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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】有機化合物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20241003BHJP
   A23L 27/21 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 27/60 20160101ALN20241003BHJP
   A23L 23/00 20160101ALN20241003BHJP
   A23L 19/18 20160101ALN20241003BHJP
   A23L 13/60 20160101ALN20241003BHJP
   A23C 20/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/21
A23L27/20 F
A23L27/60 A
A23L23/00
A23L19/18
A23L13/60 Z
A23C20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522214
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2022078460
(87)【国際公開番号】W WO2023062110
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】2114766.5
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイバー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ブレマン,エスター マリア
(72)【発明者】
【氏名】ド クラーク,アドリ
(72)【発明者】
【氏名】アイバニーズ ゴンザレス,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】カオウアス,アブデルマジド
(72)【発明者】
【氏名】コーレン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘロンデル,ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ウィズネン,リサ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンケル,コルネリス
【テーマコード(参考)】
4B016
4B036
4B042
4B047
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LE01
4B016LG06
4B016LK01
4B016LK02
4B016LK04
4B016LK10
4B016LP04
4B036LC01
4B036LF03
4B036LG06
4B036LH01
4B036LH04
4B036LH05
4B036LH07
4B036LH14
4B036LH15
4B036LH39
4B036LK01
4B042AC03
4B042AD20
4B042AD36
4B042AH01
4B042AK01
4B042AK02
4B042AK04
4B042AK10
4B042AK13
4B047LF04
4B047LF05
4B047LF07
4B047LF08
4B047LF09
4B047LF10
4B047LG03
4B047LG04
4B047LG05
4B047LG09
4B047LG15
4B047LG16
(57)【要約】
本発明は、式(I)

で表される化合物およびその食用塩であって、ここで式中、R1は、2-(1H-4-イミダゾリル)-エテニル、1H-5-インドリル、2-(1H-5-イミダゾリル)-エテニル、1-アミノ-2-(1H-4-イミダゾリル)-エチル、(1,3-チアゾール-2-イル)-エテニル、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル、2-(ピリミジン-2-イル)エテニル、ヘプタデカニル、1-ヘプタデカ-8-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニル、ヘプタデカ-8,11,14-トリエニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エテニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エチル、2-フェニル-エテニル、2-(フラン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-3-イル)-エテニル、2-ブタ-2-エノイル、2-ブチル、2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イルからなる群から選択され;R2は、(1H-イミダゾール-4-イル)-メチル、(1H-3-インドール-3-イル)-メチル、4-ヒドロキシベンジル、メチルスルファニルエチル、ヒドロキシメチル、CH2-COOH、(ピリジン-4-イル)メチル、(ピリジン-2-イル)メチル、1-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)、2-(ピリミジン-2-イル)メチル、(1H-イミダゾール-5-イル)-メチル、(1H-イミダゾール-2-イル)-メチル、(1H-ピロール-2-イル)-メチル、フェニル、ピリミジン-5-イル、ピラジン-2-イルからなる群から選択され;R3は、H、COOHからなる群から選択される、前記化合物およびその食用塩、または、3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸メチル、および3,6-ビス[(1H-イミダゾール-4-イル)メチル]ピペラジン-2,5-ジオンからなる群から選択される化合物の、フレーバー調節化合物としての使用に、ならびに、前記化合物を含むフレーバー組成物および消費者向製品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される1つ以上の化合物:
【化1】

およびその食用塩であって、ここで式中、
R1は、2-(1H-4-イミダゾリル)-エテニル、1H-5-インドリル、2-(1H-5-イミダゾリル)-エテニル、1-アミノ-2-(1H-4-イミダゾリル)-エチル、(1,3-チアゾール-2-イル)-エテニル、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル、2-(ピリミジン-2-イル)エテニル、ヘプタデカニル、1-ヘプタデカ-8-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニル、ヘプタデカ-8,11,14-トリエニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エテニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エチル、2-フェニル-エテニル、2-(フラン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-3-イル)-エテニル、2-ブタ-2-エノイル、2-ブチル、2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イルからなる群から選択され;
R2は、(1H-イミダゾール-4-イル)-メチル、(1H-3-インドール-3-イル)-メチル、4-ヒドロキシベンジル、メチルスルファニルエチル、ヒドロキシメチル、CH2-COOH、(ピリジン-4-イル)メチル、(ピリジン-2-イル)メチル、1-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)、2-(ピリミジン-2-イル)メチル、(1H-イミダゾール-5-イル)-メチル、(1H-イミダゾール-2-イル)-メチル、(1H-ピロール-2-イル)-メチル、フェニル、ピリミジン-5-イル、ピラジン-2-イルからなる群から選択され;
R3は、H、COOHからなる群から選択される、前記化合物およびその食用塩、
または、3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸メチル、および3,6-ビス[(1H-イミダゾール-4-イル)メチル]ピペラジン-2,5-ジオンからなる群から選択される化合物の、
フレーバー調節化合物としての、使用。
【請求項2】
化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の使用:3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-1H-インドール-5-カルボキサミド、ヒスチジルチロシン、N-[3-(1H-イミダゾール-5-イル)プロパ-2-エノイル]-トリプトファン、ヒスチジルヒスチジン、N-[3-(メチルスルファニル)プロピル]ヒスチジンアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミド、ヒスチジル-β-アラニン、N-[オクタデカ-9,12-ジエノイル]ヒスチジン、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(1,3-チアゾール-2-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[オクタデカ-9,12,15-トリエノイル]ヒスチジン、N-[オクタデカ-9-エノイル]ヒスチジン、N-オクタデカノイルヒスチジン、3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸メチル、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボキサミド、3-(ピリミジン-2-イル)-N-[2-(ピリミジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3,6-ビス[(1H-イミダゾール-4-イル)メチル]ピペラジン-2,5-ジオン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に定義された化合物を含む、フレーバー組成物。
【請求項4】
化合物が、組成物の総重量に基づき0.001~80wt%含まれる、請求項3に記載のフレーバー組成物。
【請求項5】
請求項1もしくは請求項2に定義の化合物または請求項3もしくは請求項4に記載のフレーバー組成物、および消費者向製品基剤を含む、消費者向製品。
【請求項6】
少なくとも1ppm、好ましくは少なくとも20ppm、より好ましくは少なくとも50ppmまたは70ppm ppbの、式(I)に記載の1つ以上のフレーバー調節化合物および/またはその食用塩を含む、請求項5に記載の消費者向製品。
【請求項7】
消費者向製品が、食材および飲料から選択される、請求項5または6に記載の消費者向製品。
【請求項8】
式(I)で表される化合物:
【化2】

およびその食用塩であって、ここで式中、
R1は、2-(1H-4-イミダゾリル)-エテニル、1H-5-インドリル、2-(1H-5-イミダゾリル)-エテニル、1-アミノ-2-(1H-4-イミダゾリル)-エチル、(1,3-チアゾール-2-イル)-エテニル、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル、2-(ピリミジン-2-イル)エテニル、ヘプタデカニル、1-ヘプタデカ-8-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニル、ヘプタデカ-8,11,14-トリエニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エテニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エチル、2-フェニル-エテニル、2-(フラン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-3-イル)-エテニル、2-ブタ-2-エノイル、2-ブチル、2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イルからなる群から選択され;
R2は、(1H-イミダゾール-4-イル)-メチル、(1H-3-インドール-3-イル)-メチル、4-ヒドロキシベンジル、メチルスルファニルエチル、ヒドロキシメチル、CH2-COOH、(ピリジン-4-イル)メチル、(ピリジン-2-イル)メチル、1-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)、2-(ピリミジン-2-イル)メチル、(1H-イミダゾール-5-イル)-メチル、(1H-イミダゾール-2-イル)-メチル、(1H-ピロール-2-イル)-メチル、フェニル、ピリミジン-5-イル、ピラジン-2-イルからなる群から選択され;
R3は、H、COOHからなる群から選択される、前記化合物およびその食用塩、
ただし化合物は、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、ヒスチジルチロシン、ヒスチジルヒスチジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミド、ヒスチジル-β-アラニン、N-オクタデカノイルヒスチジン、N-[(9Z)-オクタデカ-9-エノイル]ヒスチジンではないものとする。
【請求項9】
以下からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物:N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-1H-インドール-5-カルボキサミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-1H-インドール-5-カルボキサミド、N-[3-(1H-イミダゾール-5-イル)プロパ-2-エノイル]トリプトファン、N-[3-(メチルスルファニル)プロピル]ヒスチジンアミド、N-[オクタデカ-9,12-ジエノイル]ヒスチジン、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(1,3-チアゾール-2-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[オクタデカ-9,12,15-トリエノイル]ヒスチジン、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボキサミド、3-(ピリミジン-2-イル)-N-[2-(ピリミジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-(4H-イミダゾール-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-ピロール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-ベンジル-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピリミジン-5-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピラジン-2-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド、3-(フラン-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-2-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-3-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-2-{[(2E)-2-メチルブタ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2-メチルブタンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエンアミド、2-{[3-(フラン-2-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパン酸、3-(1H-イミダゾール-5-イル)-2-{[3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸、N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボキサミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-(2-フェニルエチル)プロパ-2-エンアミド。
【請求項10】
フレーバー組成物または消費者向製品にフレーバー特性を付与する、増強する、改善するまたは改変する方法であって、この方法が、前記組成物または消費者向製品に、請求項1もしくは請求項2に定義の少なくとも1つの化合物またはその食用塩を添加することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、有用なフレーバー調節化合物である新規化合物およびその食用塩に関する。本発明はさらに、前記化合物を含むフレーバー組成物および、食材または飲料などの消費者向製品に関する。本発明はまた、前記化合物の使用に、および前記化合物を使用することによってフレーバー組成物または消費者向製品にフレーバー特性を付与する、増強する、改善する、補完するまたは改変する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
塩味は、うま味、甘味、苦味、および酸味に次ぐ、5つの基本的味覚属性の1つである。塩味は塩化ナトリウムと関連しており、食品による健康的なミネラルの取り込みを刺激するために不可欠である。しかし、現代の食生活では加工度の高い食品が豊富であり、これらの食品は多くの場合、非常に多量の塩化ナトリウムを含有する。世界保健機関(WHO)によると、平均1日摂取量として5g/日が推奨されている。FDAによると、アメリカ人の塩化ナトリウムの個人の平均1日摂取量(PADI)は8gを超え、明らかに推奨値を超えている。塩化ナトリウムのPADIが継続的に高いと、高血圧症、心血管疾患、腎不全および脳卒中などの負の副作用を引き起こす可能性がある。好ましくは所望の塩味を損なうことなく、塩化ナトリウムのPADIを低減させることが非常に望ましい。そのため、塩味の知覚を増強する化合物が必要とされている。
【0003】
塩分増強のための様々なフレーバー化合物の候補が文献に記載されている。例えば、US9,155,329B2には、ヒドロキシル基またはアルコキシル基を付加した低分子量アミドが塩分を増強する特性を有することが開示されている。
塩化ナトリウムの、塩化カリウムなどの他の塩による少なくとも部分的な置換は、多くの場合否定的な味覚の側面と関連する(Khetra et al, Int. Dairy J. (2019), 91, 165-171)。
