(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】フローアイソレート弁装置のための方法及びシステム、ならびに3チャンバシリンダ油圧構造
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F15B11/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521904
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022047178
(87)【国際公開番号】W WO2023069552
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598063203
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(71)【出願人】
【識別番号】524135484
【氏名又は名称】ウィプロ エンタープライシス ピーブイティー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WIPRO ENTERPRISES PVT LTD.
【住所又は居所原語表記】Wipro House No.8, 7th Main 80 Feet Road Koramangala (IN)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ベルトリン,マテウス
(72)【発明者】
【氏名】グオ,シャオファン
(72)【発明者】
【氏名】バッカ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,ジャン
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA72
3H089BB14
3H089BB15
3H089BB17
3H089CC01
3H089DB33
3H089DB43
3H089DB65
(57)【要約】
1つ又は複数のi)リニア、又はii)ロータリー油圧アクチュエータであって、シリンダチャンバの総数がNのアクチュエータと、M個の圧力レールと、圧力レールにそれぞれ結合されたM個の油圧レールポートと、1つ又は複数のアクチュエータのチャンバにそれぞれ結合されたN個の油圧チャンバポートと、N個の油圧チャンバポートのうちの1つにそれぞれ対応するN個の比例弁と、2つ以上の油圧レールポートをN個の比例弁のそれぞれの供給側のそれぞれに結合するX組のオン/オフ弁及び逆止弁と、N個の比例弁のそれぞれの戻り側のそれぞれに2以上の油圧レールポートを結合するY組のオン/オフ弁及び逆止弁と、1つ又は複数の所望の機能パラメータを達成するためにN個の比例弁及び関連するオン/オフ弁をリアルタイムで動作させるように構成されたコントローラとを含む油圧回路が開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が圧力レールに結合されるように構成されたM個の油圧レールポートと、
各々が1つ又は複数のアクチュエータのチャンバに結合されるように構成されたN個の油圧チャンバポートと、
各々が前記N個の油圧チャンバポートのうちの1つに対応するN個の比例弁であって、各比例弁は前記M個の油圧レールポートに結合されたレール側と、対応する油圧チャンバポートに結合されたチャンバ側とを含み、前記N個の比例弁の各レール側は、対応する油圧チャンバポートに作動油を供給するように構成された供給側と、前記対応する油圧チャンバポートから作動油を受け取るように構成された戻り側とに分割される、該N個の比例弁と、
2つ以上の油圧レールポートを前記N個の比例弁の各々の前記供給側の各々に結合するX組のオン/オフ弁及び逆止弁と、
2つ以上の油圧レールポートを前記N個の比例弁の各々の前記戻り側の各々に結合するY組のオン/オフ弁及び逆止弁と、を備え、
前記オン/オフ弁及び前記比例弁の各々を選択的に動作させることにより、前記N個の油圧チャンバポートの各々一つに選択的な圧力又は流れを提供する、弁装置。
【請求項2】
Xは、最大数M-1を有する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
Xは、最小数1を有する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項4】
Yは、最大数M-1を有する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項5】
Yは、最小数1を有する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項6】
前記N個の比例弁の各々の前記供給側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、前記比例弁の前記供給側の圧力を選択的に画定する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項7】
前記N個の比例弁の各々の前記供給側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、前記第一圧力は前記第二圧力よりも高い、請求項1に記載の弁装置。
【請求項8】
前記N個の比例弁の各々の前記戻り側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、前記比例弁の前記戻り側の圧力を選択的に画定する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項9】
前記N個の比例弁の各々の前記戻り側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと、第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、前記第一圧力は前記第二圧力よりも高い、請求項1に記載の弁装置。
【請求項10】
各々が1つ又は複数のシリンダチャンバを内部に配置するi)リニア、又はii)ロータリー油圧型の1つ又は複数のアクチュエータであって、シリンダチャンバの総数がNである、該アクチュエータと、
各々が対応する圧力であるM個の圧力レールと、
弁装置であって、
各々が圧力レールに結合されるように構成されたM個の油圧レールポートと、
各々が1つ又は複数のアクチュエータのチャンバに結合されるように構成されたN個の油圧チャンバポートと、
各々が前記N個の油圧チャンバポートのうちの1つに対応するN個の比例弁であって、各比例弁は前記M個の油圧レールポートに結合されたレール側と、対応する油圧チャンバポートに結合されたチャンバ側とを含み、前記N個の比例弁の各レール側は、対応する油圧チャンバポートに作動油を供給するように構成された供給側と、前記対応する油圧チャンバポートから作動油を受け取るように構成された戻り側とに分割される、該N個の比例弁と、
2つ以上の油圧レールポートを前記N個の比例弁の各々の前記供給側の各々に結合するX組のオン/オフ弁及び逆止弁と、
2つ以上の油圧レールポートを前記N個の比例弁の各々の前記戻り側の各々に結合するY組のオン/オフ弁及び逆止弁と、を備え、
前記オン/オフ弁及び前記比例弁の各々を選択的に動作させることにより、前記N個の油圧チャンバポートの各々一つに選択的な圧力又は流れを提供する、該弁装置と、
前記1つ又は複数のシリンダチャンバのための1つ又は複数の所望の機能パラメータを受信し、リアルタイムにi)前記1つ又は複数のシリンダチャンバに関連する複数のセンサーからデータを受信し、ii)前記N個の比例弁及び前記関連するオン/オフ弁を作動及び非作動にして、前記1つ又は複数の所望の機能パラメータを達成するように構成されたコントローラと、を含む、油圧回路。
【請求項11】
