(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】洗濯機の制御方法及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/30 20200101AFI20241003BHJP
【FI】
D06F33/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522195
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2022123100
(87)【国際公開番号】W WO2023061246
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111199095.0
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA05
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE04
3B167BA52
3B167FB05
3B167JA63
3B167JA70
3B167KA18
3B167KA71
3B167LC05
3B167LD12
3B167LE04
3B167LE05
3B167LF15
3B167LF28
3B167LG08
(57)【要約】
本発明は、洗濯機の制御方法及び洗濯機を開示する。前記洗濯機は、貯水槽と、入水端及び吐水端がそれぞれ貯水槽と連通し、循環ポンプ及び濾過装置が設けられる循環濾過管路、を含む。前記濾過装置は、入水口及び濾過水出口を有する濾過チャンバと、回動可能に濾過チャンバの内部に設けられて、濾過チャンバに進入した水を濾過する濾過機構、を含む。前記制御方法は、貯水槽内に衣類処理剤を投入すること、循環ポンプを起動し、貯水槽内の水を循環させて濾過装置に通すこと、濾過チャンバ内で濾過機構を第1設定回転速度で回動させるよう制御して水中の衣類処理剤を溶解させること、を含む。本発明の濾過装置は、それ自体が水中の糸屑を除去する作用を有するほか、衣類処理剤の投入後に濾過機構が回動して水流を攪動させることで、水中の衣類処理剤をより十分に溶解させて、洗濯効果を改善することも可能である。濾過装置は、複数の機能を実現可能であり、スペースの節約となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の制御方法であって、前記洗濯機が、貯水槽と、入水端及び吐水端がそれぞれ貯水槽と連通し、循環ポンプ及び濾過装置が設けられる循環濾過管路、を含み、前記濾過装置が、入水口及び濾過水出口を有する濾過チャンバと、回動可能に濾過チャンバの内部に設けられて、濾過チャンバに進入した水を濾過する濾過機構、を含む制御方法において、
貯水槽内に衣類処理剤を投入すること、
循環ポンプを起動し、貯水槽内の水を循環させて濾過装置に通すこと、
濾過チャンバ内で濾過機構を第1設定回転速度で回動させるよう制御して、水中の衣類処理剤を溶解させること、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記濾過機構が第1設定回転速度で回動し続けて予め設定された時間長に達すると、濾過機構の回動を停止させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項3】
濾過機構が回動を停止したあと、循環ポンプは起動状態を維持し、洗濯機が循環濾過洗浄/すすぎを実施することを特徴とする請求項2に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項4】
洗浄/すすぎが終了すると、濾過チャンバ内で濾過機構を第2設定回転速度で回動させるよう制御して、濾過機構表面の濾過異物を除去し、前記第1設定回転速度は第2設定回転速度よりも大きく、
好ましくは、前記第1設定回転速度は100~800rpmであることを特徴とする請求項3に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項5】
洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記第1設定回転速度の値を決定し、
好ましくは、前記洗浄パラメータには、貯水槽内の水温、及び/又は、洗濯機が加熱機能を起動したか否かが含まれ、
より好ましくは、前記第1設定回転速度の値は貯水槽内の水温が上昇するほど小さくなり、
及び/又は、前記第1設定回転速度の値は洗濯機が加熱機能を起動した場合には小さくなることを特徴とする請求項4に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項6】
洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記予め設定された時間長の値を決定し、
好ましくは、前記洗浄パラメータには、貯水槽内の水位、及び/又は、貯水槽内の水温、及び/又は、洗濯機が加熱機能を起動したか否かが含まれ、
より好ましくは、前記予め設定された時間長の値は、貯水槽内の水位が上昇するほど長くなり、
及び/又は、前記予め設定された時間長の値は、貯水槽内の水温が上昇するほど短くなり、
及び/又は、前記予め設定された時間長の値は、洗濯機が加熱機能を起動した場合には短くなることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項7】
上記の循環ポンプを起動する前に、更に、貯水槽内の水位が予め設定された水位よりも大きい場合には循環ポンプを起動し、大きくない場合には、貯水槽内の水位が予め設定された水位に達したあと循環ポンプを起動することを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項8】
前記濾過装置は、更に、駆動機構を含み、前記駆動機構は、濾過機構に接続されて、濾過チャンバ内で濾過機構を回動させるために用いられ、
循環ポンプを起動したあと、洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記第1設定回転速度の値を決定し、
駆動機構を起動して、濾過機構を第1設定回転速度で回動させることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の洗濯機の制御方法を用いることを特徴とする洗濯機。
【請求項10】
前記濾過チャンバ内には、水流に伴い運動することで摩擦及び衝突を生じ、衣類処理剤の溶解を加速させるための洗浄粒子が設けられることを特徴とする請求項9に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の技術分野に属し、具体的には、洗濯機の制御方法及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、ドラム洗濯機の一般的な構造では、排水ポンプを接続して外部への排水を実現するための貯水槽排水管が貯水槽の最も低い箇所に設けられる。一般的に、前記貯水槽排水管はホースであり、一定の容積を有しているため、一定量の水を収容可能である。ドラム洗濯機の動作時に、衣類処理剤は給水水流によって外槽内に流し込まれるが、十分に溶解しないまま貯水槽排水管の内部空間に流れ込む。よって、その後の洗濯過程で溶解し続けて衣類と接触することは難しく、排水時に排水水流に付随してそのまま排出され、無駄となる。
【0003】
現在のドラム洗濯機の大部分では、まず、貯水槽内に一定量の水を供給し、貯水槽排水管内に水を満たしてから衣類処理剤を投入する。これにより、未溶解の衣類処理剤が貯水槽排水管内に堆積するとの事態が減少する。しかし、顆粒状の粉末洗剤等の場合には、短時間で十分に溶解することが不可能なため、やはり重力の作用で沈下して、一部の未溶解の粉末洗剤の顆粒が貯水槽排水管内に落ち込んでしまう。これにより、洗濯過程で粉末洗剤の実際の濃度が低下する結果、衣類の洗浄効果に影響が生じる。
【0004】
特許文献1は、攪乱水流を有するドラム洗濯機の制御方法を開示している。当該制御方法は、以下のステップを含む。
【0005】
S10:洗濯機の槽内の水位が低下したか否かを検出する。
【0006】
S20:槽内の水を含んだ衣類が均一に分布しているか否かを検出し、偏心量を判断する。
【0007】
S30:内槽が第1の予め設定された回転速度まで加速し、通常洗浄時の回転速度よりも大きな回転速度で水流を攪乱することで、排水ホース内の水及び粉末洗剤が搬出されて、洗濯機の槽内に還流する。
【0008】
S40:ステップS30を繰り返しN回実行し、排水ホース内の水及び粉末洗剤を繰り返し搬出及び還流させることで、粉末洗剤を十分均一に水中に溶解させる。
【0009】
S50:内槽が通常洗浄時の回転速度で回動し、洗浄を開始する。
【0010】
