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特表2024-537266CDH17を検出するためのTIBTECHの方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】CDH17を検出するためのTIBTECHの方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20241003BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 33/577 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/574 A
G01N33/53 Y
G01N33/577 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521338
(86)(22)【出願日】2022-10-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022077828
(87)【国際公開番号】W WO2023060278
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/253,609
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524132025
【氏名又は名称】ティベリアス テクノロジー (エイチケー) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ルク, ジョン ムーンチン
(72)【発明者】
【氏名】サン, ステラ
(72)【発明者】
【氏名】レオン, プイ リン
(57)【要約】
対象からのサンプル中のCDH17タンパク質の量を検出するための方法であって、前記サンプルを少なくとも98℃の温度でバッファーと接触させて処理済サンプルを提供するステップと、CDH17に対して結合親和性を有する前記処理済サンプルを捕捉抗体と接触させ、前記処理済サンプルにおける任意の露出したCDH17発現エピトープは、前記捕捉抗体に結合して結合サンプルを提供するように構成されるステップと、前記結合サンプルを検出分子と接触して検出サンプルを提供し、前記検出分子は、前記捕捉抗体に対して結合親和性を有する二次抗体に結合した生体適合性酵素を含むステップと、前記検出サンプルを3,3'-ジアミノベンジジン色原体と反応させて酸化基質を提供するステップと、前記酸化基質の量に基づいて前記サンプル中のCDH17タンパク質の量を決定するステップと、を含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象からのサンプル中のCDH17タンパク質の量を検出するための方法であって、
前記サンプルを少なくとも98℃の温度でバッファーと接触させて処理済サンプルを提供するステップと、
CDH17に対して結合親和性を有する前記処理済サンプルを捕捉抗体と接触させ、前記処理済サンプルにおける任意の露出したCDH17発現エピトープは、前記捕捉抗体に結合して結合サンプルを提供するように構成されるステップと、
前記結合サンプルを検出分子と接触して検出サンプルを提供し、前記検出分子は、前記捕捉抗体に対して結合親和性を有する二次抗体に結合した生体適合性酵素を含むステップと、
前記検出サンプルを3,3'-ジアミノベンジジン色原体と反応させて酸化基質を提供するステップと、
前記酸化基質の量に基づいて前記サンプル中のCDH17タンパク質の量を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記サンプル中のCDH17発現をスコアリングし、データベースのレポートを生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプル中のCDH17タンパク質発現を定量化するステップをさらに含み、ここで、異なる細胞強度をスコアリングし、合わせて代表的な数値を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記結合サンプルを検出分子と接触するステップは、周囲温度及び湿度が制御される自動染色装置において前記結合サンプルを前記検出分子と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプル中のCDH17タンパク質の量を決定するステップは、デジタルパソロジーシステムを用いて酸化基質の量に基づいてサンプル中のCDH17タンパク質の量を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記捕捉抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7又は8と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記捕捉抗体は、
配列番号9、10、11を有する3つの重鎖CDR及び配列番号12、13、14を有する3つの軽鎖CDR、
配列番号15、16、17を有する3つの重鎖CDR及び配列番号18、19、20を有する3つの軽鎖CDR、
配列番号21、22、23を有する3つの重鎖CDR及び配列番号24、25、26を有する3つの軽鎖CDR、又は
配列番号27、28、29を有する3つの重鎖CDR及び配列番号30、31、32を有する3つの軽鎖CDR