【0004】
塩分知覚と混同されることのあるもう1つの関連する側面はうま味であるが、ただしこれには、全く別の受容体機構が関与している。うま味を付与する化合物の最も顕著な例は、グルタミン酸ナトリウム(MSG)である(Ikeda, J. Tokyo Chem. Soc. (1909), 30, 820-836)。うま味は、リボヌクレオチドであるイノシン一リン酸(IMP)とグアノシン一リン酸(GMP)によって修飾することができる(Kodama, J. Soc. of Japan. (1913), 34: 751-757; Kuninaka, J. Chem. Soc. Jpn. (1960), 34, 487-492)。うま味を増強する他の化合物としては、例えばテアニン(Suzuku et al.J Agric Food Chem.(2002), 50 313-318)または特殊オリゴペプチド(Yamasaki, et al, Agric.Biol.Chem.(1978), 42, 1761-1765; Tamura et al, Agric.Biol.Chem.(1989), 53, 319-325)などがある。
【0005】
グルタチオンは、うま味と塩味に同時に、より正確には味覚刺激の持続時間に影響を与えると記載されている(Tazuko et al, Chem. Senses (2016), Volume 41, 623-630)。一般的な味覚エンハンサーのグループが、EP1291342で報告された。
様々な他の分子が、塩分知覚を改善しまたは影響を与えることが知られている。また、揮発性のアロマ化合物は、塩味の増加を模倣するのに役立つことができる(Batenburg et al, J.(2011), 76, 280-288)。
フレーバーを調節可能な新たな味覚改善物質をフレーバリストのパレットに添加するニーズが、依然として存在する。
【発明の開示】
【0006】
概要
本発明の第1の側面に従って、式(I)で表される化合物:
【化1】

またはその食用塩の、フレーバー調節化合物としての使用が提供される。
本発明の第2の側面に従って、前記化合物を含むフレーバー組成物が提供される。
【0007】
本発明の第3の側面に従って、前記化合物または前記フレーバー組成物を含む、消費者向製品が提供される。
本発明の第4の側面に従って、フレーバー調節化合物としての新規化合物が提供される。
本発明の第5の側面に従って、フレーバー組成物または消費者向製品にフレーバー特性を付与し、増強し、改善し、または改変する方法が提供される。
【0008】
本発明のいずれかの側面のある態様は、以下の利点の1以上を提供し得る:
●塩味知覚の調節、とりわけ正の調節、
●苦味、例えばKClの低減、
●酸味、例えばNH4Clの低減、
●うま味の知覚の増強、および
●食材または飲料、とりわけ風味食材または飲料の、芳香知覚の増強。
【0009】
本発明の1つ以上の特定の記載側面に関連して提供される詳細、例および選好は、本明細書でさらに説明され、本発明のすべての側面に等しく適用されるであろう。本明細書に記載の、すべての可能なバリエーションにおける態様、実施例および選好のあらゆる組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明確に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0010】
詳細な説明
本発明は、大部分が脱アミノ化(desaminated)アミノ酸および/または脱炭酸アミノ酸に由来する一定のペプチドが、フレーバー調節特性を有するという、驚くべき知見に基づく。
【0011】
したがって、式(I)で表される1つ以上の化合物:
【化2】

およびその食用塩であって、ここで式中、
R1は、2-(1H-4-イミダゾリル)-エテニル、1H-5-インドリル、2-(1H-5-イミダゾリル)-エテニル、1-アミノ-2-(1H-4-イミダゾリル)-エチル、(1,3-チアゾール-2-イル)-エテニル、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル、2-(ピリミジン-2-イル)エテニル、ヘプタデカニル、1-ヘプタデカ-8-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニル、ヘプタデカ-8,11,14-トリエニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エテニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エチル、2-フェニル-エテニル、2-(フラン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-3-イル)-エテニル、2-ブタ-2-エノイル、2-ブチル、2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イルからなる群から選択され;
【0012】
R2は、(1H-イミダゾール-4-イル)-メチル、(1H-3-インドール-3-イル)-メチル、4-ヒドロキシベンジル、メチルスルファニルエチル、ヒドロキシメチル、CH2-COOH、(ピリジン-4-イル)メチル、(ピリジン-2-イル)メチル、1-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)、2-(ピリミジン-2-イル)メチル、(1H-イミダゾール-5-イル)-メチル、(1H-イミダゾール-2-イル)-メチル、(1H-ピロール-2-イル)-メチル、フェニル、ピリミジン-5-イル、ピラジン-2-イルからなる群から選択され;
【0013】
R3は、H、COOHからなる群から選択される、前記化合物およびその食用塩、
または、3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸メチル、および3,6-ビス[(1H-イミダゾール-4-イル)メチル]ピペラジン-2,5-ジオンからなる群から選択される化合物の、フレーバー調節化合物としての使用が提供される。
【0014】
本明細書に使用されるとき、食用塩とは、典型的には飲食料品業界で使用されているものを含み、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、グルコン酸塩、ナトリウム、クエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩および乳酸塩を含む。
本発明の化合物がステレオ中心または二重結合を含有する場合、化合物は、単一の異性体、例えばエナンチオマーもしくはジアステレオマーもしくは二重結合異性体、または複数の異性体の混合物である。とりわけ、本発明の化合物の二重結合はE立体配置またはZ立体配置をとることができるか、または、化合物は混合物として存在する。
【0015】
本発明の化合物が互変異性体の形態で存在できる場合、両方の互変異性体が本発明によって包含される。例えば、ヒスチジンおよびその誘導体のイミダゾール部分は、2つの互変異性体形態:1H-イミダゾール-4-イルおよび3H-イミダゾール-4-イルで存在する。
さらに本発明の化合物は、その異性体のいずれかまたはその混合物の形態での、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0016】
式(I)で表される化合物はアミドまたはペプチドであって、これはアミノ酸残基のアミノ窒素原子および別のアミノ酸残基のカルボニル炭素原子により形成されるアミド基-C(=O)N=であることを特徴とする。代替的に、カルボニル炭素原子は脂肪酸から供給される。
例えば、式(I)で表される化合物のアミド基の炭素原子に結合するアミノ酸残基(R1)は、ヒスチジン、および脱アミノ化ヒスチジンおよび脱水素化ヒスチジンからなる群から選択されるアミノ酸の残基である。
【0017】
例えば、脂肪酸に由来する残基R1は、1つ以上のCC二重結合を有する。これらの二重結合はE立体配置またはZ立体配置であることができ、または異性体の混合物を作ることができる。例えば、1つ以上の二重結合のCC二重結合の立体配置は、Zである。
例えば、式(I)で表される化合物のアミド基の窒素原子に結合するアミノ酸残基は、β-アラニン、ヒスチジン、トリプトファン、チロシン、および脱炭酸ヒスチジン、セリン、メチオニン、およびチロシンからなる群から選択される、アミノ酸残基である。
【0018】
上述の本発明の化合物はフレーバー調節特性を有する。例えば、いくつかの化合物は塩味の知覚を増強し、および/または苦味を低減し、および/またはうま味を増強することができる。
この文書を通して、「味」および「フレーバー」という用語は互換的に使用されて、口、特に舌、および鼻腔内の嗅上皮を介して知覚される感覚への影響を表す。
【0019】
本明細書に使用されるとき、「フレーバー調節化合物」とは、それ自体フレーバー特性を有しない化合物のことをいう。しかしながら前記物質は、塩味の影響、酸味の影響、苦味および/またはうま味の影響を含む、フレーバー組成物または消費者向製品に含有される他のフレーバー物質の味の影響を変える、補完する、または調節することができる。
例えば、フレーバー調節化合物は、1000ppmを上回るレベルまでは全く塩味を有しない。塩味フレーバー化合物、例えばNaClと組み合わせることで、塩味の知覚を増強することができる。
【0020】
例えば、フレーバー調節化合物は、1000ppmを上回るレベルにおいて、苦味を打ち消すかまたはマスキングするための認識できる味を有しない。例えばKClなどの苦い異味を有し得る化合物と組み合わせると、苦味が低減される。
例えば、フレーバー調節化合物は、1000ppmを上回るレベルにおいて、酸味を打ち消すかまたはマスキングするための認識できる味を有しない。例えばNH4Clなどの酸っぱい異味を有し得る化合物と組み合わせると、酸味が低減される。
【0021】
例えば、フレーバー調節化合物は、1000ppmを上回るレベルではいかなるうま味も付与しない。例えばMSGなどのうま味を付与できる化合物と組み合わせると、うま味が増強される。
本明細書に使用されるとき、「フレーバー物質」とは、検出可能なフレーバーの影響を、特に0.1wt%未満の濃度、より好ましくは0.01wt%未満の濃度で付与することができる、あらゆる物質をいう。例えば、かかるフレーバー物質は、天然フレーバー、人工フレーバー、香辛料、調味料等、合成フレーバー油およびフレーバー芳香料および/または油、オレオレシン、エッセンス、蒸留物、および植物、葉、花、果実等に由来する抽出物から選択され得る。一般に、米国科学アカデミーによる「Chemicals Used in Food Processing, publication 1274, pages 63-258」に記載されているようなフレーバーまたは食品添加剤であれば、どのようなものでも使用できる。この刊行物は参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
本発明のフレーバー調節化合物は、他のフレーバー物質の存在下において、それらが組み込まれた製品に高く評価される味覚感覚を付与することができる極めて有用な成分であり、具体的には「丸み」、「豊かさ」、「物質的」、「透明性」、「複雑さ」、「膨張的」、「連続的」、「長期持続的」、「ヒリヒリ」、「しびれる」、「苦味」、および/または「金属的」などであることがわかった。このため、現在の味覚改善物質は、食材および飲料の味(「口当たり」を含む)を改善するのに利用することができる。
【0023】
さらなる側面において、上に定義されるとおりの、式(I)で表される1つ以上の化合物およびその食用塩のフレーバー調節化合物としての使用が提供され、ここで該化合物は、アミド結合を介して残基に付着した、少なくとも1つの芳香族単位を有する。例えば、芳香族単位は、フェニル、イミダゾール、チアゾール、インドール、フラン、チオフェン、ベンゾチアゾール、ピリミジン、ピラジン、ピロールからなる群から選択することができる。芳香族単位は、R1および/またはR2の部分であることができる。一態様において、芳香族単位はイミダゾールである。
【0024】
さらなる側面において、上に定義されるとおりの、式(I)で表される1つ以上の化合物およびその食用塩のフレーバー調節化合物としての使用が提供され、ここで該化合物は、アミド結合を介して残基に付着した2つの芳香族単位を有し、かつ該芳香族単位は、R1およびR2の部分であることができる。例えば芳香族単位は、フェニル、イミダゾール、チアゾール、インドール、フラン、チオフェン、ベンゾチアゾール、ピリミジン、ピラジン、ピロールからなる群から選択することができる。一態様において、アミド結合を介して残基に付着した2つの芳香族単位の少なくとも一方は、イミダゾールである。
【0025】
さらなる側面において、式(I)で表される1つ以上の化合物およびその食用塩のフレーバー調節化合物としての使用が提供され、ここで該化合物は、その異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形態において、式(II)で表され:
【化3】

式中、
【化4】
は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、
Xは、NおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を表し、
R4は、HまたはNH2のいずれかであり、
および、R2およびR3は、式(I)で表される化合物に対して定義されたのと同じ意味を有する。
【0026】
式IIで表される化合物は、2つのヘテロ原子がアミド結合を介して残基に付着した5員不飽和ヘテロ環を有する。例えば、5員不飽和ヘテロ環は、イミダゾールまたはチアゾールである。
【0027】
さらなる側面において、式(I)で表される1つ以上の化合物およびその食用塩のフレーバー調節化合物としての使用が提供され、ここで該化合物は、その異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形態において、式(III)で表され:
【化5】

式中、R1は、ヘプタデカニル、1-ヘプタデカ-8-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニルおよびヘプタデカ-8,11,14-トリエニルからなる群から選択される。
【0028】
式(II)で表される化合物は、ヒスチジンおよび脂肪酸に由来する。脂肪酸は、飽和しているか、または1つ以上の二重結合を有し得る。式(III)で表される化合物は味覚調節化合物であり、とりわけそれらは塩味を増強することができる。
【0029】
本発明のさらなる態様において、上に定義されるとおりの式(I)に記載の化合物または追加の化合物の使用が提供され、ここで該化合物は、以下からなる群から選択される:3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-1H-インドール-5-カルボキサミド、ヒスチジルチロシン、N-[3-(1H-イミダゾール-5-イル)プロパ-2-エノイル]-トリプトファン、ヒスチジルヒスチジン、N-[3-(メチルスルファニル)プロピル]ヒスチジンアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミド、ヒスチジル-β-アラニン、N-[オクタデカ-9,12-ジエノイル]ヒスチジン、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(1,3-チアゾール-2-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[オクタデカ-9,12,15-トリエノイル]ヒスチジン、N-[オクタデカ-9-エノイル]ヒスチジン、N-オクタデカノイルヒスチジン、3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸メチル、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボキサミド、3-(ピリミジン-2-イル)-N-[2-(ピリミジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3,6-ビス[(1H-イミダゾール-4-イル)メチル]ピペラジン-2,5-ジオン、3-(4H-イミダゾール-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-ピロール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-[2-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド]プロパン酸、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-フェニルプロパ-2-エンアミド、N-ベンジル-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピリミジン-5-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピラジン-2-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド、3-(フラン-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-2-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-3-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-2-{[(2E)-3-フェニルプロパ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-2-{[(2E)-2-メチルブタ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2-メチルブタンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエンアミド、2-{[3-(フラン-2-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパン酸、3-(1H-イミダゾール-5-イル)-2-{[3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸、N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボキサミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-(2-フェニルエチル)プロパ-2-エンアミド。
【0030】
