(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】単一ドメイン4-1BB抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20241003BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20241003BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241003BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241003BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241003BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241003BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241003BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241003BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241003BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N15/62 Z
C12N5/10
A61P35/00
A61K39/395 N
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522068
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2022124973
(87)【国際公開番号】W WO2023061421
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/123368
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524069695
【氏名又は名称】コンセプト トゥー メディシン バイオテック カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゴン, ウェンツー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, リウ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, シャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ユアンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, レイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
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4B065AA72X
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4B065AA90X
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4B065AB01
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4C085GG02
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA20
(57)【要約】
単一ドメイン抗4-1BB抗体、およびこれらの単一ドメイン抗体を含むポリペプチド、例えば、二重特異性抗体およびキメラ抗原受容体が、提供される。がんなどの疾患を処置および診断するために抗体またはポリペプチドを使用する方法も提供される。本開示の単一ドメイン抗体は、独力では4-1BBシグナル伝達を活性化しない、「非アゴニスト」であり得る。しかし、抗クローディン18.2抗体と組み合わせた場合、その後の二重特異性抗体は、クローディン18.2陽性細胞の存在下で4-1BBシグナル伝達を活性化する点で強力な活性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一ドメイン抗体、または前記単一ドメイン抗体を含むポリペプチドであって、前記単一ドメイン抗体が、ヒト4-1BBタンパク質に対して結合特異性を有し、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含み、
(a)前記CDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号7、39もしくは40のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(b)前記CDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号10、41もしくは42のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含むか;
(c)前記CDR1が、配列番号12のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号13、43もしくは44のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号14のアミノ酸配列を含むか;
(d)前記CDR1が、配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号17のアミノ酸配列を含むか;または
(e)前記CDR1が、配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、抗体またはポリペプチド。
【請求項2】
前記CDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号7、39または40のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項3】
配列番号1および21~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項4】
前記CDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号10、41または42のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1および31~34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項6】
前記CDR1が、配列番号12のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号13、43または44のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項7】
配列番号3および26~30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項8】
前記CDR1が、配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号17のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項9】
配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項10】
前記CDR1が、配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項11】
配列番号5および35~38からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項12】
前記ポリペプチドが、4-1BBとは異なる抗原に対して結合特異性を有する、キメラ抗原受容体(CAR)または二重特異性抗体である、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体またはポリペプチド。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体と、4-1BBではない標的抗原に対して結合特異性を有する二次抗体または抗原結合性断片とを含む、二重特異性抗体。
【請求項14】
前記標的抗原が、クローディン18.2、EGFR、Her2、EpCAM、CD20、CD30、CD33、CD47、CD52、CD133、CD73、CEA、gpA33、ムチン、TAG-72、CIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、GM2、VEGF、VEGFR、インテグリン、αVβ3、α5β1、ERBB2、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAPおよびテネイシンからなる群から選択される、請求項13に記載の二重特異性抗体。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体またはポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項15に記載のポリヌクレオチドを含む、細胞。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体またはポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物。
【請求項18】
それを必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体またはポリペプチドの有効量を前記患者に投与するステップを含む方法。
【請求項19】
がんを処置するための医薬の調製のための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体またはポリペプチドの使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ナノボディとしても公知の単一ドメイン抗体(sdAb)は、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である。ラクダ科動物およびある特定の他の動物から産生されたナノボディは、VHH断片とも呼ばれる。全抗体と同様に、ナノボディは、特定の抗原に選択的に結合することができる。分子量がわずか12~15kDaである、単一ドメイン抗体は、一般的な抗体(150~160kDa)よりはるかに小さい。単一ドメイン抗体は、それらの小さいサイズおよび一本鎖の性質を考えると、キメラ抗原受容体(CAR)および二重特異性抗体などの他のタンパク質に断片として含めるのに特に好適であり得る。
