用する、請求項1から8のいずれか1つに記載の発電システム(100)。
【請求項10】
前記ディスク(28)は、前記ディスク(28)が曲がることを防止するための少なくとも1つのリブ(29)を備える、請求項9に記載の発電システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な海洋エネルギー技術の潜在的な可能性は非常に大きいものである。特に、潮汐の流体力学的エネルギーは、その完全な予測可能性と利用可能性から、エネルギー生成のための潜在的な無限の再生可能資源である。この莫大な資源は、潮汐エネルギー変換装置が、世界的なエネルギー需要を満たすことを支援することを可能にする。
【0003】
しかし、複雑な技術的課題があるため、再生可能エネルギー市場では比較的後発である。欧州連合と英国は、その可能性をいち早く認識し、潮汐エネルギー開発に政府資金を提供した。その焦点は、実用規模の電力を供給する1MWの大規模システムの開発であった。
【0004】
しかし、これは実行可能なシステムについて、非常に大型で高価なタービン及び設置構造物、そして3m(メートル)/s(秒)以上の非常に速い潮流を必要とする。しかし、このような潮流が得られる場所は世界でもごくわずかであり、利用可能な場合でも、ほとんどが深海に位置している。
【0005】
特許文献1は、発電機用のローターを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/145477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書の目的は、改良された発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
改良された発電システムは、
浮体又は固定インフラとして形成された取り付け装置に、保持装置によって取外し可能に固定される少なくとも1つの発電装置と、ここで発電装置は、二方向対称であり、発電機に機能的に接続された水力タービンを含み、発電機はヘリカルギヤボックスを備え、発電機は永久磁石同期サーボギヤードモータであり、発電機はインクリメンタルエンコーダを含み、発電機の回転は、インクリメンタルエンコーダから生成される信号によって監視可能であり、電気エネルギーが、取り付け装置の外側を通って発電機から導かれる電力線を通じて伝導可能であり、電気エネルギーが、取り付け装置から発電所へ伝導可能であり、ノーズコーン及びテールコーンが、少なくとも2層の生物付着防止塗装によって塗装されており、タービンのブレードが二方向の水流に反応し、電力線入口が筐体の上部に配置され、発電装置が制御パネルを備え、発電システムは、情報通信ネットワークに機能的に接続可能である。
【0009】
このようにして、取り付け装置の下方の水流により電気エネルギーを発生させることができる。取り付け装置は、例えば河川や湾内の橋脚、又はそれに取り付けられた浮体であることができる。はすば歯車(ヘリカルギヤ)によって、タービンと発電機の回転速度を適合させることができ、それにより適切な回転速度にされる。筐体の対称的な設計により、両方向の潮の流れを意識的に放出させて電気エネルギーを生成することができる。
【0010】
一実施形態では、取り付け装置は橋又は浮体である。このように、電気エネルギーシステムは、固定インフラ及び移動可能な物体の両方に固定されることができる。
【0011】
更なる実施形態では、浮体は、バージ、双胴船、係留プラットフォーム、既存の固定インフラ、移動プラットフォーム、水上の乗り物の1つである。
【0012】
更なる実施形態では、発電装置は浮体の手すりに取り付け可能である。このようにして、複数の発電装置は、浮体に着脱自在に固定されることができる。
【0013】
更に別の実施形態によれば、発電装置は、浮体の底部に位置する開口部に取り付け可能である。
【0014】
更に別の実施形態では、発電システムの電気エネルギーは、取り付け装置の外側を通って発電機から導かれる電力線を通じて伝導可能である。このようにすることで、浮体の底部を通る電力線を回避することができる。例えば、タービンからの各電力線は、バージの上部に導かれ、そして制御パネルへ導かれる。
【0015】
更に別の実施形態では、ナセルと呼ばれる改良された発電装置の筐体の材料は、ステンレス鋼(SS316L)で製造され、ノーズコーン部及びテールコーン部については、ガラス繊維、繊維強化プラスチックのうちの少なくとも1つで製造される。
【0016】
更なる実施形態では、発電装置のナセルは、追加の塗装を必要としない。これにより、環境への影響を低減することができる。
【0017】
更なる実施形態では、ノーズコーン及びテールコーンは、少なくとも2層の生物付着防止塗装によって塗装される。
【0018】
更に別の実施形態では、タービンに取り付けられた犠牲陽極を利用することによって、カソード防食が実施される。
【0019】
更なる実施形態では、潮流タービンのブレードは二方向の水流に反応する。このようにして、最適なエネルギー利用が支援される。
【0020】
更なる実施形態では、ブレードの材料は、アルミニウム合金、炭素繊維、ガラス強化プラスチック、複合材料、再生プラスチック材料のうち少なくとも1つを含む。