上記の方案では、内槽の回動を制御することで粉末洗剤の溶解効果を向上させている。ところが、内槽内には大量の水及び衣類が存在するため、偏心量を検出することで、回動時に大きな振動が生じるのを防止する必要がある。また、内槽は槽内の衣類と水を一緒に回動させるため、全体的な質量が過剰となることで、モータがストールするとの異常が発生しやすい。
【0011】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】中国特許出願第201210497315.2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、洗濯機に濾過装置を備える循環濾過管路を設け、衣類処理剤の投入後、循環ポンプを起動して貯水槽内の水を絶えず循環させることで濾過装置に通し、濾過装置内の濾過機構の回動を制御することで水流の攪動を強化して、水中の衣類処理剤をより素早く、より十分に溶解可能とする衣類の洗浄効果を向上させるのに有利な洗濯機の制御方法及び洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0015】
洗濯機の制御方法であって、前記洗濯機は、貯水槽と、入水端及び吐水端がそれぞれ貯水槽と連通し、循環ポンプ及び濾過装置が設けられる循環濾過管路、を含む。前記濾過装置は、入水口及び濾過水出口を有する濾過チャンバと、回動可能に濾過チャンバの内部に設けられて、濾過チャンバに進入した水を濾過する濾過機構、を含む。
【0016】
前記制御方法は、貯水槽内に衣類処理剤を投入すること、循環ポンプを起動し、貯水槽内の水を循環させて濾過装置に通すこと、濾過チャンバ内で濾過機構を第1設定回転速度で回動させるよう制御して、水中の衣類処理剤を溶解させること、を含む。
【0017】
更に、前記濾過機構が第1設定回転速度で回動し続けて予め設定された時間長に達すると、濾過機構の回動を停止させるよう制御する。
【0018】
更に、濾過機構が回動を停止したあと、循環ポンプは起動状態を維持し、洗濯機が循環濾過洗浄/すすぎを実施する。
【0019】
更に、洗浄/すすぎが終了すると、濾過チャンバ内で濾過機構を第2設定回転速度で回動させるよう制御して、濾過機構表面の濾過異物を除去する。前記第1設定回転速度は第2設定回転速度よりも大きい。
【0020】
好ましくは、前記第1設定回転速度は100~800rpmである。
【0021】
更に、洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記第1設定回転速度の値を決定する。
【0022】
好ましくは、前記洗浄パラメータには、貯水槽内の水温、及び/又は、洗濯機が加熱機能を起動したか否かが含まれる。
【0023】
より好ましくは、前記第1設定回転速度の値は貯水槽内の水温が上昇するほど小さくなる。
【0024】
及び/又は、前記第1設定回転速度の値は洗濯機が加熱機能を起動した場合には小さくなる。
【0025】
更に、洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記予め設定された時間長の値を決定する。
【0026】
好ましくは、前記洗浄パラメータには、貯水槽内の水位、及び/又は、貯水槽内の水温、及び/又は、洗濯機が加熱機能を起動したか否かが含まれる。
【0027】
より好ましくは、前記予め設定された時間長の値は、貯水槽内の水位が上昇するほど長くなる。
【0028】
及び/又は、前記予め設定された時間長の値は、貯水槽内の水温が上昇するほど短くなる。
【0029】
及び/又は、前記予め設定された時間長の値は、洗濯機が加熱機能を起動した場合には短くなる。
【0030】
更に、上記の循環ポンプを起動する前に、以下を含む。即ち、貯水槽内の水位が予め設定された水位よりも大きい場合には循環ポンプを起動し、大きくない場合には、貯水槽内の水位が予め設定された水位に達したあと循環ポンプを起動する。
【0031】
更に、前記濾過装置は駆動機構も含む。前記駆動機構は、濾過機構に接続されて、濾過チャンバ内で濾過機構を回動させるために用いられる。
【0032】
循環ポンプを起動したあと、洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記第1設定回転速度の値を決定する。
【0033】
そして、駆動機構を起動して、濾過機構を第1設定回転速度で回動させる。
【0034】
本発明の別の目的は、上述した洗濯機の制御方法を用いる洗濯機を提供することである。
【0035】
更に、前記濾過チャンバ内には、水流に伴い運動することで摩擦及び衝突を生じ、衣類処理剤の溶解を加速させるための洗浄粒子が設けられる。
【発明の効果】
【0036】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0037】
本発明において、濾過装置は、洗濯過程で貯水槽内の水を循環濾過することで、水中の糸屑等の濾過異物を除去し、衣類の洗浄効果を改善することが可能である。また、衣類処理剤の投入後は、循環ポンプを起動して貯水槽内の水を濾過装置に搬送しつつ、濾過機構を回動させるよう制御する。これにより、濾過装置内部の水流の攪動を強化可能とすることで、衣類処理剤をより十分均一に水中に溶解させてから、再び貯水槽内に戻す。このことは、衣類処理剤の溶解を加速させて、衣類処理剤の利用率を向上させることで、洗濯効果を向上させるのに有利である。また、濾過装置は、1つで2種類の異なる機能を実現可能なため、洗濯機の内部空間に対する占有を抑えられる。
【0038】
本発明において、洗濯機は、洗濯パラメータに基づいて濾過機構の回動速度及び回動時間長を調節する。これにより、その時点の洗濯パラメータで、衣類処理剤の十分な溶解をできるだけ早く完了させられるため、洗濯機の動作効率を保証可能となり、洗濯機の洗濯時間の節約になる。
【0039】
本発明において、洗濯機は、貯水槽内の水位が予め設定された水位に達してから循環ポンプを起動するよう制御する。これにより、貯水槽内の水量が少な過ぎるために循環ポンプの内部に空気が吸い込まれ、運転ノイズが発生するとの事態が防止される。
【0040】
本発明では、濾過チャンバの内部に洗浄粒子を設ける。洗浄粒子は水流に伴って運動する。よって、第一に、循環濾過過程で、摩擦及び衝突により濾過チャンバの内壁及び濾過機構の外壁を洗浄可能となる。これにより、濾過異物の堆積に起因して濾過装置が詰まり、濾過効率に影響を及ぼすとの事態が防止される。第二に、衣類処理剤の溶解過程で、濾過チャンバ内の水流の攪動力を更に強化することもできるため、衣類処理剤の溶解効率が更に加速する。
【0041】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0042】
図面は、本発明の一部として、本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要さないことを前提に、これらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の実施例における洗濯機の概略構造図である。
【
図2】
図2は、本発明における
図1のA部分の概略拡大図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における洗濯機の制御方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1の洗濯機における衣類処理剤の溶解の概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例における洗濯機が汚染排出動作を実行する際の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明における
図5のB部分の概略拡大図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例2における遮板の概略構造図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例3における濾過装置の概略構造図である。
【
図9】
図9は、本発明における
図8のC-C断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0045】
本発明の実施例の目的、技術方案及び利点をより明瞭とすべく、以下では、本発明の実施例における図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであるが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0046】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0047】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「取り付ける」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【実施例1】