【0002】
4-1BB(CD137、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー9)は、TNF-受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバーであり、自然免疫細胞と適応免疫細胞の両方である免疫細胞の活性化後に発現される共刺激分子である。4-1BBは、様々な免疫細胞の活性を調節する上で重要な役割を果たす。4-1BBアゴニストは、免疫細胞増殖、生存、サイトカインの分泌、および細胞溶解活性CD8 T細胞を増強する。多くの他の研究により、4-1BBの活性化はマウスにおいて免疫応答を増強して腫瘍を消失させることが示された。したがって、4-1BBは、がん免疫学において有望な標的分子であることが示唆された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
ヒト4-1BBタンパク質に特異的なナノボディ、およびそのようなナノボディが組み込まれている二重または多重特異的抗体が、提供される。一部の実施形態では、本開示のナノボディは、独力では4-1BBシグナル伝達を活性化しない、「非アゴニスト」である。しかし、抗クローディン18.2抗体と組み合わせた場合、その後の二重特異性抗体は、クローディン18.2陽性細胞の存在下で4-1BBシグナル伝達を活性化する点で強力な活性を有する。
【0004】
4-1BBシグナル伝達活性化は、アゴニスト抗体、例えば、ウトミルマブ(PF-05082566)およびウレルマブ(BMS-663513)について予想される機構である。しかし、本明細書で開示される抗4-1BBナノボディは、そのような活性を必要としない。実際には、二重特異性抗体の抗4-1BB部分は、その二重特異性抗体が同じく標的とする腫瘍関連抗原(TAA)への結合の非存在下では4-1BBを独立して活性化することができないことが好ましく、そのような場合、そのような二重特異性抗体は、オフ腫瘍副作用が低減していることになる。
【0005】
用量制限オンターゲット毒性を一般に伴う公知の抗4-1BBアゴニスト抗体と比較して、本開示の抗体は、はるかに安全である。対応するTAAが発現されない組織、例えば、肝臓では、本開示の二重特異性抗体は、4-1BBシグナル伝達を活性化することができないので、細胞傷害性免疫応答を誘発すると予想されない。TAAが発現されるおよび/または入手可能である腫瘍組織では、対照的に、これらの二重特異性抗体は、腫瘍細胞への強力な免疫応答を開始することができる。したがって、オンターゲット/固有の毒性を被る現在臨床開発中の抗4-1BB抗体とは異なり、本開示の抗体は、がんを処置する上で同時に強力かつ安全であり得る。
【0006】
したがって、本開示の一実施形態では、ヒト4-1BBタンパク質に対して結合特異性を有し、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含み、CDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、CDR2が、配列番号7、39または40のアミノ酸配列を含み、CDR3が、配列番号8のアミノ酸配列を含む、単一ドメイン抗体またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。
【0007】
別の実施形態では、ヒト4-1BBタンパク質に対して結合特異性を有し、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含み、CDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、CDR2が、配列番号10、41または42のアミノ酸配列を含み、CDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含む、単一ドメイン抗体またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。
【0008】
別の実施形態では、ヒト4-1BBタンパク質に対して結合特異性を有し、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含み、CDR1が、配列番号12のアミノ酸配列を含み、CDR2が、配列番号13、43または44のアミノ酸配列を含み、CDR3が、配列番号14のアミノ酸配列を含む、単一ドメイン抗体またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。
【0009】
別の実施形態では、ヒト4-1BBタンパク質に対して結合特異性を有し、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含み、CDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ、配列番号15~17のアミノ酸配列を含む、単一ドメイン抗体またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。
【0010】
別の実施形態では、ヒト4-1BBタンパク質に対して結合特異性を有し、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含み、CDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ、配列番号18~20のアミノ酸配列を含む、単一ドメイン抗体またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。
【0011】
別の実施形態では、ヒト4-1BBタンパク質に対して結合特異性を有し、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含み、CDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ、配列番号1~5のいずれか1つのCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む、単一ドメイン抗体またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。
【0012】
ナノボディの1つまたは複数のユニットが組み込まれている二重特異性/多重特異性抗体も、提供される。一部の実施形態では、第2の特異性は、クローディン18.2などの腫瘍抗原に対するものである。腫瘍抗原の他の例も、本明細書で開示される。一部の実施形態では、本開示のナノボディを含むキメラ抗原受容体(CAR)が、提供される。
【0013】
抗体またはポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物も提供される。さらに、抗体またはポリペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド、抗体またはその断片をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む単離された細胞も、提供される。
【0014】
処置方法および使用も提供される。一実施形態では、それを必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、本開示の抗体またはポリペプチドの有効量を患者に投与するステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍である。一部の実施形態では、がんは、膀胱がん、肝臓がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、白血病、リンパ腫、膵臓がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、尿道がん、頭頸部がん、消化管がん、胃がん、食道がん、卵巣がん、腎がん、黒色腫、前立腺がんおよび甲状腺がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、第2のがん治療剤を患者に投与するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、ヒト4-1BB抗原、cyno4-1BB抗原およびマウス4-1BB抗原に対する抗4-1BB抗体の結合活性を試験するELISA結果を示す。
【0016】
【
図2】
図2は、ヒト4-1BBタンパク質への細胞ベースの結合を示す。
【0017】
【
図3】
図3は、Biocoreにより測定した、試験した抗4-1BB抗体の完全動力学的活性を示す。
【0018】
【
図4】
図4は、試験した抗体がヒトOX40ともヒトCD40とも反応しないことを示すELISA結合グラフを表す。
【0019】
【
図5】
図5は、参照抗4-1BB抗体ウレルマブとは異なり、試験した抗体が4-1BBシグナル伝達を活性化しなかったことを示す。
【0020】
【
図6】
図6は、試験した二重特異性抗体が、クローディン18.2陽性CHO細胞においてのみ4-1BBシグナル伝達を活性化したことを示す。
【0021】
【
図7】
図7は、試験した二重特異性抗体が、クローディン18.2を過剰発現するCHO細胞が存在しているときにのみPBMC細胞において4-1BBシグナル伝達を活性化したことを示す。
【0022】
【
図8】
図8は、ヒト化B31抗体が組み込まれている二重特異性抗体が、キメラB31抗体と同等のNFκB活性化活性を有したことを示す。
【0023】
【
図9】
図9は、ヒト化B31抗体が組み込まれている二重特異性抗体が、キメラB31抗体と同等のIL-2分泌誘導活性を有したことを示す。
【0024】
【
図10】
図10は、試験した抗体のin vivo腫瘍成長阻害活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
定義
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」実体は、その実体の1つまたは複数を指し、例えば、「1つの抗体(an antibody)」は、1つまたは複数の抗体を表すと理解されることに留意されたい。したがって、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数(one or more)」および「少なくとも1つ(at least one)」は、本明細書では同義で使用され得る。
