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特表2024-537287分散システムにおける超音波イメージング
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  • 特表-分散システムにおける超音波イメージング 図1
  • 特表-分散システムにおける超音波イメージング 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】分散システムにおける超音波イメージング
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521805
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022077912
(87)【国際公開番号】W WO2023061864
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/255,623
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21207909.9
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バーラト シャム
(72)【発明者】
【氏名】サットン ジョナサン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン マーサ ゲイル グレーウェ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD15
4C601EE10
4C601FF01
4C601FF02
4C601JC09
4C601JC11
4C601JC23
4C601JC37
4C601KK35
4C601KK46
(57)【要約】
キャプチャした画像のビューの一貫性が向上された状態で、長期間にわたる超音波イメージングデータの収集を容易にするためのコンピュータ実施方法が提供される。患者の解剖学的構造の1つ以上のビューを表す1つ以上の画像を含む第1の超音波イメージングデータセットが収集され、データストアに保存される。この画像データは、後続の画像収集のための参照データとして使用される。後続の画像データは、この参照画像データとリアルタイムで比較され、描写されたビュー間の一致度の尺度が得られる。これを使用して、以前の画像データと整合性があるように、新しい画像データの収集を誘導できる。例えば、新たに収集した画像データに表されるビューが、参照データのビューと十分に一致するときは、ユーザにアラートメッセージを出すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散コンピューティングシステムでの実行のためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
第1の超音波イメージングデバイスにおいて、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する少なくとも1つの画像を含む前記被検体の第1の超音波イメージングデータを収集するステップと、
前記第1の超音波イメージングデータを、被検体識別子情報がタグ付けされた状態で、参照超音波画像データとしてデータストアに保存するステップと、
第2の超音波イメージングデバイスにおいて、患者識別子情報を用いて前記データストアに問い合わせを行うことに基づいて、前記データストアから、前記参照超音波画像データを取得するステップであって、前記第2の超音波イメージングデバイスは、前記第1の超音波イメージングデバイスと同じか又は異なる、取得するステップと、
前記第2の超音波イメージングデバイスにおいて、ライブ超音波画像データを収集するステップと、
前記参照超音波画像データに表されるビューと、前記ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成するステップと、
前記ライブ類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準に一致するときに、ユーザ出力アラートを生成するステップと、
前記ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、前記患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存するステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの事前定義された基準は、前記類似性尺度の事前定義された閾値を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記参照超音波画像データは、患者モニタリングサブシステムに含まれるデータストアから取得される、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記類似性尺度が前記少なくとも1つの事前定義された基準を満たしている場合にのみ、前記ライブ超音波画像データの少なくとも1つのフレームをキャプチャして保存するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記類似性尺度が前記少なくとも1つの事前定義された基準を満たしている場合にのみ、且つ、ユーザ入力デバイスからのキャプチャコマンドに応答して、
前記ライブ超音波画像データの前記少なくとも1つのフレームをキャプチャして保存するステップを含む、請求項4に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記データストアには、前記解剖学的構造の異なる各ビューを描写する参照画像のセットが保存され、各々が描写されたビューに従ってタグ付けされている、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記データストアには更に、キャプチャする前記解剖学的構造の推奨される次のビューを示すビュー推奨事項が保存され、取得された前記参照画像は、前記推奨される次のビューを描写する画像の前記セットのうちの1つである、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
類似性メトリックに基づいてプローブ位置決めガイダンスを生成するステップであって、前記プローブ位置決めガイダンスは、前記類似性メトリックを向上するために、ユーザによるプローブの移動を誘導するためのものである、生成するステップと、
ガイダンス情報をユーザインターフェースデバイスに出力するステップと、
を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記参照超音波画像データと共に、前記データストアに保存するための注釈データを受信するステップを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記第2の超音波イメージングデバイスは、前記第1の超音波イメージングデバイスと異なる、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
解剖学的測定アルゴリズムを使用して、前記ライブ超音波画像データのキャプチャされた前記少なくとも1つのフレームを処理するステップを更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
入出力部と1つ以上のプロセッサとを含む処理装置であって、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記入出力部にて、データストアから、患者識別子情報を用いて前記データストアに問い合わせを行うことに基づいて、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する参照超音波画像データを受信することと、
前記入出力部にて、ライブ超音波画像データを受信することと、
前記参照超音波画像データに表されるビューと、前記ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成することと、
前記ライブ類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準と一致するときに、ユーザ出力アラートを生成することと、
前記ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、前記患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存することとを行う、処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の処理装置と、
前記ライブ超音波イメージングデータを収集するための超音波イメージングプローブと
を含む、超音波イメージング装置。
【請求項14】
請求項13に記載の超音波イメージング装置と、
参照超音波画像データを保存しているデータストアと
を含む、システム。
【請求項15】
プロセッサによって実行されるコード手段を含むコンピュータプログラムであって、
