(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ビタミンK2及びヒドロキシステアリン酸を含むパーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/365 20060101AFI20241003BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20241003BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20241003BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K8/365
A61Q19/00
A61K8/67
A61K8/11
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522028
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2022078160
(87)【国際公開番号】W WO2023061962
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/123468
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ボーセ,ペルミタ
(72)【発明者】
【氏名】ダモダラン,アニタ
(72)【発明者】
【氏名】グ,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテシュ,サティシュ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】クマリ,アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ミ,ティンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ナイル,ニルマラ・サントシュ
(72)【発明者】
【氏名】サダワルテ,アシュヴィニ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC212
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AD152
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD671
4C083AD672
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD14
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE16
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、皮膚を美白するパーソナルケア組成物に関する。より詳細には、本発明は、特に目の下の領域における過剰色素沈着に対して効果的な局所用組成物に関する。これは、局所用組成物にビタミンK2とヒドロキシステアリン酸(HSA)を含めることによって実現される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンK2及びヒドロキシステアリン酸(HSA)を含む、皮膚に明るさを与えるためのパーソナルケア組成物であって、前記ヒドロキシステアリン酸が10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸又は9,10,13-トリヒドロキシステアリン酸であるパーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記ビタミンK2が、MK4~MK7から選択される1以上、好ましくはMK7である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビタミンK2がカプセル化されている、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシステアリン酸が12-HSAである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
0.0001~1重量%のビタミンK2を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
0.01~5重量%のHSAを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
別の皮膚美白剤、好ましくはナイアシンアミドを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記ビタミンK2対HSAの重量比が1:50~1:500、好ましくは1:80~1:400である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
クリーム、ローション又はゲルの形態、好ましくはクリームの形態である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記クリームが、3~25重量%の脂肪酸及び0.1~10重量%の石鹸を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びソルビトールのうちの1以上から選択される多価アルコールを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項12】
UVA日焼け止め剤及びUVB日焼け止め剤の一方又は両方から選択される有機日焼け止め剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項13】
