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特表2024-537314生地製品の分解のための過熱水蒸気及び空気オーブン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】生地製品の分解のための過熱水蒸気及び空気オーブン
(51)【国際特許分類】
   D06B 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   D06B 3/30 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
D06B1/00
D06B3/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521903
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022078649
(87)【国際公開番号】W WO2023062190
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】BE2021/5808
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524135358
【氏名又は名称】リジェネレーション ベースローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】REGENERATION BV
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】セドリック ヴァンフック
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム アルーシュ
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB31
3B154BB12
3B154BB45
3B154BB47
3B154BC26
(57)【要約】
本発明は、少なくとも部分的に感熱ヤーン、接着剤及び/又は熱脱着可能なリベットで組み付けられた衣服を分解するためのシステムに関する。このシステムは、100℃以上の温度の加熱空気又は過熱蒸気を加熱チャンバに供給するための手段と接続された少なくとも1つの加熱チャンバを備える。加熱チャンバは、衣類が加熱チャンバに入ることができる少なくとも1つの開口部を有し、システムは、さらに、回転ドラム部を備え、ドラム部は、加熱チャンバ内に配置される、又は加熱チャンバの内外に移動するように構成される。さらに、システムを使用する方法も開示される。このシステム及び方法は、衣服の生地要素をさらなる使用のために回収できる、エネルギー効率が高く、非破壊的な手段を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に感熱ヤーン、接着剤及び/又は熱脱着可能なリベットで組み付けられた生地製品を分解するためのシステム(1)であって、
少なくとも100℃の温度の加熱空気又は過熱蒸気を加熱チャンバ(2)に供給するための手段と接続された少なくとも1つの前記加熱チャンバ(2)を備え、
前記加熱チャンバ(2)は、衣類が前記加熱チャンバ(2)に入ることができる少なくとも1つの開口部を有し、
前記システムは、さらに、ドラム(3)を含む回転ドラムセクション(17)を備え、
前記ドラムセクション(17)は、前記加熱チャンバ(2)内に配置される、又は前記加熱チャンバ(2)の内外に移動するように構成される、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム(1)において、前記加熱チャンバは、第1加熱セクション(16)及び第2加熱セクション(25)を有することを特徴とする、システム(1)。
【請求項3】
請求項2に記載のシステム(1)において、前記第1加熱セクション(16)及び前記第2加熱セクション(25)は、前記ドラムセクション(17)の上流側に配置されていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項4】
請求項2に記載のシステム(1)において、前記ドラムセクション(17)は、前記第2加熱セクション(25)内に配置されることを特徴とする、システム(1)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のシステム(1)において、前記システム(1)は、前記加熱チャンバ(2)の少なくとも一部を通して前記生地製品を搬送するための搬送ユニットを備えることを特徴とする、システム(1)。
【請求項6】
請求項5に記載のシステム(1)において、搬送要素は、少なくとも2つの搬送サブユニットを含み、各ユニットは、あらかじめ設定された速度に設定可能であることを特徴とする、システム(1)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のシステム(1)において、各前記搬送サブユニットは、コンベア又はドラムのいずれかであることを特徴とする、システム(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のシステム(1)において、前記加熱チャンバ(2)のセクションの1つが、前記加熱チャンバ(2)の他のすべてのセクションの温度よりも少なくとも20℃低い温度に加熱された空気、過熱蒸気又は不活性ガスを供給する手段と連通していることを特徴とする、システム(1)。
【請求項9】
請求項1から8に記載のシステム(1)において、前記ドラムセクション(17)の前記ドラムは、ボタンのような分解された生地構成要素の排出及び/又は予仕分けを可能にするために、ドラム壁にオリフィス(15)を設けていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項10】
請求項1から9に記載のシステム(1)において、前記オリフィス(15)は、20mm~60mmの間のサイズを有することを特徴とする、システム(1)。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のシステム(1)において、前記ドラム(3)は、前記ドラム(3)の外面に配置された回転可能な円筒形ジャケットを含み、前記ジャケットは、前記ドラム(3)と同様のサイズ及び位置の前記オリフィスを有することを特徴とする、システム(1)。
【請求項12】
請求項9から11に記載のシステム(1)において、前記ドラムセクション(17)の下方に、前記分解された生地構成要素を収集するための収集トレイ(14)が存在することを特徴とする、システム(1)。
【請求項13】
請求項1から12に記載のシステム(1)において、前記加熱チャンバ(2)の壁が断熱されていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項14】