前記プロセッサは、超音波イメージング装置と通信可能にリンクされ、且つデータストアと通信可能にリンクされ、
前記コード手段が、前記プロセッサに、
前記データストアから、患者識別子情報を用いて前記データストアに問い合わせを行うことに基づいて、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する参照超音波画像データを受信することと、
前記超音波イメージング装置から、ライブ超音波画像データを受信することと、
前記参照超音波画像データに表されるビューと、前記ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成することと、
前記ライブ類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準と一致するときに、ユーザ出力アラートを生成することと、
前記ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、前記患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存することとを行わせる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散システムにおける超音波イメージングのための方法に関し、特に、同一患者の長期的超音波イメージングを支援するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波イメージングは、様々な臨床現場で(集中治療室、手術室、一般病棟などにおいて)患者を評価するために使用できる。
【0003】
超音波画像収集は、1回の短期モニタリング期間(手術中など)又は長期間のいずれかで、複数の時点で患者に対して行われる。このようなコンテキストでは、長期にわたる信頼性の高い臨床比較を可能にするために、関心の解剖学的構造の一貫した画像ビューを収集することが重要である。
【0004】
実例として、超音波で患者を評価するために使用される2つの超音波イメージングモードの例として、経胸部心エコー検査法(TTE)と経食道心エコー検査法(TEE)とがある。TTEは非侵襲的であるため、TEEよりも幅広い使用範囲がある。TTEは緊急設定以外でも使用できる。また、TTEは(TEEと比較して)患者の臨床リスクが低く、その非侵襲性のためスキルレベルの低いオペレータでも行うことができる。ただし、TEEよりもTTEを使用して所与の解剖学的構造の正しいビューを収集することが困難である。オペレータがプローブを胸部の正しい位置に正確に配置する必要があるためである(食道によってプローブ配置が大きく制限されるTEEと比較して)。
【0005】
超音波イメージングは、手術中の心臓機能モニタリングに使用できる。例えば、TEEを使用して心臓機能をモニタリングすることは、臨床現場での人気が高まっている。特に、患者の習慣、胸部の外傷、他の外部医療機器、又は患者の包帯のために、TTEなどの他のモードを行うことが困難な場合に顕著である。例えば、左心室を見るには、TEEプローブを中食道位置にナビゲートする。臨床医が、手術中の任意の時間に心臓のビューを必要とする場合、プローブを手動で操作して所望のビューを収集する。
【0006】
医学界では(例えば、集中治療環境における又は手術中の)心臓の継続的モニタリングのための超音波の使用が提案されており、現在の技術開発の分野である。このコンテキストでの超音波イメージングは、患者の解剖学的構造(心臓の動的な動きなど)の画像を取得して見るためだけでなく、生理学的パラメータ(左心室(LV)容量、1回拍出量(SV)、心拍出量(CO)、左心室駆出率(LVEF)などの血行動態パラメータ)の定量的測定値を得るためにも有用である。これらのパラメータのトレンドパターンを時間の経過と共に追跡し、患者の治療についての情報を与えることができる。
【0007】
例えば、定量的測定値を得るために、モデルベースのセグメンテーションを収集した超音波画像に適用することが知られている。例えば、心臓の1つ以上の心腔の自動セグメンテーションを行うことができる。血行動態パラメータの測定値は、拡張末期(ED)の超音波画像フレームにモデルベースのセグメンテーションを適用して心腔境界を検出し、その後、心周期の他のフレームにわたってセグメンテーション境界を2D又は3D追跡することで得られる。
【0008】
2Dイメージングでは、収集したシングルプレーン又はバイプレーン情報から外挿するために幾何学的仮定を行い、3Dオブジェクト又は特徴(心腔容量など)の測定情報を生成できる。アルゴリズムの例としては、修正シンプソン法、シングルプレーン、バイプレーン、若しくは一次元データを使用した楕円体モデル、又はバイプレーンデータに基づく半球体-円筒モデルが挙げられる。
【0009】
これらのセグメンテーション方法の詳細については、以下を参照されたい:Kosaraju A,Makaryus AN.Left Ventricular Ejection Fraction.In:StatPearls[インターネット].Treasure Island(FL):StatPearls Publishing;2019 Jan-.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK459131/から入手できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
連続的な期間(数時間など)にわたる患者の長期的超音波モニタリングは、時間の経過と共にプローブの位置がずれる可能性があるため、困難な場合がある。集中治療環境では、異なる時点で複数の臨床医又は専門医が測定を行う場合がある。心臓専門医、集中治療専門医、又は他の専門家が不在のときにも測定が望まれる場合がある。更に、例えば、TTEイメージングは、毎回同じ正しいビューをゼロから得る必要があるため、独自の課題もある。
【0011】
更に、所与の測定値(心臓イメージングの場合はSVなど)の長期的トレンドを生成するときには、測定ツールに提供される画像データの一貫性を確保することが重要である。例えば、提供された画像データが、描写される特定のビューで変化する場合、整合性のない画像収集に関連する測定エラーが発生するため、長期的トレンドの解釈を妨げる可能性がある。これにより、患者に提供される医療介入に不適切な追加又は変更(体液状態の変化、昇圧剤、循環作動薬など)が生じる可能性がある。これは、特に、フォアショートニングの可能性(収集した超音波平面が左心室の真の頂点を通過しない)が重要な課題である2Dイメージングアプローチで特に当てはまる。
【0012】
時間にわたってより一貫性のある画像データを収集することを可能にする解決策を提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0014】
本発明の一態様による実施例によれば、分散コンピューティングシステムでの実行のためのコンピュータ実施方法が提供される。この方法は、
第1の超音波イメージングデバイスにおいて、被検体の第1の超音波イメージングデータを収集するステップであって、第1の超音波イメージングデータには、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する少なくとも1つの画像が含まれる、収集するステップと、
第1の超音波イメージングデータを、被検体識別子情報がタグ付けされた状態で、参照超音波画像データとしてデータストアに保存するステップと、
第2の超音波イメージングデバイスにおいて、患者識別子情報を用いてデータストアに問い合わせを行うことに基づいて、データストアから、参照超音波画像データを取得するステップであって、第2の超音波イメージングデバイスは、第1の超音波イメージングデバイスと同じか又は異なる、取得するステップと、
第2の超音波イメージングデバイスにおいて、ライブ超音波画像データを収集するステップと、
参照超音波画像データに表されるビューと、ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成するステップと、
ライブ類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準に一致するときに、ユーザ出力アラートを生成するステップと、
ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存するステップと、
を含む。
【0015】
したがって、この方法は、スキルレベルが異なる様々なオペレータによって収集が行われる場合でも、時間にわたって一貫した超音波イメージング収集ビューを維持することを支援するための手段を提供する。この目的は、後の時間に別のユーザがアクセスでき、且つ同じ患者の後続の画像データの収集のための参照として使用される第1の画像ビューセットを保存することで実現される。参照画像データと新たに収集したライブ画像データとの能動的な比較と、それに基づいたユーザガイダンスアラートの生成とを通じて、2つの時点で収集したビューの一貫性が確保される。したがって、第2の画像データを収集するオペレータは、キャプチャされるビューに関して、第1の画像データと一致する画像データを収集するように誘導される。この概念は、医療機関での患者の滞在中に任意の回数の画像収集イベント又は期間に対して、或いは、更には、複数の施設又はケアグループでの複数の滞在にわたっても再現できる。超音波画像データが収集されるたびに、全体のシステムを構成する複数の超音波画像デバイスのいずれかにおいて、以前の参照画像データが、中央でアクセス可能なデータソースから取得され、キャプチャされるビューに関して以前のデータに対応する新しい画像データの収集のための参照ガイドとして使用される。
