(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ベクトルコントラスト撮像における半径方向速度マッピングのための自動化された中心位置決めのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521804
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022078016
(87)【国際公開番号】W WO2023061895
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シ ウィリアム タオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シイン
(72)【発明者】
【氏名】エリコ クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ズン ミンシン
(72)【発明者】
【氏名】ロウパス タナシス
(72)【発明者】
【氏名】シーラン ポール
(72)【発明者】
【氏名】トレンブレイ‐ダルヴォー シャルル
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ ジェフリー アール
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DE06
4C601EE09
4C601JB34
4C601JB50
4C601JC06
4C601KK18
4C601KK29
(57)【要約】
ターゲット領域についての半径方向速度マップを生成するための方法100であって、本方法は、(i)ターゲット領域の超音波画像のシリーズを受信するステップ120と、(ii)ターゲット領域を表し、それぞれターゲット領域中の可能な半径方向中心を表す複数のポイントを含む、グリッドを生成するステップ130と、(iii)複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスを含む、グリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成するステップ140であって、半径方向フラックス大きさマップを生成するステップ140は、複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスが計算されるまで繰り返される以下のステップ、すなわち、複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択するステップ142と、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算するステップ144と、第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定するステップ146とを有する、半径方向フラックス大きさマップを生成するステップ140と、(iv)一連のコントラスト画像についての半径方向中心を自動的に選択するステップ150とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット領域についての半径方向速度マップを生成するための方法であって、前記方法は、
コントラスト強調超音波を使用して可視化された前記ターゲット領域の一連のコントラスト画像を受信するステップと、
前記ターゲット領域の一部又は全部を表し、それぞれ前記ターゲット領域中の可能な半径方向中心を表す複数のポイントを含む、グリッドを生成するステップと、
前記複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスを含む、前記グリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成するステップであって、前記半径方向フラックス大きさマップを生成するステップは、前記複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスが計算されるまで繰り返される以下のステップ、すなわち、
複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択するステップと、
前記一連のコントラスト画像の各々について、選択された前記ポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算するステップと、
前記一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、前記第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定するステップと
を有する、半径方向フラックス大きさマップを生成するステップと、
生成された前記半径方向フラックス大きさマップを使用して、前記一連のコントラスト画像についての半径方向中心を自動的に選択するステップであって、前記半径方向中心が、前記複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスをもつ、前記複数のポイントのうちの1つのポイントを含む、半径方向中心を自動的に選択するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記半径方向コントラストフラックスを決定するステップが、
前記一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、前記第1の領域内のすべてのピクセルにわたって、計算された前記半径方向速度フィールドを合計することによって、半径方向フラックスボリュームを決定するステップと、
決定された前記半径方向フラックスボリュームを時間と前記第1の領域の面積とによって除算するステップと
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
半径方向フラックスボリューム(RFV)を決定するステップが、式
RFV=Σ(V
r・ΔS・ΔT)
の計算を有し、ここで、V
rは半径方向速度フィールドであり、ΔSは、2D画像についての1つのピクセルのエリアカバレージ、又は3D画像についての1つのボクセルのボリュームカバレージであり、ΔTは、前記一連のコントラスト画像中の2つの連続画像間の時間間隔である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
半径方向コントラストフラックス(Flux)を生成するために、決定された前記半径方向フラックスボリュームを時間と前記第1の領域の面積とによって除算するステップが、式
Flux=RFV/T/A
の計算を有し、ここで、T=ΔT・(N
2-N
1)であり、ここで、N
1は前記一連のコントラスト画像中の開始画像であり、N
2は前記一連のコントラスト画像中の終了画像であり、Aは、2D画像についての前記第1の領域の面積、又は、3D画像についての前記第1の領域のボリュームである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のポイントが前記グリッド内で等距離に離間した、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のポイントが、前記ターゲット領域内のすべてのピクセルよりも少ないピクセルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記グリッド内の前記複数のポイントの密度が自動的に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ユーザインターフェースを介して、選択された前記半径方向中心及び/又は生成された前記半径方向フラックス大きさマップを与えるステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ターゲット領域についての半径方向速度マップを生成するためのシステムであって、前記システムは、
コントラスト強調超音波を使用して可視化された前記ターゲット領域の一連のコントラスト画像と、