【0026】
ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)が別の配列に対してある特定のパーセンテージ(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)の「配列同一性」を有するとは、アラインメントされたとき、塩基(またはアミノ酸)のそのパーセンテージが、2つの配列を比較した際に同じであるという意味である。このアラインメント、および相同性または配列同一性パーセントは、当技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えば、Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biologyに記載されているものを使用して、決定され得る。好ましくは、デフォルトパラメーターがアラインメントに使用される。1つのアラインメントプログラムは、デフォルトパラメーターを使用するBLASTである。特に、プログラムは、次のデフォルトパラメーターを使用するBLASTNおよびBLASTPである:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;行列=BLOSUM62;表示=50配列;ソート順:HIGH SCORE;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。生物学的に等価のポリヌクレオチドは、上述の特定相同パーセントを有するものであって、同じまたは同様の生物活性を有するポリペプチドをコードするものである。
【0027】
用語「等価の核酸またはポリヌクレオチド」は、核酸のヌクレオチド配列またはその相補配列とある程度の相同性または配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する核酸を指す。二本鎖核酸のホモログは、二本鎖核酸またはその相補配列とある程度の相同性を有するヌクレオチド配列を有する核酸を含むように意図されている。一態様では、核酸のホモログは、核酸またはその相補配列とハイブリダイズすることができる。同様に、「等価のポリペプチド」は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と、ある程度の相同性または配列同一性を有する、ポリペプチドを指す。一部の態様では、配列同一性は、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%である。一部の態様では、等価のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、参照ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと比較して1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの付加、欠失、置換およびこれらの組合せを有する。一部の態様では、等価の配列は、参照配列の活性(例えば、エピトープ結合)または構造(例えば、塩架橋)を保持する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「抗体」または「抗原結合性断片」は、抗原を特異的に認識し、それに結合する、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体を指す。抗体は、全抗体およびその任意の抗原結合性断片または一本鎖であり得る。したがって、用語「抗体」は、抗原に結合する生物活性を有する免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む分子を含有する、任意のタンパク質またはペプチドを含む。そのようなものの例としては、重鎖もしくは軽鎖またはそのリガンド結合部分の相補性決定領域(CDR)、重鎖または軽鎖可変領域、重鎖または軽鎖定常領域、フレームワーク(FR)領域、あるいはその任意の部分、あるいは結合タンパク質の少なくとも一部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
用語「抗体断片」または「抗原結合性断片」は、本明細書で使用される場合、抗体の一部分、例えば、F(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fab、Fv、scFvなどである。構造に関係なく、抗体断片は、無傷抗体により認識される同じ抗原と結合する。用語「抗体断片」は、アプタマー、スピーゲルマー、およびダイアボディを含む。用語「抗体断片」は、特定の抗原に結合して複合体を形成することにより抗体のように動作する、任意の合成のまたは遺伝子操作されたタンパク質も含む。
【0030】
「一本鎖可変断片」または「scFv」は、免疫グロブリンの重鎖(VH)の可変領域と軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質を指す。一部の態様では、領域は、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドによって結合されている。リンカーは、可動性のためにグリシンはもちろん可溶性のためにセリンまたはトレオニンも多く含むことができ、VHのN末端をVLのC末端と結合すること、またはその逆、どちらかができる。このタンパク質は、定常領域の除去およびリンカーの導入にもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。scFv分子は、当技術分野において公知であり、例えば米国特許第5,892,019号に、記載されている。
【0031】
抗体という用語は、生化学的に区別され得るポリペプチドの様々な広範なクラスを包含する。重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として、一部はこれらの中のサブクラス(例えば、γ1~γ4)として、分類されることは、当業者には理解されるであろう。それは、それぞれIgG、IgM、IgA、IgGまたはIgEのような抗体の「クラス」を決定するこの鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgG5などは、十分に特徴付けられており、機能の特化をもたらすことが公知である。これらのクラスおよびアイソタイプの各々についての改変バージョンは、本開示に鑑みて当業者には容易に識別可能であり、したがって、本開示の範囲内である。全ての免疫グロブリンクラスは、明らかに本開示の範囲内であり、以下の論述は、一般に、免疫グロブリン分子のIgGクラスに関することになる。IgGに関して、標準的な免疫グロブリン分子は、分子量おおよそ23,000ダルトンの2つの同一の軽鎖ポリペプチド、および分子量53,000~70,000の2つの同一の重鎖ポリペプチドを含む。4本の鎖は、典型的に、ジスルフィド結合により「Y」形状に連結されており、軽鎖が、「Y」の口で始まって可変領域まで続いて重鎖を両側から挟んでいる。
【0032】
本開示の抗体、その抗原結合ポリペプチド、バリアントまたは誘導体は、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化、霊長類化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、エピトープ結合性断片、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、Fv、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、VKまたはVHドメインを含む断片、Fab発現ライブラリーにより生成される断片、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本明細書で開示されるLIGHT抗体に対する抗Id抗体を含む)を含むが、これらに限定されない。本開示の免疫グロブリンまたは抗体分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0033】
「特異的に結合する」または「に対して特異性を有する」とは、一般に、抗体がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、および結合が抗原結合ドメインとエピトープ間のある程度の相補性を必要とすることを意味する。この定義によれば、抗体は、エピトープに、それがそのエピトープに、それがランダムな無関係のエピトープに結合するよりも容易に、その抗原結合ドメインを介して結合する場合、「特異的に結合する」と言われる。用語「特異性」は、ある特定の抗体がある特定のエピトープに結合する相対的親和性を認定するために本明細書では使用される。例えば、抗体「A」は、抗体「B」よりも所与のエピトープに対して高い特異性を有すると見なされることがあり、または抗体「A」は、それが関連エピトープ「D」に対して有するよりも高い特異性でエピトープ「C」に結合すると言われることがある。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」または「処置」は、治療的処置も、目的が、望ましくない生理的変化または障害、例えばがんの進行、を予防するまたは減速させる(減らす)ことである、予防的対策または予防対策も、指す。有益なまたは所望の臨床結果としては、検出可能であるか検出不能であるかを問わず、症候の緩和、疾患の程度の低下、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、病状の改善または軽減、および寛解(部分寛解であるか完全寛解あるかを問わず)が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」は、処置を受けなかった場合の予想生存期間と比較して生存期間を延長することも意味し得る。処置を必要とする者は、状態または障害に既に罹患している者はもちろん、状態もしくは障害に罹患しやすい者、または状態もしくは障害を予防すべき者を含む。
【0035】
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは、診断、予後判定または治療が望まれる任意の対象、特に、哺乳動物対象を意味する。哺乳類の対象としては、ヒト、飼育動物、家畜、動物園、競技またはペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、雌ウシなどが挙げられる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「処置を必要とする患者に」または「処置を必要とする対象」などの句は、例えば、検出に、診断手順に、および/または処置に、使用される本開示の抗体または組成物の投与の恩恵を受けることになる対象、例えば、哺乳類の対象を含む。