【0016】
「ビュー」とは、イメージングされた解剖学的構造に対する画像の特定の観察角度及び視野(収集ウィンドウ)を意味する。特定の解剖学的構造について、通常、収集される標準イメージングビューのセットがある。例えば、心臓イメージングでは、これには、傍胸骨長軸像及び短軸像、心尖部四腔像、並びに剣状突起下像が含まれる。一般に、イメージングビューは、被検体に対する及びイメージングされる解剖学的構造に対するプローブの特定の位置決めに対応するだろう。例えば、心臓イメージングでは、傍胸骨像は、第三肋間又は第四肋間にある胸骨のすぐ左にプローブを配置して得られる。心臓の心尖部四腔像は、心臓の最大拍動点で乳頭線のすぐ下にプローブを配置して得られる。剣状突起下四腔像は、胸骨の剣状突起の先端のすぐ下の位置から左肩に向かってプローブを向けた状態で得られる。
【0017】
例として、第1の超音波画像データ及びライブ超音波画像データの各々を、画像セグメンテーションで処理して、各画像データセットの画像フィールド内の解剖学的構造を検出することで、類似性尺度を決定できる。例えば、第1の超音波画像データから関連する画像が選択される。例えば、第1のオペレータによって事前に選択される。この画像は、画像セグメンテーションで処理される。ライブ超音波画像データからのライブ画像フレームも、画像セグメンテーションで処理される。類似性尺度は、第1の画像及びライブ画像フレームのセグメンテーション結果を比較することで導出できる。例えば、1つ以上の解剖学的構造の空間的重なりの程度を評価すること(テンプレート照合やオブジェクト照合など)によって、又は第1の画像及びライブ画像フレームの各々での1つ以上の解剖学的構造のバイナリの存在又は不在を比較することによって導出できる。
【0018】
いくつかの実施例では、方法は、類似性尺度を連続的又は反復的に生成し、類似性尺度が事前定義された閾値を超えたときに、画像フレームをキャプチャするステップを含む。
【0019】
画像収集を誘導するために、類似性尺度に基づいてユーザアラートを生成する場合、前述の事前定義された基準には、類似性尺度の事前定義された閾値が含まれる。
【0020】
いくつかの実施形態では、参照画像データを保持するデータストアは、患者モニタリングサブシステムを構成している。したがって、参照超音波画像データは、患者モニタリングサブシステムを構成しているデータストアから取得される。患者モニタリングサブシステムは、バイタルサインデータを含む追加の患者測定データを受信する場合もある。
【0021】
いくつかの実施例では、ライブ超音波イメージングデータ及び参照超音波画像データのうちの少なくとも1つは、経食道心エコー検査法(TEE)超音波プローブ又は経胸部心エコー検査法(TTE)プローブを使用して収集される。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は更に、類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準を満たしている場合にのみ、ライブ超音波画像データの少なくとも1つのフレームをキャプチャして保存するステップを含む。つまり、新しい第2の画像データのキャプチャは、参照画像で表される画像ビューに十分に適合する画像ビューのキャプチャのみに制約される。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、類似性尺度が事前定義された基準を満たしている形態にのみ、且つ、ユーザ入力デバイスからのキャプチャコマンドに応答して、ライブ画像データの少なくとも1つのフレームをキャプチャして保存するステップを含む。つまり、ユーザは、画像フレームを保存のためにキャプチャするタイミングを能動的に制御するが、ユーザがこれを行うことができる期間は、リアルタイムで生成された類似性尺度が事前定義された閾値を満たす期間に制約される。このように、一定レベルのビュー適合性がシステムによって強制される。
【0024】
いくつかの実施形態では、データストアには、解剖学的構造の異なる各ビューを描写する参照画像のセットが保存され、各々が描写されたビューに従ってタグ付けされている。いくつかのより具体的な実施例では、データストアには更に、キャプチャする解剖学的構造の推奨される次のビューを示すビュー推奨事項が保存され、取得された参照画像は、推奨される次のビューを描写する画像のセットのうちの1つである。
【0025】
被検体の第1の超音波イメージングデータは、第1の時点tで収集される。第2の超音波イメージングデバイスにおいて、データストアから、参照超音波画像データを取得するステップは、後続の時点tで行われる。
【0026】
いくつかの実施形態では、画像データを収集することに加えて、画像データを収集する第1のユーザは、第1のイメージングデバイスにて、1つ以上のイメージング推奨事項を入力することもできる。各イメージング推奨事項は、後続の時点で収集される1つ以上の推奨ビュー又は画像を示す。推奨事項では、特定の1つ以上の将来の時点tが指定される場合もある。或いは、推奨事項では、次の画像収集イベントなど、より一般的な将来の時点が指定される場合もある。或いは、時点が指定されない場合もある。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の超音波イメージングデータを参照超音波画像データとしてデータストアに保存することに加えて、収集した第1の画像データと共に、上記の1つ以上のビュー推奨事項を、例えば、患者に関連付けられたデータレコードに保存するために、データストアに保存するステップを含む。例えば、画像データ及び推奨事項の各々には、同じ患者識別子情報がタグ付けされている。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2の超音波イメージングデバイスにおいて、データストアから、参照超音波画像データを取得するステップは更に、1つ以上のビュー推奨事項を取得するステップを含む。
【0029】
上記のように、いくつかの実施例では、方法は、1つ以上のビュー推奨事項を使用して、患者に関連付けられたデータストアに保存されている複数の異なる画像ビューのうち、第2の超音波イメージングデバイスに転送されるビューを決定するステップを含む。
【0030】
例えば、データストアには、解剖学的構造の異なる各ビューを描写する参照画像のセットが保存され、各々が描写されたビューに従ってタグ付けされる。また、データストアには更に、キャプチャする解剖学的構造の推奨される次のビューを示す前述のビュー推奨事項が保存される。取得されて第2の超音波イメージングデバイスに送信される参照画像は、推奨される次のビューを描写する画像のセットのうちの1つである。
【0031】
更に、1つ以上の実施形態では、第1の超音波画像データを収集する第1のユーザは、後続の画像データ収集のための参照画像として後続で使用すべき収集した第1の超音波画像の選択を、第1の超音波イメージングデバイスにて入力し、この情報は、保存のためにデータストアに転送される。この情報は、第1の超音波イメージングデバイスにて第1のユーザが入力することも、システムの1つ以上の更なるデバイス又はノードで(同じ第1のユーザ又は別の1人以上のユーザが)入力することもできる。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の超音波画像データを収集する第1のユーザ及び/又はシステムの別のユーザが、後続の超音波画像データを収集すべき時間の推奨事項を入力する。方法は、例えば、ユーザインターフェースを介してこの推奨事項を受信するステップを含む。ユーザインターフェースは、例えば、患者モニタリングサブシステムのユーザインターフェースである。ユーザインターフェースは、例えば、モバイルコンピューティングデバイスなどの別のデバイスのユーザインターフェースである。方法は、ユーザインターフェースにおいて、入力命令信号を受信するステップを含み、将来の超音波イメージングイベントは、この命令信号に基づいて、超音波イメージング収集のための特定の時間を含め、スケジュールされるか、命令されるか、又は推奨される。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は更に、類似性メトリックに基づいてプローブ位置決めガイダンスを生成するステップであって、プローブ位置ガイダンスは、類似性メトリックを向上するために、ユーザによるプローブの移動を誘導するためのものである、生成するステップと、ガイダンス情報をユーザインターフェースデバイスに出力するステップとを含む。したがって、この場合、ユーザは、ビューが参照画像ビューと十分に対応しているときにアラートが出されるだけでなく、ターゲット画像ビューに近づくために患者に対するプローブの位置決めを移動するための能動的なガイダンスも提供される。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は更に、第2の超音波イメージングデバイスにおいて、参照画像データと共にデータストアに保存するための注釈データを受信するステップを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、方法は、解剖学的測定アルゴリズムで、ライブ画像データのキャプチャした少なくとも1つのフレームを処理して、1つ以上の解剖学的及び/又は生理学的測定値を導出するステップを含む。例えば、心臓イメージングでは、1つ以上の血行動態パラメータが生成される。更に又は或いは、1つ以上の測定アルゴリズムを第1の超音波イメージングデータに適用することもできる。いずれの場合も、収集した測定データは、患者の画像データと共にデータストアに保存される。