【0048】
図1及び
図2に示すように、本実施例で記載する洗濯機は、貯水槽100と、入水端及び吐水端がそれぞれ貯水槽100と連通し、循環ポンプ400及び濾過装置600が設けられる循環濾過管路、を含む。
【0049】
本実施例において、濾過装置600は、循環ポンプ400の吐水端と循環濾過管路の吐水端の間に設けられる。濾過装置600は、具体的に、入水口6101及び濾過水出口6102を有する濾過チャンバ610と、回動可能に濾過チャンバ610の内部に設けられて、濾過チャンバ610に進入した水を濾過する濾過機構620、を含む。
【0050】
具体的に、貯水槽100には、循環ポンプ400の入水端に接続される貯水槽排水管260が設けられる。循環ポンプ400の吐水端は排水管路210に接続され、排水管路210は循環管路220に接続される。また、循環管路220の吐水端は濾過装置600の入水口6101に接続される。循環ポンプ400が起動すると、貯水槽100内の水は、貯水槽排水管260、循環ポンプ400、排水管路210及び循環管路220を順に通過して濾過装置600内に進入する。
【0051】
濾過装置600の濾過水出口6102は、濾過した水を排出するために用いられ、環水管路230を通じて貯水槽100と連通する。具体的に、環水管路230は、貯水槽100の槽口の窓パッキン110に接続される。環水管路230には、更に、環水管路230の開閉を制御する還水制御弁231が設けられる。
【0052】
理解し得るように、貯水槽の槽壁に環水口を開設し、環水管路の吐水端を前記環水口に接続して、貯水槽内へ直接還水してもよい。
【0053】
本実施例の洗濯機は、更に、外部の水源と貯水槽を連通させる主給水管路を含む。また、別の方案では、環水管路の吐水端が前記主給水管路に接続されてもよい。例えば、主給水管路に設けられる洗剤ケースに接続されて、濾過した水を洗剤ケース経由で貯水槽内に戻してもよい。
【0054】
詳細には、濾過機構620は、濾過チャンバ610の内部を外収容室と内収容室に分割する。入水口6101は前記外収容室と連通し、濾過水出口6102は内収容室と連通する。貯水槽100内の水は、循環ポンプ400の作用で、入水口6101を経由して外収容室に進入し、濾過機構620を通過して内収容室に進入することで濾過を実現する。なお、水中に含まれる糸屑は濾過機構620の外壁に付着する。また、還水制御弁231が開状態となり、濾過された水が最後に濾過水出口6102から排出されて、環水管路230経由で貯水槽100内に戻る。
【0055】
本実施例において、濾過装置600は、循環濾過に使用可能なだけでなく、衣類処理剤の溶解過程を補助することも可能である。そのため、
図3及び
図4に示すように、本実施例における洗濯機の制御方法は以下を含む。
【0056】
貯水槽100内に衣類処理剤を投入する。
【0057】
循環ポンプ400を起動し、貯水槽100内の水を循環させて濾過装置600に通す。
【0058】
濾過チャンバ610内で濾過機構620を第1設定回転速度で回動させるよう制御して、水中の衣類処理剤を溶解させる。
【0059】
本実施例における前記衣類処理剤には、洗浄段階に用いられる粉末洗剤、ブロック洗剤又は洗濯液、及びすすぎ段階に用いられる柔軟剤等が含まれるが、これらに限らない。特に、水中での溶解速度が遅い固形の粉末洗剤又はブロック洗剤については、溶解を加速させる効果がいっそう顕著となる。
【0060】
衣類処理剤が貯水槽100に投入されたあとは、一部の衣類処理剤が貯水槽排水管260の内部空間に沈む場合がある。よって、そのまま洗浄又はすすぎを開始した場合には、この一部の衣類処理剤が水中に十分溶解し得ず、洗濯物に作用不可能となって、洗濯効果に影響を及ぼす。
【0061】
本実施例では、衣類処理剤が投入されたあと、循環ポンプ400を起動するとともに、還水制御弁231を開状態とすることで、貯水槽排水管260内に沈んだ衣類処理剤を水流の循環に伴って貯水槽100内に再び戻すことが可能である。このことは、衣類処理剤をより十分均一に水中に分散させるのに有利である。且つ、循環過程では、濾過機構620が濾過チャンバ610内で回動し、濾過チャンバ610内の水に対し攪動作用を奏する。このことは、濾過チャンバ610内で衣類処理剤をより十分に溶解させたあと、再び貯水槽100内に戻すのに有利である。これにより、衣類処理剤の溶解を加速させることができ、衣類処理剤の利用率が向上するため、衣類の洗浄効果が高まる。
【0062】
本実施例の濾過装置600は、洗濯機の循環濾過に使用可能であるとともに、衣類処理剤の水中への溶解を加速させるためにも使用可能である。同一の構造で2種類の異なる機能を実現することで、洗濯機の内部空間に対する占有を抑えられる。また、濾過装置600を長時間使用したことで濾過効果が落ちた場合でも、衣類処理剤の溶解を加速させる機能は提供可能なため、濾過装置600が何の作用も奏さずに洗濯機の内部でスペースを無駄にするとの事態が回避される。
【0063】
説明すべき点として、本実施例の制御方法は、更に、洗浄剤の投入を必要とするケアマシン、食器洗い機等のその他の洗浄機器にも適用可能である。
【0064】
本実施例において、濾過装置600は、更に、駆動機構660を含む。駆動機構660は、濾過機構620に接続されて、濾過チャンバ610内で濾過機構620を回動させるために用いられる。循環ポンプ400が起動したあと、駆動機構660を起動するとともに、駆動機構660の動作パラメータを制御することで、第1設定回転速度での濾過機構620の回動を実現する。
【0065】
本実施例の更なる方案では、濾過機構620が第1設定回転速度で回動し続けて予め設定された時間長に達すると、濾過機構620の回動を停止させるよう制御する。
【0066】
更に、濾過機構620が回動を停止したあと、循環ポンプ400は起動状態を維持し、洗濯機が循環濾過洗浄/すすぎを実施する。
【0067】
上記の方案において、前記予め設定された時間長とは、衣類処理剤の十分な溶解を確実に保証するために必要な時間長である。洗濯機は、濾過機構620の回動時間長である駆動機構660の動作時間長を制御し、衣類処理剤が十分に溶解したあと濾過機構620の回動を停止させる。洗濯機が洗浄/すすぎ段階に進むと、循環ポンプ400は起動状態を維持し、貯水槽100内の水を循環させることで濾過装置600に通して濾過を実施する。濾過機構620は、循環濾過の過程では静止状態を維持する。このことは、濾過した水を円滑に排出するのに有利である。
【0068】
詳細には、貯水槽100内には、洗濯物を収容するためのドラム120が同軸に設けられる。濾過機構620が回動を停止したあと、洗濯機は、ドラム120を所定の回転/停止比で回動させるよう制御して、洗濯洗浄/すすぎを実施する。
【0069】
本実施例の具体的方案において、洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記予め設定された時間長の値を決定する。
【0070】
前記洗浄パラメータには、貯水槽100内の水位、及び/又は、貯水槽100内の水温、及び/又は、洗濯機が加熱機能を起動したか否かが含まれる。
【0071】
詳細には、前記予め設定された時間長の値は、貯水槽100内の水位が上昇するほど長くなる。水位が高いほど貯水槽100内の貯水量は大きいため、水流の循環流量が一定の場合、貯水槽100内の水を十分に循環させるのに必要な時間はより長くなる。且つ、一般的に、水位が高いほど大きな衣類処理剤の投入量に対応することにもなるため、衣類処理剤を十分に溶解させるのに必要な時間長も長くなる。
【0072】
前記予め設定された時間長の値は、貯水槽100内の水温が上昇するほど短くなる。また、前記予め設定された時間長の値は、洗濯機が加熱機能を起動した場合には短くなる。一般的に、衣類処理剤の水中への溶解速度は水温の上昇に伴い加速する。よって、本実施例では、貯水槽100内の水温が高いほど、回動時間長の値を短くすることができる。且つ、洗濯機が加熱機能を起動した場合には、加熱機能を起動していない場合よりも回動時間長の値を短くすることができる。
【0073】
上記の方案では、洗濯パラメータにより濾過機構620の回動時間長の値を制御することで、水中への衣類処理剤の十分な溶解を保証することを前提に、衣類処理剤の溶解過程に要する時間長をできるだけ短くする。このことは、洗濯機における1回の洗濯プログラム全体の運転時間長を短縮し、ユーザエクスペリエンスを向上させるのに寄与する。
【0074】
本実施例において、洗濯機は、洗浄/すすぎ終了後に自動クリーニング動作を実行する。これには、還水制御弁231を閉止し、濾過チャンバ610内で濾過機構620を第2設定回転速度で回動させるよう制御して、濾過機構620表面の濾過異物を除去することが含まれる。