単一ドメイン抗4-1BB抗体
【0037】
本開示は、ヒト4-1BBタンパク質に対して高い親和性を有する一本鎖抗4-1BB抗体を提供する。一部の実施形態では、提供されるナノボディは、そのような結合だけによって4-1BBシグナル伝達を活性化することができず、それ故、「非アゴニスト」抗4-1BB抗体と呼ばれる。このような非アゴニスト抗4-1BBナノボディは、二重特異性抗体を調製するのに特に好適である。
【0038】
4-1BBシグナル伝達活性化は、アゴニスト抗体、例えば、ウトミルマブ(PF-05082566)およびウレルマブ(BMS-663513)について予想される機構である。しかし、本明細書で開示される抗4-1BBナノボディは、そのような活性を有する必要がない。実際には、二重特異性抗体の抗4-1BB部分は、CLDN18.2結合の非存在下では4-1BBを独立して活性化することができないことが好ましく、そのような場合、そのような二重特異性抗体は、オフターゲット副作用が低減していることになる。
【0039】
用量制限オンターゲット毒性を一般に伴う公知の抗4-1BBアゴニスト抗体、例えば、ウトミルマブ(PF-05082566)およびウレルマブ(BMS-663513)と比較して、本開示の二重特異性抗体は、はるかに安全である。CLDN18.2が発現されない組織では、本開示の二重特異性抗体は、4-1BBシグナル伝達を活性化することができないので、細胞傷害性免疫応答を誘発すると予想されない。CLDN18.2が発現されるおよび/または入手可能である腫瘍組織では、対照的に、これらの二重特異性抗体は、腫瘍細胞への強力な免疫応答を開始することができる。したがって、オンターゲット/固有の毒性を被る現在臨床開発中の抗4-1BB抗体とは異なり、本開示の抗体は、がんを処置する上で同時に強力かつ安全であり得る。
【0040】
したがって、本開示の一実施形態では、単一ドメイン抗体、およびそのような単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。本開示の一実施形態では、抗体B31(配列番号1)のCDR1、CDR2およびCDR3配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む単一ドメイン抗体、またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。一部の実施形態では、CDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み、CDR2は、配列番号7、39または40のアミノ酸配列を含み、CDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号6~8のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号6、39および8のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号6、40および8のアミノ酸配列を含む。
【0041】
ヒト化抗体、例えば、抗体B31について配列番号21~25で提供されるものも、提供される。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、23A、37Y、40P、41Q、44Q、45R、49A、74N、78M、82(82A)D、および94Aからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、復帰変異37Y、44Q、45Rおよび94Aを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、復帰変異23A、37Y、44Q、45R、49A、74Nおよび94Aを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、復帰変異23A、37Y、44Q、45R、49A、78M、82(82A)D、および94Aを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、復帰変異23A、37Y、40P、41Q、44Q、45R、49A、74N、82(82A)D、および94Aを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、復帰変異37Y、44Q、45Rおよび49Aを含む。
【0042】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号21のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号22のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号23のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号24のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号25のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、述べられたCDR1、CDR2およびCDR3を含み、配列番号1および21~25のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0043】
別の実施形態では、抗体B16(配列番号2)のCDR1、CDR2およびCDR3配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む単一ドメイン抗体、またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。一部の実施形態では、CDR1は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、CDR2は、配列番号10、41または42のアミノ酸配列を含み、CDR3は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号9~11のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号9、41および11のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号9、42および11のアミノ酸配列を含む。
【0044】
ヒト化抗体、例えば、抗体B16について配列番号31~34で提供されるものも、提供される。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、29L、30D、37F、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、37F、44E、45R、47Gおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、29L、30D、37F、44E、45R、47Gおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、29L、30D、37F、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。
【0045】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号31のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号32のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号33のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号34のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、述べられたCDR1、CDR2およびCDR3を含み、配列番号2および31~34のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0046】
別の実施形態では、抗体B125(配列番号3)のCDR1、CDR2およびCDR3配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む単一ドメイン抗体、またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。一部の実施形態では、CDR1は、配列番号12のアミノ酸配列を含み、CDR2は、配列番号13、43または44のアミノ酸配列を含み、CDR3は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号12~14のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号12、43および14のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号12、44および14のアミノ酸配列を含む。
【0047】
ヒト化抗体、例えば、抗体B125について配列番号26~30で提供されるものも、提供される。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、37F、43K、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、37F、44E、45R、47Gおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、37F、43K、44E、45R、47Gおよび74Aからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、37F、43K、44E、45R、47G、74Aおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、37F、43K、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。