【0036】
本発明の更なる態様は、処理装置を提供する。この処理装置は、入出力部と、1つ以上のプロセッサとを含む。1つ以上のプロセッサは、
入出力部にて、データストアから、患者識別子情報を用いてデータストアに問い合わせを行うことに基づいて、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する参照超音波画像データを取得し、
入出力部にて、ライブ超音波画像データを受信し、
参照超音波画像データに表されるビューと、ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成し、
ライブ類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準と一致するときに、ユーザ出力アラートを生成し、
ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存する。
【0037】
ユーザ出力アラートを生成するようにユーザインターフェースを制御するための制御信号が入出力部に提供される。
【0038】
本発明の別の態様は、本開示に概説されている任意の実施例若しくは実施形態による、又は本出願の任意の請求項に記載される処理装置と、ライブ超音波イメージングデータを収集するための超音波イメージングプローブとを含む超音波イメージング装置を提供する。
【0039】
本発明の別の態様は、本開示に説明される任意の実施例若しくは実施形態、又は本出願の任意の請求項に記載される超音波イメージング装置と、参照超音波画像データを保存するためのデータストアとを含むシステムを提供する。
【0040】
本発明の別の態様は、プロセッサによって実行されるコード手段を含むコンピュータプログラム製品を提供する。超音波イメージング装置と通信可能にリンクされ、且つデータストアと通信可能にリンクされたプロセッサについて、コード手段は、プロセッサに、
データストアから、患者識別子情報を用いてデータストアに問い合わせを行うことに基づいて、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する参照超音波画像データを受信することと、
超音波イメージング装置から、ライブ超音波画像データを受信することと、
参照超音波画像データに表されるビューと、ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成することと、
ライブ類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準と一致するときに、ユーザ出力アラートを生成することと、
ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存することと、
を行わせる。
【0041】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明をより深く理解し、それがどのように実施されるかをより明確に示すために、ほんの一例として添付の図面を参照する。
【0043】
図1図1は、1つ以上の実施形態による例示的なシステム及びデータフローを概略的に説明する。
図2図2は、1つ以上の実施形態による例示的なシステム及びデータフローを詳細に概説する。
図3図3は、特定の実施形態によるシステムを構成し得る任意の例示的な患者モニタデバイスのディスプレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明を、図を参照して説明する。
【0045】
詳細な説明及び具体的な実施例は、装置、システム、及び方法の模範的な実施形態を示しているが、説明のみを目的としたものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム、及び方法のこれらの及び他の特徴、態様並びに利点は、次の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるようになるであろう。図は概略図に過ぎず、縮尺どおりに描かれていないことが理解されるべきである。また、図全体で同じ参照番号を使用して、同じ部分又は類似の部品を示すことが理解されるべきである。
【0046】
本発明は、キャプチャした画像のビューに一貫性がある超音波画像データの長期にわたる収集を容易にするためのコンピュータ実施方法を提供する。患者の解剖学的構造の1つ以上のビューを表す1つ以上の画像を含む第1の超音波イメージングデータセットが収集され、データストアに保存される。この画像データは、後続の画像収集のための参照データとして使用される。後続の画像データは、この参照画像データとリアルタイムで比較され、描写されたビュー間の対応度の尺度が得られる。これを使用して、前の画像データと整合性があるように、新しい画像データの収集を誘導できる。例えば、新たに収集した画像データに表されるビューが、参照データのビューと十分に一致するときは、ユーザにアラートメッセージを出すことができる。
【0047】
図1は、本発明の一態様による例示的なシステムの構成要素を概略的に示す。
【0048】
システムは、1つ以上の超音波イメージングデバイス14、22を含む。この例では、2つの超音波イメージングデバイス14、22が示されている。しかしながら、他の実施形態の選択肢としては、2つ以上、又は1つだけがある。システムは更に、複数の患者の超音波イメージングデータを保存するためのデータストア18も含む。
【0049】
このシステムは、分散コンピューティングシステムである。つまり、システムの異なる構成要素やノードが、物理的に別の構成要素から分離しているが、共同のデータ収集、分析、保存、及びユーザプレゼンテーションのために、機能的なネットワークで接続されている。
【0050】
このシステムは、得た超音波画像のビューに一貫性がある超音波イメージングデータの長期にわたる収集を支援するためのコンピュータ実施方法を実施するためのものである。このコンピュータ実施方法は、本発明の更なる態様を形成する。本発明の1つ以上の実施形態による例示的なコンピュータ実施方法のステップについて、図1のシステムの構成要素を参照して、より詳細に概説する。
【0051】
例示的な方法は、第1の超音波イメージングデバイス14において、被検体12の超音波イメージングデータ16を収集するステップを含む。超音波イメージングデータ16には、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する少なくとも1つの画像が含まれる。
【0052】
方法は更に、第1の超音波イメージングデータ16を、被検体識別子情報がタグ付けされた状態で、参照画像データとしてデータストア18に保存することを含む。データストアは、いくつかの実施形態では、患者モニタリングサブシステムを構成するデータストアであり、これにより、患者モニタリングサブシステムがシステムの中央ハブとして機能する。同時に、患者モニタリングシステムは、患者12に関する生物学的センサデータを受信してもよく、これはユーザインターフェースのディスプレイに表示される。ユーザインターフェースのディスプレイは、収集した第1の超音波イメージングデータを表示すように制御することもできる。いくつかの実施例では、患者モニタリングサブシステム、又は患者モニタリングサブシステムに接続された別個の処理構成要素は、超音波イメージングデータを処理し、そこから1つ以上の定量的な解剖学的及び/又は生理学的測定値(血行動態測定値など)を得る。データストアは、代わりに別の場所に設置されていてもよい。データストアは、医療機関の中央にあるストレージサーバなど、別個の専用データストレージノードであってもよい。データストアは、インターネット接続を介してアクセス可能なクラウドベースのデータストレージ手段であってもよい。
【0053】
方法は更に、第2の超音波イメージングデバイス22において、患者識別子情報を用いてデータストアに問い合わせを行うことに基づいて、データストア18から参照超音波画像データを取得することを含む。例えば、第2の超音波イメージングデバイス22のオペレータが、セットアップ又は開始ステップにおいて、第2の超音波イメージングデバイス22に患者識別子情報を入力すると、データストア18からの関連する超音波画像データの取得が促される。第2のイメージングデバイス22は、実際には第1のイメージングデバイスと同じであってもよい(つまり、イメージングデバイスが1台のみである)が、例えば、第1の超音波イメージングデータ16を収集したオペレータとは異なるオペレータによって後で操作される。或いは、第2の超音波イメージングデバイス22は、例えば、後の時間に同じ患者ベッドに台車で運ばれて、同じ物理的位置に設置されるか、例えば、患者が別の病棟又は治療ユニットに移動されていて、新しい場所でのイメージングが推奨される異なる物理的位置にある異なるイメージングデバイスであってもよい。