【0021】
更なる実施形態では、筐体の上部に電力線入口が配置される。このようにして、改善された取り扱いの楽な電力線経路が支援される。
【0022】
更に別の実施形態では、発電装置は制御パネルを備える。このようにして、システム全体の性能監視と制御が支援される。
【0023】
更なる実施形態では、発電装置は情報通信ネットワークに機能的に接続可能である。このようにして、システムの集中制御が支援される。
【0024】
それぞれのブレードの内側端部は、2つの対向するディスクの間に備えられることができる。その内側端部は、ブレードが曲がることをディスクが防ぐように作用するようにして、2つの対向するディスクに隣接して配置される。
【0025】
ディスク及びブレードは、軸を中心に回転するようにされている。潮流内でタービンのブレードはスラスト荷重を受け、潮流の流れ方向に曲げられる。潮流は6時間ごとに反転するため、ブレードに掛かる力も反転し、ブレードに疲労を生じさせる。2つの円形プレートは、ブレードの変形を最小にする又は排除するために、ブレードを両側で支える。
【0026】
ディスクはまた、ディスクが曲がることを防止するために、少なくとも1つのリブを含むことができる。
【0027】
リブは、断面が円弧状の細長い隆起部を意味する。リブはディスク表面に形成され、直線状又は円形状とすることができる。
【0028】
リブはディスクを強化するように作用し、それによりディスクが曲がることを防止する。リブのあるディスクは、リブのない厚いディスク、したがってより重いディスクと同じ曲げに対する抵抗力を有することができるという点で、リブはディスクの重量を軽減する役割も果たす。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、本明細書の内容をいくつかの図に関してより詳細に説明する。
【
図1】改良された発電システムの一実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図1の発電システムの更なる実施形態の上面図を示す。
【
図3】
図1の発電システムの発電装置の一実施形態の分解図である、
【
図4】ブレード用の改良された円形プレート支持体の異なる図である。
【
図5】プレートの変形を最小化するためのプレートのリブを示す。
【
図6】セントーサ・ボードウォークにおける発電システム100の1つの実施の配置データを示し、データは月間発電量に関する。
【
図7】発電システム100の改良されたタービンの1つの実施についてのコンピュータシミュレーション又は計算の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、発電システムの実施形態を説明するために特定の特徴が提供される。しかしながら、そのような特定の特徴及び/又は他の対応する特徴なしに実施形態が実施されることができることは、当業者にとって明らかである。
【0031】
以下の説明において、実施形態の数値は単なる例示であることに留意されたい。したがって、当業者は、発電システムの範囲から逸脱することなしに、システム、装置、構成部品、要素、直径、材料などについて他の数値を使用することができる。
【0032】
図に示す実施形態の一部の部品は、類似の部品を有する場合がある。類似の部品は、同じ名称を有するか、又は主要番号及び/若しくは文字を用いた類似の符号を有する場合がある。このような類似の部品の説明は、必要に応じて参照よって他の類似の部品にも適用され、それにより本開示を限定することなしに、記載の繰り返しを減らす。
【0033】
改良された発電システムの小型で汎用性の高い潮流タービンは、橋の下、係留プラットフォーム、既存の固定インフラ、移動プラットフォーム、及び水上の乗り物などの複数の設置オプションを支援し、並べて配置される。開示された小規模の潮流タービンは、沿岸水域及び/又は離島並びに適した水深及び流速の河川に主にある低流速源から、機械的な流れのエネルギーを利用することができる。
【0034】
改良された発電システムによって、通常は海岸線から約10km(キロメートル)以内の沿岸海域に見られる潮流の弱い場所でも運転することができる、より小さな手頃な価格の装置についての大きな機会が提供される。このような場所の流速は、約0.6m/秒~約3.0m/秒以上である。このようにして、再生可能な海洋エネルギーが、プラグアンドプレイのオペレーティングシステムでエンドユーザーに提供され、それは幅広いカスタマイズ可能な製品やサービスをカバーする。
【0035】
提案されるのは、海洋エネルギーを利用できる手頃な価格の小規模な改良された潮流タービンであり、それは単一で若しくは並べて配置され、橋、浮体、又は既存のインフラなどに構築される取り付け装置に着脱可能に固定される。このようにして、送電網のない島、橋の下の急流、河川、灌漑用水路、水力発電ダム後の水流などの流速が約0.6m/sから約3m/sのすべての場所で、ほとんど未開拓の電力会社以外の市場に、再生可能エネルギーの特定の形態(流体力学的エネルギー)を利用する手段が提供される。
【0036】