(i)前記ターゲット領域の一部又は全部を表し、それぞれ前記ターゲット領域中の可能な半径方向中心を表す複数のポイントを含む、グリッドを生成することと、(ii)前記複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスを含む、前記グリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成することであって、前記半径方向フラックス大きさマップを生成することは、前記複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスが計算されるまで繰り返される以下のステップ、すなわち、(a)複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択するステップと、(b)前記一連のコントラスト画像の各々について、選択された前記ポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算するステップと、(c)前記一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、前記第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定するステップとを有する、半径方向フラックス大きさマップを生成することと、(iii)生成された前記半径方向フラックス大きさマップを使用して、前記一連のコントラスト画像についての半径方向中心を選択することであって、前記半径方向中心が、前記複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスをもつ、前記複数のポイントのうちの1つのポイントを含む、半径方向中心を選択することとを行うためのプロセッサと、
選択された前記半径方向中心を与えるためのユーザインターフェースと
を備える、システム。
【請求項10】
前記半径方向コントラストフラックスを決定するステップが、
前記一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、前記第1の領域内のすべてのピクセルにわたって、計算された前記半径方向速度フィールドを合計することによって、半径方向フラックスボリュームを決定するステップと、
決定された前記半径方向フラックスボリュームを時間と前記第1の領域の面積とによって除算するステップと
を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
半径方向フラックスボリューム(RFV)を決定するステップが、式
RFV=Σ(V
r・ΔS・ΔT)
の計算を有し、ここで、Vrは半径方向速度フィールドであり、ΔSは、2D画像についての1つのピクセルのエリアカバレージ、又は3D画像についての1つのボクセルのボリュームカバレージであり、ΔTは、前記一連のコントラスト画像中の2つの連続画像間の時間間隔である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
半径方向コントラストフラックス(Flux)を生成するために、決定された前記半径方向フラックスボリュームを時間と前記第1の領域の面積とによって除算する前記ステップが、式
Flux=RFV/T/A
を有し、ここで、T=ΔT・(N
2-N
1)であり、ここで、N
1は前記一連のコントラスト画像中の開始画像であり、N
2は前記一連のコントラスト画像中の終了画像であり、Aは、2D画像についての前記第1の領域の面積、又は、3D画像についての前記第1の領域のボリュームである、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のポイントが前記グリッド内で等距離に離間した、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のポイントが、前記ターゲット領域内のすべてのピクセルよりも少ないピクセルを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記ユーザインターフェースが、さらに、生成された前記半径方向フラックス大きさマップを与える、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
コンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータに請求項1に記載の方法のステップを実行させる命令を含む非一時的メモリで具現化された、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、一般に、ベクトルコントラスト撮像における半径方向速度マップを生成するための方法及びシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002] コントラスト強調超音波(contrast-enhanced ultrasound)(CEUS)は、気体のマイクロバブル及び/又はナノバブルを含む造影剤の静脈注射の後の当該の組織の超音波撮像である。CEUS画像は、コントラストボーラス(bolus)の持続時間にわたる病変又は器官中への又は病変又は器官中からの造影剤ウォッシュイン及びウォッシュアウトのマイクロバブルとして収集される。当該の病変又は器官によって示された動的なウォッシュイン及びウォッシュアウトのパターンは、次いで、病変又は疾患を特徴づけるために利用される。
【0003】
[0003] ベクトルコントラスト撮像(vector contrast imaging)(VCI)は、より確信のある分析及び診断を行うことを目的として、マイクロバブルの動き及び速度を(大きさと方向の両方をもつ)ベクトルとして可視化し、定量化するための画期的な手法として最近出現した。所定の半径方向中心に対する速度大きさ、速度方向、及び半径方向速度を含む、VCIを用いたバブルのマッピング及び可視化のために利用可能な様々な特徴がある。血管分布(vascularity)の容易な可視化のために、各フレーム上の病変又は器官を灌流するコントラストマイクロバブルのロケーション及び/又は速度がすべての選択されたフレームにわたって累積されるので、時間的累積表示がしばしば利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] しかしながら、VCIはマイクロバブルの速度及び/又は方向のマップを与えることができるが、この情報は、特に、1つ又は複数のフロー中心をもつ複雑な流入(filling)パターンのコンテキストにおいては解釈するのが難しい。そのような状況では、選択されたCEUS撮像シーケンス中の局所的な血流のソース又はドレインに関連付けられた所定の半径方向中心に対する半径方向速度の形態の速度ベクトルを表すことは、物理学的に意味があり、血行力学的に(すなわち超音波コントラスト動力学的に)有効である。さらに、VCIの分析のためには、半径方向速度の空間分布と時間的累積とを計算する前に、方向中心を決定するべきである。適正な方向中心を選定することは、VCIの解釈及び理解に、したがって患者の状態及び診断に著しい影響を及ぼし得る。しかしながら、方向中心を選定することはかなり主観的で不正確になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] したがって、コントラスト強調超音波中にベクトルコントラスト撮像のための方向中心を自動的に客観的に決定する方法及びシステムが引き続き必要である。本明細書中の様々な実施形態及び実装形態は、コントラスト強調超音波中のベクトルコントラスト撮像される領域のための方向中心を自動的に決定することを含む、半径方向速度マップを生成するための方法及びシステムを対象とする。本システムは、コントラスト強調超音波を使用して可視化された患者のターゲット領域の一連のコントラスト画像を受信する。本システムは、次いで、ターゲット領域の一部又は全部を表し、それぞれターゲット領域中の可能な半径方向中心を表す複数のポイントを含む、グリッドを生成する。