Xは、最大数M-1を有する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項12】
Xは、最小数1を有する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項13】
Yは、最大数M-1を有する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項14】
Yは、最小数1を有する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項15】
前記N個の比例弁の各々の前記供給側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、前記比例弁の前記供給側の圧力を選択的に画定する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項16】
前記N個の比例弁の各々の前記供給側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、前記第一圧力は前記第二圧力よりも高い、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項17】
前記N個の比例弁の各々の前記戻り側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、前記比例弁の前記戻り側の圧力を選択的に画定する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項18】
前記N個の比例弁の各々の前記戻り側の前記オン/オフ弁及び前記逆止弁が協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、前記第一圧力は前記第二圧力よりも高い、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項19】
前記M個の圧力レールの各々は、1つ又は複数の動力源から供給される、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項20】
前記動力源が内燃機関である、請求項19に記載の油圧回路。
【請求項21】
前記動力源は、1つ又は複数の電気モータである、請求項19に記載の油圧回路。
【請求項22】
前記圧力レール内の圧力は、固定又は可変容量のいずれかの1つ又は複数の静圧ポンプによって所望のレベルに維持される、請求項19に記載の油圧回路。
【請求項23】
圧力、力、トルク、位置、及び速度を含むリアルタイムに測定した状態を用いて、前記圧力レール内の所望の圧力レベル及び関連する変動範囲を調整する、請求項22に記載の油圧回路。
【請求項24】
前記1つ又は複数の機能パラメータが力を含む、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項25】
前記1つ又は複数の機能パラメータが速度を含む、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項26】
前記1つ又は複数の機能パラメータが位置を含む、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項27】
前記コントローラは、前記N個の比例弁の各々の前記供給側と前記戻り側との間のエネルギー損失を最小化することに基づいて、前記N個の比例弁及び前記関連するオン/オフ弁を制御する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項28】
前記コントローラは、1つ又は複数のフィードバックループにおいて、前記1つ又は複数のシリンダチャンバに関連する前記複数のセンサーからの前記データを利用する、請求項10に記載の油圧回路。
【請求項29】
3つのチャンバが内部に配置された油圧アクチュエータと、
i)高圧レール、ii)中圧レール、及びiii)低圧レールからなる3つの油圧レールと、
前記油圧リニアアクチュエータに結合された少なくとも3・N-M個の比例制御油圧弁であって、各チャンバは比例弁を介してN個の油圧レールに結合され、連続的な力制御が各弁の開口面積を比例制御することによって達成され、Mは任意に取り外し可能な弁の数であり、0≦M≦2
N-2である、該比例制御油圧弁と、からなる、重機械とともに使用するための油圧力発生器。
【請求項30】
前記N個の油圧レールは、単一の動力源から供給される、請求項29に記載の油圧力発生器。
【請求項31】
前記単一の動力源が内燃機関である、請求項30に記載の油圧力発生器。
【請求項32】
前記単一の動力源は、バッテリパックによって電力供給される1つ又は2つの電気モータである、請求項30に記載の油圧力発生器。
【請求項33】
前記N個の油圧レールの各々は、方向弁を介して前記N個の油圧レールの各々に供給する出口を有する、単一の静圧ポンプによって供給される油圧動力を表す、請求項30に記載の油圧発生器。
【請求項34】
2つ以上の静圧ポンプを使用して、前記N個の油圧レールに油圧動力を供給する、請求項30に記載の油圧力発生器。
【請求項35】
前記静圧ポンプは、固定又は可変容量のうちの1つに基づく、請求項34に記載の油圧力発生器。
【請求項36】
Nが3である、請求項29に記載の油圧力発生器。
【請求項37】
Nが2である、請求項29に記載の油圧力発生器。
【請求項38】
圧力、力、位置、及び速度を含むリアルタイムに測定した状態を用いて、前記圧力レール内の所望の圧力レベル及び関連する変動範囲を調整する、請求項29に記載の油圧力発生器。
【請求項39】
3つのチャンバが内部に配置された油圧アクチュエータと、
i)高圧レール、ii)中圧レール、及びiii)低圧レールからなる3つの油圧レールと、
前記油圧アクチュエータに結合された少なくとも3・N-M個の比例制御油圧弁であって、各チャンバは比例弁を介してN個の油圧レールに結合され、連続的な力制御が各弁の開口面積を比例制御することによって達成され、Mは任意に取り外し可能な弁の数であり、0≦M≦2
N-2である、該比例制御油圧弁と、を含み、
マルチチャンバシリンダチャンバの各々一つにおいて、流体絞りによる圧力閉ループ-圧力制御が達成され得るように、前記比例弁の開度を調整する役割を果たす制御ユニットであって、このような圧力コントローラは、閉ループ速度又は位置制御のインナーループとしても使用し得る、該制御ユニットと、を備える、重機械で使用するための油圧制御システム。
【請求項40】
前記マルチチャンバシリンダは、各比例弁の上方及び下流の油圧ラインに圧力センサーを含む、請求項39に記載の油圧制御システム。
【請求項41】
閉ループ位置/速度制御が達成され得るように、位置又は速度センサーが含まれる、請求項39に記載の油圧制御システム。
【請求項42】
前記N個の油圧レールが単一の動力源から供給される、請求項39に記載の油圧制御システム。
【請求項43】
前記動力源が内燃機関である、請求項42に記載の油圧制御システム。
【請求項44】
前記動力源は、単一のバッテリパックによって電力供給される1つ又は2つの電気モータである、請求項42に記載の油圧制御システム。
【請求項45】
前記N個の油圧レールの各々は、方向弁を介して前記N個の油圧レールの各々に供給する出口を有する、単一の静圧ポンプによって供給される油圧動力を表す、請求項42に記載の油圧制御システム。
【請求項46】
2つ以上の静圧ポンプを使用して、前記N個の油圧レールに油圧動力を供給する、請求項42に記載の油圧制御システム。
【請求項47】
前記静圧ポンプは、固定又は可変容量のうちの1つに基づく、請求項46に記載の油圧制御システム。
【請求項48】
Nが3である、請求項39に記載の油圧力発生器。
【請求項49】