図1は、改良された発電システム100の第1の実施形態の側面図である。発電システム100は取り付け装置10を含み、取り付け装置10は浮体として形成され、好ましくはバージとして形成され、少なくとも1つの発電装置20、20'が取り外し可能に固定される。各発電装置20、20'は、ブレード21a、...、21n、21a'、...、21n'を有するタービンと、タービンによって駆動されることができる密閉された発電機24とを含む。このようにして潮流タービンが提供される。複数の発電装置20は、浮体の手すり11に取り外し可能に固定されてもよい。
【0037】
潮流タービンのブレード21a、...、21n、21a’、...、21n’は、二方向の水流に反応する。この文脈における「反応」とは、ブレード21a、...、21n、21a’、...、21n’の回転が、様々な水流方向、特に流れ方向A、Bによって生じることができることを意味する。このようにして、最適なエネルギー利用が支援される。
【0038】
水の抵抗を低減することができ、したがって流入水が発電装置20を容易に勢いよく通過することを可能にする、流線型の、好ましくは対称的な設計にされる。流入水の流れ方向A、Bは、軸流潮流タービンの縦軸と一致する。これは主に、迎え角での変化は、設計条件での発電量を低下させる可能性があるためである。
【0039】
浮体は、例えば、ボート、双胴船、浮桟橋、係留プラットフォーム、水上の乗り物などとして形成されることができる。移動及び輸送可能な浮体は、相当する水流のある使用可能な潮が存在するあらゆる場所に、取り付けられた潮流タービンを輸送することができる。潮流は、発電機24を伴った潮流タービンを駆動するために利用され、それにより発電することができる。
【0040】
発電装置20,20'は、発電装置20,20'の電力線15,15'を導くために使用されることもできる保持要素13,13'によって、取り付け装置10に固定される。電力線入口27,27'は、発電装置20,20'の筐体25,25'の上部に配置されている。折り畳み装置14,14'によって、各発電装置20,20'を別々に取り付け装置10に引き入れたり、取り付け装置10から引き出したりすることができる。このようにして、システム100は、発電装置20、20'のうちの1つが交換、整備、修理などのためにない場合にも稼働可能である。発電システム100から遠隔地の発電所50に電気エネルギーを送るために、電流はそれぞれの電力線15、15'又は単一の電力線15、15'を通じて別々に送電されることができる。
【0041】
情報通信ネットワーク40に接続可能な制御パネル30によって、発電システム100の動作を制御することができる。
【0042】
別の構成として、取り付け装置10は、固定された橋や既存のインフラとして構築されることができる(図示せず)。このようにして、少なくとも1つの、好ましくは複数の発電装置20、20'が、固定された橋に取り付けられることができ、それによって発電のために橋の下の水流を利用することができる。
【0043】
以上説明した方法で、例えば東南アジアの状況に適用可能な、費用対効果の高い潮流タービンのエネルギーソリューションが提供される。東南アジアには、例えばヨーロッパや北米で利用可能なものとは異なる潮汐エネルギー資源がある。東南アジアのその資源は、近海や浅瀬に存在する低速から中速がピークの潮流(約0.6m/s~約3m/s)からなる。
【0044】
その潮流タービンは、これらの地域で流れの速い川と海での遅い潮流の両方で、流体力学エネルギーを電力に変換するために使用可能である。
【0045】
これとは対照的に、世界の他の地域に設置されている高流量用に設計された大型の潮流タービン(例えば、タービンユニット当たりMW規模)は、したがって東南アジアには適しておらずり、設置失敗で実績が芳しくなく、これらの場所で実行可能となる必要なエネルギーコストを達成できない可能性が高い。
【0046】
発電システム100は、以下に例として列挙されるような様々な特徴を有している。
-組み立てる要素の数が少なく、製造が簡単である。
-約7kW~約100kWの電気出力のタービンユニットに焦点を当て、長さ約1.5m~5m、重量約400kg~1,000kgの装置サイズが達成される。
-モノのインターネット(IOT)をサポートする、制御及びシステム最適化のために開発された自社製ソフトウェア。
-小さなコンパクト設計により、支持構造物への容易な設置が可能。
-バージ、プラットフォーム、橋、埠頭、河川、運河の壁面、水上の乗り物などにタービンを設置するためのカスタマイズが可能。例えば海底などに、大型のユニットが設置されることもできる。
-費用対効果の高い製造、組み立て、及び物流。
-既存のインフラの近くや海での使用では、輸送用の重量物運搬船が不要なため、コストが低減される。
-発電システムの潮流タービンは、複数の潮流タービンの配列での水平方向の規模拡大構成を使用することで、大きな電気出力を達成することができる。
-これは単一のタービンをより大きなサイズに規模拡大するのに比べ、費用対効果が高く、ユニット故障のリスクも軽減される。
-駆動装置、インバータ、電力系統の接続などの電気インフラを共通化することで、更なるコスト低減を達成することができる。
【0047】