とりわけ、上に定義されるとおりの式(I)に記載化合物または追加の化合物の使用が提供され、ここで該化合物は、以下からなる群から選択される:(2Z)-または(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-1H-インドール-5-カルボキサミド、ヒスチジルチロシン、N-[3-(1H-イミダゾール-5-イル)プロパ-2-エノイル]-トリプトファン、ヒスチジルヒスチジン、N-[3-(メチルスルファニル)プロピル]ヒスチジンアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミド、ヒスチジル-β-アラニン、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(1,3-チアゾール-2-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸メチル、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボキサミド、3-(ピリミジン-2-イル)-N-[2-(ピリミジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3,6-ビス[(1H-イミダゾール-4-イル)メチル]ピペラジン-2,5-ジオン。
【0031】
本発明さらなる態様において、上に定義されるとおりの式(I)に記載の化合物の混合物の、フレーバー調節化合物としての使用が提供される。
さらなる態様において、本発明によるフレーバー調節化合物は、風味食品、非風味食品、例えば乳製品、飲料、菓子などを含む、多種多様なフレーバー組成物および消費者向製品において特に有用である。
【0032】
例えば、フレーバー組成物は、組成物の総重量に基づき少なくとも0.01wt%、または少なくとも0.1wt%、または少なくとも0.5wt%のフレーバー物質および、組成物の総重量に基づき0.001~80wt%の本発明によるフレーバー調節化合物、好ましくは0.01~50wt%、より好ましくは0.01~20wt%のフレーバー調節化合物を含む。
典型的なフレーバー組成物においては、フレーバー調節化合物およびフレーバー物質は、10:1~1:150の重量比、好ましくは5:1~1:100の重量比で用いられる。
【0033】
フレーバー調節化合物を含むフレーバー組成物は、液体、ペーストまたは粉末の形態で好適に調製することができる。例えばフレーバー組成物は、流動性粉末である。
フレーバー組成物の典型例としては、風味フレーバー剤、サワー/酸性フレーバー剤などが挙げられる。
【0034】
本発明のフレーバー調節化合物は、フレーバー組成物において、フレーバー物質に加えて、フレーバー組成物で従来用いられてきた1以上の成分または賦形剤、例えば当該技術分野において一般的に用いられる担体材料およびその他の助剤と併せて、用いることができる。フレーバー組成物に適した賦形剤は、当該技術分野において周知であり、例えば、限定はされないが、溶剤(水、アルコール、エタノール、油、脂肪、植物油、およびミグリオールを含む)、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、フレーバー剤、着色剤、防腐剤、抗酸化剤、乳化剤、安定剤、フレーバーエンハンサー、固結防止剤などが挙げられる。
【0035】
フレーバー組成物のためのかかる担体または希釈剤の例は、例えば以下に見出し得る:”Perfume and Flavour Materials of Natural Origin”, S. Arctander, Ed., Elizabeth, N.J., 1960; "Perfume and Flavour Chemicals", S. Arctander, Ed., Vol. I & II, Allured Publishing Corporation, Carol Stream, USA, 1994; "Flavourings", E. Ziegler and H. Ziegler (ed.), Wiley-VCH Weinheim, 1998、および "CTFA Cosmetic Ingredient Handbook", J. Nikitakis (ed.), 1st ed., The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association, Inc., Washington, 1988。
【0036】
フレーバー組成物のその他の適切で望ましい成分は、標準的なテキスト、例えば”Handbook of Industrial Chemical Additives”, ed. M. and I. Ash, 2nd Ed., (Synapse 2000)に記載されている。
本発明の別の側面において、少なくとも1つの式(I)で表される化合物、または1つ以上の式(I)で表される化合物を含むフレーバー組成物、および製品基剤を含む消費者向製品が、さらに提供される。
【0037】
「製品基剤」とは、具体的な消耗可能組成物に必要な、通常の当該技術分野で認められたすべての成分の組み合わせを意味する。
本発明の別の側面において、食材および飲料からなる群から選択される消費者向製品が提供され、前記消費者向製品は、少なくとも1ppm、好ましくは少なくとも20ppm、さらに好ましくは少なくとも50ppmまたは70ppm ppbの、式(I)に記載の1つ以上のフレーバー調節化合物および/またはその食用塩を含む。
【0038】
例えば前記製品は、少なくとも0.0001wt%、より好ましくは少なくとも0.0003wt%、さらに好ましくは少なくとも0.001wt%、最も好ましくは少なくとも0.003wt%の少なくとも1つのフレーバー調節化合物を含有する。典型的には前記製品は、フレーバー調節化合物を1wt%以下、好ましくは0.5wt%以下の濃度で含有する。
【0039】
本発明による食材の典型的な例としては、スープ、ソース、ストック、ブイヨン、ブロス(broth)、チーズ製品、例えばチーズソース、ビーガンチーズ代替品、ドレッシング、マヨネーズ、調味料、マーガリン、麺類、チップス、カール、肉製品、ビーガン肉代替品および飲料などが含まれる。例えば前述の食材は、低ナトリウム製品であることができる。
【0040】
本発明によるフレーバー調節化合物は、所望の味の属性を先述の製品に付与するために、有利に適用することができる。加えて、現在の味覚改善物質は、これら同一製品中に含有される他のフレーバー成分の味覚への影響を調節可能であるため、これら製品の全体的フレーバー品質を向上させる。
【0041】
本発明の別の側面において、式(I)で表される化合物の、フレーバー調節化合物としての使用が提供される。
化合物は純粋形態または希釈形態で使用でき、液体または固体形態で提供される。
【0042】
本発明の別の態様において、フレーバー組成物または消費者向製品にフレーバー特性を付与する、増強する、改善するまたは改変する方法であって、前記組成物または消費者向製品に、少なくとも1つの式(I)で表される化合物またはその食用塩であるフレーバー調節化合物を添加することを含む、前記方法が提供される。例えば、フレーバー調節化合物は、少なくとも0.0003wt%、好ましくは少なくとも0.001wt%の量で添加される。
【0043】
式(I)で表される化合物のいくつかは異なる用途から知られているが、しかしほとんどの化合物は新規である。
例えば、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミドは、Baures et al (Molecules (2002), 7(11), 813-816)により天然のヒスタミン誘導体として記載された。前記化合物の官能特性は開示されていない。
【0044】
したがって、本発明は、式(I)で表される化合物:
【化6】

およびその食用塩を提供し、ここで式中、
R1は、2-(1H-4-イミダゾリル)-エテニル、1H-5-インドリル、2-(1H-5-イミダゾリル)-エテニル、1-アミノ-2-(1H-4-イミダゾリル)-エチル、(1,3-チアゾール-2-イル)-エテニル、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル、2-(ピリミジン-2-イル)エテニル、ヘプタデカニル、1-ヘプタデカ-8-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニル、ヘプタデカ-8,11,14-トリエニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エテニル、2-(4H-イミダゾール-2-イル)-エチル、2-フェニル-エテニル、2-(フラン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-2-イル)-エテニル、2-(チオフェン-3-イル)-エテニル、2-ブタ-2-エノイル、2-ブチル、2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イルからなる群から選択され;
【0045】
R2は、(1H-イミダゾール-4-イル)-メチル、(1H-3-インドール-3-イル)-メチル、4-ヒドロキシベンジル、メチルスルファニルエチル、ヒドロキシメチル、CH2-COOH、(ピリジン-4-イル)メチル、(ピリジン-2-イル)メチル、1-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)、2-(ピリミジン-2-イル)メチル、(1H-イミダゾール-5-イル)-メチル、(1H-イミダゾール-2-イル)-メチル、(1H-ピロール-2-イル)-メチル、フェニル、ピリミジン-5-イル、ピラジン-2-イルからなる群から選択され;
【0046】
R3は、H、COOHからなる群から選択される、
ただし、該化合物は、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、ヒスチジルチロシン、ヒスチジルヒスチジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミド、ヒスチジル-β-アラニン、N-オクタデカノイルヒスチジン、N-[(9Z)-オクタデカ-9-エノイル]ヒスチジンではない。
【0047】
さらなる側面において、上に定義されるとおりの、フレーバー調節化合物としての式(I)で表される化合物およびその食用塩が提供され、ここで、該化合物は、アミド結合を介して残基に付着した少なくとも1つの芳香族単位を有する。例えば、芳香族単位は、フェニル、イミダゾール、チアゾール、インドール、フラン、チオフェン、ベンゾチアゾール、ピリミジン、ピラジン、ピロールからなる群から選択することができる。芳香族単位は、R1および/またはR2の部分であることができる。
一態様において、芳香族単位はイミダゾールである。
【0048】
さらなる側面において、上に定義されるとおりの、フレーバー調節化合物としての式(I)で表される化合物およびその食用塩が提供され、ここで該化合物は、アミド結合を介して残基に付着した2つの芳香族単位を有し、およびここで、該芳香族単位は、R1およびR2の部分であることができる。例えば、芳香族単位は、フェニル、イミダゾール、チアゾール、インドール、フラン、チオフェン、ベンゾチアゾール、ピリミジン、ピラジン、ピロールからなる群から選択することができる。
一態様において、アミド結合を介して残基に付着した2つの芳香族単位の少なくとも一方は、イミダゾールである。
【0049】
さらなる側面において、フレーバー調節化合物としての式(I)で表される化合物およびその食用塩が提供され、ここで該化合物は、その異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形態において、式(II)で表され:
【化7】

式中、
【化8】
は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、
Xは、NおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を表し、
R4は、HまたはNH2のいずれかであり、
および、R2およびR3は、式(I)で表される化合物について定義されたのと同じ意味を有する。
【0050】
式IIで表される化合物は、2つのヘテロ原子がアミド結合を介して残基に付着した5員不飽和ヘテロ環を有する。例えば、5員不飽和ヘテロ環は、イミダゾールまたはチアゾールである。さらなる側面において、フレーバー調節化合物としての式(I)で表される化合物およびその食用塩が提供され、ここで該化合物は、その異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形態において、式(III)で表され:
【化9】

式中、R1は、ヘプタデカニル、1-ヘプタデカ-8-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニルおよびヘプタデカ-8,11,14-トリエニルからなる群から選択される。
【0051】
さらなる側面において、本発明は、上で定義された式(I)で表される化合物を提供し、ここで該化合物は、以下からなる群から選択される:N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-1H-インドール-5-カルボキサミド、N-[3-(1H-イミダゾール-5-イル)プロパ-2-エノイル]トリプトファン、N-[3-(メチルスルファニル)プロピル]ヒスチジンアミド、N-[オクタデカ-9,12-ジエノイル]ヒスチジン、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(1,3-チアゾール-2-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[オクタデカ-9,12,15-トリエノイル]ヒスチジン、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボキサミド、3-(ピリミジン-2-イル)-N-[2-(ピリミジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-(4H-イミダゾール-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-ピロール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-ベンジル-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピリミジン-5-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピラジン-2-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド、3-(フラン-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-2-イル)プロパ-2-エンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-3-イル)プロパ-2-エンアミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-2-{[(2E)-2-メチルブタ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2-メチルブタンアミド、N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエンアミド、2-{[3-(フラン-2-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパン酸、3-(1H-イミダゾール-5-イル)-2-{[3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸、N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボキサミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-(2-フェニルエチル)プロパ-2-エンアミド。
【0052】
本発明の化合物は、アミノ酸、または脱炭酸もしくは脱アミノ化されたアミノ酸などの修飾アミノ酸から、および脂肪酸から、調製され得る。
例えば、本発明の化合物は、β-アラニン、ヒスチジン、トリプトファン、およびチロシンからなる群から選択されるアミノ酸、脱炭酸ヒスチジン、セリン、メチオニン、チロシン、または脱アミノ化および脱水素化されたヒスチジンからなる群から選択される修飾アミノ酸から、調製することができる。
【0053】
本発明の化合物は、2つのアミノ酸からペプチド合成により調製してもよい。これらは、第1のアミノ酸のアミンを、第2のアミノ酸のカルボキシル基と反応させることにより、好適に生成される。
本発明の他の化合物は、1つのアミノ酸またはその誘導体および脂肪酸から調製してもよい。
【0054】
本発明の化合物の調製は、当該技術分野において知られている方法によって行うことができる。例えば化合物は、化学反応または酵素反応によって得ることができる。
本発明を、次に挙げる非限定例を参照してさらに詳細に説明する。これらの例は説明のみを目的としており、また当業者によりバリエーションおよび改変を加えることができることが理解される。
【実施例
【0055】
例1:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(13.8g, 100mmol)を、DMF(800ml)に溶解した。
室温で攪拌しながら、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(12.66g, 110mmol)およびジシクロヘキシルメタンジイミン(22.70g, 110mmol)を加えた。攪拌を24時間継続し、溶媒を、約200mLの体積まで蒸発させた。固体(ジシクロヘキシル尿素)を濾過して、220gの濾液を得た。
濾液(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリラートのDMF溶液)に、ヒスタミン.2HCl(18.4g, 100mmol)および重炭酸ナトリウム(16.8g, 200mmol)の水溶液を加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、メタノール(200mL)を残留物に加えた。残存する固体(NaCl)を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。単離された生成物をアセトンと共に3時間攪拌して、不純物NHSを除去した。生成物を50℃/15mbarの真空オーブンで濾過および乾燥した。15gの(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミドを、純度95%で白色粉末として得た。収量:62%。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 8.35 (1H, s), 7.83 (1H, s), 7.44 (1H, s), 7.42 (1H, d, J = 15.1 Hz), 7.19 (1H, s), 6.49 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.61 (2H, J = 6.5 Hz), 2.96 (2H, J = 6.5 Hz).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 171.9, 140.9, 137.7, 136.7, 134.8, 124.4, 120.0, 119.3, 41.4, 27.6.