本システムは、複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスを含む、グリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成する。半径方向フラックス大きさマップは、これらの複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスが計算されるまで繰り返される以下のステップ、すなわち、(i)複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択するステップと、(ii)一連のコントラスト画像の各々について、選択されたポイントの周りの第1の領域(例えば、所定の半径をもつ限られた円形領域)についての半径方向速度フィールドを計算するステップと、(iii)一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定するステップとによって生成される。本システムは、次いで、生成された半径方向フラックス大きさマップを使用して、一連のコントラスト画像についての半径方向中心を動的に選択することであって、半径方向中心が、複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスをもつ、複数のポイントのうちの1つのポイントを含む、半径方向中心を動的に選択することを行う。本システムは、次いで、ユーザインターフェースを介して、選択された半径方向中心及び/又は生成された半径方向フラックス大きさマップの可視化をユーザに与える。
【0006】
[0006] 概して、一態様では、ターゲット領域についての半径方向速度マップを生成するための方法が提供される。本方法は、(i)コントラスト強調超音波を使用して可視化されたターゲット領域の一連のコントラスト画像を受信するステップと、(ii)ターゲット領域の一部又は全部を表し、それぞれターゲット領域中の可能な半径方向中心を表す複数のポイントを含む、グリッドを生成するステップと、(iii)複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスを含む、グリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成するステップであって、その半径方向フラックス大きさマップを生成するステップは、複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスが計算されるまで繰り返される以下のステップ、すなわち、(1)複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択するステップと、(2)一連のコントラスト画像の各々について、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算するステップと、(3)一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定するステップとを有する、半径方向フラックス大きさマップを生成するステップと、(iv)生成された半径方向フラックス大きさマップを使用して、一連のコントラスト画像についての半径方向中心を自動的に選択するステップであって、半径方向中心が、複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスをもつ、複数のポイントのうちの1つのポイントを含む、半径方向中心を自動的に選択するステップとを有する。
【0007】
[0007] 一実施形態によれば、半径方向コントラストフラックスを決定するステップは、一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、第1の領域内のすべてのピクセルにわたって、計算された半径方向速度フィールドを合計することによって、半径方向フラックスボリュームを決定するステップと、決定された半径方向フラックスボリュームを時間と第1の領域の面積とによって除算するステップとを有する。
【0008】
[0008] 一実施形態によれば、半径方向フラックスボリューム(RFV)を決定するステップは、式 RFV=Σ(Vr・ΔS・ΔT)を有し、ここで、Vrは半径方向速度フィールドであり、ΔSは、2Dコントラスト画像中の1つのピクセルのエリアカバレージであり、ΔTは、一連のコントラスト画像中の2つの連続画像間の時間間隔である。ΔSは、3D一連のコントラスト画像中では1つのボクセルのボリュームであることに留意されたい。
【0009】
[0009] 一実施形態によれば、半径方向コントラストフラックス(Flux)を生成するために、決定された半径方向フラックスボリュームを時間と第1の領域の面積とによって除算するステップは、式 Flux=RFV/T/Aを有し、ここで、T=ΔT・(N2-N1)であり、ここで、N1は一連のコントラスト画像中の開始画像であり、N2は一連のコントラスト画像中の終了画像であり、Aは、2Dコントラスト画像についての第1の領域の面積である。Aは、3Dコントラスト画像については第1の領域のボリュームであることに留意されたい。
【0010】
[0010] 一実施形態によれば、複数のポイントはグリッド内で等距離に離間している。
【0011】
[0011] 一実施形態によれば、複数のポイントは、ターゲット領域内のすべてのピクセルよりも少ないピクセルを含む。
【0012】
[0012] 一実施形態によれば、グリッド内の複数のポイントの密度は自動的に決定される。
【0013】
[0013] 一実施形態によれば、本方法は、さらに、ユーザインターフェースを介して、選択された半径方向中心及び/又は生成された半径方向フラックス大きさマップを与えるステップを有する。
【0014】
[0014] 第2の態様によれば、ターゲット領域についての半径方向速度マップを生成するためのシステムが提供される。本システムは、コントラスト強調超音波を使用して可視化されたターゲット領域の一連のコントラスト画像を備える。本システムはまた、(i)ターゲット領域の一部又は全部を表し、それぞれターゲット領域中の可能な半径方向中心を表す複数のポイントを含む、グリッドを生成することと、(ii)複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスを含む、グリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成することであって、その半径方向フラックス大きさマップを生成することは、複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスが計算されるまで繰り返される以下のステップ、すなわち、(a)複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択するステップと、(b)一連のコントラスト画像の各々について、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算するステップと、(c)一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定するステップとを有する、半径方向フラックス大きさマップを生成することと、(iii)生成された半径方向フラックス大きさマップを使用して、一連のコントラスト画像についての半径方向中心を選択するステップであって、半径方向中心が、複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスをもつ、複数のポイントのうちの1つのポイントを含む、半径方向中心を選択することとを行うためのプロセッサを備える。本システムはまた、選択された半径方向中心を与えるためのユーザインターフェースを備える。
【0015】
[0015]一実施形態によれば、ユーザインターフェースは、さらに、生成された半径方向フラックス大きさマップを与える。
【0016】