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)又は凍結された消化器がん組織を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.119(e)に基づいて2021年10月8日に提出された米国仮出願第63/253,609の利益を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、がん検出に使用される方法に関する。特に、本発明は、ヒト組織検体(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプル、組織マイクロアレイ(TMA)及び凍結切片)中のCDH17発現を検出するための自動化、標準化及びハイスループットの免疫組織化学(IHC)法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に別段の指示がない限り、このセクションに記載される材料は、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、このセクションに含めることによって先行技術であるとは認められない。
【0004】
消化器(GI、即ち、食道、胃、肝臓、胆管/胆嚢、小腸、膵臓、結腸直腸)がんは、世界中でがんによる死亡の主な原因となっている。2018年のがんによる新規症例数は480万人、がんによる死亡者数は340万人と推定されている[1]。食道、胃、膵臓、肝臓は、すべての原発がんの種類の中で予後が最も悪かった上位5のGIがんである[2]。
【0005】
原発不明の腺がんは、最も一般的な臨床問題の1つである。異なる場所からの転移性腺がんは、顕微鏡外観が同じであるので、原発部位の特定が困難になるためである。サイトケラチン7、サイトケラチン20、甲状腺転写因子1、CDX2、前立腺特異抗原、メソテリンなどの免疫組織化学的マーカーは、GIがん診断の組織学的マーカーとして一般的に使用されている。しかし、これらのマーカーの特異性が低いため、消化器系の腺がんに対する高感度でより信頼性の高い診断マーカーが緊急に必要とされている[3,4]。
【0006】
カドヘリン17(CDH17又はCA17)は、胃がん、肝臓がん、及び大腸がん(colorectal cancers)における過剰発現を特徴とするGIがんのバイオマーカーである[3,5,6]。CDH17は、診断、悪性腫瘍の病期分類、予後診断に有用な免疫組織化学マーカーであることが報告されている[3,5,6]。さらに、CDH17は転移性がんで高度に発現しており、CDH17の発現と機能を阻害することにより、肝細胞がん(HCC)の肺転移を著しく減少させることができる[7]。CDH17は有効な消化器がん診断バイオマーカーとして機能するが、より高い検査感度と特異性で大規模なスクリーニングアプローチにCDH17を適用するには、CDH17の検出戦略の改善が不可欠である。
【0007】
CDH17は、がんの進行に関与しており、予後不良と関連していることが示されている。CDH17は、CRC、GE、PDACなどのGIがんにおいてデノボ(de novo)発現又は異常な高レベルで過剰発現する[8]ため、組織サンプル中のCDH17発現量の決定は、診断、組織起源の鑑別、悪性腫瘍のモニタリング、疾患の予後診断に有用なマーカーとなる可能性がある。
【0008】
GIがんの治療は従来の細胞傷害性療法に大きく依存し続けているが、二重特異性TRAILR2/CDH17抗体(BI905711)[9]や二重特異性T細胞エンゲージャーCDH17/CD3(ARB202)などの現在フェーズI/II期で開発中の標的薬剤は増えている[10]。これらの治療法では、最も効果が得られる適切な集団を定義するためにコンパニオン診断検査が必要である。CDH17バイオマーカーと開発された自動IHCアッセイは、治療に適格な集団を選択するための情報を治療医に提供するために使用することができる。臨床診断及び薬剤コンパニオン診断における免疫組織化学の需要の増大と、継続的な組織学スタッフ不足により、免疫組織化学の自動化の必要性が高まっている。
【発明の概要】
【0009】
以下の概要は例示のみを目的としており、いかなる形でも限定することを意図したものではない。上述の例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、及び特徴は、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0010】
一態様において、本発明は、対象からのサンプル中のCDH17タンパク質を検出するための方法、薬剤及び組成物を提供する。
【0011】
一実施形態において、本発明は、対象からのサンプル中のCDH17タンパク質の量を検出するための方法を提供する。一実施形態において、前記サンプルは、ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)又は凍結がん組織であり得る。一実施形態において、前記サンプルは、消化器組織であり得る。一実施形態において、前記サンプルは、前がん状態又はがんを有する疑いのある対象からのものであり得る。一実施形態において、前記サンプルは、がんに罹患している対象からのものであり得る。この方法は、がん又は前がん状態をさらに特徴付けるために使用することができ、したがって治療のガイドラインを提供することができる。
【0012】
一実施形態において、前記方法は、まず、前記サンプルを高温でバッファーと接触させて処理済サンプルを提供するステップを含む。一実施形態において、前記高温は、少なくとも80℃、90℃、98℃、100℃又は110℃であり得る。前記サンプルがCDH17タンパク質を含む場合、このステップにより、CDH17発現エピトープが露出した処理済サンプルが提供される。
【0013】
前記方法は、また、前記処理済サンプルをCDH17に対して結合親和性を有する捕捉抗体と接触させるステップを含む。前記処理済サンプルに存在する任意の露出したCDH17発現エピトープは、前記捕捉抗体に結合して結合サンプルを提供するように構成される。一実施形態において、前記捕捉抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7又は8と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。一実施形態において、前記捕捉抗体は、配列番号9、10、11を有する3つの重鎖CDR及び配列番号12、13、14を有する3つの軽鎖CDRを含み得る。一実施形態において、前記捕捉抗体は、配列番号15、16、17を有する3つの重鎖CDR及び配列番号18、19、20を有する3つの軽鎖CDRを含み得る。一実施形態において、前記捕捉抗体は、配列番号21、22、23を有する3つの重鎖CDR及び配列番号24、25、26を有する3つの軽鎖CDRを含み得る。一実施形態において、前記捕捉抗体は、配列番号27、28、29を有する3つの重鎖CDR及び配列番号30、31、32を有する3つの軽鎖CDRを含み得る。