発電システム100は、海でクリーンな再生可能エネルギーを生成することができ、沖合の島、小規模発電網、台頭しつつあるブルーエコノミーへのクリーンな潮汐エネルギー供給のためのターンキーソリューションを示す。これには、例えば、設計、建設、設置、電気接続、計測、運転、保守などが含まれる。
【0048】
発電システム100は、取り付け装置10に着脱自在に固定された複数、好ましくは4~6基の10kW潮流タービンを備えた取り付け装置10を含む。浮体として構築された取り付け装置10は、バージ若しくは双胴船又は他の種類の水上の乗り物として形成されてもよい。
【0049】
このように、取り付け装置10の他の可能な設計はまた、より多くの潮流タービンの設置を可能にする。潮流タービンによって発電された電気は、初めに海での電力線を通じてエンドユーザーに供給される。海で浮桟橋にエネルギーを貯蔵し、局所の島の送電網に配電することが、発電システム100で容易に行われることができる。
【0050】
発電システム100の運転は、少なくとも部分的に又は完全に自律的に行われ、その性能は、例えばインターネットを利用した手段を通じて本土で遠隔監視される。エンドユーザーは、このようにして、クリーンな海洋エネルギー発電、貯蔵、及び配電のための完全なソリューションを提供する、海でのプラグアンドプレイ電気エネルギーステーションが提供される。
【0051】
図2は、浮体として構築された取り付け装置10に、別の取り外し可能な設置の選択肢で発電装置20、20'を備えた発電システム100の上面図である。発電装置20,20'(点線で示される)は、浮体底部で開口部12,12'に対して取り付けられることができる。このようにして、多数の発電装置20が浮体に取り外し可能に固定され、例えば整備、交換、修理などの目的で、容易に水中に沈められたり水中から引き上げられたりされることができる。
【0052】
図3は、発電装置20の一実施形態を分解図でより詳細に示し、発電機24の密閉ケースを示す。後流の動力学は、発電装置20の尾部20bの設計と密接に関連する。改良された潮流タービンの設計は、単一の潮流タービンの効率だけに依存するのではなく、運転中の複数の潮流タービン間の相互作用にも依存する。
【0053】
それぞれの潮流タービンで得られる電気エネルギーの量は、潮流タービンを通過する流れからのエネルギー束に強く依存し、そのエネルギー束は、タービンの後流での流れのトポロジーに影響される。尾部20bは、好ましくは、非定常の渦の離脱が少ないより小さな後流域の実現に向け、これらの見地を考慮して設計される。
【0054】
発電装置20は、取り付け部25aと、発電装置20を輸送手段(例えば、トラック、船、飛行機など)へ持ち上げることができる2つのアイフック(図示せず)とを含む。
【0055】
発電装置20のノーズコーン及びテールコーン、好ましくは少なくとも前部20a及び尾部20bの材料の選択として、ガラス繊維又は繊維強化プラスチックが好ましく使用されることができる。
【0056】
その好ましい材料は保守があまり必要なく、任意でベースコーティングとしての船舶用塗装(図示せず)及び表面でのゲルコーティング(図示せず)を含むことができ、このようにして長い耐用年数を支援する。生物付着物を洗い落とし、ゲルコーティングを再塗布するなどの定期的な清掃は、水の流れの効率を維持し、ブレード21a、...、21nへの抗力を維持するのに役立ち得る。
【0057】
ブレードの設計では、ブレードの長さ方向で転向角の変化を重要な考慮事項に含む。ブレードの根元では、半径方向速度が遅く、したがってより大きな転向角が必要である。ブレードの先端部21a、...、21nでは、半径方向速度と、転向角もまた最大となる。これは、ブレードの長さに沿った混合流れの発生を避けて、流入する潮汐から得られるエネルギーを最大限に利用するためである。ブレード21a、...、21nは、好ましくは、両方向の流れA、Bの潮流を捕えるように設計される。言い換えれば、ブレード21a、...、21nは「二方向」に反応する。
【0058】
改良された潮流タービンのブレード21a、...、21nは、好ましくは以下の材料のいずれかを使用して製造されることができる。
-アルミニウム合金。タービンブレード(風力タービン及び水力タービン)について実証済みである。
-炭素繊維。風力タービンについて通常は選択されるが、かなり高価である。
-ガラス強化プラスチック(GRP)
【0059】
より安価な材料及び/又は上記の材料に代えて他の材料も可能である。
【0060】
ブレード21a、...、21nが固定されるブレードハブ22は、例えば、厚さ約3mmの円形リブ及び平棒で補強された2枚の同一の3mmステンレス鋼(SS316L)円形プレートで作られることができる。ブレードハブ22の全体の直径は、好ましくは約650mm~約750mmの範囲、より好ましくは約700mmである。ブレードハブ22は、ブレードハブ22の両方向において約20kNまでのスラスト力に耐えるように設計されている。ブレード21a、...、21nは、特別に設計されたデルリン材料の取り付け部などでブレードハブ22に固定されることができる。デルリンは疎水性でなく、環境に悪影響を与えない。
【0061】