請求項1から13に記載にシステム(1)において、前記加熱チャンバ(2)の壁の少なくとも1つが、少なくとも1つのドラム(3)を前記加熱チャンバ(2)の内外に移動させるように構成されたプラットフォーム(4)を含むことを特徴とする、システム(1)。
【請求項15】
請求項14に記載のシステム(1)において、前記プラットフォーム(4)は、前記加熱チャンバ(2)を気密に閉鎖するように構成された表面を含むことを特徴とする、システム(1)。
【請求項16】
請求項1から15に記載のシステム(1)において、前記システム(1)が、ヒーター(5)と流体接続しているファン(8)を備え、前記ヒーター(5)が、前記加熱チャンバ(2)の少なくとも入口(23)とさらに連通していることを特徴とする、システム(1)。
【請求項17】
請求項1から16に記載のシステム(1)において、前記システム(1)は、フィルタ(7)と流体接続している出口(24)を有し、前記フィルタ(7)は、前記ファンの入口と流体接続するように構成されていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項18】
請求項1から17に記載のシステム(1)において、前記加熱チャンバ(2)は、第1開口部と第2開口部とを備え、前記第1開口部は、流入する第1コンベアベルト(9)に接続されるように構成され、前記第2開口部は、流出する第2コンベアベルト(10)に接続されるように構成されていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項19】
請求項18に記載のシステム(1)において、前記加熱チャンバ(2)の前記第1及び第2開口部に接続された前記コンベアベルト(9,10)は、さらに、シュラウド(21,22)を設けていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項20】
請求項18又は19に記載のシステム(1)において、前記第1コンベアベルト(9)及び前記第2コンベアベルト(10)は、前記加熱チャンバ(2)の長手方向軸線に対して10°~90°の間で配向されていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項21】
請求項1から20に記載のシステム(1)において、前記加熱チャンバ(2)内の温度は、100℃~220℃の間に設定できることを特徴とする、システム(1)。
【請求項22】
感熱ヤーン、接着剤、及び/又は熱脱着可能なリベットで少なくとも部分的に組み付けられた生地製品を分解する方法であって、前記分解は、加熱チャンバ及びドラムを含むドラムセクションを備える分解システムによって行われ、前記生地製品が前記システムに入り、前記生地製品がタンブリング及び/又は回転運動によって機械的応力下に置かれながら、少なくとも100℃の温度の空気、加熱された不活性ガス又は過熱蒸気に曝露されることを特徴とする、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
- 前記加熱チャンバ内で到達すべき分解温度を設定するステップと、
- 設定された前記分解温度に達するまで、少なくとも1つの流体を加熱及び循環させるステップと、
- 分解される前記生地製品を前記システムに装填するステップと、
- 前記ドラムセクションにおいて、予め設定された前記分解温度で前記生地製品をタンブリングするステップと、
- 分解された前記生地製品を前記ドラムセクションから回収するステップと、
を備える、方法。
【請求項24】
請求項22又は23に記載の方法において、前記ドラムセクションに前記生地製品を装填するステップ及び前記ドラムセクションから取り出すステップは、バッチで行われ、操作者が前記ドラムに直接アクセスできるようにすることを特徴とする、方法。
【請求項25】
請求項22から24に記載の方法において、前記ドラムに前記生地製品を装填するステップと前記ドラムから取り出すステップは、連続的に、また少なくとも1つのコンベア及び/又は少なくとも1つの追加のドラムによって行われることを特徴とする、方法。
【請求項26】
請求項22から25に記載の方法において、前記ドラムセクションに分解されるべき前記生地製品を装填するステップは、前記加熱チャンバの第1加熱セクションで前記生地製品を予熱するステップに先行することを特徴とする、方法。
【請求項27】
請求項22から26に記載の方法において、前記生地製品を予熱するステップは、設定された前記分解温度より少なくとも20℃高い温度に達するまで、前記第1セクション内で少なくとも1つの流体を加熱し、循環させるステップに先行することを特徴とする、方法。
【請求項28】
請求項22から27に記載の方法において、前記生地製品が2段階の加熱工程で加熱され、第2加熱工程における温度が第1加熱工程における温度よりも低く、好ましくは少なくとも20℃低く、少なくとも1つのステップにおいて過熱蒸気が加熱源として使用されることを特徴とする、方法。
【請求項29】
請求項22から28に記載の方法において、前記加熱チャンバ内の酸素濃度が10%を超える場合、前記加熱チャンバの加熱を過熱蒸気又は不活性ガスで行うことを特徴とする、方法。
【請求項30】
請求項22から29に記載の方法において、使用される流体は過熱蒸気であり、前記過熱蒸気は蒸気発生器又はボイラーによって前記加熱チャンバに供給されることを特徴とする、方法。
【請求項31】
請求項22から29に記載の方法において、使用される流体は加熱された不活性ガスであることを特徴とする、方法。
【請求項32】
請求項22から31に記載の方法において、前記分解は、前記生地製品からボタン、ジッパー又はリベットなどの生地構成要素を少なくとも部分的に除去するステップを含み、除去された前記生地構成要素は、前記ドラムに存在するオリフィスによって前記システムから排出されることを特徴とする、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、前記生地構成要素は、前記ドラムセクションの下方に配置されたトレイによって排出されることを特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項22から33に記載の方法において、前記方法は、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム(1)において実行されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、生地製品を処理するための装置に関する。特に、本発明は、生地製品を分解するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる性質の複数の工程を有する衣服の処理方法は、当該技術分野において公知である。
【0003】
特許文献1(WO0186052)には、バット(vat)、染色液を循環させる配管システム及びバット内に取り外し可能に配置された有孔回転可能ドラムを含む機械が記載されている。特許文献1に開示された機械及び工程は、化学的及び機械的工程を含んでいる。
【0004】