【0014】
前記方法は、さらに、前記結合サンプルを検出分子と接触させて検出サンプルを提供するステップを含む。一実施形態において、前記検出分子は、前記捕捉抗体に対して結合親和性を有する二次抗体に結合した生体適合性酵素を含み得る。一実施形態において、前記結合サンプル及び前記検出分子は、周囲温度及び湿度が制御される自動染色装置に接触して配置され得る。
【0015】
前記方法は、さらに、前記検出サンプルを3,3'-ジアミノベンジジン色原体と反応させて酸化基質を提供するステップと、前記酸化基質の量に基づいて前記サンプル中のCDH17タンパク質の量を決定するステップとを含み得る。一実施形態において、デジタルパソロジーシステムは、酸化基質の量に基づいて前記サンプル中のCDH17タンパク質の量を決定するのに使用され得る。
【0016】
一実施形態において、前記方法は、さらに、前記サンプル中のCDH17発現をスコアリングし、データベースのレポートを生成するステップを含む。
【0017】
一実施形態において、前記方法は、さらに、前記サンプル中のCDH17タンパク質発現を定量化するステップを含む。ここで、異なる細胞強度をスコアリングし、合わせて代表的な数値を与える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の前述の特徴又は他の特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明又は添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示に従って構成されたいくつかの実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。この開示は、添付の図面を使用してさらに具体的に又は詳細に説明される。
図1】Lic3、10C12、7C5、9A6及び8G5の5つの抗CDH17抗体(Ab,1ug/mL)をそれぞれ用いたペアとなる正常(N)と腫瘍(T)の大腸検体における免疫組織化学的染色パターン及びCDH17発現の強度を示す。
図2】免疫組織化学アッセイ(IHC)に使用される一次抗CDH17抗体(Lic3)濃度の最適化を示す。濃度範囲は、0から2ug/mlである。
図3】正常なヒト組織におけるCDH17(Lic3)の免疫反応性を示す。結腸と小腸のみが陽性の膜染色を示した(オリジナル倍率:10倍)。
図4】a)代表的な写真では、食道、胃、結腸、膵臓、胆嚢腺がん、胆管がんなどのGI腫瘍性組織において強いCDH17陽性染色が示されたが、他の腫瘍性がん組織タイプではそうではないこと(オリジナル倍率:10倍)を示し;b)Mスコアによって定量化されたCDH17染色強度は、すべてのGI腫瘍組織において>10(カットオフ値として)を示した。
図5】CDH17をGIがんとの腺がんタイプの潜在的な診断マーカーとして示す。自動化CDH17(Lic3)IHCアッセイとMスコア(デジタルスコアリング法)は、食道腺がん(EAC;n=35)、肝内胆管がん(iCCA;n=25)、膵管腺がn(PDAC;n=37)、胃腺がん(GAC;n=40)及び大腸腺がん(CRC;n=112)を、それらの健康な隣接組織と区別するために使用することができる。
図6】(a)自動化CDH17 IHCアッセイとデジタルスコアリング法(Mスコア)との組み合わせは、GIがん起源、例えば、肝内胆管がん(iCAA)と肝外胆管がん(eCCA)、及び食道腺がん(EAC)と食道扁平上皮がん(ESCC)を区別できることを示す。(b)代表例の対応するIHC画像(オリジナル倍率:20倍)を示す。
図7】Mスコアによって定量化されたCDH17発現が進行期の膵管腺がん(PDAC)と顕著に関連していることを示す。
図8】高いCDH17発現が患者の予後不良に関連することを実証している。CDH17発現が異なる大腸がん患者をCDH17低レベル(Mスコア≦30)とCDH17高レベル(Mスコア>30)の2群に分けた。高レベルのCDH17発現(Mスコア>30)を有する患者は、a)より低い全生存期間(ログランクp=0.021)及びb)より高いハザード率と関連している。
図9】独特な明視野イメージング分析システム、NMPA承認のハイスループット自動組織染色、デジタル化サンプルスコアリングアルゴリズム、及びクラウドベースのレポートシステムを含む統合されたCDH17 IHCアッセイプラットフォームを示す。それは、定量的なIHCスコアリング及びIHC染色サンプルのホールスライドイメージングを含む様々な組織病理学ニーズを満たすことができる。
図10】自動化IHCスコアリング法と手動IHCスコアリング法の間の良好な相関関係を示す。病理医によって得られた陽性細胞スコアのパーセンテージは、自動化定量によるデジタルスコアリング法(Mスコア)と良好な一致を示した。ここで、(a)はピアソン相関分析、(b)はペアとなったサンプルのT検定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な説明では、その一部を構成する添付の図面を参照する。図面では、文脈上別段の指示がない限り、通常、類似の記号は類似のコンポーネントを識別します。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示される主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書に記載され、図に示されているように、本開示の側面は、本明細書で明示的に検討されている様々な構成で配置、置換、結合、分離、及び設計が可能であることは、容易に理解できる。
【0020】