概念的にプロペラのテーパーで設計された取り付け具は、潮流タービンローターのシャフトをブレードハブ22に固定するために使用される取り付け要素23を備える。メカニカルシール26は、取り付け要素23をギヤードモータ24に固定するために使用される。
【0062】
ブレードハブ22の前面円形プレートには、幅約20mmの垂直リング(図示せず)が取り付けられ、前部20aのブレードハブ22への取り付けに使用されることができる。
【0063】
筐体25は、発電機24を備えた潮流タービンを取り囲むことが想定される。その筐体のフランジが取り付けられた本体は、例えば、外径約500mmのスケジュール10ステンレス鋼(SS316L)パイプで製造されることができる。筐体25の前面は、好ましくは約700mmの標準的な閉止フランジである。筐体25の後部は、外径約400mmのスケジュール10ステンレス鋼(SS316L)パイプが延在する。フランジに取り付けられた歯車付き発電機24は、メカニカルシールによって筐体25内に密閉されて保護される。
【0064】
電力線(例えば、海洋ケーブル)の入口27、27'は、好ましくは筐体本体の上部に実装される。タービン筐体25の後面に形成された幅約20mmの垂直リングは、筐体25における尾部20bの取り付けに使用される。
【0065】
筐体25の材料は、例えば316Lステンレス鋼種とすることができ、発電機24とそのギヤボックスはすべて、このような材料の筐体25内に密閉されて保護されている。316Lステンレス鋼は、ステンレス鋼の金属合金の一種であり、オーステナイト系であり、ニッケルとモリブデンを含有していて耐食性がある。これにより、筐体25の維持管理や塗装を大幅に低減することができる。
【0066】
筐体本体は、タービンと支持構造25bとの間の取り付け接点25aとして機能する上部標準フランジを含むことができる。取り付け接点25aは、いかなる設置に対しても潮流タービンを保持する支持構造25bの設計に柔軟性を与えるが、いずれのエンドユーザーにとっても便利な標準フランジサイズを利用する。
【0067】
発電機24は、好ましくは、フランジマウントを備えた永久磁石同期サーボギヤードモータとして構築される。フランジマウントは、発電機24を、ブレードハブ22に取り付けられる取り付け要素23に取り付けるために使用されることができる。永久磁石同期サーボギヤードモータはギヤボックスを含み、それは好ましくは環境汚染防止オイルで満たされたヘリカルギヤボックスである。そのギヤボックスによって、ブレード21a、...、21nを備えたブレードハブ22の回転速度が、ブレードハブ22と発電機24の回転速度が適切に適合するようにして、発電機24に適用される。ヘリカルギヤボックスは、ブレードハブ22の回転速度の伝達比を調整するために使用され、発電機24の回転速度は、好ましくは、インクリメンタルエンコーダによって生成されるエンコード信号によって監視される。
【0068】
発電機24のシャフトシールには、直径50mmのメカニカルシールが取り付けられ、シールエンドのOリングプロテクターで覆われることができる。メカニカルシールは、回転シャフトの入口又は出口を密封するために使用される器具である。メカニカルシールは、高圧流体が低圧流体に漏れるのを防ぐために使用される。このようにして、潮流タービンに1バール程度の圧力が掛かる海中に潮流タービンを沈めることができ、そこでは信頼性の高いメカニカルシールの性能が有用である。選択されたメカニカルシールは、より高い性能特性に重点を置き、最も過酷な条件下でも潮流タービンを作動させることができる。
【0069】
任意で、温度センサ(図示せず)が発電機24内に組み込まれる。更に、少なくとも振動センサ及び/又は少なくとも漏水検知器(図示せず)が、発電機24内に組み込まれてもよい。他の状態監視センサには、少なくとも湿度センサ及び/又は半径方向振動センサ及び/又は軸方向振動センサが含まれる。
【0070】
上述のセンサは、運転中の潮流タービンの状態の監視を支援する、センサに基づくデータ収集を可能にする。これらの収集されたデータは、将来のメンテナンススケジュールの計画や高機能の異常検知を支援することができる。
【0071】
潮流タービンは、制御パネル30に接続するための防水隔壁ねじ式コネクタを備えていてもよい。
【0072】
改良された潮流タービンの制御システムは、可変周波数駆動装置(VFD)、プログラマブル論理制御装置(PLC)、及び監視制御データ収集(SCADA)ユニットを含む。この目的のため、タービン制御にはVFD制御器を使用することができる。潮流タービンによって発電された電気出力は、アクティブフロントエンド(AFE)制御器を通じて送電網に送られ、全体的な発電はプログラマブル論理制御装置PLCによって制御される。
【0073】
更に、制御及び監視機能を備えたインターネットを利用したアクセスも想定される。好ましくは、潮流タービンは、遠隔監視及びアクセス能力を備えて設計される。すべての収集されたデータは、例えばクラウドサーバに保存され、そこで必要な情報が処理されて、顧客や関係当局と共有されることができる。
【0074】
発電システム100のための海洋監視システムは、以下の少なくとも1つを含む。
-海底カメラ
-ハイドロホン