[0016] 以下でより詳細に説明する上記の概念と追加の概念とのすべての組合せが、(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)本明細書で開示する発明的主題の一部であるとして企図されることを諒解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題のすべての組合せが、本明細書で開示する発明的主題の一部であるとして企図される。また、参照により組み込まれる開示中にも現れ得る、本明細書で明示的に採用する用語には、本明細書で開示する特定の概念に最も一致する意味が与えられるべきであることを諒解されたい。
【0017】
[0017] 様々な実施形態のこれらの及び他の態様は、以下で説明する実施形態から明らかになり、それらの実施形態を参照すれば解明されよう。
【0018】
[0018] 図面では、異なる図全体にわたって同様の参照符号は概して同じ部分を指す。様々な実施形態を実施する特徴及び仕方を示す図は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る他の可能な実施形態に限定されるとして解釈されるべきでない。また、図面は必ずしも縮尺が一定でなく、代わりに、通常、様々な実施形態の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】[0019] 一実施形態による、半径方向速度マップを生成するための方法のフローチャートである。
【
図2】[0020] 一実施形態による、半径方向速度マッピングシステムの概略表現を示す図である。
【
図3】[0021] 一実施形態による、それぞれ、選択された第1のポイント(「半径方向中心」)と、その選択された第1のポイントを囲む選択された第1の領域(「円形エリア」)とを含む、コントラスト強調超音波画像のシリーズの概略表現を示す図である。
【
図4A】[0022] 一実施形態による、元の値を示す半径方向フラックスマップである。
【
図4B】[0023] 一実施形態による、半径方向フラックスの絶対値を示す半径方向フラックスマップである。
【
図5】[0024] 一実施形態による、内向き半径方向と外向き半径方向の両方における最大フラックス値のロケーションを示す半径方向フラックス大きさマップである。
【
図6】[0025] 一実施形態による、それの半径方向中心が半径方向フラックス大きさマップ中の最大フラックス値のロケーションによって自動的に決定される、半径方向流速マップである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0026] 本開示では、コントラスト強調超音波におけるベクトルコントラスト撮像された領域についての方向中心を自動的に決定するためのシステム及び方法の様々な実施形態について説明する。より一般的には、出願人は、ベクトルコントラスト撮像の分析を著しく改善するための方法及びシステムを提供することが有益であることを認識し、諒解している。したがって、半径方向速度マッピングシステムは、コントラスト強調超音波を使用して可視化された患者のターゲット領域の一連のコントラスト画像を受信する。本システムは、次いで、ターゲット領域の一部又は全部を表し、それぞれターゲット領域中の可能な半径方向中心を表す複数のポイントを含む、グリッドを生成する。本システムは、複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスを含む、グリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成する。半径方向フラックス大きさマップは、これらの複数のポイントの各々についての半径方向コントラストフラックスが計算されるまで繰り返される以下のステップ、すなわち、(i)複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択するステップと、(ii)一連のコントラスト画像の各々について、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算するステップと、(iii)一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定するステップとによって生成される。本システムは、次いで、生成された半径方向フラックス大きさマップを使用して、一連のコントラスト画像についての半径方向中心を自動的に選択することであって、半径方向中心が、複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスをもつ、複数のポイントのうちの1つのポイントを含む、半径方向中心を自動的に選択することを行う。本システムは、次いで、ユーザインターフェースを介して、選択された半径方向中心及び/又は生成された半径方向フラックス大きさマップの可視化をユーザに与える。
【0021】
[0027] したがって、一実施形態によれば、本明細書で説明するか又はさもなければ想定する方法及びシステムは、方向フローパターンの客観的な文書化のための定量的フローパラメータを作成する。本方法及び本システムは、定量的フローパラメータマップから、外向きフローについての中央ロケーションをソースとして識別し、内向きフローについての中央ロケーションをシンク(sink)として識別する。さらに、本方法及び本システムは、方向フローパターン中のソース及び/又はドレインに基づく半径方向速度撮像のための方向中心の自動位置決めを可能にする。
【0022】
[0028] 一実施形態によれば、本明細書で説明するか又はさもなければ想定するシステム及び方法は、いくつかの非限定的な実施形態では、コントラスト強調超音波方法又はシステムのための商品のための一要素として実装され得る。
【0023】
[0029]
図1を参照すると、一実施形態では、半径方向速度マッピングシステムを使用してターゲット領域についての半径方向速度マップを生成するための方法100のフローチャートが提供される。図に関して説明する方法は、単に例として与えられ、本開示の範囲を限定しないものとして理解されるものとする。半径方向速度マッピングシステムは、本明細書で説明するか又はさもなければ想定するシステムのいずれかであり得る。半径方向速度マッピングシステムは単一のシステム又は複数の異なるシステムであり得る。
【0024】
[0030] 本方法のステップ110において、半径方向速度マッピングシステムが与えられる。
図2に示されている半径方向速度マッピングシステム200の一実施形態を参照すると、例えば、本システムは、1つ又は複数のシステムバス212を介して相互接続された、プロセッサ220、メモリ230、ユーザインターフェース240、通信インターフェース250、及びストレージ260のうちの1つ又は複数を備える。
図2はいくつかの点において抽象であること、及び、システム200の構成要素の実際の編成は、示されているものとは異なる、より複雑なものであり得ることが理解されよう。さらに、半径方向速度マッピングシステム200は、本明細書で説明するか又はさもなければ想定するシステムのいずれかであり得る。半径方向速度マッピングシステム200の他の要素及び構成要素は、本明細書の他の場所で開示及び/又は想定される。
【0025】
[0031] 本方法のステップ120において、超音波画像のシリーズが受信される。超音波画像は、本方法のために利用することが可能な任意の画像であり得る。一実施形態によれば、気体のマイクロバブル及び/又はナノバブルを含む造影剤の導入の後に患者の中の関心領域が画像化される、コントラスト強調超音波を介して、所定の時間期間にわたって超音波画像のシリーズが得られる。それらの画像は、次いで、可能な構成要素の中でも、腫瘍又は器官など、関心領域の1つ又は複数の構成要素中に出入りする造影剤からのバブルとして収集される。一実施形態によれば、それらの画像は、マイクロバブルの方向及び速度を可視化及び定量化するためにベクトルコントラスト撮像(VCI)を利用することができるような画像である。速度大きさ、速度方向、及び所定の半径方向中心に対する半径方向速度を含む、VCIを用いたバブルのマッピング及び可視化のために利用可能な様々な特徴がある。
【0026】