【0075】
具体的には、駆動機構660が起動して濾過機構620を回動させることで、濾過機構620の外壁に付着した糸屑等の濾過異物を遠心力の作用で濾過機構620の外壁から剥がす。このとき、還水制御弁231は閉止されているため、濾過チャンバ610内の水は濾過水出口6102から流出しない。また、回動する濾過機構620は、濾過チャンバ610内の水流を攪動させることも可能である。よって、これにより形成された攪乱水流が濾過機構620の外壁に対し一定の衝撃力を発生させることでも糸屑を脱落させられる。濾過機構620の表面から剥がされた糸屑は、濾過チャンバ610内の水中に混入する。
【0076】
濾過機構620の第1設定回転速度は第2設定回転速度よりも大きい。例えば、前記第1設定回転速度は100~800rpmであり、前記第2設定回転速度は50~80rpmである。
【0077】
本実施例の更なる方案において、洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて前記第1設定回転速度の値を決定する。
【0078】
具体的に、前記第1設定回転速度の値は、貯水槽100内の水温が上昇するほど小さくなる。また、前記第1設定回転速度の値は、洗濯機が加熱機能を起動した場合には小さくなる。濾過機構620の回転速度が速いほど攪動される水流の力が大きくなって、衣類処理剤の溶解を加速させる効果が顕著となる。また、衣類処理剤の水中への溶解速度は水温の上昇に伴い加速する。よって、本実施例では、貯水槽100内の水温が高いほど、第1設定回転速度の値を低くすることができる。且つ、洗濯機が加熱機能を起動した場合には、加熱機能を起動していない場合よりも第1設定回転速度の値を低くすることができる。
【0079】
上記の方案では、衣類処理剤のできるだけ素早い溶解を保証することを前提に、濾過機構620が過剰に速い回転速度で回動することを回避する。これにより、濾過機構620の回転速度が過剰に速くなって濾過装置600の内部構造の摩耗や劣化が加速する結果、濾過装置600の寿命が短縮するとの事態が防止される。
【0080】
本実施例の更なる方案において、前記循環ポンプ400を起動する前に、更に、以下を含む。即ち、貯水槽100内の水位が予め設定された水位よりも大きい場合には循環ポンプ400を起動し、大きくない場合には、貯水槽100内の水位が予め設定された水位に達したあと循環ポンプ400を起動する。
【0081】
一般的に、衣類処理剤の投入は洗濯機の給水過程で行われ、本実施例では、洗濯機が衣類処理剤の投入を完了したあとに循環ポンプ400を起動する。しかし、この時点では、洗濯機は一般的に給水過程を完了しておらず、貯水槽100内の実際の水位は所定の洗浄/すすぎ水位に達していない。そこで、本実施例では、循環ポンプ400を起動する前に、貯水槽100内の実際の水位について判断し、前記実際の水位が予め設定された水位に達したときに初めて循環ポンプ400を起動する。こうすることで、貯水槽100内の水量が少な過ぎるために循環ポンプ400の内部に空気が吸い込まれ、運転ノイズが発生するとの事態を防止できる。
【0082】
本実施例では、循環ポンプ400を起動したあと、洗濯機は、その時点で動作している洗濯プログラムの洗濯パラメータに基づいて、前記第1設定回転速度の値と予め設定された時間長の値を決定する。
【0083】
そして、駆動機構660を起動して、濾過機構620を第1設定回転速度で回動させる。
【0084】
詳細には、
図3に示すように、本実施例における洗濯機の制御方法は以下のステップを含む。
【0085】
S1:衣類処理剤を投入する。
【0086】
S2:衣類処理剤の投入が完了すると、循環ポンプを起動する。
【0087】
S3:洗濯パラメータに基づいて、第1設定回転速度の値及び予め設定された時間長の値を含む駆動機構の運転パラメータを決定する。
【0088】
S4:駆動機構を起動して、濾過機構を第1設定回転速度で回動させる。
【0089】
S5:予め設定された時間長に達すると、駆動機構を停止して、濾過機構の回動を停止させる。
【0090】
本実施例の洗濯機は、衣類処理剤の投入が必要な給水段階において、上記ステップS1~S5を順に実行する。そして、給水が完了すると、循環ポンプ400が起動状態を維持し、還水制御弁231が開放を維持し、貯水槽100内の水が濾過装置600を通過して濾過されたあと再び貯水槽100内に戻る、という循環濾過動作の実行を含む循環濾過洗浄/すすぎを実施する。
【0091】
本実施例の別の方案では、給水過程でステップS1を実行し、給水完了後にステップS2~S5を順に実行してもよい。そして、ステップS5の実行終了後に、洗濯機は循環濾過洗浄/すすぎを実施する。
【0092】
本実施例において、濾過装置600の濾過チャンバ610には、更に、濾過チャンバ610内の外収容室と連通して、糸屑等の濾過異物を外部に排出するための汚染排出口6103が設けられる。汚染排出口6103は汚染排出管路240に接続される。また、汚染排出管路240には、開閉を制御するための汚染排出制御弁241が設けられる。
【0093】
洗浄/すすぎが終了すると、洗濯機は自動クリーニング動作を実行することで、濾過機構620に付着した糸屑等の濾過異物を除去し、糸屑を濾過チャンバ610内の水中に混入させる。自動クリーニング動作の実行時には、循環ポンプ400を停止させるとともに、汚染排出制御弁241の閉止を維持するよう制御することで、濾過チャンバ610内の水を流出させないようにしてもよい。また、循環ポンプ400に起動状態を維持させるとともに、汚染排出制御弁241を開放するよう制御することで、貯水槽100内の水を濾過装置600内に導入して濾過機構620の外壁を押し流すよう洗浄したあと、汚染排出口6103から排出してもよい。
【0094】
図5及び
図6に示すように、自動クリーニング動作の終了後、洗濯機は、更に、汚染排出動作を実行する。これには、還水制御弁231を閉止し、汚染排出制御弁241を開放して汚染排出管路240を開通させ、濾過装置600内の糸屑を伴う汚水を汚染排出口6103から排出することが含まれる。
【0095】
上記の過程により、濾過装置600は、洗濯機に衣類処理剤が投入されたあと、衣類処理剤の溶解過程を加速可能とする。また、洗浄/すすぎ過程では、貯水槽100内の水を循環濾過することで水中の糸屑を除去し、洗浄/すすぎ終了後は、付着した糸屑を自主的にクリーニングして排出することで、次の循環濾過動作を実施可能とする。
【0096】
本実施例の更なる方案において、洗濯機は、更に、汚染排出管路240の吐水端と連通し、排出された糸屑等の濾過異物501を収集するための回収装置500を含む。
【0097】
上記の方案では、濾過異物501が排水水流に進入して排水水流とともに洗濯機から排出されないよう、回収装置500を設けて、濾過装置600から排出された濾過異物501を収集する。上記の方式により、濾過異物501中の微細な糸屑が水流とともに排出されて生態系循環に進入することで生態環境や人体の健康に害を及ぼすとの事態が回避される。
【0098】
本実施例の具体的方案において、回収装置500は、内部に回収チャンバを有するハウジング510と、前記回収チャンバ内に設けられて、前記回収チャンバを第1チャンバ531と第2チャンバ532に分割する濾過アセンブリ520、を含む。
【0099】
汚染排出口6103は第1チャンバ531と連通する。濾過異物501を伴う汚水は、第1チャンバ531に進入し、濾過アセンブリ520を通過して濾過されたあと第2チャンバ532に進入する。これにより、濾過異物501は第1チャンバ531内に収集される。
【0100】
具体的に、濾過アセンブリ520は、回収チャンバ内の一定の高さに水平に設置されるフレームと、前記フレーム上に敷設されるフィルタメッシュとしてもよい。濾過異物501を伴う汚水が第1チャンバ531に進入したあと、水は濾過アセンブリ520を通過して第2チャンバ532に進入可能であるが、濾過異物501は、フィルタメッシュにより堰き止められて濾過アセンブリ520の上面に残留する。
【0101】
上記の方案では、回収装置500内に、受け付けた汚水を濾過することで濾過異物501を水中から分離するための濾過アセンブリ520が設けられる。濾過アセンブリ520により回収装置500の内部を第1チャンバ531と第2チャンバ532に分割することで、汚水中の濾過異物501は濾過アセンブリ520に堰き止められる。これにより、濾過異物501を第1チャンバ531内の濾過アセンブリ520の上面に収集し、濾過により得られた清浄な水を第2チャンバ532内に収集する。ユーザは、分離された濾過異物501を直接収集して処理することが可能なため、濾過異物501が水中に分散して処理困難になるとの事態が回避される。
【0102】