-CTD(伝導度、水温、及び密度)
-乱流
-ADCP
-アクティブ魚群探知ソナー
-リアルタイム監視手段
-配置中の監視のための「最良実施例」の原則
【0075】
海底カメラとハイドロホンから収集されたデータは、発電システム100を監視し、更に発電システム100と魚類や哺乳類の相互作用を監視するために(例えば、Alプラットフォームを利用することによって)使用されることができる。
【0076】
発電システム100によって、上流への流れ及び下流への流れの両方から、機械的な流れのエネルギーを利用することができる。
【0077】
発電システム100は、性能データ、現地状態データ、生態系保護監視データなどの様々なデータを提供してもよく、これらのデータは、発電システム100の使用の分析及び改善に使用されることができる。
【0078】
発電システム100の特別な実施形態を以下に説明する。
【0079】
この実施形態は、少ない流量で約0.5m/s~約2m/sの範囲の流速が、約25~約120RPM(毎分回転数)の遅い運転回転範囲を生じさせる環境で運転することが意図される。
【0080】
このような環境で運転するために、発電システム100は以下のように構成又は選択される。
【0081】
発電システム100の特別な実施形態のギヤボックスについては、ブレードハブとサーボモータを最適な又は改善された発電速度で連結するために、以下の基準で選択される。
【0082】
流水の衝撃によるギヤボックスへの軸力又はスラスト力は、計算によると約10kN(キロニュートン)となり得る。安全のため及び風による流れや波による負荷についての追加負荷係数を想定して、スラスト力は約20kNと想定される。ギヤボックスは、約20kNのスラスト荷重又は軸荷重に耐えるように選定される。
【0083】
上記により、このスラスト力に耐えられるよう、補強した特別な軸受が選定される。
【0084】
ラジアル荷重(半径方向に掛かる力)については、水深15mまでの運転中に掛かるラジアル荷重に耐えられる軸径と軸受が選定される。
【0085】
ギヤ比については、高精度サーボモータとの適合に基づいて、1.0:17.5として選択される。
【0086】
ギヤボックスの重量とサイズについては、タービン全体が軽量かつコンパクトになるように選定されており、それは容易な配置と設置を支援する。
【0087】
機械的連結及び取り付けについては、シャフト、メカニカルシール、ギヤボックス、及びサーボモータの位置合わせのために、ギヤボックスについてフランジタイプの取り付けが選択されている。フランジタイプのギヤボックスの連結は、タービン筐体のフランジ23に取り付けることによって、ブレードハブと位置合わせされる。タービン筐体のフランジ23の選定(ANSI150#標準フランジ)で考慮したのは、水深15mでの海水圧力(1.5bar)である。これにより、タービン筐体のフランジ23の変形が防止され、追加での水密メカニカルシールが提供される。
【0088】
ギヤオイルについては、鉱物高性能ギヤオイル(オイルCLPISO VG220)が選択される。特別に選択された基油をベースとする最新の高性能ギヤオイルは、環境的に受容可能な潤滑油である一方で、優れた熱安定性、良好な経年安定性、驚くほどの摩耗保護特性を示す。ギヤボックスは、2リットル程のオイルしか収容しない。これはまた、もし水中に漏れた場合でも、環境への影響を軽減する。
【0089】
発電システム100の特別な実施形態での発電機24のサーボギヤードモータについては、ギヤボックスとサーボギヤードモータは、より良い信頼性と適合性のために、同じメーカーであるシーメンスから選定される。
【0090】
詳細には、高精度で精密制御をするサーボギヤードモータが選定される。
【0091】
変動する速度をもたらす自然の潮流において、選択されたサーボギヤードモータは、高精度にタービンの速度を制御することができる。
【0092】
サーボギヤードモータはまた、約5倍の重さと大きさがある標準的な低速永久磁石モータと比べ、軽量で小型である。標準的な低速永久磁石モータは、高精度での速度制御ができない。
【0093】
サーボギヤードモータは外部冷却なしで運転するように設計されており、熱はモータ表面及びギヤボックス取り付け面から放散される。自然の海水温は、モータからの熱も放散される筐体表面を冷却するのに十分であろう。
【0094】
発電システム100の特別な実施形態のメカニカルシール26については、シール26はタービンの筐体フランジの内側とシャフトに取り付けられる。ほとんどのタービンは二重Oリングを備えており、シール26は海水に曝されるシャフトの外面に配置される。
【0095】
メカニカルシール26を筐体内に設置することで、シール26は腐食、生物付着、及び劣化から保護される。重要なことに、これにより寿命が延び、漏れが防止される。
【0096】
発電システム100の特別な実施形態では、タービン昇降機構が備えられる。
【0097】
プラットフォームには、2つのムーンプールを備えることができるが、1つのムーンプールを使用することもできる。これにより、タービンをプラットフォームのデッキから水まで下降させて吊り上げることができる。この方法のために、支持構造と結合したダビットシステムと、Aフレームを使用するオプションとがデッキに備えられる。