特許文献2(CN1459522A)には、綿、絹等の天然繊維から、熱的及び機械的処理によりひも状又はフィルム状の高分子不純物を除去する方法が記載されている。
【0005】
特許文献3(WO2019131584A1)には、熱化学的処理によってポリエステル繊維の衣料製品に部分染め表現を加える方法及び装置が記載されている。
【0006】
生地製品を分解するための具体的な数多くの方法及び装置が、従来技術から知られている。これらの方法及び装置には、少なくとも熱的及び機械的プロセスが含まれ、製品分解の異なる程度を包含する。
【0007】
ナン・カレン・ジョイ(Nunn, Karen Joy)氏による「生地廃棄物の分解装置(Apparatus for deconstructing textile waste materials)」と題された特許文献4(EP 3845323)には、生地材料を熱的、化学的及び機械的に処理する装置及び方法が記載されている。この文献に記載されている方法は、最初の酵素処理、それに続く熱処理及びそれに続く機械的手段を用いた生地材料の分解を含んでいる。開示された方法により、生地材料は繊維材料へと変化する。この変換の結果、元の材料の一部が破壊され、得られた繊維から衣服を製造することがよりコスト高になり、且つ衣服の品質が低下する可能性がある。
【0008】
リジェネレイション社(Regeneration BVBA)による「生地物品及び生地物品の製造及び分解のための方法(Textile article and method for the production and disassembly of a textile article)」と題された特許文献5(WO 2019175766)は、ポリマー溶融ヤーンを活用するため、生地物品を自動的又は半自動的に分解することができる生地物品の製造方法が記載されている。製造された物品の分解は、物品又はヤーンを溶融温度と同じ又はそれ以上の温度に加熱することによって行われ、その結果、縫い目がほどける。この特許文献5に開示された方法は、最初に生地物品を高温高湿の雰囲気に曝露させる準備段階を必要とする。しかし、これらの段階は、高いレベルの湿度を有する生地物品になり、このレベルの湿度は、さらに熱を適用する段階にとって有害である。
【0009】
アントニオ・カソ(Caso, Antonio)氏らによる「リサイクル可能なキルト(Recyclable quilt)」と題された特許文献6(WO 2019106453)には、リサイクル可能なキルト、キルトをリサイクルするための機械及び相対的方法及びリサイクル可能な掛けキルトの縫い糸が記載されている。この機械及び方法は、キルトの複数の層を加熱し、縫い目を解き、またその構成する生地要素に分離する段階を含む。この方法は、少なくとも部分的に熱に脆い糸を使用した縫い目を有するキルトに適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第0186052号パンフレット
【特許文献2】中国特許出願公開第1459522号明細書
【特許文献3】国際公開第2019/131584パンフレット
【特許文献4】欧州特許第3845323号明細書
【特許文献5】国際公開第2019/175766号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2019/106453号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した文献には、過剰な材料分解をもたらす、又は処理できるには生地材料タイプが存在する、のいずれかである方法及び装置が含まれている。上述した方法及び装置のもう1つの制限は、当該方法を構成する処理段階の数にある。
【0012】
本発明の目的は、これらの欠点を解消する方法を提供することである。本発明は、再利用可能な生地材料の回収を可能にし、関連する処理コストが低い装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明及びその実施形態は、上述の欠点の1つ又は複数に対する解決策を提供する役割を果たす。この目的のために、本発明は、特許請求の範囲における請求項1に記載の、感熱ヤーン(heat sensitive yarn)、接着剤及び/又は熱脱着可能なリベットで少なくとも部分的に組み付けられた衣服を分解するためのシステムに関する。装置の好ましい実施形態は、請求項2~21のいずれかに示されている。更なる又は別の具体的な好ましい実施形態は、請求項3に記載の発明に関し、加熱チャンバは、ドラムセクションの前に第1及び第2セクションを備える。さらに、更なる又は別の具体的な好ましい実施形態は、請求項18に記載の発明に関する。
【0014】
第2の態様において、本発明は請求項22に記載の方法に関する。より詳細には、記載される方法は、感熱ヤーン、接着剤、及び/又は熱脱着可能なリベットで少なくとも部分的に組み付けられた衣服を分解することを対象とする。特に、この方法は、衣服に熱的及び機械的応力を加えることができるシステムの使用を含む。請求項35に記載の好ましい実施形態では、この方法は、請求項1~21のいずれかに開示されたシステムの手段によって実施される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の特定の実施形態の図についての以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本教示、その適用又は使用を限定することを意図するものではない。図面を通して、対応する参照数字は、類似又は対応する部分及び特徴を示す。
図1】衣服がバッチでシステムに投入される本発明の第1の実施形態を示す。
図2】衣服がバッチでシステムに投入される本発明の第1の実施形態を示す。
図3】衣服がシステムに連続的に投入され、分解された衣服片がシステムの入口付近のトレイに回収される、本発明の第2の実施形態を示す。
図4】衣服がシステム内に連続的に投入され、分解された衣服片がシステムの入口とは反対側の側面に配置されたトレイに回収される、本発明の第2の実施形態を示す。
図5】加熱チャンバがドラムによって完全に占有されているシステムの実施形態を示す。
図6】衣服が連続的にシステムに投入され、2つのセクションの加熱チャンバに通される、本発明の実施形態を示す。
図7】加熱チャンバが第1セクション、第2セクション及びドラムセクションを有するシステムの実施形態を示す。
図8】生地及びリベットの小片のためのオリフィスを有するドラムの実施形態を示す。
図9】加熱チャンバの第1及び第2セクションの全長にわたって延びている(延在する)ドラムを備えた加熱チャンバを示す。
図10】第1加熱チャンバに第1ドラムを備え、加熱チャンバの第2セクションに第2ドラムを備える加熱チャンバを示す。
図11】加熱チャンバの第1セクションから加熱チャンバの第2セクションにかけて延在するドラムを備えた加熱チャンバを示し、ドラムは、加熱チャンバの第1及び第2セクションそれぞれの長さの一部のみを占める。
図12】3つのドラムを備えた加熱チャンバを示す。