本実施例において、前記洗濯機は、更に、筐体10を含む。貯水槽100及び濾過装置600はいずれも筐体10内に設けられる。ハウジング510は、挿入/抜き出し可能に筐体10に設置可能である。ユーザは、ハウジング510を筐体10内から抜き出して、内部をクリーニングすることが可能である。
【0103】
具体的に、ハウジング510の上側には開口が備わっている。ユーザは、ハウジング510を筐体10内から抜き出したとき、濾過アセンブリ520の上面に付着した濾過異物501をハウジング510の上側の開口を通じてクリーニング可能である。好ましくは、濾過アセンブリ520は、ハウジング510に取り外し可能に接続される。この場合、ユーザは、濾過アセンブリ520をハウジング510の内部から解体して取り出し、クリーニングすることが可能なため、操作がいっそう容易となる。
【0104】
本実施例の好ましい方案において、第2チャンバ532には、濾過した清浄な水を排出するための吐水口が設けられる。第2チャンバ532に吐水口を設けることで、第2チャンバ532に進入した清浄な水を速やかに回収装置500から排出可能となる。これにより、濾過装置600から流れ込む汚水量が大きい場合に、回収装置500にオーバーフローが生じるとの事態が回避される。こうしなければ、第2チャンバ532の容量を増大させる必要が生じ、回収装置500の全体的な体積を増大させねばならなくなるため、洗濯機内部で大きなスペースを占有することになり、洗濯機全体の体積を小型化するのに不利となる。
【0105】
また、第2チャンバ532内の水は吐水口から自動的に排出可能なため、ユーザが回収装置500をクリーニングする際には、濾過アセンブリ520上の濾過異物501をクリーニングするだけでよく、手動で第2チャンバ532内の清浄な水を捨てる必要はない。また、濾過アセンブリ520が取り外し可能にハウジング510内に取り付けられている場合、ユーザは、ハウジング510を洗濯機の筐体10から完全に取り外さなくても、濾過アセンブリ520を取り出してクリーニングするだけでよいため、いっそう操作しやすい。
【0106】
本実施例の更なる方案において、排水管路210と循環管路220は切替装置270を通じて開通する。切替装置270には、更に、外部排出管路250が接続されており、循環管路220及び外部排出管路250を択一的に排水管路210と開通させるよう制御可能である。
【0107】
具体的に、切替装置270は、排水管路210の吐水端に接続される入水口と、循環管路220の入水端に接続される第1吐水口と、外部排出管路250の入水端に接続される第2吐水口と、第1吐水口及び第2吐水口を択一的に前記入水口と開通させるよう制御する切替機構、を含む。
【0108】
洗濯機が濾過装置600により衣類処理剤を溶解する際、及び、循環濾過動作及び自動クリーニング動作を実行する際に、切替装置270は排水管路210と循環管路220を開通させる。また、自動クリーニング動作の終了後、洗濯機は、汚染排出動作を実行しつつ、切替装置270を制御して排水管路210と外部排出管路250を開通させる。そして、循環ポンプ400が起動状態となって、貯水槽100内に残った水を洗濯機から排出する。
【0109】
切替装置270を設けることで、洗濯機内部の管路の接続構造が簡略化される。且つ、循環ポンプ400は、循環濾過に用いることも、洗濯機の排水に用いることも可能なため、異なる機能を実現する2つのウォーターポンプを洗濯機に設ける必要がない。よって、スペースの節約となり、生産コストも低下する。
【0110】
本実施例において、洗濯機には循環濾過管路及び濾過装置600が設けられる。循環ポンプ400は、洗濯機の洗浄及びすすぎ過程で、貯水槽100内の水を循環させて濾過装置600に通すことで、水中の糸屑の含有量を減少させて、洗濯効果を改善可能とする。且つ、濾過装置600は、衣類処理剤の投入完了後に、濾過機構620の回動によって衣類処理剤の溶解を加速させることも可能である。これにより、貯水槽100内に投入された衣類処理剤をいっそう均一且つ十分に水中に溶解させられるため、洗濯効果が更に向上する。濾過装置600は1つで2つの機能を有するため、洗濯機内部における取り付けスペースの節約となる。
【実施例2】
【0111】
図1及び
図2に示すように、本実施例では、上記実施例1を更に限定する。前記濾過チャンバ610内には、更に、水流に伴い運動することで摩擦及び衝突を生じ、衣類処理剤の溶解を加速させるための洗浄粒子680が設けられる。
【0112】
本実施例では、濾過チャンバ610内に洗浄粒子680が設けられる。衣類処理剤の溶解過程では、濾過機構620が回動して水流を攪動させるのと同時に、洗浄粒子680が水流に伴って運動し、互いに摩擦及び衝突を生じるか、濾過チャンバ610の内壁及び濾過機構620の外壁との間に摩擦及び衝突を生じる。これにより、濾過チャンバ610内の水流の攪動力を更に強化できるため、衣類処理剤の溶解速度が更に加速する。
【0113】
また、循環濾過過程において、洗浄粒子680は、摩擦及び衝突によって濾過チャンバ610の内壁及び濾過機構620の外壁を洗浄することも可能である。これにより、濾過異物が循環濾過過程で堆積し、濾過装置600を詰まらせて濾過効率に影響を及ぼすとの事態が防止される。
【0114】
本実施例において、洗浄粒子680の形状には、球形、楕円球形、楕円柱形等が含まれるが、これらに限らない。また、洗浄粒子680の表面は、平滑面であってもよいし、非平滑面であってもよい。好ましくは、非平滑面を有する洗浄粒子680とすれば、濾過チャンバ610の内壁及び濾過機構620の外壁に対する摩擦力を増大させることができ、濾過異物を剥がす効果がより良好となる。
【0115】
好ましくは、洗浄粒子680の材質は耐摩耗性の弾性材料とする。これにより、洗浄粒子680が使用過程で容易に摩耗するとの事態が回避される。また、好ましくは、洗浄粒子680の復元性は0~50%である。力を受けたときに比較的変形しやすい弾性材料で洗浄粒子680を製造すれば、濾過機構620が回動過程で洗浄粒子680によりスタックし、ひいては濾過装置600が破損するとの事態を回避可能となる。
【0116】
本実施例の更なる方案では、前記濾過チャンバ610内に遮板690が設けられる。遮板690の左側には第1空間が形成され、遮板690の右側には第2空間が形成される。入水口6101及び洗浄粒子680は遮板690の左側に設けられ、濾過水出口6102及び汚染排出口6103は遮板690の右側に設けられる。
【0117】
遮板690の具体的な構造は
図7に示す通りであり、いくつかの通水孔691が設けられる。
図1及び
図2に示すように、通水孔691は第1空間と第2空間を連通させるが、洗浄粒子680は遮板690により第1空間内に規制されて、第2空間に進入することはない。こうすることで、洗浄粒子680が濾過水出口6102又は汚染排出口6103から水流とともに排出されるとの事態や、濾過水出口6102又は汚染排出口6103に堆積して詰まらせるとの事態が回避される。
【0118】
具体的に、遮板690の外周と濾過チャンバ610の内壁は密着するか、ほぼ密着するよう設けられる。また、通水孔691の幅をD1、洗浄粒子680の幅をdとすると、D1<dである。
【0119】
本実施例における通水孔691は丸孔であり、通水孔691の幅D1とは通水孔691の直径の大きさである。理解し得るように、通水孔691は、例えば、角孔、線状孔等のその他の形状としてもよいが、その場合には、通水孔691の異なる方向における最小サイズが幅D1となる。
【0120】
同様に、球形の洗浄粒子680の場合、前記洗浄粒子680の幅dとは洗浄粒子680の直径である。また、その他の形状の洗浄粒子680の場合には、洗浄粒子680の異なる方向におけるサイズが完全には同じとならないため、複数の異なるサイズのうちの最小サイズが前記幅dとなる。こうすることで、洗浄粒子680がどのように方向を変えたとしても遮板690上の通水孔691を通過し得ないよう保証できるため、遮板690による洗浄粒子680の有効な堰き止めが保証される。
【0121】
本実施例の更なる方案において、洗浄粒子680の密度は水よりも小さい。よって、水流が濾過チャンバ610に進入したあと、洗浄粒子680は水中で浮上可能となり、いっそう容易に水流に伴われて濾過チャンバ610の第1空間内で運動する。そして、これにより、摩擦及び衝突を生じて、衣類処理剤の均一な溶解を加速したり、濾過異物を脱落させたりする。こうすることで、水流の衝撃力が足りない場合に、洗浄粒子680が濾過チャンバ610の底部に堆積して有効に作用し得なくなるとの事態が回避される。
【0122】
本実施例の更なる方案において、濾過水出口6102の外周は、濾過チャンバ610の外部に向かって延伸することで密封支持部611を形成している。
【0123】
前記濾過機構620は、遮板690に対して入水口6101と同じ側に設けられ、第1空間に進入した水を濾過する濾過部と、左端が前記濾過部に接続され、右端が遮板690を貫通し、且つ、回動可能に密封支持部611内に挿設される吐水継手621、を含む。