【0054】
方法は更に、第2の超音波イメージングデバイス22で患者の解剖学的構造のライブ超音波画像データを収集することを含む。
【0055】
方法は更に、参照画像データに表されるビューと、ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成することを含む。つまり、第2の超音波イメージングデバイスのオペレータが患者の画像を収集しているときに、バックグラウンドで類似性尺度が同時に計算され、この類似性尺度は、キャプチャされているビューが、第1の超音波イメージングデバイス14のオペレータが収集した参照超音波データのビューとが一致する度合いを示す。これは、2つの異なる時点で収集された超音波画像データのビューの一貫性を最大化することを目的としている。
【0056】
方法は更に、類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準に一致するときに、例えば、類似性が最小類似性閾値を満たしているか超えているときに、ユーザ出力アラートを生成することを含む。これは、正しいビューを見つけたことをユーザに示し、プローブ位置の調整を停止できることを示す。他の実施例では、類似性尺度は、超音波イメージングデバイス22のディスプレイデバイスに表示されるなどして、ユーザインターフェースデバイスを介してユーザに単純に伝達される。
【0057】
方法は更に、ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存することを含む。これは、患者識別子情報に関連付けられた状態で、データストア18に保存される。
【0058】
類似性尺度の計算には、画像照合操作の適用が含まれる。この操作では、1つの画像が別の画像と照合されるプロセスを通じて、参照画像データからの参照画像と、ライブ画像データからの少なくとも1つのフレームとが比較される。画像が一致する度合いを示すメトリックが出力である。オブジェクト検出は、このように画像照合を行うための良いやり方の1つである。画像テンプレート照合は、画像照合を行うための別の優れたやり方である。オブジェクト検出及び相互相関などを含む、画像の比較及び照合のための様々な方法が当技術分野で知られており、当業者には明らかであろう。
【0059】
相互相関アプローチを使用した適切なテンプレート照合の一例が、次の論文に概説されている:Briechle,K及びHanebeck,U.D.、「Template matching using fast normalized cross correlation」、Proc.SPIE4387、Optical Pattern Recognition XII、(2001年3月20日)。
【0060】
テンプレート照合を使用する別の例が、次のオンライン論文に概説されている:https://www.pyimagesearch.com/2021/03/22/opencv-template-matching-cv2-matchtemplate/。このコピーを2021年9月28日に取得した。
【0061】
本発明の概念を更に例示するために、図2を参照して、少なくとも一組の実施形態による例示的なシステム及びコンピュータ実施方法を詳細に概説する。
【0062】
この実施例では、システムは、患者モニタ32を含み、前述のデータストア18は患者モニタ32を構成している。患者モニタは、ユーザインターフェース34も含む。
【0063】
このシステムは、システムを構成する1つ以上の超音波イメージングデバイス14、22の各々と、患者モニタとの間での双方向の通信及び情報フローを可能にする。これにより、複数のユーザ(例えば、臨床専門家や非専門家を含む)と、複数の超音波プラットフォーム(例えば、カートベースの超音波イメージングコンソール、モバイル超音波イメージングプローブ、又はスマートフォン若しくはタブレットコンピュータベースのデバイス)とが関与するイメージング、解析、及び患者モニタリングのワークフローが容易になる。つまり、複数の異なるタイプ及びクラスのノードデバイスが分散コンピューティングシステムに接続でき、共通の患者ワークフローに貢献できる。この一組の実施形態のシステムは、以下に説明する多段のワークフローを可能にする。ただし、説明のために、システムは、特に心臓イメージングを参照して、更に一層、特にTTE及びTEEプローブイメージングを参照して説明するが、これらの概念は、他のタイプのイメージングデバイスを使用した他の解剖学的構造のイメージングにも同様に適用可能である。一般に、行われるコンピュータ実施方法の原理は、長期的モニタリングが必要な場合(例えば、肺のモニタリングや任意の他の解剖学的構造のモニタリング)に最も有利に適用可能である。長期的(longitudinal)とは、連続的な長時間(数時間のモニタリングなど)や1回以上の中断を伴う長時間(患者が異なる治療ユニット間で移動される場合など)であり得る長期間にわたることを意味する。一般に、1回の超音波検査イベントよりも長い期間にわたるモニタリングを意味する。
【0064】
図2の実施形態による方法のデータフローは、より詳細には次のとおりである。このデータフローは、2つのフェーズからなると理解できる。第1のフェーズは、第1の超音波イメージング装置の第1のユーザ(専門家など)による最初の患者評価である。第2のフェーズは、超音波イメージング装置の非専門家であるユーザや、第1のユーザほど臨床経験のないユーザである第2のユーザによる後続の患者評価である。
【0065】
図2を参照すると、第1のフェーズでは、ワークフロー及びデータフローは次のとおりである。
【0066】
患者12が初めて(時間tにおいて)超音波評価を受けるとき、超音波の専門家のユーザが行うものと想定される。専門家のユーザは、第1の超音波イメージングデバイス14(TTE又はTEEイメージングなど)を使用して患者を評価する。ユーザは、臨床的に関連性があり、必要であることがわかっている全てのビューを収集する。ユーザは、その患者に対して最も臨床的に有用な画像を提供するビューを選択し、これらの画像にマーク又はタグを付けるか、最も臨床的に有用なサブセットの一部ではない他の画像を削除する。画像データは、第1の専門家のユーザによって、1つ以上の他のやり方で、注釈が付けられるか、編集されるか、又は前処理される。ユーザは、画像が表すビューに従って、1つ以上の画像又は画像のサブセットにラベルを付けてもよい。つまり、ユーザは画像をキュレーションする。ユーザは、本開示で前述したように、手動で又は自動アルゴリズムを使用して、画像から1つ以上の定量的測定値を生成する。
【0067】
第1の超音波イメージングデバイス14で第1のユーザが収集したキュレーションされた画像及び/又は測定値は、患者モニタサブシステム32に転送され、患者モニタサブシステムに含まれているデータストア18に保存される。患者モニタサブシステムは、1つ以上のクライアント患者モニタデバイス(1つ以上のベッドサイド患者モニタデバイスなど)を含み、各クライアントデバイスが接続される中央の患者モニタコンソールを含む。中央のモニタリングコンソールにデータストアが格納されていてもよい。第1の画像データ16は、患者モニタサブシステムのユーザインターフェース34のディスプレイに表示される。同時に、患者モニタリングシステムは、任意選択で、患者12に関する生物学的センサデータを受信し、これをユーザインターフェースのディスプレイに表示してもよい。
【0068】
ユーザインターフェースのディスプレイは、収集した第1の超音波イメージングデータを表示すように制御することもできる。例示のために、図3に、患者モニタリングサブシステムの例示的なユーザインターフェース34を示す。ここでは、第1の超音波画像データがディスプレイのウィンドウ42に表示され、トレンドデータを含む他の生理学的情報パラメータデータ(バイタルサインなど)がディスプレイの他の領域に示される。
【0069】
変形例では、画像データ16を患者モニタサブシステムに転送して保存する代わりに、患者モニタサブシステム32に接続するブリッジ処理モジュール(図示せず)が提供される。ブリッジ処理モジュールにデータストア18が含まれる。例えば、ブリッジ処理モジュールは、患者モニタサブシステムと、システムに含まれる1つ以上の超音波イメージングデバイス14、22の各々との両方に通信可能にアクセス可能である。
【0070】
第1のユーザは、画像データを収集することに加えて、第1のイメージングデバイスにて、1つ以上のイメージング推奨事項を入力することもできる。各イメージング推奨事項は、指定された後続の時点で収集される1つ以上の推奨ビュー又は画像を示す。推奨事項は、そのタイミングに関して一般的なものであってもよい。つまり、推奨事項は、単純に、次のイメージング収集イベントのためのものである。或いは、タイミングは特定のものであってもよい。例えば、1つ以上の特定の将来の時間点tの各々に対する推奨ビューである。この推奨事項は、例えば、使用可能な最良のビュー、音響ウィンドウ、患者の解剖学的構造の詳細などに関して、この第1の収集中の専門家のユーザの経験に基づいている。