[0032] 一実施形態によれば、コントラスト強調超音波画像を得るために利用される超音波デバイスは半径方向速度マッピングシステムの一構成要素である。しかしながら、別の実施形態によれば、コントラスト強調超音波画像を得るために利用される超音波デバイスは、半径方向速度マッピングシステムの一構成要素ではなく、代わりに、本システムはローカル又はリモート超音波システムからの画像を受信する。半径方向速度マッピングシステムの一構成要素であることもないこともあるローカル又はリモート超音波システムは即時の又は将来の分析のための画像を得る。したがって、コントラスト強調超音波画像は、画像処理の前又は後に、直ちに利用されるか、又は本方法のさらなるステップにおいて使用するためにローカル又はリモートストレージに記憶される。即時の分析の場合、本システムは超音波デバイスからの画像を受信又は取得する。後の分析の場合、本システムはストレージから画像を受信又は取得する。
【0027】
[0033] 本方法のステップ130において、半径方向速度マッピングシステムは、可視化されたターゲット領域の一部又は全部を表し、グリッドに、又はさもなければグリッド中若しくはグリッド上に複数のポイントを含む、当該グリッドを生成する。これらのポイントの各々は、グリッド化されたターゲット領域についての可能な半径方向中心である。1つ又は複数の血流ソース及び/又はドレインをもつターゲット領域についてのベクトルコントラスト撮像(VCI)を実行するために、バブル動きの方向及び速度が半径方向中心に関して定量化又は可視化される。半径方向中心は手動で決定又は事前決定することができるが、このことはVCI分析における主観性をもたらす。本明細書で説明するか又はさもなければ想定する方法及びシステムを使用して、半径方向速度マッピングシステムは、半径方向中心を決定するための客観的な方法を与える。一実施形態によれば、グリッドは本システムのメモリ中に生成される。複数のポイントが本システムによって自動的に決定され、それらのポイントは、ランダムに離間しているか、又はグリッド内で互いに対して等距離に離間していることがある。
【0028】
[0034] 本方法のステップ140において、半径方向速度マッピングシステムは、生成されたグリッドのための半径方向フラックス大きさマップを生成する。半径方向フラックス大きさマップは、グリッド中の複数のポイントの一部又は全部についての半径方向コントラストフラックスを含む。半径方向フラックス大きさマップは、本システムによる半径方向中心の選択を容易にする。半径方向フラックス大きさマップは、本明細書で説明するか又はさもなければ想定する方法を含む様々な機構を使用して生成することができる。
【0029】
[0035] 一実施形態によれば、以下の方法は半径方向フラックス大きさマップを生成するために利用されるが、その例は非限定的である。本方法は、利用されることが意図される、複数のポイントの各々又は複数のポイントのすべてが、計算された半径方向コントラストフラックスを含むまで繰り返される。
【0030】
[0036] ステップ142において、複数のポイントのうちの1つのポイントが半径方向中心として選択される。これは、ランダムな選択に基づくこともあり、ユーザ又は本システムのいずれかからの何らかの入力に基づくこともある。例えば、ユーザは、グリッド中の一時的な又は永久的なポイントを第1の半径方向中心になるように指定する。別の例として、本システムは、毎回同じポイントを選択すること、又はポイントをランダムに選択することによって、第1のポイントを第1の半径方向中心として選択する。第2の半径方向中心として選択される次のポイントは、第1のポイントの選択に基づくこともあり、同様にランダム選択又はユーザ選択されることもある。
【0031】
[0037] ステップ144において、本システムは、得られた又は受信されたコントラスト画像の複数のシリーズについて、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算する。一実施形態によれば、本システムは、開始画像又はフレームN1で開始し、終了画像又はフレームNnで終了する画像の一部又は全部を含む、得られた又は受信されたコントラスト画像のシーケンスを選択することができる。
【0032】
[0038] 一実施形態によれば、半径方向速度フィールドが計算される第1の選択されたポイントの周りの領域は任意の形状又はサイズであり得る。領域の形状及び/又はサイズは、生成されたグリッド、選択されたポイント、ターゲット領域、事前決定若しくは事前プログラムされたパラメータ、及び/又は任意の他の要素に基づき得る。一実施形態によれば、領域は、第1の直径をもち、円の中心における第1の選択されたポイントを有する、円形エリアである。
【0033】
[0039]
図3を参照すると、一実施形態では、それぞれ、選択された第1のポイント(「半径方向中心」)と、その選択された第1のポイントを囲む選択された第1の領域(「円形エリア」)とを含む、コントラスト強調超音波画像のシリーズが提供される。図では円として示されているが、第1の領域は任意の形状及びサイズであり得る。
【0034】
[0040] 本システムは、選択されたフレーム(N1…Nn)の各々についての半径方向中心の周りの半径方向速度フィールドVRを決定する。半径方向速度フィールドVRは、半径方向速度フィールドを決定するための任意の方法又は機構を使用して計算することができる。一実施形態によれば、半径方向速度フィールドは、画像ピクセル変位のための画像相互相関方法(すなわちブロックマッチング)、又はマイクロバブルのペアリング及び追跡のためのHungarianアルゴリズムを使用して計算されるが、他の方法が可能である。一実施形態によれば、Hungarianアルゴリズムは、複数のフレームにわたってマイクロバブルを追跡するときにより正確であるが、画像相互相関ベースの方法よりも計算コストにおいて効率が低い。他の方法が可能である。計算された半径方向速度フィールドVRは、直ちに利用することもできるし、後の使用のためにローカル又はリモートメモリに記憶することもできる。
【0035】
[0041] ステップ146において、本システムは、一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定する。半径方向コントラストフラックスは、多種多様な方法に従って決定することができる。
【0036】
[0042] 半径方向コントラストフラックスを決定するための一実施形態によれば、本システムは、一連のコントラスト画像(N1…Nn)の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、選択された第1の領域内のすべてのピクセルにわたって、計算された半径方向速度フィールドを合計し、決定された半径方向フラックスボリュームを時間と選択された第1の領域の面積とによって除算する。例えば、選択された第1の領域に囲まれている半径方向フラックスボリューム(RFV)を決定することは、式
RFV=Σ(Vr・ΔS・ΔT) (式1)
を含み得、ここで、Vrは半径方向速度フィールドであり、ΔSは、2D画像についての1つのピクセルのエリアカバレージ、又は3D画像についての1つのボクセルのボリュームカバレージであり、ΔTは、一連のコントラスト画像(N1…Nn)中の2つの連続画像間の時間間隔である。
【0037】
[0043] 一実施形態によれば、半径方向コントラストフラックス(Flux)を生成するために、決定された半径方向フラックスボリュームを時間と第1の領域の面積とによって除算することは、式
Flux=RFV/T/A (式2)
を含み、ここで、T=ΔT・(Nn-N1)であり、ここで、N1は一連のコントラスト画像中の開始画像であり、Nnは一連のコントラスト画像中の終了画像であり、Aは、2D画像についての第1の領域の面積、又は3D画像についての第1の領域のボリュームである。
【0038】
[0044] ステップ142、144、及び146は、生成されたグリッド中の複数のポイントの各々について繰り返され、それらのステップの後に、ステップ140において本方法のループは終了する。例えば、