本発明は一般に、とりわけ、免疫キャパシタ及び/又は電気化学キャパシタに関連する組成物、方法、装置、システム、デバイス、及び/又はコンピュータプログラム製品に関する。本明細書で開示される方法、デバイス、及びシステムは、本発明で説明される様々な消化器(GI)状態(GIがん、CDH17発現正常組織及びがん組織を含むが、これらに限定されない)の診断又は治療を目的としてデータを取得及び処理するための任意の構成で実装できるとともに、一連の指令を具体化するコンピュータ又は他の電子システムに使用される機械可読媒体を利用して実行することができる。他の特徴は、添付の図面及び以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0021】
いくつかの実施形態において、様々な種類の疾患及び悪性腫瘍におけるCDH17発現レベルは、限定されないが、がんゲノムアトラス(TCGA)RNA配列データ(RNA Seq V2)を使用することにより、低から高までランク付けることができる。いくつかの実施形態において、高レベルのCDH17発現は、GIがん(大腸がん、胃がん、膵臓がん、及び食道がんを含むがこれらに限定されない)と関連している。CDH17発現レベルは、乳頭状腎細胞がん(PRCC)、胆管がん、肺腺がんでは高い。他の実施形態では、CDH17抗原及びmRNAは小腸及び結腸に限定されるが、肺、心臓、肝臓及び腎臓などの主要臓器では検出されない。
【0022】
本発明は、組織検体(又はサンプル)中のCDH17発現を正確かつ一貫して検出するための免疫組織化学(IHC)アッセイを含むデジタルパソロジーシステムを開示する。いくつかの実施形態において、組織検体中のCDH17発現を検出するための免疫組織化学(IHC)アッセイは、プロトコール及びキットを含む。いくつかの実施形態において、このシステムは、明視野イメージングと、労働効率及びデータアクセシビリティを向上させたコンピュータ化ワークフローと、研究室と病理医の間のコミュニケーションを合理化しかつ共有プロセスを簡素化するバーチャルスライド読み取りオプションとを含む。
【0023】
一実施形態において、本発明は、例えば、自動染色装置で染色したホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)消化器組織中のCDH17タンパク質の定性的検出に有用なCDH17(Lic3)IHCアッセイ/方法を提供する。本明細書に開示されるアッセイ/方法は、診断、モニタリング、腫瘍起源の識別、及び予後の補助に使用することができる。本発明は、とりわけ、Lic3抗体、自動化IHC法、及び/又はデジタルパソロジーシステムを使用して、臨床組織中のCDH17抗原発現の半定量化を可能にするように最適化された方法を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるアッセイは、診断、悪性腫瘍のモニタリング、組織起源の識別及び疾患の予後診断に有用である。いくつかの実施形態において、前記検体は、凍結された、又は寒天ブロック、ホルマリン固定パラフィン(FFPE)及び組織マイクロアレイ(TMA)に包埋された細胞、組織及び生検であってもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の方法の前記CDH17アッセイキットは、抗CDH17抗体から選択される一次抗体と、抗CDH17一次抗体に対する結合親和性を有しかつ生体適合性酵素に結合した二次抗体と、発色基質とを含む。いくつかの実施形態において、組織中のCDH17発現を検出するためのIHCキットは、希釈バッファー、洗浄バッファー、抗原賦活化溶液、ブロッカー試薬、抗CDH17マウスモノクローナル一次抗体、二次抗体及び3,3'-ジアミノベンジジン(DAB)試薬から構成される。
【0025】
本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」という用語は、「1つ以上」を意味すると定義され、文脈が不適切でない限り複数形を含む。
【0026】
「抗体」という用語は最も広い意味で使用され、望ましい生物学的活性を示す限り、単一のモノクローナル抗体(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、及び抗体断片(例えば、Fab、F(ab')2、及びFv)を具体的にカバーする。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、単鎖、二重特異性又は二重有効性、ヒト及びヒト化抗体、並びにその活性断片であってもよい。
【0027】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す。即ち、集団を含む個々の抗体は、少量存在する可能性のある自然発生突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は特異性が高く、モノクローナル単一特異性抗体として1つの抗原部位に指向され、モノクローナル多重特異性抗体として複数の抗原部位に対して指向される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリンにコンタミネーションされていないという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特性を示し、特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈されない。例えば、本明細書の開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler&Milstein,Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよく、又は組換えDNA法によって作製されてもよい(例えば、U.S.Pat.No.4,816,567参照)。
【0028】
本明細書の開示は、本明細書に含まれる特定の実施形態及び実施例の以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解されてもよい。本明細書の開示は、その特定の実施形態の特定の詳細を参照して説明されたが、そのような詳細な説明は、開示の範囲に対する限定とみなされるべきではない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、本開示の様々な修飾は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。このような修飾は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