【0056】
例2:N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-1H-インドール-5-カルボキサミド
1H-インドール-5-カルボン酸(5g, 31.0mmol)をDMF(350ml)に溶解し、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(3.93g, 34.1mmol)およびジシクロヘキシルメタンジイミン(7.04g, 34.1mmol)を室温で攪拌しながら加えた。攪拌を24時間継続した。固形物を濾過し、濾液を約100mLまで蒸発させた。
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-1H-インドール-5-カルボン酸塩(8.01g, 31mmol)のDMF溶液に、水(50ml)中の重炭酸ナトリウム(5.21g, 62.0mmol)とヒスタミン2HClの溶液を加えた。この混合物を50℃で4時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、残留物をメタノール中に取り込んだ。残存する固体(NaCl)を濾過し、濾液を蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、溶離液DCM/メタノールで精製した。分離された生成物を、酸性Dowex陽イオン交換体を用いてさらに精製して残存するNHSを除去し、最終的に200mgの90%純度の生成物を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.45 (1H, t, J = 5.5 Hz), 8.11 (1H, s), 7.69 - 7.79 (1H, m), 7.62 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.40 - 7.49 (2H, m), 6.93 (1H, s), 6.52 (1H, br s), 3.38 - 3.63 (2H, m), 2.80 (2H, t, J = 7.6 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 167.0, 137.1, 134.3, 133.9, 126.8, 126.4, 125.4, 120.2, 119.6, 116.5, 110.6, 101.9, 59.6, 39.1, 26.5.
【0057】
例3:L-ヒスチジル-L-チロシン
化合物はBachemから得た。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 7.99 (1H, s), 7.11 - 7.17 (2H, m, J = 8.3 Hz), 7.08 (1H, s), 6.81 - 6.87 (2H, m), 4.40 (1H, dd, J = 8.6 Hz, J = 5.2 Hz), 3.99 - 4.05 (1H, m), 3.08 - 3.17 (3H, m), 2.91 (1H, dd, J = 14.1 Hz, J= 8.6 Hz).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 180.7, 173.2, 157.0, 138.5, 133.4, 132.5, 132.3, 120.6, 118.2, 59.6, 56.0, 39.3, 31.6.
【0058】
例4:N-[(2E)-3-(1H-イミダゾール-5-イル)プロパ-2-エノイル]-L-トリプトファン
4gのL-トリプトファン酸メチルをDMF中に溶解し、攪拌しながら1.54gのNaHCO3を加えた。次いで、DMF中の0.125mol/lの2,5-ジオキソピロリジン-1-イル3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリラートの新たに調製した溶液175mlを加えた。得られた混合物を40℃に温め、攪拌を6時間継続した。反応混合物を、DMFを蒸発させて濃縮した。残留物に250mlの酢酸エチルを加え、100mlの水で洗浄した。酢酸エチル抽出物を100mlの水で再度洗浄し、蒸発により濃縮した。精製は、フラッシュクロマトグラフィーを用い、ジクロロメタン:メタノールで行った。得られたのは、3.5gの中間体(E)-(4-(1H-イミダゾール-5-イル)ブタ-2-エノイル)-L-トリプトファン酸メチルである。
【0059】
続いて、得られたメチルエステルを以下の手順で加水分解した:1gの(E)-(4-(1H-イミダゾール-5-イル)ブタ-2-エノイル)-L-トリプトファン酸メチルをメタノールに溶解した。溶液に1MのNaOH溶液12mlを添加した。加水分解の完了後、混合物を0℃に冷却し、1MのHCl溶液でpH1.8に酸性化した。
得られた混合物を蒸発により濃縮し、酢酸エチルを残留物に加えた。濾過後、混合物を蒸発により再び濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーによりジクロロメタンとメタノールで精製した。得られたのは0.5グラムの所望の生成物であった。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 10.92 (1H, s), 9.13 (1H, s), 8.70 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.93 (1H, s), 7.55 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.33 (2H, br d, J = 8.3 Hz), 7.31 (2H, br d, J = 15.8 Hz), 7.16 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.05 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.98 (1H, t, J5,6 = 7.2 Hz), 6.72 (1H, d, J = 15.8 Hz, 4.54 - 4.63 (1H, m), 3.20 - 3.28 (1H, m), 3.09 (1H, dd, J = 14.8 Hz, J = 9.3 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 173.4, 164.1, 136.1, 135.9, 129.4, 127.1, 123.6, 121.0, 119.9, 118.4, 118.2, 111.5, 110.0 48.6, 40.0, 26.9
【0060】
例5:L-ヒスチジル-L-ヒスチジン
化合物はBachemから得た。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 9.15 (1H, br d, J = 7.6 Hz), 8.96 (1H, s), 8.79 (1H, br s,), 7.44 (1H, s), 7.37 (1H, s), 4.54 - 4.61 (1H, m), 4.24 (1H, t, J = 6.5 Hz), 3.14 - 3.26 (3H, m), 3.07 (1H, dd, J = 15.1 Hz, J = 9.0 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 171.5, 167.6, 134.5, 133.9, 129.3, 127.7, 118.1, 117.6, 117.1, 116.2, 60.4, 52.0, 51.3, 26.7, 26.1.
【0061】
例6:N-[3-(メチルスルファニル)プロピル]ヒスチジンアミド
a)DMF(100ml)中のNα-Boc-ヒスチジン(3.0g,, 11.75mmol)と1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(1.62g, 14.10mmol)の混合物に、ジシクロヘキシルメタンジイミン(2.91g, 14.10mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。形成されたジシクロヘキシル尿素を濾別した。濾液に3-(メチルチオ)プロパン-1-アミン(1.5g, 14.10mmol)を加え、50℃で3時間攪拌した。DMFを減圧下での蒸発により除去した後、残留物を100mlの水に取り、次いで酢酸エチル(2x100ml)で2回抽出した。有機物をブライン(100ml)で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させた。粗生成物を、DCM/メタノールを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、中間体3-(メチルチオ)プロパニル-Nα-Boc-ヒスチジンアミドをオフホワイトの固体として得た。
【0062】
b)中間体3-(メチルチオ)プロパニル-Nα-Boc-ヒスチジンアミド(0.36g, 1.051mmol)を100mlのメタノールに溶解し、氷浴で4℃に冷却した。次いで、3MのHClのメタノール溶液15mlを加え、2時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をDCM/メタノールを用いてシリカゲルカラムにより精製し、0.15g(48.6%)の目的のN-[3-(メチルスルファニル)プロピル]ヒスチジンアミド塩酸塩を、ピンク色の固体として得た。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 9.08 (1H, s), 8.82 (1H, t, J = 5.5 Hz), 8.55 (3H, br s), 7.51 (1H, s), 4.22 (1H, br t, J = 6.2 Hz), 3.31 - 3.37 (1H, m), 3.11 - 3.26 (4H, m), 2.42 (2H, td, J = 7.2 Hz, J = 3.4 Hz), 2.02 (3H, s), 1.57 - 1.68 (2H, m).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 167.0, 134.0, 127.0, 117.7, 65.0, 51.3, 37.7, 30.4, 28.1, 26.4, 14.6.
【0063】
例7:N-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミド
N-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミドを、例6の手順により調製した。Boc-His-OH(3.0g, 11.75mmol)を、ジシクロヘキシルメタンジイミン(2.91g, 14.10mmol)と1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(1.62g, 14.10mmol)を用いて、エタノールアミン(0.86g, 14.10mmol)とカップリングした。目的のN-(2-ヒドロキシエチル)ヒスチジンアミド塩酸塩を、エーテルをステップ2の反応混合物に加えることにより、白色沈殿物として得た。収量:0.7g(22.5%)、純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 9.04 (1H, s), 8.67 (1H, br d, J = 4.8 Hz), 7.46 (1H, s), 4.14 (1H, br t, J = 6.5 Hz), 3.30 - 3.48 (2H, m), 3.17 - 3.26 (2H, m), 3.11 - 3.17 (2H, m, H-1), 3.06 - 3.11 (2H, m).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 167.3, 134.2, 126.9, 118.2, 59.5, 51.5, 42.0, 26.4.
【0064】
例8:ヒスチジル-β-アラニン
ヒスチジル-β-アラニン塩酸塩を、例6に記載の手順により調製した。Boc-His-OH(3.0g, 11.75mmol)を、カップリング試薬のジシクロヘキシルメタンジイミン(2.91g, 14.10mmol)および1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(1.62g, 14.10mmol)を用いて、β-アラニン(1.25g, 14.10mmol)とカップリングした。0.84gの目的化合物を白色固体として得た。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 8.56 (1H, s), 7.38 (1H), 4.22 (1H, t, J = 6.5 Hz), 3.46 - 3.55 (1H, m), 3.31 - 3.37 (1H, m), 3.29 - 3.40 (3H, m), 2.36 (2H, td, J = 6.5 Hz, J = 2.1 Hz).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 182.7, 170.9, 137.6, 129.6, 121.1, 55.3, 51.8, 39.6, 39.0, 29.5.
【0065】
例9:N-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル]-L-ヒスチジン
L-ヒスチジン塩酸塩(4.13g, 21.54mmol)を、60mlのNaOH(2.37g, 59.2mmol)の水溶液に溶解した。溶液を60mlのTHFで希釈し、氷浴で冷却した。次いで、40mlのTHF中の(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイルクロリド(5.33g, 17.95mmol)の溶液を滴下した。室温で2時間攪拌した後、反応混合物を希釈HCl溶液で酸性化し、次いで200mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル中に形成された沈殿物を濾過し、熱ヘプタンで洗浄し、次いで真空オーブン中40℃で乾燥させた。2.96gの((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)-L-ヒスチジンを、オレンジ色固体として得た。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.54 (1H, s), 8.22 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.18 (1H, s), 5.24 - 5.40 (3H, m), 4.48 (1H, td, J = 8.8 Hz, J = 5.2 Hz), 3.06 (1H, dd, J = 15.1 Hz, J = 4.8 Hz), 2.93 (1H, dd, J = 14.8 Hz, J = 9.3 Hz), 2.73 (1H, br t, J = 6.9 Hz), 2.06 (2H, br t, J = 7.2 Hz), 1.92 - 2.03 (4H, m, H-8), 1.44 - 1.52 (1H, m), 1.41 (2H, quin, J = 7.4 Hz), 1.09 - 1.35 (16H, m), 0.85 (3H, br t, J = 6.9 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 172.6, 172.3, 133.9, 130.8, 129.8, 127.8, 116.8, 51.4, 40.0, 35.1, 31.3, 30.9, 29.1, 29.1, 28.9, 28.8, 28.7, 28.6, 28.5, 27.0, 26.7, 26.6, 25.2, 25.2, 22.1, 22.0, 14.0.
【0066】
例10:(2E)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(1,3-チアゾール-2-イル)プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(チアゾール-2-イル)アクリル酸(1g, 6.44mmol)を、加熱下でDMF(25ml)に溶解した。ジ(1H-イミダゾール-1-イル)メタノン(1.254g, 7.73mmol)を攪拌しながら加え、反応混合物をRTにて1日攪拌した。TEA(0.898ml, 6.44mmol)および2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタン-1-アミン(0.716g, 6.44mmol)を加え、攪拌をRTにて1日継続した。次いで、混合物を50℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させた。固形残留物をアセトンに取り込み、濾過した。固体は、フラッシュカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した。0.3gの薄茶色の生成物が得られた。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 8.62 (1H, s), 8.23 (1H, d, J = 3.3 Hz), 8.12 (1H, d, J = 4.1 Hz, H-5), 7.70 (1H, d, J = 15.8 Hz), 7.30 (1H, s), 7.13 (1H, d, J3,2(E) = 15.8 Hz), 3.67 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.04 (2H, t, J2,1 = 6.5 Hz).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 169.1, 168.2, 138.3, 136.1, 135.3, 133.5, 128.0, 127.9, 119.3, 41.5, 26.9.