図13】第2加熱チャンバの上方に配置された第1加熱チャンバを示し、2つの加熱チャンバの端部は、チャネル及び/又はコンベアの中間体によって接続されている。
図14】第2加熱チャンバにほぼ整列した第1加熱チャンバを示し、2つのチャンバは、チャネル及び/又はコンベアを介して端から端まで接続されている。
図15】第2加熱チャンバの上方に配置された第1加熱チャンバを示し、2つの加熱チャンバの側面は、チャネル及び/又はコンベアの中間によって接続されている。
図16】第1加熱チャンバの軸線よりも低い状態にある出力開口を有する第2加熱チャンバに接続された第1加熱チャンバを示す。
【0016】
本発明は、先に説明した実現形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を再評価することなく、提示した製造例にいくつかの変更を加えることができると想定される。例えば、加熱チャンバを外部の過熱蒸気回路に接続することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、衣服を分解するためのシステムに関する。この文脈では、生地製品及び衣服は同じ意味であると理解され、同じ意味で使用され得る。衣服は、感熱ヤーン、接着剤及び/又は取り外し可能なリベットによって一緒に保持された複数の要素からなる。このシステムは、衣服に熱的及び機械的負荷を加えることによって作動し、衣服を構成要素に分離させる。このシステムは、高レベルの機械的完全性をもたらす分離された衣服を提供し、有利には再利用を可能にする。
【0018】
他に定義がない限り、技術用語及び科学用語を含め、本発明を開示する際に使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針として、本発明の教示をよりよく理解するために用語の定義が含まれる。
【0019】
本明細書において、以下の用語は以下の意味を有する。本明細書で使用される「A」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示をしない限り、単数及び複数の両方の指示対象を指す。例として、「区画(a compartment)」は1つ又は複数の区画を指す。
【0020】
本明細書において、パラメータ、量、時間的持続時間などの測定可能な値について言及する「約(About)」は、そのような変動が開示された本発明で実行するのに適切である限りにおいて、指定された値の±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±1%以下、さらに好ましくは±0.1%以下の変動を包含することを意味する。ただし、修飾語「約」が指す値自体も具体的に開示されていることを理解されたい。
【0021】
本明細書で使用される「備える/含む(comprise)」、「備えている/含んでいる(comprising)」、「備える/含む(comprises)」及び「備えた/含んだ(comprised of)」は、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」又は「含有する(contain)」、「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、例えば構成要素に続くものの存在を特定する包括的又は制約がない用語であり、当該技術分野で既知又はそこに開示される追加の、非記載の構成要素、特徴、要素、部材、ステップの存在を除外又は排除するものではない。
【0022】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲において、第1、第2、第3などの用語は、指定されない限り、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時系列的な順序を説明するために使用されるものではない。このように使用される用語は、適切な状況下では交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示される以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0023】
端点による数値範囲の記載は、記載された端点だけでなく、その範囲に含まれるすべての数値と分数を含む。
【0024】
用語「1つ又は複数(one or more)」又は「少なくとも1つ(at least one)」という用語は、例えば、要素グループのうちの1つ又は複数又は少なくとも1つの要素は、それ自体明確であるのに対し、さらなる例示によって、この用語は、特に、前記要素のうちの任意な1つ、或いは要素のうちの任意な2つ又は複数、例えば、要素のうちの任意の≧3、≧4、≧5、≧6又は≧7など、且つすべての要素までの言及を包含する。
【0025】
他に定義がない限り、技術用語及び科学用語を含め、本発明を開示する際に使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針として、本発明の教示をよりよく理解するために、本明細書で使用される用語の定義が含まれる。本明細書で使用される用語又は定義は、本発明の理解を助けるためにのみ提供される。
【0026】
本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」又は「或る実施形態(an embodiment)」という言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所で「一実施形態において(in one embodiment)」又は「或る実施形態において(in an embodiment)」という表現が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではなく、その可能性がある。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、いくつかの特徴を含むが、他の実施形態に含まれる他の特徴は含まない、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることを意味し、当該技術分野によって理解されるように、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、請求の範囲の実施形態のいずれかも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0027】
第1の態様において、本発明は、感熱ヤーン、接着剤及び/又は熱脱着可能なリベットで少なくとも部分的に組み付けられた衣服を分解するためのシステムを提供する。このシステムは、少なくとも100℃の温度の加熱空気又は過熱蒸気を加熱チャンバに供給するための手段と接続された少なくとも1つの加熱チャンバを備える。加熱チャンバは、衣服を加熱チャンバに入れることができる少なくとも1つの開口部を有し、システムは、ドラムからなる回転ドラムセクションをさらに備え、ドラムセクションは、加熱チャンバ内に配置される、又は加熱チャンバ内外に移動するように構成される。このシステムは、熱的及び機械的応力によって、任意の感熱ヤーン、接着剤、熱脱着可能なリベット又はボタンの機械的特性を弱め、破壊することを可能にする。機械的応力は、ヤーン、接着剤、熱脱着可能なリベット又はボタンがまだ温かい間にドラムの回転によって提供される。