皮膚、好ましくは目の下の部分に明るさを与える方法であって、請求項1又は2に記載の組成物を皮膚に適用する段階を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚を美白するパーソナルケア組成物に関する。より詳細には、本発明は、特に目の下の領域における過剰色素沈着に対して効果的な局所用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの人は、特に顔の肌の外観を自分自身の美しさ及び健康の重要な指標の一つと考えている。したがって、明るくシミのない均一な肌の色調を持つことが多くの人に望まれている。皮膚の色素沈着の程度と均一性は、年齢、ホルモンの変化、ニキビの発生、及び日光や大気汚染などの要因によって影響される。これらは、シミやそばかす、皮膚の一定の局所的領域の過剰色素沈着、さらには目の下のクマを引き起こす可能性がある。多くの人は、水分補給(消費される水の量)、食べ物の種類、睡眠の量と質などの特定のライフスタイル要因も、目の下のクマなどの肌の外観に影響を与えると信じている。人々は、より健康的なライフスタイルを送るなどの変化には、肌の外観を均一にするのに長い時間がかかることを知っているため、肌のシミを一時的に解決する美容的解決法に頼っている。彼らはまた、日光への曝露によって引き起こされる皮膚の黒ずみを軽減するためのそのような製品も求めている。このニーズを満たすために、メラニン細胞での色素産生を減らす製品を開発するために多くの試みがなされてきた。
【0003】
本発明者らは、この分野で長年研究しており、いくつかの特許出願も出願し、さまざまな化粧品を製造して市場に出している。本発明において、本発明者らは特に、露出した皮膚表面に使用できる、均一で明るい肌の色合いを与える一般的な化粧品としても使用できる、目の下のクマの問題に対する費用対効果の高い解決策を具体的に探していた。
【0004】
本願人は、肌の外観を均一で明るいものにするために、局所用組成物に含まれる成分として各種ビタミンが提案されていることを認識している。ビタミンB3を含む様々な組成物が、同様の利点について本出願人によって特許取得されている。本願人らは、ビタミンKが特に目の下のシミにそのような効果があると示唆されていることを認識している。
【0005】
WO03/101415(TheBoots Co.)は、有効成分としてビタミンKを含む組成物を開示しており、ビタミンKはシクロデキストリンとの複合体として存在する。シクロデキストリンは、最も好ましくはβ-シクロデキストリンであり、ビタミンKは、最も好ましくはビタミンK1である。その組成物は、治療的な意味又は単に美容的な意味で、例えば皮膚の外観の改善、又は皮膚の下の変色物質の沈着に関連する打撲及び他の皮膚状態の治療において、皮膚に一般に有益な効果を有し得る。その組成物の一つの特定の用途は、目の周囲の皮膚の外観を改善するためのものであり、特に目の周囲の暗い領域(「影」)の美容上の処置のための方法である。
【0006】
FR2885803(L’Oral, 2006)は、生理的に許容される媒体中に、(a)少なくとも一つのビタミンK、その誘導体若しくは前駆体の一つ、又はそれを含む抽出物、(b)UVフィルター、及び(c)ソフトフォーカスフィラー、蛍光剤、蛍光増白剤、ゴニオクロマチック顔料、反射粒子及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つの薬剤を含む、皮膚又は唇への局所適用を意図した組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO03/101415
【特許文献2】FR2885803
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、ビタミンKは非常に高価であり、所望の効果を得るためにそれをスキンケア製品に含めると、製品が非常に高価になり、ほとんどの消費者の手の届かないものになってしまうことに気づいた。そこで本発明者らは、最小限の量のビタミンKを使用し、特定の添加物が相乗的に相互作用して、再現可能で人口の大部分が認識できる望ましい最終利益を消費者に提供できるように、どのようにしてその特定の添加物を使用するかという問題の解決に着手した。まったく驚いたことに、本発明者らは、ごく少量のビタミンK2と組み合わせた場合に相乗的に相互作用して有効性を高めた、非常に広く入手可能な脂肪酸である非常に選択的な薬剤、即ちヒドロキシステアリン酸(HSA)を発見した。本願人は、皮膚美白効果を得るために、12-HSAとナイアシンアミドのような他の薬剤との組み合わせの特許を取得していた(EP2285342)。しかしながら、今回の場合、この利点を提供することが知られている他の多くの同様の薬剤について試みたが、驚くべきことにHSAだけがビタミンK2と相乗的に相互作用することができ、その結果、ビタミンK2をごく少量で使用して所望の効果を得ることができる費用効果の高い解決策を提供することができた。
【0009】
したがって、本発明の目的は、過剰色素沈着及び不均一な皮膚外観の問題に対する解決策を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、具体的に目の下のクマに対するそのような解決策を提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、費用効果の高いそのような解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、ビタミンK2及びヒドロキシステアリン酸(HSA)を含む、皮膚に明るさを与えるためのパーソナルケア組成物に関する。
【0013】