【0071】
生成された推奨事項は、収集された第1の画像データと共にデータストア18に転送され、患者に関連付けられたデータレコードに保存される。例えば、画像データ及び推奨事項の各々には、患者識別子情報がタグ付けされ、これにより、後でデータベースに患者識別子情報で問い合わせることによってアクセスできる。
【0072】
第2のフェーズは、超音波にあまり精通していない非専門家のユーザであってもよい更なるユーザによる後続の超音波検査である。
【0073】
患者の超音波イメージングが必要であると判断される後の時点で、システムの第2のユーザが、システムに接続された任意の第2の超音波デバイス22(複数台が異なる物理的な場所にあり得る)を使用して患者のイメージングを行う。2回目の機会で患者のイメージングに使用される超音波イメージングデバイス22は、第1の画像データの収集に使用される超音波イメージングデバイス14と同じであっても、異なっていてもよい。
【0074】
例として、第2のイメージングデバイス22のユーザは、患者識別子情報を入力して、患者で使用するためのデバイスを開始できる。その後、超音波デバイスは、自動的に、又はユーザインターフェースでの入力を介してユーザによって促されて、データストア18と通信して、患者の保存されている画像参照画像データを取得する。例えば、データストアは患者識別子情報を使用して問い合わせされる。この場合では、専門家のユーザによってデータストア18に保存された第1の画像データ16が見つかり、取得される。データストア18内の全ての画像データを取得することも、そのサブセットのみを取得することもできる。例えば、ユーザは、実施する予定の特定の検査又はモニタリングプロトコルを指定し、そのために最適な画像を取得できる。取得した画像は、データストア18から第2の超音波イメージングデバイス22に転送される。
【0075】
第1のユーザが推奨ビューを提供した場合は、これらも第2超音波イメージングデバイス22に転送される。いくつかの実施例では、超音波イメージングデバイスのユーザインターフェース24を使用して、これらを第2のユーザに伝達することができる。いくつかの実施例では、ビュー推奨事項を利用して、患者に関連付けられたデータストア18に保存されている複数の異なる画像ビューのうち、第2の超音波イメージングデバイスに転送されるビューを決定できる。
【0076】
例えば、データストア18には、解剖学的構造の異なる各ビューを描写する参照画像のセットが保存され、各々が描写されたビューに従ってタグ付けされる。また、データストアには更に、キャプチャする解剖学的構造の推奨される次のビューを示す前述のビュー推奨事項が保存される。取得されて第2の超音波イメージングデバイス22に送信される参照画像は、推奨される次のビューを描写する画像のセットのうちの1つである。
【0077】
次に、第2の超音波イメージングデバイス22は、データストア18から取得した超音波画像データを、第2の超音波データセットの収集を誘導する際に使用する参照超音波画像データとして使用する。例えば、超音波イメージングデバイス22は、ユーザインターフェースを介して、現在の収集を参照画像に一致させるために、第2のユーザに収集支援を提供する。
【0078】
いくつかの例では、収集支援は、ビュー認識の形式で行うことができる。ここでは、第2のユーザが収集したライブ超音波画像データが、参照画像データを参照してリアルタイムで分析されて、参照画像データに表されるビューとライブ超音波画像データに表されるビューとのライブ類似性尺度が決定される。第2の超音波イメージングデバイス22のユーザインターフェース24を制御して、類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準に一致したとき(類似性尺度が特定の閾値を満たしているときなど)に、ユーザ出力アラートが生成される。
【0079】
更に又は或いは、収集支援は、能動的プローブガイダンスの形式で行うことができる。ここでは、超音波イメージングデバイスのプロセッサは、ライブ画像データにおけるビューと参照画像に表されるビューとの類似性尺度を向上するために、プローブの動作を誘導するためのユーザガイダンス指示を生成する。
【0080】
方法は更に、ライブ超音波画像データの1つ以上のフレームをキャプチャし、そのイメージングデータを、例えば、患者識別子情報やデータ収集時刻がタグ付けした状態で、データストアに保存することを含む。場合によっては、超音波画像データは、類似性尺度が事前定義された基準を満たしている場合にのみ、第2のイメージングデバイス22からキャプチャされる。場合によっては、方法は、類似性尺度が事前定義された基準を満たしている場合にのみ、且つ、ユーザ入力デバイス24からのユーザによるキャプチャコマンド入力に応答してのみ、ライブ画像データの少なくとも1つのフレームをキャプチャして保存することを含む。つまり、ユーザは、画像データキャプチャの正確なタイミングを制御するが、可能なタイミングは、イメージングデバイスのライブビューと、事前定義された基準を満たす参照イメージングデータのビューとの類似性尺度に従って制約される。
【0081】
上述の第2の超音波イメージングデバイス14及び第2の超音波イメージングデバイス22、並びに患者モニタサブシステムの各々は、1つ以上のプロセッサを含む処理装置を含み、これらのプロセッサは、上記の方法のステップのうちの1つ以上を実施する。
【0082】
場合によっては、方法は更に、解剖学的測定アルゴリズムで、ライブ画像データのキャプチャした少なくとも1つのフレームを処理して、1つ以上の解剖学的又は生理学的測定値を得ることを含む。この処理は、超音波イメージングデバイス22自体で行うことも、患者モニタサブシステム32など、他の場所で行うこともできる。
【0083】
要約すると、図2の実施形態のワークフローを、次のとおりに概説する。所与の患者nの第1の超音波画像データ16が、システムの1つの超音波イメージングデバイスにて、例えば、専門家のユーザによって、第1の時間tに収集される。ユーザは、画像に注釈を付けたり、キュレーションしたりできる。画像から測定値が生成される。最初の専門家のユーザによる収集からキュレーションされた画像及び/又は測定値は、好ましくは、同じ患者nについて、次の時点、つまり、将来の指定された時点tで収集する必要のある所望のビュー及び/又は画像の推奨事項と共に、患者モニタ32に転送される。その後の時点で、例えば、患者について超音波イメージングが必要であると判断されたとき、又は、推奨事項に指定されたタイミングに従って、システムは、患者モニタデータストア18のデータベースから、患者の第1の画像16を取得し、それを参照画像として、使用中の現在の超音波システムに転送する。次に、システムは、転送された画像を参照画像として使用して、参照画像に関してユーザに収集支援を提供する。
【0084】
上記のシステム及びコンピュータ実施方法の実施例又は実施形態のいずれかでは、システムに、更なる構成要素又はデバイスが含まれる場合がある。例えば、システムは更に、システムの他の構成要素と通信可能に接続されるか、リンクされるか、又はネットワーク接続される1つ以上のモバイルコンピューティングデバイス(スマートフォンやタブレットコンピュータなど)を含む。
【0085】
上記のシステムびコンピュータ実施方法の実施例又は実施形態のいずれかでは、システムの構成要素間のデータフローに関して様々なオプションがある。一般に、本方法は、分散コンピューティングシステムによる実施のためのものであり、したがって、1つの特定の構成要素が実施するものとして説明されている機能又は方法のステップは、実際には、別の実施形態では、異なる構成要素が実施する場合があると理解される。
【0086】
例えば、上述の実施形態では、注釈データ(例えば、ノート、ラベル、タグ)は、第1の超音波イメージングデバイス14にて、第1のユーザによって入力され、第1の超音波イメージングデータ16と共に、保存のためにデータストア18に送信されることが示されている。しかし、これに加えて又は代えて、更なる実施形態では、第1の画像データ16に関連付けられた注釈データは、第1のユーザによって、及び/又は1人以上の更なるユーザによって、システムの異なる1つ以上のデバイス又はノードにて入力されて、保存のためにデータストア18に送信されてもよい。例えば、この情報は、第1の超音波イメージングデバイス14ではなく、患者モニタサブシステム32のユーザインターフェース34で入力される。例えば、患者モニタサブシステムは、ユーザインターフェースを備えた中央コンソールを含み、注釈又は測定情報は、中央患者モニタコンソールデバイスにて入力される。更に又は或いは、患者モニタは、1つ以上の周辺(ベッドサイド)モニタリングデバイスを含んでいてもよく、注釈及び/又は測定情報は、これらの周辺デバイスのうちの1つ以上のユーザインターフェースにて入力される。いくつかの実施形態では、システムは更に、データストア18に通信可能に結合又はリンクされている1つ以上のモバイルコンピューティングデバイス(スマートフォンやタブレットコンピュータなど)を含み、注釈及び/又は測定データは、1人以上のユーザによって、データストア18への転送のために1つ以上のモバイルコンピューティングデバイスで入力される。ここでは、これらの1人以上のユーザに、第1のユーザが含まれていてもいなくてもよい(例えば、別の専門家のユーザが注釈を提供する)。