図1中の決定ポイント148において、本システムは、ステップ142、144、及び146が複数のポイントのうちの追加の1つのポイントについて繰り返されるかどうかを尋ねる。繰り返される場合、本システムはステップ142に進む。繰り返されない場合、本システムはステップ140に進む。特に、しかしながら、これは、半径方向コントラストフラックスを決定するための方法の一例にすぎない。ステップ140の終了時に、しかしながら、本システムは、生成されたグリッドのための半径方向フラックス大きさマップを含む。生成された半径方向フラックス大きさマップは、直ちに利用されることもあり、本方法による後の使用のためにローカル又はリモートストレージ中に保存されることもある。
【0039】
[0045] 本方法のステップ150において、半径方向速度マッピングシステムは、生成された半径方向フラックス大きさマップを利用して半径方向中心を客観的に選定する。一実施形態によれば、半径方向速度マッピングシステムは、生成された半径方向フラックス大きさマップを使用して半径方向中心を自動的に選択する。例えば、本システムは、複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスを含む、複数のポイント内のポイントを選択することができる。
【0040】
[0046]
図4A及び
図4Bを参照すると、例えば、半径方向中心を選択するために利用することができる画像相互相関方法を使用して生成された、2Dコントラスト画像についての半径方向フラックス大きさマップの例が提供される。
図4Aは、元の値を示す(したがって、正及び負のフラックスをもつ)半径方向フラックスマップであり、
図4Bは、半径方向フラックスの絶対値(mL/s/cm
2)を示す半径方向フラックスマップである。この非限定的な例の場合、マップは、人間の異常な甲状腺についてのコントラスト画像内のROIの両方の次元において10ピクセル(0.8mm)ごとに離間した2Dグリッドにわたって構築された。半径方向フラックスの元の値及び絶対値は、25ピクセル(2mm)の半径をもつ円形エリアにわたる(初期コントラスト出現の後の)200フレームにわたって計算された。他のパラメータが可能である。
【0041】
[0047] 一実施形態によれば、方向フローパターンを定量化するために、(
図4A及び
図4B中の半径方向コントラストフラックス及びそれの大きさなど)フローパラメータの空間分布マップを構築することができる。半径方向フラックスの計算については、(円エリアが大きいほど低い)フラックスの計算における低い変動と、(円エリアが小さいほど高い)高感度の空間分布の両方を維持するために(選択された第1の領域としての)半径方向エリアの十分な直径を選択することが重要である。画像シーケンスのタイミングと長さとを適切に選択することも重要である。これらのパラメータは、事前決定されることもあり、実験的に導出されることもある。
【0042】
[0048] 一実施形態によれば、半径方向速度マップ中の半径方向中心は複雑なフローパターンにおける焦点を表し、したがって、定量的フローパラメータの空間分布マップは半径方向中心の自動選択のために利用することができる。画像相互相関方法に基づく2次元(2D)VCIについて
図5及び
図6中で実証されているように、半径方向フラックス大きさマップ中の最大フラックス大きさ値のロケーション(
図5)は、半径方向流速マップについての半径方向中心(
図6)として直接使用することができる。これは、定量的フローマップを使用した半径方向中心の自動選択の一例である。したがって、
図5は、内向き半径方向と外向き半径方向の両方における最大フラックス値のロケーションを示す半径方向フラックス大きさマップを含む。
図6は、それの半径方向中心が半径方向フラックス大きさマップ中の最大フラックス値のロケーションによって自動的に決定される、半径方向流速マップを含む。
【0043】
[0049] 非限定的な一実施形態によれば、ユーザはグリッドサイズ及び/又はグリッドポイント当たりの面積を選択することができ、本システムは、マップを自動的に計算し、最高流入/流出ポイントの位置を自動的に特定し、それらの値を表示する。しきい値は、アルゴリズムを最高ポイント、したがって最大絶対値のみに制限するように設定され得る。一実施形態によれば、フラックスは発散定理(ガウスの法則)に結び付けられ得る。したがって、本システムは、代替的に、速度ベクトルフィールドの発散を計算し、これを使用して直接フラックスを計算する。
【0044】
[0050] 一実施形態によれば、半径方向フラックスを、(中心又は軸から離れる方向に移動する)遠心フローのみについての「外向きフラックス」と、(中心又は軸に向かう方向に移動する)求心フローのみについての「内向きフラックス」とに分離することもできる。外向きフラックスは、正の半径方向速度(VR>0)のみを用いて計算することができ、内向きフラックスは、負の半径方向速度(VR<0)のみを用いて計算することができる。半径方向フラックスは、したがって、外向き半径方向フラックスと内向き半径方向フラックスとの和であり得る。一実施形態によれば、内向き及び外向き半径方向フラックスはHungarianアルゴリズムベースのVCIマップに特に有用であり得る。これは、そのようなVCIマップ上の複数のフレームにわたる個々のマイクロバブルの追跡を介して、密接に隣り合う反対のフローを別個に撮像することができるためである。内向き、外向き、及び通常の半径方向速度マップ中の半径方向中心は、それぞれ、(VR<0のみを用いた)内向きフラックスマップ、(VR>0のみを用いた)外向きフラックスマップ、及び通常のフラックスマップ(すなわち、内向きフラックスと外向きフラックスとの和のマップ)中の最大絶対値のロケーションから決定することができる。多くの他の方法が可能である。
【0045】
[0051] 本方法のステップ160において、本システムは、可能な情報の中でも、選択された半径方向中心と生成された半径方向フラックス大きさマップとのうちの1つ又は複数を含む報告を与える。本システムは、本システムのユーザインターフェースを介してその報告を臨床医又は他のユーザに与えることができる。表示は、患者についての情報、コントラスト強調超音波、及び/又は他の情報をも含む。いずれかの情報がワイヤード及び/又はワイヤレス通信によって別のデバイスに通信される。例えば、本システムは、モバイルフォン、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、並びに/又は報告の表示及び/若しくは他の通信を可能にするように構成された他のデバイスに情報を通信する。ユーザインターフェースは、情報を伝達及び/又は受信することを可能にし、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含む、任意のデバイス又はシステムであり得る。
【0046】
[0052] 本方法の随意のステップ170において、ステップ160によって生成された情報が本システムによって臨床医又は他の意思決定者に電子的に与えられ、臨床医又は他の意思決定者は、次いで、患者ケアの意思決定のために、選択された半径方向中心及び/又は生成された半径方向フラックス大きさマップとともに、表示されたグラフィックスを利用する。例えば、臨床医又は他の意思決定者は、自動的に選択された半径方向中心をもつ半径方向流速マップなど、表示されたグラフィックスを利用して、病変、器官、腫瘍、又は他のターゲットエリアにおける血流を解釈することができる。血流の解釈は、例えば診断であり、したがって、この診断を利用して患者のための治療又は他のケアの選択肢を選択することができる。情報を後の使用のために臨床意思決定支援(CDS)システム中に自動的に与えることなど、多くの他の実装形態が可能である。
【0047】
[0053]
図2を参照すると、半径方向速度マッピングシステム200の概略表現が示されている。システム200は、本明細書で説明するか又はさもなければ想定するシステムのいずれかであり、本明細書で説明するか又はさもなければ想定する構成要素のいずれかを備える。
図2はいくつかの点において抽象であること、及び、システム200の構成要素の実際の編成は、示されているものとは異なる、より複雑なものであり得ることが理解されよう。
【0048】