【0124】
遮板690には、吐水継手621が貫通する貫通孔692が設けられる。貫通孔692と吐水継手621の外壁は隙間嵌めとなる。
【0125】
上記の方案において、吐水継手621は密封支持部611に回動可能に密封状に接続される。また、濾過された水は吐水継手621を通じて流出する。遮板690には吐水継手621の外壁と隙間嵌めとなる貫通孔692が設けられ、吐水継手621の外壁と貫通孔692の内壁は接触しない。これにより、濾過機構620の回動時に、遮板690と吐水継手621の間に摩擦が存在することで抵抗力が生じ、濾過機構620の円滑な回動に影響を及ぼすとの事態が防止される。
【0126】
本実施例において、濾過チャンバ610の内部には、濾過機構620の回動過程で水流に伴い運動することで、水流の攪動力を更に強化して、衣類処理剤をより素早く水中に溶解可能とする洗浄粒子680が設けられる。また、循環濾過過程において、洗浄粒子680は、水流に伴い摩擦及び衝突を生じて濾過チャンバ610の内壁及び濾過機構620の外壁を洗浄可能である。これにより、濾過異物が濾過過程で堆積するとの事態が防止されるため、濾過効率が保証される。且つ、濾過装置600が自動クリーニングを実施する際に、濾過異物をより容易に脱落させることも可能である。
【実施例3】
【0127】
図8及び
図9に示すように、本実施例では、上記実施例1又は実施例2の濾過装置600を更に限定する。上記濾過水出口6102の外周は、濾過チャンバ610の外部に向かって延伸することで密封支持部611を形成している。また、濾過機構620の一端には、密封支持部611内に挿設される吐水継手621が備わっている。吐水継手621は密封支持部611に回動可能に密封状に接続される。
【0128】
濾過装置600は、更に、吐水継手621に覆設される第1軸受631と、第1軸受631における濾過チャンバ610の内部に面する側に設けられて、吐水継手621と密封支持部611との隙間を閉塞する第1シール部材641、を含む。
【0129】
詳細には、濾過機構620は、フィルタメッシュホルダ及びフィルタメッシュ625を含む。フィルタメッシュホルダは、濾過チャンバ610の内部に位置し、フィルタメッシュ625により表面が覆われるフィルタメッシュ支持部623と、フィルタメッシュ支持部623の左端に設けられる吐水継手621と、フィルタメッシュ支持部623の右端に設けられて、濾過チャンバ610に回動可能に接続される回動支持部622、を含む。
【0130】
上記の方案において、吐水継手621と密封支持部611の間には、吐水継手621を支持する第1軸受631が設けられる。これにより、密封支持部611内における吐水継手621の回動がより円滑になるとともに、構造が安定するため、濾過チャンバ610内における濾過機構620の安定的な回動を保証可能となる。また、第1軸受631の右側には第1シール部材641が設けられるため、濾過チャンバ610内の洗浄水は吐水継手621と密封支持部611との隙間に進入不可能となる。これにより、第1軸受631と水との接触が防止されて、第1軸受631の機能喪失が回避されるため、第1軸受631の作用・効果が保証される。且つ、第1シール部材641は、更に、濾過されていない洗浄水が濾過水出口6102から密封支持部611を経由して流出し、濾過装置600による糸屑の除去効率に影響を及ぼすとの事態も防止する。
【0131】
本実施例の具体的方案において、第1シール部材641は吐水継手621に覆設される。これにより、第1シール部材641の内壁と吐水継手621の外壁が密封状に接続され、第1シール部材641の外壁と密封支持部611の内壁が回動可能に密封状に接続される。
【0132】
本実施例の更なる方案において、濾過装置600は、更に、第2シール部材642を含む。第2シール部材642は、第1軸受631における濾過チャンバ610の内部とは反対の側に設けられて、吐水継手621と密封支持部611との隙間を閉塞する。
【0133】
具体的に、第2シール部材642は吐水継手621に覆設される。これにより、第2シール部材642の内壁と吐水継手621の外壁が密封状に接続され、第2シール部材642の外壁と密封支持部611の内壁が回動可能に密封状に接続される。
【0134】
上記の方案において、第1軸受631の左側には第2シール部材642が更に設けられているため、吐水継手621から流出した水を第2シール部材642で堰き止めて、第1軸受631に接触させないようにすることができる。第1軸受631は、第1シール部材641と第2シール部材642の間に位置するため、第1軸受631の取り付け環境に水が存在しないよう最大限保証される。これにより、第1軸受631が水に触れて錆び付き、濾過機構620の回動の円滑性に影響を及ぼすとの事態が回避される。
【0135】
本実施例の更なる方案において、密封支持部611の内壁は段差構造を有しており、密封支持部611の一端から濾過チャンバ610の外部に向かって、順に、環状構造を有し且つ内径が徐々に縮小する第1位置規制面601、第2位置規制面602及び第3位置規制面603が形成されている。
【0136】
第1シール部材641における濾過チャンバ610の外側に面する表面は第1位置規制面601に当接し、第1軸受631における濾過チャンバ610の外側に面する表面は第2位置規制面602に当接し、第2シール部材642における濾過チャンバ610の外側に面する表面は第3位置規制面603に当接する。
【0137】
上記の方案では、段差構造の密封支持部611の内壁に垂直な環状の位置規制面を複数形成し、第1シール部材641、第1軸受631及び第2シール部材642の各々の左側の表面にそれぞれ当接させることで、吐水継手621の軸方向におけるそれらの移動を規制可能としている。これにより、濾過機構620の回動過程において、吐水継手621と密封支持部611との嵌め合い構造がぐらつくとの事態が防止される。
【0138】
本実施例の好ましい方案において、吐水継手621における濾過チャンバ610の外部に近接する一端の外径は他端の外径よりも小さくなっている。これにより、吐水継手621の外壁には、環状構造を有し、且つ、吐水継手621の軸線と垂直な第4位置規制面604が形成されている。第1軸受631における濾過チャンバ610の内側に面する表面は第4位置規制面604に当接する。
【0139】
吐水継手621の左端の外径を右端よりも小さくすることで、外径が突然変化している箇所に左側を向く第4位置規制面604を形成し、第1軸受631の右側の表面に当接させる。こうすることで、第1軸受631の両側がいずれも位置規制構造を有するため、構造が更に安定する。
【0140】
本実施例において、密封支持部611における濾過チャンバ610から離隔する一端、即ち、密封支持部611の左端は濾過チャンバフランジ650に接続される。濾過チャンバフランジ650の中央部には、吐水継手621と連通する貫通口653が備わっている。貫通口653の外周は、密封支持部611とは反対側に延伸して接続部651を形成している。
【0141】
好ましくは、濾過チャンバフランジ650における密封支持部611に面する側の表面には、突出する挿接部652が備わっている。挿接部652は、密封支持部611の左端の開口内に挿設される。
【0142】
上記の方案において、密封支持部611の左端は濾過チャンバフランジ650に接続される。且つ、濾過チャンバフランジ650には接続部651が形成されている。接続部651の外径は密封支持部611の外径よりも小さい。また、接続部651の内径は吐水継手621の内径と等しいことが好ましい。濾過装置600は、洗濯機内に取り付けられるとき、接続部651を介して環水管路に接続される。これは、環水管路を密封支持部611の左端に直接接続する方式と比べて、取り付けがいっそう容易である。
【0143】
濾過チャンバフランジ650の右側には、密封支持部611の左端の開口に挿入される挿接部652が備わっている。このことは、濾過チャンバフランジ650と密封支持部611を組み付ける際の位置決めに都合がよい。濾過チャンバフランジ650と密封支持部611の外周には、いくつかの固定部がそれぞれ設けられており、ネジを前記固定部に挿通することで濾過チャンバフランジ650と密封支持部611との固定が実現される。
【0144】
本実施例の更なる方案において、密封支持部611の外壁には、密封支持部611の径方向に延伸する補強リブ613が設けられる。補強リブ613は、濾過チャンバ610における濾過水出口6102が存在する表面に接続される。
【0145】
密封支持部611は濾過チャンバ610の左側の端面から一定の長さだけ伸出しているため、補強リブ613を設けて外部から周側壁を支持することで、密封支持部611の強度を保証する。
【0146】