本発明の別の態様は、第1の態様の組成物を皮膚に適用する段階を含む、皮膚、好ましくは目の下の部分に明るさを与える方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これら及び他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を読むことにより、当業者には明らかとなるであろう。疑義を避けるために、本発明の1態様の任意の特徴は、本発明の他の任意の態様において利用することができる。表現「含む(comprising)」は、「含んでいる(including)」を意味するが、必ずしも「からなる」(consisting)又は「構成されている」(composed of)を意味するわけではないということが意図される。言い換えれば、記載されている段階又はオプションは、包括的である必要はない。以下に記載されている実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではないことは留意されたい。同様に、別途示されていない限り、全てのパーセンテージは、重量/重量パーセントである。実施例及び比較実施例における場合を除いて、又は、明示的に示されている場合を除いて、本「詳細な説明」及び「特許請求の範囲」において材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性及び/若しくは使用について示している全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、xとyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記述されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせたすべての範囲も考慮されることは理解される。
【0015】
本発明の局所組成物は、パーソナルケア又は美容用途に使用されることを意図しており、パーソナルケア組成物又は化粧品組成物と呼ぶこともできると考えられる。本明細書で使用される場合の「パーソナルケア組成物」は、局所適用、すなわちヒトの皮膚及び/又は毛髪の外表面への適用のための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は、リーブオン又はリンスオフと分類され得るものであり、外観改善、クレンジング、臭気抑制又は全身美容のためにヒト身体に適用される製品を含む。その組成物は好ましくはリーブオンタイプのものである。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スティック、セラム、エッセンス又はジェルの形態とすることができる。好ましい組成物には、リーブオンゲル、ローション、セラム、エッセンス又はクリームなどがあり、好ましくはローション又はクリームの形態である。最も好ましいのはクリーム形態である。
【0016】
本明細書で使用される「皮膚」は、顔及び身体(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、足及び頭皮)の皮膚、特にはそれの露出部分を含むものである。最も好ましい部分は目の下領域である。
【0017】
本発明の組成物はヒドロキシステアリン酸を含む。ヒドロキシステアリン酸が、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸若しくはトリヒドロキシステアリン酸(例えば、9,10,13-トリヒドロキシステアリン酸)若しくはトリヒドロキシステアリン、又はそれらの分解時にヒドロキシステアリン酸若しくはヒドロキシステアリン酸化合物の1以上の分子を生成する化合物、例えばグリセロールとヒドロキシステアリン酸のモノ、ジ、トリエステルであることが好ましい。これらのうち、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸及び9,10,13-トリヒドロキシステアリン酸がより好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸(12-HSA)が最も好ましい。12-HSAは下記のような構造を有する。
【化1】
【0018】
ヒドロキシステアリン酸は、組成物の0.01~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%、さらにより好ましくは0.25~2重量%で含まれる。
本発明の組成物はビタミンK2を含む。K類のビタミン3種類がよく知られている。ビタミンK1はフィロキノンとして知られ、ビタミンK2はメナキノンとして知られ、ビタミンK3はメナジオンとして知られる。本発明者らは、HSAと組み合わせての相乗作用がビタミンK2でのみ認められ、他のK型ビタミンでは見られないことを見出した。
ビタミンK2は下記のような化学構造を有する。
【化2】
【0019】
自然界には10種類の異なるビタミンK2が存在し、それらはイソプレニル側鎖の長さに応じてMK-4~MK-13と呼ばれる。本発明者らは、本発明に関してのビタミンK2の活性が、脂肪族側鎖の長さが増加するにつれて高くなることを見出した。これらのうち、本発明者らは、ビタミンK2がMK4~MK7、好ましくはMK7であることが好ましいことを見出した。本発明で使用されるビタミンK2をカプセル化することがさらに好ましい。ビタミンK2は、好ましくは組成物の0.0001~1重量%、より好ましくは0.0001~0.1重量%で含まれる。
【0020】
本発明者らは、ビタミンK2及びHSAが、特定の重量比で含まれる場合に、より効果的であることを見出した。ビタミンK2とHSAの重量比は、1:50~1:500の範囲が好ましく、好ましくは1:80~1:400であり、さらにより好ましくは1:100~1:200の範囲である。
【0021】