Nが2である、請求項39に記載の油圧力発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本特許出願は「3チャンバシリンダ油圧構造(A THREECHAMBER CYLINDER HYDRAULIC ARCHITECTURE)」と題された2021年10月19日に出願の米国特許仮出願第63/257,537号、「フローアイソレート弁装置(FLOW-ISOLATED VALVE ARRANGEMENT)」と題された2021年10月19日に出願の米国特許仮出願第63/257,540号、及び「フローアイソレート弁装置のための方法及びシステム(METHOD AND SYSTEM FOR A FLOW-ISOLATED VALVE ARRANGEMENT)」と題された2021年10月19日に出願の米国特許仮出願第63/257,545号に関連し、その優先権の利益を主張し、その各々の内容は、参照によりその全体が本開示に組み込まれる。
【0002】
<政府資金に関する声明>
なし。
【0003】
<技術分野>
本開示は概して、油圧構造に関し、特に、建設機械ならびにフローアイソレートバルブ装置(又は、フローアイソレートバルブ構成、又は流れを隔離した弁装置/flow-isolated valve arrangement)において特に有用な3チャンバシリンダ油圧構造(three-chamber cylinder hydraulic architecture)に関する。
【背景技術】
【0004】
<背景>
このセクションは、本開示のより良い理解を容易にするのに役立ち得る態様を紹介する。したがって、これらの記述はこの観点から読まれるべきであり、何が先行技術であるか、又は先行技術でないかについての承認として理解されるべきではない。
【0005】
重機に利用される油圧システムは、非常によく知られている。初期には、単純な油圧シリンダを用いて、シリンダ内の油圧と、シリンダ内を移動するピストンの有効面積とに基づいて物体を移動させる力を発生させ、負荷力(load force)を生じさせた。典型的なシリンダでは2つのチャンバが使用され、各チャンバはそれぞれの有効面積を有し、そのような構成は各方向に力を生成する。シリンダの両方の面積で作用する加圧流体の合力の正味の力は、典型的にはシリンダ負荷と呼ばれる。従来の用途は通常、システム損失を低減するために、残りのチャンバを可能な限り低い圧力に保った状態で、一方のチャンバに入る/出る流量に作用する。
【0006】
最初の概念は非常に単純であったが、特に機械当たりの油圧アクチュエータの数が増加することにつれて、異なる油圧制御構造が長年にわたって開発されてきた。一般に、これらの構造は、静圧ポンプなどの共有の油圧動力源と、各アクチュエータ専用の制御弁とを使用する。これらの構造に関連する課題は2つの部分から成り、第一に、単一の共有の油圧源を有する複数のアクチュエータの制御性、及び第二に、エネルギー効率である。従来技術における異なるアプローチは第一課題に関して成功しているが、市場で現在利用可能なほとんどの回路は一度に2つ以上のアクチュエータに動力を供給するとき、依然として低効率に悩まされている。
【0007】
複数の油圧アクチュエータが同じ油圧供給を共有する場合、供給される圧力は、システムの最大圧力要件よりもわずかに高くなければならない。したがって、所望の負荷を達成するためにより低い圧力を必要とする任意の他の油圧アクチュエータは、供給圧力を所望のレベルまで低下させるためにスロットル制御(又は、絞りコントロール/throttle control)を必要とし、これは動力損失(power loss)をもたらす。本開示では、「油圧アクチュエータ」という用語がロータリーアクチュエータ又はリニアアクチュエータのいずれかを指す。したがって、エネルギー効率を目的とする任意のシステムは、供給システムと、同じ供給を共有する複数のアクチュエータのそれぞれの圧力要件との間の圧力差を最小限にする必要がある。
【0008】
このような条件を達成するために、1)2つ以上の供給圧力が利用可能であるように供給圧力レールの数を増加させること、及び2)チャンバと供給レールとの間の接続の異なる組み合わせを使用して絞り要件を最小限に抑え、したがってシステム損失を低減し得るようにシリンダチャンバの数を増加させることが可能である。要するに、異なるチャンバ面積及び圧力を組み合わせるためのより多くの選択肢を用いて、供給圧力とチャンバ圧力との差がより小さくして絞り損失(throttling loss)を減少させて、同じ負荷(有効シリンダ力)を達成することができる。結果として、利用可能な組合せの数(シリンダモード)が多いほど、理論上、シリンダはより効率的になるはずである。
【0009】
異なる用途のための圧力レールとシリンダチャンバ(モード)との間の、離散化された数の可能な接続を達成する、圧力レールとチャンバの数との間の関係は、次式によって支配される:
離散的なモード(又は、ディスクリートモード/Discrete Mode)の数=(チャンバの数)圧力レールの数。供給圧力とシリンダチャンバとの間の接続のこれらの異なる組み合わせは、アクチュエータに利用可能な離散的な力レベル(discrete force level)とも呼ばれることがある。
【0010】
このようなマルチチャンバ構成の一例は、Sipolaらの米国特許第10,704,569号に提供されており、高圧(HP)及び低圧(LP)として識別される2つの圧力レールを利用して、少なくとも4チャンバアクチュエータを導入した。
図1aに示されるように、各チャンバは、並行した弁のシステムを利用して、圧力レールの各々に結合される。すなわち、各チャンバは、各圧力レールとチャンバとの間に1つずつ、2つの別個の弁を利用して、高圧レールと低圧レールとの両方に結合される。この場合、弁の開閉を同期させるために比例弁(proportional valve)が利用されたが、最終的に、非スロットル制御(non-throttle control)が使用された。したがって、弁の任意の部分的な開放はスロットル制御を特徴付ける流体スロットルを導入することになるため、比例弁は(過渡期中を除いて)全開又は全閉のいずれかに維持される。
【0011】
上記の公式に基づいて、
図1aに示される例では、離散化された力の数が4
2であり16に等しく、
図1bに、1から16に及ぶ指数(index)当たりの離散化された力のグラフを示す。これは、’569号特許に記載されているように、非スロットル制御が使用される場合、16の負荷力のみが達成可能であり、特に低速での速度追跡の精度を制限することを意味する。これは、負荷力と実際のアクチュエータ力要件との間のいかなる不一致も、シリンダ加速度をもたらすからである。したがって、正確な動作制御(又は、運動制御/motion control)が達成される場合、チャンバのうちの少なくとも1つにおける連続的な絞りが必要とされ、したがって、制御精度と効率との間のトレードオフを生み出す。
【0012】
’569特許に示されているアプローチは従来技術において典型的である(例えば、WO 2014081353 A1を参照されたい)。しかしながら、これらのアプローチには欠点がある。例えば、シリンダ内のチャンバの数及び圧力レールの数(’569特許では2つ)は、離散化された力の数を減少させ、一方、チャンバの数が多くなると、複雑なシリンダ設計を必要とする。上述のように、’569特許では、4つのチャンバと2つの圧力レールとの組み合わせは16の離散化された力をもたらした。WO 2014081353 A1公報では、5チャンバアクチュエータを2つの圧力レールとともに使用して、25の離散化された力をもたらすことができた。しかしながら、これらの全てのイテレーション(又は、反復/iteration)において、2つの圧力レールのみが使用され、その結果、離散化された力の数が低減された、高価で複雑なシリンダ構成をもたらした。また、上述の構造に追加の圧力レールを含めることは、多数の弁が必要とされるので、費用効率が高くなくなる。
【0013】