実施例
実施例1:抗CDH17抗体
【0029】
ハイブリドーマ技術によりマウス抗CDH17抗体を開発し、結合親和性及びエピトープ/ドメインマッピング研究によりCDH17に対するその親和性を特徴評価した。抗体の全長配列は本明細書に列挙されており、CDR配列は同定された(下線)。
【0030】
臨床検体からCDH17抗原を捕捉する能力についてスクリーニングされた10個のCDH17モノクローナル抗体のうち、5つの抗体(Lic3、10C12、7C5、9A6及び8G5)は、それぞれCDH17の3つのドメインにマッピングされた(表1)。図1は、1ug/mLの濃度で上記の5つのエピトープ特異的抗CDH17抗体を用いて検出された、ペアとなる正常(N)及び腫瘍(T)の大腸検体における免疫組織化学的染色パターン及びCDH17シグナルの強度を示す。正常及び腫瘍検体(結腸)に対して、半定量IHCフォーマットで、一次抗CDH17抗体によって捕捉されるCDH17抗原の存在を検査した(図2)。寒天ブロックに包埋されたCDH17陽性CRC(DLD-1)、CDH17陰性CRC(SW480)などのがん細胞株を対照として使用した。Lic3は、CDH17の様々なドメインを認識する一次抗体の中から選択された。選択は、目的の用途に応じてテストされた200以上の検体のうち潜在的な最も高い感度によってガイドされた。最も高い一次抗体希釈倍率でLic3を滴定して、陽性染色組織と非特異的バックグラウンド染色の間のコントラストを最適化した。最初の滴定では、0~2ug/mLの抗体濃度をテストした(CRC:大腸がん;T:腫瘍)。デジタルスコアリング(Mスコア)法を用いたLic3 IHC染色の定量化により、CDH17 IHCアッセイには1ug/mL濃度のLic3一次抗体が推奨されることが示唆された。
実施例2:自動化CDH17 IHCアッセイ
【0031】
CDH17タンパク質の発現を検出するための方法及び診断キットは、IHCによって異なる疾患起源からの組織/生検を分析するためのコンパニオン及びスタンドアロンのインビトロ診断目的の両方に使用され得る。ヒトCDH17の様々なドメインを標的とする抗CDH17抗体を使用して、様々な感度でCDH17タンパク質を検出することができる(表1)。抗CDH17(Lic3)一次抗体と検出キットを用いたIHC染色法は、CDH17抗原検出のために自動化組織染色プラットフォームに使用され得る。自動化プラットフォームでは、独特な明視野イメージング及び捕捉システムは、免疫染色された臨床組織サンプル上でデジタル化CDH17陽性シグナルを生成することができる。クラウドベースのサーバーで認定病理医検査用の半定量レポートを生成できる先進なデジタルパソロジーシステムは、上記の方法及び診断キットと統合することができる。
【0032】
アッセイの最適化に向けたステップには、最適な抗体希釈、抗原賦活化条件、及びインキュベーション時間の決定が含まれる。CDH17(Lic3)IHCアッセイの特異性を実証するために研究を実施した。1ロットの抗CDH17(Lic3)を市販のツアーオブボディ(TOB)組織マイクロアレイ(TMA)上で染色した。中枢神経系、内分泌、乳房、心血管、胃腸、泌尿生殖器を含む正常組織のスクリーニングでは、結腸及び小腸のみが陽性CDH17 IHC染色を示した(図3)。理想的なLic3抗体の希釈率は1ug/mLであり、これは感度と特異性の最適なバランスが得られる最低の抗体濃度である。高pHベースの市販抗原賦活溶液を用いて一次抗体の結合を最適化した。残りの検証プロセスでは、最適なシグナル対バックグラウンド比を生み出す染色条件の組み合わせを使用した。
【0033】
アッセイの解釈基準は文献の基準と一致し、病理医の検証を受けることができる。CDH17抗原とmRNAは小腸と結腸に限定されており、肺、心臓、肝臓、腎臓などの主要臓器では検出することができない(図3)。一方、食道、胃、結腸、膵臓、胆嚢腺がん、胆管がんなどの消化器がんでは、CDH17の強い陽性染色を示したが、他の腫瘍組織ではそうではなかった(表2、図4a)。
【0034】
自動化IHCシステムのうち、定量的デジタルスコアリング法により、GIがんでは、他の非GIがんタイプと比較して高い平均スコア(>10)を示し、GI腫瘍組織の代表的な画像は、強い腫瘍内CDH17シグナル強度を示した。実際、病理医による手動スコアリングとデジタルスコアリングを比較することによって解釈を行ったところ、両方の方法間の一貫した相関関係が明らかになった(表3、図4b)。
実施例3:操作プロトコル
【0035】
自動化染色システムはさらに最適化され得るが、ルーチンのIHC操作手順を以下に示す。
1.IHCアッセイでは、FFPE組織切片を高pHバッファーに入れ、半自動抗原検索システムに挿入する。
2.試薬(ブロッキング、一次抗体、二次抗体など)を調製し、CDH17エピトープ賦活サンプルをIHCプロセス用の自動染色装置に配置する。
3.指定ソフトウェアに従って自動染色装置を操作し、一次抗体と二次抗体をサンプル上に分注し、他の試薬のインキュベーション時間は変わる場合がある。
4.IHCアッセイは維持された環境で行われ、スライドを染色装置から取り出し、スライドをマウントすると同時にヘマトキシリンによる対比染色の準備をする。
6.デジタル画像解析ソフトウェアを用いて組織切片におけるCDH17発現を定量化する。
7.アッセイスコアリングアルゴリズムを用いてアッセイ結果の解釈を支援する。
【0036】
検証サンプル:CDH17陽性及び陰性発現を有するがん細胞株を寒天ブロックに包埋し、検証に使用した。様々な臓器からの正常及び患者の組織標本を使用して、特定の腫瘍タイプ内又は異なる腫瘍タイプにわたる適切な染色スペクトルを実証した。この場合、社内のCDH17 IHCアッセイによって、CDH17タンパク質の発現はGI検体に限定される。