【0028】
「感熱ヤーン(heat sensitive yarn)」とは、融点又は融解温度が既知の糸(thread)に言及し、糸の融解温度の範囲内における温度に加熱すると糸は融解する。
【0029】
「ヤーン(yarn)」又は糸(thread)は、繊維を紡いで作られる糸を指す場合、又は基本的にエンドレスであり、したがってすでにヤーンを形成しているフィラメントヤーンを指す場合に使用される。本発明の文脈では、「標準ヤーン(standard yarn)」と「感熱ヤーン(heat sensitive yarn)」は区別される。
【0030】
一実施形態では、加熱チャンバは第1及び第2加熱セクションを有する。好ましくは、加熱チャンバの各セクションは、少なくとも100℃の温度の加熱空気、過熱蒸気又は加熱不活性ガスを供給するための手段に関連している。好ましくは、各セクションは、加熱空気、過熱蒸気又は加熱不活性ガスを循環させるための1つの入口と少なくとも1つの出口を有する。このようにして、各チャンバに異なる加熱流体を供給することができ、各セクション内に異なる雰囲気を作り出すことができる。
【0031】
一実施形態では、第1及び第2セクションは、ドラムセクションの上流に位置する。別の実施形態では、ドラムセクションは、第2加熱セクション内に位置する。いずれの実施形態においても、ドラムセクションの前の各加熱セクションは、衣服を予備加熱することを可能にし、したがって、製品がドラムセクションに入る前に、任意の感熱ヤーン、接着剤、熱脱着可能なリベット又はボタンの機械的特性を弱める。これにより、感熱ヤーン、接着剤、熱脱着可能なリベット又はボタンが、機械的応力を受ける前に既に弱められるので、回転ドラムによって加えられる機械的応力をより効率的に利用することができる。
【0032】
一実施形態において、システムは、加熱チャンバの少なくとも一部を通して衣服を搬送するための、搬送ユニットを備える。好ましくは、搬送ユニットは、少なくとも120℃、より好ましくは、150℃、170℃、180℃、190℃、最も好ましくは220℃以上の温度で動作可能である。好ましくは、搬送ユニットは、加熱チャンバの入口からドラムセクションまで、より好ましくは加熱チャンバの入口からドラムセクションの内側200mmまで、最も好ましくは300mmまで延在する。このようにして、ドラムセクションにおけるドラム内への衣服の効果的な搬送が有利に確保される。
【0033】
さらなる又は別の実施形態において、搬送要素は、少なくとも2つの搬送サブユニットを含み、各ユニットは、予め規定された速度に設定され得る。このようにして、衣服が予め規定された各温度に曝露される時間を変化させることが可能である。これは、合成繊維を有する衣服と天然繊維のみを有する衣服との間で変化させる場合に特に有利である。好ましくは、各搬送サブユニットは、コンベア又はドラムのいずれかである。より好ましくは、第1の搬送サブユニットはコンベアであり、第2搬送サブユニットはドラムである。このようにして、衣服は、加熱チャンバに入り、第1加熱セクションに入り、そこで、好適には、過熱蒸気又は加熱不活性ガスを使用して、衣服が予熱され、続いて、ドラム内で第2の予熱段階が行われ、加熱チャンバのドラムセクションに入る前に、予熱される。最も好ましくは、各搬送サブユニットはドラムである。これにより、加熱空気、過熱蒸気及び/又は加熱不活性ガスに衣服の表面領域をより多く曝露させることができ、予熱段階においてより効率的な熱伝達が保証される。各ドラムの内部を通る衣服の搬送を改善するために、各ドラムは、往復動インサート、ラム、スクリュー、エジェクタープレート及び/又はピンを含むことができる。好ましくは、各ドラムは少なくとも2°~10°下流側に傾斜させる。さらにより好ましくは、各ドラムの内面は、ドラムの長さの少なくとも80%、好ましくは90%にわたり延在するらせん状に配置されたピン及び/又はパドルを含む。このようにして、各ドラムの内部での衣服の搬送が保証される。最も好ましくは、パドル及び/又はピンのドラムの軸線方向への突出は調節可能である。このようにして、タンブリング中に衣服が被曝する機械的な力は有利に調整可能である。これは、特に、より薄い衣服が処理される場合に関連する。
【0034】
一実施形態では、加熱チャンバのセクションの1つは、加熱チャンバの他のすべてのセクションの温度よりも少なくとも20℃低い温度に加熱された空気、過熱蒸気又は不活性ガスを供給する手段に接続される。より好ましくは、ドラムセクションは、加熱チャンバの他のすべてのセクションの温度よりも少なくとも20℃低い温度に加熱された空気、過熱蒸気又は不活性ガスを供給する手段に接続される。このようにして、分離された衣服は、システムの外部に露出される前に、より低い温度に達し、それにより、分離された衣服の酸化による損傷の危険性を低減する。最も好ましくは、各セクションは、熱風、過熱蒸気及び加熱不活性ガスの独自の供給源を有する。さらにより好ましくは、加熱チャンバの各セクションの各入口は、例えば各入口の前又は各入口に配置された少なくとも1つのバルブによって調節される。このようにして、各セクションに流入する熱風、過熱蒸気又は加熱不活性ガスの量と速度を有利に制御することができる。最も好ましくは、各出口も、例えば各出口の前又は各出口に配置された少なくとも1つのバルブによって調節される。各セクションの入口と出口を調節できることによって、各セクション内の圧力、湿度、温度及び酸素濃度も制御可能である。さらに有利には、熱風、過熱水蒸気及び加熱不活性ガスの供給源がすべてのセクションで同じであっても、セクションごとに異なる圧力、湿度、温度及び酸素濃度を設定することができる。
【0035】
一実施形態では、ドラムセクションのドラムは、ボタンのような分解された生地構成要素(textile components)の排出及び/又は事前選別を可能にするために、ドラム壁にオリフィスを備える。好ましくは、オリフィスは長方形、円形又は楕円形である。このようにすると、加熱された空気、過熱蒸気及び/又は加熱された不活性ガスがドラムの壁を容易に透過し、熱伝達が増加し、したがって、システムの効率が向上する。さらに重要なことは、ドラムのオリフィスにより、衣服の大きな断片と同じ衣服の小さな断片との分離を自動化することができ、これらの大きな断片はシステム内で異なる経路をたどる。好ましくは、オリフィスは20mm~60mmの間のサイズを有する。より好ましくは、ドラムは、ドラムの外面に配置された回転可能な円筒形ジャケットを含み、ジャケットは、ドラムのものと同様のサイズ及び位置のオリフィスを有する。このようにして、ドラムのオリフィスは、有利にはサイズを調節可能である。これにより、タンブリング中に衣服のどの要素がドラムから落下するようにするかを選択することができる。