【0098】
効率的な配置及び回収のため、支持構造と結合したすべてのダビットシステムに電動ワイヤロープ巻上げ機構が備えられる。デッキでのAフレームについても同様である。
【0099】
バックアップとして、クランク回しによって手動でタービンを昇降する選択肢が含まれる。
【0100】
提供されるワイヤロープはすべて、海洋環境での使用が承認されている。ワイヤロープには、ステンレス鋼ワイヤ又はマリングレードのワイヤが含まれる。
【0101】
改良されたブレードハブ22の更なる実施形態が、発電システム100の特別な実施形態のために提供され、以下に説明される。
【0102】
潮流タービンシステムは、
図4及び
図5に示されるように、個々の保持部を備えた3つのブレードと、2つの円形ディスク28とを含む。各ブレードの内側端は保持部に取り付けられる。各保持部は、対向する2つの円形ディスク28の間に配置され、両方の円形ディスク28に固定して取り付けられる。ディスク28は、
図5に示されるようにリブ29も含む。
【0103】
リブ29は、断面が円弧状の細長い隆起部を有している。
【0104】
機能的には、ブレードハブはブレードの円形ディスク支持手段として機能する。円形ディスク28とブレードは、水平軸を中心に回転するようにされている。各保持部はそれぞれのブレードを支持する役割を果たす。
【0105】
潮流内では、潮流タービンブレードは過度のスラスト荷重を受け、流れの方向に曲がる。6時間ごとに流れが反転するため、ブレードに掛かる力も反転し、ブレードに疲労を生じさせる。
【0106】
この水流は曲げ荷重を与えるように作用し、それはブレードを流れ方向に曲げ、潮流タービンでの出力損失と発電量の低下を引き起こす。ブレードの変形を最小限に抑えるために、2枚の円形プレートがブレードを両側で支える。
【0107】
ディスク28のリブ29もディスク28を強化する役割を果たし、それによって重量を軽減しながらディスク28が曲がるのを防ぐ。
【0108】
非常に厚みのある1枚のサイドプレートを使用した実施例では、14mm以上の変形が生じる。しかし、ブレードの両側に2枚のステンレス鋼円形プレート(厚さ3mmのステンレス鋼円形プレート)を用いると、変形は0.8mmに減少する。
【0109】
発電システム100の特別な実施形態の潮流タービンについては、タービンは、前方への流れで動力を得るように設計される。このため、タービンは前方への動きの間にのみエネルギーを得ることができる。潮流タービンは、ブレード21a、...、21nの前縁及び後縁の両方において対称である翼を有する独特な改良された形状を有し、それはブレード21a、...、21nに前方及び逆向きの流れの両方で正の揚力を引き起こし、同じ潮流条件において増大したエネルギー生成をもたらす。これは、潮流タービンで用いられた時に、外海での潮の干満の両方向でエネルギーの取り出しを可能にする。
【0110】
ブレード21a、...、21nは、ブレードの長さ方向で転向角の変化を含む。ブレードの根元では、半径方向速度が遅く、したがってより大きな転向角が必要である。ブレードの先端部21a、...、21nでは、半径方向速度は最大であり、そのため転向角は小さくなる。これは、ブレードの長さに沿った混合流れの発生を避けて、流入する潮汐から得られるエネルギーを最大限に利用するためである。
【0111】
ブレード21a、...、21nはまた、両方向の潮流を捕えるように設計される。
【0112】
発電システム100の特別な実施形態の筐体25については、筐体25が優れた耐食性だけでなく、良好な安定性、外観、耐久性、光沢、強度、及び剛性を有することができるように、ステンレス鋼材料が選択される。
【0113】
発電システム100の特別な実施形態の前部20a及び尾部20bについては、それらはより低い製造コストを有し、維持にあまり手が掛からず、それは必要な流体力学的性能を提供する一方で、全体としてより低いライフサイクルコスト及び軽量化を可能にする。
【0114】
発電システム100の特別な実施形態の潮流タービン用の制御パネル30又はシステムについては、制御パネル30は、組み込み式のコンピュータベースのシステムによって自動化されるように設計され、そこではソフトウェア制御装置が潮流タービンを完全に制御する。この構成要素は、システムが特定の動作限界内で作動することを維持するために、タービン装置の動作状態を監視し、様々なセンサやその他の構成要素から情報を読み取り、そしてこの情報を操作する。
【0115】
各発電機からの可変電圧出力は制御パネル30に送られ、そこでそれ自身の変換器を通って直流電圧に変換され、次にインバータを通って送電網に接続された交流415ボルト三相出力に変換される。この交流415ボルトの三相交流出力は、海底ケーブルを通じて事業専用の設備である陸上設備に供給される。
【0116】
以上のような環境と、改良されたタービン設計を用いて、流水による発電量とスラスト負荷は、コンピュータシミュレーション若しくは計算を用いて、シミュレーション又は計算されることが可能である。
【0117】
図6は、セントーサ・ボードウォークでの発電システム100の1つの実施の配置に関するデータを示しており、そのデータは月間発電量に関する。