【0067】
例11:N-[(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエノイル]-L-ヒスチジン
N-[(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエノイル]-L-ヒスチジンを例9の手順に従って調製した。L-ヒスチジン塩酸塩(4.13g, 21.54mmol)を(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエノイルクロリド(5.33g, 17.95mmol)と反応さて、2.33gのN-[(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエノイル]-L-ヒスチジンをオレンジ色の固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 7.97 (1H, br d, J = 7.6 Hz), 5.26 - 5.41 (5H, m), 4.41 - 4.53 (1H, m), 3.01 (1H, dd, J = 14.8 Hz, J = 5.2 Hz), 2.89 (1H, dd, J = 14.8 Hz, J = 8.6 Hz), 2.72 - 2.81 (3H, m, H-11), 1.99 - 2.11 (5H, m), 1.38 - 1.51 (2H, m), 1.17 - 1.34 (10H, m), 0.93 (2H, t, J = 7.6 Hz), 0.82 - 0.89 (1H, m).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 172.5, 171.9, 134.1, 131.3, 129.8, 129.6, 127.8, 127.6, 127.3, 126.8, 116.6, 51.6, 40.0, 35.0, 30.7, 28.8, 28.5, 28.4, 28.3, 27.9, 26.5, 26.4, 25.0, 24.9, 24.3, 21.7, 19.8, 13.8, 13.6.
【0068】
例12:N-[(9Z)-オクタデカ-9-エノイル]-L-ヒスチジン
30mlのDCM中の(Z)-ドコス-13-エノイルクロリド(11.69g; 32.7mmol)の溶液を、300mlのDCM中のL-ヒスチジン酸エチル(5g; 27.3mmol)とトリエチルアミン(11.05g; 109mmol)の混合物に滴下した。室温で2時間攪拌した後、反応混合物を水(2×150ml)で洗浄した。DCM層をMgSO4で乾燥し、次いで減圧下で蒸発させて、中間体のオレオイル-L-ヒスチジン酸エチルを得た。
【0069】
この中間体の加水分解は、50mlの水中の水酸化ナトリウム(1.56g; 39.0mmol)の溶液を、50mlのメタノール(50ml)中のオレオイル-L-ヒスチジン酸エチル(8.74g; 19.52mmol)の冷溶液に加えて行った。室温で2時間攪拌した後、反応混合物を希釈HClで酸性化した。形成された固体を濾別し、ヘプタンとn-ペンタンで洗浄し、次いで40℃の真空オーブンで乾燥した。0.3g(3%)のオレオイル-L-ヒスチジンが、白色固体として得られた。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.03 (1H, br d, J = 7.6 Hz), 7.55 (1H, s), 6.78 (1H, s), 5.27 - 5.36 (2H, m), 4.32 - 4.44 (1H, m), 2.91 (1H, br dd, J> = 15.1 Hz, J = 4.8 Hz), 2.81 (1H, br dd, J = 14.8 Hz, J = 8.6 Hz), 2.01 - 2.09 (2H, m), 1.95 - 2.00 (3H), 1.42 (3H, dt, J = 14.1 Hz, J = 7.4 Hz), 1.10 - 1.34 (21H, m), 0.84 (3H, br t, J = 6.9 Hz, H-18).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 172.8, 171.8, 134.3, 129.4, 129.4, 52.0, 40.0, 35.0, 31.0, 28.9, 28.9, 28.8, 28.7, 28.6, 28.4, 28.4, 28.4, 28.3, 26.4, 26.4, 24.9, 21.8, 13.6.
【0070】
例13:N-オクタデカノイルヒスチジン
N-オクタデカノイルヒスチジンを例9の手順に従って調製した。L-ヒスチジン塩酸塩(3.77g, 19.69mmol)を塩化ステアロイル(4.97g; 16.41mmol)と反応させて、1.9g(26%)の目的化合物を白色固体として得た。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.11 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.04 (1H, br s), 7.93 (1H, s), 7.06 (1H, s), 6.98 (1H, s), 4.44 (1H, td, J = 8.3 Hz, J = 5.5 Hz), 3.86 - 3.91 (2H, m), 3.02 - 3.09 (2H, m), 2.97 (3H, td, J = 14.8 Hz, J = 6.2 Hz), 2.86 (2H, br dd, J = 15.1 Hz, J = 9.0 Hz), 2.18 (1H, t, J = 7.6 Hz), 2.05 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.44 - 1.50 (1H, m), 1.41 (2H, quin, J = 7.4 Hz), 1.24 - 1.28 (4H, m), 1.23 (28H, s), 1.15 - 1.18 (2H, m), 0.85 (4H, t, J = 6.9 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 174.6, 172.9, 172.2, 170.0, 134.8, 134.4, 52.8, 51.7, 40.0, 35.1, 33.7, 31.3, 29.1, 29.1, 29.0, 28.8, 28.8, 28.6, 28.7, 27.2, 25.2, 24.5, 22.1, 14.0.
【0071】
例14:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド
化合物はAldrichから得た。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 11.89 - 12.77 (1H), 7.71 (1H, s), 7.37 - 7.52 (1H), 7.36 (1H, s), 7.28 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.90 (1H, br s), 6.47 (1H, br d, J = 15.8 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 167.4, 137.1, 131.3, 118.5.
【0072】
例15:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
DMF(150ml)中の、(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(2.1g, 15.20mmol)、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(1.925g, 16.72mmol)およびDCC(3.45g, 16.72mmol)の混合物を、24時間攪拌した。次いで、形成されたジシクロヘキシル尿素を濾別した。濾液に2-(ピリジン-4-イル)エタン-1-アミン(2g, 16.37mmol)を加え、50℃で4時間攪拌した。DMFを減圧下での蒸発により除去した後、残存する粗生成物をシリカゲルカラムに加え、DCM/メタノールで溶出した。0.9g(24.4%)の(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミドが、白色固体として得られた。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.28 - 8.64 (2H, m), 8.12 (1H, br s), 7.69 (1H, br s), 7.39 (1H, br s), 7.28 (1H, d, J = 15.1 Hz), 7.24 (2H, d, J = 5.5 Hz), 6.50 (1H, br d, J = 16.5 Hz), 3.42 (2H, q, J = 6.9 Hz), 2.78 (2H, t, J = 6.9 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 165.8, 149.5, 148.5, 137.2, 136.9, 131.7, 124.3, 118.9, 118.2, 40.0, 34.4.
【0073】
例16:2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸メチル
インドリン-2-カルボン酸(5g, 30.6mmol)を100mlのメタノールに溶解し、氷浴で冷却した。攪拌しながら、塩化アセチル(16.5g, 210mmol)を滴下した。氷浴中で1時間攪拌した後、溶液を室温で一晩放置した。次いで溶媒を、30℃の減圧下での蒸発により除去した。残存する残留固体をメタノールから再結晶させて、6.3g(96%)のインドリン-2-カルボン酸メチル、HClを白色固体として得た。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 7.11 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.04 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.73 - 6.80 (2H, m), 4.54 (1H, dd, J = 10.0 Hz, J= 6.5 Hz), 3.65 - 3.71 (3H, m), 3.35 (1H, dd, J = 16.5 Hz, J = 10.3 Hz), 3.15 (1H, dd, J = 15.8 Hz, J = 6.2 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 172.7, 147.4, 127.9, 127.4, 124.4, 120.1, 111.0, 59.0, 52.1, 32.9.
【0074】
例17:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミドを例15の手順に従って調製した。(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(2g, 14.48mmol)を、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン (1.833g, 15.93mmol)およびDCC(3.29g, 15.93mmol)を用いて、2-(ピリジン-2-イル)エタン-1-アミン(2g, 16.37mmol)とカップリングした。0.9g(25.7 %)の(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミドが、白色固体として得られた。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 9.19 (1H, br s), 8.78 - 8.83 (1H, m), 8.75 - 8.78 (1H, m), 8.50 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.96 (1H, br d, J = 8.3 Hz), 7.94 (1H, s), 7.92 (1H, t, J = 6.9 Hz), 7.26 (1H, dt, J = 15.8 Hz, J = 1.4 Hz), 6.71 (1H, d, J = 15.8 Hz), 5.35 (7H, br s), 3.63 (2H, br t, J = 6.2 Hz), 3.26 (2H, br t, J = 6.2 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 164.6, 154.5, 146.6, 141.3, 135.8, 129.1, 128.0, 125.5, 124.6, 124.4, 120.1, 38.2, 33.0.
【0075】
例18:(2E)-N-[(2E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド
(2E)-N-[(2E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミドを、例15の手順に従って調製した。(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(2g, 14.48mmol)を、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(1.833g, 15.93mmol)およびDCC(3.29g, 15.93mmol)を用いて、ゲラニルアミン(2.441g, 15.93mmol)とカップリングした。1.1g(27.8%)の(2E)-N-[(2E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミドが、オフホワイトの固体として得られた。純度はNMRにより>90%である。
1H NMR (CDCl3, 600 MHz) δ = 9.46 (1H, br s), 7.82 (1H, s), 7.42 (1H, d, J = 15.1 Hz), 7.15 (1H, s), 6.88 (1H, br s), 6.60 (1H, d, J = 15.1 Hz, 5.17 - 5.25 (1H, m), 4.97 - 5.13 (1H, m), 3.92 (2H, br t, J = 6.2 Hz), 2.00 - 2.07 (2H, m), 1.94 - 2.00 (2H, m), 1.65 (3H, br s), 1.64 (3H, br s), 1.56 (3H, s).13C NMR (CDCl3, 151 MHz) δ = 166.3, 139.8, 136.5, 133.8, 131.7, 129.5, 123.8, 121.4, 119.8, 119.6, 39.5, 39.4, 37.8, 25., 16.3.
【0076】
例19:N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボキサミド
20mlのTHFおよび20mlのメタノール中のインドリン-2-カルボン酸メチル(1.34g, 7.56mmol)とヒスタミン(0.6g, 5.40mmol)の溶液を、還流下で4時間攪拌した。溶媒を除去した後、粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりDCMとメタノールで精製した。0.3g(20.6%)のN-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボキサミドが、白色固体として得られた。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 7.97 (1H, t, J = 5.5 Hz), 7.60 (1H, s), 6.99 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.94 (1H, t, J6,4 = 7.6 Hz), 6.81 (1H, s), 6.55 - 6.60 (2H, m), 5.93 (1H, br s), 4.18 (1H, dd, J = 10.3 Hz, J = 8.3 Hz), 3.29 - 3.37 (2H, m), 3.27 (1H, dd, J = 15.8 Hz, J = 9.6 Hz), 2.86 (1H, dd, J = 15.8 Hz, J = 8.3 Hz), 2.65 (2H, t, J = 7.2 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 173.3, 151.2, 134.6, 127.3, 127.2, 124.2, 117.9, 116.5, 109.1, 60.9, 40.0, 38.5, 34.6, 26.8.
【0077】
例20:(2E)-3-(ピリミジン-2-イル)-N-[2-(ピリミジン-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(ピリミジン-2-イル)アクリル酸(919mg, 1.2Eq, 6.12mmol)をDMF(25ml)に溶解した。攪拌しながらCDI(992mg, 1.2Eq, 6.12mmol)を加え、攪拌を24時間継続した。翌日、TEA(1.03g, 1.42mL、2Eq, 10.2mmol)および2-ピリミジン-2-イル-エチルアミン二塩酸塩(1.00g, 1Eq, 5.10mmol)を加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより溶離液DCM/メタノールで精製した。0.3gの目的化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.80 (2H, d, J = 4.8 Hz), 8.71 (2H, d, J = 4.8 Hz), 8.52 (1H, br t, J = 5.5 Hz), 7.40 (1H, t, J = 4.8 Hz), 7.33 (1H, t, J = 4.8 Hz), 7.27 (1H, d, J = 15.1 Hz), 7.21 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.62 (2H, q, J = 6.9 Hz), 3.05 (2H, t, J = 7.2 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 168.0, 164.1, 162.5, 157.7, 157.3, 137.5, 130.9, 120.6, 119.3, 38.5, 37.7.
【0078】
例21:3,6-ビス[(1H-イミダゾール-4-イル)メチル]ピペラジン-2,5-ジオン
30mlのバイアルに、ヒスチジン酸メチル,2HCl(5.00g, 1Eq, 20.7mmol)、TEA(4.18g, 5.76ml, 2Eq, 41.3mmol)およびエタノール(7ml)を充填した。このバイアルを電子レンジに入れ、140℃で3時間加熱した。最大圧力は4バールであった。固体を濾過し、冷たいエタノールで洗浄した。乾燥後、0.4gの黄色の固体を得た。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 8.67 (1H, s), 7.33 (1H, s), 4.93 - 4.94 (1H, m), 4.24 (1H, t, J = 4.5 Hz), 3.36 (1H, dd, J = 15.1 Hz, J = 4.8 Hz), 3.19 (1H, dd, J = 15.8 Hz, J= 4.8 H).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 171.1, 136.8, 130.0, 120.8, 56.5, 31.1.