さらに、両方の参考文献は非スロットル制御の使用、又はオン/オフ(又は、開閉/on/off)及び比例弁の混合について言及しており、そのようなシステムの達成可能な効率及び性能を制限する。
【0014】
考慮されるべき別の態様は、これらのタイプの構造において、シリンダコントローラが各チャンバに接続された供給ラインを絶えず変化させることである。これは、短い過渡期の間、一方の弁(すなわち、チャンバを高圧ラインに接続する)が閉じつつあり、他方の弁(すなわち、同じチャンバを低圧ラインに接続する)が開きつつあることを意味する。これらの弁は無限に高速ではないので、両方の弁が短い時間開かれ、高圧供給ラインと低圧供給ラインとの間に短絡(short circuit)を生じさせる。これは、最終的に、著しい漏れを引き起こし、システム効率を低下させる。
【0015】
上述の短絡現象は、オン/オフ又は比例弁の使用にかかわらず存在する。上述の従来技術における比例弁を使用するための理論的根拠は、異なるレールを所与のチャンバに接続する弁の開閉を同期させ、遅らせる必要性に基づく。このようなアプローチは、システム効率におけるこの短絡の影響を低減し得る。それにもかかわらず、そのような解決策は、問題を解消することができない。加えて、そのような解決策は非常に短い閉鎖時間を有する比例弁を必要とし、スロットル制御が使用されなかったので、シリンダは、依然として有限数の利用可能な力に制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、スロットル制御によるシステム損失の著しい増加なしに、及びシリンダ設計の複雑さの増加なしに、より正確な動作制御を達成し得るような、油圧構造及びその制御方法における新規なアプローチ、ならびに、任意の2つの圧力レールの間で、一方の圧力レールが他方の圧力レールに切り換えられるときの短絡のない圧力レールから隔離された流れ(isolated flow)を提供し得る新規な方法及びシステムアプローチに対するまだ対処されていない必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
<要約>
一実施形態によれば、各々が圧力レールに結合されるように構成されたM個の油圧レールポートと、各々が1つ又は複数のアクチュエータのチャンバに結合されるように構成されたN個の油圧チャンバポートと、各々がN個の油圧チャンバポートのうちの1つに対応するN個の比例弁とを含む弁装置が開示される。各比例弁は、M個の油圧レールポートに結合されたレール側(又は、レールサイド)と、対応する油圧チャンバポートに結合されたチャンバ側(又は、チャンバサイド)とを含む。N個の比例弁の各レール側は、対応する油圧チャンバポートに作動油(又は、油圧流体/hydraulic fluid)を供給するように構成された供給側と、対応する油圧チャンバポートから作動油を受け取るように構成された戻り側とに分割される。弁装置は、N個の比例弁の各々の供給側の各々に2つ以上の油圧レールポートを結合するX組のオン/オフ弁(又は、開閉弁/on/off valve)及び逆止弁(check valve)と、N個の比例弁の各々の戻り側の各々に2つ以上の油圧レールポートを結合するY組のオン/オフ弁及び逆止弁とをさらに含む。オン/オフ弁及び比例弁の各々を選択的に動作させることにより、N個の油圧チャンバポートの各々一つに選択的な圧力又は流れが提供される。
【0018】
一実施形態によれば、上記弁装置において、Xは、最大数M-1を有する。
【0019】
一実施形態によれば、上記弁装置において、Xは、最小数1を有する。
【0020】
一実施形態によれば、上記弁装置において、Yは、最大数M-1を有する。
【0021】
一実施形態によれば、上記弁装置において、Yは、最小数1を有する。
【0022】
一実施形態によれば、上記弁装置において、N個の比例弁の各々の供給側のオン/オフ弁及び逆止弁が協働して、比例弁の供給側の圧力を選択的に画定する(又は、定義する/define)。
【0023】
一実施形態によれば、上記弁装置において、N個の比例弁の各々の供給側のオン/オフ弁及び逆止弁は協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、第一圧力は、第二圧力よりも高い。
【0024】
一実施形態によれば、上記弁装置において、N個の比例弁の各々の戻り側のオン/オフ弁及び逆止弁は協働して、比例弁の戻り側の圧力を選択的に画定する。
【0025】
一実施形態によれば、上記弁装置において、N個の比例弁の各々の戻り側のオン/オフ弁及び逆止弁は協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと、第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、第一圧力は、第二圧力よりも高い。
【0026】
別の実施形態によれば、各々が1つ又は複数のシリンダチャンバを内部に配置し、シリンダチャンバの総数がNの、i)リニア、又はii)ロータリー油圧アクチュエータを1つ又は複数と、それぞれが対応する圧力であるM個の圧力レールと、弁装置と、を含む油圧回路も開示される。弁装置は、各々が圧力レールに結合されるように構成されたM個の油圧レールポートと、各々が1つ又は複数のアクチュエータのチャンバに結合されるように構成されたN個の油圧チャンバポートと、各々がN個の油圧チャンバポートのうちの1つに対応するN個の比例弁であって、各比例弁はM個の油圧レールポートに結合されたレール側と、対応する油圧チャンバポートに結合されたチャンバ側とを含み、N個の比例弁の各レール側は対応する油圧チャンバポートに作動油を供給するように構成された供給側と、対応する油圧チャンバポートから作動油を受け取るように構成された戻り側とに分割される該N個の比例弁と、N個の比例弁の各々の供給側の各々に2つ以上の油圧レールポートを結合するX組のオン/オフ弁及び逆止弁と、N個の比例弁の各々の戻り側の各々に2つ以上の油圧レールポートを結合するY組のオン/オフ弁及び逆止弁と、を含む。オン/オフ弁及び比例弁の各々を選択的に動作させることにより、N個の油圧チャンバポートの各々一つに選択的な圧力又は流れを提供する。油圧回路はまた、1つ又は複数のシリンダチャンバのための1つ又は複数の所望の機能パラメータ(functional parameter)を受信し、リアルタイムに、i)1つ又は複数のシリンダチャンバに関連する複数のセンサーからデータを受信し、かつ、ii)N個の比例弁及び関連するオン/オフ弁を作動及び非作動にして、1つ又は複数の所望の機能パラメータを達成するように構成されたコントローラを含む。
【0027】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、Xは、最大数M-1を有する。
【0028】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、Xは、最小数1を有する。
【0029】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、Yは、最大数M-1を有する。
【0030】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、Yは、最小数1を有する。
【0031】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、N個の比例弁の各々の供給側のオン/オフ弁及び逆止弁は協働して、比例弁の供給側の圧力を選択的に画定する。
【0032】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、N個の比例弁の各々の供給側のオン/オフ弁及び逆止弁は協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと、第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、第一圧力は、第二圧力よりも高い。