本実施例の更なる方案において、濾過機構620の右端の回動支持部622は、回動軸線に沿って濾過チャンバ610の外部に延伸している。また、濾過チャンバ610には、回動支持部622を挿通するための取付口6104が設けられている。回動支持部622は、取付口6104に回動可能に密封状に接続される。
【0147】
回動支持部622は、濾過機構620を回動させる駆動機構を接続するために用いられる。回動支持部622は濾過チャンバ610の右端から伸出している。また、回動支持部622の右端には、駆動機構を接続するためのモータ取付部624が設けられる。これにより、駆動機構を濾過チャンバ610の外部に設置可能となるため、水との接触が回避される。
【0148】
更に、取付口6104の外周は、回動支持部622の軸線に沿って濾過チャンバ610の外部に延伸することでスリーブ部612を形成している。また、回動支持部622には第3シール部材643が覆設される。第3シール部材643の内壁と回動支持部622の外壁は密封状に接続され、第3シール部材643の外壁とスリーブ部612の内壁は回動可能に密封状に接続される。
【0149】
スリーブ部612と回動支持部622の間には、更に、第2軸受632が設けられる。第2軸受632は回動支持部622に覆設されて、第3シール部材643における濾過チャンバ610の外部に面する側に位置する。
【0150】
上記の方案では、第3シール部材643を設けることで、濾過チャンバ610内の水が取付口6104から漏出するとの事態が防止される。また、第2軸受632を設けることで、回動支持部622を支持する作用が奏されるため、回動支持部622とスリーブ部612との相対的な回動が更に円滑となるよう保証される。第2軸受632は第3シール部材643の右側に設けられるため、濾過チャンバ610内の水と接触することがなく、機能喪失が回避される。
【0151】
本実施例の好ましい方案において、スリーブ部612における濾過チャンバ610の外部に近接する一端の内径は他端の内径よりも小さくなっている。これにより、スリーブ部612の内壁には、環状構造を有し、且つ、回動支持部622の軸線と垂直な第5位置規制面605が形成されている。第3シール部材643における濾過チャンバ610の外側に面する表面は第5位置規制面605に当接する。
【0152】
回動支持部622における濾過チャンバ610の外部に近接する一端の外径は他端の外径よりも小さくなっている。これにより、回動支持部622の外壁には、環状構造を有し、且つ、回動支持部622の軸線と垂直な第6位置規制面606が形成されている。第2軸受632における濾過チャンバ610の内側に面する表面は第6位置規制面606に当接する。
【0153】
上記の方案において、スリーブ部612の右端の内径は左端の内径よりも小さくなっており、内径が突然変化している箇所に、第3シール部材643の右側の表面に当接する左側を向く第5位置規制面605が形成されている。また、回動支持部622の右端の外径は左端の外径よりも小さくなっており、外径が突然変化している箇所に、第2軸受632の左側の表面に当接する右側を向く第6位置規制面606が形成されている。以上の構造によって、回動支持部622の軸方向における第3シール部材643及び第2軸受632の移動が規制されるため、構造が安定する。
【0154】
更に、フィルタメッシュ支持部623は、中央部領域の横断面積は一定であるが、その左右両端には錐状構造を有している。こうして、フィルタメッシュ625の一部の表面を傾斜状に設けることで、付着した糸屑を脱落させるのに有利となる。
【0155】
本実施例では、濾過機構620の両端に第1軸受631及び第2軸受632をそれぞれ設けて支持することで、濾過機構620が濾過チャンバ610内で円滑且つ安定的に回動するよう保証している。且つ、第1シール部材641、第2シール部材642及び第3シール部材643を設けることで、第1軸受631及び第2軸受632の取り付け環境に水が存在しないよう最大限保証している。これにより、第1軸受631及び第2軸受632と水との接触が防止されるため、これらの機能喪失が回避される。
【実施例4】
【0156】
図1及び
図2に示すように、本実施例は、洗濯機の制御方法を提供する。本実施例における洗濯機の構造は、上記実施例1における洗濯機と同様である。
【0157】
具体的に、前記制御方法は以下を含む。
【0158】
即ち、循環ポンプ400を起動し、循環濾過管路を開通させて、洗濯機が循環濾過すすぎを行う。
【0159】
すすぎが終了すると、循環ポンプ400を停止させる。
【0160】
駆動機構660を起動して、濾過機構620を濾過チャンバ610内で回動させる。
【0161】
第1設定条件に達すると、循環ポンプ400を起動するとともに、汚染排出制御弁241を開放して汚染排出管路240を開通させる。
【0162】
第2設定条件に達すると、循環濾過管路を遮断する。
【0163】
好ましくは、第1設定条件に達したあと、駆動機構660は、起動状態を維持して、濾過機構620を回動させ続ける。
【0164】
本実施例において、上記の循環濾過管路を開通させるとは、切替装置270が濾過装置600と循環ポンプ400の吐水端を開通させ、還水制御弁231を開放することで環水管路230を開通させることを含む。また、上記の循環濾過管路を遮断するとは、切替装置270が外部排出管路250と循環ポンプ400の吐水端を開通させることを含む。
【0165】
理解し得るように、上記の循環濾過管路の遮断は循環ポンプ400を停止することで実現してもよい。
【0166】
本実施例において、濾過装置600の入水口6101は洗濯機の最高水位の高さよりも高くなっている。また、すすぎ過程では、洗濯機がすすぎ水を循環濾過し、濾過装置600及び循環濾過管路内に常にすすぎ水が充満している。
【0167】
排水管路210は下から上へ水流を搬送するものであり、循環管路220及び濾過装置600は貯水槽100よりも高くなるよう設けられているため、すすぎが終了して循環ポンプ400を停止させたあとは、排水管路210及び循環管路220内の水が重力の作用で下方に向かって還流し、最大で、排水管路210内の水面の高さと貯水槽100内の水位の高さが整列するまで還流し得る。また、水面より上から濾過装置600までの管路が空気で満たされる。しかし、濾過装置600は循環管路220よりも低くなっているため、内部の水が循環管路220を経由して還流することはない。また、循環ポンプ400を停止させるのと同時に、還水制御弁231も閉止される。且つ、このとき、汚染排出制御弁241が閉状態となる。これにより、濾過装置600の内部の水は濾過チャンバ610内に残留し、外部に排出されなくなる。
【0168】
駆動機構660が起動すると、濾過機構620が高速で回動することで、表面に付着した糸屑等の濾過異物が遠心力の作用で濾過機構620の表面から剥がされる。このとき、還水制御弁231と汚染排出制御弁241はいずれも閉状態となっているため、濾過チャンバ610内の水は流出しない。また、高速で回動する濾過機構620は、濾過チャンバ610内の水流を攪動させることも可能である。よって、これにより形成された攪乱水流が濾過機構620の表面に対し一定の衝撃力を発生させるとともに、洗浄粒子680を運動させて濾過チャンバ610の内壁及び濾過機構620の外壁に対し摩擦及び衝突を生じることで、更に糸屑の脱落を強化する。濾過機構620の表面から剥がされた糸屑等の濾過異物は、濾過チャンバ610内の水中に混入する。
【0169】
循環ポンプ400を起動するとともに、汚染排出制御弁241も開放して汚染排出管路240を開通させると、濾過装置600内の汚水は汚染排出口6103から排出可能となるが、洗浄粒子680は遮板690に堰き止められて濾過チャンバ610の内部に残る。循環ポンプ400の起動によって、排水管路210及び循環管路220内の空気を濾過装置600に押し込むことで、濾過装置600内の糸屑を伴う汚水は、空気圧で汚染排出口6103から完全に排出される。これにより、濾過装置600内における汚水の残留が回避され、濾過装置600のクリーニング効果が良好となる。また、汚染排出制御弁241は、循環ポンプ400の起動とともに開放されるため、濾過装置600内に空気を導入する際に生じる圧力が保証される。これにより、濾過装置600内の汚水の十分な排出を確実に保証可能となる。
【0170】
濾過装置600内の汚水が完全に排出されたあと、貯水槽100内の水が再び循環管路220を通過して濾過装置600に進入するとの事態を回避するために、洗濯機には第2設定条件が予め設定されている。第2設定条件に達すると、循環濾過管路が遮断されて、濾過装置600に対する貯水槽100内の水の搬送が停止される。
【0171】
本実施例の具体的方案において、前記第1設定条件とは、循環ポンプ400の停止が第1設定時間t1に達することとしてもよく、前記第2設定条件とは、循環ポンプ400の起動が第2設定時間t2に達することとしてもよい。
【0172】
上記の方案において、第1設定時間t1及び第2設定時間t2の具体的な値は、予め大量の実験を通じて取得するとともに、洗濯機の制御プログラムに直接書き込んでもよい。