当該組成物は、好ましくは皮膚美白化合物を含み、それは好ましくはビタミンB3化合物、より好ましくはナイアシンアミドである。ニコチンアミド及びピリジン-3-カルボキサミドとしても知られるナイアシンアミドは、活性な水溶性型のビタミンB3である。本発明の組成物に含まれる場合、本発明の組成物は、有効量のナイアシンアミドを、代表的には組成物の0.001~10重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%、さらにより好ましくは少なくとも1重量%の濃度で含む。ナイアシンアミドは、組成物の好ましくは9重量%以下、より好ましくは8重量%以下、さらにより好ましくは7重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下、又はさらには5重量%以下である。
【0022】
当該組成物は、UVA日焼け止め剤及びUVB日焼け止め剤の一方又は両方から選択される有機日焼け止め剤を含んでもよい。日焼け止めには、紫外線を遮断するために一般的に使用される材料が含まれている。例示的な化合物は、PABA、桂皮酸及びサリチル酸の誘導体である。例えば、アボベンゾフェノン(Parsol 1789(登録商標))メトキシケイ皮酸オクチル及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても知られる)を使用することができる。メトキシケイ皮酸オクチル及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンは、それぞれParsol MCX及びBenzophenone-3の商標名で市販されている。組成物中に使用される日焼け止めの正確な量は、太陽の紫外線からの望まれる保護の程度に応じて変わり得る。太陽光線を反射又は散乱する添加剤も使用することができる。これらの添加剤には、酸化亜鉛や二酸化チタンのような酸化物などがある。
【0023】
本発明の組成物はさらに、組成物で使用される活性物質のための希釈剤、分散剤及び/又は担体として作用して、組成物が皮膚に適用されるときにそれらの分布を容易にするすることができる化粧品として許容されるビヒクルを含んでもよい。本発明での使用に適した化粧品として許容されるビヒクルは、水性、非水性又は乳濁液;水性又は乳濁液であることができ、特には油中水型又は水中油型乳濁液が最も好ましい。水が存在する場合、代表的には、その水は組成物の残りを構成するものである。好ましくは、水は、組成物の5~99重量%、より好ましくは20~80重量%、さらにより好ましくは40~80重量%の濃度で存在する。
【0024】
本発明の組成物は、クリーム、ローション又はゲルの形態で、好ましくはクリームの形態で送達することができる。固体形態の組成物に好ましい形態はクリームであり、さらにより好ましくはバニシングクリームベースを有するものである。バニシングクリームベースは、3~25重量%の脂肪酸を含むものである。バニシングクリームを調製するのに使用される脂肪酸は、本発明における必須成分として含まれるヒドロキシステアリン酸に加えて添加される。任意に、当該組成物は0.1~10重量%の石鹸を含んでもよい。脂肪酸が含まれる場合、それは好ましくはC10~C22の脂肪酸であり、より好ましくはC16~C18の脂肪酸である。最も好ましくは、脂肪酸はステアリン酸若しくはパルミチン酸、又はそれらの混合物であり、石鹸は好ましくは脂肪酸混合物のカリウム塩である。その脂肪酸は多くの場合、実質的に(一般に約90~95%)45%のステアリン酸と55%のパルミチン酸の混合物であるヒストリン酸(hystric acid)である。最も好ましいクリームは、3~25重量%の脂肪酸と0.1~10重量%の石鹸を含むものである。
【0025】
好ましくは、組成物は皮膚軟化剤を含む。リーブオン組成物に使用され得る皮膚軟化剤の例には、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、ミンク油、イソステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、セバシン酸ジn-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココアバター、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、菜種油、ベニバナ種子油、月見草油、大豆油、ヒマワリ種子油、アボカド油、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、ワセリン、鉱油、ミリスチン酸ブチル、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル及びそれらの混合物などがある。
【0026】
好ましくは、当該組成物は溶媒を含む。当該組成物に使用できる溶媒の例としては、エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びそれらの混合物などがある。当該組成物は、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びソルビトールの1以上から選択され得る多価アルコールを含むことができる。
【0027】
好ましくは、当該組成物は粉末を含む。本組成物に使用できる粉末の例としては、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ガム、コロイダルシリカ、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキル及び/又はトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾されたモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、モノステアリン酸エチレングリコール及びそれらの混合物などがある。
【0028】