実施例4:自動CDH17 IHCアッセイのMスコア
【0037】
自動化CDH17 IHCアッセイにより、CDH17が腺がんタイプのGIがんの有用な診断マーカーであることが確認された。CDH17発現の結果は、デジタルスコアリング法であるMスコアにより定量化することができる。図5は、Mスコアが、食道腺がん(EAC;n=35)、肝内胆管がん(iCCA;n=25)、膵管腺がn(PDAC;n=37)、胃腺がん(GAC;n=40)及び大腸腺がん(CRC;n=112)を、それらの健康な隣接組織と区別するために使用できることを示す。
【0038】
Mスコアによって測定されるように、自動化CDH17 IHCアッセイは、GIがんの起源を区別するために使用できる。CDH17(Lic3)IHCアッセイは、肝内胆管がん(iCCA)と肝外胆管がん(eCCA)のサブタイプをp=0.0024で有意に区別するために使用でき、食道がん、例えば、食道扁平上皮がん(ESCC)及び食道腺がん(EAC)をp=0.050で有意に区別するために使用できる(図6)。
【0039】
自動化CDH17 IHCアッセイは、CDH17発現レベルに対応するMスコアを測定することにより、進行期の膵管腺がん(PDAC)を検出するために使用できる(図7)。
実施例5:予後のMスコアカットオフ値
【0040】
自動化治療ガイドIHCアッセイは、標準化レポートテンプレートとしてクラウドベースのレポートに統合されることが望ましい。Mスコアは、計算範囲0~50である膜染色の定量的尺度である。図8は、すべての大腸がん患者におけるMスコア≦30及びMスコア>30の層別を示し、CDH17陽性率が高い患者(Mスコア-カットオフ値>30)は、より低い全生存率(ログランクp=0.021)及びより高いハザード率と関連することを示している。したがって、高レベルのCDH17発現は患者の予後不良と関連している。
実施例6:自動化及び統合されたCDH17 IHCシステム
【0041】
明視野イメージング分析システムは、CDH17 IHCアッセイプラットフォームの自動化に統合された。図9に示すように、統合されたCDH17 IHCシステムには、NMPA(中国国家医療製品総局)承認のハイスループット自動組織染色、デジタル化サンプルスコアリングアルゴリズム、及びクラウドベースのレポートシステムも含まれている。この明視野イメージング分析システムは、H&E(ヘマトキシリン及びエオシン)染色/IHCサンプルの定量的IHCスコアリングやホールスライドイメージングなどの様々な組織病理学のニーズに対応することができる。
【0042】
品質管理:CDH17の安定性と再現性は次のようにテストされた。連続10日間の検証期間の開始時に、発現が保持された腫瘍組織の5つのFFPEブロックのそれぞれから10枚の切片を切り取った。分析は、2人の異なる組織検査者によって交代で、これら5つのブロックのそれぞれからの1枚の未染色FFPEスライドに対して毎日実行された。アッセイの再現性は次のようにテストされた。発現が保持された腫瘍組織の3つのFFPEブロックのそれぞれから、3枚の切片を2つの異なる機械で染色した。各アッセイは、これらの検証実験全体にわたって一貫したパフォーマンスを示した。
実施例7:コンパニオン/スタンドアロン診断検査としての自動CDH17 IHCアッセイ
【0043】
組織サンプル中のCDH17に結合する特異性の高いCDH17抗体の使用は、診断、疾患の病期分類、腫瘍起源の区別、消化管の複数の進行性悪性腫瘍(胆管がん、食道がん、膵臓がん、胃がん及び大腸腺がんを含む)の予後に有用である。これらすべての悪性腫瘍において、従来のパソロジー/デジタルスコアリング(IHC膜スコアリング法)が、CDH17の定量化に使用することができる。従来のIHCスコアリングとデジタル法の間には良好な相関関係が示された(図10)。デジタルパソロジーシステムによって生成されたデジタルスコア(Mスコアなど)は、疾患の評価の指標となる。研究開発目標では、このカットオフは疾患の早期指標として使用することができる。各組織の異なる悪性腫瘍サブタイプの区別及び病期分類は、スコアのより高い閾値で行うことができる。組織診断検査は、その高い特異性と感度のため、臨床研究におけるコンパニオン診断ツールとしても、スタンドアロンのIVDアッセイとしても使用することができる。
【0044】
免疫組織化学染色の従来の手動方法では、人為的及び技術的バリエーションの導入に加えて、膨大な時間が必要である。プロセス全体を標準化することはほぼ不可能である。これに対し、IHC染色の自動化技術により、制御された温度と湿度設定で使いやすくなり、環境への影響を最小限に抑えながら、染色プロセスの様々なステップで正確なタイミングを確保することができる。各染色実行に必要な正確な試薬量がリストされ、適切な試薬の分注が保証される。自動化技術の最適化と検証は、アッセイ結果の信頼性を高めるために、日内、日中、プラットフォーム間の比較からなる精密な研究によって実行された。組織特異的及び多臓器組織マイクロアレイアッセイ(TMA)によって提供された様々なサンプルの異なる組織サンプルにおける染色結果の検証は、既知のテスト済みの染色と比較することによって行われた。
【0045】
CDH17IHCアッセイの臨床応用:このアッセイは、診断、悪性腫瘍のモニタリング、組織起源の識別、疾患の予後及びコンパニオン診断に使用することを目的としている。
【0046】
参考文献
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【0047】
表1:IHCアッセイにおける様々な抗CDH17一次抗体によるシグナル対ノイズ比
【表1】
表2:すべてのタイプのGIがんにおける高CDH17発現
【表2】
表3:ヒト正常組織における免疫反応性
【表3】
【0048】
配列表
>配列番号1: m7C5 VH
QVQLQQSGAELARPGASVKLSCKASGYTFTSYGLSWVKQRTGQGLEWIGEIFPRSGNSYYNEKFKGKAALTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCARHYYSSLYYAMDYWGQGTSVTVSS