【0173】
具体的に、第1設定時間t1の値は、排水管路210内の水位の高さが低下を開始してから停止するまでに必要なおおよその最大時間長である。また、第2設定時間t2の値は、循環ポンプ400の起動後に、排水管路210内の水位が排水管路210の上端付近まで上昇するのに必要なおおよその最短時間長である。こうすることで、循環ポンプ400の停止期間を保証し得るため、管路内により大量の空気を進入させられる。また、循環ポンプ400の起動後に水が再び濾過装置600に進入するとの事態が有効に回避される。
【0174】
本実施例の別の方案では、第1設定条件及び第2設定条件として水位の高さを採用してもよい。具体的に、前記第1設定条件とは、循環ポンプ400と濾過装置600の間の管路において水位が第1設定値H1に達することである。また、前記第2設定条件とは、循環ポンプ400と濾過装置600の間の管路において水位が第2設定値H2に達することである。また、H1<H2である。
【0175】
本実施例において、具体的に、上記水位とは排水管路210内の水位の高さである。排水管路210内の水位の検知を実現するために、水位検知装置を洗濯機の排水管路210内に設けてもよい。
【0176】
上記の方案において、第1設定値H1の値は、洗濯機の最高水位の高さよりも大きく、且つできるだけ近接している。これにより、循環ポンプ400の停止後に、排水管路210内の水位が第1設定値H1まで低下し得るよう保証する。
【0177】
排水管路210内の水位が第2設定値H2まで上昇した旨の信号を洗濯機が受信してから、切替装置270が排水管路210と外部排出管路250を開通させるまでには、一般的に一定の時間差を有する。反応の遅延によって、循環ポンプ400の起動後に水が再び濾過装置600に進入するとの事態を回避するために、第2設定値H2の値と、排水管路210の上端に対応する水位の高さとの間には一定の差分値ΔHを持たせる必要がある。前記差分値ΔHの具体的な値は、予め行われる大量の実験により取得可能である。これにより、水位が第2設定値H2に達した旨の信号を洗濯機が受信したあとに、切替装置270を制御して水路の切り替えを完了させるだけの十分な反応時間を有することが保証される。
【0178】
本実施例の更なる方案において、洗濯機は、その時点の運転プロセスが今回の洗濯プログラムにおける最終すすぎ段階であると判断した場合、すすぎ終了後に循環ポンプ400を停止させ、且つ、第1設定条件に達したあと循環ポンプ400を起動する。
【0179】
洗濯機は、その時点の運転プロセスが今回の洗濯プログラムにおける最終すすぎ段階ではないと判断した場合、すすぎ終了後に、循環ポンプ400に運転状態を維持させて、第3設定条件に達すると循環濾過管路を遮断する、との動作を実行する。
【0180】
上記の方案では、中間すすぎ段階の場合、洗濯機はその後も運転を継続する必要がある。即ち、循環して濾過装置600を通過し、濾過されるすすぎ水がまだ存在する。よって、この場合には、濾過装置600内の糸屑を伴う汚水を排出することなく、濾過機構620の表面に付着した糸屑を除去するだけでよい。
【0181】
すすぎが終了すると、還水制御弁231が閉止され、汚染排出制御弁241が開放されて、循環ポンプ400が運転状態を維持する。貯水槽100内の水は、循環ポンプ400の作用によって濾過装置600に向かって搬送され続け、濾過装置600の内部を洗い流す。洗い流したあとの汚水は、汚染排出口6103を通じて汚染排出管路240に排出される。
【0182】
本実施例において、前記第3設定条件とは、すすぎ終了後に第3所定時間t3に達することとしてもよい。また、その値は、実験を通じて予め取得されるとともに、制御プログラムに書き込まれる。これにより、濾過機構620の表面に付着した糸屑をほぼ除去し得るよう保証する。
【0183】
或いは、貯水槽100内の水位が予め設定された値ΔH1まで低下したときに循環濾過管路を遮断してもよい。即ち、排水管路210と外部排出管路250を開通させるよう切替装置270を制御してもよい。そして、循環ポンプ400が運転を継続することで、貯水槽100内に残った水を洗濯機から排出する。
【0184】
本実施例の好ましい方案では、すすぎが終了すると、駆動機構660を起動して濾過機構620を濾過チャンバ610内で高速で回動させることで、濾過チャンバ610内の水を攪動可能とする。これにより、付着した糸屑を、遠心力及び攪乱水流という2つの作用によって濾過機構620の表面から剥がし、濾過チャンバ610内の水中に混入させたあと、汚染排出口6103を通じて濾過チャンバ610から排出する。こうすることで、糸屑のクリーニング効率が高まる。
【0185】
本実施例において、洗濯機は、最終すすぎの終了時にのみ、循環ポンプ400を停止させてから再び循環ポンプ400を起動するとの動作を実行して、濾過装置600内の汚水を完全に排出する。一方、中間すすぎの終了時には、循環ポンプ400が運転状態を維持することで、洗濯機の運転過程で循環ポンプ400が頻繁に起動・停止することによる使用寿命への影響を回避する。
【0186】
本実施例において、洗濯機は、洗浄終了後にも濾過装置600をクリーニングする。具体的な制御方法は次の通りである。
【0187】
循環ポンプ400を起動する。また、切替装置270が循環ポンプ400の吐水端と濾過装置600を開通させるとともに、還水制御弁231を開放する。これにより、洗濯機は循環濾過洗浄を行う。
【0188】
洗浄が終了すると、循環ポンプ400が運転状態を維持したまま、還水制御弁231が閉止され、汚染排出制御弁241が開放される。
【0189】
第4設定条件に達すると、切替装置270が循環ポンプ400の吐水端と外部排出管路250を開通させる。
【0190】
前記第4設定条件とは、洗浄終了後に第4所定時間t4に達することとしてもよいし、貯水槽100内における水位の低下高さが予め設定された値ΔH2に達することとしてもよい。
【0191】
洗浄終了後は、洗濯プログラムのその後の過程で更に循環濾過すすぎを行う必要があるため、中間すすぎの場合と同様に、濾過装置600内の汚水を完全に排出する必要はない。よって、循環ポンプ400は、停止することなく運転状態を維持していてもよい。
【0192】
本実施例において、洗濯機は、洗浄及び中間すすぎの終了後には、循環ポンプ400に運転状態を維持させるよう制御することで、貯水槽100内の水を濾過装置600まで搬送して洗い流す。洗い流したあとの汚水は、濾過装置600の汚染排出口6103から排出される。そして、最終すすぎが終了すると、循環ポンプ400を停止させてから、管路内に空気が進入するのを待って循環ポンプ400を再び起動し、管路内の空気を濾過装置600に押し込むことで内部の汚水を完全に排出する。これにより、洗濯機の運転停止後に濾過装置600内に汚水が残留しないよう保証されるため、細菌の繁殖を有効に回避できる。且つ、洗濯機は、最終すすぎの終了後にのみ循環ポンプ400を停止させてから再び起動させるとの動作を実行するため、循環ポンプ400の不要な起動・停止動作が減少し、循環ポンプ400の使用寿命が延びる。
【0193】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変更或いは改変は、同等に変形された等価の実施例であって、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び改変は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0194】
10 筐体
100 貯水槽
110 窓パッキン
120 ドラム
210 排水管路
220 循環管路
230 環水管路
231 還水制御弁
240 汚染排出管路
241 汚染排出制御弁
250 外部排出管路
260 貯水槽排水管
270 切替装置
400 循環ポンプ
500 回収装置
501 濾過異物
510 ハウジング
520 濾過アセンブリ
531 第1チャンバ
532 第2チャンバ
600 濾過装置
601 第1位置規制面
602 第2位置規制面
603 第3位置規制面
604 第4位置規制面
605 第5位置規制面
606 第6位置規制面
610 濾過チャンバ
6101 入水口
6102 濾過水出口
6103 汚染排出口
6104 取付口
611 密封支持部
612 スリーブ部
613 補強リブ
620 濾過機構
621 吐水継手
622 回動支持部
623 フィルタメッシュ支持部
624 モータ取付部
625 フィルタメッシュ
631 第1軸受
632 第2軸受
641 第1シール部材
642 第2シール部材
643 第3シール部材
650 濾過チャンバフランジ
651 接続部
652 挿接部
653 貫通口
660 駆動機構
680 洗浄粒子
690 遮板
691 通水孔
692 貫通孔
【国際調査報告】