【0087】
更に、注釈又は測定情報は、画像データ収集と同時に又は異なる時間に(例えば、第1のユーザ又は異なるユーザのモバイルデバイス上で後に)入力して、保存のためにデータストアに転送することができる。
【0088】
更に、1つ以上の実施形態では、第1の超音波画像データを収集する第1のユーザは、後続の画像データ収集のための参照画像として後続で使用すべき収集した第1の超音波画像の選択を、第1の超音波イメージングデバイスにて入力し、この情報は、保存のためにデータストア18に転送される。この情報は、第1の超音波イメージングデバイス14にて第1のユーザが入力することも、システムの1つ以上の更なるデバイス又はノードで(同じ第1のユーザ又は別の1人以上のユーザが)入力することもできる。
【0089】
更に、システムは、第1の超音波画像データ16を収集する第1のユーザ及び/又はシステムの別のユーザが、後続の超音波画像データを収集すべき時間の推奨事項を入力することを可能にする機能を含む。例えば、実例として、直接患者を診ている専門の臨床医が、例えば、患者モニタサブシステム32のユーザインターフェース34を使用して、患者の既存の超音波画像(これらはデータストア18から取得される)をレビューし、2時間以内に行われる別の超音波収集が臨床的に価値があることを判断する。患者モニタデバイス(又はモバイルコンピューティングデバイスなどのシステムの別のデバイス)のユーザインターフェースにて、ユーザは指示信号を入力でき、この指示信号により、超音波イメージング収集の特定の時間を含め、将来の超音波イメージングイベントがスケジュールされるか、命令されるか、又は推奨される。任意選択で、1つ以上の更なるデバイスのユーザを変更するために、新しい超音波画像収集が命令されたというメッセージが生成され、システムの当該1つ以上の他のデバイスにプッシュされてもよい。そうすると、任意のユーザ(専門家又は非専門家)が、上述のガイダンス機能を使用して、指定された時間に推奨される後続の超音波イメージングデータを収集できる。
【0090】
上記の説明は、例示的な一組の実施形態に過ぎず、その全ての特徴が発明的概念に不可欠であるわけではない。
【0091】
例えば、患者モニタを使用して患者画像データ、注釈データ、測定データ、及び/又は更なるデータのデータベースを保存する代わりに、データは、超音波イメージングデバイスのうちの1つ以上と患者モニタデバイスとの間に接続されているインターフェースモジュール(データストアが含まれている)などの別のモジュールに保存できる。
【0092】
一般に、システムに含まれる様々なデバイス及び構成要素は、互いに空間的に分離されている。例えば、医療機関全体の様々な場所に分散されている。これらは、1つ以上のネットワーク接続を介して、互いに通信的に接続、リンク、又はネットワーク接続されている。互いとの通信は、ネットワークハブ又はサーバーとして機能する1つ以上の構成要素によって容易にされる。これらの間の通信は、例えば、ローカル若しくはワイドエリアネットワークを介して、及び/又はインターネット接続を使用して容易にされる。例えば、各デバイスは、ログイン機能を介して共通のインターネットウェブポータルに接続するように動作可能であり、このポータルを介して、デバイス間の相互接続が容易にされる。
【0093】
なお、上記では、「第1」の画像データや「第1」のユーザと言及されているが、これは、参照のし易さと簡潔さのためにのみ言及されていることに留意されたい。「第1」の超音波データと呼ばれる超音波データが、実際には、所与の患者nについて収集された本当に最初の超音波データである必要はない。上記の説明は、システムの複数の超音波イメージングデバイスのいずれかで一組の画像データが収集され、このデータからの1つ以上の画像を、複数の超音波イメージングデバイスの別の又は同じデバイスにて同じ患者の後続の画像データを収集する際に使用するための参照として使用できるという概念を反映することを意図したものにすぎない。
【0094】
上記の様々な実施形態では、解剖学的測定アルゴリズムを使用して超音波画像データを生成及び処理して、1つ以上の解剖学的又は生理学的測定値(血行動態測定値など)を導出する。例えば、1つ以上の実施形態は、解剖学的測定アルゴリズムを使用して、キャプチャされたライブ画像データの少なくとも1つのフレームを処理することを含む。1つ以上の実施形態では、第1の超音波イメージングデバイス14でキャプチャされた第1の画像が、解剖学的測定アルゴリズムを使用して処理されて、1つ以上の解剖学的又は生理学的測定値が導出される。
【0095】
例えば、測定アルゴリズムでは、モデルベースのセグメンテーション(MBS)を使用して1つ以上の解剖学的構造の境界をセグメント化し、寸法測定値及び/又は動作パターンや流体流量測定値などの機能的測定値を導出する。
【0096】
例えば、心臓イメージングの場合、超音波イメージングを使用して、左心室(LV)容量、1回拍出量(SV)、心拍出量(CO)、左心室駆出率(LVEF)などの血行動態パラメータの定量的測定値が得られる。これらのパラメータのトレンドパターンを時間の経過と共に追跡し、患者の治療についての情報を与えることができる。
【0097】
例えば、定量的測定値を得るために、収集した超音波画像にモデルベースのセグメンテーションを適用することが知られている。例えば、心臓の1つ以上の心腔の自動セグメンテーションを行うことができる。血行動態パラメータの測定値は、拡張末期(ED)の超音波画像フレームにモデルベースのセグメンテーションを適用して心腔境界を検出し、その後、心周期の他のフレームにわたってセグメンテーション境界を2D又は3D追跡することで得られる。
【0098】
2Dイメージングでは、収集したシングルプレーン又はバイプレーン情報から外挿するために幾何学的仮定を行い、3Dオブジェクト又は特徴(心腔容量など)の測定情報を生成できる。アルゴリズムの例としては、修正シンプソン法、シングルプレーン、バイプレーン、若しくは一次元データを使用した楕円体モデル、又はバイプレーンデータに基づく半球体-円筒モデルが挙げられる。
【0099】
これらのセグメンテーション方法の詳細については、以下を参照されたい:Kosaraju A,Makaryus AN.Left Ventricular Ejection Fraction. In:StatPearls[インターネット].Treasure Island(FL):StatPearls Publishing;2019 Jan-.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK459131/から入手できる。
【0100】
本発明の少なくとも一組の実施形態の説明の要約として、本発明による1つの有利なシステム及び方法を以下に要約する。
【0101】
提案するシステム及び方法は、1つ以上の超音波イメージング装置とデータストア(任意選択で患者モニタに含まれている)との間の双方向通信を包含して、専門の臨床医が収集した最初の高品質の画像データセットをもたらした超音波画像ビューの複製を可能にする。これにより、他の臨床スタッフ(超音波画像収集のスキルがない、又はスキルが低い)が、最初の画像ビューと一致又は対応するフォローアップ画像を時間の経過と共に収集できるようになり、患者のモニタリングが向上する。提案する解決策は、任意選択で、データ保存のために患者モニタを活用でき、医療施設での患者の滞在中の複数の超音波装置の使用を容易にする。
【0102】
例えば、ワークフロー及びデータフローは次のとおりである。専門家が(TTE若しくはTEEイメージングプローブ、又は他の非心臓イメージングプローブを使用して)満足のいく画像を収集したときに、画像は、タイムスタンプ、患者識別子情報、任意選択でオペレータの氏名、また、任意選択で画像から生成された1つ以上の測定値と共に、システムのデータストア上のデータベースに転送され、保存される。データストアは患者モニタに含まれていてもよい。データストアは、ストレージモジュールなどの補助デバイスや、単にパーソナルコンピュータに含まれていてもよい。
【0103】
後の時点での別の画像及び/又は測定値が所望されるときは、前の測定値(及び任意選択で、更に前の測定値)に対応する画像がデータストアから取得され、新しい画像データの収集に使用される超音波イメージング装置のユーザインターフェースの画面にロードされ、ユーザの参照として使用される。システムは、収集されているライブ超音波画像と参照画像との類似性尺度を計算し、一致が得られたときにユーザにアラートを出す。
【0104】
いくつかの実施形態では、類似性尺度計算又は別の処理操作により、ライブ画像データの解剖学的特徴が検出され、注釈又はラベル付けが生成される。例えば、ライブ画像データの1つ以上のフレームにFOVに存在する解剖学的特徴に応じてラベル付けしたり、画像によって描写されたビューを検出された解剖学的特徴に基づいて特定したりできる。また、描写された画像ビューの記述又はラベリング(例えば、4つの心腔及び弁を有するLV4-心腔ビューラベルが特定される)を与える画像ビューのメタデータが生成される。システムは、検出された画像ビューと、収集のためのターゲット(参照)画像ビューとを比較し、第2のユーザが、正しくない解剖学的コンテキストで(例えば、所望のプレーンに直交して)正しくない位置で画像を収集している場合、アラートが出される。