【0079】
例22:味覚
例1の化合物((2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド)を、水中において種々な濃度で官能パネルにより試飲した。
40ppmまでは効果が見られなかったが、50ppm以上ではわずかな口内乾燥の効果があった。この効果は1000ppmまで顕著であった一方、味自体は感じられず、特に塩味は全く感じられなかった。1000ppmを上回るレベルでは溶解性の問題が生じた。
【0080】
例23:塩味の増強
2つの水溶液を調製した。
A)0.5 % NaCl、および
B)0.5%NaClと50ppmの(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド(例1の化合物)。
溶液を官能パネルにより試飲した。溶液Aは「塩辛い」と記載された。溶液Bは、より塩辛くミネラルのノートを有すると記載された。
【0081】
例24:塩分増強
例1の化合物((2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド)を、0.3%のNaCl溶液中様々な濃度で官能パネルにより試飲した。
1ppm未満の例1の化合物では、塩分増強は知覚されなかった。1ppm以上のレベルでは、塩分を増強する効果が認められ、より長く残り、ミネラル感があり、より豊かな塩味を提供する。全体として効果は200ppmまで知覚され、化合物の好ましい範囲は50~70ppmであった。
【0082】
例25:うま味の増強
2つの水溶液を調製した。
A)0.5%のNaCl、0.03%のMSG、0.007%のリボチド、および
B)0.5%のNaCl、0.03%のMSG、0.007%のリボチドおよび50ppmの(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド(例1の化合物)。
溶液を官能パネルにより試飲した。溶液Aは風味の味覚のモデル溶液であり、MSG(グルタミン酸ナトリウム)とリボチド(IMP/GMP、50/50混合物)を風味味覚エンハンサーとして含有する。溶液Bは、溶液Aと比較して塩味とうま味の強いブーストを有すると記載された。
【0083】
例26:苦味のマスキング
2つの水溶液を調製した。
A)0.3%のKCl、および
B)0.3%のKCl50ppmと(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド(例1の化合物)。
溶液を官能パネルにより試飲した。溶液Bは、溶液Aと比較して苦味が少なく、より塩辛くミネラル感が強いと記載された。
【0084】
例27:ブロスへの効果
NaClを0.3%含むモデルブロスベースを、例1の化合物50ppmをさらに含む試料と比較した。
溶液を官能パネルにより試飲した。例1の化合物を含む試料は、モデルブロスベースと比較して、よりミネラル感が強く塩辛いと記載された。ブロスベースの鋭い酸味が低減された。
【0085】
例28:チーズソースへの効果
例1の化合物の、チーズソースへの効果を検討した。したがって官能パネルにより、チーズソースを例1の化合物50ppmをさらに含むソース試料と比較した。
例1の化合物を含むソースは、プレーンなソースと比較して、よりミネラル感が強く塩辛く、ミネラル感が残り、自然な熟成チーズの特質を有すると記載された。
【0086】
例29:他の味覚調節化合物との組み合わせ
味覚調節化合物の組み合わせを、水中の0.3%NaCl溶液で試飲した。
A)50ppmの例1の化合物および50ppmのN-ラクトイルエタノールアミン;
B)50ppmの例1の化合物および0.04ppmのN-オレオイルメチオニン;
C)50ppmの例1の化合物、50ppmのN-ラクトイルエタノールアミン、および0.04ppmのN-オレオイルメチオニン。
溶液を官能パネルにより試飲した。
試料Aは、2つの味覚調節化合物の明確な組み合わせを示し、より強い塩味とミネラル味およびコクを提供すると記載された。
試料Bは、最初の塩分のピークが明確にブーストされて、さらに塩辛いと知覚された。
試料Cは、塩分のピークがより丸くなり、ブーストされた塩体(salt body)を有していた。
3つの味覚調節化合物の組み合わせが官能パネルにより選好された。
【0087】
例30:ポテトチップスへの効果
塩分1.5%のポテトチップスを、例1の追加の化合物がある場合とない場合で、官能パネルにより試飲した。
例1の化合物を70ppmでさらに含むポテトチップスは、例1の化合物なしのポテトチップスと比較して、塩分の影響が大きく、長く残る効果を有した。
【0088】
例31:マヨネーズへの効果
例1の化合物の添加ありまたはなしの市販のマヨネーズを、官能パネルにより比較した。
純粋なマヨネーズと比較して、70ppmの例1の化合物をさらに含む試料は、瞬時にピリピリした塩味でミネラルが残り、酸味が増強されたと記載された。
【0089】
例32:コーンカールへの効果
チーズ風味のコーンカールに例1の化合物の添加ありおよびなしの場合を、官能パネルにより比較した。
70ppmの例1の化合物を添加したコーンカールの味は、例1の化合物を添加していないカールと比較して、より塩辛く、長く残り、ミネラル感があると記載された。
【0090】
例33:ビーガンチーズへの効果
0.2%のチーズパルメザンナチュラルフレーバーを含むビーガンチーズの試料を、例1の化合物がある場合とない場合で、官能パネルにより比較した。
70ppmの例1の化合物を添加することにより、試料はより塩辛くミネラル感が増し、全体の味が引き立つと記載される。
【0091】
例34:ビーガンバーガーへの効果
大豆ベースのビーガンバーガーを、例1の化合物がある場合とない場合で、官能パネルにより試飲した。
70ppmの例1の化合物を含むバーガーは、例1の化合物を含まない試料と比較した場合、より塩辛く、ミネラル感が残り、バーガーの知覚に良好に寄与する。
【0092】
例35:加工肉への効果
完全塩フレーバーと減塩フレーバーの加工肉の試料を、例1の化合物がある場合とない場合で、官能パネルにより試飲した。
試料1は、完全塩フレーバーベースを含んでいた。
試料2は、完全塩フレーバーベースおよび70ppmの例1の化合物を含んでいた。
試料3は、減塩(33.3%)フレーバーベースおよびKClを含む塩味フレーバーモジュレーターを含んでいた。
試料4は、減塩(33.3%)フレーバーベース、KClを含む塩味フレーバーモジュレーター、および70ppmの例1の化合物を含んでいた。
【0093】
70ppmの例1の化合物を含有する試料2は、本発明の化合物なしの試料1と比較して、より塩辛くミネラル感があるとして知覚される。
試料1と比較して、試料3は、塩味が少なく、渋みとドライ感が増し、わずかな苦味を示した。
試料1と比較して、試料4は、塩ピークの改善、塩分の増加、塩味の持続、苦味と渋みの大幅な低減、および唾液分泌の増加を有した。
【0094】
例36:味覚
例2~21の化合物を、水中で官能パネルにより試飲した。
前記化合物を50ppm含む溶液はそれぞれ味がなかった。
【0095】
例37:塩味の増強
0.5%のNaClと50ppmの例2~21の化合物それぞれを含む水溶液を調製し、官能パネルにより試飲して、0.5%のNaClを含む水溶液と比較した。
例2~21の化合物を含むすべての溶液は、0.5%のNaCl水溶液と比較して、より塩辛いと記載されている。
【0096】
例38:(2E)-3-(4H-イミダゾール-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(689mg, 1.1Eq, 5.99mmol)を、DMF(100ml)中の(E)-3-(1H-イミダゾール-2-イル)アクリル酸塩酸塩(0.950g, 1Eq, 5.44mmol)とTEA(1.10g, 1.52ml, 2Eq, 10.9mmol)の黄色溶液に加え、5分間攪拌した。次いでジシクロヘキシルメタンジイミン(1.23g, 1.1Eq, 5.99mmol)を加え、RTにて24時間攪拌した。翌日、形成されたジシクロヘキシル尿素を濾過し、濾液を冷蔵庫に一晩入れた。沈殿したジシクロヘキシル尿素を濾別した。濾液にDMF(50ml)中の2-(1H-イミダゾール-5-イル)エタン-1-アミン(605mg, 1Eq, 5.44mmol)の溶液を加えた。得られた混合物を、RTにて2時間、55℃で2時間攪拌した。溶媒の除去後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離液DCM/メタノールを用いて精製した。0.8gの目的の(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル)-3-(1H-イミダゾール-2-イル)アクリルアミドが、白色固体として得られた。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ =1.06 - 1.12 (1 H, m) 1.73 - 1.79 (1 H, m) 2.67 (2 H, t, J=7.23 Hz 2 H) 3.37 - 3.38 (2 H, m) 6.37 (1 H, d, J=15.84 Hz) 6.81 (1 H, s) 7.10 (1 H, dd, J=4.82, 3.44 Hz) 7.36 (1 H, d, J=3.44 Hz,) 7.54 (1 H, s) 7.56 (1 H, d, J=15.15 Hz) 7.59 (1 H, d, J=5.51 Hz) 8.16 (1 H, br t, J=5.85 Hz).13C NMR (DMSO-d6,151 MHz,) δ = 25.98, 38.49, 40.05, 116.57, 122.16, 127.27, 133.01, 134.28, 143.38, 164.89.
【0097】
例39:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-2-イル)エチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリルアミドを、例38に記載されたものと同じ手順で合成した。(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(825mg, 1.1Eq, 5.98mmol)を、2-(1H-イミダゾール-2-イル)エタン-1-アミン, 2HCl(1.00g, 1Eq, 5.43mmol)とカップリングして、0.8gの目的化合物を淡黄色の固体として得た。純度はNMR分析により>90%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.36 (1H, br t, J = 5.9 Hz), 7.75 (1H, s), 7.49 (2H, s, H-11), 7.39 (1H, s), 7.29 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.46 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.56 (2H, q, J = 6.2 Hz), 3.22 - 3.28 (1H, m), 3.08 (2H, t, J = 6.5 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ, 145.3, 137.1, 135.3 (C-16), 130.9 (C-4), 121.3 (C-17), 119.1 (C-11, 12), 118.0 (C-3), 36.9 (C-6), 26.3 (C-7).
【0098】
例40:N-(2-ヒドロキシエチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド
(E)-N-(2-ヒドロキシエチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリルアミド(0.5g, 2.76mmol)をメタノール(40ml)に溶解し、淡黄色の溶液を得た。溶液を窒素で5分間パージし、次いでPd-C10%(60mg, 0.564mmol)を溶液に加えた。反応混合物を、水素が消費されなくなるまで1atmの水素下でRTにて攪拌した。触媒を濾過し、濾液を蒸発させた。残留固体をエーテルで洗浄し、50℃の真空オーブンで乾燥した。0.5gの目的のN-(2-ヒドロキシエチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミドを、白色固体として得た。純度はNMR分析により>90%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.78 (1H, s), 7.27 (1H, s), 3.35 (2H, t, J = 5.9 Hz), 3.08 (2H, t, J = 6.2 Hz), 2.84 (2H, t, J = 7.6 Hz), 2.46 (2H, t, J = 7.6 Hz)13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 172.0, 133.4, 133.0, 115.8, 60.0, 41.8, 34.0, 20.4.
【0099】
例41:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-ピロール-2-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(1.00g, 1Eq, 7.24mmol)をDMF(25ml)に溶解した。
CDI(カルボニルジイミダゾール)(1.41g, 1.2Eq, 8.69mmol)をRTにて攪拌しながら加え、攪拌をRTにて24時間継続した。2-(1H-ピロール-2-イル)エタン-1-アミン(798mg, 1Eq, 7.24mmol)を加え、反応混合物を50℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、0.3gの薄茶色の固体を得た。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 8.60 (1H, s), 7.55 (1H, m), 7.20 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.44 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.39 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.71 (2H, t, J = 6.9 Hz)、他のプロトンは溶媒により重水素に交換された(13C NMRの多重線を参照)。13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 166.9, 134.9, 133.3, 129.5, 129.0, 124.7, 123.5, 119.6, 118.9, 117.4 (1C, t, J = 25.43 Hz), 107.2 (1C, t, J = 24.98 Hz) 104.9 (1C, t, J = 25.88 Hz) 39.7, 26.5.