【0048】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号26のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号27のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号28のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号29のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号30のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、述べられたCDR1、CDR2およびCDR3を含み、配列番号3および26~30のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0049】
別の実施形態では、抗体B164(配列番号4)のCDR1、CDR2およびCDR3配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む単一ドメイン抗体、またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号15~17のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、述べられたCDR1、CDR2およびCDR3を含み、配列番号4に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0050】
別の実施形態では、抗体B210(配列番号5)のCDR1、CDR2およびCDR3配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む単一ドメイン抗体、またはその単一ドメイン抗体を含むポリペプチドが、提供される。一部の実施形態では、CDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ、配列番号18~20のアミノ酸配列を含む。
【0051】
ヒト化抗体、例えば、抗体B210について配列番号26~30で提供されるものも、提供される。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、27L、29L、37F、44E、45R、47G、89Dおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、37F、44E、45R、47Gおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、27L、37F、44E、45R、47Gおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、Kabat番号付けに準拠して、27L、29L、37F、44E、45R、47G、89Dおよび94Tからなる群から選択される復帰変異を含む。
【0052】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号35のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号36のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号37のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号38のヒト化配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、述べられたCDR1、CDR2およびCDR3を含み、配列番号5および35~38のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0053】
一部の実施形態では、ヒト4-1BBへの結合において本明細書で開示される抗体のいずれかと競合する、抗4-1BB抗体および抗原結合性断片も、提供される。一部の実施形態では、本明細書で開示される抗体のいずれかと同じエピトープに結合する、抗4-1BB抗体および抗原結合性断片も、提供される。一部の実施形態では、本明細書で開示される抗体のCDR1、CDR2およびCDR3を含んだ、抗4-1BB抗体および抗原結合性断片も、提供される。
【0054】
抗体またはポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物も提供される。
【0055】
本明細書で開示される抗体を、それらが由来した天然に存在する結合ポリペプチドとはアミノ酸配列の点で異なるように、改変することができることも、当業者には理解されるであろう。例えば、指定タンパク質に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、出発配列と同様であり得、例えば、出発配列に対してある特定の同一性パーセントを有し得、例えば、それは、出発配列と60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であり得る。一部の実施形態では、改変抗体または断片は、指定されたCDR配列を保持する。
【0056】
ある特定の実施形態では、抗体は、抗体に通常は付随しないアミノ酸配列または1つもしくは複数の部分を含む。例示的な改変は、下でより詳細に説明される。例えば、本開示の抗体は、可動性リンカー配列を含むことがあり、または機能的部分(例えば、PEG、薬物、毒素、もしくは標識)を付加するように改変されていることがある。
【0057】
本明細書で開示される単一ドメイン抗4-1BB抗体の1つ、2つ、3つまたは4つのユニットと1つまたは複数の他の特異性(4-1BBではない)とを含む二重特異性および多重特異性抗体も、提供される。
二重特異性および多重特異性抗体、ならびにキメラ抗原受容体(CAR)
【0058】
提供されるような、ここで開示される抗4-1BB抗体は、二重特異性および多重特異性抗体、ならびにキメラ抗原受容体(CAR)を調製するのに特に有用である。これは、少なくとも、これらの抗体の向上した治療指数およびそれらの小さいサイズのためである。
【0059】
したがって、一実施形態では、本開示の抗4-1BBナノボディ、またはその抗原結合性断片と、4-1BBではない標的抗原に対して結合特異性を有する二次抗体または抗原結合性断片とを含む、二重特異性抗体が、提供される。一部の実施形態では、第3および第4の特異性が、さらに含まれる。
【0060】
一部の実施形態では、4-1BBではない標的抗原は、腫瘍抗原である。多数の腫瘍抗原が当技術分野において公知であり、新たな腫瘍抗原は、スクリーニングによって容易に同定され得る。腫瘍抗原の非限定的な例としては、ABL、ALK、B4GALNT1、BAFF、BCL2、BRAF、BTK、CD19、CD20、CD30、CD38、CD52、CD73、クローディン18.2、CTLA-4、EGFR、FOLR1、FLT3、HDAC、HER2、IDH2、IL-1β、IL-6、IL-6R、JAK1/2、JAK3、KIT、LAG-3、MEK、ネクチン4、ROR1、mTOR、PARP、PD-1、PDGFR、PDGFRα、PD-L1、PI3Kδ、PIGF、PTCH、RAF、RANKL、スムーズンド、VEGF、VEGFR、およびVEGFR2が挙げられる。他の例は、Her2、EpCAM、CD33、CD47、CD133、CEA、gpA33、ムチン、TAG-72、CIX、PSMA、GD2、GD3、GM2、インテグリン、αVβ3、α5β1、ERBB2、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAPおよびテネイシンである。
【0061】
一部の実施形態では、二重特異性抗体は、4-1BBおよびクローディン18.2に対して特異性を有する。
【0062】
本開示のナノボディを含むキメラ抗原受容体(CAR)も提供される。CARにおいて、ナノボディは、抗原認識ドメインとしての役割を果たし得る。加えて、一部の実施形態では、CARは、細胞外ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインも含む。
【0063】
スペーサーとも呼ばれるヒンジは、抗原認識領域と細胞の外膜の間にある小さい構造ドメインである。好適なヒンジは、scFv受容体頭部の可動性を向上させ、ひいてはCARとその標的抗原の間の空間制約を低減させる。ヒンジ配列の例は、IgG、CD8およびCD28などの、免疫分子からの膜近傍領域に基づく。
【0064】
膜貫通ドメインは、細胞膜を貫通する疎水性アルファヘリックスからなる構造成分である。それは、CARを原形質膜に繋留し、ひいては細胞外ヒンジおよび抗原認識領域と細胞内シグナル伝達領域の橋渡しをする。典型的には、エンドドメインの膜近傍成分からの膜貫通ドメイン、例えば、CD28膜貫通ドメインが、使用され得る。
【0065】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、細胞内の、受容体のエンドドメインに存する。抗原が外側の抗原認識ドメインに結合されると、CAR受容体は、互いにクラスターを形成し、活性化シグナルを伝達する。その結果、受容体の内側の細胞質側末端がT細胞内へのシグナル伝達を永続させる。このプロセスを模倣するために、CD3-ゼータの細胞質ドメインが、一般に、主CARエンドドメイン成分として使用される。
【0066】
T細胞は、活性化後に存続するためにCD3シグナル伝達に加えて共刺激分子も必要とする。一部の実施形態では、CAR受容体のエンドドメインは、共刺激タンパク質、例えば、CD28、CD27、CD134(OX40)、およびCD137(4-1BB)からの、1つまたは複数のキメラドメインも含む。
抗体をコードするポリヌクレオチドおよび抗体を調製する方法
【0067】
本開示は、本開示の抗体、そのバリアントまたは誘導体をコードする、単離されたポリヌクレオチドまたは核酸分子も提供する。本開示のポリヌクレオチドは、抗原結合ポリペプチド、そのバリアントまたは誘導体の重鎖および軽鎖可変領域全体を同じポリヌクレオチド分子上にまたは別々のポリヌクレオチド分子上にコードし得る。加えて、本開示のポリヌクレオチドは、抗原結合ポリペプチド、そのバリアントまたは誘導体の重鎖および軽鎖可変領域の部分を同じポリヌクレオチド分子上にまたは別々のポリヌクレオチド分子上にコードし得る。
【0068】
抗体を作製する方法は、当技術分野において周知であり、本明細書に記載される。ある特定の実施形態では、本開示の抗原結合ポリペプチドの可変領域と定常領域の両方が、完全にヒトのものである。完全ヒト抗体は、当技術分野において記載されている技法を使用して、および本明細書に記載されているように作製することができる。例えば、特定の抗原に対する完全ヒト抗体を、抗原投与に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが内在性遺伝子座が無効にされているトランスジェニック動物に抗原を投与することによって、調製することができる。そのような抗体を作製するために使用され得る例示的な技法は、米国特許第6,150,584号、同第6,458,592号、同第6,420,140号に記載されており、これらの参考特許文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