【0036】
一実施形態では、ドラムセクションの下方に、分解された生地構成要素を収集するための収集トレイが存在する。これにより、有利には、衣服の大きな要素と小さなサイズの要素とを少なくとも2つの出力経路に分割し、さらに下流での再使用又はリサイクルのために分解された生地構成要素を収集することができる。
【0037】
システムの好ましい実施形態では、加熱チャンバの壁は断熱されている。このようにして、加熱チャンバの外部との熱交換が最小化され、有利なことに、システムの使用が安全且つエネルギー的に効率的になる。
【0038】
さらなる又は別の実施形態において、加熱チャンバの壁の少なくとも1つは、少なくとも1つのドラムを加熱チャンバに出し入れするように構成されたプラットフォームを含む。このようにして、加熱チャンバ内部へのアクセスが、メンテナンス及び/又はドラムの装填を容易にする。好ましくは、プラットフォームは、加熱チャンバを気密に閉じるように構成された表面を含む。これにより、高温の流体、粒子又は熱の損失を回避することができ、これらの損失は、システムの効率及び安全性の両方にとって悪影響を及ぼす。
【0039】
さらなる又は別の実施形態において、システムは、ヒーターと流体接続するファンを備え、このヒーターは、加熱チャンバの少なくとも入口とさらに接続される。好ましくは、システムは、フィルタと流体接続している出口を有し、このフィルタは、ファンの入口と流体接続しているように構成されている。このようにして、システムは、閉ループで機能することができ、それにより、最も重要なことでは熱運搬流体の損失による、システムの外部への熱損失を最小限に抑えることができる。このことはさらに、非常に有利なことに、システムのエネルギー効率を向上させ、それによりシステムを使用する際のコスト及び環境への影響を低減する。
【0040】
さらなる又は別の実施形態において、加熱チャンバは、第1開口部及び第2開口部を備え、第1開口部は、入ってくる第1コンベアベルトに接続されるように構成され、第2開口部は、出ていく第2コンベアベルトに接続されるように構成される。好ましくは、加熱チャンバの第1開口部及び第2開口部に接続されるコンベアベルトは、シュラウドをさらに備える。このようにして、ドラムは連続的に動作し、シュラウドはシステムの外部との熱交換を最小限にすることを可能にする。好ましくは、第2開口部の端部にある熱交換器又は2次ダクトが、入ってくるコンベアベルトとそのシュラウドとの間の空間に向かって熱の一部を迂回させることができる。このようにして、入ってくるコンベアベルトによって搬送される衣服は、有利には予熱され、それにより、衣服のタンブリング時間が短縮され、システムのエネルギー効率及び出力がさらに向上する。さらに好ましくは、第1コンベアベルト及び第2コンベアベルトは、加熱チャンバの長手方向軸線に対して10°~90°の間で配向される。このようにして、加熱チャンバは、入力及び出力開口部に対して高くなっている。これによって、より暖かく密度の低いガスが上昇する傾向を利用することができる。このようにして、加熱チャンバの任意の部分を加熱するために使用される任意の加熱流体が、有利には加熱チャンバ内に保持される。
【0041】
さらなる又は別の実施形態において、加熱チャンバ内の温度は、100℃~220℃の間に設定され得る。好ましくは、加熱チャンバ内の温度は100℃と300℃の間に設定することができる。このようにして、衣服の任意の部分を損傷する危険性を低減しながら、複数の種類の衣服及び感熱ヤーンを処理することができる。好ましくは、複数のあらかじめ設定された温度モードを、操作パネルによって操作者が利用できるようにする。このようにして、人為的ミスの危険性が最小化されると同時に、過剰なエネルギー消費の危険性も最小化される。さらにより好ましくは、加熱チャンバ内の温度は、感熱ヤーンの融点より少なくとも約20℃高いことが望ましい。
【0042】
本発明の第2の態様は、感熱ヤーン及び/又は熱脱着可能なリベットで少なくとも部分的に組み付けられた衣服を分解するための方法に関するもので、分解は、加熱チャンバとドラムセクションと、を含む分解システムによって行われ、衣服はシステムに入れられる。この方法において、衣服はタンブリング及び/又は回転運動によって機械的応力下に置かれながら、少なくとも100℃の温度の空気、加熱された不活性ガス又は過熱蒸気に曝露される。
【0043】
好ましい実施形態において、本方法は、
- 加熱チャンバ内で到達すべき分解温度を設定するステップと、
- 設定された分解温度に達するまで、少なくとも1つの流体を加熱及び循環させるステップと、
- 分解される衣服をシステムに装填するステップと、
- ドラムセクションにおいて、あらかじめ設定された分解温度で衣服をタンブリングするステップと、
- 分解された衣服をドラムセクションから回収するステップと、を含む。
【0044】
さらなる別の好ましい実施形態では、ドラムセクションに衣服を装填するステップとドラムセクションから取り出すステップは、バッチで行われ、オペレータがドラムに直接アクセスすることによって行われる。これにより、閉ループシステムの使用が可能になり、運転中に極めて高いエネルギー効率及び安全性が有利に維持される。
【0045】
さらなる又は別の実施形態では、ドラムに衣服を装填するステップとドラムから衣服を取り出すステップは、少なくとも1つのコンベア及び/又は少なくとも1つの追加のドラムによって、連続的に行われる。これにより、一定の運転が可能になり、従って、より高い出力が得られる。
【0046】
一実施形態において、分解される衣服をドラムセクションに装填するステップは、加熱チャンバの第1加熱セクションで衣服を予熱するステップに先行する。好ましくは、第1セクションは、ドラムセクションの上流にある。これは、有利には、衣服がドラムに入る前に、任意の感熱ヤーン、接着剤、リベット及び/又はボタンの機械的強度を低下させることを可能にする。これにより、製品がドラムに入るとすぐに、機械的応力が感熱ヤーン、接着剤、リベット及び/又はボタンを壊し始めるので、衣服に機械的応力を付与するためにドラムの全長をより効率的に使用することが可能になる。
【0047】
好ましくは、加熱チャンバ内で到達すべき分解温度を設定するステップは、ドラムのタンブリング時間を設定するステップをさらに含む。より好ましくは、タンブリング時間を設定するステップは、予熱時間を設定するステップをさらに含む。最も好ましくは、予熱時間はタンブリング時間と等しく、好ましくはタンブリング時間よりも長い。このようにすると、タンブリング操作がプロセスのボトルネックにならず、予熱段階での衣服への過度の熱伝達を回避することができる。
【0048】
一実施形態において、衣服を予熱するステップは、設定分解温度より少なくとも20℃高い温度に達するまで、第1セクションにおいて少なくとも1つの流体を加熱し循環させるステップによって先行される。好ましくは、衣服は2段階加熱工程で加熱され、第2加熱工程の温度は第1加熱工程の温度より低く、好ましくは少なくとも20℃低く、少なくとも1つの工程で過熱蒸気が加熱源として使用される。好ましくは、第2加熱工程はドラム内で行われる。このようにして、ドラムから出る分離された衣服は、より低い温度を有し、この温度は、衣服の酸化損傷を避けるために十分に低い。