[0054] 一実施形態によれば、システム200は、例えば、本方法の1つ又は複数のステップを実行するために、メモリ230又はストレージ260に記憶された命令を実行すること或いは別様にデータを処理することが可能なプロセッサ220を備える。例えば、非一時的メモリにおいて実施されるコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ又はプロセッサ220によって実行されたときに、コンピュータ又はプロセッサ220に本方法のステップを実行させる命令を含む。プロセッサ220は1つ又は複数のモジュールの形態であり得る。プロセッサ220は、限定はしないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、単一のプロセッサ、又は複数のプロセッサを含む、任意の好適な形態をとり得る。
【0049】
[0055] メモリ230は、不揮発性メモリ及び/又はRAMを含む、任意の好適な形態をとり得る。メモリ230は、例えば、L1、L2若しくはL3キャッシュ、又はシステムメモリなど、様々なメモリを含む。したがって、メモリ230は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、又は他の同様のメモリデバイスを含む。メモリは、とりわけ、オペレーティングシステムを記憶することができる。RAMはデータの一時的記憶のためにプロセッサによって使用される。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、プロセッサによって実行されたときにシステム200の1つ又は複数の構成要素の動作を制御するコードを含んでいる。プロセッサがハードウェアにおける本明細書で説明する機能のうちの1つ又は複数を実施する実施形態では、他の実施形態ではそのような機能に対応するものとして説明されるソフトウェアは省略され得ることが明らかであろう。
【0050】
[0056] ユーザインターフェース240は、ユーザとの通信を可能にするための1つ又は複数のデバイスを含む。ユーザインターフェースは、情報を伝達及び/又は受信することを可能にし、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含む、任意のデバイス又はシステムであり得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース240は、通信インターフェース250を介してリモート端末に提示されるコマンドラインインターフェース又はグラフィカルユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースは、本システムの1つ又は複数の他の構成要素とともに設置されることもあり、本システムから遠隔に設置され、ワイヤード及び/又はワイヤレス通信ネットワークを介して通信していることもある。
【0051】
[0057] 通信インターフェース250は、他のハードウェアデバイスとの通信を可能にするための1つ又は複数のデバイスを含む。例えば、通信インターフェース250は、イーサネットプロトコルに従って通信するように構成されたネットワークインターフェースカード(NIC)を含む。さらに、通信インターフェース250は、TCP/IPプロトコルに従った通信のためのTCP/IPスタックを実装する。通信インターフェース250のための様々な代替又は追加のハードウェア又は構成が明らかであろう。
【0052】
[0058] ストレージ260は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、又は同様の記憶媒体など、1つ又は複数の機械可読記憶媒体を含む。様々な実施形態では、ストレージ260は、プロセッサ220による実行のための命令、又はプロセッサ220がそれに対して動作するデータを記憶する。例えば、ストレージ260は、システム200の様々な動作を制御するためのオペレーティングシステム261を記憶する。
【0053】
[0059] ストレージ260に記憶されるものとして説明した様々な情報は、追加又は代替としてメモリ230に記憶され得ることが明らかであろう。この点で、メモリ230はまた、記憶デバイスを構成すると考えられ、ストレージ260はメモリと考えられる。様々な他の構成が明らかであろう。さらに、メモリ230とストレージ260はどちらも非一時的機械可読媒体であると考えられる。本明細書で使用する際、非一時的という用語は、一時的な信号を除外するが、揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含むすべての形態のストレージを含むことが理解されよう。
【0054】
[0060] システム200は各説明する構成要素のうちの1つを含むものとして示されているが、様々な構成要素は様々な実施形態において繰り返されることがある。例えば、プロセッサ220は、本明細書で説明する方法を単独で実行するように構成された、或いは、複数のプロセッサが本明細書で説明する機能を達成するために協働するように本明細書で説明する本方法のステップ又はサブルーチンを実行するように構成された、複数のマイクロプロセッサを含む。さらに、システム200の1つ又は複数の構成要素がクラウドコンピューティングシステム中に実装される場合、様々なハードウェア構成要素は別個の物理的システムに属し得る。例えば、プロセッサ220は第1のサーバ中の第1のプロセッサと第2のサーバ中の第2のプロセッサとを含む。多くの他の変形形態及び構成が可能である。
【0055】
[0061] 一実施形態によれば、電子医療記録システム270は、患者から/患者について得られた超音波画像を含む、患者についての情報がそれから得られる又は受信される、電子医療記録データベースである。電子医療記録データベースは、ローカル又はリモートデータベースであり得、半径方向速度マッピングシステム200と直接及び/又は間接的に通信している。したがって、一実施形態によれば、半径方向速度マッピングシステムは電子医療記録データベース又はシステム270を備える。
【0056】
[0062] 一実施形態によれば、本システムは超音波デバイス280を備える。超音波デバイスは、本明細書で説明するか又はさもなければ想定するコントラスト強調画像をキャプチャすることが可能な任意の超音波であり得る。別の実施形態によれば、超音波デバイスを備えるのではなく、本システムは、1つ又は複数の超音波画像がそれから得られるか又は別様に受信される、ローカル又はリモート超音波デバイスと単にワイヤレス及び/又はワイヤード通信している。
【0057】
[0063] 一実施形態によれば、システム200のストレージ260は、本明細書で説明するか又はさもなければ想定する方法の1つ又は複数の機能又はステップを実行するために1つ又は複数のアルゴリズム、モジュール、及び/又は命令を記憶する。例えば、本システムは、命令又はデータの中でも、半径方向フラックス大きさマップ命令262、半径方向中心選択命令263、及び/又は報告命令264を備える。
【0058】
[0064] 一実施形態によれば、半径方向フラックス大きさマップ命令262は、半径方向フラックス大きさマップを生成するように本システムに指示する。一実施形態によれば、半径方向フラックス大きさマップはグリッド中の複数のポイントの一部又は全部についての半径方向コントラストフラックスを含む。半径方向フラックス大きさマップは、様々な機構を使用して生成することができる。一実施形態によれば、本システムはグリッド中の複数のポイントのうちの1つのポイントを半径方向中心として選択する。本システムは、次いで、得られた又は受信されたコントラスト画像の複数のシリーズについて、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向速度フィールドを計算する。本システムは、次いで、一連のコントラスト画像の一部又は全部から生成された単一の累積画像について、選択されたポイントの周りの第1の領域についての半径方向コントラストフラックスを決定する。
【0059】
[0065] 一実施形態によれば、半径方向中心選択命令263は、生成された半径方向フラックス大きさマップを使用して半径方向中心を自動的に選択するように本システムに指示する。一実施形態によれば、本システムは、複数のポイントの残りのポイントに対する最大半径方向コントラストフラックスを含む、複数のポイント内のポイントを選択することができる。方法が可能である。