【0100】
例42:3-[2-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド]プロパン酸
目的物の合成は、3-(2-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド)プロパン酸メチル(0.91g ; 3.79mmol)を水酸化ナトリウム(0.30g ; 7.58mmol)で水中(100ml)でサポニン化することにより行った。希塩酸で酸性化した後、沈殿固体を濾過し、メタノールで洗浄し、真空オーブンで乾燥した。0.84gの目的化合物を白色固体として得た。純度はNMR分析により>90%である。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 8.56 (1H, s), 7.38 (1H, s), 4.22 (1H, t, J = 6.5 Hz), 3.46 - 3.55 (1H, m), 3.31 - 3.37 (1H, m), 3.29 - 3.40 (3H, m), 2.36 (2H, td, J = 6.5 Hz, J = 2.1 Hz), 1.41 (1H, s), 1.37 (1H, s).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 182.7, 170.9, 137.6, 129.6, 121.1, 55.3, 51.8, 39.6, 39.0, 29.5.
【0101】
例43:(2Z)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
2.00gのトランスウロカニン酸を1000mlの脱塩水に溶解した。pHを、1MのNaOH溶液を使用してpH9.00に調整した。得られた混合物をUV反応器に入れ、0℃に冷却した。この溶液に、一定の遅い窒素気泡流を通した。異性化の開始を、UV照明により、Heraeus NoblelightからのUVランプN1を0℃で7時間使用して行った。次いで溶液を、1MのHCl溶液を加えてpH3.8まで引き上げた。得られた溶液を、次に0.5mbarで120時間凍結乾燥した。2.00グラムのオフホワイト着色混合物を得た。混合物のNMRは、0.85:1のシス:トランス比を示した。
【0102】
0.85:1の比率のシス-トランス-ウロカニン酸混合物2.00gを90mlの無水DMFに溶解した。1.83gのN-ヒドロキシスクシンイミドを加え、混合物を10分間攪拌した。30mlの無水DMF中の3.29gのDCCの溶液を、混合物に10分間かけて滴下した。その後RTにてさらに24時間攪拌を継続した。得られた混合物を濾過し、残留物を2 * 5mlの無水DMFで洗浄した。濾液はN2雰囲気下-18℃にて一晩保管し、再度濾過した。残留物を2* 5mlの無水DMFで洗浄した。得られた濾液に、22mlの水中の2.43gの重炭酸ナトリウムと2.67gのヒスタミン二塩酸塩の溶液を攪拌しながら滴下した。次いで反応混合物を45℃に温め、攪拌を5時間継続した。反応混合物をRTにて一晩放置した。得られた混合物を、ロータベーパー(rotavapor)を用いて乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物を25mlのメタノールと共に1時間撹拌した。白色の沈殿物が形成され、濾過した。濾液を乾燥するまで再び蒸発させた。得られた残留物に、25mlの量の無水エタノールを加えた。混合物を再度1時間攪拌し、その後濾過した。エタノールを蒸発により除去した。次いで精製を、フラッシュクロマトグラフィーを使用し、DCM:MeOHを溶離液として行った。0.25gの(Z)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリルアミドを得た。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 7.77 (1H, s), 7.56 (1H, s), 7.27 - 7.36 (1H, m), 6.82 (1H, s, 6.70 (1H, d, J = 12.4 Hz), 5.68 (1H, d, J = 12.4 Hz3), 3.28 - 3.46 (2H, m), 2.71 (2H, t, J = 7.2 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 167.1, 137.7, 135.2, 127.5, 116.6, 39.6, 27.3.
【0103】
例44:(2E)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-フェニルプロパ-2-エンアミド
ジクロロメタン(50.0ml)中の塩化シナモイル(7.2g, 43.2mmol)の溶液を、氷浴で冷却したエタノール(50ml)中の2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタン-1-アミン(5.2g, 46.8mmol)とTEA(13.77ml, 99mmol)の溶液に滴下した。添加後、冷却浴を取り外し、攪拌を1時間継続し、次いで反応混合物を室温で一晩放置した。次いで、DCMとエタノールを減圧下で蒸発させることにより除去した。粗生成物の精製は、DCM、エーテル、およびペンタンで洗浄し、エタノールから再結晶させることにより行った。8.0gの目的のN-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)シンナムアミドが、白色粉末として得られた。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.21 (1H, t, J = 5.5 Hz), 7.53 - 7.58 (3H, m), 7.42 (1H, d, J = 15.8), 7.40 (2H, t, J = 7.5 Hz), 7.6 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.82 (1H, s), 6.64 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.41 (2H, m) 2.69 (2H, t, J = 7.4 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 164.9, 138.5, 135.0, 134.7, 129.4, 129.0, 127.5, 122.3, 38.9, 27.1.
【0104】
例45:(2E)-N-ベンジル-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(2.00g, 1Eq, 14.5mmol)をDMF(75ml)に溶解した。1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(1.83g, 1.1Eq, 15.9mmol)を加えた。ジシクロヘキシルメタンジイミン(3.29g, 1.1Eq, 15.9mmol)を加え、攪拌をRTにて24時間継続した。形成された固体(ジシクロヘキシル尿素)を濾過し、濾液にフェニルメタンアミン(1.71g, 1.1Eq, 15.9mmol)を加えた。反応混合物を50℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をメタノール中に取り込んだ。シリカ(15g)を加え、溶媒を蒸発させた。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、1.8gの固体試料材料を得た。スペクトルは、純度>95%で目的の構造と一致している。
1H NMR (METHANOL-d4, 600 MHz) δ = 7.75 (1H, s), 7.48 (1H, d, J = 15.1 Hz), 7.32 - 7.36 (2H, m), 7.31 (2H, br s), 7.22 - 7.29 (1H, m), 6.54 (1H, br d, J = 15.1 Hz), 4.48 (2H, s).13C NMR (METHANOL-d4, 151 MHz) δ = 169.1 (C-1), 140.1 (C-1), 138.6 (C-2), 129.7 (C-3, 5), 128.8 (C-2, 6), 128.4 (C-4), 119.3 (C-2(E)), 44.5.
【0105】
例46:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピリミジン-5-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(1.00g, 1Eq, 7.24mmol)をDMF(25ml)に溶解した。CDI(1.41g, 1.2Eq, 8.69mmol)をRTにて攪拌しながら加え、攪拌をRTにて24時間継続した。5-アミノメチルピリミジン(790mg, 1.00Eq, 7.24mmol)を加え、反応混合物を50℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、0.1gの白色固体を得た。構造は、NMRにより高純度>95%で確認される。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 9.07 (1H, s), 8.77 - 8.81 (2H, m), 8.76 - 8.79 (1H, m), 7.75 (1H, s), 7.46 (1H, d, J = 16.5 Hz), 6.72 (1H, d, J = 15.8 Hz), 4.60 (2H, s).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 170.5, 159.3, 159.2, 138.1, 135.3, 132.0, 128.7, 125.9, 122.9, 41.7.
【0106】
例47:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-[(ピラジン-2-イル)メチル]プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(5.00g, 1Eq, 36.2mmol)をDMF(125ml)に溶解した。N,N'-カルボニルジイミダゾール(7.04g, 1.2Eq, 43.4mmol)をRTにて攪拌しながら加え、攪拌をRTにて24時間継続した。ピラジン-2-イルメタンアミン(3.95g, 1Eq, 36.2mmol)を加え、反応混合物を50℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、3gの生成物を純度>95%で得た。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 8.64 (2H, s,), 8.59 (1H, s), 8.50 (1H, d, J = 2.7 Hz), 7.61 (1H, s,), 7.30 (1H, d, J = 15.9 Hz), 6.61 (1H, d, J = 15.8 Hz), 4.61 (2H, s).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 170.6, 157.3, 148.1, 143.8, 143.7, 138.1, 131.9, 128.7, 125.8, 123.0, 45.6.
【0107】
例48:(2E)-3-(フラン-2-イル)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]プロパ-2-エンアミド
(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミドを、N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)シンナムアミド(例44)について記載されたのと同じ手順で合成した。2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタン-1-アミン(2.00g, 1Eq, 18.0mmol)を(E)-3-(フラン-2-イル)アクリロイルクロリド(3.10g, 1.10Eq, 19.8mmol)と反応させて、1.6gの目的の(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミドをベージュ色の粉末として得た。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.94 (1H, s), 8.47 (1H, br t, J = 5.5 Hz), 7.76 (1H, s), 7.41 (1H, s), 7.21 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.76 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.57 (1H, br s), 6.41 (1H, d, J = 15.8 Hz,), 3.47 (2H, q, J = 6.2 Hz), 2.83 (2H, br t, J = 6.5 Hz) 13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 165.0, 150.9, 144.8, 133.6, 131.2, 126.1, 119.3, 116.2, 113.9, 112.4, 55.0, 37.8, 24.6.
【0108】
例49:(2E)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-2-イル)プロパ-2-エンアミド
2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタン-1-アミン(1.00g, 1Eq, 9.00mmol)をメタノール(20ml)に溶解し、DCM(50ml)で希釈した。トリエチルアミン (2.73g, 3Eq, 27.0mmol)を加え、次いでDCM(50ml)中の(E)-3-(チオフェン-2-イル)アクリロイルクロリド(1.86g, 1.2Eq, 10.8mmol)の溶液をRTにて滴下した。RTにて2時間攪拌した後、溶液を蒸発させた。残留固体を、DCM、次いで酢酸エチルおよびエーテルで洗浄した。固体をTHF(150ml)に取り、50℃で15分間攪拌した。不溶性固体を濾過した。THF溶液をRTに冷却し、次いで沈殿が生じるまでエーテルで希釈した。白色沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、次いで40℃の真空オーブンで乾燥した。0.7gの(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3-(チオフェン-2-イル)アクリルアミドを、白色粉末として得た。純度はNMR分析により>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 8.16 (1H, br t, J = 5.9 Hz), 7.59 (1H, d, J = 5.5 Hz), 7.56 (1H, d, J = 15.1 Hz), 7.54 (1H, s), 7.36 (1H, d, J17,20 = 3.4 H), 7.10 (1H, dd, J = 4.8 Hz, J = 3.4 Hz), 6.81 (1H, s), 6.37 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.37 - 3.38 (2H, m), 2.67 (2H, t, J = 7.2 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 164.6, 139.9, 134.7, 131.6, 130.6, 128.3, 127.8, 121.0, 38.9, 25.1.
【0109】
例50:(2E)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3-(チオフェン-3-イル)プロパ-2-エンアミド
ヒスタミン(1.1g, 1Eq, 9.9mmol)をメタノール(10ml)に溶解し、DCM(50ml)で希釈した。TEA(3.0g, 4.1ml, 3Eq, 30mmol)を加え、次いでDCM(50ml)中の(E)-3-(チオフェン-3-イル)アクリロイルクロリド(2.0g, 1.2Eq, 12mmol)の溶液をRTにて滴下した。RTにて2時間攪拌した後、溶液を蒸発させた。残存する残留固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに移し、次いでDCM/メタノールで溶出して、1.1gの目的の(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3-(チオフェン-3-イル)アクリルアミドをオフホワイトの粉末として得た。 純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (DIMETHYLFORMAMIDE-d7, 600 MHz) δ = 7.82 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.63 - 7.66 (1H, m), 7.61 - 7.66 (1H, m), 7.54 (1H, d, J = 15.1 Hz), 7.41 (1H, d, J = 4.8 Hz), 6.92 (1H, s), 6.60 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.53 - 3.58 (2H, m), 2.81 (2H, t, J = 7.6 Hz).13C NMR (DIMETHYLFORMAMIDE-d7, 151 MHz) δ = 165.8, 138.8, 135.2, 133.0, 127.6, 127.3, 125.5, 122.5, 39.7, 27.7.
【0110】
例51:3-(1H-イミダゾール-4-イル)-2-{[(2E)-3-フェニルプロパ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸
合成:L-ヒスチジン(3.00g, 1Eq, 19.3mmol)を水(50ml)中の水酸化ナトリウム(1.8g, 2.3Eq, 44.5mmol)の水溶液に溶解し、THF(50ml)で希釈した。 次いでTHF(50ml)中の塩化シナモイル(4.19g, 1.3Eq, 25.1mmol)の溶液をRTにて滴下した。反応混合物をRTにて3時間攪拌した後、1MのHClで中和し、減圧下30℃で蒸発させた。残存する固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりDCM/メタノールを用いて精製した。0.5gの目的化合物シナモイル-L-ヒスチジンを、白色固体として得た。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (METHANOL-d4, 600 MHz) δ = 7.95 (1H, s), 7.55 (2H, br d, J = 6.2 Hz), 7.48 (1H, d, J = 15.8 Hz, ), 7.35 - 7.39 (2H, m), 7.33 - 7.39 (1H, m), 7.00 (1H, s), 6.70 (1H, d, J = 15.8 Hz), 4.66 (1H, dd, J = 6.9 Hz, Jα,β<''> = 4.8 Hz), 3.25 (1H, dd, Jβ<''>,β<'> = 15.1 Hz, Jβ<''>,α = 4.8 Hz), 3.10 (1H, dd, Jβ<'>,β<''> = 15.1 Hz, J = 7.6 Hz.13C NMR (METHANOL-d4, 151 MHz) δ = 177.3, 168.0, 141.8, 136.5, 135.4, 133.1, 130.9, 130.1, 129.0, 122.3, 119.9, 55.9, 30.4.