【0049】
加熱チャンバ内の酸素濃度が10%を超える場合、加熱チャンバの加熱を過熱蒸気又は加熱された不活性ガスで行うことを特徴とする、先行請求項のいずれかに記載の方法。このようにすると、チャンバ内の酸素濃度が10%以下に保たれるので、加工中の生地材料の酸化損傷を防止することができる。
【0050】
さらなる又は別の実施形態では、過熱蒸気は、蒸気発生器又はボイラーによって加熱チャンバに供給される。当業者に知られているように、蒸気システムは、多種多様な産業において非常に一般的に使用されている。既存の蒸気システムを利用することにより、システムの取得及び使用にかかるコストをさらに削減することができる。さらに、衣服解体システムから出る蒸気は、より低い熱要求の他の作業でも使用することができる。システムの外部ソースからの過熱蒸気の使用は、生地材料の酸化を防ぐだけでなく、システムが稼働している工場のより効率的な全体稼働にも貢献する。
【0051】
一実施形態では、使用される流体は加熱された不活性ガスである。加熱された不活性ガスの使用は、有利には、加熱チャンバ内に存在する酸素を置換し、生地材料の酸化を防止するだけでなく、システムが稼働している工場のより効率的な全体稼働にも貢献する。
【0052】
一実施形態において、分解は衣服からボタン、ジッパー又はリベットのような生地構成要素を少なくとも部分的に除去することを含み、除去された生地構成要素は、ドラムに存在するオリフィスによってシステムから排出される。好ましくは、生地構成要素は、ドラムセクションの下方に配置されたトレイによって排出される。これにより、工場内の他の場所での更なる分離工程を回避することができ、衣服の小さな要素を容易に収集することができる。
【0053】
一実施形態において、方法は、本発明の第1の態様によるシステムで実行される。システムは、衣服が受ける熱的及び機械的負荷の両方を調節することを可能にする。このようにして、様々な程度の熱的及び機械的弾力性を有する衣服を処理することができる。
【0054】
均質な熱分布を確保し、タンブリング中に衣服に十分な機械的負荷を与えるために、ドラムの速度は少なくとも30RPM~最大50RPMである必要がある。好ましくは、ドラムの回転速度は調整可能とすべきである。
【0055】
タンブリング時間は、処理する衣服の種類と量によって異なる。例えば、閉ループ構成のシステムは、14本のジーンズを分解についてテストされた。第1の例では、熱媒体として空気が使用され、この空気は約10m/sで加熱チャンバに導入された。このプロセスは15分間実施され、その後衣服の完全な分解が達成された。第2の例として、第1の試験で処理したものと同じ14組のジーンズについて同じ試験を行った。この第2の例では、過熱水蒸気を熱媒体として使用し、熱を約10m/sで10分間加熱チャンバに導入し、その後衣服の完全な分解を達成した。
【0056】
本発明は、本発明をさらに説明する以下の非限定的な実施例によってさらに説明されるが、これらは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、また限定するように解釈されるべきではない。
【0057】
(図面の説明)
次に、本発明を以下の実施例を参照してさらに例示する。本発明は、与えられた実施例又は図に示された実施形態に限定されるものではない。
【0058】
図1~2は、衣服がバッチでシステムに導入される本発明の第1の実施形態を示している。システム1は加熱チャンバ2を含む。加熱チャンバ2には少なくとも1つの開口部があり、この開口部から可動プラットフォーム4によって回転ドラム3が挿入される。ファン8は、配管6によってヒーター5と流体接続しており、この配管はさらにヒーターと加熱チャンバ2を接続している。加熱チャンバ2はまた、フィルタ7と流体接続しており、フィルタはさらにファン8に接続されている。図1は、プラットフォーム4の上にある回転ドラム3を示しており、両方とも下降位置にある。図2は、プラットフォーム4の上にある回転ドラム3を示し、両方とも上昇位置にあり、プラットフォーム4は加熱チャンバ2の開口部を密閉している。
【0059】
図3は、衣服がシステム1に連続的に導入され、分解された衣服の断片がシステム1の入口付近のトレイ14に回収される、本発明の第2の実施形態を示している。この図において、加熱チャンバ2は回転ドラム3とヒーター5を含み、衣服の導入は回転ドラム12の第1端部に接続された第1コンベア9によって行われる。処理された衣服は、回転ドラムの第2端部を通って回転ドラム3から排出され、この端部は第2コンベア10に接続され、このコンベアは処理された衣服をトレイ14に運ぶ。熱交換器11は、加熱チャンバ2から熱を集め、第1コンベア9上の空気を予熱するために、回転ドラム13の第2端部付近で加熱チャンバ2と流体接続して示されている。
【0060】
図4は、衣服がシステム1に連続的に導入され、分解された衣服片がシステムの入口と反対側の側面に配置されたトレイ14に回収される、本発明の第2の実施形態を示す。この図において、外部の蒸気システム(図示せず)から過熱蒸気が供給される加熱チャンバ2があり、加熱チャンバ2はさらに回転ドラム3を含んでいる。衣服の導入は、回転ドラム12の第1端部に接続された第1コンベア9によって行われる。処理された衣服は、回転ドラムの第2端部13を通って回転ドラム3から排出され、この端部は第2コンベア10に接続され、このコンベアは処理された衣服をトレイ14に運ぶ。
【0061】
図5は、加熱チャンバ2がドラム3によって完全に占有されているシステム1の実施形態を示す。第1コンベア9は、衣服がシステム1に入るための入口となる投入開口部18の間に配置されて示されている。この図において、投入開口部18は、第1コンベア9の第1端部に配置され、第1コンベア9は、第1シュラウド21に覆われている。この図に示されていないさらなる構成では、投入開口部18が第1シュラウド21の端部に配置されていてもよい。図にはさらに、回転ドラムの第1端部12まで延びる第1コンベア9の第2端部が示されており、回転ドラムの第2端部13は、第2コンベア10の第1端部に重なって示されている。回転ドラムの第1端部12は、ドラム3の傾斜によって回転ドラムの第2端部13よりも高い位置に示されている。加熱チャンバ2から延びる第2シュラウド22が示されており、第2シュラウド22は、第2コンベア10の長さの大部分を覆っている。この第2シュラウド22の第2端部は、処理された衣服のための出力開口部を画定する。トレイ14は、トレイ14が加熱チャンバ2の底部及びドラム3の下方に配置されている状態で示されている。
【0062】