>配列番号2: m7C5 VL
DIQVTQSPASLSASVGESVSITCGTNENLYGALNWYQRKQGKSPQLLIYGATNLADGMSSRFSGSGSGRQYSLKISSLHPDDVATYYCQNVLSTPRTFGGGTKLEIK

>配列番号3: mLic3 VH
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFSFSDYYMYWVRQAPEKRLEWVASISFDGTYTYYTDRVKGRFTISRDNAKNNLYLQMSSLKSEDTAMYYCARDRPAWFPYWGQGTLVTVSA

>配列番号4: mLic3 VL
DVLMTQIPLSLTVSLGDQASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQRPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPLTFGAGTKLELK

配列番号5: m9A6 VH
EVKLQESGPELVKPGASVTISCKASGYTFTDYYINWVKQRPGQGLEWIGWLFPGSGTTYYNEKFKGKATLTVAKSSSTAYMLLSSLTSEDSAVYFCARWGFGNYAFAYWGQGTLVTVSA

配列番号6: m9A6 VL
DIVLTQSQKFMSATVGDRVSITCKASQNVGTAVAWYQQKPGQSPKLLIYSPSSRNTGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQSEDLADYFCQQYSTYPRTFGGGTKLEIK

>配列番号7: m10C12 VH
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPGKGLEWVAVIDSNGGSTYYPDTVKDRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCSSYTNLGAYWGQGTLVTVSA