【0105】
本発明の別の態様は、処理装置も提供する。この処理装置は、入出力部と、1つ以上のプロセッサとを含む。1つ以上のプロセッサは、次のステップ:
入出力部にて、データストアから、患者識別子情報を用いてデータストアに問い合わせを行うことに基づいて、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する参照超音波画像データを取得するステップと、
入出力部にて、ライブ超音波イメージングデータを受信するステップと、
参照画像データに表されるビューと、ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成するステップと、
類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準と一致するときに、ユーザ出力アラートを生成するステップと、
ライブ画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存するステップと、
を行う。
【0106】
この処理装置は、例えば、超音波イメージング装置、即ち、前述の超音波イメージングデータを収集する超音波イメージングデバイス、例えば、図1及び図2を参照して前述した第2の超音波イメージングデバイス22に含まれている。この超音波イメージングデバイスは、処理装置が接続するデータストアも含む分散コンピューティングシステム内のノードを形成する。処理装置を含み、更にライブ超音波イメージングデータを収集するための超音波イメージングプローブを含む超音波イメージング装置が、本発明の別の態様を形成する。
【0107】
処理装置は、一般に、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを含む。処理装置は、単一の含有デバイス、構造体、又はユニット内に設置されても、複数の異なるデバイス、構造体、又はユニット間に分散されてもよい。したがって、特定のステップ又はタスクを実行するように適合又は構成されている処理装置への言及は、単独又は組み合わせのいずれかで、複数の処理構成要素のうちの任意の1つ又は複数によって実行されているそのステップ又はタスクに対応する。当業者は、そのような分散処理装置をどのように実装できるかを理解するであろう。処理装置は、データを受信し、更なる構成要素にデータを出力するための通信モジュール又は入出力部を含む。
【0108】
処理装置の1つ以上のプロセッサは、ソフトウェアやハードウェアを使用して、様々なやり方で実装して、必要な様々な機能を実行することができる。通常、プロセッサは、ソフトウェア(マイクロコードなど)を使用してプログラムされて、必要な機能を行う1つ以上のマイクロプロセッサを用いる。プロセッサは、一部の機能を行うための専用ハードウェアと、他の機能を行うための1つ以上のプログラム済みマイクロプロセッサ及び関連回路との組み合わせとして実装できる。本発明の命令は、スクリプト、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、又はJava(登録商標)クラスを含むが、これらに限定されない任意の解釈可能な又は実行可能なコードメカニズム内にあり得る。これらの命令は、完全な実行可能プログラム、部分的な実行可能プログラム、既存のプログラムの修正(更新など)、又は既存のプログラムの拡張(プラグインなど)として提供できる。さらに、本発明の処理の一部は、複数のコンピュータ又はプロセッサに分散され得る。
【0109】
本開示の様々な実施形態に用いられ得る回路の例としては、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
様々な実装形態では、プロセッサは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROM(登録商標)などの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ以上の記憶媒体と関連付けられ得る。記憶媒体は、1以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されると、必要な機能を実行する1つ以上のプログラムでエンコードされ得る。様々な記憶媒体は、プロセッサ又はコントローラ内で固定されていても、そこに保存されている1つ以上のプログラムをプロセッサにロードできるように輸送可能であってもよい。
【0111】
更なる実施例では、処理装置は、別個の処理ユニット、例えば、患者モニタリングデバイスと超音波イメージングデバイスとの間にブリッジ又はインターフェースとして接続されたユニット、又は、より一般的には、システムの構成要素を形成し、システムの他のデバイス若しくは構成要素と通信可能に接続、リンク、又はネットワーク接続されている別個の処理モジュールであり得る。
【0112】
本発明の別の態様は、上記の処理装置と、ライブ超音波イメージングデータを収集するための超音波イメージングプローブとを含む超音波イメージング装置を提供する。
【0113】
本発明の別の態様は、上記の実施例又は実施形態のいずれかによるシステム(例えば、分散コンピューティングシステム)を提供する。例えば、図1に関連して説明したシステムを、本発明の実施形態として提供できる。また、図2に関連して説明したシステムも、説明した任意選択の特徴、実施例、及び変形例のいずれかを含めて、本発明の実施形態として提供できる。
【0114】
1つの簡単な例では、本発明の態様は、上記の若しくは本出願の請求項のいずれかによる処理装置を含む超音波イメージングデバイス若しくは装置と、参照超音波画像データを保存するデータストアとを含むシステムを提供できる。
【0115】
本発明の別の態様は、1つのプロセッサ又は複数のプロセッサによって実行されるコード手段を含むコンピュータプログラム製品も提供する。これは、超音波イメージング装置と通信可能にリンクされ、且つ、データストアと通信可能にリンクされた1つ以上のプロセッサによる実行のためのものである。
【0116】
コードは、コンピュータに、次のステップ:
データストアから、患者識別子情報を用いてデータストアに問い合わせを行うことに基づいて、被検体の解剖学的構造の少なくとも1つのビューを描写する参照超音波画像データを受信するステップと、
超音波イメージング装置からライブ超音波画像データを受信するステップと、
参照画像データに表されるビューと、ライブ超音波画像データに表されるビューとの類似性を示すライブ類似性尺度を反復的に生成するステップと、
類似性尺度が少なくとも1つの事前定義された基準と一致するときに、ユーザ出力アラートを生成するステップと、
ライブ画像データの1つ以上のフレームをキャプチャして、患者識別子情報がタグ付けされた状態で保存するステップと、
を行わせる。
【0117】
更に、このコードは、プロセッサに、タグ付けされた画像データのキャプチャされたフレームを、保存のためにデータストアに出力させる。
【0118】
プロセッサに接続されたユーザインターフェースを制御することによって、ユーザアラートが生成される。ユーザインターフェースは、超音波イメージングデバイスのユーザインターフェース、又は別個のユーザインターフェースである。
【0119】
いくつかの例では、コードは、超音波イメージングデータを収集した超音波イメージングデバイスに含まれているプロセッサ上で実行される。例えば、図2の実施形態を参照すると、このコードは、第2の超音波イメージングデバイス22のプロセッサによって実行される。
【0120】
開示された実施形態の変形例は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。特許請求の範囲において、語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形の要素は複数を排除するものではない。
【0121】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たしてもよい。
【0122】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを意味するものではない。
【0123】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光記憶媒体又は固体媒体などの任意の適切な媒体に保存/配布することができるが、インターネット又は他の有線若しくはワイヤレス通信システムを介してなど他の形式で配布することもできる。
【0124】
「~するように適応されている」という用語が、特許請求の範囲又は説明で使用されている場合、「~するように適応されている」という用語は「~するように構成されている」という用語と同等であることを意図していることに留意されたい。
【0125】
特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】