【0033】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、N個の比例弁のそれぞれの戻り側のオン/オフ弁及び逆止弁は協働して、比例弁の戻り側の圧力を選択的に画定する。
【0034】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、N個の比例弁のそれぞれの戻り側のオン/オフ弁及び逆止弁は協働して、第一圧力を有する油圧レールポートと、第二圧力を有する油圧レールポートとの間の流体の流れを防止し、第一圧力は、第二圧力よりも高い。
【0035】
一実施形態によれば、上記の油圧回路において、M個の圧力レールの各々は、1つ又は複数の動力源から供給される。
【0036】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、動力源は内燃機関である。
【0037】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、動力源は、1つ又は複数の電気モータである。
【0038】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、圧力レール内の圧力は、固定(fixed)又は可変容量(variable displacement)のいずれかの、1つ又は複数の静圧ポンプによって所望のレベルに維持される。
【0039】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、圧力、力、トルク、位置、及び速度を含むリアルタイムに測定された状態が、圧力レール内の所望の圧力レベル及び関連する変動範囲を調整するために使用される。
【0040】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、1つ又は複数の機能パラメータは力を含む。
【0041】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、1つ又は複数の機能パラメータは速度を含む。
【0042】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、1つ又は複数の機能パラメータは位置を含む。
【0043】
一実施形態によれば、上記の油圧回路において、コントローラは、N個の比例弁の各々の供給側と戻り側との間のエネルギー損失を最小化することに基づいて、N個の比例弁及び関連するオン/オフ弁を制御する。
【0044】
一実施形態によれば、上記油圧回路において、コントローラは、1つ又は複数のフィードバックループにおいて、1つ又は複数のシリンダチャンバに関連付けられた複数のセンサーからのデータを利用する。
【0045】
3つのチャンバが内部に配置された油圧アクチュエータと、i)高圧レールと、ii)中圧レールと、iii)低圧レールからなる3つの油圧レールと、油圧リニアアクチュエータに結合された少なくとも3・N-M個の比例制御油圧弁とからなり、各チャンバは比例弁を介してN個の油圧レールに結合され、連続的な力制御が各弁の開口面積を比例制御することによって達成される、重機械と使用するための油圧力発生器(hydraulic force generator)も開示される。Mは任意に取り外し可能な弁の個数であり、0≦M≦2N-2である。
【0046】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、N個の油圧レールは、単一の動力源から供給される。
【0047】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、単一の動力源は内燃機関である。
【0048】
一実施形態によれば、上記油圧力発生装置において、単一の動力源は、バッテリパックによって電力供給される1つ又は2つの電気モータである。
【0049】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、N個の油圧レールの各々は、方向弁を介してN個の油圧レールの各々に供給する(又は、提供する/役立つ/serving)出口を有する、単一の静圧ポンプによって供給される油圧動力を表す。
【0050】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、2つ以上の静圧ポンプを使用して、N個の油圧レールに油圧動力を供給する。
【0051】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、静圧ポンプは、固定又は可変容量のうちの1つに基づく。
【0052】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、Nは3である。
【0053】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、Nは2である。
【0054】
一実施形態によれば、上記油圧力発生器において、圧力、力、位置、及び速度を含む、リアルタイムに測定された状態を用いて、圧力レール内の所望の圧力レベル及び関連する変動範囲を調整する。
【0055】
3つのチャンバが中部に配置された油圧アクチュエータと、i)高圧レールと、ii)中圧レールと、iii)低圧レールからなる3つの油圧レールと、油圧アクチュエータに結合された少なくとも3・N-M個の比例制御された油圧弁とを含み、各チャンバは比例弁を介してN個の油圧レールに結合され、連続的な力制御が各弁の開口面積を比例制御することによって達成される、重機械と使用するための油圧制御システムも開示される。Mは任意に取り外し可能な弁の個数であり、0≦M≦2N-2である。油圧制御装置はまた、流体絞りによる圧力閉ループ-圧力制御がマルチチャンバシリンダチャンバの各々一つにおいて達成され得るように、比例弁の開度(又は、開口/opening)を調整する役割を果たす制御ユニットを含む。このような圧力コントローラ(又は、圧力制御器)は、閉ループ速度又は位置制御のインナーループ(又は、内部ループ/inner-loop)としても使用し得る。
【0056】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、マルチチャンバシリンダは、上記油圧制御システムにおいて、マルチチャンバシリンダは、各比例弁の上方及び下流の油圧ラインに圧力センサーを含む。
【0057】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、閉ループ位置/速度制御が達成され得るように、位置センサー又は速度センサーが含まれる。
【0058】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、N個の油圧レールは、単一の動力源から供給される。
【0059】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、動力源は内燃機関である。
【0060】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、動力源は、単一のバッテリパックによって電力供給される1つ又は2つの電気モータである。
【0061】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、N個の油圧レールの各々は、方向弁を介してN個の油圧レールの各々に供給する(又は、提供する/役立つ/serving)出口を有する、単一の静圧ポンプによって供給される油圧動力を表す。
【0062】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、2つ以上の静圧ポンプを使用して、N個の油圧レールに油圧動力を供給する。
【0063】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、静圧ポンプは、固定又は可変容量のうちの1つに基づく。