がん処置
【0069】
本明細書に記載されるように、本開示の抗体、二重特異性抗体、ポリペプチド、バリアントまたは誘導体を、ある特定の処置および診断方法において使用することができる。
【0070】
本開示は、本開示の抗体を患者、例えば、動物、哺乳動物およびヒトに投与して、本明細書に記載される障害または状態の1つまたは複数を処置することを含む、抗体に基づく治療に、さらに関する。本開示の治療化合物は、本開示の抗体(本明細書に記載のそのバリアントおよび誘導体を含む)、および本開示の抗体(本明細書に記載のそのバリアントおよび誘導体を含む)をコードする核酸またはポリヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
【0071】
一部の実施形態では、それを必要とする患者におけるがんを処置するための方法が提供される。方法は、一実施形態では、本開示の抗体の有効量を患者に投与するするステップを必然的に伴う。一部の実施形態では、患者におけるがん細胞(例えば、間質細胞)の少なくとも1つは、クローディン18.2などの腫瘍抗原を過剰発現する。
【0072】
細胞療法、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞またはNK細胞療法も、本開示で提供される。本開示の抗体またはCARと接触させられる(または代替的に、本開示の抗体もしくはCARを発現するように操作された)好適な細胞を、使用することができる。したがって、そのような接触または操作によって、細胞を、処置を必要とするがん患者に導入することができる。がん患者は、本明細書で開示されるようなタイプのいずれかのがんを有し得る。細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)は、例えば、腫瘍浸潤Tリンパ球、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはこれらの組合せであり得るが、それらに限定されない。
【0073】
一部の実施形態では、細胞は、がん患者彼または彼女自身から単離された。一部の実施形態では、細胞は、ドナーによりまたは細胞バンクから提供された。細胞が、がん患者から単離された場合、望ましくない免疫反応を最小限に抑えることができる。
【0074】
本開示の抗体もしくはバリアント、またはそれらの誘導体によって処置、予防、診断および/または予後判定され得る、細胞生存期間の増加に関連するさらなる疾患または状態としては、悪性病変および関連障害、例えば、白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病を含む))および慢性白血病(例えば、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病)を含む)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、および固形腫瘍の、進行および/または転移が挙げられるがこれらに限定されず、固形腫瘍には、肉腫および癌腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、甲状腺がん、子宮内膜がん、黒色腫、前立腺がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞種、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されない。
診断方法
【0075】
4-1BBの過剰発現は、ある特定の腫瘍試料に見られ、4-1BB過剰発現細胞を有する患者は、本開示の抗4-1BB抗体での処置に応答する可能性が高い。したがって、本開示の抗体を、診断および予後判定を目的として使用することもできる。
【0076】
細胞を好ましくは含む試料を、がん患者または診断を望む患者であり得る患者から、得ることができる。細胞は、腫瘍組織もしくは腫瘍ブロック、血液試料、尿試料または患者からの任意の試料の細胞であり得る。試料を最適に前処理したら、試料を、本開示の抗体とともに、抗体が、試料に存在する可能性のある4-1BBタンパク質と相互作用することを可能にする条件下で、インキュベートすることができる。ELISAなどの方法を使用して、抗4-1BB抗体をうまく利用することにより、試料中の4-1BBタンパク質の存在を検出することができる。
【0077】
試料中の4-1BBタンパク質の存在を(必要に応じて、量または濃度とともに)、患者が抗体による処置に好適であることの指標として、または患者ががん処置に応答している(していない)ことの指標として、がんの診断に使用することができる。予後判定の方法については、がん処置を開始したら、ある特定のステージで、1回、2回またはそれより多くの回数、検出を行って、処置の進行を示すことができる。
組成物
【0078】
本開示は、医薬組成物も提供する。そのような組成物は、抗体の有効量と許容可能な担体とを含む。一部の実施形態では、組成物は、第2の抗がん剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含む。
【0079】
具体的な実施形態では、用語「薬学的に許容される」とは、動物における、さらに特にヒトにおける使用について、連邦もしくは州政府の監督機関により承認された、または米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方に収載されている、という意味である。さらに、「薬学的に許容される担体」は、一般に、任意のタイプの、非毒性固体、半固体もしくは液体フィラー、希釈剤、カプセル化材または製剤助剤であろう。
【0080】
用語「担体」は、それを用いて治療薬が投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような医薬担体は、滅菌液、例えば、水および油であり得、この油には、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などが含まれる。水は、医薬組成物が静脈内投与されるときに好ましい担体である。生理食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、液体担体として、特に、注射可能溶液に、利用することができる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、所望される場合には、少量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩もしくはリン酸塩も含有し得る。抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;および浸透張力の調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロースも、想定される。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態をとり得る。旧来の結合剤および担体、例えば、トリグリセリドを用いて、組成物を坐薬として製剤化することができる。経口製剤は、標準的な担体、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含み得る。好適な医薬品担体の例は、参照により本明細書に組み込まれる、E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。そのような組成物は、好ましくは精製された形態での、抗原結合ポリペプチドの治療有効量を、患者への適正投与のための形態を提供するために好適な量の担体とともに、含有することになる。製剤は、投与方法に適していなければならない。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与用バイアルに封入され得る。
【0081】
ある実施形態では、組成物は、人間への静脈内投与に適応する医薬組成物として常套的手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与用の組成物は、滅菌等張性水性緩衝液中の溶液である。必要に応じ、組成物は、可溶化剤、および注射部位の痛みを和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔薬も含み得る。一般に、これらの成分は、別々にまたは混合されて単位剤形で、のどちらかで、例えば、活性薬剤の量を示すアンプルまたはサッシェなどの密閉シールされている容器の中の乾いた凍結粉末または無水濃縮物として供給される。組成物を注入により投与すべき場合、それは、医薬品グレードの滅菌水または食塩水が入っている注入ボトルを用いて分注され得る。組成物が注射により投与される場合、投与の前に成分を混合することができるように、注射用滅菌水または食塩水のアンプルが提供され得る。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
ヒト4-1BBに対するVHH抗体の生成
この実施例は、ヒト4-1BBタンパク質に対する単一ドメイン(VHH)抗体の生成を説明する。
【0083】
免疫化:ヒト4-1BBに対するVHH抗体を生成するために、2頭のアルパカをヒト4-1BBタンパク質によって免疫した。2ラウンドの免疫化後、免疫化アルパカの血清を、ELISAによる抗体力価評価に付した。
【0084】
免疫化ライブラリー構築:ファージライブラリーを、4-1BB免疫化アルパカのPBMCから増幅したVHH遺伝子断片からなるファージミドベクターを使用して構築した。抗体形式は、ファージディスプレイライブラリーではVHH断片である。3つの免疫化ライブラリーを、異なるアルパカのPBMCから異なる免疫化ラウンドにおいて生成した。どのライブラリーサイズも1×109より大きく、配列多様性を以下のように解析した。各ライブラリーからピックアップし、さらにシークエンシングした、48のクローンについて。配列は、これらの3つのライブラリーについてCDRの十分な多様性を示した。
【0085】
ファージパニングおよびクローン選択:4-1BBタンパク質をファージライブラリーパニングのための抗原として使用した。
【0086】
ヒト4-1BBに対するファージライブラリー溶液パニングまたは固相パニング:結合したファージをGly-Hclによって溶離した。得られたファージが、アウトプット1である。結合したファージをSS320細胞とともにインキュベートし、パニングスクリーニングの次のラウンドのために2YTプレートに蒔いた。合計3ラウンドのパニングスクリーニングがあった。アウトプット1、アウトプット2およびアウトプット3のファージELISAは、3ラウンドのスクリーニング後に濃縮された4-1BB結合因子を示した。