図6は、衣服がシステム1に連続的に導入され、2つのセクションからなる加熱チャンバ2を通過する本発明の実施形態を示す。この図において、加熱チャンバ2の第1セクション16及び第2セクション17には、外部蒸気システム(図示せず)からの過熱蒸気が供給され、第1セクション16はさらに第1回転ドラム28を含み、第2セクション17はさらに第2回転ドラム29を含む。衣服の導入は、第1回転ドラムの第1端部30に接続された第1コンベア9によって行われる。衣服は第1回転ドラム28から第2回転ドラム29に渡される。第1ドラムの第2端部31と第2ドラムの第1端部32は連通して示されている。処理された衣服は、第2回転ドラムの第2端部33を通って第2回転ドラム29から出るが、この端部は第2コンベア10に接続されており、このコンベアは処理された衣服をトレイ14に運ぶ。
【0063】
図7は、加熱チャンバ2が第1セクション16、第2セクション及びドラムセクション17を有するシステム1の実施形態を示す。第1コンベア9が、衣服がシステム1に入るための入口となる投入開口部18の間に配置されて示されている。この図において、投入開口部18は、第1コンベア9の第1端部に配置されており、第1コンベア9は、第1シュラウド21に覆われている。この図に示されていないさらなる構成では、投入開口部18が第1シュラウド21の端部に配置されていてもよい。図にはさらに、加熱チャンバ2内に延びる第1コンベア9の第2端部が示されている。加熱チャンバは、第1セクション16、第2セクション25及びドラムセクション17を含むことが示されている。各セクションは、加熱流体入口23及び加熱流体出口24(ドラムセクションには図示せず)を含む。この図において、第1コンベア9の第2端部は、加熱チャンバ16の第1セクションに配置された第3コンベア26の第1端部と重なって示されており、その第3コンベア26の第2端部は、加熱チャンバ25の第2セクションに配置された第4コンベア27の第1端部と連通して示されている。第2端部は、第4コンベア27が図示されている場合、回転ドラム12の第1端部を通ってドラムセクション17の内部に配置されたドラム3の内部に到達する。回転ドラムの第2端部13は、第2コンベア10の第1端部と重なって示されている。回転ドラムの第1端部12は、ドラム3の傾斜によって回転ドラムの第2端部13よりも高い位置にあるように示されている。加熱チャンバ2から延在する第2シュラウド22が示されており、第2シュラウド22は、第2コンベア10の長さの大部分を覆っている。この第2シュラウド22の第2端部は、処理された衣服のための出力開口を画定する。トレイ14は、加熱チャンバ2の底部に、ドラム3の下方に配置されたトレイ14が示されている。
【0064】
図8は、生地及びリベットの小片のためのオリフィス15を有するドラム3の実施形態を示す。オリフィス15は、ドラム3の壁全体に均一に分布して示されている。図に示すドラム3は、さらに2つの閉端部を含む。ドラム3の側壁には扉20が設けられている。この構成では、5はバッチ装填に適している。図に示されていないドラム3の他の構成は、連続処理に向けられており、衣服の連続的な出入りを可能にするために開放端が設けられる。
【0065】
図9~12は、1つ(3)又は複数のドラム(34、35)を備えた加熱チャンバ(2)の複数の構成を示す。図9は、加熱チャンバ(2)が、加熱チャンバ(16、25)の第1及び第2セクションの全長にわたって延在するドラム(3)を備えることを示す。図10は、第1加熱チャンバ(16)に第1ドラム(28)を備え、加熱チャンバの第2セクション(25)に第2ドラム(25)を備えた加熱チャンバ(2)を示す。図11は、加熱チャンバ(16)の第1セクションから加熱チャンバ(25)の第2セクションまで延在するドラム(3)を備えた加熱チャンバ(2)を示し、ドラム(3)は、加熱チャンバ(16、25)の各第1及び第2セクションの長さの一部のみを占める。図12は、3つのドラム(38、29、34)を備えた加熱チャンバ(2)を示す。第1ドラム(28)は第1加熱チャンバ(16)に、第2ドラム(29)は加熱チャンバ(25)の第2セクションに配置され、第3ドラム(34)は第1及び第2ドラム(28、29)の間に設けられ、第3ドラム(34)は加熱チャンバ(16)の第1セクションから加熱チャンバ(25)の第2セクションまで延在する。
【0066】
図13~16は、互いに連通する2つの加熱チャンバ(35、36)を備えたシステム(1)の概略図である。各加熱チャンバ(35、36)への生地製品の出入り経路は、図13~16に矢印で示されている。図13は、第2加熱チャンバ(35)の上方に配置された第1加熱チャンバ(35)を示し、2つの加熱チャンバ(35、36)の端部は、チャネル及び/又はコンベアの中間部分によって接続されている。図では、第1チャンバ(35)の入力側と第2チャンバ(36)の出力側が同じ側に向けられている。図14は、第1加熱チャンバ(35)が第2加熱チャンバ(35)とほぼ整列している状態を示し、2つのチャンバ(35、36)は、チャネル及び/又はコンベアを介して端部から端部まで接続されている。図15は、第2加熱チャンバ(35)の上方に配置された第1加熱チャンバ(35)を示し、2つの加熱チャンバ(35、36)の側面は、チャネル及び/又はコンベアの中間部分によって接続されている。図16は、第1加熱チャンバ(35)の軸線よりも低い出力開口を有する第2加熱チャンバ(35)に接続された第1加熱チャンバ(35)を示す。2つのチャンバ(35、36)は、チャネル及び/又はコンベアを介して端部から端部まで接続されている。
【0067】
本発明は、先に説明した実現形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を再評価することなく、提示した製造例にいくつかの変更を加えることができるものと想定される。例えば、加熱チャンバを外部の過熱蒸気回路に接続することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 オーブンシステム
2 加熱チャンバ
3 回転ドラム
4 プラットフォーム
5 ヒーター
6 配管
7 フィルタ
8 ファン
9 第1コンベア
10 第2コンベア
11 熱交換器
12 回転ドラムの第1端部
13 回転ドラムの第2端部
14 トレイ
15 ドラムオリフィス
16 加熱チャンバの第1セクション
17 加熱チャンバのドラムセクション
18 投入開口部
19 出力開口部
20 ドラムドア
21 第1シュラウド
22 第2シュラウド
23 加熱流体入口
24 加熱流体出口
25 加熱チャンバの第2セクション
26 第3コンベア
27 第4コンベア
28 第1回転ドラム
29 第2回転ドラム
30 第1回転ドラムの第1端部
31 第1回転ドラムの第2端部
32 第2回転ドラムの第1端部
33 第1回転ドラムの第2端部
34 第3回転ドラム
35 第1加熱チャンバ
36 第2加熱チャンバ
【0069】
本発明は、実施例に記載され、及び/又は図に示された実施形態になんら限定されない。それどころか、本発明による方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの異なる方法で実現され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】