【0064】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、Nは3である。
【0065】
一実施形態によれば、上記油圧制御システムにおいて、Nは2である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
<図面の簡単な説明>
【
図1a】
図1aは、従来技術による油圧回路の概略図である。
【0067】
【
図1b】
図1bは、
図1aの油圧回路による離散化された力の数を示すグラフである。
【0068】
【
図2】
図2は、本開示による、弁装置の概略図である。
【0069】
【0070】
【
図4】
図4は、反対方向の流れを有する2つのチャンバを備えた、本開示による弁装置の実施形態の概略図である。
【0071】
【
図5】
図5は、3つのチャンバを備えたシステムにおける、本開示による弁装置の実施形態の概略図である。
【0072】
【
図6】
図6は、一実施形態による、本開示の弁装置のための制御スキームの概略図である。
【0073】
【
図7】
図7は、
図6に示されるアウターループ制御(又は、外部ループ制御/outer loop control)を表すブロック図の概略図である。
【0074】
【
図8a-b】
図8a及び8bは、本開示による、制御スキームを示す2ページにわたって広がる単一のフローチャートを表す。
【0075】
【
図9】
図9は、本開示による、圧力制御のブロック図である。
【0076】
【
図10】
図10は、27の離散化された力モードをもたらす、3つのチャンバと3つの圧力レールとを有するリニアアクチュエータを含む、重機システムのための油圧装置の概略図である。
【0077】
【
図11】
図11は、一実施形態による、
図10に示される油圧回路のための制御スキームの概略図である。
【0078】
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態による、圧力制御のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
<詳細な説明>
本開示の原理の理解を促進する目的で、ここで、図面に示される実施形態を参照し、特定の言語を使用して、本開示の原理を説明する。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定はそれによって意図されないことが理解されるであろう。
【0080】
本開示において、用語「約」は、値又は範囲の変動の程度を、例えば、記載された値の、又は記載された範囲の限界の10%以内、5%以内、又は1%以内にし得る。
【0081】
本開示において、用語「実質的に」は、値又は範囲の変動の程度を、例えば、記載された値の、又は記載された範囲の限界の90%以内、95%以内、又は99%以内にし得る。
【0082】
本明細書では、任意の2つの圧力レール間で、1つの圧力レールが他の圧力レールに切り換えられるときの短絡のない、圧力レールから隔離された流れを有する独立したチャンバ圧力制御を提供し得る、油圧構造における新規な弁装置が提供される。加えて、本明細書では、前述の新規な弁装置を利用する、油圧構造における新規な方法及びシステムアプローチが提供される。この目的のために、本開示による弁装置100の概略図が示されている
図2を参照する。
図2に示される実施形態及び本開示の他のすべての実施形態では、弁装置は、それぞれが圧力レール(
図2では、高圧(HP)102、中圧(MP)104、及び低圧(LP)106を含むM=3)に結合されるように構成されたM個の油圧レールポート101
1、101
2、101
3と、それぞれがアクチュエータのチャンバに結合されるように構成されたN個の油圧チャンバポートと、N個又は2N個の比例弁110(
図2ではN=1)とを含む。各比例弁は、M個までの油圧レールポートに結合し得るレール側112と、対応する油圧チャンバポート108に結合されるチャンバ側とを含む。N個の比例弁が使用される場合、N個の比例弁の各レール側は、対応する油圧チャンバポートに作動油を供給するように構成された供給側と、対応する油圧チャンバポートから作動油を受け取るように構成された戻り側とに分割される。2N個の2方向弁を使用することも可能であり、一方はチャンバを供給側に接続し、他方はチャンバを戻り側に接続する。加えて、本開示の弁装置はN個の比例弁110の各々の供給側116の各々に2つ以上の油圧レールポート101
1、101
2、101
3を結合するX組のオン/オフ弁(on-off valve)120
1、120
2及び逆止弁(check valve)122
1、122
2を含む(
図2ではX=2)。Xは最大数M-1を有する(この場合、M=3及びX=2)。Xの最小値は1である。さらに、本開示の弁装置は2つ以上の油圧レールポート101
1、101
2、101
3をN個の比例弁110(
図2では、Y=2)の各々の戻り側118の各々に結合するY組のオン/オフ弁124
1、124
2及び逆止弁126
1、126
2を含み、最大数M-1を有する。Yの最小数は1である。以下に述べるように、オン/オフ弁及び比例弁のそれぞれの選択的動作は、N個の油圧チャンバポートの各々一つに正確かつ効率的な圧力制御を提供する。
【0083】
さらに、N個の比例弁110の各々の供給側116のオン/オフ弁1201、1202及び逆止弁1221、1222は協働して、比例弁110の供給側116の圧力を選択的に画定する。さらに、N個の比例弁110の各々の供給側116のオン/オフ弁1201、1202及び逆止弁1221、1222は協働して、第一圧力を有する油圧レールポート1011、1012、1013と第二圧力を有する油圧レールポート1011、1012、1013との間の流体の流れを防止し、第一圧力は、第二圧力よりも高い。さらに、N個の比例弁110の各々の戻り側118のオン/オフ弁1241、1242及び逆止弁1261、1262は協働して、比例弁110の戻り側118の圧力を選択的に画定する。さらに、N個の比例弁110の各々の戻り側118のオン/オフ弁1241、1242及び逆止弁1261、1262は協働して、第一圧力を有する油圧レールポート1011、1012、1013と第二圧力を有する油圧レールポート1011、1012、1013との間の流体の流れを防止し、第一圧力は、第二圧力よりも高い。
【0084】
上述のように、
図2に示される弁装置100は3つの圧力レール、すなわち、高圧レール102、中圧レール104、及び低圧レール106に結合される。これらの3つの圧力レールは、オン/オフ弁120
1、120
2、124
1、124
2(1V2、1V3、1V7、及び1V9として示される)及び逆止弁122
1、122
2、122
1、122
2(1V4、1V5、1V6、及び1V8として示される)ならびに比例弁110(1V1として示される)の組み合わせを介してアクチュエータのチャンバに結合される。図示の実施形態では、3/3比例弁110(1V1)の入口ポート130がオン/オフ弁120
1(1V2)を介して高圧レール102に結合される。同じポートはまた、オン/オフ弁120
2(1V3)及び逆止弁122
1(1V4)を介して中圧レール104に結合される。入口ポート130はまた、逆止弁122
1(1V5)を介して低圧レール106に結合される。同様に、比例弁110(1V1)の出口ポート132は、逆止弁126
1(1V6)を介して高圧レール102に結合され、オン/オフ弁124
2(1V9)及び逆止弁126
2(1V8)を介して中圧レール104に結合され、オン/オフ弁124
1(1V7)を介して低圧レール106に結合される。1V10として識別されるプレロードされた(又は、予荷重された/pre-loaded)逆止弁128を追加してチャンバ内のキャビテーションを回避することができる。さらに、1V11として識別されるリリーフ弁130が、チャンバ内の最大圧力を制限する安全装置として使用される。