【0118】
図7は、発電システム100の改良されたタービンの1つの実施についてのコンピュータシミュレーション又は計算の結果を示す。
【0119】
実施形態の項分けされた列記
実施形態は、項分けされた列記で構成される、以下の特徴又は要素の列記で記載されることもできる。項分けされた列記に開示された特徴のそれぞれの組み合わせは、それぞれが独立した対象とみなされ、本願の他の特徴と組み合わされることもできる。
【0120】
1.発電システム(100)であって、
保持装置(14、14’、15、15’)によって取り付け装置(10)に取外し可能に固定される少なくとも1つの発電装置(20、20’)を含み、
前記発電装置(20、20’)は、二方向対称であり、発電機(24)に機能的に接続された水力タービンを含み、前記発電機(24)はヘリカルギヤボックスを備え、前記発電機(24)は永久磁石同期サーボギヤードモータであり、前記発電機(24)はインクリメンタルエンコーダを含み、前記発電機(24)の回転は、前記インクリメンタルエンコーダから生成される信号によって監視可能である。
【0121】
2.前記取り付け装置(10)は、橋又は浮体である、第1項に記載の発電システム(100)。
【0122】
3.前記浮体は、バージ、双胴船、係留プラットフォーム、既存の固定インフラ、移動プラットフォーム、水上の乗り物のうちの1つである、第2項に記載の発電システム(100)。
【0123】
4.前記発電装置(20、20’)は、前記浮体の手すり(11)に取り付け可能である、第2項又は第3項に記載の発電システム(100)。
【0124】
5.前記発電装置(20、20’)は、前記浮体(10)の底部に位置する開口部(12)に取り付け可能である、第2項から第4項の1つに記載の発電システム(100)。
【0125】
6.電気エネルギーが、前記取り付け装置(10)の外側を通って前記発電機(24)から導かれる電力線(15、15’)を通じて伝導される、上記項の1つに記載の発電システム(100)。
【0126】
7.前記発電装置(20、20’)の筐体(25)の材料が、ステンレス鋼、ガラス繊維、繊維強化プラスチックのうちの少なくとも1つである、上記項の1つに記載の発電システム(100)。
【0127】
8.ノーズコーン及びテールコーン(20a、20b)が、少なくとも2層の生物付着防止塗装によって塗装されている、第7項に記載の発電システム(100)。
【0128】
9.前記タービンのブレード(21a、...、21n、21a’、...、21n’)が、二方向の水流(A、B)に反応する、上記項の1つに記載の発電システム(100)。
【0129】
10.前記ブレード(21a、...、21n、21a’、...、21n')の材料が、アルミニウム合金、炭素繊維、ガラス強化プラスチック、リサイクル材料のうちの少なくとも1つを含む、第9項に記載の発電システム(100)。
【0130】
11.前記筐体(25’、25’)の上部に電力線入口(27、27)が配置されている、第7項から第10項の1つに記載の発電システム(100)。
【0131】
12.前記発電装置(20、20’)が制御パネルを備える、上記項の1つに記載の発電システム(100)。
【0132】
13.前記発電システム(100)は、情報通信ネットワーク(40)に機能的に接続可能である、上記項の1つに記載の発電システム(100)。
【0133】
14.浮体(10)又は固定インフラの形態の取り付け装置(10)に取り外し可能に固定されるように構成された発電装置(20、20’)であって、
前記発電装置(20、20’)は二方向対称であり、発電機(24)に機能的に接続された水力タービンを含み、前記発電機(24)はヘリカルギヤボックスを備え、前記発電機(24)は永久磁石同期サーボギヤードモータであり、前記発電機(24)はインクリメンタルエンコーダを含み、前記発電機(24)の回転は、前記インクリメンタルエンコーダから生成される信号によって監視可能である。
【0134】
15.上記項の1つに記載の発電システム(100)であって、
それぞれのブレード(21a、...、21n、21a’、...、21n’)の内側端部が、2つの対向するディスクの間に備えられ、前記2つの対向するディスクに隣接して配置され、前記ディスクが、前記ブレードが曲がることを防止するように作用する、発電システム(100)。
【0135】
16.前記ディスクは、前記ディスクが曲がることを防止するためのリブを備える、第15項に記載の発電システム(100)。
【符号の説明】
【0136】
10 取り付け装置
11 手すり
12 開口部
13、13' 保持要素
14、14' 折り畳み装置
15、15' 電力線
20、20' 発電装置
20a 前部
20b 尾部
21a、...、21n ブレード
21a'、...、21n' ブレード
22 ブレードハブ
23 取り付け要素
24 発電機
25 筐体
25a 取り付け接点
25b 支持構造
26 メカニカルシール
27、27' 電力線入口
28 ディスク
29 リブ
30 制御パネル
40 情報通信ネットワーク
50 発電所
100 発電システム
A、B 流れ方向
【国際調査報告】