【0087】
アウトプット2およびアウトプット3ファージから単一のクローンをピックアップした。これらのクローンのファージを抗原結合ELISAに付した。良好な結合作用強度を示したクローンを、後続のシークエンシングに選択した。
【0088】
5つの候補配列をpcDNA 3.4ベクターにクローニングし、293F細胞に発現させた。モノクローナル抗体をプロテインGにより培養上清から精製した。精製された抗体を、4-1BB-Hisタンパク質に対するELISA結合評価に付した。
【0089】
B31、B16、B125、B164、B210の単一可変ドメインのアミノ酸配列を下の表1に収載する。CDR配列を表1A~1Eに要約する。CDR配列の一部は、翻訳後改変されやすい可能性があるNGおよびDGなどのジペプチドを含む。そのような翻訳後改変リスクを低下させるが抗体活性を保持すると考えられる、これらの配列のある特定の「リスク回避」バージョンも、表に提供する。
【表1】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【表1E】
【0090】
(実施例2)
4-1BB抗原に対する結合活性
この実施例は、4-1BBタンパク質に対する抗体の結合活性を試験した。
2.1 4-1BBへのELISA結合
【0091】
クローンB31、B16、B125、B164およびB210の結合活性を評価するために、これらのクローンからのキメラmAbを、参照抗4-1BBアゴニスト抗体であるウレルマブとともに、ELISA試験に付した。
【0092】
手短に述べると、マイクロタイタープレートを、PBS中の0.5μg/mlのヒト4-1BB-Hisタンパク質、100μl/ウェルで、4℃で一晩、コーティングし、次いで、150μl/ウェルの1%BSAでブロックした。3μg/mlで出発するB31、B16、B125、B164およびB210抗体の3倍希釈物を各ウェルに添加し、1時間、37℃でインキュベートした。プレートをPBS/Tween(登録商標)で洗浄し、次いで、抗ヒトIgG(H&L)(ヤギ)抗体・ペルオキシダーゼコンジュゲート型とともに、30分間、37℃でインキュベートした。洗浄後、プレートをTMB基質で現像し、分光光度計によりOD 450nmで解析した。
図1および表2に示すように、これら全てのクローンは、ヒト4-1BBに高い親和性で結合した。
【0093】
マイクロタイタープレートを、PBS中の0.5μg/mlのカニクイザル4-1BB-Hisタンパク質、100μl/ウェルで、4℃で一晩、コーティングし、次いで、150μl/ウェルの1%BSAでブロックした。15μg/mlで出発するB31、B16、B125、B164およびB210抗体の3倍希釈物を各ウェルに添加し、1時間、37℃でインキュベートした。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次いで、抗ヒトIgG(H&L)(ヤギ)抗体・ペルオキシダーゼコンジュゲート型とともに、30分間、37℃でインキュベートした。洗浄後、プレートをTMB基質で現像し、分光光度計によりOD 450nmで解析した。
図1および表2に示すように、これら全てのクローンは、カニクイザル4-1BBに高い親和性で結合した。
【0094】
マイクロタイタープレートを、PBS中の0.5μg/mlのマウス4-1BB-Hisタンパク質、100μl/ウェルで、4℃で一晩、コーティングし、次いで、150μl/ウェルの1%BSAでブロックした。15μg/mlで出発するB31、B16、B125、B164およびB210抗体の3倍希釈物を各ウェルに添加し、1時間、37℃でインキュベートした。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次いで、抗ヒトIgG(H&L)(ヤギ)抗体・ペルオキシダーゼコンジュゲート型とともに、30分間、37℃でインキュベートした。洗浄後、プレートをTMB基質で現像し、分光光度計によりOD 450nmで解析した。
図1および表2に示すように、B16、B125、B210のみがマウス4-1BBに結合した。
【表2】
2.2 4-1BBへの細胞ベースの結合
【0095】
4-1BB結合特性を評価するために、抗CLDN18.2-4-1BB二重特異性抗体を、4-1BBを発現したHEK293へのそれらの結合についてFACSにより解析した。各ウェルにおいて合計数1×10
5のHEK293-4-1BB細胞を、FACS緩衝液中、100nMから出発して4倍段階希釈した抗体とともに30分間、4℃でインキュベートした。FACS緩衝液による洗浄後、PEコンジュゲート抗ヒトIgG抗体を各ウェルに添加し、4℃で30分間、インキュベートした。洗浄後、PEのMFIをMACSQuant Analyzer 16により評価した。
図2に示すように、試験した抗CLDN18.2-4-1BB二重特異性抗体は、4-1BBへの濃度依存性結合能力を示した。
2.3 4-1BBについてのタンパク質完全動力学
【0096】
組換え4-1BBタンパク質(ヒト4-1BB-hisタグ)へのB31、B16、B125、B164およびB210抗体の結合を、捕捉法を使用してBiacoreで試験した。B31、B16、B125、B164およびB210 mAbを、プロテインAチップを使用して捕捉した。ヒト4-1BB-hisタグタンパク質の段階希釈物を、捕捉された抗体上に30秒間、30μl/分の流速で注入した。抗原を、360秒間、放置して解離させた。全ての実験を、Biacore T200で行った。データ解析は、Biacore T200評価ソフトウェアを使用して行った。結果を
図3および下の表3に示す。
【表3】
2.4 OX40およびCD40との交差結合活性
【0097】
クローンB31、B16、B125、B164およびB210とヒトCD40およびヒトOX40との交差結合活性を評価するために、これらのクローンからのキメラmAbをELISA試験に付した。
【0098】
手短に述べると、マイクロタイタープレートを、PBS中の0.5μg/mlのヒトCD40タンパク質またはヒトOX40タンパク質、100μl/ウェルで、4℃で一晩、コーティングし、次いで、150μl/ウェルの1%BSAでブロックした。3μg/mlで出発するB31、B16、B125、B164およびB210抗体の5倍希釈物を各ウェルに添加し、1時間、37℃でインキュベートした。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次いで、抗ヒトIgG(H&L)(ヤギ)抗体・ペルオキシダーゼコンジュゲート型とともに、30分間、37℃でインキュベートした。洗浄後、プレートをTMB基質で現像し、分光光度計によりOD 450nmで解析した。
図4に示すように、これら全てのクローンは、ヒトCD40にもヒトOX40にも交差結合しない。
【0099】
(実施例3)
4-1BBナノボディの機能活性
この実施例は、抗体の機能活性を試験したものであり、ウレルマブとは異なり、本抗体が4-1BBシグナル伝達を活性化しなかったことを示す。
4-1BBモノクローナル抗体の細胞系ベースの機能の特徴付け
【0100】
4-1BBシグナル伝達経路を活性化する4-1BBモノクローナル抗体の能力を評価するために、市販の4-1BB NF-κBルシフェラーゼレポーター系を使用した。このアッセイでは、HEK-4-1BB NF-κBをレポーター細胞系として使用する。HEK-4-1BB NF-κB細胞系は、応答エレメントの下流に4-1BBおよびルシフェラーゼを安定的に発現するように遺伝子改変されている(Genomeditech、カタログ番号GM-C04832)。ルシフェラーゼ発現は、4-1BB受容体への抗体結合によって誘導される。手短に述べると、レポーター細胞をウェル当たり細胞2.5×104個の密度で白色96ウェルプレートにおいて培養した。抗体を段階希釈し、B31分子については150nM~0.0000768nMの範囲の最終濃度ならびにB16、B125、B164およびB210分子については100nM~0.000381nMの範囲の最終濃度で白色96ウェルアッセイプレートに添加した。37℃での6時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼの基質を添加することにより発光を得、マイクロプレートリーダーにより測定した。4パラメーターロジスティック曲線解析をGraphPadソフトウェアによって行った。
【0101】
図5に示すように、ウレルマブモノクローナル抗体は、4-1BBシグナル伝達を用量依存的に活性化したが、B31、B16、B125、B164およびB210抗体は、同じ実験設定で4-1BB誘導をブーストしなかった。
【0102】
(実施例4)
抗クローディン18.2/4-1BB二重特異性抗体の機能活性
この実施例では、抗4-1BBナノボディが組み込まれており、クローディン18.2に対する特異性も有する、二重特異性抗体を生成し、試験した。
4.1 クローディン18.2-4-1BB二重特異性抗体の細胞系ベースの機能の特徴付け
【0103】
4-1BBシグナル伝達経路を活性化する生成された抗クローディン18.2/4-1BB二重特異性抗体の能力を評価するために、市販の4-1BB NF-κBルシフェラーゼレポーター系を使用した。このアッセイでは、H_TNFRSF9(4-1BB)NFκB-レポータージャーカット(Genomeditech、カタログ番号GM-C09468)をエフェクター細胞として使用し、クローディン18.2を発現するまたはしないCHO-K1を標的細胞として使用した。H_TNFRSF9(4-1BB)NFKB-レポータージャーカット細胞系は、応答エレメントの下流に4-1BBおよびルシフェラーゼを安定的に発現するように遺伝子改変されている。ルシフェラーゼ発現は、4-1BBレポーターへの抗体結合によって誘導される。手短に述べると、ウェル当たり細胞2.5×104個の密度でのエフェクター細胞を2.5×104標的細胞と(E/T比=1:1)、白色96ウェルプレートにおいて共培養した。抗体を4倍段階希釈し、100nM~0.000381nMの範囲の最終濃度で白色96ウェルアッセイプレートに添加した。37℃での6時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼの基質を添加することにより発光を得、マイクロプレートリーダーにより測定した。4パラメーターロジスティック曲線解析をGraphPadソフトウェアによって行った。
【0104】