【0085】
図2に示される弁装置100の動作をよりよく説明するために、一例として以下のシナリオが提供される。最初に高圧レール102から比例弁110(1V1)に高圧を提供するために、オン/オフ弁120
2(1V2)がオンにされると仮定する。供給側116が、比例弁110(1V1)を中圧レール104に結合することによって中圧に圧力を変更することを望む場合、オン/オフ弁120
1(1V2)は非作動にされ(又は、作動停止され/deactivated)、同時に、オン/オフ弁120
2(1V3)が作動される。従来技術に関して上述した短絡の問題は逆止弁122
1(1V4)及び122
2(1V5)によって軽減され、比例弁110(1V1)からの高圧流体は逆止弁122
1(1V4)及び122
2(1V5)によってそれぞれ中圧レール104(MPライン)及び低圧レール106(LPライン)から遮断される。
【0086】
図2に示される装置100は、例示に過ぎないことを理解されたい。本開示の弁装置は、より多くの又はより少ない数の圧力レールを含み得る。同じ概念を使用しながら、異なる弁アセンブリが可能であり得ることにも留意されたい。例えば、用途に応じて、比例弁110(1V1)の入口/出口ポート130/132の両方を3つ全ての圧力レールに結合する必要がない場合がある。このシナリオでは、オン/オフ弁の数を減らすことができる。そのような回路の例を
図3a、3b、3cに示し、それぞれ油圧回路の一例を示す。
【0087】
図3aは、比例弁210(2V1)が2つのオン/オフ弁220(2V2)及び224(2V4)に結合されている点で
図2と同様である。
図3bは、比例弁310(3V1)が3つのオン/オフ弁320(3V2)、324(3V4)、及び326(3V7)に結合されている点で
図2と同様である。
図3cは、比例弁410(4V1)が3つのオン/オフ弁420(4V2)、424(4V4)、及び426(4V6)に結合されている点で、
図2と同様である。
【0088】
同様に、反対方向の流れを有する2つのチャンバ(すなわち、2つの対向するチャンバを有するシリンダ)の場合、
図4に示されるように、各チャンバに結合された2つの関連する比例弁が同じセットのオン/オフ及び逆止弁を共有することが可能であり、これは、反対方向の流れを有する2つのチャンバを有する本開示による弁装置の実施形態の概略図を提供する。
【0089】
本開示では、リニアアクチュエータチャンバ内の圧力を制御するために、
図2の弁装置100、又は当業者の技術セット内でのその可能な変形例が使用される。
図2及び/又は
図4に示される構成を、使用の必要に応じて複製することによって、2つを超えるチャンバを有する構造に概念を拡張することも可能であることが強調されるべきである。複数のチャンバを有するシステムの一例が
図5に示されており、これは、3つのチャンバを有するシステムにおける本開示による弁装置の実施形態の概略図を提供する。
【0090】
図5を参照して、チャンバA及びCが拡張し(expanding)、チャンバBが後退している(retracting)、マルチチャンバシリンダが延在していると仮定する。弁を動作させることに関与する制御機構は、比例弁6V10を移動させて、比例弁のチャンバ側を供給側に接続し、レールからチャンバへの流れでそれぞれのチャンバ圧力を所望のように制御し得るように、中心位置と最も左側の位置との間に留まるように命令される。同様に、比例弁6V15は中央位置と最も右側の位置との間に維持され、それぞれのチャンバ側を戻り側に接続し、チャンバからレールへの流れでそれぞれのチャンバ内の圧力を制御する。
【0091】
弁6V10での(又は、を横切る/across)絞り損失を最小にするために、監視コントローラは比例弁の供給側における利用可能な圧力レベルの間で選択し、オン/オフ弁6V11及び6V12の状態を指令する。同様に、弁6V15での絞り損失を最小限に抑えるために、コントローラは戻り側で利用可能な圧力レベルの間で選択し、オン/オフ弁6V17及び6V19の状態を決定する。チャンバCに接続された弁のセットは、チャンバAのものと同様に制御され、残りのオン/オフ6V7及び6V9は閉じたままである。
【0092】
シリンダの後退中、動作は同様である。しかし、この場合、比例弁6V10は中心位置と最も右側の位置との間にあり、チャンバAを戻り側に接続し、一方、比例弁6V15は、中心位置と最も左側の位置との間にあり、チャンバBを供給側に接続する。チャンバC内の圧力は、それ自体の専用の弁セットを用いて、チャンバAの圧力と同様に制御される。第四チャンバが、チャンバBとは反対方向にシリンダに追加される場合、比例弁6V1を供給するために使用されるオン/オフ弁及び逆止弁のセットを共有することもできる。
【0093】
マルチチャンバシリンダ内の圧力を制御するための本開示の弁装置は、上述の従来技術の装置を超えるいくつかの利点を提供する。第一に、本開示の弁装置は弁が1つの圧力レールから別の圧力レールに切り換えられるとき、圧力レール間のいかなる短絡も回避する。同時に、上述したようにバルブを適切に遅延させるための複雑な制御機構は不要である。この単純で洗練された構造は、比例弁が下流の圧力制御の度合い(又は、圧力制御の程度/a degree of pressure control)を提供するので、レール間のクロストーク又は短絡なしに、圧力レール間(高圧レールから中圧レール、中圧レールから低圧レール、高圧レールから低圧レール、中圧レールから高圧レール、及び中圧レールから低圧レール)を即座に切り替えることを可能にする一方で、依然として、マルチチャンバシリンダのチャンバの各々一つにおいて独立した圧力制御を与える。したがって、弁の開度の比例性を調整することによって、供給レール及び戻りレールの選択が与えられると、微調整制御(fine-tune control)を達成し得る。第二に、従来技術のように2つ又は時には3つでなく、チャンバごとに単一の比例弁のみが必要とされる。このアプローチは、コスト及び制御の複雑さを低減するというさらなる利点をもたらす。
【0094】
一実施形態によれば、これらの3つの弁装置のための制御スキーム500が
図6に示されている。直接的な力制御も可能であるが、この例は使用し得る追加のアウターループコントローラ(又は、外部ループコントローラ/outer-loop controller)502を用いて示されている。アウターループは、制御されるべき状態に対する基準信号とその実際の測定値との間の差を評価する。位置(x)又は速度(x′)制御は
図7に示されるように、基準力コマンド(又は、指令/command)を調整するPIDコントローラによって達成される。ゲインK
pは、制御される状態(図示の例では速度)の誤差に比例する制御入力を生成するように誤差に合わせて調整し(又は、スケーリングし/scale)、一方、ゲインK
I及びK
Dは、トラッキングエラー積分及び微分にそれぞれ作用する。3つのコントローラ構成要素はすべて、力モード選択アルゴリズム(force mode selection algorithm)に送信される力コマンドを生成するために合計される。
【0095】
力モード選択アルゴリズムは、所望のシリンダ力、ならびにレール圧力及びシリンダ速度を受け取る。次に、エネルギー損失を最小限に抑えるように、それぞれのオン/オフ弁の状態(u
on/off)を選択する。アルゴリズムの図を、
図8a及び
図8bに示す。これらは、アルゴリズムを2ページに分割する2つの図である。この図及び本明細書に提供される他の図に関して、本明細書に提供される変数は、以下の表-1に定義される。
表1-本開示の図で使用される変数の定義
【0096】
使用可能なモードごとに、コードは以下の式を評価する:
J
mode=J
EL+J
CE+J
I
ここで、J
ELはエネルギー損失に対する罰則(又は、ペナルティ/penalty)であり、一方、J