【0060】
[0066] 一実施形態によれば、報告命令264は、選択された半径方向中心、生成された半径方向フラックス大きさマップ、及び自動的に選択された半径方向中心をもつ半径方向流速マップのうちの1つ又は複数を含む情報を生成し、ユーザインターフェースを介してユーザに与えるように、本システムに指示する。表示は、患者についての情報、コントラスト強調超音波、及び/又は任意の他の情報をも含む。いずれかの情報がワイヤード及び/又はワイヤレス通信によって別のデバイスに通信される。例えば、本システムは、モバイルフォン、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、並びに/又は報告の表示及び/若しくは他の通信を可能にするように構成された他のデバイスに情報を通信する。ユーザインターフェースは、情報を伝達及び/又は受信することを可能にし、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含む、任意のデバイス又はシステムであり得る。
【0061】
[0067] 一実施形態によれば、半径方向速度マッピングシステムは、自動的に選択された半径方向中心をもつ半径方向流速マップを生成するために、何千又は何百万個ものデータポイントを処理するように構成される。例えば、画像についての生成されたグリッド中の複数のポイントについての半径方向フラックス大きさマップを生成することは、何百万又は何十億回もの計算を含む。各生成された半径方向フラックス大きさマップは、これまで存在しなかった新規のマップであり、何百万個ものデータポイントと何百万又は何十億回もの計算とを含む。半径方向中心を自動的に選択し、次いで、自動的に選択された半径方向中心をもつ半径方向流速マップを生成し、表示することは、何百万回ものさらなる計算をさらに含む。したがって、自動的に選択された半径方向中心をもつ半径方向流速マップを生成し、与えることは、人間の脳が1回又は複数回の人生において達成することができない、大量の計算及び分析を伴うプロセスを含む。コントラスト強調超音波画像の改善された分析を与えることによって、新規の半径方向速度マッピングシステム及び方法は、従来技術のシステムと比較して、超音波画像及び分析に対する非常に大きいプラスの影響及び効果を及ぼす。
【0062】
[0068] 本明細書で定義し、使用するすべての定義は、辞書的定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を統制することが理解されるべきである。
【0063】
[0069] 本明細書及び特許請求の範囲で使用する際、「1つの」は、反対のことが明示されていない限り、「少なくとも1つの」を意味することが理解されるべきである。
【0064】
[0070] 本明細書及び特許請求の範囲で使用する際、「及び/又は」という句は、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味することが理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙された複数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ又は複数」と解釈されるべきである。「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素は、具体的に特定されたそれらの要素に関係するか関係しないかにかかわらず、随意に存在し得る。
【0065】
[0071] 本明細書及び特許請求の範囲で使用する際、「又は」は、上記で定義した「及び/又は」と同じ意味を有することが理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離するときに、「又は」或いは「及び/又は」は、包括的である、すなわち、いくつかの要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つを含むだけでなく、それらのうちの2つ以上を含み、及び随意に、追加の記載されていない項目をも含むものと解釈されたい。「のうちのただ1つ」又は「のうちの厳密に1つ」、或いは、特許請求の範囲において使用されるときの「からなる」など、反対のことが明示されている用語のみは、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用する際、「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちのただ1つ」、又は「のうちの厳密に1つ」など、排他性の用語が前にあるときに、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、両方ではない」)を示すものとのみ解釈されたい。
【0066】
[0072] 本明細書及び特許請求の範囲で使用する際、1つ又は複数の要素のリストに関する「少なくとも1つの」という句は、要素のリスト中の要素のいずれか1つ又は複数から選択される少なくとも1つの要素であるが、必ずしも、要素のリスト内で具体的に記載された1つ1つの要素のうちの少なくとも1つを含むとは限らず、要素のリスト中の要素の任意の組合せを除外しないことを意味することが理解されるべきである。この定義はまた、具体的に特定された要素に関係するか関係しないかにかかわらず、「少なくとも1つの」という句が指す要素のリスト内で具体的に特定されたそれらの要素以外の要素が随意に存在することを許す。
【0067】
[0073] また、反対のことが明示されていない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されるいずれかの方法において、その方法のステップ又は行為の順序は、必ずしもその方法のステップ又は行為が具陳されている順序に限定されるとは限らないことが理解されるべきである。
【0068】
[0074] 特許請求の範囲、並びに上記の本明細書では、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含んでいる」、「伴う」、「保持する」、「から構成される」など、すべての移行句は、オープンエンドであること、すなわち、「限定はしないが~を含む」ことを意味することが理解されるべきである。「からなる」及び「本質的に~からなる」という移行句のみは、それぞれクローズド又は半クローズド移行句であるものとする。
【0069】
[0075] いくつかの発明的実施形態について本明細書で説明し、示したが、当業者は、本明細書で説明した機能を実行するための、並びに/或いは本明細書で説明した結果及び/又は本明細書で説明した利点のうちの1つ又は複数を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定するであろうし、そのような変形形態及び/又は改変の各々は、本明細書で説明した発明的実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書で説明したすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示的なものであること、並びに実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、発明的教示がそれのために使用される特定の1つ又は複数の適用例に依存することを容易に諒解しよう。当業者は、本明細書で説明した特定の発明的実施形態の多くの等価物を認識するか、又は単なる日常的な実験を使用してそれらの等価物を確認することが可能であろう。したがって、上記の実施形態は単に例として提示されていること、並びに、添付の請求項及びそれらの等価物の範囲内で、発明的実施形態が、特に説明され、特許請求された以外の形で実施され得ることを理解されたい。本開示の発明的実施形態は、本明細書で説明した各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のいかなる組合せも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明的範囲内に含まれる。
【国際調査報告】