>配列番号8: m10C12 VL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISGYLNWLQQKPGGAIKRLIYTTSTLDSGVPKRFSGSGSGTDFATYYCLQYASSPFTFGGGTKVEIK

>配列番号9: m7C5重鎖CDR-H1配列
GYTFTSYG

>配列番号10: m7C5重鎖CDR-H2配列
IFPRSGNS

>配列番号11: m7C5重鎖CDR-H3配列
ARHYYSSLYYAMDY
>配列番号12: m7C5 light chain CDR-L1配列
ENLYGA
>配列番号13: m7C5 light chain CDR-L2配列
GAT
>配列番号14: m7C5 light chain CDR-L3配列
QNVLSTPRT
>配列番号15: mLic3重鎖CDR-H1配列
DYYMY

>配列番号16: mLic3重鎖CDR-H2配列
SISFDGTYTYYTDRVKG

>配列番号17: mLic3重鎖CDR-H3配列
DRPAWFPY

>配列番号18: mLic3軽鎖CDR-L1配列
RSSQSIVHSNGNTYLE
>配列番号19: mLic3軽鎖CDR-L2配列
KVSNRFS
>配列番号20: mLic3軽鎖CDR-L3配列
FQGSHVPLT
>配列番号21: m9A6重鎖CDR-H1配列
DYYIN

>配列番号22: m9A6重鎖CDR-H2配列
WLFPGSGTTYYNEKFKG

>配列番号23: m9A6重鎖CDR-H3配列
WGFGNYAFAY

>配列番号24: m9A6軽鎖CDR-L1配列
KASQNVGTAVA
>配列番号25: m9A6軽鎖CDR-L2配列
SPSSRNT
>配列番号26: m9A6軽鎖CDR-L3配列
QQYSTYPRT
>配列番号27: m10C12重鎖CDR-H1配列
SSYAMS

>配列番号28: m10C12重鎖CDR-H2配列
VIDSNGGSTYYPDTV

>配列番号29: m10C12重鎖CDR-H3配列
SYTNLGAY

>配列番号30: m10C12軽鎖CDR-L1配列
RASQDISGYLN
>配列番号31: m10C12軽鎖CDR-L2配列
TTSTLDS
>配列番号32: m10C12軽鎖CDR-L3配列
LQYASSPFT
図1
図2
図3
図4-1】
【図
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10-1】
図10-2】
【配列表】
2024537266000001.xml
【国際調査報告】