CEは、切替(又は、スイッチ/switch)のために必要とされるコントロールエフォート(又は、制御努力/control effort)を頻繁な切替を回避することによって罰則し(又は、ペナルティを与え/penalize)、J
Iは、現在の動作状態では実現可能でないモードを罰則する。アルゴリズムは、使用可能なモードごとにJ
modeを評価した。
図8bでは、最適解の選択がセクション4(「4」として識別されるブロック)で実行される。さらに、それぞれのモードにおいて、圧力p
s,A、p
s,B、p
s,C、及びp
r,A、p
r,B、p
r,Cが定義されるので、実施形態のセクション2で強調されるように、比例弁での必要とされ達成可能な圧力差を評価することによって、モード実現可能性を検証し得る。セクション3では、前回の切替後の経過時間(t
sw)が次回の切替の目標時間間隔(t
target)よりも短い場合に、モード切替を罰則する。制約又は目標が満たされない場合、大きな値(LV1)及び(LV2)によって表される罰則が、罰則付き禁止モード(penalized prohibited mode)に使用され、したがって、それらの選択を回避する。
【0097】
上記ブロックは、各モードにおける絞り損失の必要量を評価するために利用されるアクチュエータ速度測定値を受信する。これは、以下の式を評価することによって実施される:
JEL=abs(x′・ts・[Fref-Fmode])
ここで、tsはコントローラのサンプリング時間であり、Fmodeは比例弁が使用されなかった場合に利用可能な、結果として生じるシリンダ出力の力(cylinder output force)である。
【0098】
さらに、アルゴリズムはまた、セクション1で強調されるように、Frefが達成されるように、各シリンダチャンバ内の必要な圧力を評価する。これにより、それぞれのシリンダチャンバへの基準圧(pref,i)が得られる。
【0099】
それぞれのシリンダチャンバは
図9に示すように、フィードバック制御によってそれぞれの圧力が制御される、独自のローカルコントローラを有する。また、これらのコントローラは、コントローラが前もって比例弁の供給側と戻り側の圧力を知るように、オン/オフ弁に命令された状態(u
on/off)についての情報を受信する。したがって、高圧レール(p
hp)、中圧レール(p
mp)、低圧レール(p
lp)で受け取った圧力レベルと、弁の状態に基づいて、圧力評価ロジックブロック(pressure evaluation logic block)は、比例弁の供給側(p
s,i)、戻り側(p
r,i)の圧力に対する値を設定する(define)。このようにして、各比例弁の開度は、所与の圧力差で所望の流量が達成されるように、必要な弁コマンドを評価する非線形弁マップを用いて、比例弁の供給側又は戻り側のいずれかの圧力に変化があるときに、電子的に補償し得る。そのような圧力差(Δp)は、測定されたチャンバ圧力(p
ch,i,meas)と給気側又は戻り側の圧力との間の差を評価することによって得られる。これは、オン/オフ弁の状態によって供給側圧力と戻り側圧力の両方が変化するために必要である。本実施形態はまた、基準圧が追跡されるように、コントローラゲイン(又は、制御器利得/controller gain)K
P,i、K
I,i及びK
D,iの数値に基づいて、PIDコントローラがそれぞれのチャンバへの流れコマンド(Q
cmd)を調整することを示す。この流れコマンドは弁非線形マップへの入力として使用され、これはそれぞれの比例弁(u
pv,i)にコマンドを出力する。
【0100】
さらに、複雑なアクチュエータ設計を必要とすることなく、多数の離散化された力を提供し得る、重機械のための油圧構造における新規なアプローチが提示される。これにより、システム損失を大幅に増加させることなく、また、シリンダ設計の複雑さを大幅に増加させ、その信頼性に影響を与え得る、多数のチャンバを有するシリンダを必要とすることなく、比例弁を介して細かな制御調整のための小さなスロットル制御を導入することができる。この目的のために、27個の離散化された力レベルをもたらす、3つのチャンバと3つの圧力レール602、604、及び606とを有するアクチュエータ601を含む、重機システムのための油圧装置600の概略図である
図10を参照する。
図10の油圧装置600は1つのアクチュエータ601と共に示されているが、より多くのリニア又はロータリーアクチュエータを同じ圧力レールに結合し得る。リニアアクチュエータ601は、比例弁のネットワークによって独立して制御される3つのチャンバを含む(簡略化のために個々には識別しない)。比例弁のネットワークの各弁は、アクチュエータの1つを有するチャンバを供給レールに結合する役割を果たす。3つのレール602、604、及び606が設けられ、各々一つが異なる圧力レベルにある。これらの異なる圧力レールは
図10に示されるもの(内燃機関(ICE))などの動力源によって、又は当業者に知られている他の動力発生スキーム(例えば、電気モータなど)によって生成される。各レール内の圧力は、特定の用途に従って規定された所定の制限内にとどまるように制御され、油圧アキュムレータがこれらのラインで使用され得る。実施形態は圧力レールに流れを供給する2つの可変容量ポンプを有するシステムを表すが、レールへの流れ供給のための異なる構成を開発することも可能である。これらは、固定容量ポンプの使用、又は当業者に知られている他の変形を含み得る。レール内の圧力制御に関して、複数のアクチュエータの位置、速度、加速度、及び/又は力のうちの1つからのフィードバック信号を用いて、レール圧力範囲を調整し、ならびに油圧流供給源、例えば、油圧ポンプからの流れを変化させることができる。したがって、図示の構造では、9つの比例弁があり、これらはパイロット式又はダイレクト式のいずれかであってよい。それらは、各チャンバを3つの供給レール602、604、及び606すべてのうちの少なくとも2つに接続するマルチチャンバアクチュエータ601に結合される。すべてのチャンバがすべての3つのレールに結合されると、27個の離散的な力のレベル(3
3)が達成され、27個の離散化されたレベルのそれぞれのレベル内で、比例弁によって与えられる多数の微調整が可能となる。この構成は、例えば5つのチャンバから3つのチャンバへとシリンダ設計の複雑さを大幅に低減する一方で、より多くの数の離散的な力の利用可能性をもたらし、したがって、アクチュエータ効率を増大させることによって、従来技術よりも優れた離散化レベルを提供する。加えて、利用可能なより高い数の力レベルによってもたらされるより高いシステム効率は、高い全体的なシステム効率を維持しながら、正確な動作制御のために3つのチャンバのいずれかに小さいスロットル制御を導入することを可能にする。制御アプローチに関して、この構造は、
図6、
図7、及び
図8a及び
図8bで既に説明したものと同様の構造を有し、唯一の相違点は、ローカル圧力コントローラである。最上位の制御ブロック図が
図11に示されており、圧力コントローラの詳細が
図12に示されている。この場合、可能な限り低い圧力降下で所望の流量(Q
cmd)を提供し得る弁を選択する、異なる弁選択ロジックが実装される。このブロックは、どの弁がアクティブで、どの弁がそうでないか(u
off)を非線形弁マップに通知する。マップは、次に、チャンバiに接続された比例弁のそれぞれの一つに弁コマンドを出力する。その結果、このケースでは、コントローラが同じチャンバに接続された3つの比例弁、つまり、HP圧力レールに接続されたもの(u
pv,i,hp)、中圧レールに接続されたもの(u
pv,i,mp)、及び低圧レールに接続されたもの(u
pv,i,lp)にコマンドを出力する。
【0101】
当業者であれば、上述の特定の実装形態に対して多数の修正を行うことができることを認識するであろう。実装は、記載された特定の限定に限定されるべきではない。他の実装も可能であり得る。
【0102】
本明細書(翻訳文)内で使用される「x′」の記号は、
を表す。
【国際調査報告】