好ましくは、当該組成物は、潜在的に有害な微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含む。本組成物中の防腐剤として使用できる成分の例には、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及びさまざまな第四級アンモニウム化合物などがある。より好ましくは、本組成物中で防腐剤として使用され得る成分は、安息香酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、メチルイソチアゾリノン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、エチルヘキシルグリセリン、ベンジルアルコール、アルカンジオール及びそれらの混合物などがある。組成物中に存在する場合、防腐剤は、好ましくは0.001~5重量%、より好ましくは0.01~3重量%、最も好ましくは0.02~2重量%、さらに最も好ましくは0.25~1.5%の量で添加される。
【0029】
好ましくは、当該組成物は、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、着色剤、収斂剤、香料、乳白剤、コンディショナー、角質除去剤、pH調節剤、皮膚感覚剤、皮膚緩和剤、及び皮膚治癒剤を含む広範囲の他の任意成分を含む。
【0030】
本発明の組成物の包装は、パッチ、瓶、チューブ、ロールボールアプリケータ、噴射剤駆動エアゾール装置、圧搾容器又は蓋付きジャーであることができる。
【0031】
第2の態様において、本発明は、皮膚の美白のための本発明による組成物の使用に関する。
【0032】
第3の態様において、本発明は、ヒトの皮膚を明るくする方法であって、本発明による組成物を前記皮膚上に適用する段階を含む方法に関する。
【0033】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例】
【0034】
実施例A~D、1:メラノサイトにおけるメラニン阻害率
12HSA、4-HR(4-ヘキシルレゾルシノール)、及びEncap MK7(MK-7型のカプセル化ビタミンK2)のような活性物質の効果を、個別に又は組み合わせて調べた。イン・ビトロアッセイのプロトコールを以下に要約する。
【0035】
正常なヒト表皮メラノサイト(NHEM)(Biocell, Xi′an, China)を、ヒトメラノサイト増殖サプリメントを含むメラノサイト増殖培地(MGM)(両方ともPromocell,Germany)中で増殖させた。NHEM細胞を6ウェルプレートの2mL MGM/ウェルに7×104細胞の密度で蒔き、37℃の5%CO2のインキュベーター内で24時間インキュベートした。50%集密度に達したら、細胞に14mJ/cm2のUVBを照射し、UV照射後、培地を、試験物質を含む新鮮な培地と交換した。その後の72時間の24時間ごとに、細胞に再度UVBを照射し、処理を新鮮なものに交換した。
【0036】
72時間のインキュベーション期間終了後、Alamar Blue法を使用して細胞生存率を測定した。すなわち、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液で2回洗浄した。調製したばかりの10%Alamar Blue作業溶液を、細胞を含まないブランク対照ウェルを含めて各ウェルに添加した。プレートをCO2インキュベーター内で37℃で1時間インキュベートした。次に、Alamar Blue溶液を96ウェルプレートに移して、蛍光プレートリーダーを使用してEx/Em530nm/590nmでの蛍光強度を調べた。
【0037】
細胞生存率の評価後、細胞をさらにPBSで2回洗浄し、0.25%トリプシンで細胞を剥離させ、遠心して回収した。細胞ペレットに混合溶液(H2O:EtOH:Et2O=2:5:5体積比)を混合し、混合物を渦攪拌し、30分間静置した。次いで、混合物を1000r/分で10分間遠心した。下部画分を回収し、10%(体積比)DMSO及び1M NaOHを含む溶液でさらに抽出し、水浴中80℃で40分間インキュベートした。同様に市販のメラニンに同じDMSO/NaOH混合溶液を加えることでメラニン標準溶液を調製し、80℃で40分間インキュベートした。抽出したメラニンと連続希釈したメラニン標準溶液を96ウェルプレートに移し、プレートリーダーを用いて405nmでの吸光度を検出した。メラニン含有量をメラニン標準曲線から計算した。次に、メラニン濃度(μg/mL)を相対細胞生存率に対して正規化した。メラニン抑制率を下記等式を用いて計算した算出した。
メラニン阻害率(%)=(正規化メラニン含有量(UV対照)-正規化メラニン含有量(試験サンプル)/(正規化メラニン含有量(UV対照))×100%
【0038】
メラニン阻害率に関する結果を以下の表1にまとめている。
【0039】
【0040】
上の表のデータは、12HSAがビタミンK2の有効性を高めることができるのに対し、4-HRはそうでないことを示している。
【0041】
実施例-E,2:バニシングクリームベース中の対照サンプルと比較した、本発明による活性物質の含有の効果
以下の表2に示した組成物を調製した。3D生体皮膚等価物における皮膚の色を、次のプロトコールを用いて測定した。
【0042】
Biocell(Xi′an, China)が供給する再構成ヒト有色生体皮膚等価物(pLSE)モデルであるMelaKuits(登録商標)を使用して、プロトタイプの皮膚美白効果を評価した。第4日にサンプルを2mg/cm2で局所塗布し、7日目までモデル上に放置した。第7日に、DSM II ColorMeter(Cortex Technology ApS, Denmark)を使用して各モデルのL*を測定した。
L*値とそれぞれのP値(スチューデントt-検定に基づく)を以下の表に示している。
【0043】
【0044】
上記の表2のデータは、本発明による組成物(実施例2)が、3D生体細胞実験で測定された場合に有意に明るい色を提供することを示している。
【国際調査報告】