図6に示すように、ウレルマブモノクローナル抗体は、CHO-K1およびCHO-クローディン18.2過剰発現細胞の両方において4-1BBシグナル伝達を用量依存的にブーストすることができる。その一方で、抗クローディン18.2/4-1BB二重特異性抗体B31-BiAb、B16-BiAb、B125-BiAb、B164-BiAbおよびB210-BiAbの活性は、細胞上のクローディン18.2の発現に依存していた。
4.2 ヒト末梢血単核細胞(PBMC)免疫応答を促進する二重特異性抗体の活性
【0105】
刺激されたヒトPBMCの応答を促進するクローディン18.2-4-1BB二重特異性抗体の能力を調査するために、IL-2サイトカイン放出を、LANCE Ultra TR-FRET検出キットにより調べた。0.5μg/mlのヒト抗CD3抗体で刺激したヒトPBMCを、エフェクター細胞として使用した。クローディン18.2を発現するCHO-K1を標的細胞として使用した。ヒトPBMC(1×10
5)をCHO-K1-クローディン18.2または親CHO-K1細胞(2.5×10
4)と(E/T比=4:1)、ヒト抗CD3抗体の存在下で共培養した。5倍段階希釈した二重特異性抗体を、100nMから出発する最終濃度で培養培地に添加した。48時間後、培養培地中のIL2の分泌物レベルを、IL-2(ヒト)LANCE Ultra TR-FRET検出キット(PerkinElmer)を使用して測定した。
図7に示すように、二重特異性抗体は、クローディン18.2過剰発現細胞の存在下でPBMC応答をもっぱら活性化することができた。
【0106】
(実施例5)
B31/B125/B16/B210 VHH抗体のヒト化
B31/B125/B16/B210可変領域遺伝子を利用して、ヒト化mAbを作出した。このプロセスの第1ステップでは、B31/B125/B16/B210のVHHのアミノ酸配列を、ヒトIg遺伝子配列の利用可能なデータベースと比較して、全体として最もよくマッチするヒト生殖細胞系列Ig遺伝子配列を見つけた。次いで、B31/B125/B16/B210のヒト化可変ドメイン配列を設計した;ここで、CDRH1、H2およびH3は、VH遺伝子のフレームワーク配列上にある。
【0107】
ヒト化抗体の一部についてのアミノ酸およびヌクレオチド配列を下の表4に収載する。
【表4A】
【表4B】
【表4C-1】
【表4C-2】
【表4D】
【0108】
B31の復帰変異は、23A、37Y、40P、41Q、44Q、45R、49A、74N、78M、82(82A)D、および94Aを含む。より具体的には、VHH-v2は、復帰変異37Y、44Q、45Rおよび94Aを含み;VHH-v3は、復帰変異23A、37Y、44Q、45R、49A、74Nおよび94Aを含み;VHH-v4は、復帰変異23A、37Y、44Q、45R、49A、78M、82(82A)D、および94Aを含み;VHH-v5は、復帰変異23A、37Y、40P、41Q、44Q、45R、49A、74N、82(82A)D、および94Aを含み;VHH-v6は、復帰変異37Y、44Q、45Rおよび49Aを含んだ。
【0109】
B16の復帰変異は、29L、30D、37F、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tを含む。より具体的には、VHH-v2は、復帰変異37F、44E、45R、47Gおよび94Tを含み;VHH-v3は、復帰変異29L、30D、37F、44E、45R、47Gおよび94Tを含み;VHH-v4は、復帰変異29L、30D、37F、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tを含んだ。
【0110】
B125の復帰変異は、37F、43K、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tを含む。より具体的には、VHH-v2は、復帰変異37F、44E、45R、47Gおよび94Tを含み;VHH-v3は、復帰変異37F、43K、44E、45R、47Gおよび74Aを含み;VHH-v4は、復帰変異37F、43K、44E、45R、47G、74Aおよび94Tを含み;VHH-v5は、復帰変異37F、43K、44E、45R、47G、74A、84Pおよび94Tを含んだ。
【0111】
B210の復帰変異は、27L、29L、37F、44E、45R、47G、89Dおよび94Tを含む。より具体的には、VHH-v2は、復帰変異37F、44E、45R、47Gおよび94Tを含み;VHH-v3は、復帰変異27L、37F、44E、45R、47Gおよび94Tを含み;VHH-v4は、復帰変異27L、29L、37F、44E、45R、47Gおよび94Tを含み;VHH-v5は、復帰変異27L、29L、37F、44E、45R、47G、89Dおよび94Tを含んだ。
【0112】
ヒト化VHH遺伝子をpcDNA3.4ベクターにクローニングし、さらなる解析のために293F細胞にトランスフェクトした。
【0113】
(実施例6)
ヒト化抗体の抗原結合特性
Biacoreによるヒト化抗体の完全動力学的親和性
組換えヒト4-1BBタンパク質(ヒト4-1BB-hisタグ)へのヒト化抗体の結合を、捕捉法を使用してBiacoreで試験した。B31-V2、B31-V3、B31-V4、B31-V5およびB31-V6を、プロテインAチップを使用して捕捉した。ヒト4-1BB-hisタグタンパク質の段階希釈物を、捕捉された抗体上に30秒間、10μl/分の流速で注入した。抗原を、360秒間、放置して解離させた。全ての実験を、Biacore T200で行った。データ解析は、Biacore T200評価ソフトウェアを使用して行った。結果を下の表5に示す。全てのヒト化抗体が強い結合を示した。
【表5-1】
【表5-2】
【0114】
(実施例7)
ヒト化二重特異性抗体の機能活性
この実施例では、抗クローディン18.2/4-1BB二重特異性抗体を、ヒト化4-1BBナノボディを用いて調製し、試験した。
7.1 クローディン18.2-4-1BBヒト化二重特異性抗体の細胞系ベースの機能の特徴付け
【0115】
4-1BBシグナル伝達経路を活性化するクローディン18.2-4-1BBヒト化二重特異性抗体の能力を評価するために、市販の4-1BB NF-κBルシフェラーゼレポーター系を使用した。このアッセイでは、H_TNFRSF9(4-1BB)NFκB-レポータージャーカット(Genomeditech、カタログ番号GM-C09468)をエフェクター細胞として使用し、クローディン18.2を発現するまたはしないCHO-K1を標的細胞として使用した。H_TNFRSF9(4-1BB)NFKB-レポータージャーカット細胞系は、応答エレメントの下流に4-1BBおよびルシフェラーゼを安定的に発現するように遺伝子改変されている。ルシフェラーゼ発現は、4-1BB受容体への抗体結合によって誘導される。手短に述べると、ウェル当たり細胞2.5×104個の密度でのエフェクター細胞を2.5×104標的細胞と(E/T比=1:1)、白色96ウェルプレートにおいて共培養した。抗体を3倍段階希釈し、100nM~0.005nMの範囲の最終濃度で白色96ウェルアッセイプレートに添加した。37℃での6時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼの基質を添加することにより発光を得、マイクロプレートリーダーにより測定した。4パラメーターロジスティック曲線解析をGraphPadソフトウェアによって行った。
【0116】
図8に示すように、抗クローディン18.2/4-1BBヒト化二重特異性抗体の活性は、B31キメラ抗体と同等であった。
7.2 ヒト末梢血単核細胞(PBMC)免疫応答を促進するヒト化二重特異性抗体の活性
【0117】
刺激されたヒトPBMCの応答を促進するクローディン18.2-4-1BBヒト化二重特異性抗体の能力を調査するために、IL-2サイトカイン放出を、LANCE Ultra TR-FRET検出キットにより調べた。0.5μg/mlのヒト抗CD3抗体で刺激したヒトPBMCを、エフェクター細胞として使用した。クローディン18.2を発現するCHO-K1を標的細胞として使用した。ヒトPBMC(1×10
5)をCHO-K1-クローディン18.2または親CHO-K1細胞(2.5×10
4)と(E/T比=4:1)、ヒト抗CD3抗体の存在下で共培養した。5倍段階希釈したヒト化二重特異性抗体を、100nMから出発する最終濃度で培養培地に添加した。48時間後、培養培地中のIL2の分泌物レベルを、IL-2(ヒト)LANCE Ultra TR-FRET検出キット(PerkinElmer)を使用して測定した。
図9に示すように、ヒト化二重特異性抗体により誘導されたIL-2分泌は、B31キメラ抗体と同等であった。
【0118】
(実施例8)
抗クローディン18.2/4-1BB二重特異性抗体による腫瘍成長阻害
この実施例では、ヒト4-1BBの細胞外ドメインを発現したヒト化マウスを使用して、腫瘍成長を阻害する二重特異性抗体の活性を試験した。
【0119】
マウス結腸腺癌細胞(MC38)を、ヒトCLDN18.2を発現するように操作した。ヒト化マウス(h4-1BB)にMC38-hCLDN18.2細胞を皮下移植した。マウスに、週に1回、3週間にわたって次の抗体を腹腔内投与した:PBS対照(1mg/kg)、ウレルマブ(0.85mg/kg)、B31抗CLDN18.2/4-1BB二重特異性抗体(1mg/kg)、B16抗CLDN18.2/4-1BB二重特異性抗体(1mg/kg)、B125抗/CLDN18.2-4-1BB二重特異性抗体(1mg/kg)、B164抗CLDN18.2/4-1BB二重特異性抗体(1mg/kg)、B210抗CLDN18.2/4-1BB二重特異性抗体(1mg/kg)。実験の継続期間にわたっての週に2回のノギスによる測定によって、腫瘍体積をモニターした。
図10に示すように、ウレルマブ、B31、B16、B125、B164およびB210は全て、腫瘍成長を62.4%~96.9%のTG1で抑制することができる。
【表6】
* * *
【0120】
本開示は、記載した特定の実施形態によって範囲が限定されることはなく、これらの実施形態は、本開示の個々の態様の単一の実例として意図したものであり、機能的に等価であるあらゆる組成物または方法が本開示の範囲内である。本開示の主旨および範囲を逸脱することなく、本開示の方法および組成物に様々な改変および変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、本開示の改変形態および変形形態を、それらが添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内に入ることを条件に、包含する。
【0121】
本明細書で言及した全ての公表文献および特許出願は、個々の公表文献または特許出願各々が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】