【0111】
例52:3-(1H-イミダゾール-4-イル)-2-{[(2E)-2-メチルブタ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸
(E)-(2-メチルブタ-2-エノイル)-L-ヒスチジンを、シンナモイル-L-ヒスチジン(例51)について記載されたのと同じ手順を用いて合成した。L-ヒスチジン(2.50g, 1Eq, 16.1mmol)を(E)-2-メチルブタ-2-エノイルクロリド(2.00g, 1.05Eq, 16.9mmol)と反応させた。0.8gの目的化合物を白色固体として得た。純度はNMRにより>98%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 7.95 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.60 (1H, s), 6.81 (1H, s), 6.34 (1H, qd, J = 6.9 Hz, J = 1.4 Hz), 4.38 (1H, d, J = 6.9 Hz), 2.96 (2H, d, J = 6.2 Hz, H-9), 1.72 (3H, s), 1.69 (3H, d, J = 7.6 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 173.4, 168.0, 134.7, 133.7, 131.5, 129.9, 116.8, 52.8, 28.4, 13.7, 12.3.
【0112】
例53:N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2-メチルブタンアミド
N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-2-メチルブタンアミドを、(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3-(チオフェン-3-イル)アクリルアミド(例50)について記載されたのと同じ手順を用いて合成した。ヒスタミン(1.5g, 1Eq, 13mmol)を2-メチルブタノイルクロリド(1.6g, 1Eq, 13mmol)と反応させた。0.4gの目的のN-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-2-メチルブタンアミドを淡黄色の固体として得た。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 7.80 - 7.92 (1H, m), 7.57 (1H, s), 6.79 (1H, s), 3.20 - 3.32 (2H m), 2.62 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.07 - 2.13 (1H, m), 1.42 - 1.50 (1H, m), 1.22 - 1.31 (1H, m), 0.95 (3H, d, J = 6.9 Hz), 0.76 (3H, t, J = 7.6 Hz).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 175.4, 134.6, 134.2), 116.9, 41.4, 38.5, 27.0, 26.9, 17.7, 11.8.
【0113】
例54:(2E)-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエンアミド
(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエンアミドを、(E)-N-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-3-(チオフェン-3-イル)アクリルアミド(例50)について記載されたのと同じ手順を用いて合成した。ヒスタミン(1.00g, 1Eq, 9.00mmol)を(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエノイルクロリド(2.50g, 1.49Eq, 13.4mmol)と反応させた。0.5gの目的のN-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)-2-メチルブタンアミドを白色固体として得た。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ = 7.82 (1H, br t, J = 5.2 Hz), 7.52 (1H, s), 6.77 (1H, br s), 5.62 (1H, br s), 5.05 - 5.11 (1H, m), 3.25 - 3.30 (3H, m), 2.62 (2H, br t, J = 7.2 Hz), 2.06 - 2.12 (1H, m), 2.05 - 2.09 (1H, m), 2.01 - 2.06 (1H, m), 2.01 - 2.06 (3H, m), 1.63 - 1.66 (3H, m), 1.53 - 1.61 (4H, m).13C NMR (DMSO-d6, 151 MHz) δ = 166.0, 151.4, 134.6, 131.4, 123.5, 118.8, 40.2, 38.5, 25.7, 25.5, 17.6.
【0114】
例55:2-{[(2E)-3-(フラン-2-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパン酸
L-ヒスチジン(3.00g, 1Eq, 19.3mmol)を、水(50ml)中の重炭酸ナトリウム(4.06g, 2.5Eq, 48.3mmol)の水溶液に溶解し、THF(30ml)で希釈した。次いで、THF(30ml)中の(E)-3-(フラン-2-イル)アクリロイルクロリド(3.94g, 1.3Eq, 25.1mmol)の溶液をRTにて滴下した。反応混合物をRTにて一晩攪拌した後、1MのHClで中和した。反応混合物を酢酸エチル(2x 150ml)で抽出し、未反応の(E)-3-(フラン-2-イル)アクリル酸を除去した。水層を30℃の減圧下で蒸発させた。残存する固体をメタノール(200ml)に懸濁し、15分間攪拌した後、濾過した。濾液を蒸発させた。残存する固体を再びメタノール(200ml)に懸濁し、攪拌した後、濾過した。濾液を蒸発させた。残存する残留固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに移し、次いでDCM/メタノールで溶出して、1.3gの目的化合物をオフホワイト固体として得た。純度はNMRにより>95%である。
1H NMR (D2O, 600 MHz) δ = 7.73 (1H, s), 7.58 (1H, d, J = 1.4 Hz), 7.25 (1H, d, J = 15.1 Hz), 6.96 (1H, s), 6.72 (1H, d, J17,18 = 3.4 Hz), 6.55 (1H, dd, J18,17 = 3.4 Hz, J = 2.1 Hz), 6.44 (1H, d, J = 15.8 Hz), 4.57 (1H, dd, J12,11 = 9.0 Hz, J12,11 = 4.8 Hz), 3.19 (1H, dd, J11,11 = 14.8 Hz, J11,12 = 4.5 Hz), 3.02 (1H, dd, J11,11 = 15.1 Hz, J11,12 = 9.0 Hz).13C NMR (D2O, 151 MHz) δ = 180.9, 170.8, 153.6, 147.9, 138.4, 135.8, 131.1, 120.4, 120.0, 117.7, 115.3, 58.2, 32.1.
【0115】
例56:3-(1H-イミダゾール-5-イル)-2-{[(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エノイル]アミノ}プロパン酸
反応は、乾燥条件下で窒素をゆっくり流しながら行った。ウロカニン酸とN-ヒドロキシスクシンイミドの活性化エステルは、最初に(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(1.727g, 1Eq, 12.50mmol)を80mlの無水DMFに攪拌しながら溶解することにより、調製した。この溶液に、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(1.582g, 1.1Eq, 13.75mmol)を加え、攪拌をRTにて約10分間継続した。次いで混合物に、25mlの無水DMF中のジシクロヘキシルメタンジイミン(2.837g, 1.1Eq, 13.75mmol)の溶液を10分間滴下した。得られた混合物をRTにて24時間撹拌した。反応混合物を次いで濾過し、形成されたジシクロヘキシル尿素を除去した。残留物を2*5mlの無水DMFで洗浄し、得られた透明濾液を-18℃の窒素雰囲気下で夜間保管し、再度濾過した。残留物を2*5mlの無水DMFで洗浄した。得られたのは、約100mlの無水DMF中の12.5mmolのウロカニン酸の活性エステルからの溶液である。250mlの反応フラスコに、得られたウロカニン酸活性エステルのDMF溶液12.5 mmolを入れた。20mlの水中のL-ヒスチジン二塩酸塩(2.851g, 1Eq, 12.50mmol)と炭酸水素ナトリウム(2.993g, 2.85Eq, 35.63mmol)を、RTにて15分間滴下した。添加の間、反応混合物のpHは、1MのNaOH溶液を用いてpH9に維持した。添加後、温度を4時間にわたって40℃に保った。反応混合物をRTまで冷却した。次いで、37%のHClを慎重に添加してpH2.5に調整した。100mlの水を混合物に加え、3 * 20mlの酢酸エチルで洗浄した。次いで水相を、ロータベーパーを用いて乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物に50mlの無水エタノールを加え、RTにて一晩攪拌した。混合物を濾過した。得られた濾液を蒸発させ、得られた残留物を30mlのアセトニトリルで洗浄し、濾過して乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物のLC-MS分析により、生成物に存在する所望のmol量が確認された。精製を、RPC18-prep HPLCを用いて行った。100mgの所望の生成物が単離された。
1H NMR (600 MHz, D2O) δ = 8.70 (1 H, s), 8.60 (1 H, d, J=1.4 Hz), 7.71 (1 H, br s), 7.38 (1 H, d, J=15.8 Hz), 7.28 (1 H, br s), 6.67 (1 H, d, J=15.8 Hz), 4.66 (1 H, dd, J=8.3, 4.8 Hz), 3.32 - 3.36 (1 H, m), 3.17 (1 H, dd, J=15.5, 8.6 Hz).13C NMR (151 MHz, D2O) δ = 178.9, 169.4, 138.1, 136.0, 132.4, 132.3, 128.9, 125.3, 122.9, 119.6, 57.2, 30.2.
【0116】
例57:N-[2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル]-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボキサミド
ピリジン(25ml)中の2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタン-1-アミン,2HCl(1.473g, 8.00mmol)の懸濁液を、氷/水浴中で攪拌した。ベンゾ[d]チアゾール-6-カルボニルクロリド(1.976g, 10mmol)を加えた。反応混合物を、氷/水浴中で30分間、およびRTにて24時間、攪拌した。ピリジンを蒸発させ、残留物を水に取り込み、この懸濁液に水酸化ナトリウム溶液を加えてpH=11にした。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を乾燥および蒸発させた。少量である残留物は、主に所望の生成物であったが、純粋ではなかった。水層も蒸発させ、残留物をメタノール中に取り込んだ。残存する固体(NaCl)を濾過し、濾液を蒸発させた。残留物もまたほとんどが所望の生成物であった。精製は、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗生成物の一部で行い、0.2gの白色固体をNMRによる純度>95%で得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 9.53 (1 H, s), 8.74 (1 H, t, J=5.2 Hz), 8.64 (1 H, s), 8.15 (1 H, d, J=9.0 Hz), 7.99 (1 H, d, J=8.5 Hz), 7.55 (1 H, s), 6.84 (1 H, s), 3.52 (2 H, q, J=6.9 Hz), 2.78 (2 H, t, J=7.6 Hz).13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 165.6, 158.8, 154.6, 134.7, 133.7, 131.9, 125.3, 122.7, 122.0, 40.0, 33.4, 27.0.
【0117】
例58:(2E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-N-(2-フェニルエチル)プロパ-2-エンアミド
(E)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)アクリル酸(15g, 109mmol)を、ジオキサン(250ml)に溶解した。このエマルションに、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(13.75g, 119mmol)およびDCC(24.65g, 119mmol)を加えた。混合物を室温で24時間攪拌した。固形物を濾過した。濾液の一部(1/3)を次の反応ステップで使用した。濾液の92gのジオキサン溶液に、2-フェニルエタン-1-アミン(4.40g, 36.3mmol)を加えた。この溶液を50℃で3時間撹拌した。ジオキサンを蒸発させ、残留物をDCMに取り込んた。固形物を濾過により除去し、濾液を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を分離、乾燥、および蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1gの薄黄色の固体を得た。この固体を分取HPLCによりさらに精製し、80mgの生成物をNMRによる純度>98%で得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 12.22 (1 H, br s), 8.10 (1 H, br t, J=5.5 Hz), 7.69 (1 H, s), 7.39 (1 H, s), 7.26 - 7.31 (4 H, m), 7.18 - 7.24 (4 H, m), 6.51 (1 H, d, J=15.1 Hz), 3.37 - 3.40 (2 H, m), 2.75 (2 H, t, J=7.2 Hz).13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 165.7, 139.6, 137.3, 136.8, 131.6, 128.7, 128.3, 126.1, 118.8, 118.4, 40.3, 35.3.
【0118】
例59:塩味の増強
0.5%のNaClと50ppmの例38~58の化合物それぞれを含む水溶液を調製し、官能パネルにより試飲して、0.5%のNaClを含む水溶液と比較した。
例38~58の化合物を含むすべての溶液は、0.5%NaCl水溶液と比較して、より塩辛いと記載されている。加えていくつかの例は、より金属的で濃厚であり、うま味があり、ミネラル感があり、クリーンな塩味で、ほのかな酸味があると記載された。
【0119】
例60:うま味の増強
2つの水溶液を調製した。
A)0.5%のNaCl、0.03%のMSG、0.007%のリボチド、および
B)0.5%のNaCl、0.03%のMSG、0.007%のリボチド、および50ppmの例38~58のそれぞれの化合物。
溶液を官能パネルにより試飲した。溶液Aは、風味味覚のモデル溶液であり、MSG(グルタミン酸ナトリウム)とリボチド(IMP/GMP、50/50混合物)を風味味覚エンハンサーとして含有する。例38~58の化合物を含む溶液Bはそれぞれ、溶液Aと比較して、塩味およびうま味の強いブーストを有すると記載された。
さらにいくつかの例は、より濃厚でミネラル感があり、かつわずかな酸味を伴うと記載された。
【国際調査報告】